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第173回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2014年10月7日(火)16:00~17:39

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
河上委員長、石戸谷委員長代理、阿久澤委員、岩田委員、齋藤委員、高橋委員、夏目委員、橋本委員、山本委員、唯根委員
【説明者】
弁護士法人きぼう 東京きぼう法律事務所 寺町 代表社員弁護士
一般社団法人 日本こども育成協議会 中尾 理事
古城 誠 公共料金等専門調査会
家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会座長
【事務局】
黒木事務局長、井内審議官、大貫参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者安全について(子どもの安全)
    弁護士法人きぼう 東京きぼう法律事務所 寺町 東子 代表社員弁護士
    一般社団法人 日本こども育成協議会 中尾 亮資 理事
  3. 電気料金について(「北海道電力の電気料金値上げ」に対する消費者委員会の意見取りまとめについて)
    説明者 古城 誠 公共料金等専門調査会
    家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会座長
  4. 閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会第173回本会議」を開催いたします。

また、高橋委員が本日は所用により若干おくれて御出席の予定になっております。

それでは、配付資料の確認につきまして事務局からお願いいたします。

○大貫参事官 本日配付の資料ですが、議事次第の下にございます配付資料、資料1から資料3をお配りしております。不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。


≪2.消費者安全について(子どもの安全)≫

○河上委員長 それでは、最初の議事に入らせていただきます。最初の議題は「子どもの安全について」であります。

教育・保育施設等において、死亡事故を含む事故が繰り返されていることを踏まえまして、当委員会ではサービスの提供を受ける消費者たる子どもの安全確保という観点から、事故情報の適切な収集・活用等について検討を行っているところであります。先週の本会議では、関係府省庁から、その取組状況等についてヒアリングを行ったところでありますが、本日は、日ごろから子どもの安全について取り組んでおられる弁護士の方と事業者団体の方から、教育・保育施設等における事故防止について、事故情報を収集・分析・活用することの必要性や、現場で活用可能な行政からの情報発信のあり方、あるいは行政への要望等について御説明いただき、その後、意見交換をお願いできればと思っております。

本日は、弁護士法人きぼう東京きぼう法律事務所の寺町東子代表社員弁護士、一般社団法人日本こども育成協議会中尾亮資理事にそれぞれお越しいただいております。お二人におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

それでは、まず寺町弁護士から教育・保育施設等における事故情報の収集及び活用ということについて、大変恐縮ですが、10分程度で説明をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○弁護士法人きぼう東京きぼう法律事務所寺町代表社員弁護士 本日はお招きいただき、ありがとうございます。弁護士を20年やっております寺町と申します。15年ぐらい前から保育施設の事故にかかわるようになりました。その中で、どういう事故を見てきたかということも含めた実情と、報告義務、情報の活用等の必要性について意見を述べさせていただきます。

まず第1に保育施設での事故の実情ですけれども、類似事故が非常に多く繰り返されています。圧倒的に多いのは午睡中の死亡で、厚労省の保育施設での死亡事故の報告のうち80%から85%ぐらいを占めているのが現状です。実際にどういう状況で生じているかといいますと、お子さんをうつ伏せにした上に頭から毛布やタオルケットをかぶせてしまう、そのときにどうしてそうしたのですかと聞くと、泣き声が漏れるとほかの子が起きると困るとか、近所の苦情が出てくるからということで、頭から毛布等をかぶせてしまうケースが幾つも見られております。加えて、共通しているのが、亡くなって発見されるまで見ていないということです。

それから、午睡中の死亡を繰り返しているリピーター事業者というのが結構あります。ここ5年ぐらいの間にも、郡山市で3回目の事故を起こした施設、2回目を起こした施設、それから川崎市でも2回目の事故、大阪市でも2回目の事故ということで、リピーター施設がそれと知られずに選択されている状況があります。

また、そのほかの類型としましては、多いのは誤嚥による窒息、それから溺死。いずれも見ていない間に詰まってしまった、溺れてしまったという類型になります。

そして、お手元の資料に書き忘れたのですが、認可外保育施設での事故が圧倒的に多いということは言えるかと思います。昨年1年間の10万人当たりの死亡数で言いますと、認可施設が0.18人に対して、認可外施設が8.1人ということで、認可外施設で認可施設の45倍程度、死亡事故が起こっているということになります。

第2に、報告義務の必要性についてですが、厚労省でも報告するようにということを都道府県・政令市等に通知しておりますけれども、報告漏れが出てきています。昨年、報告漏れの新聞報道を受けて、厚労省が追加の報告を求めたところ、31件追加されたということがございました。

この報告に関して何が問題点かということで、2つの点を指摘したいと思います。

1つは、法的な義務がないということ。あくまでも地方自治法245条4の1項の技術的助言にすぎないというところで、上がってこない部分がある。そして、子ども・子育て新法の対象施設等に関しては、今回義務化されるということで動いておりますけれども、認可外保育施設に関しましては、児童福祉法59条の対象施設ということで、報告義務の対象外になっているということが問題かと思います。

もう一つは、なぜ報告を上げてこなかったか。追加報告になった自治体の意見としましては、過失がないと思ったため報告を上げなかったということがあります。そういう意味では、例えば医師法21条では「異常があると認めたとき」はすべて対象というように、過失の有無にかかわらず報告する義務になっていますが、同様に、過失の有無の判断に関わらず、有害事象であれば全て報告するという体制が必要ではないかと思います。

第3に、では、情報収集を誰が行うのかという点に関してですが、私は、都道府県が情報収集を行うべきではないかと考えております。理由としましては、待機児童対策を行う基礎的自治体では、一方で待機児童対策、待機児童を減らさなければいけない。他方で、劣悪な状況での事故が起こった場合、そこを監督しなければいけない。右手と左手で違うことを求められていることになっております。リピーター施設がいずれも政令市・中核市で起こっていることを考えますと、振興する部門と監督する部門を分けていくことが必要なのではないかと考えております。

それから、死亡事故が発生したときに対応する危機管理官のようなものを都道府県単位で配置していくことによって、起こった直後に現場に行って、現場を保存したり、記録したり、あるいは保育士・園長への指示、サポート、その後も保育園は運営を続けていかなければなりませんので、そういう面でのサポートも必要なのではないかと考えております。

また、危機管理官ということだけではなくて、第三者による検証委員会などを都道府県で設置して、速やかに事故原因を究明していくことが必要ではないかと思います。この点、事故が起こりますと、最近は警察がすぐに入るという状況になっておりますが、警察は、国家刑罰権を行使するかしないかを判断するために捜査をしております。したがって、起訴された場合でなければ情報が出てきません。しかし、保育行政をやっていく上で、直すべきは直す、足りないところは付加していく、支援していくことが必要かと思いますので、保育行政としての独自の調査ということは仕組みとして必要ではないかと思います。

そして第4に、都道府県で集めていただいた情報を、国で分析・活用していただくのが役割分担としてはよいのではないかと考えております。事故情報の提供のデータベースの話が今、内閣府の別の部署で検討されているかと思いますが、データベースの役割を2つ分けて考えたほうがいいのではないかと考えています。1つは、保育・教育機関・保護者へのフィードバックのためのデータベースというものと、もう一つは、原因分析等をした上で、基準等を見直していくための国の施策に反映するためのデータベースということで、内容・情報量についても両者を分けて考えたほうがいいのではないかと考えています。

まず、保育・教育機関、保護者へのフィードバックのためのものとしまして、類似事故がどんなものが起こっているかということを、広く一般に知らしめて共有していくというデータベースが必要かと思います。これについては、前回の資料を拝見いたしますと、現状、既に事故報告書の書式が出ていたかと思います。この現行の事故報告書の書式に加えて、現場としてどこに問題があったのかという自分なりの分析を記載する欄、ソフトウエア、ハードウエア、環境、人間関係等の視点に分けて記載していただくような書式にすると、よりよいのではないかと考えます。

それから、情報公開の範囲について、事業者名を書くべきではないという意見も多々聞かれるのですけれども、他方で、リピーター施設で命を落としているお子さんの親御さんからすると、「だまされた。自分は全然知らなかった。知っていたら預けなかった」ということを、皆さんおっしゃっています。また、事故を起こしているけれども、他方で真っ正面から取り組んで改善している施設というのも存在するのですね。そういうことを併せ考えますと、きちんとした取組をしていること、事後体制も含めて情報公開することで、悪い施設は淘汰され、良い施設は残っていくということになるのではないかと思います。

