第2回 地方消費者行政専門調査会 議事録

最新情報

日時

2010年5月20日(木)14:00~16:15

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【専門委員】
 片山座長、稲継座長代理、奥山委員、国府委員、菅委員、田中委員、
 沼尾委員、野口委員、馬場委員、圓山委員、矢野委員、山下委員
【担当委員】
 池田委員、佐野委員、下谷内委員、日和佐委員
【オブザーバー】
 池本弁護士
【説明者】
 消費者庁 甘利地方協力室長
【消費者委員会事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.地方消費者行政の現状と課題について
3.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:63KB)
【資料1】 仙台市の消費者行政について(奥山委員提出資料) (PDF形式:199KB)
【資料2】 相談現場から見た地方消費者行政の実態について(菅委員提出資料) (PDF形式:79KB)
【資料3-1】 消費者行政関係予算(消費者庁提出資料) (PDF形式:30KB)
【資料3-2】 都道府県別の「基金」造成額及び平成21年度の取崩額(消費者庁提出資料) (PDF形式:61KB)
【資料3-3】 消費者庁設置以降の都道府県における推進体制の充実・強化の動向(消費者庁提出資料) (PDF形式:63KB)
【資料3-4】 「消費者行政推進本部」の設置及び地域の消費者団体等のネットワーク形成状況(消費者庁提出資料) (PDF形式:92KB)
【資料3-5】 各地方自治体における具体例(消費者庁提出資料) (PDF形式:106KB)
【資料3-6】 地方消費者行政活性化交付金(21年度補正予算)措置時の考え方(消費者庁提出資料) (PDF形式:119KB)
【資料4-1】 地方消費者行政の実態調査報告書 (PDF形式:392KB)
【資料4-2】 地方消費者行政における現場の声 (PDF形式:290KB)


≪1.開 会≫

○原事務局長 それでは、始めたいと思います。
 本日は皆様お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会 地方消費者行政専門調査会」の第2回の会合を開催いたします。
 本日は所用により、専門委員の斎藤委員、担当委員の櫻井委員と山口委員が御欠席です。沼尾委員が15分ぐらい遅れるということで御連絡をいただいております。
 それでは、議事に入る前に配付資料の確認をさせていただきたいと思いますが、配付一覧の1枚紙を付けております。
 資料1、2、それから、3に関連するものが枝番で6番まで。
 資料4として枝番で2番までで、今日冒頭に御説明を差し上げる御報告のための資料として付けさせていただいております。もしも議論の途中で不足の資料等がございましたら、事務局まで申し出ていただけたらと思います。
 それでは、片山座長、どうぞよろしくお願いいたします。

○片山座長 それでは、議事に入ります前に、前回御欠席をされておられました消費者委員会の担当委員であります池田委員から、簡単に自己紹介をお願いします。

○池田委員 池田でございます。アサヒビールの相談役をやっております。前回ちょうど海外に出張しておりまして出席できませんでした。大変申し訳なく思っています。
 私は経団連と経済同友会で地方の活性化ということで、道州制の推進の仕事をしておりますので、この地方消費者行政というのは行政そのものではないかということで、非常に関心を持っておりますので、是非できるだけ皆様と一緒に検討をしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

≪2.地方消費者行政の現状と課題について≫

○片山座長 ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと思います。
 今日は「地方消費者行政の現状と課題について」を議題として取り上げたいと思います。前回、地方消費者行政に関して国の側で用意された法制度でありますとか、予算の枠組みなどやりましたけれども、地方の消費者行政はどういうふうに動いてきているのかを今回は議論したいと思います。
 そこで、まず専門委員の皆様の中で消費者行政の実務に携わっておられる奥山委員と菅委員から、昨年9月に消費者庁と消費者委員会が設置されてからの現場での消費者行政の変化について御説明をいただきたいと思います。
 その後、消費者庁から地方消費者行政の予算、人員、組織などの現状や変化などを御説明いただき、消費者委員会事務局から昨年10~11月にかけて行いました実態調査について、それぞれ御説明いただきたいと思います。質問や御意見は以上の説明が終わってから一括してお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 最初に、仙台市における消費者行政の変化について、奥山委員から御説明をお願いしたいと思います。

○奥山委員 仙台市の奥山でございます。今日は説明をさせていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。お手元の資料に従いまして、お話をさせていただきたいと思います。
 今日のお話の根幹は、昨年9月以降何が変わったか、また、変わらないものは何か、どのような課題があるかというところなのでございますが、誠に恐縮でございますけれども、仙台市の消費者行政の9月以前のところ、1960年代から実は仙台市の消費者行政がスタートしているのですが、年代的な傾向を振り返った上で今そこに何が付け加わり、逆に何がこの間停滞してきたかということの話になりますものですから、前段は少し御報告になりますことをお許しいただきたいと存じます。
 1番目は消費者をめぐる課題と仙台市の対応をまとめた表に関連してでございますけれども、仙台市は比較的早くから市民の皆様と消費者行政に取り組んできたと考えております。これまでの推移と取り組んでいる事業などについて、消費者行政活性化基金の活用例なども含めて御報告をしながら、宮城県内の状況なども併せまして、課題として考えていることについてお話をさせていただきたいと思います。
 1960年代には高度経済成長に伴って物価が上昇するということがありました一方、砒素ミルク事件等の大きな消費者被害が発生したものでございます。仙台市ではこの時期は主婦連合会などの消費者団体が7~8つほどの形で、それぞれ1つずつは小さいのですが、複数の団体が活動しておりまして、市への働きかけ等もありまして生活相談の窓口を設けますとか、食品の価格や表示などの消費生活に関する調査を始めるなど、いわゆる消費者行政のはしりの事業を始めたところでございます。
 1970年代にはオイルショックを契機に物価の高騰、物不足が起き、消費者の物価高への不安、品質表示、特に石油製品の中での合成洗剤などに対する関心が高まったところでございました。こうした機運を受けまして、市では「仙台市民の消費生活をまもる条例」を制定いたしました。ある意味では仙台市内における消費生活に関する運動というものが非常に高まりましたのは、この条例制定に向けて高まったということがかつてございました。
 「灯油ダイヤル」の設置や、消費者協会というのはさきに述べました7つの消費者団体が合体する形で、より大きな力を発揮しようということで仙台市に設置された団体でございますけれども、そうした消費者協会と連携しながら、地域食品の表示基準を定めるといった対策を行ってまいりました。ここで言う地域食品というのは、例えば豆腐のような非常に地域限定的に流通していた商品についての表示に関するものでございました。
 1980年代になりますと、消費税の導入をめぐる反対運動などが起きます一方、悪質商法やクレジット問題など、現代に続きます契約のトラブル関係が増加したため、新たに消費生活センターを開設しまして、それまでは市役所の庁舎の中でやっておりました業務を、より市民生活の民の場へ出ていくという形で相談員を配置して、相談体制の充実を図ってまいりました。
 1990年代のバブル崩壊後は、一方で環境や省エネへの関心の高まりを受けまして、消費者や事業者と連携して簡易包装に関する運動を推進してきております。このころから消費者運動と環境運動の中で団体の活動が、それまでは大体同じような団体が同じように取り組んでいったんですが、分裂進化する傾向が出てまいりまして、環境の問題に特化する団体というのが、かなりの数が仙台の場合には出てまいりました。そのことは逆に言うと、消費者運動に携わる団体の停滞、衰退といった状況も逆にもたらしたような感じも私自身は受けてございます。
 2000年に入ってからの課題としましては、大きく2つあると考えております。1つは不適正な取引などの契約に関する問題。そしてもう一つは食品の偽装に見られる食品の表示や安全性の確保に関する問題でございます。取引の多様化や科学技術の進歩などによりまして、内容は大変複雑化し、適切な対応のためには高い専門性が求められますことから、本市では相談員を10年間で倍に増やしまして、消費生活相談窓口の充実を図る一方、食品に関する相談部門を衛生部門に一元化するなど、消費者の方にとって利用しやすい体制づくりを図ってきたところでございます。
 後ほどお話をもう一度申し上げますが、食品に関するものは政令指定都市は保健所委任を受けておりますので、食品衛生指導といったような、いわゆる食監さんという部分を持ってございます。そうしたことは中核市やその他の市と違っているところでございますので、その辺は御理解をいただければと存じます。
 次に2に移らせていただきます。そうした時代の流れを受けまして、現在「仙台市消費生活基本計画」は資料にございます5つの重点課題を取り上げ、消費者行政を推進しているものでございます。
 今回お話の焦点になります消費者行政活性化基金の活用によって拡充したものや、新たに行ったものというのは、資料に◎で書かれている事業がそれに該当するものであります。
 具体的には(3)の消費者被害の未然防止・救済施策として、ラジオや公共交通機関を活用した相談窓口のPRを行っております。
(4)の消費生活相談の拡充として、センター内の相談ブースや電話の増設を行いましたほか、相談スキルの向上を図るために相談員を国民生活センターの研修等に派遣いたしております。相談件数そのものは8,000件程度でございまして、平成20年度に比較して微増といった状況でございました。
 (5)の国及び県との連携についてでございますが、仙台市は宮城県消費生活センターと距離的には大変近うございます。同じ県庁所在地といいますか、仙台市の中に県の消費生活センターも仙台市の消費生活センターもございまして、距離的には500m程度しか離れていないという状況でございます。そこの中で日常的に情報交換を密に行いまして、不適正な取引や問題商法に関する情報を共有し、広域的な被害が発生した場合には、関係団体を交えて被害救済に向けた検討や協議を行っております。具体的に申しますと、例えば仙台市に本社があります会社が、仙台市域の外で被害を生じさせることもしばしばございますので、そういった場合に県やその他団体との調整が必要になってくるといったことがございます。
 これまでの取組の中でも先ほどお話させていただきましたが、仙台市は1960年代から消費者活動が活発でございまして、仙台市消費者協会と連携してこの間、各種施策に取り組んでまいったものでございます。仙台市消費者協会は2008年にNPO法人化しまして、現在は仙台・みやぎ消費者支援ネットとなりましたけれども、仙台市は継続的にこの団体の事務局のスペースを提供し、活動助成金を交付するなど活動を支援しているものでございます。しかしながら、消費者支援ネット自体をずっと見てまいりますと、会員の高齢化が進みまして、会員数も減少傾向にあるところが課題として把握しておるものでございます。
 そのほかの消費者団体との連携としましては、宮城県は生活協同組合の加入率が高く、宮城生協さんで加入者数が60万人、県内世帯に占める比率は67%となってございます。そうした活発な活動を基に審議会等にそちらから参加をいただくとか、いろいろ連携の事業を図りながら進めているところでございます。
 施策の最後に(6)のその他としまして、消費者庁設置後の消費者の意識調査を私どもで行いましたので、御参考までに結果を御紹介させていただきたいと思います。
 3をご覧いただきたいと思います。消費生活で特に問題と感じていること、情報の入手先、消費者行政として市に重点的に行ってほしいこと、行政の対応の重要度について、回答の多かった順に挙げてございますけれども、全体としては消費者の問題として食の安全性と契約に関する消費者被害の増加を感じていらっしゃる方が多く、日常的にはテレビ、ラジオ、新聞や雑誌から情報を得ているということ、行政の取組としては相談窓口の強化と不適正・悪質業者への指導の強化を期待しているということを、アンケートから読みとることができるかと思います。
 現段階での私どもの消費者行政の方向は、そうしたアンケートに反映されていますニーズに対応しているのではないかと考えているところでございます。
 次に県内全体の状況に移らせていただきますけれども、そこの表にございますように、仙台市の人口は御承知のとおり現在103万人の政令指定都市でございます。位置的には宮城県のほぼ中央でございまして、県を南北に分断する形になってございます。人口は宮城県のほぼ44%を占めているわけでございますが、そのほかの県内の市町の状況としましては、35の市と町の74%は人口5万人未満、更に5つの町は人口1万人未満という状況にございます。
 この表でおわかりになるとおり消費者庁の設置後、宮城県が県として積極的に働きかけましたことで、県内では消費生活に関する窓口の設置はかなり進んだと思ってございます。しかしながら、専門の相談員がいない自治体も9つの市と町がございまして、厳しい経済環境の中で小規模自治体のすべてが独自で専門相談員を配置するのは、かなり難しいというのが地方の現状であると考えております。
 こうした状況を踏まえますと、相談窓口の体制整備に関しましては、すべての地域で消費者の皆様が利用しやすい体制を構築するためには、やはり広域的な事業の促進が必要ではないかと考えるものでございまして、例えば人口10万単位とか、あるいは30万単位といった一定の規模を基準にいたしまして、県内の広域行政単位でそうしたグループ化を進めていきますとか、そうした広域単位ごとに消費者相談体制の設置基準をつくって、相談員の配置基準をつくっていくとか、人材育成や事故情報の集約化をするとか、そうした工夫が必要ではないかと思っております。そのために国の継続的な財政措置が必要であろうと考えるものであります。
 被害の防止に向けましては、やはり情報提供の一元化も考えてよいのではないかと思ってございます。先ほどの調査結果でも明らかでございますように、消費者の方々はテレビやラジオといったマスメディアを通してほとんどの情報を入手しておりますので、地方自治体で例えば1万人単位ですとか、それ以下の町で小さな予算で地方単位の広報をすると言っても、町政だよりのようなものに書くとか、チラシを回覧するといったことになると思うんですけれども、なかなかそういうものは現実には被害防止といった観点では、どこまでの効力があるのか難しいのではないかという気もいたしまして、例えば国がまとめてテレビスポットなどで広報する、オレオレ詐欺のときにはそういった事例がございましたが、そういった方が費用対効果は大きいのではないかと感じてございます。
 最後になりますけれども、悪質業者の方々への監視及び指導についての課題でございますが、先ほどもお話申し上げましたけれども、一般には、政令指定都市は保健所設置市になっておりまして、食品衛生法等に関しては法定受託事務として、県と同等の監視・指導権限を持っております。ただし、同じ食品でもJAS法に関しては監視・指導権がないということで、この辺はなかなか消費者の方にとってわかりにくい状況が出現してございます。より消費者の方にわかりやすいように、効率的な執行という観点からの二元的な体制の一元化といった整理ですとか、法定受託部分につきまして十分指導監督できるような人員の確保といった、財源の問題も考慮していく必要があるのではないかと考えてございます。
 今、地方行政にはたくさんの課題がございますけれども、地方の特性に基づいて地域の方々とそうした課題を乗り越えていくことが肝心と考えてございまして、消費者行政も例外ではないと思っております。この会議でのいろいろな角度からの皆様の御意見を伺いながら、私どもの仙台市政の中に活かしていければと思っておりますので、そういったところから御意見を参酌してまいりたいと思います。
 今日は発表の機会をいただきまして、ありがとうございました。

