第1回 電力託送料金に関する調査会 議事録

日時

2016年5月23日(月)10:00から12:13

場所

消費者委員会会議室

出席者

河野大臣
【委員】
古城座長、井手座長代理、太田委員、古賀委員、白山委員、陶山委員、安田委員、矢野委員
【説明者】
経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部政策課小川電力市場整備室長
経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局都築ネットワーク事業監視課長
【事務局】
消費者委員会 黒木事務局長、小野審議官、丸山参事官
消費者庁 福岡審議官、澤井課長、笠原企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 河野内閣府特命担当大臣御挨拶
  3. 電力託送料金の査定方法について
  4. 今後の進め方
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、定刻になりましたので、会議を始めさせていただきます。

本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会公共料金等専門調査会第1回電力託送料金に関する調査会」を開催いたします。

構成員につきましては、去る5月20日にお配りしております資料1のとおり、消費者委員会の河上委員長より指名されております。どうぞよろしくお願いいたします。

なお、消費者委員会から担当委員といたしまして、蟹瀬委員、長田委員がオブザーバー参加されます。本日は所用によりまして、消費者委員会担当委員の蟹瀬委員、長田委員が御欠席ということで連絡をいただいております。

それでは、議事に入ります前に配付資料の確認をさせていただきます。ただいまお配りしております資料につきましては、配付資料の一覧のとおりとなっております。不足の資料がございませんでしょうか。もし不足がございましたら、事務局のほうまでお申し出をお願いいたします。

なお、本日の会議につきましては、公開で行います。議事録についても後日公開することといたします。

本日は、河野内閣特命担当大臣がお越しになられております。まずは開会に当たりまして、河野大臣より一言御挨拶をいただきたいと思います。


≪2.河野内閣府特命担当大臣御挨拶≫

○河野大臣 おはようございます。委員の皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。

4月1日から電力の小売全面自由化がスタートいたしました。消費者庁といたしましては、経産省を通じて、消費者の皆様に必要な情報をしっかり提供できるような体制をとってほしいということを申し上げて参りました。ようやく、これは東京電力の3月分の領収書でございますが、3月分の領収書の裏に、初めて託送料金が幾らか、あるいは使用済燃料再処理等既発電費相当額及び電源開発促進税が幾らなのかというのが記載をされました。今までは、再生可能エネルギーの発電促進賦課金だけが記載をされていて、再生可能エネルギーは賦課金が乗っかってくるから高いのだ高いのだと一部電力会社などから指摘をされておりましたが、この情報を見ると、再生可能エネルギーの賦課金がキロワットアワー当たり1.58円に比べると、託送料金はキロワットアワー当たり8.57円でございます。計算して見ると電気代の3から4割がこの託送料金で占められているということになります。

諸外国と比較をしてみると、我が国の託送料金はかなり高めであるということも分かって参ります。ヨーロッパの諸外国と比べると、ドイツのほうがやや高いのかなという気が、しかし、日本の発電量あるいは電力量というのはヨーロッパの数カ国を合わせたぐらいの量がございます。ですから、ヨーロッパの1つずつの国と比較するのが本当に適切なのかというと、コスト面で本来なら日本はもっと有利でなければいけないのではないかと思いますし、これまでも電力会社の調達コスト、どうしてそういう値段なのかよく分からないというコストもございました。

そうしたことで、消費者庁といたしましては、消費者委員会にこの託送料金について、一体何が適正なのかということを諮問させていただいたわけでございます。ぜひ鋭くこの問題に遠慮なく切り込んでいただいて、是正すべきものがあればきちんと是正をする必要があると思っておりますので、委員の皆様の御活動に大いに期待をさせていただきたいと思っております。

せっかくの電力小売全面自由化でございますので、消費者の皆様にきちんと正しい情報をお知らせして、消費者の行動が日本のエネルギー政策に大いに影響を及ぼす、そういうことを実現させて参りたいというように思っております。消費者庁といたしましては、CO2の排出係数ですとか、あるいは使用済核燃料の単位当たりの排出量ですとか、様々な情報がこの領収証の中に盛り込まれて消費者に伝えられるようにということを経産省にもこれまで繰り返し要請をして参りましたし、経産省からは非常に前向きな御回答をいただいているところでもございますので、そうした情報がしっかりと発信されることを見極めていきたいと思っておりますが、やはりこの小売自由化の中で、電力料金が幾らになるのかというのも消費者にとっては大きな選択の要素であることは間違いございません。

電力料金の中に占める託送料金の割合、金額が適正かどうか、しっかり御判断をいただいて、このスタートしたばかりの電力自由化ではございますが、携帯電話が自由化されて大いにマーケットが広がり、新たなサービスが提供され、そして、通信料金も随分下がってきた。そうしたことが電力業界でも同じように消費者に適正な料金でサービスが提供される、その足がかりになれば幸いでございます。

お忙しい中お集まりをいただきまして、本当にありがとうございます。ぜひ委員の皆様の忌憚のない活発な議論に期待をして参りたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○丸山参事官 ありがとうございました。

河野大臣は所用によりまして、ここで御退室になられます。

○河野大臣 よろしくお願いいたします。

(河野大臣退室)

≪3.電力託送料金の査定方法について≫

○丸山参事官 それでは、ここからは古城座長のほうに議事進行をよろしくお願いいたします。

○古城座長 消費者委員会の河上委員長から御指名を受け、この調査会の座長を務めることになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

なお、当調査会の座長代理については、公共料金等専門調査会に引き続き、井手委員に既にお願いしております。

本調査会の所掌は参考資料2のとおり、電力託送料金の査定に関して消費者利益の擁護・増進の観点からの資材・役務調達等に係るさらなる効率化の手法、コスト削減のための妥当な料金算定手法のあり方等の諸論点における問題の所在及び問題点の改善方法について、検討を行うことにしております。

なお、消費者庁には、本調査会に毎回御出席いただき、御協力を得ることといたしますので、よろしくお願いいたします。

それでは、議事に入らせていただきます。

最初の議題は「電力託送料金の査定方法について」です。

本日は、電力・ガス取引監視等委員会による電力託送料金の査定方法等について、同事務局の都築直史ネットワーク事業監視課長、資源エネルギー庁の小川要電力市場整備室長にお越しいただき、御説明をいただきたいと思います。

それでは、御説明をお願いいたします。大体40分程度でお願いいたします。

○資源エネルギー庁小川電力市場整備室長 分かりました。

資源エネルギー庁電力市場整備室長の小川と申します。

お手元の資料の「電力託送料金の査定方法等について」という資料でこの後、御説明しますが、私、資源エネルギー庁からは冒頭の1.の認可手続について御説明した後、具体的にどのような査定審査を行ったかということを都築から2.以下、御説明したいと思います。

まず、お手元の資料をおめくりいただきまして、スライド4ページになります。「1.託送料金認可手続について」というものであります。

託送料金については、電気事業法に基づいて電力会社から経済産業大臣に申請がありまして、これが昨年7月末に電力会社10社から申請がありました。これを踏まえて、今度は新しく設立された委員会、これは9月に経済産業大臣から意見聴取を行いまして、委員会のほうで9から12月にかけて審査を行い取りまとめた意見を経済産業大臣のほうにお返しいただきまして、最終的に12月18日に認可を行っております。

今回の託送料金につきましては、消費者に対する直接の電気の小売料金とは異なりまして、事業者間の料金設定ということで、これまで各電力会社の料金値上げの際にありました物価問題関係閣僚会議というような手続はなく、この経済産業大臣と電力取引監視等委員会との間のやり取りで完結しております。

スライド5ページ目ですけれども、この手続のプロセスにおきまして、パブリック・コメントを行っております。9月、10月の2カ月間に意見募集を行いまして、延べ153件の御意見をいただきました。中には制度そのものに係る御指摘から、審査の方法、こういった点を重点的に見てほしいといったような御意見などが寄せられまして、そういった御意見も踏まえて最終的に12月に認可を行っております。

続きまして、この先、具体的な審査等について、都築から御説明を申し上げます。

○経済産業省都築ネットワーク事業監視課長 それでは、続きまして、電力・ガス取引監視等委員会の都築から御説明を申し上げます。

お手元のスライドの7番をご覧になっていただければと思います。まず、託送料金の説明に先立ちまして、当委員会の組織について御説明を申し上げます。

「電力・ガス取引監視等委員会とは」ということでございます。電力システム改革の実現に当たりまして、健全な競争が促進されるように市場の監視機能を強化していくことが必要だということになっております。このため、経済産業省の中で大臣の直属の組織として昨年9月にこの委員会ができております。昨年9月の段階ではガスを担当しておりませんでしたので、電力取引監視等委員会ということでございますが、本年4月にガス、熱供給についても事務を追加いたしまして、電力・ガス取引監視等委員会となってございます。

7ページ目の2つ目のところでございますが、適正な取引が行われているかという監視を行うということに加え、必要なルールづくりなどに関与して意見、建議を行うということで、監視等の「等」というところにはそういった意味合いが込められていると承知しております。

続きまして、スライド8でございますが、事務局の監視業務のイメージについて書かせていただいております。委員会は新規参入者を含めた健全な競争が確保されるよう、監査、報告徴収、立入検査などの手段を採りまして厳正な監視を行っていくこととしております。不適正な行為があった場合には、委員会は自ら事業者に対して業務改善勧告を行うと共に、大臣を通じて措置を求めていくというような勧告もできることとなっております。

よく比較される証券取引等監視委員会、「等」の場所は実は違うのですけれども、その組織との関係でいくと、この事業者に対して業務改善勧告を行う権能を持っているところがユニークな点と思っておりますが、組織の基本的なところについては証券取引等監視委員会と割と似たような立て付け、組織は大分小ぶりですけれども、そんな感じになっております。

9ページ目をご覧になっていただければと思います。委員会は5名おります。委員長は八田達夫という経済学者でございます。法律、経済、金融、工学の専門的な知識と経験を有し、その職務に公正かつ中立な判断ができる者のうちから経済産業大臣が任命ということになっております。この5名の委員の方に就任をいただいております。

10ページ目でございます。電力・ガス取引監視等委員会の体制についてということで図を描かせていただいております。この真ん中辺のところに電力・ガス取引監視等委員会ということで、電力・ガス・熱の適正取引の確保や、今日の話題にも少し関係しますけれども、ネットワーク部門の中立性の確保ということで、電気事業法、ガス事業法上、いろいろな行為規制が規定されております。これの実際の制度運用をやっているということでございます。

左のほうにございますが、地方の経済産業局の中にも監視委員会の支分部局が設けられておりまして、ここに書いてあります取引監視室というところがそういうスタッフになってございます。その上のほうに矢印が伸びていますが、経済産業大臣に対して意見・建議をしていくという機能でございます。

