第11回 家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会 議事録

日時

2013年7月31日(水)10:00~11:16

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
古城座長、井手座長代理、小塩委員、古賀委員、白山委員、矢野委員
【説明者】
経済産業省資源エネルギー庁  高橋電力・ガス事業部長
片岡電力市場整備課課長
山口電力市場整備課調整官
【事務局】
消費者委員会 原事務局長、小田審議官、浅田参事官
消費者庁 河津審議官、長谷川消費生活情報課長、日下部企画官

議事次第

1.開会
2.査定方針案の経済産業省ヒアリングについて
3.電気料金値上げ認可申請に関する意見交換会(札幌)の報告について
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:67KB)
【資料1-1】北海道電力の認可申請に係る電気料金審査専門委員会の査定方針案について(査定方針案概要版)
【資料1-2】北海道電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案
※資料1-1、1-2は、国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP(http://warp.da.ndl.go.jp/)に掲載されております。https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11223892/www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/denryoku_gas/denkiryokin/report_002.html(国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)の保存ページ)の【北海道電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案(PDF形式:1,725KB)】【北海道電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案(概要)(PDF形式:501KB)】を御参照ください
【資料2】 チェックポイントへの回答 【資料3】 北海道電力株式会社による電気料金値上げ認可申請に関する意見交換会(結果の概要)(PDF形式:131KB)
【資料4】 北海道電力による家庭用電気料金値上げ認可申請に関する調査会意見について(案)(PDF形式:180KB)
審議を踏まえて修正を加えた確定版は以下になります。
【確定版】 北海道電力による家庭用電気料金値上げ認可申請に関する調査会意見について(PDF形式:162KB)PDFを別ウィンドウで開きます

≪1.開会≫

○原事務局長 おはようございます。時間がまいりましたので、始めさせていただきたいと思います。
 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会公共料金等専門調査会家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会」の第11回会合を開催いたします。
 本日は、所用により、専門委員の蟹瀬委員、橋本委員、消費者委員会担当委員の小幡委員が御欠席ということで、連絡をいただいております。
 最初に、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 議事次第と書かれた紙の下段に配付資料一覧を載せておりますけれども、資料1-1は、「北海道電力の認可申請に係る電気料金審査専門委員会の査定方針案について(概要)」です。資料1-2が査定方針案の本体になります。こちらは経済産業省で御準備いただいております。
 資料2といたしまして、「チェックポイントへの回答」です。
 資料3といたしまして、昨日、札幌で意見交換会を開催しております。その結果の概要をおつけしております。
 資料4といたしまして、「北海道電力による家庭用電気料金値上げ認可申請に関する調査会意見について(案)」を提示しております。これは事務局で準備しております。
 以上になります。
 不足がございましたら、途中でお申出いただければと思います。
 なお、この議事については録画し、翌日から議事録ができるまでの間、消費者委員会のホームページで動画を配信しております。
 それでは、古城座長、議事進行をよろしくお願いいたします。

○古城座長 本日は、経済産業省資源エネルギー庁から、北海道電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案について、御説明をいただきます。続いて事務局から、7月30日に札幌で開催された、「電気料金値上げ認可申請に関する意見交換会」の報告を受けます。その上で議論を行いたいと思います。

≪2.査定方針案の経済産業省ヒアリングについて≫

○古城座長 それでは、議事に入らせていただきます。
 本調査会では、北海道電力の家庭用電気料金値上げ認可申請に関して、これまで、5月30日及び6月25日の2回にわたって議論を行ってまいりました。また、去る7月26日の経済産業省における電気料金審査専門小委員会で、北海道電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案が決定されました。同日付けで消費者庁に協議が行われ、さらに、消費者庁長官から消費者委員会に対してこれに対する意見を求める付議が行われました。
 本日は、この付議を受け、審査方針案の概要、消費者庁によるチェックポイントを踏まえて、どのように査定したのかを中心に御説明をいただきたいと思います。
 資源エネルギー庁におかれましては、お忙しいところを御出席いただき、まことにありがとうございました。説明時間につきましては、15分程度でお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○資源エネルギー庁高橋電力・ガス事業部長 ありがとうございます。それでは、北海道電力の認可申請に係る査定方針案について、御説明いたします。
 まず、資料1-1で、経緯、概要について御説明したいと思います。
 北海道電力からは、4月に規制部門で10.20%の値上げの申請がございました。この申請につきまして、総合資源エネルギー調査会電気・ガス事業分科会電気料金審査専門小委員会において8回の検討を重ねてございます。また、この小委員会の場以外でも各委員の先生方がチームを組んで、多くの時間を費やして御議論を積み重ねていただきました。そのほか、6月20日、札幌において公聴会を実施いたしました。また、「国民の声」の募集も進めてございます。こうした経緯のもと、先般、審査専門小委員会において査定方針案を取りまとめたところでございます。
 査定方針案にのっとって、私どもの具体的な考え方について御説明をしたいと思います。

