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第124回 消費者委員会 議事録

日時

2013年6月25日(火)16:00~18:31

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、川戸委員、
 田島委員、夏目委員、吉田委員
【説明者】
 消費者庁  村山 消費者政策課長
松本 消費者制度課企画官
堀井 消費者制度課長
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.消費者白書、消費者安全法に基づく国会報告について
○説明者: 消費者庁  村山 消費者政策課長
3.消費者の財産被害に係る行政手法研究会報告書について
○説明者: 消費者庁  松本 消費者制度課企画官
4.公益通報者保護制度について
○説明者: 消費者庁  堀井 消費者制度課長
5.その他
6.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:8KB)
【資料1】 平成24年度消費者政策の実施の状況(消費者庁提出資料)別ウインドウで開きます
(資料1は消費者庁ホームページへのリンクとなります。新しいウィンドウで開きます。)
【資料2】 消費者事故等に関する情報の集約及び分析のとりまとめ結果の報告(消費者庁提出資料) 【資料3】 行政による経済的不利益賦課制度及び財産の隠匿・散逸防止策について(消費者庁提出資料) 【資料4】 公益通報者保護制度に関する実態調査報告書(消費者庁提出資料) 【資料5】 第16回消費者契約法に関する調査作業チーム会合 議事要旨(PDF形式:168KB)
【資料6】 第17回消費者契約法に関する調査作業チーム会合 議事要旨(PDF形式:181KB)
【資料7】 第9回地方消費者委員会(金沢)開催案内(PDF形式:KB)
【参考資料】 委員間打合せ概要(PDF形式:68KB)
【追加資料】 「消費者白書」及び「消費者安全法に基づく国会報告」への意見(案)(PDF形式:188KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第124回)」会合を開催いたします。
 本日は、所用によりまして、細川委員、村井委員が御欠席、稲継委員、川戸委員が若干おくれて出席の予定になっております。
 それでは、配付資料の確認につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○原事務局長 配付資料ですけれども、議事次第と書かれた紙の下に一覧をつけております。
 資料1の関連は、平成24年度版の「消費者政策の実施の状況」、いわゆる「消費者白書」です。消費者庁提出資料で資料1-1、これは本文ですけれども、これは膨大なものになりますので、傍聴の方には配付しておりませんので、消費者庁のホームページからごらんになっていただければと思います。資料1-2で概要をおつけしております。
 資料2の関係は、「消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果の報告」ということで、消費者安全法に基づく国会報告ですけれども、消費者庁から御提出いただいた資料で、資料2-1、これも本文になりますが、これも膨大なものですので、傍聴の方には配付しておりません。消費者庁のホームページからごらんいただければと思います。資料2-2として概要についてはおつけしております。
 資料3の関係は、「行政による経済的不利益賦課制度及び財産の隠匿・散逸防止策について」ということで、このたび、研究会の報告書がまとまりましたので、消費者庁から後ほど御説明をいただく予定です。
 資料4は、「公益通報者保護制度に関する実態調査報告書」で消費者庁提出資料となっております。第1次の消費者委員会で、消費者庁において実態調査をお願いしていた分が取りまとまりましたので、後ほど御報告をいただきたいと思っております。
 資料5、資料6は、「消費者契約法に関する調査作業チーム会合」の議事要旨をおつけしております。
 資料7は、第9回の「地方消費者委員会」を金沢で開催する予定ですので、その御案内をおつけしております。
 参考資料といたしまして、6月18日に委員間打合せを開いておりますので、その概要を載せております。
 資料の御紹介は以上のとおりですけれども、不足がありましたら、途中でもお申し出いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○河上委員長 冊子になっている資料というのは、手に入れようと思うと手に入る方法はあるのですか。

○原事務局長 手に入りますか。

○消費者庁村山消費者政策課長 消費者白書のほうは近日中に書店で販売する予定です。1,900円(税抜)です。ホームページからもダウンロードできるようになっていまして、それは先週の金曜日からダウンロードできます。

○原事務局長 わかりました。

≪2.消費者白書、消費者安全法に基づく国会報告について≫

○河上委員長 それでは、最初の議題に入りたいと思いますけれども、「消費者白書、消費者安全法に基づく国会報告について」ということであります。消費者庁におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。
 昨年8月に成立しました改正消費者基本法では、政府は毎年、消費者政策の実施の状況に関する報告書「消費者白書」を国会に提出しなければならないと規定されています。今般、法定白書としては記念すべき第1号となる白書を作成されたということですので、本日は、その概要について御報告をいただきたいと思います。
 また、消費者安全法第13条では、「内閣総理大臣は、行政機関・地方公共団体等からの通知により得た情報その他消費者事故等に関する情報が消費者安全の確保を図るために有効に活用されるよう迅速かつ的確に当該情報の集約及び分析を行い、その結果を取りまとめ、国会及び消費者委員会に報告する」とされています。このたび、平成24年10月から平成25年3月までの期間の分についての取りまとめを行ったということでございますので、本日はその概要についても御報告をいただきたいと思います。説明は、非常に短くて恐縮ですが、20分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○消費者庁村山消費者政策課長 それでは、白書と安全法の国会報告について、御説明させていただきます。
 消費者白書につきましては、今、御紹介いただきましたとおり、消費者基本法、これは去年改正されましたけれども、これに基づきまして消費者政策の実施の状況に関する報告書を国会に提出することが規定されています。これに基づきまして、今回は第1回目の白書として取りまとめました。先週6月21日に閣議決定の上、国会報告を行っております。
 内容といたしましては、「消費者政策の実施の状況(概要)」の目次を見ていただければと思います。先ほど、根拠法令を御紹介いたしましたが、「消費者政策の実施状況」、法律で決められている事項ですけれども、こちらを第2部と位置づけております。これに加えまして、消費者問題の現状と課題を第1部にわかりやすくまとめてお示ししております。また、目次に書いてありますように、コラム欄を設けて、話題性のある事項を掘り下げて記述するなどの工夫をしております。
 今、ちょっと御紹介を始めましたけれども、第1部の中では、「第1章 消費者を取り巻く社会経済情勢と消費者行動・意識」ということで、消費者問題の背景についてお示ししております。第2章は「高齢者の消費者トラブル」という特集。第3章は「消費者問題の動向」ということで、高齢者に限らず消費者問題全般に関しまして、その概況等を御紹介しております。第4章は、「消費者政策の展開」ということで、消費者政策の基本的な枠組みと、ここ1、2年の消費者政策の主な進展の状況をお示ししております。
 それでは、第1部の内容を中心に簡単に御紹介させていただきたいと思います。
 第1部は2ページからになりますけれども、「消費者を取り巻く社会経済情勢」ということで、消費者を取り巻く情勢について幾つか紹介しております。概要では、2ページには高齢化、3ページにはインターネットの利用を掲げておりますけれども、白書本体には、サービス化の進展、国際化の進展というのもあわせて御紹介しております。
 2ページ、高齢化の進展のところでは、いわゆる高齢化率が2010年には20%強、今後50年後には40%まで上昇する見通しですけれども、いずれにせよ高齢化が着実に進展しているという状況が示されております。
 3ページは、「インターネットを利用した取引が大きく増加」ということで、世帯当たりのインターネットを利用した消費支出の額が、この10年間で4倍程度に増加しているという状況を示しております。
 また、この白書を作成するに当たりまして、消費者庁で独自に消費者の意識調査をしておりまして、消費者白書の中でも断片的に利用しているところであります。
 4~7ページまでは、商品・サービスの購入に当たって基本的な姿勢について聞いてみた、その結果を御紹介しております。
 8ページ以降が、特集としております「第2章 高齢者の消費者トラブル」に関してであります。8~10ページの3ページにわたりまして、高齢者の置かれている、特に消費の観点から指摘できる状況といたしまして、お金の不安、孤独の不安、健康の不安という3つの不安について紹介しています。8ページにつきましてはお金の不安ということで、高齢者の置かれている経済的な状況は、貯蓄残高は高いわけですが、増える状況にはない。退職後の生活が中心になりますので、収入に関しても減少するという状況になっているということであります。
 9ページ、「孤独の不安」と言われますが、困ったときに頼れる人がいないという状況にある人、これは、特に男性ひとり暮らしの方で例えば20%ぐらいを占めるなど、大都市や男性の単身者でそういった方々が多くなっているという状況が示されています。
 10ページは「健康の不安」ですけれども、高齢者に優先的にお金を使いたい支出分野を聞いてみるところ、旅行など自分の楽しみ、あるいは子どもやお孫さんのための支出などといったことよりも、自分の健康維持や医療介護のための支出に関する関心が高いという現状が見られます。
 11ページから高齢者の消費者トラブルの実態を示しています。11ページをごらんいただきますと、高齢者からの消費生活相談の状況が書いてありますけれども、この6年間ほどの推移を見ますと3割増程度になっている。これは、65歳以上の人口の伸びに比べても高くなっているという状況が示されています。
 他方、65歳未満の方の相談は減っているという現状でありまして、消費生活相談の対象は、65歳以上の方からの相談が増加しているという現状が見てとれます。
 その内容ですけれども、13ページ、14ページをごらんいただければと思います。消費者トラブルに遭った高齢者に、そのトラブルの端緒といいますか、購入形態を聞いてみたところ、最近、電話勧誘販売というのが増えている現状が見てとれます。2012年度を見ますと、訪問販売を上回って電話勧誘販売の比率が19.5%になっております。
 14ページは、消費生活相談1件当たりの平均金額を見たものですけれども、平均契約購入金額ベースで見ても、平均既支払額ベースで見ても10年前の2倍になっている。高額化をしているという状況が見られます。この平均金額の高額化というのは、先ほど見ていただいた量の面で相談が増えているというものに比べまして、こちらのほうは内容という意味で1件当たりの金額が高額化になっているということで、トラブルの深刻化をあらわす一つの指標と考えられます。
 同様に16ページをごらんいただければと思いますけれども、こちらは、いわゆる二次被害に関する相談が増加しているという状況です。高齢者に限らないベースでの二次被害の状況というのは、この10年間で長期的にはやや減少している傾向にありますけれども、高齢者だけに限って見ますと、この2~3年でそれ以前の3~4倍に増えている。また、1件当たりの規模も高額化しているという状況が見てとれます。
 17ページは最近の急増しているトラブルの内容ですけれども、いわゆる健康食品の送り付け商法というものが2012年度に急増しているという状況が見て取れます。また、このうち高齢者が大半を占めているという状況です。
 19ページ、20ページは、高齢者の消費者トラブルに関して、一旦トラブルが起こったときに、事後的な対応ということでどうなっているかということですけれども、周囲の方から消費生活相談につながれることが多くなっている。あるいは、消費生活相談に限らず、20ページになりますが、事業者との交渉なり、その他の相談窓口も含めて、対応するのは周囲の方々が多いという状況で、高齢者のトラブルに関しては、御本人だけではなく、周囲の方々のサポート、目配りが必要だということがうかがえる状況です。
 22ページからは第3章ということで、「消費者問題の動向」になりますが、こちらは、高齢者に限らず全般的な消費者事故等の状況について御紹介しております。
 22ページは、消費者安全法に基いて消費者庁に通知された消費者事故等の推移を示しております。全体としてはこの3年間で若干減少傾向にありまして、特に財産事案に関しては、このように減少している状況でございます。他方で、生命・身体事故に関しましては、2012年度は2011年度とほぼ横ばいのような状況になっております。
 23ページは、全国の消費生活センター等に寄せられました消費生活相談の状況です。2012年度は84万件程度になっております。24ページは、意識調査をもとに把握している数字でございますけれども、いわゆる生命・身体被害、あるいは金銭的な被害を受けた場合であって、被害を誰にも相談しなかった人の割合、これは泣き寝入りとも言われますけれども、約3割になっているという状況です。
 最近の消費者問題の中で幾つかトピックスがありますけれども、25ページは、いわゆる越境取引に関するトラブルです。越境取引というのは、海外の事業者と日本の消費者の間の取引ということになりますけれども、その取引の中で約1割がトラブルに遭遇しているという状況がわかりました。これも意識調査から把握できた内容です。消費者庁では、越境消費者センターというものを運営しておりまして、具体的なトラブルに関する処理、トラブルの把握などをしておりますので、その内容もあわせて御紹介をしております。
 31ページ以降は、こちらも増加傾向にありますが、最近のインターネットに関する消費者トラブルの幾つかの内容について、御紹介をしております。
 35ページは、訪問販売、電話勧誘販売に関して意識調査の結果をお示ししております。訪問販売、電話勧誘販売は一般的に行われている販売形態ですけれども、一部の悪質な事業者の不当な勧誘行為などを背景に、消費者の印象が悪くなっているという状況が浮かび上がっておりまして、消費者自身から、頼んでいない、心当たりがない訪問販売、電話勧誘について好意的ではない回答が得られています。
 36ページは、いわゆる押し買いに関して、消費者庁では特商法を改正して、規制をことし2月に導入いたしましたけれども、それ以前、この押し買いに関するトラブルが増加していたという状況をお示ししております。
 このほか、37ページ、38ページに若干紹介しておりますけれども、「東日本大震災に関する消費生活相談」の内容等を書いております。
 第4章、39ページからになりますけれども、「消費者政策の基本的な枠組み」を御紹介しているほか、41ページでは、消費者政策の最近の主要な進展について御紹介しております。
 43ページに概要は紹介しておりますけれども、第2部といたしまして、平成24年度に実施した、関係府省も含めた施策の実績について記述しております。概要は、43ページにお示ししているような状況です。
 それから、先ほど御紹介しましたけれども、消費者白書には、コラムということで話題性のある事項を掘り下げて記述しております。44ページは、「高齢者の消費者被害-悪質商法被害を生み出す心理的なメカニズム」ということで外部有識者の方に執筆をしていただいておりまして、より個別のトピックスに関して専門的な視点から興味深い記述をいただいております。
 消費者政策の実施の状況、いわゆる消費者白書については以上でございます。
 それから、「消費者安全法に基づく国会報告について」ということですけれども、こちらは、先ほど委員長から御紹介いただきましたように、消費者安全法第13条の規定に基づきまして、消費者庁に通知された消費者事故等に関する情報の集約及び分析を行い、その結果を取りまとめているものでございます。これまで合計6回の報告を行ってまいりましたけれども、今回、第7回目の報告といたしまして、平成24年度下半期10月~3月までの期間のものについて、お示ししております。
 報告の内容に関しましては、こちらの概要をお目通しいただければと思いますけれども、重大事故等は昨年の同時期に比べて若干減少しています。内容といたしましては、火災に関する通知が大半ですが、件数自体は減少している状況です。他方で乗合バス等の事故等の件数が増加しているという状況です。
 重大事故等を除く消費者事故等のうち、生命身体事故等に関しては若干増加しておりますけれども、財産事案に関しては減少しております。生命身体事故等のうち、食中毒、あるいは携帯型空間除菌剤による事故が増加している一方で、財産事案に関しては、金融・保険サービスが中長期的に減少傾向にあるという状況です。
 安全法に基づく国会報告の内容につきましては、先ほど御紹介いたしました消費者白書の第3章にも重なる記述がかなりございます。そちらでもあわせて御紹介をしているという状況でございます。
 簡単ですけれども、私からの説明は以上とさせていただきます。