それでは、本論のほうに入りたいと思います。スライドの12をご覧になっていただければと思います。託送料金の審査ということで、今般、4月から実施されております託送料金につきまして、その審査の概要について御説明を申し上げたいと思います。

スライドの12でございますが、まず、先程資源エネルギー庁の小川のほうから、全体の認可の審査に当たってのフローを御説明申し上げましたが、昨年9月に電力取引監視等委員会が発足いたしまして、それに伴い、直ちに電気料金審査専門会合という専門会合を開催いたしました。

検討の経緯ということで下にクロノロジーを書かせていただいておりますが、これを見ていただきますと分かりますように昨年9月から、ほぼ毎週のように審査を行うための専門会合を開催し、そのたびに多いときは電力会社10社、少ないときは3社、そういう形で事業者からの説明も求め、また、我がほう、事務局からも資料の提出をさせていただきまして審査に当たっていただいた次第でございます。

スライドの13をお願いいたします。「電気料金審査専門会合の審査について」ということでございます。ここに書かせていただいておりますように外部専門家9名ということで、専門会合の委員を左のほうに表でも書かせていただいております。法律家2名、会計士2名、学識者2名、消費者団体代表1名、アナリスト1名、コンサルタント1名ということで構成しております。全部で11回の専門会合の審議の他に、右側の表にございますが、委員が3名一組になりまして、担当分野を割り当てております。その担当分野ごとに契約書等の詳細資料などもご覧になっていただきつつ、個別に審査を実施しております。個別審査の際には、我々事務局から委員に対して御説明を申し上げているということで、ここにありますように、例えば一番上の安念委員、圓尾委員、松村委員の御担当の部分につきましては、事務局が74回、延べで69時間程の御審査をこの表で開いている専門会合以外に対応していただいている。そういったことをやりながら、実際には査定方針というものを取りまとめていったということでございます。

スライドの14をご覧下さい。事務局の審査体制・審査方法ということでございます。先程は専門会合という審議会での御審議でありましたが、そのための準備ということで我がほう、電力取引監視等委員会の事務局で、私どもが事業者に対してヒアリング等を行いまして、それで実際にいろいろな査定の準備を行ったということでございます。

下のほうに青い表があるかと思いますが、ここではA、B、C、D、E、Fというようにチームを編制して、担当を割り振ったということでございます。ヒアリング時間ということでございますが、電力会社10社に対するヒアリング時間を全部が捕捉できていないので、最低でもこのぐらいの時間をかけながら対応をしたということでございます。右側のところにございますように確認資料ということでございますが、企業の生データをかなり我々から報告を求めて、それで実際に審査を行ったということを御確認いただければと思います。

スライド15になります。「査定のポイント」というところでございますが、ここで個別費用の査定ということで、北陸、中国、沖縄に関しましては、人件費、設備投資関連費、修繕費、その他費用、全体の効率化計画ということで詳細な説明は今回割愛をさせていただき、後で具体的な説明を申し上げますが、こういった対応をしたということでございます。

今回、電力システム改革におきましては電気事業法を3回改正しております。今回の託送料金の関係というのは一昨年の改正、第2弾の電気事業法改正に伴うものでございますが、そこの法律改正に伴いまして制度変更が幾つか発生しております。こうした制度変更に伴うことというのも全社に対して審査を行っております。具体的には調整力コスト、需要地近接性評価割引、発電・送配電の設備区分の見直し等がこういったところに該当いたします。

スライドの16をお願いいたします。こうしてでき上がりました託送供給等約款の認可料金をここに書かせていただいております。実際に10社の表が左のほうからございますが、申請時の単価、これは平均単価でございますので、低圧向けのいろいろなメニューとかを考慮せずに全体の平均ということで、北海道電力であればキロワットアワー当たり8.89円ということで、そういう申請がなされたものに対して右側のところ、認可後の託送料金ということでございますが、こういった形で査定を行ったということでございます。

参考までに、右側のほうに表がつながっておりますが、標準的な電気料金に占める託送料金ということでございます。各社、基本的な標準家庭における使用電力量というものを見積もっているわけなのですけれども、ここでは想定の使用電力量は1カ月当たり300キロワットアワーということで比較はしやすいようにしております。実際にどのぐらいのインパクトのものなのかということはご覧いただけるかと思っております。

それでは、続きまして、以下、個別の費用項目の査定について、具体的にどういうように対応したのかという点につきまして、御説明を申し上げたいと思います。

スライドの18をご覧になっていただければと思います。ここでは、資本費を例にとっております。設備投資関連費用の査定についてということでございますが、ここでいきなり事業報酬額という言葉が出てきておりますが、電気料金もそうですし託送料金もそうなのですけれども、レートベースと言われている資産に対して、事業報酬率を乗じて算定されるという形になっております。レートベースに算入された資産は、一般送配電事業等、「等」というのは離島の等が入っております。一般送配電事業等の運営にとって真に必要不可欠なものであるかという観点から審査を行いまして、余剰設備、不使用設備を査定と書いてあります。要は何かというと、託送料金に含まれるべきものでないものが含まれていてはまずいわけでございます。それを先程事務局でもヒアリングをやりましたというように申し上げましたけれども、個別の資産台帳とかそういったものも確認をしながら、要は余計なものが入っていないかを査定していくということを行っております。

もう一個、固定資産の除却費というところでございますが、撤去設備または改良工事等に伴う除却設備の除却損と除却費用によって算定をされております。これらの費用につきましても、工事実施書等により計画と金額を個別に確認をさせていただいております。その上で、撤去設備の売却額、除却設備の簿価等の額で不適正なものがあった場合にはそれを除却損から査定をしているという形で対応しております。

具体的な査定方法につきましては、その下のところに緑色の囲みの表がございます。まず、一番最初のところにございますように、一般送配電事業等の用に供していない設備等の査定ということで、要は全てがネットワーク用の事業として妥当なものであるかということを査定しております。

2つ目のところで、その過程におきまして、余剰設備等の査定ということでございます。これは後程次の資料で御説明を申し上げます。

マル3のところでございますが、保有設備の社宅、寮の入居率等による査定というものをやっています。総務省の統計がございますが、そこの空き家率とか、そういったものを参考といたしまして、保有する社宅・寮で入居率が90%を下回るような場合には、下回る分を査定しているという形で対応しております。

送電線路です。鉄塔であるとか、具体的な送電ケーブルとか、そういったものの配置がなされているわけなのですけれども、そこら辺につきましても実際に写真、図面、設計書を個別に確認して、各鉄塔に張られている電線の本数や実際に使用している電圧が設計上と異なる場合には査定ということで、これも次のページでもう一回具体的に御説明をさせていただきます。

マル5のところでございますが、建設中資産の査定ということでございます。料金原価の算定期間中に実際に建設あるいは建設中の設備から稼働設備になるもの、運転を開始するような設備ですね。そういったものにつきましては、予算書、工事実施書等に基づく工事計画や支出計画、審査時点での工事の進捗状況、支出実績などを確認しております。実績を反映したような形で減額、工事の後ろ倒しによる期間とか、そういうことも査定の対象としております。先程余剰設備というところで申し上げましたけれども、同様に設備配置図を確認しながら、余剰面積等も算定しているということでございます。

具体的なイメージは、先程申し上げましたように19ページのところをご覧になっていただければと思います。

例えば左側の図があります。これは変電所をイメージしております。実際に変圧器があって、その部分は一般送配電事業として活用をされている部分でございますが、例えば敷地のところで下のほうにございますが、稼働率の低い面積の部分とか緑化義務以上の面積というところで、要は遊休的に使われているような部分がある場合には、この部分を余剰という形で査定しております。実際には、先程言いましたように図面、航空写真、そういったものを個別に確認しておりますので、そういった形で本当に必要な部分を見極めにいっているということでございます。

今の変電所の絵から右側のほうに延びている送電鉄塔がございます。例えば鉄塔などにつきましても、電力の鉄塔は大体2回線で両側に送電線が添架されている場合というものがよくポピュラーに皆さんもご覧になっていただいている鉄塔の絵だと思いますが、例えば片側しか使っていないとか、本来は100万ボルトで設計されているのだけれども、運用を50万ボルトで運用しているようなケースとか、ここの図は2回線設計を1回線で使っているような例でございますが、どちらかというと将来に向けての送電需要に対応するような形で、余裕度を持って設計されているようなケースがございます。そういったところにつきましては、先行投資だということで、今回は料金からは減額をいたしております。そういったイメージをここではご覧に入れております。

右下のほうがございます。社宅というところでここに書かせていただいておりますが、先程総務省統計に基づく空き室率を基準に入居率の査定を実施したということでございます。実際にこれはどういう形で人が住んでいるのかというようなこと、そういったところも個別に見に行きながら対応している。あと駐車場とかそういった部分についても同様に査定しているということでございます。

続きまして、スライド20をご覧になっていただければと思います。今の設備投資関連費用の中で高経年化対策についての査定でございます。送配電設備でございますが、高度成長期に非常に電力需要が伸びたということもございまして、設備投資額が多額になっております。そのころ建設した送配電設備が今後着実に更新の需要が発生するということで、高経年化対策については、電力の安定供給を考えていく上でも非常に重要な対策になってございます。

ここの部分につきまして、では、どういうような形でやったのかという御説明でございます。先程設備投資関連費用に関するいろいろな審査に加えまして、ここでは原価算定期間に更新を予定している設備の劣化、老朽化状況につきまして、個別に事業者から調査結果の提出と説明を求めて確認を実施しております。その中で、やらないよりはやったほうが良いのだけれども、今すぐにやらなくても良いというようなものがある場合には、そういう必要性が乏しい部分ということで減額を施しております。

その上で、更新の必要性が認められる部分につきましては、例えば物品、役務の調達などの問題もありますので、そういった効率化への取り組み状況に関する説明とか資料の提出を求めております。例えば本来であれば鉄塔が5本あったのだけれども、今回の更新においては、もう少し節約して4本で工法の変更とか送電需要の分布が変わるというケースもあります。そういったような場合には、それに対応するような形で鉄塔の効率化も実際には求めていくというような形で効率化が実施されているかどうかというところを、これはまた個別の図面とかで確認しているところでございます。

資料の21ページ目のところにイメージを書かせていただいております。下のほうの図でございますけれども、鉄塔の建て替えに関して、従来よりも広い範囲で建て替えの検討を行うということで、もともと4基あった鉄塔を3基の建て替えに減らした例をここに書かせていただいております。

スライド20に戻っていただきまして、先程のようにそういう図面で確認をした後に青い囲みの一番下のところでございますが、一旦そういう個別のチェックを加えた上で過去3基の実績、過去の計画で計画上はあるのだけれども、実際には計画だけ実施していないようなケースというのがございます。こうしたところというものを勘案いたしまして、要は事業者の計画が多目に見積もられているのではないのかという観点から精査を行ったというものがこの部分でございます。

