消費者委員会委員と消費者団体ほか関係団体等との意見交換会(2012年1月17日) 議事録

日時

2012年1月17日(火)18:00~19:08

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、川戸委員、田島委員、
 夏目委員、細川委員、村井委員、吉田委員
【参加団体】
 社団法人消費者関連専門家会議(ACAP)  滝田理事長
長谷川専務理事
中村常任理事
 社団法人日本経済団体連合会  斎藤政治社会本部長
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.消費者委員会の活動状況等に関する意見交換
  ○社団法人消費者関連専門家会議(ACAP)(滝田理事長、長谷川専務理事、中村常任理事)
  ○社団法人日本経済団体連合会(斎藤政治社会本部長)
3.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:7KB)
【資料1】 社団法人消費者関連専門家会議(ACAP)提出資料(PDF形式:101KB)
【資料1関連リーフレット】  ACAP活動のご案内(PDF形式:644KB)
【資料2】 社団法人日本経済団体連合会提出資料(PDF形式:108KB)
【資料2関連資料】企業行動憲章 実行の手引き(第6版)
〔※以下のの資料は、社団法人日本経済団体連合会ホームページへのリンクとなります。新しいウィンドウで開きます。〕
【資料3】 消費者団体ほか関係団体との意見交換会出席予定団体(PDF形式:45KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。
 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 ただいまから、「消費者委員会委員と消費者団体ほか関係団体等との意見交換会」を開催いたしたいと思います。

≪2.消費者委員会の活動状況等に関する意見交換≫

○河上委員長 それでは、議事に入ります。
 昨年9月に第2次消費者委員会がスタートいたしましたけれども、当委員会の今後の運営改善の参考にするために、消費者団体ほか関係団体等から御意見を伺うとともに、委員との意見交換を目的とした意見交換会を3回に分けて開催することにいたしました。
 第1回として昨年の12月21日に、全国消費者行政ウォッチねっと、全国消費者団体連絡会と意見交換をさせていただきました。本日は2回目といたしまして、社団法人消費者関連専門家会議(ACAP)と社団法人日本経済団体連合会にお越しいただいています。
 まず、両団体から主な活動を御紹介いただいた上で、今後の消費者委員会の活動にどういう期待を持っておられるかということなどについてお伺いして、その後で委員との意見交換ということにさせていただきたいと思います。
 初めに、社団法人消費者関連専門家会議(ACAP)の滝田理事長、長谷川専務理事、中村常任理事から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○消費者関連専門家会議滝田理事長 御紹介いただきました、消費者関連専門家会議理事長の滝田と申します。
 これからの御報告は、私からと、特に3番目のテーマについては常任理事の中村からという分担で、御報告を申したいと思います。
 初めに、お手元にもレジュメをお届けしているかと思いますが、「当会が、現在、主に取り組んでいる活動について」に沿ってお話しいたします。概要をまとめてみますと、御案内のとおり、正式名称は委員長から御紹介いただきましたように社団法人消費者関連専門家会議という名称で、1980年に設立されましたので、もう30年余経過しております。
 実は昨年末、12月の下旬、公益認定委員会から公益認定の答申が出されました。公益社団法人消費者関連専門家会議ということで、3月が会計年度になりますので、本年の4月からそういった名称、体裁で新たなスタートを切ることを予定しております。公益事業として、「健全で、安心・安全な消費社会を構築するための事業」、それと「会員の資質向上のための事業」というのがこの答申書の中にもうたわれています。まさしくこの表現が、我々ACAP活動の概要と申しますか、大きくまとめたものではないかと思っております。
 今日のレポートの中にも書きましたけれども、我々会員は当然それぞれの企業に属するということになりますが、その活動は、企業の中にあって、日々、消費者からの問い合わせであるとか、いろいろなお申し出に対して、企業を代表してお答えして消費者の御相談に乗るという一つの大きな仕事。
 もう一つ大きな仕事は、寄せられた消費者の声をもとに、その声を社内に伝えて、消費者の期待なり御要望なり御意見をどう実現していくか、そういったことが2つ目の大きな取組課題だと考えております。そういった日々の業務の中で、結果として、よりよい、健全な、安心で安全な社会を構築していく、こういったことを目的に活動を行っているということになります。
 お手元のパンフレットをごらんいただきますと、おわかりのとおり、先ほど、三十数年前に設立されたと申し上げましたけれども、現在は会員企業数で約600社、会員数で900名くらいの規模になっております。今後、公益法人化というきっかけもあって、更に拡大して、より社会に対する活動成果につなげていくことを、現在、取り組んでおります。そういったことが現在のACAP、消費者関連専門家会議の主な活動になります。
 2番目、「第2次消費者委員会の活動に、期待すること」ということですが、お手元の資料には「消費者教育」ということをあえて書かせていただきました。御案内のとおり、消費者基本法にもうたわれていますが、消費者の権利というものがかねがね欧米中心に進んでまいりました。我が国においてはそういったものの構築がなかなか進んでいなかったのが現状ですが、特にこの10年ぐらい、大変残念なことに、我が国においては消費者と企業の信頼関係の喪失がうたわれて、その中でいろいろな法律的な整備もあり、消費者あるいは企業側の努力もあって、消費者の権利がかなりのスピードで成立してきたという状況があるかと思います。
 ただ、私なりに見てみると、その中で立ち遅れていることが2つあって、一つは知る権利、もう一つは消費者教育を受ける権利だと考えております。特に「知る権利」については、食品業界を中心にいろいろな課題が、田島先生を初めいろんな委員会等でも御検討されていますので、早晩これについては社会制度というものができて、かなり実現に近づいていくだろうというふうには考えております。
 もう一つ大事な問題として、消費者教育を受ける権利が、残念ながら、特に国会等の動きを見ましても遅々として進まないのが現実だろうと思っております。ほかの権利の行使等に関しても、やはり消費者教育というのが一番大事な問題です。そういう意味で見ますと、消費者委員会がそういった問題に、どういう立場で、どういう取り上げ方ができるかというのは、私は不十分な知識しかありませんが、国民世論の社会に対する影響として、消費者委員会としてこういった問題に取り組んでいただけたらというふうに考えております。
 話が長くなって申し訳ないのですが、先ほど言いましたように、この10年間、大変な混乱が社会に起こって、大もとの原因がほとんど企業側にあったことは、我々も深く反省しているところです。そういった状況の中で、昨年3月に起こりました東日本大震災について、ちょっと触れさせていただきたいのですが、あれは大変な国難ということで、大きなしこりを今なお残しておりますけれども、あの中で、いろんな企業が被災地あるいは被災者に対して支援の手を差し伸べています。物資の提供、義援金、人の派遣、いろいろな形でみんな工夫して被災者の支援に当たっていたということがあります。これは、ホームページでいろいろな企業を見ていただくとおわかりです。残念ながら日本の企業というのは、うちはこうしましたというのを大きな声で言う会社はないんですけれども、ホームページなどを見ていただくと、ほとんどの会社が何らかの形で支援をされています。
 大変すばらしい行動だったのですが、それをある雑誌に電通の岸さんという人が取り上げてくれていまして、大変感動したので、ちょっと御披露申したいのですけれども、ちょっと長いので読ませていただきます。「震災後、驚くほど多くの企業が義援金、商品提供、サービスの無料化などの支援行動を起こしました。最も驚いたのは、支援の規模もありながら、その即決とも言えるスピード感だった。見方によってはPRであり、コーズマーケティングの一種ともとらえられますが、実際には今回の企業の動きは、そんな理屈を超えた企業の反射的な社会貢献だったのではないか」と書かれています。
 それを私自身も実感として感じまして、どの企業も決して頭で考えて損得を計算した上で起こした行動ではなく、起こった事柄に対して、今、自分のところが消費者のため、国民のために何ができるかということを一生懸命考えてとった行動だと思います。ほとんどの企業が、別に人に言うわけでもなくそういう行動を起こした、これは大変すばらしいことで、この10年間の反省のもとに、日本の社会の中でも、特に企業というのはいろいろ考え行動を起こして、こういったふうに変わってきているのではないか。そのことを私は実感としてものすごく感じました。
 そういった企業側の変化、それにできれば消費者側の変化も伴ってくれば、必ずや日本の社会は、国民同士、消費者と企業が信頼し合うような社会がいずれできるのではないかと考えております。消費者委員会の方でも、そういった問題について御検討、行動をしていただけたらというふうに思います。
 ちょっと長くなりまして申し訳ありません。3番目の内容につきましては、中村常任理事から併せて御報告を申し上げます。