それから、広く情報を公開するためのデータベースとは別のものとして、より詳細な情報を分析する原因分析のためのデータベースが国の業務としてあったほうが良いのではないかと考えております。この十数年、保育施設に関する規制緩和がどんどんなされてきたわけですが、どのファクターが事故防止に重要なファクターなのかということが全く検証されないまま、規制緩和がされてきています。そこについて、例えば保育士と子どもの比率とか、子ども一人当たりの床面積とか、保育士資格を有している人の割合はどのぐらい必要なのかなど、殿ファクターが死亡事故に対して影響が大きいのか、きちんと分析してフィードバックしていく形が望ましいのではないかと思います。

今回、お尋ねいただいたことと少しずれるかもしれませんが、第5として、その他、保育事業における乳幼児の死亡事故の予防策として幾つか御検討いただきたいことがございます。

1つは、午睡中の死亡が全体の死亡事故の85%を数えているという中で、午睡時の観察に関する基準というのをきちんと明確に定めていただく必要があるのではないかと思います。午睡室を無人にしないということ。顔色と呼吸状態の観察に関して、チェックリストの備えつけを義務づけるということ。そして、これらについて違反があった場合には、直ちに公表するということが必要ではないかと思います。

これらのことを実際に現場で徹底して行っていただくために、抜き打ちの立入調査を原則化していただきたいと考えています。現状、厚生労働省の立入調査に関するマニュアルがございますが、この中では予告調査が原則とされています。しかし、予告の上で調査に行けば、その日はきちんと保育者の人数がいる、午睡中の部屋に誰かがいる、呼吸状態等もチェックしている、となるのは当たり前のことです。

この点、全施設を抜き打ちでやるのは人的なキャパシティの問題としてなかなか大変かと思いますが、抜き打ちをしますよということでアナウンスをしておき、年に幾つかの施設を回っていくことにすれば、いつ来るかわからない状況の中で、いつもきちんとしようという動機付けになっていくかと思います。そういうアナウンス効果を含めた意味で、抜き打ち調査を位置づけていただきたい。

また、退場ルールの明確化ということが必要かと思います。

平成13年の児童福祉法改正によって、認可外保育施設に対する改善勧告・公表・閉鎖命令などの指導監督の権限が定められました。しかし、これについては、過去に香川県の虐待が疑われた1件、それから東京都の昨年度の1件と、2件しか閉鎖命令が行使されていません。リピーター施設が幾つもあるのに、それが放置されているという現状があります。そういう意味で、どういう場合であったら権限を発動するのかというガイドラインをつくって、使える権限にしていく必要があるかと思います。

例えば、先ほどの午睡室を無人にするとか、呼吸や顔色を見ていない場合には、1回目でも公表する。2回目で改善命令を出す、3回やったら閉鎖命令ですよと、それぐらいの厳しさがあってもしかるべきではないかと考えます。

2番目として、指定の更新拒絶の事由についても明確化していく必要があると思います。

さらに、閉鎖命令を出すことを躊躇する自治体の方たちの考えとしましては、閉鎖命令を出した場合に、その施設で預かっているお子さん達は明日からどこに行けばいいのか、潰してしまったことで路頭に迷う子どもが出てしまうじゃないか、そこがネックになって権限が行使されていない実情があります。その意味で、閉鎖命令を出した場合には、どうやってその受け皿をつくっていくのかということも含めて、スキームを検討していく必要があるかと思います。

最後になりますが、被害救済について、ぜひ御検討いただきたいことがございます。対象外となっております。

それは、現状、認可外保育施設等、認可施設以外の施設あるいはサービスで子どもの命が失われた場合には、スポーツ振興センターの災害給付金が支給されない、さきの国会でも審議がなされましたが、災害給付制度の沿革、保険料率の違い、危険性の違いというところで、にわかには地域型保育給付に適用できないということが言われております。いわんや認可外施設をやということで、認可外保育施設や地域型保育給付等の保育でお子さんの命が失われた場合には、救済が全くないという形になっています。

しかし、どんな施設・事業でお子さんを亡くされても、親御さんはものすごく衝撃を受けます。そして、仕事に行けなくなってしまったり、長年にわたってPTSD等の精神症状で悩まされる方がしばしばおられます。何とか立ち直っていけるだけの期間、仕事を休んで治療を受けても、生活できるだけのお金が保険から支払われるということは、必要なことではないかと考えます。認可施設か認可外施設かで、子どもの命の重さには変わりはないと思います。この被害救済の点についても、ぜひ御検討いただければと思います。

以上、ありがとうございました。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、続いて中尾理事から、子どもの事故情報の収集と活用に関する事業者の状況や行政への要望等について、やはり10分程度で御説明、お願いいたします。

○一般社団法人日本こども育成協議会中尾理事 僣越ではございますが、御説明を資料2に基づきましてさせていただきます。今回は、保育所を運営する事業者の代表といたしまして、日ごろ考えていること、こうあってほしい行政に対しての要望等という観点で御説明をさせていただきます。私は、一般社団法人日本こども育成協議会の理事をしております中尾と申します。

早速ですが、1枚めくっていただきまして、私どもの団体、協議会の概要を簡単に御説明させていただきます。

目的・役割は、ぜひ御覧いただければありがたいと思いますが、私どもは株式会社立の保育園を運営する、つまり株式会社の保育事業者を中心といたしまして、現在では100を超える事業者の集まり、団体となっております。そこにデータを書かせていただいておりますが、2014年6月現在、事業者が103、施設も844を数えるに至っております。内訳でございますが、認可保育所はもちろん、東京都の認証保育所を初め、認可外保育施設、そして、その他に関しましては、学童保育なども運営している事業者が加盟している団体でございます。

我々の団体の目的としては、株式会社の保育園というものはなかなか認知していただきづらい状況がある中で、保育の質をきちんと保障できる団体でありたいと思って設立されてございます。

では、本題に入らせていただきます。次のページを御覧くださいませ。

現状の御報告でございます。情報公開に関して、現在は各行政から、行政によっても程度の違いはございますが、おおむねこう言い切れるのではないかと思っておりますが、既にマスコミ等で取り上げられたような重篤な状態になったけが、事故、死亡事故も含めて、こういった既に耳にしている内容が注意喚起という形で行政から届くというのが正直な現状だと思います。注意してくださいという内容でいただくということに対して、幾ばくかの疑問をこれまでも持ちながら、そのファクスを受け取ってきていたという状況でございます。その他の情報に関しましては、自治体で異なりますけれども、ほとんどが連絡を余りいただけないという状況がございます。

そのため、厚生労働省が発表する事故報告集計に頼るところが現実の状況ではないかと思います。実際に事故があったことで注意喚起をいただくということは、その事故が何の原因で起きているのかということを分析しなければならないわけですが、その情報が供給されるのが余りにも少ないのではないかという認識を持っております。

そこに、特に小規模な運営をされているという書き方をしておりますが、実際に1園2園運営している保育事業者というものが存在しますし、50園100園と運営している保育事業者も存在しております。運営事業者によっても規模の大小があります。

これは一般的な考え方として申し上げますが、規模の小さい保育運営事業者と規模の大きい保育運営事業者は、現実的にリスクの起こる可能性は規模が小さい保育事業者のほうが少ないという認識をしていると思います。規模の大きい事業者のほうがリスクが高いという認識をしていると思います。これは当たり前の話で、園の数がふえれば、それだけ対象のお子様、保護者様も多くなってくる中で、事故の件数が物理的に多くなってくるということがまず1つあります。

では、その規模が大きい、小さい事業者の意識の違いということで、その次に保育所での状況と書かせていただいていますが、これはつまり保育事業者の状況なのではないかと、読みかえながらお聞きいただければありがたいと思います。つまり、危機意識があるのかないのかという程度の話になってまいりますが、規模が大きい事業者は、これは全てとは言いませんし、逆に規模が小さいところが意識が低いと言い切っているわけではありませんが、一般論でお聞きいただきたいと思います。

例えば、私どもの保育事業者は今50ほど保育園を運営させていただいておりますが、1つの園の何らかの事故も含めたうわさというものは、ほかの全ての運営している保育園への影響があるということを嫌というほどわかってございます。1つだけ保育園を持たれているところと、複数持っているところの危機意識の違いは、1つここにもあるのではないかと思います。そうしますと、規模の大きな事業者に関しましては、いやが応でもコンプライアンスを守っていかなければいけないという意識が根強くあると認識しております。繰り返しになりますが、規模の小さいところはないということを言っているわけではなく、つまり危機意識をきちんと持てるか持てないかという観点でお捉えいただければと思います。

また、事故や何かのうわさが出た際に、処罰や評判というものを気にする余り、その公表を隠してしまうという傾向が実際にあるということも、我々は認識しております。この状況から、ぜひその事故に関して処罰することが目的ではなく、もちろん退場しなきゃいけないルールはつくらなきゃいけないと思いますが、実際に起きたことをきちんとディスクローズするという仕組みにしていかなければいけないのではないかと定義づけております。

