第14回 消費者委員会 議事録

日時

2010年2月8日(月)16:00~18:10

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
松本委員長、中村委員長代理、池田委員、川戸委員、櫻井委員、佐野委員、
下谷内委員、田島委員、日和佐委員、山口委員

【説明者】
金融庁 栗田証券課長、青戸市場機能強化法令準備室長、山田課長補佐
警察庁 飯利振り込め詐欺対策官、立崎生活経済対策管理官付理事官

【事務局】
齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.金融取引と消費者(ヒアリング)
 ○ 金融庁
 ○ 警察庁
3.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:13KB)
【資料1】 金融庁提出資料 【資料2】 警察庁提出資料 (PDF形式:232KB)

≪1.開 会≫

○原事務局長 皆様、本日はお忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。今日は、金融庁、それから、警察の方にも御参画をいただき、御礼申し上げたいと思っております。ただいまから第14回の消費者委員会を開催したいと思います。
カメラの方はここで退室をお願いしたいと思います。
それでは、委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

≪2.金融取引と消費者≫

◎金融庁ヒアリング

○松本委員長 それでは、議題に入りたいと思います。本日は「金融取引と消費者」というテーマで議論を行いたいと思います。金融取引に関しましては、近時、未公開株の問題を初めとする詐欺的な商法による被害など、消費者にさまざまな被害が生じております。本日は、金融庁より証券課長、市場機能強化法令準備室長及び企業開示課の担当者の方にお越しをいただいております。また、警察庁より振り込め詐欺対策官及び生活経済対策管理官付理事官にお越しをいただいております。そこで、これらの問題につきまして、現在の被害実態や今後の対応策を含めた金融取引における消費者保護の在り方、また、違法な業者の取り締まりの現状等について御説明をいただき、それらを踏まえて議論を行いたいと思います。
それでは、まず、金融庁より御説明をお願いいたします。

○栗田証券課長 金融庁証券課長の栗田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は御説明の機会をいただきまして誠にありがとうございます。それでは、座って御説明させていただきます。
私の方からは、専ら金融商品の販売勧誘に係ります金融商品取引法の規制の枠組み、それを受けました監督行政の考え方、最近問題になっております未公開株に関する問題、詐欺的なファンドの販売に関する問題、更に、それぞれにかかわります最近の制度の問題について、順次御説明をさせていただきたいと思います。
まず1ページ目は、「金融商品取引法の規制について」(PDF形式:317KB)と書いてある紙でございます。金融商品取引法の規制はさまざまな分野にわたるわけでございますけれども、特に金融商品の販売勧誘に関しまして、大きく分けてこの2種類の規制がかかっております。
1つは開示規制でございまして、有価証券の発行者等に対しまして、発行時、それから、その後継続的な情報開示を義務づける規制でございまして、この規制に違反した場合には、刑事罰、または課徴金の対象となるということでございます。
それから、もう一つ、こういう有価証券を販売勧誘しようとする者は、原則として登録が必要でありまして、登録した業者はさまざまな行為規制に服する必要があるということでございます。登録業者がこういう行為規制に反して勧誘販売などを行った場合には行政処分の対応となりますし、そもそも無登録でこういう事業を行った場合には刑事罰の対象になるということでございます。
2ページ目は、今、御説明いたしました前者の開示に関する規制について図示したものでございまして、上が新発債、下が既発債の場合でございます。基本的考え方は、いずれの場合も,一定期間内に一定数以上の投資家に対して販売をしようとする場合については、有価証券届出書の提出が必要となる、あるいは目論見書の交付が必要となるということでございます。
3ページ目は、今度は業者規制の方でございます。これは昨年末時点でございますけれども、登録を受けている金融商品取引業者の数を示した表でございまして、例えば、未公開株を含めた株式の販売勧誘を行うには、第一種金融商品取引業の登録が必要となりますが、現在、その登録を受けている者は357社でございます。それから、いわゆるファンドの販売を行なおうとする者であれば、第二種金融商品取引業の登録が必要になりますが、その数は1,299でございます。その他、いろいろな業者がございますけれども、平成19年に登録義務の範囲が拡大した関係で、この金融商品取引業者の数は非常に多いというのが特徴になっておりまして、更に昨今、この外側にある無登録業者が非常に問題になってきているという状況でございます。
4ページ目は、平成21事務年度の「監督方針」でございます。金融庁におきましては、毎事務年度に、その事務年度の大きな目標といいますか、考え方を示す「監督方針」というものを示させていただいておりますが、本事務年度分につきまして、一部抜粋をしたものでございます。
幾つか大きな柱があるんですが、そのうちの1つが「3.顧客保護と利用者利便の向上」でございます。ここの柱書きが何行か書いてありますけれども、最終パラグラフの「また」のところですが、「必要に応じ、消費者行政を一元的に推進する役割を果たすことが期待されている消費者庁とも協力していく」ということでございます。その上で、顧客保護、利用者利便の向上のところで重要になってきますのが「(1)勧誘・説明態勢等」と書いてあるところでございます。基本的考え方は、その2行目の最後のところでございますが、「顧客の属性や経験に応じ、適切かつ柔軟な勧誘・説明を行う態勢を整備しているかを確認することとし、特に、投資信託・仕組債・デリバティブ等のリスク性商品の勧誘・説明態勢について検証する」ということでございます。金融商品の販売において、業者がお客様に対して、そのお客様の特性ですとか経験に応じてきちんと説明しているかどうか、特にリスクの高い商品を売る場合にはきちんとできているかどうかということが、行政としての重要なチェックポイントになっておるということでございます。
それから「(4)無登録業者等」と書いてありまして、これはまさに昨今の状況を踏まえて、特に記載しておるところでございます。マル1のところですと、「未公開株の勧誘事案や集団投資スキーム(ファンド)持分の詐欺的な勧誘事案等が引き続き見られている。無登録で金融商品取引業を行っている業者に対しては、警察当局等とも連携して対応する」としております。マル2の方では、「登録を受けた金融商品取引業者についても不適切事案が見られる。金融商品取引業の信用を失墜させかねないこのような事案には、法令に基づき、厳正に対応する」ということでございます。昨今の事案を見ますと、未公開株の案件は、ほとんどが無登録業者に関するものでございます。片やファンドの詐欺的な販売につきましては、無登録業者のものもありますが、登録業者による案件も少なからずあります。ということで、無登録、登録に応じ、それぞれ対応するということでございます。
引き続きまして、未公開株に関する問題について御説明をさせていただきたいと思います。ページが飛びますけれども、19ページをまずごらんいただければと思います。19ページの表は、当庁の金融サービス利用者相談室に寄せられました未公開株式関係の相談件数の数でございます。これは未公開株ということに関して計数を取っておりますので、必ずしもすべてが詐欺的な事案というわけではないんですけれども、見ていただけると特徴的なのは、やはり最近、計数が増加傾向にあるということでございます。この表は四半期ごとになっておりますが、例えば、平成19年1~12月を合計しますと1,000件ちょっとでございます。20年になりますと1,300件ちょっとになります。ところが、21年になりますと、これが2,159件になりまして、ここのところで大幅に増加しているという傾向が伺われるところでございます。この傾向に関しましては、全国の消費生活センターに寄せられております相談ですとか、あるいは日本証券業協会に寄せられている相談についても、同じような傾向が見受けられるものと認識をしてございます。
戻っていただきまして、13ページから18ページにかけては、具体的にどのような相談事例が来ておるか、あるいはそれに対しまして金融庁の利用者相談室がどのようなアドバイスをさせていただいているかということを書かせていただいております。詳細は時間の関係もあるので割愛させていただきますけれども、昔に比較的多かったパターンは、「この会社は今は未公開だけれども将来有望なので、今この会社の株を買えば、上場して大きな利益が出てくる。そのとき販売すればすごくもうかりますよ」というような勧誘をするものです。ところが、実際は、そもそも売っている人がその株を持っていなかったり、あるいは株式を発行している会社はでたらめな会社でほとんど何の事業もしていないとか、そういうパターンだったものが多かったわけです。一方、このところ増えてきておりますのが、そういうことでだまされた人に対して、更に、「被害を回復してあげるが、そのためには少し手数料が要るので、それを払ってくれ」というようなだまし方、あるいは、「自分たちは、金融庁や公的機関の委託を受けて、被害者の救済をやっている。だから信用して大丈夫なんですよ」というようなパターンが増えております。それから、つい最近になってまた新たなパターンとして出てきておりますのが、後ろのページに出てまいりますけれども、関東財務局の印章を用いた文書を使った詐欺事件のようなものもございます。正直申しますと、未公開株に関する詐欺事件と申しましても、手口がどんどん進化しているという印象を持っているところでございます。
これに対して、我々といたしまして、どういう方針で臨んでいるかということでございます。また戻っていただいて恐縮でございますけれども、9ページから12ページにかけまして、「監督指針」の抜粋というものを付けさせていただいております。この「監督指針」と申しますのは、先ほどの「監督方針」と違って、金融商品取引法ですとか、それにまつわる政令、内閣府令を更に細かく解釈したもの、あるいは行政の運営方針を書いたものでございまして、改定はよく行いますけれども、パーマネントなものとして存在するものでございます。