○片山座長 どうもありがとうございました。続きまして、相談現場の変化などについて菅委員から御説明をお願いします。

○菅委員 菅と申します。どうぞよろしくお願いします。私からは簡単に主に消費生活相談員の声を拾ってきました。これは秋田県内に限らず、私がお付き合いをしている県境を越えた相談員さんからもいただいております。
 変化が感じられる、感じられないというのは非常に微妙なラインがありまして、ただ、活性化基金の活用でもって相談員に研修の機会が増えたという方がおります。これまでに年に1回受けていたところが、やっと2回になったとか、2回に限らず、余り消費者行政を今まで活発化していなかったところは、ひたすら研修に行くだけで相談を受ける機会が余りないという声も聞かされております。そういうことで評価はまちまちだと思いますけれども、研修の機会が増えたということは、相談員にとってもスキルアップに非常に関係しております。
 相談員に対して、これは一般消費者からの過大な期待があることを感じています。ただ、それは世の中の動きというか、社会経済状況なども一緒になっているかもしれませんが、消費生活センターとしての範囲を超えたものの相談が非常に増えている。これは私も長年見ていますと、消費生活センターを周知するたびに、何でもかんでも聴いたら答えてもらえるかなという、これも1つセンターを売り込むには我慢して皆さんで受けましょうということもありました。それが個人間のトラブルとか、そういう部分が増えてきました。相談員は消費者の自立支援ということで長年やってきましたが、そこに消費者庁ができたということで、大きく寄りかかってしまいそうな期待をしている消費者も見受けられます。
 それが講じて相談機関も増えてきましたが、以前は1つの相談機関に寄せられたときに、これはこういう解決でもってと、ある一定の線を出しても、今度は相談先を変えながらエゴみたいなものを露出していくという相談者も増えております。私たち相談員のところには、相談員は消費者庁の職員と誤解なさっている方もいるので、ダイヤルして出たら、あら、そこにつながったのという方もおります。これは国を挙げて宣伝している1つのよさの面でもあると理解はしています。
 今、ホットラインというのが土日祝日もかかっているんですけれども、土曜日、日曜日に開設する窓口が若干増えてきました。そこに電話がつながるには面倒な郵便番号を入れるので、郵便番号の数字が1つ違うととんでもない県の方に飛んで行ってしまって、それを受けた相談員ががみがみ言われてしまう。言っている中でも料金がかさむんだ、どうしてくれるんだというごり押しみたいなものも増えてきていますので、郵便番号を入れさせるところがホットライン対応に苦慮しているところはあります。
 特商法とか割販法などの法律がかなり整備されまして、相談現場は訪問販売などそういうクレジットが絡んだ相談が非常に減ってきました。それでもって相談自体が全体的にどこも減少している。それが大きいところもあるし、小さくというところもあるし、多重債務自体だけが目立ってきている。殊に市町村の消費生活センターになると多重債務問題というのが非常に多くて、クレジット取引も整備されましたが、その代わりに金融商品とか、一見聴いていくと犯罪に近いような案件が増えてきております。活性化基金で就いたばかりの相談員さんは、どこをどう聞いたらわからないという苦慮もあります。
 一方では、とにかく職員が増えていないために、職員が非常に忙しい。今まで変な話、お金がないときはみんなで知恵を絞っていたわけです。相談員のところに寄ってきて、今度はどういう講座をやろうかとか、一緒になって考えてきましたけれども、そこは行政職員が活性化基金をいただいているものですから、著名な講師を呼ぶとか、そういうことで相談員との関わりが非常に薄くなってきました。
 私としては消費生活センターというのは相談員と行政職員とうまく両輪でやっていかないと、消費者の方には納得していただけるものはないのではないかということで、これは余りよい傾向ではなくて、やはりお金のない時は暮らし方も上手なのかなという感じを得ております。
 また、余り変化が感じられないというのは先ほど申し上げましたように、相談件数が減少しているなかで、活性化基金で相談員を雇っていただいて相談員が若干増えているんですけれども、この減った件数をどういう理屈をつけて行政に対して報告していくか、ましてや3年の限度になったときに、どの首が切られるかとか、そういうものが相談員の中でも不安な要素として残っている。ここら辺もやはり安心して働けるようにできればなと思って、そういうふうにあってほしいなとは思っております。
 基金の活用でもってチラシを全戸配布しましたけれども、配布したときにだけわっと相談が来て、1か月もしたらチラシの効果が非常に薄くなっている。そういうことで持続して効果を期待できないかなということも、これは前から、一度チラシをまくと、それは市の広報などに載せたときには1か月ぐらい握ってきていたものが、基金を活用しても、機会は増えたんですが、余り効果が持続していない、持続する方法はどうしたらいいのかなということも考えさせられます。
 行政職員の慢性的な不足の中で、基金の活用が始まったんですけれども、行政職員は増えていないことが感じられます。前回も申し上げましたが、基金にランニングコストが付いていないために、コピー機を動かすにもカラーコピー機を買ったんだけれども、どこかのセンターは5枚使ったうち3枚ミスしてしまったとか、数えながら使っている、とトナーの補充ができない。ここら辺も変化が感じられなくて、ただ物が買えただけということにも関わっていくかなと思っております。
 基金が県全体で半分ぐらいが県のサイドで使う。残りの半分が市町村の何か所かにわたって使われているようですが、その中に市がやろうとしていたのに県が、いやそれは私の方が計画していますということで、研修の機会でも講座でも、そういうものが奪い合いという形になっているので、ここら辺の整合性もなければいけないかなと感じます。
 土日の相談窓口が若干増えましたけれども、相談員になったときは、土日は相談がなかったのに、突然として土日の相談を加えられてしまって、やはり家族とのお休みが共有できない。そういう悩みを持っている方もいました。
 もう一つは、具体的な例と私も突っ込んで聴いてはいないのですが、私の方では割かしすんなりとできていたんですけれども「商品事故情報」を消費者庁に集約すると伺っているんですが、受け付けてもらえなかったという声が聞こえております。何件か聞かされました。私たち相談員というのは今、相談員をなさっている方々はほとんどが契約というカテゴリの中から育っていったものですから、商品の品質トラブルとか、こういうところが非常にスキルがない。たまたまこれは事故でないか、これは製品をきちんと使っていただかなければいけないなという事案が出たときに、せっかく相談員が商品に対するトラブルも向き合っていかなければいけないといったときに、このモチベーションが削がれてしまうような感じもありますので、そこら辺はやはりもう一度事故情報、必ずしも事故だと決まらなくても、その前の段階で受け入れられるような体制にしておかないと、やはり相談員も一歩引いてしまって、それは保健所へとか、それはNITEへとか、ただ水先案内人に変わってしまうという懸念もしております。
雑駁で申し訳ありませんが、以上のようなことを考えていました。