最後のページを御覧ください。先ほど弁護士の先生もお話がありましたが、事故の情報をきちんと集めることで傾向を分析するということが、事故防止の1番目の近道だと思っております。我々は、この協議会の職員全員そうですが、事故は防げるという考え方を第1に持ちます。事故が起きた対処はもちろん大切ですが、事故を防ぐ、防げるものなのだという強い意識から日ごろの運営をしております。例えば規模や危機意識の違いによって、それを50園やっている事業者であれば、ある園で起こった事故に関しては、全ての園できょうのうちに共有したいという考え方を持ちます。

ですので、通達を本部から一斉に流す、園長に連絡を入れる、そして園内で共有していただくという仕組みを徹底しております。そして、マニュアルやテキストに事例の積み上げをどんどんしていくことが、その保育事業者の強みになっていくという考え方から、株式会社は特にそういった、他社より精度の高いものにしたいという意識はあるものですから、こういった仕組みはスムーズに入っているかと思います。ただ、1園だけ見ている保育事業者、目の前に園長がいて、自分が社長、もしくは理事長である限りは、その危機意識を共有しようということがなかなか難しいのではないかと思います。

そこに要望と書かせていただいておりますが、行政に報告する事故のガイドラインというものが、我々は正直わからないというのがあります。どの程度のものを御報告するのか。行政の方もこうおっしゃいます。その程度だったら報告は要りません。では、その程度のラインというのはどこにあるのかというところが、常日ごろ不安に感じるところであります。行政の事務処理能力ということも当然あるかと思いますので、そういった観点からも、ここ以上の内容に関してという、きちんとしたガイドライン、目安というものをお示しいただくことで、そこから報告義務というものがきちんと成り立っていくのではないかと考えます。

そこに例を書かせていただいております。我々の認識している中、研究している中では、死亡事故というのはイコール窒息事故という認識を持っています。プールでの事故しかり、午睡中の事故しかり、アレルギーでの誤飲・誤食の事故。これも全て窒息という内容だと認識しております。ですので、窒息に陥ってしまうような状態になる事故に関しての早急なガイドラインをお示しいただくのが、まず1つ目の要望ということになります。

例えば、そこにプール事故というのがあります。これは夏だけの話かもしれませんが、夏に情報として必ず出てくる話です。プール事故は防げないのだろうか。我々は日常考えます。一方、プール事故に関しての、こうすることで事故が防げるというガイドラインというのは、私が知る限りではいただいていないのかなという気がします。もちろん事業者の中で独自でつくっていると思います。例えば、水深とか水温といったもののお示しはいただいているかと思いますが、そこに何人の園児様、そして職員を何人配置すべきなのか。

これは、保育士の配置基準というものは当然ありますけれども、プールという危険をはらんでいる遊び、活動に対しての、きちんとした配置基準であったり、そのときの保育士の注意義務といったものを明確にしていくことで、事業者側がこういうやり方で防げるということに気づけるのではないか。啓蒙活動になっていくことが、ガイドラインをつくることの目的になるのではないかと考えます。

最後に、参考意見として書かせていただいております。あと、席上に別途配付させていただいているものがございます。「感染症サーベイランス」と書いてあるものがあります。これは、事故とは全く違うものかもしれませんが、データベースのお話になります。国立感染症研究所が実施している仕組みでございます。どうぞ開いて見ていただきたいと思いますが、紙というものを一切利用しません。そして、この場合は感染症が目的ですので、見開きの右のほうのメリットマル1というところ、小さくて恐縮でありますが、赤い帯は感染症と言われるものがずらっと並んでおります。

きょうの保育園の状況の中で、どの感染症が出ているのかということを記録するように、簡単に数字を入れるだけになっています。これを各保育園が国立感染症センターのクラウドに直接アクセスして入力して、データベース化、膨大なものになっていく。それによって、右ですが、近隣の状況がわかって、園医との連携。これは、感染症に関してでありますが、何らかの予防策を打っていこうとか、これ以上の拡大を防いでいこうといったデータベースに見事になっています。

これを事故に置きかえても、先ほど先生もおっしゃっていましたが、事故分析のデータベースにも当然なっていくと思いますし、そこから事業者が入力したことによってのフィードバックをしてもらえるような内容にもつながってくるのではないかと思います。そして、これを行政と主たる関係各所とつなぎ合いながら情報共有していくことが、すぐにできる方法論ではないかと考えた次第でございます。最後は、参考までに御覧いただいたところでございます。僣越ではありましたが、以上で御意見とさせていただきます。ありがとうございました。

○河上委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 お二方に質問します。まず説明された順番に寺町さんのほうに質問します。

フィードバックするための情報と基準をつくるための情報のデータベースが、それぞれ要るだろう。根っこは多分一緒で、使い方が違うと思うのです。私は、報告した者にフィードバックするだけでは足りないのではないかと思っています。というのは、最初のところに、保育施設での事故の情報の例として3つ書いていて、午睡中の死亡、誤嚥による窒息、溺死ですけれども、これは施設に行かなくても、自分の家でもあり得る話です。そのあたりにどう使うかということに結構関心があるのです。その辺を考えたことがあるかどうかということが1つ、あれば何か教えていただきたい。

それから、義務化すれば報告するということに必ずしもならず、後の報告のときにありましたけれども、報告しなくなるケースがあるのではないか、事故ではないと自分に言い聞かせて情報が隠れてしまう。そのようなことについて、どう工夫したらいいだろうかということが2つ目。

3つ目は、例えば医療事故情報などの場合には警察も入りますから、警察に報告せよという義務づけなどが絡んでくると思うのです。この直前にお伺いしたのと一緒ですけれども、報告義務というときに、どこまでの義務を求めるかということについて、お考えがあれば聞かせていただきたいと思います。

最後に、保険についての説明でスポーツ振興センターの保険を例にされていましたけれども、一般の民間保険会社の保険もあるはずです。その活用方法と、そこに入った情報の活用方法をどのように考えておられるのかということが、最初の寺町さんに対する質問です。

次に、中尾さんに対する質問です。2枚目で、規模が大きい事業者はリスクが大きいという言い方をされました。けれども、そういう認識なら、私とは受けとめ方が違っていると思います。というのは、たくさん子どもを預かれば、同じ率であっても人数がふえるわけです。率が一緒なら、リスクは一緒と私は考えるのです。どのような考え方をされているのかということですね。要するに、子ども何人について1件の事故が起こっているかということです。

それから、事故情報を収集するときに必ず出てくる議論がヒヤリハット情報です。それも全部集めたらいいと理想論では思うのですけれども、それを集め出すと、肝心かなめの重大な事故に関する検討にさえ手が回らない状況なのに、それが入っていよいよわからなくなる、あるいは、報告さえされなくなるのではないかという懸念がある。そこで、まずは重大事故を徹底的に洗い出して手を打つ仕組みをつくった上で、態勢が整ったらヒヤリハット情報も集めようかという考え方ももう一つあると思います。それらについて、実務をされている立場として、どのようにお考えか、この2つをお願いしたいと思います。

○河上委員長 それでは、それぞれに向けられた質問がございますけれども、よろしければ寺町弁護士からお願いします。

○弁護士法人きぼう東京きぼう法律事務所寺町代表社員弁護士 まず、家庭やその他の場所でも同じような事故が起こっているではないかという点に関してですが、おっしゃるとおりで、例えば、消費生活センターの事故情報とか、小児科学会の傷害情報とか、スポーツ振興センターの災害給付金を給付したケースのデータベースとか、現在、それぞれの場所でばらばらに管理されているものを、チャイルドデスレビューという形で一つのものに統合していく必要はあるのではないかと思います。

その中で、例えばスポーツ振興センター等で出ている情報が、窒息となっていても、この事故の原因となったポイントに関する情報が載っているものもあれば、何でこの事故が起きたのか、全然想像がつかない情報しか出ていないものもあれば、濃淡がばらばらです。第三者的な分析と、それから現場なりにやっていて、ここに落とし穴があって、ここで失敗したと分析していることが多分あるはずなので、あるいは現場にそういう視点を持っていただくという教育的効果も含めて、統一したデータベースとして公表していく。どこであってもお子さんが亡くなったときには、過失の有無にかかわらず、情報を収集して、広く関係各所、家庭も含めて事故防止につなげていくという形が望ましいのではないかと思っています。

また、報告しないのではないかということについては、実はこうやって集めることで何が変わるのか、どう生かされるのかというところや、処罰するためではなくて、教訓を学びとって、ほかの次の事故につなげないためにやっているのですよ、ということが周知徹底されていくことが、報告義務を課したときにちゃんと報告してきてもらえるために大事なことだと思います。

