第8回 特定商取引法専門調査会 議事録

日時

2015年7月22日(水)13:30~16:35

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
後藤座長、村座長代理、阿部委員、有山委員、池本委員、沖野委員、河野委員、佐々木委員、鈴木委員、高芝委員、杤原委員、野坂委員、花井委員、増田委員、山本明委員
【オブザーバー】
消費者委員会委員 石戸谷委員長代理、橋本委員、山本隆司委員
経済産業省 伊藤消費経済企画室長
国民生活センター 丹野理事
【消費者庁】
服部審議官、山田取引対策課長、加納消費者制度課長
【事務局】
黒木事務局長、井内審議官、金児企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 訪問販売・電話勧誘販売等の勧誘に関する問題についての検討(3)
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○金児企画官 本日は皆様、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会 第8回特定商取引法専門調査会」を開催いたします。

本日は所用により、村座長代理が遅れての御出席との連絡をいただいております。

配付資料の確認をさせていただきます。

資料1は消費者庁からの提出資料です。また、これに関連して同じく消費者庁から参考資料1が提出されております。

資料2-1が山本明委員からの提出資料。

資料2-2が池本委員からの提出資料となっております。

資料の不足がございましたら事務局へお願いいたします。

それでは、ここからは後藤座長に議事進行をお願いいたします。


≪2.訪問販売・電話勧誘販売等の勧誘に関する問題についての検討(3)≫

(1)消費者庁からの説明

○後藤座長 それでは、本日の議事に入らせていただきます。

本日の会議では、第4回会議、第6回会議に引き続いて、訪問販売、電話勧誘販売等の勧誘に関する問題について検討を行いたいと思います。

第4回会議においては、消費者庁から訪問勧誘及び電話勧誘に関する現状や検討の方向性のたたき台等について御説明をいただき、委員の皆様に御議論をいただきました。そして、第6回会議においては、第4回で示されていましたヒアリングの必要性についての御指摘を受け、事業者等の方々を参考人としてお招きし、ヒアリングを実施させていただきました。

本日の会議では、まず資料1に基づいて消費者庁から御説明いただき、その後、委員の皆様に御議論を行っていただきたいと思います。

では、消費者庁からお願いいたします。

○消費者庁山田取引対策課長 それでは、資料1、横長のパワーポイントの資料に沿って御説明させていただきます。

まず第1ということで、前回の資料の補足です。これはいただいていた質問に対する御回答ということでございます。

3ページ、個人情報保護の取り組みがどうなっているかということを調べてまいりました。Do Not Knock Registry、アメリカの地方自治体の場合ということですけれども、以前御紹介した3市のうち、2市から追加的な回答をいただきまして、ここにお示ししております。

まずオハイオ州のParma市です。消費者の申請方法は、オンラインまたは書面で申請するということでございます。Parma市でDo Not Knock Registryのリストを保管するわけですけれども、こちらはファイアーウォールで保護されておりまして、DMZ premier networkという外部のネットワークと社内のネットワークの緩衝地帯を設けるというやり方で保護されたサーバーに保存しているということです。

市が取得している情報は住民の指名、住所、電話番号、開始日・終了日、認証番号でして、これらはParma市によると機微情報ではないという認識ですので、サイト証明やホスト認証まではしていないということです。これまでに情報が盗まれたり悪用されたりしたケースは存在しないということでございます。

次に、White Plains市、ニューヨークです。こちらは住民の登録も紙でやっておりますし、事業者に対するリストの交付というのもプリントアウトされた紙でやっているということでございます。収集した情報自体は保護されたネットワークで保存はしておりますけれども、アクセス権が住民、事業者ともにありませんので、情報の登用や悪用といった事態は生じていないということです。

4ページ、Do Not Call Registryの取り組みにまいります。

こちらアメリカの連邦政府のFTCがこの制度を運用しておりますけれども、FTCのホームページに個人情報保護ポリシーについて記載がございます。個人情報を保護するため、コンピューターセーフガード、モニタリング、保護ファイル、建物の警備、その他の安全対策を講じています。それから、オンラインフォームの通信ではSSL方式という方式で暗号化をされているということです。ソーシャルセキュリティナンバーなどの機微情報についてはメールではなくて、安全なオンラインフォームまたは電話で連絡してくださいということが書いてございます。

その下にまいります。リストの提供方法及び事業者によるリストの取り扱いについてです。リストを提供する事業者の特定に際しては、事業者の情報(会社名、住所、担当者の電話番号、納税者番号または社会保障番号)を提供してアカウントを作成する必要がございます。アカウントを作成した事業者に対してはリストが与えられるわけですが、こちらについては目的外使用の禁止が定められておりまして、違反した場合には罰則があるということです。

5ページ、コストはどうなっているのかということでございます。

まずマル1Do Not Knock Registry、Parma市の場合ですけれども、ウエブサイトの構築にかかった費用が5,700ドル。それから、Parma市は全米で初めてDo Not Knock Registryを入れたので、合憲性の調査のために弁護士に支払った費用が7,500ドルということです。そのほかの費用は市の職員が手づくりでやっておりますので、特別なコストはかかっておりません。

運用コストでございます。担当している職員は5名ですが、いずれも業務の一部としてやっておりまして、特別な人件費はかかっていないということです。ウエブサイトは外注しておりまして、1時間当たり62ドルかかっておりました。

次に事業者のコストでございます。事業者はリストの取得のために特別の費用を支払う必要はないのですけれども、そもそもParma市で訪問販売をするときに、これは次のWhite Plains市も同じなのですが、訪問販売のライセンスを取得するという規制がありまして、そのライセンスの取得費用として年間50ドル支払うということです。

消費者側は無料でございます。

次、White Plains市でございます。White Plains市は先ほど申し上げましたようにウエブサイトのようなものはつくっておりませんので、登録フォームやロゴのデザインは市の職員が行っておりますので、特別なコストはかかっておりません。

運用コストも市役所の職員が業務の一環としてやっているということでございます。

唯一のコストはステッカー代と郵送費用ですが、これは消費者から2.5ドル徴収いたしますので、それでカバーされているということでございます。

事業者側のコスト、こちらもライセンスの取得費用に200ドルかかるということでございます。

消費者側から2.5ドル取っておりまして、これは私どもが調べた類例の中では唯一消費者側に負担を課している例でございます。

6ページにまいります。Do Not Call Registryのコストです。

コストの全体像がわかったのは韓国とカナダですので、そちらを記載しております。

韓国はシステム構築費用に5,300万円。運営管理費は3名の人件費を含めて年間2,500万円ということでございます。事業者側のコスト、消費者側のコストはいずれも無料となっています。

次にカナダです。カナダは政府からBell Canadaに委託をしておりまして、直近の年度のランニングコストは2億5,000万円ということでございます。それ以前のコストについては表になっているものがありますけれども、上の段が資本支出、これは制度構築のためのイニシャルコストでございます。下のほうのExpensesはランニングコストでございます。一番左側、制度運用開始前のところで制度構築に549万カナダドルかかっているということで、5億円強でございます。直近の年度ではランニングコストのみということでございます。

事業者側のコストでございます。1年間カナダ全土のエリアコードを取得するためには、約140万円の費用がかかるということでございます。消費者側は無料となっております。

7ページ、アメリカ、イギリスは事業者のコストのみわかっておりますので、そちらを記載しています。アメリカは5エリアコードまで事業者は無料で入手できますけれども、そこから先は1エリアコードごとに60ドル支払うということで、年間アクセス料の最大額は1万6,482ドルでございます。

イギリスでございます。イギリスは年間の場合とアドホックの28日間の場合がそれぞれ書いておりますが、左側の一番上の欄をごらんいただければ、年間でイギリス全土のリストを取得するための費用ということで2,640ポンド、これは約50万円という計算になろうかと思います。こちらを支払うということが事業者のコストでございます。

次に、第2の検討のほうに入っていきたいと思います。

9ページ、(1)平成20年改正法の勧誘規制に関する内容を書いております。訪問販売についてはもともと3条という氏名、目的等の明示義務があったわけですけれども、これにつけ加わって平成20年の改正で3条の2の1項、2項が追加されました。1項は勧誘を受ける意思があることの確認の努力義務。2項が再勧誘の禁止でございます。

電話勧誘販売については、平成8年に電話勧誘販売というクライテリアが入った当初から3条に相当するところとして16条の氏名、目的等の明示義務。17条の再勧誘禁止、これは当初から入っています。

これらの規定の導入趣旨でございます。3条と16条の制定趣旨、氏名、目的等の明示義務ですが、これは消費者が勧誘を受けるか拒否するかを判断する最初の重要な機会でございまして、目的や氏名を偽った場合には、最初の重要な機会を奪うものだということで明示義務が置かれています。それに加えて3条の2が制定された趣旨というのがその下に書いております。勧誘開始段階において消費者被害の端緒とも言える意思に反した勧誘行為を受けてしまう状況そのものから消費者を保護するということで、3条に追加して3条の2が設けられたということです。

その下に参考ということで国会答弁を1つ載せております。通常のセールスと悪質な勧誘の線引きについての政府の見解について、平成20年に甘利大臣から答弁をしております。「今回の法律案の策定におきましては」というのは20年改正法の策定におきましては、消費者が契約を締結しないという意思を示した場合、これを無視して勧誘を行うことを悪質な勧誘と考えたものでありますという答弁がございましたので、御紹介させていただきます。

10ページ、3条の2の1項が努力義務とされた経緯を書いております。現行法で3条の2の1項は努力義務ですけれども、法改正の直前にまとめられました産構審の報告書では、勧誘を受ける意思の確認を義務とすることが提言されておりました。これが努力義務とされた理由ですが、その下の矢印に書いておりますが、3条の2の1項が努力義務とされたのは、平成20年当時において3条と3条の2の2項があれば、消費者の意思を無視するような勧誘の防止に十分であると想定されたということでございます。この点については一番下のところで同じく甘利大臣の国会答弁が載っておりますので、そちらを御紹介させていただきます。

11ページ、ではこの平成20年改正をして、その後の状況はどうかということでございます。11ページのグラフ自体は以前お示ししたものと同じでございます。こちらのグラフ自体、適用除外業種が入っていたり、権利販売に関するものも含まれておりますが、総体として訪問販売に関して言えば、平成20年の改正の後も強引というキーワードをつけられた苦情自体は減っていない。それほど増えてもないということも見られると思いますけれども、法改正後も減っていないということでございます。電話勧誘販売については、最近増えているということでございます。

12~14ページは、訪問販売、電話勧誘販売の中でPIO‐NETの苦情という中に特商法適用業種と適用除外の業種が混じっていることを御説明した表を、こちらも再掲をしてございます。訪問販売が12ページ、電話勧誘販売が13ページでございまして、ブルーが特商法、ピンクが特商法適用外の可能性があるものですが、14ページでまとめの表をつけていますが、全部足し合わせると一番多いのは特商法の適用業種が78%と54%になっているということを再掲しております。

15ページは一番上のところに(3)という記載が漏れておりますので、(3)を追記していただければと思います。検討の対象としている訪問や電話の整理ということでございます。事業者の方は、この場のヒアリングでもございましたし、それ以外の場でもお伺いしているとおり、さまざまな勧誘が行われているということですけれども、その全てを問題にしようということではございませんで、消費者の被害の端緒とも言える消費者の意思に反して行われる勧誘について、ここで議論の対象としているということでございます。

例えばですけれども、以下のような行為は消費者の意思に反して行われる勧誘ということではなかろうと思います。配達や宅配といった契約の履行行為でありますとか、ビラ・チラシ・ハガキ・商品サンプルの投函でございますとか、消費者みずからの要望、招請を受けて行う勧誘、消費者からの問い合わせに対する情報提供などは、今回の議論の対象ではないと理解しております。

16ページからが今日、これ以降、御説明することの論点の全体をマッピングしたものになっています。基本的には検討の方向性に関する委員意見を中心として、一覧の形で整理をさせていただきました。

まずIは苦情内容の分析をもっとしっかりやらなければいけないということでして、本来であれば規制強化の議論を行う前に、もう少し苦情の実態や原因を分析することが先であろうという御意見がございますので、まずそれをIとして明記させていただいています。

II~Vはその上でということですけれども、行為規制の文言自体は改正をしないという立場からの御意見でございます。

VIとVIIが行為規制の文言を改正するという立場でございます。

行為規制の文言は改正しないという前提に立って、今、あることをしっかりやりましょうというのがIIとIIIでございます。

IVは再勧誘の禁止が守られていないのであれば、そのサンクションを強化していこうという立場の見解でございます。

Vは行為規制の文言は改正しませんけれども、現在の行為規制の解釈を明確化あるいは変更することによって問題に対応していこうという考え方で、いわば解釈の明確化・変更ということでございます。

VIになりまして、今、行為規制の文言の改正ということでございます。ここではア、イ、ウとVIの中を3つに分けてございます。アについては現行の3条の2の1項、努力義務の法的義務化だけをやりましょうということで、ここで前提となっているのは接触後の拒否ということでございます。

イはそれに加えまして、接触前の拒否も認めるということでして、勧誘を受ける意思確認を法的義務化した上で接触前の拒否を認めるということで、いわゆるオプトアウトと言われているものがこちらの選択肢になります。ステッカーやレジストリなどの方法があるかと思います。

ウはより厳しい規制を課すということでオプトインでございます。原則禁止ということで、事業者ごとに招請がある場合は例外として認めるというのが(i)、(ii)が取引ごとの招請がある場合は原則禁止を解除するということでございます。

VIIは事前参入規制ということでございます。

17ページにポンチ絵を1つ用意してございます。このポンチ絵は少しわかりにくいかもしれませんけれども、大きな丸のところが現行特商法の規制ということで書いております。これは行為規制の組み合わせによってでき上がっております。自主規制の強化(II)とか、違反行為に対して執行を強化するという(III)とか、事前参入規制をするという(VII)というのは、現行の特商法の規制、行為規制の束に関して遵法性を高める。全体として遵法性を高める効果があろうかと思っております。

この丸の中の右の真ん中あたりに再勧誘禁止という箱がありますけれども、これは行為規制の中で再勧誘の禁止というところが守られていないのであれば、そこのサンクションを強めることによって行為規制を守らせようという考え方でございまして、罰則を置くとか、行政処分を課徴するとか、民事効を入れるというのがこの部分になります。

最後、この丸の外に箱がありますけれども、こちらが再勧誘の禁止対象の拡大、新たな行為規制の導入ということで、現行の3条の2の2項では押さえられていない部分として、消費者の意思に反する勧誘というものがあるとすると、再勧誘禁止で抑えられない部分については現行の特商法の規制の範囲外ですので、ここに特出しをして外に書いております。

18ページ「I 苦情内容の分析の徹底」。規制強化の議論を行う前に、苦情の実態・原因をさらに分析することが必要ということを書いております。こちらについて委員の意見について過去に出ました両方の立場の意見を記載させていただいております。

19ページ、事業者や業界団体の自主規制強化によって、法律の遵守状況を高めるという考え方でございます。こちらについては現在、業界団体などで取り組まれている例をお示ししております。

20ページ「III 執行の強化」でございます。

「(ア)執行体制の強化」。違反行為に対して迅速、適切に執行を行うことができるよう、執行体制の強化を行うという案でございます。委員意見としては、執行体制の強化が伴わないと、幾ら執行の武器を強化しても効率的な執行はできないという御意見が出ておりますので、ここのところは再勧誘の禁止が守られていないのであれば、体制を強化してでもそれを守るようにしたらいいだろうというお考えでございます。

(イ)が公示送達による処分。21ページの(ウ)が立入検査拒否等への罰則の強化でございまして、これはいずれも第5回の執行の回で御議論したことを再掲させていただいております。

