第15回 地方消費者行政専門調査会 議事録

日時

2013年4月25日(木)14:00~16:51

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
宇賀座長、池田委員、小林委員、竹中委員、丹野委員、仲條委員、吉冨委員
【消費者委員会担当委員】
稲継委員、吉田委員
【オブザーバー】
国民生活センター 西総務部長
消費者庁 村松地方協力課長
消費者委員会 山口委員長代理
【事務局】
原事務局長、小田大臣官房審議官ほか

議事次第

1.開会
2.地方消費者行政の現状(事務局説明)
3.地方消費者行政が維持すべき最低限のサービス内容・水準のあり方
   ○各委員から事前に寄せられたご意見、ご質問
4.今後の進め方
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:9KB)
【資料1】 地方消費者行政体制の現状(事務局提出資料)(PDF形式:662KB)
【資料2】 事前に各委員から寄せられたご意見、ご質問 【参考資料1】 地方消費者行政専門調査会 委員名簿(PDF形式:97KB)
【参考資料2-1】 「地方消費者行政の持続的な展開とさらなる充実・強化に向けた支援策についての建議」の消費者庁の実施状況について(消費者庁提出資料)(PDF形式:432KB)
【参考資料2-2】 「地方消費者行政の持続的な展開とさらなる充実・強化に向けた支援策についての建議」の総務省の実施状況について(総務省提出資料)(PDF形式:82KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、始めさせていただきたいと思います。本日は皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。
 ただいまから、「消費者委員会地方消費者行政専門調査会(第15回)」会合を開催いたします。
 議題に入ります前に委員の交代についてお知らせいたします。前回、委員として御出席いただいておりました埼玉県消費生活課の上原課長におかれましては、4月1日付で異動となられ委員を御退任されました。これに伴い、後任として御着任された竹中健司課長に御就任いただくことになりましたので、御紹介させていただきます。
 また、国民生活センターからはオブザーバー御参加でお願いしておりますけれども、4月1日付け着任された西総務部長にオブザーバーとして御参加いただくことになりましたので、あわせて御紹介いたします。
 きょうは、消費者委員会から、山口委員長代理と河上委員長も来ておられますので、御紹介させていただきます。
 竹中委員、西総務部長からは簡単に自己紹介をお願いしたいと思います。

○竹中委員 4月1日に、埼玉県庁の県民生活部消費生活課長に着任いたしました竹中と申します。よろしくお願いいたします。

○国民生活センター西総務部長 4月1日付で総務部長の任に就きました西と言います。よろしくお願いいたします。

○原事務局長 なお、本日は池本委員が所用により御欠席されております。また、沼尾委員につきましては、在外研究中のため次回からの御出席になります。お二方から、議題については書面で御意見をいただいておりますので、後ほど御紹介させていただきます。
 それでは、議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。議事次第と書かれた裏に配付資料の一覧を載せております。
 座席表の後ろに、資料1といたしまして、「地方消費者行政体制の現状」ということで、消費者委員会事務局の提出資料となります。
 資料2といたしまして、「事前に各委員から寄せられたご意見、ご質問」です。
 参考資料1といたしまして、この間、異動がございましたので、地方消費者行政専門調査会の委員名簿、新しいものをおつけしております。
 参考資料2-1と2-2ですけれども、消費者委員会では昨年7月に、「地方消費者行政の持続的な展開とさらなる充実・強化に向けた支援策についての建議」を出しております。3月15日に消費者庁と総務省に委員会にお越しいただきまして、フォローアップということで御回答をお寄せいただきましたので、それを参考資料2-1と2-2としておつけしておりますので、今後の参考にしていただければと思います。
 不足がございましたら、お申出いただければと思います。
 それから、前回の専門調査会における配付資料、消費者委員会におけるこれまでの建議、消費者庁による現況調査等の基礎的な資料は、前回は上に置いていてすごく目障りでしたけれども、足元に置くようにいたしましたので、適宜、御参考にしていただければと思います。
 それでは、宇賀座長、議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。

≪2.地方消費者行政体制の現状(事務局説明)≫

○宇賀座長 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日の最初の議題は、「地方消費者行政の現状分析」についてです。議題について資料を御用意いただいておりますので、事務局より御説明をお願いします。

○事務局 事務局で上席政策調査員を務めさせていただいております則安と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 お手元の資料1、「地方消費者行政体制の現状」1ページ目をまず開いていただきますと、平成24年度の地方消費者行政の現況調査ということで、消費者庁が既に公表されている資料のローデータをもとに、消費者委員会事務局で追加集計という形で作成したものでございます。消費者庁が出されているものとの違いは、データそのものは一緒ですけれども、集計の仕方が少々違いますので、そのポイントを3点申し上げておきます。
 一つは、今回、調査会の目的に合わせまして、国、都道府県、基礎自治体の役割分担を考える上での基礎資料になるようにということで、相談窓口のない自治体、未設置のところも含めて、自治体分の幾つということで自治体数をベースに集計をしております。ですから、消費者庁で公表されているものは、例えば相談員で、相談員が何人いるうちの有資格者が何%という書き方をしていますけれども、今回は、基礎自治体の中で有資格者がいるところは何%という形で、自治体分の幾らという形で集計し直している点が違いです。
 もう一点は、消費者庁の報告書では、時系列で期間中にどれだけ相談員が増えてきて、窓口が増えてきてというところにフォーカスしておりますけれども、今回、事務局が作成した資料では、24年4月1日現在、一番新しい時点で、窓口と職員と相談員がどうなっているか、ここだけにフォーカスして分析したということが違いでございます。
 3つ目の違いといたしましては、地域特性のデータ、現況調査で聞いていないところで、例えば高齢化率、財政力指数といった基礎自治体の特性をあらわす指数、こういったものと現況調査の結果をクロス集計することで、地域の実情と消費者行政がどうなっているかというところを分析しております。
 では、具体的なデータを見ていただきたいのですが、基礎自治体1,742か所あるところを、どういう状態にあるかというところを分析したものが3ページからになります。
 まず、相談窓口の設置状況です。全国1,742か所ある基礎自治体、つまり政令市も含めた市区町村、このうち93.2%(1,623か所)では、センターまたは窓口があるという状態になっております。未設置、センターも窓口もございませんというところは6.8%。図1-1で言うと黄色のところになっております。
 図1-2でございますけれども、行政区分と人口規模別でクロス集計をかけております。政令市、中核市、特例市、東京特別区ではすべて、それぞれセンターというかたちで単独設置されています。
 ここで言うセンターと窓口の違いですけれども、赤とピンクで書いてあるところをセンターと言っていますけれども、これは消費者安全法10条におけるセンターです。週4日以上開いていて、専門知識のある方が従事されていて、PIO-NETがある。これをセンターと呼んでおります。ピンクのところは、センターを単独で設置するのではなく、どこかのセンターと一緒という形で広域対応でセンター化しているところです。
 また、窓口に関しては、センターの基準は満たしていないけれども、窓口という形では公にやっていますということを明示しているところです。これが緑色のところになります。
 こちらを人口規模別に見ていきますと、政令市、中核市、特例市、東京特別区、これは100%センターができているという形ですが、人口規模が小さくなるほどセンターの設置率が低く、人口規模も小さい基礎自治体ほど、窓口単独設置または未設置の割合が高いという状況にあります。
 右にまいりまして、高齢者人口割合とクロス集計をかけたものです。こちらは、上に行くほど高齢者の割合が少なく、下に行くほど高齢化が進んでいるという表になっているのですけれども、全国平均は23.4%ですが、高齢者の割合が33.3%以上、住民の3人に1人が高齢者というところではセンターの設置率が相対的に低い傾向があります。また、高齢者の割合が40%を超える基礎自治体は、センターの設置率は相対的に低く、7割強は窓口で対応しているという状況にあります。
 次に、図1-4です。財政力指数別ということで、財政力指数は自治体の財政力を示す指数となっております。指数が高いほど財政力に余裕があるということで、表の上に行くほど財政力に余裕があって、下に行くほど財政力に余裕がないということですけれども、こちらでクロス集計いたしますと、財政力指数が低い基礎自治体ほどセンターの設置率が低い傾向が見られました。
 また、図1-5は過疎区分別です。過疎法というものが総務省にございますけれども、こちらの分類に基づいて、人口の要件、人口が減ってきているところ、あるいは財政力の要件、財政力が低いところ、こういったところで分類しておりますものです。過疎地域は、要件に該当するところ。過疎みなし地域というのは合併による市町村別の要件に該当するところで、過疎とみなされるようなところ。過疎のある市町村というのは、合併前に過疎だった市町村を含んでいるところ。そういったところとクロス集計をしたのが図1-5でございます。
 こちらもクロス集計してみますと、先ほど、高齢化、財政力に関係があると申し上げましたけれども、過疎区分、過疎地域、過疎みなし市町村というところではセンターの設置率が相対的に低い、そういった状況が見られました。
 4ページは、基礎自治体における相談窓口の開所状況ということで、図2-1です。週5日以上開所しているところが72.8%。窓口が設置されていますし、基礎自治体の72.8%では週5日以上は開所しているということです。
 図2-3は、基礎自治体における土日祝日対応状況。やはり役所ですので、週5日開いているけれども、土日祝日に対応ができている基礎自治体は、1,742か所のうちの3.6%ということで、基礎自治体ではなかなか土日祝日は対応できていないというのが現状でございます。
 5ページは、基礎自治体における相談窓口の開設形態です。全国1,742か所の基礎自治体のうち、消費生活専門で特化して相談を受け付けているところと、そのほかの相談にもよろず相談という形で複合相談の形態をとっているところとの差を見ていきました。1,742か所のうち、消費生活専門で受け付けているところが55.4%、複合相談で受け付けているところが35.2%でございます。
 これを行政区分、人口規模別に見ていきますと、政令市、中核市、特例市、東京特別区をはじめ、人口規模の大きい基礎自治体では、その多くが消費生活専門で展開しているという形になります。逆にそれ以外の基礎自治体では人口規模が小さいほど複合相談で展開する、そういった傾向が見られました。
 次に、高齢者割合別、財政力指数別、過疎区分別という形で見ていきますが、図3-3は、高齢者の割合が高いところ、特に住民の3人に1人が高齢者というところは、複合相談が消費生活専門の数を上回っているという状況があります。
 また、財政力指数別に見ますと、財政力指数の高い基礎自治体ほど消費生活専門での展開になる傾向がございました。
 過疎区分別に見ますと、図3-5の一番下の過疎地域市町村では、半数強の基礎自治体が複合相談という形で展開している、そういった実情がございました。
 次に6ページでございます。今までは窓口の状況を御説明差し上げていましたけれども、消費者行政担当事務職員配置状況ということで、消費者行政の本課とセンターに配属されている職員。これは、消費者行政担当部局との兼務の方も含めた、こういう方々がどういった形で配置されているかというところをお示ししたのが6ページになります。
 まず全体として見ますと、専任職員が配置されているのは1,742か所の基礎自治体のうち12%です。円グラフの赤と、赤の少し濃いもので分けておりますけれども、専任職員プラス兼任職員ないしは専任職員複数ということで、職員が複数います、というのが10.6%。専任職員がいますが1人だけ、というのが1.4%。それが合わせて12%という形になっております。
 それ以外のところは非常にボリュームゾーンになっていますけれども、専任職員がいませんというところの計が87.4%になっております。そこの内訳を見ますと、グラフのオレンジのところ、兼務職員が複数いるところが48.1%、兼務職員が1名のみで対応しているところが39.3%ということで、1,742か所の基礎自治体の中で一番多いパターンは兼務職員・複数で対応しているところになります。
 これを図4-2のように行政区分・人口規模別で見ますと、政令市と東京特別区を除き、基礎自治体の人口規模が小さくなるほど専任職員の配置率が低くなるという傾向があります。特に人口規模が10万人に満たない基礎自治体の多くは兼任の職員だけで運営している。兼任職員1人だけというところも多いのですけれども、兼任の職員数名あるいは1人で運営している、そういう状況がございます。
 図4-3は高齢者割合別です。高齢者の割合が33%以上(住民3人に1人以上)の基礎自治体では、兼務職員1名のみの基礎自治体が多く、兼務職員が複数のところを上回る状況になっております。1人だけでやっているということです。財政力指数別に見ますと、財政力指数が0.5以上、つまり、全国平均が0.51ですので、ここに満たないところ、こういった基礎自治体では兼務職員1名のみ、が兼務職員・複数を上回っているという状況にあります。図4-5ですが、過疎区分別に見ますと、過疎地域と言われるところでは、兼務職員1名だけでやっているところが兼務職員・複数を上回っている状況にございます。
 7ページです。今まで、1,742の基礎自治体ということで自治体ベースで見てきたのですが、ここだけ切りかえてお話をさせていただきたいのですが、消費者行政担当事務職員、基礎自治体に4,102名配置されています。この一人ひとりが専任か、兼任か。いわゆる他の行政分野、交通、防災、商工観光課、こういったところと兼務しているかどうか。こういったところを見ると、82.5%(3,383名)はその他の行政分野と兼務という状況にございます。
 さらに、その兼務の事務職員3,383名、消費者行政の事務にどれだけのウエートを割いていますかというところを10%刻みで見ていきますと、兼務の中で消費者行政に割いているのは10%ですというところが一番多く3,383名のうちの43.6%です。これを一つずつ見ていきますと、図5-2、緑と青で分けていますが、消費者行政事務ウエートが10~40%、半分に満たないという兼務職員が全体の84.4%、消費者行政事務ウエートが50~90%の兼務職員というのは15.6%という状況になっております。
 次は、1,742か所というベースに戻ってまいりますけれども、全国の1,742か所の基礎自治体の事務職員の配置状況と、図5-2で見ました事務職員のウエートの関係を、パターン類型ということで、6ページの図4-1で申し上げたものと図5-2をクロスしたものが表1になります。どこにボリュームゾーンがあるかと申しますと、一番多い組み合わせとしては、兼務事務職員が1名のみで、かつ、そのウエートが10~40%の兼務職員が、1,742か所の基礎自治体のうち613か所(35.2%)です。その次に多いのが、兼務職員が複数いて、かつ、ウエートが10~40%の兼務職員がいますということで、602か所(34.6%)です。以下もそれぞれあるというような形になっております。
 次に、8ページをごらんになっていただきたいと思います。消費生活相談員の配置状況です。消費生活相談員の定義は、実際に相談に従事している方ということで、特に資格を持っている、持っていないということには関係なく、相談に従事している方をカウントした形になります。
 図6-1です。全体としては、基礎自治体全体の34.8%が消費生活相談員を2人以上配置しております。23.1%が1人配置、41.9%は未配置という形になっております。窓口自体は93.2%ありますけれども、まだ相談員が配置されていませんというところは41.9%というのが実情でございます。
 これを人口規模別に見たのが図6-2です。政令市、中核市、特例市、東京特別区、こちらはすべて1人以上の相談員を配置しています。ただ、これ以外の基礎自治体では、人口の規模が小さくなるほど相談員の配置率が低くなっているという状況でございます。特に人口規模が2万人に満たない基礎自治体では、過半数が相談員未配置という状況でございます。
 図6-3は高齢者人口割合別です。住民3人に1人以上が高齢者という基礎自治体では、相談員の配置率が低い傾向があります。また、財政力指数別も、財政力指数が低い基礎自治体ほど相談員の配置率が低い。特に2人以上配置している率も少なくなっているという状況にございます。
 図6-5、過疎区分別もやはり関係があるようでして、過疎地域では約7割の自治体が相談員未配置という状況になっております。
 これが相談員の状況です。
 次に9ページにまいりまして、消費生活相談員の資格保有状況ということで、これは3資格です。消費生活専門相談員、消費生活アドバイザー、消費生活コンサルタント、いずれか、ないし幾つかを持っている方の状況を見てまいりました。全国1,742か所の基礎自治体のうち、過半数57.9%が有資格の消費生活相談員を未配置になっております。有資格の消費生活相談員が何人いるかというところで見ますと、2人以上配置していますというところは24.2%、1人配置は17.9%ということで、図7-1に示しているとおりです。
 人口規模別に見ますと、政令市以外に関しましては、相談員はいたというところではありますけれども、資格を持った方となるとやはり未配置というところが出てきまして、特に人口規模が小さくなるほど有資格の消費生活相談員の配置率が低くなる傾向があります。人口規模が5万人に満たないところでは過半数が未配置ということで、黄色で示しているところでございます。
 高齢者人口割合、財政力指数、過疎区分というところで見ていきますと、高齢者人口割合、特に住民3人に1人というところでは有資格者の配置率が半数を下回る形です。また、財政力指数が低い基礎自治体ほど、有資格の相談員の配置率、2人以上配置率ともに低い傾向がございました。図7-5、過疎区分別で見ますと、過疎地域市町村では9割弱が有資格の相談員が未配置という状況にございます。
 ここまで基礎自治体1,742か所を見てまいりましたけれども、都道府県、いわゆる県センの状況についても11ページから御参考に示しております。都道府県におけるセンター設置状況と開所状況です。都道府県に関しましては、消費者安全法の規定に基づきましてすべてセンターが設置されております。また、複数を設置している自治体もあるということで、センター数としては全体としては110あって、それぞれの県にどれだけ設置されているというのが図8-1でございます。
 図8-2は土日祝日の対応状況でございます。基礎自治体では3.6%しか対応していないということですけれども、その分、都道府県が補完しているという状態です。土日祝日すべて対応があったり、土日とも対応、あるいは土曜または日曜のみ対応ということで、対応している自治体が全部で30自治体となりまして、残りの17自治体は対応がないということで、都道府県レベルでも土日祝日はやっていないという状況にございます。
 12ページにまいります。これは、人数が1人いるか2人いるかという話ではないのですけれども、都道府県のセンターにどのぐらいのレベルの人数の事務職員、相談員が配置されているかというものを見たものでございます。左側が、消費者行政担当事務職員の状況です。
 9割以上の都道府県では、都道府県立のセンターに10名以上の事務職員を配置しているという状況でございまして、すべての都道府県で複数名の事務職員を配置しています。1人だけというところは、基礎自治体と違ってさすがにそこはないということでございます。また、いずれの都道府県に関しましても複数名の専任職員が配置されているということで、1人で対応していることはないということでございます。事務職員が20名以上配置されているところが19か所、10名以上が26か所、5名以上~10名未満配置が2か所という形になっております。  全国平均としては、22.8名。最大で105名、最小で7名です。都道府県に関しましては、人口は東京都で1,200万人強ですし、鳥取県で60万人弱ですので、人口自体に格差がありますので、一概に全国平均と並べて、職員が何人いればいいということではないのですけれども、参考に書かせていただきました。
 また、都道府県全体で、消費者行政担当事務職員1,070名いますけれども、この方々が専任、兼任どうなっているかを示したものが図9-2です。消費者行政専任の方が78.5%、その他の行政分野と兼務が21.5%という状態でございます。
 右にまいりまして、消費生活相談員の状況です。すべての都道府県が複数名の消費生活相談員を配置しておりまして、20名以上配置しているところが7か所、10名以上配置しているところが28か所、5名以上~10名未満配置が12か所という状況です。全国平均としては15.1名。最大で64名、最小で7名配置ということです。
 有資格者に関しましては、すべての都道府県が有資格の消費生活相談員を複数名配置しているという状況でございます。また、20名以上配置は6か所、10名以上配置は21か所、5名以上配置は20か所。全国平均としては12.6名。最大で40名、最小で4名配置という状況でございます。
 最後に参考資料といたしまして、都道府県と基礎自治体の人員配置規模感をほかの行政分野と比べるという形で14ページに示させていただきました。再掲になりますけれども、参考表1です。都道府県のセンターには、消費者行政担当務職員1,070名おります。基礎自治体では4,102名おります。この両方を合わせると5,172名になりますが、これを人口10万人当たり事務職員がどれくらいいるかという形で計算しますと、全国の人口約1億2,670万人で割って考えたという形ですが、4.1名配置されているという実情があります。地域差はありますけれども、全体の規模感としてはこのぐらいが配置されているという状況でございます。
 一方、参考表2は、消費生活相談員はどのくらい配置されているかというと、都道府県では710名、基礎自治体では2,670名、合わせて3,380名配置されています。これを人口10万人当たりどれだけ配置されているかというところで見ますと、2.7名配置という形になります。
 下の表にいきまして、福祉、医療、安全分野の主な職業との規模感の比較ということで、ざっくりではありますけれども、人口10万人当たりの比較ということで示させていただいたものが参考表3です。消費者行政担当務職員4.1人、消費生活相談員が2.7人、民生委員になりますとケタが違いまして、175.9人、母子自立支援員が1.25人、医療施設に従事する医師が219人、看護師・准看護師が871.6人、保健師35.2人、消防吏員が122.8人、警察官が199人ということで、大体の規模感を見ていただくために示させていただきました。
 以上でございます。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に基づきまして意見交換を行いたいと思います。ただいまの御説明からも明らかなように、一口に基礎自治体といっても、人口規模、財政力など格差が存在するのが実態で、それがいろいろな面に反映しているということがございます。意見交換に際しましては、そうした人口規模等での基礎自治体の大まかな類型なども念頭に置いた御意見も伺えればと思います。
 それでは、御自由にお願いいたします。

