第149回本会議・第6回景品表示法における不当表示に係る課徴金制度等に関する専門調査会 合同会議 議事録

日時

2014年3月20日(木)14:00~16:05

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【消費者委員会委員】
河上委員長、石戸谷委員長代理、齋藤委員、高橋委員、夏目委員、橋本委員、山本委員
【専門調査会委員】
小早川座長、白石座長代理、川出委員、宮城委員
【説明者】
消費者庁 川口審議官、菅久審議官、黒田課徴金制度検討室長、加納消費者制度課長
【オブザーバー】
国民生活センター 丹野理事
【事務局】
小田事務局長、金児企画官、稲生参事官補佐

議事次第

  1. 開会
  2. 要件・手続等に関する検討(2)
    対象事案(除斥期間)
    賦課金額の算定(基本的な考え方、加算・減算・減免措置、対象期間)
    裁量性
    調査権限・手続保障・徴収手続
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○金児企画官 本日は皆様、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会第149回本会議・第6回景品表示法における不当表示に係る課徴金制度等に関する専門調査会合同会議」を開催します。

本日は、所用により、本会議委員の阿久澤委員、岩田委員、唯根委員、専門調査会委員の白石座長代理、鹿野委員、長田委員、増田委員が御欠席、専門調査会の宮城委員が遅れていらっしゃるとの御連絡をいただいております。

なお、本会議委員の橋本委員におかれましては、テレビ会議での御出席となります。どうぞよろしくお願いいたします。

まず配付資料ですけれども、本日は資料1から資料5までございますけれども、資料2から資料5までは前回お配りしたものと同じものでございます。不足がごさいましたら事務局へお声がけをお願いいたします。

それでは、ここからは小早川座長に議事進行をお願いいたします。

○小早川座長 それでは、きょうも皆様よろしくお願いいたします。

先ほど話がありましたが、橋本委員は聞こえていますでしょうか。

○橋本委員 はい、聞こえております。よろしくお願いいたします。

○小早川座長 それでは、御発言があれば適宜お願いします。

では、議事に入ります前に前々回の委員から出された意見について、事務局からお願いします。

○稲生参事官補佐 資料1をごらんください。前々回になりますけれども、既存の課徴金制度についてのヒアリングと、事業者団体からのヒアリングを実施いたしました。そのときの主な御意見や質疑応答につきましてここに整理しておりますので、御確認をお願いいたします。

以上です。

≪2.要件・手続等に関する検討(2)≫

(1)「対象事案」のうち「除斥期間」について

○小早川座長 ありがとうございました。

それでは、今回も前回に引き続きまして、景品表示法上の不当表示に関する経済的不利益の賦課に係る要件、手続に関する検討を行います。

議論の前に、前回の議論に関しまして消費者庁から補足説明があるとのことですので、よろしくお願いいたします。

○消費者庁加納消費者制度課長 本日の配付資料で申し上げますと、資料3になろうかと思いますが、それの12ページで対象事案の主観的要素に関しましてA案、B案、C案ということでお示しをしておりまして、これにつきまして立証責任が議題になった際に、私から立証責任については引き続き行政が負うのではないかという趣旨の御説明をいたしました。

それにつきまして若干訂正をさせていただければと思いますけれども、特にここで書いておるB案の趣旨としては、そこをさらに踏み込んであえて立法政策として立証責任を転換するということにしてはどうかという趣旨で、このB案を書かせていただいているということであり、そこのところは私の説明は誤解を招く、必ずしも正確でない御説明になってしまっておりますので、訂正させていただければと思います。B案についてはそういうことを考えてはどうかという提案であります。

私の御説明としましては、平成20年改正法の規定ぶりを前提とすると、その20年改正の規定については、最終的には立証責任の所在はどうかというのは解釈に委ねるところになると思いますけれども、その解釈の考え方としては、ただし書きという書き方をしたとしても、行政が引き続き立証責任を負うという解釈に至ることはあり得るということで御理解をいただければと思います。

以上でございます。

○小早川座長 この論点は、前回いろいろ、消費者庁からの説明と、それに関連して各委員からの御意見もあったところで、今の補足説明は、その中での消費者庁からの説明ぶりについての修正ということであると思います。ここではそれを伺って、議事録にそのように反映されるということでよろしいのではないかと思いますが。はい、丹野さん、どうぞ。

○国民生活センター丹野理事 オブザーバーでございますので、発言を控えるべきだと思うのですが、発言させていただいてもよろしゅうございますか。

○小早川座長 この点はきょうの本題ではございませんので、手短にお願いいたします。

○国民生活センター丹野理事 手短にいたします。

前回の主観的要素の部分でございますが、A案、B案、C案についてそれぞれ委員の皆さんが御議論いただいていたものを伺っていたのですが、例えばB案ですと当該違反行為者が注意義務を尽くしていたことを立証することができたときは、例外的に経済的不利益を賦課しないというふうになっております。それはそれで企業から見たら納得できる仕組みだと思うのですが、しかし、素朴な感覚で申し上げれば、では消費者被害救済の観点はどうなのかという部分が残るのではないかと思います。

本来、不当表示によって個別の被害者がいて、被害者は不当表示の損害を被っているわけですから、本来は被害者に返金されるべきものであると考えますと、この注意義務を尽くした場合には不利益を賦課しない。つまり課徴金を賦課しないということであれば、そういう整理をされると消費者側に返金をする、返済をするという部分はどうなるのだろうか。いわば消費者への被害救済をどう行うかという観点が残ってしまうのではないかと思われますので、そこの点を考慮しないのはいかがなものか。A案、B案、C案を本来選ぶ前には、そこの部分も本来、埋めておくべきではないかと思いましたので、あえて発言をさせていただきました。よろしくお願いいたします。

○小早川座長 今の御発言も、前回の議論につながるものとして追加することにしたいと存じます。

では、ほかにはよろしいでしょうか。

それでは、本日のテーマですが、前回からの続きで、資料2で言いますと、「1.対象事案」のうちの「(4)除斥期間」から始まりまして、「2.賦課金額の算定」「3.裁量性」「4.調査権限・手続保障・徴収手続」、これらについて議論をしたいと思います。

そこでまず「対象事案」のうちの「(4)除斥期間」であります。前回、資料3の14ページで御説明がありましたように、ここで考えている経済的不利益を賦課することができる一定の期間というものを設ける必要があるかということでございます。時間的には、10分か15分といったところをめどにしていきたいと思います。

それでは、御意見あるいは御質問のある方はどうぞお願いします。

はい、齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 私は実態がわからないので消費者庁に質問をしたいのですが、普通、こういうもので考えると例えば税務調査対象になる会社もありますから、5年間、伝票類は置いているだろうとか連想するのですけれども、この不当表示については大体どのぐらいの期間続くものと捉えているでしょうか。今までの過去の措置命令の経験から。

○小早川座長 これは、後のほうの「対象期間」とも重なる話かと思いますが、よろしければここで。

○消費者庁菅久審議官 正直なところ、どれぐらいの期間というのは具体的に言えるものはないのですけれども、本当に個々のある商品が販売されている間ずっとやっている場合もありますし、広告というのが一時期しかやっていない場合もあって、それはばらばらかなという気がしておりますので、申しわけございません。正確に何年とか平均的にとかいうデータは今、持っていないです。今はこういう規定は入っておりませんので、今は措置命令だけでございますので、ある意味では今ある表示を排除すればいいということでやっておりますので、そういうこともあって今はどれだけの期間というのを余り把握していない。手元にない。

○小早川座長 御質問は、表示行為があってから処分するまでの期間の話ではなくて、表示行為そのものがどのくらい続くものなのか、どのくらい続くものとして問題になるのかということだと思うのです。対象期間の捉え方の話と重なるのかなと申したのは、そういう意味ですが、それも、現行法では出てこない話ですね。

○消費者庁黒田課徴金制度検討室長 現行法では基本的に意識して執行していませんので、逆に理論的に言えば別にずっと創設以来、老舗でずっと続けてきたものを今まで見逃してきたけれども、見つけてみたらそれは創業以来、実はアウトでしたという場合だってあり得ますので、そういうことだと思います。

○小早川座長 措置命令の場合にはとにかくその時点で不当表示行為があればそれでアウトになる、その時点でそれがあるかないかが問題なわけで、そこが違うということですね。

○消費者庁菅久審議官 もちろんある程度の期間やっていれば、立証できる範囲で、例えば折り込みチラシだったらいついつの新聞にはこう入っていましたとか、そういうものを立証した上で措置をとるのですけれども、今、御質問いただいたような観点で表示の期間がどれだけあったかというのを調べたことがないものですから、済みません、何とも申し上げようがないです。

単純に言えば、明らかなのは、余り昔のものまで調べても仕方がないので、そこまでは調べていないということはもちろん言えると思います。

○小早川座長 ほかにございますか。はい、夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 今の齋藤委員の質問とも関連するのですけれども、後ほどの対象期間との関連もありますが、この除斥期間、また、後ほど出てくる対象期間ですけれども、相当期間というのは今、実際に課徴金を課しているほかの省庁のいわゆる現行ルールというものがあるわけですので、そういったものを大体念頭に置いて相当期間というふうに考えていらっしゃるかどうか。私はそれが妥当だろうと思っているのですけれども、もし今の時点でお考えがあればお聞かせください。

○消費者庁加納消費者制度課長 基本的には夏目委員おっしゃったとおりでございまして、現行で他の類例で申し上げますと独禁法でしたら5年とか、金商法においても5年ということのようでございますが、これは第1回、第2回で既にお示ししている資料で書いてあるとおりでございますので、また確認いただければと思いますけれども、そういうものを参考にしながらということかと考えております。

○小早川座長 議論の技術的な前提に関してですけれども、対象期間との関係で言えば、表示行為が終わったときから数えて除斥期間をどれだけの期間にするか、数え方としては多分そういうことになるのでしょうね。