そういう意味で、警察が入ったから、警察の捜査中だから何もしませんというのは本当にだめだと思っていまして、警察は警察でやる、子どもにかかわる行政としては、子どもにかかわる安全のものとしてやっていくことを徹底していくことが、報告してもらうための秘訣ではないかと思います。

それから、医療事故情報の御質問の趣旨がよくわからなかったのですが。

○齋藤委員 すみません、病院の医療事故情報の収集と、再発防止のための手の打ち方が、子ども事故の場面と似ていると思うのです。本当の情報がなかなか集まらない。訴訟になったりするから、本当のことを言って自分たちが不利になると思うと出てこない。警察が調べに入ったり、警察への報告義務はあるのだけれども、どういう仕組みにするか、なかなか制度ができずに困っていたのが、今やっとできてきているのです。それに比べると、子どもたちにはもう一つ光が当たっていない。そこをうまく作り上げていくアイディアがありましたら御紹介いただきたいと思います。

○弁護士法人きぼう東京きぼう法律事務所寺町代表社員弁護士 医療事故情報と同様だと思うのですが、やはり処罰のための収集ではないというところがひとつ。それから過失があった場合には、保険でお金が支払われるということが徹底されていると、誰でも失敗はするわけですから、失敗したときにもきちんと保険で補償がされるというところで、安心感を持って報告していただけると思いますので、そのような体制をつくることが大切じゃないかと思います。

産科のほうでは産科医療補償がありますけれども、保育や子どもの分野でいえば、スポーツ振興センターの災害給付制度というのは無過失の補償で2,800万円とかの金額が割とすぐに出るという意味で、親御さんが補償を受けられることで、むやみに攻撃的になることを避けられるという意味でも、無過失の補償と報告が自由になされていくということは表裏になっているのではないかと思います。

○河上委員長 中尾理事、お願いいたします。

○一般社団法人日本こども育成協議会中尾理事 誤解を招くような説明の仕方になっていたとしたら、申しわけなかったなと思いますが、我々は、間違いなく、規模が大きくなればリスクは大きくなると認識しています。それは、極端にいえば、1園で1つの事故が起これば、10園で10個起こるのと同じだという捉え方はしないということです。1件でも起こしてはいけないということ。50園になれば、その中から1件出てきてしまうリスクは大きいという捉え方をしているつもりでございます。そういう御指摘だったように聞こえましたので、私の認識をお話させていただきました。

保育所自体は、一度構えた以上は何十年も継続していかなきゃいけないものだと思っています。特に株式会社ですから、こう思われるかもしれませんけれども、経営が成り立たなくなったから、あした経営をやめましょうということができないことを覚悟した保育事業者しか入ってきてはいけない世界だと思っているのです。そうすると、20年、30年、50年と、その市場で子どもの需要から供給が必要なくなったと言われるまでは、絶対終わらせてはいけないという中では、1件の重みというものをそのように認識しているという意味合いでございます。

もう一つ、すごく難しい質問を頂戴しました。ヒヤリハットレベルの取組報告までやっていたら、それは煩雑という意味合いなのかもしれません。いわゆる死亡事故につながるような重篤な過失、重大な過失に関しての報告から行っていかなければいけないのではないかという御指摘であれば、第1番目にはそこから入らなきゃいけないと思っています。

ちょっと答えづらいのですが、専門じゃないのですが、医療事故もあるかと思います。私は保育園団体でございますけれども、厚労省の管轄の中で、恐らく病院にこういう内容は必ず報告しなきゃいけないとか、このときの器具の扱いはこうしなきゃいけない。かなり細かいガイドラインがあるように聞いてはいるのですけれども、私がきょう御提案したかったのは、できるだけ具体的な規定、ガイドラインというものをお示ししていただく。そして、それに違反してしまったものに関しては、必ず報告するということが一つのラインではないかと思っています。具体的なところは、ぜひ先生方にお教えいただかなければわからないのです。

では、ヒヤリハットのほうはやらなくていいとかいうことではなくて、これは事故というのは意識をどう持ち続けるかで防げることだと思います。監査が年に1回あるから、そのときのために、立入調査が年1回あるから、そのときのためだけに準備をしているという認識では、絶対に事故が起こると思います。我々、保育事業者として50園管理するのに、いつも意識をどう持ち続ければいいのだろうか。それは、事故防止キャンペーンであったり、ヒヤリハットを見直そうキャンペーンであったり、複数園を持っている強みから、相互の園を第三者的にチェックし合ってみないか。

それは何か悪いところだけを指摘する場ではなくて、いいところもあわせて、お互いが切磋琢磨して知恵を共有し合って高めていこうということが、規模の大きい私たちではできるかもしれませんが、1園2園の保育事業者の中ではそこまでいかないのであれば、そういったガイドライン的なものに戻りますけれども、ここだけは気をつけよう、これだけはやってねというものをお示しいただくほうがいいのではないかと思って、きょうは御提案しました。

○河上委員長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 リスクのところは、2つの見方があったと思います。今の説明でわかったのですけれども、預ける立場であれば、1,000人に1件事故があるということは、2,000で2件あるのとリスクは全く一緒という認識で私は言ったのです。けれども、事業運営するほうからすると、1,000人預かっているところで1件あると、それは1つの事故として扱われますね。1万人預かっているところで1件事故があっても、あの施設は1件あったという情報が流れてしまうので、それは相当見方が違うだろう。リスクという言葉の説明が不足していました。

○河上委員長 話の中でありましたけれども、例えば民間施設等について、保険は別に何か入っているということは普通はないのですか。

○一般社団法人日本こども育成協議会中尾理事 スポーツ振興云々という話は、恐らく教育委員会系のほうで使われているのかもしれません。私たちは、いわゆる民間の保険会社さんが1事業者のためには、なかなかそういう保険を組んでくださることはないと思うのですが、団体保険といった保険を組むことがありまして、それこそ私どものこども育成協議会でも、某保険会社さんに保育園での傷害等を含めた保険商品をつくっていただいて、そして103社がきちんと入り合うという保険で、そこも基準をこれより下の補償内容はつくらないでください。そういったものを了解して、この協議会に入って一緒に活動していきましょうという仲間でボトムを上げていきたい。全員保険に入ることを義務づけています。

○河上委員長 寺町弁護士、どうぞ。

○弁護士法人きぼう東京きぼう法律事務所寺町代表社員弁護士 保険の点に関してですが、スポーツ振興センターの対象になっているのは、高校(高等専門学校を含む)、中学、小学校、幼稚園が本来の対象で、認可保育所が幼稚園と同じように子どもを預かる施設なのだからというところで、例外規定で入っているのが現状です。そして、認可外保育施設の場合には、あるいは認可保育施設以外の形態の保育の場合には、仮に補助金が入っていたとしても、スポーツ振興センターの保険には入れません。

民間保険とスポーツ振興センター災害給付金の違いは何かといいますと、支給の条件として過失があるかないかです。過失があった前提での賠償責任がなければ民間保険は給付されないのがほとんどで、もちろん事故があったということだけでお見舞金のような形で出る、50万円、100万円という保険があることはありますけれども、賠償金に近い形での補償は過失が立証できないと支払われないということになっています。

また、認可外保育施設の届出のときに、何の保険に入っているかという届出をしてくださいということがガイドラインであるわけですけれども、それで提出されているものは本当に紙ぺら1枚しか出ていなくて、そして被害に遭った遺族の方がどういう保険に入っているかを照会したいということで保険会社に問い合わせをしても、加入しているか、していないかは保険加入者の同意がなければ、個人情報なのでお知らせできません、ということで、どのような内容の保険に入っているかすら、遺族の方には公表されないという現状があります。

○河上委員長 基本的には、責任保険という形でしかないということですね。

○弁護士法人きぼう東京きぼう法律事務所寺町代表社員弁護士 はい。

○河上委員長 ほかにいかがですか。夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 保険につきましては、前回のヒアリングのときにも少しお話させていただきましたけれども、今は幼稚園や保育所の話でございましたけれども、学童保育の場合も民間の保険でございまして、しかもそれぞれの実施者が独自に契約するという形になっていて、学童保育の場合は一律で、例えばスポーツ振興センターのような保険というシステムはできておりません。ただ、ファミリー・サポート・センターのほうは一律の保険になっておりまして、全部がそこから加入して、これはとても手厚い補償内容になっているというのが現状です。

きょうは、御説明ありがとうございました。御説明の中で事故は防げるという言葉がありまして、本当にそういう思いで事業者の方々が取り組んでいらっしゃることを改めて感じた次第でございます。そうは言いつつも、100%リスクゼロということはあり得ないので、100%に近づけるという意味で、事故は防げるという御発言だったと思います。

