第120回 消費者委員会 議事録

日時

2013年5月14日(火)16:00~19:08

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、川戸委員、田島委員、
 夏目委員、細川委員、村井委員、吉田委員
【説明者】
 総務省  玉田 総合通信基盤局消費者行政課長
 金融庁  鎌田 総務企画局市場課市場取引対応室長
総務企画局企画課担当者
 消費者庁  村山 消費者政策課長
後藤 消費者政策課財産被害対策室室長
山下 取引対策課長
取引対策課担当者
宗林 消費者安全課長
 国土交通省  山田 住宅局住宅生産課住宅瑕疵担保対策室長
青木 土地・建設産業局建設業課長
 法務省  佐藤 民事局商事課長
 日本弁護士連合会  大迫 消費者問題対策委員会委員
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.詐欺的投資勧誘対策について I
○説明者: 総務省  玉田 総合通信基盤局消費者行政課長
金融庁  鎌田 総務企画局市場課市場取引対応室長
総務企画局企画課担当者
消費者庁  村山 消費者政策課長
後藤 消費者政策課財産被害対策室長
山下 取引対策課長
取引対策課担当者
3.消費者基本計画の検証・評価・監視について
 (1) リコール情報の周知・徹底について(施策番号7関係)
○説明者: 消費者庁  宗林 消費者安全課長
村山 消費者政策課長
 (2) 住宅リフォームについて(施策番号55、56、104、117関係)
○説明者: 国土交通省  山田 住宅局住宅生産課住宅瑕疵担保対策室長
青木 土地・建設産業局建設業課長
4.詐欺的投資勧誘対策について II
○説明者: 法務省  佐藤 民事局商事課長
日本弁護士連合会  大迫 消費者問題対策委員会委員
5.預託法について
○説明者: 消費者庁  山下 取引対策課長
取引対策課担当者
6.その他
7.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:9KB)
【資料1】 詐欺的投資勧誘対策関連資料(総務省提出資料) 【資料2】 詐欺的投資勧誘対策関連資料(金融庁提出資料)(PDF形式:211KB)
【資料3】 詐欺的投資勧誘対策関連資料(消費者庁提出資料)(PDF形式:143KB)
【資料4】 消費者基本計画の検証・評価・監視に係る関係省庁ヒアリングの対象施策等(PDF形式:95KB)
【資料5】 リコール情報の周知・徹底関連資料(消費者庁提出資料) 【資料6】 住宅リフォーム関連資料(国土交通省提出資料)(PDF形式:404KB)
【資料7】 詐欺的投資勧誘対策関連資料(日本弁護士連合会提出資料)(PDF形式:130KB)
【資料8】 預託法関連資料(消費者庁提出資料) 【資料9】 特定保健用食品関連資料(PDF形式:39KB)
【資料10】 第8回地方消費者委員会(札幌)開催案内(PDF形式:291KB)
【参考資料】 委員間打合せ概要(PDF形式:58KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。
本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第120回)」会合を開催いたします。
本日は、所用によりまして、小幡委員が欠席、稲継委員が若干おくれて出席の予定になっております。
それでは、配付資料の確認を事務局からお願いします。

○原事務局長 配付資料ですけれども、一覧を議事次第と書かれた紙の裏側に載せております。
資料1が、詐欺的投資勧誘対策関連資料で、総務省から御提出いただいた資料です。枝番がついております。
資料2といたしまして、同様に詐欺的投資勧誘対策関連資料で、金融庁から御提出いただいた資料です。
資料3といたしまして、同様に詐欺的投資勧誘対策関連資料で、消費者庁からご提出いただいた資料です。
資料4といたしまして、「消費者基本計画の検証・評価・監視に係る関係省庁ヒアリングの対象施策」ということで、消費者基本計画の検証・評価・監視に係る関係省庁ヒアリングを考えておりますので、対象施策の資料をおつけしております。
資料5といたしまして、リコール情報の周知・徹底関連資料ということで、消費者庁から御提出いただいた資料です。
資料6が、住宅リフォームの関連資料で、国土交通省から御提出いただいた資料。
資料7といたしまして、詐欺的投資勧誘対策関連で日本弁護士連合会から御提出いただいた資料です。枝番がついております。
資料8といたしまして、預託法の関連の資料で、消費者庁から御提出いただいた資料。
資料9といたしまして、特定保健用食品の関連資料。
資料10といたしまして、前回も御案内いたしましたが、「第8回地方消費者委員会(札幌)」の開催案内。
参考資料といたしまして、この間、5月7日に委員間打合せを行っておりますので、その概要をおつけしております。
審議の途中で不足がございましたら、お申し出いただければと思います。
よろしくお願いいたします。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

≪2.詐欺的投資勧誘対策について I≫

○河上委員長 それでは、きょうは盛り沢山なのでてきぱきとやらないといけませんが、最初の議題は「詐欺的投資勧誘対策について」です。
本日は、時間の都合上、前半と後半の二部に分けての議論となります。第一に、電話関連の犯行ツールに対する取組み、第二に、関連法令の執行強化及び制度整備に関して、担当省庁から御説明をいただきたいと考えております。
初めのテーマは、電話関連の犯行ツールに関する取組みについてであります。総務省におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
詐欺的投資勧誘においては、犯行ツールとして、携帯電話、レンタル携帯電話、電話受付代行サービス、電話転送サービスなどが用いられておりまして、これらについては、携帯電話不正利用防止法や、本年4月に全面施行されました改正犯罪収益移転防止法により規制が行われています。本日は、それらの取組みについて御説明をお願いしたいと思います。説明時間については、15分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○総務省玉田総合通信基盤局消費者行政課長 総務省の消費者行政課長でございます。本日はよろしくお願い申し上げます。
私からは、携帯電話不正利用防止法8条に基づく契約者確認の迅速化の取組み、レンタル携帯電話に関する取組み、この4月に一部改正がなされました犯罪収益移転防止法の改正を踏まえた取組み、大きくこの3点について御説明をさせていただきたいと思います。
まず、1点目でございますが、携帯電話不正利用防止法8条に基づく契約者確認の迅速化の取組みという観点でございます。携帯電話不正利用防止法は、契約の締結時等において本人確認、あるいは端末の譲渡に関する措置を定めることによって、携帯音声通信事業者、一般的には携帯電話事業者でございますが、こちらによる契約者管理を促すとともに携帯電話サービスの不正利用の防止を図る、これを目的としているところでございます。
8条におきましては、携帯電話サービスの不正利用の防止のために警察署長が必要があると認めたときには、当該携帯電話の契約者について契約者確認を行うことを、携帯電話事業者に求めることができるとしているところでございます。具体的には、自然人の場合には、氏名、住所、生年月日といった本人特定事項の確認を求める。こういうことになるわけですけれども、あわせて同法11条におきましては、契約者が本人確認に応じない場合においては、携帯電話事業者がこれに応じるまでの間、一時的に役務の提供を拒む。すなむち、一時的な利用停止をすることができるとされているところでございます。
本人確認に要する期間に関しては、携帯電話事業者としましては、本人確認は一般的には代理店等の店舗へ来ていただいて、そこで対面で行うこととされていますことから、例えば利用者の日程を合わせることにも一定の期間を要することもございます。他方、本人確認を、書類を郵送することによって回答するという例外的な場合もございますけれども、これにも一定の日程を要することがあります。また、本人確認に応じない場合、先ほど、11条によって一時的な利用停止があると申し上げましたけれども、こちらについては、電気通信事業法上、役務契約の締結あるいはサービス提供におきましては利用の公平が求められていることも考慮しまして、利用者にとって不測の利益が生じないようにという配慮もございます。
そういうことではございますけれども、他方で、本人確認を迅速に行う必要があることも考慮いたしまして、これまで、迅速化のためのさまざまな取組みを電気通信事業者としても行ってきているということでございます。もちろん事業者によるわけですけれども、一つは、本人確認要請を確実に到達させるために、ハガキを送付して行っている場合が多いわけです。そういう場合には、これに加えてSMS、すなわち、ショートメッセージを送ることを前置するという取組みをしております。また、ハガキの送付と並行して2度のSMS送付を行うという手続をとっていた事業者に関しては、これを簡略化して、SMSの送付は一度にする。あるいは、本人確認がなされない場合の利用停止までの期間を、例えば土日をはさんだ2週間(16日)と見ていたところでも、これを7日間に短縮するという取組みを行ってきていることを報告させていただきます。
2点目、レンタル携帯電話に関してでございますけれども、お手元にお配りした資料1-2、「犯収法と携帯法における違い」という1枚紙がございます。こちらの右半分、携帯電話不正利用防止法のところだけまずはごらんいただきたいと思いますけれども、この法律は、携帯音声通信事業者には、契約者の管理の促進等とともに不正な利用の防止ということを目的にしているわけでございます。特に貸与業者の貸与する携帯電話、すなわちレンタル携帯電話につきましては、携帯電話事業者の管理から離れて把握できないところで端末が第三者に譲渡されることで、犯罪に利用される蓋然性も高いことも考慮しまして、通常の携帯音声通信役務契約と比較しても、より厳格な規定が置かれているところでございます。
具体的に申しますと、1-2の資料で言いますと、本人確認の方法ですけれども、中ほどに「確認方法」という欄がございます。右のほうに、役務提供契約時の本人確認という欄と貸与契約時の本人確認という2つの欄に分けてございますけれども、健康保険証等による場合というのがこの2つの場合で異なってございます。すなわち、一般の役務提供契約時には、運転免許証あるいは住基カード、健康保険証等の書類の提示によって本人確認が行えるわけですけれども、貸与の契約時におきましては、写真の貼付されていない健康保険証等の場合には、書類を提示するだけでなく、それに加えまして、書類に記載されている住所宛てに端末等を実際に送付することによって行っているということがございます。
もう一点、罰則規定ですけれども、貸与業者が貸与時の本人確認義務ですとか、貸与時の本人確認記録作成義務、その保存義務、こういったものに違反した場合には直罰の規定が置かれておりまして、2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその併科ということになっています。
3点目は、犯罪収益移転防止法の改正を踏まえた取組みということで御説明をさせていただきますと、お手元資料1-1に戻ることになります。犯罪収益移転防止法は、犯罪による収益の移転の防止を図り、国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与することを目的といたしまして、特定事業者と規定した事業者に対して、顧客等の取引時確認や疑わしい取引があった場合の届出等を義務づけているところでございます。本年4月、この法律の改正法の施行によりまして、取引時の確認事項に一部の追加が行われたこと、その他、総務省の関連事業者ということで申しますと、従来の電話受付代行業者に加えまして、電話転送サービス事業者が新たにその対象として追加されたという事情がございます。
こういうところを踏まえまして、私どもは関係事業者等に対する周知のための取組みを行ってきたわけでございます。「疑わしい取引」がどういう場合かということでございまして、その届出が円滑に行われるように、該当する可能性のある取引を示した「電話受付代行業者及び電話転送サービス事業者における疑わしい取引の参考事例」、こういったものを作成いたしまして、この3月5日に公表しております。その後、説明会の場でもこれを活用して説明しております。
2点目は、留意事項ということで、この改正法によりまして新しく追加された事項の確認が円滑に行われるように、その類型を示して、事業者において法律の正しい理解をしていただけるようにということで、「犯罪収益移転防止法に関する留意事項について」。先ほどの総務省関係の2つの類型の事業者向けということでこれを作成しまして、同日、公表しております。
また、説明会に関連しましては、総務省、警察庁と合同で、電話受付代行業者と電話転送サービス事業者を対象とした説明会を、大阪、東京、福岡、北海道の4地域で3月中及び4月の早い段階で行い、周知に努めているところでございます。今後とも、必要に応じてさらなる説明会も検討することは可能でございますし、また、使った資料につきましてはホームページ公表等を行いまして、一層の周知に努めていく所存でございます。
私からは以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御意見のある方は発言をお願いいたします。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。実は詐欺的投資勧誘対策を検討していて、ツールの中で一番問題になりましたのが携帯電話、それもレンタル電話の転々譲渡によって、最初の業者はある程度本人確認をしていても、その次、その次ぐらいになりますと、だんだん本人確認もおろそかになる。詐欺的投資勧誘を受けたお年寄りが一生懸命電話番号を控えていて、その電話番号をもとに、誰からかけてきたか、どこの業者がかけたか、その電話の契約者は誰かということを確認しようとしてもわからないという状況がございます。詐欺的投資勧誘で使われる携帯電話の犯人捕捉といいますか、加害者の特定ができないという事実がかなり見られるのです。大変御苦心をなさっていることはよくわかりますけれども、運用改善、その他含めて、もう一歩何か工夫ができないだろうかというところで、これまで玉田課長にも何回も御相談してまいったところです。
今の御説明を踏まえて、各分野について幾つかお聞きしたいところです。まず、携帯電話不正利用防止法に基づく本人確認、あるいは、消費生活センター辺りから、これこれこういう携帯電話が不正に利用されて詐欺的投資勧誘に遭っているということで警察に通知があったときに、警察署長のほうも、従前は決裁で結構時間がかかったらしいのですが、最近は2、3日で署長決裁を出している。そして、速やかにNTTドコモなりソフトバンクなりAUに連絡をとるという体制がとられつつあるようです。その上で、電気通信事業者のほうで本人確認をする。この本人確認も、玉田課長がおっしゃったように、従前は郵便でやっていたのを、SMSその他で迅速にできるように工夫してこられた。そこでまともな回答がない場合は利用を止めることになるわけですけれども、これが従前は2、3週間かかったのを、今は1週間なり10日ぐらいで対応できるように迅速化の御尽力をされているということで、これはこれとして、本当に大変だけれども、一定の成果が上がっていると思います。
実は詐欺的投資勧誘の、最初からお年寄りをだまして、ふんだくって逃げようというヒットエンドラン型の違法収益事業者は、どこかのタコ部屋で十何本か電話を借りて、その電話で1週間ほど電話をかけまくって違法にお金を集金し、サッと逃げてしまう。この不正に利用された携帯電話が止められるころには、ひとしきり終わって、じゃあ次というような状況になっているところもあるものですから、これに対する迅速化の工夫がもっとできないのか。もちろん、海外に出張していたとか、そういう人に対して、1週間連絡をとったけれども回答がなかった、はい、止めるというのでも困るのかもしれませんが、警察署長から、これこれの事情で使われていたということでそれなりの通報があれば、一定わかるのではないかと思うのです。
警察庁データによりますと、毎年数千件の署長からの通知があって、実際に止まるのはその4分の1とか、かなり限定されているようです。その辺の御苦心の状況と、もう一工夫して、迅速な契約者確認なり、それができない場合には利用停止ができないのだろうかというところを一つお聞きしたいと思います。
2番目のレンタル携帯電話については、これが詐欺的投資勧誘に、犯人が特定できないように転々譲渡で端末が使われて、特定できないという実情があるようです。その場合、厳しく取り締まっていただいていることは、今、御説明があったのですが、何が一番問題かというと、レンタル携帯電話のレンタル事業者は電気通信事業者に該当しないという事実がある。ほかの電気通信事業者は総務省で掌握して、どこにそういう電気通信事業者がいて、そこが提供した電話が悪用されているとか何とかでそれなりの責任を持った対応ができるし、警察もそれなりの捕捉ができるようなのですが、レンタル事業者というのはあしたから誰でも始められる。どこにも事業として届け出る必要がないという実情があるがゆえに、先ほど玉田課長がおっしゃったように、直罰規定が置かれていると聞きます。
それだけに、ぽっと出の、あしたからレンタル事業者を始めてやっていこうかというところが、もう一歩、総務省も、電気通信事業者も、警察のほうもなかなか捕捉が難しいという実情があるようです。ここを何とかもう少し運用なり制度を改善して、転々譲渡によって誰がかけたかわからないような、あるいは、契約者と利用者が誰かわからないような、そういう実情を改善することができないのでしょうかというところをお聞きしたいと思います。
3番目は、犯収法の関係は、受付代行事業者あるいは電話転送サービス事業者を含めて運用強化ということで、これで実効性が上がることを期待したいと思いますが、いわゆるバーチャルオフィスで、実体がないオフィスの中でこういうものが使われて悪用されるという実情もあるようです。その辺の実情について、どういうふうに認識されているか、その実情についての認識もお聞かせいただければと思います。

