第97回 消費者委員会 議事録

日時

2012年8月7日(火)17:28~19:16

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、川戸委員、田島委員、
 夏目委員、細川委員、村井委員、吉田委員
【説明者】
 消費者庁  神宮司審議官
増田食品表示課長
林地方協力課長
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.食品表示一元化について
○説明者: 消費者庁  神宮司審議官
増田食品表示課長
3.地方消費者行政について
○説明者: 消費者庁  林地方協力課長
4.その他
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:8KB)
【資料1】 食品表示一元化検討会報告書(案)(消費者庁提出資料)(PDF形式:426KB)
【資料2】 「地方消費者行政の充実・強化のための指針」関連資料(消費者庁提出資料) 【資料3】 「消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化等に関する検討会」関連資料(消費者庁提出資料) 【資料4】 「PIO-NET刷新に関する検討会」関連資料(消費者庁提出資料) 【資料5】 地方消費者行政の現況(概要)関連資料(消費者庁提出資料) 【資料6】 第4回地方消費者委員会(名古屋)の実施結果(PDF形式:136KB)
【参考資料】 委員間打合せ概要(PDF形式:86KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、まだ二、三分前ですけれども、大体おそろいのようですので始めさせていただきたいと思います。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第97回)」会合を開催いたします。
本日は、所用によりまして、稲継委員と小幡委員が欠席となっております。
配付資料の確認をお願いいたします。

○原事務局長 配付資料ですけれども、議事次第と書かれた紙の下に一覧をおつけしております。
資料1といたしまして、「食品表示一元化検討会報告書(案)」ということで、消費者庁から御提出いただいている資料です。
資料2、3、4、5は、地方消費者行政について、この後、消費者庁からそれぞれのテーマについて御報告を伺う予定にしております。その関連の資料になります。
資料6といたしまして、第4回地方消費者委員会を名古屋で開催いたしました。その実施結果をおつけしております。
参考資料として、この間、7月31日に委員間打ち合わせを行っておりますので、その概要をおつけしております。
不足がございましたら、おっしゃっていただければと思います。よろしくお願いします。

≪2.食品表示一元化について ≫

○河上委員長 それでは、早速、議題に入ります。
初めに、「食品表示一元化について」であります。消費者庁におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
「食品表示一元化」については消費者庁において、昨年9月より食品表示一元化検討会を開催して検討を重ねてこられたところでありますけれども、去る8月3日金曜日に開催された第12回検討会において、食品表示一元化検討会報告書(案)について検討が行われたと伺っております。
本日は、消費者庁から食品表示一元化検討会報告書(案)について御説明をいただき、議論を行いたいと思います。
それでは、説明をお願いいたします。なお、恐縮ですが、説明は15分程度でお願いいたします。

○神宮司消費者庁審議官 消費者庁審議官の神宮司でございます。
ただいま、食品表示一元化検討会の経緯につきましては、委員長の方から御紹介がございましたので、その後のことについてだけ私の方から御説明いたします。
お手元にお届けしております報告書(案)は、8月3日の第12回の検討会において御議論をいただいたものでございます。最終的にこの会合におきまして、報告書の内容について座長に御一任するということで合意が得られたということでございます。
したがいまして、ほぼ最終的なものに近いものではございますけれども、若干12回会合で修正が加わったところが幾つかございます。重要な点については、もしお時間があれば、その中で説明をさせていただきたいと思います。時間が限られておりますので、早速中身の方に入らせていただきたいと思います。
まず、この報告書でございますけれども、1「はじめに」のところにございます部分、2の「基本的な考え方」、3の「新たな食品表示制度における適用範囲の考え方」の3つの部分につきましては、総論的な部分ということになります。そして、4番目、「栄養表示」、5番目、その他の「終わりに」で各論的な事項を取り上げる構成になってございます。
2枚おめくりいただきまして、1ページ目、1「はじめに」のところでは、報告書の要点についてでございます。ここでは、食品というものにつきまして、まず表示が一般的に持つ機能として、購入時の選択に資するという部分があるわけでございますけれども、食品というものについては、摂取段階での安全性の確保という機能を営んでいるということで、それが食品表示に特有の部分であるということがまず第一のポイントになってございます。これが1ページ目、真ん中ぐらいまでの記述ということになります。
そして、23行目以下のところで、食品表示というものについて今日的な課題への対応のために見直していくための視点として、29行目にございますように、多くの消費者にとって何が重要な情報なのか、そして、その情報を消費者にどのように提供するのかという2つの視点を提示し、その中で消費者ニーズの多様化、高齢化の進展など、更には情報通信技術の発展等ということで、2ページに参りますけれども、更に、食品表示というものについて、基本的には各国、我が国であれば、我が国の食生活の実態に即して定められるものではありますけれども、12行目にございますように、諸外国の経験からも学ぶべきところは大きいということについて言及しているということでございます。
この食品表示一元化検討会については、24行目にございますように、法体系の在り方というものを検討することを目的にしているわけですが、検討事項は大きく2つに分かれまして、1つは、26行目にございますように、一元化に当たってあらかじめ決めておくべき基本的な考え方というのがございます。それと同時に、一元化の機会に合わせて検討事項とされた事項ということ、大きくこの2つを検討会では取り扱ったということで、それぞれに対応する部分が、目次で申し上げますと、1、2、3に関する総論の部分と、4、5に関する各論の部分ということになります。
3ページ目をごらんいただきたいと思います。2のところでは、この検討会の一番の目的である「新たな食品表示制度の基本的な考え方」についてとりまとめているところでございます。これは、先ほど申し上げましたように、検討会において食品表示一元化に当たって決めておくべき部分ということになりますけれども、まず一元化をする必要性につきましては、6行目のところにございますように、現在、食品衛生法、JAS法、健康増進法の3法が表示の根拠規定という形になっていて、分かれていることによって複雑でわかりにくくなっているわけでございます。
その中で、22行目以下のところにございますように、1つは消費者側において、もう一つは消費者行政の現場というものにおいて、4ページ目をめくっていただきますと、もう一つは事業者にとって、それぞれ制度が3つに分かれていることに伴う問題点というものがあるということでございまして、これが一元化の必要性についての記述ということになるわけでございます。
そして、5ページ目でございますけれども、その上で新しい食品表示制度を定めるに当たって、消費者基本法の基本理念、なかんずく、5ページ目、10行目以下にございますように、「消費者の権利の尊重」と「消費者の自立の支援」という2つの理念から、どのようにして食品表示の機能を位置づけていくのかという議論をここでは展開しておりまして、結論といたしましては、6ページ目にございますように、食品表示というものは、1つは消費者の自主的かつ合理的な選択のために必要な情報を提供するということ、それにとどまらず、特に食品の安全性を確保するために重要な役割を果たしていると言えるということで、いずれもこれは基本法の2条にある部分から、このような結論を導いているということでございます。
言うなれば、消費者基本法の基本理念を実現するための個別の作用法の一つとして、新しい食品表示制度があるという位置づけになるということでございます。
そして、これを受けまして、6ページ目、(3)のアのところですけれども、新しい食品表示制度の目的というものにつきましては、食品の安全性確保に係る情報というものを最優先とし、併せて商品選択上重要な情報が提供されることを目的として位置づけるという整理をしてございます。
続きまして、7ページのイ以下のところは、大きな意味での表示のわかりやすさというものをどのようにして実現していくかということでございまして、イでは「用語の統一」ということ、ウでは「情報の重要性の整序」という言い方をしておりますけれども、結論的には、消費者一人ひとりにとっても、あるいは食品によっても情報の重要性というものは異なるので、9ページに飛びますけれども、結論としては、2行目にありますように、情報の重要性に違いがあることを前提とした制度設計が必要であるということを述べてございます。
エでは「表示の見やすさ(見付けやすさと視認性)」、特にポイントの1つとしては、18行目にございますように、文字を大きくすることの必要性は高いということを述べてございます。ただ、この点、誤解を解いておきたいと思いますけれども、新聞報道等で記事にされたときには、簡素化という言葉がよく出ていたわけでございますけれども、文字を大きくするために簡素化するというような表現は、この報告書では特に用いているわけではございません。
10ページは、以上のような形での情報の重要性の整序ということを前提として、考え方をまとめているわけでございますけれども、基本的には、消費者にとって情報の重要性というのは異なってくることがありますので、10行目以下に書いてございますけれども、そういった情報を求めている消費者にとってはメリットということになるわけですけれども、必ずしもそのような情報を求めていない消費者については、そういった表示をすることが、それに伴うコストという形でその消費者にとってはデメリットになるということで、その意味でメリットとデメリットをバランスさせていくことが重要であるということが基本的な考え方になっております。
ただ、ここでバランスさせているものは、あくまでそういった意味での消費者と消費者の間のメリットとデメリットのバランスであるということは御理解いただきたいと思っております。
このような形で、義務表示事項というものをどの範囲で定めていくかということですけれども、10ページ目にございますように、イでは、現行の義務表示事項については、見出しどおり、最終的には「検証」という言い方にしておりまして、「見直し」という言い方ではなく、「検証」という言い方にとどまっております。
11ページにございますように、「新たな義務付けを行う際の考え方」につきましては、その際には、12ページ、5行目以下にございますように、かえって見やすさの低下を招かないように、容器媒体以外の媒体による情報提供によって、容器包装への表示を省略することができるといったことも一つの制度の形として打ち出しているところでございます。
更に、もう少し将来的には表示事項の見直しということを実現できるようにするために、16行目から17行目にありますように、義務表示事項を柔軟に変更できるような法制度とすることが必要であるということをここでの結論としているということでございます。
オは省略させていただきます。
更に、13ページ以下で、「適用範囲の考え方」を述べております。これは、容器包装以外のものとして、1つは「中食、外食等の取扱い」、それからインターネットと、2つを取り上げておりますけれども、結論的には、「中食、外食等の取扱い」につきましては、15ページの19行目で、専門的な検討の場を別途設け、検討を行うことが適当であるという結論になり、「インターネット販売等の取扱い」につきましても、17ページにございますように、専門的な検討の場を別途設け、検討ということになってございます。
残りのお時間を使わせていただきまして、4番目の栄養表示について御説明をさせていただきたいと思います。
(1)の「沿革」のところは、もともと栄養成分を補給するという制度だったというところから、生活習慣病の増加に対応して、18ページになりますけれども、健康の増進というふうに制度の目的が変わっていったこと。
そして、(2)では、生活習慣の改善のために、栄養表示の役割が重要になってくるということが、19ページでいいますと8行目、9行目に書いてございます。
そして、「国際的な栄養表示制度の動向」につきましては、この報告書の中でコーデックスの委員会総会における見直し案について言及しておりますが、20ページにありますように、1行目から5行目、「栄養表示を義務とすべき」ということについて、本年7月のコーデックス委員会総会において採択がなされたということに言及をしてございます。
以上を背景といたしまして、(4)以下で栄養表示について、どのような形で制度設計をしていくかということについての基本的考え方を述べております。
これにつきましては、18行目から21行目、栄養表示というものは、健康、ライフサイクル全体という長い時間軸の中でとらえていく、そういった中での栄養管理のための目安であるということでございますので、個々の食品について、例えば表示と含有量の間に差があったとしても、それを許容していくという認識がある程度必要であるということを述べてございます。
20ページ、31行目以下にありますように、こういった意味での差があったとしても、中長期的な食生活の段階では、摂取する栄養成分の量が平均化されていくということで、そういった意味での表示と実際の含有量との差の許容についての共通の認識を醸成する環境をつくっていくことが重要であるということを述べております。
これがその下で出てくる環境整備ということでございまして、21ページ、5行目、6行目で、栄養表示の義務化と環境整備を表裏一体のものとしてとらえることを基本的な枠組みとして述べているわけでございます。
あとは、「新しい栄養表示制度の枠組み」について、大ざっぱな方向性を出しておりますけれども、21ページ、アの(ア)「対象食品」については、原則として包装されたすべての加工食品を対象に義務化するということでございます。17行目から19行目にかけて、販売個数が一定数以下の食品、また、ミネラルウォーターや香辛料類などへの言及がございますが、この例示につきましては、12回の検討会の結果、削除することになっておりまして、そのような形で最終報告書はとりまとめることにしております。
また、「対象事業者」についても、原則として、すべての事業者を対象とすると同時に、「対象とする栄養成分」につきましては、31行目のところになりますけれども、実際の義務化施行までに対象成分を決めるということで整理をしております。
その際には、21ページ最終行から22ページに書いてございますように、各国の実態を踏まえ、幅広く検討する必要があるということを述べております。
次に、「表示値の設定方法」につきましては、いわゆる現行の許容範囲に縛られない計算値の導入等について言及してございます。
(イ)の「表示媒体」につきましては、12回の検討会での議論の結果、削除することになりましたので、その部分につきましてはないものとしてお預かりいただきたいと思います。
そして、義務化と表裏一体のものとしての環境整備でございますが、23ページ以下のところで、まず、現行の制度のもとで、12行目あたりでございますけれども、例えば計算値方式を導入していく。あとは、表示する食品を拡大していく、あるいは栄養成分の拡大をしていくといった取組みを進めていくこと。更に普及啓発。「支援」といたしましては、23ページ、一番下にございますように、公的なデータベースの整備や支援ツールの充実といったものを挙げてございます。
施行時期につきましては、24ページにございますように、義務化導入の時期は新法の施行後、おおむね5年以内を目指して決定することが適当としております。
24ページ、「終わりに」でございます。この報告書の提言といたしましては、食品衛生法、JAS法、健康増進法の表示制度関係規定を抜き出して、新法をつくるという立案作業を行うべきであるという御提言をいただくことが、この報告書の結論でございます。
(1)以下のところで、個別の検討課題についてのことに言及をしております。加工食品の原料原産地表示につきましては、一元化の機会に併せて行う個別事項として取り扱ってきたわけでございますけれども、24ページの35行目にございますように、主として事務局の方から、「品質の差異」の観点にとどまらず、新たな観点から原料原産地表示の義務づけを行っていく根拠について御議論いただいたわけですけれども、合意には至らなかったということで、この部分につきましては、食品表示の一元化の機会に検討すべき項目とは別の事項として位置づけることが適当であろうという形での整理としております。
中食、外食、インターネット販売につきましては、文中にもございましたように、専門的な検討の場を別途設け、引き続き検討を行うということのほか、その他の個別事項につきましては、遺伝子組換え表示など、意見募集で関心の多かった事項について、(1)と同様に、食品表示の一元化の機会に検討すべき項目とは別の事項として位置づけるのが適当であるという整理をしているということでございます。
以上が報告書の内容になります。15分を超過してしまって申し訳ございません。以上で説明を終わらせていただきます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。
田島委員、どうぞ。

