第76回 消費者委員会 議事録

日時

2011年12月2日(金)16:00~18:45

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、
 田島委員、夏目委員、細川委員、吉田委員
【説明者】
 社団法人全国公正取引協議会連合会  糸田副会長
 消費者庁  増田食品表示課長、平山食品表示課企画官
黒田消費者政策課長
畑野取引対策課長
林地方協力課長
 独立行政法人国民生活センター  野々山理事長
【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開 会
2.食品表示の一元化について
○説明者: 糸田省吾 社団法人全国公正取引協議会連合会副会長
3.消費者基本計画の検証・評価・監視について
○説明者: 消費者庁  増田食品表示課長、平山食品表示課企画官
黒田消費者政策課長
畑野取引対策課長
4.国民生活センターの在り方について
○説明者: 消費者庁  林地方協力課長
独立行政法人国民生活センター  野々山理事長
5.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:8KB)
【資料1】 食品表示統一法の基本構想(糸田省吾氏提出資料) 【資料2】 消費者基本計画の検証・評価・監視にかかるヒアリング対象施策及び施策におけるヒアリング項目(PDF形式:95KB)
【資料3】 消費者基本計画(施策番号69)関連資料(消費者庁提出資料)(PDF形式:632KB)
【資料4】 消費者基本計画(施策番号43)関連資料(消費者庁提出資料)(PDF形式:622KB)
【資料5】 国民生活センターの在り方の見直しに関する検証会議関連資料(消費者庁提出資料) 【参考資料1】 消費者契約法に関する調査作業チーム関連資料 【参考資料2】 委員間打合せ概要(PDF形式:16KB)
【追加資料】 「国民生活センターの在り方の見直しに関する検証会議」中間取りまとめ(座長試案)についての意見(案)(PDF形式:10KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、定刻になりましたので、始めさせていただきます。
本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第76回)」会合を開催いたします。
初めに、配付資料の確認について、事務局からお願いいたします。

○原事務局長 配付資料ですけれども、配付資料一覧は議事次第の下の欄に書いております。
資料1は、「食品表示統一法の基本構想」ということで、この後、糸田省吾先生にお話をお聞きすることになっておりますので、その関連の資料です。
資料2といたしまして、「消費者基本計画の検証・評価・監視にかかるヒアリング対象施策及び施策におけるヒアリング項目」の資料をお付けしております。今日は、食品表示の一元化の話と法執行についてを予定しておりますので、資料3といたしまして、食品表示制度にかかわる関連資料を消費者庁から提出いただいています。
資料4といたしまして、ちょっと大部になっておりますけれども、法執行についてということで、これも消費者庁から御準備いただいた資料になります。
資料5といたしまして、「国民生活センターの在り方の見直しに関する検証会議」が、今、進められておりますけれども、そちらの審議状況について、消費者庁から御提出をいただいた資料となっております。
参考資料1といたしまして、後ほど御紹介いただきます、「消費者契約法に関する調査作業チーム」の運営についての資料、参考資料2といたしまして、委員間打合せを11月29日に開催しておりますので、その概要をお付けしております。
今日は、最初に食品表示の一元化についてのヒアリングということですけれども、これが終わった段階で10分ぐらい休憩を入れて、その後、検証のヒアリングに入りたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
事務局からは以上です。

≪2.食品表示の一元化について≫

○河上委員長 それでは、議題に入ります。
本日は、当初予定していた議題に加えまして、「国民生活センターの在り方について」というのを議題として取り上げたいと思います。
初めに、「食品表示の一元化について」でございます。食品表示の一元化につきましては、本年の7月8日に閣議決定された消費者基本計画の一部改訂において、「食品表示に関する一元的な法律について、平成24年度中の法案提出を目指します」と記載され、消費者庁においては、本年9月より、「食品表示一元化検討会」において議論されていると聞いております。後ほど、消費者基本計画の検証・評価・監視の議題において、同検討会の状況についてはヒアリングを行う予定ですけれども、本日は、本件の有識者としまして糸田省吾氏においでいただいております。同氏よりヒアリングを行いたいと思います。
糸田氏は、公正取引委員会事務総長、公正取引委員会委員を歴任され、現在は、社団法人全国公正取引協議会連合会副会長を務めておられます。
本日は、糸田氏より、食品表示の一元化という問題に関してその御意見を伺いたいと思います。それでは、御説明をお願いいたします。

