消費者委員会委員と消費者団体ほか関係団体等との意見交換会(2013年2月26日) 議事録

日時

2013年2月26日(火)16:00~17:27

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
河上委員長、山口委員長代理、小幡委員、川戸委員、田島委員、
夏目委員、細川委員、吉田委員
【参加団体】
特定非営利活動法人 消費者支援ネット北海道 町村泰貴 理事
特定非営利活動法人 埼玉消費者被害をなくす会 長田淳 副理事長
松苗弘幸理事
特定非営利活動法人 消費者ネット広島 長井貴義 理事
特定非営利活動法人 消費者支援機構福岡 朝見行弘 理事長
特定非営利活動法人 大分県消費者問題ネットワーク 井田雅貴 理事長
【事務局】
原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.消費者委員会の活動状況等に関する意見交換
○特定非営利活動法人 消費者支援ネット北海道   町村泰貴 理事
○特定非営利活動法人 埼玉消費者被害をなくす会 長田淳 副理事長
松苗弘幸 理事
○特定非営利活動法人 消費者ネット広島   長井貴義 理事
○特定非営利活動法人 消費者支援機構福岡   朝見行弘 理事長
○特定非営利活動法人 大分県消費者問題ネットワーク   井田雅貴 理事長
3.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:7KB)
【資料1】 消費者支援ネット北海道提出資料(PDF形式:283KB)
【資料2】 埼玉消費者被害をなくす会提出資料 【資料3】 消費者ネット広島提出資料(PDF形式:86KB)
【資料4】 消費者支援機構福岡提出資料(PDF形式:458KB)
【資料5】 大分県消費者問題ネットワーク提出資料 【資料6】 消費者委員会の建議・提言等の概要と主な成果(PDF形式:481KB)
【資料7】 消費者団体ほか関係団体との意見交換会出席団体一覧(PDF形式:63KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会委員と消費者団体ほか関係団体等との意見交換会」を開催いたします。
消費者委員会では、今後の運営改善等の参考にするため、消費者団体ほか関係団体等から御意見を伺うとともに、委員との意見交換会を開催しております。
本日は、その第2回目といたしして、消費者支援ネット北海道・町村泰貴理事、埼玉消費者被害をなくす会・長田淳副理事長、埼玉消費者被害をなくす会・松苗弘幸理事、消費者ネット広島・長井貴義理事、消費者支援機構福岡・朝見行弘理事長、大分県消費者問題ネットワーク・井田雅貴理事長、それぞれお越しいただいております。
皆様方におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

≪2.消費者委員会の活動状況等に関する意見交換≫

○河上委員長 まず皆様より、第1に、最近の主な活動状況、第2に、消費者問題における最近の関心事項、第3に、消費者委員会の活動への評価と期待といった点についてお伺いし、その後、委員との意見交換をさせていただきたいと思います。
時間が短くて申しわけないのですけれども、説明は5分程度でお願いいたします。
初めに、消費者支援ネット北海道から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○消費者支援ネット北海道町村理事 消費者支援ネット北海道の町村です。よろしくお願いいたします。
消費者委員会から御通知のありました、御意見をお伺いしたい事項に沿って御説明いたしますが、資料は資料1にまとめてあります。
我々の団体の活動の中心となる差止めや差止めにつながる申入れ活動としては、賃貸借関係の不当条項についての申入れがかなりの比重を占めております。
それに加えまして、最近では、人身傷害保険について、自由化された後に各社が競っているわけですけれども、いざ事故が起こったときの保障額にばらつきがあるにもかかわらず、「同じ保障で他社よりも安い」という比較広告を盛んに打っているところでありまして、実際には、特に重篤な後遺症が残った場合には、よそよりも半額しか出ないようなところでも同じ保障ですと言っているのに対し、それはいかんのではないかということを申し入れているところです。
そのほか、携帯電話、結婚式、クレジット枠換金商法、中古車買取りについての取組みなどを行っています。
最近、申入れ活動のほかに力を入れているものとしては、北海道各地における消費者向けあるいは事業者向けのセミナー、講演会であります。北海道と札幌市からの予算を得まして、旭川、帯広、釧路、遠軽、函館、苫小牧、そして札幌と各地方を回っております。我々が手分けをいたしまして、さまざまなテーマについて講演をやっております。
最近の関心事項ですけれども、先般成立いたしました消費者教育推進の法律、「消費者市民社会」の建設に向けての一つの手段というわけで、この消費者教育という点でも、講演会活動もその一環ではありますが、力を入れてかかわっていきたいと考えております。
差止め関係は、事業者に対する働きかけを個別に行なっていますが、特に賃貸借についてはもぐら叩きに近い状態になっています。申入れをすれば、それで大体是正されるのですが、微妙なところでは最後まで意見が一致しないところもあります。ただ、微妙なところでは、訴訟に打って出るというところまではいかないものもありまして、手間ばかりかかってなかなか苦慮しているところです。そこで、北海道の宅建業協会と意見交換をいたしまして、これは多分、来年度からということになると思いますが、事業者との意見交換の場を持ちたい、あるいは事業者に対するセミナーを拡充していきたい、このように考えているところです。
それから、消費者委員会への見方ということですが、活発な建議、あるいは御意見の表明などをされておりまして、評価に値すると思っております。しかし、一般には必ずしも知られていない組織のような気もいたします。これだけ活発な活動をしているのに、なぜこんなに目立たないのだろうかというのは非常に不思議なところです。それをどうやって表に出したらいいのかというところは、よくわからないのですけれども、もう少し委員の皆様の活発な露出を期待したいところであります。
その他ということで、特に言いたいこととしまして、これは各団体に共通することだと思いますけれども、財政的には極めて厳しいところです。講演会活動などは行政からの予算を得て行いますので、何とかできていますし、それによって、団体それ自体の運営にも多少寄与するところがありますけれども、それ以外の財政基盤として、寄付ということになりますと、一口千円とか、そういうレベルの寄付ないし個人会員が集まると、何百人単位では全然維持できません。これを何万人単位にすれば、きっと維持できるようになっていくだろうと思いますけれども、かなり大変です。要するに、財政基盤を整備するにはなお時間がかかりそうなところであります。時間をかけて我々のほうは育てていきたいと思っているわけですけれども、育っている間に水をやらないと枯れてしまいますので、是非、水をやることについて御協力をいただければと考えている次第であります。
以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
引き続きまして、埼玉消費者被害をなくす会から御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

