第1回 個人情報保護専門調査会 議事録

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日時

2010年8月5日(木)10:00~12:00

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【専門委員】
 長谷部座長、宇賀委員、臼井委員、大谷委員、柿原委員、角委員、新保委員、杉浦委員、
 須藤委員、長田委員、藤原委員、別所委員、三木委員、三宅委員、吉川委員
【担当委員】
 下谷内委員、川戸委員
【説明者】
 消費者庁 國井個人情報保護推進室長
【消費者委員会事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.個人情報保護専門調査会の進め方について
3.個人情報保護法制の現状等について
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:55KB)
【資料1】 個人情報保護専門調査会の進め方について (PDF形式:24KB)
【資料2-1】 個人情報保護法の概要 (PDF:510KB) 【資料2-2】 平成21年度 個人情報の保護に関する法律の施行状況の概要 【資料2-3】 個人情報保護に関する取りまとめ(意見)(平成19年6月29日国民生活審議会) (PDF形式:100KB)
(参考資料1) 消費者委員会個人情報保護専門調査会専門委員名簿 (PDF形式:13KB)
(参考資料2) 消費者委員会運営規程 (PDF形式:14KB)
(参考資料3) 消費者委員会個人情報保護専門調査会設置・運営規程 (PDF形式:15KB)
(参考資料4-1) 個人情報の保護に関する法律 (PDF形式:65KB)
(参考資料4-2) 個人情報の保護に関する法律施行令 (PDF形式:27KB)
(参考資料4-3) 個人情報の保護に関する基本方針 (PDF形式:100KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 おはようございます。本日、皆様朝早くから暑いところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。まだ、お二人の委員の方が遅れておられるようですが、時間になりましたので、始めさせていただきたいと思います。
 ただいまから「消費者委員会個人情報保護専門調査会」の第1回の会合を開催いたします。
消費者委員会事務局長を務めております原です。どうぞよろしくお願いいたします。
 個人情報保護専門調査会については、本日初めての会合となります。後でまた資料のご説明をいたしますが、参考資料1に委員名簿をお付けしておりますので、お名前、ご所属などご確認いただきたいと思います。
なお、消費者委員会からは川戸委員、櫻井委員、下谷内委員が、この専門調査会の担当委員として今後の調査審議に参画をいたしますので、こちらもどうぞよろしくお願いいたします。
 本日は所用により、山口委員、和田委員、岡本委員と、消費者委員会の櫻井委員がご欠席となっております。
 本専門調査会の座長については、7月23日に開かれました第31回消費者委員会において、松本委員長から指名があり、長谷部恭男先生に座長を務めていただくことでお願いしております。
 それでは、長谷部座長、議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。

○長谷部座長 このたび個人情報保護専門調査会の座長を務めさせていただくことになりました長谷部と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日は第1回の会合でございますので、最初に、本専門調査会を消費者委員会に置くこととなった経緯につきまして、事務局からご説明をお願いできればと存じます。

○原事務局長 個人情報保護専門調査会を消費者委員会に置くことになった経緯などについてご説明させていただきます。
 昨年の通常国会の審議を経て、消費者庁関連三法が成立・施行され、消費者庁及び消費者委員会が9月に設置されたわけでございますが、これに伴い、個人情報保護法が内閣府から消費者庁に移管されております。一方、消費者委員会についても、消費者庁及び消費者委員会設置法第6条第2項第1号のへに基づき、「個人情報の適正な取扱いの確保に関する重要事項」についての調査審議を行うことが所掌事務とされております。
そこで第9回消費者委員会において、お手元の参考資料3にございます個人情報保護専門調査会の設置・運営規程が決定いたしまして、消費者委員会のもとに専門調査会を設置することといたしました。
その後、本日お集まりの皆様の委員としての任命などの所要の手続を進めて、本日第1回の会合を開くこととなった次第です。この間、任命手続の関係上こちらの作業が遅れておりまして、第1回の会議が大変遅れての開催になりましたことを、ここでお詫びを申し上げたいと思っております。
 皆様におかれましては、短期間での審議をお願いすることもございますけれども、これからの審議をどうぞよろしくお願いいたします。

○長谷部座長 それでは最初に、座長代理を決めたいと存じます。ただいまご紹介のありました個人情報保護専門調査会設置・運営規程の第2条第4項によりますと、座長があらかじめ座長代理を指名することとなっております。そこで座長代理ですが、藤原靜雄委員にお願いできればと存じます。よろしくお願い申し上げます。
 それでは、今回初回でございますので、最初に簡単に自己紹介をお願いしたいと思いますが、時間の関係もございますので、できればご所属とお名前程度をごく簡単にお願いできればと思います。それでは、藤原座長代理から順にお願いいたします。

○藤原委員 筑波大学の藤原と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○別所委員 ヤフー株式会社で法務本部長をしております別所と申します。よろしくお願いいたします。

○三木委員 NPO法人情報公開クリアリングハウスの理事をしております三木と申します。よろしくお願いします。

○三宅委員 獨協大学法科大学院の実務家教員をやっております弁護士の三宅でございます。よろしくお願いします。

○吉川委員 社団法人全国消費生活相談員協会常任理事の吉川です。よろしくお願いします。

○下谷内委員 消費者委員会の下谷内でございます。よろしくお願いします。

○川戸委員 同じく消費者委員会の川戸でございます。よろしくお願いいたします。

○宇賀委員 東京大学の宇賀と申します。よろしくお願いします。

○臼井委員 臼井敏男です。今はどこにも所属しておりません。3月末まで朝日新聞にいました。論説委員をやっておりました。この法律が議論されてできるころに、朝日新聞の論説委員で社説を書いておりました。よろしくお願いいたします。

○大谷委員 日本総合研究所の大谷和子と申します。よろしくお願いいたします。

○柿原委員 フジテレビ報道局の柿原と申します。よろしくお願いいたします。

○角委員 立教大学法学部で民法を教えております角と申します。よろしくお願いいたします。

○新保委員 慶應義塾大学の新保と申します。どうぞよろしくお願いします。

○杉浦委員 日本弁護士連合会の情報問題対策委員会と消費者問題対策委員会に所属しております杉浦と申します。よろしくお願いします。

○長田委員 東京地婦連の長田でございます。よろしくお願いします。

○長谷部座長 ありがとうございました。
 それでは、本日は消費者委員会から原事務局長のほか、斎藤審議官にご出席いただいておりますし、消費者庁から國井個人情報保護推進室長にご出席をいただいております。よろしくお願い申し上げます。  なお、本日の会議でございますが、公開で行います。議事録についても後日、公開することといたします。
 それでは、議事に入る前に、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

○原事務局長 配付資料ですが、第1回議事次第と書いてある次に、配付資料の一覧をホッチキスどめでつけております。
 資料1「個人情報保護専門委員会の進め方について」ということで、後ほどご提案したいと思います。
 資料2-1~2-3と枝番がついておりますが、資料2-1「個人情報保護法の概要」。資料2-2「平成21年度 個人情報の保護に関する法律の施行状況の概要」。資料2-3「個人情報保護に関する取りまとめ」。これは平成19年6月の国民生活審議会で取りまとめた意見ということで資料として用意させていただきました。
 参考資料は、随時その関連で参考のためにおつけしております。
 資料で不足がございましたら、お申しつけいただければ事務局で用意いたします。
 以上です。

≪2.個人情報保護専門調査会の進め方について≫

○長谷部座長 それでは、議題の方に入りたいと存じます。本日は、「個人情報保護専門調査会の進め方」、そして「個人情報保護法制の現状等」を議題として取り上げたいと存じます。
 まず、「個人情報保護専門調査会の進め方」について議論をお願いしたいと存じます。設置・運営規程の第3条によりますと、本専門調査会は、委員会の求めに応じて調査審議を行うとされておりますことから、先般7月23日の第31回消費者委員会におきまして、お手元の資料1「個人情報保護専門調査会の進め方について」が取りまとめられたところでございます。この進め方に沿って調査審議を行う、これが求められているわけでございます。
 それでは、事務局より資料1について説明をお願いいたします。