○田島委員 どうも御説明ありがとうございました。検討会も12回にわたって御苦労さまでございました。無事に報告書ができ上がりまして、御苦労さまというふうに言いたいと思います。
幾つか質問とお願いが1点ございます。
まず、質問の話ですが、残された問題です。「終わりに」というところで、加工食品の原料原産地表示の問題とか、中食やインターネット、その他の個別の表示事項、この検討というのは、消費者庁でもって検討会をつくると思うのですが、大体いつごろまでをめどに考えているのかということで、その検討が終わるまでは現行の義務表示というのは生きているというふうに理解してよろしいのでしょうか。すなわち、原料原産地品が22食品を対象にしていますが、22食品は現行のまま義務表示されるのかどうか、それが1点目の質問です。
2点目の質問は、報告書は、義務表示事項は柔軟に見直すということになっておりますが、できるのかどうかという、義務表示というのは非常に大きな論点でありますので、簡単に表示事項を追加するとか削除するというのはなかなかできかねると思うのですが、果たしてその可能性というのはあるのかどうかということの質問です。
3点目は要望でございます。これから法案を整備するのでしょうが、それにおいては、いわゆる実効性の確保ということを十分に御検討していただきたい。実効性のないものをつくっても、なかなか難しいのではないかと思うのです。特に加工食品の栄養表示の問題は、原則としてすべての加工食品を対象とする、すべての事業者を対象とする。ところが、加工食品でもって栄養表示しにくいものというのは実際たくさんありますね。例えば、うなぎの蒲焼だとか、焼き肉だとか、ローストビーフだとか、そういったものも原材料が変わってしまえば、エネルギーとかたんぱく質も脂質も全部変わってしまうので、それを栄養表示しろというのは土台無理なのではないかと私は思うのですけれども、そういうものも含めるのかどうか。原則として、すべての加工食品を対象とする、それから、事業者の方も家族経営という零細企業は除くとなっておりますが、それでなくても小さな企業でお弁当なんかをつくっているようなところで、栄養表示を義務化すると、実際のものとしては難しいのではないか。その辺、どうお考えなのかということをお聞かせいただきたいと思います。
それから、これは余分な話かと思いますけれども、食品表示でもって、表示が小さくて見にくいというのが一番の問題点ということが古くから指摘されているのですが、そこで一つの案なのですけれども、例えば諸外国で導入しているような絵表示とか図解ということはお考えいただける話なのでしょうか。文字情報だけではなくて、例えば赤色のものは摂取を気をつけなさいとか絵表示みたいなことはお考えいただけるのでしょうか。
以上が要望と質問とまぜこぜでございますけれども、よろしくお願いいたします。

