第1回 特定商取引法専門調査会 議事録

日時

2015年3月5日(木)13:00~15:48

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

  • 【委員】
    後藤座長、阿部委員、有山委員、池本委員、河野委員、佐々木委員、高芝委員、杤原委員、野坂委員、花井委員、増田委員、村委員
  • 【オブザーバー】
    消費者委員会委員 石戸谷委員長代理
    経済産業省   伊藤消費経済企画室長
    国民生活センター 丹野理事
  • 【参考人】
    公益社団法人日本訪問販売協会 伊藤専務理事
  • 【消費者庁】
    服部審議官、山田取引対策課長
  • 【事務局】
    黒木事務局長、井内審議官、金児企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 特定商取引を取り巻く環境変化等
  3. 今後の検討課題に関する意見交換
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○金児企画官 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会 第1回特定商取引法専門調査会」を開催いたします。

本日は、所用により、沖野委員、鈴木委員、山本明委員が御欠席、河野委員が遅れての御出席との御連絡をいただいております。

まず、配付資料の確認をさせていただきます。

議事次第の紙に配付資料の一覧を記載してございます。

資料1が諮問書。

資料2が消費者庁からの提出資料。

資料3が経済産業省からの提出資料。

資料4が日本訪問販売協会からの提出資料。

資料5が日本通信販売協会からの提出資料。

資料6が委員からの提出資料でございますけれども、資料6-1~資料6-6までございます。

このほか、参考資料が参考資料1~参考資料7までございます。

もし、不足がございましたら、事務局へお声がけをお願いいたします。

本専門調査会の座長につきましては、3月4日に河上委員長から指名を受けました後藤巻則委員に務めていただくことになりましたので、御報告させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

なお、オブザーバーとして、経済産業省と国民生活センターに御出席いただいております。

消費者委員会からも今後オブザーバーとして、石戸谷委員長代理、橋本委員、山本隆司委員が本専門調査会へ参加される予定ですが、本日は石戸谷委員長代理に御出席いただいております。

また、本専門調査会の設置・運営規程第8条には、「専門調査会は、調査審議に当たって、消費者庁の協力を得る。」と定められておりまして、消費者庁からは毎回御出席いただき、その御協力を得ることといたしますので、よろしくお願いいたします。

また、先ほど鈴木委員は御欠席と申し上げましたが、本日は、日本訪問販売協会の伊藤専務理事にも参考人として御出席いただいておりまして、後ほど日本訪問販売協会の機能や役割などについて御説明いただきたいと思います。

それでは、ここからは後藤座長に議事進行をお願いいたします。


≪2.特定商取引法を取り巻く環境変化等≫

○後藤座長 早稲田大学で民法と消費者法を専攻しております後藤巻則と申します。

このたびは消費者委員会の河上委員長から指名を受けまして、大変僭越ではございますが、この専門調査会の座長を務めることになりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

特定商取引法は、これまで数次の改正を重ねてまいりましたけれども、最近の被害の状況を踏まえますと、なお検討すべき課題が残っております。これらにつきまして、皆様からさまざまな御意見を出していただきまして、見直しに向けて議事の円滑かつ適正な進行に努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

続きまして、座長代理について、本専門調査会の設置・運営規程第2条第4項では、座長があらかじめ座長代理を指名することとなっています。

私としましては、東京経済大学現代法学部の村千鶴子委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

通常ですと、ここで委員の皆様に自己紹介をしていただくところでございますけれども、本日は、後ほどの意見交換の際にお願いしたいと考えております。

次に、お手元の参考資料2をごらんいただきたいと思います。本専門調査会の設置・運営規程でございます。

また、参考資料3として、平成26年7月8日の消費者委員会本会議で決定されました「下部組織の会議運用の在り方に関する申し合わせ」をおつけしております。

本専門調査会につきましては、これらの規程及び申し合わせに沿って運営していきたいと存じます。

本専門調査会では、本年1月20日に内閣総理大臣から消費者委員会に対してなされた諮問内容について、調査審議していくことになります。

諮問内容につきましては、お手元の資料1でお配りしているところであります。「特定商取引に関する法律の施行状況を踏まえた購入者等の利益の保護及び特定商取引法の適正化を図るための規律の在り方」となっております。

それでは、議事に入らせていただきます。

初めに、特定商取引法の所管省庁である消費者庁及び経済産業省から、特定商取法を取り巻く環境変化等について御説明をいただきたいと思います。

なお、各説明に対する御質問につきましては、後半に自由に討議する時間が確保されていますので、そこでまとめて行っていただきたいと思います。

それでは、消費者庁、経済産業省の順で御説明をお願いいたします。

○消費者庁山田取引対策課長 それでは、私、消費者庁取引対策課長の山田から、資料2「特定商取引法を取り巻く環境変化」について御説明させていただきます。

まず、1ページ目をごらんください。

「1.特定商取引に関する法律(特商法)の概要」ということで、ここに書いてございます。余り中身を細かく説明はいたしません。1ポツに、まず取引類型ということで、1番の訪問販売から平成24年に申請された7番の訪問購入まで、特商法で対象となる取引類型が整理してございます。

この表の右側に「2.法律の内容」ということでございます。法律の内容としては、マル1行政規制というものがかかっております。マル2で民事ルールということで、クーリング・オフなどのルールが設けられているということで、行政規制と民事ルールの組み合わせの法律ですということでございます。

2ページ目にまいります。

「2.特商法の主な改正」ということでございまして、少し特商法の歴史をひもとかせていただきたいと思います。

昭和51年に訪問販売法として、最初は7つの行為類型のうちの3類型、訪問販売、通信販売、連鎖販売取引の3つからスタートいたしました。平成8年に電話勧誘販売がつけ加わりまして、平成11年に特定継続的役務がつけ加わったということでございます。平成12年の改正のときに行為類型が5つ目ということになりまして、これは5つということだと訪問販売ということではくくらないということで、特定商取引法ということで法律のタイトルがこのときに変わってございます。

平成14年に通信販売の電子メール広告について、オプトアウトの規制を入れております。

平成20年は非常に特商法の歴史の中で恐らく最も大きな改正ということでございますが、このときにまず大きな改正点の1点目としては、指定商品・指定役務制、これを撤廃したということでございます。それまではトラブルを起こした商品や役務を個別に指定するということで法律の対象にしておったわけでございますが、これでは規制の後追いになるということで、平成20年の大改正を行いまして、指定商品・指定役務制を撤廃し、原則、全ての商品・役務が規制対象ということで、個別に特商法と同等の消費者保護の規定があるようなものについては適用除外で抜くということで、原則例外の大転換をこのときに行っています。ただし、このときは指定商品・指定役務制は撤廃したのですが、権利に関しては指定制を残したということでございます。

それから、もう一つの平成20年の大きな改正としては迷惑メール規制を平和14年にやったわけですが、これをオプトアウトでございまして、なかなか効果がないということで、この段階でオプトイン規制に変えております。対象も通信販売のみならず、連鎖販売取引、業務提供誘引販売取引まで電子メール広告のオプトイン規制を広げているということと、もう一つは、訪問販売についても再勧誘の禁止というのが始まりました。これは電話勧誘販売については平成8年のときから再勧誘禁止の規定はあったのですが、訪問販売についてトラブルが多いということで再勧誘の禁止の規定をこの時点で入れております。

その後、平成24年に、いわゆる押し買いというもののトラブルが急増しまして、新しい類型として訪問購入という類型を入れたということでございます。訪問購入の中でも、マル5で不招請勧誘の禁止というのがオプトインで入ったというところが、非常に厳しい規制が入った。

済みません、先ほど私、冒頭のところで5つ目と申し上げましたが、6つ目が入ったときに特定商取引法になったということです。済みません、訂正させていただきます。

次、3ページにまいります。

「3.最近の消費者問題の動向」。(1)消費拡大の重要性ということでございまして、政府のいわゆる骨太の方針の中でも個人消費の拡大が非常に大切だということが述べられているわけでございます。経済の好循環の実現に向けて、拡大した企業収益を賃金上昇につなげ、個人消費を拡大させるということで、こちらの図である丸い循環した輪を回していくということが現在政権の骨太の方針で打たれているということでございます。

しかしながら、この日本のGDPの約6割を占める家計消費の中で、消費者の被害・トラブル額というのは少なくないということで、平成26年版の消費者白書では、そのトラブル額の推計というものも行っておりまして、実にGDPの1.2%に当たる年間6兆円が消費者トラブルだということでございます。

したがいまして、私どもの立場からいたしますと、消費者の安全・安心を確保して、こういう被害やトラブルを減らしていくことが、この消費拡大の循環につながるということで、きちんと消費者の安全・安心を確保していこうということを考えております。

その次に4ページにまいります。「(2)消費生活相談情報の概況」ということでございます。これは相談の全数を少し見ていただいております。

消費生活センターなどに寄せられた相談全体の数でございますけれども、左側のグラフを見ていただきますと、昔からの推移をプロットしているわけでございます。2004年あたりに架空請求が物すごく起きたときがあります。このときに物すごく件数が膨らみまして、その後、全体の相談件数というのは落ちつきを見せていたのですが、2013年度に9年ぶりに前年度を上回るということで、2009年以降の過去4年間を上回る水準になったということでございます。

2014年度は、まだ12月までの数字しか実数としてはカウントできておりませんが、前年の同時期からの増減率をもとに推計をいたしますと、2013年度をさらに少し上回るのかなということでペースが推移しております。健康食品の送りつけ商法とかインターネット通販に関するトラブルがふえているということでございます。

では、どのぐらい消費者が被害に遭っているのかというのを示したのが右側のグラフでございます。右側のグラフのさらに右側は、相談全体での合計額を記したものでございます。2013年度ですと、相談に来た時点で契約や購入してしまっていた金額の合計、これは相談に来る人たちというのはごくごく氷山の一角なわけでございますけれども、これを単純に足し合わせても5,918億円の被害ということで、既に払い込んでしまった額も2,216億円ということでございます。平均値はその左側に載っているということでございます。

5ページ「(3)特商法に関する消費生活相談の状況(概況)」ということでございます。

2013年度の数字でございますけれども、全ての相談案件のうち、特商法でどのぐらいのところをカバーしているのかと申しますと、店舗購入というのは特商法ではないのですけれども、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、その他ということで、実に全体の相談の53.4%は特商法類型の相談だということでございます。

では、この特商法類型の中身の相談の件数はどのように動いているのかというと、5ページの下の折れ線グラフでございます。先ほど申し上げましたように、架空請求でぐっと2004年度まで数字が飛び上がっております。2005年度からは架空請求とそうでないものを分けて通信販売のところは数字を拾っておりまして、2005年以降減少傾向にあったのが、ここ足元5年ぐらいで通信販売と、それはオレンジ色のところです。架空請求を除いたものはオレンジ色の箱の形のところでございます。電話勧誘販売、グレーの三角の線、これがふえてきているというのが見てとれると思います。グレーの電話勧誘販売は、2014年は少し推計をしてみても減少傾向にございまして、これは2013年度から2014年度にかけて、健康食品の取り締まりを集中的に行いました結果、健康食品にかかる電話勧誘販売の被害が顕著に減ってきているということで、取り締まりの効果で減っているということでございます。

訪問販売につきましてはブルーの線でございますが、これは横ばいないし微減ということでございますけれども、平成20年にあれだけの改正をした割には減っていないのではないかということを私自身、実感としてはそのように感じております。

最後、下のほうに張りついてしまっているものは余りよく見えないかもしれませんけれども、トレンドだけ申し上げますと、連鎖は横ばいで、特定継続的役務や業務提供誘引販売、これも横ばいですね。ふえているのは2012年度からとり始めた訪問購入はまだ法改正をしたばかりでございまして、相談件数は減っていないという状況でございます。

次に、6ページにまいります。(3)個別の類型ごとの相談内容と商品・役務の内容というのをこちらの表に示しております。

これは2013年度のものでございます。余り詳しくは申し上げませんが、訪問販売については新聞が1、通信販売はアダルト情報サイトが1、電話勧誘販売は健康食品が1ということになってございます。

7ページは少し年代別に見ていこうということでございまして、類型ごとに見た契約者の年代の構成比というものを見てございまして、20歳のくくりで見ております。20歳未満、20~30代、40~50代、60歳以上ということで、60歳以上は80歳以上もひっついていますけれども、通信販売に関しては40~50代が一番多い。マルチに関しては、20代~30代が一番多いということでございますけれども、訪問販売、電話勧誘販売、そして、訪問購入が60歳以上は非常に多いというのが見てとれると思います。

次に8ページにまいります。7ページは構成比ということで比を見ていただいたのですが、8ページは実数で並べて見ております。8ページの表は事前に委員にお配りしたものはミスがございまして、今ここで配っているのは最新の新しい正確なものでございますけれども、若い世代、20~50代、60代に至るまでは全部通信販売が1で、店舗購入が2ということで来ているのですが、60代ぐらいから電話勧誘販売と訪問販売が伸びていまして、70歳以上ということになると電話勧誘販売の苦情が実数ベースでも1番になるということで、訪問販売も3位に上がってくるということでございます。

次に9ページにまいります。8ページまでは年代ごとにきれいに見ていったわけですけれども、9ページは少し年齢と、認知症と高齢者ということで、認知症等高齢者に関する相談件数の推移を見ています。認知症等高齢者というのはどういう概念かというと、右側の上のほうのところの注にあるわけですけれども、精神障害や知的障害、認知症等の加齢に伴う疾病と、何らかの理由によって十分な判断ができない状態にある消費者であって当該年齢以上の人たちということで、認知症等高齢者は60歳以上を拾っております。