○消費者庁加納消費者制度課長 座長のおっしゃるとおりだと思います。

○小早川座長 河上委員長、どうぞ。

○河上委員長 表示とか情報というのは1回出してしまうと、そのまま続きますね。つまり、表示をしたものと同じ方法でもってその表示を訂正しない限りは、ある表示をしたということはずっと続くわけですね。

○小早川座長 ビジネスによりけりでしょう。

○河上委員長 そうですけれども、多くの場合、表示は情報として残りますから、原則として、訂正するだけの同じような表示をする必要があるという見方をしないといけないのではないかと思ったのですが、その辺はどうなのでしょうか。

○消費者庁加納消費者制度課長 行為が終了してから除斥期間というふうになると思います。その除斥期間をどれぐらいさかのぼって過去にやるかといいますのは、1つは証拠収集の観点もございますけれども、やはり早期にやらなくてはいけないという観点も踏まえて、適当な期間を設定するということだと思いますが、20年改正のときの考え方としましては、行為で終わったときというものについては表示行為を終えたと単に言うだけではなくて、表示によって不当な状況にされていると河上先生がおっしゃったのは、そういうことをおっしゃりたいと思いますけれども、そういうものがなくなったときを言うというふうに考えていた模様でございます。それが具体的にどうなるかということについては、何らかの措置を講じたということで考えていたようでございます。行政が措置を講じたというのもその1つと見ていただければと思います。

○小早川座長 例えば、チラシを配った、配り終えたけれども、そのチラシそのものは世間に流通しているとか、あるいは、いい商品があるらしいよという情報が第三者の間をクチコミの形で流通しているというようなケースもあるでしょうし、テレビでコマーシャルをやったのが物すごくインパクトがあって、1回だけだったけれども、それを信じている消費者がずっと後までたくさんいるというような場合に、現行法では、事業者のほうから積極的にマイナスの、それを打ち消す措置をとる義務というのは考えていないのでしょうか。

○消費者庁菅久審議官 今の法律でありますと、不当な表示に措置をとられる期間が別に決まっているわけではございませんので、不当な表示を見つけて、必要であればそれを排除する、やめてくれということを言うということだと思います。

○小早川座長 単に看板を取り外すとか、コマーシャルをやめるというだけではなくて、誤解を解く措置、積極的な原状回復措置まで命じることもあり得るか。

○消費者庁菅久審議官 今の措置命令の場合は、通常、求めていますのは表示をやっていればやめなさい。また、こういう期間にこういうものをやったというのを公示しなさいということ。再発防止策をとりなさい。同じ行為を二度とするな。ですから、必ずこういうことをやっていましたということを、例えば新聞とかそういう形で公告をしてもらうということはやっております。

○小早川座長 そうすると、そういう措置命令に違反して、やれと言われたことをやっていないというのは、課徴金の対象にはなるとお考えですか。

○消費者庁菅久審議官 措置命令に従わなかった場合には罰則がかかっておりますので、それで担保しているということです。

○小早川座長 課徴金の対象としては、そういう不作為状態は考えないということか。

○消費者庁菅久審議官 制度のつくり方によりますが、今、想定されている課徴金は、まさに不当な表示をしていて、その表示をいつからいつまでしていたかということに対してかけるというものだと思います。

○小早川座長 すみません、座長がどんどん勝手なことを言って。この議論は、まさに、後の「対象期間」のほうの問題になるのかと思います。ここはこの程度にしたいと思います。

ほかにいかがですか。

○消費者庁加納消費者制度課長 訂正ばかりで恐縮ですけれども、20年改正法のところの考え方は御紹介いたしましたが、河上先生がおっしゃったことに関連してということで、20年改正法のときの考え方としては、除斥期間の起算点である行為の終了の日というものについては、その表示の終了時と考えていたようでございます。今、確認いたしましたけれども、ですのでその影響というのはどうも考えていないように思います。これはやはり起算点を明確にしようという考慮ではないかと思います。

私が申し上げました影響の排除といいますのは、後に出てきます実行期間の算定のときには単に行為が終了したというのではなくて、それに基づく影響が残っている限りは実行期間と見て算定の対象にしようという発想に基づいているようでございまして、その際には影響排除というものを考慮する。そうすると、影響の排除というのは何かというのは不明確になりますけれども、そのときの考え方としては行政措置というものがはっきりしますので、それをメルクマールにしましょうという議論がされていたということでございます。

○小早川座長 では、ほかによろしいでしょうか。今の議論でもそうでしたけれども、また後の「対象期間」のところと関連する部分もありますので、なお問題があればそこで考えるということにしたいと思います。以上の除斥期間の問題につきましては、具体的に期間をどれだけにするかということはここでは議論しておりませんが、事柄の性質上とにかくそういうものがあってしかるべきだろう、以前の20年の法案と特に考え方を変えることはないだろう、というような線でよろしいでしょうか。よろしければ、では次にまいります。

(2)「賦課金額の算定」(基本的な考え方について)

川座長 次は「2.賦課金額の算定」の議論であります。ここは、資料2で言いますと「(1)基本的な考え方」、「(2)加算・減算・減免措置」、「(3)対象期間」とありますので、一応この3つに分けて議論したいと思います。

順番としてまず「(1)基本的な考え方」ですが、これは資料3ですと15、16ページです。前回説明がありましたように、制度の趣旨、目的を踏まえて賦課金額をどのように算定すべきかという点でございます。これも、具体的な数値あるいは率の話ではなくて、それを考える際の考え方、観点、筋道というようなことを、ぜひここでは詰めていただきたいと思っている次第でございます。

あと10分ないし15分で議論したいと思いますが、それでは、御意見、御質問のある方お願いいたします。はい、宮城委員、どうぞ。

○宮城委員 この検討事項からすると、抽象論としてはこの考え方はよろしいかと思うのですけれども、具体的な何パーセントということについては、この調査会では打ち出すのか打ち出さないのか。それは検討事項にするのか。そこだけ前提として確認したいのです。

○小早川座長 私見では数値を調査会の意見として確定することは考えておりません。ただ、例えばこのくらいではこういう効果は得られないのではないかとか、そういったような基本的な考え方にかかわる文脈で数字が出てきて、それがある程度皆さんの議論の共通の前提になるということはあり得るかと思っておりますが、河上先生、どうですか。

○河上委員長 その不当な表示の中身にもよるわけでして、例えば鳴門わかめと称して中国わかめを売って、本当は1,000円ぐらいで入手したものを1万円で売ったとすると9,000円出てきます。仮に売り上げが1億円だとすると9,000万円は言ってみればやり得ということになります。ところが、ロブスターを伊勢海老と称して売ったら、その値段が2倍ぐらいで売れたに過ぎないというのだと、1倍額ぐらいがそれになりますね。集客力の差も考慮しないといけないかも知れません。ですから、ある意味では一律にかけるということもかなり政策的には難しい話で、本当に違反を抑止するにふさわしい適切な金額をどういうふうに出すかというのは、相当精査しながら出さないと、この会で何パーセント以上というやり方を出すのがいいかどうか、ちょっと私は疑問が残ります。むしろ事務方のほうでそこは詰めていただいたほうがいいのではないかと思っておりました。

○小早川座長 はい、宮城委員、どうぞ。

○宮城委員 それは全くよく理解でき、私もそう思っておりまして、確かに業種や業態または事業者によっても利益率というのはかなり、またそれが基本的に詐欺師的な商法なのか、それともある程度まじめにやっていたけれども、間違えてしまっただけなのか、それによって全然話は違ってくる。また、商品、役務の内容によっても全然違ってくる。ということはそのとおりでございます。ただ、一つ一つ認定できるかというと、それは絶対に執行部隊としては無理であって、また、その必要もあるのかというところもありまして、まさに独禁法改正の時などは一つ一つ談合とか不公正な取引によって、どのぐらいの不正の利益があがったのかということについては、ある程度シミュレーションは当時していたようですけれども、厳密なところはわからないですね。だから最終的にはどこかの段階で実効性のある水準と言うのはこのあたりではないかというところで政策的判断をしなければいけないであろうということになるわけですが、ここまではなかなか大変だというのもわかるのですけれども、では、どこでやるのかということになって、国会の議論の段階でならできるのかというと、それも所用期間の関係で疑問でありまして、結局、消費者庁さんのほうでデータ集めをして、平均的には実効性があるところではこのあたりではないかとどこかで判断をしなければ、データを集めてしまわなければいけないと思うのです。

それだったら国会でどうせやることだったら、ここでやっていただけないかという感じも持っております。つまり基礎データはこのようなことになるというようなこと、ある程度のデータ集めぐらいは,全部はそれは大変かもしれないけれども、我々の判断となる対象の基礎データぐらいは何か集めたり、あるいはお手持ちのものだったら出していただけないかなと。前回も申し上げたのがアンケート調査ぐらいできないのですかということで申し上げて、過去の措置命令とか排除措置について、そのあたりのデータはないのかということを申し上げたのですけれども、そうしたらその数字的なところは判断していただかなくてもよいのだということでしたが、何かそれも何パーセントに設定するかというのは割と革新的な部分であるので、そこについて何もというのも。今の時点では確かに何パーセントと言い難いのはそのとおりでありまして、その関係で日弁連の意見書などもそれはちょっと言えないので、何パーセントというのは打ち出しておりません。

ただ、今、データが何もない段階でその点について何か言うとすれば、抑止のために必要なある程度の水準ということになると、私の感覚では20年法案で出ていた3%というのではお話にならないのではないかということで考えております。

1つほかの制度を参考にするのならば、社会的な影響の大きさというのは談合や不公正取引等と比べた場合、確かに不公正な取引方法などと比較すると3%とかいうのもあり得るのかもしれませんけれども、社会的な影響ということになると不当表示というのは決して談合、カルテルなどという大きな違法行為と比べても、多くの消費者に与える影響というのは決してより小さくはない。社会的には大きな影響のある問題であるということを考えると、私の現時点で何もデータのない考えとしては、その不当な取引制限に関する10%を出発点としてはどうなのかということを考えております。