○資源エネルギー庁片岡電力市場整備課課長 資料2をごらんいただければと思います。チェックポイントの回答でございまして、先般、東北電力、四国電力の際の回答でも申し上げたところと重複するところは簡単に飛ばしまして、北海道電力の固有といいますか、異なるところを中心に御説明したいと思います。
 1ページは、役員報酬及び人件費でございます。一人当たりの人件費の水準は、関西、九州のときに御議論いただきましたメルクマールに基づいて算定しますと、643万円が624万円になるというのが3ページの表でございます。これまで査定を行った各社との比較が載っております。前回議論がありましたけれども、格差が出てくるのは、年齢の構成、学歴、勤続年数、こうした違いが反映されているということであります。
 なお、2ページの下で、顧問・相談役の人件費は関西、九州の査定の後に出てきたものですから、算入はされていないということであります。
 4ページ以降は、厚生費、退職給付金等でございます。特に退職給付金につきましてわかりにくい点があり、合理的な説明という御指摘をいただいております。
 まず、退職給付金自体の額といいますか、メルクマールですけれども、2つ目のマルに「査定方針においては」とあります。1,000人以上の企業の平均値を基本とすることでこれまで査定を行っておりまして、下に表がありますけれども、人事院が行った調査、中央労働委員会の調査の平均値であります2,498万円をメルクマールとして採用しております。北海道電力におきましてはこれを下回っているということで、総額としては問題ないということはありますけれども、年金資産の運用という点につきまして、将来の年金資産の期待運用収益率を幾らで見るかということで、過去の実績にのっとりまして、0%ということで運用収益を見込んでおりました。他方、過去の実績いかんにかかわらず、将来のフォワードルッキングの原価の算定ということですので、過去の収益率の設定、他社の設定水準を踏まえまして、2%と設定していただくことを査定方針案といたしました。
 6ページは、出向者への給与、顧問料等につきましては、他の会社の査定と基本的に同じであります。
 7ページ、調達等であります。競争入札の比率につきましては、現在の14%、これを3年間で30%に拡大していくことになっております。これにつきましては、これも関西、九州から含め同じ査定方針になっていますけれども、入札のいかんにかかわらず効率化を求める。7ページのマル5ですが、北海道電力は7%というコスト削減努力を入札いかんにかかわらず入れていましたけれども、これにつきましては他の電力会社とも比較いたしまして、委託人件費等の水準を見ますれば、東電とほぼ同等であるということで、北海道電力につきましては、東京電力、関西電力、九州電力と同様に10%の調達価格の削減を求めるという結論になった次第であります。
 マル6については、基本的に東北、四国と同じであります。
 マル7で、情報システムの関係の委託費についての御議論がありました。9ページの真ん中辺りに「委託費については」とありますけれども、情報システム関連費用のうち、お客さま系システム(需要家との契約や料金計算、請求等の業務を行うシステム)に係る従来型のホスト計算機型の集中管理するような仕組みから、オープン系への更新を計画しているということでありました。この関連費用につきましては、現在の状況が値上げを行う状況であるということで、一刻を争ってはどうかという問題、もう一つは、電力システム改革の中で、今後、発送電分離を含めて詳細設計が行われていく。そういう中でシステムをつくってしまって手戻りが生じてもいけないのではないかということで、緊急性のあるもの以外については原価から減額すべきであるという査定方針となった次第です。
 研究費、諸費等につきましては、基本的に他の会社と同じになっております。
 また、10ページ以降の寄付金、団体費、交際費、電中研への分担金、これも同様でございます。
 12ページ、子会社・関連会社ですけれども、これもほかの会社と同様ですが、一般管理費について10%の追加的なコスト削減を行うこととしております。
 報酬関係については、マル11に記載のとおりであります。
 マル12のスマートメーターにつきましては、1万2,200円。各社の申請の中では低い額で算定されていますけれども、東電と同じ1万300円に査定を行うということであります。
 14ページ、事業報酬ですけれども、β値の計算が御議論になりました。これにつきましては、申請がそもそも2.9%でありまして、3.11から審査専門小委員会での取りまとめ日までということで、β値を計算しましても、妥当であるということで、これは他の会社と同じです。東北、四国は3.0だったので、2.9になりましたけれども、結果として2.9でみんな同じになるということであります。
 15ページ、減価償却費等につきましては基本的に同じであります。
 17ページ、燃料費ですけれども、北海道の特色としまして、関西、九州で行ったようなLNG、そもそも北海道電力はLNG発電がないということで、石炭と石油だけで火力発電を賄っているという状況にあります。石炭は、17ページの下のほうにありますが、申請原価、これは各社ともに、例えばインドネシアから買っている石炭であれば、日本が全体として買っている値段よりも大体高く調達をしている。オーストラリアの平均よりも多少高く買っているというのはありますけれども、北海道につきましては、今回、原価の計算上、全日本の価格よりもさらに安い価格で織り込まれています。これは、これまで審査した会社の中でも低い額で入っておりまして、これについては査定する必要がないということであります。
 他方、3つ目のポツですけれども、亜瀝青炭という、多少品質は劣りますけれども、安い石炭の導入を各社、取組みを行っております。これにつきましては、27年度上期から導入可能という説明が北海道からありましたので、それは織り込んでいただくことで若干の査定が出るということであります。
 国内炭につきましては、海外炭に比べて高いという状況です。しかしながら、海外炭を国内の発電所、内陸部にありますものですから、持っていくとそれなりに国内炭と同じ、あるいはそれ以上に高くなってしまうという中で、国内炭の価格をどうするかということにつきましては、現行価格の据え置きを査定としては認めることになっております。これは従来、長期契約でだんだん上がってきている中で現行据え置いているので、これは妥当である、そういう判断をした次第であります。
 18ページは、購入電力料等の議論がありました。これにつきましては、もう少し大きな議論としまして、北海道電力のそもそもの申請自体がわかりづらい。つまり、泊原発3号機の稼働に伴いまして、費用が、例えば減価償却とか固定費が上がっている。他方で燃料費は下がっている。これはどういうことかということがありましたけれども、結論としましては、北海道の予備率というものを活用して他に売っていく、そういう方針にしております。
 ちょっとページが飛びますけれども、20ページの下に「卸電力市場については」と書いてございます。先ほど申し上げましたとおり、予備力が8%を超えてさらに高いと。これは四国と同じようなレベルになったわけですけれども、これにつきましては、大規模な発電所をつくった以降は予備力が余っていることになりますので、卸電力取引所に出していただくことを想定し、それで得た利益を原価から差し引く形の査定を行うということであります。やり方につきましては四国電力と同様です。
 再稼働しない場合の電気料金への影響、これはここに記載のとおりで、3割を超える値上げ率になると想定しているという回答がありました。
 バックエンド費用、21番につきましては、他の電力と同じであります。
 22ページから、規制部門と自由化部門の関係、需要の想定、23ページ以降ですけれども、これは基本的に他の電力会社と同じ説明になっております。
 24ページ、25ページ等の情報提供、これは北海道電力の説明の内容が書いています。公聴会でのオール電化に関するこれまでの説明の御批判ですとか、その他の場でもさまざま御指摘をいただいておりますので、これに対しては丁寧な周知説明を求めてまいりたいと考えております。
 29番のステークホルダーの影響。これも、他の電力会社と基本的に同じ形で書いております。
 31番以降、資産売却等ですけれども、これにつきましても他の電力会社と同等のものとなっております。
 27ページ以降の需要の予測、供給予備力等についても同じであります。
 最後に、29ページですけれども、適切な審査。これにつきましても、今回、関西、九州で見直しを行ったことに引き続きまして同様のプロセスを行っております。実施時期につきましては、消費者庁の協議の中で最終的に判断してまいりたいということであります。
 駆け足ですけれども、私からは以上です。

○古城座長 どうもありがとうございました。
 続きまして、本調査会では、電気料金値上げ認可申請に関する意見交換会を7月30日に札幌で開催いたしました。その模様について、消費者委員会事務局から御報告をお願いいたします。