まず、これの左側のグラフを見ていただきますと、65歳以上の高齢者に関する相談件数の伸びというのはここ5年ぐらいで著しく伸びておりまして、もちろん、これは人口も高齢化社会に伴って65歳以上の人口というのはふえているのですが、人口の伸びが13%なのに比べて、相談件数自体は65.4%の伸びということでございまして、非常に65歳以上の高齢者に関する相談件数が伸びているというのが左のグラフです。

右の上のほうにまいります。では、その高齢者の中で認知症等高齢者に当たる人たちの相談件数はどうなっているかというと、これもそれ以上に伸びているということでございまして、特にグリーンのところの80歳以上の認知症等高齢者の数字というのは、2008年~2013年までの間で112%増ということで倍以上の伸びをしているということでございまして、ここら辺が非常に伸びているということです。

2014年度のところは、まだこれは12月までの実数でございますので、これが年度ではもっと当然大きくなるということでございまして、推計は示しておりません。

右側の下のほうのグラフでございます。左の丸グラフ、これは60歳以上の高齢者全体の中で何がどのぐらい占めているのかというと、店舗購入に関する相談件数が1番でして、電話勧誘販売は2番、訪問販売は4番ということなのですが、では、60歳以上の認知症等高齢者ではどうかというと、ここではもう訪問販売が1番ということで、非常に訪問販売がここでぐっと上がってきていまして、その次は電話勧誘販売ということでございます。したがいまして、認知症等高齢者には物すごく訪問販売が、言い方は悪いですけれども、食い物にしているというか、そういうふうな状況が見てとれると思います。

次に10ページにまいります。先ほど件数が伸びているのは電話勧誘販売と通販だと申し上げましたけれども、この10ページは通販に関するデータを示してございます。左上のグラフをごらんください。ここのオレンジ色の棒のところが通販全体の相談件数の推移でございまして、通販市場自体が伸びておりますので、相談件数も当然伸びているということでございます。この中で7割ぐらいがインターネット通販に関するものでございまして、インターネット通販も2009年度から1.7倍の伸びを示しているということでございます。

インターネット通販は、特に海外事業者に関連する相談が急増しておりまして、これは右上のところのグラフを見ていただきたいのですが、消費者庁に消費者越境センター(CCJ)という相談窓口、海外商取引の相談窓口を専門に設けておるわけでございますが、ここの2013年度の数字を見てみますと、詐欺疑い、模倣品が到着した、解約をめぐるトラブル、こういったものが非常にトラブルの中身としては多くなってございます。

2014年度のところは、実数ですので、今後伸びるということでございます。

少し地味ですけれども、インターネット通販以外のものを見てみますと、ファックス広告に関する相談件数というのも地味ですが、2009年度に比べると1.9倍の伸びということでございまして、2014年度はさらに伸びるということでございます。

テレビショッピングに関しても相談件数は伸びておりまして、2009年度に比べて1.6倍ということでございます。足元2014年度は少し減少傾向が見られるわけですけれども、この減少の理由についてはこれだという推論にはたどりついておりません。

11ページにまいります。3ポツ「(7)起業の簡便化と特商法上の問題」ということでございます。1990年代以降、ベンチャー支援等の整備が進んでおりまして、平成14年の中小企業挑戦支援法でありますとか、平成18年の新会社法によって非常に起業が簡便になったという経済政策が打たれているということでございます。これはこれで経済政策としては意味があるのでしょうけれども、この特商法が見ている悪質事業者の世界の中では、この起業が簡便になったということが思いっきりマイナスに作用しているという実態がございます。

具体的には、下の箱の右のほうをごらんいただきたいのですけれども、会社をつくるのが簡単だということを利用して悪質な勧誘を行う事業者ということで、例えばですけれども、黒幕である個人が資本金1万円とか1円の会社を複数つくって、その後ろにいて、みずからは表に出ないということで複数の会社をコントロールして特商法の違法が法人単位で行われているということで、このようなことで勧誘を行っていた事案でありますとか、実態的には一体として会社運営が行われているにもかかわらず、営業部だけを別会社の形に仕立て上げて、処分は営業部単位で受けるけれども、会社全体には処分が及ばないようにして規制から逃れようとしていた事案とか、特にそういうものがございます。

2番目の○ですけれども、業務停止命令を受けた後に別法人を立ち上げて、繰り返し違反行為を行うというような事案は幾つもございます。最近は業務停止命令を受ける前に、立入検査に入られた瞬間から次の法人の立ち上げをして、行政処分を受けるころには、もう活動実態がなくなっているというようなものも多数ございます。そういうものをわかっているだけでもこのぐらいの件数が出ているということでございます。

次に、12ページにまいります。では、こういう違法行為に対しては厳格な対応が必要だということで「(1)行政庁の執行状況」でございます。

過去の執行の件数をここに並べてございます。2つ山がありまして、これは平成19年度に通信販売や電話勧誘販売に関する行政処分の権限が都道府県知事も行使できるようになったということで、ここに1つ山が来ています。

もう一つの山は、2010年でございます。これは平成20年法の改正、先ほど申し上げたのは大改正でございまして、これの施行は2009年12月だったということで、2010年度は非常に数字が伸びています。最近は執行件数自体落ちてきておりまして、これは世の中から悪質事業者がなくなったのかというと全くそういうことではございませんで、近年は事業者の手口が複雑化、巧妙化しているということでございまして、なかなか私どももその複雑化、巧妙化する手口に追いついていないということと、もう一つは、実際に被害を受けた高齢者等から私どもは消費者聴取ということでお話を伺って、それで証拠固めをして執行に結びつけていくのですけれども、この被害を受けた高齢者などが80歳以上とかだとなかなかお話を伺っても、いつ、どこで、何があったかということをきちんと再現できないというような問題もございまして、なかなか違反を認定するための証拠を確保することが困難になっているという事情で、悪い人たちはたくさんいるのだけれども、執行件数になかなか結びつくのには限度があるということで、さらに執行を強化できるようなことをお願いしたいと思っております。

最後、13ページになります。法律の行政庁の執行とともに、適格消費者団体による差しとめ請求訴訟及び差しとめ請求というのも法律上20年改正から認められるようになっております。

特商法は下に挙げておりますように、必ずしも件数は多くないわけでございます。これは私どもの理解としては、特商法は非常に強烈な法律なので、訴訟などに持ち込むまでもなく相談の現場であっせんなどでかなり片がついているようなものが多いので、結果としてこれが余り活用されていないということだと私どもは理解しておりますけれども、ここのところも使いにくいところがあるのだということがあればぜひ御指摘を賜れればと思います。

簡単ですけれども、私からの説明は以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、経済産業省からお願いいたします。

○経済産業省伊藤消費経済企画室長 経済産業省の消費経済企画室でございます。お時間いただき、ありがとうございます。

私からは5分程度で訪問販売、通信販売の市場動向につきまして、後ほど両協会から訪問販売、それから通信販売についてそれぞれ概況の説明があると思いますが、それを俯瞰する観点からお話ししたいと思います。資料3をご覧いただければと思います。

まず、資料番号で3ページをご覧下さい。訪問販売事業の市場規模でございます。これはいわゆる訪問販売業種という捉え方がなされない中で、営業の一形態として纏めたものです。切り口をどう切るかによって数字がすごく変わることを前提とします。試みに訪問販売協会ということで数字を出してみますと、この棒グラフということになります。

これが2013年度の売上高ベースで見ますと1兆7,770億円。平成8年度のピーク時のおよそ半減という形になっています。ただ、気をつけなければいけないのは、協会自体の捕捉率というのがありまして、下に注書きでありますけれども、正会員が137社、賛助会員22社、これの合計値ということです。試みに、右側にオレンジの色で19年度の商業統計調査の例を出しています。ここでは14万社、8兆7,000億円という数字を挙げておりますが、統計法に基づく統計データではありますが、その統計においても尚、業種という形での網羅的なデータが存在しなくて、あくまで小売業の一部分として見た場合にこれぐらいの数があるというデータに留まるという御紹介であります。

標準産業分類に至りますと、155万社という数字も出てきます。そういった市場規模がある中で、実際に売り上げとしてほぼここ数年変わりがない商品、サービスが右下にあります、化粧品、健康食品、清掃用具等、身近なものということです。日用品といったもの、それから最近は清掃サービス、こういったものが非常に多くなっているということであります。

次のページ、これは雇用についてであります。あえて雇用の中で特にこの点が特徴的だという形にさせていただいております。これもあくまで母数は訪問販売協会の会員ということになります。そこに「等」というのを加えておりますが、これは訪粧協という協会があります。また、それ以外に主たる営業形態が訪販であるという飲料品、そういったものも一部入れさせていただいております。要は、これは我々が現時点で捕捉できている最大限の数字ということになります。合計でいいますと82万5,000人ということです。特徴としては、女性が多いということです。そして、その女性、左下の年齢構成を見ますと、40歳代以上が非常に多い。地域に行くと、とりわけこの傾向が強くなるということだろうと思います。男性は少ないのですが、若い人たちが逆に多いという特徴を有しているということであります。

そして、もう一点、訪問販売については、相談の中身、先ほど山田課長からもお話がありましたが、経産省でも消費者相談の窓口を設けております。母数は違うのですが、およそ同じような傾向が感じ取れまして、ピーク時の2005年から見まして2013年の件数自体は、その相談は減っている、55~56%の数字までいっているということであります。相談内容なのですが、クーリング・オフ、解約関係というのが大きなウエートを占めているわけですけれども、もともとはクーリング・オフと並んで解約関係も同じように両方が競うような、ある意味、悪い競い合いみたいな形で並んでいたわけですが、ここ数年で解約関係が割合を低下させてきているということになります。

もう一つ、商品別の相談件数で見ますと、工事・加工、その他役務。工事はリフォームが多いということです。その他役務のところについては、先物、外的なそういった取引であるとか、最近はCO2の排出減取引、そういったものも多くなっていると聞いているところです。

次に通信販売についても若干俯瞰的な資料を御用意しています。後ほど協会のほうからもあると思いますが、これも統計の捉え方はいろいろありまして、あくまで通販協会の推計値ということになります。6兆円弱という形で13年度計上していますが、これは例えばですけれども、私ども役所でまとめているBtoC、EC市場という形で見れば、2013年は11兆円という更に大きな数字が出てきます。それが2020年にかけて20兆円までふえていくといった統計もあります。それにCtoCの世界、それとECの関係、また、BtoBのEC化、こういったことまで含め裾野の市場まで見ていくと、通信販売の市場規模というのは多分こういった6兆円規模程度のものではないのではないかと思う次第です。

8ページ、利用者という形で見させていただきますと、3つ目のポツのところに「満足」「やや満足」と回答した消費者の方が85.6%と、ほかの業種、小売業とかの利用に対する評価に比べるとやはり高い位置にあると思います。この調査自体は、それは性別であったり、地域であったり、年齢だったり、そういったところについては、できるだけバランスをとれるような形で3,000人弱を対象に行ったという調査でありますけれども、その理由が、右下の(6)にありますように、時間、場所を問わず購入できる、じっくり選べる、品ぞろえが豊富など、普通、企業、製造業でいきますと、価格が安いとか、自分らしさがあったからとか、最近そういった購買の理由というのが非常に多いのですが、これを見ると、より消費者がイニシアチブをとって自分から買い求めに行くような点で評価されているということだろうと思います。

9ページ、最後頁です。これは相談の内容についてなのですが「通販110番」、協会のほうで実施している相談窓口の中から拾ってきたデータであります。後ほど協会の資料にも出てきますが、苦情として多いのは、未着・延着、電話不通、返品・交換、これがおよそ毎年多いわけですね。それ以外にといきますと、いろいろあるのですけれども、ほかに商品とかいろんなサービスの違いがわかりにくかったとか、そういったこまごまとしたものが毎年変動していっている、そういう状況であります。

そんな中で、この未着・延着、電話不通について、それぞれ詐欺的サイトの割合を書かせていただいていまして、8割前後であります。詐欺的なサイトは、恐らくですけれども、もともと悪意を持った者が引き起こしたトラブルに関係する、起因するものが多いのだろうと思いますが、それを仮に除けば緑の部分になるわけですけれども、未着では、2,945件のうちの543件になるわけです。これは先ほどの山田課長の説明の中にも、どうして通販、最後テレビショッピングのところで相談と苦情が減ったのかというところは分析しなければいけないということもあったのですが、私どもが聞いている限りで申し上げると、例えば一番テレビショッピングで苦情が多いのは、ばっとテレビに出た瞬間に品切れですというのが結構出ます。売れていますというものです。その瞬間に結構消費者の皆さんは電話をされていて、なかなかつながらないと、それが苦情につながっているというようなことが多かったりします。そういったシステム上のトラブルといったようなもの、あるいは実務的な困難さというものが徐々にではありますけれども、改善されつつあるということなのだろうと思います。

また、電話不通のところも同じような状況でして、コールセンターのバックアップ体制、そういったものに対する不満といったものが実は緑の部分であって、苦情といいますか、相談といいますか、どちらともとれないようなことも多いのですが、結局被害そのものを呼び起こす以前の段階として事業者の側で少しずつ改善していける余地のある分野だとは捉えているところであります。

更に、返品・交換、これは3番目に多いのですが、若干の減少傾向だとは思います。ただ、ここは数字が若干減っているからといって決して油断できる分野ではなくて、しっかりと引き続き業界が対応していくべき課題であるいと認識しているところです。

最後に、この資料全体を通じて申し上げたいのは、私どもの立場としましては最初に申し上げたほうがよろしいので申し上げておきますと、悪意のある事業者を市場から退出させることについては、賛成であります。賛成でありますが、良質な事業者が萎縮するようなことは極力避けていくといった慎重な議論も一方でこの場であったほうがいいのではないかというのが基本的な考え方であります。とりわけ女性活躍であるとか、地域の雇用、市場全体に与える影響というのも、政府が進める成長戦略の中で要になるものですから、そこは丁寧な議論を進めていただければと思います。 以上でございます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

