第70回 消費者委員会 議事録

日時

2011年10月6日(木)16:00~17:15

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、稲継委員、小幡委員、川戸委員、田島委員、
 夏目委員、細川委員、村井委員、山口委員、吉田委員
【説明者】
 大阪弁護士会 宇賀神弁護士、薬袋弁護士
 消費者庁 原嶋消費生活情報課長
【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.特定商取引法について
○説明者: 大阪弁護士会  宇賀神徹弁護士
薬袋真司弁護士
3.消費者教育推進会議の中間整理について
○説明者: 消費者庁 原嶋消費生活情報課長
4.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:7KB)
【資料1】 特定商取引に関する法律の改正を求める意見書及び補足説明資料(大阪弁護士会提出資料) 【資料2】 消費者教育推進会議関連資料(消費者庁提出資料) 【参考資料1】 委員間打合せ概要(PDF形式:36KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、定刻になりましたので、始めさせていただきます。
本日は皆様お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
ただいまから「消費者委員会」の第70回会合を開催いたします。
初めに、配付資料に関して事務局の方から説明をお願いいたします。

○原事務局長 事務局から配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
本日、第70回消費者委員会議事次第ということで、配付資料の一覧については議事次第の下に書いております。
資料1、特定商取引に関する法律の改正を求める意見書。
資料1-2、補足説明の資料を用意しております。
資料2、消費者庁から提出いただいた資料ですが、消費者教育推進会議の関連資料ということで、資料2-1、資料2-2をお付けしております。
参考資料といたしまして、消費者委員会委員間打合せということで、9月のうちに9月7日、15日、21日、27日と委員間打合せを行っておりますので、それの概要を参考資料としてお付けしております。
事務局からは以上です。
不足がございましたら、また審議の途中でお申し付けいただければと思います。

○河上委員長 続きまして、議題に入ります前に、消費者庁及び消費者委員会設置法第12条第3項において、委員長に事故があるときはあらかじめその指名する委員がその職務を代理するという形になっておりまして、委員長代理を決めないといけないということですけれども、その指名をさせていただきたいと思います。
委員長代理につきましては、第1次の委員としても活躍されて、日本弁護士連合会におきましても積極的に消費者問題に関わってこられました山口委員にお願いしたいと思います。
山口委員、いかがでしょうか。

○山口委員 では、やらせていただきます。

○河上委員長 よろしくお願いいたします。

≪2.特定商取引法について≫

○河上委員長 それでは、議題に入りたいと思います。
本日は、当初予定していた議題に加えまして特定商取引法についてということを議題として取り上げたいと思います。
初めに、特定商取引法についてであります。
この特定商取引法につきましては、平成20年に法改正がございまして運用されてきているところですけれども、御承知のように、最近、貴金属等の訪問買取といった問題に対しまして特定商取引法での対応には限界があるという指摘もされております。消費者委員会では、本年7月に大阪弁護士会から「特定商取引に関する法律の改正を求める意見書」をいただいております。この意見書では、目下議論になっております貴金属の買取商法に関する御提言、今後の消費者行政で参考となる点について御提言をいただいておりますので、第1次の消費者委員会において、委員会において内容をお聞かせいただきたいということを前々から要請しておりましたが、日程調整との関係でこれがかなわなかったということでございます。そこで、本日は、御無理を申し上げて大阪弁護士会から宇賀神徹弁護士、薬袋真司弁護士においでいただいた次第でございます。
まずは、この意見書の内容につきましてお二方から御説明をいただきまして、議論を行いたいと思います。
それでは、御説明をよろしくお願いいたします。

○大阪弁護士会宇賀神弁護士 本日は、お時間を設けていただきましてありがとうございます。
大阪弁護士会消費者保護委員会で委員長をしております宇賀神と申します。よろしくお願いします。
まず、私の方から本年7月6日付で採択いたしました資料1-1大阪弁護士会の「特定商取引に関する法律の改正を求める意見書」について簡単に説明させていただきます。
まず、趣旨でございますが、特定商取引に関する法律におきまして訪問販売、通信販売、電話勧誘販売等の対象取引について対象外の取引による被害が多発しているという現状にかんがみまして、指定権利制度を廃止するとともに、業者による「買い取り」行為その他をも対象とするために、単に「有償取引」と改めるべきであるというものでございます。
まず、意見書に沿って簡単に説明します。
1ページ目のところですが、指定権利制度の廃止の必要性ということで、特定商取引法は、従来から規制の対象について政令指定をしておりましたが、その「すき間」をねらうように次々と悪徳業者が新手の悪徳商法を生み出してきておりまして、平成20年の改正によりまして、商品と役務についてはその指定制度が廃止されました。
ところが、その際、権利につきましては、当時の認識として紛争・トラブルがそれほど多くないというところがあったようでありまして、指定制度が維持されております。現時点での指定権利はわずか3種類に限られているというところでございます。
2ページ目のところに入りまして、(2)というところで、しかし、権利につきましても商品や役務と同様の危険性があるのではないか。突然やってこられて十分な理解も得ないまま強引な勧誘を受けてしまって、契約をしてしまうということは、権利であれば危険性が少ないということはないはずであるということを次に指摘させていただいているところであります。
また、悪徳業者の方からしますと、従来、商品や役務の取引であったというものを権利の取引と構成し直すことによって規制の網を逃れることができるというところがあろうと思います。
(3)のところでは、実際に多発しております権利をめぐるトラブルについて触れております。
未公開株、社債、ほかにも「カラオケの著作権」、「水源の権利」など、従来では考えられなかった新手の権利というものの取引が非常に被害を多く出しております。
次に、3ページ目の方ですけれども、権利ということになりますと、金融商品取引法との関係が若干問題になろうかとは思われます。しかし、金融商品取引法の方では、有価証券もしくはみなし有価証券を対象としておりまして、通貨の交換であるとか、老人ホームへの入居権等の販売自体には全く適用がない。また、有価証券につきましても、その会社自身による募集・売出しの場合には改正法の適用がないということになっております。
このような関係から、権利につきましては、やはり商品・役務と同じように政令指定制度を廃止する必要があるのではないかというところがまず1点でございます。
続きまして、取引の対応につきまして、有償取引一般を規制対象とするということにつきまして御説明させていただきます。
特定商取引法は、業者が行う「商品もしくは指定権利の販売または役務を有償で提供する契約」を規制するとなっております。これを形式的に考えますと、販売・提供のみでございますので、業者が商品などを買い取るとなりますと適用されない。もしくは商品等と物の交換という体裁をとると適用されないということになってしまいます。
4ページ目の(2)ですが、しかし、販売、提供のみならず、買取や交換につきましても訪問販売等では全く同じような危険、強引なあるいは困惑させる形での販売というものは常に危険が付きまとうものでございます。
(3)では実際に現下で見られます新たなトラブルを指摘させていただいております。いわゆる訪問買取と言われるものがまずございます。いきなり訪問してきて、よく理解できないまま貴金属などを非常に安価で買い取ってしまう、買い取られてしまうもの。また、外貨、イラクのディナールでありますとか、その他外貨を両替するという形で被害に遭うことも現実にはたくさん発生しております。
このように、特定商取引法において「すき間」といわれるところは常に新しい悪徳業者の餌食になってしまう現実がございますので、指定権利制度を廃止し、取引対応を有償の取引一般までに広げて、「すき間」を一気になくしてしまうという取り組みが必要なのではないかということで、本意見書を採択させていただいたということでございます。
私の方からはとりあえず以上です。