○全国公正取引協議会連合会糸田副会長 御紹介いただきました、糸田でございます。
このような機会を与えていただきまして、光栄に思っております。よろしくお願いします。お手元に、1枚紙で資料1-1「食品表示統一法の基本構想」というレジュメのようなものをお配りしてございますが、これに沿ってお話し申し上げたいと思います。
消費者庁が設置されてもう2年過ぎているわけですけれども、その設置のときに私はある雑誌に雑文を書きました。それは、消費者庁が発足するけれども、早速の課題があるということを書いた記憶があります。その早速の課題の一つが、実は今日これから申し上げようと思っております、食品表示法関係の一元化ということであります。そのころからこの問題に若干興味を持っているものでございますから、こういった機会に私が考えているところを申し上げさせていただきたいと思います。時間に限りがあるものですから、できるだけ手短に申し上げるつもりでおります。
食品表示統一法、私は勝手に統一法と呼んでいますけれども、この統一法を制定する必要性、あるいは現行法制の問題点というところから話を始めていきたいと思いますが、(1)に書いていますとおり、消費者行政の一元化を徹底させるためには、是非とも法律の統一・一元化ということが必要ではないかと考えているわけであります。
最初にちょっとお断りしておきたいのですけれども、これから申し上げることは、タイトルにもありますとおり、基本的な構想という話であります。細部にわたる詰めなどはまだ必ずしも十分できていないわけですけれども、最初に、一元化という方向で考えるとして、その枠組みをどんなふうに考えたらいいのか、そういった辺りから議論をするのが必要ではないかと思っております。そういった意味で今日は基本的な構想ということで、若干理論的な話が中心で、理論倒れになるおそれもあるかもしれませんけれども、それを恐れずにこれから申し上げようと思っておりますが、まず最初は消費者行政の一元化ということであります。
消費者行政の一元化というのは、手っとり早く言えば、ものすごい強力な権限を持った司令塔が存在することが必要かなと思っておりますけれども、現状は必ずしもそうなっていない。一方で法律を執行するという職務もある現状からすれば、執行する法律について、関係する法律を束ねて一元化して、かつ、それを専管として運用することが必要ではないかというふうに考えております。そういった意味で、食品表示関係の法律の統一を図ることが、消費者行政の一元化を徹底させる上で必要ではないのかと思っております。
2番目は、当たり前の話でありますけれども、いろいろな法律があってその規制が錯綜していることよりも、その規制を明確化する、あるいは簡素化することが、表示を読む側、表示を提供する側双方にとって便利ではないか。そういった観点からこういった問題を考える必要があるのではないかと思っています。
逆に現行法制の問題点という話になりますけれども、言うまでもなく二重行政の弊害ということが当然浮かび上がってくるわけです。早い話が、食品の表示に関して似たような法律が幾つかあるとしますと、その法律の間での整合性ということが本当に大丈夫なのだろうか、一つの事柄について二重、三重の規制を受けることになりはしないのだろうか、ということも気にしなければならないと思います。
他方、今、食品表示関係の法律のほとんどが共管になっていますけれども、その場合、簡明性は確保できているのだろうか、あるいは、迅速性に問題は生じていないのだろうかということも考えなければいけません。
3番目に、これまたえらい口幅ったい言い方で恐縮ですけれども、消極的な権限争いに陥ってはたまらないなという感じがしなくもありません。
それから、(4)で考えていることですけれども、似たような法律があるとすると、法律の間での整合性という問題も改めて考えてみる必要があるのではないか。例えば表示に関する違法行為があったときに、複数の法律に違反することも十分考えられる。それが現実だと思いますけれども、その場合に、法律の間での違反に対する規制措置あるいは制裁というものが、言葉は適当ではないかもしれませんが、仮にてんでばらばらであるとするならば、法的安定性の観点からも問題がありはしないだろうか。もっと大げさに言えば、法の下の平等に反しはしないだろうかというふうにも思います。
例えば、食品の原産地表示についていわゆる偽装表示があったとして、この場合に適用される法律というのは、私が知っている限りでも二つも三つもあります。一つは不正競争防止法がある。いわゆる行政法としてJAS法もあれば、景品表示法もある。こういった場合、どの法律を適用するのかによって扱いが違ってくる。不正競争防止法ですと刑事法的な面がありますから、刑事罰、懲役刑という制裁が科される可能性がある。JAS法、景品表示法は行政作用法ですから、行政処分によって事態の改善を図る。
同じ違反行為であっても、どの法律を適用するかによって受ける制裁、処分が異なるとするならば、しかも、できることだったら懲役刑なんか科されたくないと考えるならば、その間の調整といいますか、どの法律を適用するのかという、ものの考え方がきちんとしているのだろうか。そういった問題があるのではないかと思っています。
2番目に、食品表示の統一法を制定するとして、その場合の基本理念は何なのかということも考えてみたわけですが、私は2つあると思っております。一つは、消費者が自主的で合理的な商品選択をするうえにおいて必要な情報をきちんと確保できるようにする。これは、もっぱら商品の供給者、事業者が提供することなるわけですけれども、それの確保を図っていくことがまず一つあると思います。
もう一つは、事業者間の公正で自由な競争を確保することにおいても、表示というものは大事になる。表示が正しく行われないと、事業者間の競争もゆがめられるおそれも出てくるかもしれません。早い話が、欺瞞的な言動を弄することによって商品の売上を伸ばす企業と、正直に供給活動をして、しかし売上はなかなか伸びないということで考えたときに、前者が後者に競争で勝っていると考えては絶対いけないだろうと思います。そのためにも、表示というものがきちんと行われることが、公正で自由な競争の促進という観点から必要になってくるのではないか。この2つの点を基本理念として考えてみたいというふうに思っております。
その次に、そのような理念の下に食品表示統一法をつくるとしたら、どのような構成になるのだろうかということを考えたのがその次の項目です。
まず一つは、今の理念との関係そのものでもありますけれども、商品選択に必要な事項の表示の義務づけをするということ、これは基本中の基本だろうと思います。もう一つは、それだけでは十分ではなく、商品選択を誤らせる表示を禁止することも併せて必要ではないか。この2つが同時に必要になるのではないかというふうに考えられます。
3つ目には、表示の義務づけ、あるいは誤認表示の排除の大前提として、食品の定義をどうするか、規格・基準をどのように考えるか、あるいは話は細かくなりますけれども、食品の原産地、原産国といった場合、食品によって考え方が違う可能性もあるだろうと思いますけれども、それはどんなふうに考えればいいのか、定義づければいいのかという問題。あるいは日付表示の問題、こういういわば定義に関する事柄については、この法律によってきちんとした権限が施行機関に与えられなければならないと考えております。
4番目にまいりますけれども、食品全体を、しかも表示ということで大括りするものですから、個別の点においてきめの細かさというものが出てくるだろうと思います。表示の媒体の違い。ちなみに、「表示の媒体」と言ったときには、食品の容器包装に書かれる表示と広告・宣伝に用いられる表示、両方ともこの法律は対象としなければいけないと思っておりますけれども、こういった表示の媒体の違いによって表示義務にどの程度の差が生ずるのか。表示に対する規制を受ける事業者の方も、メーカーなのか、輸入業者なのか、販売業者なのか、あるいはレストランなのか、そういう業態による表示義務の中身の違いもあるかもしれませんし、更には、販売の態様による違いもあるかもしれません。この辺はもう少し先へ行ってから考えるべきことかもしれませんけれども、きめの細かさという点での取扱い、検討ということが必要になってくるのかなと思っております。
それから、この法律の違反に対してはしかるべき措置をとらなければいけないわけですけれども、そのための調査権限をきちんとする。これは当たり前の話だと思います。それから、違反に対してこれを是正する、そのための行政処分もこの法律に備わっていなければならないし、違反に対する制裁ということも考えておくことは当たり前のことだと思います。ただ、その場合の制裁というのは決して刑事罰だけではなく、例えば課徴金という行政上の制裁といいますか、こういったものも必要になってくるのではないかと思います。この辺は議論すると少し時間がかかりますので、ここでは省略いたします。
6番目に書きましたのは、この法律に違反することによって被害を受けた、主として消費者だろうと思いますけれども、消費者が損害賠償請求をすることができるという規定も必要で、その場合の損害賠償請求は無過失であるべきではないかと思っております。消費者からしてみれば、現実にその商品を買って被害を受けているわけですから、過失の有無を問わないというぐらいのことがあってもいいかもしれません。逆に、過失が要件として求められるとするならば、過失の立証というのは結構厄介な話になってくるのではないかと思っておりまして、そういった意味でも無過失損害賠償請求というふうに書いております。
次に、消費者団体訴訟も取り込むということであります。この場合、括弧書きで書きましたが、損害賠償請求もこの訴訟の対象に取り込む必要があるのではないかと思っております。と申しますのも、例えば消費者契約法におけるそもそもの消費者団体訴訟は、消費者契約法は民事法ですから、違法行為の差止めは必然的に必要になってくるわけですけれども、今の景品表示法、特商法、それからこれから作ろうとする統一法は行政法ですから、仮に消費者の人たちが集まって違反行為をしている事業者に対して訴訟を起こすといった場合に、単に差止請求だけだったら余り意味はないのではないかなと思います。差止請求だけだったら、むしろこの法律の執行機関である行政庁に行って、違反が起きているから措置をとってくれと求めればよい。そういう訴訟を起こすエネルギーがあるのだったら、行政機関に対し、調査をし措置をとるよう促すような働きかけをした方がよほど効率的ではないかと思います。勿論、行政機関ですから調査権限もあります。
そういった意味で、差止だけでは余り意味がないのではないか。損害賠償請求の方は、これはさすがに行政機関はやってくれませんから、これこそ自分たちで訴訟を起こして請求をする必要があるのではないかと思っております。つけ加えておきたいのはそういった点であります。
8番目に、自主規制制度というものを入れております。これは、現在の景品表示法にあります公正競争規約を念頭に置いて、あの種の制度があった方がいいのではないかと思っております。御存じのように公正競争規約というものは、今は景品表示法に限る話ですけれども、景品表示法違反はしないようにしようという、言ってみれば違反行為者たりうる事業者間でのいわば申し合わせ、決議であります。それをただ単に抽象的に申し合わせるだけではなく、具体的にこんなことをやると景品表示法に違反することになる、だから、こういったことはやめようではないかという具体性のある申し合わせですから、コンプライアンスを徹底する上においても必要なのではないか。こういった仕組みが、食品表示の統一法においても必要ではないかと思っております。
と申しますのも、特に食品全般について専管的な執行をする行政機関が、食品の話ですから、全国津々浦々どこでも起きる可能性がある場合に、すべての違反について行政機関だけで処理をすることはほとんど不可能に近いのではないかと思っています。そのためにも、まず、業界といいますか、事業者といいますか、そういった人たちが、絶対に違反はしないということをしてもらわないと、これは、いくら公務員がいても手に余るのではないかという感じがいたします。そういった意味から自主規制制度を持つことは大事ではないかと思っています。
ただし、これは当然のことながら、この法律の解釈とかそういったことにも密接に関係してきますから、余り勝手に事業者でつくって、これはコンプライアンスだからいいだろうというわけにもいかない。したがって、中身については、事前に施行機関が法律上問題がないかどうかのチェックをする。他方で、この恩恵を受けることになる消費者も、消費者からの注文が、公正競争規約の中にきちんと盛り込まれているかどうかということもチェックをする、そういうようなチェック、景品表示法では「認定」という言葉を使っておりますけれども、それは当然、必要になってくることではないかというふうにも思います。
こういった制度があればいいし、また、統一法という観点から言えば、食品ごとにできるだろうと思いますから、自主規制の中身、もう少しきめ細かく表示しようではないかとか、こういった表示は問題だからやめようではないかとか、法律にはそこまで要求されていないけれども、あった方が消費者にとって便利かもしれないから盛り込もうではないか、というようにきめ細かい一種のルールといったようなものをこれによって設けることもできる。そういった利点もあるかなと思っています。
統一法の施行機関は、私は消費者庁であるべきだと思いますし、その場合は専管ということになるだろうと思います。ただし、後でちょっと出てきますけれども、食品の安全という観点からの規制が絶対的に必要ですがそういった安全の観点からの問題とか、あるいは、公正で自由な競争の促進ということも申し上げましたけれども、競争という観点から、それぞれ関係する行政機関との協議は必要になる場合もあるだろうと思いますが、基本的には専管であると考えております。
4番目に、仮にこういった法律ができるとして、現行のたくさんあります食品表示関係の法律との関係はどうなるのか、ということも考えてみる必要があるだろうと思います。一般に食品表示の義務づけを中心に、JAS法、食品衛生法、健康増進法、この3つが取り上げられておりますけれども、私はそれに、お酒の関係で「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」も入ってくるのではないかと思いますが、こういった表示の義務づけに関しての現行の制度については、当然、一本化する。こちらの方で一本化してこの法律に引っ越してくれば、現在の法律は、少なくともその部分は規定を削除するとか、そういう手当が法形式的に要るだろうと思いますけれども、厄介なのは、別に食品の表示だけを扱っているわけではない法律です。
例えば、表示一般を扱っている、しかも、商品であろうが、役務であろうが、何でも対象になると言っている景品表示法とか、あるいは不正競争防止法もそうかもしれません、特商法もそうかもしれません。こういった、どちらかというと誤認を排除するための現行の法律をどう扱うかというのはなかなか悩ましいところで、私はある意味で無責任に思っていることですけれども、こういった法律については、一元化を念頭に置いて考えるならば、食品の表示についてはこの法律の対象外とする、適用除外であるというぐらいの対応をしなければ、本当の意味での一元化にはならないのではないかという感じがしなくもありません。ということで現行法との関係を考えてみたいと思っています。
最後に、食品の安全との問題であります。これは当たり前ですけれども、食品の安全が何にも増して絶対的に必要不可欠であることは言うまでもないのですが、安全を確保するための規制と、食品の表示に関する規制との関係は、食品安全のための法律が適用されて、その規制をクリアしているという結果とか、安全の観点から大事な添加物などの使用の有無などを情報として消費者に提供する場合に、それを統一法によって表示義務として行うというふうに考えるべきであって、少なくとも安全の問題と表示の問題とが、言葉は悪いですけれども、ごっちゃになってはいけないのではないかと思います。
繰り返しで恐縮ですが、食品の安全に関しては法律があって、この食品は安全に関する法律をきちんとクリアーしていますということであるならば、クリアーしているということをきちんと表示をすればいい。食品安全の関係から、食品安全のために必要な事柄を事業者は消費者に情報として提供すべきであるということであるならば、これは、食品表示の統一法で表示義務としてそれを含めると考えるべきであって、安全の確保そのものと表示とは次元が違うのではないかというふうな感じを持っているところであります。
大ざっぱで恐縮ですけれども、ちょうど時間がまいりましたので、ここで私からの御報告は終わりにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は、発言をお願いいたします。
田島委員。

○田島委員 御説明、どうもありがとうございました。私は法律の専門家ではないので、法律の専門家から御講義をいただいて、非常に勉強になりました。
そもそも食品の表示にかかわる法律は大きく分けて食品衛生法とJAS法と2つありますが、先生も御承知のとおり、そもそも目的が違うわけです。食品衛生法は健康にかかわるようなことを排除するための法律ですし、JAS法は消費者の商品選択のための情報提供が目的です。その2つの法律を合わせた、新しい食品表示統一法というのは非常に難しいなというふうに私は思うので、その辺についてどうお考えになるのかというのが第1点です。
そもそも考えますと、食品の表示については昔は食品衛生法だけで決まっていたわけです。JAS法に表示が義務化されたのはつい最近のことです。だから、むしろ昔に戻って、食品表示は健康、安全にかかわるものだけに絞ってしまえば簡単なのではないか。JAS法に基づく情報提供ということが入ってくるので、それで複雑になってしまったのではないかなと私は考えているのですけれども、その点について、先生の御意見はいかがなものでしょうか。
以上、2点お願いいたします。

○全国公正取引協議会連合会糸田副会長 最初の方の問題ですけれども、それぞれ法律の目的が違って、健康の確保とか、公衆衛生がどうとかいうようなことで食品衛生法がある。そういう今ある法律の規制目的は、これからつくるであろう統一法の中で、この食品に関しては公衆衛生の観点から是非ともこういった事項は表示しなければならないというように、表示事項をどうするかということの方で対応する、解決される問題ではないかと思っています。今の法律のそれぞれの目的はそれなりに大事だと思いますが、その目的の違いというのが表示事項の違いとなってあらわれてくるのではないかと思っています。
2番目の話ですけれども、私は「消費者が」というふうなことを一生懸命言っていますけれども、消費者は決して健康とか公衆衛生とか、そういった観点からだけで食品を選ぶのではなくて、多様な観点で、早い話がこれはどこの原産地のものなのか、国産なのか外国製なのか、そういったことにも非常に関心を持っていますから、そういった関心を無視するわけにいかないのではないかと思っています。勿論、合理的な中身でなければいけないのはそのとおりですけれども、消費者が商品選択をする際に必要な事柄であるならば、それは公衆衛生とか何とかということだけではなく、すべてのことについて情報として消費者に提供し、提供された消費者は、その中から自分の気に入ったものを探してそれを購入することになるのではないか、そう思っております。お答えになったでしょうか。

○田島委員 ありがとうございました。2番目の点、もう少し付言すれば、それでしたらば任意で構わないのではないか、義務化する必要はないのではないか。表示をした商品は良い商品ということで消費者は選択するので、業者は、義務化されなくても表示に努めるのではないかと私は考えます。何も法律で義務化する必要はないのではないかというふうにも考えるのですけれども、その点はいかがでしょうか。

○全国公正取引協議会連合会糸田副会長 これも私も自信を持って申し上げられないのですけれども、仮に、自分は例えば原産地について非常に関心がある、だから原産地の情報がほしいという消費者がいる。しかし、それは少数であるという話だったら、先生のおっしゃるようなこともあり得ると思いますけれども、大げさに言えば、消費者一般がみんな原産地について関心を持って商品選択をするということであるならば、これは法律で義務づけをすることもあってもいいのではないか。ある意味でそれは程度の問題。要するに法律で義務づけるわけですから、義務づけをする必要性の有無、濃淡によってそれが決まってくるのではないかなというふうに思いまして、すべて任意にしておけばいいというわけでもないのではないかと思いますけれども、いかがなものでしょうか。