その下に執行強化全体に対する共通の意見として、執行強化をしたとしても、結局、再勧誘の部分はドアを開けた後の話ですので、言った言わないの問題になると、なかなか認定が難しいという意見もございました。

22ページにまいります。IV、再勧誘の禁止が守られていないのであれば、それに対してサンクションを強めたらどうだということでございます。(ア)刑事罰、(イ)行政処分内容の加重、(ウ)民事効とございます。刑事罰については、守られていないのであれば直罰を置いたらいいのではないかというような意見も出ております。

この点の検討の参考として下に表をつけてございます。刑事罰の場合は、再勧誘という行為そのものが罰則という手段を用いてまで抑止しなければならないほどの法益侵害行為かということが、日本で法律をつくる場合には厳しく禁止をする必要があるわけでして、ほかの法令との平仄なども見る必要がございます。特定商取引では押し買い、商先法、金融商品取引法でも再勧誘禁止規定が既にありますけれども、これらについて罰則や民事効は置かれていないというのが実情でございます。行政処分に関しては、現行では特商法は原則参入自由の法律でございますので、業務停止命令は1年がマックスの行政処分となりますが、商品先物や金融商品取引のほうでは、これはそれぞれ許可、認可、登録というものがございまして、その取り消しという強い効果が行政処分として認められているところでございます。これは参入規制を入れるかどうかによって与えられる行政処分の程度にも差があるということでございます。

23ページ、次は解釈を少しいじってみるという考え方でございます。

「(ア)勧誘開始後の意思表示方法の拡大」でございます。現在、訪問販売、電話勧誘販売、それぞれ同じ条文の再勧誘禁止の規定があるわけですけれども、消費者の側から示す、契約を締結しない旨の意思の表示の方法については、異なった解釈がされております。電話勧誘販売では電話を切るなどの黙示的な意思表示も可能とされておりまして、訪問販売より広い意思表示方法が認めておりますところ、それを訪問販売についても口頭で直接断る方法のほかに、対面による黙示の意思表示も契約を締結しない旨の意思表示方法に該当すると解するということがあり得るかどうかということでございます。

また、電話勧誘販売についても電話勧誘をお断りしますという自動応答メッセージのようなものを意思表示として認めるかという論点でございます。

24ページ、こちらは解釈の変更となろうかと思います。電話勧誘販売については、平成20年の改正以前のコンメンタールでは、事業者単位での一切の取引を拒否するということまで再勧誘禁止の中で意思表示として認められていたわけですけれども、平成20年で訪問販売に再勧誘禁止が導入されたときに、訪問販売のほうでは非常に再勧誘禁止になる契約を締結しない旨の意思の表示の範囲が非常に細かくガイドラインで規定されたということがございます。一番下の訪問販売のところをごらんいだきますと、サプリメントAの勧誘をされても、サプリメントAについて断ったら、またサプリメントBの勧誘は可能ということでございます。また、商品の性質などに鑑みて、相当な期間が経過した場合には実質的にそれはまた別の商品の契約についてなんだというような解釈もとられまして、幅と期間それぞれについて電話で以前示したものと、訪問販売では解釈に少しずれがあるということでして、ここの部分を広げる余地はないかという問題提起でございます。

25ページ、VIからが法律を改正するという御提案でございます。

まず、勧誘を受ける意思の確認の義務化ということで、今の3条の2の1項を努力義務から義務に変えるということでございます。具体的なやり方としては(ア)、(イ)がございまして、まず(ア)は現行の3条の2の1項を義務化するだけということでして、事後の意思表示を前提といたしまして、事業者と消費者が接触した後に当該事業者に関して勧誘を受ける意思がない旨の意思表示を消費者からするということでございます。

26ページは(イ)でございまして、接触後の拒否のみならず、事前の意思表示も消費者側に認めてはどうかという御提案でございます。こちらについては事前の意思表示ということで、訪問販売であればお断りステッカーとレジストリのやり方、2つのやり方があろうかと思います。電話に関してはレジストリのやり方を書いております。こちらについての賛成意見、反対意見については下に記しております。

27ページは、26ページについて少し論点を補足しているものでございます。まず上段のところが対象事業者の範囲の話でございます。こちらは、まずオレンジ色の接触後の意思表示のところをごらんいただきたいのですけれども、接触後に意思表示をする場合には消費者の側が意思表示をする相手方というのは、現に訪問、電話をしている当該事業者に対して、すなわち個別事業者に対しての意思表示しかあり得ないと思っております。接触前の意思表示を認める場合には、個別事業者ごとに意思表示というやり方もあるでしょうし、業種ごとに意思表示するというやり方もあるでしょうし、販売形態別に意思表示するというやり方もあると思います。それで実際にはこの組み合わせのようなこともあり得ると思っておりまして、例えば訪問販売は全て拒否するけれども、Aという業種についてはウェルカムだとか、A社についてはウェルカムだとか、そのような意思表示も組み合わせとしては理論上はできることになろうかと思います。

業種ごとの意思表示、販売形態ごとの意思表示という、ある程度包括的な意思表示を認める場合は、この赤い矢印の下のところに書いておりますけれども、諸外国では一定の場合に適用除外を認める制度例が多いということでございます。

1つ目の例として書いているのは、Do Not Call Registryについてアメリカ、カナダ、豪州の例ですけれども、一定の期間内に取引関係があった事業者は、個別に拒絶意思表示を表示されない限りは、レジストリに乗っていても勧誘することができるという適用除外がございます。

2つ目の例は、Do Not Call Registryに登録していても、個別に書面などで承諾の意思表示を別途受けている場合。これはアンケートはがきとかイベントのときのアンケートとか、そのようなものが想定されますけれども、そのようなところでチェックボックスに承諾の意思表示を記されているものを得た場合には、レジストリに載っていても勧誘することができるという例外も広く認められているところでございます。

その下です。時間的な範囲。接触前の意思表示の場合に期限を設けない方法と、一定期限を設けるという2つのやり方があろうかと思います。接触後の意思表示の部分に関しても、当該勧誘行為にしか拒否のコールが及ばないという方法もあろうかと思いますけれども、消費者の意思表示の仕方に応じて期間が決まるというやり方もあろうかと思います。消費者の意思表示が今後一切勧誘しないでほしいという意思表示であれば、それが撤回されない限りは勧誘してはならないというような考え方もあろうかと思います。

28ページ、勧誘を受ける意思の確認義務については、他法令でも例がございます。この場合のサンクションについては、やはり罰則や民事効はございません。行政処分について参入自由の特商法の場合は1年の業務停止命令がマックス。金商法や商先法の場合は許可、認可、登録の取り消しまでできるということで、こちらも参入規制の有無によって行政処分の程度が変わっているということでございます。

29ページ(ウ)は法改正をするという立場で、しかも原則禁止にするという形でございます。消費者の側から招請や同意がある場合には例外として認められるという考え方でして、2つの例外を認めるやり方を書いてございます。

1つ目は、事業者ごとの招請や同意を認めるということでございまして、例えば特商法のメール広告のオプトイン規制の場合は、この事業者からのメール広告を受け取るということを意思表示しますと、その業者からはさまざまな商品についてのメール広告がやってくるということになります。

事業者にとってより厳しいのが、IIの契約ごとのほうでございまして、例えば訪問購入であれば古着を買い取りますということの承諾を得て消費者宅に行った場合に、ついでに貴金属はありませんかという話をし始めると、これは契約ごとの招請は得ていないということで特商法の訪問購入の場合には違反になるということでございます。

30ページに、それぞれの立場からの御意見を紹介してございます。

最後、31ページが事前参入規制でございます。訪問販売や電話勧誘販売を行おうとする者に登録を義務づけ、登録要件に一定の欠格事由を設けることで、マーケットにそもそも違法行為を行う可能性が高い悪質事業者は入ってこないようにするというものでして、こちらも一定の効果があると思いますけれども、こういうやり方もあろうかということでございます。

私からの一通りの説明は以上でございます。

(2)意見交換

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明をもとに訪問販売、電話勧誘販売等の勧誘に関する問題について議論を行いたいと思います。御意見、御質問がおありの方は御発言をお願いいたします。阿部委員、よろしくお願いいたします。

○阿部委員 全体の話で、16ページの表を見ますと、行為規制の文言は改正しないというVまでのところについて、特にその中でIIとIIIはやればいいというだけの話かなと思っています。IVの再勧誘禁止行為の効果でペナルティー、サンクションをどうするかということや、Vの再勧誘禁止の解釈の拡大による行為規制の加重について、ここをまず徹底的に議論をした上で、それで足りないということであればVIとかVIIというまさに法律の文言の書きぶりを変えなければいけないというところの議論に行けばいいかなと思います。その上でIVのサンクションの強化についてですが、これは前回申し上げたのですけれども、本当に悪質事業者を排除できるのであれば、刑事罰もあり得ると思いますし、行政処分につきましてもほかの法制との均衡という問題がありますが、議論していいかなと思っています。ただ、民事効の付与ということになりますと、非常に要件がわかりにくくなりますので、ここは考えどころかなと思っております。すぐに賛成とはできません。

Vの勧誘開始後の意思表示の拡大、(ア)でありますが、ここはいろいろ具体的に実効性のありそうなことを詰めていければいいかなと思っております。

(イ)でありますが、包括的に事業者ごとに取引を拒否できるか。これは事業の中身にもよるのでありますけれども、さまざまな事業を営んでいるものについて一切だめみたいな話をしていいのか。ここは私は疑問だと思っております。

まずはここまでであります。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ただいまの阿部委員のお考えですと、16ページですけれども、VIとVIIの問題に入る前に、もっとその前の部分について議論をすべきであるという御趣旨の御発言だったと思いますが、そのことに関する御意見、あるいはもう少し細かい部分に渡る御意見も含めて御発言をいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

○池本委員 資料2-2で論点に対する意見メモを配付させていただきました。

論点は多岐にわたるのですが、先に従前から議論されていた、そもそもこの入り口の法規制を強化する必要性があるのか、苦情内容の分析をもっとやるべきではないかという御意見がありましたので、そのことに関連してレジュメの1ページから2ページあたりのことを少し申し上げたいと思います。

まず、現在の接触を認めた上で、そこで消費者が勧誘を拒否した場合にはそれ以上勧誘してはならないという、この制度のもとでは現実問題、家庭訪問販売あるいは電話勧誘販売については苦情は減っていない。若干ふえている、あるいは電話勧誘で言うと送りつけ商法が急増して、その後またちょっと下がってというイレギュラーな問題はありますが、いずれも現在の制度では実効性は上がっていないということが言えると思いますし、それはなぜかといいますと、一旦接触をして販売業者との間のやりとりが始まってしまうと、断ったのか断っていないのか、どういう趣旨でどの範囲を断ったのかということの言った言わないの水かけ論になる。事業者さんは上手に会話を継続していきながらニーズを引き出していくというやり方で契約に至っているのではないか。特に断る力が衰えてきた高齢者にとっては、そういう場面では拒否できないということが、これは以前に配付された資料の中にもありましたが、60歳以上の相談者の占める割合が訪問販売では53.6%、電話勧誘販売では70.8%、7割を超えているという状態にあります。これは一番弱い人たちに被害が集中しているという意味で、そこに対する対応、高齢者以外の対応ということが必要不可欠ではないかと考えます。

それとは別に、消費者の意識調査などでも多くの人が不満、迷惑に感じているというデータもありますので、その点については一定の入口規制を強化していくことは避けて通れないのではないか。

ただ、それに対して私のレジュメで言うと2ページ目ですが、苦情の内容、相談件数が減っていないあるいはふえていると言うけれども、ここには2つ論点がありました。特商法の適用除外業種がたくさんあるではないか。そのあたりも検証が必要ではないかという御意見と、PIO‐NETの相談件数自体に問い合わせなども含まれていて、本当にトラブルの原因となる問題事例がどれだけあるのかという2つの指摘があったかと思います。

第1の指摘については、これも既に資料としては出ていると思うのですが、訪問販売で言うと7割以上が特商法ですし、電話勧誘販売でも5割以上が特商法の分野ですし、それ以外の分野について、この専門調査会でヒアリングをして、ここで別の法律を変えるというわけにもいきませんし、むしろ今、一番中核として問題が多い、しかも許認可制度などのない特商法分野について、まずは入口規制を見直し、それを踏まえて各分野の法律についても見直していただくことが現実的ではないか。

実は情報通信分野で言いますと、電気通信事業法が改正されて、今後様子を見なければいけないとか、分野ごとで違いもありますので、ここで全体を一律に検討して結論を出すという場面ではないのだろうと思います。

それから、私の第1回目の発言としては最後ですが、PIO‐NETの相談件数について問い合わせも含まれていて、もっと分析が必要だということ。消費者問題あるいは消費者行政にずっと取り組んでいる我々としては、PIO‐NETの相談の中身というものはある程度コンセンサスがあると思い込んでいたのですが、確かにもっと丁寧な、十分な説明なり資料で確認をしておく必要があるのかなと御発言を聞きながら感じました。

それは前回の議論でしたか、PIO‐NETで国民生活センターへ集約される中には単なる問い合わせは含まれていない。それは個別のセンターでは受付件数で記録されているけれども、PIO‐NETには集約されていない、別にあるんですと言われたのですが、例えばそれが現実にどれくらいあるのかとか、例えばそれを都内で言えばどこかの区のセンターでは受付件数が幾らで、その中で苦情相談でPIO‐NETに載せるのがどのくらいとか、あるいは東京都だと件数が多いから、分母が多いからもう少し見えるのかもしれませんが、そういうようなデータを少し紹介するなどして、この苦情相談件数と問い合わせの峻別あるいはそのPIO‐NETに載っている中でも、これも前に資料で出されましたし、今日の参考資料の中の21ページも書いてあるのですが、訪問販売の相談件数の中で販売方法が6万2,000件ある。契約・解約が6万6,000件ある。これも9万件の分母からすれば7割前後の高い数字を示しているのですが、あるいは販売方法とか契約・解約に関する問題をいずれも含んでいない相談はどのくらいあるかとか、今あるデータをさらにいろいろキーワードで分析をしていくことで、その苦情相談の実情というのはある程度概要が見えてくるのではないか。何も何万件もあるカードを一つ一つ読み解いていくという作業ではなくても、まさに立法事実としての概要を把握するということはやっておいていいのではないか。それは今日の今日でできることではないですが、キーワードでチェックしていくというのであれば、それほど時間をかけずにできるのではないか。そういう作業もやった上で、私が前半で発言したのは、イメージとしてそういうものだと思っているところもあって相談が減っていない、実効性が上がっていないという判断をしたわけですが、その前提の事実は少し調べておく必要があるのかなと思います。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

鈴木委員、よろしくお願いします。

○鈴木委員 池本委員のお話との関連ですが、2つあって、例えば60歳以上の先ほどの高齢者におこる被害の問題、そして、被害を与える非常に悪質な業者が実際にいるという事実、それと一方で毎回出るのですが、96%以上の方が訪問販売とか通信販売を受けたくないと答えているという話とを、同じ要素で、一緒くたに議論されるのが私には違和感があります。護られるべきは、高齢者であったり、詐欺的行為をされる側の弱い人たち、そこが本来守るべき、守られるべきターゲットであろうと思うし、一方で排除されるべきターゲットというのは悪質な行為をしている一部の業者であろうと思います。それは訪販業界の中にもあるし、電話勧誘業界にもある。その悪質な輩を排除することについてこそが、重要な課題であると思います。そこがターゲットであって、どちらかと言えばということも含めて訪問販売とか電話勧誘販売を嫌がっているという96%に及ぶ方たちへの対応とは次元も違うと思うのです。本当に詐欺的な要素、問題外のところが排除されるべきターゲットであり、健全にやっているところをもターゲットになり得ないわけで、そこが議論の中心にされていることについて私はとても違和感を覚えます。