下のほうに緑色のやはり同じように囲みがございますが、マル1として、設備の劣化、老朽化状況の確認。マル2として、効率化の進展状況の確認、マル3として、合理性が認められる投資額の水準の設定、超過分の査定ということで、今、申し上げたような話をここで個別に具体的な手法として書かせていただいている次第でございます。

それでは、続きまして、資料の22ページ目です。「『修繕費』の査定について」というページをご覧いただければと思います。修繕費につきましても、やはり資本費の一部を構成するものなのですけれども、修繕費は固定資産の通常の機能を有するため、部品の取り替え、損傷部分の補修、点検に関する費用でございます。先程高経年化対策というところで、実際に更新投資を行うということを申し上げましたが、更新するに当たらないというものについては、こちらの修繕費のほうに具体的なものが入ってくるという場合もあろうかと思っております。

その修繕費でございますが、これにつきましても先程の設備投資関連費用と同様でございまして、工事の計画内容や金額等を個別に確認して、一般送配電事業に必要な費用以外につきましては減額を施しております。

具体的な査定方法ということで、緑色の囲みがあります。個別の修繕工事につきまして、工事計画、工事の目的、必要性、積算明細等を確認いたしております。その際、過去の工事実績との比較、積算内訳、定期点検の有無、図面等の確認を行いまして、費用の積算誤り等をここではじいております。その上でマル2のところでございますが、原価算定期間における帳簿原価に対する修繕費の比率が、過去5年における当該率を上回っていれば、その増加要因を確認するということでございます。何が言いたいかというと、まず個別に入ってはいけないものが入っていないかという観点のチェックをした上で、修繕費というものは、どういうタイミングでどういうように発生するのか。アドホックに発生する部分もあるのですが、ある程度一定の水準を意識しながら対応しなければいけないという部分もございます。特別な事情がある場合はそこを判断するのですが、ここで過去5年間の水準というものを一定程度参考的に勘案して対応していくということでございます。

マル3のところでございます。設備投資関連で減額査定された保有社宅、寮の空き室、送電線の空き回線・異電圧等に関する修繕費についても減額査定を行っております。

マル4、これは修繕費の中で特別な形で修繕費として積んでいるものでございます。災害等が発生したときに、その災害復旧対応ということでアドホックに対応しなければいけない修繕というものがございます。これについては、当然、年によってすごくでこぼこが発生します。でこぼこが発生する中で、では、これをどういうように勘案するのかというところでございますが、ここでは過去10年間のうち、最大のとき、最小のときを除いた8年間の平均値を上回るものを減額査定ということで、巷ではオリンピックの採点と似たようなやり方で、実際には定量的なものでございますけれども、そういった形で審査を行っているということでございます。こうしてできたものに対して効率化を促す観点から、修繕工事に必要となる材料等の調達手法の妥当性につきまして確認をしていくということでございます。

具体的なイメージを下の表に書かせていただいております。例えば一番上のところにあります△○修繕工事という具体的な件名があります。人工当たりの単価が6,000円だとします。これに関して積算内容が8名で7,000円で積んでいたという場合には、間違って上位の人工単価の7,000円を適用していたということで、ここにつきましても8,000円分を減額査定しています。本当にこういう単位で査定をしているということは御認識いただければと思います。

次は、○×修繕工事というものがあります。当該工事見積額1.58億円の一般管理費は10.51%でございますが、計算したところ、一般管理費は16,605,800円ということになりますので、この差額分200円を減額査定しております。

その次のところでございますが、△△配電更新工事というものがございます。この配電設備につきましては、取り替え時期は10年を経過すると劣化することが分かったので更新をするというような形で手当をしているものでございます。ところが、原価算定期間の間に既存設備で10年に満たないものが含まれているような場合には、それについても減額を個別に行っているということでございます。

続きまして、下のほうの表ですけれども、設備点検工事というものがございます。6年ごとに実施という形で社内規定上は書かれているということだというように承知している場合に、例えば前々回は20年、前回は26年、ここまでは良いわけなのですけれども、今回の原価算定期間28年から30年の間にこれを入れているという場合には、この部分をカットしに行っています。

一番下の例でございますけれども、精密点検と簡易点検を交互に実施するということになっているのですが、今回、原価算定期間のところには直前の簡易点検費用の項目の妥当性を確認した上で、精密点検ではなくて簡易点検で足りるだろうということで、その差額分を減額するというような措置を施しております。

続きまして、スライドの23をご覧いただければと思います。その他経費というところでございます。その他経費と言うだけあって非常に雑多なものもありますので、その中で例を挙げて御説明をさせていただきます。

まず最初は普及開発関係費ということで、広告費みたいなものをここでは扱っております。例えばパンフレット等の広告媒体の作成費用については、需要家にとって電気の安全に係る周知といった公益的な目的から行う情報提供のみは原価算入を認めることといたしておりますが、ホームページ、パンフレット、チラシ等を利用したような、現に必要なもののみとするということで、具体的には例えばテレビとかああいうものでCMを打っているケースというものがあると思いますが、こういったものについては料金原価には含めないという形で査定をしにいっているということでございます。

例えばその結果でオール電化とかグループ企業の紹介といったような一般送配電事業等の運営上必要不可欠とは言えない部分につきましては、当該パンフレットの中で、その該当部分を全部減額する。面積案分とかそういうことにつきましても個別に対応しております。

続きまして、スライド24をご覧いただければと思います。次は、消耗品費ということでございます。ここも非常に雑多なものがたくさんあるわけなのですけれども、例えばここで書かせていただいてありますように、潤滑油脂、薬品、被服費、什器工具費、帳票等につきまして、使用する部門・事業所別に可能な限り細分化した個別件名を求めた形になっておりまして、それで実際には入札の実施とか契約実績、原価算定期間における当該費用の必要性につきまして確認を行っております。

調達に際しては、効率化努力が行われていない部分とか、過去実績を上回っているような部分につきましては、優先的にきちっと確認をするというような形で対応しております。こうした結果として、優先度が低く課題と判断される部分につきまして、個別に査定をしにいっているということでございます。

例えば新聞、定期刊行物、書籍等、業務上必要な情報収集のために費用として計上している図書費というものがございます。これにつきましては、もちろん個別件名を見に行っています。例えば右下のところに吹き出しマル4というものがありますが、例えば何とか名所の歩き方とか、観光町案内とか、そのようなものが含まれていた場合には、当然これは一般送配電事業には使うものではないということで減額をする。従って、個別の図書リスト、過去の実績とかも見積もって全部提示をさせてもらっておりまして、そういったところから、今後の原価算定期間に必要となる図書費の水準をはじき出しまして、具体的には一人当たりの図書費なる概念というものを作り出して、その金額で査定をしにいっているというものでございます。

続きまして、スライドの25をご覧になっていただければと思います。その他経費(賃借料)というところでございます。左側に目がつぶれるような表があるかと思いますが、賃借料の個別件名につきまして、こうしたリストの提示を事業者に求めて査定を行っております。その中で、先程申し上げましたように不使用となっているような部分とか、経費低減努力が認められていない部分とか、そういったところを査定してございます。ここでも社宅、寮のための借家料というところにつきましては、入居実績なども確認をいたしまして、空き家等の不使用になっている部分を査定すると共に、実際に入居賃借していても統計資料に基づいた賃料水準と比較して実際の賃借料が上回っているような場合には、当該部分についても査定をしにいっているということでございます。

26ページ目をご覧いただければと思います。委託費についてでございます。業務関連の委託ということで、部門・事業所ごとに可能な限り細分化された個別件名をやはりここでも見に行って、実際には入札の実施状況、契約実績、原価算定期間における当該費用の原価算入の適正性、実績水準の妥当性というものについて確認しております。

入札の実施によって効率化努力の余地があるにも関わらず効率化が行われていないような部分、過年度実績を上回っている部分、優先度が低くて課題となっている部分を査定しております。原価算定期間において新たに発生することとなるような委託業務というものもございます。現在、いろいろな制度改革が進んでおりますので、それに伴って対応するようなものというのもこの中にはあろうかと思っておりますが、こういったところにつきましては、例えば今回、原価算定期間28から30年でやっている会社の場合には、28から30年の間にやる必要性があるのかといった点というものも個別に確認しておりまして、本来は例えば27年度中に済ましておくべきものではないかとか、電力会社、平成32年に1社を除きまして発送電分離を行いますが、例えばそれに向けての対応とかで、それを前倒しで30年のところに入れ過ぎていないかとか、そういったところなども実際に査定をした次第でございます。

スライドの27をご覧になっていただければと思います。スマートメーター関連費用ということでここに書かせていただいております。スマートメーターの導入計画につきましては、この場ではなくて別の場で導入計画について、各一般電気事業者、当時の一般電気事業者に対して個別にできるだけ早く入れるようにということも、そういう観点も含めまして導入計画を策定しております。各社の導入計画については、青い表になっているところに書かせていただいておりますが、今後10年ぐらいの間に大体整備されていくということになっております。それに向けて、では、平成28年から30年度にかけてどういう形で費用計上がなされていくのかというところにつきましては、その予定されている計画を個別に確認いたしまして、それで対応しております。

27ページ目の右側のところにありますけれども、スマートメーター本体通信方式及び関連するシステム等の調達ということでございますが、本体通信方式関連システムにつきましては、実際に提案募集という形でここにRFC、RFPという形で書かせていただいておりますが、こういったようなことを実施したりとか、さらに第三者評価を実施して調達プロセスの適切性について評価を行っているということで、今回、このスマートメーターというのは非常に大がかりに大きな投資が発生するものですから、特にこの辺につきましては、留意をした上で対応をしております。

さらにスマートメーターの単価もございます。これにつきましては、当然、規模の経済とかそういうような形で今後も効率化が図られていくということもあるかと思いますし、実際にこれまでも価格低減が図られている部分というものもございます。そういったものがこの原価に含まれているのかという観点からチェックを行っております。

それでは、続きまして、スライドの28に参ります。小売と配電の業務区分の見直しとでございます。主には営業所とかございます。電力会社において各都道府県の県庁所在地などに支店がありまして、さらにそこから細分化されるところで営業所、会社によって名前は微妙に違うかもしれませんけれども、そういうところがございます。そこでは、いろいろな契約、工事受付とかそういうところから始まりまして、いろいろな配電業務、営業業務というものが行われております。かつて、一部の会社などはここを効率化するために、むしろ配電と小売を一体化するような形で業務運営を行うように見直したケースもございますが、昨今、またそういう世の中でもないわけでございますので、小売と配電の業務区分を個別にきちっと精査を行った次第でございます。

