第9回 個人情報保護専門調査会 議事録

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日時

2011年7月26日(火)10:00~11:54

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【専門委員】
 長谷部座長、藤原座長代理、宇賀委員、臼井委員、大谷委員、角委員、
 新保委員、杉浦委員、須藤委員、飛山委員、長田委員、別所委員、三木委員、
 三宅委員、山口委員、吉川委員
【担当委員】
 川戸委員、下谷内委員
【説明者】
 消費者庁 國井室長、千葉課長補佐
【消費者委員会事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.個人情報保護専門調査会報告書とりまとめ
  「個人情報保護法及びその運用に関する主な検討課題(案)」について
3.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:8KB)
【資料1】 消費者委員会 個人情報保護専門調査会報告書(案)「個人情報保護法及びその運用に関する主な検討課題」 (PDF形式:561KB)
【参考資料1-1】 消費者委員会個人情報保護専門調査会からの御質問に対する回答(平成23年7月26日 内閣官房社会保障改革担当室) (PDF形式:64KB)
【参考資料1-2】 社会保障・税番号大綱(2011/06/30 政府・与党社会保障改革検討本部) (PDF形式:433KB)
【参考資料2】 意見書「個人情報保護専門調査会・座長試案への意見」(平成23年7月4日付 柿原理一郎委員) (PDF形式:201KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 おはようございます。定刻になりましたので、遅れておられる委員の方がいらっしゃいますけれども、始めさせていただきたいと思います。どうも皆様、朝早くからお集まりいただきましてありがとうございます。
 ただいまから第9回「個人情報保護専門調査会」を開催いたします。
 本日は所用により岡本委員、柿原委員から御欠席という御連絡をいただいております。
 議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきたいと思いますが「議事次第」と書かれたものの次に「配付資料」ということで、資料のナンバーと内容をお付けしております。
 座席表の次に、本日、御審議いただく「個人情報保護専門調査会報告書(案)」を資料1としてお付けをしております。
 横書きの小さめの活字で大変恐縮なのですけれども、前回の専門調査会において、関係省庁からのヒアリングということで実施をいたしましたが、その際に、社会保障と税に関わる番号制度の検討状況を内閣官房社会保障改革担当室から御説明をいただいております。今般、社会保障改革担当室から、6月30日に「社会保障・税番号大綱」として固まった内容、これが参考資料1-2として、次のページから付けてあります。
 その資料とともに、前回の専門調査会の席上でお出しいただきました質問事項について御回答を書面でいただいておりますので、それを参考資料1-1としてお付けしております。
 参考資料2といたしまして、本日、御欠席の柿原委員から前回の専門調査会で長谷部座長から御提示いただきました座長試案への意見ということで、意見書を提出していただいておりますので、参考資料2として添付をさせていただいております。
 もしも不足の資料などございましたら、審議の途中でも事務局へお願いしたいと思います。
 それでは、長谷部座長、議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。

≪2.個人情報保護専門調査会報告書とりまとめ 「個人情報保護法及びその運用に関する主な検討課題(案)」について≫

○長谷部座長 それでは、早速ですが、議題の方に入ってまいりたいと存じます。
 本日は、本専門調査会のとりまとめ案であります「個人情報保護法及びその運用に関する主な検討課題(案)」について議題といたしたいと存じます。
 前回のこの専門調査会におきまして、これまでのヒアリング等を踏まえ、今後の主な検討課題を抽出して「個人情報保護法及びその運用に関する主な検討課題(案)」という形で私なりの整理、これを座長試案としてお示しをしたところでございまして、その上で御議論をいただきました。
 本日は前回の御議論、各委員から要請をいただきました点、これを反映して、かつ藤原座長代理とも御相談をさせていただき、専門調査会としての報告書という体裁のものをとりまとめました。これが資料1のとおりでございます。
 それでは、前回の専門調査会でお示しをいたしました試案からの変更点、これを中心にいたしまして、報告書、このスタイルを整えていただきました。事務局の方から御説明をお願いいたしまして、委員の皆様、御確認をいただければと存じます。
 それでは、原事務局長の方からお願いできますでしょうか。