先ほどの内閣府の消費者庁の16ページで言えば、そういう意味でも最後のほうの2つ、3つの段階というのはあり得ないかなという気がいたします。何となく議論が両方の切り口から進んでいるような気がして、本当に守られるべきこと、新たにやらなければいけない人たちがどこで、一方で排除すべきところはどこでというところに目的を置いた上で、それがかなうような方法論を議論していきたいなと思っております。その点から、違和感があるなというのが全体の感想であります。

もう一つだけ言わせていただくと、いろいろ池本さんのお話も全部見させていただいたのですけれども、訪販業界であろうが電話勧誘業界であろうが、新しいお客様を常に獲得拡大していくということ自体が事業の生命線であるわけです。間違いなく。これは業種によっても取り扱う商材についてもその度合いは違うと思いますけれども、かなりの新規のお客様を獲得していくことが事業の発展継続基本であることは確かです。そこに苦労があるわけで、訪問販売で言えば、皆さんが言う飛び込み勧誘は、新規のお客様を拡大していくビジネスモデルなわけです。それで仕事をしてきているという歴史も実情もあるわけです。第6回の事業者からのヒアリングのときも、例えばダスキンさんは新規のお客様の獲得の4割がいわゆる飛び込みによるものでやっている。新聞業界は2~3割と言いましたっけ。太陽光発電なんかはほとんどそうなんだと。それが実態であり、事業の根幹であるわけなのです。それがビジネスモデルであるわけです。そこ全体を否定されるようなことや、結果的にそれがとてもやりにくくなるということを前提にした話しが、ここで審議されること自体に、これもとても違和感を感じています。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

佐々木委員、よろしくお願いいたします。

○佐々木委員 まず電話勧誘に対して、これが参考資料1で見ますと10ページ目に契約金額の平均金額と既払い金額の平均金額というものがございまして、これは全体でいくと平均契約金額が490万、既払い金額は110万である。電話勧誘販売、物販においてこういう平均単価というのはほとんどあり得ないわけです。我々日本通信販売協会の平均単価というのは4,000~5,000円ですので、これは通信販売ではなくて、それ以外の金融とか、そういうものが特定のものも色出しはしてありますけれども、それを一緒くたに議論することは間違っているのではないかと思います。

もう一つ、60歳以上の相談者の割合が電話勧誘販売では非常に多いということですが、通信販売そのものは、これまでほぼ年平均7%から10%近くに伸びておりますので、そういう意味では売り上げの伸びとともに当然、相談件数もふえるのは合理的なことだと思うのです。ある程度の割合で出てくるのであれば。そういう意味では、それをもってして非常に急激に多くなっていることに対してどうのというのはおかしいのではないかと思います。

また、60歳以上の方の相談者の方が占める割合が多いということですけれども、電話勧誘というのは当然、家庭に電話をするものですから、年齢によって在宅時間の長い方の割合というのは当然あると思いますから、それが割合として多くなっているということもあり得るのではないかと思います。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

増田委員、よろしくお願いします。

○増田委員 氏名等の明示義務などについてです。ここに相談員の者は私以外に何人かおりますので同じ考えだと思いますが、相談者からの聞き取りの中で、氏名等の明示義務を果たしていたと言う相談者がどれだけいるのかというのは非常に疑問に思っております。私はどこどこ会社の何々です。あなた様にこういう商品を販売したいので説明させていただいてよろしいでしょうかということを言わなくてはいけないわけなのですが、そういうことを言って販売活動をするというのであれば、恐らく苦情にはなっていないだろうと思います。それをしていないことに加えて、接触すると断り切れないというようなところにつながっていくということからすれば、その部分を加重していろいろな手当をしたとしてもどれだけ意味があるのかなというところで、大変疑問に思っています。言ったか言わないかということが恐らく後日、水かけ論になって認定も難しいだろうと思います。

PIO‐NETの問い合わせに関しましては、明らかに苦情とは全く別で、1日の相談の中でもほとんど入らないことが多いです。数としては非常に少ないですし、苦情の中には入っていないということは明らかです。これは前から言っておりますけれども、そのようにご理解いただきたいと思います。

高齢者を中心に話が進んでおりますが、例えば新社会人になった若者に対しても、訪問販売による、いまだにふとんの契約であるとか、もちろん新聞もございますし、そういう一人で暮らすことが初めて、社会経験が少ない、断ることが苦手、経験がないというような人たちに対しての問題というのももちろんありまして、例えば新入社員研修などを頼まれますけれども、そこの部分について講座の中で伝えてほしいと依頼されたことは過去にも随分経験していますので、お伝えしたいと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ただいまの鈴木委員と佐々木委員の御発言、御意見に関して、どなたか御発言をいただけたらと思います。重要な御指摘と思いますので、その点についての御意見をまず出していただきたいと思います。

石戸谷代理、どうぞ。

○消費者委員会石戸谷委員長代理 まず特商法の適用対象が除外されている分野の問題については、これはこれまでたびたび出ていることなので、消費者委員会の活動とも関連しますので、若干その辺は私のほうから説明したいと思います。

まず数として一番多いのが電気通信事業法の関係。スマホ、携帯、インターネット等々、電気通信サービスの分野で、これも資料1でいけば14ページでありまして、これは非常に数が多い分野であることはそのとおりでありまして、これについては消費者委員会で平成24年12月に提言を出しておりまして、特商法で電気通信事業法を整備するか、あるいは適用除外を外して特商法を適用するかという形で考えていただきたいということで、総務省でわかりましたということで審議会で審議をして、電気通信事業法の改正でいくということで、これは大きく報道されましたので御承知かと思いますけれども、今の通常国会で5月15日に大幅な電気通信事業法の改正が成立いたしまして、22日に公布されております。

したがいまして、これは特商法並みの消費者保護規制といいますか、いわゆるクーリングというのは店頭の場合でも適用されますので、ある部分、特商法以上という部分もあるし、そうでない部分もありますけれども、全体として見ると特商法並みと言っていいのではないかと考えますので、ここの苦情件数というのはかなり違ってくるだろうと思います。

金額が大きいものということで、金融と不動産が挙がっているのですが、金融の部分で大きいというのはファンドの系統だと思いますけれども、ファンドの中でも適格機関投資家等特例業務というものについては確かに問題がある。もともとプロ向けであるのに対して一般の素人を勧誘できるようになっているシステムがおかしいということで、これも消費者委員会で平成26年4月に提言を出しまして、金融庁で対応を検討いたしまして、これも金融商品取引法改正ということで今の国会で法案を出しまして、5月27日に可決しておりまして、6月3日公布となっております。

内容はその名のとおりプロ向けの制度、スキームにするとうことで、一般の素人が入らないような仕組みあるいは参入規制が、一応、届出制は維持していますけれども、要件がかなり厳格になっている。行為規制、行政処分も厳格になっているということで、今の仕組み、プロ向けファンドのスキームを悪用しているような部分というのは、今の法改正でできなくなるという内容だと思います。

宅地建物取引業法については、消費者委員会の平成23年5月の建議がありまして、マンションの悪質な勧誘の問題に関する建議というものを出しておりまして、これを受けまして宅地建物取引業法施行規則を改正いたしまして、平成23年10月1日から勧誘規制強化されているわけですが、資料1でいきますと19ページのところで宅地建物取引業法というものが2010年の3,000件から2014年の861件というところまで順調に苦情件数が減ってきていると思いますので、これはそういうことで効果を発揮してきているのではないか。

いずれにしても、それぞれ所管している法律について法整備をして、どうやって消費者被害を防止していくかということで努力していただいておりまして、ほかが苦情があるからそこが改まらないうちはうちはやらないといったような話というのは出たことがありませんので、特商法においてもぜひそういう観点で検討をお願いしたい。

訪問販売、電話勧誘販売全般について規律をするのはどうかという話が出ておりましたが、そこは話が行き違っているのではないかと思います。別にその全般を云々というのではなくて、我々のほうで言っているのは勧誘を受けたくないという人に対して勧誘しない。勧誘を受けたいという人のほうが割合的には多分多いでしょうから、そこは自由にやっていただければいいわけで、勧誘を受けても構わないという人に対して勧誘するなとか、そういうことを言っているわけではないので、そこは話をよく整理した上で進めていただきたいと思います。

勧誘されたくないという人に勧誘する自由というものがあるのかというのが、今までの審議の中でも私として理解できない部分なので、もしそこについてこういう理由があるんだということなのであれば、それを御説明いただければいいのではないでしょうか。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

今、最後の部分は石戸谷代理から御質問という形で出ていると思いますが、どなたかお答えいただくとありがたいです。佐々木委員、よろしくお願いします。

○佐々木委員 まず、私もそういうアンケートが来て、例えばあなたは訪問販売を受けたいですか、電話勧誘を受けたいですかって単純に聞かれたら、私はNOと答えると思うのです。それは一般にどういうものという、何がという意識がなく、そういう一般論として聞かれたら、それはお断りしたいと思いますと言うと思うのです。その結果があの数字だと思っています。ただ、実際には我々通信販売をしている中で、例えばデパートでこの間も申し上げましたけれども、毎年買っていただいているお歳暮とかお中元とかがある場合には、そのお誘いをするというのはごく自然な商行為として、過去に買われた方にするのは自然な行為で、例えば消費者庁の資料にも参考資料1の15ページを見ていただくと、訪問販売と電話勧誘販売の下に出ていますけれども、電話勧誘販売を受けて、「一度電話を切ったにもかかわらず、再度かかってきた人も契約してよかったという方が14.3%、契約をしてよかったと思う場合のほうが多い方が22.9%、断ったが、勧誘を続けようとしたため電話を切るのに苦労した人も契約してよかった方が21%、契約してよかったと思う方が25%ということで、これは訪問販売はもっと数字的にはよくなっていますけれども、そういう意味では一般論と個別のものというのは別だと思うのです。

一般論として電話勧誘は来てほしくないとか、訪問販売が来たら困るとか思うのは、思って当然だと私は思っていますけれども、ただ、例えばいつも来ている御用聞きとか、年末のいつも例えばおせちとかは来ると思っていると思うのです。だからそれを一般論として全てがだめだと言っている人がだめなんだと言っていいのかという議論とは違うのではないかと思うのです。

○後藤座長 石戸谷代理、今のことについて何かございましたら。

○消費者委員会石戸谷委員長代理 今のところは大変大事なところだと思うのです。その辺を詰めていけば若干かみ合ってくると思うのです。つまり全部訪販について私は契約しないとか言っているのではなくて、近所で電話して宅配で持ってきてもらうとか、潜在的なニーズはかなりあると思うのです。潜在的なニーズがあるにもかかわらず、なぜ勧誘されたくないという人が九十何%もいるかというと、信頼感が確立されていないからだと思うのです。今、行われているような議論で、勧誘されたくないという人に対しても勧誘しなければならないみたいな議論をしているのだと、怖くて頼めないです。消費者のほうというのは。だからそうではなくて、お互いに事業者と消費者で勧誘というのは接する部門ですから、その接する部門で安心して取引できるルールというものが設定されれば、潜在的なニーズで安心して取引できる条件が整備されたんだなと思うと、そこで私は使ってみたいという人が多くいると思うのです。だからそういう人たちが安心して入ってこられるようなルール設定を考えていけばいいので、こういうものについては私は訪販でとる、持ってきてもらいたい、あるいはいろいろな取引ごとの類型であると思うのです。その意向に即した形で使えるようなルールをこの場で探っていけばいいのではないか。

今まで出ているのは、勧誘されたくないという人に対しても勧誘させろといったような議論で、それではかみ合わないなと思います。

○後藤座長 先ほどから手をこちらで挙げておられた方で、有山委員、よろしくお願いします。

○有山委員 先日、ヒアリングの中で高島屋クロスメディアの方と自動車販売連合会の方がいらしていました。クロスメディアの方だと思うのですが、顧客に対してソフトな勧誘をしていくために事前に勧誘をしてもいいかの。そういう販売について私たちはクレームを言うつもりは全くないのです。

一般の消費者の方が信頼しているような会社からの勧誘については、多分勧誘されてもいいという許可をとれば皆さんご承諾なさるのだろうと思うのです。通信販売協会でもカタログ通販の場合、カタログを送らないでくださいという制度がありますね。そういう方に対して強引に私どもはカタログを送りますなんていうことは通信販売協会の方はおっしゃらないと思うのです。了解を得てするものについては私たち、問題に全くしていないのです。

それから、訪問販売協会の方と私どもの協会で懇談会のようなところを持ちましても、セールスマンの方は全くの飛び込み、飛び込みは飛び込みかもしれないけれども、ある程度お客様から紹介されて感触があるようなところに販売に行くというような説明でした。勧誘でイコール契約というような強引なやり方なのかよくわかりませんが、中には強引とおっしゃる消費者の方もいると思うのです。お客様に紹介されて勧誘の了解を得て説明に行くことに対して私たちは問題にしているわけではありません。

ただ、信頼関係のない人に自宅に来られて嫌なのだから、平穏な暮らしをしたいので勧誘を受けたくないという方に対しては勧誘をしないでくださいという制度をつくりたいと思っています。先ほど参考資料の10ページの電話勧誘販売についてなのですが、これはちょっとよくわからなかったのですが、通信販売と電話勧誘販売は全く定義が違うものなので、電話勧誘販売というのは基本的に電話が一方的にかかってきて、その場で契約というような状況のものを想定している販売なのです。4,000円、5,000円というような販売では割が合わないものです。通信販売というのは私も利用しております。自分の好きなお店からの勧誘については熱心にチェックしますので、そういう意味では通信販売で事前に勧誘も含めて御案内していいですかという確認をとれば、顧客を囲い込むことにもなるので、この制度はむしろプラスになるのではないか。手間がかからなくなるのではないかという気がしているのです。

済みません、そういうことです。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

この問題は非常に重要だと思いますので、手を挙げている方が多いですが、皆さんに御発言いただきますので、少し順序を整理させていただきたいと思います。

最初にこちら側でまず手が挙がっていましたので、御発言いただいて、そして、その後、手を挙げた方々に御発言いただきますので、申しわけないですが、全員にお話いただく機会はきちんと設けますので、手を挙げた順序で扱わせていただきたいと思います。

河野委員、お願いします。

○河野委員 ありがとうございます。

今の御議論は非常に重要なところだと思っています。ここのところがしっかり共通認識ができないと、私たちは今日の議論より先に行けないと感じております。

それで私も訪問勧誘とか電話勧誘に関する規制強化、なぜ必要かと思うところをまず改めてお伝えしたいと思っています。本日の資料の15ページに示されていますが、配達、宅配のような契約履行行為ですとか、ビラ、チラシ等の投函、消費者みずからの要望、招請、問い合わせ等への対応に関しては、そもそも今回、私たちがここで検討対象としている不意打ち性のある勧誘ではないと認識しております。このことをまず押さえておくべきだと思っています。

その上で、私が自分の経験上、ぜひここで皆さんに訴えたいのは、断る力が衰えた高齢者にとっては、断り切れずに不本意な契約に陥りやすい。そのことへの対応としてぜひ行為規制を考えていただきたいと思っています。

私は一昨年まで3期9年間、民生委員を務めておりました。地域の問題にしっかりと向き合ってきました。私の担当した地域、約300軒あるのですけれども、70歳以上の高齢者のみの世帯が50軒程度。そのうちひとり暮らしの高齢者世帯は十数軒ありまして、私は職務上、定期的に安否確認のための電話かけや訪問を行っていました。ところが、電話に出てもらえなかったり、応答してもらえなかったり、非常に困ってしまいまして、一筆箋に訪問の目的を書いてポストインしたり等、大変な思いをしました。

