第43回 食品表示部会 議事録

日時

2017年7月28日(金)9:29から12:21

場所

中央合同庁舎8号館1階 講堂
(東京都千代田区永田町1-6-1))
(最寄り駅:国会議事堂前(3出口)、溜池山王(8出口))

出席者

【委員】
阿久澤部会長、樋口部会長代理、赤枝委員、安達委員、池戸委員、井之上委員、今村委員、受田委員、荻原委員、蒲生委員、川口委員、岸委員、澤木委員、菅委員、宗林委員、松嵜委員、渡邊委員
【説明者】
消費者庁 吉井審議官、赤崎食品表示企画課長、三上食品表示対策室長、食品表示企画課
農林水産省 島崎食品表示調整担当室長、食品表示・規格監視室
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 食品表示基準の一部改正に係る審議(消食表第156号諮問書(加工食品の原料原産地表示))
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

※参考資料4、5は7月12日部会に欠席した委員に対し、部会長が総論について確認を行った際のご意見

≪1.開会≫

○丸山参事官 定刻になりましたので、そろそろ会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は皆様、お暑い中お集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会食品表示部会」第43回会合を開催いたします。

本日は宮崎委員が前回に引き続き御欠席ですが、過半数に達しており、定足数を満たしております。

なお、宮崎委員におかれましては、7月5日に豪雨災害が発生いたしました福岡県朝倉市などを管轄される保健所長をされており、当面出席のめどが立たない状況であることについて御報告させていただきます。

また、岸委員におかれましては、追って到着されるものと思います。

議事に入ります前に配付資料の確認をさせていただきます。本日お配りしております資料につきましては、お手元の議事次第下部に記載しております。

資料1から資料5、参考資料につきましては1から10となっております。

なお、参考資料4、5につきましては、前回御欠席でいらっしゃいました安達委員、荻原委員に総論に対する御意見を伺った際に提出されたものとなっております。

また、本日、井之上委員、今村委員、蒲生委員、岸委員、渡邊委員の各委員から資料が提出されております。参考資料6から10ということでお配りしております。委員提出の資料につきましても、議論に御活用いただきますよう、よろしくお願いいたします。

不足の資料がございましたら、事務局までお申しつけください。

なお、本日も多くの傍聴の方がお越しになっておりますので、御発言の際には恐縮ですがマイクに近づいて御発言いただきますよう、よろしくお願いいたします。

それでは、阿久澤部会長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。

≪2.食品表示基準の一部改正に係る審議≫

○阿久澤部会長 皆さん、おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。

前回に引き続き、加工食品の原料原産地表示に係る食品表示基準の一部改正について、審議を行います。

前回部会では、各論の残りの議論に引き続き、諮問案についてどう考えるかという総論について御意見を伺いました。本日は、これまでの御意見、審議状況等を踏まえて作成した答申書の部会長案をお示しし、それをたたき台として議論を進めたいと思います。よろしくお願いいたします。

では、答申案について御説明したいと思います。

初めに、答申書案を事務局に代読していただきます。その後、私のほうから答申書案をこのような内容にした趣旨を説明したいと思います。

では、事務局からお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の右肩に資料1となっております資料をごらんいただければと思います。答申書ということで書いております。

端書きでございます。平成29年3月22日付消食表第156号をもって諮問のあった、食品表示基準の加工食品の原料原産地表示制度に係る規定及び別表の一部改正について、下記のとおり答申します。

「記」ということで、内閣府令につきまして、食品表示基準の加工食品の原料原産地表示制度に係る規定及び別表の一部改正について、以下(1)(2)を除き、別表1の1.から10.の実施を前提として、諮問された改正案(別添)のとおりとすることが適当とするとなっております。

(1)第3条第2項表1の五イの(ロ)の修正が必要である。

(2)施行期日、経過措置、今般の一部改正による原料原産地表示の対象とならない製品の範囲に関する追記が必要である。

上記(1)(2)について、消費者庁の説明に基づき食品表示部会で議論し了承された修正方針を別紙2のとおり示すので、諮問された食品表示基準案を変更されたい。

また、消費者委員会の問題意識を別紙3のとおり付帯意見として付すとなっております。

次のページが別紙1「諮問された食品表示基準案を適当とする前提条件」となっております。

1.でございますが「消費者・事業者の理解状況に関する目標値の設定」です。

全ての加工食品に原料原産地表示を義務づける制度は、消費者の商品の合理的選択の確保から構想されており、消費者が表示の意味を正しく理解し活用しなければ、制度を導入する目的が達せられない。また、制度導入に当たっては、事業者が制度を正しく理解し、理解不足による誤表示が発生しないよう十分に行政が周知を行うことは必須である。このため、消費者への普及・啓発、事業者への制度周知に当たっては、あらかじめ理解度等に関して達成すべき目標値を設定し、達成状況を適宜確認しつつ、周知活動を行うこと。

2.といたしまして「消費者への普及・啓発」でございます。

消費者への普及・啓発に当たっては、従前の食品表示に関する消費者の理解が進んでいない状況も鑑み、新たな普及・啓発方法も取り入れて、目標達成に向けて丁寧かつ十分に行うこと。

3.が「事業者への周知」となっております。

本制度は、事業者の規模にかかわらず、国内で活動する全事業者に加工食品の原料原産地表示を義務づけるものであるため、事業者向けの周知に当たっては、説明会の開催のみにとどまらず、説明会に参加する時間がとりにくい中小・零細事業者にも十分配慮した施策を実施すること。あわせて、事業者が必要とするときに具体的な個別相談を行うことができる相談窓口を全国各地に常設するなどの対応も行い、事業者の理解不足に基づく誤表示が発生しないよう、事業者への周知を丁寧かつ十分に行うこと。

4.といたしまして「Q&Aの充実」です。

食品表示部会での議論を踏まえてQ&Aをさらに拡充し、事業者が制度を誤って解釈しないように、わかりやすくかつ的確な制度解説を行うこと。特に、例外要件に当たるか否かの判断基準や、原料原産地表示の根拠資料の保管に関するルール、行政に対し説明が必要となる事項等を、明確に理解できる解説とすること。あわせて表示例の記載に当たっては、当該例示を参考に事業者が作成することとなる表示が、消費者の誤解を招かない内容となるよう、さらに精査を行うこと。

5.といたしまして「経過措置期間中の周知状況に関する状況把握・分析」です。

消費者庁が実施するとしている「周知状況を把握する調査」は、消費者のみならず事業者に対しても実施すること。経過措置期間中、毎年調査を実施し、周知状況の現状分析を行った上で、目標達成状況に応じて周知活動の追加実施や周知方法の変更を行うといった柔軟な対応を行うこと。

6.といたしまして「監視」です。

本制度の導入に当たっては、故意に実際と異なる表示を行った事業者がいた場合に、そのような不正表示を的確に把握し、当該事業者を処分できる監視体制と制度運用が整っていることが必須条件である。食品表示に関する監視体制をより一層強化するとともに、本制度の監視に関する運用をさらに具体的に検討し、国・地方公共団体が連携して不正表示を許さない制度運用を速やかに確立すること。

7.といたしまして「別表第十五(第三条、第十条関係)への品目の追加基準の明確化」です。

今後、「おにぎりののり」のように別表第十五(従前の22食品群+4品目の原料原産地表示)に追加する品目を選定する場合の基準を明確化し、公表すること。

8.といたしまして「例外表示の検証」です。

制度施行後、定期的に制度の原則である国別重量順表示と例外表示がどの程度の割合で存在するかを調査し、例外表示があくまで例外と言える割合にとどまっているか、例外の割合が相当程度に達する場合は、どのような原材料や製品で例外表示が多いかといった点を検証していくこと。

続きまして、次のページですが、9.「理解度調査の実施」です。

経過措置期間終了後、消費者の理解度・活用度・表示に対する満足度などに関する調査を定期的に実施し、現状分析を行い、その結果を公表すること。この際、事業者に寄せられた質問や意見等についても調査を実施し、現状分析に活用すること。

10.といたしまして「制度の見直し」です。

経過措置期間終了から2年後を目途として、各種調査結果等に基づき制度導入の効果について検証を行い、必要に応じて制度の見直しを実施すること。

続きまして、5ページ、別紙2「諮問された食品表示基準案のうち、修正・追加を行うべき内容」となっております。

(1)第3条第2項表1の五イの(ロ)。

一定期間使用割合が5%未満である対象原材料の原産地について、当該原産地の表示の次に括弧を付して、当該一定期間使用割合が5%未満である旨の表示を義務づけるが、第3条第2項表1の四の規定に基づく「その他」の表示に対しては、当該表示を義務づけない。

(2)施行期日、経過措置、今般の基準改正による原料原産地表示の対象とならない製品の範囲。

施行は今回の食品表示基準の一部改正に係る公布の日からとし、経過措置期間は府令の施行の日から平成34年3月31日までとする。

また、今回の食品表示基準の一部改正に係る施行の際に加工食品の製造所または加工所で製造過程にある加工食品は、従前の食品表示基準の例によることができる。

続きまして、最後でございますけれども、6ページ、別紙3「付帯意見」となっております。

1.でございますが、義務表示の増加に伴い、製品上に表示する文字がかなり小さくなっている。加工食品の原料原産地表示も含めて、今後、義務化される表示がふえれば、状況はさらに深刻化し、消費者が安全性にかかわる表示を見落としてしまう要因にもなりかねない。現在の食品表示は製品上への表示が対象であるが、インターネットでの表示を表示制度の枠組みに組み入れて活用する方策検討も含めて、今後、表示のあり方や食品表示間の優先順位について総合的に検討すべきである。

2.加工食品の原料原産地表示制度は、国際的にはほとんど類例のない制度となるため、制度施行後の海外との商取引に影響が出ないように、各国からの質問等があった場合には、引き続き、丁寧に制度に関する説明を実施することを望む。

3.といたしまして、食品表示部会に対して諮問案への変更点として消費者庁が提示した「附則第3条」については、経過措置に関する条文の次に記述されていることもあり、一読しただけでは「施行の際に」加工食品の製造所または加工所で製造過程にある加工食品は表示義務の対象とならないことに気づきにくい。経過措置満了の際に製造過程にあれば表示義務を課されないといった誤った解釈がされないよう、基準案の修文、もしくはQ&A等での丁寧な解説を望むということです。

なお、付言しておきますが、答申書1ページ(1)(2)と別紙2につきましては、諮問された食品表示基準案に対して消費者庁から変更や追加をしたいと申し出があった部分でございます。

(1)が、お手元の資料5の1ページ、可能性表示で重量割合が5%未満の場合に5%未満と記載する対象から「その他」の表示を除くことについての記述となっております。

(2)につきましては、同じく資料5の2ページに対応する記述となっております。

事務局からの説明は以上でございます。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

では、私から、答申書案をこのような内容とした趣旨を御説明いたします。

もう一度、資料1をごらんください。まず、答申書の主文に当たる部分ですが、1ページの「記」の下です。2行目の中ほどから、以下(1)(2)を除き、別紙1の1.から10.の実施を前提として、諮問された改正案のとおりとすることが適当であるといたしました。

部会長案を制度導入について前提条件をつけて適当であるとした理由は、本件を検討する最初の部会、第38回に当たるかと思いますが、そこで私から、本委員会は、諮問されてくる基準案に対し、懸念や疑問を十分に払拭できるものとなっているかの確認が求められている。また、消費者庁が事業者の実行可能性を見つつ考えられる基準案や、実際の表示を消費者が十分理解し有効活用できるかを見きわめていくことが重要である。さらに、中間取りまとめをまとめられた検討会の議論のやり直しを当部会に求められていることではないというようなことを申し上げました。その後、これらを御理解いただいた上で、議事進行に御協力いただきつつ、議論を進めてまいりました。

このことを念頭に置きまして、前回部会で総論に関する御意見を参考にし、また、前回御欠席だった3名の委員にも事務局を通じて意見を伺った結果、制度導入に賛成する方、導入自体は評価するという方、導入はやむを得ないと考える方が多数を占めていると判断したためです。その上で、各論の審議を通じて、制度運用が万全とまでは確認できなかった部分が残っているため、それらに対する対応要求を、制度導入を容認することの前提条件として記載しました。

前提条件は、2ページの別紙1に合計10項目を記載しております。

委員からの懸念に対する意見に対し、消費者庁からは、修正や追記をしていただきましたが、今後、努力して期待に応える旨の発言も多くございました。

別紙1では、一番初めに努力目標が必要であろうと考えまして「消費者・事業者の理解状況に関する目標値の設定」を挙げました。

答申書案に記述したとおり、この制度は消費者の商品の合理的選択の確保から構想されており、消費者が表示の意味を正しく理解し、活用しなければ、制度を導入する目的が達せられません。また、制度導入に当たっては、事業者が制度を正しく理解し、理解不足による誤表示が発生しないように行政が十分に周知を行うことは必須です。この点については、恐らく全員に賛同いただけると思っておりますが、一方で制度導入後、消費者・事業者の双方が十分に制度や表示を理解できるかという点について、今も疑念や不安を持っている方がいらっしゃると思います。

今回、答申書案を考えるに当たり、制度導入を適当とするとしても、この疑念や不安を解消するための方策が絶対に必要であると思い、そのための一つの手段として、目標値の設定に関する項目を記載しました。これは以前の部会で受田委員から、効果測定ができる数値設定が必要との意見があり、その考え方を取り入れたものです。まずは制度を導入する行政自身がどの程度理解度が進めばこの制度を導入する目的を達せられると考えているかを目標値という形で明らかにし、その目標を達するためには計画が必要になります。計画的に今まで以上に積極的な広報活動を行っていくことが、現在、委員の皆さんが抱えている疑念や不安を払拭する助けになると考えました。

