第67回 消費者委員会 議事録

日時

2011年8月26日(金)14:58~17:28

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、川戸委員、
 佐野委員、下谷内委員、田島委員、日和佐委員、山口委員
【説明者】
 伊藤 眞  集団的消費者被害救済制度専門調査会座長
 長谷部 恭男   個人情報保護専門調査会座長
 消費者庁  加納消費者制度課企画官
南消費者制度課企画官
畑野取引対策課長
堀井消費者制度課長
 国土交通省  木村土地・建設産業局不動産業課不動産業指導室長
【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.集団的消費者被害救済制度専門調査会の報告について
○説明者: 伊藤眞 集団的消費者被害救済制度専門調査会座長
消費者庁 堀井消費者制度課長、加納消費者制度課企画官
3.財産の隠匿・散逸防止策及び行政による経済的不利益賦課制度に関する検討について
○説明者: 消費者庁 堀井消費者制度課長、南消費者制度課企画官
4.個人情報保護専門調査会の報告について
○説明者: 長谷部恭男 個人情報保護専門調査会座長
5.平成22年度個人情報の保護に関する法律施行状況の概要について
○説明者: 消費者庁 堀井消費者制度課長
6.住宅リフォームに関する消費者問題への取組について
7.マンションの悪質な勧誘の問題について
○説明者: 国土交通省 木村土地・建設産業局不動産業課不動産業指導室長
消費者庁 畑野取引対策課長
8.民法(債権関係)改正について
9.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:9KB)
【資料1】 集団的消費者被害救済制度専門調査会報告書 【資料2】 「財産の隠匿・散逸防止策及び行政による経済的不利益賦課制度に関する検討チーム」取りまとめ関連資料(消費者庁提出資料) 【資料3】 個人情報保護専門調査会報告書(PDF形式:355KB)
【資料4】 平成22年度個人情報の保護に関する法律施行状況の概要(消費者庁提出資料) 【資料5】 住宅リフォームに関する消費者問題への取組についての実態調査結果と建議(案)及び概要
(資料5-1) 住宅リフォームに関する消費者問題への取組についての実態調査結果と建議の概要(PDF形式:1100KB)
(資料5-2) 住宅リフォームに関する消費者問題への取組についての建議(概要)(PDF形式:123KB)
(資料5-3) 住宅リフォームに関する消費者問題への取組についての建議(案)(PDF形式:172KB)
(資料5-4) 住宅リフォームに関する消費者問題への取組についての実態調査報告(案) 【資料6】 「マンションの悪質な勧誘の問題に関する建議」フォローアップ資料 【資料7】 消費者契約法の改正に向けた検討についての提言(案)(PDF形式:10KB)
【資料8】 食品衛生法施行規則の改正に係る答申関連、食品衛生法の改正に係る答申関連、及びJAS法の規定に基づく品質表示基準の改正に係る答申関連 【参考資料1】 マンションの悪質な勧誘の問題に関する建議(PDF形式:32KB)
【参考資料2】 委員間打合せ概要(PDF形式:11KB)
【追加資料】 集団的消費者被害救済制度の今後の検討に向けての意見(案)(PDF形式:12KB)
【追加資料】 個人情報保護制度について(案)(PDF形式:10KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、少し遅れておられる委員の方もいらっしゃいますけれども、盛り沢山の内容でもありますので、委員会を始めたいと思います。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第67回)」の会合を開催いたします。
委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

≪2.集団的消費者被害救済制度専門調査会の報告について≫

○松本委員長 それでは、議題に入ります。
本日は、当初予定をしておりました議題に加えて、「住宅リフォームに関する消費者問題への取組について」を議題として取り上げたいと思います。
初めに、「集団的消費者被害救済制度専門調査会の報告について」です。集団的消費者被害救済制度専門調査会につきましては、昨年10月に第1回の会合を開催して以降、これまで15回にわたって御審議をいただき、報告書を取りまとめていただいております。本日は、報告書取りまとめの労をおとりいただきました伊藤座長にお越しいただいておりますので、専門調査会の報告書について御説明をいただきたいと思います。なお、消費者庁の消費者制度課にも併せて御出席をいただいております。
それでは、伊藤座長から御説明のほどお願い申し上げます。

○伊藤座長 御紹介いただきました伊藤でございます。
ただいま、委員長から御発言がございましたように、昨年の10月から去る8月19日まで15回にわたりまして専門調査会の審議を行いまして、お手元のように資料1 報告書を取りまとめた次第でございます。本日はその概要を御説明させていただきます。
まず、手続の枠組みでございます。この報告書の内容である、制度の提言のいわば骨格をなすところでございますけれども、手続を二段階に分けまして、一段階目の手続におきましては、事業者の責任原因等、つまり、対象消費者の請求に共通する争点と申しますか、問題に関して裁判所の判断を求め、その請求が認められたことを前提にして対象消費者が二段階目の手続に加入して、最終的には対象消費者の請求について裁判所が判断をする、こういう仕組みになっております。報告書の9ページの辺りにそういったことが書いてございます。
引き続きまして、この制度の利点と申しますか、長所でございますが、報告書の11ページの辺りを御参照いただければと思います。今、申しましたように、一段階目の手続の判決の結果を二段階目の手続におきまして対象消費者が自らの権利の実現に有利に活用することができる、こういうことが言えるかと思います。二段階目の手続に入るか、入らないか、これは対象消費者自身の意思によって決められることでございますので、対象消費者が、知らない間に自分の権利を失ってしまうという問題は存在しないわけです。他方、一段階目のところで共通する問題についての判断が示されておりますので、対象消費者としても二段階目の手続に加入しやすいという利点があるように思います。
以上が手続の基本的な枠組み、考え方でございます。続きまして、この制度を構想するに当たりまして議論をしていただいた論点に関して、何点か御紹介させていただきたいと思います。
まず、だれが手続を追行するかという点でございます。この点もいろいろな議論がございましたが、報告書の13ページをごらんいただきますとおわかりになりますように、新たに認定を受けた適格消費者団体が手続を追行する主体になります。権利の主体である対象消費者は、適格団体による一段階目の手続の結果を受けて二段階目の手続に加入して、自らの権利の実現を手続の追行主体であります適格消費者団体に委ねるという構造です。これが報告書の内容でございます。
それから、どういう紛争事案をこの新しい制度の対象にするかという問題も、委員の間でさまざまな御意見をいただきました。結論といたしましては、報告書の16ページの辺りにございますけれども、一般的な枠組みとして、係争利益と呼びますけれども、事業者にとって何がそこで争われている利益なのかが概ね把握できる事案、これを類型化して対象事案とすべきだろうというのが基本的な考え方であります。そうなりますと、消費者と事業者が契約関係にあるような紛争事案を対象とするのが適当ではないだろうかということになったわけであります。
一段階目の手続、二段階目の手続と先ほど手続の枠組みのお話をさせていただきましたけれども、一段階目で共通の争点について裁判所が判断を示すことによって紛争の中心部分についての解決がなされ、二段階目の手続は、その判断を踏まえて個々の消費者の権利の有無の判断等をするものだということになりますと、一段階目の手続で判断されるべき共通の争点、これが紛争全体にとって支配的なものであるとか、あるいは優越的なものであるというような表現もあるかと思いますけれども、そういう性質のものでないといけないのではないだろうか。そうだとすると、対象事案の類型といたしましても、支配性とか優越性の要件を欠くような個別性の強い権利についての紛争は、ここで考えられている手続にのせるのに適さないのではないか、そういうこともございまして、対象事案の類型として報告書に記載しておりますようなものを列挙したわけでございます。
以上が対象事案の問題でございますけれども、引き続きまして、二段階目の手続について簡単に御説明を申し上げます。
二段階目の手続は、一段階目の手続において、ある事案について事業者側に責任があるという裁判所の判断がなされたことを前提にして、対象消費者の権利の存否や内容を裁判所が判断をする。そういう手続になりますけれども、対象消費者の権利の実現、あるいは紛争の解決という点から見ますと、できるだけ審理を簡素化して手続を迅速に進めることが二段階目の手続の目標になります。そのような考え方にもとづいて、報告書の24ページの辺りに具体的な二段階目の手続についての説明がございます。
また、裁判所の判断を判決という形で得るまでもなく、当事者間、つまり適格消費者団体と事業者との間の合意による解決が図られることが多いかと思いますが、合意による解決が実現しやすくなるということについても十分な考慮をはらう必要があることにつきましても、報告書の中に記載しております。いずれにいたしましても、二段階目の手続を経て当該事案についての紛争が適切に解決できたと言えるためには、できる限り多くの対象消費者がこの手続の中に入ってきていただくことが必要になります。加入するかどうかはあくまで対象消費者自身の判断によるわけでございますけれども、それにしても一段階目の手続の結果である判決の内容を広く知らせて、加入を促すための仕組みが必要になるように思います。
そこで、手続の追行主体でございます適格消費者団体が、インターネットを利用するなどの方法で広告をするにとどまらず、わかっている対象消費者に個別の通知をして加入を促すなどの仕組みが必要になってくるだろうということが言われております。と申しましても、適格消費者団体にとりまして、対象消費者の広がりがどういうものであるのかをあらかじめ個別具体的に把握することは、必ずしも容易ではございません。そこで、一体だれが権利の主体たるべき対象消費者なのかについての情報を得るために、事業者にも一定の協力を求めることにいたしまして、場合によっては、裁判所が相手方の事業者に対して、適格消費者団体が通知をするのに必要な情報の提供を命じるのが適切ではないかという考え方が報告書の25~26ページに記載されております。
以上、簡単ではございますけれども、報告書の内容と主な論点の御紹介をさせていただきました。

○松本委員長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、どうぞ、御意見のある方は御発言をお願いいたします。
池田委員、どうぞ。