○原事務局長 それでは、時間をお取りいたしますけれども、前回の専門調査会でいろいろたくさんの御意見をお示しいただきましたので、かなり変更させていただいている点がございます。
 まず、お手元の資料1「個人情報保護専門調査会報告書(案)」の1ページ目、目次になっております。この目次ですけれども、前回の専門調査会の席上での御議論、あるいは専門調査会修了後の御意見等で「検討課題」に盛り込むべき事項を多数お寄せいただきました。これを踏まえまして、全体の構成の面で大きく3点の変更を行っております。
 1つは、「検討課題」に盛り込むべき事項がかなり大部な内容となりましたので、座長試案においては各項目の構成を「ア 従前の検討」「イ 本調査会での審議状況」「ウ 検討課題」としており、これは本文の体裁ですけれども、本日、御提示いただきました報告書(案)では「イ 本調査会での審議状況」の部分をそっくり抜き出しました。
 目次で申し上げますと、2ページに書いておりますけれども、別紙という形で15ページ以降の部分に「個人情報保護専門調査会における委員発言・ヒアリングの概要」というタイトルで、委員会の発言等の審議状況を抜き出してまとめております。
 ですから、前回ア、イ、ウと構成をされておりましたけれども、アとウについて本文を構成し、イで審議状況が書かれていた部分を別紙として、そっくりそのまま後ろに付けさせていただいた形にしております。これが1点目です。
 「検討課題」の本体の方は3ページ目以降をごらんいただきますとおわかりのとおり「ア 従前の検討」「イ 検討課題」のみを記載する体裁とさせていただきましたけれども、「検討課題」と「委員発言、ヒアリングの概要」は一体のものですので、3ページの「検討課題」の序文の部分、第1段落の末尾に括弧書きで、「審議の経過における各専門委員の発言及びヒアリングの概要については、別紙参照」と本文の方でも付けさせていただいております。
 2つ目の変更点ですけれども、前回の専門調査会で報告書にめりはりを付けて、プライオリティがわかるような形としてはどうかという御提案がございました。目次の1ページ目にお戻りいただきたいと思いますが、「検討課題」を「第1 総論」ということで「個人情報保護法制の全体構想」、第2を「各論」といたしまして「個人情報保護法制の点検・調整」という大きく2部構成に再編成をいたしました。
 制度全体に関わる大きな論点の総論に、それ以外のものを各論にと整理をさせていただいております。これが2点目の大きな変更点です。
 3点目でございますけれども、これは変更ということではないのですが、再び目次の2ページ目をごらんいただきたいと思います。前回の専門調査会では添付を略させていただいておりましたけれども、報告書の体裁を整えるために25ページ以降の部分に添付資料として「個人情報保護専門調査会 設置・運営規程」等の参考資料、こういったものを付けさせていただいております。
 以上の3点が体裁面の変更点でございます。
 次に、具体的な「検討課題」の変更点を中心に御説明をいたしますが、まず、3ページの序文の第2段落の部分でございます。ここは、前回の御議論を踏まえ「消費者基本計画」における記述、具体的には「法改正も視野に入れた問題点についての審議」を行う旨の記述を加筆するとともに「当専門調査会としては、消費者委員会が、今後これらの検討課題についてしかるべき方法で審議を継続し、それぞれ適切な時期までに結論を得ることを望むものである」との結びとしております。
 ここの6行分が新しくというのでしょうか、明確にこの専門調査会の位置づけを図ったものとしております。
 次に「第1 総論:個人情報保護法制の全体構想」の部分ですが「1.いわゆる「過剰反応」の現状分析」の部分では、4ページの最下段「イ 検討課題」としておりますけれども、下から2行目の後半部分から、「個人情報の漏えい等に対する不安感」の問題を論じております。この部分は「情報の拡散する経路」という抽象的な言葉の前に、「いわゆるソーシャル・メデイアの普及等により情報の拡散する経路が多様化」という具体例を入れるとともに、5ページの最上段になりますが、「法の誤解に起因する「過剰反応」とは別に、施策の要否を検討する必要がある」と変更をしております。
 同じ囲みの2つ目のポツ、5ページの上から3行目になりますけれども、ここも本人が個人情報保護法を名目として、個人情報の提供を差し控える事柄に関してさまざまな御意見をいただきました。
 まず、個人情報保護法制における事業者や行政機関等が順守すべき義務がある点を明記するとともに、以前の表現では「個人情報を提供するかしないかの判断が本人にゆだねられていることに関して、本人の適正な判断を支援するための方策が必要かどうか、更に検討」といった記述だったところ、少しわかりにくかったというところもございまして、席上の発言を踏まえ、「個人が自己の個人情報とどのように付き合うかという自律的な倫理の啓発や、事業者等が個人との間で信頼関係を構築するために求められる取組等の観点から検討する」という丁寧な記述に変更をしております。
 また、情報の流通に関してもたくさんの御意見がございまして、大幅に加筆を行っております。「イ 検討課題」の3つ目のポツの中段以降に、「本人の権利利益を保護する法の目的」と「公にすべき情報の流通が両立されるよう、施策の方向性を検討する必要がある」との記述を加えております。
 4つ目のポツは、新しく今回新設ということで入れておりますので、読み上げさせていただきます。
 「個人情報保護法制は、地方公共団体による条例に基づく個人情報の取扱いについては、地方自治法を前提とした分権的システムを採用している。国として何らかの支援が必要か、必要と考えられる場合にどのような施策が可能かについては、地方分権の趣旨も踏まえつつ、具体的な問題」、例えば、災害時の要援護者に係る情報提供等、今回の震災対応というところで、いろいろな課題がございましたけれども、そういった問題ごとに検討する必要があるという記述を加えております。
 「2.社会保障・税番号制度及びそれに伴う第三者機関との関係」については、以前の案では「社会保障・税番号との関係」という項目と「第三者機関の意義」という項目であったものを一本化して、今回記述しております。
 6ページに入りますが「イ 検討課題」の1つ目のポツですけれども、単に番号法を注視するだけでよいのかといった御指摘も踏まえ、3行目の部分ですが、「社会保障・税番号制度の導入により、「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することのバランスが損なわれることのないよう、立法の動向を注視する必要がある」という部分を加筆しております。これも少し丁寧したということになります。
 「イ 検討課題」の3つ目のポツですけれども、これは新たに書き加えた部分ですので、を読み上げさせていただきたいと思います。
 「その他、個人情報保護法上の主務大臣と第三者機関との間における機能分担等の整理については、番号法における議論の進展に応じて、個人情報保護法制としての全体的な整合性・実効性を確保する観点を踏まえ、個人情報保護法の在り方についても検討する必要がある」。
 「3.個人情報保護法制の趣旨と保護法益」ですけれども、以前の案では「保護の対象」と「義務の対象」という項目でしたが、個人情報保護法制の趣旨を明確化する意味で、項目名を変更しております。
 7ページに入りますが、「イ 検討課題」の1つ目のポツですけれども、3行目以降に「法施行後における情報流通手段の変化・情報サービスの展開を踏まえつつ、個人の人格的、財産的な権利利益の侵害を未然に防止しようとする法の趣旨に照らして」という部分を加筆しております。
 2つ目のポツは、3行目からですけれども、「個人の自由な自己決定に基づいて行動することが困難となり、ひいては表現の自由を含む基本的人権の行使についても抑制的にならざるを得ず、民主主義の危機をも招くおそれがあるとの意見があることも踏まえつつ」という部分を加筆をいたしまして、「個人情報保護法制の保護法益との関係を検討する必要がある」と、まとめております。
 続きまして、「第2 各論」の「個人情報保護法制の点検・調整」に入ってまいりたいと思います。
 8ページに入りますが「1.個人情報取扱事業者の範囲」の「イ 検討課題」についてです。1行目は「個人データ数」となっておりましたが「個人データによって識別される特定の個人の数」と言葉を補うともに、3行目の最後の部分ですけれども「現行要件の妥当性について再度検討を要する」としていた部分を「現行要件の妥当性及び変更する場合に想定される影響等について検討する必要がある」と変更をしております。
 「2.事業者等の取組」ですが、これは「(1)利用目的による制限・第三者提供の制限」の「イ 検討課題」の1つ目のポツ、3行目に「利益衡量の判断に関する紛争を解決する仕組みの必要性と併せて」という部分を加筆しております。
 また、2つ目のポツは、新たに加筆したものなので、読み上げさせていただきたいと思います。
 「行政機関個人情報保護法について、行政機関の判断による外部提供又は目的外利用が認められる場合の範囲が明らかでないために、行政機関の情報開示が必要以上に慎重になっている場合があるのではないか、あるいは、行政機関の内部で個人情報が転用されるかもしれないという個人の不安感が生じているのではないか等の意見について、行政機関における運用の実態を把握した上で、個人情報保護法制としての全体的な整合性の観点から、検討する必要がある」とまとめております。
 9ページの「(2)プライバシーポリシー等」の「イ 検討課題」ですけれども、以前の記述ですと「推進のために必要な措置を検討する前提として、その進行状況の検証を要する」といったものでしたが、これも丁寧に書き込みまして、今の表現になっています。
 3行目からですが「事業者の自主的な取組に委ねるのでは不十分ではないかとの意見もあることも踏まえ、その進行状況及びプライバシーポリシー等の役割を検討する必要がある」としております。
 「(3)個人情報の取扱いについての従業者の同意」は新設した項目です。「イ 検討課題」を読み上げさせていただきます。
 「事業者が、従業者に対して提出を求める誓約書・同意書等に、損害賠償、家族情報の提供、モニタリング等に同意する条項が含まれている事例があるとの指摘を踏まえ、個人の権利利益を画一的に処分させることの相当性等について議論が尽くされていないのではないかとの意見について、検討する必要がある」とまとめております。
 10ページの「(4)安全管理措置の水準」ですが「イ 検討課題」は以前の記述をそのままとしております。
 11ページに入りますが「3.本人関与の在り方」については、(1)(2)と項目を新たに立てて区分をしております。
 まず「(1)開示・訂正・利用停止の求め」ですが「イ 検討課題」といたしまして、1つ目のポツの記述は以前のままですけれども、2つ目のポツを新たに書き加えておりますので読み上げさせていただきます。
 「保有個人データの開示については、手数料の額を高額に定める事業者が存在すること、又は制度の理解が十分でない認定個人情報保護団体が存在すること等の事情から、本人関与の制度としての実効性が妨げられている場合があるとの意見について、検討する必要がある」としております。
 次に「(2)苦情の円滑な処理」については、12ページに入りますが「イ 検討課題」といたしまして、1つ目のポツに新たに書き加えておりますので、読み上げさせていただきます。
 「各地方公共団体や認定個人情報保護団体による苦情処理の取組について、より一層、効果的な解決がなされるよう、相談業務等における知見を蓄積し、個人や事業者の間における認知度を高めるために、国が講ずべき必要な措置の在り方を検討する必要がある」としております。
 2つ目のポツですけれども「任意代理人による開示等の求め」といった記述であったものをもう少し具体的に「消費生活センター等が行う相談業務に伴う事業者への照会」に置き換え「運用の在り方を検討する必要がある」と丁寧にしております。
 「4.国際的な整合性」の「イ 検討課題」の1つ目のポツですが、前回のものは、国外で活動する事業者を主眼として、国際的な整合性の検討課題があるとしておりましたけれども、前回の御意見を踏まえ、1行目の終わりからですが「我が国の法制度に対する国際社会の理解を求めていくとともに、国外で活動する事業者等のニーズも踏まえつつ、協調の在り方を検討する必要がある」としております。
 2つ目のポツについては、以前の記述をそのままとしております。
 「5.特定分野の運用」については、13ページに入りますが「(1)格別の措置とガイドラインの在り方」の「イ 検討課題」の部分ですけれども、以前の記述をそのままとしております。
 「(2)情報保護評価」については、14ページに「イ 検討課題」を書いておりますけれども、3行目の部分で「社会保障・税番号の制度設計を通じた方法論の蓄積を注視つつ」という部分を加筆して「検討する必要がある」とまとめております。
 なお、15ページ以降の別紙「個人情報保護専門調査会における委員発言・ヒアリングの概要」につきましても、本専門調査会の審議状況から切り分けた際に、各委員の発言を多く取り上げさせていただいて、変更を行っておりますけれども、時間の関係もございますので、御説明は割愛をさせていただきたいと思います。
 以上、「検討課題」の修文箇所を中心に報告書をとりまとめた際の変更点についての御説明をさせていただきました。

○長谷部座長 どうもありがとうございました。
 ただいま事務局の方から「検討課題(案)」の変更箇所を中心に説明をいただきました。それでは、これから委員の皆様から御意見がございましたらお願いしたいと存じます。
 幾つかに分けてお願いをしたいのですが、まずは、3ページの序文のところから「第1 総論」の終わりである7ページまで、これを1つの区切りとしたいのですけれども、ここまでの部分で何か御意見ございますか。
 杉浦委員、お願いいたします。

○杉浦委員 杉浦です。
 この報告書というものはこの題名にありますように、ここで議論されたことが文字として集約されたものであるべきだと考えております。私がこの報告書を検討しました結果、ここで議論されたと思われないことが幾つか入っているのではないかと思います。
 特に税と社会保障の共通番号制に関する箇所が6ページの「イ 検討課題」のところと、14ページのところにございますけれども、この点について当専門調査会では十分議論されていないことが、議論されたかのごとくペーパーとして表現されているという点に極めて疑問を持っています。
 総論のところで、そもそもこの報告書では当専門調査会としての立場と共通番号制の在り方についての議論の位置づけが明確にされないと、この報告書全体が非常にあいまいな印象を与えてしまっているという気がします。6ページと14ページの検討課題では、共通番号制があたかも導入が前提であるかのごとく、前提として「イ 検討課題」という形で議論されていると思います。
 したがいまして、私の意見としては、当専門調査会の報告書と共通番号制の議論との位置づけを、まず、総論のところで明確にしていただくということ。それから、6ページと14ページで共通番号制について現在、検討はされているということは勿論、事実ですので、記載されても構わないわけですけれども、それが導入されることを前提とするような誤解を招く表現は避けていただきたいというのが私の意見です。
 だから、当専門調査会の意見の方がまず先にあって、非常に各論的なところで共通番号制の議論がなされるべきであるのが逆になってしまっているという印象を非常に持っております。
 以上でございます。

