第31回 消費者委員会 議事録

日時

2010年7月23日(金)15:00~16:10

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、川戸委員、櫻井委員、佐野委員、
 下谷内委員、田島委員、日和佐委員、山口委員

【説明者】
 東京大学大学院法学政治学研究科 長谷部恭男教授
 消費者庁 川辺地方協力課長

【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.個人情報保護専門調査会の運営方針について
 ○出席者:東京大学大学院法学政治学研究科 長谷部恭男教授
3.地方消費者行政推進本部についての消費者庁からの報告
 ○説明者:消費者庁 川辺地方協力課長
4.こんにゃく入りゼリー事故について
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:14KB)
【資料1】 個人情報保護専門調査会関連資料 (PDF形式:188KB) 【資料2】 地方消費者行政推進本部関連資料(消費者庁提出資料)
地方消費者行政の現状分析(概要版)表紙から4ページ (PDF形式:592KB)5ページから9ページ (PDF形式:661KB)
地方消費者行政の現状分析(本編)
〔※以下の資料は、消費者庁ホームページへのリンクとなります。〕
「地方消費者行政の現状分析~平成21年度版「地方消費者行政の現況調査」より~(本文)」
【資料3】 こんにゃく入りゼリーによる窒息事故への対応及び食品の形状・物性面での安全性についての法整備に関する提言(案) (PDF形式:18KB)
【資料4】 「こんにゃく入りゼリー」に関する提言発表についての意見(佐野委員提出資料) (PDF形式:20KB)
【資料5】 特定保健用食品の表示許可に係る答申書 (PDF形式:78KB)

≪1.開 会≫

○原事務局長 それでは、定刻になりましたので始めたいと思います。本日は大変お暑い中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、第31回「消費者委員会」を開きたいと思います。
今日は池田委員は御欠席です。あとお二人、委員としては遅れておられるようですが、始めさせていただきたいと思います。
それでは、委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

○松本委員長 それでは、議題に入りたいと思います。
本日は、当初予定をしておりました「個人情報保護専門調査会の運営方針について」に関する議題に加えまして、「地方消費者行政推進本部についての消費者庁からの報告」、「こんにゃく入りゼリー事故について」も議題として取り上げたいと思います。

≪2.個人情報保護専門調査会の運営方針について≫

○松本委員長 まず初めに、個人情報保護専門調査会の運営方針についてです。個人情報保護専門調査会につきましては、第9回の委員会において設置を決定したところです。その構成員となる専門委員の方々につきましては、配付資料の1-3(PDF形式:163KB)にあります名簿の方々が去る7月16日に発令されており、この方々にこの専門調査会の委員として審議に御参加いただきたいと思います。
なお、川戸委員、櫻井委員、下谷内委員が、この専門調査会の担当委員として調査会の調査審議に参画いたします。また、個人情報保護専門調査会設置・運営規程第2条第3項の規定により、委員長が専門調査会の座長を指名することとなっておりますので、専門委員の中から長谷部恭男委員にお願いしたいと思います。本日は長谷部座長にお越しいただいておりますので、どうぞメインテーブルにお着きください。

(長谷部座長着席)

○松本委員長 それでは、早速ですが、長谷部座長よりごあいさつをお願いいたします。

○長谷部個人情報保護専門調査会座長 ただいま御紹介にあずかりました、長谷部と申します。
図らずも大役を仰せつかりましたが、幸いにして各界の有識者の方々に御参加をいただけるということでございますので、慎重に審議を重ねた上で専門調査会としての任務を果たしていきたいと存じます。よろしく御指導のほどお願い申し上げます。

○松本委員長 どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、個人情報保護専門調査会の運営方針について議論を行いたいと思います。運営方針につきましては、事務局において案を作成しておりますので、まずは事務局より御説明をお願いいたします。

○原事務局長 説明をしたいと思います。資料1-1(PDF形式:167KB)をごらんになっていただきたいと思います。「個人情報保護専門調査会の進め方について」、案ということで提示させていただいております。
まず、趣旨ですけれども、専門調査会は2つの調査審議ということで、1つは、個人情報の適正な取扱いの確保に関する事項。2つ目として、内閣総理大臣が作成する個人情報の保護に関する基本方針の案について、消費者委員会の求めに応じて調査審議を行うということになっておりまして、その下で本専門調査会を置かせていただいております。
「個人情報の保護に関する基本方針」においては、消費者委員会は法の施行状況のフォローアップを行うとされております。それから、今年3月30日に閣議決定をいたしました「消費者基本計画」においても、個人情報保護法については、消費者委員会において法改正も視野に入れた問題点についての審議を行うこととされております。
これらを踏まえ、本専門調査会としては、当面、主に以下の事項を中心として調査審議を進め、なお、必要に応じて、行政機関、独立行政法人等、及び地方公共団体の個人情報の取扱いの状況についても、検討を行うことといたしたいと思います。
2のところで「主な審議事項」を掲げております。(1)と(2)にありますように、(1)では個人情報保護法の施行状況の評価ということで、フォローアップの御紹介、それの評価を通じて、個人情報保護法の施行状況の全体の評価を第一に行いたいと思っております。その次に、個人情報保護法及びその運用に関する問題点の検討ということを考えております。こういう進め方でお願いしたいと思っております。
スケジュールについては、今、第1回と第2回と掲げておりますけれども、法のかかわる範囲が非常に広いので、専門調査会の委員の方々の御関心とか、全体のスケジュールの中で、第3回目以降、どういう審議事項を組み立てていくかということは、また専門調査会でも議論を深めていただけたらということで作成しております。
資料1-2(PDF形式:176KB)では、「個人情報の保護に関する基本方針」をお付けしております。
それから、消費者基本計画の施策番号166に掲げられておりますけれども、基本計画での掲げ方、それから、後ろにこの専門調査会の設置・運営規程をお付けしております。最後に専門委員の名簿ということでお付けしておりますので、こういった案でよろしいかどうかということも含めて、御意見をいただければと思います。

