第140回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2013年12月24日(火)16:00~17:36

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

岡田内閣府副大臣
【委員】
河上委員長、石戸谷委員長代理、阿久澤委員、岩田委員、齋藤委員、高橋委員、夏目委員、山本委員、唯根委員
【説明者】
消費者庁 浅田 消費者政策課長、山下 取引対策課長
【事務局】
小田事務局長、大貫参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者基本計画の検証・評価・監視について
    (1) 特定商取引法について
    • 消費者庁 山下 取引対策課長
    • 消費者庁 浅田 消費者政策課長
    (2) 関係省庁ヒアリング結果のとりまとめについて
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会本会議(第140回)」を開催いたします。
本日は、所用によりまして、橋本委員が御欠席の予定となっております。
また、本日は、岡田内閣府副大臣がお越しになる予定でございます。少し遅れていらっしゃるということですので、御承知おきいただければと思います。
それでは、配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。

○大貫参事官 議事次第にございますように、本日は、資料1~3と参考資料を配付しております。
不足がありましたら、事務局まで御連絡ください。

≪2.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫

○河上委員長 本日の議題は、ずっと続いておりますけれども、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」であります。委員会におきましては、毎年、春秋の2回にわたって、計画中の具体的施策の進捗状況について、関係省庁に対してヒアリングを実施しております。本日は、その第5回目といたしまして、特定商取引法について、消費者庁からヒアリングを行いたいと思います。
この間、消費者庁の浅田消費者政策課長にはずっと御出席いただいておりますが、また必要があれば説明をお願いしたいと思います。


(1)特定商取引法について

○河上委員長 消費者庁におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。本件につきましては、2つのテーマについてヒアリングを行いたいと思います。
一つは、特定商取引法のいわゆる5年後見直しについてであります。平成20年6月に公布、平成21年12月に施行された改正特定商取引法の附則に基づき、施行から5年経過後に見直しを行うとされているものでありまして、執行状況の検討の取組みの様子、方針について伺いたいと思います。
もう一点は、訪問購入規制導入後の執行状況についてであります。平成24年の改正で導入された訪問購入規制については、規制の対象外となる物品や、適用除外となる取引態様を定める政令の制定に際して、当委員会は平成25年1月23日付の答申で、訪問購入に係る消費者被害の発生状況についての実態把握を重点的に行い、その結果を定期的に報告いただくよう求めていたところであります。そこで、規制の執行状況と適用除外分野における消費者被害の実態とその評価について、伺いたいと思います。
それでは、説明をお願いしたいと思いますが、説明時間につきましては、10分程度ということでお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○消費者庁山下取引対策課長 それでは、2点。最初に私のほうから御説明しまして、補足的に政策課長から御説明させていただきたいと思います。
お手元の資料に沿ってでございますが、まず、特定商取引法の5年後見直しについてであります。最初の枠括弧にありますように、前々回(平成20年)の法改正では、附則の第8条におきまして、そこにあるような規定がなされているわけでございます。政府は、この法律の施行後5年を経過した場合において、「施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」という規定でございます。この改正法の施行が平成21年12月1日でございますので、そこから5年を経過した平成26年12月1日に検討を開始することが義務づけられているものでございます。
今後につきましては、平成26年12月1日といいますと少し先の話ではございますが、いろいろ消費者被害が発生している状況でございますので、必ずしも26年12月1日にとらわれることなく、平成26年度内に可能な限り早いタイミングで検討を開始したいと考えているところでございます。
2点目の訪問購入に関してでございます。次の棒グラフとその次の棒グラフ、2種類用意しておりますが、最初の棒グラフのほうは、訪問購入で規制の対象となった物品に関する苦情・相談ケースの推移をあらわしたものでございます。法律の施行がことしの2月21日でございまして、そこから月別で件数を拾っております。2月につきましては、したがいまして21~28日までの1週間分ということで、数としては少なくなっておりますので、単純に4倍ということかもしれませんが、トレンドとしましては、1回、5、6、7と上がっていますが、また下がっているという感じでございます。
ただ、これが果たして何を意味するのかというところにつきまして、確たる分析を我々はまだ得るに至っておりません。一見、上がったけれども、また下がっているように見えますが、また上がるかもしれませんので、現時点でこの数字を見て一喜一憂はできないのではないかと思っております。
当然のこととしまして、法律の施行後、消費者庁として、訪問購入の規定に基づき調査を進めているわけでございます。子細は申し上げるわけにいかないわけでございますが、その結果、もし処分に至ることがあれば、処分後の件数なども見て一定の評価をしたいと考えているところでございますが、現時点で、どういうトレンドになるのかということについてまでは、確たることは我々自身も言えない状況でございます。
次の棒グラフは、4輪自動車に関する苦情・相談件数の推移でございます。4輪自動車につきましては、訪問購入、適用除外政令におきまして適用除外の物品とされたものです。政令を定めるにあたりまして消費者委員会から、自動車につきましては特に、よくトレンドを注視するようにという答申もいただきましたものですから、今回、こうやって芽出しをしているものでございます。これにつきましても、2月はさておき3月以降のトレンドを見ると、1回上がってまた下がっている。こういった状況でございまして、果たして適用除外となったことの評価をこの件数から確定的にできるのかどうかというと、これまた我々自身もおぼつかない状況でございます。
ただ、次のページは政策課長から説明いただきますけれども、4輪自動車は、業界団体、関係者が集まって、自らコンプライアンス強化に向けた取組みを進めている状況でございまして、こういったことも我々として注視してまいりたいと思っているところでございます。
内容につきましては、政策課長からお願いいたします。

○消費者庁浅田消費者政策課長 4ページでございますけれども、自動車買取業界のコンプライアンス強化の自主的取組みでございます。御案内がありました、訪問購入の適用除外ということになっているわけですけれども、実質的に買取りのコンプライアンスの体制について、経産省で「中古自動車の買取等の適正化に関する研究会」というのを設け、消費者庁もオブザーバー参加しており、消費者の信頼向上のための関係者間での連絡、検討を行うための仕組みづくり、さらに、標準約款、行動基準の策定等の措置が重要というのが研究会の結論として出されました。
これを受けまして、現在、「日本自動車購入協会」、仮称でございますが、設立に向けた取組みが進んでいるところでございます。この協会については、現在の中古自動車の取引の実態を見ますと、インターネット経由で査定を行って、それをもとにいろいろな業者さんが連絡してくるという実態もございますので、直接買取りを行う事業者さんに加えて、査定サイトのサービスを提供している事業者、これも加わり、かつ、中立的な第三者として学識経験者、弁護士の方々等も参加した協議会をつくっているということでございます。
現在、設立に向けた準備が最終段階にあると聞いておりまして、これから、標準約款、倫理綱領・行動規範等が策定されるということでございますし、さらに、消費者からの相談室の設置、モニタリング調査といったものは既に行っているといったことでございます。こういった形で、コンプライアンスの強化及び消費者保護を図っていくというふうに作業が進んでいると認識しております。
購入協会の標準約款等の策定にあたっては、消費者庁も参加しておりまして、消費者保護の観点から意見を述べている経緯がございます。
説明は以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。
御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
石戸谷委員長代理、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 訪問購入のほうで、グラフを出していただいているわけですが、施行前、施行後の比較はこれだとわからないわけで、長官の5月、6月の記者会見を拝見すると、施行前、施行後で余り変わりがないということだったかと思います。その中身の分析というのはされているのでしょうか。

