第17回 特定商取引法専門調査会 議事録

日時

2015年12月14日(月)14:00から17:10

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
後藤座長、村座長代理、阿部委員、有山委員、池本委員、沖野委員、河野委員、佐々木委員、鈴木委員、高芝委員、杤原委員、野坂委員、花井委員、増田委員、山本委員
【オブザーバー】
消費者委員会委員 樋口委員
経済産業省 伊藤消費経済企画室長
国民生活センター 鈴木相談情報部部長
【消費者庁】
桜町取引対策課長
【事務局】
黒木事務局長、小野審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 取りまとめに向けた検討
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会 第17回特定商取引法専門調査会」を開催いたします。

なお、本日は所用により、池本委員、沖野委員、増田委員が遅れての御出席との御連絡をいただいております。

まず、配付資料の確認をさせていただきます。お配りしております資料につきましては、議事次第の下部のほうに記載した配付資料一覧のとおりです。

資料1といたしまして、本日御検討いただく「特定商取引法専門調査会報告書(案)」となっております。

また、資料2といたしまして、各委員の提出資料を配付しております。

さらに、参考資料といたしまして、委員から資料配付の御要請のあった訪問販売協会、新経済連盟、日本新聞協会販売委員会、日本自動車販売協会連合会からの意見書をそれぞれ配付しております。

不足の資料はございませんでしょうか。もし不足がございましたら、事務局のほうへお申し出をお願いいたします。

それでは、後藤座長、議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.取りまとめに向けた検討≫

(1)事務局からの説明

○後藤座長 本日もよろしくお願いいたします。

それでは、議事に入らせていただきます。

本日は、取りまとめに向けた検討として、資料1の「特定商取引法専門調査会報告書(案)」につき、事務局から説明いただいた上で、御検討いただきたいと思います。

では、事務局から説明をお願いいたします。

○野坂委員 済みません、簡単な質問をしたい。いろいろな議論があって、ようやくここにこぎつけたということで、よりよい取りまとめができればと私も願っております。ところが、本日、井内審議官が欠席していらっしゃるのです。我々大詰めに至って、今日、大きな進展があればいいなと思っていますけれども、まだどうなるかわからない段階で、第1回からずっと出席していた指定職の審議官が欠席しているというのは、先ほど丸山参事官の説明がなかったのですけれども、何でこれほど重要な局面で担当の審議官が欠席しているのか、説明をいただきたいと思います。

○後藤座長 お願いいたします。

○消費者庁桜町取引対策課長 別件の出張が入ってございまして、本日は大変申しわけございませんが、欠席をさせていただいています。

○後藤座長 どうぞ。

○野坂委員 詳細な説明を事務局、消費者委員会はすべきだと思いますけれども、消費者庁あるいは消費者委員会の徳島県移転問題で、徳島に出張されているというような話を聞きました。確かに消費者行政と地方創生、いろいろな関連があるということで注目はされておりますが、我々の審議している特商法の専門調査会も重要な局面でありまして、本日はそちらの徳島のほうを重視されたということなのかよくわかりません。懸念するのは、これだけ大詰めになっていて議論がどうなるかわからないときに、これから法案を出す担当である消費者庁の担当審議官が大詰めで欠席している。これが今日の審議あるいは24日に予定されている次回の審議に悪影響を及ぼさないように、しっかり事務局にその辺は配慮していただきたい。これは私の注文であります。

以上です。

○後藤座長 議事を進行してよろしいですか。野坂委員、よろしいですか。

では、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 では、事務局から、資料1「特定商取引法専門調査会報告書(案)」ということで御説明をさせていただきたいと思います。

こちらの案は、今回御議論いただくために事務局でこれまでの御議論をもとに作成した案でございますけれども、まず1ページのところで「はじめに」ということを記載してございます。

こちらは中間整理の段階でこれまでの経過というところを整理しておりましたところに、10月以降の審議状況等をつけ加えた形としてございます。

2ページからが「第1 消費者トラブルの現状等」を記載してございます。

まず「1.消費者相談の状況等」「(1)全体的な状況」というところで、2ページの(1)の最初のところですが、平成27年版消費者白書をもとに相談件数等を記載してございます。

3ページ、4ページの冒頭に書いている図についても、こちらも消費者白書から引用したものでございます。その中身についての記載をしてございます。

4ページからが「(2)横断的な事項に関する消費者相談の状況等」ということで、横断的な事項として取り上げております各論点について記載してございますが、まず「ア.『権利』に関する取引の状況」というところでは、その段落の下から2行目のところで、権利の取引であって、特商法の規律対象ではないという主張が行われているということについての問題事例ということで挙げてございます。

「イ.『勧誘』に関する消費者相談の状況等」というところで、こちらはさまざまこれまで御議論いただいたところでございますが、件数というところは取り上げてございませんが、4ページの下部のところから、勧誘行為を継続するような「再勧誘」に該当する可能性のある事例が存在する、あるいは意思に反した勧誘であっても明確に断る意思表示をせず、またはできずに勧誘を受けている事例も存在しているというベースで書いてございます。

5ページの「ウ.クレジット・金銭借入・預金引出しを勧める行為等に関する相談状況等」というところでございますけれども、第9回の議論で資料2として記載されていたところの表をこちらに引用してございます。

5ページの下部で(3)個別取引分野というところでさまざまな論点を書いてございますけれども、まず、アポイントメント・セールスに関する相談というところでは、下から3行目のところで、現在、政令に定められている方法で営業所等へ来訪させた後、一旦、営業所等で次回の来訪を取りつけて帰宅させてから、再度来訪して勧誘するという前回御議論いただいたケースについて記載してございます。

さらに、6ページのほうでは、第7回の資料の表を引用して書いてございます。

6ページ下部「イ.通信販売に関する消費者相談の状況」ということで、まずファクシミリ広告に関するものですが、こちらも7ページのところで第9回の資料から引用を記載してございます。

また、虚偽・誇大広告というところでは、第7回の資料1で「誇大広告」に関する相談というところで書かれていたものを引用してございます。

8ページでございます。「ウ.電話勧誘販売に関する消費者相談の状況等」ということでございますが、ここは第9回の資料から抜粋して、まずは電話勧誘販売に関する苦情相談件数を引用し、また、参考として訪問販売における過量販売に関する相談件数も引用してございます。

「エ.特定継続役務提供に関する消費者相談の状況」ということでございますが、こちらは9ページのところで第3回の会議で資料2の中で記載されていたグラフを引用してございます。

9ページの下部、オのところですが、訪問購入に関しましては、金券やプリペイドカード等で代金の支払いを行い、売買ではなく、交換であるということで主張する事例があるという事例について記載してございます。

10ページからが法の執行等に関する状況ということでございまして、まず「(1)行政処分に関する状況」ということで、こちらの第5回の資料1-1というところで書いてございましたグラフを記載しておりまして、特に10ページの下部のほうでは、社名を変えて繰り返し違反行為をしているという事案数についても引用してございます。

11ページ「(2)刑事処分に関する状況」ということで、こちらも第5回の資料1-1に記載されていた表を引用して記載してございます。

ここまでがこれまで示された資料から事実レベルで記載しているところでございますけれども、12ページからが提言的なところに入ってくるわけでございます。第2で見直しの基本的な視点というところで書いております。これは本専門調査会における調査、審議で、まずどういう観点からというところで、これまで議論の中で端々に出てまいりましたポイントを整理してございます。

マル1として、高齢化の進展を始めとする経済社会情勢の変化への対応というところ。

マル2として、特定商取引の複雑化や多様化への対応というところ。

マル3として、悪質事業者の手口の巧妙化・複雑化への対応というところ。これはさまざまな論点にかかわるところとして共通する視点を取り上げてございます。

そして、以下においてはというところでございますが、これらの観点から調査審議を行った結果として、委員会の意見で一致した点を中心に今般の見直しにおいて措置すべき具体的な事項ということを書いてございます。

すなわち、一致点というものを中心にして、議論経過も書いていないわけではございませんで、基本的には要旨を書いて紹介してございますけれども、中心は一致点を記載していくということで書いてございます。

第3からが具体的な事項でございます。

まず「1.分野横断的な事項」ということで、まず「(1)法の規制対象の拡大(『権利』の取扱い)」ということで書いてございます。

ここは中間整理にも書かれていたところでございますけれども、上から4行目のところで、権利販売として問題となっている取引について、原則として特定商取引法の訪問販売における規律を及ぼすべきということで書いてございまして、規制の後追いを防ぐという観点から、その指定権利制というものの見直しをすべしということで一定の合意があったということですが、さらに法制的・法技術的な観点からの検討が必要ということで考え方を書いてございます。

具体的な事項のところでは、3行目ですが、指定権利制のために生じる規制の後追いという問題をまず解消するということで、現在、規定されています「商品の販売」「役務の提供」「権利の販売」、こういう概念を整理して位置づけを明確化することが必要ではないかということを書いてございます。

また、個別の論点として議論されておりました両替につきまして、12ページの一番下のところで書いておりまして、外国通貨の両替については、解釈を見直して商品の販売と同様に扱うこととして規制対象とすべきではないかということを書いてございます。

13ページから「(2)勧誘に関する規制について」のところを記載してございます。

まず、基本的な考え方の最初の段落でございますけれども、これは前回の議論のところで一致点として確認したところでございまして、法執行の強化や自主規制の強化、相談体制等の強化・充実、情報共有・連携の促進、高齢者被害対策の強化、消費者教育の推進ということで、まず項目を最初に一覧するような形で挙げてございます。

「また」というところで次の段落ですが、3行目に書いてございます過量販売解除権の導入や行政処分の効力の強化、報告徴収・立入検査等の強化、あるいは罰則の引き上げといったところで、この論点以外のところで盛り込まれているさまざまな対応、こういったものを合わせて実施することで抑止力を確保していく。

さらに、発生した被害の対応として、相談体制の強化・充実ということがありますが、消費者側の事情があることも考慮しつつ、あっせん率の向上というのが重要であるということも記載してございます。

そして、3段落目で、実施についてですけれども、そうした意見の一致を見た取り組みについては、国、地方公共団体、国民生活センターあるいは地域の消費生活センター、民間団体、事業者というところで相互に連携協力して前に進めていくということが必要ではないか。その結果として、特商法の目的の達成に向け、成果を創出し、その成果について検証が加えられることが期待されるということで書いてございます。

その次の段落が一致していない点でございますけれども、法改正における訪問販売・電話勧誘販売の勧誘行為の規制強化あるいは「特定商取引に関する法律第3条の2等の運用指針」、これは断り文句をどのように解釈するかというところでございますけれども、そうした解釈の見直しの必要性については、委員間で共通認識が形成されるには至らなかったところでございます。

これらの点については、将来において必要が生じた場合に検討を行うことが期待されるということで書いてございます。

ただし、その際にということで、本専門調査会における議論内容、これはさまざまこれまであったところでございますけれども、それはもちろんでございますし、あるいはヒアリングも行いました。集中的な受け付けも行いましたところでございます。そうしたところを踏まえて検討することが必要であるということにしてございます。

それぞれの項目についての具体的な事項というところで、13ページの下部から書いてございます。

最初に書いてございますのは、法執行の強化でございますけれども、これは別途執行に関する提言を行っているところでもありますが、それの措置の実現、十分な活用とともに、さらに14ページの頭のところですが、悪質事業者への対応というところでは、消費者行政部門と警察当局との連携、あるいは国、都道府県レベルにおいて、そういった連携促進のための具体的な取り組みというところが期待されるということを書いてございます。

次の段落で書いていますのが自主規制の関係でございますが、まず、特定商取引法上の自主規制団体としては、日本訪問販売協会、日本通信販売協会がございますが、その他、業界団体も含めまして関係機関との連携のもと、努力義務である勧誘受諾意思確認のさらなる励行や、現在行われている会員企業の法令遵守というところに向けた取り組み、会員企業の苦情対応等の活動を着実に進めることが期待されるということでございます。

また、会員企業に対する苦情相談情報等の共有や、行政機関と民間団体の間の情報共有・連携、これは国民生活センターも含めたお話もございましたが、そういったものを積極的に進めることが必要ではないか。また業界団体が会員企業の質を維持しつつ、会員企業の増加に向けた取り組みを進め、関係行政機関との協力のもとで、それらの取り組みの効果を検証するための制度設計を行うことが期待されるとしてございます。

会員外の非会員企業についてですが、これもさまざまな手法があるというところで、消費者団体などの民間団体のチェック機能も活かして、法令遵守を徹底させる取り組みを進めることが期待されるということで記載してございます。

また、消費者トラブルが生じた際の対応というところで、相談を受け付ける全国の消費生活センターあるいは消費者行政部門というところについて、未然の深刻化の防止、早期発見というところで、その相談体制の現状というものをまず見直した上で、必要がある分について必要な強化・充実を図ることが重要であるということで書いてございます。

その際には、そのような地方公共団体への支援ということも期待されるところでございます。

また、国民生活センターあるいは消費生活センターについては、消費者の自主的な解決能力の向上ということも配慮しつつではございますが、あっせん率の向上や相談後の解決状況へのフォローアップ、あるいは聞き取り強化等による相談収集や情報提供の一層の充実、さらには相談情報の分析の精緻化ということも求められるところでございます。

また、悪質事業者からの働きかけ等への対応についての教育・啓発が十分にできていないということが消費者被害につながっている場合もあるものと考えられますので、こういったところについては、消費者の心理も踏まえた上で消費者教育の推進というものが重要になってくるのではないかということを記載してございます。

最後の段落では、高齢者被害への対策ということで書いておりますが、4行目のところで、いわゆる見守りネットワークの活用を含めた地域における連携というものが必要ではないかということも書いてございます。

15ページからが「(3)クレジット・金銭借入れ、預貯金の引出しを勧める行為等」というところでございます。

まず、具体的な事項のところに入らせていただきたいと思いますけれども、こちらでは虚偽申告を行うように唆す行為、これを指示対象とすべきではないかということを書いてございます。

他方で、連れていく行為については、消費者の求めに応じて同行する行為あるいは自力で移動することが難しい消費者を助けるために同行する行為、そういった不適切とは言えない行為を除外した上で指示対象行為として規定すべきではないかという方向性について議論されたところでございます。

勧める行為についてですが、これについては、単に勧める行為というものは指示対象とすることは適切ではないが、他方で、事業者からの消費者に対する積極的な関与というものが認められる場合に、対象を限定して、営業一般に与える影響を最小限度とするということを検討していくべきではないかということがございましたので、そういったことを書いてございます。

15ページの下部で、個別分野取引のほうですけれども、まず「ア.アポイントメント・セールスにおける来訪要請手段」を書いてございます。

具体的な事項のところは、前回の議論を踏まえて、議事録なども見まして書いてございますけれども、まず、現行法の適用が困難な事例への対応、先ほどの少し脱法的な事例への対応ということです。現在、既に政令で指定されている方法での来訪要請と連続して行われる対面での勧誘目的を告げない来訪要請。これによって誘引された者が行う取引については、アポイントメント・セールスの規制を及ぼすようにすべきではないかということでございます。

また、SNS・電子広告についても御議論がございました。この点については、販売目的を隠匿したまま呼び出して不意打ち的な勧誘を行うといった勧誘に至るまでの不当な方法を一体として捉えることが重要である。その上で、正常な経済取引を阻害することがないように規制すべき不当な方法は厳格に捉えつつ、来訪要請手段については、取引に活用されている現在の通信手段の変化というものに応じて柔軟に対応すべきということで、SNS・電子広告といった手段についても来訪要請手段として規制が及ぶようにすべきではないかという御議論であったかと思います。

