第3回 消費者安全専門調査会 議事録

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日時

2010年8月4日(水)10:00~12:15

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
宇賀座長、中川座長代理、赤松委員、阿南委員、大前委員、片山委員、齋藤委員、佐竹委員、杉山委員、
鶴岡委員、中尾委員、中嶋委員、中村(晶)委員、西村委員、橋本委員、松岡委員、横矢委員、吉岡委員
【消費者委員会委員】
中村委員長代理、佐野委員
【説明者】
消費者庁 野村消費者安全課長
【事務局】
消費者委員会 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.前回の議論の整理
3.事故情報の通知・集約について(第2回から引き続き)
4.その他
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:12KB)
【資料1】 情報の収集・一元化に関する前回までの議論の整理(PDF形式:20KB)
【資料2-1】 消費者安全法に基づく事故情報通知制度等について(PDF形式:224KB)
【資料2-2】 消費者庁に集約される主な消費者事故等の情報について(PDF形式:19KB)
【資料2-3】 消費者安全法に基づく事故情報通知制度等に関する意見交換会における主な意見(PDF形式:446KB)
【参考資料】 消費者庁への情報の流れについて(PDF形式:50KB)


≪1.開会≫

○原事務局長 おはようございます。本日は、皆様、朝早くからお忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。ただいまから「消費者委員会消費者安全専門調査会(第3回)」の会合を開催いたします。
 消費者委員会の事務局長を務めている原です。どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、本日は専門委員の廣瀬委員、山上委員が御欠席となっております。そのほかの委員の方々、おそろいですけれども、今回、初めて片山委員が御出席になっておられますので、簡単に自己紹介をお願いできたらと思います。

○片山委員 1回目、2回目を欠席しまして、どうも申しわけございませんでした。大阪で弁護士をしております片山登志子と申します。
 これまで消費者側でPL訴訟など、製品の安全の問題に関わってまいりました。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○原事務局長 どうもありがとうございました。
 それでは、配付資料の確認をさせていただきたいと思いますが、「第3回議事次第」と書いてあるものの裏面に配付資料の一覧を掲載しております。
 資料1は、これまで情報の収集・一元化に関する御意見を皆様から出していただきましたので、それの議論の整理をしたもの。
 資料2ですが、枝番が1、2、3と付いておりますけれども、消費者安全法に基づく事故情報通知制度についてということで、これについてスタートして時間もたったところで、どういった情報が入っているのか。それから、意見交換会をつい先日、行いましたので、そこで出された御意見などを紹介して、今日の審議に資するものということでお付けしております。
 参考資料として、消費者庁への情報の流れというものをお付けしております。
 配付資料は今のとおりですけれども、不足がございましたら事務局まで申し出ていただければと思います。
 それでは、議事進行の宇賀座長、どうぞよろしくお願いいたします。

○宇賀座長 それでは、議事に入りたいと思います。
 本日は、前回に引き続きまして、前回までの議論の整理、それから事故情報の通知・集約について議題として取り上げたいと思いますが、消費者委員会事務局から、原事務局長のほかに齋藤審議官、それから消費者庁の方からも野村消費者安全課長に御出席いただいております。
 それでは、まず議事次第2、前回までの議論の整理について、資料1「情報の収集・一元化に関する前回までの議論の整理」に基づきまして、事務局より御説明いただきたいと思います。

≪2.前回までの議論の整理≫

○齋藤審議官 消費者委員会事務局の齋藤でございます。それでは、資料1「情報の収集・一元化に関する前回までの議論の整理」という資料に基づいて、簡単に御説明させていただきます。
 前回の専門調査会におきまして、中川座長代理の御発案によりまして、情報の収集、分析、提供という3つの側面に分けて、マトリックスのような形で議論の整理をしたらいかがかという御提案がございまして、それに基づいた表を前回の専門調査会でもお配りしております。その中から、情報の収集の部分を今回、取り出しまして、その部分に更に前回、情報の収集に関する御議論もいろいろありましたので、そういった御議論の内容を要約してまとめた、整理したものがこの表でございます。
 見やすくするという観点から、御発言の内容をかなり要約しておりますので、もしかしますと御趣旨が十分酌み取れていない点もあろうかと思いますが、その点がございましたら、どうぞ後ほど御指摘いただければと思います。
 それでは、資料の1ページでございますが、上段、下段に分かれておりますけれども、上段は事業者からの収集ということで、主に消費生活用製品安全法を念頭に置いておりますけれども、それ以外にも事業者からの収集ということが問題項目としては考えられるということで、1つのカテゴリーとして整理しております。
 その中におさまる御意見として前回出されたものは、青字で書いておりますが、消費者から事業者に上がってくる情報が事業者でとまってしまわないように、情報が流れていくようなシステム、仕組みが必要という御意見がございました。
 それから、下段の方は、いろいろ経由するわけですが、消費者から入ってくる情報ということで整理したものでございます。
 前回新たに出された御意見といたしましては、例えば財団法人日本中毒情報センターというところは毒物監視という役割を果たしているので、そういったところも情報収集先に入れるべきであるという御意見がございました。
 また、メディアからも有益な情報があるのではないか。ただ、消費者を混乱させるとか、あるいは企業を風評被害に陥れるというリスクはありますので、そういう点は認識しつつも、うまく活用することを考えた方がいいという御意見であったかと思います。
 また、消費者が自ら情報を提供する。入力と書いてありますが、自ら提供するという考え方もあるのではないか。直接消費者庁に文句を言うということも、コンピューター処理を使えれば、情報として取り入れて考えてもよいのではないかという御意見であったかと思います。
 2ページ目をごらんいただきたいと思いますが、前回非常に多岐にわたる御意見がありましたので、それをここに書いておりますような項目立てで整理したものでございます。
 まず(1)として、現行法における情報収集の問題点。
 そのマル1といたしまして、通知すべき事故情報の範囲ということに関連して御意見が幾つかございました。
 最初の2つは、消費者安全法の中の消費者事故の定義に関する規定。それを受けた政令に定める定め方が少し厳しいのではないか。もう少し緩めて広目にとって報告される仕組みにすべきではないかという御意見がございました。
 同じように、消費者安全法の重大事故の定義を、具体的には治療に要する期間を30日ではなくて10日以上にすべきだということで、ここも少し緩めた定義を考えるべきではないかという御意見がございました。
 3つ目でございますが、一律に決めるのではなくて、乳幼児とか高齢者とか、被害を受ける者に応じてきめの細かい定め方というものも考えていいのではないかという御意見もございました。
 更に、何が消費者事故であるのかという消費者事故等の範囲について明確にしてほしいという御意見。
 それから、消費者による使用に伴い生じた事故というところをもう少し広く解釈できないかという御意見もございました。
 マル2に移りますと、ヒヤリハット情報ということで、事故情報ではないのですが、ヒヤリハットに近い情報というものもある。そういうものは、事故情報とは取り扱いを別にして、きちんと議論すべきであるという御意見がございました。
 それから、マル3誤使用関係の情報であります。事故には当たらない、誤使用だということで整理されるものでも、さまざまな情報があって、それを全部集めるような仕組みをつくるべきではないか。
 その次も同じような趣旨でございますけれども、誤使用であっても、事故が続発するようなケースでは、報告すべき案件として定めるべきではないかという御意見がございました。
 それから、マル4通知すべきか判断に迷う情報への対応ということで、消費者安全法12条では、重大事故は直ちに通知しなければならないとなっておりますけれども、直ちにというところが、数時間以内に提供しなければならないということで、これは現場の相談員の方にとってはかなりプレッシャーになっている。重大事故なのか、消費者事故なのか、なかなか判断が難しい。それを数時間以内に判断しなければいけないというのが非常につらいので、そこを何らかマニュアル化してほしいという御意見がございました。
 その下でございますが、このような判断が難しいものについては、だれもが見て解決方法がわかるマニュアルのようなものをつくると役に立つのではないかといった御意見でございました。
 3ページ目、(2)情報分析から見た情報収集のあり方の見直しということで、通知を行う側でいろいろ分析をする必要があるわけですが、そういうあり方についての見直しということに関連した御意見でございます。
 最初は、通知元の判断を大事にするということですが、地方自治体には情報の分析力、蓄積がないので、消費者庁ともっと合議して、消費者庁の分析官、相談窓口と一緒に考えてもらって通知するようにしないと、地方にとっては大きな負担になる。
 次の御意見ですが、通知のステップにおいて、消費者事故等に該当するか、重大事故等に該当するか、被害の発生・拡大のおそれがあるかという3段階のスクリーニングがありますが、これがそれぞれについて判断に時間がかかり、判断に困ることがある。
 そういうことであれば、次の御意見ですが、通知基準にこだわらず、何でもかんでもデータを入れて通知するというやり方もあり得るのではないか。
 同じような趣旨で次の御意見ですけれども、ともかく情報を入力してもらい、その後はコンピューターの言語処理によって、該当するか、該当しないのかというところは、消費者庁の方で判断するということもあるのではないか。
 次の御意見は、何か法律上の問題はなくても、続発するような事態については通知案件として取り扱って、その上で消費者庁としても積極的に改善措置を促していくパターンを確立するべきではないかという御意見もございました。
 その次は、以上の御意見を少し整理したというか、受けたような御意見でございますが、情報の収集は広目に行って、現場でわかるようなマニュアル化を行う。その上で、事故か誤使用かの分析は消費者庁が自治体と連携して行うというやり方は考えてもよいのではないかという御意見がございました。
 それから、(3)情報利用から見た情報収集のあり方の見直しということに整理しております。
 1つ目は、各地の事故情報がお互いに見えるような情報のネットワークづくりをしてほしい。
 2つ目には、公表までには至らない段階で、何かおかしいのではないかというものについて、関係者の間で情報を共有できるネットワークがあるといいのではないか。地域的なものでも、関係機関とのネットワークがあると役に立つという御意見がございました。
 それから、4ページ目に整理しておりますのは、情報の収集という観点では少しおさまり切らないような趣旨の御意見がございまして、それはここに整理しておりますが、製品のリスクをどこまで許容するかという観点での御意見かと思います。
 1つ目は、消費者が製品のリスクをどこまで受け入れるのかという点について、ステークホルダー全部が集まって議論すべきである。
 2つ目は、100円ライターの問題を例にされておられましたが、この問題は他の商品にも当てはまる面がないのか考えた上で、どういう消費者の常識の形成の仕方がいいのかを考えるべきである。
 3つ目でございますが、キッズデザインなど民間のアイデアや技術を消費者庁のサイトに掲載し、活用してはどうか。
 最後でございますが、消費者が被害から逃れる最大の方法は誤使用を勉強することで、これをどう伝えていくかが大事であるといった御意見がございました。
 以上、第2回の専門調査会で出された意見を整理したものでございます。

○宇賀座長 ありがとうございました。この資料1に皆さんの御発言をまとめているわけですけれども、これをごらんになって、御自分の発言の趣旨が十分に反映されていないといった点がありましたら御発言をお願いしたいと思います。どうぞ。

○齋藤委員 1ページ目の最初の項目、事業者からの収集のところに4つほど書かれていますけれども、使い方やサービスに対する相談、それからクレームなどの大半は、事業者と消費者の間で処理されていると認識しております。
 その中で、事故になるようなものがどれだけかということになると、極めて数は少ないと思うのです。情報を全部対象にするということであれば、こういうシステムは多分成り立たないと私は思っております。1つの企業で年に数10万件、100万件以上の対応をしているところも結構あるように聞いております。
 そこで、これを事故に絞って報告するかというと、大きな事故については当局への報告が既に義務付けられている部分がありますから、それと二重行政にならないかというのが懸念されるわけです。その辺りをきちんと付け加えて検討していかないと、あと議論が拡散するばかりで、私は収れんしないと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。では、今の御発言の趣旨を踏まえて、この表を修正していただきたいと思います。

