第10回 地方消費者行政専門調査会 議事録

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日時

2011年1月25日(火)15:00~17:05

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

 蓮舫内閣府特命担当大臣
【専門委員】
 稲継座長、沼尾座長代理、国府委員、斎藤委員、菅委員、
 田中委員、野口委員、馬場委員、圓山委員、矢野委員
【担当委員】
 佐野委員、下谷内委員、日和佐委員、山口委員
【オブザーバー】
 池本弁護士
【説明者】
 消費者庁 林地方協力課長
【消費者委員会事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.蓮舫内閣府特命担当大臣挨拶
3.報告書案(骨子)について
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:55KB)
【資料1】 消費生活相談に関する実態調査報告(PDF形式:555KB)
【資料2】 広域連合ヒアリング結果一覧(PDF形式:186KB)
【資料3】 地方消費者行政専門調査会報告書案(骨子)(PDF形式:296KB)
【資料4】 今後のスケジュール(案)について(PDF形式:73KB)
【資料5】 国府委員提出資料(PDF形式:121KB)
【資料6】 圓山委員提出資料(PDF形式:267KB)
【資料7】 池本オブザーバー提出資料(PDF形式:112KB)
【参考資料】地方消費者行政の充実・強化に向けた課題(平成23年1月 消費者庁 制度ワーキング・グループ)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、始めさせていただきたいと思います。本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会 地方消費者行政専門調査会」の第10回の会合を開催いたします。
 本日は、蓮舫内閣府特命担当大臣にお越しをいただいております。
 それでは、本日の開会に当たり、蓮舫内閣府特命担当大臣より御挨拶をいただきたいと思います。

≪2.蓮舫内閣府特命担当大臣挨拶≫

○蓮舫大臣 改めまして、この改造内閣で新たに消費者・食品安全を担当することになりました蓮舫でございます。これから皆様方と末永くおつき合いをさせていただければと、改めてお願い申し上げます。
 地方消費者行政専門調査会の委員の皆様方には、今日で10回目、大変お忙しいお時間を割いていただいて、国のなすべきこと、地方の消費者行政のあるべき姿、それぞれ御専門家から大変貴重な御意見をいただいております。心から感謝を申し上げたいと思っております。
 今回、この担当に就任をさせていただいて、消費者庁の福嶋長官を初めとして、いろいろな思いを共有しているところでございますが、一言だけ、せっかくですから、私の考え方としまして、民主党政権になって以降、地方主権というのが1つの大きな基軸になっています。中央を見て、中央の言いなりに金や、あるいは権限、すべてを委ねるという時代をそろそろ卒業しようではないか。地域には地域の特性がある。そこに住んでおられる方たちのさまざまな伝統や、習慣や、考え方や、文化がある。その地域が本当に活性化するためのきめ細やかな行政がどのようにあるべきか。まさに消費者を中心とした行政というのは、その地域が主役であります。その地域がどのように消費者行政を推進していくことができるのか。国がすべてを決めて、従わせるのではなくて、自ら考えて行動ができるように、国が地方の主権をどうやって支えていくことができるのかが、私は地方消費者行政の大きな基軸になると考えています。
 来年度から、予算案の中では、お認めをいただいたら、一括交付金の流れも大きく動き出し始めました。地域が自分で考える、地域がどのような文化、風習を次の世代に残していけるのか。特に消費者の安全を守るという部分では、皆様方にこれまで御意見をさまざまいただいておりますけれども、国を中心とした考えではない部分に立っていただければ非常にありがたい。これまでもおまとめいただいた内容を更に精査いただいて、報告書にまとめていただくと聞いております。
 私が本部長になっている地方消費者行政推進本部の中でも、制度ワーキング・グループの基本は地方自治、歴史的経緯も含めて、ここを基軸に据えておりますので、是非、皆様方にも私の思いを感じていただきながら、すばらしい報告書をまとめていただいて、地域の方に本当に喜ばれる地方行政、消費者行政をつくっていければと、改めてお願い申し上げます。

○原事務局長 どうもありがとうございました。
 大臣におかれましては、ここで御退席をされます。お忙しいところ、誠にありがとうございました。

(蓮舫大臣退室)

○原事務局長 それでは、始めさせていただきたいと思います。
 なお、本日は、所用により、専門委員の奥山委員、山下委員、担当委員の池田委員が御欠席です。
 また、所用により、沼尾座長代理が30分程度遅れての御出席、それから、斎藤委員が途中退席とお聞きしておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 それでは、まず、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。今、お配りしております資料は、議事次第の次に配付資料一覧をお付けしております。
 資料1は「消費生活相談に関する実態調査報告」、これは事務局でとりまとめたものです。
 それから、資料2「広域連合ヒアリング結果一覧」。
 資料3として、今日御議論いただきます「地方消費者行政専門調査会報告書案(骨子)」です。
 資料4として「今後のスケジュール(案)」をお付けしております。
 資料5~7については、委員、それから、オブザーバーから提出をいただいた資料となっております。
 参考資料として、ちょっと大部なものをお付けしておりますけれども、これは「『地方消費者行政の充実・強化に向けた課題』概要版」となっていて、概要版は2枚ですが、その後ろに本体の報告書をお付けしております。これについては、今、大臣のお話の中にも出ておりましたけれども、消費者庁の制度WGでの検討の結果、昨日、1月24日に行われた消費者庁の地方消費者行政推進本部においてとりまとめられたものでございます。議論の参考にしていただければということでお付けをしております。
 審議の途中、不足の資料がございましたら、事務局までお申出いただけたらと思います。
 それでは、座長、議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。

≪3.報告書案(骨子)について≫

○稲継座長 それでは、議題に入りたいと思います。本日は、報告書(案)の骨子について議論するのが主題でございます。まず、事務局から、前回、中間報告をいただきました「消費生活相談に関する実態調査」の最終結果と、前回、委員から御要望のありました広域連合の実態に関するヒアリング結果につきまして、御報告をいただきます。続いて、これまでの議論を踏まえて、本専門調査会の報告書案の骨子を作成いただきましたので、内容を御説明いただきます。その後、一括して御質問、御意見をお願いしたいと思います。それでは、事務局から御説明をお願いします。