○埼玉消費者被害をなくす会長田副理事長 埼玉消費者被害をなくす会副理事長の長田と申します。よろしくお願いいたします。
活動状況については、資料2-12-22-3とつけましたので、記載のあるものについては、時間の関係もありますので、ごらんいただければというふうに思っております。
かいつまんで説明いたしますと、まず、適格消費者団体としての差止請求訴訟ですが、本年度は2件行いました。1件は、賃貸借契約の契約条項は、複数ありますけれども、その差止請求。これは和解で終了しております。現在継続中のものとしては、株式会社MRという調査会社、探偵業の会社に対して、解約金条項を主に問題視して差止請求を東京地裁で継続して行っています。間もなく和解で終了する見込みとはなっていますが、現在継続中です。
私たちの団体としては、もともとかなり以前から、商品被害をなくす会という形で活動してきたものを、適格消費者団体を目指してNPO法人を取得し、それから継続的に活動してきたという形なので、民間の活動委員と言われる一般の市民の方々が会の活動の調査も支えていただいています。活動委員会というのが毎月、活発に行われておりまして、専門委員会である検討委員会は2か月に1度ほど行っています。現在、差止請求に係る業務として継続的に活動しているのは、1ページの(1)から(8)、美容外科の広告・表示に始まり決済代行業者の契約、この辺りについての差止請求もしくはその前段階の調査、申入れを行っております。
消費者問題における最近の関心事項ということで、2点ほど具体的な問題として挙げさせていただいているのは、一つは、投資被害等に利用されている固定電話や携帯電話の契約者です。大体がレンタル業者が入っているわけですけれども、二重、三重に入っていて、結局、最後には契約者本人まで行き着けないという構造になっていることが非常に多いです。携帯電話については本人確認義務が法定されていると思いますが、固定電話については、本人確認義務が必ずしも法定されていないという形の問題点や、本人確認義務が非常に甘い部分があって、現場のところで被害救済に苦慮しているという点を挙げさせていただきました。
もう一点は、携帯電話ツールのゲーム会社や決済代行業者、インターネットを通じた契約において、規約を見ると、一切責任を負わない、当社は一切関係ありませんという規約が何重にも記載されていることが非常に多いです。これは問い合わせ等をしますと、すべてを免責をする趣旨ではないという回答が来るのですが、一般消費者から見ると、何を言っても無駄ではないかと見えるような規約で、それを盾に、実際に苦情等が門前払いされているような事案もございますので、この辺りについて何とか改善できないかと考えております。
続きまして、消費者委員会の活動への評価と要望についてというところですけれども、積極的にたくさんの分野において御提言をいただいていて、それ自体は私たちも非常にありがたいと思っているところです。具体的な施策に結びついているものをあるとは思いますが、全般として、具体的に提言の後に改善されている部分が私たちの目に必ずしも届いていないというところがございます。何が壁になっているのかというのは、なかなか詳細は私どもではわからないところもありますが、連携をするなりいろいろな形で、御提言いただいていることに関しての実現も、私どもも力になっていければなというふうに思っています。そういうところが現在で感じているところです。
その他という点では、先ほど、町村さんもおっしゃいましたとおり、適格消費者団体の活動を支える資金的な部分というのは常に悩ましいところで、差止請求訴訟を提起するにおいても、調査であったり、訴訟活動であったり、そこが非常にネックになっているところで、何とかならないのかなと常に苦慮しているところではあります。
以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
引き続きまして、消費者ネット広島から、御説明をお願いいたします。
○消費者ネット広島長井理事 消費者ネット広島の長井と申します。
5分ほどということでしたので、簡単な1枚の資料を資料3ということでつくらせていただきました。
私どもは、もともと消費者契約法制定前から活動をしてきまして、その後、消費者契約法が制定されてから、適格消費者団体、訴訟を行う団体はNPO法人格が必要のようだということで、NPO法人になって活動してきました。今は外務大臣の岸田文雄大臣から、適格消費者団体の認定をいただいたのですが、岸田大臣は広島選出の議員ですので、ちょうどそのときは岸田大臣から適格団体の認定をいただきました。
活動状況ですが、3つ目の団体となると同じことになるのですが、やはり基金とか援助をもらって、東京から人を呼ぶということになると、県の後援といった基金、寄付金の事業ということが中心になります。ちょうど昨日も、樋口恵子さんにお越しいただいて講演をいただいたのですが、500人の会場に300人入って、高齢者の消費者被害ということで盛況なシンポジウムを行いました。
また、県から委託を受けて、消費生活相談員の養成講座をやっています。40時間ありますが、広島県内の消費生活相談員の合格者、先般発表になったアドバイザー講座、7名中6名とか6名中5名、広島県の合格者はほぼこの講座を受けていただいた方です。そういう集会、研修、広報活動をやっているというのが一つです。
もう一つは差止め関係ですが、広島では裁判を起こしたのは1件です。このような裁判を起こしました。私が訴状の送達先になってやりましたが、貸衣装業者の解約金規定につき差止訴訟を行いました。私はこのネットの理事でもありますが、弁護団の弁護士ということで、この弁護士費用がどうなるのかという話で、弁護士費用ということで消費者ネットから弁護団にもらったのですが、かなりの部分、また消費者ネットに寄付しようやということで、お金が行って戻ってきたり、そういうことに実際はなっています。
もう1件、41条書面を送付したという事例もあります。
あと、昨今、各地で裁判になっている冠婚葬祭互助会の事件で、大阪高裁で判決、福岡で提訴されたということがあって、それを受けて、地場の大手の業者はどうなっているのだろうという声が広島でも寄せられましたので、広島の大手の業者に質問書として、消費者契約法に違反していると考えていないのですか、裁判判決との関係をどう考えていますかと言っていたところ、最初は一たん、特に問題はないと考えていますという回答があったのですが、先般、顧問弁護士から連絡がありました。是非、社長をはじめ役員で御説明に伺いたいと言われまして、ちょうど先週の金曜日、とりあえずこのように変えました、全互協が頼りにできないので我々で変えました、4月からこの改定案でやりますということで、新しい解約の案というのを持ってこられました。
恐らく考えるに、うちもあんなふうに訴訟を起こされて、取付け騒ぎでも起こされたら困るぞというふうに思われたのかもしれませんが、訴訟をほかの団体がやっていて、我々も質問書を出すことで、社長、専務、常務、顧問弁護士が来られて、規約の改定案を説明するというのは、まさに適格団体の力、もちろん、乱用してはいけない力があるんだなというのをまざまざと感じたところです。
地域の活動については、被害防止の見守りサポーター研修ということで、民生委員相手の研修の講師などに各地へ行ってもらったり、県内の消費者行政調べということで、広島県は市町村合併が進んで23市町。村もなくて、広島は市町(しまち)という言い方をしますが、23市町全部の窓口にこちらから伺いまして、相談日や体制がどうなっているのかということを聞いて、報告書をまとめて県に提出するという作業もしています。
課題ですが、ここは皆さんおっしゃることと同じで、みんな同様に思っているのだなと思っていただければと思いますが、やはり財政基盤の問題です。先ほども言いましたように、差止訴訟は御存じのように、やればやるほどお金が出ていくだけの制度ですので、集団的被害救済制度に向けてとなると、今の団体で大丈夫なのか。この制度をうちの団体は、今、事務所を借りていて、これも維持できるのか。生協さんにおんぶに抱っこでやっているというのがうちの消費者ネットの現状ですが、生協さんが手を引かれたら、うちの団体はもっていけるのだろうかということも考えながらですので、どうしていただければというのは難しいところはあるでしょうが、是非、消費者委員会の皆様にも御協力いただきたいと思います。
以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。
引き続きまして、消費者支援機構福岡から御説明をお願いいたします。

