第201回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2015年8月18日(火)14:00~14:23

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

  • 【委員】
    河上委員長、石戸谷委員長代理、岩田委員、齋藤委員、高橋委員、夏目委員、橋本委員、唯根委員
  • 【事務局】
    黒木事務局長、小野審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 電子マネーに関する消費者問題について
  3. その他
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 時間になりましたので、始めさせていただきます。皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会第201回本会議」を開催いたします。

また、本日は所用によりまして、阿久澤委員、山本委員が御欠席の予定になっております。

それでは、配付資料の確認を事務局からお願いします。

○丸山参事官 事務局でございます。

議事次第の下部のほうに配布資料一覧を記しております。

資料1といたしまして「電子マネーに関する消費者問題についての建議(案)」。

資料2といたしまして特保に関わる答申書。

参考資料といたしまして「委員間打合せ概要」ということになっております。

もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。


≪2.電子マネーに関する消費者問題について≫

○河上委員長 では、最初の議題は「電子マネーに関する消費者問題について」であります。インターネットによる取引の拡大に伴いまして、クレジットカードや電子マネーなど多様な支払手段が利用されるようになりました。電子マネーはほかの支払手段と比較して歴史の浅いものではありますけれども、利便性の高い支払手段として、今後もその利用の拡大が見込まれておりまして、発行額も年々増加しているという状況にあります。

一方で、電子マネーに関わる被害も発生しているということであります。国民生活センターなどに寄せられました相談事例を見ますと、加盟店の悪質な行為が原因で生じる被害や電子マネーのIDが詐取される被害などが発生しており、電子マネーの健全な市場が形成されているとは言い難い状況にあります。消費者が安心して電子マネーを利用できる環境の整備が十分であるとは言えないということであります。

このような現状を踏まえまして、今年の8月には当委員会の本会議において、金融庁及び一般社団法人日本資金決済業協会から、電子マネーに関する消費者被害の実態と、これに求められる対策などについてヒアリングを行いました。そして、引き続き検討を行い、今般、建議の案を取りまとめたという次第でございます。

それでは、建議案の内容について、これは担当の高橋委員から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○高橋委員 担当委員としまして、私から建議案の内容について御説明いたします。河上委員長からも少し御説明がございましたが、補足して問題の背景について、まず御説明いたします。

インターネット取引の拡大に伴って、クレジットカードや電子マネーなど支払手段が多様化しております。これらの支払手段のうち、クレジットカード取引について、当委員会は平成26年8月26日に「クレジットカード取引に関する消費者問題についての建議」を発出し、経済産業省に対して加盟店管理の徹底など消費者保護のための制度整備を求め、同省においても、「割賦販売法(昭和36年法律第159号)」に基づく規制の強化に向けて検討が進められております。

他方、電子マネーのほうはどうかということですが、電子マネーには大きく分けて2種類がございます。

一つは、IC型と言われるもので、ICチップが埋め込まれたプリペイドカードがこれに当たります。

もう一つは、サーバ型と言われるもので、オンラインゲームやウェブ上のコンテンツを購入するときに利用できるものです。このサーバ型電子マネーの発行額は、平成22年度から25年度の3年間に1.4倍に増大し、今後も利便性の高さやキャッシュレス決済の普及に伴い、市場が拡大していくことが見込まれています。こうした市場の拡大と相まって、電子マネーに関する相談件数は、お手元の資料1-2の建議の概要の1ページのグラフにありますように、増加傾向にあります。

電子マネーはクレジットカードと決済の仕組みが類似しており、これまでクレジットカードを媒体としていた消費者問題が、クレジットカードに対する規制の強化に伴って、比較的規制の緩やかな電子マネーに移行していくことが懸念されております。当委員会は、被害の実態等を踏まえ、サーバ型電子マネーを取り上げ、現時点において早急に効果的な対策を講ずるため、調査審議し、本建議に至ったものでございます。

今回の建議は、電子マネーに関する被害の発生状況を踏まえ、第1に、電子マネー発行業者の加盟店管理と苦情処理体制の整備、第2に、電子マネーのIDを詐取されることによる被害への防止対策、第3に、電子マネーの特徴や利用に関する留意点等に関する消費者教育や情報提供、これらに関しまして金融御担当の内閣府特命担当大臣あて、三つの建議事項を掲げております。

初めに、建議案お手元の資料1-1の3ページを御覧ください。

建議事項1は、電子マネー発行業者の加盟店の管理と苦情処理体制の整備に関するものです。

国民生活センターなどに消費者から寄せられた相談の内容を見ると、電子マネー発行業者の加盟店が消費者に架空の取引を持ち掛けて、代金を電子マネーで受け取りながらサービスを提供しないといった悪質な行為による相談が見られます。いわゆる悪質加盟店型の被害です。