後でこの答申書をたたき台として御議論いただきますが、この部分について賛同いただけるのであれば、あわせてどういう形で目標値を立てると的確な効果測定ができる値となるかといった点の御意見も、今回いただきたいと考えております。

次に「消費者への普及・啓発」を挙げました。

前々回に消費者庁から紹介された調査結果によると、これまでの食品表示の理解度は30%に満たないという状況で、その現状を踏まえれば、今までとは違った形の手法も取り入れ、行政がこれまで以上に真剣に普及啓発に取り組む必要があります。

各論の審議では、消費者庁から、国の直轄事業としては珍しいスーパーやコンビニでのチラシ配布といった、消費者に直接情報を届ける形での普及啓発を実施するといった説明もありました。また、消費者向けのQ&Aも作成して、制度への理解も深めてもらうといった説明もありました。これらの実現を初めとして、さらに検討を重ねて、効果的な普及啓発に取り組むことは必須条件であると思います。

次に「事業者への周知」について記載しました。

この点については、渡邊委員、川口委員を初めとして、多くの委員から事業者への周知の重要性が意見として出されました。それに対して消費者庁から、各種説明会の実施や地方自治体との連携についての説明があり、農水省から、地方農政局に相談窓口を設置する予定との説明がありました。前回、渡邊委員などから、監視が十分に行えるかと心配する前に、行政が事業者への周知を十分に行うほうが先であり、非常に重要という御意見がありましたが、周知が足りないばかりに制度理解が進まず、その結果、誤表示が発生して、行政指導の対象となるといった構図は絶対に避けるべきであり、全くそのとおりだと思います。

行政の責任において、大手事業者だけでなく、中小零細事業者の方々が制度を十分に理解することができる施策を実施し、事業者の理解不足に基づく御表示が発生しないようにすることは、この制度を導入する行政の責務であると思いますので、その趣旨で記載をしております。

次に、2ページ下から3ページにかけて「Q&Aの充実」について記載しました。

Q&Aについては、消費者庁から一部の内容が示され、その内容について議論し、いろいろな修正意見が出されました。また、当部会に示された内容だけでは足りないとの御意見も出されており、消費者庁からは、今後、拡充を検討するという回答があったところです。

これまでの審議の中で委員から、いろいろな具体的な修正提案が出されていますが、それらの内容を個別に記述するより、部会での議論を踏まえてさらにQ&Aを拡充し、事業者が制度を誤って解釈しないように、わかりやすく的確な制度解説を行うことを条件にしたほうが、具体的には提案が出ていない部分も含めて全体的に検討してもらえると判断し、このような記述といたしました。蒲生委員や川口委員などから御意見が出ている実績表示の変更提案についても同様の趣旨で、具体的には記載せず、今のような表現としております。

次に「経過措置期間中の周知状況に関する状況把握・分析」についてです。

消費者の理解度について、経過措置期間中から調査分析し、必要な対応を行っていくことは当然必要ですが、経過措置期間中は、事業者への周知状況を把握することも極めて重要だと思います。このため、経過措置期間中の消費者・事業者双方の周知状況の把握と分析について、まとめて記述をしております。

次に「監視」についてです。

これまでの審議で、監視は、故意に事実と違う表示を行う悪質業者がいた場合に、その事実をいかに見抜けるかという点が重要との御意見が数多く出されました。また、そのためには、現時点でもっと監視の運用手順を具体的に詰めておく必要があるとの御意見も出ております。

消費者庁、農水省からは、現状の監視体制や状況に関する説明がこれまであり、この制度が導入されても、現状の監視体制の中で対応可能との説明がありましたが、現状の体制だけで足りるとする点には疑問があると考える委員は今もおいでだと思います。また、前回の部会で一部、具体的な追加説明も行われており、若干理解が進んだとも思われます。

このような状況であるため、施行の前提条件として、6.の3行目、後ろからですが、「監視体制をより一層強化するとともに、本制度の監視に関する運用を更に具体的に検討し、国・地方自治体が連携して不正表示を許さない制度運用を速やかに確立すること」としております。

次に「別表第十五(第三条、第十条関係)への品目の追加基準の明確化」についてです。

これは今回の改正で「おにぎりののり」への原料原産地表示を義務化することに関連して、今後、同様の扱いをする品目が出てくる可能性があると消費者庁が説明したことを受けて、品目選定のための訂正を定めて公開すべきという御意見があり、今後のためには重要と考えて、記載しました。

次は「例外表示の検証」についてです。

現状では、例外表示がどの程度の割合になるかがわからないため、制度を導入してみると、結果として例外表示が多くなってしまい、消費者が商品選択の際にうまく表示を活用できないのではないかといった御意見がずっと出されています。原則である国別重量順位での表示が多くなれば、消費者が表示を見て誤認するのではないかという懸念も小さくなり、例外表示がふえれば懸念も大きくなるということですので、表示がどの程度の割合で存在するかということは現状把握していくべきで、例外の割合が相当程度に達する場合には、その要因についても分析していくことは重要だと思います。このため、この点について記載しました。

次に4ページですが「理解度調査の実施」について記載しました。

これはほとんどの委員から必要との御意見が出ている調査についてですので、特に説明は不要かとも思いますが、経過措置期間終了後、消費者の理解度・活用度・表示に対する満足度などに関する調査を定期的に実施し、現状分析を行うこと。この際、事業者に寄せられた質問や意見等についても調査を実施し、現状分析に活用することとの記載をいたしました。

なお、経過措置期間中の消費者の理解度調査は、5.の周知状況に関する状況把握・分析の項目に記載しているため、この項目については経過措置期間終了後としております。

最後に「制度の見直し」についてです。

経過措置期間終了後、一定の期間がたったところで、8.の例外表示の検証や9.の調査結果などに基づき、制度導入の効果について検証を行い、必要に応じて制度の見直しを実施することは必要だと思います。

消費者庁も見直しは行うと説明していますが、期限については説明がありませんでした。前回の部会で宗林委員や澤木委員から御意見があったように、一定の期間を切っておく必要はあると思いますので、お二人の御意見に沿って、平成34年4月1日から2年後をめどとする期限を記述しました。

続いて、別紙2について御説明いたします。

これは先ほど事務局から説明があったように、諮問された食品表示基準案に対して、消費者庁から変更や追加をしたいと申し出があった部分です。(1)が資料4の1ページ、可能性表示で、重量割合が5%未満の場合に、5%未満と記述する対象から「その他」の表示を除くことについての記述。

(2)は資料4の2ページに対応する記述です。どちらも各論の審議の中で了承されているため、消費者庁案での変更、追記について記載しております。

最後に、別紙3ですが、委員から出された御意見のうち、今後の表示に関することや、本制度に係る事項のうち、前提条件というより付帯意見としたほうがよいものをここに記載しております。

答申書案の説明は以上です。

では、この案をたたき台といたしまして、議論を行いたいと思います。どうぞ御意見をお願いしたいと思います。

渡邊委員、どうぞ。

○渡邊委員 渡邊です。

答申書案を示していただきまして、ありがとうございます。今、示していただいた答申書案の一部修正をお願いしたいと思いまして、今回、意見ということで、参考資料10に修正案を書かせていただいております。

内容としましては、今御説明いただいた4ページ目の「制度の見直し」のところです。10.ですけれども、ここに制度を見直すということの理由についても明記していただきたいと思っていまして、ちょっと長いですけれども、このように修正していただきたいと思います。

「今回の原料原産地表示制度(案)は、早急に『すべての加工食品』を対象としたことにより、複雑な制度になっている。また、提供する情報量の拡大というメリットはあるものの、中小事業者への負担増、食品産業の競争力の低下などのデメリットも考えられる。そのようなことから、経過措置期間終了から2年後を目途として、消費者ニーズの解析とメリット・デメリットについて検証を行ない、制度自体の存廃も含め、制度の見直しを実施すること」、このように改正していただきたいと思います。

あとは細かいことですけれども、付帯意見1.の1行目です。義務表示の増加に伴い、製品上に表示する文字がかなり小さくなっているとなっているのですけれども、これは小さくなっているというよりも、製品上に表示する文字の量がかなり多くなっているとしたほうがよいかと思いまして、書かせていただいています。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

ただいまの御意見に関して、いかがでしょうか。

菅委員、どうぞ。

○菅委員 関連したほうがよろしいですね。

○阿久澤部会長 そうですね。お願いします。

○菅委員 菅です。きょうもよろしくお願いいたします。

今の点なのですけれども、効果検証の結果としての将来的な制度の見直しという場合には、存廃も含めてということのみならず、当部会で私以外にも意見のあった、さらなる拡充といいますか、重量割合2位以下の原材料への拡充とか、外食等への拡充といった、より充実した原料原産地表示制度への改正を求める可能性というのもあり得るものと考えます。そういうことでいくと、もしその存廃を含めた見直しというような言及もなされるようでしたら、重量割合2位以下の原材料への拡充や外食等への拡充、さらに細かく言えば中間加工原材料云々の問題もあると思うのですけれども、等々、当部会で意見のあった、より充実した原料原産地表示制度への改正の可能性も含めて、制度の見直しを考える余地があることについて言及していただきたいと思います。

ご提出いただいているご意見の中で、細かいニュアンスの問題として少し個人的にひっかかりますのは、「早急に『すべての加工食品』を対象としたことにより」という、その「早急に」という表現については、なかなか22食品群プラス4品目から対象が広がらなかった歴史などを踏まえますと、私などは違和感を覚えますので、コンセンサスということでいけば外していただくべきではないかと思いますし、その部分の表現全体としましても、少なくとも、「事業者の現在の実行可能性に十分配慮する形で」ということで、複雑な制度になっているという表現にしていただくほうがふさわしいのではないかと感じます。

また「中小企業者への負担増」というのは実際に発生し得ることだと思うのですが、食品産業の競争力の低下などのデメリットと言い切ってしまわれることについては、それが直ちに広く確実に発生するものなのかどうかについてはいろいろな御意見があり得ると思うので、もしこのような表現を加えるのであれば、「デメリットが発生するおそれ」ぐらいにしておかれるべきではないかと思います。

「消費者ニーズの解析」というフレーズが入ることについては、私も、「前提条件」の9項や10項に関連して、9項に「満足度」という表現はあるものの「消費者ニーズ」という表現に当たるものについてはどう読み込むのかなという疑問も持ちましたので、例えば10項において、「導入の効果についての検証」と「導入後の消費者ニーズの変化の有無の調査」といった形で並べる等、「消費者ニーズ」という用語を入れる余地はあるのかなと思います。もしこうしたフレーズを入れる方向に行くのであれば、この辺りの点を御検討いただくのがよいのではないかと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございます。

渡邊委員から、制度見直しについて、その理由を明記したほうがよいという御提案をいただき、さらにそれに加えまして、その提案に対して菅委員からの意見、そして、その内容として、より充実した制度にするためにさまざまな今まであった意見等も含めての見直したほうがよいという御意見だったと思います。いかがでしょうか。そういった御意見で、このたたき台をそのような形にしたほうがよいとのこと。

○宗林委員 これ全部の項目一遍に、どこからでもということですか。

○阿久澤部会長 そうですね。ここで最初に意見がありましたので、これについてお願いします。

もし気がつけば、また後ほどでもいいですが、渡邊委員からの意見に対してということで、ここのところはこれでよろしいですか。

それでは、どうぞ、次にもしあればお願いいたします。

○蒲生委員 蒲生です。

部会長、部会長案の作成をありがとうございます。この答申書案への意見・要望としましては、私も参考資料8にまとめさせていただきましたので、ちょっと長いのですけれども、意見を読ませていただきます。

まず、章立てに関して、章立てといいますか追加の要望でございます。項目ごとに委員が提示した懸念と部会見解を記載してくださいということです。

食品表示部会では、消費者庁からの食品表示基準改正案の説明を受けて審議した後に、各論を議論し、それを踏まえて総論を議論して、項目ごとにまとめを行いました。答申書には、その議論した項目ごとに委員が提示した懸念事項を具体的に記載していただきたいと思います。

その理由としましては、前提条件1.の理解度調査、これは非常に大事なことなのですけれども、その行う理由というのが、この制度が新しいもので知られていないから理解度を調べるというのではなくて、表示ルールが複雑で、表示を見ただけでは消費者が誤認をするおそれがある。そのように懸念されたために、消費者がどのように表示を理解するか調べ、その結果を前提条件2の普及・啓発につなげるというふうにされたと理解をしております。前提条件を設けた理由がよりクリアとなるように、委員が提示した懸念事項を具体的に記載することを要望いたします。消費者の誤認という言葉がほとんど出ていないところにひっかかりました。

その上で、項目ごとの部会見解を記載していただきたいと思います。なお、部会で発言いたしましたとおり、私は誤認のおそれがありながら情報拡大を優先するのはおかしいと考えております。普及・啓発で誤認を防ぐことには大きな限界があります。これは消費者教育に携わる者としてその限界というものも感じております。食品表示とは本来、特別な教育を受けなくても理解できるシンプルな内容であるべきです。表示ルールの複雑さによってこの制度のメリットとされる情報拡大がむしろ逆に消費者の誤認や混乱を招かないか懸念をしております。そのため、理解度調査は制度導入の前に行っていただきたいと要望いたします。

続きまして、前提条件6.の「監視」についてです。

「監視体制をより一層強化するとともに」「不正表示を許さない制度運用を速やかに確立すること」とありますけれども、まさにその不正表示を許さない監視体制のあり方をこの部会で議論したと理解をしております。そのため、答申書には、こうあるべきという私たちの答申(サジェスチョン)が必要だと思います。そのサジェスチョンについて部会で検討した結果、合理性の判断の線引きが不明であって、また、例外の考え方も明確になっていないという状況もあわせ総合的に見て、提案の監視体制では、加工食品の原料原産地表示について監視していくことは難しいのではないかとまとめられましたので、答申書にも監視は困難と考えられるとまとめたことを記載すべきと思います。