○大阪弁護士会薬袋弁護士 続きまして、補足説明資料に沿って説明をさせていただきます。資料1-2「補足説明資料」と書いてあるカラーの資料です。
まず、特定商取引法の「すき間」についてですが、(1)特定商取引法の対象ということで、特定商取引法の規制対象は、基本的に3つのグループに分けられております。第1のグループが訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、第2が特定継続的役務提供取引、そして第3が連鎖販売取引、業務提供誘引販売取引であります。
今回の大阪弁護士会からの意見書は、第1のグループ、左側の訪問販売、通信販売、電話勧誘販売に限っての意見とさせていただいております。
特にトラブルが多いというのが理由であります。
矢印の下を見ていただいて、特定商取引法の適用されない取引としてマル1からマル3の取引を上げることができます。マル1は定義から漏れてしまうもの、マル2は政令指定制度の残る部分、マル3が適用除外とされる取引の3つであります。大阪弁護士会の意見書はこのマル1とマル2に焦点を当てて意見を述べるものであります。マル3につきましては、いろいろと問題はあるのですが、今回の意見書からの対象は外させていただいております。この点につきましては、注1において、日弁連の方から別途意見が出されておりますことを指摘させていただいております。
(2)政令指定制度とその問題点(後追い規制)のところに進んでいきたいと思います。
この図は、例えば商品Aから商品Fまでの商品が仮にあったとして、A、C、Eを政令指定制度で始めに指定をしたとしますと、商品Bが「すき間」であるので、そこで悪質業者は商品Bでいろいろなトラブルを引き起こす。そこで追加指定をしますと、続いて商品Dについてまた悪質業者がトラブルを引き起こす。更に追加指定をしますと、今度は商品Fという形で、規制がどうしても後追いになってしまいまして、イタチごっこになってしまうという問題が従来から指定されておりました。
そこで、2ページ目に進んでいただきまして、先ほど委員長から御紹介のありました平成20年の改正において、所品・役務については政令指定制度を廃止いたしました。
(趣旨)というところは、改正法の説明会の資料から引用させていただいておりますが、第2段落目のところに、「この方法、政令指定制度では、商品や役務が多様化し、提供方法が複雑化するにつれて適切に規制を図ることが難しくなります。また悪質業者は、とかく規制対象になっていない商品や役務に目をつけようとします。その結果、制度的にどうしてもある程度の消費者被害の発生を余儀なくされていました。」ということで、このような後追い規制から脱却するために、平成20年度の法改正がなされたのですが、その下の丸印、指定権利制度は存続をしました。理由は、それほど被害が多発していないということが主な理由だったようです。
しかしながら、(4)を見ていただきますとおり、未公開株詐欺あるいは社債詐欺、その他の権利販売トラブル、更には通貨投資トラブル、訪問買取り等、さまざまなトラブルが発生しておるのが現状であります。
(5)は、国会附帯決議と書いてありますが、これは平成20年度の改正における国会衆参両院のそれぞれの附帯決議を紹介しておきました。
3ページ、権利の販売について政令指定制度がとられているために防止できない被害ということで、国民生活センターの報道発表資料より紹介させていただきます。
マル1 未公開株被害ということで、被害の概要ですが、証券取引所に上場されていない株式について「上場間近で必ず儲かる」などとして購入を勧誘するものです。高齢者の方の被害が多く、電話勧誘販売によるものが多いです。最近では、いわゆる「劇場型」と言われる手法が用いられることも少なくありません。
(3)の「被害数など」というところをご覧いただきたいと思いますが、消費生活センターへの相談数ということで、平成20年度が3,071件であったのに対し、21年度は6,115件、平成22年は8,536件と激増しております。
続いて、マル2 社債被害についてですが、海外事業をしているなどという会社が、元本は保証されるなどとして、破綻必至の社債を購入させるような場合があります。これも被害者層は高齢者が多く、電話勧誘販売や訪問販売によるものが多い状況であります。
(3)の「被害者数」などをご覧いただきたいと思いますが、金融機関等以外からの社債の勧誘が平成20年度は123件であったのに対して、平成21年度は1,270件、平成22年度は4,011件となっております。
続きまして、マル3 カラオケ著作権被害についてですが、高額な配当をうたって「カラオケに関する著作権」を小口分割した権利を購入させるという商法がはやっておりました。実際には、「カラオケを発明した人の著書の著作権」の販売のようであり、被害者層はこれまた高齢者が中心。訪問販売、電話勧誘販売などによるものが多いというものでありました。
(3)の「被害者数など」は特定の取引なので、少し少ないのですが、21年度には25件、22年度には28件ございました。
続いて、マル4 水資源の権利被害ということで、高配当をうたって水資源の権利を購入させる商法で、これまた被害者は高齢者の方。電話勧誘販売によるものが多く、劇場型の手法も用いられております。
(3)をご覧いただきまして、平成22年11月から相談が増え始めて、平成23年2月までに268件の相談が寄せられております。
ちなみに、注3で書きましたが、先月、関係者が逮捕されたという報道がなされております。
マル5 温泉付き有料老人ホームの利用権のトラブルもございます。高配当をうたうなどして、温泉付きの有料老人ホームの利用権を購入させるもので、劇場型の被害も多いです。特に、東日本大震災を口実に販売するという悪質なケースも相談が寄せられているようです。
被害者数などは、平成23年3月から6月までで367件あったと紹介されております。
続いて、5ページに進んでいただきまして、5ページには国民生活センターの「報道発表資料」などを紹介させていただいております。それぞれのトラブルにつきましては、国民生活センターが適宜、注意喚起を促しておられます。
5ページの下の※印の「cf.平成23年金融商品取引法改正」というところをご覧いただきたいのですが、注6に少し細かな字で紹介させていただいていますが、本年度、金融商品取引法が改正されまして、まず、無登録業者が非上場の株券等の売付け等を行った場合には、その売買契約を原則として無効化するという立法手当がなされております。次に、無登録業者による広告・勧誘行為を禁止し、さらに、無登録業者に対する罰則を、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に引き上げるなどとされております。