具体的には、各社で考え方が統一されていなかった業務区分がございます。これにつきましては、この審査に先立ちまして、我が方でいろいろな組織体制から実際の業務内容まで含めて個別に確認しております。その上で、28の左下のところにありますが、標準的な業務区分ということで、もちろん営業所でやっている業務はこれだけではないのですが、例えば受付の業務につきましても、マル1からマル5まで書いてございますとおり、何キロワットの契約電力で契約をしますというものと、新築の家の場合は工事が発生しますが、どういう工事をやりますかという工事の受付があり、後者は配電の仕事、前者は小売の仕事になります。窓口を分けろという発想もものすごく厳密に言えばあるかと思いますが、お客様との関係でサービスレベルの低下をするというのは非常にまずいという観点から、ここにつきましては、共通としながらも費用上はきちっとミシン目をつけるというような対応にさせていただいております。

その次のところで、実際の工事の段取りを決めたりとかするところ、工程管理とかございます。こういったところは完全に配電の部分ですが、会社によってはネットワークに入れていなかったところもあったかもしれません。正確に個別のデータまで今、持っておりませんけれども、そういうところを例えばネットワークではなくて小売側に入っているような場合にはそのままにしてあります。逆に、ここで共通と書いてあるところが一方的に配電に含まれているような場合には費用上は過剰になりますので、そこについては削りにいくという作業を個別に行っております。実際に按分する場合には業務量調査などで、実際の工数等を反映しながら対応しております。

続きまして、29ページ目でございます。調整力コストということでございます。調整力コストは法令上はアンシラリーサービスコストと言っていますが、どちらにしても余りなじみのないものかもしれませんので御説明を申し上げます。

例えば電気の小売販売をする会社、小売電気事業者は、求められているのはネットワークを利用するときに託送料金を払うわけなのですけれども、それに対応する形で、30分ごとにキロワットアワーを一致させて下さいという、30分同時同量という制度になっております。これは何が言いたいかというと、30分の間のキロワットアワーが合っていれば良いということなので、瞬時瞬時に電気の使用量と一致するという必要性はございません。では、それを瞬時瞬時に電気を需要と供給を一致させる業務というものが必要になります。今、こうしてこの電気がちらつかずにきちっと電気が整っているのは、東京電力のパワーグリッドという会社がありますが、東京電力パワーグリッドがそういう瞬時瞬時の需給調整を行ったりとか、量の安定供給だけではなくて質の安定供給という意味でも電圧がふらついたりとか、そういうことが起きないようにするためのサービスを行っているということで、ここで言っている調整力コストというのはそういった瞬時瞬時の調整、いざというときに大幅な電源の脱落とかがあった場合には供給力が減りますので、そういうときにとっさにカバーをする。そういったような業務がございます。

ここの部分について、固定費、変動費のそれぞれ査定を行っております。まず、どういう業務が必要なのかという業務を洗い出ししております。その上で、例えば固定費につきましては、どういう電源を使うかというと、周波数調整能力を持つような火力発電所、水力発電所がございますが、そういった中で、これは全部が送配電で使っている調整ではなくて、小売事業として先程の30分同時同量を達成するために必要な需給調整に使っているものもございます。そこの部分をうまく切り分けることが必要になりますので、そういった観点からの精査を行っております。具体的には、事業者から3年分の1時間単位の電源の稼働実績、燃料単価に関するデータを我がほうとして入手しております。実際に小売電気事業者が電源を確保するために発生したと考えられる費用や、周波数制御等以外に起因して発生したと考えられる費用につきましては、個別に減額をしております。

燃料の輸送、貯蔵等の制約によって、燃料費の増加が発生するケースがございます。ここにつきましては、一般送配電事業に起因するものではないということで、例えば火力発電所、LNGのタンカーとかをイメージして頂くと、タンカーの着船実績とか燃料の残高のデータも入手し、そういう制約によってできるだけ効率的な電源、安いものから順番に発電をするということの例外として高い電源を使ったのかどうかというところを精査しにいっているというのがここの部分の話でございます。この辺はすごくテクニカルな部分になるかと思いますので、今の段階ではこの辺ぐらいに説明させていただきます。

続きまして、資料30でございます。もう余り時間をかけるつもりはございません。「『需要地近接性評価割引』の査定について」ということでございます。

例えば電気の流れということで、遠方にある川上の電源から需要地に対して電気の大きな流れが発生する場合には、当然のことながら、その途中で送電ロスが発生したりとか、途中で送電制約が発生したりとか、そういうようなことがございます。それに対して、需要地の近くに電源が立地される場合には、相対的に送電ロスが減ったりとかいろいろ効率化する部分がございます。昨今、分散型電源等の導入拡大等を踏まえまして、ここの制度につきましても託送料金の中でも評価しております。具体的には需要地近接性評価割引の対象地域を特定いたしまして、そこに電源が立てられている場合には、その電源を使って小売事業を行う、小売電気事業者の託送料金を割り引くという形になっております。これは託送料金原価自体をトータルとして増やしたり減らしたりするものではなくて、託送料金原価が決まった中で、ある部分は従って高くなり、ある部分は割引で下げている。従って、その割引対象地域のところの託送料金の割引原資として他の人の電気料金というか託送料金は高くなっている構図に制度上はなっているものでございます。

そういった観点から、では、特定の人だけを単に割り引くということでは済まないものですから、ここの部分についても審査を行っております。割引対象地域の適切性、割引単価ということでは、電力のロス率につきましては、電気の価値とロス低減分、投資抑制効果につきましては、余計な送電投資の必要がなくなるという意味で、投資が不要となる減価償却費相当分というものを勘案して対応しております。

資料の最後のほうになってきておりますが、この実際の審議会の最終回でいろいろな委員、オブザーバーからコメントをいただいているところでございますので、参考までに御説明をさせていただきます。31ページですが、NACSの辰巳委員でございますけれども、託送料金の中に原子力に関する費用が加算されることは避けたいと思っていたので、今回慎重にやっていただき、文字でも残していただき、説明ができるようになっていただいたということは感謝ということで、冒頭、河野大臣の御挨拶にありましたが、バックエンドの過去分の制度的に託送料金を手段として使って回収するという費用以外の原子力の費用は一切託送料金からは外しております。

消費者団体連絡会の河野事務局長でございますが、情報開示と透明性を持った議論のもとで査定方針が決定されたことを消費者として評価したい。全国48団体が加盟する消団連において、託送料金審査に関するパブコメを出し、冒頭、エネ庁の小川から御説明を申し上げたパブコメですが、それを出し、託送料金の審査が適正に行われることを求めたところでございます。

個別の費用項目や制度変更への対応、効率化計画等について事業者からの情報と説明をもとに、本来まさにかんかんがくがくの議論があったと思うが、適正に審査が進みということになっております。消費者への説明責任というのは非常に重要で、どんな短いからということでも毎回丁寧に説明をしていただいたという話もありました。いずれにしても、消費者として陪席させていただいた私も納得のいく議論の末の査定となったことに安堵したということをいただいております。

32ページのところでございますが、沖オブザーバー、これはF-Power、小売電気事業者です。託送サービスの一義的な利用者は小売電気事業者ですので、オブザーバーとして入っていただきましたが、今回、初めて託送約款の中で実際に事業をやっている新電力として、こういうところで意見を述べさせていただいたことを感謝している。合理的かつ分かりやすい査定方針を決めていただき、感謝としております。

今日、ここにいらっしゃる澤井課長の前任者の金子前消費者調査課長においても最後にコメントをいただいております。委員の方々から適切な問題点を指摘いただき、また事業者の方々には非常に短期間に回答の整理をいただいた。論点を明確にした議論というのが展開されたと思っております。

最後のところですけれども、特に効率化ということを前提にしながら非常に厳しく審査をいただき、今回の査定方針、これは案というのは、この時点ではまだ査定方針になっていないものですから、案とついておりますけれども、まとめていただいたということで感謝を申し上げたいということにしております。

本当の最後ですけれども、スライド34をあと1から2分で御説明させていただきます。

託送料金の審査につきましては、こうした形で今回認可という形になっております。今までは届出制でございましたが、本年4月の託送料金からは認可制になっているということで、こういった審査を行ってきたわけなのですが、当然、認可をしたらそれで終わりかというとそうではございません。事後的な評価を行っていくということで、従来のやり方と同様に、ストック管理方式という形で超過利潤が一定水準までたまったときには値下げを事業者に求めていくということ。想定原価と実際の実績が乖離するような場合にも影響があるということで、そういう想定単価と実績単価の乖離を確認して、一定程度を超えた場合には変更を求めていくということになっております。

ここでいずれも一定程度というように申し上げている点について、少し最後に補足をさせていただきますと、例えば儲けた分を全部召し上げるとか、原価と乖離したものを全部悉く値下げに求めていくというような形もあろうかと思いますが、こうした手法を採ると効率化のインセンティブが事業者に働きにくいというのが経験的にずっと言われてきている話でございます。従来からこの総括原価方式というものについてはいろいろな御批判もあろうかと思っておりますが、そういう中でできるだけ総括原価方式の中で効率化を達成するためにはどうしたら良いかということで、こういった一定の効率化インセンティブを付与するような形での事後評価というものを行っていくという対応を行っているところでございます。これは電気につきましても、ガスにつきましても、同様の仕組みとなっておりますので、その点だけ最後に申し上げたいと思います。

説明は以上でございます。

○古城座長 ありがとうございました。

御説明いただいた内容について、御質問、御意見のある方は御発言をお願いします。いつものとおり、発言のある方は目の前の名札を立ててお知らせ下さい。

太田委員、どうぞ。

○太田委員 消費者の団体の方のコメントで非常に透明で適正に審査されたという御感想が紹介されました。それでも他国と比べて電力託送料金が高いという大臣の御指摘がありましたが、その主要な原因は何だとお考えですか。

○経済産業省都築ネットワーク事業監視課長 これは一問一答ですか。

○古城座長 はい。

○経済産業省都築ネットワーク事業監視課長 託送料金が高いかという点でございますが、我々、必ずしも高いとは思っておりません。そもそも託送料金の国際比較は非常に難しいと思っております。なぜならば、例えば分かりやすい例を1点だけ申し上げますと、ある発電所を建設しようとある事業者が考えたとします。そうすると、今、日本の場合には電源は既存の送電設備がありますけれども、そこにつなぐまでの線を工事しないといけません。これは電源線と言われています。そこまでの電源線の工事費につきましては、託送料金の外で工事費負担金という形で、でき上がった資産はネットワーク側の資産になりますが、電源側に負担を求めています。