○消費者関連専門家会議中村常任理事 私はACAPの中で、消費者団体や行政との交流活動を行う委員会の委員長をさせていただいております。消費者委員会の第1次委員会のときは、月1回は傍聴させていただいていたのですが、2次委員会になりまして、日程がなかなか合わずにまだ2回ほどですが、恐らく30回ぐらいはこの委員会を後ろの席で聞かせていただいて、毎回、本当に広範なテーマにわたり委員の先生方が議論をしている姿を見まして、頭が下がる思いで見ておりました。今回、せっかくこのような機会をいただきましたので、私見の部分が中心になるかと思いますが、少し御要望を申し述べさせていただきたいと思います。
 ACAPの交流活動を通ずる中で、韓国にOCAPという、日本のACAPと同じような組織がありますが、その団体の皆さんが毎年来日されて、私どもACAPとの意見交換をしています。前回来日の際には、ACAPとのパネルディスカッションに消費者庁の方もおいでいただきまして、活発に御討議いただいたのですが、その中で韓国のOCAPの理事長さんが、日本ではせっかくPIO-NETといういい情報があるので、是非それは日本の皆さんの企業に開放して共有化することができないのか。行政も企業もそういった中で非常に学べるところが多いのではなかろうか。実際、韓国の食品安全庁ではそのような取組を行っているのですがという、こういった率直な質問を消費者庁の方に投げかけられました。
 消費者庁の方は、PIO-NETはそもそもそういった趣旨でつくっていないとか、そういった御答弁をされて、困難であるというお話をいただいたわけですけれども、その中身云々よりも、そのやり取りを聞いておりまして、韓国では行政と事業者の垣根が非常に低いんだなと。そういう意味ではいい消費者行政といいますか、行政と企業が手を組んで消費者志向に向けて動いているんだなということを率直に感じました。そういうことがACAPと日本の行政との間でできないものかというふうに、私自身、問題意識として持っております。
 先ほど理事長から、今度公益法人というお話もありましたが、以前は、ACAPも経済企画庁の所管団体ということで、1980年に出発したわけです。当時、「二木会(にもくかい)」というのがございまして、毎月第2木曜日、ACAPのメンバーの中から、今月は食品業界、来月は家電業界というふうに、役所の方と、ACAPは幅広い業種がいるので、その業種の人間が率直に意見交換会をする場が定例的に設けられていました。
 現在のこの消費者委員会を見ますと、非常に盛り沢山なので、この場でそういったことをするのは現実的ではないかと思いますが、例えば専門部会とかそういった中で、委員の先生方皆さん全員というわけにはいかないと思いますけれども、時宜に合ったテーマに応じて、そういった情報交換会が定例的に行うことができないかなというふうに思っております。
 実際、現在もACAPとして、経済産業省ですが、消費者相談室というところで、毎年、意見交換会を行っております。どういうことかというと、事前に経済産業省からいろんな御質問をいただいて、その中で、それに関連する我々ACAPのメンバーが当日報告をして、行政の疑問、事業者のこういった点に気をつけているという、非常にフランクな会合を行う中で双方の問題意識はかなり深まっていると思います。非公開で行っている会ではありますが、行政と事業者についての理解が深まっているのではなかろうかと思っております。何か問題が生じて、こういう公の場に呼ばれて発言することは、事業者側も構えてしまいますし、それ以上の話ができないという部分も多々あるかと思うので、各論として定期的・日常的に交流する場が、消費者委員会のいろいろな機関の中でできればよろしいのではないか。そういうことを是非お願いしたいというふうに思っております。
 消費者庁・消費者委員会、新しい行政がスタートして2年余りですけれども、我々の印象として、やはり消費者庁というのは役所の一つというイメージですが、消費者委員会はそれぞれの委員の先生方の識見にプラスして、消費者団体であるとか、そういったもののネットワークかがっちり組み込まれているということで、消費者目線での御審議や御発言がより的確・実践的なものになるのではないかと思います。また、そのネットワークの中にACAPという組織も是非加えていただいて、ウィンウィンの関係をさせていただければ非常にありがたいなというふうに思っています。
 何年間か、そういった行政や団体との交流活動を通じた役回りをACAPでしているものですから、交流という点を通じて、私見に近いのですけれども、希望という形で申し述べさせていただきました。ありがとうございました。

