第7回 地方消費者行政専門調査会 議事録

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日時

2010年10月22日(金)10:00~12:10

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

 岡崎内閣府特命担当大臣
【専門委員】
 稲継座長、沼尾座長代理、奥山委員、国府委員、斎藤委員、菅委員、
 田中委員、野口委員、馬場委員、圓山委員、山下委員
【担当委員】
 池田委員、佐野委員、下谷内委員、日佐和委員、山口委員
【オブザーバー】
 池本弁護士
【説明者】
 消費者庁 林地方協力課長
【消費者委員会事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.地方消費者行政における経費負担について(沼尾委員)
3.地方消費者行政専門調査会のこれまでの議論の中間整理について
4.地方消費者行政推進本部 制度ワーキング・グループの報告(消費者庁)
5.岡崎内閣府特命担当大臣挨拶
6.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:69KB)
【資料1】 地方消費者行政における経費負担(沼尾委員提出資料) (PDF形式:546KB)
【資料2-1】 これまでの主な論点 (PDF形式:209KB)
【資料2-2】 地方消費者行政専門調査会の第6回の会議までに示された考え方の論点ごとの整理 (PDF形式:266KB)
【資料2-3】 相談窓口の設置や相談員の配置に関する国の関与について(他分野との比較) (PDF形式:147KB)
【資料2-4】 最近10年間において地方財政法第10条に追加又は削除された項目について (PDF形式:201KB)
【資料2-5】 生活情報体制整備等交付金の廃止の際の考え方 (PDF形式:89KB)
【資料3】 地方消費者行政における国と地方のあり方について(国府委員提出資料) (PDF形式:109KB)
【資料4】 地方消費者行政における経費負担について(圓山委員提出資料) (PDF形式:78KB)
【資料5】 地方消費者行政の強化に関する意見(池本オブザーバー提出資料) (PDF形式:135KB)
【資料6】 今後のスケジュール(案)について (PDF形式:88KB)
【資料7】 地方消費者行政に関する制度的課題の整理について~制度ワーキング・グループにおける検討状況~(消費者庁提出資料) (PDF形式:155KB)


≪1.開会≫

○原事務局長 おはようございます。朝早くから、お忙しいところ、お集まりいただきまして大変ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会地方消費者行政専門調査会」の第7回の会合を開催したいと思います。
 議事に入ります前に御報告がございます。既に御承知のことと存じますが、本専門調査会の座長を務められていた片山善博さんがこのたび総務大臣に就任され、専門委員を辞任をされました。そのため、後任の座長につきまして、去る10月8日の第36回消費者委員会において松本委員長から御指名があり、従前、座長代理を務めていただいておりました稲継裕昭委員にこれからの座長を務めていただくことになりました。御報告とともに、どうぞよろしくお願いをいたします。
 それから、本日は、体調不良により、矢野委員が御欠席になっておりますが、ほかは全員出席ということで、審議のほどをお願いしたいと思います。
 それから、12時前後になるかと思いますけれども、岡崎トミ子内閣府特命担当大臣もお越しいただく予定になっておりますので、お見えになられたときにまた御挨拶をいただきたいと思っております。
 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。今、お配りしております資料は、議事次第の次のページに付けておりますけれども、資料1として、本日、この後、沼尾委員からお話を伺う予定になっておりますけれども、沼尾委員からの提出資料です。
 それから、資料2-1~5までは、消費者委員会の事務局で準備をしたもので、これまでの主な論点、それから、第1~第6回の会議までに示された考え方の論点ごとの整理、それから、消費者委員会事務局として準備したものを資料2-3~5と付けております。
 それから、資料3、4、5は、専門調査会の委員から御提出をいただいた資料です。
 資料6は「今後のスケジュール(案)について」。
 資料7は消費者庁から御提出をいただいている資料です。
 配付資料一覧はそのとおりですけれども、審議の途中で不足などございましたら、事務局にお申出いただきたいと思います。
 それでは、稲継座長、議事進行をどうぞよろしくお願いをいたします。

○稲継座長 このたび地方消費者行政専門調査会の座長を務めることになりました。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速ですが、座長代理を決めたいと思います。地方消費者行政専門調査会設置運営規程第2条第4項では、座長はあらかじめ座長代理を指名することとなっております。座長代理は沼尾波子委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、議事に入ります。まず初めに、地方財政制度について研究されている沼尾座長代理から、現行の制度の中で、国から地方への財政的支援のあり方としてどのような方法が考えられるのか、また、今の地方分権の流れや地方の実態に照らして、どのような方法を取るのが望ましいかについて御説明をいただきます。それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

