第117回 消費者委員会 議事録

日時

2013年4月9日(火)16:00~18:45

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、川戸委員、田島委員、夏目委員、細川委員、村井委員、吉田委員
【説明者】
消費者庁 村松地方協力課長
総務省 田谷自治行政局公務員部公務員課長
消費者庁 菅久審議官
消費者庁 増田食品表示課長
【事務局】
原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.地方消費者行政について
○説明者: 消費者庁 村松 地方協力課長
総務省 田谷 自治行政局公務員部公務員課長
3.食品表示一元化について
○説明者: 消費者庁  菅久 審議官
増田 食品表示課長
4.その他
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第117回)」会合を開催いたします。
それでは、配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。

○原事務局長 まず、資料1ですけれども、「地方消費者行政の持続的な展開とさらなる充実・強化に向けた支援策についての建議」、昨年7月に出したものですけれども、その実施状況報告において、説明願いたい事項ということで消費者委員会で準備をした資料です。
資料2と3は、それについての御回答ということで、消費者庁、総務省それぞれから御提出いただいた資料です。
資料4といたしまして、「食品表示法案」ということで消費者庁から御提出いただいた資料で、枝番のついたもので入っておりますけれども、その関連になります。
資料5といたしまして、「消費者委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文一覧について」ということで、3か月ごとに公表するようにしておりますけれども、平成25年1月から3月までに寄せられたものです。
資料6といたしまして、2月、3月にかけまして、消費者団体ほか関係団体との意見交換会を実施いたしましたが、それにいただいた御意見への対応についてということで準備をいたしました。
参考資料といたしまして、この間、4月2日に委員間打合せを行っておりますので、その概要をおつけしております。
以上になります。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

≪2.地方消費者行政について≫

○河上委員長 それでは、早速、議題に入りたいと思います。
最初に、「地方消費者行政について」であります。消費者庁及び総務省におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
消費者委員会では、昨年7月に、集中育成・強化期間後における地方消費者行政に対する国からの支援策の在り方についての建議を取りまとめまして、内閣府特命担当大臣(消費者)及び総務大臣等関係大臣に発出したところです。その際、消費者担当大臣と総務大臣に対し、本建議への対応状況について、本年1月を目途に御報告をいただくことを求めていたところでありますが、この間、政権交代があったということも影響しまして、予算編成作業が大幅に遅れたということで実施を延期しておりました。
しかし、資料2-1(PDF形式:439KB)PDFを別ウィンドウで開きます資料3(PDF形式:82KB)PDFを別ウィンドウで開きますという形でお配りしておりますとおり、この3月には、両大臣より、実施状況について公文による御回答をいただきましたので、本日は、その内容をもとに調査審議を進めたいと思います。
お手元の資料1(PDF形式:286KB)PDFを別ウィンドウで開きますをごらんいただきますと、内容が3つの部分に分かれているかと思います。左側の欄には、昨年7月に行いました建議事項が入っております。真ん中の欄には、今般、両大臣からいただきました実施状況報告、右側の欄は、実施状況報告を踏まえまして、さらに委員会として「説明願いたい事項」をお示ししております。
本日は、説明願いたい事項について、消費者庁及び総務省より御説明をいただいて、それを踏まえてさらに意見交換を行ってまいりたいと考えております。ごらんになってもわかりますとおり、御説明いただきたい事項だけでも相当数ございまして、なかなか大変ですので、軽重をつけまして、二重マルがついている項目については重点的に御説明をいただきますが、一重マルになっている項目については、簡潔な御説明で進めていただければと思います。
それでは、最初に、消費者庁から御説明をお願いしたいと思います。説明時間については30分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○消費者庁村松地方協力課長 消費者庁、村松でございます。
それでは、昨年いただきました建議に対する消費者庁の取組、実施状況と、それに際してさらにいただきました「説明願いたい事項」につきまして、項目ごとに御説明したいと思います。実施状況も簡単に御説明したいと思います。
まず、「(1)国による地方に対するこれまでの支援策に係る検証・評価」でございます。
実施状況といたしましては、現況調査、ブロック会議、個々のヒアリングなどによりまして、定量・定性の両面から、基金など施策につきまして分析・評価を行いました。その結果を踏まえて今後の課題を整理いたしまして、25年度の予算要求などを行ったところでございます。
説明願いたい事項の1点目、今後の支援策を講じるに当たっての課題でございます。今後に向けた課題といたしましては、いろいろあるかと思いますけれども、例えば身近な相談体制の整備に関しましては、財源が不足する中での人材、担い手の確保がまだまだ重要ですし、行政内部での連携強化につきましては、消費者行政に対する職員の認識づくりがさらに必要でございます。
地域社会全体での広がりのある連携体制の構築に向けては、例えば地域のネットワークづくり、消費者教育のさらなる充実による自立した消費者の実現というところも、まだまだ課題でございます。今後という点では、事業の継続性の確保という点も一層重要な課題になると考えております。
これまでも、基金などを通じまして、これらの課題の解決に自治体と一緒に取り組んできたところではございますが、まだまだ十分ではございませんので、今後も、自治体の御意見を踏まえながら引き続き支援をしていきたいと考えております。
なお、これまでも自治体の声を踏まえまして、例えば24年度におきましては、消費者団体の間接補助の実現、25年度、今年度からは、広域連携につきまして、センターだけではなく窓口設置も対象にするなどの見直しを随時図ってきたところでございます。
説明願いたい事項の2点目、指針の内容の見直しでございます。この点につきましては、25年度におきまして基金の運用を改定したばかりでございますので、しばらく状況を見る必要がありますが、根本的な課題につきましては、先ほど御説明したとおり、余り変わらないということで、当面、指針を踏まえて取り組んでいくということを考えているところでございます。
「(2)活性化基金で新設・増設した相談体制維持のための財政支援策等」でございます。
まず、実施状況といたしましては、活性化基金の延長と上積み、指針などによる先進事例の提供を行っております。また、基金等の活用期間に関する一般準則によりまして、中長期的な財政支援の方針も明示したところでございます。
説明願いたい事項、1点目と2点目でございますが、準則を踏まえた財源確保の道筋、自主財源を確保できない自治体への対応でございます。一定の期限内での自主財源化はかなり難しい状況にあることにつきましては、十分理解しているところでございます。しかし、現時点におきまして、困難と言いましても何も始まりませんので、まずは一緒に取り組んでいきたいと考えているところでございます。自治体が手を尽くして努力してもなお、十分な自主財源の確保ができないという事態になった場合は、その時点での状況を踏まえまして、新たな方策について一緒に模索していきたいと考えているところでございます。
次の事項、広域連携やよろず相談窓口の課題とその改善方法についてでございます。この点につきましては、平成23年の委員会からの建議でも御指摘がございましたとおり、いわゆる中心市方式では周辺の市町村が手を引くという課題があります。この課題に対しましては、25年度から、周辺の市町村については、手を引かないということを基金の活用の条件としたところでございます。
「(3)地方消費者行政に係る国からの財政負担の在り方の検討」でございます。
実施状況といたしましては、基金の上積みですとか、地方交付税の基準財政需要額の増額によりまして、これまで措置をしております。
説明願いたい事項ですけれども、多くの業務が、国の政策的要請に基づくと認識されていることについての認識いかんという点と、小規模自治体を中心に一定の財政支援を継続することの必要性をまとめて御説明したいと思います。
消費者行政につきましては、国と地方とがそれぞれの役割と責任を果たしまして、連携することで、より消費者の安全と安心が守られる仕組みになっていると理解しているところでございます。PIO-NETにつきましては、本来目的でございます相談業務のためのサポートツールとして、きちんと機能するよう見直しを行っております。
また、国が消費者相談の情報を収集するだけですと、国センにコールセンターを設ければお金がかからずに済むということになってしまいますけれども、やはり消費者のためには、消費生活相談は身近なところで行われる必要があると認識しているところでございます。その上でナショナルミニマムを達成するためには、実質的に継続的な財政支援を行う必要があると認識しておりまして、形にとらわれず、財政支援の在り方について検討していきたいと考えているところでございます。
続きまして、「(4)消費生活相談員の雇止めの抑止・処遇改善等」でございます。
実施状況といたしましては、非常勤職員の雇用について総務省とも認識を共有しまして、長官通知などによって自治体首長へ働きかけを行っております。また、一般準則によりましても雇止め抑止の仕組みを設けているところでございます。
説明願いたい事項でございます。雇止めの働きかけの結果と、より効果的な要請を行うための工夫でございます。先日御紹介しました昨年度の現況調査の結果では、雇止めを行っている自治体は依然2割程度残っておりまして、なかなか見直しが進まない状況でございます。自治体において見直しが進まない背景といたしましては、他の非常勤職員と一律の仕組みとなっておりまして、消費生活相談員の専門性の高さに対する認識共有の不足ですとか、他の非常勤職員との並びを崩せる材料がないことなどがあると認識しております。
一方、専門の資格の保有を条件といたしまして、資格保有の職員については例外規定を置いた自治体もあると伺っております。2月には一般準則によりペナルティを科したことで、人事当局に対する交渉材料を提供しておりますけれども、同時に、税金を使って能力向上を図った消費生活相談員を無駄にしていいのか、という疑問も投げかけているところでございます。
消費者庁といたしましては、引き続き、消費生活相談員に求められる専門性の高さについて認識してもらえるように、事例提供を進めるとともに、雇止め抑止に向けて働きかけを行っていく予定でございます。
次の説明事項の、相談員資格の検討と今後の予定などでございます。地域主権の考え方ですとか、規制改革の考え方もさることながら、現行の3つの資格がある中で、さらに新しい資格を設けられる状況にあるのかどうかなども含めまして、改めて精査を行っているところでございます。自治体の声をお聞きしますと、まずは足元の消費生活相談員の養成確保・育成といった質量の充実が喫緊の課題との声も大きいところでございます。引き続き、各方面の声を伺いながら具体化を進めてまいりたいと考えております。
次の民間委託等の状況と対応でございます。民間委託につきましては、うまくいっている例も多いところでございますが、デメリットもございます。メリット・デメリットを整理して自治体に周知していくこととしたいと思っております。
続きまして、「(5)地方消費者行政に係る自主財源・人員確保等に向けた働きかけ」でございます。
実施状況といたしましては、阿南長官が地方に赴く機会に、直接、自治体首長への働きかけを行っております。また、一般準則によりまして、首長の消費者行政への意識を強化・促進するための仕組みも設けているところでございます。
説明願いたい事項のまず1点目、消費者行政の体制整備の目安等の発信の有効性でございます。定性的には指針でお示ししておりまして、さらに目指す先につきましては、先進事例として提供しております。定量的には目安の設定は逆効果が大きいところですので、あえて示しておりませんけれども、現況調査によりまして、同規模の自治体がどの程度の状況なのかについては把握を可能にしているところでございます。
2点目、自治体における分野横断的な連携体制の強化の課題と支援でございます。消費者行政以外の職員につきましては、消費生活相談そのものを知らないことも多いところでございます。ですから、消費者行政を前面に打ち出すよりも、むしろ、住民が困ったときに相談できる体制づくりのための一つの切り口といたしまして、連携をとっていくことが現実的だと認識しておりまして、そのような方向でも自治体を支援していきたいと考えております。
続きまして、「(6)消費生活センター相談窓口機能における自治体間格差の是正」でございます。
実施状況といたしましては、国民生活センターにおきまして巡回訪問事業などを実施しております。被災4県に対しましては、基金の運用の弾力化、復興特別会計による基金の上積み、相談窓口への専門家派遣等を行っているところでございます。
説明願いたい事項のまず1点目、支援により体制整備等が進んだ自治体とそうでないところの違いでございます。この点につきましては、やはり消費者行政に対する関心や認識の違いが大きいと考えております。そもそも支援を受けることすらしない自治体もございますので、「どこに住んでいても消費生活相談を受けられる体制」づくりに向けまして、財政支援のほか事例提供等もしながら、都道府県とともに連携して後押しをしていきたいと考えております。
2点目の被災地自治体の要望等の取り入れでございます。この点につきましては、これまでと同様に被災地の都道府県からよくお話をお聞きするとともに、現地に直接足を運び、自治体の方々からの声を伺ってまいりたいと考えております。
続きまして、「(7)都道府県における法執行力の強化」でございます。
実施状況でございますが、技術面の支援といたしましては、都道府県の担当者を対象とした執行研修、立入検査の立ち会いなどを実施しております。情報共有の面につきましては、景品表示法執行ネットシステム、特定商取引法執行ネットの運用、食品表示監視協議会の運営等を行っているところでございます。
説明願いたい事項、法執行の実績の低い自治体における制約とそれを補完するための支援でございます。この点につきましては、消費者庁としましても、いただきました建議事項と同様の問題意識を持っているところでございまして、引き続き、実施状況報告で記載したような情報の共有を図っていくことが重要と認識しているところでございます。
続きまして、「(8)消費者行政担当職員・消費生活相談員のレベルアップのための研修の強化」でございます。
実施状況といたしましては、国民生活センターの研修につきまして、その6割を地方で開催するとともに、オンデマンド配信等の遠隔研修も試行しているところでございます。
説明願いたい事項のまず1点目、実務的研修のモデルと効果でございますが、例えばということで、OJTの事例としましては、都道府県センターの相談員との共同処理などが行われておりまして、一定の成果を上げているところでございます。
  2点目、行政職員向けの研修の不足と、充実に向けた取組みでございます。この点につきましては、ニーズがございましたら国センとともに研修計画を見直すこととしたいと考えておりますが、研修機会がありましても、行政職員の認識が不足しておりますと、結局、参加は期待できないところでございます。この点、十分な検討が必要だと考えております。
3点目、研修参加に格差がある現状の認識と対策でございます。こちらにつきましては実施状況も御説明しましたとおり、今後とも、地方開催など、より参加しやすい環境づくりを取り組んでいきたいと考えております。
続きまして、「(9)基本マニュアル・相談事例集等の体系的整備・更新と自治体への提供」でございます。
実施状況といたしましては、国民生活センターと連携いたしまして、消費生活相談マニュアルを作成しているところでございます。
説明願いたい事項でございます。マニュアル等の継続的な更新等が必要ではないかという点でございますが、この点は御指摘のとおりでございまして、消費者庁といたしましても、継続的な拡充を考えていきたいと考えております。
続きまして、「(10)消費者教育・啓発の推進」でございます。
実施状況といたしましては、基金による支援を行っているほか、現在、推進法に基づく基本方針の策定作業を行っているところでございます。また、消費者庁といたしましては、消費者ホットラインの運用、メール配信などによる情報提供、高齢者の消費者トラブル未然防止キャンペーンなどの実施を行っているところでございます。
説明願いたい事項、まず1点目、消費者市民社会の実現に向けた基本的考え方でございます。消費者教育は、被害・危害防止を含め消費者の自立を支援するために行われてきたところでございます。さらに消費者教育推進法では、公正かつ持続可能な社会の形成に参画する消費者、その発展に寄与する消費者を育成することも消費者教育の重要な課題と位置づけられております。個々の消費者が主体的に行動できるような社会の基礎をつくることが、消費者市民社会の実現の第一歩と考えているところでございます。
2点目、教育委員会との連携や、地域協議会を有効に機能させるための方策についてでございます。消費者教育は消費者が主役の社会の形成に向けた活動でございますので、消費者に身近な自治体や地域の団体などが、その推進の担い手となることが期待されているところでございます。国はそのための支援をすべきであり、こうした観点も踏まえまして、基本方針案の策定をしているところでございます。また、地域の取組みの一助となるように、さまざまな取組事例の情報提供も積極的に行っていくこととしているところでございます。
3点目、国が消費者向けの周知を行う場合の自治体のニーズの反映でございます。こちらにつきましては、地方自治体とのブロック会議ですとか、消センのセンター長との会議の場のほか、自治体との意見交換会の場での声を踏まえるようにしているところでございます。
最後、「(11)消費者団体の育成・支援」でございます。
実施状況でございますが、24年度からは、自治体が消費者団体へ補助を行うための経費も基金の対象化としております。適格団体に関しましては、25年度予算案に国と地方とのコラボレーションによる先駆的プログラムを計上しておりまして、適格消費者団体の設立の促進を政策テーマの一つとして設定しているところでございます。
説明願いたい事項の1点目、消費者団体の育成等が十分な自治体と、そうでない自治体との違いでございますが、この点、人材の存在の有無が大きいと考えております。消費者団体の育成に取り組む人材の確保・育成が大きな課題かと考えております。
2つ目の成功事例の全国展開のための支援でございます。消費者団体の育成等につきましては、創意工夫の仕方は無限大だと考えておりまして、できるだけ多くの取組事例を集めまして積極的に提供しているところでございます。
適格団体の設立等の支援の具体的取組みでございます。適格消費者団体が、会員ですとか寄附を獲得することにつながるよう、主に3つの支援策を行っております。1点目が、消費者団体訴訟制度の周知と普及でございます。2点目が、団体間の連携強化、情報共有のための適格消費者団体連絡協議会の開催。3点目が、寄附金について税制優遇措置を受けることができる認定NPO制度の活用・促進でございます。これらの支援策を引き続き実施していきたいと考えているところでございます。
以上、取組みと説明願いたい事項についての回答でございます。よろしくお願いいたします。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、引き続き総務省から御説明をお願いいたします。説明時間については、恐縮ですが、15分程度でお願いいたします。