○田島委員 ありがとうございました。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。3つ、御質問ですが、まず1番目は、先生は、配られている論文でもそうですが、景品表示法、不正競争防止法などは、食品表示部門については食品表示統一法に取り込めばいいのではないかとお書きになっているし、いまもお話しになりました。その場合、現在の景品表示法や不正競争防止法の違反なり行政処分の要件を変えるということになるのか。変えないならば今のままでもいいのかなと思うのですが、食品表示特有の表示の規制の在り方とか、あるいは、不正競争防止法の視点での規制の在り方があるのかどうか。それを一つ伺いたいと思います。
2番目は、ヒューマンリソースの問題です。つまり、消費者庁が仮に食品表示統一法を担当するとした場合に、全国にあまねくある食品の表示を、行政的に、あるいはさまざまな形で守らせるための執行部隊をどうしたらいいとお考えなのか。何かお考えがあれば、お聞かせいただければと思います。
3番目は、消費者庁が主催して原産地表示の意見交換会をやっています。食品の日付表示の在り方についても、賞味期限とか消費期限とか、あるいは生産の日とか、表示の在り方について随分議論があって、その意見交換会の内容を聞いていますと、端的に言えば、立場によって完全な平行線なのです。大ざっぱに言えば、要するにメーカー側、事業者側は、そんなに細かく表示していたら大変だ、食品の代金にはね返るし、しかも消費者はそれほど望んでいないから、そんなに細かい表示は必要ないのではないかと。勿論、違う意見の事業者もおありですが。他方、消費者団体の方などは、知る権利があるのだからもっと細かく表示すべきだというところで、完全な平行線の議論で、一体どこでどうルールづけをすればいいのだろうかと、聞いていて途方に暮れるのですが、その辺について立場性を越えた、この辺が落ち着きどころだというところはどうやって決めたらいいのか。それについて何かお考えがあればという3点です。

○全国公正取引協議会連合会糸田副会長 最初の方の問題ですけれども、現行法それ自体に問題があるという意味ではなくて、一つの事柄について複数の法律が適用される可能性がある。その場合に、どの法律を適用するかによって結果が違ってくる。行政処分で済む場合もあれば、懲役刑を科される場合もある状態というのは、やはりおかしいのではないか。そういった意味でそれを一元化することが必要ではないかというふうにも思っておりますし、仮に現行のままでいいのではないかということになったら、今、私が申し上げたことの問題というのはそのまま残ってしまいまして、「それでいいのですか」と逆にお聞きしたいなという気がします。
2つ目のヒューマンリソースの問題は、非常に悩ましいのですけれども、これまた無責任な言い方で恐縮ですが、これだけ大きな法律を執行するとなると、ものすごく多くの人材が必要になるわけです。それは、今、それぞれの役所で現行法を運用しているその人たちといいますか、その組織、それをまるごとこっちへ持ってくればいいのではないかという感じもしなくありません。ちょうど景品表示法がまるごと消費者庁へ移管されたとき、公正取引委員会から景品表示法関係の人材がゴソッと移ったようにです。そういう手当をするしかないのではないかというふうに思います。
もう一つは、私はよくわからないのですけれども、仮に消費者庁として考えたときに、地方の支分部局がない、それをどうするかという問題があると思います。これをどんなふうにするかというのは、まじめに考えなければいけないだろうと思います。ちょっとこの場では、すみません、どうあるべきかというのは、申し上げるほど知見もありませんので、それは失礼します。
3番目に、私は最初、日付表示の話かなと思っていましたら、そうではなくて、およそ表示事項として、どこからどこまでか、多ければ多いほどいいのかとか、そういった観点からのお尋ねのような感じもします。ついでに、日付表示の話も出ましたから、先ほど申し上げられなかったので、申し上げておきますけれども、製造年月日を書けという問題があるようです。かつて製造年月日が書かれていまして、そういった声がなくはないのですけれども、これは少し注意してかからなければいけないのではないかなと思います。
製造年月日を書いて、製造年月日に過剰に依存するという購入態度をとるとするならば、極端に言えば、遠隔地の商品というのは東京ではなかなか売れません。要するに、製造年月日というのは新しければ新しいほどいいということで、そういった問題を取り上げるようになるとしますと、商品として十分もつにもかかわらず、単に製造年月日が1日違いであって、今日つくったものの方がよりいいという判断をされるならば、遠隔地の商品は東京に持ってこられない。持ってきても売れない。となると、先ほども競争という話をしましたけれども、競争促進という観点からかえってマイナスになるのではないか。そういったことも考えなければいけないかなと思っています。
それから、何でもかんでも書けばいいという話というのは、何をどの程度書くのかということを、やはりこの機会にきちんと議論をしなければいけないのではないか。そう簡単に決まるものではないといいますか、書けばそれに越したことはないと、安易にそうも言えないのではないかという気がいたします。いずれにしても、3番目の話は私はよくわかりませんので、この程度にさせてください。

○河上委員長 ほかにいかがですか。
どうぞ。

○夏目委員 御説明、ありがとうございました。とてもわかりやすく御説明いただきまして、この9月から始まりました食品表示一元化の議論の行く末が、先ほど山口委員も心配されておりましたけれども、どこまで行っても平行線のような議論の行方を見ておりまして、どうなるのかなと実は思っていたところでございます。
例えば、先生がおっしゃいました新しい法律の基本理念、2つ挙げられていまして、(1)、(2)がございます。(1)には、食品表示にかかる3法の基本的な目的をきちっとそれに入れれば、また新しい法律でも担保されるということで、とてもわかりやすいですけれども、やはり事業者間の公正な競争という点で、消費者と相反する、溝が埋まらないという現実がございます。今、先生はコメントを避けられましたけれども、その法律の中に事業者間の公正で自由な競争の確保を担保していくというのはどういうことなのか。もう少し、先生のお立場で御説明をいただければありがたいなというふうに思います。

○全国公正取引協議会連合会糸田副会長 後の方の話で、ちょっと抽象的な話で恐縮ですけれども、法律がどこまで書けるかという問題があると思います。最後に申し上げた自主規制の話です。こっちの方は、要するに事業者間の公正な競争の確保という観点が結構登場するのではないかなと思います。事業者は消費者に対して適正な情報をきちんと提供するようにしよう、そういった申し合わせをする。これはこれで大事ですけれども、同時に、お互い欺瞞的な情報によって足の引っ張り合い、アンフェアーな競争はやめようではないか、というようなこともこの自主規制の目的の一つに入るだろうと思います。後者の話は、どちらかというと競争の分野の話ではないかと思いますし、全体として申し上げれば、少し抽象的な話で、条文に具体的にどう書くのか、あるいは、書きようがないではないかという話になってしまうかもしれませんけれども、競争がきちんと行われれば、それだけ消費者の利益にもつながっていくという観点も、これは話をすると30分ぐらいの講義になってしまいますが、忘れてはいけないのではないかというふうに思っています。
最初におっしゃった点は、あるいは私の聞き違いかもしれませんけれども、私は理念として、(1)に「商品選択に必要な情報の確保」と書きましたが、3法のJAS法、食品衛生法、健康増進法、ここに書かれているのは表示義務の方です。ですから、表示義務だけを一本化すればそれで一元化になるとは私は考えていません。さっきも申し上げましたけれども、書くべくことをきちんと表示する。その表示の義務づけの話と、もう一つは、消費者に誤認されるような表示はしないということと、その両方が必要ではないか。その両方が私のレジュメの2番目の(1)の中に入っている。あるいはそこまではっきり書いた方がよかったのかもしれませんけれども、そんなつもりでございますので、誤解のないようにしていただきたいと思います。

○河上委員長 よろしいですか。
小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 基本構想のお話、ありがとうございました。この統一という話で、二重行政の弊害ということで幾つか挙げられたのですが、行政上整合性を欠くとか、そういうことがあるのは勿論ですが、消費者が現実に表示を見たときに、一元化されていた方がよいのではないかという観点をもう少しお伺いできればという点と、もう一点は、先ほど自主規制の公正競争規約のことをおっしゃいました。あの御趣旨は、景表法の11条の規定、協定または規約の認定権がございますが、これも、新しく統一されたところに一元化した方がよいという御趣旨でおっしゃったのかという、その確認です。

○全国公正取引協議会連合会糸田副会長 後の問題から申し上げますけれども、今の景品表示法では、御存じのように公正競争規約というのは消費者庁と公正取引委員会との共同の認定という仕組みになっています。先ほどから申し上げているとおり、仮に食品の表示関係を景品表示法から抜いてこの法律に持ってくるとして、その中には公正競争規約という制度も持ってくる。でも、食品以外の商品・役務の公正競争規約は引き続き景品表示法に残っています。その残っている景品表示法の方がそういう共同の認定だということであるならば、こっちの方に持ってきた食品の表示に関する公正競争規約も、あるいは共同の認定ということの方が整合性がとれるのかなという感じがなくもないわけです。つまり同じ仕組みということです。
それから、最初の方の問題は、これもちょっと観念的な話になって恐縮ですけれども、先ほどもお話をいただきましたが、いろいろな法律がある。それは、それぞれ法目的が違うからいろいろな法律があるわけですけれども、法目的の違いによって表示すべきことも違ってくる。それは当たり前だと思います。でも、共通のものもあるのではないかとかいうことを考えたときに、法律の数だけ、法律が求められているものをそのまま容器包装に表示をするというのは、ちょっと行き過ぎではないか。共通部分などは、もっと整理をしなければいけないのではないかというようなことがあるかもしれませんし、それから、今や解決したはずになっていますけれども、期限表示も、消費期限、賞味期限の違いということが、同じようなことを言っているにもかかわらず、法律の違いによって答えが違ってくることがもしあったとしたら、それもやはり整理をする対象になるのではないか、そう思っております。

○河上委員長 吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 一点だけお伺いしたいと思います。食品表示統一法で表示がきちっとなされていたとしても、その表示がうそであったら全く意味をなさない。先ほど先生から御指摘があったように、自主規制に任せる部分と行政庁での取締りというふうにも考えられるのですが、かなり範囲が広くて膨大なものを対象にしますから、要は業者のやり得を許さない、あるいは間違った表示、うその表示をしたときに、ペナルティが科されるとかいうところで何か工夫をしてやらないと、そういったものがずるずると抜けて出てしまうのではないだろうか、というふうに懸念しています。その点、何かお考え、今までにない新たな形のようなものがあればお伺いしたいと思います。

○全国公正取引協議会連合会糸田副会長 全くおっしゃるとおり、これを書けと言われても、そのとおり書いていないと何の意味もない。むしろ逆に問題だけ起きるという話ですけれども、法律違反を防止するためには、当たり前ですけれども、一つは、絶対に違反をするなという啓蒙普及活動、啓発活動が必要である。業界の方も、いわゆるコンプライアンスという観点から、違反は絶対にしないという意識を持たせることが必要だと思います。にもかかわらず違反が生じたとしたら、これは、まさに法律違反として処理をしなければいけない。そのときの処理というのは、一つは、違反を是正させるための行政処分である。あるいは、その前提としての行政指導もあるかもしれません。その次は、程度によっては厳しいペナルティを科すことも必要ではないかと思っています。
私のこのメモにも、制裁として刑事罰、あるいは課徴金制度を設けて課徴金をかけるというようなペナルティ。要するに、違反をすればこんな手厳しい仕打ちを受けるということ。そのようなことが相まって違反が起きないように努力をする、そういう話かなと思っています。