意見書の内容は少しこの部分についてわかりにくかったので、補足して説明しますと、先ほど紹介いたしました、マル1の未公開株とマル2の社債被害とマル3以下のその他の権利につきまして分けて考えていただいて、この金融商品取引法の改正で無効とされますのは、未公開株、株式、社債と新株予約権の3つに限られております。それ以外の先ほど紹介いたしましたマル3以下のさまざまな権利販売につきましては、無効規制の対象から外れることになります。更に無登録業者による広告・勧誘行為の禁止ですが、今度は逆にマル1とマル2の株式と社債の販売が「自社株」の販売の場合には、無登録業者に当たらないということで適用されないということになってしまいます。それと、マル3、マル4、マル5のさまざまな権利販売ですが、高配当をうたっているということですので、「集団投資スキーム」に当たる可能性がありまして、「集団投資スキーム」につきましては、自社の投資スキームの販売の場合、あるいは、業者が委託を受けて販売する場合には、金融商品取引業に当たりますので、規制の対象にはなりますが、高配当をうたわない、例えば買取型の劇場型のトラブルの場合には、適用されることがないということになります。
いずれにしましても、自己株の募集とか代行なのかがよくわからない、あるいは何を売っているのかわからないという権利の販売などがありますので、この金融商品取引法の改正にかかわらず、書面の不交付あるいは不実の告知があった場合には、特定商取引法を適用していただいて、消費者庁が調査に入る、あるいは、警察が捜査ができるという形にしていただくのがよいのではないかと個人的には考えております。
続きまして、6ページ、特定商取引法が、その対象を「商品若しくは権利の販売」としているために防止できない被害ということで、これもまた国民生活センターの報道発表資料から紹介させていただきます。
まず、訪問買取の被害ですが、これは先ほど意見書の内容の説明でお話ししましたように、突然自宅を訪問して貴金属や着物を安価で買い取ってしまうというトラブルです。高齢者や女性の方に被害が多いようです。
(3)「被害数等」をご覧いただきたいのですが、平成21年度は137件しか相談がなかったのに対して、平成22年度は2,367件、平成23年度は9月20日までに1,742件もの相談が寄せられております。
続いて、マル2 通貨投資被害ということで、イラクのディナールやスーダンのポンドなど、換価困難な通貨を「必ず儲かる」「いつでも換価可能」などとして販売する商法であります。被害者層は、高齢者が多く、電話勧誘販売によるものが中心であります。
7ページ、「被害数等」をご覧いただきたいのですが、イラク・ディナールにつきましては、平成21年8月から平成23年3月までに863件、スーダン・ポンドにつきましては、平成22年8月から平成23年3月までに406件の相談が寄せられております。
続きまして、8ページ、大阪弁護士会で意見書を提出した後にも、国民生活センター等からの報道発表で新たなトラブルが把握できております。
マル1「医療機関債」ですが、これは医療機関が発行する「債務」なのですが、有価証券ではなく、社債に似たものですが、金融商品取引法の対象にはならないものといわれています。いわば「訪問借入」みたいなものだと考えられると思います。この相談が2011年4月から7月までの間に127件、「支払った」という相談が20件。100万円から500万円を貸してしまったというのが15件、1,000万円以上が3件もあるという報道がなされております。
マル2 アフガニスタンの「アフガニ」という通貨ですが、通貨投資商法が国民生活センターから紹介されております。これはイラク・ディナール、スーダン・ポンドと同じように、今度はアフガニスタンの通貨を販売するものであります。更に※印で紹介をしておりますが、イラクではなくて、リビアのディナールを販売する商法も発生しているという情報もあります。
マル3「CO2の排出権取引」ですが、主な相談事例を見ていただきたいのですが、元本は必ず戻ると勧誘を受けて契約したのですが、支払ったお金がすべてなくなったという事案が報道発表されております。突然「今値上がりしているよい商品がある」との電話があり、後日自宅を訪問され、CO2排出権取引の勧誘を受けましたと。その際「元本は必ず戻る」「すぐ倍になる」などと言われ、「利益換算表」という書面を見せられたため、信用してしまった。3回に分けて200万円を現金で渡したが、その後すぐに「値段が下がったから追証が必要になった」との連絡があったので、支払ったお金がすべてなくなってしまったことがわかったということで、ややわかりにくいのですが、いわゆるCFD取引といわれるもので、CO2排出権の相場を参照とした指標をめぐる取引で、差金決済取引といわれるものであります。これは、金融商品取引法の対象にもされておりませんし、商品先物取引法の対象にもされていない取引であります。
これの相談が2010年10月から2011年9月までの間に230件相談が寄せられているということです。100万円から500万円を支払ったというのが56件、500万円から1,000万円を支払ったというのが10件、1,000万円以上支払われたというのが16件も報告されているそうです。
更に、消費者庁による注意喚起がなされているものとして、「鉱山の採掘」や「鉱物」に関する権利の販売というトラブルも紹介されております。
以上のように意見書を提出させていただいた後にも、さまざまなトラブルが新たに発生しているという状況であります。
10ページをご覧いただいて、先日、消費生活年報の2011年版が発売されたのですが、これを読んでみましても、公社債、ファンド型投資商品あるいは株、更にはその他金融関連サービス、この中には外貨両替、すなわち通貨投資商法も含まれるのですが、その相談数が非常に上昇しているということで、従来、圏外であった公社債やファンド型投資取引が上位25位の中に新たに入ってきているとともに、株及びその他金融関連サービスが順位を上げているという状況にあります。
購入別の形態としましては、訪問販売と電話勧誘販売のトラブルが非常に多く、しかもそれが株式や公社債あるいはファンド型投資商品や外貨両替を含むその他金融関連サービスの問題として目立った増加を示しているそうであります。
しかも、契約金額及び既支払額につきましても従来よりも増加している傾向にあります。これは先ほど申しました商品などの被害額が多額にわたるということが原因であると思われます。
販売方法や手口につきましては、被害にあった人を勧誘する二次被害や利殖商法などの増加が目立っているとのことです。
このように消費生活年報を読みましても、従来の指定権利とはされていなかった権利の販売、あるいは「商品または権利の販売」には該当しない買取取引や交換取引などによる被害が非常に多発しているという現状を明確にうかがうことができます。
このようなこともありますので、是非とも消費者委員会におかれましては、大阪弁護士会の意見書を参照していただき、特定商取引に関する法律の改正に向けて具体的な提言等を行っていただけたらと存じます。
以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、余り時間はございませんけれども、御質問、御意見のある方はよろしくお願いいたします。
いかがでしょうか。
どうぞ、吉田委員。