○河上委員長 よろしいですか。

○神宮司消費者庁審議官 まず、報告書のその他のところで書きました個別事項の取扱いでございますけれども、消費者庁食品表示課として、今後の作業といたしましては、まず、法律案の立案という作業に秋以降入っていきたいと思っております。
その意味では、例えば加工食品の原料原産地表示について、あるいは遺伝子組換え表示などにつきましても、いずれも現行の消費者基本計画において、加工食品の原料原産地表示につきましては、着実な拡大をということは閣議決定事項として決まっているわけでございます。
したがいまして、こういった閣議決定で既に決まっている事項につきましては、一元化の機会に検討すべき項目とは別の項目と位置づけることの意味というのは、結局、この検討会での検討事項としてということではなく、消費者庁として既存の基本計画の枠組みのもとで対応を図っていくということを意味してございます。
それで、中食、外食、インターネットにつきましては、専門的な検討の場を別途設けるということが提言として入っておりますので、何らかの形でそういった場を設けるという検討の仕方になっていこうかと思いますけれども、その他の個別事項につきましては、消費者庁として、現行の組織というものの中での検討ということを現在のところでは基本的に考えているということでございます。
その意味では、先ほど申しました22品目、その他ということにつきましては、現行の基本計画においては着実な拡大が決定されているということで、とりあえずお答えとさせていただきたいと思っております。
それから、義務表示事項について柔軟に変更できるようにという部分でございますけれども、これは、具体的には法律を立案するときに、いわゆる法律事項というものと、法律よりも下の政省令告示といった下位法令で定める事項という2つがあるわけでございます。義務表示事項については、柔軟な変更ができるようにするために、具体的に何の事項を義務表示にするのかといった点については、下位法令にゆだねるといった形での法体系の在り方が妥当であろうということを、ここでは言っている趣旨ということでございます。
特に現行の表示事項ということにつきましては、先ほど、この報告書でも見直しではなく検証という言い方にとどめたと申し上げましたけれども、やはり今までの議論の積み重ねをして、現在の義務表示事項ができてきたというところがございますので、それは踏まえていくべきだろうというのが、この報告書の結論になっているところでございます。
ただ、これは御説明の中で申し上げましたが、現在、義務表示事項になっていない事項を新たに義務表示事項にするような場合につきましては、例えば現在の容器包装のスペースといったことが制約となって、それゆえに見やすさが低下するから義務表示事項を増やせないということにならないようにするためには、容器包装以外の媒体との併用ということを打ち出すことによって、新たな義務表示事項と見やすさというものの両立を考えていくべきではないかということは、12ページにございますように、うたっているということでございますので、柔軟なという言い方の意味につきましては、そういったそれぞれの意味合いがあるというところでございます。
3番目の点については、要望事項ということでございますので、御要望として受けとめてさせていただきます。勿論、法律をつくる以上、規制を導入する以上、実効性の確保ということを図っていかなければならないことは勿論のことかと思っておりますが、例えば、そういった環境整備と表裏一体のものとして栄養表示についての義務化を進めていくということにつきましては、環境整備として計算値の導入などといった形で、事業者側においても対応可能ではないかと思われる方式の導入というものを併せてうたっているということだけ、まず御説明させていただきたいと思います。
絵表示については、課長の方から。

○増田消費者庁食品表示課長 表示の仕方として、絵表示や図解という表示方法もあるのではないかという御指摘でございますが、検討会の中でも、文字を大きくするということに関連して、例えば、配字や配色といったものも文字の見やすさの上では非常に重要であるという御指摘はありました。
ただ、一方で、この配色も絵表示も多分そうだと思うのですが、絵表示や図解を表示基準という形で義務として取り入れていくかというのは、もう少し慎重な検討が必要だと思っておりまして、まずはこういったものについてはガイドラインですとか、できれば各業界にそれぞれ自主的なガイドラインなどを定めていただいて、そういった中で標準がつくられていくというのがむしろ現実的である考えております。すぐ義務で図解を表示しろというのは、かなり慎重に検討する必要があるというふうに思っております。

○河上委員長 村井委員、どうぞ。

○村井委員 単刀直入にお伺いします。冒頭の報告案の御説明並びに田島委員のご質問へのご回答に関して、このように解釈してよろしいのでしょうか。1)検討会を1年かけて12回実施した結果、消費者庁としては新たな法律をつくる材料は全部出そろったと判断されている。2)報告書の「終わりに」に記載のある中食・外食・インターネット販売あるいはその他の個別事項などに関しては、あらためて検討会などの専門の場をつくることはなく、基本的には消費者庁内で来年の通常国会の上程に向け、法制化の準備を進められる。3)法制化の作業の中で消費者委員会・消費者委員会の表示部会は特段関わる必要はないと考えられている。

○増田消費者庁食品表示課長 1つ目は、これから消費者庁としては法律の立案作業に入っていきたいと思っております。ただ、立案作業の中で決めなければならないことというのは勿論ございまして、それは検討しながら法律の形を決めていって、それは今の通常でいうと、基本的には与党審査ですとか、そういった中での検討が行われていくことになると思います。
もう一つ残された課題等があるわけですけれども、食品表示制度は、法律で枠組みをつくった上で、表示基準という形で具体的な義務を課すというふうになっております。そういった意味で、法律ができた後でも、表示基準という形で逐次義務が追加されたり、変更されたりするということになっておりますので、法律をつくった後でも、そういった運用をしていく中で、例えば今回残された課題というふうに位置づけられたものについても、適宜検討を重ねていって、場合によっては表示基準という形で反映することは考えているということでございます。
消費者委員会と食品表示部会との関係についてですけれども、食品表示部会は、これは私が説明することではないのかもしれませんけれども、部会の役割としては、表示基準に対する御審議ということになっていると思っております。そういった意味で、新しい法律をどうするか、まさに法律をどうするかということにつきましては、そういう意味では、多分、本来の所掌の外にあるのだとは思います。ただ、一方で今日も報告を求められて、ここで我々は報告しておりますけれども、報告等を求められれば、適宜状況は御説明させていただきたいと思っております。
それと、現段階では担当者段階での考えでございますけれども、現行のJAS法及び食品衛生法は、消費者委員会の意見を聞いて表示基準をつくるという法律の仕組みになっております。新しい法律において、表示基準をつくるときにどういう手続を踏むかというのは、これからの検討事項ではございますが、仮に、引き続き消費者委員会の諮問・答申を受けるという形で法律ができれば、法律が成立した後、表示基準をつくっていくという手続においては、引き続き消費者委員会、食品表示部会の御審議によって具体的な表示基準がつくられていくということになるのではないか、これから法律をつくる段階でこれを言うのは本来不適当なのかもしれませんけれども、というふうに思っております。
その前提でお話しすれば、法律ができた後の次の表示基準の議論、あるいは、今、残された課題も、表示基準に反映するものについては、別途検討会をつくるということもあるかもしれませんけれども、むしろ消費者委員会で、新法のもとにおいて消費者委員会のもとで御議論いただくことになるのではないかというふうに、これは、まだ現段階では担当者限りでの考えです。

○神宮司消費者庁審議官 材料が出そろったかという御質問でございましたけれども、秋以降に入る作業というのは、いわゆる法律の立案作業ということでございます。先ほど申し上げたような意味での法律事項と下位法令で定める事項のデマケということを前提とすれば、検討会の方でおまとめいただいた総論的な意味での基本的考え方というもので法律の立案部分に入っていく。その部分においては、基本的考え方のところについては、この検討会の考え方でいけたらと思っております。
ただ、他方で、下位法令で定めることが多くなると思われます個別事項の方につきましては、まだ議論が全部出そろったという状況ではないわけでございまして、それは新しい食品表示法のもとでの個別課題として別途議論するときに、またそこでいろいろな材料が出てくるのだろうと思っております。

○原事務局長 前回の委員会打ち合わせで少し経緯を説明いたしました、消費者委員会の場に、多分これで3回目だと思うのですけれども、食品表示一元化のことについては、立ち上げたときと中間と今回でいただいております。
それから、もう一つ食品表示部会の方では、審議事項ではありませんけれども、報告事項ということで御報告をまた、これも適宜、随時いただいて、委員の皆様からの意見を出していただいて参考にしてきているということです。
ただ、今回こういう形で報告をとりまとめましたので、今後どういうふうに整理して、消費者委員会としてかかわって、また作業をというところは、事務局でも整理をして、委員の皆様にもお諮りをしたいと思っております。

○神宮司消費者庁審議官 ちょっと言葉が足らなかったかと思いますけれども、法律の立案ということで、具体的な条文をつくっていく作業ということがあれば、実はここで実体法部分として検討していた以外のところで、手続なりなんなりというところでもいろいろなことを法律立案の過程では議論しなければならないかと思います。そういったことにおいて、要すれば、この委員会の方にも機会がありましたら中間的な段階でも御報告をさせていただく機会があるかと思いますので、そこは委員会事務局とも打ち合わせていきたいと思います。