○中嶋委員 ちょっとごめんなさい。

○宇賀座長 はい。

○中嶋委員 今、御発言された内容がちょっとよくわからないのですけれども、1つの企業に100万件ぐらい情報が来るというのは、苦情なのでしょうか、それとも事故についての情報なのでしょうか。

○齋藤委員 大体は使い方がわからないとか、相談案件が大半です。その中にごく一部、事故などが含まれている。その境目が消費者から来る情報を1回目に聞いたときにはわかりにくい場合が結構あるということです。

○中嶋委員 私自身は、お客様相談室の苦情対応などについても指導していますけれども、実は苦情の大体3%から5%がいわゆる法的に訴える根拠のあるクレーム。それ以外はほとんど苦情なのです。それも事故とは限らない。ですから、この問題とは別でございませんか。

○齋藤委員 これは青字で、例えば消費者から事業者に上がってくる情報と書いています。、この情報の中身がわからないのです。私は、広く読めば、相談案件なども全部入ってくるのではないかと考えたわけです。

○中嶋委員 事故情報の収集・一元化というテーマですから、基本的にはお客様相談室に上がってくるものが全部ここに出てくるということではないと思いますけれども、いかがでございますか。

○齋藤委員 それでは、事故情報とはっきり明示されていればいいのですけれども、このページのタイトルは情報の収集となっています。問題項目が事業者からの収集でして、括弧書きで安全法とは書いていますが、その後、事故情報というのがどこにも出てきていません。事故という修飾語が付くのであれば、誤解は少なくなると思います。

○中嶋委員 はい。

○宇賀座長 どうぞ。

○齋藤審議官 今の点は、恐らくすべての情報がということではなくて、事故に関する情報ということである程度絞りをかけた形で、当然ここでの議論はみんなそういう議論になると思います。そういう頭で書いていたものですから、単に情報と書いてありますけれども、そこは誤解のないように書きたいと思います。

○宇賀座長 ほか、いかがでしょうか。はい。

○消費者委員会中村委員 1ページ目の一番下の方、先ほど、問題項目の消費者自身の入力というところを提供と訂正されたのでしたか。

○齋藤審議官 はい。

○中村(雅)員 消費者からの情報提供という趣旨ですね。その右側の項目に、趣旨不明な「消費者が(直接)消費者庁に文句を言う」という表現があるのですが、こういう発言は今までなかったと思いますが、文句を言うというのではなくて、要するに消費者から消費者庁に事故に関連する情報の提供を行うという趣旨なのではないかと。
 これは私が発言したわけではないですが、発言された方の趣旨はそういうことではなかったかと思うので、これも文章表現が余り適切ではないので、文句を言うということをここに書いても仕方がないと思いますので、消費者庁に情報提供を行うという趣旨に訂正した方がいいと思います。

○宇賀座長 そのように訂正させていただきたいと思います。
 どうぞ。

○横矢委員 同じような話なのですが、3ページ目、真ん中辺に「何でもかんでもデータを入れた方がいい」というところがあるのですが、この元の発言がちょっと私、わからないのですけれども、先ほど齋藤先生がおっしゃったことにつながるところがあると思います。何でもかんでもだと、範囲が全然わからないので、苦情レベルのものでも何でも入れてしまっていいのかなというイメージに全体がなったのではないかと思いました。この発言は、どのような表現にするか、もうちょっと考えた方がいいのではないかと思いました。

○中尾委員 その両方の不適切は私です。これから文句を言いますではなくて、クレームを言いますと言っていると、余り消費者の人は入れてくれないから、どうぞ文句を言ってくださいという意味で言ったのではないかと、昔は若かったのでそういうふうに思いました。だけれども、さあ、これから言うぞではなくて、すごくレベルは低くしておかないと集まらない。
 それから、何でもかんでもというのは、余り判断しないで文句を言ってください。6月に消費者庁がまとめたもので、いろいろなレベルのデータがあって、インターネットに載っているものが結構おもしろいのです。見てみたら、クレームみたいなものが全部で47万件も半年間である。要するに1年間で100万件ですね。ほとんど契約の文句という感じです。すばらしいですね。中のデータが非常に役に立ちます。でも、100万件近い中の99万件ぐらいが、自分がエステティックに行って失敗したとか、化粧品を買ってうまくいかないという文句が多かったのだけれども、そういうものは消費者庁は扱いませんと言うと、ほかのものが来なくなってしまうのかなと。
 次に言ったのが、コンピューター処理で自然言語処理というのをやっていて、エステティックの言った言葉を全部入れたものを処理して、エステティックの棚はこちらねという感じで、今はコンピューターが割と処理してくれる。これを人間が処理したらえらい騒ぎになるから、人間が処理しないで、消費者庁がコンピューターで、まずはソーティングして、ごみの中から人間がけがをしたり、死んでしまうものを選ぶ。
 今、1,000件ぐらい選んで、商品・製品に関係するものとしないものに分けて、商品に関係するものだけこして出てきたものが300件ぐらいで、それをまた分類して、それを元に戻してメーカーに何とかしろと言っているから、それは物すごいごみの中からかき集めるようなことを確かにやっているということが、あのデータからわかったのです。
 それはすばらしいことなのだけれども、消費者庁はそんなにたくさんいないから、コンピューターでするためにもっと国は金をかけて、人間だけではなくて、コンピューター処理をするような大規模なシステムをつくって、それでごみみたいなデータから、本当に必要なデータをきちんととるということを構築したらどうなのか。

○横矢委員 その考え方は役に立っていくだろうなと思いました。多分それらの内容が、この資料に項目別にばらばらに入っているので、何となく意味が通じにくかったのだろうなと思います。
 それから、先ほど齋藤先生がおっしゃっていた事業者の元に集まった情報に関するお話に対して、中嶋先生から、それでは情報量が多くなってしまうし、話が違うという話との違いがわかりにくいと思います。つまり、「なんでもかんでも」と言えば、事故か苦情か、まだ判断できない雑多な情報が集まってしまうのでは?と疑問を感じる人も多いのではないかと。情報としては、行政までには言ってこないけれども事業者には言いやすいので、本当はすごく重要な情報がたくさん入っていると思いますし。それとは別の話になるのですか。ちょっと混乱します。

○中尾委員 でも、今は事業者にしても、事故のものは報告しなければいけないという法律ができましたよね。だから、結局は消費者庁に重大事故に近いものはみんな来るみたいですね。

○横矢委員 事故まで行っていれば来るのです。その前の情報の話ですね。

○中尾委員 それから、病院に行ってお医者さんがチェックしたものも全部来るし。だから、収集システムとしては結構優れているのではないかと思います。

○横矢委員 わかりました。ありがとうございます。

○宇賀座長 何でもかんでもデータに入れた方がいいという部分は、コンピューターの言語処理と当然結び付いた話ですので、そこをつなげた形で書いていただければと思います。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)

○宇賀座長 収集について議題として取り上げるのは、本日で2回目になりますけれども、できましたら本日で一区切り付けまして、次回第4回は分析の方に議論を移したいと思っております。
 それでは、前回に引き続きまして、議事次第の3.事故情報の通知・集約についての議論を行いたいと思います。
 その前に、本日の議論に関連しまして、野村課長から御説明をお願いします。