○河上委員長 ありがとうございました。
 続きまして、社団法人日本経済団体連合会の斎藤政治社会本部長から、御説明をお願いいたします。

○日本経済団体連合会斎藤政治社会本部長 本日はこのような会議にお招きいただきまして、ありがとうございます。実は私、こういった意見交換会に出るのは3回目でございます。前回、第1次の委員の皆様が最後の委員会の終了後に呼ばれたときに、第2次の委員の皆様とも、ステークホルダーという、消費者のみならず事業者も含めて意見交換の機会を持っていただきたいと、原事務局長にお願いしました。今回こういうことでお話しさせていただく機会を持たせていただき、大変光栄に存じます。新しくなられた委員の方も多数おいでだと思いますので、基本的な話に立ち戻って御説明申し上げたいと思います。
 資料2をごらんください。これは2009年9月、ちょうど消費者庁・消費者委員会が発足したときに、経団連として「消費者問題に対する経団連の基本的な考え方」を理事会でまとめて報告したものでございます。
 消費者問題に対して、我々としては、先ほどACAPの滝田理事長や中村常任理事もおっしゃっていたように、消費者と事業者はウィンウィンであるということで、決して対立的なものではないと思っております。そのためにもまず企業が、社会に有用な製品・サービスを提供する責任が求められ、その活動は、消費者からの信頼なくして成り立ち得ない。すなわち、消費者に支持されなければ企業活動そのものが成り立たないという観点に立ちまして、後ほど御説明申し上げますが、お手元の冊子「企業行動憲章」の中で、消費者との関係についても一丁目一番地に書かせていただいているということでございます。
 2番目は、その上で「消費者に期待すること」ということで、悪徳業者、いろいろな業者いますけれども、それを選別するのはやはり消費者の目というのが非常に大きいと思います。そのためにも、消費者が「自立した消費者」として行動する。そのために、消費者団体、政府等と一緒になって事業者も消費者教育をやっていきたいと考えております。
 実は今週の1月18日に、文部科学省で、第2回目の「消費者教育フェスタ」が行われます。このシンポジウムに、お隣に座っていますACAPの長谷川専務理事にも出ていただくことになっております。また、消費者団体や事業者団体などから三十数団体が消費者教育の関係の展示をしています。また、2月には岐阜で、今度は小学校、中学校を借り切って実際の授業をやります。消費者団体、事業者団体あるいは政府関係者等が学校に出向いて、親子の前で消費者教育をやるという取組も、文科省と一緒に、「社会的責任に関する円卓会議」の事業の一環として行っているところでございます。こういった取組も、消費者と事業者のウィンウィンとなるものですので、是非進めていきたいと思っております。
 資料2の3に戻りますけれども、「消費者行政に求めること」です。行政、特に消費者庁は、消費者利益の増進という目的を掲げてございますけれども、決してそれは産業活動の発展と相容れないものではないということで、ウィンウィンを目指していただきたいというのが(1)でございます。
 (2)は、消費者の育成と消費者・企業間の円滑なコミュニケーションが、公正な市場を実現する。先ほど申し上げましたように悪徳事業者は確かにいます。そういうものにしっかりと厳罰を加えて市場から出すことが、消費者にとっても、また健全な事業者にとってもよいと考えております。
 (3)は、表示や規格の制定ですけれども、グローバルな事業活動をしていますと、国際基準との整合性をどうしても考えなければいけません。その辺の連携もとっていただきたい。
 (4)は、一番大事だと思いますけれども、消費者行政というのは、消費者に一番身近な地方を充実することが非常に重要です。勿論、消費者庁も基金等をつくられていますけれども、3年後、4年後どうなるかという話も含めまして、消費者行政を霞が関だけでやるのではなく是非地方を充実していただきたい。これは事業者にとっても非常に重要なことだと思っております。先だって、国センと消費者庁の一元化の問題等がありますけれども、そこだけやってどうのこうのという話ではなく、根本は、地方行政をどうやって充実させるか、その観点で論じるべきではないかと我々は思っております。
 (5)は、言わずもがなですが、二重行政の弊害は避けていただきたいということです。消費者庁は司令塔としてすき間も扱いますし、各省庁が手の届かないところ、あるいは足りないところについてしっかりやっていただきたいというのが、基本的な考え方でございます。
 次に、「企業行動憲章」でございます。これは1991年、当時、平岩会長のときにつくったものでございまして、それからもう20年近くたっていますけれども、定期的に改定しております。一昨年になりますけれども、2010年の9月に全面的に改正しました。その趣旨としては、前任の松本委員長が中心になって関与していましたISO26000が発行したという国際的な流れ、あるいは、日本での消費者庁等の発足に合わせて関連法規が変わりましたので、それに合わせて企業行動憲章を全面的に変えたということでございます。
 序文のところに、今、申し上げました経緯を書いてございまして、憲章自体は青いページでの2ページ目でございます。1条に、「社会的に有用で安全な商品・サービスを開発、提供し、消費者・顧客の満足と信頼を獲得する」。これが一番大事だということで書かせていただいています。それが憲章本体でございまして、次の白いページからは、それの各論というか、具体的にどういう行動をとったらよいかというベストプラクティスを書いたものが「手引き」と称するものでございます。
 その1ページ目が、先ほどの1条の背景の解説でございまして、2ページ目から、消費者に関しまして具体的に4項目の話をしております。まず、消費者・顧客のニーズを把握することが一番大事だということです。これは安ければよいという話ではなく、さまざまな社会に有用な、持続可能な社会の発展に貢献するものがよい商品なんだということです。そのために、例えば国籍、性別、年齢、障がいの有無などにかかわらず、誰でも使いやすいものを開発するということも含めて、積極的に消費者ニーズをくみ取ったサービスを開発、提供をするというのが第1条でございます。
