第1回 消費者安全専門調査会 議事録

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日時

2010年3月24日(水)10:00~12:15

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
宇賀座長、中川座長代理、赤松委員、阿南委員、大前委員、齋藤委員、櫻井委員、佐竹委員
佐野委員、鶴岡委員、中尾委員、中嶋委員、中村(晶)委員、中村(雅)委員、西村委員
橋本委員、松岡委員、山上委員、横矢委員
【説明者】
消費者庁 野村消費者安全課長
【事務局】
消費者委員会 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.消費者安全行政の現状について
3.消費者安全専門調査会の当面の進め方について
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:14KB)
【資料1】 消費者安全行政の現状について (PDF形式:416KB) 【資料2】 消費者安全専門調査会の当面の進め方について (PDF形式:16KB)
(参考資料1) 消費者委員会消費者安全専門調査会委員名簿 (PDF形式:25KB)
(参考資料2) 消費者委員会運営規程 (PDF形式:17KB)
(参考資料3) 消費者委員会消費者安全専門調査会設置・運営規程 (PDF形式:18KB)
(参考資料4) 消費者安全専門調査会の所掌事務に係る根拠法令 (PDF形式:24KB)
(参考資料5-1) 製品事故情報の公表等に関する調査会の設置について (PDF形式:15KB)
(参考資料5-2) 製品事故情報の公表等に関する調査会の公開について (PDF形式:14KB)

≪1.開 会≫

○原事務局長 おはようございます。
 本日は皆様お忙しいところお集まりをいただき大変ありがとうございます。
 ただいまから「消費者委員会消費者安全専門調査会」の第1回目の会合を開催いたします。
消費者委員会の事務局長を務めております原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 「消費者安全専門調査会」は、本日が初めての会合ということで、作業としては大変急いで、去年の秋の終わりくらいから作業を進めておりましたけれども、このように遅れましたことは大変申し訳なく思っております。
 参考資料の1(PDF形式:16KB)に委員名簿をお付けしておりますので、御確認をいただきたいと思います。
 消費者委員会の専門調査会には、消費者委員会の中から担当委員というものを決めさせていただいて、参画させていただきたいと考えておりまして、櫻井委員、佐野委員、中村委員がこの専門調査会の担当委員として、調査審議に参画をいたします。
 本日は、片山委員、杉山委員、廣瀬委員、吉岡委員におかれましては、御欠席という御連絡をいただいておりますが、過半数を超えておりますので、会議としては成立をしております。
 本専門調査会の座長については、3月15日の第18回消費者委員会において、松本委員長から指名があり、宇賀克也委員に務めていただくということをお願いしております。
 それでは、宇賀座長、議事進行をよろしくお願いいたします。

○宇賀座長 このたびこの「消費者安全専門調査会」の座長は務めることになりました宇賀でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は第1回の会合でございますので、最初に本専門調査会を消費者委員会に置くことになった経緯、それから審議内容について事務局の方から御説明をお願いします。

○原事務局長 「消費者安全専門調査会」を消費者委員会に置くこととなった経緯について御説明をさせていただきたいと思います。
 消費者委員会においては、昨年10月26日の第4回消費者委員会において、お手元の参考資料の3(PDF形式:18KB)にございます「消費者安全専門調査会」の設置・運営規程が審議をされ、消費者委員会の下に、専門調査会を設置することといたしました。
 この専門調査会においては、消費生活用製品安全法に基づく製品事故情報の集約・公表の在り方、そのほか消費者安全に関する重要事項について、調査審議を行っていただきたく存じます。
 更に3月15日の第18回消費者委員会において、宇賀座長より「製品事故情報の公表等に関する調査会の設置について」の提案がなされ、委員会において参考資料の5-1(PDF形式:15KB)のとおり、承認をされております。
 なお、この調査会の座長については、松本委員長から指名があり、西村委員に務めていただくことになっております。
 このような規程の整備を踏まえて、本日お集まりの皆様の任命手続等を進めて、本日より具体的な審議を行う体制が整うことになりました。
 消費者安全は大変大きな課題を抱えておりますし、消費者の関心も非常に高いところですので、是非委員の皆様におかれましては、これからの審議に御協力と御高配を賜りますようよろしくお願いをいたします。
 以上です。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 それでは、まず座長代理を決めたいと思います。
 消費者安全専門調査会設置運営規程の第2条第4項では、座長があらかじめ座長代理を指名することになっています。そこで座長代理は中川丈久委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、専門調査会の委員の皆様に簡単に自己紹介をお願いしたいと思います。
 まず、中川座長代理から順にお願いいたします。