16ページ(2)で通信販売の関係ですけれども、ファクシミリ広告への対応でございます。ここは中間整理で整理されていたところでございますけれども、具体的な事項として、まずファクシミリ広告について行政庁による行政処分の対象として位置づけることが適当であるとしてございますが、他方で、事前に承諾をしていた消費者に対するファクシミリ広告、あるいは既存顧客等に対するファクシミリを用いた連絡といったものについては制限されるべきではなく、適用除外等の措置が講じられることが適当ではないか。さらには、何がそれに対して規制対象となって、何が規制対象とならないのかということも示していくことが望まれるということを書いてございます。

虚偽・誇大広告についてですが、これは前回、最後、沖野委員がまとめていただいたところも踏まえまして書いてございますけれども、虚偽・誇大広告に関する取消権の付与というところについては、誇大広告ではなく、虚偽広告によって誤認した場合のように限るという方向での議論や、訪問販売における取り消しに関する規定というものを踏まえた要件等が提案されて議論されたところでございますが、全体としては意見の一致を見なかったということで書いてございます。

これについては、現行法の規制の執行等、あるいは景表法や消契法の関係も議論されておりましたので、そうしたものの状況も踏まえながら、必要に応じて検討が行われることが期待されるということにしてございます。

17ページで、「ウ.通信販売事業者の表示義務」のところでございます。これは割賦販売法の関係で、割賦販売小委員会の報告書の関係を中間整理で書いていたところでございますが、これについては、現在、経産省のほうで割賦販売法の見直しに向けて所要の検討が行われているという状況でございますので、こちらでの表示義務をどうするかという点については、同法の改正の進捗を踏まえた後、必要に応じて検討が行われるべきということで記載してございます。

また「エ.インターネットモール事業者の取扱い」のところでございますが、これも中間整理の段階で、現時点において直ちに特別な義務を課す必要はないと思われ、今後自主的な取り組みの成果やトラブルの推移等を見ながら、必要に応じて別途検討ということで書いてございます。

「(3)電話勧誘販売に関する事項」でございます。

「ア.過量販売解除権の導入」ということを記載していまして、中間整理と基本的には同じ趣旨でございますけれども、まず、過量販売解除権の導入が行われるべきという基本的な考え方のもとに、具体的な事項を記載しておりますが、解除権の導入とは並行して、他方、取引の安全にも配慮する必要があるという中で、現在の訪問販売におけるものと同様に、消費者がそれを必要とする特別な事情があった場合、あるいは消費者の累積の商品購入状況を知らなかった場合等については、解除を行うことができないようにするべきであるとして、また、通常必要とされる分量を著しく超えるか否かの判断についても事例ごとに行われるものではございますが、萎縮効果が働くことのないように、関係機関によってガイドライン等が整備されることも望まれるということを書いてございます。

18ページ、(4)特定継続的役務提供のところでございます。ここは美容医療への対応で議論されたところでございまして、後半での議論を踏まえまして具体的な事項の3行目のところですけれども、「美容の向上を主たる目的として行う医療行為」を規制対象として、具体的に対象となる役務について列挙していくという基本的な方向性を示しまして、さらに、この方向性のもとに損害賠償額の上限額、通常生じる損害の額といったものと合わせて関係する事業者等の意見を聞きつつ、さらなる検討が行われることが必要ということで書いてございます。

また、改正の広報に当たって、美容医療といわゆるエステというものの区別も留意すべきということも御議論で出てございましたので、その点も記載してございます。

(5)で「訪問購入に関する事項」を記載してございます。先ほどの交換という問題についてでございますけれども、19ページの上のところでございまして、売買契約が成立した後に、その支払い手段として金券が用いられた場合。そういったものを代物弁済として評価できるような場合。こういったものについては、訪問購入の規律が及ぶということを現場において混乱が生じないような形で解釈については明らかにしていくということが必要ではないかと書いてございます。

なお、いわゆる物々交換については、現状ではそれほどの相談事例が存在していないということでございますけれども、これについても脱法的なものについては厳格な対応が必要ではないかということで書いてございます。

19ページ「3.執行に関する事項」を書いてございます。

まず、行政処分の強化でございます。これも中間整理で第5回の議論を踏まえて書いていたところでございますけれども、執行について現行の制度を潜脱するというものについて本来の効果がきちんと働くようにするべきということで書いてございますが、事前参入規制の点については、慎重な制度設計をという議論もありましたけれども、現時点、本専門調査会では意見の一致を見るには至ってございません。

そこで、具体的な事項でございますけれども、1行目のところで業務停止命令、処分を受けた事業者の役員等が新たに別の法人で同種の事業を行う。これが禁止されるような形で必要な措置を講じることが望まれるというようにしてございますし、また、運用面についても、そういったものに対処すべく、事業者に対して他の法人の役員等の兼任状況の報告を命ずる、そういった工夫が必要ではないかということも書いてございます。

2段落目は業務停止命令の期間についてですけれども、現在、最長で1年ですが、より長期間市場からは排除するということができるような法的措置ということについて期待されると書いてございます。

次の段落で都道府県知事による行政処分の効力を都道府県の区域を超えて及ぼすことの可否ということでございます。そういった行政処分の効力を広げていくということについて、1つは都道府県のリソースを積極的に活用する、そういった観点。あるいは効果的な行政処分をするために、情報の収集分析というところで実行できるような体制を充実させていくという観点も含めて、さらに検討を進める必要があるということで書いてございます。

「(2)報告徴収・立入検査等の強化」ということでございますけれども、報告徴収・立入検査というのは、執行の前提となる権限となるわけでございますが、虚偽報告や検査忌避というものに対する抑止力の強化が必要というところでございます。

具体的な事項でございますけれども、まず罰則の引き上げというものが1つ考えられるところでございまして、さらに3行目、4行目のところですけれども、そういう虚偽報告や検査忌避が行われたことを理由とした行政処分というものも必要な措置がなされるべきではないかということを記載しております。

また、密接関係者というところでございまして、現在、政令で列記をされている者以外の、関係を有する事業者等というところで、実際にはそういったものでも深く関与、指導しているという例がございます。そういうことを受けて、立入検査の対象となる密接関係者の範囲というものを広げるような必要な政令改正が行われるべきである。また、立入検査において関係者に対して質問するということもできるようにすることが必要ではないかということを対応として書いてございます。

その他ですけれども、インターネットの普及や悪質事業者の手口の複雑化・巧妙化に対応してというところで、必要な制度的措置をということで書いてございますが、21ページの具体的な事項のところで、まず1つ目の段落は、所在地が不明な違反事業者に対する行政処分というところで、いわゆる公示送達による行政処分という規定を特商法上に整備してはどうかということで、必要であると書いてございます。

2段落目はプロバイダに対する違反事業者のウエブサイトの削除要請というところですが、これにおいては、政府において関連事業者等の意見も聞きつつ、検討が行われるべきということで書いてございます。

さらに、レンタルオフィス、バーチャルオフィス等のサービスを提供する事業者の関係ですが、こちらは犯罪による収益の移転防止に関する法律というところでの本人確認義務というものがございますので、そうした本人確認義務の適切な監督ということが期待されているということを書いてございます。さらに、全体として、罰則の強化というところでは、適切に抑止力が働くようにということで書いてございます。

最後、「おわりに」のところでございますが、22ページの一段落目ですけれども、これは今回の報告書の提言内容ということで、政府において専門的・法技術的な見地から検討を行った上で、その実現に向けて最大限努力ということを期待したいと書いてございます。

また、各論で少し出ている部分もありますが、消契法の見直しの成果も踏まえた適切な対応ということを記載しております。

3段落目は、新たな規制の導入に当たっての周知、説明という観点について触れてございまして、これについては官民での連携ということによる実効性確保ということも書いてございます。

最後の段落で、初めにでも述べたとおりというところですけれども、今回は法改正による対応が必要事項等を中心に調査審議が行われてきましたが、中には政省令について議論された部分もございます。そういった政省令事項については、さらに関係事業者の意見も聞いてというところが美容医療のところとか、さまざまな論点において残されているところでございますので、これらの事項については、引き続き関係事業者等の意見を聞きつつ、適切な検討を行うことが必要であるということを書いてございます。

事務局からの説明は以上でございます。

(2)意見交換

○後藤座長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの説明の内容を受けまして、意見交換を行いたいと思います。

目次を御覧いただきたいのですが、「第1 消費者トラブルの現状等」という部分、第2に「見直しの基本的な視点」の部分、これは「第3 措置すべき具体的な事項」と関連しておりますので、ここでの議論は「第3 措置すべき具体的な事項」を中心に御議論いただきたいと思います。第1、第2の部分については、第3の御議論の中で適宜言及していただくという形で議論を進めたいと思います。

それでは、「第3 措置すべき具体的な事項」のうち「1.分野横断的な事項」、(1)、(2)、(3)と分かれておりますけれども、これをまとめて扱いたいと思います。

それでは、第3の1の部分、ここについて御意見、御質問のある方は御発言をお願いいたします。阿部委員、よろしくお願いします。

○阿部委員 中身に異論があるわけではなくて、どうするのかというやや細かい質問です。14ページの2段目の後ろのほうに、「また、非会員企業に対しても、消費者団体などの民間団体のチェック機能を活かし、法令遵守を徹底させる取組を進めることが期待される」とございます。これは具体的にどういうことが考えられているのでしょうか。

○後藤座長 事務局はいかがでしょうか。

○事務局 ここは前々回の議論のところで自主規制の及ばない非会員企業をどうするかというところでさまざま御議論いただいたところで、事業者、消費者の情報共有も含めた挟み打ちのような形で対応するということもいろいろ意見として出てきてございました。消費者団体は広く存在してございます。日々の消費者団体のウオッチの機能ということもございますし、あるいは適格消費者団体による差し止めというものもあるかと思います。そうした日々の消費者団体の活動によって非会員企業についても取り組みを進めていくことが期待されるという趣旨でございます。

○後藤座長 阿部委員、お願いします。

○阿部委員 民間団体のチェック機能として、何か特段の今やっていないことが考えられるということですか。

○後藤座長 事務局、お願いします。

○事務局 ここはもし何かこの場でアイデアがあればというところではございますが、議論の整理としては、具体的なものまで念頭に置いているわけではございません。

○後藤座長 この点に関して、何か御意見はございますか。

野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 今、阿部委員が指摘した制度設計に絡むところですけれども、制度設計と非会員企業、論点が2つある。効果の検証をするための制度設計。ここでは、いろいろな自主規制団体とか民間にしっかりこれまで以上にみずから規制強化をしていただいて、その励行に努めてほしいという趣旨で書いてあるところですね。それを検証するための制度設計。これは阿部委員の指摘、そのとおりでありまして、制度設計と言っても、ふわっとしていて、よくわからないです。しかもその前に「関係行政機関との協力の下で」と書いてある。こういう文書はいつもあえてわかりにくく書いているところもあるかもしれないけれども、これは行政機関が検証するのかとも誤解を与えかねない。ですから、ここはボランタリーな自主規制団体というか民間が取り組むものについては、民間がそれぞれの判断でチェックして検証すればいいのであって、行政機関が検証するかのような、行政機関が検証するための制度設計を行うかのような表現はおかしい。ここは誤解のないように、ボランタリーの自主規制団体の取り組みについては、それぞれの団体がさらなる徹底を図って、それぞれPDCAを回してもらって徹底してもらうということを書けばいいのだと思う。ぜひわかりやすく修文していただきたいと思います。

また、非会員企業、今、事務局が説明されたことはよくわからないですね。というのは、非会員企業というのは上から下まであるわけです。要するに、会員になりそうな一歩手前の普通の業者から、もともと会員になることなど考えていない悪質な業者もいわゆる非会員事業でありますから、その非会員企業、悪質な連中まで含めて、果たして消費者団体とか民間団体がチェックできるのでしょうか。そういう悪質な連中も含めて法令遵守を守るように民間団体がチェック機能を活かすというのは事実上無理だと思います。もし、非会員企業にしっかりやらせるというのであれば、まさにここにこそ行政機関の協力のもとで、国なり、地方自治体なり、国センなり、各地の消費者センターなり、そういったところが協力して非会員企業、悪い連中ですね。悪い連中については法令遵守を徹底させる取り組みを求めるというのが行政機関の仕事だ。主体的に取り組むのは行政機関の仕事であって、民間団体、ましてや普通の業界団体が非会員企業の法令遵守まで責任を持つような誤解を与える書きぶりはおかしい。これはしっかり訂正、直していただきたいと思います。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ただいま話題になっている点に関して、池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 池本です。

今、話題になっているところに絞って申し上げます。御指摘をお伺いして、なるほどなという点と、それの取り扱いの方向性という両面で申し上げます。まず、非会員企業に対しても、消費者団体などの民間機関のチェック機能を活かすというのが、確かに悪質業者を民間団体が具体的にチェックというのは困難であろうと思いますし、先ほど話題に出た一般の消費者団体や適格消費者団体などは、会員、非会員を問わず、むしろ行政のさまざまな情報提供していただきながら、まさに連携のもとにチェック機能を活かすという意味はあるのではないか。その意味では非会員企業に対してもという言葉がついていると、その役割分担のイメージがずれてしまうのかなというところはおっしゃるとおりだと思います。

他方で、事業者団体が非会員企業をチェックするという直接の役割ではないということは御指摘のとおりだろうと思います。逆に業界団体の会員企業さんについては、業界団体として、きちんと質を維持、向上していただくということがまさに期待されるところですが、それは単に期待するということだけではなくて、そういう取り組みを例えば相談窓口に来た中の会員企業分、非会員企業分を分けたデータを公表していただくとか、そういう情報を開示していただく中で、外からまた取り組みの様子が確認できるようにという意味での検証するための制度設計というのが、これでは抽象的なのかもしれませんので、そういう意味で、業界団体としての役割、行政の役割、消費者団体側の役割というように少し整理をする必要はあるかなと感じました。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

今の点について、ほかに御意見はございますか。

佐々木委員、よろしくお願いします。

○佐々木委員 今回の資料の資料2-1に私のほうの意見を出させていただいております。4番目、自主規制についてということで申し上げておりますけれども、もちろん会員企業に対する自主規制。これは当然自主規制団体としてやるべきもの。ただ、そもそも論として電話勧誘販売そのものの業界団体と私どもは違いますので、通販の団体として、電話勧誘販売をやっている一部の事業者に対しては、こういうことがあったということをもちろん徹底はさせたいと思いますけれども、電話勧誘販売全体を私どもが自主規制するというわけではなくて、私どもはあくまでも、通販の団体として、電話勧誘販売を行っている事業者に対して、そういう議論をするということは当然だと思っています。公的機関の監視という体制の制度設計ということは非常に私ども違和感がございます。あくまでも自主規制の中で業界団体としてやるべきことであり、それを行政が監視体制、制度設計をするような言葉の表現には非常に違和感を覚えます。

あと当然ですけれども、会員企業以外に対しては、これは当然企業の自由の活動の中で、私どもの及ぶところではございません。先ほど野坂委員がおっしゃっていた、会員になる直前の方は、私どものセミナーというのは、基本的にはほとんどの場合オープンにしておりますので、業界紙等に載せますので、そのセミナーを受けていただくとか、法令とか、それは基本的には一般にも公開しているものですから、それはお受けいただけると思いますし、そういう努力をする人たちに対してはそういうチェックをしますと。