○長谷部座長 わかりました。
 それでは、新保委員、お願いいたします。

○新保委員 第三者機関につきましては、座長試案では「4.第三者機関の意義」といたしまして、法的な監督権限を付与された独立の第三者機関を設置すべきであると座長試案では明記されていました。しかし、本報告書(案)においては、該当部分の記述内容は、あくまで番号法の立法動向を注視した上で検討すべき事項という形になっております。
 この点につきましては、今回のこの報告書ではあくまで別添の「委員発言・ヒアリング概要」という別紙記載となっており、第三者機関の設置についての記載が報告書からは削除されているわけですが、これは全く本末転倒であると思っております。
 その理由といたしましては、先に設置が見込まれる番号法に基づく第三者機関の様子を見た上で、本専門調査会における検討はあくまでその様子見ということについては、これは余りにも消極的過ぎると思うわけです。
 まずは、こちらの「個人情報保護専門調査会」で、一般法としての個人情報保護法の問題として第三者機関についての議論をすべきであって、社会保障・税番号における第三者機関というのは、あくまで番号法という特別法に基づく第三者機関にすぎないわけであります。
 よって、第三者機関につきましては、適正な法執行と個人情報、プライバシー保護に関して本専門調査会においてヒアリングを行った結果明らかになった諸問題、これらに迅速かつ適正に対応することができるということが、まず、大前提であります。並びに国際的な法執行、整合性、越境協力のためには、第三者機関の設置は不可欠であるということからいたしますと、報告書における第三者機関の設置という事項については、あくまで「委員発言・ヒアリングの概要」という問題ではなくて、本専門調査会において個人情報保護法に基づく第三者機関の設置が急務の課題であるということを明確にすべきではないかと思っております。

○長谷部座長 それでは、臼井委員、お願いします。

○臼井委員 お手元にぼくの修正意見をお配りしています。
 読み上げます。「4ページ」と書いてあるのは「6ページ」です。
「社会保障・税番号制度及びそれに伴う第三者機関との関係」の「イ 検討課題」に次の項目を2番目の「・」として入れていただきたい。
 ・個人情報保護法では、報道機関等について義務規定の適用を除外する規定がある。番号法の場合は、報道機関等も法の対象にするのかどうか、第三者機関による監督・監視の対象にするのかどうか、個人情報保護法で義務規定の適用が除外されている部分とどのように整合性をとるのか、注視する必要がある」。
 以上です。
 その理由は、個人情報保護法をつくるときに、個人情報保護法が表現の自由、報道の自由を妨げるのではないかということが大きな議論になりました。その結果、報道機関等は個人情報取扱い事業者の義務を外されました。
 番号法で報道機関等を法の対象にして、第三者機関の監督・監視の対象にするとすれば、個人情報保護法をつくったときの理念に反し、個人情報保護法と矛盾するのではないかと考えます。それが修正を求める理由です。
 以上です。

○長谷部座長 ほかにはいかがでございましょうか。
 新保委員、どうぞ。

○新保委員 もう一点、報告書で削除されている部分に関する意見です。座長試案にありました「2.保護の対象と義務の対象」という部分、この点は個人情報保護法の定義にかかる問題として、従来からさまざまな議論がされているわけでありますが、この点については報告書に反映するかどうかということについては、第三者機関の問題とは異なり、あくまでこの点については個人的意見にとどまりますが、報告書の記述との関係において、この専門調査会で2点確認をしておきたいと思います。
 1点目は、個人情報保護法は個人情報の定義における個人情報の内容や種類について色分けをして区別しておりませんので、これに伴って個人情報の定義、どの情報が個人情報に当たるのかということについて、さまざまな問題が提起されてきた問題についてです。
 2点目は、暗号化等、秘匿された情報について現行の法解釈においては、暗号化された場合であっても個人情報の定義との関係においては引き続き個人情報であって、個人識別性を有する個人情報であるという解釈をしてきている点に関する問題についてです。
 前者の個人情報を色分けしていないという部分については、今後の検討課題といたしまして、結果的に個人情報は生存性と個人識別性の要件で単に定義を置いているだけにすぎませんので、その外形で個人情報に当たるかどうかということを判断し、内容については一切考慮しないという形での現状の法解釈になっているわけです。
 この点について、今後、番号法においても、番号に係る個人情報ということで、例示を明示していたわけでありますけれども、いわゆる特定の機微な個人情報という問題については、現行の法制度においては特に考慮していないわけであります。
 その一方で、安全管理措置については、個人情報から個人データになった段階で、安全管理措置義務が発生する。つまり、あくまで外形で個人情報か個人データかを判断し、生存性、個人識別性の要件をもって、個人情報かどうかという判断をするにとどまっており、あくまでその内容について、個人情報の種類や内容などの実情については判断をせずに、外形で判断をするのが現行の法解釈であります。
 やはりこの点については、過剰反応等の要因となっている部分としても、個人情報が個人データになった段階で、安全管理措置が発生するといった形式的な判断しかなされていない点、ならびに、特定の機微な個人情報であっても、一般にウェブ等で公表されている個人情報であっても、同じ取扱いを求めるという現行の解釈に基づく部分がかなり過剰反応にも影響していると考えられますので、この点については例えばJIS_Q_15001という規格においては、特定の機微な個人情報の取扱いについて既に明示的に要求事項として定めがあるわけでありますが、現状においてプライバシーマーク付与認定事業者において、特定の機微な個人情報の取扱い制限が課されることをもって、業務に著しい支障が生じているという現状はないと考えておりますので、個人情報保護法制においても個人情報を単に外形的に判断するのではなく、今後は特定の機微な個人情報も含めてその実情、内容に応じて判断するということも当然必要になってくるのではないかということが1点目です。
 後者の暗号化等、秘匿化された個人情報と個人識別性の問題については、今後はクラウドコンピューティングを始めとして、個人情報が我が国にとどまらず、各国においても流通するという場合に、幸い我が国においては、個人情報の第三国移転について一切制限がございませんので、データ移転に当たって個人情報に該当する情報が他国に流通するということについて何か検討が必要かというと、検討の必要がないという状況がありますので、この件については現行の法制度が幸いクラウドコンピューティングを始めとする新たな個人情報の取扱いの局面においては支障になっていないと考えられます。
 その一方で、現行の個人情報の取扱いにおいて暗号化しても、暗号化しなくても、漏えいした場合には、個人情報の漏えい。厳密には個人データの漏えいと見なされて、結果的に暗号化することのインセンティブがなくなってしまうという現状があるわけであります。
 ですから、この点についても個人情報の解釈とは別の問題として、暗号化と秘匿された個人情報の取扱いと個人識別性の問題に加えて、引き続き検討すべき事項としては、暗号化するということについては、情報の安全管理に当たっては必要不可欠な措置であるという現状にかんがみますと、やはり暗号化することのインセンティブを確保するということも含めて、暗号化を推奨する方向での個人情報の取扱いについての議論をすべきではないかと思っております。

○長谷部座長 ほかにはいかがでございましょうか。
 角委員、お願いします。

○角委員 2点ございまして、1点目は先ほど杉浦委員がおっしゃったことに関連するのですけれども、この章立てとか中身もそうですが「第1 総論」の「2.社会保障・税番号制度及びそれに伴う第三者機関との関係」というのが、すごく総論に置いてあるというのに違和感があります。
 ただ、私自身はやはり番号制がどうなるかというのは、まだある意味ではわかったような、わからないような状況ですから、それが導入されるのを前提した記述というのはよろしくないと思うのですけれども、ただ、この番号制とは個人情報保護法制に対して物すごくインパクトを与えるものでありますし、かつ議論の状況を見ていると、非常にある種の拙速さとか情報の保護ということに対して、個人情報保護法が入れられたとき以上の、非常に国民生活に対しての萎縮効果なりを与えかねないと思いますので、この税番号制と個人情報保護法の関係はきちんと書いておくべきことだと思います。
 ただ、この2の章立ては何となく違和感があります。第三者機関というのが各論的な議論とは全く申しませんけれども、番号制度及びそれに伴う第三者機関との関係という、この章立てはすごく違和感がありますということが1点です。
 もう一点は、若干、細かいことなのかもしれないのですけれども、7ページにあります「イ 検討課題」で、1つ目のポツが正直何を言っているのかよくわからなくて「検討する必要がある」というのは、ある意味では読み方によっては、特定の個人を識別することができるという要件の解釈がわかりづらくて検討する必要があるとなると、まさに個人情報保護法で保護すべき個人情報とは何かというのを、正面から法改正も視野に入れて考えなさいとも読めるし、とにかくマニュアルではないのですけれども、役所としてガイドラインを出してくださいとも読めますので、そういう意味でも玉虫色で書いてあるというのなら、それはそれでいいのですが、法改正まで視野に入れてというのは、ここの検討課題でそこまでドラスティックなことは書けないとするならいいのかもしれませんけれども、何となく何を言いたいのかがよくわからない。
 この2点でございます。