≪2.地方消費者行政における経費負担について≫

○沼尾座長代理 日本大学の沼尾でございます。
 それでは、時間も限られておりますので、早速、資料1に基づきまして御説明をさせていただきます。
 まず初めに、地方消費者行政に関する財政の議論で、国から地方への財政支援という言い方がよく使われるんですけれども、実はこれは財政のことを研究している私からすると非常に違和感を覚える概念でございます。
 それはどういうことかということを含め、今からご説明申し上げます。資料1の最初の「I 地方財政法における地方行財政経費の考え方」というところをご覧ください。まず基本的には、現在の地方財政法では、事務に要する経費負担の原則として、地方の事務については全額地方公共団体が負担するということが規定をされております。そこでは、自治事務、法定受託事務にかかわらず、これが大原則であるということです。その場合の負担については、具体的には地方税ですとか、地方交付税といったもので、これを負担するための財源保障の仕組というのが別途あるんですけれども、それについては後ほど御説明をさせていただきます。
 ただし、その例外として以下のものが位置づけられるということで、地方財政法第10条、あるいは第16条、あるいは第34条といった規定で、その例外が定められているわけでございます。
 まず1つが、地方財政法第10条第1~第3項で定められている国庫負担金でして、法令に基づいて実施しなければならない事務で、国と地方公共団体相互の利害に関係ある事務のうち、なお国が進んで経費を負担する必要があるものに関するものということで、義務教育や生活保護の負担金などがここに入ってきます。
 次に、2つ目としては、国民経済に適合するように総合的に樹立された計画に従って実施しなければならない法律または政令で定める土木その他建設事業に要する経費ということで、公共事業費の負担金などが入ります。
 3点目としては、法律または政令で定める災害に係る事務で、地方税または地方交付税でその財政需要に適合した財源を得ることが困難なものということで、災害救助費の国庫負担金が入ってまいります。
 次の地方財政法第10条の第4項では、別途、国庫委託金に関する規定がされておりまして、専ら国の利害に関係のある事務に要する経費ということで、国政選挙の事務ですとか、あるいは国勢調査といったものに関する委託金がここに入ってきます。
 そのほかに、地方財政法第16条ということで国庫補助金の規定がされておりまして、特定の施策を行うために必要があると認めるときの補助です。これがいわゆる奨励的な、国としてある事業、施策を奨励するという観点から補助金を出す。また、財政上の特別な必要があると認めるときに補助をするという財政援助的な補助金がございます。
 このほかに、地方がその全額を負担する経費の特例というのが、さまざまな特例の規定で地方財政法第34条以降、載っているんですけれども、第34条については引揚者の援護ということが記載をされております。
 最初の問いに戻りますと、国から地方への財政的な支援といった場合に、こうした財政援助的な補助金のみを規定しているような印象を非常に受けまして、そもそもは地方の事務については地方が負担する。だけれども、国と地方の両方の利害に関する、あるいは、国としてやっていく必要がある、けれども、国ではできないので地方に委託をするというものについては、国としてそれを負担するのが、あるいは補助するのが国の責任であるという考え方ですから、支援という表現はどうなのかなというのが気になっているところでございます。
 このように例外規定というのが地方財政法上定められているわけですが、いわゆる事務区分、法定受託事務、自治事務であるかどうかということと、国庫補助負担金が補助負担されているかどうかというところの間に整合性の取れた関係があるわけではございません。ですので、法定受託事務であるからといって、例えば、全額国庫負担がされているとか、自治事務であるからといって、すべて地方が出しているとか、そういう関係は基本的には今のところないということでございます。
 これについては、1990年代の地方分権推進委員会の中でも非常に議論をされたところでございます。
 また、後で地方財政法第10条で記載されている負担金についての議論が出てまいりますが、第10条で挙げられているからといって、これは国がずっと負担をし続けるものなのかというところについても議論があるところでございまして、最近の三位一体改革の中でも、義務教育国庫負担金であるとか、生活保護負担金の一般財源化の議論が検討されてきたところでございます。
 また、もう一つ、この議論について考える上で、最近の地域主権戦略会議におけるひもつき補助金の一括交付金化というところの議論にも目配りをしておく必要があるだろうと思います。
 それから、1枚おめくりいただきまして、2ページに行きますが、これとは別に、国から地方に対する移転財源には地方交付税交付金と呼ばれているものがございます。この地方交付税ですが、これは地方団体間の財源の不均衡を調整して、すべての地方団体が一定水準を維持し得るよう財源を保障するという見地から、国税として国が代わって徴収して、一定の合理的な基準によって再配分をする地方の固有財源であるというふうに規定されております。
 その総額については、交付税法によりまして、所得税、酒税、法人税、消費税、たばこ税の一定割合ということが規定をされております。
 また、各地方団体に対して配分される交付税金額については、それぞれの団体ごとの基準財政需要額、あるいは基準財政収入額を算定しまして、その差額を財源不足額として、それを基準に配分することになっております。
 ただ、実際には、国税5税の一定割合と地方の財源不足額の全国レベルでの合計額が一致することはございませんので、そこの調整をどうするかということが例年議論になっているところでございます。そのことも含めまして、こうした地方の標準的な行政サービスを担うための財源をきっちり確保するという観点から、日本では、地方財政計画というものが毎年国会に提出をされて、公表されてきております。
 ここでは、翌年度の地方団体の歳入歳出総額の見込額に関する書類を作成しまして、これを一般に公表しているわけですけれども、これを作成することによって、国家財政と国民経済等との整合性を確保すること、あるいは地方が標準的な行政水準を確保できるよう、地方財源を保障するということからこれを整理する。更に、これを見ることで地方の毎年度の財政運営の指針というものを示す。こういった役割が期待をされております。
 このような仕組の下で、地方が標準的な行政サービスを供給するのに要する経費を保障するという仕組がありまして、地方交付税の基準財政需要額の算定においても、地方の実情、実際にどのような財政需要があって、それはどのように標準的なものとして提供しなければいけないかということが毎年検討されていく中で、交付税の需要額が算定されております。
 これは必ずしも法令によるものだけではなくて、例えば、公立の高等学校の経費というものがございます。これは義務教育ではないので、要するに公立高校ですから、それぞれ県や市が担っているのであれば、県や市が独自にやればいいという考え方もあるわけですが、今、高等教育というのは標準的で、98%ぐらいの子どもが高校などに進学するのであれば、これに関する運営経費も地方交付税の基準財政需要額の中に入れるべきではないかということから、こうしたものについても需要額の中に盛り込まれております。
 ただ、このように需要額に盛り込まれはするわけですけれども、それを配分する基の国税5税の一定割合は需要額の積み上げと一致する保証は全くなくて、平成22年度の地方財政計画ベースでは、特に今年度は国税の収入が非常に落ち込んだということで厳しかったわけですけれども、国税5税分はわずか9.5兆円でしたが、実際に配分をされた地方交付税額は16.9兆円、更に需要を積んだけれども、足りなかった部分については、地方がそれぞれ臨時財政対策債というものを発行して対応する。これが7.7兆円ということですので、実際には相当の乖離がございます。
 このようにマクロベースで財源を確保するというのは非常に厳しい中で、それに必要な財政需要というものが基準財政需要額の中に入ったとしても、それが現ナマで、その施策のためにその地方に配られているものではないということについては留意をしておく必要があることを補足しておきたいと思います。
 次に「(3)地方分権改革における国庫補助負担金の交付金化」の話を整理したいと思います。最近、いわゆる交付金という形で各省庁から地方に対して財源が配られるんだけれども、この交付金と補助金はどこが違うのかということがありますので、これを整理したいと思います。
 これも1990年代の地方分権推進委員会の議論の中で出てきた話なんですけれども、このときに国から地方への関与を縮小するという観点から、国庫補助負担金については、地方の自主的・自立的な行財政運営の確立を図るということで、統合・メニュー化、交付金化ということがうたわれました。ここで交付金化というのは、要するに、さまざまな、今、ひもつきと言われているものですけれども、規定をなくして、非常に統合化された形で、地方が柔軟にその使途を特定できるようなことで配ろうという意味づけだったわけでございます。
 そこで「交付金」という言葉に込められた意味としては、地方交付税交付金とか、地方消費税交付金とか、そういった使途を特定しない交付金をイメージしたわけですが、分権一括法施行後に各省庁でつくられた交付金のメニューの中には、従来の零細補助金を寄せ集めにしてパックにして交付金という名前で出しているんだけれども、実際に取りに行くと、それを取るためにはさまざまな補助の要件が詰まっているというような、いわゆる補助金型の交付金がたくさん出てまいりまして、今日、交付金といった場合に、そもそも言われていた交付金とは違ってくる、本当に補助金型の交付金がたくさん出てきております。
 それから、もう一つ言うと、それが補助金という制度で毎年毎年確実に担保されるわけではなくて、3年限りであるとか、5年限りであるとか、あるいは総額が規定をされていて、地方からの申請件数に応じて配分額が一律圧縮されるとか、そういったものが出てきているということについて留意をしておく必要があるということでございます。
 その上で、3ページに行きまして、「II 地方消費者行政の事務に係る財政負担のあり方について」ということで、いよいよ本日の中心課題に入ります。現行は、皆様御承知のとおり、地方消費者行政活性化基金が平成21年~平成23年度、更に1年延長ということで、この基金から活性化交付金というものを配って、従来の施策に上乗せして、消費生活相談員の手当とか何かにも当てられるという仕組が出てきているわけですけれども、これに関して、これまでのここの場での議論でも、要するに、それぞれの地方自治体において、こうした職員がきっちり配置されていない、あるいは窓口がつくられているわけではないので、そのためには国から補助金ですとか、負担金というものを出すことによって、財政上の対応というものをきっちり担保する必要があるのではないかという意見が出てきているところなのではないかと思います。
 ただ、これについては、これまでの議論から見てきたとおり、こうした地方消費者行政に係る事務というものをどのように位置づけるのかをきちんと整理して、その上で、それに関する財源の手当を整理していく必要があるだろうということでございます。
 まず、消費生活相談員設置の義務付けについて、それから、相談の内容、方法における画一化、均質化というものの可能性があるのかどうかということです。ここら辺のところをきっちり整理する必要があるんではないかというです。
 それから、もう一点、「人件費については一般財源で対応」とレジュメに記載をしましたが、このところの分権改革の議論の中で、さまざまな施策そのものに係る経費については国から補助金、負担金を出すけれども、その運営経費であるとか、人件費については一般財源化をしていくというのが今の流れになっております。例えば、典型的なのは生活保護ですけれども、被保護者に対する扶助費については国庫負担金が出されていますが、福祉事務所の運営経費については、基本的には一般財源で対応をしております。
 それから、地方財政法第10条でも、婦人相談員の経費というものが入っているわけですが、これも婦人相談所に係る経費と相談員に係る経費の両方が従来の地方財政法第10条では規定されていたわけですが、相談員に係る経費は文言から外れまして、これについては一般財源化というのが今の国全体の流れであるということです。
 その背景には、要するに、人員をどういうふうに配置するか、あるいはその施策をどういうふうに実行するかということに関しては、人数その他、設置に関して国が細かい規定を定めるよりは、地方がそれぞれの実情に応じた形で柔軟に対応していくことが望ましいのではないかという考え方があるということでございます。
 実際に自治体の消費者行政をめぐる予算を見ましても、都道府県、市町村ごとに、その経費を総務費で計上している自治体、民生費で計上している自治体、衛生費で計上している自治体、商工費とかいうふうにして、団体によって取扱いがさまざまになっております。
 また、その事務の内容を見ましても、相当福祉に近いところでの見守りというところに力を入れている自治体もあれば、もう少し商工業の政策と一体的にやっているところもある。これだけ多様なものを地方消費者行政と言う場合に、それに関する経費、あるいは人員の配置みたいなところについて、どこまで国として規定をするのかというところについては議論が必要ではないかということでございます。
 それから、相談窓口の設置や消費生活支援センターの設置についてですけれども、これを「法令に基づいて地方公共団体が実施する事務」と位置づけていくことが可能かどうかということです。確かに不可能ではないわけですけれども、ただ、その場合に、形式的に相談窓口が設置されても、それが本当に住民にとって必要な相談体制の整備になっているかどうかということについては議論が必要だろうと思います。
 例えば、中山間地域などであれば、いちいち役場まで行けない、あるいはなかなか電話もかけられないというところも、高齢者の方などはいらっしゃるわけで、そういう場合にはむしろアウトリーチ型で、福祉の施策と一体で見守りをするというような仕組を取っていくということで、窓口というものをどう規定するかというところが議論になるところだと思います。
 それから、消費生活相談員に係る人件費、事務所運営経費については、先ほども申しましたとおり、一般財源化の流れになっているということです。
 このように考えますと、あるいは先ほど申しました昨今の地方財政計画ベースにおける地方の財源の状況なども考えますと、1つの可能性としては、消費生活相談に限定するものではなくて、総合的な機能を果たす相談員の設置を考えるということもあり得るだろうということです。
 一方で、消費者行政というのは多様な担い手の連携が不可欠だということを考えるならば、やはり地域ごとに独自の対応を行うことが可能となるような仕組の構築が必要だろうということです。
 それから、最後に書きましたけれども、これは初回のここの会議の場で野口委員の御発言されたところで、消費者一人ひとりの自立という視点から、この施策をどう考えるかという視点は無視できないと、私もそのとおりだと思いますが、そのように考えたときに、どこまで手厚いサービスを行政の方から仕掛けていくのか。むしろ消費者一人ひとりの自立という視点からあるべき地方消費者行政は何かということから見たときのこの事務事業の位置づけを考える必要があるだろうということです。
 あと、ここに書いていないんですけれども、もう一点だけ補足すると、これを全国的な仕組として画一的にやる可能性があるとすれば、恐らくPIO-NETの端末入力とかいうことです。それを全国的にデータベースとして構築しなければいけない。これをどのようなシステムで、誰の財政負担でやっていくのかということについては別途検討が必要なのではないかと思います。
 ただ、それを市町村が担うというときに、本当にその人員を配置して、そこまでの仕組を構築する必要があるのか、あるいはこれは自治体が担うべきなのかどうなのかというところについても検討が必要なのかなと思っております。私からは以上とさせていただきます。

○稲継座長 どうもありがとうございました。
 それでは、今の御説明に対しまして、御質問や御意見のある方は御発言をお願いします。
 なお、なるべく多くの方に御発言いただきたいと思いますので、御発言は簡潔にお願いしたいと思います。どなたからでもどうぞ。では、圓山委員。

○圓山委員 圓山です。
 勉強不足なので、幾つかお教えいただきたいのです。私の疑問は、配付資料4に図にしております。ほかの行政分野と消費者行政はすごく違っていると思われます。この図の右側に二重線で囲んであるところが、沼尾委員が最後におっしゃった、PIO-NET入力です。これは消費者安全法の第12条で義務付けられているので、PIO-NETについては、ほとんどが国のための仕事となってしまっていますので、これを自治体が全額負担するのが適切なのか。私は国がお金を出すべきだと思うのですけれども、そういう議論が必要だと思います。
 もう一つ、図の真ん中に書いてある二重線のところです。私が常々疑問を持っている点です。消費生活センターの関係では、消費者啓発、消費者相談、商品テストと大きく3つあります。その消費者相談が二つに分かれて、問合せ相談については、自治体が問い合わせをしてきた住民、消費者に情報提供すればいいので、自治体の仕事だと思うのです。ところが、苦情相談については、事業者という相手のある仕事になるので、事業者が自治体のエリア内にいる事業者の場合、それをここでは域内苦情と書いています。しかし、過半数を占めているのは、その下の越境苦情と書いているところで、消費者は自治体の中に住んでいますが、事業者が自治体の外にいる、その紛争を消費生活センターが助言なり、あっせんという形で紛争解決をしています。また、商品テストについても、地元のクリーニング店の苦情は域内苦情ですけれども、商品や製品の苦情の原因を究明することは越境苦情になると思います。
 ほかの行政分野でしたら、例えば、労働紛争でしたら労働委員会がありますが、これは都道府県を超える広域の場合は中央労働委員会、国の機関で処理をする、都道府県内の紛争を地方労働委員会でやっているわけです。それから、建設工事紛争審査会も、都道府県内の紛争は都道府県の建設工事紛争審査会でやっていますが、都道府県を超えるものは中央建設工事紛争審査会がありまして、国が処理しているわけです。
 消費生活センターでは、越境苦情が今、非常に膨大になっています。この整理が付いていない。自然発生的にやってきた自治体の消費者行政はこれをすべて抱え込んで、すべて消費者側の自治体の経費で全部賄っている。しかし、財政難で経費が足りないので、どんどん衰退しているわけです。ほかの行政分野と同じように基本に戻って考えるならば、越境苦情については国の仕事であるという整理もできると思います。だからといって、これを国営化するというところまで私は言うつもりはありませんけれども、この分の事務内容については国が応分の負担をすべきだと私は思うのです。それについて、沼尾委員に御感想をお聴きしたいと思います。

○沼尾座長代理 資料4の越境苦情というところですけれども、そもそも消費者に対する相談であるとか、あるいは、こうした苦情というのが来たときに、それを受けて対応する事務というのが地方の、例えば、市町村の役割なのか、都道府県の役割なのか、国の役割なのかというところによるだろうと。そのときに、その対象者が域外であった場合には、仮に市町村の事務だとすると、それは住民の利益にかかわることだから市町村で対応しましょう、だけれども、それが市町村固有でやれるものではないということであれば、市町村がそれぞれ費用負担をしながら、市町村間で横に連携を図って、地方の自治事務として対応するという考え方もあり得ると思うんです。
 ただ、今、圓山委員おっしゃったとおり、それは市町村だけで対応できるものではない、都道府県の範囲でやるべきものだということであれば、それは当然都道府県の事務としてやるものだと思いますし、もはやそういう時代ではないんだということであれば、それは国の事務としてやるというふうに、これまでの整理はされてきたんだと思うんです。
 つまり、その事務をどのレベルの範囲の責任として担うのかというところが、まず始めにあって、その上で、これだけ消費者行政は広域化していますし、インターネットの取引も増えているし、もう市町村で扱えるものではないんだと、本来国の責任としてやらなければいけないんだけれども、それでも、個別に、住民と住民で、顔の見える関係でやらなければいけないから、それを市町村、あるいは都道府県、地方にお願いをしようということであれば、そこで初めて国の負担という考え方が出てくると思うんです。ですけれども、これが地方の自治事務としてスタートしているものであるとすれば、地方財政法上の考え方で行けば、まず原則は地方の負担ですよということになるので、そういった観点から、この事務自体をどのレベルの行政が担うものかというふうに位置づけ直すところから整理が必要なのではないかと思います。