≪3.事故情報の通知・集約について(第2回から引き続き)≫

○野村消費者安全課長 お手元に資料2を提出させていただいております。簡単に御説明させていただければと思います。
 まず、資料2-1「消費者安全法に基づく事故情報通知制度等について」という資料でございます。通知制度の概要、施行状況、あと現在の取り扱いと、私どもとしていろいろ関係の方にお伺いして、少し課題があると考えておりますことと、今後の改善案についてということを私どもなりに整理させていただいたものを資料として整理させていただいております。
 通知制度の概要でございますが、若干前回と重複するところがありましたら恐縮でございますけれども、改めて消費者安全法の構造でございますが、消費者安全法では、重大事故、消費者事故を消費者庁に一元化して、関係省庁に働きかけをしたり、注意喚起をしたり、場合によっては事業者に対して働きかけをしたりという条文規定がございます。
 この消費者事故、重大事故でございますけれども、第2条で定義が与えられております。第2条の5項、5ページになりますけれども、「消費者事故等」とは、事業者がその事業として供給する商品等の消費者による使用等に伴い生じた事故であって、政令で定める程度の被害が発生したもの。ただし、消費安全性を欠くことにより生じたものでないものは除くという定義になってございます。
 4つほどの要件があります。
 1つは、事業者が事業として供給する商品等であるという、事業者が登場する概念であるということ。
 それから、消費者が使用の場面で生じた事故であるということが1つ。
 それから、政令で定める程度の被害。これは通院以上というものを基本概念にしてございますけれども、被害の程度という要件。
 それから、消費安全性を欠くことにより生じたものでないということが4つ目の要件であります。
 あと、「消費者事故等」の「等」というところで少し誤解がある場合があるので、念のためでございます。第5項第2号でありますが、消費安全性を欠く商品又は役務の消費者による使用等が行われた事態であって、前号に掲げる事故が発生するおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するものを「等」と規定しております。消費安全性を欠く商品であるということ、それから使用の場面で発生した事態であるということ。事故が消費者事故あるいは重大事故につながるおそれがあるという判断、及び政令で定める要件という4つからなっている定義であります。
 それから、「消費安全性」という新しい言葉を消費者安全法では使っておりますけれども、これは第2条第4項、資料では4ページ目にございますけれども、「消費安全性」とは、商品または役務の特性、それらの通常予見される使用または利用の形態、その他商品等に係る事情を考慮して、消費者による使用等が行われる時において通常有すべき安全性をいうという定義になっております。
 こうした消費者事故、重大事故が発生した場合の通知に関する条文が第12条、資料では9ページ目でございますが、行政機関の長、都道府県知事、市町村長、国民生活センターの長は、重大事故等が発生した旨の情報を得た時には、直ちに内閣府令で定める事項を通知しなければならないとなっております。
 また、重大まで至らない消費者事故に関しましては、消費者事故に関する状況に照らして、被害が拡大する、あるいは同種・類似の事故が発生するおそれがあると認めるときには、内閣府令で定める事項を通知するものとするという定めになっております。
 それから、資料の11ページ目で、施行令、施行規則等で定められておりますことを、私どもが自治体などにお配りするマニュアルで整理している一覧表を掲げてございますけれども、まず事故の通知のタイミングに関しましては、重大事故の場合には、発生した旨の情報を得たという認識に至った時点から起算いたしまして、直ちに通知するとしてございます。また、消費者事故に関しましては、被害の拡大、発生のおそれがあると認められたときから速やかにというタイミングで通知をいただくことになっております。
 また、通知の方法に関しましては、重大事故に関しましては、基本は電話、ファクス等でお願いします。基本は電話としてございます。消費者事故に関しましては、PIO-NETの入力等、電子的な方法でも差し支えないという扱いとしております。
 それから、通知事項に関しましては、施行規則の9条で9つの事項が定められております。事故が発生した旨及び概要、事故等が発生した日時・場所、情報を得た日時・方法、事故等の態様、商品・役務を特定するために必要な事項、例えば商品名、型番等、それから被害の状況というものが通知事項として定められております。
 以上が制度の概要を、改めてでございますが、簡単に確認のために御説明させていただきました。
 12ページ目以降で、制度の施行状況ということで、情報の集約、公表及び分析という資料をお出しさせていただいております。
 今日の御議論、基本的に情報の収集、集約というところだと承知しておりますけれども、通知された情報を消費者庁の方でどのように処理しているかというところは、収集・集約の場面を御議論いただくための御参考ということで出させていただいているものであります。
 13ページ目から14ページ目にかけまして通知状況ということで、昨年9月から昨年度いっぱいまでに消費者事故等1,330件の通知が消費者庁に寄せられております。全体の約4分の1が重大事故等にかかるものということであります。
 分野別には、13ページ目の下の表にあるとおりでございますが、一番件数が多いのは食品関係の事故と認識しております。一方で、被害の程度が重大であるものとなりますと、食品の場合には件数はかなり少なくなりまして、むしろ施設とか役務などでは、件数は少ないのに対しまして重大な事故であるケースが多いという傾向が見てとれるかと思っております。
 14ページ目では、通知のありました情報を、その後、消費者庁の方でどのように処理しているかということでありますけれども、現在、体制が必ずしも万全でないこともありまして、通知状況のうちの重大事故に限りましては、その概要を定期的に公表するとともに、通知元に対して追跡確認を行うという取り扱いをしております。この追跡確認と申しますのは、事案の処理状況、具体的にはそこにございますが、事案に関しまして対策が既に講じられている、対策を検討中である。対策を講ずるための分析に着手している、特段の進展が見られないという形で事案の処理をいたしまして、関係機関に対する働きかけをするための材料としているところであります。
 それら追跡確認に関しましては、定期的に、おおむね3か月に1回の割合で整理・収集してございまして、その抜粋を15ページ目に資料としてお出しさせていただいております。例えば昨年9月の初め辺りに報告を受理いたしました事案が、それぞれ現在どういう処理状況になっているのかということを整理しております。対策済みになった事案に関しましては、追跡確認作業からは卒業するということで、まだそこまで至っていないものに関しては、その次の四半期、また更にその次の四半期に追跡確認していくという処理をしてきているところであります。
 16ページ目から17ページ目にかけまして、定期的に重大事故に関しまして概要の公表をしていると申しましたけれども、その概要を紹介している資料であります。おおむね週に1回程度を目途として、これまで情報の公表を行ってきております。
 この公表の考え方は、17ページ目に公表に関する基本要領(抜粋)というものを出させていただいております。あくまで抜粋ではありますけれども、幾つかポイントになるところを御紹介してございます。 まず、消費者事故に関しましては、通知件数、通知機関別に関しましては、毎週、どういう通知実績だったかを公表しております。
 消費者事故のうちの重大事故に関しましては、通知があったばかりでは、まだ事実関係の確認ができていないこともしばしばでありますけれども、関係機関と調整した上で事故の概要を公表するとしております。
 また、事故の概要の公表の考え方でありますが、その事故の原因となったと考えられる製品と事故との因果関係がかなり強く疑われるという情報があります場合には詳細な情報を公表し、そこがまだ判断できない場合には概要のみ。この詳細な内容というのは、例えば事業者名、商品名、型番という意味でありますけれども、そういう詳細な情報を出す場合と概要のみを公表する場合を使い分け、区別する公表の仕方をしてきております。
 また、事故情報の通知元といたしましては、地方自治体、特に消費生活センターから寄せられる情報が多いのでありますけれども、消費生活相談情報というのは、相談者様のお気持ちを尊重して、必ずしも公表することを前提にしない情報という取り扱いと承知をしておりますものですから、個別的に提供元のセンターと調整を図らせていただいて、センター名、地域名、個人情報の特定につながらないよう、情報の出し方に関しては極力調整させていただいた上で概要を公表する扱いとしてきております。
 また、以上のような個々の事案の取り扱いの基本ルールにのっとった概要の公表とは別に、一定の類型の製品等に共通する安全性に関する情報について、例えば自転車なら、特定の何々社製の自転車ということではなくて、一定の自転車で共通して見られる事故の対応を収集・整理して注意喚起するといった公表の仕方もあるのではないかということを、識者の方々の御意見なども踏まえて、そうした対応も漸次行っているところであります。
 それから、18ページ目から19ページ目に事故情報データバンクの説明資料がございますが、今、申させていただきました定期公表というのは、基本的には消費者庁の記者クラブへの資料の提供、投げ込みということでありますけれども、今日、インターネットでの情報の発信力、情報の共有ということが非常に効果的・一般的でありますので、今のように整理してきております重大事故等の情報、個々の事案の概要につきまして、インターネット上で一般の方々がアクセスできる環境ということで、事故情報データバンクというものを本年4月から稼働してきているところであります。
 おおむね1日当たり数百件から1,000件ぐらいのアクセス数をいただいているところで、トップページに関しましては週1回ぐらいの頻度で更新してきているところであります。
 19ページ目に、消費者庁の方で数値を見ていた情報を、特に重大事故情報の概要をアップしてきているのですけれども、それ以外に事故情報に関連する情報であって、公表することができる情報であって、オンラインでデータ処理できるデータベースに関しましては、これらの機関に参画いただいて、データバンクから閲覧・検索などができるような仕組みとしてきているところであります。
 20ページ目では、消費者事故等に関する原因究明・分析の事例ということで、あくまで今日の御議論の御参考までにということでありますけれども、例えば昨年秋以降、公園などの遊具での事故の通知が11件ありまして、このうち9件が重大事故で、特に重大事故の発生比率が高いということで、原因究明・分析、現地に赴いて調査などを行った事例を紹介しているものであります。
 この調査をしてわかりましたこととしましては、遊具というものは、公園、学校施設、保育園、児童園、いろいろなところに設置されております。都市公園での事故情報に関しましては、情報そのものが関係者の間で共有されており、対応策も比較的しっかりしているようでありますけれども、学校とか保育園とか民間の私立とか、さまざまなところにこうした遊具施設は置いてありますけれども、対応状況や情報の共有状況がさまざまであるという状況がわかりましたものですから、関係機関との間で事故防止につながる点検項目を共有したり、補修するための方法に関して共有したりという取組みを、今年に入りましてから進めているところであります。
 21ページ目では、先ほど一定の類型の事故に関する注意喚起、情報提供を行う事例の話をさせていただきましたけれども、ここ最近、自転車での重大事故の発生件数が多いことにかんがみまして、走行中の事故事例、ハンドルが抜けるとかスポークが折れるという形で走行中に転倒する事例、あるいは電動アシスト自転車の場合には、バッテリーが発煙・発火する事例。それから、子どもさんが後部に乗られる幼児座席の破損事例、こうした事例が多いという概略を、注意喚起のために紹介する取組みを進めてきているところであります。
 以上が安全法の施行状況の概要、御紹介ということであります。
 22ページ目以降でありますが、現在の取り扱いとその課題及び今後の改善案についてという資料をお出しさせていただいております。
 23ページ目に、消費者事故等の定義及び通知にかかる判断に関しまして、現在の取り扱いとその課題ということで書かせていただいております。
 消費者安全法に基づきます消費者事故等の定義は、先ほど御説明させていただいたとおりなのでありますが、消費者安全法第2条、消費者事故等は消費者による使用等の場面で生じた事故であるということ。また、消費安全性を欠くことにより生じたものでないことが明らかであるものを除外するという定義になっております。
 このため、事故情報に関しましては、一定の製品との因果関係の有無、あるいは誤使用でないかどうかといった判断が、消費者事故等に該当するかどうかを判断する場合には、そうした考慮が必要になっているという定義だと認識しております。
 このため、状況からかんがみまして、安全基準に適合している、表示・取扱説明書がきちんとしている、使用者の誤使用と見るべき状況が確認されている等々の場合には、その時点の判断といたしましては、消費者事故に該当すると判断することは難しいと、現在の取り扱いとしては考えております。
 また、消費者安全法12条では、通知元の側におきまして、消費者事故が発生した旨の情報を得たと言えるかどうかを判断する仕組み、あるいは同種・類似の事故が発生するおそれがあると認めることができるかどうかを判断する仕組みとなっております。ただ、この判断をするためには、ある程度の情報なり調査力なり経験が必要になろうかと考えられますけれども、現在の消費者庁におきましては、12条の規定に従いまして、通知元の判断を尊重して、通知のあったものを受け入れるという形になっているのが現在の取り扱いであります。
 また、消費者安全法の12条は、内閣府令で定める事項を通知しなければならないということで、施行規則において個々の事故等の事項を規定して、それらをすべて満たすことはなかなか難しい場合もあると承知しております。
 こうした、あくまで法律の施行事務として、我々業務自体は遂行しなければならないと考えてございますけれども、一方で、やや収集する範囲が狭いのではないか。もう少し弾力的に考えてはどうかといった御指摘を、前回この調査会でもいただいたと考えておりまして、また自治体の現場の方々、あるいは消費者問題に関わる有識者の先生方、いろいろな方々に、前回の会の後にいろいろ御意見を伺ってまいりました。
 いろいろ御意見いただきましたことを踏まえまして、私どもとしては、24ページ目でありますけれども、以下のような改善を図ってはどうかと考えております。
 24ページ目の上段ですけれども、消費者事故等に該当する可能性のある情報。現時点においては、事故と製品の因果関係がはっきりしていないとか、消費安全性を欠いているかどうかはっきりしていないとか、あるいは法に定められております通知事項を満たしていない情報でありましても、消費者事故等に該当する可能性がある情報ではないかという場合には、参考情報として御提供いただいて、それら参考情報について慎重な取り扱いとしつつ、関係機関の間で情報システム上、共有できる仕組みづくりを進めてはどうかと考えております。
 関係者の方々におきましては、参考情報という消費者事故でも重大事故でもない、新しいカテゴリーをつくるようだと業務量が増えるのではないかという御意見とか、あるいは参考情報というのは、どこからどこまでが参考情報なのかという御議論とか、特に現場の方々からはそういった御指摘がありましたけれども、今までいろいろお伺いしてきている範囲内では、総論的にはこうした取組みを進めることは望ましいことではないかという御意見をちょうだいしていると思っております。
 それから、関連する取組みとしまして、24ページの下段では、消費者安全法の周知徹底及び事務の効率化としておりますけれども、消費者問題に関連している部局関係者の間では、消費者安全法のことはかなり認識が浸透しているようであるけれども、もっと幅広く関係する部局に周知徹底を図るべきではないかという御指摘がございまして、現在、逐条解説資料の作成や配布、地方説明会の開催等を実施していこうと準備をしているところであります。
 また、現在、電話で事故情報を消費者庁に通知するケース以外では、電子的な方法によって通知いただくことも可能になっておりますけれども、この電子的な方法で簡便に通知すること自体が、PIO-NETが設置されているところからであれば可能といった、かなり限定されている状況があります。
 地方自治体では、地方自治体間でのイントラネットとしてLG-WANというシステムがありますけれども、セキュリティー上の確保をするために、このLG-WANに接続している部局であれば、地方自治体の部局から消費者庁の方に電子的な方法で事故情報の通知ができるように環境整備を進めることで、事務の効率化が図れるということも今後の課題と考えたいと思っているところであります。
 また、25ページ目では、事故情報の利活用ということで、参考情報を収集していくように改善すると申し上げましたけれども、ひとり消費者庁のみが保有する情報量が増えたからといって、現段階では直ちにそれを生かせるだけの体制が整備されているわけではありませんから、通知される参考情報等も含めまして、関係機関の間でそれら情報を活用していただく。消費者庁だけが持っている状態ではなくて、幅広くいろいろな機関に利用していただくためのシステム的な開発・改善も進めていかなければならないと考えているところであります。
 また、それ以外に、事故情報を契機といたしまして、安全確保のための取組みを実施するためには、行政の場合には権限が当然必要かと思います。これも消費者庁では現在、関係省庁に対する措置を要求したり、あるいは事業者に対して立入調査等を行う権限を持っておりますけれども、消費者安全法23条には、立入調査権限等を自治体に対して同意手続を進めた上で委任することができるという規定がありまして、この権限委任に関しましても、なるべく幅広く自治体で対応していただいて、すそ野を広く安全確保のための取組みが進められるような環境整備を進めてはどうか。そうした改善案も考えているところであります。
 また、25ページ目の3番目では、現在は、先ほど申させていただいたように、重大事故のみ概要を公表してきているところでありますけれども、重大事故に至らない消費者事故に関しましても、これら情報の事実関係を確認するということは、現時点では件数とマンパワーの関係でなかなか難しいところがあります。ただ、現在は件数のみを御紹介する扱いになっておりますから、情報の性格、事実関係の確認を経ていない情報であるという注釈を付した上で、事故情報データバンクにおいて開示する等の情報の取り扱いを、通知元と調整した上で進めていきたいと考えているところであります。
 以上5点ほどが、当面改善を図っていければと、現在、私どもとして考えているところの御紹介であります。
 また、26ページ目に中期的な改善にかかる検討ということで、先ほど資料1でも御指摘がありました内容に対応している部分であります。
 まず、消費者安全法の施行あるいは弾力化という点に関しましては、先ほど申させていただいたとおりですけれども、行政機関以外の機関からも情報を収集する取組みの必要性の御指摘があったかと思っております。消費者事故に関連しましては、特に事故の情報ということで、詳しい正確な情報を把握し得る代表的な機関としては医療機関があるかと思っております。ただ、医療機関は消費者安全法の通知機関という位置付けにはなっておりませんが、消費者事故に関連する情報を把握し得る医療機関について、任意の協力を得て情報提供を受けるような仕組みづくりを、当面の取組みの次に続いている課題として取組む必要があるのではないかと思っております。
 それから、事業者による報告、届け出制度でありますが、現在は3年前から施行されております消費生活用製品安全法で、消費生活製品に関しましては事業者からの届け出制があります。これに関しましては、消費生活製品以外の分野での、そうした制度の導入の必要性に関する議論があると承知しております。私どもとしましては、まずはその検討のための素材を集める、情報を集めて議論に資するよう、それら情報を整理、御提供していただくことが役目と考えているところであります。
 それから、消費者安全法あるいは消費生活用製品安全法等でも同様でありますけれども、重大事故の法律上の定義があります。その定義が適切であるかどうかという御議論があると承知しておりますので、さまざまな消費者被害の原因、傷病箇所、転帰等に照らして、現在の規定ぶりで必要十分な範囲をカバーしていると言えるのかどうか。こうしたことも関連情報の収集に着手する必要があるのではないかと考えております。
 また、リコール情報に関しましても、同様に内外の調査を今年度着手したいと考えているところであります。
 ちょっと説明が長くなって申しわけございません。あと、資料2-2、資料2-3という資料をお配りさせていただいていますので、簡単に御紹介させていただきます。
 資料2-2でありますが、消費者安全法というのは、そもそも関係省庁等からどういう情報を収集しているのか、通知漏れなどないのか、その辺、きっちり関係省庁と認識の共有ができているのかという御指摘をいただいております。関係省庁と消費者安全法に基づいて消費者庁に集約されるべき主な情報ということで、認識の共有を図ってきているのが資料2-2の表であります。
 学校の事故、学校給食の事故、国立大学病院の事故、食品、医療、医薬品・医薬部外品・医療機器・化粧品、家庭洋品、福祉、消費生活用製品、建築物、公園、運輸、警察情報、消防情報等というところが主要分野の情報であろうと思っております。このうちには、製品の関係、消費生活用製品安全法35条、食品の関係、食品衛生法59条、製品の中でより特徴的なものとして、薬関係、薬事法77条、自動車関係、道路運送車両法63条等は、法律根拠に基づいて事故情報の届け出が事業者からなされまして、それら情報を消費者庁の方に御提供いただいていると理解しております。
 それ以外に関しましては、通達、事務連絡等で収集されている情報を消費者庁の方に提供いただく仕組みになっていると理解しております。
 それから、2-3でありますけれども、途中簡単に触れさせていただきましたけれども、有識者の方あるいは自治体の現場の方々に、今回の改正案を考えるに当たりましていろいろ御意見をいただきました。その紹介を簡単にさせていただいている資料であります。
 先ほどのような改善案、消費者安全法の定義に必ずしも該当しないような、しかし消費者事故に該当し得る情報に関して、消費者庁に集約することに関する御意見といたしましては、(1)にございますけれども、消費者安全法の通知に関する規定は非常に厳格であるので、当てはめに苦慮している状況があると思われる。参考情報というものを設定することで、通知の要件が負担になっている点について改善が図れるということはいいことではないかといった御指摘。
 あるいは誤使用かどうかといったことは、同種事故が集まって初めてわかるものであるため、参考情報を広く集めることはいいことなのではないか。また、それを行政向けのデータベースに集約して関係機関で共有していくことも有益ではないかといった御指摘。
 一方で、参考情報をどこまで取り扱うのか、現場が混乱しないように明確にするべきである。また、通知内容を満たしていなくてもよいとすると、情報を聞き出す努力をしなくなるといった問題はないのかといった御指摘。
 あるいは、参考情報を新しいカテゴリーとしてつくるのは、現場的には業務負担が発生することを懸念するといった御指摘などをいただいたところであります。
 また、そもそもこうしたカテゴリーをつくるかどうかの前段といたしまして、消費者事故等の定義についての御認識としましては、重大事故、消費者事故の定義というのはなかなか難しいのが正直な感想である。しばらくは試行錯誤や議論も必要なのではないか。
 あるいは、安全法の解釈を消費者庁の方で示してはいるけれども、もっと具体的に示してほしいといった御議論などがあります。
 また、消費者庁に事故情報を連絡すると、因果関係がどうだとか、誤使用がどうだとか、そんな面倒なことなら通知しないというケースもありますから、運用には十分心配りをしてほしいといった御指摘もございました。
 また、消費者安全法は消費者行政部局以外の部局もかかわりますところから、そうした関連部局への徹底ということも大事ではないかといったお話。
 また、情報を取り扱うには、当然情報の見きわめ、調査をするといったところと密接不可分であるけれども、なかなか自治体の現場としては難しいということ。また、消費者庁の方で分析体制等を整備してほしいといった御意見。
 また、情報を聞き取ること自体も随分ノウハウが必要なことであって、研修・養成といった観点も非常に重要ではないかといった御指摘などをちょうだいしているところであります。
 資料の説明は以上でございます。