○松本委員長 それでは、ただいまの専門調査会の進め方についての案につきまして、御意見がございましたら、どうぞお出しください。
特に御発言がございませんようでしたら、この原案で進めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
それでは、ただいま御承認いただきました調査会の進め方に基づきまして、長谷部座長には専門調査会を運営していただきたいと思います。今後、専門調査会における御審議のほどどうぞよろしくお願いいたします。

○長谷部個人情報保護専門調査会座長 よろしくお願いいたします。

○松本委員長 本日はどうもありがとうございました。

(長谷部座長退室)

≪3.地方消費者行政推進本部についての消費者庁からの報告≫

○松本委員長 続きまして、地方消費者行政推進本部についてでございます。地方消費者行政推進本部については、消費者庁の地方協力課が事務局となって大臣を本部長とする地方消費者行政推進本部を設置し、「地方消費者行政の充実・強化のためのプラン」の具体化等に取り組んでおります。平成22年2月に第1回推進本部を開催して以来、これまで4回開催していると伺っております。本日は、7月21日に行われました第4回推進本部の内容について、消費者庁から御報告をお願いいたしたいと思います。
それでは、消費者庁地方協力課より御説明をお願いいたします。

○川辺地方協力課長 地方協力課が7月1日に設立されまして、その課長になりました川辺でございます。よろしくお願いいたします。
お手元の資料2-1(PDF形式:20KB)をごらんください。地方消費者行政推進本部は4回開かれていまして、去る7月21日に4回目を開きました。その前に基金ワーキング・グループで、事務的に「基金」のより使いやすい方策について検討してまいりまして、7月21日に推進本部で方針も御了解いただきました。この改定後の見直しの方針に従って、基金の要領等について、できたら月内に改定を終え、8月1日付で発効できたらというふうに考えているところでございます。
まず、資料2-1と2-2(PDF形式:29KB)を一緒にごらんいただくのがよいのではないかと思います。資料2-1で説明させていただきますけれども、基金の使い方について、使いにくいという御要請を地方公共団体の方からいただいておりました。ここを少し対応できないかということでございます。
それは大きく分けて3つございまして、1つは期限の問題でございます。基金というのは、「集中育成・強化期間(21年度~23年度)の3年間で消費者行政の充実・強化を図る」と。これが少し短いのではないか、もう少し長くならないかというのが1つの御要請でございます。
2つ目としては使い道です。使い道においても2つございまして、1つは、既存の相談員の方の報酬アップに使えないか。2つ目は、賃料について使えないか。
3つ目の問題点としては、俗に私ども「2分の1基準」と申し上げておりますけれども、基金を取り崩すためには同額の自主財源を手当しておく必要がある、このような縛りがございます。この3つについて検討を続けてまいったところでございます。
まず、取崩し「期限」の延長につきましては、3年間の集中期間で強化するということがございますので、そういった積極的な取り組みについて水を差すことなく、同時に、一部の地方公共団体から、延長してほしいという御要請があります。このために一律に1年間延長ということではございません。こういう事業がしたいという計画を出していただいて、その計画が妥当なものであれば期限を1年延長可能とする、こういう方向で考えております。
そこに「参考」として書いてありますが、今の基金の消化状況についてヒアリングを行ったところ、3年間という期間ではいくつかの自治体ではなかなか全部取り崩せないとの声がありました。そんなこともございますので、延長を図ることによって財政資金をより効果的に使っていただく。そういうことを考えているところでございます。これが基金の期限の延長ということでございます。
2番目は使い道でございます。まず、相談員の報酬引上げへの活用でございます。今、基金は量的な拡大には使うことができる。例えば新たに相談員の方をお雇いするとか、例えば週3日だった方を週5日にした場合には、プラスアルファの2日分には充てることができる。こういう形で「量的な拡大」への使い方は可能だったわけですが、今後は、消費者庁創設に伴う相談業務の質の変化、例えばこれから相談員が増えますので、OJTをして指導・助言をするといった業務が増えます。また、消費者庁と消費者委員会ができて消費者行政が大きく変わったということで、消費者の方の期待も上がっている。あっせんをお望みになる方も増えているということもありますので、そういったあっせん業務などをやる方、そういった業務の質の変化に対応して、「相談員の報酬引上げにも基金を活用可能とする」とさせていただいています。
これは少しわかりにくいので、資料2-2の図を見ていただくとわかりやすいかもしれません。今までは「地方公共団体で手当」というところの右側が基金の対象、つまり人数を増やす、日数を増やす、こういうところに使えたわけですが、これからは単価の引上げの部分。今までの部分についてはそのまま地方公共団体で手当していただくわけですけれども、プラスアルファの増加の部分、引上げの部分については基金も使える方向で改正を考えているということでございます。
もう一つの使い道ですけれども、例えば事務所とか事務用機器、こういったものの賃料、リースについても使えないかという御要望がございました。物を買った場合は使えるのですが、特にパソコン関係ですとリースという形態が多くございますので、そういったものにも使えないか。建物を建てる場合は基金は使えるわけですけれども、事務所を借りるというときにも使えないか。実際、目的はほぼ同じで、取引の形態が違うだけで使えないというのは、不具合があるのではないかという御指摘もございました。そういうこともございますので、賃料、リース料についても基金を活用可能としております。
もう一つ、光熱費、消耗品についても、従来から、経費が切り分けられれば活用は可能というふうになっております。1枚めくっていただきまして、金額の問題、「2分の1基準」についてでございます。今までのことを申し上げますと、一つひとつの事業で2分の1、自主財源を持ちなさいという規程ではございません。全部の事業を足し合わせて、しかも都道府県の中、例えば県の事業とその中にある市町村の事業全部を足して、トータルの自主財源と同じ額の基金を取り崩せる。都道府県のマクロベースで見て2分の1を持っていれば、そこのところまで基金を取り崩すことは可能、このような仕組みでございます。
これにつきましては、地方消費者行政の活性化は国の支援と地方の自助努力の両輪であるということで、2分の1基準についてはその原則自体は維持する。
ただ、運用につきましては、事務的な運用細則により改善を行うことを考えております。どういうことかといいますと、例えば非常勤職員の相談員を通常の地方公務員の方にした場合には、消費者行政予算から落ちてしまうという現象があって、専任化することによって消費者行政予算が見かけ上、小さくなってしまうことがございます。そこにつきましては、消費者行政予算の計上に反映することによって、結果的に基金の取崩し額が拡大するよう改善を図る。地方公共団体の自助努力を消費者行政予算のカウントの仕方に反映させることで、基金取崩しが拡大するように改善を図る。このような運用の改善によって2分の1基準については柔軟に対応していく、そういうふうに考えているところでございます。
これが、基金の見直しの大まかな方向でございます。
それから、これは今日の御説明は控えさせていただきますけれども、別途、7月5日に地方消費者行政の現状を分析したレポートと調査を発表させていただきました。今後、委員会等における御議論の参考にさせていただければと思いまして、資料を添付させていただいているところでございます。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの基金ワーキング・グループの方針につきまして、どうぞ、御意見、御質問がございましたらお出しください。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 御説明、ありがとうございました。基金がスタートしたときから比べると随分使いやすくなってきたなと思っています。30億円を返してしまったことが、今さらながらもったいなかったなと思っています。1年延びるのだったら、あの30億円はもっと使えたのにという気持ちが非常にあります。
それで、質問があるのですけれども、1年間延長、それも個別の要請がある場合にはということで、ヒアリングをされていますが、一体どのくらいの自治体が1年間延ばしてほしいとおっしゃったのか。それから、基金が1年延びるところと延びないところがあると、4年目にスタートするときにばらつきが出てきます。そこをどういうふうにお考えなのか。例えば3年以内できっちりと使いたいと考えている自治体。それから、もしかしたら4年目から新しい基金がということもお考えになっている自治体もあるのではないか。そのばらつきをどうするのか、どういうふうにお考えになっているのか、お聞きしたいと思います。
使い方で、相談員の方の報酬引上げにも使えるようになったということで、非常に喜んではいるのですけれども、今日は基金のワーキング・グループのお話しかされておりませんが、もう一つ、制度ワーキング・グループがあります。そちらの方で相談員の処遇、待遇をいろいろ検討されているわけですが、その辺の調整をどういうふうにやられているのかということをお聞きしたいと思います。
それから、全体的に基金をどのように予定どおりに使われて、どうなっているのかというのは、一体いつの時点で検証や評価をされているのか。それとも、基金が今度1年延びたので4年終わるまで延ばすのか、その辺りを教えてください。