○吉冨委員 お尋ねいたします。ところどころに「不明」というのがありますが、どういう意味なのでしょうか。

○事務局 不明に関しましては、調査はしているのですが、調査設計上、例えば、消費生活センターを設置しているところにしか聞いていない設問などもあります。今回、事務局で窓口も含めてクロス集計をかけた結果、不明になってしまったところがございます。

○吉冨委員 ありがとうございました。

○丹野委員 意見というよりほとんど感想でございますが、こうやって表にして見せられますと、ものすごくばらつきがあるということは承知していたつもりでいたのですが、赤裸々にそうだと分かりました。しかも、3ページ辺りから始めますと、要は高齢化が進んでいて、財政的に余裕がなくて、過疎の所へ行けば行くほど適切な設置が行われていなかったり、職員の数が少なかったり、ましてや消費生活相談員の数が少なく、有資格者に至ってはほとんど惨状だと私は思います。例えば9ページ辺りを拝見させていただくと、大変にショックでございます。私どもは消費生活相談員の団体で、配置がない方はわからなくて、ある方の消費生活相談員の団体なものですから、そこでもさまざまな声を聞くけれども、これを見ていくと、正直に申し上げてショックで、まず感想を述べたいと思います。
 では、これを踏まえてどうするかという話を、今度は議論をしていかなくてはいけない。この中に数値になって出てこないけれども、申し上げれば、例えば自治体の中には、大きな自治体であっても、消費生活相談員を雇うときに十把一からげで、非常勤職員といって対象職種をずらっと並べておいて、100人ぐらい採用する。その中から、御本人に言わせると、気の強そうなのを消費生活相談員にしたと冗談を言っておいででしたけれども、そういう形の雇用の仕方が現にあって資格なんかそもそも問わないというやり方をしています。そのため消費生活相談に配置された人は、ほかの非常勤職員、いろいろな職掌が役所の中にありますが、それと全く同じ給料です。
 業務範囲としては、市民から相談を受けて、それに対して解決をするという非常に重い職種なので、人が次から次と逃げて定着しないという実情もあちこちで聞いています。既に消費者庁が発表した数値をちゃんと踏まえた上でこれから議論につなげていかなくてはいけないのではないかと思っております。
 一つ、質問ですが、12ページに、都道府県全体というところで、さすがに都道府県はたくさん職員も相談員も配置して、最大で105名というところがあります。よろしければ参考までに、ここはどこですか。言ってはいけないのでしたら、聞きませんが。

○事務局 済みません。どこというところはちょっと申し上げられないところです。

○丹野委員 そういうところがあるということですね。

○事務局 はい。

○丹野委員 わかりました。とりあえずの感想でございます。

○宇賀座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

○池田委員 小規模の自治体の職員として、人吉の場合は消費生活センターが平成21年に立てられますけれども、それまでは包括支援センターが高齢者に対する消費者問題に対応するというのが出ていました。それは、厚生労働省が出しているマニュアルの中にもうたわれていますけれども、結局、消費生活センターという立ち位置がどこに来るのかということだと思うのです。実際、高齢者の多い自治体は、常日ごろからそういう人たちが接近していて、高齢者のトラブルに関してはある程度までは解決していたのが現状です。
 それに加えて、消費生活センターができたことによって、包括支援センターが今までやっていた立ち位置の中で、やはり業務というのはいろいろな部分で重なってくる部分があるので、消費者トラブルに関しては消費生活センターのほうでとりましょうと。その中で高齢者に対してのアドバイス等々はやっていきましょう、ということになってきているのではないかと思います。おっしゃっているような、一概に消費者に対する周知ができていないというのはちょっと違うのではないか。それよりも、吉冨委員も書かれていますけれども、消費者センター・イコール悪質商法みたいなイメージではなくて、消費者教育という中での消費生活センターの立ち位置をきちんとすることによって、もう少し違った見方になってくるのかなと思います。感覚的に、地方自治体ではもう少しやれるところはやっているのかなとは思いました。
 あとは立ち位置として、消費生活問題の相談窓口というのが、入口なのか出口なのか。人吉の場合はライフサポートセンターというイメージを持っていますので、入口なのです。あくまでも相談業務の入口の中での消費者問題。うちの相談の中で消費者問題があるならば、そこに関して解決をしていく。関係するならば他の部署につなげていくというとらえ方です。でも、どうしても小さい自治体では出口になってしまうわけです。何か相談がありました、ここは消費者トラブルを抱えているので、この部分はそっちでやってくださいという出口みたいなところ。最終的には消費者トラブルの解決策みたいな立ち位置になっているのかなと思います。だから、専任職員であるのか、兼任職員であるのか。兼任職員がどんどん置かれているのではないかというのが感想で、私はそういうふうにとらえたところです。

○宇賀座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

○吉冨委員 今、伺っていて思ったのですけれども、小さいところは相談体制が余りきちっとしていないというのは把握できました。悪質業者から言うと、どこをねらったらいいのかというヒントにもなる資料ですし、私たちのように啓発活動をしている者にとっては、どこに重点を置いたらいいのかという指針になる、そういう資料にはなっていると思います。
 ただし、池田委員がおっしゃったように、そこに悪質商法がはびこっているかというと、そうでもないような気がします。例えば、消費者被害というのはどの辺りで一番被害を被っているのかという辺りの資料が出てくると、基準をどこに定めたらいいのかという辺りも少し出てくるのではないかと思いました。悪質業者は私たちより随分先を走っているわけですから、そんなことは百も承知で、常にあの手この手でいろいろなところをねらうわけです。そうすると、少し傾向的なものが見えれば、相談体制について、行政区分で区切るのではなく、もう少し広い意味で連携とかいろいろなやり方があると思うのですが、その辺りの資料は消費者庁としてお持ちなのでしょうか。被害額というか、この辺で多いという資料、それはないのでしょうか。