あと、私ども広告適正化委員会というのがございますので、そこは定期的に広告物をチェックしておりまして、それは会員企業、非会員企業含めてやっています。そういうことについて、非会員企業の場合にはその方に通知するということはしますけれども、実際にその企業が守る、守らないというのは私どもが完全に管理するところはできませんので、そういう自主規制を行っておりますけれども、それ以上のことを行政として制度設計を行うということについては非常に実務としては難しいのではないかなと思っています。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

村座長代理、よろしくお願いします。

○村座長代理 14ページの第2パラグラフの一番最後のセンテンスの部分なのですが、今、いわゆる非会員企業であるとか、悪質なところについては、民間ではどうしようもないみたいな話題が展開されているのかなというように伺ったのですが、一番最後のセンテンスの、また、非会員企業に対しても消費者団体などの民間団体のチェック機能を活かし、法令遵守を徹底させる取り組みを進めることが期待されるという部分なのですが、ここで言っている消費者団体などの民間団体のチェック機能というのは、もしかすると適格消費者団体の差し止めなどをイメージした記述なのかなと思いまして、もしそうだとすれば、業界団体に組織されている業界の方とか、今、佐々木委員から御指摘があった、今の段階は未加入なのだけれども、加入を考えているところは、例えば業界団体の取り組み等々で改善し、法令遵守ということが期待できるわけですが、入る気のない悪いところというのは、確かに期待できないですね。ですから、適格消費者団体の場合には特商法についても差し止めの権限が認められておりますので、こちらの文脈でより適格消費者団体の差し止めへの取り組みということが推進されることによって、法令遵守が徹底されることになるのではないかという文脈であるとすれば、まさにそのとおりであるというように思われるように感じます。

ただ、この記述だけだと、そこがうまく読み取れないというところがありますので、民間団体が果たして何ができるのですかという疑問が出てきてしまうおそれはあるのかなと思うので、ここは例えば適格消費者団体による差し止めなどというようなことで例示を入れていただくとかして、少し意味を読み取りやすくしてはいかがかというように感じました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ほかにこの話題について、御意見ございますでしょうか。

高芝委員、よろしくお願いします。

○高芝委員 ありがとうございます。

関係行政機関との協力のもとで自主的な取り組みの効果を検証する制度設計というのは、分かりにくい表現のように思いました。ここで、関係行政機関というのがどの機関を念頭に置いているかは不明ですが、いずれにしましても、もし、事業者が自主的に行う取り組みの効果を関係行政機関が外部から検証するということとなりますと、それは自主的な取り組みの趣旨に馴染みにくいのではないかと考えています。関係行政機関には、事業者の自主的な取り組みを外部からチェックするというよりは、これを一層支援していただくという方向で努力していただくと有り難いと思います。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

鈴木委員、よろしくお願いします。

○鈴木委員 先ほど高芝委員がおっしゃったように、自主規制の効果が上がるように行政機関が協力をして環境整備を一緒にしてくれるというほうが適当であると考えます。あくまで自主規制ですので、団体として精一杯のことをやるのはもちろんですが、それをさらに実効性のあるように環境整備を関連部署と一緒になってやっていくというような表現のほうが適切であると思います。

○後藤座長 花井委員、よろしくお願いします。

○花井委員 お願いします。先ほど鈴木委員が言われたことはまさにそのとおりだなと思っています。やはり効果が上がる、実効性が上がるように行政が協力していくということはとても大事かと思います。

前回の取りまとめ議論の最後に、私が質問したのですが、自主規制の実効性が上がらないことがわかったとき、一定期間後、また見直しをするようなことも取りまとめに入るのですかという質問をいたしましたところ、座長が、そのように考えているということをおっしゃったかと思うのですが、ここの表現の中ではそういうようには読み取れないものですから、そういうところも入れていただきたいことが1つです。

あともう一つは、適格団体の差し止めを非会員企業に行ってはどうかという御提案を皆さんからいただいております。確かにそれは制度としてはそうではあるのですが、実態としては例えば登記をしていないようなところに対して差し止めができるのか、効力があるのかというところが我々実際差し止めをしている団体としては、苦慮しているところでです。今までの議論でも、悪質業者は法律をつくっても守らないのだから意味がないという指摘がさんざんありましたけれども、それと同じように、適格団体の差し止めというものも最終的には裁判までやらないと差し止めができないわけで、非会員であるような事業者に対して差し止めだけで実効性があるのかというのは非常に難しいかと思います。それがしてはいけないとか、そんなことでは全然ないのですが、実態としては、そういうことは理解いただきたいなと思います。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 今、花井委員が指摘したところは大変重要だと思うのです。我々、悪い連中をなるべく迅速に食いとめることが目的でありますので、時間がかかる手段というのはなかなかツールとしてはどうなのかなと思っております。

ここの趣旨は、そういう適格消費者団体のことが入っているかどうかわかりませんけれども、それよりも先ほど私が申し上げましたように、国とか地方自治体とか国センとか消費者センターなどが法令遵守の最初の一歩というか、二歩の段階で悪い連中に指導して被害を拡大しないようにするということのほうが先決であって、何か被害がすごく広がってきて、それで適格団体が裁判を起こすという、そこまで至る前にやらなければいけない。それが非会員企業に法令遵守させる一番のポイントだと思う。ですから、ここの書きぶりについては繰り返しませんけれども、そういう行政機関が主体となって民間の事業者とか消費者団体と協力しながら、非会員企業の法令遵守について、それは上から下までピン切りですけれども、特に悪い連中の悪さを未然に防止できるように頑張ってほしいという趣旨がここに入っていると私は理解している。そういう書きぶりにしていただければと思います。

○後藤座長 杤原委員、よろしくお願いします。

○杤原委員 「業界団体は会員企業の質を維持しつつ、会員企業の増加に向けた取り組みを進める」という表現は、誰が誰に対して言っている文章なのか主語を明確にしていただきたいと思います。

佐々木委員の団体は既に再三皆様方の前で自主的取り組みをすると言っており、これからも引き続き取り組みますと宣言をされているわけです。それに輪をかけて業界団体は会員企業の質を維持しつつ、会員企業の増加に向けた取り組みを進めるという、半ば命令形となっている文章の主語を明確にしていただきたいと思います。この段落は全般的に主語が全部抜けているものですから、各委員の間でも共通認識ができないのではないかと思っています。

野坂委員がおっしゃられたように、本来法令遵守については、消費者庁をはじめとする行政庁にしっかり取り組んでいただくべきであります。それに加えて、業界団体があり、法令を遵守し、質を自主的に高めるものだと思います。いずれにしても、結論としては行政庁や事業者や消費者団体などがみんなで取り組んでいくべきというのが結論だと思います。自主的取り組みのチェックも含めて消費者団体などがというように書かれてますが、先般来の国民生活センターが出されている資料を拝見すると、処理結果の未記入が5万件あるような状態ですので、まずは国民生活センターの質を高めていただくのが先決だと思います。国民生活センターなどはそのままで、自主的に取り組んでいる業界団体だけチェックを受けるという書きぶりについては、極めて違和感を持っております。

もう一つは、非会員企業と書かれてますけれども、業界団体に入られている企業というのは再三申し上げているとおり一部であります。組織率というのは低く、加盟企業数も限られているわけですので、凡そが非会員企業というものであります。それをくくって非会員企業イコール悪質事業者がかなり存在するというような書きぶりというのは、善良な事業者に大変失礼な言い方ではないかと思います。あくまでターゲットは悪質事業者であり、広く一般に消費者教育に取り組み、法令遵守を訴えることはよろしいかと思いますけれども、非会員で世の中に多く存在する善良な企業に対して何かを強制したり、チェックするようなことは、越権ではないかと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 今の杤原委員の御指摘ですが、ここはそれぞれ具体的な事項を13ページ末から14ページにかけて、それぞれの取り組み主体は書き分けてあるというように理解しています。13ページ末から14ページの頭で行政機関が法執行の強化によって対象にすること。ここは悪質な事業者という言葉を使って、まさに法令違反をした事業者については行政がしっかりと対応してくださいということがあります。

2番目は、悪質とか善良という言葉ではなくて、業界団体として会員企業に対する質の維持向上ということ、非会員企業に対してどうするかということが出ているところで、ここは別に非会員イコール悪質という評価はしていないと思います。

その次の段落で、ここでも話題になった、消費生活センターの相談情報の精度を上げるということを期待するということが触れてあるというように、それぞれ場面、分野を分けて、期待されるという言葉の主語はこの調査会が期待するということになるのでしょうが、業界団体としてやってもらうこと、行政機関に対してやってもらうことというように、それは書き分けてありますから、今おっしゃったことは必ずしも当たらないと思います。

ただ、その中で、この「業界団体は」から始まるところの一番最後に、非会員企業に対してもというところだけが消費者団体などの民間団体のチェック機能という書きぶりになっているので、ここが整理としてどうかなという、先ほどから話題に出ているところですね。民間団体のチェック機能ということで言えば、会員、非会員を問わず全体ということになるでしょうし、非会員に対してということが最も広い意味でのチェック機能ということになれば、あるいは業界団体としても先ほど申し上げたように110番で入った中で会員、非会員を分けて、情報を開示していただくことによって、それも行政としての取り組みの手がかりになるとか、そういうような意味で、最後の2から3行のところは表現を書いていただく必要があると思うのですが、大きな枠組みとしてはこれでよろしいのではないかというように理解しています。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

河野委員、よろしくお願いします。

○河野委員 私も今の池本委員の考え方の整理に賛成です。今回の勧誘に関しては、さまざまなやり方といいましょうか、方策を今現在、意見の一致を見たところで、最大限にうまく組み合わせることで、消費者保護を図り、契約の適正化も図るということだと思います。そう読んでいくと、今、議論している事業者団体の皆さんの自主規制に関しても非常に期待するところは大きいと思います。非会員企業の皆さんに対しては、消費者団体などの民間団体のチェック機能のことだけがここに書かれてしまいますと、私たち消費者団体も大きな責任を負わされている状況になると思います。

何か消費者トラブルが起こったときに、消費者はまずどこに相談するかというと、ほとんどが商品やサービスの提供元であるメーカー等の事業者、その勧誘や販売を行う販売店や代理店等に相談しまして、あとは行政の相談窓口等に相談する。消費者団体に相談する数というのは非常に小さいです。ですから、非会員企業に対してというところで言えば、もし書いていただくとすると、消費者志向経営の推奨や適格消費者団体などの差し止め訴訟等を通じてというような、これは悪質な事例が実際にあったという前提になりますが、それ以前に多くの非会員企業の皆さんにも、ぜひ円満な契約に向けて消費者志向経営というのをしっかり自覚してもらう、そんなような趣旨でここに書いていただきますと、必ずしも非会員企業の皆さんが悪質であるという形には読めないというように感じました。

○後藤座長 ありがとうございました。

事務局からよろしくお願いします。

○事務局 今、御議論いただいていたところですが、御議論を聞いておりますと、委員の皆様では認識がある程度共通されていたところ、事務局の表現不足で混乱を招いているのかなと思います。まず消費者団体などの民間団体のチェック機能を活かすというところにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、差止訴訟も含めて適格団体への活用も含めて広く考えていたところでございますが、他方、野坂委員がおっしゃったように、行政機関や業界団体、事業者側の取り組みの連携というところも否定している趣旨ではございませんで、全体として先ほど池本委員がおっしゃったように、最初に行政による執行を書いてからこの自主規制のところを2段落目で書いて、3段落目でさらに消費者相談現場というような書き方をしているので、どちらかというと民間のことを念頭に置いていたがためにそういう表現になっていたところでございますので、ここは民間団体に限らず連携というような表現を考えたいと思っております。

その前、あわせて議論されておられましたけれども、効果を検証するための制度設計というところですが、ここは前回の御議論で実効性を確保していく、高めていくという御議論があったときに、ただ、単に実効性を高めるというのではよくわからないのではないか。制度設計をちゃんとしていくことが必要ではないかという御議論があり、また、一方で、今日も池本委員がおっしゃっていましたけれども、そういう行政機関との情報の連携ということもそういうものの1つになるのではないかということでこういう書き方になっておるところでございますが、関係行政機関の協力のもとでというのが逆に行政主導というような印象を与えるということであれば、そこは表現を見直したいと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

ただいまの事務局の御説明で概ね御納得いただいたということでよろしいですか。なお何か重ねての御質問あるいは御意見がございましたらお願いします。

杤原委員、よろしくお願いします。

○杤原委員 検証の対象というのは、本専門調査会に出席されている訪販協と通販協以外にあるのでしょうか。

○後藤座長 事務局、よろしくお願いします。

○事務局 前回の議論では、特商法上の位置づけとしては訪問販売協会、通信販売協会があり、ここは鈴木委員、佐々木委員に取り組みを御説明いただいたところですが、必ずしもそこに限らず各団体で自主規制については取り組んでいただくということではないかと思いますが、ここはもし違うということであれば少し御議論いただければと思います。

○杤原委員 質問の趣旨は、自主的取り組みの効果を検証すると書いてしまった場合に、本専門調査会に出席されている佐々木委員と鈴木委員以外の団体にもその効力が及ぶのかどうかということです。訪販協と通販協以外の団体は、何も聞いておられません。検証されてもいいとおっしゃっているのか、確認はとれているのでしょうか。

○後藤座長 事務局として何かございますか。

○事務局 ここで書いてございますのは、まず14ページの最初の当該段落のところですけれども、これは特商法上の自主規制団体である訪問販売協会、通信販売協会、その他の業界団体ということで、その取り組みが期待されるということで書いてございます。これはこの専門調査会で委員の皆様がそういう御議論として期待するということであったかと思います。

また、今の検証というところですけれども、先ほども私が申し上げましたとおり、関係行政機関との協力のもとでということが書かれておりますので、先ほどの行政主導のように捉えられるというところは表現を改めるということでございまして、ただ、実効性を高めるために、ボランタリーに自らということかもしれませんが、その効果を検証していく必要があるということは前回の議論にあったのではないかということで整理しているところでございます。

○後藤座長 よろしいでしょうか。

佐々木委員、よろしくお願いします。

○佐々木委員 この前段のところに「努力義務である勧誘受諾意思確認の更なる励行を含め」とありますね。ということは、努力義務をされているかというのを検証しようということなのでしょうか。

○後藤座長 事務局、いかがですか。

○事務局 事務局として何か考えがあるわけではありませんが、前回の議論を整理したところでございますと、そういう自主規制としてさまざまな取り組みをされていくべきだという御議論があり、その中で勧誘受諾意思確認についても取り組みをされていて、それを励行すべきだという御議論もあったと思います。それを引用して記載しているわけでございますが、ただ、検証としては、先ほどの制度設計というところですけれども、どのような制度設計をするのかというのはもう少し詰めなければいけない。野坂委員がおっしゃっていたので、その制度設計ということをまず行うことは期待されるということで、ここは検証を行うことが期待されるとは書いていなくて、検証するための制度設計を行うことは期待されると書いているのは、前回の議論を踏まえて書いているという趣旨でございます。

○後藤座長 佐々木委員、よろしくお願いします。

○佐々木委員 少なくとも特商法上の自主規制団体である訪販協、通販協、その他の事業団体、業界団体という表現がありますけれども、これは杤原委員がおっしゃっていたような、あらゆる関係する業界団体も含んでいるということになってしまうと思うのです。さらに、励行されるのを検証するのか、努力しているのを検証するのかということについては、この文言の中では、反対に言うと努力することを検証する必要があるのかと思うのです。