○消費者支援機構福岡朝見理事長 消費者支援機構福岡、理事長の朝見でございます。
資料4に概要をまとめてございますけれども、消費者支援機構福岡は2009年に設立いたしまして、昨年11月に適格認定をいただきました。
組織の概要は4ページにございます。会員200名程度でやっております。財政規模は6ページにございますが、500万弱というところでございます。
活動につきましては、8ページに書いてございますけれども、ほかの適格消費者団体がおやりになっているのと同じような内容で活動を続けております。
ここでは、時間の関係上、本来の申入業務、差止業務についてお話をさせていただきたいと思います。
当機構ではこれまで、認定前から30件の申入れを行っております。9ページにまとめてございますけれども、冠婚葬祭互助会8件、Qネット3件、結婚式場3件ということになっています。その次のところで、それぞれについて、どういう状況であったかというのを御説明しております。差止請求訴訟まで進んでいるのは1件でございます。11月に認定をいただきまして、12月に提訴をいたしました。これは、先ほど来既に出ております冠婚葬祭互助会の解約金の問題でございます。福岡地方裁判所で第1回の期日が終わったところで、これから議論が始まるところでございます。
それから、既に申入れ段階で解決したものが幾つかございます。一つは、結婚式場の解約金について、キャンセル料と申しましょうか、これにつきまして2件、ニューオータニとオークラから改定したという通知を受けています。これは認定以前の事例でございます。
もう一つは、Qネットのサービスと申しますけれども、銀行の自動振込サービスです。これが、いわゆる偽装質屋あるいは年金担保と連動して年金の担保に使われている。問題は、銀行との間の振込契約であるにもかかわらず、消費者から直に銀行に申し込んでも解約できない。振込先の事業者を通して契約を解約せよという約款がございまして、これはいくら何でもひどいだろうということで、41条書面を送りましたところ、福岡銀行と西日本シティ銀行から、4月1日付で改定をするので、それまではこの条項は適用しないことで了承してほしいということで、合意書を締結しております。現在、形式的な合意書の作成で、きのう、西日本シティ銀行から合意書が届きました。今、福岡銀行待ちという状態でございます。
このほかにも、インプラントのキャンセル料が多額であったということで申入れをして、41条書面を送ろうかという段階にまで至りましたが、向こうが、改定する、改定すると言いながらなかなかしないので、41条書面に行こうか、合意が成立するのかよくわからないと言っていたら、相手方の医療法人が破産手続に入った。もうこれ以上やってもしょうがないということで、どうやって手仕舞をしようかというのが1件ございます。
それが現在の活動状況でございます。
最近の関心事について申し上げますと、9ページの下に書いてございますが、現在検討中の事案は、有料老人ホーム、家賃保証会社、携帯電話。敷引というのは、宅建業協会がモデル約款を配布していて敷引条項が入っているということで、それの差止めを求めていたのですけれども、御承知の最高裁の判決が出たために、どう収拾をつけるかということで止まってしまっております。有料老人ホームにつきましては、恐らく年度が変わって早い段階で、41条書面提訴という段取りになろうかと思います。
それ以外のところで、現在、問題として考えていますのは、冠婚葬祭互助会でございます。これは大阪高裁の判決が出ていますので、これで何とかというふうに考えておりましたけれども、冠婚葬祭互助協会(全互協)が政治的な動きも始めたように聞いています。これにどう対応するのかということについてかなり注目しており、また、対応を考えなければいけないのではないかと思っております。
もう一点、これは差止請求関係ではございませんけれども、福岡市を発端といたしまして、地方自治体における消費者相談業務の委託の在り方について検討する必要があるのではないか。民間委託が広まりつつある傾向にありますけれども、果たしてこれでいいのかということで、相談業務の委託の在り方について考えなければならないのではないかという点を注視しております。
消費者委員会の活動への評価と要望でございます。これは、大変積極的な活動をしていただいて、ありがたく評価をしているところでございますけれども、先ほど、北ネットの町村さんからお話がありましたように、いかんせん情報が流れていないなというところを若干感じております。
消費者委員会が、1週間ほど前でしたでしょうか、加湿器についての建議書を出されました。ところが、残念ながら、私はそれを見落としておりました。それから数日後に、長崎の介護施設での事件でマスコミの取材を受けまして、日弁連が昨年、意見書を出しているということを盛んに言われましたので、それを調べていた経過で、消費者委員会が建議を出しておられることに気づきまして、マスコミにもその説明をしたのですけれども、なかなかよくわかっていただけない。日弁連の意見書はよく見ているようでしたけれども、消費者委員会の建議については、よくわかっていなかったという経緯がございます。
そういう意味で、我々ももう少し注意をしなければいけないとは思いますけれども、そういう活動を広める方法を、是非、何らかお考えいただきたいというふうに感じております。
最後のその他事項につきましては、既に各団体からおっしゃられた財政的な措置の問題でございます。ただ、これは個人的ではございますけれども、財政が必要だから、国あるいは公共団体に援助をお願いしますというふうに短絡的に言うのは、決して健全ではないと思っております。つまり、我々団体は自分の足腰で立つようにしなければならないとは思っておりますけれども、なかなかそこが難しいところで、個人的には、団体の間で互助会でもつくって助け合いでもしなければいけないかなというふうには考えておりますけれども、消費者委員会におかれましても、国あるいは公共団体からお金を突っ込むだけではなく、むしろ、どういうシステムが可能なのかということでも御助言をいただければありがたいと思っております。
以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
最後に、大分県消費者問題ネットワークから御説明をお願いいたします。