○圓山委員 昭和40年に地方の消費者行政、消費生活センターが始まったときは問合せ相談がほとんどでした。ですから、当時の言葉で固有事務、現在の自治事務で何の不思議もなかったのですが、現在は越境苦情が過半数、市町村で言うと9割を占めているということになるので、考え方の根本的な再構築が必要だと私は思います。

○稲継座長 ほかに。斎藤委員、その次に国府委員、菅委員、お願いします。

○斎藤委員 沼尾委員のレジュメの3ページのIIの※の4つ目の相談窓口の設置に関するところで、矢印で「法令に基づいて地方公共団体が実施する事務」としての位置づけは可能かということで、そういう場合、こういうファクターの考慮が必要ではないかとおっしゃっています。その後者の点、形式的に窓口だけ設置して、本当の相談体制が構築できるのかということや、自治体により多様ではないかと、私もそういう意見なので、この部分については沼尾委員もそういう御意見なのかというのが1点。
 もう一点は、その前提になるかと思うのですが、法令に基づいた事務として位置づけたとしても、Iのところの現在の地方財政法のシステムだと、必ずしも十分な財源が国から来るわけではないというところがあると思うのですが、その認識は間違っていないのかどうか。その2点をお願いします。

○沼尾座長代理 全くおっしゃるとおりで、まさに私もそのように考えているところです。これは私見なんですけれども、実を取るというんでしょうか、要するに、大事なのは、それぞれの地域で暮らしている住民が何か困ったときに、いつでも相談できる、そこで対応できるという仕組をどのようにつくるかということと、あるいは悪徳業者にだまされないようにするためにどうするかとか、そういった対応を実態として確保していくためには、法令に基づいて制度をつくればいいのかというと、必ずしもそういうことではないだろう。
 また、法令に基づいて地方公共団体が実施する事務として規定すれば、それによって本当に必要な国庫補助負担金が国から来るのかというと、今、斎藤委員おっしゃられたとおり、実態としてはなかなか難しいだろうというところも踏まえて、そのとおりだと思うので、地方消費者行政ということで、事務が一くくりにとらえられているんですけれども、先ほど圓山委員が出された資料などにもありますけれども、中身が相当多様なものがあると思いますので、これはやはり国としてしっかり対応するべきものではないかとか、これはもう少し地方が独自にやれるものとして、一般財源をどう確保していくかということを考えていくべきではないかというところを整理をした上で、財政負担のあり方というものを議論する必要があるだろうと思っております。

○稲継座長 よろしいですか。では、国府委員。

○国府委員 私も3ページの※の2つ目の部分なんですが、画一化・均質化の可能性と記載されている部分は、相談業務を国が義務付けしていくことによって地方の多様性が阻害されるかのように聴き取れたんですが、私はこの点はそういう理解ではなくて、もう少し別の理解があるんでないかと思っております。
 というのは、国会で地方消費者行政について今後のあり方をさらに検討する必要があるということで我々のこの専門調査会が設置されたという経過があるわけです。これは消費者庁及び消費者委員会設置法の附則でそういうことを定めているわけです。これが議論されることになった原因は、地方消費者行政の現状を見るとき、例えば、全国の自治体に相談窓口がないところが400もあるということや、相談窓口のあるところでも、専門相談員がいないところが非常に多くある。場合によっては県の消費生活センターですら、専門相談員の資格のない人が勤めているという状況があるわけです。
 ですから、これは国が率先して画一化を図ろうという問題ではなくて、地方がずたずたになっている、あるいは消費者相談窓口が近くにないという市町村がいっぱいある中で、もう少し全国的に嵩上げを図っていく、そのための均質化というんですか、全国のレベルをもうちょっと底上げしていこうという意味の均質化ととらえれば、これは決して否定的にとらえるべきものでもないだろうと思うわけです。
 全国にはいろんな地域があります。山間地域もあります。山間地域を抱えている地方では、相談員が御家庭に出向いていくようなことも考えなければならないとおっしゃったのはそのとおりなんだけれども、実際は市町村に相談窓口がなくて、そういうところは全部都道府県がカバーしているわけです。都道府県が、地方振興局でもって非常に広い地域をカバーしている中で、相談者宅に出向くこともできない。他方、消費生活センターの置かれている市町村は、場合によっては相談員が軽自動車に乗ったり、自転車に乗ったりして、高齢者のお宅に出向いていくこともできるという意味からすると、そういう多様な相談の方法に対応していくためにも、やはり全国画一的というか、全国一律に相談体制を設置していくということが必要なんだということは確認されるべきではないかと思います。

○稲継座長 何かレスポンスはありますか。

○沼尾座長代理 実は、先日、ある自治体で市民意識調査をやって、今、どういう行政サービスが重要だと考えていますかという質問をして、また行政職員に、今、市民に対するサービスとしてどの分野が重要かという問いを出したところ、その順位に大きな乖離があった項目の1つが消費者行政の分野でした。市民の中ではこれは大事だという順位が結構高かったんですけれども、役所の職員の中では順位が低くて、ものすごい乖離があった。これは東京23区の中のある自治体なんですけれども、都市部の中でこういう実態もあるのかなと思いながら話を聞いたところなんです。そういう意味では、そういう仕組、ニーズはあるんだけれども、実態としては対応がついていっていないというところはあり得るんだろうと思うんです。
 ただ、そのこと自体が、例えば、全国いろんな自治体があったときに、どのような需要があるのかというところです。以前に片山前座長もおっしゃったことですけれども、実際どのぐらいの必要性があって、それがどのぐらい多様なのかというところについて、なかなか見えてこないよねというお話があって、そこをもう少し確認しておく必要があるだろうということと、あと、私が最後のところで「総合的機能」を果たす相談員と記載したのは、実際に消費生活のことだけで相談員が回るのが効率的なのか。例えば、中山間部などですと、保健師が健康の見回りなどで回ったりするわけです。そういうところと一体的にやっていくとか、特に町村などは職員の数が限られていますから、1人の職員が本当にいろんな資格を持って複合的に対応したりしているという面もありまして、そういう総合的な機能を果たす相談員ということを可能にするような柔軟な仕組をどこかに残しておかないと、本当にアリバイづくりだけで終わってしまうのではないかというところを非常に懸念しているということでございます。

○稲継座長 菅委員、お願いします。

○菅委員 私も自治体の相談員をやっていたとき、消費生活センターは商工労働部に属しているわけではないのに自分の給料が商工費から出ていること、そこに最初に非常に疑問を持ちました。ただ、費目のつき方は、総務費であったりとちょっと違うというのが実態のようですので、それは疑問点でした。
 ただ、先生がおっしゃいましたように、総合的機能を果たす相談員の設置というのは、私の20数年かかわってきたことから考えると、自治体の相談窓口というのは、市民相談や、町村民の相談ということで、いわば水先案内人、それと、弁護士へのつなぎ方、行政への苦情の受け止め、などから発してそこから消費生活相談が独立して、住民の相談に応えていくためには、専門の相談員がしなければいけないと、独立していったということの方が多いかと思います。今、PIO-NET未設置が700か所くらいあることから考えると、まだ消費生活センターとして独立できていない。それには人的な問題、専門相談員もいない、それから、そこの市長の考え方、担当課長の考え方もあろうかと思いますけれども、そこから独立できていれば、消費生活センターとしての窓口的機能も拡充してくると思います。
 総合的機能を果たす相談員の設置ということを考えますと、何年か前はワンストップサービスというのが自治体に広がり、そこに相談もみんな入った。その結果は、結局また元に戻ってしまったというのが実情的にあるようですので、そこの総合的機能を果たすというのが消費生活センターの窓口として必ずしも的確なのかどうか。一緒にやっていると、むしろ消費生活のところはかなり専門性を問われているということで、そこはきちんと独立して、消費者の支援、権利擁護ということでやるべきではないかと考えます。
 もう一つは、福祉との連携などは、今、勿論、この時代ですので、私たちもその知識は吸収しながら、それから、連携を図って、その面が出てきたときには素早くつなぐという、総合的なかかわり方は必携ですので、そういう狭い意味の消費生活相談員ではなくて、求められているものは多いかと思いますが、そこのところが議論だけでなく、実態となると、総合的というのは、私的には逆戻りするような、40年代に戻ってしまうような感覚も持ちました。以上です。

○稲継座長 何かレスポンスはありますか。

○沼尾座長代理 恐らくこれは、都道府県か、市町村なのか、あるいは市町村でも都市部なのか、町村部かによっても違ってくると思うんです。勿論、そういう状況を抱えている自治体というか、地域もあるだろうということも非常によくわかります。

○稲継座長 ほかに。池本オブザーバー、お願いします。

○池本弁護士 御報告いただいた中の前半で、さまざまな財政措置が、特に活性化交付金という3年間で設定されたものが、大きな流れの位置づけで非常に足元が揺らいでいる中でつくられているというのが、全体像がわかって、非常に参考になりました。
 問題は、これから先どういうふうにしていくかというときに、どういう現状認識でどういう措置につなげるかというところだと思いますので、その部分について、圓山委員の御発言、それから、菅委員の御発言に関連して一言申し上げたいと思います。
 消費生活センター、あるいは相談員の専門性ということについては、7月の第4回のここの調査会で、私、資料6-1を配付させていただきました。それは、消費生活相談員というのは、特定商取引法とか、割賦販売法とか、さまざまな法律、しかも毎年のように法が変わっていく、そういう特別法をきちんと理解して、しかも相談者から話を聴いて、それを助言しておしまいではなくて、事業者とあっせん交渉して解決に至ると。いわば紛争解決の機能も持つ、そういう過程を通じて事業者の違法行為を発見し、それをPIO-NETに入力し、国が集約して、事業者規制につなぐ。つまり、救済から防止までつないでいく。恐らく、その辺りが、先ほど圓山委員がおっしゃったところの越境苦情に関連して、1件の解決を超えて、更に被害防止という市場の安心・安全を担うという役割につながっているのではないかと思うわけです。
 勿論、市町村の住民に身近なところでまず情報が集まらなければ、国は全国の情報が把握できないというところでは市町村に窓口が必要なのですが、問題は、先ほど話題になった総合的な役割という言葉の意味だろうと思うのです。例えば、高齢者部門から、あるいは福祉の部門から、いろんな部門から横の連携を、意思疎通をきちんとして、場合によっては総合窓口のようなところへ寄せられる。しかし、消費生活相談は、いわゆるよろず相談で、あっちへ行ってください、こっちへ行ってくださいで終わってはいけないわけで、あっちへ行ってくださいの中の1つがこの消費生活相談で、きちんとした専門職を置いて、先ほど前半に申し上げたような専門的役割をもって処理をしてこそ、消費者行政としての機能が果たせるのではないか。そうだとすると、これまでそもそも専門職の相談員を配置してすらいない状態に対して、まず相談員を配置して、その相談員が自治体の規模によってどの辺まで横断的な役割を担うかと、これは多様であっていいと思うのですが、最低限の基盤づくりは国が一定の方向づけをし、それについて財政措置をする必要があるのではないかと考えるわけであります。以上です。