○片山座長 ありがとうございました。続いて地方消費者行政の予算、人員、組織などの現状とその変化について、消費者庁の甘利地方協力室長から御説明をお願いします。

○甘利地方協力室長 消費者庁の地方協力室の甘利です。資料3に沿って御説明をさせていただきます。
 前回の委員会の宿題と地方でどういう動きがあるかということで、雑駁な資料でございますけれども、まず資料3-1でございますが、地方消費者行政の予算の動きということで、ちょっと時点が古いのですが、平成7年~平成20年までの動きを一覧にしてございます。全体的に平成7年をピークにして、8年以降は総じて減少傾向にあるということで、大体全体で見ると半分ぐらいのレベルまで予算は落ち込んできている。特に都道府県につきましては3分の1ぐらいの予算になっている。その中にあって、その他の市町村でございますけれども、こちらは落ち込んではいるのですが、85%レベルは維持しているという状況でございます。
 資料3-2でございますけれども、1回目の委員会で基金の造成額は都道府県別にどうなっているかというお話がございました。それを一覧にしてございます。平成20年度の交付金額150億、平成21年度の交付金額約73億、合わせて全体として約223億の基金が各都道府県にこのような形で、各都道府県の計画に合わせた申請に沿った形で交付されてございます。
 平成21年度の取崩し額につきましては一番右の欄でございますけれども、事業計画ベースで約42億円ということでございます。執行という意味では2割弱が初年度取崩しされる予定であると言えると思います。
 資料3-3でございますけれども「消費者庁設置以降の都道府県における推進体制の充実・強化の動向」でございます。
 まず1つは私どもからもお願いをしているところでございますが、消費者行政推進本部をつくっていただくということで、知事をトップとする本部がこちらにございますように、消費者庁ができてから6県に新たにつくられて、各部門の連携がとられるようになっております。そのほか2県について、今後設置を検討しているということでございます。
 (2)は知事以外で推進会議等を設ける動きもございます。このようなところで推進会議等を設ける、あるいは今後設置をすることが予定されているということで、各県に動きが出てございます。
 次のページでございますが、組織の充実・強化の動きでございます。1つは専任課等の新設ということでございますけれども、専任の課を持たないところ、ほかの業務も併せてやっているというところがございましたが、こちらにございますようなところでは、新たに消費者行政を専管する課を設ける、あるいは室を設けるという動きがございました。
 マル5の東京都さんでございますが、消費者情報総括担当課長という職を新たに設けまして、消費者事故等の情報を集約し、総合的に活用するような体制を明確化するといった動きも出てございます。
 定員につきましては、こちらにありますようなところで定員増が図られ、法執行等も含めて定員増が図られているということでございます。
 3.は行政の動きだけではなくて、行政、消費者団体、事業者などの関係者・関係団体の連携、ネットワークというものも新たに各地で見られてございまして、こちらに挙げておりますように新たなネットワークが設立されるということで、消費者庁からも設立の総会に出かけて、お話をさせていただくことをやっているところでございます。
 資料3-4につきましては、今、申し上げたようなものを地図に落とした形にしてございます。
 資料3-5でございますけれども、具体的な例ということで幾つかの県、市町村の例を挙げてございます。例えば埼玉県のケースでございますが、県民生活部副部長をトップとした推進委員会を設けて関係課との連携を図る。平成23年度末までに県内の全40市に消費生活センター設置を目標に支援をすることを進めているということで、市町村の相談窓口を支援するために主任消費生活相談員制度、これは相談員さんの相談機能を持つようなものでございますが、そういった体制を整備していく。
 処遇改善につきましても主任生活相談員さんの月額制ということで、報酬もアップすることのほかに、弁護士あるいは職員の方と連携した相談処理を進めるという体制づくりをしておられるということです。
 法執行の部門では執行担当職員を倍増し、警察OBを3名に増員することをやっておりまして、立入検査を機動的に実施できるような体制をつくっていくということでございます。
 ネットワークでございますけれども、消費者行政充実埼玉会議ということで、これは平成20年4月から各関係者、団体のネットワークを結成し、そちらでいろいろな提言を行いながら消費者行政を盛り上げていくという形でございます。
 そのほか鹿児島県のケース、市町村としまして人吉市のケース、白山市のケースを事例的に御紹介するような形で各地の動きを掲げてございます。
 最後に資料3-6に地方消費者行政の活性化交付金措置のときの、地財措置の関係の資料を付けてございます。平成21年度の地財措置では年間報酬300万円の相談員さん、これは標準で人口170万人でございますけれども、11人分が基準財政事業に計上されてございます。
 市町村では同じく相談員さん2名分が計上されているということで、標準団体は人口10万人の場合でございます。
 グリーンのところの地財措置11人分については平成20年度までの地財が倍増されて、300万円までの増額の資金が地財措置されている。併せて基金では消費者庁の設置に伴う業務増に対応する相談員に、青の部分を使うことができるという形で予算の措置を考えているということでございます。
 次のページでございますけれども、X県ということで実際にどういう人の配置がされているかというのを図示化したものでございますが、この図の中では現状ではまだ倍増された交付税措置というのが、十分に活用されていないことをお示ししてございます。
 以上でございます。

○片山座長 ありがとうございました。
 では説明の最後に、消費者委員会事務局で昨年10~11月にかけて、地方消費者行政の実態調査を行っておられますので、この機会に齋藤審議官から調査結果の内容について御説明をいただければと思います。

○齋藤審議官 消費者委員会事務局の齋藤でございます。資料4-1をご覧いただきたいと思います。これは前回お配りした資料と同じものでございます。前回専門調査会が開かれた後、この調査の中身についても御説明した方がよいのではないかという御意見を、ある委員の方からいただきまして、今回ちょっとお時間をいただきまして御説明をさせていただきます。
 1枚おめくりいただきますと、調査の趣旨及び概要でございまして、調査の内容といたしましては3つの柱を立てておりまして、相談ネットワーク、情報ネットワーク、関係法執行体制という3つの柱について調査をしております。
 期間といたしましては昨年10~11月、実施方法といたしましては現地に出向かう実地調査と書面調査、書面調査は全都道府県、市町村について行っております。
 結果でございます。3ページをご覧いただきますと、相談ネットワークにつきましては都道府県、市町村全部合わせての数字でございますが、センター・窓口・設置状況、左上の円グラフでございます。センター設置が24%、窓口のみ設置が60%、残り16%は未設置ないし無回答となっておりますが、未設置については右をご覧いだきますと、平成23年度末までに窓口設置予定というところが59%、センター設置予定が7%あるということで、3分の2については何らかの窓口等が設置されることになってございます。
 窓口のみ設置とお答えになったところについて、相談員の配置状況をお聞きしたところ、相談員がいないというところが68%ありまして、相談員がいないところは更に右の方をご覧いただきますと、兼任職員が対応しているということで、窓口をつくってもなかなか対応状況というのが難しいものがあるのではないかと想像されます。
 1枚おめくりいただきまして、今のものを都道府県、政令市、中核市、市町村と分けてみたものでございまして、都道府県と政令市につきましてセンターは100%設置でございますし、開設日数をご覧いただきますと土日開設が6割ぐらいある。中核市にまいりますとセンター設置が97%、土日開設が25%と、多少土日開設の比率は下がります。更に市町村をご覧いただきますと、右上ですけれども、センター設置が19%という比率になっております。
 5ページ、相談員が相談の実務に携わるわけですけれども、行政職員が専任で配置されていることが、いろいろ仕事を進めていく上で必要性が高いわけでありますが、他の行政部門との連携でありますとか、執行部門での連携とか、そういうことを図っていく上で行政職員、専任の職員が配置されていることが望ましいわけですが、どうなっているかというところを見たものであります。都道府県と政令市につきましては専任の職員が配置されているところが100%になっております。中核市につきましては専任が配置されているのが65%、市町村は12%といった比率になっております。
 6ページ、相談員の処遇の問題で、ここでは通勤手当と時間外勤務手当の支給状況を調べたものを、絵にしたものをご覧いただきたいと思います。左方が通勤手当の支給状況でございますが、支給されていないところが50%となっております。右方が時間外勤務手当でございますけれども、支給されていないところは73%という比率になっております。その中身につきましては右の方にございますが、定めがない、あるいは時間外勤務がないといった理由が掲げられております。
 7ページをご覧いただきますと、更に処遇の関係で雇用期間が問題となっておりまして、いわゆる雇止めと呼ばれておりますけれども、雇用期間の通算期間に制限が設けられて、せっかく相談員として経験を積まれても5年あるいは10年経つと、任用期間の制限に当たってその部署を離れなければならないといった問題が生じているということであります。
 グラフの絵でご覧いただきますと、通算任用期間の制限ありというところが25%となっております。この25%につきまして、どういう内容かを見たものが右の方に書いてありまして、青の部分が年齢制限あるいは雇用期間の制限という形で、通算の働ける期間が制限されているという実態があります。
 8ページ、今度は情報ネットワークの関係で商品テストの実施状況を見たグラフがございまして、一番左端は都道府県での商品テストの実施件数でありますが、0件あるいは1~10件というものが合わせて6割程度ございます。その右は政令市でありますけれども、これも0件あるいは1件ないし10件というところが7割程度ございます。あまり実施されていないということであります。
 どういう主体が実施しているかというのが、その右の方に書いてございまして、都道府県につきましては府県が実施しているのが62%、NITEに頼んでやってもらっているというのが29%ございます。その右をご覧いただきますと、政令市について調べたものでありますが、NITEに頼むという比率が更に上がっております。
 9ページ、こういう商品テストに携わっている職員の数、左端にございますけれども、都道府県、政令市合計で見た数は年々減少しているという状況であります。1つの自治体当たりでの担当職員数について、都道府県で調べたものはその右のグラフでありますが、0あるいは1人というところが相当の比率を占めております。政令市についても同様な傾向が読み取れます。設備を更新しているのかということにつきましても、更新していないところの比率がかなり高いというのが、右端のグラフで読み取れるかと思います。
 10ページ、情報ネットワークの続きでございますが、PIO-NETの端末の設置予定といいますか、計画を聴いたものでありますけれども、左の方をご覧いただきますと20年度末で500台弱というものが、23年度末には約1.8倍の数まで増える計画が示されております。
 都道府県には当然PIO-NETが置かれているわけですが、市町村の設置状況がまだ十分ではないということで、真ん中のグラフでありますけれども、PIO-NETが設置されている市町村は全体の18%であります。残り80%は設置されていないということでありますが、設置されていないところについても週4日以上窓口を開設している。そういうところについてはPIO-NET追加配備設置基準に合致しているわけですけれども、合致しているにもかかわらず、設置がされていないというところがございまして、その理由としては入力のための手間とか、情報管理等の追加業務といったことが挙げられております。
 右端のグラフはPIO-NETが設置されているところでの相談件数、未設置のところで受け付けられている相談件数を示したものでありまして、赤の部分が未設置のところで受け付けられている相談件数であります。こういったものがPIO-NETを設置すれば、更に情報として活用できるということでございます。
 11ページは執行体制の関係でございまして、特に特商法などが典型的でございますけれども、違反事案等を摘発する上で警察の方が持っているノウハウというものは非常に役に立つわけでありまして、立入検査でありますとか、聴書をとるとか、そういうところでノウハウが非常に有効なわけですが、警察の方々の採用がどのくらい進んでいるかというところを見たものであります。都道府県全体の中で47のうち25で採用がある。現職警察官あるいは警察OBの方を採用しているというお答えをいただいております。
 12ページは執行状況ということで、これは左方が特商法、右方が景表法でございますけれども、平成18~平成20年度にかけて3年間の執行状況を見たものでございまして、0件あるいは1~3件といった、年1件に満たない執行という状況のところが半分以上の比率を占めている状況が見えるものでございます。
 13ページは地域別に見たものが示されてございます。
 14ページには統計データではなくて、具体的な声ということで自由にお書きいただいたものをピックアップしてお示ししております。具体的には資料4-2をご覧いただきますと、どういう御意見が現場の声としてあるかということが整理されておりますので、これはまたお時間のあるときにでもご覧いただければと思います。
 御説明は以上でございます。