○吉田委員 御説明ありがとうございました。
いただいた御意見には全面的に賛成です。
指定権利制を廃止することも、有償取引とすることも非常に重要なことかと思います。相談現場はイタチごっこにはもううんざりとしていますから、何を売るか何を買うかというのが問題の本質ではなくて、例えば不意打ち性の高い販売形態だったりだとか、あるいは問題が起こりやすい販売形態にこそ問題があるから規制をするのであって、何を売るか何を買うかということではないと思いますから、是非これは私も全面的に賛成をしていきたいと思っております。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
どうぞ、山口委員、お願いします。

○山口委員 ありがとうございました。
実は、先ほど薬袋さんの方からお話いただいた、いわゆる未公開株の関係で無登録業者が非上場の株券等の売り付け等を行った場合には民事上無効とするとか、その他の法改正につきましては、消費者委員会の方で金融庁等に提言をして、それが実現した形になっているわけです。
消費者委員会で2年ほど前に議論したときに、この未公開株の対策についてどうするのかということで、まさに今、大阪弁護士会が言われたような特定商取引法の改正によるのがいいのか、それとも金融商品取引法の改正によるのがいいのかというところで議論して、消費者庁の方はとにかく特定商取引法は、権利の取引については余り意識していないと。いわゆる商品の取引がスタートの法律なので、うちでやれと言われても困りますということでかなり抵抗がございました。金融庁の方も逆に言えば、無登録の事業者についてはうちの守備範囲ではないと。登録をさせた上で、それを指導監督していくのが金融庁の仕事であって、無登録事業者についてどうこう言うのはうちの守備範囲外だということでした。まさに「すき間」だなと思ったわけですが、金融庁の方が一肌脱いでくれまして、こういう改正があったわけです。勿論今のお話でも買取商法の問題とか、いわゆる両替の問題だと、これは金融商品の取引の方から明らかにこれは枠外に出てしまうわけですけれども、金融商品取引法との関係については、大阪弁護士会の方ではどのような議論をされて、特定商取引法の改正でいくべしということになったのでしょうか。

○河上委員長 今の点について何かございますか。

○大阪弁護士会薬袋弁護士 薬袋の方から御回答させていただきます。
意見書の3ページ、下の(5)の上の最後の括弧書ですが、特定商取引法の26条の1項8号イの場合も無登録の事業者については適用除外にせずに、特定商取引法が基本的には適用されるという立て付けをしておられるので、基本は特定商取引法の改正で対応するというのが妥当なのではないかと。これはヤミ金業者に対しては貸金業法が別途あるのですが、登録貸金業者ではないので、一応、特定商取引法が適用されるというのと同じような形ではないかとは思うのです。

○河上委員長 細川委員、どうぞ。

○細川委員 ヤミ金融という言い方をしますけれども、あれに対して批判している人がいますね。あれはそもそも犯罪なんだから、金融という概念を使うのはおかしいと。ヤミ金融ということはビジネスとして成り立っているかのようにとられる。そう考えると、今の御指摘のいろいろなものが本当にこれはビジネスとして成り立っていいものなのかどうかというそもそも論で疑問を持つところがあって、たしか訪問販売法が昭和40年代にできたときに、訪問販売を規制するということは、訪問販売を許すということのお墨付きでもあると。許すけれども、こういう規制をしなければいけないということになるから、そもそも訪問販売を禁止すべきだという議論もありました。
そう考えると、今回、特定商取引法に入れるべきだという御提言は、多分、クーリングオフをしやすくするようにということがメインだと思いますけれども、ということは、基本的にはそれは有効、消費者にとっても効用がある取引だけれども、不意打ち性とか、そういうものがあって、十分判断できないこともあるから解約権を認めましょうという議論なわけですから、ある意味これはこういう取引が消費者にとっても有益なものだということを前提として、だけどもちょっとということになるので、とりあえず、私は趣旨がよくわかりますし、今、相談の現場でどうしようもないからクーリングオフで救うべきだということは、そうなんですけれども、もう一歩先に考えて、こういう取引が本当に消費者、生活者が家にいて、急に不意打ちで契約するという、それ自体が許されるのかどうか。まさに不招請勧誘の禁止だとか、あるいはもっと詐欺的契約というか、略奪的取引というか、犯罪に近いような形だけれども、取引という形を取り繕っているだけじゃないかという点に注目すると、これはもう少しきつい規制をすべきだと感じました。それは、大阪弁護士さんに言うよりも、私たちが引き受けて考えなければならない問題かなと思いますけれども、そんな印象を持ちました。

○河上委員長 特に御返事をいただくということではないかと思いますが、そのほかにいかがでしょうか。
どうぞ、夏目委員。

○夏目委員 御提言ありがとうございました。
特定商取引法の改正でいこうというのは、とても現実的だろうと思います。今のように課題が残されていて、後追い規制をするというところではいつまでたっても問題が解決しないので、今できる形で政令指定制度を変えていくというのが現実的。先ほど細川委員がおっしゃいましたのはもっと先の話でございまして、それともう一つ、法律の改正というのがとても大事でございますけれども、こういった被害が出てきたときに例えば消費者庁なり、さまざまなところで気を付けましょうというものを出すのですけれども、これはほとんどの被害対象である高齢者にはほとんど届いていない現実を片方でもう少し消費者教育に関わってくる部分だと思いますけれども、そちらの方も両方、同時並行でやっていかないと、法律改正だけではいつまでたっても被害がなくなっていかないんだろうことを強く感じました。
ありがとうございます。