ひとり暮らしの皆様は、一様に電話もチャイムもうっかり出るといろいろなものを勧められて断れないから困っているのよと悩みを打ち明けております。社会的課題として超高齢化対策があって、高齢化や独居等によって不意打ち勧誘や次々勧誘に対して断れない消費者が多数存在しているという事実があります。この課題解決に対して消費者安全法改正によって地域の見守り体制強化に力を入れることで、何とか未然防止で対応しようとしていますけれども、飛び込みセールスですとか無差別電話に対抗するには、私の民生委員の経験からしても余りに非力なのです。悪質な不意打ち勧誘から身を守る手段としては、現行法では消費者は不意打ち勧誘に対して玄関や電話に出て応答することを強いられます。ひとり暮らしの高齢者の不安解消やトラブル防止への実効性がない。このあたりをよくわかっていただきたいと思っています。

そこで、今回17ページにお示しいただいていますけれども、このイメージです。17ページのイメージ図は現在の問題点を端的に示しているのではないかと思っています。平成20年に勧誘規制として再勧誘禁止が入りましたが、勧誘を受ける意思があることの確認というのが努力義務とされ、意思に反した勧誘行為を受けてしまう状況そのものから、消費者を保護することが求められているにもかかわらず、このことがそもそも努力義務であるがゆえに多くの消費者被害の端緒となってしまっています。

今回提案されている論点5の再勧誘禁止対象の拡大と、論点6の新たな行為規制の導入ということに対して、明らかに消費者の意思を無視するような勧誘への対処方法として、ぜひここにいらっしゃる皆さんが知恵を合わせて、このことに対処するにはどうしたらいいか、事業者の皆さんも、私たち消費者も、専門的知識のある方も、このことに向けてしっかり知恵出しをしていただければいいなと思っております。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、沖野委員、よろしくお願いいたします。

○沖野委員 まず適用除外分野についてなのですけれども、この点につきましては池本委員、石戸谷委員の御指摘が非常に説得的であると考えておりまして、特につけ加えることはございません。

2点目でございますが、目的と手法の乖離という鈴木委員の御指摘についてです。目的が高齢者の保護、悪質業者の排除という点であることからすると、現在、検討されているもののかなりのものが過剰な規律を持ち込むものではないかという御指摘なのですけれども、私の理解するところでは、目的としてあげられましたこの2つというのは代表的な場面や問題であり、増田委員が御指摘になりましたように、必ずしも高齢者に限られない、断り切れない不本意な契約というのが、こういった契約類型、勧誘類型では出やすいという問題があるというところを捉えてのことですので、高齢者に限られるというわけではないと考えております。

また、悪質業者という点ですけれども、悪質業者の排除は非常に重要なことですが、今回とりわけ問題となりましたのは、消費者が拒絶の意思を明らかにしている、その意思を無視した勧誘行為というものであり、資料の9ページに記されているように、平成29年改正におきましてそういった消費者の意思を無視した勧誘行為は悪質な勧誘行為と考えているということでありますので、そういった悪質な勧誘行為を排除し、取引の適正化を図っていくことがその目的なのだろうと思います。

そういったことから考えますと、とりわけ生活領域への侵入行為ということからしますと、そのような勧誘態様が果たして適切なのかという観点から改めて考えていくべきことだろうと考えます。

他方でこれがビジネスモデルとしてかなりの歴史があり、それなりの有用性を持っているという点でありますけれども、新しい顧客の開拓手法として有用性があるということは、これは恐らく誰も否定しないことだろうと思います。しかしながら、現在では、過去の状況と比べましての諸種の手法というものが展開しているわけです。先ほど資料15ページの御指摘がありましたけれども、こういった手法もある中で、これらは別に拒否されているわけではないわけです。そういう中で全くの飛び込みでの新しい顧客勧誘というものがどれだけ重要性を持つかということについても、相対化する必要があると思います。

ダスキンさんの例が4割とおっしゃったというのは、チラシを配ったりとか、そのようなこともあったかと思いますが、全くの飛び込みで対面応対で4割とおっしゃったのか、少し記憶が違っておりますが、今、手元にデータがありませんので。それから、新聞協会の方からは、その点をお問い合わせしたところ、特に御回答がいただけず、必要なら追加での資料提供をとお願いしておったところではないかと承知しておりますので、データは今のところはないのかなと思っておりますが、私が欠席した回もありますので、そのときにお話があったのかもしれません。

このビジネスモデルなのですけれども、一方で従来の有用性を鑑みつつですが、他方でかなりの問題事例が出ているということも考慮する必要があります。さらにはそもそもが、訪問販売であれ、電話勧誘であれ、これ自体は生活領域に対して侵入行為なんだという面があるところを、一定のものがそれは正当な行為として認められていくのだと私は考えておりまして、そういったものとして認められるのがどこまでのものであるのかということですから、その調整の考慮の中で適切な方法や許容される範囲を確定していく。そういう問題ではないかと思っております。

この観点から、佐々木委員の御指摘は非常に重要だと思っておりまして、既に取引があるようなもの、例えばお中元とかお歳暮とかおせちの案内とか、そろそろそういう季節かと思うわけでもあります。そういったものができなくなるとすればそれは一方で問題です。五指摘は、それらのどういうものであれば適切であって、それらに対して影響がないような手法というのはどういうものなのかということを考えていくに当たっての考慮要素ということではないかと考えています。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

鈴木委員、よろしくお願いします。

○鈴木委員 幾つか私なりの意見を述べさせていただきますけれども、先ほど来、出ていますが、消費者の意思を無視したとか、拒絶の意思を無視した、あるいは悪質な不意打ち的な勧誘、この類のものは論外だと思うわけです。それを規制強化するなり、罰則強化するなり、それは当たり前だと思っています。その方法論はまた別にあると思いますけれども、その問題と健全にやってきている業者が、やり方によって影響を受けるということまで包含されていく。例えばステッカー1つとってもそうですけれども、そういう可能性があることに対してとても懸念があるということを申し上げたい。先ほどの、いろいろなやり方、新しいお客様を獲得していく手段があるというのは当たり前の話です。当然、訪問販売業界の中でもいわゆる飛び込みの勧誘という難しさは年々増していますし、もともと難しいです。だから当然、いろいろなことをやっています。

私自身、訪問販売協会の代表的な会社の代表ですので事例を申し上げますけれども、例えば年間に仮に100万人のお客様がいらっしゃるとして、40万人ぐらいの新規の客様を獲得しています。グループ会社で通販の会社を持っているのですけれども、そこはもう少し固定客比が高いのですが、でもかなりの新規客を獲得していくことが事業の存続に不可欠なのです。

その方法として、訪問販売自体の難しさがありますので、紹介だとか、ここに御指摘いただいているようないろいろな方法をとっています。ただ、そうは言っても、数%はいわゆる飛び込み新規勧誘でお客様を獲得しているという事実もあります。それはばかにならない数字です。訪販協会の中でも調査をしているのですけれども、これもさまざまなのですが、商材によってはほとんどそれでしかできないところがあるわけです。かなりのところがいわゆる飛び込み的なことで、新規のお客様を獲得しているという実態が現実にあるわけです。その中で消費者に受け入れられるよう努力をしています。
不意打ち的だとか、断られて、それを粘ってどうのこうのというものだったら明らかに悪質なのですが、声がけをさせていただくというのがビジネスモデルの重要な要素になっていますし、現実的にそれで事業を存続させているところがかなり多いということが事実としてあるということを申し上げたい。

○後藤座長 沖野委員、お願いします。

○沖野委員 今、飛び込みだけれども、不意打ちではないとおっしゃったのですが、それはどういう状況を指しておられるのでしょうか。

○鈴木委員 突然ではあっても、まず、当然そこで名前を名乗り、訪問の趣旨を述べて、お話しさせて戴けるか、を確認することから始まるわけですから、一方的とか不意打ちとかとは、少し異なると思います。それすらだめだということになってしまう場合が非常に懸念されるわけです。突然行くのですけれども、突然で申しわけないですけれども、こういう趣旨なんですよということで話をさせていただいて、その上でお会いしていただければお会いしていただく。それがいわゆる飛び込みです。

○沖野委員 不意打ちとおっしゃるのは、規制を守らない勧誘のことをおっしゃっているわけですか。

○鈴木委員 先ほど来、訪販そのものを、悪質な、拒絶の意思を無視したような不意打ちと皆さんおっしゃっていますので、そういうことではないということです。ただ、いわゆる飛び込みと言われるのは不意打ちといわれる要素もあるし、やり方次第だと思います。きちんと訪問の目的なりを言って、それで拒絶されればそれで終わりにしないといけない。今マンションなんかほとんどオートロックですから、お断りの意思表示は明確にされているのではないかと思います。その前段階、訪問行為それすらだめになるようなことが一般的になった場合は、それは事業の根幹にかかわるような話だと私は思います。

○後藤座長 今の点は非常に重要な点だと思いますので、今の点について何か御意見がある方はいらっしゃいますか。よろしいですか。

○消費者委員会石戸谷委員長代理 今の点なのですが、飛び込み全般をやめるべきだと言っているわけではなくて、そのうち登録制システムになるのか、ステッカー方式になるのかわかりませんけれども、そういうものを受けたくないという人は何割いるかわかりませんが、その人たちを除いて行うことに対しては別にやめるべきだとも何とも言っていないわけなのですが、やめるべきだと言っているところに対してなぜというところが問題だと思うのですけれども、それはどうですか。

○鈴木委員 だから意思の問題、先ほどの佐々木委員のお話と同じで、私はステッカーを今、意識してしゃべらせていただいてよろしいですか。訪問販売お断りみたいなステッカー。

○消費者委員会石戸谷委員会委員長代理 そこはこれまでも議論があって、ステッカーでは意思がはっきりしていない。ステッカーで意思がはっきりしていないのだったら登録して、登録済みですというステッカーを持ってきて張るとか、意思内容をはっきりした形であれば、それは意思としてははっきりするわけです。そこは仕組みの問題としてあるのですけれども、そういう人たちに対してもなおかつ勧誘を認めろということなのかという、そこまでなぜというのが疑問なのです。

○鈴木委員 そういう意思表示、そういう形があったとして、そういう方たちにあえて勧誘しようという話は全くしていません。そういう形の意思表示が本質的なことと外れていくのではないか、佐々木委員のおっしゃったことと同じなのですが、先ほど来、96%の人が、訪販あるいは電話勧誘は一般的に嫌だということで、それが全て意思表示されたときに、本当に実際に委員がおっしゃるような本来のお断りの意思表示となりえるのか。商材によっても違うし、企業によっても違うと思うのですけれども、そういったことが全部含まれて一般的な拒否表示になってしまうのではないか。それをすごく懸念しているのです。それは方法論がはっきりしないからだとおっしゃいますけれども、我々事業をやる側としてはとても大切な話で、それは心配します。そもそもが非常に危険だと思っていますので。

例えば今いろいろな条例の中には、御紹介されていますけれども、訪問販売お断りのステッカーがあります。我が社は遵守させています。ただ、その中でも何人もお客さんがいらっしゃいます。だから実際は現実的にはそういう方が私たちの会社とかほかの会社からはずっとヘビーなユーザーでもあったとしても、一般論としてステッカーは張るのではないかと思います。それを法制化したりすることによって明らかに今とは違った状況が生まれるのではないかと思います。影響はとても大きいのではないかと懸念します。そういうことが法令化されていく、一般化していくことに対して、これは全く納得できないです。先ほどの話ですと、本来守るべき、別にお年寄りばかりではないと思うのですが、いわゆる弱者だとかだまされる人たち、その人たちを守るということに、趣旨はそこにあると思いますし、そういうことをする不意打ちを含めた悪質な業者を排除することは第一義だと思うわけで、そこは全然違和感はないのです。そのための自主規制もすべきだし、法制があってもいいと思うのだけれども、そのために健全に、一般的にやっている方たちとか、ちゃんと自分の意思で直接会ってお断りできる人たちも含めて、何か含めてやっていくことに対して私はとても危険性とか違和感とかを感じます。それを申し上げたわけです。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、野坂委員、お待たせして申しわけありませんでした。御発言ください。

○野坂委員 まず石戸谷委員長代理に伺いたいのですが、あなたはオブザーバーでいらっしゃいますね。我々は消費者委員会から検討せよということで、専門調査会のメンバーとしていろいろな角度から自由に意見交換をしようというときに、オブザーバーである石戸谷さんが大変偉い方だと存じ上げていますけれども、まるで結論を誘導するような発言を繰り返されるというのはやや違和感を感じております。もう少し慎重に我々の議論を見守っていただければと思います。

私は大きな塊で2つ述べたいと思います。それはそもそも第1弾で今日追加資料でついてきた外国の事例、これは私の質問に対する回答でありますので、お礼を兼ねて論評させていただきたいと思います。

追加で調べていただきました。アメリカなどの状況がよくわかると思います。山田課長と一緒にアメリカに調査に行かれた放上鳩子さんが中心になってまとめられたと思うのですが、放上さんに感謝を申し上げたいと思います。

その上で幾つかコメントをしたいのですが、アメリカのDo Not Call Registry、やはり先ほど山田課長もおっしゃっていたけれども、アメリカでは氏名、住所、電話番号が機微情報でないという認識をしているというのは、「おや?」と思ったわけです。仮に日本で導入の是非を検討する場合、当然、日本の場合は高齢者中心に氏名、住所、電話番号などは機微情報の最たるもので、恐らく悪質業者が狙うとすればその情報を取ろうとするわけでありますから、アメリカがこういったものを機微情報でないという前提でつくっている制度とすると、そこは弱点があるのだろうなと思いました。

続いてコスト分析、これも大変イメージがつかめてよかったなと感謝しております。アメリカのオハイオのParma市、White Plains市ですが、Parma市については申請時に50ドル払ってライセンスですけれども、毎年50ドル払う。これはそれなりに事業者にコストがかかるなと思いました。White Plains市も同様に200ドル申請時、そして毎年200ドル。犯罪歴調査が含まれたものは3年に1度ということであれば、申請費用だけだと毎年125ドルですけれども、大変それなりのコストがかかるということがわかりました。しかもこれらは6,500住居数とか130とか数が少ないケースでありながら、これだけのコストがかかっているとなると、もし日本で導入された場合、導入を検討する場合、日本の場合は数百万とか数千万ということでしょうから、こんなコストの金額ではおさまらないのかなという推測も示唆しているデータだろうと思います。

となると、コストに見合って本当に被害が減っていくのかどうか、減ったのかどうかということが問題なわけですが、こちらの資料ではそういった情報が盗まれたり悪用されたりしたケースはないということは書いてあるけれども、実際に悪質業者の被害がどうなったかというデータは出ていないのです。また、どれぐらいの企業が登録しているかというデータもない。ここはしっかりもう少し調べたほうがいいなと。日本で是非を本当に検討するならば、アメリカを参考にするためにも、その点については費用対効果をもう少し見ないと、これが良いのか悪いのかわからない。アメリカの場合は、繰り返しになりますけれども、連邦政府あるいは州単位で導入されていない。自治体では0.1%しか導入されていない。しかも導入されているParma市とかWhite Plains市では6,500とか130しかない。要するに余り広がっていない理由として費用対効果を考えると、これは余りよろしくないのかなということをアメリカ国民が思っているのかもしれない。そういう意味ではもう少し追加で調べなければいけないと思います。

電話のほうも参考になりました。特にカナダ、イニシャルコストとランニングコストが相当かかる。また、イギリスについても事業者のコストがかかる。消費者のコストはカナダではかからないと書いてあるのだけれども、恐らく事業者はコストを商品やサービスに対して価格転嫁しています。つまり、消費者の費用はここではないと書いてあるけれども、結果的にこういったものを導入すれば行政、事業者、消費者がコストを負うのだということを海外の事例はよく示していると思います。