○齋藤委員 座長、1点、全体の進行にかかわることなのですが、よろしいですか。

○稲継座長 斎藤委員、どうぞ。

○斎藤委員 池本さんは今回も意見ということで出しておられますね。先ほども御発言の中にあったように、専門性についての意見も4回目で出された。これらは池本さん個人の御見解なのか、消費者委員会の事務局なり、消費者委員会なり、消費者庁と御相談して出されているものなのか、それをお伺いしたい。
 なぜかと言いますと、後者であれば、委員会事務局なり、消費者庁のペーパーとして出される筋のものであると思います。ちょっときつい言葉で申し訳ありません。もし前者、池本さんの個人的な見解であるとすれば、池本さんのお立場はオブザーバーですよね。今までも池本さんは実質的に審議に、いわば専門委員や委員と同じ場で発言してこられて、審議内容にもかかわってこられましたけれども、それはどういう根拠なのですか。私が失念しているのなら私の問題になりますけれども。

○池本弁護士 私の立場については、第1回のときに申し上げたかと思うのですけれども、あくまで個人の立場であって、発言あるいはレジュメについて、委員会の事務局、あるいは消費者庁の担当職員とすり合わせてつくったという趣旨ではありません。勿論、いろんな議論を聞いているので、いろんな状況の中で私なりの考え方ということでまとめていますが、必ずしも消費者庁の担当課で議論していることと一致しているところがあるわけではない、むしろ多少ずれがあることが多いだろうと思います。
 オブザーバーという地位として参加させていただいていることをどう位置づけるかというのは、これは私が申し上げられることではないので。

○斎藤委員 それでは事務局の責任者の方にお願いします。

○齋藤審議官 勿論、オブザーバーということですので、専門委員とは異なるお立場でございまして、参考意見ということで述べていただいているというふうに御理解いただければよろしいかと思います。

○稲継座長 では、そのように御理解いただきたいと思います。ほかに。では、山下委員、お願いします。

○山下委員 沼尾委員に教えていただきたいんですけれども、先ほど地方財政法第10条に位置づけるという形であれば可能ではないかというお話があったように伺ったんですが、第10条は第29項まで項目がありますけれども、仮にここに消費者窓口の設置に要する経費みたいなものを入れたとしても、消費者相談員の方の人件費等について負担をすることは、基本的には現在の地方財政法の枠組の中では認められないだろうという御認識だったのではないかと思っていて、第10項の婦人相談所に要する経費についても、人件費等は除かれるという形であるという御報告だったと理解したんですが、そうすると、沼尾委員の御意見としては、例えば、PIO-NET設置に要する経費みたいなものも切り分けた上で、具体化したものをここに載せることで、何と言いましょうか、私、全体の話を聴いていて、PIO-NET設置の経費などについて、国がもう少しやるということは可能ではないかと思ったんですが、そういう切り分けたものをここに載せるという方向はあり得るということですか。私の理解が間違っていたら教えていただきたいということなんですが。

○沼尾座長代理 そもそも地方消費者行政の事務について、こういった形で地方財政法第10条で国が負担金として計上すべきものとして載せられるかどうかということについてですが、まず、基本的には、地方消費者行政の事務が何なのかというところに依存すると思うんですけれども、現状を考えると、なかなか難しいのではないかというのが個人的な見解です。
 ただ、その上で、先ほどの話にもありました事務を切り分けていったときに、例えば、PIO-NETの設置と入力については、本来であれば、ネットワークに関するものですから、国が全国的にやらなければいけないものなんだけれども、実際にそれを地方にやってもらうというふうに整理できるのであれば、その上で、それを地方が担うということに関する費用として、国が一定割合負担するということは、可能性としてはあり得るのではないかということです。
 ただ、それを本当に地方がそれぞれ担うのがいいのか、国の出先が担うのがいいのか。つまり、そこは国の役割なのか、地方の役割なのかということに立ち返って、まず、そもそも検討しなければならないだろうということ。仮に、それぞれの窓口で地方が担うことが望ましいけれども、それは画一的に行わなければネットワークとして情報が集まらない、それでは意味がないということで、それを地方にやってもらうということであれば、それは一定程度国が負担をするという考え方はあり得るかもしれません。
 ただ、その場合に、どのぐらい、負担金であるとか補助金が来るのかということに関しては、実際、なかなか厳しいところもあって、最近ですと、先ほどの生活保護の話とか、婦人相談所の話もありましたけれども、扶助費の支給額については国庫負担されていますけれども、実際の事務所の経費ですとか、人件費については、今は一般財源化という流れになっていますから、これについてだけ人件費についても国が出すというふうに取り扱うというのは、望ましいかどうかではなくて、実態として、現実として難しいのではないかということでございます。

○稲継座長 では、まず、国府委員。

○国府委員 山下先生の疑問にお答えできる情報提供になるかどうかわかりませんが。消費生活センターの中で相談業務を担当している相談員の人たちは非常勤職員という位置づけで、行政の内部における予算項目としては、彼女らに払う給料は人件費となっておらず、相談事業費という扱いになっています。センターなどに勤めている常勤の一般職員の人たちの分のみが人件費になっているのです。現状は事業費みたいな扱いになっている。そうすると、そういう相談員を一般職員化すべきではないかとかいうときに、事業費だったものが、人件費に振り換わることになりその辺がまたネックになってくるんです。実情としては人件費として扱われていないので、さっき沼尾先生が言われた婦人相談所の相談員の人件費とはちょっとまた別な扱いになっているようですね。

○稲継座長 何か。

○沼尾座長代理 今の点で補足しますと、生活保護に関しても、自治体の職員の経費については一般財源化されているんですけれども、特定の、例えば、弁護士だとか、警察OBの方とか、就労支援のためのハローワークのOBの方などを非常勤で雇う部分については、厚労省からセーフティーネット支援対策等事業費補助金というのが出ていまして、それで10分の10、人件費部分というのは載っているんです。ただ、その補助金がいつまで続くかというのは、やはり全体の予算との絡みになりますので、常勤ではないんですけれども、そうした非常勤の専門職については国の方で別途補助金は出ております。

○稲継座長 山口委員から手が挙がっていました。

○山口委員 大変重要なポイントに来ていると思うのですが、可能性として3つほど指摘されていると思うのです。国が地方消費者行政の充実のために財政的な手当てをする手だてとして、1つは、地方財政法に1項目入れる。沼尾先生のレジュメから言いますと、4ページ以下に地方財政法の条文がございますが、例えば、第5項には感染症の予防に関する経費とか、第21項には家畜伝染病の予防に関する経費とかございますが、消費者問題というのは、北海道で起こった被害が今度は九州、あるいは関東に飛び火する、あるいは全国一律に同じような手口でなされているところがあることを考えますと、こういうものに似ている面もなきにしもあらずなんで、ここに1つ条項を入れるということがあり得ると言われているのかなと思ったのです。
 それと、もう一つは、いわゆる消費生活相談員設置の義務付けとか、消費生活センターを設置することを義務付けると。ただ、今のお話では、義務付けても、財政的な実際の手当がなければ、空振りになってしまうといいますか、実効性を伴わないという御指摘もあったかと思うのです。
 7ページの地域主権戦略大綱の閣議決定の中身を見ますと、「(2)対象範囲の整理方針」の1行目には「社会保障・義務教育関係」については、国として確実な実施を保障する観点から、一括交付金化の対象外とするとございます。その他のところには、いわゆる災害復旧、国家保障的性格のものなどに限定して、これは一括交付金化の除外にするというような指摘もございます。このようなところから、3番目の手当てとして、いわゆる一括交付金化の適用対象外と、つまり、揺籃期にある3年間、基金として、交付金としてやってきたけれども、1年延長しただけではまだ不十分だということで、もう少しこれを継続するという手だてもあるのかもしれない。そこら辺の財政的な手当ての可能性ですね。
 特に先ほどのお話ですと、PIO-NETがまだ設置されていない自治体がかなりある。要するに、執行の強化という観点からしますと、全国的に消費者相談、あるいは消費者被害がどういうふうに起こっていて、それに対してどういうふうな執行をするかというのは、やはりこれは全国的に、一律とは言わないまでも、穴抜けがあったら、消費者被害の抑止、あるいは対策にならないと思われます。PIO-NETの端末入力事務の関係でこういうものを考える、つまり、一括交付金化の例外として何か考えるという手だてがあり得るのかどうか。勿論、理論的な問題と、制度をつくっても先立つものがあるかないかという実際の問題とが混在一体で議論されているので、若干わかりにくい部分もあるんですが、そこら辺について、どういうふうに整理したらいいのか、お話しいただければと思うんです。

○稲継座長 難しい問題ですが、何か意見がありましたら。

○沼尾座長代理 非常に大きな問題ですので、これがいいというようなウルトラCはなかなか出てこないんですけれども、まず1つ、地方消費者行政ということで行っている事務事業とか、施策というものをもう一度整理して切り分けた上で、どこまでが国の役割で、都道府県で、あるいは市町村なのかということを改めてまず整理するというところからです。
 その際に、さっきの話ですと、例えば、PIO-NETのようなネットワーク型のものについては、全国的にやらなければいけないものなんだという考え方は1つあり得ると思うんですけれども、最近の財政が非常に厳しい中で、今の事業仕分けなどの動きを見ていても、そこに財源を投下することで、それがどのぐらい国民全体にとってメリットがあるものなのかということを考えると、全く分からない。例えば、PIO-NETなどは全然国民に知られていないわけです。「何ですか、それ?」という話で、あるいは、何か消費者トラブルが生じたときに、役所の窓口に行けば相談に乗ってもらえるんだということも、まだ全然浸透していないという印象を持っていて、そういうことも含めて、実際に体制をどう構築するかということは勿論大事ですし、困ったときに駆け込める場所があるというのは重要なことなんだけれども、実態としてどのぐらいのニーズがあって、それをどのレベルの行政が担うことで効率的に対応できてということがまず前段の議論としてあるべきだろうと。その上で、本来であれば国が全国的にやらなければいけないものなんだけれども、地方にやってもらわなければいけないというものが抽出されたときに初めて、ではこれは補助金か、負担金かというところでの整理ができてくるんだろうと思います。
 ただ、その前段となるところの議論の部分がまだまだ足りないんではないかというところと、例えば、生活情報体制整備等交付金が廃止されて、国民生活センターの運営費に統合されたりした、こういう三位一体の改革の議論のときにも、地方六団体と国の協議の中で、こうした消費者行政に関する根本的な議論は多分、出てきていないんではないかと思うんです。内閣府レベルで各地方団体に対して説明会が行われていると思うんですけれども、実際に六団体に対して一定の働きかけを行って、これは非常に重要なんだ、したがって国として地方に行っていただきたい、ということが地方側に認知され、同意されるような取組が行われたのかとか、そういうことも含めて、もう少し議論をしっかりやっていくということが非常に重要だろうと思います。今、これだけ財政が厳しい中で、社会保障をどうするかというところにどうしてもお金が行くわけです。それを、消費者行政はそれ以上に大事なんだと言うのであれば、また、仮に、地方が画一的に取り組む必要がある分野だというのであれば、その財政需要も含めて、きっちりそのことを示していくような戦略がないと、財政措置も、地方の理解も得られないまま平行線をたどるだけではないかと思います。余りお答えになっていなくて申し訳ないです。