○小早川座長 今のように考え方として根拠をお示しいただいて、一応の数字を出していただくというのは結構なことだと思いますので、ほかの方も、もしそういうことがあれば。

はい、高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 前回欠席したので、データに関する議論があったというのは今、知ったのですが、私も宮城委員と同様、やはりある程度のデータを出していただかないと、検討が難しいというふうに感じております。少なくとも資料4で出していただいている今までの違反事例について、先ほども行為の発生から発覚、そして措置命令、そういう期間等についても、具体的には云々というお話だったのですが、いつ、何が起きたのか、当該企業がどのぐらいの売り上げだったのかとか、違反による不当利得がどのくらいあったのかとか、そういうことが何もわからない状況で決めていくのは非常に難しいと思っています。今、仮に3%とか10%とかいう数字が出されましたので、それを当てはめたらどうなるのかというシミュレーション、事例研究をしてみないと決めることは難しいと思います。

○小早川座長 消費者庁、いかがですか。

○消費者庁菅久審議官 補足で御説明させていただきますと、我々といたしましては15ページ、16ページのところに書いておりますが、金額は多分、コンセプトが決まるとそれに伴ってどういうパーセントになるかというふうにむしろなっていくのだと我々も思っておりまして、この賦課する金額の基本的な考え方がないところで割合とかやり方は多分出てこないのではないかと思っています。

ここで書いておりますのは、どちらかといいますと違反行為の抑止ということを目的として置きつつ、やり得に相当する金額として、それは一定の率を一律にというようなものがここで一応、示されている案なのですけれども、これは多分これだけではなくて、いろいろあり得ると思いまして、やり得に相当する金額ではなくて、摘発の確率を考えればそれ以上必要なのではないかという御意見もありましょうし、また、一律、一定ではなく、これは個別に考えるべきではないか。こういう考慮をして、こういうふうに個別に考えるべきではないかでありますとか、また、対象商品の売り上げの一定率をかけるというのが独占禁止法でもそういうふうになっておりますので、何となくそういうふうなものがまず頭に浮かぶのですが、世界的に見れば別にそれだけではなくて、その企業の全売り上げの何パーセントというやり方もないわけではない。そういうことを考えに入れて、できればこういう考え方で率というものを考えていくべきではないかという御意見を、ぜひお願いしたいと思っております。

○消費者庁黒田課徴金制度検討室長 あと、私が前回、言い方がよくなかったのかもしれませんけれども、データとの関係で言いますと、それこそこれも私どもが申し上げることではないのかもしれませんが、いつまでにこの議論を終わらせるのかということと関係してきまして、要するに今ここですぐ出せれば当然我々は出すのですけれども、要するにそういうものではないからこそいろいろ申し上げているということで御理解いただければと思います。もともと執行で、我々自身は執行部隊ではないものですから、まず執行部隊でそういうデータがあるかどうかということも含めて、まず聞かなければいけないという部分と、あと、そもそも集めたデータというものはこういうことのために集めたデータではもちろんないので、こういうものに使っていいのかというところからいろいろ検討しなければいけないということもございます。そういったこともあわせて宮城先生などがおっしゃることはごもっともだと思うのですけれども、それですぐに出せるかというとなかなか出ません。だからそういう意味で検討させてくださいということを申し上げている次第でございます。

○小早川座長 それでは、前の案で3%となっていたのは、どういう考え方によっていたのか、というのはどうですか。今ここでもし簡単におっしゃっていただけるのであれば。

○消費者庁加納消費者制度課長 それもやはり事例に即してということになるのですけれども、基本的には当該商品の売り上げによってどれだけの利益を得ていたのかというとについて、営業利益率ベースで一応のデータ収集をし、その中で大体これぐらいであればいわゆるやり得に相当するだろうということで、3%という数字を出しているということでございます。

○小早川座長 というのは、内輪に見てもこのぐらいはやり得になっているだろうということですか。

○消費者庁加納消費者制度課長 内輪といいますのは。

○小早川座長 今、言われた、やり得になっているだろうというのが、3%かどうかは、それはケースによってもちろん違うわけですね。それの平均的なところを考えたのか、それとも安全を見込んで内輪で考えたのか。

○消費者庁黒田課徴金制度検討室長 考え方としては、措置命令に関係する企業の平均的な利益率を出してみて、それで計算した、決めたというイメージです。ですから多分、期間のとり方によって変わってくるかもしれませんけれども、当時決めた考え方というのは措置命令の対象となった企業が計算できる範囲で利益率を決めて、それを平均して出した。当然、幅はあるでしょうということなので、それより得しているところもあれば、そもそも企業として利益率が低いところは、やり得と言っても全然もうけがなかったところも可能性としてはありますけれども、一定の期間、決めていろいろ調べてみて出した数字です。ですから、やり得というのは最低でも企業が持っている利益率はもうけているだろうということで、かなりかたい数字だと御理解いただければと思います。

○消費者庁菅久審議官 そのもう一個前の前提が多分あると思いますのは、平成20年のときは独占禁止法の課徴金制度の上に乗っかってつくっていますので、基本的に独占禁止法の課徴金の考え方で入れたと理解しています。ですので先ほどの基本的な考え方で言うと違反行為の抑止という観点から来て、そのためにどういう金額をとるかというのを独占禁止法でも結局、カルテルならカルテルでとった不当な利得ということですけれども、それは計算できないので、それを企業の何らかの利益率で代表させて、その利益率から一定のパーセンテージというものを出して、それが結局、不当利得の額にほぼ相当するだろうという、擬制をしてとるという考え方だったと思いますので、この景品表示法についても同じようにそういう考え方をそのときは適用したということです。

ですので、抑止から始まって不当な利得を何らかの利益率で代表させ、それを一定の率ということでかける。何で一定の率にするかというと、個々には計算できないからということで一定の率にするという考え方だったと思います。それがつまり今回の景品表示法の課徴金でも今のような流れで行ってもいいのか、それとも抑止ではなくてほかの観点が要るのかとか、一律でないほうがいいのかとか、そういう話が多分、出てくるのではないかと思います。

○消費者庁黒田課徴金制度検討室長 擬制する率でもっといい率、こんな率があるんだよとか、そういうものがもしもあればぜひ教えていただきたいと思います。

○小早川座長 各論的には次の加算・減算・減免のところにもかかわると思いますけれども。最初に宮城委員は、3%では話にならないと言われましたね。今の御説明についてはいかがですか。

○宮城委員 20年改正案のときの検討過程については、私もそのように理解しておりまして、確かに当時は独禁法の特別法という位置づけでありましたので、不公正な取引方法の中の欺瞞的顧客誘引の特別法と言うのも正しくないかもしれませんけれども、分類するとそこに関連する規制になってくると思うのですが、それとの関係で不公正な取引方法と横並びで何となく3%になったのかなというようなことであります。ただ、先ほども申し上げたとおり、不公正な取引方法の場合と、この不当表示というものの社会的な影響、消費者全体に対する影響というのは全然レベルが違うので、当時は独禁法の関連法だったからしようがないのかもしれないけれども、今の段階では全く別に考えなければいけないのではないかと考えております。

そして、当時もし20年のときの若干利益率の集計をしたということであるならば、そのデータも欲しいなと思うわけですけれども、それは公取から出してもらえませんかと言っても難しいのでしょうか。あとは課徴金率の問題と、そもそも今おっしゃったのは分母をどこにするのかという問題もそれと切り離して考えられなくて、その当該商品、役務の売り上げであるのか、それとも確かに考え方としては業者全体の売上というのもあり得るのでしょうが、そこまでやると何かさすがに談合、カルテルもそこまでやらないと思うので、でも選択肢としてはあると思いますけれども、なかなか反対は強くなるのかなという感じは持っておりますが、だから分母の問題と利益率の問題は一緒に議論しなければいけないのかなと思っています。

個別製品と言っても、その範囲がまた問題で、それが例えば1種類の製品で何が、例えば家電製品だったら型番が少し違っているのはどうなんだとか、あるいは食品だったらそれが何か幾つか食品でなくてもいいですけれども、セット販売されている場合どう考えるのか。個別に考えると売上範囲と言ってもそれもなかなか難しいものがあるなと。それはガイドラインレベルで考えればいいのかもしれませんが、そんな問題もあるかと思います。

○小早川座長 はい、川出委員、どうぞ。

○川出委員 課徴金の賦課金額を算定するうえでの基本的な考え方についてですが、一番問題なのは、それを、やり得分にあわせるのか、それ以上のものにするかという点だろうと思います。違反行為を抑止するという観点からすると、先ほど審議官がおっしゃったように、やり得以上の金額にしたほうが効果があるという面はあると思います。その関係で、後の加算の問題にもかかわってきますが、故意の場合と過失の場合を区別するかどうかが1つ大きな問題になるかと思います。

前に御説明があった公認会計士法は、過失の場合は報酬額というやり得の部分で、故意の場合は、その1.5倍にするという形にして区別しています。故意で違反行為を行う場合には、それが発覚しない場合もあることを考えると、やり得分だけとってもだめで、それ以上の額をとらないと抑止できないということになるでしょうから、このような区別をする制度は、理論的には十分あり得ると思います。そこで、問題となるのは、資料の15頁に書かれているように、そのような主観面を立証することが、行政庁にとって過重な負担になるのかどうかです。仮に、そのような立証を求めると、行政庁の負担が過重となって執行の迅速性が害されるということであれば、すべての事案において過失のレベルに合わせて賦課金額を算定することになりますので、結局、やり得分が基準になります。ここは、前回の会議で、参事官からのご指摘があったとおり、執行体制との関係を考えたうえで決定する必要があるだろうと思います。