○池田委員 私も消費者委員会の担当委員としてこの専門調査会に出席させていただきまして、私はこういう問題に全くの素人ですけれども、毎回、わかりやすくご説明いただきまして、伊藤座長には個人的にも厚く御礼申し上げます。
また、いろいろなメンバーがおり、いろいろな意見が出た中で、最終的にこのような形で報告書としてまとめられたことについて、本当に伊藤座長の御苦労と、加納さんをはじめとする事務局の努力に心から感謝申し上げたいと思います。
今後、法制化の作業に入ると思いますけれども、この制度の導入目的であった、既存の法制度で救済できないような消費者被害を効率的に救済するという視点から、法制化の作業を進めていただきたいと思います。いろいろな意見があると思いますけれども、まずはこの制度を実効的に機能させることが、第一に必要であると思います。専門調査会の中でも、私は、有価証券報告書の虚偽記載の問題と個人情報保護の流出の問題は慎重であるべきだと申し上げましたけれども、この席上でも、この問題は当面は除外すべきであると今でも考えております。
また、この制度が導入された後、実際に消費者被害の救済に効率的に働いているかどうかを常に検証してほしいということと、一方で、事業者側の事業活動を濫訴等によって不当に萎縮させることのないように、是非、今後の消費者委員会なり消費者庁でも検証を続けてほしいと思います。本当に御苦労さまでした。ありがとうございました。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 私も池田委員と同様に専門調査会に毎回参加させていただきまして、ときどきは審議の邪魔をするような発言もさせていただきまして、大変恐縮でした。池田委員がおっしゃったこととほぼ同じ意見でありますが、私自身は、2点、今後の重要な検討課題が残っているのかなと思います。
一つは、いわゆる手続追行主体の問題です。14ページの4行目以下に、「適格消費者団体以外の者については、施行後の状況を踏まえ、引き続き検討すべきである」となっています。結局、適格消費者団体の認定基準については、従前の差止訴訟の認定基準よりもより厳しくするという方向が書かれております。そうなると、今、全国9の団体しかありませんが、これがもっと絞られたりすると、池田委員が言ったような効果的かつ実効性のある運用が果たしてこの制度でできるのだろうかという心配がございます。この点、立法化の過程でも、いわゆる適格消費者団体のこの訴訟における認定基準についても是非柔軟に考えていただいて、動くような制度にしていただきたいと思います。
2番目に、対象事案の問題。まさに池田委員がおっしゃったことと同じことですが、健全な経済界の活動がこの制度によってシュリンクすることがあってはならないと思います。その点で、今、池田委員から個人情報流出の問題と有価証券報告書の虚偽記載の問題が提起されましたけれども、これをこの制度で対象にしても健全な経済活動がシュリンクすることにはならないだろうし、そうならないような建付けの工夫は必要だろうと思います。特に有価証券報告書の虚偽記載については、17ページにあるように、金融商品取引法との整合性の検討がこれから必要であると思われますけれども、例えば、幹事証券会社や監査法人などがこの制度を怖がってしり込みをする、そうあってはならないだろう。しかし、そういう形にならないような建付けの制度の枠組みづくはできるのではないかと思いますので、その点についてのこれからの立法化作業での工夫が必要だろうと思います。
特に、17ページにアイウエという4つの類型が対象事案として書かれているわけですが、これがこのまま条文化されるのか。それとも個別の案件を具体的に類型として示す形にするのか。私はアイウエのような包括的な書き方でいいと思いますけれども、その上でなお具体的な案件についてわかるように、どういうふうに条文をつくるのか、大変な作業だと思いますが、是非、来春には通常国会に上程していただけるようによろしくお願いいたします。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 このたびのまとめに対して、伊藤座長をはじめ消費者庁の皆様方には、お礼を申し上げます。私の出身母体は適格消費者団体でありますので、最初にこの問題がありましたとき、さて我々はどこまでやっていけるのかなと非常に重い思いで参加させていただきました。ただ、少額で被害が多数あって高齢者というような被害が多くあるということで、この調査会の中で、簡易・迅速にだれでも公平に被害が救済できることを中心に検討されたことに対しては非常に敬意を表しております。
ただ、いつも申し上げるのですが、最後のところの実効性を高めるための方策と、その前の費用ということでございます。PIO-NETが適格消費者団体に配置されることにつきましては、前回の委員会でも申し上げましたが、管理運営をきちんとしていただかないと、今度、そこに入力する相談員たちがいささか不安になりまして、どこまで入力できるかなという少し危険性をはらんでいると思いますので、是非その辺のところをきちんとやっていただきたいということ。それに合わせまして、PIO-NETがいろいろなところに配置されておりますので、できれば、集団的消費者被害救済制度の中における相談員の何らかの財政支援をしていただきたいというふうに思っております。
もう一つは、32ページの適格消費者団体への費用等の支援ということでございます。やはり多くの問題を抱えてまいりますと、専門家である弁護士とか、いろいろな方を抱えながら運動を続けていかなければならないと思っております。財政基盤がきちんとしていないところは適格消費者団体に認定されないのは重々わかっておりますが、やるべきことが多いものですので、是非、適格消費者団体に財政支援が実効的に図られるようにお願いしたいと思います。それにつきましては、前回も申し上げましたが、今、消費者庁で考えていらっしゃいます課徴金制度なども含めまして、適格消費者団体に分配いただけるような形をお願いしたいと思っています。
全体のところにおきましては、今、皆さんが意見をおっしゃられましたのと同じでございます。本当にありがとうございました。

○松本委員長 ほかにございませんか。よろしいでしょうか。
伊藤座長におかれましては、御多忙の中、また、さまざまな意見が出た中でこの専門調査会の座長をお務めいただき、報告書の取りまとめに御尽力をいただきまして、誠にありがとうございました。なお、この報告を受けまして、消費者委員会として後ほど意見を取りまとめたいと考えております。
伊藤座長及び消費者庁におかれましては、お忙しい中、委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございました。

≪3.財産の隠匿・散逸防止策及び行政による経済的不利益賦課制度に関する検討について≫

○松本委員長 続きまして、「財産の隠匿・散逸防止策及び行政による経済的不利益賦課制度に関する検討について」です。消費者庁におかれましては、集団的消費者被害救済制度に関し、平成22年9月にまとめられました集団的消費者被害救済制度研究会報告書を踏まえ、同報告書における財産保全制度及び行政による経済的不利益賦課制度について検討チームを設けて議論を重ね、このたび、検討結果を取りまとめられたと聞いております。本日は消費者庁においでいただいておりますので、本取りまとめについて御報告をいただき議論を行いたいと思います。
それでは、御説明をお願いいたします。

○消費者庁南消費者制度課企画官 消費者庁消費者制度課企画官の南でございます。ただいま、委員長から御紹介ありました取りまとめについて、御報告させていただきます。
資料2-1、2-2が本件の資料でございまして、資料2-1が公表の際に用いましたプレスリリース文で、2-2が本体でございます。本日は、時間の関係もございますので、資料2-1のニュースリリース文を用いまして簡潔に御報告させていただきます。
まず、経緯でございます。まさに今、松本委員長から御紹介があったとおりでございまして、先ほど伊藤座長から御報告がなされました集合訴訟の話とは別に、行政的手法について、次長をトップとする本検討チームで昨年12月以来検討してきたということでございます。
「検討結果のポイント」というところでございますが、対象としておりましたのはいわゆる悪質商法でございます。悪質商法に相当する事案によって深刻な消費者被害が発生しているわけですが、悪質な商法をする事業者の方々はもともと消費者をだまそうという方々でございますから、事業者が財産を隠匿・散逸させる場合が多い。したがいまして、この観点から何らかの財産保全策が必要ではないか。これについての一つのアイデアとして、消費者庁による破産申立権限を導入してはどうかということになっております。
一方、財産隠匿・散逸防止以前に、そもそも被害を発生させない必要があるのではないか。すなわち、ひとたび被害が発生してしまうとその回復が困難ということでございますから、まずはその悪質行為をとめさせることが必要ではないかということで、もう一つが悪質な財産事案に対する行政措置の導入、あるいは違反行為抑止のための経済的不利益賦課制度、課徴金等ということで、大きく分けますと3つになっております。
それぞれの検討結果でございますが、2の(2)、マル1でございます。悪質商法をとめさせるための行政措置の導入ということでございます。消費者被害を拡大させるいわゆる悪質商法であって個別法では対応できないものについて、消費者庁による事業者への行政措置を導入してはどうかという結果になっております。
これはどういうことかと申しますと、ただいま、消費者庁は消費者被害の拡大防止のための措置を講じる消費者安全法というものを所管しております。消費者事故等が起こった場合に、消費者庁としては、注意喚起、あるいは他の個別法がある場合には当該所管大臣への措置要求ができることになっております。更には、生命・身体に関する重大事故等が発生し、かつ他の個別法できない場合、いわゆるすき間事案の場合は消費者庁自らが行政措置をとれることになっております。しかしながら、現在、財産事案に関して消費者庁ができるのは、注意喚起と個別法がある場合の措置要求のみとなっております。したがいまして、ここでは、消費者被害を発生させる財産事案に関して個別法では対応できないものについて、単なる注意喚起だけではなく、消費者庁自らが事業者に直接措置をとれるようにしてはどうかという提言となっております。
その下に「また」と書いておりますが、措置を導入するからには、その発動のための事実を把握するための調査権限が必要ですから、新たな措置に併せて十分な調査権限の拡充を図る必要があるということになっております。
次のページにいっていただきまして、新たな制度を構築するというアイデアもありますが、今、持っているツールも活用してはどうかということで、「振り込め詐欺救済法」というものがございまして、犯罪利用口座であることがわかった場合に金融機関はその口座を凍結等をする。それで被害者の預貯金等の財産保全が図れるという仕組みがあるわけですが、これを消費者庁は積極的に活用すべきではないかということが書かれております。
更に、法制的なアイデアとしましてマル2の最後の方の括弧に書いておりますが、先ほど申し上げました行政措置の導入に合わせまして、消費者庁による金融機関への情報提供義務規定を導入することも考えられる。仮に行政措置の対象行為として一定の悪質商法を規定できた場合、その調査の過程で犯罪利用口座の情報に接することもあると考えられます。その場合に、消費者庁による情報提供義務規定を法制的に規定することができれば、消費者被害の拡大防止とともに財産の隠匿・散逸防止両方に資するのではないか、こういう考え方でございます。
もう一つの違反行為の抑止策として、マル3の経済的不利益賦課制度。現行の我が国の法体系では課徴金というものがございまして、こういったものについても検討したわけですが、こちらはなかなか難しい問題がございます。一応悪質商法を念頭に検討してきたわけですが、いわゆる本当の破綻必至な事業につきましては、いざ課徴金をかけようとしてももう実態がなくなっているということがあろうかと思います。一方で、偽装表示とか、被害者が特定できない事案については課徴金は有効性があろうかと思います。
したがいまして、制度が機能する事案及びその実効性をちゃんと検討する必要があると。また、先ほど、専門調査会の議論でも御指摘がございましたように、被害者に配分しないとかえって被害者救済に資さないのではないかという考え方もございまして、現行の我が国法制における課徴金というものを前提に果たして被害者に配分することが可能なのか。あるいは可能だとした場合、その手段はどうするのかといったことも課題としてありますので、これまである意味網羅的に検討してきたわけですが、やはり何かしらの具体的な行政法規、個別法を前提に検討を深める必要があるのではないか。※で書いておりますように、現在、消費者庁が持っている法律として景品表示法というものがありますが、これが実は公取委所管時代に一回、課徴金を導入しようとしたことがある。ところが、消費者庁に移管される際にその導入が見送られた経緯がある。こういったことも踏まえて、具体的な個別法を前提に検討を進める必要があるのではないか。
マル4でございますが、財産の隠匿・散逸防止策のアイデアとして破産手続開始申立てというのがあります。破産手続開始決定により破綻手続が開始されますと、破産者の財産は破産財団として管財人の管理下に置かれますので、破産者が勝手に処分できない。かつ、預貯金に限られないということで、非常に有効な手段ではありますが、消費者庁が仮に破産手続開始申立てを持つとしたらいろいろ課題があるということで、引き続き検討と。
その課題といいますのは、そもそも破産というのは民・民の関係である。消費者庁は債務者に対して債権者ではない。更に、監督官庁に破産申立権を認めた例として、※に書いております、いわゆる更生特例法というものがございます。これは、金融機関等を監督する金融庁等の監督官庁に破産手続開始申立権を認めているわけでございますが、消費者庁は事業者との関係で、監督官庁と事業者、監督する官庁の立場ではない。そういった消費者庁が破産手続開始申立権を持つ法的根拠は何ぞやと。
更に金融機関更生特例法の関係で言いますと、金融庁なりは常に金融機関の財務状況をチェックしているということで、財務状況を把握するためのツール、体制が整っているわけでございますが、消費者庁にそういった調査権限はないではないか。あるいは、体制は整っているのかという課題がありますので、引き続き検討と。
以上、申し上げましたような課題を検討してきたわけですが、今後の進め方として、これまで消費者庁内部の検討チームだったところ、今後はオープンな場で専門家等を交えまして研究会を開催し、引き続き議論を深めたい。そういうことになっております。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、どうぞ、御意見、御質問がございましたらお出しください。
では、佐野委員から。

○佐野委員 御説明、ありがとうございました。課徴金のところで、お願いというか、意見があります。今、御説明がありましたように、公正取引委員会から景品表示法が消費者庁に移ったときに、課徴金については見送りというか、ストップしておりました。今回、実は私は課徴金制度は導入されるものだと思っていましたら、これから検討されるということであります。確かに表示ですので、非常に細かいものであります。しかし、現在、売り得・買い損となっています。売っている方は得をして、買った私たちはただ損をして泣き寝入りしている。是非、そういうことを二度と起こさないような形の制度を導入していただきたい。これからは是非そういう観点で検討を進めていただきたいと思います。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 集団的消費者被害の中でも特に詐欺的商法の事案が、今、日本では圧倒的に多いわけですけれども、この場合に刑事手続との関係というのが私は非常に重要だと思います。この中には振り込め詐欺の救済法のことで、一部、預金凍結の面は触れられていますけれども、それだけではなく、刑事捜査によって得られた資料、これがやがて民事の救済の中においても証拠収集としての役割を果たします。現在も犯罪被害者の救済制度の中でいろいろな不法行為事案については、起訴されれば、そこで集まってきた刑事資料を民事にも使える。損害賠償で使って被害者救済に役立っているというのがあります。
ところが、これも刑事公判までにすごく時間がかかる事件が非常に多いのです。特に大型の事件ですとそういうことが多くて、例えば加害者と損害を知ったときから3年という、この時効の期間までに公判が始まらなければ収集した資料が民事に使えない、そういう障害があるわけです。こういうところを考えると、集団的消費者被害の救済制度の中で、先ほど、加納さんたちのところの民事手続的な集団被害の救済制度の検討と今回の行政手法の問題の検討、この2つをやられたのですけれども、私はもう一つ、刑事手続の関係をどうやってこの新たな救済制度と役割分担を持たせるか、この検討が必要だと思います。今回はたまたま、民事訴訟法的な手続は消費者委員会の専門調査会でやり、行政手法については消費者庁で別の研究会でやられたという、2つに分かれてやられたのですけれども、これだと昔の縦割り行政の弊害がそのままあらわれて、結局、刑事手続の問題が真ん中のすき間に落ちている、こういう現象が生じているような気がします。
いずれにしても、民事も行政も引き続き検討ということになっているようなので、どこかで多分また別の有識者会議か何かおつくりになるだろうと思いますが、民事手続と行政手法を別々にやるとまた同じことが起こるような気がするので、今後の検討は、全体を見て、刑事手続の役割分担も含めた検討ができる、そういう検討組織をつくってもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