○日下部企画官 昨日、北海道の札幌で意見交換会を行ってきたところでございます。
 大きな意見としては、オール電化について非常にたくさんの意見が出てございます。資料3、1ページの一番下でございますけれども、30%近くの値上げになって死活問題。こんなにいきなり値上げするというのは理不尽ではないか。段階的に値上げするなら我慢できるとか、納得いく説明がされていないとか、そういったオール電化に対する意見が非常に強かったところでございます。また、そもそもオール電化を契約するときに、将来値上げをする可能性は全く言われなかった。そのような意見も強く出たところでございます。
 総括原価方式については、よく指摘されていますけれども、コスト削減の意識が働かないのではないかという指摘。
 北海道については、再生エネルギー関係の条例があるということ、また、再生エネルギーが非常に盛んな場所だということで、非常に多くの意見が出たところでございます。条例では、原子力は過渡的なエネルギーで、再生エネルギーを促進させる新エネルギー促進条例というのがあるわけですけれども、事業者はそれを尊重すべきだという話。それから、再生エネルギーに対する計画、そういったものは明確に示されていないのではないか。そのような指摘がありました。
 ただ、原発については、実際にコストがかかるのではないか、リスクが大きいのではないかということで、原発に対する批判も非常に多かったところでございます。
 値上げ全般に関しては、節電すれば節電するほど値上げ幅が拡大するのは納得できない、非常に節電で苦労したけれども、また値上げという形になるのは納得いかない。そういう意見が出されたところでございます。
 以上でございます。

○古城座長 ありがとうございました。
 査定方針案及び意見交換会についてのただいまの御説明について、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。内容が多岐にわたりますので、チェックポイントの項目ごとに議論を行いたいと思います。
 また、本日の議論を取りまとめて調査会の意見にしていきたいと考えております。この場で、疑問点等については漏れなく確認していただきたいと考えておりますので、委員の皆様の御協力をお願いいたします。
 まず、人件費について、御議論をお願いいたします。
 白山委員、どうぞ。

○白山委員 退職給付のところで、期待運用収益率を2%にするということについては疑義を申し述べるものではないのですが、確認がございます。期待運用収益率を算定する場合、北電のほうでもアクチュアリーの方が、年金資産のポートフォリオ等を勘案しつつ期待運用収益率を出しているというところがございます。他電力との年金資産の構成に関するポートフォリオ状態がどういうふうになっているのかというのは、ディスクローズされていないので、よくわからないところがあるのですが、これらの前提を踏まえずに単純に比較査定という形ではうまくいかない面もあるわけです。
 特に、北電は、現状想定されるベストエスティメイトというか、それで期待運用収益率を出してきているわけでして、それに対して2%での年金資産の運用を想定しろと言った場合には、年金資産のポートフォリオの見直しであるとか、あるいは、気になるのは、こういうことをやりますと、よく、一定の制約はあるものの、リターンが高くリスクも高い資産で運用していくという誘因が働く可能性もあります。その辺のところは、こういう要請をするときには十分注意しなければいけなくて、リスクをどこまでとってリターンを増やしていくかということも、年金資産の運用に関連して考えていかなければいけないところになります。その辺りについては、こういうふうに要請をするからには、一応注意しながら年金資産のポートフォリオ構成を考えていく必要があるということもひとこと言っておかないと、危ないのではないかという気がいたしました。その点だけ、つけ加えさせていただきたいと思います。

○資源エネルギー庁片岡電力市場整備課課長 御指摘のとおりだと思います。2つの理由が書いておりまして、一つは、他の電力との比較を行ったと。チェックポイントへの回答の6ページの上に表がありますけれども、もう一つ、過去の実績とも比較しながらということで、過去、北海道を見ますと、期待運用収益率が3.5だったときとゼロのときと。最近、ゼロになっているということなのです。したがいまして、必ずしも2というのがそれほど外れたものではないと思います。
 もう一つの点は、これは人件費全体にもかかわりますし、ほかの費目もそうですけれども、あくまでフォワードルッキングの将来原価を算定する際にどう考えるかということでありますので、実績として、あるいは実態としてどうしていくかというのは企業の判断だと思います。人件費も、切ったからといってそのままそうなるということではなくて、労使の交渉で決まっていきます。これにつきましても、会社のほうで適切に判断されるものと考えております。

○古城座長 ほかにいかがでしょうか。
 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 確認ですけれども、御回答いただいた4ページの法定厚生費についてです。査定案マル2のところで、「原価算定期間(平成25年度~27年度内)は年々引き下げて、27年度末には53%台の負担割合とすべきである」、ここのところをもう少し細かく御説明いただけますでしょうか。

○資源エネルギー庁片岡電力市場整備課課長 これは、前回の関西、九州のときに、全産業平均の55%でいいのではないかということを査定方針案として出しました。その後、消費者庁との協議も踏まえまして、過去のトレンドとしまして、55%というのがだんだん下がってきているという実態がございました。
 その下がってきている過去のトレンドを将来に引き延ばすというふうに考えますと、今は55ですけれども、だんだん下がっていくということで、最終到達点として原価算定期間の最後の27年度末には53%になる。段階的に下がっていくということで、それを負担割合としようという監査基準にしました。したがいまして、それは今回も同じように査定方針として踏襲しているということであります。毎年毎年下がっていく、そういう意味です。

○古賀委員 今回は55%でも構わないとの査定ですけれども、その数字自体は動かさずに、27年度末には53%になることを見越されて査定を出されたということでいいのでしょうか。

○資源エネルギー庁片岡電力市場整備課課長 おっしゃるとおりです。

○古城座長 ありがとうございます。

○古城座長 いかがでしょうか。
 それでは、人件費についての御質問も結構ですけれども、さらに、調達等、事業報酬、減価償却費、レートベースについても御質問をお出しください。
 修繕費ですけれども、火力の修繕費が大きく伸びています。これは一過的なものでしょうか、これから恒常的に伸びるということなのでしょうか。

○資源エネルギー庁片岡電力市場整備課課長 それも少し議論になりまして、今回、修繕日は非常にたくさん原価に入っていたといいますか、前回から増えていました。これは火力の修繕費でございまして、2つ理由があるのですが、一つは、経年化、つまり老朽化していっている。老朽化しますと、当然、補修費用がかかってきますので、その要因が一つ。
 もう一つは、24年度、震災以降定検を先延ばしている。つまり、需給の観点で定検を入れられなかったものですから、定検が先送られまして、それが原価算定期間で入ってくる。これは法律上、何年かに1回やらなければいけないことになっていますので、それに伴って両方で上がっている要素があります。
 他方で、これはチェックポイントに書いていませんけれども、査定方針におきましては、その両方を加味して、例えば過去からのトレンドで回帰分析しまして、何年たつとどのくらいかかるだろうと。それを超えてなお説明がつかない部分の火力の修繕費については、カットするという査定方針にしております。

○古城座長 矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 調達についてお聞きします。すべての電力事業者の今回の審査においては、入札いかんにかかわらず効率化を求めるということで、10%ということです。一方で、関西、九州のときに課題として出ていた、7ページのマル4、2つ目のマルの後半部分ですけれども、「北電に関しても、競争入札比率のさらなる拡大を促すことを含め、経産省において具体的な対応策を検討していきたい」ということが今後の課題としてあります。となれば、一方で10%の調達率、価格削減と、さらに競争入札率を高めていくこととの関連性について、少し御説明いただきたいと思います。