○原事務局長 はい。

○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 3点あるのですが、1つは教えていただきたいのですが、16ページあたりにインターネットによる販売について、どうも難しいからもう一回引き続き検討ということになっているようですが、むしろインターネットによる販売は、インターネットの表示をきちんと正確に表示の義務づけさえすれば、商品に表示するよりも規制しやすいのではないかと思うのですが、何が難しくて追って検討というふうになっているのか、それを教えていただければというのが1つです。
2つ目は、これは非常に重要な問題だと思うのですが、要するに、誰がエンフォースメントを実行するのだろうというところです。つまり、冒頭にもありますように、食品衛生法は厚労省、JAS法は農水省、健康増進法は消費者庁という所管だったと思うのですが、表示の一元化をするのはいいのですが、執行はどう一元化するのかというところが、どうもこの中に何も書かれていないのです。私は、食品Gメンの皆さんのマインドがどうなのかよくわからないのだけれども、少なくとも人数から言うと、農水省の食品Gメン、JAS法を執行されているところの人たちが非常に多いわけですね。この人たちの手を借りない手はないと思うのです。そこら辺の執行体制をどう整備するかということについても併せてやらないと、枠組みだけつくっても、先ほど、実効性はどうするのという田島委員の質問とはちょっとかみ合わないかもしれないけれども、どうも「仏つくって魂入れず」になりかねないのではないかと思うのですが、その辺はどういう射程を考えてやられているのか。
しかも、消費者庁所管の景表法もかなり重要にかかってくると思うのです。だから、表示の関係からいうと、そちらの問題とも絡むので、そこをどういうふうに考えて、この執行体制をお考えになっているのか、これが2つ目です。これは特によく聞きたい。
3番目は参考までにですが、ここ数年、アメリカで食品事業者が全部登録制になったと聞くわけです。それはどういう動きなのか、よくわからないのですが、確かに食品の販売の実態はどうなっているのかが把握しないままで、ただ表示をこうしなさいと言っても、エンフォースメントの面で大丈夫なのかと思うのです。アメリカのその点の制度の動きをどう踏まえて、我が国において枠組みをつくろうとされているのか、それも参考までに何か御所見があればお聞かせいただければと思います。

○神宮司消費者庁審議官 インターネットの問題につきましては、たしか前回、御説明申し上げたときにも、インターネットに関連する御意見を委員会の方からいただいた記憶がありまして、そのとき私の方からも応答させていただいた記憶がございます。
インターネットの表示ということにつきましては、議論の経過を申し上げますと、事務局の方でたたき台を出すときに、最初のところでは、インターネットでの表示というものについては、商品選択というものを行う上では、容器包装と同様に、購入時点において必要事項を見る必要があるわけですので、容器包装と同じ事項をインターネットについても義務づけるということをたたき台としては、1つ方向性として出したという経緯がございます。
ただ、それについて、まず1つは極めてごもっともな御意見だったのですけれども、容器包装と全く同じ事項をインターネットに義務づけることができるかというと、例えば期限表示、賞味期限、消費期限といったものは当たらないですよという形で、そんなに単純に容器包装と同じものを義務づけるわけにはいかないということがある。それから、検討会全体の議論の流れの中で、表示の重要性といったときに、今言ったような商品選択の部分だけではなく、摂取段階での安全性というものも含めて、表示の情報の重要性というものを考えるというふうにだんだん議論の流れがなっていった。
更に、インターネットについては、この報告書に書いてありますけれども、インターネットで販売される食品というものについて、どういった形で消費者が選択をするのかということについて、いろいろなバリエーションがあるのではないかということがございます。これも報告書でいいますと、省略してしまったところですけれども、17ページのあたりに書いてございます。そういった議論が出たということで、検討会は、インターネットの部分に関する専門家の方を入れて議論をしていたわけではないということもございまして、検討会の委員の方々の御意見としては専門的な検討の場を別途設ける必要があるということになったということでございます。その意味では、それほど単純に議論が進行しなかったということでございます。
エンフォースメントについては、検討会でも御意見としてはいろいろ出ました。ただ、検討会でおとりまとめいただきたいと思っていた部分は、いわゆる実体法の部分でございますので、エンフォースメントのところについての御議論というものは、このとりまとめた報告書の中には入っておりません。
現在の権限との関係でいいますと、例えばJAS法について農水省との関係というのは複雑なことにはなっておりまして、最終的な行政処分である命令権限というのは、例えば中央でいえば消費者庁が持っているわけですけれども、指示という行政指導の権限につきましては、農水省と消費者庁両方が権限を持っているという形になっております。そこに国の地方機関としては、消費者庁はなく、農水省は農政局を持っていて、更に都道府県が存在するという形でございますので、現段階において、かなり複雑な執行体制になっているというところがございます。
これが食品衛生法、健康増進法、それぞれまた違ってくるということでございまして、更に景表法まで含めれば、公正取引委員会の地方事務所の存在もここへ出てくるということで、現在での体制というものは、複線的な体制ということにはなってございます。
ただ、私どもとしては、食品表示法というものを一元化するから、執行も一元化すべきだというふうに単線的には考えてございません。執行の方を一元化いたしますれば、執行の手がその分減るわけでございますので、それは執行の弱体化につながる可能性もあるかとは思っております。
その点においていえば、まず第一に守らなければならないのは、執行力を維持し、できれば強化するということだろうと思って、執行力を弱める方向で執行体制を考えていくことはないということでございます。
消費者委員会でも御議論いただいたので、よく御承知だと思うのですけれども、エンフォースメントの問題に関して一番難しいのは地方の問題で、かつ、地方でも国の地方機関の方を中心として執行体制を考えるのか、それとも、都道府県という地方自治体の方のものを中心に考えるのかということ一つをとってみても、いろいろな方々によって考え方はかなり分かれていて、少なくとも検討会のような有識者の会合の場で結論を出すのはなかなか難しい話かと思っております。
その意味で、ただ、法律をつくる以上、執行部分について書かなければなりませんので、エンフォースメントの問題については、これから法律の立案の中で考えていく。唯一方針というものがあるかと言われれば、執行力を弱体化させないということだけは維持したいと思っているということでございます。
それから、食品事業者の登録制というのは、寡聞にして私は知りませんが、いずれにしましても、食品表示課を含め、消費者庁は、要するに表示行政をやっているところでございますので、登録制というような、いわゆる業法規制ということにつきましては、私どもの方が論ずべきらち外にある問題かと思っているところでございます。
以上でございます。

○河上委員長 ほかに。夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 3点ほどお願いします。
まず第1点は、増田課長が私案ですけれどもとおっしゃった部分と村井委員が御発言されたところの、新しい食品表示法と消費者委員会のかかわり方について、その点については、この食品表示一元化検討会の場面で議論がされたかどうかということが第1点でございます。
その議論の有無と同時に、新しい法律の立案作業に着手していく段階で、そこにかかわるかどうかは誰が決めていくのかというところを聞かせていただきたいと思います。つまり、こういう場で報告を受けるのと、諮問を受けて意見を申し上げていくのとは全く意味合いが違うと思うからでございます。
それから2点目、加工食品の原料原産地の問題で、結局は合意に至らなかった、先送りという結論になっているわけです。これは、消費者委員会でも食品表示部会でも検討し、なかなか合意が見られない。そして、更にこの12回にわたる一元化のところで、すべての回に原料原産地表示の話題を出していたわけではないと思うのですけれども、そこでも合意に至らなかった。そうしますと、今後新たな検討会を設けていくとおっしゃっていますけれども、合意に達するような見込みというのはどうなのでしょうか。それとも、先ほど、閣議決定なので消費者庁の消費者基本計画の枠組みの中で考えていくとおっしゃいましたけれども、具体的な戦略等をお持ちかどうかということでございます。
3点目は、要望でもあるわけですけれども、表示の制度の場合には国際的な動きというものの連動も必要かと思うのです。19から20ページにかけましてはコーデックス委員会のお話が出ておりますけれども、ただ、コーデックスは最低基準なので、それよりも更に進んだ表示制度をしている外国のところを見て、新たな表示制度をつくっていただきたい、こんなふうに思います。
以上でございます。

○河上委員長 簡単にお願いいたします。

○神宮司消費者庁審議官 まず、最初の御質問だったかと思いますけれども、食品表示一元化検討会の中での御議論として、消費者委員会との関係についての議論が出たかということについて、事実関係だけ申し上げますと、そこのところについては議論はございませんでした。
基本的には消費者委員会との関係というのは、手続の一部かと思いますので、検討会での御議論の対象という整理ではなかったということです。
2点目の加工食品の原料原産地のところでございますが、検討会というお話はございましたけれども、この報告書の最後のところに書いておりますように、特にこの中で、要するに、また加工食品の原料原産地のために別の検討会を開くということは特にこの報告書の中では言及はしておりませんので、具体的戦略というお話はございましたけれども、消費者基本計画の枠組みとしての着実な拡大ということの中で、この問題については対処していくということでございます。
それから、国際的な部分につきましては、この報告書の考え方としては、別にコーデックスの話だけをしているわけではございませんで、各国の動きに学ぶべきであるということも、この報告書の中には入れているということでございまして、その各国の中で先進的な表示をという部分につきましては、御意見、御要望として受けとめさせていただいております。今日、説明の都合でコーデックスのことを中心に申し上げましたけれども、勿論、各国の動きというものも踏まえて、どちらかというと、この報告書は国際的な動向というものに比較的多く意を払ってつくられた報告書であるというふうには言えるかと思っております。

○河上委員長 大体時間も来ておりますので、こんなところで質疑を終わりたいと思います。この問題については、総論的なところでは誰も異論がない話で、とにかく商品の安全性、それから、消費者が自主的に合理的な選択の機会ができるように表示をきちんとしましょうということでは良いのですが、いざ具体的に個々の商品についてどうするかということを考えると、かなり難しい問題があることは確かです。実体的な部分は大体詰まったというふうにおっしゃったけれども、実際には商品ごとに更に考えていくと、随分難しい問題がまだ出てくるのではないかと思います。
コストの問題もございますし、いろいろな観点から最終的に詰めていく作業は大変だろうと想像いたします。けれども、少なくともこれまでよりわかりやすい形で情報が一元化されることで、消費者が見たときに、まずはわかりやすくなったねと言ってもらえるように是非頑張っていただきたいと思います。法案の作成の過程でまた、もし大きな変化がありましたら御報告をお願いできればと考えております。どうぞ頑張ってやっていただければと思います。

