消費者委員会委員と消費者団体ほか関係団体等との意見交換会 議事録(1月28日)

日時

2014年1月28日(火)15:59~17:07

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
河上委員長、石戸谷委員長代理、阿久澤委員、齋藤委員、高橋委員、夏目委員、橋本委員、唯根委員
【参加団体】
消費者関連専門家会議(ACAP) 佐分正弘 理事長、長谷川公彦 専務理事、中村哲 理事
日本経済団体連合会 阿部泰久 経済基盤本部長、斎藤仁 政治社会本部長
全国商工会連合会 後藤準 常務理事、土井和雄 企業支援部企業環境整備課長
【事務局】
小田事務局長、大貫参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者委員会の活動状況等に関する意見交換
    • 消費者関連専門家会議(ACAP) 佐分正弘 理事長
    • 消費者関連専門家会議(ACAP) 長谷川公彦 専務理事
    • 消費者関連専門家会議(ACAP) 中村哲 理事
    • 日本経済団体連合会 阿部泰久 経済基盤本部長
    • 日本経済団体連合会 斎藤仁 政治社会本部長
    • 全国商工会連合会 後藤準 常務理事
    • 全国商工会連合会 土井和雄 企業支援部企業環境整備課長
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 時間になりましたので、始めさせていただきます。
本日は、皆さん、お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。ただいまから「消費者委員会委員と消費者団体ほか関係団体等との意見交換会」を開催いたします。
まず初めに配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。

○大貫参事官 本日は、資料1から6までをお配りしております。1から3が各団体の提出資料でして、各委員とも金曜日のうちにごらんいただいています。
不足がございましたら、事務局のほうまで御連絡いただきますようお願いいたします。
以上です。

≪2.消費者委員会の活動状況等に関する意見交換≫

○河上委員長 それでは、早速議事に入りたいと思います。
消費者委員会では、今後の運営改善等との参考に資するために、消費者団体ほか関係団体等から御意見を伺うとともに、委員との意見交換会をことしも開催していきたいと考えております。
本日は、消費者関連専門家会議から、佐分正弘理事長、長谷川公彦専務理事、中村哲理事。日本経済団体連合会から阿部泰久経済基盤本部長、斎藤仁政治社会本部長。全国商工会連合会から後藤準常務理事、土井和雄企業支援部企業環境整備課長にお越しいただいております。
皆様方におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
まず、皆様のほうから最近の関心事項や消費者委員会の活動への評価といいますか、要望等についてお伺いをいたしまして、その後で委員との意見交換をさせていただきたいと考えております。
初めに消費者関連専門家会議から御説明をお願いしたいと思いますけれども、大変恐縮ですが、時間は5分程度でということでお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○消費者関連専門家会議佐分理事長 5分は短いですけれども、一応3名で来ていますので、3人で分担して簡単にお話しさせていただきます。
まず、初めに当会はACAPと一般的に呼ばれています。ACAPの概要につきましては、お手元の資料を見ていただければおわかりいただけると思います。
基本的にはパンフレットに書いてございます。当会は各企業の消費者対応部門の責任者及び担当者で成り立つ会議でございます。会員総数は現在861名、会員企業は589社で活動しております。会員企業一覧もつけてございますので、後ほど見ていただければと思います。
あと、機関誌「FORUM」を年4回ほど出させてもらっています。
これを1枚開いていただくと、昨年なのですけれども、初めてトップセミナーを実施いたしました。ここにおられます経団連さんと、経済広報センターさんとの共催ということで、約300人ほど集まっていただきまして、消費者庁からは阿南さんに来ていただいて実施させていただきました。また後ほど見ていただければと思います。
それでは、資料1に従って簡単に御説明したいと思います。
まず当会の現在の活動状況につきましては、そこにあるとおりでございます。【主な活動分野】は、パンフレットに書いてあるとおりでございます。
【今年度のトピックス】ということでは、消費者庁、委員会の方を対象として「お客様目線獲得研修」ということで、実際に企業に来ていただいて、相談センターで実際の声を聞いていただくとか、そういった現場の研修のお手伝いをさせていただいております。
あとは消費者庁幹部の方と、我々会員企業の役員との懇談会といったものも実施しております。
啓発セミナーは消費者志向経営についてということで、各地区で実施しております。昨年は札幌で初めてセミナーという形で実施をしました。約150名ぐらい集まっていただきました。ことしも継続して実施していきたいと思っております。
4番目は、先ほど御紹介したトップセミナーでございます。
また、消費者教育のプロジェクト等々も行っております。
簡単でございますが、時間もございませんので、次に移りたいと思います。

○消費者関連専門家会議長谷川専務理事 それでは、2番手、長谷川より当会の最近の関心事項ということで6点ほど、ランダムでございますけれども、お伝え申し上げます。
1点目は、食材の不正表示問題が昨年来発生しておりますけれども、これに対応するということで、景品表示法の今後の検討がどのようになっていくのかということについて関心を持っております。
特に食品企業等、食品表示の部分にかかわることでございますし、業務上のいろいろな状況もある中で、どのような考え方が出てくるのかということに非常に関心が高いということをお伝えしたいと思います。
2番目は、消費者教育推進法が制定、施行されておりますけれども、これに伴いまして、まさに消費者市民社会を形成するための実効的なスキームを、どのように国レベルあるいは地方公共団体レベルでつくっていくのか。そこに私ども事業者団体がどう支援できるのか等についての検討がどのようになっていくのか。非常に関心が高いところであります。
3点目は、ことし成立しました消費者裁判手続特例法です。集団的な消費者被害の回復制度という点では非常に評価できるのですが、同時にここまでいかない中で、ある意味、解決できる裁判外の和解、訴訟解決制度等々がこれとの関係で今後どのように充実していくのか、あるいは充実させなければいけないのか等について、関心を持っているということでございます。
4点目は、国民生活センターの中期の組織的な位置づけあるいは機能について、かなり考え方が明確になりましたけれども、実際問題としてどのようにこれがしつらえられていくのかというあたりに関心を高く持っております。
5番目は、消費者教育とも関連しますけれども、地方の消費者行政の強化策ということで、消費生活センターの機能の拡大・強化、あるいは地域の見守りネットワーク等々の必要性がいろいろ言われておりますけれども、このあたりがどのように実際にしつらえられていくのかというあたりも我々としては関心が高いところです。
最後に、消費者市民社会という言葉に代表されます、私どもの求める健全な社会づくりに向けてということで、これまでいろいろ取り組んでおられます消費者月間について、いろいろ工夫をして、国民的な行事みたいになるような啓発キャンペーン期間として充実・活用できないかということで我々も検討しております。これについても今後いろいろと考えていきたいところです。
大体6つの点につきまして、関心事項として御紹介申し上げます。