○大分県消費者問題ネットワーク井田理事長 私どもの団体の資料としては、5-15-2でございます。
手短に報告させていただきますけれども、2枚目のスライドで、私どもの団体としては、この4つの柱ということで毎年、事業を行っているところでございます。もちろん、メインは差止事業ですけれども、実績と申しますと、スライドの4枚目、代表的なものを6つぐらい挙げさせていただきました。このうち、予備校が使用する違約金条項に関しては、現在、大分地方裁判所にて訴訟が継続中でございます。あとは、41条請求を1件、あるスポーツクラブに対してなしているということです。このほかにも、複数、41条請求を検討している事業者がいます。
差止請求もさることながら、特色と言えるとすれば、6枚目のスライドを見ていただきますと、大分県下の各公共団体に対して、私どもの団体で相談員を派遣させていただいております。大分県下では全部で17の市町村が存在しますけれども、そのうちの7団体で何らかの相談業務に関与しているということでございます。次年度に関しましては、これ以外の団体からも複数、要望が出されていたり、相談回数を増やしてほしいということで御相談をいただいておりますので、活動は浸透してきていると思います。
また、我々自身も、大分市と別府市で毎週2回、相談事業を行っております。残念ながら、相談の件数自体は50件程度で、それほど多いというわけではないですけれども、実際に消費者被害の相談などが継続的に寄せられるようになってきまして、この辺もようやく浸透してきたのではないかと思っております。
また、著名な方を呼んでの講演活動であるとか、我々団体の理事が実際に講演に行ったり、寸劇をしたりというようなことで、被害の予防、防止、啓発活動に力を入れているところでございます。
私どもが今、差止業務以外で一番力を入れているのが、相談員の育成と申しましょうか、10ページのところです。私どもの団体は、平成21年度から4年連続で消費生活相談員養成研修を大分県から受託いたしました。その成果としては、消費生活専門相談員認定試験の大分県下での合格者は4年間で18名ですけれども、そのうち11名は私どもの研修の卒業生であったり、在籍中の研修生でございますので、一定の成果は上がっているのではないかと思います。
相談員をそういう形で養成していくことによって、研修を受けた相談員が実際に自治体で相談を受ける。被害相談が上がってきて、場合によっては我々の団体が対応するという形で、私どもの活動において、重要なものの一つとして情報提供がありますけれども、日ごろから顔の見える関係を継続していると、情報も上がってきやすくなるのではないかという形です。こういう関係を今後も続けていきたいと思っております。特に、今、議論がございます集団的被害回復制度などができますと、なお一層、現場からどうやって被害を吸い上げるかということが重要になってくると思うので、育成業務は今後も続けていきたいと思っています。
資料5-2は、意見交換会でお伺いしたい事項ということですけれども、現在の活動状況につきましては、今、お話ししたとおりでございます。消費者問題における関心事項としては、個々の消費者問題というよりも、消費生活相談員の育成で、「絶対数が足りない」と書きましたけれども、大分県下では試験に合格した方が20名いません。ですから、もう少し合格者を増やして、実際に窓口で研鑽を積んでもらうのが急務だと考えております。ここをどういう仕組みをつくっていくかが団体としての一つの関心事項です。
消費者委員会の活動への評価と要望については、活発に建議などされておりまして、内容も充実していると思います。それが行き渡っているかどうかという問題はありますけれども、やはり声を上げ続けることが大事だと思っておりますので、このままの活動を続けていただければと思っています。
また、その他、意見に関しましては、地方消費者行政の活性化に私どもの団体は非常に関心がございます。現場の相談員としては、身分が不安定であるということもありまして、なかなか落ち着いて学習ができない。身分の不安定さというのはやはり余りよろしくない影響を与えていると思いますので、この点に関して、今後も建議などをしていただければと思っています。
私からは以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、意見交換ということで、御質問、御意見のある方は発言をお願いしたいと思いますけれども、先ほど来、委員会の情報発信が必ずしも十分ではないのではないかという御発言がございました。これに関しまして、原事務局長から簡単に説明をお願いします。

○原事務局長 2週間前も消費者団体との意見交換会をやらせていただいて、建議や提言を出した後、どうなっているのかよくわからないというお話もあったので、同じように資料を準備させていただいておりますけれども、資料6をごらんになっていただきたいと思います。これまで、どういった建議、提言等を出してきたかというのを掲載しております、皆様、よくごらんになっていただいているようで大変感謝申し上げたいと思いますけれども、建議についてはこれまで11件行っております。中には法改正に結びついたものもありまして、1ページ目の2に、有料老人ホームの前払金に係る契約の問題を掲げておりますけれども、これは老人福祉法の改正に結び付くことになりました。
それから、地方消費者行政の話が出ましたけれども、地方消費者行政の活性化に向けても、第1次の消費者委員会のときも、第2次になりましても、それぞれ建議を出しています。
3ページの7ポツで、エステ・美容医療サービスに関する消費者問題について建議をしておりますけれども、これについても、建議を出しっ放しということではなく、今後、確実にさせていく、フォローアップをしていくことで肉付けを図っていきたいと考えております。
説明が後先になって申しわけありません。建議と提言と出したものは、消費者委員会のホームページのトップページに、現在どういう状況になっているかというのを、建議、建議の概要、主な成果ということで掲載しておりますので、現状はこれで把握していただくことができるようになっております。
建議の9番目で、やはり地方消費者行政の充実に向けての建議。年が明けまして、10番で「『健康食品』の表示等の在り方に関する建議」、11番で「消費者事故未然防止のための情報周知徹底に向けた対応策についての建議」、これが2月12日の建議で、朝見理事長からお話がありましたとおり、この建議が出された翌日には一段見出しの記事しか出なかったわけです。
ところが、不幸なことに、今回のグループホームでの火事は原因がリコール対象の加湿器だったということで、再度、消費者委員会の建議がクローズアップされて、いろいろなところで紹介されました。消費者委員会が建議や提言を出しても、大きな事故とか何かがないと、それと結びつけてというところはなかなか難しくて、ただ建議を出しただけでは掲載に結びつくことが難しいいうところではあります。
9ページからは提言となっておりまして、提言10件ですが、1番目は未公開株の投資詐欺で、これは金融商品取引法の改正に結びついています。
10ページに入りまして、6の貴金属等の訪問買取り被害抑止ということでは、これは特商法の改正につないでおります。
11ページの8番は、違法ドラッグ対策に関する提言ということで、これは包括指定の話、麻薬取締官の取締りの権限の範囲の拡大ということで、大変大きな取組みが進んでおりますけれども、消費者委員会が昨年の4月に提言を出したものです。
10番は、電気通信事業者の販売勧誘方法の改善に関する提言を昨年12月に出しております。販売勧誘のトラブルが情報・通信分野は非常に多いということで、電気事業法か特商法で何らか対応が取れないかということで提言を出しておりますが、これもきちんと追いかけていきたいと思っております。
13ページは、委員会のホームページの紹介です。当初立ち上げたころは、会議を開催しましたということの羅列ばかりでしたが、毎月、どういうことをやっていますということを取り上げていますので、是非ごらんいただきたいと思います。ただ、皆様はよく知っておられますが、一般の消費者の方々に知らせる努力というのは、これは本当に必要だと考えておりまして、立ち上げ当初からの課題であります。
それから、立ち上げた当初は、消費者団体にお願いをしてリンクを張ってもらっていました。ですから、適格消費者団体でも是非またリンクを張っていただいて、関心のあるところをつなげていただけたらと思いますので、是非、そちらをよろしくお願いしたいと思います。
以上です。

○河上委員長 では、委員から、御質問、御意見のある方は発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 説明、ありがとうございました。
埼玉と福岡に伺いたいのですが、埼玉の活動で、美容外科の広告・表示について何らかの対応を考えておられるようです。消費者委員会でも、原事務局長が報告したように、美容医療について、特に表示がオーバートークなので、医療法上の広告としてきちっと位置づけて行政規制すべきではないかと言っているのですが、インターネットの案内については、これは広告ではないということで自主規制にとどまっているわけです。そこでいろいろな問題が起こっているわけですけれども、何とかしなければいけないということで、厚労省と再三、話をしているところですが、なかなか動いていただけません。さらに今後、やらなければいけないと思っていますが、埼玉のほうのこの動きはどういう内容なのかが一つです。
福岡では、有料老人ホーム、これも原事務局長が話しましたように、消費者委員会で入居一時金の問題については建議をしたところですが、初期償却について、厚労省と東京都、埼玉県、その他の考え方が違って、なかなか民事的にも問題があるのではないかというところですが、先般も厚労省からお話をいろいろ聞いて、どうしようかということで考えているところです。あと、スプリンクラーの問題などで火災の事故が起こりまして、これはどうするのだろうかということで、基本計画に入れなくていいのかという議論もしているところですけれども、この9件というのはどういう内容なのか。
以上、2点、お話しいただければと思います。