○神宮司消費者庁審議官 承りました。ありがとうございます。

○河上委員長 本日は、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。

≪3.地方消費者行政について≫

○河上委員長 続きまして、「地方消費者行政について」であります。消費者庁におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。消費者委員会では、去る7月24日に地方消費者行政活性化基金終了後の地方消費者行政が抱える問題点に焦点を当てた、地方消費者行政の持続的な展開と更なる充実・強化に向けた支援策についての建議をとりまとめ、松原消費者担当大臣及び川端総務大臣に手交したところでございます。
消費者庁におかれましても、去る7月12日に地方消費者行政の充実・強化のための指針を決定されたところですが、本日は、同指針について、前回御説明いただいた内容からの変更点等を中心に御説明いただきますとともに、最近、消費者庁がとりまとめましたその他の資料、すなわち、相談員資格の法制化に向けた検討会の中間報告、第2に、PIO-NET刷新に関する検討会の中間報告、第3に、平成24年度地方消費者行政の現況調査第1次というものもございますので、それらについても説明をいただきたいと思います。
なお、恐縮ですが、説明は15分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○林消費者庁地方協力課長 それでは、お手元の資料に基づきまして、まず指針から御説明をさせていただきたいと思います。
資料2-1としてA3の紙がお配りしてあると思いますので、この紙を使って御紹介させていただきたいと思います。
まず、構成ですけれども、これまでの趣旨や背景というのを規定しながら基本的方向性を書いて、パブコメにかけました原案では、まず、自治体への期待というのを書いて、その後に消費者庁の取組みという構成にしておりましたけれども、自治体の皆さんから、むしろ消費者庁としての姿勢をちゃんと示すべきだという御指摘をいただきましたので、まずは消費者庁の取組みというのを前に持ってきて、そこの内容についても、特に3の「当面(平成25年度に)重点的に取り組む事項」、この25年度に向けた予算の確保が最大の課題であることは変わりがないのですけれども、例えば高齢者の消費者トラブルが非常に増えていて、これの防止対策を重点化していかなければいけないといった課題であるとか、昨年の原発事故を踏まえて、食品と放射能の問題に関するリスクコミュニケーションに力を入れていかなければいけないといった問題、更には、消費税率の引き上げに伴って、物価の監視といった取組みも必要だろうということもございまして、そうした内容を充実させた上でとりまとめをさせていただいたということでございます。
更に、背景のところで地域主権の考え方というのも書いてございました。これについて、やはり国と地方の関係について、消費者行政を進めていく上で車の両輪であって、相互に連携、補完し合いながら取組みを進めていくべきだという考え方をきちんと示すべきだという御指摘もいただきましたので、ここについても書きぶりを補完して修正を加えてお示ししております。
そのほか、自治体の皆さんから、あるいは消費者団体の皆さんからいただいた意見については、できる限り内容に反映をさせていただいた上でとりまとめをさせていただきました。また、以前から委員会の打ち合わせの場などでも御紹介をさせていただいていますけれども、この指針については、現時点ではなかなかタイミングの問題もあって、予算の枠組み、あるいは取組みということも具体的に書けない部分がまだございました。このことについては、今後、この月末には概算要求の締め切りを迎えますし、秋以降は編成過程に入っていくことになりますので、必要な情報については随時見直しをするということも含めて加えていきたいと思っております。
また、今日、資料として御紹介をさせていただいていないのだと思いますけれども、この指針の策定に当たって、やはり雇止めの問題、特に相談員さんの処遇の改善に関連をして御指摘をいただきました。消費者委員会からも、先ほど委員長から御紹介をいただいた建議の中で、任期の定めのない短時間勤務職員制度の創設などを含めて、柔軟な任用制度というのを検討すべきだという提言をいただいておりますけれども、まずは現状の制度の中で、実際には運用の問題として雇止めというのが行われていますので、この雇いどめというのを地方の皆さんに正確に理解していただいて、是非改めていただきたいという趣旨で、事前に川端大臣にも申し入れをしていただいた上で、事務的に調整をさせていただき、かつて総務省の研究会で出た報告書そのものが、臨時的な職員というのを念頭に置いた運用の在り方というのを中心に記載されているので、消費生活相談員のような専門性があって、かつ、臨時的というよりは、短時間ではあるけれども恒常的な職ということが現にあって、そもそも任用期間の制限についても、一律に回数を定めて切るということをしなくとも、能力実証の機会さえ与えれば、同じ人間を再度任用することについては支障がないといったことについて確認をとった上で、それを共通認識として大臣のメッセージを出すということにさせていただきました。
そのメッセージと、今日お配りをしております「地方消費者行政の充実・強化のための指針」本体については、後日、製本してお配りする予定ですけれども、ちょっと時間がかかるものですから、まずはデータで、メールベースで自治体の皆さんにはお届けをしております。
以上が指針の内容についてであります。
続いて、「消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化等に関する検討会」の報告書も、A4で小さくて恐縮なのですけれども、概要資料を出しておりますので、それをごらんいただきたいと思います。
これも昨年来、自治体の皆さん、あるいは現役で相談員をされている方にも御参加をいただいて、この相談資格の在り方について御議論をいただいてまいりました。この相談員資格については、この消費者委員会の皆さんはよく御存じのことだと思いますけれども、国民生活センターがやっております消費生活専門相談員という資格、それから、日本産業協会がやっております消費生活アドバイザーという、主に企業のお客様相談窓口で消費者の方と企業のかけ橋となるという位置付けでやられている資格、それから、日本消費者協会が、これが最も古いわけですけれども、地域の消費者運動のリーダー育成ということでやっております消費生活コンサルタントという3つの資格がある中で、資格の法制化というのを御検討いただいておりました。
この検討会では、今の消費生活相談について、全国的な水準を確保する、質の向上を図るという観点から、やはり法的な位置付けが必要だろう。これは自治体の皆さんへのアンケート結果なども踏まえながら、そういう議論をしていただきました。このことが、結果的に社会的な評価の向上にもつながる。また、ひいては処遇改善にも寄与するのではないかということで御議論をいただいております。
その上で、法律上は、できれば皆さんに取得をしていただきたい、底上げを図るためのベースとなる資格ということで位置付けてはどうかということと、今、全国には3,300人ほど消費生活相談員の方がいらっしゃいますけれども、そのうち800人程度は3つの資格のいずれも持たれていないということが現状としてありまして、特に北海道とか九州といった地方において、資格を持たれていない方が偏在をしているという状況があるので、この資格の内容については、例えば医師や弁護士のような業務独占、名称独占を伴うような資格であるとか、あるいは教育主事や建築主事のように、一定の職につくに当たって必ず必要になる任用資格といった法的効果の強い資格ではなくて、まず、相談員の皆さんの人材育成という視点から、消費生活相談に伴って必要になる知識や技能というのを検証して評価をするという資格にしてはどうかということで御議論をいただきました。
右側の方に、今の3つの資格がどんな内容の試験、あるいは講習をやられているかという比較表を載せております。この比較表を載せておりますのは、現状を御理解いただくということと同時に、その下にあります3資格保有者について、いかに移行措置のようなものを考えていくのか、更には、新たな資格を考えていく上で、どういうウエートで、どんな内容のものを要求する必要があるのかということを見ていただくために、この表を載せております。
それぞれの資格には特性がありまして、例えば専門相談員で申し上げますと、半数以上が消費者問題に関する法律知識についての試験というのが非常にウエートが大きいということがございます。自治体の皆さんからは、むしろ最近、商品やサービスというのは複雑化しているので、こういう商品・サービスに関する知識というのをもう少し求めた方がいいのではないかといった御意見もいただきました。
一方で、消費生活アドバイザーの場合には、先ほど申し上げましたように、企業内での活用というのが想定されていますので、こういった商品・サービスに関する知識を比較的広く求めていると同時に、企業活動についての経済に関する知識、あるいは経営に関する知識といった試験も行われておりまして、この行政で主に行われております消費生活相談、消費者団体などでも行われておりますけれども、こういうこととの関係でどう整理をするのかといったこともございます。
また、消費生活コンサルタントについては、最近、修了試験を導入していますけれども、基本的には講習受講を中心にしておりまして、かつては商品サービスに関する知識なども豊富に受講内容として取り入れていたようですけれども、最近では、法律知識に関する講習というのが増えておりまして、こういったところのバランスというのをどう考えていくのかということが今後の課題だと思っております。
基本的には、この資格については、ペーパーテストだけでは十分な担保が得られないので、コミュニケーションスキルであるとか、聞き取りの力、あるいは企業との交渉力といったことを担保するために、試験にも一部実践的な内容というのを取り入れると同時に、講習の受講や実務経験、あるいは実務修習といったような機会を設けることで補完をするという形にすべきだということが1点。
もう1点は、やはり消費者関連の法制度の変化が非常に激しいので、一定の期間が経過すると同時に、法律に関する知識を更新するための更新制度、更新時講習のようなものを受講することを義務づけることが必要ではないかといった御意見をいただいておりまして、それを前提に制度構成を今後考えていかなければいけないということかと思っております。
下の方に行っていただいて、資格付与の主体については、法律上の資格として今回位置づけることを考えておりますので、国が直接的には大臣名で付与をするということになります。しかし、試験の実施事務については、能力があるところについては民間でもできるように指定機関制度を設けるべきだろうと。その上で、各委員の皆さんから御指摘をいただいておりますのは、試験の内容、科目等について、法令レベルできちんと担保をすると同時に、試験委員会そのものを運営したり、あるいは試験委員として参加をしたりといったことで国が責任を持って、それぞれの年の試験についての水準や内容ということについて担保すべきだという御意見をいただいておりまして、このことを念頭に置きながら制度構成を考えていくことが必要だろうと思っております。
それから、先ほどちょっと御紹介をした3資格保有者に係る措置ですけれども、現状の試験制度の内容を踏まえながら、それぞれの資格を持たれている方にどういった試験が免除できるのかどうかというのを具体的に今後検討していく必要があると思っております。また、現に資格を持たれていないで現職の相談員をやられている方は、逆に実務を通じて得られた技能、スキル、知識というものがありますので、実務経験でどの程度を補えるものなのかということも検討した上で、現職の相談員さんでいずれの資格も持たれていない方についての措置というのも検討していく必要があるだろう。
ただ、この点について一貫していましたのは、何もなしでスライドというのはないだろうと。やはり、ある一定の能力の実証の機会というのはないと水準が担保できないので、それをどの程度にするか。これは、現職の相談員さんについては、特に時間や費用といったコストの面でどの程度が現実的なものなのか。これは、更新時講習も同様なのですけれども、そういったことも今後の課題だと思っております。
それから、右、左に飛んで申し訳ないのですが、黄色い見出しをつけています「人材育成のための取組」というのは、先ほど御紹介しましたように資格者が偏在をしておりますので、こういう資格制度の検討とは別途、現に資格者の少ない地域については、やはり研修、あるいは人材養成のための講座といったことを地方とも連携しながら国がきちんと支援をしていくべきだという御指摘もいただいておりまして、このことも併せて位置付けをさせていただいております。
更に、この検討会では、基本的には消費生活相談の全国的な水準の確保ということを念頭に検討をいただいておりましたけれども、やはり実態として処遇の問題というのがあることは事実ですので、この検討会の中間報告の結びの中で、先ほど指針の関連で御紹介をさせていただきました雇止めの関係について一文を入れて、やはり雇止めというのは適切ではないということをこの中でも入れさせていただいております。
