第3回 特定保健用食品の表示許可制度専門調査会 議事録

最新情報

日時

2011年5月24日(火)10:00~11:30

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【専門委員】
 山田座長、梅垣委員、宗林委員、寺本委員
【担当委員】
 佐野委員、田島委員
【消費者庁】
 食品表示課 平中課長補佐(総括)
 食品表示課 横田特定保健用食品審査官
【消費者委員会事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.論点整理において「消費者庁において早急に対応すべき方策」とされた論点への対応について
3.報告書骨子案について
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:50KB)
【資料1】消費者庁説明資料 (PDF形式:556KB)
【資料2】「特定保健用食品の表示許可制度専門調査会」報告書(骨子案)(PDF形式:81KB)
(参考資料)特定保健用食品の表示許可制度専門調査会の今後のスケジュールについて (PDF形式:91KB)


≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間が参りましたので、始めさせていただきたいと思います。
 本日は、皆様、雨の中を朝早くお集まりいただき、大変ありがとうございます。ただいまから第3回「消費者委員会特定保健用食品の表示許可制度専門調査会」を開催いたします。
 本日はすべての委員に御出席をいただいております。
 それでは、議事に入る前に、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。「議事次第」と書かれた紙の下の欄に配付資料を載せております。
 資料1といたしまして消費者庁の現段階での取り組み状況についての御説明の資料。
 資料2といたしまして、後段御議論いただく予定にしておりますけれども、「特定保健用食品の表示許可制度専門調査会」報告書の骨子案、座長試案という形でお示ししております。
 それから、参考資料といたしましてこの専門調査会の今後のスケジュールということでお付けしております。
 不足がございましたら、事務局までお申し出いただけたらと思います。
 では、山田座長、議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。

○山田座長 皆様、おはようございます。
 それでは、議事に入りたいと思います。本日の議事は「論点整理において『消費者庁において早急に対応すべき方策』とされた論点への対応について」、まず、消費者庁へのヒアリングを行います。その後に報告書案、座長案としてですけれども、審議を行いたいと思っております。

≪2.論点整理において「消費者庁において早急に対応すべき方策」とされた論点への対応について≫

○山田座長 それでは、1つ目の議事に入ります。昨年8月にとりまとめられました健康食品の表示に関する検討会の論点整理において「消費者庁において早急に対応すべき方策」の中に、特定保健用食品の表示許可制度に関する項目が挙げられております。このうち本専門調査会の検討事項に関連する部分について、消費者庁より御説明をお願いしたいと思います。
 それでは、よろしくお願いします。

○平中課長補佐 消費者庁食品表示課でございます。資料1に沿って御説明いたします。
 まず最初に、特保の現在の許可手続の現状を簡単にご説明いたします。
 2ページ目、特保の許可件数でございますが、現在累計955件となっております。消費者庁に制度が移管された当初、若干混乱がございまして許可件数は減っておりますけれども、現在は許可手続をスムーズに進めているところでございます。
 3ページ目、特保を許可されたものにつきまして、どのような保健の用途を許可しているかというものを保健の用途の類型別にまとめております。一番多い類型が一番上でございまして、「おなかの調子を整えます」あるいは「お通じの気になる方に適しています」というものが最も多く、350件となっております。以下、血糖値、血圧などの関係が続いておりますけれども、最近の傾向を見ますと「コレステロールの吸収を抑える働きがあります」あるいは「体脂肪が気になる方へ」というような許可表示が増えてございます。
 4ページ目、平成21年9月に消費者庁が設立されて、特保の許可手続は厚生労働省から消費者庁へ移管されたわけでございますけれども、それ以降の申請件数、許可件数の推移でございます。消費者庁設立以降、申請件数が102件ございます。このうち許可件数が114件となっておりまして、数字が違っておりますのは、厚生労働省が所管していた当時に申請を受け付けたものについて、そのまま消費者庁が引き継いで許可をしているものが多いからでございます。消費者庁設立以降に特保の申請を受け付けたものについてもいくつか許可はしていますけれども、引き続き消費者委員会あるいは食品安全委員会で御審議いただいているもの、あるいは消費者庁で審査中のものが多数ございます。
 5ページ目、第1回の調査会でも御報告させていただきましたけれども、昨年8月にとりまとめました「健康食品の表示に関する検討会」の論点整理の概要でございます。この論点整理は、消費者庁において早急に対応すべき方策と消費者委員会において更に議論いただく課題という、大きく2つに分けております。左側が消費者庁において早急に対応すべき方策としておりまして、大きく特保の制度の関係と、その他いわゆる健康食品の表示規制の関係に分けております。
 特保の表示許可につきましては大きく3つ課題を挙げております。1番が特保の表示許可手続の透明化、2つ目が許可後に生じた新たな科学的知見の収集、3つ目が保健の機能を適切に伝える表示・広告方法という項目について対応しております。そのほか、いわゆる健康食品については虚偽・誇大な表示・広告規制の効果的な執行などについて検討しているところでございます。
 現在の検討状況が6ページ目でございます。先ほど御説明しました、消費者庁において早急に対応すべき方策の1つ目といたしまして、特保の表示許可手続の透明化を挙げております。具体的には、公表すべき情報の範囲あるいは審査基準の明確化とを図るべきということが論点整理にとりまとめられております。その具体的な内容を検討するため、現在、消費者庁が受け付けております特保に関する情報公開請求の内容や傾向、あるいは特保の許可類型の1つであります再許可品目、あるいは許可しているけれども実質的には失効しているような品目の取り扱いというようなものについて、これまでの運用状況、あるいは現在の許可品の実態などの傾向を把握しているところでございます。これらの内容を把握した上で情報の公表の考え方、あるいは審査基準の明確化というような作業を進めていきたいと考えているところでございます。
 2つ目ですが、新たな科学的知見の収集を図るべきという論点整理のとりまとめにつきましては、現在この調査会におきまして新たな科学的知見の収集についての議論をまさにしていただいておりますので、こちらの議論の方向なども踏まえた上で引き続き検討していきたいと考えているところでございます。
 それから、マル2でございます。特保を含む健康食品の表示・広告の在り方について整理しております。論点整理では、特保につきまして特保の広告に係るガイドラインの作成、あるいはその他いわゆる健康食品につきまして虚偽・誇大な表示・広告のガイドラインを作成するというような提案を挙げております。
 ただ、これらにつきましては、特保とその他の健康食品を完全に分けて議論するというのもなかなか難しいと考えております。特保につきましても、いわゆる健康食品につきましても、そのパッケージ、容器包装での表示の在り方はどうすべきか、あるいはテレビでのCMなどの広告の在り方をどうすべきかというようなことは、全体をセットで考えないといけない。更にその法律の適用となりますと、健康増進法に基づく虚偽・誇大広告に当たるかどうか、あるいは食品衛生法施行規則の禁止事項に当たるかどうかというようなことも全体で考えないといけないということでございますので、特保を含む健康食品全体について健康増進法などの法令適用の考え方を現在整理しているところでございます。
 特に特保につきましては、許可された表示の範囲を超えるような表示・広告について法令上どのような適用が考えられるかということ、あるいは特保の食品について許可されていないその他の保健の用途の表示がされている場合にどのような法適用があるか、更に特保以外のものについて特保のような用途の表示がされている場合にどういう法適用があるかというようなことについて、全体像を見ながら検討しているところでございます。
 このほか表示・広告の在り方につきましては、第1回でも御説明しましたとおり、健康増進法の虚偽・誇大広告の取り締まりと、景品表示法に基づく優良誤認表示に対する取り締まりを連携していくということで、実際に効果的な執行の推進を行っているところでございます。このほかインターネットの監視業務などを強化しております。
 7ページをごらんください。消費者庁ではインターネット監視業務の強化を行っております。今年度3回に分けて監視・要請を行うということにいたしまして、今年2月に第2回目の要請をしております。これにつきましては基本的にはいわゆる健康食品を対象にしたものでございますけれども、その中で特保のような広告があるものについても要請の対象としております。
 今年2月に要請した内容につきまして、8ページ目に指導事例を挙げております。いわゆる健康食品あるいはその他飲料、加工食品など、幅広い商品につきましてさまざまな表示がございました。これらにつきまして事業者に対し、あるいはインターネット管理者を通じまして改善の要請を行っているところでございます。
 9ページでございます。論点整理に挙げられております方策の1つといたしまして、一定の機能性表示を認める仕組みの研究がございます。これにつきましては今年度消費者庁として予算を付けておりまして、食品の機能性評価モデル事業ということで現在受託事業者の選定作業を行っているところでございます。これにつきましては10成分程度の新たな成分につきまして、その機能性がどの程度認められるかというようなものの科学的な評価をしていきたいと考えております。この評価を踏まえまして、可能であれば更にそれらの食品の機能についてどのような表示ができるかというようなことを考えていって、将来的には制度化も視野に入れて検討していきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。