≪3.地方消費者行政専門調査会のこれまでの議論の中間整理について≫

○稲継座長 沼尾座長代理、どうもありがとうございました。
 それでは、時間の関係もあり、次の議題に入りたいと思います。これまで本専門調査会は第6回まで議論を重ねてまいりましたが、本日はこれまでの議論を整理したいと考えております。そこで、まず事務局から、本調査会においてこれまで出された主な論点について説明いただきます。
 続いて、消費者庁から、前回、委員から御要望のありました地方消費者行政推進本部の制度ワーキング・グループの検討状況を御報告いたします。
 なお、御意見、御質問は順次説明を行っていただいた後に一括してお願いしたいと思います。
 それでは、まず事務局から御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○齋藤審議官 それでは、資料2-1に基づきまして御説明したいと思います。実は、資料2-2には更に詳しくこれまでの6回の専門調査会で出された御議論を整理したものがございますけれども、この場では資料2-1の要約したもので御説明させていただきます。
 まず「消費者行政における国と地方のあり方について」という論点がございますが、これを明確に取り上げた専門調査会の回はございませんでしたが、各回の中で出てきたものを主なものとしてピックアップしております。
 最初に掲げておりますのは、相談業務というのは、自然発生的な行政ニーズであり、市町村が創意工夫を凝らして実態に合った行政サービスを提供すべきである。しかし、自治体の認識がそこまでついてきていないところが問題である。
 それから、2つ目のポツにありますのは、地方自治体の人事、財政、組織の力学を考慮して、4年後以降の国から出るお金がきちんと回る仕組は、どこをどう変えればよいのか。パラダイム転換の発想で審議すべきといった御意見がございました。
 それから、2に移ります。これがいわゆる論点2でございまして、6月の専門調査会で取り上げたテーマでありますが、「国と地方の相談ネットワークのあり方について」。「(1)市町村が相談業務を行う上に都道府県においても相談業務を行う意義は何か。二重行政とならないか。」ということでありますが、これにつきましては、最初のポツにありますように、市町村は一次的な窓口となる。都道府県は、市境を超えた案件、高度に専門的な案件、あるいは窓口のない市町村住民からの案件といったものを受け付ける補完的な役割ではないか。
 また、その次のポツにありますが、県センターというのは、バックアップ力が大きな力になっている、そういう形で役割を果たすべきではないかという御意見がありました。
 また、その次にありますが、国民生活センターも含めて役割分担というものを考える必要があるといったところでございます。
 それから、2ページ目に移りまして、本日、もうこの辺の議論に入ってきておりますけれども、「(2)消費生活センター・相談窓口の整備を進めていくためには、何らかの設置基準を設けるべきか。国はどのような支援を行うべきか。」というところでございます。ここに掲げております最初の2つの論点は議論の進め方に関する御議論でございまして、基準を設ける、設けない、あるいは財政的な措置を講ずる、講じないという観点から、国としての関与のあり方は強弱あるわけですけれども、どの程度の関与の仕方が望ましいのか、そういう観点での御議論が必要ではないかというのが最初のポツであります。
 それから、その次のポツで書いてございますのは、現実に警察でありますとか、児童相談所、保健所、福祉事務所等、基準なり、財政措置なりを組み合わせた形で施策を行っている例がありますので、そういったものをにらみながら、どのぐらいのものを目指していくのかというような議論をしたらいかがかという御指摘がございました。
 それから、もう少し具体論に入りまして、その次のポツでございますが、消費者がどこにいても同じ水準の消費者行政サービスを受けられるよう、市町村に窓口の設置を義務化することが大事ではないか。独自でできない場合は広域対応もあり得る。国がモデルを示してほしいという意見がございました。
 それから、それとは逆の方向の御意見でございますけれども、相談に関する事務は市町村が創意工夫を凝らして実態に合ったサービスを提供するべきである。こういうものは基準を全国津々浦々張りめぐらす問題ではない。問題は、多くの自治体でこれが重要な分野だと思っていない。それをどう打開するかが一番大きい。
 それから、その次は、今の制度についての問題点の指摘でございますけれども、市町村については消費生活センターは設置は義務付けられておらず、努力義務となっておりますが、センターを設置するためには、相談業務を週4日以上行うという義務付けは本当に必要なのかという御指摘がございました。
 また、国からの支援という意味で言いますと、国民生活センターの役割、研修といったような役割が重要なわけですけれども、そういうものをどうとらえるかという御意見もあったと思います。
 それから「(3)単独でセンターを設置できない小規模の地方公共団体はどのような対応をすべきか。」ということであります。それにつきましては、最初のポツでは、広域的な単位で事業を進めていったらどうかという御指摘がございました。
 それに対して、2つ目のところでは、各市町村に窓口があることをおろそかにすべきではない。市町村がいわゆる総合行政で他の部門との連携を図りながら、相談の掘り起こしでありますとか、情報の伝達といったようなことができる。
 それから、その次にありますのは、連携のやり方として、内部組織の共同設置といったような、いろいろ手法を開発していくことも重要ではないかという御指摘がございました。
 それから、3ページ目に移りまして、いわゆる論点3、7月の専門調査会で取り上げたテーマでありますが、「消費生活相談員制度及び相談員の支援のあり方について」。(1)で挙げておりますのは、相談員にはどのような能力、資質が求められているのかということで、それに関連しましては、最初のポツにありますように、相談者から聴き取り、事業者を説得する、あるいは、そういう個別紛争の解決を超えて違法行為を発見、分析して事業者規制につなげたり、啓発活動を行ったりという総合的な能力が必要であるという御指摘がございました。
 それから、次にありますのは、消費者法というのは非常に頻繁に法律改正が行われておりますので、常にその能力をブラッシュアップする必要があるという御指摘でございます。
 その次にありますのは、弁護士、あるいは司法書士といった専門家のバックアップといいますか、アドバイザーという機能も必要である。そういう方と連携しながら仕事を進める必要があるという御指摘があったかと思います。
 「(2)相談員の多様な働き方に応じて制度的な選択肢を用意すべきではないか。」ということでありますが、非常勤職員という位置づけで多くの方が働いていらっしゃるわけですが、その場合、雇い止めということについては適切ではないということをアピールする必要があるという御指摘がございました。
 それから、現行制度では、任期付短時間勤務職員制度ということで、3年ないし5年の期間働くことができる制度がございますけれども、その制度について、使いづらい点があるので要件緩和を行うべきであるという御指摘がありましたし、この制度そのものが恒常的な業務としての相談員には必ずしもふさわしい制度ではないということで、任期の定めのない短時間勤務職員制度のようなものが必要ではないかという御指摘がございました。
 更に進みまして、イギリスのジョブシェアのような、短時間で働く勤務職員という新しい制度を構築することは可能性としては考えられるけれども、今の制度の根幹に触れるようなものでありますので、ハードルは少し高いという御意見がございました。
 その次には、御提案として、任期の定めのない専門職として相談窓口で働いていけるような制度を考えられないかという御提案がございました。それにつきましては、現状でも専門職の常勤職員として働くことは可能である。ただ、その場合でも、人事管理上の考慮すべき点でありますとか、財政負担とか、いろいろ考慮すべき点はあるという御指摘がございました。
 「(3)非常勤職員制度の中で、専門性や経験を適切に評価し、待遇に反映する仕組が必要ではないか。」に関連しましては、現状でも単価を増やして対応する、専門性を評価して単価を区別していくということも行われているという御指摘がございました。
 また、非常勤職員ということで一律に行うのではなくて、内容を細分化して、経験の有無によって評価するとか、そういう形で処遇改善をするということは、予算措置だけでも可能ではないかという御指摘がございました。
 それから、はっきりした資格が必要ではないか。国家資格というものが必要ではないかというような御指摘もございました。
 それから「(4)相談員の事務のうち、PIO-NETへの相談情報の入力などにより国の情報収集に協力している事務について国が人件費支援を行うことをどう考えるか。」という論点でございますけれども、まず最初にありますのは、現状、PIO-NETに起因する業務というのは非常に時間がかかる。1件当たり平均60分かかるということをよく考えてほしいという御指摘がございました。
 それから、次にありますのは、国がそういう情報を集約して活用する意義がある。この入力を行う作業というのは国の事務の性質を持つということで、更にその次のポツにありますように、国が継続的に負担すべきであるという御意見がございました。
 それに対しまして、第1次分権改革で国の事務、自治体の事務を切り分けたという経緯に照らしまして、現状、自治体の職員として位置づけられている相談員の事務の一部についてだけ国の事務が入り込むというのはそぐわない。
 あるいはその次にございますが、自治事務だけれども、メルクマールに合致すれば、国は義務付けることができる。その上で財政的な支援というものは結びつき得るわけですが、端末での入力行為が即国の事務だということにはならないのではないか。自治体の事務だけれども、国のサポートが受けられるのはどういう事務なのかという切り口の方がいいのではないかという御指摘がございました。
 最後のポツですが、入力事務というのは、強いて挙げれば自治事務ですけれども、システム全体の管理、所有が国民生活センターの中でお手伝いを自主的にやっているということになるのではないか。この事務の性格、自治体にとってのメリットといったものを一度しっかり議論する必要があるのではないかという御指摘がございました。
 次の4は8月の専門調査会で取り上げたテーマでございますが、「地方の消費者行政の充実・強化のための情報の収集・分析及び情報提供のあり方について」ということで、「(1)国、地方を通じた行政内部の情報共有を双方向で進め、的確な相談対応、法執行及び政策の企画立案につなげるべきではないか。」ということでございます。この点については、国、あるいは都道府県がもっと情報を提供すべきであるという趣旨の御意見がございました。
 また、国からの情報の量が地方から出てくる情報の量に照らして、地方が非常に片務的な状況になっていると、そういう状況を解消すべきであるという御指摘もございました。
 次のページに移りまして「(2)PIO-NETの活用範囲が拡大しているが、これに応じて設置の基準についても見直していく必要がないか。」ということであります。当初の役割は相談処理の支援ということにあったわけですが、それが徐々に法執行への活用でありますとか、消費者行政の企画・立案といった方向に拡大している。この方向を承認して、更に促進するということでよいのではないかという意見がありました。
 他方で、その次のポツにありますけれども、2つの意見があるということで、検索だけ行う場合は設置されていないわけですけれども、消費者行政の推進という点からこれを認めるべきか、あるいはPIO-NETの設置は入力等の負担に対する負担ということで考えるべきか、その点、2つの考え方が提示されているということであります。
 その次にありますのは、現状では、PIO-NETについては、4日以上窓口を開設しているところに配備することになっておりますが、そうしますと、3日以内というところが落ちてしまいますので、そういったところの問題をどうとらえるか。
 それから、4日以上開設で基準を満たしているようなところでも未設置のところがある。やはり人的体制という問題を解決しないと、なかなかそこは進まないという御指摘がございました。
 それから、論点5に入りますが、これは先般、9月に行われた専門調査会で取り上げたテーマですけれども、「地方における商品テストのあり方、人材の確保について」であります。「(1)施設、人材面で制約のある地方において、自ら商品テストを行う意義は何か。」ということで、3種類のテストの中で、苦情テストというのが一番重要ではないかという御指摘がございました。
 他方で、その次にありますが、消費者啓発というものも重要であるという御指摘もございました。
 また、その次のポツにございますが、県レベルですべてそろえるというのは非常に非効率的であるという御指摘がございました。
 4つ目でございますが、そもそもこの商品テストは法律、制度で義務付けされたものではない。その点は消防等と異なるので、その上でどういう役割分担をするかという整理が必要ではないか。
 「(2)施設、人材面での制約を考えると、地方公共団体内部の資源の共同活用や地方公共団体間の協力を進める必要があるのではないか。県等を越えてブロックごとに体制を組むことはどうか。」につきましては、最初のポツにありますのは、県の体制がかなり縮小していく中では、共同活用も難しい。ブロックごとに新しく地域の拠点をつくるべきだという御意見がございました。
 他方で、むしろ地方公共団体間の協力を進めて、共同活用というものを図るべきであるという御指摘もございました。
 その関係で、共同活用を図る上で、配置状況のデータベース化でありますとか、自治体相互に利用を認めるルールづくりでありますとか、そういうものが必要であるという御意見もございました。
 また、最後になりますけれども、県の中でも、工業試験場でありますとか、食品加工研究所でありますとか、試験研究施設はあるので、そういうものをもっと有効活用すれば、自治体の中で地域密着型で対応できるのではないか。そのためにどういう連携方策を取るのかということを考えていくべきではないかという御意見がございました。
 あと、資料2-3でございますけれども、これは今あるいろいろな、福祉事務所でありますとか、警察、消防、学校、図書館、児童相談所、労働基準監督署といったものが、国の関与の程度ということで、どのくらいに位置づけられるかということで整理したものでございます。
 例えば、国の直轄事業というところで、労働基準監督署ということになりますけれども、これは国として予算、人員を配分することになっておるわけです。
 地方の事務ということになりますと、次に法定受託事務というところで位置づけられるものがあるわけですが、例えば、福祉事務所につきましては、都道府県、市が必置ということになっておりまして、そこで働く所員の定数については条例で定めるとなっております。現業を行う所員の数につきましては、「標準」として定める数が規定されておりまして、その下にありますように、数字でかなり詳細な基準が定められております。
 財政的なところでは、生活保護に要する経費を国が一部負担することになっております。
 それから、その右の警察でございますけれども、警察は都道府県が必置するとなっておりまして、警察職員の定員につきましては、政令で定める基準に従い、条例で定めるとなっております。ただ、この政令につきましては、都道府県ごとに具体的な人数まで定められておりますので、実際上、条例でそれとは異なるものを定める余地はないような形になっております。
 財政的な措置のところでは、幾つかの経費が国が支弁するということで定められておりますし、都道府県の支弁にかかわる経費についても、国がその一部を補助するという規定がございます。
 それから、消防に関しましては、市町村が消防本部、消防署等を設けなければならないとなっておりまして、定員等につきましては、市町村が目標とすべき消防力の整備指針というものが消防庁の告示という形で示されております。これに基づきまして、管轄区域でありますとか定員を条例で定めることになっております。
 財政措置のところでは、消防施設を購入しようとする市町村にその費用の一部を補助することができるということになっております。
 それから、その下にありますけれども、大規模な災害が起こったような場合に、緊急消防援助隊を派遣するといったことに絡んだ経費については国が負担することになっております。
 学校は飛ばしまして、図書館をご覧いただきますと、公立図書館につきましては、設置について条例で定めなければならないとなっております。設置及び運営に関する基準というものは、望ましい基準というものが定められておりまして、これは極めて定性的な基準でございます。
 それから、財政措置のところでは、図書館法の中に、図書館の施設、設備に要する経費、その他必要な経費の一部を補助することができるという規定がございますが、規定があるだけで、実際には財政措置は行われていないということでございます。
 その次は児童相談所でありますけれども、これにつきましては、都道府県が児童相談所を必置するとなっております。それから、児童相談所には児童福祉司を置かなければならないとなっておりまして、この児童福祉司は、政令の定めるところにより、児童相談所長が定める担当区域により職務を行う。この担当区域につきましては、保護を要する児童の数等を考慮して、人口おおむね5~8万までを標準として定めるものとするという施行令がございます。
 財政措置といたしましては、児童相談所の一時保護施設の部分の運営費については、国が2分の1負担という規定がございます。
 その下の※にありますけれども、平成18年に、それまでは児童相談所に要する経費というものが地方財政法の中にございましたけれども、それが削除されております。
 それから、最後の資料2-5でございますが、生活情報体制整備等交付金というものが平成16年度までございまして、PIO-NET関係の経費について、国民生活センターの予算と、内閣府から都道府県等への交付金がございました。その当時は、データベース、あるいはメインフレームについては国民生活センターの予算で行い、地方に置かれる端末関係の経費は内閣府から交付金を出していたという形でございますけれども、これが三位一体の改革の中で、六団体から、これはむしろ廃止ということで提案されまして、その結果、情報システムの施設整備は国の責務であるという位置づけになりまして、地方に置かれる端末も含めて国民生活センター予算に計上された。この入力については都道府県等が協力するということで、交付金は廃止されたということになっております。この当時はこういう整理で、端末の整備、ハードの整備までは国の責任として行う、その端末に入力するところについては都道府県等が協力するという整理が行われたという経緯がございます。
 私の方はこれで。