○総務省玉田総合通信基盤局消費者行政課長 3点、御質問をいただいたと思います。
1点目は、携帯電話が転々流通しながら詐欺的行為にも利用されることに関連しまして、一連の御事情を御説明いただいて、例えばヒットエンドラン型の事業者で言うと、1週間程度、集中的に電話をかけた上で逃げていってしまうという事情も踏まえて、もう少し何とかならないだろうかという点があったと思います。例えば、数千件の通知に対して実際に止まるのは4分の1ぐらいという話もございました。
この辺の利用停止に関連して申し上げますと、一つは、実際に本人確認のための連絡をしたときに、回答がきちんとある場合も相当程度ございます。それ以外に連絡がつかない場合、7日間なら7日間という日を決めて、利用停止を求める場合が出てくるわけでございます。こちらは、先ほどの説明が不足した部分はあろうかと思いますけれども、物理的に代理店等の店舗で対面で本人確認を行うことを旨としている。施行規則上、そういうふうに規定されているということでございますので、どうしても来られる日を一定期間見込まざるを得ないわけでございます。そういう意味では、きょう連絡したので、あした止めますというわけにもなかなかいかないのが実情かと思います。
例外的とはいえ、郵送で回答がある場合ももちろんございますので、これの日程を見込まないわけにはさすがにいかないだろうということでございます。あわせて、そうは言いながらもということで、一連のさまざまな事案の中で何とか短くできないかということでございまして、特にハガキだけで本人確認の照会を行っていた事業者においては、この4月からSMSによる送付を前置することで、少しでも早く対応しようという取組みを始めたところでございます。それ以外の取組みも、昨年ということで、ごく最近、状況をとらまえまして対応させていただいておりますので、しばらくこの成果を見ていただくことができればというふうに存ずるところでございます。
2つ目は、レンタル事業者が電気通信事業者でない場合もあり、なかなか捕捉が難しいというお話でございました。そういう意味では転々流通して悪用されるということかと存じますけれども、おっしゃるように電気通信事業者の場合は私どもに登録あるいは届出ということで、一連の連絡先等の情報がございますが、レンタル事業者の場合は必ずしもそういう情報があるわけではない。電気通信事業を兼営している場合は一連の情報はございます。
では、そういう場合も含めてどうするかということでございます。まさに契約時において、貸与業者に対して携帯電話事業者が契約を結ぶときに、その事業者がきちんとした事業者であるかどうかということを確認するわけでございまして、それがきちんとできていないと、まさに直罰というふうになるわけですから、そこのところは携帯事業者としてもできる限りのことをしてきちっと確認せざるを得ない。当然、そういう対応をしていると認識しておりますので、その部分をまず見ていくということ。そこから先の話は、入り口のところで縛るには一定の限界があろうとは思いますけれども、逆に、最初に契約した事業者(相手方)について、きちんとこの制度にのっとって対応することがポイントではないかと思っております。
3点目のバーチャルオフィスに関して、済みません、現状、具体的な情報がございませんので、回答は差し控えさせていただきます。

○河上委員長 山口委員長代理、よろしいですか。

○山口委員長代理 レンタル事業者について、警察庁のほうにももう少し何とかならないのかというお話を聞きますと、結局、どこにどういう事業者がいるかがわからない。Aという貸与業者がBという貸与業者に貸したところまではわかっても、その次のCがどこの誰かがわからない。またそのCが、どこの誰かわからないところに十何本貸して、それが犯罪に使われているらしいという。こうなると、なかなか捕捉が難しい。携帯機器自体が渡されていますので、その機器で一定の捕捉については努力、工夫ができるらしいのですが、なかなかその捕捉が難しい。それがばれないということをわかった上で、2人はやっている可能性が強いのですけれども、その辺は何とかならないのかというのはいかがでしょうか。

○総務省玉田総合通信基盤局消費者行政課長 お答えします。きょうこの時点で、こういうふうにしたいという答えがあるわけではないのですけれども、その辺りの事情は、私どもとしても、電気通信事業者、場合によっては警察庁さん等から事情を聞かせていただいて、どんなことが可能なのかというのを考えさせていただくということはあろうと思います。いずれにしても、状況をまず把握することから始めざるを得ないと思います。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 今月上旬の報道で、警察庁が不正に利用されている携帯電話のキャリアを調べたところ、98%がNTTドコモであったという報道がなされています。その背景として、他社では1人当たりの契約数に制限があるのに、NTTドコモ社では1人当たりの契約数に制限がないから大量に悪い市場に出回っているのではないかという指摘がなされています。それが事実だとすれば、不正に利用され得る携帯電話をなるべく市場に出さないという取組みが必要ではないかというふうに感じたわけですが、その問題についてはどのようにお考えでしょうか。

○総務省玉田総合通信基盤局消費者行政課長 そのような報道があったことは承知してございます。私どももこういう状況を踏まえ、それぞれどういう運用をしているかということをいろいろ話を聞かせていただいたりしましたけれども、携帯電話事業者として一つ、共通に守らなければならないルールとして、電気通信事業法上の利用の公平、公平提供義務というのがございます。そういう意味では、契約の相手方が特定の相手方だからといって、何らかの理由で、一般的にはこれだけしか契約しませんということにするのはなかなか慎重にならざるを得ない部分もあるという話もございます。他方、先ほどの報道にもありましたけれども、事業者によっては別の対応をしている部分もあるということでございます。
そういう点で言いますと、まずは私どもとして、各社の取組みがどうなっているかということを改めてしっかり確認させていただき、それぞれ長所短所あると思いますので、そういったところを洗い出しながら、何ができるのかということ、まず情報の共有といったこともあろうかと思いますので、それは事業者と話をすることを進めてまいりたいと思います。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。

○山口委員長代理 御案内のとおり、東京地裁で注目すべき判決が出ました。それは、詐欺的投資勧誘に使われた携帯電話の貸与業者の本人確認が不十分だったために加害事業者の特定ができないというところで、貸与事業者の民事的な責任を認めた。そのときの実態を見てみますと、あり得ない生年月日、あり得ない住所が書かれていた。多くの事業者は本人確認をきちっとなさっていると思いますが、最初からやる気のない事業者はそれがきちんとなされていない。そういうところにまた悪いのがつながっていくというような実情があると思いますけれども、本人確認が明らかに不十分だったことがはっきりした場合、本人確認義務がきちっとされていない場合のペナルティーはどうなっているのでしょうか。条文上の説明も含めて、できれば教えていただければと思います。

○総務省玉田総合通信基盤局消費者行政課長 若干、繰り返しになる部分がございますけれども、貸与業者が貸与時の本人確認の義務、あるいは、貸与時の本人の確認の記録の作成義務、それを保存する義務、こういったものに違反した場合には、2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその併科というふうにされていると承知しております。

○山口委員長代理 犯収法上はないのですね。

○総務省玉田総合通信基盤局消費者行政課長 はい。犯収法上はないです。

○河上委員長 これは使われたことはあるのですか。

○総務省玉田総合通信基盤局消費者行政課長 罰則の適用に関しては、私どもというよりも警察サイドでの話だと思います。

○河上委員長 細川委員、どうぞ。

○細川委員 直接きょうの議論とは必ずしも関係ないのですけれども、近年、特に通信事業というのは消費者の支出に占めるウエートが格段に高くなっています。必要であるということもありますし、私は大学の教員をやっていますけれども、学生が通信事業に払うお金というのは非常に大きな額で、食費よりもまず通信と。そんな問題も消費者教育の問題としてありますけれども、そういう契約上の問題が非常に大きくなっているのに、総務省の消費者保護者の視点は弱いのではないかということを感じています。例えば、通信事業法上にはクーリングオフの規定がなくて、消費生活センターの現場では困っているということがありますし、例えば、有線放送事業者は強引な訪問販売で契約しても、結局、クーリングオフの規定がなくて解決がなかなか困難だというのも、もう20年ぐらい前から言われています。
総務省は消費者行政課長がお越しですけれども、先ほど、ネットでそちらの課のミッションみたいなものを見ていたら、できた当時、消費者支援の拠点だという書き方をされていて、相談を受け付けて何とか支援しますという視点しかないのかなと。あるいはソフトローで、ガイドラインで何とかしましょうという視点しかなくて、消費者あるいはユーザーのために規制行政をやる、必要な規制は行うという視点がどうも弱いのではないか。
吉田委員が言われた、ほとんどNTTドコモが多い、それも公平性があって難しいと。今、何が問題かという、国民・消費者のために通信事業はあるはずですから、本当に困っている問題があれば、もう少し積極的に規制行政の分野でも、法改正あるいはクーリングオフの規定の付与とか、そういうものも進めていただきたいと思っています。意見ということで。

○河上委員長 よろしいですか。
きょうはどうもありがとうございました。詐欺的な投資勧誘に用いられる主要な犯行ツールということで、御説明がありましたように、本人確認等の規制の対象とされておりますけれども、必ずしもそれが徹底されていないというか、機能していない部分があるということです。携帯電話不正利用防止法とか、改正犯罪収益移転防止法による事業者の義務について、できるだけ厳格で迅速な適用を行っていただいて、取引時の本人確認等を徹底させるとともに、仮に違反が疑われる事業者が出た場合には、速やかに報告徴収あるいは立入検査を実施して、必要に応じて是正命令等の措置を講ずるように是非お願いできればと思います。
また、携帯電話等が犯罪に利用された場合、サービスを停止する等の措置が迅速にとれれば被害の拡大防止の観点から有効と考えられることから、事業者の協力のもとで契約者確認の迅速な運用をお願いしたいと存じます。
消費者委員会としては、本日の議論も踏まえまして、引き続き詐欺的投資勧誘対策について審議を行いまして、建議を行っていく所存でありますので、総務省におかれましては、是非、御協力をお願いしたいと思います。あわせて、先ほど細川委員から話がありましたが、消費者支援の拠点として総務省の中での位置づけということでして、必要な規制行政について今後とも御尽力をお願いできればと思います。本日はどうもありがとうございました。
どうぞ。

○総務省玉田総合通信基盤局消費者行政課長 今、御指摘のあったことを含め、法律の適正な運用を図ってまいりたいと思います。一点、細川委員から御指摘のありました、総務省としての消費者保護者の視点ということでございます。また別の機会に御報告させていただくことになりますけれども、昨年来、スマートフォンのアプリケーションを通じて利用者情報がさまざまな形で外部送信され利用されていることに関しまして、ユーザーの不安も非常に高まっていたということを踏まえまして、私どもで研究会を開催しまして、全く何のルールもなかったところに基本的な指針をお示ししたということがございます。そのような取組みを、昨今の新しいサービスの展開状況を踏まえまして取り組んでおりますので、御理解を賜ればと思います。
以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございます。是非、今後の御尽力をお願いしたいと思います。
本日は、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。
続きまして、「関係法令の執行強化及び制度整備について」ということです。未公開株、社債、ファンド持分を商材とした詐欺的勧誘が依然として多く見られる一方で、金融商品取引法や特定商取引法のすき間をねらったと考えられる、温泉付有料老人ホームの利用権、天然ガス施設運用権といった権利まがいの投資商品を商材とした事案も見られるところです。また、被害者の多くが高齢者である。そして、被害額も高額にのぼることから、老後の生活基盤が失われかねないという深刻な事態が強く懸念されるところであります。
このため、先月施行されました改正消費者安全法による取組み、高齢消費者を対象とした民事救済制度の導入、あるいは、特定商取引法における指定権利制の撤廃といった新たな制度整備の可能性等について、関係省庁の説明をいただきたいと考えております。
本日は、消費者庁、金融庁にお越しいただいております。お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
最初に、改正消費者安全法について、消費者庁消費者政策課財産被害対策室長から説明をお願いしたいと思います。説明時間は、大変短くて恐縮ですけれども、5分弱ということでお願いできればと思います。よろしくお願いします。

○消費者庁後藤消費者政策課財産被害対策室室長 ただいま御紹介いただきました消費者庁消費者政策課財産被害対策室長の後藤でございます。よろしくお願いいたします。
改正安全法の施行を踏まえて、詐欺的投資勧誘についてどのように対応していくかということでございますので、これの説明をさせていただきます。
改正前の消費者安全法では、生命・身体事案に限り、勧告・命令といった事業者に対する措置が規定されておりましたけれども、このたびの法改正によりまして、財産事案についてもその措置が認められることになったわけでございます。つまり、多数消費者財産被害事態、これに該当する行為、消費者の財産上の利益を侵害することとなる不当な取引であって、商品、役務、権利、その他の取引の対象となるものの内容、または、取引条件が実際のものと著しく異なっているもの、こういった要件を満たす行為、これを行っている事業者につきましては、他の法律による措置がない場合、いわゆるすき間事案と言われておりまして、これに限定されるものではありますが、この場合には当該行為を差し止め、その他必要な措置を勧告し、これに従わない事業者に対しましては、消費者委員会の御意見を経て命令を行うことができるという規定が設けられたわけでございます。
また、消費者被害の発生拡大の防止を図るために相当であると認められるときは、関係行政機関や民間の事業者に対して、消費者被害の発生拡大の防止に資する情報を提供できる、という規定も設けられたところでございます。
この2つが財産事案における改正の大きな柱となっております。これを踏まえまして、詐欺的な投資勧誘が行われる事案への対応についてでございます。勧誘という行為につきましては、具体的にはパンフレットを用いて投資を募っているケースが大変多いということでございます。そうしたパンフレット等の表示を含め、これを使用した勧誘行為の適正化を図ることが大変重要であると認識しており、また、そういったものの多くの場合は、景表法や特商法により何らかの措置が適用されるわけですけれども、中には、景表法、特商法あるいは他省庁所管の業法、これによる規制では対処しがたい事案が存在する場合があります。そういった場合において、なるべく早期にその事案を把握し、改正安全法に基づく措置を厳正に行っていかなければならない、このように考えているところでございます。
改正安全法による対応について申し上げれば、何ら課題がないというわけでもございません。改正法により勧告等の措置がとれるのは、あくまで多数消費者財産被害事態と認められる行為が行われており、かつ、その行為について他の法律による措置がない場合ということが要件とされています。したがいまして、その要件を満たすことを確認していくことが、逆に言えば迅速な対応への大きな課題となると認識しております。この課題については、常にこのことを意識しながら対応していくことが重要である、このように考えているところです。平たく言えば、どうしたら早く対応できるか、こういったことを工夫しながら対応していこう、このように思っているところでございます。
なお、他の法律による措置が可能な事案と認められた場合には、関係省庁への措置要求を視野に入れた運用や、今回の改正で導入されました関係行政機関等への情報提供規定、これを活用することにより有効に対応できるのではないか、このように思っているところでございます。
ところで、いわゆるすき間事案の例としては、当方でこれまで実施した注意喚起の事例から、温泉付有料老人ホームの利用権や天然ガス施設運用権などの架空権利の取引、こういったものがよく挙げられるわけですけれども、こういった架空権利の取引につきましては、そのほとんどについて事業実態が判然としないものでございます。お金を集めるだけといった事業者は、往々にして「逃げ足の速い業者」とも言われますけれども、消費者からの苦情等が明るみに出るやいなや行方をくらましてしまう。また、当初から所在を明らかにしていないケースが多いことから、事業者に勧告を行うことは大変難しいと言わざるを得ません。したがいまして、このような事案には、これまでも取り組んでまいりました事業者の実名公表を伴う注意喚起を、適宜、的確に実施していくことが重要と考えているところでございます。
いずれにしましても、4月1日から改正法が施行されたわけです。この改正法を大きな武器として、消費者の被害の発生・拡大を防止していくため、いろいろな手法を考え、詐欺的投資勧誘に目を光らせ、厳正な対応を心がけてまいります。
以上でございます。

