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第126回 消費者委員会 議事録

日時

2013年7月16日(火)15:59~17:09

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、田島委員、
 夏目委員、細川委員、村井委員、吉田委員(TV会議にて出席)
【説明者】
 消費者契約法に関する調査作業チームメンバー  大澤 彩 法政大学法学部准教授
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.消費者契約法について(「消費者契約法に関する調査作業チーム」報告書)
○説明者: 消費者契約法に関する調査作業チームメンバー  大澤 彩 法政大学法学部准教授
3.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:7KB)
【資料1】 「消費者契約法に関する調査作業チーム報告書」概要

≪1.開会≫

○河上委員長 まだ少し時間がありますけれども、皆様おそろいですので、始めさせていただきます。
 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第126回)」会合を開催いたします。
 本日は、所用によりまして、川戸委員が欠席となっております。
 吉田委員におかれましては、本日はテレビ会議での参加となります。よろしくお願いいたします。
 それでは、配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。

○原事務局長 配付資料ですけれども、本日は消費者契約法についての議題のみとなっておりますので、消費者契約法についての報告書概要版をおつけしております。
 それから、後ほど御案内いたしますけれども、シンポジウムの御案内のチラシをお配りしております。
 よろしくお願いいたします。

≪2.消費者契約法について(「消費者契約法に関する調査作業チーム」報告書)≫

○河上委員長 きょうは「消費者契約法について」ということで、消費者契約法の勉強会のような委員会になってしまうかもしれませんけれども、よろしくお願いいたします。
 消費者委員会では、平成23年8月に「消費者契約法の改正に向けた検討についての提言」を行いまして、消費者庁における検討作業の進展に合わせて、本格的な調査審議を行い得る体制が整うまでの間、論点の整理や選択肢の検討等の事前準備を行うための「消費者契約法に関する調査作業チーム」を平成23年12月に設置し、本年5月までの間、毎月検討を重ねてまいりました。その検討の討議内容を踏まえまして、各論点の整理の取りまとめを行った報告書の発行を予定しております。本日は、その報告書の概要について説明をいただきまして、委員会の中で意見交換を行いたいと思います。
 それでは、チームのメンバーを代表して、法政大学法学部の大澤准教授より御説明をお願いしたいと思います。説明時間は、大部の報告書ではありますけれども、40分程度でお願いできればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