○河上委員長 ありがとうございました。
 それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。
 山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 説明、ありがとうございました。短期間のうちによくまとめられたなと思います。特に今の消費者トラブルの実情については、多くの表を使ってわかりやすく説明されているので、現状を把握するという意味では有意義なものになったかと思います。
 ただ、正直言いまして、ゲラの段階で見せていただいて残念に思ったし、今も残念に思っているのは、前の国民生活白書と違って、消費者庁というのは、消費者政策、特に消費者のトラブル等を抑止し、また、違反事案については自ら摘発するという権限を持った役所なわけです。そういうところが出す白書なわけですから、単に現象的に高齢者の消費者トラブルが深刻な実態にありますと言うのにとどまらず、そういう現状を踏まえて、消費者庁として、あるいは政府としてどういう方策を考えているのかという具体的改善策をやはりある程度示していただきたかったと思います。
 資料の68ページ以下に、高齢者への働きかけと相談体制の強化、それから、被害救済の強化ということが書いてあるのですが、非常に抽象的なことが簡単に書いてあるだけ。それから、施策の方針ということで書いてありますが、2013年度、集中的に取り組んでいきますと書いてありますが、では、どういう方向でやっていくのかということについては全く触れられていないわけです。去年、アクションプランをまとめられたので、せめてそのことぐらい書いてあるのかなと思ったら、特にそこも書かれていなかったように思います。
 今の高齢者の深刻な実態を考えますと、消費者委員会としては、例えば特商法の指定権利制の廃止を検討して、いわゆる権利的なもの、投資的なもので被害をもたらすというようなことについて、より機敏、かつ摘発しやすい体制にしてはどうかということを考えて議論しているところですが、もう少し高齢者対策について、来年は啓発に努めますというだけではない、具体的な対策の提示があってほしいと思いました。
 それはインターネットについても同じでありまして、短縮版には残念ながら出ていませんが、本編の97ページには、電子商取引に関する消費者相談が大きく増加ということで、2010年度には17万8,899件の相談があると書いてあります。つまり、今、インターネットに関する相談がPIO-NETの相談の中では一番多いのです。そういう深刻な事態にあるということは表でわかりやすく書いてありますが、どうすればいいのかということが書かれていない。
 これは、高齢者対策以上に一筋縄ではいかない問題で、そう簡単ではないというのは重々承知の上で申し上げるのですが、どういう方向で消費者庁はインターネットによる被害の抑止を考えていらっしゃるのかというのは、余り出てこない。ここは、場合によってはプロバイダ責任制限法を改正して、誰が発信してこういうトラブルを起こしているのかということを認知しやすくするとか、あるいはインターネットによる取引について、欺瞞的な広告にやられた場合であれば取消権を認めるとか、いろいろ対策はありようがあると思います。なかなか庁としては書きにくい部分はあるかと思いますが、対策を、少なくとも今やっていることぐらいのことはもう少し書き込んでもよかったのではないかと思いました。
 消費者委員会については、本編124ページ以下に、これまで出した建議についてリストアップして説明いただいているのですが、例えば提言の項目だけでも11本なのですから、挙げていただくとか、事前に御相談いただければ、もう少しいいものがつくれたのではないかと思いました。
 公共料金の適正化のための施策について、これは本編の189ページ、190ページ辺りに出ていますが、消費者にとっては、公共料金、電気料金の問題はかなり深刻、かつ影響の大きい問題だったと思いますが、比較的さっぱりと書かれていまして、もう少し書き込んでいただいてもよかったのかなと思いました。
 今さら言っても遅いのですが、来年またつくるときに、できるだけ、現象を評価するだけではなく、対策の方向も示す工夫をしていただければというのが総体的な印象です。

○河上委員長 村山課長から何かありますか。

○消費者庁村山消費者政策課長 今、幾つかいただいたうちの前半の部分は、恐らく、状況だけではなく対策も示したほうがいいのではないかということ、後半の部分は、具体的に消費者委員会や公共料金について、もう少し書き込んだほうがいいのではないかということだと思います。
 前半のほうですけれども、白書の役割といたしましては、恐らく対策というよりも、今の状況を、ファクト、事実として、できる限り数値を使いながらお示しすることが第一義的な役割かと思っております。ことしの統計も、この分野は余りないので非常に苦労するところでありますけれども、統計も使い、それで足りないところは当方でも意識調査をして、自らそういう数字をつくりながら御紹介したところであります。
 対策に関しては、ほかの法律的な対応とか、基本計画とか、そういうもので対応すべきかと思いますけれども、その中間といいますか、山口委員のお言葉で言いますと、その方向性みたいなことが何か示せないかということではないかなと思います。そこは我々としても、できるだけ、今の問題がこういうものであるということをお示しする中で、なるべく浮かび上がるようにというところまで考えながら編集の工夫をしていくのではないかと考えております。
 例えばことしで言いますと、高齢者の問題にしても、量が増えていることもありますけれども、その内容が深刻になっているというところまで御紹介しておりますし、個別の記述の中でも、その具体的な例において、高齢者の弱みにつけ込むようなことをしている。そういうことも御紹介しておりますので、それに関する政策対応も一定程度我々はやっておりますので、その関係などもある種整合的になっているのではないかと考えながらまとめていったところであります。
 それから、消費者委員会に関する記述、公共料金に関する記述など、御指摘いただきましたので、来年以降、編集する際の参考にさせていただければと考えております。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

○山口委員長代理 今、よく言われているのは、高齢者が1,300兆円の金融資産を持っているというわけです。これがタンスに眠っているので、金融市場に適切にこれが供出されて日本の経済の活性化に使われれば、非常に有意義だということが言われている。私もそれは総論としては賛成ですけれども、問題は、それを一つのスローガンにして、健全な金融市場にお年寄りのお金が吸い込まれればそれはそれでいいのですが、どうも健全ではない方向にどんどん吸い取られて、それが歪んだ社会をつくる一つの材料になってしまっているという、大変残念な現象があると思います。
 ですから、方向を示すというときに、消費者が安心して暮らせる社会といいますか、あるいは、そういう社会を目指すときにどうすればいいのかという、その辺が一つの方向として見えてくるようなものであればありがたい。要するに、PIO-NET、その他の情報を駆使すれば、一体どのぐらいの被害が相談として出ているのかとか、国センのデータだけ掛け算しても恐らく数百億円になると思うのですが、それは恐らく被害のごく一部ですから、それこそ兆の単位の歪んだ部分経済が展開されている現実があると思います。消費者政策を積極的にやることによって、市場の健全化といいますか、経済の活性化にもつながるという視点の指摘もあったらもっとよかったなと思いました。
 昨年も同じような議論があって、一体幾らの被害が出ているのかということは数値化しにくいというお話がありましたが、警察庁などは、それぞれ幾らぐらいの業者が幾らぐらいの売上を上げていた業者で、摘発した事件にはどれだけの経済規模があるのかということを比較的上手に出してあります。その辺は、経済学者と協力して出すというのはとても有意義なことだと思うので、お考えいただければと思います。

○河上委員長 先ほど村山課長がおっしゃった、ファクトといいますか、事実のとらえ方なのでしょうけれども、現象としてこういう状況があるという事実と、その事実が一体どういう原因で発生しているのかということ。それから、現在の消費者政策がどこまで進んでいて、まだ改善が必要なところがこういうところにあるというようなことも、これもファクトと言えばファクトなので、私としても、白書の中で、分析を少し掘り下げて対応策についても書き込んでいくという姿勢はあったほうがいいのかなという気がします。
 もう一つ、伺いたかったのは、ただいま御報告いただいた白書と事故情報の分析、取りまとめの結果報告の役割分担といいますか、両者はどういうふうな関係に立つのかということです。かなり重なっている部分があることは確かなので、その辺はどういうふうにお考えなのかということを教えてください。