○宇賀座長 消費者庁、いかがですか。

○消費者庁村松地方協力課長 どこで起きているかということに関して言えば、PIO-NETの情報の申告者の住所というところで追える可能性はあるかと思いますが、そういう形での集計の可否については現時点ではわからないところです。

○吉冨委員 そうですか。それが少しわかると、もう少し見えてくるものがあるのではないかと思いました。

○宇賀座長 事務局である程度調べられますか。

○原事務局長 工夫してみます。ただ、すごく難しいのは、相談体制がしっかりしていると数としてもカウントできるというところがあって、埋もれている被害というのが出てきていないので、それをどういうふうにするか。そういうことを承知の上でということであれば、ちょっと考えてみたいと思います。

○吉冨委員 ありがとうございます。

○宇賀座長 ほかにいかがでしょうか。

○消費者委員会山口委員長代理 先ほど丹野委員のほうでは、特に相談窓口の担当者専門として、特定して採用しているわけではなさそうなこともお話がありました。実際、例えば旭市、人吉市辺りの相談員の採用といいますか、その辺はピンポイントでそういう人を採用するという形でやっておられるのか。それとも非常勤で雇った中で、先ほどの言葉を引用すれば、気の強そうな人を相談員に割り当てるのか。その辺の配置の状況というのはどうなのでしょうか。実情がちょっとわからないものですから。

○宇賀座長 旭市、人吉市の実情についてご説明をお願いします。

○仲條委員 千葉県の旭市の周辺では、資格を持っている相談員というのはいませんが、旭市としては専門的な相談対応をしてもらいたい、そういう体制をとっていきたいという考えでやっておりますので、少ない中で有資格者の方を探して採用しています。ただ、ホームページで公募しても、近隣に資格者はおりませんので、1人募集してもそこに何人も殺到するということは考えられません。旭市の現状としては、既に資格を持っていて、ほかのセンターに勤めている方にお願いして来てもらうとか、新たに資格を取った人のリストを国センからいただいて、そこから探して来ていただくという方法で採用しております。ですから、臨時職員というような一般的な事務というのではなく、専門的な知識のある方をということでやっております。

○池田委員 人吉も、正直言いますと、資格者はおりません。採用条件は旭市さんと一緒で、有資格の方、または意欲がある方ということで、採用した後に県が行っている講習を1年間必ず受けていただいて、対応できる体制にしているつもりです。熊本県は、相談員は資格を取るようにということを条件に採用指示をしておりますけれども、なかなか資格が取れないという現実的なところもありまして、講習を受けて意欲を持ってしてくださいということでやっております。
 熊本県下の採用状況を見てみますと、有資格者というのが前段には来ているようです。無資格者であっても、そういう意欲を持っていらっしゃる方ということで、必ず試験会場には来られて、1年か2年か3年後には資格を取られているようです。

○消費者委員会山口委員長代理 少なくとも熊本県の場合は、相談員を特定して相談員を採用する、そういう採用の仕方ですね。

○池田委員 そうです。前提条件が、あなたを採りました、あなたはこっちに行ってくださいというやり方ではなくて、消費者問題に関して意欲を持っていらっしゃる方を前提に採用されているようです。

○消費者委員会山口委員長代理 その辺は、宮城県も同じようなことでよろしいのでしょうか。

○小林委員 地震、津波の被害に遭う前は多分そういう形で行われていたであろうと思いますが、被害を受けた後は、本当にこの状況なのかというふうに思いながらデータを見せていただきました。このデータは正しいのかなと。

○消費者委員会山口委員長代理 どういう意味ですか。

○小林委員 24年の調査になっていますね。ものすごく忙しい状況で、職員さんとか相談員が倒れないかなと。消費生活相談だけではなく、消費者行政だけではなくて、すべての行政の中で職員が倒れないかなというような状況の中で行われた調査ですので、この数字がどこまで現状を反映しているのかなと思いながら見させていただきました。

○丹野委員 先ほどの私の発言を補足させていただくと、、消費生活相談員が何をやるか、どういう役割なのか、どういうものがなくてはいけないのか、そんなことが全くスポイルされた形で採用が行われている現実が片方である。それは、自治体にとって今まで、周りにそういう有資格者がいないことと、そもそも消費生活相談に対して一定の認識を持っていらっしゃらなかったことの二通りあると思うのです。先ほど旭市さん、人吉市さんがおっしゃったように、私どもの団体にもよくあるのですが、この地域で消費生活相談員がいませんか、いなくて困っているんです、だから教えてくださいみたいな、そういうお話は実はたくさんございます。
 池本委員が今日はおいでにならないから、私が言うのも変ですけれども、池本委員のペーパーの中にも、基礎自治体の規模による格差以前に、消費生活相談員のうち3資格保有者の割合にそもそも地域間格差があるのではないですか、こういう御指摘があって、私も目が開かれたという気分ですが、そういう部分がまずあると思います。もちろん、各都道府県は活性化基金を使って消費生活相談員養成講座をやっていますが、なかなか実態としては追いつかない実態だというふうに認識をしております。

○宇賀座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 それでは、後でこの問題に立ち返っていただいて結構ですけれども、次の議題に移りたいと思います。

≪3.地方消費者行政が維持すべき最低限のサービス内容・水準のあり方≫

○宇賀座長 次の議題は、「地方消費者行政が維持すべき最低限のサービス内容・水準のあり方」です。
 この件につきましては、あらかじめ各委員の皆様の御所見を簡単な資料にまとめて御提出いただいておりますので、その資料に基づきまして、それぞれ5分程度で御説明いただきたいと思います。
 では、池田委員から順にお願いします。

○池田委員 では、最低限のサービス内容・水準の在り方、最低限のサービスという形でしたので、結論から言いますと、福祉事務所なりそういう形できちんと法的に根拠を持ったものをつくって、各自治体においては専門の職員を置く。小さな自治体、5,000人未満の自治体においてはそこまでは難しいというのであるならば、地域との協力によってやっていくというのが落としどころなのかなと思っています。現実的に考えますと、5,000人とか、人吉の周りには3,000人という自治体がありますけれども、そういう自治体が相談業務を受けているかというと、しょっちゅう受けているわけでもないので、そこに職員を専従的に置いてもという問題が現実的にあると思います。
 ただ、入り口部分は相談窓口として各自治体にあるべきと思います。その中で相談をどこにつなぐのか。消費者トラブルだったら、広域的なものがあるならば、そちらにつないでいくというようなスタンスが一番なのかなと思っています。先ほど、入り口と出口という話をしましたけれども、市民にとってどこに相談に行っていいかわからないというのが現実的にあると思うのです。
 消費生活センターという名前が平成20年前後から出てくる前は、地方自治体自体が本来はそこが相談窓口だったわけです。市民にとっては、相談窓口だけれども、どこに行っていいかわからないということで埋もれてしまって、多重債務とかいろいろな問題が発生して、後手後手に回っていた部分が多いと思います。ですから、入り口というのをきちんと立ち位置として上げることによって、地域住民は相談に行きやすくなってくるのではないか。その中で、先ほど言いました振り分け。消費者トラブルだったら、基本的なものはうちとして上げて、その中で、ほかに付随するような問題に関しては整理した形で次の担当課、自治体につなぐことが必要になってくるのではないかと思います。
 ただ「基準」を示しただけということならば、この数字から見ると、有資格者がいる、いないは別としまして、人吉の場合、若干ほかの自治体よりも取組みは遅かったのですけれども、先を進んでいる状態なのかなと思います。その中で、中途半端な数字が、これぐらいが基準ですとなった場合、逆行するおそれがあると思うので、そこの逆行を防ぐためにはきちんとした法的根拠なり何なり、こういう自治体ではこれだけのものが必要ですと。包括支援センターにおいては、社会福祉士が何名いてとかいうのがきちんとうたわれています。福祉事務所には、生活保護ケースワーカーは社会福祉士の有資格者を置いてということが出てきていますので、そういうきちんとした法的な根拠を持たせて消費生活センターをつくる。消費生活センターにおいては連携をさせないと、結局、立ち位置で消費者トラブルだったらうち以外については受けませんみたいなものでやると、ちょっと難しくなるのではないか。
 消費者庁がつくられるとき、どこでも誰でも相談を受けられるというのが最初のスタートだったと思います。消費者庁がつくられるときには、どこに住んでいても同じサービスが受けられるというのが「どこ」だったと思うのです。もう一つ、私たちが思っているのは、どこに住んでいても、どこに対しても相談ができる。例えば人吉市に住んでいるけれども、人吉で相談するのは恥ずかしいなら隣の自治体でもいいですと。どこに対しても相談できるということが消費者のトラブルの掘り起こし。そこできちんとケアをしてあげれば、また基礎自治体のほうに送り返しができるのではないか。その「どこ」というとらえ方ももう少し考えるべきではないかと思っています。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 では、小林委員、お願いします。

○小林委員 私は、離島・中山間地等過疎地対策に重点を置いて考えてみました。今後、災害対策・医療対策が進んでいく時期なので、そういったところと連携して、テレビ電話で相談・あっせんができるようになるといいのではないか。特に高齢化率の高いところは、電話で話を聞いてもらっても、言葉の意味をお互いに言ったとおりに理解できているかどうかといったことも出てきますし、家の中に上がり込まれて断れなくなったというような事例のときに、テレビ電話だったらその相手がテレビに映るというところで、被害の救済にもつながっていくのではないかと思いました。
 それから、土日祝祭日というのも、仙台の場合は政令市なので、最初にセンターができたときから年間休みは暮れの31日から正月3日間の4日だけで、ずっとやっています。そういうところはまれでして、土日祝祭日も対応ができるようにするということと、夜間早朝というのは、私が早出残業のときに経験したことですけれども、9時近くなってから駆け込んでくる。センターも閉まっていますので、やむを得ず県警のほうを案内したのですけれども、その後、それが解決されたかどうかというのはわかりません。やはり理想的には、一番いいのは24時間対応だと思いますが、夜間も早朝も対応できるようになるといいなと思いました。データを見せていただいた限りでは、都道府県、政令市、中核市、特例市、東京特別区には既にセンターが設置されていますというデータが出ていました。そういうところにつなげていけるようにすると、そこは資格を持った相談員が多くいらっしゃると思いますので、そういうふうにしてみました。
 次の、行政職員全体と消費者行政職員についてということで、ここで言いたいのは、消費者の権利というのをどれくらい認識しているかということをよく感じました。消費者には権利があるということを行政の方がどれだけわかってくださっているか、というのを感じることが多かったものですから、そういったことをここに書き出しました。消費者の権利の実現とか、役割を認識した消費者行動のとれる自立した消費者の育成も、行政職員の消費者教育としての役割だろうと思います。消費者関連法というのはものすごくたくさんありまして、私どもは、消費者団体でしたけれども、消費者団体のリーダーを育成するために年間30~35講座、消費者関連の法律も入れて講座を開催しておりました。やはり試用期間を設けていただいて、研修内容の中にそういうことを織り込んでいただくというのと、本採用のときには消費者行政に意欲のある方を入れていただけるといいのではないかと思います。
 担当になられた職員の方々は、変化していく情勢をいち早く追いかけていけるように継続して研修をしていただいて、広く情報も収集する。過疎地の対策というのは都市部とかなり違った部分が出てくると思いますので、そういった複雑なことにも対処できる力量を身につけていただきたい。いつも思うのですけれども、事業者、特に悪質な事業者は、消費生活センターに呼び出されたときに、ちゃんと弁護士を同道してくるとか、法律のすき間をよく知っていますので、やはり2年、3年ではとても太刀打ちできないところがあります。ですから、少なくとも10年くらいはいていただきたいと思います。それによって悪質な業者に対していくことができるのではないかと思います。
 次の権限強化ですけれども、被害救済委員会にかかわったときに経験したことですけれども、知的障害者の方とか、精神障害を持っておられる方たちの被害を救済するには、職員の方の権限がすごく限られているというふうに感じました。職員の方たちが何をおそれていらっしゃるのか私なりに考えてみたのですけれども、裁判を起こされたときにどうすればいいのかといったことも不安の一つとしてあるようです。やはり毅然とした態度を示せる職員の方たちに権限の強化が必要だと思いますし、行政サイドに有能な弁護士さんを。かなり高額のようですので、そういった費用も必要かと思いますけれども、有能な弁護士が必要だなと思いました。
 消費生活相談員のストレスケア対策というのは、相談員たちは、理不尽な被害に遭った方たちの相談を毎日受けているわけで、もともとストレスが多い仕事ですけれども、それのための努力とは別に、例えば、本当に小さなところで相談員が1人しかいないというところは、迅速に相談する相手が中にいない。自分の職場の範囲の中でいないとか、もっと困るのは、できたばかりの相談員のところに相談する人の数が少なかったりしますと、無駄なお金を使っているという嫌味を言われるというのもあります。
 私どもも、リーダー養成講座の中で育ってきた方たちが相談員として各地に散らばっていまして、そういう人たちが、やっと自分の町村でも相談員を置くようになったといって喜んだその次に来るのが、相談の件数が少ないとか、もしくは相談が来ないので、何だ余計なお金を使っているではないかということを、行政の中で言われてしまうということがある。多分、ほかの相談員さんたちもたくさんストレスを抱えて日々頑張っていらっしゃると思いますので、そういった対策が必要ではないかと思います。
 今までお話を伺っていて、消費者行政がいかに予算を獲得するのが難しいかというのはよく見てきていますけれども、日本自体が消費者行政に関しては後進国、発展途上国だと私は思います。国民が健康で安全な消費生活を営む、最低限の生活を営むのを保障するのは国の責務だと考えましたので、国費で賄うべきだと思いました。
 以上です。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 では、竹中委員、お願いします。