○齋藤審議官 事務局の齋藤でございます。
 まず、資料1の「消費生活相談に関する実態調査報告」について御説明いたします。前回、12月の専門調査会で、大体6割方ぐらいの集計で御説明いたしました。今回、集計が完了いたしましたので、その内容を御報告いたします。
 御報告いたします前に、今回の調査に当たりまして、全国各都道府県の皆様方には大変お世話になりました。この場をお借りして御礼申し上げます。
 中身でございますけれども、前回、大体御説明しておりますので、かいつまんだ御説明でお願いしたいと思います。
 まず、3ページでございますが、「消費生活相談体制の強化について」というところでございます。青い四角の囲みの中に書いてございますが、全国47都道府県・1,750市区町村のうち、約半数以上、56%が平成21年度に消費者行政推進体制の強化を実施したとなっております。
 この消費者行政推進体制の強化の中身は、その下の点々の囲みにありますように、Aの消費生活センターの新設から始まりまして、PIO-NETの新設、出前講座の充実等、あるいは商品テスト実施体制の強化といった形で、幅広くとらえたものでございます。そういたしましたところ、半数を超えるところで消費者行政推進体制が強化されているということでございます。
 更にその内容を絞りまして、消費生活相談体制の強化というところで見ますと、また下の点々の囲みで言いますと、A~Fまでのところでございますが、窓口をつくったり、あるいは開設時間を増やしたり、担当職員を増員したりといったところまでを含んだ考え方でありますが、その場合には、強化した自治体の比率は約23%、約4分の1となります。
 更にその内容を絞り込みまして、センターの新設、あるいは窓口を拡充してセンターにする、あるいは新しく窓口をつくるといったようなところはどのくらいかといいますと、右端の円グラフでありますが、約9%となってまいります。
 次のページは飛ばしまして、5ページでございますけれども、「消費生活相談への対応について」ということで、消費生活相談体制を強化した自治体につきまして、難しい事案について、どこまであっせん等を対応するかということをお聴きしたところ、左方にありますように、緑で示しておりますが、あっせんまでするとお答えいただいたところが64%となっております。消費者安全法の考え方では、あっせんはそれぞれの自治体のお仕事になっておりますけれども、そこまで対応できているところは全体の6割程度ということでございます。
 右方にありますように、都道府県に限りますと94%ということで、比率としては上がってまいります。
 それから、6ページでございます。こちらは、消費生活センターを新しくつくる、あるいは窓口を拡充して消費生活センターにする、あるいは新しく窓口をつくったといったような形で、体制を目に見える形で強化した、その結果として相談件数が増えましたかという問いかけをしたものであります。これは、相談体制を強化した半年を、その前の年の半年と比べておりますが、その半年間の変化としてとらえたときに、青で示しておりますが、58%、約6割で件数が増えたという結果が出ております。
 右方に参考として、どの程度増えているのかというところをお示ししておりますけれども、増え方としては、かなり大きな増え方が見て取れるかと思います。数が小さいところは小さな自治体でございますけれども、そういった小さな自治体でも、小さな数ではありますけれども、数の増え方としては大きなものになっております。
 7ページは飛ばしまして8ページをご覧いただきたいと思います。消費生活相談体制を強化した自治体について、消費者行政の各種機能が向上したかどうかという質問をしたものでありますけれども、それに対するお答えとして、この青と赤を足してみますと、約4分の3で向上したというお答えをいただいております。
 どういった機能が強化されたかということで、右方の棒グラフでございますけれども、相談体制を強化しておりますので、窓口における紛争解決機能が強化されたというのがある程度高い回答になっておりますけれども、それよりも被害予防の比率で高い回答が得られているところが興味深いところでございます。
 次のページでありますが、「PIO-NET導入の効果について」、これも消費生活相談体制を強化した自治体について質問したものであります。非常に向上した、ある程度向上したというところを足し合わせますと、約4分の3のところで助言・あっせん等の水準が向上したというお答えをいただいております。
 あっせん件数の方は、増加したというところは全体の22%にとどまっておりますけれども、これも時を経て件数に反映していくのではないかと思われます。
 10ページは飛ばしていただきまして、最後の11ページでございます。今後必要な施策について」ということで、消費者が製品事故・悪質商法等の被害に遭わないよう、その安全・安心を守るための方策として必要なものはどういうものがありますかと、複数回答でお尋ねしたものでありますが、一番多かったところは啓発、教育といったところでありますが、その次に基金延長・新設、相談員育成と続いております。市町村間の連携と県・市町村間の連携を分けて計上しておりますので、168、163となっておりますが、ダブルカウントの部分を除いて、市町村間ないし県・市町村間の連携ととらえますと、226となりまして、かなりの数ということになります。
 実態調査については以上でございます。
 それから、資料2でございますけれども、広域連合について、前回専門調査会で御質問がございました。これは宿題にさせていただきますということで引き取らせていただきましたけれども、その後、2つの広域連合について実地にヒアリングをしてまいりました。その結果をまとめたものでございます。左方は静岡地方税滞納整理機構、右方は鈴鹿亀山地区広域連合でございます。
 構成団体、上から3つ目のところですが、静岡の方は、静岡県と県内市町村、職員としては17名、出身自治体の職員の身分と併有となっております。
 鈴鹿亀山の方は、三重県の鈴鹿市と亀山市の2市が構成団体になっておりまして、消費生活センターの職員は4名となっております。ついでですけれども、介護保険関係が25名となっておりまして、この広域連合は、もともとは介護保険事業を行うための広域連合でありまして、そこに後から消費者行政の業務が加わってきたというものでございます。
 業務内容はご覧のとおりでございます。
 広域連合方式のメリット・効果というところでありますけれども、まず、静岡につきましては、この3年間で100億円という成果が上がっているということでございます。
 それから、鈴鹿亀山につきましては、2つ目の○でございますけれども、相談員を確保しやすい。しかも複数確保できるということで、研修のフォローとか、スキルアップとか、いろいろメリットが出てきているということでございました。
 それから、広域連合になると、構成する自治体との関係が希薄化するのではないかというような懸念も示されておりますけれども、静岡の場合は、各市町からの出向者は、すべて派遣元との併任がかかっていることもあり、連携関係についても非常に密に行われているということでございます。
 それから、鈴鹿亀山につきましては、一番上に書いてございますが、2つの市の広域連合ということでもありますので、出身市の職員との人的関係があるということで、連携に問題はないというお答えでございました。
 それから、その下2つ飛ばして、4つ目のところをご覧いただきますと、両市の「地域包括支援センター」には、さまざまな相談が来るけれども、そこでの対応についても、消費生活センターの所長が打合せに出向くなどして連携を図っているということで、ここはこの広域連合に特有のことでございますけれども、介護保険事業を行っていることが消費者行政との間で相乗的にプラスの効果が働いているという評価でございました。
 その下ですが、運営上苦労している点に関しましては、静岡では、議会運営が挙げられておりました。
 鈴鹿亀山でも、議会や出納関係といったところで、自ら担う必要があるというところが苦労している点ということで挙げられております。
 それから、その後ろには、地方自治法上の関係する条文を参考までに付けております。
 以上が資料2の御説明でございます。
 それから、資料3でございますが、「地方消費者行政専門調査会報告書案(骨子)」と題した資料でございます。
 座長からの御説明にもございましたけれども、これまでの専門調査会の議論を踏まえまして、座長とも御相談しつつまとめてみたものでございます。これまで各回で論点ごとに議論をしてまいりましたけれども、その内容を整理したものでございます。今日、ここで御意見、御議論をいただきまして、そういったものも踏まえまして、更に肉づけをいたしまして、2月10日には報告書の素案という形でお示しをいたしまして、更に議論を深めていっていただければよろしいのではないかと考えております。
 まず、1ページ目の「はじめに」というところでありますが、ここは経緯と位置づけのようなことが書いてございます。国では、消費者庁、消費者委員会が発足いたしまして行政のパラダイム転換が行われたわけですが、地方におきましては、ともすれば地域の産業振興が優先されまして、意識の面でも、資源配分の面でも、十分に光が当てられてこなかった。したがって、国全体として、消費者行政の強化を実現するとともに、地域住民のさまざまな行政ニーズに的確に応えていくため、地方消費者行政の活性化を図ることが喫緊の課題となっております。
 また、平成23年度までの集中育成・強化期間におきましては、活性化基金が手当てされておりますが、この期間後における国の支援の在り方、消費生活センターの設置、相談員の配置・処遇等の望ましい姿については、消費者委員会で検討するとなっております。そこで、この消費者委員会の下に、地方消費者行政専門調査会が設けられまして、昨年の4月から御審議をいただいたわけであります。こうした審議を踏まえて、地方消費者行政活性化策について、現実的かつ実効性のある対応策をとりまとめたというように、この報告書を位置づけております。
 その上で、2ページでございますが、まず「1 消費者行政における国と地方の在り方」というところでございます。四角で囲っておるところは本文の要約でございますので、その部分はお読みいただくといたしまして、「(1)地方公共団体が行う消費者行政事務の位置づけ」というところでございます。地方の消費者行政に関する事務は、相談の受付、苦情処理のためのあっせん、事業者指導、消費者事故・悪質業者に係る情報収集、情報提供、消費者教育・啓発講座の開催等、大変多岐にわたります。
 その中には、情報収集のように、全国一律に行う必要から、国としても責任を持って積極的に推進していく必要のある事務も存在いたしますが、大半の事務は、住民からの声に応える形で発展してきたものでありまして、各自治体がいわば自主的かつ自発的に対応してきた事務。
 今後とも、こうした経緯や地域の多様な特性などを踏まえ、各自治体の自主性や創意工夫を生かせるよう、自治事務として位置づける必要があります。
 「(2)地方消費者行政に対する国の関与と負担」です。今のような観点からは、地方公共団体が自主的に事務の在り方を決め、地方自らの財源をもって手当てすることが基本と考えられます。
 しかしながら、その下に挙げておりますマル1、マル2のような事務・事業等については、国も責任を持って推進を図る必要があり、一定程度の負担や技術的支援等を検討する必要があります。
 マル1でございますが、最低限のインフラ整備として、全国どこでも、住民が身近な窓口で専門的な相談を受けることができるようにするためのネットワーク構築に必要な施設等の整備・相談員の育成等の事業。
 マル2といたしまして、消費者庁設立後、全国の消費者事故等の情報をより迅速に収集し、分析した上で、情報提供すること等が課題となっており、そうした観点から全国一律に実施すべき情報収集に係る事務や情報入力に係る研修事業といったものが挙げられます。
 次の3ページをご覧いただきたいと思います。2で「相談ネットワークの在り方について」述べております。「(1)住民にとっての望ましい相談窓口の在り方」ということで、各市町村において、住民が困ったときに相談できる身近な窓口を整備する必要がございます。
 また、その窓口に来ないようなものについて、ほかの部門に一報が入ったり、あるいは他部門の職員に相談が行われたりしたとしても、必要に応じて消費者行政の窓口へつないで対応できるようにする仕組みも必要であります。
 また、相談窓口では、相談を正確に受け付け、助言を行ったり、あるいはあっせんを行ったりする必要がございます。
 また、事故等の情報が確実に収集・集約されて、被害の拡大を迅速に予防できる体制となっている必要もございます。
 更に、各市町村においては、窓口で収集された情報等に基づきまして、住民の被害の実態や関連する問題を把握し、住民に対して周知・啓発活動等の対応が的確に行われる必要があります。また、市町村の福祉・保健部局とも連携するほか、消費者団体・各種NPO等とも連携するなど、地域における消費者行政推進の拠点として機能することが期待されます。
 「(2)都道府県と市町村の役割分担」であります。今のような観点からは、市町村が基礎自治体ならではの特性を生かして、主体的に相談窓口の整備等を図る必要があります。
 しかし、現実には、各市町村個別の対応では、人員・予算等の面で困難な場合が多く、複数の市町村が広域的に連携して、効果的・効率的な対応を図ることが期待されます。また、相談員が1人といった窓口のように、人員が限られた窓口を設けた場合にも、広域連携を行うことで各窓口の専門的な対応能力の向上が期待されます。
 このように、基本的には、市町村が単独で、あるいは連携して1次的な窓口となって、消費者に関する問題を把握できるようにし、都道府県がこれをバックアップするという体制をつくることが望まれます。
 また、都道府県が多くの消費者関係法令について執行権限を有していることを踏まえますと、都道府県が自らの相談窓口、あるいは各市町村の相談窓口で得られる相談情報を効率的に集約し、執行業務に生かすことができる体制とすることが望ましいと考えられます。
 「(3)望ましい広域連携の在り方」ということで整理をしております。別紙1と別紙2を後ほどご覧いただきますが、広域的な連携体制をどのように構築するかについては、以下のとおり、さまざまな対応が想定されますが、各地域の経済的・地理的・歴史的な事情に応じて、自主的な判断に基づいて行われる必要があります。
 都道府県内の一部地域の連携ということに関しましては、マル1、マル2とございますが、マル1では、一部地域の市町村による広域的な連携を行う場合、マル2では、市町村の連携に県の振興局ないし振興事務所等の出先機関が参加する場合。
 次は、都道府県と域内市町村での連携でありますが、都道府県とその域内の市町村が広域連携する場合が考えられます。
 それぞれの広域連携には特徴があり、その利点を生かすと同時に、想定される留意点については、連携に係る規約等において対応策を講ずる必要がございます。
 ここで後ろの方の別紙をご覧いただきたいと思います。「(別紙1)望ましい広域連携の在り方」ということで、これは前回の専門調査会で出したたたき台の図を少し修正したものでございますが、この右方の都道府県内の一部地域での新たな連携という絵の中で、前回、B市としか書いてございませんでしたけれども、今回は、B市、または県のブロックの消費生活センターという形で、ここに県のブロック、サブセンターのようなものが位置づけられることもあるのではないかということで、ここにも書いてございます。
 それから、次のページでございますが、「都道府県とその域内の市町村による広域連携(広域連合の場合)」と書いてございますが、注4にもございますように、都道府県単位の連携を行う方式としては、広域連合以外にも、一部事務組合方式や協議会方式が考えられるということで、広域連合に限るものではないということを明確にしております。
 それから「(別紙2)広域連携の利点・留意点とその対応策」ということで、上半分は、都道府県内の一部地域での広域連携、下半分は都道府県とその域内の市町村による広域連携と分けてございます。
 まず、上半分の方ですけれども、その中がまた2つに分かれておりまして、一部地域の市町村による連携と、その市町村の連携に県の振興局等の出先機関が入った連携が整理されております。
 いずれの連携におきましても、近隣の市町村で連携するといった場合には、設立に向けての意向集約が容易ということがあろうかと思います。また、都道府県が加われば、都道府県の専門的知見の活用を図ることができるという点がメリットとして挙げられます。
 留意点といたしましては、中核的な市以外の市町村の消費者行政が空洞化していく懸念、中核的な市の負担が重くなる懸念といったものがございます。また、県の方で、市町村の体制が整ったということで手を引いていくという懸念も示されております。
 対応策等でございますが、国が示す連携のひな型におきまして、各市町村は少なくともよろず相談窓口で消費生活相談を受け付け、必要に応じて相談員配置を図るなど、連携前よりも窓口充実を図るべきである旨、明記するほか、分担金の在り方を示すことで参加市町村間の負担のバランスを図るということがありますし、県が入る場合においては、そのひな型において、市町村の要請があった場合には都道府県も広域連携に参加することが求められる旨を明記するということもあろうかと思われます。