特に10ページを見ていただきますと、一番上のところでございますが、無登録で金融商品取引業を行っている恐れが認められた場合の対応について書いてございます。どれぐらいの情報があるかによって対応も当然変わってくるわけでございますけれども、「直接受理した情報や金融庁・他局から提供された情報等により、業者名及び連絡先が判明しており、かつ、営業実態もある程度判明している業者については、直接、当該業者に電話する等の方法により実態把握に努める。当該業者が無登録で金融商品取引業を行っている恐れがあると認められる場合には、様式II-5による文書の発出を行い、警告を行う」としております。様式については、後ろに付けております。ロのところでございますが、「無登録に至った原因に故意性・悪質性があると認められる場合、その他投資者保護上必要と認められる場合には、捜査当局に連絡するとともに、かかる行為を直ちに取り止めるよう別紙様式II-4により文書による警告を行う」ということでございます。その下の「なお」のところは、1回目の文書による発出を行うまでもなく無登録で金融商品取引業を行っていることが判明した場合にあっては、直ちにII-4の形式によって文書による警告を行うということでございます。更に、マル3のところですが、「警告を発したにもかかわらず是正しないものについては、必要に応じて、捜査当局に対して告発を行うものとする」としております。このように、無登録業者に対する金融行政の基本的な方針を示しているところでございます。
これが考え方でありますけれども、未公開株の問題、あるいはファンドの問題も同じでございますが、一義的に、投資者の方がそういうことに巻き込まれないように注意喚起をすることが重要であると認識をしております。幾つかの注意喚起文のようなものを実際にチラシにして配らせていただいてもおりますし、ホームページに掲載をさせていただいてもおりまして、28ページ以下に載せさせていただいております。
幾つかあるのですけれども、一番ベーシックなものは、28ページの「未公開株購入の勧誘にご注意!」(PDF形式:523KB)ということでございまして、いろいろ書いてございます。先ほど説明したような、いろいろな手口のものがありますということ。それから、第2パラグラフのところですが、「未公開株の販売等を行うことができるのは当該未公開株の発行会社や登録を受けた証券会社に限られます、その他の者からの勧誘については十分御注意ください」ということが書いてあります。あと、ポイントといたしましては、未公開株に関しましては、上場されないとほとんど取引の機会がございませんので、「換金することが極めて困難であること」、それから「上場しても必ずしも値上がり益が期待できるというものでもないこと」も、後ろの方に書かせていただいております。
それから30ページのところが、先ほど申しました最近出てきた事例に対応する注意喚起文でございます。偽造いたしました関東財務局の印章を用いた文書を示して、こういう文書が役所から出ているから大丈夫だということを言って詐欺に及んでいるようなケースも最近見受けられています。そういうことはあり得ないということを当事者の方に知っていただくことを目的として出しておりますのが、この30ページのものでございます。
それから、未公開株に関しましては、我々金融庁が警察当局あるいは消費者庁と共同していろいろやっているだけではなくて、日本証券業協会でもいろいろ取組みをしていただいておりまして、実は先般もその勉強会の成果を発表しております。また戻って恐縮ですが、20ページからの一連の文書でございます。これは日本証券業協会が主催いたしまして、金融庁、警察庁、消費者庁、国民生活センター、あるいは弁護士会にも入っていただきまして、どういう対応が取れるかということで検討を行って、先月、その検討の結果を発表させていただいたものでございます。特に検討のポイントになりますのが、通し番号で25ページ目になりますけれども、「5.具体的施策について」ということで、まず、未然防止策として、リーフレットの作成、ポスターの作成、講演等を広く実施するようにということでございます。それから、2番目の情報集約につきましては、日本証券業協会内に未公開株勧誘被害に関する相談専用のフリーダイヤルを設置していただきまして、そこで情報を集約して、それを関係機関に配付していただいて、今でもやっておるんですけれども、更に情報共有を図るということが書かれております。
未公開株に関しては以上でございまして、次に、詐欺的なファンドの販売について若干御説明いたします。資料は33ページからになります。実は、集団投資スキーム(ファンド)の販売に関する金融商品取引業の規制の枠組みは、平成19年9月に大きく変更になっておりますので、そのときに関係省庁に入っていただいて、連絡協議会というものを設置しております。その後、省庁の再編等がありまして、現在のメンバーは次の34ページに書かせていただいておりますけれども、消費者庁、警察庁、金融庁、国民生活センターに入っていただいて、いろんな事案に関する情報交換、それから、対応に関する検討等を随時開いておるということでございます。
このファンドの持分の詐欺に関しましても、やはり一義的には投資者の方に御注意をいただくことが非常に重要になってくるわけでございまして、35ページ以下にそのための、これはさっきの未公開株と並んでホームページに載せているものでございますけれども、ここにも載せさせていただいております。
まず、一番のポイントは、35ページの「注意すべきポイント」と書いてありますが、「ファンドの販売には原則として登録が必要である。登録をしないということは、それ自体、法律違反の可能性が高くて、詐欺的な商法である可能性が高い」とうことです。それから、もう一つ、先ほどの未公開株は無登録業者がほとんどであると申し上げましたけれども、このファンド持分に関しては、登録業者、あるいは届出業者がやっているケースもございます。ただ、登録をしている、届出をしているということは、形式的な要件をクリアしているに過ぎませんので、そのこと自体が「金融庁がその業者の信用力などを保証しているものでは全くない」ということを書かせていただいております。業者の中には、登録していることをもって、「うちは金融庁に登録しているから安全な業者なんだ」という言い方で投資家をだましているケースも見受けられるようでございますので、登録というのはそういうことではありませんということを、ここでは申し述べさせていただいているわけでございます。
それから、先ほども申しましたように、このファンドに関しましては、登録業者による問題事例が幾つもありまして、39ページに最近の行政処分になった例を幾つかピックアップをさせていただいております。このファンドに関しましては、登録制になったのが19年9月30日からでございまして、21年夏ぐらいから証券取引等監視委員会が本格的に検査に入っております。その結果、検査に入っている多くのところで問題事例が見つかっておるということでございまして、その処分内容も非常に重いものになっております。登録取消し、あるいは業務停止の長期間に及ぶものが多数になっております。
それぞれの案件によって問題の所在は少しずつ違っておるわけでございますが、大きく言いますと、まず、顧客に対する虚偽の表示でございます。高い利回りで回るような事業をやっていない、あるいは全く投資をしていないにもかかわらず、高い利回りが生じるかのようなことをお客さんに言って勧誘をしているものであります。あるいは、名義貸しの問題も見られます。要するに、登録業者が、その会社の名義をそもそも無登録の業者に使わせて顧客を勧誘しているものであります。それから、集めたお金をきちんと管理しないで流用している事案もあります。この流用の仕方もいろいろありまして、関係会社に送金している、あるいは役職員が着服していると思われるような事例もあります。ということでございまして、やはり問題がたくさん見られるということでございます。
それから、こうしたファンド関係の登録業者に関しましては、当然、問題が見つかれば監督当局といたしまして、業務停止だとか、登録取消しだとかいう処分を下して対応するわけでございますけれども、実は1つ大きな問題があるのは、例えば登録を取り消して行政的な対応はできたとしても、投資家が出資をしたお金自体の返還については、これは民事の話になりますので、基本的には業者が持ったままになってしまうという問題が認められるわけでございます。
例えば、この39ページの表の4つ目にありますコンコードという業者について、こうした点が非常に問題になりました。ちょっと御説明申し上げますと、47ページ以下に、この会社に関する資料を付けさせていただいておりますけれども、コンコードという会社は、未公開株に投資するファンドを運営して、そういうファンドの持分を顧客に販売していたものであります。問題は幾つもあるのですけれども、例えば、ファンドの持分を一口21万円で販売していたんですけれども、そのうち、実に半分以上の12万円は販売手数料として取っていて、しかもそのことは顧客には説明していない。残った9万円も、一部は株を買ったものもあるんですけれども、ほとんどは役職員の報酬とか、運転資金とかいう名目で流用されていたということでございます。幾つかあるファンドの中には、未公開株を実際に買っていたファンドもあるようですけれども、いずれにせよ、このコンコードという会社は、登録取消処分を受けた後に、「ファンドを解散をする」ということを発表いたしました。組合員総会で解散を決議し、その結果、組合員に対しては、ファンドの中にある若干の未公開株を分配して、それで手続を終了したという形にしております。ただ、先ほども申しましたように、この未公開株というのは上場されないと金銭的価値がほとんどないというものでございます。そういうような形で、例え行政処分をしたとしても、その後、民事の何らかの対応ができませんと、本当の被害回復にはなかなか結びつかないという問題が発生しております。50ページと51ページには、コンコードがファンドの解散決議をするという情報が入ったときに、これも役所としては極めて異例だったわけでございますけれども、「この業者はこういうことをやろうとしているので注意してください」という文書を、金融庁のホームページに載せたものでございます。
私からは以上でございます。