≪4.地方消費者行政推進本部 制度ワーキング・グループの報告(消費者庁)≫

○稲継座長 ありがとうございました。
 続きまして、消費者庁の林地方協力課長から、消費者庁で設置されている地方消費者行政推進本部の制度ワーキング・グループの検討状況について御報告いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○林地方協力課長 それでは、御報告をさせていただきたいと思います。お配りをしてある資料の中では、資料7で「地方消費者行政に関する制度的課題の整理について」という紙を出させていただきました。
 最初のIは、今ほど事務局の方からも御説明ありましたけれども、地方消費者行政をめぐります事務の位置づけ、それから、財政的な支援の流れというものを大まかに整理させていただきました。
 地方消費者行政につきましては、昭和44年に、当時、地方自治法に固有事務として位置づけられました。その当時は消費者保護という規定でございました。地方自治法は、この当時は事務の例示規定というのを持っておりまして、その中に明記をされております。当時は都道府県と市町村の事務を書き分けておりまして、広域的な事務としてというよりは、むしろ地方公共団体の一般的な事務としてこれは書かれております。ですから、当時は、恐らくですけれども、市町村が標準的に実施すべき事務として書かれたものと思います。
 その後、平成12年に、最初の地方分権改革のときですが、地方自治法の抜本改正がございまして、事務の例示規定というのを廃止いたしました。なので、この消費者行政も含めて、基本的には法定受託事務以外の公共団体が行っている事務については自治事務ということで整理をされております。
 その後の動きといたしまして、消費者安全法ができまして、「消費者保護」という文言で規定をされていた地方消費者行政の内容について、消費者安全確保のための中核事務という位置づけで、苦情相談等の事務、相談あっせん、情報提供といったことが規定をされております。
 その上で、こうした消費者行政を行っていく上での拠点として消費生活センターが法律上位置づけられました。その際には、都道府県、市町村という広域的な地方公共団体と、基礎的な地方公共団体の役割について書き分けがありまして、広域的な相談対応については基本的には県が実施する。その上でセンターの設置については、都道府県は義務付けという整理がなされております。そのほかに、都道府県は、これは安全法でということではありませんけれども、個別法の執行という事務が実際には行われているということです。
 市町村については、身近な相談対応が基本的な事務として書かれておりまして、センターの設置については努力義務という整理がされています。
 次いで、財政支援制度についてでございますけれども、昭和42年度から地方交付税の基準財政需要の中に算定基礎として消費者行政経費が算入されております。
 その後、大まかな流れとして言いますと、交付税措置がなされた後、センターの設置のための、特に県を中心とした特定目的の補助金、あるいは交付金というものが措置されておりましたけれども、先ほども事務局の方から御説明ありましたように、三位一体改革の流れの中で、これは税源移譲ではなく、廃止という形で平成17年度に整理をされたということでございます。
 その後、消費者庁創設の時期に合わせまして、集中育成・強化期間という形で、3年間を原則として、抜本的に強化をするための財政資金として基金の造成が行われました。当時は、消費生活相談員の方の交付税を算定する上での基礎となる額が非常に低かったということも問題になりましたので、算定基礎額を上げて、消費者行政に充当すべき額の総額も倍増するといった形で交付税措置の増額が行われております。併せて、地方向けの基金と同時に国民生活センターにも基金を創設いたしまして、この集中育成・強化期間中の地方消費者行政の支援への一環として、この基金が設けられております。
 その上で「II.現状と課題」というところに進ませていただきたいと思います。基本的には、平成21年4月1日時点の実態の数字を中心に記載をさせていただきました。
 まず、消費者行政の本課について見ますと、都道府県クラスでも係というのが大半で、課・室をきちっと設けているというのは必ずしも多くない。市町村になりますと、専管の部署というのはむしろ少数ということでございます。
 消費生活センターにつきましても、この基金も1つの契機となって増えてきていることは事実でございます。法令上の消費生活センターは501まで伸びてきましたが、人口3万人以下の財政規模の小さい市町村で見ますと、設置はまだ1割未満という数字にとどまっております。
 それから、法令上の消費生活センターの要件を満たせないけれども、窓口を開いていますという相談窓口については、これもいろいろと努力をいただいて増やしていただいてはいるんですけれども、全市町村の23%に当たります413の市町村ではまだ設置がされていない。私どもの認識としては、こういった窓口を設置されていないところは、実際には予算がゼロという自治体も同じぐらいの数がありますけれども、事実上、消費者行政というのが実態として行われていないということなのだろうと受け止めております。
 それから、後先になりますけれども、消費者行政本課について、これはセンターにいらっしゃる方も含めてですが、行政職員の配置を見ますと、平成10年~平成20年までの間で、地方公共団体の職員の定数管理がこの間、非常に厳しく行われておりましたので、全体でも1割以上減っておるわけですが、特に消費者行政の職員はおよそ半減をしている。約1万人から5,000人強へと減少するといった形で、非常にしわが寄せられた形になっているということがデータとしてわかります。
 また、配置をされている職員の方の状況を見ますと、やはり兼務職員が非常に多くて、特に市町村では9割近くが兼務職員というのが現状でございます。
 それから、消費生活相談員の方の処遇の問題でございますけれども、先ほども多くの委員の方から御指摘ありましたけれども、任用形態としては非常勤職員というのが大半で、常勤職員は3%ということになっております。
 それから、問題として指摘をされております雇い止めについても、特に都道府県では3割以上で雇い止めがあるという実態がございます。
 それから、処遇改善を図っていく上で、消費生活相談員と質的には異なりますけれども、同じような非常勤で相談等の業務を行っていただいている方が都道府県、市町村にはございまして、そういう方たちとの並びというのも、これは制度上の問題というよりは実態上の問題として意識をされていることが、引き上げることの心理的な阻害要因になっているということもあると思います。
 それから、3番目は、この消費者委員会で御議論いただいているもともとの出発点でもございますけれども、消費者庁関連法の審議をしていただいたときにいただいております附帯決議、特に設置法の附則などでもいろいろ検討すべきという事項をいただいておりまして、2つ目のポツにその概要を書いてございますけれども、センターの法制上の位置づけ、それから、適正な配置及び人員の確保、相談員の待遇の改善といったことについて、国が行う支援のあり方を検討すべきだという宿題をいただいているということでございます。
 こうした上で、個別の論点に入ります前に、私ども消費者庁の中で議論をしていく上で、まず基本的な考え方について整理をさせていただいたものがIIIでございます。先ほど沼尾先生からもいろいろ財政上の課題を御指摘いただきました。先ほど自治法上の整理を御説明いたしましたが、地方消費者行政については、自治事務であるということもあって、基本は地方自治ということが押さえておくべき点なのではないか。そういう意味では、地方公共団体の、特に首長ということになろうかと思いますけれども、判断の下で人員、予算を確保していただいて取り組んでいただくというのがまずはベースだろうと。
 ただ、そのときに、これも沼尾先生の御指摘と共通するところではあるのですが、実際に消費者行政が行われている実態、体制を見ますと、特に市町村では、かなり人口のある市町村でも、担当職員は非常にいろんな仕事を兼ねてやっているというのが実際の問題としてありまして、それと同時に、今の消費者問題が、福祉の問題、環境の問題、あるいは金融的な問題とか、いろいろなこととのつながりが出てきているので、消費者行政自体が横串であることの証でもあると思うのですけれども、そういったことから考えますと、消費者行政担当部署、実際には、先ほども御説明しましたように、専管の部署というのはまだまだ少数にとどまっているわけですが、これにこだわっていると、なかなか進まないのではないかという思いもありまして、福祉とか、教育とか、環境といった、親和性のある、関連の部署というものについて、消費者問題について目を向けていただくという取組がやはり必要なのではないか。そうした関連の部署の方たちと連携をして取り組んでいただくことによって、消費者行政というのはいろんな切り口、取組というのがございますので、全体としての総合力を上げていくことが重要なのではないかというのが1点目でございます。
 それから、2点目は、これも委員の方からいろいろ御指摘をいただいておりますが、今、地方で行っていただいている事務のうち、ある部分については国の行政の一端を担っていただいているという性格があるのではないか。消費者庁ができまして、消費者安全法などもできまして、今まで、特にPIO-NETの利用の仕方、活用のされ方がどうだったのか、そこに従前従後で変化はないのかという問題意識でもあるのですが、消費者庁が創設されました後、PIO-NET情報というのは、実際に注意喚起の源にもなっていますし、これが法執行の助けにもなっている。
 そういう意味では、国がPIO-NETを活用して消費者行政を執行していくという面で見ますと、従前、国民生活局自体には法執行権限がそもそもなかったということもあって、主は相談業務の支援で、特に地方公共団体間の情報共有というところが強かったと思うのですけれども、ダイレクトにPIO-NETに蓄積されているデータを国が使う、国の仕事の助けになっているという性格は、消費者庁創設がされた後、より強くなっているということではないか。そういう意味で、このPIO-NETに日々入力をしていただいている事務の性格というのも、従来と少し変質をしてきているのではないか。その意味で、情報一元化の根幹と書かせていただいたのですが、そういう視点で、この事務の位置づけとか、国の負担のあり方ということも改めて整理が必要なのではないかというのが2つ目でございます。