○河上委員長 予定していた時間がそろそろ来てしまいましたけれども、現在、報道などでも御承知のように、消費者庁の方で貴金属の買取を巡るトラブルに着目して、特定商取引法の改正をねらった立法準備作業をやっていらっしゃるということでございます。ただ、それで本当に足りるのかということですね。今のお話にありましたけれども、後追い的にならないようにもう少し広く、「販売」といった言葉にとらわれない「有償行為」ですか。あるいは一般に「訪問取引」と言ってもいいかもしれませんが、射程を広くとることを考えられないかという御提言です。ドイツ法などではそういう形で既に事業上の訪問取引に関して民法で一般的な網をかぶせてしまって、特定品目の買取り行為等には「営業法」で禁止行為として更に具体化して規制するというやり方をしています。ほかの筋でも考えるべき筋はあるかと思いますので、消費者委員会としても御提言を参考に更に検討をさせていただきたいと思います。今回の御提言は大変勉強になりましたので、しっかりと考えさせていただきます。
お忙しいところ、本当にありがとうございました。

≪3.消費者教育推進会議の中間整理について≫

○河上委員長 それでは、続きまして、消費者教育推進会議の中間整理についてという議題に移らせていただきます。
この消費者教育につきましては、重要なテーマでございまして、これまでも消費者基本計画の検証、評価、監視等で複数回、関係省庁からのヒアリングを実施してまいりました。更に加えて、昨年11月に消費者庁に消費者教育推進会議というものが設置されたということを受けまして、そこで議論される内容に私どもも大いに注目してきたところでございます。
このたび8月に消費者教育推進会議の中間整理をおまとめになったと伺っておりますので、本日は、消費者庁消費生活情報課より、この中間整理について御報告をいただいて議論を行いたいと思います。
それでは、御説明をよろしくお願いいたします。

