第23回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2016年11月18日(金)13:29から14:46

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
古城座長、井手座長代理、古賀委員、陶山委員、矢野委員
【事務局】
消費者委員会 黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官
消費者庁 澤井消費者調査課長

議事次第

  1. 開会
  2. 東京のタクシー運賃組替え案に関する調査会の取りまとめについて
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、そろそろ時間になりましたので、会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様、お忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、「消費者委員会第23回公共料金等専門調査会」を開催いたします。

本日は、所用によりまして、白山委員、松村委員、山内委員、消費者委員会担当委員の長田委員、蟹瀬委員が御欠席との連絡をいただいております。

まず、議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。

議事次第下部のほうに配付資料一覧をお示ししております。お手元の資料の中で不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようよろしくお願いいたします。

なお、本日の会議につきましては、公開で行います。

議事録につきましても、後日、公開することといたします。

それでは、古城座長、以後の議事進行のほう、よろしくお願いいたします。


≪2.東京のタクシー運賃組替えに関する調査会の取りまとめについて≫

○古城座長 今日は、出席者がちょっと少なくて寂しいのですけれども、事務局のほうから答申案の原案をまとめていただきましたので、まず、それについて説明をお願いいたします。

○丸山参事官 まず、答申案を御説明させていただきます前に、前回の会合で委員のほうから御指摘がありました国土交通省への質問事項に対する御回答について、私のほうから説明させていただきます。

前回、11月9日の公共料金等専門調査会におきまして、委員のほうから3問ほど御質問いただきました。

まず、第1でございますけれども、タクシー運転手の方の賃金における歩合制と固定給の比率については、一般的にどのようになっているのかということで、陶山委員のほうから御質問がございました。

こちらの国交省からの回答でございますけれども、タクシー運転手の賃金における歩合制と固定給の比率については、事業者によって異なりますが、平成21年に一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会が実施した調査結果。

これは、お手元の参考資料1を御覧になっていただければと思います。こちらにおきまして、固定給の賃金支給総額に占める割合は平均6割となっているということです。したがって、歩合制と固定給の比率については、4対6程度であると推測されますということで回答がございました。

それから、2つ目でございますけれども、事業者が運賃改定の申請を行う際に必要となる原価計算書の添付の手続について、運賃組替えの場合には省略することができるとしている理由は何かということで、古賀委員のほうから御指摘がございました。

こちらのほうの回答につきましては、運賃組替えの申請においては、初乗り運賃の引き下げと加算運賃の見直しにより、全体の運送収入が増加しない運賃にすることとしており、賄うべき総原価の計算を改めて行う必要がないことから、今回の申請に当たって原価計算書の添付は不要としていますということで、国交省のほうから回答がございました。

それから、3番目でございますけれども、前回、全国消団連の河野事務局長のほうにヒアリングさせていただきましたが、その際、河野事務局長より、タクシー特措法の適否を検討する際に指定地域等で行われたアンケート調査の結果について、一部言及がございました。これに関しまして、国交省のほうにおいて、何かまとまった資料があれば提示してほしいということで、こちらにつきましては陶山委員のほうから御指摘がございました。

こちらにつきましては、タクシー特措法の特定地域指定を検討する際に行われたアンケート調査については、特定地域に該当しないため、東京においては実施されませんでした。しかしながら、お手元に配付しております参考資料2、平成27年3月公表のタクシーに関するアンケート調査結果、こちらは全国で行われた調査結果ということで、御参考までにということで提示がございました。

続きまして、前回、山内委員からのコメントについて、私のほうで読み上げさせていただきました。その中で、いわゆるたまごっちタクシーについて、国土交通省において事後検証を行っているか。行っているのであれば、検証結果や、その検証結果が今回、生かされているのかという旨の御指摘がございました。

こちらの件についての回答でございますけれども、あわせて国土交通省のほうから事務局に寄せられております。この「たまごっちタクシー」、初乗り1キロメートル、340円タクシーでございますけれども、こちらのタクシーにつきましては、一部の事業者独自の取り組みによって実施されたものですが、導入による効果検証については、国交省内に設置されました「運賃制度に関するワーキンググループ」の中で、東京ハイヤー・タクシー協会のほうから報告されましたということで回答がございました。

こちらにつきましては、参考資料3について御覧になっていただければと思います。国土交通省のほうからは、さはさりながら、今回の運賃組替えに当たっては、公定幅運賃制度の適用地域であることから、340円タクシーのような一部事業者の取り組みにはならず、地域全体として初乗り運賃の引き下げを導入することになりますという付言がございます。

参考でございますけれども、参考資料3の2ページを御覧になっていただければと思います。こちらに、協会のほうの総評が書いてございます。

読ませていただきますけれども、総評として、都内4万5,000台のタクシー車両のうち、1,890両(4.2%)による距離短縮運賃の導入が、総需要に変化を与えたかどうかは確認できない。しかし、導入事業者によるデータでは、近距離の利用者は確実に増えたものの、出番当たりの営業回数を押し上げるほどの期待したインパクトはなかったため、結果、1,230円の減収につながっている。よって、一部の事業者での導入は、利用者心理を刺激し、利用者の裾野を広げることには至らないという事実は否めないという記述がございます。

なお、こちらについても付言しておきますけれども、いわゆる「たまごっちタクシー」の名称使用につきましては、運行前に「たまごっち」の販売元から事業者に対して名称使用の中止を訴えられたため、この名称で運行されたことはないということもあわせて情報として寄せられてございます。

国交省のほうからの回答は、以上になっております。

続きまして、今般の公共料金等専門調査会の本件にかかわる意見(案)ということで、私のほうから続けて説明させていただきます。

お手元の右肩に「資料」とあります資料を御覧になっていただければと思います。「(東京都特別区・武三地区)の運賃組替え案に関する公共料金等専門調査会意見(案)」になっております。