○後藤座長 そろそろ、時間が結構経過していますのでまとめたいと思うのですが、事務局で御説明いただいた内容で、概ね疑問は解消されたのではないかと私は理解しておりますけれども、なお残っている部分があることは確かでありまして、杤原委員、何かございますか。

○杤原委員 済みませんが、ここは明確に答えていただきたいと思います。現在の報告書(案)では通販協と訪販協、その他の業界団体というように、その他の業界団体も入ってきてしまいます。このままいきますと、中身が不明確なまま検証するための制度設計を行うことが期待されるというように、検証の中身と仕組みがわからないままに、過度な検証の仕組みを義務化してしまう結果にならないとも限らないわけです。その他の業界団体の人たちは、検証の仕組みについて何とおっしゃっているのでしょうか。ここを了としておられるのか、ただ事務局が聞いていないだけなのか、あるいは佐々木委員と鈴木委員の所属されている業界の発言だけをもって了とされているのか、そこを明確にお答えいただきたいと思います。そうでないと賛否を意思表示できません。

○後藤座長 このその他の業界団体というのは、ここを扱った議論のときに、その他の業界団体という言葉は出てきていたのかどうか、済みません、私、今はっきり記憶していないのですが、それに基づいて事務局でおまとめになったということなのでしょうか。

○事務局 事務局としては、必ずしもその2つの団体に限定していたという趣旨ではないと理解していたのです。ですので、そこを含めるかどうかというところに御異論があり、またその検証のところにもそこを含めるべきでないという御議論があるのであれば、事務局でこうしたいということではございませんので、委員の皆さんに御議論いただきたいと思います。

○後藤座長 この点について、池本委員、お願いいたします。

○池本委員 池本です。

ここは何も検証に応ずることを義務化するとか、そういう義務の話ではない。もともと自主規制という各業界団体の任意の取り組みを期待することですし、ただ一方的に期待するだけではなくて、行政とも連携しながら情報共有したりやってください。ただ、その成果がどうだったか、情報を出したり、あるいは検証のために何かやりとりしたりということに協力が得られない団体があれば、それはしようがないわけで、もともと義務の世界ではない任意の協力を求める世界ですから、逆に2団体だけに絞った施策をここで絞って書き込むというのもむしろおかしな話になるわけですから、その他のところも協力を得られるところには声かけをしていただきたいという意味を込めて、その他の団体というように書いておくことで特段問題はないように思います。

○後藤座長 私もその他の業界団体というように書いておくべきだというように考えていたのですけれども、ここで日本訪問販売協会と日本通信販売協会だけに限定しない表現にしないと、実効性の確保という点で抜けるところが出てくる可能性もあるわけですから、これを書いておくことによって特に問題があるとは考えていませんが、杤原委員がもしそれでもなおとおっしゃるようでしたら、次回、またここの部分について修文の上での表現ぶりについて何か御意見いただくということで進めさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。栃原委員、どうぞ。

○杤原委員 誤解があるといけないので申し上げておきますけれども、私は反対しているのではありません。あくまでここは自主規制の書き方だという事です。佐々木委員の所属されている団体も、鈴木委員の所属されている団体も既に自主規制をしている上で、この専門調査会でさらに自分たちは自主規制をしますというように宣言をされております。今までの自主規制に加えて、さらに徹底しますという一段強い決意表明をされています。自主規制されている業界団体がある中で、それがほかの団体もさらに一歩進んで自主規制に取り組むことになると、当然コストもかかるわけであり、加えて検証という仕組みまでをつくられますと、相当義務的な作業というのも発生するかもしれません。それについてはその他の業界団体の意見を事務局としてしっかり聞いていただいた上で書かれているのですか、という質問をしているわけであります。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

よろしいでしょうか。今の問題以外ですと、大事な問題だと思いますのは、関係行政機関の協力のもとでという表現、これは事務局のほうで先ほど再考していただくということだったのですけれども、今後きちんと自主規制がなされているということの検証についてのイメージがなかなかまだつかめていないところがありまして、私はむしろ自身の理解ですと、まず業界団体の方々を信頼して自主的な規制をお願いし、検証ということになると、業界団体の方も入るけれども、むしろ検証ですから第三者というのでしょうか、行政機関というようにここで言われている表現が適切かどうかは問題があるかもしれませんけれども、業界外の第三者も入れて制度設計するというイメージでいたのですけれども、そこで業界以外の第三者が入らないというような御意見であるとすると、その辺の理解というのは共通認識を持っておく必要があると思っておりまして、この点について、今まで御意見を出していただいておりますが、なお御意見があれば出していただいて。

野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 何度も言っていますけれども、自主的な規制ですから、それを業界の外が入るイメージというのはあり得ないですね。自主的なものは自主的な団体が自らを律して、ちゃんと自分たちのルールが守られているかどうかを厳しくチェックして、それが至らなければさらなる監視あるいは指導が業界内である。そういうPDCAを業界内で回すというイメージであって、私は業界外が入るイメージは全く持っておりません。それはおかしいと思います。

○後藤座長 今の御意見、理解しましたけれども、私がイメージしたのは、今、野坂委員がおっしゃったような御意見もあるというように思いますし、そのほかの考え方もあると思いますので、ここで制度設計という言葉が使われていることの意味として、例えば、今、専門調査会が開かれているわけですが、それと同じような有識者による、こういうことを議論する場を経て制度設計した上での適正な評価機関というのでしょうか、チェック機関というのでしょうか、そういうようなものを考えていくというようなイメージを私は持っているのですが、野坂委員はそういうことであればよろしいということですか。

○野坂委員 また国センの話に戻りますけれども、国センのデータの分析、大変いろいろな意味で精緻さが欠けていた問題は何度も出てきました。今、座長がおっしゃるような有識者の評価となると、これはまた相当なデータが出てこないと評価委員会なるものが仮にできたとしても、かなりハードルの高いものになりますね。それだけのものが、そういうものが出てきて検証できるかという材料は全く現時点で我々ありません。そういう段階で軽々にそういったものを今、制度設計の一つとして文章に書くとか提案するだけの説得力は持たないと思います。むしろ一番あり得るのは、業界みずから、自分たちでつくるルールですから、そしてまた何かトラブルがあれば自分たちが消費者の厳しい視線を受け、批判を受けるわけです。そういう自分たちにかかわってくる問題だから、なおさら真剣に皆さんやると思います。それを自ら律してチェックする、自ら検証する、それが一番現実的な策だと思いまして、座長の言っている有識者委員会なるものはよくわかりませんけれども、そういうものではないと思います。

○後藤座長 私の言い方が悪かったのだろうと思うのですが、野坂委員の御理解は誤解がある面がありまして、有識者委員会でそういうチェックをするとは申し上げておりません。有識者委員会でこの制度設計について議論して、例えば野坂委員のように業界団体内で自主規制をするという方向が望ましいのか、あるいはそういう方向以外のやり方のほうがいいのか、そういうことを議論するということが、そういう場が必要なのではないかということを申し上げているということでありまして、野坂委員がおっしゃるような有識者のチェック機関を設けるというようなことは申し上げておりません。

池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 池本です。

この場での取りまとめの中身として、各業界団体の取り組みの効果を検証するということの意味が、先ほどから話題に出るように業界団体の中に何か第三者を入れたのを組織せよということまで求めるというのはバランスを欠くでしょうし、ましてや2つの業界団体だけではない、もっと幅広くそれぞれ協力していただけるところにはそれぞれ促していくということだから、それぞれについて取り組みの濃淡はあるのだろうと思うのです。ただ、最小限、ここでいう制度設計という言葉が少し重過ぎるのかもしれませんが、その効果を検証するために、その取り組みで何をし、どういう状況だという情報を開示していただき、またそれに意見を、例えば消費者団体なり行政なりからもいろいろお願いできるような、そういう情報共有、情報交換ができるようなことというように、もう少しここは幅広に持っておいたほうが現実的にやれることの選択肢が広がるだろうと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

鈴木委員、よろしくお願いします。

○鈴木委員 各業界、協会も含めて自主規制を強化しています。例えば訪問販売協会でいいますと、訪問販売企業の自主行動基準というのをつくるときに、有識者や行政機関と協力してガイドラインをつくっているという事実があるわけです。それらの効果の評価については、業界の中でやっていくべきですし、同じようにガイドラインを一緒につくっていただいた団体の方や有識者の方ともそれを共有化していくということが必要です。そういう意味では、今、それをさらに何か新たなことを設けなくとも、既に進めていることを精緻に行っていくということと、池本委員がおっしゃったように、情報を公開することが必要だと考えます。その範囲でいいのかなと思うのです。

新たに何か役所がチェックをするとか、進捗度に何か目標を設けるというのは自主規制とは全く違います。自主規制と言っても、訪販協会でも通販協会でも勝手につくったガイドラインではありません。様々な関係者の協力のもと進めている内容なので、それをもう少しわかりやすくしていくというような範囲で進めていくということがこの趣旨であればよろしいかなと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

増田委員、よろしくお願いします。

○増田委員 遅れて来て申しわけありません。

私も今の御意見には賛成いたします。ここの場は自主規制ですので、期待されるということであって、国が何かするとか、してください、するべきだとかと言っている話ではないですから、その他の業界団体にそれぞれ了解を得るという話ではないのだろうと思います。期待しますと、その中身としてはそれぞれ自分たちだけでともいいですし、できれば外からの意見も聞きましょうとか、意見交換しましょうとか、そういう形でもっとよりよいものにしていくことを目的として、何かしら検証するようなタイミング、場所を作ることを期待しますという意味合いだと私は理解しました。杤原委員のおっしゃっていることは少し違っているのではないかと思います。各団体の了解はいらないのではないでしょうか。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

杤原委員、よろしくお願いします。

○杤原委員 私どもはここに書いてある業界団体ではありません。誤解のないように、この文章の中にはっきりと主語を入れていただきたいと思います。自主規制の検証を行うための制度設計を行うことが期待されると書いてありますけれども、主語を消費者庁と消費者委員会で入れていただきたいと思います。その主語が、こういうことをやることについて法律の枠を超えている可能性があるのではないかということです。今日も参考資料1、2、3として業界団体の意見書が参考で出されております。本調査会の委員に入っておられないため発言する機会がないので、意見書を出されてきたのだと思います。そういう業界団体が検証、勧誘規制も含めてですが、違和感を持たれているので意見書を出してこられていると理解しております。ましてや自主規制の段落の中に、主語もないままで検証するための制度設計という、自主規制の枠を超えるような表現があることには、おかしいと疑問を持っているということであります。業界団体の意見を聞いた結果、業界団体も協力します、悪質事業者を市場から排除していきましょうというコンセンサスや合意形成がなされているのならいいのですが、その当事者の方たちの意見を聞かないままに、主語もないままに検証という法律の枠を超えるような記述をするのは早いのではないかと思います。

○後藤座長 事務局、お願いいたします。

○事務局 この点は、今いただいた議論を踏まえて表現ぶりを考えさせていただきたいと思いますが、今の話で、関係行政機関との協力のもとでというのとセットだと思いますが、検証という言い方がどうも法的な義務づけというか、そういうように捉えられるようなところがあるようなところであったのではないかと思いますが、今の御議論でどの委員も基本的に自主的な取り組みであって、むしろ検証というのを自主的な検証の結果を共有するというようなお話でしたので、そこは少し事務局の表現ぶりがそういうように捉えられたというところでございますので、あくまでも自主的な取り組みとしての記載であるということはわかるような形で検討させていただきたいと思います。

○後藤座長 よろしいでしょうか。今まで議論した部分は重要なところだと認識しております。それぞれの御理解を述べていただきましたので、それを受けとめて事務局が次回までにまた修文するということにさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

それでは、同じ第3のところの1の問題でありますが、他の問題についてよろしくお願いします。

池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 今の勧誘に関する規制の基本的な考え方というところに対して少し加筆をしていただきたいという意見を申し上げたいと思います。

資料2-2で意見メモも添付したのですが、今、13ページの下から14ページで意見の一致した具体的な事項、対策について議論してまいりました。これはこれで進めていただく必要があると思いますが、この調査会で4回、5回と勧誘規制の強化の法的な措置をさらに強化するべきかどうかということを通じて問題提起をし、それに対してはPIO-NET情報などによる立法事実の検証が十分できていないではないかという御意見があり、さらに消費者庁においてキーワードの付された相談カードを読み取って分類して出していただく。それに対して私どもは一定の根拠が出てきたのではないかということで立法事実になるものが、評価できるものがあるというように申し上げ、しかし、他方では、これでは不十分であるという意見があり、結局、そこの新たな法的措置を講ずることについては、意見の一致を見ないままに、それはこの具体的な施策には入らなかったという経緯があります。

そのことがこの13ページの基本的な考え方の一番上で、調査審議の結果ということで、現時点で対策を行うものが以下のとおりでというようになって、議論したけれども、一致しない点はこういう点だったということが全く抜けてしまっています。調査会の報告書ですから、やはり議論をして一致したものについては具体的に方向性を書く。この点は、こういう議論をしたけれども、一致を見なかったという点も必要最小限度。もちろん詳しくはそれぞれの議事録なり資料なりを検討していただくにしても、そういう審議の経過があったということが残っていないと、この調査会の報告書としての機能が十分果たせないのではないかということで、私のペーパーでいきますと2ページ末から3ページあたりに、これはそれぞれこういう意見があったというのを例えばということで新しい制度提案の意見、それに対しては反対する意見があったというような形でまとめてみてはどうか、そういうものを挿入してはどうかというようにして提案したいと思います。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

ただいまの池本委員の御提案に関して、何か御質問あるいは御意見がございますでしょうか。

野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 池本委員の関連です。まず、今日のペーパーの「消費者トラブルの現状等、第1」にさまざまなグラフがついております。このグラフを見て思い起こすのは、この専門調査会、第1回から特商法の20年改正の効果を見て、何が必要なのか考えるというのがスタート台だったと記憶していますが、一方で、第1回から適用除外業種でかさ上げされた数字がいっぱい出てきて、特商法の適用業種の議論をしなければいけないのに、適用除外業種のデータがいっぱい盛り込まれてきた。第1回で既に、まだ議論が始まる前に、こういうような規制があるべきという手段論が事務局によって提示されるという非常に異様な審議過程であったと記憶しております。

まず、今日の報告書の中で言うと、「第1 消費者トラブルの現状等」に出てくる消費者白書のグラフ、これもまた適用除外業種を含めたグラフが多々入っていると思うのです。現状の説明に何らかのデータが必要だということなのかもしれないけれども、本来であれば特商法の専門調査会だから、適用除外業種も含めたグラフを掲載するのはおかしい、全部削除するべきだと思っています。ただ、どうしても現状めいたものを示したいということであれば、これはちゃんと丁寧に注釈をつけるべきである。適用除外業種、金融関係とか不動産とかNHKとかさまざま入っていたと思います。そういったものが含まれたグラフを消費者白書から引用しているのですということをまず書かないと、この報告書を読む国民に誤解を与えると思います。注釈を付けることは、「真摯な姿勢で議論しなさい」という河上消費者委員会委員長の訓示に沿っても正しい道だと思います。これはやはり注釈が必要だと思います。

今の池本委員の関連ですけれども、専門調査会というのは総理から諮問を受けて、総理に報告書を出すわけですね。総理に対しては法律の改正でこういう方向性として望ましいということを一致したのだという一致点を書くのが報告書であって、さまざまな経緯をこうだった、ああだったと書くものが報告書の趣旨ではないと思います。