○消費者庁原嶋消費生活情報課長 消費者庁消費生活情報課長の原嶋と申します。よろしくお願いいたします。
では、最初にお手元の資料2-1を御説明いたします。
消費者教育推進会議は、昨年11月22日に発足したものでございまして、その構成はこの表の右側に書いてございますように、会長は内閣府副大臣、副会長は文部科学大臣政務官であり、消費者庁と文部科学省が連携して消費者教育を推進していくための会議としてつくられたものでございます。
委員の方々はこちらに書いてございますように、消費者団体の方、事業者の方、学校の関係者の方、学識経験者、法曹関係者の方々に入っていただきまして、また行政委員として消費者庁と文部科学省、幹事として関係省庁が入っているところでございます。
会議としましては、今年に入りまして、1月、2月、震災があった関係で飛んでおりますが、6月にテーマ別会合を3回ほど行っておりまして、「学校教育における消費者教育」、「地域における消費者教育」、あと「ターゲット教育」、「震災時等における消費者行動」のテーマで行ったものでございます。
この中間整理は、これらの会合において出されましたさまざまな御意見、御提言等をそのまま整理したということになってございまして、今後の検討のための課題として整理させていただいたものになっております。
資料2-2で御説明したいと思いますが、中間整理でございます。
これは、7月25日の第2回消費者教育推進会議で素案を御議論いただきまして、その後、その御議論を反映させた形で整理させていただいたものでございます。
内容的には先ほど申しましたように、それまでの会合に出ました各委員からいろいろ御報告いただいた現状と課題を整理いたしました。それで、今後の検討に資するためのものとしてとりあえずまとめたというものでございます。
全体が大きく4つに分かれておりまして、消費者教育全般について、学校教育における消費者教育、地域における消費者教育、最後にターゲット別消費者教育という形でそれぞれの委員の方々の御意見をまとめさせていただいております。
消費者教育全般につきましては、現状認識としましては、「消費者市民」社会を育てなければならないということでございますけれども、しかし、地方における消費者教育の現状はまだまだ厳しいと、まだまだ異議を申し立てることなく黙ってしまう消費者が多い、消費者教育関係者の間の連携が進んでいないと、現状に対する厳しい認識が多くの委員から指摘されました。こうした厳しい現状の背景には、消費者教育の目的や体系についての認識が必ずしも共有されていないのではないかという問題があると整理させていただいております。
その中で今後どういう問題を検討すべきなのかという点をまとめさせていただいています。
2ページの1.の(2)でございますけれども、幾つかのいろいろな課題を委員の方から御指摘いただいておりまして、1つは、「消費者教育」の用語を用いるか否かも含め、定義を明確化してはどうか。現代社会の状況に照らし、消費者教育の目的を明確化してはどうか。あるいはライフステージごと、分野ごとに体系化して整理してはどうか。総合的な法制を整備してはどうか。消費者教育のプライオリティーを高めていってはどうか。東日本大震災を踏まえて、震災時の行動について消費者教育の在り方を見直してはどうかという御指摘を受けたところでございます。
2.の学校教育における消費者教育でございますが、学校教育の目標を書いてございますけれども、3ページの上のパラグラフ「しかし」以下のところでございますが、消費者教育に充てられる授業時間数は十分ではない、専任の家庭科教員のいない学校が多い、学校現場と消費者団体等との連携は、教師との個人的つながりに依拠することが多く、長期的な連携が難しいなど、まだまだ多くの問題があるという厳しい現状認識が委員の方々から指摘されたところでございます。
総じて言えば、学校教育に対するさまざまな要請があり、教員の多忙化の問題も指摘されている中、学校における消費者教育をより実のあるものとしていくために、学校の実態等に応じて、更に一層の工夫をする必要があるのではないかという指摘がされたところでございます。
具体的な指摘としまして、3ページの(2)以下でございますが、まず最初に教員研修・養成の充実でございますけれど、教員に対する消費者教育に関する研修を充実してはどうか。消費者センターなど学校教育以外の場での消費者教育に関する教員研修が効果的であるので、一層充実してはどうか。大学や大学院、これは自主的な場になるんですけれども、その中で専門家を養成するような専攻を設置してはどうかという御指摘がされております。
2つ目の問題として、授業時間の確保でございますけれども、これについては環境教育、国際理解教育、法教育、キャリア教育など、消費者教育以外の学校へのいろいろな教育の要請が多いために、限られた時間の中でそれに対応する。その中で消費者教育に時間を割り当てるというのは厳しい状況であるということを踏まえつつも、何とか消費者教育に使える授業時間の確保に取り組むべきではないかという点がございます。あるいは家庭科や社会科以外の教科でも消費者教育ができるような工夫をすると。例えばコーディネーターのような人を置くなどはどうかということでございます。あと、可能かどうかはありますけれども、消費生活に関する単独の科目の設置を検討してはどうかという御指摘もございました。
3つ目は学校と地域等との連携の充実でございますけれども、出前講座などが学校でより活用させるように消費者団体等と学校の連携を促進してはどうか。学校評議員あるいは学校運営協議会の中に、消費者教育を推進する立場の者の参画を進めてはどうか。学校で利用しやすい教材等を継続的に作成し、無料で利用できるようにしてはどうか。更に消費者教育の実践を各地に広めていく取り組みを進めてはどうかという御提言が課題として指摘されたところでございます。
3つ目は、地域における消費者教育ということでございます。
これにつきましても消費者問題は、地域が抱える問題でもあるということでいろいろな形で取り組むことが求められておりまして、さまざまな形の御提言をいただいたところでございます。
(2)の課題のところでは、アの連携の場の充実でありますが、さまざまな主体などの活動をサポートして、つなげる仕組みをつくるため、消費者教育フェスタ、これは文科省が行っている活動でございますが、そうした活動を継続的に実施して、更なる連携を広げる環境整備を図ってはどうかという御指摘がございました。また学校等を地域の拠点として位置づけ、地域住民に消費者教育の場として活用してはどうか。経団連の企業行動憲章では、消費者啓発の取り組みに関する記述がございますが、今後、より多くの企業・団体の憲章や行動基準等にそうしたものが盛り込まれるように働きかけてはどうかという御指摘がございました。
2つ目は、消費者教育に関する人材養成でございます。
消費者啓発の講師の養成講座を、民間団体等の協力を得て実施している行政、地方自治体もございましたので、そうした取り組みを更に進めるようにしてはどうか。さまざまな地域の団体・グループの連携を図るために、それらを連絡調整するコーディネーターを養成してはどうか。あるいは消費者教育は社会とのつながり、社会に参加することの意義等までも含むものであることにかんがみて、大学等のキャリア教育においても、その趣旨を踏まえた教育が望まれるのではないかという御指摘をいただきました。
最後、4つ目はターゲット別消費者教育についてでございます。
消費者問題は、消費者の属性に応じまして、高齢者、障害者の方々別にそれぞれ異なった手法が求められているかと思います。これに対しまして委員の方から、高齢者、障害者の方が社会から孤立しないような社会にすることが必要ではないか。自治会活動を活用することは効果的である等の現状の認識がありました。総じて言えば、こうした高齢者や障害者の方に対する取り組みを今まで以上に充実させ、工夫する必要があるのではないかという御指摘がされたところでございます。
具体的には、5ページ目の(2)でございますが、例えば金融教育、法教育、更に放射線に関する教育など、教育課題別に有効な教育方法について検討してはどうか。各省庁が所管する事項に関わる分野別消費者教育についても、消費者教育として検討して、各省庁の連携を進めてはどうかということ。あるいは60歳からの、高齢者としての人生のためにも必要な消費者教育でございますので、学習内容を一度整理してはどうか。あるいは全国の養護施設等を支援することをしてはどうか。視覚障害者のための学習資料のデジタル化など、学習者に配慮した工夫をしてはどうか。あるいは高齢者が集まるところで、被害者体験を語り合うということを消費者団体で行っておりますが、こうした手法は有効なので、更に拡充してはどうかという御指摘をいただいたところでございます。
最後、5ページ目の5.のところでございますが、中間整理につきましては、7月25日におおむね御了解いただいたところでございます。ただ、中間整理はあくまでも課題を整理したものでございますので、それをどうするかということを次に検討することが必要になっているところでございます。更にその中で委員の方々からの御指摘として、会合があって、集まって、その場で議論を言うということだけではなかなか効率的ではないし、総花的な形になってしまうので、もう少し小さいグループに分けて、しかもより具体的に突っ込んだ議論ができる形でできないかという御指摘が何件かございました。
そうしたことも受けまして、5.のところで書いてございますが、中間整理で指摘された課題は、長年指摘されてきた課題も多いので、具体的に前進させるというのはなかなか難しいところがございますけれども、今後、3つの分科会を設置して、それぞれ個々の課題について具体的に方向性あるいは課題に対する対応策を検討していこうということで考えているところでございます。具体的には消費者教育を体系化、全体のコンセプトといいますか、そういうものを整理する分科会を1つつくってはどうか。もう一つは、学校での教育、先ほどもいろいろ御意見がありました。それを具体的にできるものできないもの、どういった工夫をしたらいいかというのを検討してもらう分科会を設けたらどうか。あと、もう一つは社会での教育ということで、これは学校以外の場における消費者教育を具体的にどのように進めていくのかという3つの分科会を設けまして、各委員の方々にそれぞれに分かれて議論していただくということを行ってまいります。最後にそれらの3つの分科会の相互の連携も十分配慮した上で、中間整理で指摘された課題に対してお答えするものをとりまとめできればという形で今後、消費者教育推進会議を年度末に向けて活動していきたいと考えているところでございます。
説明は以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は御発言を願います。
いかがでしょうか。
小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 これから具体的な策を実現していくという段階に入るということでございますけれども、従来から認識されていたことであると思いますが、やはり消費者教育というのは、地域の自助作用といいますか、結局、消費者教育が充実すれば、我々の消費生活が最終的に豊かになるというところに結び付きますので、とても大事なことだと思うのですが、この中で新しいところとして出てきたのが、東日本大震災の事例を踏まえ、震災時の消費行動に関する消費者教育の在り方を見直すというところがございます。これは3.11を踏まえて多分、加えられた話だと思いますが、震災時の消費行動というのは幾つもいろいろなパターンがあり、勿論被災地での場面と、被災地と離れたところでの首都圏とかの消費者行動の場面あるいは節電、エネルギー関係における場面とか、さまざまな場面があったかと思いますが、具体的にはどういうふうに在り方を見直すというところが考えられたのかということをお伺いしたいのですけれども。

