第19回 地方消費者行政専門調査会 議事録

日時

2013年7月11日(木)9:30~11:51

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
宇賀座長、沼尾座長代理、池田委員、池本委員、小林委員、
仲條委員、吉川委員、吉冨委員
【消費者委員会担当委員】
稲継委員、吉田委員
【説明者】
消費者庁 長谷川消費生活情報課長 ほか
【オブザーバー】
国民生活センター 千塚研修部長
消費者庁 村松地方協力課長
消費者委員会 山口委員長代理
【事務局】
原事務局長、小田大臣官房審議官、浅田参事官

議事次第

1.開会
2.消費者教育の推進に関する基本的な方針について(消費者庁説明)
3.専門調査会報告書の取りまとめに向けて(事務局説明)
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:8KB)
【資料1-1】 消費者教育の推進に関する基本的な方針(概要版)(消費者庁提出資料)(PDF形式:491KB)
【資料1-2】 消費者教育の推進に関する基本的な方針(本文)(消費者庁提出資料)(PDF形式:408KB)
【資料1-3】 地方公共団体における消費者教育事例集(概要版)(消費者庁提出資料)(PDF形式:495KB)
〔※以下(資料1-4)は、消費者庁ホームページへのリンクとなります。新しいウィンドウで開きます。〕
【資料1-4】】 地方公共団体における消費者教育事例集(本文)(消費者庁提出資料)別ウィンドウで開きます
【資料2】 地方消費者行政専門調査会報告書(案)(事務局提出資料)(PDF形式:441KB)
【資料3】 各委員から事前に寄せられたご意見、ご質問(事務局提出資料)(PDF形式:276KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 おはようございます。本日は、皆様、朝早くお忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。
 ただいまから「消費者委員会地方消費者行政専門調査会」第19回会合を開催いたします。
 本日は、オブザーバーとして、消費者庁の村松地方協力課長にお越しいただいています。消費者委員会担当の山口委員はおくれております。
 本日は、埼玉県の竹中消費生活課長と国民生活センターの西総務部長におかれては、公務のため御欠席です。国民生活センターは、千塚研修部長に代理出席をいただいております。
 それでは、議事に入ります前に、配付資料の確認をしたいと思います。
 議事次第の後ろのページに配付資料の一覧を載せております。
 座席表の次に資料1、枝番でまた1、2、3、4とついておりますけれども、消費者教育の推進に関する基本的な方針についてということで、この後、消費者庁から御説明をいただきますけれども、消費者庁から御提出いただいた資料になります。
 資料2といたしまして、地方消費者行政の専門調査会の報告書案ということで、事務局提出資料になります。
 資料3といたしまして、各委員から事前に寄せられた御意見、御質問ということで、事務局のほうで整理して資料3として用意しております。
 不足がございましたら、審議の途中でお申しつけいただければと思います。
 それでは、宇賀座長、議事進行をよろしくお願いいたします。

≪2.消費者教育の推進に関する基本的な方針について≫

○宇賀座長 それでは、議事に入らせていただきます。本日の最初の議題は、「消費者教育の推進に関する基本的な方針について」です。
 皆様、御承知のとおり、昨年12月に消費者教育推進法に基づきまして、消費者庁に設置されました消費者教育推進会議での議論をもとにして、先月6月に消費者教育の推進に関する基本的方針が取りまとめられまして、消費者委員会での議論を経て閣議決定されました。
 この方針におきましては、地域の消費者教育の推進に当たり、都道府県、市町村の内部の関係部局の連携に加えまして、消費者団体や地域の福祉関係者との連携といった官民連携が盛り込まれており、私たちの課題である地方消費者行政の推進についても大きな影響があるものと考えております。
 この内容につきまして、消費者庁の消費生活情報課から内容の説明を伺いたいと思います。

○原事務局長 消費生活情報課の課長補佐の足立さんから御説明をいただきます。よろしくお願いいたします。

○消費者庁足立消費生活情報課長補佐 消費者庁消費生活情報課の課長補佐をしております足立と申します。御説明をさせていただきます。
 資料は1-1、1-2、1-3、1-4までありますけれども、1-3、1-4につきましては、基本方針は閣議決定の案件でございますが、それと同時に、地方で実施されている事例を73事例収集しまして、これは閣議決定案件ではないのですけれども、同時に公表したところでございます。これをもって、基本的には地方のほうでも基本方針に基づいて、これから消費者教育を進めていただきたいということで事例も公表したところでございます。
 それでは、資料1-1を基本的に御説明させていただきたいと思います。
 先ほども御案内がありましたけれども、消費者教育の推進に関する法律が昨年12月に施行されまして、これは昨年8月に議員立法で法律が成立したところでございます。その第9条に消費者教育の推進に関する基本的な方針の案を作成して閣議決定をするということで定められております。それに基づきまして、私どもとしましては、文部科学省と一緒に案を作成しまして、その下にございますけれども、平成25年3月から消費者教育推進会議、消費者委員会の意見を聴取しまして、また消費者等の意見、いわゆるパブリック・コメントを実施しまして、6月28日に閣議決定を行ったところでございます。
 右手になりますけれども、地方公共団体では基本方針を踏まえまして、これも法律にございますけれども、努力義務ではございますが、都道府県、消費者教育推進計画並びに市町村の消費者教育推進計画を策定いただきたいというところでこれから動いてまいりたいと思っております。
 基本方針の方向でございますけれども、そこに書いてございますとおり、誰もがどこに住んでいても、生涯を通じてさまざまな場で消費者教育を受けることができる機会を提供し、効果的に推進していくことを方向として考えております。
 手段としましては、幅広い担い手、国・地方、行政・民間、消費者自身の支援、育成、担い手間の連携、情報の共有の促進というところを手段として考えております。
 中身としましては、I~Vまでございますけれども、
 「I 消費者教育の推進の意義」、現在の消費者教育並びに消費者教育の周辺の状況を整理して記述してございます。特にルール整備、厳格な法執行、消費者支援・救済施策と、ルールを知り被害を防ぐ消費者の努力、持続可能な消費の実践、消費者の社会的役割の自覚ということで、消費者の自立を支援するということ、法律の中にも定義として定められておりますけれども、消費者市民社会の形成に寄与するということを意識してございます。
 IIのところで、本年1月に公表したところでございますけれども、体系的イメージマップというところ、裏面にもございますけれども、消費者教育を体系的に推進していくということで、対象領域を4つ設けまして、それの段階ごと、幼児期から成人期の高齢者に至るまで、幅広いライフステージで消費者教育を体系的に行っていくということ。
 特に消費者の特性、場の特性に応じた方法で実施をしていくということで、若者の被害防止、成年年齢引き下げに向けた環境整備の観点等から、高等学校段階までに主体的に判断し、責任をもって行動できる能力を育む。消費行動の社会経済への影響等、多角的視点で情報提供できる視点というところでこちらは書いてございます。
 国の地方支援ということで、財政支援、情報提供による支援、各主体の役割、連携・協働ということで、国と地方公共団体、消費者行政と教育行政、地方公共団体と消費者団体、事業者団体、それぞれが地域における多様な主体間のネットワーク化をしていくということで、地方でも消費者教育推進地域協議会、こちらも法律では努力義務でございますけれども、こういったものを会議体として起こしていただいて、消費者教育を進めていただきたいというところを書いてございます。
 もう一つは、環境教育・食育・金融経済教育・法教育等、消費者教育と関係するその他の教育、いろんな教育がございますけれども、そういったところと有機的に連携、推進していくということで、連携・展開による相乗効果とか、教材等のコンテンツの共有化などを図っていきたいと思っています。
 「III 消費者教育の推進の内容」でございます。
 1、2、3とございますけれども、「1 様々な場での推進」。学校、地域社会(地域、家庭)、職域、職場、そういったところでの推進。
 「2 人材(担い手)の育成・活用」。これも場と同じような形で学校の教職員とか、地域における消費者団体、NPOとか等々でございます。あと消費者自身もそうでございます。
 「3 資源等」としましては、教材等の作成とか活用、調査研究、情報収集、提供というところを書いてございます。
 それを行うに当たって、基本方針の中身としまして、行政各部局間と多様な担い手との連携というそれぞれの消費者行政部局とか教育委員会、教育行政部局、福祉関係部局、商工部局との連携。特に高齢者・障害者の見守りということ等々のことでの連携がございます。
 消費生活センターを拠点化していく。消費生活センターは相談だけではなく、消費者教育においても、その相談の状況等を活用して、消費者教育の人材育成等の拠点化をしていきたいということを記述してございます。国民生活センターができればそういったところを支援していただきたいというところでございます。
 コーディネーターという名称で書いてございますけれども、いわゆるつなぎ役といいますか、調整役、そういったところの地域と学校、多様な関係者のつなぎ役、調整役としてのコーディネーターの育成、活用ということ。
 効果的な情報提供の方策の開発。
 モデル地区における先進的な実践。
 また、消費者学習の国民的な運動として、例えば消費者教育の日、週などを制定していって国民的に運動を展開していきたいというところも書いてございます。
 「IV 関連する他の消費者施策との連携」としまして、消費者行政のいろんな消費者政策がございますけれども、そういったところとも連携して、例えば事故・トラブル情報の迅速的確な分析、原因究明としまして、そういったところを教材に反映していくとか、食品と放射能に関する理解増進をしていく。
 通常国会で制定されましたけれども、食品表示法もできましたが、そういったところの理解増進ということとかも記述してございます。
 「V 今後の消費者教育の計画的な推進」でございます。
 都道府県・市町村での推進の支援。消費者教育の推進会議・小委員会での検討、施策への反映、専門委員を例えば地域ごとの代表として任命するなど、今後検討してまいりたいと思っています。あと基本方針の達成度の検証ということで、この方針自体は法律の中では5年をめどに方針を見直す必要があれば見直しをしていくということは書いてございますので、基本方針の見直しにおいて、中間的に3年ぐらいをめどに見直しの検証をして、5年後に見直しをできるところは見直しをしていくと考えてございます。
 それにおきまして、各府省での今後の実施施策を年内に取りまとめをしたいということが一つ。
 地方支援としまして、推進会議の地方開催、推進計画の策定、地方協議会設置に向け、事例集の作成、説明会等での情報提供をしていく。こちらにつきましては、7月19日に地方自治体、都道府県と政令市の地方行政部局の方、教育委員会の方をお呼びして、文部科学省と合同で説明会、研修会的なものを開催したいと考えております。今、準備を進めているところでございます。
 消費者教育のための指標化を検討していく。全ての都道府県で推進計画の策定、地域協議会の設置を目指して支援してまいりたいと思います。
 ざっと基本方針の中身につきましてはそういったところでございまして、特に資料1-2の42ページ、数は多いですけれども、別紙としまして、基本方針をつくり上げた上で今後検討すべき課題として、これだけのことを消費者教育推進会議、また小委員会等々を開催しまして検討していただきたいと考えています。
 ざっとでございますが、以上でございます。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 これまでの御説明につきまして、委員の皆様方から御質問や御意見をいただきますが、消費者教育の推進そのものにつきましては、消費者庁に設置されました消費者教育推進会議で議論が行われることとなっております。議論の重複を避けるためにも、この専門調査会におきましては、ただいま御説明がありました消費者教育分野での動きを一つのきっかけとして、庁内連携、官民連携により、地方消費者行政の体制強化をどのように図っていけるのか、またそのために必要なことは何かといった視点から議論ができればと考えております。
 それでは、御質問や御意見をお願いいたします。
 池本委員、どうぞ。