○青戸市場機能強化法令準備室長 金融庁市場課市場機能強化法令準備室長の青戸でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、制度整備について若干の御説明をさせていただきます。座らせていただきます。
お手元の資料(PDF形式:437KB)の58ページでございますが、本年1月21日をもって、金融庁といたしましては、「金融・資本市場に係る制度整備について」といった報告書を公表させていただいております。これは幾つかのパートに分かれておりますが、これを踏まえまして、私どもとしては、本年の通常国会での法案提出を含めた制度整備に向けた取組みを行ってまいりたいと考えているところでございます。
今般、私どもが御説明させていただきたいと思いますのは、まず「投資家保護・取引の公正等の確保」というパートでございます。まず「デリバティブ取引一般に対する不招請勧誘規制のあり方」につきましては、背景といたしましては、金商法上の不招請勧誘の禁止は、もともと平成17年に施行されました改正金融先物取引法、金融先物取引法は平成18年の金融商品取引法制定の際に金商法に統合されておりますが、この改正金先法において、利用者被害の発生等を踏まえて導入されたものでございます。現状では、金商法によって委任された政令におきまして、店頭金融先物取引、これは主として店頭FX取引でございますが、こういったものが対象となっているものでございます。
近年、店頭FX取引と類似する証券CFD取引が個人投資家に対して広がりを見せておりますし、また、平成21年の商品取引所法の改正によって、商品デリバティブ取引にも不招請勧誘の禁止が導入されることになっておりまして、一定の取引所デリバティブ取引も不招請勧誘の禁止の対象とされる方向にあるということがございます。
私ども、この点につきまして、市場関係者等の御意見等をいただいて検討してきたところでございますが、考え方としては、大きく2つの考え方がございます。
まず、1点としては、より規制を強化すべきという考え方でございます。取引所取引を含むデリバティブ取引全般を不招請勧誘の禁止を対象とし、主として訪問、電話勧誘等の対象となる在宅高齢者等に対する適合性原則遵守上の問題の発生に対しては、予防的な対応をすべきではないかといった考え方があるところでございます。また、FX取引については、規制強化したにもかかわらず、市場規模は拡大しておりまして、不招請勧誘禁止というのは金融イノベーションを阻害するという意見は当たらないのではないかという御意見も賜っております。更には、不招請勧誘の禁止というのは、悪質事業者に対しては有効な規制であるという御意見がありました。
他方、もう一つの考え方といたしましては、これは金融機関中心でございますが、やはり金融機関が顧客に適切な商品の情報を提供できなくなることによって、我が国の金融サービスの発展を阻害するのではないかという意見もございます。特に顧客の保有資産のヘッジ・ニーズ等に応えるためには、デリバティブ取引の能動的な勧誘が必要となる場合もあるのではないか。こういったことから、不招請勧誘の禁止の例外とすべきではないかという考え方もあります。また、仮にこういった不招請勧誘を禁止する場合も、業界による自主規制で対応すべきではないかという意見もあったところでございます。
大まかに、こういった2つの考え方を踏まえまして、デリバティブ取引一般への不招請勧誘規制の在り方については、更に議論を深めることが必要ではないかと考えております。
今後の制度整備の対応方向でございますが、その下にございますように、取引所取引を含むデリバティブ取引一般を不招請勧誘の禁止の対象とすべきかどうかにつきましては、市場関係者や利用者と引き続き意見交換を行いまして、私ども金融庁といたしましては、本年前半を目途に結論を得るよう検討を進めたいと考えているところでございます。
もう一点、ページをめくっていただきまして、60ページでございます。先ほど証券課長の栗田の方から集団投資スキーム等々の問題について説明がありましたが、それに関連した制度整備の方向でございます。金融商品取引業者全般に対する当局による破産手続開始の申立権を整備しようという話でございます。
背景といたしましては、近時、金商法制定時に新たに規制対象になりました集団投資スキーム、いわゆるファンドの販売業者は、金商法上は第二種金商業者に該当いたしますが、こういった第二種金商業者であるとか、投資運用業者に該当します運用業者においては、投資家から出資を受けた資金を流用するなどの詐欺的な事案が発生しているところでございます。
当局がこうした事案を把握した場合には、こういった対象業者に対して、速やかに登録の取消しであるとか、業務の停止であるといった厳正な行政処分を行いまして被害拡大の防止に努めているところでございますが、行政処分を行ってもファンド財産は依然として業者の管理下にあるといった問題が指摘されております。
この点、更生特例法においては、金融機関の破綻時の処理を適時適切に開始して、処理の着手の遅れによる処理コストの増大等を防止するといった観点から、当局、これは金融庁長官でございますが、一定の金商業者、証券会社について、破産手続開始の原因となる事実があるときには、破産手続開始の申立てが可能とされているということでございます。
しかしながら、金商業者のうち、更生特例法の対象外である証券会社以外の金商業者、第二種金商業者であるとか、投資運用業者でございますが、これらについては、当局が破産手続開始の申立てをすることはできないというのが現行の整理でございます。このため、こういった場合、更生特例法に基づく当局による破産手続開始の申立ての対象外の金商業から更なる資金流出が起こる恐れがございまして、ファンド財産の処分が進まずに、出資者等への資金返還が速やかに行われないケースもあると考えております。
これにつきましては、集団投資スキームの販売業者や運用業者において詐欺的な事案が発生して当局が行政処分を行った場合においては、破産手続開始の決定によって、裁判所の監督の下でファンド財産を破産管財人の管理下に置くことが投資家の被害拡大防止のために有効であると考えております。
しかし、現行制度におきましては、破産手続開始申立ては自己債権者に限られておりまして、当局は自己破産の慫慂等の対応しかできないというのが現状であります。したがって、投資家保護の観点から、破産手続開始の原因となる事実がある場合において、当局による破産手続開始の申立てが可能な範囲を、現在の一部の金商業者、証券会社から拡大いたしまして、金融商品取引業者全般に拡大したいと考えております。これについては所要の制度整備を行いたいと考えているところでございます。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。