○消費者庁堀井消費者制度課長 消費者制度課長でございます。
今の御指摘ございましたが、こちらの検討については、消費者庁及び消費者委員会設置法の附則第6項を踏まえて、さまざまな論点を抽出しながらやらせていただいているという理解でおります。今回、検討チームが取りまとめをして、先ほども少し話がありましたが、具体的な論点に応じた形での有識者の方々をお呼びした検討会を一つつくって、そこでやっていこうと考えています。いずれにしても、今、御説明させていただいた内容一つ見ても、それぞれの項目ごとに、論点の深さといいますか、困難さが違うという状況があるのはこれはこれで事実でございます。
消費者庁としましては、具体的に検討を進めていって、その論点が詰まって、成案化できたものから実施に移していけるようにやっていきたいと思っていますが、そのような観点の中で、今、御指摘のところは念頭に置きつつも、今回整理した3つの論点を中心的に検討を進めていくことになろうかと考えています。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 御説明、ありがとうございます。しつこくて申し訳ないのですが、マル3の課徴金制度のことについてでございます。先ほど、被害者に分配するのは非常に難しいということでありましたが、私どもが以前から申し上げているのは、適格消費者団体とか消費者団体の支援の一部として財政支援をしていただくということで、団体への配分をお願いしたいというふうに思っております。これは、この課徴金制度について導入されるという話がありましたときから私どもは非常に強く申し上げておりましたので、是非そこのところを、3番目ではなく、もう少し上のところで御検討いただけるようにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○松本委員長 よろしいでしょうか。この検討チームは、いわば論点を摘出して、こういう方向でという段階だと思います。いろいろな意見がございましたけれども、それぞれ本当に重要なテーマでございますので、今後、一層掘り下げて、是非、早急な具体化を図っていただきたいと思います。
消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力をいただきまして、ありがとうございました。
ただいま、集団的消費者被害救済制度に関し、消費者委員会に設けられました専門調査会の報告、それから、消費者庁の「財産の隠匿・散逸防止策及び行政による経済的不利益賦課制度に関する検討チーム」の取りまとめについての報告をそれぞれいただきました。これらを踏まえまして、消費者委員会としての意見の案を作成しておりますので、配付をお願いいたします。

(追加資料配付)

○松本委員長 それでは、ただいま配付いたしました、追加資料「集団的消費者被害救済制度の今後の検討に向けての意見(案)」につきまして、池田委員より御説明をお願いいたします。

○池田委員 それでは、説明させていただきます。
今の資料に基づいて説明いたしますけれども、前半はいきさつを書いております。4つの項目に分けておりますので、その4つを読ませていただきます。
マル1 今後、集団的消費者被害救済制度の具体的な仕組みづくりを行う過程で、幅広く関係者から意見を聴取した上で、速やかな立法化を目指して検討作業を進めること。
マル2 8月18日に、消費者庁の「財産の隠匿・散逸防止策及び行政による経済的不利益賦課制度に関する検討チーム」の取りまとめが公表された。集団的消費者被害の救済・抑止をより効果的に行うためには、行政的手法を活用することが不可欠であることから、引き続き、取り組むべき課題について検討を進めること。
マル3 今回は、現行の民事訴訟制度の大部分を所与のものとして検討を行ったが、中長期的には、今回の立法による救済の対象からはずれる類型の集団的消費者被害や、更には個別の消費者被害における被害回復の実効性を高めるという観点から、証拠収集等も含む民事訴訟制度全体の見直しについても考えていく必要があること。
マル4 集団的消費者被害事案の中には、刑事捜査によらなければ事案の解明や収益の所在の確認に至らないものが相当数含まれており、今後も、刑事的手法の重要性は減じるものではなく、新たな被害救済制度と適切や役割分担を検討すべきであること。
以上であります。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、この意見案につきまして、どうぞ、御意見のある委員の方は御発言ください。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 今の意見案に賛成します。この意見は報告書に沿ったもので、いいと思っています。消費者被害の救済にはこの制度は重要なものでありますし、消費者としても消費者団体としても、非常に長い間、求めてきた制度であります。ですから、期待も非常に大きいと思います。
ただ、この中身が、先ほど意見もありましたけれども、手続追行主体が適格消費者団体だけであるし、対象事案も契約関係のみと非常に幅が狭く、かなりこじんまりとした小さなものにまとまってしまったように思います。今後、この制度の実現を目指すに当たって更に深く議論をしていただきたいと思います。

(田島委員出席)

○松本委員長 ほかにございませんでしょうか。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 先ほど言ったことに関連しますけれども、民事訴訟手続のチームと行政手法のチームに分けたまま引き続き検討をされると、同じことになりそうな気がするので、是非それらを総合的に議論する場というのを設けていただきたいと思います。例えば分科会でおやりになっても最後は親部会で総合的にきちっと見る、そういう仕組みを検討していただけたらと思います。

○松本委員長 ほかにございませんでしょうか。
特にこの案自体については反対の意見はないと思いますので、消費者委員会として、この案を意見として採択したいと思います。どうもありがとうございました。

≪4.個人情報保護専門調査会の報告について≫

○松本委員長 続きまして、「個人情報保護専門調査会の報告について」です。個人情報保護専門調査会につきましては、昨年8月に第1回の調査会を開催して以降、これまでに9回にわたって御審議をいただき報告書を取りまとめていただいております。本日は、報告書取りまとめの労をおとりいただきました長谷部座長にお越しいただいておりますので、専門調査会報告書について御説明をいただきたいと思います。
それでは、長谷部座長、御説明をお願いいたします。

○長谷部座長 東京大学の長谷部でございます。
個人情報保護専門調査会の座長といたしまして報告書を取りまとめさせていただきましたので、まず私の方から、個人情報保護専門調査会報告書、これに基づきまして審議の概要を説明させていただきます。
本専門調査会につきましては、ただいま松本委員長から御紹介がございましたとおり、昨年8月の第1回の会合以降、本年7月26日の第9回会合まで、約1年間にわたりまして審議を行ってまいりまして、今般、報告書を取りまとめました。お手元の資料3 報告書の26ページに「個人情報保護専門調査会の進め方について」という資料がございますが、本専門調査会は、「2.主な審議事項」にございますとおり、個人情報保護法の施行状況の評価、法及びその運用に関する問題点の検討、これをミッションとして審議を行ってまいりました。したがって、関係の各府省庁あるいは関係機関へのヒアリングを中心に審議を行い、現状の把握に努めてまいりました。その点につきましては、27ページの審議経過におきまして確認をいただければと存じます。
その後、御存じのとおり、「社会保障と税に関わる番号制度」の検討、これが精力的に進められたことなどが周辺状況としてございましたが、いわゆる「過剰反応」の現状分析、第三者機関の意義、個人情報保護法制の趣旨と保護法益といった全体論議、あるいは各論の部分につきましても、与えられましたミッションについて一定程度の成果を上げることができたのではないかと考えております。
最後になりますが、専門調査会の報告書を取りまとめた座長の立場といたしましては、報告書の3ページ、序文の部分にも記述させていただいておりますが、消費者委員会におかれましては、本法の所管官庁である消費者庁等の協力の下、今後、これらの検討課題についてしかるべき方法で審議を継続していただき、それぞれ適切な時期までに結論を得るべく取り運んでいただけますことを望んでいるところでございます。
報告書の内容につきましては、事務局から御説明をお願いいたします。