○池本委員 池本です。
 御説明ありがとうございました。ここでの問題関心、地方消費者行政の推進に関連するところ、今の資料1-1の右下のところに関連して質問させていただきます。
 地方自治体、都道府県や市町村に消費者教育推進地域協議会を設置するということと、推進計画を策定するということが法律上位置づけられていて、それを支援するという地方支援を行うということが示されています。幾つかかかわっている自治体の職員さんと話をすると、とりあえず国がどんな基本方針を示すか様子を見て、この夏ごろから検討をしようかと思っていますとか、ましてや市町村、大きな政令市あたりでも、都道府県がどういうようにつくるかを見てそれからですといって、みんな様子見のような感じを受けているのです。
 地方自治体が特に地域協議会をつくって、そこで具体的な動きを起こすという意味では、地域協議会をつくって推進計画をつくっておしまい、あとは年1回報告を受けるだけというのでは本当の動きにはならないと思います。地域協議会が活力を持って動くための方策というのが、ここには事例集の作成、説明会という記載があるのですが、この事例集はそれぞれの個別施策は見えるのですが、推進協議会をどういう形でつくり、何を取り組むのかというところは、何かお考えがあるのかどうか、あるいは本体を全部読み込んでいないのでわからないのですが、そのあたりでヒントがあれば教えていただきたいと思います。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 推進協議会につきましては、先ほどの繰り返しになりますが、努力義務ですが、法律においてしっかりと規定されるということになっております。後ろを見ていただきますと、私どもで現時点での模式図と申しますか、国と地方でのイメージを書かせていただいております。
 法律を読んでいただきますと、推進地域協議会というのは、まさに地域での消費者行政、教育行政と消費者団体とか、事業者団体、各分野の関係者が構成員になるとなっておりまして、それらが相互に情報交換、当然のことながら、それぞれの場において、あるいは分野において消費者教育に携わっているということだと思いますので、そうした方々が相互の情報を持ち寄って調整を行う場ということで位置づけられていると思っています。
 我々としては、地域協議会が今回ここに言葉として担い手の結節点ということで位置づけられておりますけれども、一種のプラットフォームということで、多様な方々に入っていただいて、意見を調整して、その間に書いてありますコーディネーターの役割もあろうかと思いますが、共通認識を得て、さらに今後どうして地域における消費者教育を進めていくか、また協議会で得たものを自分のフィールドにおいて活動してもらう、そんなイメージを協議会については持っているということであります。
 もう既に自治体は都道府県のレベルでも3つとか4つとかと動いているケースがありますが、そういうものの動きを見ながら、横を見ながら進んでいくケースも多かろうと思いますので、我々としては、できるだけ都道府県に早めに全部やってもらいたいと思っていますし、この事例集についても、恐らく具体的に弾込めと申しますか、計画を今度つくっていくということになりますと、それは各地域の事情に応じたものとなります。今回、作成した基本方針を踏まえてということになりますので、総合的にこういうものを活用して具体的にできればと思っていまして、我々から計画は、この条件を満たさなければならないとかなかなか言えないものですけれども、我々としては一応法律に基づいて、協議会のメンバーについても具体的に列挙されておりますし、ミッションについても書いてあるということでありますので、それに基づいてやっていければと思っています。
 どういうような支援ということになりますと、今回まだ基本方針ができたばかりでありますので、7月19日、先ほどの繰り返しになりますが、各都道府県、政令指定都市の教育部局、消費者行政部局を両方とも呼んで、我々の考え方を示して、一緒に考えていくというようなスタイルで進めていきたいと思っています。
 とりあえず現状では以上です。

○宇賀座長 ほかはいかがでしょうか。
 吉川委員、どうぞ。

○吉川委員 確認というのか教えていただきたい。地方の消費者行政が非常に厳しい状態であることをどうするかということで検討会をしているのですけれども、さらに消費者教育推進法で消費生活センターがプラットフォームというのか、拠点になるということで、消費生活相談員がその担い手になると位置づけられたこと自体に異論はありません。しかし、例えば地方消費者行政活性化基金のような消費者教育推進のための基金というものがないとは聞いていますが、本当にないのでしょうか。あるいは用意していただけるようになっているのかどうか。といいますのは推進法を進めていくにも、今の状態ではさらに仕事がふえて大変だと苦情的なことも聞いています。国として基金的な支援のようなものを今後考えていただけているのかどうか教えてください。今は全くないという理解でよろしいのでしょうか。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 まさに予算の措置、これから拠点化といっておりますので、それなりの支援をしていこうかと思っていますが、予算の項目として基金というスタイルになるのか、ほかの項目とするのかというのはまだ決まっておりませんけれども、確かに消費生活センターにおいての拠点化ということであれば、当然負担の削減ということもありますので、あるいはこれまで消費者教育で余りエネルギーを費やしてこなかったセンターもあろうかと思いますので、いろいろな支援の仕方があろうかと思っています。
 一つは、具体的なあり方については、別紙に書いてありますように、今後検討すべき課題の中で位置づけてまいりたいと思っていまして、2つ目の括弧でくくっている<消費者教育推進の内容に関する事項>ということで、消費者教育の拠点化の具体的な方法とか、その中で一つは例えばマニュアルの整備とか、研修のやり方とか、いろんなことが考えられるかと思いますけれども、一応そういうことは今後の推進会議でやりたいと思いますし、あわせた形で予算についても考えていきたいと思っています。

○宇賀座長 小林委員、どうぞ。

○小林委員 私も今と同じになるかもしれませんけれども、基本法の第5条、地方公共団体の責務というところに、地方公共団体の区域とか社会的とか経済的状況に応じた施策を策定しと書かれているのですけれども、経済的な格差が明らかにあるというのがわかっている段階で、こういうように法律に書かれていて、その地方地方の経済的な状況に応じてやってくださいということになると、生涯を通じてとか、どこに住んでいても誰もがとかといったようなうたい文句が達成できないのではないかと思うのです。
 ですから、国の財政支援というところで、もっと強力にきちんとしたものが出てこないと、今と同じように何もないところはないままで格差がどんどん広がっていって消費者被害を食いとめることができないという状況がこれからも出てくるのではないかと思いますので、この辺のところで私たち国民がさすがと思えるような国の支援をお願いしたいと思います。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 具体的に考えて検討してまいりたいと思います。まさに御指摘のとおり、消費者教育の地域間格差というのは、恐らく一般的な消費者行政以上にあると思っていまして、いかにして格差について目配せしながら我々として支援していくかはしっかり考えていかなければならないと思っています。

○宇賀座長 ほかにいかがでしょうか。
 小林委員、どうぞ。

○小林委員 もう一つ。基本法を拝見していまして、珍しいなと思ったのは、第14条の事業者及び事業者団体はというところで始まる4ですが、事業者団体は消費者団体その他の団体が行う消費者教育の推進のための活動に対して資金の提供という文言がここにあるのですけれども、これは消費者団体などの活動に関しては、国からの支援は今後もないけれども、事業者に支援してもらいなさいという法律の趣旨なのでしょうか。
 ただ、そのことについて、基本的な方針という閣議決定の中の説明には、30ページ、事業者、事業者団体による消費者団体の支援というところで、「支援すること」という言葉が入っているだけで、資金の提供というような言葉が全部抜けておりますので、この辺はどういう意味合いなのかと教えていただきたいのです。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 この部分につきましては、事業者団体の努力義務ということでありまして、必ず資金の提供その他の援助をしなければならないということではなかろうかと思っています。
 まさに、消費者教育の支援については、各分野について、みずからやることもありますし、既に行われているほかの分野に対してもやる必要があるということになっていますが、そこはマストではないということになっていますので、それを踏まえて我々としては30ページにおける消費者団体の支援ということで、具体的に資金の提供のあり方まで今回については議論が及んでおりまして、これは引き続き検討してまいりたいと思っています。

○宇賀座長 小林委員、どうぞ。

○小林委員 消費者団体は戦後、率先して消費者教育に尽くしてきたと思うのです。確かに消費者団体に入って勉強しようとか、活動しようとかという人たちで構成されていましたけれども、それでも、市民一般の方々に対して、消費者問題に対して幅広くいろんな講座とか出前講座を開催しながら、今までずっと長年やってきて、その功績は大きいと思うのですけれども、なかなか国のほうからは認めていただけない。消費者団体に対するのは、努力目標だけで、こういうように協力してくださいと言うけれども、財政的な支援は今までなかった。これからもないということで、では事業者に頼りなさいという書き方をされていると、これはなかなか難しいのではないかと思います。
 ただ、消費者団体は身銭を切って、自分たちで手弁当で活動してきていますから、これからもその活動が今までと同じように続けていけるという保障はないので、もっと国から消費者団体の活動に対して、その功績を認めていただいて、何らかの支援をしていただけるようならないととても難しいかなと感じました。

○宇賀座長 ほかはいかがでしょうか。
 山口委員、どうぞ。

○消費者委員会山口委員長代理 1-4で地方公共団体における消費者教育の事例集というのが出ております。迅速にここまでよくつくられたなと思うのですが、これは恐らく消費者庁のほうで各都道府県あるいは市町村にどんなことをなさっていますかということでアンケートか何か出されて、その中で評価できる実例をここに記載されたと思うのです。
 これはこれでとても参考になるし、いいと思うのですが、先ほど池本委員が言ったように、それぞれの地域で消費者教育推進連絡会議がどういうメンバーあるいはどういう組織なり機構が参画して、どういう形で運営されているかとか、例えばいつごろまでに推進計画を作成するように計画されているのかとか、そのようなこともまとめてみていただけないか。今回のこれで終わりではなくて、自治体担当者を刺激する意味でも、もちろん都道府県、市町村のほうに送られているのだと思いますが、その後、連絡会議をどういうメンバーでどういうように運営されていますかとか、いつごろどうするつもりですかということを指摘しながら、聞いていただきたい。それに当たって財政的な指示が必要な場合についてはどういうように感じるのかとか、そういうきめ細かなアンケートをさらに実施して、この事例集をもう少し自治体側のもっと参考になるように実施していったらどうか。
 私などはいつも思うのですが、なぜモデル事業をつくって、モデルの事業のCDか何かをどんどん各地に配付して、なるほど、こんなすばらしい教育、授業ができるならばうちでもやってみようかという気になるように、先生方に刺激になるようなモデル授業実例集がつくれないものかなと思うのですが、どうもやるやると言われながら、なかなかそういうものが少なくとも回ってこないというところを見ると、お互いまだ試行錯誤中なのかなという感じがするのです。そこら辺の事例集で終わりではなくて、今後もきめ細かにアンケートなり集計なり、あるいは自治体と消費者庁との連携、情報のやりとりをしていくという方向についてはどうなのでしょうか。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 山口先生が今おっしゃられたことは我々も重要だと思っていまして、今回事例集をつくりましたけれども、まだバージョン1.0、表に公表した段階で既にこれも入れたらどうかとか、この分野に入れてほしいとか、そういうような御意見も賜っているところです。ですので、これは拡充していく方向で、随時アップデートしていって、さらに各方面、公表、お示ししていきたいと思っています。
 計画の進捗とか協議会とかの設置の状況についても、非常に重要だと思っていまして、適切にフォローアップしていきたいと思っています。我々の基本方針のほうでも、最後の達成度の検証ということで、推進計画の策定状況についても踏まえておりますので、それに合わせた形で、各自治体の状況をこまめにフォローアップして、そしてフィードバックしていきたいと思っています。