従って、発電費側のほうに入ってくるということになるのですが、そこの考え方も例えば欧州でも、国によってこれを全部託送料金で見るような国もあれば、もっと深いところもあります。一方で、今、日本は1個目の変電所ぐらいまでのところの送電線を工事負担金として対応しています。もちろん例外はあります。それをもっと深いところ、ネットワーク側、他の人も使う部分まで電源側に求めるケースもあります。今、申し上げたネットワーク側のところの増強工事まで全部電源由来だということで負担をさせるようなケースは、ネットワークコスト自体は下がることになります。従って、そういう国は託送料金が低めに出る傾向があります。逆に電源のすぐそばまでネットワーク側のコストとして負担をするような場合には、どうしても託送料金は高くなります。

では、今、日本の制度は1個目の変電所ということになっておりますが、それがどこに国際的に見たときに分布しているのかというのはものすごく精査が必要なのですけれども、諸外国などでいくともう少し向こう側まで電源側に負担をしているようなケースというものもあって、今、例えば欧州委員会とかでもそこの考え方を揃えるといった、割と日本の考え方に近いほうに揃えていくというような発想が出されているように私は承知しておりますが、そういったような見直しをしていたりするものですから、そういう中で便宜的に例えば統計上送電費として計上されているものが比較するとそうなるというだけでありますので、その原因というように言われても、一義的には科学的合理性を持って説明することは難しいです。

○資源エネルギー庁小川電力市場整備室長 資源エネルギー庁が若干補足させていただきますと、料金は当然サービスの質とも関係すると思っています。国際比較の難しさ、欧米、特にアメリカなどではよく停電時間の国際比較と言われますけれども、日本の場合、例えば停電が起こるとすぐに他の線を通じて復旧するような仕組みにしているところがありますし、地震対応など、そういう面もあると思います。

○古城座長 どうぞ。

○太田委員 申しわけありません。できるだけ短めに質問しておきますので手短に御説明いただければと思うのですが、1つは、送配電の定義が広いのでということですね。送配電のほうに入る部分のコスト部分が広いので、表面上、電力託送料金が高く見えているだけだという御説明だと理解したのですが、それでよろしいですか。

○経済産業省都築ネットワーク事業監視課長 広いかどうかも分かりません。

○太田委員 分からなければ、一番初めに高いとは思っておりませんというところの根拠がよく分かりません。送配電は国によって違うという話はもちろんそうだと思いますし、調べるのは大変だというのもおっしゃるとおりだと思います。ただ、送配電の定義域が広いから表面上、電力託送料金が高くなっているとすると、その分当然発電コストが低くなっているはずですね。トータルが変わらなければ。

○経済産業省都築ネットワーク事業監視課長 高いかどうかという点につきましては、我々はそういう統計上で見たものであっても高い国も安い国もあると思っておりますので、高いというようにレッテルをお張りになるということ自体が本当なのですかという意味で高いとは思っておりませんと申し上げた次第です。

○太田委員 そうですか。私は高いと言った理由は、先程大臣が日本の電力託送料金は高いというような御説明があったのでそれを受けてなのですけれども、そこの辺は大臣の認識がそちらの認識と違うということですか。

○資源エネルギー庁小川電力市場整備室長 私どもでは、仮に比較すると、ということでデータはお出ししていますが、それをもって、今、都築から申し上げましたように、託送料金が高いのだというように見ているわけではないということを申し上げておりまして、大臣はそれをご覧になって、高いですねというように多分おっしゃっているのだと思っております。なぜかと言いますと、高い低い、例えば物価が日本は高いのと同じように、料金は何を比べるのかというのはあるでしょうし、どこを見るかによって高い低いの評価が分かれているのかなとは思っています。

○太田委員 もちろんなぜ高いのですかと質問させていただいただけなので、基本的に日本は物価が高いから高いのだという説明も一つあろうかと思いますし、あるいは国によって違うので高くないのだということであればそれで結構です。最初の御説明は送配電のエリアが広いから高くなる傾向がある、それは国によって違うので一概には言えないというお話でした。もしそれが日本は表面上電力託送料金が高く出ているとすれば、送配電のエリアが他の国よりも広いということを論証しないといけないですね。

○資源エネルギー庁小川電力市場整備室長 そういう意味で、いろいろな要因がある中で、今、都築から申し上げたのは一つそういうようなところですし、私が追加的に申し上げましたのは、質との関係が別の要因としてあると思います。

○太田委員 いろいろな要因があると思うのですけれども、どうして高いのですかというのはどの要因が一番効いているのですかということなのです。

○古城座長 今の最後の質問は何ですか。

○太田委員 どうして高いのですかというように伺った。まず高くないかどうかということもよく分からないのですが、実際、高くないのですか。品質と見合ったら高くないとかいろいろな御説明があると思うのですけれども、それは例えば高いとすれば品質が高いから高いのだという御説明でも良いですし、送配電のエリアが広いから高いのだということでも良いのですが、送配電のエリアが広いから高いのだったら、今度は発電料金が低くないとおかしいですね。トータル一緒ですからね。

○経済産業省都築ネットワーク事業監視課長 済みません、感覚論的なやり取りになっていると思いますので、こちらから定量的に申し上げるということはなかなか難しいと思いますので、回答は控えさせていただきます。

○太田委員 高いか低いかは分からない、定量的に答えられないので回答できないのでということですか。

○経済産業省都築ネットワーク事業監視課長 そういう意味ではなくて、我々は高いと思っていませんというのと、高いと思ってらっしゃるというように大臣が言われていることに対して御質問なさっているというのは、どれだけやっても水かけ論になるので申し上げにくいということを申し上げている次第です。

○太田委員 分かりました。直ちにということではなくて、もちろん精査してから御回答いただいても良いのですけれども、これは基本的に電力の託送料金が適正かという話なので、高いのか、高くないのかを議論しないというとそもそもここで議論をする意味が全くありません。高いのか低いのかを今ここで議論しているのではないですか。

○資源エネルギー庁小川電力市場整備室長 それはむしろ私どもというより、恐らく事務局の課題設定だと思いますので、私どもはどういう査定を行ったかというのが本日の御説明ですので、もし今後料金の水準だということであると、恐らくそういうデータを元に何かすることになるのだとは思うのですが、私どもの承知しているところでは、そういう高い低いを本日私どもが御説明するのではないのかなということで、今日資料もこういう形で御説明を申し上げている次第です。

○古城座長 今のデータでは、役所のほうでは高いとは断言できないという答えですね。

○太田委員 その根拠は何ですかと伺っているだけなのです。

○古城座長 この議論を私は聞いていて進展がなさそうなので、話題を変えさせていただきます。

次は矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 御説明、どうもありがとうございました。

私のほうはかなり初歩的な質問になるかと思いますが、今日御説明いただいた資料のページに沿って大まかに3点ぐらいになると思いますけれども、質問を含めて要望も述べさせていただきたいと思います。

最初に5ページのところですけれども、パブリック・コメントに対しての意見と見解が述べられていますが、消費者サイドの視点というのは、まさにパブリック・コメントに紹介されている意見の下のほうの託送料金について内容を理解できるように条件整備を求めますということですけれども、託送料金そもそもについての内容理解のところで初歩的な質問になるかと思いますが、その点は御勘弁いただきたいなと思っております。

1つは、上の意見に対しての見解のところで、今、託送料金制度のあり方について見直しが論議されているということなのですけれども、この論議自体はもう終わっているのか、まだ継続中であるならば、そもそもあり方についての見直し論議の課題となっている点をまた後日で良いですから、資料提供をいただければありがたいなと思っています。それが1点です。

2点目は、次、15ページですけれども、制度変更に伴う査定も大きく3つの視点で行われていますが、今日配られた資料の参考資料のところの詳しい査定方針の4ページには、制度変更に伴う査定については6点に渡って査定が行われています。そもそも制度変更自体がどのような制度変更があったのかつかんでおりませんので、この辺は本来つかんで議論に望むべきかと思いますが、どんな制度変更があったのか、その制度変更についてはどういう理由、どういう考え方に基づいてそういう制度変更がなされたのか、簡単で良いですので、後日、これも資料提供いただきたいなと思います。もし、今日、簡単に御説明できればお願いしたいと思います。

3点目です。次の16ページですが、先程大臣からの御挨拶にもありましたが、まさに電気料金の中で託送料金の占める割合は2、3割ということですが、この16ページを見れば、東北電力や沖縄電力に至っては40%前後に至るということで、非常に託送料金の占める割合が高いということで、今回の査定においては託送料金の原価の内訳は人件費から様々な項目について一つ一つ丁寧に査定が行われたわけですが、普通に考えると電気料金の内訳にもそもそも原価内訳で人件費からいろいろなものがありますね。その中に託送料金でもそれぞれの内訳があるということは、託送料金において人件費の占める割合とか修繕費の占める割合とか、そういった配分割合があるのかどうか。それは電力事業者のほうにあるのか、それとも一定、国のほうでそういった配分割合が決められているのか、素朴な疑問で申しわけないのですけれども、その辺をお聞きしたいと思います。

以上、3点です。

○古城座長 簡単にお願いいたします。

○経済産業省都築ネットワーク事業監視課長 2点目は簡単というか、多分資料でお渡ししたほうがよろしいですね。3点とも申し上げます。

まず5ページ目、託送制度の見直しについてということで議論をしているのではないかという話でございますが、これにつきましては、電力・ガス取引監視等委員会の中に別の専門会合を開催しております。具体的には制度設計専門会合という会合でございます。こちらのほうで今回、要は小売自由化に際して取り敢えず今回はこういう制度で実施しましたということになっていますが、将来に向けて手間は掛かるけれども、いろいろと議論を続けていかなければいけないような点が何点かございました。そういったところを含めて議論をしていこうということでございます。

1つ、まず視点は3つの視点だというように思っておりまして、1つ目は効率的な、要は低廉なサービスという観点。負担の公平性という観点。それから3つ目が安定供給といった視点をバランスさせた形で議論を展開しようということで、この議論でございますが、非常に託送制度自体を根本から変えなければいけないような話に繋がりかねない部分もあるものですから、それを実際にやるための是非も含めて議論をするということで、まだ論点としていろいろな方々からの問題意識のヒアリングを何回かに分けて行ってきたところでございまして、本格的な議論はこれからでございますので、まだそういう意味では、それで成果が出て何かを見直したということには制度上はなっておりませんというものが1点目です。その会合につきましては、今週の水曜日にも開催をされますので、もしよろしければそこでもまたこれまでの議論のまとめみたいなもの、論点提示のまとめみたいなものも資料として提供いたしますので、御参照いただければと思います。

2点目につきましては、先程の3点か6点かという話でございますが、これは資料上、簡単にしてありますので、実際には査定方針のほうに書いてありますような形で対応しているものでございます。それぞれいろいろあります。増えるほうに作用しているものもあれば減るほうに作用しているものもあります。先程の調整力、需要地近接性評価、小売・配電の業務区分見直しにつきましては簡単に御説明をさせていただきましたけれども、他の点につきましても御説明を資料として準備をさせていただこうと思っております。