○消費者庁山下取引対策課長 案件が件数的に多いものですから、確たることは申し上げられないわけですけれども、まず、苦情・相談とありますように、必ずしも全部が苦情であるわけではございません。印象論でございますけれども、その事業者の信頼性を問うようなものが目につきました。特商法であって古物営業法ではないとはいえ、買取事業者というのは古物商であることがほとんどです。そうすると、古物営業法という法律、いわゆる盗品の流通防止という観点から、法律で、買取りに際しては、消費者、まさに売り主の住所、氏名、こういったものを免許証などで確認を取ることが義務づけられておりまして、免許証をお見せくださいと。消費者としてはいきなりびっくりで、この事業者は一体大丈夫かと。こういった広い意味での事業者の信頼性を問うようなものが、多かったのではないかという印象は持っております。そういう意味で、必ずしもこの数字が苦情ばかりではないと言えるかと思います。
あと、これは私どもの印象というよりは、より現場に近い、消費者団体の方々からの声があります。一つは、施行前、2月21日の前に聞いたものにつきまして、特にどの物品ということではございませんが、その方のお話ですと、施行前であるけれども、訪問購入、貴金属等の訪問買取りが俎上にあがっただけで、消費者被害は減った印象があるという御発言をいただいているのが一つ。もう一つ、これは施行後でございますが、特に4輪自動車のトラブルにつきまして、現場の感覚ということだと思いますけれども、苦情という意味での相談数だと私は理解していますけれども、相談数は劇的に減っているという話も聞いております。
したがいまして、きちっと分析したわけではないですけれども、そういった信頼性を問うものだったり、いわゆる悪質性という意味で、現場は、もちろん人によって主観が混じるでしょうけれども、我々が聞いた限りでは、改善の方向にあるのではないかという声もいただいている、こんな状況でございます。

○河上委員長 石戸谷委員長代理。

○石戸谷委員長代理 問い合わせと苦情との区分けは、ぜひ、やったものを出していただければと思います。それと、施行前の事案について施行後に相談というのは、当然、どの法律の改正でもあるわけで、一定のアナウンス効果で、それまで顕在化していなかったものが相談で上がってくるというのはよくある事態なので、どの時点での契約であるかということの区切りもつけた上で、苦情・相談の分析を行っていただきたいと思います。それがデータとして出てこないと、減ったのだろうなという感じ、皮膚感覚はわかりますけれども、それを数字的なもので出していただければと思います。

○消費者庁山下取引対策課長 苦情と相談というのが、石戸谷委員長代理御案内のように、必ずしも、対応上、限られた情報の中で明確に切り分けられるのかという問題があろうかと思います。そこは、先ほど私が申し上げたことの繰り返しになってしまいますけれども、まさに調査を進めている状況でございまして、そういったもののインパクトをぜひ見てみたい。そうしないと、足元の短い期間、短いと言うとおしかりを受けるかもしれませんけれども、まだこういう数字一つとっても揺れ動いているような状況の中で、我々自身もなかなか評価しづらい状況であるということは申し上げたいと思います。

○河上委員長 岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 特商法の5年後の見直しについて、二、三、お尋ねしたいと思います。
一つは、ちょっとお話しいただきにくいかもしれませんけれども、できれば率直にお話しいただきたいと思います。日常的に施行の状況はいろいろな形で把握されていらっしゃると思いますので、きょうの時点で、何が問題になりそうか、どういう懸念事項をお持ちになっておられるのか。白紙の状態で施行状況を把握するというよりは、多分、もう問題意識をお持ちになっていて、それを中心に施行状況の把握をきちっとされると思いますので、この4年くらいでしょうか、ごらんになっていて、どういう施行上の課題を御認識なさっているかということをお尋ねしたいと思います。
それから、本格的な見直しをするにあたって、改めてこの5年間の施行状況を把握されると思いますが、どういう情報に基づいて判断をなさろうとしているのか。統計的な情報とか、事例的な情報ですとか、関係者からのヒアリングですとか、いろいろあると思いますが、どういうやり方で施行状況を把握しようとされていらっしゃるかということ。
最後に、外部の方も入れた形の見直しを、どういう体制で、どういうスケジュールでやろうと考えておられるのかということを、3つ目にお尋ねしたいと思います。

○河上委員長 では、お願いします。

○消費者庁山下取引対策課長 まず、見直しのいわゆるアジェンダセッティングの話だと思いますけれども、まさにそれをこれから深めていきたい、詰めていきたい、こういった状況でございます。この平成20年改正は、特商法の数ある改正の歴史の中ではいわゆる大改正、大幅改正の部類に入るものでございます。それを踏まえた改正ということになれば、また、いろいろな論点が出てくることになろうかと考えておりますので、いろいろな議題が想定され得るわけです。したがいまして、我々としましても、まずはいろいろな情報収集、分析をして、アジェンダをどうするかという議論をしていきたいということでございまして、まさに現在、準備段階のフェーズでございます。
それが1点と、準備段階なのか、次の見直し段階なのか、どういう情報に基づいて判断するのかという御質問につきましては、今、幾つか手法について御指摘いただきましたけれども、統計的な分析だとか、あるいはヒアリングであるとか。ヒアリングといっても、消費者団体のヒアリングのみならず、事業者団体のヒアリングもあれば、有識者もあるし、場合によっては外国の法制の分析も必要なのかもしれません。そういったものを総合的に必要に応じて実施しながら、決めていくことになるのではないかと個人的には思っているところでございます。
したがいまして、準備段階でございますので、将来行われるであろう見直しの体制、具体なスケジュールにつきましては、現在、まだ決まっていないという状況でございます。いずれにしましても、平成26年12月1日に検討をキックオフするという宿題をいただいていますので、それに遅れることのないように、できれば前倒しでその準備を進めていきたいという状況でございます。

○河上委員長 岩田委員。

○岩田委員 お話しいただくのは難しいのかもしれませんし、体系立った確定したアジェンダというのは、これから準備の中で決めていかれるのだと思いますが、日ごろ、施行されていらっしゃる立場から、やはり問題意識というのを持っていらっしゃると思います。別にここで言われたからというので、それでアジェンダがフィックスする、そういうふうにお尋ねしているつもりではないのですが、施行なさっていて気がかりなことがあれば、幾つか教えていただければという思いでお尋ねいたしました。

○消費者庁山下取引対策課長 アジェンダにつきまして、公開の議論でございますので、余り予断を与えたくないものですから、それはこの場では差し控えさせていただきたいのですけれども、いずれにしましても、既にこの段階でも関係方面からいろいろな御意見が寄せられている状況でございますので、そういったものを含めながら議論をしていくことになるのではないか。
もちろん、課題の中には濃淡はございまして、全体、どこかで一斉に見直しを始めるとしたならば、26年12月1日を目途に、それまでにある程度その濃淡をならしておかなくてはいけないと思います。したがいまして、話は出ているけれども、まだ生煮えと申しますか、そういったものにつきましては、そちらも大車輪で情報収集、ヒアリング等を含めてやっていく必要もあると思っています。現時点では、こういう場では申し上げることはなかなかできないということでございます。申しわけありません。

○河上委員長 齋藤委員。

○齋藤委員 今のことに関連しまして、検討を前倒しされるということで、それは大いに結構だと思いますが、状況を整理するために、前倒しして少し時間的な余裕が欲しいという思いがあるわけですか。

○消費者庁山下取引対策課長 この辺は、今後の準備プロセスにおきまして、何をどこまで詰めるか、それにもよりますので、済みません、前倒しというのは、言い方があれかもしれません。前のめりの言い方をしたかもしれませんけれども、気持ち、したいという感じでございます。ただ、ちゃんとした準備ができなければ見切り発車はしないという意味で、そこは、これから中で議論をすることになるだろうということだと思います。済みません。

(岡田副大臣出席)