○資源エネルギー庁片岡電力市場整備課課長 原価上は、入札をしてもしなくても、10%削減するということにしております。他方で、透明性を高めていくということ、あるいは調達参加者の機会を拡大していくということを考えますと、入札はどんどん入れていくべきだろう。どうしてもできないところは仕方ないと思いますけれども、高めていくべきだろうと思っております。したがいまして、原価上の扱いと実際としての調達行動、この両方を考えまして、現時点では原価上は同様にしましたけれども、入札比率については、さらに拡大していくほうが望ましいだろうと思った次第です。具体策は、済みません、まだ十分検討できていません。これからということです。

○古城座長 どうぞ。

○矢野委員 素人的に考えますと、入札比率が高まれば調達の価格も下がっていくのではないか、価格削減にさらに貢献するのではないかと思いますけれども、その辺りについてはいかがでしょうか。

○資源エネルギー庁片岡電力市場整備課課長 これも委員会でも議論がありましたけれども、正直申し上げますと、入札するから安くなるかどうかは、わからないところがあります。例えば参加者が限られているような場合は、逆に入札すると上がるケースもないことはないと思います。結局、上がる下がるというのは必ずしも明らかに言えないところがありますので、したがいまして、原価上は同じ割合のコスト削減を求めたということであります。

○古城座長 いかがでしょうか。
 どうぞ、小塩委員。

○小塩委員 まず一点目、人件費に戻って恐縮ですけれども、先ほどの退職給付のところで、期待運用収益率をゼロから2%に上げたということですが、ほかの電力会社ではこういうことは余りなかった。北海道電力さんだけこういう審査をなさっていたのですけれども、ゼロから2に上げることによって金額的にどれぐらいインパクトがあるのかというのは、ラフで結構ですけれども、教えていただきたいというのが一つです。
 もう一つは、調達あるいは調達の見直しについて、マル4とマル6のそれぞれ2つ目のマルの最後のところに、「東京電力の事例を踏まえ、北海道電力に関しても経済産業省において具体的な対応策を検討してまいりたい」という文言があります。これは、具体的にどういうことを考えていらっしゃるのかということです。これは北海道電力だけではないと思いますけれども、ほかの電力会社についても共通するチェック体制を考えていらっしゃるのかということです。
 以上、2点、お願いいたします。

○資源エネルギー庁片岡電力市場整備課課長 1点目は、6ページの上の表の下に3つ目のコメ印で、「昨年度以降、料金値上げ申請を行った事業者における原価上の期待運用収益率について、東京電力が2.5%、九電が2.0%、東北は2.1%、四国は2.0%で算定されている」ということでしたので、これについては特段査定を行っていないということです。
 2点目の、今後の促進する仕組みですけれども、これはこの場でもさまざまな議論がありましたけれども、事業者の効率性の努力と原価の適正性をどうバランスさせるかというのは、すごく難しい問題だと思っています。余りに原価のそのとおりにやるとすると、効率化努力をやらずに、そこまで使ってしまったほうがいいのではないかというふうになってもつまらないことになってしまうと思います。
 したがいまして、これは事後評価の一環だと思いますけれども、料金をつくった後に、つくって終わりではなくて、事後評価をどうやっていくか。原価算定期間の中で、つまり、今回は3年ですので、1年ごとにどう評価するか。3年終わったとき、引き続き、その原価が正しいかどうかをしっかり見ていくということだと思いますけれども、その2つをどうバランスさせるか。同じではまずいと思いますけれども、前者においても、経営効率化計画を毎年出しますので、それをきちんとチェックしていくということだと思いますけれども、ピアプレッシャーといいますか、世の中に対する説明責任もさせながら具体的な仕組みを考えたいと思っています。ただ、これは関西、九州のときに書いたのですけれども、それ以降、済みません、ずっと審査しているものですから、具体にどういうことをやるかというのはこれからだと思っています。
 額につきましては、まだ精査しておりますけれども、結構な額が出ます。

○古城座長 井手座長代理、どうぞ。

○井手座長代理 事業報酬ですが、経産省で用意されている査定方針案の54~57ページのところで、今回の自己資本利益率は7年間の平均になっています。24年度の数字はまだ出ていない。出てきた場合には、電力会社が仮に料金値上げを申請した場合には、24年度も入れるわけですが、7年間という期間は審査要領に記載されているのでしょうか。昨年改定されるまでは審査要領で7年と決められていましたが、今回、7年というのは明記されていません。今後も引き続き7年で計算するということは決めているのかどうかお伺いしたい。またガス事業でも同じように7年でやるのかということをお聞きしたい。
 もう一つは、57ページのβ値です。ここに相関係数というのが出ていますけれども、何のために相関係数を出されているのか。相関係数を見るとかなり低く、統計的に意味があるとは言えないと思います。これがどういう意味を持っているのかというのを教えていただきたいと思います。

○資源エネルギー庁片岡電力市場整備課課長 まず、後者のほうからいきますと、相関係数がもう少し低くなって、0.1幾らとか、0.2を切ってくると、ほとんど使えないということになると思います。一応、相関係数は0.4とか0.38とか、低いですけれども、統計上は有意な数字であろうということで書いています。もっと低くなってくると多分使えないということになると思いますけれども、一応確認のために相関係数を入れているということです。
 自己資本報酬率の7年間、これはずっと昔は5年間だったのですけれども、たしか平成10年の認可の際に7年にしております。これは、長期の資金調達をしていますので、なるべく長期ということで、当時、7年にしたのだと思います。おっしゃったように、審査要領には7年とそのときに書いてございます。以降、東電値上げの前に審査要領を見直すときに、その7年というのは、必ずしも縛られる必要はないのではないのかということもありまして、一応落としていますけれども、これは平成10年以降の値下げも含めて改定は数回やっていますが、いずれも7年にしているので、その継続性から,今回7年で申請があったものは妥当ではないかと思っています。
 他の事業でも違うものはあるようなので、この辺りはどういう形で報酬率といいますか、事業報酬を考えていくか。これは公益事業全体の中で御議論はあるのかもしれませんけれども、現時点では、過去からの継続性というのと、なるべく長期ということでこうしています。このデータ自体、たしか年末ぐらいに出てくるので、もし次の改定がほかにあれば、新しいものにアップデートしていくということになってきます。

○古城座長 いかがでしょうか。
 では、さらに新しいところまで議論を広げたいと思います。燃料費、購入電力料、規制部門と自由化部門の関係、需要の推計、見込みと実績の乖離、これらについても、御質問、御議論をお願いいたします。
 どうぞ、矢野委員 。