3点目で、東北電力、沖縄電力について、まず託送料金が高いという話についてでございますが、まず、そこだけについて御説明を申し上げますと、例えば沖縄電力というのは典型的なパターンなのですが、非常に離島が多いです。系統が本州とつながっていないために、例えば本州側から応援の要請をする。例えば九州であれば中国電力とかそういうところを通じて応援をするとか、そういうやりくりが可能な部分というものがあります。実際それで費用節減を目指している部分というのもございます。これに対して沖縄は、まず沖縄本島が本土になるわけなのですけれども、それ以外に非常に多くの離島を抱えているということで、離島になるとどうしても設備構成上は本州とかに比べるとどうしても設備が多目になる。電源側、電気料金についてもそうなのですけれども、電源を多く持たないといけない。これは先程申し上げました送配電の調整力というところでもそうですけれども、離島においても電気の安定供給をするためには調整電源を多目に持たないといけないという部分がございます。こういったところが高くなっているのではないかなと思っております。

続きまして、東北電力でございますが、東北電力は割と中規模の市があちこちに散らばっています。例えば都市部と山とかとなっていると、都市部の部分に送電設備、配電設備をたくさん整備すればよろしいのですが、東北電力は割と拠点になるような市がたくさんございまして、需要の密度が散らばっているものですから、設備形成上も多くの設備を持たなければいけないということが一応分析をするとそういうことかなというところには我々としても達しております。そういった観点から、会社によってそういう設備構成上の理由もあってこういった形で高めになるところ、安めになるところが出てくるのかなと考えております。

○古城座長 ありがとうございます。

次、安田委員、どうぞ。

○安田委員 ありがとうございます。

先程座長からコストの話は置いておくという話がありましたが、済みません、コストのことに関してコメントを申し上げたいと思います。

○古城座長 どうぞ。

○安田委員 コストの国際比較というのは水かけ論になりがちですけれども、私は国際比較というものは非常に重要だと思います。なぜならば、単に高いか安いかを比較するのではなくて、なぜそうなっているかという要因分析をするからです。ですので、日本と単純にある特定の外国を比較するのではなくて、様々な環境の国と様々に比較する。実はヨーロッパのEUの中で国際比較をやっています。単に高いか低いかではなくて、どういうグループの国が高くてどういうグループの国が安くて、あるいはどういう傾向にあるか。特に時系列ですね。年々、若干ずつ増えているのは確かですけれども、どういう要因で増えているか、歴史的に比較する。そういうような多角的な分析というものは、一朝一夕ではできないと思いますが、それを継続してやっていくということが重要だと思います。ですから、国際分析をぜひ継続してやっていただきたい。

あと先程おっしゃっていただいたように、国内の各地域の比較分析もしていって、それは単純に高い低い、勝ち負けの問題ではなくて、もう一つ申し上げたいのは、安ければ良いかというとそうではない。適正な価格ということですので、それが適正だということをお示しするために、やはり他所では何をやっているのかということを継続して調査していただければと思っております。

○古城座長 御意見として伺えばよろしいですか。

次、白山委員、どうぞ。

○白山委員 この電気料金審査専門会合というのは非常に短い期間で大変多くの回数をおやりになられているということで、この御努力というのは非常に大変なことだなと思っているのですが、具体的な審査のやり方のところについてお伺いしたいのです。

例えば今までの託送料金も含めての審査なのですが、どちらかというと電気事業の原価計算システムに入る前段階のところのいわゆるインプットデータのところ、個別の費目別のインプットデータのところの妥当性の検証ということが中心になっているかと思うのですけれども、その具体的な妥当性の審査方法はどこまで踏み込めているのか。非常に短い時間の間でどこまで踏み込めているのかということなのですが、念のため、再度確認なのでございますが、例えばある費目についてサンプリング的に選んで見るのか、あるいは各電気事業会社のかなり広範な元データを何らかの形で網羅的に入手して見ているのかとか、この辺のやり方が、どの程度踏み込んで具体的にやっているのかというところをまずお聞きしたいというのが1点目でございます。

2点目は、実際にインプットデータの妥当性の問題はかなりおやりになられてらっしゃると思うのですが、その後の、例えば費用の配賦やレートメークとか、いわゆる第1次の場所別原価計算と第2次の場所別原価計算とか、あるいは各需要種別の区分のところの問題であるとか、この辺の本来の現状の原価計算のシステムの構造と言いますか、現実にはITシステムで多分計算されていらっしゃると思うのですが、その辺の仕組みについての妥当性と言いますか、原価計算の考え方の仕組みについての妥当性まで踏み込んでいるのか、それとも既存のやり方を前提として、そこから外れるところについて何か指摘をしているのかということの確認をさせていただきたいと思います。

○古城座長 2番目の質問は配賦基準まで見直しているかということですか。

○白山委員 少しニュアンスが違いますが、そういう感じです。

○古城座長 どうぞ。

○経済産業省都築ネットワーク事業監視課長 御質問いただきました1点目のところで、多分どこまで生データを見に行っているのかという点でございます。これは費用項目によって多少異なります。余りにも件名で見たときに件数が多い場合には上位の何件、何件と言っても片指とか両手とかそういうレベルではないですけれども、割と主要な件名を処理するという形で、そこで見に行っているものもございます。それは物によるということでございます。

ただ、確かに限られた時間ということではありますが、例えば昨年9月から始めたというように申し上げておりますが、8月の段階はまだ監視委員会の準備室の段階だったのですが、8月はほぼ個別のいろいろな精査に費やしていて、9月に監視委員会が発足したところで平場の会議をやったのですけれども、そういった1カ月間、各担当が血眼になってやっているということの積み上げの中で、こうした会合を運営していったというように御認識をいただければと思います。

2点目、レートメーク、費用配賦の部分につきましては、これは御質問でいけば後者になると思っております。すなわちこのいろいろなルールにつきましてレートメークというよりは費用配賦の考え方につきましては、これは冒頭で申し上げたところにありますけれども、託送料金の算定規則が省令として制定されております。これはいろいろな配賦基準まで含めまして、こういうようにやって下さい。例えば固定費を割り振るときにはこういうように割り振って下さいとか、そういうようなことがもう書かれております。多分御質問されている御趣旨は、例えばそういう費用配賦、固定費の配賦とかのルール自体に何か見直しの余地があるのではないかという観点でおっしゃったのではないかなというように思います。簡単に御紹介をしますと、例えば固定費の配賦について、全体のピーク時で配賦をするのが良いのか、それとも高圧と低圧とで分けたときにピーク時がずれておりますが、それで割り振ったら良いのかというところにつきまして、ものすごい神学論争があります。

例えば今回も表では明示的には議論はしていないのですけれども、そこの部分について見直しの余地があるかどうかということにつきましては、エネ庁時代、まだ監視委員会が発足する前においても検討を行いましたが、見直しを行うとある会社にはよくなる、低くなるのですけれども、ある会社には悪くなる、高くなるのですけれども、何が合理的かというところをやっていくというのはなかなか難しかったので、今回はそういう意味では例えば固定費の配賦基準みたいなところにつきましては、これまでの考え方を踏襲しております。査定という意味では、ルールがちゃんと適用されているかという確認をするのが我々の仕事だったものですから、そういった観点から審査を行ったということでございます。

○古城座長 次は陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 御説明をありがとうございました。非常に膨大な時間をかけて託送料金を定めていかれたということが伝わってきましたし、また、参画された委員あるいはオブザーバーのところもかなり納得をされているという報告がされているわけですけれども、原価について、消費者として伺っておきたいという点を幾つか御回答いただければと思います。

1点は、矢野委員のほうからありました制度設計に関連してというところで、辰巳委員のほうも原子力に関するものは除外したかった。しかし、制度としてこの部分が残っていますよということなのですが、制度的にここが残された、そのときの合理的な理由と言いますか、そこの説明を矢野委員に御回答いただく中にも加えていただければと思います。

スマートメーターに関連してなのですが、これは分からないのですが、いろいろ送配電に非常に必要だし、今後の電力事業については非常に必要な投資だということなのですけれども、私もそういうように思いますが、この費用、コストというものは送配電部門だけで持っているのか。あるいは素人考えですが、このスマートメーターを通して得られる情報というのは当然発電のところにリンクされて発電の調整がされていくのだろうというように思うのですが、その発電部門と案分ということは考えてしているのか、していないのかということを教えていただきたいということです。していないのであれば、その理由なり、またこういったケースは他にもスマートメーターだけでなく、送配電部門がコストを持って、だけれども、他の発電部門あるいは小売部門にも関係しているような原価、コストがあれば教えていただきたいと思います。

関連して、託送料金の原価の中に燃料費という項目が含まれているのですけれども、これは何を意味しているのか。燃料費は一般的には発電の部門ではないかと思うのですが、しかも電力会社さんによって0%から27、28%という違いが示された資料がありますので、それについての内容を教えていただきたい。

それから、配賦についていろいろな専門的な議論がされているのですが、消費者としては一般管理費として発電、送配電、小売、配賦されるときの、その一般管理費の中に含まれる項目には、どういうようなものが入っているのかということを具体的に教えていただければと思います。

以上です。

○古城座長 よろしくお願いします。

○経済産業省都築ネットワーク事業監視課長 まず1点目のところですけれども、先程のように原子力関連の費用については使用済原子力の既発電費に関する部分、そこの部分についてはもう平成17年から実施しておりますけれども、時限的に昔、未回収だった部分を負担しているものということでございます。その合理的な説明とか資料で用意をするようにというようなお話でしたので、それにつきましては、エネ庁側で多分準備をするということで。

○陶山委員 それがなぜ託送料の中に入っていたのか。

○古城座長 それは後ほど資料で、文書で説明して下さい。

○経済産業省都築ネットワーク事業監視課長 一言で言うと託送料金という形で、電気の使用者が広く全員から集める手段として、その手段を使ったということ以外の何者でもありません。

それはまた後刻ということで、2つ目、スマートメーターの話でございますが、スマートメーターというのはメーターですので、これは何のための目的かというと、発電とかに使うメーターのことを言っているわけではなくて、電気の使用者側のほう、需要家側のほうに使われるメーターのことをここでは言っています。従って、これは電気の使用量を把握するためのものなのです。電気の使用量というのはどういうように、誰のどういう仕事かということでございますが、これは送配電事業者がどれだけの電気をお客さんに送り届けたかという量を確認するためのものですので、これにつきましては100%送配電の料金として計上されるべきものだと考えております。