事業者への普及・啓発も非常に重要なことなのですが、これで理解不足による表示違反を減らすことができるとしても、監視が困難であるということは事業者の偽装を生む温床になります。単純な表示ミスと偽装というのは別次元で考えるべき問題です。監視が困難である表示制度、しかも全加工食品を対象とした義務表示、これの導入には反対をいたします。

続きまして、前提条件8.の「例外表示の検証」についてです。

「どのような原材料や製品で例外表示が多いかといった点を検証していくこと」とありますが、検証結果を踏まえて何をするのかの記載が必要かと思います。本来は国別重量順表示ができるのに理解不足等で例外表示をするケースでは、監視・指導によって例外表示を減らすことが求められますし、期待もされるわけなのですけれども、例外表示をゼロにすることはできません。それは全ての加工食品に原料原産地表示を導入するには例外表示の導入が不可欠であるということと同じ理由です。原材料・製品の中には、事業者が幾ら努力をしても例外表示しかできない食品があります。検証によって、どのような原材料・製品で例外表示が多いかを明らかにすること、これは私は意味があると賛同するわけなのですが、検証の結果、この例外表示が例外とは言えない割合、この例外とは言えない割合がどの程度なのかというのも議論が必要なことだと思うのですけれども、それに上った場合、その理由を事業者の努力不足にのみ求めるのではなくて、全ての加工食品を対象としたこの制度設計自体に無理があったのではないかと、それを検討する必要があると考えます。

例外表示の検証を行うことには賛成ですが、その検証結果を踏まえて、本制度の見直しを行うのだということを答申書に追加していただきたいと考えます。

最後に、諮問のあり方に関する要望でございます。表示間の優先順位を総合的に検討できる諮問を今後求めたいと思います。

付帯意見1.に「今後、表示の在り方や食品表示間の優先順位について総合的に検討すべきである」とありますけれども、この考え方は非常に賛同するのですが、それは食品表示一元化検討会で既に基本的な考えは整理されているのかなと理解をしております。食品表示一元化検討会は、食品表示法の制定に向けた検討会ですし、その考え方は食品表示基準にも当てはまるべきものです。

今回の諮問は原料原産地表示制度についてでしたので、どうしても総合的な表示全体の中からの検討というのはしづらい議論でした。ただ、容器包装表示は既に情報量が飽和状態にありまして、消費者にとって非常に見づらいものになっているのも事実です。一元化検討会で優先すべきとされた安全性にかかわる表示が消費者に確実に届くためにも、ほかの表示に埋もれないためにも、個別表示のルールを検討するときには表示全体における位置づけを踏まえた上で行うことが必要です。

そこで、今後の諮問では、諮問される食品表示基準案が一元化検討会で示した優先順位のどこに位置するのかを確認し、それに合わせて行政はどこまで介入するべきか。義務表示にするべきなのか、任意にするのか、もうこれは業界のガイドライン等に任せるのか。業界等の自主的な取り組みに任せるのか。そういった行政の介入度、そして表示手段をどうするか。容器包装にするのか、ネット等に任せるのか、また、監視や普及啓発等のコストをどこまでかけることが適当なのか。そういったことについて検討できるよう、答申書の付帯意見に諮問のあり方に関する要望を追加していただきたいと思います。

基本的な考え方は、一元化検討会で整理されたこの表示の考え方を、例えばFSANZのこういった図もありますけれども、日本での整理というものをつくって、今後の諮問に活用することも要望いたします。

以上でございます。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

今の御要望、そして前提条件への御意見、また付帯意見の追記という御発言でしたが、この内容について関連でございましたら。

菅委員、どうぞ。

○菅委員 菅です。

理解度調査を制度導入の前に行うべきとの意見を出すべきかについてですけれども、先に理解度を充たしてから実施するかどうかを決める制度というのは、手順としてそもそも違和感があります。少なくとも多くの一般的な消費者は、国のどんな制度の導入にせよ、実際に導入されるとわかってからこそ、メディアやインターネットなども含めたさまざまな情報に接して、少しずつ制度を理解していくのだろうと思いますし、この制度だけ、先に理解度を厳格に問うというのはちょっと行き過ぎているのではないかと思います。

およそ理解不能な制度になっているとは思えませんし、猶予期間満了までの取り組みで全く理解が広がらなかったとか、導入しても全く望まれないものになったという場合には、猶予期間経過後に見直しの余地があるという取りまとめにしていただいているわけですから、消費者の先行した理解を絶対条件とするような取りまとめをすることはいかがなものかと思います。

制度導入のために通常そこまで求められない前置きを設けることによって、結果的にずるずると先送りされることになると、あるべき原料原産地表示には一つも近づくことがありませんし、議論の前提となる環境や実行可能性にしても変化していく可能性があるわけですから、いつまでも目の前の食品表示は何も変わらない。そういう状況の継続は多くの消費者も望まないものと思いますし、それだけは避けていただけないものかなと思います。

「監視は困難」と書くべきかどうかについてですが、既に意見としても述べたことがありますが、わざわざそう書くのだとしたら、その意味が問題になるのだと思います。取りまとめの段階で監視のことが先に議論されて、例外表示の議論等が未了になっていた段階での取りまとめであったこともあり、その後にも意見を申し上げましたけれども、監視ができないのではないかという懸念を持たれる意見の御趣旨には、先ほど部会長が多くの意見の取りまとめをしていただいたように、だからこの制度の導入はおよそできないのではないかという御意見につながるような趣旨ではなくて、その後の議論も踏まえつつ、制度導入ができないというレベルの問題ではないけれども、Q&Aの整備等によるルールの明確化や普及・啓発の実施等、前提条件にあたる部分のご努力はさらに続けていただきつつ、しっかり実効的な監視もできるように、その体制整備等をしてもらいたいという趣旨が強かったのではないかと思います。

また、先般申し上げましたように、他の食品表示も含めた一般的な表示監視の実態などとも比較して、実際にこの表示について行政に求める「監視」のレベルをどのようにイメージしての取りまとめであったのかは、あの時点での整理としても前提が明確ではなかったように思いますので、結論としては、あるべき監視がおよそ困難なものだという趣旨としてひとり歩きするような記載になるのであれば反対しますし、現在の書きぶりでよいのではないかと思います。

全体の取りまとめられ方について、どのタイミングで申し上げたらいいのかわかりませんが、少しだけ意見を述べたいのですが、我々がこの部会として求められているミッションとして、今までの議論を1から10まで賛成・反対ともに理由付きで列挙する報告書をつくるということではなくて、シンプルな形での結論的な「答申」を決定することであって、私も含めた一つ一つの各委員の御意見の詳細や、「答申書」の内容としてこのようにまとめられるに至った理由や経緯の詳細は、たくさんの議事録や参考資料等を見れば、将来的にもフォローしていただけることでもありますし、それで足りるのではないかと思っていますので、一人一人の思いを全てつぶさに落とし込む書面を理由付きでつくることが求められているのではないのではないかと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

どうぞ。

○蒲生委員 御意見ありがとうございます。

まず1点目、理解度調査を制度導入の前に実施すべきについて、私の説明に誤解を与える面があったかと思いますが、本施行までの間に消費者に幅広く理解させることが重要だということを申し上げたわけではありません。新商品を販売するとき実際に販売する前にテスト販売などで消費者の反応を見ることがあると思うのですけれども、今回の新ルールに関しても、例外表示のサンプルなどを示して、その表示を一般の消費者がどのように読むかテストし、例外表示が正しく理解されるか確かめる必要がある、つまり、今回の提案内容を一般の消費者が、我々の意図するように理解するのかどうかを調査し、この提案自体の妥当性を導入の前に諮るべきではないかという意図で申し上げました。

それから、2番目の監視が困難だということは、導入が無理という意味ではないと部会で整理されたのではないかということですが、この辺は皆さんのコンセンサスを確認したいと思います。監視は前々回の部会で話をし、前回も一部御説明はありましたが、前回は監視について議論したわけではありませんので、私の理解では、監視に関しては前々回の取りまとめが監視についての部会の見解だと思います。導入は可能ではないかというような議論になったとは私は理解しておりませんので、そこは認識が違うと思います。

監視が困難だということは、議事録にもありますように、前提条件としての合理性の判断の線引きが不明だというような質的なものと、あと、私も部会でお話をさせていただきましたが、量的な問題があります。前々回の部会のときにもお話をさせていただきましたが、中国産のお米が混入していた事例、あれはお米ですので、米トレーサビリティ法に基づく根拠資料があります。根拠資料が整っていても偽装の調査には非常に時間がかかるということです。質と量ともに問題があるのに、全加工食品に広げた場合監視の体制は整ったとしても、果たして徹底はできるだろうかと指摘させていただきました。ですので、部会の見解として導入は可能だ、となったということであれば、そこは理解できておりませんので、どういう議論でそうなったのか確認させていただきたいと思います。

最後に3点目、答申書はシンプルであって、一人一人の意見を全部網羅すべきではない、という点について。それは私も同じ意見でございまして、委員が示した懸念を1つ1つ全て答申書に書いてくださいと申し上げた訳ではありません。重立った意見を具体的に書いてくださいということです。多くの委員が、消費者が表示内容を誤認するのではないかと繰り返し懸念してきましたが、そこがきちんと書かれていない。理解度調査に関しても、消費者の理解不足によりという表現がされていますが、理解不足という言葉は、人によっては、新しいものだから知らないというだけにもとれます。でも、そうではなくて、部会で議論してきたことは、特別な教育を受けず表示を見ただけでは一般の消費者は誤認をするのではないか、かえって合理的な商品選択の妨げになるのではないかということでした。そういった重立った意見に関しては、より具体的に示すことで、答申書に示すものをより明確にすると思いますので、そういう意味で申し上げました。

以上でございます。

○阿久澤部会長 どうぞ。

○宗林委員 きょうもよろしくお願いします。宗林です。

最後の制度の見直しのところは、後ほど少しまとめて意見をお話ししたいのですが、今の監視の部分にだけに特化して意見を述べさせていただきます。

確かに部会長から、監視は困難であるというお言葉はありましたが、その次の部会で、その困難の中身がある程度ひもとかれまして、例えば書類です。何をもって、様式を決めておくとか、私が自分自身で言ったことですけれども、これから先のプランニングによる表示が認められることへの対応。それから、合理的な違法性の判断基準。こういったものができないと、体制整備の人数が足りないとかそういったことは別にあるわけですけれども、それを除けば、そういった面がこの監視の難しさ、今回の制度の難しさであると私は理解しております。

ですから、監視は全体として無理であるということを結論づけるよりも、今、言った3点、4点にかかわるようなことをきちんと踏まえた手順書とか、きょうの委員の先生方の御意見にも出ておりますが、そういったものをきちんと兼ね備えて作成することをもって監視していくことはできるのではないかということで、ひもといたことを前提としというふうに考えております。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

宗林委員が今お話しいただいた内容を酌んで、私の先ほどのどういう理由で今回の答申書にしたかということは、まさに今、宗林委員が発言していただいた内容をもとに書かせていただきました。

どうぞ。

○蒲生委員 今の宗林委員の意見に賛成です。監視について諮問されたのですから、その答申には、やはり監視に関する具体的なサジェスチョンが必要だと思います。困難なら困難でも、なぜ困難なのか。こういったことを取り組むべきではないかということをサジェスチョンするべきだと思います。先ほど質と量の問題について指摘しましたが、その質の問題に関しては様式や、計画、合理性の判断基準を手順書にすべきということになるかと思います。ただ、ここで大事なのは、この様式を例えば統一するということが本当にできるのかですとか、あと、合理性の判断基準を設定するといっても具体的にどうするのか。この辺は大事なことなので、この部会でももうちょっと詰めるべきではないかと思います。これらはとても難しい問題なので、ただ「ちゃんとやってくださいよ」ではなく、部会で基本的な考え方を詰めた上で答申として戻すべきではないかと思います。

○阿久澤部会長 今村委員、お願いいたします。

○今村委員 監視の部分について、今、御議論があったので、私は参考資料を出させてもらっていますので、この件と絡めて御説明できればと思います。もう一個はまた後でお願いします。

参考資料7に私は意見を出させていただきました。今、宗林委員から御指摘いただいたお話は、これを読んでいただいているのだと思うのですけれども、私は、今のままだと監視は難しいと思っています。それは監視が難しいからやめなさいということではなくて、もっと監視について細かく詰めないとだめですよと。その中で、監視というのは2種類あって、まず、基準がしっかりつくられているということ。もう一つは、その監視の手順がちゃんと示されていること。この2つが必要でして、それがまだ足りないということを感じています。

こちらのほうにコメントを書かせていただいていますけれども、これはスピード違反に例えるのだったら、今、60キロ制限というスピード違反を決めようとしているのに、60キロぐらい制限というような基準の決め方をしていて、まだ基準として細かいところまで決まっていない状況です。今までの監視の議論ですと、100キロぐらいで走っている人は当然わかるでしょうという議論でして、そういう意味で、最初の段階では100キロで飛ばしている人も取り締まることはできなかったのですけれども、今は、恐らく100キロで飛ばしている人は取り締まることができるのです。でも、80キロぐらいで走っている人を、いや、僕は60キロ以内で走っていましたよ、ぐらいとはどこまでなのですかといったときに、そのぐらいというところを詰めることができない状況にあるのだと思います。

ですので、今、100キロで走るような大悪党は取り締まることができるのですけれども、80キロで走っている人を取り締まることが多分できない。ここに問題があって、この80キロで走っている人を、ミスで走ってしまった人と、確信的にやっている人、確信的小悪党という考え方だと思うのですけれども、その人たちを取り締まることができないというのが今、大きな問題だと私は思っています。