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 話が戻って恐縮ですけれども、自動車の関連で、規制の分野につきまして確認をさせていただきたいと思います。この規制の導入がされたことによって、自動車の買取業界が、4ページにお示しされたとおりの自主的取組みを進める動きができたということは、とても評価できるものだと考えております。中古自動車の買取等の適正化に関する研究会を経て、そして、仮称ですが、日本自動車購入協会の設立に向けて準備をしている。間もなくスタートするだろうというところまで来ているので、こういう動きが出てきたことはとてもいいと思います。
そこでお伺いしたいのは、まず1点目は、自動車の業界には既に公正取引協議会という自主的な取組みをしている団体がございます。そこは主に製造・販売というところだったと思いますけれども、今回、購入協会というものを設立します。そうすると、自主的な取組みをする団体がさらにできたということで、相乗効果もあろうかと思いますけれども、公正取引協議会と購入協会はどういう関係になるかということが、もしおわかりになるのでしたら教えていただきたいと思っております。とりわけ自動車購入協会のほうには、今まで公正取引協議会には入っていなかった、査定サイトサービス事業者も入ってまいりまして、新たな自主的な取組みが期待されるところですので、ぜひ、わかっていたら教えてください。
もう一つは、購入協会の設立に向けた取組みとして、最後のところに、「お客様相談室の設置、トラブル実態を把握するためのモニタリング調査等は既に実施済」とございます。トラブル実態を把握するためのモニタリング調査の結果がおわかりでございましたら、業界として、どんな実態を把握されていらっしゃるのかということを教えていただきたいと思います。公正取引協議会が申しておりましたのは、例えば販売にしろ、購入のときのやや強引な買取りにしろ、そこで問題になるのは、こういった自主的な組織、団体に入らないアウトサイダーが、どうしても問題を起こしがちだという話はずっと出てきているわけでございます。したがいまして、この新しい日本自動車購入協会というところが、どれほどの業界のシェアを保っていて、自主的な取組みを進めていくことができるのか、ということに注視したいと思っているところでございますので、おわかりになる範囲で教えていただければというふうに思います。

○消費者庁浅田消費者政策課長 わかる範囲ということで、恐縮でございますけれども、まず1番目、公正取引協議会との関係でございます。まさに切り分けとしましては、夏目委員御指摘のとおり、これまでの公正競争規約につきましては、基本的に販売のほうについての規約であったということで、今回、買取りというところまで視野が広がったということでございます。いずれにせよ、購入協会、新しくできる協会のほうには、自動車の公正取引協議会もアドバイザーとして参画されると聞いております。したがいまして、このあたりは連携を取りながら進めていくことになるかと思っております。
相談、モニタリングの状況でございますけれども、特にモニタリングにつきましては、中身を把握しておりませんが、協会の準備体のほうで各社にいろいろ話を聞いたといったようなこととか、経産省に報告されているというふうに聞いております。中身は持っておりませんけれども、一般的に言えば、今回の標準約款や倫理綱領等に関連する問題点として挙げられるのは、勧誘が強引であるとか、あとはキャンセル料。一旦購入に同意したのにやめたという場合のキャンセル料が高すぎる、といったことがあるのだろうというふうに考えております。したがって、一般的ではございますけれども、そういった実態への対応が標準約款や倫理綱領の中に入っていくのだろうということで考えております。
あと、今回の参加企業の買取りにおけるシェアということだと思います。今、ちょっと数字は持っておりませんけれども、今回の参加される企業で、買取りのほうはかなり大きなシェアでカバーされていると聞いております。具体的な数字は持ち合わせておりませんので、恐縮ですけれども、そういうことでカバー率も高いことが期待されるということでございます。
いずれにせよ、御指摘のとおり、こういった業界団体をつくり自主的な規制をすることに関して、必ずアウトサイダーの問題が出てくることは、この業界に限らず一般的なことだと思っております。逆に言えば、こういった協会に入っていることをしっかりアピールしてもらって、消費者の皆様にもこういったものができたということ。さらに、こういった業界に入っているものであれば、標準約款であったり、倫理綱領であったり、行動指針であったりというところで、消費者保護と両立を図っていることを正しく理解していただくということではないかと思っております。アウトサイダーのことを規制していくのはなかなか時間もかかりますし、情報を察知して対応するのも時間がかかりますので、むしろこれは、消費者の皆さんにしっかりアピールして理解していただく、知っていただくという努力が必要ではないかと思います。

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 ありがとうございました。自動車業界の買取りにつきましては、今、おっしゃられたとおりなので、今後を期待します。つまり、良心的な業者を多くしていくことがアウトサイダーを減らすことにもつながりますので、ぜひ、その辺は見ていきたいというふうに思います。
もう1点でございます。前回、確かにこの規制を導入するときに、自動車関係の話はとても大きな話題になったわけですけれども、同時に、適用除外されたのは、4輪だけではなくてほかの品目もあったわけです。そういったほかの品目についての施行前と施行後の実情とか、どんな状況であるかというデータは今回お示しされなかったのですけれども、それはいつごろお示しいただけるかということを確認させていただきたいと思います。全ての除外品目について、実態を把握して見直しをしていくのが法改正のときの趣旨だったと思いますので、よろしくお願いします。

○消費者庁山下取引対策課長 今回、まさに夏目委員も入っていただいて議論したときのように、当時、自動車が大きな争点の物品になったものですから、代表的な事例として掲げたものでございますが、その他、幾つか適用除外物品はあるわけでございます。そういったものも含めて、トレンドも含めて、今後、そこはフォローしていこうと思っております。いつというのはすぐには申し上げられませんけれども、恐らく自動車の苦情・相談が多いと思います。ですから、全体的なトレンドとしてはそれに引っ張られるということかなと思っています。その他、自動車以外の適用除外物品に特徴的なトレンドがあるのかどうか、その辺は見てみないとわかりませんけれども、その辺も含めて、今後、フォローはしていきたいと思っております。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
唯根委員、どうぞ。

○唯根委員 お願いなのですが、貴金属等の訪問買取りについては新しいクーリングオフの制度の導入ということだったので、PIO-NETのデータ分析につきましては、クーリングオフの制度について、今までのやり方と異なるのでやりにくいとか、わかりにくいとか、御相談者側とセンター側、事業者側からの理解度などの内容についてもできたら見ていただきたいと思います。

○消費者庁山下取引対策課長 それは、一般的に今回の訪問購入に係るクーリングオフの制度につきまして、使い勝手みたいなところですか。

○唯根委員 そうです。新しい制度なので、皆さんが理解しやすかったかどうか、周知する点でのご苦労などもわかればと思います。

○消費者庁山下取引対策課長 クーリングオフの制度自体、その他の取引類型に入っているわけでございますけれども、こと訪問購入に関して、特徴的な傾向がもし見られるのであれば、その辺も御紹介を次のタイミングでしたいと思っております。