まず、経緯等について、冒頭に述べております。本専門調査会は、平成28年11月1日付で消費者庁より付議を受けた、いわゆる東京都区部のタクシーの国土交通省による運賃組替え案について検討を行ったということで、運賃組替え案の内容について、下部のほうに記載しております。

さらに、本調査会については、11月2日に国土交通省、それから一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会から、それから9日に学識経験者、消費者団体からヒアリングを行い、調査審議を行った。その結果を踏まえた、上記運賃組替え案に関する本専門調査会の意見は以下の通りということで記述してございます。

以下、大きく3つ、記載しております。まず、1が「結論」でございます。2が「結論に至る理由及び課題」、「3.留意事項」という構成になってございます。以下、順次、私のほうで説明させていただきます。

まず、「1.結論」でございます。

1つ目の丸でございますけれども、今回の運賃組替え案で示された改定の方向性については、続いて2.の中で示す理由により評価したい。ただし、組替え案の実施に当たっては、国土交通省において丁寧な事後の検証等を実施されたい。また、消費者利益の増進を一層図る観点から、3.に示す留意事項に関する対応についても事業者と協力して併せて検討をされたいと記載しております。

続いての丸ですけれども、公共料金等専門調査会は、しかるべき時期に、国土交通省による対応状況等についてのヒアリングを含め、運賃組替え後の状況の検証を行うこととしたいということで記載しております。

続きまして、「2.結論に至る理由及び課題」ということで整理してございます。

まず、理由でございます。

今回の運賃組替え案は、国土交通省の説明によれば、人口の高齢化や訪日外国人の増加等に伴い、短距離でのタクシー利用の需要拡大が見込まれることから、こうした需要を取り込むため、国際的水準よりも高い現行の初乗り運賃を引き下げることとする一方、一定距離以上の利用について現行よりも運賃が高くなる値上げ部分があるものの、試算上、運送収入全体が現状を上回らないため、収入増加を目的とする運賃改定ではないとのことであったということで記載しております。

続いての丸でございますが、我が国のタクシー市場は、長年にわたり利用者の減少傾向が続くなど厳しい経営環境下にあり、ITを活用したライドシェア等の新たなサービスが世界的に台頭する中で、タクシーが公共交通としての役割を果たしていくためには、新たな需要の開拓等を通じ、これまで取り込んでいなかった消費者のニーズをかなえていく必要がある。また、現行の運賃体系については、長い間の慣行に基づくもので必ずしも合理的な運賃体系ではないとの指摘もされており、現行の初乗り運賃は国際的に見ても標準的とは言えないことから、これを正していく方向の変更は基本的には推進すべき取組と考えられるということで整理してございます。

続きまして、課題でございます。

タクシー運賃の改定を行う場合、本来であれは総括原価方式の考え方に基づき原価の精査を行う必要があるが、今回は、収入増加を目的としない運賃組替えであるとして、これを省略している。しかしながら、国土交通省から提示された運送収入の試算値は、必ずしも今回のような大幅な運賃体系の変更を前提としたきめ細かな推計に基づくものではなく、簡便な手法に基づくものであり、収益が従前の運賃体系の場合と比較して中立的であるという根拠については、十分に明らかとはなっていない。

このため、国土交通省は、事後的に、事業者の運送収入の状況をフォローすることにより、運送収入の試算が適切であったかを検証するとともに、事業者による原価計算書の提出を省略した今回の手続きが妥当なものであったかを検証する必要がある。その上で、今回のような運賃組替えという形式の手続き自体についても見直しの検討を行い、必要に応じ、総括原価方式の考え方に基づき原価の精査を行う手続きへの一本化を図るべきであるとしています。

続いて、また、少なくとも、今後、運賃変更手続きの妥当性の判断がより明確に可能となるよう、国土交通省においては、運賃変更に伴う運送収入の増減に関する試算の手法の向上を図るべきであるとしております。

併せて、今回の運賃変更について、国土交通省は、一定の期間の後に事後検証を行うべきである。その際、初乗り運賃や加算運賃の妥当性を再検討するとともに、時間距離併用制運賃等の付随する運賃制度についても、現行の交通事情に適合したものであるかという観点から、必要に応じて見直すべきであると整理しております。

最後、「3.留意事項」でございます。こちら、大まかに4つのパートで整理しております。順次説明させていただきます。

まず、1つ目でございますけれども、運賃組替えに関する丁寧周知ということで整理してございます。

タクシー運賃は、利用後に事後的に確定する性質のものであるため、利用者が事前にタクシーの利用の是非を適切に判断するためには、運賃の予測可能性が高いものでなくてはならない。また、運賃の予測可能性の向上は、タクシーの利用促進にもつながるものであるとしております。

2つ目の丸でございますけれども、このため、新運賃の導入に当たっては、十分な広報活動により、運賃体系について消費者への丁寧な周知を図るべきである。特に、一定距離以上乗車した場合、運賃は現行運賃より高くなる可能性があることや、時間距離併用制運賃における加算時間が現行より短くなることについては、消費者に確実に理解される必要があるとしております。

続きまして、2つ目でございますけれども、アベイラビリティ(利用しやすさ)の確保ということで整理してございます。

初乗り運賃の引き下げに伴う短距離利用の需要の増加により、実車率が現状より高まる可能性がありますが、その結果、路上でタクシーが捕まりにくくなったり、駅前等のタクシー乗り場での待ち時間が増加したりする状況が発生していないか注意深く見守り、必要に応じ対策を講じるべきであるとしております。

それから、3番目でございますけれども、サービス利便性の向上ということで整理してございます。

利用者が、現行より運賃が安くなる近距離の利用であることが見込まれることを理由に、タクシーに乗車しにくくなったりしないよう、近距離利用者が乗車する際の運転手のマナー維持等に対して十分な対応策を講じるべきであるとしております。

それから、2つ目の丸では、スマートフォンアプリによる配車システムの普及や、事前確定運賃の導入等、新たなサービスの積極的な展開を進めるべきである。ただし、新たなサービスを導入する際には、消費者が利用の際に混乱したり、高齢者等が使いにくくなることがないよう、十分な配慮を行うべきであるとしております。