○原事務局長 それでは、事務局から、資料3に基づいて少し内容を御紹介したいと思います。
資料3を開けていただきますと、1~2ページが目次になっておりまして、3ページから報告書の本体となっております。
1ページの目次をごらんいただきたいのですが、今回、報告書の構成を大きく2部の構成にしております。第1は、総論といたしまして、「個人情報保護法制の全体構想」からの課題の抽出を3点行っております。
第2として、各論ですが、10ページから始まりますけれども、「個人情報保護法制の点検・調整」ということで5つの論点について課題を抽出しております。
添付資料といたしまして、専門調査会の設置・運営規程等の関係規定をつけて報告書の体裁としております。
具体的な検討課題については、3ページからごらんいただきたいと思います。先ほど申し上げましたように、第1は総論、個人情報保護法制の全体構想から始まっておりますが、1といたしまして、「いわゆる『過剰反応』の現状分析」としております。アが従前の検討、4ページの下、イとして囲みで「検討課題」ということで明示的に抽出しております。5ページの囲みの下は「参考」としておりますけれども、審議の過程における委員の発言・ヒアリングの概要ということで、検討課題を抽出するに当たってこういった御意見を参考にいたしましたということで、後段におつけしております。
それでは、1の「いわゆる『過剰反応』の現状分析」ですが、これについての検討課題は、4ページの下の段から、4点、論点を挙げております。
1つ目といたしまして、過剰反応いうのは法律の制定時からいろいろ言われていたところですけれども、最近の過剰反応というのは、いわゆるソーシャル・メディアの普及等により情報の拡散する経路が多様化していることも踏まえ、そういったことも法の誤解に起因するこれまでの過剰反応とは別に、施策の要否を検討する必要があるというのは、これは新たに入ってきております。
2つ目のポツですけれども、個人情報保護法制は、事業者や行政機関等が遵守すべき義務を定めております。いろいろな過剰反応的なものというのは、4行目にありますけれども、法規制による萎縮というより、「個人が自己の個人情報とどのように付き合うかという自律的な倫理の啓発や、事業者等が個人との間で信頼関係を構築するために求められる取組等の観点から検討する必要がある」といたしております。
3つ目のポツです。事業者、行政機関または地方公共団体等が、個人情報保護法制では制限されていないにもかかわらず、提供を差し控えるケースというのは報告されているところですけれども、「健全な民主主義社会の存立に不可欠な公益性、公共性の観点から公にすべき情報の流通が両立されるよう、施策の方向性を検討する必要がある」としております。
4つ目のポツは、今回の災害の話から出てきた指摘ではありましたけれども、個人情報保護法制は、地方公共団体による条例に基づく個人情報の取扱いについては、地方自治法を前提とした分権的システムを採用しております。ただ、具体的な問題、例えば災害時の要援護者に係る情報提供のようなところを見ますと、地方分権の趣旨も踏まえつつ、何らかの施策を検討する必要があるのではないかということで課題を抽出しております。
7ページ、「2.第三者機関の意義」についてですけれども、これは先ほど座長からも御報告がありましたが、「社会保障・税に関わる番号制度」の検討の中で非常にクローズアップされてきたものです。「イ 検討課題」として、1つ目のポツですけれども、2行目から、「社会保障・税番号制度の検討における議論を参照しつつも、個人情報保護法制の全体像を視野に入れた構想として、第三者機関の具体的な在り方や想定される効果等を検討する必要がある」としております。
2つ目のポツですけれども、「社会保障・税番号に係る個人情報との関係で設置が検討されている第三者機関に、番号以外に係る個人情報についても苦情の受付や制度運用の監督を行う権限を与えるべきとの意見も出されておりますが、こういうものも個人情報保護法制の全体像を視野に入れた構想における選択肢の一環として、検討する必要がある」としております。
3つ目のポツは、1つ目、2つ目と重なりますけれども、第三者機関の話については、個人情報保護法上の主務大臣と第三者機関との間における機能配分等の整理が課題として出てきますので、「番号法における議論の進展を注視しつつ、個人情報保護法制の在り方についても検討する必要がある」としております。
8ページは、「3.個人情報保護法制の趣旨と保護法益」としておりまして、検討課題は9ページから書いております。1つ目のポツですけれども、「特定の個人を識別することができる」という要件の解釈がわかりづらい。それで法の趣旨にも誤解が生じているという意見については、「法施行後における情報流通手段の変化・情報サービスの展開も踏まえつつ、個人の人格的、財産的な権利利益の侵害を未然に防止しようとする法の趣旨に照らして、対応を検討する必要がある」としております。
2つ目は、これも法律施行後、出てきている事象ですけれども、「集積・集約された個人情報によって、本人が意図しない形の個人像が構築されたり、特定の個人が選別されて差別的に取り扱われたりするのではないかといった懸念については、個人の自由な自己決定に基づく行動や、表現の自由を含む基本的人権の行使についても抑制的にならざるを得ず、民主主義の危機をも招くおそれがあるとの意見があることも踏まえつつ、個人情報保護法の保護法益との関係について検討する必要がある」としております。
なお、10ページ以降は各論に入っております。1といたしまして「個人情報取扱事業者の範囲」ということで、検討課題で、個人情報取扱事業者の要件について、少なくとも段階的に5,000という閾値を引き下げていくべきと。これは法律制定当初からあった議論ですけれども、これについても再度掲げております。
11ページが「2.事業者等の取組」ということで、(1)として「利用目的による制限・第三者提供の制限」のところでは、検討課題といたしまして、1つ目のポツで、第三者提供の制限においては、下から2行目ですけれども、「利益衡量の判断に関する紛争を解決する仕組みの必要性と併せて、検討する必要がある」としております。
2つ目のポツですけれども、行政機関の個人情報保護法についてです。これについては、「行政機関における運用の実態を把握した上で、全体的な整合性の観点から、検討する必要がある」としております。
12ページは、(2)、「事業者による任意の取組」としております。検討課題については、事業者それぞれに、プライバシーポリシーとか自主的な取組が進められておりますけれども、「その進行状況及びプライバシーポリシー等の役割を検討する必要がある」としております。これも再掲ということになります。
13ページに入りまして、(3)が「個人情報の取扱いについての従業者の同意」です。これは委員から御意見が出たところですが、検討課題で、事業者が、従業者に対して提出を求める誓約書・同意書に、家族情報の提供とか、個人情報の漏えい事故等に係る損害賠償等に同意する条項が含まれている事例があるということで、こういったことについても議論を尽くすべきではないかということで、検討課題として掲げております。
14ページに入りまして、(4)が「安全管理措置の水準」ということで、下の段にイとして検討課題を掲げております。事業者等は、事故を未然に防止するための措置のほか、事故が発生した場合の拡大を防ぐということで、暗号化をはじめとした適切な技術的保護措置等を講じることが望ましいが、こういった取組についても促進を検討する必要があるとしております。
15ページに入りまして、「3.本人関与の在り方」としております。(1)が「開示・訂正・利用停止の求め」で、検討課題は16ページに入ります。これは、保有個人データの開示・訂正・利用停止の求めですけれども、具体的な請求権を付与する趣旨であることを明確にすべきであるとの意見について、検討する必要があるということ。
2つ目ですが、保有個人データの開示については、手数料の額を高額に定める事業者が存在すること、制度の理解が十分でない認定個人情報保護団体が存在する。これは専門調査会の中で御指摘がありまして、本人関与の制度としての実効性が妨げられているのではないかという御指摘がありました。これについて検討する必要があるとしております。
(2)、「苦情の円滑な処理」といたしまして、イの検討課題、1つ目のポツでは、国が講ずべき必要な措置の在り方を検討する必要があるということと、2つ目では、消費生活センター等が行う相談業務に伴う事業者への照会については、運用の在り方を検討する必要があるとしております。
「4.国際的な整合性」ということで、検討課題では、これも新たな指摘で1つ目のポツをつくっておりますけれども、国際的な整合性については、我が国の法制度に対する国際社会の理解を求めていくとともに、国外で活動する事業者等のニーズも踏まえつつ、協調の在り方を検討する必要があるということは、今回、新たに入れております。
越境執行協力への対応については、引き続き行っていくということです。
18ページに入りますが、「5.特定分野の運用」とうことで、「(1)格別の措置とガイドラインの在り方」としておりますが、19ページに検討課題を掲げております。1つ目の指摘ですけれども、それぞれの分野でガイドラインを定めてありますが、それと個人情報保護法との間の対応関係等がわかりづらいとの指摘がございます。そういったことについて、具体的な問題の所在について検討する必要があるとしております。
先ほども申し上げました社会保障・税番号制度の問題ですけれども、2つ目の指摘といたしまして、個人情報保護のための格別の措置の一部を構成する特別法として整備される可能性があることから、個人情報保護法制としての全体的な整合性の観点から、立法の動向を注視する必要があるということで、先ほどの指摘と同じです。
3番目の指摘ですけれども、報道機関の在り方について、社会保障・税番号制度の検討が進んだ場合、報道機関が報道目的で個人情報を取り扱う場合にどういうふうに考えていくのかということについても、個人情報保護法制全体の整合性の観点から注視する必要があるとしております。
20ページに入りまして、(2)、「情報保護評価」ということで、これについては検討課題で一つ指摘をしております。大量の個人情報を取り扱うシステムが構築される場合について、個人情報の保護に関する事前評価の実施を推進すべきではないかとの意見について、社会保障・税番号の制度設計を通じた方法論の蓄積を参考にしつつ、検討する必要があるというふうにしております。
従前の指摘から、重なる指摘の部分と、今回新たに加えた問題点、課題を抽出したというところで、全体を構成しております。
長くなりましたけれども、事務局からは以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見のある方はどうぞ御発言ください。
下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 御説明、ありがとうございます。長谷部座長におかれましては、長期間にわたってこのような報告をおまとめいただきましたこと、感謝申し上げます。
総論のところでありますが、過剰反応につきましては今回の震災で非常に大きな問題になっております。行政がどこまで、民生委員や地域の方たち、高齢者の被害に遭われた方たちにどのようにするかということで、非常に大きな問題となっておりましたので、是非ここのところは、今後、積極的な検討をお願いしたいということが一点ございます。
税番号制度の関係でございますが、やはり私は個人情報保護法の改正が主たるものだと思っております。その中で番号制度を考えていくべきものではないかというふうに思っておりますので、また、御検討いただければと思っています。
最後に各論でございますが、苦情処理の在り方のところでございます。個人情報保護法ができましたときは、国民生活センターの中において個人情報の相談窓口というのがつくられておりました。周知は、消費者庁や国民生活センターが全国のいろいろなところに個人情報保護法の説明と相談窓口の開設についての説明に歩かれました。最初は大々的なものではなかったことは確かです。それなりに窓口が充実いたしまして、個人情報窓口というのが設置されたのですが、今回の事業仕分けだとかいろいろな形で、この個人情報の直接相談窓口というのは全くなくなってしまったわけです。それは、ただ単に相談を受けるだけではなくて、解決に導いていくという国民生活センターや消費生活センターの相談の在り方そのものをやっておりましたので、そういう窓口がなくなるというのは非常に問題なのではないかと思っておりますから、その辺のところも御検討をお願いしたいと思っております。ありがとうございました。

○松本委員長 ほかにございませんでしょうか。
それでは、長谷部座長からの御報告に関する審議はこれで終わります。
長谷部座長におかれましては、御多忙の中、本調査会の座長をお務めいただき、また、報告書取りまとめに御尽力をいただきまして、誠にありがとうございました。
引き続きまして、消費者委員会としての考え方につきまして、案を作成しておりますので、配付をお願いいたします。

(追加資料配付)

○松本委員長 それでは、ただいま配付いたしました、追加資料「個人情報保護制度について(案)」につきまして、川戸委員より御説明をお願いいたします。

○川戸委員 私もこの個人情報保護専門調査会の委員として出させていただきました。1年という、スタートが大変遅くて短い時間だったのですけれども、また、個人情報というのは同じ事象のことでも、自分の置かれた立場によって全く評価が違う、大変難しい問題です。ですから、委員の中でも端から端まで議論がありまして、活発な議論とはいえなかなか収束するのは難しいということで、今回の結論も、まとめというよりはむしろ論点整理に終わってしまったということはありますけれども、社会保障と税の番号制度が片方で議論があり、また、先ほど下谷内さんからの指摘もありましたように、3・11でのこの現状というのがあり、社会状況が大きな変化をしている中で、こういう報告書をよくおまとめいただいたと思って、長谷部さんは退席なさいましたけれども、皆様方に感謝しております。
それでは、これについての委員会の意見を読ませていただきます。
消費者委員会は、平成23年8月、個人情報保護専門調査会から「個人情報保護専門調査会報告書」の提出を受けました。
消費者委員会としては、本報告書で指摘されました検討課題についてはいずれも重要な課題と考えておりまして、今後、これらの課題を取り巻く状況の推移を見つつ、次期の委員会においても優先的に解決すべき課題等を抽出しまして、引き続き検討を進める必要があると認識しております。是非よろしくお願いいたします。

○松本委員長 ただいま御説明いただきましたこの案につきまして、御意見がございましたら、どうぞ御発言ください。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 一言。これは、短い提案ですけれども、これ以上言いようがないのですが、反省と評価を私なりに申し上げますと、個人情報保護制度についての検討というのは福島さんが大臣のときに提案されて、2年前の12月にこの専門調査会の設置を親委員会で決定しました。しかし、実際に第1回の専門調査会が開催されたのは昨年の8月だったわけです。8か月間、そこにブランクができて動いていなかった。今日の報告書を見ると、議論が尽くされていないとか、引き続き検討という言葉ばかりになってしまったのですが、これはそういう意味では仕方がないというか、立ち上げの遅さというのも、責任の一端は委員会側にもあることです。ですから、これはやむを得なかったと思っております。
ただ、国の制度が、先ほど来言われているように大きな制度が検討されて政策が動こうとしているときに、片方で個人情報の問題にかかわる部分を、各界の個人情報に関する有識者が細かい議論をしてくれたことはそれなりに意味があった。今回のこの取りまとめが、今後の制度検討に必ず役に立つことがあるのではないかと期待しております。今後、いろいろ動くかもしれませんけれども、引き続き検討をしていただくということで引き継ぎをするということで、この提案に対しては賛成いたします。

○松本委員長 特に反対の意見もございませんようですから、消費者委員会としては、この案を委員会の意見として採択したいと思います。ありがとうございました。

≪5.平成22年度個人情報の保護に関する法律施行状況の概要について≫

○松本委員長 続きまして、「平成22年度個人情報の保護に関する法律の施行状況の概要について」です。個人情報保護法に基づいて作成された「個人情報の保護に関する基本方針」において、消費者庁は、その施行状況について関係行政機関からの報告を取りまとめ、その概評を公表するとともに消費者委員会に報告することとされております。平成22年度の施行状況の概要について消費者庁より今月24日に公表されておりますので、本日の委員会におきまして、これについて報告をいただくことにいたします。
それでは、消費者庁より御説明をお願いいたします。