○河上委員長 ほかによろしいでしょうか。
私も、幾つか聞きたいことがあったのですけれども、もし簡単にお答えできるのであれば、教えてください。
法の目的によって概念が相対化されるというのは、これはどの世界でも起きることで、その意味では刑事罰を前提とした要件と民事罰を要件とした行政的な措置と、全部違ってくるのはある意味ではしょうがないと私などはあきらめを持っていて、その部分をあえて一元化することによって、果たしてどうなのかなというのが一つあります。
もう一つは、統一法の具体的イメージ、糸田さんがお持ちのイメージがどういうものなのかということで少し伺えればと思ったのですけれども、例えば生鮮食料品があったり、お米とか調味料みたいなものがあったり、更には人工食品とか、健康食品とか、いろいろある。それぞれの食品のタイプによって、表示されるべきもののウエートが違ってくるのではないかという気がしますけれども、そういうときに統一法では、かなり抽象度の高いところでしか規定はつくれないのではないかという気がするのです。その上で更に必要なものというのは、ブレークダウンした形でそれぞれのものに応じた規定も必要になるかと。糸田先生がお考えの統一法のイメージというのは、相当抽象度の高いところにとどまるものなのか、それとも更に細かいところまでお考えになっていくのかということを、少しお聞かせいただければと思います。

○全国公正取引協議会連合会糸田副会長 最初の問題ですけれども、これは両方あり得ると思います。行政法的に言えば、ともかく違反があるのだから、その違反を一刻も早く除去してあるべき姿に戻すという改善のため、これは行政処分しかやりようがないです。刑事罰ではとても不可能な話です。そういった行政処分がある。他方、民事で被害者が損害賠償請求をすることも必要になってくるかもしれません。それらに加えて、事案の性質によっては、手厳しいペナルティを科するということから刑事罰があってもおかしくないし、行政上の制裁である課徴金を科することも同じということで、とるべき措置というのは幾つかあると思いますけれども、みんなそれぞれ、目的といいますか、それが違ってきているのではないかという感じもしますから、その点で特段矛盾はしていないのではないかと思っています。
2つ目の話ですけれども、それはまさに難しい、とてもこの場で申し上げることはできないのですけれども、表示の媒体によって書かせることが違うというか、少なくとも量の違いがあるとか、事業者の業態によって、メーカーだったらここまで、販売業者だったらここまでというふうな違いもあるとか、販売の方法によって違いがあるということを申し上げました。更にそれにつけ加えるとすれば、今、先生がおっしゃるように、食品の種類によってどこまで書かせるのか。極端に言えば、種類ごとにみんな違いがあるだろうと思っています。これは、法律で全部そこまで書くことは到底不可能だと思います。ですから、仮に法律で書くとしたら、共通事項みたいなことがあって、それが書けるのだったらそこは法律事項で、それ以外の、さっきから申し上げているような話とか、食品の種類による問題とか、こちらの方は例えば内閣府令とか、法律によって委任された政省令の方で対応することになるのではないかと思っていまして、この法律自体はとても書き切れる問題ではないだろうと思っています。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
現在、食品表示の一元化に向けて、いろいろなところで議論が進んでいるところでございます。先生の御意見にもありましたように、共通の理念というか、共通の道具概念というものを明らかにして、できるだけ消費者にとってわかりやすい表示を実現するために、一元化できるところは一元化していこうではないかという御意見と承りました。大変感銘を受けました。
糸田氏におかれましては、お忙しい中、委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございました。
それでは、ここで若干休憩をとらせていただきたいと思います。申し訳ございません。10分ほどの休憩をいただきますので、5時5分ぐらいに再開ということで休憩に入らせていただきます。

(休 憩)

≪3.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫

○河上委員長 それでは、委員会を再開いたします。
続いての議題は、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」であります。消費者基本計画の検証・評価・監視につきまして、消費者委員会として、重要課題と考える項目の今年度の施策の実施状況等について、71回委員会からヒアリングを行っております。本日は、その5回目として、資料2にありますように、食品表示の一元化に関する施策である69番、法執行に関する施策である43番について、関係省庁においでいただいておりますので、ヒアリングを行いたいと思います。
なお、資料2にありますように、委員会でお伺いしたい内容はヒアリング項目としてまとめてありまして、あらかじめ関係省庁にお伝えしておりますので、こちらも念頭に御説明をいただければと思います。
初めに、食品表示の一元化に関する69番の施策について、本日は消費者庁おいでいただいております。それでは、説明をお願いいたします。

○消費者庁増田食品表示課長 消費者庁食品表示課の増田でございます。よろしくお願いします。
それでは、私の方から施策番号69番、食品表示の一元化の検討について御説明したいと思います。事前にいただいたヒアリング項目に沿って、状況を説明したいと思います。
最初に、Q1とQ2の部分ですけれども、「食品表示一元化検討会」につきましては、今年の9月に発足して議論を開始していただいております。具体的には、お配りした資料の5ページに構成員等について資料を出しております。検討会においては、今までに3回開催し、新法の目的等について御議論をいただいているという状況でございます。
問2とも関連しますけれども、今、食品に表示を義務づけておりますJAS法と、食品衛生法の部分、それと、任意の表示でありますけれども、表示を推奨している栄養成分表示の部分。積極的に行政として表示を求めているこの3つの部分について、一元的な法律で管理していくことを目的として検討会を行い、かつ、今までも一括表示等で運用ベースでは統一性を確保しているわけで、更に消費者庁にその所管が移り、消費者委員会で御検討の上、義務表示事項を決めているわけでございますが、そこの部分について、新しい法律になるに当たりまして、今までの表示が実際のところ消費者にとって本当に必要な情報を適切に伝えられていたものなのか。あるいは見づらい等、よく御指摘があるところでございますが、そういった点について今後どういうふうに考えていくべきなのかといった、むしろ将来に当たっての望ましい表示、消費者によく情報が伝えられる表示とはどういう表示であるべきなのか、ということを中心に議論をしていただきたいというふうに考えております。それと併せて、勿論、加工食品の原料原産地など、消費者委員会の方から検討すべきと言われたことも御検討いただきたいというふうに思っております。
以上が、問1、問2の部分でございます。
続いて、問3の部分でございます。最初に方向性を申しますと、表示の不備に対する申出制度、これは、今のJAS法21条に設けられている申出制度のことを基本的に指しているかと思いますが、これについては、今、JASでもありますので、新制度についても同様の措置を講ずる方向で考えております。
2番目の消費者からの相談を受け付ける体制。これについては、現在でも消費者庁において電話等で相談をいたしております。いずれにしても、法律事項というより、実際での運用ベースでの議論だと思っております。できる限り充実していきたいというふうに考えております。
食品の機能性表示につきましては、平成22年8月に「健康食品の表示に関する検討会」の論点整理をいただきました。そこに、消費者庁において実施すべき事項と、更に消費者委員会において御検討いただくべき事項というのを整理しております。そのうち特に特保の制度の改善については、今年の6月に消費者委員会から報告書という形のまとめが出ているという状況だと思います。更に消費者委員会で御検討いただく事項のその他の部分については、夏に中間整理が行われて、そこで更に議論をしていくという位置づけになっていたかと思います。
私どもとしては、食品の機能性の表示につきましては、今、お話し申し上げました論点整理ですとか、消費者委員会からいただいた報告書、そこに示された方針に基づいて、一遍に全部できないというのは大変申し訳ないのですけれども、できる限り一つひとつやってきておりますし、これからもこの方向をもってやっていきたいというふうに思っております。
以上については、検討の方法、施策方向、基本的には決まっていると思っておりますので、特段改めてこれについて検討会で議論をしていただくことは、現在のところ、特に想定しておりません。
問4、健康食品の誇大広告等につきましては、健康食品の検討会の論点整理にも書いておりますけれども、消費者庁においてインターネット監視をして、今は3か月ごとに改善要請をし、その状況について公表している状況でございます。つい先日、11月22日にも、7月から9月分について、インターネット上問題と思われるような表示をしている事業者に対して、改善要請を行っているところでございます。
次に問5の部分です。収穫後農薬、遺伝子組換え、アレルギー表示についてです。収穫後農薬については、ちょっと示されているものがいまひとつよくわからないところもあるのですが、我が国においては収穫後農薬、添加物として基本的に位置づけられているはずで、食品衛生法で実質的な規制がなされております。食品衛生法上の添加物につきましては、表示をするというのが原則ルールになっております。添加物として、勿論認められないものは使えないわけですけれども、使えることになって使われているものは表示がなされるというのが、基本ルールとして運用されていると理解しております。
遺伝子組換え表示につきましては、直近の例で言いますと、遺伝子組換えパパイヤが安全性審査をパスして輸入できる状況になったことに伴いまして、これも先日、食品表示部会でも御検討いただきましたけれども、遺伝子組換えに関する表示の義務づけ等をしたところでございます。
アレルギー表示についても、先日の食品表示部会でも御説明しましたけれども、やはり定期的に状況を把握して、消費者委員会食品表示部会で状況を御議論していただく場が必要であろうと私どもは思っております。なかなか現時点でできていないというのは申し訳ないところなのですが、これについては勿論、追加することのありなしにかかわらず、そのときどきの状況を御報告する機会を持ちたいと思っております。
私からの説明は以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。
田島委員、どうぞ。

○田島委員 御説明、ありがとうございました。検討会を今後10回ぐらい開催するという御報告をいただきまして、ありがとうございました。
検討会の検討項目として5ページに3つ載っておりますが、すべて、在り方、在り方、在り方と、こういうふうに表示されています。一体どこまで検討会で検討をお願いするように考えていらっしゃるのか。例えば新しくできる法律の目的とか、大まかな法体系まで踏み込んだ答申をいただくことを目的としているのか。あるいはもっと漠とした、本当の在り方だけ、基本方針みたいなことだけ答申をいただくことを目的としているのか。その辺がいまいちわからないので、教えていただければと思います。

○消費者庁増田食品表示課長 確かに、検討会の方向性がわかりにくいという議論はいろいろいただいています。大変申し訳ないと思っておりますが、私どもの基本的な考えといたしまして、検討会で検討をしていただきたいと思っているのは、栄養成分も含みますが、まさに消費者が実際に見るあの一括表示欄が今後どういうふうに記載されるべきなのか、ということがまさに基本で、そういう意味では勿論法律に絡む部分もありますし、もっと先の運用に絡む面もあります。逆に、法律に載っていても別に一括表示欄には直接関係ないこともありますので、法律には書くけれども一括表示欄には関係ないという意味で、直接議論の対象にする考えはないものもございます。
いずれにしても私どもの考えの出発点としては、実際に消費者が商品選択をするときに見る、あるいは見るために、消費者庁が、こういうことを書けというふうに事業者に表示を義務づけていくその中身であり、その結果である一括表示欄が、どういうものであることが消費者にとって一番望ましいのか、ということを議論をしていただければというふうに思っております。

○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。
山口委員。

○山口委員長代理 先ほど、糸田省吾さんにおいでいただきまして、糸田先生がお考えの食品表示統一法の基本構想をお聞きしました。私も食品表示一元化の検討会は第1回を傍聴させていただいたのですが、端的に言うと、メーカーはメーカーで、消費者団体は消費者団体でそれぞれの立ち位置が決まっていて、平行線の議論で、原産地表示の問題も、賞味期限なり消費期限の表示の在り方の問題も、なかなか収れんするところがない感じで、これで一体どこに行くのだろうかという感じを持つわけです。
糸田先生は、例えばJAS法のうちの品質表示の適正化に関する部分と、食品衛生法の表示に関する部分と、健康増進法の表示に関する規定を食品表示法ということで取り込む。その関係で、景品表示法や不正競争防止法でも、食品の表示の関係についてはそっちに取り込んで、食品表示の在り方全体を一つの法律で、また消費者庁で一括して執行するような、そういう体系を考えたらどうかという、かなり壮大な御意見をお持ちなわけです。ステークホルダーのそれぞれの立ち位置でいつまでも平行線の議論をしているのではなくて、一定の理念できちっと立ち位置を決めて、その上で、直接はこの3つの法律、それに関連する景品表示法と不正競争防止法の枠組みを考えていく。そういう検討をしないと、いつまでたっても平行線の議論で終わってしまうのではないかと思うのですが、その辺はどうなのでしょうか。