○長谷部座長 須藤委員、お願いします。

○須藤委員 今の杉浦委員、角委員のお話とも関係しますけれども、5ページからの文章で社会保障・税番号制度及びそれに伴う第三者機関との関係、新保委員もかなり突っ込んで言及されておりますが、ここでこのような言い方をしていいかどうか判断を迷うところがあるのですけれども、社会保障改革担当室の事務局長、室長、審議官と先般、意見交換をさせていただきまして、そのときおっしゃっていたのは、もし個人情報保護法を今の税と社会保障との一体改革との関係で主体的に法改正の観点から御検討いただければそれが望ましいと考えているが、その動きがない以上、番号法で対応せざるを得ないという言い方をされました。
 これは私だけではなくて、早稲田大学教授 北川元三重県知事。そして、全国市長会の森長岡市長から、我々のメンバーには山田全国知事会会長もいらっしゃいますけれども、その場で勝手な言い方ではなくてオフィシャルな言い方だと思います。それに対しては、積極的にやってほしかったと。動かなかったということで、ある意味動かないがゆえにこういう書きぶりになってしまったようにと見えるのです。
 だけれども、それでも不十分で、やはり各委員から疑問が出るように、動かないのだったらなぜ動かないかということ、積極的に対応しない理由をある程度明示化できた方がいいと思います。
 二重立てで、前回座長がおっしゃったように、2つの法制がどうもできるようだ、それで、それらがかなり重なってしまうと。それの関係というのは、きちんと今後、検討すべき対象ではないかということをおっしゃったと思うのですけれども、そこら辺も明確になるようにはしなくてはいけないだろうと思います。
 その際におっしゃったのは、峰崎事務局長と審議官はEUの視察に行ってきて、国際的な水準で三宅弁護士が昨日の日経で第三者機関のことをインタビューで答えられていますけれども、ほぼ同じ見解であるという感じなのです。EU、特にデンマークの在り方は模範にすべきだと思うと。そういう意味では、このことを踏まえると、やはり5~6ページまでの書きぶりは考えた方がいいのかなと思います。これは各委員もおっしゃっているとおりだと思うし、もう少し検討した方がいいのかなとは思いました。

○長谷部座長 では、大谷委員、お願いします。

○大谷委員 第三者機関についてさまざまな御提案があったところなのですけれども、まず、報告書の立て付けとしましては、番号制度そのものとは切り離して、この専門調査会として議論した結果を記載することがまず、必要だと思っておりますので、皆様からそのような御提案があったことに賛同したいと思います。
 第三者機関そのものについての考え方なのですけれども、一口に第三者機関と言いましても、第三者機関としてイメージしているものの姿が、今、須藤委員からお話があったようにたまたま番号制度の大綱などでほぼ概要が明らかになっているものをイメージしているのか、それとも海外の諸制度などを参考にしているのか。それぞれさまざまなイメージを抱きつつも、ここで十分な検討がなされてこなかったということも事実だとは思っております。もし本日、議論が可能なのであれば、まず、これまでの主務大臣制というのは否定するようなものなのか、それと両立するものなのかは一つの論点かと思います。私の個人的な考え方としては、事業分野の特殊性はある程度ありますし、その特殊性を勘案した事業者の監督等については、一定の効果を上げてきたものと実感しておりますし、これまでのヒアリングの結果もそうであったと思っております。
 そうしますと、主務大臣制を否定するような発言というのは、これまでもなされてこなかったことから、それと共存するような機関の在り方について考えていかなければいけないのかなと思うわけなのですが、その場合にこの主務大臣制がありつつも、事業分野に対して横断的な制度運用の検証を行うような役割を国の行政機関であり、あるいはこの専門調査会といったものが十分に果たし得てきたかということについては、それなりに反省すべき点が多々あるのではないかと思っておりまして、それが過剰反応という現象もそうです。
 それから、ストリートビューなど典型的な新たなメディア、新たな情報流通手段といったものに対して、どういう対応を取るのか、手をこまねいてきた実態への率直な反省に立ち、検証した結果を述べるべきではないかと思っております。そういった新たな課題について迅速でかつ適正な対応が取れるような第三者機関を目指すということであれば、第三者機関の在り方としてそういった議論も必要と思います。
 ただ、それについても今まで十分な検討がなされてきておりませんので、委員の総意として何が記載できるかというのはわかりませんけれども、私としては個人的な意見としては、事業分野に対する横断的な制度運用の検証ができ、なおかつ制度運用の課題などについて行政機関に対して監督ができる機関を想定して、議論を今後、進めるべきだと思っております。
 また、これは恐らく異議のないところだと思いますが、OECD等の国際的な制度形成に関して国としての意見を示したり、国の制度の在り様ですとか、世界的な情報の流通について日本としての姿勢を示すという窓口となるコミッショナーのような位置づけが不可欠であるということについて恐らく総意だと思いますので、その点について記載することができればよろしいのではないかと思います。
 ここでもうほとんど最終回という状況の中で、第三者機関に何を求めるのか、どんな役割のものであればそれが必要だと考えるのかということについて、もし十分な議論が尽くせないのであれば、さまざまな幾つかの意見が出たものを併記して、更にそれで十分なのか、過不足がないのかということを今後の検討課題として挙げるということが恐らくこの専門調査会としての役割なのではないかと思います。
 以上です。

○長谷部座長 どうもありがとうございました。
 三宅委員、お願いできますか。

○三宅委員 先ほどからいろいろ意見が出ていて、座長と座長代理のとりまとめは大変だろうなと思っておりまして、5ページの2の表題は「社会保障・税番号制度及びそれに伴う第三者機関との関係」となっていますが、なるほど確かにここの専門調査会での個人情報保護制度のとりまとめというのは、本来は社会保障・税番号制度がどういう提言がされて、どう進展していくかとは切り離して、本来議論するというのが確かに本筋だと。
 ところが、議論をやっているうちにあちらの方が追い越した議論になってしまったので、それとの関係をどうするかというのが出てきたように思います。多分「ア 従前の検討」のところで、国生審の意見では、中長期的課題として検討することが必要であるとされておりましたけれども、ここのところが中長期的検討ではなくなったのだと思うのです。喫緊の課題というか、検討課題という何も頭を付けない検討課題とすることが必要であると。
 ただ、そのときに「イ 検討課題」のところで、この1年余りというか、数か月の間に先行してしまった番号制度の在り方でポツ1、ポツ2が出てくると思うので、もう思い切ってイのポツ1とポツ2の前に、従前の検討の国生審の意見の中長期的課題としての検討の必要性というのを少しアクセルを吹かして、検討課題とすべきあるというのを先にぱっと打ち立てて、その上でその際に既に議論がされているところとの関係でいえば、イのポツ1とポツ2のところが検討課題になる。
 臼井さんが今日、出されたところは、これはメディアにとっては大変重要なところで、実は税・社会保障番号制の検討会でも、私はこの提言をしたところ、長谷部座長からこれは憲法論だから、余り個人情報保護法の50条のような規定をこの社会保障制度の中に入れ込むべきではないのではないかという議論ができまして、私も例えば取材の自由とか報道の自由というのが法律の文言で書き込まれると、憲法の持っている権利性が法律によって制約されるのではないかなという気もありまして、長谷部意見に結局従って、その後は反論をしなかったのです。
 ただ、個人情報保護法の35条にように表現の自由とか政治活動の自由を尊重するという規定は、それはあってもいいかなということを考えておるのですが、一般法の中に個人情報保護法の35条と50条があるということは、やはり特別法に何らかの影響があるので、そこのところはどうしても考えなくてはいけないし、そのことをこちらの専門調査会でも指摘しておく必要はあるのではないかと思います。指摘をしておくという必要にとどまりますけれども。
 私は、今のところは結論的には個人情報保護法の35条のような規定を大綱法の中にも入れておくのにとどまるべきではないかという考え方なのですが、そういうことも含め、先ほど言いましたように杉浦委員からもいろいろ出たところも踏まえると、見出しは少し考えていただいて、第三者機関の在り方とそれに伴う社会保障・税番号制度、そのものと言うかどうかありますけれども、との関係というのは何か少し表題も変えた上で、中長期的な検討課題をアクセスを吹かす感じで、検討課題にするというのを明確にしておくのを専門調査会として「消費者委員会」にあげるというのが筋ではないかという感じがします。

○長谷部座長 吉川委員、手を挙げておられましたね。

○吉川委員 11ページの苦情の円滑な処理というところで。

○長谷部座長 7ページまでということですので、それは後でよろしいですか。

○吉川委員 済みません、はい。

○長谷部座長 長田委員、お願いします。

○長田委員 これまで各委員がおっしゃいました意見、私も賛成です。それで、第三者機関が必要である、検討すべきだということは、この専門調査会の冒頭でもたくさんの委員が意見をおっしゃいましたが、その後ずっとヒアリングをただ重ねてきて、そのことについて議論する期間がありませんでした。
 そこで大谷委員がおっしゃったみたいに、もしかしたら1つの同じイメージを持っているわけではないかもしれないという問題はあるかもしれませんけれども、それでも現状の個人情報保護法上の主務大臣制の限界とか、それで何ができていて、何ができていないのかという整理もまだ実はできていない状態の中ですが、それでも第三者機関が必要であるという意見は、本当にほとんどの総意なのではないかと思いますので、そこはきちんと書いていただきたいです。
 それで、先行して何か進んでいるものについては、それの影響があるかもしれないけれども、個人情報保護法のこの検討している専門調査会の総意としてもそれだということをきちんとまず、書いていただいた上で、その関係は注視すべきものの課題というのが幾つかあるかもしれないというのは、多分脇役なのだろうなと思います。
 今回は我々が検討すべき課題を抽出するというのが役割であったということですので、そこはきちんと出した上で、この後の「消費者委員会」の判断で是非、それがぐんと進むような流れになっていくということ、今はそれしか望みがありませんので、それにつながるような形できちんと明記をしていただくのがいいと思います。
 やはり先ほど新保委員からも御指摘がありましたけれども、我々やヒアリングでの意見が別枠に切り取られたことによって、どうもそういう思いとか勢いが切り取られてしまっているのです。長くなって読みにくいとか、いろいろなことがあるのかもしれませんけれども、やはり溶け込ませていただいた方が本当は、それでもまだ余りないチャンスの中でみんなが述べた意見が読み取れるのではないかと思いますので、そこをもう一度再考していただけるといいのではないかと思います。