◎警察庁ヒアリング

○松本委員長 続きまして、警察庁より御説明をお願いいたします。

○飯利振り込め詐欺対策官 警察庁から参りました振り込め詐欺対策官の飯利と申します。
警察の関係は、とりまとめて私から御説明を申し上げます。それでは、着座して説明いたします。
警察におきましては、平成21年の警察白書で、日常生活を脅かす犯罪への取組みについて特集を組みまして、近年被害が深刻であります振り込め詐欺等を中心としまして、国民が日常生活を送る中で、気づかないうちに巻き込まれてしまう危険性がある身近な犯罪を取り上げました。いわゆる消費者を中心とします生活者たる国民の安全安心の確保に十分な関心を持って取り組んでいるということでございます。
そうした中で、先般、消費者庁の悪徳商法関係省庁連絡会議の中で、新たな手口による詐欺的商法に関する対策チームが設置されたということでございまして、私ども警察庁もその構成メンバーとして議論に加わらせていただいております。
本日は、消費者庁の対策チームにおいて重点を置いて検討が進められております未公開株の取引等を利用した手口に関連した警察の取組みの現状、そして今後の方向性について申し上げようと思っておりますけれども、今後の方向性を述べるに当たりましては、私ども、昨年の春から警察において、不特定多数の市民に次々と電話ですとか、メールですとか、あるいははがき等を送りつけてくるということ、これが振り込め詐欺の特徴なんですが、こういった振り込め詐欺の被害を効果的に防止するための新たな取組みを進めておりますので、この場をお借りしまして御紹介を申し上げたいと思っております。
まず最初に、レジュメ(PDF形式:232KB)をお持ちしておりますけれども、未公開株の取引等を利用した犯罪について、「1 検挙状況」がございます。この検挙状況でございますけれども、過去5年間の都道府県警察におきます未公開株の取引にまつわる犯罪で、詐欺でございますとか、金商法、あるいは証券取引法違反で検挙したということで警察庁が把握したものについて、一覧表としたものでございます。5年間で36事件の検挙という状況でございます。
そういった中で、特に最近のものとして幾つかの事例を紹介しております。それが「2 最近の主要な検挙事件」でございます。(1)~(3)までございますけれども、(1)(2)が詐欺として立件をしたケース。事案の概要は似通っておりますけれども、(1)の従来型と書いておりますのは、いわゆる被疑会社が事務所を持っていて、また、被害者と接触をする、面会をするという形で株式を販売するというものでございます。
(2)の方は、最近多いと伺っておりますけれども、警察においては、主として過去に未公開株を購入したことのある方々に対しまして、いわゆる買い増しですとか、被害回復に要する手数料等を名目に振り込み要求する形が幾つか見られますが、その特徴としては、非面接型ということでありまして、いわゆる電話勧誘等でだましを基本的に済ませてしまうという状況が見られるわけでございます。
また(3)でございますけれども、これは金商法ないし証券取引法違反に当たる無登録営業で検挙した事例になります。
こういったものがございますけれども、私ども、検挙の前にどれぐらいの認知があるかということであります。これは、統計処理上、未公開株の取引等を利用したものを仕分けして集計できていないのが実情でございまして、例えば、昨年中、いわゆる告訴・告発という形でお話を受けたものは21件でございます。
それ以外に、私ども、振り込め詐欺に類似するものに注目して情報を集めている部分がございますけれども、昨年中いただいたものは21件。これは相談や、被害届を皆含んでも21件という状況でございます。
これ以外にも、都道府県警察の第一線で受けたもので警察庁として把握できていないものがあろうかと思いますけれども、実は先般、国民生活センターからいただいた情報ですと、21年の4月から12月までの9か月間で3,000件以上の未公開株絡みの相談があるということでございまして、その中でも電話勧誘が1,800件近くある。全体の55%を占めるということでありまして、警察に対する相談被害届がなされたものは、やはり過去に未公開株を購入している方々が一度だまされた後、更に電話を受けたその時点で初めてだまされたことに気づかれるというものが多いのではないかという感じがいたしております。いわば未公開株で上場するというような形で申し向けられたものについては、被害者の方も上場するまで期待して待つということもあろうかと思います。そういう意味では、警察から見ますと非常に潜在性が高いということを感じておりまして、国民から見て敷居が非常に低い国民生活センターを初めとして、様々な機関との間で情報連絡といいますか、情報共有をしっかりとしながら、私どもとしても必要な手を打っていきたいと考えるところでございます。
2枚目に入りまして、警察の「未公開株取引事案への取組状況」でございます。これにつきましては、(1)にありますように、新たな手口が発生した場合に、私ども警察庁として、都道府県警察に情報収集を指示する、あるいは警察庁に対して情報収集結果の報告を求めるということがございます。そういった中で、未公開株絡みということにつきましては、昨年の6月に証券取引等監視委員会の名義がかたられるという事案があるということの情報提供をいただきまして、そういった点について、私ども、情報関心を持ってしっかりと相談を受けて、必要な捜査も含めた対応をするということで指示をしております。
また、その後、貴金属業者を介するオレオレ詐欺等につきましても同様の対応をしております。
最近ですと、預金保険機構の名義をかたられるという事案が発生しているということで、先般も読売新聞等で報道がございましたけれども、こういったものにつきましても、私どもとして関心を持ってやっていくということでございます。
一方、先ほど申し上げましたように、私どもとしてできる限りの情報を市民からいただくとともに、他機関からの情報も集めて、被害の兆しですとか、あるいは被害傾向というものをしっかり見て対応していくということでございますけれども、その関係の具体的な取組みの在り方ということで、4番に書かれてございます。この4番につきましては、2枚目から別紙でチャート等を付けておりますので、これを御紹介申し上げたいと思っております。
警察といたしましては、この未公開株事案というものの中にも、従来型の事案もあれば、電話勧誘のみで次々と被疑者が被害者に対して電話をかけていくという事案がかなり出てきているという認識を持ち始めておりまして、これは、私どもが今、対応しております振り込め詐欺とかなり類似をしていると感じております。
振り込め詐欺とどういう点で類似をしているかと申しますと、電話を次々とかけまくるわけです。振り込め詐欺ですと、大体200~300回電話をかけて1回だまされる人がいれば、そこで100万、200万というお金が取れるということでありまして、それでも十分やっていけるんだというのが犯行グループの基本的な考え方だと言われております。そういった面は、この未公開株事案の多くにおいても当てはまるのではないかと感じております。
そうしますと、警察として当然、捜査機関でございますので、取り締まり、捜査をしっかりやるということでございますが、この認知といいますか、被害の発生と、それに対する捜査の相関関係を申しますと、なかなか捜査が発生に追いつかないという状況が出てまいります。そこで考えましたのが、当たり前のことではございますけれども、犯罪の予防ということです。これを前面に立てながらやっていく。予防するだけ予防した上で、更にまだやる者がおれば、それをしっかりと取り締まっていくという考え方を取っております。
その1つの工夫として、2枚目に書いております横長の「先制的措置の流れ」というものがございます。これについて簡単に申しますと、上の方に(A)(B)(C)(D)と書いてありまして、その下に●と○が書いてございます。これは、単純化をしておるんでございますけれども、被害が発生する状況を書いてございます。電話はかけてきたんだけれども、かけてこられた市民の方がこれは詐欺だと気づいて被害に遭わなかったというのが○でございます。そういう中で●が5つほどついておるんですけれども、これが実際にだまされてしまって被害に遭った状況を指しております。先ほど申し上げたように200~300回に1回ということですので、もっともっと○が多いわけでありますが、単純化しております。
そこで、1つ、私どもが問題として感じておりますのは、合計33個○をつけているんですけれども、こういったものすべてが警察に話が来るわけではないということであります。点線で矢印を書いてございますけれども、その中の一部分がいわゆる相談ということで、こんな電話が来たけれどもということで連絡をいただくということでしたり、あるいは●3のところに被害届と書いてありますけれども、実害が生じてしまって被害届を出されてくるといったものがありますけれども、実際はこれよりももっと少ないのが現状ではないかと思っております。
今までですと、この3番の被害届が出てきて、下の方に大きな●で1と書いてありますけれども、この時点で被害届を受理して捜査を始めるということであります。そうしますと、ものにもよりますが、場合によっては半年、1年という時間をかけて捜査を進めていくということになります。特に難しいのは、未公開株の件もそうでございますが、電話勧誘だけで来ますと、相手の顔が見えない。被疑者の特定が非常に難しいという、そこからスタートしなくてはいけない。こうした点は非常に捜査に時間がかかる理由でございます。したがって、捜査を始める前にできることはないかということで、左側に書いてあるのが追加的な措置でございます。
まず、一番左の3つ目の○のところで、相談を受けて、マル1と書いてあります。ここで矢印を下に下ろしますと、1件の相談でも実はできる措置があることを示しております。これはどういったものかといいますと、ここに書いてあります犯行ツールの無力化という措置でございます。これは、相手が電話をかけてくるわけでございます。そうしますと、電話の表示がなされるような機器でありますと、相手の電話番号がわかります。あるいは相手から折り返し電話が欲しいということを言われまして、電話番号を指定されることがあります。そういったものをメモしていただいて、それを警察が受け取りますと、幾つかやれることが出てまいります。
1つは、「電話による警告」と書いてございますけれども、これは、私ども警察の方で相手方に、いわゆる正規の取引なのかどうか、犯罪でないのかどうかということを確認をする電話をするわけでございます。そこで明らかにいい加減なことをやる場合には、直ちにそういう措置をやめなさい、人からお金を取ったんであれば、それを返しなさい、場合によっては出頭しろということで、強く警告を発するということをやっておるわけでございます。
また、3つ目に「契約者確認の求め」とありますけれども、これは携帯電話の不正利用防止法という法律がございますが、その中に、いわゆる犯罪等で不正利用された携帯電話について、警察からの求めに応じ、利用停止に持っていくという手続が書かれているわけでございます。そこで、私どもの立場としては、携帯電話事業者に対しまして、この電話番号は犯罪に利用されているんではないかということで、契約者の確認を求めるという手続をするわけであります。そうしますと、一定期間、携帯電話事業者の方で、電話番号がどういう形で利用されているか確認をされまして、そこで明らかにおかしければ利用を停止することとなります。現在ですと大体2週間程度で利用停止となるということでありますが、そういった措置が可能となってまいります。
最後の「サービス解約依頼」というのは、これは幾つかパターンがございますけれども、例えば、固定電話といいますか、東京03ですとか、そういったところから市民の方に電話があったとしますと、振り込め詐欺などですと、それは転送電話のサービスを使っているケースが極めて多いわけでございます。いわゆる固定電話の電話番号が被害者に認知されるわけですけれども、実際に電話をかけているのは携帯電話からかけているわけです。そうした場合転送電話業者がサービスを提供しております。あるいは携帯電話ですと犯人がレンタルサービスなどを使う場合がありますから、レンタル業者が関係してまいります。そういったところにサービスを止めてくれという依頼を任意でさせていただくということになります。その場合には、比較的早い段階、2週間もの期間をかけることなく早期にサービスを停止するということになって、犯人側はその電話番号で被害者に連絡をしてくることができなくなるという状況であります。
また、犯人側から電話を受けて、面接をせずに銀行からお金をどこかに振り込まされるケースが多いわけでございますが、その場合に、当然、振込先の口座を指定してくるわけでございます。この口座の番号が早い段階でわかりますと、金融機関の方に私どもから口座の凍結を依頼するという手続を踏みまして、そこで口座を止めてしまう。今までですと、大半は実際に被害に遭って、被害届を出してきた方に、とにかく急いでやりましょうということで、その日のうちに銀行に連絡をして止めるという作業をしておりましたけれども、最近は若干我々も広報してまいりまして、被害に遭う前に情報をいただくことがある。そういう場合に、口座番号等がしっかりしていれば、その時点で、まだ使われないうちに口座を凍結してほしいということで依頼をしていくことがございます。そんなことで、被害がある前に情報を我々として認知をしますと、こういう措置ができる場合が出てくるということであります。
それから、このポンチ絵の中の2つ目に被疑者の検挙ということがあります。これは、報道等で、「だまされたふり作戦」として紹介されているのを御存じの方々もおられるかと思うんですけれども、最近は、銀行振り込みだけではなくて、犯行グループにアルバイトとして雇われ「道具」として操られる者が銀行員を名乗ったり、場合によっては警察官を名乗って直接被害者のところにあらわれるケースがあります。こういう場合に、早い段階でこれはおかしいなと思われたら、すぐに私どもに電話をいただきますと、その情報提供者に協力をいただいて、警察が彼らが来るのを待ち受けて、来た瞬間に職務質問して、場合によっては検挙するということをやってございます。こういったことも含めて、被害の予防の面では非常に効果の高い対策だと私どもは考えております。
続きまして、マル1からマル6までを全部併せて矢印で落としておりますけれども、被害未然防止のための注意喚起というところでございます。これも1件1件でなかなかすぐにはできないわけでございますけれども、ある一定の地域に被害が数日間多いとか、あるいは、同窓生の名簿みたいなものが使われて、次々と被害が出る、あるいは次々と不審な電話があるということがありまして、そういう場合に、幾つかの情報がありますと、これはそういう傾向だなということがわかります。そうしますと、その同窓生名簿をお持ちの方に対して集中的に注意喚起をするということもあります。
あるいは先ほど申し上げたように、人があらわれてキャッシュカードなどを取っていくというパターンについては、彼らは大体、電車ですとか車で次々と渡り歩いていくんです。そうしますと、例えば、あるとき、静岡で被害が発生したら、次の日は愛知だろうという状況でありまして、集中的に県内で報道機関にいろいろお話を申し上げたり、あるいは巡回連絡をしてみたり、あるいは、田舎に行きますとまだかなり使われている防災無線などを使って、注意喚起をばっとする。そういうようなことで効果的な予防対策をしているという状況でございます。
そこの部分について、綴りの一番後ろに「時期・地域・対象を絞った先制的な予防対策の事例」と書いてございます。例えば、北海道の事例ですと、先ほども申し上げたように卒業生名簿を悪用した事案があった。北海道は大変広うございますので、被害者になりそうな方々に対して、ばっと電話をかけていくということをいたしました。そこで実際に電話があったよという情報をいただいて、更に対策が進むという面もありますし、電話をした後に気づかれて連絡をいただくという場合もございます。いずれにしましても、北海道はそういうような対策を打っていく中で、10数件から20件、30件という被害があったところが、月に1件とか2件しかなくなるという効果も出たことがございます。
長野のケースにつきましては、もう少し汗を流しまして、被害に遭いそうな場所に対して巡回連絡です。地域のおまわりさんたちが次々と各世帯を回っております。
また、栃木のケースは、いわゆる還付金詐欺というパターンでございます。病院ですとか、商業施設、ショッピングセンターなどの無人のATMなどから高齢者の方がお金を振り込まされるということがございまして、そこらははっきりしているので、交通機動隊ですとか、我々のマンパワーを利用しまして、そこに張りついて注意喚起をするということをしました。そうしましたら、1週間の間に6人ぐらい、ぱたぱたとだまされてお見えになった方がいて、注意をしましたら被害が防げたという状況がございます。
それから、和歌山の件でございますが、これは防災無線で注意喚起をするということでございます。
ここでの私どもとしての教訓につきましては、予防対策については、チラシですとか、ポスターですとかが基本ではございます。こういったもので、まだまだ振り込め詐欺が多いとか、あるいは未公開株の問題が多いとかということが周知徹底できる部分がございますけれども、ある意味、知識として知るということはできても、当事者意識を市民の方がお持ちになるという点では十分ではない部分がある。そこはやはり、こういったきめ細かな、リアルタイムで対応していく必要があるのではないか、そんなことがございます。
こういった対策をいろいろ講じて、振り込め詐欺については、ピークと比べますと、1年ちょっとの間に3分の1以下に減るという状況がございます。この未公開株事案のすべてにこういった対策が取れるかどうかという点はございますけれども、いずれにいたしましても、情報の共有をしっかりとさせていただく、あるいは市民の方からの情報を更にいただくような広報啓発をしていく。そこで今、申し上げたような対策もできる部分はしっかりとやっていく。そういう中で減ってきたときに、更に必要な取り締まりをしっかりやっていく。そういうことで対処してまいりたいと考えております。
大変雑駁な話でございますが、私からは以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。