○河上委員長 よろしくお願いします。

○埼玉消費者被害をなくす会長田副理事長 では、埼玉のほうから御紹介します。
私たちが差止関係業務として現段階では申入れを行っていて、これから41条請求を具体的に検討している事案がありますので、簡単に御紹介します。
やはり広告で、確実に10歳若返るとか、余りにもたくさんありすぎて、いろいろな勧誘文言をしている業者がいます。調査したところ、開設者はそれぞれ個人の医師の名前になっているのですけれども、埼玉県内で配布されている新聞広告は、4か所の美容外科どれも似たような表現のものがあって、実際には、広告を見て電話がかかってくると、医療機器が置いてあるマンションを臨時に開設して、そこで契約させて、そこで手術を行うという形態をどうもとっているようです。実際にその施術が広告と違うというだけではなく、施術の安全性とか、そういったところからも苦情が出ている案件です。
それについて、問い合わせ、申入れ等を行っていたのですけれども、申入れをすると一定程度の改善はされて、次回入ってくる広告は少しニュアンスの違うものになる。ですが、しばらく置いておくと、またもとの広告に戻っているという事案がありまして、これをまとめて41条請求に上げようとしているところです。
我々ができるところは広告の問題なので、差止関係業務として広告のところに着目し、そこからやっていこうとするのですけれども、広告だけではなくて、オーバートーク、実際の施術の内容、契約の中身、非常に高額な契約であったりという問題点もあります。本当は全体的な規制が必要なのではないかと私も思っていますけれども、できるところというところで、まずは広告から着手しているところです。

○山口委員長代理 チラシの広告ですか。

○埼玉消費者被害をなくす会長田副理事長 そうです。

○河上委員長 それでは、福岡、お願いします。

○消費者支援機構福岡朝見理事長 福岡の有料老人ホームの事件は、すべて初期償却の関係でございます。先ほどちょっと申し上げましたけれども、年度が明けましたら、41条書面、差止請求にまで至るであろうと思われる事例は、これは実は有料老人ホームの届出がありませんで、向こうの主張によりますと、これは賃貸借契約とサービス契約のセットだと。初期償却は賃貸借契約の部分の話でという、わけのわからない主張をしてきておりまして、これは一体どうなっているのだろうか。どうやるのか。これは民法上に基づくものではないから、契約に基づくものではないから消契法の適用はないとか、わけのわからない主張をしているものですから、一体何が言いたいのかがよくわからなくて困っております。いずれにいたしましても、現在、私どもが扱っている事件は初期償却の問題でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 消費者支援ネット北海道の活動報告のところでお伺いしたいのですけれども、賃貸借契約については、もぐら叩きのような状況だとお話がありました。その中でも特に、宅地建物取引業、要するに業界と話し合いをする、または、セミナーなり啓発教育をする、そういう方法にこれから取り組んでいくというお話がございました。そこへ行くまでの過程のようなお話をもう少しお伺いしたいのが一つ。
それから、お取り組みいただいている中に中古車買取りについての取組みがあって、一たんは活動を終了しようとしたけれども、ほかのところで同じような問題が発生しているので、活動を中止しないで、引き続き注意していくというお話がありましたが、ここは今回の特商法改正の中から除外された部分でございますね。その辺でどんなふうにお考えか、お聞かせいただければと思います。

○消費者支援ネット北海道町村理事 賃貸借契約に関しては、我々の団体が設立当初から継続的取引グループとして、賃貸借契約の約款についての情報収集と申入れ活動をしてきました。ほとんど、どこの地方にもあるような解約であるとか、破産申立てを受けただけで即時解約とか、鍵の勝手な交換とか、要するに自力執行条項などがあります。それに混ざって、北海道特有な条項としては、冬期間の立ち退きは敷金を返しませんという特約があったり、それはほとんどの事業者が使っているところです。
それを一つひとつ取り上げていって1年ぐらいたったころでしょうか、宅建業協会のほうから、苦情を申し立ててきた借主にホクネットを紹介するという動きが見られるようになりました。ホクネットでは消費者相談を受けているわけではなく、消費者被害や不当な取引があったら、それをもとに是正を申し入れるということをしていたので、直接相談に来られても、それは適切な他機関を紹介するのですが、ともかく宅地建物取引業者の団体のほうでも苦情が多いので何とかしたいと考えているのだと、そう認識するに至りまして、そうであれば、業界団体としての取組みもサポートしますという申入れをしました。
そこで、意見交換という場をとりあえずは設けて、どういう不当条項のようなものが問題になるのかということを話し合って、それを、なるべくトラブルになる前に是正していきたい、そのためには事業者向けのセミナーが適当だろうと、そう考えております。宅建業協会を通じた事業者向けのセミナー自体はまだ行っていないので、これから来年度に向けて詰めを行っているところです。
これには若干の下心もありまして、個々の事業者からお金をもらってセミナーをやるというのは利益相反の問題がありますけれども、宅建業協会主催でセミナーをやって、我々が講師を派遣するのであれば、私達の事業収入に結びつくのではないかということも考えてはいますけれども、なかなか難しいので、そこのところはあまり追求しないで、とりあえずは事業者向けの啓発を先行したい、そのように考えているところです。
第2点の中古車です。確かに押し買い規制の対象からは外れたのですけれども、我々が取り扱って訴訟にまで至った問題は、高額のキャンセル料を含んだ条項の問題です。事業者が買取対象車を一たん引き取った上で、事故の跡があると言って、最初に提示した高い買取額が実は安くなると言い出します。それでは嫌だと消費者が言うと、もう引き取ってしまったので、キャンセルには解約料が必要ですよと、こういう取引が多かったわけです。それをやめなさいと。本当はそのような欺瞞的な部分を差し止めたかったのですけれども、解約料の条項のところに限って差止訴訟を起こしました。それは請求認諾という形ですぐ終わってしまったのですけれども、認諾になるに当たっては、消費者契約法で、和解をするには、2週間前でしたか、消費者団体、消費者庁に通知して吟味をしてもらってからでなければならないと。まずそれをやってから和解期日を入れなければいけないというので、それだと時間がかかる、事業者の方は早く訴訟を終わらせたいと。そこですぐ認諾ということになってしまいました。
その事業者に関しては、北海道からどうやら撤退したようですけれども、埼玉で同じようなことをまたやっていて、そこの活動自体は少しましだったのです。そろそろ問題も収束したかなと思ったところ、別の事業者が出てきまして、この別の事業者もまた、似たようなトラブルで札幌市に苦情を申し立てられているということで、我々のほうでもう一回調査に入ることをして再燃してしまった、こういう経緯であります。