○原事務局長 資料1「個人情報保護専門調査会の進め方について」については、今、座長からご紹介がありましたように、7月23日の消費者委員会で、趣旨、審議事項、スケジュールを取りまとめたものとして、提案をさせていただきたいと思っております。
 「1.趣旨」についてですが、本専門調査会は、もともと内閣府の国民生活審議会も審議を扱っておりましたので、同様に(1)個人情報の適正な取扱いの確保に関する事項、及び(2)内閣総理大臣が作成する個人情報の保護に関する基本方針の案について、消費者委員会の求めに応じて調査審議を行うとこととされております。
 それから、個人情報の保護に関する基本方針においては、消費者委員会は法の施行状況のフォローアップを行うとされております。
 また、平成22年3月30日に閣議決定いたしました消費者基本計画においては、個人情報保護法については、消費者委員会において法改正も視野に入れた問題点についての審議を行うこととされております。  これらを踏まえ、本専門調査会としては当面、主に以下の事項を中心として調査審議を進め、必要に応じて行政機関、独立行政法人等、及び地方公共団体の個人情報の取扱いの状況についても、ヒアリングなどを通じて検討を行うこととさせていただけたらと思っております。
 「2.主な審議事項」は、こうした「1.趣旨」を踏まえて、「(1)個人情報保護法の施行状況の評価、及び(2)個人情報保護法及びその運用に関する問題点の検討」を掲げさせていただきました。これらの審議事項に関しましては、具体的にはまず、個人情報保護法の施行状況の評価ということで、個人情報保護法の施行状況報告を消費者庁から受けた上でフォローアップ作業を進めていただき、更に、事業者からの個人情報保護の取組実態などの状況、苦情処理の状況、各省庁による施策の実施状況などのヒアリングを行ってはどうかと考えております。
 続いて、こうした評価を踏まえつつ、個人情報保護法及びその運用に関する問題点を整理していただき、その後、検討を深めていただくということをお願いしたいと考えております。
 「3.スケジュール」についてですが、本日第1回の専門調査会では、まず個人情報保護法の現状を把握する必要があることから、この後、消費者庁より個人情報保護法制の概要や、早速、平成21年度の個人情報保護法の施行状況の取りまとめ作業を進めていただきましたので、そのご報告をしていただき、これらを踏まえた上で、今後の本専門調査会の運営について、委員の皆様からご意見をいただきたいと考えております。
 2回目以降は、第2回だけ書いてその後が書いていないですが、先ほど説明をした「2.主な審議事項」の後、本格的な審議に入っていくわけですけれども、具体的な実施方法やヒアリング実施先などについては、本日の委員の皆様からの意見などをお聞きした上で、座長とご相談しながら決めさせていただきたいと考えております。
 事務局からの説明は、消費者委員会としてはこうした進め方でお願いしたいということで、どうぞよろしくお願いいたします。

○長谷部座長 それでは、ただいまの事務局からの説明につきまして、何かご質問等ございましたらお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。

○杉浦委員 今のご説明で第2回が書いてありますが、全体的としては何回ぐらいで、全体的なスケジュールは今わかっているのでしょうか。

○原事務局長 普通の審議会であれば、この課題で審議をお願いしたいということで始めますが、消費者委員会、専門調査会も、委員がどう考えて進めていくかという、やや委員主体で議論を進めていただいところがございまして、こちらから是非これを検討していただきたいという課題を出すのではなく、委員の皆様からのお話をお聞きしながら進行を決めていきたいところがございます。それで、あえて3回目以降のスケジュールは書いていないですが、実は検討すべき課題を出していく作業だけでも相当になるのではないかと思っておりまして、来年の春先、夏ぐらいまではそうした課題抽出になるのではないかとは思っております。
 それから、どれぐらいの頻度でやるのかについても、事務局のスタッフの作業量との見合いもありますが、それもこの後どういった審議状況で進めていくかというところでご議論いただけたらと思っております。

○長谷部座長 よろしゅうございますか。
 この席上で私もいただいております人事異動の通知書によりますと、私どもの任期は来年8月末までということのようでございます。それが一つのめどかなと私自身は考えているところでございます。
 ほかにはいかがでしょうか。

○三宅委員 必要に応じて行政機関、独立行政法人等地方公共団体の個人情報の取扱いの状況についても検討を行うということなので、この辺については所管の関係で申しますと、行政機関個人情報保護法は総務省の所管だと思いますが、そこにも検討を行うことということでございますので、是非ご留意いただいて今後の検討課題に盛り込んでいただければと思います。それは、現在、行政透明化検討チームが同じ内閣府にございまして、情報公開法の改正作業をしております。その中で情報公開と個人情報、プライバシー保護の調整をどう図るかということで、具体的には情報公開法第5条第1号の個人情報の不開示の規定をどうするかということが議論になったんですが、時間的にも8月24日に一応、大臣案が確定します。恐らくその中で個人情報の保護の規定については、消費者委員会の個人情報保護専門調査会等においての検討に委ねるという先送り的な問題がございます。恐らくこれは個人情報の保護に当たっての第三者提供の問題も絡んでくるところでございまして、具体的には行政機関個人情報保護法の中における不開示情報の規定と、情報公開法における不開示情報の規定がほぼ同じようなものになっていますので、このフォローアップの検討をすると、その延長上で、やはり消費者委員会の課題の中でも情報の公開と個人情報の保護をどう仕分けするかという問題が出てくると思います。
 来年8月までということですが、新聞報道によると来年の通常国会には情報公開法の改正案を出したいということで事務局及び総務省で準備に入るようでございます。できる限り早い時期に行政機関、独立行政法人等地方公共団体の個人情報の取扱いの状況についても、検討作業をスケジュールとして入れていただいて、その延長上でこちらに申し送り事項としてされてくるであろう情報公開と個人情報の保護の調整については、是非ここでもご検討いただきたいと思っておりますので、消費者委員会でも是非ご検討いただいて、専門調査会に仕事として振っていただきたいと思っております。
 一応、今日はとりあえず口頭でお伝えをするということにとどめたいと思います。

○長谷部座長 その点、いかがでしょうか。

○原事務局長 行政透明化の検討チームの審議状況は、こちらでも事務方も傍聴に入らせていただいたりして資料としてはいただいておりますが、総務省の報告書がどう取りまとまるか、そちらの状況も見ながらという感じで進めさせていただけたらと思っております。事務方としては、そちらの動きや資料は、把握しております。

○長谷部座長 確かに、そういう論点はあり得ると思いますが、先ほどもご説明がありましたとおり、こちらは個人情報保護法の調査検討というのが主な任務ということでございますので、ただいまご指摘の点は、どこまでアジェンダの中に入れられるかを少し検討させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 ほかにはいかがでしょうか。

○角委員 今のお話に関連することでございますけれども、個人情報保護をどうするかというのは、ある意味で官も民も含めたもっと大きな政策がまずどこかであって、それが下りてくるという発想でお仕事をお進めにはならないというふうに伺ったんですが、私の理解が正しいのかどうかを教えていただきたいのですけれども。進め方に関する質問とはちょっと違う漠然とした話になってしまいますが、今、事務局長がおっしゃったのは総務省の報告書を見て仕事を進める云々ということだと理解しました。失礼な言い方もしれないですけれども、今は非常に縦割り行政的な発想が前提にあるために現状の中では、それを前提として、仕事をするというのが精いっぱいでいらっしゃるのかもしれません。しかし、国として官も民も含めた個人情報保護をどうするかという大きなことをきちんとすりあわせがあって初めて議論ができるような気がします。ここで言ってもしようがないのかもしれませんので、私の意見としてとっていただいても結構でございます。ただ、もっと具体的な質問に落としますと、いわゆる個人情報保護というものをもっと省庁横断的に議論している場があるのかどうかということを教えていただければと思います。

○長谷部座長 最後の点は質問ということですか。事務局でお答えできることはありますか。

○原事務局長 単純に各省庁縦割りの中でそれぞれ行っているということではなくて、官と民と個人情報をどう考えていくのかというのは非常に大きい論点で重要だと考えております。
 それから、省庁横断的なというのは、もともと内閣府の国民生活局でこの個人情報保護法を所管していたときからの課題としてありまして、それから、法律ができるときにも、やはりそれは大きな論点であったというところで、認識はしているところではあります。ですから、最終的な大きな論点整理のところで、そういったこともこちらの意見としてまとめていくという中には十分盛り込んで、今後の検討ということで政府全体で考えてほしいということはあるのではないかと思います。

○長谷部座長 ほかにはいかがでしょうか。ただいまいろいろご意見をいただいたところでございます。時間の都合もありますので、とりあえずこの辺りで締めさせていただければと思います。これは消費者委員会から調査審議をこれこれについてということでお願いすると、それを受けての専門調査会でございます。その中でどういうことができるのが、少し私の方で引き取らせていただいて、事務局と相談しながらまとめさせていただければと思います。

≪3.個人情報保護法制の現状等について≫

○ 長谷部座長 それでは、続きまして、「個人情報保護法制の現状等」についての項目に移ってまいりたいと存じます。本専門調査会の審議を始めるに当たりまして、「個人情報保護法の概要」、そして、「平成21年度の個人情報保護法施行状況の概要」、平成19年6月に国民生活審議会によって取りまとめられました「個人情報保護に関する取りまとめ(意見)」につきまして確認しておきたいと思います。  それでは、消費者庁の國井個人情報保護推進室長よりご説明をちょうだいできればと思います。よろしくお願いします。