ましてや池本委員は、後藤座長を除けば恐らくただ一人の皆勤賞でありまして、しかも毎回数ページにわたる資料を提出している。ここは裁判の口頭弁論ではありません。この場で議論するのが政府の審議会の趣旨だと思っておりまして、ペーパーを出してくることが目的ではない。にもかかわらず、毎回いろいろな資料を出して、それはまた池本さんのお仲間では実績として記録として経緯として残ってらっしゃるわけだから、それでよろしいのではないかなと私は思う。そもそも論としては、基本的な考え方にさまざま経緯として池本さんのペーパーにはいろいろなことが書いてございますけれども、我々は例の国センのPIO-NETの大変不十分なデータに悩まされました。国センの資料の説明も11月16日とか12月2日とか9日とか、さまざま出てきました。あれを見ても、何をもって苦情なのか、問い合わせを苦情にしているのではないかとか、「強引」のマニュアル、これについても説明がありました。私、先日、改めて説明を受けましたけれども、結局のところ、9日に示されたマニュアルの書きぶり、あんな程度のものしか出ておりませんでした。それもまた1987年にマニュアルで「強引」のタグの説明がついて以来、もう30年たつのですが、一度も変わっていないということの説明を受けました。

そんな非常にふわっとしたものでまとめられたPIO-NETをベースにして、なかなか立法事実は確認できなかった。まして、いろいろな手段論、こうあるべきだというような規制強化の話は池本委員とか8月以前の事務局からは一方的に提示されましたけれども、それはフライングだったわけです。完全なフライングです。我々の議論が全く熟していないうちにフライングとして出されたわけです。これは中間整理の書きぶり、私も振り返ってみましたけれども、中間整理ではどういう書きぶりをしていたかというと、「立法による対応の必要性についての認識が共有されれば、勧誘に関する規制を強化した場合の産業界への影響、執行強化と規制強化の優先順位、バランス及び実現可能性等の観点からさらなる検討を行い、事業者、消費者等の関係者が協調して取り組みを進められる一致点を目指して議論を深めていくこととする」と中間整理で書いております。これは池本委員も了承した中間整理でありますので、この一致点を見出すまでに至らない前段階で我々残念ながら止まっているわけです。止まっている段階でああだこうだ、経緯がこうで、こんな提案があったということは、総理に対する報告書には書くべきではないし、それは審議会のルールとしてあり得ない。もう完全にルール違反であると思うし、そこまで戻るのであれば、この議論は全くちゃぶ台返しになると思います。

以上です。

○後藤座長 池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 まず審議会、調査会の報告書の性格として、意見の一致したところだけを書くのだとおっしゃったところは、そこは前提の認識が違います。例えば本年の6月まで開かれていた経産省の産業構造審議会割賦販売小委員会では、クレジットカードのトラブルを防ぐために、加盟店と契約をするアクワイアラーについて加盟店調査義務をかけることという論点、これは一致しました。

もう一つ、カード発行会社、イシュアーについてマンスリークリア取引、翌月1回払いについても一定の義務を課すべきであるということが議論されました。それについては反対意見が多数あり、見送りとなりました。どういう理由でそれを見送ったかということも含めて、非常に丁寧に書いてございます。まさにそういう議論を経て、どの範囲が一致し、どの点は見送られたかということを書いていくのが調査会の報告書であって、議論があったことそのものが読み取れないということでは困るわけです。もちろん、賛成意見、反対意見の中に、どの範囲、どういう項目を盛り込むかについて、要約ですから、私がここへ載せたのが全て正解だとは思いません。ただ、全部を過不足なく入れるとなるととんでもない分量になるので、本当に手がかり、ヒントだけは載せておくということは報告書の性格からしても、むしろそのほうが原則であるというように考えます。

前半の資料についても、こういった資料をめぐって議論し、また、それの評価の意見が分かれたという意味では、そのことも触れておかれるのは、むしろ私は適切だと思います。その意味では、資料の中で、後半の審議の中で最も議論を呼んだ、これは第14回の資料2という例の「強引」というキーワードが振られた苦情の分析、ア、イ、ウ、エ、オというのがあって、それについてこれで立法事実として裏づけがあるではないかという意見と、これは不十分だという意見があったと思うのです。むしろそういう何を審議したか、そして、どこで評価が分かれたかということを掲載しておくのがこの報告書の性格として適切ではないかと考えます。

以上です。

○後藤座長 村座長代理、よろしくお願いします。

○村座長代理 最終報告には審議の経過の要約について反映させるべきであるという点につきましては、私、池本委員に賛成です。結局、今回のこの議論というのは、高齢者の被害が非常にふえてきている。訪問販売、電話勧誘販売等で高齢者の被害が非常にふえてきていて、断れない人たちが被害に遭っているという実態があるという問題意識から議論が始まっているのではないかと認識しているわけです。

ただ、そういう断れない高齢者の被害というものに対して、どのような対策を講じていく必要性があるかという議論の中身に入ります前に、そういう被害実態、立法事実というように言ってもいいかと思いますが、そういう現実があるのかないのかということについて、委員の中で見解の対立があったのだということは私もよく理解していますが、立法事実がないという点で、委員全員の一致がとれているわけではないと理解しています。十分な立法事実があるというように理解、認識している委員も複数います。少なくとも私はそういう認識を持っていますし、過去の発言で私が記憶をしておりますのは、間違っていたら申しわけないのですが、増田委員とか花井委員なども発言から、同じような認識を持っておられるかと思います。池本委員もそうなのではないかというように思います。

ただ、そこのところが共通認識にならないと、具体的な施策についての議論に入れない。そこのところは私もよく承知しておりますので、今回、具体的な施策について議論をするところまでの土台ができなかったという事実はあろうかと思います。

ですから、こういった意見の対立、認識の対立等もあったということをきちんと報告書にまとめて今後につないでいくというのが誠意のある調査会のあるべき姿ではないかというように私は認識しておりますので、経過のところについては余り長々と書く必要はないかとは思いますが、どういう議論があり、対立があり、ここのところで構成になったのかということはまとめておくべきではないかというように認識しております。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

たくさん手が挙がっていますね。花井委員、よろしくお願いします。

○花井委員 ありがとうございます。

今、村座長代理が言われたように、意見の対立があった点もきちんと書いていただきたいと思います。今までに何度か「強引」のキーワードがすごくわかりにくいという御指摘がありましたが、以前にも発言したかと思いますが、私の勤務しているセンターで、調べたところ、断りたくても断れなかったとか、帰ってもらえなかったとか、急がされてなど、必ず誰が見ても強引だと思われる相談の概要があって初めて「強引」というキーワードをふっているので、ふわっとしてわかりにくいというイメージがマニュアルを見て思われるかもしれませんが、相談員の中ではある一定の基準というのがあってつけていることで、恣意的につけているものではないことをまずわかってもらいたいと思います。その中で、PIO-NETのデータから、立法事実があるというのは、まさに村座長代理が言われたように、そのように思います。

この審議会の報告書については、長い時間みんなで一生懸命いろいろ考えてきたわけですし、消費者庁にもいろいろな資料を手作業で何千件も調べて出していただいたわけで、強引のキーワードの振られたア、イ、ウ、エ、オの表などがまさに特商法に当たる部分を抜き出した部分だと思うので、その資料も載せていただきたいですし、賛成の部分、反対の部分というのは、皆さんそれぞれのお立場があっての御意見だったと思うので、その部分は載せていかないと、報告書としては不十分ではないかなと思います。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

では、河野委員、よろしくお願いします。

○河野委員 今年の1月に総理大臣から消費者委員会についての諮問内容は、特定商取引に関する法律の施行状況を踏まえた購入者等の利益の保護及び特定商取引の適正化を図るための規律のあり方ということだと思っています。

ということは、特定商取引に関する法律の施行状況というところを、やはりこの報告書にはある程度書き込むべきではないかというように理解しました。特にこれは意見の一致を見なかったので、結果として私たちが合意した、特に13ページに書かれている勧誘に関する規制についてですが、ここに書かれている具体的な事項に関していうと、私自身も異論はございませんし、これについて関係者がそれぞれの立場からしっかりと努力していき、少なくとも消費者被害を今よりも低減するということで、今の時点では私たちは合意がとれていると理解しています。

ただ、この検討をするに当たっては、やはり何度も出ていますけれども、PIO-NETデータの信ぴょう性については、さまざま御意見があり、そのことに対して私自身はPIO-NETデータはしっかりと私たち消費者被害を映す鏡だと確信しております。少なくとも今回、このまとめの前段に書かれている情報提供の部分に関していえば、この消費者白書というものは、閣議決定された国の公文書であるということ。その読み方に関しましては、もう少し詳細な解説が必要かもしれませんが、国の公文書である消費者白書が示すデータに対しては、余りそれを疑うような状況というのは望ましくないというように感じています。

本論に戻りますけれども、13ページの基本的な考え方の最後の段落です。「当専門調査会においては」のところで、委員間では共通認識が形成されるには至らなかった。これらの点については、将来において必要が生じた場合には、検討を行うことが期待されるというように書いてあります。では、将来において必要が生じた場合というのはどういうときなのか。ここでやはり今回専門調査会で合意を見なかった点について、ある程度記述しておくことが将来課題として、ここに書かれている必要が生じた場合の検討がより的確に行われる基礎になるのかというように思っております。

今の少なくとも今回のまとめでは、何が諮問にあったような法律の施行状況を踏まえたということになっているのかという説明がやや不足しているかと思いますので、先ほど池本委員が提案したような形で、意見の一致を見なかった部分に関しては、やはりある程度の記述が必要かと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

有山委員、よろしくお願いします。

○有山委員 私も調査会当初のときから、高齢者被害防止ということで、今までの規制、事後規制だけではないものを導入したほうがいいのではないかという提案をさせていただいたつもりでおります。事前規制については、意見の一致は見なかったということで、きちんと委員の意見を記述していただきたいと思います。

団塊の世代がこれから増え、当然、後期高齢者に入っていく時期ですから、どの企業でも高齢者の問題があるのは、私は見聞きしております。高齢者への勧誘で特商法規制に関して、話し合いがされたということは、ぜひ報告書に残していただきたいと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

増田委員、よろしくお願いします。

○増田委員 ありがとうございます。14ページのほうに、国民生活センター等において消費者の自主的解決能力の向上にも配慮しつつというような部分ですけれども、聞き取り強化等による相談の収集や情報提供の一層の充実、さらに相談情報の分析の精緻化も求められるということが記載されています。これと整合性をとるためには、最初の段階のところで、何について意見があって、それについて意見が分かれたというところを記載しないと、どうしてここのところにつながっていくのかということを記載する必要があるのではないかと思いますので、ぜひ入れていただくべきことだろうというように思います。

それと被害かどうかというところに意見があったわけですけれども、現状、相談が寄せられている件数、その一定件数が何らか手当てをする、自主規制なり何なりして減らなければいけないものですね。これから先、今よりもよくならなくてはいけないはずです。それをやりましょうというところではみんなで意見が一致したわけですから、その件数がもし減らなければ、やはり効果としてどうなのかということは疑問として出てくるわけです。そのような時期が必要性のある時期ではないかというように思いますので、その部分をつけ加えていただきたいと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

野坂委員、何かありますか。では、杤原委員、先にお願いいたします。

○杤原委員 参考資料4として、自販協提出の意見書が配られておりますが、これは配られているから引用してもよろしいでしょうか。自販協提出の意見書の「1.勧誘に関する規制について」の中の、3行目から「消費者トラブルの実態について精緻な分析及びこれまでの法規制の効果の検証を行った上で、立法による対応の必要性についての認識が共有されればさらなる検討を行い、事業者、消費者等の関係者が協力して取り組みを進められる一致点を見出して議論を深めていくこととする」ということが書かれています。この時点でPIO-NETの分析がされていなかったので、私のほうからお願いして、「秋以降にPIO-NETの分析をきちんとしていただいた上で、立法事実が確認できれば改めて議論をスタートしていただければいいのではないか」ということで、こういう条件と文言で落ちつかせていただいたと記憶しています。

秋になりまして、PIO-NETの分析が順次出てきたわけでありますから、賛成、反対の議論をどうしても書き込むということであれば、例えば12ページの第2の見直しの基本的な視点のところに、河野委員も増田委員もおっしゃられていますけれども、もともと件数の多い少ないというところから議論が出発していたわけでありますから、PIO-NETのデータに信憑性がないという分析を記載していただきたいと思います。高齢者を中心とした被害者がいることは何度も繰り返し申し上げており、それを誰も否定していないわけであります。まずは足元の執行の強化が先決であると思います。次いでPIO-NETのデータを分析した上で、新たな立法をし、規制を強化までして対応する必要がある事案があるのかないのかを突きとめるというのが当時の議論だったと思っております。もしその議論をするのであれば、例えば第2のところに、検討の対象として不可欠な特商法の分析データを入れるべきだと思います。

分析結果をもう一度改めて出していただければと思いますが、訪販、通販、電話勧誘と訪問販売でそれぞれ9万件、特商法に限れば2万5,000件程度のPIO-NETのデータを分析して出していただきました。5万件は処理状況が未記入の状態でありました。また、あっせんすればあっせんが成立しており、あっせん不調というのは1件や2件の話でありますから、大半は現行の法律で対処できるのではないかと思います。その上で、さらに新しい法規制が必要なのかどうかを議論するのが本専門調査会の使命ではないかと思っております。立法を必要とする事実が認められなかったというのが、データを見る限りでの我々の判断であります。データを見て、立法の事実はあると御判断される方がおられるのであれば、きちんと世の中に出せばよろしいのではないかと思います。

国民生活センターが前々回の本専門調査会で提出した補足の資料もこの報告書の中に入れて、特商法と関係のない個人の間の土地の賃貸のトラブルなどもPIO-NETの相談件数の中に含まれているというのを国民の皆さんにお示しして、それでもなお法律の規制が必要かどうかを議論いただければいいのではないかと思います。

あと1点、消費者庁もしくは消費者委員会に見解を伺いたいことがあります。質問になりますけれども、事前参入規制の部分について質問が1つあります。

○後藤座長 事前参入規制は19ページのところですか。19ページですとまだ今は扱っていないです。

○杤原委員 20ページの報告徴収・立入検査のところで「事前参入規制が存在しない特商法においては」という書き方になっていますけれども、ここのところも夏に中間整理を了承したときに、「法制局に事前参入規制というのが立法上通るのか、通らないのか、きちんと御確認いただきたい、WTO上も問題がないのかご確認いただきたい」ということをお願いしました。秋口になったら確認しますというようなお返事をいただいていたと思うのですが、そこのところももう一度確認したいと思います。法制局に確認した上でできないということであれば、こういった記述も誤解を招きますので削除していただきたいと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

消費者庁、よろしくお願いします。

○消費者庁桜町取引対策課長 最後の点につきまして。法制局の見解というのは、そう簡単に結論が出たりするものではありませんので、常々いろいろなコミュニケーションをとっておりますけれども、今の時点で明確な結論をもらっているわけではありません。むしろ今回答申が出た場合に、事前参入規制を導入すべきだという明確な答申をいただくことになるのであれば、そこはしっかり法制局と詰めて結論を出さないといけないと思っております。