○消費者庁堀井消費者制度課長 それでは、御説明をさせていただきます。資料で申し上げますと、資料4-1及び4-2を適宜御参照いただければと思います。
ただいま、委員長から御説明をいただいたとおり、公表等の趣旨については、個人情報保護に関する法律、こちらの53条に基づいて実施しているところですが、個人情報保護関する基本方針におきまして、消費者庁が関係行政機関からの報告を取りまとめ概要を公表するとともに、消費者委員会に報告をするという形になってございます。本報告は、平成18年、平成17年度の施行状況から御報告をさせていただいておりまして、今回が6回目に相なるという状況でございます。
それでは、資料4-2の冊子をお開きいただければと思います。まず初めに1ページでございますが、「事業等分野ごとのガイドラインの見直し状況」ということで、法律の8条に相当する部分のデータでございます。23年の3月31日現在ということで、各省庁により、27分野につき約40本のガイドラインが策定されているという状況で、かつ、22年度中に新たに見直しを行ったものは2本という状況でございました。
また、2は「個人情報取扱事業者に対する主務大臣による権限行使の状況」でございます。22年度中、法律に基づく報告の徴収が15件実施するという状況でございました。実施をしたのが金融庁、経済産業省ということで、下の表に書いてございます。ちなみにということで、1ページの2の2行目に、21年度は報告の徴収18件、勧告2件というデータが紹介されてございます。
続きまして、2ページの3が「認定個人情報保護団体の認定の状況」ということでございます。こちらは38団体という形になっております。
続きまして、3ページの1、苦情処理の状況ということで、(1)に全体的な状況の御紹介がございます。22年度中に、地方公共団体及び国民生活センターに寄せられた苦情相談が6,212件ということで、平成21年度が8,559件であったのに比較して、件数としてはかなり減っているという状況がございます。なお、受け付けた中の内訳でございますが、そのうち消費生活センターが受け付けたものが約8割という状況になってございます。
このような苦情相談の対象となった分野の内訳といいますか、そちらが(2)でございます。特に事業分野の中で適正な取扱いを確保すべき個別分野が41%、その他が39%という状況でございます。
続きまして、5ページをお開きいただければと思います。2の(1)、「事業者からの個人情報漏えい事案の状況」についてのデータでございます。22年度につきましては、事業者が公表した個人情報の漏えい事件で、各主務大臣において把握し、私ども消費者庁に報告された事案の件数は合計413件になっております。下の参考のところに、これまでの推移というか、件数が書いてございますが、平成21年度の490件に比較しても、全体の件数としては減少傾向にあるということが言えるかと考えております。
下の(2)は、個人情報が漏えいした人数は、500人以下というところが7割を占めているという状況でございます。
続きまして、ちょっと飛びますが、12ページでございます。第3章ということで、「法施行後6年間の施行状況の傾向」でございます。
まず、1の「事業等分野ごとのガイドラインの策定・認定個人情報保護団体の認定の傾向」でございます。数的にはそんな大きくという状況ではございませんが、グラフをごらんいただきますと、着実にガイドラインの策定数と認定個人情報の保護団体数については増えているということが申し上げられるかと思います。
2は、「個人情報取扱事業者に対する主務大臣による権限行使の傾向」でございますが、6年間で7件の勧告、291件の報告徴収、1件の助言ということになってございます。
報告徴収の件数につきましては、17年度から22年度まで概ね減少傾向にあるという状況でございます。
13ページの3、個人情報に関する苦情相談件数・個人情報の漏えい事案の件数なども、先ほども少しございましたが、かなり減少傾向にあるという状況にございます。着実に減少しているところの正確な理由については、私どもも因果関係などについては分析がしにくいところがございます。ただ、法律の施行後6年間ということで見たときに、この法律自体の周知が定着しつつあるのかなという気はしております。しかしながら、先ほどお話が出ましたように、過剰反応の事案ですとか、そういった個別の事案についての情報もございますので、消費者庁といたしましては、適切にこの法律が施行されるように、引き続き周知などに努めていきたいというふうに考えております。
駆け足で恐縮ですが、以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。ただいまの報告につきまして、質問をどうぞ。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 個人情報保護の中心分野から少し離れますが、昨年の夏、非常に問題になったケースが、いわゆる戸籍上は生きているお年寄りがとっくの昔に亡くなっていたということで、かなりいろいろな問題が出てまいりました。これは個人情報保護の問題と少し違うのかもしれないけれども、やはり過剰反応の一環として、隣組の民生委員が個人情報保護という名の下にお年寄りの生活状況をチェックできない、拒否されるとそれ以上は立ち入れないとか、あるいは、公団住宅、団地などに高齢者がお一人でお住まいの場合に、その団地の世話役の方がどこまでプライバシーに入り込めるのか、という問題がかなりありました。
今回の報告書には、この分野と直ではないかもしれませんが、密接にかかわる問題であると思うのです。その辺については特に今回、何も書かれてはいませんが、これから、いわゆる無縁死とか孤独死、あるいは、お年寄りの消息のネットワークの構築の在り方等が議論になるところであります。個人情報をどう保護するかという観点も勿論必要ですが、過剰反応による問題も専門調査会でも議論をしたところでございますので、できればその点についても目配りをした報告書を、来年度、何か考えていただければありがたいなと思いますが、どうでしょうか。

○松本委員長 どうぞ。

○消費者庁堀井消費者制度課長 基本的に行政機関から消費者庁に報告をしていただく内容というのは、現在、基本方針で決めています。報告の徴収、助言等の規定の実施状況ですとか、事業等分野におけるガイドラインの策定・実施の状況、認定個人情報の保護団体における苦情処理の状況、個人情報取扱事業者からの個人情報の漏えい等の事案の状況というふうな形になっていて、今回、御報告をしたこの冊子、状況報告は、その基本方針の調査項目をベースにしているというところはまず前提としてございます。
山口委員の御指摘があったように、御指摘のケースが個人情報保護法の事案に該当するかどうかというのは、確かにおっしゃったように若干異なる部分もあるかもしれませんが、ただ、先ほどお話が出た震災関係でございますとか、地域レベルの住民の方についての福祉関係もはじめとしたケアの問題などで、あたかも個人情報保護法があるから情報が出せないのだという、誤った過剰反応というか、あるいは法律の適正ではない解釈ですとか、そういったものが間々見られる部分もございました。私どもはそういったものについては把握をして、そのたびごとに適正な形での周知をするように努めています。御案内のとおり、わかりやすい啓発資料を作成したり、あるいは、地方における個人情報保護についての説明会の持ち方なども工夫していますので、引き続き情報のキャッチに努めながら、適正な形で法律が施行されるように努めていきたいと考えています。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 ちょっと関連しますけれども、法に基づく施行状況の報告の2年ほど前の報告書までは、「過剰反応への対応」という項目がきちっと1項目あったわけです。昨年からそれが消えた。昨年もちょうど8月にこの御報告を受けたときに、國井室長から説明を求めたら、それは総務省の方で各自治体調査をかけていて、その中で過剰反応の問題を調べて集計して、いずれ総務省の方で発表する。それを待っていて遅くなってもいけないから、とりあえず消費者庁はこの段階でこの状況の報告をするんだという説明をされたのです。先ほどの専門調査会の報告書でも、過剰反応の問題はメインに置かれているのに、この報告書の方になるとそのことが全然出てこないというのは少し違和感を感じるので、昨年の分でもいいから、個人情報保護に関しては過剰反応の問題がこういう状況だということをどこかに入れておいていただいた方が、法の施行状況の全体像が見渡せるのではないかと思います。来年ぐらいから少し工夫していただけたらと思うのですが、いかがでしょうか。

○松本委員長 どうぞ。

○消費者庁堀井消費者制度課長 昨年の議論については私も認識しております。もう少し具体的に御説明させていただきますと、総務省が公表している「地方自治情報管理概要」で「個人情報保護に関する体制整備等」という項目の一環として過剰反応対策という項目があり、内容としましては、地方公共団体における取組状況として、研修と周知の実施率という状況のようでございました。過剰反応というのは、確かに非常に深刻なというか、対策が重要な課題であるというふうには認識していますが、過剰反応の例えば件数を把握するとか、実施状況を把握するというのもなかなかイメージがわかない部分がありまして、そういう意味でつかみかねたというところがございます。
ただ、今の委員の皆様方の御指摘を踏まえまして、その辺りがどういうふうな形で対応できるのかというのは、来年度に向けてまた考えさせていただければと思います。

○松本委員長 ほかに御意見、ございませんでしょうか。
個人情報保護法で言うところの個人情報の問題とプライバシーの問題というのは、一部重なりますけれども、随分重なっていない部分がある。しかし、一般人の意識としてはうまく切り分けられていなくて、プライバシーの問題がすべて個人情報保護法の問題であるかのような認識を持たれている部分がなかなか解消できないところが、過剰反応の一つの原因かなという気もいたします。これは、そう簡単に一気に解決というわけにはいかないと思いますけれども、さまざまな方法で啓発等を行っていっていただきたいと思います。
それでは、消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力をいただきまして、ありがとうございました。

≪6.住宅リフォームに関する消費者問題への取組について≫

○松本委員長 続きまして、「住宅リフォームに関する消費者問題への取組について」です。住宅リフォームに関する消費者問題につきましては、近年、相談件数が再び増えてきていることや、東日本大震災後に開設された、「震災に関する悪質商法110番」に寄せられた相談でも住宅リフォーム関係の相談が上位を占めていることから、消費者委員会において調査を進めてまいりました。昨年11月に、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として関係省庁ヒアリングを行いましたほか、本年4月以降、10の都府県及び政令市、国土交通省、関係団体並びに事業者からのヒアリングを行うと同時に、本年7月下旬から8月上旬にかけて、住宅リフォームの経験がある、あるいはリフォームを行う意向のある消費者を対象にアンケート調査を行ってまいりました。今回、本調査の結果を取りまとめましたので、その内容について御報告するとともに、消費者委員会としての意見を取りまとめたいと思います。
それでは、お手元に配付をしております、「住宅リフォームに関する消費者問題への取組についての実態調査結果」と「建議(案)」につきまして、山口委員から御説明をお願いいたします。