○河上委員長 引き続きまして、金融庁から、金融分野への高齢消費者を対象とした民事救済制度の導入について、御説明をお願いしたいと思います。説明時間については、10分程度でお願いします。

○金融庁鎌田総務企画局市場課市場取引対応室長 金融庁総務企画局市場課市場取引対応室長をしております鎌田と申します。よろしくお願いいたします。
高齢者に対して流動性が低い金融商品を販売するに際し、顧客の意向と実情に反して明らかに過大な危険を伴う取引を積極的に勧誘するなど、適合性の原則から著しく逸脱した金融取引が行われた場合、当該取引を無効とする民事効の規定を導入することについてどう考えるか、そういうお尋ねと理解しております。
問題は、適合性の原則がどういうものかということかと思いますので、現在の金融関係法令における適合性の原則について、若干説明をしたいと存じます。お手元の資料2をご覧ください。まず、金商法上の適合性の原則でございますが、金商法の40条1号に規定がございます。「金融商品取引業者等は、業務の運営の状況が次に該当することのないように業務を行わなければならない。金融商品取引行為について、顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして、不適当と認められる勧誘を行って投資者保護に欠け、または欠けるおそれがあること」。こういうことのないように業務を行わなければならないということで、登録をした金融商品取引業者に対する行為規制という形で規制がかかっているわけです。適合性の原則に違反した場合は業者に対する行政処分があり得る。民事法の関係では、金融商品販売法に基づく損害賠償請求などが可能であるということでございます。
適合性の原則につきましては、最高裁の平成17年7月14日の判決におきまして、「適合性の原則から著しく逸脱した勧誘をして証券取引が行われたときは、当該行為は不法行為上も違法となる」、「顧客の適合性を判断するに当たっては、具体的な商品特性を踏まえて、これとの相関関係において、顧客の投資経験、証券取引の知識、投資意向、財産状態等の諸要素を総合的に考慮する必要がある」、このような判示がされております。適合性の原則に違反する取引については、民法709条の不法行為に基づく損害賠償請求においてもこれは違法となる、こういう判例が示されているわけでございます。
次に裏の資料になりますが、金融商品販売法という法律がございます。これは平成12年に成立した法律でございますが、金融商品販売法においては、民法の709条の不法行為の特則を定めております。金融商品販売法は、登録を受けた金融商品取引業者のみならず、およそ金融商品を販売する者一般について当てはまる法律でございまして、民法709条の不法行為の要件としては、違法行為、故意・過失、因果関係、損害額、この4つが要件となっております。これをすべて原告が立証する責任を基本的には負っているわけですが、金融商品販売法では特則を定めておりまして、まず、業者に説明義務を負わせております。一つは、金融商品の有するリスク等に係る重要事項について説明をする義務。例えば、元本欠損等のおそれとその要因などについて説明をしなさい。また、断定的判断の提供等の禁止という義務をかけております。
これらに違反した場合は違法行為に当たり、損害の額についても、元本欠損額を損害の額と推定する。こういう規定を設けておりますので、不法行為の要件のうち、故意・過失、因果関係、損害額については被害者が立証する必要はない、こういった形で立証の軽減を図っている。こういうものが金融商品販売法でございます。
以上を前提に、高齢者に対して適合性の原則から著しく逸脱した金融取引が行われた場合、これを無効とする規定を設けてはどうかという御提案でございますが、この案に対しては、次のような検討課題といいますか、懸念があると考えております。
まず、1つ目は、無効という規定ですが、これが何を目的とするのかということでございます。無効にすることによって被害者の立証責任の軽減を図ることを意図しているのだとすれば、これらについては、今、御説明いたしました金商法、金販法で既に被害者の立証責任を軽減する措置を講じておりますので、これらに加えて、さらに適合性原則により無効、そういう規定を設ける意義がどれほどあるのだろうかという点でございます。
それから、無効規定が被害者の早期救済を図る、こういう目的を持っているのだとすれば、適合性の原則違反、すなわち無効とすることによって、例えば国民生活センターなどが代金返還交渉の仲介がしやすくなるとか、あるいは、顧客資産の散逸を防ぐための裁判所による保全命令が迅速に発出されるとか、こういった効果をねらって無効とするとすれば、適合性の原則というのは、先ほどの判例にもありますように実質的な基準でございまして、形式的にマルかバツか、すぐ決まるものではない。そこは、顧客の投資経験、証券取引の知識、投資意向、財産状態等の諸要素を総合的に考慮して、個別具体の事案で判断していく、こういう枠組みの基準でございます。例えば保全処分の申立てをしたとしても、そこで裁判所は実質的に判断しなければならないわけで、果たして個別具体の諸要素を総合的に考慮して判断するという適合性の原則の枠組みで、速やかな救済が図れるのかどうか、こういった点が2つ目の検討課題ではないかと思います。
3つ目です。無効の規定が悪質業者に対する抑止の効果をねらったもの、つまり、こういった勧誘をしてもこれはそもそも無効だと宣言されることによって、悪質業者に対する威嚇と言いますか、抑止になる。こういう効果をねらったものだとすれば、現在、投資詐欺の形で行われている事案の少なからぬ数が登録業者ではなく無登録の業者で、売っている投資商品も本当にそれが金融商品なのか。つまり、お金をだまし取るための口実として、金融商品まがいのものを売っているという実態があるやに承知しております。そういう業者にとっては、お金さえ取ってしまえばあとは事務所を畳んで所在をくらましてしまうといったこともあるわけで、こういった業者に無効ですとアナウンスしても、どれほどの抑止効果があるのかといったところが3つ目の検討課題でございます。
むしろ、適合性の原則違反を無効とする、こういう民事効の規定を置いた場合に懸念されるのは、私どもといたしましては、健全な業者の正当な活動を萎縮させることにならないだろうかということでございます。金融商品の世界は、特に価格変動のある商品につきましては、株を買った、でも、値が下がったのでクーリングオフというわけにはなかなかいかないわけでございます。やはりそこは自己責任の原則の世界で、適切に投資判断をしてもらう必要があるわけです。したがって、無効というあまりに劇的な法的効果を持つ規定が入りますと、それはそれで市場の安定性、投資家の予測可能性が奪われて混乱を来すことにならないかということ。
それから、取引において、適合性の原則に反するような説明を受けて、錯誤があったのか、投資判断を間違えたのかというのは、事実を認定する場合には微妙なところがございます。こういった無効の規定が入りますと、高齢者の中で、それなりの知識はあるにもかかわらず、しまった、投資判断を間違えた。じゃあ、この無効規定を根拠に自分の行った取引は無効だといった形で、濫用的に用いられるおそれはないのかが懸念されるところでございます。
お示しの適合性の原則違反による無効規定を導入することについては、以上の点についてコメントさせていただきたいと思います。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、消費者庁から、特定商取引法の指定権利制の撤廃、高齢消費者を対象とした民事救済制度の同法への導入について、御説明をお願いいたします。説明時間については、短くて恐縮ですが、5分ぐらいでお願いいたします。

○消費者庁山下取引対策課長 できるだけ簡潔に努めますが、ちょっと延びてしまうかもしれません。
最初の特商法における指定権利制の撤廃につきまして、御案内のことと思いつつ改めて申し上げますけれども、特商法では第2条第4項におきまして、施設を利用し、または役務の提供を受ける権利のうち、国民の生活に係る取引において販売されるものといたしまして、3つ。一つは、保養のための施設又はスポーツ施設を利用する権利。2つ目は、映画、演劇、音楽、スポーツ、写真又は絵画、彫刻、その他の美術工芸品を鑑賞し、又は観覧する権利。3つ目としまして、語学の教授を受ける権利。これらをいわゆる指定権利として指定しているわけでございます。
ここで特商法上、役務と権利の関係が問題になるわけですが、役務と権利と違いは、端的に申しますと、二者間契約であるか、三者間契約であるかという、その違いであります。例えば、A社のゴルフ会員権を契約する場合、消費者がゴルフ場運営会社のA社と直接契約した場合は、スポーツ施設を利用させる役務の提供契約ととらえます。他方、消費者がゴルフ会員権を取り扱う流通業者B社、他社から購入したときには、スポーツ施設を利用する権利の売買契約ととらえているわけでございます。
ここで、過去、指定権利制の廃止が見送られた理由として、立法事実がないとか、権利の場合はその外延が不明確であるとか、これはいかがなものかと。そういう御質問を受けているわけでございますが、そもそもこの指定権利制が導入された趣旨は、役務提供業者の脱法行為を防ぐものであります。すなわち、役務提供業者が当該役務の利用権を証券化、権利化して、その役務提供事業者とは別の販売業者がそれを不当なやり方で販売する場合、要は直接販売行為を行わない、役務提供業者には規制が及ばないまま被害が広がってしまう。したがって、権利の販売業者も規制の対象としたものでございます。言いかえれば、現行の指定権利制度というのは、実体のある役務提供がその前提として存在するという建付けでございまして、役務提供とひもづかない権利一般の売買を規制するものではございません。権利と銘打つトラブルが増えているのはそうかもしれませんけれども、だからといって指定権利の指定を撤廃すればよしという発想には、そもそも立っておりません。
その上で、これは前回も申し上げたことでございますが、いわゆる詐欺的投資勧誘におきまして、指定権利以外の権利は通常だと特商法の規制の対象にならないわけですが、事業者が消費者に直接提供している場合には、役務の提供として認定できる可能性もあります。また、指定権利以外の権利の販売であっても、いわゆる手数料等を徴収して販売代行を行うような事例につきましては、販売代行という役務の提供として規制の対象となると考えているわけですので、現行の枠組みでも、そこそこ規制にかからしめることができると我々は考えているわけでございます。
ちょっと駆け足になりますが、2点目、特商法に高齢者取消権を導入することの可否について、御下問でございます。これも御案内のように、特商法の施行規則第7条第3号におきまして、顧客の知識、経験及び財産の状況に照らし不適当と認められる勧誘を行うことは、法の第7条ですが、指示の対象となっております。ここで言う適合性の原則は、先ほどの金融庁の御説明にもありましたが、個々の事例における顧客の属性を考慮する必要がございます。その違反について、立法によって一律に契約の取消権の民事効を付与することは、要件の明確化との観点から困難を伴うものでございます。また、これも金融庁からの御指摘もありましたけれども、適合性を有さない消費者が仮に取引を求めた場合、取消の実行をおそれて事業者が取引に応じない結果、適合性を有しない消費者を市場から締め出す結果につながるわけでございまして、契約の私的自治に関する問題もあろうかというふうに考えております。
また、御質問の中に、流動性の乏しい投資商品のみを対象とするようなことが書かれていますが、特商法は原則全商品が対象となっているわけでございます。この点も考える必要があろうかと思っております。
さらに、これは執行が重要になるわけですが、実効性の面からも問題であろうかと思っております。そもそも詐欺的な投資勧誘を行っている事業者は、後藤財産被害対策室長の言葉を借りれば、逃げ足が速いわけです。現に我々が対象としている事業者であっても、レンタルオフィス、レンタルポスト、場合によっては携帯電話もレンタルというところでございまして、非常に捕捉が難しいのが近年の実態でございます。
そういった事業者に対しまして、かつ、どんなものを扱っているのかわからないような事業者に対しまして、取消権を仮に主張したとしても、根本的な解決は期待できないのではないかと考えております。そもそも追跡できませんし、仮にできたとしても応じるかどうかははなはだ疑問であるというふうに、実効性の面からも取消権というのは本当に意味があるのかという気はいたします。
簡単でございますが、以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御意見のある方は発言をお願いいたします。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 どうもありがとうございました。金融庁と消費者庁で若干視点が違います。金融庁の場合には、金融商品という一つの範疇があって、金融商品の中にまた、相場性や流通性がない、あるいは少ない、そういう商品に限定した形で、高齢者取消権的なものを考えることができないのかというところでの投げかけをさせていただいております。消費者庁におきましては、いわゆる商品の限定をしないで、むしろ、訪問販売あるいは電話勧誘販売、通信販売などで詐欺的投資勧誘が多いので、取引行為類型を3つの類型に限定した形で、なおかつ、指定役務が廃止された特商法の幅をもう一つ広げて、権利についても、指定権利に限定せずに、あまねくこの3つの取引類型について、高齢者が被害に遭わないように、あるいは、遭った場合には迅速に解決できるように、そういう視点からお考えをお聞きしたわけです。
共通する部分もありますので双方にお聞きしたいのですが、まず、鎌田課長から、整理して問題点、懸念点を指摘されましたので、こちらの考え方をお話しして御意見を賜ればと思います。
まず、立証責任の軽減になるのかという点についてですが、これは極めて軽減されると思っているわけです。例えば、政令で指定する年齢でもいいし、75歳なら75歳という形で特定してもいいと思いますが、高齢者の知識、経験、財産能力などに明らかにそぐわない商品について、あるいは金融商品について契約したような場合に、必ず問題なのが、何と言われて、どんな気持ちになって出したのかということなのです。高齢者被害の特色は、いつ誰から何と言われて買ったのか、といういきさつを覚えていないわけです。そこが立証責任の問題でネックになって、お年寄りの被害救済が難しいという実情があるわけです。結果から見て、75歳以上の方が知識、経験、財産能力などに明らかにそぐわないような、「何でこんなもの買っちゃったの?」という事態が多くあるわけです。そういう場合に限定して取消権を認めることにして、まさに立証責任の軽減を図ってはどうかということで提案申し上げているわけで、先ほど鎌田室長がおっしゃった、立証責任軽減になるのかということについては、まさになると思うので、いかがでしょうかというふうに提案します。
2番目に、早期救済になるのだろうかというところです。最近、消費生活センターの相談員の悩みで聞くのが、最初からその辺のすき間をねらった事業者だから、センターの相談員があっせんでいろいろやろうとしても、あの手この手で反論して容易に解決しない、非常に解決が難しくなったと言うわけです。そこで、一定年齢について、明らかに適合性に合わない契約をさせられたような場合には、即取消権を行使して被害救済に入ることができるのであれば、これは、消費生活センターだけではなく、御本人、あるいは司法書士、弁護士が間に入ってやる場合でも、非常に解決がしやすいところが期待できる。これまでなかなかそこが難しかったところを、私どもとしては、警察あるいは弁護士の協力を得て、事情聴取能力なり証拠収集能力を高めて、この種の問題の救済に当たってはどうかということも提案申し上げようと思っているわけです。あわせて、本人の被害救済のためにも、高齢者取消権のようなものを設定してはどうだろうかというのが2番目の理由になります。
3番目に、悪質行為の抑止に本当になるのだろうか。私どもとしてはここが一番言いたいところなのです。押し買いのときに、まさに山下課長とも議論させていただきましたけれども、いわゆる御用聞きのような形で日常的・継続的に取引をしている業者は、適用除外にするという形で押し買いの改正法ができたわけです。今回の高齢者取消権についても、例えば、銀行や証券などで継続的に既に契約関係がある事業者、場合によっては、銀行や証券会社などの認可を受けている事業者については、適用除外をしていいと思うのです。
ですから、真面目にやろうとしている事業者が、この高齢者取消権で事業をやりにくくなることにならないように配慮しつつ、これまで特定の高齢者に全く取引関係のなかった事業者が、例えば退職者名簿とか、学校の教職員のOB名簿とか、あるいは、いわゆるカモリストと言われている被害にかかりやすいお年寄りのリスト、そういうものを使って訪問販売をする、あるいは昼間、電話勧誘販売をするという場合、この高齢者取消権が使えますよという形で法令で明示することによって、まじめにやっている事業者はこの規制法によっては何ら影響を受けない。しかしながら、新しい、これまで縁のなかった事業者がいろいろな名簿を使ってやろうとする場合には高齢者取消権が使われるという形で、抑止効果ができるのではないか。そういう形で、高齢者取消権を一定の要件に狭めることで私はいいと思うのです。
そういう形でやることによって、75歳以上の人に、これまで取引がなかった事業者がいろいろな名簿を使って電話勧誘販売などをした場合には、結果として契約させられた商品を見て適合性に反すれば取消権を行使することを認めることによって、高止まりしてなかなか被害救済がはかどっていない高齢者取消権について、救済の実が出るのではないか。少し議論になるかもしれませんが、今のようなことも含めて、鎌田室長と山下課長から御意見をいただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