 1-2は、品質、安全は最も重要なことだということで、今回、消費者安全法等も制定されましたし、また、消安法等の従来からの関連法規を守ると同時に、それについて不具合の情報等を積極的に開示することが大事だということでございます。
 5ページに飛びますけれども、消費者教育の話を初めて入れさせていただきました。「消費者・顧客に対し、商品・サービスに関する適切な情報を提供するとともに、消費者の自立的な選択や判断を支援するための啓発活動に努める」ということで、出前授業などさまざまな形で具体的なアクションを書き込んでございます。
 1-4は、消費者・顧客からの行為というのは、クレームとか苦情とかございますけれども、これは決して企業にとって問題というよりも、むしろそれを利用して良い製品の開発・改良に努める、そういう対応が大事だということで、お客様対応の話も含めて書かせていただいています。
 これが経団連の取組でございますけれども、消費者委員会につきまして、資料は用意いたしませんでしたけれども、今後の方向性について思い当たる節が、二、三、ございますので、申し上げたいと思います。
 一つは、消費者庁・消費者委員会が同時に発足したときの、ボタンのかけ違えというか、法的な制度的な設計のミスが響いているのではないかということです。当初、消費者委員会というのは、消費者政策委員会ということで、消費者庁の中に入っている八条委員会ということで提案されて法案を出したものが、当時の与党であります自民党と、野党でありました民主党との協議の過程で、独立性ということを強調された野党側の案に沿いまして、内閣府の下、担当大臣の下に両方独立して併存するという設計になりました。そのため、消費者委員会は国民生活審議会の後継機関とする八条機関であります審議会機能を背負ったまま、もう一つ消費者行政全般の監視という2つの役割を担う。しかも、事務局は予算も少ない中でそれだけのことを期待され、更にそれをこなさなければいけないという状況に置かれています。
 ただ、前回も前々回も申し上げましたように、審議会機能につきましては、今回、消費者安全法を改正して、消費者安全調査委員会という八条委員会を、今度は消費者庁の中につくろうという新たな動きがあります。そうであれば、消費者庁の中の審議会に本来置いてもよいと思われるものについては、この際、消費者庁の審議会として機能を消費者庁の方に移して、消費者委員会はもっと身軽になって、勿論、大事な法律の審議や法案の関係もございますけれども、何が大事なのかというのをもう一度洗い直していただいてやるのがよいのではないか。
 また、消費者行政の監視につきましては、消費者庁に対する監視もさることながら、各省庁つまり霞ヶ関全体が消費者マインドをもつように、大胆な提案をしていただいた方が、むしろ国民にとってよいのではないかという気がしております。
 と申しますのは、先ほど東日本大震災の話が出ましたけれども、震災後、国民の安全に対する関心や懸念が非常に高まっていると思います。放射能の事故が起きたということも非常に大きいのでございますけれども、どの基準値が安全なのか、あるいは、稲わらを食べた牛肉が出荷停止という中でどういう措置をとったらよいのか。今回も、マンションの敷石が放射能でという話で、本当に住めるのかとか、まさに国民の生活にかかわる問題が、行政の不手際、あるいは、そのような形でいろいろ起きています。そのような国民の不安に対して、消費者委員会が声を上げてもよいのではないでしょうか。
 環境省、経産省、農水省、いろいろな所管があることは重々承知しておりますけれども、そうは言っても、やはり国民の声として、こういった施策については早くしっかりと対応してほしいというのは、毎回、委員長あるいは消費者委員会の名前でどんどん発出していったらよいのではないか。それだけの権限は十分ございますし、場合によっては建議することも含めて、国民に近い存在になるという活動を重視していただければと思っております。むしろそういうことによって消費者委員会のファンが増えますし、何かあったときに我々の味方だということで、これは事業者代表とか消費者団体代表にとらわれず、一国民としてこれは大事だと思われることをどんどんやっていただく。勿論、消費者計画の検証とか、細かい話がどうなっているかというのは非常に大事だと思いますけれども、それよりもむしろ、有識者の皆様が「ここがおかしいのではないか」というのを自由に言える議論が必要なのではないか、というのが私の感想でございます。
 最後、一点です。任期があるのはわかっていますけれども、継承というのが余りにもないままになされたというのは、時間的にも労力的にも大変もったいない。山口先生、田島先生、川戸先生、3人の方が残られて継続ということで委員をされておりますけれども、また一から始めて、また一から部会や専門調査会をつくり直してということで、これで半年近くの時間がたってしまう。このスピーディに動く世の中に対して、継続的にやるものは継続的に、これは任期にかかわらず、委員だけ代わってやるんだというような、フレキシブルな対応をとられた方がよいのではないかという感想を持っております。
 それだけではなく、むしろ消費者庁にいろいろなことをやってもらって、消費者委員会はなるべく身軽にして、大所高所の議論ができる場にしていただかないと、本当に先生方、毎週、委員会のみならず委員間打ち合わせとか、大変貴重なお時間をとらせて御努力されていますので、是非有効に活用していただきたいというのが、生意気なようでございますけれども、私の意見でございます。
 以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、委員の方々から、ただいまの御発言に対して御意見、御質問等ございましたら、御発言をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