そのためには、もう少し細かい基準を示していかなければいけない。それは60キロぐらいというのは、せめて65キロまでなのですよというようなことをちゃんと示さなければいけない。その65キロぐらいというのを取り締まるのは、目視でやるのですか、それともこういう手順に基づいてひっかかったらそれを挙げていくのですかということをちゃんと詰めないといけないと思うので、そういった点について、この意見書を書くということであれば、そこら辺をちゃんと詰めてくださいという意見を書くべきですし、この部会としても、それが確認できるのであれば、できるだけ確認していくべきだと思っています。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

そうしたら、池戸委員。

○池戸委員 監視の議論になっていますけれども、この部会のいろいろな議論の中で、いわゆる誤表示、ケアレスミスの部分と、それから本当に悪質な懇意の表示を分けて書いていただいているので、わかりやすいと思います。

最初に座長が御説明の中で、監視が本当にできるかどうか。今、役所のほうは今の体制でできるということを言われたのですけれども、先ほどおっしゃったように、それに対しての疑問を抱いている委員さんが結構おられる。そういう形の中での答申案だと思います。

多分そういうこともあって、この具体的なところとしては、監視体制のより一層の強化とか、あとは運用をより具体的に検討すべきみたいなことも書いていますし、制度運用を速やかに確立するという、これはかなり重いテーマだと思っています。多分、宿題がかなりあった形の中でのまとめ案になっているかと思いますので、私は今の表現でいいのではないかと思っております。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

井之上委員、どうぞ。

○井之上委員 きょうもよろしくお願いします。日本生協連の井之上です。

急速に議論が進んでいるので、ついていくのがやっとでどうしようかと思ったのですけれども、ちょっと話が戻りますが、まず、制度の見直しのところについてコメントしたいと思います。

蒲生委員からもありましたとおり、私も前回コメントさせていただいたのですが、問題がいろいろ出ている中で、なぜ施行なのか、見直しをするのであれば、やはり施行の前に、しかるべき調査を実施して、評価をした上でやるべきだと思います。これまでどういう調査がなされたのかというと、昨年消費者庁において原料原産地を参考にするか、というアンケート調査は行われているところですけれども、今、提案されている例外表示自体については調査はされていないわけであって、それをそのまま進めようというところが私は非常にひっかかっているところです。

同様に、蒲生委員からもありましたとおり、本施行ではなく、施行の前に表示のダミーサンプルとかをつくって、それをある一定のサンプル数、n数をとって調査をやろうと思えばできるはずです。そのようなことも今はしていない状態で、とりあえず進めるというのは非常に危ないのではないかと私は懸念します。

一方で、これでいいのではないかという委員もおられるのですけれども、繰り返しになりますが、実際の消費者が例外表示をどう見るかというのは今、情報がないわけです。それをまず、調査して進めるべきだと思います。やっていただけるのであれば、ぜひこれは消費者委員会のほうで独立して、きちっとやっていただくことを強く要望したいと思います。

あと、私のほうはコメントを出していますので、参考資料6で大きなところだけ触れたいと思います。

冒頭、部会長から答申案について御説明いただいたわけですけれども、非常に御苦労されてつくられたことがひしひしと伝わってきて、非常に感謝申し上げたいと思います。ただ、話を聞いていて、やはり進めることを前提としている提案であって、解決できていない問題を飛び越えるために、監視を厚くしようであるとか、教育・啓発をすごく厚くしようであるとか提案がなされている。聞いていて、制度化するためにすごく無理をしているのではないかという印象はひしひしと伝わってきました。

その中で、私の総論的なコメントを四角囲みで書いていますけれども、第39回および、きょうも冒頭、部会長が言われましたとおり、この表示部会では、消費者庁の作成した基準案等々によって、この部会として懸念を払拭したのかどうかを見きわめて、基準案に対する意見をまとめるのだ、ということですけど、まだできていないのではないか。それぞれの委員が言った個々の意見ではなく、表示部会としての懸念事項が何なのかというのを明確にすることと、それが払拭できたのか、それとも、我慢して飛び越えていこうという、協議はできていないと思いますし、当然、その部分においてコンセンサスも得られていないと思っています。

蒲生委員から、懸念を部会として出して、見解を記載してほしいという意見が出ていますが、これに大いに賛同したいと思います。

私の意見書の、1.と2.のところですけれども、やはりメリット・デメリットのバランスというところはコンセンサスが得られていないのではないかと思います。

消費者として、一番の懸念事項、難しく誤認させるというところに関しては、やはり現状提案されている教育啓発ではなかなか払拭することは難しいのではないかと思いますし、事業者のところ、これは前回、渡邊委員が提出された意見書から引用させていただいたのですけれども、「従前とは異なる新しい商売をすることになる」ということを書かれていて、この部分、私は非常に驚いたのですが、これは、裏を返すと、消費者としては商品の価格であるとか、品質であるとか、供給自体、買いに行こうと思っても物自体がありませんというようなことを示唆する内容と思われて、これに関しては全然議論もされていません。懸念事項としては上がっていたけれども、これに対しては議論されていない状況です。このような議論されていないところ、メリット・デメリットが何なのかというところも含めて、表示部会としての懸念は出されていないとの認識です。

あと、2.のところですけれども、やはりコストバランス。消費者が難しく、誤認させるということで、その対応として教育・啓発を図りましょうというのは、蒲生委員からも、表示はシンプルでなくてはいけないということも言われていましたが、やはり私も本末転倒だと思います。前回のところで買い物時間の話もしましたが、やはり表示は端的にすぐにわかるものでなくてはいけないと思います。理解が難しいから膨大なコストを教育にかけるというのは、ちょっと理解ができないところです。食品表示法自体の理解、教育・啓発も十分に進んでいないことを考えると、どれだけのコストをかけるのかというところは疑問も抱きますし、今、できていない食品表示法で、今度、原料原産地、これは目標値を設けてということですが、到達し得るかといったら、かなり遠いのではないかと思っています。

私としては、現状、議論は熟していない。まだ全てのものが出されていなくて、それをこの部会としてコンセンサスを得るような議論はできていないと思うので、答申案には賛同できないという意見です。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

渡邊委員、どうぞ。

○渡邊委員 渡邊です。

先ほど監視の話がいろいろ出ているのですけれども、何回も言っているのですが、監視が困難という話がいろいろ出るのですが、どうして困難かなというのは、要するに今回のは、製造プロセスというか製造過程に伴う表示なので監視が困難と言われていて、監視が容易というのは、製品を分析したらわかれば監視が容易ということではないかと思うのです。今までほかにも製造プロセスに基づく表示というのはいろいろあって、そういう中でも今まで表示はあるのですね。だから、取り立てて、例えば今回のものがめちゃくちゃ困難というのを特に言う必要はないかなと思っています。

あともう一つですけれども、監視をするために製造者にある様式のフォーマットの書類をつくらせるとか、それぞれの事業者はそれぞれの事業者の中でちゃんと証拠となる書類を整えてやるわけで、その様式をまた整えるとか、監視を容易にするための書類をつくるとか、そういうことだけはやめていただきたいと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

どうぞ。

○川口委員 日本ヒーブ協議会の川口です。

先ほどの蒲生委員からの御意見にもあった、答申書の前提条件8.の「例外表示の検証」について、少し意見を言わせていただきたいと思います。蒲生委員から「検証結果を踏まえて何をするのかの記載が必要です」という御意見がありましたが、私も全く同感の部分もございます。

前提条件8.の中で2行目以降に「例外表示があくまで例外といえる割合にとどまっているか、例外の割合が相当程度に達する場合は」といった記載がございますが、まずここが少し曖昧ではないかと感じます。

ただ、例外表示が多いことがいけないのか。例外表示が存在することが必ずしもいけないことなのか。仮に例外表示であったとしても、消費者が求めるレベルであれば、その表示の内容で納得され、満足しておられるのであれば、それで問題ないのではないかと思います。例えば中間加工原材料であれば、製造地表示で恐らく消費者は納得されるのではないかと思いますし、必ずしも国別重量順表示が高くなければならない、というものではないのではないかと感じます。

ですので、この2行目以降を、例えばですけれども、「例外表示が多く使用される原材料や製品群などを分析し、消費者にとっての納得性や課題、事業者にとっての課題を検証し、見直しの参考にする」などへの修正を検討されて、前提条件10.の「制度の見直し」につなげるような書きぶりにされるのもよいのではないかと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございます。

どうぞ。

○川口委員 すみません、今、質問もさせてもらいたいと思っていたのをうっかりしていました。例外表示をなくさなくてはいけない、といったお考えを消費者庁としては持っておられるのか。それとも、その割合にそれ程こだわっておられないのか。そのあたりをお聞かせいただけたらありがたいと思います。

○阿久澤部会長 それでは、消費者庁のほうから。

○赤崎食品表示企画課長 ただいまの川口委員からの御質問でございます。例外表示の位置づけ、扱いでございますけれども、これまでこの御議論の中でも、また、我々もいろいろな消費者団体の方とお話をする機会もありますが、国別重量順表示のほうが望ましいという方、できるだけそれで表示をしてほしいという方もおられると思います。一方で、今、川口委員からお話がありましたように、消費者が納得するレベルというのも様々であって、それをいかに満たしていくかという視点も大事だと思っています。

今は加工食品全体の8割から9割には、原料原産地表示が義務としてかかっておりません。したがって、任意で一部表示しているものもありますが、大部分は一切表示がありません。そこをどれだけ消費者の選択のために表示を充実し、実際に表示していくことができるのか。まずはそういう点から考えることも大事だと思っています。

将来的に、消費者が納得するレベルというのがまさに大事な点だと思っています。それは、これまでいろいろな委員が御発言されていますが、国別重量順がいいという方もおられる一方で、いろいろな御意見、今、川口委員のおっしゃったようなお考えもあると思います。それらも踏まえて、最終的にはこの対応を考えていく必要があると思っています。

なお、今話題になりました製造地表示ですが、以前この部会の場でも申し上げたことがあるかもしれませんが、チョコレートを例としてご説明させていただきます。今、そのまま消費者が食べる完成品としてチョコレートを輸入する場合、原産国表示の義務づけを課しています。輸入チョコレートだと、例えばベルギーが原産国として表示されます。でも、そのチョコレートの原材料のカカオがベルギーでとれたかというと、通常はそうではありません。一応そういうものとして、今、加工食品の輸入品について原産国表示がなされています。完成品でなくて原材料の場合どうかということもあろうかと思っておりますが、そういうことも総合的に踏まえた上で、この問題について消費者庁として検討し、いろいろな対応をしていきたいと思っております。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、澤木委員。

○澤木委員 消費者の立場から言わせていただきたいと思います。

前回もお伝えしたのですけれども、先ほど井之上委員が、消費者意向調査はちゃんと反映していないということをおっしゃっていましたけれども、一応、調査としては消費者の77%は原料原産地表示を参考に商品を選択しているというのは事実だと思いますし、その中の65%の人は国産のものを選びたいという結果が得られているというのも事実だと思います。消費者にとっては、やはり原料原産地表示は商品選択に資する重要な情報だと考えますので、今ほとんど情報がない商品について、例外表示でわかりにくいとかはあるかとは思いますけれども、一定のルールのもとで消費者の選択に資する原産地の情報が少なくとも今よりも多く適用されるということで、やはり一歩前進していると考えます。

答申案については、賛同いたします。その中でも主にやっていただきたいというか、「消費者への普及・啓発」はとにかく誤認を招かないためにも丁寧かつ十分な普及啓発に取り組むことが必須条件と書かれておりますし、自宅にこもっている消費者にも届くようなテレビ等の政府広報も実施いただけると消費者庁の方からお聞きしております。それについては大いに期待いたします。

あとは「Q&Aの充実」なのですけれども、事業者に対してもですが、消費者に対しても、Q&Aの充実はぜひ、複雑な表示例をより多く取り上げて、具体的でわかりやすいものにしていただきたいと思います。

それから、8番、9番、10番について少し述べさせていただきますと、「例外表示の検証」についてはぜひ、どの程度の割合で存在するか現状を把握していただきたいと思います。

9.については「理解度調査の実施」なのですけれども、今までの消費者意向調査の内容では理解度が把握しにくいと思いますので、実態がつかめるような質問の項目と内容等をしっかり吟味していただきたいと思います。

10.の「制度の見直し」については、2年後をめどにと期限を明確に記述していただいたことについては評価いたします。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

岸委員、どうぞ。

○岸委員 日本チェーンストア協会の岸でございます。

チェーンストア協会からの意見として、参考資料9を提出させていただいております。他の委員と重複する部分もあるかと思うのですけれども、一応チェーンストア協会の意見として、重複する部分も含めてお話しさせていただきたいと思います。

本日の答申書部会長案並びに第39回食品表示部会以降の4回にわたる議論を踏まえて、以下のとおり意見・要望を申し上げます。

全ての加工食品に原材料原産地表示を義務づけることのメリット・デメリットについて、本部会においていまだ十分に共有できていないと見受けられます。よって、本日の答申書部会長案に賛成することはできません。諮問された食品表示案を適当とする前提条件に係る消費者の理解や事業者の実行可能性の実態を正しく踏まえ、これまでの議論を再整理した上で基準改正の是非を含めて再検討を要望いたします。

食品表示法案審議の基礎となった消費者庁「食品表示一元化検討会報告書」においては、「その表示が、消費者がその表示を見付け、実際に目で見て(見やすさ)、その内容を理解し、消費者が活用できる(理解しやすさ)ものになっているか否かの視点」が必要とされ、「『より多くの消費者が重要と考える情報』かどうかという観点から、優先順位をつけて検討すべき」と整理が行われています。

この食品表示法制定の趣旨が改めて付帯意見1.として確認されたことについては歓迎いたします。しかし、そうであるならば、原料原産地表示制度の導入については、少なくとも「より多くの消費者が重要と考える情報」かどうかの優先順位の観点から議論されるべきと考えます。例えば、現行基準におけるアレルゲン表示においても、原則である個別表記によってラベルにわかりやすく表示できるかについては困難であるとの声もあり、このような現実を踏まえてなお原産地について義務表示を拡大するためには、よりわかりやすい消費者のメリットを追及する必要があります。