○総務省田谷自治行政局公務員部公務員課長 総務省、公務員課長の田谷でございます。
本日は、先月御提出いたしました大臣の報告を補足する機会を与えていただきましたことに、御礼申し上げたいと思います。まことに勝手ながら、あすの国会の用がございまして、私は17時を目途に退出しないといけません。質疑応答の途中かとは存じますが、飯田補佐というのが控えておりますので、彼女のほうに途中からバトンを渡すことをあらかじめお含みおきいただきたいと思います。
我々に求められておりますのは、資料1の5ページから6ページにかけての部分でございます。
1つ目は、「◎マル1 総務省としても消費者庁との連名により文書を発出する予定はないのか」というお尋ねでございます。臨時・非常勤職員はその職の性格から、本来長期にわたって勤務することは想定されていないところでございます。ただ、消費生活相談員のように専門的な知識や資格を要する職を臨時・非常勤職員で充てるという場合には、地域の実情によっては人材を確保することが困難な場合もあることから、再度の任用が必要なケースも考えられるところでございます。このため、業務の適切な執行、消費生活相談員の人材の確保のために、消費生活相談行政を御担当されていらっしゃる所管省庁のほうで、いわゆる雇止めをしないように助言・指導をしておられることについては我々としても十分に理解をしているところでございます。
一方で、総務省といたしましては、各地方公共団体において、地方公務員制度を使いまして職務の性質に応じた的確な任用を行っていただくことが必要と考えおります。臨時・非常勤で任用する場合でも、適切な人事管理、任期とか勤務状況をきちんと明示しなさいと、こういったことについては助言・指導を行ってきているところでございますが、特定の行政分野の特定の職種の任用に当たって、個々具体的な指導、例えば今回でございましたら、雇止めをしないようにという趣旨につながる形での連名通知を行うことには、限界があることについて是非御理解をいただきたいと考えております。
臨時・非常勤の制度の運用、あるいは、それを改善するために累次重ねてまいりました任期付任用制度の充実、従来からこういう制度は、地方公共団体の自主的な活用を尊重すると言ってきたことがもちろん背景にはございますけれども、それ以上に、総務省としては地方公務員制度全般を所管しているという観点で、特定の分野について、具体的な知見とか、具体的なファクトとか、そういったものをつぶさに知ることはなかなか困難でございますので、政府部内での分担管理という観点から是非御理解をいただきたいと思っているところでございます。
2つ目の、継続的に自治体への周知を行うために、非常勤職員に係る法令の解説、あるいはコンメンタール等のガイドラインにその旨を明記する予定はないのか、こういうお尋ねでございます。地方公共団体の業務はもとより多種多様でございまして、各地方団体において、職務の性質に応じた的確な任用を行うほか、任期あるいは再度の任用といったことについても適切に定めまして、当該業務がきちんと執行されるように工夫していただく必要があると考えております。
こういった観点から、平成21年4月24日付の通知によりまして、以下のような助言を行ってまいりました。具体的には、任期ごとに客観的な実証を行った結果として、同じ者を再度任用することは排除されないといった助言を行ってきているところでございます。この21年の通知というのは、平成16年に任期付職員制度をつくり拡充してまいりました過程で、その後、臨時・非常勤の仕組み、任期付による仕組みが十分に生かされていない、あるいは社会の背景も変わってきている中で、これを今後どう活用していくかという問題意識から、20年の7月に有識者の先生方からなる研究会をつくっていただきまして、そこで今後の地方公務員制度の具体的な運用の在り方について御提言をいただいたものでございます。その御提言をいただいた上で出しました通知でございまして、我々にとりましては、こうした問題に対する極めて基本的な通知と位置づけておりまして、その中で、先ほど申し上げましたような助言を行っていることについて御認識いただければと、このように考えてございます。
5ページの右下の二重丸でございますけれども、任期付短時間勤務制度の運用状況の調査結果のポイントや、採用事例の概要はどうなっているかということでございます。
まず、任期付短時間の制度につきましては、16年の制度導入以来、採用団体は逐次増加しております。24年4月1日現在で、78団体・3,745名。主に対人サービスのものが多うございますので、市町村が多うございますが、都道府県でも岡山県と愛媛県などの2県ではこういった制度が使えているところでございます。
具体的に市町村における採用事例をどのように紹介しているかということでございますけれども、まず行政分野別。一般事務でありますとか、医療関係とか、福祉とか、こういった分野別に、2つ目には採用した職、業務。そして、どんな団体がそれを採用したかという地方公共団体の名前。その地方公共団体が、そういった業務、例えば福祉に任期付短時間の職員を採用した具体的な背景、こういったものを掲載しております。
例えば消費生活相談員については、兵庫県の明石市や兵庫県の佐用町の例を掲載しておりますが、それ以外には、看護師、保健師、図書館司書といった専門的な職種についても採用されているという事例が紹介されております。
2つ目が、消費生活相談員が同制度の対象として採用される事例が少ないことについてどう分析しているのか、こういうお尋ねでございます。先ほど申し上げました分担管理原則のもと、総務省として、消費生活相談員に特化した要因は承知することが困難でございますけれども、一般論として、任期付短時間の制度の普及のペースが徐々に広がっているとはいえなお遅いと指摘されている理由といたしましては、制度そのものに対する理解不足があるのではないか。あるいは、任用に際して法律上の要件がございます。例えば一定期間内に限った業務であることとか、あるいは、直接的なサービスの提供体制の量的な拡充が図られることといったことにつきまして、業務の期間設定が明確でない場合やサービスの量的拡充を伴わない場合、活用することは困難というふうに思っているからではないかということが指摘されております。これも、平成21年の有識者の先生方からなる研究会の報告書の中で、そういったファクトをつないで指摘をしていただいているところでございます。
3つ目に、採用事例を増やすために今後どのように周知を図っていくのか。図っていく予定はないのか、こういうお尋ねでございます。実は我々、小さいものではありますけれども、毎月、地方公務員月報といったものを各県各市町村の人事担当者にお配りしまして、全国の先進事例などについて御紹介をしております。これが人事担当者が具体的にほかの地域の事例を知るいい機会でございますので、今後とも参考事例を積極的に提供してまいりたい、このように考えております。
6ページは、これは一重マルでございますけれども、より柔軟な専門職任用制度の在り方についてでございます。1つ目は、臨時・非常勤職員に関する実態調査についてはどのような調査を行って、いつ公表するのか。さらに、どのような論点について、今後、議論を行っていくのかというお尋ねでございました。先月の29日に、地方公共団体における臨時・非常勤職員調査の結果を公表いたしております。調査の結果、24年4月1日現在の地方公共団体における臨時・非常勤職員数は全体で約60万人でございました。この調査の調査項目は、地方公共団体における臨時・非常勤職員の種類の別、任用別の人数、任期、勤務時間、報酬、休暇の付与状況、こういったものを公表しております。
建議の中で、より柔軟な専門職任用制度の例として、たしか注書きで任期の定めのない短時間勤務職員制度についての言及がおありだったかと思います。この点については、長期的な人事管理、具体的には、任期の定めのないフルタイムの職員を原則として行っている現在の地方公共団体の人事管理の実態との関係で、幾つかの困難な点も予想されるなど、検討すべき課題を引き続き持っているのではないか、このように考えております。一方、民間でも近年、契約期間の定めのない短時間正社員制度が出始めておりますけれども、これは必ずしも一般的でないと聞いておりまして、こういうものの分析とか今後の動向は見極めていく必要があると考えております。
以上のことから、基本的には任期の定めのない非常勤職員を中心とする地方行政の運営の原則が維持されるべきものとは考えておりますけれども、臨時・非常勤職員の問題につきましては、今回の調査結果を踏まえながら、先ほど申し上げました民間労働法制の議論の動向や、短時間勤務制度の普及状況などを踏まえて幅広く議論を検討していく所存でございます。
簡単でございますが、以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明を受けて、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。総務省におかれましては、消費者部門は切り分けてということではなく、是非御理解いただきまして、消費者庁との御協力をよろしくお願いしたいと思います。やはりほかの非常勤の職員とは違った専門性、特に事業者との交渉が今、どんどん厳しい状態になっておりますので、3年、4年経験して一定程度のノウハウをやっと身につけたところで雇止めになると、貴重な経験が蓄積されていかないという実情がございまして、あっせん力の低下につながっております。いろいろお立場の違いは、今のお話で総務省としてのお考えはわかりましたけれども、是非、なお一層御尽力をお願いしたいと思います。
特に私のほうから質問ということはありませんが、やはり立場が違うんだなというところで、難しいことは判りましたけれども、まだできたばかりの消費者庁で、その中で一生懸命尽力していただいていますので、よろしくお願いしたいと思います。
消費者庁に一つお聞きしたいのは、地方の執行力の強化という観点から、特にこれは前の地方消費者行政専門調査会の中で議論したところで、景表法の執行力の強化という観点から、消費者庁には景表法を執行する地方の部隊がいない。自治体、都道府県の職員にも指導という権限があって、そこで頑張っていただいているわけですが、それではなかなか思うに任せないところがある。
今、公正取引委員会に調査を委嘱してなさっているとは思いますが、公正取引委員会の考え方によりますと、併任という形で、消費者庁の職員であり、かつ公取委の地方事務所の職員であるという形で身分関係を整理して、消費者庁の職員と公正取引委員会の地方事務所の職員を兼ねる人が、景表法の現実の執行に携わるという制度づくりをすれば、より景表法の執行力の強化につながるのではないかという議論がありました。公取委としては、それはできるのではないかというお考えをお持ちだと聞いています。これについてどう消費者庁でお考えなのか、お聞かせいただければと思います。