燃料費のところにつきましてですけれども、この託送料金の中に入っている燃料費は、一般の本土の分の燃料費ではございません。離島の分です。離島につきましては、今回の制度改革の中で、これも後で資料を提示する対象の一つなのかもしれませんけれども、離島ユニバーサルサービス、本土並みの料金を離島の電気の使用者についても担保しようということで、これを誰の仕事にするのかというときに、小売という競争部門の人に担わせるのではなくて、非競争部門の人に担わせる。その上で、そこの部分の適正性を担保しようということで、これを託送原価の中に入れて本土よりも高くなる上積み分、離島のほうが供給コストは高いですから、その上積み分のところを託送料金上回収することを許容するような仕組みに制度上しております。そのときに、離島において一般送配電事業者が離島供給を行いますので、それに必要となるような重油であるとか、そういう燃料費が発生します。このため、離島のある会社と離島のない会社があります。先程のように沖縄電力などは離島だらけです。それに対して離島のない会社もございます。そういうところにつきましては、この燃料費というものが計上されず、離島供給の多いところについては非常に多くというか、それに相応するような燃料費が計上されているのだというように御認識いただければと思います。

一般管理費としてということですけれども、具体的にどういうものが、これは質問の趣旨を完全に私も理解できていないのですが、どういう費用があるのかということだという御質問でしょうか。

○陶山委員 それぞれ直接的な経費としてではなくて間接的な費用として配賦される部分の管理費についての質問です。間接費と言われる項目の中には具体的にどのようなものが入っているのでしょうか。それが送電部門にも反映されてくると思いますので、その具体的な内容について教えていただければと思います。

○経済産業省都築ネットワーク事業監視課長 これにつきましては、多分例で御説明をすることになると思いますが、例えば先程話題にいたしました、電力会社の共通でいろいろな人が使っている費用としては、先程の社宅などというのもそういうものだと思うのです。発電分野の方がお住まいになられているというところもあれば、ネットワーク部門の方もいらっしゃるとか、そういう部分というものもあろうかと思います。中には人事異動でその間を動いているケースというものもあろうかと思います。そういったところにつきましては、実際の従業員がどういうような住み方をされているのかという言い方が正しいかどうか分かりませんけれども、そういうような形で対応をしたりとか、そういう具体的なできるだけ配賦をするに当たって、これは面積で割り振るのが良いのであれば面積で割り振るとか、人員で割り振るほうがよければ配賦するとか、あとお客様の件数で割り振ったほうが良いものというのも中にはあろうかと思います。そういうものにつきましては、お客様の数、件数で割り振るというようなケースもあります。また、別の量で割り振ったほうが良いものもあろうかと思いますので、それを個別に基準にして託送料金の算定規則の中で書かせていただいているというものでございます。

いろいろな費用が共通経費的に発生するようなものというものがございますということですけれども、お手元に査定方針というものが冊子になっているものがありますが、そちらを1ページだけご覧になっていただければと思います。58ページというところに、その他経費の内訳というものがあります。こうした費用の中には、各部門の共通で入ってきているようなものというのも多々ありますので、例えばこういうようなところの費用の中には共通部門とネットワークとして使っている部分があるのだというように御認識をいただければと思っております。

○古城座長 次、太田委員、どうぞ。

○太田委員 一問一答でないほうが良いようですね。まとめて申し上げますが、基本的には固定費の固まりなのだろうと思います。共通費をどう分けるかということで、先程面積であるとか人数であるとか、そういった基準で分けられているということなのですけれども、最終的にはキロワットアワー時に料金を決めないといけないので、それを予測して固定費を単純に割っているということですか。あるいはもっと細かくいろいろなドライバーで分けるように考えているという感じですか。最終的に料金を決めるところというのは、キロワットアワーの予測量で単純に固定費を割っているということですか。

もう少し専門的に言いますと、例えば一般的には間接費の配賦はABCでされていると思うのですけれども、そういうときのコストドライバーがどういう項目で、そのときの最大のコストプールは何なのか。あるいはその割合、正確でなくても良いのですが、大ざっぱには大体どういう感じなのかというイメージを掴みたいと思いまして。

○経済産業省都築ネットワーク事業監視課長 御質問いただいた点でございますけれども、何に基づいてやっているかと言われれば、託送約款の算定規則という省令に基づいてやっております。例えば固定費のところにつきましては、もちろん固定費の固まりだということなのですけれども、基本的に送配電設備というものは何に基づいて設置されるかというと、そのときの電気の最大の総電量ということになりますので、キロワットアワーという面積の概念ではなくてキロワットという高さの概念で配賦されるというようになるのが良いという考え方だとは思いますが、他方で、先程言いましたように、特別高圧、高圧、低圧というところで、例えば低圧だと夜のほうにピークが立つとか、ところが、特別高圧とかはどちらかというと昼間、業務用などは昼間にものすごく高いピークが立つとかということでピーク時も違っていたりするものですから、単純に全体の需要のキロワットアワーの高さだけで割り振るというものが適切というか公平性を欠くという場合もあります。では、今度はそれぞれのピーク時の高さで割り振るという考え方もあろうかと思いますけれども、それぞれのピーク時の高さでやると全体のピークの時間が今度はずれているものですから、必ずしも適切ではないというところもあって、適切ではないというか、それも一つの指標とは足り得るのですけれども、それだけで全てが語れるかというとそういうわけでもないということもあります。

今度は面積に関するキロワットアワーというものが全く関係ないのかというと、ピークがどういうように立つのかという立ち方とも関係があるだろうということで、これらを按分するような形でルール化されています。ルール化されたものに基づいて固定費の配分というものを行うというのが現在の考え方になっております。それ自体はいろいろな解釈、御意見とかもあろうかと思っておりますが、これも今回のところではそういう歴史的に積み上がってきている考え方というものを今回は採用し、省令に基づいて各社の託送料金が算定されているというように承知しております。

○古城座長 今の部分は複雑ですので、後日書類で、経緯と今の配賦基準の理由というのは、検討した資料があれば文書でいただきたいのです。

○経済産業省都築ネットワーク事業監視課長 このルール自体は非常に古いものでございますので、どういう理由でこういうようにしたのかとかそこまでという話になると、正直申し上げますと、我々は行政文書上、管理ができていません。評価の対象としてこういうものを考えていかなければいけないということについては我々も認識をしておりますが、何年の何とかの何とかでというところまで正確に御提示できるかどうかは微妙。

○古城座長 今、都築さんがお話になったようなことを多分役所の中で検討したのですから、説明資料みたいなものがあれば。きっとみんな興味があるのですけれども、よく分かっていないところなので、出していただけるものがあればこちらで読んで勉強したいのです。

○経済産業省都築ネットワーク事業監視課長 探してみます。

○古城座長 お願いします。

○太田委員 そのルールは電力託送料金に限って言うと、今までの電力の総括原価方式の電力料金算定のときに使われていたルールをこれに当てはめたということですね。このルール自体は今回適用したという。

○経済産業省都築ネットワーク事業監視課長 託送におニューなものを何か設けたかというと、小売電気料金の考え方を託送料金にも当てはめております。

○太田委員 それは具体的に費目のイメージというのはないですか。ルール自体は簡単に手に入ると思うのですが、どの項目が一番多くて、どのコストドライバーが一番効いているとかです。また、コストドライバーが複数必要になってくるというのは、恐らく特別高圧と高圧と低圧を分けるところで必要になってくるのだと思うのです。トータルが決まって電力の予測量が決まれば単純に割ればいいので、細かく割り振るところでもう少し精緻な配賦が必要になってくるのだと思うのですが、そのときに一番大きいコストプールが何か。それを配賦しているコストドライバーが何か。何が一番効いているのかということが知りたいのです。

○経済産業省都築ネットワーク事業監視課長 先程私が例にとって申し上げたのは特高、高圧、低圧の按分の考え方なのですけれども、それ以外にも例えば発電と送配電の分け方というものもあろうと思っております。小売も含めてですね。実際の配賦基準などの省令で各論で取り上げておりますのは、後者のほうの話がたくさん表になってございます。そのルールは算定規則の別表をご覧になっていただければいいと思いますが、それでどれが一番大きいのかとか、そういうところをという御質問でしょうか。それは精査をしてみます。精査という言葉を余り使うとブラックな話かもしれませんけれども、調べさせていただければと思います。

○太田委員 イメージとしては、恐らく全部が満遍なく効いているのではなくて、特定の項目が非常に大きい比重を決めていて、そうすると、細かい配賦基準も全部、ルールは今回、予見だという話なのですが、細かい配賦基準を全部見るというよりは、一番効いているところを変えると一番大きな影響が出るだろうと思うのです。上から3ぐらいとかですね。恐らくコストドライバーはものすごい数あると思うのですけれども、そのうちどれが一番価格を決めるに当たって効いているのかということが関心事だということでございます。

○古城座長 それでは、次、古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 どうも丁寧な御説明、ありがとうございました。

法律や省令に基づいて丁寧な査定がなされたということでお伺いいたしました。私のほうから非常に素朴な疑問というか素朴な消費者として質問させていただきたいと思います。

1つは、託送料金が仕入れ原価の3割超の場合もあるわけですけれども、それになるというのは新規参入の人たちにとっては非常に切実な問題であって、先程来から託送料金が高いか低いかという議論があるのですけれども、この84年、今、いろいろなこれまでの積み重ねのルールの上にいろいろな制度を設計されていらっしゃると思うのですが、84年ぶりの大変革の中でこういったルール自体については根本から見直していく必要もあるのではないかと感じているのです。今日、御説明いただいた中で先程陶山委員から使用済核燃料の再処理金が託送料に乗せられていることの理由についての質問があったのですが、もう一つ、電源開発促進税というものも載せられていると思うのです。消費者としては、やはり発電に掛かるコストで納得できないものは託送のほうに入れてほしくないという気持ちがあるわけなのですが、この電源開発促進税が入っている。もうこれは既に過去の発電に掛かるコストとしているものだと思うのですが、そういったものが将来に渡っても託送料に入ってくるという説明をもう少し詳しく教えていただきたいということが1点。

もう一点は、レートメークについては大議論があると思うのですが、査定方針の104ページのところに、総原価の中から発生原因により9部門に整理されているということで、一番下に保留原価というものがあるのですが、この整理を保留した原価というものが多分高圧のときのものの考え方と同じようにされていらっしゃると思うのですが、例えば東京電力さんのような場合ですと、総原価の中でも整理を保留した原価というものが平成24年、25年、26年度の平均から額にして7,800億円ぐらい出てくるのですけれども、こういったものを最終的に関連費として抽出した場合に計算が合わないのです。ここで詳しく説明することはできないのですが計算が合わないのです。こういう保留原価についての説明は、一体どこをどう調べれば分かるのかということを教えていただければと思います。