○宇賀座長 ほかはいかがでしょうか。
 池本委員、どうぞ。

○池本委員 一言、これはむしろ要望として申し上げます。この専門調査会での議論で、相談窓口の整備という段階からさらにバージョンアップしていくために、消費者行政担当職員の資質の向上が重要だという議論をしているさなかです。
 この消費者教育推進というのは、ある意味では消費者行政の事業の中身を大きく外へ展開していくきっかけになるところで、それを先ほど7月19日に関係者を集めて連絡会をやるという話がありましたが、誰か一人来てくれればよいというだけでなく、消費者教育の担当者、責任者を決めてくれと、その人が継続的に出てきて、そこでは基本方針がこういう中身だというだけではなくて、なぜ消費者教育が今、叫ばれているのか、消費者市民社会というのはどういう概念なのかという、いわば職員研修の中身も含めた密度の濃い議論をして、それぞれの地域で自分が責任者になって事業展開をするという職員の資質向上を、1回の会議だけではなくて、この1~2年で集中的にやっていただく、それが後へつながるということをぜひ検討していただきたいと思います。
 以上です。

○宇賀座長 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 御意見ありがとうございました。消費者教育推進法を契機として、地方消費者行政において教育福祉分野との庁内連携や官民連携という新たな推進方策が広がることにつながると期待しております。このような点につきましても、今後まとめられる報告書に盛り込んでいきたいと考えております。

≪3.専門調査会報告書の取りまとめに向けて≫

○宇賀座長 それでは、次の議題は「専門調査会報告書の取りまとめに向けて」です。
 本専門調査会は、本年3月から審議を重ね、本日が第6回目となり、これまでの議論の成果の取りまとめを行いたいと考えております。地方消費者行政についての論点は多岐にわたりますが、8月末の第2次消費者委員会の任期までには、これまでの審議についての取りまとめを行い、対応すべき点については提言を行い、今後、検討を継続すべき課題については整理して消費者委員会に報告を行いたいと考えております。
 議題につきまして資料を御用意いただいておりますので、事務局から御説明をお願いします。

○原事務局長 資料2をごらんください。
 前回、報告書の骨子をお示しいただきました。それに肉づけを図っていったものです。
 1ページ目は目次になっております。
 <はじめに>の後に、IとIIとIIIと大きく3つに分けておりまして、「I 地方消費者行政の現況と今後の課題」は「1.消費者行政をめぐる情勢」「2.地方消費者行政の現況と今後の課題」と分けて記述しております。
 「1.消費者行政をめぐる情勢」については、消費者問題の現状とともに、市町村が中期的にどのような課題を抱えているかということについて述べております。
 「2.地方消費者行政の現況と今後の課題」については、今回の専門調査会の4月、5月あたりに、消費者委員会の事務局として消費者庁の現況調査から分析した資料をお示ししておりますけれども、消費生活相談体制の状況と課題、今、消費者庁からお話をいただきましたが、消費者教育法制定を受けた新たな動きということについても記述しております。
 IIのところが今回の専門調査会で優先課題としてお示ししたいということの方策を3つ掲げております。
 【優先課題1.】が消費者行政体制の底上げについてということで、「(1)広域連携の推進」と「(2)『よろず相談窓口』の機能強化」を挙げております。
 【優先課題2.】といたしまして、地域力強化による消費者行政の体制強化ということで、「(1)庁内連携の推進」「(2)官民連携の推進」。ここに消費者教育推進法の制定もうまく活用できないかと考えております。
 【優先課題3.】が今回、専門調査会で随分御意見が出たところですが、消費者行政担当の地方自治体職員に対する支援策ということを方策として掲げたいと思っております。
 「III.国、都道府県、市町村の役割分担に関する今後の論点」というところで、今回、国、都道府県まで審議が及んでいないところがございますので、今後の論点ということで最後にお示ししております。
 内容について簡単に御紹介していきたいと思います。
 2~3ページにかけて<はじめに>です。
 消費者行政の重要性ということを<はじめに>の前段に書いておりますけれども、16行目から、消費者行政の実現のためには、市町村における消費者行政の体制整備が要となるということで、具体的には直接消費者に対応する消費生活相談員の整備に加え、消費者教育・啓発が今後大事になってくる。当該市役所や町村役場の中で消費者行政担当が中心となって、教育、福祉、商工、広報等の関係部局との連携を行って体制づくりを強化していってはどうかということを一番の狙いとして審議してまいりました。
 これまでも消費者委員会では第1次の地方消費者委員会、第2次になりましてもこれまで建議を出してきております。これを受けて、本年3月から専門調査会を再開したということを2~3ページにかけて書いておりまして、今回、特に33~34行目から、消費者に最も身近な行政主体である市町村の役割に焦点を当てて、マル1 今後5年程度の中期的な視野に立って、現状の分析と優先的に取り組むべき課題を精査するとともに、3ページに入りましてマル2といたしまして、国、都道府県、市町村の役割分担に関して今後の論点を提示することといたしました。
 4ページ「I.地方消費者行政の現況と今後の課題」「1.消費者行政をめぐる情勢」というところでどんな状況になるか。
 「(1)消費者問題の現状」というところから見ますと、高齢化の進展とネット社会化というのがとりわけ社会の変化では大きいものだと考えております。特に高齢者の消費生活相談は大変な伸びを示しておりまして、これは今年度の消費者白書からデータを持ってきておりますけれども、非常に高齢者からの相談がふえているという状況がわかります。
 5ページ、2行目、3行目ですが、これも指摘されているところでありますけれども、全世帯の中で65歳以上の独居世帯が占める比率について、これも上昇が見込まれておりまして、今後の消費者行政施策に関しては、こうした社会情勢の大きな変化も見据えておく必要があると考えております。
 14行目、15行目、高齢者を対象とした消費者行政施策の展開ですが、消費生活相談でも解決困難な事案が増加しているということで、これはここの専門調査会でも指摘されましたけれども、非常に解決困難な事案がふえているということ。
 インターネットの関連ですが、20~21行目に書いてありますけれども、インターネットに関する消費生活相談も近年急速に比重を増しておりまして、2012年度で消費生活相談全体の約2割を占めているという状況になってきております。
 6ページ、今、ネット社会のトラブルのお話を致しましたけれども、8行目、9行目に書いておりますように、消費者教育啓発については、新たなツールとして利用できるということでありますので、ネットの社会化というのは相談もふえておりますけれども、それをツールとして活用するということの進展にもかかわってくるということを指摘しております。
 13行目から「(2)市町村の中期的な情勢」を書いております。
 15~16行目から、いわゆる平成の大合併により、市町村数は1999年の時点では3,229団体ありましたけれども、本年1月では1,719団体となっております。
 先ほど独居高齢世帯が増加をするという話をしましたけれども、そういったことを受けると、22行目、23行目に書いておりますけれども、少子高齢化・家族やコミュニティ機能の低下という状況においては、暮らしを支える対人サービスの重要性が高まっていくことが想定されます。公共サービスをどのような形で持続的に展開していくかは、市町村の共通課題として捉える視点が必要であると考えております。
 地方自治体の人員・財政状況は、全般について書いておりますけれども、28~29行目については、職員数ですけれども、ピーク時に比べて、今、2011年では約2割減、財政状況についても32~33行目に書いておりますけれども、人件費を削減しながら扶助費が増大していく状況に現在あります。
 7ページ目、このような非常に財源不足、人員不足というような状況の中にあって、市町村で処理が困難となる事務処理のあり方については、周辺市町村との間で共同処理をする、都道府県が処理をする、官民協働で処理をするといった方策での対応がいろんな行政サービスの中で展開をされ始めているという状況にあります。
 8ページから「2.地方消費者行政の現況と今後の課題」というところですが、これは御存じのとおりですが、7行目に書きましたように、この10年間で相談件数は2倍以上に増加。ただ、9行目から書きましたように、地方自治体の消費者行政予算は大幅な減少を示している。相対的に消費者行政に「しわよせ」をされてきているということがうかがえます。
 9ページ「(1)消費生活相談体制整備の状況と課題」ということで、地方消費者行政活性化基金が非常に効果的に使われて、消費生活センター数、消費生活相談員の配置は確実に伸びてきたところです。それについては、93.2%の自治体においてセンター窓口は設置しているということになっておりまして、広域連携によって対応している基礎自治体は、全体の9.6%になっております。
 10ページ、11ページ、12ページ、このあたりは、これまでの資料でお示ししておりますけれども、基礎自治体における相談窓口の設置状況ですが、人口規模の小さい市町村ほど「窓口単独設置」「未設置」の割合が高いということ。
 11ページ、消費生活相談員が未配置の市町村は全体の4割強、一人しか配置されていない市町村が全体の2割強、専門的資格を有する者が配置されていない市町村が全体の6割弱という状況も今回分析ができたところです。
 12ページ、今度は職員の話になりますけれども、これにつきましても、専任で職員を置いているというところは全体の1割弱です。8割強が他分野との兼任、消費者行政の事務ウエイトも低い。ウエイトが10~40%が兼務職員の8割強という状況も分析ができました。
 13ページ、2~5行目、問題意識として、基金によって相談窓口等は着実に整備をされておりましたけれども、内容面での充実は緒についたばかりです。今後は、その質の向上に向けた取り組みを強化していくことが必要だと考えております。
 「(2)消費者教育・啓発をめぐる状況」ですが、これについては講習等未実施の自治体の割合が47.5%ということで半分ぐらいです。
 18~19行目に書いておりますけれども、非常に格差が大きくて、実施率について、1~9割台まで、非常に差が大きく、先ほども御発言がありましたけれども、この実施状況の格差をいかに埋めていくかという課題がうかがわれるという状況であります。
 飛ばしていきまして、14ページで、先ほどヒアリングを行いましたけれども、今回の消費者教育推進法を地域力強化につなげていく端緒として活用すべきだという考えを示しております。
 15ページからが優先課題になります。
 【優先課題1.】といたしまして、小規模市町村の消費者行政体制の底上げということで、問題意識としては23~25行目に書いておりますけれども、厳しい財政状況の中で消費者行政サービスの提供を継続しつつ、その質的向上を図り、専門性を担保していくために新たな工夫が必要になっていくことも考えられるということで、2つの方策を提示いたしました。
 「(1)広域連携の推進」です。
 これは一部事務組合や広域連合を含めて74にまで達しており、急速に拡大しております。第1次の消費者委員会でも広域連携の話はしておりましたけれども、そのときはまだぽつぽつという状況でしたけれども、非常に拡大してきておる状況が今回読み取れてまいりました。
 16ページ、こういった広域連携をうまく生かして評価していくことが考えられるのではないかということで、具体的には14行目に「広域連携の推進のためのわかりやすい事例の提供と共有」ということで、消費者庁において、これまでの蓄積されていた先導的な事例とか協定書等の「ひな形」とか、活用できるメニュー等を整理し、情報提供していくことが必要であるということが一つございます。
 20行目から書いておりますのは、新たにつくるというのはとても大変なので、既に行政事務の共同処理として、ごみ処理とか観光とか介護認定とか、いろんな試みがされております。これについて7,921件挙げられておりますので、こういう既存の仕組み方と連携をしていって、これを基盤にしていくということも考えられるのではないかと思っております。
 25行目から「基金活用の周知」ですけれども、本年2月から中心市、周辺市町村ともに広域連携のために基金を活用できるようになっております。このことについて、消費者庁は一層の周知を図る必要があると示しております。
 17ページ、広域連携とした場合、周辺市町村が主体性をなくすのではないかということは指摘されているところです。現在74ある広域連携のうち40が中心市集約方式を採用しております。周辺の自治体は、もちろん相談窓口をそういう形にしているということではありますけれども、消費者教育・啓発は主体的に行っていただきたいと考えておりまして、8行目から書いておりますが、基金においては市町村において、その形態を問わず、何らかの消費生活相談のための窓口が設置、継続さえされていれば、これについても支援策の活用ができるようになっております。この点についても、消費者庁は一層の周知を行うべきであると考えております。
 「都道府県のコーディネーター的役割の発揮」も掲げております。
 「(2)『よろず相談窓口』の機能強化」ですが、現在、自治体としても25行目に書いておりますけれども、1,742カ所の市町村のうち、35.2%が「複合相談」で対応しております。これは小規模の自治体ほど複合相談で展開をする傾向があります。
 ここを18ページ、複合相談、「よろず相談窓口」を非常に強化していき、かつ高度な専門性を必要とするような消費生活相談が入ってきた場合は、それもうまく解決に導けるような仕組みを考えていくべきだろうと思っておりますし、9~11行目のところに書いておりますように、市町村内部だけでなく、地域の消費者団体とか、地域で活動する関係者との連携、官民連携も有効ではないかと考えております。
 19ページからが【優先課題2.】で、地域力強化による地方消費者行政の体制強化ということで、これは消費者教育推進法を基本に据えておりますけれども、「(1)庁内連携の推進」。今もいろんな形の庁内連携が行われておりますので、これを推進していくということ。
 20ページ「(2)官民連携の推進」ということを12行目から書いてあります。
 地域力強化のためには、先ほども御発言がありましたが、消費者団体が果たす役割が大変大きいと考えております。こういった消費者問題に関する地域リーダーとか講師養成等を行うことも効果的な方策ではないかと考えております。
 「消費者行政に関する地域強化のための方策」として、わかりやすい事例集の整備・普及。
 21ページ、地域リーダーや講師養成のための研修・情報提供。
 交流の場の設定ということで、既に消費者庁による地方グループフォーラム、国民生活センターが開催しておられます全国消費者フォーラムといった場を活用するということも考えられると思います。
 【優先課題3.】といたしまして、消費者行政担当の自治体職員に対する支援策ということです。これは、今回の専門調査会で随分御意見が出たところです。今回、分析をいたしまして、非常に基礎自治体では専任の職員は少なくて、兼任の人も別にほかの業務が大変多いという状況にありました。
 25行目から書いておりますけれども、消費者行政担当職員の人員拡充に加え、消費者行政の専任化・長期在任化、他の行政分野と兼務の場合、消費者行政分野の比重を上げることが望ましいとの指摘もなされてきたところです。
 ただ、大変現実的には厳しいという状況であります。そういう状況の中で、消費者行政担当職員としての責務、役割を十分に発揮していただきたいということで21~22ページに掲げて書いてありますけれども、職員の研修ということが非常に重要になるのではないかと考えております。
 22ページの5行目から「庁内外の連携の『ハブ』としての消費者行政担当職員」ということを書いておりまして、もちろん兼務の人をできるだけ専任化、兼務の人の消費者行政の比重を上げていくということとともに、消費者行政担当職員として庁内外の連携の「ハブ」として活躍していただきたいと考えております。消費生活相談の現場で得たものをほかのセクションにも伝えていく。全体を底上げ、強化をしていくという役割を果たしていきたいと考えております。
 具体的にはということで、先ほど職員の研修の話をいたしましたけれども、22~23ページにかけて、研修も含めて具体的な提案をしています。
 24ページですが、「III.国、都道府県、市町村の役割分担に関する今後の論点」というところです。
 一般的に国の各省は、本省と地方支分部局を持って一体となって行政を遂行しておりますけれども、消費者庁は地方の支分部局を有しておりません。消費者行政の遂行に当たっては、連携して役割を発揮していくことが求められておりまして、ぜひ連携のやり方が今後大事になっていくと考えております。
 12行目から書いてありますけれども、今回の専門調査会では、市町村の消費者行政体制を中心として議論を行い、そのための支援策を盛り込むことにとどめております。都道府県の役割については、その機能話より強化することが求められる今後の重点的な検討課題と考えておりまして、引き続き消費者委員会において検討を重ねていくことを期待したいとしております。
 25ページが<おわりに>ということで、本専門調査会ですけれども、広域連携とか地域力強化の取り組みということで提案しておりますが、単に支援策があれば自然と実現されるものではなくて、あくまでも市町村みずから主体的に動いていかなければ実現が継続されないものであると8~10行目に書いております。
 やはり消費者行政がそこの住民の人にとって見えるものになっていくこと、自分たちの生活に役立つものであるという認識を高めていくことを考えていかなければいけないと思っておりまして、そういった消費者教育啓発や相談の実績を積み重ねることによって、それを見せることによって、地方における消費者行政を確実なものにしていってはどうかということを終わりにまとめて書いております。
 長くなりましたけれども、事務局からは報告書案ということで提示させていただきました。