○法政大学法学部大澤准教授 法政大学法学部の大澤と申します。私は、消費者契約法に関する調査作業チームの一メンバーということで、本日、報告書の概要を説明させていただきたいと思います。
 今回の調査作業チームの検討は、もっぱら消費者契約法の実体法部分の見直しに向けた分析となっております。基本的にはその見直しに向けた理論的分析が中心となっておりますが、その際、当然のことながら、従来の消費者契約法制定前後の検討ですとか、裁判例の実態調査、さらには比較法的な見地も加えてまとめたというものでございます。今後、消費者契約法の改正に当たって、本格的審議のたたき台となることを期待しております。
 以下は、時間の関係もございますので、要点のみ検討されるべき課題を幾つか列挙させていただきたいと思います。
 その前提といたしまして、今回の消費者契約法に関する調査作業チームにおきましては、消費者契約法の見直しの前提といたしまして、今、法務省で進められています民法、とりわけ債権関係の部分の改正と、消費者契約法の関係をどのように考えるかという、大前提の問題でございますが、この問題。そして、それとも関連してまいりますが、人的な適用範囲、物的な適用範囲をどのように画するかという問題。さらには、これも民法改正の議論の中で触れられておりますが、約款規制との関係について消費者契約法がどういうスタンスに立って、どういったルールを設けることが考えられるかといったことを検討しております。ですから、本日の報告も、まずこの3点につきまして、簡単に紹介させていただきたいと思います。
 民法改正との関係でございますが、今回の報告書は基本的には、民法改正が今後どうなるかというその動向いかんにかかわらず、現行法を前提として、消費者契約法における規律といたしまして、どのような規律であることが全体として望ましいかという形で検討しております。民法改正の行く末が今後どうなるかにもよりますが、例えば、民法典が事業者法的な配慮のもとで今後改正されるということになる場合には、とりわけ消費者取引におきまして留意すべき点を、消費者契約法の中で今後どういうふうに規律、そういう手当てをしていくことが考えられるか、そういった点に特に配慮しながら検討いたしました。
 差し当たり、この点に関しましては、民法典には、法務省の法制審議会での中間試案で示されましたような、民法と消費者契約法の消費者関連の諸規定を連結する上での源泉となる一般規定があることが望ましいという意見もございます。
 次に、2つ目でございますが、人的・物的適用範囲ということでございます。これは、我が国における現状、諸外国における議論動向を踏まえますと、そして消費者契約法、とりわけ消費者保護関連のいろいろな法律がございますが、それらとの関係でも受け皿的な機能が期待されているという立法趣旨に鑑みましても、例えば消費者概念の相対性の承認、概念の弾力化、ないしは中間概念と。特に具体的に申しますと、いわゆる中小事業者の保護といったものも、場合によっては消費者契約法でカバーできるような中間概念の創設も視野に入れて検討してはどうか、ということが報告書では触れられております。
 その延長線上の検討課題ではございますが、消費者契約法の適用範囲につきましては、これまでは取消権と不当条項規制を一括して考えられてきていましたが、例えば領域ごとの適用範囲、特に最近問題になっているものであれば、例えば投資取引とか、投資被害といったものも増えておりますし、あるいは不動産取引のような分野、領域ごとの適用範囲を考える可能性についても、検討してはどうだろうかという意見も出ております。
 さらには、消費者概念のもとにもなっている「消費目的において」という要件ですが、これにつきましても、消費目的という要件が本当に必要なのかという意見もございます。
 最後に、前提問題の3つ目といたしまして、消費者契約法を今後見直すに当たりまして、約款規制との関係をどのように考える必要があるかということについてです。これにつきましては、約款が持っている、例えば隠蔽効果がもたらす当事者意思が希薄化しているといったことや、合意による正当性保障が欠如しているということに対して、こういう約款の現実の効果を踏まえますと、やはり約款に関して何らかの手当が必要だという認識は共有されているのではないかと思います。
 ただ、約款問題は必ずしも消費者契約に限られる問題ではありません。限られない問題も含んでおりますので、少なくとも約款規制に関する通則的な規定は民法典の中で設けるといたしましても、個別の補完が必要な場面が恐らく出てきますので、これについては別途、消費者契約法に規律を設けることが望ましい。その点について、より一層検討するべきではないかという結論に至っております。
 報告書の中では、具体的な提案として次のような4点が提案されております。
 まず1つ目に、約款が契約内容となるためのいわゆる組入要件、及びその効果を定める規定を設けることを検討してはどうかという点でございます。
 2つ目として、いわゆる「不意打ち条項」について、契約内容として効力を有しないとする、そういう不意打ち条項に関するルールを設けることを検討してはどうかという提案もされております。
 3つ目といたしまして、約款の中にある条項ですとか、あるいは、当事者間での実質的な交渉を経ていないような契約条項の解釈準則を設けて、その際に、消費者の合理的な期待、あるいは消費者の理解の扱いを定める規定を設けることを検討してはどうかという提案も見られます。
 最後に4つ目でございますが、契約条項の定め方については、現行の消費者契約法3条1項を改めまして、現行法はこれについては努力義務とされていますが、努力義務にとどめるのではなく、義務とする規定を設けることを検討してはどうか。以上の4つの具体的な提案が見られます。
 以上が前提となる事柄ですが、次に、具体的に各項目ごとに検討の内容を簡単に紹介させていただきたいと思います。
 まず、契約締結過程の規律。現行法で申しますと、消費者契約法の4条以下が該当する部分になります。7ページの「3 契約締結過程の規律」というところの説明に入りたいと思います。契約締結過程につきまして、現行法を前提に類型の名前を申し上げますと、まず、誤認類型。これに広告規制も含んで検討しておりますが、これにつきまして今から紹介していきたいと思います。
 契約締結過程に関する規律のうち、現在、不実告知、断定的判断の提供、不利益事実の不告知といったものが設けられています。さらには、消費者契約法3条で情報提供の努力義務といった規定が見られますが、これらを中心に現行法上の不適当な制限的な要件、あるいは制限的な解釈を改めまして、消費者・事業者間に構造的な情報格差を前提に、意思表示の瑕疵の拡張理論を具体化する形で取消規定を手当するという、本来の立法コンセプトに合致するような取消要件を再構成することが求められます。
 また、先ほども触れましたが、情報提供義務違反につきましては、現行法のような努力義務という形ではなく、法的な義務として消費者契約法に明確化し、例えば、効果として損害賠償の責任の規定などを導入することが考えられます。
 これにつきまして、具体的な提案となりますが、8ページ以下に、例えば現行法の4条1項2項における「勧誘」要件というのがありまして、勧誘要件は削除し、広告も含めるということを検討してはどうかという提案。
 2つ目といたしまして、現行法の4条4項1号2号、重要事項を狭く限定する必要はなく、消費者の当該契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきものについては、契約締結過程において、事業者が不実告知をし、消費者が事実を誤認し、この誤認に基づき契約をした場合に取消を認めることを検討してはどうか。
 3つ目といたしまして、現行法4条1項2号の断定的判断の提供型につきまして、現行法の解釈においては、財産上の利得に限定するという解釈も見られますが、そうではなくて、財産上の利得にかかわらない事項についての断定的判断の提供にも適用が可能であるということを、規定として明確化することを検討してはどうか。
 こういった、もっぱら要件に関する検討課題があるほか、効果としては、現行規定では取消規定ということになっていますが、このほかに例えば情報提供義務違反に対する損害賠償責任の規定を導入する。もちろんその際には、因果関係ですとか、損害額の推定規定を置くなどして、民法の損害賠償規定の具体化を検討してはどうかという点も提案されています。
 これは法律のつくり方の問題とはなりますが、まず、事業者の行為規範として不適切な情報提供や、重要事項の不提供に該当する行為類型を列挙した上で、その取消・損害賠償差止めという効果別に付加的要件も含めて規定する、そういう編纂方式を採用する可能性を検討してはどうか、こういう点も指摘されております。
 次に、9ページに移ります。現行法の困惑類型に関しましては、現行法では「不退去」及び「退去妨害」による困惑として規定されている事項を中心に、現行法の限界は明らかとなっていますので、現行法に違反する立法コンセプトをさらに推し進める方向で、より広い場面を対象とできるように要件を改める。あるいは、新たな類型を追加するべく次のような提案がなされております。