○稲継座長 すみません。時間の関係がありますので、簡潔にお願いします。

○林地方協力課長 わかりました。
 3点目は、地方公共団体の果たすべき事務の明確化ということでございますけれども、現在は、消費者安全法で苦情相談、あっせん、情報収集・提供等が明記されておりますが、消費者教育といったような分野も改めて明記する必要があるのではないかということでございます。
 4点目は、相談員の方たちに求められる役割・能力ということですけれども、実は、相談員の方たちは法律上明記されていないものですから、どういう事務を実際に担っていただいて、それに照らしてどういう能力が必要なのかということをもう少し明らかにする必要があるのではないかということでございます。
 次のページに行っていただいて、2つ目のポツですけれども、同じことですけれども、今、明確な規定がないものですから、市町村も含めた地方公共団体の事務には、実は既にあっせんというのも明記をされています。これを実態として相談員の方たちが担っていただいているということから考えて、それに見合う能力は何なのかといった検討も必要ではないかということでございます。
 IVは、これまで、この委員会の場でも、あるいは附帯決議の中でもいろいろ指摘をいただいている課題といったものにどう対応していくかということでございます。苦情相談などに対応する消費者行政の推進体制の問題、それから、消費生活相談員の方の処遇の問題、最後に3点目として国の支援の問題、3つに大きく分けて整理をさせていただきました。
 1点目の体制の問題については、すべての市町村で少なくとも相談などに応じられるような体制整備が必要ではないかということでございます。その際には、小さな市町村もあるということを考えますと、他の部局との連携も含めて、市町村の中でも複合的な相談体制を検討していく必要があるのではないか。更に、単独で相談員を置いていただいたり、センターを置くことが困難な場合には、複数の市町村で連携をして共同設置といったことも必要だと思いますので、こういった取組を国としても積極的に御紹介をしていくことも必要なのではないか。
 それから(2)ですが、多様な主体の「参加」と「連携」によるネットワークの形成。先ほど基本的な認識の最初で申し上げたように、いろいろな部局の方に問題意識を持っていただくためには、住民、市民という意味でも、多様な主体の方たちと連携をしていく必要があるであろう。協議会とかネットワークといったものを地方レベルでつくっていただく取組を進めていただいておりますけれども、民生委員とかケアマネージャーといったような、日々活動していただいている方たちとの連携を進めていく上では、こういう取組事例も紹介をしていく必要があるのではないか。
 それから、3点目は「消費生活センター」の設置、あるいは相談員の配置について、どういうふうに考えるかということです。論点として、設置基準、配置基準といったこともございますけれども、今の地域主権改革の流れを見ますと、こうした義務付け、枠付け、これは非常に特殊な用語ですけれども、配置基準や設置基準などを法令でもって義務付けるという形の義務付け、枠付けについては、基本的な方向は縮小の方向でございますので、どういう形で持つのかということは慎重に検討すべきではないか。余り強制的なものにならないように配慮をする必要があるのではないかということです。先ほど事務局の方から御紹介いただきました児童相談所なども、既に2次勧告では一部見直しということで勧告を受けています。それから、教員についての標準法も、既に地方分権改革推進計画の中では見直すという方向になっております。なので、実は参考とすべき事例がどんどん減っていくというのが実態ですので、ここは少し慎重に考える必要があるのではないかと思います。
 それから、2点目の相談員の処遇の問題ですが、まずは相談員の方に何をやっていただくのかという意味では、今、相談員というのが一言だけ消費者安全法の中にも入っているのですけれども、役割ということも含めて、もう少し法令上の明記ということが必要なのではないか。
 繰り返しになりますけれども、その上であっせんなども、要するに、法的なトラブルの解決というのを中に入ってやっていただいているという実態を考えますと、それに見合った能力を評価する仕組、例えば、資格といったことも含めて考える必要があるのではないか。
 それから、雇い止めについては、こういう状況があるということについては、やはり経験年数が必要で、スキルアップをしていかなければいけないという意味では、一定年限で切られてしまうというのは非常にもったいないことでもあるし、問題だということだと思うんです。しかしながら、実は、これは制度が何かを邪魔しているという問題でもないので、結局、意識を高めていっていただいて、任用形態、採用形態の問題として、こういうことをなくしていくことを、公共団体に意識を高めていただくためには、むしろ雇い止めをやらないことによって相談員の能力が高まっている、実質的に消費生活相談の質が高まるということを知らしめていくことがまずは必要なのではないか。そういう意味で、事例を紹介したりということがまずは必要なのだろうと思います。
 その上で、事務局の方の論点整理の中にもありました任期のない短時間勤務職員制度ということも、これは実は地方公務員制度の根っこにかかわる問題ですので、私どもだけでは手が出ない問題でもあるのですけれども、こういう検討を求めていくことも場合によっては必要なのではないかということで、論点として挙げさせていただいております。
 最後に、国の支援のあり方でございますけれども、1つ目は、先ほどもざっと申し上げましたように、これまでの流れがあります。従前、消費生活センターの設置を促進するという意味で、補助金だったり、交付金だったりということをやってまいりました。その後、PIO-NETの入力事務、カードに記載をして、別の方がパンチャーとして入力をするという実態に照らして、謝金として出していたという時期があるわけですけれども、一旦、三位一体改革の過程で整理がされておりますので、その上で今後の財政支援はどういう切り口だったら得られるかというのを書かせていただきました。
 (2)のPIO-NETの入力事務というのは、やはり少し注目すべき事務なのではないかということでございます。その上で、これについては位置づけを明らかにした上で経費負担のあり方について検討することが必要なのではないか。それ以外の消費者行政に係る事務については、自治事務として整理をされておりますので、むしろ交付税以外の財政支援措置を考えるとすると、今、議論の俎上に乗っています一括交付金、これは投資的な経費だけを対象にしておりますけれども、これの使い道として、消費者行政にも活用ができるような方向で検討を求めていくことが、今、取り得る手段なのではないかということで整理をさせていただきました。お時間を取りましてすみません。以上でございます。

○稲継座長 どうもありがとうございました。
 それでは、今の御説明、御報告に対しまして、御質問や御意見のある方は御発言をお願いします。
 なお、なるべく多くの方に御発言いただきたいと思いますので、御発言は簡潔にお願いしたいと思います。圓山委員、お願いします。

○圓山委員 時間もありますので、2つだけ、簡単に。
 1つ目はお願いですが、資料2-3の一覧表が大変よくできておりますので、是非もう1項目、保健所を入れていただければありがたいと思います。
 2つ目は、全体の流れに関することで、いつも「今後のスケジュール」というのが議題に出ています。時間切れで取り上げられなくて、今日もその危険性がありますので最初に言ってしまいますけれども、このスケジュールで報告書をまとめるのは無理ではないかと思います。
 今、委員会事務局から御報告のあった「論点」も、今までの発言が羅列的に載っているだけで、方向性が違うものがたくさん混じっているわけです。今は「論点出し」の段階で、討論が今までなかった。委員同士の討論の機会を是非設けていただいて、それは来年3月の期限というのは別にこだわらなくてもいいと思いますので、半年ぐらい延長してでも、もう一巡、是非審議をやっていただきたいというお願いでございます。以上です。

○稲継座長 後者の方は、事務局、どうですか。

○齋藤審議官 まず、期限の方は、消費者基本計画の中にも、この専門調査会で検討が求められている事項について、相談員の処遇でありますとか、消費生活センターの配置の問題でありますとか、そういう問題については、来年の3月末までに何らか検討結果を出すことが求められておりますので、期限を延ばすことは無理だろうと思います。ですから、これからの運営の仕方等々について、皆様方、大変御多忙な方ばかりでいらっしゃいますので、回数を増やすのがいいのかどうか、ちょっとわかりませんけれども、何らか工夫をして、いいまとめ方ができるように、また座長とも御相談していきたいと思います。

○稲継座長 どうぞ。

○山口委員 私は正直言って、それほど難しくないのではないかと思うのです。というのは、確かに両論併記的な意見がたくさん出ていますが、先ほど消費者庁の担当からもお話がありましたけれども、一応、方向は提示されているんです。消費者庁及び消費者委員会設置法の附則で、政府は消費者庁関連三法の施行後3年以内に消費生活センターの法制上の位置づけ並びにその適正な配置及び人員の確保、消費生活相談員の待遇の改善その他の地方公共団体の消費者政策の実施に関し国が行う支援のあり方について、法改正を含む全般的な検討を加えて必要な措置を講ずると、こういう方向が出ておりまして、その方向でどうとりまとめるかということですから、事務局の方で論点をまとめたものを、一定の方向にどう説得力をもって位置づけるかということではないか。附則で方針が出されていますので、私は最大の課題は先ほど沼尾先生がおっしゃったような、必要性といいますか、片山前座長が繰り返しお話しになっていた立法事実といいますか、そこら辺をどう具体的に出して、理論的に裏づけをして、今、附則で出されているような方向づけをするかというところだと思います。 その意味では、斎藤先生から後で御発言あるかと思うんですが、方向が出ておりまして、地方分権改革推進委員会の方でも一定の方向が出されていますので、とりまとめについては、実態をより具体的に調査することを踏まえた上で方向を出していただければと思います。