 下半分の都道府県とその域内の市町村による広域連携でございますが、これにつきましては、広い範囲で専門的人材の確保、人事ローテーションができるというメリットがあろうかと思います。また、広い範囲で、相談員の間、相談員と行政職員の間の情報共有、連携強化ということも可能かなと思われますし、複雑な事案に係る相談を大規模な消費生活センターにつなぐ際の個人情報の問題を回避できるということもあるのではないかと考えられます。
 留意点といたしましては、大きな地域の中での市町村の意向を集約するのに手間を要するのではないかということでございます。
 対応策といたしましては、ひな型を示して、それをベースに調整を進めていくということで、意向集約を促進するということが考えられます。
 更に、広域連合の場合は、利点といたしましては、都道府県の処分権限を移譲することができますし、それから、広域計画を作成いたしまして、消費者教育、啓発活動等を効果的に推進することも可能かと思われます。
 留意点といたしましては、広域連合・一部事務組合の場合などにおきましては、長の選任、議会設立といった手続負担が重いということ。それから、それぞれ構成する県や市町村の役場から切り離されて、他部署との連携が希薄化するのではないかという懸念が示されております。
 そういった懸念への対応策といたしまして、ひな型において、例えば、現在の担当部署の執務場所を原則維持するとか、兼任職員を配置して連携を図るとか、あるいは調整ということに関しましては、基準財政需要額の一定割合を分担金として拠出するとか、そういったことを記述すればよろしいのではないかということでございます。
 そこでまた本文の方にお戻りいただきまして、4ページでございます。「(4)上記広域連携推進のための方策」というところでありますが、こういった構築につきましても、地方公共団体が自主的にその在り方を検討すべきものであるということです。
 国としても、消費者安全法で示された理念実現のためには、広域連携の望ましい形や、広域連携に伴って想定される問題への対処に関して、複数の選択肢を一定のひな型として示す必要があります。その場合、消防庁告示の「消防力の整備指針」を参考としてはどうかということでございます。
 また、ひな型に沿って広域連携を進めていく自治体に対しまして、相談窓口のネットワーク構築に必要な施設等の整備や、窓口職員に対する必要な研修等について、国として一定程度の財政負担や技術的支援等を図ることを検討すべきである。
 なお、広域連携を推進するに当たっては、連携に参加する市町村間の分担関係の調整が進まなかったり、都道府県と市町村の責任関係が不明確化したりするという懸念があるとされております。
 そこで、連携に参加する地方公共団体間の負担割合や責任関係・機能分担等について、上のひな型で示すことが望ましいと考えられます。
 6ページをお開きいただければと思います。「3 消費生活相談員の処遇の在り方」を整理しております。「(1)相談員が行う事務と求められる能力」のマル1では相談受付・助言ということで、わかりやすい助言を行うということでございます。マル2ではあっせん、マル3では事故情報の連絡、マル4では住民への啓発・情報提供といったことが書かれております。
 そして、7ページでありますが、消費者関連法が比較的頻繁に改正が行われておりますし、また、新手の手口が次から次へ登場するということを踏まえますと、知識を適宜更新し、的確に処理する能力を継続的に育成・維持することが必要不可欠であります。
 また、相談員の能力が実務の経験を通じて養われていく面が大きいことを踏まえますと、経験の浅い相談員に対して、相談現場において的確な指導、助言を行うことのできる専門性の高い相談員を育成し、これを何らかの形で公的に認知する仕組みを検討する必要があるのではないかと考えられます。
 「(2)相談員の処遇・研修等とそのための具体的な指針」です。上で述べた事務を相談員が的確に処理していくためには、マル1で研修機会を定期的に用意する。マル2で、長期間にわたる経験、研修等の積み重ねが具体的な相談対応で欠かせないということを踏まえますと、いわゆる「雇止め」ということは適当ではない。マル3ですが、相談員の能力や仕事の成果を適切に評価し、その評価に見合った報酬や処遇等が用意されることが適当であります。こういったことについて、各自治体における理解促進を図る必要があります。
 消費者庁としては、各地方公共団体の長にあてて、以上の必要性について具体的な指針を示すことにより、消費者生活相談員の適切な処遇、研修機会の確保を図る必要があります。
 なお、現在も、地域によりましては、消費者安全法施行規則第7条各号に、いわゆる3つの資格ですけれども、この資格を有する者、またはこれらと同等以上の専門的な知識及び経験を有する者が不足している実情を踏まえ、国としても、その人材育成に必要な研修やOJTについては、一定程度の負担や技術的支援等の対応を検討する必要があります。
 更に、相談員の多様な働き方に応じて制度的な選択肢を充実するという観点から、任期付短時間勤務職員制度の要件緩和による同制度の活用等を検討する必要があります。
 8ページに移ります。「4 情報の収集・分析及び情報提供の在り方について」の「(1)地方消費者行政における情報ネットワークの位置づけ」ということで、消費者からの相談、苦情を窓口で集め、地域ごとに集約、分析し、都道府県内、国全体で共有することで各自治体における個別の相談処理や住民に対する注意喚起・啓発、更には国等における法執行や政策・制度の企画立案等、さまざまな面で活用できます。
 PIO-NETは、こういった情報収集・集約・分析・共有のための重要なインフラとして位置づけられ、その利用価値向上に向けた対応を検討する必要があります。
 また、自治体の中で、消費者行政担当部署に、域内の他部門、福祉や保健等、他の行政部署の情報が集約される仕組みが重要であります。
 また、情報提供の面におきましては、地域の消費者団体、福祉部門のネットワークを活用するなど、更なる工夫も必要と考えられます。
 それから、情報の流れが一方向にならないように、国から地方への情報提供についても、その内容の充実を図るべきであります。
 「(2)PIO-NETの設置範囲の拡大」ですが、PIO-NETの活用範囲が、相談処理の支援のみならず、国等の法執行への活用、消費者行政の企画・立案等と拡大しておりまして、これに応じて、各自治体の消費者行政本課等も含めた設置範囲を拡大していくことが必要であります。また、これに併せまして、入力事務負担の在り方の見直しや、入力作業を負担する地方に対する国からの情報提供の充実といったことも必要と考えられます。
 「(3)PIO-NETへの相談情報の入力事務の負担」ですが、迅速な法執行等が求められる中、PIO-NETの情報に対するニーズが高まっております。また、それに伴いまして、入力が必要とされる情報量が増大し、あるいはセキュリティレベルが上がるためにシステムが高度化したといったことから、相談員の入力負担が増大しております。
 このPIO-NET入力に係る事務負担の増大は、被害事案の早期把握と国からの要請増加に伴う面も少なくない。この入力に伴う手間、費用負担や、入力に関係する研修業務負担の在り方については、既にPIO-NETを利用している窓口も含めて、国が一定の負担を行うことや、システムの刷新等について検討を行う必要があります。
 10ページでございます。「5 地方消費者行政における商品テストの位置づけ、人材の確保について」の「(1)地方消費者行政における商品テストの在り方」です。各地方公共団体で、自ら商品テストを行うことには、住民の相談事案への迅速な対応や、住民に対して実験を公開する等による啓発活動等、一定の意義があります。
 ただし、人材面、財政面や施設・機器の維持管理の面等を考慮いたしますと、テスト対象については、各自治体において容易に原因究明できるもの等、その範囲をある程度絞り込まざるを得ません。他方、工業試験場、食品加工研究所等、域内における他の機関との連携強化や、他の地方公共団体間との協力強化等の方策を図ることで充実を図ることも考えられます。
 また、国民生活センター等、国の関係機関におきましては、全国的に流通している商品や、地方公共団体で実施が難しいものに特化して行うと同時に、全国の自治体や関係機関におけるテストの実施状況に係るデータベースを作成し、情報共有化等に向けた取組を図る必要があります。
 「(2)人材の確保、育成」でありますが、事故情報への対応や試験・研究機関との連携を行う上で、地方の消費者行政の担当部署において、技術的知見を有する人材を確保し、育成することが重要です。このため、技術系の人材の消費者行政以外の部署も含めた人事ローテーションや、他の地方公共団体等との人事交流を進めることが考えられます。
 同時に、消費者行政に特有、あるいは頻発する技術的な問題についての知識やノウハウを蓄積する必要があり、そのための研修システムを考えることが望ましいと思われます。そうした観点からは、国の関係機関での実務研修推進を図ることも考えられます。
 11ページでございます。「5 地方自治体における法執行の位置づけ」の「(1)都道府県における法執行強化の必要性」です。特商法や景表法では、その法目的として、消費者・購入者の利益保護を明記しております。消費者・購入者たる住民の利益保護推進の観点からは、今後とも被害が発生した都道府県において、迅速に処理する必要がございます。
 都道府県の迅速かつ厳正な法執行は、以下のマル1~マル3の点でも、当該都道府県の消費者行政推進に資することになります。マル1では、その県内における類似する悪質商法、偽装表示等の抑止、マル2では、その県内の市町村窓口における事業者指導の実効性の強化、マル3では、法執行を行うことで得られた悪質事業者の手口等に係る知見を踏まえ、住民に対して啓発活動を強化するといった意味で、消費者行政推進に資することになります。
 他方、国は、インターネットを利用した通信販売、急速に広域的に拡大するマルチ商法や複雑な金融商品の電話勧誘等について、迅速に対応できているとは言いがたい。これに必要な体制整備を急ぐ必要があります。
 「(2)地方の執行力を高めるための国の支援策」ですが、都道府県ごとで執行実績のばらつきが大きいということがありますので、国としても、以下の観点で法執行強化を後押しするなど、支援を進める必要があります。
 マル1ですけれども、的確な法執行の前提として、運用基準の明示など、法解釈の明確化、問い合わせへの対応体制の整備といったことのほか、国と都道府県が法執行のための調査を共同で行ったり、地方の職員が国に出向する、あるいは国から地方に職員が出向して指導したりするといったような形で、国の持っている専門的知見についての共有を推進していくことも必要であります。
 マル2ですけれども、執行関連の情報共有につきましては、ブロック会議の開催や、特商法・割販法執行ネットを通じた情報共有などが行われておりまして、今後ともその内容の充実を図るほか、景表法等、他の執行分野における情報共有も進めていく必要があります。
 次のページのマル3ですが、同一事案について、1つの行政機関が調査に着手したものの、事情によって他の行政機関が処分することになった場合の証拠等の引継ぎについて、国から先例等も含めて一定の考え方を示すことも求められます。
 「(3)都道府県等の執行権限強化」ということで、マル1では、景表法に関しまして、都道府県の執行権限は、現在、指示ということで、行政指導としての指示のみであります。景表法はもともとは独禁法の特別法という扱いでしたけれども、その目的規定が変わりまして、消費者保護に変わったということを踏まえまして、措置命令も行えるようにすることが適当と考えられます。
 こうした都道府県の執行権限強化に合わせまして、公正取引委員会の地方事務所との連携・協力体制を強化する。そのために、公正取引委員会の地方事務所でも措置命令の権限を担えるようにして、国としての執行体制を強化することが必要ではないかと考えます。
 マル2は特商法ですけれども、特商法につきましては、都道府県による行政処分の効果が当該都道府県に限定されております。次々販売のように、1つの都道府県で処分された後、別の都道府県で営業するという例が頻発していることを踏まえますと、事件処理に係る事務負担重複を防止する観点からは、広域的な被害防止が必要な事案について、当該処分の効果を全国に及ぼすことができるものとすることが適当ではないかと考えます。
 この場合、個別の法律執行は、当該都道府県住民に効果を及ぼすのみならず、全国にも効果を及ぼすことになりますので、国としても技術的支援等を検討する必要があります。
 13ページでございます。「7 地方消費者行政の基盤・環境の整備について」の「(1)行政と消費者、事業者などの協働及び消費者の声を政策決定などに反映させるシステム構築の在り方」です。まず、消費者自身が一定の知識と確かな判断力を持つこと、それによって被害に遭うリスクを低減することが重要であります。学校、大学における消費者教育の内容充実のため、地域の多様な主体が関わることや、学校教育以外でも、地域社会で若者から高齢者に至るまで、その特性に応じて、必要な知識や情報提供を行っていくことが必要です。消費者教育の担い手として、消費者相談に携わっている人、民生委員等、福祉関係者などの参画も進めていく必要がございます。
 次のポツですが、地域のさまざまな主体との協働によって効果を上げている事例が多く見られます。消費者団体等の活動が地域の消費者行政に刺激を与え、その内容をよりよいものとする力ともなっております。こうした地域の多様な主体の活発な活動は、消費者行政が効果を上げるための重要な基盤です。国としては、モデル的な事例の紹介など、情報提供の面や、ブロック会議の開催など、情報交換の場づくりの面で支援を行うべきであります。また、適格消費者団体が消費生活センター等の行政機関から速やかに情報提供を受けられるようにするなど、適格消費者団体と行政との新たな連携を検討するべきです。
 事業者団体による自主規制や消費者向けの啓発活動が行われておりますが、行政としても事業者との連携を強化していく必要があります。行政から事業者、事業者団体への情報提供、意見の吸い上げなど、協力関係の構築を行うべきであります。
 「(2)地方消費者行政の充実強化に向けた組織体制と人材育成の在り方」です。地方公共団体におきましても、国における消費者庁や消費者委員会の設立と並行して、消費者行政に関する事務を1つの課や局にまとめていく動きが見られます。しかし、なお多くの地方では、消費者行政に関する事務の位置づけは相対的に低く、消費者利益の擁護及び増進という観点からの部局横断的な連携についても課題を抱えております。
 他方、消費者行政を推進するための本部の設置、計画の策定なども行われておりまして、今後、連携の核となる担当部署の格上げや体制充実を検討することが望ましいと思われます。
 人材の専門性の構築に当たっては、相談員のみならず、消費者行政を担う正規職員に対しても研修の一層の充実が求められます。また、この分野の専門性を培っていこうとする職員に対して、将来の展望が得られるようなキャリアパスを提示することも求められます。更に、消費者行政の重要性に対する職員全般の意識を高めていくことも必要であります。
 「8 今後の地方消費者行政の充実・強化の進め方」というところでございます。これまで述べてまいりました地方消費者行政の充実・強化策の実施に当たりましては、以下のとおり、可能な限り速やかに対応すべきであります。
 特段の法改正や予算対応を要しない措置、例えば、望ましい広域連携の在り方や、消費生活相談員の処遇・研修等に係る具体的な指針の策定等につきましては、平成23年度以降、直ちに対応に着手することが望ましい。
 また、よろず相談窓口を含め、消費者相談を受け付ける窓口については、平成24年度中には全市町村で設置する必要があります。
 もっとも、各市町村における消費者行政の十分な定着を図る上では、窓口での相談対応の充実や出前講座等による啓発活動等を通じて住民の間での支持・理解を深めるとともに、福祉等、他の連携分野との連携体制の強化等を図る必要があります。そのためには、集中育成・強化期間終了後、更に数年の期間を要すると考えられます。したがって、消費者行政の定着に向けて、平成25年度以降も国としてさまざまな施策を組み合わせて対応する必要があると考えられます。
 その他、法執行の強化等に係る法令改正等が必要な事項や、PIO-NETの入力事務に係る国の財政負担の検討につきましては、平成23年度以降、速やかに作業に着手し、遅くとも平成24年度には実施されることが望ましいと考えられます。
 以上が専門調査会報告書案の骨子でございます。この報告書案を本日、資料として、専門調査会、この場に出しておりますけれども、この場でこれからまた御意見いただきますけれども、並行して、この骨子につきまして、パブリックコメントを募集したいと考えております。広く国民の皆様、消費者の皆様の御意見もいただきまして検討していきたいということでございます。
 パブリックコメントのスケジュールでございますけれども、明日以降、早々に手続に入りまして、約3週間程度、御意見をいただきたいと思っております。それを集約いたしまして、次々回の2月24日の第12回の専門調査会でその内容を報告させていただきまして、更に皆様からの御意見を伺い、報告書の中身をより充実させていきたいと考えております。
 以上でございます。