○河上委員長 高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 車の買取りについてお伺いいたします。車の買取りは私自身も実験的に体験を試みたのですけれども、査定サイトを使った場合の問題が非常に大きいと思っております。今回、査定サイトのサービス業者が協会にも入っているということですけれども、この場合、サイトのサービス業者は、自分のところを利用する事業者に対してどういう措置がとれるのか。アウトサイダーが問題なわけなので、そこがきちんとできないと、サイトのサービス業者が加盟したから大丈夫とは言えないと思いますので、その辺について、追加の御説明をいただきたいということが一点。
それから、加盟業者、先ほど来出ていますけれども、加盟している者とそうではない者が消費者からわかりやすくなって、加盟している業者を利用するという方向が出てくることが望ましいと思いますけれども、加盟している業者との間で起きたトラブルに関して、相談状況を把握するということにとどまっているようです。今後、ADR的に、加盟業者が起こした問題については、何らかの対処をしていくという方向性にあるのかということをお伺いしたいと思います。
もう一点、貴金属の訪問買取りは、高齢者への押し買いが非常に問題になったわけですけれども、適用除外の自動車について、同様になる可能性が否めないのではないかと私は懸念しております。といいますのは、車を買いかえるときは、多くの方が下取りに出して次のものを買うということを繰り返してきたと思いますけれども、今後、団塊の世代が高齢化し、免許を返上する人たちがたくさん出てくる。その人たちが持っていた車というのは、次のものを買わないわけですから、誰かに買ってもらうということが起きることが想定できると思います。高齢者が車を売るというフェーズが来ることを意識した何らかの動きがあるのかどうか、これを教えてください。

○消費者庁山下取引対策課長 分担して御説明させていただきます。要は、この団体をつくることによる自浄作用効果ということだと思います。今、我々が聞いているところでは、まさに参加した一括査定サイトの運営事業者であるとか、実際にそこの軒下を使って買い取る買取事業者、こういったところを対象に何らかのガイドラインをつくることも検討されているようでございます。したがって、参加者、参加した範囲におきましては、ガイドラインに従った買取りがなされていくことが期待されるわけです。先ほど、アウトサイダーの話も出ましたけれども、逆に言えば、参加した者の限りにおいては、お互い監視が働き、自浄作用も働くことが期待されているのではないかと考えております。ただ、これは実際そうなるかどうかはふたを開けてみないとわからないので、そこはしばらく、業界団体のほうを見守っていきたいと思っているところでございます。

○消費者庁浅田消費者政策課長 具体的なお客様相談室、消費者相談室の設置でございますけれども、現在、日本自動車購入協会という団体が既において既に試行的に運用はされているということでございまして、現在のところ、協会ができた場合は、専門の消費生活アドバイザーを雇用して相談案件を自己完結できる体制にしたいということでございます。自己完結と言う以上、何らかの解決をあっせんも含めて行うことが想定されているのではないか考えております。
高齢者の話になりますけれども、ここのところは、今のところ、まだ見えておりません。一般的に特に高齢者に対する配慮をどうしていくかというのは、今回のみならず消費者一般の話だと思いますけれども、ただ、実際上を考えると、車に実際に乗っている、乗れるということは、高齢者であってもある程度判断力のある方ではないかというふうに想像します。一般的な高齢者の被害等高くなってはおりますけれども、ここに関して言えば、車を販売しようする、現に車に乗っている方は、ある程度判断力はある人ではないかというふうに想像はしているところであります。
いずれにせよ、高齢者等々の配慮については、そこまではっきり見ておりませんけれども、今後、ガイドライン等を作成すると聞いておりますので、そういう中でどういう対応をしていくかというのは、よく見ていきたいということではないでしょうか。

○高橋委員 関連して、一言だけ。最後の高齢者のところですが、車に直前まで乗っていたから判断力があると言われてしまうと、それは違うでしょうと申し上げたいと思います。急激に認知症が進んで、家族が車をやめてほしいと言うケースもありますし、病気にかかってやめるというケースもあります。認知症とか、病気の方々は正常な判断がしにくい立場にあるわけですから、やはり高齢者が車をやめるということにもフォーカスした何らかの手立てを、今後、講じていくことも必要だと思いますので、その辺はテイクノートしておいていただきたいと思います。

○消費者庁山下取引対策課長 そもそも判断が鈍られた方が一括査定サイトを御利用なさるかどうか、そこもわからないと思いますけれども、必ずしも特商法に限定された問題ではないような気もしますので、それ以外の、いろいろな注意喚起とか、周知方法とか、そういった可能性も検討していく必要があるのではないかと思っております。

○高橋委員 もう一言だけ、よろしいでしょうか。一括査定サイトの問題とは別の問題として私は申し上げたわけで、貴金属の訪問買取りと同じように、今後、たくさん売りたい人たちが出てくることにつけ込んだ別の商法が出てくることは、想像できるわけでございます。中古車が適用除外になっているわけですから、十分に配慮していただきたいという意味です。

○消費者庁山下取引対策課長 そういう意味では、ときどき、私のいる取対課だけでも、代表的な手口につきまして、パワーポイントなどでわかりやすくまとめて、それを何らかの形で公表する、周知するという取組みもやっております。別に自動車に限定せず、高齢者をだますような代表的な手口を幾つか紹介しまして、そういったことも活用していくのかなという気が、今、いたしました。感想でした。

○河上委員長 岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 石戸谷委員長代理の御質問に対する回答で、えっと思ったことがあったので、済みません。訪問購入のこのデータを、苦情とそうではない相談と分けて示してほしいと言われたときに、PIO-NETでは取れないという趣旨の御回答なさったように理解したのですが、違っていたらごめんなさい。例えば、企業もお客様センターを持っていて、そこに入ってくるお客様の声を分析しますけれども、まず、それが単なる質問なのか、苦情なのかというので分けて、その後、会社の対応が全然違ってきます。そういうふうにやっているので、当然、PIO-NETもそうなっているのではないかと思ったのですが、もしなっていないとしたら、今、システムの見直しもなさっていると思いますので、大事な区分として、単に情報を求めてきているのか、本当に問題があって相談や苦情をされているかというのがわかる仕組みに、訪問購入だけではなく、全体的なこととして、そういう仕組みにしていただかないといけないのではないかというふうに感じました。

○消費者庁山下取引対策課長 限られた情報の中で、一見相談に見えるけれども苦情にも読み取れるし、逆に苦情のように見えても、実際は特商法と関係ない相談だったり、そこは個々に見ていく必要があるという意味で、先ほど申し上げたわけです。したがって、分類の結果、それが恣意的になるぐらいだったら、例えばよくあるのは、事例的に代表的な苦情はこんなものがありますとか、そういったやり方があろうかと思います。そういう意味で申し上げました。

○岩田委員 相談センターの窓口で入力をするときに、この案件は関係する法律はどういう法律で、あるいは、これは単なる相談か、単なる情報を求めていることなのか、問題があっての御相談なのかというのは、何か区分するマークがあって入力ができていないとしたら、いかがなものかなと思ったのですが。

○消費者庁浅田消費者政策課長 相談情報、具体的にそういうタグ、情報づけがあるかどうか、調べてみて確認したいと思います。いずれにせよ、相談については御案内のとおり、苦情もあります。これらについて、一体どういうふうに分類するのかといった、いろいろな問題もあると思います。まずは、こういった議論をする際は、時には実際のデータを見ながら、相談の概要を見ながら検討していくといったこともやっておりますので、集められた情報の中で具体的な政策の端緒をつかむには、やはり細かく、細かく見ていくという作業はしているところです。

○岩田委員 もちろん、細かく見ていくという作業を否定しているわけではないのですが、まず数量的に大数で観察するときに、窓口で相談に当たった方が問題の本質は一番わかっているわけですから、その人が区分するマークを打ち込めば、それが最も確かな情報になると思います。

○消費者庁山下取引対策課長 委員おっしゃられたように、本件に限らず全体にかかわる話ですので、その辺は何ができるのか、そこはまた、中で議論はしてみたいと思っております。

○河上委員長 個別に重なっている問題はあるはずで慎重になっておられることは分かりますが、現在でも、情報提供か、それとも苦情かの区別くらいは最初からわかっているはずですよ。ですから、現在の苦情として出てきたものと、そうでないものあたりを出発点にして、情報を教えてくださいということだろうと思いますので、わかる範囲でお願いできればと思います。