○資源エネルギー庁小川電力市場整備室長 資源エネルギー庁が1点目の電源開発促進税についてお答えします。

この税金は、もしかしたら原子力に専ら使われているというような御理解があるかもしれませんけれども、あくまでも電源の開発です。そういう意味で、特定の電源に対してということではないものですから、その負担は広く電気を使う人皆さんに負担していただくということになりまして、その場合にどういうように徴収するか。消費税のような形で各消費の段階でやるのか、託送の送配電のところで徴収するのかというところで、これは法律上、税制の仕組みとして送配電のところで徴収することになっております。

○古城座長 今のは、電源開発にかかった費用、法律で決まっているからこうなっているということでよろしいのですか。多分皆さんの疑問は、昔のように電力会社だけがやっているのでしたらみんなで使用者、利用者が負担するといいのですけれども、もう発電、電源開発というのは電力会社の電源開発でしょう。新電電の電源開発の費用とは別に発電につけて下さいという考え方が出てくると思うのです。

○資源エネルギー庁小川電力市場整備室長 電源開発促進の税金の使途として、いわゆる電力会社や旧一般電気事業者のみに使うというものではないという意味で申し上げているものです。

○古城座長 新電電の電源開発についても使うのですか。

○資源エネルギー庁小川電力市場整備室長 例えば、今度石炭火力を作ります、というものに対して補助するものではありませんので、そういう意味では使えませんけれども、電源ニュートラルという意味では、例えばそういうものが現実かどうかは別として、原子力発電施設や水力発電施設等の設置及び運転の円滑化のための使途になっておりますので、そういった意味で電源の事業者によって分けているものではないという意味になります。

○古城座長 どうぞ。

○古賀委員 現実には原子力関連が7割というようなことも聞いていますが、その他の電源については、これまでの実績としては正確にはどれぐらいの割合になっているのでしょうか。

○資源エネルギー庁小川電力市場整備室長 比率では原子力がかなり大きい、高くなっておりますけれども、今、具体的にどれぐらいかというところはデータがないのでお答えできないかなと思っています。相対的には原子力の部分が高くなっております。

○古城座長 よろしいですか。

○古賀委員 ただ、これは過去の費用というように考えていいと思うのですけれども、今後、託送にのせるというのであれば、ご説明をもう少し消費者に分かりやすいように説明していただけたらと思うのです。

○古城座長 もう説明があって、多分古賀さんと意見が違うのだと思う。

○経済産業省都築ネットワーク事業監視課長 古賀委員から御質問いただいた2つ目のほうをよろしいですか。保留原価という話がございました。保留原価につきましては、査定方針のところの104とか105とかそのあたりに出てくるものですが、具体的にここにも書いてございます販売購入電力料というものとか、今、話題になりましたバックエンド過去分の話でございますとか、電促税、事業所税とか、そういうようなものがここに計上されているというように承知しています。これにつきましては、基本的に原価比で配分をしているという考え方で対応をさせていただいております。電促税とバックエンド過去分の部分につきましては、電力量、キロワットアワーの比でこれを配分するという形で対応させていただいております。

○古城座長 ありがとうございます。よろしいですか。

次は井手委員、どうぞ。

○井手座長代理 時間もないので、この場で託送料金が適正かということも考えて検討していくわけですが、この託送料について今回の低圧のところの託送料というものはスタートラインとして決められたもので、ここから値上げのときは認可かもしれませんけれども、値下げはほとんど届け出という変更命令がついていますけれども、届け出ということで、将来的なことを考えると、電気はそれ程家庭用で延びないで少子化となると、需要量はどんどん横ばいか減っていく中で、分母が小さくなっていきますから、将来的に託送料というものは上がっていくというように予想されますね。電気通信とか固定系とか、あるいは携帯の場合は、託送料は時系列的に見るとかなり下がってきていますが、これは技術革新という要素もあるので下がってきていますが、電気の場合はそういう意味では劇的な技術革新というものが送電部門でないとすれば、もう経営効率化が限界になれば託送料は将来的には上がっていく方向にあるというように、余程の経営効率化をしないと上がるというように考えてよろしいのですかという点。

○経済産業省都築ネットワーク事業監視課長 定量的に御説明をすることはなかなか難しいかと思いますが、井手先生がおっしゃるように、日本の電力需要自体がピークアウトしているという実態からすると、御推察のとおり、分母となる需要自体が、電解率が上がっていくとかというところはもしかするとあるかもしれませんけれども、一般的には需要が減っていく。少ない需要で設備を持たせないといけないということになると単価が上がっていくということになるというのは、それだけを捉えればそういうことだと思っております。

この分野がイノベーティブな産業なのかどうかというところでございますが、もちろん効率化は進めていくのですけれども、その中で例えば鉄塔の建て方でもいろいろな工法の見直しとか、そういうようなことというのは現在も進んでおりまして、この地域の電力会社においてもそういった見直しをすることによって、従来よりは非常に効率的な送電線の整備が、今、新設の送電線などでもなされているというように承知しております。そういった取り組みがあるといえばあるかなとは思っていますが、他分野と比べて、そのイノベーションのスピードが速いか、遅いかというところは、そんな特別に早い、劇的に変わるというような劇的に変わったものでオーバーライドされていくというようなことは余りないかもしれないので、そういう意味では、そういう中でどういうように今後託送というか送配電サービスというものを実施していくのかというところは論点かなというようには思っております。

○古城委員 安田委員、もう一回ですか。

○安田委員 ただいまの古賀委員と井手委員の御質問、御意見に対してコメントと、あと最後に少しリクエストをさせていただきたいと思います。

先程古賀委員がおっしゃいました、新しい事業者さんが、託送料金が高くて参入障壁になっているという認識は、私は少し違うと思います。基本的に全ての電源事業者に対して平等に高ければ、それは参入障壁ではありません。要するに国民負担は、若干負担は高くなるかもしれませんが、電源事業者にとっては参入障壁にはなりません。問題となっているのは、御心配されているのは、従来の事業者に対して新規参入者が障壁になっているのではないかというところで、多分適正性と透明性が問題ではないかと思います。ですから、私が先程申しましたように、必ずしも安ければオーケー、高ければだめという議論ではなくて、適正であるかどうか、公平であるかどうかというところであると思います。

そういう点では、あくまで私個人の現段階の意見でございますけれども、やはり多くの委員の方から疑義が出されるのは、本来託送料金でないものがあるルールによって託送料金に混ぜられているということだと思います。ですから、純粋に託送に必要なものと、そうでないけれども、国民全体で一応平等に負担しましょうねという2つのパラメータがありますので、それはやはり何らかの形で分けて金額を表示すべきであると思います。例えば離島の料金とおっしゃられたと思いますけれども、私が手元にある資料では、スペインなどでは離島料金とシステムコストは明確に別に算出されてグラフ化されています。そういうことで、同じコストを払うのですけれども、国民の皆さんが納得する度合いというのは大分上がるかもしれません。ですから、そういう工夫も検討していかなければいけないと思います。

あともう一つ、井手委員からおっしゃられました、今後システムコスト、託送料金が上がっていくかですが、これもあくまで私、一研究者の見解ですけれども、託送料金の単価は下がっていっている国もあります。ただし、総額は上がっている。ですので、これも単価なのか、総額なのかということを考えます。ヨーロッパの例を見てみますと、私も研究をしておりますが、送電線の利用率が上がっています。ですから、需要は日本と同じ先進国型ですのでそれ程増えないのですけれども、同じ発電の量であちこちで送電をいろいろ行うことによって送電線の使う利用率が上がっていますので、それによって送電会社の収入が増えているというデータも出ております。ですので、このあたりというのは、電力消費が伸び悩むからもうなかなかイノベーティブな分野ではないというのではなくて、むしろ活況で、もっともっとイノベーティブで、日本の技術力をもってすれば非常におもしろいことができる分野ではないかと思います。

そういうことも含めて、やはり単に高い安いではなくて、なぜそうなるのか、それから、今後どうなるのかということをもっと議論する必要があるのではないかと思います。

○古城座長 それでは、他に御意見もあるかと思うのですけれども、時間が12時を超えておりますので、議論は以上といたします。

都築ネットワーク事業監視課長、小川電力市場整備室長におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございました。

≪4.今後の進め方≫

○古城座長 続きまして、当調査会の進め方についてです。

資料3のとおり、本調査会における検討の論点案をお配りしていますので、その内容について事務局から説明をお願いいたします。

○笠原課徴金審査官 では、お手元の資料3に基づきまして、事務局としての御提案となりますけれども、今回の調査会における検討の論点案ということで御説明させていただきます。

1.2.に分かれておりますが、それぞれ諮問文に沿った分け方となっております。順番は逆になりますが、まず1.としまして、コスト削減のための妥当な託送料金算定手法ということで、視点マル1としまして、過去の実績値や電力会社平均値に基づく査定原価水準は適当かどうかという点でございます。後に御説明いたします2.の論点に基づき効率化された実績値や同等・類似財の市場価格等の適用、ヤードスティック査定の拡充、事後的検証による原価構成等の見直し、こういったものの反映などが論点ではないかというように設定しております。

2つ目、視点のマル2でございますが、原価と実績値に掛かる事後的検証を徹底すべきではないか。具体的には、フォローアップにおける査定上の原価構成と実態との整合性等のチェックなどでございます。

視点マル3としまして、託送料金認可後も電力会社における継続的なコスト削減努力が確保されるべきではないかという点でございます。具体的には自律的なコスト削減を継続的に促すためのより実効的な効率化インセンティブの付与のあり方などでございます。

視点マル4としまして、コスト削減の成果が消費者に還元されるべきではないかという点でございます。この点、達成された効率化分が適正に託送料金に反映される方策、括弧書きがございますが、例えば料金変更認可申請命令の発動基準の見直し等が論点と一応書かせていただいております。

2つ目の諮問文における論点でございますけれども、2.といたしまして、資材・役務調達コスト等に掛かるさらなる効率化の手法という点でございます。これにつきましては、視点マル5としまして、徹底した調達コスト削減に繋がる更なる効率的・競争的な調達制度はあるかどうかという点でございます。具体的には、調達制度における競争性の徹底、仕様・設計の汎用化・標準化の推進、取引先の拡大等による現状の効率化水準。これは現状、原則10%相当額となっておりますけれども、これを超えるコスト削減余地があるのかどうか、こういった点でございます。また、その他といたしまして、各委員の問題意識に応じて適宜論点として追加を当然に考えております。

説明は以上になります。

○古城座長 ただいまの事務局の説明につきまして、御意見のある方は御発言をお願いいたします。よろしいでしょうか。

では、特に皆さん御意見がないので、今の方針、全部できればいいのですけれども、できるかどうかも分からないので、今後もう少し具体的にしていきたいと思います。


≪5.閉会≫

○古城座長 それでは、議論は以上といたします。事務局から連絡事項などはございますか。

○丸山参事官 本日も御熱心な議論、ありがとうございました。今後の調査会等の日程につきましては、確定次第御連絡をさせていただきます。

○古城座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)