○長谷部座長 どうもありがとうございます。
 三木委員、お願いします。

○三木委員 これまで述べられてきた意見と余り変わりがないのですが、前回も申し上げたのですけれども、個人情報保護法制という全体の型があって、その中で法制に整合する形で個別法制が入ってくるという形であれば、全体として何が守られるのかという大前提を共有した上で個別の議論ができるということになってくるのだと思うのです。
 今回おまとめいただいた内容だと、どちらかというと社会保障・税番号制度に引っ張られて、個人情報保護法制について注視をしましょうとか、検討しましょうということになっているので、この仕組みの中で個人情報保護法制で何を守るのかという部分が一般の人が受け取るメッセージとしては非常にわかりにくくなってしまっていると思っています。
 第三者機関についても、社会保障・税番号制度があって、一般法制もそれについて一部カバーしていきましょうという話は本末転倒ではないかということを前回申し上げたのですけれども、座長からは、これだけ第三者機関と位置付けても入らなかったのだから、社会保障・税番号制で入るのかなとおっしゃられて、そうか、そういう考え方も確かにないわけではないなと思ったのです。
 ただ、一方では、全体として何が守られるのかという議論がなくて、個別の保護制度に基づいてできたものに吸収していきましょうということが全面に、この専門調査会の結論というか、報告としてまとまって出ていくというのは、やはり理解されにくいのではないか。全体の枠の中では、確かに社会保障・税番号制度が、すごく政治的な意思がはっきりしているのだと理解していて、そこで議論が一気に進んでいるというところで、どんどん先行してしまっているところがあるとは思うのです。
 ただ、やはりここは社会保障・税番号制度について議論するというよりも、この社会の中でどうやって個人情報保護について法律上対応していくのかということの議論がメインであるはずなので、まとめ方についても、各委員から出ましたけれども、5ページ~6ページにかけての部分は、もう少し本来の個人情報保護法制としてどうなのかということを中心にちゃんとまとめていただいた方がいいのではないかと思います。
 言葉として、6ページの「イ 検討課題」のところなども、最初の「・」は、後段が「社会保障・税番号制度の導入により、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することのバランスが損なわれることのないよう、立法の動向を注視する必要がある」と書かれていまして、これも読み方によっては、どっちが主体になって、何を注視していくのかというのがわかりにくいところがある。
 あと、後段の話なのでここで議論するべきではないのですが、14ページなどだと、多分、プライバシーインパクトアセスメントのことを言っているのだと思うのですけれども、これも社会保障・税番号制度のものを参考に一般法制をやっていくというのも実は本末転倒で、一般法制がきっちりあった上で、プライバシーインパクトアセスメントをやることに意味があるというのが本来の議論の筋だったりもするので、そこの種々が逆転しないように言葉の整理を少ししていただく必要があるのではないかなと思います。

○長谷部座長 では、別所委員、お願いします。

○別所委員 皆さんがおっしゃっているように、理想的には、多分、個人情報保護法制があって、個別法という話だと思っていますし、本来はそうあるべきだと思っているのですけれども、今の状況がそうではないのも、所与の条件としては既にあって、その中でどういう形でまとめていただくのかというのは非常に難しいので、そういう意味ではかなり際どいまとめ方をこの案としてはしていただいている理解でいます。
 前回、長谷部先生がおっしゃっていましたけれども、今後どういう形で議論が進んでいくかというところの戦略どりとかというところにも関わってくると思っていますので、必ずしも建前をここで一生懸命言うことがいいのかどうかというのはかなり難しいので、そこは今のまとめ方が必ずしも適していないとは個人的には思っていないところです。
 もちろん、第三者機関のところの書き振りとか、個人情報保護法制と番号制との関わりのところは非常に難しいですけれども、建前に戻して書くことのインパクトと、現実的な進み具合を見ながらどういうところをここで提言するのかというところを、真ん中をどうやってとっていくのかというところについて考えていただいた上でおまとめいただければありがたいなと思っているところでございます。
 第三者機関のところは十分な議論ができていない部分もたくさんあって、第三者機関が必要というよりも、第三者機関にどういう機能を持たせてあるべきかというのが多分あって、そこの機能論をきちんと整理しないと、第三者機関という言葉だけで有無を議論するのはなかなか難しいと思うので、そこはそういう議論を踏まえた上ででしかまとめられないという前提で、書き振りも制約せざるを得ないのかなと思っております。

○長谷部座長 どうもありがとうございます。
 それではそろそろ、座長代理から発言を。

○藤原座長代理 今日いただいた御意見のとおりだと思うのですけれども、第三者機関についての委員意見の全体の方向性は本当によくわかりました。個別にはそれぞれおっしゃるとおりだと思います。個人的にも、最近の韓国をみても、EUとそろそろ正面から向かい合えという御議論が強くなって当然だという気がしております。ただ、そのときに、この場では、中身の議論はしなかったし、前提とすべき事実は事実として存在すると思います。
 中身の問題として、大谷委員が言われたように、主務大臣制を前提として横断的な第三者機関をどう組むかという問題が1つある。
 もう一つは、三宅委員がおっしゃられたように、今、税と社会保障の方はパブコメの段階に来ているという、これは別所委員も言われた事実です。三宅委員は追い越されたという表現を使われたのですけれども、3条機関になるのかも含めて、動向を見ざるを得ないということ。
 もう一つは、税社会保障の方でできるものと戦略的にどう向き合うかというところでの方法論が、前々回までのこの場での議論ではなされなかったのかなという気もいたします。
 まとめにはならないのですが、もはや中長期的な課題ではないというところでは共通しているのだろうと思います。それを実現するための手法が、本日の多くの方の意見、消費者庁・消費者委員会でリードすべきだしできるというお考えだと思いますが、そのような御意見と別所委員の言われたような御意見と2つあるところで、こちらとしてどうアプローチすれば一番いい第三者機関がつくれるのか、あるいはそのための橋頭堡を築けるのかという御議論かなと思って伺っています。
 いずれにせよ、新保委員から始まる三木委員までのご発言について、表現振りでその趣旨をできるだけ出せるように努力すべきだなと、今のところこのように考えております。

○長谷部座長 ここだけ議論しているわけにもいかないものですから、とりあえず、根本的な大議論をどうもありがとうございました。ひとまず、この辺りでおさめていただきます。
 続いて、今度は7ページ~14ページ、検討課題の終わりのところまでで御意見をちょうだいできればと思います。
 吉川委員から先ほど手が挙がっていましたね。

○吉川委員 11ページの「苦情の円滑な処理」というところですけれども、今までの相談体制においては国民生活センターというのが大きな役割を果たしていました。それが今、国民生活センターと消費者庁との在り方の検討の中でどういう形で決着がつくのかがわからない中で、一般の人が個人情報に関する相談を寄せるのに大きな役割を果たしていた国民生活センター、各地方自治体、認定個人情報保護団体という3つの柱のうち、検討課題のところでは「各地方公共団体や認定個人情報保護団体による苦情処理の取組について、より一層、効果的な解決がなされるよう」ということで、その2つについて「国が講ずべき必要な措置の在り方を検討する」という書き方になっています。窓口として今まで大きな役割を果たしてきたところの1つである国民生活センターが抜け落ちるのかどうか、国としての講ずべき役割措置の在り方についてもう少し明確な形で書いてほしいなというのか、検討してほしい点と思っています。

○長谷部座長 ほかにはいかがでしょうか。
 臼井委員。

○臼井委員 これも修正意見のペーパーで書いています。ペーパーの2つ目です。6ページと書いていますが、今日いただいた資料では8ページです。ですから、8ページの「利用目的による制限・第三者提供の制限」の検討項目の1番目の「・」を次のように修正していただきたい。
 その「・」は、「第三者提供の制限において利益衡量の余地が明示されていないために、本人の権利利益を保護するために必要な開示や、有用な個人情報の利用・流通等が妨げられているとの意見については、利益衡量の判断に関する紛争を解決する仕組みの必要性と併せて、検討する必要がある」です。
 そこの「有用な個人情報の利用・流通等が妨げられているとの意見については」の部分を「有用な個人情報、及び公人の職務に関する個人情報の利用・流通等が妨げられているとの意見については」としていただきたい。
 つまり、「有用な個人情報」の次に、「公人の職務に関する個人情報」の利用・流通等が妨げられているというものを入れていただきたいということです。
 理由は、本来は、社会に流通させるべきなのに、流通が妨げられている個人情報の中に「公人の職務に関する個人情報」というのがたくさんあります。公人の職務に関する個人情報というのは、一般私人の個人情報に比べ、流通させるべき必要性が格段に高いのに加えて、一般私人の個人情報とは質が違います。このため、現在、利用・流通が妨げられている情報として、「有用な個人情報」一般に加え、「公人の職務に関する個人情報」を入れるように求めます。
 以上です。