 それは9ページに書いてあるとおりでございますが、例えば、現行法の不退去、退去妨害以外の類型として、執拗な勧誘行為、契約目的を隠した接近行為、こういったものを検討してはどうかという提案も見られます。また、従来の困惑類型と今のような類型を包含する上位概念として、例えば「意に反する勧誘の継続」と「それによる困惑」という形で要件を設けて、その具体的な類型として、従来の不退去、退去妨害型や、執拗な勧誘行為などを例示として示すことを検討するということも提案されています。
 さらに、これは困惑類型の延長線上の問題とはなりますが、民法の暴利行為の規定とは別に、諸外国でも見られます、状況の濫用を理由とする取消の規定を設けることを検討してはどうかという提案もあります。
 効果の点に関しては、こういう困惑類型、さらには、その延長線上に存するいわゆる不当勧誘行為については、取消という効果だけではなく、損害賠償責任規定を導入することも検討の余地があるかと思います。損害賠償責任規定を設ける際には、例えば因果関係や損害額の推定規定を置くなどして、例えば立証責任の転換を図ることも考えられます。
 加えまして、取消の効果、取消期間、法的追認、契約締結過程における第三者の関与につきましては、9~10ページに書いておりますように、解釈上の疑義があることや、現行法による解決には限界があることもしばしば指摘されておりますので、改正による解決を模索する必要があるかと思います。その内容は、具体的には資料の10ページに書かれています。
 次に、11ページに、インターネット取引について特に検討を加えております。それはなぜかといいますと、インターネット広告につきましては、ターゲティング広告という、消費者の意思形成に強く働きかける広告が増えているということがございます。事業者から見ても、インターネットの広告を個別の勧誘と別にする理由も特にありません。しかし、現行法におきましては、インターネット広告に関して、その表示が不当である場合には、もっぱら景品表示法などに基づく行為規制が課されているにとどまります。インターネット広告の不当な表示に起因する契約被害に対応する民事規定は、ないという状況にございます。そこで、消費者契約法4条の取消の対象となる事業者の行為としては、インターネット広告も含める方向で検討してはどうかという提案が見られます。
 インターネット特有の問題につきましては、資料11ページ~12ページに、例えばアフィリエイト広告とか、いろいろ具体例を挙げて紹介させていただいております。
 資料12ページ、(2)の不招請勧誘というところに移らせていただきます。不招請勧誘につきましては、消費者契約一般を対象に、不招請勧誘禁止という単独の実体法規範を考えるということも考えられないわけではないのですが、むしろそれよりは、このチームの中では、不当勧誘に関する一般条項、受け皿となる規定を置くこととした上で、解釈適用に当たって、不招請勧誘かどうかを一つの考慮要素にするということが、とりわけ改正、立法の早期実現という観点からは望ましいのではないかという提案に至っています。
 不招請勧誘独自の実体法規範を仮に定める場合にも、困惑取消類型の拡張という形なのか、損害賠償義務をもたらすような不当勧誘行為規制の中にあるのか、そういった議論も踏まえつつ、不招請勧誘をとりわけ消費者契約一般を対象に考えていく上では、引き続き検討が必要だと思われます。
 次に、適合性原則というところに移ります。資料の13ページの一番下の行にございますが、適合性原則というのは、もともとは投資サービスの領域で生まれた業者ルールでございます。例えば金融商品取引法とか、そういった業者ルールの中で設けられているルールでございます。適合性原則に著しく逸脱したような勧誘行為は、不法行為法上の違法性を基礎づけるという最高裁の判例も出てはいるのですが、裁判実務においては極めて限定的にしか機能していないというふうにされています。
 しかし、実際問題といたしまして、冒頭で申し上げましたように、投資被害の中でも、適合性原則に関する消費者被害の相談は多く寄せられておりますし、特に今後の高齢化社会における消費者法の在り方として、適合性原則というのを、投資サービスと別に一般的な形で立法化するニーズは高まっているかと思われます。
 適合性原則と非常に類似する、密接する法理として、例えば、過量販売に関する特別ルールですとか、過剰与信に関する特別規定は、特定商取引法などで立法化されているところではございますが、それらによる対応可能性とその限界を見極めながら、適合性原則を立法化する必要性について、引き続き検討していくのが適切であると思われます。
 以上で消費者契約の締結過程についての紹介を終わらせていただきまして、次に、契約内容の適正化ということで、資料の15ページ、4番に移らせていただきます。
 契約内容の適正化につきましては、まず1つ目といたしまして、不当条項のリストの問題を申し上げたいと思います。今後の方向性といたしましては、不当性の評価余地がないブラック・リストに加えて、不当性の評価余地のあるグレイ・リストという2つ設けることによりまして、消費者相談の現場での判断の指針となるのはもちろんですが、契約条件を定める際に、事業者にとっても、ブラック・リスト、グレイ・リストが一つの参考となるメリットがあるということに鑑みて、リストの補完・充実を検討することが必要であると思われます。
 EU、韓国における不当条項リストに比べて、我が国の現行の消費者契約法の不当条項リストは、極めて貧弱であることは否定できないかと思いますので、まずはグローバルスタンダードに近づけることが必要です。その際に、リストアップをするに当たりまして、現実に発生しているトラブル、現実にどのような条項が問題となっているかということに配慮しつつ、では、どのような条項をリストアップする必要があるかということを検討する必要があります。なお、立法事実にこだわることによる後追いのデメリットに鑑み、危険性が予見できる条項はなるべく積極的にリスト化していくことが望ましいと思います。
 ただ、リスト化に当たりましては、リストの文言をどのような形で設けるかということが問題となります。資料の15ページから、リストを充実させる上での留意点が書かれていますが、リストの文言がどの程度抽象的なものであったほうがいいかということにつきましては、いろいろ考え方はあり得ると思うのですが、学説でも指摘されておりますように、グローバルスタンダードに合わせて民法の条文程度の抽象性、あるいは、それよりもやや具体化した程度の抽象度とすることが考えられます。
 これがリストの文言、定め方でございますが、なお、リストアップに当たりまして、学説ですとか、弁護士会といった実務によって、消費者契約法改正提案の中でさまざまな条項をリストアップしている提案も見られますが、その中では、例えば過量販売に関する条項など、契約の目的物・対価そのものに関する条項を、不当条項のリストに加えることも提案するものがございます。
 例えば実務では、消費者に過量な、または不相当に長期にわたる物品または役務を購入させる条項をリストの候補として掲げる提案も見られます。その具体的な例は、17ページの上のほうに書かせていただいております。これらの価格、目的物そのものにかかわる、いわゆる中心条項についての規制の可否につきましては、次に述べる消費者契約法10条の見直しに当たって再度検討する必要があるかと思いますが、仮にそういった中心条項を規制の対象にするとして、これらの中心条項にかかわる条項をリストとして挙げることの是非は別途問題になるかと思います。つまり、こういった過量販売に関する条項を、リストに列挙するという形ではなく、例えば「消費者公序規定」といった一般ルールで対応することも踏まえて検討する必要があるかと思います。
 次に、不当条項に関する「一般条項」という部分に移ります。17ページの(2)をごらんください。現行法の消費者契約法10条の表現につきましては、学説、判例でも指摘されておりますように、見直しが必要かと思います。例えば10条の前段要件につきましては、現行法には任意規定といった文言も見られますが、これは、「当該条項がない場合と比較して」、そういった文言に修正することも考えられます。
 一方、消費者契約法10条の後段要件につきましても、「消費者の利益を一方的に害する」という文言は維持するといたしましても、例えば「信義則に反して」という要件につきましては、資料にもございますように、民法の信義則との違いが指摘されることもありますので、わざわざ「信義則に反して」という要件をここに設ける必要があるのか。いっそ削除してはどうかという提案もございます。また、消費者の利益を一方的に害するか否かの判断要素をどういった点を考慮するかという点ですが、17ページの下から10行目辺りにございますように、考慮要素を立法で列挙する必要があるかどうか、この点についても検討する必要があるかと思います。
 先ほども申し上げましたが、例えば契約の対価そのものへの介入につきましては、18ページの真ん中にございますように、原則として開示規制の手法によることが望ましいかと思われますが、これにつきましては、民法の暴利行為論に関する規律の在り方にも配慮しつつ、競争が期待できない局面では、消費者契約にとって有用な規律や、セーフティネットとなるような規律が模索されるべきではないかという提案もあります。