○矢野委員 2点ほど質問させていただきます。一つは、査定方針案の35ページ、公聴会や国民の声の最初のところに、北海道管内では、再生可能エネルギーの発電可能の能力というか、実態として372万kWの発電が可能でありながら、北電は96万kWhの買い取りしか認めていない。購入電力料の構成については電力事業会社に委ねるところでしょうが、実際の審議のところではどういうふうにこの声に対応されたのか。それをお聞かせいただきたいと思います。
 もう一つは、北海道と本州を結ぶ唯一の連系線についての課題です。周波数変動とか、そういったリスク対応とか、そもそも連系線自体が細いといいますか、その辺りの課題は今後のところに委ねられるのか、今回の査定において何らか対応された部分があるのか。その2点について、御説明をお願いします。

○資源エネルギー庁片岡電力市場整備課課長 両者関連していると思いますけれども、御意見にありますように、再生可能エネルギーが十分買い取れないという大きなものは、系統の安定性といいますか、当然、再生可能エネルギーは、風の吹き方、太陽の出方によって変動しますので、それを、ちいさなプールで波を吸収するのは難しいということでこの程度にとどまっているのだと思います。他方で、連系線できちんとつながっていきますと、そのプールがある意味大きくなると考えられますので、そういう意味におきまして、今回、北本(北海道と本州)連系線を30万kWh増設しようとなっていますけれども、それは、こうした再生可能エネルギーを入れていくという観点と、万が一、北海道内で何らかの発電機の事故が起こったとき、本州から融通できる。そうしますと、予備力も少なくて済みますので、そういう両面、非常にいい面があるというふうに考えています。
 北電の北本連系線につきましては、平成31年の運開を予定するということで、今、設計をしておりまして、今後、工事が入ってまいります。原価算定期間には入ってまいりますので、その工事費の一部は、建設仮勘定という形でレートベースに織り込まれています。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 いただいた回答への再質問で恐縮なのですが、17ページの燃料費の関連です。北海道電力はLNGがないということで、石炭の使用等についてかなり御議論をいただいていたと思いますけれども、17ページの石炭の海外炭の一番下のポツのところです。亜瀝青炭の導入による効率化努力が織り込まれていないけれども、北海道電力の括弧のところをもう少し説明いただきたいのですが、「泊の再稼働後に予定されている確認試験の結果が良好であれば、27年度上期から亜瀝青炭の導入が可能」と、ここの説明について少し教えていただけますでしょうか。

○資源エネルギー庁片岡電力市場整備課課長 済みません。言葉足らずだったかもしれません。亜瀝青炭の導入というのは、各電力会社ともに検討課題として行っております。調達先を拡大するという観点と、コストが安いという観点で、どれだけ混ぜられるかという問題です。石炭火力発電所で一定のカロリーの高いものを燃料として焚かないとうまく動かない。亜瀝青炭はカロリーが低い、あるいは水が多いとか、いろいろありますので、いくら混ぜるとうまくいくかということを各社実験しております。
 実は北海道電力におきましても、過去、検討しておりました。ところが、今回の震災以降、需給優先ということで、その実験を止めております。その後、泊がきちんと動き出せばもう一回実験を始めようということでありまして、実験結果でどのぐらい混ぜても出力がちゃんと維持できるかというような実験が終わりますれば、実際に導入をしたい。そういう趣旨であります。泊の発電所自身が問題というよりは、実験が途中で途切れている。火力発電所に亜瀝青炭を混ぜて運転を確認する実験が、今、止まっているということであります。

○古賀委員 私どものような消費者団体は環境問題も取り組んでいまして、CO2のことも含めてなのですが、北海道電力の方針としては、基本的に原発が動けば、そちらの実験の結果が例えばよくても使うとか、使わないとか、その辺りはどうなのでしょうか。

○資源エネルギー庁片岡電力市場整備課課長 基本的には亜瀝青炭も石炭ですから、石炭と石炭の置きかえなのです。どちらかというと、これはコスト削減に効いてくるという話です。CO2は同じです。したがいまして、コスト削減のための努力は、泊発電所が稼働しても、しなくても、行っていきたいというふうに考えているということだと思います。

○古城座長 これは純然たる質問ですけれども、今回のチェックポイントに対する回答の22ページに書いてありますが、電気料金の固定費の配分方法は2:1:1法というのを用いている。これは算定規則に直接書き込まれていましたか。

○資源エネルギー庁片岡電力市場整備課課長 はい、直接です。

○古城座長 これの合理性というのはこれまで検討なさっているのですか。

○資源エネルギー庁片岡電力市場整備課課長 過去、これは電気事業審議会の中で検討されてきたものでありまして、今回も委員を含めて、これで妥当であるということは確認をいただいております。また大きく変わってくれば、当然、見直していくべきだと思いますけれども、現時点では妥当ではないかと思っています。

○古城座長 あと、いかがでしょうか。
 私も意見交換会に出まして、東北に出ますとオール電化料金についてやはり苦情がありまして、これから将来に向かってコストに合うように見直すというのは当然必要ですけれども、過去の人の言い分は、それはわかるけれども約束が違うではないかと、信頼のほうの論点が出てくるわけです。その大もとに戻りますと、規制官庁が割引料金というのを認めたときに、どれぐらいの約束でやるつもりなのかというのも審査しないと、消費者保護的には、消費者にすると、いつ変更するかわからないという理解でやっていないわけですから、その辺に問題が出てくると思うのです。それはやはり説明が必要なのではないかという感想を私は持ちました。

○資源エネルギー庁片岡電力市場整備課課長 御指摘のとおりでありまして、各地方で私も公聴会へ行きまして、御指摘を受けましたし、特に北海道においては、厳しくその点は御指摘をいただきました。恐らく従来は、このように電源が、構成自体が変わっていくということを想定していなかったと思います。そういう意味ではそのメニューを薦める際に、どういうリスクがあるかを含めて、今後はきちんと説明していく必要があろうかと思います。それにつきましては、我々もそう促していきたいと思います。

○古城座長 どうぞ。

○井手座長代理 御指摘があったように、北海道も同じですけれども、暖房も、灯油とかガスとかいろいろな料金を考えてオール電化を選択したという家庭があるわけです。1万円上がるとか、そういう状況で、消費者団体から、例えば何か経過措置はとれないものかという要望がありました。30%も値上がりするというのはほかの公益事業ではなかなかありません。本来きちんとコストに見合った料金を取っているというのであればなかなか難しいでしょうけれども、激変緩和措置をとるお考えは全くないのでしょうか。

○資源エネルギー庁片岡電力市場整備課課長 難しいと思っております。というのは、まさに先生の御指摘のとおりでありまして、コストに見合った料金になっていますので、もしそのコストに見合わない部分があるとすれば、それはどこからか出てこないといけないということになっています。法律上は、適正な原価・適正な利潤となっておりますので、そういう意味では原価に従ったもので認めるしかないのではないかと思っております。