○山田座長 ありがとうございました。
 ただいまのお話に御質問あるいは御意見のある方は忌憚のない発言をお願いいたしたいと思います。どなたかございませんでしょうか。
 どうぞ。

○宗林委員 2点ほど確認させていただきます。5ページ、特保の表示許可制度の中で、公表すべき情報の範囲や審査の基準を統一というようなことも書かれていますけれども、これは何か着手されていますでしょうか。
 それから、もう一点ですけれども、3ページに表示できる保健の用途の例ということで表現が書かれておりますが、個別の審査の内容を見ていますと、消費者庁というよりも消費者委員会の専門調査会かもしれませんけれども、必ずしもこれだけではなくてほかの表現も認めているように私は理解しています。それでよろしいでしょうか。

○平中課長補佐 1点目でございますけれども、6ページの1つ目の項目でございます。現在消費者庁で行っておりますのは、公表すべき情報の範囲をどのように考えるべきか、審査の基準の統一に向けて明確化をどう図っていくかというような検討をするに当たりまして、まずは現状の調査、現状の把握をするという段階にございます。具体的には、公表すべき情報の範囲を考えるに当たっては、現在消費者庁にも多数寄せられております事業者からの情報公開請求の内容、それに対してこれまで消費者庁、あるいは過去に厚生労働省がどのような内容を公開してきたかというようなことの把握をしております。それから、審査基準の明確化につきましても、現在、消費者庁あるいは消費者委員会、食品安全委員会においてどのような審査を行って、どのような表示を認めてきているかというような、これまでの傾向や実態を調査しているところでございまして、これらを踏まえて審査基準の統一などを図っていきたいと考えているところでございます。
 2点目の御質問ですけれども、3ページ目の表示できる保健の用途例というところですが、これは実際にこのような表示を許可した例があるということでございまして、特保の制度はどのような表示を許可するかということで、まず申請者がその表示の案を出してきて、それに対して適切な表示内容となるような修正を行うということですので、申請内容によっては表示内容が若干異なっていることはございます。ここに挙げておりますのはそのうちの典型的な例でございまして、実際にはいろいろなバリエーションがございます。

○山田座長 ありがとうございます。
 そのほかにはございませんか。
 どうぞ。

○梅垣委員 現在、特保で許可されているものというのは、基本的には生活習慣を改善するものです。要は特保を消費者庁がどう持っていくかというのがよく見えない。食品で病気が治るとかいうのは、基本的には表示できないはずです。そのときに特保で、例えば生活習慣を改善する動機づけとして使うとか、そういう方向が見えるのであれば特保は役に立つという考え方ができると思います。そうするとやはり国の健康政策とか栄養政策と合っていないといけない。ただ単に表示だけを認める認めないというだけなら、非常に混乱すると思います。そのところを消費者庁はどう考えられているかという質問がまず1つです。
 それから、新たにいろいろな機能性表示を検討すると考えられていますけれども、今の特保とか栄養機能食品でさえいろいろ問題がありますが、ここで示されている新たに機能性表示を認めるというのは、どこに受け皿を考えられているのかをちょっとお聞きしたいと思います。

○平中課長補佐 1つ目の御質問でございますけれども、基本的な考え方としまして、この特保の制度というものが健康増進法に位置づけられた制度である以上は、先生が御指摘のように、健康政策につながったものとしてこの制度はあるべきだと考えております。ただ、生活習慣病に関係するものが許可表示の多くの例でありますけれども、必ずしもそれに限っていないという現状もございますので、そこは事業者、消費者のニーズなども勘案して許可表示が増えていく、あるいは変遷していくことはあり得ると考えております。
 それから、2点目でございますけれども、新たな機能性の表示の可能性というところでございますが、これは昨年まで開催いたしました「健康食品の表示に関する検討会」におきまして、多くの委員よりこれまで特保で認められてきた成分以外にも機能性の科学的根拠の明らかな成分がたくさんあるというような御意見、あるいはそのような科学的根拠の明らかな成分があるのであれば、その根拠に基づく一定の表示は認められていいのではないかというような御意見が、消費者サイドあるいは事業者サイドより多く出ておりましたので、これを踏まえましてどのような成分にどのような科学的根拠のある機能があるのかを中立的な立場から見てみようということで今回事業化しているものでございます。今後の制度化というのは、まずこのモデル事業によって機能性の評価をしてからどのような制度設計があるかを考えるべきと考えておりますので、現時点で受け皿をどうするかというところまで考えているものではございません。