それから、3つ目の丸でございますけれども、通院に利用する高齢者等、現行より運賃が高くなる場合でも引き続きタクシーを利用する必要のある利用者にとって、負担額の増加を抑制出来るよう、事業者間の競争等を通じて、迎車料金の割引等のサービスが充実することが望ましいとしております。

さらに、4つ目でございますけれども、荷物の多い乗客や、高齢者、障がい者等がタクシーを利用しやすくなるよう、ユニバーサルデザイン車両の普及等、タクシー車両の改善を進めるべきであるとしております。

それから、5つ目でございますけれども、駅前等でのタクシーの乗車を円滑にするため、既存のタクシー乗り場の利便性向上や新規の乗り場の設置を進めるべきであるとしております。

最後、4つ目でございますけれども、持続可能な経営環境のための取組ということで、2つほど整理してございます。

1つ目でございますけれども、運賃組替えの結果、仮に、短距離輸送による収入の減少や、長距離利用者の減少等の影響が大きくなり、事業者の経営を圧迫するような状況が広がった場合、運転手の賃金水準が低下し、それがタクシーのサービスの質や安全性に悪影響を及ぼすおそれもある。また、タクシー事業者が適正な利潤を確保出来なければ、サービス改善に向けた投資も進まない。こうしたことから、事業者の経営状況や運転手の賃金水準については、事後的な監視を十分に行う必要があると整理しております。

最後でございますけれども、さらに、運賃規制全般についてでございますけれども、消費者の利益となるような柔軟な運賃設定を事業者が工夫して行うことを必要以上に妨げるような硬直的な仕組みとなっていないか、今後更に検証する必要があるということで整理しております。

事務局のほうで御用意させていただきました意見(案)について、説明は以上でございます。

○古城座長 ありがとうございました。

これは、本日、たたき台を出していただきましたけれども、必ずしもこれでまとめるという趣旨で用意したものではございませんので、皆さんの御自由な意見を聞いた上でまとめていきたいと思いますので、御自由に御意見をお出しください。よろしくお願いします。

矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 取りまとめの案文づくり、どうもありがとうございました。分かりやすい項目になっているかなと思っております。

幾つかの点で意見がありますので、随時、何項目かに渡って述べさせていただきます。

まず、1ページの結論の最初の丸のところです。言葉ですが、最後のところで、留意事項に対しても事業者と協力して検討されたいと書いてあります。実際、留意事項の中身は、かなり強目の言葉もたくさんありますし、非常に重要な点だと思っていますので、ここは検討というよりも、むしろ積極的に推進していただきたいなと思っていますので、その旨が入るようにしていただければと思います。

それから、3ページの「留意事項」についてです。

まず最初の、運賃組替えに関する丁寧な周知に関してですが、タクシー運賃自体、決め方が一般消費者には非常に分かりにくいところで、上限と下限、幅があるということ自体も余り知られていないことです。今回、仮に410円となると、それはそのままなのだろうと受け取られると思いますが、一定の幅で決められるということを周知すること。

それから、今回の運賃は適用エリアが、結果としては東京都全域ではないということですね。23区と武蔵野・三鷹地区ということで、東京都内はかなりいろいろなエリアのタクシーが行き来しますから、現行の730円を基本とするタクシーと、かなり混じり合う部分があるので、ここでは運賃適用エリアを明確に記してほしいのと、730円エリアもあるということも丁寧な周知の中に入れておく必要があるのではないかと思います。

○古城座長 途中で申しわけないですけれども、営業区域があって、例えば横浜の車が入ってきて、東京でお客さんをとって、東京の中で運ぶのはできないのです。片足規制というものがあって、東京でとったお客さんを運べるとしたら、横浜でおろす場合だけ。だから、余り混乱はない。

○矢野委員 ただ、三鷹や武蔵野、隣接している地域では、自分のところでタクシーが捕まらないと、ほかを呼んだりする可能性もあるので、ここは都内で利用する。

○古城座長 呼んでも、横浜で運ぶしか。

○矢野委員 分かりました。それにしても、誤解のないように周知してほしい。

次のサービス利便性の向上は、ここは少し補足が必要かなと思っています。1つは、タクシーそのものが公共交通機関であるという位置づけはあるのですが、その公共交通機関としての役割が十分果たせているかどうかというのが、時代の進展とともにだんだん弱くなっている面があるかなと思っています。大事なことは、利用者にとって役に立つということと、事業者の経営が成り立つことは、公共交通機関としての役割としては重要だと思います。そのために総括原価が入れられているので、そういった役割を十分果たせるための行政の支援も必要だと思っています。

それを前提とした上で、今後のタクシー業界でまだまだ努力しなくてはいけないこともたくさんあるわけですが、公共交通機関としての役割を果たす上では、タクシー形態でなければ利用できない、公共交通弱者への利用促進というのは更に進めていくべき。高齢者のこととか出ていますが、一部妊婦さん用のタクシーの対応がなされていますが、こういったことをもっと積極的にして、まさに公共交通機関としての役割を、タクシーならではで果たしていくことも大事かなと思います。

それから、サービスの利用時間のことですが、少しセーブされてきていますけれども、全体的に日中は供給過剰さを実感する場面が結構あるのですが、逆にアンケートでも出ていましたけれども、夜間とか早朝、ほかの公共交通機関でカバーできないところに、タクシーがまさに役割発揮できないといけないだろう。そういったところの取り込みもしっかり果たしてほしい。

それから、サービス利便性のために、利用者からの声というのは、運賃改定のときには一応意見聴取という場がありますが、それも限られた消費者団体しかありませんし、実は、個人タクシーのほうは定期的に一定の消費者団体と懇談を毎年開いています。そういった場で利用者からタクシー業界への要望とかも出せるわけですが、今回のような個人タクシーではない、事業経営のところのタクシー協会とはそういった場もないので、協会として利用者との懇談を、改定運賃のときの意見聴取だけにとどめず、積極的に行ってほしいなと思いますので、そういった場、意見を利用者から聞く場づくりももっと必要ではないかと思います。