例えば、消費者のメリットとして、例外措置で、少なくとも○○国産がわかるとか、輸入品が使用されていることがわかるという旨の説明がされてきましたが、このような例外措置を設けることが一般の消費者にとって本当に自主的かつ合理的な選択機会の確保につながるか否かについては、いまだ疑問が残ります。資料の中には、ポークソーセージの例を書かせていただきましたけれども、この例マル1から例マル5の中で、消費者が自主的かつ合理的にどのようにソーセージを選ぶのかといったことについては非常に疑問が残ります。新たな原料原産地制度の導入によって、といった表示がなされることになりますけれども、これらの表示はそれぞれ一般の消費者にどのように理解され、どのようなメリットにつながるのか改めて検証されるべきと考えます。

新たな原料原産地表示制度の対象範囲の大きさを考慮すると、制度導入後に消費者の理解度を検証するのではなく、新たな原料原産地表示制度が消費者のニーズやメリットにどのように向き合っているのか、そしてこの制度によってかえって消費者の誤解と混乱を招くことにならないかについて、事前にしっかりと検証した上で制度の導入を議論すべきではないかと考えます。

事前の検証を改めて求める理由としては、消費者のメリットに対する理解が共有できておらず、混乱を招く懸念が払拭できていないにもかかわらず、事業者にとっては非常に大きな負担を伴う制度改正であるためです。製品に占める重量割合上位1位の原材料表示を原則としつつ、実行可能性を確保する方法として例外措置が設けられましたが、そもそもこの新たな制度における実行可能性の確保とは、多くの事業者が原料原産地情報を確実に正しく表示できる方法を検討する、これが実行可能性であって、全ての加工食品を義務対象として何らかの原料原産地情報が表示できる方法の実行可能性を模索することではないと考えます。

原料原産地表示制度が十分に機能するか否かは例外措置を設けることではなく、サプライチェーンの各段階において、原料原産地情報を正しく確認し、いずれかの手段で正しく伝達し、一定期間適切に効率的に保存することができるか否かにかかっています。付帯意見2.には「国際的にはほとんど類例のない制度となるため、制度施行後の海外との商取引に影響が出ないように」と記述されていますが、このような懸念がある中で、正しく情報伝達される仕組みが担保されているとは考えられません。

繰り返しになりますが、原料原産地表示制度が機能するためには、サプライチェーンの各段階において正しい原料原産地情報を正しく伝達し、一定期間適切に効率的に保存することができることが必須です。これまでの実行可能性の議論においては包装材の切りかえの問題に集中しましたが、このような観点からの議論は決して十分でなかったと考えます。その意味においても、前回の部会で出されました、仮に義務表示の対象を拡大したとしても、原料原産地が不分明のものについては書かないとの趣旨の意見は傾聴に値するものと考えます。

これらの観点に加え、消費者のメリットとデメリットはどのようなものであって、そのために事業者はどの程度のコストと労力等を負担して、消費者の自主的かつ合理的な選択をどの程度達成できるのかについて、全体として検証されるべきではないかと考えます。

事業者の負担感については、包装材切りかえの問題を中心として議論されてきましたけれども、サプライチェーンの各段階において、原料原産地を正しく確認し、いずれかの手段で正しく伝達し、一定期間適切に効率的に保存すること、それに従事する者の労力、システム改修等のコストについては余り考慮されていなかったように思います。社会全体としてこのような負荷を課してなお義務表示を拡大するためには、コスト等を含めたメリットとデメリットのバランスを最終的に評価する必要があるのではないかと考えております。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

今村委員、どうぞ。

○今村委員 今、岸委員からの御指摘の内容が私の参考資料7の2つ目の内容なので、その内容について御説明をさせていただきます。

参考資料7の裏を見ていただきまして、例外表示についてということで、今、当初2年間は見直し期間ということで考えるのだったら、私は、この間は出どころ不明のものは原産地を書かないという選択肢を設けてはどうかと考えています。それは、この「国産、輸入」という表示そのものが、表示制度そのものに不安を抱かせる内容なので、これと並行して、出どころ不明だったらそのような表示はないという選択肢を設けてはどうかと考えています。

今までの議論の中で、全てのものを義務化しないと監視はできないということは理解いたしましたので、全てのものにかけるというところは異論はないと考えています。その上で、義務化した上で最後まで何かを記載させようとするから、この「国産、又は輸入」というような表現が出てくるので、出どころが不明ということだったら書かない。書いていないものは全て出どころ不明と扱っていただいて、出どころ不明のものについて監視していくように整理をしたら、少なくとも誤認の部分はかなり減るのではないかと思います。

ですので、制度的には全部かけるという意味では、今のルールにのっとっている中で、選択肢としての例外表示がもう一つふえる。それは書かないという選択肢がふえるということを考えてはどうか、それを意見として出していただけるといいのではないかと考えて提案いたしました。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

池戸委員、どうぞ。

○池戸委員 個別の意見と総論の意見、今いろいろとごちゃごちゃになって出てきていますけれども、繰り返しになりますが、この基準案は、基本的には中間取りまとめの中身をもとに書かれているかと思います。中間取りまとめの委員の皆様もいろいろな分野の方が入っておられて、もちろん消費者、それから事業者、学識経験者という形の中で議論してきたわけなので、どちらかに偏ったとか、そういう話でもないかと思います。それから、ヒアリングなどもかなり時間をかけてやっていたり、あと、毎回いろいろなところの要望書とか意見書も提出されて、そういう全体の意見の中でまとめられた意見でございますので、先ほど座長が申されました1回目のとき、繰り返しの議論をしないというのは、そういう根拠だと思っています。

今、今村委員が言われた御意見は非常に貴重な御意見だと思いますけれども、そういうのを含めて、全体像としてできるだけ情報を提供すべきだという考え方に基づいていますので、私は、その御意見を尊重はしますけれども、そういうことを明記するという話になると、それに対してこういう意見があったという形でまたぶり返しになりますので、それは議事録にとどめておくということであれば問題ないのですが、今の時点でまたさらにそれについての議論をするというのは、私は反対です。

それから、ちょっともとに戻るのですけれども、先ほど自動車のスピードの話が出ていたのですが、表示についてはぴしっとした個別の具体的な基準で示されていますし、示していかないと監視とか取り締まりも、それから事業者も後から誤表示にもつながりますので、ちょっと性格が違っているのかなという感じ。ちょっと余計なことを申し上げましたけれども、つけ加えさせていただきたいと思います。

もう一つは先ほどの表示全体の話の中で、ほかの表示事項がいっぱいあるわけですね。そういう中でさらに項目がふえる、これは非常に懸念される部分かと思います。ただし、これを議論するには、一元化検討会でもそれはちゃんと明記されたようです。要するに、情報の重要性の整序という部分だったと思います。字の大きさと情報量をどうやってやるか、それからほかの媒体をどう使うかです。これは非常に大きな問題でありますので、この機会でやるのではなくて、また別途そういう議論をすべきだと。これは付帯意見のほうにも書かれている趣旨は、そういうことではないかと私は理解しています。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

井之上委員、どうぞ。

○井之上委員 先ほどの今村委員の意見についてです。出どころ不明なものは原産地を書かないというところ、非常に革新的な意見であって、ぜひ検討していただきたいと思います。ただ、私のほうから、先ほどもお話ししましたとおり、制度施行前にきっちりとした検証をすべきというところ、今、岸委員からもありましたとおり、話を聞いていて、そこのところをさらに強くお願いしたいと思った次第です。

あと、今、池戸委員から話がありましたが、この間の議論では、意見要望があるから義務とすべきかどうなのかという綱引きがずっとされているわけですけれども、できるだけ情報を提供すべきだという点について、蒲生委員の意見書にFSANZの食品表示の行政介入とヒエラルヒーについて図が示してあるわけですが、今後検討する上においては、やはりこの部分を行政として、きちっと考えるべきなのではないかと思います。当然、食品表示の優先順位については、食品表示一元化検討会の中ですでに議論がされていて、その部分が明記されているわけですけれども、その部分のさらに行政介入というところを整理すべきではないかと思います。

蒲生委員の意見書にFSANZのヒエラルヒーの図がついていますけれども、この部分、真ん中の角のとれた四角のところが表示事項に関わる部分で、表示事項にはいろいろなものがあって、これらをリスク管理のアプローチの観点から、リスクが高い、低いという軸で分けていこうという概念だったと思います。

食品安全性と書かれている部分にはアレルゲンとか保存方法、予防的公衆衛生のところは、食品表示法で義務化される栄養表示、新規テクノロジーについては遺伝子組換え、そして、今議論されている原料原産地は消費者の価値問題というところなのかなと捉えています。これら食品表示事項をリスクが高いか、低いかで割り振って、当然、リスクが高いところにおいては行政介入をしていこうではないか。それ以外のところには、産業界の主導だという考えです。では、介入の方法はどうするのかというのは、義務か任意かというわけになるわけですけれども、このような整理をすべきではないかと思います。

あと、話が大分戻ってしまうのですけれども、川口委員から出された例外表示の検証の部分について、ここは私もちょっと、おやっと思うところがありまして、ここについてコメントを述べさせていただきます。

割合についてということで、赤崎課長からも答弁がされたわけですけが、答申案の例外表示の検証の部分は、「全て」を表示することと、その中身が国別重量順であるということが目標になっているような文章に見えました。全てに表示されることが義務であれば、川口委員からも説明がありましたとおり、事業者はどうしても製造地表示も含めて例外表示を使わないといけない場合があって、ここは国別重量順の妥当な率を見きわめるという形なのかなと思います。

参考に、私の意見書に「表示実態の今後」、これは第39回会合で出させていただいた資料ですけれども、施行後の原料原産地表示は、おそらく真ん中のような分布になって、加工食品の特性上、原則表示が100%になるというのは無理だと考えます。

あと、澤木委員からありましたが、消費者意向調査で約70%が原料原産地表示を求めているという話がありましたが、それは我々も当然認識しているわけであって、今回議論しているのは、例外表示であって、これらも原則の国別重量順と同じく約70%の要望があるのかというのは、それはまだ議論していない。このことについては冒頭意見を述べさせていただいたとおりですし、私の意見書の3ページ目に「組合員は『例外表示』を求めていない」と書いていますが、これも以前出させていただいた資料ですけれども、消費者を対象に例外表示自体を意図的な操作なく見ていただいて、その後、表示について説明し、許せるか許せないか、好きか、嫌いかというアンケートをとったわけです。ここの中の赤で書いている部分が「反対」になるのですけれども、ほぼ反対だったということで、強いお叱りを受けるような意見もあったのですが、そのような実態も踏まえて意見しているというところは御理解いただきたいところです。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

宗林委員。

○宗林委員 宗林です。

先ほどの「監視」のところも、あえてお話ししましたのは、具体的に書き込んだほうがいいという趣旨も含んでございます。

今、私がお話ししたいのは、最後の「制度の見直し」というところでございます。ここで「各種調査結果等に基づき」という言葉がございますが、これは具体的に、例えば書き込んだほうがいいという案でございますが、1つは理解度等の目標達成ですね。最初に設定されておりますが、例外規定の例外の範囲にとどまっていることとか、監視における判断基準の明確化等、そのような理解度、例外規定、監視についての結果が十分でない場合は、この制度の見直しを実施することという要件を定めたほうがいいと私は思っています。

それで、先ほどからの消費者のニーズ、例外表示が非常に多いのだったら消費者にとっては参考にならないから結果的に要らないという声も多分あるのだろうと思いますし、今村先生のおっしゃっているお話もそのような意見があると思います。

先ほどから消費者のニーズという言葉が出ていまして、ニーズの調査ということも挙げられていますので、この各種調査結果のところには、各種消費者のニーズという言葉も入れる。この消費者のニーズは、例外規定とかそういったものまで含めて、こういった内容だけれども、どこまでを必要とする表示なのか。もし何もわからない、これでは不特定というのと同じだよね、であればその部分は表示をやめるという判断もしやすいかと思いますので、消費者がこれならば参考とし得るというようなことの判断基準も見るということで、消費者のニーズの調査ということを入れていけばいいのではないかと思います。

ですから、消費者にニーズというのは、こういう表示が欲しいですかと最初に行われたものではなくて、この制度の中でこういう運用をされるけれども、これであなたは目安になるかどうかという内容とし、その結果をもとに制度の見直しをするということでいけばいいのではないかと思います。

それから、経過措置期間後終了から2年という時期でございますが、井之上委員等々からも、もっと前にというお話がございますので、ここは私自身も迷うところです。というのは、経過措置終了2年後であると、事業者の方たちは多大なる努力をして、負担をかけて、差しかえた後に、全部ではないですけれども、また制度の見直しが大きく行われるというのは非常に負担ではないかという気もいたしますが、さりとて始まってすぐにこのようなことになりますよという推定のもとに、例として出すものはどれが妥当なのかも選択するのが大変難しいのではないかという気がいたします。事前に消費者の理解度調査をするというところで非常にバイアスがかかる可能性もあるかと思いますので、大変迷うところではございますが、私はこのまま原案どおりということで、2年後をめどとして、先ほど言ったようなことを具体的に書き込んで、制度の見直しもありということで、見直しのところを御意見出させていただきます。

以上でございます。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

菅委員、どうぞ。

○菅委員 菅です。

全体として自分が今どう思ってここに臨んでいるかということだけ先にお話ししておきますと、私としては、委員の皆さんからのさまざまな意見や議論を踏まえて、懸念等が残るという意見がある部分についても適切な対応等を前提として求めて、大きく新たな一歩を踏み出すことを「適当」とするという答申書案になっていることについては、基本的に賛同しているという立場であることを先に申し上げておきたいと思います。