○小早川座長 はい、齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 私は抑止のほうがメインかなと思っているのですが、やり得も考え方としてはあり得ると思います。やり得を前提とすると例えば自主的に返納したとか、お詫びをして返金を始めている、あるいはお詫び広告を出したというような場合にはどうするのだというのが必ず出てきますので、そのあたりとセットかと思います。

もう一つは金額を今、論じていますけれども、一番たちの悪い事業者は「過去の履歴がございません」といいます。それが一番たちが悪いわけです。それが野放図になるようではまずいだろう。そこをどうするかというのもセットで考えなければいけないと思います。

○小早川座長 今、返金のケースというのが出てきましたけれども、そうなってきますと、次の加算・減算というところに、やはりかかわってきます。基本的考え方は常に問題ですが、そろそろ、ステージとしては、次のところも含めて議論していただければと思います。

(3)賦課金額の算定(加算・減算・減免措置について)

○小早川座長 そこで(2)の「加算・減算・減免措置」です。資料3では17~19ページであります。前回、御説明がありましたように、基本的な考え方の問題はあるのですが、一定の基本的考え方で算定された金額について、加算・減算・減免措置を設けるべきかどうか。設けるとした場合にどのような措置が考えられるか。くどいようですけれども、これはやはり基本的な考え方とかかわるわけで、今も川出委員が言われたように、やり得額というものを何らかの意味で基本にはするのでしょうが、抑止効果、抑止目的との関係をどう考えるかということも、当然かかわってくるだろう。そういった点につきましてしばらく議論をしたいと思います。と言っても余り時間がありませんが、あと20分か25分ぐらいで。

それでは、どうぞお願いします。

○石戸谷委員長代理 加算についてはあっていいのかなと。これは先ほどの賦課金額の算定のところと川出委員言われたとおり非常に密接に関連していると思うのです。

17ページのところを見ますと、やや消極的なことがいろいろ書いてあるのですけれども、この枠組みの中の最初の○は不当表示を繰り返すことはさほど多くないということで、これは再犯防止という意味から見ると、実効的に機能しているという行政手法研究会のまとめと同方向だと思うのですけれども、他方、一般的抑止効果がないということで課徴金を導入するわけなので、そこのところは無視できない。先ほど委員長が言われたような事例が非常にわかりやすいのですが、悪質なケースほど利益率が高いということになるので、売り上げの何パーセントとかいうことだと、1.5倍というふうにやっても大して吐き出すことにはならないと思うのです。

その点をどう考えるかということなのですが、ここに独禁法と金商法が挙がっていますが、公認会計士法も考え方がこの2つとは違った考え方をとっていて参考になるなと思います。故意の場合1.5倍という形でやっておりまして、悪質なものに十分対処できるようにという声が非常に強いわけですけれども、そうするとこの公認会計士法の課徴金制度が非常に参考になるということと、その場合の1.5倍というものの何の1.5倍かというのが監査報酬相当額の1.5倍ということなのでして、監査報酬というものはいわば売上そのものと言える金額だと思いますので、売り上げのその何パーセントとかいうような、それを1.5倍にするというのと全く金額が違ってくるわけでして、故意というような非常に悪質なケースの場合においては売上そのものとか、公認会計士法と横並びにするとそれも1.5倍になるのだと思うのですけれども、そのような形で悪質なものに対する十分な抑止効果を考えることはあるのではないかと思うのです。

17ページの四角で囲まれた中の○の1つ目と2つ目は、それで説明がつくだろうと思います。3つ目の○のところが先ほど来、出ているように、そういうものを同時にすることで何と言うのでしょうか。実務に支障が来るのかというものとの兼ね合いで最終的には考えるのだろうと思いますけれども、基本的な考え方としては加算は先ほど言ったようなことで、公認会計士法と横並びの考え方でいくのがこの場合はいいのではないかと思っています。

○小早川座長 はい、川出委員、どうぞ。

○川出委員 この資料で加算措置として主に問題とされているのは、違反行為を反復した場合に加算するかどうかという点なのですが、これについても、理屈のうえでは、違反行為を繰り返す事業者については、より抑止効果を高めるために賦課金額を加算するという制度は十分あり得ると思います。ただ、問題となるのは、資料の17頁にも書かれているように、そのための立法事実があるかどうかということだと思います。独禁法で、違反を反復した場合の加算措置を導入したのは、平成17年の改正だったかと思いますが、その際には、課徴金制度があるけれども、違反が繰り返されているということが理由とされていました。そうしますと、もし、資料に書かれているように、不当表示の場合には措置命令をかければ、不当表示を繰り返すことは余りないということであれば、加算装置を導入する必要性はないという考え方も出てきうるだろうと思います。そういう考え方に立った場合には、とりあえず、課徴金を導入してみた上で、それでも違反行為が繰り返されるということであれば、その段階で加算措置を導入するという手順を踏むべきだということになります。他方で、そのような状況が生じるかどうかを検証する必要はなく、少数とはいえ違反行為が繰り返される可能性がある以上は、それを抑止するために、先取りして加算措置を導入するという考え方もありうると思います。

それから、減算・減免措置のほうですが、独禁法における早期離脱者に対する減算措置は、不当表示の場合には当てはまりませんので、減算・減免措置を設けるとすれば、それにより、不当表示の早期発見と申告のためのインセンティブを与えるということを目的とするということになるかと思います。このような制度は導入する意味があるのではないかと思いますが、ただ、19ページの2番目の○で述べられていることは確かに問題であり、そこの仕組みをうまく作る必要があると思います。

○小早川座長 ほかにいかがでしょうか。はい、齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 私も企業の自助努力というか、みずからクリーンにしていく努力を大きくさせるほうが、全体的な抑止効果につながるのだろうと思います。日本全体にとってです。こちらの中央官庁中心に一生懸命頑張っても多勢に無勢ですから、自助努力が日本全体に染みわたっていくことを目指すのがいいと思います。

参考までにですけれども、イギリスの贈収賄防止法が施行されましたが、そこではイギリスの法務省のガイドラインが出ておりまして、企業内のコンプライアンス体制の構築とその運用が適切になされていれば評価するということがあります。アメリカの連邦量刑ガイドラインでも同じようなことをやっています。それから、アフリカのコンゴの鉱物資源等を元手にして人権侵害行為をするような団体が資金調達をする。これを何とか締め出そうということでドッド=フランク法がアメリカで制定されて運用が始まっていますが、そこでも合理的な範囲での努力をしなさいということであろうと思います。こういう自助努力を促す方向にいくほうが、長期的に見ればいい社会になるのではないかと思っています。

したがって、プラスマイナスはあっていいだろうと思うのですが、外国のこういう例をひとつ参考にしながら、消費者関係の取り組みにも取り入れたらどうなのか。こちらなりの新しい考え方を構築していかなければなりませんけれども、参考にすべきだろうと思います。

○小早川座長 はい、高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 関連してなのですが、そもそも今回の景表法改正の中で事業者の表示管理体制の強化に対して、きちんと絵が示されているわけで、当然のこととして企業は内部統制を今までもやってきている。それの中で表示の部分にも非常に力を入れるようになるだろうと、普通の企業、いわゆる悪質ではない企業はそういう方向に動くのは間違いないと思うのです。ただ、それであっても組織の中の一部の暴走によって不当表示が行われたり、例えば1つの支店、営業所の判断によってそういう広告が出てしまうことも現実としてはあると思います。その場合に内部管理体制がしっかりしていれば、内部通報制度などで上のほうにきちんと上がって対処するはずなのです。その対処の中に今、出ましたような返金だとか、そういうこともありますし、まずそれが出た段階で公表をして、該当の顧客にお詫びをして返金なりいろんな措置をとると思われます。そういうことをきちんとやるような体制整備が整ってトップまでいったというところに関しては、先ほどもA、B、Cがありましたけれども、それのBに近いところなのかなと。

ただ、丹野委員の御意見がありましたように、だから対象外なのかというと、私はそうではなくて、そこのところで考慮する余地があると思っているのです。企業が再発防止措置講じても再発する可能性はあるわけなのです。ですので、そういうことによって初回のときに何らか考慮されたところでも二度、三度と続くようであれば、内部管理体制、内部統制の不備ということになりますので、その場合には何らかの前のものを取り返すような形で加算があってもいいと思いますし、ひどいところで言えば内部通報があったのに、それをもみ消して何もしなかったというところには重く作用していいのではないかと思います。

長くなりましたが、その会社の内部管理体制、内部統制がどうだったのか、その事案に対してどう動いたのかということは考慮の余地があるかなと思います。

○小早川座長 以前にも、内部統制なりコンプライアンス体制を作っているということで減免をするとなると、形だけ作ってうまく立ち回るケースが出てくるのではないかという御指摘がありましたけれども、今の御意見は、それは第1段階で、もう一つ、やっているはずのことをやっていなかったら、今度は逆に重くしますよと、そのような両面作戦をということで、なるほどと思って伺っておりましたが。はい、宮城委員、どうぞ。

○宮城委員 今の点と、さらにその前のお話も含めて言わせていただくと、まず加算制度について加算制度は抑止力をアップさせるためにはあったほうがいいとは思うのです。ただ、主観的なもので石戸谷先生が言われるような故意について重くするとか、それは結構執行部隊のことを考えるとできるかなと。少なくとも時間はかかるだろうなと。自白をとらなければいけないような格好になりますね。それはなかなかどうなのだろうという気は、できればいいとは思うのですけれども、そこは心配です。

では、客観的なところで加算の根拠が見つけられるだろうかということについては、今、高橋委員が言われた1つには、コンプライアンス体制だったらある程度客観的な基準はつくれるかもしれないとは思います。ただ、それも私も実は齋藤委員が言われたような株主代表訴訟を幾つか経験して、その関係で原告側でしたけれども、その後、被告企業のコンプライアンス委員会にその後、その結果を見るために入らせていただいたりしたこともありました。