以上がアメリカなどの海外の分析ですが、大変参考になりました。ありがとうございます。

2つ目の塊で、いろいろと勧誘の話を先ほどから興味深く聞いていましたが、16ページで書いてある検討の方向性の一番上「I 苦情内容の分析の徹底」ができていないからこうやって最初のボタンのかけ違いがあるのだと思うのです。もう少ししっかり分析してからどういうことが足りないのか、何をすべきなのかということになってくるのだと思うのです。

先ほど来、特商法の対象と適用除外の話をされていました。石戸谷委員長代理もおっしゃっていましたけれども、消費者庁は消費者行政の司令塔であって、消費者委員会は独立委員会として大きな権力を持っているわけでありますから、先ほど電気事業法の話をされましたけれども、当然特商法の範囲はもちろんのこと、特商法の適用除外が本当にそのままでいいのかどうか、なぜそんなに苦情が多いのか、合意の中で相当数多いということが以前、資料に出ていましたけれども、合意の中でも特商法以外の適用除外が多い、あるいは苦情件数が多い、さまざまもろもろあるわけでありますから、特商法の適用除外も含めて考えるのが司令塔たる消費者庁の責任であるし、消費者委員会の役目だと思います。したがって、適用除外分を除いて考えるというのはおかしい。

17ページのポンチ絵に大きな丸が書いてあります。現行特商法上の規制と書いてありますが、あぶり出しで見れば丸の大きな後ろ側に適用除外があるわけです。適用除外の問題はあるけれども、このポンチ絵は書いていない、まやかしのポンチ絵だと思います。私は以前、商材別に実際に被害がどうなっているのか。特商法の適用業種も適用除外も含めて商材別に被害がどれぐらい出ているのか、そういうものを見ないと実際に何が問題なのか、どこに問題があるのかわからないのではないかと指摘しました。また、相談件数もふわっとした相談件数ということではなくて、相談件数の中で実際に特商法違反がどれぐらいあったのか、そして、相談件数を受けてPIO‐NET、国センと連携をしてどういう行政処分が下ったのか、そういったことが出ていないと実態の把握にはつながらない。つまり16ページのI苦情内容の分析の徹底にはならないと思うのです。

私としても自主規制の強化拡充とか執行の強化については大賛成であります。刑事罰の付加についても第4回でしたか、そのときにも賛成すると意見を言いました。行政処分の内容の加重も検討すべきだと思います。II~IVというのは合わせ技で効果が期待できるものだと思います。

V以下については、今、言ったIの分析の徹底ができない限り、本来議論できないです。先ほど来、皆さん議論していることも、分析の徹底ができていないからかみ合わないわけです。いきなりステッカーで登録を伴うオプトアウト型の規制は過剰規制です。これは業界のヒアリングであれだけ皆さん声をそろえて過剰規制反対、健全業者と一蓮托生はだめだと、先ほど鈴木委員がおっしゃった、あるいは阿部委員がおっしゃったことと同じでございますけれども、その業界ヒアリングも踏まえた上で十分に考えなければいけない。ともかく私としては16ページのIが全く不十分であるということを再認識しておりますので、ぜひほかの委員の方の御賛同をいただきたいと思います。

○後藤座長 杤原委員、よろしくお願いします。

○杤原委員 関連しての意見ですので先に申し述べさせていただきます。

消費者被害、とりわけ自主的判断ができない高齢者の被害防止等について適切な対応をとるということは、異論のないところでございます。ただ、社会人で自主的な判断ができる、後見人等が必要ない人の消費行為まで法律で担保するかどうかというのは、やや疑問のあるところであります。意思が強い弱いを国家の法律で救う救わないというのは少し違うのではないかと思っております。

一方で16ページに、検討の方向性をI~VIIで整理していただいておりますけれども、I~IIIの話とIV、Vの話と、その先のVI~VIIという、3つのステージがあると思っております。まずもってI~IIIのところは、現行法の枠内あるいは事業者の努力、消費者行政の中できちんと対応できる部分があるのではないかと考えております。ヒアリング等でもそういった御意見があったかと思います。それでも、なお足りないということであればIVないしVに行くのではないか。したがって、VI、VIIというのはそこを解決しない限り論外です。

Vのところでも、解釈の明確化あるいは変更と書いてございますけれども、法律は、権利とか行為を規制することになりますので、事業者だけでなく消費者も予見可能性が担保されなければならないと思っております。解釈の明確化ということはあり得ると思いますが、解釈をもって法規制の中身を変更するということは、予見可能性が失われる可能性が十分ありますので、ここは慎重であるべきだと考えます。主体をどこがやるのか、どういう手段でやるのか、どういう手続でやるのかということが明確にならなければ、にわかには賛同しかねる案件である思っております。いずれにしても、IV~VIIというのはまだ先の話かと思っております。

先ほど来からの議論になりますけれども、特にIのところであります。そもそも、苦情内容の分析というよりも、ここは「消費生活相談情報の分析と徹底」というのが正しい表記ではないかと思っています。14ページにかねてから表を出していただいておりますが、特商法の対象になっている訪販の件数は実はよく見ると年々減っており、足元では4万2,000件、電話勧誘は若干ふえておりますが、足元で2万8,000件ということであります。件数だけでなくて処理の中身の実態がわからないと、対応の仕方がわからないとかねてより申し上げているところでございます。

国民生活センターのホームページにPIO‐NETの解説が出ております。それによると、PIO‐NETというのは問題解決の支援(相談処理)を行っており、それは苦情の解決のための相談処理ですと言い切っておりまして、その使う目的も法執行への活用などということをきちんと書いておられます。これは国際的にも高く評価されているシステムで、信頼性の高いデータベースであり、それを活用するというように明記されております。して、その相談件数も2004年は192万件という数字だったそうでありますけれども、当然ながら消費者団体の皆さんや、行政庁の努力の賜物であると思いますが、2005年度以降減少傾向にあります。毎年90万件から100万件の相談件数ということですが、先ほど石戸谷先生が通信あるいは金融商品のことは他の省庁で法律的な手当をしていただいたという御報告をいただきましたので、恐らく相談件数はさらに減る余地があるのではないかと思います。

実は相談の中身、処理の実態がわかって、その処理を手助けしてあげないと、高齢者の方の被害ですとか、あるいはここにおられる消費者団体の皆さんも救われないのではないかと思っております。

先ほど来、鈴木委員もおっしゃられておりますけれども、本当に悪い業者について、PIO‐NETの中に、こういう業者が来て、こういう商品を売りつけられましたという業者の名前まで本来書いているのであれば、その業者を特定して取り締まりをして処罰をすればいいのではないかと思っております。ポイントは規制をすべき悪質な企業がどれだけあるのかということです。我々も全国の386万事業所全て知っているわけではありませんので、その方たちがどんな事業形態をやられているのか正直言うとわかりません。1つ、2つ、3つ、4つの事例を知っているがために、さもそれが全ての事業者、あるいは全ての消費者の声のように聞こえますけれども、我々でさえ知らないわけでありますし、弁護士の先生方におかれても1億2,000万人の国民の声を全て承知されているわけではないと思います。1つ、2つの事例をもって全てを論ずるというのは危険ではないかと思います。

なぜならば、小売業者というのはセンサスでいきますと113万社ということであります。その113万社のおおよそは健全な事業者であると思っておりまして、いくつかの悪質な事業者のために、こちらの113万社の健全な企業が一律に規制を受けるというのは、本末転倒ではないかということです。

例えば、運輸業界でもセールスドライバーという方がおられて、客から依頼された商品を届けるというのが本来の御用命ですが、行った先で自社のセールスをする、受注をとることもあります。そこが他社をよく利用されている個人のお宅であれば、そのセールスドライバーからは当然セールスをしていただきたくないわけでありますが、小売業でなくてもセールスすることが今はあるわけであります。何を申し上げたいかというと、健全な事業者と悪質な事業者、また、小売業とその他の業態との線引きができないということです。各委員から、こういった健全な事業者まで規制するつもりはないのですとおっしゃっていただいておりますけれども、実際に世の中のビジネスモデルとしては線引きができないので、悪質事業者を規制するがために健全な事業者や他の業態まで一律に網がかかってしまうということに結果的になります。そこのところを大きく懸念しているわけであります。

いずれにしても、16ページのIは苦情内容の分析ということではなくて、消費生活相談情報の分析ですとか、相談処理の実態というようにぜひお直しをいただきたいと思います。

IIで自主規制の強化・拡充というものがありまして、業界の皆様もヒアリングのときに自主規制をつくっておられますということをおっしゃられておりましたので、その自主規制、つくって間もない自主規制もあるようですので、こちらのほうの効果もよく検証していただきたいと思っております。

IIIの執行の強化でありますけれども、(ア)で執行体制強化と書かれてありますが、何も体制強化とお願いしたつもりはございません。執行の適正化をかねてよりお願いをしているわけであります。消費者団体の皆様が行政にこういう問題があるのでぜひ解決してほしい、あるいは消費者庁や、警察にお願いしたときに取り合ってもらえないというケースが多いと伺ったものですから、そこは適正化をしていただければ解決できるのではないかということです。消費者庁は、マンパワーの問題をおっしゃられましたけれども、本当にこの立法を議論するほど重要な案件、大事な問題であるのであれば、マンパワーの問題ではなく、最優先で処理していただければいいのではないでしょうか。すなわち、行政の不作為も混じっているのではないかということでありますので、ここは執行の適正化というようにぜひお直しをいただきたいと思います。

問題の所在をきちんと把握をすれば、それぞれに解決策があるはずです。一律に規制とか法規制とか参入規制といったことではなくて、消費者団体の皆さんが望んでいる解決の手段がいろいろとあるはずですので、ぜひそういう知恵を出す場にしていただければと思っております。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ただいまの野坂委員、杤原委員の御意見ですが、まず野坂委員の御意見の中で前回資料の補足についての御質問も出ておりますが、これについて消費者庁から何か補うことはございますでしょうか。

○消費者庁山田取引対策課長 わかる範囲でまた御報告、御回答したいと思います。

○後藤座長 それでは、野坂委員と杤原委員から、特に苦情内容の分析の徹底というところがまだ徹底していないという趣旨の御意見も出ておりますが、その問題等について何か御意見がありましたらよろしくお願いします。高芝委員、よろしくお願いします。

○高芝委員 現在、勧誘に関するトラブルの防止ということで検討されていますが、本日は事務局からさまざまな方法、方策を整理していただきました。その関連と、今、座長からお話をいただいた点の関連で、2点、意見を述べさせていただきたいと思います。

まずは、先ほど来、議論になっているのは、現行法としてある第3条の2第2項の再勧誘の禁止について、それを超える法規制が必要かどうかが1つのテーマになっていようかと思っています。法規制ということになれば、やはり立法事実が重要になると思います。この点についても、本日、18ページのところで苦情内容の実態、原因の分析の徹底というところでまとめていただいたところですが、第4回、それから第6回の調査会においても、委員なり参考人の方から立法事実に関するさまざまな質問や意見が出されていました。本日も出されていると思います。

立法事実は、言うまでもありませんが、法規制の当否、方法、程度を検討するための前提となるものと理解をしております。その点からしますと、いまだ必ずしも関係当事者の共通の認識が得られているというところまで至っていないのではないかと思われるところもありますので、関係当事者の共通の理解、納得が得られるように、立法事実の関係でも一層御配慮をお願いしたいと思っています。これが1点目です。

2点目は、先ほど来のお話を聞いていますと、事業者の方が言われているところは、現在、行われている訪問販売ですとか電話勧誘販売の取引の中には、特段問題なく行われている取引とか、地域で定着して行われている取引などが多数あるということをおっしゃっているのだろうと思います。そのような状況の中で、とりわけ現行の再勧誘禁止を超える内容になろうかと思いますが、全ての訪販事業者、電話勧誘事業者を対象とする一律の行為規制の当否、方法、程度を検討するという場合には、当該規制行為によって想定される取引の相手方の損害防止の効果とあわせて、同時に、当該行為規制が特段問題なく行われている取引とか、地域で定着して行われている取引などに与える影響度合いについても、可能な限り評価を行うことが求められるのではないかと思います。

御案内のとおり、特商法は法律の目的として2つを掲げています。言わずもがなかもしれませんが、取引の相手方である購入者等の利益の保護と適正かつ円滑な商品等の流通及び役務の提供、このバランスをはかるところが法目的ということで、そのバランスの秤で言えば、秤の片方のお皿に載せるもののみでなく、他方の皿に載せるものも適切に評価をして、バランスを見るというところも重要かと思いますので、お話をさせていただきました。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 今回出た意見に何点かあります。3、4点にばらけてしまいます。

まず、今、一番最後に高芝委員がおっしゃったこと、あるいは野坂委員、杤原委員から御指摘があった立法事実の検証が必要だということに関して一言申し上げます。

私も冒頭でその趣旨の発言をしたのですが、それは立法事実としてのなぜ規制が必要かということが、この間出た中身で事実関係として不十分だとは私は認識していないのです。むしろPIO‐NET、90万件の全国から寄せられる相談を消費生活相談員が引き取って記録し、そのデータを分析した結果、平成20年の改正以降で訪問販売、電話勧誘販売のトラブルが現に横ばいの状態、高止まりしてしまっているままであるという事実、それから、しかもそれが高齢者に集中しているという事実。原因を考えていけば、言った言わないの問題にそこが吸収されてしまうために、例えば行政処分をするとしてもどういう言い方でどう断ったのかということが再現困難なものはなかなか立件できない。行政処分となると現に被害が出た不実の告知とか、最後の意思表示を歪めて契約をとったという、そこにどうしても論点が行ってしまうし、そこが処分の中身としては一番重いところですから、そちらに進んでしまうので、この入り口の再勧誘の禁止規定が行政処分を重くするという選択肢があるということはわからないではないのですが、重くしても発動が困難であるというところから、断る意思を事前にもっと明確に示しておくことが必要である。そうなっていけば先ほど来、鈴木委員、佐々木委員からおっしゃったように、断る意思がステッカーのように拡散してしまうことが事業者に対して大きな影響を及ぼし過ぎるのでないかという、今度はそちらの制度設計の議論になっていくのではないかと思います。

それから、杤原委員から相談処理結果が重要ではいかという御指摘がありました。例えば契約の解除・取り消しの権利を認めるべきだという立法提案を議論するのであれば、現在の相談処理でここが解決できないのですと。平成20年のときには過量販売解除権というものが導入されましたが、あのときにはまさに次々販売をしていくものが解決できいという被害実態をかなり積み上げて、独特の法規制を導入したといういきさつがあります。今回はそこではなくて、まさにこういう問題が繰り返されている平成20年の再勧誘の禁止では実効性がないから一歩踏み込むというのは、まさにその入り口、外形の問題ですから、その後の相談処理結果ではないのではないかと考えます。

野坂委員から、適用除外分野も検討をということと、商材別も含めたもっと個別の検討が必要だという御意見がありました。適用除外分野について言えば、これは石戸谷オブザーバーからも既に御指摘があったように、電気通信事業法とか金融商品取引法、宅地建物取引業法など個別業法、まさに昨年からことし、次々と対応していて、その意味では特商法の分野だけがまだ決着がついていないわけですから、そこへ他の分野の検討をしなければ、この特商法について議論が進められないというのは本末転倒ではないかと思います。

個別の事業者、商材別にとおっしゃるのですが、特商法というのは訪問販売あるいは電話勧誘販売という取引形態に着目してくくって、それに対してどういう規律を加えるかということですから、個別の商材別の特徴というので、例えばそれに何か特別法をつくるというのであればそれは不可欠ですが、そうではないのではないかというように考えます。