○片山座長 ありがとうございました。それでは、これまでの4つの説明に対しまして御意見、御質問がございましたらお願いします。稲継委員、どうぞ。

○稲継座長代理 質問という形でお尋ねしたいんですけれども、2点ございます。
 1つは県と市町村との関係と、もう1つは相談員一人当たりの相談件数という点であります。先ほどお二方の委員の御説明の中でも、やはり県と市との関係について言及されるところがございました。特に政令指定都市を抱えている府県においては、二重行政という批判がある一方で、多々ますます弁ずという要望論もあって、消費者行政を県と政令市でそれぞれやっている。しかも仙台市の場合は500mしか離れていないところで、何とか機能的に住み分けをされているというお話だったんですけれども、そこのところをどのようにこれから機能分担していくかというのは非常に大きな論点だと思うんです。
 限られた資源、限られた税金をうまく使い分けることがすごく大事で、例えば同じ仙台市民の方が県の消費者センターに電話するのか、仙台市の消費生活センターに相談するのか、各市民によってたまたま手元にあった電話番号に電話してしまうということなので、それに対して県も市も同じような待ち受け体制をしていることについては、国民の側からの税金の使い方に対する御批判もあろうかと思うんです。その点についてどのように今後考えていったらいいのか、ちょっと奥山委員にお伺いしたいと思います。
 もう1点は、最後に御説明いただいた資料4-1の4~5ページにかけてなんですけれども、4ページの一番下のところには相談受付件数、全体あるいは都道府県とあります。全体で平成20年度でいうと110万件です。他方で5ページの2段目に相談員数2,500名とあります。110万件を2,500人で受けているとすると、1日当たり一人何件ぐらい相談を受けていることになるのか。そしてそれはどれぐらいの頻度、どれぐらいの労働密度で働いていることになるのかについて、事務局から御説明をいただけたらなと思います。

○片山座長 それでは、最初の質問を奥山委員からお願いします。

○奥山委員 お尋ねの点は誠にごもっともな部分があろうかと思います。そういう意味では宮城県内の中でも仙台市民はどちらにもかけられるという利便性を、圧倒的に仙台市以外の市町村の方々に比べると持っているということで、例えばその部分のマンパワーを完全に分けることも、考え方としてはあり得るとは思います。
 先ほどのお話の中でもちょっと触れさせていただいたように、仙台市以外の市町村にとっては、やはり県センターの持つバックアップ力というのは、非常に大きな解決に向けての支援をしていると思います。今日はあまりそのことについては述べませんでしたけれども、例えばたくさんある人口1万人以下の町については、専門性はやはり低いわけでございますので、年に1回来た相談について本当に的確な答えをするためには、県のセンターに問い合わせていろいろ指導を仰ぎながら回答しているというのが、実態ではないかと思いますから、そうした支援が必要な部分への広域的支援のセンター機能としての県と、例えば政令市のような、自分でフルセットを持っているところにおけるセンターの相談受付部分を分離してしまう、例えば電話番号の振り分けなどでそれらをやっていくというような合理化、そして、そのことによって余剰が生じたマンパワーを更に広域的な支援に振り向けることは、今後の調整の中で可能ではないかと思う部分はございます。

○片山座長 齋藤審議官、どうぞ。

○齋藤審議官 一人当たりどのくらいの相談件数を受けているかということでございまして、ちょっと数が大きいものですから事務的に計算してもらっていますので、もう少々お時間をいただければと思います。

○稲継座長代理 わかりました。

○原事務局長 消費生活相談員である下谷内さんとか菅さんとかからも、大体経験値ではどれぐらいとか、おそらく全国で割ってしまうとまたちょっと違うのかなと思いますから、地域差というのがどれぐらいあるのかというところで、御発言をお願いします。

○下谷内委員 私どもの会は全国消費生活相談員協会と申しまして、全国の地方の消費生活センターで勤務している者が会員でございます。今日お持ちすればよかったのですけれども、会員の実態調査というものをやっておりまして、あくまでも会員だけでの調査でございますが、首都圏と地方におきましてかなり相談の件数が違ってまいります。
 首都圏の場合は1日に20件も受けているところもございますし、地方にまいりますと1件あるところもあります。開設時間、開設日数が全く違いますので、相談員1人何件受けているという計算の仕方は非常に難しゅうございます。ですから単純に割り算をするということでしたらできますが、実際の現場ではなかなか難しいかと思っております。

○片山座長 齋藤審議官、どうぞ。

○齋藤審議官 今の件数関係で、別途これは内閣府国民生活局が平成20年11月に行った相談員に関する調査というものがございまして、そこに1日に受ける平均相談件数という調査項目がございます。それによりますと、全体の平均は出ていないんですけれども、例えば1日5件以上10件未満というのが37%、3件以上5件未満というのが35%、ですから1日3~9件というのが約7割といった比率になっております。他方で20件以上というところが0.9%ございます。これは恐らく東京のような大都会かと思いますけれども、ある意味平均値は恐らく3~9件の間ぐらいのところにあるのではないかと思われます。

○片山座長 菅さん、何かありますか。

○菅委員 3~5件というのは少ない日だと思います。いろいろな案件によっても違います。私たちは市町村の段階になると多重債務の相談が多いので、多重債務の方は大体前の日から特に月曜日辺りになると、土曜日、日曜日で家族会議をして、センターに相談に行こうかということで、大体3~4時間くらい聴き取りをしながら、道筋を立てながらそれをやりますと、やはり午前中に1人の相談員が1件しか受けられない。その間に戻ったら今度は電話を受けながらということで2時、3時にお昼休みがやっと取れるというときもありますし、今日は電話が故障しているのかしらと1時間ぐらい悩むときもありますので、そこら辺でいくと秋田県もやはり最初におっしゃったように、二重行政をなくそうというのがうちの知事のお考えでして、どうも来年度か再来年度ぐらいには県の機関としては北に1つ、南に1つを集約するということで考えがあるようです。
 どうしても県庁所在地の秋田県と秋田市、秋田県の場合は今、県庁の中に入りたいという願望もあるんですけれども、道路を挟んで県と市が向かい合っているので、なかなか県の方が入りにくいという実情はあります。まちまちでやはり3~5件ぐらいかなと思われます。

○稲継座長代理 先ほど5~10件ないし3~5件で72%ぐらい含まれているというお話だったんですが、今回の実態調査報告書によれば、相談受付件数が全体で平成20年度は110万件、相談員数が2,500人ですから、単純に割りますと一人当たり約400件ですね。そうすると250日で割りますと1カンマ数件、つまり2件弱と実態調査結果からは出てくるわけです。
 確かに各地域によって、あるいは消費生活センターによってさまざまなバラエティがあって、相当お忙しいところとそうでないところがあって、単純に相談員が足りないからもっと増やすべきだとか、そういう議論は私はいかがなものかなと思うんです。足りないところにはどんどん増やしたらいいんだけれども、余っているところもあるだろうし、更には先ほど奥山委員からも御提案があったように、二重行政になり得るところについては非常に機能分担をうまくして、適正に配置するようなことも全体的な税金の有効な活用の見地からは、考える必要があるのではないかと思います。
 以上、意見でございました。

○片山座長 国府委員、どうぞ。

○国府委員 今、仙台、秋田の御報告があったんですけれども、大阪の事情は少し違うところがあるので、私の方で補充的に説明をしたいと思います。
 大阪の場合、政令市の大阪市を抱えておるわけですが、大体年間10万件ぐらい府内の相談がございまして、そのうち大阪府がやっておるのが1万件弱、大阪市がやっておるのが2万5,000件ぐらい、それ以外が府内の各市がそれぞれのセンターでやっておるという状況です。
 二重行政という言葉が出たんですが、大阪の場合はそれぞれの相談者が居住している地域がどこかということで、相談を受けるセンターが決まるものですから、例えば大阪市民が大阪府のセンターに相談しても、それは大阪市で窓口を開設しているから、そちらで相談を受けてくださいということで、大阪府では受けないというふうになっています。府内の市町村は大体そうです。
 ただ、市町村でも週に2日しか相談窓口を開設していないという市があります。そういうときは開設していない日は府が補充的に受ける。それから、相談窓口を置いていないところについても府が受けるということで、そういった意味では府が補充的にやっているという格好になっています。
 府と各市とがそれぞれ相談を受けてやっているというのが、二重行政ではないかということが言われたりすることも以前からあったんですが、私は二重行政という表現は間違っていると思っています。というのは、例えば仙台の例でいけば宮城県に行くのか仙台市に行くのか、相談者が1つの案件を両方で相談をやっていたら二重かもしれないけれども、その方が持っている案件が仙台でやられるのか宮城県でやられるのかという振り分けの問題であって、いずれかどこかがしなければいけないという意味では、二重でも何でもないと私は思っています。
 そういう意味で、平成12年に国民生活審議会が相談業務の在り方について審議なさったのが参考になります。その当時は消費者保護基本法の中で都道府県が苦情処理を受けるという直接的な規定が置かれていなかったこともあって、都道府県が相談業務から後退していこうという動きがあったんです。そのときに府と市との相談の二重行政みたいな議論もあって府県が後退していこうとしたんだけれども、国民生活審議会の報告書では都道府県が直接相談業務を受けることが、都道府県の行政機能を高める上でも非常に必要であるということで、都道府県の直接相談を実施すべきだという結論になったと記憶しております。

○片山座長 圓山委員、どうぞ。

○圓山委員 先ほどの一人当たり相談件数ですけれども、このアンケート調査5ページの相談員数2,500人というものは、非常に過大な数字が出ておりますので、実際の数字に直して割り算をする必要があると思われます。
 と言いますのは、かけ持ちとか週1日とかありますので、相談員AさんがX市に月曜日、Y市に火曜日、Z市に水曜日、1日ずつ行っていることになると、3人とカウントされるのです。ですから常勤職員に換算すると今の場合は0.6人なのですが、3人とカウントされて出てしまっています。週40時間、週5日出ているとして換算するとこの数字は半分ぐらいに下がると思われます。
 ですから、実労働時間が大事なのであって、それは今までの調査では全く表れていなかったわけですけれど、前回私がお願いした『地方消費者行政の現況』、消費者庁が今、調査している分ですが、それには実労働時間で全国押し並べて週40時間に換算すると、何人に当たるのかを積算しようと思ったら出る調査法をなさっていますので、それで相談員数を出して割り算をすると、確たる数字が出てくると思われます。

○片山座長 田中委員、どうぞ。

○田中委員 私も相談員をしておりますので、先ほどの相談受付件数の件ですけれども、これについては新規の受付件数であり、相談というのは継続で来ますので、私は熊本市に行っておりますが、大体30%ぐらいの継続相談がありますから、その分を考えての労働密度を考えていかないといけないのではないかと思います。

○片山座長 今のものに関連することはありませんか。矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 先ほど稲継委員から、相談員が余っているところは減らすという御意見もありましたが、全国消団連で昨年調査しました各都道府県の相談員の増減状況では、増えているところはありましたがけれども、減っているところの報告はいただいておりません。その辺は消費者庁か消費者委員会でもし減っているところがあれば、次回にでも改めて御報告をいただければと思いますが、その辺をもう少し実態を見た方がいいのではないかなと思います。