○國井個人情報保護推進室長 個人情報保護推進室長を務めております國井でございます。よろしくお願いいたします。ただいま座長からご説明がありましたとおり、私の方から大きく分けて3つの資料に基づきましてご説明させていただきたいと思っております。
 先ほど事務局長からご説明いただいた資料一覧がございますが、それに加えて各委員の皆様方のお手元には2種類の資料をお配りしているかと思います。1つは、白表紙の『個人情報保護のしくみ【資料集】』という冊子、それから、もう一つは、カラーのパンフレット『よくわかる個人情報保護のしくみ』というものでございます。白表紙の資料集につきましては、法令や制度概要、これまでの各種決定文書などをまとめたものでございまして、今回私の方からご説明させていただく資料2-1や2-3も掲載されているものでございます。今後の審議に当たっての参考資料としてご活用いただければと考えております。もう一つのパンフレットについては、これからご説明いたしますけれども、個人情報保護法や法制が一般の方になかなか理解されていないという現状もございまして、広報・啓発のために一般向けに作成した資料でございます。こちらも適宜ご参照いただければと考えております。
 それでは、資料2-1でございますけれども、個人情報保護法の概要の資料を用意いたしましたので、こちらからご説明させていただきたいと思います。今回、専門調査会の委員としてお集まりいただいた皆様方におかれましては、当然、本制度について十分なご知見を有しておられる方ばかりでして、これから説明する内容は平成21年度の施行状況報告を除けば、既にご存知の内容ばかりかとは思いますけれども、1回目ということもございますので、おさらいといいますか、あるいは各委員の認識の共有のための一助というような意味も込めて、基本的な内容で大変恐縮ですけれども、説明させていただきたいと思いますので、そういうことであらかじめご承知いただければと考えております。
 個人情報保護法の概要、資料2-1でございますけれども、上下にスライド的なもので表してございますが、個人情報保護法制整備の背景でございます。これは国内における官・民通ずるIT社会の急速な進展、それから、国際的な情報流通の拡大・IT化というものが当時背景にございまして、その中で、ただ、IT社会の影ということでプライバシー等個人の権利侵害の危険性ですとか不安感が増大するというようなことがあり、やはり官・民において個人情報保護法制を確立する必要がある、保護と利用の調和を図る必要があるということで制定されたものでございます。
 1ページの下には、個人情報保護法制度関係の主な経緯について記してございます。古くは昭和55年にOECDでプライバシー保護と個人データの国際流通についてのガイドラインに関する理事会勧告というものが出まして、国際的には既にこういう動きがあったわけでございますが、我が国においては昭和63年に「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」ができましたけれども、民間部分については統一的な法律はなく、各事業分野ごとの担当省庁による行政指導に委ねられていたということでございます。
 この動きが大きく変わりましたのが平成11年、住民基本台帳法の一部改正法案の関係でございまして、この法律改正の際に我が国における個人情報の取扱いについての議論がなされ、この法律の附則で政府として個人情報の保護に万全を期するために速やかに所要の措置を講ずるというようなことが定められまして、検討が開始されたわけでございます。
 それからいろいろな検討がなされ、平成13年に「個人情報の保護に関する法律案」が国会に提出されましたけれども、いろいろと議論の末、一旦は廃案になったと。その後、平成15年に再度提出され、平成15年5月23日に関連5法案が成立し、5月30日に公布・一部施行という運びになったわけでございます。
 その後、特に事業者に対する義務規定等を含め、全面的にこの法律が施行されたのが平成17年4月1日ということでございます。
 その後、先ほど来お話がありました国民生活審議会において、衆参の委員会の附帯決議に定められた全面施行後3年目途の見直しが行われて、それを踏まえて基本方針の一部変更や政令の一部改正が行われてきました。
 そして、平成21年に先ほどもご説明があったとおり、関係法令が内閣府から消費者庁に移管されて、現在に至るというのがこの制度についての主な経緯でございます。
 2ページ目でございますけれども、個人情報保護法制の体系イメージと個人情報の保護に関する基本方針のイメージを載せてございます。これも皆様方ご存知のこととは存じますけれども、ただ、一般の方々にはまだなかなか知られていないところでもありまして、1つの法律で何でも個人情報保護の関係については定めているという誤解がいまだ見られるところでございますが、基本的には我々消費者庁で全体的な統括をさせていただいている個人情報の保護に関する法律については、このピラミッドの図の一番上の基本法制と左側の民間事業者に対する民間部門の義務規定の関係が1つになった法律ということでして、更には、具体的な事業分野ごとの指導・監督というのは主務大臣制ということで各関係省庁に委ねられておりますので、関係省庁において各種のガイドラインを作成して、実際の事業者への指導・監督を行っているという体系になってございます。
 これも先ほど出ましたけれども、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律、それから、独立行政法人関係の法律が公的部門としては別途ございまして、こちらについては総務省が所管して各省庁との調整を行っているということですし、地方分権の流れの中で各地方公共団体が保有している個人情報保護の取扱いについては、すべて各自治体の条例に定めるという整理がなされておりますので、すべて地方公共団体において処理がなされていると。現在においては、すべての地方公共団体において条例が制定されているという状況になっております。
 下段の基本方針のイメージでございますが、消費者庁としての所掌事務というのは、個人情報の保護に関する基本方針の策定及び推進に関することとされておりますので、これを取りまとめることによって、統轄官庁として各省庁の全体を調整していくということが任務として与えられているわけでございますけれども、その基本方針のイメージというのがそこに書かれております。個人情報保護施策の推進に関する基本的な方向というのは、個人情報の保護に万全を期することこそが高度情報通信社会の実現を可能にするものということ、そして、事業者の自律的な取組と官民にわたる関係機関の連携が重要だということが考え方として示されております。
 各主体の取組、国、地方公共団体、事業者団体、これらが一体となって個人情報の保護を推進していくということで、それぞれの役割等が書かれているわけですけれども、法律による必要最小限のルールと、事業者等の自律的な取組による個人情報の保護と書かれています。要は、これが現在の個人情報保護に関する法制の考え方を端的に示している表現ではないかと考えております。
 続きまして、3ページでございます。ここからが事業者の遵守すべき個人情報の取扱いのルールについて簡単に説明している部分でございます。
 一番最初に、対象となる個人情報、事業者の範囲について記載しております。これも各委員、十分ご存知のこととは思いますけれども、この個人情報保護法制の中で個人情報というのは定義として、生存する個人に関する情報で特定の個人を識別可能なものと。要は、個人の識別性ということを基準として、個人情報を定義している体系になっております。後ほど出てきますが、更にその中で個人情報データベース等、保有個人データというような概念を使って義務規定を定めているわけでございます。
 右側の基本理念については、個人情報の取扱い、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、適正な取扱いが図らなければならないとうたっております。
 基本的には、個人情報取扱事業者というのは各種義務がかかるわけですが、一定の要件を満たした方がこの義務規定の対象になるということで、図の上にあります一般私人の方ですとか、あるいは要件に当てはまらない規模の小さい事業者というのは、法律の義務規定の対象とはならないわけでございますけれども、これもまた後ほど過剰反応の関係でご説明いたしますが、なかなかここのところを正しく理解していただいている方が一般の方の中には余り多くはないということがありまして、引き続きの法の周知徹底を図っていかなければならないと考えている要因の一つでもございます。
 下は、適用除外について定めております。これは憲法上認められた自由との調整規定ということで置かれたものでございます。左側にあるとおり、報道機関を初めとして5つのジャンルについては憲法上認められた自由に基づく活動を行うものでございますので、保護と利用のバランスを図るために、これらの5つの主体の活動については個人情報保護法の義務規定は適用しないという規定が置かれているとともに、これらの対象者の活動に対して、その他の方が情報提供する際等には、主務大臣は権限を行使しないという権限の制限規定が置かれているわけでございます。これは皆様ご存知のとおり、この法律が最初国会に出たときに、いわゆるこういうジャンルの方々からの懸念、反対が示されたことがございまして、それらを反映して置かれているものでございます。
 続きまして、4ページでございますけれども、上段では個人情報、個人データ、保有個人データの関係について整理しております。概念上、一番広いものから一番狭いものまで、それぞれ包括関係にあるわけですけれども、この法律上、定義としては個人情報、個人データ、更に保有個人データという3種類を規定しまして、義務規定によって適用される概念の対象を変えているというような構造になってございます。
 下段でございますけれども、個人情報取扱事業者の義務ということで、OECD8原則と個人情報取扱事業者の義務規定の対応関係について整理しているものでございます。当然、個人情報保護法制につきましては、国際的な整合性をとるということは非常に重要なことだと制定当時から考えられていまして、その際に準拠したのはOECDで定められた8原則ということで、そこにございます目的明確化の原則から責任の原則までを個人情報取扱事業者の義務に具体的に対応させていって現在の条項になっているという関係にございます。
 続きまして5ページは、個人情報の取扱い等のルールについて記載しているところでございますが、上段は取得・利用に際してのルールということで、利用目的の特定、適正な取得、そして、継続的に利用する場合の保有個人データに関する事項の公表等について、情報の流れに即して、それぞれどういう義務が事業者に課されるのかについて整理をしてございます。
 下段が個人データの適正・安全な管理についてでして、主に3つ事業者には義務が課されているということでございます。この中では、中段の安全管理措置、下段の従業者・委託先の監督というのが実際事業者にとっては重要ですが、具体的にどこまでやったらいいかというのが頭を悩ませるところでもあるという声もございますけれども、非常に重要な要素となっております。
 続きまして、6ページでございます。ここは、先ほど委員の方からのお話にもありましたが、個人情報保護法上、個人情報の取扱いの中で最もクローズアップされることの多い第三者提供の制限の規定について記載しております。一番上に大きく出ていますように、個人データを第三者に提供する場合には、あらかじめ本人の同意が必要というのが大原則とはなっているわけでございますけれども、その下にあるように、4つの例外とオプトアウト、本人の求めによる原則として提供を停止するというものも設けられておりますし、あとは、第三者に該当しない場合、委託先への提供、合併等に伴う提供等、これらの原則に当たらない場合、あるいはそれを超える場合について規定が置かれているという整理がなされております。
 下段は、今申し上げた中でのオプトアウトの仕組みについて書いているものでございますけれども、このオプトアウトについてどうとらえるかというのも、よく議論の俎上に上るものでございます。
 次に7ページでございますが、ここは先ほど申し上げた第三者に該当しない場合というのを上段で3つ細かく説明しているわけでございますが、委託先への提供、合併等に伴う提供、そして、グループによる共同利用ということで、これらの場合には第三者提供でいうところの第三者に該当しないという整理がなされております。ある面、利用を図る上では、ここのところを事業者がきっちり整理して利用していただくということが制度上予定されているわけでございます。
 下段は、保有個人データへの本人関与の仕組みということで、本人からの求めがあった場合に、事業者が保有個人データについて負っている義務について規定しておりまして、利用目的の通知、開示、訂正等、そして利用の停止等ということで、それぞれある程度の要件は課されておりますけれども、裏返して言えば、本人からすれば事業者に対してこういうことを求めることができることを法律上認めているわけでございます。
 続きまして、8ページをご覧いただきたいと思います。本人との間に生じた苦情の処理の仕組みということで、苦情処理関係についての記載でございます。
 上段では、本人と事業者の間でトラブルがあった場合、苦情等があった場合に、どのように処理されていくのかというのが図で示されているわけでございますが、もともとこの法律の考え方としては、苦情については事業者と本人の当事者間で速やかに解決してもらうというのが基本的な考え方になっていまして、それでは、なかなかうまくいかない場合について認定個人情報保護団体ですとか、あるいは地方公共団体、国民生活センター等の苦情処理相談窓口機関を通じて解決が図られるということを想定しておりまして、最終的には行政機関による指導・監督、一番最後には罰則という仕組みも用意されているということでございます。
 いずれにしても、関係機関でそれぞれ連携をうまくとって処理していくということが想定されております。
 下段は今申し上げた中で、認定個人情報保護団体というのが法律上位置付けられておりますので、その団体についての仕組みを書いてあるものでございますけれども、この法律に流れる民間による自主的な取組という考え方が現れた制度でございまして、関係大臣が苦情処理等を中心に行う団体について認定を行って、苦情処理に一役買ってもらうという仕組みがビルトインされているわけでございます。
 9ページでございますけれども、上段は実効性担保の仕組みということで先ほど若干触れましたが、不適正な個人情報の取扱い、具体的には漏えい等があった場合に、どのように処理されていくのかを図で示したものでございます。まずは、個人情報取扱事業者、認定団体、国民生活センター等々で苦情処理、解決が図られ、当事者間で解決されていくというのが最も望ましいんですけれども、それができない場合ですとか、あるいは放っておいたら社会的に大きな影響がある場合には、主務大臣における報告の徴収、勧告、命令という手段が用意されていて、事業者による改善がこのステージの中で図られていくことを予定している仕組みになっております。
 最終的には罰則もあるわけですが、要は、命令に従わなかった場合の間接罰ということで、ここにも必要最小限のルールという考え方が示されているということでございます。補足すれば、これまで施行後5年経っておりますけれども、勧告までは数件出ておりますが、その先の命令、罰則まで至ったケースはいまだに出ていないということでございます。
 下段は、個人情報の保護に関する基本方針の一部変更の主な内容が示されておりますけれども、これについては後ほど3つ目の国民生活審議会における取りまとめ(意見)のご説明のところで触れたいと思いますので、ここでは割愛させていただきます。
 以上が、個人情報保護法制の概要でございます。
 続きまして、平成21年度の個人情報の保護に関する法律の施行状況の概要についてご説明させていただきたいと思います。
 資料2-2でございますが、要約版と白表紙の本体と2種類用意させていただいております。
 施行状況の概要でございますが、個人情報保護法第53条第1項の規定に基づいて、内閣総理大臣が関係行政機関の長に対し、この法律の施行状況について報告を求めることができることとされており、また、同条第2項の規定に基づいて、毎年度この報告を取りまとめて、その概要を公表することが義務付けられているわけでございます。
 今回ご説明させていただく平成21年度の報告については、この規定に基づいたものでございまして、おととい8月3日に既に対外的に公表したところでございます。
 内容でございますけれども、要約版をご覧いただきたいと思うのですが、本体の構成とポイントだけ簡単にご説明させていただきますと、全部で3つの章に分かれておりまして、第1章では、国の個人情報の保護に関する施行状況について記載してございます。事業分野ごとのガイドラインの策定見直しの状況、事業者に対する主務大臣の権限行使の状況、それから、認定個人情報保護団体の認定の状況などについてまとめているものでございます。
 第2章は、事業者等の個人情報保護に関する取組の状況についてまとめているものでございまして、苦情処理の状況、それから、事業者からの情報漏えい事案の状況、認定団体の取組状況と大きく3つについてまとめております。
 第3章でございますが、今回、法施行後5年間、すなわち平成17~平成21年度の施行状況の傾向を規定してございます。実は、昨年度までは第3章については、地方公共団体における個人情報の保護に関する施行状況について記載していたわけでございますけれども、こちらは総務省の自治行政局で毎年度取りまとめておりまして、昨年度から取りまとめ時期が秋口になったということもありますので、そちらを今回は参照していただくということで、今回の平成21年度版には入れなかったという整理をさせていただいております。その代わりに、法律が完全施行されてから5年間経っておりますので、特にポイントとなるガイドラインや認定団体の状況、それから、主務大臣の権限行使の傾向、そして苦情相談、漏えい事案というものを5年分の傾向を第3章にまとめるという整理をしたわけでございます。
 それは別紙ということでグラフをつけさせていただいておりますけれども、そこをご覧いただくと端的におわかりいただけるかと思いますが、ガイドラインや認定団体の数というのは年々増えている。それから、主務大臣の権限行使の件数については、ほとんどが報告の徴収件数ということなのですが、若干のずれはありますが、だんだん報告徴収件数は減少傾向にあるということと、勧告というのは年によって変動はありますけれども、それほど多くはない。1回だけ助言というのが平成20年度に行われたということでございます。
 一番下の図にあるとおり、個人情報の苦情相談件数と漏えい事案件数が、これも平成17年から比べますと右肩下がりといいますか、減少傾向にあるというのが施行状況の報告から見てとれるわけでございます。簡単に今、要約版で全体の構成と5年間の傾向についてご説明させていただきましたけれども、本体の方で若干ポイントをかいつまんでご説明させていただきたいと思います。
 まず、1ページですけれども、ここでは国の個人情報保護に関する施行状況ということで、事業等分野ごとのガイドラインの見直しの状況について整理をしてございます。平成21年度に新たに策定されたものが3本、見直しを行ったものが9本あるということでございます。ただ、これは注に書いてありますとおり、警察分野と農林水産分野については、既存のものを一旦廃止して新しく定め直したということですので、実質的には改正的なものになりますので、そういう意味では全く新しくできたものは環境分野におけるガイドラインが1本ですので、11本は実質的には見直しが行われたものでございます。
 中身については、国民生活審議会でのご議論を踏まえて、各種ガイドラインについては形式的な共通化を図ろうという取組を各省でしておりますので、それを反映したものがほとんどとなっているところでございます。