○川辺地方協力課長 御質問がいくつかあったと思いますけれども、まず、基金はどのくらいの方がお使いになるかということにつきましては、まだ始まって1年少しなので、予断を許さないところはございます。ただ、私どもがヒアリングをしているところによりますと、去年の予算ベースで42億円ほどお使いになっているということでございます。1年間延長したところというのは聞いてはいないのですけれども、かなりのところから、1年とは言わず、延ばしてくださいということはございます。1年延ばしてほしいというのではなくて、基本的に延ばしてほしいというのはかなりのところから聞いているところでございます。
それから、調整の件ですけれども、基金についてはすでに金額はお配りしておりますので、ここで調整するのは難しい。先ほど申し上げましたけれども、集中・育成・強化期間の中できちっと体制をつくり上げていくことが重要な基金の目標ですので、1年限りの延長ということで、特にそこで調整を図るということは今のところ考えてはございません。
制度ワーキング・グループにつきましては検討中でございまして、基本的に同じ課がやっておりますので、その中でやっていくということで、ここで状況について御報告はできませんけれども、そうやっていくのではないか。そういうことでございます。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 2つありますが、一つは、報酬の引上げに活用できるというのは大変結構ですが、これはさかのぼることは可能なのでしょうか。あるいは、どこまで可能なのでしょうか。特に「消費者庁創設に伴う相談業務の質の変化に対応して」と書かれていると、人事院勧告ではないけれども、去年の9月1日から、9月分の給料から見直しをしてプラスアルファを追加支給する、こういうことが可能なのかどうか。ここが第1点です。
もう一つは、意見のようになるのですが、取崩し期限の延長はもう少し早くやるべきだった。昨年の暮れに新政権になってから、財政の見直しで基金から30億ほど返上しているわけです。そのときまでに1年延長を言っておいてくれればもっと使えたのに、という自治体はかなり出てくると思います。30億を返納した後に、今ごろになって1年延長と言われても、という自治体がかなりありそうな気がするので、この検討はもう少し早くできなかったのか。今さら言ってもしょうがないかもしれないけれども、その辺の不満が自治体から出てきそうなことにどう対応するおつもりですか。