○古城座長 その考えはわかりますけれども、私はそれについては意見が違いまして、普通は一般料金でよくて、割引料金をやるというときは、営業上いいから是非やらせてくれと、経営責任でやるわけだから、その原資は原価ではなくて、失敗しました、悪うございましたというので株主が負担して払う。その分だけ、本来上げられた利益が減るという格好で整理するということになると思うのです。だから、最初の割引料金でどういうふうに見るかですね。つまり経営者が、自分のリスクでやらせてくれ、うまくいかなかったら自分たちが利潤を削ってちゃんと尻拭いするからと、こういうタイプのものに整理すれば、それは適正原価・適正利潤の話と整合がとれると思います。それは私の意見です。
 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 激変緩和措置のことで、全く同じなのですけれども、是非、枠を超えてエネ庁で検討していただきたいと思います。

○古城座長 井手座長代理、どうぞ。

○井手座長代理 今、片岡課長が言われたことはもっともなので、私もそういう説明を消費者団体にもしましたけれども、そのときに、もし選択約款を選択していない人にそのコストを負わせるとなったら、これは不公平だと。そうではなくて、激変緩和措置を取って、料金で回収できないところは、人件費とか、ほかのところを経営効率化すべきだという声がありました。経営効率化して吸収すべきだと、そういう意見でしたので、御紹介しておきます。

○古城座長 矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 オール電化に関してです。北電がいらっしゃったときにお伝えはしたのですけれども、今、ヒーターからヒートポンプに転換をしているということで、むしろ北電が努力されることだと思いますけれども、ヒートポンプにすればかなり電力量は下がっていくわけですから、そういったところで値上げされる電気料金を抑制できる部分もあります。むしろ北電が率先して、場合によっては切りかえをしやすくするような手立てといいますか、割安でとか、そういった手立てを講じながら、もともと促進をしていったわけですから、そのはね返りとして、単純に電気量が高いから電気料金も高くなるんですという説明だけでは、納得いかないと思います。そういった手立てを経産省からも是非事業者側に指導していただければと思います。

○古城座長 それでは、全体を通してまだ質問し足りない部分について、御質問ください。
 矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 では、全体を通して、査定方針案のことについてお聞きしますが、先日の東北、四国、今回の北海道電力でも、値上げ申請に関しては一つの区切りがついたかなと思っております。九州、関西のところまでは、査定方針案の最後に「今後の課題」というのが幾つか出されていたと思います。しかし、一方で北電までの審査においても、審査の委員の方々から、やはりこのルールの中だけではおさまりきらないさまざまな課題があったということで、その多くは現実にもう検討に着手されてはいますが、今回の北電、前の四国、東北に関しては、新たな課題とすべきものがなかったのか、この査定方針案に新たに明記するものはなかったのか。その辺りについてお願いします。

○資源エネルギー庁片岡電力市場整備課課長 最終回にいろいろ御意見をいただいたので、そういう意味では十分反映できていない面がありますけれども、最終回に例えば事業報酬の在り方ですとか、あるいは、燃料費も前回御指摘がありまして、いつまでもトップランナーでいいのかとか、幾つか課題はあると認識しております。これも、審査専門委員会の先生方とまた御議論が必要かと思いますけれども、一回どこかの段階で整理をして、次があるとすれば次に反映していくことは必要ではないかということは、安念先生もおっしゃっていますので、これは整理してみたいと思っております。

○矢野委員 要望ですけれども、一応の一区切りがついたということで、これまでの電気料金値上げの審査において課題となったことの項目を少し整理していただいて、それについて、どれは着手しているとか、どれはまだまだこれから検討に入ると。そういったものをできればポンチ絵みたいな形で出ると、それぞれの管内の消費者からは、単にルールの中だけではおさまりきれない意見がたくさん出ていましたから、それがほかの対応で検討されているということで、そういったところへの期待とか、希望もありますから、是非、そういったわかりやすい情報提供を経産省からも出していただきたいと思います。

○古城座長 ほかに御意見がございましたら。
 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 幾つか電力会社の査定が積み重ねられると一定の基準ができて、またそれを踏襲していくということで、その部分は議論されないということは一応理解できるのですが、今回、退職給付金の年金の運用率のことなどは、事後的に調べていただいたら、2%前後の運用率をそれぞれの電力会社さんがしていたということを、私たちは初めて知るわけです。この2%が今回設定されてしまうと、以後はそれについては一つのスタンダードになってしまうということになるわけです。
 査定のいろいろな規則ですとか、審査要領ですとか、関連の審査会等で精査して御議論いただいたことが次の基準に踏襲されるということはわかります。しかし、地域の特性についての個別の配慮は必要だと思います。たとえば、北海道の場合は、第一次産業をもととして、私もよく北海道に行きますが、現地の方たちは、地元力というか、農漁業・牧畜をはじめ、再生可能エネルギーの問題についても取り組んでいらっしゃいますし、意欲のある方がとても多いです。こういう形でほかのところの基準と平準化されていくと、やはり地域の特性はどんどん後退してしまうので、こうした基準が今後どういうふうに他の地域に反映されていくかということについても、改めてエネ庁さんのほうで、全体の電事法の改正の見直しも含めて御議論いただきたいと思います。これは要望ですので、よろしくお願いいたします。

○古城座長 よろしいでしょうか。
 それでは、経産省から出されました査定方針案についての我々の検討は、これで終了したいと思います。
 経済産業省資源エネルギー庁の方々には、ここで退席していただきます。お忙しいところをどうもありがとうございました。

≪3.電気料金値上げ認可申請に関する意見交換会(札幌)の報告について≫

○古城座長 続きまして、北海道電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案に対する調査会としての意見の取りまとめに向けた議論を行いたいと思います。関西・九州電力及び東北・四国電力の際の経験や、これまでの検討で取り上げられた論点を踏まえ、調査会の意見を取りまとめましたので、その内容について、消費者委員会事務局から御説明をお願いします。