○稲継座長 斎藤委員、今、ありましたので。

○斎藤委員 では、多少関連しますので。長々としゃべるつもりはありません。相談窓口やセンターの義務付けという論点で、全体としての義務付けの緩和であるとか、必置規制はやめていきましょうという方向の中で、消費者行政について、それだけは特別ではないかということで、今回出された意見や、以前の議論でも、分権改革推進委員会自体がそういうことを認めているではないかというので、いわばその証拠として持ち出されるのが、今日、席上配付していただいた、この文章です。第1次勧告の、右上に鉛筆書きでタイトルを書いた、左側のページです。
 これは、アンダーライン引いたのは私ですけれども、消費生活センターについて明確に位置づけ、その設置を促進する、協力する意思のある地方自治体の取組に対し、思い切った支援措置を行うべきであるという結論になっている。この原案を提案なさった西尾座長代理の提案における説明を見ますと、この部分では、促す、協力する意思のある自治体の取組に対して支援するというのは、これは義務付けはしないという趣旨ですよという説明をしておられる。この部分については原案がそのまま残っていますから、そこは客観的な事実として押さえておいていただきたい。つまり、法律上、そういう設置を義務付けるということは望ましくないということがあった上で、こういう文章になっているということです。
 現在においてどう考えるかというと、前回の分権推進計画の必置規制抑制の方向性、それから、今回の義務枠の見直しの方向性、これは消費者庁の事務局の方も先ほどおっしゃいましたけれども、それがありますので、ハードな義務付けというのは、先ほど圓山委員が引用なさった表の上で言えば、下の方に、下の方にと行くのは、かなり難しい面があるのではないかというのが1点です。
 それから、そうは言ってもPIO-NETの入力は違うのではないかという意見がありますが、ただ、この点についても、では、PIO-NETの入力のところだけ違う事務に位置づけて、そこについていろんな国が指示をすると、財政的な支援は来るかもしれませんけれども、その部分についていろいろ国から指示が来るということになりますと、この会合でもるるPIO-NETの入力が大変だと、形式的だということは指摘されてきましたから、むしろそういう部分に手を取られるところが増えてしまうのではないかということがあります。その辺は留意しながら今後議論する必要があるのではないかと考えます。
 それですと、おまえは消費者行政の特性を何も認めないのかとおっしゃるかもしれませんが、そうではありませんので、例えば、非常勤職員の処遇について、最近、最高裁がかなり厳しい判断、非常勤職員に賞与を出してはいけないとか、下級審でも、非常勤職員にこういう処遇をするのは違法だという判決が出ていますが、他方でそれは実態に即してやってください、実態に即して判断すればできる部分もありますよと言っているのですから、そういった判例の余地を認めた部分も踏まえながら、非常勤職員の処遇については提言していくべきではないかと考えます。ちょっと長くなりました。

○稲継座長 ありがとうございます。国府委員。

○国府委員 私は資料3ということで発言メモを提出しておりますが、これは今、斎藤先生が言われた消費生活センターの設置の義務付けということに関連して私の見解を、十分な発言時間がないだろうということで、書面にして提出させていただきました。
 結論から言うと、消費者安全法ができて、都道府県の消費生活センターは設置が義務付けされたんですが、市町村については努力義務にとどまっております。だけれども、やはり市町村についても設置を義務付ける。その代わり、零細で小規模な市町村については、単独では設置が困難でしょうから、広域連合なりいろんなメニュー、手法を用意して、それぞれが実情に応じて消費生活センターを設置できるようなものを我々としては提案していくべきではないかという考え方です。
 義務付けについては、地方分権推進との兼ね合いから非常に難しいという議論が出ているのは承知しておりまして、今の斎藤先生の御意見もそういうことであろうと思っております。ただ、他の分野と違って、消費者行政の分野というのは、昨年初めて消費生活センターが法律上規定されました。沼尾先生の今日のお話にもあったように、行政の職員の中では、消費者行政の位置づけが非常に低いというのは、消費者行政については法律上何らの根拠もない行政であったという歴史的な要因が大きく起因していると思います。
 そういう意味で、消費者行政というのは、他の分野と比べまして周回遅れの行政分野であると思います。ですから、他の分野は今、第1ステップを終えて、第2ステップで各地方の独自の取組をこれから進めていこうという段階ですが、消費者行政はまだその第1ステップすら到達できていないという意味で、最低限の嵩上げをやる必要があるんだということで、地方分権推進の議論の中で何とか矛盾しないで合理的に納得していただけるような方向を我々としては是非考えていくべきではないかと思います。

○稲継座長 では、馬場委員。

○馬場委員 先ほどの委員会としての報告のまとめですが、方向性はまとまると思うのですが、どこまで踏み込むかだと思っているんです。先ほど斎藤委員がおっしゃられた、例えば、PIO-NETの入力1つにしましても、60分かかっていれば、100万件あれば100万時間/人必要なわけでして、そういうやり方が本当にいいのかどうかというところまで踏み込んで、ロー・コスト・オペレーションを行いながら、なおかつ実効性を上げるためには、どこまで見直してもらう必要があるかというところを委員会として私は提出すべきではないかと思っております。ですから、圓山委員がおっしゃられたように、時間はないのですが、何らかの方法で皆さんの意見を集約する、もう少し踏み込むということが必要になっていると思いました。

○稲継座長 では、池本オブザーバー。

○池本弁護士 時間がありませんので、私の意見については資料5をお配りしているのですが、このレジュメの意図は、今日、議論がありましたように、政府全体の大きな流れとして、地方自治体に対して義務付け、枠付けをできるだけ廃止しよう、あるいは特定政策への財源措置というのはやめて自由度をもたらそうという中で、これまで、例えば、第10条による特定財源はどうかという議論があったのですが、もう一度、その義務付けということも考えていただく必要があるのではないか。
 特にレジュメの2ページの上から2番目「消費者の立場から」というところに書いてあるのですが、現在、消費者安全法で、都道府県に対して義務付けている中身も、実は相談窓口を週4日以上開設すること、消費生活相談員を配置すること、PIO-NETを配備すること、この程度なのです。人口何人に何人置けとか、細々した基準はほとんどないのです。その意味では、最小限のものとして義務付けておくことは必要ではないか。なぜそうかということについては、るる書いてあるのですが、むしろ今日の議論との兼ね合いで言いますと、なぜ必要なのかということについては、やはり地域の実態をもう一回確認する必要があると思うのです。
 実は、次回の議論にも関連すると思うのですが、法執行との関係で、例えば、埼玉県では、一方では全市町村に4日以上の窓口を開いてくれということを働きかけながら、他方では、県のセンターでは主任相談員というのを置いて、高い水準での解決を目指す。それから、法執行の部門に情報が伝わるように工夫する。そういうことに加えて、法執行の担当者を増やして、全国でも指折りの法執行を強化しているという流れをつくっていることがあります。勿論、埼玉がモデルケースとまで言えるかどうかわかりませんが、地域のそういう取組と、何が足りないのかというところを実態に即して議論する必要があるのではないかと思います。以上です。

○稲継座長 ほかに。どうぞ。

○山口委員 その点で、実際に基金によって消費生活センターが新しく設けられた自治体が幾つもあると思うのです。今、埼玉県の話が出ましたけれども、ほかの県で新設してどうだったのか、そこら辺を早急に事務局で調べるなり、あるいは消費者庁でデータがあるなら出していただくなりして、新設して、余り役に立っていないのか、それとも多少とも、あるいはかなり市民の評価が高いのか、そこら辺、実態を報告していただければと思うのです。

○稲継座長 それは事務局の方でまたよろしくお願いします。どうぞ。

○林地方協力課長 座長、1点だけ補足させていただいてよろしいでしょうか。

≪5.岡崎内閣府特命担当大臣挨拶≫

○稲継座長 すみません。御説明の途中ですが、岡崎内閣府特命担当大臣がお越しになりましたので、ここで御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○岡崎大臣 ありがとうございます。皆さん、こんにちは。先月、消費者担当大臣を拝命いたしました岡崎トミ子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 消費者にかかわるさまざまな問題は、地方の現場で発生しているものでございまして、地方消費者行政が大変重要であるというふうに認識をいたしております。消費者庁及び消費者委員会設置法の附則や、国会の附帯決議を踏まえて、本専門調査会では4月以降、地方消費者行政のあり方や、集中育成・強化期間後における国における支援のあり方等について、積極的かつ精力的に御議論いただいておりまして、委員の皆様の日ごろからの御尽力に感謝を申し上げたいと思います。
 本専門調査会が議論しておりますテーマは多岐にわたるものでありまして、国会でも長時間議論されたほか、地方公共団体や消費者団体等からの関心も大変高いものと認識をいたしております。本日は過去6回の専門調査会において御議論いただいた、その審議内容につきまして中間整理を行うと聞いております。委員の皆様におかれましては、今後のとりまとめに向けて、引き続き地方の消費者行政の充実・強化に向けた諸課題に向けて、幅広く専門的な御知見を活かして精力的に御審議いただきますように、よろしくお願いをいたします。
 消費者担当大臣といたしましては、御審議くださいました皆さんの御意見をしっかり踏まえて、これからの地方消費者行政にしっかりと活かしていくために、私も頑張りたいと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○稲継座長 ありがとうございました。岡崎大臣におかれましては、ここで退席されます。お忙しいところ、誠にありがとうございました。

(大臣退席)
○稲継座長 御発言の途中、失礼いたしました。どうぞお続けください。

 

○林地方協力課長 今日お配りした資料の性格のことなのですけれども、今回、中間整理ということで、ワーキング・グループとしてこの資料をお出しさせていただきましたが、実はまだ地方消費者行政推進本部というところでオーソライズされたものではなくて、あくまでも中間的な整理ということですので、その前提で御理解をいただければと思います。また、消費者庁は消費者庁としても議論を深めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

○稲継座長 ありがとうございました。では、斎藤委員。

○斎藤委員 先ほどの国府委員の意見、それから、池本さんの参考意見の中で、消費者行政は別だということの論理づけとして、第1ステップであると。それから、そもそも権限移譲すべきものがないということが主張されましたが、それはやや前提が極端で、先ほどの推進委の第1次勧告の私が括弧書きをつけた次のところで、確かに消費者庁ができたのは去年ですが、それまで束のように各省庁が持っていた消費者行政に関する権限というのはあるのですから、ここの勧告ではそういったものを都道府県に移譲するということを述べている。それから、次回のテーマにもかかわりますが、地方の執行権限の強化ということを言っています。中央が持っている、明け渡すべき権限がゼロだから、これから義務付けを構築しなければいけないというのはやや極端な議論だと思います。それだけ指摘させていただきます。

○稲継座長 どうもありがとうございます。ほかに御意見等ありますでしょうか。国府委員。

○国府委員 今日は中間とりまとめということなんですが、何がどうとりまとめられて、これがどういうふうに扱われる予定なのか、ちょっとよくわからないので、事務局から御説明を伺いたいんです。

○稲継座長 お願いします。

○齋藤審議官 「とりまとめ」という言葉の持つ意味がまた多様かと思いますけれども、いわば中間点の報告ということで、実は、この後、11月12日に消費者委員会がございますけれども、その消費者委員会に、これまで、こういう議論が行われましたということを座長から報告していただきたいと考えております。ですから、何かとりまとまったとかいうことではなくて、いわば中間的に、議論の状況はこうなっておりますということを報告すると、今日はそのための御議論をいただいたということかと思います。

○稲継座長 よろしいですか。ほかにございませんでしょうか。
 どうもありがとうございました。いろんな御意見が出されました。本日の議論を整理して、今後の検討に活かしていきたいと思います。
 それから、今、事務局からも説明がありましたが、11月12日の親委員会に今の検討状況について私の方から御報告させていただきます。

≪6.閉会≫

○稲継座長 本日の議題は以上でございます。最後に、事務局から次回日程について発言があるとのことですので、お願いいたします。

○原事務局長 ありがとうございました。今後のスケジュールは資料6でお付けしておりまして、次回は11月30日火曜日の10時からということで、地方自治体による法執行のあり方について審議をお願いしたいと思っております。
 それから、今、齋藤審議官から御報告をいたしましたけれども、11月12日金曜日の消費者委員会において、この地方消費者行政専門調査会の検討状況について、座長から御報告をいただいて、進め方も含めて議論をしたいと考えております。事務局からは以上です。

○稲継座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをどうもありがとうございました。

(以上)