○川辺地方協力課長 報酬の引上げのことにつきましては、21年度分から適用することは可能と考えております。戻ってお金を払うかどうかということは自治体の判断だと思いますけれども、我々の制度としてはそれは可能というふうに考えております。そこは自治体の御判断だと思います。
それから、取崩し期限ですが、今まで、どうしてもいろいろなことがあってこの時期になってしまったということでございますが、ただ、去年の場合にはまさに基金が始まったばかりですので、その時点で、結論ありきで1年というのはなかなか難しかったということは御了解いただきたい、そういうことでございます。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 御説明、ありがとうございます。今回の基金の見直しについては以前から申し上げておりましたので、とてもうれしく思っております。何点かお聞きしたいのですが、先ほど佐野委員からもありましたように、1年間の延長となりますと24年度が重なってまいります。今後の在り方として、参考のところに「『集中育成・強化期間』以降の国の支援の在り方については、消費者委員会で検討中」とはっきりと書いてあります。そういたしますと、24年度の1年間がどうなるのかというのは非常に不安だという声も伺っておりますので、その辺のところをどのようにお考えなのかということをお聞きしたいのが1点。
それから、相談員の報酬引上げについては素直に喜びたいなと思っております。現役の相談員にとっては非常に過酷な状況を強いられておりましたので、これはすぐに運用していただくのと、今、中村委員が言われたように、さかのぼってしていただければもっとうれしいかと思います。
少しお伺いしたいのですが、「『あっせん』を要する事案の増加・複雑化」と。もともとあっせんする事案も多かったかとは思いますけれども、そういたしますと、ここに書いてある文言がどうも気になるのですが、「新人相談員等への『助言・指導』など、消費者庁創設に伴う業務の質の変化に対応して」となっております。こういうふうに書かれますと、例えば、あっせんのあっせん比率はかなり過酷な命令が出てくるのかなというふうに感じます。そういうことがないように、あっせんというのはもともと時間もかかることですし、あっせんをするのは重要なことだと思っております。長年、相談員をやっておりましたときもあっせんを中心にやっておりました。
ただ、こういうふうな書き方をされますと、あっせん件数を上げなくてはいけないということで、あっせんを確実にできないで中途で終わったような状態でも、「あっせんが解決した」というふうにならないように、消費者被害がきちんと回復されない状態にならないように、ここのところをきちんと周知をしていただいて報酬の引上げをやっていただければと思っています。あっせんとかいうと、どうしてもパーセントや数字で出されるのではないかと、数字の中身が非常に不安に思っております。
この2点につきましてお考えをお聞きしたいのと、意見を言いました。

○川辺地方協力課長 その前に発言を訂正させてください。
先ほどの引上げの件でございますが、今、さかのぼるように言ってしまいまして、基本的には発令のときからの分をお支払いできるという制度でございますが、21年度から上げた分について、そこは8月分から払うことができる。「これから上げる」だけではなくて、21年度に上がった分については8月から払うことができる、そういうふうな制度です。済みません、さかのぼれるようなことを申し上げてしまいました。どういうことかというと、これから引き上げる分だけではなく、20年度末に比べて上がった分については8月から支払うことができる、そういう制度です。訂正させてください。

○松本委員長 それは、遡及的にやってもいいということですね。昨年の段階ですでに上がっていれば基金から使えるという意味ですか。

○川辺地方協力課長 8月分からの手当に充当することができるということです。

○松本委員長 つまり、昨年の段階で給与改定が各自治体で行われていることが前提だと。今回、使えることになったから、去年にさかのぼって賃上げしますというのはだめだということですね。

○川辺地方協力課長 はい。これから上げた分、または去年上げた分については8月から支払う。そういうことでございます。
それから、24年度でございますが、ここはまさに消費者委員会の御議論をお待ちしているところでございます。基本的には3年間では使い切れないという自治体からの御要望に対応しているものですので、長期的にどうあるべきかという議論と、育成期間にどうやるかというのは別に考えていくべきではないかと思っております。
あっせんのことは、ここに書いてございますが、あっせん自体が増加して複雑化していることは事実でございますので、委員が御懸念の点につきましては周知してまいりたい、そのように考えております。

○下谷内委員 まだはっきりとした集計は出ていないのですが、ちょっと調べましたところ、21年度から22年度に関して給与が下がったところが、今知っているだけで9か所ぐらいあります。そこの人たちがこれをもとに来年度の予算で上げて、来年度しか使えないというわけですね。

○川辺地方協力課長 延長もございますけれども。

○下谷内委員 下がった人たちを上げるというのはできるのでしょうか。21年度、22年度の調査をしたら、9つのセンターが給料を下げていました。それは、今回の措置で上げることというのは可能なのでしょうか。