○山口委員長代理 貴重な御意見をありがとうございました。特に経団連の斎藤さんの3つの御意見、全面的に賛成でして、やらなければいけないなと本当に思います。まず、消費者委員会の審議会機能をどうするのか、今のままでいいのかというのは、まさにそのとおりであります。これはいろいろ問題が出てきそうなのですが、消費者庁、消費者委員会、国民生活センターの3つの組織の在り方を、来月辺りから8月ぐらいまで、検討する場ができると思いますので、その中でも少し議論をし、そのためにも消費者委員会の中でも議論して何か具体的な改善策も考えなければいけないと思っています。
 2番目については、先ほどまさに夏目さんが「何とかしなくていいの?」と言って、休憩中に話していた問題です。震災のときもありましたし、こういう問題のときもそうなのですが、何か言いたい、言わなければいけないと思いつつも、役所の重さとかいろいろなことがありまして、しがらみで、言わなければいけないことを言わないでここまで来た。実は委員長も、委員長見解をどんどん出していこうなんていうお話があったけれども、だんだん役所に染まってきて言葉が少なくなってきているんです、最近。だから、そうではなく、委員長見解をどんどん出していただくように、ちょうどいい御意見をいただいたと思います。ほら見たことかということで、ちょっと刺激してやっていければなと思います。
 3番目の、承継が不十分というのはまさにおっしゃるとおりで、これは、専門調査会をどうするかも含めてやりたいと思いますので、本当にありがとうございました。
 ACAPとの関係では、ここで私が個人的見解を言うわけにもいかないので、御提案として受けとめて、実現可能性について内部でも議論をしなければいけないと思います。その参考でお聞きしたいのですが、経産省と年1回やっておられるのですか。

○消費者関連専門家会議中村常任理事 年1回でございます。

○山口委員長代理 前は内閣府の国民生活局とやっておられたということですが、どの程度のメンバーで、どの程度の準備をなさったのか。過去のことと現在の経産省との関係でどういう運用をされているのか、もう少し詳しく教えていただければと思います。

○消費者関連専門家会議中村常任理事 経産省の方は多分10年ぐらい続いております。先方のメンバーは、経産省の消費者相談室の相談員の方を交えて、実務的なテーマを中心に、特に経産省ですので、新しいドロップシッピングの仕組みであるとか、そんな疑問点を出していただきながら、我々の関連するメンバーがその場に臨み、そして行政の問題点を先方が言い、こちらが解説をする、そんなやり取りをしておりました。

○山口委員長代理 場所はどこで、何人ぐらいで、どの程度の時間ですか。

○消費者関連専門家会議中村常任理事 我々のメンバーは、関係するテーマのメンバーも入れて10名程度、先方も10名程度で、ちょっとここより広いような形でやっておりました。経企庁の二木会については5、6年前までは不定期にやっておりまして、私がACAPに入る前、当初1980年から10年間ぐらいは毎月やっていたということは聞いておりますけれども、陣容等についてまで詳細は承知しておりません。

○消費者関連専門家会議滝田理事長 場所は、経産省で会議室をお借りしてやっています。

○原事務局長 事務局ですけれども、補足させていただきたいと思います。
 1980年代、国民生活局の時代に、消費者団体と国民生活局の消費者行政の第二課とで、毎月1回、第3金曜日か何かだったと思いますけれども、消費者団体の役員ではなく、事務局という実際にやっている人たちと、国民生活局の職員との定期的な意見交換の場を持っていて、それをACAPが見ておられて、事業者団体ともやりたいということで、国民生活局の時代に二木会ということで第2木曜日に実施されて、消費者団体ともやっていましたし、事業者団体とも国民生活局はやっていたと。
 そのとき、当時、経産省と言っていたかどうかわからないのですけれども、製造物責任法の議論をしているときに、経済産業省の職員の方ともいろんな意見交換をする場があって、経済産業省の職員の方が、これは非常におもしろいねという話で、それで経済産業省の方でも持ちたいということになってスタートしております。それがずっと残っているというところです。それを発案された方は、今、経済産業省の審議官になっておられます。PL法をずっとやっておられた方で、それがずっと継続しているというところです。国民生活局は今はもうなくなってしまいましたし、消費者庁・消費者委員会になりましたので、今、そういう形がなくなっておりますけれども、経産省は残っているということだと思います。

○消費者関連専門家会議中村常任理事 初めて歴史を教えていただきまして、ありがとうございました。

○河上委員長 ほかにいかがですか。
 夏目委員。

○夏目委員 今日はありがとうございました。ACAP様が提案してくださいました交流活動というものは、これから私たちにとってもとても大事なことだと思っておりますので、多分実現できるように委員長が取りまとめしてくださると思いますので、ありがとうございました。
 それから、斎藤さんがおっしゃってくださって、先ほど山口委員もおっしゃいましたけれども、自由にメッセージを発信できるところまでまだ動いていないというのは事実でございます。そうは言いつつも2次になりまして5か月過ぎたわけですから、これからはもう少し、社会が何を期待するかというところにも応えられる消費者委員会でないといけないのではないか。今の場合ですと、建議を出しましたし、こうして、隔週ですけれども委員会を開いて幅広い審議をしておりますけれども、これは国民、幅広い消費者に届きにくいというのが現状ではないかと思います。
 先ほどおっしゃいました例の採石の放射能汚染の話は、誰が考えても予想できた話なのに、何の網も規制もされなかったことが放置されている。いざこういう事態になりますと、どこどこの省が何かをするのを待っていたというようなコメントを平気で出す行政の在り方を、どこかで変えていかなければならないのではないかと、痛切に私自身も感じておりまして、また、大きな課題を御指摘いただいたと思います。今後とも、是非いい関係で、持続可能な消費社会ができ上がるように期待しておりますので、引き続き、よろしくお願いいたします。