続きまして、特定商取引法には訪問販売協会と通信販売協会が明記されておりますので、その役割、機能につきまして御説明いただきたいと思います。

日本訪問販売協会につきましては、参考人として御出席いただいております伊藤専務理事から、日本通信販売協会につきましては佐々木委員から、それぞれ御説明をお願いいたします。

まずは伊藤専務理事、5分間程度でよろしくお願いいたします。

○日本訪問販売協会伊藤専務理事 わかりました。日本訪問販売協会の専務理事の伊藤でございます。本日は鈴木副会長が欠席でございますので、参考人ということで日本訪問販売協会の機能、役割について説明させていただきます。

お手元に資料4ということで、日本訪問販売協会の概要の資料を用意させていただいておりますので、参考としていただければと思います。

公益社団法人日本訪問販売協会は、1980年、昭和55年に訪問販売業界の健全な発展、消費者の保護、国民経済の発展に寄与することを目的に、経済産業省の許可を得まして設立されました。

昭和63年には自主規制団体として法律で位置づけられまして、また平成20年の法律改正においては会員管理の強化に努めてまいりました。

そして、平成25年4月から公益社団法人として新たにスタートいたしました。

現在の会員企業は、正会員企業が137社、賛助会員22社、計159社でございます。

当協会の中心的な事業としましては、1つに倫理綱領人事交流及び自主行動基準の作成及び実践。2つ目に会員事業者に対する啓発及び会員事業傘下の訪問販売員に対する教育。3つ目に、広報及び消費者相談の受付・解決。この3つの事業が大きな柱となっております。

具体的にはトラブルの発生を未然に防止するための施策としまして、訪問販売員の資質向上を図るため、販売員に対する教育登録事業を実施しております。協会所定の教育カリキュラムを受講しまして、試験に合格した販売員を協会に登録します。当該販売員には登録証を交付いたしまして、営業活動の際にこれを提示してもらうということを行っています。

このJDSAの教育登録制度に基づき、現在登録されている販売員は約80万という数になっております。また、この登録証の存在をPRするために登録証ステッカー。JDSAが発行する「販売員の登録証をお持ちですか?」を全国の自治体や消費者団体等の協力を得まして、一般家庭の皆様へ配布しております。ステッカーの表面には、協会相談室への連絡先が付されておりますので、自宅の玄関や門扉など来訪者の目につく場所に添付していただいております。

また、訪問販売のトラブルを防止するために、全国各地の消費者関係機関の皆様の御協力を得まして、高齢者や行政職員の方たちを対象とするセミナーや当協会の職員等を講師として派遣しておりまして、当協会が作成したパンフレットやリーフレットを使って啓発活動を実施しております。

パンフレットにつきましては消費者センター等へ見本を送りまして、必要な部数を知らせていただきまして、できる限り御希望に沿うようにしております。その上で、万一訪問販売でトラブルに遭ってしまった場合のために、訪問販売ホットラインというフリーダイヤルによる消費者相談受付体制を協会内に置きまして、苦情相談の解決に当たっております。

また、自主行動基準につきましては、倫理綱領を具現化するものとして苦情相談の実態を踏まえ、なるべく詳細な内容を掲載するようにしております。平成20年の特商法改正の折にも、過量販売について円滑な法遵守を推進するために、当協会として通常必要とされる量について一定の基準を示すものを策定し、その普及、啓発に努めてまいりました。

現在は高齢者の苦情の実態を踏まえまして、例えば契約の締結前に当該契約の内容の確認や、勧誘開始前における判断力の有無等の確認などをテーマに掲げまして、改定案の検討を現在進めております。なお、自主行動基準に反する会員に対しましては、改善勧告等の措置等を厳正に審査するための倫理審査委員会を設置しております。

また、平成20年の法律改正を踏まえまして、訪問販売による消費者被害の救済を図るため、会員企業から出捐金という形で資金提供をいただきまして、基金制度を創設しております。

また、入会審査基準の改定、法令違反会員に対する処分として過怠金の徴集等の規定を追加するなど、会員管理の強化を進めてまいりました。

以上、簡単ではございますが、当協会の活動の一端を紹介させていただきました。ありがとうございました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

続きまして、佐々木委員、同じく5分程度で御説明をお願いいたします。

○佐々木委員 日本通販協会、JADMAと申しますけれども、会長をしております佐々木と申します。よろしくお願いいたします。

それでは、資料5のお手元の資料を使って、ビジュアルをふやしていますので簡単に御説明させていただきたいと思います。

まず、歩みですけれども、1983年、ちょうど32年前につくられまして、その当時、チラシとかカタログとか非常にふえてきたときなのですけれども、業界の健全な発展と、あと消費者保護を目的として自主規制団体として通産省の当時の認可を得て設立されました。その後、順調に会員社はふえておりまして、2012年には公益社団法人になっております。ことしの会員数ですけれども、正会員が498社、賛助会員数212社ということで710社の会員社がおります。

委員会活動をしておりまして、右の表にあるように、いろんな委員会をもって勉強会というのをやっています。主な活動は、まず会員社のセミナーということで、いろんな専門性が非常に高い分野もございますので、それについての法律的なものも含めたセミナーというものを各種やっております。特に最近はメーカーさんとか卸とか、あと小売業も含めて通販に進出される方は非常にふえておりますので、そういう方たちに基本的な事柄も含めたセミナーというのも常時開催しております。あとは委員会活動、海外の交流等も行っています。

4ページのほうは、具体的な活動としては、行政機関への意見具申等をやらせていただいております。あと消費者向けの活動としては「通販110番」、これは1983年の翌年、84年から始めているのですけれども、「通販110番」というのを設けまして、消費者の方の相談窓口ということでやっております。

また、大学への寄附講座等、あとは大きいのは地方自治体の消費者センター等に講師を派遣して法律的な内容等のセミナー等も頻繁に開催しております。

6ページ、これは経済産業省の伊藤室長のほうから御説明がありましたけれども、非常に順調に右肩上がりで現在伸びております。特に市場の変化としては、モバイル端末、スマホとかタブレットを使った注文が非常にふえているというのが最近の傾向です。

次のページですけれども、「通販110番」の8ページのほうになりますけれども、活動として、この3年、非常に伸びております。ただ、その伸びている一番大きい内容は、詐欺的サイト。特にこれは海外からのサイトが多いのですけれども、ちょっとおかしな日本語も含めてブランド品を安く買えるというようなことで、買ってみたら物が届かなかったり、最近またふえているのは、例えば会員社の千趣会のベルメゾンさんのページをそのままそっくりにつくって、そこで申し込んだら届かなかったとか、そういうものが非常にふえておりまして、詐欺的サイト、これはある意味犯罪をする人たちですので、その人たちの苦情が私どもに来ているというのが非常に多いです。

あともう一つは、ネット系の企業がふえるとコールセンターを設置していないとか、そういうところが多くて、これは会員社ではないのですけれども、その質問が当協会のほうに来るというのが非常にふえています。そういう意味で、我々も消費者への周知活動を徹底しようということで9ページ目にありますけれども、報道機関等に取材を積極的に受けたり、また、協会として、詐欺的サイトのPR、こういうものがありますよというのを出すことによって、これはテレビ局、新聞等に報道された内容ですけれども、そういうこともあったと思うのですけれども、実は2014年度はかなり詐欺的サイトの苦情等は減ってきております。

もう一つ、その次のページですけれども、私どもがもう一つ業界として抱えている問題として、これは商品を送った後に郵便等の振り込みをしていただくという制度をとっているわけなのですけれども、そういうクレジットカード、代引き以外のお支払い、後払いが未払いになっている件数というのが実は年々ふえております。それが2013年度では293億円ということで、これは件数でいくと341万件という数になっております。最終的には催促状を出しますけれども、引き当てをとって貸し倒れという形になっております。

あと消費者庁さんのPIO-NETの通販苦情相談というのがございましたけれども、これは消費者庁さん、山田課長の10ページのところの表と同じ、10ページの左上のグラフを円グラフにしたのですけれども、通販にかかわる苦情相談というのがふえているということでございましたけれども、実際にはこの下の注釈に書いてあるのですけれども、2013年度にはアダルト情報サイト等サービスが7割以上を占めているということで、インターネット通販の実は7割はアダルトサイトの苦情ということで、これは通販と言われると我々も心外なのですけれども、分類上はそういうふうに倣っているということなのですけれども、実はその質問の件数のうちの73%が通販以外、あと9%は非ネット通販、13%がアダルト系ネット通販ということで、アダルト系以外のネット通販は約5%ということに、この表からおわかりいただけると思います。そういう意味では、ネットワークの通販利用が非常にふえている割には、むしろ苦情が減ってきているのではないかなと感じております。

私どもの協会としては、そういう悪意を持った詐欺的サイト、もしくはアダルト等を含めて、そのふえたことによって通販そのものを規制するということは健全な企業の活動をむしろ阻害して、いろいろな法律を遵守するための設備投資等を含めたコスト負担を行うということは、結局それが価格に転嫁されてしまって消費者に高いものになってしまうと思いますし、また海外のサイトに比べて競争力も落としてしまうと思うのです。

通販の一番いい点は、距離を超えることができるので、例えば九州に通販の再春館さんとか、ジャパネットさんとか多いのです。そういう意味では地方を活性化する意味でも非常に通販というのは向いていると思いますし、また、今の生活が、お年寄りになった方がなかなか外に出られないとか、介護をしているとか、例えば買い物難民という言葉もありますけれども、どんどん商店が少なくなって買い物ができないとかふえている方は、通販を利用すると非常に利便性は高いと思うのです。また、価格的な競争力も非常にありますし、そういう意味では、業界の健全な発展ができるような法制度ができることが望ましいのではないかなと思っております。そういう意味では、個人消費の拡大ということを目指すのであれば、規制強化というよりは規制緩和も含めてお考えいただければと私どもは思っております。

以上です。どうもありがとうございます。

≪3.今後の検討課題等に関する意見交換≫

○後藤座長 どうもありがとうございました。

続きまして、各委員から簡単に自己紹介いただくとともに、それぞれのお立場から、今回の特定商取引法の見直しに対する期待や御要望等について御意見を順番に伺いたいと思います。各自最大5分程度でお話しいただけたらと思います。

それでは、阿部委員から席順にお願いいたします。

○阿部委員 経団連の常務理事の阿部でございます。

本件につきましては、まだ経団連としての考え方を取りまとめておりません。あくまでもまだ個人の段階で対応いたしたいということで、2つだけ、最初に感じていることがございます。

1つは、当然さまざまな事情、背景があって見直しになっているということについてはわかるわけでありますが、果たして法律の中の規制的部分の強化がどこまでそういう実態に対応できるのか。例えば詐欺的というより、明らかに詐欺に近いような商法に対して、この特商法の規制の強化というものがどこまで力があるのか、むしろ刑事手法との連携のような行政対応が必要になるかもしれないというのが1点。

現在、消費者契約法の見直しも私ども調査会に出させていただいているわけでございますが、この消費者契約法が消費者取引の一般法だとして、この特定商取引法が個別法というか、上にある法律であるという中で、この2つの改正を同時並行で進められるということをどういうふうに受けとめていくのか。消費者契約法の改正と特商法の改正で、当然相互に矛盾があるようなことになってはいけませんし、あくまでも一般法としての消費者契約法の上に、さらにそれを補う形の特定商取引法の改正なのかなと思っております。いろいろ技術的なことも含めて皆様に教えを乞いながらやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、有山委員、お願いいたします。

○有山委員 公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会、通称NACSの有山と申します。本日はどうぞよろしくお願いします。

昨日、簡単にまとめたものをペーパーとしてお出ししておりますが、私どもとしては不招請勧誘規制の導入を求めること、指定権利制の廃止を求めること、インターネット販売に関する規制を求めます。幾つか私たち相談室に寄せられている問題点をざっくりと書かせていただきました。

不招請勧誘については、先ほど阿部委員から電話勧誘販売のお話も出ました。電話勧誘販売の相談では365日中200日電話勧誘販売で勧誘を受けている、10年間にわたって1,000万ぐらい支払っている。その方は営業関係の方で、非常にソフトな物言いで能力もおありになるようなのですが、そのソフトな面が電話の勧誘を断られないということでした。その相談者が10年目にして何とかしなければいけないと思ってということで、ICレコーダーで4時間半の録音、年間200日の全ての勧誘をうけた時間を記入したメモを御持参されました。また最近は電話勧誘販売でサムライ商法はなくなったのかなと思っていたのですが、500万円の年収のうち150万円をそのために用意してあるという話も聞きました。なんとか勧誘をやめてほしいが、警察に行っても解決しないし、さまざまな機関で相談しても一時的には治まるがどんどんどんどん次々と新しい会社からの勧誘が始まり断れないという話でした。先ほど話がありましたが会社を多分立ち上げては新しい勧誘をカモリストに入っているその相談者にするのだと思うのです。けれども、一度そのようなリストに入ってしまうと逃れられないということです。勤務先の電話にかかってくるものをなかなか断られないというような方がいます。

また、小規模な自営の方も、消費者の方も、ファックスによる勧誘ということで、何で勧誘を受けたくない、平穏に普通に生活していたいと思っているのに、自分の紙を使ってどんどん勧誘をされることが納得できないというようなお話なども伺っております。