○片山座長 齋藤審議官、どうぞ。

○齋藤審議官 先ほどの非常に単純な計算で年間110万件の相談件数を2,500で、週5日勤務という仮定で、非常に野蛮な前提で計算しますと、1人1日当たり1.7件という結果になります。これの解釈のところで田中委員がおっしゃいましたように、継続案件があるのだろうと思います。それがどのくらいあるかですけれども、半分が継続案件と思えば、実際に携わっているというケースという意味では倍の件数になると思いますし、週5日勤務という前提が果たして正しいかどうかというところも全国的に見るとあるかと思いますので、実際に計算しようとするのであれば、恐らく全国の相談員の方々に1日何件やっていますかと聞いて、平均をとるというのが一番確かなやり方かとは思います。その辺は宿題とさせていただきたいと思います。

○片山座長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 先ほどから1人が何件受け持つかということがありますが、現実に消費生活センターは週5日開いているところ、週に1回しか開いていない、月に1回しか開いていないところも全部入っております。5ページの表を見ますと市町村が1,616市町村になっておりますので、そういたしますとほとんど相談員がいないようなところも含めて、専任がいなくて職員さんが兼務している方とか、急に呼ばれて相談員になったという方もいらっしゃいますので、そういうことから考えると非常に今、単純に計算で件数を出すのは難しいと思います。
 現実に相談員が余っているというところはまずないと思います。相談内容というのは非常に複雑なものになっておりまして、簡単に右から左、AからBという回答ができるようなものではございません。その方の人生も関わるような相談もございます。そういたしますと1件にかかる時間というのは、先ほど田中委員からもございましたように、1日で終わることではなくて何回か継続して、私が現役でやっておりましたときは2年かかったものもございます。
 それはちょうど私が相談員になりましたときは宗教絡みのものだとか、豊田商事事件だとか、先物取引など契約絡みが多くなったときでございますので、それでも週3日行っておりましても2年かかって、それだけゆっくりやってもいいということでもありましたが、1件に対して1日2時間以上かけていたことが多うございました。
 クレジット絡みになりますと、事業者からクレジット会社の人たちと一緒にお話しますと10分や20分で終わるわけではございませんので、どうしても1日にかかる時間数は多くなります。そういたしますと先ほどありましたように、その間電話がかかってきても出られなかったり、来られましても応対ができないこともございまして、翌日にお願いをすることになってまいりますので、そうなりますと県の方に相談が行ったりはいたしますが、どうしても電話がつながらないという状況が非常に多うございます。
 相談員が余っているということはまずありませんので、そういう繋がらないところに相談員を置いていくというのは特に必要なのと、週に1日か2日しか開いていないところにも積極的に開設をしていただいて、相談員を増員していくことが必要なのではないかと思っております。

○片山座長 ありがとうございます。ちょっと私からコメントしますと、実はこの場で余っているとか足らないという議論をするのは意味がないんです。と言いますのはそれぞれの自治体でもって業務量と業務の質と人員、労働力等がマッチングしているかどうかということを決めますから、いずれも個別の自治体のマネジメントの話なんです。
 奥山委員が先ほど説明になったように、仙台市では6名から12名に増やしたというのは、それは恐らく仙台市でマネジメントを考えられた結果だと思うんです。だから自治体でそれぞれがうまく業務量、業務の質、労働力との兼ね合いをマッチングさせていれば問題はないんです。もしそれがうまくいっていないとすれば、ここで論ずるのは、なぜうまくいかないんだろうかということが論点だろうと思うんです。なぜ個別の自治体で業務量と労働力とのマッチングができないのかという、そこを解明してあげて、円滑にいくようにするにはどうすればいいのかというところに光を当てた方がいいのではないか。統計を見て足りるとか足らないと言っても、恐らく何の意味もないというわけではないけれども、あまり意味がないのではないかという気がするんです。
 私の経験では鳥取県におりましたときに、やはりこの分野のマネジメントというのは非常に重要ですが、でも最初はよくわからなかったんです。中枢部の財政課とか人事課の職員も現場の実態はよくわからないんです。予算や定数の要求のときに一応聞くんですけれども、説明する側も本庁の人で現場の人ではないので、靴の上から足をかくようなところがあって、実態がよくわからない。それではまずいなと思ってどうしたかというと、消費生活センターを本庁化したんです。本庁化という意味は、場所は全然違うところにあるんですけれども、県庁は鳥取市にあって、消費生活センターは米子という100km以上離れたところにあるんですが、そこは県庁舎の外にあるけれども、本庁の組織として位置づけたんです。
 どういう意味かというと、予算要求とか定数要求はセンターが直接やれます。本庁の所管課を通さないでダイレクトにやる。それは知事査定に至るまで、知事復活要求に至るまでダイレクトにできますということにした。これをやり出してから随分変わりました。生の声が届くようになり、それで随分光が当たるようになったんです。
 それから、先ほどの件数との関係で言うと、統計上は1件、2件なんですけれども、先ほど言われたように相談の難易度というのが全然違うんです。中には1件やって、ほとほとくたびれてバーンアウトしてしまうなんていうのもあって、そういうものはどうしたかというと、弁護士さんと週に1回相談できるスーパーバイザー機能を付けてあげたんです。そうするとすごく楽になると言うんです。今まで全部自分で抱えていたものがスーパーバイザーに相談できるようになった。弁護士とか司法書士とかのアドバイザリーグループをつくったんですけれども、そういうふうにしてあげると同じ件数でも全然処理の速度とか負担感が違ってくるんです。
 それがマネジメントで、それはここではなかなか議論できないことで、個別の自治体で多分やるべきことだと思うのです。それが先ほどの話で言われるようになっているのか、なっていないのか、私の感じでは恐らく自治体であまり光が当たっていないんだと思うんです。そこがえんこしてしまっているのでうまくいかない。えんこ状態を起こしているならどうしたらいいのかということが、この専門調査会での1つの論点かなと伺っていて思いました。
 もう一つは県と市の関係をどう考えるかというのが非常に重要でして、どちらにもアクセスできるんだから二重行政ではないかという考え方もある。ところが、実態はどうなっているか。全国全部知っているわけではありませんけれども、大体どちらもやれるというと、あちらにやってもらいたいなと思いがちなのです。特にお金のないときは。
 例えば法テラスができましてどういう現象が起きたかというと、法律相談なんかを自治体がやっていて、法テラスができたら自治体は引いてしまうというのが結構出てくるんです。ああよかったということです。これは先ほど御説明が甘利さんからありましたけれども、都道府県の予算がずっと減っています。これは市町村がある程度充実してくると都道府県が引いてしまうということなんです。
 日本の自治体行政は県と市がはっきり分かれているものもあります。だけれども、分かれていないものが多いんです。どちらももたれ合ってしまう。義務教育からしてそうなんです。経営は市町村の教育委員会だけれども、そこで働く教員はみんな都道府県の職員で派遣社員みたいなものなんです。どちらに責任があるんですかと言ったらあいまいになってしまって、どちらももたれ合ったりしている。どちらがやってもいいというのは、いいようなんですが、悪い面もあるんです。これをどう考えるかというのも、実はここでの論点だと思うんです。
 競い合うようにしてやる分野もあるんです。例えばやるとかっこいいから、評価されるから競い合うというのもあるんですけれども、逆に後ずさりしてしまうのもあるんです。こういうのをどういうふうに考えるか。ほかの分野でもいろいろあって、私の感じではやはり責任が不明確になって、あいまいになってしまう負の部分もかなりあるなというのが実感なんです。だからこれを論点にしたらいいと思うんです。
 池本さん、どうぞ。

○池本弁護士 オブザーバーの池本です。報告された数字の受止め方に関連して2点ほど発言いたします。
 今まさに話題になっている相談件数のことですが、冒頭の報告の中で菅委員から、相談件数が最近減少してきているという言葉がありました。ただ、これも気をつけなければいけないのは、過去10年のスパンで見ると年間40万件であったのが、100万件前後に2倍以上に増えていて、ただ、平成15、16年辺りにいわゆる架空請求というものが爆発的に増えて、それが90万件ぐらいあって190万件ぐらいに増えた。そこをピーク時としてとらえると、今は減ってきているんです。
 ただ、それが最近は振り込め詐欺という言葉で警察が直接対応するようになったので、センターの表向きの件数、トータルの数字は減っている。逆にその数字が減っているのを理由に予算や人員を減らそうという動きが今、起きてきて困っているということなんですが、むしろ質を含めて考えると、センターで相談者に助言をしておしまいにするものと、あっせん処理といって事業者にも連絡して解決まで見届ける処理というのがあります。それは過去10年で見ると3万8,000件ほどから6万件ほど、5割ほどじりじり増えています。それは架空請求があった時期は一度減って、またちょっと持ち直しているんですが、やはり全体で割合が減っている。相談件数が増えるのに対してしっかり解決まで見届けるという手当をする余裕がなくなってきているということではないかと思うんです。
 ですから、どういう窓口をつくり、そこでどういう情報を得て、それを国でどう集約するのかを考えるときには、どの数字を基準にあるべき窓口とするかというときには、あっせん処理件数というのに注目していただく必要があるのではないかと1つ申し上げます。
 2点目に資料3-1で十数年の予算の推移があります。大幅に減っているという報告がありました。この数字の意味を受け止めていただくために、これは資料を準備すればよかったのですが、地方公共団体の一般会計の歳出の推移です。地方財政白書というので、平成10年以降の10年間で見たんですけれども、全体で11%減少しています。いろんな課題がある中で11%の予算が総体で減っているというのは、四苦八苦されているんだろうと思うんですが、ところが消費者行政予算はその3倍も4倍も大幅に減っている。
 人員についてもそうなんです。地方公共団体全体で公務員の数が10年間で9.5%ほど減っているようです。大変だと思うんですが、消費者行政職員で見ると37%ぐらい減っているようなんです。結局やはり各自治体で消費者行政というものが、どうしても軽視されてきている現実があるのではないか。
 冒頭の仙台市での取組とか、あるいは先ほど消費者庁の報告でも、幾つかの自治体で一生懸命やっておられるところがあるというのは高く評価できるんですが、やはり頑張るところもあるし、そうでないところもある。あとはそれぞれの自治体の努力だというわけにはいかないのがこの問題ではないか。つまり、ある地域で商品被害であれ契約トラブルであれ、それを放置するといずれ全国へ被害が蔓延してしまう。やはり早い時期に情報を一元的に集約して、早く被害拡大防止の対策を講ずるという意味で言うと、全国に一定の水準を確保する必要があるのではないか。だとすると、全国的にどの程度のものを最低確保する必要があるのだろうかということも、見ていただく必要があるのではないかと思います。
 以上です。

○片山座長 山下委員、どうぞ。

○山下委員 ちょっと違った観点からの質問でもよろしいですか。
 今日の御報告を伺っていて幾つかお聴きしたいというか、私は地方の消費者行政についてあまり詳しくないので実態をお伺いしたいんですが、先ほど片山座長がおっしゃったように弁護士さん、司法書士さんからアドバイスを受けるとか、そういった形で法曹の方々との連携体制というのはどのぐらい整備されているのかという問題です。
 消費者相談は基本的にはリーガルサービスの1つだと思いますが、弁護士さんや司法書士さんに難しい案件について相談できる、あるいは情報を共有するといった体制というのを、地方ではどのようにとられているのか。更に言うと要するに消費生活相談の窓口に、弁護士さんが直接座られて応対することは考えられないのか。そのために予算を使ったりということはできないのかという問題が少し気になっております。
 昨今ニュースとかでもやっていますが、弁護士さんが少し余っているという話をされていて、年収が300万円しかないという話をニュースなどでやられておりますけれども、逆に言いますとそれだけ少ない予算でリーガルサービスを受けられるとも考えられますので、そういった体制をどのようにとられているのかという点について、どなたでもいいのですが、教えていただければと思います。