○山口委員 時間の関係もございますので、本当はこの報告書に基づいてきちっと述べたいのですが、資料5-1の横長の「実態調査結果と建議の概要」、これに基づきまして簡単に骨子を御報告したいと思います。
まず、2ページ、3ページで実態調査結果を簡単にまとめてみました。2ページの左下、住宅リフォームに関する相談件数の推移をPIO-NETで検索いたしますと、毎年1万件以上の相談が寄せられています。特に17年にはいわゆる「次々リフォーム」などの被害が広く報道されたこともありまして、件数が多かったのですが、今年はやはり震災の関係で去年よりも少し増える傾向が見られます。
3ページを見ていただきますと、住宅リフォームの相談窓口は、PIO-NETのほかに、「住まいるダイヤル」という国交省傘下の財団法人がやっている相談があります。PIO-NETは半分以上が60代以上の高齢者ですが、住まいるダイヤルの方を見ますと、むしろ50代前までの、これから家を建てて、あるいは家をリフォームして住もうという方々が75%を占めているという状態であります。
住宅リフォームに関する相談の契約金額を見ますと、100~500万円の金額が3,426件と一番多い。つまり、500万円以下のリフォーム工事が多いのかなということがわかっております。更に支払い方法、これは特徴的なのですが、従前は個品割賦、いわゆるクレジットを使った契約が2割以上を占めていたのですが、現段階では割賦販売法の改正等がございまして、昨年は8.2%まで減って、現金払い、即時払いというパターンが増えております。
4ページですけれども、消費者問題の状況にかんがみて、屋根工事に特化してPIO-NETの情報をつぶさに検討いたしました。いわゆる法令違反は、17年の2~4月に比べ、今年の2~4月、同じ期を見ますと、悪質事案よりもむしろ、明らかに法令違反とは認められないけれども、金額の点、あるいは既にリフォームを頼んだ事業者の信用性などについて、不安があるということで問い合わせがある。そういう事例が非常に多いということが、屋根工事に関する相談事例をつぶさに検討した結果、わかっております。4ページの左下の図を見ていただきますと、従前は解約のトラブルの相談が多かったのですが、それがやや減りまして、むしろ問い合わせの部分が増えてきております。右下を見ていただきましても、価格とか業者の信用性についての問い合わせ、あるいは相談が半分くらいを占めているという状態であります。
5ページですが、国や地方自治体では、消費者の事業者選びや相談に対応するさまざまな支援制度やサービスが用意されております。これを表にまとめたのが5ページの表です。以下は、当委員会でヒアリングを実施した10の都道府県、政令市における主な制度・サービスの細目、これを一つひとつチェックいたしまして、これらが消費者に広く周知され、活用しやすい状況になっているならばいいけれども、それがどうなのだろうかということを中心に調べてみました。例えば国では、住宅リフォーム・紛争処理支援センター、いわゆる「住まいるダイヤル」というのがございます。あるいは無料専門家相談制度、いわゆる住宅診断、アドバイザー派遣制度なども整備されております。これがどうなのかというところです。
6ページを見ていただきますと、「住宅リフォームに関する消費者実態調査」ということで、消費者委員会としては、国や地方自治体などによるさまざまな消費者支援制度・サービスに対する認知度・利用経験の有無を調査して、周知状況を検証いたしました。更には、リフォーム経験者の事業者選択や契約に至るまでの過程等、消費者の行動パターンを把握し、今後の周知策の検討材料としたいということで調査しました。それから、クーリングオフについての消費者の理解度も把握したいということで調査いたしました。
調査の方法は、先ほど委員長もお話しになりましたけれども、7月28日~8月4日の8日間をかけまして、1,048名。これはWEBアンケートですので、インターネットを使える方々に絞って30代から60代以上の年齢の方々に、7ページ、8ページ、9ページに列挙しているような調査項目で調査をいたしました。その結果が10ページ以下の実態調査結果ということになっております。
問題は、国や地方自治体による消費者支援のための制度・サービスについて、80.7%の消費者がいずれの制度・サービスも知らない。国交省や自治体がいろいろ工夫しているはずですが、知らない方が8割を占めているという状態です。最も認知されている「行政機関の電話相談窓口」についても、10%しか知らないという状態でした。利用経験については更に低くなって、いずれかの制度・サービスを利用したことがあるという方も6%しかいませんでした。最も利用経験のあった「リフォーム見積チェックサービス」についても、2.1%と極めて低い値になっております。
更に、11ページでありますが、各消費者支援制度・サービスを利用した消費者の評価を見ますと、利用した消費者の7~8割の方は「役に立った」と評価していただいています。「余り役に立たなかった」「全く役に立たなかった」と回答した消費者からは、「回答があいまい」とか、「自分が認識している程度の情報しか得られなかった」といった理由が挙げられました。消費者は、専門的な知見を持つ人から明確な情報を得られることを期待していることも明らかであります。右側のグラフを見ていただきましても、2番目のリフォーム見積チェックサービスとか、住宅リフォーム見積チェックシステム、無料専門家相談制度、リフォーム瑕疵保険、リフォーム事業者検索サイト、こういうところへのニーズが高いことが明らかでありまして、果たしてこのような期待に応じているか疑問が大きいというところです。
今後、リフォームをするとしたら、各制度・サービスを利用したいと思うか聞いたところ、「知らないけれども、もしそういうシステムがあるならば利用したい」という方が非常に多かったです。リフォーム事業者の詳細情報や消費者からの口コミ情報が閲覧可能なWEBサイト「リフォームコンタクト」「リフォーム評価ナビ」においては、認知者数の約18倍の利用者が「利用したい」と回答しておりまして、この点、消費者のニーズはあるけれども、行政の情報提供が届いていないところが明らかであります。
12ページですけれども、被災地の状況について追加して調査いたしましたところ、東日本大震災の被害が大きく、国民生活センターの「震災に関する悪質商法110番」の対象地域の岩手県、宮城県、福島県、茨城県の4県に絞って、過去のリフォーム経験と今後のリフォーム意向を分析したところ、半年以内の経験者の割合が全国より5%ほど高かったです。今後の意向についても、「2年以内にリフォームしたい」と答えた消費者の割合は全国を上回っております。
しかしながら、国交省は震災後、東北・東日本を中心に「住まいるダイヤル」について、新聞広告やテレビCMで周知を図っているのですが、認知度に他の地域と大差はありませんでした。明らかにこれは周知方法の在り方に問題があるということかと思います。
そこで13ページですが、「リフォームをした際、必要だと感じた情報」としては、「工事費用の相場などの価格情報」「事業者の信用性」「工事費用の適正性」というところを中心にニーズがありますので、そういう点も含めて周知を図る必要があるのではないか。こういう点について行政のサービスがありますということを知ってもらう努力を、なお積み重ねる必要があるだろうということです。
リフォーム経験者が不満に思ったことや発生したトラブルの要因で最も多かったのは、「工事内容」についてでありまして、次いで、「施工後の不具合に対するアフターフォロー」「工期」「費用」などとなっておりました。
14ページですが、過去3年以内にリフォームした人に、事業者選びの際、情報を入手した方法について尋ねたところ、「いつも工事を依頼している事業者」が最も多く、35.5%で、次いで「友人・知人、またはその紹介」という方が27.2%でありました。一方、「行政や関係機関の相談窓口」や「リフォーム情報提供サイト」から情報を入手していない実態が明らかになっておりまして、この点も工夫が必要だなと。あるいは、不満やトラブルが発生したと回答した消費者の64.5%は、どこにも相談していないという実態でありまして、これも残念な結果であります。
次に、リフォーム経験者の見積取得状況を調査したところ、依頼した事業者1社のみの見積を取得した人が56%、2社以上の見積、あいみつを取った方が28.4%ありました。しかしながら、今回の調査におきましては、いわゆる建設業法の19条1項に指定されております詳細設計といいますか、工事ごとの費目を細かく書かれたような見積なのか、一括幾ら、工事一式で300万円という、実際には見積の体をなしていない見積なのか、その辺のもう一歩突っ込んだ調査ではございません。しかし、一応見積を取っている消費者が8割を占めているということは客観的に言えるかと思います。
ところが、びっくりしたことは、リフォーム経験者の契約書受領状況を見ますと、半分ぐらいの消費者がリフォーム工事契約書を受け取っていないという実態も明らかになっております。
最後に、16ページですけれども、クーリングオフについての理解度を調査してみました。全く理解していない方は12.4%で、ある程度知っているという方が87.6%あったのですが、具体的にどの程度の正解率があるかということでチェックしてみますと、消費者のアンケート対象者の方々も、いわゆるクーリングオフの中身について正確に把握されていないことが明らかになっております。
一番問題は2番目のところで、「チラシを見て、事業者に電話をかけ、自宅に来てもらって契約をした」という場合にはクーリングオフの適用はないのですけれども、この辺はやはり認識がない。一番上も問題になりますが、「訪問販売で訪ねてきた事業者が、雨漏りすると言うので、屋根工事の契約をし、即日工事をしてもらったが、必要のない工事だとわかった」と。済んでしまった場合はクーリングオフできない、という誤解をされている方も結構いる実態が明らかになっておりまして、この点も周知に努める必要がある。そういうことが明らかになってまいりました。
なお、一言だけ追加させていただきますと、詳細の報告、資料5-4の11~12ページだけごらんいただきたいのですが、事業者に対する行政処分などの実施状況であります。12ページを見ていただきますと、「住宅リフォーム業者に対する行政処分件数の推移」がありますが、リフォームについてこれだけ苦情が多いにもかかわらず、行政処分が年間20件程度しかなされていない。一方特定商取引に係る事犯の検挙数は、22年度では193件、430人です。
そこで、建議に踏み込ませていただきます。資料5-2、1枚物の「建議(概要)」で、時間の制約もありますので、裏側だけ簡単に述べるところで提案させていただきます。
まず、建議事項マル1であります。国交省は、消費者の利便性向上を図る観点から、消費者が求める情報を容易に入手できるようにするための措置として、例えば以下の方法により消費者からの相談に一元的なネットワークにより対応できる仕組みを構築すること。
i  として、全国共通の電話番号にかければ、消費者が望む情報を提供することが可能な地元の地方自治体や国の相談窓口につながって、国と地方の窓口が連携・相互に補完する仕組みを構築していただきたい。あるいは構築を検討していただきたい。その取組と並行して、各自治体における相談窓口に対し、必要な情報提供・研修等の充実を国として図っていただきたい。
建議事項マル2でありますが、国交省は、リフォーム工事の瑕疵発生防止及び当該工事に瑕疵があった場合における瑕疵担保責任の履行確保を図る観点から、リフォーム瑕疵保険制度の有用性等について周知するとともに、地方自治体に対し、以下の事項について要請していただきたい。
まず1番目に、地方自治体の設けるリフォーム事業者登録・紹介制度等に掲載されている事業者の情報に、「リフォーム瑕疵保険制度」の登録の有無に関する情報を追加していただきたい。
2番目に、この登録・紹介制度等に登録された事業者に対し、「リフォーム瑕疵保険制度」への登録を推奨していただきたい。
建議事項マル3として、国交省は、消費者のリフォーム工事取引に関する相談の中で、住宅リフォーム工事価格や解約手法に関するものが多いことを踏まえ、これらの問題に対応する観点から、例えば以下の取組を行うことによって、地方自治体に対する支援の充実を図っていただきたい。
1番目に、住宅リフォーム工事に係る実勢価格等、工事価格の妥当性について消費者自身が判断する際に参考となり得る情報提供の在り方について、地方自治体に技術支援等を行ったらどうか。
2番目に、いわゆるクーリングオフなどに関する情報について、相談窓口を通じて消費者に対し十分に周知されるよう、情報提供の充実を図るための技術支援などを行ったらどうかという点であります。
建議事項マル4といたしまして、国交省は、住宅リフォームに関する消費者問題を抜本的に解決する観点から、住宅リフォームに関する無料相談制度等の消費者支援制度の認知度を格段に高めるための措置として、例えば以下の方法により当該制度の周知を行うことによって、実効性を確保していただきたい。
まず1番目に、地方自治体と連携の上、高齢者が手に取ってみる機会が多いとされる地方自治体発行の広報誌への掲載とか、高齢者に接する機会が多い民生委員やケアマネージャーなどからの周知を図る。
2番目に、住宅所有者に対し定期的に通知。例えば固定資産税・都市計画税の納税通知書などに、建議事項マル1で述べた仕組みについてお知らせをするというようなことも考えていただきたい。
建議事項マル5は、国交省は、悪質リフォーム対策検討委員会において、同省を中心として取り組むべきとされた対策のこれまでの取組状況について検証を行って、その結果を踏まえ、悪質リフォームによる被害の防止とリフォーム工事に係るトラブル回避のための制度上の対応等について、検討を進めていただきたいということであります。
なお、付言させていただきますが、今回の検討の中で、私を含め、いわゆる建設業法の19条あるいは20条について見直しを図ったらどうかという意見、あるいは、検討もいたしました。19条の1項は契約書の交付義務が定められているわけです。ところが、先ほどのアンケートで見ても、半分ぐらいの方がもらっていないとおっしゃっているわけです。あるいは20条の1項は、建設業者は工事内容に応じて工事の種別ごとに、材料費、労務費、その他の経費の内訳を明らかにして、建設工事の見積を行うように努めなければならないと書かれております。ところが、かなりの大手のリフォーム業者も、工事一式何百万円という、一式の見積で片づけているという実態がわかっております。
その辺を踏まえて、19条の義務づけをもっと実効あらしめる民事的な検討ができないかとか、20条1項のこれは努力義務になっておりますが、これを努力義務から義務規定に変えられないかというようなことも議論したのですが、なお検討が必要だということで、今回の建議には至りませんでしたけれども、更に要検討であると思います。
以上であります。

○松本委員長 ありがとうございました。
山口委員に確認です。先ほど、報告書本体の12ページのデータと13ページのデータを比較されて、住宅リフォーム業者に対する行政処分件数よりも13ページの刑事摘発の件数の方が多いとおっしゃったけれども、13ページはリフォームにかかわる特商法違反の検挙ではなく、特商法全体です。ですから、ちょっと比較はできないと思います。