○宇賀座長 ありがとうございました。ただいま野村課長からは、事故情報の通知・集約だけでなくて、分析・公表も含めて全般的に御説明いただきました。本日は事故情報の通知・集約について議論を深めてまいりたいと思います。
 では、御意見のある方は御発言をお願いします。どうぞ。

○片山委員 片山です。
 質問になるのですけれども、資料の14ページで、消費者事故等について通知があったものについて追跡確認を行っていただいているということで、これはとてもいいことだと思うのですが、通知元に対して追跡確認を行っているということで、例えば経由で上がってくるような事故情報の場合の通知元というのはどこになるのでしょうか。今回、追跡確認を行われたのは、警察とか消防とか、そういうところになるのかどうかをお教えいただけますか。

○野村消費者安全課長 消費者安全法12条第3項で経由情報の扱いという規定がございまして、先生御指摘のとおり、関係機関の長あるいは自治体の長は、消費者庁に事故情報を通知してくださいということではあるのですけれども、別途、別の機関に自治体から国の機関に通知を行う定めがある場合には、そちらの機関を経由して消費者庁の方に通知をいただくということになっております。
 その場合に、御通知いただいた情報を、また後戻りしようとするときは、その経由する経路をたどって、もう一度追跡確認するという取り扱いになっております。ですから、例えば警察庁本庁から消費者庁の方に情報提供いただいた情報に関しましては、消費者庁の方から警察庁本庁の方に照会いたしまして、警察庁本庁から現場の警察の方に状況の確認が行きまして、またそのルートで追跡確認に関する情報をお戻しいただくというやりとりをしてきてございます。

○片山委員 ありがとうございます。今、質問したのはなぜかということですが、実際には地方自治体で自治体警察から消費者担当課に事故の情報が上がっていなくて、自治体の担当課の方で事故を知らないというケースがあるということを聞きましたので、本来は自治体の中でも横の連携をしっかりとられるべきであろうし、それから事故対策というのは、警察だけでやるのではなくて、地元の消費者担当課も含めて、連携のもとで行われるべきだと思いますので、必ずしも経由情報は経由元をずっとたどるだけではなくて、うまく地元の消費者担当課にも情報が共有されて、総合的な分析ができるような体制を是非構築していただきたいという趣旨で質問いたしました。

○宇賀座長 わかりました。ありがとうございました。

○鶴岡委員 質問よろしいですか。

○宇賀座長 どうぞ。

○鶴岡委員 この事故情報の追跡というのは、消費者にとっては、この追跡があってこそ意味が生じてくるという意味で非常に重要なことだと思いますけれども、野村さんの方からも再三言及がありましたけれども、今の体制では、例えば消費者事故等の追跡なども十分ではないという御指摘がありました。
 一方で、改善策として、参考情報を通知の対象に含めていくということ。これは非常に前向きな対応として結構なことだと思いますけれども、この改善策に表現されている表現どおりですと、先ほど出ました事故情報であれば何でもかんでもという受けとめ方をされる可能性もあるかなという気はいたします。
 この参考情報が入ってきた場合に、追跡の可能性の見込みについては、現段階ではどのようにお考えになっているでしょうか。

○野村消費者安全課長 概数でありますけれども、自治体の消費者相談の窓口で契約関係の苦情相談あるいは製品の危害・危険情報、あらゆる情報を受信されて、それをストック情報としてPIO-NETは持っておりますけれども、年間100万件ぐらいが最近の数字かと思っております。そのうちの1割弱、8,000件ぐらいが危害・危険情報であったかと思います。
 危害・危険情報でありますので、実際に危害が発生していない情報も相当数含まれておりますので、消費者安全法の消費者事故等の定義に照らしますと、かなり広い、参考情報として上がってくる候補としては、8,000~9,000という数字が、目安としては今後出て来る数字かなと思っております。
 片や消費者安全法の施行事務といたしましては、もうじき1年になろうとしているところですが、今のまま推移いたしますと、1年間で消費者事故が大体2,000件、重大事故が500件ぐらいの数字になるのではないかと思っております。消費者庁の体制に関する御指摘に関しましては、その500件の部分は追跡確認して概要公表をして、すき間的な事案を調べてみてということをやってきているのが今の体制で、残りの1,500件の部分は、正直できていないので、今後、体制の拡充を図らなければいけないかと思っております。
 更にそれに5,000とか6,000をプラスαしたときに、それも同じような対応をするつもりがありますかという御質問でありましたら、正直、そこまでは難しいだろうと思っておりまして、今現在の案では、ひとり消費者庁が抱え込むということではなくて、システムを開発して、関係機関でも問題意識を持って、その情報を見ていただけるような環境整備をするという方向性で考えています。