最後になりますが、持続可能な経営環境のための取組の2つ目のポツの2行目に、硬直的な仕組みということで、私は、これはよく言ってくださったなと思っています。今回のところでは余り出てきませんでしたが、1つには、下限運賃に対して幾つか裁判が起こされて、ほとんど国交省が負けている状態の中で、国交省は具体的には下限運賃引き下げを10月に行った。裁判が起こされて、その上で下限運賃の引き下げを検討したという対応自体は、本来であればもう少し柔軟な対応がまさに必要ではないかということで、ここの2つ目の内容には私は賛同するところです。

そういった意味で、この内容はいいかなと思いますので、よろしくお願いします。

○古城座長 この報告書のたたき台の全般的な方向性とか、そういうものについてはどうなのでしょうか。

○矢野委員 私のほうは、今、要望した部分を更に補足するという形で、基本的にはいいかなと思いますが、もう少し皆さんと意見交換して。

○古城座長 分かりました。

陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 幾つか発言させていただきたいと思います。

結論のところですが、この方向を評価したいということですが、今回の組替えによって値上げ部分を負担していく層が、ハイ・タク協会から出された資料によりますと、22%ありまして、これは決して小さいとは思えないということです。よって、この結論の部分に方向性としては全般的には評価するのだけれども、この22%のところはどうしても使わなきゃいけない人たちも入っていますので、そこへの配慮を忘れてはならないという1行を足していただけないかなと思っております。

それに関連して、留意事項のところですが、サービス利便性の向上の3つ目の丸です。これは、事業者間の競争等を通じてということで書かれていますが、迎車料金の問題ですね。事業者間の競争等を通じてというのは、前回、寺田教授がおっしゃったことなのですが、ここの意味がちょっとよく分からないので、どういうことを期待して書かれているのか、教えていただきたいということと。

それから、迎車料金については、長距離の負担が大きくなる人たちにとって、ここはバーターできないか、もう少し踏み込んだ書き方ができないかなと思っています。

あと、持続可能な経営環境のための取組ということで、ここは少しあっさり、さらっと行き過ぎているかなと思います。なぜなら、今回の組替えは、山内委員からも指摘されていましたように、前回の340円タクシーのところは、一定利用はあったのだけれども、そこの利用者層を広げていくような、全体の収益を賄えるほどの広がりはなかったということで、いわゆるたまごっちタクシーと今回は全体で取り組むということで状況は違うかもしれませんけれども、今日読んでいただきました総括のところであったように、利用者の新たな掘り起こしにつながらなかったということも、今回のケースについてもあり得る。その可能性を持っての組替えであろうと考えています。

よって、そういった場合に影響をこうむる可能性があるタクシードライバーの労働環境というものについても配慮した指摘をしておかなければいけないかなと思います。なぜなら、利用者の安全性とか利便性あるいは満足度といったものに直結するだろうと思うからです。ドライバーの労働環境ですね。ヒアリング等でもありましたが、まず、18時間を超えるという労働時間についても、今後、いろいろな経営環境の改善、取組をしていかなければならないということだろうと思います。

それから、質問に対して回答いただきました中に、参考資料1の1ページ、月例賃金の構成で、30%近くが歩合給のみで構成しているという状況にあるということですね。寺田教授にこのバランスをどう考えたらいいのでしょうかとお聞きしたときに、最低賃金でチェックしていくことが大事じゃないかとお答えになったと思います。歩合給のみで月例賃金を構成している場合は、最低賃金をクリアするのかが非常にグレーというか、難しいのではないかと思えます。こういったところへの国土交通省からのチェックも必要になってくるのではないかと思いますので、それは消費者の安全性、利便性、満足度につながるという観点から、こういった労働環境についてのチェックも、より細かくしてほしいということで、書き加えていただけたらと思います。

幾つかありますが、それぐらいで。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 まとめの案をありがとうございました。大変難しいというか、まとめにくい課題だと思いますけれども、全体的に今回の運賃の改定が値上げなのか値下げなのかというのが、この報告書だと、それを容認しているのかも含めて、一見して、ちょっと分かりにくいなという感じがしました。

それで、最初の結論のところですけれども、これは今回、組替えということで出されているわけですが、この組替え案として出されているものについて、私たちとしては、矢野委員が今、おっしゃられたように、消費者利益の増進のために、今後もという点をつけ加えていただくということはもちろんそうなのですけれども、この結論に至った理由と課題とがざっと書いてあるのですけれども、この理由と課題のところをもう少し整理する必要があるのかなと思いました。

この結論の最初のところは、今回の運賃の組替えを容認するというか、認めることになると思うのですけれども、この組替え案は、国交省の説明によれば、人口高齢化や訪日外国人の増加で、短距離タクシーの需要拡大が見込まれるので、ここのところを国際水準に合わせて初乗り運賃を引き下げましょうということが1つあったと思います。そこの部分は、確かに初乗り運賃の部分は値下げという評価をしていいと思いますので、初乗り運賃を引き下げることとなる。

しかし、一方で一定距離以上の利用について。これは、もう少し細かく、例えば「おおむね4キロメートルを超える部分については」ということを入れていただけると、分かりやすいかなと思いますけれども、4キロメートルを超える中長距離については、現行よりも運賃が高くなる、つまり値上げ部分となるということをはっきり言っていただいたほうがいいのかなと思いました。ただ、これは国交省の説明によれば、試算上は運送収入全体が現状を上回らない、増加目的の運賃改定ではないので、これは組替えの範囲として考えられるということで、いろいろな原価算定における書類も省略できるということを調査会では一応納得したのだと私は考えております。

それから、2番目の理由のマル2のところはそのままでいいと思うのですけれども、運賃組替え後の値上げ、値下げというか、消費者に対する、これを容認した理由として、その課題のマル1のところをむしろ理由として、1つ上のほうに入れていただきたいと考えました。