○長谷部座長 新保委員、お願いします。

○新保委員 9ページのプライバシーポリシー等に係る記述について2点、意見がございます。
 1点目は、法において用いられていないプライバシーという用語が用いられてきた点です。2点目は、個人情報保護方針の形骸化に関する問題として実状に応じた表示が必要であるという点です。
 1点目についてでありますが、個人情報保護法においては、「プライバシー」という用語を一切用いていないわけであります。ところが、基本方針ではプライバシーポリシー、プライバシーステートメント等という用語を用いて、個人情報取扱事業者に個人情報の取り扱い状況について方針を示すように定めているわけです。これについては、本来は個人情報保護方針等という表記により、「個人情報」という法令において用いられている用語を用いるべきであって、いきなりプライバシーポリシーという形であいまいにするということを避けなければならないと思っております。個人情報保護方針等の中にプライバシーポリシー、プライバシーステートメントも含まれるとの考えが妥当であると思います。また、ポリシーとステートメントの違いについても現状では余り明確に区別はなされていませんが、本来はプライバシーポリシーと呼ばれるものについては個人情報の取り扱いに関する全体的なマネジメントシステムを構築して、その内容が詳細に記述されているものがポリシーであって、ステートメントはあくまで宣言文であるという違いがあります。
 よって、現状においては、個人情報保護方針という形で表示されているものは、限りなくプライバシーポリシーではなく、本来はプライバシーステートメントに該当するものでありますので、やはりこの点については、現行の法令において用いられている用語に合わせて標記をした上で、プライバシーポリシー、プライバシーステートメントというものがあるという形にしておいた方がよいだろうと思っております。
 2点目の個人情報保護方針の形骸化という問題でありますけれども、形骸化ということについて報告書で単に明記する必要はないと思っておりますが、個人情報保護方針の掲載がかなり形骸化している現状があるのは事実です。単に個人情報保護方針を掲載している他の事業者の保護方針、とりわけプライバシーマーク認定事業者の個人情報保護方針をそのまま掲載しているという事例も多々見受けられるわけであります。よって、現状の個人情報保護方針については、本来の目的とは異なり、単に個人情報保護方針を掲載するにとどまり、ある意味でかなり無意味な表示になっているという状況があるわけであります。
 よって、この点については、個人情報保護法に基づく形式的、形骸化した単なる個人情報保護方針の掲載ではなくて、できれば加えていただきたい記述としては、個人情報の取り扱いに関し、事業内容に応じた利用目的や取り扱い状況を明示するということと併せて、事業者における個人情報の取り扱い状況の透明性を確保するために必要な表示として、個人情報保護方針の位置付けを検討する必要があるといったような記述をもって、事業者における個人情報の取り扱い状況の実状を反映した表示によって透明性を確保することが本来の目的であるとことを明確にしたほうがよいと思います。
 なお、今後の検討については、これについてはまさに今後の検討課題としての扱いでありますけれども、例えば米国などにおいては、連邦取引委員会法5条に基づいて、プライバシーステートメント、ポリシーに掲載されている事項と実際の個人情報の取り扱い状況が異なる場合には行政が関与するという形で表示義務を課しているという場合もございますので、現行の法令においても特定商取引法、景品表示法、金融商品取引法等においてさまざまな表示義務が課せられている中において、これは現行の法制度全体を通じてこういった表示義務についていかに適正な表示、実効性を担保するのかということを引き続き検討すべきであると考えております。

○長谷部座長 それでは、三宅委員、お願いします。

○三宅委員 先ほどの吉川委員の発言と総論のところで言われた長田委員の発言を踏まえて、全体の構成の在り方でずっともやもやしていたのですが、例えば吉川委員の意見は、22ページの「苦情の円滑な処理」の(2)の「・」1に国民生活センターの廃止が閣議決定されているからどうなるのかという議論も入り込んでいることは入り込んでいるのです、意見としては。
 ところが、12ページだけ見ると、全くそこが何となく抜け落ちるような感じがあって、私は、前回以降の原案が出てきたときに、何か意見がそぎ落とされ過ぎているのではないかという意見を述べたのですが、全部入れると余りにもごちゃごちゃして見苦しいような感じもするなと思って、別紙添付で本文に別紙ありということを明示する格好かなと思ってきたのですけれども、活字を小さくしてでもいいから、検討課題の後ろに個々の意見を述べておいた方が何となくニュアンスとしていいのではないかなという感じがしまして、そうすると、それとの対応ですぐ上を見られる。余りきれいな形にならないとすると、今ある総論と各論のところは概要の形で出すこともやむを得ないかな。概要だけひとり歩きするかなと思ったのですけれども、これだと別紙を除いた部分だけでもひとり歩きをする可能性もあるから、本文としては、そちらの方が形式としていいかなと思っていますので、ほかの方の御意見も伺えれば。

○長谷部座長 それでは、藤原座長代理、お願いできますか。

○藤原座長代理 まず、今の三宅委員の御意見についてですけれども、多分これは一定程度の合意形成がなされた部分は意見のようになっていて、皆さんがそれぞれの立場から御発言されたところは、重要な意見が多いので、後ろの方に別添という構成になっていると思うのです。今のような御議論があるのであれば、例えば吉川委員のところでも、今、22ページとおっしゃいましたけれども、クロスリファレンス的に注釈を、これも例えばですが、矢印で「22ページ意見」という形の工夫はできますね。今の構成を崩さずとも。今の時点の思い付きですけれども、そうすれば、吉川委員の意見が見ればわかるのかなという気がしました。
 新保委員の御意見ですけれども、以下のようなことを確認させてください。9ページは事業者が個人情報保護を推進する上での考え方や方針と書いてあるので、これを正面から書けばよろしいのではないかという御意見だと思うのですけれども、多分これまで事業者の方々、民間ではもうプライバシーポリシー、プライバシーステートメント等と一般に使っているので、ここに「いわゆる」と書いてあるわけなので、最初、私は「いわゆる」ということで読めるかなと思っていたのですけれども、言葉を厳密に使えという御趣旨だということですね。
 次にイのところで、形骸化論ですけれども、事業者の自主的な取り組みにゆだねるのでは不十分ではないかとの意見もあることを踏まえ、プライバシーポリシー等の役割を検討する必要があるというところですけれども、ここをもう少し書き込んだらどうかという御意見だということでしょうか。
 臼井委員の御意見ですけれども、8ページのところは、クロスリファレンス的に言うと、多分、19ページを反映しているのだと思うのです。19ページで日弁連意見とか、ヒアリングとか、前から三宅委員も言っておられるところの、利益衡量の余地という、利益衡量をしなさいということが書いてあって、利益衡量をするとさまざまな利益衡量をしたことに伴って、難しい場面も生じるから、紛争処理、救済の仕組みがあった方がいいのではないかという御意見もあり、その両者を書いてあると思うのです。その際、利益衡量のときの衡量要素の一番重要なものの1つが、例えば公人であるかどうかとかというお話なので、私は、これは臼井委員の意見をかなり入れて書かれているかなと思っていたのですけれども、そういう趣旨ではないのでしょうか。
 つまり、ここに書いてあるものの典型が臼井委員の言われている話ではないかと思ったのですが。

○臼井委員 社会に流通すべき有用な個人情報と公人の情報は重なります。重なりますけれども、ぴたりではなくて、類型としては違うと思います。だから、公人情報を同じ類型として、有用な個人情報の中に入れ込まないでもらいたい。日弁連から出ました、国会議員、公務員、法人の代表者等については第三者提供と目的外利用の制限の適用外にせよというところを検討課題からそぎ落とすのではなくて、「検討課題」にわかるような形で入れていただきたいという主張です。
 ですから、さっきの吉川さんの意見と似ています。ヒアリングや委員発言に書いてあるからいいじゃないかというのではなくて、検討課題の中に、「委員発言・ヒアリング」の中にある文言を一言でもいいから入れておいてほしいということです。

○藤原座長代理 そうしますと、先ほど吉川委員と三宅委員に例えばということでお示しした、20数ページに書いてあるところがリファレンスという形で反映されるのではだめだということですか。

○臼井委員 それではだめです。「検討課題」に、先ほど言いました「有用な個人情報、及び公人の職務に関する個人情報の利用・流通等が妨げられているとの意見については」検討する必要があるということを入れていただきたい。
 つまり、藤原さんの意見は、委員発言に書いてあるからいいじゃないかということでしょ。

○藤原座長代理 いえ、ちょっと待ってください。

○臼井委員 もう一つは、同じ類型だからいれなくてもいいではないかというご主張のようですが、「委員発言・ヒアリングの概要」に書いてあることをコンパクトでもいいから入れておいてほしい。そうすることが一般の人に非常にわかりやすくなる。しかも、それは類型が違う。類型が完全に違うとは言いません。つまり、重なっている部分はありますけれども、しかし、「有用な個人情報」というものが、「公人の職務に関する個人情報」と完全に一致していると一般の人は思わないわけです。だから、一般の人の感覚で入れていただきたいというのが1つです。

○藤原座長代理 私は十分でないかと申し上げているのではなくて、今日御提出のこのペーパーを拝見したときに、行政機関の説明責任と、民間部門の規律は異なるのではないか、公的部門での規律と法人登記をしてあるという民間事業者に対する規律とは本当に一緒だろうかと思ったので、もう少し議論が要るのかなという感じたわけです。それでクロスリファレンスも1つの案かなと思ったのです。この辺りは民間の方々の御意見も聞かなければいけないのですけれども、規律が全く一緒なのかなということです。