○梅垣委員 もう一点ですけれども、健康食品のネット監視をされているということですが、これは薬事法違反が主だと思います。最近背が伸びるとかいった商品が問題になりましたけれども、これも薬事法違反です。健康増進法だけでの監視は、なかなか難しいと思います。薬事法は厚労省が持っているわけですから、厚生労働省との連携みたいなものはどう考えられているんでしょうか。

○平中課長補佐 ネット監視の内容につきましては厚生労働省の薬事法の担当部局とは連携して対応しております。具体的には消費者庁の方で監視いたしまして、まずは消費者庁の方から改善の要請を行う。それによってもなお改善がされないようなものについては、薬事法違反の恐れの高いものについて厚生労働省の方へ情報提供するというような仕組みを厚生労働省との間でつくっているところでございます。ただ、これまでの指導事例では消費者庁からの1回目の改善要請ですべて改善が図られておりましたので、まだ厚生労働省へ情報提供した事例はございませんが、今後そういうことがあれば適切にやっていくという予定でございます。

○山田座長 よろしいですか。
 そのほかにはございませんか。
 では私から。1つ目が、6ページ目にある「現在の検討状況」で、「マル2特保を含む健康食品の表示・広告の在り方の整理」ということですけれども、広告という場合に、厚労省との連携もあるでしょうけれども、消費者庁としては具体的にはどこまでを広告と考えているんでしょう。何か定義みたいなもの、広告とはこういうものを指すというのは一応明確にしているものなんでしょうか。

○平中課長補佐 6ページに「表示・広告」と書きましたのは、実は健康増進法上表示と広告というものを明確に分けていないということがございます。健康増進法32条の2では「広告その他の表示」となっていて、広告とは表示の一部であるというのが法律上の位置づけでございます。そうしますと広告よりも表示の方が広い概念でございまして、その表示は何かといいますと、当然パッケージの表示も入りますし、テレビコマーシャルや新聞広告、あるいはチラシだとか、およそ我々が考えられる文字による表示はすべて入り得るというようなかなり広い概念でございます。具体的にどのようなものが入るかということについては通知上いくつかの例を挙げておりますけれども、およそあらゆる表示が入り得ると考えていただければ結構でございます。

○山田座長 広告を表示がカバーしているという考え方でいいですね。

○平中課長補佐 はい。

○山田座長 もう一点、私の方からなんですけれども、自分も調査会等に出ておりまして時々考えるんですが、5ページ目の「消費者庁において早急にすべき」という左の欄の「(1)特保の表示許可制度」のマル1の2ポツ目ですけれども、「公表すべき情報の範囲」は先ほどの御説明でよくわかりました。「審査の基準を統一」という場合の審査の基準というのは、今、よく挙げている安全性の試験、それから、ヒトに対する有効性といったものなんでしょうか。それとも一つひとつの安全性の試験のやり方はこうある、あるいは有効性のやり方はこういうものであるという大変具体的なところを指しているんでしょうか。

○平中課長補佐 安全性や有効性の求める内容を事細かに決めていくということはやはり難しいと思っておりますので、安全性や有効性を評価するために必要となるエビデンスのレベル、必要となる試験内容のデザインについて、具体的には現在でも消費者庁の方から通知を出しておりますけれども、更にその試験デザインなどを明らかにしていくということで、審査に必要なエビデンスレベルを一定程度確保したいと考えているのが1点でございます。
 もう一点、審査の内容につきまして現在考えていますのは、パッケージの表示につきましてもいろいろな議論があって、ここまでの表示ならば認められるけれどもこれは認めないというようなことが事例としては積み重なっておりますが、それがなかなか体系化されていないというような点があるかと思いますので、そこは通知やガイドラインなどによって、どのような表示はできるけれどもこれはだめだというようなことを明らかにしていきたいと考えております。

○山田座長 ちょっと多くて申し訳ありません、9ページ目の今度の食品の機能性評価モデルの事業は新規ということでありますが、これは今後すぐには、1年2年ではということもありますけれども、この事業は継続的に続けていくお考えなんでしょうか。例えば2年で終わり、3年で終わり、あるいは今年で終わりというような、そういったことは予算絡みで大変難しいと思います。そして新たなヘルスクレームといった場合には、今まで入っている特定保健用食品の中にこういうものがスポッと入るのかどうか、あるいは入りにくい場合にはまたジャンルを少し考えながら決めていくものなのかといったところを、展望でも構いませんので少し教えていただければと思います。

○平中課長補佐 この機能性評価モデル事業は単年度の事業でございまして、今年度中に評価結果が出るものでございます。少なくとも来年度もまた同じような事業を行うということは考えておりません。今年度の評価に基づいて新たな制度設計の検討を行うために、もし何か更に評価を深める、あるいは分野を限定して評価をする必要があるのであれば、それは来年度も何らかの予算要求をするということは考えられると思いますけれども、これについては来年度予算要求に向けて消費者庁で現在検討しているところでございます。
 それから、でき上がりの仕組みについて、まだこちらの方でもどのようなものが望ましいということは全く考えているものではございません。例えば現在の特保の仕組みを広げるということは十分あり得ると思いますし、特保以外に何らかの仕組みをつくることもまたあり得ると思いますので、そこはこの評価事業の結果を見ながらさまざまな制度の可能性について考えていきたいと思います。

○山田座長 ありがとうございました。
 そのほかに何かございますか。
 どうぞ。

○宗林委員 すみません、2点。1点は先ほどもご質問させていただき、座長からもお話があった審査基準の明確化というところです。厚労省からもガイドラインが出ていたと思いますけれども、例えば3ページの分類ごとの保健の用途と表示内容、健常者の境界域というのはどの辺の方を対象者としてヒト試験をやっていくのかとか、n数の統一であるとか、期間等々保健用途別に決めていくところまで消費者庁さんの方で明確化を考えていらっしゃるのか、あるいはそれは専門調査会の方ということであればどこまでを明確にしていかれるのかということをもう少し具体的にお聞かせいただきたい。
 それから、先ほどの表示と広告のところですけれども、私の概念とは全く違いまして、表示の方が一般的には狭い範囲、いわゆる商品の表示、外箱ですとか同梱されているものの範囲を表示、それ以外の例えばPOPとかチラシだとか、ネットもそうですけれども、それを広告といって広い範囲でとらえると私は理解してきたんです。そこは大分違うようですけれども、その辺はどうなんでしょうか。もう一度御説明をお願いします。

