第165回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2014年7月8日(火)16:00~18:14

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
河上委員長、石戸谷委員長代理、阿久澤委員、岩田委員、齋藤委員、高橋委員、夏目委員、橋本委員、山本委員、唯根委員
【説明者】
内閣官房IT総合戦略室
      瓜生 参事官 、村上 企画官
【事務局】
黒木事務局長、井内審議官、大貫参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 個人情報保護について
    内閣官房IT総合戦略室 瓜生 参事官
    内閣官房IT総合戦略室 村上 企画官
  3. 食品表示について
  4. その他
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので始めさせていただきます。本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会本会議(第165回)」を開催いたします。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局からお願いします。

○大貫参事官 議事次第の配付資料をごらんいただきたいと思いますが、資料1、個人情報保護関連ということで、1-1と1-2に分かれております。資料2が食品表示関連で、2-1から2-4に分かれております。資料3と4は、それぞれ1つずつでございます。

続きまして、参考資料1が1つの資料。参考資料2、薬事法の改正に伴う政令改正手続き関連資料、これが2-1と2-2に分かれております。最後に、参考資料3でございます。不足しているものがございましたら、事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。

○河上委員長 ありがとうございました。


≪2.個人情報保護について≫

○河上委員長 それでは、最初の議題は「個人情報保護について」であります。

内閣官房IT総合戦略室におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

個人情報保護については、これまでも当委員会では、内閣官房IT総合戦略室からヒアリングを行っておりまして、昨年11月にはパーソナルデータの利活用に関する制度見直し方針案に関する検討状況について、また本年5月にはパーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱を検討していたパーソナルデータ検討会における検討状況について、それぞれ意見を交換しているところであります。今般、6月24日に大綱が決定され、現在、6月25日から7月24日までを期間としてパブリックコメントに付されておりまして、その後、法案作成段階に入っていくことになると伺っております。

本日は、本大綱の概要や今後の方向性等について御説明いただき、意見交換を行いたいと思います。恐縮ですが、説明は15分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○内閣官房IT総合戦略室瓜生参事官 内閣官房IT総合戦略室の瓜生でございます。私のほうから資料1-1と1-2を用意させていただいていますけれども、1-2は大綱の本文でございますので、まず概要も含めまして1-1のほうで15分程度説明させていただきます。何回かこれまで御説明させていただいていますので、最初のほうは繰り返しになりますので、なるべく簡潔にしたいと思います。

1ページ目でございますけれども、何回かこの資料を出させていただいておりますが、いろいろな情報技術が進展することによって、ビッグデータが医療分野や行政、エネルギー、交通等々、出てきておりまして、それを利活用することによって、新産業とか新サービスの創出とか、国民の生活の安全・安心の向上みたいなものができるだろうと考えているところでございまして、特に利活用の価値が高いと言われているパーソナルデータ、いわゆる個人情報を含む個人の行動・状態から出てくる、ありとあらゆるデータについて、どのような利活用の環境を整備すればよいかということを考え始めたわけでございます。

2ページ目でございますけれども、検討に当たりまして、現状どのような課題・問題点があるかというのを、昨年の検討の開始に当たって挙げたわけでございます。これも何回も説明していると思いますが、基本的にはデータを持っている消費者の方の意識とデータを利活用する事業者の関係がなかなか難しくなってきています。

1番目は消費者の関係ですけれども、個人情報保護法ができて10年経過して、いろいろな技術によって自分のデータが使われる形になってきたと思いますが、消費者からすると、事業者は自分の個人情報がプライバシーを守りながらやってくれているのかどうかということが非常に不安になってきています。そうすると、右側ですけれども、事業者にとっては、逆の言い方をしますと、どれぐらいが消費者から十分と認められてもらえるかわからず、なかなかうまく活用できず、利活用に萎縮するということが出てくるかと思っています。

2番目ですけれども、事業者にとっていろいろな情報通信技術を使って、さまざまなデータを使える可能性が出てきていますので、いろいろ使いたいわけですが、消費者との関係において、どこまでの個人情報が法律上縛られるかどうかという定義のあいまいさ、グレーゾーンや、膨大なデータを持てば持つほど、目的の拡大とか第三者提供に当たって本人の同意をとろうとした場合に、全ての同意をとることができるのかということが問題となりまして、なかなかうまくいっていない状況になっていると思っています。

3番目ですけれども、結局、インターネットでつながった社会でございますので、情報が欧州・米国を問わず、いろいろな国を回るわけですけれども、現状の最大の課題としまして、欧州から見ると、日本の制度は非常に不十分だと言われており、国外に展開する企業にとっては、一部問題になっているということがあります。一方で、2つ目の黒ポツですけれども、Amazonやfacebookなど、海外から日本にサービスする事業者については日本の法規制が及ばないというのに対して、どう対応するのかということが課題となっていると認識しております。

その結果、3ページ目ですけれども、昨年の段階で総務省、経産省が実施している取り組みを踏まえて、世界最先端IT国家創造宣言において、この検討会を始めることを決めたわけでございます。

4ページ目でございますけれども、そこで検討会が立ち上がりまして、現在、特定情報保護委員会の委員長をしている堀部先生が昨年まで座長でしたが、特定個人情報保護委員会の設立が1月にあったのを受けまして、座長代理であった宇賀先生に座長になっていただいて、年明け以降も議論を進めてきたという形になっております。なお、法的な検討だけではなくて、技術的な検討を行うためのワーキンググループを置いていまして、そこには本検討会から佐藤先生と森先生が入って議論を進めてきております。

5ページ目でございますけれども、昨年の検討の状況でございます。5回程度開催させていただいて、各委員からいろいろ提案を出していただきまして、それを制度見直し方針という形で12月10日にまとめさせていただいています。

その内容ですけれども、6ページ目でございます。非常に簡単ですが、背景は最初に述べたので、省略させていただきまして、方向性ですけれども、大きく2つ挙げております。体制としてIT本部がやる形になっておりますので、まずはしっかりとした利活用を促進していこうということがありまして、当然のことながら、個人情報とかプライバシー保護をしっかりとしていく形になるのですけれども、保護しながら利活用をどうするかという点が1つと。あと、それを全体的に管理していくための第三者機関をつくろうという2つの柱になっています。

1番目につきましては、その中で特にトピック的にありましたのが2つ目の黒ポツです。個人データをそのままではなく、加工して、特定される可能性を低減したデータというカテゴリーを作りまして、それを第三者に提供する場合には本人の同意を要しないこととする。ただし、その場合、取り扱う出し手側と受け手側の事業者が負うべき義務をきちんと法定して対応していただくという形のカテゴリーを作ってはどうかということを出させていただきました。

2番目は、全体を管理するための独立した第三者機関の体制の整備が必要であろうという形を打ち出したわけでございまして、その他、制度見直し方針では項目を挙げましたので、それを今一度検討し、今年の6月に大綱として決定する、その後、パブリックコメントをかけて、来年の通常国会に法案を提出する、ということまで見直し方針では決めさせていただいていました。

そこで、年明け以降、検討を再開したわけですけれども、7ページでございますけれども、いま一度、現行の個人情報保護法制に対して、事業者側がどのような問題意識とかニーズを持っているかという話を、別途ヒアリングをしまして、一方で、消費者側の意識ということでいろいろ探したのですけれども、IT室や消費者庁がなかなかできなかったので、いろいろなところのアンケート結果等を踏まえてまとめたわけでございます。

事業者から見ますと、簡単に言いますと、いろいろなものを明確化してほしいということが主なので、我々としては検討開始に当たって、法改正によってできるだけ明確化しようと努力したわけですが、一方で、ニーズのマル6自由なデータの流通・利用の実現と、事業者の負担・義務の在り方について、負担・義務の軽減とまでは言いませんけれども、変なことにならないようにしてほしいという声が、当初からあると認識していたのですけれども、途中から非常に大きくなってきて、議論がダッチロールしたということが経緯としてあります。

一方、消費者側の意識については、消費者代表の関係で出ていらっしゃる委員の方々もおっしゃっていましたが、ビッグデータ利活用の効果は理解していましたが、一方で、ちゃんとしたプライバシーを守って利用してほしいという声が大きかったとも思っております。特に、マル2とマル4とマル5が影響すると思いますけれども、画像情報などは4割が非常に抵抗を感じるということで、データがどう使われるかについて非常に不安があるという話もありました。

診療情報なども、公的利用については8割が許容できると言っていますが、ほとんどは条件つきで許容できるとおっしゃっておりまして、そういった消費者側の意識を取り入れながらどう進めていくかを考えて進めてきたわけでございます。

8ページ目でございますけれども、3月から検討会を始めまして、計6回行ったわけでございますが、当初、見直し方針で提案した各項目について、なるべく明確化しようということで、事務局として打ち出させていただいたのがゴールデンウィーク前の4月の状態であったのですけれども、その後、ゴールデンウィークを挟みまして、先ほど申し上げた事業者側から見るデータの自由流通なり、現行に応じた制度のあり方みたいなものに対して声が非常に大きくなってきまして、5月以降は、厳しく法律で書き切るというよりは、民間の自主的なものをうまく利用して制度を構築していくという流れに移っていった形になっています。

そういうものを踏まえて、6月19日に検討会で決定していただき、6月24日にIT本部で大綱を決めたという形になっています。

それで、大綱の中身ですけれども、9ページ目でございます。まず、基本的考え方といたしまして、我々が考えている今後の制度改正の方向性をまとめています。

多少繰り返しになりますけれども、1ポツ目で、技術の進展でいろいろなビッグデータが集まってきていますけれども、現行においても、個人の権利利益を侵害する大きな問題点は発生していないのですが、いろいろな個人情報を使うに当たりまして、グレーゾーンとか、それを踏まえた社会的な批判が起きるのを懸念して事業者が躊躇しているということが認識としてあります。それを我々としては「利活用の壁」と表現しましたが、そのために利活用が十分ではないという認識に立っています。

それを、今後、利活用をもっと促進できる形にしていきたいということで、そのような壁となっているものを取り払っていって、当然のことながら、これまでどおり、個人の権利利益侵害を未然に防止しつつ、事後規制ではなくて、しっかり事前規制の体制をとった上で、そのような環境整備を行うことを考えているわけでございます。

ポイントとして3つほど挙げさせていただいていますけれども、IT本部がやることになりますので、マル1は利活用の象徴的なものとして、制度の見直し方針時も挙げておりますが、目的外利用や第三者提供において、本人の同意がなくても行うことが可能となるような枠組みとか制度をまず導入するというのを1つ目のポイントとして挙げています。

2つ目は、現行法制の問題点の解決のためにですけれども、グレーゾーンの内容とか、利益侵害の度合いが時代に応じて変化していくものでありますので、これに機動的に対応するために、法律では大枠を決めた上で、具体的なところは政省令とか規則に委任した上で、さらに民間の自主規制も活用した上で機動的に対応していくという形をやろうとしているところでございます。

3つ目ですけれども、このような新しい制度にしても、細かい部分の規律にしても、対応するための機関として、独立した第三者機関の体制を整備するという形のまとめ方をさせていただきました。

「なお」以下ですけれども、当然のことながら、いろいろな制度をつくるに当たっては、国際的な調和というか、国際標準に合わすことが必要でございますので、それを合わせた上で最適な制度とすることを目指しております。

10ページ目でございますけれども、現状と将来の望むべきといいますか、理想とする形を絵で表現したものでございまして、現状、上ですけれども、右側の消費者からすると、データを真ん中の事業者に渡しているわけですが、正しく使えてもらえているかという不安があると思いますし、真ん中の事業者については、正しく情報を扱っているのか、消費者が不安に思っていないかという不安があります。