○河上委員長 押し買いの適用範囲から外れてしまっているということについては、いろいろと我々の中でも議論がございまして、状況を見て、場合によってはリストからもう一度外すことも考えてもらう必要があるのではないか、ということを考えてはいます。実際のトラブルの状況などについては、また情報をいただければありがたいと思います。
ほかにはいかがでしょうか。
細川委員、どうぞ。

○細川委員 適格消費者団体の財政的な問題について、お伺いしたいと思います。
自民党政権になって、森大臣と我々委員と面談する機会があったときに、私は、なかなか進まない適格消費者団体の財政支援をしっかりやっていただきたいということをお話ししたのですが、なかなかこれが進まないわけです。私は消費者庁の消費者制度課長と前にお話ししたときに、哲学というか、発想として、適格消費者団体は支援したくないと思っているから何もやらないのでしょうと言ったら、いや、そんなことはない、アイデアがないから出さないだけだ、アイデアをくれと、そういうことを言われました。
ですが、適格消費者団体は、最終的には差止請求権を行使する形で世の中の契約を是正するという目的でできたのだから、その活動に対して払うのが当たり前の話です。アイデアも何もなくて、すなわち訴訟件数、あるいはこういった活動に対して財政支援するのが当たり前なのに、そちらに向かないということは、やはり企業に対して訴訟するようなものを政府は支援したくない、そういう哲学があるとしか私には思えないわけです。そこを変えていただきたいとは思いますけれども、ただ、先ほど支援機構福岡の朝見理事長から、すべて支援して成り立つのはよくないだろう。やはり自立してこそ適格消費者団体ではないかというお話がありまして、そういう点もあるかと思いますけれども、ただ、これもなかなか簡単ではないですね。
アメリカのBBB(Better Business Bureau)などの活動を見ていると、自分たちが自分たちの市場を健全化できなければ、結局、政府の介入を許してしまう。だから、自分たちで悪質業者を排除したり、市場をよくするのだと、そういう哲学があるわけですけれども、日本はそれがないように思います。だから、なかなか企業からの財政支援もうまくいかないし、消費者支援基金も、最近、交付されたというふうに余り聞かないですけれども、その辺もうまくいかない。やはり日本というのは、先ほどお話がありましたけれども、生協が陰で支えるしかないのかなと。生協は事業者でもあり消費者団体でもあるので、理念はあるし、事業者として活動していてお金も持っているから、結局、余り表に出ないで支えて何とかカツカツやっていけるという状況になっていて、どうなのかなというふうにも思います。
その辺をどうお考えなのか。御意見があればお聞かせいただきたいですし、あるいは、消費者委員会にこういうことを言ってくれとか、そういう御要望があればお聞きしたいと思います。

○河上委員長 朝見理事長、どうぞ。

○消費者支援機構福岡朝見理事長 今、おっしゃられたこと、よくわかるんですね。この差止請求というものは、本来的に言うと行政がやってもいいぐらいの話で、それを肩代わりしている、と言うとちょっと表現が悪いかもしれませんけれども、そういう側面があるので、ある程度のサポートはしていただきたいなというのはございます。
一番問題は、我々、各団体は差止請求訴訟等をやっておりますけれども、ほとんどボランティアに近い。うちの場合は完全ボランティアですけれども、これでいきますと後が続かないわけです。若い人、跡継ぎと言いましょうか、次の世代の人を引き込むだけのものがない。どうも最近の若い人は、昔のように、弁護士さんなどは特に社会正義に目覚めてという人が少ないみたいで、儲からないなら嫌だというのが多いのか、なかなか後が出てこないという問題があります。これがやはり一番大きいだろうと思います。
一つは、集団的消費者被害回復制度であれば、少しは収益につながるのではないかと考える向きもありますけれども、私は個人的にはそう楽観はできないだろうと。これにしても、損害賠償請求訴訟をする、あるいは、仮差をするためには担保を積まなければいけない、その担保をどこから持ってくるのかというようなことを考えると、そうそう簡単に起こせない。もちろん、そこには敗訴リスクもあるわけです。そういうことを考えると、そうそうバラ色な話ばかりではないのではないかと考えております。
もう一点、生協のサポートしかないのかなというふうに細川委員はおっしゃいましたけれども、生協のサポートが入ってくると、事業者の側面がありますので、利益相反ではないかという突っ込みが入ってくるわけです。全互協がそれに類似した主張を展開しております。それは我々からしてみるととんでもない議論で、筋違いの議論ではありますけれども、一応それに応えざるを得ないという、変な方向に力を注がなければいけないという無駄な時間を費やすということがございます。
そういう意味で、今、我々は団体の内部の弁護士で受けていたりするわけで、そこも弁護士法との関係、あっせんとの関係等があって非常に微妙ですし、差止めの議決についても、特に生協を外すのか、外さないのか、どの範囲で外すのか、ということを常に意識しなければいけない。非常に微妙な問題がつきまとってきて、それが最近、私たちには厄介な話だなというところでございます。

○河上委員長 長井理事、どうぞ。

○消費者ネット広島長井理事 結論めいたことで言うと、難しいということにしかならないのですが、おっしゃるとおり、私は、理事で、検討委員会の副委員長か何かですが、消費者ネットの事務所は歩いて5分ぐらいのところにありまして、毎月1回、検討委員会に行く。2か月に1回、理事会に行くわけですが、もちろん、何のお金も入るわけではないです。裁判の関係でお金をもらいましたが、先ほど言われた消費者支援基金に言ったのですけれども、時期を逸したか、もうお金がないとかいうことで、結局、消費者支援基金からもお金をもらえなかったので、消費者ネットのほうからお金をもらったということでした。
私たちは消費者ネットからお金をもらうとなると、消費生活相談員の養成講座、県からの受託事業なので県からお金をもらうので、そこで講師と。講師のなり手もなかなかいないので、私たちがやると、この前も消費者庁の監査が来たときに、講座の講師は理事ばかりだが、選定基準はどうなっているのかと。そんなものは引き受けてくれる人がいないから身内でやっているんだと、事務局が答えたのかどうかわかりませんが、そうやって講師ということでお金をもらうと、そこから1割、2割は消費者ネットに入れなければいけないなということを、講師をした理事の中でも話をしてやるようにしています。そうやって、お金がどこから出てきてどこへ行って、どこから入ってどう行くのかというのは本当に難しいことだと思います。
生協の関係は難しいところがあって、今、何か考えなければいけないのかなということをちょうど広島でも考えています。生協は、人も出してお金も出してもらっていて、意外と口は余り出してもらっていないのですが、ただ、独立で事務所を借りているのがしんどいので、生協の事務所の一角に引っ込もうかという意見もある。それは生協出身の方がおっしゃられて、生協から出すお金の削減なのでしょうが、ただ、ほかの理事からすると、「それはどうなのかな、生協の一部局みたいに思われるのでは」ということなので、何とか独自の足で頑張っていこうと思います。
裁判をやるとお金が出ると言いましたが、条例でも、消費者裁判の費用の貸付のようなものが条例は一応ありますけれども、それは消費者にしか使えないとか何とかですから、その辺を突破口にして、差止訴訟の援助とかいうのを何かしてもらえないかとは思っているところです。