○消費者庁原嶋消費生活情報課長 先ほども申し上げましたように、これは非常に多様な、幅広い課題を含んでいるものでございますので、すべてについて詳しく扱うということはなかなか難しいかと思います。ですので、今回御指摘いただいた指摘の中で幾つかより重要といいますか、取り組むことが可能ではないかというものを中心に分科会で検討していくことになるかと思います。ですから、必ずしも東日本大震災の消費行動についてかなり突っ込んで深く議論することになるかどうか、それは分科会の先生方の御意向にもよるかと思うんですけれども、恐らく体系化の中でそういうものが議論されるのではないかなと考えております。

○小幡委員 これはこういう課題があるということですか。これから見直すことになるわけですね。

○消費者庁原嶋消費生活情報課長 そうですね。

○小幡委員 了解しました。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 正直言いまして、10年ぐらい前に弁護士会で議論していた議論と全然、水準が進んでいないなと思うんです。授業の時間が足りない。何とかしなきゃということはみんな思っているんだけれども、学校の先生方は忙しいので、結局、志のある先生は一生懸命やるけれども、広がらないという実情はこの報告を聞いても全然変わっていない。ただ、文科省が少しやる気を出してくれたところが少し違ったかなというのはあるんです。
そこで、どうしたらいいのかということですが、どうしてそういう議論が出てこないのかなと思うんだけれども、4ページの上2行に少しは出ているんですが、モデル事業をビデオで撮って、こんなすばらしい授業ができて、子どもたち、生徒たちの意識が変わった、そんなに効果的ならばうちでも時間はないけれども何とかやってみようかという気になるモデル事業を実施して、勿論表彰もいいかもしれませんが、最近はDVDで簡単に、あるいはネットで流せますので、ほかの先生がやりたくなるような、忙しくてもやりたくなるモデル事業をやって広げるとか、あるいは地域の教育においても、ターゲット教育についても、なるほどこの程度の講習だったらうちでもできるし、効果も期待できるなというDVDをつくってそれを広げることを実践していって、それをどんどんバージョンアップしていくという、そういうことが意識的にできないのかなというのが1つです。
もう一つは、もうこれは散々議論されていると思うんですが、場合によっては年内にも議員立法で消費者教育基本法が採択されるという可能性もあるように聞いているんですが、そういう法律ができるのを意識した形で消費者庁としても、法律が通らないと、今から通ったらどうしますとはなかなか言えないのかもしれませんが、その辺についてはどういうふうに消費者庁としてお考えなのか、それも伺いたいです。

○消費者庁原嶋消費生活情報課長 今、御指摘いただきましたが、これは5ページの5.のところで書いてございますけれども、確かに長年指摘されてきた課題が多くて、長年、先人の方がいろいろ工夫して、努力されてきた。それでもなかなか実現が難しいという課題も多々ありまして、それを少しでも前進させるためにはどうするかということを推進会議の委員の方々あるいは我々事務局の方でもいろいろ考えたところでございます。
先ほど御指摘いただきましたモデル事業といいますか、優良な事例、取り組みを広めるのも1つの考えではないかということは委員の方々、事務局でもいろいろそういう議論もございまして、そうしたことはこの分科会の中で、できればそれを具体的にどういう形でできるのかどうか検討していくということで今、検討している最中でございます。特にいろいろな地方自治体とかでは非常に優れた消費者教育をされている事例もあるとお聞きしておりますので、そういうものをいかに普及して、多くの人が利用できる環境をつくっていくのかということも重要な課題。それが具体的にそういう課題に対するお答えになるのではないかと考えているところでございます。
もう一つ、法律の関係でございます。これは議員立法でございますので、我々の方でどうこう言う立場ではないんでございますけれども、ただ、客観的に申し上げまして、そういう動きがあるというのは承知しております。それがどういう形で成立するかまだ全然わからないところですが、そういうものが成立したことも踏まえ、対応できる形で推進会議を今後、進めていきたいと考えております。具体的には、第1分科会と考えています体系化の中で、これは今後どういう形で消費者教育を推進していくのかという基本的な考え方のベースになるものかと思いますので、そうしたものの中で法律ができた後、どういう形で進めていくのかということも対応できる形で準備しつつ、議員立法でございますので、横目でにらみながらということになるかと思いますけれども、それにも十分対応できる形で進めていきたいと考えているところでございます。

○河上委員長 ほかに。
川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 先ほど山口委員のおっしゃったように、やはり片方で消費者問題を解決するためには賢い消費者をつくるということは、自明の理で、もうずっと皆さん方、消費者教育に関してはいろいろな議論をなさってきまして、今回の中間整理を拝見してもやはり同じようなことで、今こそ実行のときだと思うんです。それで、3つの分科会をおつくりになったというのは非常にいいことだと思います。
特に、今、拝見していると学校での教育についてはかなり具体的にこういうことをやったらいいというのが出てきたわけですね。その点で、今、一番大事なのは、逆に今回はこの教育会議の中には文科大臣の政務官は入っていらっしゃいますけれども、これからいかに消費者庁として、また消費者委員会もそうかもしれませんが、やはり文科省をどういうふうにして巻き込んでいって、それで上からきちんといろいろな指令を出せるかということが1つ勝負どころではないかと思うんです。その辺を是非きちんと馬力をかけてやっていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。

○河上委員長 細川委員、どうぞ。

○細川委員 この資料2-1にありますように、実は、私もメンバーでやってきて、少し変な感じですけれども、私は始まったとき以来、本当にイライラしながらこの会議には出ていました。はっきり言ってしまうと、課題はもう結構わかっているんですね。それをまた課題はどうだという、まだどうも作文だけに終わりそうな気配を始めから感じたので、私はもうここにありますように、副大臣が会長ですので、副大臣が会長ということは審議会じゃないんだと。実行部隊にならなければおかしいと。だからこそこの消費者教育推進会議と言っているわけで、消費者教育推進審議会ではないわけですね。だから、アクションプログラムまで含んでこれは提言しないと、また今までやってきたことを作文するだけになってしまうということをずっと言ってきて、多少そこは改善されたんですけれども、いまだにまだ、今まで委員からお話があったように、実際に何をやるかというところまで踏み込んでここが決定できるかというと、少しまだ心もとないところがあります。
この中間報告もそうですけれども、検討すべきとか、何々をやるべきというものが非常に多くて、どうも他人事のような文章になって、それをだれがやるのと。先生にそう言ったって、先ほど山口委員が言われたように、忙しいとか、お金がないという中で、一体どうするのということがありますので、まさにアクションプログラムまで含めてこれを入れていかないと仕方がないので、私はこの会議の中で、いわゆる政府提出法案で消費者教育推進法を出すべきだというお話もしましたけれども、どうも余りそういうつもりはないようでした。その中で議員立法という話が出てきて、次の国会でという話もあるので、そっちを注目したいとは思いますけれども、本当にこの消費者教育が重要ですので、消費者委員会でも消費者教育というのは大きな柱にすべきだと思います。
ただ、消費者庁で消費者教育推進会議というのもあるし、文科省の方では、今度は消費者教育推進委員会というのがあるんですね。そして、今、議員立法で行うという流れもあるので、消費者委員会としてこういう柱を立てるとすれば、どういうスタンスというか、位置づけというか、役割分担をすればいいかなというのは悩んでいるところではありますけれども、これは非常に重要な問題だと思います。
以上です。