○消費者庁山下取引対策課長 先ほど申し上げたかったのは、結局、数字がひとり歩きするのはいかがなものかということで、相談された方々をその場でどっちかに分類するとしても、必ずしもそれがそのとおりに分類されているかどうかというのは、細かく見ていくといろいろ出てくるわけです。したがって、件数で、確かに概観、大数というお話がありましたけれども、判断する手法もあるのかもしれませんが、代表的にどういったものが目立ったのかという手法もあるのではないかという意味で申し上げた次第です。工夫の余地がシステムとしてできるかどうかは、その可否も含めて中で議論はしてみたいと思っております。

○河上委員長 私からも一つ伺いたかったのですけれども、訪問購入という類型は、消費者委員会でもこれは有償取引にしたほうがいいのではないかとか、買取以外にも、交換などが問題になるのではないかという意見が出たのですけれども、伺ったところでは、金券を使って交換をしているだけであると言い逃れをするトラブルが結構あるというふうに聞きました。ですから、購入と言ったときに、金銭だけではなく、金券その他の有価証券による交換を含むとか、何かそういう括弧書きを入れるなりして適用を少し広げておかないと、抜け道があるのではないかというのが一点です。その辺について、どうお考えなのかということです。
それから、5年後見直しという話が最初に出てきて、26年12月1日に検討を開始すると書いていますけれども、これは、5年を経過した場合において、最後の動詞は「所要の措置を取る」ということになっています。むしろ5年が経過した時点で、所要の措置が取れるようにしっかりとフォローアップをして、執行の状況について考えるというのが基本的なお仕事かなと思います。現在、どういう形で問題があるかということについても、消費者庁で扱かっている時点で、特にここは問題だなというところがないわけではないはずなので、消費者委員会としても、ヒントをいただければいろいろな形で御協力できるところがあるのではないかということで、岩田委員からの質問があったと思われるものですから、しつこいようですけれども、もし何かお考えがあれば、少しお話をいただければありがたいのですが。

○消費者庁山下取引対策課長 まず、物々交換を含むかどうかということにつきましては、法改正の議論の過程でもあったものでございまして、それも含めまして、今回、御案内のように整理をしているということです。事実としてそれが1点と、先ほど執行の話は申し上げました。余りこの場で手の内を明かしてもしようがないのですけれども、こういった事業者が100%交換でやるかというと、必ずしもそうではないと思うのです。実際にブツではなくて現金を渡しているケースもあろうかと思います。余り詳しいことは申し上げられませんけれども、それであれば取れるわけでございまして、いろいろな工夫の余地があるのではないかと執行の現場を見て思うわけです。したがいまして、そういうものも含めて、まずは、執行でどういう効果があるのかというのを、冒頭に戻りますけれども、見極めてみたいということでございます。
5年を経過した場合においてというのは、我々の理解ですと、施行の状況について検討を加える。検討を加えた結果、必要があると認める場合は所要の措置を講ずるというふうに考えておりますので、何も5年を経過した場合において、結論を得ていなくてはいけないわけでは必ずしもないだろうと思っております。
それから、消費者庁として何が問題かということでございますが、いろいろな意見が既にぽつぽつと出てきている中で、それも含めまして、もう少し議論を深めていきたいという段階でございます。ぜひ、そういった状況であることは御理解いただければありがたいなというふうに思っております。

○河上委員長 わかりました。
それでは、時間も大分経過しましたので、ここまでにしたいと思います。5年後の見直しにおいては、高齢化、IT化などの社会状況の変化が十分見込めるわけで、その変化を踏まえて、ある程度網羅的な検討が必要になるだろうと思われます。まずは早急に、消費者被害の実態の把握と課題の整理を実施していただいて、今はまだ言えないというところがあるのはわかりましたので、その課題の整理をしっかりしていただいて、必要な対策の検討へとぜひ進めていただきたいと思います。ついでに申しますと、指定権利制の廃止についての我が委員会からの建議もございますので、その点も是非数の中に入れておいていただければありがたいと思います。
訪問購入規制についても、規制の導入による効果、適用除外分野の被害の発生状況について、これはもちろんのことですけれども、それ以外のものについても引き続き実態の把握をしていただいて、その検証をしっかりと行っていただきたいと思います。先ほどから出ておりますけれども、被害なのか、相談なのかといった実態。立法の前後で、それがどう変わったのかという形での情報の整理をしていただいて、また、新しい情報があれば消費者委員会に御報告いただければありがたいと思います。
消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

(2)関係省庁ヒアリング結果のとりまとめについて

○河上委員長 続きまして、消費者基本計画の検証・評価・監視に係る関係省庁ヒアリングのまとめについて、議論を行いたいと思います。本件につきましては、10月の末から関係省庁に対するヒアリングを実施し、今年度前半までの具体的施行の進捗状況の検証・評価、あるいは、今後の課題等についての検討をさせていただきました。
本日は、これまでのヒアリングにおける委員の皆様の主な発言や、私からの取りまとめ発言を整理した資料を事務局から説明いただいて、その後、委員間で若干の意見交換を行いたいと考えております。
それでは、事務局から説明をお願いします。

○大貫参事官 5回にわたってヒアリングがございましたので、簡単にかいつまんで、思い出していただくきっかけという意味で御説明させていただきます。資料3をごらんいただきたいと思います。
最初に、消費者基本計画の全体についてでございます。来年度が現行計画の最終年度に当たって、現行の計画の見直しと並行して新計画の策定に向けた検討を進める必要があるということです。経済社会の中長期的な姿を見据えて、必要となる消費者政策、あるいは、消費者庁も新計画の策定に向けた基本的な考え方、進め方を提示していただくということ。
事故情報の一元化については、白斑問題につきましては、被害情報がなかなかつかめなかったという、メカニズムについての原因究明が重要であるということ。事故情報を早期に収集する工夫、あるいは、情報の分析、スクリーニング方法の改善。
エステ・美容医療サービスにつきましては、医療機関ホームページガイドライン、医療広告ガイドラインの遵守状況の把握。実効性が担保されない場合には、法律改正を含めた措置をとってほしい。ホームページの監視については、現場の保健所の支援をすることの検討。美容医療サービスの利用者への説明責任については、現場の保健所が違反を切り分けができるような具体例の提示。まつ毛エクステンションについては、策定された教育プログラムの卒後再研修等も含めた、効果的な実施。
今日やりました議題につきましては、飛ばさせていただきます。商品先物取引の不招請勧誘禁止については、既に意見が出ておりますが、保護水準を現状よりも後退させることがあってはならない。先人の努力の積み重ねの結果、導入された禁止規定の重み、意味をよく考えて慎重な検討をしていただきたい。
金融商品の取引については、第2種金融商品取引業者、あるいは適格機関投資家等特例業務届出業者の積極的な法執行、監督体制の強化。適合性原則については、実効性が上がっていないのではないかという指摘。クラウドファンディングについての消費者保護の十分な検討。
公共料金等については、消費税率の引上げに伴う改定に、消費者に十分な理解が得られるわかりやすい説明をしてほしい。便乗値上げの防止のために、物価モニター調査を通じたしっかりとした監視を行っていただきたい。
消費者教育につきましては、「消費者市民社会」の形成に向けた、多様な担い手の積極的・有機的な参画・連携。消費者庁と文部科学省の一層の連携と同時に、地方公共団体における消費者行政担当部局と教育委員会の連携の推進。
地方消費者行政については、見守りのための既存のネットワークの活用。国からの財政支援。相談員資格に関しては、丁寧な対応ということです。
インターネットによる財産被害につきましては、決済代行業者登録制度の今後の運用についての検討。法執行の強化とともに、問題を根本から解決するため、あらゆる方策の検討。また、越境消費者センターの機能の継続的な消費者への提供。
最後、個人情報保護についてですが、パーソナルデータの利活用にあたって、保護されるべき個人情報の範囲について、慎重に検討。消費者同意にあたっての消費者へのわかりやすい表示。自己情報の開示・訂正・消去権の十分な保障。スマートフォンのアプリケーションについての、事業者のプライバシーポリシーの作成や、利用者にわかりやすい提示の推進と周知啓発ということです。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
ここに主だった意見が整理されているわけですけれども、これから委員の皆様から、これまでのヒアリングを踏まえての所感と申しますか、感想と、これからの消費者委員会の活動等について、お考えがあろうかと思いますので、御発言をお願いしたいと思います。お一人、2~3分というところで、短い時間ですけれども発言をお願いしたいと考えております。
では、齋藤委員、お願いできますか。