○鶴岡委員 消費者行政の司令塔として、やはり消費者庁が主導的に対応していけるような体制の拡充というものを真剣に考えていく必要があろうかと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 14ページの対策済みであるかどうかということについてお伺いします。
 これをフォローしていくのは実にいいことでありますけれども、悩みなどがあるのではないかと思ってお聞きいたします。対策済みとするのは、恐らく再発防止とか被害の拡大防止措置がとられたということであろうと思います。しかし、それで事案が処理済みとかといいますと、被害者は民事・刑事の裁判も対象にして、そのうえで一件落着したかどうかを考えるのではないかと思います。私は、消費者庁の方では再発防止策、拡大防止策がとられたと判断できれば、それでよいのではないかと思っております。
 そのとき、これは対策済みであると判断するうえで、迷うというか、悩ましいことはないのでしょうか。

○野村消費者安全課長 何をもって対策済みと判断するのかというのは、行政として講じ得る措置を講じましたという事実の認定ということでありますので、例えば食品関係でありましたら、営業停止処分を打って、一定の衛生の確保が図られたということで営業再開しましたという事実の経過を確認して、それは対策が済んでいる。あるいは製品事故でありましたら、NITEなりで原因究明が行われて、再発防止策として事業者に対してこういう指導が行われたということをもって、対策が済んだと判断しております。
 比較的、そういう定型的なといいますか、どういうことが行われたかということが確立しているような分野、8割方はそういう分野ではないかと思っておりますけれども、そういう分野の処理状況を確認するというのは、それほど困難なことではないと思っております。すき間的なというのでしょうか、だれが処理するのかはっきりしていないとか、そもそも処理する必要性を認識する必要があるのかどうかが関係者の間ではっきりしていない。だけれども、そこをもう一歩、対応を踏み込んだ方がいいのではないかとか。
 例えば先ほどの遊具の関係で、学校なり保育園なり児童館なり、そういうところの処理状況としては、別にそれをことさら問題にしてということになっていないのかもしれないけれども、何か決め事があって、どこまで対策しなければいけないということがあるわけではないのだけれども、もう一段の対応を図った方がいいのではないかという議論をしていくための材料といいますか、根拠づくりといいますか、そのために追跡確認の調査をしておるつもりでありまして、難しいというよりは、むしろそういう観点から、地味な作業ではありますけれども、やっていくということが大事であるのかなと、今の段階では思っておるところです。

○中尾委員 100万件から来て8,000件、最後の500件まで絞り込んで、決勝戦のものですけれども、製品に関わるような事故と、使用者が誤使用しました。誤使用にすると無罪放免という感じで、その後も注視していきますという文書で逃げた感じになってしまうのだけれども、その辺がはっきりしなくて、逃げましたという300件ぐらいを見ていったら、例えば石油ファンヒーターで灯油をひっくり返してがちゃんと入れるのだけれども、あのふたをちゃんとしていなくて、ぽたぽたとなって家が燃えましたというのが10件ぐらい出ています。
 だけれども、例えば自動車みたいにラジェットでカチカチまでやってくださいとやるだけで、自動車は中途半端につけて発進させることはなくなったのですね。だから、ちょっとした技術を入れれば直ることなのに、そんなことをしないで誤使用であるとしているのは、何かその線がよくわからない。
 だけれども、誤使用でないものは、例えば電気コンロで押し回しをやっているもの。押し回しは、1990年ぐらいから人間がぶつかったときに間違って押し回しにしてしまったというので、毎年10件ぐらい火事になっています。だけれども、これは誤使用ではなくて製品の問題であると言っている。
 だから、誤使用のラインがよくわからない。もっといえば、誤使用というのはやめて、全部何とか直せ。こんなばかな人がいるのだから、その人に対して10件も出るようなものは直せということを指導してもいいのではないか。ヒューマンエラーは仕方ないねというのはおかしくて、もし労働災害が起きるとしたら、センサーを付けて徹底的にやるというのは工場ではやっている話なのです。だから、そういうものから考えると、誤使用というカテゴリーで逃げるのはおかしいなと思いました。
 もう一点、数からいくと、不慮の事故で死ぬ日本人は4万人いて、多分その3分の1ぐらいは交通事故で1万ちょっとはお亡くなりになっているのではないかと思います。また、1万ちょっとは多分家庭内事故というものです。それで、消費者庁にお医者さんから来た情報というのがすごくおもしろくて、圧倒的多数の製品は何かといったら階段でした。階段とお風呂と嚥下で飲み込んで失敗するというのは、家庭内事故の3大原因で、階段を直すだけ、手すりを付けるだけで不慮の事故で亡くなる方がすごく少なくなってくるのではないか。
 だから、亡くなる方でそのぐらいだから、事故で階段から落ちる人は1年間で2~3万人いるのではないかと思います。でも、それは製品ではないから私は知らないというので、そこで全部ごみとして捨てられているのだけれども、これから少なくとも新築物とか、それから人が集まるような公共のところは、すべて手すりを付けろ。
 小学校だって手すりは付いていないですね。線が付いて、右側通行しましょうと言うけれども、手すりが付いてる小学校はないから、よくサンダルをはいた先生が階段から落ちるのです。生徒は落ちないけれども、先生が落ちる。ああいうのも、工場に手すりを付けなかったら労基署は絶対許してくれないのに、手すりも付けていない階段がたくさんあるのはおかしな話だと。
 だから、何を言いたいかというと、そういうふうにごみとして捨ててしまうという判断のところを少しずつ大きく広くして、それで階段から落ちるのを何とかしてほしい。少なくとも新築の建売住宅だったら、階段に手すりが付いていないものを売るのは許さないというぐらいのことを何とかしてよということを、消費者庁からきちっとみんなに伝達すべきではないでしょうか。
 以上です。

○宇賀座長 ありがとうございました。野村さんの方から何かありますか。

○野村消費者安全課長 まず、1点目の誤使用か否かの判断でありますけれども、概括的な説明は、先ほどの資料では23ページ目で消費安全性の部分で御説明させていただいたのですけれども、安全基準に適合しているとか、表示とか取扱説明書がきちんとしているとか、使用者の方が誤使用と見るべき状況が確認されているとか、その時点においては商品安全性を欠いていると判断することは難しいという考え方を対外的な説明としてはしております。
 ただ、先生の御指摘は、誤使用か否かというのは、そういう静態的にとらえるのではなくて、技術というものも、あるいは消費者の理解のレベルなり、あるいは事業者に求められる責任なりというものは、もっと動態的にとらえられるべき事柄であるという御指摘かなと思っておりまして、今時点でこの情報をどちらにカテゴリーするのかというのは、行政としてはどうしても問われますから、こちらに分類しましたということはあります。
 けれども、10件も同じようなぽたぽたこぼれるような状況があるのであれば、もう一工夫しろということは、コストとの関係、必要性の関係、社会全体としてどう判断するのかというところに、行政の方から何か差し出がましいことを申すのは難しいのかもしれないとは思いますけれども、そういう情報を出していく。
 この情報は今時点としては誤使用と判断していますというものの、どういう情報でありましたという情報そのものは出していくということで、同じようなことが10件も起こっているではないかと、先生方のような御専門の方が目にしていただいて、こんなことが技術的に簡単にクリアーできることだよという議論が喚起される状態をつくっていくところまでは、最低限、行政の側としては責務といいますか、やっていかなければいけないことであろうかなと、ちょっと臆病なというか、控え目な言い方で申しわけありませんけれども、私どもとしてはその辺りまでは少なくともきちんとやっていくべきことかなと思っております。
 あと、不慮の事故の関係は、まだちょっと構想段階のところがありますから、先生の方からの御指摘、例えば階段の事故にしても、ちょっと状況を確認して手すりを付けるぐらいでも全然変わるのではないかとか。それは、改善につながるような情報をちゃんととって、それを専門家の方なのか、一般の方々なのか、お示ししていくことで改善が図られるようなシステムとして、医療機関から情報を集めるような取組みは、今はまだ構想中でありますので、御示唆も踏まえながら議論していければと思っております。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 では、吉岡委員、どうぞ。

○吉岡委員 中毒情報センターの吉岡です。
 少し仕組みに戻るので後戻りするのかもしれないですけれども、この資料の一番最後の26ページを見ていただきたいのですけれども、行政機関以外の関連機関からの情報収集ということで、医療機関については任意協力を得て情報提供を受ける仕組みづくりを進めるという書き方がなされております。
 中毒情報センターについては、この参考資料を見ましても、どこにもそれが位置付けられておりません。こういう資料は、常に地方公共団体、それから消費者庁、国民生活センター、関係省庁とありますように、すべていわゆる公的機関ということで、財団法人である日本中毒情報センターはどこにも位置付けられないということになります。
 ただ、これは本来おかしくて、イギリスやフランスでは、中毒情報センター国立です。ですから、当然、消費生活センター等と同等のところに位置付けられるべきなのですけれども、資料2-2を見ますと、いわゆる情報提供元の中に初めて、モニター病院、財団法人日本中毒情報センターというのが真ん中辺りに出てきます。厚生労働省の家庭用品というところで出てくる。
 これは、家庭用品は勿論、最も多い中毒物質でございますけれども、医薬品は2番目に多い中毒物質です。それから、農業用品、化学剤と続いていきます。これを見ると、いわゆる情報提供元の一番末端の機関と位置付けられています。これはかなり我々としては不本意で、少なくとも中長期的な改善に関わる検討という中では、関連する情報を把握し得る機関に位置づけていただきたい。
 例えば医療機関ですと、化学物質に関して、私の病院は中毒患者が年間200例ぐらい来る最も症例数が多い病院ですが、中毒情報センターには1日で100何十件、200件という問い合わせがあるわけですので、その把握し得る内容というのは圧倒的に一医療機関とは違います。勿論化学物質に限るということになるかと思います。
 それで何を言いたいかといいますと、中長期的な改善に関わる検討であれば、任意協力を得てというところに中毒情報センターも入れていただきたいという願いではなくて、もっとこちら側の組織の中に入れることを是非とも検討していただきたい。消費生活センターと同じところに位置付ける検討を是非ともしていただきたい。そう思います。これは勿論急には難しいでしょうけれども、事業者とかモニター病院と同じ位置付けというのは、極めて仕組み上はおかしい位置付けであると思っております。

○宇賀座長 野村課長の方から何かありますか。

○野村消費者安全課長 中毒という分野に特定されておりますけれども、事故情報を収集して関係機関に働きかけをしていくということの、非常に先行的で先進的な取組みを中毒センターさんはしておられまして、私ども消費者庁の発足準備の段階から、実はいろいろ日に影に御支援といいますか、お手本となるモデルとして、いろいろ御指導賜ってきたというのは事実としてございます。今後もそういう御指導といいますか、御支援賜りたいと思っているところであります。
 そのことと、今のお話、法人の位置付けにお話が行っている部分に関しましては、私の申させていただくところを超えているところがあるかもしれませんけれども、公益法人全体として、官という位置付けよりは民という位置付けでという大きな議論の流れがあるのかなというところは、想像するところがあります。
 いずれにしましても、中毒センターさんの非常に先進的な取組みというのは、事故情報をどうやって集めて、どういう解析をして、どういうふうに生かしていくかということに非常に参考とさせていただいている取組みであることは、これからも変わらないと思っておりまして、いろいろな連携のさせていただき方について御相談させていただければということに関しましては、引き続き心にとめさせていただければと思っております。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 では、中嶋委員。