○片山座長 今のはいかがですか。どこかで法曹関係の人と連携しているとか、バックアップを受けているとか。

○奥山委員 仙台が典型的かどうかはわかりませんが、ちょっとお答えしますと、消費生活センターのいろいろな案件の中で、弁護士さんとの連携というのは大変重要でございます。案件として最終的に弁護士さんが何かの形をしていただかないと解決できない案件は大変増えております。したがいまして、仙台のようなところはある程度弁護士会も活動が活発でございますし、例えば弁護士会としての無料相談もございますし、私どもも場合によってはセンターとして依頼することも可能ですし、仙台市として無料法律相談の日も決まって持っておりますので、そうした複数の窓口を利用していただくことも十分可能なんです。
 ただ、問題はやはり宮城県もそうですけれども、弁護士の利用が可能でない地域というのが面積的に市町村の数としては圧倒的に多い。そういったところに弁護士会として県全体で派遣していただくことになっていますが、そうなると離婚相談もしなければいけない、遺産相続もしなければいけない、土地境界争いもしないといけない中に、消費生活相談というのもワンオブゼムで入ってくるという形にならざるを得ないという市町村もあるのかなと。そういう意味では例えば全県的に弁護士さんを消費生活相談の中に、弁護士さんの機能を組み込んでいくための仕組みづくりというのは、むしろ市というよりは県の単位で広域的にお考えになるニーズというのは、より強いのかなという実感を持っております。
 弁護士さんが直接窓口に座ることはどうかということなんですが、どうでしょうか。やはり弁護士さんは1時間1万とか、そういう単位で日ごろ生計を立てていらっしゃる方について、およそ無料でやることを原則として、その分の代替費用を仙台市がお支払いするということでも、ちょっとそれは費用対効果という意味で、ある相談員的なレベルのスクリーニングと解決支援を受けた上で、なおやはり弁護士さんの特定の必要性を判断した上ででないと、直接すべてを最初にウェルカムにしてしまうのは難しいかなという印象を持っています。

○片山座長 国府委員、どうぞ。

○国府委員 各地でスーパーバイザー的な取組はやられていると思います。例えば大阪の例で言いますと、毎月1回弁護士会と大阪府内の消費生活センターとの共同事例研究会というのをやっておりまして、そこには府だけではなくて、府内の各市の相談員の皆さんが来られて、当面問題になっているテーマなどについて共同事例研究の議論をするという形で、相談業務をバックアップする形があります。
 最近は市町村や府の顧問弁護士とは別に、センターの法律顧問弁護士の契約をしまして、相談業務について事あるごとに弁護士に電話やFAXで相談をするという取組をやっている市も、大阪府内で言うと4つか5つの市であります。活性化基金というのができて、そういったものがやや広がりつつある状況だろうと思います。
 京都は昨年から新しい試みをやられています。これは前回配付いただいていた地方消費者行政の充実強化のプランの冊子の中に紹介があったと思うんですけれども、京都では消費者あんしんチームというのをつくって、弁護士が消費生活センターのあっせんなんかで悩んでいる事例についての受け皿のチームをつくりまして、それであっせん上で問題になっているものについて、スーパーバイザー的なアドバイスをしていくというのが1つ。
 もう一つは、実際に相談員があっせんをやったのだけれども、うまく解決ができなかったという事案です。こういったものは従来は訴訟になるしかなかったんですが、その2階部分として弁護士のチームによるあっせん会議をつくって、センターの第一次的なあっせんでうまく解決できなかったものを2階に上げて、そこで弁護士チームがあっせんをやって解決を図るという新しい試みも今、生まれてきています。活性化基金でいろいろ専門家の活用ということが言われていまして、京都だけでなく各地で具体化が進められているのではないかと思います。

○片山座長 池本弁護士、どうぞ。

○池本弁護士 御質問の中で、弁護士などが直接窓口で相談を受けるのはどうかという言葉がありました。その点についてだけ補足いたします。
 基本は今、国府委員から説明があったように、アドバイザー的あるいはバックアップ的な役割で協力していることが広がっていますし、それは適切だと思うんですが、最終的にはセンターに相談に来たその人一人を救うための窓口ではなくて、その情報を活用して、それを地域の啓発活動に使ったり、あるいは情報を分析して違法な業者を取り締まったりという、そういう行政作用に密接につながらなければいけないので、弁護士自身がそこの窓口へ座れば消費者行政の本当の意味の窓口機能が強化されるかというと、必ずしもそうならないのではないか。
 そういう議論を踏まえて、あくまで相談員が処理をし、職員と連携しながら進めていく。その質を高めるために、1つ外側からバックアップするという位置づけで制度をつくってきているのがほとんどだろうと思います。

○片山座長 菅委員、どうぞ。

○菅委員 私は現場にいて、市役所の機関あるいは県庁の機関に相談者が来るということは、初めから弁護士さんにお金を持っていける人とは限らないわけです。1件の相談が来たときに、この人にとって最も低コストで解決できるところはないかということで、私たちは仕事として受けているので、確かに弁護士さんにお願いするところもあります。
 でもそれは限界まで私たちの手でやって、どうしても壁がある。例えば多重債務であれば、今、相談者のところに直接返金してくる過払金などは、はっきり業者の方で対応しているところもありますので、それにはこういう計算をして、こういうふうにして請求書を書きますねと。どうしても相手方が対個人では払わないと言ったときに、それはそれだけ集めて、ここから先は弁護士さんにお願いをしましょうかということで、相談者とともにやっていかなければいけないと思ってやっているんです。
 でなければ、私たちの専門性というのは何も必要ない。この件はこの弁護士さんに行ってください、この件はこの司法書士さんの方がいいですよとなれば、単なる水先案内人であって、やはり私たちのスキルも磨かれていかないし、法律の改正ということにも結び付かない。そういうことを常々考えながら対応している相談員の方が多いと思いますので、そこら辺はやはりあくまでも弁護士さんには相談員がアドバイスを受けるという、基金の活用ではやっております。

○片山座長 それはやっておりますか。

○菅委員 はい、やっております。

○片山座長 では一連の続きで。

○山下委員 皆さんの御意見は非常によくわかって、大体実情もわかったんですが、逆に言いますと皆さんの意見を伺っていると、弁護士というのは最後の切り札だというイメージが非常に強くて、一方で今、弁護士が余っていて、非常に低価格でリーガルサービスを受けられるという現状があるときに、それをどうして活用しないのかというのが私の最初に申し上げた疑問でございます。
 弁護士は雇うのが高いという奥山委員からの御発言がありましたが、それは確かに弁護士に依頼をすれば高い費用を取られるんだと思いますけれども、地方公共団体として一定の額を一定の任期の間、安定的に払うという形で、多少少なくても、そういったサービスに手を挙げてくださる弁護士さんを募るという体制はつくれないかという問題が1つでございます。
 もう1つは、市役所の窓口に来る方は初めから弁護士さんに相談をされることを期待されていないということですが、弁護士の立場で相談窓口に立っていただくというのは私もあまり考えておりませんでしたので、いきなり依頼を受けるという意味ではなくて、それは地方行政に対する協力というか、地方行政の臨時的な職員の立場で公平公正の観点からやっていただいて、法廷の問題になった場合については、依頼を受けた場合のガイドラインといったものをつくるという形をとりさえすれば、窓口に弁護士さんが座ったから非常に行政がゆがむという意見というのは、私はそれはいろんな対策の仕方があるのではないかなと思っている次第でございます。

○片山座長 馬場委員、どうぞ。

○馬場委員 馬場でございます。先ほど件数の件が出ていたのですが、それも含めまして菅委員の話の中の件につきまして意見を述べたいと思います。
 件数につきまして社会的な影響がかなり大きいと思います。傾向として去年下がったから今年もそのまま下がるというものではなくて、何か新しい要件が出てきたら、必ずまた上がってくる。それと啓発などで消費者が知識を持ってくると、そういうものにあまり引っかからなくなる。そういうところではまた件数が下がってくるということなので、全体の流れとしての傾向を見ながら、件数については総合的に判断した方がいいと思います。
 やはり大事なのは、すぐに相談に行ける体制をつくっておくことが大事だと思うので、先ほどおっしゃったチラシを配布して、すぐに相談できる場所を周知していくという掘り起こしが非常に重要と思っています。
 名古屋市がつくられたものなんですけれども、ステッカーとか冷蔵庫に貼るマグネットです。センターの電話番号を書いて、いつでも目に見えるところに貼っておいてくださいというがつくられているとか、民生委員の方向けのDVD、おうちに行ったときに通販で大きなものが来ていたとか、新しい荷物が増えているとか、そういうものがあればおばあちゃんに聞いてみてくださいという啓発DVDを、今回の基金などでつくられたんです。そういうものがやはりうまくつくっておられる。
 DVDなどだったらクレジットのところだけパソコンで操作すれば、すぐにほかのセンターでも使えるわけですから、こういういいものができていますよとか、啓発の資料などを基金でせっかくつくったので、やはり皆さんに知恵を共有化するようにした方が、コストも余りかけずに同じもので知恵を使えば、いいものがつくれるのではないかと思う。その辺やはり消費者庁でうまく情報を集めて上手に使っていただければと思います。

○片山座長 野口委員、どうぞ。

○野口委員 先ほど山下先生からあったお話は、私は現行制度を前提にした場合にはちょっとひっくり返して、生活相談員の方への研修など育て方の在り方の話とつながってくる話ではないかと思っています。それに関わり是非確認をさせていただきたいと思っているのですが、今後、現行の相談員の方への支援策等を考えていくとした場合、この調査会における議論の前提として、現行の相談員の制度をより「プロ化」していくという方向を考えるという趣旨でよろしいでしょうか。
 こういう質問を申し上げます趣旨は、郵送でいただいた資料で2009年に全国消費者団体連絡会・消費者行政充実検討委員会がまとめられたものの中に、相談員の方の中にも意見はいろいろあって、むしろ非常勤で働けることに非常にメリットを感じられているという御意見が紹介されていたことに関係しています。より相談員の方を「プロ化」していくということは、お仕事の内容が「プロ化」されるだけではなくて、働き方も「プロ化」が求められていくということだと思うのです。
 だからこれまで土日は出勤していなかったけれども、むしろ土日に相談が多いから出て来いということはあり得るわけで、プロとしてこの仕事に就いたんだから、やはり土日に窓口で働いて受け付けなければならないという方向だということで育てていくべきなのか、どうかと。私なりには、現行の相談員制度を前提としそれを支援していくことを考えていく場合には、相談員の「プロ化」というのは一つの方向性ではないかとも思っているんですが、そういう前提で相談員の方への支援の在り方でありますとか、研修の在り方を議論をして考えること、これを前提としてよろしいのかどうか、これを確認させていただければと思います。