 続きまして、3ページが個人情報取扱事業者に対する主務大臣による権限行使の状況ということでございまして、平成21年度は勧告が2件、それから、報告の徴収が18件行われたことになっております。勧告の2件につきましては、報道等でかなり出ましたので皆様もご存知かと思いますけれども、いずれも金融庁の関係でございまして、三菱UFJ証券、それから、アリコジャパンのケースだということでございます。ここは詳しく後ろの資料編の22ページにも載っておりますので、またご覧いただければと思います。
 4ページでございますが、これは認定個人情報保護団体の認定の状況ということで、平成22年3月31日現在ですけれども、認定団体は38存在するわけですが、平成21年度に新たに認定した団体は4団体ということでございます。これも実は若干、増減がありまして、事情により認定業務を廃止した団体も3つありますので、数の上から言えば増加は1団体だったということでございます。
 5ページは、その他ということで国の動きについて規定しておりますが、これは先ほど本専門調査会発足の経緯ということで事務局長からご説明いただいたことが記されていますので割愛させていただきたいと思います。
 続きまして、6ページからが事業者等の個人情報の保護に関する取組の状況でございます。まず、苦情処理の状況ということで、苦情処理の件数等については地方公共団体の個人情報保護担当部局、消費者センター、国民生活センターというのが基本的に窓口になっているわけでございますけれども、平成21年度においては相談件数で言えば合計8,600弱ということで、消費生活センターが受け付けたものが8割強になっています。数としては、先ほど全体の傾向で申し上げたとおり、昨年度と比べても若干減っているということでございます。
 事業分野の状況については、これも当初からの傾向ではありますけれども、特に適正な取扱いを確保すべき個別分野、いわゆるセンシティブ情報と呼ばれるようなものを扱っている分野等々ですが、医療、金融・信用、情報通信というのが全体の約38%ということで、比率的には高いということが傾向から出ております。
 7ページは相談内容の状況と、処理結果の状況についてまとめたものでございまして、相談内容の状況については、一応個人情報の取扱いの種類ごとに大まかにまとめていただいておりますが、不適正な取得に関するものが45%で最も多いというような状況になっております。
 処理結果については、基本的には当事者間で交渉なり解決を図ってもらうための助言を行ったというのが8割強で一番多くなっているという状況でございます。
 続きまして8ページですが、ここは事業者からの個人情報漏えい事案の状況についてまとめております。全体的な規模としては先ほど傾向で申し上げたとおり、件数的には年々公表ベースですけれども減ってきているという状況にあります。
 漏えいの規模と情報の種類については(2)にあるとおり、パーセンテージとしては500人以下の小規模な事案が7割強ということで、比較的小規模な事案が多いというのが全体の傾向として示されております。
 9ページは、漏えいした個人情報の種類を顧客情報、従業員情報、その他の情報に分類しているわけですけれども、ほとんどの事案について顧客情報が含まれているということがわかるわけでございます。  あとは、基本情報のみが漏えいした件数というのが全体の約10%ということで、それ以外の付加的情報、多くの場合にはそれらを含めて漏えいしているという状況にあるわけでございます。
 10~11ページは、漏えい等の形態と暗号化等の情報保護措置ということで整理しておりますけれども、漏えいした情報に対する暗号化の情報措置の有無について言えば、特段措置を講じていなかった件数が80%弱ということで、漏えいしたものの中について言えば、特段措置を講じていなかったものが相変わらず多いという傾向が示されております。
 12ページでございますけれども、漏えい元と漏えいした者についての分類でございますが、事業者から直接漏えいした事案というのは全体の約74%、委託先から漏えいしたものが23%ということで、大体3対1ぐらいの割合で事業者本体からの漏えいという結果になっております。
 漏えいに関わった者について見ると、従業者が関わったものが8割強、それから、第三者が関わったものが8%程度ありまして、パターンで見ると従業者が漏えいに関わった事案についてはほとんど不注意ですが、性格上当然かもしれませんけれども、第三者が漏えいに関わった事案についてはほとんどが意図的というようなデータになっております。
 13ページで、漏えい後の改善措置状況について整理しておりますが、これはある面当然と言えば当然なのですが、漏えい後の改善措置については、ほとんどの事案において事業者によって何らかの安全管理対策が講じられているわけでございます。9割程度が教育・研修の実施などの組織的対策を講じているということでございまして、具体的には下の表に内訳として示しておりますけれども、本人への謝罪・連絡ですとか、専用窓口の設置等が主な改善措置として行われています。
 ここで一つ補足でご説明させていただくと、昨年、平成20年の施行状況を親委員会である消費者委員会に報告させていただいたときに、委員から個別漏えい事案において、どのような具体的な措置が行われたかということを調べるべきではないのかというご意見をいただきましたので、本年度版については後ろの資料編の34~35ページ、これは昨年版まではなかったのですが、今年度版からは34~35ページにとりあえず件数が多かったもの、5万1件以上個人情報が漏えいした事案について、事業者名と概要がわかるようなものを掲載することにいたしまして、右側の欄で漏えい後の対応策を非常に簡単ではありますけれども、記載しているところでございます。なので、こちらを見ていただくと具体的なイメージがわくのかなと考えております。
 13ページの一番下は、認定個人情報保護団体への報告がどれくらい行われたかについての数値を示しているものでございます。
 14ページは、認定個人情報保護団体の取組状況ということで、苦情処理を中心に行うこととされている認定団体がどのくらい活動しているかについてまとめたものでございまして、苦情処理件数、説明要求、資料要求等、それぞれの所管省庁ごとに数を記載しているものでございます。ポイントとしては、金融庁のところで団体からも勧告が行われたケースが2件出ているというのが目を引くところでございます。
 15~16ページは先ほどご説明したとおり、5年間の施行状況の傾向ということで記載の内容は要約版とほとんど同じでございますので割愛させていただきますが、繰り返しになりますけれども、ガイドラインや認定個人情報保護団体についてはだんだん増えているとともに、権限行使あるいは苦情相談、漏えい事案件数等については若干でこぼこがあったにしても減少傾向にあるというのが数値的には見てとれるということでございます。
 以上、簡単でございましたけれども、平成21年度消費者庁で関係省庁から取りまとめた法律の施行状況の概要について説明をさせていただきました。
 それから、私からの説明の最後になりますけれども、資料2-3、平成19年6月29日国民生活審議会においてまとめられた「個人情報保護に関する取りまとめ(意見)」でございます。これは意見そのものをすべてつけておりますので、19ページということで分量が多くなっておりますけれども、性格とポイントを順次ご説明させていただきたいと思います。
 まさに1ページの「はじめに」に取りまとめ(意見)の趣旨が書かれているわけでございますけれども、先ほど来ご説明してきましたとおり、法律ができたときに衆参の附帯決議において全面施行後3年を目途に検討を加えるということになっておりまして、それが閣議決定の基本方針にも反映されておりましたので、それに基づき、当時の国民生活審議会において個人情報保護に関する問題点の検証をしていただいた成果ということでございます。
 今回、個人情報保護部会からご活躍いただいた委員の方々も引き続きこちらにおられますので、よくご存知のこととは思いますけれども、初めての方もいらっしゃいますので、ポイントだけ簡単に説明させていただきたいと思っております。
 目次がある面、当時の問題をめぐる論点にもなっていると考えられるわけでございまして、I~Xまで項目が並んでおります。
 個々について簡単に申し上げていくと、まず「I 個人情報保護法施行後の状況」を概観して、現在問題になっているのは何かということが整理されたわけでございます。各種調査に基づけば、個人情報保護法の全面施行によって国民の意識も高まり、事業者の取組も進んできているということであったわけですけれども、ただ、国民の不安というのはまだまだ残っているということ、それから、いわゆる過剰反応と呼ばれる状況が広く見られるようになっているということが、ここでは書かれているわけでございます。
 2ページからが具体的ないわゆる論点的なものが記載されているところでございますが、「II 全般的事項」です。当時3年見直しのときに一番問題となったのが、いわゆる過剰反応というものだということは皆さんもご記憶に新しいかなと思います。これについてはそこに書かれているとおり、現状どのようなものが社会的に起きているのかということを整理しておりまして、具体的には、災害時要援護者リストの作成ですとか、民生委員・児童委員の活動のための対象者名簿、自治会名簿、学校の緊急連絡網等々をなかなか作りにくくなっているとか、活動がしにくくなっているということが当時指摘され、これらにどう対応していくのかが課題として整理されたわけでございます。
 これについては(3)にありますとおり、本人の同意を得なくても提供できる場合の追加をめぐってさまざまな議論が行われ、ア~キまでにあるとおり、いろいろな論点についての議論が行われて、その意見についてここには記載しているということでございますが、今後の検討方向としては4ページにございますとおり、要は、個人情報保護法ができてまだよく国民にこの制度が浸透していないということが一番の問題であるという結論になりまして、とにかく関係者一体となって周知徹底を図っていくべきであるというようなことが、大きくまとめれば意見として出されたわけでございます。
 それに関連して「2 広報啓発について」ということで、広報啓発をしっかりやるようにというようなご意見だったわけでございます。具体的にはこれを受けて、内閣府時代から消費者庁に移行した後も法律の説明会等の開催により周知活動は引き続き行っているということは補足させていただきたいと思っております。
 それから、III 以降に再び個別の論点がまとめられておりまして、5ページでは保護の対象と義務の対象、これはまさに個人情報保護法制の中のそもそも論になると思うのですが、個人情報保護法においてすべての個人情報を同様に取り扱うという体系、これ自体が議論の対象となりまして、保護の対象、それから、格別の措置についてどう考えるべきかということが議論されたわけでございます。
 結論的には保護の対象については、とりあえず現状のままでいいのではないかという結論が出たのと、格別の措置については、各個別分野で個別法の制定というのは事実上はそんなに進んでいませんが、ガイドライン等で諸々の取組が行われているので、動向を注視することが適当だというような結論になったわけでございます。
 次に、その一連の議論の中で「2 義務の対象である個人情報取扱事業者の範囲について」も論点になっております。現行法は施行令でその要件を定めているわけでございますが、個人情報の保護という観点から、すべての事業者に義務を課すべきではないかという課題も提出されまして、とりあえず結論としては、その時点では現行の水準が適当ではないかという結論になったということでございます。
 その後に、事業者の取組についての論点ということで整理がされまして、IVの「1 事業者の全般的な取組について」ということで、ガイドライン等の在り方についてはどうかという議論がなされておりまして、これについては、ある程度異なるのはやむを得ないが、共通化できる部分もあるのではないかというご意見も示されたことから、先ほどちょっと申し上げましたけれども、政府においてはガイドラインの共通化についての必要な取組を行っているところでございます。
 次に、2)事業者に対する支援等についての議論もなされまして、結論的には事業者によって非常に取組へのばらつきがあり、中小零細企業等は取組の負担が大きくて遅れているのではないかというようなご意見もありまして、更に、自主的な取組の現れとしてのプライバシーポリシーの策定・公表を一層促進することが必要ではないかというような課題が示され、それに対する検討方法が示されたということでございます。
 3)事業者の監督強化についての議論もなされまして、現状については諸々議論がなされて、その議論の経過が、この現状のところに示されているわけでございますけれども、課題としては、悪質な事業者に対する監督を強化すべきではないかということが言われたわけですが、とりあえずこの法律以外の法令でもいろいろと厳格な対応ができることもありますし、まずは現行法制の下、厳格な対応を図っていくことが必要ではないかという結論になったわけでございます。
 「2.取得・利用及び利用停止・消去について」ということで、これは主に保護と利用のバランスを図る義務規定のまさにせめぎ合い的な内容になるわけでございますが、こういう現行の仕組みが果たして適当かどうかというところが議論されたわけでございまして、これについては、当然、保護を重視する立場の方と、利用を重視する立場の方、両方の見解が出てきたわけでございますけれども、最終的には今後の検討方向ということでは、プライバシーポリシー等で諸々定めるような、やはり事業者の自主的な取組を促進すべきではないかということで、基本方針の見直し等を行うべきではないかということになりまして、これは基本方針の一部変更等に反映をさせたということでございます。
 「3 適正・安全な管理について」ということで、先ほど仕組みのところでご説明した安全性管理措置の話と、従業者の監督、委託先の監督ということが9~10ページにわたって、このテーマについてそれぞれ議論されたわけでございます。これらについては、一部基本方針等に反映させるものはさせるべきだということで、そのような対応をしたところでございます。
 4)事業者の保有する市販の名簿の管理についてということで、これはある面、利用サイドからしても、例えば市販の名簿について、ほかのものと同様に厳格な管理をしなければいけないのかというような問題意識が提示されたことから、基本方針の見直しで市販の名簿についての取扱いは端的に言うと、若干緩めてもいいのではないかということを定めるのと併せて、個人情報保護法の施行令を一部改正しまして、市販の名簿を個人情報取扱事業者、法律上の義務規定が適用される事業者の要件であるところの5,000という数のカウントからはこの分は外すということで、施行令の改正に結びつけたところであります。
 「4 第三者提供の制限について」ですけれども、ここのところは個人データの取扱いの委託・合併などについて範囲が適切かというような指摘があったわけですが、これは事業者のより精緻な取組を促すということで。適切にプライバシーポリシー等を定めることで対応が可能ではないかという結論になったわけでございます。
 「5 消費者等(本人)との関係について」ということで議論がなされたわけでございます。1)事業者が定める利用目的について、2)取得元の開示についてということで、いずれも現行の仕組みでいいのかというようなところが議論がなされたわけですけれども、これも先ほどご説明したのと同じようなことでございますが、事業者の自主的な取組を促すべきではないかということで、基本方針の見直し等につなげていったということでございます。
 「V 認定個人情報保護団体の機能」ということで、認定団体というのが果たしてうまく機能しているのかというようなことが議論になったわけでございますけれども、更なる認定の促進に取り組むとともに、実質的な機能強化を図っていくべきではないかという結論が出ております。
 また「VI 苦情処理の在り方」についても議論がなされ、これについては苦情を今後の改善策につなげていくために、相談窓口のネットワーク化等、事案の共有を図るべきではないかという指摘がございまして、各関係機関でそれに向けた対応をしていくようにというご指摘でございました。
 「VII 国際的な整合性」ということで、もともとこの法律ができる契機となった背景の一つに、当然国際的な動きというのもあったわけでございまして、今後ともそれに対応していくということが必要なわけですけれども、現状ではOECD、APEC、EUなどそれぞれの国際機関でさまざまな取組や議論が行われているわけですので、我が国としてはそれらの動きを適時適切にフォローしていきながら、必要な検討を制度自体にも加えていくことが求められるとともに、日本の現行制度について十分個人情報の保護という観点からうまくワークしているということも併せて、国際的にアピールしていくべきではないかということが結論付けられておりまして、現在それに即して国際的な議論も行っているところでございます。
 また「VIII 第三者機関の意義」についてもまとめています。諸外国と比べると、日本のような主務大臣制というのは、かなりユニークな制度でございまして、諸外国ではEUなどを中心に政府から独立した中立的な第三者機関が個人情報保護法を執行している例も多いことから、我が国でも第三者機関をどうすべきかというような議論が行われたわけでございます。この時点での結論としては、我が国における歴史的な経緯もあって主務大臣制ということになっていることもあり、当面は主務大臣制の維持が妥当であるけれども、第三者機関の設置については国際的な動きを見ながら、中長期的な課題として検討することが必要だというような結論になったわけでございます。
 「IX 死者に関する個人情報の保護の在り方」ということで、ご承知のとおりこの法律は生存する個人を個人情報としておりますので、これは対象にならないわけですが、それでいいのかという議論がなされたわけでございます。一番関連が深い医療分野等においては同等に扱えというようなことにもなっていることもありまして、基本的にはその運用を注視していくというような結論になったわけでございます。
 「X その他」ということで、国の行政機関の保有する個人情報の取扱いと、地方公共団体の取組の2点について議論がなされまして、国の行政機関の個人情報の取扱いについては、当時それまで公表されていた公務員の氏名の取扱いがおかしくなったという指摘がありまして、それについては情報公開に関する連絡会議の申合せ等が出たりして対応したわけでございますが、これは基本的には法律そのものの問題というよりは運用でうまくやっていけるのではないか、必要があれば運用を改善していくべきではないかというような結論に当時はなったわけでございます。
 地方公共団体の取組については、それぞれしっかり対応しているのかというようなことがざくっと言えば課題になったわけでございますけれども、特に過剰反応との絡みもあり、引き続き地方公共団体においては地域の団体とうまく共同して適切な取扱いを図っていくべきというような結論になったわけでございます。
 「おわりに」というところで、全体の意見の整理がなされているわけですけれども、特に過剰反応が大きな問題になったということなので、その早急な解消を図るべきというようなこと、それから、国際的な動向にも留意しつつ、引き続き政府としても所要の検討を行っていくというようなことが言われたわけでございます。あとは、当時の国民生活審議会としてもさまざまな諸課題を見極めて、法改正の必要性も含め、更なる措置を検討していく必要があると考えていると結論付けられておりまして、いわばその考え方が現在、消費者委員会、こちらの専門調査会の方に引き継がれていると我々としても考えているわけでございます。
 あとは参考資料ということで17ページ以降に、当時の委員の名簿ですとか、審議経過、何年何月第何回に何をやったかということをすべて整理しています。当時は、まず平成17年11月から3年見直しの検討が開始されて、翌年7月末に検討課題の抽出作業が行われて、それを踏まえて実際の更なる審議がなされて、最後には平成19年6月11日に取りまとめ案が議論されたというようなタイムスケジュールで行われていたところでございます。なので、この辺については今後こちらの専門調査会が審議していただく上でのある面、前例的なものとして参考になるのではないかと我々としても考えているところでございます。
 大変説明が雑ぱく、かつ、長くなってしまって恐縮でございますけれども、私からの本日の説明は以上でございます。