 さらに、消費者契約におきまして、その条項が個別の交渉を経ているかどうかという点も問題になります。資料は19ページの3になりますが、消費者契約におきましては、当該条項が個別の交渉を経ているかどうかは問わないという方向で考えるべきではないか、というのが一応の方向性としてチームでは示されております。
 最後に、不当条項、契約内容に関しましては、不当条項規制の効果につきましても多く議論があるところでございますが、このチームにおきましては、原則として全部無効ということにいたしました。ただ、例外的に、例えば違約金条項のように一部を無効とすることで足りるというものがある場合には、一部無効となり得るものを定める。そういった条文づくりをすることも提案されております。
 次に、19ページの下から7行目ぐらいのところにあります、消費者公序規定の説明に移らせていただきます。従来の消費者契約法は、現行法は、もっぱら4条以下の契約締結における不当勧誘行為規制という部分と、8条以下の契約条項の内容に関する部分という二元的な構成ですが、このような二元的構成では不当な契約をすべて十分に捕捉できないという局面もあります。そこでチームとして考えましたのは、契約締結過程と条項内容を融合した、新たな法規制のカテゴリーの創設を検討する必要があるのではないかということです。その際に、対価に直接かかわるような条項ですとか、あるいは、次々販売、過量販売に効果的に対処するために、無効とすべき不当条項の客観的評価にかかわる一般条項のほかに、契約締結過程での問題と条項の内容の不当性を総合して、これらを合わせて契約の一部もしくは全部を無効化する一般条項の策定を、検討するべきではないかという結論に至っております。
 これはイメージといたしましては、民法の90条を具体化したような一般条項を消費者契約法の中に設けるということでございます。これによりまして、例えば、契約の締結過程の勧誘の不当性と、価格が不当に高いですとか、内容自体に問題のあるような、そういう融合的な場面に対応することが考えられます。
 次に、各種契約につきましてですが、資料の21ページ以下をごらんください。消費者契約法の中に、契約類型に即した規定を置くことについても検討することが必要なのではないかということでございます。この点につきましては、今、まさに行われております民法改正との関係も問題となりますが、現時点では、民法の中に、各種の契約に即してさらに消費者契約に関する具体的な特則を置くことになる可能性は余り高くないと思われます。そこで改めて、消費者契約法において各論的な規定を導入することの是非について、検討する必要はあると思われます。特に例としまして、消費者売買に関する一群の規律を設けることが検討されてよいのではないかという意見がございます。
 現在の消費者契約法では、契約締結過程及び契約内容の規制に関するルールはございますが、例えば契約の履行過程、あるいは契約不履行の場合の消費者の救済手段について、例えば、売買に即して基本的なルールを明らかにしておくことにはそれなりに意味があるかと思います。
 次に、類似する問題ではございますが、継続的契約という問題に移ります。資料の22ページの7でございます。継続的契約につきましては、契約が長期間にわたって継続するという特徴がございます。それゆえに、例えば周辺事情の変化ですとか、当事者自身の身辺の変化といったものの影響を受けやすいという特徴がありますし、既に履行された部分とそうではない部分を区別することが難しい、そういった問題も生じます。こういった特徴があることに伴いまして、例えば、消費者を長期拘束する契約、あるいは消費者からの任意の中途解除と効果をめぐる問題、事情変更、事業者の債務不履行に対する消費者からの解除要件と効果をめぐる問題、事業者からの解除の可否をめぐる問題、契約内容・条件の変更をめぐる問題が生じております。
 このような問題に対処するために、継続的な消費者契約、特に継続性という特徴に鑑みた法規定の手当を行うことも考えられます。具体的なルールといたしましては、継続的な消費者契約における消費者の中途解除権を導入する、あるいは、事情変更が発生した際の事業者の誠実な対応義務などを検討してはどうかという提案がチームにおいては見られます。
 この問題の一部は、特に不当条項規制のところで申しますと、例えば不相当に長期の拘束期間を定める条項、あるいは不相当に長い告知期間を定める条項が有効かどうかといった、不当条項規制の問題とも関係してきます。すなわち、特に継続的契約でよく設けられるような長期の拘束期間を定める条項を、例えば不当条項規制のグレイ・リストのところに設けるかどうかといったように、不当条項規制のところでの手当とも関連させた検討が必要になります。
 次に、消費者信用についても述べさせていただきます。資料で申し上げますと、24ページになります。この点につきましては、問題意識といたしまして、2当事者間の取引に加えまして、複合的な取引関係において消費者の利益を守るための規律が必要ではないかということで、この点についての規律を検討する必要があるかと思われます。とりわけ消費者信用が組み込まれた場合の三面関係につきましては、具体的な手当が必要なのではないかという問題意識が見られまして、例えば抗弁の接続の考え方を、消費者信用一般に拡張するといった可能性についてもチームの中では提案が見られます。
 なお、我が国におきましては、決済をいかなる法律でどのような形で規律するかにつきましては、民法の法務省の改正中間試案においても審議中でございまして、今後、どのような形になるかはまだはっきりとはしておりません。ただ、債権法改正におきまして、民法の中で決済に関するルールが設けられないことになった場合には、決済に係る特別法の中で、消費者取引における決済に関する特則を設けるとか、あるいは、消費者契約法の中で物・役務の対価の支払いという観点から規律することが考えられます。債権法改正の中間試案の中で立法提案がされている三面更改の規定が導入される場合には、原則として抗弁の切断が定められることになりますので、この場合には、消費者契約法において補完的ルールを置いた上で、個別の決済手段と消費者取引の結びつきを踏まえたルールについて、例えば、割賦販売法あるいは資金決済法といった特別法によって規律することも考えられます。
 以上が内容でございますが、その他の問題といたしましては、例えば国際消費者契約における準拠法の問題が一つ考えられます。これについては、基本的には通則法でそちらに委ねる問題ということも言えますけれども、ただ、国際消費者契約が増えている現状に鑑みますと、消費者契約法において消費者契約についてのルールを明文化することが望ましいということも考えられます。この点につきましては、今後、さらなる検討を要すると言えます。さらに言いますと、国際消費者取引が拡大していることを考えますと、国際的調和ですとか、共通ルールの策定に向けた努力が必要なのではないかと考えております。
 以上で、報告書の内容の紹介を終わらせていただきます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
 見事に40分の中で報告を終えていただきました。いろいろな問題が随分たくさんございますので大変かと思いますが、特に順番はこれというふうに定めませんので、御質問、御意見のある方は御自由に発言をお願いいたします。
 山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 私も毎回出席させていただきました。充実した議論を聞いておりまして勉強になりました。また、大変なとりまとめをしていただき、本当にありがとうございました。素朴な疑問を幾つかさせていただきたいと思います。
 まず、1番目は約款の問題です。余り具体的なことは申し上げにくいのですが、実は今、継続している案件で、海外の事業者と日本の消費者が出資したような契約の約款で、あらゆる問題についてはアメリカの特定の州の法律を適用する。しかも、裁判管轄は、アメリカの特定の州の裁判所専属管轄とするという約款の規定があるわけです。これが日本から出資した人たちに適用があるかどうかという問題は、6ページ以下の約款の組入れになるのか、不意打ち条項になるのか、基本的なところでどういう議論の組み立て方になるのかというところを教えていただければと思います。
 それから、8ページ、9ページの誤認類型、困惑類型のところで、勧誘の中に広告が入っていない。したがって、特にインターネットなどで広告が入るようにしてはどうかというのは、まさに私もそう思いますが、その場合、取消を認めるという場合と損害賠償の責任規定を導入する場合とで実際どういうふうに違ってくるのか、少し御説明をいただければと思います。
 3番目に、今、消費者委員会でも高齢者の取引被害について種々対策を議論していますけれども、状況の濫用というのが9ページに言葉としてございます。例えば国民生活センターが注意喚起しているものでも、突然いろいろなものを送りつけてお年寄りが困ってしまう。でも、あれやこれや事業者側のほうが言って、受け入れざるを得ない状況をつくってしまって、結局、お金を払わされてしまうという事案も結構多数相談がよせられているわけですけれども、そういうものは状況の濫用とかそういうところに入るのか。あるいは、どういうふうに議論として立てたらいいのか。
 とりあえず以上の3点、教えていただければと思います。