○河上委員長 お願いします。

○消費者庁村松地方協力課長 この点、私は担当課ではございませんので、担当課に確認した上で、また別途お伝えしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

○河上委員長 論理的には併任というのはそんなに難しいことではないのですか。

○消費者庁村松地方協力課長 すみません。私、人事担当の経験がないものですから、その点はちょっとわからないのですが、手続はあろうかと思いますので、その程度かとは思います。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 御説明、ありがとうございました。お話を伺っていると、地方消費者行政が抱える問題、課題に対しての意識というのは全く一緒だなというふうに思いました。それを踏まえて、どうしたら地方が一歩も二歩もこれから先に進めていけるのかということを、庁と一緒に考えていきたいという気持ちを新たにしたところです。
3つだけ、お考えをさらに伺えればと思いますけれども、まず1つ目は、(5)の御説明で、体制整備についての目安を示すことが逆効果であることから、特にそれは考えていないという御説明があったかと思います。例えば、全国的に消費者行政が盛んに行われていて、逆に目安を示すことが、一生懸命やっているところの足を引っ張ることになるというのであればわかるのですけれども、現状は必ずしもそうではなく、どちらかというと低調な中にあると思います。一定程度の目安を示す、例えば消防とか、教育とか、警察のように、どこへ行ってもちゃんとサービスが受けられる目安を示すことは、現時点においては逆効果ではなく、これは効果があることではないのかと思っております。結局、そういう材料がなければ、人事・財政に丸腰で交渉に臨んでも何も得られるものはないというのが実態かと思いますから、目安を示すことは効果があると考えておりますけれども、改めてこの点、いかがでしょうか。
2つ目は(8)です。消費者行政の担当職員の養成について、不十分であると私も思っておりますが、一方で、せっかく育てた職員が定期の異動、例えば3年とか5年で異動してしまうことについてどう考えるか、ということです。育てた職員が他の部署に移ったことによって、消費者マインドを持ってその部署の仕事ができるから必ずしも無駄ではないという考え方もあるかと思います。しかし、消費者行政を安定的にかつ活性化させていくためには、複数の専任職員が配置できるような大規模な自治体であれば、きちんと引き継ぎをしてノウハウを伝達してということは可能かと思いますが、担当が1人しかいない。しかも兼務であるという自治体においては、なかなか引き継ぎというのもうまくできない。結局、育った職員が消費者マインドをもって精力的に仕事ができるようになったときに、また人が入れかわってゼロからスタートということが繰り返される。消費者団体から意見を聞いていても、やはりそういった問題を指摘されているところですが、その点について庁としてどのようにお考えか。
これは、特定の自治体にあることではなく全国的な課題としてあると思いますし、消費者行政だけではなく、ほかの行政分野でも同じことが言えるかと思いますが、その点についてのお考えを伺えればと思います。
最後に、全体的なところですけれども、国が地方に対してどういう支援ができるのかと考えたときに、やる気の喚起であったり、個別の問題に対する対症療法的な対応に終始せざるを得ないというのは一定程度理解できます。しかし、私が消費者行政が一元化する前に期待していたことは、今までの体制を根本的に変えていく、改革していく、再構築をしていくことが3年後、4年後に地方においても実現するのだということでしたがどうも現状はそうではない。今ある体制にちょっと色をつけていくようなところにとどまっているのではないかと考えております。
人の問題、お金の問題含め、根本的な再構築を目指していかないと、いつまでも同じような状況がズルズルと続いていくのではないかと懸念しております。対症療法にとどまらない、もう一歩踏み込んだ体制の再構築について、そういったものが必要だとお考えなのかどうかということについて、お伺いしたいと思います。

○河上委員長 消費者庁のほうからお願いしましょうか。

○消費者庁村松地方協力課長 まず1点目、(5)の目安についての御質問でございます。委員がおっしゃるとおり、消費者行政、全体的には低調というところで、それを全国的に引き上げるための目安の必要性はあろうかと思いますけれども、一方で、やる気があってどんどん窓口整備等を進めている自治体と、全く基金を使わないという自治体で、かなり差があるということ、それから、消費者行政に対する意識は高くないという中で、ともすれば自治体では財源確保が難しいところでもございますので、もし一定の量的目安をお示しした場合には、やる気があって充実した自治体にとっては、その目安に引っ張られて財源等が確保できないというおそれもあるものですから、その点を逆効果という形で判断しているところでございます。
そうは言ってもナショナルミニマムとしての引上げも必要でございますので、人口カバー率を99%から100%に上げる等のメルクマールみたいなところについてはお示しした上で、あとは、先ほども御説明しましたとおり、現況調査を毎年しっかりやって自治体にフィードバックしておりますので、それを見ていただきながら、規模に応じた消費者行政の体制整備をしていただくようにお願いしたいと考えているところでございます。
2点目の(8)に関する、担当職員の方が2、3年で異動されるということでございます。この点については、国も地方もそうですけれども、基本的な異動のタイミングが残念ながらそういう形になっているところが多い。委員の御指摘のとおり、消費者行政担当課のような、特に小さな市町村では、たすき掛けができずに引き継ぎもできないというところは確かにあろうかと思いますので、その点については消費者庁としても、何かできるところがあればしっかりしていきたいと思っております。国民生活センターでも、行政担当職員向けの研修も行っておりますので、そういう形で自治体の中での引き継ぎ、プラス、ノウハウについては研修等、あとはしっかり消費者庁がその自治体をサポートするという形で、フォローをしていければというふうに考えているところでございます。
それから、対症療法が多いというところで、できて4年目でございますけれども、目の前の課題に対する手当で精いっぱいというところもあろうかと思います。担当の地方消費者行政という点につきましては、財源確保が課としての大きな課題でございます。委員のおっしゃる、再構築ということでの抜本的改革に向けての体制は確かに必要だと思いますので、できれば財源確保について長期的な道筋をつけた上で、地方消費者行政の残る課題についても取り組む状況をつくっていくようにしていきたいと考えているところでございます。

○河上委員長 田谷さん、何かございますか。

○総務省田谷自治行政局公務員部公務員課長 吉田委員が御指摘になられました(8)の、職員のレベルアップのための研修が困難ではないか、引き継ぎができないではないかという点につきまして、公務員課長として、公務員制度という観点からなかなか妙案は浮かばないわけでございますけれども、これは消費生活相談行政に限らない、いろいろな行政、小規模の市町村に共通の課題だというふうに考えました。
そういった観点から整理いたしますと、例えば市町村合併が進みましたけれども、合併をいろいろな理由から選択されなかった小規模の市町村が、努力義務かもしれませんが、高度な行政を求められている中での一つの解決の手法として、職員とか期間といったものを共同設置するケースも幾つか出ております。消費生活の上でどうかというのは、私は寡聞にして知りません。あるかもしれませんし、ないかもしれませんが、そのためには、首長というのは自前の組織や職員を持ちたいというインセンティブが自然に働きますので、そうではなく、共同でつくろうというインセンティブをどのように仕組むかというのが、一つ、工夫すべきところではないか。公務員課長という立場を離れるかもしれませんけれども、地方行政の現場からはそういった感じではないかということを、感想めいたことですけれども、申し上げたいと思います。

○河上委員長 ありがとうございました。
ほかには何か御意見はございますでしょうか。
細川委員、どうぞ。

○細川委員 昔は地方自治法の第2条の17項だったか、例示として、固有の事務として、消費者保護とか計量とが入っていて、それが何年か前に地方自治一括法で消えてしまったわけです。それを自治体によってはなくなったからやらなくていいのだという解釈を持ち出して、予算とか人の削減に使ったということがありました。そのようなことで、地方自治体の自分たちの業務としての消費者保護という、哲学というか、発想が、いまひとつないというか、逆にそれが根づかないまま今に来てしまっているという感じがしています。そういう意味で言うと、地方消費者行政というのは、何のために地方自治体は消費者保護、消費者の権利を守らなければならないのかという根幹を、もう一度議論すべき必要があるのではないかというのはかねがね感じています。
例えば、地方消費者行政という言い方をしますけれども、地方消費者政策という言い方はしないのです。国は、今まで消費者行政、消費者行政と言っていたけれども、消費者を権利主体として考えるという考えが出てきて、消費者政策という言い方をして、わざと消費者政策と消費者行政という言葉の使い分けをしていますが、いまだに地方については地方消費者政策と言う人はいなくて、すべて行政主体。
ところが、行政がしっかりやってくれればいいのですけれども、大体議論が出てきているのは行政サービス。どこでも行政サービスが受けられるようにしましょうという言い方。このサービスという言葉も私は気に入らなくて、日本のサービスという言葉は、いろいろな意味がありますけれども、権利としてというのではなく、これを買ったらこれをあげます、サービスでつけますと。そういう発想というのは今でもあって、サービスでやります、恩恵的にやりますという発想がいまだに強い。そんな感じもします。
そういった意味でのパラダイム転換も図らないと、今までずっとやってきたところの延長線上で地方消費者行政を考えても、これは限界があるのではないかという気がします。きょう、消費者庁からいろいろお話をいただきましたけれども、例えばマニュアルですが、こういったものも長年、地方消費者行政をやってきながら非常に不備があります。例えば、こういう事例があったときのいわゆる判断基準、そういうものがあるかというと何にないわけです。すべて相対交渉でやっていて、こういう事例があったときはどういう被害救済をするのが正義の実現にかなうか、というような方針も示されない。
現場では、あっせんと言っていますけれども、あっせん案を消費生活センターの所長から提示するなどというのはほとんどないわけです。すべて相対交渉の中でやっている。だから、声が強いほうが引きずられるというようなこともあります。あるいは、リーガルアドバイスのためのシステムのようなものも全くない。PIO-NETというのは事例が入っているだけで、これこれこういう場合は、どういう法律に基づきどういう判断をすべきかという、そういうデータベースのようなものも日本は全くないのです。ちなみに韓国では、補償基準という形で被害救済の基準を大統領令で示しています。是非、韓国のことも調べられたらいいと思います。
英国はリーガルアドバイスのデータベースが充実しています。こういう場合はこういう法令を参照しなさい、こういう解釈でこうやりなさいと。弁護士とかが委員会をつくって、データベースをつくって、イギリスも、Citizens Advice Bureau(市民助言局)というのが地方にいっぱいありますけれども、そこで活用できるようになっているわけです。
そういう支援も非常に不十分で、本当に相対交渉で相談員さんが苦労してやっている。言い方を変えると、相談員さんの熱意とか能力によって差がついてしまう。これは本来おかしい話ですね。
いろいろ話がそれてしまいましたけれども、消費者委員会も、地方の消費者行政の専門調査会ができましたので、どちらがやるかというようなこともありますが、その辺も是非考えていただきたいと思います。