高齢者の方に関しては、大変販売員の方が、きめ細かなという言い方は変な言い方になってしまいますけれども、定期的に訪問されていて高齢者の信頼を得てしまう。認知症の方がどうしてその勧誘員に対して好意を抱くのかなというと臨床心理士の話では、どうもお名前はわからなくても、どういう方かはわからなくても定期的に会っていると、自分にとって好意的な人だというふうに認識してしまうということです。御家族がさまざまな手段を通じて会わせないとしてもなかなか会わないようにできない。御本人が家に上げてしまうということなどがあります。勧誘を断ればいいではないかというお話ではなく、そういう方の財産被害を守るような形での勧誘規制を導入していただきたいなと思っています。指定権利に関しても、ほかの指定役務や商品などについて廃止になりましたので、特定商取引法が不当な勧誘とか不当な販売について対応していると大変力強い法律なので、それも含めて廃止する方向で考えていただきたいと思います。

インターネットについては、順次また出てくると思いますけれども、インターネット関連でさまざまな通信販売、いろいろなものをごちゃまぜに入れてしまいましたけれども、ペーパーを1枚にしようと頑張りましたので、申しわけないのですが、そういう形で検討していただきたいなと思っております。どうぞよろしくお願いします。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、池本委員、よろしくお願いいたします。

○池本委員 弁護士の池本と申します。日本弁護士連合会の消費者問題対策委員会に所属しております。

資料6-1で論点をペーパーで用意いたしました。逐一読み上げる時間はもちろんありませんので、ポイントを問題提起し、お読み取りいただきたいと思います。

まず、訪問販売、電話勧誘販売の不意打ち型の勧誘については、今、有山委員からも問題提起のあった不招請勧誘規制を正面から議論していただきたい。特に営業の自由と消費者の主体的な意思形成の権利というものをしっかり正面から比較衡量の議論をしていく必要があると思います。ただ、その中にも書いておいたのですが、選挙の戸別訪問は罰則で全面禁止ですが、営業活動はまず自由にやってよい。しかし、選挙はその場で投票するわけではないのですが、訪問販売の場合はその場で契約書を書いてしまう。どちらが危険だろうかと言えばもう明らかではないかと思うのですが、こういう価値判断のこともですが、むしろ大事なことは、全面禁止なのか、いや、そうではない、今のままでよいという100か0かの議論ではなくて、地域の中で平穏に行われている営業活動は尊重する。では、どういう形で線引きをするか、適用除外なり線引きのあり方をどうするかという具体的な議論をしていく必要があるのではないかと考えております。

指定権利制についても日弁連からも意見を出しておりますし、これはいわば平成20年改正の積み残しの課題ですので、正面から受けとめ、結論を出していく必要があるだろうと思います。

アポイントメントセールス、キャッチセールスという非常に巧妙な手段で、しかもこの分野は脱法行為が横行しているのですが、現在の法律はその適用の要件が非常に細かく書かれ過ぎているために、勧誘の呼び出しの手段がちょっと違うと適用できないとか、呼び出したその日に契約に至らなければ適用できないとか、かなり使い勝手が難しくなってきているところがあるので、そういったところの実態に合わせた議論をしていただきたい。

借金を勧めたり銀行まで一緒に行ってお金をおろすという、まさに悪質商法の手口ですが、そういったところを具体的に禁止行為の中に明確に書き出して、何が違法かということを明らかにするし、あるいはそういった取り締まりを迅速にできるようにしていくということが必要であろうと思います。

5番目、最近SNSを使ったメッセージのやりとりということが非常にふえていますが、従来、文字は広告であって勧誘ではないということが一般的に言われていました。確かにチラシなどであれば、それを見てお店に行って品物を手にとって自分で判断するということですが、メールやSNSのやりとりというのは、もうその文字で意思形成をする、あるいはその文字で説得するということですから、むしろ勧誘と捉えて特商法の体系の中で位置づけをすべきではないか。

そうであれば、また6番目に書きましたが、虚偽、誇大広告、紙に書いた広告と、そういうネット上の文字でのやりとりから契約に至る。これは勧誘だということになれば、それで誤認した場合には取り消しにつなげるということがあってよいのではないか。虚偽、誇大広告である場合にどう規制するかということであって、決して通販一般を規制せよと言っているわけではございません。

悩ましい問題、7番目で、インターネットの取引業者、特に詐欺業者などについて、その発信者が明らかでない。しかし、現在のプロバイダー責任制限法では、それは開示してもらえません。通販業者は事業者名とか所在、連絡先は表示しなければならない義務があるわけですから、そのものを開示することは何もその事業者に対して不利益を及ぼすことではないはずで、プロバイダー責任制限法一般で広げることが難しければ、特商法の中で督促を置いてはいかかでしょうか。

連鎖販売取引です。一番後ろに過去30年ほどの相談・苦情の推移を載せましたが、何度も規制を少しずつ広げていますが、なかなか実効性が上がらない。唯一、平成20年改正で割販法を強化したことによって加盟店調査義務が入り、それでここのところ減ってきていますが、現在は借金をさせるとか現金で払わせるということで、やはり約1万件の相談がある。1万件の相談ということは、それ自体、やはり対処しなければならない具体的な数字ではないかと思います。

あとネガティブオプション、これは最初からある規定なのですが、民事効の条文が1つあるだけで、消費者は知らないものだから行使できなくて被害に巻き込まれるという問題があります。

その他の論点はもうお読み取りいただくということで、さまざまな論点がありますが、ぜひ多少時間がかかっても一つ一つ議論を詰めていただきたいと思います。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

河野委員は後ほど来られますので、その時点で自己紹介、それから御意見をいただきたいと思います。

佐々木委員は先ほど御説明いただきましたが、何かつけ加えることがあったらよろしくお願いします。

○佐々木委員 インターネット通販の増大というのは非常に大きな皆さんの関心事だと思うのです。生活の利便性も非常に高いということもありますし、それについてはもう一つは、今の御指摘のあったプラットフォーム、プロバイダー責任というのが1つ大きな課題かなと思います。これは我々も非常に大きな関心を持って見ておりますので、ここはしっかり議論をさせていただければと思っています。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、高芝委員、よろしくお願いいたします。

○高芝委員 弁護士の高芝です。どうぞよろしくお願いします。

お手元の参考資料4ということで、昨年の8月に特商法関連被害の実態把握等に係る検討会の報告書をつけていただいております。私もその委員会に参加させていただき、発言をする機会をいただきまして、私の意見もこの中に反映させていただいているところがございます。その関係もありまして、この資料を参照いただければということで特段の追加は本日時点では考えておりませんけれども、ただ、今後、新たな論点等が出てまいりましたら、具体的な論点について、その時点、その時々で意見を述べさせていただきたいと思っています。

ただ、総論として1点だけお話をさせていただくとしますと、特商法は私の理解では、取引の方法のあり方を規制している法律だと思っております。そのことは言うまでもございませんけれども、法の1条のところで購入者の利益の保護と適正かつ円滑な商品の流通、役務の提供というところでうたわれていると思います。この両者をいかにバランスさせるかというところが課題と考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、杤原委員、よろしくお願いいたします。

○杤原委員 日本商工会議所の杤原と申します。今回からお世話になりますので、よろしくお願いいたします。

私ども日本商工会議所も、今日はまだ第1回目ということでございますので意見のほうは持ち合わせておりませんけれども、本専門委員会に臨むスタンスだけ御発言をお許しいただきたいと思っております。

商工会議所は全国に514ございまして、125万の会員様がおります。地域総合経済団体でありまして、決して業界団体ではございませんので、地域総合経済団体としてこれから発言をしてまいりたいと考えてございます。商工会議所法の目的の中に商工業の総合的な改善・発達ということと、かねて社会一般の福祉の増進を図るという規定がございますので、これに沿って活動しているということでございます。したがいまして、公正で自由な競争が促進されて市場のメカニズムが正しく機能し、一方で消費者の皆さんの消費が活性化して生活が豊かになる、これが日本経済の成長の大前提であると考えてございます。

今回の制度の見直し、検討に当たりましては、悪質な事業者を市場から排除するために取り締まりは徹底的に強化していただきたいとは思いますけれども、多くの健全な事業者の一層の成長を促して、かつ、現代のライフスタイルの大きな変化や、高齢者の方々の生活支援の問題もございますので、ライフスタイルに合わせた消費生活が豊かになる方向で意見を申し述べていきたいと考えてございます。

このため、法改正で対応すればいいのか、生活者を保護するためにガイドラインで済む話なのか、そこはきっちり分けて考えるべきだと思います。また、高齢者向けの宅配事業ですとか、あるいは農業を強化するために、農家の方たちが自分の生活の糧を求めて都心に産直で販売に来る方たちも来られますので、そういう新しいビジネスモデルにも合わせていく必要があると考えておりまして、決して規制強化だけの話ではなくて、バランスのとれた議論ができればと考えております。

以上であります。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 読売新聞の野坂です。よろしくお願いいたします。

消費者トラブルに対応するため、特定商取引法が何度にもわたって改正されて、政府と地方自治体、国民生活センター、消費生活センターなど、さまざまな連携が進んでかなり成果を上げてきたと評価しております。しかし、先ほどの事務局の説明によりますと、幾ら規制を強化しても法の盲点を突く形で、さまざまな新たな悪質商法が横行しているということは大変問題だと思っております。

ここ数年の最も大きな変化というのは、やはりインターネット。スマホだとかタブレットも普及してきて、大変急速に普及している中で、それに伴って新たな詐欺的な商法が目立っていると大変憂慮しております。こういうネットを悪用したものも含めまして、従来なかった新たな手口の悪質商法、これについてはやはり野放しにはできない。消費者被害の拡大を防がなければいけない。アウトサイダー、いわゆる悪い奴らの跋扈は許さない、そういう規制改革は待ったなしであり、時代の要請であると私は思っております。

今回、委員では私がただ一人マスコミ関係でありますので発言したいと思います。読売新聞だけではなくて全国紙、地方紙、そしてテレビ局各社、積極的に悪質商法の実態、問題点を報道してきております。本日配付された消費者庁の資料にも新聞記事が引用されておりました。先ほど佐々木委員の説明の中にも詐欺的なサイトの問題で取材がかなり来ているということでありますけれども、マスコミ各社は大変精力的に取材して、消費者の啓発、行政との連携をしながら啓発に努力しております。読売新聞、今後も精力的に取材する方針、報道していく方針であります。恐らくマスコミ各社も同様だと思っております。

ただ、これだけ悪質商法がさまざま出てくるという背景には何があるのか。これはまだ今日の説明だけではよくわからないと思っております。特商法の改正以降、顕在化している問題は何なのか。これだけ規制しても対応し切れていない原因は何なのか。効果的な規制方法は何なのか。実態を幅広く調べて対応策を検討する必要がある。そうでなければ、なかなか悪質商法には対応できないのではないかと思っています。

もちろん、規制だけではなくて執行にも問題があるかもしれないということでありまして、何か至らない点があるのかどうか、それも点検して、必要に応じて執行体制の強化も重要になってくるだろうと思っております。

一方で、忘れてはならないのはほかの委員の方もおっしゃっていますけれども、過剰な規制によって正当な経済活動まで規制されてしまったり、あるいは経済活動を萎縮させてしまう、そういった事態を招くことであります。それでは本末転倒ではないかと私たちは考えております。経済再生、雇用拡大、地方創生、安倍政権のアベノミクスはそういった目標を掲げておりまして、今のところ政策総動員でよい方向に向かいつつあると見ていますけれども、それに逆行するかのような規制では経済の活力は失われてしまう。

悪質業者を効果的に徹底的に排除する、その規制強化と経済の活力を維持する、そのバランスは極めて重要であると思っております。したがって、先ほど訪問販売協会の資料とか見ておりまして、やはり健全な事業者に配慮することは欠かせない。健全な業者と悪質な悪い奴らを一律に捉えて対応することは大変おかしな話でありまして、今後の議論ではその視点が大事だと思っております。

今、さまざまな委員の方がいろいろな問題提起をされていて、議論するテーマは大変幅広いなと思っております。ただ、実態がよくわからない点もありますし、さまざまな業界が絡んでおりますので、きょう、訪問販売協会などに説明していただきましたけれども、より幅広い業界、関係者の方からヒアリングをして問題点を整理して丁寧に議論を進めるべきだと思っております。

先ほど訪問販売業界では大変自主的な試み、自助努力もなさっているという話をされましたけれども、そういった自主ルールを導入している事業者も含めて実態をよく勉強して議論していきたいと思っております。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、花井委員、よろしくお願いいたします。

○花井委員 特定適格消費者団体の消費者被害防止ネットワーク東海理事の花井と申します。よろしくお願いします。

私のほうからは5点ほど用意させていただきました。ペーパーを出していなくて失礼します。

まず第1点目には、指定権利のことがあるかと思います。既に有山委員、池本委員がおっしゃいましたが、権利について指定権利として残っているところが気になるなという点があります。この点については、2008年の改正のときにどうしてこの権利が3つほど指定権利として残ったのかについて、資料のほうに少しありましたが、もう少し委員の中で事情をお知りの方があると思いますので、もしお差し支えなければその辺の経緯について、先ほどの説明に補足するものがあれば教えていただきたいなと思いました。

2点目については、やはり有山委員とか池本委員がおっしゃったような不招請勧誘の点を挙げたいと思います。私自身も岐阜市の消費生活センターということで15年ぐらい勤務しております。今16年目になりますが、認知症気味の高齢者が次々に何千万と契約してしまうということも、自分は買ったことはわかっているのだけれども、その経緯とか余り覚えていなかったり、山ほど契約書があるなどということは結構あります。やはり岐阜のちょっとした田舎のほうだと、本当に鍵をかけない習慣、鍵をかけてしまうと近所づきあいがうまくいかないような習慣というのも一方にあったりするので、やはり不招請勧誘というところを入れていただきたいなと思います。

池本委員がおっしゃったようなDo not callだとかDo not knockというようなものも、実際地域によってはそういうもので悪い訪問販売業者を排他しているところもあるようですので、その辺も少し検討していきたいと思っています。