○平中課長補佐 1点目の御質問ですが、審査の基準統一に向けて、委員がおっしゃるような試験のデザインというものを明らかにしていく、事業者に要求する試験のレベルを明らかにしていくことが必要になっていくと思います。これは5ページの論点整理のマル1の1つ目にも書いていることでございまして、「審査に必要かつ十分な試験デザインの枠組みを提示」するということを更にやっていくことによって、審査基準も明らかになっていくかと思います。これも厚労省時代からさまざま試行錯誤してきたところでございまして、なかなか一概に示しにくいために現在のような通知になっているという実態もございますので、どこまで可能かということは消費者委員会の新開発食品調査部会の方でもぜひ御議論いただいた上で決めていきたいと考えております。
 それから、2つ目の表示と広告ですけれども、確かにこれまでの大まかなイメージでは、表示というのはパッケージの表示、広告というのはその他テレビコマーシャルや新聞での広告というような認識がございましたが、法律の適用ということを考えていくと、健康増進法には明らかに「広告その他の表示」と書いていますので、実は広告よりも表示の方が広い。パッケージに限らず、およそ何か文字に書いているものは全部表示であるという。文字に限らないです、図柄もありますけれども、表示の方が広いというのは健康増進法の考え方ですので、法令適用の整理をしていくに当たっては、そのような表示の方が広いという前提で、今、検討しているところでございます。

○宗林委員 そうすると、広告の中にはPOP表示であったり、あと店頭で配られるチラシとかも表示ということですね。私は表示はパッケージだと思っていましたけれども、今のお話だと文字になっているチラシとかPOPとか、そういうようなもの、例えば販売店独自につくられたようなものも表示ということでしょうか。

○平中課長補佐 少なくとも健康増進法上の表示に該当します。

○山田座長 何年か前、7~8年前だったと思いますけれども、栄養機能食品ができて、その時代にコーデックスでアドバタイジングとラベリングという議論が出たと思います。そのとき日本の場合には誇大広告、誇張を健康増進法の中に入れたということで、ほかの大方の国々は広告はラベリングと違うという意見、アメリカはアドバタイジングはラベリングと無関係だというふうなことがありましたけれども、そのときたしか日本はアドバタイジングは広告とともにあるというふうな表現を主張したと思います。ただ、それが今どの程度生きているかわかりませんけれども、健康増進法においては消費者庁さんが言われたとおりだと思います。表現の自由と、バランスとしては非常に難しい部分ではあると思います。
 そのほかにございませんでしょうか。よろしいですか。

≪3.報告書骨子案について≫

○山田座長 それでは、少し時間も押して参りましたけれども、次の議題に移りたいと思います。
 本調査会では第1回で医薬品における再審査などの制度について厚生労働省へのヒアリングを行い、また、第2回では新たな制度設計に関して行政法の観点からの理解を深めるために神戸大学大学院法学研究科の中川教授へのヒアリングを行ってきたところでございます。今後はこれまでの議論を踏まえて本専門調査会の報告書をとりまとめることにしていますが、本日は私の考えの基にとりまとめた骨子案がございますので、これを基にいろいろ御議論をいただきたいと思います。
 骨子案はこれまでの専門調査会で出されましたさまざまな御意見を「(1)再審査手続の迅速化を図るための取り組み」「(2)再審査手続開始後の対応の可能性」「(3)許可の更新制の導入」の3つの論点に整理したものです。本日はこの骨子案について委員の皆様の御意見をいただければと考えております。
 それでは、骨子案につきまして事務局の方から御説明をお願いいたします。

○原事務局長 資料2をお手元に御用意ください。「「特定保健用食品の表示許可制度専門調査会」報告書(骨子案)(座長試案)」という形でお示ししております。1.として検討経緯、2.として検討内容、検討内容についての3つの項目は、今、座長から御説明があったとおりです。短いものですので読み上げさせていただきたいと思います。
1.検討経緯
 特定保健用食品の表示許可に関する課題については、消費者庁の「健康食品の表示に関する検討会」において検討され、平成22年8月27日に論点整理がとりまとめられた。
 これを受け、消費者委員会では本専門調査会を設置し、論点整理において更に検討が必要であるとされた制度的な課題について、精力的に議論を重ねてきた。
 論点整理では、表示許可後に新たな科学的知見が生じた場合に、当該許可を取り消すか否かを判断する手続(再審査手続)に関し、新たな知見の報告の義務化、再審査手続後の注意喚起表示の義務づけや許可の更新制の導入等の課題が挙げられ、本専門調査会では、これらの課題について以下の観点から検討を行った。
(1)再審査手続の迅速化を図るためにはどのような取り組みが必要となるか。
(2)再審査手続開始後に、消費者への情報提供の観点からどのような対応が可能であるか。
(3)許可の更新制を新たに導入することについてどのように考えるか。
2.検討内容
(1)再審査手続の迅速化を図るための取り組み
マル1、本専門調査会では、再審査手続の迅速化を図るため、手続を開始するか否かを機動的に判断する方策について議論を行った。
 現在、消費者庁では、再審査手続を開始すべきか否かの判断が慎重に行われる傾向にあるが、許可時の知見と異なる知見が報告されれば、原則として、再審査手続を開始する合理的な理由があるものとするなど、柔軟な判断を行ってもよいのではないかとの意見があった。
 また、手続の公平性を期すため、新たな知見を整理・分析し、手続開始を科学的・中立的に判断する体制の充実を検討すべきとの意見もあった。
マル2、更に、本専門調査会では、新たな科学的知見を迅速かつ網羅的に収集する仕組みについても議論を行った。
 現在、許可書には「事業者が新たな科学的知見を入手した際には、遅滞なく消費者庁まで報告すること」という旨の文言が付記されているが、実際にはその運用が効果的になされているとは言いがたい。
 このため、許可を付与された事業者が責任を持って知見を収集し、消費者庁へ報告するように、拘束力のある方策を検討すべきとの意見があった。
 また、これに加え、行政機関においても、新たな科学的知見を収集できる体制の充実を検討すべきとの意見もあった。
(2)再審査手続開始後の対応の可能性
 本専門調査会では、再審査手続開始後の審査に相当の時間を要する現状を踏まえ、消費者への情報提供の観点から、何らかの対応の可能性について議論を行った。
 再審査手続は、特定保健用食品の表示許可の取り消しを適正に行うために設けられた手続であり、現行の法制度上は、再審査手続が終了するまでは、事業者に不利益を課すことはできないものと考えられる。
 一方、食に対する消費者の安全・安心を確保するため、再審査手続開始後は、審査状況等に関する情報を消費者に広く提供することが重要であるとの意見もあった。
(3)許可の更新制の導入
 本専門調査会では、再審査手続に係る課題に対応するため、新たに更新制を導入し、許可の有効期間を設けることについても議論を行った。
 これにより、更新時に新たな知見の有無を確認することができるという意見や、販売・流通が中止された許可品を効率的に失効させることができるという意見、新たな知見に基づく再評価を行政自らが実施する機会ともなり得るという意見があった。
 一方で、制度発足当初は有効期間を設けていたところ、事業者の負担軽減の観点から、平成9年に更新制が廃止された経緯があることから、事業者の負担を不当に増加させることなく更新制を改めて導入することが適当か否かについて、慎重な検討が必要であるとの意見もあった。
 以上になります。よろしくお願いいたします。