○河上委員長 何か御意見というか、御感想はありますか。

○消費者庁村松地方協力課長 今の御意見、もっともなところでございます。逆に、日本の場合はPIO-NETというシステムがございますので、是非、相談員の方にとって使い勝手よく、かつ、ほかの類例を調べやすいようにしていきたいと思っております。

○河上委員長 実際の措置、いろいろな処分でも、一度もやったことのない人たちがいます。ところが、1件やると、それを手がかりにして似たような事件を次々と自信を持ってやれるようになる。地方消費者委員会で出かけていきますと、「まず最初の1件が大変なんです」ということを随分おっしゃいます。ですから、そういう取組方についての指導・助言のようなことはもっと積極的に行われたほうがいいのかもしれないという気がします。
ほかに何かございますか。よろしいですか。
それでは、ほかに意見がなければ以上としたいと思います。消費者庁と総務省におかれましては、建議事項について、それぞれ真摯に御対応いただいたということで、まずはお礼を申し上げたいと思います。
ただ、結果から見てみると、地方消費者行政に対する国からの支援、財政負担の在り方や、消費生活相談員の処遇改善の問題等について、まだまだ決め手を欠く状態で、対策として抜本的なものが講じられたとまでは言い難いと思います。両省庁において、是非、さらなる取組みをお願いしたいと思います。
地方消費者行政の活性化基金等を通じたこれまでの支援によって、消費者センター、相談窓口の設置などが地方消費者行政の体制整備という形で大きく進展しているわけですが、この体制を確立して、質の面で相談員の資質を向上するのはこれからの課題で、言ってみれば正念場にかかっていると思います。
委員会としても、これらの課題については引き続きフォローすることが必要であろうと考えています。本件について委員会が継続的に検証・評価を行う仕組みを整備するために、現在、政府において改訂作業を進めております消費者基本計画の具体的施策に本建議の主な内容を可能な限り明記していただいて、同時に、今後、指針を見直す際には本建議の趣旨を十分に反映していただくことを求めたいと思います。
なお、当委員会の地方消費者行政専門調査会では、地方消費者行政が中期的に目指すべき姿やそれを実現するための選択肢、支援策の在り方について調査審議を進めているところでございますけれども、本日の議論を踏まえまして、さらにそちらでも検討を深めていきたいと考えております。また、何かと御協力をいただければありがたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

≪3.食品表示一元化について≫

○河上委員長 それでは、引き続きまして、「食品表示の一元化について」です。
消費者庁におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
食品を摂取する際の安全性及び一般消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会を確保するため、食品衛生法、JAS法及び健康増進法の食品の表示に関する規定を統合し、食品の表示に関する包括的かつ一元的な制度を創設するという、食品表示法案が去る4月5日・金曜日に閣議決定されたところです。
本日は、この閣議決定された法案の内容等について消費者庁から御報告をいただき、それに基づいて意見交換を行いたいと思います。
それでは、説明をお願いいたします。

○消費者庁菅久審議官 審議官の菅久と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
今、御紹介いただきました食品表示法案は、先週の金曜日に閣議決定して国会に出たばかりという状況でございます。お配りしている資料4-1(PDF形式:374KB)PDFを別ウィンドウで開きますという表裏のカラー刷りの紙がございますが、まずはこれに基づきまして御説明をいたします。「(参考)現行の食品表示に関する法律」と書いている部分からごらんいただければと思います。
現在、食品一般の表示のルールは、食品衛生法、JAS法、健康増進法の3法で定められています。左下の図で示していますとおり、食品衛生法につきましては食品安全の確保の観点から、JAS法につきましては品質の観点から、表示事項とその表示方法を定めております。図にありますとおり、表示事項の幾つかは重なっているという状況にございます。健康増進法に基づく栄養表示につきましては、右側の下にありますけれども、表示しようとする人はこういうふうに表示しなさいというもので、任意の表示になっております。
今回の食品表示法案は、左上にありますけれども、3法の規定のうち、緑の点線で囲んである表示に関する部分を抜き出しまして、新たにまとめた一つの法律をつくるというものでございます。
資料の1ページ、左の上に食品表示法案の趣旨をお示ししております。これも冒頭御紹介いただきましたとおり、食品を摂取する際の安全確保と、一般消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会確保という目的のもと、食品衛生法、JAS法、健康増進法のうち、食品表示に関する規定を統合して食品表示に関する包括的・一元的な制度を創設するものでございます。また、現在は任意の制度となっている食品表示につきましても、義務化を可能な枠組みとするものでございます。
右の上のほうに本法案のメリットを4点書いております。
第1に、3法の法目的のもとで定められておりました表示基準につきまして、整合性の取れた表示基準とすることができるということ。
第2に、制度的に複雑でわかりにくいという指摘のありました表示ルール、これを同一することによりまして、消費者、事業者双方にとってわかりやすい表示にすることができるということ。
第3に、栄養表示の義務化が可能な枠組みとすることによりまして、消費者の栄養・食生活管理を通じた健康増進に寄与することができるということ。
第4に、是正措置、調査権限、こうした規定を整備することによりまして、効果的かつ効率的な法執行を行うことができる。
こういう4点を挙げているわけですけれども、本法案は、消費者、事業者双方にとってメリットがあるものと考えております。
法案の内容でございますけれども、まず、目的につきましては、表示義務づけの目的を消費者基本法の基本理念を踏まえつつ統一・拡大いたしまして、食品摂取時の安全性と一般消費者の食品選択の機会確保という、包括的・一元的な目的のもとで表示を義務づけることにしております。
これに加えまして、基本理念を法律の中に位置づけることとしております。まずは、消費者基本法に定められています消費者の権利の尊重と消費者の自立の支援、これを基本とすることを明示しております。それに加えまして、表示を事業者に義務づけるものでございますので、小規模事業者の事業活動に及ぼす影響に配慮することも規定しております。
食品表示基準については、これまで3法で規定されておりました表示基準を統合しまして、内閣総理大臣が、酒類を含む食品全般につきまして、名称、消費期限、原材料、添加物、栄養成分量、熱量等の表示事項と、これらの事項の表示方法などの遵守事項を定めることとしております。すなわち、この法案の対象は酒類を含む食品でございます。酒類につきましては、現行のJAS法は対象としていないわけですけれども、食品衛生法と健康増進法では酒類も含めて対象としているということで、これら3法の食品の表示に関する規定を一元化するこの法律案では、酒類も対象にしたということでございます。食品表示基準が定まりますと、事業者は、この基準に従って食品表示をしなければならない遵守義務があるということになります。
指示等というところでございますけれども、不適正な表示を是正するための行政庁の措置といたしましては、現行の3法にある手続をもとに整備をしております。まず、食品表示基準に違反した食品関連事業者に対しまして基準を遵守すべき旨の指示を行うことになります。指示をすることができますのは内閣総理大臣でございます。この内閣総理大臣というのは、権限の委任によりまして最終的には消費者庁長官になるわけでございます。それから、農林水産大臣は酒類を除く食品について、酒類については財務大臣ということでございます。
この指示に正当な理由なく従わないということが起きますれば、内閣総理大臣、消費者庁長官が基準遵守のために必要な命令を発することになります。また、消費者の生命・身体に対する危害の発生拡大を防止するため緊急の必要がある場合には、指示を経ることなく、基準に違反した食品の回収とか、違反業者の業務停止などを命令することになります。これらの指示・命令を行った際にはその旨を公表するということでございます。
立入検査等というところでございますけれども、表示基準違反が疑われる場合に、行政庁が行う報告徴収、立入検査などの違反調査の権限についても規定しております。ここに書かれている権限のうち、書類等の提出命令と質問につきましては、現行の3法にはこれらの規定がないわけですが、景品表示法など他法令にはございまして、迅速の調査のため必要であることからこれらを規定することとしたものでございます。
現行のJAS法に規定されております申出の制度を食品表示法案においても定めまして、表示が適正でないため一般消費者の利益が害されていると認める場合には、誰でも行政庁に対して適切な措置を取るべきことを申し出ることができることにしております。
適格消費者団体による差止請求制度につきましても、既に導入されています特定商取引法や景品表示法を参考としながら、この法案にも導入することにしております。
権限の委任の部分でございますけれども、内閣総理大臣の権限の一部を消費者庁長官に委任する。さらに、内閣総理大臣・消費者庁長官の権限の一部を都道府県知事や保健所設置市等に委任することができることにしております。
現在、食品衛生法に関しましては保健所が法執行を担っているということでございますので、この権限の委任の規定によりまして、現行の体制で法執行を引き続き行っていくことにしたいと考えております。
また、現行の3法と同様でございますけれども、食品摂取時の安全性に関する表示事項や、原産地表示の違反、行政庁の命令違反、こういうものに対しては罰則を設けております。
この法案の施行につきましては、法案の成立後、現行の3法のもとで60本ほどに及ぶ表示基準がございますけれども、これを食品表示法に基づいてわかりやすく統合することが必要になります。さらに、栄養表示の義務化に必要となります表示基準の検討作業、こうしたことも早急に行っていく必要がございまして、こういうことを行った上で公布の日から2年以内に施行することにしております。また、法律の施行5年後に、必要がある場合には法律を見直すという規定も附則に定められております。
以上が食品表示法案の概要でございますけれども、この法案に基づく表示基準で採用することとなる主な事項を、右下のところに参考ということで整理しております。食品表示法の制定に伴いまして、既存の表示基準の整理・統合を行わなければいけないということでございますけれども、まずは現行の表示義務の範囲でわかりやすく統合することになろうかと思います。
また、今後の検討課題として、加工食品の原料原産地表示の取扱いなど幾つか検討課題も残されているわけでございます。法案の成立後、まずは現行の3法に基づく表示基準の統合、栄養表示の義務化に必要となります表示基準の検討作業、これを早急に行わなければいけないわけでございますけれども、これらの作業との兼ね合いを考えながら、今後の検討課題についても順次検討を進めていきたいと考えております。
以上、簡単ではございますが、法案の骨格について説明させていただきました。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
田島委員、どうぞ。

○田島委員 何はともあれ、長年にわたって懸案でありました食品表示法案を無事に国会に提出できたということで、まずはお疲れ様でございました。
今後のことで2点ほどお伺いしたいのですけれども、1点は、最後に御説明のあった表示基準の府令レベルの取扱いでございます。府令を定めるときに、消費者委員会の食品表示部会に諮問があるのかどうかということでございます。
2点目は、公布後2年以内に施行するということでございますが、事業者の人たちはそのときまでに準備をしなければいけない。包装などもあらかじめ印刷しなければいけない。そうすると、余り時間はないのです。果たしてそのときに、わからないときの問合せをどこに持っていったらいいのか。今までは事業者が直接相談するのはほとんど保健所だったと思います。消費者庁というのは何せここ1か所しかありませんし、小さな事業者にとっては敷居が高いということで、一体問い合わせ窓口がどこになるのかということを御質問させてください。
以上、2点です。

○河上委員長 お願いします。

○消費者庁増田食品表示課長 食品表示課の増田でございます。よろしくお願いします。
今の御質問、2点でございます。1点目の表示基準をつくる際の諮問・答申でございますが、骨格の資料で言いますと、表示基準と書いてある緑の2番目のマルの2つ目のところに、消費者委員会の意見聴取ということを書いてございます。これが消費者委員会に意見を聞くという規定のところでございます。したがいまして、今のJAS法及び食品衛生法について、消費者委員会の諮問・答申を受けるのと同じように、今回の法律についても、表示基準をつくる際には消費者委員会、具体的には食品表示部会ということになると思いますが、諮問・答申を受けることを予定しております。
それと、2年後公布の部分ですけれども、新しい制度を2年後に施行するということを法律に書いてございます。今、考えておりますのは、基本的には表示事項については現行の規定を維持する形で新制度に移行して、その後、個々の事項について議論が相整ったところから充実させていくということを考えております。
事業者の具体的な義務がかかる部分との関係ですけれども、表示事項を変更するような場合には、現行でルールをつくるときもそうですが、一定期間は猶予期間のようなものを置いて、例えば施行後1年とか1年半は、それ以前の表示でもいいようにするということで、一定の期間を経て事業者には実際の義務がかかるというふうにしたいと思っています。これはもちろん、どの程度表示事項が変更されるかということにもよりますけれども、版の改変と言えばいいのでしょうか、包装の改変等を伴うような場合には、そういった措置を今の表示基準に変更したときの例にならってつけたいと思っております。
もう一つ、問い合わせのところは今後の課題でもありますけれども、引き続き、保健所あるいは農政局などとも協力するということもありますし、現在でも消費者庁に、相談窓口、3法の部分の表示基準全体にわたって電話で照会を受け付けております。そういったことについても、相談員の拡充等によって相談の機能を増やしていきたいと思っております。
以上です。