さらに、左にありますけれども、いろいろなビッグデータをどんどん組み合わせて新しいサービスを提供する事業者にとっては、なかなかデータが入ってこないという状況が存在していると思いまして、真ん中の壁を、下の絵ですけれども、壊すことによって、より大きくデータの利活用を広めて、左の事業者では利活用が安心してできる。それで、大きなリターンを消費者に返すことによって、消費者も安全にきちんと使われていて、さらにいいことがあるという形で経済活性化が起こっていく形になっていけばどうかと思っています。

最後、下から支えるのが政府でございまして、第三者機関等でこのような環境を支えていくということを目指してやっていこうと考えています。

具体的な中身ですけれども、11ページ目に大綱のポイント部分を抜粋させていただいていますので、細かいところは別紙の大綱をごらんになっていただければと思いますけれども、簡単にポイントだけ言いますと、マル1の同意がなくてもデータを利活用する枠組みとは何かということで、見直し方針のときにも申し上げましたけれども、「個人の特定性を低減したデータ」というものを加工する。それを第三者提供に当たっては同意をとらないのですけれども、一方で、提供側と受領側の企業の取り扱いについて法的な規定を設けるというのを挙げております。

また、本人の同意をとらない第三者提供とは関係ないのですが、データの利活用を推進することで、医療情報などについては、本人の利益のみならず、公益に資することになりますので、それについては萎縮効果が発生しないよう、適切な保護と利活用を推進していくということを述べております。

マル2が基本的な制度の枠組みと自主的な取組の活用ということです。

1つ目のポイントとしましては、当然のことながら個人情報の範囲を明確化する。さらに、個人情報といっても、扱いによっていろいろと規定が分かれる可能性もありますので、本人の権利利益の侵害が生じないような規定を設けることを挙げております。

2つ目につきましては、先ほど申しましたけれども、法で大枠を決めて、政省令や規則、ガイドライン等で迅速に対応していく枠組みにすることを述べています。

3つ目、4つ目は民間団体とかの話でございますけれども、3つ目について、基本的なデータの扱いに当たって、マルチステークホルダープロセスという、広く関係者が参加したやり方によって自主規制のルールをつくって、それを推進していくことを挙げております。

さらに、4つ目でございますけれども、そのルールにつきまして、実効性の確保のために第三者機関が認定するような仕組みを設けていく形を挙げているところでございます。

マル3が第三者機関の体制整備でございまして、法定事項とか民間における自主的な取組について実効性ある執行ということで、さっきも申し上げましたけれども、いろいろな法の枠組みとか規則とかガイドラインで対応するとともに、民間の取り組みを認定するような行為を行うことによって推進していくということを挙げております。

ただし、ここで1つ問題になりますのは3つ目の黒ポツでございますけれども、現行の主務大臣が有している機能をどう整理して、さらに立入検査等の権限を追加することによって、全体として形をどう推進していくかということです。さらに海外との関係において、相手国が認めるような保護水準との整合性に関するに団体の認証をしようとしております。

最後、第三者機関は関係ありませんが、現行の開示等の求めについて、請求権に対する規律を定めるということで、現行法でも事業者の義務として開示等への対応はありますけれども、個人の基本的な権利として認められていないと言われておりますので、それを明示することによって、本人関与の仕組みといいますか、そういうものについてきちんとした形で明文化するというのをやろうとしているところでございます。

簡単でございますが、以上で説明を終わらせていただきます。

○河上委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。石戸谷委員、どうぞ

○石戸谷委員長代理 ありがとうございました。

検討会の議論、多様な意見が出ておりまして、大綱の中身を拝見すると、かなり抽象的なまとめになっている部分が多いなという感想です。それで、これを具体化する過程が大事だと思うのですが、その点について、大綱の第1、はじめにのところで、パブコメの意見なども踏まえて、内閣官房が中心となって各府省と調整しつつ必要な点について方向修正を行った上で、制度設計の細部等について法案化を進めるという書き方になっております。

そこで、当委員会のほうでも、具体化の過程でいろいろ意見を申し上げたいと思いますが、具体的に各府省と調整しつつ、必要な点について方向修正を行った上でというのは、どういう段取りというか、お考えなのか、そこをお聞かせいただければと思います。

○内閣官房IT総合戦略室瓜生参事官 今後具体的な法制化になりますので、まず我々が事務的に検討すべきいろいろな改正の条文を内閣法制局に審査していただきながら進めていくわけですけれども、法案を作っていく中で、条文で表したいことにつきまして、各府省で問題があるかどうか確認しながら進めていきます。

具体的に言いますと、もともと事務局になっています総務省や経済産業省や消費者庁との内容の調整は当然発生しますし、加えて第三者機関関係で言えば、主務大臣である関係省庁との関係をどうするかや、おそらく第三者機関に今後変わるであろう特定個人情報保護委員会に対して、我々が今後想定する条文について問題があるかないかを、適宜調整を行った上で内容をまとめていくということを考えておりまして、そういった作業について述べたのがこの部分でございます。

○河上委員長 よろしいですか。

○石戸谷委員長代理 はい。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

具体的な条文策定の段取りというか、プロセスについては、まだイメージがないのですね。

○内閣官房IT総合戦略室瓜生参事官 かなり事務的な話になりますけれども、基本的に法制局の審査というのがあります。来年の通常国会の前に臨時国会があった場合については、臨時国会に提案する法律、こちらの関係で言うと、食品偽装の場合の課徴金の話は臨時国会という話があったかと思いますけれども、臨時国会へ提出する法律を優先的に審査するのが慣例となっていますので、我々の法案が通常国会を目指していることを踏まえて、どれぐらいのスピードで内閣法制局が審査を始めていただけるかは、まだわからない状態でございます。

アプローチはしているのですけれども、早くても夏の終わりといいますか、秋ぐらいから始まるのではないかと思っております。

○河上委員長 ありがとうございました。ほかに何か御質問なり、御意見ございましたらお願いします。山本委員。

○山本委員 まず、全体的な意見というか感想ですけれども、先ほどお話の中で資料1-1の7ページの事業者からの声として、マル6の部分が非常に大きくなり、5月以降、かなり審議がダッチロールという表現を使われたかと思いますけれども、混乱したというご報告がございました。この点は、私も議事録等をざっと拝見した限りですけれども、確かにそのような印象を持ちました。

しかし、この点は、きちんとした制度をつくらないと、消費者の信頼、それから国際社会の信頼が得られなくなって、結局事業者側にとっても必ずしも利益になることではないと思いますので、制度の基本的な考え方。それから、確かに民間の団体に委ねなければなかなかうまくいかないことがあるかと思いますけれども、全ての事業者が民間団体でカバーされるとは限りませんので、そうでない場合、どうするのかということをきちんと制度化していただいて、信頼を確保する方策をとらなければ、事業者の側にとっても結局利益にならないのではないかという印象を持ちました。

それで、具体的に幾つかの点を質問したいのですけれども、まず資料1-2の大綱のほうで、10ページのIIの1 個人が特定される可能性を低減したデータの取扱いの第1パラグラフの一番最後に「必要な措置を講ずる」とあって、その2つ前の行に「適正な取扱いを定める」というのがございます。この点につきましては、たしか当初説明いただいていたところでは、第三者機関に対して事業者が情報提供する。第三者機関が営業秘密等に配慮した上で情報を公開するといったことが言われていたと思うのですけれども、そういった措置あるいは取り扱いを含めて、ここでお考えなのかという点を第1にお伺いしたいと思います。

第2点ですけれども、11ページの一番最初のところに保護対象の話がございまして、「個人の身体的特性に関するもの等のうち」と記述されています。これは、技術検討ワーキンググループにおいては、携帯の番号とか、個人が携帯するものに付された番号、識別子といったものと、それから、購買履歴、移動履歴等が挙がっていて、後者については一律にはなかなか判定できないと。ただ、前者の識別子については、基本的にはそこでは準個人情報という言い方であったと思いますが、そこに含まれるのではないかと言われていたと思います。そういったものを含めて「等」と言われているのかどうかということを確認したいと思います。

それから、国際的に見ても、EUとかアメリカ合衆国の考え方においても、恐らく身体的特性に関するものに限らず、もう少し広いものが個人情報として保護する対象に含まれていると思いますので、その点について確認したいと思います。

それから、3つ目ですけれども、同じページの(3)のマル2の部分ですけれども、利用目的の変更の話が出てまいりまして、一番最後、「なお、検討に当たっては、本人が十分に認知できない方法で、個人情報を取得する際に特定した利用目的から大きく異なる利用目的に変更されることとならないよう、実効的な規律を導入する」とございます。

ここで言われている「例えば」のところは、一言で言ってしまうと、要するにオプトアウトの手続によるということかと思うのですけれども、なお書きで言われているところは、オプトアウトの手続によっても、利用目的を大きく変更させることがあれば認めない。利用目的がある程度の範囲内に入っている場合には、オプトインではない形で取り扱うことを許すという趣旨なのか。あるいは、「本人が十分に認知できない方法で」というところにウエートがあって、適正なやり方をとれば、利用目的が大きく異なることになっても、それは認めるという趣旨なのか、その点を確認したいと思います。とりあえず以上で。

○河上委員長 それでは、3点ございますので、お願いいたします。

○内閣官房IT総合戦略室瓜生参事官 1点目の個人が特定される可能性低減データの取り扱いのところでございますけれども、委員がおっしゃいましたように、検討会の議論の中では、そのような事業者が加工して第三者に提供するということは、第三者機関に届け出をして、第三者機関がそれをわかる形で公表するなどという手続きも書かせていただいていたわけですけれども、その点につきまして検討会の中でいろいろな立場からの御意見もございまして、それが必要だという方もいらっしゃいましたけれども、一方で、それは事業者の負担が非常に大きいという話もありましたので、検討会の中で議論がおさまりませんでした。

ということで、少し曖昧ですけれども、「識別することを禁止するなど適正な取扱い」ということで、取り扱いの中でそういうものを含めて、今後、再度検討した上で法制化を考えていくという整理をしているところでございます。

2点目ですけれども、「身体的特性に関するもの等」の「等」でございますけれども、これも委員が御指摘いただいたとおり、我々として先ほど言いました技術検討ワーキンググループのところで、どのようなものまでが今後保護すべき対象となる情報かということをいろいろ検討いたしました。身体的特性に関するもの以外にも、個人または個人が使用する通信端末機器等に関するものということで、端末のIDもそうですし、クレジットカード番号とか免許証番号とか、いろいろな番号についてどうかということも挙げていたところでございます。また、移動履歴なども考えたところですが、最終的な技術検討ワーキンググループ報告書では、移動履歴とか購買履歴が落ちまして、各種番号などや身体的特性が残ったところです。

一方で、番号などについて、まさにどこまでの範囲で、今回サポートの対象になるかということが、検討会の中でも議論がなかなか収まらず、少なくとも「準個人」という名称だけはどうしてもだめだという話になりましたので、それも落ちたのですけれども、基本的に「準個人」と言おうが、「個人情報」と言おうが、少なくとも保護すべき対象というのはどこまでかという議論が必要となりますので、それについては今後、この法制化の中で検討するという形で整理をしているところでございます。

3つ目の目的変更のところですけれども、やはり問題になりますのは、本人が意識しないところで使われるというのは非常に問題なのだろうということで、もともとの条文でいけば、当然のことながら、本人の同意が大原則ですけれども、一々全て同意をとっていくと負担になるという事業者に対して、どこまで負担を減らせるかということで、それを形としては、委員もおっしゃっていただいたオプトアウトという形にすると、暗黙の了解みたいなものであれば了解とみなしてしまっていいのだろうという形になると思うのです。