○齋藤委員 消費者基本計画をチェックしてまいりましたが、消費者問題の底流に大きく3つの流れがあるように感じています。1つは、高齢者層が増加するということ。大きなこの層をめぐるトラブルが、今後、増加してくる。2つ目は、インターネットを中心に新しい情報伝達手段が開発されており、生活にどんどん浸透している。したがって、新しいパターンの問題が発生している。3つ目が、物流が多様化して国際化も進んでいる。したがって、消費者と生産者がお互いの顔を見ることなく取引するケースが増え、流通業者の存在感が大きくなって、関係者間の責任の持ち方や感じ方が変わらざるを得なくなってきている、ということを感じました。
このような流れを踏まえて手を打つことが肝要だと思います。多くの施策がありましたけれども、私の印象なのですが、優先順位や重要性の順位付けがはっきりよく見えませんでした。私の理解不足のせいかもしれません。成果を上げるためには、人、資金、時間をどのくらいかけるのか、できるだけ明らかにして手を打つことが重要だと思っております。これらを明確にして目標や計画を策定し、実行していただきたいと思います。
具体的な対策を講じるにあたっては、第1に、法令が不十分なものと法令の運用に課題があるものとはっきり分け、その上で、実施の主体者が国なのか、地方なのか、そしてまた、それぞれの中で誰なのかを明らかにして取り組むことが肝要です。このようなことを心がけていけば、おのずと成果は上がってくると思います。テーマを見ると、当面の成果は小さくても、継続することが重要なものが結構多いように見受けられます。担当される方は大変かもしれませんけれども、皆さんに頑張っていただきたいと思います。私たちも、検証作業はやりますけれども、応援できることは応援したい、と思います。
以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、高橋委員、お願いできますか。

○高橋委員 委員を拝命してから4か月弱たとうとしているわけですけれども、基本計画をはじめ、各省庁の消費者行政に関する政策の決定、見直し、執行の状況を見せていただきました。幅広く目配りをして、深く知って、迅速に行動を起こすか判断すべきことが非常に多いということを実感しています。私が担当している専門領域の金融、情報通信分野におきましては、市場の活性化、すなわち国の経済活性化戦略がどちらかといえば優先されて、消費者への配慮は、お題目にとどまっているようなものが多いのではないかと感じております。
規制を緩和すべきなのか、維持あるいは強化すべきものなのか。一つひとつのテーマについての切り分けが、しっかり行われているのかどうかに関心を持っております。ヒアリングをしていきますと、言葉は悪いですけれども、政治家の思いつきで決まって、それがすぐ閣議決定されてしまったものであるとか、産業界の要望が優先されている、消費者の声が埋もれていると思わざるを得ないようなものがかなりございます。安易に規制の緩和に走りますと、その後、消費者被害が多発しまして、規制の再コストというのは非常に高くつきます。それは国民負担の増加につながっていくわけなので、そういう視点で今後とも監視を続けたいと思っております。
本日は消費者庁の予算案が閣議決定されましたけれども、大幅増ということで、100億円規模にのったとしても、国民一人に対するものとしてはまだまだ少ない状況にあるなというふうに感じております。もちろん、焼け太りみたいなことがあってはならないわけでございますけれども、本来の消費者行政はどうあるべきかがきちんと国民的な議論になるように、消費者委員会の一員として活動していかなければいけないなと感じているところでございます。
以上です。

○河上委員長 では、夏目委員、お願いします。

○夏目委員 私は、消費者基本計画というのが、消費者行政を検証・評価する上でとても大事な役割を果たしているものだと思います。たくさんある基本計画の一つひとつを全て分析していくというのは、とても難しいことですし、消費者委員会という事務局体制が非常に小さな組織の中では、他省庁の協力を得られないと進めていくことのできないところでもありますけれども、何のために消費者基本計画があるのか、消費者行政は誰のためかという基本原則に立ち返ったときには、やはり、それを一つひとつ進めていかなければならないだろうと思います。
今、事務局が説明していただきましたように、ヒアリングのまとめのときには、幾つかピックアップしてございますけれども、たくさんある項目の中で、先ほど、優先順位という話が出てまいりました。何を取り上げていくかというところは、委員がもう少し活発に議論して、取り上げていくものを決めていけばいいのではないかということを一つ感じております。
もう一つ、今、お二人の委員の中でも少しずつお話が出てきましたけれども、この消費者委員会とは別のところで政策がポッと出てくる。例えば今年度の基本計画を決めるときに、規制改革会議から、パーソナルデータ、個人情報の話とか、それから、検討会が始まりましたけれども、機能性食品の話、こういうものがパッと規制を緩和していくという方向で出されて、あんなふうに基本計画の中に入ったというところは、十分な議論が消費者委員会ではなかったので、とても危惧したところでございます。しかも、規制改革会議で、または「日本再興戦略」で出されてきたものが、すぐに閣議決定されて、実施までのタイムスケジュールも区切られてしまう。短い期間の間に検討して法改正まで踏み込んでいくという、そういう動きの中で消費者委員会はどういうかかわりができるのかということを、今、とても感じているところです。
つい先日も、機能性の表示制度に関する検討会が始まりましたけれども、例えば、この検討会が始まるという情報そのものも、消費者委員会にはなかなかタイムリーに出てこなかったという現実がございます。その辺のところは、他省庁、とりわけ消費者庁とは緊密に連携を取って、消費者委員会は消費者のためにある組織でございますし、あわせて省庁を監視するという機能もあるわけでございますから、よりよい制度をつくるということであれば、協力はさせていただきたいと思うわけでございます。今後、そういった外からの新たな課題を短期間で決めるという施策が出てきたときには、消費者委員会として、どういうスタンスで臨むかということはきちんと議論をしていただければというふうに思っております。
以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
岩田委員、お願いします。

○岩田委員 今、皆様がおっしゃったことと重なるのですけれども、私が一番関心を持ちたいのは、消費者庁という新しい体制ができて、つまり、基本計画に基づいて、消費者庁はもとよりですが、関係省庁全てがかかわって消費者行政を推進している、こういう新しい行政の形の中でうまく進んでいるかどうかという、そのあたりに最も関心を持って見ていきたいと思っています。気をつけないといけないなと思いますのは、消費者委員会というのは現場から最も遠いところにあります。いかに現場の状況、関係者の声をきっちりわかった上で判断をしているか、そこのところを常に気をつけないといけないと思っております。そのためには、PIO-NETを通じてわかることですとか、関係団体からたくさんの要望書が日々送られてきますから、そういう要望書で関係者の皆さんは何を訴えていこうとされているかということですとか、あるいは、県や市町村の末端の相談員の皆さんが、どんな思いで、どういう事案をどういうふうに処理なさっているのか、そういう現場の目線というのか、消費者の目線になるべく近寄って、物事を判断しないといけないなというふうに感じておりました。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、山本委員、お願いできますか。