3点目には、事業者指導のことですが、県にはその権限があるのですが、実際、県で指導しても周りの県に行ってしまって被害が防止できていない。あるいは全く同じ住所で名前だけ変えて同じことをやっている。こういうことに対して私自身相談員をしていると腹立たしく思うのですが、なかなか文書で指導してどうこうと手続を踏んでいるうちに被害が拡大してしまう、これを何とか方策として考えていかなければならないのではないかなと思います。

4点目としては、今までもさんざん挙がりましたが、通信販売のことです。通信販売は本当に協会を否定するつもりは全然なく、私自身も本当に便利でいいシステムだし、夜中に頼んだら翌日届いているなどということもあるので、育てていきたい通信販売というのはたくさんあるかと思います。ただ、一方で、海外であったりとか、よくわからないような通信販売というのが横行していて被害が拡大していることも事実だと思います。偽ブランド商品が届いたり、あるいは商品が届かなかったり連絡がつかないなど、やはり日本人向けにやっているものであれば日本の法律に当然従うべきだと思うのですが、住所だとか連絡先はきちんと明記されていなかったり、うそであったり、そういうものもたくさん見受けられ、多くの方が被害に遭っている現実というのがあると思います。

あと海外のカジノだとか、日本では禁止されているようなものに気軽に誰もができてしまう、そこの危険性というのもあるかと思うので、その辺のところも何か法律の中で規制ができないかなと思っております。

最後、第5点目ですが、私、適格消費者団体ということですので、少しその辺のことを考えてきました。今、差し止めをできるのは勧誘方法というのですか、営業の方法のところでよくないことがあると差しとめができるということなのですが、勧誘方法というのはなかなか適格団体にこういう勧誘方法があったのでおかしいからとか、そういう情報というのもなかなか集まらなかったり、ある程度のことがわかっても、誰がどういう被害に遭ったのかを実際聞き取って差しとめをしていくことになるので、個人情報のこともありますので、聞き取りが非常に難しいなど、実際に差しとめの情報として上がってくることが少ないのです。

そこで思ったのが、例えば特定商取引法であれば、契約書、こういう契約書をつくりなさいとか、こういう書面の交付義務がありますとかと書いてあるわけなので、契約書に不備があれば、適格団体が差しとめることができる。そういうふうなことがあれば、割とルールにのっとって簡単にできるのではないでしょうか。行政でももちろん指導としてできるわけですが、結構時間がかかってしまうのですが、適格団体が差しとめるということになれば割とスムーズにいったり、県の指導であれば、その県にしか効果が及びませんが、事業者にその契約書を使わないようにと差しとめをするので、スムーズに事が運ぶのではないかなと考えて今日、意見としてお持ちしました。

以上です。ありがとうございました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、増田委員、よろしくお願いいたします。

○増田委員 公益社団法人全国消費生活相談員協会の増田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

私どもの団体は、全国の自治体で消費生活相談を受けております相談員で組織する団体でございます。したがいまして、特定商取引法は恐らく私どもの会員が一番活用していると認識しております。今回ペーパーを出させていただきましたけれども、直前に事例をかき集めましたので、適切ではないものもあるかもしれませんけれども、一応参考までにお示しさせていただきました。

特商法が改正されて5年経過するわけですけれども、行政規制が厳しく、効果も高いこともあって、私たちの相談の現場では一番活用しやすい法律ではあるのですけれども、現実には解決困難な問題がたくさんあります。このような法律は小規模の事業者の方が恐らく関係することが多いのだろうと思います。ですから、その小規模な事業者の方にもわかりやすく明確な解釈ができるようなものにしていただきたいと思いますし、同時に消費者問題は小さい金額が多いものですから、消費生活センターのレベルで解決できる、そういうようなものにしていきたいとお願いしたいと思います。

まず、指定権利制度についてですけれども、老人ホームの利用権であるとか、カンボジアの土地使用権であるとか、特商法の指定なのかどうかわからない、実態が確認できないというようなことから問題が解決できないことが多くあります。また、連鎖販売取引によく見られますけれども、意味不明な権利と一方的に主張するようなケースもございます。

裁判などで争えば、それは役務であるなど、判決という形で出るかもしれませんけれども、消費生活センターでは、交渉するに当たって土俵に乗るまでに役務だとか権利だとか商品だとかということで、そこで非常に時間がかかりまして難航しております。そういうところが明らかになるように、まずは権利の指定制を撤廃していただきたいと考えております。

次に不招請勧誘ですけれども、家に一人でいる時間の多い高齢者を狙った脅迫的な健康食品の送りつけ商法とか、詐欺的に投資勧誘。これらは電話勧誘が発端となっていることがほとんどです。実際に家に来る訪問販売についても、まだ継続的に相談が寄せられております。根本的な未然防止策という意味では、やはり不招請勧誘の規制のあり方というものをぜひ考えていただきたいと思います。

各取引に関してですが、全部事例をつけまして書きましたので後でお読みいただければと思うのですけれども、キャッチをしてその場で契約をさせないキャッチセールスであるとか、指定外の呼び出し方のアポイントというのが今いろいろあります。先頭に丸をつけたものは全て御相談によく寄せられているケースでございます。事例については、順次私はこれをふやして皆様にお示ししていきたいと思っておりますので、どうぞお読みいただければと思います。

アポイントの4つ目ですが、本や新聞等を見て問い合わせ、説明を聞きに出向いたところ契約に至るというケースなのです。数的には恐らく少ないとは思うのですけれども、本を読んで、その内容を問い合わせるために電話したところ、説明をするからといって呼び出され、高額な教材を契約させるというようなケースもありますし、5万円でライセンスがとれるダイビング合宿という雑誌広告を見て出向いたところ、高額なダイビングセットを契約してしまったということがございます。これが勧誘というものになるのかどうか、アポイントになるのかどうかというところは大変むずかしいところだと思いますので、こういう点もあるということをお伝えしたいと思います。

次に通信販売に関してです。共同購入クーポンですけれども、この1行目を間違えていまして、通信販売の規制が及ばないことがあると直していただけますでしょうか。共同クーポンサイトは権利であることから、指定外の権利ということで、究極的には通信販売の規制も及ばないということもあります。今は大手の事業者さんがそこの自主規制として消費者トラブルを起こさないようにということで解決をしているケースが多いと思います。

ただ、小規模の共同購入サイトの事業者もおりますし、サービス提供事業者と、法人は別なのだけれども、実質的に一緒だったとか、クーポンを売り過ぎて売ってしまった後、倒産しているとか、そういうケースもございましたので、今後いろいろな形が出てくると思いますから、このような形式のものも通信販売の中で取り込めることができるようにお願いしたいと思います。

あと、通信の瑕疵担保責任であるとか、インターネットオークションにおける販売業者と判断される例示、電話勧誘販売の方法、特定継続的役務に関する美容医療、その他継続的役務に関する中途解約権についても書いてありますので、よろしくお願いします。

連鎖販売取引に関して、これはどうしてもお願いしたいなと思っているところですが、法定書面の中に、会員の総数、実質的にビジネス活動をしているような会員数、全体の会員の中での利益を得ている分布図などは事業者さんのほうで把握されているはずです。利益があるといって勧誘するのでれば、その部分を提示していただくことによって、自分が参加するかどうかの大きな判断材料になると思いますので、これを法定記載事項として追記していただくようお願いしたいと思っております。

あと、また随時お話をさせていただきます。どうもありがとうございました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、村委員、よろしくお願いいたします。

○村委員 東京経済大学の村でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、意見ということで資料6-5を提出させていただいています。

この提出資料には大きな課題から、これだと相談現場ではなかなか使いにくいだろうというような細かいことまで含めていろいろ書かせていただいているのですが、ここでは、大きなことということで5点に絞りましてお話をさせていただきたいと思います。

平成20年の改正以後、これまでということで、やはり一番深刻な問題は、高齢者の被害が大変な勢いでふえ続けているということだろうと思います。先ほど消費者庁の山田課長からお話がありましたが、訪問販売も電話勧誘販売も訪問購入も圧倒的に高齢者の被害が多い、ふえ続けているという問題というのは大変由々しき事態であろうと思います。これは要するに高齢者の例えば単身世帯であるとか、高齢者の2人暮らしの世帯であるとかが安心して暮らせない状況、つまり、家に居ながらして被害に遭う。別にのこのこ変なところに出かけていくわけでもないのに被害に遭う。そういう恐ろしい事態が今進行しているということでもあろうかと私は思いますので、こういう問題を深刻に考えていただいて、何らかの実効性ある対応を図るということが今回の検討では第1番目ではないかと思っています。

そういう観点から5点のうちの2点ということなのですが、まず1つ目が、これは1ページのところに私の考えも含めて長々と書かせていただいているのですけれども、平成20年の改正のときに、商品と役務については政令指定を外して全てしたわけなのですが、権利は触れなかったわけです。要は積み残しになったということがあります。その間、単に積み残しになったという課題が残っているというだけではなくて、その施行、平成20年の改正以後、消費者取引、特に高齢者をめぐる取引環境は大変大きく変わって、権利も含めて非常に複雑な取引が電話勧誘、訪問勧誘等でふえている。金額も非常に高くなっているという現実があります。

私は、この1ページに書きましたが、商品なのか、役務なのか、権利なのか、区別をする意味は全くなくなったと個人的には思っております。つまり、特定商取引法というのは特殊な販売方法について適正化し、消費者の保護を図るためにどういうルールを設けたらいいかというミニマムスタンダードであろうと思っておりますので、そういう特殊な販売方法をとるときにミニマムスタンダードを守らなくてもよいものがあるとはとても思えないということがありますので、できれば全ての有償取引について規制対象にするというような方向で御検討いただきたいと思っています。権利の指定を外すということで、権利をどう定義するかというような、非常に徒労感の伴う、私に言わせれば合理的な必要性がない議論というのはできればやめていただきたいということを切実に私は希望しております。これが1点です。

2つ目は、高齢者の方がおちおち家に安心していられないという状態というのはどう考えてもおかしいと私は思っておりますので、不招請勧誘の禁止について御検討いただきたいと思っています。これは訪問購入について不招請勧誘の禁止が入ったという御説明だったのですが、厳密に言うと、飛び込み勧誘の禁止なのです。訪問勧誘をすることについての同意をしていただけますかということも含めて消費者の承諾を得ないで訪問してはいけないというレベルの禁止です。

ところが、訪問購入の高齢者の被害は減っていないわけです。なぜかというと電話がかかってきまして、電話で訪問同意を取りつけてやってくるということで被害が非常にふえています。ですから、こういう実態を考えたときに、電話勧誘も訪問勧誘も含めて、訪問購入もあわせて不招請勧誘については再検討をぜひしていただきたいと思います。そのときに池本委員のような提案がいいのか、基本的に求められたもの以外は電話も訪問もだめとしたほうがいいのかというのはなかなか悩ましいものがあろうかと思いますので、そこのところは十分意見交換をして、何が最も望ましいかということを真剣に今回も議論しなければならないところまで来ていると認識しております。

3つ目がネット通販なのですけれども、これがまさに利便性もありますし成長産業でもありますので、どういうふうにすれば消費者が安心して利用でき、適正な成長を促すことができるのかという視点が極めて重要だと思うのですが、ここで1つぜひお願いしたいと思うのは、電子メール広告の送りつけは禁止をされているのですけれども、それが導入された以後、技術革新であるとか、ライフスタイルの変化だとかによって電子メール広告だけではなくて、例えばSNSでの広告であるとか、ポップアップの広告であるとか、あるいはターゲッティング広告のような形でがんがんやってくる。それがアダルトサイトであるとかそういうようなものの入り口になったり、あるいは商品未着のようなものに結びついたりという現実というものがありますので、電子メール広告の規制に平仄を合わせるような、何らかのルール化ができないかというように考えています。私はネット関係の技術に詳しくないので、具体的にどういうふうにすれば現実的に実効性があるのかがよくわからないのですけれども、ぜひこの点はよくお願いしたいと思います。

4つ目は、連鎖販売取引につきまして、わたしは現行法の連鎖販売取引の定義は大変よくできていると思うのです。あれは相談現場でも執行現場でも大変使いやすい定義になっていると思うのですが、今、後出しマルチが高齢者と若い人にはやっています。全体的には横ばいということですが、中身が大分変わってきておりまして、高齢者に例えば浄水器を売りつけたり、若者、大学生などに投資用DVDや何かを売りつけて、実は本人たちは買わされる段階では知らされていない、気がついていないのですが、マルチの話が実はくっついていて、知り合いや何かを連れてくることを強要されていくということでアリ地獄のようなはめになっていくというかわいそうなといいますか、巻き込まれ型が出てきています。

現行法ですと、この後出しマルチが規制対象になるかならないか大変難しい議論がありまして、現状では取り締まりが十分できないということで野放しの状態になっていますので、例えば後出しマルチ形態を第2類型のマルチとして指定をするとかというような工夫もあり得るかと思うのですが、ぜひ御検討いただきたいと思います。

第5点が、執行関係です。これは例えば一度業務停止命令を受けたグループが新しい小さな会社をつくって、しかも複数の会社をつくって業務を分散するというようなことをして、例えば立入調査、消費者が契約した相手の会社に立入調査に入っても、業務を全部別会社に分散しているので中身は空っぽで何にもないとか、調査に入ろうと思っていたら、さっさと別の会社をつくってヤドカリのように全部ごっそり移動していくとかというようなことがありまして、これは執行件数が非常に減っている、よくなっているわけではなくて、一遍処分を受けると逆学習をして、いかにうまく脱法するかというようなことで高齢者だとか弱い層をますます狙うというようなケースが最近ふえているように思いますので、この執行関係を実効性あるものにしないと、結局悪い奴が工夫をすればするほどやりたい放題というようなことにもなりかねない今の状態になっておりますので、ぜひ執行関係が実効性あるためにどうあるべきかということについても十分議論をしていただければと思います。