○法政大学法学部大澤准教授 どうもありがとうございました。一つ目の問題でございますが、お話を伺っている限りは、幾つかの問題に分かれるのではないかと思います。まず、日米間の取引ということですので、最後に申し上げました準拠法といった問題が恐らく出てくると思いますが、そこの問題をカットして考えますと、おっしゃっていたとおり、まさに組入れの部分で、そういう条項が消費者にうまく意思に取り込まれているかという問題は生じるかと思います。
 ただ、組入れの部分と不意打ち条項の問題、特に不意打ち条項を別途ルール化するかという点につきましては、恐らく慎重な議論が必要となります。不意打ち性と言うときに、契約の内容面で不意打ち性が強いというところに着目するのか、今のお話というのは専属管轄の話ですので、日本の消費者から見て、アメリカの特定の州に常に専属管轄になることが内容として不意打ち性があるということであれば、これは不意打ち条項ということになる可能性はあると思いますが、特に不意打ち条項を設けるかどうかにつきまして、それが具体的に今のようなお話の場合に当てはまるかどうかということにつきましては、今後、より一層検討が必要かと思います。
 最後の部分の日米間ということですので、準拠法なども検討した検討が必要だと思いますが、一つ申し上げますと、専属管轄、特定の法律を常に適用するという形ですから、今のは国際取引になっておりますが、万が一、国内で、例えば必ず第一審を東京地裁にしますとか、そういう形で常にある特定の地方裁判所に管轄を定めるという条項がある場合には、これは報告書の中でも書かせていただいておりますが、場合によりましては、専属管轄が消費者にとって不利になるということであれば、これは不当条項ということになります。現に専属的管轄を定める条項につきましては、日本でも裁判例が複数出ておりますので、そういったものを踏まえまして、不当条項のリストに加えることは考えられます。ただ、常に特定のところに専属的管轄を設けるものが常に不当になるということには、恐らく今の我が国の裁判例などを踏まえてもならないかと思いますので、掲げるとしてもグレイ・リストに掲げることになるかと思います。
 次に、2つ目の勧誘の部分でございます。これもチームでものすごく議論が出たところですので、お答えするのは非常に難しいところなのですが、効果の違いにつきましては、現行法は取消という効果だけを設けていますが、それと別に、例えば説明義務・情報提供義務違反のようなときに、損害賠償責任を認めるということが、一応報告書では結論として出ております。ただ、どのようなときに取消という効果まで認めるのか。それと別に、損害賠償という効果を設けることの意味、そういったものにつきましては、今後、さらに議論が必要なのではないかと思っております。不十分で申しわけございません。
 最後に、高齢者の問題というのは、現実問題として高齢者被害が増えているというのは、チームの中でも大変意識されておりましたし、議論もされておりました。そういったこともあって、適合性原則とか、状況の濫用とか、一般の勧誘の特則といいますか、そういうルールも提案されているわけです。その際に、高齢であること、年齢が高いことの特性を、例えば適合性原則とか、状況の濫用のルールにどこに組み込んでいくかというのは、常に問題になると思います。例えば、判断能力が若干落ちていることに乗じてということであれば、場合によって状況の濫用というところでカバーできるかと思いますが、ただ、状況の濫用というのも極めて抽象的なルールですから、特に高齢であること、判断能力が低下していることをどのように手当していくかというのは、これは非常に難しい問題ではないかと思います。抽象的で申しわけありません。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
 吉田委員、どうですか。