ただし、最終的にかなり重大な変更の場合については、本人が十分関与できる仕組みというのをしっかり設けるべきではないかという話もございました。オプトアウト型になるのか、本人の同意になるのか、これからの検討によって判断が出てくるかと思いますけれども、いずれにせよ、大きな変更の場合については、本人が正しく認知して、何かしらの対応ができるような形を確保すべきだろうということで、あえてここは強調して書かせていただいた部分でございますので、そういう意識を踏まえて、今後法制化に向けて検討したいと思っております。

○河上委員長 そうすると、一番最後のお話では、利用目的を大きく変更させるような場合についてというところに、むしろウエートがあったということで、理解としてはよろしいのですか。

○内閣官房IT総合戦略室村上企画官 程度の問題だと思うのですけれども、本人が十分認知できない方法で大きく目的変更するというのは望ましくない。それは、同意によるということが原則だと思うのです。ただし、どの程度までが重大な目的変更に当たるかどうかで、オプトアウトの適用範囲が決まってくると思いますので、そこもあわせて今回の法改正の過程の中で明らかにしていきたいと思います。

○河上委員長 山本委員、よろしいですか。

○山本委員 ここは例えばという表現でもあるので、なお今後、詰めるべき部分が大きいと理解してよろしいわけですね。

○内閣官房IT総合戦略室瓜生参事官 はい。

○山本委員 わかりました。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 2つ質問いたします。

大綱の12ページの一番下のところに、民間主導による自主規制ルールというのがあります。情報は世界を駆けめぐると思いますので、グローバルなスタンダードが必要になってくると思われるのですが、現在、どのような民間主導の自主規制ルールというのが想定されているのかということを御紹介いただきたい。

それから、2つ目ですが、16ページの真ん中のところに「取り扱う個人情報によって識別される特定の個人の数が5,000以下」の事業者、個人情報取扱事業者の適用除外は廃止するとなっていますが、その後段のほうに「勧告及び命令の対象としないこともできるよう、必要な措置を講ずる」というくだりがありまして、廃止すると言いながら必要な措置は講ずるので、結局、5,000人以下の取扱事業者については穴があくのではないかと危惧されるのですけれども、その危惧はないのかという、この2点、質問いたします。

○河上委員長 お願いします。

○内閣官房IT総合戦略室瓜生参事官 1点目のルール、スタンダードですけれども、検討会の場において、インターネット広告推進協議会といいまして、インターネットの広告に関係している業者が集まった団体があります。インターネット上でどういう広告を打つか、画面が遷移したところでも同じような広告を打つとか、見ている人の属性にあわせて、こういう広告を打ったら効果的だとか、いろいろなやり方があります。それについて、見る人によっては、自分のプライバシーが侵害されて変な広告が打たれていると感じているという話も全世界的にあります。日本国内においても、アメリカなどの状況ともあわせた形で、こういうインターネット広告については自主規制ルールを策定し、守っていこうという話は現在でも起きております。

これについて、私が聞いた話では、消費者関係といいますか、プライバシー保護の専門家もきちんと入った形で、そういうルールを作っていると聞いていますので、インターネットの広告の例が今、1つ浮かびましたけれども、そういうところが例として挙げられると思っているところでございます。

2つ目の5,000件以下の話ですが、文章的にも少し難しい書き方をしましたが、今回の改正で、原則5,000件以下であっても、個人情報保護法の規定は全部かかるというのが、まずあります。それに対して違反した場合、どのような罰則がどこまでかかるかというとことについて、少し軽重を加えてはどうかというのを書いたのが、この後半部分でございます。規模の小さい情報を持っている事業者というと、まちの商店街の小さな小売店まで、全て入ってきてしまうと思うのです。

そうすると、ある情報が漏れるというか、問題が起きた場合に、過失じゃないですけれども、いま一つ対応ができずに漏れてしまった場合に、突然それに対して第三者機関が入って、指導なり勧告なり、最後罰則までいくようなことまで本当にやるのかということが議論としてあると思っています。ここで表現したかったのは、そういう小さな業者であっても、故意または重過失という悪意を持ってやっている場合については、勧告・命令とか罰則の範囲になるのは当然としながらも、やや小さな過失に対して、どこまで第三者機関が罰則等も含めたような措置を行うかについては、少し考える余地があるのではないかということを表現したものでございます。

この辺、我々としましては、これまで規制対象ではなかった何百万かある小さな企業の方たちに対して、取り組んでもらう必要があると思っていますので、それについてどこまで負担をかけてやっていただくかを、どこまで周知できるかということも絡めながら、制度として検討していくことになると思っているところです。

○河上委員長 よろしいですか。では、高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 12ページの民間主導による自主規制ルールについて、少し御説明いただいたのですが、ルール策定・遵守の枠組みの創設とありますけれども、民間主導による自主規制を行うのは、具体的に民間団体だと読めるのです。先ほどインターネット広告の協議会が一例として提示されましたけれども、民間団体のイメージをもう少し具体的に把握したいなと思うわけでございます。既存の団体もおありでしょうし、あるいはこれから出てくるものもあると思うのですけれども、こういう書きぶりになった背景には、どのような要件を満たす、どのような性格の団体が幾つぐらいできることが想定されていたのか。

それから、これは必ずどこかに加盟しなくてはいけないという事実上の義務づけがされているのか。もしされていないとすれば、あるいはされたとしても、漏れる事業者が出てくるのではないかと思われるのです。そのあたりについての議論、及びこのような書きぶりになった経過の御説明をお願いしたいと思います。

○内閣官房IT総合戦略室瓜生参事官 まず、団体のイメージといいますか、数ですけれども、当然のことながら、現在、そういったインターネット広告業界の団体が現に存在していると思います。一方で、この文章の最後の2行ぐらいに書かせていただきましたが、業界、分野ごととか、特性とか利害関係者とか、いろいろな形があると思っておりまして、ある業界に閉じずに、あるサービスをするためのいろいろな業者が集まった一つのルールみたいなものが新しくできるということも、当然あるだろうと思っておりますので、この辺は情報通信技術の進展に伴って、そのようないろいろな業界が出てきて、いろいろなルールを作って運用していくのだろうと思っております。

あと、規律の仕方なのですけれども、これは検討会の中でも、AICJ(アジアインターネット日本連盟)が発表したイメージ図にもあったのですが、基本的に自主規制ルールでやっている業界に入っている企業と、それに入っていないアウトサイダーの企業と2種類存在する。それに対して、どういう形で規律をかけていくかというのがあるかと思います。

提案として受けたものを話しますと、自主規制団体は、この団体でルールを遵守して活動していく、しっかりとした立派な企業であるという形を保てるのであれば、その中で初犯といいますか、問題が起きたときは、一種の自浄作用が働く形を期待します。その上で、よほど問題がある場合について、第三者機関が自主規制団体に入っていって、ルールの取り消しなり、罰則なりをかけていくという話になると思っています。一方で、アウトサイダーはきちんとした自浄作用が働かないので、直接第三者機関が入っていって指導する形になると思っております。

従って、自主規制団体へ入ることのインセンティブを申し上げると、いきなり公的部門からいろいろ言われることがなく、自分の自主的なルールで動いていけることと思っています。

○高橋委員 御説明ありがとうございました。そうしますと、既存の団体というよりは、一種のイノベーションを起こすわけですから、新しい民間団体が組成されていくと理解したのですけれども、どのぐらいの時間軸で考えておられるのか。消費者としては、データの利活用が先行し、自主規制団体ができないというのは非常に困ることでございます。どんな時間軸で考えていらっしゃるのかというのが1点。

もう一点は、民間団体は第三者機関の認定を受けることができると書いてあるわけですけれども、13ページの3 民間主導による国境を越えたパーソナルデータ移転の枠組みのところでは、国境を越えて移転を実現させるためには、認定を受けた民間団体ということで、ここでは認定を受けなければいけないと読めるのですけれども、この認定についても補足説明をいただけますでしょうか。

○内閣官房IT総合戦略室瓜生参事官 まず、1点目の時間軸ですけれども、現行法でも自主的にやることは今でも否定されていません。現段階でもインターネット広告ではやり始めていますので、そういうものが幾つか出始めているという認識がまずあります。今後、それで法律が来年改正することになった先に、こういった自主的ルールがある程度世間的に認知されていけばいくほど、そういったルールを作ってやっていったほうが得だということになれば、いろいろな団体が出てくると思いますが、現段階でそれがどれぐらい出てくるかという数的なイメージは、まだ持ち合わせていないというのが現状でございます。

それと、認定のスキームが2種類あるというのは確かにおっしゃるとおりでございまして、一般的な日本国内での情報の扱いに関するルールと、国境を越えてデータを移転する場合のルールと2つあるのですが、前者はこれまでも説明したとおり、別に義務ではございません。ルールをつくって、それを第三者機関に認定してもらえば、第三者機関から個別企業が直接いろいろ言われないぐらいのメリットの話の認定ということで、それは義務ではなく、やりたい人はやってくださいという話が1つです。

もう一つ、国際的なものについては、国際的に認定のスキームみたいなものができ始めておりまして、典型的なのは、APECでCBPRといった国境を越えたデータ移転のための仕組みをやっているのですが、その仕組みは、ある国の公的機関がある団体を認定しまして、その団体がある企業を認定していくと、認定された企業がデータ移転ができるようになるということで、つい最近ですと、JIPDECという、Pマークを出している団体がその認定を経産省から受けまして、Pマークを受けている企業であれば移転できるという国際的な枠組みができているということがもう1つあります。

同じように、ヨーロッパの方でもEUデータ保護規則をつくろうとしていますが、それの中にシール制度といって、Pマークほどでないかもしれませんけれども、ある認定をされた企業のものについてはデータ移転が可能となるような制度をしようとしています。そういう世界的な制度のつくり方を見ますと、公的機関が認定したある団体が企業をどんどん認定していって、その企業が情報を移転できるというスキームができ上がりつつありますので、そういったものを踏まえると、企業が国際的にデータをやりとりするときには、認定を受けるとよりやりやすくなる形になっていくと思っております。

これも、強制ではないですけれども、最終的にやろうと思えば、今でもヨーロッパの関係では、ヨーロッパで規定していますBCRとかSCCというものがあり、ヨーロッパの認定を受ければ今でも情報を流通できます。しかし、それだと非常に企業側に負担がかかってしまうので、企業が各国で認められることによって、そのBCRやSCCの認定と同じように流通できる仕組みが可能であれば、それはうまく後押ししていこうという考え方でおります。

○河上委員長 よろしいですか。はい。ほかにはいかがでしょうか。橋本委員。

○橋本委員 大綱の16ページの継続的な検討課題の中に、新たな紛争処理体制の在り方とあるのですけれども、これはADR的なものを今回は考えていなくて、実態に応じて、今後継続して検討すべき課題と先日も御説明を受けたのですけれども、こういったことが始まった場合、消費者が相談する窓口をどういうようにイメージしているのかというのをお聞きしたいです。

