第66回 消費者委員会 議事録

日時

2011年8月23日(火)10:00~10:57

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、川戸委員、
 佐野委員、下谷内委員、田島委員、日和佐委員、山口委員
【説明者】
 法務省  筒井民事局参事官
 消費者庁  加納消費者制度課企画官
【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.民法(債権関係)改正について
○説明者: 法務省  筒井民事局参事官
消費者庁  加納消費者制度課企画官
3.健康食品の表示の検討について
4.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:7KB)
【資料1】 民法(債権関係)改正関連資料(法務省提出資料) 【資料2】 消費者契約法の見直しに向けた取組について(消費者庁提出資料) 【資料3】 「健康食品の表示の在り方」に関する中間整理(案)関連資料

≪1.開会≫

○原事務局長 おはようございます。時間がまいりましたので、始めさせていただきたいと思います。
本日は、変則的に火曜日の朝というところで、委員会に昇格をさせていただきましたけれども、ただいまから、「消費者委員会(第66回)」の会合を開催したいと思います。時間的には少し早めに終わる予定にしております。よろしくお願いしたいと思います。
では、委員長、どうぞよろしくお願いします。

≪2.民法(債権関係)改正について≫

○松本委員長 おはようございます。それでは、議題に入ります。
まず初めに、「民法(債権関係)改正について」です。民法(債権関係)の改正につきましては、第61回の消費者委員会におきまして、社団法人全国消費生活相談員協会及び弁護士の山本健司氏よりヒアリングを行ったところですが、本日は法務省及び消費者庁においでいただいておりますので、民法(債権関係)改正に関する現在の状況等について、ヒアリングを行いたいと思います。
それでは、まず初めに法務省から御説明をお願いいたします。