○消費者関連専門家会議中村理事 最後、ACAP理事の中村でございます。
消費者委員会への評価と要望という点について、少し述べさせていただきいと思います。
評価という点では、第2次の消費者委員会におかれましても、建議が7本、提言も6本と非常に活発に活動されておりまして、また地方での説明会ですとか意見交換会、私も昨年の7月の大阪の消費者法改正のシンポジウムのパネリストにも出させていただきましたが、非常に積極的なお取り組みについては、評価できるのではないかと思っております。
今回の第3次メンバーにおかれましても、大幅にメンバーの皆さんが変わられる中、非常にタイトな中で献身的なお取り組みをされていると感じております。
幾つか要望を、質問を絡めてのことでお話し申し上げたいと思っておりますが、まず1点、情報収集、広聴機能という点でございますが、消費者委員会のミッションとしまして、監視機能、牽制機能、もちろん審議会機能というものもございますが、そういった機能を適切に発揮する中で、ぜひとも正確な状況把握、情報収集ということが求められているのではなかろうかと思っております。
特に事業者サイドの実情や意見を把握する機会といったものについて、どのようにお考えになられているのか。そこら辺についてお伺いしたいなと思っております。
消費者庁とはちょっと機能が違うのですけれども、我々ACAPの中でも、消費者庁の審議官レベルとここにおります理事長レベルとの間で、毎月1回、いわゆる議事録なしの月例の意見交換会、如月会と呼んでおりますが、そういったことも現在行っております。消費者委員会におかれましても、事案に応じた事業者の本音ベースでの情報収集、こういったことも積極的に行っていただきたい。
消費者委員会のミッションが消費者の声を行政に届けるということなので、必ずしも事業者の声を行政に届けるのではないかもしれませんが、やはり情報の質が高まり、判断の厚みが増し、消費者、事業者双方からのバランスのとれた意思形成が図られるのではないかと思っております。
先ほどの消費者契約法のシンポジウムに出させていただいたという経緯もございますが、ことし4月からまた検討委員会も立ち上がるとお聞きしておりますが、メンバーにおかれましても、そういったことに非常に良識のある事業者の方にまたぜひそういった委員の登録をお願いしたいと思っております。
そういった審議段階の中で事業者側の意見も十分に踏まえていただくと、実際それが法律等になる場合についてのスピード感というのもきっと早まるのではなかろうかと思いますので、ぜひそういった事業者側の意見もそういった中で吸収していただければと思っております。
最後にちょっと細かいことなのですけれども、委員の皆様のいろいろな時間帯もあるかと思うのですけれども、できましたら、この17時に終了する形で、委員会の始まる時間も、たしか第1次委員会のときは15時ぐらいから始められていたと思いますので、そのようなことであれば、開かれたこういった委員会の傍聴ということも今以上にできるのではなかろうかと思いますので、そういった点を御配慮いただければありがたいと思っております。
以上でございます。

○河上委員長 17時ごろには終了するようにというのは、もっと早めてくれということではなくて、遅くしてくれということですか。

○消費者関連専門家会議中村理事 できましたら、もう少し早めていただくと、傍聴に来られる方ももっと来やすいのではなかろうかという意味です。
たしか11月、12月を見ますと、審議の中身も非常に多いかと思うのですが、19時半終了とかといったことも何度かあったようですので、そういう意味では、早めていただくほうがいいかなと思っております。

○河上委員長 むしろ5時以降だったら参加できるのにという御趣旨かと思ったものですから。

○消費者関連専門家会議中村理事 事業者は委員会終了後に帰社するので、それを考えると、5時までにおさめていただいたほうが良いかなという声がでております。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
引き続きまして、日本経済団体連合会から説明をお願いいたします。

○日本経済団体連合会斎藤政治社会本部長 初めに政治社会本部の斎藤のほうから、お手元に「企業行動憲章」という冊子を参考にお配りさせていただいておるかと思います。
これは第1次、第2次、それぞれの消費者委員会との意見交換会の際にも配らせていただいたので、河上委員長は2回目の説明になると思いますが、そこは宣伝もありますけれども、経団連の消費者との関係について一番よく書いてあるのが、この企業行動憲章でございます。
お手元をめくっていただきまして青いページがございますが、これが憲章本体でございまして、全体で10条から成っている簡潔なものでございますが、その一番初めに「社会的に有用で安全な商品・サービスを開発、提供し、消費者・顧客の満足と信頼を獲得する」ということで、消費者との関係が大事だ、消費者の期待を裏切るようなことをすると企業の信頼を失って企業活動が成り立たないということを、まずもって肝に銘ずるべきだということで書かせていただいております。
具体的にどういうことをしたらいいかということが手引きということで書いてございますが、白いページをめくっていただきまして、普通のアラビア数字の1ページ目から消費者のところが書いてございます。
具体的に枝番を振っておりますのが4項目ございます。
2ページでございますが、1つは「消費者・顧客のニーズを把握するとともに、持続可能な社会の発展に資するよう、社会的に有用な商品・サービスを開発、提供する」。本業そのものが消費者との関係が大事だということが1番でございます。
2番目は、当然でございますけれども、商品・サービスの品質、安全ということを真っ先に考えるというものでございます。
3番目でございますけれども、情報を提供する、そして、消費者の自立的な選択、判断を支援するための啓発活動に努めるということで、消費者市民化、教育関係のこともここに書かせていただいております。
4番目でございますが、消費者からのクレーム等については、誠実に対応するとともに、そのクレームを新しい商品開発に生かすといった好循環をもたらしたいというのが我々の考え方でございます。
この憲章につきましては、ことしの秋をめどに次の改定作業を予定しておりますので、また消費者委員会等の議論で出た問題も踏まえまして、改訂に生かしていければと思っております。
私のほうからは、以上です。