以上でございます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

本日御欠席の鈴木委員に関しましては、御要望、御意見を記載した書面が資料6-3としてお配りしてありますので、こちらも御確認いただきますようお願いいたします。

それでは、ここから先はこれまで出た御意見をもとに自由に意見交換をしていただきたいと思います。冒頭の所管省庁や日本訪問販売協会、日本通信販売協会からの説明に対する質問でも結構ですし、あるいは各委員の発言に対する質問や意見でも結構です。どなたからでも御自由にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○国民生活センター丹野理事 オブザーバーですが、発言してもよろしゅうございますか。

○後藤座長 お願いします。

○国民生活センター丹野理事 国民生活センターの立場から申し上げます。

国民生活センターは全国各地の消費生活センターに支援する立場でございまして、消費生活相談では特商法関連に関する相談が、皆さんおっしゃったように依然として多数を占めております。ですから、今回の特商法の見直しについては大変注目をしております。特商法の見直しがされれば消費者被害の未然防止、救済に大きく貢献すると考えておりまして、5点ほど申し上げたいと思います。

もう皆さんおっしゃったことの繰り返しになりますが、まずは高齢者の電話勧誘、訪問販売に関する相談件数がほかの年代に比べて圧倒的に多いことでございます。平日昼間の在宅率が高くて、受け身で、善良で、資産があるという、そういう高齢者がトラブルに遭っているというのが現状でございまして、特に山田課長の御説明にもありましたように、認知症等の高齢者の相談件数は2013年度が1万1,000件を超えるなど過去最高になっております。今後、ますます高齢社会が進展する中で、今ここで何らかの有効な施策を講じなければ無策と言われかねないのではないかと思っておりまして、それからいえば電話勧誘販売、訪問販売等に関する不招請勧誘規制、Don't CallやDon't knockですが、そのオプトイン、オプトアウトも含め、でき得る施策を全部俎上にのせて具体的な施策を検討することを期待しております。それが1つ目でございます。

2つ目は高齢者の関連で申し上げれば、詐欺的な投資勧誘については、例えば金商法で集団投資スキーム持ち分が定められたにもかかわらず、金商業の無登録業者ですとか、さらには何が何だかわけのわからない権利と称するものが出てきて、例えばCO2の排出権ですとか老人ホームの入居権、コンテナの所有権、その他もろもろたくさんございますが、現状では苦労して役務としたりしていますが、こういうすき間は特商法の指定権利を廃止することで大きくすき間を埋めていくことが可能なわけで、高齢者の詐欺的被害防止に大きく貢献すると期待できますので、これもぜひ検討していただきたいというのが2つ目でございます。

3つ目ですが、通信販売については、皆さんおっしゃいましたように、電子メールやSNSによる通信をより誘因性の高い勧誘として電話勧誘規制に類似の規制にする議論に加えて、いわゆるネット上の場の提供者、場貸しの問題についても議論していただければと期待しております。

消費者は場の提供者を信用して利用しているケースが非常に多いので、単なる場の提供者ということだけでは済まない責任があるはずなのですが、現実にはトラブルが起きたときには当事者間で解決してくださいというというように突き放されるのが実情でございます。ぜひ取り上げていただきたいと思います。

4つ目ですが、これは増田委員のペーパーの中にもありましたが、美容医療については増加傾向にあります。契約のトラブルについては消費生活センターでも最近は積極的に扱いますが、説明不足や強引な勧誘が非常に目立つのですが、解決が容易では実はありません。そこで、美容医療について、もちろん課題がたくさんあることは重々承知しておりますが、特定継続的役務で対応できる部分もあるかと思っておりますので、その点について議論していただければとありがたいと思っております。

最後、5つ目でございます。これはもう法執行の強化でありまして、やはり法執行が最も効果があります。健康食品の送り付け商法について先ほど御紹介がございましたが、国センから消費者庁へ要望も行いましたが、消費者庁が積極的に業者に対して法執行・行政処分をしていただいた結果、警察も摘発に動いたということで、健康食品の送りつけは昨年の5月がマックスでございました。それ以降、激減をしております。

非常に法執行がありがたいと思っておりまして、そういう意味では、法執行の困難性と先ほどおっしゃられたことを踏まえ法執行強化策も検討されることを大いに期待しております。

以上、5つを申し上げます。よろしくお願いをいたします。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの丹野理事の御意見に関しましても、それから、他の問題に関しましても、どこからでも御意見をお願いいたします。

では、阿部委員、よろしくお願いします。

○阿部委員 今後の進め方についての質問なので、できれば消費者委員会の事務局のほうからお答え願いたいのですが、きょうの各委員の御発言の中でも不招請勧誘規制でありますとか、ネット広告の問題あるいは場合によっては適合性原則のように、消費者契約法本体の議論とかなりかぶるというか重なるテーマが多いのかなと思っておりますが、現在、消費者契約法の見直しも進められている中で、そちらの進行と、この特商法のほうの見直しの進行と、どういうふうな関係、スケジュール感で運ばれるのか、まず教えてください。

○後藤座長 この点につきましては、事務局で、現時点でいかがでしょうか。

○金児企画官 御指摘の消費者契約法の検討との関係については、私どもも十分認識しております。今回の委員の皆さんにおいても、消費者契約法の専門調査会の専門委員になっていらっしゃる委員の方々が複数いらっしゃいまして、今後どういうふうに連携していくかということは検討してまいりたいと思います。また御相談させていただきたいと思います。

○後藤座長 それでは、ほかにございますでしょうか。

では、よろしくお願いします。

○消費者委員会石戸谷委員長代理 済みません、オブザーバーですので控えますが、2点だけ先ほど来のお話を聞いていて感想です。

1点目は、法整備のもとになる考え方ということになるかと思うのですけれども、先ほど来、悪質業者を市場から排除するということが言われていまして、もちろん、それは当然のことだと思うのですが、排除すべきもの、悪質業者を排除すれば解決する、それで終わりかというとそういうことはなくて、私、弁護士実務としては金融関係の実務が多いのですけれども、そこでは銀行、証券、保険といった悪質業者でない事業者の金融機関との間の消費者トラブルというようなものについて、どういうルールでやるのがいいのかということで法整備をやってきておりまして、要はそのさらにもとになる考え方というのは何かというのを詰めていくと、消費者庁を立ち上げる際に閣議決定されたのが平成20年6月の消費者行政推進基本計画だと思うのですけれども、そこにうたっている安心・安全な市場、良質な市場が競争の質を高めて、消費者、事業者、双方にとって長期的な利益をもたらす唯一の道であるという観点でルールを整備するというのが成長戦略にも全然矛盾しないし、そのもとになる部分であり、消費者被害もなくなり、健全な事業者は伸びていくという関係になるので、そういう観点でぜひ議論をお願いしたいと思います。

先ほど消費者庁のほうから、2013年の消費者被害の推計額が6兆円でGDP比1.2%と白書に書かれているお話の報告がありましたけれども、これは大変な額でありまして、ここはもう真剣に検討しなければいけないことだと思います。同じ白書の中で、英国の場合にはGDP比0.2%という推計が上がっておりまして、日本の6分の1でありまして、イギリス並みとすると1兆円ということになるので、5兆円分被害がなくなったとすると、5兆円分新たな購買力が湧いたと同じことになるので、これは健全に展開している事業者にとっては大変大きいプラス材料だと思いますので、そういう観点もぜひ踏まえて検討いただきたい。

特に、これも先ほど消費者庁のほうから御報告がありましたけれども、特商法関係の消費者被害というのが50万件、53.4%だということなので、この部分の法整備がきちっといくかどうかというのは公正取引の確保は大きい問題だと思います。

それと裏返しの問題であるのですけれども、先ほど不招請勧誘の問題が論点で大分出てきておりますが、これも全く同じ問題でありまして、金融分野では既にこのルールが導入されてやった例があるわけです。外国為替証拠金取引で電話と訪問を禁止したところ、規制が強化されたからビジネスがなくなったかというとそんなことはなくて、信頼に足る取引であると、参入していい市場取引であるということで、参加者が爆発的にふえておって、業界データですと2013年3月末で口座数が520万口座、預かり証拠金が1兆3,451億円という数字になっておりまして、要は信頼性を確保できるかどうかというところがポイントなのであって、決して規制を強化したからだめになるとかではなくて、どういうふうなルールを設定すれば、公正な市場で公正な取引でいいところが伸びていき消費者被害がなくなるかという観点だと思いますので、ぜひそういう関係で見ていただきたいとお願いしておきます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ただいま河野委員が見えられましたので、自己紹介と御意見を5分程度でよろしくお願いいたします。

○河野委員 わかりました。皆さん、こんにちは。全国消費者団体連絡会の河野と申します。本日は初回にもかかわらずおくれてしまいまして本当に申しわけございません。

今回の検討に当たりましては、消費者団体におります私なりの問題意識というところで、事前にそれをまとめたペーパーというのを用意させていただきました。そのペーパーを5分ということですので、本当に簡単に御説明して今後の御議論をぜひここの部分から広げていただきたいと考えております。資料6-2で資料を出させていただいております。

まず初めに環境といいましょうか、状況をどう考えるかですけれども、やはり通信販売におけるインターネット取引ですとか電話勧誘販売のトラブルというのが増加しております。引き続き訪問販売におけるトラブル等も非常に高いものがありまして、今回のこの検討に当たって、規制を含めてなのですけれども、しっかりとした政策的対応をお願いしたいと思っています。

簡単に項目だけ御紹介したいと思います。

まず、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売に共通する検討課題ということで2点ございます。

1点目、これまで各委員の方々からも多々出ていると思いますけれども、まず特商法の第26条、適用除外の見直しというのをぜひしていただきたいと思っております。指定商品・指定役務制の撤廃の後、もう5年余りが経過しています。この規定により適用除外とされている事業分野について改めて消費者トラブルの現状の動向というのを把握し、この要否というのを検討すべきであると考えております。

2つ目は、指定権利制の廃止ということで、これをぜひ優先的に御検討いただきたいと思っています。指定権利制により、そこに書かれている3つの権利以外の権利販売には適用されないということ。訪問販売、通販、電話勧誘販売の規制は適用されないということになっています。ただ、通常の商品販売であるにもかかわらず、商品を購入する権利の売買であるとか、役務提供であるにもかかわらず役務を受ける権利の売買であるという主張をして特商法の適用を免れようとする例が幾つかあるとも聞いています。ぜひ先ほど申し上げたように指定商品・指定役務が撤廃されていて、権利にだけ指定制を残しておくことが何か有意的に意味があるということがあればですけれども、ぜひ今回廃止を検討していただきたいと思っております。

訪問販売、電話勧誘販売に共通する課題について3点申し上げたいと思います。

まずは不招請勧誘に対する規制です。実は消団連、つい最近、消費者契約法専門調査会の議論に資するために、消費者契約に関する意識調査というのを実施したところです。後ろのほうに参考資料として抜き書きで、不招請勧誘のところだけデータをつけてあります。

1ページ目が意識調査の概要でして、2ページ目が不招請勧誘についての質問のデータ的なものでして、迷惑と感じるというのが、母数が1,680に対して1,617名、96.3%の方が迷惑と感じる。かつ自由回答で具体的に迷惑と感じる中身を書いていただいたのですけれども、1,540名の方がその後ろのところに、これは抜き書きなのですけれども、20代~70代まで、なぜ不招請勧誘を迷惑と感じるのか、それをどう見ているのかということで、こんなふうに多々御意見がございます。私も読んでみてそのとおりだと思いましたが、こういった直近のアンケートもございます。ぜひ不招請勧誘に対する消費者側の反発というのが強いということを意識していただきまして、この規制に対して検討していただきたいと思っております。

2点目は、訪問販売におけるアポイントメントセールス等の誘引方法並びに電話勧誘販売における電話をかけさせる方法の拡充についてです。これらの方法は政令でそこに書いてあるとおり、幾つか要件が決まっております。ただ、最近ではソーシャルネットワークサービス、SNSが大分広がってきていること、私たちのインターネットを通した行動をしっかり後追いするような形でターゲッティング広告がかなり広がっています。そうした個別性の強い働きかけができる手法が普及していますので、これらについてもぜひ何らかの形で検討していただきたい。ここは政令指定でこの中に入れていただくという形で御検討いただければと思います。

この観点に対して3点目なのですが、契約締結のために消費者に金銭の借入を強く勧めたり、金融機関から預貯金を引き出させるような行為を禁止するように検討していただきたいと思っております。そこには学生を対象とした投資情報DVDの販売手法のことを例に挙げさせていただいていますが、消費者に金銭の借入を強く勧めたり金融機関から預貯金を引き出させるような、そういったところに関しても今規制になっておりませんのでぜひ考えていただきたいと思います。

通信販売における検討課題について、これは3点申し上げたいと思います。

まず1点目は、返品期間を定める場合に表示すべき事項というのをぜひ追加していただきたいと思います。返品期間の定めというのは、消費者都合による返品の場合に適用されるものなのですけれども、その点についてなかなか理解がしっかりできていないということで、事業者側に責がある場合、例えば瑕疵のある商品を届けたとか、注文と異なる商品を届けたという場合にも返品期間を限定するような約款が見受けられます。このような規定が置かれていると、事業者側に責がある場合であっても、私たち消費者はここに書いてあるからこれは無理なのかなと思って返品も諦めてしまうという場合がございます。ですから、改めて事業者に責がある場合の返品はその限りではないというような趣旨の記載を検討していただきたいと思っております。