○法務省民事局筒井参事官 法務省の筒井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
早速ですけれども、現在、法制審議会において進められております民法(債権関係)の改正の進捗状況について御報告いたします。
お手元にカラー刷りのレジュメと、白黒で「中間的な論点整理」の抜粋をお配りいたしました。基本的にレジュメに沿ってお話をさせていただきます。
まず、資料1-1レジュメの1枚目は、法制審議会への諮問文です。平成21年10月、当時の千葉法務大臣から法制審議会に対してこのような諮問がされました。これをご覧いただきますと、まず、今回の改正の対象につきましては、「債権関係の規定」について「契約に関する規定を中心に」見直しを行うと書かれています。
「債権関係の規定」と表現しているのは、民法第3編債権の規定のほか、民法第1編総則に置かれている法律行為や消滅時効に関する規定など、債権とのかかわりの深い規定を全体として見直しの対象にしていこうという趣旨です。また、債権関係の規定の中には、主に契約に関するものと不法行為に関するものがありますが、そのうち今回は契約に関するものを中心に見直しを行うこととされております。
見直しを行う趣旨、見直しを行う観点について、諮問文の中では2つのことが書かれています。一つが、「社会・経済の変化への対応」を図るということです。民法制定以来110年あまりを経ておりますので、この間の社会・経済への変化への対応として、必要な見直しを行うという趣旨です。
もう一つは、「国民一般に分かりやすい」ものとすることです。わかりやすい法律というのはもちろん重要なことですけれども、ここで具体的に想定されていことについては、後ほど触れたいと思います。
次に、レジュメの2枚目ですが、民法(債権関係)部会のスケジュールについて簡単に御紹介したいと思います。法制審議会への諮問が行われてすぐに、専門部会として民法(債権関係)部会が設置されております。この部会では、当面の目標として、諮問から1年半を目途に「中間的な論点整理」を行い、それについてのパブリックコメントの手続を行うことを決めて、これまで審議を進めてまいりました。現在、この「中間的な論点整理」まで審議が進み、パブリックコメントの募集期間が終了したところです。そして、部会では、次の目標として「中間試案」の取りまとめを行い、そこで2度目のパブリックコメントの手続を行うことを予定しております。
答申時期については未定です。必要な審議を尽くして慎重に進めていこうという趣旨であり、中間試案の取りまとめが行われた段階で、改めて最終的に答申案をまとめる目標の時期を決めることとしております。
次に、レジュメの3枚目では、「中間的な論点整理」に至るまでの審議経過について御紹介しております。部会の第1回と第2回の会議では、改正の必要性など総論的な事項について議論いたしました。その後、平成22年にちょうど1年間をかけて、個別的な改正検討項目についての一巡目の審議をしてまいりました。1年間に延べ18回の会議、1回当たり大体5時間の審議時間を費やして一巡目の審議を行い、どんな論点があるのかを整理するための議論をしてまいりました。年が明けて今年1月以降の第21回会議から第26回会議までは、「中間的な論点整理」の取りまとめを行う作業をしてまいりました。その後、6月1日からパブリックコメントの手続が始まり、8月1日までの期間、意見の募集が行われました。
また、この間の本年6月、部会では関係団体等のヒアリングを3回にかけて行っております。
その後、本年7月26日開催の第30回会議から「中間試案」の取りまとめを目指す第2ステージの審議に入り、その際に次の「中間試案」を取りまとめる時期の目標について平成25年2月を目途とすることが決まっております。1年8か月ほどかけて、中間試案の取りまとめを行うということであります。
パブリックコメントの募集期間はすでに終わりましたが、震災の影響などもあって締切を延期してほしいという要望も届いておりますし、また、既に手元に届いている意見の数もかなり多くなっておりますので、これらを集約する作業に若干の時間がかかる見込みです。このため、部会へのパブリックコメントの結果の報告は11月ごろになる見通しです。それまで審議を止めておくというのでは効率的でありませんので、第2ステージの審議を先に始めた上で、パブリックコメントの結果を部会に報告した段階で、それまでに第2ステージの審議を進めた論点項目については、おさらいの検討の機会を持つという進め方を予定しております。
次に、レジュメの4枚目では、「中間的な論点整理」の趣旨などを紹介しています。この部会の最初のステージで論点整理を行うこととした趣旨ですけれども、改正対象としている債権関係の規定は大変に範囲が広く論点も多岐にわたることが予想されましたので、どういった論点があるのかをまずは確認し、一通りの議論をした上で、初めのパブリックコメントの手続を行い、広く部会の内外で問題意識を共有しながら議論を進めていくということです。法務省がこれまでに進めてきた民事基本法の見直し作業の中でも、民事訴訟法や、倒産法の改正においてこういった手順をとったことがあります。それと同じように慎重な審議の進め方をしようということです。
資料1-2「中間的な論点整理」の抜粋をお配りしております。これはごく一部であり、全体では200ページ近いボリュームになっております。この「中間的な論点整理」では、それぞれの論点を紹介する際の文末表現の書き分けによって、ここまでの部会での審議の到達点を表すことにしております。レジュメで紹介いたしましたように、その項目が論点であることを単純に確認するもの、これが基本形ですが、これについては、「~について、更に検討してはどうか」「~について、検討してはどうか」という書き方がされております。他方、これまでの部会の審議で一定のコンセンサスがあったものについては、「~とする方向で、更に検討してはどうか」という書き方がされており、さらに、基本的に異論がなかった論点については、「~としてはどうか」という、やや断定的な書き方がされております。
レジュメの5枚目からは、「中間的な論点整理」を題材として、この部会で議論されている具体的な論点を、ごく簡単にいくつか紹介してまいりたいと思います。
今回の見直しの視点として、諮問文に「国民一般に分かりやすい」ということと、「社会・経済の変化への対応」があるということを先ほど申し上げました。このうち国民一般にわかりやすいということについては、さまざまな角度からご意見をいただきつつ、わかりやすさを追求していく必要があると思いますが、まずは、制定以来110年あまりの間に条文の外に形成されている重要な判例法理、確立された判例法理などを条文の中にきちんと書き込むことによって、民法を読めば基本的な取引ルールがわかるようにする。そういう意味で、透明性の高い分かりやすい法律にしていく必要があると考えております。このような観点からは、重要で確立された判例法理のほか、基本原則でありながら条文には書かれていないもの、条文そのものが不明確であるものなどについても、見直しをしていくことが考えられるわけです。
こういった例を幾つか挙げてみたいと思います。
まず、「弁済の効果」。レジュメでこの項目の横に付記したのは、「中間的な論点整理」の項目番号とページ数であり、本日お配りした抜粋では3ページになります。弁済に関する民法の最初の規定は第474条の「第三者の弁済」で、債務者ではなく第三者が弁済をするというイレギュラーな場面から条文が書き始められており、弁済とは何か、弁済によって債権が消滅するという基本的な法律関係は条文には直接書かれていません。こういったことが民法の条文の不親切さ、分かりにくさとして指摘されているわけです。そこで、まず、弁済によって債権が消滅するという基本的なルールをきちんと条文に書き込むべきではないかということが論点として取り上げられており、ここでは、先ほど紹介いたしましたうち、「~としてはどうか」という異論がないタイプの論点として整理されております。