その事故を防ぐために何が必要かということで、私ども、この委員会で議論してきましたのは、その事故情報の報告がうまく流れていく形になっていない。そして、逆に集められた報告がきちんと事故の分析・検証をされているかどうかというところも危うい状況がある。さらに、それを現場にフィードバックするところも流れが悪い。そういうところが非常に浮かび上がってきたわけでございます。

きょうの御意見の中で寺町弁護士からは、その情報収集は都道府県と国で役割分担をしたらいいのではないかという御提案。次の中尾さんからは、例えばガイドラインをつくったらよろしいのではないかという具体的な御提案をいただきまして、これは検討課題になっていくのだろうと思います。

その中で、少しお伺いしたいところがございます。私どもは、事故情報、子どもたちの事故にかかわる情報を、まず届出、報告という義務を考えましたときに、消費者安全法というものがございまして、そちらに重大事故は必ず上がってくるような仕組みになっているはずなのですけれども、実はこれが全然機能していない。子どものこういった施設、またはそれに近い施設の中での話ですけれども、機能していないということがヒアリングから、そして現場へのヒアリングからも浮かび上がってきたわけでございます。

お二人にお伺いしたいのは、その消費者安全法の重大事故の届出制度というものが、どの程度現場へ流されているかということがおわかりになったら、少しお話いただきたいなと思っております。もし、それが私どもがヒアリングを重ねてきたように、現場には全く伝わっていないのだとすれば、それはその情報がどこで滞りがあるのかというところからほぐしていかなければなりませんし、それも一つの大切な部分かなというところがございます。その点が第1点でございます。ですから、届出のほうと、それを集めて戻すほうの双方に問題があるというのが明らかになってきましたので、ぜひお話を聞かせていただければと思います。お願いいたします。

○河上委員長 それは、情報の収集の段階での流れの問題と、分析した結果の情報の共有の流れの問題と、両方ということですか。

○夏目委員 まず、お二人に伺いたいのは、現場または事故の弁護の問題にかかわっていらっしゃいますから、まず届出をする。それから、ガイドラインの話のところでは、内容もどの程度報告すればいいかわからないというか、あいまいであるというお話も出ましたので、重大事故ということで情報を集めているはずなのですけれども、それが上がってこないところを現場サイドから見たときの問題点をもう一度お聞かせいただければと思います。

○河上委員長 質問の趣旨はおわかりかと思いますが、中尾理事からよろしいですか。

○一般社団法人日本こども育成協議会中尾理事 消費者安全法という法。保育事業者を運営している責任者でありながら、その名前は当然どこかで耳にしていると思いますが、日ごろの保育士たちへの研修であったり、テキスト、マニュアルの見直しの中で、消費者安全法というものを引用しながらの研修・指導というのは、具体的にした実績・経験はございません。正直、その認識に欠けていると思います。

ただ、法律に一切触れていないわけではなく、特に最近気になっているのは、個人情報保護に関しての法律とか、うちの法務部から個人情報の保護かもしれませんが、現場で写真を撮ることの外に出ていく怖さとか、それも含めてコンプライアンスだと思いますけれども、法務部からの研修は定期的にやっているつもりでありましたが、どこが個人情報でやって、どこまでは大丈夫というラインでぎりぎりの中で、現場はいつも検討しているかなと思いますが、消費者安全法というものを引用したことはありませんでした。まず、それでよろしかったでしょうか。

○河上委員長 逆に、事故情報が現場に流れてくるプロセスについてはいかがですか。

○一般社団法人日本こども育成協議会中尾理事 事故情報が現場に行政から。

○河上委員長 行政とか、消費者安全法に基づいていろいろ集めている事故情報がフィードバックされていくということについての現場の感覚はいかがですか。

○一般社団法人日本こども育成協議会中尾理事 これは、資料の3枚目でも述べましたように、行政からそういった事故情報を共有のために通達を受けるものは、マスコミ等をにぎわせるような重大な事故、もしくは既に知っている内容をいただくことはあっても、消費者安全法に基づいて、この重大事故の報告が上がってきたので各園に共有しますという趣旨で、我々がフィードバックをもらった経験はないです。

○河上委員長 寺町先生も何かありますか。

○弁護士法人きぼう東京きぼう法律事務所寺町代表社員弁護士 そもそも保育事業を保育サービスと呼ぶようになって、消費者契約法等の役務の中に組み込まれたことについて、そのこと自体が極めて新しいことではないかと思います。社会福祉基礎構造改革の8法改正が1990年ごろにあったかと思いますが、それ以降におそらく福祉というものがサービスという役務に変わっていった、そこの認識の転換が、ここ20年ぐらいの間にあったと思います。保育サービスという言葉が行政文書で出てき始めたのは、平成13年ぐらい以降ですので。

○岩田委員 それまでは措置だったのです。

○弁護士法人きぼう東京きぼう法律事務所寺町代表社員弁護士 ええ。その意味で消費者法制の対象になるという認識を、私自身も今回呼ばれるまで気がついていませんでした。不明を恥じるところであります。

○河上委員長 夏目委員、よろしいですか。

○夏目委員 ありがとうございました。全く率直な御感想だったと思いまして、私も事業者でございますけれども、消費者法の観点から、こういった指導がされるということは今までも一切なかったわけでございますので、自分たちの現場のことも踏まえまして、株式会社のところはきっとすばらしい研修をされていらっしゃるので、その中に組み込まれる可能性があるのかなとか、今、寺町弁護士もおっしゃったような話があるのかなということで確認させていただいたわけでございます。もちろん歴史も浅いですけれども、一つの大きな盲点であることは改めて感じたところでございます。ありがとうございます。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。山本委員、どうぞ。

○山本委員 では、手短にお伺いします。

1つは、寺町弁護士に対してですけれども、きょうの資料1の1ページの3に、都道府県が情報収集に当たって、もう少し中心的な役割を担うべきではないか。とりわけ死亡事故発生時に対応する専門的な職員を配置すべきではないかというお話があったと思います。お伺いしたいのは、死亡事故に至らない、死亡よりは軽度な損害が発生した場合、あるいはさらにいわゆるヒヤリハットと言われるような事象が発生したということについて、情報を収集する役割。あるいは、そういった情報を集めて分析した後で、それを現場にフィードバックする、注意喚起するといった役割。

こういう現場からの情報の収集とか、あるいは現場への情報のフィードバックの役割を、どういった主体あるいは組織が中心になって担うのが実効的であり、あるいは現実的であるとお考えになるかということをお伺いしたいと思います。

中尾理事に対しても同じような御質問になるのですけれども、先ほど小規模な事業者の場合、経営している保育施設が比較的少ない事業者の場合には、リスクに対する意識が若干低い傾向があるということ、あるいは日常的に保育施設が事故に対する注意力を持つことが重要であるということを言われまして、それはそうかと思うのですけれども、それでは、そういう小規模な保育施設等に対して、もっと注意をしてくださいと意識を喚起する、あるいは日常的に保育施設が事故等のリスクを意識して行動するように注意を喚起する。そのためには、どのようなアクター、あるいはどのような組織が中心になって動くのが実効的であり、あるいは現実的であるとお考えになるか。

あるいは、まさに中尾理事の法人がその役割を担うというのは、それはそうなのかもしれませんけれども、ほかにどういう体制があることが望ましいとお考えになるかということを、お伺いしたいということですね。

もう一つは、ちょっと漠然とした質問になってしまうのですが、きょう、寺町弁護士の資料の2ページ目の一番上のポツでしょうか。事故対応の中身を見せることによって、事故があったけれども、こういう対応をとりましたということによって、むしろ信頼が高まるという御指摘をされました。私も、これは保育の問題に限らず、全体的・社会的にそういう動きになってきているのではないかと思うのですけれども、保育の現場において、こういう情報を見せることによって信頼が得られるといったことが、現実にどれぐらい進んでいるのかということをお伺いしたい。

この点は、あるいは中尾理事のほうで御意見がありましたら、同じように、むしろ事故があって、その対応をこうしましたということを見せることによって、信頼がむしろ高まるといったことが現実にどのぐらい進んでいるかということについて、もし御意見等ございましたらお教え願いたいと思います。

○河上委員長 では、寺町弁護士から先にお願いいたします。

○弁護士法人きぼう東京きぼう法律事務所寺町代表社員弁護士 ヒヤリハットや死亡に至らない事故について、収集して活用することが必要だということは全く反対するものではないのですけれども、ヒヤリハットと言った場合には、本当に日々起こってくる事柄になりますので、重大事故につながるヒヤリハットもあれば、そうでないヒヤリハットもありますので、死亡事故あるいは後遺障害が残る重大事故を避ける、防ぐためには、ある程度人的・物的資源を集中して投下し、情報を集約してデータベース化していくものは、死亡あるいは30日以上の治療ということで絞っていく必要があるのではないかと思います。