○稲継座長 ありがとうございました。
 それでは、今の御説明に対しまして、御質問や御意見のある方は御発言をお願いします。
 なお、なるべく多くの方に御発言いただきたいと思いますので、御発言は簡潔にお願いします。どなたからでもどうぞ。それでは、圓山委員。

○圓山委員 圓山です。
 今、報告書案の御説明がありましたが、その内容に賛同できませんので、その立場から意見を申し上げたいと思います。資料6にペーパーを出しております。これは5ページもありまして長いので、詳しく書いてありますが、発言は要点だけ、ポイントを申し上げたいと思います。
 まず、1番目が総論です。この内容は、自治体に対するただ乗りや押しつけの現状を更に推進していくもので、自治体が必要な支援がない。なので、方向性を切り替えるべきだと思います。
 「具体的には」と書いてありますが、地方消費者行政経費の中で、とりわけ必要なのは人件費です。それを国が恒久的に財政措置をすることを明記してほしい。もう一つは、担保としては法律の裏づけが必要ですので、地方財政法第10条の国が負担する対象に消費者行政経費を追加するという内容を盛り込んでいただきたいと思います。
 この報告書案を見ていますと、私のペーパーのマル1ですが、国の支援についてはどうもゼロ回答らしいということがわかりました。恒久的な人件費、事業費を自治体は最も求めているわけですが、それは言葉がない。
 更に、PIO-NET、広域連携、研修のところに「国の財政負担」という言葉はありますが、その文章は「検討する。」ということで締めくくられています。事務局にだれが検討するのかと聞くと、消費者庁が検討するということでしたので、今の消費者庁が検討すればペケになるのは明らかです。消費者委員会として、検討などではなくて、はっきりした方向性を打ち出すべきだと思います。
 それから、マル2ですけれども、現状に加えて、新たなただ乗りや押しつけが羅列されています。財政措置もないのに、広域連携のひな型とか、よろず相談窓口とか、法執行などなど、国からの要求が羅列されています。今後、消費者庁から進捗状況の把握という名目で、さまざまな地方への口出しが始まると予想されます。どこが地方自治かという感じがいたします。
 マル3ですけれども、自治体は、国の恒久的な財政措置を待っています。それは何かというと、点線の中に引きましたのは、平成20年6月27日閣議決定、消費者行政推進基本計画ですが、「国は相当の財源確保に努める。」とあります。こうなってきたのは、消費者庁は情報一元化が必要である。そのためには消費生活センターの情報が必要なので、消費者安全法で消費者事故の報告義務を課す。それとセットの話で財政支援をするということで進んできていたわけです。ところが、この報告書案は、自治体に対する財政措置から目を背けて、金は出さずに口だけ出す。それは信義に反していると思われます。バランス論から行けば、金を出さないのであれば、消費者安全法の報告義務を削除するという法改正をすべき話でありますけれども、それよりは、自治体に対する財政措置でバランスを取っていただきたいと思います。
 2番目は、相談ネットワークです。これは「住民に身近な」というのがマジックワードになっていて、国や都道府県の責任が隠されているような感じがします。詳しくは書いております。
 それから、広域連合が出ていますが、市町村の責任を前提とすると広域連合が出てくるかもしれませんけれども、それよりももっとノーマルな形の広域行政としては、都道府県がサブセンターを復活させる、そのためには都道府県に財政措置を行うというやり方が別にあると思いますので、私はそちらの方がいいのではないかと思っています。
 2ページ目のマル3ですけれども、小規模な市町村に能力を超える高度な業務を求めない方が地方自治の原則にかなうと思います。その点、片山前座長が『日本を診る』という本を出されまして、読んでおりましたら、大変参考になる記述がありましたので、点線の中に引用しています。最後のパラグラフの「地方分権とは」というところから始まる5行に私は非常に共感をしております。
 3ページの3番目です。今回の報告書に、ひな型という話が出てきました。広域連携を推進するため、問題点については国がひな型を示すと出ています。これには私は反対です。地方自治に反する危険な方法だと思います。別紙には「消防力の整備指針を参考にする。」とありますが、消防力の整備指針と全く逆のことをこのひな型は考えています。細かくは書いておりますので、何が逆かということはお読みいただければいいと思います。
 4番ですが、相談員の待遇改善についての実効性がないと思います。報告書案については、具体的な指針を示すということが書かれていますけれども、これでは効果がないと思います。
 5ページ目に新聞記事を別紙で付けております。これは2年前の記事なのですけれども、記事の知事や議員の話は、特別職の話ですけれども、この表の真ん中に一般職員というのがあります。一般職員の給料については、地方自治体は、人事委員会勧告制度が地方公務員法で定められています。この勧告制度は労働基本権の代償措置で、勧告を守らないのは憲法違反状態とされています。勧告された給与を削減することになると、一世代前でしたら激しい労働争議が起こっています。ところが、職員は、自治体が倒産寸前なので、この状態を我慢しているわけです。この状態で相談員の待遇について、単に指針を示しても効果はないと思います。例えば、国民生活センターの相談員の報酬を基準にして、不足する額は国が財政措置するとか、そういった思い切った手だてがないと、この報告書の指針のような方法では難しい、現実的ではないと思われます。
 5番目は、広域連携、広域連合についてですが、これは考えるといろいろ問題点が、出てまいりますが、時間もございませんので、これは後で3~4ページをお読みいただければと思います。以上です。

○稲継座長 国府委員。

○国府委員 今の圓山委員の御発言に関連して事務局へ質問があるのですけれども、よろしいでしょうか。圓山委員の資料6の1のマル1の2行目に「消費者庁の『検討』に丸投げ」という記載が出てくるのです。私も今回、報告書案(骨子)を見ておりまして、一定の国の財政負担を検討する必要があるという、「検討」という言葉がよく出ているわけなのです。我々は、設置法の附則4項によって、地方に対する国の支援の在り方を検討するために集められて、この調査会を持っているわけです。ですから、我々とすれば、ここで一定のコンセンサスを得て、国の支援の在り方について提言を行わなければならない、そんな立場にあると思うのですが、これがまだ「検討する必要がある。」というような、私からすると非常にあいまいな文言になっているように思うのです。この「検討する」という言葉にはどういう意味があるのか、事務局から御説明いただきたいとともに、先ほど圓山委員が言われたように、その検討を更に消費者庁に委ねているということなのかどうか、そういったことも含めて説明いただけたらと思います。