その中でやはりわかるのは、コンプライアンスというのは形だけつくってもだめなので、結局、システムを動かすのは人間なので、形だけつくったということで免責をするというのは非常に危険で、骨抜きになる可能性があります。だから絶対に間違えないということで、これだけはやっておかなければだめでしょうというところで、客観的な基準をつくって、それに外れたら一応やっていましたという形をとってもそれはだめでしょうということで、加算するというつくりなら考えられるかなと思ったのですが、1つには高橋委員が今、言われたような内部通報、公益通報のもみ消しは絶対に断固たる加算をして私は構わないと思っています。場合によっては本当にこれは公益通報をもみ消すなんてとんでもない話で、公益通報者保護法の趣旨をないがしろにするものですから、それについては1.5倍どころか2倍にしてもよろしいというぐらいに思っています。

あとは内部統制はこの間から申し上げている、非常に裁量権が広いので、会社法も全然内部統制としてここにこういうふうにするんだというのは、各会社の業態や規模とか分野が違うので、全然それは一律のものはつくるのは不可能です。だからそこをどうするかというのですけれども、ただ、それにも限界があって、経営判断の原則とかいうのがあって裁量権はあるけれども、非常に広いから免責はされるのだけれども、何もやっていなかったらだめです。完全な不作為はだめでしょうという話になっています。だからまず1つには表示対策について全く対策がゼロならだめだろうというのが1つあると思います。

もう一つは、過去に不祥事があり、その不祥事について原因究明がされて再発防止措置をとったのかどうか。1回措置命令を受けて、その後、それに対してその原因を分析し、再発防止する措置をとっていない。これも見方によっては完全な不作為です。だからこれは会社法が義務づけをしているのが大会社の範囲ですので、場合によってはそこに区切ってもいいと思うのですけれども、少なくとも大会社である限りは1回、不当表示の不祥事を起こして、それに対して何も原因究明と再発防止措置をとらなかった。これは批判されてしかるべきなので、これについては客観的認定が可能なのではないかと思われるので、それについては場合によっては加算措置にしてもいいのかなと。加算措置についてはそんなふうに考えています。

○小早川座長 はい、夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 加算措置のところですけれども、反復違反者に対する加算措置というのは非常にわかりやすいとは思うのですが、今それぞれに具体的な上がっておりますけれども、それ以外の異なる要素による加算措置というのはどういうものを想定するのか。どういうことを考えればいいのか。そこがもう少し見えてこないと。もしかするとそれを議論する場なのかもしれませんけれども、それは減免のところにも言えることであって、減免のときの要素というのは何を減免の要素にするんだというところを、例えばもう少し仕組みづくりの上でオーソライズしていくとわかりやすいのかなと思えるのです。

○消費者庁菅久審議官 この議論、この次の次の裁量性のあたりと実は関係があるのではないかと思っておりまして、今いろいろお話が出ましたさまざまな要素というのは、多分、裁量性というものがあればあらゆる要素を考慮して、まさに決めていくということができるのですけれども、ここで定義させていただいております加算・減算制度というのは独占禁止法にしろ、金融商品取引法にしろ、そもそもがかっちりした裁量性のない課徴金を前提にしておりますので、したがって加算も減算もこれがはっきりしたものでないと入れられないということで多分こういうふうになっていると思います。したがって、関連しているのですが、最初のところが今の裁量性のない課徴金でありますと、結局これは法律に書かなければいけない話になりますので、そうすると加算も減算も極めてわかりやすいものにしなければいけないという制約があるのではないかと思います。

○小早川座長 そういう御発言をいただいた上で、そうすると、裁量に委ねないで加算・減算の要件として書くべき事由をとにかく特定するということですね。確認ですが、このペーパーでは、加算事由として何と何、減算事由として何と何を挙げておられると読めばいいのですか。

○消費者庁黒田課徴金制度検討室長 別にこれは最終結論ではないのですけれども、このペーパーで読んでいただければ、まさに石戸谷先生なんかもおっしゃいましたが、加算には余り積極的なことは書いていなくて、減算には自主的な申告についてのみ挙げてある。あと書いてあることは、そういうオプションをつければつけるほど、オプションを選択しませんでしたということ自体も説明責任が生じてしまうので、執行には手間がかかるというふうなペーパーになっております。

○消費者庁菅久審議官 つけ加えますと、まさに加算のところで反復したというのは一定期間内にやったかどうかですから、極めてわかりやすいと言えばわかりやすいのですけれども、先ほど川出先生からありましたとおり、そもそも繰り返しが少ないということがあるものですから、これを入れたいというときにまさに立法事実があるのかという話になることを実は懸念しているところでございまして、さらに一番最後の○にありますとおり、つまりさらに追加的にいろいろ調査をしないとわからないような要素が入ってくると、それは一個一個の事件の調査の逆に負担になる可能性があるということで、意識して書いているということであります。

○小早川座長 それが執行段階の負担として出てきてしまうということですが、その問題は、裁量性を認めれば正面から出てくるわけですね。そうすると、このペーパーはそのどちらのフェーズでも消極的であるというように理解していいですか。

○消費者庁黒田課徴金制度検討室長 まだ議論が先走ってしまうのであれですけれども、裁量性については裁量性は考えられないことを前提にこのペーパー全体をつくっていますので、前の部分もそれと整合するようにこういう紙になっているということです。裁量性というのはなかなか難しいのではないかということを前提に書いてありますから、今の検討段階ですけれども、こういう紙になっているということです。

○小早川座長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 転勤が頻繁にあって、一定の職場に就いていない行政担当官に裁量と言われても、裁判官とは違うので、なぜそういう結論に達したのかを問われると、説明するのが恐らくかなり難しいと思います。したがって、どんな格好であれ何らかの見える形でテーブルがないといけないと思うのです。

それから、先ほどから繰り返す例が余りないと言われていましたが、この間の企業の団体、どの団体が言われたか忘れましたけれども、社名公表が一番こたえると言われていました。それに関係して思い出すのが、自殺される事業者が零細の場合には結構あります。したがって、そちらのほうで相当ダメージを受けているのではないかと思うわけで、それプラス課徴金制度があると理解しております。

○小早川座長 はい、山本委員、どうぞ。

○山本委員 1つ確認をしたいのですが、19ページの減算措置の真ん中のところにある自主的な返金を行った場合の対応については、別途制度設計の検討を行うこととすべきという御趣旨は何かということを確認したい。減算措置ではなくて、何らかの制度をつくるという御趣旨なのでしょうか。その確認をしたいのですが。

○消費者庁加納消費者制度課長 ここはまた追っていろいろと考え方を整理して議論していただければと思っておりますけれども、ここで書かせていただきましたのは、被害回復の観点をまずこの課徴金制度の中に入れられないかという問題意識があります。それを具体的に制度設計させた場合には、いろんな選択肢があると思うのですけれども、課徴金額の算定に反映させるという選択肢もあるのではないかと思っております。

具体的に申し上げますと、例えば自主返金をしました。今般のメニュー表示のようなものですと自主返金しましたという場合に、課徴金額を減算するという発想もあるのではないかと考えておりまして、仮にそういう制度設計、具体的にできるかどうかもわかりませんし、どうなるかもわかりませんけれども、仮にそういう制度設計をとるというふうにしました場合には、その上のほうで自主申告による減算ということがありまして、これとの関係も出てくるのではないか。川出先生から似たような御指摘があったと思いますけれども、ありますので、そこは自主返金の課徴金額への算定というところも今後の議論になりますが、見据えてここの減額措置を検討する必要があるのではないかという観点であります。

○小早川座長 その点は、先ほど齋藤委員も自主返金の場合に触れられましたけれども、このペーパーは、損害賠償請求されてやむなく払ったというのは入れない、そういうことなのでしょうね。これについては、自主返金したらそれはその額は機械的に差し引かれるのか。だとしたら損害賠償だって同じではないかということも問題になりますが、そこは何か、金額だけではなく自主返金という行為そのものをプラスに評価して、それが減算事由になるというお考えなのか。

○消費者庁加納消費者制度課長 まず自主返金をどういうふうに見るかというのは検討しないといけないと思います。座長がおっしゃったのは、例えば損害賠償請求を受けて、訴訟で敗訴して返金というか、それは命令に基づく返済をしたというときにまでこの自主返金に含むかというと、イメージとしては異なるのではないかという印象を持ちます。そこはそうなのですが、自主返金をした場合にその金額をどういうふうに算定するかとか、その範囲をどういうふうに認定するのかというのは結構難しい論点があるだろうと思っておりまして、その辺も含めて検討した上での考え方をお示しできればと。これは次回か次々回になるかもしれませんが、しかるべきタイミングでお示ししたいと考えております。

ここで言っておりますのは、川出先生が御指摘になったところの例えば自主申告による減額というものがありますとなりますと、要するに自主返金して課徴金が安くなるということでそれはそれでいいということなのですけれども、自主返金による減額というのがあるという方向とは別のインセンティブが働くわけです。それがどうかというような悩みをここで書いているということであります。

これ以上はなかなか言いにくいところがございますけれども。

○消費者庁菅久審議官 同じことを言っているかもしれませんし、逆に違うことを言ってしまうかもしれませんけれども、これはまた課徴金のどういう目的でとるかみたいな話と関係してくるのですが、まさに抑止のためにやるんだということであれば、それは先ほどの自主申告でお金が減るということで、それで違反行為の抑止ですから、それはそれでいいということになってしまうのですけれども、そうではなくて、これは消費者被害の回復のためにとるんだということになれば、自主申告して減ってしまったら返せるものが減ってしまうということになりますので、それはそれでいいのかということを考えつつ、したがって、自主的返金を行った場合に減らすというのは、発想としては消費者被害の回復のほうに近い話でしょうから、これを入れるというのだったら今度は別の自主申告をしたら減らすというほう、両方をセットにしていいのか、そうでないのか、セットにならないのではないか。そういうことを意識しつつということであります。