○唯根委員 よろしいですか。

○河上委員長 関連した質問ですか。唯根委員、どうぞ。

○唯根委員 今のところですが、相談の体制だけではなくて、救済の方法などについて、もう少し具体的に検討をなさっていないのかも確認したいです。

○河上委員長 お願いいたします。

○内閣官房IT総合戦略室瓜生参事官 紛争処理体制ですが、基本的な考え方として、現状、を調べた上で、検討会に論点ペーパーとして出させていただきました。現在、国民生活センターや地方公共団体、認定団体などでも受けているかもしれませんけれども、どれぐらいの相談を受けて、それがどれくらい紛争まで発展したかを調べますと、苦情はある一定規模で5,000件とか6,000件あるのは認識しているのですけれども、紛争までいったものはそれほど数が多くないというデータが出ていました。

今回、法律が改正されたことによって紛争が増える可能性はあるかもしれませんが、それは確実に増えるとしても、直ちに体制を整えるところまでの理屈もないと思いまして、喫緊では特別に個人情報保護だけに特化した紛争処理体制とか苦情処理体制をとることは必要ないのではないかと書いたのがこの文章でございます。したがって、原則として現状の体制というものを維持するという状態でございますので、消費者の方から見れば、現状どおり、国民生活センターや地方自治体や認定団体もありますし、加えて第三者機関ができれば、第三者機関にそういう体制が整えられるのであれば、第三者機関へ苦情なり相談なりに来ていただける形になると思っております。

そういうことで、被害を受けた場合の救済のところですけれども、我々として1つ、今回、形にしたのが請求権です。15ページ目のVの上、3の開示のあり方のところで、開示や訂正、利用停止については、現行の法律において、事業者の義務としてかけているのですけれども、事業者が対応しなかったときにどうなるかというのがあります。あまり適切な例ではないですけれども、1件だけ裁判が起きた例があり、そこでは、個人に対して請求権はないという判決がございます。

そうすると、個人の情報が事業者のものといいますか、事業者が何でもしていいというか、全ての扱いの権限を持っているということになってしまってもいけないので、個人の情報ですので、事業者が対応しなかったときには、個人がすぐ裁判に訴え出て、直ちに止めるなり、訂正できる一つの新たな仕組みを作ったというのがございます。

これまでですと、いろいろな問題が起きた場合について、相当なことが起きない限り、行政機関が指導とか勧告とか命令はしない。1件程度では動かないと思うのですが、今回はこういう請求権ができるので、1件でも自分が問題だと思えば、業者を訴えるなり、法的な措置をとれる形にできると思っております。また、個人情報の開示とか訂正とか利用停止という部分であれば、ある一定の解決策というのを今回設けることになるのかなと思っております。

○河上委員長 はい。石戸谷委員どうぞ。

○石戸谷委員長代理 では、今の関連でお伺いします。紛争処理体制の在り方で、苦情の問題と紛争処理の2段階、両方入っていると思いますけれども、紛争のあっせん調停といいますか、裁定といいますか、そちらの段階の点についてですけれども、民事法の請求権が認められたのは大変結構なことで、ぜひと思いますけれども、話がつかない場合に裁判を起こさなければいけないとなると、個々人が情報の開示あるいは訂正などのために裁判を起こせるかというと、事実上、そこはなかなか大きな制約になると思いますので、紛争解決のADRというのは、権利の実効性を高める意味でぜひ必要だなと思っております。

検討会のほうの議論を拝見すると、そこは一方的に事業者側の義務の存否が問題になるので、あっせん調停になじまないのではないかということが述べられておりますけれども、消費者と事業者の間の紛争というのは大体そういうものでありまして、例えば金融のほうでいきますと、私も金融ADRを長くやっているのですけれども、保険の場合でありますと、保険契約上、支払い義務があるかないかであって、あるとなると払わなきゃいけない。それは、保険会社側は常に一方的に請求される。これはどの分野でもあることでありまして、この分野特有の問題ではないので、そこは問題ないのではないか。

あと、行政処分の主体と紛争解決のところが同じところだと問題なのではないかという議論も出ていたように拝見するのですけれども、そこも消費者問題のほうではずっと検討されてきた問題であります。例えば国民生活センターを国の消費者庁の特別の機関に位置づけた場合に、ADRが法律上、位置づけられるかみたいなところを十二分に検討して、国民生活センターの国への移行を踏まえた消費者行政の体制の在り方に関する検討会の取りまとめ役もおられますけれども、検討済みの問題でありまして、そこをクリアできる問題なので、ぜひこれは盛り込む方向で進めていただきたいと思います。

というのは、今回、かなり大幅な制度の改革でありまして、新たな個人情報の特定性低減データの問題とか、新しい制度が入っていますし、仕組みとしても法律、政省令、第三者機関の規則、プラス民間の自主ルールと何段階もあるわけで、複雑なことになっておりますので、消費者センターとかいろいろなところに委ねるだけじゃなくて、専門的な知見を活用して処理するような体制をぜひ組んでいただきたいと思います。

○河上委員長 岩田委員、お願いします。

○岩田委員 2つあるのですが、まず1点目は、マルチステークホルダープロセスについてです。この構想が実現しますと、個人情報保護について、従来、消費者庁なり消費者委員会が果たしてきた役割の相当部分が第三者機関に移行するということがありますので、特に第三者機関でいろいろ方針を決めていく、意思決定をするプロセスの中に消費者の利益を代表する人が必ず入っていることが必要だと思うのです。この大綱の中には、マルチステークホルダーの考え方は入っているのですが、第三者機関のところにはそのことが明記されておりません。前回、この委員会でも前向きな御答弁をいただいておりますけれども、まず第三者機関におけるマルチステークホルダーというのが不可欠だと思います。

そして、この大綱の8ページにありますが、自主的なガイドラインを民間の団体で決めていく。そのプロセスにおいても同様の考え方が必要だと思いますけれども、大綱では欄外の注で小さく書いておいでになりますから、そのようにお考えになっているのではないかと思いますけれども、2つのレベルで必ず消費者の代表者がしっかり関与するという仕組みをぜひつくっていただきたいと思います。これが1点目です。まず、お答えを聞いてから2点目の御質問をしたいと思います。

○内閣官房IT総合戦略室瓜生参事官 第三者機関の体制ですけれども、13ページ目のIVの1の(1)の一番最後のパラグラフに第三者機関の委員の構成を書いておりまして、1行目から2行目ですけれども、「データの保護に配慮しつつ、その利用・流通が促進されるようバランスのとれた人選が実現できる要件を定める」と書いています。これは、まさに保護も対応する人も入れるというのをここで表現しておりますので、こういう形で第三者機関についても、正しく消費者の代表といいますか、そういう方も入っていただいて対応できるような形ができるのではないかと思っているところです。

○岩田委員 ありがとうございます。

2点目ですが、山本先生が冒頭御質問された3つのうちの、時間もありませんので、1点目についてもう少し掘り下げて伺いたいと思います。御説明いただいた資料の7ページの上のほうのマル6ですが、「パーソナルデータの流通・利用の実現と、事業者の義務・負担の在り方の明確化」というあたりです。今回の議論というのは、パーソナルデータの利活用の促進と個人情報の保護をどうやって両立させるのか、バランスをとるのかというのが非常に大事な点で、また難しい点だったと思うのですね。ですから、5月あたりから、特に事業者のほうのニーズとか新しい仕組みができたときの負担についての懸念というのが大きく出されて、議論が少しダッチロールしたという御説明があったかと思います。

私たちも、利用者側の必要性というのは理解したいと思いますので、どういう論点だったのか、どういう主張だったのか、何が困るとおっしゃっていたのか、そのあたり、少し掘り下げた情報をいただければと思います。

○内閣官房IT総合戦略室瓜生参事官 記憶が定かでないので、全部話せるかどうかわかりませんが、論点が幾つかございまして、最大にあったのは、まさに保護すべき個人情報の範囲がどこまでかというのがありました。保護すると言った瞬間に自由な流通ではなくなるという発想になってしまうと思うのです。

そうすると、1点問題になりましたのは、先ほどもありましたけれども、準個人情報というカテゴリーで出した情報について、これまで事業者から見るとやや自由に使えていた情報に対して、どこまで規制がかかるのかという議論がありました。極論を言ってしまえば、なるべく個人情報の今の定義を増やしてほしくないというのが強くございましたので、そこがまず1つ大きな議論になったと思っています。

あと、企業に対してどこまで負担をさせるかということで、先ほどもありましたけれども、低減したデータを扱っている事業をわかりやすく見せるように第三者機関へ届け出をするとか、そういう負担をお願いしようとしたところ、事業者側にすると、問題が起きたときに対応すればいいのであって、事前にそういうものを届けておいて、それに意味があるのかどうかが、よく理解できないとか。

あと、出した情報が企業秘密に触れるものであれば、そういったものは公表できるわけではないので、消費者に対してわかりやすくする公表は無意味であるみたいな話まで出てきまして、その点で、データをどう扱っているかという透明性の確保のための手段が、事業者から見ると隠したい部分というか、企業秘密も絡む部分でもありますので、そこの調整がなかなかうまくいかなかったということがあります。

もう一つ、開示請求権が出来ると、すぐ濫発されるという話をされるのですけれども、そういうおそれはないでしょうと言ったのですが、濫訴のおそれがあって、そういうものの導入に対して、やや慎重だというのもありました。

その他いろいろありまして、それが全体的に事業を阻害する、規制強化になるのではないかという声が大きかったのかなと思っております。

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 このパーソナルデータの利活用について、事業者側はとても熱心だと思うのですけれども、一方で個人情報を持つ国民のほうは、このことに関する関心が高まっていないという一般的な見方があると思います。こういった大綱が発表されても、国民はこの大綱を読み解こうとは多分なさらないだろうし、また、されたとしてもなかなか利活用しにくいだろうと思っております。特に、基本は民間主導によって利活用を進めていこうという中で、先ほども御説明がありましたけれども、大綱の12から13ページに、民間団体が認証を受ける団体と受けない団体と2つになっていくということは、なお国民にとってわかりにくくなるのではないかと思うのです。

制度改正のときに、一番最後に、国際的に調和のとれた最適な制度をつくるとわざわざ言っているわけですから、そういう中で、あえて認証するものと、認証しない自主ルールでいくものと分けてしまっているところをどういうふうに議論されたのか、ぜひ伺わせていただきたいと思います。ここはなかなかわかりにくいところではないかという思いがいたします。

つまり、今、仮に利活用しようとするデータが国内だけであるかもしれませんけれども、データなり情報というのはすぐに国内の枠を飛び越える。そういう情報の中で、国際的なものは認証団体がやる、国内のものはそうでなくてもいいという区別というのは、実際にはできにくいのではないかと思うのですけれども、それはどんなふうにお考えになるのかなということでございます。

○内閣官房IT総合戦略室村上企画官 政府としての国際的な整合性というのは、法律を作る基本的な枠組みで担保するということだと思います。法律で決めたところをどう自主的なルールに落とし込んでいくかというルールの具体化のところを、マルチステークホルダーで自主的なルールをつくっていただきたい。ですから、今の個人情報保護は全くそのとおりだと思うのですけれども、個人情報の取り扱いに関する安全管理措置をしなさいと、法律では決めています。それは、当然ながら、各国で当たり前のことのように規定されていることだと思いますので、そういった整合性というのがあります。

では、どのように具体的な安全管理措置をとるべきかというのは、業界であり、あるいは取り扱うデータによって違うというのであれば、一律に安全管理措置の方法を定めるのではなくて、そこは業界ごとの柔軟性を認めていいのではないかということで、そういった基本的な枠組みの具体化ということでマルチステークホルダーのルールが1つあるべきだと。