○中川座長代理 初めまして、神戸大学の中川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○中尾委員 東京大学の中尾です。見ただけで工学系というのは敵みたいな感じで1人なんですけれども、よろしくお願いします。

○中嶋委員 一般社団法人の品質安全文化フォーラムの中嶋でございます。
 今、中尾先生が工学系は1人みたいだと言われましたが、私も工学系でございますので、よろしくお願いいたします。

○中村(晶)委員 弁護士の中村晶子と申します。内閣府の情報公開個人情報審査会の委員をしております関係上、恐らく事故情報の管理とか、公表の関係について意見を申し上げるようにということで、お声がかかったというふうに理解をしております。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○橋本委員 社団法人北海道消費者協会の会長しております橋本と申します。
この会議には恐らく地域の声を反映させてほしいということで、指名されたと思っておりますので、そういった立場からいろいろとお話しさせていただきたいと思っております。

○松岡委員 宇都宮大学工学部の松岡です。私も工学系の1人でありまして、もともとシステム安全ということを、純工学的なアプローチでやっておりましたが、そのほかに学術会議の方で、事故調査の在り方ということもあって、少し首を突っ込みまして、いろいろと検討しておりますので、製品安全の方についても、いろいろとお役に立てればと思います。
よろしくお願いいたします。

○横矢委員 NPO法人子どもの危険回避研究所所長の横矢真理と申します。
私は子どもが小さいときに専業主婦だったのですけれども、20年前に次男が生まれた頃から子どもの危険について研究を始めました。できるだけ子どもが死んだり、理不尽なことで大きな怪我をしないようにということで研究を始めて、それから、20年経ちましたけれども、10年前に子どもの危険回避緊急研究所を立ち上げて、その後6年前にNPOにいたしました。
 10年前から、事故の体験談等も集め、情報を生かしたいということで活動してきています。子どもが大きくなっても、子どもに関心が強い珍しい人間だというふうに言われております。
 これからも小さい子どもとお母さんたちを集めて、情報を集めたり、良い情報を選んで届けていくという仕事をずっと続けていくつもりですので、何かお役に立つことができればいいなと思っております。
 よろしくお願いいたします。

○鶴岡委員 読売新聞東京本社元編集委員の鶴岡です。
 1985年の日航ジャンボ機の墜落事故以降、欠陥車とか、原子力発電所の事故等を含めまして、安全問題に徒労してきたということで、今回関わらせていただくことになりました。
 よろしくお願いいたします。

○山上委員 社団法人全国消費生活相談員協会の山上でございます。会員の多くが消費生活センター等で相談員として働いております。
 消費生活センターには、なかなか事故の御相談というのは寄せられていない現状がございます。
 そういう中、軽微な事故とかいったもので、お話を伺ってこれはちょっとおかしいなという相談員としての勘といいますか、経験則から丁寧に調べていったことがあります。相談員個人の経験ではなくて、システム的にセンサー機能となる基準のようなものがあると、いいなとの思いを持っております。
 一般の方が商品等の使用において、いろいろな事故に遭っていらっしゃるので、その事故情報をどのように伝えたらよいか、どこに問題があるか、検討して安全な社会になるように頑張っていきたいと思っております。
 よろしくお願いいたします。

○佐竹委員 社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会の佐竹でございます。
 私は今回、NACSの肩書きで参加させていただいておりますけれども、日ごろは川崎市の消費者行政センターで相談をやっております。まさに日ごろ消費者の方からいろんな情報が寄せられておりまして、今回、消費者庁の方から情報の一元化で事故情報が出ておりますけれども、この事故情報の在り方が今一般の消費者にとってどれだけ有益になっているのか。問題、課題がどういうところにあるのかという、まさに消費者目線で発言させていただきたいと思っております。
 よろしくお願いいたします。