それから、この間、出された訪販協会あるいは通販協会の方々からの御意見の中でも、拒絶の意思を明確に示した人に対して勧誘しようということでは決してないのだと。ただ、ステッカーだとそれが拡散してしまうことが事業に悪影響を及ぼす。あるいは入口規制をしても一律の行為規制となってしまうという言葉がそれぞれの御発言の中にございました。その点は私たちも大事なポイントだと考えて、例えばこういう議論がありました。自治会だとか町内会が一律に張ったステッカーまで規制対象となるのかとか、そうなってくると本人の意思かどうかはっきりしなくなる。そういう問題があるからだとすると、ステッカーよりはみずから登録する手続を踏む。そうするとその利用者は限られることになるのかもしれませんが、本人登録制度、拒否者の登録制度とする。あるいはさらに一歩進んで入口にステッカーを張るについて、登録をした人にステッカーを交付して、それを張ってもらうというようにすれば、事業者が一々リストへアクセスしなくても行政が登録を認証したステッカーがあって、それを見れば、そこでストップがかかるというような、例えばこれはまだそれ以上、具体的に詰め切れているのではないのですが、そういう形で断る意思がきちんと確認できるような制度設計をする。そのようにすれば、その方のところは回避して、そうでない聞いてくれる可能性の高い消費者のところを回ればいいわけですから、むしろ事業者としても効率性が上がると考えられるわけです。そのあたりの具体的な制度設計をどうつくっていくかというところが、ここから先の重要な論点ではないかと考えます。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ただいまの池本委員の御発言に対して、野坂委員、杤原委員、何かございますか。

○杤原委員 池本委員より平成20年改正に効果がなかったから、と御説明をいただいたのですけれども、私どもは効果があったのかなかったのか検証のしようがありませんので、その効果、処理がどうなっているのかということを伺っているわけであります。仮に効果がなかったというのであれば、この間に、誰も何もしなかったのかということになります。例えばこの間に、消費者庁は発生した事案に対してどういう対応をとってこられたのか、きちんと御説明をいただかないと、にわかには納得できません。

PIO‐NETの中に相談の処理をした結果が書かれているということであれば、マル1特定されている悪質な事業者に対して行政はどういう対応をとられたのか、マル2結局何もしなくて効果が出なかったのか、もしくはマル3対応したのだけれども効果が出なかったのか、そのご説明をいただきたいということであり、特にここは大事なポイントだと思っています。

○野坂委員 制度設計が重要な論点だということですけれども、そもそも論として先ほど高芝委員が指摘されたように、立法事実についての分析ができていない、あるいは我々の共通認識がない段階で制度設計論には入れません。それで入るとすれば、それこそ本末転倒だと思っております。

それから、特商法以外の適用除外ですけれども、これもいろいろな議論がありますが、既に他省庁で動きがあるものと動きがないものがあるわけです。その辺を含めてしっかり現状どうなっているか、我々専門調査会として把握することは大変重要なステップだと思っています。

なぜならば、要するにPIO‐NETの適用除外部分を含めたデータを根拠に今、規制を検討しようという動きになっているわけで、いきなりそういう論理になるのは大変飛躍であろうと私は思っているのです。ほかの方も思っていると思います。とにかく適用除外分がどうなっているのか、それを見ないといけない。今日の11ページの強引のケースで同じ資料がまた出てくるというのも大変不親切です。これまで出てきたものと同じですから。適用除外業種や権利販売に関するものも含めて強引のタグが張られている。要するに特商法の適用業種以外のものも含めたデータを根拠に過剰規制をするというような立法根拠はないのではないかと思うのです。

仮にいろいろな事実があるならば、まさにその事実をしっかりもっと示していただいて、何が足りないのか。我々の最大の目的は、高齢者とか弱い立場の方の被害を防ぐことです。ですからターゲットをどこに持っていくのか、悪いやつらはどこにいて、どういう悪いやつらを商売ができないようにこらしめるか、その手法を考えるべきであって、今、示されているデータではそういう立法事実がふわふわしたままだし、ターゲットをどこに絞るのかもわからないデータであるということでありますので、前提が欠けている。したがって、先ほど池本委員がおっしゃったような制度設計論に入るのは本末転倒で早いと思います。

○後藤座長 鈴木委員も手を挙げていらっしゃいました。よろしくお願いします。

○鈴木委員 同じようなことなのですけれども、事前の意思表示というところなのですが、これを取引形態によるもので行えば、いろいろな制度設計をしたとしても、結局これは一律規制につながるのではないかと思います。

以上です。

○後藤座長 それでは、ほかの方で手を挙げていた方、村委員、よろしくお願いします。

○村座長代理 私からは2点ほど意見を言わせていただきたいと思います。

まず1つ目なのですけれども、基本的に何が問題になっているかというところのスタンスなのですが、先ほどから悪質業者は規制を厳しくする必要があって、健全な業者に過重な規制を課すことになってはいけないという意見がたくさん出ています。それは抽象的に言うとそのとおりだと思うのですが、要は何をもって悪質と言うか、何をもって健全と言うかという定義というか、価値判断が曖昧になると議論が錯綜してくるかなという気がするのです。

例えばちょっと古いケースになりますけれども、2004年から2005年にかけて問題になった悪質住宅リフォームなんかでは、サムニングループが契約をとってお金を払わせて何も工事をしない。被害者は認知症の方で契約したことも忘れてしまうということで、最終的には詐欺罪で有罪になるという事件がありました。そういうようなものがここで共有されている悪質業者なのかという問題なのですけれども、私はそのように考えていないのです。

基本的な私の物の考え方というのは、本来、生活をする場所というのは消費者にとって非常に重要な場所になります。そこでたとえ営業の自由があるにしても、消費者が平穏な暮らしを維持したい、ここは私の暮らしの場というように思っているところを勝手にビジネスの場所にしてほしくないというニーズはあるだろうと思うのです。そういうものに対してあなたは嫌かもしれないけれども、営業の自由があるのだからビジネスさせろと言って来るということになると、それは私の感覚で言うと悪質と言わざるを得ない。売っているものがどんなに良質なものであったとしても、悪質と言わざるを得ないと思います。

特に現代社会というのは非常にライフスタイルが多様になっていますし、商品やサービスも多様化をしていますので、その人の暮らしにおけるニーズ、何がその人の暮らしにとって大事なものなのかというのは本当に多様だと思うのです。それを決めるのは消費者だと思うのです。ですからいいものをつくって売っているのだから、ともかく私はあなたが嫌と言おうが何と言おうが行きますよと。ともかく話を聞いてもらうことは我慢してやってもらわなければ困りますよという姿勢そのものが、私はいかがなものかと思うわけです。

ですから、私生活の場所でビジネスをするというビジネスモデルの中で広く受け入れられているもの、消費者も利便性を感じていて必要だと思っているものは当然あると思いますので、そういうものは全面的に禁止をしろと言うつもりはありませんが、我が家でビジネスをやってほしくないと思っておられる人は、あらかじめそういうことを明確にできて、それを排除できるような仕組みというのはあってしかるべきではないかと私は思っています。

そういう意味で言うと、資料1の15ページは大変よく整理されていると思うのですけれども、ただ、先ほどから1つのビジネスモデルとして実際にうまくいっている、消費者の方にも喜んでもらえているビジネスモデルがある。そうでないとやっていけないような業種もあるというお話でした。それらというのは非常に抽象的なお話なので、できれば具体的にはこういうものについてこういうビジネスモデルで成功している、うまく消費者にも喜んでもらえているという具体的な御紹介みたいなものが少しいただけると、もう少し資料1の15ページの一番最後、抽象的に書いている消費者みずからの要望とか招請とか、ちょっと抽象的な書き方なのですけれども、具体的にイメージ化されてどのように考えていったらいいのかということがわかるのではないかというように思っています。これが1つです。

そういう意味で言うと、高齢者の深刻な被害というのは、そういったものについての典型的な被害実例を示すものとして扱うべきであって、高齢者の問題だけではないだろうと思っているということです。

2つ目が、立法事実としてデータが足りないのではないか。PIO‐NETでは不十分ではないかとか、PIO‐NETの分析が十分ではないのではないかという御指摘がありますが、私はそうは思っていないので、その点について少しお話をさせていただきたいと思います。

まず、PIO‐NETの件数が全てであるかのように議論されているのが少し気になるのですが、被害に遭ったと思う人が100人が100人、消費生活相談窓口に相談に行って、それがPIO‐NETにデータとして残っているわけではないということをまず認識していただく必要があるだろうと思います。被害に遭った人のうちのどれぐらいの方が消費生活相談窓口、行政の相談窓口に相談に行くのかというデータを例えば国民生活センターの国民生活動向調査とか、いろいろなところでデータをとっているのですけれども、いろいろなデータを見ても相談に来る割合は余り高くないのです。平均すれば3%前後と言われています。ですからこのPIO‐NETのデータの背後には何十倍かの実は被害というものがある。だからPIO‐NETのデータというのは非常に重要な、貴重なデータなのだというように考えていただくことが、まず基本的なスタンスとして重要ではないかと思います。

この消費生活相談窓口で相談に乗っている人は、消費生活相談員という専門家ですね。ちゃんと研修も積んで、一定の知識も持って、PIO‐NETの入力のルールなんかもきちんとありますから、そういうものも踏んで全国各地で誠実にお仕事していただいている方たちが入力をしたデータであるということを尊重していただく必要があるのではないかというように思います。

そういうことからしますと、前回の特商法の改正以後どういう動きがあるかというと、おっしゃるように電話勧誘、訪問勧誘の被害というのはやや減少傾向にあるのですけれども、高齢者の被害はふえているのです。私は弁護士でもありますし、消費者行政にいろいろな形でかかわらせていただいている立場でもありますので、高齢者みずからが消費生活相談窓口に相談に来るというのは非常にレアなケースだということを承知しております。ですから高齢者の方が消費生活相談窓口につながるというのは、周りに心配してくれる人がいて、気がついて、それでつないでもらえるというようなことがあって初めて被害がわかってくるというようなことが現実としては多いです。そういうことから言うと、一般的な消費生活相談窓口の被害の表面化率から言って、高齢者の被害の表面化率は少ないのではないかと思っていただいたほうがいいのではないかと思うのです。そういう目で分析いただいているデータなどを見たときには、私は十分なデータがそこにあるというように考えて大切に扱うべきではないかという意見を持っております。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

今、何をもって悪質なのかというお話が村委員から出ていまして、生活する場所への侵入というお話がありまして、池本委員の先ほどの資料の中にも5ページに、何をもって悪質とするか・・・。

○池本委員 村委員からの発言の補足になりますので、そこだけ。

私の資料で言うと5ページ(8)マル1です。悪質業者の規制はよいけれども、健全な業者まで一律の規制をする措置となることは不当であるという意見が繰り返し出ています。実は平成20年の法改正のときにも同じ議論が出ます。そのときも私は審議にかかわっていたのですが、再勧誘の禁止を入れるときにも事業者から強い反対意見があったときに、同じ議論が出たのです。

それに対して、やはり本人の意思を無視して勧誘するということは適切でないのではないかという議論を繰り返した結果、これは国会審議の中のしかも本会議における総括質問で通常のセールスと悪質な勧誘との線引きについては政府はどうお考えなのかという質問を出され、それに対して当時の甘利担当大臣が、消費者が契約を締結しないという意思を示した場合に、これを無視して勧誘を行うことを悪質な勧誘と考えておりますというように答弁が出ているのです。問題は、それが対面における口頭での断る意思なのか、事前の断る意思か。ただ、事前のステッカーだけだと町内会で一律に張ったりしたのはどうかというように拡散してしまうところは、私たちも配慮が必要だと思うのですが、基本の考え方はここに戻って議論をする必要があるのかなと考えます。

以上です。

○後藤座長 この点については杤原委員、佐々木委員は何か御発言はありますでしょうか。

○杤原委員 高齢者被害等を防ぐというのはもともと賛同しているわけであります。問題は、顕在化しているだけでも400万人いると言われており、潜在的なものを入れれば800万人というように医師会関係者の方から聞いている認知症の方を、悪質事業者による被害からいかに防ぐかです。そこまでの数の認知症の方たちを社会の中で、隔離することはもはやできませんので、社会生活をしてもらいながら消費もしてもらいますし、人間的な生活もしてもらうという形で、社会をつくり変えていかないといけないのではないかという問題提起を医師会の先生からいただいており、我々もそうだと思って認知症セミナー等の開催に協力しております。例えば、お年を召しても、マル1消費をしたい、マル2どこに出かけるのでもないが、出張サービスで美容師に来ていただいてみだしなみをきれいにしたい、マル3外出するわけではないけれども服を買いたいなどの願望があって、出張販売などへのニーズが物すごく出てきております。こうした方々の消費ニーズも満たしながら、一方で悪質な事業者には引っかからないようにする手段を考える必要があります。

何をもって悪質かというのは非常に難しい問題です。大臣の答弁はあったにしても、個々の事業者に当てはめたときに鈴木委員の会社がそれに当てはまるのか当てはまらないのか、佐々木委員の会社が当てはまるのか当てはまらないのか、物すごく線引きが難しい問題であります。むしろ認知症の方など自主的な判断ができない方たちを守るということであれば、骨太方針に書いてありますけれども、見守りネットワーク等を構築するという意味で、マル1市民の目、マル2事業者の目、マル3行政の執行の強化等で、社会全体で守ってあげる仕組み、日常生活をしながら守ってあげる仕組みというものをつくってあげないといけないと思います。訪問販売お断りという張り紙をしておけばいいと言われますけれども、そもそも認知症の独居老人の方には紙に書いて貼るという能力がない方がおられ、張り紙でもって入ってこられないようにしておけばいいんだということは解決策ではないと思いますし、そこは知恵の出しどころなのだと思っています。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

伊藤室長、よろしくお願いします。

○経済産業省伊藤消費経済企画室長 オブザーバーの位置なので大変恐縮ですが、事実確認だけさせていただきます。

池本委員の資料の5ページ、これは当時の弊省甘利大臣の発言に触れたものですが、このときの答弁はたしか事前ということではありません。あくまで事後を念頭に置いた、このときの改正を中心に発言していることですので、誤解があってはいけませんので、議事録にそのようにお残しいただければと思います。

○後藤座長 増田委員、お願いします。

○増田委員 PIO‐NETのデータの件についてのお話がありましたので、そのデータをつくっている相談員として少しお話させていただきたいと思いました。

私の協会は2,100名おりますけれども、ほとんどが消費生活相談員でございます。ここにも相談員がおりますが、そういう者たちが日々相談が寄せられたときに丁寧に聞き取りをして、その相談の中にどういう問題があるのかということを決められたキーワードにあらわしつつ、入力しております。

先ほど村先生のほうでおっしゃっていただいたように、相談員が相談者に寄り添って聞き取ったものでつくり上げているデータでございます。しかもそれが被害の中の数%と言われるものであることを重く受けとめていただきたいと切に思います。

消費者団体あるいは相談員が何を希望しているかということが先ほどご質問にあったと思うのですけれども、現在、被害があったときの交渉のときにクーリングオフをすること1つにしても、そのやり方を助言するのに非常に時間がかかります。今、高齢者だけではなく若者もはがきを書くということが日常的ではありませんので、はがきの切手のあるところにどういうことを書くのだということまで伝えて、裏表コピーをとって特定記録郵便で出すんですよということを言うのに、1日に何回も連絡をしてお伝えをするような状況にあります。それを高齢者の方にやっていただくのは並大抵のことではないのです。しかもクーリングオフが過ぎてしまった場合、あるいはクーリングオフが使えない場合、そんなときには経緯について詳しく聞き取りをし、どういうことがあったのだからこうしてほしいということを事業者さんにお伝えして話し合いをし、少しでも被害を回復するということは、何カ月も時間がかかることがあります。それでも被害回復ができないということが多くありますので、未然防止というものが一番重要なのではいなかと考えているのが全国の相談窓口にいる者たちの気持ちでございます。ぜひ御理解いただきたいと考えております。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