○金融庁鎌田総務企画局市場課市場取引対応室長 今、お話を伺っていて、まず、念頭に置いておられる高齢者の取消権なり無効というのが、適合性の原則に反するから取り消し得る、あるいは無効とする。つまり、「顧客の意向と実情に反して、明らかに過大な危険を伴う取引を積極的に勧誘する」という、適合性の原則で言う顧客の投資経験とか、売ろうとしている金融商品の性質とか、そういった個別の要素を見て総合的に考慮して、それで無効とか、取消とか、そういうことを念頭に置いておられるのか。それとも、75歳という年齢で一つの線を引いて、75歳以上の高齢者に売ったらこれはもう取消です、無効ですと、こういう規定を念頭に置いておられるのか。そのどちらなのかというところが、ちょっと伺っていてはっきりしないのですが。

○山口委員長代理 両方です。

○金融庁鎌田総務企画局市場課市場取引対応室長 消費者の被害に遭った方から話を伺っていて、何でこんなもの買っちゃったの?と。明らかにこの高齢者、この人にはそぐわないでしょうというのはあるかもしれませんが、実際に国民生活センターで代金返還交渉の仲介をする、あるいは裁判所に保全処分を申し立てたときに、業者側は、適合性の原則に則ってちゃんと説明しましたと言い、業者側の弁護士も、適合性の原則に則ってちゃんと説明しているではないか、こう言うわけです。
そうすると、最後は、例えば保全処分の場合であれば、裁判所が両者の言い分を聞いた上で、適合性の原則に反するのか、反しないのかというところを、一つひとつのケースについていろいろな要素を総合して判断していくことになる。「何でこんなの買っちゃったの?明らかにそぐわないではないか。」というのは、それは被害者側の弁護士の目で見ればそういうのはあるかもしれませんが、代金返還交渉や、裁判所で保全処分などの審理をする場面において、両者の意見を聞くということになると、そこは実質判断を裁判所が一つひとつのケースにやっていくことになるので、立証責任の軽減にはつながらないでしょうし、早期救済という面で見てもあまり意味がないのではないでしょうか、というのが、先ほど私や消費者庁から申し上げたところだと思います。
そういう実質的判断をせずに形式的に割り切る。75歳以上の高齢者に売ったら取消し、無効と。こういう規定を設けた場合はどうかということですが、75歳以上の人に対しても一律に取消し、無効ということはむしろ適合性の原則に反することです。適合性の原則というのは、先ほどの最高裁の判例にもありましたように、個別の取引のそれぞれの要素を見て総合的に判断する、こういう枠組み、そういう沿革を持つ原則でございます。75歳以上とか、そういう一律の基準で切ってしまうことは、適合性の原則にむしろ反することであるということは、金商法をつくったときの立法担当者の解説にもそう書いてありますし、そういう解釈ですので、75歳以上という形式的な基準で一律に取消や無効を認めることについては、大いに問題があると考えているところです。

○河上委員長 適合性原則については、金商法制定のときの考え方とここで議論しているものとはかなり違うわけですね。例えば割賦販売法でも、過剰与信や過量販売の問題とか、いろいろなところでも、実はあれは適合性原則のあらわれだとか、具体化だという言い方になっていて、まさにその顧客にとって適合する商品や役務の提供であるかどうかということを見ながら、新しいルールを立てるかどうかというところまで柔軟に議論ができるようになっていると思います。ですから、それを前提にして、例えば高齢者がその財産にふさわしくない投資商品を購入させられたときに、その効力を否定することは、適合性原則の考える、つまり消費者基本法にある、その人の財産とか属性といった特性を考えて消費者政策を考えていく、という考え方にのっとった方法としてどうかという話になっているのだと思います。

○金融庁鎌田総務企画局市場課市場取引対応室長 平成23年の金商法の改正の際に、無登録業者が未公開株など一定の有価証券などを販売した場合には、それは無効という規定を改正で入れたと思います。それは、要件が明らかなわけです。無登録の業者がこういう有価証券を売ったと。基準としては非常に明確です。これは適合性の原則ではなくて、未公開株の事案が多発していることを踏まえて、無登録業者による、そういう切り口で法改正をしたわけです。この例にあるように、やはり要件が明確でないと実務で適用する場面では難しいということで、適合性の原則のように、個別具体の事案による一つひとつの要素を取り上げて実質判断をするものは、取消とか無効の要件としてはなかなか規定するには困難なものがあるということでございます。

○山口委員長代理 まさに今の議論ともかみ合うところですけれども、実は、金商法の関係で想定しているのはファンドなのです。登録したファンドが山ほどあるわけですけれども、怪しげなファンドが多くあって、それが金融庁に届け出たということを宣伝して売られている。これは流動性もないし相場変動性もありません。
例えば、中国から人を採用して安い労働力で大儲けするファンドだとか何とか適当なことが書いてあって、そういうところに数百万円出しているというような場合に、今までの条文立てでは、まさに総合的判断というところでなかなか壁が厚かったわけです。75歳以上、あるいは、高齢ということで政令で指定する形でもいいと思いますけれども、その場合、高齢者の知識、経験、あるいは財産状況に照らして、どうしてこんなファンドに投資する必要があるのかと。もちろん、それまで中小企業の事業主か何かで、幅広く事業展開をなさっている方が買ったような場合は別ですよ。ですが、年金暮らしで蓄えだけは3,000万円ぐらいあったというお年寄りが、1,000万円とか2,000万円で、わけのわからないそういうファンドを買ったという場合には、やはり適合性原則に違反するという、これが条文に高齢者取消権があるかないかで、やはり裁判所の判断が違ってくると思います。
なおかつ、消費者庁の関係で言いますと、平成20年にまさにこのような適合性原則の議論がなされています。その結果として、9条の2、過量販売という形で取消権が法律上明記されました。これによって大きな前進があったわけですが、それだけではどうしても高齢者の詐欺的投資勧誘の被害がおさまらないという実情です。そこでもう一歩踏み出して、一定の限定はしながらも、高齢者に、こういうわけのわからない、明らかに適合性に反するようなものを売った場合には、取消権が行使できて、相談の窓口でも速やかに解決が図れる。そういうことが可能になるという一定の道を開くことがあっていいのではないかと思いますけれども、山下課長、いかがでしょうか。平成20年の議論を踏まえて、あのときの議論では確かになかなか難しいという議論になったけれども、もう一歩、今の実情に合わせて踏み込んではどうかというところなのですが。

○河上委員長 山下課長、余り時間もないのであれですけれども、今の話とあわせて、先ほどの指定権利制の撤廃という話も含めて御意見を聞かせてください。

○消費者庁山下取引対策課長 まさに委員長がおっしゃったことを念頭に、私たちの場合は、2つの御質問、つまり指定権利制の撤廃と取消権の付与ということがリンクしていますので、まず、前提となる指定権利制の撤廃について申し上げたいと思います。
これは、残念に思われるかもしれませんけれども、我々は、ここで問題となっているような詐欺的投資勧誘にあるような商法は、基本的に念頭にないのです。今、話題となっているような商法というのは、およそ実体がないような、あるのかないのかもわからないようなものが大宗を占めているのではなかろうかと考えております。要は、こうした取引は詐欺そのものでございまして、そもそもその存在自体が許されるべきものではないはずです。特商法第1条の目的規定で、「適正かつ円滑な商品等の流通及び役務の提供の達成」を、その目的の一つとして掲げているわけですので、そもそも我々はこういった取引を念頭に置いていないというものでございます。そこからして我々に引っかからないのではないかと、この議論に強く我々は違和感を感じております。
その上で、取消権の導入の効果。先ほど、山口委員長代理から抑止効果はあるというお話でございましたが、我々は正直ないと考えております。理由は、先ほどの繰り返しでございます。要は、逃げ足の速いこういった事例というのは、とらまえようのない事業者を相手に追跡もできない。仮に追跡できたとしても、応ずる可能性がないような事業者に対しまして、取消権を付与したところで、それは実際に使うことにならないだろうというふうに考えております。

○山口委員長代理 2点だけ申し上げさせていただきたいと思います。まず、詐欺的商品は念頭にないとおっしゃったけれども、そういう架空の許すべからざる事業者を市場から排除して、事業全体を適正にすること自体が特商法の大きな一つの目的ではないかと思います。金商法の改正のときに、無登録事業者は念頭にないと金融庁は最初おっしゃいました。しかしながら、無登録事業者による被害がたくさんあるというところで、無登録事業者による金融商品の販売については無効とするという形で、一歩踏み出して規定をつくっていただきました。このように、詐欺的な商品は消費者庁として念頭にないとおっしゃらずに、こういうものはまさに特商法によって市場から排除するんだという視点で議論を立てていただきたい。
もう一つは、詐欺的商品かどうかというのは実際には判断が簡単ではないわけです。例えばカンボジア借地権とか、スーダンポンドの商品とかいうのは、これは現行の金商法上の金融商品に当たらないのですが、もっともらしい権利として売られているわけです。これを民事的な不法行為だということで損害賠償請求訴訟でやろうとすると、判決を取るまでに2年、3年とかかります。それだけややこしいのです。だからこそ迅速な救済というところで、適合性の原則の高齢者についての取消権を認めて救済を図る必要がある。あとは平行線かもしれませんが、是非、御一考いただきたいと思います。

○消費者庁山下取引対策課長 一点だけ、よろしいでしょうか。手短にします。
特商法は、御案内のように、業務停止命令1年、せいぜいこれでございます。したがって、まさに問題となっているのは、喪が明けた後になってまた同じような行為を繰り返す事業者がいるわけです。こういった限界を考えますと、そもそも特商法でこういった事業者を市場から排除する、撤退させるというのはかなり難しかろうと考えております。むしろ、先ほど私が申しましたように、そもそもあってはならない取引であれば、まさに無限連鎖講の防止に関する法律のように、そういった取引を禁止してしまう法律であるとか、あるいは、業法で許可制にかからしめて入り口で排除するとか、そういったことが筋であろうかと我々は考えております。

○山口委員長代理 そういう議論はあり得ると思いますが、それだけ過剰規制になる。本当にまじめな事業者としてまともにやろうとしている事業を排除することになるので、私は、これこれこういうものは売ってはいけないという規制法は逆に危険だと思っています。

○消費者庁山下取引対策課長 特商法は、正常な取引を念頭に置いて、そうでないものを是正するところの効果をねらっている法律でございますので、逆にこういったよくわからないものを特商法の世界に入れてしまうと、それこそ事業活動の萎縮、あるいは、消費者にとっても使い勝手の悪い法律になるというリスクを抱えているわけでございます。今回の押し買いは、まさにそういった議論が一つの論点としてあったわけでございます。したがって、もし本当にだめだというのであれば、それこそ別立てにしまして、禁止法なり、あるいは業法の許可制にかからしめるなり、そこは明確にクリアーすべきだというふうに我々は考えております。

○河上委員長 平成20年に商品・役務の指定制が撤廃されたという事実がありますけれども、そのときに概念上、例えば架空の商品であるとか、あるいは偽体と言いますか、実体があるかないかわからない権利といったようなものも含めて、既に、特商法の対象になり得るという特商法の性質転換があったのではないですか。

○消費者庁山下取引対策課長 当時、この議論というのは、我々も過去の資料を引っ繰り返して見ましたけれども、関連する小委員会におきまして、議論となり得る論点のポイントの一つとして事務局が提示したにすぎないのです。その後、特段、委員等の間で明示的に論点として取り上げられなかった論点なのです。

○河上委員長 取り上げられなかったのであれば、今度、取り上げるということができないのですか。

○消費者庁山下取引対策課長 したがって、今、委員長がおっしゃられたような整理がなされたわけではないということでございます。

○河上委員長 いかがでしょうか。ほかに何か。
よろしいですか。なかなか難しい問題があるぞということはわかるのですけれども、消費者委員会としては、高齢者という、判断力が落ちて、しかも、いのち金を持っているという状態の人に対して、非常に危うい商品、架空であったり、過度にリスキーな商品が提供されている状態に対して、もちろん刑事の対応も必要ですけれども、民事でもっとその効力を否定するルールが何とか工夫できないか。そのときに、適合性原則を持っている金商法、しかも投資商品を扱っている世界。もう一つは、そういう特殊なアプローチでもって高齢者に対して積極的に勧誘をかけているとすれば、その勧誘行為をまさに規制している特商法という法律のいずれかが、そこに網をかぶせるという努力をすべきではないかということを考えて、いろいろと議論をさせていただいているわけであります。
きょう御説明のあった改正消安法は、ある意味ではすき間に落ちるようなものについて対応することを目指してでき上がった法律であるとすると、改正消安法を厳格に執行することも有効であるとは考えられます。特に詐欺的な投資勧誘に見る消費者トラブルというのは、短期に、しかも広域に拡大する傾向が見られますから、同法をいかに迅速に執行に移せるかということが大きな課題になることは、室長からもお話のあったとおりだと思います。是非、そのような方向での執行をお願いしたいと思いますが、問題はこれにとどまりません。
高齢消費者を対象とした民事救済制度の導入や特定商取引法における指定権利制の撤廃については、新たな制度の整備に向けて課題が多いことはきょうの議論からも出てきました。ただ、その課題が、克服できない課題なのか、それとも制度としての見直しの中で克服が可能なのかという辺りは、検討をする余地はあるのではないかと思われます。詐欺的投資勧誘の多くが、高齢消費者にとって老後の生活基盤を喪失するほどの深刻な財産被害を生じさせているという、極めて憂慮すべき事態があることに鑑みますと、是非とも問題解決に向けた検討に、消費者庁、金融庁ともにスクラムを組んでいただきたいということであります。
消費者委員会としては、本日の議論も踏まえまして、引き続き詐欺的投資勧誘対策について審議を行いまして、建議を行っていく所存でございますので、消費者庁、金融庁におかれましては、何とぞ御協力をお願いできればと思います。
本日は、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