○日本経済団体連合会斎藤政治社会本部長 勿論、取り締まる方もそうですけれども、今回、震災の非常事態の中で、日ごろの規制を逆に柔軟に対応してほしいという問題がいろいろ起きてきました。例えばガソリンをどうやって運ぶかとか、いろんな話がございますけれども、消費者関係では食品表示の問題で、むしろ村井委員にお聞きした方がよいかもしれませんけれども、水がなくなったり、インスタントラーメンがなくなった際に、海外から緊急輸入を行いました。しかし、ラベリングにどうしても韓国の表示がついていたり、最後の方は表示自体がないものも含めて提供せざるを得ないといったときに、事業者としてはいざやろうと思っても、法律違反とされるのかどうかがわからない。構わずにやれと英断した経営者もいらっしゃいますけれども、後追い的に規制が緩和されてきたということがあります。
 そういう場合は、この事態であればこれはJAS法だろうが適用除外にしろというようなものを、逆に消費者委員会辺りから言っていただくと、事業者としても心強いということがございますので、そういった面も含めて、是非よろしくお願いしたいと思っております。

○河上委員長 細川委員、どうぞ。

○細川委員 いろいろと御指摘と、エールを送っていただいて、非常に感謝しております。御指摘は、山口委員からお話があったように、ごもっともだと思います。ただ、消費者庁と消費者委員会の関係とか、地方消費者行政の問題というのは、一つは、実は先ほど、新しい消費者行政担当大臣が代わって来られていたので、私もちょっと嫌味っぽく言ったんですけれども、野党のときはあんなに民主党は元気だったのに、政権をとった後は、いろいろゴタゴタもあるのか、消費者問題について余り関心を持ってやっている感じがしません。消費者委員会も、斎藤さん御指摘のように、最後に政治的な妥協でできた部分があって、議論をして詰めていった部分ではないですね。いろいろ改良すべき点、改善すべき点があるのに、どうもそこに一歩踏み込むパワーが今の政権にはなくて、その辺もつらいなという感じもしています。
 そうした中で、だからといって我々はこのままでいいとは思いませんので、この委員会は、自分たちの改革も含めて建議できるのかとか、そんな議論もしているわけです。自分たちのことを自分たちでもっとこうしろという建議をするというのは、どうなのかということもありますけれども、私は個人的には積極的にやるべきだというふうに思っています。
 もう一つは、逆に皆様方にお願いしたいというか、私の意見ですけれども、日本の企業は、どうもほかの企業のことに文句を言うことを余りしないというか、非常に控えめという感じがしています。私はアメリカのBetter Business Bureau(BBB)も調べたことがありますけれども、彼らは、自分たちが自分の市場を健全化できなければ、結局、政府の介入を許して自分たちのマーケットを萎縮させてしまう。だから自分たちで健全化するんだと。そういう自主的なフロンティアというか、そういう意志が非常に強いです。
 ところが、日本というのはそうではなく、どうも行政に頼ってしまう。あるいは悪徳商法も、先ほど斎藤さんからもっと取り締まるべきだという話がありましたけれども、日本の法制度というのは非常に改革が遅くて、必ず出てくるのは、事業者団体が反対しているとか、経済団体が反対しているという形で、「小さく生んで大きく育てろ」などという話になってしまうわけです。これはなぜなのか。本当に大きいのか、あるいは大きくないのに行政の方が慮ってしまって前に進まないのか。本来、悪質業者が不当に市場で消費者を獲得しているとすれば、健全な事業者にとってはビジネス機会を失わせることになるわけだから、事業者にとっても、不当な事業者は市場から撤退してもらった方が自分たちのビジネスチャンスは増えるはずです。そういうマインドが、ここにおられる方はお持ちだと思いますけれども、日本の企業全体にそういうマインドがあるのかなと思うと、私自身は非常に疑問に思っています。
 その例で言うと、例えば団体訴訟制度で、今、適格消費者団体の9団体が訴訟できますけれども、なぜ適格事業者団体をつくれというような運動がなかったのか。自分たちの市場を荒らすやつは自分たちがそれを撤退させたい、そういうマインドがあってもいいわけです。事実、韓国は日本の後に団体訴訟制度をつくりましたけれども、韓国の団体訴訟制度は事業者にも団体訴権を認めています。日本の経団連のような、ちょっと名称は忘れましたけれども、それも明確にうたっていますし、それ以外の経済関係団体も、適格消費者団体プラス事業者団体。NPOなんかも入っていますけれども、ちょっと控えめな感じもしますので、もっと一歩出て積極的に、それこそ健全な市場は消費者も潤い、真っ当な事業者も潤うことになるわけです。まさにウィンウィンになるわけですから、全体のマインドというのが変わらないかなというふうに私は期待しております。

○消費者関連専門家会議滝田理事長 今の先生の御意見はごもっともだと思いますけれども、逆に先生のお立場からすると、そういう日本の在り方に対して、どういうふうに企業側が行動をとったらいいというお考えをお持ちでいらっしゃいますか。

○細川委員 先ほどBBBの話もしましたけれども、BBBでは積極的に紛争解決をして、仲裁までやるというような形で消費者苦情に関与する。BBBの紛争解決では、片務的な責任を事業者に負わせていて、BBBが調停案を出したときは事業者は蹴れないという形。消費者は蹴れるという形にしておいて、そこでの紛争解決を確保するという形でやっていますので、ちょっとイメージ的ですけれども、一歩前に出ています。一歩前に出て自分たちが紛争解決をしたり、市場健全化のために自分たちが行動を起こす。場合によっては法的な行動も起こすという形で自分たちの市場を守っていく。それによって余計な政府の介入を防ぐという、まさにマインドのところがちょっと違うのではないかなという感じが私の意見です。