○山田座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま大きく分けて3つの論点整理のところにまとめてある順番で、いろいろな御意見を皆様からいただきたいと思います。まず最初に「(1)再審査手続の迅速化を図るための取り組み」ということで、その点に視点を置きまして、皆様からの御意見をいただきたいと思います。御質問あるいは御意見のある方はどうぞお願いします。
 どうぞ、梅垣委員。

○梅垣委員 マル1の合理的な理由がある場合には再審査をするというのは、前にも言いましたけれども、だれがどういう理由で判断するかが明確でないと合理的かどうかわからないです。また、その下に「科学的・中立的に判断する」とただ書いていて再審査するというのは風評被害と全く同じですから、それは適切ではないということが言えると思います。
 それから、これは恐らく安全性の問題で出てきていると思いますが、安全性については食品安全委員会が評価しているわけです。食品安全委員会と別の組織・機関が更に安全性を評価したら、消費者の人はどちらを信用していいのかわからないという問題が出てくると思います。ですからその審査は一本化して、同じことをしないようにするという体制が重要だと思いますし、そういうものをこの中に入れるべきだと私は思います。

○山田座長 梅垣委員のおっしゃることはごもっともで、いわゆる「合理的な理由」というのが非常にあいまいであるという御意見ですね。その点については、例えば今までのいくつかの御意見から挙げますと、特に有効性・安全性とここで分けることは少し不可能であろうと思います。いずれにしてもそれらのことが許可時にあった申請書類の知見とは異なる知見、新たにレビュアーがいるところで実験動物でやったり、あるいは恐らく必要だと思いますけれども、ヒトを使った介入試験で新しい知見が出た場合というものは含まれるべきだろう。具体的な例として1つそういったものをある程度想定して、これに肉付けしていく必要はあるのかなとは考えております。それが出た場合にはどこでそれを審査というか、検討するかというのは、今後消費者庁なり、消費者委員会なり、あるいは安全性の問題が出れば食品安全委員会になるかもしれないですけれども、そこの仕分けというか、仕切りを明確にしておく必要はあるだろうと考えております。私の方からのコメントとしては以上です。
 どうぞ。

○寺本委員 比較的似たようなことなんですけれども、マル1の「許可時の知見と異なる知見が報告されれば」というのは一体だれが報告するのかという問題があって、これは一貫して同じことなんです。恐らく一番最後の(3)のいわゆる更新制が導入されれば、この問題はすべてなくなってしまうわけです。結局それがないと仮定した場合の話になるんだろうと思うので、そのときに一体この新しい知見をだれが得る、どこから報告させる、事業者なのか消費者なのか、それともこの機関なり何なりが知見を得るというようなことがないと、これは今までと同じことで、報告が上がってこなければそのままになってしまうことになるので、ここが非常に問題になるのと、今、梅垣先生がおっしゃったように、体制というのは2本立てになっては非常に問題があるので、認めたところから上位組織に上げるというような形を考えないと、この漠然とした形だともう一つできてしまうのかなという感じがしますので、そこを少し整理した方がいいかなという気がいたします。

○山田座長 ありがとうございます。
 そのほかに御意見はございませんか。
 どうぞ。

○宗林委員 私も本当は全体像としての意見をお話ししたいところなんですが、今は項目を区切ってということですので、この項目でいいますと、例えばマル2番の「許可書には『事業者が新たな科学的知見を入手した際には』」と書いてありますが、実際に前の議事録を見ても、消費者庁さんからの御報告でも、報告された例がなかなかないということと、ここにも「運用が効果的になされているとは言いがたい」と記載されていますので、今のような運用ではここの部分は担保できないのではないかと思います。

○山田座長 そういうことはそれなりに新たな知見が集まるような仕組みをつくるべきだという意見と考えてよろしいですか。

○宗林委員 端的に言えば、私は更新制の中でいろいろなことを盛り込むべきだと思っています。また、そこの時点で少しまとめてお話をしたいんですが、新たな仕組みを別立てでこれだけのためにつくるという意見ではございません。

○山田座長 ありがとうございます。
 そのほかにございませんでしょうか。よろしいですか。
 それでは、次の(2)でございますけれども「再審査手続開始後の対応の可能性」というところに焦点を当てて、皆様から御意見あるいは御質問をお受けしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 どうぞ、寺本先生。

○寺本委員 この中の一番重要なところは一番下の段ではないかなと思うんです。何か問題が起こったときに消費者に公知するということは非常に重要で、その前のところの段は全体の流れからするとあまり必要のないことではないか。要するに何か再審査が起こったときというのは、とにかくそういうことが起こったということが公示されることが消費者にとって非常に重要なので、それに対して事業者がどうのこうのというようなことはこの中で委員会としてあまり必要はない。そういうことを考慮しておかなければいけないということはいいと思うんですけれども、一番下の段が一番重要なのではないかなと思います。

○山田座長 ありがとうございます。
 そのほかにございませんでしょうか。
 どうぞ。

○梅垣委員 私も寺本先生と全く同じで、消費者に、例えばこういう問題があるというふうに情報を出したら、それでほとんど物は売れなくなりますから、その対応が一番重要であって、差止めるとか何とかというのは、私はあまり踏み込んで書かない方がいいように思います。

○山田座長 ありがとうございます。
 そのほかにございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 どうぞ。

○宗林委員 確かに私も実際的には再審査手続が始まりますよといったときに、消費者の動向とか、情報共有がされる時点が一番大切だとは思いますけれども、前回中川先生のお話を伺ったときに、そういったときの法律上の整理というか、そういうときに販売してはいけないのか等に関しましては、もしこういう項目のままで報告書が最後までまとめられるのであれば、法律上の事業者がどうすべきであるのかということはどこかにあってもいいのかなと思います。

○山田座長 ありがとうございます。
 そのほかにございませんでしょうか。よろしいですか。
 (2)の問題につきましては、時間を要すること、あるいは事業者に対する不利益がかなり大きいものになるということで、もう一度少し考えて、皆さんのいろいろな御意見を入れることが必要かなという御意見が多いと思います。
 それでは、あまり御意見がないようでしたら、次に進みたいと思います。「許可の更新制の導入」ということでございますけれども、この点について、後でもう一度全体的な御意見も伺いますが、全体の流れから見た形でもよろしいですので、忌憚のない御意見あるいはコメントをお願いいたします。
 どうぞ、宗林委員。