○竹中委員 地方消費者行政として最低限のサービス内容・水準の在り方ということで、所見をまとめたペーパーがございます。これに沿って説明したいと思います。
 まず、地方が行っている消費者行政といたしましては、消費生活相談のための窓口の設置、相談員による相談、消費者への普及啓発、事業者への指導・処分、商品テストなどが考えられるかと思います。このうち、主に事業者への指導・処分、商品テストなどは、一部、政令市でも行っているかと思いますけれども、主に都道府県で実施していますので、市町村で維持すべき最低限のサービス内容・水準といったときにはマル1~マル3が対象になって、これを最低限どこまで実施していく必要があるのかというところで検討すべきと思いました。
 まず、マル1の相談窓口につきましては、住民が何か困ったことが起きたときには何らかの形で対応できるように、形はともかくといたしまして、消費生活相談窓口は最低限必要だと考えております。専門窓口があればもちろんいいのでしょうけれども、市町村によっては、行政相談の窓口として他の相談の窓口と兼ねることもあるかもしれません。市町村の実情によるのではないかと考えております。埼玉県は63市町村ありまして、中心市に委託しているところもありますけれども、基本的に63の市町村の住民の方が利用できる相談窓口がありまして、ここには消費生活相談員が置かれていると聞いています。
 それから、順番が逆になってしまいますけれども、マル3について、消費者被害防止のためには普及啓発が非常に大切だと考えております。被害が出てから相談するというよりは、被害が出ないようにすることが第一ではないかと思っております。普及啓発は行政として取り組むべきもので、例えば広報誌で啓発するとか、方法はいろいろあるかと思いますけれども、全市町村で取り組んでいただきたいと考えております。
 マル2の消費生活相談員による相談も必要だと思いますけれども、週何日実施するかということにつきましては、市町村の規模、相談件数、財政力などによってどうしても異なってきてしまうと思います。これはどうしても各自治体の判断になってしまうと思います。
 消費生活センターの要件としては、週4日以上その事務を行うとありますけれども、先ほども人吉市さんのほうでお話がありましたが、例えば人口5,000人未満の町村まで、週4日実施してセンター化する必要があるのかどうかというところは、私自身は若干疑問に思っているところもあります。一律に基準を示すことは難しいのかもしれませんけれども、相談がそんなにない、と言っては失礼ですが、やはり人件費ということも行政としては考えていかなければならないと思っております。相談件数に比べて人件費のほうがかかっているということになりますと、どうしても自治体とすると負担感が高くなってしまって、結局、続かなくなってしまうということも起こり得るのではないかと思っております。
 ですから、小規模な自治体、例えば町村の場合ですと、近隣の幾つかの市町村と共同でセンターを設置するとか、近隣の大きな市へ委託をするとか、そういう方法も考えられます。いずれにしても市町村の住民の方が何らかの形で相談して、相談できる体制が整っていればいいのではないかと思っております。資料を見ますと、政令市、中核市、特例市にはセンターが設置されています。これは人口や相談件数などから、その必要があるから設置されているのだと思います。
 埼玉県でも、特に市については相談員を週4日以上置いてセンター化してもらいたいという形で取り組んできましたけれども、そういうことも一つのメルクマールになるのではないかと思っております。現在は、町でもほとんどセンター化されているところでございます。本当は人口2万人に1つとか、5万人に1つとか、そういうメルクマールを置ければわかりやすいのですけれども、実際にはそういうメルクマールを示すのは難しいのではないかと考えているところです。埼玉県では実際の相談の8割近くは電話相談です。来所して相談するわけではありませんので、例えば小さな町村でも、相談窓口が何らかの形であれば、より専門的な相談についてはしかるべきところにつなげれば用は済むとも言えるのではないかと思っております。
 最後になりますけれども、市町村の果たすべき役割は決して相談業務にとどまるものではないと思います。行政でしかできないということであれば、例えば福祉部門との庁内調整を図って庁内体制を構築していくとか、地域包括支援センターや民生委員、社会福祉協議会などと連携して、消費者被害を防止する体制をつくっていくことも行政の役割ではないかと考えています。市町村というのは義務的にやらなければならないことが非常に多いです。そうした中で、例えば「こうしたことに努めること」というような規定ですと、ほかに優先すべきものが出たときには後回しになってしまうのではないかと思いますので、その体制を本当にしっかりつくっていくときには、努めることという規定よりもう少し強い規定でないと、体制というのはなかなか整備されていかないのではないかと感じたところです。
 以上です。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 では、丹野委員、お願いします。

○丹野委員 私も一応資料をつくりましたので、それに沿ってお話をしますが、この資料に入る前に、まず、この宿題をいただきましたときに考え込んでしまいました。こういう形のメルクマールをつくることがいいのか、2つ問題がある。
 先ほどの御報告を見れば一目瞭然のように、基礎自治体の規模、体力に非常に格差がある中で、当然、メルクマールをつくるからには、不足している自治体に対してお尻を押してあげる役目を果たすのだろうと思っていますが、そういうところは、現実的に予算の制約、人の制約があって結果としてこうなっているのだろうという部分がある。そこの部分を、メルクマールをつくってやりなさいと言うのが本当に現実的だろうか、というのが一つございます。
 もう一点は、一生懸命頑張っている自治体にとって、例えばメルクマールを低く設定されると、「ああ、それでいいのね」という話になってしまう。そういう部分の懸念があることを踏まえた上で、それでも宿題ですから、ペーパーを出しました。マル1で申し上げましたように、消費生活相談に対する理解と認識の落差が自治体によって違いますとか、都道府県においても非常に格差がありますという話を前提にさせていただきたいと思います。特に今、消費生活相談を民間委託している自治体が大変増えてきました。私どもも、小さい規模の自治体から、あなたたちは専門家でしょうと消費生活相談業務の受託を受けております。それを踏まえた上で、例えば企業へ委託することも実際に行われているところを見ると、どうも効率化という観点で消費者行政を図っているように見えます。そこはいかがかなということを踏まえた上で、下の表についてお話をします。
 基礎自治体と書いてしまったのですが、基礎自治体はピンからキリまであるというのは重々わかっています。本来であれば、最初の御説明にあるように、人口比で分けるとか、中核市でやるとか、やらないといけないのでしょうけれども、一応こうなってほしいということを含めて、現実的でないという非難をあえて承知しながら書かせていただきました。
 窓口は、消費生活センターまたは消費生活相談窓口の開設ということで、広く入り口を周知させる。受付は、週4日と書いたのは、実際には5日やっているところもあると統計では出てきていますが、これはPIO-NETの設置が週4日だというのがありましたので、少なくともこれはやってくれということでここに書かせていただきました。
 消費生活相談及び消費生活相談員については、有資格者を複数配置してください。1人ではだめとしました。消費者に対して助言やらあっせんをするときに、一定の知見を保つためには複数必要です。その消費生活相談員は、当然、レベルアップ研修を普段に受けなければ、足の速い消費生活相談にはなかなかついていけません。それから、消費生活相談マニュアルというのを消費者庁が作られると思いますが、それが配布されたら、それをちゃんと読み込んでしっかり相談を受けてもらいたい。基礎自治体的に言えば、非常に困難な案件については、県や国センと連携して解決を図るのがいいのではないか。当然のことながら、そこは雇止めを行わない。これが、消費生活相談員及び消費生活相談に関しての最低限の目安でございます。
 職員に関して言えば、専任の方はほとんどいらっしゃらないことはわかりましたけれども、兼任であっても、消費生活相談研修というものを是非必須にしてもらいたい。特に相談員を置かないような自治体が出るかもしれませんので、一定の法的知識とか、役割の認識とか、消費生活相談は消費生活相談にとどまるものではなく、それを踏まえて消費者教育、消費者啓発をしないといけないので、そういうことの必要性を認識してもらう。それから、消費生活相談員への支援をしてもらう。そういう職員を配置していただきたい。
 啓発・情報発信について言えば、出前講座とかいっぱい書きましたけれども、職員も消費生活相談員も役割分担しながらこういうことをやっていかなくはいけない。
 それから、連携と書かせていただきましたが、県や周辺自治体との情報連絡会をやって、事例検討をして、今、こういう業者が地域に入っていますという話をする。相談によっては、福祉のほうに回したほうがよければそちらに回すというような庁内連携をやっていく。
 県、国民生活センター、消費者庁等への情報提供。今ここでこういうことが起きているということを伝えていく役割が重要になるということで、相談窓口の開設によって、消費者の相談する権利を守る窓口であることをみんなに知ってもらうためには、存在と役割の周知が必要ということを以下に書かせていただきました。特に、いろいろな窓口を設置したとしても、消費者が消費生活相談窓口に解決を求める傾向にあるので、そこに対応して消費生活相談窓口としての機能を発揮するためには、相談員の資質と知識の維持・向上が不可欠と思っております。
 それから、相談業務の中で消費生活相談というのは、あっせんを重視するのが必要だと思いますが、そういう方向への定着が必要で、「これを誰がやるのか?」と書きましたが、誰がやるのかという主体が実はなかなか見つからない。自治体自身がそういうふうに思っていただければいいのですが、どういう形で持っていくかというのは非常に難しいと思っています。消費生活相談に対する自治体の評価、職員の評価、消費者の評価を、一定のものに保っていかなくてはいけないと思っていますし、消費生活相談で得た知識の地域へのフィードバックが未然防止の決め手ということを書かせていただきました。
 少なくともこのぐらいは必要なのではないか。もちろん、人口比とかはありますけれども、ある意味のあるべき姿というものではないのか。それを実際に自治体の規模によってどういうふうに配分していくか、というのはいろいろあるかと思います。
 それから、中核自治体と書きましたが、マル3に都道府県と書かせていただきました。消費生活相談というのは、労働相談と医療過誤相談以外はみんな受けるのです。そういう幅広の分野で相談を受けています。そういう意味では、都道府県においてはたくさん相談員を雇用しているわけですから、専門分野性を導入し、市町村に対する支援をする必要があるのではないか。当然そこには、アドバイザー弁護士とか、そういうものと連携して法的見解を聴取することが都道府県に求められる。都道府県の職員に対しては、消費生活相談員養成講座の実施、レベルアップ研修の実施、自分の県内の相談員に対する支援を手厚くやってもらいたいと思います。特に都道府県に関しては、連携の最後に書きましたが、法執行等について消費者庁と連携して業務を行っていただくことで、消費者被害の拡大を防ぐことができるという観点からそれが必要ではないかと一応掲げました。
 以上でございます。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 では、仲條委員、お願いします。

○仲條委員 人口規模別にということでしたので、大きく大都市と中小都市の2つに分けて書いてみたのですけれども、大都市のところに記載したことが中小都市には該当しないということではないと考えております。しかしながら、規模別にということでしたので、必要最低限なこととして考えてみました。
 政令市、大都市では、あっせんが十分に行われる相談体制であるかという点も確認が必要かと思います。単に複数の相談員が配置されていても、相談員が数多くの相談処理に追われていて、本当に相談者の身になった対応やあっせんができている状態かどうか。相談が集中して電話がつながらないとか、やっとつながっても満足のいく対応をしてもらえないといったことがないか、といった視点での確認が必要ではないかと思います。
 次に、大都市であれば、消費者教育の充実につきましても十分な対応をすべきで、そのための人員が配置されるべきだと思います。中小都市や町村等の小さいところでは、継続処理やあっせん処理が最低限行えるだけの相談窓口の開設が必要だと思います。町村であっても最低週3日くらいは必要で、そこで相談対応するのは有資格の相談員であるべきではないかと考えます。どこに住んでいても専門的な対応で確実に被害の回復がなされるというところで、自治体間の格差があってはならないと考えます。
 すべての市町村にPIO-NETを配備することが必要だと思います。私は、相談人口を集約して行政処分や法改正に生かしていくことは、行政が消費生活相談を行う上での大きな意義だと思っています。すべての自治体で受け付けた相談を確実に国へ集約し、被害を漏らさず法執行に活用できるようにすべきではないかと思います。
 また、どの相談窓口もPIO-NETの統一ルールに基づく入力で、相談の質の向上にもつながると思っております。PIO-NETの入力をやっていくことで自治体間の格差もなくなっていくことになると思います。PIO-NETの入力によって得られる統計データは、各自治体にとっても大変貴重な財産で、自分のところの実情を把握して他市町村と比較するなど、予算要求や啓発の際の貴重なデータとなっていると思います。
 このような消費者行政の最低限の水準を維持していくには、国からの基金等の財源を有効に活用して土台を築いた上で、自治体の規模に合わせた取組みをしっかり行っていくことが必要ではないかと考えます。基礎自治体としての消費者行政の意義や役割を自覚し、将来は自ら予算と人員を確保していくというふうになるには、担当職員の意識改革やレベルアップが必要ということは実感しています。どのようにしていけばよいかというのは、職員の研修内容の充実も当然のことではありますが、担当職員が研修等を通じてほかの自治体や消費者団体などの関係機関との交流を図ることは、意識の醸成にも有効だと思います。
 国からは、地方への財政支援も必要ですが、先進地からノウハウを持った人を後進地へ派遣するといった人の支援の制度も必要ではないかと思っています。ただお金を送り込むというより、人を送り込むという支援の方法も必要ではないかと考えています。
 さらに、確実に人員が配置される制度ができないかと思っておりまして、例えば教育委員会における社会教育主事のような消費者行政の専門職の創設など、各自治体に必ず専門の行政職員がいるという体制ができれば充実強化につながるのではないかと思います。
 以上です。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 では、吉冨委員、お願いします。