○消費者庁黒田課徴金制度検討室長 さらにつけ加えれば、要は被害が回復すればいいと極端に言ってしまえば、自主だろうが何だろうが、戻っていればそれ以上課徴金をとらなくてもいいではないかという議論だってまだこの段階だとあり得ると思っておりますので、そういう意味でこのぐらいの書き方に今のところなっているということです。

○小早川座長 そうすると、読み方としては、19ページの最初の○の箇所にある自主申告というほうがやや前向きで、2番目の○にある自主返金のほうは、なお検討しないと何とも言えないと、そういうぐらいの違いか。

○消費者庁黒田課徴金制度検討室長 どちらが前向きということでは今のところないです。こちらをぜひやりたいということではなく、単に自主返金の部分の検討はまだ進んでいないというぐらいの感じで受け取っていただければと思います。

○小早川座長 わかりました。

はい、高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 自主的返金について確認をさせていただきたいです。自主的申告者というのは摘発されたり外部から通報されたりということではなくて、社内で違法行為に気がついて、そういうことをしていましたということを世に公表し、そして消費者に対して返金、普通は返金だけではなくて何かお詫びで上乗せしたりすると思うのですけれども、そういうことをしたケースが自主申告。私はそれイコール自主返金と思ったのですが、この2番目の○のところの自主返金というのは、お話を伺っていますと外部から指摘されて、そういうことをしていた違法行為がばれてしまつた場合に、急いで返したものも自主的返金というふうに言うということですか。この自主的返金は全然意味が違うので、2つは分けるべきではないかと思います。

○消費者庁黒田課徴金制度検討室長 分けるべきだということについては、まさにそのとおりだと思うのですけれども、別に申告したからと言って返金するとは限らない場合もございますし、今、申し上げたように自主というのは書いていますが、自主的返金ということであれですが、要は極端な例で言えば先ほど申し上げたように、被害に戻っていれば課徴金という意味では先ほど齋藤委員もおっしゃっていますけれども、措置命令はいずれにしても打たれているわけで、社名も公表されている状況において、では自主であろうが自主でなかろうが被害が自主的に回復されていれば、それ以上課徴金までやる必要はないのではないかという議論もあるし、抑止の観点からさらに上乗せでも入れるべきではないかという議論はまだ今の段階では決まっていないので、そういう意味で言うと申告という上の部分と返金の部分は違うものだと御理解いただければ、別にセットで1つという意味ではないです。

○小早川座長 はい、川出委員、どうぞ。

○川出委員 基本的な考え方として、課徴金は、あくまでも抑止のために課すということですから、例えば、民事訴訟で敗訴して損害賠償をしたから、その分が当然に課徴金から差し引かれるという制度はおかしいと思います。仮に、自主的に返金をした場合に、課徴金から差し引くという制度を作るとしても、それは、課徴金は、抑止のために賦課するという前提のもとで、被害回復という観点も考慮して、事業者が積極的に被害回復をするインセンティブを与えるという、一種政策的なものとして入れるということになろうかと思います。ですから、その場合でも、自主的返金額を、そのまま課徴金から差し引くということには当然にはならないはずで、そこは、抑止ということと、損害回復のインセンティブを与えるということのバランスのもとに決めていくことになるのだろうと思います。

○小早川座長 はい、川口審議官、どうぞ。

○消費者庁川口審議官 私ども十分方向が出ているわけではないので、みんなばらばらなことを言っているので申しわけないのですが、もちろん今の川出委員の御意見も重く受け止めたいと思いますけれども、やり得を吐き出すことが大事ということを考えれば、むしろ別に裁判で負けて払ってもやり得を吐き出していることになりますから、やり得を基本に考えて集計してという意味であれば、嫌々であろうが裁判に負けていようが減算するということは考え方としてはあり得て、一方、余り国が取り過ぎると被害者にお金が返らないので、やはり被害の回復になるところをまず第一でとっていって、ただ、やり得のところをはく奪するというところは、しっかり企業から名目はともかく吐き出させればそれでいいのではないかという考え方も成り立つのかなというのが、前に行政手法研究会でいろいろなやりとりを聞いている中での印象でございます。消費者庁で方針が出ているわけではもちろんありませんが、まだまだいろんな考え方があるかなと思っておりますので、また整理をして御報告をしたいと思います。

○小早川座長 そうですね。個々の措置のレベルでそれが何を目的とし、どういう効果をもたらすかというのと、いろんな制度、手段が総体として働いた結果、やり得が総体として抑制される、それが全体としての抑止効果をもたらすという考え方は、もちろんあるわけでしょうね。

はい、宮城委員、どうぞ。

○宮城委員 私ばかり何度も発言して申しわけないのですが、今、考え方の問題はとりあえず置いておいて、現実的なところをもう少しこの返金については考える必要があると思っていまして、よく言われることなのですが、返金するとして、それをどうやって認定して消費者に返すのか。

確かに返金するのは非常にそれで直接的な被害額につながるので、課徴金をどうするかという問題は別に考えて、それはそれでなかなか魅力的な制度ではあると感じます。ただ、それを現実の遂行としてちゃんとできるのかというところがありまして、価格帯が比較的大きな領収書とか契約書などがしっかり残っているようなものであれば、それは可能であるし、あるいは事業者のほうで顧客名簿などというものから認定できるというなら、それは非常によいだろうと思います。

ただ、消費者の購入する商品は小さなものがかなり多くて、たまたまレシートをとっていたとか、何かパッケージをとっていたとか、そういったことがあれば認定はできるのかもしれないのですけれども、そうではなくて個別な立証ができないという場合には、やはりそれは泣き寝入りにならざるを得なくて、かつ、違反事業者から見れば、それは不正な利益が残ってしまう。その部分をどうするのかという問題が起きてくる。それをどうするかというところまでやるのだったら、そこまであわせて考えなければいけないと思います。

その場合考えられるのは、何かどこかの残ってしまった売り上げ、不正な売り上げについては個別返金のかわりにどこか公的な団体に拠出すれば、それを減免の理由にしてあげるということは考えられるとします。どこがいいのかというのは、例えば国民生活センターとか、そんなもの押しつけないでときっと言われるのだろうと思うのですけれども、そんなことも1つ考えられるのかなと。やるのだったらそんなことまで含めて制度設計しなければいけないということだけです。

○小早川座長 ありがとうございました。制度設計の参考となる、1つの要素かと思います。

では、いかがでしょうか。今までの議論は、加算と減算と両方あるうちの減算のほうは、消費者庁ではなかなかいろいろ問題があるということですが、この場の議論としては、政策的な配慮でもって適切なものは入れていっていいのではないかという感じだと思いますが、加算のほうはどうですか。反復した場合というのは、あまり問題にならない、しかし、それも可能性としてはあり得るので、反復した場合の加算というものを制度として用意しておくことにも意味はなくはないと思うのですが、ほかには、加算措置の有意義な制度化というのは、先ほどの御説明だと、余り考えられないというふうにも聞こえたのですけれども、委員の皆様はそこはどうですか。ここで何か積極的な御意見をいただければ、それはそれで今後の議論の材料になると思うのですが。はい、齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 いきなりこれが発覚するということはほとんどの場合ないわけで、いろいろなプロセスで発覚するということだと思います。内部通報により社内で抑え込んでしまうのが一番いい。その内部通報を無視して出したら公益通報者保護制度にのっとって厳しくやっていけばいいと思うのですけれども、例えばライバル会社からおたくのそれはやり過ぎだろうというような指摘を受けて公正取引協会の中でそれをテーマに挙げて議論をすることもあります。そういうプロセスも経て適正手続を踏みながら市場に出たものが、なおかつだめだと言われることも理屈としてはあり得るわけです。

その辺のことにどうやって対処していくかということになると、一律にはいかないような気がするので、そのあたりの実態が詳しい方に説明していただけるとありがたいです。恐らく今こちらに座っているメンバーは全員それぞれが少しずつ違うことを連想しつつ、自分の詳しいところを頭に置いて考えているのだと思います。この辺はこういう情報の入手の仕方があるというような、概要のようなものでもいいですが、あれば御紹介いただきたい。議論が具体的になっていくと思います。

○小早川座長 齋藤委員御自身は、何か。

○齋藤委員 私は公正取引協会で結構もまれていると思っています。ただ、公正取引協会の中では公取委のOBなども入っているわけですから結構厳密にやるわけですけれども、問題は公正取引協会の中に入っていないアウトサイダーで、そこは自由にやるわけです。そうするとその間にレベル差が生じている可能性がある。アウトサイダーがどういうことをやっていて、その情報が消費者庁にどのようにして入ってくるかというのがわからない。

○消費者庁菅久審議官 例えば消費者庁が措置命令に向かって調査をするに至る最初の情報がどういうふうな入り方をしているかということかと思いますが、それはさまざまございますけれども、今、手元に数字があるわけではないですが、基本的には外からの、実は職員がチラシを見て見つけるということはないわけではないのですけれども、ほとんどの場合は外から情報をいただくということです。それで外からの情報というのは本当にさまざまでございまして、今おっしゃったような同業者もありますし、中の人からもありますし、逆に消費者からの情報というのもあります。そういうものが来て、それを使って調査していくことになります。

協会としてというのは、公正取引協議会でしょうか。公正取引協議会というのは、これはそこに加入している人たちは内部でより厳しいルールをつくってやっておりますので、そのルールに従っているうちはもちろん表示上、問題は起きない。それから、より厳しいルールに違反しているのではないかということは、公正取引協議会自身で調査していますので、そこで処理が終わっているということです。

公正取引協議会から我々に情報が来ることもあります。それは彼らのところに来た情報のうちインサイダーでない人たちの情報というのは、我々のところに来るということがございます。それから、アウトサイダーの方々の情報はまさに最初に言ったさまざまなルートでまさにやってくるわけでありまして、同業者であったり内部であったり消費者であったりというところから来て、その中から疑わしい表示であって、かつ、全てを事件としてはできませんので、その中から選択しながらやっていくということになります。