○川辺地方協力課長 そこはまさに自治体の御判断だと思いますけれども、例えば来月から上げるということであれば、その部分は充当できますが、基本的には20年末からの分というふうに考えております。今のケースですと、下がってしまったので、もとに戻す分は自主財源でやっていただく。さらにプラスアルファの部分については基本的な考え方としては量と同じでございます。消費者庁ができたことによって量的にも質的にも業務が増えた、複雑化した。それに対して基金で充当していくということでございますので、下がってしまったものをもとに戻す分は自主財源にしていただいて、プラスアルファの分は基金の方から御充当いただける、そういうことでございます。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 当たり前のことだとは思いますが、このような形で見直しされたことについては高く評価したいと思いますし、迅速に実行していただければと思います。消費者委員会傘下で専門調査会を片山座長の下でやっている審議を見ましても、あるいは現状を見ましても、2つ、気になるところがございます。
1つは、この報告の中にもたくさん書いてありますが、小さな自治体における相談窓口がまだできていない。あるいはできていても、相談体制が不十分な現状があるということがあちこちで指摘されていますし、確かにかなり深刻な状態だと思います。神奈川県一つとりましても、小さな市町村、小田原近辺では、小田原の相談所に依存している状態もございまして、どこに住んでいるかによって、悪徳商法に引っかかった場合、あるいは危害情報があった場合、受ける相談の質が違ってくるというのはかなり深刻な問題だと思います。今後、小さな自治体に対する消費者行政の充実の呼びかけをぜひ強めていただきたいと思います。
2番目は、これは片山座長が繰り返しおっしゃることですが、実はお金が足りないわけではないと。自治体の首長が箱モノをつくるのに熱心で、究極的なヒューマンパワーを要する相談活動にあまり関心を示さない。これをどう関心を持っていただくようにするかが最大の問題だということをおっしゃるわけですが、その点、今日の新聞情報によりますと、消費者庁のトップも元自治体の首長だった方になるようですので、ますます特に小さな自治体における相談活動の重大性を、消費者庁としても大いに各自治体にアピールして関心を持っていただく、そういう活動を強めていただきたいと思います。

○松本委員長 御意見ですか。

○山口委員 意見です。

○松本委員長 ほかにございませんでしょうか。
基金の使い道が広がったという点については、大変喜ばしいことだという御意見だったと思います。もう一つのワーキング・グループの活動も積極的に進めていただいて、早い段階で御報告をいただきたいと思います。ありがとうございました。

≪4.こんにゃく入りゼリー事故について≫

○松本委員長 続きまして、こんにゃく入りゼリー事故についてです。こんにゃく入りゼリー事故につきましては、これまでに、6月24日、25日、7月9日、16日の消費者委員会において、関係省庁からのヒアリング及び委員間の議論を行ってまいりました。本日は、これまでの議論を踏まえて消費者委員会として意見をとりまとめるべきとの考えも出ておりますので、議題として取り上げることといたしました。
お手元に資料3(PDF形式:18KB)として、「こんにゃく入りゼリーによる窒息事故への対応及び食品の形状・物性面での安全性についての法整備に関する提言(案)」を配付しております。この提言案につきまして、田島委員より御説明をお願いいたします。

○田島委員 資料3でございます。

(「提言案」読み上げ)

以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの提言案につきまして、どうぞ御意見をお出しください。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員資料4(PDF形式:20KB)で私の意見を提出しました。最初に委員長からお話があったように、こんにゃく入りゼリーに関しては委員会での検討は今日で5回目です。打ち合わせでも、もう何回も検討しております。今日の提言については、とにかく早くものを進めていただきたいということで賛成いたします。
しかし、本来は1週間前の7月16日、個人的にはもっと早くするべきだったと思っていますが、7月16日に提起されるべき建議が、当日、見送られたこと。それから、今回は提言となったこと。1週間の新たな検討経過の中で、事故防止へ向けた基本的改善措置へのアプローチに懸念が残る。こういうことを考えながら意見を表明したいと思います。
こんにゃく入りゼリーの事故はすき間事案であるということで、消費者庁ができる前から、典型的な例だということで確認されてきました。そして今、重要なのは、いつ事故が発生してもおかしくない状況にあるということです。事故情報を収集したり、事故の原因究明テストを実施してきた国民生活センターは、「現在もなお、事故発生の可能性は否定できない」と指摘されています。実際、今年4月には消費者庁に危険情報が通報されています。にもかかわらず消費者庁はその情報を精査していません、ということが7月16日にわかりました。法的な解釈の議論は必要だと思いますけれども、今回の場合はその上で、緊急性の観点から本当に思い切った判断が、この消費者委員会及び食品安全を担うすべての行政機関に求められていると思っています。
消費者庁は、ミニカップタイプのこんにゃく入りゼリーについて「消費安全性を欠く」ということは認めています。事業者に物性・形状について改善を求める意向を表明しています。消費安全性を欠く商品なのに消費者安全法を発動できない理由としては、「切迫した状況にないため」としています。しかし、ヒヤリハット情報の精査もせずに、また、私は何回もここで発言しておりますけれども、加工食品には事故情報の報告義務がなく、情報の一元的集約が不十分なままにこの判断をしていいものだろうかと思っています。私は、この判断は甘いものと考えています。ミニカップタイプのこんにゃく入りゼリーは、一たん事故が発生すると、もちやあめよりも被害が重大化することを消費者庁は認めています。事業者に商品の改善を要求しても、改善されるまで、現在売られている商品が販売され続けているのなら事故防止への効果は全くありません。販売自粛要請も同時にするべきだと思います。これらを踏まえるならば、消費者安全法に基づく規制措置、発動こそが求められるのではないでしょうか。
そして、リスク評価をしてもなおリスクに不確実な部分がある場合、precautionary principle、または予防原則とも呼ばれていますが、私は「慎重なる対応の原則」と書きました。それに基づくルールが必要です。ルール化へ向けた整備を、行政専門家だけではなく消費者や被害者、遺族を交えて検討していくべきです。このprecautionary principleの欠落が安全行政に長い間、すき間を生じさせてきました。物性・形状に不安のある新しい食品は、今後もどんどん出てくることと思います。こんにゃく入りゼリーの事故は氷山の一角であり、重大事故の根絶へ向けたこれらの原則的対応への着手を求めてやみません。
以上が私の意見です。