○吉田委員 ありがとうございました。感想のような話で恐縮ですけれども、今まで相談の現場において、消費者契約法を使って問題解決をするというのがほとんど困難だったような記憶があります。今回、検討会で検討された内容が具現化していくようであれば、非常に使い勝手のよいものになっていく、相談現場に非常に役に立つものになるのではないかという印象を受けました。

○河上委員長 ありがとうございます。具体的には、不利益事実の不告知というのは現場ではほとんど使えないという話をよく聞きますけれども、吉田委員、その辺りの感触はどうですか。

○吉田委員 基本的には弁護士さんのほうにおつなぎしながら、消契法を使って何とかなりませんかという御相談を差し上げるのですが、消費者問題に詳しい弁護士であっても、なかなか不利益事実の不告知を使って解決したケースはなかったです。まして現場でもってそれをもとに業者交渉をするというのは、なかなか難しいと思います。ショーケースの中には入っていて、現場の相談員が使えるような状況ではないというのが現状かというふうに理解しています。

○河上委員長 大澤さん、何かつけ加えることがあれば。

○法政大学法学部大澤准教授 つけ加えるということでもないかもしれませんが、不利益事実の不告知がなかなか使われていなかったというのも、現行の消費者契約法の要件が非常に限定的なところが多いからだと思います。勧誘という要件があるとか、不利益事実の不告知につきましても、先行行為として利益をまず告知しなければいけないといった要件があったことだと思うのです。今回のこのチームの報告書の中では、そういうふうに限定しすぎている要件につきましては極力削除をしていくという形での提案がされておりまして、その辺りは、特に契約締結過程の規律の点に関してはかなり顕著に見られるのではないかと思います。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
 小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 私は専門が行政法なものですから、民法の先生方、委員長をはじめとして、何回もお集まりいただき大変な作業をしていただいて、大部なものができましたが、まず、大変な御苦労だったことと深く感謝申し上げます。
 例えば、取消規定のほかに損害賠償責任規定を導入してはどうかというのが、幾つか、誤認類型、困惑類型等にございますが、この場合の損害賠償は、精神的な慰謝料のようなものは含まないという理解ですか。それとも、いわゆる不法行為で含むという考え方なのかというのが一点。
 それから、14ページの適合性原則のところですが、民法改正の話と絡むと思いますが、判断能力が十分でないと考えられる高齢者に対してどうすべきかというのは、適合性原則を一般法化することによって、どこまでいけるのかわかりませんが、可能性は広がるではないかと思っています。ぜひその辺りも伺えればと思います。

○法政大学法学部大澤准教授 どうもありがとうございます。まず、御質問の一つ目でございますが、損害賠償の範囲ということだと思います。これは恐らく難しい問題はあるかと思いますが、場合によっては、精神的な損害が生じているということであれば含み得るのではないかと私は考えておりますが。

○小幡委員 ここに損害賠償責任規定を置くことの意味がどのぐらいあるのかということですが、因果関係、損害額の推定規定とありますが、イメージがなかなかとらえにくいので、お教えいただければと思います。

○法政大学法学部大澤准教授 恐らくですが、一つ考えられるのは、取消ということになりますと、基本的に原状回復ですので、払った代金を返してもらえるということになると思います。例えばそれ以外に、弁護士費用ですとか、それこそ精神的慰謝料というのが賠償ということであれば、手当ができるということだと思います。