○稲継座長 齋藤審議官。

○齋藤審議官 この報告書に「検討」と書きますと、検討を求めるということになりますけれども、消費者委員会でその報告書を受けて、これは受けた方の消費者委員会としてどうするかということになりますけれども、消費者委員会としても、その内容を承認して、それを踏まえて、消費者委員会として意見を述べるという形に多分なるのではないかと思います。そうなりますと、消費者委員会から政府に対して検討を求めるということになりますので、中身的には消費者庁に検討を求めることが多くなるのではないかと思います。政府側としては、そういう位置づけとして受け止めていただく必要があると思います。
 更に、「検討」という言葉が弱いのではないかという御趣旨かと思いますけれども、消費者委員会の場合は、検討を求めるとして求めた内容については、一定の期間を置いてフォローアップするということを行ってきておりますので、検討をお願いしますと言っておきながら検討していないということになると、そこはまた説明責任が問われることになりますので、決して「検討」ということが弱いということではありませんので、その点は御理解いただければと思います。
 それから、「検討」などという言葉は外して、もっと思い切って言い切ったらいいではないかということもあろうかと思うのですけれども、言い切るためには、それなりにその内容について、単に必要性だけではなくて、政策論として、今の政府のいろんな方針との関係、整合性、その他、関連する制度の関係とか、そういったものを含めて、かなり詰めた議論を行いませんと、こうすべきだと言い切るのはなかなか難しいのではないかと思われます。以上でございます。

○稲継座長 事務局からの答えでしたが、国府委員、何か。

○国府委員 例えば、「一定の財政負担を検討する」というふうにした場合に、財政負担を検討すると言ったら、財政負担の在り方のいろんな手法を検討するのかなと思うんです。例えば、技術的支援の在り方について検討すると言われたら、PIO-NETであれば、コンピュータですから、もっと簡便な使用方法のシステムというのはどうしたらいいのか、もっと技術者を入れて検討する、これはわかるのです。
 だけれども、財政的な問題については、検討すると言ったら、丸投げみたいな印象がどうしても拭えないと思うのです。例えば、集中育成・強化期間の3年間の活性化基金についても十分機能しないということがここで明らかになったり、それから、地方交付税などについては90億から180億でしたか、倍増したと言うのだけれども、地方の消費者行政には流れてきていない。だから、国がああいう形での財政負担なり、財政支援をしても、地方の消費者行政というのは、それによって力をつけることができていなかったというのが、この2~3年の状況で見えていると思うのです。そうすると、我々として、財政負担を検討すると言うだけではなくて、これが必ず地方の消費者行政に使われるような、そういった財政支援の在り方を検討するとか、何か歯止めをつけた表現をしなければ、これは何の議論をしているかも意味がないということになるので、もう少しそこは表現の仕方を工夫すべきなのではないかと思います。

○稲継座長 では、齋藤審議官。

○齋藤審議官 今のような御趣旨で、表現の仕方というところでは、いろいろまた工夫はあり得ると思いますけれども、具体的にこういう措置をすべきであるというところまで書くのは、なかなか難しいところがあるのではないかと考えております。役に立つように使われるように、何らか工夫をするべきであるというところは理解できます。

○稲継座長 矢野委員、それから、菅委員。

○矢野委員 3点ほどお願いいたします。2点は質問です。
 1点目ですが、この報告書を作成するに当たっての前提についてお伺いしたいと思います。そもそも、この専門調査会で国の支援の在り方等含めて今後の在り方を報告書にまとめていくわけですが、それが付せられたときは、消費者庁、消費者委員会が設置され、かつ国民生活センターも、この3者が機能して消費者行政の充実が国としては図られているというふうに受け止めています。その前提自体が崩れない状況の中で、この報告書作成に当たっていいのかどうか。実は、国民生活センターにつきましては、現在、廃止を含めた見直しが検討されている途中ですので、そういった情勢的な変化、それから、今日、蓮舫大臣からも御挨拶がありましたように、地方主権のことや、一括交付金の今後の設置のこと等もありますから、そういった新たな動きにも対応したことも含めて、柔軟的にこの報告書に書いていくのか、それとも本来的な位置づけの下にやっていくのか、その辺について、前提をどうとらえればいいのかを1つ目の質問とします。
 2つ目は、今日、消費者庁から制度WGの報告が出ておりますが、そもそも昨年の7月に報告がされて、そしてその中身を私たちの専門調査会の検討に資するという形で役立てていく予定でしたが、結果としては、報告自体が中間報告で10月に遅れ、そして本日、かなり分厚い資料が出ております。この調査会で出た報告書は消費者委員会に出され、消費者委員会で更に検討の上、形が建議になるのか、意見書になるのかわかりませんが、消費者庁に出されるということです。その場合に、今日出された、既に消費者庁でとりまとめてある制度WGの報告書の消費者庁の考え方を、結局、受け止める側の消費者庁の考え方としていいのかどうか、その辺を消費者庁にお聞きしたいと思います。
 3点目は意見です。本文の1ページの「はじめに」の部分ですが、先ほど前提のことで質問したことにも関連しますが、そもそものここ10年間の消費者行政の非常に弱体化した部分の情勢部分をもっと書き込んだ上で、衆議院の附帯決議において個々に課せられたこと等をもう少し盛り込むべきではないか。消費者行政の今、置かれている位置に基づいて、改めて地方消費者行政を活性化、充実させることが私たちに課せられている報告書の中身ではないかと思っておりますので、そういったことに関連する内容をもう少し膨らませて書いていただきたいと思います。以上です。

○稲継座長 では、まず1点目について、齋藤審議官、お願いします。

○齋藤審議官 御質問の1点目でありますけれども、御指摘ありましたように、国民生活センターにつきましては、今、消費者庁のタスクフォースで在り方の廃止も含めた見直しが行われております。そういった動きは当然前提にしながら、こちらも考える必要があると思っております。
 ただ、国民生活センターが果たしてきた機能については、どこが担うかはっきりしませんけれども、そこはタスクフォースでの検討結果次第だろうと思いますけれども、機能はいずれか、何かしらの主体が担うということはある程度前提にしていいのではないかと思いますので、機能的には維持されるということを前提にしつつ、ここでは議論をしていく。どこが担うかというところについては、必ずしも明確にはしないで、機能というところでとらえて考えていけばいいのではないかと考えております。
 それから、一括交付金、地域主権、蓮舫大臣からもお話ありましたけれども、こういった政府の大方針に関することにつきましては、ここでまとめられた報告書をしっかり受け止めていただいて政策に反映していくためには、そういった大方針と齟齬があっては受け止められないと思いますので、そういった方針はやはり前提として踏まえる必要があるだろうと思っております。
 あと、御意見のところは、特にこちらからお答えする必要はないのかもしれませんが、「はじめに」のところに関連して、これまで過去10年間に消費者行政予算が半分に減ったとか、そういった流れはやはり書き込むべきだろうと思っておりますので、報告書案に肉づけしていく段階で、その辺は対応させていただきたいと考えております。

○稲継座長 ありがとうございました。2点目について、林地方協力課長、お願いします。

○林地方協力課長 まず、第1に、昨年夏をめどに制度WGのとりまとめを行うことになっておりましたが、事実上、年を明けてしまったという点につきましては、私どもの準備不足もあって、なかなか早急なとりまとめができなかった、これが事実でございまして、この場をお借りしてお詫びを申し上げたいと思います。
 それから、今回の制度WGのとりまとめの位置づけ、意義ということでございますけれども、私どもに与えられていたのは、先ほど矢野委員から御指摘をいただきましたとおり、この消費者委員会、それから、地方消費者行政専門調査会での検討に資するために、前さばきとして、いろいろな課題がある中で、ファクトを前提に整理をするという役回りを与えていただいたと理解をしております。その意味で、今回は何らかの結論を導き出したというよりも、今の状況の中で留意をしなければいけない点を整理させていただいたというものでございます。
 若干補足をさせていただければ、先ほど大臣のお話の中にもあったように、地域主権改革との関係性や、大きな流れというのも、ある意味では大きな課題の1つとして、今回、この制度WGの報告書の中で整理をさせていただいたと、そのように私どもとしては受け止めております。

○稲継座長 ありがとうございます。それでは、菅委員、お願いします。

○菅委員 出尽くしていると思いますけれども、表現の仕方一つで受け取る側も変わってきます。光交付金のときも、消費生活相談員のためにということで、前の座長がうたっていただいたのですけれども、果たして光交付金が相談員のために使われているのかというと、なかなか使われていない。行く末を少し調査してみるべきではないかと思います。
 それから、この報告書を見ると、PIO-NETの入力に関して、何らかの国の措置とうたわれていますけれども、それもやはり光交付金と同じような行き届き方になると、相談員には、仕事だけは来るけれども、お金は全く届かないという結果になるのかなと思っているのです。本来の目的のところに行くように、きちんと行く末を報告しておかないと、今までと同じようなになってしまいます。活性化の交付金であっても、相談員には届かず、地方に行けば行くほど、相談員の給料は上がっていない。先ほど圓山先生がおっしゃられたように、やはり国センの相談員との差も出てきていますので、そこら辺もきちんと考えていくような報告書にできればという思いです。

○稲継座長 ありがとうございます。では、国府委員。

○国府委員 今、菅委員が言われた光交付金の話なのですが、我々が地方自治体の方などからお話を聞くと、なかなか消費者行政に回っていないのが実情だと聞いているのです。これは、光の当たらないところに光を当てようということで、消費者行政などを1つの具体例として挙げながらつくられた交付金なのだけれども、現実にはなかなか回っていないということがあるので、消費者庁のWGをつくられたような一括交付金というような形になると、本当に消費者行政にそういったお金が使われるのかという懸念があるわけなのです。それで、是非、光交付金については、どういうふうな形で消費者行政に使われているのか、使われていないのか、その辺の実態を是非この場で消費者庁の方からも明らかにしていただきたいということで、これを次回にでも御報告いただけたらと思います。

○稲継座長 では、次回、可能でしょうか。

○林地方協力課長 ちょっとだけお話をしておきますと、交付申請が1月7日付で締め切られて、200億ほど余剰が生まれたので、改めて申請を受け付けている段階でして、この消費者行政にどの程度申請があったのかという点については、私どもも実態を、現在、調査中です。我々も把握することができましたら、情報提供させていただくようにしたいと思います。