○日本経済団体連合会阿部経済基盤本部長 続きまして、お手元の資料2に消費者法制に関します私どもの基本的な考え方を示してございますので、これに基づきまして3点お願いを申し上げたいと思います。
1点目は、昨年末に成立いたしました裁判手続特例法についてでございます。
衆議院、参議院の公聴会等で私どもも意見を申し上げさせていただきましたが、まずはこの新しい仕組みについて周知徹底を図っていただきたい。中小企業のみならず大企業であっても、まだよくその全体像を理解できていない。それゆえに過度な不安等も起こっておりますので、周知・広報を徹底していただきたいということ。
その上で、若干私どももまだ不安に思っております。事業者が商品の回収や代金の返還といった具体的な救済を始めているときに並行して訴訟が起こされないかとか、あるいはそもそも実際に多くの消費者が被害回復のための訴訟を求めていないにもかかわらず訴訟を始めるのではないかということです。
そういう意味では、これから施行までの間にいわゆる監督指針の策定等のさまざまな手続が進められていくと思いますが、その中でしっかりと対応していただきたいということが1点目でございます。
2点目が、景品表示法についてでございます。
ここで申し上げたい第1の点は、表示というのは、業態それぞれによって非常にまちまちでありますが、業界の中で自主的な対応をとっているところ、公正競争規約等を整備して万全を期しているところについては、その取り組みを尊重していきたいということでございます。
それから、景品表示法の2回目の改正で恐らく課徴金の議論があると思いますが、そもそも課徴金とは何かというところから議論していただきたい。単なる行政制裁なのか。あるいは、不当な収益の没収なのか。性格によって位置づけが変わると思いますが、他の制裁制度等との関係も含めまして、十分に御議論願いたいということが2点目でございます。
3点目が、消費者契約法の見直しでございます。昨年の夏に、消費者委員会から膨大な量の論点整理を示されております。拝見いたしましたが、非常に網羅的な論点になっており、消費者契約法の見直しという以上に、例えば今進められている民法の債権法改正の議論にかかわるようなものでありますとか、あるいはインターネット取引等の規制みたいな現状に即した見直し等さまざまな論点が示されておりますが、私どもとしては2つお願いしたいと思います。
1つは、当然、消費者契約法の見直しは大事だと思いますが、かなり広範に影響するものでありますので、さまざまな立場からの意見を聞いていただきたいということです。もちろん事業者として私どもなりに意見を申し上げますし、様々な業界・業態あるいは中小企業団体からの意見も聴取いただきたいということが1点目でございます。
2点目が、消費者法制がだんだん複雑になってまいりまして、消費者何々法という法律がどんどんできております。それぞれがそれなりの意味がある法律かと思いますが、そういう消費者法制の個別法と消費者契約法との関係をもう少しわかりやすく整理していただきたい。
消費者契約法が一番底辺にあって、その上に個々の法律かできていくのかなと思いますが、今はその関係が不明確でちょっとわかりにくくなっているところもあります。消費者契約法の改正をされるのであれば、その機会に個々の法律との関係をもう少しわかりやすいものにできないかというお願いでございます。
いずれにしても、これからの消費者法制の見直しにつきましては、私どもなりに意見を申し上げさせていただきますが、その都度さまざまな機会をいただければ幸いでございます。
以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
最後になりましたけれども、全国商工会連合会から御説明をお願いいたします。