◎質疑応答

○松本委員長 それでは、ただいま御説明いただきました内容を踏まえまして、委員の皆様から御意見、御質問を承りたいと思います。どうぞ。
では、山口委員、どうぞ。

○山口委員 大変御尽力いただいているようでして、感謝申し上げます。私自身も未公開株詐欺の被害相談を受けておりますと、つい5~6年前まで小学校の先生をやっていたおばあちゃんが毎日のように10件以上電話を受けておりまして、先ほど紹介があったような劇場型の振り込め詐欺の被害に遭っております。彼らは最初からだますつもりでやっておりますので、なかなか大変な事態だと思います。東京証券取引所での勉強会の話も聞いておりまして、結論としては、これは広報に努める、検挙に努めるということになっているわけです。さあ、それだけで果たして抑止の実効性が上がるんだろうか。本当に御尽力いただいておりますし、これからもお願いしたいと思うんですが、これで大丈夫だろうかと、率直にそう思います。
いろいろあるんですが、2つだけ、とりあえず申し上げたいと思うんです。1つは、無登録販売につきまして、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金になっているわけです。これは金取法でそうなっていると思うんです。恐らく、ほとんどの業者は、無登録でつかまっても罰金で終わってしまうということで、どうせ罰金だからということで、やり得と。先ほど話がありましたように、業務停止命令なり、あるいは警察が動き出すころにはもう、だれか1人か2人罰金になって、それで終わりという形で、警察の方も、本当に悪い連中なわけですから、詐欺で最終的には摘発したいんだと思うんですが、なかなかそこまでたどり着かないところで終わってしまうと聞いております。そういう観点からすると、罰則を重くできないんだろうか。無登録業者は最初から詐欺で、その気でやるわけですから、せめて5年ぐらいの懲役に重くできないんだろうか。罰金も重くできないんだろうか。この点、是非、御検討いただきたいと思います。
2番目には、先ほど話がありましたように、無登録の業者の場合には、金融庁が動いた後、あとは警察がやるしかないというところで、中間的な、いわゆる行政による、金融庁による立入調査や、あるいは課徴金的な制裁を課して、より機敏に対応するということは考えられないんだろうかと思うわけです。警察が刑事手法で動くとなると、相当の準備と態勢が必要になると思うんですが、そこまで行かないでも、消費生活センターなどの情報が100件以上集まって、これはどう考えても根拠なしに未公開株を売っているということは、私どもが1件2件相談を受けてもすぐわかりますので、金融庁のプロであればすぐわかると思うんです。そういう業者に対して、単に文書で指導にとどまらず、即座に課徴金を課す、あるいは行政制裁金を課す。書面、あるいは電話による警告と、無登録業者に対する刑事制裁の間に中間的な処分の余地がないだろうか。いろんな細かい問題はあるんですが、とりあえずこの2つを具体的に御検討の余地がないだろうかということを質問したいと思います。

○松本委員長 それでは、金融庁の方からお答え願えますか。

○青戸市場機能強化法令準備室長 先生御指摘の、まず1点目でございます。罰則の量刑自体、他法令等とのバランスの観点から、法務省の審査を経て定められているものでございまして、刑罰の加重ということに関しては、金融庁として直ちにお答えできるものではございません。

○山口委員 運用として、無登録販売業者で懲役になった例はあるんでしょうか。弁護士の方には、どうせこれは罰金だからよということで、無登録業者が開き直るというんです。

○飯利振り込め詐欺対策官 刑事処分の話は、資料を今、持っておりませんので、大変恐縮でございますが、現時点ではお答えできません。

○松本委員長 それから、第2点目の行政制裁をもう少し工夫できないかという点についてはいかがですか。

○青戸市場機能強化法令準備室長 現在、金商法の課徴金制度、これは行政上の措置として、開示規制についての違反と、不公正取引についての違反について、ごく限定的に認められております。これはあくまでも制裁措置ではなく、行政上の目的を達するために限定的なものとしてお認めいただいているものでございます。無登録に対する、こういった課徴金ということでございますと、登録するためのインセンティブに対しての課徴金ということでございますが、課徴金制度自体、行政上の措置として、立法に当たっては、まさに法令上のバランスとして慎重にやっているところでございます。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 資料2で警察庁から説明していただいた未公開株取引に関する検挙状況の数字を見て、随分少ないなと思う。資料1の金融庁の方の19ページで、去年だけでも2,000何百件あると、こういう数字が出てきているのに、なぜこんなに少ないんだろうか。これのほかに、日本証券業協会への相談とか、国センの相談、弁護士会等、いろいろあると思うんですが、ものすごい数の相談がある割には、事件数とか検挙人数が非常に少ないんです。金融庁などに来ている相談が警察庁の方にそのままちゃんと連絡が行くようなシステムはできていないんですか。やはり、ここら辺がないといけない。警察が独自に相談を受けた件数で、先ほどからシミュレーションを書いておられたが、警察が独自に相談を受けたものだけでやろうとするのではなく、いろんなところに来ている相談を総合していけば、もっともっと検挙率も上がるんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○飯利振り込め詐欺対策官 先ほど御説明したように、警察においては、現在は少なくとも情報をできる限り多く集約をするという方向で行っております。いわゆる取り締まり、検挙ということと、先ほど私の方で御説明した抑止措置ということについては、パラレルといいますか、別々のものではございます。いわゆる取り締まりということで行きますと、例えば、国民生活センターでいろいろな相談を受けた場合に、それがどの程度具体性があるお話か、あるいは具体的なお話をいただいたとしても、例えば、詐欺になるかどうかというのは、初めから詐欺の犯意があるかどうか、現実にはなかなか判断が難しいケースが多いのではないかということがございます。そういう中で、事件になるものをきちっと処理をしていくということになります。また、事件になるであろうというものについて裏づけ捜査をしていくとしても、それはかなりの時間がかかっているというのが実情でございます。そういったもろもろの制約の中で、我々としても精いっぱいやっているわけでございますが、結果においてはこういった数の検挙になっているのが実情でございます。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 御説明ありがとうございました。皆さん、非常に努力なさっているのはよくわかりますが、未公開株、または社債の勧誘手口は新しい詐欺商法ではないかと思われます。国センもそうですし、金融庁も相談の件数が増えているということを考えますと、何らかの規制をしなければならないかなと思います。金融庁の資料(PDF形式:523KB)の32ページを見ますと、悪質な電話に御注意くださいというようなチラシが出ています。この方法、電話勧誘の販売形態からすると、特定商取引法でも規制できるのではないか、すべきではないか。これは消費者庁の問題にもなりますけれども、それが1つの方法ではないかと思います。
もう一つの方としては、本質的にハイリスク・ハイリターンの商品については、不招請勧誘の禁止が必要ではないかと思いますので、その辺、金融庁の方の御意見を伺いたいと思います。
それから、もう一つ伺いたいのは、10ページに告発とか警告ということが書かれておりますけれども、この措置に関する年度別の実績はどのぐらいあるのかをお聞きしたいのと、それから、50ページの株式会社コンコードが悪質だというお話は聞いたのですが、国を相手に行政処分の取消しを求める訴訟を起こしているということが書かれているんですが、こういう訴訟は一体何件ぐらいあるものなのか、おわかりになったら教えていただきたいと思います。
以上です。

○栗田証券課長 幾つかございましたが、まず、一番初めに、不招請勧誘の強化の話がございました。先ほども申し上げましたけれども、未公開株の問題を起こしているほとんどの業者は、無登録の業者でございます。そもそも、金融商品取引法の不招請勧誘規制自体は、登録業者に関する規制なので、そこのらち外に彼らはいるということです。不招請勧誘の規制を厳しくしても、ある意味で彼らは、端から無登録営業が法律違反というのをわかっていてやっている人たちですので、ほとんど実効性がないだろうと思われます。
それから、2点目の警告件数でございますけれども、昨年1年間で警告文書を発出したのが30件余り、どんなことをやっているんだという照会文書を発出したのが70件余りでございます。この計数には、未公開株以外のものも入ってまいりますけれども。
それから、3点目はコンコードの話でございます。私の承知しておる限り、取消し処分に関して訴訟に至っているのは、金融商品取引業者関係ではこの1件だけではないかということでございます。

○山口委員 今、不招請勧誘についてお話がありましたけれども、こういう未公開株については、東証はグリーンシートなどの規制をしていますが、ほとんど知られていないです。私は認識としては、振り込め詐欺の詐欺師連中が今、未公開株の先売りにシフトしています。恐らく飯利さんはそれを御認識だと思うんです。そもそも未公開株の勧誘電話があること自体が怪しいんだということを、特に昼間いるのは、電話、あるいは個別訪問に応じるのはおじいちゃんとおばあちゃんだけですから、この人たちにそれを知ってもらう必要がある。そういう意味では、未公開株とか、こういうものを不招請で勧誘すること自体が怪しいんだよということを規制することによって、きちっと出すことができると思うんです。効果がないどころか、私は実効性がものすごくあると思うんです。そこら辺を是非考えていただきたいと思います。

○松本委員長 どうぞ。

○栗田証券課長 まさに我々も今、未公開株の御相談を受けた場合に基本的に申し上げているのは、「未公開株には手を出さないようにされる方がいい」とか、「手を出さないようにしなさい」というニュアンスに近いことを申し上げております。これはおっしゃるとおり、未公開株の取引が法令上全くおかしくないケースがあることはあるんですけれども、まさにごく限られたシチュエーションでしかないということなので、こうしたことを申し上げております。

○山口委員 魅力ある未公開株だったら、ほかのツールで幾らでも売れますよ。業者側の反論はおかしいです。そう思われませんか。

○松本委員長 犯罪者に対して、おかしいですよと言っても、恐らくそれは無意味だと思うんで、実質犯罪行為をいかに予防するか、起こった後、いかに取り締まるかということを適切にやるようにしないと、犯罪を犯してはいけないという法律を幾らつくっても、それだけだと無意味だと思うんです。
櫻井先生、どうぞ。