○消費者庁増田食品表示課長 検討会は、勿論、知見もバックグラウンドもある方々に委員になってもらっているわけでございます。そういう中で、それぞれの立ち位置というのもちょっとあれですけれども、それぞれのお考えをそれぞれ言ってもらうことは、むしろ検討会なので、そういうことを言ってもらう場でもあるのだろうなと思っております。最後まで平行線かというのはあれですが、皆さんそれなりの見識を持たれている方なので、最後は一定の方向にある程度まとまっていくのではないかというふうに思っています。その委員がどういうふうに議論をするかという話と、そもそも法律の枠組みをどうするかというのは必ずしも一致するわけではない。検討会でもそうですけれども、ある程度議論が進むと、「案がないと議論が進まない」というふうにおっしゃられますし、それではといってたたき台を出すと、「それではない」と、こういうふうに言われるわけですが、いずれそういう過程をある程度経ないと、一定の収れんはないのではないかというふうに思っております。
法律の枠組みについては、私どもの考えは先ほど申し上げたとおり、基本的に義務表示の部分を一元化していくということを考えております。このことは、そもそも共同会議で運営していた時点から、食衛法とJAS法の一括表示、要するに義務表示における重複、これは整合性をとるべきであると。そこから食品表示の一元化の問題は出ているので、基本的に義務表示、あと、栄養成分表示については今は任意ですが、今後、世界的にも義務化という動きもありますし、今も積極的に消費者に、任意ですけれども推奨しているので、積極的に書かせる部分としてひとまとまりのものというふうに思っております。
ちなみに、景品表示法とか不正競争防止法については、むしろ私どもより、それぞれの所管の方からの意見をお伺いいただきたいと思いますけれども、こういう規制法はなるべく横断的に規制できることが望ましいと私は思っております。したがいまして、規制の適用範囲を分断するような改正は、分断したところの適用が執行上問題になることが多々あって、結果としてすごくやりにくくなるものだと思っています。正直申し上げて、一元化の箱がどうこうというより、横断的なものを分断するということをとる、少なくとも必要性はないのかなと。今、横断的であるものはなるべく横断的、むしろ横断的でないものはなるべく横断的にする方が、多分、規制法としては望ましいのかなというふうに思っております。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
細川委員、どうぞ。

○細川委員 いろいろ御努力されていると思いますけれども、どうしてもこういう議論というのは、規制する側とか、ものをつくる側の議論になってしまいがちで、デマンドサイドというか、いろいろな表示はあるけれども、見るのは一人の消費者なわけです。それに基づいてものを選択するわけだから、そこで十分な表示、わかりやすい表示がなされているかという視点、勿論そういう視点でやられていると思いますけれども、本当にどういう表示が消費者にとって望ましいかということを、例えば消費者団体に委託調査をしてモデル表示案みたいなものを出してもらうとか、そんな活動はないのかなというふうに思います。
私がちょっと経験したことですけれども、カステラみたいなカップ菓子を買ったときに、内容量を見ると6個と書いてあるわけです。個数を内容量で書くのもどういう意味かなと思いますけれども、一方、カロリー量を見ると、100g当たり400キロカロリーと書いてあるわけです。自分が食べる1個が何カロリーかというのは、自分で計算機で計算しないと出ないわけです。そのようなものが放置されているというのが現行法なので、消費者にとって望ましいというところでの研究とか、そういうものというのはやられているのでしょうか。

○消費者庁増田食品表示課長 まさに、消費者にとって本当に見やすいもの、必要な情報、手に入りやすいものは何かを追い求めようとしているのがこの検討会であります。今、委員もおっしゃったとおり、いろいろなアンケートを読みますと、たくさん情報があった方がいいという意見と、いっぱい書いてあって、字も小さいし、なかなか読みづらくてわからないという、相反する2つの大きな意見があると私は思っています。義務で表示をさせるわけですから、義務でやらせるにはどちらの方向を基本として考えていくのかというのを、ある程度見極めていくというか、コンセンサスを取っていくことが、新しい表示を考えていく上ではすごく大事なのかなというふうに思っております。
消費者の方の意見につきましては、一つは、次回の検討会でも案を出すことになっておりますけれども、インターネットを使った調査ですが、消費者にアンケートをしたいと思っておりますのと、検討会につきましても、ある程度論点が定まった時点で中間整理をして、それについて結論をパブコメするのではなく、こういう意見とかこういう意見があるけれども、どうかという形で、広く一度消費者に意見を聞く。これは消費者だけではなく、事業者の方々もみんなあると思いますけれども、今後、食品表示をどういうふうにすることが、幅広い消費者にとってよりわかりやすいものになるかというのを意見を聞いていくことをやって、その上で検討会の報告をまとめていけたらというふうに思っております。

○河上委員長 ほかによろしいでしょうか。
食品表示は各論になると恐らくいろいろな問題が出てくるし、具体化するに当たっては、それぞれについて検討すべき点がたくさんあるだろうと思いますけれども、共通したものについて横断的に一元化するということで、結果的に消費者にとって非常にわかりやすい表示が実現することは、大変重要なことだろうと認識しております。その意味では更に検討を重ねて、少しでもよいものに仕上げていっていただければと思います。
消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
続いて、法執行に関する43番の施策についてでございますけれども、本日は、関係省庁として消費者庁においでいただいております。
それでは、説明をお願いしたいと思います。

○消費者庁黒田消費者政策課長 消費者庁消費者政策課長の黒田です。
お手元の資料2の2ページにありますが、消費者基本計画の施策番号43において「特定商取引法の適用除外とされた法律などの消費者保護関連法について、消費者被害の状況などを踏まえ厳正な法執行を行うとともに、執行状況について随時取りまとめ、公表します」とされております趣旨を踏まえまして、更に、「消費者庁は、消費者委員会の意見を聞きながら、必要に応じ各省庁の具体的な取組を促す」ということで、今回、実際に特定商取引法の適用除外とされた法律などの消費者保護関連法の執行状況について取りまとめた資料が資料4でございます。
全部で66本の法律についてまとめたのですけれども、考え方としては、消費者庁が所管している法律プラス特定商取引法の適用除外とされた法律を対象にしました。ただ、消費者庁が所管している法律の中には、刑罰規定しかなくて処分規定のないものとか、民法の特則を規定した法律のようなものもありますので、そういったものは抜かして66本ということでございます。
1番から22番までが消費者庁の所管している法律で、23番以降が特商法の適用除外となっている法律です。ただ、消費者庁の所管している法律の中にも、例えば宅建業法、旅行業法、割賦販売法、貸金業法は、所管といいますか、共管している法律ですけれども、これらも適用除外となっております。いつも作業がぎりぎりになって、並び方をうまく分野別にするなどできないままこの日を迎えていますが、法律の制定順で並べております。主な分野は、金融・保険の関係が20本ぐらい入っているのと、運輸関係、物流、そういった関係が11本ぐらいあります。不動産・住宅分野が2本ぐらい、放送法とか電気通信事業法が2本。いわゆる士業法、公認会計士法、司法書士法、その他、7本ございます。それにも入らない、例えば商品先物取引法とか、国民年金法とか、ADR法とか、そういったものと、あと、無尽業法、長期信用銀行法、こういったのが30本。全部で40本以上ございます。
この見方ですけれども、具体例を示すために中身を具体的に見ていただければと思いますが、2ページを開いていただければと思います。最初に「制度の概要」ということで、法律の目的。例えばこれは食品衛生法ですけれども、「食品の安全性確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずる」云々とございます。その次が主務大臣の権限、主な規制の内容。例えば、毒が入っている食品は販売してはいけないとか、そういった中身です。
次に、「権限の関係行政機関との分担・委任の状況」ということで、法律の中には執行の部分を都道府県等と分担している場合がありますので、そういった状況を書いてあります。例えば食品衛生法で言いますと、国は例えば指定外添加物の使用等の禁止とか、検疫所は輸入食品の届出、地方厚生局は何をやっているとか、都道府県、保健所設置市及び特別区は食品衛生監視指導計画の策定等を行っているとか、消費者庁は何をやっているということが各法律について書いてあります。
次の項目は、直近3年間(平成20年度、21年度、22年度)の法執行の状況を書いておりまして、例えば食品衛生法で言うと、厚労省が検査命令は幾つやったとか、都道府県が幾つやったとか、消費者庁は、処分はないですけれども、主体ごとにこれについては書いてあります。
更に次の項目といたしまして、法執行における、関係行政機関(関係省庁・地方支分部局・地方公共団体)との連携はどうしているのかということで、食品衛生法については食品安全委員会との関係、農水省との関係、自治体、その他、それぞれどういった関係があるかという中身について書いてあります。
次に、法執行実績の公表状況については、例えば食品衛生法は、違反があった場合は随時公表しているということです。処分については個別の処分ごとにということが多いのですけれども、ホームページ等を使って公表している。
今回については、情報・相談を受け付ける体制について、直近3年間の受付件数ということで調べたのですけれども、体制についてあるか、ないかということで言えば、大体、体制がありますけれども、受付件数が、必ずしも個別の法律ごとに分けて聞いていないということもありまして、何法でどれだけあったのかは、わからないという例が実際には多く含まれているということでございます。
例えば食品衛生法では、これだけ営業停止命令とかいろいろ執行されていますけれども、ほかに主だったところで大きい事例を申し上げます。10ページに飛んでいただきますと、宅建業法があります。そこに「目的」等がありますけれども、処分の件数は12ページにございまして、直近3年間、例えば平成20年度は立入検査1,650か所、21年度は1,800か所、22年度は1,919か所、そういったことでそれぞれ執行しております。
あと、52ページにあるのは金融商品取引法でございまして、件数は53ページにあります。業務改善命令、業務停止命令、その他いろいろ執行状況がございます。
では、どんな例が具体的にこの中にあるかというと、FX取引の電話勧誘販売で不招請勧誘を行った事例、例えばそういったことがあったのを処分しているということです。
次に71ページに飛びますと、司法書士法がございます。実際に懲戒処分の件数が72ページにありますけれども、これはどういった事態で具体的なものであったかといいますと、例えば債務整理の広告において、過払金が必ず返還させられるものと誤解させかねない表示を用いて顧客を誘引し、面談などもしないで業務を行うといった事例などが処分されているとのことでございます。
次の具体的な例で言うと、75ページが商品先物取引法です。「商品取引所法」と「海外商品市場における先物取引の受託等に関する法律」が併合されて、23年1月1日から商品先物取引法になっているのですけれども、その前の例なども含めてどんな事例があったかといいますと、海外の商品市場を取り次ぐと言っていながら実は全然関係ない取引だったという、不実告知とか、書面の不備とか、先物取引は絶対儲かるといった断定的判断の提供とか、こういったことがあって処分が行われているということでございます。
執行件数が多いところで言いますと、79ページは道路運送法ですけれども、実際の処分は81ページにございまして、年度別の数字等がございます。一番上が、いわゆる乗合のバス、2番目が貸切のバス、タクシーという順番になっていますが、例えば車両の使用停止とか、これだけそういった処分が行われているということでございます。
全体を見ますと、執行の都度、公表をプレスリリースで流してホームページに掲載するというのがオーソドックスでありまして、年間の件数については、大体年に1回とか、国会報告もしくはホームページを通じて報告するといったことでございます。
123ページは、「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律」というのがございます。数字がここにありますけれども、特に公表はされていないようで、今回調査してこういう件数があったというのを把握しております。
関係省庁との連携ということですけれども、基本的には情報が消費者庁に入ってくるということで、消費者庁が所管していない法律について、消費者安全法に基づきまして、いわゆる財産事案の消費者事故等についても誇大広告等の消費者の利益を不当に害するおそれがある事態が起こっており、かつ、同種若しくは類似の被害が発生するおそれがある場合には関係省庁から消費者庁に通知されることで連携しているということもございます。
消費者政策担当課長会議というのもございまして、これは率直に申し上げて、余り開いてはいないのですけれども、案件に応じて関係する省庁が集まる形をとっております。つい最近の例ですと、特商法に限った話ではないのですけれども、留学あっせんについて、消費者庁ができるときに大手が倒産したということもあって、消費者特で議論もされた案件です。それについて、事業者団体と消費者団体が一つになって、新しく一定の審査をして認定するという仕組みをつくったのですけれども、そういった仕組みをつくる過程とか、今回、それがつい最近公表されたのですが、そういったときに報告を受けるのも、観光庁、文部科学省、経産省とか、関係省庁が適宜集まって話を聞く。必ずしも一々全部、そういう会議をやりましたとか公表しているわけではないのですが、常に連携をとりながらやっております。
消費者庁の方で端緒情報をつかんだ場合には、消費者事故で、必要であれば安全法に基づいて措置要求ということもあるのかもしれないですけれども、できるだけ早く、こういうことが起こっているという情報はなるべく伝えて、早い段階から被害の拡大を防ぐ形で情報共有をしているということで、連携してきております。
あと、「特定商取引法の適用除外の考え方の一つとして、他の業法などで消費者の権利確保が図られていることがあるが、業法の規制と特商法の規制の双方を受けることがあってもいいのではないか」という御質問をいただいておりますが、これについては畑野課長から説明いたします。