○宇賀座長 それでは、この報告書案に関する議論を行います。
 委員の皆様には、事務局より、報告書案を事前に送付しておりますけれども、3名の委員から、これに対するコメントということで資料の提出がなされておりますので、まずはこの紹介をお願いいたします。
 初めに、池本委員、お願いします。

○池本委員 池本です。
 いろんな論点を取り上げてありますので、先に優先課題としては4ポツと3ポツについて発言いたします。それから5、6あるいは1、2については後で補足するという形にさせていただいたほうが議論はかみ合うかなと思います。
 資料3の4ページ、消費生活相談の機能のあり方と相談体制、この報告書案でいいますと15ページ以下の【優先課題1.】というところについて、まず意見を申し上げます。
 小規模市町村の消費者行政体制の底上げということで、広域連携の推進という観点と、「よろず相談窓口」の機能強化という観点が15~18ページまで、2つの観点で提起してある。これ自体はよろしいかと思うのですが、あえて辛口にこれを評価しますと、小規模市町村はなかなか大変だから、「よろず相談窓口」方式でもいいし、広域連携方式でもいい、何らかの窓口をつくってくださいと、それでよしと聞こえてしまうのです。
 私たちが求めている本来の地方消費者行政というのは、どういう機能を持たなければいけないかという一番根本の、まさに果たすべき役割、機能は何かということを先に打ち出して、そこに向けて小規模ながらもどういう体制が必要かと議論を進めていかないと、何らかの窓口があればもう目的が達成したととられるおそれがあるのではないでしょうか。
 私の発言メモの4ページのところに、これは前回6月28日の調査会に発言メモとして出したところの抜粋ですが、消費者行政に必要な機能というのは、5つの観点でピックアップできるのではないか。地域住民が利用しやすい窓口があること、これは基礎自治体に求められる。しかし、専門的知見による相談あっせん処理解決の見届けという消費者問題の特質からすれば、1番だけではない、2番とセットでなければいけない。ただ、2番を追求すると、ある程度の規模、体制が必要で、そうすると、地域住民の利用しやすさ、この2つは小規模自治体になっていけばいくほど相矛盾する問題だ。しかし、それをどうバランスをとるか、場合によっては2つの仕組みをうまく調和させながら、この2つを獲得していく必要があるのではないか。
 そして、窓口があればおしまいではなくて、総合的な消費者行政サービス、その個別案件の解決もですし、未然防止もですが、職員がきちんと庁内全体あるいは官民を含めてコーディネートする体制が必要だというのが3番目。
 そして、そういった消費者相談の情報を使って、地域の中で迅速、効果的な被害防止の施策を展開することや、地域住民に対して消費者教育を推進するという広がりが必要だと。まず、こういうあるべき消費者行政の機能ということを打ち出して、そのことを前提に、例えば広域連携を考えていけば、広域連携というのは、前回も申し上げたと思うのですが、月曜、火曜がA市で、水、木がB市でということで広域連携ができましたではないと思うのです。広域連携をなぜやるか。これは単独で設けられないから置くという観点はもちろんあるのでしょうが、どうせ置くのであれば、一定の質を確保できる、専門性の確保できるような体制が望ましいのではないかという方向づけも含めて提起していただくべきではないか。
 「よろず相談窓口」というのも、地域の身近なところに窓口があるし、関連部署と連携がとれるという意味では、ここで言うと1番と3番については獲得できる体制になりますが、そこには2番の専門的知見による相談窓口との連携をどうするかという点を見落としたのでは、解決の水準はじりじりと下がってしまう。だとすると、そこの連携をどうするかと、まず必要な機能はこうなのだ、そこへ向けてこういう手法が考えられる、その場合には、こういう点は留意してほしいという点で提起していただく必要があるのではないかということが4ポツで申し上げたいところです。
 戻りまして3ポツのところですが、これは以前のものを幾つか引用したりしているので、この辺は割愛していきます。今回の優先課題が小規模市町村の相談体制の底上げというところにまず絞るということは、もちろん、それ自体は異論がないところですが、もともとここでの議論の出発点、3月28日の調査会の事務局提出の資料の中では、課題の一番下のところですが、どこに住んでいても消費生活相談を受けられる体制を実現、維持する具体的な筋道を示すに当たり、まずは国、都道府県、基礎自治体の役割を機能面から整理すると提示されていたはずです。
 それが今回それぞれの役割分担ということで、しかも都道府県との役割分担は次回送りになってしまうのは、論点が多岐にわたっている関係でやむを得ないとは思うのですが、大事なことは、私の発言レジュメの3ページ目です。やはりここでも消費者問題というものの本質的な特質を考えれば、無条件に地域の市町村が体制を整備すれば済むということではないのだというところを記述の中でも再確認していただく必要があるのではないか。
 つまり、これは第1次の調査会でも同じような議論があった記憶があるのですが、消費者問題というのは、確かに地域住民の生活の現場で発生する、本当の身近なところで発生するところです。しかし、その中身を見ると、インターネットのトラブルあるいは食品表示などはもちろんですが、一般の訪問販売とか電話勧誘販売などで見ても、市町村域だけで発生するなどというのはほとんどなくて、都道府県域か、それも超えて全国域のものがむしろ大半です。ということは、市町村に窓口をつくれば済むという問題では本当はないはずで、発生する一つ一つの問題も最新の情報が必要ですし、例えばインターネットのメカニズムのこと、食品の特質のことも必要ですし、あるいはそれぞれの分野で非常に専門的な法律や制度がありますから、そういう知識を持って解決しなければならないという高度の専門性、広域性があるのだと。実は、そういうことがあるからこそ、発言レジュメの一番下のところですが、消費者基本法19条では、地方公共団体は相談処理をする、苦情処理のあっせんに務めるということだけではなくて、都道府県は主として高度の専門性または広域性の見地への配慮を必要とする苦情の処理のあっせんを行うものとするとわざわざ書いてあるのです。
 つまり、一つ一つの相談案件そのものは、もう本質的にそういう広域性、専門性があるのだから、国と都道府県、市町村が常に連携して体制をつくり、処理をしなければいけない、そういう中において市町村はどういうものでなければいけないかと見ていくべきですし、あるいは消費者庁をつくるきっかけになった消費者行政基本計画というものがあります。
 これは発言レジュメの3ページの(2)に戻りますが、消費生活センターを一元的な消費者相談窓口として位置づけるのは、あるいはそれの全国ネットワークを構築するということは、国の要請に基づくものなのだと、国の消費者行政の施策を構築するためにこそ、市町村にも均質な窓口をつくってくれと要請するのだ、だから再生支援をするのだと記述されているのです。やはりこういう観点を今回の報告書の中でもきちんと示した上で、では小規模市町村でどういう体制をつくっていくか、あるいはどういう質を確保できるように工夫していくか。限られた予算と人員の中で完璧なものができないのは重々承知なのだけれども、目指すものはここなのだということは常に記述していただきたいと思います。
 まず、一番本質的なところを2点だけ申し上げます。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 資料3の次のところに、竹中委員からの御意見がありますけれども、きょうは竹中委員は御欠席なので、事務局から御説明をお願いします。