○全国商工会連合会後藤常務理事 全国商工会連合会の常務の後藤でございます。今日はよろしくどうぞお願いいたします。
私どもの資料3をごらんいただきたいと思いますが、まずは商工会の組織を御存じない方が大多数かと思いますので、簡単に説明をさせていただきたいと思います。
資料の3ページ、4ページのところをお開きいただきたいと思います。
3ページ、上のほうに日本地図がありまして、赤と灰色のところがございますが、この赤いところが全部商工会地区でございます。
4ページの左上のところを見ていただきますと、私ども商工会という組織は、実は昭和35年、1960年に商工会法という法律ができまして、それに基づいて設立されております特別認可法人、主に市町村における商工業の総合的改善発達ということで、3ページの左の中ほどにハコの中に入っておりますけれども「商工会地域の課題」というものがありますが、地域格差が大きい、都市部と郡部の格差、限界集落問題とか、地域コミュニティーの弱体化といったいろいろな問題がある。
現在の会員数は、約85万人の会員でございます。活動状況につきましては、1ページ、2ページを後ほどごらんいただければと思います。全国に1,679カ所の商工会がありまして、全国をカバーしている。
灰色の地区というのは、実は規模の大きな企業が点在している商工会議所地区でございます。お互いに商工会と会議所はエリアの重複が認められていないということで、2つの団体、商工会議所は商工会議所法、商工会は商工会法とエリアの重複が禁じられている。この2つの団体で、日本全国をカバーしているということでございます。
一番最後の5ページ目をちょっとごらんいただきたいのですが、今、私どもの一番の懸案でありますのは、右側のハコを見ていただきたいのですが、これは経済産業省が出している経済センサス-活動調査データの速報値なのですが、2009年、総企業数というのは421万社ありましたのですが、直近の2012年の調査によりますと、386万社で35万社減っている。
これは、実はこの中でごらんいただくとわかるのですが、大企業は1万社程度、中小企業と言われるいわゆる中堅企業が54万社、残りは規模の小さな小規模企業、これは御存じないかもしれませんが、従業員が20人以下、サービス・小売業ですと5人以下、こういった規模の小さなものが、2009年でいきますと366万社、これが2012年では334万社、全体の86.5%、ほとんどが小規模の小さな企業だと御理解いただければと思っております。これも数が年々減ってきている。
こうした状況を打破するために、小規模企業にもっと光を当てる施策を講じていただきたいということで、我々は法律の制定を働きかけている。この2カ月間ほどで100万人の署名を集めまして、今国会においてこの法律を制定させたい。
一昨日ありました安倍総理の施政方針演説でも小規模企業基本法を制定するということを盛り込まれまして、何とか今国会でそういった法案をつくっていただくようにお願いをしている。
今度は本題に入りますけれども、私どもの消費者問題における最近の関心事項でございますが、今、申し上げましたように、我々の団体というのは非常に規模の小さな企業が大半でございまして、悪質な事業者を取り締まるということについては全く異論はございませんが、企業の経営基盤が非常に脆弱だということもあって、できるだけ過度な規制をすることは避けていただきたい。企業活動が非常に停滞をする。こういった点も十分に考慮に入れていただきたい。当然、消費者の安心・安全ということは重要でありますけれども、過度な規制だけは何とか避けていただきたい。
それから、消費者裁判手続特例法、集団訴訟については、2年前に消費者委員会の専門調査会でおまとめいただいた報告書に基づいて法律がつくられたわけですけれども、我々としては、非常に濫訴が起きにくい、いい制度をつくっていただいたと高く評価をいたしております。
我々のような小さな企業で一生懸命やっている事業者でも、いろいろな規制がかけられますと万一に備えて対策が必要になる。こういったことで、先ほども申し上げましたけれども、今後、負担になるようなことがないように十分御配慮いただきたい。とりわけ中小、小規模企業は、訴訟を提起されてしまいますと、それに対応する力が非常に弱いということもありまして企業そのものがすぐに潰れてしまうおそれもある。
その意味では、消費者だけではなくて事業者のほうに対しても、今後の法律の施行に向けた制度内容を十分に周知をしていただきたいと思っております。
2つ目の食品表示等の適正化対策についてでございますが、今回ホテル等がいろいろな違反事件を引き起こしておりますけれども、私どもはこれは一部の企業の内部統制の問題だ、企業モラルの欠如だと考えておりまして、先ほども申し上げた繰り返しになりますが、悪質な事業者を取り締まるということについては全く異論はございませんけれども、一部の企業の違反を事業者全体の問題に広げて議論をするということについては、相当違和感がある。
今、必要なことは新たに規制を導入するというより、まずは事業者に食品表示の適正化についての啓蒙活動を強化していくことが極めて重要だと。我々も事業者に対して引き続き周知の徹底を図ってまいりたいと思っております。
課徴金制度の導入についてでございますが、導入の可否については、現行法の効力、違反の反復性等も十分に判断した上で導入を検討していただきたい。とりわけ課徴金制度の導入、実効性の有無については、専門家や現場の事業者の意見を十分に聞いて慎重に検討をしていただきたいと思っております。
内閣府の消費者委員会の活動への評価ということでございますが、私どもとしては、これまでの消費者保護に関する活動については、非常に高く評価をいたしております。我々としては、これも繰り返しになって恐縮ですが、健全な事業活動が阻害されることがないよう、引き続き中小、小規模企業に対しても十分御配慮いただきたい。
我々の組織といたしましても、消費者の安心、安全の確保の重要性を十分に認識しておりますし、事業者に対してより一層、法令等の遵守についての周知徹底を図っていきたいと思っております。
以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。時間を守っていただきまして、大変恐縮でございます。
それでは、これから意見交換ということにしたいと思いますけれども、お手元にあります資料4、資料5というのは、消費者委員会のこれまでの活動と当面の主要課題として挙げているものであります。
これは消費者委員会で既に議論をして公開したものですので、今さら説明をする必要はないかと思いますけれども、現時点では、金融取引に関する検討、インターネット取引に関する財産被害の防止策、消費者安全に関する検討等について具体的に作業をしているという段階ですけれども、それ以外にも消費者基本計画がこれで5年を迎えてしまいますので、次の5年のための基本計画の策定に向けた作業ということもやっているところであります。
そのほかのところですけれども、消費者政策上の重要問題というのはその都度出てまいりますので、ある程度機動的に取り上げて、必要に応じて意見を表明するということで、現に食品表示の適正化対策であるとか、そういうものについては、やってきたところであります。
裏側にいきますと、下部の組織での検討ということで、現在、食品表示部会で食品表示法の政令の調整作業をやっておりますけれども、それ以外にも外食、中食などでのアレルギー表示の問題だとか、さまざまな課題というものがあります。こういった問題についても、この食品表示部会の中で検討していく必要があるということであります。
ずっといきますと、公共料金等専門調査会のところですけれども、これは消費税の導入ということがありますので、それが適正な形で物価のほうに上乗せされるということにしないといけないので、この辺も気をつけて頑張っていかないといけない。当面は中部電力からの家庭用電力料金の値上げ申請というものに対して対応ということが課題になっております。
景品表示法における不当表示に係る課徴金制度に関する専門調査会は、総理大臣のほうから委員会のほうに諮問がありまして、これに対して措置のあり方について調査審議をするということで、大臣は大変意欲を持っておられますので、できるだけ速やかに検討をしていかないといけない課題であります。
「その他」のところで、先ほど少し話題になりました消費者契約法についても下部組織を随時つくって検討をしていくということであります。
地方消費者委員会を第2次のときにやっておりますけれども、名前を消費者問題シンポジウムと改めまして、やはり四半期に1回程度ずつ開催して地方に出かけていくということであるとか、団体との意見交換会をできるだけ頻繁に開催していきたいということを考えております。
資料5のほうに、これまでの建議との関係でどういうことがあったかということとか、最後のあたりには「意見等」ということで、35件ほどの意見を述べているものがリスト化されておりますので、また御参照いただければと思います。
ということで、委員の方々からただいまの3団体からのプレゼンに対して、何か御質問、御意見等がございましたら、発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 まず、ACAPさんから消費者委員会に対して質問が出されているので、事務局のほうから先に御回答いただいたほうがよろしいかなと思います。

○河上委員長 何か事務局のほうから技術的な話でございますか。

○大貫参事官 ACAPさんの質問の1でございますが、情報収集、広聴機能についてということでございまして、事業者さんサイドの意見を把握する機会についてということでございます。
関係の皆様の意見を十分に聞いた上でコンセンサスを形成していくのは非常に重要なことでございますので、委員として入っていただくほかにも、いろいろな事業者の方々からヒアリングをするという形もございますので、そうした形で部会あるいは本委員会においても審議を進めていくことになるのかと思っております。これは「2)事業者委員の登用について」も同様の考え方となるかと思います。
「3)その他」でございますが、先ほど委員長からございましたように、非常勤の委員でございますので、なかなか定時の時間に全員が集まれないという事情がございまして、今のところ、当面この時間帯でやらせていただくのかなということになっております。ただ、長くやっておりますと、だんだんあらかじめこの委員会の予定を優先していただくように予定を組んでいただくことができますので、改善できる範囲内で、できるだけ御要望を入れていくような形にできればと思っております。
以上でございます。