○山本委員 今、規制の話がいろいろ出てまいりましたので、若干、その点について申し上げます。規制緩和というのではなく、規制改革と組織名もなっているというのは、規制をとにかく緩和すればするほどいいという考え方に基づいているわけではなくて、規制の必要性、実効性を具体的に検証した上で規制のあり方を考えるのが基本という趣旨であろうと思います。この委員会でも、できるだけ具体的に、どのような問題が起きているか、どのような相談の実例があり、どのような被害の実態があるかといった具体的なデータをどんどん出していって、それに基づいて、いや、この部分は必要なのであると。あるいは、必要ないという部分もあるのかもしれませんけれども、そういう具体的な実例、データに基づいて、私たちも議論をしていかなくてはいけないと感じました。
全体的なことを申しますと、消費者行政の基本にかかわる問題、あるいは、消費者行政の範囲を超えた、社会の基盤のあり方にかかわるテーマが非常にいろいろ出てきたという印象がございます。例えば地方消費者行政の問題にいたしましても、高齢化が進んだ現状において、地域の高齢者に対する見守りの体制をどういうふうにつくっていくかという問題にかかわっていますし、パーソナルデータの問題にいたしましても、パーソナルデータの利活用とその保護を両輪としてやっていかないと、結局、個人の情報がなかなか出てこない。保護が十分されていなければ個人の情報が出てこない。結局、それは利活用できないということになっていくわけですので、そういう情報の管理のあり方というか、社会における情報の流通のあり方全体にかかわっている問題であると思います。
もう一つ、これは直接、今回のこの検証の話ではありませんけれども、景表法の関係で、消費者庁から諮問がございました課徴金等の問題です。これも、課徴金ということになりますと、適正な市場機能を回復する、あるいは、適正な市場をつくるということにまさにかかわっているわけで、非常に大きな問題です。しかも、特にパーソナルデータは、これから半年のうちにある程度具体的な案が出てくるということですし、諮問を受けた課徴金等の問題、これはまさに私たちが議論していかなくてはいけない。これから比較的短い期間の間に議論を進めなくてはいけない。非常に大変だなという思いがございますが、非常に重要な問題ですので、できるだけ充実した議論をしていきたいと感じました。
以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。
では、唯根委員、お願いします。

○唯根委員 私も、この4か月間、今までは現場から声を出すほうだったのですが、今回、ヒアリングを体験させていただいて、いかに実効性のある措置がとられているかを見ないといけないことがわかりました。また、消費者委員会はとてもいい建議や提言をされていても、それが法律や、法改正にはつながったとしても、実際にそれが使われているところまで見ていかないと価値がないこと、逆に言うと、現場には届いていないところをどうチェックして届くように広げていくかまで、私たちは見なくてはいけないのだと感じました。
私は、これから食品関係についての調査会に入らせていただくわけですけれども、規制改革会議や何かで突然ポッと出る。先ほど、ほかの委員からも出ましたけれども、消費者の意識や消費者の意見とは別のところで動き出してしまう。閣議決定で動かなくてはいけないというところを消費者目線でもう一度とらえて、しっかり意見も言っていかなければいけないと思いますし、山本委員がおっしゃられたように、消費生活、消費者問題というのも、先日も防災のことまで私は言ってしまったのですが、やはり社会基盤という部分では、大きな問題として私たちもとらえていく必要があるのではないかと感じております。来年、課題が山積しておりますけれども、消費者のために頑張らなくてはいけないなと改めて思っております。

○河上委員長 阿久澤委員、お願いいたします。

○阿久澤委員 基本計画に盛り込まれていた施策の一部をヒアリングし、その全体についてのことですので、若干、抽象的な言い方になります。また、各施策について実施のステージにもよりますが、その内容は主に実施の進捗状況であったように思います。できましたら、その施策が重要とされる理由、施策の到達目標、目標に対しての達成度、さらに、達成への課題と解決への方策といった形式で御報告いただければ、各施策の理解、推進につながるのではないかと思います。
また、消費者が受ける被害は、消費者側の立場では、なぜ起こったのか予見しにくいケースもあります。また、全ての消費者が多様な問題に対して意識レベルが高いとは言えません。その現状を踏まえて、各教育ステージにおいて消費者教育が行われていますけれども、実効を確認するための方策の検討がより一層必要であると思います。
以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、石戸谷委員長代理、お願いいたします。

○石戸谷委員長代理 基本計画のまとめについて一点と、基本計画それ自体について、一点。
まず、まとめのほうですが、商品先物における不招請勧誘禁止規制の問題については、消費者委員会としては、もう意見をまとめて旗幟鮮明にしております。確かにヒアリングの場は借りましたが、そこでヒアリングして意見をまとめるというのではなくて、11月中に政省令が場合によると固まると。それでは間に合わないということで先に意見を出して、それに対する応答をやったということなので、ほかのヒアリングと位置づけが少し違うということをはっきりしておいたほうがいいのではないかと思います。
岡田副大臣がおられるので、ぜひこの問題は。先ほど来出ています規制改革の中で突如決まったわけですが、商品先物の電話訪問勧誘による被害というのが非常に深刻で、30年かけて、ようやく電話訪問勧誘を禁止して、今、鎮静化しているという状態であります。それが短期間に、規制改革会議のほうで規制の横断化ということでパッと決まってしまった。これは非常に深刻な問題をもたらすということで、きょう現在の正確な数は把握していませんけれども、アバウトで言うと、これまで43本ぐらい、各地消費者団体、各地の弁護士会の会長声明とか、いろいろなところから出ております。北海道から沖縄まで出ている。それは、商品先物の被害について長年苦労してようやく入れたものが、規制の横断化ということでパッと外されることに対する驚きと危惧で、それは許されないということで上がっていますので、ぜひ、そこはよろしくお願いしたいということを、一言、最初に述べておきたいと思います。
基本計画については、2004年の消費者基本法のときの基本計画から関与しておりますので、そのころの基本計画の議論と今やっていることに大幅な違いがあるというのは、それはよくわかっております。消費者庁・消費者委員会ができる前は国民生活審議会の意見を聞いてまとめるということでしたけれども、その段階では、事務局案をつくって、委員がそれに意見を述べるということなのですが、その委員がかなりの部分、発言したら言いっぱなしで終わるという状況。ざっくり言えば。しかし、消費者庁・消費者委員会が発足して、消費者委員会が、現在行われているように各省庁に直接ヒアリングをやって、議論をして次の政策をつくっていくということなので、そこは様変わりであるし、前進していると思います。思いますけれども、それで十分かというと、決してそうではなくて、問題も見えているし、さらに改善といいますか、強力にしていく余地は十分にある。
具体的施策177項目をざっと見てみましたが、大急ぎで勘定しましたので、正確な数字は若干違っているかもしれません。「実施済み」というのが45項目ありまして、「継続的に実施します」とか、「引き続き実施します」というのが144項目。これは1項目、複数に分かれているのがありますので、数は一致しないのですけれども、そのようになっておりまして、継続的に実施しますということだと、評価・検証・監視というものがうまくできない。かといって、全項目について省庁に来ていただいてヒアリングをやっていると、1回に4項目ずつやったとしても、それだけで1年かかってしまうということで、とてもではないができないということになるので、この辺をもう少し工夫する余地があるのではないか。
もともと、基本計画というスキームそれ自体は、消費者庁・消費者委員会ができる前の基本法のスキームであります。したがって、各省庁が縦割りでやっているものを全体として体系化して、それをやろうではないかと。消費者保護基本法のときの消費者保護会議は実効性がなかったということで、検証・評価・監視というものを入れてやろうということでつくっているわけです。そうは言っても、構造は、消費者保護会議に代わって消費政策会議ができているのですけれども、この閣僚会議が計画を立てて検証・評価・監視をするというスキームであって、国民生活審議会がそれに意見を述べる。そこが消費者委員会に代わったという建付けになっているだけであります。
そこを運用で、今のような形でより実効性があるようにやっているということなので、消費者行政を一元的に所掌する消費者庁・消費者委員会が発足した後も、果たしてそれでいいのかというのは、実は、消費者庁国会のときに既に議論として行われていたわけです。参議院の消費者問題特別委員会では、そこもあり方を検討するということで、時間切れになってしまって、参議院のほうの消特委の附帯決議12項に入っております。「国会と連携を図りつつ、存置を含め、そのあり方の見直しを検討する」というのはそういうことでありまして、もうちょっと違うやり方はあり得るのではないかという議論が既にそこで行われていたということです。
一応、2009年からの1期5年分の基本計画が終わりますので、次の段階を考える際には、消費者政策会議の事務局を担って、かつ、消費者行政を一元的に見るという消費者庁がありますので、消費者庁と消費者委員会の役割分担を事前によく協議して、どういう具合にやるかというのは、まだまだ工夫の余地があるし、もう少し力強く推進できる方向に持っていけるのではないかと思います。あわせて、附帯決議で指摘された点についても考えていけばいいのではないかというふうに思っています。