○埼玉消費者被害をなくす会長田副理事長 同じ話になりますけれども、先ほど、細川委員がおっしゃったように、適格消費者団体としての本来業務が差止請求関係業務なのです。これを、社会やいろいろな方々に認知してもらうためには、本来的に差止関係業務をきちんと充実したものにして、多く取り組んでいって、市民の皆さんに認知していただいて、または事業者等からの認知もいただいて初めて、財政的な基盤につながっていくのだろうと思います。
ただ、だいぶ日はたっていますけれども、全国的に見ても、差止請求訴訟がすごくたくさん行われて市民の方に認知されているという状況にはなかなかいかないところで、ここの初めの段階で適切な財政支援というのを検討していただけないか。その部分でうまく回るようになっていかないと、市民の方々に認知していただけるというところまで行けないのではないかと思っています。今、そこの部分で非常に重要な時期なので、恒久的な援助というのを考えるのは難しい部分もあるのかもしれませんけれども、やはり今は財政的支援を考えていただくのが必要な時期なんだというふうに考えています。

○河上委員長 どうぞ。

○山口委員長代理 もう御存じだと思いますが、例えば警察庁の生活安全局生活経済対策管理官が、「平成24年度中における生活経済事犯の検挙状況等について」という報告書をつい先日出しまして、その中には、毎年の検挙事件数、検挙人員、検挙法人数、被害人員、被害額というのが書いてあります。端的に言えば、それぞれの事業で、警察が何人検挙して、その被害額が幾らになっているのかということです。
先ほど来聞いていて、差止めの41条通知を30件出したと。そうでしたら、それぞれの通知を出して適正化した事業体の経済規模、これを数字として出していただけないか。通知を出して、これだけの通知でこれだけの事業体についてこれだけの経済的な適正化をしましたと。計算の仕方は難しい部分もあるかもしれません。これは消費者庁にも前から言っていて、いや、難しいんですよとか何とかおっしゃるけれども、適格消費者団体だったら具体的にターゲットがあって、そこで申入れをしているわけです。
30件もやっているなら、あるいは40件も通知しているならば、1年間で、これだけの経済規模の事業活動について適正化について貢献しましたと。11の適格消費者団体で計算すると、何百億になっているとか、何十億かもしれません。それは、それだけ国民生活の経済化に寄与したのだから、一定程度の税金を払っても当然でしょうという、一定の説得材料にならないのかなと思います。要するに国がお金を出すための理由が必要なわけで、ただお金に困っているから、活躍しているからという、そう単純なものではないと思うので、その辺はまた是非議論をして、消費者庁とも協議して、根拠づけをつくる必要があるのではないかと思いました。どうでしょうか。

○河上委員長 朝見理事長、どうぞ。

○消費者支援機構福岡朝見理事長 大変おもしろいお考えだと思いますけれども、ただ、一つ間違いますと、それだけの事業規模が経済的にシュリンクしているというふうに逆手にとられないかという心配を受けます。こういう制度をつくったために、それだけ経済がシュリンクしたのではないかというふうに言われかねないので、ちょっと怖いなという気は正直あります。

○河上委員長 町村理事、どうぞ。

○消費者支援ネット北海道町村理事 消費者機構日本がその試算をされています。かなり前のことですけれども、発表もされていたと思います。我々もまねしてやろうとは言っていたのですが、そういう技術を持った人がいないのでなかなか取りかかれなかったのですけれども、考慮したいと思います。
補足ですが、先ほど話題に出た消費者支援基金は、ホームページによれば、平成20年、平成21年を最後に寄付が途絶えています。他方、平成23年の12月期まで支出はされているので、だんだん資金を食いつぶしている状態で一応やってはいるようです。去年の9月段階で470万円の貸借対照表の残があるということですので、かなり行き詰まっている状況かもしれません。

○河上委員長 細川委員、どうぞ。

○細川委員 実は、今、活動をしていないような話を聞きました。逆に言うと、消費者支援基金でやっていけるのだったら国の財政は必要ないだろう、そういう議論になっても困ると。要は、なぜお金が減っているかというと、集まってこないからですね。これも伺ってみなければわかりませんけれども、集める活動をあえてしていないという部分も、もしかしたらあるのかもしれません。ただ、集めるのは難しいなと思ったのは、そもそも悪質な業者が市場にいるということは、優良な事業者にとっては不当に顧客を奪われているということです。ということは、悪質な事業者を排除したほうが自分たちの活動にとってはベネフィットがある。だから、悪質な事業者を排除することに対して支援をする、そういうふうにつながっていくといいはずですけれども、日本はなかなかそうはいかないのではないかと思います。
例えば朝見先生の福岡での活動を見ても、活動の対象がニューオータニ九州とか、ホテルオークラ福岡、西日本シティ銀行、福岡銀行という、まさに九州の経済活動を支えるいわゆる優良企業ですね。これが最終的には差止めをするような活動の対象になっていたら、これは支持は得られないし、九州の経済団体が理解して寄付してくれるということもないのではないか。そうなると、ますますちょっと暗くなってしまうのですけれども、日本の状況というのは本当に難しいなというのを感じます。

○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。
小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 きょうは、いろいろな地域から来ていただきありがとうございました。適格消費者団体の活動というのは、せっかく制度ができたので、財政難という話もありましたが、活性化させていくことはとても大事なことだと思います。皆様、これが本来業務だとおっしゃってくださっているので、いろいろ御苦労があると思いますけれども、期待したいと思います。細川委員がおっしゃるように、公益のためにまさに民が自分たちで補完している活動で、公益のためのものなので、もう少し何らかの財政支援は当然必要だろうと思います。どのような形にするかというのはありますが、残念ながら、今の段階ではそれほど数がないわけですから、支援もしようと思えばできると思います。
一点お伺いしたかったのは、皆様方のところに、必ずしもすぐ情報が入って、差止訴訟のほうに行くというわけではないと思います。事業者に申入れをしてほしいという話であっても、被害の実態の情報を集めないといけませんね。このような仕組みというのはいろいろ工夫をされているのでしょうか。先ほど町村理事から、いきなり相談に来られても困るという御発言がありましたが、基本的にはいろいろなところに照会して情報が集まるというシステムでしょうか。