○原事務局長 竹中委員、本来ならば御出席の予定で、急遽御欠席ということになりましたので、もちろん御自分で少し具体的なお話も入れた形で本来であれば御発言の予定だったので、大変恐縮ですが、骨子だけということで御紹介させていただきます。
 IIのところで、市町村における消費者行政の体制整備をめぐる優先課題と方策、【優先課題1.】のところで、広域連携の推進について書いておりまして、その中に16ページですが、基金活用の周知という項目を立てております。
 これについて御意見は、消費者行政体制整備にとって基金は有効であるが、現時点では基金は今年度末までである。基金の周知を図る必要があるという記載があるが、これから周知を図っても時間的に厳しいのではないか。
 まず、基金の延長があり、その上で、基金の周知を図ることが有効だと考える。このため、基金の延長を求めるなどの記載が必要ではないか。また、より広域連携を推進できるように、基金のメニューを使い勝手のいいものにすべきと思っている。
 小規模市町村の消費者行政体制底上げにとって、国の財政措置は欠かせないと思っているが、財政面の記述が少なくはないかという御指摘をいただいております。
 一応御紹介ということで発言させていただきました。

○宇賀座長 それでは、続きまして、仲條委員、お願いします。

○仲條委員 旭市の仲條です。
 私も報告書の案を読んで思ったことを紙にまとめてみました。
 まず、5ページの「I.地方消費者行政の現況と今後の課題」で、高齢者を対象とした消費者行政施策の展開というところがありますけれども、施策の展開となっておりますので、記述にあります消費生活相談では解決困難な事案も増加しているとの指摘がなされている。ですので、対応策として福祉部門等の庁内連携部署、民間福祉団体、警察等との連携体制の構築を進める必要があるということを書き入れてはどうかと思いました。
 次に、15ページのところで、「II.市町村における消費者行政の体制整備をめぐる優先課題と方策」【優先課題1.】の小規模市町村の消費者行政体制底上げというところで、消費生活相談の窓口については、消費者基本法の基本理念に鑑みといったところがありますけれども、市町村の消費生活相談については消費者安全法に規定があるので、消費者安全法の規定もここに追加していただけたらと思います。
 次に、17ページのところで、周辺市町村の主体性維持のための方策とありますけれども、周辺自治体が主体性を維持していくためには、消費者行政が相談対応だけでなく、教育や啓発と一体に進めることが住民の消費生活の安心・安全につながっているということを自治体自身が認識する必要があるのではないかと思います。
 ここで、その方策として窓口の設置による基金の周知ということが書かれているのですけれども、それ以前に消費者行政の重要性とか必要性について書き入れて、国や都道府県が自治体に働きかけていくことが重要ではないかと思いました。
 次に、21ページの19行目の【優先課題3.】に消費者行政担当の自治体職員の役割というところがありますけれども、25行目とか26行目のところに、人員の拡充とか、専任化・長期在任化(専門職の新設を含む)とあるのですけれども、29行目のところで、しかし、現実的にはという形で、これが何か打ち消されてしまっているようにも読めましたので、ここは消費者教育推進法により地方消費者行政が担う役割というのが示されて、職員の業務量というのはこれまで以上に増加していくと思いますので、この点についても書き入れてはどうかと思いました。
 消費者安全法の第11条に消費生活センターの専任職員の規定がありますけれども、この条文が規定されたという意味を確認することが必要ではないかと考えました。地方の消費者行政が衰退してしまっているというところで専任職員の配置がない、ほとんどが兼務職員であって、どうしても、もう一つの消費者行政以外の業務のほうに押されてしまって、消費者行政の事務が後回しになるというところがあって、消費者庁ができるときの消費者安全法では、専任職員の配置という規定が盛り込まれたのではないかと思っておりますので、このように考えました。実際に相談を週4日以上行ってセンターを設置している自治体であれば、相談や啓発や、今、求められております庁内外の連携など、消費者行政の安定的な維持のためには専任職員の配置が必要なだけの業務量は十分あると思います。
 今回の会議でも、地方自治体の厳しい現実はいろんな資料でも示されておりますけれども、それを踏まえて職員への国の支援策の検討として人員拡充、消費者行政の専任化・長期在任化・専門職の新設があればと思いました。
 そして、研修に関しても、研修主体の拡充というのが吉田委員からも前に言われていたと思いますので、そういったことも検討として入れてはどうかと思います。
 次に、24ページで都道府県の役割が出ているところがあるのですけれども、17行目のところの小規模自治体の消費者行政体制整備に向けて果たすべき役割というのがありますが、小規模自治体に限らず、都道府県の管内の自治体の体制強化に対して役割を担うべきではないかと思います。自治体間の格差というのが確認されておりますので、管内自治体の課題の把握も都道府県は必要ではないかと思います。
 以上です。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 皆様から御意見を伺う前に、ここで5分ほど休憩をとりたいと思います。あそこの時計で10時55分に再開したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(休憩)

○宇賀座長 それでは、議論を再開いたします。
 先ほど、3名の委員の方から事前にいただきました御意見を御紹介いただきましたけれども、事務局のほうからそれについて答えられる部分は、お答えをお願いできますか。

○原事務局長 短い時間で、まだ事務局の中、担当委員とで詳細を検討したわけではないので簡単なところで大変恐縮です。
 まず、池本委員からお示しいただいたところなのですけれども、広域連携とか、いろいろと相談窓口があればオーケーという単純にそこへ飛んでいく話ではないだろうということで、あるべき消費者行政の姿というのをまず、きちんと認識をしてもらうというのが大前提だろうというのはそのとおりだと考えますので、ちょっと工夫をしたいと思います。
 消費者行政推進基本計画の話も引用をされましたけれども、今回は基礎自治体のところに絞って議論をしたものですから、都道府県とのお互いにどう責任を持ってやるのかというあたりの話が稀薄な記述になっておりましたので、そのあたりもどこにどううまく盛り込めるかわかりませんけれども、考えたいと思います。
 まだ、たくさん御意見をいただいておりますが、御発言があったところだけで大変恐縮です。
 竹中委員から御提案をいただいたものなのですけれども、今回、余り財政の話をしておりませんで、前回骨子案をお示ししたときに、今年の2月に消費者庁の示した準則の話をちょっと御紹介したのですが、余り御意見がなかったので、とりあえず今、広域連携のところの近々のところだけ項目立てをして話をしております。
 これについてはどういう書きぶりがいいのか、それから、これを消費者委員会の場に宇賀座長から御報告をいただいて消費者委員会としてまた意見を述べるということになりますので、その場の活用ということも含めて御意見をいただければと思います。
 仲條委員から御指摘をいただきましたI、IIについてというところでの5ページ、15ページ、17ページ。このあたりの御指摘は盛り込むように検討したいと思います。
 21ページからの自治体職員に対する支援策のところなのですが、これについては消費者教育推進法によって業務量が増加するとか、消費者安全法の規定といったところはおっしゃるとおりで、相談を週4日以上行うというところは兼務ではとても大変だろうというところがありますので、この辺も工夫して御指摘を入れていきたいと思っておりますけれども、人員拡充、消費者行政の専任化・長期在任化、専門職の新設というあたりは、今はそういう指摘があったというところに表現をとどめておりますけれども、これもまた皆さんで御議論していただければと思います。
 研修主体の拡充、それから3ポツの都道府県の役割のところで、別に小規模自治体に限らないだろうというところは御指摘のとおりなので、全体としていただいた御意見は生かす方向で工夫したいと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 報告書案につきまして、皆様から御意見を伺いたいと思います。
 池田委員、どうぞ。

○池田委員 ペーパーのほうを出し損ねましたので、口頭での意見でございます。
 私の場合、最終ページのものになるのですけれども、8行目から「しかし、これら広域連携や地域力」云々というので、「単に消費者庁等の支援策があれば自然と実現されるものではなく、あくまでも市町村自らが主体的に動いていかなければ実現・継続されないものである」という、この一文なのです。
 要は、全部最終的には市町村の努力なのだよとなってしまって、確かに一番消費者に近い立場にいる市町村が努力しなければならないというのも前々からずっと書いてあることですので、それはわかるのですが、本来、努力をするためにいろいろ苦労しているのであって、そこで、より頑張らなければならないということの根本的にあるのが、先ほど池本委員からも同様に御意見がございました財政の確保だと思うのです。それが全然なされずに最終的にぽんと送られて、あとは市町村だけの努力という表現にとどまっている。
 ですので、こちらの専門調査会の中では十分な検討はなかったということであったとしても、24ページの「国及び国民生活センターの役割も含め」というところの中にでも、やはり消費者庁として予算の確保をするというものであるのか、または関係省庁に消費者行政に関するような予算が含まれているものがございますね。消費者庁として予算が確保できないのであるならば、そういう関係省庁からの予算枠をうまく地方消費者行政に流し込む仕組みまでを今度の委員会のほうでは検討していただければなという意見を入れておいていただければ地方の努力も報われてくるのかなと思いますので、もう一歩進んだところでの御表現をお願いしたいなと思いました。
 以上です。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 吉川委員、どうぞ。