○吉冨委員 よろしくお願いいたします。私は今この資料を見て、私の資料では区分をとらえてこのようにという提言というかまとめにはなっていません。なぜそうなったのかといいますと、この区分の中で提言することがどうなのか。いいことなのか、悪いことなのかが私には判断ができませんでした。というのも、実情に合わないものがまた出てくるのではないか、見えにくい部分があるのではないかというふうに思いました。そういう意味では、結論から言いますが、格差があって、地域差があって、地方自治体というか、一番小さなまとまりのところで願っているもの、こうしたらいい、ああしたらいいというところは、多分すり合わせが難しいのではないかと思いました。
 たとえばちょっと話は別ですが、CO2削減に向けて車に乗らないようにしましょうと言われても、山口県の場合は、「車に乗らないのだったらどうするわけ?」という話にすりかわってしまいます。公共交通機関が発達していないところでは、車に乗るのをやめてくださいと言われても、実際の生活はあり得ないという話なのです。実際、車の保有台数も1位ですし、ガソリンの消費量も一位です。
 では、ほかのことでできるのではないかという話に変わればいいと思うのです。そういう意味で、基準を決めても、これはできないという辺りが出てくるのではないかなと思いました。ですから私としては、枠組みというか何も設けないで、こうだったらいいのではないか、いろいろなメニューの中で基礎の自治体が最終的に選ぶ部分があってもいいのではないか。その組み合わせによって基準とするというやり方もあるのではないかと思いました。
 例えば、行政相談窓口についてはこういうメニューがあります、この中でできることはどうですかという辺りで、最低限ここはしていただくといいですね、という提言の仕方もあるのではないかと思って羅列をしました。いろいろと考えてはみましたが今思うと、書いていないことがいっぱいあります。結論的に言いますと、皆さんの意見をいろいろ聞きながら、基本的にはここはやってほしいけれども、あとは組み合わせを自由にして、この辺りで水準を守っていただくことができます、どうですかという、メニューみたいな提案の仕方があってもいいのではないかと思いました。それですと少し緩やかなものになって、これならできるというふうに前向きにとらえることができるのではないか。やれることが見えてくるのではないか。でも、将来的にはできたらこっちのほうに行ってほしいですねという、大きな目標を掲げる必要はあると思います。
 そういう意味では、誰でも相談ができる、いつでも相談ができる辺りに結びついてはいくと思いますけれども、その辺りで少し緩やかなものがあってもと思いました。先ほど埼玉県の方が、「努める」というのは有効ではなく、「やりなさい」と言うほうがちゃんとやるんですという意味合いのことをおっしゃったと思います。でも、ある程度実行する側に責任もあって、少し選択できて、余裕があってというやり方もあるのではないか。一方的に流れてくるものではなく、下から上に向いていくもの、と言うと例えが変ですけれども、双方向に働きかけながらやっていくものがあってもいいのではないかと思いました。
 そういう意味では県の位置づけが非常に大事になると思います。県が全体を見て、うちの県はここが足りない、ここは補わないといけない、隣の自治体さん応援してくださいねというやり方もあるでしょうし、みんなでやっていこうというスタンスが生まれてくれば、そういう意味での小さなまとまりというか、水準が全体に上がっていくということも考えられるのではないかと思いました。一律に基準を決めると、基礎自治体ではやれるものとやれないものが出てきて、やれないといったときに達成感が味わえないというか、うちは遅れているのではないかという負のほうに行ってしまいます。前を向こうと思ったら、基準の中の選択、選ぶことができるというやり方があってもいいのではないかと思いました。
 私の頭の中のことで羅列はしたのですが、これではなくて、いろいろ検討されて選択肢として残すものがあったら、みなさんで検討することができたらいいのかもしれないと思いました。それか正しいかどうかは私もわかりません。ただ、国で決められたことと現場とが余りにも違うことが多く、どうにかならないかしらという思いが常にあるものですから、ちょっとお話をさせてもらいました。
 以上です。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 本件につきましては、消費者委員会の担当委員である吉田委員からも資料の提出がございます。吉田委員、同じく5分程度で説明をお願いします。

○消費者委員会吉田委員 資料の最後のページになりますけれども、これは、4年くらい前に、人の基準というのはどうあったらいいかということを考えていたことがあって、そのときの古い記憶を引っ張り出しながら改めてつくったものです。
 私が当時勤めていた盛岡市は人口30万人ですが、そこの体制を基準にして考えていったものです。結論は、2万人に1人専任の職員が必要だということを書いていますけれども、先ほど来お話があるように、このような基準を示すことがいいことかどうか。プラスになるのか、マイナスになるのかということももちろん検討する必要があるかと思いますけれども、人口ごとの必要職員数という基準も一つ目安としてはあるかなというふうに思っております。
 ただ、ごらんいただければわかるとおり、単純に相談件数を主な算定根拠として計算した非常に乱暴な数字ですから、2万人が妥当かどうかというのは十分検討しないといけないと思いますし、人口規模が比較的大きい自治体を基準にした数字ですから、そのまま全国で使えるものでは決してないと思っております。
 もう一つ、この中で言いたかったことは、今まで、非常勤とか臨時という身分が不安定な相談員プラス正職員との組み合わせで、消費者行政を体制としてつくってきたこと自体、そもそもどうなのかと思うところがありまして、その体制を維持しながら活性化していくという道を進んでいくのか。それとも、その体制を一から見直すことをこの機にやってみたらいいのか。どちらかというと私は後者のほうで考えていますけれども、そういうことも含めて、相談員が何人だ、職員が何人だということではなく、相談もできるし、あっせんもできるし、政策形成もできるし、国に対してものを言うことができる。そういった強い消費者行政の担当職員が2万人に1人いたら、非常にいいのではないかというふうに思っております。
 先ほど、仲條委員からも御指摘があったとおり、これを普通の行政職がやろうとすると、異動があったり、専門性をどう確保するのかという課題を常に抱えることになりますから、例えば社会教育主事にならって消費生活主事のような専門職という位置づけをして、それを義務化していく。例えば1人以上置かないといけないとか、そんなことをもって強い消費者行政職員をつくっていくこともあり得るのではないかと思います。
 ただ、各委員の御指摘のとおり、一方的な基準みたいなものを示しても、受け取る側の自治体によっては、できる、できないという感覚があると思うので、これならばできるというものを、一定の水準といいますか、地方消費者行政が維持すべきものということで示したらいいのではないかということで考えております。必ずしも具体的に何万人ごとに1人とか、センターが必ずなければいけないとか、そういうものだけにとらわれずに、全体的な検討ができればいいのではないかと思っております。
 以上です。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 きょう御欠席の委員からも資料をいただいていますけれども、ここで5分ほど休憩をとらせていただいて、その後、事務局からそれについて御説明をいただきたいと思います。

(休 憩)
(再 開)

○宇賀座長 それでは、再開したいと思います。
 本日御欠席の沼尾委員と池本委員からも資料を御提出いただいておりますので、事務局から御紹介していただければと思います。

○原事務局長 まず、沼尾委員から御提出いただいた資料から御説明させていただきたいと思います。沼尾先生は今、海外におられて、資料が手元に全然ない中で大変御無理をお願いいたしました。きょうは基本的な質疑をしたいのでということでお願いをいたしました。頭の中で考えたメモ的なものですけれどもということで、御提出をいただいております。簡単に紹介させていただきたいと思います。
 まず、消費者行政が維持すべき最低限のサービス内容・水準の在り方についてということですけれども、矢印が4行目についておりますが、必要なときに必要な支援が受けられる体制の構築は必要だが、そのことは、必ずしもすべての自治体に専門の消費生活相談員や窓口を恒常的に置くことを意味するとは限らないのではないか。
 2つ目の矢印ですが、それぞれの地域におけるニーズを踏まえつつ、住民のニーズに応えうる体制を構築することが必要。相談窓口を設置するほうが望ましいケースもあれば、よろず相談によって対応することで、十分にニーズに応えられるケースもあるのではないか。先ほど、吉冨委員が話されておりましたけれども、いろいろなやり方があるのではないかという御意見です。
 それから、基礎自治体の規模、体力に大きな格差が存在するとともに、住民ニーズも地域によって異なることを踏まえるならば、「どこに住んでいても相談を受けられる体制」をどうつくるかについては、自治体の裁量と判断によって決められるべきであろう。商業政策との連携が必要な地区もあれば、福祉政策と連携することがよりよい場合もあるということで、地域の実情や住民ニーズによって、その展開の在り方はさまざまであってよい。むろん、費用対効果との関係を含めて、サービスが確保されているかどうかについてはチェックする仕組みは必要である。
 そういう前提があった中で、1、2、3と御意見をいただいているわけですけれども、今、御紹介したのが1つ目の意見で、2つ目の意見は、どこに住んでいても消費生活相談を受けられる体制整備というナショナル・ミニマム達成に向けた政策目標と、義務付け・枠付けの見直し論を通じての地方自治体の自主性・裁量性を拡大するという政策目標。これをどういうふうに解決していくかということは課題なわけですけれども、これは必ずしも矛盾しないのではないかということです。
 国が自治体に対して、客観的なサービス供給基準を定めてしまえば、自治体の自主性・裁量性は損なわれることとなるが、目標達成に向けてどのような体制を構築すべきかについて、各自治体がそれぞれ裁量を発揮しつつ、対応できるようにしておけばよいのではないかということで、必ずしも矛盾はしないだろうということです。
 3番目は、PIO-NETの入力事務についてです。これは、第1次の地方消費者行政専門調査会でも建議事項の中に入れていたことではありますけれども、PIO-NETの入力事務については、自治体の裁量以前の問題であり、国として全国的に情報収集を図り、また、それらのデータを全国的に活用するためのものである以上、国負担による対応を図ることも考えられるのではないか。
 これが、沼尾委員の御意見ということになります。
 池本委員からも、きょうは御欠席ということで、少しページ数が多くなって恐縮ですがということでしたけれども、御紹介させていただきたいと思います。
 まず、論点1のところで、地方消費者行政の体制整備の成果と課題ということで、3行目に書いてありますが、人口規模等で見た基礎自治体の類型ごとに、それぞれどのような課題に直面していると言えるのか。
 先ほど丹野委員からもお話がありましたけれども、意見の1といたしまして、基礎自治体の規模による格差以前に、消費生活相談員のうち3資格保有者の割合は都道府県別で見た地域間格差が著しく大きいのではないか。相談員の資格を持っている人たちがどこに配置されているかということは、非常に格差があるのではないかということです。昨年2月、消費者庁が「消費生活相談員資格の法的位置づけの明確化等に関する検討会」を開催されておりましたけれども、そこで公表された資料を見ても、全国平均26%のところ、50%以上の自治体が11自治体もあると紹介されておりますが、これは、私ども事務局の資料でも参考にしていただければと思っております。
 1ページの最後ですけれども、こういうふうにしてはどうかということで、マル1として、地方における有資格者を積極的に育成すること、マル2として、資格取得後の継続的な実務研修により資質の維持・更新を図ること、マル3といたしまして、相談員のコミュニケーション能力を重視した実務的研修を実施するは速やかに実施すべきではないか、という御提案も入れておられます。
 2つ目の意見といたしまして、体制の整備状況の評価に当たっては、人口当たりの相談受付数やあっせん処理割合など、利用者の視点で量と質を比較検討することが必要ではないか。
 論点2といたしましては、先ほどからメルクマールという話が出ておりました。そういう形というよりは、基本的にこういったところまでは最低限提供すべきではないかということでの消費者行政のサービス内容・水準として、規模別にどういうものが想定できるかということを検討していただきたいというふうにしたわけですが、人口当たりの相談受付件数、消費者行政職員、相談員の配置数等の目安を、都道府県と市町村の合計数による目安と、都道府県と市町村の規模別類型ごとの配分の目安を示すことによって、指標化することが適切ではないかということです。
 その下に理由が書いてございます。小規模市町村における人的体制の制約を考えると、一つの配置数の目安だけでは全体をうまく把握できないのではないかということで、都道府県と市町村の合計数による目安と規模別とで考えてみてはどうかという御提案です。
 論点の3ですけれども、国の財政措置の活用期間後、段階的に自主財源化を図っていくことが求められる中で、サービス内容・水準を持続的に提供していくことは現実的に可能なのか。実現するためにはどのような方向が考えられるかということですけれども、上記のような体制整備目標に到達するところまでは、国の財政措置を継続することが必要であるということで、国が責任を持ってある程度の体制整備を図るべきだという御意見です。
 2つ目は、独自財源によって最低限のサービス提供体制を持続するようになるためには、マル1といたしまして、消費者行政職員に対する研修を充実・強化し、自治体内における消費者行政施策の企画・立案能力を高めること。これは、前回も皆様の御意見が出たところですけれども、職員に対する研修の充実・強化。
 マル2といたしまして、地域住民の中に消費者問題に関する知識と行動力を持つ消費者市民を育成する消費者教育を推進することが必要である。職員と、市民の力と言うのでしょうか、消費者団体も含めての消費者市民の力に期待をしたいという御意見です。
 論点4といたしまして、「どこに住んでいても消費生活相談を受けられる体制整備」というナショナル・ミニマムを達成するという政策目標と、義務付け・枠付けの見直しを通じて自治体の自主性・裁量性を拡大するという政策目標を、どのように調和させていくかというところです。3つ目のマルに書いてありますけれども、義務付け・枠付けではないとしても、政策目標としての体制整備の目安と、これを促進する財政支援措置をしばらくの間は継続的に講ずることによって、最低限の整備水準の確保を図るべきだというふうに考えておられます。
 少しはしょってしまって、池本委員の強調したいところと違うかもしれませんけれども、御紹介いたしました。
 それから、後ろに幾つか表や図をつけておりますけれども、これは既に消費者庁の検討会などで提出されております。小さくて見にくいですけれども、消費者庁のホームページからアクセスしていただければ見られる資料ということで、資料の紹介は割愛させていただきます。
 以上、お二方の御意見を紹介させていただきました。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの各委員の皆様からの御説明に基づきまして、意見交換を行いたいと思います。いかがでしょうか。