○河上委員長 山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 2つ質問がございます。1つは、誰がこれを守らせるのかということです。私の理解では、食品衛生法は先ほど田島委員がおっしゃった保健所、JAS法は農水省の地方事務所、健康増進法は消費者庁ということで、これまで分担してやってこられたと思います。今回、表示が一元化するのは、それはそれとしていいとしても、現実にどういうふうにこの3つの組織を有機的に連携して効果のある執行体制をとるのか。この点については、私どもは先般、健康食品について、特に健康増進法について建議をさせていただきました。健康増進法に基づく行政処分の執行例は1件もないという状況の中で、今回、表示対策課と食品表示課の2つにまたがる執行強化の体制をつくったとお聞きしています。あるいは、つくるということでお聞きしています。それと、このJAS法レベルあるいは食品衛生法レベルの執行の体制とどういうふうに連携するのか。その辺はこれからだというのが数か月前の説明でしたが、もう少し形が見えているのかどうか。これが1つ目の質問です。
2つ目は、配られている4-4の資料(PDF形式:171KB)PDFを別ウィンドウで開きます、つまり、新しく上程されました食品表示法の11条、12条に、適格消費者団体の差止請求権と内閣総理大臣等に対する申出制度が盛り込まれています。これは率直に高く評価して、こういう形で、行政が手が届かない分野について、一般の消費者あるいは適格消費者団体が守らせるためのお手伝いをするという枠組みは非常に重要だと思います。特に適格消費者団体の差止請求権は、消費者委員会でも、こういうことを考えたらどうですかということを建議したところであり、こういう形が実現したことは、私は大変高く評価したいと思います。
問題は、消費者団体がこの差止請求権を有効に執行できるのかという、執行の問題で非常に心配しているわけです。といいますのは、2つありまして、1つは、不実証表示のように、景表法違反でも特商法違反でも、行政が処分するときに事業者側がそれなりの証拠を出さない場合には、表示に問題があることを認めたこととするというみなし規定があるわけです。これが随分有効に行政の面では機能していると思います。
ところが、食品について表示が正しいのかどうかについては、かなり専門性がある、あるいは学術的な知見が求められる分野だと思います。そういう分野について適格消費者団体が効果のある差止め手続をしようとすると、そういう不実証表示のようなものがないと有効には機能できないのではないかと思いますが、その辺についてどういうふうにお考えなのか。
2つ目は、消費者団体が(自治体もそうですが)、食品の表示が正しいかどうかについて問い合わせをしたときに、例えばFAMICでも、あるいはしかるべき検査機関でも、それに応じる体制がとれないと、執行の面で非常に問題が出てくるのではないかと思います。その辺について、農水省との連携なり検査機関との連携についてはどういうふうになっているのか。これについて、わかる範囲でお答えいただければと思います。お願いします。

○消費者庁増田食品表示課長 1点目、体制の部分でございます。執行に責任を持つのは第一義的には消費者庁になります。消費者庁は人的にそれほど充実しているわけではないですけれども、今後の体制として、特に食品表示の部分については、食品表示課で持っているJAS等の部分と、表示対策課で持っている景品表示の部分のうち、食品を担当するところをあわせた形で食品表示という独立した室をつくる。そこの人が従来の法律の枠にとらわれずに調査をすることで、より有効な調査ができるのではないかということで、この体制をこの夏から組織改正することを予定しております。この体制は、今の食品表示法案を法律として成立させていただいた暁には、全体の部分についてこの表示対策の組織で担うことになっております。
もちろん、それだけですべてをカバーすることは難しいということで、従来から取締りの役割を担っていただいております保健所ですとか、農林水産省には、引き続き指示等の是正措置の担い手として監視を担っていただくことになっております。
それに当たっては、今後、具体を集める必要があると思いますけれども、相互の連携ですとか、そういったことについては一本の法律になるということで、より綿密な連携を取る。基本的には農林水産省は今のJASの部分が主たる部分になると思いますけれども、ほかの食品衛生の関係の部分についても、何らかの疑義があったら通報するとか、あるいは、もし簡単な部分であれば、一時的には書類の提出等を求めることもできればというふうに思っております。
ここの部分は、引き続き、施行までに具体的な連携等については検討する必要があると思いますけれども、そういった形で消費者庁でできる部分とあわせて、従来やっていただいていた主体との連携強化によって、取締りの実効性を上げていきたいと思っております。
もう一つ、適格消費者団体の差止めの関係でございます。景表法等については不実証広告規制があるわけですけれども、これは行政が執行する部分だけでございますので、差止めについては、これらの法律についても不実証広告規制という手法はないのが現状でございます。さらに、食品表示のこの法律については、基本的には表示をさせるというルールでございますので、仮に合理的な証拠がないから正確ではないということをみなしたとしても、実際には、今後、適正な表示していただくということをやっていかないといけないので、みなしただけではその後の改善にはつながらないのではないかと思っております。そういった意味では、みなしを使ってその表示をやめるということではなく、問題点を指摘して改善してもらうところにむしろ主眼があると思っております。
もう一つ、消費者団体がどうやって差止請求権を有効に活用していくのかという部分については、例えば原材料が違っている等であれば、分析をするということは必要になる場面はあろうかと思います。そこについては、どういうことができるのかというのはさらに検討はしたいと思いますけれども、今、民間機関でも有料ですが分析する機関は複数ございます。そういったところに必要に応じて頼むことが基本なのではないかと思っております。
以上です。

○山口委員長代理 どこに頼むということですか。

○消費者庁増田食品表示課長 分析を頼むのであれば、民間の分析機関というのが基本になると思います。

○山口委員長代理 FAMICとか、そういうのを使うことは考えていないと。

○消費者庁増田食品表示課長 FAMICは、一回調べる必要があると思いますけれども、ここの場面で言う消費者団体は基本的には民間組織ですので、民間の委託を受けて調査ができるようになるかというと、今の独法の仕事から言うと難しいのではないかと思います。そこはもうちょっと調べる必要があると思います。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
細川委員、どうぞ。

○細川委員 資料4-1の上の右側に、食品表示法案がなぜこういう設定をする必要があるかというのが4つ書いてあります。整合性の取れた表示基準、消費者にとってわかりやすい表示、これが必要だからこの法律をつくる、一元化していくのだと思いますけれども、ただ、どうなるのかというのはこれを読んでも見えないです。その辺は、食品表示基準をこれからつくる、それによって決まるから今は提示できないのか、ちょっとわかりませんけれども、裏側を見ますと、右上に食品衛生法、JAS法による表示があって、それとは別の法律であるがゆえに、健康増進法によるカロリー表示とか栄養表示がある。まさにこういうところのちぐはぐが直ってほしいというのが一番大きい部分だと思うのです。
ところが、ここでは、この法律ができたときにこの2つの表示がどう合体するかというイメージを書いていないというのは、食品表示基準が決まっていないから書けないということでしょうか。
そうだとすると、ちょっと私は経験したことがあるのですけれども、例えば右の上、内容量が81gと書いて、栄養表示も81gだからいいのですが、焼き菓子、カップのカステラを買ったら内容量が5個と書いてあるのです。見ればわかるものを5個と書くというのはどういう意味があるのかなと思いますけれども、一方で栄養表示を見ると、100g何kcalと書いてあります。自分が食べる1個が何カロリーかというのを、はかりに載せて計算しないとわからないという、こんなちぐはぐなことを今までやってきたわけです。
これは日本消費者新聞が取り上げて、いかに日本の食品表示がちぐはぐかということで記事を書いていて、確か取材をしていました。焼き菓子というのは、焼き上がったときのグラムを保証できないから個数しか表示しないとか、そんなお菓子会社の回答があったような気がしますけれども、こういうところは改善されますか。申しわけないけれども、私はこれではイメージが全然わかない。

○消費者庁菅久審議官 食品表示法案は、今まで3つの法律でそれぞれ基準が決められたものを、長年、わかりにくいということで御批判がありましたので、今回、消費者庁ができまして、表示の部分については少なくとも消費者庁が所管することになりましたから、これをとにかく一つにまとめるということが大きな眼目でございます。この法案自体は、今後の具体的なルールをつくるための枠組みをつくったということでございます。ですから、この法案ができましても、端的に言えば、これがすぐに変わるわけではなくて、これを変えるためには表示基準を変えていくことになる。新しい表示基準が一つの法律に基づいてつくれるようになりましたので、そういう意味では議論しやすくなったという点はあるかと思っております。
まずは今まであるものをまとめなければいけませんので、直ちにはもしかしたら変わらないものも多いかと思います。今後、検討課題にありますようなこういう問題を検討していって、合意が成立したものは、今、御指摘いただいたものももしかしたら入るかもしれませんが、そういう点でこうしましょうということを決めれば形は変わっていくということでございます。まさにこの法律ができた後、個々の具体的な表示基準をどうするかということを、引き続き議論していかなければいけないということかと考えております。

○細川委員 そうすると、先ほど田島委員が言われたように、食品表示基準をつくるときに、消費者委員会の意見がどういう形で反映されるかとか、あるいは、2年というのが短いのか長いのかわかりませんけれども、その間に消費者の声をくみ取って、しかも事業者も納得する形でコンセンサスを得て、ここに4つ書いてありますが、整合性が取れ、消費者、事業者双方にとってふさわしい表示を決めていくと。これは大変な作業になりますし、一元化するからしやすいということはありますけれども、そこは、今後の課題はまだいっぱいあるのではないかというのを、今、感じました。

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 個々の食品表示の基準のところでございますけれども、4条の1項で、「名称、保存の方法、消費期限」というふうに出てまいります。これは今まで、消費期限ではなくて、消費期限と賞味期限ということで両方やっておりまして、これが消費者にはわかりにくく御理解いただくまでに時間がかかってきたという経緯があります。それが今回、消費期限とされましたけれども、この検討の段階では期限という表記だったのではないかと思います。「期限(消費期限及び賞味期限)」という検討をされてきて、ここのところで、期限ではなくて消費期限というふうに変わりました理由について、整合性とか、わかりやすいとか、そういうことなのかもしれませんけれども、御説明いただければと思います。消費者はきちんとこれを理解しなければいけないわけですので、よろしくお願いいたします。

○消費者庁増田食品表示課長 まず、実際の運用から申しますと、ここでは例示には消費期限だけを挙げておりますけれども、消費期限、賞味期限のルールは、基本的には現行の制度を新制度でも維持することを考えております。ここでは、幾つか例示として表示すべき事項を挙げているわけですけれども、それに当たっては、消費期限、賞味期限のうち消費期限だけを挙げているという状況になっています。
その理由としては、当初、両方を例示として書こうかということも検討した経緯もありますけれども、具体的には法案の4条に表示基準の策定というのがありまして、消費期限を書くに当たっても、「名称、保存の方法、消費期限(食品を摂取する際の安全性の判断に資する期限をいう。○○)」というふうに、条文上、単に消費期限と書いて意味がわかるというものでもないだろうと。書くに当たっては、どういう趣旨ですということをあわせて書かないと法律の条文としては正確ではないということがあり、消費期限、賞味期限をあわせて書くようになると、ここの例示のために挙げている部分の大半が、表示すべき事項の説明に費やされることになることもあって、特に代表であるものとして消費期限を書いたというところでございます。
そういった意味で、どちらかというと技術的な点から例として一つ挙げたということで、賞味期限について、新しい制度下においては、落とすとか、変えるということを意味しているものではございません。
一方、特に賞味期限については、消費者の方から、その趣旨がわかりにくいということは前々から言われておりますし、昨今の食品ロスの削減という観点からも改めてその指摘があるところです。どういう形で、どういうふうにすると、その趣旨が適切に伝わるのかということも含めて、今後、検討していく必要があると思っております。いずれにしてもここでは、これをもって賞味期限がなくなるとか、そういうことではないということだけは御理解いただければと思います。