○河上委員長 夏目委員、ほかに何かよろしいですか。
では、石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 では、皮切りで。
感想になりますけれども、各団体からお話をいただいて、私は弁護士でして、ふだん事務所で仕事をやったりするのですけれども、高齢者の悪徳商法被害というのが大変多くて非常に深刻で、そういう意味では今日お見えになっている団体とおよそ縁がないようなところを相手にすることが多いわけですが、そういう意味からすると、ACAPさんのほうから話が出た中で、事業者のほうからの話をというので、これも中身によると思うのです。詐欺的商法に関する建議などというのは聞きようがないということもありますし、ほかのテーマのときには、なるべく業界団体とか主務省とか、なかなか個別というのは情報がないところが多いので、そういうのがあればお話を聞きながらということになるかと思います。
定例でというのが、消費者団体と意見交換をやったときも同じような意見が出ていたのですけれども、事態が動いていく中で、いろいろ建議、提言、意見をまとめたりしなくてはいけないということがあるので、定例で固定的にやるより、出てきたテーマに関して関連するところを意見交換やっていったほうが実践的ではないか。私は今のところそう考えております。そこは消費者団体のほうも、事業者団体系のほうでも同じではないかと考えております。
経団連のほうからのお話の中で、裁判手続の特例に関する法律で、私は神奈川なのですが、神奈川のほうでも適格消費者団体を立ち上げなければいけないのではないかというので準備をやっていまして、消費者団体だとか、学者、司法書士、弁護士や何かと準備はやっているのですけれども、非常にハードルが高くてなかなかできない。まず法人をつくって2年間実績を上げないと資格要件を満たさないというので、どれだけ早くても法人化してから2年先ということで、しかも、それは差しとめだけなのです。集団訴訟で損害賠償となると、さらにその中の特定適格消費者団体なので、そこからまた先があるということで、非常にハードルが高くて、まずスタートラインに立つのがなかなか大変だという実情にありますので、その辺もちょっと御理解いただければと、聞いていて思いました。
商工会議所のほうなのですけれども、消費者事件をやっていますと、中小企業というか、特に小さい企業の事案で、非常によく似た面があるなというのがありました。情報格差の問題だとか交渉力格差の問題というのは似た面があって、特に私は金融関係が多いのですが、実態を見ると、中小企業が例えばデリバティブを売られて、余りよくわからずにやって、どんと大きい損失が出ている。そういう場面で見ますと、消費者事件と実態は余り変わらないなということがあります。
日弁連の消費者委員会でも、消費者ということで、これは事業者だからという切り分けではなくて、その辺は共通している部分は共通しているものとして考えていける面があるのではないかということで考えておりますので、消費者、事業者という切り分けでいくと何か対立構造みたいになりますけれども、むしろ必ずしもそういう場面だけではないのではないかなと考えております。特に金融などというのはそういう面が強いのかもわかりませんが、そういう色彩もあるということで、情報交換もできればと思っております。
とりあえず、感想です。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 齋藤です。
1団体に1つずつ質問をしたいと思うのですが、まずはACAPさん、消費者裁判手続の特例法について、ADRとの関係を今後どう考えるかということを関心事として言われましたけれども、私も国民生活センターのADRの委員をやっていますので、これは大いに関心があるところでして、同じ事案が両方にまたがる場合にどうしたらいいのだろうか、どちらがより有効なのだろうかとかということを今、考えているわけですが、何かお考えがあれば、教えていただきたい、御紹介いただきたいということが1つ。
それから、経団連さんですけれども、景表法の見直しについてなのですが、景表法は全業界に適用されるのですが、グレーゾーンが極めて大きい。そこをどうしていくのかが気になっているところなのです。極端な場合は、例えば中小の外食とか赤ちょうちん、バー、キャバレーとかいろいろありますが、それも表示は同じ法律が適用されるということであれば、本当に今どれだけ厳正に適用されているかというのがありますし、それは別としても、大きな業界でも新しく立ち上がってくる業界、これについては先ほど言われておりましたような公正競争規約などがない可能性があるわけですが、このような場面についてどのように考えたらいいのだろうか。これは私は今、曖昧模糊としていまして、漠然としていまして、考えをまだ整理し切れていないのですが、どのようにお考えかということをお伺いしたい。
商工会さんにですけれども、モラルの低い企業がしでかしたことをもって全部に網をかけるということになると、これは大変だとおっしゃられて、私もそう感じるところが多々あるのですが、そうすると、今度は自己浄化能力に期待しますということになってくるわけですが、片方でそれで踏み外した企業に対しては罰則、刑事罰とか行政制裁を重たくするというのが出てくると思うのですが、このあたりについてどのようにお考えかということをお伺いしたいと思います。

○河上委員長 では、ACAPさんのほうから、よろしいですか。

○消費者関連専門家会議長谷川専務理事 では、長谷川より。
余り的確なお答えができないかもしれませんけれども、先ほど後藤常務がおっしゃった、いろいろな消費者問題あるいは不祥事が起こったときに、必ずしも事業者や企業全体がそういうことを是認しているわけでは毛頭ありませんし、一部の良からぬ企業がやっているという状況の中で、それに対する対処方法としていきなり規制にいくことで、消費者と企業が相互理解をしながら、信頼関係をつくりながらこの社会をより健全なものにしていこうという取り組みそのものがマイナス影響を受けることは絶対避けたい。これが底辺にあります。
今回のこの消費者裁判特例法の件ですけれども、私どもはやはり消費者対応部門を中心とする組織ですので、できれば企業とお客様との間のいわゆる無益な争いですとか、あるいは誤解がないような形でやっていきたいということの中で、当然本当に最初から悪いことをしようとしてそういうことを起こす企業については、相当ペナルティーまたはこういう訴訟でいかなければなりませんけれども、そうではなくて、一生懸命努力していながらも、そこにたどり着けないような状況もあることは事実です。そういう場合に、いきなり訴訟というよりは、相互に解決する努力をかなりできるような状況、当事者同士が難しくても、どこか第三者によって、ADRのような形で訴訟そのものが社会に対して悪い形でマイナス影響を残さないような解決方法ができるような条件整備がそろうことによって、消費者と企業との間の関係を、私たちが望むような関係として描けるのではないかということを考えます。いきなりそうしろというのではなくて、そのような補完する位置づけとしてのADRをもっと研究する必要があるのではないかという問題意識を持っているということでございます。