○吉田委員 主に池田委員と仲條委員にお伺いしたいと思います。10万人規模以下の比較的小さい自治体における消費者行政の体制づくりというところですけれども、今、厚生労働省から生活困窮者の支援制度の法案が出ていまして、それが成立すれば、平成27年度から、恐らく福祉事務所単位になると思いますが、「総合相談支援センター」というものが全国的に設置される予定になっています。そうしたときに、総合相談支援センターの中に消費者行政を入れ込むかどうかというのはそれぞれの自治体の判断になるかと思いますが、小さい自治体ですと、専任の消費者行政の部署を置くのは現実的ではないと私も思っておりますし、ここに入れることによって、全国的に、標準的な形といったものができ上がっていくのではないかというふうにも期待しているところです。
 そこで、例えば人吉市、旭市のほうで、現段階において支援制度ができた後の消費者行政の在り方について、何か検討されているところがあれば教えていただけないかと思います。

○池田委員 その話は、県のほうからモデル事業として受けてみないかというのがあったところでした。ただ、生活困窮者という前提の中で、若者の引きこもりであったり、生活弱者の若者中心ということでしたので、生活支援をすること自体は問題ないと思うけれども、地域的な問題として、大きな企業が人員削減を行っている中に、どれだけの数があるかわからない状態でするのは難しいのではないかということで、モデル事業として受けるのは難しいのではないかと。ただ、正直な話で言うと、NPOが人吉に入って、生活支援の支援センターをつくるということが動いているようです。その説明会が来月辺りにあると思いますけれども、一つの選択肢として、入り口はうちでやっても、その人の抱えている問題が、若者の就労問題であったりとか、引きこもり云々ということであるならば、窓口として御案内できる新たな対応はできるとは思っております。
 保護係のほうとも話はしていますけれども、やはり現実的な問題として、今、人吉市では1人当たり80人程度をケースワーカーが持っています。80という数字は厚労省が出していた数字のぎりぎりの数字だと思いますけれども、現実的に言うと、1か月間に80人の人と常に面談するかというと、無理な話であって、それに新たな事業まで抱え込むのは難しいのかなというところがあります。第三者的なところがそういうセンターをつくってくれるというのであればありがたい。正直、行政側としてはありがたいし、総合相談窓口を目指すうちのほうとしては、次の選択肢なのではないかとは思っています。

○宇賀座長 仲條委員、お願いします。

○仲條委員 総合相談支援センターの事業につきましては、人吉市さんのほうは既にそのようないろいろな検討がされているということですけれども、厚生労働省の事業ということで、私たちの消費者行政担当部署に詳しい話は一切、行政の仕事上ではない状態です。
 ただ、27年から各自治体に総合相談支援センターという構想があるというのを知りまして、私個人の考えではありますけれども、旭市では消費生活センターが総合相談支援センターの役割を担えればいいのではないかと思っています。若者の就労支援ですとか、そういったものが中心であるということですけれども、旭市の商工観光課では労政班というものがありまして、そこでやっておりますし、センターが入っている建物の隣には地域職業相談室などもあって、そういったところでやれる部分があるのではないかと思っています。総合相談窓口として、市の中で消費生活センターも含めてそういったものが確立できれば、生き残っていける道もあるように思います。
 実際に消費生活センターでも、旭市は7万人弱の人口の小さいところですので、総合相談窓口とかよろず相談という括りではないですけれども、実際にはいろいろ相談を受けておりますし、市役所の中で年間300件以上の市民相談を受けているところは消費生活センターしかありません。相談員は、いろいろな相談に対応しているという実績もありますし、情報量も、役所の中のどこの部署に比べても消費生活センターは持っていると思います。もし旭市でそういうことができるのであればいいなとは思いますけれども、実際にどういったものをやるかというのは、人吉市さんのようにまだ私の部署では見えていないので、検討というのはもしかしたら福祉部門でやっているのか、ちょっとわかりません。

○消費者委員会吉田委員 ありがとうございました。相談の現場において相談の内容が、ここ数年、変わってきているのではないかという実感もあります。特に多重債務問題を消費生活の窓口で積極的にやるようになってからは、生活困窮とセットになっていたり、多重債務の背景に精神疾患があったり、家族の問題があったり、雇用の問題があったりということが明らかとなってきましたから、福祉的な色合いを帯びてきているという実態もあるかと思います。今後,比較的規模の小さい自治体の場合、福祉と手を組んで、窓口を統一して,結果的に消費生活の体制も強化されていくという選択肢は大いにあり得るのではないかとも思っています。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 竹中委員、どうぞ。

○竹中委員 仲條委員は、PIO-NETをすべての市町村に配備ということで書かれております。埼玉県は、全市町村あったと思いますけれども、例えば、埋もれている相談を掘り起こすとか、あるいは被害や苦情の実態に迫っていくためには、小さなところの情報は要らないということはなくて、そういうところの情報も集めて全国的に活用していかなければいけないのではないかと思っております。全国で活用する、そして、全国の情報も全市町村で活用できるように、双方向で活用していくことが、被害の実情に迫っていく、相談・苦情の実情に迫っていくためにも必要です。全市町村にPIO-NETを置くべきと思います。財政的な話だとは思いますけれども、やはり最低限のサービス内容・水準の在り方を検討していく際には、こういうものの整備は期待したいと思っております。
 それから、福祉部門との連携ということですけれども、埼玉県では、消費者行政部門と福祉部門との連携が必要だと考えております。高齢者の被害が減らない、あるいは増えているということもありますので、ことしの重点目標といたしまして、全市町村に働きかけて消費者行政部門と福祉部門との連携、安心体制づくりに取り組んでいく。
 体制づくりといたしますと、包括支援センターですとか、民生委員ですとか、社会福祉協議会、あるいは警察なども入るかもしれません。市町村の実情によってつくり方は異なってくるのではないかとは思っております。小さなところですと、何も改めてそういう体制をつくらなくても、来た相談は知っているということもあろうかと思いますし、大きなところでは、やはり庁内的に連携をとって、こういう被害があったということを確実に高齢者に流れるような連絡体制をつくっていきたい。重点目標として今年度は取り組んでいこうと思っております。

○宇賀座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

○池田委員 先ほどから申しますとおり、消費者庁の立ち位置をどこに持ってきているのかというところで、消費生活相談とは何ぞやと言ったときに、現場としては、生きていく上での全部の相談になってしまっているわけです。吉田委員も言われたとおり、背後には多重債務であったり、精神疾患があったり、いろいろな複合の問題が存在しているのが現実です。その中で地方の自治体においては、消費者庁という名前なのかもしれませんけれども、消費者トラブルだけが浮き彫りになってしまって、エレベーター事故であり何なり、そちらの側面だけが走っていったみたいな形で、消費生活というのは本来は、一人の人間が生きていく上での生活をすべてフォローしてあげるものだと私は思います。その中で福祉の問題があったり、いろいろなものがある。
 ですから、そこの立ち位置をきちんとすることで、基礎自治体のほうも、こういう意味なのかということが見えてきて初めて、こういう予算の枠組み、対応の仕方では足らないということが見えてくるのかなと思います。今のところ、立ち位置がはっきりと基礎自治体に見えていない。ただ消費者トラブルが前面に出てしまっているのではないかと思います。本来小さいところでこそ、高齢化が進んでいるところでこそ、きちんとしたフォローをしなければいけないのに、そういうところは、「いや、そこまでしなくても」みたいになっているのではないかと思います。
 逆に消費者庁が、こういうことは厚労省よりも私たちのほうがきちんと考える。その中で消費者庁としては厚労省にバックアップをお願いする、ということをきちんと打ち出していく。きちんと法的な根拠をもって、各自治体が、すべての相談の入り口はうちなんだ、消費生活センターが入り口なんだと。その中でトラブルに対して対応していく。また、きちんと啓発もやっていくということが始まりなのかなと思います。ちょっと立ち位置自体が弱すぎる。消費者庁は、どこに目標を持って、消費生活センターを各自治体に消費生活相談の窓口として置きたいのかというのが弱いのではないか。私はそういうふうに感じています。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 丹野委員、どうぞ。

○丹野委員 おっしゃっていることは共感する部分がたくさんございまして、もともと消費生活センターというのは、例えば買物相談や、消費生活上の知識を教えてください、どうしたらいいんですかという相談を受けているところからスタートしている。その後、悪質商法が跳梁跋扈しましたから、現実に国民生活センターの統計で全国で年間90万件の相談がある。他方、事業者といろいろなトラブルに遭っている人の中で、どのぐらいの人が消費生活センターに相談するかというと、4%、5%のレベルだというのが一向に変わらないという状態が続いている。その中でどちらかというと、消費生活相談員としてはそうでもないと思っていますが、悪質商法がメインで、その他いろいろなトラブルがメインで、それを解決することに注力している。ただ、存在そのものは、消費生活を健全に行うためのプラットフォームみたいなものですから、そういう意味では消費生活相談窓口で情報発信をしていくということは紛れもない事実だと思います。
 消費者庁がどうお答えになるかわかりませんけれども、私どもが消費者庁に期待しているのは、そういう目で見たときに非常に自治体の取組みにばらつきがあって、消費生活相談窓口を置いていないところがたくさんあって、そういうことでいいのだろうか。全国どこに住んでいても、答える窓口が近くにあればいい。どこに住んでいても気軽に相談ができて一定の答えがもらえるところという意味で、それを地方消費者行政と位置づけて、それを支援するのが消費者庁の基本的な立ち位置なのではないか。消費者庁に勝手にこちらが注文をつけているようで申しわけないのですけれども、そういう立ち位置なのではないかと思っていて、それに伴って法執行だとか、企画立案だとか、さまざまなものがありますが、消費者庁ができて3年たっても、必ずしもそこの部分がよく見えないというのは、おっしゃっているところに共感するということを申し上げたいと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

○消費者委員会稲継委員 相談窓口がすべての1,742において整備されていないという実態は、確かに先ほどの事務局の説明でありましたけれども、人口規模別に見ると、10万人以上の自治体においてはほぼ設置されているわけです。すべての基礎自治体に相談窓口を設置しろというスローガンが過去ずっと続けられてきたわけで、消費者庁も、1,742をベースに幾つプラスになったというデータをいつも出されるわけですけれども、私はそれは必ずしも消費者目線には立っていないのではないかと思います。
 人口カバー率で見ると相当割合がカバーされている。先ほど、福祉との連携ということが相当議論のあったわけですけれども、福祉事務所が設置されているのは市もしくは都道府県です。町村において設置されているのは、900ほどある町村のうちの二十幾つかだけです。福祉事務所との連携を高めようと思うと、市レベルには設置が必要だけれども、それ以外の町村については、都道府県が補完的に設置するか(まさに補完性の原理ですけれども)、あるいは、地方自治法上の機関の共同設置、あるいは広域連携等の方法で補うというのが、人口カバー率から見た場合の正しい姿ではないかなと思います。5,000人規模の町村に設置しろと言うのは、町村長にとっては過酷な選択だと思いますので、そこのところは区別して議論をする必要があるのではないかと思いました。

○宇賀座長 どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

○消費者委員会吉田委員 今のお話にも関連しますが、先ほど、仮に2万人に1人ずつの職員をという基準を示したときに、人口2万人の町には1人いたらいいのかということでは決してないと思っています。きちんと強い体制でやっていくには、一センターあたり,ざっと10人ぐらいのスタッフをそろえてやっていったほうがいいだろうと思っています。そういうことからいくと、20万人ぐらいを一つの標準的なユニットという考え方をとって、生活圏とか、地域事情はいろいろあると思いますけれども、そのくらいの規模感でセンターを作り,そこに複数の自治体が入っていてもいいと思います。そのぐらいの規模感でやっていかないと、自治体ごとに小さくたくさんつくっても、弱体のものをたくさんつくるようなイメージで、余りうまくいかないのではないかと考えています。