○中嶋委員 先ほど中尾先生の方からお話があった点も含めまして、別に今、混乱させるつもりはないのですけれども、少し問題提起をさせていただきたいと思っています。
 まず、先ほどの中尾先生からお話がありました消費者の誤使用の問題は、ISO、機械安全の国際規格にガイド51とかISO12100、14121というものがあります。この中のリスクアセスメントに前提条件があります。無制限な安全というものはありませんから、安全について実現しようと思えば、ある程度制限をかけて物事を考える。
 そういうときに、誤使用が前提で出てきます。予見可能な誤使用は対策をとらないといけないとなっています。それから、安全方策の中では、本質的に安全にしましょう。例えばこういう机の角が鋭利にとがっていたら、それを丸く面取りといいますけれども、やれば引っかき傷がなくなります。こういうものが本質的なものですけれども、いろいろな対策のとり方があります。性状にもできますけれども、そういうことをやってだめなら、端的にいえば安全柵(カバー)、カバーをかける。自転車でいえば、スポークのところにちゃんとカバーをかけるというのも安全防護ですね。
 そういう中にも誤使用の問題が出ています。安全対策がとれていないのに、警告表示、ここは危険とか、取扱説明書でこう使ってはだめですと書いて逃げてはいけないとISO規格は決めています。これはJIS規格にもなっております。B9700という規格に。
 ですから、そういう意味では、誤使用というのは、中尾先生のお話でいくと警告表示のみの対策を見逃がしてはいけないというか、見過ごしてはいけない。企業は対策をとればお金がかかりますから、できれば表示だけで逃げたい。一番いいわけです。ここは危険。危険と書いておけば免責になりますから。
 もう一つ、誤使用の問題で非常に問題になるのは、企業が訴えられた場合に、法的な責任、求償された場合にいわゆる賠償責任を負うのか負わないのかです。ここで争いになるのですけれども、消費者行政の中でそれと同じ目線で話をされると、消費者はいつまでたっても救われないことになります。
 誤使用の話は野村課長ともお話させていただいているので、ここでやめますけれども、今回、気が付いたことがあります。阿南さんほかの消費者団体関係の方、たくさんおられるのですけれども、今回の情報の一元化という話を通して考えると、皆さんの目線は消費者目線になっていますかという疑問があります。
まず、重大事故情報と非重大事故情報、これは経済産業省もそう分けておりますし、農水省もそう分けております。でも、重大事故情報と非重大事故情報に分ける目的は何でしょうか。可及的速やかに事故を防ぐ、事故の拡大を防ぐ。それはそうでしょう。でも、そこで分けてしまったときの非重大事故の扱いというのはどうなりますか。ここの中に、実は将来、重大事故に発展する可能性のあるものも含まれているかもしれません。
 もともと重大事故と非重大事故に分けること自体が消費者目線になっているのかどうかということを、一度みんなで、これは消費者安全課だけに押し付けるのではなくて、この委員会の中でよく考えてみたいテーマではないかと思っております。
 それから、誤使用ことについてもだれに責任があるのかで扱いが変わります。経産省の重大事故情報では、消費者が原因の場合にはそれをオミットするようになっている。これは消費者庁と同じ形になっているのですけれども、実は構造上、誤使用を誘発するようなケースがたくさんあります。指示が小さな字でしか書かれていないとか。こんなものを含めて考えますと、これも消費者目線ではないと言えるのではないでしょうか。
 もう一つの問題は、消費者庁ができたときに、なぜ事故情報の一元化だけが消費者庁に移管されて、他のものが元の官庁に残っているのという問題があります。この問題について考える際に、消費者目線を持って消費者庁が動けば、元の省庁との政策の差別化になるはずですから、安全対策についての責任の所管を消費者庁に移管するようにと主張ができるのではないでしょうか。
 例えば、JIS規格のないものがたくさんあります。ISOの安全規格はほとんどの製品をカバーしています。化粧品にはJIS規格はありませんが、ISOには安全規格があります。エレベーターとかエスカレーターもJISの安全規格はありません。これは、縦割り行政の弊害です。ですから、せっかくここで事故情報のことを話されるのであれば、まず消費者目線で考え、すべての製品、商品の安全規格を整備すると主張すれば、消費者庁は他の省庁に安全行政を移管するようにと主張できるでしょう。
 重大事故の定義ですけれども、30日の入院だから重大で、それを10日にしてもらったら重大でというのは、やはり議論がおかしいと思います。1日病院に行ったって、これは重大ではないですか。それから、火事になったら、例えば今、NITEで一生懸命皆さんにお伝えしようとしているのは、30年たった扇風機のコンデンサーの油漏れによる火災です。家が燃えたら重大ではないですか。
 そういうふうに考えると、今の労働災害の定義とか経産省の定義と離れて、消費者庁では独自の目線、消費者目線で重大事故の定義を考えていただく必要があるのではないでしょうか。財産についても、消費者にとってみたら重大です。それから、1日入院することも重大でしょう。そういう議論をしていけば、消費者にとって受け入れ可能なリスクとは何かということがだんだんと見えてくるのではないでしょうか。
 ですから、今はこういうふうにできている、できていないという議論ではなくて、ちょっと目線を変えて、もう一度自分たちが今ここで議論していることが消費者目線になっているかどうか。消費者目線がすべて正しいとは思っていないです。企業で対応できること、できないこと、行政が対応できることできないこと、勿論あります。でも、その目線を変えることによって、他の官庁との取り合い関係も変わってくる可能性があると考えますので、消費者目線と消費者行政というところを是非考えていただければと思います。
 以上です。

○宇賀座長 ありがとうございました。野村課長から何かコメントはございますか。

○中嶋委員 別にいいです。一応、こんなことを考えましょうと言っているだけですから。

○宇賀座長 では、西村委員、どうぞ。

○西村委員 誤使用の関係で、先ほどの中尾委員あるいは中嶋委員からの御意見も踏まえて、このもとにございます公表の調査会に出させていただいています。例えば具体的なお話で申しますと、前回あった事例でございますけれども、取っ手外し型の鍋、フライパンでサイズを変えたりして使える。それを使っているさなかに、力を入れ過ぎたために中のもので大やけどをしたということです。最終的にNITEは誤使用という判断をされたわけです。個人的には若干疑問がないわけではないのですが、消費者委員会の方にもいろいろお尋ねしたところであります。
 そういうものと、今お話が出ています、一たん誤使用だと判断されたものが、参考情報を集めていくことによって、同じような例が5件、10件集まってきたということで、もしかしたら誤使用ではなかったかもしれない、製品に起因するものであったかもしれないということで、再調査するとか、あるいは発表を変えていくとか、そのことに及ぶ可能性も踏まえて考えていらっしゃるのかどうか。現段階では、参考情報を集めていないということに恐らくなるのでしょうから、その将来の見通しなど。
 それと同時に、時折私も気になるのは消安法と製安法の関係です。先ほどの石油ファンヒーターにしても電気コンロにしても、これは製安法の当該商品になるわけです。そのときに、どこまでこの消安法上でイニシアをとって、消費者庁サイドの一元化という中にそれを組み込んで、統一的に消費者対策を進めていくことができるのか、その辺について、もし見通しなどあれば教えていただきたいと思います。

○宇賀座長 野村課長の方からお願いします。

○野村消費者安全課長 参考情報というものを集約するという改善案を検討するに至った経緯といたしましては、この約1年弱の間に消費者安全法の施行業務を何とか定常化させたいということで、私ども仕事をしてきておりましたけれども、法律、規定のしゃくし定規にやっているところが、消費者相談での情報のくみ上げの実務と少し乖離している部分、ぎくしゃくする部分等々、いろいろ御意見をちょうだいしたところを何とか改善したいということで、改善案について検討してきたところであります。
 まだ自治体あるいは関係省庁との調整はこれからでありますけれども、こういう考え方自体は、先生方にも方向性として御了解いただけるようであれば、できるだけ早く実施に移していければと考えております。そこは、ただ基本的には収集の場面を念頭に置いておりますけれども、収集した後の分析の場面が今の西村先生の御指摘かと思います。
 そうした、精査されていない情報だけれども、件数が集まってくれにつれて、今までの精査されている情報に基づく判断そのものを覆すような知見が得られるような形に、参考情報というものを生かしていくような取組みが大切なのではないかということは、考え方としては非常によくわかるというか、非常に重要な御指摘をちょうだいしていると思っております。
 前半の方で、それだけの情報を集めるのは結構だけれども、集めて、それをどういうふうにさばくつもりなのかという御指摘、御質問、ありましたけれども、今の消費者庁の体制として、情報を解析するだけの体制がつくれるとは見通せていないものですから、関係機関に広く見ていただける環境を整備するというところまでは何とか行きたいと思っておりますけれども、多くの方々に見ていただくということは、だれも見ていない状況と同じような状況になってしまうのではいけないという御指摘かと思います。
 私ども自身、消費者庁自身の広く集める情報を解析するための体制を拡充することも考えなければいけないと思いますし、情報をいろいろな角度から見た上で、今まで検討されていない原因究明を進めるということは、消費者分野での独立した網羅的な事故調査機関といったものの検討が必要ではないかという御議論もあると承知しておりますし、そういう一連の検討の中で、単に情報を集めるというだけでなくて、それが生かせるような体制づくりも非常に重要な御指摘、課題だと思っております。
 見通しがありますかという御質問だったと思いますので、見通しに関しましては、今は収集の場面のところまでの見通しを付けている状況なのですけれども、それで終わる課題ではないということは心して、今後検討してまいりたいと思います。

○宇賀座長 ありがとうございます。中川さん。

○中川座長代理 今、野村課長が言われたことが非常に重要だと思いますけれども、事故の情報収集の話と、その後の消費者安全法13条の消費者庁における分析ないし解析の話がちょっと混乱しているように思います。原因究明といいますか、資料2-1の14ページ以下の話がほとんど話題になっており、誤使用かどうか、どこまでが誤使用かという話です。しかし本日は、その前の情報収集の話のはずが、そこは全然議論になっていないように思いますので、少し確認させていただきたいのです。
 野村課長からお話しのあった参考情報を含めて広めにとるというのは、前回の調査会でいろいろな方から御意見があったことに対応していただいたもので、まさに「何でも」と、先ほど象徴的な言葉がありました。それに対応して、消費者安全法の12条、資料でいくと9ページ。この12条が使い勝手が悪い、これがうまく動いていない。つまり、この12条を見ると、重大事故等を含む消費者事故等というのを通知元の方できちんと確認して、それを消費者庁に持ってこいということになっていますけれども、そんな簡単な話ではないだろうというのが、前回および今回の課題だと考えています。
 そもそも何が消費者事故等なのかについて、どのようにして消費者庁と通知元が一緒に考えてやっていくか。そのためには、まず参考情報として、12条で言う消費者事故等に限らず、幅広に持ってきて、それを分析しましょう。その場合の分析というのは、この消費者事故等ですから、8ページにあります定義に該当しているかどうかの判断が、これが実はとても難しいということですね。
 そういった判断をするのが難しいので、収集と言いながらも、いわば生情報の分析をしながら収集する。そういった意味での分析をきちんとやるために、生情報を参考情報という形でなるべく広く収集しましょうというわけです。これは消費者安全法12条のやり方を、条文ではこの情報を持ってこいと非常に簡単に書いてあるのですが、そんなに簡単ではないから、もう少し改めましょうというので、野村課長から、非常によい、大胆な提案をされたわけです。
 まず、それでいいのかということをここで言わなければいけないと思います。私は非常にすばらしいと思いますが、その上で、12条に基づいて消費者庁の手許にある情報を、今度は法の13条で消費者庁が分析し、公表する。実際にどこに原因があるのかという原因解明が、13条に基づく分析であり、それに基づいてどういう対策をとるか、あるいはどこの省庁にとらせるかという形で情報を利用していくのだと思います。
 最後の13条の分析は、事故情報、まさに原因究明で、それは消費者庁だけでできるのかとか、マンパワーが足りないので、今、余りうまくできていないという御指摘がありまして、これは得た情報の分析の話なのです。どちらの議論をしているのか。後者ばかりしているのですけれども、今日は前者の方のまとめの会ですので、そこを議論しなくてはならないのではないか。