○吉川委員 池本委員などいろいろ言っていただいています。そして今、原事務局長からもお返事をいただいていますが、私はこれを読んで感じたのは、都道府県の役割というものが次に回しますよということは、いろいろな事情があって仕方がなかったにしろ、やはり市町村というのがいろんな形で力を発揮できるには、都道府県の役割を全く触れずにいろいろ書いても、意味がないとは言いませんが、十分な働きができないのではないかということがあります。
 全体のところで都道府県が果たす役割、つまり多くの都道府県の消費生活センターはセンター・オブ・センターズと言っているわけですから、そこの果たす役割について非常に重要であるということ、今回はその件については十分検討できなかったけれどもというようなことをどこかに入れていただかないと、市町村のことだけこういう形で、よろず相談とか何かでやったらいいのだよというのでは、この報告書そのものが余り評価されないものになってしまうのではないかと危惧します。その辺のところを入れていただいて、今後につないでいただければ、それはそれでいいのかなと思うのです。
 例えば7ページのところでも「当該市町村で処理が困難な事務については都道府県が処理する」とさらっと書いてありますが、ここら辺りを、もう少し専門知識を備えた都道府県がというようなことなどを明記頂きたい。例えば私の知っている都道府県では業務が委託で1年契約のところもありますので、ここをきっちり押さえておいていただきたいと思っています。
 さらに15~17ページなどのところで、広域連携の推進とか「よろず相談窓口」の強化ということで、これも先ほど、どなたかが言われておられましたが、これを推進するという報告書であっては困ると思うのです。本来、市町村が独自でするというのが身近な相談窓口の一環としては意味があると思うのです。その方策として、やむを得ず広域連携をすることによって充実したものになるのであれば、それはそれで具体例をいれるというような内容にするべきだと思います。先ほども言われていたように、これも1つ、2つだよという形で、これを推奨する。本来は18ページに挙げられているように、基礎自治体でも人口が多いところは独自でやっているわけですから、予算がどんどん削られていって仕方なく「よろず相談窓口」みたいなものに行ったという経過も私は今まで見ていますので、そういう意味では独自でやるのが本来だということをどこかに入れておいていただかないといけないと思います。
 17ページの連携のところで現在、74の広域連携があるということで書かれているのですけれども、前回も危惧として申し上げたのですが、人による連携は、ある意味ではいろんなメリットもあるということですし、効率化という意味では全く否定するものではありません。しかし、うまく活用できればいいと思う反面、人による広域連携が人によって、あるいは言われたように担当者が努力することで維持できるシステムではなくて、体制としてシステム化されたものでなくてはいけないということをどこかに書いていただきたい。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 ほかいかがでしょうか。
 山口委員、どうぞ。

○消費者委員会山口委員長代理 今、吉川さんがおっしゃった、本来は自治体独自でそれぞれがやるべきなのだけれども、仕方がないから広域連携という方向の議論に、この専門調査会がなっているならなっているで、しようがないと思うのですが、私は必ずしもそうではないのではないかと。つまり小さな市町村の場合は、もう独自でやるのは無理でしょうという前提を認めた上で、ある意味では積極的に広域連携でと言えないのか。もちろん専門性と身近な相談というのは重要です。今の吉川さんの本来独自でやるべきだということを前提にということになると、ちょっと違うのではないかなと思うので、そこをもう少し議論したほうがいいかなと思います。

○吉川委員 私も途中からの参加ですし申しわけないのですが、基本的には自治体でするべきだとは考えていますので、その辺のところの議論も必要だと思っています。そして、広域連携のほうがこういうふうに専門性も高められていいということであれば、それはそれでいいと思うのです。
 ただ、これは都道府県などがきっちり補強できるシステムができた上というのがないといけないのではないかということを前提として申し上げました。その辺のところがきっちり議論できた上で推奨なら推奨という形でなされるのであれば、それは全くだめですというわけではありません。

○消費者委員会山口委員長代理 そういう意味では平板に広域連携がいいよというわけでもなく、かつ地元に近い生活に身近なところに相談所が望ましいけれども、できない場合にはやはり広域連携も一つの選択肢であると。だけれども、やはり専門性とか、あるいは都道府県の協力といいますか支援とか、そこら辺をきちっと踏まえてやってくださいと、実体に即した実践的な提案をしていかないと誤解されかねないというところですかね。

○宇賀座長 池本委員、どうぞ。

○池本委員 今の議論についての意見が一つと、レジュメのほかの論点について発言します。
 まず、今の山口委員の発言との関係で言いますと、例えば埼玉県は人口2万人くらいの市でも、週4日以上で相談員を配置して、消費生活センターにしている例が複数あるのです。まずは、そういう方向を目指そうとしています。でも、そこまでもいかない、1万人に満たない町もあるし、それを全部センターにしろといってもそれは不可能でしょうというので、そういうところは何カ所かで協定を結んで広域連携型をしている。では、何万人以上だったら独自にやるのかという、そういう数字で単純な線引きはなかなか難しい。そういう悩ましい中で、よろず相談方式とか広域連携ということもいろいろ工夫が出ているのです。そういうときに、前提条件抜きに広域連携もあります、よろず相談もありますとすると、それでいいのだなというので、5万人でも8万人でもどれかあればいいのでしょとなるのは、私は危険だと思います。埼玉県でいうと、逆にそういうところが流れていくことを危惧します。
 その意味で、私が冒頭で申し上げた本来の求められる機能とは何かということをきちんと打ち出して、それを実現するための方策として何と何を組み合わせていくか。そこの中にはよろず相談型と専門機関という、それも広域連携方式もあれば都道府県との連携、バックアップというのもあると思うのです。そんないろいろなものを組み合わせるということに話がつながっていくのだろうと思います。それが今の議論についての補足意見です。
 それから、レジュメの2ポツところ。これは先ほどの竹中委員の発言レジュメや池田委員からの発言なども含めてなるほどと感じるところなのですが、きょうの報告書の2ページ目で、第1次の専門調査会報告で幾つか問題点を指摘した。そして今回はこの論点についてとさらっと流れていますけれども、実は第1次で建議として提起した問題がどの程度実現できているかということは必ずしも検証はできていないし、達成できて次の議論に進んでいるわけではないはずなのです。もちろん、その検証をこの場でやれということを申し上げているわけではありません。ただ、そこが不明確なものが単純にさらっと流れ過ぎていることの最も顕著なところが、先ほどから議論がある国の財政支援に関する記述だと思うのです。この報告書の9ページ、注の8のところで、いわゆる「基金後」のことについて一般準則が定められたと。それで、地方自治体に対して中長期的な体制整備のロードマップを示している。これだけ読むと、もう肯定的にこの一般準則が今後の指針だと読めてしまいます。
 しかし、先ほどの発言にもありましたし、要するに一般準則といっても基金が間もなく終了するのを、頑張っているところはちょっと伸ばす余地がありますよと言っているだけで、実は自治体によってはこれでは不安定でとても継続的なことはできないという、むしろ消極的意見がたくさんあるのではないか。私も複数聞いています。だとすると、その一般準則が示されているけれども、それによってその自治体の独自の活動が推進されるということで十分なのか、その効果もしっかり注視する必要があるのだという観点をきちんと据えて議論を進めないと。それではだめでもっとこうしろという議論はここでは議論をしていませんし、そこまでは書き込めないにしても、やはり注視する必要があるという観点で、まだここにも課題は残っているということはきちんと示していただく必要がある。
 同じように、例えば相談員の雇いどめという問題も昨年、総務省との意見交換を踏まえた大臣あるいは長官名で、雇いどめが不適切だというような提起がありました。これは第1次の調査会の報告書でしっかり提起されたところですが、しかし、これも相談員に各地で聞いてみると、消費者庁からはそういう文章は出たけれども、現場では雇いどめはとまっていないということを複数聞いています。だとすると、やはりこれまでの施策がそれでどういう効果が現場で達成できている、あるいはできていないのかということも今後、検証する必要があるのだという認識はしっかり示していただく必要があるのではないかと思います。
 5ページ、担当職員のあり方のところです。
 まず、この議論の過程で担当職員のあり方を示していただいたということは非常に評価できるのですが、もっと重要な論点がそこの中で強調していただきたいところがあります。
 それは何かといいますと、8ページをごらんください。ここに相談件数や相談員、相談体制のこと、それから消費者行政予算、例えば消費者行政予算のところは隣に参考として自治体全体の予算とが、平成24年度までが並べてあります。それに対して真ん中の消費者行政担当の事務職員というところは、括弧書きで参考として一般自治体の全体の職員数が出ています。ここでいうと平成10年から20年で、全体では11%減に対して、消費者行政担当職員は45%減であるという非常にショッキングな数字が出ているのですが、その下のところで、1,190人、1,182名、実はさらに減っているのですね。そういう議論はここでもあったと思いますが、やはりこのことがもっともっと強調されなければいけない。財政のところは基金が入っているので、むしろぐっと復活していますが、担当職員のところはその後も減り続けているわけです。それをむしろここも項目として1項目、自治体全体の職員数の推移というのを横へ並べて、平成24年度までで全体が何%減、消費者行政職員が何%減と、こう減っているのだということをもっともっと明確にすべきだと思います。それが後の21~22ページの記述に影響するだろうと思います。
 先ほども御指摘ありましたが、21ページで職員の拡充や専任化が望ましい、しかし現実にはということで、さらっと現実論にだけ入っています。もちろん、それは実態がそうだから、何も理念論ばかり出してもこの報告書の意味はないので、現実にどうするかというので、職員の役割ということを明確にするというのは大賛成なのです。しかし、先ほどのような自治体全体が、職員が減少しているあるいは少ないのだからやむを得ないのだ、では何をするかだけではなくて、消費者行政職員というのが全体に比べて大幅に減らされているのだ。そういう中で、そういう実情と、他方で紛争が多発していることからすれば、もう一回消費者行政というものの重要性、そこへ職員を配置することの重要性ということも訴えかけていくべきではないか。しかし、そうはいっても現実論としてさらに打つ手がないか。こういう形で議論を展開していただく必要があるのではないかと思います。
 22ページで、その役割として何が必要かというのでハブとしての担当職員というところがあって、それから支援方策ということで研修の強化というのがあります。
 この中のハブとしての職員、言葉でイメージとしてはわかるのですが、やはりちょっと具体性に欠けるように思います。ここでの記述が前半からの流れとの関係でいうと、相談現場での相談情報をどう活用するとか、相談処理について町内連携でどう役割を果たすかという相談支援型の職員の役割が出ているのですが、自治体の職員の役割が、例えば消費者安全法に基づいて事故情報を集約し、国に出す。あるいはリコール情報などのようなものを地域住民にどう伝えるとか、そういう安全分野については、これはセンターの窓口とは別に職員独自に果たすべき役割というのは非常に大きいものがあるはずです。
 あるいは今回、先ほどヒアリングでも示された消費者教育の推進ということで、地域の自治体独自の役割というのが新たにまた示されている。そういうところこそ、消費者行政職員というものの役割が、安全法ができ、消費者教育推進法ができ、役割が新たに降って湧いているのだと。だからもっとふやさなければいけないし、そこへ向けて資質を向上しなければいけないのだと、ここはもっともっと強調していただく必要があるのではないかと思います。
 以上です。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 吉川委員、どうぞ。