○稲継座長 お願いします。では、斎藤委員、お願いします。

○斎藤委員 事前のメモはないもので、申し訳ありませんが、5点ほど骨子案に沿って意見を申し上げたいと思います。
 まず1点目は、広域連携、4~5ページです。広域的な連携を自主的な判断で行うという、この基本的な方針については、私は賛成いたします。その中で、広域連合というものを取り上げる点については、前回、広域連合というのは手間ばかりかかる、複雑なだけだという御意見がかなり出ていたと思うのですが、そういう御意見の背景にあったのは、いわゆる後期高齢者医療に関する広域連合、後期高齢者の保険です。あの制度は、都道府県ぐらいの規模でないと運用できないだろう。しかし、都道府県自体が単独でやるということはどうしても引き受けないので、全県下の市町村が入って、そのためにわざわざやらなければならない。ですから、あれは非常に特殊な広域連合なのです。国が押しつけたと言ってもいいです。だから、広域連合というのはああいうものなのだというイメージで前回の議論がかなり形成されているとすれば、それは一部に基づいた話だと思います。今日、事務局からも、幾つかの、あれではない形の広域連合で、それなりの課題はあるけれども、メリットもかなりあるという御紹介がありましたから、広域連合を選択肢として位置づけるということは十分可能性があると考えます。
 その上で、圓山委員から、5ページの、ひな型として示す「消防力の整備指針」を参考にすべきであるという点について、反対の御意見が出されました。ただ、圓山委員の御意見の中で、若干誤解があると思うのです。「消防力の整備指針」は確かに組織法上の根拠はあるのです。つまり、消防組織法に、水準について、消防庁の所掌事務である。これはあくまで組織法上の根拠で、他の省庁ではなくて、消防庁がこれをやりますよという、行政組織法上の区分けの話です。
 では、その水準として、具体的にはどういう内容のものを示せるのかというと、これは前回も申し上げたところですが、別の条文、つまり、助言、勧告ができるという条文、それを根拠に行っていると解釈されていますから、自治体に対する位置づけとしては、あれはあくまで助言、勧告なのです。そういう助言、勧告でありながら、ある程度機能しているのですから、ここでそれを一定程度参考にして、参考にした上でそういうものをつくれば、どういう財政措置が可能なのか、その上で検討していくというのは、建設的な方向ではないかと私は考えます。1点確認しますと、あくまで助言、勧告という枠内で、法的な義務づけに当たらない段階で、どう工夫できるかということがポイントではないかと考えます。
 2点目は、9ページですが、PIO-NETの事務について、国が一定の負担をする。これもそういう事務を地方として担っているという点で、負担、財政支援の在り方が必要だと、ここはそのとおりだと思うのです。ただ、消費者庁の制度WGの御意見や、たしか前回、参考資料として配付された消費者委員会委員の御意見によると、PIO-NETの入力事務というのは特別な事務なのだと。だから、自治事務、法定受託事務ではなくて、別の事務類型にすべきだという意見が出ておりました。しかし、そこは、繰り返しになりますが、自治事務、法定受託事務、国の執行事務というのは、基本的な事務区分として、この3つで明確に責任を区分けするのがいいのだという方向で進んできていますので、PIO-NETの入力事務だけをそれに当たらない極めて特殊な事務として位置づけるということについては、ここには出ておりませんし、事務局案もそういう方向ではないとは思いますが、もしPIO-NET事務は特別だよという意見がまた消費者委員会の方で出るとすれば、私はそれには反対いたします。
 3点目です。12ページ、広域執行の(3)のマル2です。処分の効果を全国に及ぼす、都道府県による処分を他の自治体にも及ぼす。これについては、この会議での議論のときには、それはいわばただ乗りを許すとか、怠けるところが出るということで、反対の意見が出ていたと思いますが、私は、せっかく、ある自治体がリソースを投入して、しっかり調査して処分をしたのであれば、その効果を広域的なものにするのは消費者行政にとって非常にいいことですから、この点については賛成いたします。
 それでもって近隣の自治体が怠けるかどうかというのは、それは近隣の自治体の住民がどう考えるか。あるいは、Aという県で特商法についての広域処分を頑張ろうというんであれば、隣のB県ではむしろ景表法を重点にしてやろうということで、役割分担を考えればいい。しかも、これは自主条例で行うと、隣の県に条例の効果を及ぼすというのは原則できませんが、法令に根拠を置けば、広域的な効果を持たせることは可能ですので、これはこの方向で進めるべきだと考えます。
 併せて、県外での調査等の権限についても、これはニーズがあるのであれば、法律に根拠があれば可能です。勿論、実務的に、それは別に自分の県が出ていかなくても、隣の県と連携して、隣の県がやってくれた方がいいというのであれば、そこまでは持つ必要はないかもしれませんが、検討課題としては、そういう調査権限についても広域性を考えるべきではないか。それが3点目です。
 4点目は、最後の15ページの「今後の地方消費者行政の充実・強化の進め方」の3つ目の○で、相談窓口は平成24年度中には全市町村で設置する必要があると、こういう方向で書いてあります。この点についても、相談業務を基礎自治体であれ、広域自治体であれ、やっておられるわけですから、何かの窓口は当然あるだろうと思います。しかし、それをどういう名称でやるかとか、どういうセクションの窓口と一緒にやるかというのは、自治体の自主的判断に委ねるべきことだと考えます。先ほども御意見あったかと思いますが、窓口設置を法律で義務づけるというような方向で進めることは考えないでいただきたい。これが4点目です。
 内容に関わることはそれだけなのですが、5点目は、先ほどから「はじめに」のところの議論が出ておりますが、1ページの2番目の○で、地方の側は国に比べて光が当てられてこなかったと。ここでは抑制して書いてある面はありますが、産業振興とか、意識とか、資源配分で、地方は消費者行政に光を当てていないではないかと書いています。しかし、更になぜなのかというと、それは、国がほかの消費者行政以外のいろいろな事務を義務づけているからでしょう。それから、定員の削減についても、国の削減に比べて地方が急激に削減している。ですから、地方の消費者行政人員がぐっと削減している、あるいは地方の行政機関の人員自体が削減しているというのであれば、対比して、国の側は相変わらず高止まりですよという表をつけていただいた方がいいと思いますし、国の側のいろんな義務づけによってそうなっているという面も書かないと、自治体で、乏しいリソースの中で、例えば、闇金について、非常に一生懸命電話かけてやっておられるというのも、私も承知している面もあります。こういうふうに、国は一生懸命消費者行政をやっているけれども、地方はやっていないではないかというような形で書かれると、先ほど大臣のお言葉にもありましたような地域主権時代にそぐわないような印象、あるいは地方がディプレッシブになってしまう面があるのではないかと思います。
 オブザーバーの方の意見はあえて取り上げる必要はないのかもしれませんが、池本さんの今日のペーパーでも、自治体の力不足である、自主的判断に委ねていいのかというので、地方にその原因を帰している。これにのっかった議論というのは、できれば、専門委員の方々だけではなくて、本委員の方々もしないでいただきたいと思います。

○稲継座長 どうもありがとうございました。では、国府委員。

○国府委員 今、斎藤先生が言われた3点目、法執行の域外効力の点についての部分なのですが、複数県にまたがる場合に、1府県が行政処分をやった、それを他府県にも効力を及ぼすようにといったお話なんですけれども、私はもう一つ、その前段階の議論があるのではないかと思っています。今日、私は資料5で発言用のペーパーを用意していて、そこの2項にも関連するのですが、法執行について、複数府県にまたがっているような事案について、本来的には国がきちっと執行すべきだということが確認される必要があるのではないかといった問題意識です。
 例えば、今日の報告書案(骨子)を見ましても、11ページの(1)の3つ目のポツのところですが、「他方、国は、インターネットを利用した通信販売、急速に広域的に拡大するマルチ商法や複雑な金融商品の電話勧誘等について、迅速に対応できているとは言い難い。これに必要な体制整備を急ぐ必要。」といった記載があるのです。
 ここでは、広域性という点で非常にわかりやすい通信販売とか、マルチ、それから、金融商品が取り上げられているわけですが、こういったものに限らず、今、都道府県が行政処分をやっている消費者被害事案というのは圧倒的に複数府県にまたがるものが多いということは、前回配付された資料で明らかです。それによると、1府県内に被害がとどまるものは25件のうち1件しかなかった、ほとんどが複数府県だということがあるわけです。
 そういった場合に、こういう被害類型を特定するのではなくて、消費者被害全般、取引被害全般について、国がまず第一次的にやるべきなんだと。それがやれていないとしたら、どういうことなのかということをまず議論し、国がやれていない部分を、現実には都道府県が複数府県にまたがる案件を処理しているというのが前回の25府県の資料でわかったわけですから、今度、国がやれていないものを補充的に都道府県がやったということにすれば、それは、国の行うべき事務を都道府県が一定程度担っているという位置づけで、PIO-NETの入力事務などと同じように、国が財政的支援をそういったところにしていくという、そっちにつなげていく議論もあるのではないのかと思っております。
 ですから、域外効力の話というのは、どっちかというと2段目、3段目ぐらいの話で、第一次的には国がどうやって頑張るのか、国が頑張れない部分を都道府県が補充的に補った場合は、そういう都道府県に対して国がどういう支援をするのかという、やはり法執行における国の財政的支援についてもきちっと明記されるべきではないかと思います。

○稲継座長 圓山委員。

○圓山委員 法執行に関しては、今の国府委員の御意見に基本的に賛成です。ここで発言したかったのは、斎藤委員ご指摘の2つ目の「消防力の整備指針」の評価です。最初の私の発言はけちをつけたような形になっていたのですが、私は「消防力の整備指針」を参考に、業務水準についてのある程度の目安を告示するということは賛成です。ただ、その話と、報告書案(骨子)に出てきている話はかなりずれているので、ずれた形でこのまま出ていくのに反対しているということです。
 「消防力の整備指針」は、人口何万人ぐらいの市であれば、消防士が何人いて、ポンプ車が何台あってという業務水準を決めているので、それを目安にして各自治体の議会などで、どれぐらい追いつこうとか、もう少し待てとか、それぞれ議論をなさるのに、目安があるから話がしやすい。だからアップしやすいという効果があるということだと理解しています。
 ただ、それであれば、消費者行政の場合であると、例えば、人口何万人だったら、相談員が何人いるとか、あるいは、相談件数、これぐらいの需要があれば、こういう体制を取るという業務水準をここで決めるべきであって、このひな型というのは、組織の運営の仕方とか、財政をどれだけ拠出するとか、業務ではなくて、組織や財政という、自治体に介入すべきでないところについてだけひな型を示して、本来の業務水準については触らないというところが私はおかしいと思います。ですから、本来の業務水準についての告示が出るのであれば、それは「ひな型」という名前ではなくて、別の名前になると思うのですけれども、それには賛成いたします。

○稲継座長 たくさん手が挙がっていて、山口委員が最初だったので、次に野口委員にお願いします。

○山口委員 斎藤先生に伺いたいのですが、5番目の問題なのですけれども、片山前座長が繰り返し言っていたように、自治体に金がないわけではないのだ、首長が箱物をつくるのに熱心なものだから、どうしてもこういうものに手が回らないのだという御意見があって、確かに、こういう消費者問題というのは弱者保護という面がございまして、例えば、社会福祉、あるいは身体障害者保護とか、そういう社会的弱者の、票になかなか結びつかないような分野について、どうするのかというのが繰り返し問われてきているように思うんです。勿論、選挙民がそういう首長を選ぶから、あとは選挙民の問題なのだという片づけ方もあると思うんだけれども、そういう社会的弱者の保護、あるいは声なき声といいますか、お年寄りが放置されているという状況の中で、単に国がやっていない、地方がだめだという問題ではないと思うのですが、地方がそういう問題に関心を持つためにはどうしたらいいのかというところを、繰り返し前座長は問うていましたし、私どももそれがこの専門調査会の1丁目1番地ではないかと思うのですけれども、そこら辺についてはどう考えて、この地方消費者行政の充実というところについて提示したらいいのかについて、もしお考えがあれば、お聞かせいただければと思うのです。