≪3.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫

○河上委員長 私の司会の不手際で、時間が大分押してしまいましたけれども、続きまして、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」であります。
消費者基本法においては、消費者政策会議が行う消費者基本計画の検証・評価・監視について、それらの結果の取りまとめを行おうとする際には、消費者委員会の意見を聞かなければならないとされております。このため消費者委員会においては、昨年末に行った関係省庁ヒアリングの結果や当委員会が最近行った意見表明の内容等を踏まえ、計画の検証・評価及び見直しに向けての意見を本年2月26日に発出したところであります。
その後、消費者庁をはじめとする関係省庁では、当委員会の意見を踏まえて計画の検証・評価及び見直し作業を行い、この結果、取りまとめられた計画の改定素案が、現在、パブリックコメントにかけられております。当委員会としては、改定素案について関係省庁からのヒアリングを実施し、計画の改定に向けた意見表明を改めて行う予定としております。
本日はその第2回目と致しまして、リコール情報の周知・徹底、住宅リフォームについて、関係省庁からヒアリングを行いたいと思います。
なお、関係省庁ヒアリングの実施期間中は、消費者基本計画の取りまとめを担当している、消費者庁消費政策課の村山課長にも御出席いただくことにしております。計画の内容等について必要が生じた場合には、適宜、村山課長から御説明をお願いすることがあるかと思います。よろしくお願いいたします。


1)リコール情報の周知・徹底について(施策番号7関係)

○河上委員長 それでは、初めに「リコール情報の周知・徹底について」であります。消費者庁におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。
本件については、本年2月に消費者委員会として建議を取りまとめ、行政機関や販売業者、リコール情報サイト等を通じた、消費者に対するリコール情報を含む注意喚起情報の周知・徹底の強化、あるいは製品安全に係る消費者教育・啓発の充実等への取組みを求めたところであります。その直後に、長崎のグループホームで発生した火災事故の火元が、リコール未回収品の加湿器であったらしいという報道がありまして、リコール情報の周知・徹底の重要性がそこで再認識されるという皮肉な事態となってしまいました。これを受けて消費者庁と経済産業省は、リコール情報の周知・徹底に向けた具体的な取組みを急遽取りまとめ、4月26日に公表しております。当委員会の建議のフォローアップは8月を目途に別途行う予定としておりますが、本日は、いわばその中間報告として、先般公表された具体的な取組みの概要やそれに基づく今後の取組み等について、説明をいただきたいと考えております。
それでは、説明をお願いしますけれども、説明時間は、短くて恐縮ですが、10分以内でお願いできればと思います。よろしくお願いします。

○消費者庁宗林消費者安全課長 よろしくお願いいたします。こちらの委員会の資料にも、年間100件以上のリコール品による重大事故が起こっているという資料が出されておりました。今、お話の中にありましたけれども、長崎のグループホームの事故が起きたときにリコール品だったという話がありまして、私どもも事実確認をして、公表しました。そのときに、それまでの1年間、正確には1年1か月くらいでしたが、その中でリコール品で重大事故を起こしているものをカウントしましたら、109製品ございまして、100というのはそれほど違っていないものだなと思いながら公表させていただきました。
それが2月の動きでございまして、その後、委員長からもお話がありましたように、経済産業省と消費者庁の連名で、何か施策をパッケージができないかということで、相談しながら進んできまして、4月26日にそれを発表ということになりました。4月26日は、御紹介しますポンチ絵でもお話をしますが、その施策のほかに、最初に109製品が1年間ありましたということを発表したときに、その後、メーカーに調査をかけまして、例えば、回収率がかなり低かったもの、回収されないで残っているものが10万台以上等を目安に、再周知が必要なものをリストアップしまして、31製品ございましたが、それもあわせて4月26日に公表したということでございます。
それから、施策の中にも入っていますけれども、これまで毎回、リコール品で重大事故が起こったときには、特記事項という形で定期公表のときにも出してきたのですが、その都度出してきたものを、1か月たった翌月の最終の金曜日に再公表をしようという仕組みも取り入れました。チラシも作りましたということでまとめたものが、4月26日の公表になりました。全体の施策のパッケージそのものは、資料5-2の前についている横長の表になります。

○山口委員長代理 資料5-1の最後についているものですね。

○消費者庁宗林消費者安全課長 そうです。左側が青くて右側が緑の表です。これを両省でやる中で消費者庁的にポンチ絵にまとめたものですけれども、片側は事業者、特に、より消費者に近い販売者に対しての働きかけをしようというもので、右側が消費者への働きかけということでございます。
左側のほうで見てみますと、一番上に書いてあるものがリコール取組みに係る調査ということで、これが、今、私がお話しした、リコール品で重大事故を起こしたけれども、その中でまだ再周知すべきものがあるだろうという調査を取りまとめたものがそれに該当します。それから、その下辺りは、経済産業省がこの5年間でもやはり同じような調査をしておりまして、その取りまとめとセットにして、この5年間でリコール製品で重大事故を起こした91社に対して、要請文を出したということでございます。
その中には、効率的に情報を伝えるためにどんな取組みがあるかということを、一部ヒアリングをした結果が載っておりまして、それを入れまして、効率的な取組みに関しての要請文を連名で出したということでございます。要請文はついておりますけれども、具体的に91社、実名が載っておりますので、こういったところに出したというものでございます。
事業者への働きかけの後半の部分は、経済産業省がこれまで持っているチャンネルの中でやっている働きかけですので、ごらんいただいて、時間がないので、右側をもう少し説明させていただきたいと思います。右側は消費者への働きかけということで、例えば消費者庁リコール情報サイトの周知ということでございます。これは24年4月にでき上がりまして、今は1年1か月というところでございます。これまでに何回かサイトの改修を重ねまして、例えば検索ができるようになったり、写真が載るようになったり、重点事項ということで10件のものが見られるようになったりということで、改修を続けております。
そして、後で御紹介しますけれども、現在、サイトにアクセスされる方も、事故のおかげというわけにはいきませんので、それ以降いろいろな取組みをしまして、ことしの初めくらいと比べますと、現在2倍ぐらいのアクセスがあるという状態です。メールの登録者数も約2倍になっているという状況で、これからも頑張らなくてはいけませんけれども、サイトの周知が徐々に進んでいるのではないかと思っております。
その下に書いてある再公表は、1か月まとめて、1か月遅れたところでもう一回まとめて、もう一回周知を第4金曜日にするというものでございます。
ちょっと飛びますけれども、製品の経年劣化による事故を防ぐための取組みということで、これは経済産業省がもともと持っている仕組みでございますが、「長期使用製品安全点検・表示制度」の普及というものがございます。これは何がいいかと言いますと、事業者と消費者の間に、登録制度ということで個人の情報が事業者につながる制度がございます。点検する時期になるとお知らせが来るということで、リコールのときのお知らせにも活用すると書かれておりますので、これの促進・普及にも努めたいと思っております。
そのほかは、例えば相談員研修のときにそれを取り入れたり、そういうこともさせていただいておりますが、急いでつくったチラシなのであれなのですが、リコールサイトと「リコールとは」というチラシをつくりまして、それを今、普及活動に使っております。具体的には、消費者月間のイベントが続いておりますので、イベントをする登録をしてもらっている自治体220か所に、今日現在、御紹介を出しましたところ、要望が122の自治体から来ております。5月に入ってから、あわてて送ったりしていますけれども、今日現在、6万5,000部、このチラシの配布先が決まっているところでございます。その中には、地域の回覧板にも活用していただけるという自治体も具体的に出てきています。
それから、文部科学省を通しまして、大学・高校・専門学校などへ定期的なルートがあるようですので、1,200か所ぐらい、学生への周知ということでお願いして紙媒体を送っていただくという取組みもしております。もう一つは大学生協。ここにも配布して、依頼があれば、またたくさんのチラシを出す用意をしたいということでございます。どこのところでも、このチラシを何枚ほしいですかという形で印刷済みのものを配っているということでございます。
その中に書かれていますが、リコール情報は、消費者の方が余りにもどこに掲載されているか知らないということで、それらの情報は、どこに掲載がありますということを御紹介しております。先ほどのユーザー登録ということもありますが、こちらの委員会でも議論がありました、いろいろな販売店でカード等によって個人情報の登録をしているところは、リコールのときにもメールを出してくださるところがありますので、活用したい方には御紹介をするというようなことをやっております。とにかくリコール情報サイトの御紹介も、登録の仕方も裏についているという形でこのチラシをさせていただいております。
そのほか、行政フォーラムというところがございます。これはパイオネットの端末のIDを持っている方は見られます。相談員さんはこの行政フォーラムを見られるので、この情報を行政フォーラムにも展開しております。ですから、相談員の窓口のところでわかるということです。
各省へも、今の呼びかけ以外に、厚生労働省の高齢者施設の担当部署や児童施設の担当部署へ要請を出しております。また、自治体にも通知を出して、自治体からの横の連絡ということもお願いをしていますので、縦横からいろいろなところから当該部署に届くということで、連絡ないしはお願いを出しているという状態でございます。
取組みは以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。

○山口委員長代理 資料5-2の30ページ以下に、現実にリコール製品で火災等の重大事故が発生している109件の一覧表が出ています。問題は、右から3つ目のところに進捗率というのがありまして、例えば30ページの6番目、オカキンの室外機辺りは98.4%というかなりの進捗率が認められます。ところが、次のページの2つ目、アイシン精機の温水洗浄便座は1.4%。特に、これはなぜこうなるのかなと思うのが、34ページの三洋ハイアールの電気洗濯機が7.4%というわけです。あるいは、電子レンジも小泉成器が6.1%となっています。
こういうものは電気機器量販店などでかなりの割合で売られていると思うので、余り低い進捗率のものについては、それこそメーカーの名前その他を特定して量販店辺りに周知・徹底をして、現実に火災が起こっているというわけですから、5.何%とか、6.何%ではまずいでしょうというところで少し特定した上で、回収率が低いものについては徹底するとか、そういう工夫はできないのでしょうか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 それで一応選んだのがこの31製品です。回収率が30%未満だったり、10万台以上残っていたりということのリストです。ただ、御指摘のように、家電製品ではないものが家電製品の店頭に並んでも意味がないので、ポスターのつくり方、例えば火災系は火災系でまとめるというところのアレンジが、まだこれから必要だろうと思っています。今、ちょうど消費者月間なので、消費者向けの取組が先になってますが、もともと経済産業省は問題商品のポスターも持っていますし、私たちもこれから作成していきますが、今の御指摘を参考にさせていただきます。ただ、店頭で貼っていただくよう、そこの協力を仰ぐことも含めて、経済産業省と協力を仰ぎながらやっていきたいと思います。御指摘のとおりだと思います。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
田島委員、どうぞ。

○田島委員資料5-4のチラシですけれども、裏面に「これが消費者庁のリコール情報サイトです」とありますが、URLが書いていないのです。下のほうを見ると、メールサービスの登録でもってURLがここだということはわかるのですが、パッと見ると情報サイトのURLだということがわかりにくいように感じますが。

○消費者庁宗林消費者安全課長 ここの下に書いてあるもので飛ぶということではなく、上に書いてあったほうがいいという意味ですね。

○田島委員 リコール情報サイトそのもののURLです。

○消費者庁宗林消費者安全課長 下のパソコン用・携帯電話用のところで一応見られます。

○田島委員 そうなのですけれども、これはメールサービスを受け取るためにしか使えないのではないかというふうに誤解されるおそれはないでしょうか、ということです。ただリコール情報サイトを見るだけだったら、ここに書いてあるメールサービス用のもので、もちろん、入れるわけですけれども、それは一般の人にはなかなか理解できないのではないですか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 最初に配っているきちんとしたもの、というわけではないですけれども、サイトと同じなのですが、それがわかりにくいということ。登録のためのURLだと思ってしまうということですね。

○田島委員 そうです。

○消費者庁宗林消費者安全課長 次回より気をつけます。

○河上委員長 どんどんバージョンアップしていただいたらいいと思います。

○消費者庁宗林消費者安全課長 そうですね。御意見をいただいて。

○河上委員長 細川委員、どうぞ。

○細川委員 すぐということではないですけれども、リコールしたのにそれが消費者の家に残っているというのは、私もそうですが、面倒くさがり屋ということもあって、消費者の責任も大きいですね。そこで問題なのは、型式の何番がリコール製品ですと言われても、それを見つけることが困難です。型式のつけ方というのは全く統一性もないし、ばらばらだし、見ても何が型式なのかわからなかったり、場合によっては、メーカーもちょっと見ただけではわからなかったりします。
前から私が思っているのは、総背番号ではないけれども、商品に通し番号が振ってあって、それを見ればすぐ識別できるような、そんな仕組みがあったらいいなと。ただ、それも雑貨品まで入れればそんなことは無理ですが、資料5-2を見ると、本当に重大なものは家電製品が多いですね、ストーブだとか。例えば家電製品なら、電気用品安全法の、昔で言う電取マーク、三角Tとかついています。そうすると、承認を受けているわけだから、何か統一的な番号でも通しで振ってあれば、今、何番の番号がリコールが出ていますと。しかも、表示場所を決めておいて、トレーサビリティといいますか、後で商品の把握がしやすいとか、そういう工夫をしていかないと、気をつけましょう、自宅の物をチェックしましょうといっても、なかなかできないのではないかという感じがします。今すぐやれる話ではないけれども、一つのアイデアとしてそんなことも検討してもらいたいと思います。

○消費者庁宗林消費者安全課長 販売店からも、リコールになっているものが具体的に何なのか、JANコードを教えてくださいとか、そういう問い合わせもありますので、そういうことだろうと思います。
ただ、とりあえずは検索をしていただくと、物の名前で一応は出てきますので、そこから先、型式だけではなくて、どのぐらいのときに買ったかとか、そういうほかの情報も一応はついているわけです。将来的にはもちろん、そういうことがあるほうがいいかもしれませんが、細川委員がおっしゃったように、どのレベルまでとか、火災は重大事故だからいいですけれども、ほかのものも含めて考えると、かなり難しい問題があると思います。ですから、とりあえずは物、名前という形で、どのときに販売されていたとか、そういう情報を見つけていただいて、そこから先やっていただくというのが一番見つけやすい方法かと思います。

○細川委員 そういう意味で言うと、このリコール情報サイトというのは非常に便利ですね。ただ、先ほど田島委員も言われたように、ここにわざわざアクセスする人がどのぐらいいるかという問題があります。そういう意味では、いろいろなところに協力を頼んでリンクを張ることが重要ではないかと思います。わざわざ消費者庁のこれを探してという人はなかなかいないと思うので、消費者がアクセスしやすいところにリンクがあって、そこで張るというようなもの。
前に御紹介したと思いますけれども、アメリカのCPSC(消費者製品安全委員会)がやはりリコール情報がなかなか届かないと。CPSCのサイトを見ればわかるというけれども、一々CPSCにアクセスしないわけです。そこで考えたのが、最近、ネットオークションでガレージに眠っている商品が流通し始めて、それが被害を起こすので、ヤフーとかのオークションサイトにリンクを張っている。今、あなたがオークションで買おうとしているものはリコール商品ではないか、ちゃんとチェックして買ったほうがいいですよというリンクが張られているわけです。そうすると自分の問題だから、「あっ」と思いますね。そういう工夫ですね。消費者がアクセスするところにうまくつながるようなリンクの張り方。これはもちろん、いろいろなところとの協力がなければできないわけですけれども、消費者庁にあるからいいというのではなく、そういう工夫が必要ではないかと思います。