○片山座長 それは必ずしも前提にはならないと思います。と言いますのは、何が一番重要かというと、誰のための行政ですかというと消費者のためですから、相談員のためではないわけです。だから消費者のために、消費者にとってどういう行政が設けられるのがいいのかということが一番だと思うんです。
 そのときに今、野口さんがおっしゃったように相談員をプロ化していくというのも1つの選択肢でしょうし、先ほど山下さんが言われたような法曹をもっとダイレクトに活用する、法曹の内部化をすることも多分理念的にはあり得るんだろうと思うんです。それぞれの地域でどういうふうにしていくのが一番消費者にとっていいのかということを念頭に置きながら、現状との差をどうやって埋めていくのかということだと思いますから、1つの重要な要素になるとは思いますけれども、それだけを前提にするということではないと思います。沼尾委員、どうぞ。

○沼尾委員 今のお話と関わるんですけれども、先ほど片山座長から資料4-1の4、5ページで、窓口の設置状況とか担当職員の配置については、当然自治体によって違うんだけれども、それが地域ごとの消費者相談に対するニーズに的確に対応できているのであれば、体制の違いというのは十分あり得ることではないかというお話があったと思います。ただ、そういう意味で言うと、本当にそれぞれの地域でそういったニーズにきっちり応えられているのか、取りこぼれているところがないのかどうかを確認しておく必要があるのかなと思いました。
 実際に例えば土日に未開設というのは小規模な自治体で多いということなんですけれども、それは土日にそういった相談のニーズがないのか、行政にそれだけの体力がないからなのか、そういったことも含めて整理をすることが今後必要だろうということと、行政の担当職員が兼任している場合に、どういった業務と兼任しているのかを把握しておくことも必要でしょう。兼任することで効率的に回っているところもあるのかもしれないですね。連携による効率化ということもあります。例えば消費者相談というのも、ケアマネージャーの方が高齢者の介護のお宅に回っていく中で問題が出てきて、そこから掘り起こしが起こったとか、あるいは先ほど民生委員さんのお話もありましたが、そういったところから実は問題が出てくる場合もあるわけです。
 そういう福祉の分野あるいは介護の分野との連携をどのように図るのかですとか、福祉事務所の中で出てきたものをどう消費者相談につなげるのかとか、そういったそれぞれの業務で別々にやっていたところを、うまく情報共有できるような仕組をどうつくっていくかというところも、課題になってくるのではないかと思います。
 それはおそらく地域ごとに、どういった方が相談に来られているのかという需要の違いと関わってくる問題なので、そういったところが把握できるかということと、逆に先ほどから出ているようないろんな工夫というものがいろんな自治体に伝わることで、うちでもこのやり方を使ってみようという情報共有ができれば、いろんな自治体が独自の仕組を考える際のヒントになっていくのかなとも思ったところです。

○片山座長 圓山委員、どうぞ。

○圓山委員 予算と地方交付税についてお伺いしたいので、甘利室長よろしくお願いします。
 まず1つ目ですけれども、資料3-1で御説明のあった消費者行政関係予算が減っているという表ですが、これは平成7年が合計でピークになっておりますけれども、そのときに国庫補助金がかなり入っておりまして、私が覚えている限りでも経済企画庁関係で4つの国庫補助事業がありました。公正取引委員会関係で1つの国庫補助事業がありました。その事業費と国庫補助金が合計で約200億のところに入っているわけですけれども、それは平成20年にはすべて廃止されまして、平成20年はいわゆる都道府県単独事業と市町村単独事業だけになっています。ですから、国庫補助金が平成7年に何十億あってそれが減ったのかという額を把握しておられたら、教えていただきたいと思います。

○甘利地方協力室長 ちょっとわかりかねます。

○圓山委員 では次回までにお願いします。
 次が地方交付税に関する点ですけれども、資料3-6を拝見していましていろいろ疑問というか、私は全くわからないのでお伺いしたいのですが、地方財政措置というのは地方交付税の算定基礎に入っている、積算になっておるという話だと思います。一番初歩的な質問で申し訳ないのですが、地方交付税の不交付団体には、この考え方は妥当するのでしょうか。

○甘利地方協力室長 これはあくまでも標準団体への計算ということが明らかにされているということなので、具体的にそれぞれの団体にどのように配分されるかというところについては、我々は承知しておりません。

○圓山委員 地方交付税の交付自治体にはある程度この考え方は参考になると思いますけれども、地方交付税をもらっていない団体、自治体はこんなことに関係なく、勝手に予算を組めばいいというお話なのか、それともこれをある程度参考にすべきものなのかというところはどうでしょうか。

○甘利地方協力室長 交付税がそもそも配分されないということであれば、地方の財政を総務省で見て、十分地域の財政が確保されていると判断されていると思いますので。

○圓山委員 では、次の疑問ですけれども、ここに相談員の設置の経費を特に取り上げて載っていますが、そのほかのいろんな消費者行政の経費についても同じような積算があって、合計額が各地方自治体に配分というか、積算されていると考えてよろしいでしょうか。

○甘利地方協力室長 それでよろしいかと思います。

○圓山委員 その合計額ですけれども、全国の都道府県と市町村の積算の合計額というのは、平成20年度で何億円ですか。お尋ねたいのは、先ほど予算が減っているところで平成20年度は109億円でございましたが、地方自治体の都道府県単独予算、市町村単独予算109億円よりも地方交付税の積算総額が高いのか、あるいは低いのかというところを知りたいという意味でお尋ねしています。

○甘利地方協力室長 前回の委員会でお配りした地方消費者行政活性化に向けた取組という資料の中で、地方交付税の拡充ということを説明した資料があったかと思いますけれども、基準財政事業に関しては平成21年度約90億円から180億円に倍増したということで、全体としてはそれが金額になっています。

○圓山委員 とすると、倍増する前の平成20年度ですけれども、基準財政需要額が90億円なのに、単独予算で109億円あったわけですので、都道府県、市町村としては国が引く中では非常に頑張って、基準財政需要額よりも多くの単独予算を確保しているという解釈で間違いないですね。

○甘利地方協力室長 すみません、ちょっと理解できなかったんですが。

○圓山委員 ですから、平成21年度からは基準財政需要額が上がったのですけれども、平成20年度の段階は基準財政需要額が90億円だとすると、109億円というのは地方交付税の積算で出してきた額よりも、平成20年度に関しては多くの予算を都道府県、市町村は確保できていたと考えてよろしいわけですね。

○甘利地方協力室長 そこについては我々は情報を持っておりません。

○圓山委員 あと幾つかお願いします。
 ここでは170万人の標準団体の県で相談員が11人と出ていますけれども、170万人の県で11人というのは相談員一人当たり15万人ぐらいの人口となると思いますが、この根拠は何か計算式などあるのですか。

○甘利地方協力室長 これについても詳細について明らかにされているわけではないんですが、我々が総務省から伺っている話では、そのような積算が行われているということをお聞きしております。

○圓山委員 それでは、一人当たり300万円に増えたわけなのですけれども、人数的には11人で変わっていないと思います。170万人当たりの標準団体で11人というのは、いつから11人のままなのでしょうか。相談が増えているのであれば11人という人数は増えて当然だと考えられますけれども、昭和何年から11人のままなのかというところはわかりますか。

○甘利地方協力室長 すみません、わかりません。

○片山座長 圓山さん、消費者庁にそういう矢継ぎ早に質問しても難しいと思いますよ。交付税は総務省で勝手にやっていますから。予算要求があって、それを査定してここに出てきたということではなくて、総務省の方で勝手にやるんです。だから御質問のことをあらかじめ連絡してあげて、消費者庁から総務省に照会ができるぐらいの余裕を与えてあげた方がいいと思います。

○圓山委員 わかりました。あと、相談員1人というのは勤務日数、週何日の相談員を想定しているのかというところもお伺いしたかったので、リストにしてお渡しして、次回までにお願いしたいと思います。

○片山座長 馬場委員、どうぞ。

○馬場委員 質問させていただきたいのですが、今日の資料の中で地方消費者行政の実態調査の8ページ、商品テストの件なんですけれども、これにつきましてお尋ねします。
 商品テストをする目的が原因究明等と書かれていますので、何か事故があったときにそれを検証するという意味で商品テストをされているケースが多いと思います。その場合にかなり緊急を要するものがあると思います。早く手を打たないと事故が拡大する可能性を含んでいるテストがかなりあるのではないかと思うんですが、その場合NITEとか国民生活センターなどにテスト依頼した場合に、どのぐらいの時間で結論をもらえるんでしょうか。
 今後そういう商品テストで必要最小限何をやっていかないといけないのか、そのためにはどこに頼んだらいいのか、その期間も想定していかないと、こういう問題が起こったときの対処に対して非常に必要な要件かなと思って御質問しました。

○片山座長 わかりますか。

○齋藤審議官 その点は具体的に訪ねていないので、ちょっと今はお答えできません。申し訳ありません。

○原事務局長 扱っている案件を国民生活センターへ持っていったりとか、独自にテストしたりとか、NITEへ持っていったり、それは区分しているのですけれども、今、御質問のあった期間についてまでは問い合わせていないということなので、何らかわかる方法があれば事務局でも探してみたいと思います。

○馬場委員 お願いします。

○片山座長 田中委員、どうぞ。

○田中委員 消費者行政関係予算、資料3-1についてお尋ねしたいのですが、先ほど都道府県、政令指定都市についてはずっと削減、縮小していって、市町村については横ばいか上昇かという状況ということで、私なりに考えましたのは、例えば市町村などは相談窓口を置くことで、その予算が増えていくなりしたのではないか。
 それと先ほど圓山先生のおっしゃることで少しはわかった部分もあるんですが、都道府県、政令指定都市の予算が減少していったのは、これはどの部分が減っていったのか。私の感じるところでは、勿論相談員の処遇などはずっとアップしていただかなければいけないことなんですけれども、相談員については予算は増えているか若干減るかぐらいで、ほかのところはぐっと減っているのではないかという勝手な予測をしておりますが、その辺でどこがどう違ってきているかという、もう少し詳しいそれぞれの事業での増減がわかると、この消費者行政が今後充実していかなければいけない部分が、どこの部分かということもわかってくるのではないかと思うんですけれども、その辺のもう少し詳しいのがほしいと思いました。

○甘利地方協力室長 団体によって予算の項目というのがかなり違っておりまして、そこをまとめてつくっているものですから、すごく雑駁なお話しかできないんですけれども、聴いているところによりますと、啓発とか広報とか、そういった事業が比較的早くに削られやすいということがあります。

○片山座長 奥山委員、どうぞ。

○奥山委員 すみません、時間も押していますので簡潔にですが、資料3-1の消費者行政関係予算の推移ですけれども、私は自治体の首長としてこれを見たときに思いますのは、自治体予算は平成7年をピークに減っているわけですが、これは多分バブル崩壊が1990年代の初めですので、それが自治体にも寄せてきて、とにかく税収が落ちて総予算を下げなければいけないというのが始まったのが平成7年ごろ。それを受けて平成9年、10年辺りに各自治体は行政改革大綱をつくり始めて、それによって継続的なシーリングの時代に入っている。
 シーリングをかけるときには一律5%とか、一律10%という率で自治体はかけておりますので、それがだんだん右側の対前年度増加減の辺りの数字を押し並べて見ていくと、やはりシーリングの影響が全体として大きいのかなと。ですから、決してこれは消費者行政をねらい撃ちにしたということではなく、地方財政の悪化の中で消費者行政も同じものを受けた。
 では一番減ったのは何かというと、皆さん御承知のとおり普通建設事業です。仙台市は普通建設事業のピークは平成11年になりますが、平成11年は1,300億を普通建設事業に使っていました。要は何かつくったということです。それが平成20年には600億円まで減っています。700億円という巨額のものを普通建設事業で減らして、なおかつ仙台市の消費者行政費も減っているはずです。
 そういう状況の中でどこが増えたのかというと、医療扶助など福祉の関係です。例えば、国民健康保険の一般会計補助費に今、仙台市は年間100億円使っています。消費者行政とけた違いです。でもこれを100億円だと多いから削って消費者行政に1億やったら消費者行政は御の字ですが、100億円を削れないのでございます。そういう中での表の読み解きというのは非常に複雑な面があるということを、一言だけ話をさせていただきました。