以上が資格制度のとりまとめであります。
次に、PIO-NETの中間報告ですが、これも7月にPIO-NETの刷新についてとりまとめをしていただきました。時間の関係で、資料4-1として出しています概要ペーパーの3ページ目をごらんいただきたいと思います。そこに「PIO-NET刷新のイメージ」というのがあります。ここで、何を問題としてこの検討を続けてきたのかというのをまとめておりますので、ごらんいただきたいと思うのですが、従来指摘をいただいておりましたのは、入力するのに非常に手間がかかるということ。それから、実は今のPIO-NETは、相談を登録するための機械になっていて、消費生活相談自体に対応するための支援機能が非常に薄い。もっと相談現場で役に立つものにすべきではないかといったこと。
3点目として、国としてPIO-NETを運営していますので、コストの観点から、より軽減できないかという点。
更に、最後4点目としては、実際、中間報告としてとりまとめていただきましたけれども、今後、具体的にPIO-NETの刷新を進めていかなければいけないので、計画的な実施というのをきちんと担保すべきだといった点であります。
内容について、それぞれシステムで対応する部分と、自治体の業務フローを改善することで対応する部分というのがそれぞれありまして、そこの振り分けをして整理しております。
相談員の入力登録の負担軽減ということについては、まず業務改善の内容として必須項目にしています入力項目を必要最小限に見直すべきではないかということがございます。これは、安全法で通知見直しがある関係上、実際上、事故に当たらないものについても必須項目になっている部分がありまして、こういったことも少し見直しをする必要があるのではないかということであります。
それから、先日、コンプガチャの問題なんかがありましたけれども、新しい事案が出てきたときに、それをどういう形でPIO-NETに登録するのかというのは、今、キーワード方式をとっている関係上、すぐには決まらないというところがございまして、もう少し自由に記載ができるような形に変えるべきではないか。これは検索とも関連することですけれども、そういったことがございます。
また、PIO-NETのデータについては、システム上、オンラインで決済ができるようになっていますけれども、市町村の内部組織で決済を終えたものについて、再度登録するときには都道府県がチェックするというダブルチェック体制を義務づけていまして、例えば政令市や中核市のような、ある程度、過去から経験を積んできているような市町村についてまですべてダブルチェックが必要なのかといったこともあって、このことが登録までの期間、現状、平均36.5日ということになっているのですけれども、これをもう少し短縮する上で必要ではないかということを指摘いただいております。
いずれにしましても、キーワード方式については、大部分はどちらかというと後日の統計処理的な部分で活用されているものが多いので、本当に相談実務で必要なものにもう一回見直しをした上で、フリーワードによる検索機能というのを更に充実させていく必要があるだろうというのが大きな方向性でありました。
それから、現場の相談に役立つものにというのは、一番言われておりましたのは、もっと早く登録ができないのかということであります。この部分は、実はシステム上の課題もないわけではないのですけれども、一番大きな問題は、自治体の中の業務フローの問題でして、特に先ほどのダブルチェックの問題もあるわけですけれども、一番大きな要因は、多くの自治体では、相談が長期にわたる場合に、すべての処理が終わった後で一括で登録をするという実務が行われていまして、受け付けた時点ではなかなか登録がされていないということがあります。これを受け付け時にまず登録をするというのが実は原則になっていまして、この原則をもう一回徹底することで、登録までの時間が非常にかかっている、タイムラグがあるという問題について、できる限り解消していくようにしたいということが1つ大きなポイントであります。
更に、先ほど申し上げましたが、キーワードに頼らない形で、今のテキストマイニング方式なども使いながらフリーワード検索による精度を向上させるといったことと、やはりベテランの相談員さんはともかく、若い相談員さんのためには、FAQのようなものであるとか、マニュアルのようなものをシステム的にビルトインをしていくことも必要だという御指摘もありました。
また、これは相談現場でよく言われることなのですが、今、専用回線・専用端末なので、インターネットの利用というのがPIO-NET端末ではできない形になっています。そうしますと、インターネットを使える端末を横に置きながら2台でやっているということが現場ではよくありまして、このことも専用回線・専用端末というのを解消する過程でインターネットも利用できるように見直しをしていこうというのが方向感であります。
3点目の費用軽減については、実は、この専用回線・専用端末というのは非常に大きな要因になっていまして、今、消費生活センターそのものが200か所程度増えて700か所以上になっております。PIO-NETの端末そのものも、当初スタートした時点から比べますと6倍、7倍に増えていまして、これは今後、私どもの政策の方向性としては、更に窓口の強化をお願いしたいと思っていますので、PIO-NETの端末を置いていただかなければいけないところは増えていきます。そうしますと、どんどん費用的には膨張していくことになるわけですが、厳しい財政環境の中ですので、できるだけ費用圧縮をしていきたいというのも大きなニーズであります。そのためには、今、地方との関係でいいますとLGWANというのがどこの自治体にも行っています。この利用状況については、実は自治体で、特に市町村レベルになりますと容量がかなり違ったりしますので、具体的に調べないといけない事項ではあるのですけれども、私どもがアンケートを含めて利用環境を調べた結果では、大体7割程度はLGWANに接続ができる環境にあるということがわかっておりますので、現実的にLGWANを使えるところについては、回線はLGWANで、端末は汎用端末でという形で運用ができるようにシステム見直しをしていきたい。
ちなみに、消費者委員会でもPIO-NETがご覧いただけるようになっていると思います。これはIDパスでコントロールしていると思うのです。私ども国の行政機関は霞が関WANを通じて汎用端末でPIO-NETの閲覧をするというシステム構成になっています。自治体の行政本課も同じ形で、ネットワークはLGWANですけれども、やはり汎用端末で利用いただいているということになっておりますので、LGWANさえ接続ができれば、セキュリティ上は多分これで大丈夫なのです。
ただ、御存じのように、消費生活センターは、最近、地方消費者委員会で地方に行ったりしていただいていますので、よくご覧いただくと思うのですが、庁舎の中ではなくて、住民の方が行きやすいように駅の中とかショッピングセンターの中とか、行政機関のないところに配置されている消費生活センターが結構あると思うのです。そういうところは確かにLGWANが行っていないので、代替的に回線については別途確保しないといけないという問題があります。これについては、引き続き国が責任を持って担保するようにしたいと思っております。
最後、費用軽減の関係では、実は国センのシステムは、すべて一からオーダーメードで構成されていまして、このことも実はマイナーチェンジといいますか、実際の自治体の要望に応じて修正を加えたりすることにも非常にコストがかかったりする要因にもなっているので、特にITに詳しい先生方からは、汎用ソフトを活用することももっと視野に入れて全体のシステム構成を考えるべきだといった御指摘もいただいていまして、今後、実施をしていく段階では、随時、PIO-NETの刷新の検討会のメンバーの方に検討状況について報告をさせていただきながら、システム的なチェックというのも継続的にさせていただくようにしたいと思っております。
ちなみに、PIO-NETは、今の専用回線・専用端末、特に端末とサーバーが平成26年度末でリース期間が来ることになっていますので、26年度末というのが一つ、PIO-NET刷新のお尻になる時期だと思っておりまして、より効率的に移行するためには、2年半後ぐらいに稼働ができるように今から準備をしていくことが必要だと思っております。
最後に、現況調査でありますけれども、今日は2種類の資料をお配りしております。「地方消費者行政の現状(ポイント)」という概要資料をごらんいただきたいと思います。カラーで赤枠で囲ってあると思います。この赤枠で囲ってある数字は、先ほど御紹介いたしました指針を策定する過程で、この消費者委員会からも御指摘をいただいていた基金や光交付金の効果を検討するために、取り急ぎ、センターの数であるとか相談員さんの数といったような主要項目については、23年度分と24年度分を併せて把握しておりまして、これらのデータについては、先ほどの御紹介にもありましたように、現況調査第1次という形で、まずは自治体の皆さんとかマスコミの方にも御活用いただけるように公表させていただきました。
そのほかに、例えば1枚めくっていただくと、2ページ目の3.の(3)のところに雇止めの制限の有無というデータがあります。これは22年度のデータでまだとまっています。これも第1次調査で、実は自治体の皆さんには調査をかけたのですけれども、雇止めの理解について各自治体で結構ばらつきがあって、より正確なデータが得られなかったので、これについても2次調査でもう一回把握をさせていただくようにしたいと思っております。
そのほか、3ページ目に研修への参加状況ですとか、消費者教育への取組みといった項目もございまして、これについてはまだ十分に把握ができておりませんので、2次調査で23年度分と24年度分を更に把握をして、御指摘もいただいておりましたように、より詳細な検証に役立てていきたい。時期的には、何とか年内に2次調査分も終えて、最終的なとりまとめをさせていただくようにしたいと思っております。
大変端折った説明で恐縮ですけれども、私からの説明は以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。
吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 御説明ありがとうございました。相談員の資格について意見を述べたいと思います。
中間報告の結論とすれば、新たな資格を創設すること、それから、法的に位置づけることの2つかと思います。その新たな資格制度を創設するということについて、私自身はメリットが実感できていないのです。といいますのは、資格制度を設けたからといって、すぐさま相談員の生活給を保障するような処遇改善がなされるわけでもなく、勿論、全国的に一定の能力、技能を担保するというのには資すると思います。現行、相談員が,資格があるからいい仕事をしているかというと必ずしもそうではない場合もあり、一方,資格がなくてもいい仕事をしている方もたくさんいるわけで、必ずしも資格の有無で実際の業務遂行能力を評価することはできないというふうにも思っています。
それから、資料を見ますと、資料3-2中間報告本体の方の13ページには、消費生活センターの長、実際の消費生活相談員の声として、相談員の役割を果たす上で現行3資格で十分かと。多くの方が十分であるというふうに言っていますので、むしろ現場で求めているのは資格で能力を担保するということよりも、今いる人たちの技能を高めていくということではないかと思います。資格化をすることが逆に現場にとっての負担になるようでは困るというふうに思っております。
一方で、その報告書の中で相談員に求められる技能ということで、18ページ、19ページのところに書かれていますけれども、例えば法令を活用する技能だとか、関係部局等に対する積極的な問題提起ということは、むしろ行政職員が行っている業務に近いのかというふうにも思いますし、25ページの今後の課題の(2)のところに、検討課題ということで、単に相談の専門家というよりは、消費者問題に関する活動を行う専門家という位置づけをし、それを育成していくのはどうなのかということが書かれてありますから、例えば相談の専門家という要件のみで資格化をするのではなくて、消費者問題全体を扱う専門家、例えば消費者問題専門士みたいな形での資格化というのであれば相当意味があって、それを1級とか2級とか2階建てにして、単なる相談の専門家というのは2級の範囲、それにプラスして、相談・あっせんを端緒にした政策形成ができるとか、地域のネットワークづくりができるとか、ADRの仕切り役ができる法的知識があるとか、更に上位資格として1級消費者問題専門士というのを置いて、消費生活センターに必置かつそれは行政職員でなければならないというぐらいの位置づけができれば、相当効果があって、能力のある相談員はそこを目指していって行政職員になっていくことも可能にしたらよいと思います。 例えば、滋賀県野洲市に例があるように、非常勤であった職員が行政職員になり得る能力があるということが選考を経て認められた例がありますけれども、こういう新たな資格制度、法的な位置づけを通じて、そういう動きを加速化させていくということになれば意義のあることではないかと思っております。
以上です。