高芝委員、よろしくお願いします。

○高芝委員 重複の内容になってしまったのですけれども、先ほどの池本委員から御紹介いただいた議事録のところは、結果からしますと、これに基づいて現行の再勧誘禁止の規定が設けられ、そして、コンメンタールによりますと、ステッカーは契約締結をしない旨の意思の表示に当たらないという現在の解釈になったと理解をしております。そして、現在、ここで検討をされているのは、それを超えるさらなる法規制が必要かどうか、また、その関係で、立法事実の存否等が議論になっているのだろうと理解をしていますので、重複ですが、確認的にお話をさせていただきました。

○池本委員 私も平成20年の改正が再勧誘禁止の導入をめぐっての議論のときの1つの判断基準だということで御説明したとおりで、決してずれた議論をしているつもりではありません。ただ、問題はその接触後の再勧誘禁止から一歩踏み込んでいくときに、およそ許されないという議論ではなくて、契約を締結しないという意思を示した、要するに断った人にその意思を無視して勧誘を行うということは事業活動としてそれは不適切である。それは悪質な勧誘と呼ばざるを得ないんだという基本の価値判断が平成20年のときにあった。そのあらわれとして今度、事前の拒否というものをステッカーでも何でもいいというように拡散してしまうのはどうかと確かに思いますので、本人が断る意思を明確に示す方法としてどのようなものが適切なのかということで議論をしていけば、その制度設計論の問題ではないかという趣旨で申し上げたわけです。

○後藤座長 ありがとうございました。

花井委員、よろしくお願いします。

○花井委員 少し前の質問に対してで恐縮なのですが、野坂委員から海外の事例で成功したものがあるのかという御質問があったかと思いますので、お答えさせていただきます。私のほうで第6回の参考資料の一番最後にイギリスでのTPSの効果のことを、私どもCネット東海検討委員の上杉めぐみさんからの資料として出させていただきました。そこでは、イギリスのTPSへ登録したグループと未加入のグループで電話の勧誘が減ったり、生の録音電話などがかなり減ってきたという事実が報告されています。よって、TPSへ登録することは確かに効果があるこというのは、海外で実証されていると思います。

次に、杤原委員から、事業者名がPIO‐NETに登録されているのかという御指摘があったと思うのですが、本当は消費者庁がお答えになる事かもしれないのですが、私も日頃相談を受け、PIO‐NETに毎日入力しております消費生活相談員ですのでお答えさせていただきます。相談を受ける中で、相談者が事業者名を言われれば、もちろん入力いたしますので、わかっております。事業者名は、今までも消費者庁で何度も業務停止命令などの執行という場面で利用されていますし、警察のほうにも情報が提供されていて、我々の消費生活センターでもこの人の情報を聞きたいということで警察が、相談者に事情聴取をして逮捕に至ることも現実問題としてはあります。なかなかPIO‐NETの画面を見られていないのでイメージがしにくいのだとは思いますが、そのような仕組みになっています。

それから、実際にPIO‐NETにデータを入れている者としてとても残念に思うことは、すごく誤解をされているというか、今までにも、強引というキーワードがふってあるが、本当に強引なのかとか、誇大表示となっているが、本当に誇大なのか、相談員が勝手に入れているだけなのではないかと言われることはすごくつらいです。私たちは別にうそを入れているわけではなくて、相談者からそういう思いがあることを聞いて入力しているだけなのです。

以前、PIO‐NETのデータの中に問い合わせが入っているのではないか。クーリングオフのような問い合わせがあるのではないかという御指摘があったと思うのですが、我々はクーリングオフであっても消費者が単なるクーリングオフのやり方を教えてほしいというものは、問い合わせに入れますが、何かの勧誘を受けた結果、契約をし、よく考えてやめたいと思って相談されるわけなんです。その裏に苦情があることが多く、クーリングオフであっても自己都合でやめるということはすごく少ないのが実情です。例えば、勧誘方法が強引であったりとか、聞いていたら契約はしなかったというような重要事項を、知らされていなかったために契約してしまったとか、契約の内容について詳しく説明をされていなかったなど、解決方法としては、簡単にクーリングオフで解決できる事例であっても、その裏には、色々な事が潜んでいるのです。事業者の方としては解約できたので、契約自体に問題ないと捉えられるのかもしれないのですが、我々消費生活センターの相談員としてはそここそが、勧誘の仕方こそが問題なのではないかと考えています。ですから法律の中で、よい事業者、悪い事業者というとらえ方ではなくて、消費者がイーブンな関係で契約ができるような勧誘の仕方をみんなで考えていきたいと思います。勧誘を受けたくないと思っている人に対しての勧誘は、御遠慮願いたいというのが私の主張です。

○後藤座長 ありがとうございました。

山本委員、よろしくお願いいたします。

○山本明委員 執行のことで少しお話がありましたので、処分をする際の端緒情報としては、PIO‐NETですとか都のセンターからの情報が非常に有効なわけで、その中には先ほどありましたけれども、事業者名も当然入っているので、そこから処分をしていく。それに向けて調査をしていくことになるのですけれども、処分に向けては消費者からヒアリングをして事実認定を一つ一つ、どういう違反があったかということを固めていかなければならないので、PIO‐NETの相談情報に載っている事業者全てが処分できるほど簡単ではないというところがございます。

かつ、特に高齢者になっていきますと記憶が曖昧になってくるので、聴取をしてもしっかりとしたものにつくりにくいということがあって、なかなか時間がかかる。処分まで持ってくるのに大変苦労するということが処分を執行している側としてはそういう事情があります。そういう意味で外側のところで勧誘を断っているのに入ったかどうかがわかるということになると、あらかじめ勧誘について拒否しているところに勧誘をしたということがもし違法ということで位置づけられていくとすると、処分のやり方としてはほかの一つ一つの事実認定を積み重ねていくよりも、比較的迅速に対応ができるようになるのかなと印象では思っています。

今、いろいろ議論になっている制度については、消費者庁さんの資料の中で海外の事例ですとか、国内でほかの自治体さんでステッカーを張られてやられているところの事例が載っていて、おおよそ実際に登録されていたり、ステッカーを張っているところというのは大体2割か多くて3割ぐらいという数字になっていますので、この仕組みというのは全ての訪問販売をやっている事業者さんがシャットアウトされてしまうようなところまでのものではないのかなという印象がありますので、基本は訪問販売と言うと新規顧客を開拓していく。飛び込み営業というのは当然あると思いますので、それが全くできなくなってしまうような仕組みではないのかなという印象を持っておりますので、制度のつくりの部分によるのではないかという印象は持っております。

高齢者の被害をどう食いとめていくかということで、お話もありましたけれども、資料を用意しておりますので簡単に御説明をさせていただきますと、めくっていただいて1ページ目のところは都内における高齢者の相談件数を記載しておりまして、相談件数はふえているということで、あと、高齢者の世帯のうち、被害に遭いやすい単独あるいは夫婦のみ世帯も今後どんどんふえていくということを示しております。

2ページ目を見ていただけると、今回6月に見守りネットワークの調査を都内の区市町村に対し行いまして、ここで区市だけをまとめておりますけれども、この中でわかってきたのはなかなか難しいところがあるなというところなのですが、一応ほぼ全ての区市で見守りネットワークで消費者被害に対する対応は行われているということがわかってまいりましたけれども、基本は福祉サービスを前提にしたネットワークに消費者被害防止の取り組みをしているという形になっております。

その関係で下にあります課題の中で、マル4にありますように家の外からでも発見可能な安否確認に比べて消費者被害を発見する難しさが指摘されておりまして、その下のまとめのところにありますけれども、2つ目の○で福祉サービスを受けている高齢者は日常的なつながりの中で例えば介護事業者が被害を発見していただいているというところがあろうかと思います。ただ、逆に福祉サービスを受けていない高齢者については外からの見守りでは消費者被害は見つからないので、日常的なつながりが薄いということになると、なかなかその情報を得ることが難しいということが指摘されておりまして、右のほうにまとめておりますが、大きな課題としては福祉サービスを受けている場合は何とか見守りを強化することで対応ができると思うのですけれども、そこから外れてしまう高齢者、実は福祉サービスを受けているのは都内では高齢者全体のうちの2割程度で、ほとんど多くの方は割と健康でサービスを受けずに生活をされている方がいらっしゃいますので、その方も消費者被害という意味では遭う可能性があるわけなのですけれども、そこへなかなか手が届いていないという、今後もそこが非常に難しいのだろうなと思っています。

特商法の中でそれなりの対応がされていかないと、見守りだけでは十分に高齢者の被害を防いでいくというのは限界があるかなと思っています。もちろん高齢者だけではなくて若者の問題もあったりいろいろあると思うのですが、地域だけで解決していくというのはなかなか難しいので、法的な枠組みがしっかりしたものがないと難しいのかなと感じております。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

阿部委員、よろしくお願いします。

○阿部委員 今まで見過ごしていたので改めてお聞きしたいのですが、参考資料1の21ページ、22ページにおける平成20年改正の効果の検証の中の強引というキーワードについて、上の説明文を見ると再勧誘禁止規制を設けたものの、強引な勧誘の相談件数は減少していないと言っています。ここで言っているキーワードの強引というのは再勧誘を受けたということとイコールなのか、違うのだとしたら再勧誘について何か別のデータがあるのでしょうか。

○後藤座長 山田課長、よろしくお願いします。

○消費者庁山田取引対策課長 キーワードは強引というキーワードでして、残念ながら再勧誘禁止違反というキーワードはございません。そこはほぼ同視できるだろうということで、ここでは強引を取り上げております。

○阿部委員 要は再勧誘がふえたか減ったかというデータはないわけですね。

○消費者庁山田取引対策課長 再勧誘禁止に関しては、ですので別のもので捕捉をしております。参考資料集の15ページです。訪問販売、電話勧誘販売について、アンケート調査をとりまして、過去5年間に訪問販売を受けた経験があるという人が2,000人中558人、電話勧誘販売については1,403人おりまして、そのうち再勧誘に当たると思われる勧誘を受けた消費者が訪問販売で43%、電話勧誘販売では37%ということで、ここのところで再勧誘禁止が守られていないのではないかということを、こちらの事実でお示しをしてございます。

○阿部委員 20年改正前後の比較データはないのですね。

○消費者庁山田取引対策課長 これは一時点のものですので、もちろん20年改正前はそもそも自由な行為だったわけでございますので、再勧誘禁止が入った後のデータということで直近のデータ、具体的にはことしの3月時点から過去5年間の間ということで、これは施行後5年にほぼ重なりますので、施行後5年にこのような経験を受けたのがどのぐらいかというのを示しております。

○後藤座長 丹野理事、先ほど手を挙げていましたので、済みません、次にお願いいたします。

○国民生活センター丹野理事 共通するお話ではないですけれども、よろしゅうございますか。

○後藤座長 では関連するお話を先にお願いいたします。

○野坂委員 参考資料1の15ページ、今、阿部委員が指摘された資料と関連します。これは以前も指摘しましたけれども、訪問販売が558人で赤で238人が囲ってある中でも、断ったらすぐに帰ったが342人で、むしろ消費者が断っているケースが多いわけです。電話勧誘販売も同じように522が赤く囲ってありますが、すぐに断った、またはすぐに電話を切ったが1,006で倍あるわけです。これを見るとひょっとすると再勧誘禁止の規定がある程度効果を上げている可能性があるのではないかと以前も指摘しましたけれども、このデータは角度によって見方が全く違います。しっかり分析しないと一方的な分析はできないのだと思うのです。したがって、先ほどの山田課長の分析は納得し難いと私は指摘したいと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

今のことに関連してですか。では、よろしくお願いいたします。

○沖野委員 より詳細な分析をという点はそのとおりかもしれないのですが、私は今、阿部委員の御指摘を聞いていてよくわからなかったところがありまして、21ページで強引な勧誘というもののどのくらいのものが再勧誘の禁止に反しているのかという内訳について、適切なデータがないのではないかという御指摘を受けてなのですけれども、その場合、どう考えたらいいのかということです。基本的に強引なと言われる場合には、断ったけれども、なお勧誘されるという場合と、断り切れず、なお勧誘されるという場合とがあると思うのですが、示されたデータのうちほとんどが前者の再勧誘禁止違反だとすると、再勧誘禁止の規制が十分に働いていないということになりますし、そうではなく後者も相当にあるとすると再勧誘の禁止の規制があってもそれではカバーされていない非常に強引なものが極めて多いということになり、いずれであったとしても非常に問題であることになりそうに思うのです。分析の詳細がどうあれ、問題状況を示していると思いますので、そのことを付言させていただきたいと思います。

○後藤座長 ありがとうございます。

この問題に関してほかにございますでしょうか。それでは、丹野理事、よろしくお願いします。

○国民生活センター丹野理事 先ほどのPIO‐NETの件につきまして、委員の方たちから御意見を言っていただいたので、あえて補充するまでのこともないのですが、補充をさせていただきたいと思いますので、よろしゅうございますか。

PIO‐NETというのは、増田委員、花井委員がおっしゃいましたように、全国の消費生活センターの消費生活相談員、有資格者が相談者から聞き取った情報、相談者から得られた情報を書き込む、登録をする。もちろん相談の解決のために必要な情報を書き込むことになっておりますので、そこにはさまざまな項目がございます。それを使って全国の相談員がさらに自分たちのところに相談者が来たときに、それを活用して上手に助言をする。消費生活相談は相談者が相談されたらその方に対して適切に助言をしたり、助言では適わないときに事業者との間に入ってあっせん交渉をするものですから、それに活用をするというのが1つの役割でございます。

もう一つの役割は、皆さんおっしゃっているように法執行の端緒となるもの等がございます。端緒情報を使って中央官庁と警察等が行政的な執行をなさることにも使われております。そういう意味ではさまざまな情報がございますが、そのさまざまな情報をきちんと管理をして、先ほどの杤原委員がPIO‐NETの役割を御紹介いただいて大変ありがたかったのですが、そういうものを使っております。さらに加えて申し上げれば、私どももPIO‐NETから得られた情報を使った国民の皆さんに情報提供をする注意喚起情報と言っていますが、昨年度は財産事案について30数件の情報提供をいたしましたが、そういうものにも活用させていただいているものでございます。

PIO‐NETに入れられた相談情報については国民生活センターのホームページにこんな相談がありますということで例を掲出しておりますので、そういうものもご覧いただければありがたいですし、消費生活年報等にも具体的な事例等を掲げておりますので、ご覧いただければありがたいということを申し添えたいと思います。

ちなみに先ほどの強引のお話ですが、資料の21ページにございますように強引については注書きがございます。上の◆の3つ目に書いてございますが、執拗、威圧的な言動、不退去の場合などで脅迫とまでは言えない程度の場合に付与される。これもPIO‐NETルールの中で付与の仕方が決まっております。全てのキーワードについてこういうときに付与してください、こういう場合に付与しないでくださいというルールがございます。それを全国の相談員さんがお守りになって入力していただいておりますので、その点もあわせて申し添えたいと思います。

以上でございます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ほかに何かございますでしょうか。河野委員、よろしくお願いいたします。

○河野委員 先ほどからの議論を伺っていましてとても残念だと思うのは、GDPの6割を占める一般消費の中で、消費者問題の適切な解決に向けてなかなか歩み寄りが見られないなと思うところでございます。今日事務局から16ページに論点を示していただきましたので、この論点に沿って意見を言わせていただきたいと思います。

論点1に関しましては苦情内容の分析徹底ということで、PIO‐NET情報ですとかアンケート調査等の数字に対して疑問をおっしゃっていらっしゃいますけれども、平成25年度の消費者白書の報告にも書かれていますし、現在、平成20年に続いて特商法の見直しの諮問が内閣総理大臣から行われたということで、今しっかりとこのことに向き合わなければ、行政の不作為が問われるというように論点1では考えております。