○山口委員 そのとおりです。

○松本委員長 それでは、ただいまの山口委員の調査報告、建議の概要についての説明につきまして、御意見をお出しください。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 この建議については賛成します。これは、地方自治体、国が一生懸命努力をしているにもかかわらず消費者がきちんと受けとめていない。それと同時に、国がきちんと必要なところに情報を届けていない。必要な人に情報を届けるというのは、本当にさまざまな制度に関するテーマでありますが、それが顕著に出ているものだと思います。この制度に関しては、資料5-1の6ページにありますように、本当にたくさんの支援制度やサービスがある。多分これは一つずつ、それぞれ特徴があって違ったものだとは思いますけれども、この建議に書いてあるように、消費者にとっては相談はやはり一元的なネットワークが必要であると強く感じます。是非、この辺りを整理し、消費者に使いやすい制度にしていただきたいと思います。
もう一つ、紛争処理支援センターを今、住まいるダイヤルと言っているようですけれども、そこには年間2万件ぐらいの相談が来ていると聞いております。相当な数ですので、消費生活センターと連携しながら解決していく方向にもっていければ、もっといいのではないかと感じています。どちらにしても、ここに書かれた建議の項目に至急取り組んでいただきたいと思います。この建議については賛成いたします。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 この建議に書かれていることは全部当たり前のことばかりですが、そういうことが伝わっていなかったというのは今回の大問題だったと思うのです。見ていると、この建議の中身を実施するにも余りお金がかからない。消費者庁、消費者委員会は、予算が余りないので、やはり知恵を出すということで、知恵、アイデアをいろいろ提供している。中でも私はなかなかいいアイデアだと思うのは、先ほど山口委員が横長の概要版で説明された20ページに、納税通知の封筒に電話相談窓口のダイヤルを書き込む、こういうサンプルがわざわざつくってあります。これは実際にあるというよりは、こういうことができますというふうにして書いているのですが、報告書の本体の34ページでは、地方自治体が、こういうことなら簡単にできます、印刷するぐらいできますと言ってくれているわけです。ですから、まさにこういうアイデアを提供して、知恵を使って周知を図っていくことが大事なので、この建議はそういう意味では、具体的なアイデア・知恵を授けている珍しい建議だと思いますけれども、そういう意味で大賛成でございます。

○松本委員長 よろしいでしょうか。
それでは、反対の意見はございませんので、消費者委員会といたしまして、この建議案を採択したいと思います。消費者庁及び消費者委員会設置法の第6条に基づきまして、国土交通大臣宛てにこの建議を行いたいと思います。ありがとうございました。

≪7.マンションの悪質な勧誘の問題について≫

○松本委員長 続きまして、「マンションの悪質な勧誘の問題について」です。消費者委員会では本年5月、「マンションの悪質な勧誘の問題に関する建議」を国土交通大臣及び消費者担当大臣宛てに提出しておりますが、その中で、この建議について関係省庁に対して、平成23年8月までにその実施状況の報告を求めるとしております。
本日は、国土交通省及び消費者庁においでいただいておりますので、建議事項に対する実施状況について御報告をいただき、併せて、事前にお送りしている実施状況報告に対するヒアリング項目についても、御説明をいただきたいと思います。
それでは、初めに、国土交通省から御説明をお願いいたします。

○国土交通省木村土地・建設産業局不動産業課不動産業指導室長 国土交通省の木村でございます。よろしくお願いいたします。
資料といたしましては、A3横長の資料6-3に「建議事項」と「実施状況報告」と「ヒアリング項目」が並べて整理してありますので、この資料に沿って御説明をさせていただきます。
我々にいただいた建議事項は全部で3つございます。そのうち、まず1つ目は、宅建部局の体制整備に関する事項でございました。中身は(1)、(2)と分かれております。(1)の中身は、悪質な勧誘行為の実態につきまして国交省で情報を整理して、処分を担当する地方整備局あるいは都道府県に提供をしなさいという点が1つ、もう一つが、その情報提供と併せて、調査等の厳正化について要請を行いなさいと。細かく言いますと、この2つの要請が(1)のところにあったわけでございますが、実際我々の取組としては、1つ目は5月20日付ですので、建議をいただいた直後でございますけれども、地方整備局と都道府県宛てに文書を発出しております。
その文書の内容でございますけれども、ヒアリング項目にもなっておりますが、一つは、悪質な勧誘事案について、現在、本省で実態把握の調査を行っているということ。その実態把握の結果を踏まえて制度改正も検討しているということの情報提供が一つ。そして、そのような状況認識にあるので、宅建業法に基づいて各担当も厳正な対処をお願いしたいという要請を、まず地方整備局に出したわけでございます。都道府県に対しても同じ趣旨の文書を出しておりますけれども、御案内のとおり、宅建業法上、都道府県の事務については自治事務でございますので協力要請ということになります。
次の段落でございますけれども、7月22日には、本年度に入って4月から6月までの3か月間、PIO-NETに登録されている相談事案を分析いたしまして、その中で業者が特定できる事案につきまして整理・提供を行っております。業者特定もなかなか労力としてはかかるわけでございますけれども、計67社の案件を特定して、これを整理した上で、当該業者の免許行政庁であります地方整備局あるいは都道府県に提供したということでございます。
具体的な情報としては、例えば受付の期日、相談概要、業者名、免許番号、あるいは相談の内容、その後の解決がどうなったかということを含めて情報としては提供し、特に地方整備局に対しては、事実関係の確認等を行うよう指示を行ったということでございます。「事実関係の確認を行う」とは、消費生活センターにも御協力いただいて、相談者にアクセスをして、事実確認を実際に行うということでございます。必要に応じて業者に対しては、報告徴収も含めた対応を行うなど、厳正な対処を要請したということでございます。
更に、国土交通省で宅建業法上の違反疑義情報が寄せられた場合、違反疑義情報の当該業者につきましては、その業者に係るPIO-NETの相談情報について各免許行政庁に情報提供を行っているところでございます。ヒアリング項目に、「PIO-NET情報の提供の予定について御説明願います」と書いてございますけれども、この情報提供につきましては3か月ぐらいの期間でまとめて、その都度やっていくというのが一番合理的かなと思っております。
更に、都道府県の宅建部局はPIO-NETを見られないというのが現状でございまして、それを見られれば一番いいというふうに思っておりますけれども、彼らはそういう情報がありませんので、それは国交省の方から丁寧にPIO-NET情報を送るという作業を続けていきたいと思っております。逆に都道府県から、PIO-NET情報をくださいということで依頼があって提供しているケースもあるわけでございますけれども、それは引き続き進めていきたいと思っております。
続きまして、(2)の方でございますけれども、こちらは、各免許行政庁が行った行政処分あるいは行政指導の情報を集約化して、情報共有すべきという提言でございました。これにつきましては、7月13日付で文書を各免許行政庁に通知をいたしまして、実際、運用を開始しているところでございます。処分情報の一覧のフォーマットをつくりまして、更に、そのフォーマットへの記載要領を定めまして、これを免許行政庁にそれぞれ記入していただいて更新していく。毎月更新していきたいと思っておりますので、ほぼ随時更新に近い形で処分情報の共有が図られていくということでございます。
2枚目にまいりまして、建議事項のマル2でございます。これは、消費者庁と国交省の連携をうまくやりなさいということで、国交省に対しての御指摘は大きく3つのステップがある。1つは、特に立入検査とか、処分の前提となる事実認定の実施方法について、消費者庁に特商法のノウハウが当然あるはずなので、その関係資料をまずは消費者庁から国交省はいただきなさい。いただいた上で、ステップ2ですけれども、事業者に対する監督の実施方法等を整理しなさい。そして、更に整理をした上で、現場で対応している地方整備局あるいは都道府県に、調査・処分の厳正化について要請を行いなさいということでございます。
実施状況報告の欄に記載しておりますが、立入検査等の関係資料は既に提供を受けたところでございまして、担当を含めて読み込んでいるという状況でございます。今年の9月、来月でございますが、消費者庁の主催で特商法に関する執行担当者研修の専門研修が4日間の予定で実施されると聞いております。ここに国交省の本省・地整、あるいは都道府県の宅建部局の担当者も参加する予定としております。そこで具体的に4日間、立入検査あるいは指導監督の実施方法等についていろいろ研修を受けるということでございますので、それを踏まえて、国交省として事業者に対する指導監督の実施方法等を整理して、次のステップに進んでいきたいということでございます。まだ状況としてはステップ1と2の間ぐらいということです。
「また」以下に書いてございますけれども、特商法につきましては、執行担当者研修の初任者研修が6月にありまして、これも我が省及び都道府県の宅建部局の担当者が参加しております。
また、ヒアリング項目に、「9月以降の研修実施の方針について」と書いてございますけれども、これはまさに9月の研修を経てみないとわからないというのが実態ですので、9月の研修に当室からも2名、係長が参加する予定になっておりますので、この研修の状況を踏まえて検討していきたいと思っております。
さらに、ヒアリング項目の3番目に、「立入検査の実施状況について御説明願います」と書いてございますけれども、先ほど御説明しましたとおり、7月22日に業者の一覧を情報として整理をして、それぞれ事実確認の指示を地方整備局に出しております。したがいまして、国土交通省としては、その事実確認の作業をまさに行っている最中でございます。立入検査の実績という意味では現時点でゼロですけれども、立入検査が必要になるかどうかということも含めて、今、まさに動いている最中でございます。都道府県につきましては、大阪府が今月1件、立入検査実施済みというふうに報告を受けております。現状としてはそういう状況でございます。
次に、建議事項のマル3でございます。こちらは制度についてマル1の再勧誘の禁止から始まりまして、マル5のクーリングオフの適用除外までの事項につきまして、規定の明確化、法制化等の措置を検討すべきということでした。本件につきましては実施状況報告のところにも書いてございますように、規制仕分けを踏まえた規制制度改革に係る方針が4月に閣議決定され、制度の見直しにつきまして一定の方向性が出されておりますので、その閣議決定の方針、更にこの建議を踏まえまして、まずは平成13年度以降、PIO-NETに登録されている相談情報、マンションの悪質勧誘については2万5,000件弱ほどありますけれども、その実態調査を実施したところでございます。今日は時間の関係で説明を省略いたしますけれども、参考資料の2・3につけておりますが、かなり詳細にPIO-NETの相談情報を読み込んで分析をさせていただいたということでございます。
その分析結果を踏まえまして、宅建業法につきましては、第47条の2に勧誘に係る禁止事項を規定しているわけでございますけれども、その47条の2に基づく施行規則の第16条の2に、勧誘行為の具体的な禁止行為が定められておりますが、この見直しを行うことといたしました。
具体的には、本日の参考資料4の裏側に改正案を記載してあります。従来はイロハという3号で具体的な禁止事項を定めてあったわけですけれども、資料にありますように、ハ、ニ、ホというアンダーラインが引いてあるところ、3号追加をいたしました。具体的には、宅建業者の名称、勧誘目的の明示の義務化、ニにつきましては再勧誘の禁止、ホにつきましては迷惑な時間帯の電話・訪問勧誘の禁止、ヘにつきましては深夜を含めた困惑行為の禁止ということで、改正案を作成いたしまして、社会資本整備審議会に諮りまして、先月の7月26日から今週の水曜日までパブリックコメントを実施しております。いろいろな意見が出てきておりますので、今、その整理をしているということでございます。今後、今月の下旬までには省令改正案を交付させていただいて、10月上旬には施行したいと予定をしております。省令につきましてはそういうスケジュール感で、今、作業を進めているところでございます。
ヒアリング項目で幾つか御指摘をいただいておりまして、一つは、「迷惑な時間帯」の明示を避けた理由という御質問をいただいています。これは、例えば貸金業法の取り立てにつきましては、具体的な時間帯がありますけれども、特商法、ほかの法令を含めて、迷惑な時間帯を具体的に規定しているわけではないと承知しております。悩ましい部分ではございますけれども、個別の事案によって、あるいは消費者の都合によって、都合のいい時間帯、迷惑な時間帯というのは変わり得るものだという認識をしておりますので、この省令につきましては、そういう具体的な時間帯は特に記載しない方向で整理したいと思っております。
今後、10月上旬に施行する予定にしておりますけれども、10月上旬までに施行通知のような形になるのか、何かしら文書を出す方向で検討しておりますので、例えば、通知に一定の目安を書いたりということは検討してみたいと考えております。
更に、その後に書いてございます威迫行為に対する罰則強化、クーリングオフの適用除外、あるいは不実告知等に対する取消権の検討状況でございますが、これは3ついずれも、法律本体の改正にかかわる事項でございます。先ほど申し上げましたように、現在、我々で悪質勧誘にかかる実態調査をしておりますけれども、今のところ我々の認識としては、法律を改正してまでという段階には至っていないと考えておりまして、現時点では具体的な制度の見直しは想定していないということでございます。
ただ、先ほどの閣議決定にも示されていますとおり、今年度末までに検討して結論を出せということでございますので、これで終わりということではありません。我々も、PIO-NETの情報、実際の相談情報、あるいはトラブルの情報、そういったものをチェックしながら引き続き検討をしていきたいと考えております。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
続きまして、消費者庁から御説明をお願いいたします。