2点目は、広告規制のあり方をぜひ再検討していただきたいというお願いです。先ほど申し上げましたとおり、インターネットの普及により、それから、スマホ等、簡易にインターネット接続ができる機器の普及により、ターゲッティング広告、ステルスマーケティングという、基本的には広告なのか情報なのかわからないという形で消費者のほうはかなり戸惑ってしまうような広告手法がございます。SNSの普及等、このような環境変化により広告の誘因性というのが非常に強くなっています。例えばネットのポップアップ式のターゲッティング広告ですとか、私の感覚だと不招請勧誘に近いような形でさまざまな広告が上がってきています。その中に誇大広告につながるものもございますし、消費者側が誤認して締結した契約についてはぜひ取消権を付与するなど民事効の規定を考えていただきたいと思います。

また、そこにも書きましたとおり、消費者にとって不利益な事実であっても、契約の意思決定に影響を与えるような重要なものについては、ぜひ表示するということを義務づけるということも考えていただきたいと思います。

3つ目は、関越自動車道における大規模バス事故の際に非常に顕在化した問題なのですけれども、インターネットモールの運営事業者に対して、実は今何ら法規制というのがございませんけれども、ぜひ加盟店管理などに関しましては責任があるということをこの場で検討していただきたいと思っております。

最後は2点です。連鎖販売取引における検討なのですけれども、後出しマルチ、先ほどの学生向けのDVD販売に伴うトラブルというところで、これは実際販売契約が終わった後に多額の販売契約を結んでしまった後で、購入時の借金の支払いを埋めるために、お友達を紹介すればさらに自分の借金の支払いにも有利になるし、自分も少しお金が入ってくるのだよといった事例が今ございます。このような行為に対して何らか規制がかけられるような検討が必要だと考えているのと、最後、特定継続的役務提供における検討課題として、現在、今6事業が指定役務として書かれているのですけれども、継続的役務提供の取引でトラブルがあるというように聞く分野としまして、例えば自由診療契約等がございます。ですから、今指定されている6事業以外に、現状をしっかりと把握していただいて、指定役務としては追加する必要があるものがないかどうか、そのあたりの検討をしていただければと思っております。

大分早くしゃべりましたが、以上、よろしくお願い申し上げます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、先ほどの石戸谷委員長代理の御発言見も含めまして、皆様から今まで出ております御説明、御意見につきまして、どこからでも結構ですので、よろしくお願いいたします。

○消費者庁山田取引対策課長 消費者庁でございますけれども、皆様からの御意見の中で、花井委員から指定権利制がなぜ撤廃されていないのか、その経緯についての御質問というのがございまして、御質問自体は多分ほかの委員の先生へのあれだと思うのですが、まずは事務局からお答えするべき事項だと思いますので、私のほうから御説明をさせていただきます。

当時をよく知る者から私ども話を聞いておりますと、実態としてはもう商品・役務のところの指定制の撤廃で手いっぱいで、とてもではないけれども、権利のほうまで検討が間に合いませんでしたというのが正直なところでございます。これを指して、後藤座長ではなかったかもしれませんけれども、委員の方から積み残しという表現がされていたのだと思います。

正確に当時の産構審の報告書でどのような表現であったかというのは、後ほど指定権利の話を議論する回にしっかりお示しをしたいと思いますけれども、実態としてはそういうことだったと。私が理解している限りでは、当時やらなかった理由としては、一応PIOなどを分析して、指定権利意外の権利について当時は相談苦情件数がそれほど多くなかったということをもって、当時手をつけないということを正当化したということでございます。ただ、その後の事情は変わってきているというのは皆さん御案内のとおりだと思います。

もう一点だけ言わせてください。後出しマルチについて非常にたくさん御意見が出ました。後出しマルチについては、私どもとしても全く指をくわえて何もしていないのかというとそうではございませんで、一応言いわけ的になりますけれども、きょうの資料2の12ページのところで、最近の執行事例というものが載ってございます。これのちょうど真ん中のところの読売新聞の記事をコピーさせていただいていますけれども、投資用DVDというのはまさに後出しマルチで、学生が次々と被害に遭ったという事例でございまして、投資用DVDを売るときには、これはもうかるよと言って売って、でも、DVDに書いてある投資手法はありきたりの手法で当然もうからないわけです。がっかりしたその学生に対して、この投資ではもうからなかったかもしれないけれども、このDVDを他人に売ればあなたには紹介料として10万円入るのだと、そういうビジネスモデル、これが後出しマルチということでございまして、マルチの規定では処分ができなかったわけですけれども、私どもは訪問販売の規定で読める違法事実があったので、私どもとしてはこれを訪問販売で執行したという事案でございまして、これが皆様の御要望に直接答えている御説明ではないと思いますけれども、手をこまねいているわけではないということを申し上げたかったということです。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 池本です。質問をさせてください。

質問は、経済産業省の資料3で見ますと7ページ、通信販売協会の資料5で見ますと6ページで同じ数字。通信販売の市場規模、取引高の推移というのが紹介されています。先ほど来の議論で通信販売という言葉の中で、特にインターネット取引が急増し、それをめぐってトラブルが多発しているという議論が繰り返されているのですが、この数字の中でインターネット取引の取引規模の内訳というようなものは何かデータなりがあるのでしょうか。もしあれば紹介していただいて、今、手元で正確な数字でなければ、何かあれば後ほどでも結構なのです。

○佐々木委員 手元にはございませんけれども、資料としては提出できますので、準備させていただきます。

○後藤座長 よろしいですか。

よろしくお願いします。

○村委員 資料4の日本訪問販売協会の活動について1点質問をさせてください。

資料4の主な活動の3つ目の苦情の受付の関係なのですけれども、ここに2013年度は479件相談があったということですが、これは会員に関する相談だけなのか、非会員も含むのか。会員も非会員も合わせて苦情を受け付けているのであれば、内訳がどうなっているかおわかりでしょうかということと、この苦情受付の3つ目の黒ポツのところに、未解決苦情については苦情検討会等で取り組んでおられるということですが、この苦情検討会での実績をお教えいただきたいということと、この苦情検討会の場合には会員との取引のみですかということ。

以上をお教えいただきたいと思います。

○日本訪問販売協会伊藤専務理事 1つ目の479件の内訳ですが、会員が73件、非会員が365件ということでございます。

質問がありました苦情検討会ですが、これはADRの前にやる苦情検討会でございまして、ADRは、制度はあるのですが実績は全くなくて、苦情検討会に上がったというのは1件あります。それは会員だったと思いますが、途中で訴えてきたほうがそれはとりやめたということでございました。よろしいですか。

○村委員 ありがとうございます。

○後藤座長 野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 今の資料で、追加で質問したいのですけれども、その下に基金制度が出ていますけれども、基金制度はこれまでどういう活用実績があるのか。これまで何件ぐらい、何万円とか何千万とか、支出した実績を教えていただければと思います。

○日本訪問販売協会伊藤専務理事 実績はないのです。これは改正特商法の29条を受けての基金を創設いたしまして、基金の総額が約1億700万ございます。これはクーリング・オフとか、不実告知等に限って会員事業者が既払い金を返金できないときに、基金から支払うもので、基金を使用した実績はありません。

○野坂委員 要するに、著しい例がなかったから基金を使うほどの事態がなかったということですか。

○日本訪問販売協会伊藤専務理事 基金が払う前提として、まず事業者がそういうことで支払えない場合に既払い金は基金を使って払うというのが原則でございまして、その基金の申請がないということでございます。基金を使わないことについては、特商法の改正のときに会員に対する規制を強化していますので、それも一つの要因かと思います。

○後藤座長 ほかにございますでしょうか。御質問とか御意見は特にございませんか。

村委員、よろしくお願いします。

○村委員 しばしば済みません。これは日本通信販売協会のほうにお伺いしたいのですけれども、出会い系サイトとかアダルト系サイト、通販と言われると抵抗があるというような御発言があったかなとは思うのですが、出会い系サイトとかアダルト系サイトも特定商取引法の定義だと通信販売になるわけなのですけれども、そういう業者についても会員になっている会社というのはありますか。もしあるのであれば何社ぐらいありますかということをお教えいただければと思います。

○佐々木委員 1社もありません。

○村委員 わかりました。ありがとうございます。

○後藤座長 増田委員、よろしくお願いします。

○増田委員 訪問販売協会さんの会員の業種、規模とかについて例えば次回にお示しいただくようなことはできますでしょうか。あと通信販売協会さんについても会員の方の規模とか、業種はいろいろだと思いますけれども、規模感が欲しいと思っています。というのは、私ども相談を受けている中で、特に通販協会さんのほうに加盟していらっしゃるような事業者さんの相談というのは少ないと思いますし、また解決が早いだろうと思うのです。それ以外の事業者の相談が多いので、規模がどのくらいだとどうなのかということをまず知りたいと思います。

○日本訪問販売協会伊藤専務理事 業者の種類ですね。これはホームページを見ていただければ多分わかると思うのですが、かなり多種多様にわたっていまして、化粧品、住宅リフォーム、健康食品、寝具とかも同じであります。下着とかありますし、かなりの業種にわたっています。それは資料として必要でしょうか。

○増田委員 取引方法として訪問販売だけではなく、連鎖販売取引の事業者さんも入っていらっしゃいますね。その辺の割合とか教えていただければと思います。

○日本訪問販売協会伊藤専務理事 うちは訪問販売協会でございますので、訪問販売をしている事業者はうちの会員として入っております。ですから、連鎖販売の業者でも訪問販売をしていれば、うちの会員としては入っています。約4割ぐらいは連鎖販売業者だと思います。

○後藤座長 これは次回までに資料として出していただくということで差し支えがあるというようなことはございませんか。

○日本訪問販売協会伊藤専務理事 ありません。次回提出いたします。

○後藤座長 では、そういうことでよろしくお願いします。

○佐々木委員 通販協会についても、やはりウェブで会員名を出しておりますので、それを見ていただければわかると思いますけれども、細かなそういう業種別の資料というのは次回に準備させていただきます。たまたま今日は委員の方にはお配りしていますけれども、私どもの会報誌『JADMA NEWS』というのを出していますけれども、その中にも会員紹介ページとかございまして、たまたま消費者庁の板東長官のインタビュー記事が今回4ページにわたって出ておりますので、その中でまたここをぱっと見ていただくとわかりますけれども、事業者相談として注文者が認知症の場合の返品契約の取り消しについてとか、「通販110番」で商品説明が消費者に不親切だった場合どうだとか、こういう具体例もかなり出して消費者の啓蒙及び事業者の教育ということもやっております。

○後藤座長 有山委員、よろしくお願いします。

○有山委員 法律に入るかどうかわからないのですが、私、2~3つ最近受けていてなんとかならないかと考えている相談があるのです。通信販売の協会の中にテレビ通販の業者さんというのは入っていらっしゃるのですね。

○佐々木委員 私もテレビ通販をしておりまして、QVCという会社の社長をしております。

○有山委員 相談ではあるのですが被害というのではなくて、認知症もしくは認知症に近いかなと境界ぐらいの方がテレビを見るたびに契約を結んでしまうというのです。通販業者さんもお困りでしょうし、家族も困っている事例があります。このような事例は集めてらっしゃるのでしょうか。

○佐々木委員 「通販110番」に来ている中の事例を見ればある程度わかると思いますけれども、うちも毎年内容を分けておりますので。

○有山委員 テレビ通販を見ると必ず申し込んでしまうのですけれども、忘れてしまう。代引きだとお払いしてしまう。家族はそれを取り消すのに毎日のように大変な思いをしているのですが、私、たしか通信販売業界にお電話して通販業者さんの連絡先を全部聞いて、消費者センターで十何社全部対応したと思うのですが、家族の方にとっては通信販売が大好きな高齢、ちょっと認知っぽい方を抱えて、それからテレビを消してしまうわけにもいかなくて、困っている状況があります。

○佐々木委員 これは私の会社のときの一つのケースですけれども、そういう申し出が家族からあった場合は、その方からの注文はとらないとするのです。だから、そういうことが家族から申し出があれば、事業者側で注文をとらないとすれば可能だと思うのです。

○有山委員 それが業界全体として共通で対策できると御家族の苦労は少なくなるのかなと思ったのです。新聞広告、テレビ広告を見てどんどん申し込んでしまって、私が確認した高齢者の方では、私が見ただけで百何社あって、そこに全部商品が届いているもの、届いていないもの家族が問合せ、断りを入れていくのは大変な苦労です。共通のシステムをつくっていただけるとありがたいのです。

○佐々木委員 「通販110番」に来ている数字をまとめさせて資料として提出させていただきます。

○有山委員 済みません。よろしくお願いします。

○後藤座長 ただいまの有山委員からの御質問について、対応としては割と各社ばらばらということなのでしょうか。

○佐々木委員 ばらばらというか、そこに統一的な対応というのは私の知る限りではJADMAの中では決めておりません。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それ以外に何かございますでしょうか。初回でありますので、これから会が進んでいきますと個別的な問題を扱うということになると思いますので、御自由にどの範囲からでも意見を出していただいて今後の参考にできたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

どうぞ。

○花井委員 事務局の方になると思うのですが、今後の予定だとか、次回までにどういうことをそれぞれ検討していけばよいのかとか、そういうことが最後にわかればお伝え願えればと思います。

○後藤座長 事務局からはどうでしょうか。今ここで御説明できる範囲で。

○金児企画官 今日の御議論を踏まえて、今後どう進めていくかということについて座長と御相談させていただき、それを委員の方々に次回にお示しして御議論いただければと思っています。詳細につきましてはまた御連絡させていただきたいと思っています。