○後藤座長 野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 私も最初、原案を見せていただいたときに不思議だなと思ったのは、第1回からこれだけ我々が悩ましい議論を続けてきた最大の原因は、国センのPIO-NETの評価にあったわけです。ところが、この報告にはPIO-NETの「パ」の字も出てこない。こんな報告はあり得ないです。先ほど増田委員が指摘された14ページの「相談情報の分析の精緻化も求められる」と書いているところ。まさにそういう認識で私たちは一致したと思いますけれども、このくだりについてもPIO-NETという言葉は出てこない。こんな文章はあり得ないと思います。
PIO-NETについては、池本委員も、あるいは村座長代理も精度の面で不十分だとか、今のデータでは十分とは言えないという問題意識ということについて理解するというような発言をかつてもされていたし、我々みんなPIO-NET、これではだめだろうと、こんな状況では立法事実を確認できるデータとしては不十分ではないかということは、もうほぼ一致しているわけです。ところが、この報告書にPIO-NETの「パ」の字も出てこない。これはおかしい。「相談情報の分析の精緻化も求められる」というくだりに、当然PIO-NETという言葉が必要だ。その前、勧誘のところ、池本委員が経緯を書けということであれば、13ページの「委員間で共通認識が形成されるには至らなかった」とあるところの前にも必要だ。

PIO-NETのデータについての分析、我々、共通認識を得られなかった最大の根っこにあるのは、PIO-NETの中に単なる問い合わせが苦情に分類されているのではないかとか、あるいは「強引」のマニュアル、あんなふわっとしたマニュアルに基づいて全国で付けている、タグを付けている。それに対する不信感、あるいはまた先ほどもア、イ、ウの分析に出ていましたけれども、これは消費者庁が目検で調べたもので、結局ほとんど決着しているとか、あるいはクーリングオフとかだった。処理の行方がわかりませんと、内容を詳細に見ていませんというような、そういう曖昧なものだった。しかも全体、全国で3億件ある勧誘件数の中でも100件とか1,000件とかそのレベルの話で、なかなかあのデータを根拠に規制強化、過剰な規制強化、普通の事業者も含めてとても規制はできませんねということだったわけです。

したがって、経緯を書くならば、「委員間で共通認識が形成されるには至らなかった」の前に、PIO-NETのデータの分析が非常に曖昧不十分であったという問題点を指摘することが経緯であると思います。そしてまたその下に書いてあるパブコメです。この件数は今括弧に入っているのですけれども、括弧ではなくて普通の地の文で書いてもいいとは思うのですが、中間整理、先ほども指摘したフライング的に手段論が出ていた中間整理に対して幅広く国民の方から意見を求めた結果が賛成545件、反対3万9,428件でした。これはおよそ98%、99%が反対だった。この圧倒的な民意というのは、やはり無視はできない、尊重しなければいけない。専門調査会として、このパブリック・コメントの圧倒的なデータ、これが仮に3割・7割とか、4割・6割という比率であれば、その見方はまたさらに難しくなりますけれども、これだけの圧倒的な数の反対意見、しかもフライングで行為規制について書かれていること、将来についても困りますよという趣旨の意見が、これだけ反対意見が出ていることを無視するとすれば、我々特商法の専門調査会の姿勢が問われる。また、さらに、消費者委員会が消費者、広く国民の声を無視するということであれば、消費者委員会のあり方も問われるのではないですか。私はそういうことになることを危惧しております。

したがって、やはり将来にわたっての書きぶりは、「将来において必要が生じた場合には検討を行うことが期待される」まさにこれが我々の立ち位置、ポジションではないですか。これでもかなり書き込んでいると評価しています。これ以上のものはあり得ないと思います。ここに何か将来においての立法措置を示唆するような文言は全く不要だし、そんな責任を我々は負えないと思います。

また、先ほど件数が減らない云々と言ったけれども、これは杤原委員が言ったように、もともと件数そのものが非常に疑義、疑いがあるわけです。PIO-NETのいいかげんなと言っていいのか、非常に曖昧なというか、不透明なもの。こんなデータをここで紹介することはミスリーディングだと思います。

いろいろと言いたいことはありますけれども、とりあえず以上にします。

○後藤座長 野坂委員の御意見、確認したいのですけれども、先ほどは経緯を書くべきではないとおっしゃっていましたね。今、経緯を書くならば、ということをおっしゃいましたね。結論はどちらなのですか。

○野坂委員 先ほどは経緯を全く書くべきでないという趣旨で言いましたけれども、PIO-NETの指摘などの意見交換を見まして、なるほど、私もPIO-NETが登場していないことに疑問を感じていた。もともと先ほどの精緻な分析のところにあればいいかなと思っていたのですが、経緯を書きたいということであれば、精緻な分析、精緻化も求められるという箇所のほかに13ページの「一致しなかった」の前に、経緯として一番ポイントだったPIO-NETに触れて問題点、非常に不十分だったという経緯を書けばいいのだと思います。

○後藤座長 結論的にはどちらなのですか。経緯を書くほうがいいのですか、書かないほうがいいのですか。

○野坂委員 経緯の書きぶりですけれども、少なくともPIO-NETの問題点は経緯としてあるべきだと思います。

○後藤座長 阿部委員、よろしくお願いします。

○阿部委員 いろいろな審議会でこういう場合にどうしているかという話でしかないのですけれども、確かに審議経過とか各委員の意見を漏れなく盛り込むことは大事なのですが、諮問に対する答申なので、余り本文のボリュームが多くなっても仕方がない。今までの各委員の御意見を聞いていて、今の本文の倍ぐらい、あるいはもっと増えてしまうのかとも思いましたが、そういうものがいいかどうかというと疑問なので、ここは考え方ですけれども、本文はできるだけ諮問に対するお答えということですっきりとまとめた上で、今までの審議の経過とか、各委員の意見は、ここでも参考資料として審議経過の概要が記されておりますけれども、これをもう少し具体的な意見で膨らませる形にするか、あるいは別紙で各委員から出された意見というのをそのまま添付してしまうか、何かの形で本体と切り離してちゃんとした資料として残しておくというやり方はあるかと思います。今さら事務局には大変かなと思うのですけれども、極端な話をすれば議事録を全部つけてもいいのですが、何らかの形で今までのさまざまな意見とか審議経過というのは、概要でもいいから、本体とは別の形でつくっておいたらいかがかと思います。

○後藤座長 池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 今、阿部委員から提案されたのも1つの選択肢かもしれないのですが、ここで今、意見交換したようなものを全部漏れなく入れたら、それこそ、この論点だけで何ページにもわたってしまって、それは現実的でない。詳しく見る方は各回の、例えば何回、何回、何回において議論したというようなことが1フレーズあれば、詳しくはそこを調べることは可能でしょうし、私の意見メモの中では、それぞれが6から7行とか、本当にヒントとなる観点だけ書いて、しかも私のペーパーではPIO-NETの評価についての否定的意見と、逆にむしろ一定の立法事実としては評価できるではないかという、まさにそこは意見が分かれていたということで、両方載せてはどうかなということで、しかも余りこの論点だけで1ページも2ページも膨らまないような必要最小限度です。これが必要最小限度として過不足のない、一番いいのだという意味ではないのですが、その程度のボリュームというやや中間的な意見なのです。そういうような取りまとめというのが現実的に今回から次回に向けてやれることではないか。ただ、そこの賛成意見、反対意見の書きぶりについては、こういう点をむしろ優先してくれとかというのは当然あっていいでしょうし、そこは次回までにそれぞれの意見を事務局で確認していただければ次回までに間に合うのではないかという感じはしています。

○後藤座長 国民生活センター、よろしくお願いします。

○国民生活センター鈴木相談情報部部長 先ほど来、PIO-NETがいいかげんだというようなことですけれども、確かにPIO-NETというのは御存じのように消費者からの申し出情報です。申し出情報の集積であることは事実です。ただ、これは全国の消費生活相談員が、消費生活相談員というのは資格試験に受かっている一定以上の知識と能力を持ち合わせている消費生活相談の専門家です。こうした専門家が入力しているのだということは御理解いただきたいと思いますし、確かに野坂委員が御指摘のように、マニュアル等に曖昧な部分があるかもしれません。ただ、マニュアルに書いてある一定のルールに従って資格を持った相談員がきちっと入力しているものなので、私は一定の信頼性が担保されていると思っております。

以上です。

○後藤座長 池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 PIO-NET情報の評価については、これでは信頼できないということで意見が一致したと書いてくださいと言っているわけではないのです。こういう批判、意見がある。他方で、まさに今おっしゃったような意味で、統計的な価値としては十分信頼に足るのではないか。限界事例がどちらに転ぶかというのが多少例外があり得るとしても、立法政策を議論するときの統計的なデータでは価値があるという意見も一方にあるわけです。まさにそこの意見が分かれていたというのだということ、私のペーパーではPIO-NETの評価についての積極論拠が余り示されていないのだとすれば、そこはもう少し入れたほうが適切かもしれないのですが、意見が分かれているところは分かれているというので出た意見を冷静に、しかも最小限にするという意味で検討いただければと思います。

○後藤座長 ありがとうございます。

事務局、お願いします。

○事務局 一応、今回のところ、今、御議論いただいたところでは、事務局としては13ページの当専門調査会においてはのところで、将来に応じて必要が生じた場合にはまでのところで、議論経過が全く書いていないわけではないのですが、その点について、今、池本委員からはもう少し加筆してはどうかと、ほかの委員からもいただいていたところでございます。他方で、野坂委員、その他の委員からは、むしろこの記載で十分書かれているものではないかという御議論があったところかと思います。

ここら辺は、議論経過をどこまで書くのかというところで、池本委員も今日議論したようなところが全て書かれるということまで求めておられるわけではないということはおっしゃっておられましたので、先ほどの阿部委員の御指摘のアイデアも含めて、本文をシンプルにするという要請も他方でございますので、事務局のほうで少し検討させていただければと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

杤原委員、よろしくお願いします。

○杤原委員 池本委員の資料2-2について御意見を申し上げて、大変僭越でございますが、私どもがこの書きぶりになぜこだわっているかを申しあげます。池本先生のお出しいただいた資料2-2の3ページで「他方で」というネガティブ意見を1段落目に書き起こしていただいております。これを読んでいきますと、2段落目の3行目の終わりに、PIO-NET情報の苦情の中には問い合わせが含まれていると考えられ、法規制を行う立法事実は認められないとの意見があったと書かれており、国民生活センターのデータの受け付けの方法と整理の仕方が悪いから立法事実はないという意見があったと読めます。しかしながら、本当はPIO-NET情報の苦情の中には問い合わせが含まれている上に、特商法対象外の事案も含まれ、その多くは解決できています。あっせんの努力をすれば解決の余地はさらにひろがるし、あっせん不調の件数は極めて少ないので、そこは執行の強化で努力すべきであるというのが前々回の議論であったように記憶しております。

先ほど花井委員より、本来差し止め請求できるのですが、やらないのですという趣旨の発言があったかと思います。後で議事録を起こしていただければと思います。本来悪質事業者に対して泣き寝入りをしないということであれば、特定商取引法や消費者契約法などに基づく差し止め請求に加え、これから集合訴訟制度もできて、消費者団体の皆さんが特定適格消費者団体になって訴訟もできるようになるなど、道具については消費者庁で準備されております。差し止め請求はできるのですが、やらないのですという発言を聞くと、執行の強化ができるのにやらないというようにどうしても聞こえてしまいます。まずは現行の法律でもできることで解決を図り、さらに漏れているところがあれば立法措置を考えるべきではないかと思います。ただ、その立法措置を考えるときには、必ず法益というのを考える必要があります。何件、何万のどういう方が法益を得るのかといったボリュームなどを特定しないと、それは立法事実として認められないのではないかと理解しております。

○後藤座長 花井委員、よろしくお願いします。

○花井委員 よろしくお願いします。差し止め請求ができないと言ったつもりはなくて、そういうように聞こえたら申しわけなかったと思います。

差し止め請求は法的に認められた制度でできるのですが、例えば相手の住所がきちんとしていなかったり、事業者がどんどん名前を変えてしまったりとか、そういうこともよくあって、実際、小さな業者に差し止めをしても、もう所在がなくなってしまったりとかいうこともあるので、実効性があるような差し止めになかなかならないということを御理解いただきたいということで申し上げただけで、何もできないわけではないし、差し止め請求も有効な手段だと思っておりますので、それは使っていきたいと思います。

以上です。

○後藤座長 池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 杤原委員から御指摘があった、前半の理由づけとして何がより重要かというあたりは、御指摘をむしろ事務局のほうで整理していただきたいと思います。あるいは前半の賛成意見のほうももっと大事な意見があるのかもしれない。大急ぎで慌ててつくりましたので不十分だと思いますので、そこはそこでまた検討をお願いしたいと思います。

先ほど花井委員から話題があった適格消費者団体が特商法違反について、やれるのにやっていない、もしくはやれていないということ。私も実は適格消費者団体にかかわっているから、そこは一言申し上げますと、法律上は差し止め請求の対象として規定されています。ただし、行政機関と適格消費者団体で決定的に違うのは、報告徴収・立入調査という強制的な資料収集の権限がないのです。したがって、全国の適格消費者団体がやっているほとんどが、契約条件に関する不当契約条項か、あるいは契約条件に関連する広告表示か、そういうところはできるのですが、勧誘の問題というと、内部の資料とかそういうことがあって、ほとんどできないのです。だから、そこを本気で議論すれば、そちらの制度設計の話にまで行ってしまうということで、発言させていただきました。

○後藤座長 野坂委員、どうぞ。

○野坂委員 せっかく池本委員のお得意の意見書が出ているので、それについて私も論議をしたいと思います。

ページがついていませんけれども、3ページ目、今の話題になっているところです。マル2、マル3というあたりですが、マル3のほうからまず言います。国センについて課題を書いていらっしゃる。これは基本的には私も賛成ですけれども、ここであるところの「引き続き」という言葉には引っかかるのです。今まさに国センがしっかりやっていないのではないかという問題意識がありますから、これだと引き続き今の緩い体制でいくのかというイメージが与えられてしまう。国センは事実上出直し的な取り組みをやってもらわないといけない。PIO-NETの精緻な分析に向けて、もう本当に根っこから変えないといけない。マニュアルが30年間「強引」のタグの全く同じフレーズ、全然変わっていない。さらにこの「強引」のマニュアルについては、どういうように相談員に指導しているのですかと聞きましたら、新人の方、この春先に280人ぐらい教えたのですと。古い方はどうなのですかといったら、これはもし補足があれば説明していただきたいけれども、私に対しては、古いベテランの方についてはあえて「強引」のマニュアルの説明はしていないのだと、研修はしていないのだということでありました。それを聞いて、毎年とは言わないまでも、この「強引」に関連していろいろな悪質商法が年々出ているわけですから、しっかり相談員のレベルアップもしていただきたいし、課題満載ですね。そういう意味で、池本先生のマル3のPIO-NETを多角的に調査分析整理することが期待されるではなくて、期待すべきであると思います。そういった表現は絶対書くべきだと思っています。

マル2のほうですけれども、「ただし」以下は削除すべきであるという意見には反対です。なぜならば、これはまさに我々の議論あるいは業界のヒアリング結果あるいは中間整理に対するパブコメを否定することになる。みずから専門調査会が、そして消費者委員会委員も兼務されている池本委員が国民に広く求めたパブコメとか業界ヒアリングとか、それを要らない、それは参考にしないということであれば、消費者委員会委員も兼務されている重責の池本委員の発言とはとても思えない。この「ただし」以下は当然我々の基本的なスタンスとして維持すべきであると思います。