これは、タクシー運賃の改定を行う場合、本来であれば総括原価方式の考え方に基づき原価の精査を行う必要があるが、今回は、収入増加を目的としない運賃組替えであるとして省略しているということなのですけれども、そもそも運賃水準についての妥当性について、私たちは具体的に細かく検討したわけでもないし、その算定に係る細かな資料もそんなに拝見しているわけではないので、ここのところは、タクシー運賃改定における総括原価方式が、事業の経営に必要な営業費に適正な利潤を加えた総括原価を求め、総収入がこれと等しくするように運賃水準を決定する総括原価方式を用いているという説明を少し入れていただいて、今回の場合には、「国交省の試算値というものは」と、ここにつなげていただけたらと思いました。

それから、1.結論の2番目に、組替え後の状況の検証を行うこととしたいとなっておりますので、これは事後の検証を行う必要性について考えた理由が、2ページの理由のところには書いていないように感じましたので、ここのところは課題の丸の2つ目を理由として、上に引き上げるというか、ここを理由にしていただくと、全体的に文章のまとまりがよいのではないかなと思いました。

とりあえず、以上です。

○古城座長 ありがとうございました。

井手委員。

○井手座長代理 タクシー業界というのは、全般的に大手の寡占化が進んでいるというところをきちんと理解しておかないといけないと思います。というのは、寡占化しているので、大手以外のところは非常に経営が悪化しているというのは事実なので、それを全体にしたときに、悪いところだけ取り上げると、労働者の待遇が非常に悪いというのが顕在化してくるわけです。タクシー業界は、前回も言いましたけれども、タクシー会社がもうかっているかどうかというのは分からないわけです。寡占化しているので、多分利益は出ている、もうかっているはずです。

それが、2009年に再規制した後にどうなっているかという検証を全くしていないです。2009年から現在に至るまで、再規制したことによって、多分、タクシードライバーの待遇が改善されて、その趣旨からすると、重大事故が少なくなっているはずなのです。それを全く検証しないで、今回のことを議論するというのは、私は最初から抵抗がある。

1ページ目の結論ですけれども、2行目に「評価したい」。私は、別に評価するというのではなくて、「理由により、理解はするけれども、組替え案の実施に当たっては」。実施されたい、検討されたいという控え目ではなくて、実施すべきとか、検討すべきとか。あるいは、2つ目にある、運賃組替え状況の検証を行うべきと、こういうふうに書いたほうが、消費者委員会としての存在意義というか、きちんと示す意味ではいいのではないか。

冒頭に言ったように、タクシー業界の最大の問題は、サービス競争が行われていない。ある意味で昔の規制で運賃が自由に設定できない中で、タクシー事業者の自然淘汰がないというところが問題だと私は思っているので、一番最後の持続可能な経営環境の取組という4ページ目でも、「柔軟な運賃設定を事業者が工夫して行うことを必要以上に妨げる」。この「必要以上」という言葉は、私は必要なくて、柔軟な運賃設定が可能になるように事業者が工夫して、いろいろな料金メニューができるように、そして、サービス競争が可能になることによって、タクシー事業者の自然淘汰みたいなものが起こることが望ましいのではないか。

以上でございます。

○古城座長 ありがとうございました。

矢野委員、もう一回ですね。

○矢野委員 古賀委員と井手委員のお話を聞いて、2ページの理由のところです。1ページの結論のところで「ただし」以降に「検証を実施されたい」という非常に強い要望があって、この間の議論で私自身がすごい気になっていたのは、4ページにある持続可能な経営環境のための取組の最初の丸の部分です。

予測されそうなことは、短距離輸送による収入の減少とか、長距離利用者の減少等の影響の可能性もあるわけで、そのことでの経営圧迫ということが、ひいては労働環境の悪化につながるということも懸念されるわけですから、このこと自体が検証をしっかりしてほしいという理由の一つにはなるのではないかと思いますので、むしろ最後の留意事項に入れるよりも、これは理由の中に入れていったほうがいいのではないかなと思います。

井手委員のほうから言われました、先ほどの大手で寡占化されていたり、サービス競争がないという状況についても、留意事項の持続可能の2つ目の丸のところにそういったことも少しつけ加えて、そういった状況が分かるようになればいいなと思います。

以上です。

○古城座長 タクシー業界の経営環境が悪化すると労働者の待遇が悪くなる、経営環境がよくなると労働者の待遇がよくなると、よく言うのですけれども、私は、それはつながっていないと思います。労働者の待遇というのは需給関係で決まるわけですから、タクシー業界が非常にもうかっていても、賃金を上げなくても運転手さんがちゃんと来る状態だったら、それ以上、賃金を上げません。それから、経営が悪化したからと賃金を下げますと、運転手さんは応募してこないから下げられません。だから、それはつながっていなくて、基本的にはタクシー運転手の需給で決まってくるということだと思います。

あと、タクシー業界というのは需要が減って供給過剰ですから、はっきり言って、こんなに需要が減っているのだから、タクシーはこんなに供給が要らないわけです。だから、構造不況業種になっているわけです。そうすると、十分な利益は上がらないし、運転手さんはそんなに要らないわけですから、賃金も下がってくるというのは構造的な問題で、運賃を上げたら、不況業種で供給過剰なところは、普通の産業だとすごく値下げして需要を確保しようとするわけでしょう。一方で、人員削減とか設備廃棄をして供給量を減らす。需要を増やすと同時に供給量を減らすというので、均衡するように持っていこうとしているわけですね。

ただ、タクシーの場合、そうじゃなくて、供給過剰だから収入がない。不況だったら、普通は料金を下げて、それから設備廃棄とかしなきゃいけないけれども、それをせずに料金を上げるわけですから、ますます需要が減りますね。それから、料金を上げて収入をとりあえず確保するのですから、設備を減らす気もなくなって、均衡を回復することはできないですよ。ですから、これは多分、今回、値下げして収入を確保したようですけれども、構造的な問題が効いてきますから、全体として供給過剰とか実車率が十分確保できないから、赤字は直りませんよ。