また、弁済のところには、「債権の準占有者に対する弁済」という規定があります。「債権の準占有者」というのは、権利者であるような外観を備えている者のことで、典型的には、権利者ではないのに預金通帳を所持して銀行の窓口に現れた者などが想定されているわけですけれども、これを債権の準占有者と呼ぶのはいかにもわかりにくい。そこで、判例法理を踏まえてその実質的な内容をきちんと条文の中に書き込むべきではないかというのがここでの論点です。これらのように、基本的なルールを書き込んだり、わかりにくい表現を手直ししたりといったものが、まず論点の一例として挙げられるわけです。
次に、レジュメの6枚目に行きます。現在の民法には、一般条項と言われているものとして民法90条の「公序良俗」に関する規定があります。「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする」という規定です。この規定は、裁判実務上さまざまな場面で活用されている非常に重要な規定であります。例えば、情報の格差、交渉力の格差がある取引などにおいて、一方当事者を保護するために契約を無効とすべき場合の根拠規定として活用されております。あるいは、契約の中の一部の条項について不当な内容のものがあるときに、その不当な条項のみを無効とするためにも活用されております。
しかし、この条文の文言からは、そういったことが容易には読み取れないわけです。そこで、この規定から導かれる具体的な法理を何らかの形で条文化すべきではないかという議論がされております。その一つの例として、「中間的な論点整理」の第28の1(2)「公序良俗違反の具体化」という項目の2つ目のパラグラフで「暴利行為」が紹介されております。これは、伝統的には、相手方の窮迫、軽率又は無経験に乗じて著しく過当の利益を獲得するような契約を無効とするというルールであり、これは民法の施行後、比較的早い時期から判例法理として確立されたものだと言われております。それを伝統的な定式のまま書き込むのか、さらに発展させた形で書き込むのかは議論がありますけれども、いずれにせよこういった法理をきちんと条文の中に書き込むことによって、民法90条が実際に果たしている役割の一つを明らかにしていくべきではないかというのがここでの論点です。
次に、「意思能力」に関する論点があります。意思能力を欠く状態で行われた契約が無効であることについては、判例として確立され、学説上も異論のないところですけれども、意思能力に関する規定は民法にはありません。こういったルールは、高齢化が進む現代社会の中でますます重要性が高まっているわけですから、民法の中にきちんと書き込むべきではないかというのがここでの論点です。この論点については、意思能力に関する規定を設けるという基本的な部分にはほぼ異論がなく、その内容、例えば、意思能力をどのように定義すべきなのかといったことについて、現在、審議が進められております。
次に、レジュメの7枚目に行きます。ここでは「錯誤」に関する論点を取り上げております。「中間的な論点整理」の第30「意思表示」の3「錯誤」というところです。
錯誤に関しては、実際に紛争になることが多いのは「動機の錯誤」と言われているもので、この物を売り買いするといった契約内容そのものには勘違いはないけれども、この物を買おうと考えた理由、つまり動機の部分に勘違いがあった場合に問題となります。動機に錯誤があった場合にその契約が無効となるための要件は、判例上、その動機が表示されて、それが契約の内容になったこととされています。この判例法理に対しては、学説上異論がないわけではありませんが、しかし判例として確立されていて、学説上も基本的には支持されているのではないかと思います。このように重要な判例法理については、条文を読めばわかるように明文化すべきではないかというのが、動機の錯誤に関する論点です。
もう一つは、動機の錯誤によって契約が無効になるためには、更にもう一つの重要な要件を満たす必要があります。それが、民法95条に「法律行為の要素に錯誤があったとき」と表現されているものです。この「要素の錯誤」という要件については、判例学説上、その錯誤がなければその人はそういった契約はしなかったであろうし、そのことは一般人から見てもそう言えることが必要であるとされています。因果関係と客観的重要性などと呼ばれておりますが、そのような解釈が概ね確立されているわけです。しかし、それは条文には「要素の錯誤」としか書いてありませんから、条文を読んでもすぐにはわからないことです。
民法の錯誤という規定は、法制審の部会でも指摘があったことですが、消費者相談などでもしばしば問題とされる大変重要な規定でありまして、そういう重要な規定が、読んでわかるように書かれていないというのは非常に問題があると指摘されています。そこで、このような重要で確立されている判例法理は条文化していくべきではないかという議論がされているわけです。
ここまで駆け足で、判例法理の明文化を中心に「国民に分かりやすい」という観点にかかわる論点を取り上げてきましたが、もう一つの見直しの観点として、「社会・経済の変化への対応」があります。これは、制定以来110年が経過して、民法が今日の社会・経済に適合しなくなっていると考えられる部分の手直しいわゆる現代化を図るということです。ここでは、判例法理の明文化に比べますと、実質的な規定内容の修正が含まれているものもありますので、必ずしも現時点で大方の意見が一致しているわけではなく、今後その議論を深めていく必要があるものが少なくありません。
時間の関係でその中の一つ、消費者・事業者に関する規定という項目のみを取り上げてお話しいたします。現代社会の中で消費者契約というものが大変重要になってきたことに伴って、今回の見直しの中で民法の規定の改正を考える際にも、具体的な取引ルールを考えていく際に、消費者契約のみを適用対象とすべきなのかどうかが議論の俎上にのぼってくることがあります。
一例を申しますと、消滅時効の見直しに関していろいろ議論があるわけですが、その中に、短期消滅時効を廃止して時効期間の統一化を図る一方で、一般の時効期間を短期化しようといった立法提案があります。そのときに、短期化するだけでは具体的な取引にうまく適合しない場合があるので、当事者の合意によって時効期間を変更することができるようにした方がよいのではないかという議論があります。
この点については、すべての取引に適用される一般ルールとして正当かどうかが、まず問われることになるわけですが、仮に一般ルールとしては当事者の合意による時効期間の変更を認めるといたしましても、それを消費者契約にも適用いたしますと、合意の名の下に常に消費者に不利な方向で時効期間が変更される危険性があるという指摘があります。そこで、時効期間を合意によって変更することができるようにするのであれば、それは消費者契約には適用しないという例外規定を設けるべきではないかという議論がされています。もしそうするとなると、次に、消費者契約に関する特則をどこに規定すべきなのか、民法に置くべきなのかどうかが問題となってきます。このように、民法上の一般ルールに対する消費者契約の特則などを新たに設けようとする場合に、その規定を民法の中に置くのがいいのかどうかというのが、消費者・事業者に関する規定という項目で議論されていることであります。
これに関連するけれども別のものとして、現在は消費者契約法に規定があるものについて、その規定を民法に移すべきかどうかという議論があります。議論がありますというのは、法制審議会で議論されているということではなく、ある学者グループの立法提案としてそういう考え方が公表されているということです。こういった立法提案についても、法制審議会の部会では、民法の在り方に関する議論として必ずしも排除しないというスタンスでおりますけれども、しかし、それが現在の民法を取り巻く主要な検討課題というわけでもありませんので、これまでの部会で正面からこの議論が取り上げられたことはありません。この論点が今回の民法改正における主要な検討課題として位置付けられているかのような誤解もあると聞いておりますので、ひとこと付け加えさせていただきました。
以上、駆け足になりましたけれども、現在の法制審議会における審議の状況について、説明させていただきました。ありがとうございました。