○宗林委員 先ほど更新制のことをちょっと口に出しましたので、一応意見としてお話しします。更新制の導入について、私は賛成です。いくつかの理由があって、そのために前段のところで少し質問させていただいたりしたんですが、1つは新たな科学的知見が生じた場合の事業者自らからの報告例がなかなかないということ。
 それから、消費者庁において早急に対応すべき対策の中で審査基準の統一化というようなことが書かれています。どこまでというのは、個別詳細にはもしかすると消費者委員会の部会の方かもしれませんけれども、そういうようなことをするということが書かれています。
 保健の用途の表示のところですけれども、個別の審査のときに事業者サイドから出されている案について検討ということになっていますので、個別にばらつきがあり、もしかすると薬事法上もやや問題と思われるような単刀直入な表現を使われている例もあるということで、これも統一されるべきであろうと考えています。
 それから、最初から私はこの会議の中で言っていましたけれども、この特保の制度が開始されて以来、ずっと前に許可を得たものについて、特に生活習慣病については状況が変わってきていて、例えば健常者境界域自体が場合によっては変わってきているものもありますし、これからも変わる可能性があるとも考えられるということで、そういったことを全部網羅しながら一定の期間で見直すというようなことを導入するということで、先ほどの個別案件も個別の検討事項もここに盛り込んでいくことが最も効率的ではないかなと私は考えています。

○山田座長 ありがとうございます。
 更新制の具体的なやり方はこちらには一切書いてありませんけれども、こういう意見あるいは論点でまとめたり、報告書をまとめれば、更新制とはどういうスケジュール、あるいはどういう仕組みでやるべきかというのはまた今後の多くの方々の御意見で決めなくてはならないことだろうと考えております。
 そのほかに御意見はないでしょうか。
 どうぞ、梅垣委員。

○梅垣委員 私も更新制はある程度必要ではないかなと思います。それは10年、20年前のデータを基にして考えても、やはり現実には合わないことがありますし、科学は進歩していますから、ある程度の期間で見直してみるというのは必要だと思います。そのときの情報収集は事業者がするのも必要ですけれども、中立的な立場で情報収集して、蓄積して、それをもって両方を合わせていかないと評価が公正にはできないということがあります。1年、2年の更新というのも現実にはそぐわないですけれども、10年20年とかならば、昔、20年前のデータが今は使えないという場合がありますから、これは対応してもいいと思います。更新制は事業者側の状況もありますから、そのような状況を全部踏まえて調整すればいいのではないかなと思います。

○山田座長 ありがとうございます。
 そのほかに、どうぞ、寺本委員。

○寺本委員 私もそうなんですけれども、結局この委員会としてどこに軸足が向いているかの問題が1つあって、そのときにある程度更新していって、公平にきちんと判断するという制度をつくっていくことに軸足を置くか否かということは判断をしておかなければいけないと思うんです。私はこういうものがあった方がよろしいのではないかと。
 そうすると、そのときにここに書いてある「事業者の負担軽減の観点から」という軽減のレベルの問題です。例えば今、私も10年とかそのくらいすると大分知見が変わってきますので、実際に先ほど言っていた判断基準も大分変わってくるということが問題なので、そういったことからすると、そういうことをむしろ考えていって、そのときに事業者としてここに書いてある「負担軽減」という意味がどれくらいなのかということを少し考えておかないといけないのかなという気がいたします。

○山田座長 ありがとうございます。
 そのほかにございませんでしょうか。
 それでは「(3)許可の更新制の導入」というところにつきましては、基本的に各委員の皆様は更新制については何らかの形で導入すべきであろうという御意見だと判断しております。ただ、その方法についてはいま一つ踏み込んだ、ここでは「事業者の負担軽減」という言葉も書かれていますけれども、逆に更新を見る側の負担というものも覚悟しなくてはならない。その体制をどのようにつくっていけるかどうかというのは、また消費者委員会あるいは食品表示課でつぶさに考えていかなければならないと考えております。年数の問題とか、いろいろな問題をそういうふうに判断したいと思います。
 次に、今まで(1)(2)(3)と、一応形としては分けて御意見をいただきましたけれども、全体的に見てこれはどういうことかという御質問あるいは御意見がございましたら、ぜひ発言していただきたいと思います。どなたかございませんでしょうか。
 どうぞ、宗林委員。

○宗林委員 前の検討会のときにもさんざん言われて座長から怒られていた件なんですけれども、特保は多くの品目数が許可されていて、私は安全性については実はそれほど心配はしているわけではありません。一方、有効性について、例えば利用者が、今、許可している側が想定しているような本当に健常者境界域の方なのか、病人は使っていないかどうか、それから、原則健常者が使っている上で、有効性として事後調査というんでしょうか、この20年、特保の制度ができて以来、一度もされないまま来ています。たくさんの人がリピーターであるからそれでいいというような自由な市場の中ではそれでもいいと思う反面、メーカーさんの方も特保をこれだけ一生懸命出しておられますので、何かの機会にやはり本当はどういう方がどういうふうに使っていらして、そしてどういうふうに感じていらっしゃるのかというようなことを一度とりまとめる必要があると考えています。今ここでというわけではないですが、特保に関してはいろいろな意味でそういった必要性があるのではと思います。生活の中で使い方もいろいろ違うからそんなことはできないよという話があるとは承知していますけれども、もしそうであればきちんと摂取対象者や摂取方法などがきちんと守られて、本来持つ特保の意味が生活の中でも反映されていくべきだとも逆に考えていますので、そういうことに結び付けていくためには現状の摂取方法、それからだれが、そしてどういうふうに感じていらっしゃるのかというような有効性について安全性ではない事後調査が必要ではないかなと考えています。

○山田座長 貴重な御意見でもっともな部分があると思います。いわゆる市販後調査、モニタリングというものの1つであることですね。それにはどういう形で市販後調査をやれば、私たちが欲しいデータがとれるかといったことを1回考えてみないと、ある大手の方々に調べてよというだけでは多分集まってこないと思います。今、宗林委員の御意見を聞きながら、どういう形で特保をとった場合の有効性までいかなくても、本人たちがどう考えている、あるいは生活スタイルが変わったとか、そういったものもあるけれども、どう調べたら欲するデータが、影響ありなし、あるいはマイナスになった、ちょっとこれは言い過ぎですけれども、そういうふうなものがとれるかというものを見た上でそういうことをやりましょうというところになっていくのではないかなと。これは私の1つの意見でございますけれども、宗林委員が言われることはもっともであると考えております。