それから、事前規制の対象にしている現状の個人情報保護法でカバーし切れない部分があるかもしれない。それは、技術の進展とかデータ運用の多様化とか、いろいろな使われ方によって法が追いついてこない部分があるのではないか。そういった法でカバーし切れない部分、上乗せ部分を、みずから企業の方々が消費者と一緒になってルールを作っていただくことによって、安全なデータ流通をしていただけるような環境を作っていこうということを期待するということでございますので、基本的な法律でのルールの枠組みというところで国際性の担保というのはしていくのだろうと思っています。

○河上委員長 よろしいですか。大体予定していた時間ですが、では、山本委員。

○山本委員 1つだけ確認したいのですけれども、先ほど齋藤委員が言われた16ページの真ん中のVIの1の(2)で、「義務違反行為が故意又は重過失によるものであるなどの事由がない場合には、勧告及び命令の対象としない」ということが書かれていまして、この意味をちょっとお伺いしたいのです。ここに書かれているのは、直接には罰則ではなくて、違反行為に対して、それを是正するように勧告・命令するということが書かれていると思うのですけれども、通常の場合を考えますと、義務違反行為が何か発覚したときに、まず行政指導等をして、それで十分な措置がとられれば、それ以上のことはしないと。ただ、それによって是正がされないというときに、法定の勧告、さらには処分、命令するというのが恐らく通常の流れであろうと思うのです。

そういう場合に、例えば行政指導を行った。しかし、十分な是正がされないときに、義務違反行為が依然として故意または重過失によってされている場合と、それが故意または重過失でない場合とが考えられるということなのでしょうか。つまり、端的に言ってしまうと、そのような状況を考えると、義務違反行為は、ほとんどの場合、故意または重過失になってしまうのではないかという気がするのですけれども、その点はいかがでしょうか。

○内閣官房IT総合戦略室瓜生参事官 頭の体操みたいな話だと思うのですけれども、先ほど申し上げましたけれども、町の商店街の人が漏らしてしまった、過失だとすれば、それは指導なり報告徴収を受けたときに当然直すべきだろうと思っていまして、それは多分故意とか重過失じゃないだろうと思っていますので、そういうときには企業がびっくりしないような形で対応できるのではないかと思います。おっしゃるとおり、そういう指導を受けても、なお何もしないということは、まさにそれは故意とか重過失に当たるようなものであるのではないかと思いますので、そのときには明らかに勧告なり命令なりという重大な問題として対応するということをやっていくと思います。

この点、第三者機関の裁量によるかと思いますが、それはケース・バイ・ケースで、明らかに過失といいますか、一言言えば、わかりました、直しますという人たちに対して、あまり重いことはしなくていいのではないかというのが、中身として考えていることだと思っていただければと思います。

○河上委員長 運用の問題なので、わざわざ書くようなことではないのではないですか。

○内閣官房IT総合戦略室瓜生参事官 法制局との調整によりますけれども、法案で書けない場合は、ガイドラインなりで書くことかもしれません。ですから、今後の法案化の調整で決まっていくと思います。

○河上委員長 5,000人以下の話は、先ほど齋藤委員からも若干出ましたけれども、まちのクリーニング屋さんが顧客名簿を持っている。それも、チェーンになって大きくなると、さらにふえていったり、人数の限界というのがいま一つよくわからないところがあるのです。これは、どういうことだったのですか。

○内閣官房IT総合戦略室瓜生参事官 これは、もともと10年前の制定当時の資料を見ると、いろいろな企業に全国でアンケートをとりまして、5,000件で切ると半分以上が規制対象になる。逆の言い方をすると、半分より下は法の規制に当たらない形で始めたというのがあるらしいです。全世界を見ると、そういう例はまずない。一方で、一番の論点は5,000件以下を規制対象から外していることによって何か大きな問題が起きたのかということです。

ですから、現行では5,000件以下を外すことによって問題が起きていないのであれば、なぜあえてそれを規制強化するのかという議論は、うがった言い方をすると、中小企業の側からすると不思議な議論といいますか、何も問題が起きていない中で、なぜ規制強化が必要なのですかという話になりますので、その点をどうバランスさせるかというのは、今後の調整と思っております。

○河上委員長 5,000人に小さく小分けして事業をつくってしまえばおしまいになってしまうような感じがしますね。情報というのは非常に共有性が高いものですから、ちょっと不思議に思ったのです。高橋委員どうぞ。

○高橋委員 関連するところでもあるのですが、大綱の一番最後、17ページに「いわゆる名簿屋」に関する記述が数行登場します。今、小さな事業者の情報でも集めると大きくなると表現されたのですが、私も新手の名簿屋が登場するのではないかと危惧しているところでございます。そもそも消費者委員として、これまで多くの消費者問題を引き起こしてきたのが、いわゆる名簿屋という認識があります。名簿屋に関して、パーソナルデータの利活用、はっきり言えばビッグデータという先進的なマーケティング手法に光を当てることによって、影の部分、取り扱い注意のところが余り検討されなかったと感じるわけでございます。

ですので、新しいすき間をついた名簿屋、つまりデジタルデータを大量に集めていくような者があらわれることも想定しなければいけませんし、従来の紙データベースの売買も、いわゆる利活用の壁を阻んでいるという消費者の抵抗感もございます。ところが、ここで書いている「継続して検討すべき課題」も、どこの場で、どのようにされるのかというのが消費者としてわからないわけですね。

これもしっかりやらないといけない。光の部分だけのいいお話を言われても、既に消費者被害が大量に発生しているわけですので、素直にそうですねと、ここで締めくくりされていることに異議ありという感じなのです。名簿屋に関して、今後どのように検討されるのか、お答えいただきたいと思います。

○内閣官房IT総合戦略室瓜生参事官 まず、今回の大綱でも名簿屋対策の対応は幾つかとっておりまして、2カ所あるのですけれども、1つは、前の16ページ目の先ほどから議論になっている、5,000件以下のところの文章の中で、少しわかりづらいのですけれども、3行目から「個人の権利利益を侵害するおそれが少ないと認められる一定の要件を満たす者」というところがあります。

この中で、逆の言い方をしますと、こういう場合は緩和要件がなくて、全部ちゃんと従ってもらいますという要件の中に、個人情報を販売目的で保持しないことという条件を入れようとしています。1件でも個人情報を持った名簿屋について、どういう形であろうが、原則法規制が全てかかる。罰則とか勧告・命令の直接の対象になるという形で手当てしようとしているのが、まず1つあります。

2つ目は、12ページ目の一番上ですけれども、今、名簿屋が何をやっているかというと、オプトアウトという方法で、消費者が消してくださいとか嫌だと言わない限りはどんどん売りますということをやっている。しかも、それはどこでやっているか、消費者からさっぱり見えないというのがございますから、それにいかにして対応していくかということで、2パラ目の3行目から始まりますけれども、オプトアウト規定を用いて第三者提供を行うときには、第三者機関に対して法に定める本人通知事項を届けた上で、第三者機関はその事項を公表する。

いわゆる販売目的でやっている名簿屋は、こういうことを売っていますというのを正しく第三者機関に届ける。第三者機関は、それを公表する。だから、第三者機関のホームページを見ることによって、そういう名簿屋が存在しているのがわかる。逆の言い方をすると、届け出をしていないことが発覚した場合は、いきなり行政指導の対象になるだろうと思うのですけれども、そういう形で名簿屋が見える形にしていくことを考えようと思っていまして、今回の個人情報保護法の中で対応できるやり方としては、この2つを考えております。

さらに、それを超えて、最後のページの名簿屋のところですけれども、いわゆる詐欺とかの犯罪に利用されているとか、実際被害が起きている場合については、保護法の対応というよりは、警察当局といいますか、しっかりとした犯罪対策の一環として手当てすることが必要だと思っていますので、それはそこで対応してもらうよう検討していただくのが筋ではないかと思っているところです。

○河上委員長 どうもありがとうございました。予定では5時ぐらいまでにということでしたけれども、なかなか大事な問題なので、少し時間をとらせていただきました。

本日は、大綱の趣旨とか今後の方向性等について説明を伺ったということでございます。大綱は、最初に石戸谷代理からもお話がありましたけれども、保護されるべきパーソナルデータの範囲を初めとして、まだこれから決めないといけないものというか、明瞭になっていない部分が非常に多いということは否定できないところであります。制度設計の細部等については、今後法案化が進められる過程で詰めていくのだという御説明を伺いましたけれども、率直に申しまして、改正案の核になる部分ですので、その部分が非常に漠然とした状態で大綱としてパブコメに付されるということについては、決して好ましい状態ではないと思います。

その意味では、これからの決定の過程で、一つ一つ具体的な問題について、消費者委員会としても意見を申し上げないといけないなと考えているところでございます。

当委員会として、現時点では、特に第三者提供、それから目的外利用について、本人の同意を得ないで提供されるデータについては、特定可能性の低減の程度、それから適正な取り扱いの内容が明らかではないことから、消費者の不安が払拭されていないということですので、そこを払拭するように明確化して、利用目的変更等の変更時の手続の見直しについては、本人同意を必要とするという原則を重視しつつ、消費者にわかりやすい手続とすることが必要であろうと考えております。

保護対象としての個人情報について、先ほど若干議論がございましたけれども、国際的な動向に比して、狭きに失しないように、その辺、十分に留意の上、検討を進めていただくことが望ましいのではないかと考えております。

第2番目に、民間主導による自主規制ルールの策定・遵守の枠組み創設についてでありますけれども、利活用の促進と個人情報、それからプライバシーの保護を両立させるというためには、自主規制ルールの策定の過程に、先ほど岩田委員から出たように、マルチステークホルダーの1人としての消費者の参画というのは、これは非常に重要なもので、消費者保護の観点が担保された組織づくり、あるいは手続におけるルールのあり方をはっきりさせていくことが望ましいと思います。

また、自主規制ルールでは、あらゆる分野を網羅することは不可能であるこということになりますから、自主規制ルールがない分野にも適用されるデフォルトの部分のルールを、ある程度ガイドラインのような形で用意しておくということも必要なことであろうと思われます。

第3番目ですが、第三者機関の問題がございました。この第三者機関の体制整備については、それが適切に機能して役割を果たして、実効的に執行や効率的な運用がなされるように十分な体制整備をしていく必要があると考えております。

また、苦情相談について、新たな相談窓口が整備されるということが望ましくて、そうじゃない場合は、各地の消費生活センターなどが窓口になるのだと、先ほど説明されておりましたけれども、専門的な知識をきちんと持った方が窓口にいるということは必要になってまいりますから、何らかの手当てを考える必要はあるでしょうし、また、紛争に関しても、専門的な知識を持った方が間に入ったADRのようなものを考えていくことが必要なのではないかということも先ほど議論の中で出ました。

このほかにも委員からいろいろ意見が、きょう、この場でも随分出ましたけれども、打ち合わせの中でも意見が出ていたとおりでございまして、今後、当委員会として、少なくとも現時点で言えることについては、一度意見をまとめさせていただこうと考えているところでございます。

ちょっと余談になって恐縮ですけれども、きょうの新聞を見ていたら、女子高生がスマホで自分を写して、かわいらしく掲示する写真投稿サイトの無料アプリがあるようです。そうすると、約款でこの写真のあらゆる利用、第三者提供の許諾を利用者に求めており、しかも永続的かつ取消不能であるという契約条件で、その写真を利用可能とするような情報のとり方が報道されておりました。しかも、無料のアプリをダウンロードしようとする子が簡単に同意してしまっているのです。一方では個人情報の収集のあり方一つを見ても、こういう状況があるわけでして、もちろん真っ当な個人情報の利活用の問題というのがあるのですけれども、本来の個人情報の収集・管理や利活用を野放図にさせてしまうと、逆にそういうところで被害が出てきたり、トラブルがふえる。これは新聞記事を挙げるまでもないことでございます。