○河上委員長 あくまで例示なのですね。

○消費者庁増田食品表示課長 そうです。

○河上委員長 小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 例示とおっしゃいますが、4条の1号は法律の文言ですね。ですから、消費期限の必要性は揺るがないので、ほかに何かプラスしていくことはあるかとは思いますが、法律の中には消費期限だけ書いているので、夏目委員がおっしゃったように、消費期限というのがここに明確に入ったという感じを私も受けたのですが、もちろんまだ法律案ですが、この点は、何かございますか。

○消費者庁増田食品表示課長 コンパクトに書けるのであれば、ここに並べて書くほうが自然だったのではないかというのはおっしゃるとおりかもしれませんけれども、現に法案の4ページを見ていただくと、感じはわかると思いますが、そこだけ極端に長く説明することになる。いずれにしろ、その他表示されるべき事項ということになっておりますので、ここでは代表として消費期限だけを書いているということでございます。

○小幡委員 ほかにも表示する期限はありうるという、そういう意味での例示ということですね。

○消費者庁増田食品表示課長 はい。

○小幡委員 了解しました。
では、やや細かなことですが、指示と命令については、行手法上の弁明の機会の付与の手続が一般法でかかるという理解でよろしいですか。

○消費者庁増田食品表示課長 現行のJAS法に基づく指示も同様ですけれども、指示は行政指導ということで整理されております。命令のときに初めて処分性を持つので、そのときには弁明が要るということになります。

○小幡委員 指示は行政指導という整理ですか。

○消費者庁増田食品表示課長 指示は行政指導ということで整理されています。

○小幡委員 JAS法などと一緒に、今までと同じという理解ですね。

○消費者庁増田食品表示課長 はい。

○小幡委員 それから立入検査等について、これは今まであるものを、表示のところの部分についての立入検査等は抜き出して新しい食品表示法に書くということですか。食品衛生法のところに検査とかございますが、あれはそのまま残っているということですか。

○消費者庁増田食品表示課長 食品衛生法等にある規定はそのまま残しております。ただ、表示基準を策定及び監視の部分については、その法律からは抜き出しておりますので、そこの部分に係る検査は新しくこの食品表示法の中で書き出しているということで、残った部分の監視に必要な調査権限は、従来のほうでそのまま書いてあるということでございます。

○小幡委員 安全等については従来の食品衛生法でやり、表示についてはこちらでやるということでよろしいですね。

○消費者庁増田食品表示課長 規格基準等の関係の監視は食品衛生法でやっていく。立入検査も、食品衛生法に書いてある検査の規定を適用するということでございます。

○小幡委員 目的が表示の違反ではないかということで立入検査をする場合は、この法律でいくということですね。

○消費者庁増田食品表示課長 はい。

○小幡委員 現実には、事実上、多少それが一緒になることはあり得るかと思います。
もう1点、罰則ですが、命令違反の罰則とともに、食品表示基準違反のものを販売した場合、直に罰則がかかるという理解でよろしいですか。

○消費者庁増田食品表示課長 表示基準違反は、指示・命令に違反した場合に罰則というのが原則ですけれども、現行食品衛生法には、基準に違反した段階で罰則がかかり得るという規定になっておりますので、そこの部分を担保するというか、スライドさせていくという観点から、具体的には第18条ですが、内閣府令で安全に関する事項について表示事項を定めまして、それについて従っていないときは直接罰則がかかるということ。第19条の部分は、現行のJAS法で、原産地の偽装については指示・命令を経ずに直接罰則がかかるという規定がありますので、そこの部分についても、従来どおり表示違反の段階でも罰則がかけられるというふうにしております。そういった意味で2段階の仕組みになっております。

○小幡委員 この18条ですが、これから食品表示基準がつくられるというところが一番ポイントで、大変な作業だと思いますが、その作られた食品表示基準を書いていないという違反と不実表示というのと、両方18条に含んで直罰になるということでよろしいですか。

○消費者庁増田食品表示課長 はい。

○河上委員長 山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 2つお聞きします。一つは、先ほど、零細食品事業者について、この法律は適用除外といいますか、あるいは適用時期を遅らせるような説明があったやに聞きますが、この4-4の食品衛生法の条文のどこにそれが出ているのか。あるいはどういうふうになっているのか。
それから、先般のニュースで、政府の規制改革会議で、サプリメントなど栄養機能食品の表示規制を見直して効果をうたいやすくするというようなことで検討に入って、6月ぐらいには方向を出すということが報道されています。その問題とこの表示の問題は微妙にかかわってくるのではないかと思って、心配していますけれども、どうも消費者庁も含めて、規制改革会議に呼ばれて何か議論をするやに聞いています。その辺とこの法案との関係は、今、聞かれても、恐らく関係ないというふうになるのかもしれませんけれども、どういうふうに考えたらいいのかもお聞かせいただければと思います。

○消費者庁増田食品表示課長 まず、小規模事業者の関係は、条文案でいきますと第3条の第2項のところに、「小規模の事業者の事業活動に及ぼす影響に配慮して講ぜられなければならない」という規定がございます。これは具体的には、表示基準をつくる際にそういった影響について十分考慮して策定すべしという規定でございます。これによって、表示基準の中で特例をつくるということもありましょうし、そもそも義務づけの判断に当たって、やはり対応力という意味では小規模な事業者のほうが対応が難しい面がありますので、義務の是非に当たって、こういった影響をよく考慮する必要があるということで、基準をつくる運用の中でこの趣旨を生かしていくというのが小規模事業者に対する配慮の部分です。

○山口委員長代理 基準の中にそういうことが定められる可能性もあるということですか。

○消費者庁増田食品表示課長 そうでございます。
それともう一つ、規制改革会議については、まさに今、議論をしているというか、議論が始まったところというか、今まで、栄養の機能については、特保あるいは栄養機能食品という形で機能なり栄養素の働きを表示できることになっております。これについて、議論の趣旨はもう少し幅を広げて、あるいは、事業者にもわかりやすいように弾力的に表示できるようにしたらどうかということで、議論がされているのが今の状況でございます。
この先どういうふうになっていくかというのは、今後の議論でございます。例えば栄養機能食品で言うと、今、17ぐらい表示ができるようになっていますけれども、対象となる栄養素を広げていくということもありましょうし、あるいは、もう少し抜本的に、事業者が必要なことを調べて書けるようになる制度になるのかもしれませんけれども、いずれ、それは今後の議論ということでございます。
栄養機能食品については、現行、栄養表示基準の中に枠組みがありますので、議論によっては対象等が変わってくる可能性はあると思います。いずれにしても、表示基準の中で定まっている事項でございます。そこは今後の議論いかんですので、現段階で確定的なことを申し上げることは困難ですけれども、いずれ食品表示法案で直ちに変わるものではないと思っております。

○河上委員長 小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 中小とか、零細業者の方への規定のあり方については、ここで経過措置として遅らせるということであれば、法律に書かなくてもできると思いますが、基準の中で業者の規模によって適用しないというのは法律にはないですね。今、山口委員長代理の質問にもありましたが。つまり、経過措置でやるという趣旨でしょうか。法律と政省令への委任との関係がございますので。

○消費者庁増田食品表示課長 結論から言うと、表示基準の中では、経過措置以外の部分でも、もし書くことが適当であれば特例的なものを書くことはあり得ると思っております。3条の2項の部分、1項もそうですが、基本理念は、この法律の運用全般、特に表示基準をつくる際の考慮すべき点、留意事項として定めております。これを受けて、具体的に表示基準をつくる段階において枠組みをつくるというものでございます。
いずれにしても、表示基準の部分は、表示すべき事項等、ここに例示的なものを書いてありますけれども、具体のどういう事業者がどういう表示をしなければならないのかということは、内閣府令の中で定まるという仕組みになっておりますので、その中で、例えば一定の事業者についてはそういうことを表示しなくてもいいと書けるようにすることは、できるのではないかというふうに思っております。

○小幡委員 このごろ、法律と政省令への委任の関係について、最高裁判決が割と厳しく判断するものが出ておりますので、基本理念の3条の2項から読み取るということなのですが、多少アクロバティックかなと思ったりもするので、少々気にはなるところです。

○河上委員長 審議官、どうぞ。

○消費者庁菅久審議官 今、御説明のあったとおりでございますけれども、表示基準の策定については、4条で、食品及び関連事業者の区分ごとにこういう事項を定めましょうということが決まっているわけでございます。具体的にどういうことを決めるかというのは、今でも同じでございますが、いろいろ意見を聞きながらいいものをつくっていくということでございまして、そのときに、基本理念に書いたようなことも念頭に置きながらつくっていこうということでございます。今回、法律が変わることによって、その点が、明示的には今までこういうことを書いていなかったかもしれませんが、それほど大きく変わるものではないと思います。重要なことは、いろいろな方々の御意見を聞いていいものをつくっていくということかなと考えております。

○河上委員長 細川委員、どうぞ。

○細川委員 今、ふと思ったのですけれども、最近、いわゆる食品というものも多様化してきて、しかも、外食も多くなってきています。ところが、今までの法令だとレストランはこういった法律の対象外で、売られているパッケージは表示義務がありますが、レストランで食べる食品のカロリー表示は任意です。そういったものは、やはりこの法律はずっと対象外ということになっていくわけでしょうか。

○山口委員長代理 ついでに、デパ地下についても教えてください。

○消費者庁増田食品表示課長 これは、新法もそうですけれども、現行の法令、食品衛生法等についても、特にレストランという形で食品を提供する場合、表示基準がそもそも法令の外にあるということではございません。表示基準をつくれば必要な表示をさせられるようになっております。例えて言えば、一昨年、生食用の牛肉を提供する場合の注意喚起表示等について、外食についても、表示基準の策定を表示部会で御審議いただいて策定したところでございます。
ただ、一般的な部分においては、容器包装された加工食品に表示基準がつくられています。したがって、法律の枠で言うとつくれないわけではないですけれども、実際に表示基準の中で義務づけを行っているのが、基本は容器包装された加工食品になっています。そういった意味では、基準の中の運用で仕切られているところでございます。
デパートの地下で売られているものについては、どういう実態になっているかということにもよりますけれども、例えばJAS法の表示などのルールで言うと、つくった場所で袋詰めにして売る場合については表示義務の対象外になっております。ですから、デパートの地下でも、そこでつくってそこで売る場合には、表示はしなくてもいいことになっております。まちの惣菜屋さんが自分のところでつくって自分で売るのも同じで、基本は、ある程度のことはそこで聞けるということもありますし、そういう形態でつくっている一般の料理に近いようなものについて、逐次全部、例えば原材料を表示させることが現実問題として難しいこともあって、これはJAS法の品質表示基準ができたときから、対象外となっております。
ただ、デパートの地下も、ほかから仕入れて売る場合については、加工食品の品質表示基準の適用があるということで、デパートの地下はそういった形態によって義務のかかる範囲が変わってくるというふうになっております。

○細川委員 要はそこでの発想は、そこでつくっているものはつくっている人と対面しているから、聞けばいいではないかという発想ですね。パッケージしたものは、いわゆる売買の相手方がつくったものではないから、聞いてもわからないだろうから表示が必要だと。そういう発想ですけれども、消費者からすれば、その人がつくろうが誰がつくろうが、そのデータは欲しいだろうし、レストランで、このハンバーグ何カロリーですかと言っても多分わからないわけです。それでいいのかと。
一方で、事業者の負担とか、零細業者が多いわけだから、そういう議論はあると思いますけれども、この法律は、2年間でいろいろなことを決めていくわけですから、消費者の声を反映させる仕組みの中で、しかも、事業者の方の意見を聞く形でやっていく必要があるのではないかと感じました。

○山口委員長代理 レストランは除外されるというのは、条文上、どこをどう読めばそうなるかも含めて教えてください。

○消費者庁増田食品表示課長 条文上はレストランも入っております。表示基準をつくる段階で、どの範囲で表示基準をつくるのかという問題になります。法律上はつくれるということになっております。