○齋藤委員 同志社大学法学部の齋藤です。最初に就職したときには松下電器産業に入りまして、現在は同志社大学法学部で教授をやっております。
 消費者庁の発足に先立つ国民生活審議会の消費者政策部会で、どのような消費者行政の在り方がいいのかということを検討するときのメンバーにさせていただいておりました。
 今日もいろいろ論じられるのだと思いますけれども、消費者庁それから消費者委員会が十分に機能するようにという願いを持って参加させていただいております。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○大前委員 慶応大学の大前でございます。私の専門は化学物質による健康影響ということで、そちらの方面で貢献できればいいなと思っております。
 よろしくお願いいたします。

○阿南委員 全国消費者団体連絡会の阿南と申します。
 私どもの団体は、消費者の安全と安心の確保のために、全国で地域に根差したさまざまな活動を展開しております消費者団体のネットワーク組織でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○赤松委員 お茶の水女子大学の赤松と申します。よろしくお願いいたします。
 私は専門が、健康教育の中の栄養教育の分野なんですけれども、食育基本法ができましてから、食の安全教育の方もかなり重要視されてきまして、ここ数年、厚生労働省の研究班の方で「新しい食の安全教育」という研究を行っております。消費者教育や、リスクコミュニケーションを含めた新しい教育ができないかなと思って日々研究をしております。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○西村委員 横浜国立大学の西村でございます。国生審の消費者政策部会の委員を務めておりました。
 今回「製品事故情報の公表等に関する調査会」の座長ということで、御依頼をいただきまして、その方面でも、また一生懸命やっていきたいと思っております。消費者教育に関わる350人ほどの学会がございまして、そこの会長を現在務めております。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 先ほど原事務局長からお話がありましたように、この調査会には、消費者委員会の委員3名の方が御出席になり、審議にも参画していただくことになっておりますので、一言ごあいさつをいただけますか。

○佐野委員 消費者委員会委員の佐野と申します。
 非常に大きなテーマがたくさんありますが、いろいろなお立場の方の御意見を伺いながらできるだけいい方向、事故の未然防止、拡大防止に資するような結果を出していきたいなと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○中村(雅)委員 消費者委員会委員の中村雅人です。弁護士でして、製品安全に関する訴訟等、たくさん経験しております。
 この専門調査会の位置付けというのは非常に重要でして、国民からの期待も大きいことと思いますので、今後皆さんと一緒にいろいろ知恵を出し合いながら、頑張っていきたいと思います。
 よろしくお願いします。

○櫻井委員 消費者委員会委員の櫻井でございます。
 私は専門が行政法でありまして、どちらかというと、工学系の先生方に囲まれて、法律で少数をかこっているという状況にございまして、たまにはこういうポジションもいいかなと思っております。
 消費者委員会は、なかなか専門的な議論がこれまでできておりませんで、そういう意味で非常に期待しておりまして、中庸を得た、専門性に裏づけられた議論が展開できるといいなと思っております。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 本日は消費者委員会事務局から原事務局長のほか、齋藤審議官、それから消費者庁からも、野村消費者安全課長に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 なお、本日の会議につきましては公開で行います。議事録についても後日公開することとします。
 では、議事に入る前に事務局から配布資料の確認をお願いいたします。

○原事務局長 配付資料ですけれども、議事次第の次に配布資料の一覧をお付けしております。
 資料1として「消費者安全行政の現状について」。
 資料2として「消費者安全専門調査会の当面の進め方について」ということで、資料の1に追加資料で1~5まで付けておりますけれども、これは議論の参考にしていただければということで付けております。
 先ほども御説明いたしましたように、消費者委員会関係の運営規程などを参考資料の1~5まで付けております。議論の過程で不足がございましたら、事務局まで申し出ていただければと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。

○宇賀座長 それでは議題に入ります。
 本日は「消費者安全行政の現状について」と「消費者安全専門調査会の当面の進め方について」を議題として取り上げたいと思います。
 まず「消費者安全行政の現状について」議論を行いたいと思います。
 消費者庁の野村消費者安全課長の方から御説明をいただきたいと思います。