論点2に関しましては、事業者の方の自主的な努力というのは当然期待いたしますし、先ほどから自分たちはちゃんとなさっているという話がありまして、それはますますしっかりやっていただきたいと思っております。ただ、昨今、巨大企業でもコンプライアンス体制が不十分であるという大きな驚くべき事例もありましたし、こういった問題に関しますとコンプライアンス体制が十分でない事業者さんとか、業界団体に属さないアウトサイダーの方もいらっしゃると思いますので、この論点2に関しても期待はしますけれども、本質的な解決にはつながらないのではないかというように感じております。

論点3なのですけれども、この論点3は執行の強化。先ほど東京都の方からもお話がありましたが、イの公示送達とウの立入検査拒否権への罰則付与の導入には賛成いたしますし、即刻やっていただきたいのですけれども、アの執行体制の強化という視点から考えますと、先ほど申し上げたとおり、特に高齢者被害の対処ということを考えますと、顕在化しないことも多く、仮に周囲の人が気づいても勧誘時の状況を再現できないことも多々あります。あと、記憶がはっきりしていても証拠が残りにくいので、事業者の主張と一致しない場合は、このことに対する認定は非常に困難であることが多いと思いますので、法執行の強化では不意打ち性のある勧誘への根本的な対応とはならないと感じております。

論点4です。再勧誘禁止行為に関する効果の加重というところなのですけれども、これも事務局で資料を用意してくださっています。その点なのですが、そもそも再勧誘禁止違反を立証することが容易ではないために、刑事罰が効果を発揮するかどうかは甚だ疑問ですし、また、他の法律における再勧誘禁止規定の効果を拝見いたしましても、参入規制がある場合の行政処分というのは効力を発揮しますけれども、その場合でも行政罰は課されていないことを考えますと、この論点に関しましても現実的ではないと感じています。

論点5なのですが、6までなかなか行き着かないので5まで意見を申し上げます。再勧誘禁止の解釈の拡大による行為規制の加重というところなのですけれども、接触後の拒否の意思表示の方法、内容について、対面による拒否の方法として文書を示す方法を加えるという意見についてですが、不意打ち訪問を受けている場合、口頭で拒否できない消費者が要りません、結構ですなどの拒否の文書をいつも手元に準備しておいて、それを提示することというのはおよそ現実的に難しいと思っております。現実的ではないと思います。不意打ち訪問そのものが問題である消費者にとっては、訪問販売お断りという現在あちらこちらで使われている自主防衛的なステッカーを張っていることで消費者自身は明確な意思表示を行っていると思っておりますし、そのことがある意味、効力を持つということが重要だと考えております。

今日御提示いただきました1~5の論点に関しましては、今のような意見を持っております。

最後なのですけれども、新しい顧客の獲得に関して飛び込みセールスですとか、無差別の電話というのがビジネスモデルとして重要であるというお話がございました。私はそれを伺っていて、次々に勧誘しないと顧客が定着しないような状況なのかなと感じたところでございます。提供している商品等に対して消費者側が実際に満足していれば、次々に不意打ちの勧誘がなくても消費者側はそれを求めてみずから消費行動を起こすというように私は考えております。大半の消費者の意識が変化している、それから、情報通信技術の発達によって商品情報、つまり自分にとって必要な商品情報というのは非常に手に入りやすくなっております。そういった現在において、しかも経済成長の時代ではなく、成熟社会である現在において、持続可能な販売方法というものを改めて考えていただきたいなと思っております。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

そろそろ終了時間に近づいてきましたので、ここでぜひ発言したいという方。野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 本日はいろいろな立場で真摯な議論ができたと思っております。ただ、前回私が指摘した件で発言したいことがあります。それは情報漏えいの問題であります。

内部情報と思われる情報がさまざまな雑誌に出ている問題を前回指摘したところ、国センの丹野理事あるいは服部審議官から情報管理を徹底するという趣旨の発言があって、ひとまず安心したのでありますけれども、あれからおよそ1カ月たって、相変わらず雑誌にいろいろな形で情報漏えいが疑われる記事が出ています。特に国センで我々専門調査会が聞いたことがないような相談事例を固有名詞で登場して語っているケースもあった。また、官房長官宛ての極秘の文書が雑誌に出ているケースもみられた。

要するに1カ月前に丹野理事、私は丹野理事の発言を大変心強く、ありがたいなと信じたわけでありますけれども、その後も続いているわけです。どうしてこういうことが起きるのか。専門調査会で議論することは大変重要だと私は思っておりまして、なぜこういうことが続くのか、情報管理はどうなっているのか改めて丹野理事に伺いたいと思います。まさか丹野理事の指示で相談員の方が雑誌に登場して、この専門調査会の議論を牽制することはないと思うのですけれども、どういうことになっているのか。あるいは国セン側から出ているということでなければ、まさかとは思いますけれども、消費者庁あるいは消費者委員会からそういう情報が漏れているのか。こういうことだと専門調査会で我々がせっかく真面目に真摯にどうあるべきか知恵を絞ろうと、皆さん意見一致して知恵を絞ろうと議論しているのが全く水を差されるというか、大変困った事態になると思うのです。したがって、これからも情報漏えいは続くと覚悟しろということなのか、その所感を丹野理事と服部審議官に伺いたいと思います。

○後藤座長 よろしくお願いします。

○国民生活センター丹野理事 今のお話について申し上げたいと思います。

前回私が申し上げたことは全くそのとおり事実で、それについて修正の必要はないと思っております。おっしゃられていることは前回の最後のほうにお話をいただいたことだと思うのですが、PIO‐NETに登録された個社の相談件数が出ているではないかというお話だと思います。それがまず1点目だと思います。その1点目についてお答えをいたします。それから、さらに別のことも今お答えをいたします。

PIO‐NETに情報に登録された個別事業者の相談については、情報公開法がございまして、それに基づいて情報公開請求がされた場合は相談受付年月についてのみ開示をしております。ですから、これを請求された方がいわば年月を一覧でお示しするのですけれども、それを足すことによって事実上、件数ということになり得ると思っておりますが、そういうことで相談受付年月のみ開示をしているところであります。なお、情報公開法では何人も請求することができるとされておりますし、私ども国民生活センターでは、独立行政法人国民生活センターが保有する法人文書の開示請求に関する開示決定等に関する審査基準という、非常に長い名称ですが審査基準を設けておりまして、それに従って適正に開示等の決定並びに開示の実施を行っているところでございます。

そのほか、国民生活センターから個別事業者への相談件数について情報提供するケースとしては幾つかございます。1つは消費者への注意喚起として業者名、事業者名を私どもが公表する場合、それから、報道機関から行政処分を既に受けた事業者について取材を受けた場合、それから、国の行政機関等から行政執行に必要だということで照会を受けた場合などがありますが、新聞個社の相談件数について公表したり取材に回答した事実はございません。

次に今おっしゃったほうの、あれから1カ月たって云々というお話でございますが、どれを指しておっしゃっているのかが余りつまびらかではないのですが、私どもは報道各社、メディアから取材を受ける件数が、私どもの相談情報部という相談を受け持つセクションが答えているのですが、毎月110件程度の取材がございます。それも取材を受けた場合については情報提供規定に基づいて回答をしております。野坂委員がおっしゃっているものがどれを指すのかがつまびらかではないのですが、最近ありましたのは新聞の苦情相談の現状を教えてほしいという取材がございました。それで私どもから平成25年8月に新聞に係る公表を行ったこと。その公表と同時に新聞協会等に要望を行ったこと。それを受けて新聞協会様のほうでガイドラインが作成されたこと。具体的な事例につきましては公表以前と比べると長期契約案件は減少し、以前のような高額な商品も減っていることを伝えるとともに、新聞に関する相談件数、相談事例を回答しているものでございます。その際、個別の新聞社名は一切回答をしておりません。

ちなみに、その相談事例は前々回、第6回だと思いますが、私がここで発言を求めてお話を差し上げた事例と同一でございます。

以上御回答申し上げます。よろしゅうございますか。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

服部審議官、よろしくお願いいたします。

○消費者庁服部審議官 消費者庁のほうから御報告差し上げます。

前回御指摘をいただきまして、私、担当部署にお話をお伝えさせていただきました。その後、担当部署で特定の新聞社に係るPIO‐NETに登録された相談件数、抗議文の情報が所要の手続を経ずに外部への情報提供が行われていないかを確認するため、全庁的にアンケート調査を実施したと聞いております。その結果につきましては消費者庁職員による情報の流出は確認できなかったという報告を受けておりますので、御報告させていただきます。

それから、昨今のお話でございますが、この専門調査会に関連した記事が流れているということは承知しておりますが、私自身、どのような経緯でこのような記事がつくられたかについては承知しておりません。本日いただきました御発言につきましては、情報提供として担当部署にお伝えさせていただく所存でございます。

以上でございます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

○野坂委員 1点、要するに私たちの専門調査会の議論に集中させてほしいというのが私の願いでありますので、情報漏洩の場外戦はやめていただきたいということは改めて繰り返しておきます。

○後藤座長 沖野委員、よろしくお願いします。

○沖野委員 内容にかかわらない点を1点、内容にかかわる点を1点申し上げたいと思います。それらは繰り返しでない点ですので申し上げたいと思います。

野坂委員の本日最初の御発言にかかわるところでございます。オブザーバーの方からの御発言について言及がございまして、具体的には石戸谷委員の御発言に対して言及があったのですけれども、オブザーバーがどういう立場であるかを語る立場に私自身はありませんが、例えば石戸谷委員の本日の御発言ですと、消費者委員会の取り組みについて貴重な情報提供をいただいたと考えておりますし、鈴木委員とのやりとりの中で鈴木委員自身のお考えや懸念が非常に明確になりましたので、私はありがたいと思っております。その後、伊藤室長が御発言になる際に、オブザーバーなのに発言してもよいのかといったような御言及もありましたので、繰り返しですが、オブザーバーの方がどういう立場かはもちろん私が何かを申し上げる立場にございませんけれども、貴重な知見を共有させていただくことに対して萎縮効果があるのはとても残念なことに思っております。

2点目は内容にかかわることなのですけれども、本日の調査の中でいずれも非常に有益な情報を出していただいてありがたいと思っております。野坂委員からは各種のレジストリのコスト面についての御指摘がございました。コストのイメージがわかって、このくらいかかるのかという感じがしたのでございますけれども、例えばDo Not Call Registryのほうが韓国とカナダでかなり違うというのは、こんなに違うのかと思ったところでございまして、なぜこんなに違うのだろうかという疑問を素朴に持ちます。あるいは国情というか経済情勢というか、同じ制度なのだけれども、国によってコストが違うということなのか、かなり制度設計が違うのか、それともコストが出てくる要因によるのか、例えば野坂委員からは登録件数が非常に多くなるとコストはかなりかかるということではないかという御示唆がございました。韓国、カナダでかなり件数が違いますので、そういうように登録件数に応じて維持コストがかかってくるということなのか、もし可能でありましたら、より詳細がわかるようでしたら教えていただければと思うことです。

それから、消費者のコストが無料であるということから消費者がコストを負担していないというわけではないというのも、全く野坂委員の御指摘のとおりだと考えております。その観点は非常に重要ですけれども、他方でコストがかかるから導入できないということではもちろんないと考えておりまして、一定のコストを払っても安心できる社会や取引の仕組みの構築というものが重要であるということは、これは野坂委員もそういうお考えかと思うのですが、その点も重要だと考えておりますので、付言させていただきます。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございます。

山田課長、よろしくお願いします。

○消費者庁山田取引対策課長 今日の資料の6ページの韓国とカナダのコストの違いについてでございます。これは私もテクニカルな面での専門家ではないので、私の課で実際にこれを調べているシステムに詳しい者が、実際にサイトを見て受けた印象論ということで御理解をいただきたいのですが、韓国のシステムとカナダのシステムを見てみると、少しカナダのほうが重たいというか、セキュリティーにより気を使っているような状況で、韓国のほうは別にこれはセキュリティーが悪いと言うわけではないのでしょうけれども、随分軽いサクサクしたシステムになっているようでありまして、ここのところでセキュリティーにどのぐらい気を使うかというところで、かなりコストの面は差が出てくるということではなかろうかと思っております。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

それでは、よろしいでしょうか。本日は第4回、第6回の会議における議論も整理した上で、委員の皆様からさまざまな御意見を出していただきました。議論は収れんされておりませんけれども、先ほど野坂委員から御発言がありましたように、真摯な議論が展開されて、理解は非常に深まったと私は考えております。そういうことで引き続き本日の成果を次回につなぐということでありまして、本日御議論いただいた内容について9月以降、さらに引き続き検討していきたいと考えております。

次回の会議でありますけれども、第7回で時間の都合で検討することができなかった販売事業者等によるクレジット、金銭借入、預金引き出しの勧誘に関する問題のほか、外国通貨の両替に関する問題などの検討が未了となっておりますので、それらの点について検討していくことを予定しております。あわせて8月時点での中間取りまとめ案に関する検討も予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

続いてでございますけれども、事務局から1点御報告がありますので、お願いいたします。

○金児企画官 時間が過ぎているところ恐縮でございますけれども、1点御報告させていただきたいと思います。

第6回のこの会議におきまして、杤原委員よりいただいた御質問のお答えをここでさせていただければと思っております。

杤原委員の御質問の内容は、その前の回、第5回の会議の非公開の資料の内容が、前日の5月26日の読売新聞で報道されているのはなぜかというものでした。杤原委員から御指摘いただいた新聞報道の内容について事務局で確認しましたところ、御指摘の記事は行政処分を受けた事業者の関係者が、立ち入り検査後、行政処分前に新会社を設立して同様の違法行為を行い、それで行政処分を受けたという事例についてのものでございました。

この事例は杤原委員から御指摘のあったように、本専門調査会の第5回で取り上げた事例でございますけれども、一方で本年4月に消費者庁によって処分された事例でありまして、消費者庁においては特商法に基づく行政処分を行った事案は事業者名も含めて公表し、その際、記者へ説明しています。そして、御指摘の記事の内容は、このように公表された情報をもとに書くことができるというものでございました。

以上、確認の結果を御報告させていただきます。

○後藤座長 ありがとうございました。

よろしいでしょうか。

○杤原委員 御説明ありがとうございます。

納得できそうで納得できない説明であります。4月の処分の公表資料を拝見しますと、そちらには企業名が書いてありまして、であればなぜ5月の専門調査会に企業名入りでなくて、企業名を伏せて我々に出してきたのか、全くそこは納得できないところであります。4月に公表された2点の資料を見比べても、資料をもとに新聞に掲載されたこの図面を書ける人は少ないのではないかという疑念がぬぐえません。

もう一点は、読売新聞の記事の中に書いてあるところを引用いたしますと、「悪質販売の被害を防ぐには法改正が必要だと消費者庁幹部は強調する」と記されております。本件は消費者委員会の専門調査会で審議を行う内容でありますが、我々がまだ審議をして結論に至っていない内容について消費者庁の幹部がそう強調したということになっておりまして、専門調査会の軽視ではないかという思いがあって御質問したということであります。

以上です。

○金児企画官 今の最初のほうの御指摘ですけれども、企業名を公表しているのであれば専門調査会で公表した資料が出せるのではないかといったことかと思います。その点については、私はにわかには質問にお答えできないのですけれども、またそういった御指摘があったことを踏まえ、次回こういったものを出す際には検討させていただきたいと思っております。

○後藤座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

それでは、最後に事務局から事務連絡をお願いいたします。


≪3.閉会≫

○金児企画官 本日も熱心な御議論をどうもありがとうございました。

次回は7月31日金曜日13時からの開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

○後藤座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。予定の時間を少し過ぎてしまって不手際で申しわけありません。お忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

(以上)