○消費者庁宗林消費者安全課長 ありがとうございます。今、検索をしてみると、数多くの消費生活センターにこのサイトのリンクが張られていますので、かなりの自治体のところでの御協力は得られているのではないかと思います。ただ、消費者行政の分野ということがございますので、それ以外のところもという御指摘だろうと思います。考えてみたいと思います。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
時間が来てしまいました。リコール情報の周知・徹底策というのは、我々の建議でも随分苦労して検討した結果を出したものではあったわけですが、具体的にやるとなるといろいろ大変だろうと思います。ただ、当委員会での建議以来、速やかにその対策をとっていただいたということで、その点については感謝申し上げたいと思います。
今後は、本日、説明いただいたリコール情報の周知強化策を、より実効性のある形でこれを推進することが重要であろうと思います。施策の具体化に努めますとともに、施策の推移、効果についてもフォローアップをしていただいて、取組みの改善をバージョンアップをどんどんしていただければと思います。
本件につきましては、8月を目途にこの委員会としての建議のフォローアップを予定しておりますので、本日、指摘があったような課題についても、また、さらに検討を深めて建議事項の実現に努めていただければありがたいと思います。
消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

○消費者庁宗林消費者安全課長 今後ともよろしくお願いします。

2)住宅リフォームについて(施策番号55、56、104、117関係)

○河上委員長 続きまして、「住宅リフォームについて」であります。国土交通省においでいただいております。お忙しいところをまことにありがとうございます。
住宅リフォームにつきましては、消費者からの苦情等が絶えないことから、平成23年8月に「住宅リフォームに関する消費者問題への取組についての建議」を取りまとめ、本建議への対応に関しまして、昨年の12月に御報告をいただいたところであります。
本日は、第1に、住宅リフォーム工事に係る詳細な見積りの実施及び見積書の交付の義務化について、第2にリフォーム瑕疵保険制度の普及についての取組み。第3に建設業法の消費者庁との共管の可否について、国土交通省から御説明をいただきたいと考えております。説明時間については、恐縮ですが、10分以内でお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○国土交通省青木土地・建設産業局建設業課長 国土交通省建設業課長の青木でございます。きょうはよろしくお願いいたします。
ただいま委員長からお話がございましたように、リフォーム工事につきまして、見積りの交付をめぐる議論は、私どももこちらのほうでずっと御説明をさせていただいてきたわけですけれども、義務化することについて、今後、どのように取り組むかという論点を頂戴したわけでございます。
私どもといたしましても、建設業法の中に見積りの規定がございまして、発注するほうの求めに応じて義務化という仕組みを持っていますけれども、見積り自体をすることの効果、メリットというのは、リフォームのみならず建設工事全体についても大変重要なものと考えております。ただ、現在の仕組みというものを超えて、例えばすべからく義務化をするということにつきましては、以前も御説明したかもしれませんけれども、事業者の負担というのももちろんございます。それから、リフォームを発注する立場からいたしますと、見積りをする上で、自分がどういうリフォームをしてもらいたいかということをきちんと説明しなければならない。その上で必要な見積りの期間を事業者に付与しなければならない。こういったこともございます。
そういったことからいたしますと、現時点ですべからく義務化をすることについてコンセンサスができているかというと、まだ難しいのではないかということを考えているところでございます。責任を持ってそこのところについて検討というふうには、まだ言える段階ではないのではないか。したがいまして、基本計画でも書かせていただいたところではありますけれども、これは法律ですべからく義務になっていますが、まずは書面による契約の徹底ということがございます。それから、工事の内容・規模に応じて経費の内訳を明らかにするという見積りの実施、見積書の交付、こういったことを、業界団体あるいは消費者団体を通じて取組みを促進していく。見積り自体のメリットもしっかり認識していただく工夫を、国交省としてもいろいろ協力しながらやっていきたいと思っているところでございます。
その中でいろいろな議論が行われたり、実態が積み重ねられる中で、なかなか仮定の話は申し上げづらいのですが、あえて申し上げれば、例えば義務化についての目安のようなものがコンセンサスとして生まれてきたり、あるいは、例えばこういう種別の工事についてはやはり義務化が要るのではないかとか、そういったコンセンサスがその流れの中から生まれてくれば、私どもといたしましても検討を次の段階に進められる。こういった筋書きになってくるのではないかと現時点では考えております。
それから、3番目に頂戴しました、消費者庁と国交省で共管として消費者保護について企画・立案の事務をしてはどうかということでございます。これにつきましては、例えばリフォームをはじめとした、消費者が非常に係わってくる分野につきましては、消費者庁をはじめとする関係省庁と連携しながらやってきてもおりますし、これからもそういった要請は非常に強いだろうと思っているところでございます。所管ということで申し上げますと、具体的な新しい法律ですとか、新しい仕組みをつくったときには、その仕組みを執行していくときに所管という議論が出てこようかと思います。これは、我々は予断をもって考えているわけではなく、でき上がった仕組みを虚心坦懐に見て、これは共管のほうがふさわしいという判断になりましたら、当然、共管ということでやっていくことになろうかと思います。
いずれにしましても、そういった仕組みがどうかというところについて、議論ができているわけでもございません。あえて申し上げれば、恐らくこの御質問は、我々が共管ということをひょっとして嫌がっているのではないかと。失礼な言い方かもしれませんけれども、そういったことでは全くございませんで、これまで国交省でいろいろな仕事をやっていく中で、結果として共管になった事例はございますので、この分野につきましてもいろいろ連携しながら取り組ませていただきたい、こういうふうに考えているところでございます。
冒頭、私からは以上です。続きまして、住宅局から。

○国土交通省山田住宅局住宅生産課住宅瑕疵担保対策室長 住宅局の山田でございます。リフォーム瑕疵保険の加入状況、普及の取組みについて、資料6で御説明させていただきます。
開いていただきまして、1ページ目はリフォーム瑕疵保険制度、御案内のとおりだと思いますが、制度の概要を書いてあります。
2ページは、前回も御説明しました瑕疵保険の申込み件数、24年度3月までの数字が出ておりますので、グラフにあらわしているところでございます。水色が23年度、濃い青が24年度ということで、23年度から24年度にかけて瑕疵保険の申込件数が増えてきているという状況でございます。下に数値を掲げておりますが、23年度は2,098件のところ、24年度は2,625件という形で、増加としましては約3割でございます。ただ、全体のリフォームの中で申し上げますと、御指摘もいただいておりますが、まだまだ申込件数は少ないという中で、引き続き我々としましては、これの有用性等についての周知を、丁寧にしっかりやっていきたいと考えているところでございます。
3ページ以降に新しい取組みのところを整理して載せさせていただいております。3ページはリフォーム事業者検索サイトでございます。従来から、瑕疵保険の法人の団体であります保険協会のウェブサイトで、この保険を利用できる事業者について、地域、事業者名から検索ができるという仕組みを持っておりましたが、今、その充実という取組みをしているところでございます。具体的には、検索した事業者の情報の中に建設業の許可番号もチェックして、消費者の方が選ぶ際に、いろいろチェックができるという情報も載せていきたいと考えています。
従来、瑕疵保険の利用実績なども載せていましたが、これは累計一本でして、瑕疵保険も3年を過ぎまして、全体の数と、最近どのぐらいその事業者が瑕疵保険を使っているかというのがわかりにくいという話もありましたので、前年度はどのくらいの件数を1年間で活用したかという、件数も見られる形での改良をしているところでございます。
ちなみに、この検索サイトにつきましては、23年度は約四十数万件のページビューでございました。24年度が八十数万件という形で、見ていただくという観点では、かなりの数を見ていただくような形で、認知度が徐々ではありますが、高まってきているのではないかと考えているところでございます。
2点目が、4ページ、「安心・快適 住宅リフォームハンドブック」でございます。お手元にも現物をお配りしております。いろいろな形で冊子をつくって、事業者を通じてお配りするとか、消費者の方に届くようにという形でやっています。今回は、どちらかというと消費者の方に読んでいただくという観点でつくっておりまして、見開きの最初のところにページが書いてありますが、大きく4点で整理しています。
1つは、実際リフォームでどういうことができるのかといった辺りのかたまり。2つ目に、実際にリフォームをやる場合、どういう進め方をしたらいいのかといった手順を詳しく説明しているパート。3つ目は、実際にどういったトラブルが事例としてあって、そういった場合の相談にどういうふうに対応しているか。あるいは、相談窓口がどういうところにあるかというのを3つ目のパートで整理しています。4つ目は、実際にこの瑕疵保険、その他のいろいろリフォームに利用できる制度についての情報という形。
こういった形のハンドブックを昨年12月につくりまして、まさにこれの普及をやっております。実際には、いろいろな自治体の相談窓口の研修とか、そういった窓口の方々に送って、こういうものがあるという話をしています。また、実際にウェブサイトで申し込んでいただくと、無料で送付することも可能だということで対応しているところでございます。今後、消費者の方へのリフォームセミナー等でもこれをお配りしながら、瑕疵保険も含めたリフォームのやり方、制度について、消費者の方にお伝えしていくという取組みを引き続きやっていきたいと考えているところでございます。
5ページは、新築で瑕疵保険に入られた方にいろいろな制度がありますという御案内をしております。その中に、このリフォーム瑕疵保険、新築すぐという形でリフォームがそれほど行われるかどうかというのはありますが、いずれ家を持たれてリフォームという話もありますので、新築時のダイレクトメールにもリフォーム瑕疵保険の説明を入れさせていただいて、周知を図っているところでございます。
新しい取組みとしてはこのような取組みをしているところでございます。引き続き我々としましても、認知度を高めるという形で、建議の中にもありましたが、自治体との連携も含めてしっかり取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
私からは以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いします。
吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 御説明、ありがとうございました。瑕疵保険についてお伺いしたいのですが、リフォーム業者で工事の受注をして前金は取ったけれども、その後、経営破綻をしてしまうケースが時折発生して、ほとんど被害回復ができないで終わってしまうことから、業者倒産時の保険金の支払いがこの制度の中で想定されていると思います。一方で、あまたあるリフォーム業者のうち、登録している業者というのは少ないのではないかという印象を持っていますが、その辺の数字というのは押さえていらっしゃるのでしょうか。

○国土交通省山田住宅局住宅生産課住宅瑕疵担保対策室長 済みません。今、手元にあれば、すぐ確認してお答えします。

○吉田委員 そこをなるべく登録業者を増やしていくことが重要かと思いますので、よろしくお願いいたします。

○河上委員長 では、お答えを探していただいているうちに、別の質問でもよろしいですか。
では、山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 リフォーム瑕疵保険については、私の認識では、年間300万件ぐらいのリフォーム件数があると思いますが、その中で瑕疵保険の契約が2,000件しかないというのは、実際上、制度として機能していないと言わざるを得ないのではないかと思います。口頭では普及に努力されるとおっしゃっているけれども、2、3年前からのお話でも同じようなことをおっしゃって、一向に件数が増えていない。一方、リフォーム工事についての相談件数が減っているかというと、PIO-NETの情報を見ますと、私の手元にあるのは2011年までの分ですけれども、増えています。2009年は9,700件だったのが、2011年は1万3,500件ぐらいの相談件数で、増えているということを考えますと、リフォーム瑕疵保険が、言葉を選ばずに言うと、機能していないのではないかと思います。その点、どうなのかが一つです。
それから、青木課長の御説明はややニュアンスが前向きになったかなというところで、もう少し変わればなと思うのですが、例えば見積りの義務化について、事業者の負担とか、求めるリフォーム内容の特定がユーザー側もできていない部分もあるから、コンセンサスが云々とおっしゃいましたけれども、この2つは全く理由にならないと思います。
つまり、リフォーム工事といっても、例えば300万円以上とか、一定の金額以上の工事に限定すればいいわけです。もちろん、小さい工事についてのクレームが多いことは多いわけですが、やはり深刻さから言うと、例えば300万円以上という一定の限定をした上で、そういう工事については詳細見積りの義務化をすることは、一定金額以上であれば、事業者の負担なんていうのは話にならない。一定の金額以上であれば、一定の詳細見積書をつくって、契約書をつくるのも当たり前の話であって、それをやらないこと自体、私のほうから見ればとんでもない話ではないかと思うわけです。
他方で、ユーザーが求めるリフォームの内容が特定できないというならば、まさにこれが紛争のもとになるわけでして、施主の側、リフォーム工事を発注する側が、何を幾らで業者にお願いしたいのかということがはっきりしないまま、よろしくお願いしますとやるからクレームのもとになるわけです。これは、事業者側にとっても、消費者側にとっても不幸な事態なわけです。やはり契約をする以上、どういう工事について、これこれこういう費用がかかるから、トータルで幾らかかりますというのを、きちんと詳細見積りを取って契約書を出させるのは当たり前の話です。これがコンセンサスができていないというのも、どうなのかなというふうに思います。
ここについては、共通のコンセンサスになっていると思いますが、年間の新築着工工事の件数は70~80万件ということで減っていますので、これからこの業界についてはリフォームを伸ばしていかないといけない。本当に伸ばす気が国交省にあるなら、ここをまず適正化することが前提ではないか。消費者の関心も、テレビ番組などを見ていても、リフォームでちゃんとできているとか、問題になっているというのは非常に視聴率も高いし、関心が高いです。やはり他人事ではないということで見ていますので、リフォーム工事は、何をどういうふうに幾らで頼むかというのを特定した上で発注するのは当たり前、その上で見積書を取るのは当たり前だし、業者と契約書を作成するのは当たり前なんだということを確定する上でも、建設業法の20条を変えて義務づけをしてはどうか。
御案内のとおり、施行令で、もっぱら500万円未満の工事しかしない、そういう事業者は適用の対象になっていないわけです。これ自体、問題かもしれませんけれども、私どもが申し上げているのは認可をもらっている業者についての義務の法律化ですから、ここについてはもう一歩踏み出されたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。両方にお聞きしています。

○国土交通省山田住宅局住宅生産課住宅瑕疵担保対策室長 瑕疵保険につきましては、山口委員長代理から何度かそういう御指摘をいただいていまして、我々も決してこの数字で十分という認識も当然ありませんし、いろいろな計画の中でも、できれば、構造とか雨水にかかわる工事については3割ぐらいは使っていただくというのを、長期的目標に掲げているところでございます。実際、3年という形の中で、初年度はどちらかというと補助事業などで相当件数を経験してもらうということでやっています。それが23年、24年と、事実上、直接的な補助がない中で出てきているのが、まさに事業者が消費者との関係の中で任意に取り組み始められているというところだと思います。
そういった中で、徐々にですが、一定の規模のものについては、リフォーム瑕疵保険を使うことをきちんと自分のホームページでうたいながらやっていく事業者、そういったものも増えています。我々としましても、消費者の方にこういった制度が活用できるという御説明をやっていくのとあわせて、事業者の方にはいいモデルを紹介しながら、リフォーム事業に携わる方にしっかり取り組んでいただくことも引き続きやっていきたいと思っております。まだまだ足りないという中で、いろいろな知恵を絞りながらやっていきたいと考えているところでございます。
ちなみに、先ほどの登録事業者数ですが、25年3月末現在で8,973件という形になっています。この辺も、すそ野の部分として登録事業者を増やしていくところが重要になってくるということで、他社との差別化という意味で、事業者の検索サイト辺りを活用していただけるような、少しでもプラスになるという改善をしているところでございます。引き続き努力していきたいと思っているところでございます。