○消費者庁畑野取引対策課長 取引対策課長の畑野でございます。よろしくお願いいたします。
時間も押しておりますので、簡単に御説明させていただきたいと思います。まず、特定商取引法は、既に御案内のとおり、平成20年の改正におきまして、それまで政令で指定をしたものの商品・役務について訪問販売、通信販売、電話勧誘販売の規制をかぶせる、こういったところを全面改正いたしまして、原則すべての商品・サービスに適用する。ただし、ほかの法律できちんと消費者保護が図られているものについては、適用除外にしますという整理にさせていただきました。
適用除外については、特定商取引法の中に事細かに規定されております。具体的に申し上げますと、金融商品取引法、宅地建物取引業法、旅行業法、この3つについては、特定商取引法の中で適用除外とする規定がされています。その3つの法律のほかに、勧誘もしくは広告の相手方、申し込みをした者、購入者、そういった者、消費者の利益を保護することができると認められるものとして政令で定める法律ということでございまして、今、申し上げました3つの法律以外で消費者保護が図られていることを理由にして適用除外となる法律、これが特定商取引法の施行令、政令で定められています。その数は49本ございます。
なぜ消費者保護が図られているかということについては、特定商取引法の解説の本にも書いてありますけれども、2つの観点からこれをチェックする。一つが、消費者被害に対する是正措置が整備されていること。それから、その是正措置を発動することが可能となるような法目的との整合性、こういうことでございます。実質は、今、申し上げました第1点のところで、例えば業務改善命令、約款の変更命令、指示、あるいは許認可の取消、こういった措置を発動することによって、かつ、是正措置を発動することのトリガーが、消費者保護が図られているかどうかといったところが担保されているものについては、政令で、適用除外の法律ということで規定することができる、こういうことでございます。
なお、政令で新しく適用除外となる法律を定める場合には、同じく特定商取引法の定めによりまして、あらかじめ消費者委員会にこれを諮問させていただいた上で、妥当である旨の答申を得る、このような手続も必要だということが規定されています。
その上で、いただいた御質問でございますけれども、今、申し上げましたとおりでございまして、特定商取引法の適用除外となっている業法もございますし、適用除外となっていない業法も勿論ございます。したがいまして、適用除外となっているものは特定商取引法は適用されません。何となれば、それぞれの業法において消費者保護が図られることがきちんと担保されている、こういう整理でございます。
一方で適用除外となっていない業法もございます。これについては、質問の趣旨のとおり、「双方の規制を受けることがあってもよいと思われるが」というのは、まさにそのとおりでございます。それぞれの業法で規制をするという観点と、消費者保護を図るという観点と、片や業法、片や特定商取引法という形で法律の観点が違いますから、これは当然、双方の規制を受けることがあってもいい。
代表的な例ということで、差し支えないと思いますけれども、例えば「廃棄物処理清掃法」という法律などがよろしいかと思います。廃棄物処理の業の場合には確か許可制になっていると思いますが、一方で、これは特定商取引法の適用除外にはなっておりません。例えば廃品回収を行う事業者が、消費者の意に反するような形で勝手にそのものをトラックに積み上げて、積み上げた対価としてお金を請求する。実際にこういった例があったわけでございますけれども、この場合においては特定商取引法に基づいて業務停止命令処分を行いました。廃掃法でどういう形でその業者を処分したのか、そこは知りませんけれども、当然、廃棄物処理法の中で当該事業者における違反行為が認められれば、それは廃掃法できちんとその辺のペナルティが図られるということだと思います。
したがいまして、当たり前のことかもしれませんけれども、業法といえども適用除外となっているもの、なっていないもの、なっていないものについては重畳的な規制を受けるということで、これは御理解として正しいのではないかというふうに思っております。

○消費者庁黒田消費者政策課長 消費者庁からは以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御検討のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
山口委員。

○山口委員長代理 お忙しいながら、これだけの大量な貴重な調査をありがとうございました。とりわけ、情報・相談を受け付ける体制の有無、及びその相談の件数がどうなっているかという傾向等について調査をいただきまして、今後、消費者委員会でも検討する貴重な資料にさせていただきます。
特に私の方で注目しましたのは、例えば37ページに、「電子メールの送信の適正化等に関する法律」に基づく相談体制などで、毎年320万件ほどの電子メール法違反メールの転送受付通数がある、これをどう考えたらいいのか。あるいは105ページ辺りには、電気通信事業法に関連する相談が年間1万件近くあるようです。これは特商法の適用除外になっているわけですが、消費者被害を抑止するためにどう考えていったらいいのかというところは、中長期的な課題でもあると思いますので、今後、消費者庁とも御協力させていただきながら、この調査結果を生かしていきたいと思います。ありがとうございました。

○河上委員長 ほかには、よろしいでしょうか。
本日は、どうもありがとうございました。全体としてすき間事案に対してうまく対応できるためには相当の連携が必要になりますので、更に連携を強化していただきたいと思います。それから、重複を恐れないで、消費者の安全、利益に資するのであれば、どんどん積極的にトライしていただければありがたいと思います。
これで、今回の消費者基本計画の検証・評価・監視に関する関係省庁のヒアリングは、一応終了ということになります。各々関係省庁におかれましては、ヒアリングに協力していただいて、大変ありがたく存じます。聞いてきて、それぞれ関係省庁が消費者の利益保護のために尽力していただいていることがよく理解できましたけれども、同時に、更に努力していただきたい点も少しずつ見えてきたような気がいたします。消費者委員会の今後の活動を考えていく上でも、ヒアリングは大変有意義だったと考えております。これからも引き続き、政府が毎年度実施する消費者基本計画の検証・評価・監視に際して、消費者委員会としては、消費者行政全般に対する監視機能を最大限に発揮しながら、関与させていただきたいと思っております。

≪4.国民生活センターの在り方について≫

○河上委員長 続いて、「国民生活センターの在り方について」ということでございます。国民生活センターの在り方につきましては、前回の第75回委員会において、「国民生活センターの在り方の見直しに関する検証会議」の検討状況ということで、消費者庁、国民生活センターから御報告をいただきまして議論を行ってきたところでございます。本日は、引き続きまして、消費者庁、国民生活センターにおいでいただいておりますので、11月30日に行われました同会議の第6回会合の議論の状況について、御報告をいただいて、議論を行いたいと考えております。
それでは、御説明をお願いいたします。