○宗林委員 それに大事なのは、許可したときの摂取対象者になっていらっしゃる方が利用しているのか、摂取方法も実態ではどうなっているのかということも極めて重要なことだと思っています。各省庁でも調査会社を利用していろいろなことを調査されていますよね。そういうような形で仕様を固めて公募するのでもいいのではないかなと思います。それは予算との関係があるでしょうし、どこの省庁が、消費者庁さんなのかどこなのかという話はあると思いますけれども、特保に関してはそういった調査を専門にされているところがやるということであれば、実施不可能なことではないと思っています。

○山田座長 ありがとうございます。
 どうぞ、梅垣委員。

○梅垣委員 今のことに関連するのですけれども、そもそも特保は食品なんですが、それを薬のように考えて、審査をもう少し厳しくしなければいけない、といった議論があります。しかし、特保はあくまでも食品なんです。それを恐らく消費者の人は理解されていないと思います。広告とも連動していると思います。そういう特保がどうあるべきかというのをきっちり国の政策なり考え方として明確にしてから調査する、もしくはそういう実態を調査する必要があります。特保が消費者にどう理解されているかを調査していかないと、細かいことをいろいろ議論したり調べたりしてもなかなか進まないと思います。
 基本的に食品に機能性とか、病気が治るとか、治療できるという表示は一切してはいけないし、特保でも病気の治療や治癒の表現はできないことになっているわけです。そこを恐らく一般の人は理解されていないと思います。そこのところを明確にしていかないと特保という制度は生かせない。もともと特保制度が創設されたときは、いろいろな食品に機能がある、機能性食品という言葉でいろいろな食品が流通してきて混乱していました。そのときに本当に人がその食品を摂取して効果が期待できるのかどうかを明確にするものとして特保が認められてきたわけです。いわゆる健康食品等、その効果に全く根拠のないような製品とは区別するようなものとして特保ができてきたという背景があるわけです。そこのところを消費者の人がしっかり理解されているかどうかを、もし調査をするのなら明確にしてやるべきだと思います。
 特保で利用対象者とかいろいろ細かい問題がありますけれども、食品でそんなにみんなに効くようなものはあり得ないと思います。もしそういうものであれば、これは有害な影響が出る可能性もあります。そうすると専門職が管理して消費者に使ってもらうという状況にしなければいけない。食品はだれでも自由に自己判断で利用できるというのが基本ですから、効果がある人がいるかもしれないし、ない人もいるかもしれない。私はそれが原則だと思います。どう使っていくかというところがやはり重要で、薬のように使って効くものは恐らくないと思います。そこのところをきっちり消費者の人に理解してもらうような取り組みが必要なのではないかなと思います。

○山田座長 ありがとうございます。
 どうぞ、寺本委員。

○寺本委員 いつもそう思っているんですけれども、先生はまさしくそのとおりで、特保というのはあくまでも食品であって、お薬ではないわけです。だけれど、基本的に皆さんはそういうふうにして使っている、私の患者さんでもそういう方がいらっしゃるわけですけれども、そういう方がいらっしゃるという実態があるので、その辺のところをおっしゃるように少しモニタリングするなり何なり、例えばコレステロールのお薬を使っている人がこれを飲むというようなことになるのは何かちょっとおかしなところがあるわけなので、どういう方がとっていらっしゃるのかという調査はどこかで必要だと思うんです。
 ただ、その場合に、その先に何を考えるかの問題であって、結局消費者庁の方から特保とはこういうものなんだという概念を国民にもう一回周知する。その周知する理由が何となればこういうことなんだということのための調査は私はしていってしかるべきだと思うし、特保というものを本当に生かしていこうとすれば、そういう立ち位置を明確にしておかないとおかしなことが起こってくるだろう。
 私はちょっと宗林委員の意見にはあれなんですけれども、どちらかというと有効性というのはある程度科学的にその当時のレベルである程度認められているわけです。問題は結局そこへ有害性とかそういったものが出てこないかどうかということ、長年使っていると出てくる可能性があるので、そういう調査はやはり必要になってくると思うのです。むしろ安全性の担保されていない特保は絶対あり得ないと私は思っています。そこをきちんと明確にすることが必要だろうと思うので、そういう調査は必要なのではないかなという気がします。

○山田座長 ありがとうございます。
 モニタリングの1つの方法、モニタリングはいろいろな形のモニタリングが考えられますけれども、寺本委員あるいは梅垣委員はまず栄養政策と連関した特定保健用食品の許可の目的、それに対してもう発足20年経っている、その中での安全性といったものが担保されているんですけれども、どういうふうに変化してきているかなどを一度調査して、行政の方で把握する、それでもってかつ宗林先生が言うように、ある意味の市販後調査のような形でこれが生活改善に役立っているか、治療に役立つとかいうのはそもそもあり得ない話であって、私たちの食生活の改善にどの程度寄与しているかということが判断できるようなことをやれれば、この更新制に生かしていけるという皆様の御意見のように私は考えています。
 どうぞ、佐野委員。

○佐野委員 梅垣委員がおっしゃったことはまさにそのとおりだと思いますが、では消費者がなぜ食品だとわかっていながら医薬品のように考えてしまうかというと、やはり表示とか広告のあり方だと思います。その辺りをきちんともっと厳しくしていただかないと、いくらこれは食品ですよ、医薬品のように効果もなく、食べられますよと言われても、実際に広告などを見ると、これを毎日飲んでいったらこういうふうになりますよというグラフがあったら、やはりそれは信じてしまって飲んでしまう。それを消費者が間違っている、消費者がきちんと理解していないと言われますと、ちょっと違うのではないかなと思います。周知徹底は確かに必要ですけれども、それと同時に広告の在り方をもっときちんと厳しくしていただかないと、わかっている人だけわかっているという形になってしまうので、それは両輪で行っていただきたいと思います。

○山田座長 ありがとうございました。
 どうぞ。

○梅垣委員 今の御意見はもっともだと思いますが、消費者の人がまず理解できるような環境にならないといけない。表示の問題が別のところで議論されていますけれども、消費者の人が読めない表示というのは意味がないわけです。表示は必ず普及啓発とか、そういうことと連動していなければいけない。規制するのはできますけれども、いくら規制しても逃げ道はいっぱいあるわけです。だから消費者の人に、この商品はこういうものだというのを伝える取り組みがなくては絶対に進まないと思います。例えばいわゆる健康食品で、我々が見てものすごくいい加減なものがあります。なぜこういうものが買われるんだろうと思います。売る人がいるからなのですが、逆に買う人がいるから売る人がいるわけです。だから消費者の人が、そういういい加減な商品を買わなくなるような方向性なり対応にしていくのが重要で、消費者の人に特保の意義とかを周知するような取り組みが必要だと思います。
 以前の健康食品の検討会でアドバイザリースタッフを活用するというのがありました。消費者の人に情報提供するときに、例えばホームページで出すのも早く情報が伝わるのですが、消費者の人はものすごく多様ですから、そういう多様な消費者の人に情報を渡すのは、個々の消費者に個別にアドバイザリースタッフのような人を活用して情報提供していくのが重要です。規制も必要ですが、情報提供と規制は両輪で行う、それができて初めて問題が改善できるんだと私は思います。