○松本委員長 ありがとうございました。
続きまして、消費者庁から御説明をお願いいたします。

○消費者庁消費者制度課加納企画官 消費者庁の加納でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私からは、消費者契約法の見直しに向けた取組について説明するようにというお話がございましたので、資料2-1と2-2という形で準備いたしました。
資料2-1ですけれども、まず、「消費者契約法について」ということで書いております。成立、施行の年月はここに書いてあるとおりでありまして、現時点で施行から約10年経過したという段階であります。その内容は、不当な勧誘による契約の取消、不当な契約条項の無効について規定しているというのが消費者契約法でありまして、そのほか、2ポツに出てきますけれども、適格消費者団体による差止請求に関する規定及び適格消費者団体の認定、監督に関する規定も併せて設けられております。
消費者契約法上の契約の取消し、契約条項の無効に関する規定につきましては、現時点でかなりの数の裁判例も集積しているところでありまして、著名なところでは、いわゆる学納金の返還請求訴訟の最高裁の判決ですとか、最近では、不動産賃貸借契約における敷金の返還請求、あるいは更新料の返還請求といった最高裁の判決も出ているという状況であります。
2ポツの「消費者契約法の見直しについて」ですが、13年4月に施行されて以来、これまで2回ほど消費者契約法の改正をしてまいりました。その内容は、適格消費者団体による差止請求制度、いわゆる消費者団体訴訟制度の導入及びその拡充に関するものでありまして、(1)に書いてあるところですけれども、内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体が、事業者等に対して差止請求をする、こういう内容の制度を導入したものであります。これは平成18年の改正法により導入しまして、19年6月から施行されておりまして、更に、平成20年の改正法によりまして、その対象を、景品表示法と特定商取引法の不当な行為に拡大するという改正を行ってきております。
現在、認定を受けた適格消費者団体は9団体ありまして、差止請求に係る訴訟も何件か起こされている、こういう状況であります。
差止請求訴訟にとどまっている消費者団体訴訟制度を更に発展させるという観点から、いわゆる被害者救済制度に関しても検討が行われてまいりました。これは、まさに先週、消費者委員会の「集団的消費者被害救済制度専門調査会」におきまして、適格消費者団体を主体とする新たな訴訟制度の創設をすべきであるという御意見が取りまとめられたところでありまして、それに向けて法制化作業をしていくという段階に入っております。
(2)の「不当勧誘・不当条項規制の在り方について」ですが、先ほど法務省の筒井参事官から御説明がありましたとおり、現在、法制審議会において民法の改正に関する調査・審議が行われているところであります。消費者契約法の不当勧誘・不当条項規制の部分につきましては、民法の特別法と位置づけられるものでありまして、民法の在り方によって消費者契約法がかなり左右されるところがございますので、消費者庁としては、民法改正の議論と連携しながら、更に不当勧誘・不当条項規制の在り方について検討していくことを予定しております。
資料2-2、これはイメージ図ですけれども、消費者契約法の実効性を確保するための取組みということで、これまでの消費者契約法の改正に関する推移という形で書いてございます。一番下から順々に矢印が上がってきているというイメージで私どもはとらえておりまして、対等当事者間における私法の一般法であるところの民法の規定があり、それを消費者・事業者間における特別法として、平成12年に成立した消費者契約法において一定の取消し・無効に関するルールを設けたということですが、単に取消し・無効のルールを設けただけでは、消費者被害の未然防止・拡大防止の観点からはまだ実効性に足りないところがあるのではないかということで、適格消費者団体には差止請求の制度を設けた。それを平成18年改正、20年改正という形でやってまいりまして、その過程の中で差止請求の範囲を特商法、景表法に広げたということであります。
更に、一番上のところですけれども、適格消費者団体による消費者被害救済制度の検討をまさにこれからやろうという形をとっております。差止め、更に被害者救済というこれらの制度ができることによって初めて、消費者契約法が全体として実効性を確保できることになるのではないかと考えておりまして、消費者庁としては、こういった取組みを更に進めていきたいと考えているところであります。
消費者庁からは以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまのお二方の御説明につきまして、どうぞ、御質問、御意見がございましたら、お出しください。
池田委員、どうぞ。