○宇賀座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

○消費者委員会山口委員長代理 池本委員が細かい一覧表を配られていまして、人口当たり相談件数、相談員、あっせん割合というところで、右から2番目の10万人中相談員が何人いるかというデータです。これを見ますと、徳島県は10万人中5.96人いる。吉田委員がおられる岩手県は地方の割には3.66人で、徳島県よりは少ないですが、比較的いる。ただ、青森辺りは2人足らずだし、先ほど来吉田委員がおっしゃっている2万人に1人ということから言うと、10万人では5人が一つの水準になるのでしょうが、5人を超えているところは非常に少ないので、仮に目途をつくるとなってもなかなか難しいのではないか。
 実は京都の弁護士さんから話がございまして、今、電話会議が非常に活用されつつあるとのことです。京都市内にいる弁護士と、京都府内の地方の相談員と、メインのベテランの相談員とをテレビでつないでもらって、相談者の顔を見ながら一緒に相談するという体制がとれるようになった。システムを導入するのに300万円かかって、これが高いのか安いのか議論されています。
 この辺の水準をどうするかということと、テレビ会議システムとか、吉田委員がおっしゃったように、小さな10万人の市に1人だけポツンといるよりも、むしろ広域的なところで、県のセンターが県内に2つか3つあって、そこに5人ぐらいいて、どこかの市町村の事務所の片隅にテレビがあって、そこに地元住民が来て、テレビで弁護士やベテランの相談員の相談が聞けるというような工夫も、これからはできるのではないかと思います。その辺は、例えば消費者庁の中でどの程度射程に入れられて、今後の工夫として考えられているのか。お聞かせいただければありがたいと思います。

○宇賀座長 消費者庁の方、どうですか。

○消費者庁村松地方協力課長 すべての自治体にというところでは、規模もございますので、難しいところがあります。消費者庁も従前、基金でも、広域連携についてもそれを積極的に支える形で対象にしておりますし、昨年度までは、センター設置を広域連携の対象にしておりましたけれども、今年度は窓口も対象にするという形で、一定の規模をもって窓口やセンターを設置して対応できるようにということを支援してまいりました。今、山口委員からお話があったように、今後ということでは、テレビ会議とか、ITの活用も考えられるのではないかと思っております。

○宇賀座長 小林委員、どうぞ。

○小林委員 今、テレビ電話の話が出ましたけれども、これから人口規模の小さいところへの支援ということに関して、自治体の裁量に任せるとか、判断に任せるということになると、今まで任せていたからこれだけ格差が生じて、しかも、そういうところはお金もなければ人もいない。二重苦、三重苦のような状態でずっと住民が置かれているわけですから、支援というのはこれから継続的にやっていかないと、多分、一様のレベルまで上がっていかないだろう。長い時間がかかるだろうなと思います。
 前にいただいた資料の中に、7年を9年にしますとか、9年を11年にしますというのが出ていました。あれも、自治体の長の意欲があればみたいな書かれ方をされていたのですけれども、意欲のある町村ばかりではないからこれだけ格差が広がっているし、意欲があってもお金がなければ何ともしがたいということがある。ネットワーク化するに当たっては、そういった財政的な支援を継続的に考えていかないと、今と余り変わらない状態になっていくのではないか。
 私も高齢者ですけれども、これだけ超高齢化社会になって年寄りがあふれている中で、自分がだまされていることをどれだけ認識している消費者がいるのだろうか。それを被害として届け出る機会を持っている人がどれくらいいるのだろうかというふうに思うと、悪質業者にとってはもうけどころ、これからの世の中はますますもうかると考えられてしまうのではないかと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 丹野委員、どうぞ。

○丹野委員 消費生活相談というのは、合理性とか効率性という物差しを持ってくると非常に難しいのです。今、御発言がありましたけれども、高齢者の財産被害が非常に多い中で申し上げれば、もちろん、自分の住んでいる自治体に行きたくないという人も一定のオファーがあるから、遠隔地の消費者センターの存在も十分必要ですけれども、ただ、生活圏内に相談できるというのも必要だという声も大変多いのです。
 いろいろなことを考えたときに、先ほど山口委員が、県センターを4か所置いてみたいな話がありましたけれども、それだったら基礎自治体のセンターは要らないのかというと、それはないと思います。テレビ電話というのはあくまで次善の策でございまして、本来は、電話で直接きちんと生の声を聞いたり、フェーストゥフェースで相談を承ったり、じっくり丁寧に扱うというのが基本的なスタンスなので、次善策としてそれを挙げられるのはいいですが、それがオール代替策という方向で行くのであれば、それはちょっと懸念を申し上げたいと思います。

○消費者委員会山口委員長代理 テレビ電話を一回見てください。今はとても映りがよくて、音声もよくなっています。会っているに等しいぐらいリアルですよ。

○丹野委員 私はいろいろなところのADRの委員をやっていまして、ADRというのはテレビでやるケースが非常に多いので、よく存じ上げているんですよ。存じ上げていますが、やはり一定の制約はございます。

○宇賀座長 稲継委員、どうぞ。

○消費者委員会稲継委員 もちろん、次善の策ではありますけれども、電話は別に市町村に限定されませんので、北海道に住んでいても、東京のセンターに電話して相談することができます。フェーストゥフェースのところが問題になってくるわけですが、北海道の町役場で言うと、住んでいるところから町の中心部まで行こうとすると、列車で3時間も4時間もかかるようなところがあります。例えば町役場に窓口を設置したとしても、フェーストゥフェースはかないません。ですから、面積だとか、地形だとか、さまざまな事情が出てくるのです。
 それと、そういった非常に小さな町村では職員数が数十名。30名とか20名とか、そういうところでやっているところもたくさんあるわけです。そこに相談窓口を設置してフェーストゥフェースで人を置けというのは、これは町民にとっても気の毒な話だと思います。それは電話をすればいいし、山口委員が提起されたように、テレビ会議システムを使った、電波を通じてではありますが、フェーストゥフェースの相談ということもあると思うのです。あくまで次善の策ですが、距離的な面を考えると、これがベストな方策になるかもしれないということは、本当に多様性が地方によってあるので、一律に東京から見てこうだという押しつけは私はよろしくないというふうに思います。

○宇賀座長 丹野委員、どうぞ。

○丹野委員 言葉が足りなかったかもしれません。私どもの団体も東京で週末、電話相談をやっておりまして、全国各地から電話相談がかかってくるのです。そういう意味では電話相談の力は重々承知しておりまして、何が何でも全件フェーストゥフェースでやれと言っているつもりは毛頭ありません。零細な基礎自治体が消費生活相談を設けられないという実情も十分承知しておりまして、その上でなら広域連合を全然否定していません。何時間もかけて行けとは言いませんけれども、一番便利なところに自治体が幾つか集まってそこに拠点を置いて、そこで相談窓口を開設するのが地元民の信頼に応えるということは、それはそのとおりではないかというつもりで申し上げたので、何が何でもごく零細な基礎自治体に置けとか、そんなことを申し上げたつもりはありません。
 ただ、テレビ電話が万能だという、もしそういう話になるのであれば、そこは違うのではないですかということを申し上げたかったわけでございます。

○宇賀座長 吉田委員、どうぞ。

○消費者委員会吉田委員 ちょっと続きのような形で、丹野委員の御懸念に少し答えることができるかと思いますが、小さい自治体が集まって広域化してやったほうが合理的だし、うまくできるだろうというのは私もそう思っています。ただ、一方でそのデメリットとして、例えば中心市方式でやった場合、周りの町村が、とにかく金だけ出しておけばいい、中心市が全部やってくれるからということで、余り関心を持たなくなってしまうというのが懸念されています。
 盛岡市は、実は2、3年前から中心市方式で広域化してやっています。人口規模が30万プラス20万になって、50万でやっていますけれども、本当に広くて、お互い行き来するのに1時間半か2時間ぐらいかかるくらいの面的な広さです。その中で、各町村の担当者と顔が見える関係を維持してやっていかないと、このような問題が起きると最初から思っていましたので、定期的に集まりを持って、今の状況はこうですよという情報共有をやってみたり、個別ケースでは、ここまでは広域のセンターで対応しました。この先はそちらの町の福祉サービスなり包括を利用しないとこの町民は困ってしまいます、ですから、この後の引継ぎをよろしくお願いしますということで、ケースを通じてつながっていく。つまり、当事者意識を常に持ってもらうような工夫といいますか、そういったことを意識しながら運営しないと、どうしても金だけ出してあとは知らないという気持ちにもなると思いますから、フィードバックしたり、実際ケースを引き継ぐだとか、そういう約束事のもとにやれば広域化のデメリットも防げると考えています。

○宇賀座長 吉冨委員、どうぞ。

○吉冨委員 広域センターを立ち上げるということで、私の団体が間に入ったことがありますが、ちょっと失敗したというか、平成の大合併があって、成功したところもあるし、何だかんだとすったもんだして合併せずにもとへ戻ったところがあるんですね。そこに消費者センターが立ち上げをしました。周りの町が相談窓口を設置していました。専門の相談窓口ではないですね。よろず相談の窓口だったと思います。それで、どうですかということで県も間に入って調整をしたのですが、やはり合併問題が尾を引いてうまくいかなかったのです。吸収されてしまうというか、そういう思いがあって、合併の何かしこりが残っていました。ですから、広域合併というのはすごく理想的でいいなと思うのですが、不可能なところもあったりして、それをやってくださいと言われても無理なところもあるという一つの事例でした。
 逆に、合併をして大きな市となり、町・村レベルの相談窓口の体制がセンターの中に隠れてしまっているのではないかと懸念しているところもあります。そういう意味で一律にやるというのは非常に難しいのではないかな、把握できないのではないかなというふうに感じています。その辺りで少しお話しさせてもらいました。

○宇賀座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

○池田委員 人吉の場合は、広域連携の協定は結ばずに、人吉はセンターも抱えていますから受けますよということでやっていますけれども、先ほど吉田委員が言われた実例が早速ありました。うちは協定を結んでいませんから、お金ももらっていませんし何もないのですが、基礎自治体で受けられるような相談すら、うちが受けますということで、担当者が代わったことでいきなり振られたわけです。よくよくお話を聞いてみると、基礎自治体がやれる簡単な問題であったのに、振られてしまった。
 広域連携をやっていく場合、基礎自治体は、小さいところなりに地域の住民を守るという責任がある。小さいところまで必要ないとおっしゃいましたけれども、逆に小さいところでも責任を持たせるために、きちんとした表示、ここが相談の窓口ですと。でも、受けられないから、もうちょっと詳しいところに行って、またフィードバックして、あとはうちのほうでちょうだいね、みたいな必要性を私は逆に思います。ただ集合体だけつくってそこに責任を持たせてしまうことになれば、今度は基礎自治体の職員は、仕事が多すぎることによって手を抜いてしまうのも現実です。私もそうします、正直な話。手を抜ける部分でしたら手を抜いてしまいます。五つも六つも抱えていますから。
 そこを考えて、責任の所在というのできちんと持たせる。その責任の所在というのを法制化して、バックアップとして、国としてもきちんとそのためにお金を出しています、だから、あなたたちもきちんとそこの部分はやってくださいというぐらいやらないと、小さい自治体になればなるほど手を抜きたがる。金で済むのだったらということになってしまって、そこの住んでいらっしゃる地域住民のためにはならないのではないかと思います。だから、どのレベルでやっていくかということの、そこのせめぎ合いだと思います。つい1週間前の相談でそれがありましたので、御報告まで。

○消費者委員会稲継委員 今の事例でその相談された方は、地元の町村ではなくて人吉市に電話をかけて、何か不利益をこうむりましたか。人吉市は時間をとられたかもしれないけれども、その消費者の方がそれで不利益をこうむられたかどうか、知りたいのですが。

○池田委員 不利益といえば、その消費者の方は、まず、時間は不利益ですね。最終的には土地の問題だったのです。その税金を納めることができないということでの相談だったので、本来でしたら、その自治体で相談をきちんと聞いてあげられれば、そこの税務課とその方の相談で済んだ用件だったわけですね。それを、うちではわからないから、そういう相談は人吉に行ってくれということで人吉に来られたわけです。
 今、人吉で言われているのは、地方自治の中で他の住民からの相談を受けるならば、ちゃんと負担金を取りなさいと。ただ、私の中でそういうトラブルというのは、生活圏内だから大丈夫ですということは言っていますけれども、監査事務局からは、地方自治体というのはそういうものではないでしょうと言われていて。逆に言えば、消費者の方はそれで満足です。納得して、よかった、助かったと言って帰っていただいたので、それは満足です。でも、地方自治体の在り方とするならば、それが本当によかったのかというと、悩んでいます。