それは、料金規制と関係ないことだと思いますね。料金を高目に維持したり、もうかるように維持したからといって、それは直らないと思います。今の料金だったら、需要が十分確保できなくて、また赤字になるということじゃないでしょうか。

古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 古城座長のおっしゃるとおりだと思うのですけれども、タクシー業界が構造的に不況にならざるを得ないような、今までの経緯は確かにあると思うのですが、一方で公共交通機関として、社会的な弱者、これから高齢者とか病気の方とか、そういう方が利用しやすい環境をつくるのも大事ですし、第1回のヒアリングのときに、タクシー協会の方たちもいろいろな新しい取り組みについて努力されるということと、国交省でもそれをフォローするというお答えをいただいていますので、そこのところは、確かに今のいろいろな実車率とかを考えた場合には、悲観的な見方もあると思うのですけれども、従業員の資質向上とか待遇改善というのはすごく重要なことだと思います。

それから、脇道ですけれども、この間、陶山委員が質問されたことについて、今日の参考資料1の3ページですか。実は、歩合制とか固定給とか、いろいろなやり方をされている中で、1つ労働者負担制度というものがあって、私は、これは非常に問題だと思うのですね。この無線の使用料やクレジット手数料とか、有料道路の帰りに運転手さんが自分で高速料を払わなきゃいけないというのをドライバーの人たちが負担しているのですけれども、これはむしろ事業者側の経費として見るべきものであって、これを労働者が負担しているのは、実質的に賃金を下げていることになると思いますので、こういうことについても、派生かもしれないですけれども、1つ、この意見書の中に入れていただきたいなと思います。

サービス利便性向上の、4ページの一番最後の「駅前等でのタクシーの」の次に「乗務員の資質向上、待遇改善、負担軽減」ということを1つ入れていただけたらと思っております。

○古城座長 あと、いかがでしょうか。

陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 今、古城座長がおっしゃったように、構造的に成り立たない業種であるということは、このままのサービスであればということだろうと思うのですけれども、アンケート調査にも出ていましたけれども、自由記入のところに、様々なサービスが利用者側からは要望が上がっています。そういった中で、タクシー業界としても、新しい商品なり新しいサービスを積極的に細かく作っていくということをやらなければ、座長がおっしゃったようなことに行かざるを得ないということだろうと思います。

私も古賀委員と同じように、そこは労働環境もしっかり見ながらでなければ、当然、最低賃金という法的なものをしっかりチェックしていきつつ、何らかの指導なり後押しというものをしない限り、タクシー業界はこういうものだという、働く人もそういういわゆる固定観念の中で改革が難しいのではないかと思います。

一旦、規制緩和した後、非常に供給過剰になって、またタクシー特措法のところで構造が少し変わってきたように見受けられますが、これはちょっと厚生労働省の資料を私がワード検索したものですから、どの会議に出ていた資料か、ちょっと分からないのですが、平成11年、12年のあたりから平成18年までの最低賃金の違反率の推移というグラフが出ていました。一般の全産業では、最低賃金の違反率はこの間、1.89が、多くとも2%を超える程度なのですが、タクシー業界は、ピークで平成18年に17.7%。これが最低賃金の違反率。

その後、平成21年にタクシー特措法が決まって動いていますので、その後改善されているかもしれませんが、こういったチェックをしていって、労働環境がどうなのかということを行政としても把握し、フォローしていく必要があるだろう。そこが改善できなければ、利用者にとってのいろいろなサービス等も、サービス産業として充実していくのはなかなか難しいと思いますので、そこは構造的にもっと変化していく、イノベーションしていくという段階ではないかなと思います。

今回は、組替えに関しての意見なので、そこまで書くのかという御意見もあろうかと思いますが、前回も松村委員がおっしゃいましたけれども、せっかく意見を言う機会があるということであれば、今回の組替えと、その背後にあるいろいろな問題点やこれからの課題についても言及してはいかがかなと思います。

○古城座長 あと、いかがでしょうか。

古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 もし要望等も入れられるということであれば、私、前回も申し上げましたけれども、運賃の予測可能性というものが非常に重要なところだと思っていますので、留意事項のところに、今回、組替えによって運賃の予測可能性がどうなるかということについて説明せよということですけれども、全体的にタクシーに乗車した場合に、どこに行くには幾らぐらいですという、事前にそういう概算というか、説明が受けられるようなことも取り組みを促進するべきであると入れてほしいというのと。

先ほど井手委員がおっしゃられましたように、私も先ほどの評価というより、理解するとか、事後検証すべきだという結論にすることということに賛成いたします。

それから、「しかるべき時期に」とあるのですが、これも制度実施後3年内にとか、そういうふうにもう少し具体的に示したほうが、何となくやる気が出るというか、いいのではないかなと思いましたので、御検討いただければと思います。

○古城座長 あと、いかがでしょうか。

皆さん、おっしゃったように、運賃組替えについての意見と、それから組替えについて容認するのだったら、そのための条件というのが2番目にあって、3番目に、それとは関係ないけれども、一般的にタクシー事業についてのリクエストという格好で、3番目も入れるということでよろしいかと思います。

私、4ページの持続可能な経営環境のための取組の上のほう、ちょっと不安があります。タクシー事業者の経営状態をよくしたい。それから、運転手の労働条件を改善するためには、値上げが必要とか、収支均衡が必要だという前提に立っているという印象を与えるのは、ちょっと賛成できないのです。繰り返しですけれども、需要が減ってきて、供給過剰なのですから、赤字にならざるを得ないのですね。全部の事業者が収支均衡しなきゃいけないというのは、およそ不可能です。全部の事業者が収支均衡したら、コストも削減できないわけですから、料金を下げないとますます需要が減ってしまうわけですね。だから、本当は、需要を拡大するために料金を下げる。そして、需要を増やす。