○池田委員 私は専門家ではありませんので、別の視点で要望を申し上げたいと思います。まず、先ほど筒井さんがお話しになった2つの視点ですが、わかりやすさと社会・経済変化への対応ということについて、私なりの要望をお願いしたいと思います。
わかりやすさは当然であると思いますけれども、極端に言うならば、司法界で使われている言葉そのものが情報格差、情報の壁を生んでいるのではないかと思います。どういうわかりやすさを求められているか知りませんけれども、言葉の一つひとつが全く死語になっているような言葉が通用しているという、本当に特殊な社会だと思います。そういうものが許されておるという認識そのものが、私は大変おかしな状況ではないかと思うのです。そのことが、司法の世界と消費者とのレベルの差をつけている最初の壁ではないかと思いますので、そういう意味での大幅なわかりやすさを、すなわち、先ほど「読んでわかる」というふうに民法のことをおっしゃいましたけれども是非そういう視点を、徹底的に追求してほしいということが一つです。
もう一つは、社会・経済変化への対応ということです。諮問が行われた法制審総会は平成21年の10月の段階ですけれども、その時点でもいろいろな変化が想定されていると思います。しかし、更にその後の2年間でこの大震災、あるいはグローバル化、円高など非常に大きな変化が続いています。それにより、国内の経済は大変不景気になって、大変な雇用不足が生じています。このことを踏まえて、政府も成長戦略と言っていますけれども、もっと日本の景気を成長させるという視点が全体で非常に必要になってくると思うのです。
一方で、法律というのはそういう成長分野を規制するという側面もあるわけです。ですから、こういう大きな変化があるということを前提として、改正をする中で、予測といったら大変難しいでしょうけれども、それだけ激しく動いているということを前提として、いろいろな人の意見を聞いて改正をしていただきたいと思います。
以上であります。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 今の池田委員の意見、ごもっともなので、よろしくお願いいたします。私は2点お聞きしたいのですが、一つは、消費者庁、法務省両方にお聞きします。消費者基本計画という内閣府で閣議決定しているものがございまして、2005年4月の第1次の消費者基本計画では、消費者契約法施行後の状況について分析・検討するとともに、消費者契約に関する情報提供、不招請勧誘の規制、適合性原則などについて幅広く検討すると。2007年までに一定の結論を得るということで一定の審議が始まったいきさつがございます。
それから、昨年、当消費者委員会も関与したわけですが、2010年3月に閣議決定された第2次消費者基本計画でも、消費者契約法に関して、情報提供あるいは不招請勧誘の規制、適合性原則を含めて、インターネット取引の普及を踏まえつつ、消費者契約の不当勧誘・不当条項規制の在り方について民法改正の論議と連携して検討しますと、こういうことが明示されています。
こういう閣議決定、あるいは、今、池田委員もおっしゃったような社会・経済の変化を踏まえた消費者の動向のいろいろな変化を踏まえて、当然、消費者契約法の契約の勧誘過程、それから、条項の問題についても見直しが必要だと思いますが、法制審議会における審議の中では、そうした消費者基本計画の中での消費者契約法の見直しをどういうふうに意識しながら審議をなさっているのか、お聞きしたいです。
それから、消費者庁の方には、加納企画官も集団的消費者被害の救済制度で大車輪の活動をなさっていますし、これから法制化に向けて大変な作業があると思いますので、新しい部署をつくってでもこの消費者契約法の見直しを、法務省における民法改正の審議と並行して審議を煮詰めて、民法改正の法案が国会上程されるときには、同時に消費者契約法の実体法の改正も国会に上程できると。両方の法案の改正がセットでやれることになる方が、全体的な関係も見えやすいのではないかと思います。民法だけ改正されて後で消費者契約法をどうしようかという議論よりも、同時進行で連携した方がいいと思うのですが、その辺について、法務省のお考え、あるいは消費者庁としてのお考えをお聞きできればと思います。

○松本委員長 では、法務省の方からお願いします。

○法務省民事局筒井参事官 御指摘ありがとうございます。まず、民法制定以来110年の間の主要な変化の一つとして、特に後半の数十年の間において消費者契約についての法理が進展したことが挙げられると思います。そのことは、法制審議会の部会の議論の中でも出ておりましたし、そもそも民法の規定の主要な適用場面の一つは消費者契約であるわけですから、そのことを十分意識しながら議論をしていくことは当然であり、これについては部会の中のコンセンサスがあると思います。そのことを踏まえながら、特に意思表示に関する規定や、不当条項に関する規定の在り方などについては、消費者契約法の規定を参照しながら、しかし消費者契約法そのものの見直しではなく、民法がどのように在るべきかという議論として、審議は進められているところです。
この審議に関しては、刻々と変化する社会の中で一定のスピード感をもって進めていくことが大変重要であるのは、全くそのとおりだと思っておりますけれども、他方で、民法の改正に関しましては、実務界を中心に、取引社会に与える影響を十分に考慮しつつ慎重に審議を進めるよう求める声が大変強いこともまた事実であります。私どもとしても、そういった声を十分踏まえて、議論状況の適切な広報に努め、多くの方に問題意識を共有していただきながら、慎重に、しかし、一定のスピード感をもって議論を進めていきたいと考えているところです。そこで、冒頭でお話ししたようなスケジュールで審議を進めているわけです。