○長谷部座長 どうもありがとうございました。
 それでは、これからただいまのご説明についてご質問・ご意見をちょうだいしたいと思いますが、その前に須藤委員が若干遅れておいでになりましたので、簡単に自己紹介をお願いいたします。

○須藤委員 1回目の会合に遅刻しまして申し訳ありません。東京大学の須藤と申します。
 ただいまの取りまとめにもありますように、かなり前から個人情報保護の検討部会の委員をさせていただいてまいりました。先ほど各委員からご意見があった大きな政策的課題との関係で、個人情報保護検討部会の今後の検討課題を考えるべきではないかというご意見があって、どうなっているのだということだったのですね。その辺は私は、ちょっと本気で考えないといけない局面に今来ているのかなと思います。1つは、菅総理周辺から、どこから出たと言っていいか言い方がちょっと難しいのですが、共通番号制度、これは納税者番号と社会保障番号の同一性、内容性を可能にするシステムの検討が行われておりますし、IT戦略本部5月11日決定で国民ID、これは官・民のデータ連携、これには私もかなり関与してまいりましたけれども、この取扱いについては、個人情報保護の在り方というものが担保されていないといけませんので、それもあって国生審の個人情報保護検討部会においては、繰り返し行政及び権力から独立した個人情報保護第三者機関の設置、これはEU指令に基づいてEU加盟諸国はそのような制度をつくっておりますけれども、本気で考えるべき段階に来ているのではないかと。今までであれば、主務大臣のところで統括してよろしかったと思いますけれども、もうそういう状況ではないのではなかろうかという現状認識があります。ここは消費者委員会及び座長に検討をしていただきたいと思います。
 自己紹介でしたけれども、ちょっと意見まで言いました、申し訳ありません。