○消費者関連専門家会議中村理事 追加でよろしいでしょうか。
国センのADRとの関係ということなのですけれども、今度の新しい法律の中でも、施行されるまでの期間においては、国センのADRについては非常に足ならしという形で位置づけがされているように思いますので、今まで以上に国センのADRの重みというのは大きくなるのではなかろうかと事業者としては考えております。

○齋藤委員 そうすると、つなぎの位置づけの国センADRと、その後のこともあるわけなので、私はどちらかというとその後のことを頭に置きながら質問をさせていただいたのですが、その後の経過措置においても、集団的な被害者と特定の事業者との間でのADRというのはむしろあってもいいのではないかというお考えでしょうか。

○消費者関連専門家会議長谷川専務理事 詰め切って考えているわけではないのですけれども、軽々に訴訟に持っていって被害が求償できれば、もちろん求償しなくてはいけませんが、それはそれで一つ片づくのですが、やはりそういう問題がいかにして起こって、それを本質的に解決するのにどうしたらいいかということ、かなりそういった視点での検討も必要だと思うのです。そういう意味では、被害者と事業者が、事業者がどういう性格のものかという問題はありますが、その事業者が解決をしたいということであれば、その機会を極力生かすような取り組みがあったほうが社会の健全化にはつながっていくのではないかと今、考えておりまして、そういうところもしっかりやっていきたいという感じはあります。

○河上委員長 経団連さん、お願いいたします。

○日本経済団体連合会阿部経済基盤本部長 お答えいたします。
景品表示というのは千差万別でありまして、業界・業態ごとに何が正しいかも違う。それを1つの法律で仕切るというのはなかなか難しく、グレーゾーンが残るのは当然だと思います。結局これはそれぞれの業界の自主的な対応を促すしかないと思うのです。一昔前でありますと、公正取引委員会が公正取引協議会を認証して、そこが公正競争規約をつくるということでやっていたのですが、そういうことがなかなか難しいとすれば、業界がさまざまな自主的なガイドライン等をつくるときに、できるだけ消費者団体等の意見を聞くとか、あるいはきちんとしたプロセスを踏んで正しいものができたときには、オーソライズするというのは大げさなのですけれども、消費者委員会や消費者庁で公認するような仕組みが何かできればと思っています。

○河上委員長 商工会さんのほうはいかがですか。

○全国商工会連合会後藤常務理事 モラルの低い企業に対する罰則の強化というお話だったかと思いますが、今、経団連さんのほうでもちょっとお話がありましたけれども、大体業界ではいろいろな業界ルール、ガイドラインのようなものをつくっている。それをきちんと守っていれば、余り消費者から非難されるようなことはないだろうと思っているのです。ですから、業界ルールをきちんと守らせるような仕組みをもう少しつくっていったほうが、法律ですぐに罰則を強化するよりも実効性は高い。
今までも何か問題が起きたときには、業界全体の信用にかかわるといったときは、自浄作用が働いて、業界団体できちんとした自分たちのルールをつくって、それに基づいてやっていこうとずっとやってきていますし、本当に罰則を強化すればなくなるのかどうかというところも、実は我々は非常に疑問に思っておりまして、もともと詐欺まがいとか、最初から消費者に対して大きな被害を与えるような行為をしている者は、おおよそ企業経営者とは全く別の者だと我々は認識しておりまして、少なくとも事業者は何らかの問題を起こした場合も、その企業を継続的に生かしていくためにいろいろな改善なりをしていく。おわびをしたり、そのための努力を払っていくわけです。
一方で、詐欺まがいの商法上問題があるような行為をしているところは、企業を継続する意思はない。最初から消費者を欺罔するといいますか、だまして何らかの利益を得ていく。これは本質的に我々事業者とは性質を異にするというか、これと同一線上で我々が議論されることに、我々は非常に違和感があるということでございます。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
悪質業者と普通の事業者とは別物だという議論はよくありますけれども、その間には若干グラデーションもありまして、表に出なければできるだけ利潤は高いほうがいいなと思うのもまた人の常ですので、その辺ははっきりさせるべきところははっきりさせないといけないなという感じはいたします。
ほかに委員の方、いかがですか。
橋本委員、どうぞ。

○橋本委員 本日はありがとうございます。
評価について、各団体とも非常に高く評価していただいているということで、本当にそれでいいのかなと思った次第なのです。
まず、ACAPさんにつきましては、昨年札幌で行ったシンポジウム、私は参加できなかったのですが、参加者から聞きますと非常にいい内容で、地方でこういったことをしてほしいというのと、消費者教育に関する資料がなかなか地方にいると手に入らないのですが、特設のところでそういった資料を非常に出していただいたということで、啓発活動している者にとっては非常に役に立ったと聞いておりますので、今後もいろいろな地方において、そのようなノウハウを広めていってほしいと思います。
1点、ACAPさんは、消費者からのいろいろな問い合わせ等の対応ということなのですけれども、昨今いろいろな苦情が入ったときに、それをリコールに結びつけるとか、製品の回収をするとか、そういったところをどうやっているのかというところで、消費者庁と私たち消費者団体も非常にそのノウハウを欲しいというところであります。そういったことに関して、異業種間で何かお話をしたことがあるのかというところが1点です。
それから、経済団体に関しましては、本当に私たち消費者と事業者はよく対立しがちに見られますけれども、私はお互いに事前にいろいろなすり合わせをすることでいい制度づくりができると感じておりますので、本日の公正取引規約等を有効にというのは非常にいいなと思っておりますし、最近でいうと新聞購読に関するガイドラインというのを出してもらったりとかして、それをもとに相談現場でいろいろとできるということがありますので、これからもそういった消費者のいろいろな意見を聞いていただいて、規約までいかなくても、ガイドライン等でなにかできるのではないかなと感じておりますので、これは要望ということで、お願いいたします。
あと、商工会議所さんや商工会さんは本当に地域における地域活動というところでは、私も地元の商工会議所さんとともにいろいろな地域活動を行っております。特に商工会さんは非常に市町村と密着になっているところがあるのですが、今回、地方において、消費者被害を見守るためのネットワークづくりをいろいろ打ち出されているのですけれども、そういった意味で、商工会さんとしては、そうしたネットワークづくりにどのような形でかかわれるのか、ちょっとお聞きしたいなと思います。
以上、質問は2点ということです。