○浅田参事官 まずご報告として、昨日、30日に、前回の調査会で御議論いただいた、東北、四国の意見について、古城座長御出席のもと、消費者委員会に提出し、委員会の意見として、昨日、消費者庁に提出されております。
 さらに、お配りした東北、四国の意見も踏まえながら、今回、北海道電力に関する意見案をまとめております。資料4でございます。東北、四国と随分重なっておりますので、そういうところはその旨御指摘しながら、簡単に御説明したいと思います。
 冒頭は、経緯についてです。さらに「I.全体的な評価」について、最初のマルは、東北、四国と同様、北海道電力の査定方針においてもチェックポイントが反映されているということになります。
 2つ目のマルについて、他方、各項目については更なる対応ということでございます。先ほど出ましたとおり、札幌での意見交換会において、オール電化導入世帯に対して、今回の値上げは非常に大きな負担であるという声が多く出されております。さらなる負担増の懸念の声も多く出されているということで、厳正な精査を行うべきであるとしております。
 3つ目のマルは、情報周知についてですが東北、四国と同様のものでございます。
 「II.個別項目」について、人件費についても基本的には東北、四国を踏襲しています。給与については、年齢、勤続年数、勤務地域等による補正が行われていますが、その補正結果を詳細に示すべきであるということ。
 厚生費につきましては、先ほど御議論が出ましたけれども、健康保険料の事業主負担でございますが、法定負担割合の50%を目指した削減とすべき。その他、一般厚生費の必要最低限の額の計上ということになります。
 2番目の調達、これも東北、四国と同様です。東電の事例、5年間で60%の数字を達成するというのがありますが、その事例を踏まえてさらに拡大するとともに、その進捗の検証に取り組むべきということ。さらに、子会社からの調達もコスト削減。基本的にこれは東北、四国と同じです。
 マル3 事業報酬について、札幌の意見交換会でも総括原価方式のわかりにくさが指摘されておりまして、その中でも特に事業報酬がわかりにくいということでございます。これは関西、九州からずっと同じことを言っておりますけれども、消費者の方に向けて、事業報酬というのは何なのかということ、なぜそれを負担しなければいけないのかといったようなことを、わかりやすく説明していただきたいということでございます。
 3ページに移りまして、購入電力料です。先ほど出ました北海道~本州連系設備、北本連系線と言っておりますが、そのメリットが具体的にどれくらいのボリュームで反映されているのかということ。また、卸電力市場の活用見込み等々がどれくらい反映するのかということを説明すべきだということでございます。
 マル5 電灯需要の伸び予測でございます。これも札幌の意見交換会で出てまいりました。省エネ、節電をしたのに、かえって電力会社の売上減になり、それのために値上げ幅が大きくなっているという意見が多々出ております。これについて言えば、定量的に長期的に見通すのは難しいということはたしかエネ庁の審査専門委員会でも議論がされたかと思いますけれども、少なくとも一般家庭で節電を行えば、個々の支払いの抑制にはつながるということであると同時に、節電が定着すれば、長期的には設備投資の抑制、無駄な設備を持たなくてよくなるということで必要が下がっていくということで、消費者の間に、「節電しても結局値上げにつながるので、意味がない」という声が出てきております。そういうことはないということを、しっかりわかりやすく説明していただきたいということでございます。
 マル6は情報提供でございます。最初のマルは前回出てきたものですが、特に北海道につきましては、重ねて、オール電化について特に丁寧な情報提供や説明を行うこと。あとは、消費者団体等からの説明会要求、その他にしっかり応えていくこと等を書いてございます。
 さらに、次のマルでございますけれども、問い合わせ、苦情に対する対応です。これは東北、四国と同様です。
 マル7 資産売却についても、東北、四国と同様です。
 「III.今後の課題」でございますけれども、最初のマル、給与の比較における比較対照ですが、合理的なものにできないか。これも東北、四国と同じです。
 事後検証の課題についても東北、四国と同様です。
 3つ目のマルでございますが、原価算定期間終了後に電源構成が大きく変わるということで値下げも想定される。現行の電気事業法において、値下げに当たっては事業者からの届出のみで済むことになるということですが、その際、値下げ幅について何らかの検証が可能になるよう、その方策についての検討を行うべきである。
 これについても、東北、四国と同様ですけれども、重ねて御参考までに、昨日の消費者委員会でも、専門調査会の横断的事項についての報告についても、古城座長から取りまとめ案を御報告いただき、委員会でも提言という形になっております。特に事前の想定と事後の変化の中の価格変化、これをどう扱っていくかということについては、委員からの関心も示されました。ということで、特に3つ目のマルは説明を求めていく課題だということで認識しております。
 4つ目のマルでございますが、これまでの調査審議の過程で明らかになった課題、情報公開・開示の在り方、事業報酬算定の在り方等々です。これも横断的課題の中で、消費者委員会において検討を続けていくとなっておりまして、引き続き委員会でも検討しますし、その結果をエネ庁の査定の中にもフィードバックしていただきたいということでございます。
 最後のマルですけれども、電力システム改革についてのメリットです。特に北海道につきましては、意見交換会で強く出ました、北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例。これは北海道独自の条例でございまして、省エネルギー・新エネルギーの導入促進に向けて、道としての対応、さらには消費者への情報提供、消費者教育を盛り込んだ条例ですけれども、地元では皆さん、これに言及しながら御意見を述べられている例が多かったと思います。特に関心も高い省エネルギー促進、新エネルギーの開発・導入促進が、消費者にどういう影響を与えるかといったことについて、明確に説明をお願いしたいといったことを書いてございます。
 さらに、電力システム改革等々につきましては、消費者の意見を聞くべきということ。あと、これは東北、四国の意見でつけ加えましたけれども、電力システム改革、原発廃炉費用負担については、消費者の関心も高いのですが、これら検討の全体を俯瞰できるような情報提供を工夫すべきである。先ほども同趣旨の意見が出ておりましたけれども、これについては東北、四国の意見を踏襲しております。
 以上でございます。

○古城座長 ありがとうございました。
 ただいまの意見につきまして、御意見のある方は御発言をお願いいたします。
 矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 先ほど、古城座長からの御意見にありましたオール電化に関して、いわゆるメニューを進める際のリスクというのが経産省からも説明でありましたけれども、今後の課題のところに、選択約款に関係して大きく電源構成が変わる、そういうメニューに対してのリスクもきちんと提案した上で、そのメニューを提案していく。リスクまで考えてというところの課題提起は必要ないのでしょうか。その辺について御意見をお願いします。

○古城座長 3ページの「オール電化導入世帯に対して、特に丁寧な情報提供や説明を行うこと」に、もう一点つけ加えたほうがよろしいですか。場所はここでよろしいのでしょうか。

○矢野委員 いえ、「今後の課題」のところです。

○古城座長 一つ項目を起こして入れますかね。

○浅田参事官 4つ目のマルで、「調査審議の過程で明らかになった諸課題」とありますけれども、その中で、引き続き、消費者委員会において検討とあります。こういったところで、選択約款と電源構成に係るリスクということを盛り込んで、こちらでも何らかの検討をするということもありましょうし、また、経産省へ求めていくというやり方もあるかと思います。一つの御提案としていかがでしょうか。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 今の浅田参事官の御提案でいいと思いますが、3ページの「オール電化導入世帯に対して」というところに、激変緩和措置の検討も電力会社に対応をとることを促す、というのを入れることが可能であればお願いしたいと思います。3ページのマル6のポツのところです。オール電化についての意見が東北でも一番意見が多かったように思います。