○長谷部座長 どうもありがとうございました。
 それでは、論点に戻りまして、先ほどの國井個人情報保護推進室長からの説明につきまして、ご意見・ご質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。

○新保委員 現時点において、個人情報保護法は主務大臣制をとっておりますので、非常に多くのガイドラインが制定されております。各ガイドラインは主務大臣が法を執行する際に、その権限を行使するにあたっての基準となるものです。そのため、どのガイドラインが各主務大臣の所掌範囲にあるのか明確に確認できることが必要であると思います。
 しかし、現時点におきまして、一昨年に恐らく削除した部分ですけれども、公務員の情報につきましては、情報の内容が公務員ということで直接は個人情報保護法の対象ではないという理由で、警察共済組合と地方公務員共済組合に関するガイドラインについては、平成21年度の個人情報保護に関する法律の施行状況のガイドラインの一覧からは削除されています。これらのガイドラインにつきましても、それぞれ警察庁の局長通達並びに総務省告示という形で個人情報保護法第8条に基づくガイドラインとして制定されております。この点につきまして、主務大臣制のもとでは、主務大臣が法を執行する際の所掌範囲を明確にすることは最低限必要な事柄であり、個人情報保護法第8条に基づくガイドラインについてはすべて一覧に記載すべきであると思います。

○長谷部座長 かなり具体的なご提案でしたけれども。

○國井個人情報保護推進室長 新保先生のおっしゃるとおりの整理で現在載せていないわけでございますけれども、いずれにしても我々だけで決める話ではないので、またそこは担当省庁と話をしてみたいと思います。