その上で、加工食品全体について広く原料原産地表示を求める、あるいはそれがあればよいと思う、あるいは実際の選択に活用していただけるという消費者のメリットは、先ほど澤木委員もおっしゃっていたように、確実にあると私は思いますし、多くの真面目な国内事業者にとっても、国内外の競争相手との関係において、みずからの加工食品への信頼を高めて、消費者に選択をしてもらうために活用していただけるメリットがあると思います。確かに、どのような新表示を求めても一定のコストを要することは否定できないと思いますけれども、現時点での実行可能性にも相当に配慮することで、徹底した原則表示を今すぐ全てに求めるよりも、社会全体に係るコストは小さくなっていると考えます。

原料原産地表示は、確かに元来その全てが直接的に「安全」性にかかわるものではないかもしれませんけれども、我が国の消費者が、悪質な偽装といったような観点だけではなく、各地の環境汚染等に対する心配などから、目の前のさまざまな食材に対して、さまざまな懸念や心配を日々抱いて生活している中で、一定の「安全」性に対する信頼や「安心」感を持ってみずから食べるものを選択するということに資する面があることを、私は否定することができないと思っています。

そして、その安心感や満足感まで踏まえた合理的な選択を考えたときに、一定のコストを許容するだけのメリットはあると言えるのではないかと思いますし、このような制度を導入していいのではないかと思います。無論、後日の検証によって、本当に誰も望まない表示ばかりになったのだとしたら、速やかな見直しがなされる必要もあるでしょうけれども、多くの真面目な事業者の御尽力によって、できる限りの原則表示を目指すモチベーションも高まって、よい制度として運用されることが期待できるのではないかと個人的に考えております。消費者委員会としては、事業者の皆さんにも必要な御努力をいただきたいという方向で発信すべきではないかと思います。

ただ、岸委員がおっしゃっているような御懸念等もあるわけですから、また、全ての加工食品において原則的表示がなされることが、消費者の合理的選択により資することについては異論が少ないと考えられるので、先ほどの川口委員の御趣旨も、例外には例外の必要性があるということも理解する努力をしていくべきものがあるということだと私は理解しますから、むしろ付帯意見として、「全ての加工食品において多くの事業者が原則的表示をすることをより確実かつ容易にするための施策、例えば食品トレーサビリティー制度の拡充・強化等の施策を今後、積極的に検討・推進することを望む」といった趣旨を加えることを御検討いただけないかと思います。

先ほど今村委員がおっしゃったこととも関係しますけれども、池戸委員から既に御反論もありましたが、「国産又は輸入」表示のようなものについては、一定の意味理解が可能である反面で、理想的な表示と比べれば、少なからず根本的な問題があるということは否定しがたいところがあると私も思います。私は、そうであるからといっても、全く何もないことと比べれば意味のある情報を得られると思うに至っていますけれども、「国産又は輸入」との表示が要件上許される場合において、例えば「原産地不特定」あるいは「特定不可」と書く選択肢を認めたらどうなるかということについては、考える余地はあるかもしれないとも思っています。

他方で、単なるブランク、つまり「不記載」を認めてしまいますと、記載漏れとの区別が難しくなりますし、また、表示義務のない食品があるのかなという誤解を生じることもありますから、賛成しづらいところがあります。少なくとも、明確にこれは「不記載」にしている旨を「記載」することで、消費者に注意喚起情報を提供することを義務づけするのでなければ、単なるブランクはかえって問題を複雑にしかねないと思いますし、今の原案に対して多くの委員の皆さん方が賛成していただけるのではないかと思いますので、今回の答申において、不記載の可能性について言及することについては反対します。

以上です。

○阿久澤部会長 先ほどから挙がっていたので、渡邊委員から。

○渡邊委員 先ほど宗林委員から見直しのところの記載の話があったのですけれども、消費者ニーズのことを書くのは私も非常に賛成なのですが、特に消費者ニーズの解析というのは十分やっていただきたいと思うのですけれども、先ほど具体的に言われた中で、例えば例外表示はこれでもいいかとかそういうのではなくて、ニーズをとるのであれば、その情報を出すに当たってどのくらいコストがかかるかとか、どのくらい労力がかかるかとか、そういうことも全部入れた上で、必ずメリットをとるためにはデメリットもあるわけなので、メリットとデメリットを両方示した上でニーズをとるということが非常に大事なので、そういうものもあわせて解析するようにしていただきたいと思います。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

では、受田委員、どうぞ。

○受田委員 受田です。

もうそれぞれのお立場からいろいろな意見が出て、総論的な話と各論的な話がちょっと混乱しているので、この後どうなるのかなというところで不安を感じながら拝聴しておりました。

こういうところでそもそも論の話をしているのは、やはり少しこの議論自体の前提に脆弱性があったことに起因しているのではないかと思います。今いみじくも渡邊委員が御発言になられた、消費者のニーズを今から調べるということなのですけれども、もともとこれが出発点であるということのコンセンサスがちょっと弱いのかな。先ほども御発言があったように、一般消費者の方々が76.8%、原料原産地を参考にしているというこのデータと、消費者が知りたいのだというニーズがまず大前提であることを委員の皆様がどこまで感じ、それに対して応えようとしているかどうか。ここの意見分布を確認することがまず必要なのかな。その点をぜひお願いしたいというのがまず1点です。

それから、もし仮に全委員が、この消費者のニーズに関しては真摯に対応し、消費者に対してできるだけ多くの情報を提供するように社会全体を進めていこうということであれば、この食品表示に関する原料原産地、加工食品全部に対するという取り組みは大いに評価できる第一歩であると感じます。そのときに、企業の皆様は、真摯にかつコストをかけて、努力をしてそれにお応えしようとするわけですから、それに対して消費者もしっかりお応えしていかないといけない。これはバーターだと思います。

もちろん企業の側にとっても、差別化、ブランド化の切り札にする形もあり得るわけですから、先ほどメリット・デメリット案がありましたけれども、この点も大いにメリットとして追及していくことをぜひお願いしたいというところがございます。

一方で、前回も例外の話が大分出てきて、今も例外とは何%かという日本語の理解力という話にまで至っているのですけれども、ここは多分捉え方としては、企業の皆様の実行可能性の面から限界があるということで、消費者の皆様に対する知りたい情報を詳細にお伝えできない部分があるので、ここは御容赦いただきたいというのが「例外」だと思います。そのトレードオフとして少しでも情報を盛り込むべく、「国産又は輸入」とか、その順番によって、一部原料の素性についての情報は御提供しています。これで妥協していただかないといけないのと、知りたいということであれば、この理解をしっかりと進めていただければ、幾ばくかの情報が盛り込まれているということで、この点についてはぜひ努力をお願いしたいということになるのではないかと思います。

ここの部分は、企業の皆様も包材の切りかえとか予定が不明なところがあって、それによって情報を提供したいのだけれども、機動的に情報が提供できないという状況があるわけですから、これについては付帯意見にもあったと思うのですけれども、インターネットの活用を積極的に図るべきだと、ここは強調をしていただきたいと思います。

最後に、まだ全然議論されていなかった部分ですけれども、やはり前提として冒頭に申し上げたように、消費者の知りたいというところがニーズであるとすると、消費者が食品表示法の改定によって、例えばどのように消費行動が変わり、消費者みずからの権利がより高まっていったのかということを実際に数量化していくことが極めて重要だと思います。ですから、認知し、理解して活用していくということで、消費者の理解度について一定のこの委員会における数値目標を立てて、それを超えることによって、今申し上げた消費者ニーズを満たすというか、満足をさせるサイクルがうまく回っていくことで、全体最適化されるのではないかと思います。

ですから、ぜひ今後、理解度をどのようなレベルであれば皆さんが満足されるか。事業者の方も含めて、あるいは社会も含めて、どこまでであれば満足できるのか。あるいは5年の間のファーストステップでどのようにするのか、これを少し議論されたらいいのではないかと思います。

理解度に関しての具体的な考え方については、後ほど発言をさせていただきます。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

理解度の具体的な効果の測定なのですけれども、これは後ほどというお話ですが、ここでお話しを。

今の御意見に対してということですか。どうぞ。

○渡邊委員 今の受田委員の御意見で何となくちょっと違うかなと思っているのは、先ほど例外表示で御容赦いただきたいみたいな話がありましたけれども、そういう話ではなくて、実際に原料は全ての原材料が、どこの産地の原材料だというのが必ずひっついて世界に出回っているわけではないのですね。要するに、日本がこの制度をとったのは、世界の中でまだ日本と韓国しかやっていない中で、一般的な常識として、原材料というのは品質とか、どういう糖度かとか、そういう情報は必ずついていますけれども、例えばオレンジ果汁で、どこの産地のオレンジ果汁かというのはついていない果汁もあるのです。

そういう中で企業がつくっていくときに、今までは、どこどこの産地というよりは、品質を重視して見てきたわけなのです。それを、例えばこれから産地を書くという中で、書けないものも当然あるわけで、御容赦いただきたいというよりは、そういう状況の中でこの制度ができたわけで、たまたま今回、例外表示、例外表示と言いますけれども、例外表示ではなくて、制度の中の一つの表示方法なのです。だから、企業のほうはわかっている限りの情報はしっかり出す中で制度を組み立てているので、ここまでしか情報を出さないので御容赦いただきたいというわけではないということです。

○阿久澤部会長 どうぞ。

○受田委員 理解はしているつもりです。そして、先ほど菅委員もおっしゃったように、今後、トレーサビリティーの問題をどのように国として考えていき、そして、これは先ほど事業者さんのお伝えをしたい情報の限界、制約というふうに御理解ください。許す、許さないの問題ではありません。もうここまでしか情報がないので、これ以上は出せない、制約ですというふうに御理解いただければと思います。

したがって、この話は前回の最後にも申し上げたように、細かい制度の運用とか改定であるとかいろいろな議論をしていますけれども、全体としてどこに向かっていくのですかという話が一方でないので、常にこういった各論的な議論にかなり労力を要していくのだろうと。これはもちろん、またそれぞれの事業者の皆様、あるいは消費者団体の皆様、あるいは行政の皆様にとっても大問題であることは承知しておりますけれども、方向性自体を我々が共有していないということになれば、こういった法律自体を運用していく上でも苦労していくことになると思います。

○阿久澤部会長 どうぞ。

○今村委員 今のニーズのお話と制度論の全体の話と監視の話をちょっとおさらいさせていただきますと、もともと原材料表示というのは22品目の品目をふやしていくということが全体の方針だったと思うのです。では、何で品目をふやしていったかというと、各論で流通経路を確認したりして、詳細な基準をつくったりするのが品目単位でしか現実にはできないという問題があったからなのです。だから、それをどれだけ品目としてふやしていきますかということが本来の筋だったわけです。それに対して、全部にかけるというところにまず無理があって、全部にかける以上は全部の品目について本当は規格基準をつくらなければいけないのです。でも、それは本当に不可能なことなのですね。今回、不可能なことをやっているというのが前提にあって、その上で可能なことは、やれる範囲はやるべきだと私は思っていて、今、22品目だったら24品目、27品目というふうに上げていく。例えば大物で言えば肉とかフルーツというものが大物としてあるわけです。そういったものを今までと同じようなレベルで規格基準をつくっていくことは努力するべきだと思うのです。

ただ、本来品目としてふやしていって、全体の8割の部分にカバーされていなかった部分について品目を積み上げていくというのは現実的にはできない。その現実的にできないことに対して超えるほどの消費者の方々のニーズがあるのですかというのが根本的な問題で、今までの議論としてはそれがあるということだったのですけれども、私はやはりここの議論を聞いていても、それが超えるようなニーズがないように感じます。

ただ、それでもやるのだというのだったら、徹底的に品目をふやしていく努力というのが、細目としてふやしていくということだと思うので、私が先ほど60キロぐらいと言ったのは、8割に対して各論の品目をふやしていくというような努力と考えていただくとよいかと思います。ですので、その根本的なニーズに対しては、私ももう一回踏み込んだ議論が必要かなと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

先ほど受田委員からも、総論なのか、各論なのかというお話もありまして、最初に私のほうから今回の答申のたたき台という形で提案させていただきました。それについて皆さん。

今の件ですか。どうぞ。

○宗林委員 消費者のニーズという言葉にちょっと温度差があると思いますので、もともと消費者にとって原産地表示はないよりはあったほうがいい、正確な情報を伝えてほしい。これはニーズとしてあるのだろうと思いますが、全部の加工食品に例外規定とかいろいろなものを含めて不確定な部分をかなり含んでも、無理して全部のものに入れていくということについて、どこまで必要なのかという消費者のニーズの測定といいますか、それを最終的に見直しの時点ではとったほうがいいという意味でございます。

ですから、もともとはあったということでしょうけれども、この制度の中において消費者は、これではもう不特定なので表示は目安にならないため必要ないところがどこの線にあるのか、どこまでならニーズがこの制度の中であるのかということは、もう一度確認したほうがいいという意味でございます。

○阿久澤部会長 次に、関連で。

○井之上委員 ちょっと補足で。私の資料の3枚目に日本生協連のお問い合わせ状況についてコメントさせていただいているのですけれども、2015年のデータになりますが、大体年間、商品に関するお申し出ですが、今ちょっと頭に正確な数字がないのですけれども5万件とか6万件あって、原料原産地に関しては5%お問い合わせがあったところです。その5%全てに目を通して、どんなことを言われているのかを調べてみると、原料原産地に関してお申し出をいただく商品というのは、パッケージの見た目も含めて、その商品から生鮮食品をイメージさせるもの、生鮮食品としての形が残っているものであるとか、イラスト等で想像させるものに対してお申し出をいただきました。そう考えると、今、議論している「全て」に表示するところとは消費者ニーズと、かなりギャップがあるのかなと思います。当然、今回、例外表示の一つとして製造地表示というものがありますが、お問い合わせの中にサイダーの果糖ブドウ糖液糖の製造地を知りたいといったような、そのようなお申し出は一つもありませんでした。