○臼井委員 もう一言。
 全体の構成が、個人情報保護法というのではなくて、個人情報保護法制と書いてあるので、それは行政機関の個人情報保護法も入るであろうというのが1点。
 もう一つは、公人の職務に関する個人情報というのは、必ずしも行政機関が持っているとは限らない。民間が持っている場合もある。
 例えば選挙のときに立候補者の経歴を確認する。そのときにメディアはどうするかというと、学校あるいは企業に確認するわけです。本当にこの人はいましたかどうか。そのときに、いや、これは個人情報なので答えられませんというケースがあるわけです。つまり、そういうことも含めて、公人の職務に関する個人情報というのは、一般私人の個人情報とは類型が違うと思います。比較衡量のやり方も違う。だから、入れてほしいということです。
 以上です。

○長谷部座長 ほかにはいかがでございましょう。
 三木委員、お願いします。

○三木委員 1点は、8ページに、まさに今、議論になったところですけれども、第三者提供の制限の部分で、本人の権利利益を保護するために必要な開示や、有用な個人情報の利用・流通等が妨げられているという意見が書かれているのですが、別紙の方からも漏れているので、改めてここで申し上げておきたいところがあります。
 1つが本人の権利利益といったときの権利利益の範囲で、一体どういうものなのかということについては、そんなにちゃんとした社会的な共通認識があるとは思えていないところがありまして、それは前にも意見として申し上げているところです。
 その結果、結局、比較衡量をするにしても、よって立つ基盤については余り具体的に共有はされていないという問題があるように感じています。
 同じ問題は、「有用な個人情報」の利用・流通といっても、有用性というのをどの視点に立って判断するのかによって大分見え方が違ってしまうと考えています。
 「・」の2で、行政機関保護法の問題に言及はされているのですけれども、まさにこの部分がそれを表していると思っているのですが、行政機関として個人情報の有用性を追求すると、転用、有用みたいな形で個人情報が二次的に使われていくことの可能性が出てくる。一般的にも有用性をだれの視点で追及していくかによっては、全く、個人情報の使われ方や個人の権利利益との関係が変わってきてしまう。あくまでも有用性というのは、個人の権利利益の侵害がない範囲であったりとか、社会的に合意されている範囲で、ある程度、個人の権利利益の制約はやむを得ないという範囲であったりとか、そういうもので本来はあるべきなのではないかと考えています。
 なので、この点については、この中でどう書くというよりは、別紙にもそうした視点がないので、ここで改めて意見として申し述べておきます。
 もう一点が、13ページですけれども、「格別の措置とガイドラインの在り方」ということが書かれていて、従前の検討のところで、社会保障・税番号制のことが言及をされているのですけれども、検討課題のところは、そこが考慮されずにガイドラインの問題としてしか言及がされていないということであります。
 前段の方に社会保障・税番号制については格別の措置という位置付けになろうという言及があるのですけれども、法の言及になるとそういう社会保障・税番号制との視点が検討課題の方から落ちてしまっているというところで、むしろこっちの方はきちっと書いていただいた方がいいのではないかと思います。
 特に、個別のガイドラインというところに加えて、社会保障・税番号制の動向については、こちらの側でもきちっと注視をしていく、あるいは保護法制との関係性についてちゃんと見ていく必要があるということは、むしろこっち側の方でちゃんと書いていただきたいなと思います。
 以上です。

○長谷部座長 ほかにはいかがでございましょうか。
 では、角委員、お願いいたします。

○角委員 誠に細かいことで恐縮ですけれども、9ページの一番最後の検討課題で、従業者の同意の一番最初に損害賠償に関する同意がありますけれども、何となく、個人情報保護を議論している場で、損害賠償というのは一体何なのか。私が知らないだけなのかもしれないのですけれども、何でいきなり損害賠償というのが、個人情報保護とどう関わるのか教えていただければと思います。

○藤原座長代理 委託先等との関係でも同じ問題があるのですけれども、漏えい事故等を起こしたときに、第一次的に事業者が雇われている方、従業者に対してあなたが損害賠償を全部負うのだよというようなことを求める。あるいは委託関係であったら、委託元が委託先に何か事故が起こったらそちらの責任だよと損害賠償について規定しているという、そういう契約が見られるという趣旨の御意見であったのではないかなと思います。

○角委員 その問題と個人情報保護というのは密接に関係があるのですけれども、損害賠償とその後ろからの家族情報の提供云々とは少し質が違う問題だと思うので、少しわかりづらいかなと。それだけです。

○長谷部座長 何しろ附合契約なので、全部入っていると。
 ほかにはいかがでしょうか。
 そうすると、そろそろこの部分は終えまして、次に移ってよろしゅうございましょうか。
 残りが、検討課題以外、15ページ以降、別紙、添付資料等も含めまして、この部分で何か。今までもいろいろ御意見をいただいているのですが、それに加えまして何か御意見はございますか。
 よろしゅうございますか。
 三宅委員、お願いします。

○三宅委員 確認ですけれども、別紙のところの「委員発言とヒアリングの概要」の中では、今日出た意見も追加していただけますね。例えば新保委員からクラウド等について意見が出ていますが、まだここにはたしか入っていないけれども、極めて個人情報の保護にとっては今後重要な問題になってくると思うので、その辺りも含めてお願いしたいと思います。

○長谷部座長 ほかにはいかがでございましょうか。
 大谷委員、お願いします。

○大谷委員 20ページの(2)でプライバシーポリシー等と書かれています。ここには、本人開示の対象とすべき情報の範囲について書かれておりまして、本来、プライバシーポリシーに記載すべきこととして、基本方針等で求められている内容と齟齬が発生しているのではないかと思いますので、見出しの付け方などについて工夫していただければと思います。
 先ほど申し上げるべきだったのですが、新保委員からプライバシーポリシーの形骸化などについての問題点の御指摘があったところで、形骸化ということについて全く同感ではあるのですが、それをプライバシーポリシーというか、個人情報保護方針の拘束力を明確化するとか、法律で縛るということとの方向性が妥当かについては、私は全く違う考え方を持っております。
 どちらかというと、個人情報保護法の例えば24条辺りでしたでしょうか、こういう個人データについて公表すべき情報などについて法律で明確にされているところを、過不足があるのであれば、そこを十分に規定すべきであって、個人情報保護方針を通した間接的な規定という形で実現するべきではないと思っております。
 そのところについてこれまで十分検討する時間もありませんでしたけれども、新保委員のような考え方もおありでしょうし、その他の意見もあると思いますので、どちらかに偏らないような書き方でお願いしたいと思います。

○長谷部座長 バランスをとるように気をつけます。
 ほかにはいかがでございましょう。
 須藤委員、お願いします。

○須藤委員 三宅委員から言及があった、新保委員のクラウドに関する発言ですけれども、事実、国内にとどめろという法制がないからそんなに厄介なことはないというのは、インプリケーションとしては、きちんと作りなさいということをおっしゃりたいということですか。

○新保委員 2つありますけれども、第三者機関との関係においては、国際的な越境協力について窓口があるものの十分な役割を果たすことができていないという観点からすると、やはりきちんとした第三者機関の整備をすべきであろうというのが1点目であります。
 もう一点につきましては、現行の個人情報保護法において第三国への移転に関する制限がないからといって問題がないという意味ではないという点です。日本から又は日本を経由した第三国への個人情報の移転については、EUのように第三国に移転するに当たっての制限が現行の法制度では特にないことから、データロンダリングやデータヘイブンという問題が指摘されているわけです。
 これはこの専門調査会では全く取り上げなかった問題だと思いますけれども、日本が今後、国際的な視点から見ると、国内的に見た場合には、クラウドを始めとする個人情報が国境を越えて流通するサービスを提供する際に、第三国に個人情報が移転されることについて制限がないことについては、現状においては事業者としてはメリットであるといえます。ところが、国際的に見て、諸外国における法制度との関係においてそれが果たしてメリットかどうかは今の段階ではわからない。今後、データヘイブンまたはデータロンダリングといったような形で、我が国を介した第三国への移転については何ら制限がないことについてこのまま放置してよいかどうかということは、今後の課題であると思っております。

○須藤委員 それに関係して少し述べさせていただきます。
 私も今、総務省情報通信審議会の政策部会長ですけれども、その点についても委員から御意見がいろいろ出ておりまして、総務省の情報通信の分野においては、この辺は今、新保委員から御意見があったようなことは考えなければいけないだろうという議論はしています。法制が全く動かないというわけでもないけれども、今の時点では法制化するかどうか、できるかどうかというのもまだわからないという意味では、新保委員の発言というのは、インプリケーションとしてはきちんと考えましょうということをはっきり言っていただいているものだと受け取ったと。ですから、ここに別紙で載せるとするならば、そういうインプリケーションの下で載せるべきだろうなと。ただ、事実だけではなくて、今おっしゃっていただいたようなことをきちんと書いていただいた方がこれを読む方は理解しやすいだろうなと思います。
 もう一つ、クラウドのセキュリティは結構議論されますけれども、データベースのアーキテクチャについてほとんどみんな知らないままでセキュリティが危ないという議論をしています。アメリカのデータベースについて言うと、ほとんどは分散データベースで、固まりとしてデータベースに個人の情報などは入っていないのです。全部ばらばらにして、別のアルゴリズムでつなげるのです。1つ2つのデータベースがアタックを受けて、コピーされても何なのかが理解できないようにしてあるのです。
 暗号論、認証論に加えてデータベースアーキテクチャも理解した上でクラウドの議論をしなければいけないのだけれども、日本では不幸にも余りこういう議論がされていない。そういうこともあるので、もう少しクラウドの議論を深めた上で議論をしなければいけないなということを思います。