その意味では、これまで自由だったものが規制されることになるので反対であると言いますけれども、本当は自由ではないのですね。ちゃんとしたルールを立てるというのが大事なことですから、その辺にもぜひ配慮の上、これからの作業を慎重に行っていただければありがたいと思います。また意見を出しますので、ぜひ御検討いただければと思います。

本日はお忙しい中、審議に御協力いただきましてありがとうございました。

(内閣官房IT総合戦略室退席)

≪3.食品表示について≫

○河上委員長 ちょっとおくれぎみでございますけれども、次の議題は「食品表示について」であります。

昨年6月に食品表示法が成立したことを受けまして、2年以内の執行に向けて食品表示部会で食品表示基準について検討を行ってまいりました。栄養表示に関する調査会、生鮮食品・業務用食品の表示に関する調査会、加工食品の表示に関する調査会、この3つの調査会を下部に設けまして詳細な検討を行ってまいりました。先般、6月25日に開催された第29回食品表示部会において、調査会から審議状況についての報告が提出されまして、その後、所要の調整を経て取りまとめが行われたところであります。

本日は、食品表示部会の部会長を務められております阿久澤委員から、そのポイントや今後の予定について御報告をいただきたいと思います。では、よろしくお願いいたします。

○阿久澤委員 昨年12月から、ただいま委員長のほうからも報告ありましたが、栄養表示、生鮮食品・業務用食品の表示、加工食品の表示と3つの調査会に分かれて審議していただき、最終報告として各調査会の審議結果をまとめていただきました。前回の部会では、それぞれの調査会の座長、または座長代理から審議結果について御報告いただき、食品表示部会として各調査会の取りまとめの状況について、各委員間で共有したところです。

その詳細につきましては、事務局から報告いただきます。よろしくお願いいたします。

○大貫参事官 最初に、資料2-1に全体のとりまとめがございます。食品表示部会では、食品表示法における表示の基準の案について意見を述べるに当たり、消費者庁の協力のもと、調査審議を行うこととしました。効率よく審議をするために、栄養表示、生鮮食品・業務用食品の表示、加工食品の表示に関する3つの調査会を設置したわけです。

食品について、「加工食品」、「生鮮食品」及び「添加物」と3区分いたしまして、事業者のほうも、「一般消費者に販売される形態の食品を扱う事業者」、「業務用食品を扱う事業者」、そして「食品関連事業者以外の販売者」という3区分いたしまして、この3食品×3事業者の9つの区分について、横断的な事項と個別的な事項を取りまとめて、現在、58本の表示基準がありますが、これを1本に統合することが確認されました。

栄養表示の義務化の導入時期につきましては、食品表示法の施行後概ね5年以内を目指しつつ、環境整備の状況を踏まえて決定することが確認されました。

続いて、各調査会における審議結果の概要について御説明いたします。

最初は栄養調査会でございます。資料2-2をごらんください。

まず、栄養成分について、熱量とたんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウムを含む12種類のミネラル及び13種類のビタミンで、現在と同じです。モリブデンについて分析方法が確立できましたので、新たに栄養成分に追加します。

義務化の対象につきましては3つの観点がございまして、消費者における表示の必要性、2つ目が事業者における実行可能性、3つ目が国際整合性。この3点全てを満たす場合には「義務」、それ以外の場合は「任意」として、「任意」の中で消費者における表示の必要性を満たす場合についてを「推奨」とします。「推奨」につきましては、飽和脂肪酸と食物繊維が入ります。栄養表示の義務化に向けた環境整備への施策も進めていくこととします。

ナトリウムにつきまして、我が国では食塩相当量という表現で栄養指導が行われておりまして、消費者になじみが深いので、食塩相当量で表示いたします。

栄養表示の対象食品ですが、あらかじめ包装された全ての加工食品と添加物。表示を免除する対象食品を3-2に示しております。消費者における表示の必要性と事業者の実行可能性及び国際整合性を勘案しました。具体的には、栄養の供給源としての寄与が小さいと考えられる食品、加工食品の原材料として使用される食品、酒類、小包装食品、ごく短期間でレシピが変更される食品、製造場所で直接される販売される食品、学校給食、病院給食等への販売に供する食品です。

対象の事業者ですが、原則として全ての食品関連事業者を表示の義務の適用対象とし、バザーなど事業者でない販売者について義務化の対象外といたします。

零細な事業者である消費税の免税業者には、表示義務を免除いたします。

各栄養成分の分析方法と表示単位については、現行どおりです。

許容差の範囲は、昨年9月に改正された現行どおりです。

強調表示のうち、絶対表示については、現行と同じです。

相対表示、これは強化あるいは低減された旨の表示ですけれども、コーデックスのガイドラインに準じます。現在は、砂糖不使用と食塩無添加というのが通知で示されておりますけれども、新基準では新たに無添加強調表示に関する規定を定めて、コーデックスのガイドラインにのっとった形での基準を適用いたします。

含有量を「0(ゼロ)」とすることができる規定については、現行と同じです。

強調表示の基準の中に、文字の大きさや色による基準というのは設けないことになりました。

食品の単位ですが、現状どおりで、100g、100ml、1食分、1包装、その他の1単位を各事業者のもとで規定いたします。一方で、1食分当たりというのが消費者にわかりやすいので、これが望ましいということを通知で示します。

栄養素等の表示基準値に占める割合の表示ですけれども、非常に有用なのですが、義務化は困難でして、栄養強調表示をしようとする栄養成分、熱量について、積極的に割合の表示を行うよう、通知で示すということです。

表示の順番については、現行どおり。内訳表示を採用いたしまして、例えば糖質とか食物繊維というのは炭水化物の内訳として表示できます。

表示の場所や表示媒体について、現在は添付文書に表示することも認めておりますが、外から見えないということで、これをやめまして、容器包装の見やすい場所に記載することにします。また、容器包装のない生鮮食品等の栄養成分についても、任意の形ですけれども、POP等で表示できます。宅配牛乳については、従来どおり例外規定といたします。

続きまして、資料2-3、生鮮調査会です。

まず、作成方針です。現行の食品衛生法の内閣府令及びJAS法の品質表示基準、これらを用語の定義を統一した上で新しい食品表示基準案として統合します。共通的な要素については、可能な限り横断的事項とし、残ったものを個別事項とします。生鮮食品の個別の品質表示基準につきましても、横断的事項と個別的事項に整理して規定します。

次が「生鮮食品」と「加工食品」の整理についてです。JAS法の品質表示基準における定義を引き継ぎ、さらに概念を整理しました。2-1に用語の定義、製造、加工、調整、選別と書いていますけれども、それに基づいて、製造と加工に該当するものが加工食品、調整と選別に該当するものが生鮮食品という考え方です。具体的な行為について、Q&Aでさらに説明すべきとしております。

「加工食品」と「生鮮食品」のどちらに整理された場合でも、現行の食品衛生法で規定している衛生上の危害発生防止の観点から必要な事項については、引き続き義務といたします。

異種混合の食品について、JAS法では複数の種類の生鮮食品を混ぜ合わせたものは「加工食品」とされておりますけれども、一部の消費者の方から見ると感覚がずれている。あるいは、食品の多様化によって食品本来の特性になじまない食品区分となっているものがあるということで、見直しを試みました。生鮮食品の組合せとか盛り合わせをしたものについて「生鮮食品」、混合された一体として商品化されて摂取するものについては「加工商品」とするという案について、何回か議論しましたけれども、結論が出ませんで、引き続き要検討事項です。

次に、7ページに業務用食品の表示についてです。業務用加工食品と業務用生鮮食品は、基本的には現行と同様に、安全性に関する情報と選択の機会の確保に資する情報の表示を義務付けます。表示の媒体は、現行と同じです。

次に、添加物のみを販売する場合です。現行の府令どおり表示しまして、JAS法の一部の食品が対象となっている項目も加える形で取りまとめをいたします。

用語の統一については、生鮮・加工共通でして、3つの場合がございます。1つは、異なる用語が類似の意味を表している場合で、これは使い分けを含めて検討いたします。2番目は、異なる用語が同じ範囲の意味を表している場合で、用語をどちらかに統一いたします。3つ目は、同一の用語が異なる範囲の意味を表している場合、どちらかに統一して整理することになります。

現行の表示基準のうち、通知によるものの一部を基準に規定することにします。安全性の確保の観点から、指導ではなくて表示義務を課すべき表示のルールが1つ。もう一つは基準と通知にまたがった表示ルールがちぐはぐなものということです。

表示のポイント数についても、通知から基準に変更いたします。

最後に、加工調査会です。資料2-4です。

作成方針ですけれども、JAS法の加工食品品質表示基準では、名称と原材料名、内容量等の表示が義務づけられており、46本の個別品目ごとの品質表示基準で個別の表示義務が課されています。これらの基準を用語の定義を整理・統一した上で表示します。さらに、現行の食品衛生法、JAS法等の各表示基準を横断的事項と個別的事項に再整理します。名称、アレルゲン、保存の方法、消費期限又は賞味期限、原材料名、内容量、製造業者等の氏名又は名称及び住所等の表示、原料原産地名、遺伝子組換え食品などを横断的事項、食品別に定められた事項は個別的事項といたします。

名称の表示は、現行のJAS法と同じです。

原材料名の表示の順番ですけれども、JAS法の規定、使用した原材料を食品添加物以外の原材料及び食品添加物という2つに区分しまして、原材料に占める重量の割合の多いものから順に記載することを基本ルールとします。

これまで、原材料と添加物と区別をしない4品目があったのですが、これらについては変更になりまして、基本案に統一することになりました。

複合原材料につきましては、名称の次に括弧を付して、複合原材料の原材料を重量の割合の多いものから順に記載することが基本でして、例外として、消費者が内容を理解できない場合、また、消費者に対して情報を提供するメリットが少ないと考えられる場合は、複合原材料名を記載せずに内訳を分割して表示することになります。

原材料名の一部まとめ書き、簡略表記は、現行の基準のまま横断的事項に規定します。

中間加工原料を使用した場合の記載は、現行のQ&Aの考え方を横断的事項として基準に取り入れます。

品目ごとに定める原材料名の表示の方法は、現行基準のまま品目ごとに整理します。

内容量の表示の方法は、現行のJAS法に基づく加工食品品質表示基準に規定される表示の方法を共通ルールといたします。

計量法によらない個別の品質表示基準のルールも、品目ごとに現行基準のままとします。

加工食品の個別的事項の表示について御説明します。

3-1に定義がございますけれども、JAS法においても、名称、形状、大きさ、色、使用される原材料等について定義がされています。定義については原則変更せず、新基準案においても品目ごとにまとめて規定します。名称の定義について、実態と齟齬があるものについて定義を修正、削除します。

簡易な調理、加工のみが施された食品に関しては、現行のJAS法に基づく表示事項に加えて、新たに衛生上の危害発生防止の観点から必要とされる事項。例えば、アレルギー表示、製造所(加工所等)の所在地及び製造者の氏名等を記載します。

JAS法に基づく個別の品質表示基準に規定される義務表示事項は、引き続き品目別に規定します。

一括表示枠外の表示事項は、引き続き品目ごとに規定します。

表示禁止事項を引き続き規定します。品目ごとに定められている表示禁止事項のうち、商品特性によらないものについては、横断的な表示禁止事項とする。商品特性を考慮すべきものは、可能な限り品目を整理した上で、個別的事項として規定し、品目独自のものについては、品目ごとに個別的事項として定めます。