○松本委員長 では、消費者庁からどうぞ。

○消費者庁消費者制度課加納企画官 法制審議会の議論との関係ですけれども、今、消費者概念の導入の話が法務省の筒井参事官からございました。そういった論点を含めていろいろありますので、そういう民法の動向と絡めて、消費者契約法の不当勧誘・不当条項規制の在り方について検討することになるのではないかと思っております。
消費者契約法の規定の中には、現在の民法の規定の考え方を前提として特別法を設けるという規定が幾つかございます。例えば消費者契約法の8条で、事業者の損害賠償の免責に関する条項の無効というのを規定しております。これは、事業者の債務不履行によって消費者に生じた損害を賠償する責任の免除をする条項を一定の場合に無効とする条項ですが、事業者の故意または重過失があるかどうかというところで、免責の有効・無効の在り方が変わってくるという規定の構造になっております。
債務不履行責任の在り方がどうなるのかという民法の規定の在り方、仮にそれが大きく変わるとしますと、それに伴って必然的に消費者契約法8条の規定の在り方も大きく変わらざるを得ない構造になっております。そのほかにも幾つか、現行の民法の考え方が変わった場合には消費者契約法の規定が大きく変わってくるところがございますので、そうした場合に、単に民法の規定が変わって文言の修正で足りるのか。あるいは、民法の基本的な考え方が変わったことに伴い消費者政策としてどういうふうな在り方がいいのかというのは、かなり慎重に検討しなければいけないのではないかと思われるところで、そういったところも併せて検討していく必要があるということであります。やはり法制審の議論の状況と強く連携をしながら、検討をする必要があるのではないかと思っているところであります。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 加納さんの今のことの続きですけれども、具体的な姿がちょっと見えにくいのでお聞きしたいのですが、もともと消費者契約法の検討は旧内閣府の国民生活審議会の消費者政策部会で検討をやっていました。消費者庁・消費者委員会の設置法が国会を通ったというので、その検討会を閉めて、それを消費者庁及び消費者委員会に引き継ぐという申し送りというか、そういうことを2年前の7月1日に国民生活審議会消費者政策部会で出されているわけです。せっかく国生審の検討会が消費者契約法の改正、見直しを検討してきていて一定の作業成果があるのを、消費者庁はどう引き継いでおられるのか。今回の消費者基本計画の42番にまさに消費者契約法に関して、さっき山口さんが言われたような見直し、民法改正の議論と連携して検討しますというのは確かに入っておりますが、これをどこの部隊でやるのか。どういう計画なのか。
今日の資料2-1を見ても、(2)の最後のところ、「連携しつつ、不当勧誘・不当条項規制の在り方について検討していく予定」と書いてありますが、どういうイメージで検討しようと思われているのか。その辺をお聞きしたいと思います。

○松本委員長 どうぞ。

○消費者庁消費者制度課加納企画官 確かに内閣府時代に一定の検討はしてまいりましたけれども、その後、消費者庁が創設されたということで、消費者契約法を取り巻く環境が大きく変わったという事情が一つあると思っております。もう一つは、民法(債権関係)の改正という更に大きな環境の変化が生じたという状況ですので、内閣府における検討の当時とはかなり周辺環境が異なってきているのではないかと思っております。
そうした中で消費者契約法の在り方をどうするかということですけれども、先ほどの繰り返しになりますが、民法の基本的な考え方がどうなるかによって消費者契約法の考え方も変わらざるを得ないところが多々ありますので、民法の考え方を踏まえて、消費者契約法の在り方について検討することにならざるを得ないと思っております。
消費者契約法につきましては、不当勧誘・不当条項規制のこともさることながら、実効性の確保という観点も非常に重要であると思っております。そういう観点で資料2-2の方で、差止請求、被害救済制度の導入というところを書いております。これも言うならば広い意味での消費者契約法の見直しの一つであると考えておりまして、まさに消費者委員会でもこれを検討していただいているところですけれども、あとは優先順位の立て方になろうかと思いますが、まずはこういったところから検討をしていく。ある程度姿が見えた段階で、更に不当条項とか不当勧誘規制の在り方について検討していくということではないかと思っております。

○中村委員長代理 今の説明の中で、先に民法の改正があって、それの状況を見て消費者契約法の方をどう変えるか検討するというお話だったのですが、むしろ消費者庁は、消費者目線で消費者契約法はこうあるべきだというのを先に打ち出す必要があるのではないですか。