○櫻井委員 幾つか出ているお話かと思うんですが、今日、警察庁の方と金融庁の方と両方お話を伺えて、両者のコントラストはなかなか興味深かったのですけれども、1つの大きな特徴は、警察庁の方は潜在性とおっしゃった問題ですが、国民生活センターに来る相談件数が3,000ぐらいあって、しかし、実際上の検挙件数がせいぜい2桁ということで、一回警察の方に入り、助けてもらえるリストに入るとそれなりにやっていただけるんですけれども、それはそれで非常に手間暇がかかることで、もっと救済されるべき人たちがたくさんいるというところが多分、行政の欠陥といいますか、足りないところで、そこをどうしたらいいのかというところが大きな立法上の課題ということになると思うんです。
それで、今日の警察庁の資料(PDF形式:232KB)で「被害抑制に直結する『先制的措置』の流れ」という図式がございまして、まさに捜査が始まる前に何ができるかということで、行政警察の御議論をされていたと思います。犯罪予防的なところで何ができるかということで、しかし、これも非常に限られた数だけれども、その中で努力されていることはよく理解できたところです。
ただ、思うに、例えば、だまされたふりで被害者を検挙するということになってくると、これは一応、警察プロパーの仕事ということにはなるのですが、その前のところの電話による警告とか、口座の凍結とか、任意の依頼とか、このあたりは性質としては行政作用そのものであります。したがって、本当は、そういうことは一般行政のレベルでできないことはないはずで、法律上の措置が必要であればそれをするということで、理論上は、例えば金融庁がやってもよろしいわけです。その辺りが、多分、手当てができていないということは強く感じるところです。
警察も有限な人材でやっておりますので、金融庁に限らないんだけれども、そのほか都道府県所管の事業者もありますし、ほかの一般行政に振り向ける形でもっと協力態勢ができるはずだし、任意でやるんであれば、必ずしも法律の根拠がなくてもできる部分もあるだろう。そうした潜在的な可能性について対応していく必要が、実務上あるように思います。
あと、コメントですけれども、だまされたふりのところは、資料に出ている事例はむしろ随分牧歌的な感じがしました。実際上、もうちょっと積極的にだまされたふりをしているのかなと思っていたのですが、一般人を使って、だまされたふりをしてもらって検挙するというケースだから、理屈としてはある種のおとり捜査かなと私は思っていました。おとり捜査については可視化法と一緒に今後議論されたらいいと思うんだけれども、この辺も、捜査の手法というところでは開拓すべき可能性があるのではないかと思います。
それで、もう一つの課題は、2点目ですけれども、一般行政と警察の連携という言葉、両者ともよくお使いになるんだけれども、問題はその連携の中身でして、どのぐらいちゃんと連携しているのか。連携しないで各セクションが独立しつつちゃんとやっている方がいいというところもあるのですが、例えば、無登録業者であれば、直罰主義ですね。直罰できますから、そういう立法でしていると警察が動かざるを得ないところもある。他方、金融庁としては、間接的に情報収集等するぐらいしかできなくて、情報を上げると言っても、こういう場合はなかなか限界があるのかなと思うんです。
また、登録業者については命令違反で、行政刑罰で、命令に罰則担保をつけてやっているような場合があります。この場合ですと、行政処分をする金融庁の側と、命令がちゃんと守られているかどうかということについては罰則がついている類型もある。つまり、少なくともそこは2通りの連携体制が区別されるはずで、少なくともそのぐらいの意識はして連携はされているのだろうかということについて、もし説明があればありがたい。
それから、金融庁から告発がされた場合に、どのぐらいの優先順位をもって警察の中で案件処理をされているのかというところも少々気になるところです。告発の事例については、さっき数字を上げられなかったように思いました。
それから、3番目、被害者対策としては、どうも在宅の高齢者が問題であるということだとしますと、高齢者対策として別途、完全に違うルートで考えるということもあり得るのかなという気もしていまして、そうすると違う役所が出てこないといけないかなという気もするんです。その点、御感触があれば伺いたいと思います。
以上です。

○松本委員長 それでは、それぞれ金融庁と警察庁から、答えられる範囲でお答え願いたいと思います。

○栗田証券課長 金融庁から警察当局に対する情報提供についてお尋ねがありました。個別にはいろいろあるので、一般論的なお話で恐縮でございますけれども、当然、登録業者によるものと、無登録業者によるもので全然違います。それは我々も別の考え方でやっているわけでございます。
無登録業者に関して言いますと、一般の方から苦情なり相談がある。ただ、相談を受けた段階で、相手の名前もよくわからない、電話番号もよくわからないというのも結構あるので、その時点ではそれ以上の手の施しようがないんですけれども、例えば、電話番号がわかっているものは、こちらから電話をかけるということもやっております。電話で勧誘を受けただけだと、相手がなかなか特定できない場合が多いのですが、それでも、ある程度わかるケースがあるので、そういうものは警察に、「こういう人がこういう話で来ましたよ」ということを通知することもしております。
登録業者の場合は、苦情が端緒になる場合もありますけれども、我々が実際に検査なりに行ってわかる場合もあります。どういう取引をやっていて、どういう関係者がどういう関係になっているか、かなり詳しくわかる場合もあるわけです。我々としては、そうした内容も踏まえて警察に相談しつつ、登録業者に対する処分を考えていくというような形でございます。大まかに言えば、そういう関係になっているわけでございます。

○飯利振り込め詐欺対策官 順不同でございますけれども、犯行ツールの無力化について若干の御指摘がございました。警察以外の行政機関がやる、行政作用でやるということでございますが、まさにそのとおりかと思います。すなわち、口座凍結依頼なども、警察が依頼するという場合が非常に多いとは思いますが、金融機関の方で独自に問題のある取引を口座の出入りの状況からいろいろ確認をなさって、その中で、御自身で凍結をするという判断をされるケースもあるようでございます。
基本的に、私どもが知るところによれば、顧客と業者との契約の中で、いわゆる犯罪利用ですとか、不正利用をした場合には、サービス、あるいは契約自体を解除するというような規約があるケースが非常に多いということでございます。そういった意味では、各業者さんが御判断される余地は十分あるんではないか。ただ、業者としては顧客との間の関係というのもありますでしょうし、そういう中で、警察として自信を持って、これは犯罪利用されているということをきちっとお伝えすることで、こういった取組みがより拍車がかかっていくという面があるだろうと思っております。そういった意味で、我々としては、優先をかなりつけてやっているという状況であります。
あと、だまされたふりについても御指摘ございましたけれども、牧歌的というか、そういう部分は確かにあるかもしれません。例えば、4枚目に付けてございます。御説明できなかったわけでございますが、電話作戦と称しまして、いろんな取組みをしております。警察を名乗って、被害が出た部分については返しなさいと強く指示をした鹿児島の事例があります。なかなかこういう事例はないんですが、ときどき、気の弱い被疑者ですと、こういう形で被害金を返してくるということがあります。
また、2つ目に、つかまえるというところまで行きませんけれども、私ども警察が成り済ましをしまして、どこに振り込むんだと犯人側に聞いて、その口座について凍結依頼をするというような取組みをしたりということがございます。
できる限り応用しながら、勿論、合法な範囲でございますけれども、積極的に取組みをしている。犯罪者に対して手ぬるいやり方をしていてもなかなからちが明かないので、それは徹底した、積極的な取組みをしているという状況でございます。
それから、連携の中身ということでは、これは適切なお答えか、あれなんでございますけれども、例えば、未然防止のための注意喚起というところにつきましては、本当に連携がまさに必要な部分でございまして、防災無線などですと、当然ながら自治体との協力というところがございますし、巡回連絡等につきましても、どういったところに集中的に巡回連絡をすれば予防の効果が出てくるかということを、いろいろ情報交換しながらやるということもあります。
また、警察官のみが行くだけではなくて、例えば、地域の民生委員の方ですとか、その地域の実情をよく御存じだというところで、情報もいただきますし、場合によっては一緒になって分担して回っていただくということもやっているわけでございます。こういった取組みは、まさにスキンシップというところが非常に効果がある。一見地道そうなんですけれども、単にチラシだけということになりますと、なかなか当事者意識を持てない。直接、具体的な、例えば、オレオレ詐欺でもそうなんですけれども、これがオレオレ詐欺だという、電話の実際の会話の内容などもお聞かせして、ああ、そうか、オレオレ詐欺というのはこういうものなのか、これではだまされるなという気持ちになる。そうすると、お伺いしたところのお宅から、周りの方にもいろいろお話しいただく。これは気をつけた方がいいよという機運が高まっていくという面がございます。そういった意味では、地道な取組みは非常に重要でございます。そこは本当に地道に、実際にコミュニティの中で動かれている方々とのまさに連携という形でやっていっていると、こういうことであります。
メールの注意喚起というのも、携帯事業者ですとか、そういったところとの連携が必須かなと思います。そんなことで、もろもろにつきまして、官民一体といいますか、私どもだけではなくて、いろんなコミュニティの方々に御協力いただきながら、実効のある形でやりたいと考えて、今、努力をしているところでございます。
最後ですが、告発についてでございます。告訴・告発というのは、被害者の方が処罰意識を明確にされて私どもに届出をなさって、私どもとしてしっかりと検察の方に事件を処理をして出していかなくてはいけないと、こういうたぐいのものでございます。そういった意味では、優先順位がどうかというお問い合わせでございましたけれども、これは優先順位はしっかりと持ってやっていっていると、こういうことであります。
以上でございます。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 私は以前、相談員をしておりましたので、以前から見たら動きが素早くなられたかなとは思いますが、まだまだ高齢者の方の問題が多くなっておますので、是非、今後とも積極的に取り組んでいただければと思います。
まず、金融庁にお伺いしたいんですが、10ページに無登録業者で金融取引を行う恐れがあると認められた場合ということで、電話をしたり、文書を出したり、捜査当局に連絡するということで、順番になっているようですが、例えば、どのくらいの期間でそれが出されるのでしょうか。大体、こういう悪質事業者というのは、1つやりますと、だだっとやりまして、どこかほかに行ってやるとかいうようになっておりますので、今、警察庁もおっしゃられたように、いろんな広報活動をされております。無登録業者は大体初めからまともなことをやろうとしているわけではないし、もともと豊田商事とか、先物の人たちが残党としてやっているんだろうと思う節もありますので、やり方としては、ぱっとやって次に名前を変えてまたやるという感じでもあるかと思います。電話をしたり、文書を発せられるに際しまして、どのくらいの期間なんでしょうか。金融諸事情に係る制度整備については、対象業者に関しては、登録業者に対しては、取消しなどは速やかにと書かれておりますが、無登録業者に対しては、今までどのくらいの期間でもってされていたのか教えていただきたいのが1点あります。
それから、不招請勧誘につきまして、相談現場では問題が非常に多くなっておりますので、できれば、その法律の中でデリバティブのところも、店頭市場も含めまして、不招請勧誘を考えていただければと思います。それは今、地方におきましても、不招請勧誘の禁止ということを考えているところも議会の中であるように伺っておりますので、是非、率先してそういうものに取り組んでいただければいいのではないかと思います。
それから、警察庁にお伺いいたします。先ほど、いろんな活動をされていまして、情報の共有ということをおっしゃられていましたんですが、今、お聞きしていると、市民からの情報だとか、金融庁かと、例えば、国民生活センターの情報、会議等に出ていらっしゃいますから、そこからあるかと思いますが、基本的に電磁的に情報を共有してみるということはあるのでしょうか。警察庁が告発とか検挙するというと時間がかかるのはわかっておりますが、できるだけ速やかに動いていただくことが被害の拡大を防ぐために一番いいのではないかと思いますが、この情報の共有について教えてください。