以上です。

○阿久澤部会長 どうぞ。

○菅委員 菅です。

先ほど宗林委員がおっしゃったように、私もベースとしての「原料原産地を知りたい」というニーズはずっと昔からあるのだと思っていますので、今議論している制度を今回「前提条件付きで適当」としていくまとめ方自体について、現在の状況として多くの人が反対しているという状況では決してないと思っています。もちろん懸念される点のご意見も出され、私も懸念を持った点については今まで述べてきましたけれども、そういうことはあっても、全体として今回全ての加工食品に対象を広げていこうということで努力していく方向について、今回、部会長が前回までの議論を踏まえて取りまとめていただいている方向性というのは、多くの意見が向かっている方向であると現時点でも思いますので、そもそもニーズ云々で、今からの取りまとめの仕方に根本的に影響があるという形にはすべきではないのではないかと思っています。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

そろそろそこを皆さんに伺おうかなと考えていたところです。私からの提案のたたき台に対してそれぞれのコメントの中で明確に賛同あるいは反対の言葉も含めていただいた方、一方、ご意思は窺えるものの賛否の言葉が含まれてなかった御意見もあります。今、菅委員がおっしゃってくださったように、今回の私からの答申の骨子、仕方について、皆さんのご発言から、私も多くの方が賛同していただけているのではないかと感じております。

もちろん、懸念点を含めて多くの御議論があるわけですから、このままということではないことは私も実感しております。その辺をどのような修正を加えての答申書にすればよいかということで、もうちょっと皆さんに御議論いただければと思います。

私が提案させていただいた内容は、まず、前提条件を加えて適当とするということでした。そして、その中にはただしということで、別紙2のとおりこれは変更すべきとするということ、そして、3の中には個々の委員の問題意識として付帯意見をつけることという内容になっております。必要があれば皆さんの意見を酌んで修正しなければと考えております。

その中の1つとして確認させて下さい。先ほどの今村委員からの御意見について、これに対しては反対意見もあったわけですけれども、出所不明のものには原産地を書かないというところなのですが、検討要望として付記していただければという発言だったように思うのですが、そのようなことでよろしいでしょうか。

○今村委員 今の規格基準の省令の案そのものは変えなくても、これは今後の運用でできる話なので、委員長からの意見の中にこれを考えてくれということを入れてもらうと、消費者庁のほうで考えてもらえるのかなと思ったので、省令そのものは変えなくてもこれは運用できるかと私は思っていたのです。先ほど菅委員が御指摘いただいた不明というような記載でもいいと思うのです。私は、書かないほうが現実に事業者の方は楽なのだろうなと思うので、でも、それが不明だということも選択肢の中にあって、私は、輸入、輸出ということを書くのもいいと思うのですけれども、それだけを必ず書けということによる弊害が起こるはずだから、それを不明という表現で書くのもオーケーですよと。それとも、私は書かないという選択肢があってもいいと思うので、必ず何か書けということではなくて、不明もしくは書かないことが不明であるというような周知も選択肢としてあり得るという意味で言っています。

○阿久澤部会長 私自身の理解を確認したくてお聞きいたしました。

何かございますか。どうぞ。

○赤崎食品表示企画課長 消費者庁でございます。

今村委員や菅委員ほかから、今村委員の意見書の2ページ目になりますが、「輸入又は国産」という表示について、いろいろ御議論をいただいております。この点について、消費者庁としては、こういう要件を満たす場合、「輸入又は国産」という表示が認められるという提案をしております。改めてどういう趣旨でこういう提案をさせていただいたか御説明させていただきます。

先ほど池戸委員、菅委員からも関連のお話がありましたが、まず、「輸入又は国産」という表示は、一定の要件を満たした場合に限られます。繰り返しになりますが、輸入については3カ国以上から調達をしており順位変動があり得る。また、輸入トータルと国産の重量を比べると順位変動があり得ることが必要です。その意味では、一定の要件を我々がかけた上で、「輸入又は国産」という表示を認めるとしていますので、原料の産地が不特定とか不明確というものではなく、これまでいろいろ御説明しております「又は表示」、「大括り表示」同様に定められた要件を満たすことが必要です。それをたどっていけば、複数国、3カ国以上の外国産、国産、それぞれの量的な大小関係もわかる。そういうものに限って、こういう御提案をさせていただいております。

また、従前からの説明の繰り返しになりますが、一定の要件を定めた上で、その要件についても周知することとしています。その上で「輸入又は国産」、「国産又は輸入」という表示について、こういう原料調達構造だということを理解して選択の一助にしてほしいと考えています。全くこれを不表示にしますと、不注意で表示がなされていないのと、要件を満たしているから不表示なのか、どちらに当たるのかがわかりづらいのではないか。事後の確認も含めて、その意味ではちょっと負担になるのではないかと思っています。

今、述べたようなことを踏まえてこのような提案をさせていただいていますので、繰り返しですが、御説明をさせていただきます。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

赤枝委員、何かございますか。どうぞ。

○赤枝委員 この答申案についておまとめいただきまして、ありがとうございます。これまでの会議で出た意見が集約されていると思いますし、前提条件が実施されるということであれば、私はこの案について賛同をいたします。消費者に近い立場にいるということでの意見と感想を述べさせていただいて、先ほどの今村委員についてのお話につなげたいと思います。

今回の原料原産地表示ですけれども、原料原産地表示はあったほうがいい、そして必要であると思っている消費者の多くは、できれば使用されている全ての原材料の原産地が知りたいし、原材料の後の括弧の中には、例えばA国であるということが明確に書かれている表示を一番望んでいるのだと思います。でも、それを全ての加工食品に望むことは難しい現実がありますので、例外表示も認めるという形になっているのですけれども、ただし、消費者の全ての方が原産地表示を活用しているわけではなく、商品選択の際には、食品が安全であるという前提のもとに、決め手となるのが、一番には価格だったり、あるいはアレルゲンが入っていないということであったり、あるいはエネルギーが多いか少ないかなどの栄養成分表示であったりと、各自にとって必要な、あるいは欲しい情報は異なっているということでございます。

それでも原産地が知りたい消費者にとっては、それが「又は」でつなげられたり、「その他」や「輸入」として括られていても、ルールどおりに正しく表示されていれば、情報はないよりはあったほうがいいのかと思います。ですが、消費者はやはり明快でわかりやすい表示を望んでおりますし、さらに詳細な情報を知りたいという消費者のためには、事業者の方々にはインターネットや店頭でのチラシ、ポップなどで補完的に情報提供に努めていただきたいし、前提条件の中にもございますように実施していただきたいと思います。以上のことから、私は今村委員の御発言で空欄でもよいということには、賛同しかねます。

また、項目10.にある「制度の見直し」ですが、私も制度の見直しは、やはり消費者が本当にこの表示を必要とするのかどうかということも含めて調査は必要と考えております。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

どうぞ。

○川口委員 川口です。

先ほど「国産又は輸入」の話が上がりましたが、それに関連して意見を言わせていただきたいと思います。

参考資料1の9の2ですけれども、この資料で言いますと13ページになります。ここに「『輸入』の他に、『外国産』『外国』『海外産』『海外』なども表示可能とします」との記載がございます。「輸入」の表現に、これだけたくさんの種類が必要なのか。できるだけ言葉の種類は少ない方が消費者の理解も図れるでしょうし、幅広く認めるのは構わないとしても、ここの例示に書くものは極力減らした方がよいのではないかと思います。

特に「海外産」と「海外」、これはやはり曖昧な言葉ではないか思います。どこから見て海外なのか。日本の海の外ということにはなるのでしょうが、ちょっとわかりにくいので、「海外産」「海外」は、ここの例示からは外されたらいかがかと思います。

そもそも「輸入」だけにしたら何か問題があったのでしょうか。この行が必要であった何らかの理由があるのだとは思うのですけれども、そういった疑問を感じましたので、言わせていただきました。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

そうしましたら、私の提案の骨子に賛同いただけているかなというところだったのですが、実際に御賛同いただけているということでよろしいでしょうか。

○川口委員 何度もすみません。川口です。

部会長の答申案につきましては、賛同させていただいております。その上で、さらにわかりやすくするという意味で意見を言わせていただきたいと思います。

前提条件4.「Q&Aの充実」のところです。ここの記載が少しわかりづらいかなという感じがします。細かい点で恐縮なのですが、3ページ目の上の第1行の「行政に対し説明が必要となる事項等」から始まる文章の表現を、例えば、「監査・監視において説明が求められる事項等を明確に解説すること。事業者が記載の表示例を参考にして作成した表示が、消費者の誤解や疑問を招かないように、表示例の精査を十分行うこと。」などの表記で、誰が何をするということとかが明確にわかるような文面に直されたら、さらに理解しやすくなるのではないかと感じました。

以上です。

○阿久澤部会長 荻原委員、どうぞ。

○荻原委員 済みません。もう時間も迫っている中で、1点確認させていただきたいのですけれども、目標値について、先ほど受田先生も後でとご発言されていますが、私も意見があるのですけれども、どのタイミングになりますか。

○阿久澤部会長 目標値について、何か御意見、アイデア等があれば、どうぞ。

○荻原委員 具体的なアイデアといいますか、理解度を確認するために実際にどのような調査をするのか、どのような目標値を設定するのかはこれから消費者庁のほうで計画が練られることだと思いますので、この部会で議論できるかについて疑問があります。

一方で、今回は消費者庁からの諮問に対する答申であり、部会として懸念は払拭されていないというコンセンサスがある中で、多くの前提条件を提示した訳で、今後は消費者委員会か食品表示部会の責務として、今回提示した前提条件を消費者庁が適切に実施し、しかもその実施内容が消費者委員会にとって納得できるものなのかを監視していくことにあると思います。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

もし、受田委員から具体的な目標設定等、御意見がございましたら、お願いしたいのですが。

○受田委員 多分ここを皆さんが納得していかないと、結局この制度の導入自体に必然という部分で意欲的に取り組んでいけないのだろうという思いでございます。

先ほど76.8%という話から始まってはいるのですけれども、多分、認知と理解と活用と分けて考えていかないといけないのだろうと思います。例外表示等、複雑さがあるがゆえに、消費者の方々が簡単に理解できない。だから、そこの理解をいかに助けていけるか。それによって数値的にその理解度を定点観測できるかというところは一つポイントだと思います。

そこの理解度を上げるという意味、あるいはモニタリングするという意味では、平成28年度の食品表示に関する消費者意向調査、これが大いにひな形になっていくのだろうと思います。ここに御出席の皆様には、もうこれはおなじみだと思うのですけれども、かなり詳細に消費者の理解度についても質問がなされています。私自身、これの中で、もちろん今回の食品表示に関する設問はないわけですけれども、例えば平成27年度に導入された保健機能食品の制度の中の機能性表示食品がどのように理解をされているかというような細かい設問に対して、現状は非常にモニターしやすいところだったと思います。

特に保健機能食品制度にある3つ、すなわち特定保健用食品と栄養機能食品と機能性表示食品に関しては、その中身をかなり根幹の部分で設問の中に盛り込み、ファーストクエスチョンで絶対に理解しておいていただきたい内容を、優先順位を上げて設定しておられるように私は理解いたしました。ですから、あの設問の設定の仕方と、ファーストクエスチョンに対する現在のアンケートの結果、これは非常に参考になるのではないかと感じました。

ちょっと理解度とは外れるのですけれども、この制度を回していって活用を促していくという意味では、例えば消費者意向調査の中で、原料原産地、原産国に関する設問もあって、その設問の中で表示を確認する際の不便さというのが、多分複数回答だと思うのですけれども、挙げられていることが注目に値すると思いました。興味深かったのは、不便ではないという回答があって、要はこのままでいいということだと思うのですけれども、そういう回答が原料原産地と原産国でそれぞれ34.2%と35%いたものの、確認していない、見ていないためわからないと回答した人がそれぞれ27.0%と25.3%いらっしゃいました。ここの部分をさらに下げていくということも、前回の消費者意向調査を踏まえて定点観測していくきっかけがあるのではないかと思いました。

特にその後、これは多分、今回の食品表示制度の改定をにらんでアンケートの中に入れているのかもしれないのですけれども、表示方法が異なる商品があるため、困惑するという回答、選択肢が設けられています。比率としては5%弱なので、それほどここの困惑度合いは余り目立ってはいないのですけれども、こういう部分も定点観測していって、表示制度の導入によってどう変化していくかということに関しては、注目に値するところではないかと思いました。

以上、理解度とともに普及に関して、さらに市場の消費者の方の御意向をいかにPDCAで回していくかという点について、前回の消費者意向調査が非常に参考になるという意見でございます。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

どうぞ。

○赤崎食品表示企画課長 消費者庁でございます。

ただいま受田委員から、平成28年度に消費者庁が行った消費者意向調査についてのお話がございました。これは約1万人の消費者を対象に、いろいろな表示項目について幅広く尋ねたもので、結果自体は対外公表しています。今回、阿久澤部会長のほうで整理しておられます答申書案の中でも、実際に消費者の理解状況はどうなのかについて言及されておられますが、これは非常に重要な点であり、今後様々な制度の検証をしていく上でスタートになる点だと思っております。その意味では、昨年度から始めている消費者意向調査の各項目を基本としつつも、その後の様々な見直し、本日もいろいろな着眼点を多くの委員からいただいておりますので、そういう点を踏まえた上で、関係者の御意見も当然伺って、実践的で現実にどれだけ理解いただいているのか、それがわかるような形の設問を立てて、実際の状況を把握していきたいと思っております。