○河上委員長 ご意見ということでよろしいですね。
ほかには何かございますか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 指針の関係ですが、本当にいいものになったと思うのですが、幸い野田首相が、消費者政策会議の際に、消費者安心アクションプランをとりまとめようという指示をされたかと思うのです。まさに欺瞞的、詐欺的な投資勧誘が特に高齢者に向けて非常にはびこっている、あるいは増えているという状況の中で、地方のこの種の問題に対する取組みの強化というのはアクションプランでもうたわなければいけなくなってきていると思うのです。そういう中で、地方消費者行政の資金的な手当、それこそ首相の肝入りでアクションプランをつくってやっていく以上、地方のそういう業務についての充実・強化のための資金的な手当も当然必要になってくると思うのですが、そこは、アクションプランも含めて財政的な措置もよりやりやすくなったのではないかと思いますが、その点はどうなのかを1つお聞きしたい。
それから、今、吉田委員が言った資格の問題についてはそのとおりだと思うのですけれども、ちょっと気になるのが、23ページに資格付与の主体として、国あるいは内閣総理大臣が付与する資格にするとしても、いわゆる指定機関制度などで民間団体に行わせることができる仕組みとすべきであるとなっているのですが、今まで国センがやっていたのをどうして民間にする仕組みにすべきなのかがよくわからないのと、宅建業などは、不動産適正取引推進機構という財団法人があって、そこでそれなりにやっている。ただ、聞くと、受験者の人数が多いからそれなりに採算がとれているというか、やれているというふうに聞くのですが、恐らくこの相談員はそれほど受験者が多くない。となると、民間段階で試験をやるといっても採算がとれないのではないかと思うのですが、そこは、具体的なめどがどうなっているのか、その2点、お聞かせいただけますか。