○消費者庁村山消費者政策課長 まず、山口委員長代理からの御指摘の一つですけれども、白書の75ページ、76ページですが、PIO-NETに寄せられた相談に関する経済的な規模というのは紹介しております。既支払額で言いますと2,000億円程度になっておりますし、1件当たりの相談件数というのも、76ページですが、この10年間で倍増以上になっているという状況のようです。ただ、それに関連する数値の充実化というのは、消費者行政の中で若干欠けている部分、あるいは数値自体が存在していない部分でありますので、そこは課題だと認識しておりまして、来年の白書などに向けて消費者庁としても取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、高齢者の方向性ということですけれども、先ほど御指摘いただきましたように、現在、対応の状況というのもまとめております。62ページから書いてありますが、ここで我々なりに考えておりましたのは、事業者への働きかけ、それから消費者への働きかけというのがあります。トラブルが起こってはほしくないわけですけれども、なるべくトラブルが起こらないようにという事前の働きかけも重要ですし、事後的な対応も重要です。消費者行政というのは、その4つの面に限らないでしょうけれども、ざっくりそういうふうに分けて、すべての面において対応していくことが恐らく必要だろうと思いますし、例えば委員会の中での議論というのも、どこにおいてまだまだ不足しているのか、あるいは一定程度対応したのか、という議論もあり得るのではないかと思っております。高齢者の消費者トラブルは、「これをやれば」という特効薬は余りないのではないかということは、現場の方々からもよく聞かれるところですし、そういう意味では総合的に対応が必要なのではないかと考えております。
 ただ、この白書で若干触れましたけれども、二次被害が多い、電話勧誘を端緒としたものが多いということもありますので、その点に関しましては、消費者庁として、実験的に高齢者二次被害対策モデル事業というのを今年度推進しているところであります。
 それから、委員長から御指摘のありました重複感の問題ですけれども、今回、法律を受けて作成してみたところ、似たような内容のものが2つできてしまったという状況になっておりまして、情報提供のやり方としては若干わかりにくいということになっております。この両者を整理いたしまして、よりわかりやすく皆様の期待に応えられるような内容にしてまいりたいと検討しております。

○河上委員長 報告書は、一本化するとか、そういうこともあるのですか。

○消費者庁村山消費者政策課長 そういう議論もいただいております。今までの安全法の国会報告というものが、消費者事故の情報だけではなく、それを法律的には求められていましたけれども、政策の実施状況というのも、消費者庁に限ってですけれども、入れておりまして、ややミニ白書のようになっておりました。ただ、今回、消費者白書ができてしまったものですから、ミニ白書ということで、それには至らないといいますか、やや不足感があるものになっている感は否めませんので、御指摘いただきました一本化ということも、視野に入れながら検討してまいりたいと考えております。

○河上委員長 ほかにはよろしいでしょうか。
 小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 白書というものの性格は何の目的かというところ次第かと思いますが、消費者政策は大変広いので、総覧をするという意味もあるのですが、せっかくですので、消費者にわかりやすくして、今後、できるだけよい方向へということを目指すべきかと思います。以前、原文で見たところに比べてカラーになっているので、少し読みやすくなったと思いますが、ただ、文章がややダラダラというところもまだあるかと思います。
 公共料金のところですが、145ページと189ページ、190ページのところに分かれています。公共料金の扱いというのは今までそれほど重視されていなかったのが、東電の問題からかなりクローズアップされて、まさに消費者がこの決定のあり方にどう関与していくかというところがかなり大きな問題になってきていると思います。やや淡白というか、145ページの図のところで、「総括原価方式とは」という説明とか、非常に淡々とした感じですが、もう少し踏み込みがあってもよいかというのが山口委員長代理の発言にもあったところだと思います。190ページなどは結構空いているので、ここにさらに公共料金についての記述があってよかったのではないかなどと思います。
 今年はこういうことでつくられたということですので、白書の目的をどうとらえるかというところももう一度再吟味しながら、また、来年に向けて御検討いただければと思います。

○河上委員長 お返事はいいですね。

○小幡委員 はい。

○河上委員長 それでは、ただいまの消費者庁からの報告を受けまして、当委員会としての意見を取りまとめたいと思います。資料を配付させてください。

追加資料配付)

○河上委員長 委員会に対して報告をいただくことが法定されているということで、これに対して委員会が意見を申し上げること自体は必ずしも必須ではないのですけれども、これまでも、御報告いただいたものに対して一定の意見表明をしてきたということがございますので、この段階で委員会としての意見をまとめさせていただきます。
 意見案ですが、夏目委員から説明をお願いできればと思います。

○夏目委員 それでは、「消費者白書」及び「消費者安全法に基づく国会報告」への消費者委員会の意見を申し上げたいと存じます。
 まず、お手元の追加資料でございますけれども、前段に書かれております根拠法令につきましては、最初に説明がありましたので、省かせていただきます。
 最後の段落でございますけれども、第1回目の白書、そして7回目の国会報告につきまして、消費者問題の現状と課題、消費者政策の実施状況、消費者の安全を確保する上で重要かつ有益な情報等を体系的に、わかりやすく発信することを目的に作成されるものでありまして、その内容については当委員会も大変高い関心を持っております。今後、さらに両報告の内容を充実し、有効活用を図っていくための課題について、「記」以降に書きましたとおり、意見を述べさせていただきます。したがいまして、消費者庁におかれましては、今後、下記の事項を十分留意した上で、両報告の企画・立案、取りまとめに当たっていただくよう期待いたします。
 記のところでございますけれども、大きく3つに分けてございます。まず最初が、消費者白書について、2つ目が国会報告について、4ページに、消費者白書と国会報告の関係の整理についてという、この3つに大きく分けております。
 では、1ページに戻りまして、「消費者白書について」でございます。まず、(1)でございますけれども、消費者白書の役割等につきましては、今、十分に議論をしたところでございます。第1部に高齢者の消費者トラブルを特集したことは時宜を得たものであると評価いたします。
 この内容につきましても、先ほど、委員長代理等御意見がありましたとおりでございますので、今後は、より具体的に政策を記述していただければと思っております。
 また、掲載ページでございますけれども、委員会の中でも意見を既に出しておりますが、高齢者の消費者トラブルというのは国民の関心が高い事項でございますので、特集ページを組むのであれば、やはり白書の冒頭に掲載したほうが国民にとってアピール性が高いのではないかと考えております。今後、編集上の工夫を検討していただきたいと思います。先日、この白書が報告されましたときにメディアが取り上げていましたけれども、すぐに特集のことをおっしゃっていました。ですから、白書の書き方、いろいろあろうかと思いますけれども、次回以降、是非御検討いただければというふうに思います。
 2ページにまいりまして、(2)でございます。消費者政策における重要課題を体系的に解説するという観点からは、最近の消費者政策において重要性や注目度が特に高まっているにもかかわらず、記述が不十分であったり、言及されていない課題も散見されますということで、先ほど、公共料金問題については御意見を出したところでございます。そのほかに、例えばビッグデータビジネスの普及に伴う個人情報保護の在り方等、こういった問題が挙げられます。スペースや時間的な制約上、優先順位をつけざるを得ない面もありますけれども、その時々における重要かつ国民の関心が高い課題につきましては、機動的かつ柔軟に検討テーマとして取り上げていただくよう御留意いただきたいと思います。
 (3)でございます。今回の消費者白書は、PIO-NETに登録された消費生活相談情報や消費者庁に寄せられた事故関連情報、「消費者意識基本調査」等を駆使して、消費者問題の現状をおおむね的確にとらえていると思います。消費者をめぐる課題を多面的に明らかにし、政策の方向性を提示していただくためには、より幅広いデータや事例等を活用しつつ、さらに掘り下げた分析を行うことが必要です。
 特に、消費生活相談情報に基づく調査・分析を行う刊行物としては、国民生活センターによる「消費生活年報」等も存在いたします。これらとある程度差別化を図るためにも、消費者白書においては、より幅広い政策立案に役立つ情報収集や消費者政策の重要性をアピールするような分析に重点を置いた内容となるよう努めていただきたいと考えます。
 (4)第1部第4章の「消費者政策の展開」におきましては、消費者行政を担う各機関の役割や意義、各機関等の関係等について、より丁寧な解説を行うことが望まれます。また、消費者政策の主な進展に関する節については、これも意見を先ほど出しましたけれども、当委員会の建議・提言等における指摘事項や、それを受けてどのように措置を講じたのかについてもあわせて明記していただくことを要望いたします。
 なお、消費生活センターをはじめとする各種相談窓口の信頼度・認知度に関する調査結果(図表4-1-2)におきまして、約8割の消費者が消費生活センターを認知しているのに対して、信頼度が約12%。非常に乖離があるわけです。この点も、次回の白書に向けて、設問の在り方を含めて、要因分析、消費者からの信頼度を向上するための方策について検討していただきたいと思います。
 (5)でございます。第2部の政策編ですけれども、消費者基本法の規定に基づいて、消費者政策の実施の状況について報告することを目的としたものでありますけれども、その趣旨に反しない範囲で、できるだけ読みやすい内容とする工夫をしていただきたいと思います。
 また、当該部分は消費者基本計画の検証・評価・監視を実施する際の基礎資料にもなるものであることから、単に政策の実施状況の平板な記述にとどまらず、政策の成果や今後の課題等が明らかになるような内容としていただくことを期待しております。
 (6)でございます。今般の消費者白書の内容につきましては、できるだけ多くの国民の知るところになるように、さまざまな媒体・ルートを通じまして、積極的な広報を図っていただいて、日本の消費者政策について、国民だけではなく、海外への情報発信を強化するためにも、例えば英語版等を作成して周知に努めていただくことも要望してまいりたいと思います。
 2つ目の国会報告でございます。(1)ですけれども、消費者安全法に基づく国会報告は、事故関連情報の取りまとめ結果をもとに、社会全体として消費者安全の確保が図られるよう、収集・分析した情報が、消費者はもとより、事業者・地方公共団体等に幅広くかつ積極的に活用され、消費者事故の未然・拡大防止に向けた取組みを促すことを目的としています。収集された情報について、消費者庁がどのように対応し、事故防止につなげようとしたのか、あるいはつなげたのか、そのプロセスをわかりやすく説明し、透明性を確保することも目的の一つであると考えます。
 このため、当委員会は、国会報告の取りまとめに当たって重視されるべき基本的視点として、マル1 情報の一元化と社会的共有、マル2 わかりやすく使いやすい分類、マル3 原因究明結果と事故防止のための対応措置についての情報提供、の3項目を提示し、国会報告の公表にあわせて、今後改善を図るべき点や新たな課題等について意見を述べてきました。
 これまでに当委員会が行った指摘等を踏まえ、国会報告の内容に一定の改善が図られたことについては評価しておりますけれども、例えば以下のような点については依然として課題を残しておりますので、今後、改善を図るための方策を引き続き検討していただきたいということで、5点を挙げさせていただきました。
 まず、重大事故の発生日から消費者庁の通知受理日までの期間の短縮化を図ること。
 消費者安全法に基づく「重大事故等」や消費生活用製品安全法に基づく「重大製品事故」等、情報入手ルートごとの公表項目の整合化を図り、重複を極力排除すること。
 「事故内容」や「商品・サービス」等に係る分類をより分かりやすいものとすること。
 事故発生要因や必要な対応策についての分析・情報提供を強化すること。
 事故関連情報に関するデータの蓄積を活用して、事故発生件数等の時系列的な変化に着目した分析や対応策の立案を強化すること。
 こういったものを引き続き検討していただきたいと思います。
 (2)でございます。現在、消費者庁は、各種のルートから入手される膨大な量の事故関連情報を処理することに大きな労力を費やしていらっしゃいますけれども、上記のような課題に対処するためには、報告内容や収集・集計手法の合理化・標準化等を通じて、分析目的に合った質の高いデータを迅速に作成していくことが必要となります。このため、消費者庁におかれましては、これまでの業務を通じて蓄積した経験・ノウハウや他の先進的な業務統計の事例等も参考にしつつ、当該作業をより効率的かつ効果的に実施するための方策について、十分に検討していただきたいと考えております。
 最後に3つ目でございます。消費者白書と消費者安全法に基づく国会報告の関係の整理について、これも先ほど少し意見が交わされました。消費者白書が提示されましたが、今まで作成されておりました国会報告と内容がかなり重複する部分がございます。一本化という話も出たわけでございますけれども、消費者政策の実施状況や消費者事故等に関する情報提供は極めて重要でありますから、関係を、例えば一本化、合冊化を検討するときには、以下の事項に十分留意されることを要望するということで、2点挙げております。
 まず、一つ目は、消費者政策が直面するさまざまな課題についてさらに掘り下げた分析を行い、消費者等への注意喚起や政策立案等に役立つ有益な情報の発信強化に努めること。
 収集・分析した事故関連情報については、消費者庁のホームページ上などへ適時適切に更新するとともに、必要に応じて消費者等に対する注意喚起情報の発出を機動的に行うなど、万全の対応を図ること、ということでございます。
 最後に、別紙として、国会報告の記載内容で、そこに掲げました内容につきまして具体的に指摘させていただきましたので、今後、参考にして改善を図っていただければと思います。
 以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
 ただいまの意見案について、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。特によろしいですか。
 それでは、この意見案については皆様の御了解をいただきましたので、消費者委員会の意見として取りまとめることといたします。
 消費者庁におかれましては、この意見を参考にしていただいて、今後、関係する施策などに反映されるように御検討いただければありがたいと思います。
 では、この追加資料の「案」をとっていただいて、6月25日という日付を入れて、意見を発出したいと思います。どうもありがとうございました。
 消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪3.消費者の財産被害に係る行政手法研究会報告書について≫