○消費者関連専門家会議滝田理事長 法律、制度の方の問題というよりも、むしろ企業側のマインドの問題ということですか。

○細川委員 そうです。

○消費者関連専門家会議長谷川専務理事 今の細川先生の御意見に関して、既に御存じのことと思いますが、日本でも、自動車ですとか、家電ですとか、そういう業界団体におきましては、PL問題を含めまして、消費者からの抗議や問題提起に対して公正に、勿論、専門家や有識者の御意見を聞きながら、きちっと解決をしようという仕組みをつくって、実際にその活動をされている例もあります。
 ただ、御指摘のとおり、全産業と消費者の間という意味では、これは事業者団体だけの責任ではないでしょうけれども、そういう状況にはなっていない。健全なマーケットをつくるということは、そこで企業は活動をするわけですから、事業者にとっては大事なことですので取り組みますけれども、それにはやはり消費者の方の理解ですとか、場合によっては、消費者の方に考えていただかなければならないイシューもあろうかと思います。
 そういうことがしっかり協議、確認できるような仕組みを、どうしたらつくっていけるかということは、日本の市場における健全性をどうつくっていくのかというテーマでありますので、まさに委員会のテーマとしても取り上げていただきたい。勿論、我々にいろいろ御提起なり、御指示をいただくことも大歓迎ですし、我々もそれに負けないように頑張っていきたいと思います。実際、先ほど言いましたとおり、我々の中でもすでにそのような目的のもと取り組んでいる例がありますので、今後もそういう実績を積み、より充実させるような努力はしていくべきと思います。

○河上委員長 どうぞ。

○川戸委員 今日はどうもありがとうございました。ACAPの方、それから経団連の方、私は1期目からやっていますけれども、御指摘はごもっともで、忸怩たる思いはありまして、実はそういういろいろなことをやりたいという思いはずっとあるのですけれども、どこかでストップがかかってしまうところもあります。一つは、「法律がありますから」ということが返ってきたりする。消費者庁をつくるときに、この法律を横串を通そうというのがこの消費者委員会のねらいだったわけですから、ここは私たちの力不足だったと反省しております。ただ、これからもその気持ちは持ち続けたいと思います。
 もう一つは、意見とか建議とかそういうものを言う場合に、裏づけが足りない、証拠があるんですか、そこを集めてからでないと私たちも意見を言えないと、よくこういう議論が出てくるわけです。それは確かにこの事務局体制ですし、こういうメンバーだと、なかなかそこは難しいので、逆にお願いですけれども、先ほど、懇談会をやろうという話もありました。それも大事ですが、例えば私たちがこういうことをしたいときに、もしできることでしたら、資料とか裏付けとか、そういうのをお願いしたら出してくださるみたいな、そういう連携ができないかと、今、私は改めて思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○消費者関連専門家会議滝田理事長 今、委員がおっしゃられたことはごもっともで、先ほどの中村常任理事からの提案は、消費者庁さんの持っているデータを開示してほしいという一方的な要望のようにあるいは聞こえたかもしれませんけれども、逆に、消費者行政、消費者問題を考えるときは、川戸委員が言われたように、その裏付けとなる情報量が多ければ多いほど生きた政策というのが検討できると思います。
 ACAPは、現在、会員企業数で約600社ありまして、例えば私が在席しております会社で、年間でおおよそ3万件強のお客様・消費者の申し出を受けています。単純平均しますと、600社×3万件ですので、1,800万件という情報量があります。これは、それこそ国センさんの情報から比べたらその20倍、あるいはそれ以上の情報が我々企業の方には入っているわけです。勿論それは個人情報の部分がありますから、そのまま情報として提供することはできない。ただ、生きた情報として使うために必要な配慮さえすれば、十分に、行政、民間企業が共有できるデータベースがあるわけです。
 我々としても、国センや何かに入ってくる情報を、それこそ健全な社会をつくるためにそういう情報も生かせていただきたいという思いと同時に、我々事業者が持っている情報も、行政の御判断の中に生かしていただける十分なボリュームも質もあるのではないかと考えています。先ほど申し上げたような交流の場というのは、決して一方通行のものではなく、お互いに同じ目的に向かった共有の仕方さえ工夫すれば、大いに活用できるのではないかと思っています。
 今のことは機関の中で議論したことでもありませんし、私の個人的な見解ですけれども、お互いの持っている情報を社会のために生かす、同じ目的のために活用することも、検討していただけたらというふうに思っております。

○日本経済団体連合会斎藤政治社会本部長 証拠や裏付けというのは勿論大事だと思いますけれども、今回、消費者安全法の改正により、例えば生命事案については、専門の部会を持って専門家がちゃんと調査できるようにする仕組みを持とうとしています。消費者庁はこれまで、命令を下せるけれども、収集した情報を分析することはできませんでしたが、今回の消費者安全調査委員会の設置により、事故の原因を究明するための第三者的な科学的調査をすることができるようになりました。また、財産すき間事案についても、一定の権限の下に消費者庁で調査できるというような法改正が行われています。その中で、消費者安全調査委員会だけではなく、消費者委員会も調査するというと、調査を受ける方は「どっちの調査に協力すればよいのか」という話になりますので、私は、むしろ消費者委員会はもっと高い立場で、ちゃんと早く調査するようにとか、これはどうなっているのかとか、役所のしりを叩けばよい話ではないかと思います。自らが現場に行っていないと言えないのではなくて、よくわからないからちゃんと教えてほしいということを声高に言って、結果として役所を動かした方が早いというところもあるのかなと思います。
 例えばここで持っている製品事故情報の公表等に関する調査会でいろいろ検討して公開していますが、それはむしろ消費者安全調査委員会でやった方が、情報から調査までの一貫性があるのではないかという面もあります。その辺も含めて、事業者にとっても、どこに行ったらよいのかというのがはっきりわかった方が協力もしやすいという気もしますので、その辺は、今後、消費者庁と消費者委員会の在り方、国民生活センターの在り方等を検討する場や、新しい専門調査会などもできる中で、御検討いただければと思います。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
 山口委員。