○消費者庁消費者制度課加納企画官 先に民法の改正があってというふうなことを申し上げたつもりはなくて、民法の基本的な考え方がどうあるかというのを踏まえた上で消費者契約法の在り方も考えていく必要がある。それは必ずしも民法の後となるかどうかというのは、改正の内容を検討していく中で、場合によっては同時になるかもしれませんし、場合によっては後になるかもしれない、場合によっては先になるかもしれないということではないかと思っております。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 私もそのことを気にしたのですけれども、法制審で民法の在り方について先に議論がされて、その後追いで行くということではなくて、なぜならば民法110年ぶりの改正ですので、今回、改正されたら、またそのあと100年改正ができないかもしれない。そういう危惧がありますから、法制審に追従してということではなくて、消費者契約法の観点を、むしろ法制審の方にうまく連携をしながら入れていくという考え方で是非進めていただきたい。民法の考え方が定まって、そして消費者契約法というのではなくて、消費者契約法の観点を民法の方に、むしろお互いに連携し合いながら考え方を議論していくという作業が必要なのではないかと思います。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 皆さんおっしゃるように同じようなことを感じておりますが、まず、消費者庁が図式を示されたこれを考えると、消費者契約法の改正につきましては、今、ここに見えているのは手続法のようなものでしかあり得ないと思います。これを運用するには、実体法の不当条項・不当勧誘のところをきちんと運用しないとこれが動かないと思うのです。
もう一点は、参事官が何度も強くおっしゃられたのは、契約法の実体法上のところにつきまして、民法の中に取り込もうかどうかというのは、「そういう意見もある」というだけのことをおっしゃられたのですが、どうも私が聞いておりますと、そちらの方が優先されるような気がして仕方がないのです。「意見はある」というのを何度も何度もおっしゃられるということは、「更に検討してはどうか」ではなくて、「そういう意見はどうか」というふうにしか見えません。C段階にしか見えないわけです。
そういたしますと、実際に消費者相談を受けているもの、それから適格消費者団体が、消費者契約法を運用してこれらの被害救済、未然防止を必要とするならば、やはり今の消費者契約法の中で、不当勧誘・不当条項は基本計画の施策にも書いてありますように、ここのところは適合性の原則などは非常に難しいかと思いますが、不招請勧誘の問題はあるかと思いますが、現実にそういう問題が非常に多く起こっているわけです。ですから、契約法の中で積極的にこちらの方の検討も踏まえて、法制審の中でもそれらを踏まえて御検討いただきたい。また、法制審の中ではやはり消費者の意見をもう少し取り込んでいただけるような、意見を聞いていただけるような場を設けていただければいいのではないかと思います。学者の方が多くて、消費者代表は1人しか入っておりません。せっかくの100年ぶりの民法改正に対して、事業者だとか消費者という言葉で概念をお考えになられるのであれば、もう少し消費者の意見というものも調査するなり聞いていただくなりしていただいて、同時に民法と消費者契約法が改正に動けるような形でしていただければ、消費者としてとても重要な法律に変わっていくのではないかなと感じております。よろしくお願いいたします。

○松本委員長 よろしいでしょうか。
それでは、今までの御意見につきまして、もし何かございましたら、法務省の方から。

○法務省民事局筒井参事官 大変貴重な意見をありがとうございます。冒頭、池田委員から、「わかりやすい」ということをいろいろな角度から追求すべきだという御指摘をいただきまして、大変もっともなことだと思いました。法律の分かりにくさに関しては、致し方ない面もあろうと思いますけれども、民法が国民一般に身近な基本法であるところからしますと、まずは、民法を分かりやすいものとするというのは大変重要なことではないかと、私自身、感じているところです。そういったことも踏まえ、わかりやすさをいろいろな面から追求していきたいと考えております。
そして、消費者の視点で民法を見ていくことの重要性について、さまざまな形で御意見をいただきましたことを、今後の議論に十分反映させていきたいと思っております。特にもっと消費者の意見を吸い上げることを求める御意見をいただきました。私どもとしても、会議メンバーの構成だけでなく、本年6月のようにヒアリングの機会を持つこと、そしてパブリックコメントの機会を複数持つことなどを通じて、その点を重要視しておりますけれども、さらにどんな工夫が考えられるのかといったことをこれからも考えてまいりたいと思っております。どうもありがとうございました。