○小幡委員 そうすると、そのような抽象的な事項を列挙してということですか。

○法政大学法学部大澤准教授 それは推定規定の話でしょうか。

○小幡委員 はい。

○法政大学法学部大澤准教授 そこまではまだ詳しく考えていないのですが。

○小幡委員 わかりました。ありがとうございます。

○法政大学法学部大澤准教授 2点目の適合性原則は、消費者契約一般に妥当するようなルールを設けることにつきましては、かなり議論が実は出たところでございます。もちろん、適合性原則を消費者契約一般に妥当するようなルールを設ければ、御指摘がございましたように、特に高齢者被害が増えているという現状に対応する有力な道具になるとは思います。
 ただ、もともと適合性原則というのが金融取引の中で出てきたこともありまして、先ほどの高齢者被害の話とも関連しますが、判断能力が低下している人にそもそも勧誘をしてはいけないといった、そういう強い意味まで適合性原則に含めるといたしますと、それを投資問題以外のすべての消費者契約に当てはまる形でルール化することが、果たして妥当なのかということは、今後、検討する余地はあるかと思います。単純にその人の判断能力に応じた勧誘、説明をしなさいというルールでしたらまだわかるのですが、そこからさらに踏み込んで、高齢者にそもそもこういう勧誘をしてはいけないというルールを、投資取引以外の、およそ一般の物を買うような契約にも当てはまる形でルール化することにつきましては、やはり慎重に検討しなければいけないのではないかと。実効性はあるかと思いますが、ルールとして設けるときにはいろいろ課題はあると思います。

○小幡委員 ありがとうございます。

○河上委員長 消費者契約法は、適格消費者団体による差止めという訴訟を別個に含んでおりまして、その限りでは、個別の消費者に対して例えば契約の効力がどうなるかという話とは別個に、事業者としてはこういうことをやってはいけないということを差し止めることが可能な仕掛けになりつつあります。そうだとすると、例えば、適合性原則に従った勧誘をしなさいという行為規範を定めることも、消費者契約法の中ではできる時代にはなっているということであると思います。
 もう一つは、金融商品取引法のように、そもそもこういう人を相手にしてはいけないという効果だけではなくて、消費者基本法の中で、そもそも事業者が消費者に相対するときには適合性原則に従いなさいという、大きなルールとして成長している適合性原則もあるということなので、その法意をうまく要件の中で生かせないかという議論は一方で行ったという記憶はあります。
 それから、先ほどの話の中で、精神的損害の話がございました。今般の集団的消費者被害の救済に関する特例法では精神損害は対象外となっておりまして、小幡委員のご質問もそのあたりについてのご関心が背景にあるものと思われますが、その点の兼ね合いがどうなるだろうということは、チームの中では明確に意識して議論はしておりませんでした。ただ、せっかく消費者契約法の中に損害賠償の規定を入れたというときに、通常、民法のレベルでもやれることなので、民法レベルで精神損害が不法行為では十分認められておりますから、その部分を否定する必要はないのではないかと思います。
 細川委員、どうぞ。

○細川委員 2点あります。一つは、記述の問題ですけれども、資料1の「これまでの経緯」の上のところで3階建て論を紹介していて、消費者契約法は2階と。民法は最上階と書いてあります。ですが、通常、民法は1階と言っていませんか。そして、2では民法が1階になっている。これは単に記述の間違いですか。あるいは考え方によって、どっちが上か下かというのはわかりませんけれども、変ですね。初めには最上階と言っていて、説明では1階。今、見ると、1階という書き方が多いので、多分1階ですね。
 2番目は、私は重要だと思うのは、中小企業、零細企業者のそういった権利の問題。先ほども触れていただきましたけれども、今まで、弱者という形での2大法領域は労働法と消費者法だったわけです。そういうもので括れない経済的弱者、あるいは取引弱者の地位をどう確保していくかというのは大きな問題で、5ページの上のほうに書いてあるとおりなので、そのとおりだと言うだけの話なのですが、民法の中でそういったものを吸い上げていくのか、あるいは、消費者法の消費者という概念でそれを拾い上げていくのかという連携をうまくとっていただいて、せっかく重要な機会なので、ここで取りこぼしのないように、経済的弱者の権利という問題をうまくすくい上げていただきたいと思います。
 そういうことで考えると競争法との関係も出てくると思いますので、その辺の議論もしないとだめかなと思います。ちなみに、アメリカではFTC(連邦取引委員会)がFTCルールをつくって、競争上、立場の弱い弱者と強者の取引という形での、フランチャイズ契約におけるフランチャイジーの保護ということもやっていますので、その辺の視点も、今後、是非意識していただきたい。大澤先生に対してあれではないかもしれませんけれども、ちょっと感じました。

○河上委員長 何か。

○法政大学法学部大澤准教授 ありがとうございました。中小事業者の関係に関しましては、私は個人的にも非常に興味を持っているところでございます。消費者契約法でその手当をする在り方は非常に難しいのではないかということで、チームの中でも熱心な議論がされたところでございまして、方向性は幾つか考えられると思いますが、今、民法を改正作業中ですけれども、民法の中でそういったものを手当できるルールが設けられればというのが一つ。これは願望というか、そういうところもあるわけですが、仮にそうならなかった場合、零細事業者のような問題をどういうふうに消費者契約法ですくっていくかというのは、非常に難しいところがありまして、例えば実務家の提案の中では、消費者法の規定を類推適用することを認める。類推適用を中小事業者にもするというルールを設けてはどうかという提案もあったわけですが、単純に消費者契約法の規定をこういう人たちに類推適用するという形では、理論的正当化としては難しいのではないかということがチームの中ではかなり意見が出ました。
 そこで次に出てきましたのが、資料の5ページにある消費者概念の定義を見直すことによって、にじみ出しと言いますか、現行の消費者概念をもう少し拡張する形で、定義上、中小事業者などもすくえる形が考えられるのではないかということが一つは出たわけですが、これにつきましても、資料に書いているとおり、限界もあるのではないかと。そのときに、競争法との関係は恐らくチームの中でも多少意識があったのではないかと思います。
 今はアメリカのお話でしたけれども、私は個人的に知っているのはフランスの話でございますが、フランスですと、競争法のような規定で事業者間の不当条項を、場合によっては、これは賠償責任という効果にはなっていますが、そういうのを手当できるルールが、4年前だと思いますが、できております。そういうふうに諸外国の動向を見極めながら、競争法との関係も踏まえながら、これは民法、消費者法、競争法という3つの関係になりますが、考える必要はあるのではないかと思います。