○消費者支援ネット北海道町村理事 御紹介いたしますと、「通報ダイヤル」という110番のような催しをやることで集まることもありますし、委員の間で問題意識を高めて、直接ではありませんが、PIO-NET情報にアクセスして、問題が顕在化していることを認識したら、事業者に約款をくださいと言ったり、あと、消費者から随時、メール、電話などで通報はあります。消費者相談で、私の問題を解決してくださいと言われるのは困りますけれども、そうではなく、こういう問題があって非常に困っている人が多いので、何とかしてくださいというような通報は随時あります。こちらの目から見てもやはり問題だと思うものは取り上げて会議にかけて、申入れにつながっている。そのような形になっています。
あと、市とか道とかの消費者問題対策部署から、こういう問題がありますけれども扱いませんか、という形での情報提供もあります。行政庁自身が取り上げないのはなぜかという問題もありますが、私達としては、ありがたい情報提供として活用いたします。

○河上委員長 朝見理事長、どうぞ。

○消費者支援機構福岡朝見理事長 福岡の状況をお話しいたしますと、私どもは北ネットさんと違いまして、常設の相談電話を置いています。相談員がいるわけではありませんで、相談員の資格を持った事務担当が受けて、弁護士、司法書士等に適宜配点をして、そちらからコールバックをするという形で対応しております。それほど電話は多くございませんけれども、ただ、個別案件の救済の相談というのがほとんどです。情報提供というのはごくわずかでございます。
そうなってくると、自分の問題を救済してほしいという相談はあっても、メリットがないのに情報提供をしてくるというのはなかなか期待できなくて、端緒情報がつかみにくい。我々は個別相談の中から、こういう差止案件に情報を使っていいですかという承諾を得て上げていったり、あるいは、相談員や弁護士の中から、今、こういう事件を抱えているけれども、これはどうだろうかという形で仲間内で持ち寄るという形でやっております。私どものところは、残念ながらPIO-NETのデータにアクセスするチャンネルを持っておりませんので、今のところ、そういった形で端緒情報を集めております。

○河上委員長 それぞれの団体では、例えば福岡の場合、消費者センターとの間でのパイプは定期的に持っておられるということですか。

○消費者支援機構福岡朝見理事長 福岡には、県と、福岡市と北九州市という政令指定都市が2つございますけれども、私どもは福岡市に事務所がございますので、福岡市との連携ということになりますが、ここがなかなかうまく情報が伝わっておりません。連携が取れておりません。今度、少し異動がありまして全員外れてしまいましたけれども、市の相談員であった人から個人的に「こういう話がある」という情報が、守秘義務に反しない程度で市・県から流れてくるぐらいのことで、何らかの合意をしなければいけないなということは言っていますけれども、まだそこのところは実現しておりません。

○河上委員長 どうぞ。

○消費者支援ネット北海道町村理事 北海道では、札幌市と北海道とそれぞれ書面で情報交換の協定を結んでいまして、それに基づいて情報をお互いにやり取りしています。
それから、国民生活センターを通じてPIO-NETに被害状況を問い合わせることは、福岡でもできるのではないですか。

○消費者支援機構福岡朝見理事長 可能だとは思いますけれども、まだそこの段階に至っていないというのが正直なところだと思います。

○河上委員長 埼玉はセンターとは連携されていますか。

○埼玉消費者被害をなくす会長田副理事長 はい。書面の協定書もあって定期的に連絡をしているのと、我々の検討委員の中には、消費生活相談員を県や市町村でやられている方もいらっしゃいますので、そういう意味では風通しはいいと思います。

○河上委員長 組織的な連携は書面での形でやられているものですか。

○埼玉消費者被害をなくす会長田副理事長 書面でやった上で、年に何回か、協議会、連絡会という形でやらせていただいております。

○河上委員長 大分もそうですか。

○大分県消費者問題ネットワーク井田理事長 書面による協定というわけではないですけれども、人的な関係が非常によろしいこともあって、守秘義務に反しない程度で情報はいろいろなところからいただけるようになりました。それが成果かなと思っています。

○河上委員長 ただ、事実上の情報提供だけだと、余り安定はしていないですね。やはり何らかの形で組織的な連携がないと、端緒情報としては偏ったものになったり、不完全なものになるという問題はありそうです。

○山口委員長代理 大分は、消費生活センターの相談と団体でやっていらっしゃる相談とはどう切り分けるのですか。

○大分県消費者問題ネットワーク井田理事長 大分は、大分県が消費生活相談、大分市が常設でやっていますけれども、常設でやっているのはその2つぐらいです。センター化しているところは、二、三個ぐらいありますけれども、あとはほとんど外部委託というか、私たちが派遣しているような感じで、切り分けというか、余り厳密に考えたことはないのですが、特に何か問題が生じているわけではありません。

○河上委員長 予定していた時間が迫ってきましたけれども、まだ発言がない方で、一言ずつでもお願いします。

○吉田委員 ことしのテーマとして、消費者教育を地域、地域でどうつくっていくかということがあると思います。行政ももっと頑張らなければいけないと思いますが、いかに地域の消費者団体や事業者等と手を組んで、地域の中で、消費者教育を活性化させていくチームをつくっていくのかというところも課題かと思います。
御意見を伺いたいのは、消費者団体として、行政とともに消費者教育を推進するためにこんなことができるのではないか、あんなことができるのではないかという提案があれば、是非伺いたいなと思いますが、いかがでしょうか。

○河上委員長 町村理事、どうぞ。

○消費者支援ネット北海道町村理事 大変関心のあるところですけれども、一つには、セミナーという形で直接消費者を対象とした啓発活動をするということです。それに加えて、法教育の一環として、中学ないし小学校、あるいは高校に入っていって、消費者問題と、消費者問題の解決の在り方みたいなことで出張講義をやる企画はどうだろうか、というようなことは内部で話しております。
これは、弁護士さんは弁護士会でやっていることのいわば消費者版ですので、軌道に乗れば実現は早いのかもしれません。もちろん、教材等々のなかなか難しい問題はありますが、ネットを見ますと、特に法教育のための消費者教育としてさまざまな教材があります。そういうものを活用しながら、独自のものをつくり上げて企画をつくっていきたい。そういうふうに考えているところです。

○河上委員長 松苗理事、どうぞ。

○埼玉消費者被害をなくす会松苗理事 埼玉では消費者団体と弁護士会で、事実上、連携する形で講師派遣をする。消費者団体が、各エリア、埼玉ですと、東部側、西側、北側というブロックで消費者団体を集めて、まず、それぞれ講師派遣で講演をやりました。そこから、参加した消費者団体が次の勉強会をまたそのエリアで、より小さな地元でやるという形に派生している部分があって、そこにも弁護士会から弁護士を派遣して広げようという形では取り組んでいます。

○河上委員長 司会の不手際で時間がだいぶ過ぎてしまいまして、済みません。きょう、いただいた御意見は、今後の委員会の活動の参考にさせていただきたいと思います。委員会のアピールが足りないというのはいろいろなところから言われておりますので、もっともっと露出度を高め、アピールをできるように頑張りたいと思います。また、いろいろと御指導、御支援をお願いできればと思います。

≪3.閉会≫

○河上委員長 本日は、お忙しいところをありがとうございました。これにて閉会とさせていただきます。

(以上)