○河上委員長 続きまして、「消費者の財産被害に係る行政手法研究会報告書について」であります。消費者庁におかれましては、お忙しいところを御出席いただき、まことにありがとうございます。
 消費者庁は、マル1 財産に対する重大な被害の発生・拡大防止のための行政措置、マル2 行政による経済的不利益賦課制度及びマル3 財産の隠匿・散逸防止策について検討するために、消費者の財産被害に係る行政手法研究会を平成23年10月に設置いたしました。3つの検討課題のうち、マル1 財産に対する重大な被害の発生・拡大防止のための行政措置の論点につきましては、平成23年12月に報告書を取りまとめ、本委員会にも御報告をいただきました。この取りまとめを踏まえて、平成24年8月に消費者安全法の一部を改正する法律案が成立し、本年4月に施行されました。残るマル2 行政による経済的不利益賦課制度及びマル3 財産の隠匿・散逸防止策の論点についても、その後14回にわたって研究会で検討され、今般、その結果を取りまとめたと伺っております。本日は、その報告書の概要について御説明をいただき、意見交換を行いたいと思います。
 それでは、消費者庁より御説明をお願いいたしますが、説明時間は20分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いします。

○消費者庁松本消費者制度課企画官 消費者庁消費者制度課企画官の松本です。よろしくお願いいたします。
 今、委員長に御紹介をいただきましたように、消費者の財産被害に係る行政手法研究会のもとでの検討が取りまとめられまして、6月14日、その中身を公表いたしました。その内容につきまして御説明を申し上げたいと思います。報告書と、その概要をA3の紙でお配りしているかと思います。本日は時間の関係もございますので、A3の1枚紙のほうで概要を説明させていただきたいと思います。
 この研究会におきましては、手法の研究ということで、お集まりいただいた委員の皆様に幅広な議論をしていただいたところです。その中で、特に経済的不利益賦課制度について、また、財産の隠匿・散逸防止策について、集中して議論をいただいたところです。
 この検討結果につきましては、その目的ないし役割から、大きく分けて4つの項目に分類されるだろうと思います。左側にその項目を緑色の字で4つ書いてございます。1つ目は「行政による早期対応について」、2つ目は「被害発生を防止するための方法」、3つ目は「事業者の財産を保全するための方法」、4つ目として「消費者の被害を救済するための方法」となっています。
 1つ目の行政による早期対応です。こちらは基本的な事項ですが、まずは被害が発生しないほうがいい。未然防止に万全を期すことは当然でございますけれども、一旦被害が発生してしまうということになりますと、仮に問題のある事業者が行った場合等につきましては被害の回復が困難な場合が多い。一旦発生してしまった問題につきましては、これを早期に拡大を防止する、あるいは再発の防止に取り組んでいくことが必要になってきます。
 研究会の場におきましても、消費生活相談の現場におられる委員の方から御意見をいただきましたが、消費者の声、問題というものをいち早く取り上げていくことが重要になってくる。そのための方法として、まず一つは情報を早期に把握していく必要があるというところです。相談員さんからの情報を直接的に消費者庁などに持ち込んでいただいて、そこで検討を早期に進めていくため、端緒情報の把握を早くすることについての御指摘がございました。また、情報を受け付けた後、この情報を分析し、問題があるのかどうか把握していくわけですが、この分析もやはり迅速にしていかなければならないということです。
 情報の量が多く来たからそれが問題だということではなくて、その情報の質に応じて、問題かどうかという点を分析していくという点が挙げられるところです。その分析をもとに情報収集、証拠収集を速やかに行っていくということで、それを迅速な行政措置等に結びつけていくというところです。
 各段階におきましてそれぞれ時間を要していては、最終的な対応が遅くなりますので、各段階における実施の所要期間を短縮化していくことによって、最終的に早期の拡大・再発防止に結びつけていくことの大切さが指摘されたところです。
 また、事業者に自らの事業の説明を行わせ、論理的・具体的な説明がない、説明要求に応じないといった形のときも、これを行政措置、行政処分に結びつけていくことができないかという点の御指摘もいただいたところです。
 これが1点目です。
 2点目以降につきましては、新たな制度・手法を含むところでして、それぞれ参考になる制度、制度の意義、課題という形で整理をしていただいたものです。その中の被害発生の防止のための方法としまして、研究会で具体的に議論がなされたのは賦課金制度というものです。これは、行政が、事業者に対して違反行為を抑止・防止するために、金銭的な納付を命じるというものです。現在の法律におきましても、例えば独占禁止法、金融商品取引法のもとで課徴金制度というものがございます。こうした手法、制度を消費者の被害にも活用できないかということです。
 問題行為を行う事業者につきましては、例えば問題行為を行っても手元に経済的利得が残るのであれば、それが違反行為を更に続けるインセンティブになり得る観点から、事業者のもとに残るであろういわゆるやり得、これを防ぐ必要がある。インセンティブを失わせて、こうした被害が発生するような行為を防止するところに、この制度的意義が認められるところです。
 一方、研究会でこの制度についての課題として挙げられた点としましては、この賦課金制度、金銭的な納付の制度が、ほかの制度と比べて違反を抑止する観点からより有効であるかどうかというものです。例えば刑事罰、直罰の規定を置くこととの比較、あるいは他の行政的な手法、業務停止命令ですとか、そうしたものとの関連の検討が必要だろうということが挙げられております。
 制度の在り方の点につきましては、こうした賦課金を課す事案をどのように設定するか、絞り込むかという点がございました。例えば不当表示の観点で申し上げれば、一旦措置命令を行った事業者が再び違反をすることにつきましては、命令件数として少数であるといった観点がございます。また、金銭的な賦課に関して、金額の設定をどうするのかといった観点ですとか、金銭を課した後にそれを消費者(被害者)の側に配分していくことの考え方、民事上の請求権との関係ですとか、執行への影響などについての課題も挙げられたところです。これが不当表示事案に関しての点です。
 不当表示事案以外の行為についても議論をいただいたところですが、それぞれ現段階においての新たな措置としての賦課金制度についての必要性という点については、今後の検証を見るべきではないかという検討課題が示されたところです。
 続きまして、事業者の財産を保全するための方法です。こちらは、問題行為が起きたときに実際に被害に遭われた消費者の方が、自らの手元に財産的なものを回復するための方法として検討されたものです。2点ございます。1点目が供託命令制度です。具体的には、例えば消費者庁が、消費者に発生した損害、被害額を認定しまして、事業者に対してその相当額の供託を命じるというものです。現行の法体系の中には、銀行法あるいは保険業法の中で、事業者に対して供託を行政が命じるという制度はございます。
 こうした制度の良い点は、事業者が実際に消費者と争う際に、被害者の側としては、仮に財産保全を申し立てようとしますと保全すべき財産を特定する必要がある。あるいは、一定の担保を立てる必要が生じてまいりますが、これを行政が行うことによってそうした必要がなくなるのではないかというところに意義が認められるということです。
 一方、課題として挙げられました点は、現在の法体系で認められているのは、監督官庁が監督している事業者に対して供託を命じるというものが存在しておりますが、監督官庁ではない消費者庁がこうした供託を命令することができるのか。また、その根拠がどこに見出されるかといった点が挙げられております。また、実効性の確保という点も挙げられています。
 もう一つの財産の保全の方法ですが、破産手続開始の申立てについての御検討もいただきました。本来的には債権者なり本人が破産を申し立てることになりますが、これを代わって行政が行うというものです。現行法制としましては、金融機関の更生特例法ということで、金融の監督をする官庁が金融機関に対して破産手続開始を申し立てるという制度はございます。この制度を用いれば事業者の財産の散逸が防止されるのではないか、その中から被害の回復が図られるのではないかという点がございます。また、二次的な効果ですが、社会的に有害な事業活動も停止することができるのではないかということが挙げられています。
 一方、課題として挙げられましたのは、消費者庁が事業者を存在させなくなるということで、その生殺与奪を決めることが適当なのか。また現在、監督官庁を除いて破産手続開始の申立てというものがない中で、消費者庁がこうした権限を持つことのバランスをどう考えるかなどの点が挙げられています。
 次に、消費者の被害を救済するための方法として、大きく2点ほど、御議論をいただきました。
 1点目は、行政が事業者に対して被害金額の返還を命じる制度です。参考となる制度としましては、特定商取引法のもとで、債務の履行を拒否した事業者に対して履行を命じる指示を出せるという規定がございます。その中で債務の履行を求めていく。債務の内容としまして、例えば取引をした商品の返品・返金に応じるようなものがあれば、それを債務の履行として返品・返金に応じるよう求めていく。結果的には原状回復と同じような効果がここで得られるのではないか、というものです。例えば、この4月、改正法が施行されました消費者安全法の勧告・命令という行政処分の中で、こうした債務の履行を求めていく方法が考えられるのではないか、というのが指摘として挙げられています。
 こちらの制度の課題としましては、対象となる事案が限定されてくるのではないか。まさに債務化しているということ、その履行を命ずるという観点から、一定の約束事になっている必要があるということもございます。また、こうした命令をしっかり効果的に効かせる実効性の部分をどういうふうにしていけばいいのか、ということも挙げられたところです。
 もう一つの直接的な被害救済の方法としまして、行政が裁判所に対して、行為の差止め、財産の保全、被害の回復、違法な収益の吐き出し、これを命ずるように申し立てるという制度についてのものです。これは参考としましては、いわゆるインジャンクション、そのもとのディスゴージメント、そうしたアメリカで見られるような裁判所が命じるという形の制度がございます。制度の意義としましては、被害者への返還がこの制度を通じて可能になっていく。また、裁判所を介すということで手続保障の観点も図られるというものです。
 一方、課題としましては、行政が裁判所に申立てを言っていく過程におきまして、個別の消費者からの授権のない中で公益の代表として申し立てることができるのかどうかといった観点ですとか、実務的に被害額の特定、被害範囲の認定の部分をどうしていくのか、というものが挙げられたところです。
 こうしたそれぞれの手法・制度について整理をしていただいたもとで、最終的なまとめとしましては、消費者庁において、この報告書の内容に基づいて、今後、被害の状況、執行の状況を踏まえた上で具体的な法的手当を念頭に置きつつ、更なる検討を進めていく。その上で具体的に導入すべき制度・手法の検討を深めて、最終的には優先順位の高いものから、早期に必要な法整備が着実に進められることを期待するということでまとめられています。
 この報告書を受けて消費者庁としましては、各制度・手法について、それぞれ意義、課題を詳細に明確に整理していただきましたので、この報告書を、今後の消費者庁が検討を行う上でのベースとして取り組んでいきたいと考えているところです。
 以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。
 それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
 山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 説明、ありがとうございました。私も、この行政手法研究会を何回か傍聴させていただきました。一時はどうなることやらと心配したのですが、一応、こういう制度があるということでの取りまとめになって最悪の事態は免れたのではないかと思いますが、ただ、最後に松本企画官がおっしゃったように、今後の具体的なスケジュールといいますか、どれをどう優先してどうするかという、これからの具体的な執行の方法が全然見えていないわけです。ですから、あれやこれや考えてみて、こういうのも考えられるけれども、でも、いろいろ問題もあるねということを言ったところにとどまっていると、悪く言えば言えなくもない。ここでとどまっていてはしょうがないわけですから、是非、具体的な優先課題をつけて具体的な作業に入っていただきたいと思います。
 ただ、残念ながら、訴訟制度があした終了する通常国会で採択という見通しではなさそうなので、制度課としてはほかの仕事もたくさんある中で、この手法の優先課題があるものについて、具体的な法律案をつくっていくというスタッフがいるのかどうか心配でしょうがないのですが、その辺のスタッフの確保も含めて是非やっていただきたいと思います。
 私自身は、前から再三申し上げていますが、課徴金制度と消費者庁による破産手続の開始申立てはすぐでも実現するべきだし、できるのではないかと思います。これは是非お願いしたいと思います。課徴金制度については、ここにも書いてありますように、平成20年の景表法改正法案、これは当時、公正取引委員会でしたが、そこが1回法案を出しているわけです。当時は競争法で、今は消費者保護法ということになっているわけですけれども、だからということでそんなに難しく考える必要はないわけでして、右側の課題のところにも書いてありますが、20年法案では、売上額の3%、対象は売上額1億円以上という事案について、一定の要件を絞って課徴金を課すというふうに枠組みをつくっていたわけで、そこの枠であれば比較的すぐにでも法案化できるのではないかと思います。
 問題は、この法案をつくって誰がどう執行するかということですけれども、表示対策課のほうで、研究会では不幸にも亡くなりました神宮司審議官が、こういう制度ができると、景表法で今までは違反の表面だけ調査して摘発すればよかったのが、摘発した上で、一体この業者がどれだけの売上を出しているのかとか、業務の中身まで踏みこんで調査しなければいけなくなるので、仕事が増えて大変なんだ、摘発件数が減りますよということを率直におっしゃっていました。最初はそうかもしれないけれども、景表法違反の事案がはびこっている現実はあるわけで、そのやり得を許さないためにも、一日も早くこの制度をつくって景表法は守らなければいけない。守らないと大変なことになるということを、業者に周知徹底する必要があると思います。いつまでたっても、例えば産地偽装がなくならないという事態は、やめなさいと言われて、舌を出して偽装表示を是正して終わりというのでは、やはりやり得がおさまらないと思うので、これは是非、一日も早く実現してほしいと思います。
 破産申立てについても、高齢者をだます詐欺的投資勧誘の業者というのは、いわゆる逃げ足が速い、あるいはヒットエンドラン型と言われていますけれども、結局やり得で、お年寄りや消費者から数十億円をだまし取って、行政処分されて終わりというので、被害救済に全くならないわけです。ですから、やはり可能な事案については破産申立てをして、同時に保全をして公平な配分をする、そういう体制を早急にとっていただきたい。最初は監督官庁がない業者に限定することで構わないので、まずはこの制度をつくって始めるところからやってはどうでしょうか。
 人がいないという点はあるかもしれませんが、場合によっては弁護士や司法書士を非常勤で雇って、例えばA事件があったとしたら、裏側からこっそり5人か10人のやり手の若手の弁護士あるいは司法書士を集めて、チームを組んで破産申立てまでやる。破産管財人が出ればあとはバトンタッチすればいいわけです。そういう体制でもいいから、消費者安全法による調査権限がある程度ありますから、そういうものと連携した形でつくるというのはそう難しいことではないと思うので、この2つについてはタイムスケジュールをつくって実現していただきたい。もちろん、ほかの制度もいろいろあると思いますけれども、あれやこれやと議論するだけではいつまでたっても片づかないので、是非、優先課題をつくって、いつまでにということでやっていただきたいと思います。どうでしょうか。