○立崎生活経済対策管理官付理事官 国民生活センターとの関係でございますけれども、まず、警察庁の本庁にパイオネットの端末を1台置かせていただいておりまして、各都道府県警察から我々に照会があった場合には、我々の方で端末をたたいて、必要な情報があればそれを提供するということをやっております。それから、都道府県警察レベルにおきましては、県の消費生活センター等とも連携をしておりますので、都道府県警察と各県にありますセンターとの情報共有の中で、国民生活センターが集められた情報が県警にも提供されているという状況でございます。

○松本委員長 金融庁の方から。

○栗田証券課長 警告にかかる時間でございますけれども、例えば、利用者相談室に相談があれば、その当日か翌日には監督部局に情報が流れてまいります。それでほとんどすぐに電話をするなり、所在確認なりをするという行動に入ります。ただ、先ほど申しましたように、実際に相手にたどりつくことがなかなか難しいわけでございますけれども、相手が特定できたような場合には、速やかに警告文を発出しているということでございます。特定までにかかる時間がその案件によって違うんですけれども、特定できたら、すぐに対応しているというふうに考えていただいたら結構かと思います。

○松本委員長 川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 全く同じ観点なんですけれども、37ページ、金融庁や、全国の財務局に寄せられた相談事例が出ています。こういう相談があった後の処理というのは、具体的にはどういうふうになさっているんですか。こういう相談があったときに、これは警察に届けるのか、なおかつ相談先・問合せ先に個別のトラブルについてのあっせん、仲介、調停は行わないと書いてあるんですけれども、消費者、いろんな被害に遭った人たちは、逆に言えば、どこにどうすればいいとお考えか、そこら辺を聞かせてください。

○栗田証券課長 例えば、未公開株の詐欺、あるいはファンドについて、金融庁の利用者相談室に相談があった場合に、まず一義的には、先ほど申し上げましたように、「そのような案件には手を出されない方がいい」ということを申し上げます。まだお金を払っていない方には、まずやめるということを強くお勧めしております。
残念ながらお金を渡してしまって被害が生じておるような場合につきましては、民事に基づく被害回復については、これは我々金融庁にはそういう機能はないので、「弁護士さんに御相談されるか、あるいは消費生活センターに御相談ください」と申し上げております。それから、刑事面の問題ですけれども、無登録業者の可能性があるような場合であれば、先ほど申し上げましたような一連の手続で相手方の特定をできるだけやって警察に情報提供することになります。さらに、もし登録業者であれば、こちらが直接行って検査をするなり、報告を求めるという手続になってきます。

○松本委員長 山口委員。

○山口委員 細かいことで3つお聞きします。
1つは、冒頭に御説明がありました50人未満の規制の問題なんですが、現実には、第1次募集、第2次募集、第3次募集ということで、私募債が目論見書なしでかなり売られている実態がございます。6か月通算とか1か月通算とあるんですが、これは法令上ちゃんとしているのかどうか。ここら辺、警察の方もなかなか理解していないです。もうちょっとはっきりわかるようにできないのか。もし私募債の規制に違反した場合に、刑罰はどの程度のものがあるのか。甘過ぎないか。これを1つお願いします。
2番目に、今、携帯電話による犯罪よりも、むしろ固定電話による犯罪の方が多いのは飯利さんは御存じだと思います。固定電話の場合には、リースだと本人確認システムがないようです。したがって、未公開株の勧誘のかなりの部分が06なり03なり052という固定電話で勧誘されています。だから、我々が相談を受けて、では、これはだれだろうということで、090だったら、弁護士会照会でも何でも照会できるんです。ところが、レンタルによる電話かけだと確認できないんです。ここら辺はシステムの改善ができないのかどうか。本人確認制度をつくらないと、今、固定電話のレンタルが犯罪の温床になっています。この対象が何とかならないのか。
3番目に、破産制度を活用されてどんどんやっていただくのは本当に大賛成で、是非、今度の通常国会で実現してほしいんですが、御存じだと思うんですが、東京地裁で何10件とFX取引の破産手続をやりました。ところが、一般の破産ですと、わずかに残った財産も未払いの社会保険料とか、税金とか、中にはひどいのは従業員の給料に先取りされまして、被害者にお金が回ってこないんです。これは確かに破産法の体系上、いろいろ難しい部分はあると思うんですが、例えば、故意の犯罪による被害者については、破産手続の中でも優先的に被害者に還付すると、そこら辺は金融庁辺りから、これは勿論、集団的、あるいは集合的な被害救済制度の検討を今、消費者庁でやっていますので、そことも絡む問題ではあるんですが、金融庁は十分御存じだと思いますので、そこら辺の実態についてどうお考えなのか、どういうふうに改善したらいいとお考えなのか。
以上、3点。

○松本委員長 最後の問題はお答えできないかもしれないですけれども、お答えできる範囲で結構ですから、どうぞ。

○栗田証券課長 最後のお話で、実は、FX業者も私のところで所管しております。FX業者の破産の場合になかなか被害者にお金が回らないということですが、FX業者の場合は、証拠金の区分管理義務があるのですが、中には、それがきちんとされていない場合もあったということであります。正直申し上げて、FX業者ですらそうなので、ファンドの場合はもっと厳しい状況にあるのだろうと思われますけれども、この点については、制度論的には、破産制度の根本的な考え方をある程度変えていただく必要があるように思います。これは正直申し上げて金融庁の範囲を超えて、法務省全体で検討していただけると非常にありがたいと思いますけれども、おっしゃるような問題があるというのは、まさにそのとおりだという認識は持っております。

○山田課長補佐 最初の御質問でございます。6か月通算、1か月通算、債券の場合でございますが、これは金融商品取引施行令に明記されておりまして、わかりづらいという御指摘がございましたけれども、若干例外規定がございまして、例えば、50名ということが、プロですね、証券会社とか、そういう場合は除外規定がございます。その辺の規定がございますので、わかりづらいということであれば、お問い合わせをいただければということでございます。
あと、刑事罰の方でございますけれども、有価証券届出書を提出しないといった場合には、懲役5年以下または罰金500万円以下という刑事罰がございます。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 ルールが非常に不備であるということで、ルールに問題があるということが大きな問題であると思うわけです。例えば、不招請勧誘を完全に禁止できないとか、被害金を押さえられないとか、未公開株はほとんどが無登録業者のものであるとか。無登録業者ですから、不招請勧誘は対象になりませんと、それはルール上はそうなんで、その改善について、問題点はきちんとおっしゃったので、それを改善していかなければいけないということで検討が始まっていることもお話にありました。ですけれど、現在、そうしてルールが改善されるまで被害はどんどんと発生しているわけです。ですから、現在発生している被害について、当面どういうやり方をすれば、一番被害を食い止めることができるかということについて、余り力が入れられていないのではないかという気がするわけです。
振り込め詐欺のときはあらゆる手段を使って随分とやりました。私、びっくりしたのは、羽田の飛行場のトイレに入ったら、小さい画面に振り込め詐欺に気をつけましょうというのがいきなり出て、あっ、ここまでやっているのかというので、あらゆる手段を使ってやられたと思うんですけれども、今回の未公開株による被害というのは、一般の市民の方に余り警告が発せられていない。
金融庁も警察庁も、一義的には被害に遭う消費者の自覚が必要だと、そこのところがまず必要だとおっしゃったんですけれども、今、被害に遭っている人は、まさに振り込め詐欺的な集中攻撃、何度も何度も電話がかかってくるとか。持っていますか、持っていらしたら高く買いたいんですけれども、残念でしたねというのが最初にあって、それで2~3日して、いかがですか、こういう株がありますけれども、買いませんかという、非常に巧みな、まさに山口さんがおっしゃったように、劇場的なやり方でやってきているわけです。ですから、絶対買わないようにしましょうということを強く言っていかないと、なかなか理解してもらえない年齢層の方たちが被害に遭っているというのが現実にあるわけですから、そこをどうやっていくかということです。なぜ振り込め詐欺よりも力が入らないんでしょうか。

○飯利振り込め詐欺対策官 警察庁といたしましては、振り込め詐欺のいろんな取組みを御紹介したのも、まさに先生のような問題意識で取り組まなくてはいけないということで御紹介申し上げたわけでございます。つまり、こういった未公開株事案というのも、まさに不特定多数の方に対して、かつ高齢者の被害も大変多うございますし、あるいは犯行する連中も恐らく匿名の形で、被害者に面接もせずにやるという意味合いにおいては、かなり振り込め詐欺に近いものであって、我々の取組みも、振り込め詐欺でやった取組みが生きてくる要素も非常にあるんではないかという観点を持っております。
そういった意味では、先般、1月末に全国会議を私ども警察の部内でやりましたけれども、その中で、この未公開株事案を振り込め詐欺類似の犯罪として、振り込め詐欺と同様の集中的な対策をしっかり打っていくべきではないかということで意思統一をしたものでございまして、そこは何とかしっかりやってまいりたいと思っております。
恐らく未公開株事案といいますのは、高齢者の中でも、何らかの株の取引等に経験のおありの方ですとか、通常の振り込め詐欺と違う特徴点があるかもしれません。そうしますと、被害者層の絞り込みもできるかもしれません。そういった意味では、できる限り効果的な対策を分析をしてやっていきたい。
一方で、問題点として、潜在性が高いということを先ほど申し上げました。期待して上場を待つという状態の中で、警察にもなかなか話が来ない部分もあるだろう。そういうものを関係機関の皆さん方と一致協力して、多くの情報を集めてやっていくという方向性がよろしいんではないかということで、そこも積極的に協議をさせていただいているところでございます。

○山口委員 振り込め詐欺の場合に、NHKなどで、割とよく知ったタレントなどが「ひっかかっちゃいけないよ」と言っておりました。例えば、NHKでたけし辺りが「おばあちゃん、おじいちゃん、未公開株というのはよっぽどのものでないと、グリーンシートでないと危ないのよ。手出さないようにね。ひっかかってない?」とかとやってくれれば随分違うと思うんです。NHKだったら、それこそCM費用も要らないと思うんで、是非、御企画していただきたいんです。