≪2.消費者安全専門調査会の当面の進め方について≫

○野村消費者安全課長 お手元の資料1(PDF形式:416KB)「消費者安全行政の現状について」という資料と、追加資料といたしまして、5種類の資料を配付させていただいてございます。
 消費者庁の発足に伴いまして、消費者事故情報の一元化を推進するということで、消費者安全分野の担当部門におきましては、「消費者安全法」という関係行政機関から消費者事故情報を集約するための法律及び日用品の事故情報を事業者から集約するための法律であります「消費生活用製品安全法」、この2つの法律を所管いたしまして、一元的に事故情報の集約・公表・分析等に取り組んでいるところでございます。
 まず、審議の前提といたしまして、制度の概要を御説明させていただければと思います。
 「消費者安全法」という法律、5ページ目に概要を書いてございますけれども、内容といたしましては4つのことが書いてございます。
 「内容(1)基本方針」というところですが、「内閣総理大臣は、消費者安全の確保に関する基本方針を策定」をするということ。
 (2)地方公共団体におきましては、消費者行政の拡充を図ること。消費生活センターを都道府県においては必置、市町村においては努力義務として設置すべきことを定めております。
 「(3)消費者事故等に関する情報の集約等」ということで、行政機関、地方公共団体、国民生活センターは、消費者被害の拡大の恐れのある消費者事故等に関する情報を消費者庁に通知すべきこと。生命・身体に関する重大事故等については、直ちに通知すべきことの定めがございます。
 内閣総理大臣は、それらの情報を集約・分析して、その結果を公表することとされてございます。
 4番目に、消費者庁の権能といたしまして、情報の集約を図りました後、消費者の注意喚起を図るため、情報公表すること。
 被害の防止を図るために実施し得る他の法律の規定に基づく措置がある場合には、関係大臣に要求をすること。
 そうした措置がない場合には、自ら事業者に対して、必要な措置を取るよう勧告をし、切迫した危険がある場合には、商品の譲渡等を禁止する命令を発することができるというような制度になってございます。
 その後に、関係条文の説明を少し書かせていただいてございますが、消費者、消費安全性、消費者事故、重大事故というキーワードの定義を書かせていただいてございますけれども、特に重大な概念であります「重大事故」という概念の定義を、簡単に御説明させていただきます。
 13ページからになりますが、この法律におきまして重大事故といいますのは、以下のものを言うとなってございまして、10ページ目と13ページ目を合せて見ていただければと思いますけれども、消費者事故といいますのは「事業者がその事業として供給する商品若しくは製品、事業者がその事業のために提供し若しくは利用に供する物品、施設若しくは工作物又は事業者がその事業として若しくはその事業のために提供する役務の消費者による使用等に伴い生じた消費者事故であって、消費者の生命又は身体について政令で定める程度の被害が発生したもの」となってございます。
 この消費者事故を政令で定める程度ということに関しましては、11ページ目にございますけれども、死亡事故、治療に1日以上係る負傷・疾病、一酸化炭素中毒という定義になってございます。
 更に被害の程度が重大であるものとして政令で定めますもののことを重大事故と言ってございますが、これが14ページ目になりますけれども、4つ要件がございます。
 被害の程度が以下に該当するものということでありまして、死亡。
 負傷・疾病であって治療に要する期間が30日以上であるもの。
 負傷・疾病であって、治癒(症状固定を含む)時に府令で定める程度の身体障害が存するもの。
 この府令というのは、非常に細かくなりますけれども、おおむね身体能力が10%~15%程度喪失するような障害のことを指しております。
 それから、一酸化炭素中毒という4つの要件を定めてございます。
 重大事故等というふうになっておりますが、この「等」というものの説明は15ページ目になりますけれども、被害を発生させるおそれのある事案ということでありまして、先ほどの14ページ目は、現実に被害が発生している事態に関しまして、その被害の程度がどのくらいであるか、重大であると考えられるものはどういうものかという定義であります。
 15ページ目の方は、被害が現実に発生している事態ではないのでありますが、被害を発生させるおそれのある事態ということで、以下の定義をしております。
 4つございまして、一つには「安全基準不適合+重要な部分の異常(飲食物以外)」。
 「安全基準不適合+毒物・劇物等の付着(飲食物)」。
 「窒息等生命・身体上への著しい危険」がある場合。
 「火災等著しく異常な事態」ということを定義してございます。
 おそれがあるということでありますけれども、以下の要件が該当する事実が存在しているかどうかという形で、概念を定義しているものでございます。