○河上委員長 堀井課長、どうぞ。

○消費者庁堀井消費者制度課長 山口委員長代理から、具体的なアイデアも含めての御提案をいただきまして、ありがとうございます。今後の検討に活かせる部分は活かしていきたいと思います。あれやこれやとか、研究会は多岐にわたるテーマを扱っていて一時はどうなるかという御指摘もあったのですが、この研究会の前身の消費者庁の中でやっていた検討チームでは、その最終的な取りまとめの中で、すき間事案の対応という話を別にした内容としては、具体的な課徴金や破産手続開始申立てということが特記されて、引き続きの検討ということでされておりました。
 しかしながら、事務局に入ってきたいろいろな情報としても、消費者被害に対峙していく方法としてこれだけでいいのだろうか。もっと幅広く検討する必要があるのではないか、そういうお声もあったことから、この研究会では、非常に多岐な制度を外国のものも含めて俎上にのせて、ただ俎上にのせるだけではそれから先進みませんので、法的な論点も含めて議論をしていただいて詰めていただいたという部分があります。
 体制の話も心配していただいて非常に申しわけないのですが、ただ、先ほど松本企画官からも話があったように、それぞれの制度について、今の執行状況も含めて今後検討していこうと。そういうことを考えますと、この中で取り上げられた制度、今は課徴金の話で景表法の話が出ましたが、それ以外でも関係法令がいろいろございます。そういった意味で、制度課だけで抱えるということではなく、関係各課とも連携をとって、いかにうまく消費者庁の中でやっていけるかということも重要なのではないかと考えています。
 特にその中でということで、今、委員から課徴金等破産手続開始申立ての話が最後にありました。特に課徴金については、以前、独禁法の改正案で提出をされていたということを受けての御指摘だったのですが、その時々等含めて、冒頭お話があったように、訴訟の法案も衆議院で御審議をいただいています。その中で、仮差押えも含めた制度設計をしていて、やはり当時と今と比べて非常に状況が違っている。この研究会は手法について、課題や法的論点を詰めていただきましたが、具体的なそれぞれの要件論までは詰めていないという状況で、その要件論を考えるときも、昔の出していた要件ではむしろ狭すぎるのではないかという発想もあると思います。今の状況に合わせた形で、今後、要件も、執行状況も含めて考えていくことが我々に託されたものかというふうに考えておりますので、今、いただいた具体的なアドバイスも念頭に置きながら考えていきたいと思います。

○河上委員長 具体的なスケジュール感のようなものはあるのですか。

○消費者庁堀井消費者制度課長 今ここで、何月これ、何月これというところまでは詰めておりません。ただ、それぞれの項目について、どういった形でやっていくかということを中で考えているという状況でございます。

○河上委員長 小幡委員。

○小幡委員 山口委員長代理の言われたように幾つかの手法があるわけですが、この報告書は、さまざまな手法について、石橋を叩いて渡るように、こういう問題もある、あるいはこういう問題も出てくるかもしれないということを、一つひとつ丁寧に御指摘をされているということだと思います。基本的に立法するのであれば、もちろん法制局的にいろいろ詰めることはあるとは思いますが、ある方向の立法をすると決めればそこは結構いけるものですから、ここで問題点がいろいろ指摘されて、行政法学者、民訴法、倒産法とか、重鎮の先生方がそろって検討なさって、せっかく問題点をここで洗い出していただいているわけですから、あとは立法で思い切ってやるという世界になると思います。多少乱暴な言い方をすれば、あとは「やる気」の問題かなと思うので、せっかくこれだけの報告書を出して課題は見えている。技術的な問題点としての指摘は慎重になされていると思いますので、是非実現させていただきたいと思います。
 破産の申立権も、調査権をどうするかという話が書かれていますが、これもやはり立法すればよいわけなので、慎重にしなければならない問題点があることはもう洗い出されているので、あとは立法で解決していくということでやっていただければと思います。

○河上委員長 松本企画官から、何かございますか。

○消費者庁松本消費者制度課企画官 御指摘、ありがとうございます。研究会の中では、さまざまな立場の方から、さまざまな観点からの議論、御指摘をいただいて、その凝縮された中身がこの研究会の報告書になっているかと思います。ただ、御指摘のように、課題としてはかなり明確にしていただいたところがございますので、いかにこの課題を乗り越えていくかという部分が重要だと思っております。その点では、我々もそうした認識のもとに、今後、取り組んでいきたいと思っております。