○消費者庁畑野取引対策課長 消費者庁の取引対策課長でございます。
今、国土交通省からお話をいただいたことと説明的にはほぼかぶりますので、省略をさせていただきますけれども、1点だけ。建議事項のマル2は、消費者庁と国土交通省で立入検査のノウハウ等、よく連絡を取るようにということで、今、国土交通省からお話がございましたように、消費者庁が行っております研修に国土交通省から御参加をいただくということでございます。こういうところは、恐らくこの建議をいただかなければこういったところの知恵も出なかったのではないかというふうに思っております。大変よろしい建議をいただいて、ありがたいというふうに感じるところでございます。
私からは以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、どうぞ、御意見、御質問がございましたら、お出しください。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 特に国交省におかれましては、建議を受けとめていただきまして、御尽力いただきまして、本当にありがとうございます。私どもとしても大変うれしく思います。
なお、2点だけ申し述べさせていただきます。一つは、国交省の方の投資用マンションに対する規制の運用の在り方と、特商法における経産省や消費者庁がやってきている調査の在り方は、これは建議あるいは報告書の中で書きましたけれども、業者が否認した場合、否認してそれ以上裏付けの証拠がないというところであきらめている都道府県がほとんどです。今回、研修をなさる中でも、事業者が否認した場合でも、なおいろいろな証拠を集めて行政処分をするという方策を是非確立していただきたい。この辺は是非よろしくお願いします。確かに被害に遭った消費者の方も、言葉を選ばずに言えば、だらしないといいますか、はっきりしないというようなところもあって、なかなか難しい部分があるのはよくわかるのですが、複数の消費者の被害が同一事業者について通報があるにもかかわらず、はっきりしないから今回は処分できないと。そういう実例を聞いていますと、もうちょっとしっかりやってくれないかなというところがありますので、その辺、よろしくお願いします。
もう一つ、いわゆる迷惑をおぼえさせるような時間、あるいは深夜または長時間の勧誘という場合に、これがどの程度のものを示すかというのは、事業者にとってもガイドラインか何かがあった方がすっきりすると思うのです。勿論、タクシーの運転手さんは昼間かけられても迷惑だろうと思いますし、土日が仕事のサラリーマンにとっては平日の昼間はとんでもないということになるかもしれないのですが、ガイドラインも何もない方が事業者も消費者も戸惑うところがあると思います。政令で明示するのは難しいかもしれませんが、何らかのガイドライン、考え方の指摘があった方が事業者側も消費者側もいいのではないかと思いますので、その辺は御検討いただけないかと思います。
なお、いわゆる威迫行為などに対する罰則強化やクーリングオフの適用除外の問題、不実告知に関する取消の問題、実態はやはり深刻だと思います。やらないというより、むしろ実態をこれから調べた上で考えたいというお話ですので、それを期待したいと思います。ありがとうございました。

○国土交通省木村土地・建設産業局不動産業課不動産業指導室長 ちょっと今の点につきまして。

○松本委員長 どうぞ。

○国土交通省木村土地・建設産業局不動産業課不動産業指導室長 まず、1つ目でございますが、宅建業法というのは免許制度があることを前提に業を規制している法律なので、特商法とは法律の建付けが若干異なるんですね。法律自体の前提条件が違うというところがあるので、例えば事実認定のときに特商法の運用と同様の措置を執ることが果たして適正なのかどうかという部分が現にあるということは、まず御理解をいただきたいというふうに思います。
あとは、PIO-NETでいろいろな相談情報が来て、我々としても悪質勧誘の内容については個別にもある程度把握はしているのですが、一つは匿名情報が圧倒的に多い。これは皆さん御案内のとおりだと思います。もう一つは、実際に調査に協力してくださいとお願いをしても、やはり協力いただける方がなかなか少ない。我々が追っていこうとしてもそこで途切れてしまうという現実もあって、処分が少ないという御指摘もいただいて、まさにそのとおりなのですが、実態としてはそういう現実もあることを御理解いただければというふうに思います。
2つ目のガイドラインにつきましても、これは御指摘のとおりでございまして、パブリックコメントでそういう意見も出てきておりますので、ガイドラインになるのか、あるいは通知になるのか、どういう形になるのかわかりませんけれども、使用する人がわかりやすい形の運用の指針を出す方向で検討を進めたいと思っております。
以上でございます。

○松本委員長 ほかに御意見、御質問、ございませんか。
国土交通省及び消費者庁におかれましては、消費者委員会の建議について着実に実施をしていただきまして、ありがとうございます。まだ進行途中の施策もあるようですので、引き続ききちんと実施していっていただきたいと思います。
本日は、お忙しい中を当委員会の審議に御協力をいただきまして、ありがとうございました。

≪8.民法(債権関係)改正について≫

○松本委員長 続きまして、「民法(債権関係)改正について」です。民法(債権関係)の改正につきましては、第61回の消費者委員会において、社団法人全国消費生活相談員協会及び日本弁護士連合会消費者問題対策委員会よりヒアリングを行い、前回の第66回の委員会においては、法務省及び消費者庁からヒアリングを行い、議論を行いました。本日は、これまでの議論を踏まえて消費者委員会としての意見を取りまとめたいと思います。
それでは、中村委員から提言の案につきまして、御説明をお願いいたします。

○中村委員長代理 経過も中に書いてあるので、読ませていただきます。

「資料7」読み上げ)

○松本委員長 ありがとうございました。
ただいまの提言(案)につきまして、どうぞ、御意見がございましたらお出しください。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 消費者契約法の見直しに関しては緊急課題だと思っていまして、至急取り組んでいただきたいということで、この提言には賛成いたします。これを契機に、よく中村委員がおっしゃっているように、消費者庁が今まで2年間の間に一つも法律を改正していないということに関して、意見を申し上げたいと思います。
消費者委員会としては、昨年3月に「消費者基本計画策定に向けての意見」というのを公表しております。その中で、「消費者基本法をはじめ、消費者行政にかかわる法律の改正・見直しをすべき」と提案しています。まだ一件も何もしていないということに関して、消費者契約法の改正を契機として、一つずつ消費者関連の法律を改正、または新しい法律を制定していっていただきたいと思います。この提言に関しては賛成いたします。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 これは、法務省の民法改正論議の中で、消費者契約法との関係がかなり重要な論点として出てきておりまして、やはり消費者契約法の主務官庁である消費者庁においても、消費者契約法を、実体法ですが、どうするのかということを積極的に議論して法務省の検討作業と連携していく必要があると思います。民法の改正ができてしまった後ということになりますと、もう取り返しがつかないことにもなりかねませんので、是非お願いしたいと思います。
そこで、この文章には盛り込まれていないのですが、どうしても人材、人の問題があるようであります。ここのところは強く消費者庁の方にお願いしたいと思いますが、人材を確保して、消費者契約法の改正の検討チームを組織して、消費者委員会の方でもこれはお手伝いしなければいけないところだと思うのですが、早急にお願いしたいと思います。是非この点は、提言の中でも、消費者庁に体制を組んでくださいということも強くお願いしたいと思います。

○松本委員長 ほかに、御意見ございませんか。
下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 この提言については賛成いたします。平成17年の閣議決定におかれまして、契約法の見直しが明記されました。消費者や消費者団体は非常に期待を持っておりました。もともとこの契約法の成立時において附則のところがございましたので、期待を持って見ておりましたのですが、遅々として進まなかったことは非常に残念であると思っています。ここに書かれておりますように、民法の改正が高々とうたい上げられておりまして、何か消費者契約法もその中で埋没しそうになっておりますので、是非、消費者庁におかれましては、消費者契約法の改正を積極的に御検討いただきたいと思っております。よろしくお願いします。

○松本委員長 特に反対の意見がございませんようですので、消費者委員会といたしまして、この提言を採択したいと思います。ありがとうございました。

≪9.閉会≫

○松本委員長 本日の議題は以上でございますが、8月24日に、委員会の下部組織であります「食品表示部会」の第13回会合が開催されております。本日は、食品表示部会設置・運営規程第8条第2項の規定に基づき、その審議結果の御報告をいただきたいと思います。
それでは、田島部会長からよろしくお願いいたします。

○田島委員 食品表示部会部会長の田島でございます。
本日は答申案件が3件ございます。まず、フルジオキソニルの添加物指定に伴う表示基準の改正について。本年8月24日に開催した食品表示部会の議決にて、食品表示部会設置・運営規程第8条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、8月26日付で内閣総理大臣へ答申を行いました。
これまで、厚生労働省が添加物として指定した5種類の防かび剤、または防ばい剤について、使用対象作物がいずれも柑橘類とバナナに限られていたため、表示対象作物も柑橘類とバナナが規定されていました。しかし、フルジオキソニルの添加物指定により、防かび剤または防ばい剤の使用した作物が拡大することに伴い、食品衛生法第19条第1項の規定に基づき、防かび剤または防ばい剤を含む旨の表示を義務づける作物に、あんず、おうとう、キウィー、ざくろ、すもも、西洋なし、ネクタリン、びわ、マルメロ、もも及びりんごを追加することの検討を行ったところです。本日は、同上第2項の規定に基づき、本決定事項を委員会に御報告するものです。
資料8-1の答申書をごらんください。今回の部会では、平成22年9月30日付け消食表第333号をもって諮問のあった食品衛生法施行規則の改正について審議の結果、資料8-1の別添資料1のとおり、それぞれ改正することが適当であるとされました。
2つ目でございます。食品衛生法施行規則第21条に規定する表示基準の内閣府令としての新たな制定について、8月24日に開催した食品表示部会の議決におきまして、食品表示部会設置・運営規程第8条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、本日、8月26日付で内閣総理大臣へ答申を行いました。
平成21年9月の消費者庁設置に伴い、法に規定する表示基準に関する権限が消費者庁に移管され、本来ならば、移管の際、内閣府令により表示の基準は定められなければならないところ、時間的制約により、基準の変更がなければ経過措置によるみなし規定で適合が可能であったことから、具体的に改正を行う段階で新たな内閣府令を定めることとされてきました。
食品衛生法施行規則第21条に規定する表示基準の新たな内閣府令として、制定に関しまして、案件フルジオキソニル並びに遺伝子組換え対象のパパイヤ及びパパイヤを主な原材料とするものの追加にかかわる表示基準の改正を併せ食品衛生法に基づく表示基準を新たな内閣府令に設定することの検討を行ったところです。
資料8-2の答申書をごらんいただきたいと思います。今回の部会では、平成22年12月13日付け消食表第458号をもって諮問のあった、食品衛生法施行規則第21条に規定する表示基準の内閣府令としての新たに制定について、審議の結果、資料8-2の別添のとおり改正することが適当であるとされました。
3件目でございます。みそ品質表示基準の改正に関しまして、8月24日に開催いたしました食品表示部会の議決にて、食品表示部会設置・運営規程第8条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、本日、8月26日付で内閣総理大臣へ答申を行いました。
みそ品質表示基準の改正に関しましては、風味原料等を使用しただし入りみそも「みそ」の定義に含まれることを明確にする。だし入りみそにあっては、「○○みそだし入り」と記載する各区分の中での原材料の記載順序を、原材料に占める重量の割合の多いものから順に記載することを明確にすること。内容重量の標準を削除し、加工食品品質表示基準の内容量の表示方法と整合性を図り、内容量に合わせた内容量表示とすることの検討を行ったところです。
資料8-3の答申書をごらんください。今回の部会では、平成23年6月7日付け消食表第232号をもって諮問のあったみそ品質表示基準の改正について、審議の結果、資料8-3の別添資料1のとおり改正することが適当であるとされました。
私からの報告は以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
最後に、事務局より、今後の予定等について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 大幅に超過いたしまして、お疲れさまでした。ありがとうございました。
本日、この委員会終了後、5時35分目途で、消費者庁の記者会見室において委員長記者会見を行う予定です。
次回の委員会ですけれども、定例とは異なりますが、8月30日、来週火曜日の10時から行う予定です。
議題としましては、「消費者委員会のこれまでの活動と今後について」を予定しております。また、委員会終了後には、消費者団体等においでいただき委員との意見交換を行う予定にしております。
以上です。

○松本委員長 本日は議題が大変多かったこともありまして、約30分超過いたしまして、申し訳ございません。本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)