○河上委員長 どちらからでもいかがですか。

○消費者関連専門家会議佐分理事長 ACAPからです。
先ほどお客様の声を改善にどのように生かしていくのかということで、それをどう展開していますかというお話があったかと思うのですけれども、基本的には、昔から会員に対しては毎月例会というのを実施しています。そこで各企業が相談対応でどのようにしているのか、その声を社内にどうフィードバックしているのか、そういった事例を毎月1社お互い披露しまして、皆さんに参考にしていただいています。
あわせてもう一つ、自主研究があって、その中で、お客様の声ををどう生かしていけばいいのかといったことを研究していますが、これらはまだ会員の中での内容となっています。会員外にも消費者志向を広めたいということで、昨年のトップセミナーで味の素さんの会長がにお話しいただきました。こんなことをやっていますよという事例を各地区の会員以外にも広く広めていきたいと考えています。
それから、消費者啓発展示コーナーにつきましては、全国30カ所にありますが、できれば各県に1個は置きたいと頑張っています。

○河上委員長 では、商工会さん、お願いいたします。

○全国商工会連合会後藤常務理事 先ほど資料の3ページ、日本地図のところをごらんいただきたいと思うのですが、カラー刷りの赤と灰色のところでございます。そこにありますが、先ほど少しだけ説明いたしましたが、左の箱のところに、我々の地域の課題というのがあります。
実は私どもの中山間地域ですと、事業者の方もほとんど生活者と近い状況になっていまして、コミュニティーを維持していくためには事業者そのものが地域の生活者と一緒になっていろいろなことをやっていかないと、地域が成り立たなくなっている。そういう状況の中ですので、いろいろ問題があれば相互に話し合いをしたり、地域おこしとかそういうことも事業者が中心になって、消費者団体ですとか、いろいろな各団体を糾合して地域づくりみたいなことをやっています。
したがって、今、御心配のような案件が出ると、直接いろいろ情報収集もできますし、いろいろ解決策も、地域全体としてやっていかないとこういう地域は成り立っていかないと、特殊な事情としてお考えになるかもしれませんが、これが日本の実態でございます。都市部はまた別だと思いますけれども、大半がこういう状況にあるということはぜひ御理解いただきたいと思っております。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
ほかにはいかがですか。
齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 経団連さんにお伺いしますが、この企業行動憲章を今度改訂すると先ほど言われましたが、今、頭に描いている改訂ポイントを御紹介していただけますでしょうか。また、それをどのように周知していくかということを御紹介いただければと思います。

○日本経済団体連合会斎藤政治社会本部長 たまたま前回の改訂がISO26000の発行年で、FDISというファイナルドラフトがわかっている段階で、それを反映した形で改訂しましたけれども、それから今、3年たちまして、世界中でISO26000を今後どう見直すかという作業が行われています。
今のところ大きな見直しはないだろうということですけれども、我々としては、企業に、例えばISO26000の内容、ここに課題は書いてありますが、それをどのように使ったらいいかという具体的な手引きのところが弱いものですので、そういったものを反映して使いやすくしていきたいというのが一つでございます。
それから、今、具体的な課題として言われておりますのは、ダイバーシティ、特に女性の活躍とこれだけ言われておりまして、経団連も昨年来一生懸命取り組んでおりますが、残念ながら企業行動憲章を前回改訂したところでは、もちろん男女共同参画とかワーク・ライフ・バランスとかと項目には書いてありますが、そもそも女性そのもののダイバーシティを全面的に出した項目がございませんので、そういった項目を出していきたい。
あるいは、企業の社会的責任でいいますと、いわゆる防災・減災対策の一環としてBCP、BCMについて企業がしっかりやることで、社会の強靭化を図っていくための貢献といった課題もございまして、新しいイシューもございます。
もちろん消費者との関係におきましては、消費者委員会が2009年にできて、次の年にできたばかりでございますが、その後、当然消費者安全法の制定あるいはさまざまな法改定も行われましたし、消費者基本計画に基づいてさまざまな取り組みが行われておりますので、その内容も反映した形で、わかりやすくしたいと思いますし、また、消費者団体等でこれを見ていただいて、こういった視点も必要ではないかという御意見がありましたら、ぜひ寄せていただければ大変ありがたいと思っております。
以上です。

○河上委員長 唯根委員、どうぞ。

○唯根委員 感想に近いのですけれども、ACAPさんから啓発期間として消費者月間の活用の御提案をいただきました。
きょうのこういう経済界との意見交換会を希望したいというのは、消費者団体側も非常に業界さんというか企業側、事業者さん側がどういうことを一番お困りになっていらっしゃるのかとか、消費者に対して言いたいことはどんなことなのかというのを本当に知りたいという素朴なところもございまして、いろいろ御意見を伺ったところなのですが、やはり定期的に行うのは難しいにしても、いろいろそれぞれの課題のときに伺いたいと思いました。
商工会さんにきょう伺った現況から、事業者の中で非常に消費者に近いところにいらっしゃいますし、先ほど橋本委員も申しましたけれども、地域ネットワークをこれからつくっていくには、地域の方々の事業者さんのお力添えが非常に大きい存在だと思いますし、やはり経団連さんには一番リーダーシップをとっていただきたい。そういう意味でも今後ともいろいろな業界の情報もいただきたいと思います。
そして、ACAPさんとは、消費者の被害対応の部分では、私ども消費者相談をやる消費者団体としては非常に近い問題意識がありますので、そういう意味で、もっと細かい情報交換をこれからも続けていきたいと思います。そして、消費者月間の使い方を、ぜひまた私どもも考えたて戴きたいとい思いますし、御協力もいただきたいと思いました。

○石戸谷委員長代理 委員長がちょっと席を外していますので、かわりに。
今のはよろしいでしょうか。
そうしたら、まだ声が出ていない、高橋さんなどはいつも発言が多いのに、きょうはお静かな。