○消費者庁黒田課徴金制度検討室長 今の点をデータで申しますと、大体年間どのぐらい調査をしているのかというのは消費者庁で公表しておりまして、平成24年度で言いますと調査件数で言うと726件を調査しているのですけれども、それは前の年から繰り越しているものもありまして、それは170ぐらいあって、新規で大体556件調査をしております。さらに外部からどれだけ情報が来ているのかというと5,000を超えていまして、5,082件と5,000件を超える中から425に絞り込んで、あと、自分たちで見つけたというのが131件ぐらいありまして、こういう年間726件、50人満たない人間プラス公正取引委員会の事務所なんかでやりながら調査をしています。そのうち最終的に措置命令に至るのが37件ぐらいでございまして、はっきりと違反とまでは言えないけれども、これはちょっと直したらというぐらい指導というのが265件という、いわゆる行政指導が265件あります。

都道府県にも権限がありますので、これは都道府県のほうで処理してくださいというのがそのうちすごく少なくて12件ぐらいありまして、今、齋藤委員がおっしゃったようないわゆる協議会といいますか、自主規制の団体の中でこれはちょっとうまくやってくださいよというのが45件ぐらいでございます。調べた結果、これは違反とまでは言えない、指導までも、いずれにも該当しないという、いわゆる打ち切ったりしたもの、もしくは多分中には証拠が見つからないということもあったのかもしれませんけれども、そういった打ち切り等については187件ございまして、それらを足すと処理しているものが546件ぐらい処理をしまして、25年度に積み残したのが180件という全体のイメージでございます。

○小早川座長 ありがとうございました。

はい、丹野理事、どうぞ。

○国民生活センター丹野理事 国民生活センターは御存じのように全国の消費生活センターから情報を集めておりまして、手元に数字がなくて大変申し訳ないのですが、その相談情報の中で表示・広告の部分で問題とされるものについては、適宜情報を上げていると理解しております。

この課徴金の制度が入りましたら、より積極に全国の相談員さんが表示・広告についてカードの中でマークを入れると思っておりますので、ますますその情報が増えていくと思っております。

○小早川座長 ありがとうございました。

石戸谷委員長代理、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 加算のところは非常に旗色が悪くて、ほとんど消えそうな感じなのですけれども、細々で結構ですから残しておいていただけませんか。というのは先ほどのわかめの例でもそうですし、うなぎや何かでも輸入してきたものを某所のというふうに、明らかに非常に悪質だというものに対して売り上げの何パーセントというふうなことで、一般の支持、納得が得られるのかという問題はあると思うのです。

ですので、現場の混乱を招くつもりは全くないので、そうならない範囲の明確なごく限定的な限度でも構いませんけれども、そういうものに対してきちんと対応できる制度もあっていいのではないかと思いますので、最終的にどうまとまるかはともかく、この段階では残しておいてください。

○小早川座長 もう一つは、これもいろいろ議論が出ていましたが、要するに、公益通報とか内部統制システムとかの関係を含めてですけれども、不当表示があったということに加えて、そのプロセスに何かコンプライアンスの観点から見て著しく看過できないものがあるというような場合は、加算事由として検討に値するかなと、この段階の議論ではそういうふうに位置づけておいていいかと思いますが。

河上委員長、どうぞ。

○河上委員長 先ほどの基本的な考え方とも関係してくるのですけれども、結局、収集して利用できる資料というものが限られている。そのために課徴金の額を決定するときには擬制の上に擬制を重ねて一律の金額を算定方式でもって出さざるを得ないんだとすると、その後の調整のために私も加算・減算措置は入れておかないと身動きがとりにくいのではないかという気がいたします。

裁量性を正面から入れることが法制的になかなか難しいとなると、やはりこの加算・減算のところで比較的明確な要素を出しておいて入れるのが適当ではないかと思います。私はどちらかと言うと石戸谷説に近くて、故意の場合と反復違反の場合と発覚の隠ぺい行為があったというような場合には、加算措置として出しておいていいのではないか。逆に減算の場合についてはインセンティブを与えるという意味では、自主申告の問題というものを捉えていいのではないかと思っております。ただ、内部のコンプライアンスの点に関しては、コンプライアンスを尽くすのは当たり前のことであって、それをやったかどうかということは余り考える必要はないと思いますし、結果的に不当な表示をしてしまって顧客に損害を与えて、その結果として出る利益があるのであれば、それは吐き出してもらう必要があります。そういうことによって今後、間違った不当な表示を出さないようにすることに資するのであれば、それでいいのではないかという気がいたします。

もう一つ、前に岩田委員がおっしゃったのですけれども、川上のほうから間違った情報が来て、注意を尽くしていたのだけれども、見抜けなくて顧客に不当な表示をしてしまったという場合はかわいそうだという話をされておりました。そのときはなるほどなという気もしたのですが、考えてみたら不実の表示によって損をしたのは消費者であって、その表示をした事業者自身が求償権を行使するのが難しいという状態であれば、いわんや消費者はもっと難しい。そうすると最終的にこげつきリスクをどちらが負うのかということが問題です。消費者が負うのか、それとも表示をして売ってしまった人が負うのかということの判断だとなれば、コンプライアンスを尽くして注意業務をある程度尽くしたぞと言っても、減算のところまで持っていくのは難しいのではないかと個人的には思います。まだこれからの議論かと思いますけれども、以上です。

○小早川座長 ありがとうございました。

委員長に必要な補足をしていただいたということで、時間の制約もありますので次へ行きたいのですが、少し順序を変えて、今の委員長の御発言にもあったので引き続き裁量性の点を議論していただいて、その後、残りの時間でほかの論点を扱ってはどうかと思います。

(4)裁量性について

○小早川座長 論点のうちの「3、裁量性」、資料3では22、23ページなのですが、前回、御説明がありましたように裁量性の導入が必要かどうかという点であります。裁量と言ってもどういう事柄についての裁量かということはありますが、大きく分ければ、いわば要件ないし判断の前提たる事案の評価についての裁量、そこには、今のいわゆる主観的要素、あるいは川上との関係がどうだったのかというような問題もある。それと、課徴金の金額の算定について、いろんな要素を考慮してそれを行うというものと、両方あるかと思います。それぞれ、今まで議論されたところと対応するところがありますが、一体として議論していただければと考えた次第です。

それでは、いかがでしょうか。宮城委員、どうぞ。

○宮城委員 私ばかりしつこくごめんなさい。

裁量性に関しては、日弁連の意見書では基本的には課徴金というのはあらゆる事業者に対して公平公正であって、透明性が高いほうが信頼性が課徴金制度自体も得られるであろうということで、客観的基準によって一律に決めるべきであろうというのが基本的な見解です。ただ、それでもなお裁量性を議論する意味があるとするならば、大したことないものについて見逃すという意味の裁量性は基本的に余り意味がなくて、それは今でも先ほどから出ているように、警告とかそういった行政指導でそれはあえてやらないということで対応できているので、そこをあえて裁量性を入れる意味は余りないと思っているのです。裁量性をもしそれでもなお導入を検討するとしたら,ハードル自体、これを導入すること自体、法制局よりはそちらのほうのハードルが非常に高い、実現可能性はないとは思っているのですけれども、もしできるとするならば、1つだけ裁量性に意味があるのではないかと思っているのは、裾切り、規模基準で落ちてしまっているけれども、対応としては非常に悪質だ。こういったものについては裁量性でカバーできる可能性はあると思っています。

例えば金融商品の被害なんて非常にあれは1つの場所でいい加減な会社、一応、法人登記だけつくって、あるいは法人登記さえもつくらなくてやっているところ、例えばアパートの一室だとか、そんなところで店を広げて、だけれども、オフィスだけはきれいな場合が多いですが、そこで本当に小さな何人かのスタッフがたくさんの消費者をだましてばんばん金をとって、それで危なくなってきたらさっさと逃げるみたいなことを繰り返していますので、それは売上自体が小さくて基準は場合によってはかかってこないという可能性があります。そういった非常に本当に詐欺そのものというような悪質なものが裾切りで落ちてしまうというのもいかがなものかなという気もいたします。だから裾切りについての例外という意味の裁量性なら意味があるかなと、そんなことを考えています。

○小早川座長 宮城委員は、今まで議論されてきたような基本要件や加算・減算要件でカバーできる部分については、そちらで要件として書き込むということでやっていくべきだが、その前提の上で、ということですか。

○宮城委員 はい。

○齋藤委員 裁量性と密接にリンクするのですけれども、景表法は範囲が無限と言うほど広いわけです。その中で具体的にこれが違法だというところが極めて不透明な中で裁量性を持たせるということになると、事務局がどういうメジャーを持っているのかというのが外部にわからない可能性がある。それをできるだけクリアにする必要があると思います。

広告表示関係の業務は極めて創造的な業務です。クリエイトしていくわけです。そこで、ここが違法だよ、ここを超えたら違法だよということをはっきり示すためには、現在、定型的な業務を対象にできている下請法のガイドラインなどのようなものを示さないといけない。どこから来たかという産地のうそなどははっきりしますけれども、これは言い過ぎだろうというような表現については、極めて不透明感が残ってしまう。そこに遵法を説いても、誰もついてこないことになる可能性があると思います。したがって、そういうガイドラインをきちんと示す。示す中で裁量の範囲を極めて狭くしていくことが重要だと思います。

○小早川座長 ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。この側面については、私が聞いているところでは、独禁法のほうでは立場の対立があってなかなか活発に議論が行われているようです。きょうおられないのですが、白石さんはどうかわかりませんけれども、経済法学者は割と裁量性を支持する人が多いと聞いています。その理由は何なのか、結局、選択的に行政リソースを投入するのにそのほうがいいんだということかなと思うのですが。これは、ただ、きょうそういう御意見をおっしゃる方がいないので、論点として触れるだけは触れておきたいと思いまして。