今でも関連の調査項目について実際に調査を行っており、それぞれ結果が出ております。それとの比較という、定点観測で長期的に見ることも大事ですので、当然ですが、そういう点も十分踏まえた上で、いろいろな理解状況の調査については消費者庁としてしっかりと取り組んでいきたいと思います。

どうもありがとうございました。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございます。

菅委員、どうぞ。

○菅委員 おそらく、この後まとまっていく前に細かいことは先に申し上げておかなければいけないかと思いますので、忘れないように申し上げたいことがあります。

1つ目が、付帯意見2.の書きぶりの問題でありまして、まず「国際的にはほとんど類例のない制度となるため」という理由づけはそもそも明記が必要なのかどうかについて若干疑問があります。ただ、その点よりもむしろ、その次の「制度施行後の海外との商取引に影響がでないように」という表現が、「影響が出ないように」とただ漠たる感じで書きますと、この件に限らず、いかなる制度が導入されたとしましても、何らかの影響というのはよくも悪くも生じるはずなので、諸外国から現時点で具体的な悪影響まで指摘されるに至っていないわけですから、もう少し表現が工夫できないかと思っています。

国レベルの貿易ルールとの絡みで懸念されているところで記載されているのではないかと思いますので、例えば「諸外国との公正な貿易、競争を阻害することのないよう」とするような表現にしたほうが、趣旨が明確になるのではないかという印象を持っております。

それから、これは今の部会の答申に書かれることが可能なのかどうかわかりませんけれども、本件に関連して、いわゆる冠表示に関する問題について、ガイドラインを早期に策定してもらいたいという声は存在していたと思いますし、また、本件に直接関係することの一つでもあると思うので、そのようなメッセージも加えていただけたらありがたいと思っています。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

池戸委員、どうぞ。

○池戸委員 これは要望なのですけれども、書けるかどうかは別として、普及・啓発と周知というのは非常に重要なのですが、前にも申し上げたように、消費者の団体とか事業者団体といったところの協力連携みたいな、そのようなものもどこかに書いていただけると非常にありがたいと思っています。

○阿久澤部会長 渡邊委員、どうぞ。

○渡邊委員 2つあって、まず、菅委員が言われた2点目の「国際的にはほとんど類例のない」というのは言い過ぎかどうかわかりませんけれども、非常に珍しい制度なので、これはやはり入れていただきたいと思っています。

あと、最後に言おうと思っていたのですけれども、事業者に対する普及啓発とか消費者に対する普及啓発、今、池戸委員が言われたように、事業者団体とかをしっかり活用してというのを入れたのもいいかなという気がいたします。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

どうぞ。

○今村委員 国際的な合意の話ですけれども、今、各国からどんな意見が来ているか我々は知らないわけで、それに対して今後海外から、そんなことは協力できないと言ってくるかどうかもわからない状況の中で、国際的な状況について、我々はもう少し情報を知りたいのです。

この間、ある大使館の方と話をしていて、この件ではなかったときに、そんなに向こうが軽く考えているわけではなさそうだと、結構これは難しい問題ではないかと考えているように私は印象を受けたのです。今、各WTO通報の詳細な回答とかは話せないにしろ、検討状況がどうかということと、実際に各国から、こんな制度はやめてもらいという意見が出てくる可能性があるかどうかということは、ぜひ追加で情報提供してもらいたいと思います。

○阿久澤部会長 関連でどうぞ。

○赤崎食品表示企画課長 それでは、今、WTO通報の関係で今村委員から御発言がありましたので、当方から簡単に状況を御説明させていただきます。

既にこの部会でもお話ししていますとおり、WTO通報を行って、アメリカ、カナダ、オーストラリアからコメントまたは意見が来ております。内容につきましては、国と国との交渉といいますか、やりとりでございますので、詳細についてはお答えできませんが、ただ、前々回でございますか。部会長からもいろいろな状況の変化があれば、丁寧な説明とあわせて報告をするようにというお話があったかと思っております。その意味では、今、今村委員がおっしゃったような御懸念、本当に諸外国がいろいろと重く受けとめて我々に指摘しているのであれば、我々もそれに応じた対応を当然とっていく必要がありますが、我々は今はそういう状況ではないと思っておりますので、その意味では、あえて今この場で皆様方にお話をさせていただくことはないと思っております。

いずれにしても、これまでもいろいろな在日大使館の方とやりとりもしております。そのほか在日大使館を通じてそれ以外の様々なルートでも我々から丁寧な説明をさせていただいておりますので、基本的には今の状況ということであれば、説明は以上程度で差し控えさえていただきたいと思っております。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございます。

宗林委員、どうぞ。

○宗林委員 付帯意見のところに追加をしていただければと思うのですが、この経過措置が長いこともあり、今までの表示方法とかなり大きく変わりますので、定期的といいますか、この食品表示部会なのか、あるいは消費者委員会で周知度であったり、あるいは消費者教育の実際だったり、そういったものを消費者庁から報告していただくというのを入れていただければと思います。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございます。

安達委員、どうぞ。

○安達委員 済みません。ちょっとおそくなりましたけれども、この諮問案全体について、私は基本的に賛同させていただきたいと思います。ただし、前提条件に書かれている10個の項目については、行政サイドでぜひ力を入れてやっていただきたいと思っています。

消費者ニーズという言葉が先ほどから何回か出ておりまして、原料原産地表示に対する表示の希望はもともと当然のことながらあって、今回、新たな表示制度が導入されたことによって、新たな表示の仕方が消費者に提示されることになるわけです。先ほど受田委員から、理解度調査について、昨年度の調査結果についての非常に詳しい御説明をしていただきましたけれども、この前提条件の1.にあります「消費者・事業者の理解状況に関する目標値の設定」、理解度の調査というところにぜひ力を入れてやっていただきたいと思います。

新しい表示制度が提示されることによって、消費者側から新たな表示制度に対するニーズというのが出てくることも十分考えられると思いますので、消費者の理解度あるいは要望に関する調査というのはぜひ力を入れてやっていただきたいと思います。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

そのほかございますか。よろしいでしょうか。時間も若干過ぎましたが、ほかに御意見がないようですので。

井之上委員、どうぞ。

○井之上委員 一言だけ済みません。私は、意見書にも書いていますけれども、情報拡大というのはいいのですが、やはり今回のものは中身が悪いと思います。先ほど「国産又は輸入」の話、不記載としてはどうかといった話もありましたが、「全て」に表示することが目的とされていて、違和感を覚える。私はやはり「全て」に情報提供されることを目的とすべきなのではないかと思います。今において各論の話をしてもなんですが、不記載とする場合においても、枠外のところで、「この商品は最適なものを使っております、どうしても知りたい場合はお問い合わせください」であるとか、何らかのアプローチをすればいいのではないかと思います。そういった議論も十分に出尽くしていない中で答申というのは、やはり違う、もっと議論すべきではないかと思います。

また、今のままでいくと、やはり消費者ニーズと合っていない制度となる、今この時点でも、そもそもの部分、消費者ニーズについてもめている。そのようなベースのところもコンセンサスがとれていないわけです。コストについても、市場的な影響は非常に大きいと思います。これを教育、啓発であるとか行政コストをかけて何とかしようというのはわからなくもないのですけれども、非常にバランスが悪過ぎると思うので、やはりもっときちんと懸念を出して議論すべきで、まだ答申の段階ではないと思います。あと、事前調査、例外表示がどれだけ認知あるのかというのは、やはり調査は施行前にやっていただきたいということを強く要望いたします。

以上です。

○阿久澤部会長 まだ議論が足りていないということですけれども、今回いただいた諮問の内容に対しては、確かに十分ではないかもしれないですけれども、不足しているとは思わないです。諮問に対してこれで答申を出せるだけの議論をしたかなと感じております。確かに細かい内容はまだまだたくさんあり、それは皆さんの懸念点として出ているわけですので、諮問の内容に対する議論はできたと考えて、私もここで結論を出そうとしているわけです。

よろしいでしょうか。ほかにございますか。

どうぞ。

○樋口部会長代理 今、部会長からもお話がありましたが、表示を全てに広げていくということについては、皆さんいろいろまだ御意見がもちろんあると思います。今回の案については、制度の安定性、公平性、負担の問題、運用の現実の状況等を踏まえて、ぎりぎりどういう形でこの時点においてまとめるということではないかと思います。

この前提条件の中に制度の見直しという項目が入っていますが、これは大変重い意味があるのではないかと理解をしておりまして、前提条件に「制度の見直し」というのはかなり異例な形ではないかと理解をしております。

したがって、先ほど消費者委員会というお話もありましたけれども、今後この議論を、これで終わったわけではありませんので、消費者委員会の中でも、きちっと見ていく。あるいは制度の見直しについて、これは行政側もそうですし、消費者委員会等においてもきちっと定点観測を含めてウオッチしていくという前提のもとでの答申案ではないかと私自身は理解しております。委員の皆様方、基本的な御意見もあると思うのですけれども、特に、10.の「制度の見直し」というところを踏まえて、それを前提条件としてこういう形で答申がなされることについては、一つの方向ではないかと思っております。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

どうぞ。

○宗林委員 ちょっと御質問なのですが、字句調整ももうなしという意味でしょうか。全体像私は反対をしておりませんが、例えばもう少し「具体的に検討し」のところに具体的な文言を入れたり、例えば消費者ニーズという言葉が若干この中には、皆さんの中には改めて消費者ニーズの強さというのもかなり強い意見があったと思いますが、そういったところを少し盛り込む余地は、座長に一任で結構ですけれども、おありでしょうか。

○阿久澤部会長 御一任いただけるのであれば、ちょっと大変ですけれども。

○宗林委員 私はそれで結構ですが、若干きょうの議論を反映させていただければありがたいと思います。

○阿久澤部会長 その辺をちょっと皆さんに今お伺いいたします。答申書をどのような内容にしたらよいかということを確認したいと思いますけれども、改めてなのですが、今回の答申書をたたき台として出させていただいて、その骨子については賛同いただけたということで確認させていただき、そしてその骨子というものは答申の本文、前提条件は10ありますが、それが10なのか、幾つになるのかは、私に御一任いただけるのでしたら、その辺も含めて条件を改めて書きます。その辺を含めて、適当とするという内容の答申になろうかと思います。

これも先ほど申しましたように、ただしということで、(1)(2)については別紙2のとおり変更すべきであるということも含まれておりますし、また、これも消費者委員会の問題意識として付帯意見をつける。この意見についても多くの御意見を伺っておりますので、私は全部メモし切れておりませんので、議事録によって起こして、この辺をもう一度答申案として修正いたしまして、それが終わりましたら委員の皆さんに確認していただき、そして、これを消費者委員会委員長に報告する。そこで同意が得られた場合は、消費者委員会の答申として発出させていただければと考えております。

問題は、どういった内容に答申書案が書かれてくるかということかと思いますが、まず、部会長に御一任いただくということでよろしいでしょうか。 その中には、きょう、多くの御意見を伺っております。意見や前提条件、これをもうちょっと具体的に書いたほうがよいだろうという御意見もあります。細かいことは別にして、また書きぶりについても御指摘がありました。そのとおりかとも思いますし、章立てについてももうちょっと工夫したらよいのではないかという御意見もあります。そういったことを参考にしながら、もう一度考えさせていただき、皆さんに提示し、ご確認いただきます。そして、荻原委員から、また最後に樋口委員からもありましたご意見のように、対応状況については消費者委員会、部会も含めてですが、今後、フォローアップしていくことも絶対必要だろうということも中には含めたいと思っております。

そういった形でよろしいでしょうか。

○蒲生委員 1ついいでしょうか。

○阿久澤部会長 どうぞ。

○蒲生委員 決して頼りないなどということはなく、部会長を信頼申し上げておりますが、私もきょうこの答申書をより明確にするために、こういったことを追加してくださいということをいくつか指摘しました。各委員の指摘を踏まえて、この答申書案の修正、改良案が出されるということですが、それをまた部会で審議できるという理解でよろしいのでしょうか。

○阿久澤部会長 いえ、もうこういう審議の場は設ける予定はないのですが。

○蒲生委員 こういうことを追加してください、ここはどうなのだろうという意見がまだ出ており、コンセンサスがとれてはいないかと思いますので、確認のためにももう一回ぐらいはやったほうがいいかと思いますが、いかがでしょうか。

○阿久澤部会長 渡邊委員、どうぞ。

○渡邊委員 一任ということだったら、もう開かなくていいと思います。

○阿久澤部会長 一任いただけたかなと。

○樋口部会長代理 一任という形式であっても、各委員の皆様には、文章がどのように修正されるかということは、事務局のほうからしっかり御連絡を申し上げるということでありますので、実質的にはきちっと皆様と意見調整をして、まとめをするということになると思います。もちろん、表現の問題はあると思いますが、そこは事務局のほうで調整をさせていただくことになるのではないかと思います。

○阿久澤部会長 菅委員、どうぞ。

○菅委員 菅です。

念押しの確認ですが、修文をどこまでするかも、何を入れるかも御一任するということで、あとは確認の機会は一定程度設けていただくということで、皆さん取りまとめをしていただいたらよいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○阿久澤部会長 よろしいでしょうか。

どうぞ、松嵜先生。

○松嵜委員 いえ、賛成です。

○阿久澤部会長 よろしいということですね。ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。

そして、答申書として決まりましたら、その答申書を委員長名で内閣総理大臣宛てに発出した時点で、事務局からまた改めて皆さんにお知らせということになろうかと思います。その前には、まず案の確認を皆さんにさせていただきます。

それでは、本日の審議はこれまでとさせていただきます。

連絡事項等がございましたら、事務局からお願いいたします。

≪3.閉会≫

○丸山参事官 本日もどうも長時間にわたりまして、御議論をどうもありがとうございました。

事務局のほうから特に連絡事項についてはございません。

○阿久澤部会長 本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただき、どうもありがとうございました。

(以上)