このような被害を防止するためには、加盟店が消費者に対して悪質な行為を行った場合、電子マネー発行業者は当該加盟店との契約を解除するなど、適切な加盟店管理を行うべきと考えます。加盟店管理につき、「資金決済に関する法律(平成21年法律第59号)」では、電子マネー発行業者の加盟店の取り扱う物品及び役務について、公の秩序または善良の風俗を害し、または害するおそれがあるものではないことを確保するために必要な措置を講じていない法人、すなわちこれに該当する電子マネー発行業者を第三者型発行者の登録拒否事由としております。これは法第10条第1項第3号に基づくものです。

そして、登録拒否事由に該当するときは、登録の取消し、または6か月以内の発行業務の全部もしくは一部の停止を命ずることができることとしています。これは法第27条第1項第1号によります。

また、電子マネー発行業者の業務の運営に関し、利用者の利益を害する事実があると認めるときは、その利用者の利益の保護のために必要な限度において、当該業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができることとしています。法第25条です。

ところが、公序良俗違反という要件については、犯罪行為に使用されるなどの悪質性が強い場合などが該当すると考えられ、加盟店管理義務をより明確にする観点から、悪質な加盟店による被害の防止に資するように、電子マネー発行業者の加盟店管理責任を法令などにおいて明文化することが必要と考えます。

また、電子マネー発行業者における消費者からの苦情処理については、電子マネー発行業者の規約に加盟店と利用者間のトラブルは当事者間で解決する旨が規定されているものが散見されるなど、電子マネー発行業者が紛争解決に非協力的である場合もあるとの報告もあります。これは電子マネー発行事業者において苦情処理体制が必ずしも適切に整備されていないことを表すものです。電子マネー発行業者には、消費者からの苦情に適切に対応する体制を整備する義務があることを明らかにすべきです。

以上のことから、本建議では金融庁に対し、電子マネー発行業者の加盟店の管理及び苦情処理体制の制度整備について、資金決済に関する法律における義務付けを含む制度整備に向けた措置を講ずることを求めています。

続きまして、資料1-1の5ページを御覧ください。建議事項2ですが、ここでは電子マネーのIDを詐取されることによる被害の防止対策に関するものです。

電子マネーの利用における被害の主な類型の一つとして、消費者に対して架空の料金を請求するなど不正な請求を行い、その支払を電子マネーで行うよう指示する事例があります。具体的には、コンビニエンスストアなどの電子マネー販売店で消費者に電子マネーを購入させ、IDを詐取するといったものです。電子マネーは匿名で誰でも比較的簡単に購入して利用することができ、他人に譲渡することができるという特徴がありますが、その特性を逆手にとられ被害に遭うケースが見られます。そのため、金融庁に対し、電子マネー発行業者による電子マネー販売時における注意喚起の表示、被害発生状況のモニタリングや分析を通じた被害の予防や救済に向けた取組を促すことを求めています。

また、高額あるいは大量の電子マネーを購入しようとする消費者に対して、従業員からの注意喚起の声掛けを行うことなどにより、被害を未然に防いだという事例が幾つも報告されています。店頭での声掛けには被害予防が期待されるため、電子マネーの販売店においては引き続き取り組んでいただきたいと考えます。

そこで、本建議では、金融庁に対して、経済産業省等と連携し、電子マネーを販売する事業者に対し、従業員からの声掛けを行うことなどにより、電子マネーを詐取しようとする者に支払うことを目的とした電子マネーの購入を未然に防ぐ取組について協力を要請することを求めています。

最後に、建議案の7ページを御覧ください。建議事項3は、消費者教育及び情報提供に関するものです。

消費者が電子マネーの特徴や利用に関する留意点や、詐欺等に遭わないための知識を身に付け、適切に行動することができるようにするためには、消費者教育や情報提供を推進していくことが重要です。

そのため、金融庁に対して、消費者庁等の協力を得て、電子マネーの特徴、被害の拡大防止や回復を図る際に有用と思われる知識についての消費者教育、消費者への情報提供を対象となる年齢層に配慮して一層積極的に推進することを求めています。

以上の建議事項について、金融御担当の内閣府特命担当大臣には着実に実施し、電子マネーに関する消費者問題に取り組んでいただきたいと思います。

以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いします。

事前の調整作業の中で各委員の御意見はある程度反映した形で原案を作っておりますけれども、何か特にこの際、強調したいことあるいは御意見等がございましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。

では、石戸谷委員長代理、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 建議事項1の点について、補足したいと思います。

建議事項1は、加盟店の管理責任、制度整備の明確化と苦情処理体制の制度整備という二つを言っております。まず、前者の加盟店の管理責任のところについては、これは問題を見ますと二つに分けられる。一つは、先ほど御説明がありましたとおり、現行の資金決済法は加盟店管理責任というものを登録拒否事由、行政処分、登録取消し事由というような側面から見て規定しているのですけれども、これを正面からより明確にすべきであるという点と、もう一つは、現行法で管理責任と言われているものが公序良俗違反という書きぶりになっているのですが、これを被害実態との関係でより適切な内容にすべきであるという二つが入っております。