○消費者庁林地方協力課長 消費者庁地方協力課長の林でございます。
お手元にお配りしております第6回検証会議の資料、消費者委員会の資料としては資料5-1という表示がある束でございます。これに基づきまして御説明をさせていただきます。
表に議事次第が載せてありますが、当日は、「一元化及び一元化以外の選択肢に関する論点」、この中でも特に組織形態に関する議論が中心に行われました。当日は、資料4-1から4-7にありますように、御参加いただいております各委員のうちから7名の委員について、意見書の提出がございました。また、基本資料として資料1から3までを提出しております。
資料1は、これまでの検証会議での各委員の議論を踏まえて、提出いただいた意見についての整理を行っている資料。これは、随時更新している、毎回出させていただいている資料でございます。
資料2として、国への移行、新たな法人への移行、そのほかに政府から独立した法人といった提案もありましたので、それぞれのバリエーションとしてあり得るもののメリット、デメリットを整理した資料を提出しております。
資料3は、当日、座長から提出をいただきました「検証会議中間とりまとめ・座長試案」、これに基づいた議論が当日の議論の中心でございました。
この取りまとめ試案について御紹介させていただきたいと思います。資料3をごらんいただきたいと思いますが、3ページ物の資料になっております。構成としては、まず最初に、各委員のこれまでの議論の中から生まれた共通認識を整理させていただいた上で、2ポツとして、組織形態の中でとり得る選択肢、それぞれの評価を行い、3ポツで、これまで2か月弱ですけれども、行ってまいりました「試行」についての評価、4ポツで「結論」といった構成で、座長から整理をいただいております。
御紹介しますと、まず、共通認識です。国センの果たしてきた機能について、基本的には評価をしていただいた上で、そのすべてを維持して、将来に向けてより一層充実させていく必要があるというのが共通認識なのではないかということで、座長から整理をいただいております。
2ポツの選択肢のところでございます。この共通認識をベースにしてそれぞれの選択肢をどう考えるかということでございまして、まず1つ目の「新たな法人制度への移行」。これについては、行政刷新会議から示されております基本的な考え方、今日の資料としては資料5-2資料5-3として、私どもから行政刷新会議に問い合わせをしたり、あるいは、行政刷新会議の独法分科会の議論の過程で示された資料を、御参考に付けさせていただいております。
いろいろ確認をさせていただく過程で、国の関与が強化されるといったこと。反対に法人の裁量の範囲が狭められる、あるいは監督権限の強化といったことがあったり、財政的にも自己収入の拡大に向けた仕組みが内包されていて、一方で、中期目標期間などが終わると、法人の存廃も含めた検証を行われなければいけないといった仕組みになっているということがございます。各委員、新しい法人についてもまだ可能性を追求するべきではないかという意見がありましたけれども、ここに国センが移行することについては、その機能を維持していく上で非常に大きな懸念があるというのが大方の意見でございました。そのことを踏まえて、座長からは整理をしていただいております。
2つ目、「国への移行」でございます。これにつきましても、私ども消費者庁、国民生活センターとで構成しておりましたタスクフォースでの議論は、消費者庁へすべての機能を施設等機関として一元化するということが結論だったわけですが、検証会議の中での議論におきましては、消費者庁というのもありますけれども、この消費者委員会、あるいは内閣府本府というそれぞれの組織が移行先としてはあり得るのではないか。また、移行形態としても、極端に効率化を追求しようとすれば、「内部部局」として吸収して一元化というのがあるわけですが、そのほかに、先ほど御紹介したような「施設等機関」、あるいは、より独立性の高い「特別の機関」として国センを位置づけてはどうか。いろいろなバリエーションで議論されております。それぞれについて、クリアーしなければいけない課題もございます。
また、機能面で申し上げますと、ADR、あっせんについては、消費者委員会、消費者団体の皆さんからも、執行権限を持つ行政組織の中で実行していくことが本当にいいのか、といった御懸念も指摘をされているところでございます。
こうしたことも注記をしていただいた上で、今後の在り方として、国への移行を選択する場合にも、消費者行政全体の機能強化の観点を踏まえた上で、また、消費者庁及び消費者委員会設置法附則第3項、消費者庁が関与する消費者行政関連の法律の見直し、これに伴う消費者行政体制全体の在り方の見直し、こういったものを踏まえた上で、消費者行政に係る体制の在り方を含めて検討すべきという意見もございました。こういったことも整理をさせていただいた上で、いずれにいたしましても、国への移行の具体的な在り方については、更に議論すべしというのがここでの整理でございました。
3つ目の選択肢として委員から御提示があったのが、これとは別の、「政府から独立した法人」への移行ということでございます。当日は、いわゆる刷新会議で検討されている新たな法人組織とは別の、更に政府から独立した法人というものについて、追求すべしという意見がございました。
また、複数の委員からは、現実性の観点も踏まえた上で、検証会議の議論として一つの方向に取りまとめをする上で、国への移行といったことを念頭に置きながら、優先順位をつけて議論すべきではないかといったようなこと。あるいは更に突っ込んで、タスクフォースで示した結論、消費者庁への一元化というものをベースに置きながら、それに伴う懸念の解消という方向で議論すべきではないかといったような意見がございまして、すべてが収れんしたわけではございませんでしたけれども、「政府から独立した法人」については、やはり具体像がなかなか見えてこないこと。それから、限られた時間の中で、実際にどういうものをイメージするのかということを、きちんと示して議論をすべきではないかといった意見もございました。
座長から示された試案の中では、そういう意味で具体の姿がよくわからない中で、一つの論点として、財政支出によって運営されることを前提としますと、政府から全く独立した法人というのはあり得ないのではないかということ。一方で、独立性を追求するという観点からは自己収入で運営するということがあるわけですが、こうしますと、一部のサービスの有料化といったことも念頭に置かざるを得ませんので、機能を安定的に維持をしていく上でいかがか、といったようなことで整理をしていただいております。
更に、試行については、随時報告させていただいて質疑に応じてまいりましたけれども、なにぶん試行開始後まだ2か月ということもありまして、今後も引き続き検証・評価する必要があるのではないかというのが座長の整理でございました。
こうしたことを踏まえて、結論としては、新たな法人制度ではなく、国に移行することが適当ということが示されております。具体的な機能を国へ移行する在り方について、消費者庁・消費者委員会、その他の消費者行政にかかる体制の在り方について、これらについて引き続き議論をし、夏までに結論を得ることとしてはどうかというのが座長試案の中で示されました結論でございます。
繰り返しになりますけれども、これをベースにいろいろ議論が行われました。また、特に政府から独立した法人を追求すべしという意見を強く主張される委員がいらっしゃいましたので、その具体像がどういうものなのか、それを本当に実現できるものなのかどうかといったことで、これについてはかなり厳しいやり取りが各委員の間でありました。その中でこの座長試案に示されておりますように、国への移行というのを一つの有力な材料として取りまとめをしてはどうかと。今日、御参加いただいております山口オブザーバーからも、当日、そういったサゼスチョンもいただきましたけれども、当日の議論では、すべての選択肢を並列で議論すべきではないかという委員の方もまだいらっしゃいまして、どれか一本に絞るところまでには至らなかった。ただ、多くの委員の方は、現実性という点で、また、時間も限られている中で、国への移行というのをやはり追求すべきではないかという声が多かったことも事実であります。
また、当日は、ちょっと時間の関係で御紹介はできませんが、後ほど理事長から補足もいただければと思いますけれども、野々山理事長から、資料として「見直し議論に関する見解」というのを示していただいております。5回目の検証会議の最後に、これまでの議論をめぐってコメントをということだったのですが、時間の関係でやり取りができませんでしたので、冒頭で野々山理事長から、この間の議論についての見解を示していただいて、このことも踏まえた議論が行われました。
私からの報告は以上でございます。あとは質疑で補足させていただければと思います。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
野々山理事長から、何か補足すべき点はございますか。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 配付されている資料5-1の最後の方に、参考資料として「国民生活センターの在り方の見直しの議論に関する見解」として文書で、私の見解を出させてもらいました。これを参考意見として検証会議で述べさせていただきました。簡単に、その内容について述べさせていただきます。
まず第1については、検証会議において、私ども当事者としてはやはり一定の方向性が見える結論を出してもらいたいということであります。前々回までの議論をお聞きしていますと、かなり拡散した議論になってきておりまして、私どもとしては、方向性がどうなっていくのかが全く見えない状態であったわけです。そこで、方向性をまとめる方向で議論をしていただきたいということを申し上げました。
昨日、民主党の議員連盟で、刷新会議の担当者の方が来られて説明をした中では、刷新会議では、先行して議論している当事者の見解を尊重しようということで、他の独立行政法人とは異なり、特別に国民生活センターについては意見を差し控えているところであるけれども、実際に当事者の方で意見がまとまらなければ、刷新会議の方で、事業をどのようにしていくか、どう仕分けしていくかということについて決めていくという発言もありましたので、やはり方向性はきちんと出していただきたいというのが私どもの考えであります。
もう一つ、見直しの視点というものがありまして、これは従来から申し上げており、前回のこの委員会でも、3点ほどあるということを申し述べております。1つ目は、タスクフォースの取りまとめにおける「見直しの視点」がきちんと確保されること。ここに7点ほど記載したとおりあります。
2つ目は、消費者行政強化の道筋がしっかりと示されること。現在の消費者庁が創設2年余りを迎えた中で、やはり幾つかの問題点がある。これだけではないのですが、問題の所在として、そこに挙げました、消費者庁にはプロパー職員が全くいないこと、消費者被害の実態を把握でき、センサーや臨床の機能を持つ現場が十分にないこと、これがさまざまな問題の原因ではないかと考えております。これを解消する視点が要るのではないかということ。
3つ目は、国民生活センターの各機能が安定して維持されていく在り方が必要であるということです。
これをいずれも解決する形としては、私どもとしては、当センターの機能を国自らが実施すべき機能として位置づけていくことが必要で、それを組織的に安定した形で確保していくことが重要だと考えております。その在り方については、さまざまな議論があることは承知しておりますけれども、やはり国の中にそういう窓となる機能があること、消費者目線を醸成する窓を設置する必要があること。プロパー職員の割合を増やしていくことが必要だと考えておりますので、そういうところからも国の機関として必要であるということです。
それから、安定した機能が維持されるということからしても、国の機関となっていくところが方向性としては妥当ではないかと私どもは考えております。その中身については、今後、是非議論をしていただきたいと思っています。
ただ、国の機関になった場合の懸念は確かにあるわけで、それに対しては制度的な担保が要ると考えております。その担保につきましては、組織的担保として、組織運用の在り方、運用のやり方等の工夫が一つあります。もう一つは、プロパー職員や現場を生かす人事運用・任用などの人事体制の確保が必要であります。それに対して更に具体化をきちんと考えていくべきだということで、4点ほど挙げさせてもらいました。
更に、これらの制度的担保に加えて、監視体制の構築も必要だと考えておりまして、一つは、消費者委員会の役割が重要になってくる。もう一つは、国に移行した後、検証会議などで検証の実施をしていく、そういうものが担保となっていく。そういうものの中で、よりよいものを考えていく方向性が妥当ではないか、と私は考えているという意見を述べさせてもらいました。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
前回も少し議論しましたが、新しい情報をいただいたところで、委員の方から、何か質問、御意見がございましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。
夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 御説明、ありがとうございました。ただいま野々山理事長からお話をいただいた中で、昨日、議連の方々と意見交換をされて、その中で、仮にここの検証会議で結論が出なければ行革の方で方向性を決めてしまうというお話をいただいた、ということを初めて伺いました。その情報というのは、皆さんに、つまり検証会議の委員の方々にも共有されている話なのでございましょうか。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 この話自体、私も昨日初めて直接聞いた話になりますので、共有されているということではないと理解をしております。

○消費者庁林地方協力課長 検証会議の議論の過程では、私からは、もしこの検証会議できちんとした方向性が出なければ刷新会議で決めます、ということは実は何回か発言して説明をしています。しかし、これはあくまでも私から説明をしているだけですので、直接の当事者ではないわけです。昨日は、初めて刷新会議事務局の職員から、もしこの検証会議の場で結論が一つにまとまらなかった場合と、あえて委員の先生から問いかけがありましたので、そのことに対して明確な答えがあったという意味では本当に初めての情報だと思います。刷新会議自体がそういうふうに発言したということは、検証会議の委員の皆さんはまさに御存じないことだと思います。

○原事務局長 少し補足をいたします。昨日の夕方、民主党の議員連盟の会議が開かれていて、質問対応ということで、消費者庁、国民生活センター、私ども、それから行政刷新の事務局の方とがおられて、その場には消費者団体も弁護士会の人たちも皆さん来ておられたので、検証会議の委員の方たちも入っておられました。だから、どういう話がされたかというのは、皆さんその場で初めて聞かれたので、共有されてきているというふうに思います。
ただ、私もその場にいましたけれども、行政刷新会議の事務局としては、自分たちの業務としてはそう答えざるを得ないというか、それがお仕事なので、自分たちとしてはそう答えますと。それ以上のことはできないのですか、何かないのですかと言ったら、そこはもう事務局の範囲を越えることだから、というお話でした。あとは政治的な判断ということだと思います。

○河上委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 私もその会合に参加しておりまして、私も刷新会議の事務局にも質問したことがございますので、御報告いたします。検証会議というのは、政務三役あるいは山岡担当大臣に一応の検討結果を報告して、あとは大臣の決断を仰ぐという状況になるかと思います。そこで山岡大臣は、行政刷新会議の動向を見据えながらしかるべき決断をなさるということになるかと思います。
一つの可能性として、行政刷新会議の担当大臣あるいは閣議の中で検討した上で、例えば検証会議の結論が、一つに帰着、この3つの選択肢のどれでいいとみんなが納得していることは今のところありませんので、なおこの3つの選択肢の中で一つの機軸を、先ほど野々山理事長がおっしゃったような視点をきちんと踏まえた形での選択を、例えば来年の夏なら夏までに選ぶから、行政刷新会議の仕分け対象にするのを保留して、検討結果を待ってほしいというような政治決断はあり得るのではないかということもお聞きしたのですが、その辺は事務局の参事官のマターではなくて、あとは政治のマターであるというようなお話でした。
そういうことが可能性としてあるのかどうかも含めて、非常に政治的な問題で、私どもの手に余る問題です。私個人の意見をこれから言わせていただきますと、新しい法人類型に行くのか、国へ移行するのか、それとも、道は狭いかもしれないけれども特別の法人類型に行くのか。この3つについては、検証会議の中でもなかなか一致しないところではあると思います。先ほど野々山理事長がおっしゃったような基本的スタンスを確認した上で、今後更に検討するという余地は、私はあるのではないかというふうに受けとめましたが、その点についてお二人のお考えをお聞かせいただければと思います。