一方で、一部の優良事業者は何とかサービス提供できる。できないところは、赤字になってやめていってもらう。それで供給が削減されて、需要と供給が均衡して、かつ適正な運賃レベルというのが確保されていくということだと思うのですね。だから、料金をちゃんと収支均衡できるようにしてあげることによって、サービスレベルを確保したり、労働条件が改善できるというのは全くの幻想で、それはあり得ないことで、できなかったら、また値上げしましょうかという話になるのですけれども、それは全く難しいです。

はい。

○古賀委員 そこについては、山内委員が前回、コメントを出されていらっしゃったと思うのです。今回の組替えが業界全体にとって収益中立であることと、組替えで適切なタクシー収入の労働分配が崩れるようなことがあってはならないということをおっしゃっていますけれども、そういう意味で、これは総括原価と言っても、非常にイレギュラーな算定をされていらっしゃるわけですけれども、その辺の難しさをうまく要望として、業界全体にとってのタクシーの運賃収入を上げることと、労働環境を切り崩さないことと、そうした利益については、公正に見やすく、受益者にとって望ましい方向への改善努力を望むということを入れていただけたらなと思いました。

○古城座長 あと、いかがでしょうか。

矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 今のところに関連してですけれども、事業者側にとって、タクシー運賃がこれ以上上昇するというのは、ほとんど想定されないのではないか。一部で引き下げを行ったりと、更に利用しやすい価格で対応しようとしている事業者もあるわけですから、そういった中で、もっと自由化が進んでもいい業界ではあるかなとは思っています。そのことと、働く人の環境とか賃金とか、様々なものが収入との関係で悪化してはいけないわけで、労働環境自体は非常に尊重されなければ。

○古城座長 それは直接規制しなきゃいけない。

○矢野委員 ここのつなげ方が、必ずしも収入が悪くなったら労働環境が悪くなるということではなくて。でも、収入が悪くなれば、その可能性はあるわけで、つなげ方と、本来、きちんと主張したいところ、労働者として守るべきところと、それから、経営状況自体は安定することが必要なわけですから、そのことをうまく表現できないかなと思っていますので、必ずしも値上げを容認しているわけではない。

○古城座長 全てのタクシー会社が黒字で、労働者に十分な賃金を払えるということは難しいと思います。構造不況業種だから、普通の産業だと赤字になって、人員整理して、設備を排除して、安売りで何とか売り上げを伸ばす、両方やるわけですね。だから、タクシーでも、一部のタクシー会社は十分な賃金が払えなくて労働者が泣くかというと、そうでもなくて、運転手が集まらなくて、事業が続けられなくなるということはあるのではないでしょうか。それで黒字の会社が残って、赤字の会社はやめていくということで供給力の削減というのが進んでいくのだと思うのですね。

そうじゃなくて、全部のタクシー会社が利益を上げるような経営環境を確保するというのは、これは無理な話だし、そんなことをやったら、いつまでたっても構造不況の状態が続くということだと思いますね。

はい。

○陶山委員 多分、いろいろな労働環境を行政がきちんと法にのっとってチェックしていくということが、市場から退出すべき事業者が退出することの後押しになっていくのだろうと思います。その中で、経営努力と新しい発想でもって、消費者のニーズにしっかり応えていける、新しいサービス産業としてのタクシー業界が新しく再生していくことを期待したいと思います。

○古城座長 あと、いかがでしょうか。ほかに御意見ございませんか。よろしいですか。

それでは、まとめ方ですけれども、今日、いろいろ意見がございましたので、事務局で一度整理した上で、再度、専門調査会で御議論いただくというまとめ方と、もう一つは、この原案をたたき台として、大体承認していただいたので、修正の仕方については私に一存してもらうというやり方とがあるのですけれども、どちらのほうがよろしいでしょうか。古賀委員、井手委員は、どちらかというと厳し目の意見だったと思うのですね。

○古賀委員 よろしいですか。この課題と留意事項と持続可能な経営環境のための取組というところが、おっしゃりたいことは分かるのですけれども、何となくここのところが、改善すべき点としての課題であるなら、課題1つで全部まとめてしまったほうがいいし、課題の中に結論を出した理由が混ざっていると、最初に申し上げたところがありますので、結論と理由と課題と、3つの柱で整理していただけたらなと思います。

○古城座長 はい。

井手委員はどうですか。もうちょっときちんと書き直せという感じですか。

○井手座長代理 時間が許せば書き直していただきたい。例えば2ページ目の結論に至る理由で、私は冒頭で、理解はするけれども、別に評価しているわけではないですけれども、1番目の丸の理由のところ、国交省の説明は無理やり説明しているだけの話で、試算自体も簡便なものであるというので、本当にそれで収入が償えるかどうかも分からないわけで、昔から国交省が言っていたことは、人口高齢化とか外国人の観光客が増えたらタクシー需要が増えるというのは、国交省自体が疑問を持っているわけですね。みんながタクシーに乗るわけじゃない。バスに乗るかもしれない。

これは、今の再規制の前に自動車局長の通達で、新たな需要を見込める場合には増車を認めるとなっているときに、ほとんどの場合は新たな需要が何なのかというときに、国交省は、外国人や観光客がたくさん増えるから、タクシーが増える。それは理由にならないと言ってきたわけですね。そういう意味で今回、こういうふうに書かれると、タクシーの短距離の需要が本当に増えるのかというと、私は作文に過ぎないと思う。本当は、事後的にきちんと検証しないと。そして、もし検証した上で収入が増えるのであれば料金値下げをするとか、そういうことも私は必要だろうと思う。

更に言わせてもらえば、タクシーのLPの燃料というのは、LP価格が下がっているときに初乗り運賃等も全然手をつけていないわけで、電気とかガスだと燃料費調整条項で下がったり上がったりしていますけれども、その下がっている期間にもうかっている。だから、先ほど言ったように労働者に全部負担を強いている。これが、多分タクシー業界の構造だと思うので、私は否定的に、こういうことをやっても労働者の労働環境というか、給与は決して上がらない。古城座長が言われるように、タクシー業界全体に根深い問題がいろいろあるので、一概に私自身は認めるというのは積極的には賛成ではない。