○河上委員長 民法で吸い上げたらいいのか、それとも消費者契約法で受けるかというのは、我々も随分議論をして、よくわからない点が残っています。ただ、当事者の個体差が大きい場合には、類型的に消費者取引のところで切り取って、そこに特別なルールを立てるというのはなかなか難しい。一般条項的なものは、民法の信義則の中で、今度も改正法の中で用意されようかというものがありますけれども、そういうところで考えるのも一案です。今の時代にはそぐわないのですが、「女子供」などとよく言いますけれども、女性にも強い人はいますし、それぞれ個体差というのは大きい。老人もそうです。民法にも成年後見制度があって、老人がある程度類型的に処理されている部分はありますけれども、消費者契約法の性格からして、できるところというのは限られているのかなという感じは個人的にはしています。
 ほかにいかがでしょうか。

○山口委員長代理 2つお聞きしたいのですが、一つは、現行法の消費者契約法の9条で、「次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする」という場合の1号で、平均的損害の額を超える違約金を定める条項については無効ということで、平均的な損害の額を超えるかどうかの立証責任が、消費者側にあるのか、事業者側にあるのか、どうなのかということで、判例でいろいろ議論がある。どうも、消費者側に立証責任を課すという判例の傾向があって、これは使い勝手が悪いという議論があったかと思いますが、今回の報告書ではどういう扱いになっているのか。
 2つ目は、先生はフランス法の専門ですけれども、フランスでは、マインドコントロール罪といいますか、優越的な地位を濫用して契約を強いることについて、比較的強い規制があるかと思いますが、その辺は日本とどういうふうに違っているのか。あるいは、高齢者の取引被害の救済という観点から言って、そういうフランスにおける議論、ヨーロッパにおける議論を日本に導いてくるという余地がないのかどうか。消契法プロパーの問題から少し外れるかもしれませんが、延長線上のものとして、お話があればと思います。

○法政大学法学部大澤准教授 ありがとうございます。まず、1点目でございますが、9条1号の平均的損害の立証責任に関しましては、御指摘のとおり、最高裁の判例でも消費者にあるということですし、現行規定では、恐らく消費者にあるということになるのではないかと思います。これに関しまして、報告書の中では、例えば事実上の推定を活用するとか、立証責任を転換するようなグレイ・リストに列挙するとか、立証責任を消費者に負担をかけない形での提案をさせていただいております。
 2点目ですけれども、フランスの件でございます。私もすべてを把握しているわけでもないのですが、一つ言いますと、フランスの場合は、消費法典という消費者取引全般にかかわる法典があります。御指摘があったのは、例えばヨーロッパの指令の影響を受けて、消費法典の訪問販売の部分で、攻撃的な勧誘の禁止をするとか、そういったルールのことではないかと思います。これに関しては、フランスの場合はEU指令に対応しなければいけないということもあって、攻撃的な勧誘を禁止するといったルールもどんどん盛り込まれております。今後、日本の消費者法の在り方を考える上で一つの参考にはなると思いますが、特に最近、フランスでそういうふうに改正が目まぐるしいのは、一つはヨーロッパの影響があるということなので、そこが日本と違うところではないかと思います。指令が出た場合にそれに対応しなければいけないということで、そういう改正が多く見られるということです。
 フランスの場合、民法典と消費法典と、日本で言う民法と消費者契約法が完全に別のものだというふうに考えられています。消費者取引に関する被害に関しては、消費法典という消費者特別法の中だけで手当していこうという考え方が非常に強いので、そういう形で改正もされやすいところは特徴としてあります。それ以外のヨーロッパの国に関しては、私は不勉強で申しわけないのですが、以上でございます。

○河上委員長 マインドコントロールというのは、フランスでは特に問題があるのですか。

○法政大学法学部大澤准教授 私も詳しいわけではないので、マインドコントロール罪というのはちょっと存じ上げなかったのですが、マインドコントロールにするような勧誘ということであれば、先ほど申し上げました、消費法典の最近の改正で設けられた攻撃的な勧誘方法に当たるとか、そういった形の話ではないかと思います。あちらの消費法典の場合には刑事罰が組み込まれていますから、そういう意味では、確かに事業者側に厳しいルールにもなっていると、そういうことではないかと思います。済みません、わからなくて申しわけないです。

○河上委員長 ほかにはよろしいですか。
 議論をし始めると、きりがないところがありますけれども、本日、説明いただきました内容で、大体この方向で報告書を取りまとめて発行することに、委員会としては異存はないということでよろしゅうございますか。

(「はい」と声あり)

○山口委員長代理 先ほど細川委員が御指摘された問題は、訂正するということで。

○河上委員長 はい。あの辺は訂正します。
 それでは、この報告書の内容をもとに、今後、東京、大阪でのシンポジウムを開催させていただいて、業界の方をはじめとして、さまざまな方からさらに御意見をいただいて表現や内容をブラッシュアップしながら、今後、消費者契約法改正の本格的な検討に入る足がかりとなれば幸いであると考えております。
 大澤准教授におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。
 本日の議題は以上でございます。お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪3.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局から、今後の予定等について説明をお願いいたします。

○原事務局長 ありがとうございました。
 次回の委員会は、7月23日、来週の火曜日を予定しております。
 議題については、確定次第、ホームページ等で御案内をいたします。
 それから、消費者契約法のシンポジウムを東京と大阪で開催しますので、チラシを配布しております。既にこちらについては申込みを締め切っておりますけれども、広報ということでお手元にお配りしております。「第9回地方消費者委員会(金沢)」は当日受付も可能ですので、是非、御案内をお願いしたいと思います。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)

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