○吉川委員 今のことに続いてなのですが、今までは消費者行政にかける費用は、相談件数が標準というのか、指針にされてきたので、件数が減ってきたら予算が削られるあるいは行政職員が減らされるということをこれまでやってきたと思うのです。今、池本先生が言われたように消費者教育推進法も担わないといけないという形で、件数そのものが予算確保の基準になるのではなくて、何をするかということを基準に財政当局がつけるべきだということを明確に書いていただきたいと考えます。
 というのは、私が懸念しているのは、基金がなくなりますと基金で設置した相談員とか、窓口を開設したところが、やはり相談はないじゃないかという形で減らされていくのではないかというのが、今、現場にいる人の恐怖なのです。続けていることによって相談件数もふえてきますし、当初は少なくても仕方がないけれども、周知されて相談がふえてくるものです。そのあたりの予算のあり方というのか、行政当局の考え方を改め、再検討いただきたいということも少しどこかに書いていただければ、今の池本先生のお話にもつながると思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 吉冨委員、どうぞ。

○吉冨委員 今、吉川さんがおっしゃったのですが、相談件数で予算の獲得につながるという評価の仕方があるのですが、行政の窓口に訪問したときに、こういう例がありました。相談をする件数ももちろん把握しますけれども、取り戻した額、総額を計算して、それを予算請求のときの根拠としてあげていますという窓口がありました。一つの評価としてそういうやり方もあるかなと思って聞いてまいりましたけれども、今、吉川さんがおっしゃったように、何か予算についてもう少し獲得をする方法というのでしょうか、そのあたりをもう少し具体的な、いろんな評価の仕方があると予算獲得につながるのではないかと思いました。
 予算のことなのですが、私も同感なのですけれども、計画はできましたよ、いろんな法律はできましたよ、でも予算は後からですというのはないかなと思っています。財政的な措置がきちんとされて実効性を伴うものだと思いますので、ぜひどこかに予算に向けてというか、財政措置について今後こうあってほしいとか、何かそういう意味合いのものを、きちっと記載し次へつないでいただけたらと思っています。
 私も団体をしていますし、小林さんがおっしゃったように非常に厳しいです。団体は今、市から何もいただいておりません。でも期待はすごく膨らんでいます。それでボランティアをしなさいと。あなたたちのそれに期待をします、善意に期待しますと言われるのもいかがでしょうか。やはりきちっとしたものを手当てしていただくというか、期待をされてするのであったら、そういう意味の手当てというか、評価というか、行政とつながるものがあってほしいと思っています。
 私の団体は、市から補助金という形で2万円いただいていて、1万円に下がって2年ほど前ゼロ円になりました。それで、私が何を一番危惧したのかというと、団体の評価が人目に触れないということを非常に心配しました。1万円の予算をいただいても、やはり予算をいただいたからには、いろんな資料をつけてちゃんと事務局にお出ししますね。それは多分いろんなところの手をへて、議員さんの目に触れたり、いろんな方の目に触れて、正当かどうかということで評価されると思うのですが、それが消費者団体としての位置づけの一つの方法かなと思っていたのですが、ゼロ円になったがために、全く報告をしないでいいようになってしまったのです。でも、あえて事業については報告しますし、事業計画についても提案しています。何か人目に触れていかないと、期待されながらも、何をやっているのかわからない団体と位置づけられてしまうのが非常に危険というか、大変なことにつながりかねないと思ってあえてしているのですが、予算がつかないということは多分そういうことにつながっていくと思います。予算獲得の手立てもなくなってしまうということにつながるかなという意味で、きちっとしたものをいただくというか、そういう意味では対応をしていただけるといいと思います。横道にそれました。
 2点目です。
 仲條さんが警察というのを加えていただいたのですが、警察というのは一体どういう位置づけになっているのかなと思います。全然表記がされていないのですが、警察の方と一緒になって出前講座を組むこともあります。警察は警察でされているのですけれども、警察との関係がどうなっているのかが私自身にもよくわかりませんし、ちょうど多重債務のときでしょうか。消費者被害防止のためのネットワークづくりがあって1回か2回集まったのですが、下火になったら全くありません。だから、そういう意味では警察の人との連携というあたりが全く欠けているのです。警察というのを消費者庁さんはどう考えていらっしゃるのか。この地域力というあたりをどう捉えていらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。
 以上です。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 では、その点、消費者庁のほうから回答をお願いできますか。

○消費者庁村松地方協力課長 警察との連携というのは、さまざまな自治体で進んでいるところでございまして、やはり情報共有ですとか、執行の関係でというところで効果を出していただいているところでございますので、これからもどんどん進めていただければと考えておるところです。

○吉冨委員 この文言の中に婦人会とか、民生委員とかいろいろ出てくるのですけれども、警察というフレーズはないのです。それはなくていいものなのでしょうか。私たちは抱き合わせで出前講座をすることも非常に多いのですが、そういう意味での消費者啓発、教育あたりで、警察という文言を入れるのがおかしいのかどうなのかというところをお尋ねしたいのです。
 私は入れたほうがいいのではないのかという考えなのです。

○仲條委員 私も、ここの「高齢者を対象とした消費者行政施策の展開」という5ページのところで、これを入れたほうがいいのではないかなと思った理由としまして、市のセンターの相談窓口では、結構警察の方との連携を実際にやっております。やはり高齢者を対象としたトラブルは、最近詐欺的なものがとても多いので、消費生活センターでは被害を未然に防ぐような形で相談員がアドバイスしたり、書類の作成などアドバイスをしていますけれども、そのときに旭市では地元の警察へ相談するようにということで、かなり双方やりとりをしながら、警察のほうからも消費生活センターでやれることであれば逆に案内していただいて、お互いにその結果どうだった、こうだったということをやったりしておりますので、実際、相談窓口の現場としてはやっていると思いますし、出前講座を一緒にやっているというところもたくさんあると思います。
 詐欺的な被害が多くなっているということと、あと、現場での実感もありますし、国民生活センターなどで、それこそ消費者行政担当職員の研修に参加してこれからの消費者被害の回復というのに警察との連携は欠かせないということも、そういった講師の先生方から教わったことでもありますので、いろんな福祉の連携というのもよく出てきますけれども、警察との連携というのも重要でありますし、実際やっております。
 以上です。

○宇賀座長 では、浅田参事官、お願いします。

○浅田参事官 事務局でございます。
 今の仲條委員の御指摘及び吉冨委員の御指摘ですけれども、警察というと基本的に行政機関でございますので、19ページ以降、地域力のところに書いてございますけれども、多分、警察という分類については、ここでは例えば19ページのところに教育とか、食育であるとか、20ページに福祉・安全分野、生活包括支援といったようなところで、行政機関内の部局との連携が書いてございますけれども、警察ということ、仲條委員の御指摘も踏まえて、この庁内連携の中で考えていくということなのかなと思ってはおります。
 さらに婦人会の御指摘もありました。20ページのところで婦人会というのがございますけれども、一応ここは民間のほうといったようなことで考えておるところでございます。
 あと、些末なことではございますが、仲條委員の御指摘の中で、今の警察の御指摘は5ページのところで追加ということではございますけれども、分類上は、この5ページのところは現状の分析といったようなところがございますので、こういった連携とかそういった政策に関しては、今、申し上げた19ページ以降で議論するという整理書きにさせていただければと思っておるところでございます。
 事務局からは以上です。

○宇賀座長 山口委員、どうぞ。

○消費者委員会山口委員長代理 2点申し上げたいのですが、1点は、この専門調査会の中では予算の問題は相当たびたび出てきましたね。森大臣が就任される前は、本予算の中に40億円を盛り込むのだということで随分説明がありました。その後、森大臣が就任されて、その金額以上の基金の上積みがあって、よかったと同時に恒常的な予算措置がどうなのかという、別の意味での不安がやはり指摘されたと思うのです。それは繰り返し、この専門調査会の中での議論の基調になっていたと思うのです。
 その意味では、この目次の中に予算の問題が何も出てこない。ところどころ本文には出てくるのだけれども、見出しに出てこないというところを見ると何か予算の問題は片づいたのかなと思われかねないので、どこにでもいいので、例えば今後の論点の新しい一つとして項目を立てるなりして、予算の問題もあるのだよということは、あちこちに書くと同時に、何か項目を立てて、5行でも10行でもいいのでコメントしておかないと、消費者委員会あるいは専門調査会としては予算の問題は片づいたと、ついでの問題ぐらいに受け止められると大変な誤解を招きますので、これは独自項目として入れたほうがいいのかなと思いました。ここはぜひ御検討いただきたい。
 今、浅田参事官がおっしゃった19ページのところの「地域力強化による地方消費者行政の体制強化」の問題なのですが、これは前回、私のほうで申し上げましたけれども、保健所や宅建関係の部門など、そういう市町村、都道府県のほかの部門との連携というのが必ずしも十分うまくいっていないという現実もあります。もちろん警察との連携も強化していかなければいけないという問題もあるので、そこら辺のコメントが今回も抜けているので、保健所、建築関係あるいは住宅リフォームの問題とか、投資用マンションの問題などについては宅建部門との連携も必要不可欠になってきます。現実にそこは消費者委員会で別の建議で要請しているところでもありますので、ぜひ項目として盛り込んでいただきたいと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 沼尾委員、どうぞ。