実態と齟齬のあるものに関して、現行の表示禁止事項を削除します。

表示責任を有する者について、現行のJAS法と同様に表示責任者の欄に「製造者」、「加工者」、「販売者」又は「輸入者」という表示をします。製造や加工を行う場所については、現行どおりです。

製造所固有記号につきましては、多様な意見がございました。

まず、消費者庁の原案について説明します。

1つ目は、包材の共通化という事業者のメリットを維持する観点から、原則、2カ所以上の製造所において同一商品を製造・販売する場合のみ、固有記号の利用を認めるということです。

2つ目は、固有記号を利用する事業者には、消費者からの問合せに応答する義務を課すということです。

3つ目は、一定の猶予期間を設けて、現在届出がなされている固有記号を全廃して、新しい固有記号制度に移行し、1つは、固有記号に有効期限を設けて更新制とすること。2つ目として、届出内容の変更、廃止届出を新たに義務付けるということです。

4つ目は、消費者庁に新しい固有記号のデータベースを構築し、消費者からの検索が可能となる一般開放及び事業者からの電子申請手続について検討する、という基本的な考えが消費者庁から示されたのですが、この考えのうち2番目から4番目についてはおおよそ認められましたけれども、1番目につきまして、次の6つの代替案について事業者・消費者から意見聴取をして、その結果を踏まえて検討することとしました。

1つ目です。製造所又は加工所の所在地を表示することが原則であって、例外規定である製造所固有記号の使用は認めないという考え方。

2つ目、例外規定を認める条件を明確化して、表示面積により記載が難しいなど、定められた条件を満たした場合のみ造所固有記号による表示を可能とするというものです。

3つ目、例外規定として、「共用包材によるコスト削減のメリットがある場合」、「表示可能面積に制約がある場合」に加えて、「販売者が食品の安全性の責任を有するため販売者を表示する場合」を追加し、この3つのそれぞれの場合において、製造所固有記号による表示を可能とする。

4つ目、例外規定として自社の複数工場で生産している場合のみ製造所固有記号による表示を可能とするものです。

5つ目、消費者が製造所を知りたいということであれば、現行データベースの改善、応答義務、知りたい製造所を固有記号からたどれる仕組み、消費者の検索利用でございます。製造所固有記号の再審査制の4つの取り組みを行えばいい。

最後の6つ目ですが、現行制度の問題点が整理されていない段階で、実態を踏まえずに大きな改正をすべきではない。冷凍食品の農薬混入事件と製造所固有記号とは直接関係ないので、現時点では明らかに問題とされている消費者庁のデータベースの改善措置のみ講じればよいという6つの案でございます。

続きまして、販売形態ごとの適用については、現行と同様ということです。

次が、文字の大きさについてですけれども、容器包装の面積が小さい場合の扱いについてさまざまな議論が出まして、当面は現行基準と同じく、150cm2以下の場合、5.5ポイント以上としました。

容器包装の面積に係る省略規定について、省略規定を可能とする面積を30cm2以下のままとして、「名称」、「アレルゲン」、「消費期限又は賞味期限」、「保存方法」、「表示責任者」、これらについては、義務表示とする。栄養表示が義務化されることから、30cm2以上の表示事項の省略規定について検討することにしました。

表示のレイアウトとして、様式1、2というものを規定しております。

次に、アレルゲンを含む食品の表示に関してです。アレルゲンの代替表記のうち、アレルゲンを単に片仮名、平仮名、漢字等に変えたものについては、引き続き代替表記として存在させる。マヨネーズのような特定の加工食品、からしマヨネーズのような拡大表記は、廃止します。これは、マヨネーズが卵でつくられているということを知らない人がふえてきたのでという意味です。したがって、マヨネーズを使っている場合は、従来はマヨネーズと書いてあればよかったのですが、今後は卵と書いていただくことになります。卵の卵白と卵黄は廃止し、乳についても同じような見直しを行います。

アレルゲンですが、個別表示を原則として、例外的に一括表示を可能とします。個別表示というのは、中身の材料それぞれに含まれているアレルゲンを書くということでございます。一括表示というのは、全部まとめて書くということです。アレルゲンそのものが原材料に使用されている場合や、代替表記等で表示されているものも含めて、一括表示に記載する場合には全て表示することになりました。

個別表示の繰り返しになるアレルゲンの省略につきましては、最新の知見を踏まえて仕組みを一部改善することとします。これは、一つ一つの材料に書いてあるアレルゲンを、同じものが出てきたときに省略することができるということですけれども、最新の知見といいますのは、しょうゆに関して小麦がアレルゲンとしての影響が非常に少ないと言われていまして、アレルギー患者さんがしょうゆに小麦が入っている場合は大丈夫だということで判断されるのですが、そのほかのものに同じく小麦が入っている場合に、それが省略されていて見落とししまうという問題があることについて、最新の知見を踏まえながら今後仕組みを構築・改善していくということでございます。

各調査会の報告に関しまして、食品表示部会で出された意見につきましては、資料2-1の6ページから別紙というものがございますので、そこをごらんいただければと思います。

この調査会での報告及び部会での審議を踏まえまして、消費者庁で7月7日から8月10日までパブリックコメントを行っております。パブコメで国民から上がってきた御意見を踏まえて、さらに今後、食品表示部会で議論を継続していくことになります。また、消費者庁からの諮問は、パブコメ案に対する意見を踏まえた食品表示基準案について、消費者委員会に行われる予定でございます。事務局からは、以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、本件について特段の御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。阿久澤委員、何かつけ加えることはございませんか。

○阿久澤委員 ありません。

○河上委員長 ほかの委員の方、よろしいですか。

新しい表示法の施行時期との関係で、大変タイトなスケジュールの中で、この報告書を取りまとめいただいたということでありまして、これまで取りまとめに尽力された阿久澤部会長、夏目部会長代理、それからそれぞれの部会で座長を務めてくださった先生方や委員の各位に感謝申し上げたいと思います。

なお、食品表示基準に関する議論は、先ほど大貫参事官からもお話がありましたように、消費者庁でのパブリックコメントの結果を受けて、今後も食品表示部会で継続されることになると伺っております。今後、消費者庁の食品表示基準案が準備できた段階で、消費者委員会に対して諮問がなされて、そしてそれに対して答申を行うという段取りになっておりますけれども、引き続き食品表示部会で最後のまとめのお仕事が残っておりますので、御議論いただくことになります。よろしくお願いいたします。

≪4.その他≫

○河上委員長 続きまして、その他といたしまして、幾つかの事項について御報告と若干の意見交換をさせていただきたいと思います。

最初に、下部組織の会議運用の在り方について委員の皆様にお諮りしたい点がございます。経緯や内容について事務局から説明をお願いします。

○黒木事務局長 資料3をごらんいただきたいと思います。消費者委員会では、平成21年9月の創設以来、自ら調査審議して建議する、あるいは諮問に応じて調査審議をする、また消費者の声を行政に届ける外部機能を果たすという面から、幅広い分野の重要な消費者問題を取り上げ、多くの問題を提起し、さまざまな指針を提示してきていただいているところでございます。

このたび委員長より、消費者委員会がこれらの役割を今後も果たし、また円滑にその機能を発揮していくためには、議論の整理や検討作業を効率的に進める仕組みとして、部会や専門調査会、ワーキンググループ等の下部組織の活用が欠かせないが、現状ではその運用のあり方について具体的なルールが乏しく、また共通認識の整理も不十分ではないかということで、この運用にかかわる共通了解的なものを文章化すべきとの御指示をいただきまして、本申し合わせ(案)を作成させていただきましたので、御検討いただければと存じます。

なお、本申し合わせにつきましては、決定後に以降に開催される会議に適用されるもの、また各種会議には運営規定がございますので、その運営規定の解釈指針として活用されるものと位置づけてはいかがかと考えてございます。

具体的な内容でございます。まず1つ目に、会議参加者について整理をしてございます。

まず、会議に属すべき構成員として、委員長が指名された委員、臨時委員、専門委員の方々がおられます。この方々は、当然でございますが、会議に出席し、議論を行うことで当該会議の所掌に係る事項について調査審議をしていただく立場ということになります。

(2)としまして、オブザーバーでございます。これは、会議の構成員ではない委員の場合には、予め議長たるべき者に届け出て当該会議に出席する。あるいは会議の構成員でない臨時委員、専門委員、行政機関職員若しくは当該会議における審議事項に関して識見を有する者については、議長たるべき者が出席を求めた者という位置づけにしてございます。オブザーバーは、会議に出席をして、その議論、説明を聞き、必要に応じて識見に基づく意見を述べ、あるいは説明を行うという役割を果たしていただく者ということでまとめてございます。出席につきましては、原則として各回ごとに届け出を行い、あるいは出席を要請するものとしてございます。

(3)としまして、参考人でございます。これは、会議の構成員でない臨時委員、専門委員、行政機関職員あるいは審議事項に関して識見を有する者であって、議長たるべき者が出席を求めた者としてございまして、当該会議において求められた事項に関して説明を行っていただくという立場と考えてございます。この参考人につきましても、各回ごとに出席を求めるものとしてはいかがかと考えてございます。

2.としまして、議長の権限等でございます。

議長の立場でございますけれども、会議を主宰し、会議における調査審議が公正かつ円滑に進行するよう努めるものとし、会議の進行にかかる事項は、議長たるべき者の専権事項とするということとしております。

それから、会議において発言しようとする者は、議長たるべき者の許可を受けなければならないこととし、議長たるべき者としては、必要があると認める場合には、発言者にその時間の制限をすることができると規定してございます。また、万が一、発言者が制限時間を超えて発言し、あるいは不穏当な言動があったときには、必要に応じて発言を制止し、あるいは退去させることができるとしております。

(5)としまして、会議の進行秩序を維持するために必要があると認めるときは、秩序を乱し、又は不穏な言動をする者を退去させることができるという整理にしてございます。

3としまして、議論の進め方でございます。

(1)で合議制の機関において調査審議することの意義というものは、知見を有する者として指名された構成員の方々が一堂に会して議論していただくことで、多様な意見を反映させることが可能になる点にあることに鑑みまして、議論のために御自身の意見を陳述していただくに当たりましては、原則としてその会議の場で口頭で行っていただくものと考えてございます。

ただし、欠席をされる方がいらっしゃると思いますので、そのような方につきましては、やむを得ず欠席する場合には、議長たるべき者に申し出をして、その承諾を得て、自らの御意見を記載した書面を会議に提出することができるとしてはいかがかと考えてございます。

それから、(3)としまして、どうしてもその会議の時間の制約等で議論のための時間が足りない等の事情がある場合があるかと思いますけれども、そのような場合に例外的に書面のやりとり、あるいは電子メールのやりとり等で議論を補う必要がある場合におきましては、議長たるべき者は全ての構成員の方々等に対して、均等にそのような書面提出等の機会を確保するように努めなければならないとした上で、そのような形で議論がなされた場合には、それぞれの会議の公開基準に準じて、その議論の内容を公開するものとさせていただいております。

4つ目に、資料の提出に関してでございます。構成員等あるいは参考人の方々は、その識見に基づいて、調査審議事項に関する資料であって、その調査審議に資すると判断されるものについて、その提出者の氏名を明示して会議に提出することができるとしてございます。その提出に当たりましては、遅くともその会議が開催される24時間前までに御提供いただくということにし、やむを得ない事情でその期限までに資料が提出できない場合には、議長たるべき者にその事由を説明して、議長たるべき者が期限後の提出を認めた場合に提出できるものとしてございます。