○古城座長 あと、矢野委員、それから陶山委員。矢野委員から御意見を伺います。

○矢野委員 論議をしていけばしていくほど、本来、構造的な問題が非常に大きいと思いますので、そのことと、私自身は、今回はやってみる一つの案ではあると思いますが、これが積極的に本当に言われている目的を達成するとか、そこはかなり疑問を持っています。その前に、先ほど言ったような経営的な厳しい状況に陥るので、そのことがとても心配です。だからこそ、事後検証をしっかりやっていくことが必要。ですから、理由のところに、国交省の説明によればという、言い方をかえたら、こういう説明を受けたよということでひとまず言っているのかなと私は受けとめたので、その範囲かなと思いました。

2つ目の丸のところで、そういう意味では、今、抱えている長い間の慣行に基づく運賃体系が、合理的な運賃体系ではないとか、一方で国際的に見ても標準的じゃない。だから、ただしていくための基本的に推進すべき取り組みというところまで評価していいかどうかというのは、そこまで言わなくてもいいのではないかと思います。

ですから、心配することのほうが大きい部分を課題なり、留意事項できちんと捉えて、そこを積極的に今後対応してもらうことのほうが大切で、自由化を私はもっと進めるべきだと思いますし、もう一度委員会で最後に論議して決めていきたいなと思います。

○古城座長 陶山委員、いかがでしょうか。

○陶山委員 構造的な問題というのは、私たちもこの委員会として意見は持つと思います。それはそれとして、新しいタクシーのあり方検討会等でも検討されているので、いろいろなところで検討したらいいと思うのですが、余り拡大した議論というのは収拾できなくなる可能性もあるので、今回の運賃の組替えについてどうなのかということについて、一旦はまとめたほうがいいとは思います。ただ、私も自らが発言していますように、その背景にはこのようなことがありということで、意見は添えるべきだと思います。

結論のところも、冒頭発言させていただきましたように、評価をするということなのですが、山内委員も、負担力のある利用者に一定の負担をしてもらいつつ、潜在的な利用者が多くかつ価格弾力性が大きいと考える距離帯の運賃を安くするというのは、合理的な運賃改定であるとコメントされていますが、私としては、22%の負担が大きくなる層について、全く何も言及しないというのはいかがなものかなと思っておりますので、もう一度、ここの評価のところから書き直していただければと思います。よって、もう一度集まる。

○古城座長 分かりました。

それでは、今の御意見を伺っていますと、もう一度整理して、もう少し仕上がりのよいものを専門調査会に提出して、それで議論をまとめていく方向でやりたいと思います。

本日、参加者が少ないのと、2ラウンドぐらい回ったので、皆さんの御意見も大体出尽くしたと思いますので、本日はこの辺でまとめさせていただければと思いますが。

どうぞ、古賀委員。

○古賀委員 1つだけ。

2ページの課題の2つ目の丸の後半、「その上で」の後ですけれども、「運賃組替えという形式の手続き自体についても見直しの検討を行い、必要に応じ、総括原価方式の考え方に基づき原価の精査を行う手続きへの一本化を図るべきである」という、非常に重要なことが課題としてすっと入っているのですけれども、ここの考え方をもう少し詰めていただいたほうがいいのかなと思います。私たちとしては、自由化を進めて、料金を低減化して、サービスをよくしてほしいというのが消費者委員会としての立場だと思うのです。

公共料金であるので、業界の収支のバランスをある程度守っていかなきゃいけないというので総括原価方式がとられているわけですけれども、今回、総括原価方式に基づいたやり方で、私たちはそこまで踏み込んで、この問題を検討できていないので、そこのところをもう少し整理していただいたほうがいいのかなと思いました。

○古城座長 それについて、ちょっとあれなのですけれども、国交省の意見は、収入が増えなければ、実際上は全体として料金水準の値上げにはなっていないのだから、コストと照らし合わせなくてもいいのではないかという意見で、収入減と収入増というものが相殺し合っていればオーケーだと。そこをチェックすればよろしいという考え方をとっているのですね。だけれども、それは多分そうじゃなくて、もう一つは、うんと前の料金改定のときの原価というものがあるわけですね。それから原価が大きく変動して何年もたっている段階で、原価はすごく下がっているのに、前の原価はそのまま維持したまま収入が増えていないと言われたら、今の原価だったら収入を減らさなきゃだめじゃないかということがある場合には、これは認められないと思うのです。

だから、原価が前より減っていないということがある程度確認された場合に、収入が増えていない。これでオーケーという条件で認めるとしたいと思っているのですけれども、そこのところね。だから、国交省の組替えのとき、原価を見ないというのはちょっと甘過ぎると考えています。それは、そういう方向で臨みたいと思っているのですけれども、その辺、書き方とかをちょっと明確にしたほうがよろしいでしょうね。古賀委員のおっしゃったとおり、我々は組替え案というのを認めたのか認めないのか、それははっきりさせておく必要があると思います。

どうぞ。

○井手座長代理 前回も言ったのですけれども、料金値上げのところはあるわけで、したがって、別に全部が初乗り410円である必要はないし、最初から長距離乗るという人は、従来のままの運賃体系のタクシーに乗るという選択肢はあってもいいと思うのです。だから、そういう意味でのバラエティー化というか、多様化というものは存続すべきではないかと思います。

○古城座長 あと、いかがでしょうか。

それでは、活発な御議論いただきましたけれども、本日の議論は以上といたします。


≪3.閉会≫

○古城座長 事務局から連絡事項はございますか。

○丸山参事官 本日は熱心な御議論、どうもありがとうございました。

座長のほうでお話がございましたように、次回、本専門調査会を開催させていただくということで、事務局で準備したいと思います。

次回の会合につきましては、確定次第、御連絡をさせていただきます。

また、今後の調査会の日程につきましては、確定次第、御連絡をさせていただきます。

以上です。

(以上)