○消費者庁菅久審議官 独占禁止法関係の特に専門家というか学者の方々が裁量性を基本的に支持する大前提は、世界中に独占禁止法の課徴金とか制裁金という仕組みがあるのですけれども、基本的に日本以外はみんな裁量性でございまして、日本だけがむしろ例外であります。基本的には日本で言えば罰金に近いような、幾ら以下だったり、企業の売り上げの何パーセント以下ということだけ決めていて、あとは金額を算定するのについて基準なりガイドラインなりそういうものを出して、日本ですと量刑基準という言い方でしょうか、そういうものを出して、それに従って課していくというやり方をしているものですから、理屈はいろいろあると思うのですけれども、状況としてそういう状況なので、基本的に裁量性のほうを支持するという人が多分多いというのがあるかと思います。ただ、これは消費者法の話ですので、少し違うのかもしれません。

○小早川座長 そこは、ここでは目に見える形の議論になりませんが、ほかに何かございますか。では、よろしければ裁量性の問題は、この辺で。きょうのところは、積極的に、重要な点についてといいますか、基本的なところについて裁量を認めるべきだという御意見はなくて、そこはむしろそれ以前の要件の書き方のところでカバーをしていくという方向だったかと思います。ただ、その場合でも、要件の書き方が抽象的になれば、それを当てはめていくところでは似たような問題が実は出てくるのだと思いますけれども、とにかく立法の仕方としては、きょうのところはそちらの方向か、ということでよろしいでしょうか。

(5)賦課金額の算定(対象期間について)

○小早川座長 それでは、残りの時間で、1つは対象期間の点です。先ほど除斥期間のところでも若干触れられたところですけれども、資料3では20ページ、21ページで、前回の御説明にありましたように、賦課金額の算定のための変数として対象期間についての何らかの限定をすべきかどうかということであります。これについて何か御意見ございますでしょうか。はい、宮城委員、どうぞ。

○宮城委員 たびたび済みません。

対象期間についてここに掲載されているのは平成3年の話であって、この間の御説明だと記憶だと公取は今、5年ではなかったですか。

○消費者庁菅久審議官 5年は除斥期間が。

○宮城委員 今でも3年ですか。

○消費者庁菅久審議官 これは3年だと思います。

○宮城委員 そうですか、失礼しました。

確かに不当表示の継続期間がどのくらいかというと、実際のところ不当表示があってそんなに何年も続くかなという感じは感覚的にはあるのですけれども、ただ、この間の食品なんか非常に長かったものもありますし、だから要はこれも執行現場の話で証拠を何年間得られるかということだろうと思うので、そこで見通しからすると3年よりはもう少し長くとっておいたほうがいいのではないかという気もするのです。例えば5年とか、現場の感覚はわからないですけれども、5年とか7年ぐらいまではあってもいいのでなはいかという気がしています。

○小早川座長 卒然と具体例を空想してみると、かつては科学的知見がなくて、こういうことはあるのだろうということで結構売れていた商品の、その前提がだんだん覆ってきて、今では、あれはうそだとなったときに、不当表示があった期間はいつからいつまでなのかというようなこと、これはあり得るわけでしょうが、ほかにもいろんなケースがあるのかもしれません。課徴金算定の対象となる期間は、具体的に何年とするかの問題はありますが、余りどこまでもさかのぼってということになると先ほどの除斥期間の場合と同様に問題があるので、そこはどこかで区切るという、そのこと自体は、これは特に御異論はないでしょうか。

河上委員長、どうぞ。

○河上委員長 これまで是正命令とかいろいろなものをやってこられた事件に関して言うと、期間について先ほどお話がありましたけれども、除斥期間ではなくて対象期間としてはどういうものを捉えて摘発されていたのですか。

○消費者庁菅久審議官 措置命令で今やっているときに、期間がどれぐらいというのは余り意識しているということはなくて、実情を調べて、さかのぼれる証拠との関係で認定できる範囲内で認定した上で、それをやめてくださいということでやっている思いますので、それほど何年まではさかのぼろうという意識は多分ないと思います。ただ、これは今回、この対象期間は課徴金の話になりますので、ある意味ではどこかで実務的にもどこかでさかのぼり方をとめないと、売上額を基準にするとすれば、売上額を計算しなければいけませんから、実際上も多分どこかで、どこか以上には絶対にさかのぼれないとか、それ以上やってもしようがないという話に多分なるのだと思います。そのようなことを考えながらあらかじめ何年というふうに決めておくほうがいいのか、そうでないのかという判断だと思うのですけれども、そういうことかなと思います。

○小早川座長 はい、齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 ビジネスのサイクルが商品によって随分違っていまして、一番短いのは衣類などのファッション商品。これは本当に短いです。それから、電気関係は大体開発からかかって3年とか、自動車になるともう少し長い、薬品になるともっと長い。このように業界によってかなり違っているので、何を対象に制度をつくるかということによって多分、長さが出てくるのだと思います。

○小早川座長 ありがとうございます。重要な点ですね。

それでは、幾つか御意見、御指摘がありましたので、それを踏まえて今後考えていくということかと思います。

(6)調査権限・手続保障・徴収手続

○小早川座長 最後になりましたが「4.調査権限・手続保障・徴収手続」の点が残っております。資料3では24ページ以下です。前回説明がありましたが、違反行為に対する経済的不利益の賦課に当たって、どのような手続を設けるべきかということであります。残り時間ほとんどありませんが、5分程度の延長は許していただけるかと思います。御都合のおありの方は申しわけありません。退席していただいて結構です。さて、この点に関しまして何か御発言ございますか。はい、山本委員、どうぞ。

○山本委員 確認ですけれども、不服申立等については特段の制度を設ける案ではない。つまり、もし不服があれば、場合によっては処分後いきなり取消訴訟も提起できる仕組みにするという前提でよろしいですね。

○消費者庁加納消費者制度課長 このペーパーとしてはそういう考えです。

○小早川座長 独禁法のほうも、不服申立てについての特別の審判手続はなくなるわけですね。

ほかにいかがでしょうか。はい、齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 独禁法のときにも問題になったと思うのですが、調査段階において弁護士同席とか、資料を提出した場合に閲覧できるかとかいうことが、ここで、課徴金というとになると同じような場面があり得るのかと連想します。このあたりはどのようにお考えでしょうか。

○小早川座長 どうですか。なお、私からもつけ加えて申しますと、課徴金については、形式的に言えば今の一般行政手続法の事前手続規定は適用されないということになっていると思いますが、それはともかくとして、措置命令についての事前手続のレベルと比べて、課徴金の場合はもう少し慎重でないといけないという感覚は、一方ではあるかと思うのですけれども、その辺をどうお考えでしょうか。

○消費者庁菅久審議官 このペーパーにありますのは、その点については基本的に同じ、今の措置命令と特に変える必要はないのではないかと考えております。

○齋藤委員 それでは独禁法のときの議論と同じテーマが上がってくる可能性があるということを指摘しておきたいと思います。

○消費者庁菅久審議官 現に手続上、何か問題が起きている、つまり我々調査官が不当な調査をしているとか、そういうことがあるのであれば、それは考えなければいけないと思うのですけれども、現にそういうものは多分ないと思いますし、したがって、今の問題提起の趣旨がそもそもよくわからないのですけれども、しかも措置命令よりも変えるという必然性もないと思いますので、そこは同じように、レベルを下げるつもりは全くございませんが、同じようにやっていきたいと考えております。

○小早川座長 はい、宮城委員、どうぞ。

○宮城委員 日弁連の見解としては、その点は従前どおりでいいのではないかということでございまして、1つだけ独禁法の場合の違いというものは言っておきたいと思うのですが、独禁法の場合はカルテル、談合であるとか不公正な取引方法にしても、認定しなければいけない事実関係が非常に結構かなり多分、多岐にわたって複雑に入り組んでいるというところがあると思うのです。

ただ、この不当表示の場合はそうではなくて、要するに認定しなければいけないところは広告の客観的な内容は残されているわけで、それと商品と話が合っているのか合っていないのかということが1つ。

もう一つやるのは計算の問題でありまして、それは帳簿を押さえることができて、あと会社側の説明を受ければできるわけなので、そこに何か独禁法で言うような緊張関係が生ずるであろうか。ただ、それも制度のつくり方次第で故意だとかその他もっと中身に突っ込んで、これは加算・減算の話と絡みますけれども、そのあたり突っ込んですごく調査するのだということになれば、何かもう少し重い手続保障が考えられるのかもわかりませんが、そこまで複雑なつくりにはしないのだと。単純に基本的には広告と商品、役務の内容を比べればよろしいのだということであれば、そこはそんなに公取の審査手続、事前手続みたいなことを考えなくてもいいのかなという感じを持っております。これだけです。

○小早川座長 ほかに御発言ありますか。最後になってしまいましたが、橋本委員、何か気になられた点など、御発言があれば。

○橋本委員 全体的には皆さんの御発言の中で私が質問したかったことが入っているのであるのですけれども、全体的な流れとして、先ほどの減算措置の中で自主的な返金の場合というところの中で、自主的な返金をした場合と、課徴金の確保について整合性がとれるようにしないといけないなというところは、入れていただきたいと思います。その内容については今後の検討課題だと感じています。

以上です。

○小早川座長 ありがとうございました。

それでは、大変活発に御議論いただきまして、多少時間をオーバーしてしまいましたが、本日の議事は以上とさせていただきます。

次回は、これまで出された各委員の御意見等の整理としての中間整理を行いたいと思います。

≪3.閉会≫

○小早川座長 事務局から何か連絡事項はありますか

○金児企画官 次回ですけれども、4月1日火曜日の14時からを予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

○小早川座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ長時間にわたりましてどうもありがとうございました。

(以上)