また、それをどこで集約するのかということですけれども、まず集める段階としましては、いつ、どこで起こるかわからないということと。それから、事故分析というのは割と専門的な視点が必要な部分があります。お手元の資料にSHELシステムという代表的な視点を例として挙げておいたのですけれども、そういった分析の視点をもってかかわっていくという人が、専門官として都道府県単位、あるいは北海道とか新潟とか広大な面積があるところであれば支庁ごとでもいいかと思いますが、そういう単位で専門官が置かれていることは必要じゃないかと思います。

それは、公務員で置いていただければ一番いいのかなと思いますが、その人が指揮をとって、各種事故の類型によって必要な専門家というのは異なってくるかと思いますので、事故類型ごとに必要な専門家を非常勤委員として委嘱していくという形が現実的ではないかと思います。

それから、フィードバックの仕組みにつきましては、例えば、群馬県で起こっていた事故をお隣の栃木県で知らなかったために類似事故が起こってしまったというのは、やはりまずいと思いますので、そういう意味で集約したものをフィードバックしていく、あるいは分析していくのは、国が集約していくほうが望ましいのではないかと考えます。

それから、事故対応を見せることについてですけれども、本当に先ほど中尾さんがおっしゃったとおりで、施設によって危機意識のレベルの違いというのは雲泥の差になっていますので、一概に言えないところではありますが、保育所保育指針の中にも、安全などに対してどういう取組をしているか、保護者のほうに返していきましょう、情報提供していきましょうということが既に組み込まれています。そういう中で、どういう場面でけがが起こりやすいから、こういう対策をしていますということを園だよりに書いてお配りするとか、ヒヤリハットの分析についてフィードバックしているような園も、実際にございます。

そういう、それこそ日常の小さなところからどうやって再発防止につなげていくか、あるいは、例えば「パーカーの服は着せてこないでください。なぜなら、こういう事故が起こっています」ということを親に情報提供していく、そういう取り組みをしている園は割とふえてきているのではないかと思います。

○一般社団法人日本こども育成協議会中尾理事 規模の小さな保育事業者の意識の継続という御指摘があったかと思います。我々も規模が大きい、イコール意識が高まるということじゃなくて、どうやって意識を高めようかという意識があるということだと思います。ただ、私も1園目を開所した時代が10年前にあって、そこからいろいろ事例を蓄積してきて、自分たちのノウハウとして持ってきたつもりですけれども、それだと外の意見というか、見解をきちんともらわなきゃいけない。

例えば、立入調査とか監査を行政からしかられる場所と捉える保育事業者さんはとても多いのかもしれません。もちろん、理不尽な指摘をされたら、それは言い返しますけれども、専門官にきちんとコンサルしていただいているという感覚を持ちます。何だったら、ただでこうしたほうがいいよ、ここは違うと思うよというのをいただけるのが立入調査、監査だと思っています。ですので、その発想からすれば、その監査のために何かをというのは違和感がすごくあります。そういったことも含めて、人からきちんと指摘をいただくのはすごく大きいなと思います。

これは協議会全体じゃなくて、1事業者の例で申し上げますけれども、世の中には危機管理コンサルタント事業をやっているビジネスがあります。株式会社でやっていらっしゃるビジネスがあります。私どもは、そこと出会うことができました。そこは、それこそ上尾で起きた死亡事故などもかかわって、コンサルとかをやっていらっしゃった方です。それなりのノウハウと実績をお持ちの方と出会えましたので、そこと専属契約をいたしまして、日常を第三者にきちんと見ていただくということを、これは年に1回とかじゃなくて、それこそ年間でコンサル料を払っているわけですから、少なくともこういう回数は来てください。

あわせて、そこから我々現場の職員も含めてフィードバックしてください。何がどうだったか、何が危機につながりやすいかというものを、全部見てください、そして指摘してください。そこの信頼関係がある方とのやりとりであれば、保育事業者というのはよりよくしていこうと思っていますから、開くのではないかと思います。事故に関しての狭義の意味では、そういった観点を持ちました。

もう一つが、申しわけありません、規模が小さいということを否定しませんが、事例の積み上げが少ないということであれば、それから保育士の入れかえ等も余りないのではないか。そうすると、そこの風土というか、保育者たちの保育の本来のあるべき姿、どういう保育をしたらいいのだろうか。安全のために子どもたちを動かさない保育にしていく可能性もあったり、逆に子どもの発達とかを余り理解しないまま、その発達に合った遊びが提供できていない中から事故が起きたり、細かいものはたくさんあるのではないかと思います。

ですので、安全ということのガイドラインできょうは申し上げてきましたけれども、本来の保育指針に基づいた子どもの理解であったり、保育の制度、質を高めていくというものもあわせてやっていかないと。だからこそ、保育士という国家資格を持った人間しか現場にいられないのだというものをもっとプライドを持ってもらったり、社会的な地位がちゃんと保育士に与えられるようなものも含めて見直していく。今、保育士が枯渇していますので、本当に苦しい状況があります。危険、給料が安いという中で、それでもやっていこうという保育士は、強い思いを持つか、もしくは、今はどこでも入れるという状態になっているから、保育士の質というところは絶対に避けて通れないだろうと思います。

私たちの会社が何かできるかどうか、ちょっとわかりませんが、業界団体として何か行政と連携をとりながら、先ほどのコンサル会社の話をしましたけれども、保育事業団体と行政との連携というのは、一つの機動力としてはそういった役割をやっていけるのではないか。社団法人でもありますから、事業外収益というものがあって、それがまた我々の目的ですけれども、株式会社の保育というものはこうなのだというきちんとした啓蒙活動に使っていくこともできるし、実際にほかの保育園にもお役に立てるのだったら、この団体を活用していただくことはあるだろうなと思います。

最後に、事故対応を可視化することでの信頼回復は、間違いなくあります。お恥ずかしい話ですけれども、事故というのは我々の園でも起こります。すり傷1つから、子どもの遊びの中での衝突といったことはあり得ます。そのときにどう判断するかだと思うのですけれども、もし死亡事故が出たらという、臆病になるというか、この意識を経営者、トップが持てるか持てないかだと思います。そうなったら危ないのではないか。もしかしたら保護者からこういう指摘が来るのではないかという意識を持てるか持てないかだと思います。

ということは、保護者に開示しよう、ディスクローズをきちんとしよう。就業中のお母様はわかっていますけれども、お電話を入れさせていただいて、お忙しいところ申しわけありませんが、実は保育園の中でこういうことが起きました。お母様の御判断もいただきたいと思いますが、うちに常駐している看護師は園医へ搬送したほうがいいのではないかと思っております。

当然、電話が仕事中にかかってきたら、お母さんはびっくりされますけれども、お迎えに6時7時に見えたときに、実はきょうこんなことがありました。なぜ午前中のことを今、言うのということを考えれば、その何かが起こるのではないかという意識を持てるか持てないか。という意味では、全てディスクローズしましょうということだと思います。それが事故をなくしていくための意識づけにもなっていくのではないかと思います。

それは、怒られます。けがをさせました。入所して、きょう、2日目じゃない。なぜまぶたの上をけがしたのなんて、本当に悲しい事故がうちでもありましたけれども、そこから年長で卒園まで育っていってくださった方もいらっしゃる中で、信頼関係をどうとっていくかというのは、それに対して誠実にどう向き合うか、何が要因・原因で、ここだという仮説を立てたので、ここを排除しました、ここを改善しました。今後を見てください。絶対やりませんからというところから、お母さんが、わかった、信頼するね。ディスクローズすることで信頼回復。そもそも保育園は信頼関係がないとできないところかなと、つくづく感じます。以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございます。もっといろいろ伺いたいことはたくさんあるのですけれども、予定時間を超えてしまっておりますので、きょうはここまでということにさせていただきたいと思います。

事故1つとっても、家庭でも起きるタイプの事故もありますし、保育園という施設の中だからこそ起きる事故というのもあるので、一概に事故情報というものを整理していくと言っても難しいことはよくわかりますけれども、きょうはさまざまな論点について、有識者の方と事業者団体の双方から貴重な御意見を伺うことができて、大変勉強になりました。

当委員会としては、子どもの安全ということに重きを置いて問題意識を持ちながら、引き続きこの問題について、審議してまいりたいと考えておりますので、またいろいろとお力添えをいただければありがたいと思います。

きょうは、いろいろ議論させていただきまして、大いに参考になりました。寺町弁護士、中尾理事におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