○消費者委員会吉田委員 先ほどの盛岡の例の補足です。今のようなケースも想定されているので、広域でやるに当たっての自治体間の約束事の一つとして、盛岡が中心市方式で広域のセンターとしてやるけれども、基本的に各自治体の担当窓口が必ずある。それをサテライトという位置づけにしています。例えば、盛岡のセンターにある町の住民から電話が入って、こういうことを相談したいと。これは面談して相談したほうがいいというケースであれば、役場からその住民のところに行ってもらうか、あるいは、住民が盛岡に来ると1時間半かかるけれども、役場だったら30分で行けると。役場に行ける状態であれば役場に行ってもらう。そういうことを各担当に担ってもらいますということをコンセンサスを得て、広域化しています。
 お金のこともいろいろありますけれども、一番はそこのところだと思うのです。何でもかんでも中心市がやればいいという意識にならないようにしないといけないと思いますし、それが住民へのサービスにも直接影響が大きいと思います。そこは、工夫で何とかなるのではないかと思っております。

○宇賀座長 ほかにいかがでしょうか。

○丹野委員 全相協でも、相談業務を委託しているところで広域連合をやっているところはあります。やはり協定を結ばないと難しいという話がどうしてもあります。
 それから、サテライトとおっしゃいましたけれども、住民にとって、広域連合されて、あそこまで行くのはとても嫌だというお話であれば、例えばいろいろな手法を使って、自分の自治体のところへお行きになって、そこの役場からファックスを送るとか、そういう形の細かい配慮を行って、そういう形で広域連合をうまくやっていかないと、丸投げしたからうちは知らない、金だけ出してあとは関心を持たないとか、そういう話が聞こえてくるという話にはなります。
 広域連合の目的は何かというと、そこにいる消費者の方、地元の住民の方が、これは便利だ、こういう形で相談を受けてくれれば本当に助かると思ってもらわないといけないと思っているので、そこの部分をどうやって効果を導くかということだと思っております。

○宇賀座長 ほかにいかがでしょうか。仲條委員、どうぞ。

○仲條委員 私も、人口が少ないところの市町村でも必ず窓口を設置しなければいけないかというと、それはなかなか難しいと思います。消費者安全法で、自治体は消費者のトラブルの窓口を持つことが決められていますので、まずは第一に、自分のところの住民を自分のところでどのように救っていけるのか、そういったことを自治体のほうで考えるべきで、その上で、無理だから広域連携でやろうという選択があるのだと思います。
 役所の仕事は、住民にとっては役所や役場でしか行えないもので、住民票を取るのも役所に行くわけですし、消費者相談もやはり自分のところの役所、役場で受け付けるのがいいだろうし、住民票でしたら、ほかのところで受け取るというのはできないわけで、必ず自分のところの役所へ行って受け取るわけです。税の手続も保険の手続も自分の役所、役場でやるわけですから、そういったことを考えて、消費者相談とか、市民の困り事に関するところは、自分のところではできないから連携がいいだろう、というところから入ってしまうと少し違うのではないかなと思います。

○宇賀座長 ありがとうございます。
 山口委員、どうぞ。

○消費者委員会山口委員長代理 池田委員と仲條委員にお聞きしますが、確かに人材も予算も限られている10万人未満の市あるいは町で、先ほど来、広域連携とか、私や稲継委員はテレビ電話とか言っているわけですが、やはり現場に近いところに担当者がいたほうがいいと思います。限られた予算、人員の中で、人を配置する工夫というのはどういうふうにしたらできるのか。消費者庁からの財政的、あるいは何か予算補助があればいいかもしれませんが、800もの市に200万円ずつ援助というのをこれから10年間やるというのは、なかなか難しいと思います。その辺は実現可能性のある在り方として、どう考えたらいいでしょうか。

○池田委員 私は公務員の質だと思います。行政職員の質だと思います。私は役所に入ってことしで25年目に入りますけれども、やってきた仕事は、生活保護のケースワーカー、納税の徴税吏員、差押え担当の職員と今の相談。経済畑にも3、4年ほどおりましたけれども、基本は全部現場なのです。そういう現場ばかり歩いてきた職員というのは、必ずどこの自治体にもいると思います。その人間というのは必ず、どこのポジションにいてもトラブルを抱えている人というのは見えているわけです。そういう職員がどこの自治体にもいるはずです。
 特に小さい自治体になればなるほど、兼務もいろいろ仕事をやってきて、そういうことを見てきていると思うのです。その職員をどういうふうに基礎自治体の長が取り扱うかということだと思います。相談員を新たに配置するのではなくて、そういう経験者、それなりの年齢に達した方をポンと置いておけば、ある程度対応はきくのではないか。奄美の禧久さんですか、ああいう方はスペシャリストですね。現実にいらっしゃるわけです。でも、そういう人たちを基礎自治体がどう評価しているのかということだと思います。どこの自治体でも現場のスペシャリストというのは必ずいるはずです。それなりのポジションを与えて、その人たちにより給料を与えてあげれば、その人は一生懸命頑張ると思います。好きですから。私はそう思います。

○仲條委員 私も全く同じように思います。あと、基金があっても、それを活用せずに窓口もつくれなかったところとか、小さい規模の自治体もあったと思いますけれども、やはりそれは消費者行政の必要性を担当職員が理解できなかった、理解する時間もなかった。そういった部分が大きいと思います。
 自分の資料で、お金を国からもらうだけではなく人の交流をということを書いたのですけれども、私の場合はたまたま担当になったとき、旭市の消費者行政というのは、窓口も週1日しか開設していませんでしたし、本当にお粗末な状態のところの担当になったことがかえってよかったと思っています。相談員と一緒に相談を受けたり、相談員がいない日は自分も相談を受けたりとかしながら、消費者行政や消費者相談の意義とか役割を相談員さんに教えてもらいながらやってきて、長い年月かけて重要性を理解できるようになってきたというところがあります。
 お金を回すというだけではなく、例えば、国センの巡回訪問などは相談員にとっても有益で、地方にとってもありがたい事業でしたが、行政職員にもそういう交流のようなものがあって、職員自体がその重要性に気づくことで、役所の上司を説得して予算を取りにいくとか、財政課に対して説明できるというふうになれば、全く小さい自治体だから難しいということでもないのではないかと思います。基金が始まる前も、人口2万人以下のところでもセンターを設置して先進的に十分やっていたところもあると思いますので、そういったところの違いを考えてみると、そういう部分ではないかと思います。
 先ほど、相談員のストレスというお話もありました。件数が少ないところに相談窓口を設置して、税金を使ってと嫌味を言われるということがありましたけれども、消費者行政の重要性、困っている人の相談を受けることだけが消費者行政と思われているので、それに対してもそうではないと言える職員がいて、上司を説得して、財政課を説得して、予算を取りに行けるようになるのがいいのではないかと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 吉田委員、どうぞ。

○消費者委員会吉田委員 今の山口委員の答えになるかどうか、小規模な自治体で専任の職員なり相談員を置くというのは相当ハードルが高いことだと思います。どうしても兼務にならざるを得ないと思います。1人の職員がいろいろな業務を抱えていて、その中に消費者行政も入っている。正直、消費者行政はやってもやらなくても余り影響がないというふうにも扱われがちで、ほんの片隅にあってほとんど何もやっていないというのが兼務の実態かと思います。
 先ほどの盛岡の広域の一つの例として御紹介すると、ある町に消費者行政を担当する職員がいて、その職員は、財政をやりながら、広報をつくりながら、それにも細々と事務があって、ほとんど消費者行政というのはやられていなかった。ところが、広域化をしていこうという話し合いを1年間続けてやっていく中で、プレとして、そちらの町のケースがあるので一緒にやってみませんかということでお誘いし、交渉の場に同席してもらったり、住民との連絡をやっていただいたのです。その結果、段々に、その職員自らが交渉の担当を部分的にやってくれたりして、消費者行政のその方の兼務の割合が多くなってきたわけです。御自身も初めてのことで大変な思いをされたと思います。そして、一つケースが起こると、自分たちがすごく大変で時間もとられるから、啓発を一生懸命やって、そもそも被害に遭わないようにしたほうが合理的だろうと。そんなふうに考えてくださって、広報に毎月、消費生活のコーナーを新しく設けたりするようになっていったわけです。そういうことからいくと、兼務職員に意識的に働きかけをしていくという工夫をすることによって、消費者行政に割く割合を増やしていくことはあり得るし、そういうやり方が現実的かなと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 きょうは、最初に資料1で実態について事務局から御説明いただきまして、人口の規模とか財政力等々で、消費者相談の体制について非常に大きな格差があることが明らかになったわけです。そこで、人口規模、財政力の弱いところで、どうやって消費者の相談体制を底上げしていくのかという課題について、今日いろいろな御意見をいただきました。一つの選択肢として広域連携があり、それから、都道府県が補完事務として、市町村では十分できないところを都道府県が補完していくやり方があることが指摘されました。ただ、広域連携の在り方についてはいろいろな御意見が出まして、そのあり方についてはいろいろと気をつけていく必要があるといった御意見も出ました。
 それから、消費者相談について専門的な資格を設けて、それを必置にしてはどうかという御意見も出ました。他方、地方分権の流れの中で、いわゆる必置規制、一定の機関を自治体に置くとか、ある一定の職を自治体に置くことを法令で義務づけることは、地方の自主性・自立性の尊重という観点から、基本的に廃止していくという流れがあるので、それとの政策的な調整をどういうふうに図っていくのかという問題もございます。
 地方自治法上、広域連携について多様なメニューがありますけれども、消費者行政の分野で、どういったメニューを使ってどういった広域連携が実際に行われていて、それについて、できれば評価というところも含めて調べて資料を出していただければ、また議論を深めていけるのではないかと思います。次回までに、事務局に、できる範囲で調べていただければと思います。

≪4.今後の進め方≫

○宇賀座長 最後の議題、今後の進め方ですけれども、事務局に、次回以降の検討テーマについて検討いただきましたので、御説明をお願いします。

○原事務局長 本日の議論がどういうふうになるかわからなかったので、ペーパーとしては用意しておりません。本日の議論を聞いておりまして、3つぐらい、次回以降の検討テーマとしたいと思います。きょうは、基礎自治体について、しっかり現状分析を見ながらお話をしていただいたと思っておりますので、本日出されたいろいろな課題を整理して、また改めてお示ししたいと思っております。人口規模程度のやや類型も考えて、少し整理をしてみようかと思います。
 2つ目は、既に広域連携の話が出ておりますけれども、どういうふうにすれば充実・強化できるか、底上げができるかというので、さまざまな工夫がされているところです。広域連携も、基礎自治体間、都道府県による補完というのがありますし、庁内で消費者行政を強めていくというのもあります。よろず相談の窓口化としてやっていくとか、部局横断的に体制を強化していくとか、いろいろな工夫もありますので、そういった事例について分析、ヒアリングを行って、この場にお示ししていきたいと思います。
 それから、次々回以降になると思いますけれども、サービス内容・水準を将来にわたって維持するために、基礎自治体への支援策の在り方、これを行うための国・都道府県の役割分担の在り方についても、ヒアリングなどを通じて具体的に検討していきたいと思います。
 次回は、連休明けすぐの5月16日を予定しております。実際にはヒアリングなども考えていきたいと思っておりますけれども、事務局としてどこまで準備できるかで少し前後するかもしれませんけれども、本日出された御意見を下敷きとして考えていきたいと思っております。何かさらに御意見がありましたら、お願いいたします。

○宇賀座長 今、原事務局長から、次回以降の検討テーマについて御説明をいただきましたけれども、皆様のほうから何か御質問、御意見、ございますでしょうか。
 小林委員、どうぞ。

○小林委員 話を聞いてくださるのでしたら、是非、極小の基礎自治体と言われている小さなところの方のお話を聞いていただきたいと思います。離島とか過疎地ということで限定したのは、そういうところにまで及ぼさないと消費者庁が書かれている目標は達成できないと思いますし、センターをつくったり窓口を置いたりという、そういうことだけではない解決の方法がいろいろあるかもしれませんので、是非お願いしたいと思います。

○宇賀座長 ありがとうございます。
 山口委員、どうぞ。

○消費者委員会山口委員長代理 きょうおいでにならなかった沼尾委員と池本委員、両方から指摘がありますが、いわゆるナショナル・ミニマムの達成に向けた政策目標を出すということと、義務付け・枠付けの見直しを通じて自治体の自主性・裁量性を拡大するという政策目標とは必ずしも矛盾しないとされています。勿論、自治体に対して、地方消費者行政について具体的に何か義務付けをするということはあり得ないわけですが、自治体の自主性、やる気を持っていただくようにしながら、かつ、スタンダードを提示するのがいいことなのか、悪いことなのか。冒頭にも、逆に水準を下げることになるのではないかという議論もありましたけれども、ナショナル・ミニマムを提示することは妥当性があるのかどうか。仮に出すとしたら、どうしたらいいのか。その辺も、もし可能であれば御議論いただければと思います。

○宇賀座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 きょうは、たくさんの貴重な御意見をいただき、まことにありがとうございました。皆様からいただいた御意見をもとに、事務局のほうで次回以降の議題と具体的な内容について検討を深めて、用意していただければと思います。
 それでは、本日の議論は以上とさせていただきます。
 今後の予定について、事務局からお願いします。

≪5.閉会≫

○原事務局長 熱心な御議論をありがとうございました。
 次回の専門調査会は、5月16日(木曜日)午前9時半から開催したいと思います。議題等につきましては、決まり次第、御連絡させていただきます。
 事務局からは以上です。

○宇賀座長 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。御多忙なところをお集まりいただきまして、熱心に御議論いただき、どうもありがとうございました。

(以上)