二つ目のところは、建議事項1の理由の二つ目の丸の最後から4ページのところの二つ目の丸との関係を併せて読んでいただければそのような内容である。4ページのクレジットカードのところの加盟店管理について、割賦販売法でという制度整備にということが書かれておりますけれども、先ほども話がありましたとおり、消費者にとって決済が事前か事後かという違いはありますが、全体的な決済のスキームというのはクレジットと電子マネーと似たような構造になっておりまして、割賦販売のほうはオフアス取引が一般化したという状況を踏まえて、アクワイアラー、決済代行業者を含めた全体の加盟店管理責任の役割分担ということで制度の整備を今、目指しているところでありまして、それとの並びで、この電子マネーのほうについても、公序良俗違反といったような非常に限定的なものということではなくて、もう少し被害実態に対応できる内容にすべきであるというものです。

それと苦情の処理体制の問題については、加盟店管理責任のところと内容的にはかなり密接な関係がある問題でありまして、加盟店管理は加盟店の審査段階と途上審査の両面があると思うのですけれども、苦情処理を通じた情報の把握というのが重要になってくるわけでして、したがって、苦情処理と加盟店管理というのは密接な関係があるということです。

現状どうなっているのかというのは、本会議でヒアリングも行いましてわかりましたとおり、日本資金決済業協会は資金決済という専門領域において苦情処理ということを行っているわけですが、国民生活センターのほうにいっているような苦情とはかなり違った内容になっている。消費者被害という方面の苦情というのは余り入っていない。それは協会のほうの周知性の問題が一つあると思うのですが、そこに持っていって苦情が解決されるのだろうかということを考えると、期待が国民生活センターのほうが高いのかなと。

なぜそうなるかというと、苦情処理の手続の問題もあるのですけれども、苦情処理に持っていったときにどう解決されるのか。手続ではなくて実態的な解決のためのルールというのが整備されていないと、苦情理由なしということで終わってしまうということになりかねない関係にあると思います。苦情をきちっと受け付けて問題の所在を把握して、それに対応するルールを整備していくという循環になると思いますので、加盟店管理体制と苦情処理の両面を求めていますが、建議事項1というのはそういう組立てになっておりまして、ここが中核であると理解しております。

以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

補足的に解説をいただいた、というところですけれども、ほかに何か御意見はございますか。特によろしいでしょうか。

それでは、この建議案については皆様の御了解をいただいたということで、金融御担当の内閣府特命担当大臣あてに発出をしたいと思います。

≪2.その他≫

○河上委員長 続きまして、議題「その他」としまして、新開発食品調査部会からの報告がございます。

本日は唯根部会長代理から説明をお願いいたします。

○唯根委員 それでは、特定保健用食品の表示許可に係る答申について、私から御報告させていただきます。

平成27年6月29日に開催した第26回新開発食品調査部会の議決について、新開発食品調査部会設置・運営規程第7条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、8月12日付で内閣総理大臣へ答申を行いました。

まず、資料2の答申書を御覧ください。

内閣総理大臣より諮問を受けて、第26回新開発食品調査部会において、安全性及び効果について審議を行った結果、指摘事項を確認の上、了承することが部会長に一任され、申請者からの回答書を確認し、特定保健用食品として認めることといたしました。きょうは部会長欠席のため、部会長代理の私から報告させていただきまました。

以上です。

○河上委員長 ということでございます。資料の最後のところにある答申であります。

私、資料を見せてもらった際に気が付いたのですけれども、このリカルデントグレープミントガムというのとリカルデントグレープ&ライムミントガムというものがあるのですが、一番上の包み紙には絵がないのです。絵がないのですと言ったら変ですけれども、このグリーンミントにはミントの葉っぱが付いていて、ライムミントにはライムの実が付いていて、グレープ&ライムミントには、ブドウとミントの葉っぱの絵が付いているのですが、上のものでは四つ目と色は同じなのに絵が全くないのです。ちょっとわかりにくいなと思いましたので、また事業者の方が図柄の選択をする際に、この絵柄について考えてもらえるとうれしいと思いながら拝見いたしました。特に審議の結果に関しては問題ないということで余計なことであったかも知れません。


≪3.閉会≫

○河上委員長 本日の議題は以上でございます。

最後に、事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議の日程、議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページ等を通じてお知らせいたします。

なお、この後、16時を目途に、消費者庁記者会見室におきまして、報道機関の皆様を対象とする委員長記者会見を行いますので、お知らせいたします。

また、この後、委員間打合せを開催いたしますので、委員の皆様におかれましては委員室のほうに御移動いただきますようお願いいたします。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)