○稲継座長 斎藤委員、どうでしょうか。

○斎藤委員 勿論、一部には、そういう箱物行政を重視する市長がいらっしゃるというのはありますが、ただ、それも、箱物には国の行政のひも付き補助金とか、そういうのがついているから、自治体は自前の財源をそんなに出さずにやれるというのも結びついていたわけです。現在の分権、あるいは地域主権改革というのは、国が口を出して誘導するのはやめましょう、義務付けをするのはやめましょうという方向になっていますから、従来のようにばんばん箱物をつくってという話ではなくなってくるはずなのです。
 もう一つ、片山前座長が強調しておられましたように、分権の究極の目的は住民自治である、住民自身が決めるべきだということで、現に、次の自治法改正では、大規模施設をつくるときには、拘束的な、住民投票で決めましょう、本当にそういうものが要るのですかというのは住民自身が判断しようという案が提示されました。情報がいろいろ開示されて、あの自治体は消費者保護を全くやっていないということになれば、それはその自治体に対する住民の批判がどんどん出てくる。ですから、国の側の介入はできるだけ低減することによって、弱い分野にも光を当てましょうというのが改革の方向です。
 ですから、何度も同じことで申し訳ありませんが、消費者行政だけは別だと、従来型の手法で法律的に拘束する、あるいは義務づけるという形でやるのだとすると、ほかの省庁がやっておられることと同じになってしまって、かえって進まないのではないかと思います。片山前座長も、確かに図書館行政と併せて消費者行政について弱い部分である、光を当ててくださいというのは何度も、大臣になってからもお書きになっていますが、それは自主的に地域、地域の住民の判断で光を当ててくださいと恐らく言っておられるのであって、そのために国で新たに義務づけましょうということをお考えではなかったのではないかと思います。

○稲継座長 ありがとうございます。では、野口委員。

○野口委員 私も5ページの「消防力の整備指針」というところが非常に気になっていて、この書き方では誤解を招きかねないと思っております。圓山先生がおっしゃられたように「消防力の整備指針」自体は業務水準と考えられます。もし、ここでの記述がひな型を示すという意味で参考とするというような御趣旨で出しておられるのだとすると、それは少し意味合いが異なってくるのではないかと感じています。
 それと併せて、第2点目の広域連携の中でも、広域連合をひな型として示すという点なのですが、ここも少し工夫が必要ではないかと思っています。というのは、今日、制度WGのペーパーをいただきましたが、その中でも紹介されているように、既に自治体で、一部事務組合であるとか、広域連合以外の広域連携の工夫をしている例が紹介されているのですが、このような形で、既にある資源やリソースの中で努力をしたり取組を行っていた自治体の創意工夫を阻害するようなことがあってはならないと思うのです。広域連携のみを、今回、ひな型として国が押しますというような出方で出てしまうと、私たちが今までやっていた一組なり、ほかの連携の在り方というのは何なのだという話になりかねないのではないかという点が気にかかります。そこで、このひな形の出し方は慎重にした方がいいのかなという気がしています。
 広域連合の話が相談員の相談業務のところでしか出てこないというところにも少し物足りなさがあります。広域連合のよさというのは、それ以外の多様な業務を広域連合という団体でやれるというところにあるはずなので、後々出てくる、例えば、相談員の方の教育とか、啓発とか、消費者に対する教育活動とか、もしかすると執行力の弱さについても広域連合で何らかの形で、ソフトにもハードにも対応する広がりがあるというのが広域連合の1つ、いいところなので、そういう新しいよさがあるという提示とともに、今までは使われていなかったような広域連合の用いられ方がアイデアとしてありますよという出され方が出てくるのであれば、意味があることなのかなと感じました。

○稲継座長 では、齋藤審議官。

○齋藤審議官 私の説明が舌足らずだったかなと、今、御意見を聞いていて思ったので、発言させていただきたいと思います。広域連合は、あくまでも1つのオプションとして書くということでありまして、広域連合をやれとか、そういう意味で、ひな型とか言っていることではございませんので、その点は申し上げさせていただきます。
 それから、広域連合のよさは、幅広い業務に効率的、総合的に取り組むことができるという点、まさにおっしゃるとおりでありまして、その点は実は別紙2の利点のところにも書いたつもりだったのですけれども、その辺、書き方が足りなかったかなと思いましたので、また次に出すときには、その辺をもう少し強調したいと思います。
 それから、最初におっしゃったひな型というのが、本来、業務水準を示すもので、こういうものにはふさわしくないというところは、私はよくわからなかったのですけれども。

○野口委員 ふさわしくないというか、もしそうであれば、あえて「消防力の整備指針」を参考にというふうにおっしゃらなくてもいいのではないかという気がして、そのような意味で誤解を招くかもしれないという意味で言いました。私もイメージとしては、ここで「消防力の整備指針」というのが出てくるであれば、先ほどの圓山先生のお話にあったように、この規模の住民の自治体だったら、このくらいの相談件数が想定されるので、その場合に必要と考えられる相談体制というのは、マンパワーはこのくらいで、設備としてはこの程度のものといった話になってくるのかなという気がいたしました。
 ついでにもう一点言わせていただくと、国府委員のペーパーにあった法執行についての言及が余り強くないという点は私も同意見でして、今、出していただいている議論だけだとやや不十分ではないかと思います。一般的に他分野において法執行が弱いと言われているところを見ると、ここに書いてあるようなことは既に努力されているように思います。例えば、基準をつくったりとか、執行権限の所在を工夫したりというところではまだ不十分であって、それ以外の方策、例えば、執行のスキルをどのように伝達していくか、OBの職員を活用したり、他部局の行政職員との連携を図ったりというような仕組みをいかに構築していくか、といった議論が必要となってくる場面ではないかと思いますので、そのような話も出てくると法執行の話が充実するのかなという気がいたしました。

○稲継座長 では、池本オブザーバー。

○池本弁護士 池本です。私は、資料も出しておりますが、むしろ今日、参考資料として配付された制度WGの意見と、この調査会の報告書とを読み比べて、どういう方向で意見をとりまとめるべきかということでの感想、意見を申し上げたいと思います。
 私は、10月のときでしたか、センターの設置義務を定めるべきではないかという発言をしたのが非常に強烈な印象としてあったかもしれませんが、それはやはり実現可能性との関係、特に地方分権との関係では適切ではないということで、それは一旦撤回するということを前回も申し上げたかと思います。
 むしろ、今回の調査会の報告書は、一定のひな型を示す、あるいは相談員の処遇の在り方についても指針を示すという、望ましい姿の例を選択肢なり、方向性を示して、それをやろうという意欲のある自治体に対しては一定の財政的な支援をしてはどうかという方向づけです。これであれば、今の地方自治体の自主性を尊重するということとそう対立はしないのではないか。
 制度WGの報告書を読んでみると、市町村の相談体制の在り方はどうあるべきか、あるいは相談員の処遇について、例えば「雇止め」は適切でないとか、あるべき論はかなり似通っているのです。
 問題は、それをどう実現するかの方策のところで読んでみますと、例えば、参考資料の報告書の本文、縮小コピーになっておりますが、18ページの「『消費生活センター』の設置や相談員の配置の在り方」の最後の6~7行のところで「義務付け・枠付け」の廃止・縮小が求められている。そこで、何らかのメルクマールを示す必要があるのであれば、「地方公共団体への期待」「事例紹介」といったものとすることが適切ではないかという指摘があります。
 同じことは、21ページ、「雇止め」の問題も、中ほどで、どのような任用形態にするかは自治体の判断であるけれども、「雇止め」は行わず、長期的な観点から育成に取り組んでいる事例を積極的に情報提供していきますと書いてあります。
 実は、事例紹介というのは、消費者庁が早い段階に、「地方消費者行政の充実・強化のためのプラン」ということで既に提示してあるのです。その後も、新しい事例があれば追加するという、情報提供はやってきていると思うのですが、それだけで本当に足りるのだろうか、実効性があるのだろうかということが問われている。そうすると、もう一歩先、義務付けまでは行かないけれども、具体的な指針なり、ひな型なりというものを示すところまで必要ではないかということです。
 それから、財政負担の問題で言いますと、27ページで「ひも付き補助金の一括交付金化」の取組が促進されている。「住民生活に光をそそぐ交付金」が措置されている。そして、その一括交付金を消費者行政にも活用できるよう検討を求めていくとあります。要するに、基本は一括交付金で消費者行政にも回るように検討を求めていくということは、地方自治体へ要請するという感じになってしまうと思うのです。
 そういう意味で、先ほどもほかの委員から指摘されたように、一括交付金、光交付金が本当に消費者行政に回っているのだろうか、その実態を含めて、これで実効性が上がるのかどうかという検証をした上で選択をする必要があるのではないか。私自身も、地元や近隣の自治体に聞いてみると、なかなか一括交付金では回らない。なぜなら、基盤となる、どの程度のことをどうやるかということは何もこれまでいなかったところで、いきなり一定の範囲で使えるといっても、結局、ほかの分野はやっていたところを維持する、消費者行政はないところへこれからやりたいということでは勝負にならない、ということを聞いたりするわけです。ですから、実効性のある支援をどうしていくかということで、これまでも地方交付税や活性化基金などが措置されたことは紹介されていますが、その実効性があったのかどうかという評価を報告書の中でも確認していく必要があるのではないかと思います。
 以上です。

○稲継座長 ありがとうございました。では、圓山委員。

○圓山委員 今のオブザーバーの御意見と、それから、出されている資料7のペーパーについて質問したいのですけれども、オブザーバーは以前から持論として、地方財政法第10条の改正、追加というのをおっしゃっていたと思います。今回出ている資料7のどこを読んでも、地方財政法第10条の改正が消えているのですけれども、これは御意見を変えられたのか、お尋ねしたい。
 なぜお尋ねしたいかと申しますと、ここには弁護士の肩書でオブザーバーとして出ておられますが、消費者庁の幹部職員でもいらっしゃるわけです。消費者庁参与。地方消費者行政推進本部の主要メンバーであって、基金WG、制度WG、すべて関与なさっていると思います。意見を変えられてなければいいのですけれども、もし変えられたのであれば、オブザーバーの見聞の中でどういう根拠に基づいて、何を見聞きされたから変えられたのかというところを是非お話し願いたいと思います。

○稲継座長 池本オブザーバー、お願いします。

○池本弁護士 まず、参与としての見解ということではありませんし、最終的な、今回の参考資料で出てきたもののとりまとめ自体も私は関わっていません。あくまでこれまで申し上げた、あるいは今日のペーパーも含めて、個人の意見であります。
 そして、以前に地財法第10条に盛り込んではどうかという提案をしました。それは1つの望ましい解決の仕方だろうと思います。ただ、それとは別に、例えば、活性化交付金の期間を延長するとか、今の活性化交付金は項目が細か過ぎて、もう少し自治体の自由裁量がある必要があると思うのですけれども、少なくとも、いずれかの方策で確実に消費者行政に措置され、回るような財政措置が必要だということでは同じ方向ですが、その場合、地財法第10条でなければいけない、あるいはこれでなければいけないというふうな限定をしていくと、むしろ全体のコンセンサスを得る上で難しくなるのかなという意味で、やや抽象化した発言をしているわけです。