○河上委員長 ありがとうございました。
ほかの人の意見を聞いていて、言い忘れたと思う人、あるいは、もうちょっとつけ加えて言いたいと思う方は、いらっしゃいますか。よろしゅうございますか。
どうもありがとうございました。消費者委員会の使命というのは大変広いものがあって、先ほど、山本委員からもありましたけれども、食の安全をはじめとして、社会のあり方そのものを問われているという印象を私も持っております。今後の消費者基本計画は差し当たって5年後。私は今、60ですけれども、65になったときに社会がどうなっているだろうというふうに具体的に考えていけば、高齢化は確実に進展しているということがありますし、インターネットも日進月歩ですから、さらに進んでいるだろうということが想定される。
そうすると、高齢化に伴う全体的な見直しをきちんと今からやっていく必要があることは確かですし、非対面的な取引であるとか、インターネットを利用した場面でのトラブル渉外的なトラブルなどもさらに増えてくることは確かですので、そういうものに対する対応も考えなければいけない。さらに金融の問題、たくさん出ておりますけれども、先日、国際消費者法学会の議論を聞いていましたら、台湾では既に金融消費者保護法というのができたという話を聞いて、日本はなかなか前に進まないなあということを痛感させられました。いずれにしても、適時にきちんとした法制度を整備し、しっかりと執行していくことが必要だろうと思います。とはいえ、消費者安全法とか、消費者教育推進法、そしてこの間の消費者訴訟手続特例法の制定を見てもわかるように、全体に横串を刺していく法制度の枠組みだけは何とかできた段階にあります。今度はこれをうまく利用する、あるいは、その中身をどう充実させていくかというところが問題になってくる。これが、これからの5年間ではないかという気がいたしております。
今回、各省庁のヒアリングを通じまして、消費者政策が直面する主要な課題について、一通りのレビューを行ったことになります。今後は、政府における作業スケジュールを踏まえた上で、消費者基本計画の検証・評価、見直しや、新しい基本計画の策定に向けた意見表明を委員会としても行ってまいりたいと思います。
消費者庁におかれては、現行の計画の見直しや、新計画の策定に向けた基本的な考え方、進め方を、できるだけ速やかに提示していただきたい。まだ検討中であるというふうに言わないで、このあたりまでは明らかになってきたということで結構ですので、消費者委員会とキャッチボールをしながら、その内容を充実させていければと思いますので、ぜひ、お願いしたいと思います。また、今回のヒアリング結果、それから、本日、委員から出された御意見、いろいろございました。そういうものを踏まえて、今後、委員会としても、建議に向けた具体的な問題についての検討に順次着手してまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
きょうは、岡田副大臣が最後まで出席してくださいましたので、この段階で一言、コメントを頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。

○岡田副大臣 岡田広です。きょうは、消費者委員会の皆さんには、暮れの本当にお忙しい中、御出席をいただき、私も、さきの会合のために遅れましたことをおわび申し上げたいと思います。河上委員長をはじめ委員の皆様から、いろいろな御意見をいただきまして、また、勉強の参考にさせていただきたいと考えています。
高齢者をめぐる問題というのは、本当にこれから、さまざまな課題、問題があるだろうと思いますし、ネットに対する対応、そしてTPP加入の流れの中で、また、物流の多様化、そしてグローバル的な問題も出てくるだろうと考えております。消費者行政の重大さを再認識しながら、私たちは森大臣を先頭に頑張っていきたいと考えております。
消費者庁が発足したのは21年の9月、4年3か月たちました。去年の12月、ちょうど明日、26日、安倍政権がスタートして1年になりますけれども、森大臣が就任しました。それまでの3年3か月は、御承知のように、大臣が10人、代わりました。平均4か月やっていないという中で、例えば先般の食品表示問題につきましても、3年3か月の間に17件の事案がありました。その都度、対応はしましたけれども、今回のようにたくさん、雨後の筍のように出たという事案はありませんでしたので、その都度の対応、しかし、今回は御承知のようなとおりであります。大臣が代わるということ、政治が安定しないと、皆さんの意見を聞いてもなかなか政治のリーダーシップを発揮できないのだろう、そういうふうに思っております。森大臣に代わりましてから、今年6月の通常国会、また、消費者教育も閣議決定し、集団訴訟法につきましても衆議院で審議、そして、臨時国会で成立いたしました。
そして、今回の一連の食品表示問題につきましては、私も、この前の「TVタックル」では、3分の1ぐらいしか、あの40分近い時間の中でしゃべれなかったのではないかと思います。人の意見を差し止めても、あれはしゃべらなくてはいけないということを感じたわけですけれども、これは法改正に向けてしっかりとやって、今度の補正予算でも、例えば食品表示モニター、仮称ですが、500人という予算をつけさせていただいた。これはスタートでありますから、地方公共団体の中でもっと必要であれば、地方消費者行政活性化基金も活用できる制度にしていきたい。いずれにしても、スピード感をもって議論はしっかりやらなければいけないけれども、議論だけで終わってしまうと実行ができないということで、このバランスをとりながら、しっかりと来年度通常国会に向けて、この食品表示問題一つとりましても、たくさんの法改正をしようということで、今、議論を進めているところであります。
消費者庁も人数が足りないのではないかということで、今、289人体制ですが、きょう、予算が正式に決まりまして、わずかでありますが、今この行革の中ですから、12人の増員要求が認められて301人という体制になった。さらに頑張っていきたいと思いますので、どうぞまた皆さんからいろいろ御意見をいただきまして、スピード感をもってできることは対応していきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げまして、皆様に御礼を兼ねまして、御挨拶にかえたいと思います。ありがとうございました。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
消費者委員会に対するご支援もぜひ、よろしくお願いいたしたいと思います。
浅田課長には、この5回にわたってずっと出席いただきました。お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。
本日の議題は、以上になります。

≪3.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局から、今後の予定について説明をお願いいたします。

○大貫参事官 次回は1月21日(火曜日)、16時からを予定しています。最初の1時間は、消費者団体ほか関係団体との意見交換会を実施し、17時から本会議を予定しています。団体名や議題などの詳細については、確定次第、委員会ホームページで御案内します。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)