○中嶋委員 いや、前者の話ですよ。

○中川座長代理 でも、原因がどこにあるかというのは、ある程度わからなくても消費者庁に来なければいけないですね。それが前者の話です。

○中嶋委員 それがそうなっていないのです。

○中川座長代理 だから、参考情報を広げましょうというのが消費者庁の提案です。

○中嶋委員 何でもかんでも持ってこなければならないのですが、誤使用と見られるものは持ってくるなです、実態は。消費者庁にセンターから電話をして、「こういう事故がありました」と言うと、「それは誤使用ですか?」と聞かれるのです。誤使用か誤使用でないか、それはわかりませんでしょう。「わかってから持ってきてください」なら困りますよね。

○中川座長代理 いや、それは今の条文では、わからないものを明らかでないから持ってくるのです。

○中嶋委員 持ってこないで調べてくださいと現場はやっているのです。

○中川座長代理 それは程度問題ですけれども、明らかかどうかを調べるにすぎないのだけれども、現場が誤解する可能性がありますね。

○中嶋委員 ありますね。だから、今その話をしているのでしょう。「誤使用を含めて持ってきなさい」の方がいいのではないですかという意味です。中尾先生も前に、全部含めて、何でもかんでも持っていらっしゃいと言われたのは、そのことだと思います。言ってみたら、10ページの、ここで分けなければいけないわけです。重大か、重大でないかとか、分けて出さないといけない。分けるのは、通知する側がこの判断をして通知しないといけない。これは難しいでしょう。

○中川座長代理 そういうことを私は言っているわけです。

○中嶋委員 難しいのはそういうことですよ。

○中川座長代理 だけれども、聞いていると、情報の収集の話ではなくて、13条以降の、では消費者庁がどういう分析をしますかという辺りに議論がシフトしていて、その前の話をしなければいけないのにと私は心配しています。

○中嶋委員 ですから、今、私が申し上げている誤使用も、要は誤使用と片付けるのではなくて。

○中川座長代理 収集のときにですね。

○中嶋委員 収集のときに。企業の責任、構造とかシステムが誤使用を誘発する可能性がある。もっといえば、中尾先生も言われたのでけれども、例えば運輸関係とか航空関係の事故は70%がヒューマンエラーと言うのですけれども、実はその70%のヒューマンエラーの後ろにはシステムの問題がある。こう考えられるわけです。だから、単に誤使用とかヒューマンエラーで片付けないようにしましょう。
 この収集制度のときも、誤使用でないものを持っていらっしゃいと言われたら困るでしょう。こういう話です。

○宇賀座長 どうぞ。

○中村(晶)委員 今、座長代理が言われたことに関連して申し上げたいのですけれども、今日の22ページの資料を拝見しますと、現在の取り扱いとその課題、今後の改善案について、中期的な改善にかかる検討というのをこの先やろうとしているわけですね。長期的に考えますと、理想としての消費者安全行政というところをきちんと明確化させておいて、どこが到達点なのかというところを議論していくのはいいと思うのです。
 けれども、先ほどからお話がありますように、人的資源の問題とか予算とか期間的制約のこともあって、一足飛びには理想まで行けないわけですので、当面、まず何を優先的にしようとしているのかというところをもうちょっと考えませんと、情報の集約についても、緊急情報として消費者に行くべきものというエッセンスの部分と、それから対策のための生のなるべく詳しい情報とか、あと法律家が法的な責任をはっきりさせるための情報の詳しさと、みんな違うと思います。
 それがすべてそろうのが理想的ではありますけれども、当面、最初にはっきりさせなければいけないのは、未然防止とか、何か情報が上がってきたものから見落としなく、今後また事故が多発していくことを防ぐことが優先課題だと思いますので、出口のところを見据えないでは情報の集約の議論にはならないと思います。
 それで、中期的な改善というのも、その出口がどの辺りとお考えなのか、ある程度はっきりさせることによって、理想的な情報の集約以前の、まず何を情報集約として当面目指すのかというところで、議論の中身が違ってくるように思うのですけれども、その辺りはどういうふうに進行なさろうと思っていらっしゃるのか、教えていただければ。

○橋本委員 それとちょっと。

○宇賀座長 では、関連して橋本委員。

○橋本委員 中長期的な今後の改善案のところに、消費者安全法第23条に基づく権限委任があるのですけれども、これから各地方の消費者センターから上がってきた事案について、先ほどいろいろ聞かれるからということがあります。
 それは、聞かれる方は大変ではあっても、きちんと説明していかなければいけないのですが、権限委任の中に、都道府県のレベルであれば大丈夫だと思うのですが、これには市町村の長に対するところがありまして、私が住んでいる市の消費生活条例等を考えますと、そこまで事業所等にこの権限を委任された場合、それこそマンパワー的なところ、それから地方の消費者条例等の整合性というのをどういうふうに考えているのか、ある程度わかっていたらお聞きしたいことが1点です。

○宇賀座長 阿南委員、続けてどうぞ。

○阿南委員 ありがとうございます。消費者事故の要件をどう考えるか、重大事故の要件をどう考えるかということについては、前回もお話しましたけれども、昨年来、ずっと意見を出してきております。重大事故の30日は、そこまで待つことではなく、10日ぐらいで良いのではないかと意見を出していたわけですけれども、先ほど中嶋さんのお話を聞いていて、なるほどそうかと思いました。
 ただ、今、現実的には、法律を改正するということは時間もかかるし、大変な作業だと思います。ですから、今回、中川さんがおっしゃったように、現実的な対応策を考えていくという点においては、この参考情報という形で出してもらうことについて、いかに自治体がやりやすくするかということに注力すべきではないかと思います。
 自治体の意見を見ますと、業務がとにかく多忙なので、とても対応し切れないという意見が随分多いですので、現実的には要件にこだわらず、何でも出せるのだというところをいかにわかっていただくかということで進める以外にないと思います。
 以上でございます。

○宇賀座長 佐竹委員、どうぞ。

○佐竹委員 今の御意見に追加してですけれども、行政の相談現場で今、非常に困っておりますことは、事故情報が入るのですけれども、相談を受けていて重大事故に当たるのではないかと思いましても、通知事項が定められておりまして、これがきちっと聞き取りができないと重大事故として上げられない。
 今回、今後の改善案として、通知事項を満たしていない等の情報が参考情報という形で組み入れられていくのかなと思うのですが、これは内容にもよると思いますけれども、相談現場に聞き取って通知事項を満たしていない事案であっても、重大な事故につながると感じられるものは、この参考情報ではなくて、きちっと重大事故として集約していただきたいと思っております。
 以上です。

○宇賀座長 ありがとうございました。どうぞ。

○中尾委員 目的でやったときには、一つの例として餃子事件があって、生協みたいに紙でやるか、どこまでやらなければいけないのか、いろいろ考えていて、それで6件、救急車3件も含めてやったけれども、本部は全然わからなかったとなってはいけないと思います。だから、いろいろな事故があったらどんどん出して、消費者庁の方でそれをチェックして、餃子は危ないではないかといったら、それが2本目が来たらすぐわかるような、そういうシステムが今、必要なのではないかと思います。
 そのときに現場の方々がどうしようか、全部が埋められないから出せないとか。事故が起きたという何となくぼーっとした情報でも、とにかく早く出してね。詳しいことがわかったら、またそこに書き加えてねという感じでやっていかなければいけない。
 製品も、危ないのは、例えば中国製品で少し悪いものが入ってきて事故が100件ぐらい起きる。そういうのは困るのです。だから、そういうものが速やかにわかってリコールになるという速さが出るようなシステム。そのときはごみが増えたって仕方ないではないかという感じでいかがでしょうか。

○宇賀座長 どうぞ。

○中村(雅)委員 先ほど来、届けるべき情報かどうかの仕分けのところに関係すると思うので聞くのですが、19ページの事故情報データバンクに提供される情報のうち、2番の国民生活センターのPIO-NET。さっきもありましたけれども、PIO-NETに入力したら消費者庁に通知したことになるということなのですが、そのうちから更に事故情報データバンクに転載していますと書いてあるのですが、PIO-NETというのは年間100万件も相談情報が載ってくるわけです。その中から、一体どうやって仕分けして転載しているのか、そこら辺をちょっと聞きたいのです。
 しかも転載していると言うけれども、事故情報データバンクの事故内容詳細というのは、1行しかスペースがなくて、使用中のシュレッダーが突然爆発し、爆風で腕と顔にやけどを負ったというのが実際の例で載っているのです。これは一体どういう使用方法をしていたのか、使用態様とか、全く書いていないのです。多分、PIO-NETの聞き取りの人はもうちょっと聞いているのではないか。どこに設置して、どういう使い方をしていたの、何年前なのとか、どのぐらい使っていたのとか、いろいろ聞いているはずなのですが、それが全く落ちて、ただ使用中の製品が爆発しました。燃えました、これっぽっちの情報しか載ってこない。
 そこまでセレクトする役割はどなたかがやっているのでしょうけれども、ここに転載と書いてある割には、そういうかなり加工された情報だと思います。そういうところのルールがどうなっているのか、そこで捨てるものと拾い上げるものをどこかで区分けされているはずなのですね。そこら辺の実情をちょっと聞きたいなと思います。リンクしているようでリンクしていないのではないかと私は思っていますので、ちょっと御説明してください。

○宇賀座長 ありがとうございました。幾つか御質問が出ましたが、最初に中村委員の方からお尋ねがあった点について、私の方でお答えします。
 ここでは広く御意見を出していただきますけれども、その中には現行法の運用上可能な部分と、それから現行法上は無理で制度改正が必要な部分と、両方の御意見が当然出てくるわけですけれども、それについては仕分けをしまして、現行法の運用上、対応可能な部分と、現行法上は難しいので、制度の改正が必要になってくる中長期的な課題とに分けて、ここでさまざまに出た御意見を消費者庁の方でも検討していただいて、現行法上、対応できる部分は、すぐに対応をお願いすることになります。
 制度改正が必要で中長期的な課題となる部分も含めて意見を出していただいて結構なのですけれども、以上述べましたように、それをすぐ対応可能な部分と中長期的な課題に分けて整理していきたいと考えています。
 それから、そのほか幾つか御質問が出ましたので、野村課長の方からお願いします。