○片山座長 もっと言いますと、これは甘利さんもちょっと触れておられたんですけれども、消費者行政関係予算というのは、必ずしもそんなに明確な定義をしていないのではないでしょうか。自治体の判断に任せている。
 例えば米の関係なんかで、米の管理とか減反関係とか農業関係予算に分類されていても消費者関係予算だと言うところもあるんです。ですから、あながちこれが統一された定義で、我々が考えているような消費者行政とは限らない。したがって、先ほど圓山さんが平成20年度までは交付税よりもたくさん使っていたんですかという質問は、わかりません。多分使っていないと思います。いろんなものが入っていると思います。だから交付税で想定している消費者行政関係の基準財政需要額と、ここで出ている決算の消費者行政関係予算との間でかなり齟齬があるのではないかという気がします。
 時間もなくなりましたので閉めたいと思いますが、私の方から問題提起なんですけれども、いずれにしても自治体でこういう予算を減らしてきたり、先ほどの池本さんの話で人員もかなり減っているということなんですが、それぞれの自治体ではそれで適切な予算なり人員を配属したりしているという判断なんです。間違っているとか不十分ですということは言っていないと思うんです。どの分野にも適切な措置を講じていますと言っているはずなんです。消費者行政もこれでちゃんとやっていますということを言っているはずなんです。
 そうすると国から見てというか、ここの場で見てどこが何が不十分なのかということを言ってあげなければいけないと思うんです。だって自治体の当事者はみんなこれでいいと言っているわけですから、だけれども、それはそうではないという証拠を挙げてあげなければいけないんです。そういう観点から何かありますか。消費者庁とか消費者委員会でもいいんですけれども、ちょっとこれは幾ら何でも不十分なのではないですかというものはありますか。単に人員や予算が足りないのではないかといっても、うちはちゃんとやっていますと言うんです。国府委員、どうぞ。

○国府委員 時間がないので遠慮していたんですが、発言用レジュメというのを今日用意してきたのですが、もし次回でも時間があればもう少し詳しく説明したいのですけれども。この間の消費者庁、消費者委員会設立に向けての国会の審議では、地方消費者行政の課題については、相談の業務についての議論がどちらかというと中心になって、法執行部門に関する議論がかなり弱かったと思っています。
 前回櫻井先生から特商法の行政処分のルールが非常にずさんだというお話があったのですが、貸金業や宅建業法みたいな登録制の業法における行政規制と、特商法のように単なる行為規制の部分とでは、かなり行政の取組み方に差がある。それはこのレジュメに書いているように、基本的には行政職員が兼務でほとんど人数がいないという中で、特商法分野という消費生活センターが扱っている相談業務のかなりの部分を占めているところの分野に対する行政規制が不十分になっているのではないかということで、ちょっとこれについてもう少し次回にでも説明するお時間をいただけたらと思っております。

○片山座長 その場合、兼務しているからだめなのではないかというのは一般論としては多分当たっていると思うんです。でも、兼務している方は兼務している方でそれなりの理屈、屁理屈を用意してやっているわけです。そこで、そのことによって自治体は十分だと言っているけれども、こんな不具合が出ているではないかというのが必要だと思うんです。
 それは例えば相談も行政執行も含めてですが、経済学で言うと滞留して行列ができているではないですか、うまく処理できていませんねという実態があれば非常に説得力があるし、不十分な体制の結果として、こんなひどい結果が起きているではないかということがあれば、はっとするでしょうし、何かそういうものがないと、単に国から言ってもあまり説得力がないと思うんです。みんなそれなりに、奥山さんが先ほど言われたように乏しい財源とか定数の中で一生懸命やって、これでいいかなというので議会も納得しているわけです。それではだめなんですよということをきちんと説得的に説明してあげないといけないです。
 似たようなことで、地方分権改革の流れの中で逆行するようなんですけれども、国の関与を強めた行政分野がある。これは文科省の教育行政部門なんですが、個別具体的に指示ができるような仕組を分権改革の後に設けたんです。それは何かと言うと地方教育行政で教育委員会がちゃんとやっています、人員も予算もちゃんとつけていますとやっていたんだけれども、その中でいじめ自殺がいっぱい出たわけです。これは幾ら何でもひどいだろう。あなたたちはちゃんとやっていると言うが、その結果がこんないじめ自殺ですかということだったんです。それで国の関与の権限をかなり強めたんですけれども、それを敷衍すれば、消費者行政でも何か不具合がありますねとか、滞留、行列ができていますねということがデータ的にあるのかどうか。
 1つは、私なんかは多分地方交付税の積算、基準財政需要額で見込んだ額と、実際の決算との間に随分乖離がありますねというのがあると思うんです。ただ、それは地方交付税が余っていますねという解釈になる可能性もあるんです。地方交付税が多過ぎるんですね。では減らしましょうねという、そちらの解決に向かう可能性があるわけです。これは藪蛇というか、もろ刃の剣なんですけれども、1つそれは国として指針を示しているのに、それだけ自治体の財政がついてきていないということは、どちらかに問題があるのではないか。地方交付税の積算に問題があるのか、それとも自治体の実態が不十分なのかという問題提起ができると思うんですが、そういうものが何かあればなと思うんですけれども、何かお気づきですか。

○矢野委員 前回、全国消団連の調査のことをお伝えしまして、皆さんには事前に資料を事務局からお届けしていただきましたけれども、消団連の調査の中に資料3-1と関係しますが、都道府県の消費者行政予算の中に市町村に対する支援予算というのが大体設けられています。実はそこを全部調べておりまして、先ほど何をもって消費者行政の予算とするのかというのは、それぞれとり方の違いはあるんですが、数字的に見た場合に資料3-1では前年度と比べて2.5%の減だったわけですけれども、市町村に対する都道府県の支援予算の減額率は13%にもなっています。これは実は非常に大きいのは活性化基金の存在です。
 活性化基金が設けられたことによって都道府県によっては全く市町村への支援予算をゼロにしたところもありますし、減額にしたところも15県あります。平成23年で終わるわけですが、その後、来年はどういう支援予算額になるのかということと、活性化基金がなくなった後に本当に支援予算をどうしていくのか、その辺は非常に重要な点ではないかと思いますので、是非このデータは活用していただきたいと思っています。

○片山座長 山下委員、どうぞ。

○山下委員 思いつきで申し訳ないんですが、行政処分が出ているケースについて、最初に相談を受けてから処分が出るまでの期間というのは、平均をとったりはできるのでしょうか。行政処分が出ているのであれば、最初に幾つ相談を受けたかというデータも比較的残っているのではないかと思うんですが、それはいかがですか。

○片山座長 いかがですか。何かありますか。とれば出てくるでしょうけれども、既存のデータがあるかないかですが、多分ないのではないでしょうか。聞けばわかるでしょうか。

○齋藤審議官 相談が端緒になって処分に結び付くというケースはあり得ると思うんですけれども、必ずしも相談が端緒にならずに、また別のルートで端緒が出て処分に結び付くというケースの方がむしろ多いのではないかと思っています。
 今のお話で、まさにそこのところは連携強化で、相談が処分にどうやって結び付けられるかというところに多分足りていない部分があって、そこのところはこれから強化していく部分ではないかと認識しております。
 すみません、いただいたマイクでそのまましゃべらせていただきますけれども、片山座長からエビデンスはあるかというお話なんですが、詳しく御説明しませんでしたけれども、資料4-1の10ページにPIO-NET設置、未設置の相談件数の割合とあるんですが、PIO-NET未設置であるために、相談情報として登録されていない情報が6万8,000件ありまして、こういうものを相談情報として拾い上げて、施策などに反映していかなければいけないというところで、この辺は開拓分野であると認識しております。
 窓口がないのはニーズがないからだとも必ずしも言えないところがありまして、窓口を設けると相談が出てくるという話をよく聞きますので、その辺はデータの読み方ですけれども、注意をする必要があるかなと思っています。

○片山座長 それはそのとおりなんです。司法制度改革のときに法曹過疎の問題がありまして、弁護士がいないのは法律相談の案件がないからだという意見と、弁護士がいないから法律相談ができないんだという見解があったんですけれども、弁護士が配置されると案件は増えるんです。だからそれは潜在的なニーズが旺盛だということなんです。そうすると、窓口がないとかインフラがない、不十分だということは、かなりの確度で言えるんだろうと思うんです。
 そういうことも含めて、どう考えてもおかしいという事実や証拠が、やはり最初に必要なんだろうと思うんです。それがないと自治体もそれなりに真剣にやっていますから、こちらが親切で言ってあげても、金も出さない人がつべこべ言うなという話にすぐなってしまうんです。1つの論点としてはそういうことになると思います。
 あとは国の方から支援をするということであれば、どういう支援の仕方があるかというのは、それはそれで別途の論点としてあるんでしょうけれども、とりあえずは自治体の方は今の体制で十分だと言っているが、いや、現状は不十分ではないかというアプローチがあってもいいのではないかと思います。
 率直に言って私は自治体の取組は不十分だと思います。金を国がくれたからやるとか、基金があったからとりあえずやれるとか、そういう対応なんですけれども、やはり本当はそれでは不十分だと思うんです。ただ、差し迫った問題としてお金がないという問題があったりしますから、なかなか困難な点はあるんですけれども、とりあえず現状でやるべきことは必ずしも十分にやっていないのではないですかということを、何か指摘してあげることは必要なのではないか。それは全体の問題であってもいいし、個別の自治体の問題であってもいいのではないか。いじめ自殺なんかは実は個別の問題だったんです。それを全体の問題にしたんですけれども、というようなことを感じました。
 それでは、誰かありますか。よろしいですか。事務局いかがですか。

≪3.閉 会≫

○原事務局長 あとは次回の御案内です。少しちょっと時間が過ぎまして申し訳ございません。長時間ありがとうございました。
 次回の専門調査会は6月15日火曜日の午前10時から行う予定にしております。第1回でもお示ししましたけれども、少しずつ論点を挙げて検討を進めるというところに入っていきたいと思っておりまして、相談体制、そのネットワークのようなことを論点にしたいと思っております。
 併せて今日は法執行の話が出ておりましたけれども、全体的にどういうふうに審議をしていくのかというスケジュール案も示して、皆さんに御議論をいただきたいと考えております。
 事務局からは以上です。

○片山座長 ありがとうございました。
 それでは、今日は熱心に御議論いただき、ありがとうございました。ちょっと時間も超過してしまいましたけれども、皆さんの御協力に感謝をして、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

(以上)