○古城座長 それは、検討させていただきます。

○浅田参事官 検討させてください。

○矢野委員 オール電化に関しては確かにそういった声をたくさんいただいて、一方で、オール電化にしていない世帯、負担の公平性といいますか、そういったところをどう勘案するのかというのも一緒に考えなければいけない。オール電化を使用されている世帯は、自ら積極的に選んだというよりも、かなり促進された中で結果選んだというのが多いわけですから、そういった対応と同時に公平性について勘案しながらというところで、御検討いただきたいと思います。

○古城座長 激変緩和措置をとるとしたら、その財源は、一般利用者が負担するのではなくて、やはり株主が負担しなくてはいけません。
 河津審議官、どうぞ。

○消費者庁河津審議官 恐縮でございます。きのう、札幌に井手座長代理と一緒に伺ってまいりました。そのときに、まさに今、矢野委員からもございましたけれども、契約勧誘時に、故意ではないと思いますが、結果的に電源構成の変化による料金の変更、値上げがあり得るということについて全く説明がなかった、もっと言うと、原子力とオール電化とは関係がないというのが、当時は、ということだと思いますけれども、北電の説明だった、ということもございます。
 ちょっと確認でございますが、結果的にせよ、十分な説明がなかったことについての何かしらの検証と言うのでしょうか、そういうことを求めることは必ずしもこの場合にそぐわないのかどうか。あるいは、そういうことも一言述べるのかどうか。これは確認でございますが、皆様方の御意見をいただければと思っております。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 基本的には経営責任にかかわる問題なので、料金査定には私は関係ないと思いますけれども、あまり議論されないところですが、たとえばLNGの中途解約できない、(テイクオアペイ)などの契約、消費者から見ると非常に片務的な契約を締結した責任などは、経営責任として問題とされるべきであり、公共料金としてはどのように考えていくべきかは今後議論されるべきテーマだと考えます。それから、今回のオール電化における説明不足によって発生した責任は、やはり会社の経営としてステークホルダーである株主等がとるべきであって、原価算定とは直接関係ないにしても、基本的にはそういう問題意識があることを委員会として出していただくことは大事なことだと思います。

○古城座長 白山委員、どうぞ。

○白山委員 非常に一般論的な話になってしまうのですが、例えば民間企業等におきましても、有価証券報告書等でリスク情報ということで、株価の変動、あるいは経営に対するリスクを積極的に開示する方向性になっております。その当時はいろいろな状況で選択せざるを得ない状況だったかもしれませんが、オール電化を選択するときの消費者の方の意思決定のために必要な情報ということで、当然こういう問題は当時にはなかったかもしれないけれども、現状において電源構成の相違という事実に関連してこうなってきた以上、何らかのリスク情報的なものの開示は一般的には必要だと思います。
 例えば、証券投資等をする場合でも、証券会社のほうはいろいろと、価格の変動や様々な想定されるリスクがある場合には、必ず約款上や顧客に対する説明などで情報を開示しています。そういった一般論的なことからいたしますと、また、消費者の声を考えますと、このオール電化のところにつきましては、何らかのリスク、価格変動リスクの情報の開示は一般論的には必要なのではないかと私は思います。

○古城座長 いかがでしょうか。
 小塩委員、どうぞ。

○小塩委員 マル5のところですけれども、節電をすると値上げにむしろつながるのではないかという誤解が出ないように、説明をきちんとしてほしい。これは全くそのとおりだと思いますけれども、しかし、現に節電を一生懸命しているのに値上げが発生しているわけです。ですから、誤解と言われるとカチンとくるという人も出てくると思います。先ほど、定量的な説明は難しいので定性的にというお話もありましたけれども、ここはできるだけ定量的に、消費者の方に、節電しないとむしろ長期的にデメリットが発生しますということを示さないといけないと思うのです。これはできるだけ数字で出してくださいという要請は、私はしていいのではないかと思います。

○古城座長 いかがでしょうか。
 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 言わずもがなかもしれないのですが、5ページの最後のところ、「地元消費者の関心も高い省エネルギー促進や新エネルギーの開発・導入促進等が消費者に与える影響について明確に説明すべきである」というところについて、明確に説明すべきは当然なのですが、その「明確」の前に「継続的な情報提供も含めて」という文言を入れていただきたいと思います。単に現状について説明するだけではなくて、これからの電気事業法の改正も含め、電力システム改革、発送電分離やいろいろなことで状況は激変するので、そういった継続的な情報も消費者に提供していただきたいので、継続的な情報提供という一文を入れていただくことを希望します。

○古城座長 いかがでしょうか。
 井手座長代理、どうぞ。

○井手座長代理 私のはつまらない指摘ですけれども、1ページの注1です。これは、両電力会社ではなくて、北海道電力だと思います。

○古城座長 一番大事な指摘です。

○浅田参事官 失礼しました。

○古城座長 あとはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 そろそろまとめたいと思います。
 意見案につきましては、これまでの各電力会社の査定の経験を踏まえつつ、北海道電力特有の事情を含んでおり、基本的には各委員が御同意いただけるものと考えております。きょうは幾つかの御意見がありましたから、これは盛り込むように、今後、事務局と検討いたします。それ以外に、引き続き委員の皆様からの御意見があれば、事務局に御連絡いただくことにいたしまして、最終的な取りまとめとしては座長に御一任いただきたいと考えます。いかがでしょうか。

(「はい」と声あり)

○古城座長 修正後の確定版については速やかに各委員に送付するとともに、公表したいと考えます。
 今後の進め方について、消費者委員会事務局から御説明をお願いいたします。

○浅田参事官 委員会の意見につきましては、修正確定後、ホームページに公開いたしたいと思っております。あとは、昨日の消費者委員会で河上委員長から御発言がありましたとおりですが、取りまとめられた調査会意見については河上委員長に伝達し、了解が得られれば、消費者委員会意見として消費者庁に伝達しまして、これをもとに消費者庁において経産省との折衝を予定しております。
 以上です。

○古城座長 それでは、議論は以上といたします。

≪4.閉会≫

○古城座長 事務局からの連絡事項などはございますか。

○原事務局長 本日は、熱心な御議論をありがとうございました。
 今後の調査会の日程についてですけれども、今後、申請等があればまた調整させていただいた上で開催したいということで、御連絡をさせていただきたいと思います。
 以上です。

○古城座長 本日はこれにて閉会とさせていただきます。
 委員の皆様、これまで、ありがとうございました。
 また、この場にはおられませんが、審議に御協力いただいた資源エネルギー庁、北海道電力の方々、また、札幌で御意見をいただいた消費者団体の皆様方にも、この場をかりて御礼申し上げます。
 委員の皆様には、お忙しいところ、また、暑い中をお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)