(寺町弁護士・中尾理事退席、古城座長・消費者庁石井企画官着席)

≪3.電気料金について(「北海道電力の電気料金値上げ」に対する消費者委員会の意見取りまとめについて)≫

○河上委員長 それでは、次の議題に入らせていただきます。次の議題は「電気料金について」であります。7月31日に北海道電力から提出された家庭用電気料金の値上げ申請に関する消費者庁への意見について審議を行いたいと思います。

本件については、9月29日付で板東消費者庁長官から消費者委員会宛てに意見を求める付議がなされておりまして、これを受けて公共料金等専門調査会家庭用電気料金値上げ認可申請に関する調査会で意見の取りまとめが行われました。本日は、同調査会の古城座長にお越しいただいております。古城座長におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。

最初に、古城座長から審議経過について簡単に御説明をいただき、引き続き事務局から意見の概要について説明いただきたいと思います。その後、意見交換を行った上で、消費者委員会としての意見を、できましたらきょう取りまとめたいと思います。

それでは、古城座長、よろしくお願いいたします。

○家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会古城座長 北海道電力の家庭用電気料金値上げ認可申請につきましては、8月より計3回にわたって公共料金等専門調査会家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会において検討を重ねてまいりました。この過程で、10月2日には、札幌において地元消費者団体との意見交換会も開催いたしました。これらを受けて、10月6日の調査会において議論を行い、意見の取りまとめを行いましたので、今般、御報告させていただく次第です。

調査会意見の概要につきましては、事務局より説明をお願いいたします。

○大貫参事官 では、資料3に基づきまして事務局のほうから説明させていただきます。

なお、北海道電力による電気料金値上げ申請は、昨年、第2次のときだったと思いますが、消費者委員会で意見を出しているところでございます。このように短期間に、今回は17%の値上げということで、大幅な値上げが必要になったということですけれども、基本的には泊原発の稼働が、前に値上げ申請したときに見込んでいた時期に実現できなかったということで、そのためにコストが大幅に上がってしまった。下のほうにあるのですけれども、今回、エネ庁のほうで電源構成変分認可制度、一度徹底的な原価の洗い替えをしておりますので、この燃料費等に係る部分を集中的に審査するという仕組みでの初めての審査というのが行われたところでございます。

ポイントといたしましては、泊原発が再開すれば値下げが可能になる。その値下げをすることに条件を付して値上げを認めるという査定方針が今般出されたところでございます。その査定方針について評価すべきところは評価しということで、次のような意見を取りまとめております。

まず、前文のところは先ほど座長のほうから御説明があった経緯をまとめたものでございます。

Iの全体的な評価というところから始めさせていただきます。

最初に、消費者庁が取りまとめて消費者委員会で意見をつけておりましたチェックポイントですけれども、これが今回も意見をおおむね踏まえた査定方針になったということで、公平かつ効率的な料金査定方針策定のための指針とすることが定着したものと評価できるとしております。

2つ目です。査定方針案において、電気料金の値下げの条件について考え方を明らかにしている点。値下げの実施時期や値下げ幅等について、電気料金審査専門小委員会がフォローアップを行うこととしている点については評価できる。ただ、このフォローアップについて、適切なタイミングで行われるべきであり、また、値下げ幅等について、需要家から公開で意見を聴く機会等を設けるべきである。フォローアップの結果に基づいて、値下げを実施する仕組みを検討すべきであるとしております。

1ページ目の一番下でございますが、今回の査定について、先ほど申し上げた電源構成変分認可制度、以降「電変」と省略しますけれども、これに係る初めての査定であったということです。この中で、制度上は燃料費等を査定するということですが、それにあわせて料金改定の「前提計画」として位置づけられている経営効率化計画が前回の査定の方針を反映したものであるかどうか、その進捗状況・内容等を十分に確認するとされた点も評価できるとしております。

2ページ目の2つ目でございます。電変において査定対象とされた項目以外についても、チェックポイントで示した点を経営効率化の指標として取り入れたことも評価できる。今回のような短期間での再値上げに対して、今後も今回と同水準、またはそれ以上の徹底した審査を実施すべきであるとしております。

次ですが、これはエネ庁における審査プロセスについてです。公聴会や国民の声など需要者の意見を広く聴取するとともに、事業者に綿密な情報提供を求めて精力的な審査を行った点は評価できる。一方で、査定方針案についても需要者が十分に理解できるように、値上げ実施までに十分周知する等の配慮をすべきであるとしております。

以下、IIポツで個別の項目について書いておりますが、これについて更なる対応をいただき、結果について説明を求めたい。特に、経営効率化については、「コスト削誠において一部未達となっていること等も踏まえて、更なる効率化の徹底」を求める内容となっておりますが、項目ごとに、未達部分を中心とした更なる効率化。また、資産売却等を含めた経営努力の徹底を求めるべきであるとしております。

続きまして、札幌の意見交換会で大幅値上げによる負担増について懸念する声が多く出されておりました。北海道電力においては、消費者のための激変緩和措置に関する具体的な方策を速やかに明らかにし、適切に実施すべきとしております。特に、電力需要の大きいオール電化世帯の負担増について、北海道電力がオール電化をこれまで推進してきた経緯に鑑みて、料金メニュー間での不公平が生じないことにも十分留意した対策を実施すべきとしております。

IIIポツの中長期的なエネルギー政策の在り方等、今後の課題についてですが、これは資源エネルギー庁において検討いただいて、近い将来、しかるべき時期に消費者委員会としてヒアリングを行いたいとしております。

次に、北海道電力に対する評価ですけれども、資源エネルギー庁における審査プロセスに真摯に対応したこと。また、経営効率化を更に進めることを表明したこと。さらに、需要家に対する説明会を実施し、情報提供に努めたこと、これらについては評価できる。一方で、消費者から非常に厳しい声が出されておりまして、電力供給事業者として、自社の経営が北海道の経済及び消費生活に多大な影響を与えることを十分自覚し、中長期の電源構成、それに応じた設備投資の意思決定を行うとともに、消費者の共感を得るための積極的な取組や丁寧な情報提供・説明を行うべきとしております。

3ページ目のII.個別項目についてでございます。

最初は、経営効率化でございます。

経営効率化未達の指摘をしたこと、効率化の深掘りで生み出される原資を需要家への還元や財務基盤強化に充てられるべきとしたことについては評価できる。他方で、北海道電力に一段の経営効率化の取組を行うことを具体的に表明することを求めたいとしたことについては、あわせて費用項目ごとに未達部分の理由の検証を行うべきとしております。

続いて、燃料費の項目が3つございます。

1つ目、メリットオーダーの徹底を行い、自社火力の発電電力量の増加分、燃料消費数量の再算定を行い、燃料原価から費用を上回る部分を減額すべきとしたことは評価できる。

2つ目、「数量の変更に起因する変動額に限る」という条文解釈があったのですけれども、電変制度において燃料費単価も見直し対象となることを審査要領に明記するとしたことについては評価できるとしております。

3つ目は、水力についてでございますが、機器の故障によって発電電力量の減少が想定された。これについては、原価算定期間よりも前に修繕が可能だったのではないかという指摘を踏まえ、電変に基づく社会的経済的事情の変動によるものとは認められないとしたことは評価できるとしております。

続いて、料金体系等についてです。

消費者が電気料金を節約できる新たなメニュー等について積極的に広報・普及に取り組むよう北海道電力に促すべきとしております。

4ページ目に参ります。

「供給約款料金の単価が割高に設定されるという事実は確認されなかった」としておりますが、逆に、選択約款料金の単価が割高でないかどうかが不明確である。公平性が確認されているのか、明確に説明すべきであるとしております。

もう一つが、1・2段階格差、2・3段階格差は、額で見ると同じですけれども、率で見ると縮小しているということで、激変緩和措置の一つとして使用量の少ない需要家の負担を緩和するための措置を検討すべきとしております。

続いて、今後の料金値下げ等について、5項目ございます。

最初は、泊原発の再稼働の時期と値上げ時期との関係について、「再稼働後、原則として」値下げするとしておりますけれども、実際に値下げが行われるのか不明確であるので、必ず値下げするということを明示すべきである。値下げ率について事前に一意的に決められないとしておりますが、事例による試算を示すなど、消費者への積極的な情報提供を行うべきである。例といたしまして、1~3号機が全て再稼働した場合、今般の経営効率化による原価削減効果も織り込んで、平成25年改定以前の水準以下まで電気料金を値下げしていくこと等を明示すべきであるとしております。

料金値下げ幅が適正であるかを検証するプロセスについて、これまで制度上の措置が不十分であった。フォローアップにより確認することが示されたことは評価できるけれども、実施のタイミングと料金値下げが可能となる事由が明らかになった後、直ちに行うべきである。また、可能な限り短期間で行うべきであるとしております。