○野村消費者安全課長 まず、今の宇賀先生のお話にも関連してですけれども、中村先生の御指摘に関しましては、当面の改善策にしても中期課題にしても御自由に御議論をちょうだいしてということです。議論するにしても、その方向感を出す意味で、どういう出口の見通しかということを結び付けながら議論する必要があるのではないかというお話だったかと思います。
 そこは、誠にそのとおりとお伺いしておりまして、事故情報の収集、今の安全法の仕組みを、さっき御紹介ありましたけれども、中国製冷凍餃子事件などの記憶が生々しいときに国会などでも御議論があって、あのとき警察なり保健所なり、それぞれはかなり詳しい事故情報をお持ちだったのですけれども、情報が寸断されていて、2件目、3件目になってようやくという状況を、少しでも情報を一元化することで迅速な対応を行政機関はとるべきであるという御議論だったと思います。そこが12条とか13条とか15条に反映していると思っています。
 ただ、そこは一つひとつの情報はしっかりした情報で、それをこれは警察の情報、これは保健所の情報ということをしない、そういう縦割りをなくすようにという御議論だったと思っております。ただ、冷凍餃子事件のような事件が日々起こるかというと、そういうことは幸いにして滅多に起こらないことであって、消費者庁が消費者安全法を核にして情報の一元化をするときに、そういう仕組みをもっと生かすようなこととして、餃子事件のようなものでなくても、いろいろな情報を幅広く集める。
 幅広くというときに、通知事項を全部満たしていないというところも余り固執しないで集めるという運用の方が望ましいのではないかというのは、立法の時点から議論に関わらせていただいている立場としては、もともと議論していたものと、ターゲットにしようとしている情報が少し変わってきているかなと、正直思わなくもないのですけれども、情報の収集という局面において、もっと幅広く柔軟に情報を集めた方がという議論をいただいていると思っております。
 ただ、そこは中村先生がおっしゃっていただいたように、出口というのでしょうか、集めて、それでどうするのというところが、先ほどの西村先生からの御質問でも、十分見通しを持てているわけではありませんという御説明を申し上げているものですから、結局収集範囲を広くするということは、何のために、どこまでやろうとしているのという分析なり何なりの話とぐるぐる回っていないかという、中川先生の御指摘につながってくる話なのかなと思います。
 だから、収集の面で改善しますと御報告させていただいているのですけれども、分析などの面ではどうするのかという、そこはちょっと今日宿題とさせていただければと思っております。

○中村(晶)委員 今の点で1点だけよろしいですか。

○宇賀座長 はい。

○中村(晶)委員 その収集の段階で、先ほどそちらの中村(雅)委員からお話がありましたように、例えばシュレッダーの事故についてわずかな情報しか書かれない。、せっかく上がってきた情報に、ある程度限定をかけると、その限定する作業をした人の認識によって、捨てられる情報と残される情報とが振り分けられるわけですけれども、その捨てられた情報にこそ価値がある場合もございますね。
 だから、本当は生の情報としては多い方がよいけれども、情報利用の目的に応じて、どの部分をピックアップする必要があるかが違うと思いますから、先ほどの22条でいえば、集めた情報の利活用をどういう場面で使えるようにしたいのかというイメージを、もうちょっと御提示いただけるとよりいいのではないかと思いますので、御提案させていただきました。

○中尾委員 シュレッダーと爆風とやけど、それは検索して類似をやったら、ほとんどデータはないです。そういうふうに手でやったら大変なことになるけれども、その3つでアンドだと、100万件あっても5件とか10件しか出てこないと思います。コンピューターでやらなければ。

○野村消費者安全課長 出口というところで。今の中村先生のお話は、分析ではなくて公表、情報を提供していく、発進していく部分も更に含めてという御指摘と思います。
 中村雅人先生の御質問に関しましては、今、PIO-NETのうちの情報データバンクに転載しておりますのは、全センターではありませんで、いわゆる都府県のメインセンターの60センターと個別に調整させていただいて、PIO-NET情報はあくまでイントラ情報なものですから、対外的に相談情報は出さないという約束事になっていると思います。
 そのうちの、この範囲、この項目であれば、例えば相談情報そのものは転載しませんという前提で、事案名の部分を転載していって、事案名のみなので、先ほど先生が読み上げてくださったような書きぶりになっています。そういう御了解をメインセンターの方と調整させていただいて転載している状況であります。生データが行政の中に何らかの形で入ってきているときに、どこまでは国民向けのサイトに載せられるのか、出そうとしているのかということも含めて、そこは御議論をちょうだいしなければいけないテーマだと思っております。
 それから、橋本委員の方から23条の関係の御指摘がございまして、市町村レベルの権限委任に関しましては、今、都道府県と政令市に関して第1弾の同意手続のときに御相談させていただいて、大体6割の自治体から前向きな御回答をいただいております。また、今年度秋ぐらいにでも第2弾を進めたいと思っております。
 更にそこから先ですけれども、個人的には市町村の中でも中核市の場合には、同意手続について協議がもらえないのだろうかという御意向をいただいている自治体もあります。すべからく、どの市町村にもというのは、今すぐにはなかなか難しいだろうと思っておりますけれども、私どもとしてはなるべくすそ野を広くする、消費者行政全体として底上げが図れるようにという気持ちではおります。そこは現場の実情、御負担を考えながらということかなと思っております。
 それから、阿南委員の方から、参考情報をまずきちんと集めることに関して、説明をはしょってしまったのですけれども、アンケート結果に言及いただいておりました。確かに改善するのはいいのだけれども、現場の負担をよく勘案しながら進めるようにという回答が圧倒的多数でありましたから、そこを現場の方と御相談を十分しながら改善を図るように考えていきたいと思っております。

○中嶋委員 時間も12時になりましたけれども、今後の課題を考えていく中で、重大事故情報、非重大事故情報の定義をもう一度お考えいただきたいと思います。
 重大事故は財産が対象外になっています。身体、生命に関する事故だけが重大事故となっているのですけれども、火災の場合には財産だけということもあれば、財産・身体・生命に被害が及ぶケースもあります。ですから、財産だって消費者には受け入れられない重大な事故であれば、財産にまで広げて考える必要もあろうかと思います。
 先ほど阿南さんから10日と言っていますと言われたけれども、1日でもいいのではないでしょうか。消費者にとって本当に受け入れられないリスクとは一体何なのだろうかというのを、行政の目からもう一度見て、消費者庁の目から見て、一度そこをお考えいただくのがいいことではないか。
 それから、リスクというのはひどさと発生の確率の掛け算です。ひどいからリスクが大きい、ひどいから事故が大きいではなくて、小さな被害であっても事故がたくさん起こると、これもリスクが大きいということになります。例えば被害がある一定の期間の中で立て続けに10件起こりましたとなれば、やはり重大事故として考える必要があるのではないでしょうか。指を切ったぐらいの事故だから、もういいという考え方もあれば、いや、指を切るような事故が10件も20件も続いたら、これは改善命令を出さないとだめでしょうという発想もあってもいいのではないでしょうか。
 そういう意味では、12条の取り扱いだけではなくて、定義のところから考えていく必要があろうと、これはお願いでございます。

○宇賀座長 ありがとうございました。どうぞ。

○中尾委員 シナリオ分類というのがアメリカなどで言われているのだけれども、被害でも製品でも分類するのではなくてシナリオでやりましょう。だから、シュッレッダー、爆風、やけどというのが、シュレッダー、巻き込み、指というのとはまた違う事故ですという感じで分類していく。シュレッダーでなくたって、雪かきでも巻き込み、指というのだったら、それは違うシナリオに行きますね。
 だから、そういう形でシナリオ分類すると、被害がどうのという前に分類できると思います。そのためには、コンピューターがやるようにしないと、人間ではとてもではないけれども、できないから、コンピューターを入れてやるようにしたらどうでしょうか。

○宇賀座長 吉岡委員、どうぞ。

○吉岡委員 中嶋委員が言われたのと同じことになるかもと思うのですけれども、重大事故以外に頻度というのは非常に重要で、化学物質を扱っている我々の財団では、大抵は製品そのものはきちんとした形になっているわけですが、小さな事故がいっぱい起こる。これは、必ずその業者に、事故が繰り返し起こらないように改善していただく。
 「1滴消臭 トイレその後に」という消臭剤は、目薬のような形をしていて、暗いところでお年寄りが目に入れるわけです。これは目に入れないようにしましょうと幾ら表示に書いても、そんなもので防げる問題ではありません。容器も極端な形に変更したことで、結果的に起こらなくなりました。こういう小さなことの積み重ねが重要なので、頻度は是非とも重大事故の定義をするときに考慮れてしていただきたい。
 繰り返し起こるものは全部重大事故とするのが、消費者庁の目線だと私は思っています。関係省庁が重大事故というのは重症になるものというとらえ方をしていたのを、消費者庁はむしろ頻度というとらえ方をしてくださるのではないかと思って、私たちは非常に期待していたのですけれども、全く現行のままで行ってしまったということです。
 それと、誤使用のことも是非再検討していただきたいのです。化学物質による事故というのは、もともと乳幼児や老人の誤飲・誤食か、あるいは誤使用によるものか、意図的に用いる自殺企図か、この3つしかないわけです。そうすると、防ぎうるのはほとんど全部誤使用という範疇に入ってくるのであって、混ぜるな危険というのは有名ですけれども、あれは製品の欠陥なのか誤使用なのか。我々の感覚からいえば、やはり誤使用なのです。
 誤飲・誤食以外は誤使用と言ってもいいぐらいなので、誤使用も是非とも消費者庁の目線からは範疇に将来的に入れていただきたいと思います。

○宇賀座長 どうぞ。

○片山委員 今の吉岡委員の意見とも共通するのですが、結局そういうものに注意を払っていくために、今回言っておられる参考情報を集めるということは非常に大きな意義があると思います。問題は、集めた参考情報をだれがちゃんと共有して、そこから必要なものを抽出していって生かしていくかというところで、とりあえずは行政向けということをお考えのようですけれども、本当は消費者から参考情報に関連する情報が集まってこないと意味がないわけで、参考情報を集めるということは大賛成ですし、その活用のためにどういう範囲で、どこまでのものを公表していくかということを是非詰めていただきたいと思います。

○鶴岡委員 私が参考情報を集める前に、追跡体制をどうされるのかと見通しを伺ったのは、そこのところの見通しが不確かでありますと、かえって渋滞が甚だしくなってしまうということを心配したためです。しかしながら、安全を確保する上での行動として、その再発防止を図る、被害の拡大を防ぐということに、参考情報としてたくさんの情報を集めることが役立つことは、これは本当に間違いないと思います。
 したがって、先ほど野村さんの方で今後の追跡の方法として、関係機関との連携とか、あるいはシステムの工夫とか、いろいろ挙げられましたけれども、その辺をしっかりやっていただくということで参考情報を集めていくということに私も賛成いたします。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 まだ御意見あるかもしれませんが、時間も過ぎてしまいましたので、この辺りで本日の議論をまとめたいと思います。消費者庁の方で参考情報もこれから集めるように運用の改善を図っていくという方向については、おおむね御賛同が得られたのではないかと思います。
 それに加えて、制度の改正に関わる問題として、そもそも現在の重大事故の定義そのものの見直しに関わるような御意見、これなどは今後の中期的な課題ということになるかと思いますけれども、そういった御意見もいただきました。本日いただいた議論を整理して、今後の検討に生かしてまいりたいと思います。
 それから、今日いただいた御意見で、収集後の分析・公表に関わるものもありました。次回から、この分析の問題について取組み、その後、また公表の問題についても議論してまいりたいと思いますけれども、その際には今日いただいた御意見を生かしていきたいと思います。
 それでは、事務局の方から次回の日程についてお願いします。

≪4.その他≫

○原事務局長 ありがとうございました。
 次回の専門調査会は、10月13日水曜日の10時から行う予定にしております。今、座長の方でおまとめをいただきましたけれども、今日、情報収集の通知のところについて一段落ということで、次回は分析、その後、提供とか公表についての論点を詰めていきたいと思っております。
 今日もいろいろなお話が出ていましたけれども、消費者庁とも相談しながら進めておりますけれども、改善できるものはできるだけ早く改善していくということで進めていただいて、そして消費者安全法という新しい法律ができたわけですから、このもとで消費者安全というものをどう考えていったらいいのかというところでの中期的な課題というのを、この専門調査会で検討課題として出していくということを、最終的な今のメンバーでの出口にさせていただきたいと思っております。
 今日は長時間、どうもありがとうございました。事務局からは以上です。

○宇賀座長 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきましてどうもありがとうございました。

≪5.閉会≫

(以上)