○山口委員長代理 「食品関連事業者などの区分ごとに」というのは、区分から除外するからということになるわけですか。

○消費者庁増田食品表示課長 そうです。今、現に表示基準で義務づけているものについてはレストランは基本的に外れているということです。ただ、先ほど御紹介しましたとおり、生食用食肉の場合のように、表示基準をつくっているものもあるので、全くないわけではないということでございます。
この法律は恒常的な枠組みとしてつくっております。その中で盛り込まれる表示基準については、時々の要請、状況の変化によって変更することができるという仕組みになっておりますので、例えば2年後の施行以降でも、状況の変化、あるいはいろいろ議論して、表示させることが適当だという結論に至れば、いろいろな形での表示の充実はできる仕組みになっております。最初2年間で施行したときに間に合わなかったものは表示基準にならないということではない、ということでございます。
もう一つ、外食については、これだけ外食が一般化した中でどういうふうに情報提供がなされるべきかというのは、今後の大きい課題でもありますけれども、一方で、食品表示がつくられてきた背景として、加工食品が、流通を経て消費者に渡るという特殊性から、消費者がなかなか中身についてわからない。もちろん小売店に聞いてもわからないという状況の中で、この仕組みがつくられていっているということがございます。
もう一つ、今は加工食品についても、調理食品といいましょうか、電子レンジでチンをすると一つの料理になるような複雑なものも増えていますけれども、基本は素材的なものが多いのに比べて、レストランとか、その場でつくってその場で惣菜を出す形態の場合、例えば原材料の数も多く、また原材料の数が多くなれば、日々の調達の具合によって一部原材料が変わることもございます。ほうれん草が調達できなかったから小松菜にするといったこともあります。日々、仮に原材料の一部が変わるというときに、それに合わせて表示をすべて変えてシールか何かで貼るということになれば、一般の加工食品にない負担もございます。
そういったことも踏まえて、どういうことができるのかということは考えていく必要があろうかと思います。いずれにしても、この法律は外食も対象になり得る仕組みになっております。今後の課題として、そういったものについてもいろいろ考えていく必要はあると思っております。

○山口委員長代理 この4条に基づく規則をつくる作業は大変な作業ですね。これが1年でできるのか、ぐらいに心配しますが、しかも、かなり膨大な量になりますね。

○消費者庁増田食品表示課長 そこはまさに、消費者委員会の方によろしくお願いしますということではありますけれども、2年間のスタート段階でできることは、かなり限られてくるのではと思っております。必ずやらなければいけないこととして、大きく言えば3つの法律に基づいて、告示なり府令でつくっている表示基準がそれぞれあります。これを全体として一本化することと、一本化するに当たっては、区分の仕方とか、定義の書き方とか、それぞれの基準で、違っているものについて全体を調整しながら新しい基準をつくっていく作業をやっていく必要がある。まず、それを最低限やらないと新制度に円滑に移行できないという問題があるので、これは確実にやっていく必要があります。
あと、栄養表示については、諸外国の例なども踏まえながら、義務化をしていきたいと思っています。義務化するのであれば、例えば対象の栄養素ですとか、食品の対象ですとか、そういったものも決めていく必要があるので、これも、可能であれば2年の間に決めていく必要があると思います。

○山口委員長代理 これは、2年間かけたら施行まで間に合わないから、少なくとも基準を決めてから1年ぐらいはないと、本当に事業者は困るでしょうからね。

○消費者庁増田食品表示課長 ただ、実際に表示事項を変更するところは、最初に申し上げましたとおり、猶予期間を置きます。施行ぎりぎりでいいかというのはまた別問題ですけれども、事業者が2年後に、直ちに猶予もないということではないと思います。手続上、パブリックコメント等の手続もありますので、そういったものを見ながらやっていく必要があります。
さらに、1ページの右下にあるような個別課題もそれぞれ議論していく必要がある。これは2年のうちに着手できるかというのは、ほかの部分の作業の進捗にもよるわけですけれども、まず成立していただくことが前提ですが、成立後はそういった一連の作業をやっていく必要があるということでございます。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。

○細川委員 規制強化という言い方をすると、事業者の方も反発してうまくいかないというのが、よく消費者法ではあります。もちろん過剰なものはよくないですけれども、逆に言うと、こうやってきちっと消費者の声に応える形での食品表示を事業者の方も進めれば、市場で信頼されてよりよく消費者から支持されるということだと思います。今日の委員会は聞かれている方が多いので、事業者の方が多いと思いますけれども、こういうところできちんと対応して、安全・安心な食品を提供することが結果として市場で支持される、そういう側面は多いと思います。例えば、今、中国の方が日本の食品や日本の商品を買いあさっているというのもまさにそういうことだと思いますので、ウィンウィンの関係でこういうものが進むことを是非考えていただいて、消費者庁も御尽力いただければと思います。

○河上委員長 ほかにはよろしいですか。
この間、実は米沢で地方消費者委員会というのをやりました。そのときに、消費者団体の方、それから、地元でおみそをつくっていらっしゃる方とお話をしたときに、みその原料になる大豆をアメリカ合衆国から輸入する、カナダから輸入する場合があって、それぞれのときに輸入する量が違うのだそうです。実際に包装用の印刷された袋を発注するときは1万枚単位でしか注文を受けてくれない。そうすると、1万個の商品について印刷をした後、例えば大豆の発注先が変わってしまうとそれは使えなくなってしまう。そういうことがあるので、原産地表示を求めるときに例えば「北米」と書いていいかとか、いろいろなことを考えられたらしいのです。
事ほどさように、中小の事業者にとっては記載の仕方一つとっても非常に苦労をする。その意味では、表示基準について、中小事業者にある程度配慮すべしという規定の趣旨はわかります。しかし、先ほど小幡委員がおっしゃったみたいに、法律の規定による授権もないのに、府令の中で、あるものについてはいいとか、いけないということを決められるかという点は、ちょっと私も疑問です。その辺は立法のときに十分気をつけたほうがいいのではないかと思います。
ほかに御意見がなければ、私のほうから少しまとめ的なことを申し上げたいと思います。実はこの議題については、食品表示一元化検討会で議論されている段階から、消費者委員会、食品表示部会で数回にわたって御報告をちょうだいして、当委員会からも法律の実効性を十分に考慮していただきたいといった意見等を述べさせていただいたところであります。山口委員長代理から実効性についての危惧が随分表明されましたように、法律の実効性を含めた法執行力といいますか、それを強化することについては、まだ幾つか為すべき課題が残っているのではないか。もちろん法律の中では、消費者から内閣総理大臣に対しての申出制度を入れてくれたとか、あるいは、適格消費者団体に対する差止請求権の付与といったこと、回収命令に従わない場合の刑罰の強化、罰金刑の強化といったことは、評価できる部分ではありますが、適格消費者団体が差止請求するときに、実際に立証ができるだろうか、支援体制はないではないかとか、いろいろ問題がありそうです。
法の基本理念のところに「消費者の権利」というのが入って、安全確保と選択の機会の確保、情報提供の尊重といったことを盛り込んでいただいた。これなど、食品表示の理念というものをすっきりさせるという意味では大変いいことだったと思いますし、消費者委員会の意見もその点では尊重していただくことができたということで感謝しているところであります。結果的にこれで横串を刺したということになりますけれども、ここから先の具体的な運営は、実はほとんど白地という状態です。今後、この表示基準、府令レベルでの取扱いを、どういうふうに具体的に中身をつくっていくかということが大事だろうと思います。
さらに、こうした食品表示のやり方、一元化によって、消費者の選択権を高めるために現在消費者庁が頑張っていることについて、この間の米沢でも参加者は2割程度しか知らなかったという現実があります。ですから、消費者の方々に、こういう法律ができると。表示に当たっては、消費者としてどういう表示の在り方を望んでいるかという消費者の意見を反映させるために、この制度をさらに周知していただく。そして、消費者の理解向上のために取り組んでいただくということも是非お願いしたいと思います。
今後は、先ほど来問題になっております表示基準、府令レベルの中身を充実させていく段階に入っていくということだろうと思います。これが勝負どころということになりますけれども、少なくとも今までの基準で守られていたものを、安易に後退させるようなことは絶対あってはいけないことだろうという気がしますので、その策定の段階で十分消費者の権益を配慮して作業をしていただく。消費者委員会としても、府令の策定に当たっては諮問があると承知しておりますので、今後、十分に調査審議してまいりたいと思います。
さらに、今後の検討課題になっております、遺伝子組換表示、食品添加物表示、加工食品の原料原産地表示の取扱い等、中食、外食などの問題、いろいろございます。これらの問題については、とりあえずは法律の枠組みができたということで、今のレベルを変えないのですが、そこから後、改善していく作業については、検討課題なので、速やかに実態調査等を実施して検討を開始し、できるものから少しずつ改善をしていく努力をお願いしたいということであります。そこでの作業については、消費者委員会としても今後とも注視してまいりたいと思います。速やかな立法に向けて、どうぞ頑張って下さい。。
消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

≪4.その他≫

○河上委員長 続きまして、議題「その他」としまして、消費者委員会に寄せられました意見等について、事務局から報告がございます。

○原事務局長 資料5と6になります。資料5(PDF形式:109KB)PDFを別ウィンドウで開きますにつきましては、この1月から3月までに消費者委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文等の一覧ということで、3か月ごとに公表しておりますので、今回、この3か月分をまとめました。14本の意見をいただいております。
内容につきましては、「いわゆる健康食品」について2ついただいております。自動車リコール制度に関する提言もいただいております。リコール基本法制定など、リコール体制の早急な整備・強化の御意見。日本弁護士連合会からは、消費者基本計画の検証・評価についてということで御意見をいただいております。この間、関西電力、九州電力の電気料金値上げ認可申請の審議をしておりましたので、それに関する意見書。それから、食用油の表示について。これは原料原産地表示についてでしたけれども、申し入れ書。各弁護士会からは、個人保証、特定商取引法、不当景品類及び不当表示防止法の改正ということで、御意見をいただいております。
これもホームページで公表していきたいと思います。
資料6(PDF形式:190KB)PDFを別ウィンドウで開きますですけれども、2月から3月にかけて、計3回にわたって「消費者団体ほか関係団体等との意見交換会」を実施いたしました。年2回実施しましょうということで行っているものですが、今回、11団体と意見交換をすることができました。
いただいた御意見は、主なものを項目として2ページ以降にまとめております。四角の箱の中がいただいた御意見を整理してまとめたものになります。その下は、委員間打合せなどを使い意見交換をし、これについてどういう回答を出そうかということでつくったものになります。
まず、「委員会の検討テーマについて」です。一般の消費者にとって身近なもの、意見や要望書等の意見交換の結果を生かしてほしい。優先順位付けや重点化を図るべきということで、これはいつもいただいている御意見ということになります。
2番目の「委員会の情報発信力の強化について」は、これもたくさん御意見をいただきました。建議・提言の取りまとめに当たっては、主張を明確に打ち出すべき、情報提供・広報を強化すべき、調査審議の透明性を向上すべきということで、これについては2ページから3ページにかけて回答しています。さまざまな情報提供・広報の強化は工夫はしてきているところですけれども、なお御指摘を受けると、まだまだということも感じておりまして、是非、こういったことをやればという御提案がありましたら、お寄せいただければと考えております。
3番の「委員会事務局体制の強化について」も、従前からいただいております。
4番、「他の機関・団体との連携について」。これについても、それぞれの課題で消費者庁、国民生活センターとの連携強化、それから、さまざまな団体との連携強化というところで努力をしているところです。
5番、「その他(個別課題に関する検討要請等)」では、地方消費者行政の活性化の話、適格消費者団体への支援、企業の社会的責任の普及・促進のための議論、集団的消費者被害回復に係る訴訟制度案などについて、御意見をいただいております。
お時間の関係で、いただいた御意見の紹介にとどめさせていただいておりますけれども、消費者委員会としての意見はその下に書いてあるとおりで、これもホームページで公表していきたいと考えております。
事務局からは以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。
いろいろ御意見、要望書、声明文等をいただいております。消費者委員会に意見書を出したけれども、それがどういうふうに審議されているのか、それに対して消費者委員会は、どう反応しているのかということが見えないという御指摘があります。調査審議についても、委員会がどういうふうに意思形成をしているのか。委員会のときにも、よく発言する方と比較的言葉少ない方がいますが、実際にその構成メンバーがどのように意思形成をしているのか、どういうタイミングで、どういうふうにして意見がとりまとめられて、表明に至っているのかというのが見えないと言われます。
委員会の会議は短い時間なので、実質的な議論はなかなかできません。我々の間でメールで随分やり取りをしているのですが、それを全部を出すということもできません。ですが、もう少し説明しないといけないのかも知れません。意思形成をする段階で出てきた代表的な意見は、この場でも委員の方々から再度おっしゃっていただくように配慮していきたいと思います。
ただいま紹介いただいた要望書のうち、自動車リコール制度に関する建議につきましては、3月12日の第114回委員会で、平成22年8月に発出した「自動車リコール制度に関する建議」の実施状況に関する再検証というのを行いました。これは、ここに掲げてある御意見を反映しているもので、再リコール事案における技術検証の的確な実施、あるいは自動車メーカーに対する厳格な監視の実施について、国交省に改めて要請をしたところであります。
それから、健康食品に関しては、主婦連合会から、消費者委員会の建議は生ぬるいというお叱りをいただいております。健康食品への取組みは第1次委員会から継続しておりまして、平成23年8月には中間整理を行って、いろいろな問題がありますという整理があった。その後、具体的に提言をしていくのにまずは実態調査が必要だということで、消費者1万人調査を実施し、さらにこの間、多くの有識者、関係団体、自治体、関係省庁のヒアリングを重ねて今回の建議に結びつけたというものであります。
いただいた御意見について、幾つかコメントをさせていただきたいと思います。この要望書の中に、健康食品への届出制、登録制の導入、警告表示の義務化などがなされるべきではないかという御指摘があります。いわゆる健康食品による健康被害は、その因果関係が必ずしも科学的に十分解明されていないことから、まずはこの因果関係を速やかに特定するための研究が必要だということで、厚生労働省に対して、被害情報の収集、解析手法の研究をするようにという建議をしたところであります。
届出制についても検討した結果、当委員会としての考え方は、建議と同時に公表しました「『健康食品』の表示等の在り方に関する調査報告」の中で記載しているところですので、それをご参照いただければと思います。予め解決すべき問題が幾つかあることを前提に、届出制が意味がないということではなくて、そうしたことについて一定の問題をクリアーした上で届出制導入を検討すべきだという趣旨です。具体的に申しますと、どういう範囲のものが届け出されるべき健康食品なのかということがはっきりしないということがございますし、実際に届け出られた後、それをどういう体制で検査していくかということなども含めまして、いろいろと問題点があります。ですから、まずそれから作業を始める必要があるだろうと考えているところであります。
それから、事故情報の報告義務化、及び因果関係が不明であっても食品事故を公表する制度を導入すべきだということが要望事項に入っていますけれども、これらはいずれも、厚生労働省、地方自治体によって既に条例等で対応がなされておりまして、因果関係が不明であっても必要に応じて報告をすべきことが要請されています。これらの適切な運用は非常に重要であるという認識においては、一致しているところでございます。
要望事項の6は、食品表示法への統一的な検討ということですが、食品表示に関する一元的な法律案に係る消費者庁の取組みの状況を、しっかりと見守ってまいりたいと思います。食品表示一元化に係る法律の制定にむけた動きが始まったばかりで、実質的な内容はまだまだこれからという段階でございます。そこを見守りながら、消費者委員会として、必要なところで意見を言っていきたいと考えているところであります。
健康食品の表示については、消費者が適切に利用の要否、適否を判断するのに資するものであるべきものと考えております。所管官庁が建議を踏まえて、今後、適切に対応されていくことを期待し、必要に応じて監視をしていきたいと考えております。