○長谷部座長 では、杉浦委員、お願いします。

○杉浦委員 資料2-1に主な経緯というのがまとめられておりますが、結局一番大きなところは平成19年6月29日、先ほど説明がありました国生審の取りまとめが中心になりまして、平成21年9月に消費者庁に移管されてきたという大きな流れがあります。この平成19年6月29日の国生審の取りまとめについては、日弁連が素案の段階で平成19年6月8日付で意見書をまとめております。ここで日弁連としての基本的な考え方は簡潔的にまとめられておりまして、第三者提供については一般的な例外規定を設けるべきであるとか、あるいは公務員、公人の公的な情報について、第三者提供を可能にする条項を設けるべきであるということの意見を述べましたけれども、結局、国生審の取りまとめにおいては現行法のままでいこうという流れになったようです。
 それで、この白い資料を配付していただきましたけれども、この77~82ページにわたっての資料を読みますと、第三者提供については結局のところ同意方式あるいは手挙げ方式という表現もありますが、このままで現在来ております。このままで、ここ数日の110歳以上の人の所在確認においても、現行法の個人情報保護法の基本的な考え方、同意方式というのがネックになって弊害が生じているという現状にあると思います。
 当調査会において、どういう形になるか整理ができておりませんけれども、この辺り根本的なところを議論して整理して消費者委員会としてまとめていただきたいと意見を申し上げます。

○長谷部座長 では、三宅委員、お願いします。

○三宅委員 今のに関連してですが、資料2-3の取りまとめの2~3ページにかけて、「民生委員・児童委員の活動のための対象者名簿」というのがあります。その中で、「国等に協力する必要がある場合等として、本人から同意を得なくても提供することが可能と考えられる」ということで、課題として(2)のイで「プライバシー意識の高まり等により、地方公共団体において、福祉・防災の担当部局間や民生委員や自主防災組織等との要援護者情報の共有が進まない、民生委員等が活動を円滑に行えないといった指摘がある」と。既に平成19年の段階でこういう指摘がありながら、その後、政府、特に厚労省などで民生委員の関係の情報提供について、個人情報保護の現行の規定に基づいてどこまで具体的に課題について進められたのかについて次回までにご報告をいただきたいと思います。
 今日ここに来る前にテレビを見てましたら、民生委員の活動が進まないというところで個人情報保護法が妨げになっていると報道でやっていまして、そこのところは過剰反応は個人情報保護法を周知することによって具体的に解決できるのだという方向で今までやってきたわけですけれども、残念ながら今日の報道を見ていると、個人情報保護法が妨げになっているという理解をされているところに、この法律の不幸なところがございます。この点を先ほど杉浦委員が一般的な利益衡量規定を追加してはどうかというところの利益衡量規定です。これを追加すると個人情報の保護と利用のバランスが崩れるということで、とにかく過剰反応を一般的にこの法律を周知することによって正しい理解のもとに正確に運用すれば問題は克服されるのだという考え方でこれまで来たわけですけれども、この数日も、100歳以上の名簿についてはほとんど政府も自治体も情報を把握できていないということは、残念ながらこの法律が適正に利用されてこなかった。特に第三者提供の規定のところの大きな問題だと思います。
 私は前回、国民生活審議会の個人情報保護検討部会で一般的な利益衡量規定を入れてはどうかという提案をしております。議事録にも出ていると思いますが、ここ数日のことを考えると、個人情報を保護することによって個人の自立なりというようなことを保障していく、個人のプライバシーの保護という面からこの規定ができているのですが、それと同時にもう一つ、コミュニティの維持とかそういう新しい視点も入れていかなければいけないのではないかと。
 一般条項がいいのか、それとも細かい話になりますが、資料2-1の6ページで言うと、「国等に協力する場合」と「法令に基づく場合」というのがあって、これはたしか『ジュリスト』の7月15日号の藤原さんの論文には、地域での町内会の名簿等をつくりましょうという自治体の条例ができつつあるという紹介がありましたよね。それは個別の自治体でつくりましょうということをするとなると、それは法令に基づく場合という形でいくけれども、果たして地域の自治体ごとのバラバラの対応でいいのかというところで、もう少し一般条項的な規定が考えられていいのかどうかということと、4号の国等に協力する場合、これは要するに国と個人の関係しか出ておりませんが、コミュニティにおける人の在り方みたいなものを個人情報保護の法律の施行の中で具体的に考えていかなければいけない問題が出てくると思います。
 先ほど須藤さんがおっしゃったように、税と社会保障の共通番号制ということが消費税の導入ということの一つのスケジュールの中に入っていて、社会保障と税の共通番号制を導入することと消費税の導入がセットになるという流れが今、政府では国家戦略室を中心に進められています。その中の今まさにパブリックコメントをかけられている内容の中で、個人情報についての第三者保護機関が共通番号制を採用するに当たっては必要でないかという意見が政府の方から提言されている。そういう段階において、この消費者委員会の在り方はどうなのかということが問題になってくると思います。私は、国民生活審議会の最後の全体会のときに、消費者委員会がこれを担うべきものなのか、それとも別個の第三者機関が必要なのかという問題提起を議事録で残させていただきました。そして1年間、消費者委員会の動きを見させていただきましたが、1年間と言いましょうか、半年と言いましょうか、残念ながら消費者委員会の中で個人情報保護の専門調査会ができなかったと。
 その1年間でどんなことが起きたかというと、例えば、ストリートビュー的に主要な都市の主要な道路について映像を流すと。これは非常に便利でして、我々も仕事をするときに大体それを使うと土地の特定とかできてしまうから使うんですが、それが大体2.5mの高さから当初やっていましたから、路地裏の家の中とか、ある特定の施設に入りそうなカップルが写るとか、その二次被害については総務省で個別の検討会がつくられて、情報が流れることによって二次被害が起きることを注意しなければいけないという意見がまとまったのですが、国際的に言うと、例えば、カナダだとプライバシーコミッショナーが、そういうプライバシーの保護の問題があるから運用を待ったらどうかという意見を出すような制度になっていますが、主務大臣制のもとで1年の間に消費者委員会からそういう意見が出なかったということは、主務大臣制のもとにおける個人情報保護の限界を示しているのではないかと厳しく言えば、消費者委員会の方に言いたいところですね。
 それが先ほどおっしゃった個人情報保護の制度について抜本的な制度改革が必要なのかという議論が早晩迫られてきて、個人情報保護法制の運用状況の調査という個別具体的な話は非常に大事な話だと思うので、そこのところを今後、我々委員として視野に入れながら、個別具体的な施行状況のチェック等をしていきたいなと考えております。

○長谷部座長 それでは、長田委員、お願いします。

○長田委員 今の意見に関連して、意見を申し上げたいと思います。今、三宅委員がご紹介くださいましたストリートビューの話、総務省で検討しておりました諸問題研究会に私も参加しておりました。その中で、ストリートビューだけではなくて、今、行動ターゲティング広告とかDPI広告とかいろいろ検討したわけですけれども、やはり個人情報保護法の対象になっている個人情報なのかどうかということが、結局は検討の中でも問題になって、そうではないということで話が流れていくというのが大変多くあったと思います。
 今、ご紹介がありましたけれども、各国ではサービスの導入時に課題が指摘されて何か改善対策がとられたりということがされているストリートビューや、今、日本独自の問題ですけれども、携帯電話の契約者固有IDのプライバシー保護の問題とか、日本が政府として何もできていないというのが現状だと思っています。
 これは個人情報保護法は現在、個人情報を種類分けして保護の対象とするかどうかということが規定されていると、雑ぱくに言うと私はそのように思っているのですけれども、今、情報通信技術がすごく発達していますので、1つずつの情報というのは今保護すべき法律上の個人情報でなくても、それがたくさん集まることによって私たちのプライバシーが大きく侵害されるという場面がたくさん現れていると思います。それらに対応するためにも、個人情報保護法を抜本的に改正して、固定的に種類分けするだけではなくて、技術によって国民のプライバシーの侵害が社会的に起こり得るかどうかというところを含めて対応するべきであり、その判断をするためには第三者機関の設立が絶対に必要だと思っています。
 今、ご紹介がありましたように、国民IDの検討の中で推進戦略本部が6月22日に出されている工程表の中にも、2011年までに第三者機関の在り方を明確して、2013年までには制度設計や関連法令の整備をすると書き込まれています。この第三者機関が今、私が申し上げたような民の問題を調査できるようにすること、それから、個人情報保護法との関係において、どう関連付けていくかというのを是非この場で議論していただきたいと思っています。そのためには、今後の調査会の検討で、先ほど前の国民生活審議会での検討状況のヒアリングの名簿を見せていただきましたけれども、情報通信分野において今何が起こっているのか、そして、今後何が起ころうとしているのかということをきちんと皆さんで共通に認識するためにも、技術分野の専門家のヒアリングを是非予定に入れていただきたいと思っています。

○長谷部座長 どうもありがとうございます。
 三木委員、お願いいたします。

○三木委員 まず、質問というか、もし資料として出していただければと思いますので、最初にそれを申し上げます。
 平成21年度の施行状況の概要の中で、6~7ページに苦情処理の状況について資料をいただいていますけれども、事業分野ごとの状況と相談内容の状況とそれぞれまとめていただいてますが、相談内容の状況として上がっている項目と事業分野の状況と少し、この事業分野ではこういう苦情が来ているという内訳みたいなものを出していただくことはできますか。例えば、医療分野については不適正な取得について何件とか、漏えい・紛失について何件とか、そうしたものをつくっていただくことはできますか。