○河上委員長 先ほど、やる気の問題だということがありました。課徴金制度というのも、課題が書いてあるけれども課題というほどのものではないですね。例えば、より有効な手段かどうか、さらに検討とか言うけれども、ほかの手段と併用すれば済むだけの話です。ですから、いろいろ議論をしていくときりがない。100点でなくても、70点、80点でよしとして、立法にとりかかることが大切です。逆に、やり始めると別の課題も出てきます。足踏みしているだけではなくて、ということなのだと思います。消費者委員会としても、お手伝いできるところはいくらでもお手伝いしたいと思いますので、是非頑張っていただければと思います。
 ほかにはどうですか。よろしいですか。
 まずはということで、消費者の財産被害に係る手続の研究会で、深刻な財産被害の発生・拡大の防止、救済を目的に検討をずっと重ねてこられて、今回、報告書として取りまとめられたことに対しては、小早川先生をはじめ研究会の委員の皆さんの御尽力、特に消費者庁の御努力に対して敬意を表したいと思います。
 高齢化が進展する中で、先ほども消費者白書の中で話が出ましたが、日本では、悪質商法によって高齢者が食い物にされて深刻な財産被害が発生している現状があるわけです。そうした中で、きょう御説明いただいた、行政による早期対応といいますか、賦課金制度、供託命令制度、被害金額の返還等を命じる制度といったものはかなり効果のある重要な制度と思われます。その意味では非常に重要な試み、提案と認識しているところであります。今後、この報告書を受けて消費者庁でさらに検討するということですけれども、今回、整理された課題、また、被害状況や現行法令の執行状況などを十分に踏まえていただいて、効果的な制度、仕組みとなるように、早急に、法制度設計を具体的に検討していただくことを期待したいと思います。
 山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 この機会しか言うところはないかもしれませんので、具体的な事例をちょっと申し上げます。私が本当に破産申立制度が必要だと痛感していますのは、委員になって間もないころに起きたアフリカントラストという事案があります。あの事案は、私自身も8,000万円取られたおばあちゃんの代理人をしましたけれども、少なくとも数百人から百億円以上の資金を集めている事案です。これは破産申立てすべきだと私は弁護士として思いましたので、若手の弁護士に声をかけたのです。弁護団をつくって破産申立てして保全しようと。
 ところが、若手の弁護士が何を言ったかというと、いや、先生、これは破産申立てをしても費用倒れになりますと。つまり、破産申立てをする以上、被害者に、被害弁護団をつくって手続を行うから集まって下さいと声をかけるわけです。そうすると、例えば1人、3万円でも5万円でも10万円でも出していただかなければいけない。3万円、5万円、10万円を被害者から出していただいて、1,000万円のファンドをつくって破産申立てしたときに、空っぽだったら、「何をやっているんだ」ということになるわけです。要するに保全はしてみたけれども何も取れなかったら、弁護士はうそをついたということになりかねないのです。そういう事案については動くべきではないと若手の弁護士から言われまして、歯ぎしりをしました。
 私は当時、消費者庁の羽藤審議官と話をしました。羽藤審議官も本当に悔しいねということで、審議官としては消費者庁ができる最大限のこととして、アフリカントラストの社長を呼びつけて、どういうことをやっているのか回答せよということで回答を求めたのです。しかし、通り一遍の本当に簡単な回答しかなかった。しかし、消費者庁としては当時、それ以上のことをする権限がないということでそれ以上のことができなかったし、被害弁護団もできなかった。そのときに、予納金があればなと。予納金があれば、消費者に、「取れるかどうかわかりませんけれども、やりませんか」というようなことは言わなくて済んだ。
 ただ、この種の問題は、例えば今、私はMRIの事件にかかわっていますけれども、これは、そのときの痛苦な反省を踏まえて、取れるかどうかわからないけれども、やるしかないということでかかわることにしたのですが、やはり被害者の発想としては、破産申立てをした場合、自分が着手金を払った場合と払わない場合で、どっちが得なんですかと聞くのです。原則、払っても払わなくても破産手続になれば戻ってくる額は一緒なのです。ということは、被害者としては3万円、5万円を弁護団に払ったらその分損になるのではないですか、ということになるわけです。弁護士としては、あなたが5万円、3万円を払わなければ事態は何も動かないんだ。みんなで一緒に5万円、3万円を出し合ってファンドをつくって、破産申立てをして頑張りましょうとしか言いようがないわけです。ですが、被害者から見れば、1,000万円、2,000万円をだまし取られてスッテンテンになっている。その中で、弁護団に3万円、5万円でも払う金がないとか、払った人と払わない人、様子見の人とどれが得なのだろうかと思ったら、払わないほうがいいやという発想になるわけです。
 だからこそ、破産申立てに適した事案は、消費者庁が予算を組んで申立てぐらいまではしていただくことが必要なのではないか。これは、弁護士としての社会的使命という観点からすると、もっとやらなければいけないと思うことは多いのですが、今、現実に問題になっている安愚楽牧場の予納金は3,000万円、4,000万円です。これを被害弁護団としてどうやって集めるかというのは途方に暮れるわけです。あの事件の場合には幸いファンドができましたが、そういうことを考えますと、これはもちろん、ほかの制度の関係もあるけれども、消費者庁が、破産申立てまではやるということに適した事案については、一日も早くそういう制度をつくって、ヒットエンドラン型の悪質な事業者のやり得は許さないという枠組みはつくっていただく必要があるのではないかと思います。是非、そういう点も含めて一日も早い具体化をお願いします。

○河上委員長 金融庁は破産申立権を持っているのでしょう。

○山口委員長代理 金融庁は更生特例法があって、金融商品取引業者に対しては破産申立権限があります。

○河上委員長 同じ発想で消費者庁ができないのですかね。

○山口委員長代理 金融庁の場合は、金融商品取引業者に対して特別に破産申立権限を有するという一定の枠組みがあるのですけれども、消費者庁の場合はそういう監督権限がない。

○河上委員長 相手が広いからということですか。

○山口委員長代理 そういうことです。

○小幡委員 そこのところを立法すればよいということですね。監督官庁がやれるのではないかという議論はありますが、すき間事案であればどうか。今は、明確に監督官庁がないような場合は難しいので、消費者庁に調査もやってもらえるように立法しなければいけないということだと思います。

○河上委員長 今の山口委員長代理の話だと、金融庁のほうは、対象が特定していてある程度はっきりしているから、むしろこういう申立権を認めやすいということですね。

○山口委員長代理 そういうことです。

○河上委員長 消費者庁になるとそれ以外全部という話になるので、というところが問題なのですか。

○山口委員長代理 ただ、消安法で、大量被害についてということで一定の枠組みはできていますから、その枠組みの対象について、破産申立権限をもってそこで執行していくというのは、第2段階、第3段階として比較的可能だと思うのです。

○消費者庁堀井消費者制度課長 更生特例法で金融機関が破産手続開始申立てを認められているのは、金融庁だけではなくて、例えば農協ですと農水省とか、労金だと厚生労働省とかあると思いますが、結局、ふだんその業を監督していて、業の実態もよくわかっていると。そういうバックグラウンドはあるのではないかと思います。
 消費者庁の場合、例えば安全法のすき間、多数消費者財産被害事態みたいなものも研究会の議論の場で出たのですが、消費者庁は常にそこを監督しているわけではないので、そこがそういう状況に陥っているのではないか、要は債務超過などに陥っているのではないかというのを調査したり、どういうデータを持ってそれを立証していくのか、というところは議論になっていたと記憶しています。

○小幡委員 先ほどお話しした、調査権限がないのにできるのかという話だと思いますが、被害の最初の情報を得た段階で、広がる前に速やかに動く、そこで調査をかけるということになろうかと思うのです。そこは、調査権限についても立法しなければいけないのではないかと思います。

○消費者庁堀井消費者制度課長 今の委員の御指摘、まさに大事なところだと思いますが、ある程度調査をした上で動く。動いて証明しなければいけないことが、本当に立証が必要なものだと、その分ちゃんと調査をしなければいけないと。しかしながら、消費者被害の場合は、なるべく早く動いて押さえていかないと被害が拡大するという問題意識が、やはり研究会の中でもあって、例えばここの上のほうにありますが、ちゃんとした立証がない場合については、それをみなして一定の場合に動くとか、そういう御議論もされました。ですから、ベーシックな問題意識は、研究会の議論と共有をされている内容だというふうに拝聴していて思いました。

○山口委員長代理 今回、消費者安全法の40条で事業者に対する勧告・命令権限が付与されました。しかも、45条で報告・立入調査権限も付与されました。しかも、PIO-NETで一定の情報を集めることができるわけです。私自身、資料集の37ページにあるジーオーグループの被害弁護団をやりました。消費者の皆さんに集まっていただいて破産申立てをしました。
 そこでつくづく思ったのは、国センの方から、あるいは消費生活センターの相談員の方から、「前から怪しいと思っていたのよね」と。ジーオーなどは200件ぐらい相談件数がたまっていたのです。ですが、具体的な決断ができなかった。そういう中で余りにも露骨なパフォーマンスがあって、我々としても放っておけないし、警察としても放っておけないというところで、被害弁護団で各方面に相談してXデーに破産申立と保全を申し立てたという事案です。これは、明らかに今の体制があれば、国センのPIO-NETのデータがちゃんとフォローされていれば、とっくに破産申し立てできた事案。あるいは、少なくとも47条なり40条の勧告・命令ができた事案です。
 そういう意味ではすき間事案。つまり、ジーオーなんていうのはどこの監督官庁もありません。しかしながら、PIO-NETには200件も同じような相談が来ていたわけです。年12%の高利回りを標榜していて、元本の償還期限が来ているけれども、配当金も何も払われていない、どうしてだろうかという相談が200件から来ていたわけです。そういう事案だったら、さっとやればいいというふうに思うのです。そういう意味では今後も同じような事案が起こりかねないと思いますので、是非お願いしたいと思います。

○消費者庁堀井消費者制度課長 破産手続開始申立ての話ではないのですが、この研究会の本体の4ページに、「(2)端緒情報の分析」という項目があります。被害情報が量的に蓄積してそれを待っていたのでは、なかなか迅速な対応ができないというところがあると思いますので、年齢層とか、取引の対応とか、いろいろなものを見て適切な判断をというのは研究会の中でも求められています。こういう部分は、いろいろな形で運用を積み重ねていくことが、一つ、方向性として示されているというふうに考えています。

○河上委員長 あとは、運用でまた頑張っていくということだと思うんですね。

○消費者庁堀井消費者制度課長 その部分もあると思います。

○河上委員長 どうもありがとうございました。課題はいろいろあるけれどもということで、ひとまずは土台になる報告書が出されたということで、今後、しっかりと具体的に検討を進めていっていただければと思います。
 消費者庁におかれましては、お忙しいところを審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪4.公益通報者保護制度について≫

○河上委員長 続きまして、「公益通報者保護制度について」であります。
 また消費者庁にお願いいたしますけれども、お忙しいところをありがとうございます。
 消費者委員会では、公益通報者保護法附則第2条を受け、委員会のもとに設置された公益通報者保護専門調査会が平成23年2月に取りまとめた報告書を踏まえて、同年3月に、「公益通報者保護制度の見直しについての意見」を発出しております。この意見では、制度の周知・啓発、運用の充実などについて早急に検討を行うことを求めて、特に、法や通報処理制度の実態の把握に関する事項については、法の運用・適用、遵守状況を含め充実した調査を行うことを求めておりました。
 本日は、その意見を受けて、消費者庁が実施された実態調査の結果について御説明をいただいて、意見交換を行いたいと思います。
 それでは、消費者庁から御説明をお願いいたします。説明時間は、20分ですが、できるだけ早めにお願いできればと思います。