○長谷部座長 三宅委員、お願いします。

○三宅委員 今のクラウドの議論にも絡めてですが、日本の各省庁で個人情報保護について今まで議論してきたことというのは、制度をどうつくるかということが中心にあったように思うのですが、先ほど、最初に出た第三者機関の在り方というときに、やはり一番欠けているのは、個別救済から制度の在り方を見直すという分野だと思う。
 第三者機関の在り方といったときに、今の主務大臣制をとって、ここに地方公共団体の消費者センターとか、認定個人情報保護団体における苦情等の蓄積を今後検討しなければいけないというのはありますけれども、それを統括的に検討する機関がなかったので、それは私どもは、実は消費者委員会が立ち上がったときに、そこに期待したわけですけれども、今回のところはまだ第三者機関を積極的に検討課題に挙げるということにとどまっていますが、それが果たしてこの消費者委員会で全部できるのか。それとも別途の第三者機関が要るのか。そこが国民生活審議会の最後のときの部会でも言いましたけれども、ここ2、3年の動きを見ていると、やはりまだ遅いので、これはこれからの検討課題になると思うので、第三者機関の在り方といったときに、個別救済をこの委員会として中心に考えるというところの視点を第三者機関の頭に形容詞的につけていただけるようなところを工夫していただければと思います。

○長谷部座長 今の話は、個別救済を第三者機関の機能に入れるべきであるという御意見ですか。

○三宅委員 私はそういう考え方なので、それをどういうところでやるかということで、先ほど大谷委員が主務大臣制について余り否定的な意見はなかったとおっしゃいましたし、私も主務大臣制は一応、いいと思っているのですが、主務大臣制を強調するが余りに、個別救済を統括的に判断するところがないのが第三者機関として本来つくられるべきだという議論とつながってきているのではないかなと思っています。

○長谷部座長 ほかにはいかがでございましょうか。
 角委員、お願いします。

○角委員 蒸し返しみたいで恐縮ですけれども、定型があるわけではないのですけれども、8ページの先ほど臼井委員がおっしゃった、「イ 検討課題」の1の「・」で、有用な個人情報の利用・流通等というのがありますけれども、私は、この取りまとめ案を読んでいて感じるのが、「有用な個人情報」という言葉があちこちに出てくるのですけれども、「有用な個人情報」というのは一体何なのかというのが読んでいて即座に頭に浮かばないのです。
 臼井委員には怒られるかもしれないのですけれども、「有用な個人情報」はそもそも何なのかというのが大議論になるのはわかっているのですが、やはりこれは一般の国民の方も目にするものですから、我々がどういうものをイメージしているのかということで、例示的に「公人の職務に関する個人情報」を始めとしてとか、そう入れるというのも1つの書き方かなと思うのです。
 何となく「有用な個人情報」というのは、キーワードではあるのですけれども、何なのというのがよくわからないので、私自身はこだわるものではないのです。ちょっと読みづらいかなということであります。

○臼井委員 ぼくの名前が出たのでお答えしますと、角さんの提案で結構です。結構ですが、ご提案のようにしますと、さっき藤原さんがおっしゃったように、「有用な個人情報」の中に公人の情報というのが含まれるのではないか、だから書かなくていいのではないかと言われるわけです。そう言われかねないので、ぼくは、それは質が違います、類型が違います、という言い方をしました。
 だから、どちらでもいいのですよ。どちらでもいいのだけれども、角さんの言い方をされると、多分、藤原さんは、「公人の職務に関する個人情報」というのは、「有用な個人情報」の中の1類型でしょう、だから、それは書かなくていいのじゃないですかと言われます。だから、ぼくはあえて、いや、それは違いますといっているわけです。見方は2つあると思います。ぼくのように類型が違うという言い方と、「例えば」で例示すればいいという言い方です。それはどちらでもいいんです。少なくとも、「公人の職務に関する個人情報」というのを入れていただければ、非常にわかりやすくなるのは間違いないと思います。

○藤原座長代理 いえいえ、私は書くなと言っているのではなくて、提出意見を拝見したときに、公的部門と民間部門、公人、公人の責任といってもいろいろあるなという感じがしたので、議論の余地があると思い、伺ったということです。

○臼井委員 それなら結構です。

○長谷部座長 ほかにはいかがでしょうか。

○吉川委員 今の話からすると、「有用な個人情報」という、「有用な」は要らなくて、個人情報の「有用な」利用・流通等みたいな方が、よいのではないかと思います。

○長谷部座長 御趣旨はわかったような気がしますけれども、承ります。
 ほかにはいかがでございましょう。

○臼井委員 それについて一言。吉川さんのおっしゃることはもっともです。「有用な」というのは、社会に「有用な」、あるいは世の中に「有用な」というのが省略されているのだと思うのです。つまり、「社会に有用な個人情報」という方が多分、わかりやすいのではないかと思います。

○長谷部座長 社会だけでもないと私は思いますけれども。
 ほかにはいかがでございますか。
 今、全体についての話になりつつあるのですが、全体を通して何か言い残した点等はございますか。

○臼井委員 番号制のところで、どう書くかということですが、ぼくは、三宅さんがおっしゃったように、個人情報保護法について個別に処理する、あるいは紛争処理する機関として第三者機関を早急につくる必要がある、あるいは早急に検討する必要があるという文言を検討課題の中に入れる。入れた上で、大谷さんがおっしゃったことを入れる。つまり、今の先行している番号法に関する第三者機関について、いろいろな注文があるわけです。個人情報側から見たときに注文がある。それを列挙して注視するという表現でもいいですから、入れるべきだと思います。報道機関は個人情報保護法では、除外規定があり、その除外規定があることとどう整合性をとるのかということを是非入れていただきたい。注文の1つ、注視する内容の1つとして入れていただきたいと思います。

○長谷部座長 御注文にこたえ切れるかどうかという問題がございますが、ほかにも何か御注文がございましたら。
 長田委員。

○長田委員 お願いになりますが、この書き方というか、表現振りについて別所さんがおっしゃったような、前回、長谷部先生がおっしゃったように、どうやって現実的な獲得事項をとるかという考え方というのは確かにあるのかもしれないのですが、それには絶対にとるぞという強い意思があって、実現させるという合意があって、みんながそこに向かってどのプレーヤーも働けるということが条件になるのだと思うのです。なので、そういう意思の下に少し溶け込ませたような書き方をしてしまったがために、結局、何もできなかったということにならないようにしていただきたい。
 これは消費者委員会にお願いすることになると思いますけれども、そこはできれば、とにかく明確に書いていただくのが一番。でも、どうしてもだめだというのであれば、そこは消費者委員会の方でこの報告書を受け取った段階で何かそこは是非そういうふうに持っていっていただくということを確認していただくことが大切になるのではないかと思いますので、お願いをしておきたいと思います。

○長谷部座長 意欲は全員おありだということを私は確信を持っております。これは野球で言うと、1回の表裏が終わったぐらいのところです。まだまだ先は、いろいろ課題はあると思います。
 ほかにはいかがでございましょう。
 大体そんなところでよろしゅうございますか。
 当初、私が予想していたのとは相当違った展開となりました。いずれにしても、本日ちょうだいした御意見を踏まえまして、これまた藤原座長代理とよくよく御相談をした上で、皆様からちょうだいした御意見をなるべく広く取り入れる形で私の方で最終的な文案をまとめてまいりたいと思います。勿論その過程で各委員の御意見をまた更にお伺いするというプロセスもあり得るかとは存じますが、最終的なところの調整は私の方にお任せいただくということでよろしゅうございますか。
 どうもありがとうございます。
 そういたしましたら、私の方で最終的な文の形を整えましたら、それにつきまして私の方から消費者委員会に御報告を申し上げたいと存じます。
 これで最後ということを考えておりますけれども、昨年の8月、この専門調査会は発足をいたしまして、当初予定していた審議会数を上回る回数の審議をお願いしておりましたが、審議等、御協力をいただきまして本当にありがとうございました。
 審議等の御協力につきまして、重ねて御礼を申し上げたいと存じます。

≪3.閉会≫

○長谷部座長 そういたしますと、事務局から最後に何か御連絡等はございますか。

○原事務局長 どうもありがとうございました。
 最後まで活発な御議論をいただきました。昨年8月に専門調査会を発足し、約1年にわたり、ヒアリングが多くて、十分な審議というところまでいきませんでしたけれども、専門調査会としても今後の検討課題の抽出ということでは、ある程度、大きな成果を得られたのではないかと思っております。お礼を申し上げたいと思います。
 消費者委員会の報告につきましては、1か月後になりますけれども、8月26日に開く予定をしております消費者委員会で報告書に基づき、長谷部座長に御報告をしていただき、審議をしたいと考えております。
 事務局からは以上です。

○長谷部座長 どうもありがとうございます。
 それでは、本専門調査会はこれで終了とさせていただきます。
 お忙しいところ、どうもありがとうございました。

(以上)