○松本委員長 どうぞ、ほかに御意見がございましたら。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 私は本日の提言については賛成いたしますけれども、やはり物足りないところがございます。それは2つありまして、1つは、私は、先週の審議を踏まえましても、とりあえずの緊急措置としては消費者安全法17条に基づく勧告がなされてしかるべきではなかったのかと思っております。これからでも遅くないので、一定程度の大きさのものについては販売しないように勧告するとか、硬さについても、より慎重な配慮を事業者に求めるというような勧告をなされるべきだし、その要件は十分尽くされているのではないかと思います。
2つ目に、これは緊急の措置ではなく法整備の観点からいたしますと、食品衛生法を、名前を例えば食品安全法などに変えて、目的も衛生にとどまらない形に変えて、6条の4号を物性・形状も規制できるように変え、11条の基準づくりについてはその法整備をするという形で、食品衛生法を変えるという形での具体的な建議ができればよかったのに、と思っております。
この間、いろいろ調べてみますと、アメリカやヨーロッパの食品の販売について、あるいは輸入の基準については、unfit for food(食品に適さないものについては)ということで、かなり概括的な形で規制の大綱があって、それに基づく基準が定められていることがわかってまいりました。
ただ、残念ながら消費者委員会には、独自に調査するスタッフや、委員の時間的余裕等がないものですから、具体的な法案をこうつくるべきだとか、例えばヒヤリハット情報を直接出向いて調べて、そして、17条に該当するのだから勧告をするべきだと。あるいは消費者安全法20条には、「消費者委員会は、消費者、事業者、関係行政機関の長、その他の者から得た情報、その他の消費者事故等に関する情報を踏まえて必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し、消費者被害の発生又は拡大の防止に関し必要な勧告をすることができる」ということで、消費者委員会はみずから勧告をすることもできるという条項がございます。
できれば消費者委員会は独自に情報を得て、それに基づく勧告をするべきだとも思っているわけですが、残念ながら、そういう手足がなかったために今日に至るまでみずから勧告することができませんでしたし、委員全員が一致して建議という形で政府に具体的な提案をすることには至りませんでした。できるだけ今年の夏はこのような窒息事故が起こらないことを祈るばかりですが、今後の事態を踏まえながら、消費者委員会としても次の対応を必要に応じて臨機応変にやることを提案したいと思います。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 今回の資料3の提言はとりあえずの第一歩でありまして、これで終わりではないというふうに位置づけなければならないと思っております。文章が短いのでわかりにくいかもしれませんが、今、皆さんが御発言されたことで多分おわかりだと思います。第2項の2段落目で「内閣総理大臣においてなすべきことは」というのは、まさに今年の4月に事故情報データバンクの中にヒヤリハットの危険情報がこんにゃく入りゼリーで入ってきているわけです。そのことを踏まえて言っているわけで、その調査がなされていないというところは非常にびっくりするわけですが、やはりそういうところに対してもっと危機感をもって消費者庁は行動すべきだと思います。
さらに、前々回のこの委員会のヒアリングで農水省と厚労省が来ました。そのときに私は、皆さん方の省庁はどのようにしてこんにゃく入りゼリー事故の情報収集をしているのかということを聞いたわけです。それに対する答えが、農水省は、所管監督しているこんにゃく業者らに対して事故があったら知らせるようにと言ってありますということで、今のところ特段の報告がないということで終わったのですが、ヒヤリハットが出てきているということがあれば、関係業者に一番早く情報が行くと思いますので、農水省は、関係事業者に対してもっと徹底的に調べろということを言って、情報収集に一層の尽力をすべきだと思います。そこがなされていないことを前々回感じましたので、農水大臣にはぜひそこのところをしっかりやり直していただきたい。
厚生労働省は、そういう情報がもしあったとしたら保健所が上げてくるはずだということで、今のところはないというということでした。保健所というのも今までは、衛生上の危害、食中毒とかそういうところばかりに仕事の本旨があると思って活動してきている人たちなので、形状・物性に関する事故という視点があまりない、そういう訓練をしていないわけです。
今回、こういうヒヤリハットが発生していること、過去に大勢の死者や重症者がいることを踏まえて、改めて、こんにゃく入りゼリーの形状・物性による被害がないか、ここをもう一回徹底的に調査し、情報収集すべきだと思います。そういうことは、私たちはこの提言をすると同時にぜひ関係省庁にお願いしたいと思っております。
3項目で言っていることも、非常に短くまとめていますが、食品安全委員会の評価書や消費者庁の食品SOS対応プロジェクトの報告を見ますと、海外の法制度は形状・物性等の安全面に対して対応できる法整備を持っている。ところが、我が国は残念ながらその辺が手薄であることが明らかになってきている。それを踏まえて、消費者安全法で措置ができればいいのですが、さらに根本的に食品の形状・物性面での安全性の法整備が要るのではないか、こういうことを申し上げているわけで、少なくとも国際スタンダードに我が国の法制度を上げろということを言いたいわけです。当然、この法制には時間がかかると思いますが、できるだけ早くやっていただきたい。
それから、法律ができるまで現状を放っておくというのも許しがたい状況なので、今の段階でも、例えばエコナ問題のときに花王が自主的にエコナのトクホ認可を返上されたように、事業者も、消費者庁・消費者委員会ができて消費者目線になって活動していただきたい。そのためには、危険性が非常に高く、今まで何件も調停や訴訟を起こされて、大勢の人が亡くなっている、この状況をそのままにしておくのではなく、ぜひ事業者の皆さんにも、コンプライアンス上も、現状で事故を起こしている形状・物性のこんにゃく入りゼリーの販売を、自主的に一時見合わせることもやっていただきたいということを切に希望したいと思います。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 こんにゃく入りゼリー事故につきましては、消費者庁ができる前から非常に重大な問題でありました。今回、このような提言ができることに対して、提言という言葉になっておりますが、消費者委員会から出せることは一歩前進であったのではないかなと思っています。ただ、割と簡単には書いてありますが、ほかの委員からも出ておりますように、これにつきましては委員会としても一つひとつ丁寧にフォローアップしていって、もう少し20条のところも踏まえて、今後、活動ができればいいのではないかというふうに思います。
こういう新しい食品につきましては、大きな問題、これから考えも及ばないようなものがたくさん出てくるのではないかと思います。そのことも踏まえて、新たな法整備についても考えていかなくてはいけないのではないかと思っております。今後、ますますこの委員会も活発に注目していかなくてはいけないのではないかと思います。