○消費者庁堀井消費者制度課長 背景は、今、委員長が御説明してくださったとおりですので、ポイントだけをかいつまんで御説明をします。
 報告書の冊子を御参照いただければと思います。基本的には消費者委員会専門調査会からいただいた御指摘、オーダーをアンケート調査で調べて、かつ、ヒアリングなどで補ったという状況でございますが、まず、報告書の3ページをお開きいただければと思います。「法の認知度」ということになっています。詳細は省きますが、事業者全体では61.5%が法を認知ということで、業種によっても、金融・保険業などは高いですが、散らばりがあるという状況でございます。
 4ページは、労働者全体の認知度ということで、3割が法を認知していたという状況で、消費者庁としては、この認知度はもっと普及させていく必要があろうかと考えています。
 8ページをお開きいただければと思います。これは、事業者と労働者双方に、制度が身近になるために必要なことを聞いたものです。まず事業者は、そもそも制度の周知の徹底が66.2%という高い割合になっています。労務提供先と労働者との間の信頼関係の形成、社会の中で公益通報が有益であるという意識の醸成、この割合も一定程度高くなっているのが事業者です。
 次の9ページが労働者ですが、項目としては労働者も同じで、一番高いのは制度の周知徹底という状況になっています。
 次に、10ページです。事業者が、自分の企業で内部通報制度をどれだけ導入しているかということです。公益通報者保護法については具体的に民事ルールを定めていますので、中小企業であっても大企業であっても、不利益な取扱いをしてはいけないということになるわけですが、例えば就業規則などで明示をして内部通報制度を導入していただくことが重要です。しかしながら、10ページのマル1ですが、全体では46.3%が導入ということで、大企業のほうがその割合が高いという結果になっています。次の11ページの下の(2)のところで、通報窓口をどこに置いているかという割合ですが、これはやや意外な感じもあるのですが、社内だけではなく、社内・社外いずれにも設置しているという割合が55.5%と、最も高くなったという状況でございます。
 次に、ちょっと飛びまして、18ページをお開きいただければと思います。内部通報制度を導入していない企業にその理由を聞いたところ、どのような制度なのかそもそもわからないという企業が4割ほどいた。さらに、どのようにして導入したらいいかわからないというのが3割ということで、基礎的なところが周知されていなくて導入されていない状況になっているのではないかと考えています。つまり、導入する時点でこういうベーシックなところが周知をされていなくて、一つハードルがあるということなのではないかと思っています。
 19ページ、(8)のマル1のところです。では、内部通報制度の導入に当たって一体どういう情報が必要ですかと尋ねたところ、そもそも基本的な情報がほしいというのが60.7%、次いで、マニュアルや具体例、より具体的な内容が知りたいという割合が高くなっていました。
 次に、20ページです。通報者の範囲。これは、法改正の議論ということで専門調査会で議論していただいたときにも、関連の議論があったと思いますが、それぞれの企業が既に導入している内部通報制度で、どういう人を対象者としていますかということです。労働者、正社員、契約社員、パート、アルバイト、派遣社員、これ以外にも、取締役が45.3%、グループ企業の従業員41.4%、取引先20.6%、退職者18.8%など、自社の内部通報制度ではこういうところまで拡張して対象にしているという割合が多く見られました。また、対象を限定していませんという割合も9.8%という状況でございます。
 22ページ、匿名の通報。これも、受け付けていますというところが7割ぐらいで、一方で、22ページのマル2、労働者に実名・匿名のいずれで通報しますかと聞いたところ、匿名が7割。労働者側が通報する場合は、やはり匿名を選ぶ方が多いという状況になっています。
 この辺りの事情は、信頼関係といったところが多いのではないかと推測されるのですが、28ページをお開きいただければと思います。実際に通報した方に不利益な取扱いを受けたかどうかという御経験を聞きました。全体として3,000人ぐらいに調査の票をまいたのですが、42名の方が「通報した」「相談した」という回答者です。この中で実際に、解雇、不利益取扱いということで、「受けたことがない」という方が約60%、24人で最も多かったのですが、一方で、不利益を受けたという方が20%、解雇されたという方が7%という割合でした。もともとの分母の数が少ないのですけれども、やはりこういう方はいるということで、不利益な取扱いでも本当にひどい嫌がらせとか、そういうケースの方もいらっしゃるのではないかと思います。
 29ページです。これは、実際にどういう内容の通報を受け付けていますかと事業者の方に聞いた内容ですが、公益通報者保護法の対象範囲の割合が59.2%と最も多かったです。しかしながら、企業倫理、会社秩序・服務規律違反、こういったものについても対象としている割合が高くなっていました。
 (2)ですが、実際にどんな通報が寄せられましたかというところですが、人間関係という内容が最も高く、次いで人事労務関係、職場環境という内容で、法令違反ということで聞いた項目は4.5%と低くなっている状況でございます。
 ちょっと飛びますが、36ページをお開きいただければと思います。これは、専門調査会の中で指摘を受けた事項の関連です。なぜそもそも労働関係法令違反に関する公益通報が多いのかというところを、参考ということで別途まとめてみました。背景事情としては、そもそも労働関係法令違反の公益通報が94%ぐらいを占めております。その他の法令違反についての公益通報は6%ということで、ほとんど労働関係法令違反に関する公益通報ではないかということが専門調査会でも指摘をされたところです。
 推測にすぎないのですが、2以下のデータからその要因を推測をしてみました。まず、2の(1)ですが、そもそも民間事業者の通報の割合を見てみますと、人事労務・職場環境など労働条件、労働に関するものが多くなっています。
 (2)は、通報の動機ということで、自分自身の利益を挙げる方の割合も一定程度いました。消費者被害を防止するという割合も6割といたのですが、自分自身の利益という方も2割弱いた。その横に小さい字で括弧書きのところ、これはヒアリング調査で補足した内容ですが、ある通報受付専門会社の方から聞きますと、「通報の動機としては、社内の不正の告発というよりも、パワハラなど自己の利益にかかわることを契機とするものが多いようです」という印象を述べられていました。このようなことから、労働関係法令違反は通報者自らの権利利益に直接かかわることが多いので、通報しようという動機が働きやすいということが推測できるのではないかというのが一点です。
 その下の3のところで、これは若干技術的なニュアンスもあるのですけれども、そもそも匿名の通報は、調査をするとき、公益通報ということでカウントされないということがあります。先ほどごらんいただいたように、実名よりも匿名で通報をするという労働者の割合のほうが多かった。一方で、例えば労働時間、賃金の問題、こういうのを受け付ける労働基準監督署では基本的に実名で受けるという形になっているようです。これらを加味すると、公益通報としてカウントされる実名通報、これは労働関係のものが多くなっているということがあるのではないかというふうに推測を立ててみました。
 37ページ以降はヒアリングをした内容ということで、これもかなり大部にわたりますので、消費者委員会や専門調査会で御議論いただいた内容ですとか、そういったことに関連するところを幾つか紹介したいと思います。
 まず、37ページの1の(1)の「企業・行政機関へのヒアリング結果」の下に「導入の経緯等」とあります。その1つ目をごらんいただきたいのですが、これは、個人的には問題意識は非常にわかるのですけれども、ここの企業については不祥事がそもそも通報を契機として発覚した。売上が激減してこのままでは倒産するという状況になって、そこでコンプライアンス推進のために内部通報制度を導入した。そのときのおかげで、今、非常にコンプライアンスの活動として定着したというふうなコメントがあります。
 40ページをごらんいただきたいと思います。その他のヒアリング結果があります。これは、ある通報受付専門会社に聞いたものなのですが、公益通報制度に対しては、積極的な事業者と消極的な事業者と大きく二極化している。これはこの会社のコメントですが、事業者の規模による差というよりは、大企業であっても事業者によって温度差が非常にあるのではないか、規制などによって守られてきた業界などは取組に消極的なのではないか、というふうな御指摘があったようでございます。
 また、運用上の課題なども41ページ以下で聞いていますが、42ページは、人員・ノウハウ不足による負担があるという指摘がなされています。特に、次の43ページ、上から3つ目の御指摘で、いろいろな内容がごちゃまぜになっているような通報・相談も少なくないので、一朝一夕に通報・相談への対応ができるということではない。したがって、体制を維持してどうスキルの向上を図っていくかというのがポイントだということをおっしゃっていました。
 その下の、「運用の充実、経営陣の意識」というところの3つ目にありますが、有識者の方の御意見です。大企業の多くは既に制度自体は設けている。要はその運用なんだという御指摘でございます。トップ自身が悪事に手を染めている場合は効果はない。そうなると、通報者、労働者は追い込まれていくのではないかという印象があります。
 最後に、下から2つ目のコメントです。「企業も行政機関も窓口は設けているが、担当者に理解がないため、通報がきちんと処理されず、通報した人がかえって二次的被害を受けるという実例が多いというのが実感」とあります。後ろのほうに労働者の方のヒアリングで、特に外部に通報したりマスコミに通報した方の御意見などを伺うと、内部通報をしたけれども、その初動対応が十分ではなかったということがあって、これではだめだということで、外部の機関に言ったという事案もあります。
 次の44ページですが、中小企業のところで下の2つです。公益通報者保護法及びその制度そのものを知らない、周知もやっていない。そもそも内部通報制度を設けていない一番の理由は、どういう制度なのか知識がないと。これは、先ほどのアンケートの調査結果とも符号するところです。ここだけを見てみても、中小企業は、制度の中身とか、そういう基本的なところがわからなくて導入すらされていないという、一つの大きいハードルがある。2つ目のハードルは運用のハードルです。制度を設けているけれども、設けましたというところで終わっていて、実際にそれがちゃんとした初動対応につながっていない。そういう問題があるのではないかということが透けて見えるところがあります。
 導入しない企業としては、45ページで、いろいろな理由はあると思うのですが、「メリット、必要性を感じない」ということを明言されているところがございます。46ページの真ん中ぐらい、「必要性は認めるが支障がある」というところですが、そもそも45ページのところは、「メリット、必要性を感じない」という状況でございます。
 49ページですが、対象範囲をどう設定するかというところで、ここもアンケートのみならずヒアリングで補足しようということで、退職者、取締役などからの通報を受けているかどうかという御意見を聞きました。詳細は省きますが、企業によっても、大企業によっても、受けている・受けていないということで、両方分かれているという状況でございます。
 同様に52ページですが、「受け付けている通報内容の範囲」。これも企業によってまちまちで、この辺りは、運用ですとか、制度の周知、この制度をどう使っていこうかというところに関わるかと思っています。
 さらには、54ページのところで、行政機関が十分に対応してくれなかったということも指摘としてあります。
 時間の関係があるので少し飛ばそうと思うのですが、68ページをごらんいただければと思います。これは、公益通報についての相談窓口の御紹介で、弁護士会では相談窓口を設置していて、消費者庁が協賛しているということもあります。
 また、消費者庁の相談窓口もあります。相談ダイヤルと言っていますが、年間平均約1,000件程度の相談があって、具体的にどんなものがあるかというのを紹介させていただいています。国民の方、労働者の方、行政機関の方、事業者の方などいろいろな方から、法の解釈などについてのご相談が多くなっていますが、具体的内容としましては、事業者からは、匿名の通報にどう対応したらいいか、こういう形での通報は対象となり得るのか、そういう御質問。労働者の方からも、事業者の内部への通報を先にしなくてはならないのかとか、そういう意味でベーシックな法律についての問い合わせがあります。一部、消費者庁では対応が難しい個別の事案についてのお問い合わせもありますが、そういったものについては、適切な相談・通報先をお伝えしているという状況でございます。
 75ページをお開きいただければと思います。こちらは、今回の調査に付随して関連する裁判例などをピックアップしたものでございます。通報者の属性としては、一般労働者22件、退職者2件、取引先2件、役員兼従業員1件ということです。ただ、これは公益通報者保護法を引用している裁判例だけを抽出したものではありません。いろいろ内部通報に関するものということで判例をピックアップしています。さらには、一番最後のページで、個別労働紛争解決制度、これは労働局で行っているあっせん制度ですが、これについても、公益通報に関連する事例をピックアップしたという状況でございます。
 駆け足で恐縮ですが、説明は以上で終わらせていただきます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、御質問、御意見ございましたら、発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
 小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 この実態調査というのは、本格的になされたのは初めてですか。

○消費者庁堀井消費者制度課長 1ページと2ページに調査概要を書かせていただいていますが、ヒアリングは全く初めてです。アンケートの項目は、基本的に経年でとらなければいけないものに加えて、消費者委員会の御指摘などもにらんで、少し調査票を変えて行っています。