○国土交通省青木土地・建設産業局建設業課長 山口委員長代理から御意見をいただきました。冒頭申し上げましたように、見積りを取る、それから、金額が大きい物件であるほどしっかり価格を見るべきということについては、我々としてもおっしゃるとおりだと思っています。ただ、御説明したように、そこのところを一律に義務化してしまうのかどうかというところについては、コンセンサスが得られている状況かというと、責任を持ってそうだと言える状況にないというのが我々の今の考え方でございます。
それから、消費者のほうが、そもそも自分がどういうリフォームをしたいのかわかっていないことが問題だという御指摘もいただきましたけれども、それは全くそのとおりだと思います。ただ、すみません、私がちょっと言葉足らずだったのかもしれませんけれども、非常に簡便な工事でかなり定式化されている工事について、とっとと早くやってもらいたいというニーズがあるのも事実です。それを一々説明をして、文書にしてということが、これは少額物件が中心かもしれませんけれども、そういったところも含めて線を引けるかどうかについては、業界団体、あるいは消費者とのいろいろなやり取りの中でそのラインがある程度見えてくる、そういう声が出てくるということになってこないと、なかなか熟した制度とはならないのではないか、こんなふうにも思っています。
もう一つ申し上げますと、我々が力を入れていきたいと思っているのは、見積りの中身自体もいろいろ御指摘をいただいているところですけれども、ともかく建設業法で、法律上のある種の内訳書として見積りが出ていることで法律上の義務はクリアーしているということになったとしても、その出し方というのはかなり差があります。例えば発注者の立場に立ったしっかりした見積りが出ているかどうかというところについては、ちょっとどうかなと思うような紛争事例も実はございます。
そういったことからしますと、見積りの質を上げていくこともやっていかなければならない。もちろん一律の義務化という議論も、我々は、ある程度の段階が来ればそういったことも全くあり得ないと言っているわけではありませんけれども、業界団体なり消費者の方々と議論する場もあります。そういったところで見積りをしっかりやっていきましょうという運動を展開し、また、見積りの中身も消費者のニーズに応えていくことが、ひいてはリフォーム市場を健全に育てていく、自分たちのためにもなるということをしっかりと循環としてつくっていきたい、こんなふうに考えているところです。

○河上委員長 簡便な工事は、むしろ定型化した見積書でも構わないわけですね。現在は、どのくらいの金額のリフォームが割合としては多いですか。

○国土交通省青木土地・建設産業局建設業課長 少額のほうが圧倒的に多いというのが実態です。

○河上委員長 先ほど、300万円という話がありましたけれども、私の得ている情報では、200万円未満が半分近くあるという話を聞きましたから、場合によっては、100万円ぐらいの線で見積書をつくってくれということを義務づけることが考えられないか、というぐらいの具体的な提案になるかと思います。そのことによるコスト増というのは、一体どのくらいのものを想定していらっしゃるのですか。実際には紛争を解決するためのコストにはなるわけですが。

○国土交通省青木土地・建設産業局建設業課長 データに基づいたしっかりした議論が我々は十分できているわけではないので、ちょっと申しわけないと思っていますけれども、一つは、金額が比較的大きいものについては、見積りが行われていないほうがまれではないかというふうにはお伺いをしているところでございます。
それから、100万円ではどうかというお話もありました。これも、やや議論のための議論みたいになるのですが、最近、我々が若干、個別的に問題にしているものとして申し上げますと、新エネの法律ができまして、自宅に太陽光のパネルを取り付けるというケースがあります。こういったものは工事費自体は大変安いわけですけれども、パネルをやっている業者さんが施工することによって、業許可は取っていますが、必ずしも建設業を専らとしてやっていない。それでいろいろ消費者との関係でトラブルがある。これは金額は極めてわずかだったりするので、建設業法自体、500万円とかである程度割り切っている法律であるので、なかなか言いづらいところがありますけれども、少しその辺りをきめ細かく見ていかないといけないという議論は、いろいろな個別案件の中では我々としても議論はしているところでございます。

○河上委員長 どうしよう、どうしようと考えているとなかなか前へ進まない。どこかでエイヤッとやってしまえば、それに合ってみんな動くものではないかという気がします。話は違いますが、民法の保証の規定に要式規定を入れたんですね。そうすると、紙でやらないと保証契約は有効にならないと。改正前には、これは大変なことになるぞとみんな言っていたのですが、いざやってみたらちゃんと動いている。案ずるより産むがやすしかもしれないなという気はします。
ほかに何かございますか。

○山口委員長代理 今、いただいた「住宅リフォームハンドブック」、非常によくできていると思いますが、これの25ページを見ますと、住宅リフォーム見積書の例ということで書いてあります。先ほどの青木課長の発言からすれば、リフォーム工事見積書は必ず取るようにしましょうと。「契約する内容をしっかり確認しましょう」と左側のページに書いてあるけれども、これは、見積書を出さないような事業者は問題だというぐらい、もっとはっきり書けないのか。
それから、マル3を見ますと、「極端に高い金額が『一式』になっている場合~注意しましょう」と書いてあります。これは、300万円とか、あるいは100万円以上の場合にはとか、もう少しはっきり基準の金額を書いてはどうですかとも言いたいです。
青木課長の認識は明らかに現実と違っていて、大手の業者で、1,000万円以上の工事でもリフォーム工事一式ということでやっている業者はいます。それは御存じだと思いますけれども、そういう業者を国交省のほうできちんと、指導できるのかどうか知りませんけれども、運用実情を見て、そういう大手事業者がいれば、それはそれとして問題だということでちゃんと議論していくなり、そういう御努力は、法律改正どうのこうのの前に実態の把握は是非お願いしたいと思います。

○国土交通省青木土地・建設産業局建設業課長 おっしゃるとおり、実態の把握については我々としても意を用いていきたいと思います。また、その中からいろいろな流れとか、目安というものが出てくるのではないか、こんなふうに思います。

○河上委員長 それでは、ほかにないようでしたら、以上にしたいと思います。
住宅リフォーム工事の契約では、多くの消費者が書面を取り交わしていないという問題があって、費用や施工内容に関するトラブルを生じやすい。これは既に指摘されているとおりであります。住宅リフォーム工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じた工事の種別ごとの材料費、労務費、その他の経費の内訳を明らかにした見積りを実施すること。それから、見積書の交付を義務化することによって、そうしたトラブルが減るであろうということも容易に推測されるところですので、是非、引き続き御検討をいただければと思います。あわせて、リフォーム瑕疵保険制度が出てまいりましたけれども、まだまだ十分普及しているというところまでいきません。瑕疵保険で登録された事業者には、保険会社からの監視も期待できますし、様々な意味で一層の普及を推進していただけるようお願いしたいと思います。
消費者庁、国土交通省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

≪4.詐欺的投資勧誘対策について II≫

○河上委員長 続きまして、「詐欺的投資勧誘対策についてII」になります。ここでは、商業登記の真正性の確保に関して審議を行いたいと思います。日本弁護士連合会、法務省にお越しいただいております。お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。
詐欺的な投資勧誘に係る審議の中で、被害者が平取締役に対して責任追及を行おうとしても、商業登記に実在しない人物や、他人の氏名が冒用されているという場合がありまして、結果的に訴状が送達できないという指摘がございました。本件については、昨年12月の当委員会で審議を行いましたが、今般、日本弁護士連合会が商業登記に関する調査を行ったと伺っておりますので、その結果を踏まえて、改めて議論をさせていただきたいと思います。
それでは、まず、日本弁護士連合会から御説明をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○日本弁護士連合会大迫消費者問題対策委員会委員 日弁連から大迫と申します。よろしくお願いいたします。
御承知のように、高齢者を中心として詐欺的な投資取引被害が横行しております。有名になりましたので、こちらで御説明しなくてもおわかりと思いますけれども、いわゆる劇場型と言われるような、最初は未公開株でしたが、その後、社債、さまざまな権利に関するものが電話勧誘等で販売されるということが非常にたくさん報告されております。私ども弁護士は、こういった被害に遭った方々の依頼を受けまして、被害回復、実際に奪われたお金について、追及して取り戻すことを使命として行わなければいけないわけですが、その際に、勧誘した者が誰なのか、実際にお金を持って行った者が誰なのか。そこに行き当たらなければ被害回復の最初の取りかかりもできない、こういう状況でございます。
こういう被害については、法人格、会社名義が使われているわけです。お金を振り込むために銀行口座を使うことが多いわけですが、現在、銀行は、口座をつくるときに法人格については調査をしております。少なくとも会社登記簿謄本を出させておりますので、全くない会社の名前での銀行口座はないということで、法人格があるということは、そこまでは私どもも行き着くわけです。しかし、実際に登記簿を取って中身を見ても、そこから個人へ行かない、こういう問題がございます。
これが悪質商法を行う会社であったとしても、ある程度永続的に商売をするつもりの会社であるならば、その会社自体の中に何らかの利益の蓄積があると見てもいいでしょうけれども、現在行われています詐欺的な権利の売買等の関係はもはや犯罪、明らかに詐欺事犯ですので、全く永続的に会社を存続させるつもりがない状態です。そのために、会社の中にあるお金を取り戻すという考え方では到底被害の回復ができませんので、法人格を隠れ蓑としている個人の責任追及を目指さなければいけないという問題があります。その個人を特定する方法として、会社の登記簿謄本がどのような役割を果たしているのか。ここがまさに私どもは問題にしているところでございます。
資料7にアンケートの報告書を出させていただきました。有効なアンケート数としては数が限られておりまして、さびしいと思われるかもしれません。緊急な状況の中で集めまして、私どもも日々の仕事の中で、終わった案件についてアンケート調査に答えるのはなかなか大変だということで、余りたくさんの協力は得ていないのですが、私自身の経験でも、それから、私のように悪質な詐欺的商法に対応している弁護士の間では、こういう事案があることは極めて常識的なこととして承知しております。
問題は、このアンケートについては4種類に分けて説明されていますが、一つは、会社自体が実在しない。つまり、本店所在地にそういうものがないという事案。それから、代表取締役の住所地に送達ができないという問題。さらに、取締役として書かれている者が、実際に訴えることができたとしても、私は名前を冒用されただけである、承知していないという言い訳をする例。あるいは虚無、この人は実在しない、架空名義の取締役であるということが他の関係者の口から言われることが非常に多くあります。そういうことが、アンケートの結果として集めたものの中に記されているわけです。
本店所在地に会社が存在しない、どうしてこういうことが起こるかといいますと、いわゆるバーチャルオフィスという、オフィスがあるかのようなサービスを提供する会社がありまして、それを利用して登記をしている。あるいは極端な例としては、私設私書箱のようなものを本店所在地として登記してあるものもありました。当然、訪ねて行きましても誰もいないということになるわけです。
それから、代表取締役の住所地に送達できない。登記簿謄本では代表取締役のみが住所を記載するようになっておりますので、その住所があるわけですが、実際にはそこに誰も住んでいない。住民票だけ残したままいなくなっているという例は、これは非常に多く見られるところです。さらに、取締役については住所も記載されておりません。名前しかありませんので、登記簿謄本を見ただけでは住所地への送達は不可能です。
私どもは法務局に調査をしまして、登記をするのに提出した関連の資料等が保存されている場合には、その閲覧をして特定を急ぐわけですけれども、その中にも、取締役に関しては住所を特定できない場合が非常に多くあります。しかも、本人の承諾なしに取締役登記ができるのは、会社の議事録を資料として登記ができるようになっておりますので、言葉は悪いですけれども、本人が知らない間に議事録をでっち上げて登記をしてしまうことが可能です。そのために取締役は実在しないとか、あるいは、承諾を得ていないという例が頻繁に見られるということでございます。
このように会社の登記というのは、会社そのものの存在を公に明らかにして、私どもが会社に対する関係で権利関係を争うときには唯一の手がかりですし、当然、それは国によって制度としてきちんとつくられているはずであるという類のものですが、実際にはそんなお寒い状況で、登記が虚偽のものが非常に多いという、嘆かわしい実態だと思っております。私どもは、少なくとも登記の真正は一定程度確保されるものであってほしいと思っておりますし、詐欺的事案が法人格を隠れみのにしてまん延しているという実態を思いますと、やはり登記だけが手がかりですので、それがきちんと被害回復につながるようなものであってほしいと思っております。
以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
ただいまの御説明を踏まえまして、法務省から御発言があればお願いいたします。

○法務省佐藤民事局商事課長 今回のアンケートを私どもも拝見いたしまして、具体的な事例が記載されていたことについては、大変参考になる情報ではないかと考えております。ただ、残念なことに、アンケートの有効回答数が非常に少ないということがあります。31件ということですけれども、母数は、恐らく全国にアンケートをされて、さらに日弁連の消費者を専門とされる方へのアンケートの結果だと思いますので、数が少ないことについては少し残念な気もいたしますが、この中からできるだけ参考になる情報をいただきまして、何か対応できるものはないかということに使っていきたいと考えております。
今の日弁連の御説明の中で、問題点を3つに整理したほうがいいのではないかと私自身は思っております。アンケートの中には混在した形で回答がされてございますので、3つの点に整理しつつ見ていただいたほうがよろしいのではないかと思います。
一つは、代表取締役の問題でございます。代表取締役につきましては、登記をする際に、住所の真正を確保するために印鑑登録証を出させておりますので、その時点ではそこに住所があったことは確認をしてございます。ところが、実際はその後に代表取締役が住所を変更する。法律上は、代表取締役は住所を変更した場合には2週間以内に届出をしなければいけない。それは過料ということで担保されているわけですが、それが実際上、届出がなくて、裁判になったときに送達で困るという問題がございます。
この問題につきましては、登記でどのように対応できるかという問題がございまして、届出をしない方について、実質的な調査をして追いかけていくことはなかなか困難です。それは住民票も同じでございまして、住民票できちっと移転をしていないということになりますと、追いかけていくのは難しい。裁判になりますと、最後の住所というか、一定の時点での住所をはっきりしてございますので、送達する実務といたしましては、そこにいないということになりますと、公示送達という方法、あるいは、不在で出てこないということになりますと付郵便という方法になります。そういたしますと、判決自体は認容判決が出ることがあろうかと思いますけれども、出席しないということで、実効的な執行、あるいは、被害回復が難しいということがあろうかと思います。代表取締役の問題というのは、そういう形で整備されるのではないかと思います。
これは会社自体についてもそうでございまして、バーチャルオフィスの問題は少しおいておくといたしましても、会社をつくったときに実体がありつつ、その本拠を移している場合、しかも登記をしていない場合は、過料なりで担保するという制度になっていますけれども、実体的につかまえて調査をして、どこにいるかというのを把握するのはなかなか難しい現状にございます。登記制度での対応という意味では少なくとも難しい現状にございます。
次の問題といたしまして、取締役の住所が覚知できないという問題があろうかと思います。これにつきましては、御指摘のように、今、印鑑証明書を添付する扱いにしていないものですから、住所を覚知できない場合もございますが、そういう意味で今回の事案の中で大変興味深かったのは、問6の事案に対する答えでございます。問6の2番をごらんいただきますと、外国人の名前が並んでいて、登記申請書類を確認すると住所の記載がなかったという記載がございます。外国人だからということもあったのかもしれませんけれども、実際、登記申請書類をこの事案では確認をされたということだと思いますので、登記のひな形によりますと、取締役も住所を記載するようなひな形になってございますから、あえて記載をしなかったのかどうなのかというところは、もしわかったら教えていただきたいと思います。いずれにいたしましても、登記申請書類の実態がどうなっているのかというところは、こういう事案をいただきますと、私どもとしてもある程度実態の調査をして、実態の把握をしなければいけないのではないかということを考えております。
3番目の問題といたしましては、取締役が実際に住所がわからないというのではなく、取締役自体が別の人、あるいは取締役に就任する書類を偽造したという場合もあり得るところでございます。今回のアンケートによりますと、問4で、そういう形で取締役が実在しなかった事例があるかということが問われております。これにつきましては、そのような事案を担当したことがないというのが、90%近いという結果になってございます。
さらに、実在性が疑わしいとされている事案についても、住民票が取れないとか、代表取締役の住所が不明ということですので、明確に取締役の名前を偽造したという事案は出てきていないということかと思います。これにつきましても、実態がどの程度なのかということは、日弁連のほうでも御協力いただいて、引き続き事案の収集に努めていきたいと考えているところでございます。
長くなりましたが、以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御意見のある方は発言をお願いいたします。