○松本委員長 川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 皆さんもおっしゃっているように、こんにゃく入りゼリー問題というのはすき間事案の象徴として、この消費者庁並びに消費者委員会ができた大きなきっかけだったと思います。ですから、この問題をこれだけ討議されて、私自身も、これが建議にならなかったというのは非常に残念です。山口先生のおっしゃったように、手足がない、調査が自分のところでできないということでこれが建議にならなかった。また、全会一致でならなかったというのはそれほど残念なことだと思っております。それを消費者庁の方はよく踏まえまして、消費者安全法でもできるぐらいのことだと私は思いますので、一日も早くこのことをやっていただきたいと思います。
それと同時に、山口委員がおっしゃった、食品衛生法、食品安全法に変えるぐらいに、形状・物性の問題も基準として取り上げていただく。これも、早いこと法整備をしていただきますようよろしくお願いいたします。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 こんにゃく入りゼリーの問題は消費者安全法でも適用できない。なおかつ、農林水産省は根拠法がないので十分な対応ができない。厚生労働省は食品衛生法には該当しないので何もできないということで、ヒアリングの際に、どこも前向きに何とかしようという意見表明がまるでなかった。我が省庁ではできませんという理由を皆さんおっしゃったという経過でありまして、その点では私は非常に不満があります。何のために消費者安全法をつくり消費者庁をつくったのか。そこが有効に機能していないということにもなるわけです。そのように言えると思います。
ただ、法の枠組みということでは私も詳しくはわかりませんけれども、アメリカやEUの法律の建付けと日本の法律の建付けが大いに違うのではないか。したがってアメリカは柔軟な考え方で対応ができている。EUもそうではないかというように思われます。
それから、日本のようにもちという伝統食を持っていない。したがって簡単にできたのではないかということも想像できるわけです。現状こういう法律によって規制がなされていますということはわかったわけですけれども、その法律の性格とか、どのような考え方でこんにゃく入りゼリーの規制が実現できたのかということについて、具体的なことはよくわからなかった。そこまでの調査はむしろできなかったということが現実であろうかと思います。日本よりももう少し緩やかといいますか、アドホックな考え方で行われているのではないかという感じがいたしまして、そこはもう少し深く調査・研究が必要だったのではないかと思っておりますが、山口委員がおっしゃったように、それへの機動的な対応ができない実情もあったように思います。提言という形でまとまったわけですけれども、私はこの案に大いに賛成をするところです。
もう一つ、中村委員もおっしゃいましたけれども、このような事態に対して事業者の経営姿勢がやはり問われるのではないかと思います。コンプライアンス、CSR経営を念頭に置いて経営がなされているならば、もう少し違った対応が事業者のところでなされるはずです。そこがないということで、構造的な問題を抱えているわけですが、ものすごく大問題ではなくて、一つの事業者がちゃんとやればそれで済むのではないかという要素も現実にはあったということで、ぜひこの辺りは事業者も、合法なら何をしてもいいということではないということを考えていただきたいと思います。