○稲継座長 馬場委員、お願いします。

○馬場委員 細かな意見は多分、パブリックコメントで出てくると思いますので、意見と要望とを述べさせていただきます。
 今回の「はじめに」のところにある意見は、先ほど皆さんがおっしゃられたとおりだと思うのですが、地方の産業振興のほかに、消費者を主体とした健全な消費社会をつくるというような意見が最初にあったと思うのです。消費者保護基本法の保護が取れたときに、消費者の自立支援という主旨もあったと思うのです。地方消費者行政で行うことは消費者に一番密着した部分ですので、消費者の自立支援というところを積極的にうたっていきたいと私は考えています。どうしても悪質事業者とのイタチごっこに目が行きがちになるのですが、そういう悪質事業者を排除していく力も消費者自立につながっていきますので、今、読んでいますと、7番の地方消費者行政の基盤、環境の整備についてぐらいでしか触れられていないので、もう少ししっかりと自立支援というところを取り入れていただきたいと思いました。それが意見です。
 要望としては、PIO-NET情報の提供の4番のところで、PIO-NET情報をまとめた情報を事業者に提供するということで、誤使用の予防とか、製品の安全な規格づくりなどの情報提供も、現在、なかなか実施されていないと思いますが、そういう情報を事業者が使い、安全な商品規格をつくることも大事なことなので、情報提供も是非、取り入れていただきたいと思いました。以上です。

○稲継座長 ありがとうございました。では、矢野委員、お願いします。

○矢野委員 今の馬場委員の意見に関連してですが、消費者教育についての言及が余りないのかなと思っています。制度WGの報告書の中にも、3ページに、地方公共団体の果たすべき事務の明確化として、消費者教育の事務については、法的な位置づけを明確にすることも検討が必要と、私はまさにそのとおりだと思っておりますし、是非、専門調査会の報告の中にも、先ほどの消費者支援、それから、地方分権で主体たる住民が主権者としての力をつけていくためにも、消費者教育、消費者市民教育というところまで言及されるのかもしれませんが、そういったところでは、法的な位置づけ等も検討というか、それをもう少しグレードアップして報告書の中に盛る必要があるのではないかと思います。
 併せて、もう一点、先ほど国センのことに関しては、機能をどういうふうにとらえていくかということでしたが、報告書案(骨子)の3ページの「2 相談ネットワークの在り方について」のところで、(2)は都道府県と市町村の役割分担というのがありますが、現在、国民生活センターでは、都道府県からの経由相談が4割を占めているということで、都道府県にとっても国民生活センターに更に相談を上げていって解決に結びつくということでは国民生活センターが非常に大きな機能を果たしています。こういった意味では、国と都道府県の役割分担ということを改めて1項目設ける必要があるのではないかと思います。以上です。

○稲継座長 ありがとうございます。では、沼尾座長代理、お願いします。

○沼尾座長代理 2ページの「(2)地方消費者行政に関する国の関与と負担」というところですが、地方公共団体が自主的に事務の在り方を決めるということをうたった上で、地方自らの財源をもって手当てするという書きぶりになっています。誤解のないように言っておけば、要するに、これは、いわゆる自主財源である地方税や、利用料、手数料だけではなく、地方交付税などの、一般財源を含むものだと理解をしております。ただ、そうした自主財源、あるいは交付税その他だけではなかなか財政上厳しいとすれば、それ以外に、国も責任を持って、交付金ないしは補助金というような形での支援を一定程度行う必要がある。そういう書き方で整理をしておくことが大切なのかなと思ったところです。これは確認ということで申し上げました。

○稲継座長 ありがとうございます。ほかに御意見等ございますでしょうか。では、菅委員。

○菅委員 専門性を高める資格のことについても、きちんと論議されていなかったかと思います。7ページの下から2つ目のコマのところなのですが、研修だけでなくて、今、3本資格となっていますけれども、より踏み込んだ資格というものが検討されるべきではないかと思うんですが、いかがですか。

○稲継座長 今、3資格あるのでしたか。より踏み込んだ資格というのは、国が専門資格をつくると。

○菅委員 高度なというか、例えば、行政にいたら、福祉の方は社会福祉主事とか、そういう資格がありますね。研修、研修といって、毎年研修をただ受けるだけでなくて、もう少しきちんとした資格となるように、そこのところが処遇とも関連して考えていけるかなと思うのですが、いかがでしょうか。

○稲継座長 では、事務局から、お願いします。

○齋藤審議官 今の御意見に直接お答えできるかどうかわからないのですけれども、同じページの上から2つ目のポツのところに、相談員の能力が実務の経験を通じて養われていく面が大きいことを踏まえ云々とありまして、専門性の高い相談員を育成し、これを何らかの形で公的に認知する仕組みを検討する必要があるのではないかということで、かなり抽象的な書き方ではありますけれども、そういう資格の議論も含めて書き込んだつもりではございます。

○稲継座長 ここで読み込むということでございます。では、山口委員、お願いします。

○山口委員 ほかの委員から何も発言がありませんでしたので、念のために、希望として申し上げさせていただきますけれども、先ほど圓山先生は反対だとおっしゃいましたけれども、そう言わずに、ここを改正しろということで、両論併記ではなくて、専門調査会の意見として、是非まとめていただきたいのです。それを踏まえて、実現可能性のある部分、あるいは場合によっては実現可能性がない部分もあるかもしれませんが、できれば消費者委員会として、先ほど齋藤審議官が言ったように、この専門調査会の答申はもっともだから、この点については是非具体化すべきであるという形で建議なり提言なりをして、それを定期的に政府機関、関係機関にお話しして、その実現はどうなっているのかという形でフォローしていくということも含めて、是非やるべきだと思っております。その意味では、圓山先生の情熱はよくわかるんですが、何とか1つにまとめていただくように、よろしくお願いいたします。それだけです。

○稲継座長 ありがとうございます。日和佐委員、お願いします。

○日和佐委員 私も全く同じ意見です。それと加えて、大変細かいことで恐縮なのですけれども、文中で「国は」という表現と「消費者庁としては」という表現、「消費者庁としては」という表現は1か所しか出てきておりません。あとは「国は」という表現になっております。これはもう少し詰めて、「国は」という表現でも「消費者庁は」という表現にした方が、より具体的でわかりやすいのではないかと思う部分もありますので、御検討いただきたい。
 それから、10ページに、国民生活センターが突如テストのところにだけ記述が出てくるのですね。これはちょっと違和感がありまして、相談員の教育、研修、それから、フォローアップ等についても、国民生活センターが中心になって行っていますので、そこと地方消費者行政との連携というのは必要であろうと思います。テストだけではなくて、そこにも言及をしていただければと思いますし、このテストのところも、今、国民生活センターがやっているのは、地方公共団体でできないテストもあるのですけれども、メインは消費者被害や消費者相談の中からピックアップをしてテストに持ち込んでいるということをやっておりますので、こういう書かれ方をしてしまうと、今やっていることを否定してしまいますので、否定してもよいのかどうかというのは軽々しくは言えませんので気になります。是非、表現について工夫をしていただければと思います。

○稲継座長 ありがとうございました。では、圓山委員。

○圓山委員 最後の発言です。もう言いません。今日、一番驚いたのは、消費者庁の制度WG報告書と、この消費者委員会の報告書案が、ぴったり呼吸が合っていることに私は大変びっくりました。もう結論は決まっている。今後、異論を言っても無駄だと私は思っています。少し離れたところから振り返ってみると、反省点が幾つかあります。
 1つは、調査会の初日に審議日数や時間を多く取ってほしいとお願いしました。結果、月に1回、このペースだったのですが、案の定、毎回多様な意見が出て、もう一巡審議をする必要があると思いましたが、結局、委員の間の十分な討議はできないままだったと思います。
 2つ目に、審議結果をそのままたどれば、両論併記、3論併記となるのだろうと思いますが、とりまとめの一本化が指示されました。
 3つ目に、調査会の報告書(案)は、委員の意見よりは消費者庁の執行部の意思に沿ったものであって、消費者委員会の独立性が失われたと思います。残念です。
 よって、私は、次回以後は委員を辞めます。このような報告書ができるのに手をかすつもりはありません。また、合議体のメンバーとして報告書の連帯責任を負うことはできません。座長、委員の皆さんには大変お世話になりました。今後、今日の議事録確認が終われば、辞任届をお送りしますので、よろしくお願いします。以上です。

○稲継座長 ・・・・非常に残念な、・・・ショッキングな発言がございました。誠に残念ですが、御本人の御意志ということであれば、いたしかたないかと思います。
 とりあえず、今日、いろいろ出された意見を基に、最終報告案を更に詰めて、骨子案を肉づけして、報告書の素案を次回の専門調査会に出させていただきたいと思います。
 なお、次回まで時間がございますので、その後、お気づきの点や、何か御意見等ございましたら、事務局までお寄せいただきたいと思います。
 本日の議題は以上でございます。最後に、事務局から次回日程について発言があるとのことですので、お願いをいたします。

○原事務局長 圓山委員から突然のお申出をいただきましたので、事務方としてもちょっと考えさせてください。
 それで、次回の専門調査会ですけれども、2月10日木曜日の午後2時から行う予定です。内容としては、座長がおっしゃられたとおり、本日の御議論を踏まえた報告書の素案について、更に御議論をいただく予定にしております。
 それから、齋藤審議官からもお話ししましたように、パブリックコメントもこの間、求めていきたいと思っております。今後のスケジュール(案)については、資料4としてお配りをしておりますので、御参考にしていただければと思います。
 事務局からは以上です。

○稲継座長 沼尾座長代理。

○沼尾座長代理 今の圓山委員の御発言の件ですけれども、こういった場で、御意志を表明されたということで、かなり御意志は固いのだろうと思います。親委員会の方としては、やはり一本化してまとめてほしいという要望があることも重々承知しておりますが、こういう形になった場合、例えば、ある程度の方向性について一本化してまとめた上で、ただ、委員会の中ではこうした意見もあったのだということを別途記載するというような形でのとりまとめ方もあり得ると思います。圓山委員の御意志も固いかもしれませんけれども、事務局としてももう一度よく考えたいということなので、そういったとりまとめ方の可能性も含めて、委員の辞任についてもう一度お考えいただきたいと思います。また、一部の委員の意見が排除されたということではなくて、そこはいろんな背景があって、こういう考え方もあったんだということもどこかに記述するような形でのまとめ方ができないかということと併せて、御検討いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○原事務局長 圓山委員と御相談させていただきたいと思います。

○稲継座長 では、そういうことで、先ほどの発言は一旦あずかりということにさせていただきたいと思います。

○原事務局長 事務局としては、突然の御発言だったので、あずからせていただきたいと思います。

≪4.閉会≫

○稲継座長 それでは、本日はこれにて閉会させていただきます。どうもありがとうございました。

(以上)