○山田座長 どうぞ、佐野委員。

○佐野委員 表示を読むといっても、広告が大変うまくできておりまして、よく言われているのが行間を読ませる。決して法違反になるようなことは書かれていないんです。きちんとできていて、行間を私たちに読ませてしまう。それを消費者1人ずつに違うんだよと理解してもらうのはなかなか難しいことなので、そこを読ませないような形できちんとやっていただくのがまず最初かなと思っております。だから表示の在り方と、それから、特保とはこういうものであるという周知徹底、それは両輪で行くべきだと思います。表示をこのままでいいというのは私は納得がいかない。

○山田座長 どうぞ、宗林委員。

○宗林委員 確かに食品であり医薬品ではない、それは私も重々わかっていることですけれども、今後この特保の最終的な位置づけといったものを考えるに当たっても、では実際消費者はどういうふうに考えて、病人も含めてどういう人が使っているのか、それから、何を期待しているのかというようなことも、今、梅垣先生がおっしゃっているのと大分乖離があるのではないかと思っています。乖離を、そうではないかなと想像して議論されているだけではなくて、きっちりと調査する必要があるということが私は大切だと申し上げているんです。例えばこれをやることによって食生活が変わって意識が変わりました、これでもいいと思いますけれども、最初の有効性のところで確かにヒト試験をしっかりやられているのですが、それが生活実態の中でどのように消費者が実感としているのかとか、意識が変わったとか、ほかのものもこういうふうにしましたよということも含めて、どういう位置づけで利用されて、消費者が利用価値を感じているのかということも調査すればよいのではないでしょうか。梅垣先生もおっしゃっているように、そんなにシャープに効くようなものではもちろんないわけなので、そういったことを消費者教育あるいは周知徹底と同時並行的にきっちりと、消費者の意識の現状との差を明らかにした上で、その差が大きければ表示の強化もきちんとしていかないといけないと思います。そこを近づけるためにはデータが必要だということで、モニタリングの調査が必要だと考えているということです。

○山田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。

○寺本委員 これはいつも調査会でも問題になるんですけれども、いわゆるラベル、表示のところで、どうしても効果の方が前面に出てきていて、それが大きな表示になっているので、恐らく皆さんの目にはそれが一番入ってしまう。消費者庁としても、特保というものがお薬ではなくて、生活習慣の改善とか、そういったものを目的としたものなんだということを大きく書いてくださいと言っているんですけれども、いつもそれがすごく小さく入ってしまうわけです。その辺の規制からある程度しなければいけないので、そういったものが必要だということを言うにも、宗林先生がおっしゃるように、データが必要なんです。皆さんが実際どういうふうな意識で扱っているのかということがあって、そのときにラベルのどこを見て買っているのかとか、そういうようなことを考えると、やはり表示の仕方とかいったことに対してもある程度規制をかけていかないと、恐らくこの問題はなかなか意識を変えろといっても難しくて、視覚から訴えていくものはいっぱいあるので、そんなところも少し考えないといけないと思います。

○山田座長 どうもありがとうございます。
 恐らく今の御意見は皆さんが常に考えていることだと思われます。
 短い期間ですけれども、この専門調査会では、再審査手続をどういうふうにしたらいいかということに論点をずっと絞ってまいりました。そのほかにもちろんこの消費者委員会では、今日食品表示課の平中さんから説明していただきましたように、5ページにある「マル2健康食品の表示の効果的な規制や適切な情報提供の仕組み」を考える宿題事項もあります。今のご意見は恐らくそちらに傾いていることだろうと私は考えております。
 ですから、今回の専門調査会につきましては、再審査手続というものを考えた場合のいろいろな仕組み、枠組みをまず中心に考えて、それから、今まで皆さんが御意見をくださった表示・広告、消費者教育、消費者教育とはどのレベルというと語弊がありますけれども、平均的な消費者に対してどのように普及啓発を行うか、あるいは申請者としてもヘルスクレームの在り方、そしてわかりやすさといったことをもっと総合的に考えながら、最終的には食品表示課の方で細かく具体的な段取りは行われると思いますけれども、今回のこの報告書についてはただいまのような御意見があったということはしっかり載せたいと思いますけれども、私たちに与えられた基本的な検討事項は再審査手続であり、その場合にどうするかということに焦点を当てて報告をまとめたいと考えております。
 このようなことで参りたいと思いますけれども、何かこれに対して御意見はございませんでしょうか。
 どうぞ。

○梅垣委員 もし付け加えていただけるのであればお願いします。特保はあくまでも食品であるということですが、現在特保で錠剤・カプセルも認めるということになっています。特保を錠剤・カプセルにすると、普通の食品形態でさえ薬のような感じで受け止められていますから、もっと薬と勘違いしてしまう。そういう状態ができてしまうと、医療関係者はきちんとした治療ができなくなるし、患者さんもきちんとした治療を受けられなくなるという非常に困った状況になるわけです。ですから、本来特保に錠剤・カプセルがなじむかどうか、というコメントがあったということくらい入れていただければと思います。

○山田座長 梅垣委員、宗林委員は前から非常に主張されていることだと重々承知しております。このことをここで議論することはいたしませんけれども、文章の中にこういうことも将来考えるべきではないかといったことなのかとは思います。これはまた次の段階の特定保健用食品の在り方を考える機会で議論されるべきことだろうと思っております。
 それでは、そのほかにございませんか。よろしいですか。

≪4.閉会≫

○山田座長 それでは、本日の議事は以上になります。
 最後に、次回の日程について、事務局から御説明をお願いいたします。

○原事務局長 ありがとうございました。いろいろと御意見を出していただきましたので、またそれも体制整備の話もありますので、消費者庁と検討を重ねてみたいと思っております。
 参考資料としてスケジュールをお付けしております。次回、第4回、6月24日金曜日の10時からということで予定をしております。議題は「報告書のとりまとめについて」ということで、最終的な報告書案について御議論をお願いしたいと考えております。委員の皆様にはお忙しいところを申し訳ございませんが、引き続き御協力をお願いしたいと思います。
 事務局からは以上です。

○山田座長 どうもありがとうございました。
 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)