○飯利振り込め詐欺対策官 そうですね。警察的には、振り込め詐欺のときもそうでございますけれども、広報啓発活動、特に報道機関を通じたものはある意味で一番の基本といいますか、振り込め詐欺に注意しなければという雰囲気、機運を高めるというのは非常に重要だと思っています。そういった意味では、私どもとしても、取材に対する対応というのはかなりしっかりさせていただいておりますし、必要に応じまして、政府広報ですとか、そういったものを使わせていただくこともある。今後、先生のお話も受けまして、どういう形で、更に積極的なことができるかどうか、これは検討していきたいと思います。

○松本委員長 櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 金融庁にお伺いしたいのですが、資料60ページで、行政処分と破産手続開始の申立てができるか、できないかという御議論があったかと思います。登録を抹消する場合、登録の取消し処分をするような場合に、それと同時に登録取消しの効果として、当該事業者の財産を仮に凍結するとか、そういうようなスキームは考えられないのか。民事的な手続と行政的な手続をミックスしたようなやり方だと思うんですが、法制上の問題があるのでしょうか。これは教えていただければということで質問です。
あと、未公開株とか、FX取引とか、現状でもうかっている人もいるんですね。ここでは被害者側の話ばかりが出てくるんだけれども、利益を得ている人も皆無ではないということと、貸金業関係でちょっと思いますのは、いわゆる資金需要者の方々がいるわけなんだけれども、そういう人たちは何か組織化されているような実態はあるのか、団体をつくっているようなことはあるのか、ないのかということです。
つまり、よくわからないんですが、零細業者の方々で、そうは言っても高い利率でも借りたいという人がいて、そういう需要は実際にあって、そうすると、そういう人たちの声をどのぐらい尊重したらいいのかということと、政治過程において、どのぐらい公の場に出てくるルートがあるのかないのか。そのことが立法過程に結構影響を与えているようにも思われまして、2通りの考え方があるということが金融庁の資料にも出ていますけれども、その点との絡みをお伺いしたいということです。

○青戸市場機能強化法令準備室長 まず、先生の最後の2通りの考え方につきましては、デリバティブ取引に関する不招請勧誘の規制の在り方について、私どもが昨年末に意見交換会もやりまして各方面の御意見を聞き、またパブリックコメントを当たった結果、どちらもあるということでありまして、デリバティブ取引についての不招請勧誘の禁止については両論あって、それを今後半年かけて、調整と申しましょうか、最終的な結論を得るように検討していくということが現時点での結論であります。そういう意味で、それぞれ公平にご意見を聞いた結果として、こういう両論併記になっているということであります。

○櫻井委員 反対側の利益を主張される人で、事業者団体がやるのはわかるんだけれども、そうではなくて、需要者の側で組織化されたソサイエティーはあるんでしょうかということなんです。そういうのはないですかね。

○栗田証券課長 FXとか、株の投資家の方々が団体をつくられて何らかの積極的活動を行われているという話は存じ上げません。特にFXは、今、おっしゃったように、損している方もいる一方、利益を上げている方もかなりおられます。実は昨年、FXに関する規制を強化した際も相当程度の反対意見が出たというのは事実でございます。

○櫻井委員 1点目は。

○青戸市場機能強化法令準備室長 御指摘の点は、行政処分という事実があって、それと破産手続上の効果というか、どう手続を円滑に進めていくかということでございますが、内閣法制局とも御相談いたしまして、この更生特例法上の対応によってよりスムーズになるのではないかと考えております。実際は、私どもが先程御説明いたしました内容は、まだ予定でございますけれども、今年の通常国会の金商法等改正法案を出すときに更生特例法の改正という形で出させていただきますので、これによって基本的なニーズを満たすことができるのではないかと考えております。

○松本委員長 最初の山口委員の問題提起との関係なんですが、予防と事後的抑止という点から考えて、特に予防の点で、山口委員は、未公開株の無登録業者による販売行為自体が既に違法だけれども、更に不招請電話勧誘自体も違法にしろという趣旨のことをおっしゃっています。違法行為を更に2倍違法にしたところで、違法業者そのものは何とも思わないでしょうが、高齢者に対する啓発という点で、一般的に未公開株には気をつけましょというたぐいの啓発の影響力と、未公開株についての電話勧誘というのはそもそも違法なんだよという形の啓発と、どっちが浸透度が高いかという点。
つまり、業者に対しては何の意味もないんだろうけれども、被害に遭う可能性のある人に対する注意喚起としては、こういう行為は典型的に違法だとする方が、より浸透度が高いかもしれないという気がするんです。その場合に、逆に副作用として、従来違法ではなかった、つまり、登録業者による未公開株の電話勧誘の実態がかなりあって、それが規制されることによって日本経済に相当弊害が出そうだというマイナスの影響の方が大きいということであれば、啓発によるプラスよりはそっちの方が重要だということになるかもしれないですけれども、その辺について、金融庁としてどのように考えておられるのかお聞きしたいのが1点。
もう一点は、相当多数事件が起こっているんだけれども、検挙、摘発になったケースは非常に少ない。そこで、制裁をもう少し強化できないか。つまり、やりっ放しで、結局、啓発でしか防止できない状況下においては、やはり一定数の被害が確実に出て、その分は野放しになっているわけです。摘発しやすいようにするための手当ては取るとして、別途、アメリカであればシビルペナルティーと言われている、違法行為に対する制裁的な、金銭的抑止をもうちょっと効かせるような形の、課徴金という形で利益の一定割合を国家が没収するという形以外の金銭的抑止策をもう少し考える余地がないのかという点。その2点について、もし何かお考えがあればお聞かせいただきたいんです。

○栗田証券課長 1点目の問題は、なかなか難しいところがあるんですけれども、結局は、「無登録業者による勧誘は禁止されております」という宣伝も、「未公開株の不招請勧誘は禁止されております」という広報も、基本的に効果にそれほど差があるとは思われません。それよりも、大量に広報すること、宣伝することが、まず第一ではないか。例えば、販売禁止の法律をつくるということになれば、これから何か月、下手をすると年の単位で待たないといけない。それよりは、今から我々、あるいは証券業協会も動員して、あらゆる機会を使って、「未公開株に手を出すとろくなことにはなりません」ということを言って回った方が早いということもあるし、結局、手間という意味でもいいのではないかという気が直感的にはいたします。
それから、2点目のシビルペナルティーの議論ですけれども、実はこれは非常に難しい問題があって、憲法の二重処罰の問題に抵触しかねません。同じことについて罰則規定があるのに、プラスして民事の課徴金を、「利益の吐き出し」ということででなくて「制裁」として整備するとなると、憲法の問題をクリアしないといけないというところが、非常に大きな問題になってくるかと思います。

○松本委員長 刑事事件として立件した上で罰金を課し、かつシビルペナルティーに持っていくんであれば、おっしゃるとおりでしょうが、刑事事件として立件されるのがごく一部である、なぜなら刑事の方ではかなり厳しい要件がたくさんあるからだということだとすれば、行政による、より軽い形でやれる処分の方が効果的だと思うんです。刑事できちんとやれるということであれば、今度は刑事の罰金の方を強化するということで同じことが言えると思うんです。

○栗田証券課長 結局、その議論は、突き詰めて言えば、ある分野について、刑事の手続を簡便にしてしまうという議論になるのだと思いますけれども、なかなか、それができるのかどうかということになってくるのだと思います。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 さっき櫻井委員がちょっと言われた、行政官の連携の中で、詐欺をするためにつくったような会社の場合、会社法上の解散命令ができる規定がある。法務大臣から申し立てできるんです。警察で未公開でこんなことをやっているけしからん会社だとつかまえたら、ちゃんと法務大臣に連絡して、解散命令の手続を取ってくださいと、こういう連携はやっておられるんですか。あるいはやった例はあるんですか。

○飯利振り込め詐欺対策官 私ども、生活経済及び振り込め詐欺の担当なんですが、現時点ではそういった事例は承知しておりませんし、もう少し時間をいただいて調査をする必要があると思います。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 現場の声で、飯利さんが余り遠慮がちにおっしゃっているんで、私自身が警察の窓口に行ったときに言われた言葉をそのまま言うと、「先生、無登録の販売について、どれだけ苦労するかわかっているの。苦労して、苦労して、やっとつかまえて罰金なんだよ。そんなんでやる気しないよ」というのが現場のおまわりさんの生の声だと思うんです。ここら辺は、実態としてどうなのか、どの程度苦労するのかを最後に教えていただければと思います。

○飯利振り込め詐欺対策官 率直に言いますと、事案によって大分違うとは思います。大量に被害者が出ていて、その中から具体的な被害事実が特定されるものを選び取ってやっていく。更に言うと、初期の段階で往々にしてありますのは、いわゆる犯意が外形上十分に認められないような場合に、果たして立件が可能なのかどうかということです。もろもろのことを判断しながら、膨大な積み上げの捜査をやっていく。特に被害者の裾野が広い場合は、当然、捜査量が膨大にもなってきますし、そういった意味では、先生がおっしゃいます現場の声は正しいと思います。
よくありますのは、いわゆる無登録という事実に加えまして、これは詐欺なんだということで、刑罰上はより重たい刑罰を課せられるという形に、事実があれば持っていくということもありましょうけれども、その立証についても、それなりの労力がかかってくるということで、現場は大変苦労しているというのは実際のところでございます。

○松本委員長 ほかにございませんでしょうか。それでは、予定の時刻を若干超過しておりますので、これで本日の金融庁、警察庁からのヒアリングにつきましては終了させていただきたいと思います。
金融庁、警察庁におかれましては、本日の議論も参考にして、今後の金融取引に係る問題への取組みを推進していただきたいと思います。消費者委員会といたしましても、この問題につきまして今後引き続き情報収集を行い、また議論を行っていきたいと思います。
金融庁並びに警察庁の方々におかれましては、お忙しい中、長時間にわたり委員会の審議に御協力いただきまして誠にありがとうございました。

________________________________________

○松本委員長 本日の議題は以上でございますが、事務局より次回日程について御案内がございます。

○原事務局長 今日は長時間にわたり御協力どうもありがとうございました。また今後ともよろしくお願いいたします。
次回は2月22日午後3時からを予定しております。議題についてはまだ内部でも調整中ですので、改めてホームページで御案内をしたいと思います。
今日はこれで終わりとさせていただきます。ありがとうございました。

○松本委員長 それでは、本日はこれにて閉会をいたします。お忙しいところ、お集まりをいただきまして誠にありがとうございました。

≪3.閉 会≫

(以上)