(4)といたしまして、これは例外的な場合であろうと思いますけれども、議長たるべき者は、そのような資料が審議事項と無関係であると判断する場合、あるいは消費者委員会の品位を損なうものと認められる等の特段の事情がある場合には、資料の提出を認めないことができるとしてございます。

最後に、この運用の在り方の確認でございますけれども、本申し合わせにつきましては、それが決定された後に、各会議の初回において、あるいは既存の会議においては、本申し合わせ後に開催される回において、議長たるべき者がこれを確認していただくということにしてはいかがかと考えてございます。

以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。それでは、本件について御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。唯根委員、どうぞ。

○唯根委員 最後のページの(4)の言い回しがちょっと気になっただけなのですが、「当該資料の提出を認めないことができる」というところです。これ、「提出を拒否することができる」というのではきついでしょうか。

○河上委員長 提出する人が提出しなさいと言われたときには提出を拒否するという言葉になりますね。

○唯根委員 「認めないことができる」というのが。

○河上委員長 提出されたものを委員会の資料としては認めないという趣旨で、拒否という言葉が出てくるかどうか。受け取りを拒否するとか、そういうことになるのかもしれませんが。もうちょっとよい表現が。

○唯根委員 何か表現がないかなと思ったのです。

○黒木事務局長 表現ぶりでございますので、この場でおまとめいただいたもので良いということですけれども、必ずしも関連しているわけではありませんけれども、(3)でも提出を認めるというフレーズがありますので、それとそろえてというぐらいの感じでいかがでしょうか。

○河上委員長 よろしいですか。

○唯根委員 はい。

○河上委員長 阿久澤委員、どうぞ。

○阿久澤委員 私が出席した会議にも、この申し合わせの内容に心当たりがありますし、今後、そういった会議に出席する委員の方にも、この申し合わせを共有していただくことが大切かなと思います。また私が議長になった折には、申し合わせの最後に記してありますように、会議冒頭に確認させていただきます。

○河上委員長 特に個別の案件とかかわりがある申し合わせというわけではございませんけれども、これからこういう形でやっていただければと思います。他には、よろしいですか。山本委員どうぞ。

○山本委員 表現の問題ですけれども、2の議長の権限等のところで、「議長たるべき者」という表現が使われているのですけれども、ここは「議長」でいいのではないかと思いますが、まずいでしょうか。「議長たるべき者」というのは、その前後のところでは、会議の前とか後にもいろいろなことをするので、それで「議長たるべき者」という表現を使われていたと思うのですけれども、ここはその場の問題ですね。そうじゃないですか。

○黒木事務局長 確認させていただきますが、2.の本文の(1)から(5)の「議長たるべき者」というのを「議長」と修正してはいかがかという御指摘でございますか。

○山本委員 そうです。

○黒木事務局長 御判断いただければ、そのようにさせていただきます。

○河上委員長 これは、既に議長に選出された者が会議の中でどういう権限を持つかということを書いている部分なので、あえて「たるべき者」とする必要はないのではないかという御指摘ですけれども、いかがですか。

○黒木事務局長 上のほうで「議長たるべき者」で定義していたので、そのまま同じ用語を使ったということですけれども、この部分は会議の最中のことなので、「議長」としたほうがわかりやすいということであれば。

○河上委員長 議長に選出される前にもいろいろとやらないといけないときには、「議長たるべき者」という言葉が必要なので、上はこれで結構だと思いますが、2の「議長たるべき者」は全て「議長」という形で統一させていただきたいと思います。同じ表現がその後も出てくるのでしたか。

○夏目委員 資料の提出のところに出てきます。

○山本委員 資料の提出は会議の前にもあるので、後のほうはよろしいのではないかと思ったのですが。

○河上委員長 では、後で精査して、会議にかかわる部分は議長という形にし、会議以前のものも含めて、議長たるべき者がやる行為に関しては、そのたるべき者を残すという形で、私のほうで整理させていただきます。

ほかはよろしいですか。どうもありがとうございました。

これからだんだん専門調査会とかワーキンググループとか、いろいろなところで下部組織を動かしていく際に少しずつルール化していく必要がございますので、まずこういう形で申し合わせをつくらせていただいて、もちろん運営規定というのはあるわけですが、そのいわば解釈指針のような形での申し合わせにさせていただければと思います。

事務局長には、この起案でいろいろと御苦労かけました。ありがとうございました。

次に、消費者委員会に寄せられた意見等の概況について、事務局から報告をいただいて、委員間で若干ですけれども、意見交換を行いたいと思います。大貫参事官のほうからお願いします。

○大貫参事官 資料4をごらんください。本年の4月から6月までに委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文等の一覧でございます。定期的に公表している資料になります。

この間に委員会に寄せられた意見書・要望書等は合計72件ございまして、最も件数が多かったのが商品先物取引の不招請勧誘及び再勧誘等の禁止に関するもので47件ございました。このほか金融関係では、貸金業法が3件、クラウドファンディングが2件、カジノ法案が1件ございました。

食品の関係では、健康食品の機能性表示が3件、加工食品の表示に関する調査会と食品の製造所固有記号が1件ずつ。

医薬品や医療の関係では、医薬部外品の副作用関係が2件、エステ・美容医療サービスが1件。あと、審議会の利益相反の管理が2件ございました。

その他で、景品表示法の課徴金制度導入が3件、流通取引の慣行ガイドライン、これは再販売価格拘束規制の緩和ですが、これが3件。そのほかに電気通信事業法、消費者基本計画、個人情報保護。以上でございます。

○河上委員長 これは、それぞれ委員の方に意見は既に配付して、お読みいただいているわけですけれども、この段階で何かそれぞれの意見書についてコメントしておいたほうがいいと思うものがありましたら発言をお願いします。石戸谷委員。

○石戸谷委員長代理 3点ありまして、時間が押していますので、ごく簡単に述べたいと思いますけれども、1点目は、商品先物取引の不招請勧誘問題でありまして、これは昨年の4月以来の延べ件数でいきますと、総合取引所と商品取引所の両方を合わせて延べ94件いただいております。非常にたくさんの意見をいただいていますので、ごく簡単に現状・経過について述べておきたいと思います。

まず、総合取引所のほうの勧誘問題につきましては、昨年11月12日に不招請勧誘を維持すべきという意見を出しまして、11月26日に金融庁のヒアリングを行いました。これを受けまして金融庁のほうで検討いただいて、本年5月30日から6月30日まで金融庁案をパブコメにかけまして、まだ決まっておりませんで、今、そのための作業をやっているというところだと思います。

これとは別に、商品取引所のほうの不招請勧誘の解禁の問題がありました。これは、本年4月5日にパブコメを開始いたしまして、4月8日付で当委員会のほうで解禁は見直すべきであるという意見をまとめまして、4月22日にヒアリングを行いまして、パブコメは5月7日に終了しておりますけれども、現在、消費者庁と経産省、農水省との間で省庁間の協議を続行しているという状況になっておりますということを御報告したいと思います。

2点目は、クラウドファンディングのほうにつきまして、38番、70番、97番と3件意見いただいておりますけれども、これについては、本年2月25日付で当委員会で意見を取りまとめたわけですが、法律の修正そのものはなりませんでしたが、政省令において当委員会の意見を反映させたいという言葉をいただいておりますので、今後の政省令について当委員会のほうでも注視していかなければいけないと思います。

3点目がエステ・美容医療について、96番で意見を頂戴しておりまして、エステ・美容医療問題については、2011年12月に当委員会のほうで建議を出しておりまして、その後もヒアリングを重ねてきてフォローアップをやってきて、力を入れているテーマです。2012年においては、5月、7月、12月でありますし、2013年も5月、11月とヒアリング、フォローアップをやっておりまして、本年も5月27日の160回本会議でヒアリング、フォローアップをやってきて、一定の対応がとられてきているとは思いますけれども、苦情実態からすると、十分改善しているとは見られないので、次の段階に検討を移したほうがいいのではないかと考えます。以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。エステ・美容医療に関しては、実は消費者基本計画のところでも消費者庁から報告を聴取して、委員会で基本計画に対する答申を行うときに2カ所ほど修正点があるという話がございまして、その表現については委員長一任とさせていただいたところでございますけれども、その後、当委員会が指摘したとおり文章を修正するということで、エステ・美容医療については、今後についても一定の改善が見られない場合に、法的・制度的な措置を検討、実施するということを明確に書いていただくことにいたしました。その意味では、今後ともこれはきちんとフォローアップしていかないといけないと思っております。追加的に補足させていただきます。 たくさん意見をいただいて、委員会としてもこういう意見を力にしながら、いろいろな活動をさせていただいております。私どもにとって、大変なエネルギーになっておることにつき、お礼を申し上げたいと思います。では、以上とさせていただきます。

また、定期的に委員間の意見交換を行う機会をつくって、委員会としての考え方を必要に応じて表明させていただきます。

それから、先ほど申しました消費者基本計画の検証、評価、監視で、答申の際の修正点で2カ所あるということで、1カ所は今、申し上げたとおりですけれども、もう1カ所は、詐欺的投資勧誘の「事業者」という表現についての御意見がありました。これは、悪質事業者のことではなくて、悪用されやすいツールを業として提供している一般の事業者のことなのだということをはっきりさせたほうがいいという御指摘でございまして、その旨、明確にするという形で答申を修正した形で、同日付で、参考資料1のとおり答申を行いましたということで御報告させていただきます。

最後に、薬事法の改正に伴う改正手続についてであります。これは事務局から説明をお願いいたします。

○大貫参事官 参考資料2-1と2-2をお手元に御準備ください。平成25年1月に成立しました薬事法等の一部を改正する法律により、薬事法はその法律名を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に変更されることになりました。これに伴いまして、特定商取引法、預託法、割賦販売法の政令で「薬事法」と表記していた部分について、新しい法律の名称に変更するための改正を行う必要がございます。

参考資料2-1にございますように、本来、これらの法律を改正する際には、消費者委員会への諮問、答申手続を経る必要がございますけれども、本件につきましては、参考資料2-2を見ていただきますと、現行と改正案で違うところは、「薬事法」という名称を新しい法律の名称に機械的に置きかえるということでございます。形式的な改正でございますので、実態の内容に係る変更はございませんので、諮問と答申の手続については省略するということといたしたいと思います。以上でございます。

○河上委員長 薬事法という法律は、もうなくなるということですか。

○大貫参事官 名称変更になります。

○河上委員長 この長いのは、何とかならないのですか。

○石戸谷委員長代理 薬事法のほうが全然いい。

○河上委員長 短くて通りのいいような略記があるといいですね。問題は、特定商取引法の改正ということが絡んでいるということでございます。今回は法律名の変更という形式的な改正でございますので、あえて諮問、答申という手続は省略するということにいたしたいと思います。ただ、それが形式的な改正なのか、それとも実質的な内容を含む改正なのかということが一方的に判断されてしまうのはまずいと思われますので、今後も形式的な改正であっても、諮問、答申の要否等について、その都度、当委員会に確認していただいて、委員会として、これについては諮問、答申手続は省略しましょうという判断をした上で、このような形にするという形で取り計らっていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

本日の議題は以上でございます。お忙しい中、審議に御協力いただきましてありがとうございました。


≪5.閉会≫

○河上委員長 最後に事務局から、今後の予定等について御説明をお願いいたします。

○大貫参事官 次回の委員会は、7月15日火曜日を予定しております。議題については、個人情報保護について、ほかを予定しております。

なお、この後、委員間打ち合わせを開催しますので、委員の皆様におかれましては委員室のほうに御移動いただくよう、お願いいたします。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをありがとうございました。

(以上)