○後藤座長 池本委員、どうぞ。

○池本委員 後段のほうから。マル2の削除というのは書きぶりとして誤解を与えて申しわけありません。その3行ほど前に、意見545と3万9,428については記述するということを提案しているのです。書く場所が賛成意見、反対意見という、そこへ置くことが文脈とすれば適切である。だから、ここは移動すべきであるというように理解してください。

マル3の「引き続き」というのは、先ほど国センからも言われたように、一定のことはやっているのですというのが記憶の片隅にあって「引き続き」という言葉を書いたのですが、ここも評価がわかれるところかもしれませんが、「引き続き」という言葉にするのかどうするのかは事務局でも再検討をお願いしたいと思います。

○後藤座長 よろしいでしょうか。

国民生活センター、よろしくお願いします。

○国民生活センター鈴木相談情報部部長 先ほどの野坂委員からの、国センはもっとしっかりすべきだというのは私どもへのエールだと思って受けとめさせていただきますが、私ども今、教育研修部で1年間に今年度は106コースの研修があります。相談員に対しても非常に多くの研修を行っておりますが、その中でカード作成セミナーというのは6コースである。それが新人を対象にしているということなのですけれども、そのほかにも毎月私どものほうで電子掲示板などを使ってPIO-NET通信というのを発行しておりまして、定期的に、また臨時的にも発行して、PIO-NETルールというか、キーワードの記載はこのようにしてください、キーワードのルールがこのようになりましたというようなことは、恒常的に発信しております。また、全国の相談員さんからの問い合わせ窓口も設けておりまして、折に触れて回答しておりますので、PIO-NETに関する研修は6回だけではなくて、恒常的にそういうことはやっているということは御理解いただきたいと思います。

以上です。

○後藤座長 国民生活センタ―に関する御意見が野坂委員から出ておりますが、これは野坂委員の御意見がここで出ているということでありまして、野坂委員の御意見と違う御意見を持っている方もいらっしゃると思いますので、少なくとも私は違う意見を持っていますので、野坂委員がおっしゃったこと、それは大事な着眼点ではありますけれども、そのような意見だけではありません。議事録で野坂委員の意見だけが出ることになりますが、ほかの委員の方々が野坂委員の御意見についてどう考えるかということについて、今、お聞きする時間がもうありませんので、野坂委員のような御意見だけではないということは御理解いただけたらと思います。

○佐々木委員 私も野坂委員の意見に同意をしておりますので。特に、例えば白書の中で再三述べておりますけれども、3ページ目の白書、PIO-NETに登録されている消費者相談情報ということで書いてありますが、インターネット通販の相談について読み上げます。

「インターネット通販」の相談については、いわゆる通常のインターネット通販より広い概念を含んでおり、アダルト情報サイトに代表される、インターネットサイトを利用したサイト利用料、オンラインゲーム等のデジタルコンテンツも、消費生活相談情報では「インターネット通販」に入るため、データの見方には注意が必要。これは実際にはPIO-NETのほうの資料の中では、7割がインターネット通販の苦情に対して7割が出会い系サイト、アダルトサイトの苦情であるというのが出ているのです。これをベースに我々は本当に議論していてもしようがないと思うのです。その精緻な分類というのは絶対必要であって、物販のインターネット通販とはまるっきり別のインターネット通販が7割を占めているものをベースに議論をするということはすごい危ないことではないかなと思います。

もう一つ、PIO-NETのほうの資料で苦情についての実際に電話勧誘販売の苦情については69%が自主解決というようになっているわけですけれども、その自主解決の中には当然、例えば消費者側の誤解とか、契約条件に従って正しく理解していなくて誤解していた点とか当然あると思うのです。それもわからずに全てのPIO-NETの資料をベースに議論することということに対しては、それが全ての立法をするための根拠になるということに対しては、非常に不安を覚えております。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

勧誘の問題が続いておりますが、ここでしばらくお時間をください。申しわけありません。事務局、来ていただけたらと思います。

済みません、今、長時間に及んでいますので、事務局とここで休憩を入れるかどうか御相談をしたのですけれども、委員の方々の御意見を伺ってということになりましたので、休憩を入れたほうがよろしいでしょうか。このまま続けてよろしいでしょうか。

山本委員、どうぞ。

○山本委員 大変恐縮なのですけれども、今日は予定の時間以降、一緒に議論ができない都合がございまして、この後、アポイントメントのほうで議論があろうかと思うのですけれども、そこについては大変関心がありますので、御配慮いただけるとありがたいと思います。

○後藤座長 わかりました。基本的にこのまま続けさせていただいて、長く時間がたっていますので、御都合に応じ途中離席し、そしてすぐお戻りになっていただく。そういうことでよろしいでしょうか。では、恐縮ですが、このまま続けさせていただきます。

勧誘については種々御議論いただきまして、ありがとうございました。

事務局において、今、出た御意見を踏まえた形で次回までに修文していただくということでよろしいでしょうか。

それでは、この勧誘以外の問題ですね。権利の取り扱いとか、クレジット、金銭借入、預貯金の引き出しを勧める行為等、これについて御意見がおありでしたらお出しください。よろしくお願いします。

村座長代理、よろしくお願いします。

○村座長代理 済みません、事務局にこの文案について少し質問をさせていただければと思います。

12ページの具体的な事項の第2センテンスの部分になります。ここで問題となっている取引への対応のあり方を検討するため、商品の販売、役務の提供及び権利の販売という概念について、整理を行い、その位置づけを明確化させることが必要であるというまとめになっています。具体的な提案ということで、こういう結論になったという書きぶりなのですが、私は申しわけないのですが、何を言っているのかよく理解できませんでした。

私のこの調査会における議論に対する認識は、現状の政令指定権利というのが大変狭い。権利の定義そのものが狭いし、政令指定が3種類しかないということで大変狭い。実体がよくわからないものを権利と称して、特に高齢者の被害では訪問販売とか電話勧誘販売で、次から次へとよくも見つけてくるものだというぐらい、手をかえ品をかえ出てきているという問題というのがあって、これは放置できないので、そういうものが後追いにならないように全部カバーできるように、訪問販売、電話勧誘販売でカバーできるようにしなければいけないという共通認識になったのではないかなと思っておりますが、それがこういう書きぶりになりますと意味がよくわからない。私自身が理解できないということですので、これを見た人とか受け取った人がわかるのかなという疑問がありまして、これはどういう意味なのかということを申しわけないのですが、御説明いただけるでしょうか。

○後藤座長 ありがとうございました。

事務局、よろしくお願いします。

○事務局 こちらでは基本的には権利の取り扱いについては、中間整理でまとめたところを引き継いでいるところでございます。中間整理においては、議論の結果として、権利の範囲について規制の後追いの原因となる指定制を見直して、権利の売買を原則として規制の対象とするべきというような形で書いておりまして、これは12ページの基本的な考え方の上のほうでございますけれども、権利の販売として問題となっている取引についてということで、それが訪問販売等で行われた場合には原則として規律を及ぼすべきということを書き、なおかつ規制の後追いを防ぐという観点から現在の指定権利制の見直しをするべきという点について一定の合意が得られたということで書いております。

なおかつ、一番最後のところですけれども、さらに法制的・法技術的な観点からの検討・整理ということを書いておりまして、この関係で具体的な事項というところについては、現在の商品の販売、役務の提供、権利の販売ということを現在の指定権利性の見直しの中で整理して位置づけることが必要であるという限度で書いているということでございます。

○後藤座長 ありがとうございました。

ほかにここの問題、権利あるいはクレジット等についての問題で何かございますでしょうか。

花井委員、よろしくお願いします。

○花井委員 済みません、今のところですが、具体的な事項の1つの前の文章で、必要な措置を講ずることが期待されると書いてあるのですが、今までの議論の中では講じるべきであるという表現で合意が得られていると思うので、そこはそのようにしてもらえればと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

高芝委員、お願いします。

○高芝委員 権利の取り扱いのところですが、本日、こういう形で纏めて頂いているところですが、今後の検討に当たって留意をして頂きたい点について、再度になりますけれども、意見を述べさせて頂きたいと思いす。

以前の御報告では、権利取引のトラブルの事例のうち、架空性が指摘される可能性のある取引ですとか、必要な登録ないし許認可を受けていない違法な取引等が3割ぐらいあるということであったかと思います。このように架空性が指摘される可能性がある取引ですとか、必要な登録ないしは許認可を受けていない違法な取引等が一定程度あり得るということになりますと、現行の指定権利制度の見直しを行うことによって、取引の適正化を目指す特商法の本質ですとか構造に影響を与えかねないケースも含まれてくるのではないかと考えています。

そこで、現行の指定権利制を見直すに当たっては、この点も念頭に置いて、問題となっている取引への対応のあり方を検討して頂ければと考えました。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

事務局のほうで御意見を踏まえて、必要であれば修文していただくということでよろしいでしょうか。

ほかに今、扱っている項目について、何かございますでしょうか。クレジット等についてはございませんか。特に御意見がないようでしたら、先に進めさせていただきますが、よろしいでしょうか。

それでは、第3の「2.個別取引分野に関する事項」のところでありますけれども、(1)から(5)まであります。「3.執行に関する事項」は(1)から(3)までありますが、これを全部まとめて扱いたいと思います。

まず、山本委員、お時間の関係ということもありますので、先ほど御発言なさった関係でよろしくお願いいたします。

○山本委員 特にまとめとしてはこういうまとめをしていただければ結構なのですけれども、もし前回の議論、このまとめではなくてという議論があるようであれば、少し御意見も聞きながら、私の意見も申し上げなければいけないかなと思ったところなのです。

○後藤座長 特に今、御発言ということでなくてもよろしいということですね。わかりました。

ここの項目、今の目次の2、3の項目について、どこからでも御意見をお願いいたします。

阿部委員、よろしくお願いします。

○阿部委員 まず、15ページのアポイントメント・セールスなのですけれども、この書きぶりで中身は問題ないと思うのですが、参考資料1の訪販協さん、あるいは4の自販連さんからもコメントが出ているのですが、例えば新車の試乗会とか住宅の展示会というのは、ここで言っているアポイントメント・セールスと関係ないということはどこかに明記していただければということが1点です。

17ページからの過量販売解除権の話でありますが、18ページに、いわゆる何が過剰かということについてガイドラインをつくるというような書きぶりがあるのですが、このようなガイドラインをつくられるのであれば、消費者契約法でも同じような議論をしていますので、ちゃんと整理がつくように、基本的には同じものにしていただきたいというのが2点目のお願いです。

○後藤座長 ありがとうございました。

これは事務局で今の御意見を踏まえてということでよろしいでしょうか。

○事務局 むしろ、この報告書の後の消費者庁の検討も含めてという御指摘だと思いますけれども、消費者庁と共有したいと思います。

○後藤座長 杤原委員、どうぞ。

○杤原委員 前回、故あって欠席しました。その間にこういう内容で合意をされたと後から聞いておりますが、一言だけお願いがありますので発言させていただきます。

アポイントメント・セールスのところの手段で、SNSと電子広告が対象になっております。16ページで正常な経済取引を阻害することがないよう規制すべき不当な方法を厳格に捉えつつと、消費者庁や消費者委員会のほうで非常にものすごく配慮した書きぶりをしていただいています。しかし、今やSNSやホームページはビジネスに不可欠なツールになっております。また、SNSやホームページは資金負担の少ない広告手段でありまして、起業する方や、小規模企業のものすごい大きなマーケティングツールになっております。

広告を打つよりも、口コミで広がるほうが売り上げが出るなどの、新しいビジネスモデルに組み込まれつつあります。特に東日本大震災の被災地はインバウンドを含めてお客さんが行きませんので、TwitterとかFacebookなどのSNSを相当使いながらイベントの告知や販路開拓に取り組んでおります。被災地でも相当このツールが使われておりますので、そういったビジネスモデルや地域の事情に影響が出ないような慎重な検討をぜひお願いしたいと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ただいまのところは、杤原委員がおっしゃっているように正常な経済取引を阻害することがないよう規制すべき不当な方法を厳格に捉えつつという部分で読めるかとも思いますが、問題があるということであれば、事務局のほうでもし必要があれば次回出していただいて御議論いただけたらと思います。

ほかの部分で何かございますでしょうか。

花井委員、よろしくお願いします。

○花井委員 お願いします。

虚偽・誇大広告のところですが、虚偽広告については、全員の一致を見なかったというところはまさしくそうであるので、それは全然そのままでいいのですが、先ほど来、適格消費者団体の差し止め請求ということが出ており、事業者のヒアリングの中でも出ておりました。ホームページとかの差し止めなどは可能ですし、池本委員が言われたような勧誘方法ではないので、割とはっきりするのです。しかしながら、証拠の開示義務というのが適格団体のほうにはありません。この表現はおかしいのではないかということを言って、申し入れをしていく訳ですが、おかしくないと言われてしまうと、根拠となるデータの開示はしてもらえないので、なかなか差し止めに至らないことが実際にはあります。適格団体として、差し止めを実効性のあるものにするには、証拠の開示義務というようなものも適格団体に付与されると、差し止めがしやすくなるという意見があったということを書いておいてもらえるとありがたいなと思います。

○後藤座長 事務局でいかがですか。

○事務局 今のは重要な御指摘なのだと思いますが、そういう取消権を導入するということについては意見の一致を見なかったという形になっておりまして、ほかの法律の状況を踏まえながら、必要に応じた検討ということは書いてございますが、そういう意味では、将来に向けられた御意見なのかとお聞きしまして、そういう形でこちらに書くかどうかというところは少し検討が必要かなと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。

池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 先ほどのアポイントメント・セールスのところで、手段、SNSとか電子広告の議論ではなくて対面による勧誘、来訪要請のことで一言。

15ページの具体的な事項で3行ほど書いてあるところは、現在、既に政令で指定されている方法での来訪要請と、連続して行われる対面での勧誘目的を告げない来訪要請により誘引された者と、これが一文だと受けとめられます。そうすると、例えばたしかここでの議論で事例として出たのが、販売目的を告げないで営業所に呼び出したけれども、その日はあえて違う話題だけで、形式上、翌日、その商品を見せてやるからといって帰して、まだ販売目的を告げないままに翌日につなぐというような脱法行為のことが話題になったのがこれだと思うのですが、もう一つ、ファミリーレストランとか居酒屋とか、そういうところで食事しないかといって呼び出したら、そこへ先輩なる人がやってきて、そこで勧誘して営業所へ連れていくというパターンがあったと思います。

それは現在の対面による来訪要請は、住居を訪問しての来訪要請だから、ファミレスへ呼び出すのは現行法で当たらない可能性がありますね。その意味で、以前議論したときには住居訪問以外での対面での来訪要請を取り組めるようにする。ただ、一般的にお店に来ている人に明日来てくださいというのは入らないことは明らかです。そういうお店の中でやる場合はもともと販売目的を告げない人がつながっているというケース、店舗内だとここへ書いてあるように限定しておかないと確かに誤解を招きますねという議論だった。中間的な場所へ一度呼び出して、そこからお店にというところが議論として、あるいは事例としてあったはずですので、そこは書きぶりを工夫していただきたいと思います。

○後藤座長 この点はそういう方向で書きぶりを工夫するということでよろしいでしょうか。

よろしくお願いします。山本委員、よろしくお願いします。

○山本委員 済みません、アポイントメント・セールスのところで、特にこのままで構いませんということで先ほど申し上げたのですけれども、1点失念をしておりまして、前回、我々のほうでお示した資料でも、あと委員からの御指摘でもあったのですけれども、キャッチセールスで対面の来訪要請を間に入れて、特商法の適用逃れをしているケースを御紹介させていただいているのですけれども、それも全く構造的には同じです。キャッチセールスで呼び込んで、本来なら特商法の適用になるのに、逃れるために対面で来訪を約束させて一旦帰して、不意打ち的に勧誘するということがございます。それについても同じ考え方で、本来は特商法の適用であるべき取引類型というのでしょうか、行為であるので、考え方としてはアポイントメント・セールスと同様に、そこについても今回の政令指定の来訪要請方法の対象として明確化していただけるとありがたいなと思っております。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