○松本委員長 どうぞ、櫻井委員。

○櫻井委員 皆さんお話しになりましたので私も申し上げますと、提言で残念だというお話がありますが、私といたしましては、これが提言にとどまった、ほとんど何も具体的なことについては調査ができておらない段階で、建議権があるから建議をするんだという議論が自制されたことについては大変よろしかった、委員会として一つの見識を示されたというふうに考えております。
少し気になるのは、議論の立て方として、日本の法律の議論というのは常にそうですけれども、外国、先進国はこうだ、であるにもかかわらず我が国にはそういう規定がないというレトリックに弱いんですね。遣唐使とか遣隋使とか、あのころからそうなのですけれども、しかし、国際スタンダードがどうなのかということについて、法文化が違いますし、他国の法律の理解もそう簡単にできるものではありませんので、そういう単純なロジックに乗っかることは非常に危険なことであると考えております。したがいまして、いずれにしても外国法制に言及するのであれば、それに比べて我が国が遅れているというのであれば、正確な調査に基づいて発言ないしは情報発信をしていくのは、ごくごく当たり前のことでありまして、それができないということになりますと、もはや科学的な行政とは言えないと思っております。
法整備をすべきだ云々という話がありますけれども、例えば法律の解釈につきましても、主観的な解釈といいますか、自分がこういうふうに使いたいからこういうふうに解釈できるのではないかという議論には、やはり乗れないわけです。とりわけ建議ということになりますと、具体的に霞が関、行政のトップの大臣に対して正式に言っていくことになりますから、それはそれなりに内容がなければいけませんし、きちんと出るところに出たときに通る理屈でなければならないというのは当然のことです。仮にそういう水準を満たさない発信をしても、それは一笑に付されるだけのことであるというのは言うまでもないことであり、あるいは、マスコミは喜ぶのかもしれませんけれども、そういうことをすべきではないというふうに考えております。
ただ、例えば法整備で我が国において何が足りないかといいますと、安全法のつくり方というのが一つあって、消費者安全法は基本的には事故が発生した後にどういう対応をするのかということを念頭に置いていると思います。特に17条、18条、19条になりますと、事業者に対するものですけれども、今回、こんにゃく入りゼリーのケースに関して問題になったのは、ある種の危険が予見される場合、事前に何かしら対応をとっておくことはできないだろうかと。消費者安全法はそういう意味で事故の発生を契機として事後的にすき間を埋めようというタイプの法律だったのですが、事前のすき間を埋めることについての包括規定のようなものがないものですから、そこが、安全法なら安全法自体の一つの足りない部分といいましょうか、そういう形で認識することはできるのではないかと思います。とはいえ、だからといってそういうことができるように解釈しろということにはならないので、そうであれば、そういう規定をつくる、もしくはほかのところに別途規定を設けるということはあり得るのですが、そういうことも含めて考えなければいけないだろうというふうに思います。
それから、安全法の議論とも関係しますけれども、具体的な調査をどういうふうにやるのかという点については、調査というと何となく通りがいいのですが、それも任意調査と強制調査と両方ありまして、歴史的には日本の場合、調査というのは、立ち入りなどは典型ですが、私人のプライベートな空間に対して公権力が入っていくということです。これは、戦前の議論から言うと即時強制という領域に入っておりまして、権力の最たるものといいますか、権力中の権力です。そういうことについては直接強制、即時強制を含めまして、戦前にはそれが濫用されて重大な人権侵害が行われたことから、戦後、そういうことがやりにくい法制度にしている。調査だからできるのだろうというふうに考えると、それは全くそうではなくて、必要な調査ができるようにするということは必要ですが、そこは法制上の大きな課題があります。そこは理論上の課題であるとともに法制的な大きな課題で、しかし、現代においては実情に合っていないところがあると思うので、その辺りは研究的なことも含めて、大いに行政を変えていかないといけないのではないかということは問題意識として持っているところであります。以上のようなことを含んだうえで、私としてはこの提言には賛成をしたいと思っております。
以上です。

○松本委員長 ほかに、御意見はございませんでしょうか。
基本的に、本日の提言案については全員が賛同だということでございます。さらに追加的な意見を何人かの方がおっしゃいましたけれども、委員会のコンセンサスとしては、この内容で提言として公表させていただくことにしたいと思います。ありがとうございました。
この提言につきましては、今後、関係各省庁にお届けしたいと思いますし、また、消費者委員会といたしまして、提言してこれで終わりではなく、これはまだ途中段階であって、今後、この提言に対してどういう検討・対応等がなされていくかについてはフォローアップしていきたいと思います。我々としても、力量はあまりありませんけれども、できるだけ情報を集めて、さらにより具体的な問題提起ができればそういう方向に行きたいというふうに考えております。どうもありがとうございました。

≪5.閉 会≫

○松本委員長 本日の議題は以上でありますが、6月30日に、委員会の下部組織である新開発食品調査部会の第3回会合が開催されております。本日は、新開発食品調査部会設置・運営規程第8条第2項の規程に基づきまして、田島部会長より審議結果の報告をいただきたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。

○田島委員 6月30日に開催いたしました新開発食品調査部会の議決について、新開発食品調査部会設置・運営規程第8条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、7月20日付で内閣総理大臣へ答申を行いました。本日は、同条第2項の規程に基づき決定事項を委員会に御報告するものです。答申書は資料5(PDF形式:78KB)でございますので、ごらんください。
今回の部会では、平成22年2月5日付消食表第28号をもって諮問された「DHA入りリサーラフィッシュナー」「ポスカ<ライチカモミール>」「ポスカ<クリアミント>」「明治ミルクでリカルデント」、及び平成22年5月11日付消食表第137号をもって諮問された「カテキンジャスミン茶」の5品目の安全性及び効果について、審議を行いました。審議の結果、この5品目はいずれも特定保健用食品として認めることとして差し支えないこととされました。
なお、部会における諮問品目の審査に当たり、製品に記載する表示、すなわち許可を受けた表示の内容、摂取をする上での注意事項の表現等については、過去の評価品目の表示を含めて現時点において適切ではないと考えられる表示が見受けられることから、今後、表示に関する全般的な見直しを行い、その結果を踏まえて申請者に修正を求められたい旨の意見がありましたことを、消費者庁へ報告いたしました。ここに併せて御報告いたします。
私からの報告は以上でございます。

○松本委員長 どうもありがとうございました。

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○松本委員長 最後に、事務局より今後の予定等について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 少し早めに終わっておりますけれども、委員会終了後4時半をめどに、消費者庁の記者会見室において委員長の記者会見を行う予定にしております。その後、5時ごろめどですけれども、この同じ場所において、全国消費者行政ウォッチねっと、日本司法書士会連合会との意見交換を行う予定です。引き続き意見交換会も傍聴される方につきましては、この場でお残りいただければ、そのときにまた資料を配付したいと思っております。
次回の委員会は、定例では第2・第4金曜日ですが、8月はお休みも入ってきたりしまして、第1金曜日ですが、8月6日金曜日の15時から行う予定にしております。この日につきましても、終了後に消費者団体等との意見交換会を行う予定にしております。
事務局からは以上です。

○松本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)