○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。佐藤課長にお聞きしたいのですけれども、3つ言われたうちの2番目の問題ですけれども、取締役の住所が謄本を取り寄せてもわからない。したがって、先ほど大迫弁護士がおっしゃったように、実体のない会社で名ばかり社長がいて、この人も責任追及の余地がない。そうすると、取締役として名前が並べられた人の責任を追及せざるを得ない場合に、住所がわからないわけですね。
運用の前提を確認したいのですけれども、私自身もアフリカントラストの例で、アフリカ人の名前が何人か並んでいるのですが、実在するかどうかもわからない。実際に被告にして裁判を起こしてみたら、自分は取締役になった覚えはないというような主張が出てきました。外国人の場合には、本人確認といいますか、平取締役の場合にはどうしているのか。それから登記申請の場合、住所を書くようにおっしゃったけれども、必ずしも住所を書くことは義務づけていないのではないか。もし義務づけているならば、その住所が本当の住所だというところの真実性の確認はどうなさっているのか。その辺は前提としてどうなのでしょうか。

○法務省佐藤民事局商事課長 今の御指摘の点ですけれども、取締役につきましてはもともとは登記事項になっていたわけですが、今は、住所の関係での印鑑証明書を添付書類として義務づけていない扱いになっておりますので、そこは、申請ベースで取締役の就任届のみを課しているという現状でございます。

○山口委員長代理 そうすると外国人の場合には、その人が実在するかどうかで、例えばパスポートとか、その他のコピーを提出させるとか、それで確認するとか、あるいは日本人の取締役についても、住所地は確認していないということになりますと、実在性についての確認は今のところは実務ではなされていないということになるのでしょうか。

○法務省佐藤民事局商事課長 パスポートとか印鑑証明書を出させる形での確認はしていませんけれども、それがもし偽造ということになると、もちろん刑罰で担保されることになろうかと思います。

○河上委員長 よろしいですか。

○山口委員長代理 今の点で大迫弁護士は、実務上、数には出ていないけれども、責任追及の点で困難に逢着することがあるのかどうか。佐藤課長には、現実に私の認識では、取締役の住所もわからない、あるいは、真実性の担保は必ずしもできないというところがあるので、例えば平取締役にも印鑑証明を出させるとか、外国人の場合にはパスポートのコピーを提出させるぐらいのことはしたほうがいいのではないかと思いますが、それは大変なのかどうか。あるいは、もう少し実態を積極的に調査することはできないのかどうか。その辺をお伺いいたします。

○日本弁護士連合会大迫消費者問題対策委員会委員 今、山口委員長代理は外国人の例をお出しになりましたけれども、取締役については、これは日本人であっても印鑑証明が出ていないので、全くわからない。議事録だけで登記がされておりますので、実在しないかもしれないし、あるいは、就任の承諾をとっていないかもしれないという問題が起きています。事案として、そういう事案がないかのように、数が少ないかのようにおっしゃいましたけれども、例えば実在しないとか、承認しないまま載っていたという形で判決になることは大変まれです。つまり行き着かないので、被告として呼び出すこともできません。そういう形になっておりますので、結局そのまま、問題はあったとしても、判決という形で数に出すことができない状況であるということはお含みおきいただきたいと思います。

○法務省佐藤民事局商事課長 さらに実態調査を行う必要性がないと言うつもりは全くありませんので、著名人を使っての、一見してわかるような虚偽の登録があるのかどうかとか、引き続き調査はしていきたいと思っております。
ただ、実態としてなかなか難しいのは、今回のアンケートの問2にもございますが、裁判になりますと、取締役として名を連ねていて、訴訟に出てきていながら、「いや、私は証人になっていません」ということを主張する事案がございます。この問2の中でも3番では、私は脅迫によって代表者になりましたと主張したわけですが、これは裁判で認められていないということが記載されております。
6番につきましても、代表者(父親)が勝手に登記したという主張をされているようですけれども、実際の裁判例では、就任は承諾したと認定されているということがございます。そういう主張は往々にして裁判に出てくるものですから、なかなか裁判で具体的にそこまで行くのは難しいことは確かかと思いますが、そういう事例も集積しつつ、また登記実務において、明らかに虚偽だと判明している事案がどれくらいあるのかも含めて、さらに実態の調査をしていきたいと考えております。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
ケースの数がなかなか伸びていないということですけれども、これは、弁護士会の中で消費者問題などをなさっている方々にアンケートをとられたのですか。それとも全員にとられたのですか。

○日本弁護士連合会大迫消費者問題対策委員会委員 全員ではないです。消費者問題を取り扱う部署に対してアンケートの協力をお願いしておりますので、第一義的には日弁連の消費者委員会の委員になっている者に出しております。その後、各単位会の消費者委員会のほうにも協力を呼びかけてはおりましたけれども、各単位会がどのぐらいの程度で実施したのかは把握できておりません。
御理解いただきたいのですが、これはあくまでも裁判をしたということが前提なので、最初から登記の内容から見て困難だと。例えば、手紙などを出して返事が来ないとか、着かなかったという実態があると、裁判そのものをあきらめてしまうこともあるわけです。判決として数をそろえるのは、コストは全部依頼者に負担してもらわなければいけなくなりますので、数をたくさん集めるのはなかなか難しいということは御理解いただきたいと思います。

○河上委員長 そうすると、こういう問題に対応しようとしたときに、登記が特に問題になりますが、相手方の個人まで到達できなかったというほうが多いという感触ですか。

○日本弁護士連合会大迫消費者問題対策委員会委員 はい。この手のものは、消費者弁護士であっても必ず裁判をして回復できるという自信があるわけではありませんので、依頼者には、費用をもらっていろいろやってみても回復できないかもしれない、ということは伝えざるを得ません。その段階で、もう裁判はいいです、あきらめますという例も大変な母数があるわけです。そういう中で、判決となったものを今回アンケートで出せるというのは、これは、すごく先駆的に努力している弁護士さんがいて、31件やっと集められているというのが実情です。

○河上委員長 ありがとうございました。ちょうど私のすぐ横にも経験があるという人がいるぐらいですから、よほど立法事実はあるのだろうなという感じはしたものですから。
ほかには、よろしいですか。
お忙しいところをありがとうございました。特に平取締役等の真正を担保することが、事業者の追跡、捕捉の困難性を改善する。こうして捕捉された者を相手に損害賠償責任を追及することなどによって、詐欺的な投資勧誘の抑止と被害回復に資するということは、恐らく明らかではないかと推察致します。今後、商業登記の真正に関する実態をさらに把握して、真正を担保するための所要の措置について、是非、御検討をお願いできればと思います。
消費者委員会としましては、本日の議論も踏まえまして、引き続き詐欺的投資勧誘対策について審議を行いまして、建議等を行っていく所存でございますので、法務省におかれましては、また必要に応じて御協力をお願いしたいと思います。
日本弁護士連合会、法務省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

≪5.預託法について≫

○河上委員長 続きまして、「預託法について」であります。消費者庁にお越しいただいております。お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。
本件につきましては、消費者庁では昨年10月に、「特定商品等の預託等取引契約に関する法律」の政省令等の見直しに関する意見募集を行っておりましたが、その御意見を踏まえて、今般、一部改正を予定していると伺っております。本日は、特定商品等の預託等取引契約に関する法律、施行令、いわゆる政令の一部改正について、御説明をいただきたいと考えております。
なお、預託法の第11条第2項に、政令の制定または改廃の立案をしようとするときは消費者委員会に諮問しなければならないと定められておりますので、その関係でも御説明をいただくことが意味を持つということになります。
それでは、説明をお願いいたします。

○消費者庁山下取引対策課長 資料を2つ用意しております。資料8-18-2でございます。8-1につきましては預託法の概要でございまして、今回は時間もございませんので、省略させていただこうかと思っております。
資料8-2です。今、御説明いただきましたように、預託法第11条の2の規定に基づきまして、政令を改廃する場合は諮問させていただくことになっております。その内容でございますが、右の別紙をごらんいただければと思います。大きく3つのカテゴリーの追加を考えております。
一つが、自動販売機及び自動サービス機というものでございます。2つ目が、いろいろ書いていますが、一言で言いますと健康食品のことでございます。これは、特商法の指定商品時代の健康食品の記述にならっているものでございます。3つ目のかたまりが家庭用治療機器でございます。
これらのカテゴリーに含まれる特定の商品につきまして、現時点では預託法の政令で指定されていないものの、一定程度の苦情相談件数が認められたために、今回、追加しようというものでございます。
また、コメ印のところでございますが、既に、哺乳類であって人が飼育するものが指定されているわけですが、現状、ルビを振っております。しかしながら、常用漢字表の改定によりまして「哺」が追加されましたので、ルビを落とすという改正をあわせて行うことを考えております。
簡単ですが、以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
この件に関して、御意見のある方は発言を願います。よろしいですか。
いっそのこと、後追いにならないように、この指定を廃止するというのは考えられないのですか。

○消費者庁山下取引対策課長 今回は、もともと消費者基本計画に依拠している取組みの一つですけれども、例の安愚楽牧場問題の反省を踏まえまして、計画上、政省令など、速やかに対応可能なものにつきまして先行的に見直すという旨の宿題をいただいていまして、それに対応する改正という位置づけでございます。したがいまして、預託法の指定商品制を廃止するかどうか。これは明らかに法律改正事項でございますので、そこにまでは踏み込んでいないというものでございます。

○河上委員長 将来的には検討する余地はあるのですか。

○消費者庁山下取引対策課長 それにつきましては、現状、まだ検討が進んでおりませんので、その是非も含めまして、あるいは可否も含めまして、部内で議論していくことになるであろうと考えております。

○河上委員長 よろしいですか。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 先般、かなり分厚い規則類の作成作業をなさっていると聞いたのですが、今後、消費者庁のこのセクションの中では、何人ぐらいのスタッフでどういう作業をしていくことになるのでしょうか。

○消費者庁山下取引対策課長 おっしゃっている書類の確認ですけれども、それは省令の様式のことを示されているのでしょうか。

○山口委員長代理 そうです。

○消費者庁山下取引対策課長 それにつきましては、現在、パブリックコメントを実施したところでございます。そこで様式の改定案につきましてお示ししているところでございまして、現在、それの取りまとめ作業を行っているという状況でございます。

○河上委員長 何人ぐらいでやっていますか。

○消費者庁山下取引対策課長 人数につきましては、ごく限られた人数で行わざるを得ないということでございます。数名でございます。

○山口委員長代理 大変だと思いますが、頑張ってください。

○消費者庁山下取引対策課長 ありがとうございます。

○河上委員長 では、ほかにないようでしたら、この件についてはこれまでにいたします。
本件については、改めて当委員会に対して諮問が行われると思います。その際には、本日の消費者庁からの説明、委員からの発言等も踏まえまして、諮問に対する答申を行いたいと思います。
消費者庁におかれましては、お忙しいところ、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪6.その他≫

○河上委員長 次に、議題6で「その他」としまして、新開発食品調査部会から、新開発食品調査部会設置・運営規程第8条第2項の規定に基づき、審議結果の報告をいただきたいと思います。
それでは、田島部会長からお願いしたいと思います。

○田島委員資料9でございます。特定保健用食品の表示許可にかかわる答申について、私から御報告いたします。
平成25年3月25日に開催いたしました「第12回新開発食品調査部会」の議決について、新開発食品調査部会設置・運営規程第8条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、平成25年5月7日付で内閣総理大臣へ答申を行いました。資料9が答申書でございます。
内閣総理大臣より諮問を受けて、今回の部会において安全性及び効果について審議を行いました。審議の結果、2品目について指摘事項を確認の上、了承するとされ、平成25年4月23日に私が確認し、特定保健用食品として認めることとして差し支えないこととされました。
なお、資料の裏面に答申を行った2品目の一覧表を添付しております。
私からの報告は以上になります。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、本日の議題は以上でございます。お忙しいところを審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪7.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局から、今後の予定等について説明をお願いします。

○原事務局長 長時間、お疲れさまでした。
次回の委員会は、来週5月21日(火曜日)を予定しております。
議題につきましては、消費者基本計画の検証・評価・監視についての第3回目を予定しております。
5月21日、その次の28日も開催予定ですので、御予定をお願いしたいと思います。
それから、前回の委員会でもお示ししておりますけれども、資料10といたしまして、第8回の地方消費者委員会を札幌で開催するチラシをつけております。5月25日、「製品安全について」をテーマにして開催いたしますので、是非、周知をして皆さんに御参加いただきたいと思います。
以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。
細川委員、どうぞ。

○細川委員 今、原事務局長から御説明はなかったけれども、委員間打合せ概要というのを配られています。私もうっかりしたけれども、委員間打合せ概要は何のために出すのかというところですが、これは、消費者委員会がこの本会議だけで議論しているのではない部分があるので、見える化というか、意思決定のプロセスをわかるようにということで委員間打合せ概要を載せることになったという理解なのです。
そういう意味から見ると、これは中身が何にもなくて、意見交換を行ったというだけで何の意見を言ったかわからないし、その他の「企画・運営会議の概要について報告を行った」というのも、一体何を言ったのかも何も書いていなくて、これは何の意味もないです。いやいや出したというか、面倒くさくてただ出したというだけで、消費者委員会がどういうプロセスで意思決定をしているかというのを見えるようにしてくれと、そういう要望があって出したと思います。もちろん、事務的なことをやっているときもありますけれども、ちょっとこれはひどいのではないか。前に言えばよかったかなと思いますけれども、どうですか。

○原事務局長 委員間打合せのこの概要の書き方については、いつも意見があって、充実させていこうというところなのですけれども、5月7日のときは、30分という時間は書いておりますが、5月は消費者基本計画の検証・評価を、この項目でこの重要施策でここを対象にやっていきましょうということの御確認をしていただいただけだったので、非常に簡単なものになったというところです。ふだんは、この1枚いっぱいになるように、今、工夫して書いているところですので、今後は、もちろん充実させていきたいと思います。このときは本当に確認で、ちょっと皆さんにお集まりいただいて、終わった後にやっただけですので。

○細川委員 そうでしょうけれども、意見交換を行ったというのだから、どういう意見が出たとか、企画・運営会議の概要について報告というのも、企画・運営会議というのは何を議論したのかが消費者にわからなければ、このペーパーを出しても何の意味もないし、こういうことをやっていると、ますます消費者委員会のホームページのアクセスもなくなるので、その辺はちょっと工夫を。

○原事務局長 実はこのときの企画・運営会議は、ほとんど何も発言がなかったので、こういう書き方になっています。それから、ホームページは、内閣府の中では結構見られているホームページになっております。

○河上委員長 たまたまこの打合せ概要の出た日は、短い時間に簡単に事務的なことをやった日で、内容が簡略になっているようです。
ただ、細川委員もおっしゃったように、この打合せ概要は、本委員会以外のところで委員会がどんな活動をしているかということを皆さんに知ってもらうためにつくっているということで、事務局ともども、内容を充実させようということについては意見が一致しておりますので、今回はそういう特例ということで、御理解いただければと思います。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)