○林消費者庁地方協力課長 まず、指針の関係についてお答えをさせていただきますと、確かに山口代理のおっしゃられたとおりで、消費者政策会議で総理からの指示があったということは、特にあの中でも地方への支援が大事だということも入っていましたので、地方消費者行政に対する財政措置というのを確保していく上で、ある意味での環境ができたということだと思います。こういう機会を使って、やはり必要な予算の確保に向けて努力をしていかなければいけないと思います。
そのときに、どういう道具立てになるのかというのは、結構これからまたいろいろ考えていかなければいけないと思っていまして、アクションプランは、もともと消費者庁自体の取組みも勿論そうなのですけれども、恐らく各省とも同じような被害の再発防止に必要な対策というのを、このアクションプランの中に位置づけることによって予算獲得ということにつなげていきたいと思うはずなのです。ですから、これから知恵の出しどころということなのだろうと思います。その一つに、地方消費者行政への支援というのがあるのだと思っています。
それから、資格制度の問題、吉田委員からも御指摘をいただきましたけれども、実は、確かに私どもでも、資格保有者と資格を持っていない人で業務に差があるかというアンケートをとっています。これは、特定の自治体にだけとっていまして、要は、自治体によっては資格を持っていない人は雇いませんという自治体があります。相談員さんの募集要項の中でも限定をかけてしまっているところがあるので、そういうところでは比較のしようがないので、どちらもいますというところにだけそのアンケートをとりました。結果的には、差がないという答えが7割程度なのです。
それで、私は、実は、先ほど吉田委員が指摘された、自治体の方も今の3資格で十分だという答えも結構多いのです。それなのに、資格保有者と資格を持っていない方で差がないという相矛盾するような答えが出てきているわけです。私は、1つには、今の資格がそれぞれ本当に相談員の資質や資格、能力というのを担保するもので足りているのかという自治体の評価の問題があるのと、もう一つは、自治体にしてみると、新たな資格を取って、例えば必置資格みたいなことにしてしまえば、完全にコストがかかる。そうでなくても法定の資格をつくったときに、多分、皆さん方の期待、特に消費者団体の皆さんとか相談員の皆さんからすると、処遇改善に直ちにつながるというのが多分最大の期待で、そのことを考えると、法定資格であればあるほど、自治体はむしろ反対するだろうと思っているのです。このコストをどうやって軽減していくのかというのも、実務上は非常に大きな課題で、なるべく時間や金がかからないようにしなければいけない。でも、結果的に効果としては処遇改善につながっていかないと余り意味がないのです。
ですから、先ほど御指摘いただいたような十分なのかとか、能力に資格の保有状況で差があるのかという答えについては、ちょっと注意して考えてみないといけないのかという気もしていまして、おっしゃられるように、直ちにそれが処遇改善に直結するものではないとすると、本当に意味があるのかという御指摘もこの委員会の中でも結構ありまして、一方で、指針をつくる過程でとったパブコメや自治体からの意見では、ほかと差別化するために、同じ非常勤職員の中でも、なぜこの職だけ例えば給与水準を上げるのかといったこととか、一方で、運用では一部手当を出しているようなところもあるわけですけれども、そういったことをなぜこの職だけ可能にするのかといったことを説明する一つの理由としては、やはり法的な位置付けが欲しいということも出てきているので、その意味で、具体的な制度設計や制度導入の可否を含めて、これから吉田委員のように現場で勤務をされて経験をされている方の意見というのをよくよく聞いて、時期も含めて考えていかないといけないのかと思っています。
それから、山口代理から御指摘いただいた資格付与の主体をどう考えるかということなのですけれども、実は大きく昭和60年代ぐらいから行革の流れがあって、試験の実施事務というのは、基本的には人員体制があって、財政的な基盤があれば、そのこと自体は誰でもできるはずだと。であれば、民業圧迫にならないように、なるべく民でも手を挙げればできる道をつくるべきというのが大きな流れとしてありまして、これは「すべきである」というふうにしているのは、むしろそういう中では、こういう制度を設けないのは許されないだろうということです。
ただ、代理から御指摘いただいたように、本当にそれがビジネス的にペイするのかという問題が一方であって、私どもで今、特定の団体や機関を念頭に置いて、ここにやってもらおうというふうに考えているわけでは全くありません。なので、もし経済的に成立しなければ、指定機関制というのは動かないことになりますので、まさに制度的には国が直接やらなければいけないということになります。そのときには、どういう主体がこの制度を担うのかというのは、国センの在り方がどうなるのかということとも勿論無関係ではありませんけれども、制度を供給する消費者庁が責任を持ってやらざるを得ないのだろうというふうに思っています。
あともう一つ、国センが試験事務をやるかどうかというのは同じ問題でありまして、試験制度の運用を担当することは何の問題もないですし、今も理事長名での資格の付与をしていますので、これを今までどおり独法であれば継続をすることになると思います。ただ、国の機関になったときに、理事長という職がなくなるので、理事長名での資格の付与というのはできないのです。そうすると、国の機関が資格を付与するということになると法律的な根拠が要ると思うのです。そうなってしまうと、結局、大臣の名前でしか資格が付与できなくて、国センという組織が、今、特別の機関にするといったような方向性もあるようですけれども、特別の機関になったときに、その機関の仕事として試験制度を運用する。先ほど申し上げたような、例えば試験委員会を自分でつくって運営することを通じて、試験問題の水準や内容を担保するということはあると思います。ただ、そのときにも同じことがありまして、試験事務そのもの、監督をしたり、試験問題を配ったり、郵送したりという事務は、基本は民間の人に門戸を開く。でも、やはり出てこなければ、しようがないから自分でやるという仕組みに、制度をつくるとそうなるのではないかと思っています。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。大体時間も来ておりますけれども。
これは考えるだに難しい問題ばかりで大変ですけれども、ただ、地方消費者行政の活性化といいますか、展開、維持というのは、これからの消費者行政にとって一番大事なところでもございますから、消費者委員会と消費者庁で力を合わせてやりたいと思います。
実は、この間の建議ですけれども、総務大臣のところに手交に参りまして、いろいろとお話をさせていただきました。基金終了後の地方への財政支援については、大臣としてはむしろ消費者庁が主体となってしっかりと枠組みを考えてほしい。総務省というのはお母さんみたいなものだから、お父さんがちゃんとどうするかということを決めて予算を獲得し、その足らず米を工面していくのが総務省の仕事なのだからというお話をされておりました。
もう一つ、相談員に関して一律に任用回数を制限することがよくないということとか、あるいは任期つきの短時間勤務職員制度というものを考え、消費生活相談員がその対象になり得るということについては、そのとおりだというご認識で、総務省としても、そういう場合に任用回数に制限を設けることについてはよくないという点では消費者担当大臣と共通認識を持っているというお話でした。
地方の方にお話を聞くと、どうも総務省の方の顔色をうかがっている可能性があります。5回ぐらいでやめておかないと総務省に怒られるのではないかと思っているようだけれども、それは違うようでして、誤解があるのであれば、総務省としても消費者庁と中身についてよく相談した上で、活用可能と考えられるケースなどを列記して通知するということも考えてみたいということでした。いずれにしても、雇いどめという現象に関しては、総務省は、決してそれがいいとは思っていないのだというか、ある段階でやめなければというふうには思っていないという認識だけははっきりとお持ちで、総務省もそう考えているのだということで名前を出しながら宣伝してもらっていいというお話でしたので、お伝えしたいと思います。
ただ、今後、具体的にそれぞれ資格の問題も含めてどういうふうにしていくかということについては、まだ残された問題がございますので、お互い知恵を出し合って何とかやりたいと思います。最後はお金のところに行きつきますので、予算の獲得も頑張っていただきたい。

○山口委員長代理 ちょっとよろしいでしょうか。

○河上委員長 はい。

○山口委員長代理 松原大臣の名前で、先般、コメントが公表されまして、あの意味合いは、地方消費者行政との関係でとても重要だと思うので、ちょっと御説明いただければと思います。

○林消費者庁地方協力課長 今、委員長から御紹介いただいた川端大臣とのやりとりと基本認識は一緒です。要するに、かつて研究会をやって、総務省から出た通知というのがありまして、そこでも継続的な雇用が想定されるような任用方式はとるなというようなことを書いてあるわけです。それは前提があって、もともと消費生活相談員というのは短時間ではあるのですけれども、明日なくてもいい仕事ではないので、恒常的に継続的に必要な職だということ。だから、切らしてはいけない職なのだということと、もう一つは、その通知を経緯にして、例えば条例とか規則とかで任用回数は5回とかと本当に決めてしまって逃げ道をなくしているところが自治体では結構あるのです。そうではなくて、一番単純なのは公募ということなのですけれども、能力をきちんと評価した上で再度任用することについては問題がないということ。このことを総務省との間で共通認識にして、大臣のメッセージとして出させていただいたということです。
極端なことを言うと、確かに規則で4回とかとはっきり書いてしまっているところがあって、そこは公募で次の方を応募していただくにしても、その人は幾ら手を挙げても結局任用されないということなのです。ですから、能力があるとかないとかと全く関係なく、機械的に切っているということなので、それが問題だというのは、恐らく川端大臣が言われたような、そのとおりなのだと思います。そこを今回は共通認識として紹介をさせていただきました。
先ほどの河上委員長からのお話を伺うと、更にもう一歩踏み込んで行政的に何かできる取組みがある可能性が出てきたと思いますので、私どもとしても引き続き公務員部公務員課とは連携をしながら、どういったことができるのか、また探っていくようにしたいと思います。

○河上委員長 この問題はまた引き続き検討したいと思います。
本日は、お忙しい中、審議に御協力いただきましてありがとうございました。

≪4.その他≫

○河上委員長 続きまして、議題4の「その他」ですけれども、7月21日土曜日に名古屋で開催されました第4回地方消費者委員会についてということで、当日参加されました細川委員の方から簡単に御報告をいただければと思います。

○細川委員 もうペーパー(資料6)がございますので、簡単な御紹介だけにしたいと思います。
消費者教育というテーマで、初めて地方消費者委員会が名古屋で開かれました。ちょうど今日、衆議院で消費者教育推進法が採択されたということで、衆議院の本会議自体の開催がわからない状況ですけれども、こういった消費者教育が長年要望されていて実現しなかったものが、ようやく大枠ができるということで、この名古屋での開催も意味があったのかと思います。
中身としては、3ページのまさに河上委員長の総括コメントにあることに集約されていると思いますけれども、実際にやるのは、枠組みというのはもう決まったわけだから、実行が大事だと。ただ、消費者教育というのは、学校教育もあれば生涯教育もありますので、関係者の連携というのが一番重要だというところがポイントだと思います。まさに、先ほど教材の必要性の話も出ましたけれども、消費者教育をする人の教育自体も、育成も必要だということで、そういうものを至急つくるための予算だとか仕組みづくりが必要だということで、この会議は終わったということでございます。
以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
本日の議題は以上でございます。お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございます。

≪5.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局の方から今後の予定等について説明をお願いいたします。

○原事務局長 ありがとうございました。
次回の委員会につきましては、8月21日の火曜日を予定しております。16時からは関係団体との意見交換を行い、終了後、17時から委員会を開催する予定としております。

○河上委員長 それでは、これで閉会とさせていただきます。
お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)