事務局、お願いいたします。

○事務局 今、山本委員が御指摘されたところは、事務局としてもそういう議論があったと思っていまして、現在既に政令で指定されている方法での来訪要請と連続してという、前の来訪要請というところはキャッチセールスのようなものも含まれるような形で、わかるような形に検討してみたいと思います。

ただ、池本委員が御指摘されていた点については、池本委員がそういう問題を御発言されていたのは事務局としても認識しておりますが、少しその後、連続性というところで議論がされていたように思っておりまして、それが今のような形で含まれるということでよろしいのかどうかというのは、ほかの委員の御意見もお伺いできればと思います。

○後藤座長 増田委員、よろしくお願いします。

○増田委員 池本委員の意見に賛成します。それはぜひ入れていただかないとと思います。これまでに行政処分を繰り返しした中にもそういう来訪要請の仕方がありますので、それはぜひ入れていただきたいと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

ほかに御意見ございますか。

有山委員、よろしくお願いします。

○有山委員 簡単に。賛成いたします。

○後藤座長 それでは、そういう方向でということでよろしいでしょうか。

それでは、別の項目でどこからでも、第3の2と3について御議論いただきたいと思います。

池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 報告書の19ページ、行政処分の強化に関連してです。基本的な考え方、その下の具体的な事項という中で、特に19ページの一番下あたりは行政処分の効力を都道府県の区域外を超えて及ぼすことの可否についてというあたりで、いろいろな観点から云々というようになって、さらに検討を進める必要があるということでまとめられています。

ただ、ここは、中間整理の段階でもむしろ脱法的にほかへ移動してまた同じことを繰り返す業者がいるから何とかそこを捕捉する、広げる方向で検討できないでしょうか。ただ、自治事務として一律に広げることもできないし、消費者庁が関与するというのもおかしいしというので、例えば事案によって、被害の広がりによって都道府県が判断するときには広がるとか、何か法制度的な工夫で、効力を広げる選択肢が出るような方向で検討できないかという議論があったと思います。

その後、後半では、それについて特段軌道修正はなかったと理解しているのですが、ここはさらに検討というだけなのか、もう少しそこの方向性を、後ろの具体的な事項としてこうやれと書き込めるだけ法制的な検討ができていないとすると、前段の基本的な考え方のところでもう少し広げる方向で考えてほしい、それについていろいろ検討課題を解決しなければいけないというのは、法制局との問題もあるでしょうから理解できるのですが、せめて基本的な考え方の方向性としては、もう少し少なくとも中間整理で示されたような方向性は示していくべきではないかと考えます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

事務局、お願いします。

○事務局 今、池本委員に御指摘いただいたところですが、こちらも執行上の課題の関係で中間整理の記載をベースにしておりまして、中間整理のほうでは、今後の都道府県の行政処分の効力については、行政のリソースの効率的配分、消費者被害の効率的、効果的な発生予防等の観点を踏まえて、再整理すべく、都道府県の意見を聞きながら、都道府県が判断を行う枠組みを含め、検討が進められる必要があるというような記載になってございまして、種々の点について検討を進める必要があるということが前提になっていたかと思われまして、今回の報告書案でも、基本的な考え方のところでは、そういう執行の潜脱を可能としてしまう問題点、これはある都道府県で処分を受けた事業者が他の都道府県で事業活動を行うということも含まれるということか思いますが、それを記載し、その上で具体的な事項としては、先ほどのリソースということも踏まえながら、冒頭で行政処分の効力を都道府県の区域を超えて及ぼすことの可否について、こういう観点を踏まえてさらに検討を進める必要があるということで、具体的にやっていく必要があるという形で書いたつもりでございます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。

村座長代理、お願いいたします。

○村座長代理 1つ確認をさせていただきたいと思うのですが、19ページの具体的な事項の第1パラグラフのところです。下から2行目のところなのですが「事業者に対して役員等の他の法人の役員等との兼任状況の報告を命ずるなど」ということで、役員の次に「等」がついているのです。この趣旨というのは取締役とか監査役とかCEO、執行役員だけではなくて、事実上例えば外務員の指導をしているとか、特商法違反のビジネスモデルの指導をしているとか、そういうような実質的な業務に関与しているキーパーソンのようなものが全部含まれるという意味で「等」がついているというように理解するのでよろしいでしょうか。

○事務局 ここは中間整理の記載を受けているところではございまして、具体的な法制度としてどうかというのは、ここも法制的な検討がさらに必要ということではございますけれども、基本的には中間整理で挙げられていたところを念頭に置いているわけでございます。その中では、役員あるいは役員と同等の支配力、影響力を及ぼす従業員等というものも記載があったかと思います。

○後藤座長 よろしいですか。ほかにございますでしょうか。

山本委員、よろしくお願いします。

○山本委員 美容医療の関係なのですけれども、特役のほうに今回規定するということになっておりますけれども、ヒアリングの際にいろいろなお話を聞いて、やはりエステとの区分けをしっかりしてほしいということがかなり気を使われておりましたので、18ページのところにはそこの記述があるのですけれども、前のほうに戻ってしまうのですが、9ページに美容医療サービスの相談件数が載っておりますが、ここの項目が特定継続的役務の中に入っておりまして、この流れでいきますと、エステと同じ並びの中で整理がされてしまっていますので、ここの議論については特定継続役務という問題点で美容医療サービスについて議論をしたわけではなくて、美容医療サービスについて議論した結果、特定継続的役務でいこうということになったので、タイトルとしては、美容医療サービスということで現状の把握をした形で整理をしていただいたほうが、議論の流れからいってもいいと思いますし、業界側が気にされていた部分についての配慮にもなるかと思いますので、そういう書きぶりを工夫していただけるといいかなと思います。

以上です。

○後藤座長 事務局は、この点はいかがですか。

○事務局 検討させていただきたいと思いますが、ここも8ページのところで項目としては後ろとの関係で特定継続役務と書いてはおりますが、9ページの表のタイトルとしては、美容医療サービスと書いてありまして、確かに議論して挙がっていたのは美容医療サービスについて議論されていましたが、位置づけとしては特定継続役務のテーマの中の資料という位置づけだろうと議論しております。少し検討させていただきたいと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 行政処分の強化に関連しての部分です。都道府県の絡み、19ページの一番最後のところ。先ほど事務局が中間整理をベースにしながらという説明がございました。特に種々の検討が必要なので、それを前提にさらに検討を進めるのだということでした。具体的なケースが今ここでテーブルに載っているわけではないのでイメージが湧きにくいのですけれども、基本的には悪い業者を機動的に処分すること、それは大事なのだと思うのですが、一方で同じようなものをある県ではこういう処分をして、ほかの県では違うというか、バランスが崩れるような、そういう処分はまずいのだと思う。ここはやはり都道府県に国が連携することは大事だけれども、あくまで国が全体的な差配というか、司令塔となってうまく都道府県と連携をとってということが大事なのだと思います。いずれにしても、具体的な事情のイメージが湧きませんけれども、さらに慎重に検討を進める必要があるという立場で事務局の説明に納得したということであります。

もう一点、先ほど言い忘れましたが、虚偽・誇大広告のところ、16ページです。先週金曜日、景表法の改正について閣議決定して、課徴金制度が来年4月から導入されるということであります。大変事業者にとってはペナルティーが大きくなると思っております。したがいまして、景表法の改正の運用状況、来年4月以降、十分にチェックをしていかなければいけないと思います。一方で、事業者にとっては、その景表法の大きなペナルティー、うそだとか、偽りの広告を出した場合、そういう課徴金を課される一方で、さらなる広告の取り消しとか、二重のことを求められる恐れもあるわけで、やはり普通の業者に対して過度な負担を強いるようなことはあってはならないと思います。この虚偽・誇大広告に関する取消権の検討、今後検討が行われることが期待されるというまとめになっていますけれども、景表法の運用状況をしっかり見て、諸般の状況を勘案して検討していく。そういう趣旨がここに盛り込まれているのだと私は理解しておりますので、よろしくお願いいたします。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。

高芝委員、よろしくお願いします。

○高芝委員 執行の強化の関係ですが、本日の資料の中の参考資料1ということで、訪問販売協会からの資料が出ています。それの2ページのところを見ますと、2ポツで執行の強化を書いてあるところがありまして、私も同意見ですので、意見を述べさせて頂きたいと思います。

行政処分を強化するに当たっては、その前提として、国、都道府県による解釈等の統一化、均一化が重要になってくると考えています。ただ、この点は現行制度上の問題といいますか、課題があろうかと思いますが、ここの解釈等が統一化、均一化されることによって、関係当事者、この資料では事業者、消費者と書いてありますけれども、が予測可能性に基づいた行動をとることができるようになりますので、この点も留意して頂けると有り難いと思います。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。

杤原委員、どうぞ。

○杤原委員 20ページの行政処分の強化のところですが、議論した記憶がほとんどありませんで、書き込んでいいのかという疑問があります。広域的な取り締まりや、執行強化が必要というのは誰もが認識するところでありますが、多くは自治事務になっており、国が権限を持っている部分は極めて少ないのが実情です。多くは自治事務になっておりますので、自治事務の範囲を超えて国が関与するというのも国と地方の法律上の仕組みがありますので、ここのところは慎重に検討するとしておいたほうがよろしいのではないかと思います。

それに関係してなのですけれども、最後の「おわりに」のページで質問があります。

○後藤座長 済みません、「はじめに」と「おわりに」はまとめて後で御意見を伺おうかと思っていたのですが、「はじめに」の部分と「おわりに」の部分に移ってもよろしいでしょうか。

それでは、よろしくお願いします。

○杤原委員 一つだけ質問なのですが、11ページで刑事処分に関する状況が記載されていると思うのですが、その刑事処分に関する状況の記述が引き続き高水準で推移していると書いてあります。私どもは、これが高水準なのか、低水準なのか、あるいは執行の強化で検挙件数が上がっているので法律の実効が上がってきていると評価するのか、物差しがわからないので、そこを教えていただきたいと思います。

○後藤座長 これはいかがでしょうか。

○消費者庁桜町取引対策課長 検挙件数、検挙人員、この数は、こちらにお示しさせていただいているグラフの状況を踏まえて、このような形にさせていただいていまして、高水準かどうかという御指摘のところは確かにこのグラフからだけだと読み取りにくいところがあるかもしれませんので、表現ぶりは工夫してみたいと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

それでは、池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 これはもう評価の問題なので、比較をしてみるとどうかと思うのですが、10ページの(1)には行政処分件数。これは国と都道府県のそれぞれについてがあって、全部棒グラフで上に示してありますが、最近も100件ちょっとを超えるぐらいのところにあります。それに対して、検挙件数の11ページは、160件とか170件とか、むしろ普通だったら行政処分のほうがもっと多くて、本当の採用者というのがそのもう一歩先かなと思うのですが、こちらのほうが多いという意味では、高水準という評価は十分成り立つのではないか。

ほかでもそういう議論をした覚えがありますので、いかがでしょうか。

○後藤座長 高水準という表現をとるのか、あるいは池本委員の御指摘を考慮して高水準のままにするのか、今お決めいただけるかどうか。

野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 ここは別に評価する必要はないので、このグラフのように推移しているで書けばいいのではないですか。何をもって高水準か、また線引きが難しいですね。

○後藤座長 事務局、お願いいたします。

○事務局 ここは議論の経過を見てこのような記載ぶりにしたように記憶していますが、野坂委員おっしゃるように、ここで評価をあえてして議論していただくということではないかと思いますので、そこは表現ぶりを工夫したいと思います。

○後藤座長 それでは、「はじめに」と「おわりに」に移ってもよろしいでしょうか。

それでは、「はじめに」の部分と「おわりに」の部分で何か改めたほうがよいとか、何か御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。

杤原委員、よろしくお願いします。

○杤原委員 22ページの「おわりに」についてですが、3段落目までは事実をお書きいただいているのですんなり読めるのですが、4段落目については、議論をしていません。「はじめに」でも述べたとおり、法改正による対応が必要な事項を中心に調査審議を行ってきたと記載されてあり、内容として法改正が前提になっておりますし、十分な検討が行われていない重要事項が多数存在していると書いてありますが、多数存在しているかどうかの議論もまだしていませんので、この4段落目は不要で削除してよいのではないかと思います。

○後藤座長 事務局、お願いいたします。

○事務局 もし委員の皆様であえて不要ということであれば不要でよいのかと思いますが、一応記載の趣旨についてだけ御説明させていただきますと、確かに多数かどうかというのはまた評価の概念を入れてしまって大変恐縮でございますが、概念としては例えば美容医療契約の関係であれば、具体的に役務をどういうように列挙していくか、あるいは損害賠償額の上限額というところは関連する事業者の意見を聞きつつさらなる検討が行われる必要がある。これは施行令の改正の関係で課題として残されていたようなことがありまして、そういう政省令の関係で残されている部分がありましたので、記載したという趣旨でございます。

○後藤座長 池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 審議の経過から見ても、まだここで十分議論できていない論点が多数あるということは出て来ていたと思います。第1回でフリートーキングをして、それぞれ問題意識を、そのときもペーパーを出させていただきましたが、ほかの委員からも何点か論点が出され、第2回でそれを整理していく中で、第1回で意見は出たけれども、取り上げ切れない論点、特に政省令に関するところよりは法律に関するところを優先でやって、政省令事項はさらに時間の余裕があればそれも取り上げたいというようにたしか事務局側からの説明があった記憶ですが、なかなか十分できていなかったので、それも何もこの場を継続審議で1月からやれという意味ではないのですが、また必要に応じてそこもしっかり検討していただきたいし、政省令事項は法改正の後で関連してやれることですから、タイミングを見て、そこもまた検討していただく必要がある。適切な検討だから、どういうやり方をするかという中で、関係事業者の意見も聞きつつというのがちゃんと入っているので、よろしいのではないかと私は思います。

○後藤座長 いかがでしょうか。ほかの委員の方の御意見。

増田委員、よろしくお願いします。

○増田委員 私も賛成いたします。

一番最初の会議のときにいろいろな論点についてそれぞれ申し述べたと思いますが、例えば連鎖販売取引、業務提供誘因販売取引、訪問購入などの細かい点について、やはり改正していただきたいということも申し上げました。そういうことも含めて、今後、適切な検討が行われることが必要であるというようにまとめていただくことは適切だと思います。

○後藤座長 よろしいでしょうか。

それでは、これまでに出ました御意見を踏まえて、事務局のほうで次回出していただいて、またそこで必要があれば議論するということでよろしいでしょうか。

それでは、時間も過ぎておりますので、他にございませんようでしたら、本日の議論はこのあたりにさせていただきたいと思います。

次回の会議では、本日いただいた御意見を踏まえまして、報告書案を修正したものを御議論いただき、報告書の取りまとめを行うこととしたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。

最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。


≪3.閉会≫

○丸山参事官 本日も長時間の熱心な御議論をどうもありがとうございました。

次回は12月24日、木曜日、15時からの開催を予定しております。よろしくお願いいたします。

○後藤座長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)