続きまして、燃料費等の追加費用が想定を下回ることが明らかになった場合には、原価算定期間内に値下げするとの査定方針案はもちろんのことであるが、さらにフォローアップの結果、値下げ幅が不十分であった場合に、更なる値下げを求めることも検討すべきとしております。

また、料金値下げ幅の検証プロセスにおいても需要家の意見を聴く機会を広く設けるべきであるとしております。

今度は、値下げではなくて値上げをしないということですが、泊原発の再稼働時期が予定よりも更に遅れる場合であっても、原価算定期間内に3度目の値上げが行われないことを確保するために、資源エネルギー庁がどのような措置を講ずるのか、明確にすべきであるとしております。

5ページ目、III.今後の課題でございます。これまでの各社の認可申請の調査審議の過程で明らかになった諸課題がございます。情報公開・開示の在り方、総括原価方式の在り方、事業報酬算定の在り方。また、これは今回からつけ加わったものでございますが、事後評価における事業者の値上げ申請認可後のモニタリングの在り方、電源構成変分認可制度による電気料金値上げの審査の在り方、料金値下げ幅の審査の在り方等について、資源エネルギー庁において需要家の利益が損なわれることがないような制度の検討を行うべきとしております。

査定方針案において、LNGの調達について、他事業者との連携も含めて最大限のコスト削減を行うことが求められるとしておりますが、国の支援等の対策も含めた総合的な対策を検討すべきとしております。

札幌の意見交換会において、北海道の省エネルギー・新エネルギー促進条例を踏まえた電源多様化の推進、新しいエネルギー分野のより一層の開発を求める声が多く出されておりました。資源エネルギー庁は、中長期的な電源構成の考え方について、再生可能エネルギーの使用拡大の見通しも含めて、消費者に対して積極的に丁寧な情報提供・説明を行うよう北海道電力に促すべきとしております。

電力システム改革の進捗状況について、消費者の関心が非常に高いため、消費者庁とのかかわり方も含めて、全体を俯瞰できるような情報提供を資源エネルギー庁は工夫すべきであるとしております。また、消費者にどのようなメリットがあるのかについて、分かりやすい情報提供。特に、今後進展していくさまざまな自由化措置を通じて、それが消費者に与える影響について消費者教育の機会を設けることを検討すべきとしております。

電力システム改革における具体的な制度設計や制度の運営を行う際に、消費者の利益が損なわれることがないように、消費者の意見が政策に反映される仕組みを検討すべきとしております。

以上の今後の課題については、消費者庁においても資源エネルギー庁と認識を共有して、使命を実現すべく適切に対応することを強く期待するとしております。以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、御意見、御質問のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。橋本委員、どうぞ。

○橋本委員 担当委員としまして、古城座長にはこのような調査会をまとめていただきまして、まことにありがとうございます。

その中で、今回初めて電変部分による値上げ申請ということもありまして、今後この調査会の意見というのが非常に重要になってくるのではないかなと思いまして、いろいろな部分で本当に難しいところをよくまとめていただいたと思っております。今回は、電変部分だけということではありましたけれども、北電が純資産をも下回るという経営が危機であるという形でしたので、経営の効率化にも踏み込んだということは非常に評価されていいのではないかなと思います。

特に、未達部分のところがどうしてそうなのかということも、今回のいろいろな報告の中で取り組むことができたというのは、今後、こういった値上げ申請があった場合、未達部分をどう考えるかというところでは、今後のためにも非常に役立つことではないかなと思います。

ただ、私自身、道民ですので、いろいろな消費者の方の意見、話を聞きますと、ここにも書いてありますけれども、北電はもっと共感を得るような形で情報提供しなさいという、まさにここがただの情報提供ではなく、共感を得るためにというところが私も非常に感じるところでした。

というのは、消費者の方の意見と北電側の意見がどうもかみ合わないなと思っていたのですけれども、今後の電源構成部分も含めて、再生可能エネルギーをどうするのだというところが消費者の関心が非常に高いのですけれども、それに会社側でなかなか応えてくれなかったというお互いの意見のすれ違いというものが非常に大きかったのではないかなと感じた次第で、それを今後の課題に組み込んだというのも非常にいいことだなと思っております。特に、この今後の課題については、今回の電変認可制度も含めて消費者委員会にも大きな宿題もいただいたのではないかなと感じた次第です。

意見というか、感想めいたものになりましたけれども、以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございます。

岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 私も橋本さんと同じく担当委員でしたので、その立場で調査会がまとめていただいた意見について感想を申し上げたいと思います。3つございます。

1点目は、今回は3年しかない同一の算定期間の中で二度目の値上げ申請だったということと、その申請幅が非常に大きいということで、難しいテーマだったと思います。電源構成変分認可制度という制度に基づく査定という作業だったのですけれども、原子力発電の再開が大幅におくれていることから、火力発電のウエートが高まっていて、それでコスト高になっている。

単にそこだけを機械的に数値を当てはめて、自動的に値上げ幅を決めていくということではなくて、先ほど橋本さんは経営効率化の話をなさいましたけれども、経営効率化の更なる深掘りというか、更に努力していただく余地はないのかということで、ほとんどコスト全体を詳細に洗ったという作業ができたことはよかったのではないかと思います。これが1点目です。

2点目は、当初の申請のときには全く議論になっていなかったことで、具体的な成果が上がったのではないかと思うことが幾つかあったのですが、1つは算定期間中に、今、想定している原発の再稼働の時期がまた更におくれるということがあっても、3度目の値上げは絶対しないという言質を北海道電力からとったということ。そして、再稼働ということがあれば、その状況に応じて値下げの届出をしてもらうということをはっきりお約束していただいたこと。

そして、今回は非常に値上げ幅が大きいということで、査定の枠の外ではあるのですが、激変緩和のための何らかの措置を講じますということも北電がコミットしましたので、そういうことは正解だったのではないかと思います。以上が2点目です。

3点目は、フォローアップです。これは、前回の中部電力のときも同様のフォローアップの仕方を決めたのですが、個別の課題については委員会として報告を求めることにいたしました。そしてまた、大きな項目の3番目に書いてあります中長期的な課題については、委員会として、しっかりヒアリングをするということも書き込まれておりますので、引き続き私たちとしてもフォローアップしていかないといけない。そういう枠組みになったということも評価していいことではないかなと思います。以上です。

○河上委員長 ありがとうございます。

座長としての何か御所感とか、つけ加えるようなことがございましたら、古城先生、一言お願いしたいと思います。

○家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会古城座長 今、担当委員の方からも指摘がありましたが、今回は電変制度ということで、原発の稼働が思ったより遅くなったので、予想より燃料費がかかる。その部分だけ値上げを認めてくれということでしたので、原価の洗い替えはできないという制約がある中でやったのですけれども、その中で電変制度を初めてやる中では、どちらかというと厳し目の査定をするというバージョンで実際行われた。これは大きな成果だったと思います。

将来的なことを言いますと、原発がなかなか動かない見通しなので、また値上げというのが出てくる危険があって、そのときはまた大きな問題が出てくると思います。

○河上委員長 これは北海道だけではない課題です。

○家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会古城座長 多分、関西電力が次に出てくると思います。

○河上委員長 一つのモデル・ケースということにもなりますけれども、また原発が動いた場合には、逆に値下げに向けた、かなりしっかりした作業をしていただく必要もあるということになるでしょうかね。

○家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会古城座長 はい。

○河上委員長 それでは、もしよろしければ、この調査会報告について、委員会としての意見案を配付させていただきたいと思います。

(意見案配付)

○河上委員長 ちょっとそっけないもので、申しわけないのですが、こういう文言です。

「消費者委員会は、本日、公共料金等専門調査会家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会から、本件に関する意見の提出を受けた。消費者庁においては、本意見を踏まえ、経済産業省との調整を進めることを求める。」こういう形での意見案でございますけれども、これでよろしゅうございましょうか。

ありがとうございました。では、「案」をとらせていただきまして、皆様の御了解をいただいたということで、これで消費者庁長官宛てに回答したいと思います。

古城座長におかれましては、精力的な御審議をいただきまして、まことにありがとうございました。

本日の議題は以上でございます。


≪4.閉 会≫

○河上委員長 最後に、事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。

○大貫参事官 次回の本会議につきましては、10月14日火曜日16時に開催を予定しております。開催時間、議題等、詳細については、確定次第、委員会ホームページで御案内させていただきます。

この後、委員間打ち合わせを開催いたしますので、委員の皆様におかれましては委員室のほうへ御移動いただくようお願いいたします。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)

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