○消費者庁林地方協力課長 お聞きになった方々の受けとめはいろいろだと思いますが、私も政府の一員ですので、山口委員長代理が言われたような選択肢は基本的にないと思っています。ここの時点で何らか選択をしなければ、あの場の発言の一番のポイントは、政治的な判断で時期をずらせるか、ずらせないかというよりも、すべての法人についてある類型にはめると。はめなかったら自分たちが決めますと言ったことが最も重要なポイントですから、両論併記で、どこか選ぶのはその先にしますということは、私はあり得ないと思っているのです。
ですから、限られた時間の中ではありますけれども、次の検証会議の中で、前回、山口委員長代理から御示唆いただいたように、これがマルで以下バツというふうにするのかどうかは、いろいろ議論があると思います。しかし、3つ示された選択肢の中で、何が果たして本当に実現可能性があり、また、機能の維持や充実という点で有効なのかという点での評価は、ある程度できるものを材料として、このタイミングで検証会議としては政務三役に提示をしていただくことが必要だと思っております。

○河上委員長 どうぞ、野々山理事長。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 昨日の刷新会議の担当者のお話ですと、国セン以外の他の独法については、ヒアリングはするけれども、判断はすべて刷新会議でやるということでした。ただ、国民生活センターは、この検討が先行しているということなので、その議論を尊重していくということであります。今までの議論は、消費者問題に関連する人たちの意見を聞きながら、いわば当事者の中で、消費者行政をどうしていくかということを踏まえていろいろな議論をされてきたわけであります。もしその議論で当事者で解決できなければ、刷新会議は自分たちでやると明言をしておりました。
それが今後、政治的にどうなるか、それは私どもはわからないところでありますけれども、まな板の上にのっている鯉の当事者としましては、是非とも消費者行政強化の視点を持った形での議論の中で一定の方向性を出していただきたいと思っております。消費者行政強化という視点はとても大事なことでありまして、それを外れた形で(なるかどうかわかりませんけれども)議論されて決定される事態は、是非避けていただきたいと思っております。

○河上委員長 ほかにいかがですか。よろしいでしょうか。
私も一つだけ伺いたいのですけれども、第三の法人の可能性についてですが、今回の座長試案では、基本的にはこれは否定するという形の試案になるわけですか。

○消費者庁林地方協力課長 今日お配りしている資料の座長試案のベースでは、「政府から独立した法人」という言葉だけで、それがどういう意味合いを持つものなのかということは、正直よくわからない中でこれを書いております。ですから、座長の理解としては、一応お聞きした中では、これを提唱された委員の言い方は、政府からも独立した法人と。今の独法と比較しても更に独立性の高い、政府の外にある法人というような言われ方をしていたので、そういう意味では余りガバナンスやコントロールが効かない。でも、運営については税金で賄われるというような限られた情報の中で、では、どう考えるかということを整理されています。前回の議論では、もう少し周辺が見えてきている部分もありましたし、また、一つの類例として法テラスを挙げられる方もいらっしゃいました。例えば、法テラスみたいなものを念頭に置いたときにどうかということも考えないといけないと思います。
実は、これも追加情報ですけれども、今ほどお話しした刷新会議との関係で、議連の座長をしている辻先生からも、法テラスのようなものがあって、いわゆる独立行政法人の枠組みを使いながらも性格の違うもの、行革の枠組みからは外れているもの、こういうものが考えられないかというお尋ねも実はありました。これについてはそれぞれの説明がありまして、法テラスは司法支援を行っているという業務の特殊な性格。要するに行政の枠組みにはまっていない。今回対象になっている102独法の中では、同じようなものとして国立公文書館があります。これも少し違った組織形態を試案に入れられているようですけれども、基本的に行政の仕事を担っている今の独立行政法人について、それとは全く異なる別類型に当てはめをすることは考えていません、ということを明言されています。民営化とか公益法人化というのはあるでしょう。しかし、そうではなくて、運営費交付金のような形で運営をしていく新たな公的な法人、これについては、今示されている何らかの類型への当てはめを念頭に置いていますというのが、行政刷新会議からのお答えでした。
要するに国センについて言うと、業務が特殊だからというよりは、先ほど理事長からのお話にもありましたように、別途、消費者庁と国民生活センターとの間で議論を始めて、議論の結果として、どういう組織形態を選ぶかということが別に行われているので、そういう当てはめの議論をこれまで行っていないが、そうでなければ、同じようにヒアリングをして刷新会議主導で決めます、そのときには今示している法人のどれかにはめます、ということを言われていたということであります。

○河上委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 時間的制約もありますので簡単にしますが、私はこの検証会議で、いわゆる一元化ですが、消費者庁の下の施設等機関という選択肢ではない、それ以外の国への移行の形が提示されたのは、それはそれとして選択肢として出てきたのは大きな成果だったと思います。
ただ、今、林課長がおっしゃったような形で、法テラスのような形の法人類型は、国民生活センターというのはどう考えてもほかの独法と違った特殊な性格を持つ実行組織ですから、あえて申し上げれば、どこにどういう形でぶら下がる、あるいはどこにどういう形で国への移行をするにしても、重大な懸念がたくさんございます。この懸念について検証会議では必ずしも解消できなかったという中で、タイムリミットがあるというのはよくわかるけれども、なお事務局としては、国から独立した法人類型への移行の可能性を探る余地は十分あるのではないか。この法人類型を選択肢として残して、あとは大臣の責任で選ぶというふうにせざるを得ないのではないか。ただ、大臣としては、今の政治状況の中で、あえて野党が反対するような選択肢はとられないだろうと私は思うわけです。その辺はこれしかないんだという道筋の立て方は、ぎりぎりのところまで来ているというのはよくわかるけれども、なおちょっと違うのではないかと言わざるを得ませんので、一応発言させていただきます。

○河上委員長 これは、御質問というよりも御意見ですね。

○山口委員長代理 はい。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 消費者基本法の25条に国民生活センターというのは特別に位置づけられているわけですね。そこの見出しが、そのときは独法だったから独法国民生活センターというふうになっていますけれども、ここに特に出されているという意味は変わらないわけなので、それを生かせるような形の組織にする必要があるということです。山口委員長代理と同じような話であります。

○河上委員長 ほかによろしいですか。
先ほどの第三の形や、具体的な姿がよくわからないというふうにおっしゃっておりましたけれども、実を言うと、ほかのも具体的な姿はよくわからない状態でございます。その意味ではどういう組織形態を選択するかというのは、なかなか一つには決めにくいところはあると思います。これは政務としても随分悩まれるところだろうと思いますが、いずれにしても、消費者委員会としても今後更に検討させていただきたいと思います。
消費者庁、国民生活センターにおかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
本件につきましては、引き続き、「国民生活センターの在り方の見直しに関する検証会議」等で検討が予定されていると聞いております。ほぼ座長試案の形が見えてきたこともございますので、この段階で、消費者委員会としても現時点での意見を取りまとめることができれば、それを取りまとめて意見として出していってはどうかと考えております。一応これまでの委員会の中での意見を参考にしながら、意見案を作成しておりますので、配付をお願いしたいと思います。

(追加資料配付)

○河上委員長 それでは、本意見案につきまして、山口委員長代理から最初に説明をお願いしたいと思います。

○山口委員長代理 この間、検証会議で消費者委員会の内部で検討した状況については、随時発言させていただいてまいりましたけれども、それを現段階で文章化してまとめると次のようになるのではないかということで、提案させていただきます。第1パラグラフは事実経過ですので、省きまして、第2パラグラフからにさせていただきます。
当委員会は、検証会議が、10月に試行を開始して以降、熱心な議論を重ねたことを評価するものであるが、一方、上記の中間とりまとめ(座長試案)の内容について、留意すべき点があるため、下記の通り意見を述べる。
なお、国民生活センターの在り方については、当委員会としては、これまで2回にわたって意見を述べてきました。本件については、有識者等による「検討会」を設置し、消費者行政体制を更に強化していく上でどのような体制整備が必要か、など、幅広い視点からの検討に取り組むべきである旨の意見を述べてきたところです。本件の検討に当たっては、これらのうえに、次の意見の趣旨を踏まえて検討されることを強く希望するということで、以下、簡単に委員会の意見を取りまとめたらどうかということであります。
中間とりまとめ(座長試案)では、国民生活センターの基本的な在り方に関する選択肢として、新たな法人制度への移行、国への移行、いわゆる「政府から独立した法人」の3つの選択肢を掲げた上で、結論としては、国へ移行することが適当とされています。
当委員会としては、国民生活センターの組織面の位置づけについて、いずれの選択肢が適切か、あるいは他の選択肢がないのか等、更に検討を深める余地があると考えるが、どのような組織形態をとることになるにせよ、国民生活センターの機能が十分に発揮されるという観点を重視すべきであり、以下の点に特に留意して、これを制度的に担保する方策を検討することが必要である。
(1)としては、消費者庁、消費者委員会及び国民生活センターという現行の3つの機関がいわば三極を形成して、各々の役割を遂行し、互いによい意味で緊張関係を維持しつつ、適切な連携を図ることが重要であること。
(2)として、消費者の立場に立って、柔軟かつ機動的な業務運営を行う国民生活センターの特性が損なわれないようにすること。
(3)として、国民生活センターの各機能の相互補完性・一体性が確保されるようにすること。
(4)として、国民生活センターと地方の消費者行政の現場との密接な結びつきが弱まらないようにすること。
以上の考え方を、委員会として発表してはどうかということであります。

○河上委員長 ありがとうございました。
ほかに、何か意見はございますか。よろしいでしょうか。
それでは、この意見案については皆様の御了解をいただいたということで、このとおり取りまとめることといたします。

≪5.閉会≫

○河上委員長 本日の議題は以上でございますが、消費者契約法に関する調査作業チームの運営について、一言、御報告申し上げます。参考資料1-1として資料をお配りしておりますので、ごらんいただければと思います。
趣旨としましては、消費者委員会では平成23年8月26日に「消費者契約法の改正に向けた検討についての提言」を行いまして、民法(債権関係)改正の議論と連携しつつ、消費者庁に対して、早急に消費者契約法の改正の検討作業に着手するよう求めておりました。
今後、消費者庁でも検討作業が進展することが期待されますが、消費者委員会としましても、本法の消費者行政における重要性に鑑みまして、消費者庁における検討作業の進展に合わせて委員会で本格的な調査審議を行い得る体制が整うまでの間、事前の準備作業としまして、論点の整理や選択肢の検討等を行うための調査作業チームを運営したいと思います。
構成としましては、私がチーム長となりまして、メンバーとしましては、消費者委員会委員の有志、司法学者等の学識経験者、弁護士等の実務経験者、委員会事務局を予定しております。参考資料1-2に記載のある方々を予定しております。
運営要領等は資料に記載のとおりとしまして、この調査作業チームの検討状況につきましては、適宜委員会に報告することにしたいと思います。
最後に、事務局から、今後の予定について御説明をお願いします。

○原事務局長 長時間にわたり、傍聴の方もありがとうございました。
本日、この委員会の終了後、6分50分ごろを目途に、消費者庁の記者会見室で委員長記者会見を行う予定です。
次回の委員会につきましては、12月13日(火曜日)の10時からを予定しております。内容としましては、公共料金に関する有識者ヒアリングを予定しております。
以上です。

○河上委員長 それでは、これで本日は閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)