○小幡委員 ありがとうございました。公益通報者保護制度を日本で導入して、当初から、日本的な風土に合うのかとか、そういう声もあったわけですが、現実にどのような受け止められ方をしているかという意味から、この調査はとても貴重な調査だと思います。今後、この制度をより適切な形で運用していくための参考として大変大事だと思いますが、使われ方について二極化しているという指摘がありましたが、普通に考えれば、大企業はコンプライアンスに対する対応が整っているので、公益通報者保護制度もよく知られていて浸透しているのではないか。逆に、小さなところは、そうでもないのかなというのがイメージとしてあったのですが、必ずしもそうでもないということなのですか。

○消費者庁堀井消費者制度課長 通報受付専門会社の方のコメントはそう書いてあって、私もこれはやや意外な感じがしました。ここから先は、これから具体的に分析をしなければいけないと思っていますが、大企業は制度の導入割合や周知度は確実に高いので、場合によっては、制度はつくりましたと。ただ、その制度の運用が実際に適切に回っているかどうかということかなという気がします。実際、大企業の方のヒアリングで、うちは通報制度はつくっているけれども、最近、通報件数が減っている。これは、従業員に対する周知が足りないのではないかという反省をされている大企業の方もいらっしゃるので、もしかしたらそういうことなのかもしれないというふうに推測しました。

○小幡委員 もう一点です。労務関係というところが多いのは、皆さん御自分の企業内部の働き方については、利害関係というか、意識が非常に高いからということがあると思います。それはそれで大事なことだと思いますが、大企業でも、公益通報者保護によって初めて判明して、それで会社が立ち直ったという例があったという話もありましたように、もう少し公益全体に広がってこれが使われるというのが本来の姿かなと思います。これは感想です。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

○山口委員長代理 小幡委員からもお話があったように、大変有意義な、たくさんの人に知ってほしい調査報告だなと思いました。相談を受けていますと、本当にパワハラが増えていますし、ブラック企業がいろいろメディアでも言われていますけれども、労働基本法のイロハを知らない経営者が、辞めたい従業員を辞めさせてくれない、どうしたらいいのだろうと。そういう相談から、残業するのは当たり前、残業代金なんて目じゃないみたいな、そういう問題を含めて、労働法のイロハがわかっていないような経営者、あるいはわかっていても、知ったことかというところで、業績追求で走り回っている事業者が増えている問題というのは痛感いたします。もし可能であれば、よりこれを充実させて、例えば労政事務所辺りと連携して徹底していただくとありがたいと思いました。
 それから、消費者委員会自体も、きちっとした建議・提言あるいは報告ができていないところがあると思うので、なかなか難しいところはあると思いますが、内部通報者保護制度はたしか5年後見直しの対象にもあったと思います。その辺のことは我々消費者委員会にもはね返ってくる問題ではありますが、どういうことになりそうなのかも含めて。

○原事務局長 もともと、法律ができて5年後見直しを受けて、第1次の消費者委員会のもとに専門調査会を設けて検討していたということです。検討し始めて、頭の中には、いろいろと法律改正が必要な項目があるのではないかということは委員の方で言われる方がたくさんあって、退職者の方、申立ての範囲、法律の範囲ですとか、本当にきちんと保護者されているのかとか、たくさん法改正の意見は出ました。ただ、いかんせん、どれだけ世の中にこれが周知されていて、実際に制度がそれぞれの企業の中に入り込んで運用されていて、どういう不利益を被っているという実態があるのか、まず調査をしないと法改正の話まで行かないというので、実態調査をまずお願いしたいということで消費者庁にお願いをしていたということです。
 ですから、認知度というところでは非常に浮き彫りになったと思います。ただ、この制度を利用された方が、相変わらず不利益を被っていると回答されている方があったのは、全体から見ると少数の人たちですが、やはり何らかの手当てが要るのではないかと思います。もともと5年見直しをきっかけにして第1次で検討を開始していたというところは、補足で説明をつけ加えておきます。

○山口委員長代理 そうすると、委員会と庁でお互いに話し合ってやっていくしかないということですかね。

○原事務局長 第1次の委員会に商工会議所の方が入っておられて、商工会議所の範囲の中ではほとんど知られてもいないし、そういうものを導入していないというお話もあったのは事実です。

○河上委員長 堀井課長、どうぞ。

○消費者庁堀井消費者制度課長 内部通報をされて、家族も巻き込んで、仕事もなくなってというふうな、そういう悲惨な例というのは確かにあるようです。今日配らせていただいた薄いほうの資料の4ページに、消費者庁としては今回の調査結果を受けて、これに着手しようというものを書かせていただいています。
 周知とか、制度の導入というハードルを越えることに加えて、制度をつくった、形はつくったけれども運用がまちまちであって、しかも、初動体制が非常に悪く不幸な事態が発生しているということもあるので、そこの運用を改善するための検討をこれから始めようという形で考えています。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
 アンケートとか、ヒアリングとか、紛争事案の判例等について膨大な量の調査を実施していただいて、しかも、多くの事例を含む報告書をまとめられたことに、まずは感謝を申し上げたいと思います。これは大変貴重な報告書であろうと思います。調査を通じて、労働者に対する法制度の認知が進んでいないこととか、中小企業への法制度の認知とか、内部通報制度の導入が進んでいない、まちまちだということをおっしゃっていましたけれども、内部通報者制度の導入事業者の中でも取組み状況にかなり濃淡があることなどの課題が明らかになって、大変興味深く、これから何をしなくてはいけないかということが少しずつ明らかになってきているように思います。消費者庁におかれては、これらの課題についてさらなる検討を行うとされておりますから、今後の庁の取組みに期待したいと思います。
 消費者委員会も、これを精査させていただいて、調査で浮かび上がった課題への具体的な方策、例えば新聞や報道の活用によって周知を図るといったこと、それから、委員会として重要と考えられる新たな論点、例えば庁の相談ダイヤルに寄せられている情報の活用、個人情報の保護の問題などについて、後日、委員会として何らかの形で意見を表明することも検討してみたいと考えております。
 消費者庁におかれましては、お忙しい中を審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

≪5.その他≫

○河上委員長 続きまして、議題の「その他」といたしまして、消費者契約法に関する調査作業チームの第16回の会合(4月15日)、第17回会合(5月20日)がそれぞれ開催され、その議事のポイント等についてまとめた議事要旨について、御紹介させていただきます。資料5と資料6です。
 資料5ですけれども、消費者契約法に関する調査作業チームは、同法の実体法の部分、つまり、消費者がどういう権利を持ち、どういう義務を負うかという、実体的な法律の内容についての見直しをやってまいりました。しかし、それとは別に、差止訴訟といった訴訟形態が新たに導入されたことによって、実体法の部分にどういう影響が出てくるだろうかという問題があります。例えば差止めということになると、必然的に対象は個別の紛争ではなくて、複数の消費者相手の問題状況に対して不当条項が適用されることを差し止めるということになりますから、そこでの考慮要素は、個別事情ではなくて、抽象的な一般的な形で問題を定式化することになる。その辺りを実体法レベルでどういうふうに考えていったらいいかということについて、まず、最初の部分で検討したわけです。
 1ページあけていただきますと、国際消費者契約というのがあります。現在の日本の消費者契約法は、漠然と、日本の国内で事業者と消費者の間で取引が行われたことを前提にして、ルールが運用されることを想定してつくられています。ただ、実際問題として国境を越えて取引をする消費者はたくさんいます。例えば韓国なら韓国へ出かけていってそこで何か物を買って帰ってくるとか、あるいは、旅行で中国に行って役務の提供を受ける。消費者の国境を越えたいろいろな活動があるわけです。
 では、消費者契約法の中にある規定は、どこの範囲まで渉外的取引に適用が予定されているのか。消費者と言っても、日本に常居所を持っている日本人消費者と、外国人が日本に来て消費者として取引をしたときの問題も考えていくと、一般に国際私法と呼ばれる領域で考えられている法の適用関係、これについての規定が必要になるのではないか。少なくとも現状では不明確なままなので、それを検討するべきではないかということで議論をいたしました。
 同じ渉外問題ですけれども、国際的な裁判管轄、つまり、どの国の裁判所でその紛争の処理を行うかということも、日本の国境を越えて問題になる可能性がございます。その辺りについてもルール化が必要ではないかということで、実体法を支えるいろいろな制度についての議論をさせていただいたのが、16回目のものでございます。
 17回のほうはもっと広い射程を持った議論でして、消費者契約法は、事業者対消費者の取引を対象としている、かなり適用の広いものです。例えば、特定商取引法というのは、むしろ販売業者や業態を問題にして適用対象を定めていますけれども、消費者契約法はまさに当事者の属性だけで決まっている適用対象ですから、非常に広い。定義として消費者、事業者という概念がありますけれども、一体消費者とは何か、事業者とは何かということが限界線上では非常に怪しくなってきます。
 例えば、中小事業者と言われているけれども、実際の生活の中では消費者的な活動をしている人もおります。他方で、消費者であっても、ネット・オークションで物を売ったりすると、何十個も同じ物を売っている人のように、事業者的な活動をしていると言えそうです。人的適用範囲はどういうふうに考えていったらいいのか。できるだけ消費者契約法の精神をさまざまなところににじみ出させて、適用していくほうがいいのではないかという考え方が一方であると同時に、効果的に何か規制するのであれば、ワンポイントで射程を絞ってルールを立てたほうがいいのではないかといった議論もあります。
 いろいろな法律を見ていると、消費者対事業者というだけではなく、例えば特定顧客という言い方をしたり、特定投資家と言ってみたり、さまざまな呼び方で呼んでいるものがあります。そこで、消費者契約法の理念が適用できるであろう範囲について、全体としてああでもないこうでもないという話をしたわけです。基本的にはもう少し適用のスコープを広げていく手法が何か考えられないかということで、幾つかの案について議論をしてみました。諸外国の規定についての議論も参考にさせていただきました。
 もう一つ、この当事者について興味深いのは、事業者という概念が、法人、団体と結びついていることです。団体と言うと、特定の事業を遂行する人の集まりだという前提があるので、事業者になる。現行法では団体であればすぐに事業者ということになりますが、本当にそれでいいのか。この辺りも見直してみる必要はないか、という議論もいたしました。消費者契約法の射程をどこに限るかというのは、実体法のその効果が及ぶ範囲を決める問題ですから、これも考えておかないといけないということで、議論させていただきました。
 細かい話は省略いたしますけれども、話題としてはそういうことについて議論をしたものであります。
 雑駁な報告で申しわけありませんが、以上とさせていただきます。
 本日用意した議題は以上でございます。お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪6.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局から、今後の予定等について説明をお願いいたします。

○原事務局長 次回、7月9日(火曜日)に委員会を予定しております。
 議題については、確定次第、ホームページ等で御案内をいたします。
 それから、「消費者契約法シンポジウム」を、7月20日に東京の主婦会館プラザエフ、7月27日、どちらも土曜日ですが、大阪チサンホテル新大阪で開催する予定です。ホームページ上に案内を出しておりますので、是非、御参加いただければと思います。
 資料7といたしまして、「地方消費者委員会(第9回)」を金沢で開催いたします。7月26日(金曜日)の午後ということで、テーマは「消費者契約法の課題」ということで用意をしておりますので、こちらも是非、御紹介いただいて御参加いただければと思います。
 事務局からは以上です。

○河上委員長 予定しているものは全部、消費者契約法ばかりで、大変恐縮です。消費者委員会に対しても、消費者契約法見直しの全体像について、作業チームの活動内容を説明していただく機会を設けて、意見交換の場を持ちたいと考えております。また、そのときにはよろしくお願いいたします。
 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをどうもありがとうございました。

(以上)

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