○消費者庁消費者制度課加納企画官 いろいろ御指摘いただきましたことを踏まえて、また消費者庁として受けとめたいというふうに思ってございますけれども、民法の議論というのは消費者問題にとっても非常に重要な問題であります。消費者契約法の見直しの問題も重要ですけれども、それ以外にも例えば保証債務の問題でありますとか、公序良俗規定の具体化でありますとか、ほかにも重要な課題がかなりあります。こういったところにも消費者目線の観点から消費者庁として検討をして、消費者目線の観点から法制審でも意見を述べていくことが重要だと思っておりますので、そういったところも積極的にやっていきたいと思っております。
あと、国民生活審議会以来の議論の継承につきましては、先ほど申し上げたように、まだ民法の状況を見なければいけないとか、被害者救済制度の問題、これが当面の課題としてクローズアップしてきておりますので、そういったところをまず仕上げるといったことで、ある程度優先順位をつけながらどこまでできるかというふうにならざるを得ませんけれども、消費者庁としてはできる範囲内でやっていきたいと思っております。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 ちょっとマイナーな問題といいますか、しかし、深刻な問題が一つございますので、参事官にお聞きしたいのですが、意思能力の問題です。実は準禁治産制度があったときには、浪費について一定の処分行為を制限するシステムがあったんですね。例えば霊感商法等、特定の考え方に染まってしまって、周りが心配してもどんどん注ぎ込んでしまう。あるいは高齢者のお年寄りの中では、相当の資産をもって、周りはみんな心配しているけれども、いいのよ、いいのよということでどんどん注ぎ込んでしまう。それを何とか周辺の方が止められないかということで心配するわけですが、以前は浪費理由の準禁治産で止めることができたのです。ところが、成年後見制度の中では自主性・自立性の尊重ということで、浪費を止めることができなくなってしまったわけです。
今、まさにお年寄りが、成年後見まではいかない、あるいは、補佐だ、補助だというところまでいかないけれども、やはりちょっと問題があるという方は、これは社会的な事実として相当あると思うのです。その辺、意思能力の制度の在り方といいますか、先ほど下谷内委員からは適合性の問題で議論が出ましたけれども、断ることができないという、人のよすぎるおばあちゃんというのはいるんですよ。その辺をどうするかという議論は、今回の債権法の分野と少し違うのかもしれないけれども、しかし、意思能力の問題がありますので、状況だけお聞かせいただければと思います。

○法務省民事局筒井参事官 貴重な御指摘ありがとうございます。御指摘のような社会的な実態があることを民法でどのように受けとめることができるのかというのは、改めて考えてみる必要があると思いました。
意思能力に関しましては、要求される能力の水準を具体的な行為ごとに異なるものとして考えるべきかどうかといったことが議論の対象となっています。あるいは、意思能力に関する規定を設けるときに、成年被後見人に関する民法9条と同様に、日用品の購入などについて適用を除外するかどうかといったことが議論されております。そういった議論をする際に、ただ今の山口委員から御指摘があった視点についても考えていきたいと思います。

○松本委員長 ありがとうございました。
消費者被害救済において、民法、消費者契約法、あるいは特商法の中の民事ルールといった、民事ルールが果たす役割というのは大変大きなところがあります。それをもとにして差止とか集団消費者被害救済はのっかっているということですから、やはり民事ルールが充実してこないと被害防止や被害救済が進まないという面がございます。民法は民事ルールのかたまりですし、消費者契約法もそうなので、消費者委員会としましては、民法が今後どうなるのか、消費者契約法がどうなるのかについて大変大きな関心を持っているところでございます。この問題についてはまた改めて取り上げたいと考えております。
本日は、法務省及び消費者庁におかれましては、お忙しい中、当委員会の審議に御協力をいただきまして、ありがとうございました。

≪3.健康食品の表示の検討について≫

○松本委員長 続きまして、「健康食品の表示の検討について」です。健康食品の表示の在り方につきましては、前回の第65回消費者委員会におきまして、これまでの審議を踏まえて論点整理のたたき台をもとに議論を行いました。本日は、前回の議論も踏まえまして、消費者委員会として「中間整理」を取りまとめたいと思います。
それでは、佐野委員から、「中間整理(案)」につきまして御説明をお願いいたします。

○佐野委員 前回、中間整理のたたき台として説明させていただきました。その後、特に修正意見もありませんでしたので、そのまま「中間整理(案)」として、本日、提案したいと思います。前回と全く同文なので、説明は省略させていただきます。
ただ、一言だけ意見を申し上げたいのは、「中間整理」の中で資料3-2の2ページから3ページにかけて、「健康食品の表示をめぐる問題点」として大きく4つ挙げております。錠剤・カプセル型食品に関する問題、消費者を誤認させる広告・表示、法執行体制整備の遅れ、最後に、情報の収集・分析・提供の不十分性についてです。規制がない医薬品の個人輸入による副作用が多いので規制を強化する方向だという報道がありましたが、いわゆる健康食品も全く同じ状態だと思っています。「中間整理」には、規制のない個人輸入についても問題点として明記いたしました。
これらの問題点を踏まえて、消費者庁が行った論点整理の検討課題に沿って、新しい委員会で今後更に検討を深め、「中間整理」が具体化されることを期待したいと思います。
以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの「中間整理(案)」の御提案につきまして、御意見ございますでしょうか。
ございませんようでしたら、この「中間整理(案)」をそのまま消費者委員会としての「中間整理」として採択したいと思います。ありがとうございました。

≪4.閉会≫

○松本委員長 本日の議論は以上でございます。
最後に、事務局より、今後の予定について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 どうもありがとうございました。
次回の委員会ですけれども、8月26日、今週の金曜日、15時から行う予定としております。
議題としましては、集団的消費者被害救済制度専門調査会の報告について、個人情報保護専門調査会の報告について、マンションの悪質な勧誘の問題に関する建議を行っておりますが、そのフォローアップについて、を予定しておりまして、追加で案件が入ってまいりましたら、また改めてそれを御案内したいと思っております。
事務局からは以上です。

○松本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。

(以上)