○山口委員長代理 主婦連からの意見書を重く受け止めています。私としては、ああ、やっぱりなというところもあることはあるのです。しかし、かなり力を込めていろいろ調査した結果、最大の議論としてあったのは、届出制を建議に盛り込むかどうかというところで何回も議論をしました。結果として、調査報告書の中に詳しく書いたつもりだったのですが、その後の反響、社会的な評価を見てみますと、報告書に書いてみても、余り皆さんに読んでいただけないんだなと思いました。やはり建議の中に盛り込んでもよかったのかなと、今さらながら思うところは個人的にはあります。
ただ、今、委員長がおっしゃったように、届出制を実際に提案しようとするとかなり具体的に検討すべき課題が多くあるので、その辺の検証抜きに届出制の実現ということを言うのは、やはり行政組織としては無責任かもしれないというふうに考えて、いろいろ議論した結果、私も建議に盛り込むのは無理なのではないかというところで判断したわけです。けれども、こういう形で消費者団体から指摘があることを踏まえて、今後、私どもの書いた報告書が歴史的な文書として利用され、さらに一歩進むことを期待したいと思います。
ただ、私どもの審議の過程で、健康増進法に基づく行政上の摘発例が一件もないことについては、これはまずいということで消費者庁のほうも重く受け止められた。そして、先ほどの増田課長の話のように、食品表示について、特別に表示対策課と連携した部屋をつくって、そこで執行の強化に取り組むことになりました。それから、きょう説明があった消費者団体による差止めのシステム。これも建議したことが受け入れられて、法律案の中に11条としてはっきり盛り込まれた。こういう意味も含めて、私どもとしては一定の成果はあったと思っています。
残念なのは、特保の更新制度については導入するべきだということで、消費者委員会としてかねて意見を出しているわけですが、これについては、表示の一元化の問題で忙しいせいか、全く取り組んでいただいていない。それほど難しい制度ではないと思うので、更新制度については早く導入されればいいと思うのですが、まだ現実化していない。さらには、健康食品のガイドラインについて抜本的な見直しを建議しているわけですけれども、まだ、それどころではないということのようです。この辺をどうするかというのは重い課題で、場合によっては、もう一回、消費者庁食品表示課が食品表示の一元化のことで忙殺されているのはよくわかっているので、現場としては言いにくいところもありますが、やはり健康食品の現状を踏まえれば、何か言わなければいけない部分も出てくるのではないかという感じはしています。
特保の問題も、特保の許可が出ると、特保の食品さえ食べていればガブガブ食べても太りませんという、そんなめちゃくちゃな宣伝がなされている。これを容認していいのかということでさんざん消費者委員会でも議論をして、別途、事業者団体や消費者に呼びかける文書を公表したといういきさつがあります。今後も、特保の表示の現状の問題点については指摘していく必要があるだろうと思います。その点では消費者団体から重い責任を課せられているし、それを自覚しなければいけないと思います。
ただ、今、新しい事態が2つ起こっています。一つは、東京都が先般、平成24年の食品について百何十点、試買調査をされた。その結果が公表されているのですが、これを見ると、半分ぐらいが法律に違反している疑いがあるということで東京都は報告をしています。食品の表示についてどういう基準で試買調査をして、疑いがあるというのはどういう意味なのかというのは、もう一回東京都に聞いてみなければいけませんが、やはり消費者の感覚としても食品表示についての法令が守られていない。特に薬事法違反が多かったと思いますが、景表法違反あるいは健康増進法違反も、3分の1ぐらいの食品が守られていない。こういう事態を踏まえますと、食品表示が法令どおりに遵守されていないという事実が突きつけられたと受け止めざるを得ないので、それを踏まえてさらにどうするかということについては、これは専門家の田島先生にも聞きたいような気もしますので、後でコメントをいただければと思います。
もう一つは、規制改革会議で、これまでの議論が吹っ飛びそうな規制緩和の話も場合によってはあるのかもしれないということを考えると、もう少し大局的な幅広の議論が必要になる局面もあるのかもしれないというところがあって、この問題は本当に難しいなというふうにつくづく思います。そういうことを踏まえて、消費者委員会としても健康食品についての問題は今後も議論していかなければいけないだろうと思っています。

○河上委員長 田島委員、何かありますか。

○田島委員 健康食品の問題で一番難しいのは、機能性というものをはっきりと断定できないという点にあります。主婦連の問題点の指摘として、「いわゆる健康食品には商品そのものの機能性を示す科学的エビデンスはありません」と断定していますが、これは余りいい表現ではないと思います。正確に言えば、特定保健用食品として承認を得るだけの科学的エビデンスはありませんと。集団のニーズに対しての話ですけれども、100%効く、90%効く、あるいは80%に効くというふうに段階的にあるもので、効く、効かないというのを、100%効く、あるいは100%効かないという断定はできないわけです。主婦連の方のように科学的エビデンスはありませんと断定的なことは、残念ながら、言えない。
ですから、規制改革で新しい機能性表示を認めようと。今の特保というのは非常に厳しいエビデンスを求めている、それを少し緩和したらどうかという、そういった意見です。これは建議にも実は盛り込みたかったのですが、なかなか難しいということで盛り込めなかったので、いずれ改めて検討していただきたいと思っております。

○河上委員長 そういう形での表示をさせることで、逆に野放しになっている健康食品をコントロールできるという発想ですね。

○田島委員 そうです。

○河上委員長 何もない状態でいいかげんなことをやらせるよりも、ある程度コントロールできる体制にしたほうがいいのではないかという意見は、確かに一方にあるということですが。

○山口委員長代理 ですが、コントロールできるのですか。特保で認可してコントロールできるはずのものが、余りコントロールできていないという実情を見ますと、どうなのかという気がしますけれども。

○田島委員 それでも、今みたいにイメージ広告が野放しになっているよりは、コントロールをするという手がかりがつかめるということで、いいのではないかなと私は思います。

○河上委員長 恐らく規制改革会議でいろいろ議論されている問題にも、エビデンスの問題がありそうです。客観的に誰がどの程度のエビデンスでこれを認めるかということと、第三者的な機関でその判定ができるような仕組みができるかどうか。その辺りの仕組みづくりがきちんとできるか。業界のアウトサイダーが暗躍したときに、それをどうコントロールするか。そういうことも全部含めて考えていかないと、安易に乗れない部分があることは確かですね。

○山口委員長代理 あえて消費者委員会として申し上げれば、独立行政法人なり消費者庁に、そういうことができますかと聞いたら、はっきり、できませんと言われたわけです。

○田島委員 そこなんですね。できませんというふうに言われてしまうと、やはり、厚生労働省のお力をかりてでも、国の責任としてやってほしいですね。諸外国、アメリカとか韓国などでは実はやっているのです。韓国でできて日本でできないわけがないと私は思いますが。

○小幡委員 ただ、そこまでいくと、規制の在り方として、行政がまた全部背負い込むことになるので、大変だという議論があります。この間、建議に盛り込めなかった届出制というのは、事業者がそれぞれ自主的にルールを決めて、きちんと成分について調査した調査書をつけて届出をしてもらえばよいのではないかということを、せめて建議したいと思ったのですが、それもできなかったという経緯でした。むしろ、やはり全部を国が背負い込むのはなかなか難しいと思います。届出であれば、実際にきちんと調査をしているかどうかというところがポイントになるわけですが、何もないよりはよいのではないかというのが、届出制にしてはどうかという提案だったわけですが、残念ながら建議までいきませんでした。

○河上委員長 いろいろ問題はありますけれども、今できること、もう少し先まで検討してみて調査の上でできるかどうかを考えるものと、仕分けしないと、無責任な形では建議をできなかったということだろうと思います。食品表示の本来的な在り方については、消費者委員会としてもさらに今後とも検討を続けていきたいと思います。ほかの検証でも、さらに検討してほしいと言われている課題はたくさんございますけれども、これも、全く手つかずの状態というのではなく、できるところから消費者委員会としてやっていきたいということでございます。
  消費者団体ほか関係団体との意見交換もやって、その対応に関しては、先ほど事務局長から簡単な説明がございました。これは、御意見をまとめたものと、それに対する消費者委員会としての考え方を、ホームページで文書として公表することにしたいと思います。
今後も、委員会運営を改善していく上で意見交換というのは非常に重要でございますので、半期に1回程度のペースで行っていきたいと思います。その際には、単に意見を聞きっぱなしということではなく、今回のように委員会としての考え方をお示しする。場合によっては、この委員会の中で意見のうちの幾つかを取り上げて、実際に意見を戦わせてみるというか、お互いの意見を開陳し合ってみることも作業としては重要になるだろうと考えております。
また、委員会に寄せられた意見書、要望書等については、今後とも、全委員で情報を共有するとともに、定期的に委員間で意見交換を行う機会をつくって、必要に応じて委員会としての考え方を示していきたいと考えております。
消費者委員会の中での意思形成の過程がなかなか見えにくいという御批判に少しでもお応えできるように、さらに努力していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
本日の議題は以上でございます。
お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪5.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局から、今後の予定等について説明をお願いいたします。

○原事務局長 遅くまでありがとうございました。
次回の委員会は、4月23日(火曜日)4時からを予定しております。
議題については、確定次第、ホームページを通じて御案内をいたします。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをありがとうございました。

(以上)