○沼尾座長代理 まず全体の構成にかかわることが1点と、あと、細かいことが3点ほどあるのですけれども、本日の議題として、消費者教育推進法制定法を受けた動きの話が前段であって、この報告書の案の中でも2の(2)のところで、この話が盛り込まれているのですが、きょうの前段の説明のところで、都道府県、市町村で地域協議会をつくったりしてネットワークをつくるのだと。それはそれで理念として非常にすばらしいものだと思うのですけれども、これは本当に大丈夫なのかなと心配になったところがあります。
 それはどういう意味かというと、これまでのここの専門調査会での議論というのは、割と相談窓口のことも含めて、小規模の市町村をどうするかという議論でやられてきたと思うのですが、一方で消費者教育という話になると、また地域の中で手をつなぐ相手というのが若干変わってきて、学校、教育委員会とか、あるいは生涯学習等のセクションになってくる。そうすると、恐らく行政内部の側で見ても、都道府県が基本的には公立の小中学校の場合は人事等をやっていますから、地域全体で幅広に消費者行政のプログラムをやっていこうとすれば、都道府県の役割というのは非常に重要になってくるのではないかと思うのです。これはむしろ稲継先生の御専門なので違っていたら訂正していただきたいのですが、そうすると、その地域で学校教育でというときに、市町村でやれる範囲もあると思うのだけれども、都道府県とのつながりということがかなり大きな意味を持ってくるのではないかなと。
 他方で大都市に目を向けると、結局、大都市では皆さん私立の学校に入れたり、越境通学をしたりしているので、特定の市町村の中で、学校教育で子どもに全部できるかというと、私立の学校との連携も必要になりますし、あるいは企業と連携したプログラムをつくるという話になると、本当に市町村単位でどこまでやれるのかなという課題もあって、結局小規模市町村の課題と大都市の課題というのはまた違ってくるということで、恐らく自治体の中でそこをどう役割分担したり連携すればいいかというのが、消費者教育の場合、消費生活相談とはかなり違った形になるのではないかと思うのです。
 報告書案の前段では、今日の話にもありましたとおり、教育推進法制定を受けて、消費者教育啓発の話が出てくるのですけれども、報告書後段のところでは、あくまでもこれまでここで議論してきた消費生活相談の話が前提となってきていて、ただ、あえて地域力強化というところで体制をつくるのは大事だという話は出るのですが、何かそこのところを見ると、消費者教育啓発のところとほかとのつながりというのが希薄な感じがしていて、そこをちょっと若干でも目配りして文言を入れていかないと違和感があるなという印象を受けました。具体的な提案になっていないので大変申しわけないのですけれども、それが一番気になった点です。
 あとは非常に細かいところなのですけれども、16ページのところで20行目から共同処理で既存の連携を基盤として何かうまくつなげないかという話が出てきていて、これは既存のつながりで連携できるものもあるのですが、なかなかそれぞれの行政というか、事務の目的に応じて連携しているものだから、そこに消費者行政が乗っかるのはなかなか難しいものもあるので、この辺の書き方を工夫されたほうがいいと思いました。
 17ページのところで、真ん中に都道府県のコーディネーター的役割の話が出てくるのですが、例えば消費生活相談の話でいうと、今回これは例えば国センの話が全然出てきていなくて、都道府県がどう支援するのかという話はあるのだけれども、国が、何ができるかという話が全体的に抜けてしまっているのですが、国の役割についてももう少し目配りしてもいいのかなと。私は財政的にはかなり厳しいだろうと思っているので、このようにお金のことが出ているのですけれども、むしろ、例えばマンパワーの話だとか、サービスの支援というところでの相談機能みたいなところも含めて、国のほうで何が補完できるのかなどというところに触れなくていいのかどうかというところが若干気になりました。
 あとは非常に細かいことなのですけれども、先ほど町内会、自治会、婦人会という話が出てきて、これは今、婦人会と言わなくて、女性会と言うそうです。
 以上です。

○浅田参事官 わかりました。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 ほか、いかがでしょうか。
 吉田委員、どうぞ。

○消費者委員会吉田委員 今回の調査会の前提として、限られた期間であるので、本当に限られた論点で議論をしましょうということがあったと思います。その結果として今報告書としてできつつありますけれども、これを地方の現場の職員が見たときに、今まで指摘されてきた問題点や今までもあったアイデアを整理したものにすぎない、ちょっと物足りないのではないかという指摘がなされるのではないかなという懸念をしています。今回は限られた期間で限られた論点について議論したのだということを明示しつつ、先ほど山口委員からも御指摘があったように、これで終わりではないのだというメッセージを示していかないと、現場に失望感が広がるのかなということを懸念しております。
 そのためにも先ほど来、皆さんからお話があったように、積み残している課題について,今調査会でそれを整理するのか、本委員会のほうでやるのか検討が必要だと思うのですけれども、池本先生からも御指摘があったように、1次、2次でやってきたことの評価を踏まえて、いま一度整理し、何らかの形で示す必要があるのかなと考えます。
 地方消費者行政をどうしていくのかを考えたときに、つまるところ、人と金をどう持続可能なものにしていくのかということかと思っております。金については先ほど来、各委員から御指摘があったとおりで、基金が終わればその先がどうなるのかという不安定さを抱えたままで、以前と比べて改善していないということだと思います。人については本調査会でもって、職員の支援という形で、一定の提案ができておりますけれども、持続可能な体制については、まだ検討が進んでいないと思います。つまり、権限がある行政職員と、身分が不安定な相談員とで消費者行政を担っていって、そこが分断化され弱体化を招いているのだという課題にはまだ議論が及んでいなくて、その体制をどうするのか、適切な人材の配置をどう持続可能なものにしていくのかというところはやはり積み残した課題であろうと思います。その辺のところをいま一度整理し、報告書とともに一般に示していくということをやらないと、残念な結果になっても不本意だなと思っております。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 ほかいかがでしょうか。
 池本委員、どうぞ。

○池本委員 個別的な記述に関連して2、3申し上げます。
 まず18ページ、3~7行目の「よろず相談窓口」の機能に関するところです。
 ここの記述が解決に当たって高度な専門性を必要とするような相談の場合には、内容に応じて弁護士司法書士等の専門機関や国や都道府県の関係機関とつなげてあるのですが、「よろず相談窓口」そのものの役割として、これは私が先ほど発言したところにも関連するのですが、相談窓口自体としての解決機能ということでいうと、「よろず相談窓口」というのはいわば受付機能で、それを地域の中で広域連携にしているところかあるいは都道府県のセンターか、消費生活相談窓口としての解決機能ということをまず打ち出すことが先決で、そこの中には国や都道府県の関係機関というのは恐らく国民生活センターや都道府県のセンターを指しているのであれば、相談窓口自体での解決機能ということにつながると思うのですが、さらにその上に弁護士とか司法書士等の専門家というのは、これは別に「よろず相談窓口」に限った問題ではなくて、市町村であれ、都道府県であれ、相談窓口での解決の先に、さらに専門家との連携を深めるという課題だと思うので、ちょっとこの書きぶりでいきなり専門家との連携が前に出てくると、「よろず相談窓口」でわからないのは弁護士に回せみたいに読めてしまうので、工夫をしていただかないと危険かなと思います。
 6ページの2~6行目のくだりです。
 インターネットによる消費者被害の対応というところで、相談窓口の現場において対処し切れない事案が発生した場合、解決に導けるような専門的知見を有する機関に迅速に相談をつなげていく体制整備課が必要であると。これは越境相談窓口のことを想定されているのかなとも読めるのですが、もちろん、それ自体は否定しませんが、まずは今、消費生活センターあるいは地域で議論しているところでは、消費生活相談員について、資格があるからそれでおしまいではなくて、新しい問題について、もっと高度専門的な実務研修を継続的にやって、新しい課題についても消費生活センターで一定の解決が図れるようにしようという努力をしているはずで、そのことをまず先決に置き、それでも対応できない、本当にアップデートなこと、あるいは海外との折衝を要するような問題、そういうものについてフォローできる高度専門的な窓口との連携と、ここも、その意味では2段構えで触れていただくということが必要なのではないかと思います。
 とりあえず今の2点です。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 ほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 池本委員、どうぞ。

○池本委員 これはもうほとんど申し上げるほどでもないのですが、5ページの下29~30行のところで、これはインターネットの被害、「消費者自身が意識せずとも、契約・購入~決裁~アフターサービス」のところ、この「決裁」は代金決済のほうの「決済」ですね。それで、実はこの契約・購入から始まるのではなくて、その前に広告というところから始まって、広告があり契約購入、そして決済、アフターサービスと流れるという意味で、広告というところから入ったほうがよろしいかと思います。

○浅田参事官 ありがとうございます。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 沼尾委員、どうぞ。

○沼尾座長代理 先ほど申し上げそびれましたが、始めに書かれた消費者問題の現状のところで、高齢者がふえているということと、インターネットの話と2つ出ているのですが、もう一つ、最近相談件数が多い案件の一つは多重債務だと思いますので、例えば今クレジットカードで、分割で返せるリボ払いとか、現金を使わない形で気軽に使えるようになっているといった消費生活の変化と多重債務の増大について、今さらということかもしれないですけれども、そうした相談がふえているとは、余り国民には知られていないところでもあるので、それも項目として入れておくということも、この後の教育の話とか、相談業務の重要性ということを提起する上では意義があると思いました。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 吉川委員、どうぞ。

○吉川委員 今、言われたことについて、決済方法の多様化みたいな文言を入れると、よいのではないかと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 ほかいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、非常に貴重な御意見をたくさんいただきましたので、事務局でそれを踏まえまして、修正作業のほうをお願いしたいと思います。
 今後の進め方について、事務局からお願いします。

○原事務局長 貴重な御意見をいろいろと、どうもありがとうございました。
 方向性としては意見が分かれたというところではなくて、もっと盛り込んではどうかとか、少し誤認を与えるようなところは書きぶりを考えてはどうかという御意見だったと考えておりますので、事務局で本日の御意見を整理して修正作業を行いたいと思います。
 今後の進め方についてなのですけれども、修正案については、宇賀座長の確認を得た上で再度、委員の皆様に送付をして確認をいただき、それに対してもしさらなるコメントがある場合には、また御連絡いただくということで、少しやりとりをさせていただきたいと思っております。
 最終的な報告書として、できるだけ皆さんの御意見を取り入れる方向で取りまとめたいと考えております。
 委員の皆様には8月1日を予備日としておりましたけれども、このようなやりとりを行って専門調査会は開催をしないということで報告書の取りまとめを進めさせていただければと思っております。
 その後ですけれども、8月6日に消費者委員会を予定しておりまして、この場で宇賀座長から報告書について、御報告をお願いしております。
 なかなか盛り込めなかった点というのもございますので、そういったところは消費者委員会本体でも審議を行って、消費者委員会としての意見としてそれもつけて出すという形にしていきたいと考えておりますが、いかがでしょうか。

○宇賀座長 今後の進め方について、いかがでしょうか。そういう方向でよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○宇賀座長 それでは、報告書の最終取りまとめに向けまして、事務局のほうで、きょういただきました御意見を踏まえて修正作業を進めていただき、また、皆様と連絡をとってさらなる修正をしていくというプロセスを踏みたいと思います。
 この後はメールでのやりとりということになると思いますので、事務局のほうにお願いしたいのは、各委員から出された御意見がほかの方にも伝わるように、全員でやりとりの情報を共有できる形で進めていただき、最終的に皆様からの合意ができた段階で確定したいと考えております。
 よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

≪4.閉会≫

○宇賀座長 それでは、今後の予定について事務局から御連絡お願いします。

○原事務局長 本日は熱心な御議論ありがとうございました。
 座長からもありましたとおり、本日の議論をもとに事務局で修正作業を行い、再度委員の皆様には御連絡をしたいと思います。
 本当に短期間に集中的な議論をお願いいたしまして、ありがとうございました。

○宇賀座長 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきますが、委員の皆様には、本専門調査会にお集まりいただく機会はこれで最後ということになりました。委員の皆様方には3月から6回にわたりまして、また、一部委員におかれましては、遠方から朝早くにお集まりいただくなど、大変御苦労をおかけいたしましたが、熱心な御議論をいただき本当にありがとうございました。
 また、会議に御参加いただきました消費者庁及び国民生活センター、さらに、この場にはおられませんけれども、これまでヒアリング等に御協力いただきました方にもこの場をかりて感謝を申し上げたいと思います。
 どうもありがとうございました。

(以上)