○河上委員長 大体時間になってまいりました。
消費者教育は、この消費者委員会でも重大な関心を持って注視している問題でございまして、これからの推進会議での成果を期待したいと思います。
また、本日はお触れになりませんでしたが、子どもを鍛えるときは、まず親も鍛えないといけないので、学校で教師が子どもに対して何を教えるかということもさることながら、学校を中核としながら、親御さんに対してまずはしっかりと消費者としての心構えというか、姿勢を学んでいただいて、親御さんが子どもを育てるときにそれを生かしていただくことも考えてもらう必要があるのかなということを考えます。
教育は相手があっての話ですから、どういう内容を、どの段階で、どういう媒体を使って、誰に向かって提供するかときちんとターゲットを決めながら考えていかなければいけないのではないかという気がいたします。ですから、今後はテーマ別分科会で審議されるとのことですけれども、先ほど細川委員もおっしゃいましたように、具体的な形でアクションプログラムを、それぞれの問題領域を考えながら具体的成果を出していただけるよう心から期待しております。
よろしくお願いいたします。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 具体的に、例えば小学校5年生ぐらいでしょうか、分数の計算、掛け算を勉強しますね。せめて形として、小学校の算数の掛け算の計算の中で利息の計算ですね。お父さんは銀行にこれだけ預けました。銀行に預けたら0.03%だけれども、どこかに預けたらこれだけです。ところが元本割れして2割損しました、さあ、幾ら残ったでしょうぐらいの、要するに消費者生活に身近な計算の問題が算数の教科書に出るぐらいのことを何とか原嶋課長のお力で文科省と話し合って、算数の問題に盛り込んだ、そうしたら少し世の中変わったなと算数の教科書を見た生徒やその親が思うと思う。算数の分数の計算は一番そこが身近なはずなんです。是非何とかそこを実現していただけませんか。本当に一番身近なところだと思うんです。

○消費者庁原嶋消費生活情報課長 確かに物理的な時間は限られてございますので、時間を増やすというのはなかなか難しいところではないかと我々事務局あるいは委員の方々とお話した中でもございまして、確かに1つの工夫としては、ほかの教科の中で連携した形で潜り込ませる工夫が何とかできないかということも議論でございましたので、そういう点も含めて、委員の方に分科会の中で御議論いただければと考えているところでございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
では、消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきましてありがとうございました。

≪4.閉会≫

○河上委員長 時間が限られておりまして、大変申し訳ございませんけれども、本日の議題はすべて終了いたしましたが、消費者基本計画の検証、評価、監視ということにつきまして、消費者委員会において今後、取り組んでいく事柄について若干申し上げたいと思います。
平成22年3月に策定され、本年7月に一部改訂されました消費者基本計画につきましては、その本文において毎年度、計画に盛り込まれた施策の実施状況について、消費者委員会の消費者行政全般に対する監視機能を最大限発揮しつつ、検証、評価、監視を行いますと記載されております。これまで消費者委員会においてこうした消費者基本計画の検証、評価、監視の一環として、重要と考える施策について関係省庁からのヒアリングを1次の委員会で行ってまいりました。2次の消費者委員会におきましても、今後、消費者委員会として重要と考えられる課題を選定しまして、関係省庁からのヒアリングを行ってまいりたいと思います。御承知のように項目が150近く並んでおりまして、これを全部やることは難しいのですけれども、委員の方々の重要と思われるものについて御意見を伺いながら作業を進めたいと思います。既に、ここ数回の委員会打合せで随分御意見を伺って、今、絞り込みをやっておりますけれども、できるだけ早い段階で候補を固めまして、関係省庁からのヒアリングを適宜行ってまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、事務局の方から今後の予定について御説明をお願いしたいと思います。

○原事務局長 本日、早目に終了しておりますが、この委員会終了後、少し時間が空きますけれども、6時をめどに消費者庁の記者会見室において委員長記者会見を行う予定です。
次回以降の委員会につきましてですが、今回も不定期な日程での会合になっておりますけれども、申し訳ございませんが、年内は不定期な開催となります。ただ、隔週では委員会を開催していきたいと準備したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
次回の委員会につきましては、決まり次第、お伝えしたいと思っております。
事務局からは以上です。

○河上委員長 山口委員。

○山口委員 今日でしょうか、国民生活センターと消費者庁の一元化の問題あるいは国民生活センターの扱いについて大臣の方から協議の場を設けるという話があったように聞いておりますが、消費者委員会としても2回か3回意見を出したりしているのですが、その問題について消費者庁なり、あるいは大臣の方から何か話があるのかどうか。その辺の事実関係だけでも。

○河上委員長 では、お願いします。

○原事務局長 昨日報道があったところです。委員会の関与というところもどうするのかということで、内々にはお話もいただいたりしていますので、委員会打合せ、委員会と使ってこのことについてもまた考えていきたいと思っております。
昨日少し発表されたというところで。

○河上委員長 基本的には消費者委員会の方から意見を出しておりまして、それを受けた形で今、新しい委員会が立ち上がったということでございますので、委員会としても是非きちんと関与して意見を申し上げたいと考えておりますので、その形に関しましては、後ほど委員会の中で決めたいと思います。
よろしくお願いいたします。
では、よろしいでしょうか。
それでは、今日は少し早目でございますけれども、本日はこれで閉会とさせていただきます。
お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございました。

(以上)