○高橋委員 大体考えていることは皆さん、ほかの委員からも出していただいたのですが、感想とお願いを一言だけ申し上げたいと思います。
私も企業と消費者というのはよい形で手を結んでいい社会をつくるべきだと思っているのですけれども、特にACAPさんのようなお客様相談も、先ほど、橋本委員もおっしゃいましたが、企業の中でのコンプライアンスも、そういうところがきちんと機能して、不祥事が起きないということが大事だと思います。
ただ、不祥事とはどれだけ気をつけていても起きてくるというのが現状なので、起きたときにどう対応するのかというのも多分皆様方の団体ではいろいろ学び合い、競い合いをやっていらっしゃるのではないかと思います。
私、実は行動憲章のところにダイバーシティを入れてくださいと申し上げようと思ったらば、先に言っていだたいたのですが、内閣府の男女共同参画局のほうで、女性の活躍状況の見える化検討会の委員をしていたのですが、経団連さんもそのとき出ていただいて、自主的な取り組みを大分進めていただいているということはわかりましたが、きょう、それから前回の日弁連さん、日司連さんのときもそうですが、出てきていらっしゃる方が全員男性だというところが、今のダイバーシティ推進、女性活躍推進という国の方向性からするとやや違和感がございまして、各団体におかれましても、理事さんとかの女性登用とかを進めていただくことが必要だと思います。
私も2つほどの企業の社内監査役をやっておりますけれども、監査役協会でも、企業の不祥事の種を見つけるとか、防止のために女性の感度というのは非常に必要ではないかということが言われているわけです。多分お客様相談室のスタッフの方々も、トップにいろいろな厳しい御意見とか、不祥事の芽とかを上げていらっしゃると思うのですが、実際に役員、意思決定のボードのところに女性がいることもこれから非常に重要になってくると思います。これはお願いなのですが、ぜひ今度、来年とか出ていらっしゃるときには、女性が半分ぐらいまじっていることを期待したいと思います。
以上です。

○石戸谷委員長代理 何かコメントありましたら、お願いいたします。

○日本経済団体連合会阿部経済基盤本部長 企業の中での女性の活躍がだんだん広がっております。ただ、男女雇用機会均等法の第一世代が中間管理職の段階でありますから、さまざまな場でトップに出るには10年弱ぐらいかかるかなと思います。絶対に後退はさせませんので、少し時間をいただければと思います。

○石戸谷委員長代理 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
阿久澤さん、食品表示についていかがですか。

○阿久澤委員 今、食品表示という御案内ですけれども、私は食品表示部会、新開発食品調査部会のほうを主に担当させていただいておりまして、御案内のとおり、現在食品表示につきましては、調査審議中ということでやっております。
そんな中、先ほどACAPさん、また、商工会さんのほうからの要望の中にもあったかと思いますが、企業あるいは事業主からの意見聴取を上手にやってほしいということで、まさに私もそのことは個人的にも感じておりまして、委員会での意見聴取につきましては、先ほど事務局からもありましたように、ヒアリング等で積極的にさせていただくという方針を持っております。
また、商工会さんのほうからもありました小企業の方、特に食品のほうは本当にそちらのほうが数とすれば大きいということですので、実行の可能性というところは非常に重要な内容だと考えておりまして、検討の中ではその辺は非常に重要なポイントとして審議しているところでございます。
そんなところでよろしいでしょうか。

○石戸谷委員長代理 よろしいでしょうか。何か今の関連であれば。
どうぞ。

○日本経済団体連合会斎藤政治社会本部長 今回、食品表示の関係で、景表法の改正が検討されているとは思うのですけれども、御存じのように、景表法とは全体にかかわる法律でございますので、例えば表示の管理責任者をガバナンスの一環として置くというような法改正が検討されるやに聞いておりますが、それは今回の対策としてあれなのか、日本の企業活動そのもの全体に対してどうするのかという別の視点も必要だと思いますので、その辺の検討に対しては、レストラン、小売や食品業界の方はもちろんですけれども、それ以外の関連する業界からも広く意見を聴取いただければと思っておりますので、消費者委員会のほうからも、もし意見聴取等あれば、こちらのほうからも御説明なり御意見を申し上げる機会をつくっていただければ、大変ありがたいと思っています。

○石戸谷委員長代理 夏目さん、冒頭に何かありましたが、中身の話はよろしいですか。

○夏目委員 一言だけ。
きょうは御意見ありがとうございました。本当に法規制の強化については、業界の方々が大変御懸念をお持ちだということがよくわかりました。
ですが、片一方で、業界の自主規制、規制規約、公正規約とかガイドラインとか、そのお取り組みをされているのはよくわかるのですけれども、やはりそれだけでは任せられないというところも現実には出てきているので、一方で法の規制を強めざるを得ないところはあるのかなと消費者側としては思いますので、両方でやっていって、どんなに自主規制を強くして、また、法規制を強くしても、悪徳事業者というのは、これはある意味犯罪集団だと思うわけでございますので、そこのところはなくなりませんが、消費者団体も事業者の取り組みというのは十分承知してはいますので、そこはお互いに情報交換を密にしながら、ともによりよい商品の開発、商品を使わせていただく立場ということで、双方がうまくやっていける社会になるといいなということを、きょうは改めて思ったわけでございますので、引き続きいろいろな形で消費者委員会とも連携をとっていただくよう、お願いしたいと思っております。

○石戸谷委員長代理 まとめのような話になりましたので、それでよろしいかと思いますけれども、あと、よろしいでしょうか。
どうもありがとうございました。いろいろ出していただいた話は、運営についてこれから参考にさせていただきたいと思います。
これからテーマごとに関係団体のほうといろいろお話を伺ったりしなくてはいけないことが出てくると思いますので、その折にはまたよろしくお願いいたします。
事務局のほうから何かありますか。

≪3.閉会≫

○大貫参事官 消費者委員会では、今回を含めて計4回にわたり、消費者団体ほか関係団体等との意見交換を行う予定としております。
次回第3回になりますが、2月4日火曜日16時からを予定しております。
参加いただく団体は、消費者機構日本、消費者支援機構関西、消費者被害防止ネットワーク東海でございます。
本日、この後17時半から委員間打ち合わせを行いますので、各委員におかれましては委員室に移動していただきますよう、お願いいたします。
以上でございます。

○石戸谷委員長代理 どうもありがとうございました。

(以上)