○後藤座長 よろしくお願いします。

○池本委員 池本です。

先ほど指定商品制廃止のことで以前の議論はどうだったかというもので、実は私も平成20年改正のときの審議にかかわっていったこともあって、当時の議論の経緯をピックアップしたメモがあるのです。これは指定商品制廃止の議論のときに抜粋したレジュメでも提出できればと思うのですが、もともと指定商品・指定役務がある時代には、何からトラブルが発生した、これは特商法で規制するのか、適切なのかどうか、あるいは他の業法なのか、さらには警察の問題なのか、取引適正化の特商法になじむのかということを個別に商品・役務ごとに検討して指定していた。しかし、それだと被害の後追いになってしまうから、原則適用という方向に進もうというときに、例えば犯罪のようなもの、公序良俗に反するもの、そういうものまで特商法は適用対象にするのですかという特商法の対象をどう考えるのかという本質論をまず議論したはずです。その中で商品・役務については指定商品制を廃止したわけですから、その特商法の性質論はある意味では議論して突破した、それが第1段階。

商品というのはまだ見えるのですが、役務というのは外縁がはっきりしないという議論がはっきりしないという議論がありました。どこまでを役務と呼ぶのか。結局、広がりがあるので適用除外というか、これは特商法で規律するのはふさわしくないというもの全体を調べ上げた上で、過剰規制にならないように、あるいは不適切なものは外すようにということで、今、業法関係で50ぐらい適用除外があるということなのですが、あれは事務局が大変な作業をなさったと聞いています。

その意味で、外縁がはっきりしないというのが役務について議論されたという経緯があります。そして、最終報告書が平成19年11月27日に提案されたときに、つまり権利についてはその外縁が不明確であることや消費者相談の件数が極めて少数であるという実態を背景に、当小委員会においては商品・役務を優先しての見直しが重要であるとの認識に至った。トラブルがたくさんある商品・役務を優先する、権利は後というのと、外縁が不明確というのがここにも言葉で出ているのです。だから、恐らく指定権利廃止を議論するときに、適用除外、さらに何が必要かということは議論が恐らく論点に残るのだろうと思います。

とはいえ、現在50ぐらいある中に例えば金融商品販売法はどちらかというと権利の販売の色彩が強いでしょうし、かなり役務で議論した中で外れているのかなと、そういうような意識でいます。私は今被害が多発している分野については規制対象に加えるという方向でいいのかなと考えております。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

よろしくお願いします。

○河野委員 今回の検討は環境が変化しているというか、どういうふうに環境変化を受けるのか。あとは被害の数字とか実態をどう共通にみんなで捉えて、そのことに対して知恵を出し合うかと思っているのですが、初回から最初の2時間不在だったので、そのあたり、私たちはどこによって立つのかという基礎的なデータをどこに置くのかという確認はしたのでしょうかというのを伺いたいのです。消費者庁さんのところはさまざまデータが出ていますが、同じような視点で経産省さんのほうも数字も出ていますし、それをそれぞれどういう視点でまとめられたかによって、こういうデータというのは読み方が違ってくると思うのです。どれによって立って、それぞれだと思うのですけれども、そのあたりが今後一つ一つの要件というか、検討課題をやるときに、何を本当に一番環境変化の著しいところで、どこに消費者被害が実際はあらわれているのかということを見るのに、どういう指標を頼りにすればいいかというところだけ確認したいのです。

○消費者庁山田取引対策課長 ありがとうございます。次回以降、それぞれの論点を議論するときに、所管省庁としてデータをできるだけお出しするということで、そのデータ自体の位置づけや解釈については、まさにここでお話しされるということになるのだろうと思います。

○後藤座長 先ほどの消費者庁と経済産業省に御説明いただいた中でも、データの数字だけではなくて補足的に読み方についての御説明もありまして、データをどう読むかということについては、今山田課長がおっしゃったような形で、必要な場合にはその解釈も含めて議論していくということになろうかと思います。

よろしくお願いします。

○杤原委員 発言の機会をありがとうございます。今、河野委員がおっしゃられたことは一番大事な話ではないかと思います。というのは、消費者庁さんのほうでお出しいただいています資料の4ページをごらんいただきますと、先ほどの有山先生のお話にも関係するのですけれども、通常、消費生活センター等に寄せられた相談件数ということでPIO-NETの中に蓄積されたデータというのがよく使われるのですが、これはあくまで相談情報ということであります。しかし、その件数を引用しながら2つ目の黒印でトラブルがと出てきますと、この議論をするときに錯覚を起こすこととなるのではないでしょうか。相談情報ですから、内訳というのが必ず必要なわけでありまして、中には問い合わせが入っていたり、クレームが入っていたり、あるいは本当の被害者からの訴えがあったりするはずなのですけれども、そこの分析というのを我々は伺ったことがないわけであります。例えば、本当にただの問い合わせであれば、相談件数の中であったとしても法律改正やガイドラインには恐らく関係ない話であり、ただのクレーマーであれば、それはクレームということでむしろ業務妨害などに該当するわけでありまして、実際に被害に遭われた方を本当に救済しないといけないということであれば、先ほど来先生方がおっしゃられているように、執行体制をきちんと強化して、警察や消費者庁で厳格に取り締まりを行い、犯罪的、詐欺的な行為であればきちんと調査をして、それを解決するべきです。九十数万件の内訳が何で、最終的にどういう処理をされたのか、現行法では処理できず問題が解決できなかったのか、といった結果を御説明いただかないと、そもそも法改正が必要なのか、ガイドラインで済む話なのか、単なる消費生活相談窓口がきちんと強化されればいいのかという具体的な議論ができないと思います。

今日は山田委員が御欠席ですけれども、東京都では物すごく相談件数が多いわけでありまして、その中でもたくさんの高齢者の方たちが被害に遭うという実態がございます。この様な実態に対応するため、東京都では見守りネットワークを強化し、それについては事業者の方も協力するという体制になっております。具体的には、事業者の方がビジネスの傍ら高齢者のお宅を訪問して安否を確認するなどの形態で被害を防ぐという体制になっていますので、訪問してはいけませんという形になりますと、見守り隊との関係はどうするのか、高齢者の被害防止を誰が担保するのか、そういう現場の自治体さんの活動を制限するのもいかがなものかと思います。ここのところは河野先生が言われるように、きちんとよって立つ数字、中身というのを共通認識として持った上で議論すべきではないかというのは賛成でございます。

○後藤座長 ありがとうございます。

よろしくお願いします。

○消費者庁山田取引対策課長 済みません、私からではなく、もしかすると丹野理事でありますとかからお返事をしたほうがいいのかもしれません。補足があればぜひお願いしたいのですけれども、今、杤原委員がおっしゃった前段のところのお話は、確かに個別の件数として、その中には問い合わせ的なものとかトラブルとは言えないようなものが全く入っていないかといえば、個別には入っている場合はあると思います。しかし、だからといって、この全体的なトレンドのところが少しバグが入っているかもしれないから全体として信用ならない、中身は聞いてみないとわからないというのはやや私としては違和感のあるところでございまして、現場の相談員の方々は、全く理由がない消費者からのお問い合わせとか、そういうものまで全件挙げているわけでも何でもなくて、それは申し出に理由があるようなもの、それは最後のところの末尾は相談かもしれないけれども、そこに至る過程では十分問題があるようなものと、そういう理由のあるものを選んで登録されているというのが私どもの理解でございまして、少しバグが入っている可能性があるから全体が信用ならないとか、そういった議論では、今までも恐らく消費者行政ではそういうことでやってきていないと思いますし、今後もそうだと理解しております。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

よろしくお願いします。

○経済産業省伊藤消費経済企画室長 今の点と、河野委員がおっしゃったことは私も実は非常に重要だと思っていまして、オブザーバーという立場ですのでどこまで言っていいかというのはありますが、今後の進め方とも関連しますので申し上げます。

本日お配りいただいた参考資料の最後に各団体、皆様方からの御意見を集めたものがあります。そこで共通して皆さんおっしゃっているのは、規制強化の検証、効果、そういったものもちゃんと前提として詰めなければいけないし、それによって立ち位置が決まってくるしと。したがって、今、議論になっていた苦情相談の現状というものもできるだけ丁寧に見えるところは見なければいけない。そういう議論があって、個別の論点とあわせて議論していくという進め方が重要なのではないかという気がします。ですから、ここに出ている参考資料6のところの進め方に関する要望も我々はよく踏まえてやっていただく必要性はあるのではないかと思います。最終的には、座長と事務局でお決めいただくことですが、そのようには聞いていて思いました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

増田委員、よろしくお願いします。

○増田委員 消費生活相談の現場から情報提供をさせていただきたいと思います。

問い合わせとか苦情とかクレームとか、いろんな種類の御相談を受けますけれども、問い合わせというところに分類するものは非常に少ないです。消費生活センターのほうに御相談いただく、あるいは私どもも週末電話相談室がありますけれども、そこに電話をかけるというのは、一般の消費者からするとやはり一段ハードルがありまして、自分ではなかなか事業者さんのほうに直接言えないというようなことからお電話をいただくということがありますので、何かしらの問題があることは多いです。それが法律違反とか、違法とか違反とか、そういうことではなくても、高いレベルの消費者対応をしてもらいたいということであるかもしれませんし、あるいは適合性に合わない説明の仕方、ちゃんと説明をしているけれども、その方にとっては十分な理解が得られなかったというようなことがあります。それをどういう分類にするのかというのは難しいかと思いますが、消費生活センターとしては苦情として分類しております。

それはやはりある意味、消費者市民社会を構築する上では非常に重要なベースとなるデータだと考えます。同時に、数の多い、少ないということだけでこの議論は進めていただきたくないと考えております。私のほうで出させていただきました事例というのは、決して数的に多いものばかりではないです。相談を受けて重要な問題として記憶に残っているとか、ほかの相談員も解決に時間がかかっているというようなことを数多く入れさせていただきました。そういう意味で情報提供させていただきたいと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

丹野理事、よろしくお願いします。

○国民生活センター丹野理事 そういう御質問が来るという想定をしておりませんで準備がなくて大変申しわけないのですが、今、増田委員がおっしゃったように、消費生活相談は問い合わせと苦情という入り口は複数でございまして、数を持って来ないので申し上げにくいのですが、苦情が非常に多い。苦情というのはおおよそ消費者の不満の表明があるものを苦情と扱っておりますので、もしかすると先ほどのクレームとおっしゃった、事業者さんに対する何らかの作為のあるようなものも中にカウントされる可能性はあります。

ただ、それを消費生活相談、実際の中ではそれを解きほぐしていて、その対応をするべきものについては対応すると、適切に助言をするなどとしております。ちなみに、数字を持ってこなかったので次回の宿題にさせていただければありがたいと思っています。

○後藤座長 よろしくお願いします。

○佐々木委員 私どもも「通販110番」という相談窓口を設けて、この近年、詐欺的サイトの相談が非常にふえておるということで、やはり事業者にとっては苦情というのはある意味次のビジネスを生む源泉だと思っていますので、その内容を分けていただいて、それがわかれば対応の仕方というのはわかると思うのです。そういう意味では、ここに全部の数字が出ていて、70%がアダルトサイトのものであると書かれても、どういう内容が個別にあるのかというのはわからないと対応の仕方というのはわからなくなると思うのです。ですから、それは全体がふえているというのは当然注意しなければいけないし、アダルトサイトも一つの問題だとは思いますけれども、内容が個別に例えば相談と苦情がちゃんと分かれているとかというのがはっきりあって、かつどういう問題であるのかということがあれば、それぞれの対応は可能だとは思うのですけれども、漠とした数字で全体が伸びているという、内容がわからないと具体的な方法はできないと思うのです。それを根拠にする以上はそれを知りたいと思います。

○後藤座長 池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 議論の出発点として実態をどう把握するかという点で、私もそれは賛成です。ただ、先ほどから苦情問い合わせの内訳ということ、あるいはさらに細かな不満の中身をという話がありましたが、例えば消費生活年報でも勧誘方法別の内訳だとか、これまでの公表資料の中でもある程度分析されているものはあったはずです。そういうものも手がかりになると思うので、恐らくおっしゃっているのが個々の相談事案の中で一つ一つどういう苦情の中身が何件あるかという趣旨ではないと思いますので、それは無理のない範囲で資料として御準備いただければと思います。

もう一つ、消費生活センターに寄せられる相談というのはたしか全体の別のアンケート調査と重ねていくと数パーセントでしかないというような議論を聞いたことがあります。その調査のデータ、最近の数字はどうなっているのか。消費生活の中で不満を抱えた中でどのぐらいが消費生活センターへ寄せられ、それがこの年間90万件をどう読むのかという、そういうデータも出していただければと思いますし、消費者庁で先ほど6兆円がトラブルの数字だという、これも2~3年前に一定の推計をした上でお出しになった数字だと思うので、それもちょっと資料として共通認識のものとしてお出しいただくことで、まさに法制度をつくるわけですから、全体像を把握する参考になるのではないかと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

ほかに何かございますでしょうか。

それでは、本日の意見交換はこのあたりにさせていただきたいと思います。

本日は、各委員から特定商取引法の見直しに向けてさまざまな御意見、御要望が表明されました。また、本日逐一御紹介はできませんでしたけれども、特商法の見直しについて、各経済産業局、都道府県、そしてさまざまな団体からの御意見、御要望も配付させていただきました。

今後の専門調査会においては、これらの論点全てを取り上げることは難しいかもしれませんが、次回までに私と事務局で論点整理をしたいと思います。先ほど事務局から少し発言もございましたけれども、私としては次回以降、まず今日お聞きした委員からの見直しの要望の強いもの、消費者被害の大きいもの、緊急の対応が必要なもの、こういうものを優先的に取り上げ、政省令改正事項よりも法律改正事項を優先的に論点として取り上げていきたいと存じます。

具体的な論点及び進め方は次回までにお示しいたします。


≪4.閉会≫

○後藤座長 最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。

○金児企画官 本日はさまざまな御意見をどうもありがとうございました。

次回の日程につきましては現在調整中ですので、決まり次第御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。

○後藤座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございました。

(以上)