○國井個人情報保護推進室長 先ほど説明の中でも申し上げましたが、ここの苦情処理の状況のデータというのは基本的に国民生活センターでまとめているものですので、私どもどこまで細分化できるかはわからないので、国民生活センターと相談してみたいと思います。

○三木委員 あと質問ですが、12ページの漏えい元と漏えいした者の表に、不明というのがありますが、これは何でしょうか。

○國井個人情報保護推進室長 形式的ですけれども、言葉どおりの意味になってしまうのですが、実際にどこから漏れたかはっきり事業者側として把握していないので不明だと報告してきたものだと思います。

○三木委員 そうすると、経緯がわからない漏えいについては不明として報告が上がってくるということですか。

○國井個人情報保護推進室長 整理の問題ですけれども。

○三木委員 わかりました。
 あと、もう一つ質問ですけれども、個人情報保護法制の中では一応最終的には司法解決というのがあると思いますが、司法解決に至ったような案件については何かまとまった資料はありますか。

○國井個人情報保護推進室長 体系的に整理したものは特にないです。単発で判決が出て知り得ることとなったものはありますけれども、数自体が恐らくそんなに多くないということもあって、整理するまでに事務的には至っていないというのが現状です。

○三木委員 そういう資料をご用意いただくことはできますか。

○國井個人情報保護推進室長 どこまでできるかわかりませんが、検討させてください。

○三木委員 ありがとうございます。
 すみません、今のが質問で、これからいろいろな方からのご意見があったので、少し私も申し上げたいことがありますのでお時間いただければと思います。この数日、110歳以上の高齢者の問題が出てきて、確かにとても深刻な問題ではあると思いますが、ただ、この間の問題はある意味、公的分野の問題が中心で、つまり自治体においてどうするかという問題が中心であって、そこに民間が主な対象の個人情報保護法の話が混ざり込んでしまっているのが、議論を混乱させる原因になるのではないかというところを非常に懸念しています。
 民生委員に関しても、民生委員としては公務員の身分を持っておりますし、そういう意味では自治体として住民登録をどうするかということとは別に、安否が懸念されるようなものとか、個人情報についてどう対応するのかという基本的なことができていなかったということが大きな問題だったのだろうと思います。ここでの議論では、なるべく公的な分野の問題と私的分野の問題というのは、かぶる部分はありますが、少し整理して、何を個人情報保護制度の中でやる必要があるのかということは議論をちゃんとしていければいいなと思っています。
 それから、この間、過剰反応が非常に問題になってきまして、それは恐らく個人情報保護法そのものの問題と、それ以外の問題といろいろと混在しているように思っています。そう思う理由が幾つかありまして、結局、個人情報を利用する側と利用される側が極めて近い場所にいる場面で、恐らくいろいろな問題が起こっているのかなと思います。自治会もそうですし、学校もそうです。その場合に、個人的な考えなので一般的にこれが正しいかどうかわかりませんけれども、要は、個人情報をこれまで集めて利用する側と利用される側の中で、いいコミュニケーションが成立していなかった結果、結果的に本当は余り進んで提供はしたくないけれども、やむを得ずやっていた人たちが、法律ができたことによってそれを理由に恐らく嫌ですということとか、すごく慎重になったという側面もあると思います。なので、法律上どうするかということと、あと、やはり個人情報が利用される側と利用する側のある意味コミュニケーションの問題であるということもあると思いますので、そこは法律上何するかということと、個人情報を利用する側、利用される側の間でどういう合意形成を図っていくのかということと、両面から考えていただいた方がいいかなと思います。
 第三者提供に関しては、一般の利益衡量の規定をということがご意見としてありましたけれども、第三者機関の議論とも重なると思いますが、誰が個人の権利利益の保護と個人情報の利用のバランスを図っていくのかというのが非常に重要な問題なのだろうと思います。私は個人の権利利益の保護というのは非常に重要だと思っていまして、例えば、大きな組織対個人という構図に入ったときには、個人は自分を守る術がない場合もあります。なので、誰がそのバランスを図っていくのか、それは主務大臣がいいのか、例えば、こういう消費者委員会がいいのか、それとももうちょっと権限がある、社会的に裏付けのあるところがちゃんと広く議論しながらやっていくのがいいのかということは、そろそろと考えないと、個人情報の保護に関する昨今の問題というのは、恐らく終息点がなかなか見つからないだろうと。
 どういう枠組みでちゃんと社会的な合意形成をつくっていくのかということを考えると、やはり第三者機関をどうするかという問題は避けられないのではないかと思っておりますので、先ほどの話を聞いていてそういうことを考える委員の方が多いとお見受けしましたので、是非そういう議論ができればと思います。
 以上です。

○長谷部座長 臼井委員、お願いいたします。

○臼井委員 質問なのですが、施行状況の概要を見ていて苦情の部分がありますね。相談内容の状況のところで、ちょっと考えると相談する人は、これが私的部門なのか公的部門なのか、つまり個人情報保護法にかかわるものなのか、行政機関個人情報保護法にかかわるものなのか、条例にかかわるものなのかは多分わからないと思います。今ずっと話が出ていますが、いろいろな問題で公的部門と私的部門が重なっているわけです。そうすると、ここに出ている相談の内容、つまり不適正な取得とか目的外利用とか、同意のない提供というのはどこかで仕分けして、これは個人情報保護法の分野、つまり民間部門のものであり、行政機関のものではないという数字を挙げられているのでしょうか。行政機関にかかわるであろうと思われる相談もあると思うのです。相談しても、これはどちらの法律であるかというのは普通の人は多分ほとんどわからないと思うので、仕分けされた上でこういう数字を挙げられているのか、あるいは、この中には本当は行政に対する相談も含まれているのでしょうか。具体的な例がこの中に何もないのです。その辺の判断ができないので質問しています。

○國井個人情報保護推進室長 整理の問題ですけれども、まさに個人情報保護法の民間規定部門に関する苦情だとはっきりわかるものについては、相談内容のところに分類してやっていると思います。それ以外のものについては、恐らくその他に入っているものと、あるいは最初から、いわゆるこの狭義の個人情報保護法の関係ではないということで除いてしまっているものと両方あるのではないかと思いますけれども、そこは全体の整理を国民生活センターでやっていただいていることもあるので、そこは確認させていただきたいと思います。

○臼井委員 ものによっては、行政機関にかかわる個人情報のものがあった場合にも、相談に応じないわけにはいかないので、相談には応じるわけですか。

○吉川委員 私は現場で相談員をしています。相談が寄せられた場合、行政とか民間とかの区別なく、現場で処理のできるものは行います。現場では受けた相談員が他機関に処理してもらった方がよいと判断したものは、そちらにご相談くださいと相談先を紹介する場合もあります。PIO-NETのカウントとして民間の相談なのか行政のものなのかとストレートに区別するようにはなっていないと思います。

○臼井委員 わかりました。
 もう一つだけ。行政機関個人情報保護法については、こういう施行状況の一覧みたいなものはないのですか。

○國井個人情報保護推進室長 それは、総務省の行政管理局の方で、独立行政法人と併せて毎年同じような形で公表していますので、今年度版が出たとはまだ聞いていませんが、毎年大体夏から秋にかけて出しておりますので、別途そちらでやっているということです。

○臼井委員 わかりました。

○長谷部座長 時間的にこれが最後と思いますが、藤原委員、お願いします。

○藤原委員 先ほど名前を出していただいたので、その点だけです。今日の議論のポイントが、最初に角委員が言われた司令塔論であるということは承知しておりますが、時間がないようですので、その司令塔論についてはいずれ個人的見解を申し上げたいと思います。
 さきほどのコミュニティの話ですけれども、コミュニティにおける個人情報保護の問題に関する条例での取組事例を『ジュリスト』に書きましたが、コミュニティのことが第23条の文言で抽象的に国の法律だけで書いて問題が本当に解決するかなというところがあるわけです。やはりそれはそれぞれの団体の自律であるとか、地域の自律も考えるべき話ではないかということで、恐らく問題意識は、この点に関しては、三木委員に近いのではないかと思っております。

≪4.閉会≫

○長谷部座長 それでは、議論の尽きないところではございますが、そろそろ時間でございます。進め方が悪くて申し訳ございません。
 本日ちょうだいしました意見につきましては、部会の今後の運営で生かさせていただければと思います。
 それでは、次回の日程等につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。

○原事務局長 短い時間で申し訳ございませんでしたが、大変活発にご意見をいただきまして、ありがとうございました。次回の専門調査会につきましては、9月下旬ということで内々に日程は委員の皆様にお示ししておりますけれども、作業をその段階まで鋭意進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 本日いろいろなご意見をちょうだいいたしまして、大変大きいお話から、資料を準備していただきたいというところまでございました。三宅委員から消費者委員会や消費者庁がこの法律を所管しているのはどうかというお話がありましたが、これは国会の消費者庁、消費者委員会設置のときの審議の附則で、3年後にどういう法律を所管したらいいのか、それから、消費者庁、消費者委員会、国民生活センターの体制の在り方を見直すという話になっておりますので、そこでの一つの大きい課題であろうかとは感じております。
 次回の進め方につきましては、また、座長ともご相談させていただいて準備をしたいと思っております。
 今日はどうもありがとうございました。

○長谷部座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

(以上)