○山口委員長代理 こんなに斎藤さんと意見が一致するというのは不思議で、それはよかったと思います。ちょっと細川さんがおっしゃったことの絡みで申し上げますと、実は事業者団体に差止権限を付与するかどうかについては、日弁連でも議論をしたことがございます。そのときは、アウトサイダーというか、新発の事業者に対して、既存の業者が団体をつくってそこで差止めとかいろんなことになると、競争阻害の要因になるからまずいのではないかという議論が出まして、それで日弁連は強く反対して、事業者団体の差止めについては実現しなかったいきさつがあるかと思います。今、細川さんがおっしゃったようなこともあるので、その辺はオープンに議論をしてやっていけばいいのかなと思います。本当に日本というのは保守的な国になってしまいまして、新しいことをやろうというと、あちこちから反発があるという嫌な社会になってしまいましたので、その辺は柔軟に考えていけばいいのかなと思います。
 その観点で言いますと、これは半分ちょっと希望なのですが、いわゆる集団的消費者被害救済の損害賠償請求制度ができつつあります。どうも事業者の方々が過剰反応で、つぶれそうなことも心配されていて、ちょっと大丈夫かなという状況があります。今日おいでになっている皆さんは御存じだと思いますが、私から言わせると、全国9つある適格消費者団体というのはほとんど力不足で大丈夫かなと。こんな制度をつくって9団体に頑張れといっても、どこまでやれるのか、心配でしょうがないぐらいで、濫訴の心配どころか訴訟が起こらない心配があって、大丈夫かなと思っているぐらいなんですよ。それが、濫訴だ、濫訴だということで日経新聞辺りにいろいろ書かれたりすると、オヤオヤという感じもしまして、この辺は事業者団体と消費者団体と、消費者庁を間にはさんで、これから国会でも議論されると思いますが、是非、柔軟に率直な議論ができればと思います。

○日本経済団体連合会斎藤政治社会本部長 その点に関しましては、既に専門調査会等でも前の池田委員と山口委員等でも意見交換をしていますので、改めて蒸し返すつもりはありません。ただ、弁護士の先生に申し上げるのは大変申し訳ないのですが、我が国の民事訴訟法体系と全く異なる制度を導入するという観点からすると、その民事訴訟法体系の例外となる部分については、こういう場合に限るということをはっきりしておかないと、その制度自体がかえって混乱のもとになるのではないか。そこを我々としては懸念したということで、つくるのであればこういうことから始めたいということでやっているところでございます。ただ、どうなるかというのは今後の検討課題でございますので、また、いろいろなところで検討いただければと思っております。

○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 私は別にまとめをするつもりはないのですけれども、一応クロージングしないといけないので申し上げますが、それぞれACAPの方からも経団連の方からも言われたことについては、非常に重く受けとめております。消費者委員会としてもやれる範囲のことはやらなくてはいけないと思っていて、第2次が立ち上がって以来、私も、果たしてこの陣容と資金的な限界の中で何ができるだろうかというのをずっと考えていて、重みをつけながら少しずつやれる範囲のことをやっていこうと考えているところです。先ほど山口委員から、最初は委員長も景気がよかったけれども、少し言葉数も減ってきたと言われましたが、基本的なスタンスは変わりませんし、気持ちだけはまだ負けていないつもりでございます。
 新聞などを見ると、いろいろな問題が次から次へと出てくる。例えば、カンボジア支援で17億円かせいだ者がいたとか、モンゴルの何とか事業進出投資で97億円かせいだ者がいたとか、いろいろな情報が出てくる。いろんな事件の報道などを見るたびに、さて、これで何か消費者委員会は言うべきことがあるかなと、いつも考えるんですね。それで、丁度ピンポンをやっているみたいにパンパンと反応して、評論家的に「これはけしからん関係省庁はしっかりしろ」とか言えばいいのかなとも思ったり、いや、そうではなく、この問題に関しては、むしろ投資取引のこの部分が組織的にも制度的にも欠けているからこういう問題が出てきているんだというふうに、制度的な問題にまで心をいたして、その上でここを改善したらどうかという提案まですべきではないか。そういうふうにやろうと思うと、ある程度の情報の蓄積と分析と、新しい建議に向けた議論の時間がどうしても必要になる。
 私は、卓球のように前陣速攻でいくよりも、一歩引いて、制度の根幹に当たる基本的な問題点に効果的な建議をする方が今のところはいいのかなと考えています。この陣容から考えてその方が効率的であるし、無理がないのかなという気がして、その辺、いつも山口委員や細川委員におしりを叩かれているという状況ですけれども、ご意見を踏まえて、これから精いっぱい頑張っていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 それから、消費者委員会として事業者の方がたにお願いしたいのは、消費者教育の部分に関して更にお力添えをいただきたいということです。事業者は、自己の商品や取引形態に関しての情報の専門家でもあるわけですので、こういうところに危険が潜んでいるとか、こういう商売をしている人にはむしろ気をつけてくださいとか、消費者教育についての事業者ならではの情報を活用して、消費者教育にお力添えをいただければということでございます。それぞれが持っている情報をどういうふうに使ったら、将来、それが有効に使えて新しい改善に向けての作業ができるかをご一緒に考えさせていただきたい。情報の質とか、その情報が持っている別の価値もございますので、なかなかやっかいな部分はございますけれども、ただ、こういう意見交換などの機会を積み重ねることによって、情報を必要な範囲で交換しながら前に進んでいくということは、これは是非やっていかないといけないことだろうと思います。
 先ほども御提案がございましたけれども、できましたら定期的な形で、事業者の方々、消費者団体の方もそうですが、意見交換をする場を消費者委員会の中に持ちたいと思います。その点は事務局にいろいろと調整をお願いして、やっていきたいと思います。少し耳の痛い話もございましたけれども、消費者委員会としても精いっぱい頑張っていきますので、どうぞ御支援のほどお願いしたいと思います。
 意見交換は、私にとっても非常に良い勉強になりました。これからもまた、よろしくお願いしたいということで、今日は一応クロージングにしたいと思います。どうもありがとうございました。

≪3.閉会≫

○原事務局長 どうもありがとうございました。
 次回の意見交換会の日程ですが、1月31日(火曜日)の委員会終了後に予定しております。
 次回は、出席団体といたしまして、日本司法書士会連合会、日本弁護士連合会を予定しております。また改めて御案内させていただきます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

(以上)