 今申しました消費者事故、重大事故というものの情報を得たときに関係行政機関はどうしなければいけないのかということを整理しておりますのが、17ページ~19ページ目の資料でありますけれども、消費者事故に該当する情報を得た場合には、それが被害の拡大可能性がある場合には、速やかに消費者庁の方へ通知をしていただく。
 また、重大事故に該当するという場合には、直ちに消費者庁の方へ通知をいただくという定めになってございます。
 この具体的な通知状況につきましては、参考資料で配らせていただいておりますけれども、そちらの方は後ほど御説明させていただきまして、引き続いて、もう一つの事故情報の集約のための制度であります「消費生活用製品安全法」について御説明をさせていただきたいと思います。
 消費生活用製品安全法は、重大事故の報告・公表制度に関しましては、昨年9月から消費者庁の方へ事務が移管されておりますが、法律全体といたしまして、もともとは経済産業省が所管されていた法律でありまして、事前規制に関する規定、経年劣化対策に関する規定、重大事故の報告・公表制度に関する規定という3つの内容から成ってございます。
 1つ目と2つ目の内容につきましては、引き続き経済産業省で所管をしておられますけれども、重大事故の国への報告・公表制度については、消費者庁の方へ移管をされたということであります。
 この報告・公表制度に関しましては、平成19年に制度が改正され、法律が施行されてございます。その改正された以降の具体的な内容を示しておりますのが、23ページでありますけれども、重大製品事故が発生した場合には、製造事業者・輸入事業者は、重大製品事故を知った日から10日以内に、事故内容の報告をしなければいけないということが義務づけられているものであります。
 報告を受けました消費者庁におきましては、直ちに事業者名、型式名等を、製品起因であると疑われる場合には、発表していくということであります。
 また、製品起因性を分析する等の必要のために、経済産業省と共管で技術的な調査を行うことになってございまして、更に法律の定めに基づきまして、技術上の調査に関しましては、NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)に調査をさせることができるということになっております。
 この法律に基づき報告されます製品事故の範囲ですけれども、25ページ目に定義的なことが書いてございますけれども、この内容は基本的に先ほどの消費者安全法で説明させていただいた重大事故の概念と同じであります。
 製品の定義が消費生活用製品となっておりまして、消費生活用製品に該当しない製品は対象から除外をされておりますけれども、具体的には自動車、食品、船舶、医薬品等でありますけれども、それ以外の消費生活用製品として定義されるものに関しまして、重大事故が発生した場合、この重大の概念は、25ページ目の下に書いてございますけれども、死亡事故、30日以上の治療を要した事故、後遺障害事故、一酸化炭素中毒ということで、先ほどの消費者安全法と同じ定義になっているところであります。
 26ページ目に、重大製品事故が発生した後に通知が行われて、どういう処理が行われているのかということを示しております。見づらい表で申し訳ありませんけれども、上の方から情報のフローになります。
 重大製品事故が製造事業者・輸入事業者から、消費者庁の方へ報告をされます。
 マル1というところにありますが、重大製品事故がガス・石油機器によるものか否かというところで、取り扱いを分けております。これは平成18年~19年の制度改正の際の議論を踏まえたものでありますけれども、ガス・石油機器に関する事故の場合、重篤な事故が起こりやすいこと、迅速な情報の公表ということが強く要請されるということで、特にガス・石油機器に関しましては、迅速な公表のための取り扱いを運用上されております。
 左の方でありますけれども、ガス・石油機器に関しましては、直ちに事業者名、機種・型式名、事故の内容を公表しております。
 その右側ガス・石油機器以外でありますけれども、こちらの方に関しましてはマル2の方に進みますが、重大製品事故が製品に起因して生じたものなのかどうかというところの判断、内容の分析が行われます。
 製品起因が疑われる場合には直ちに同様に事業者名、機種・型名、事故の内容等を公表することとしております。
 一方、製品に起因して生じたのかどうかがわからない、あるいは製品に起因して発生したものでは、情報の限りではまずないのだろうというときには、その右下の方の真ん中辺りですが、どういったものでどういったことが起こったかという事故の概要を公表しておりますけれども、事業者名や機種名・型式名などは公表しないという取り扱いとしております。
 それらに関しましても、わからない、あるいは情報の限りでは違うのだろうということでありますけれども、本当にそういう判断でいいのかどうかというステップが更に下に入っております。
 先ほど紹介させていただきましたNITEによる調査で、製品に起因しているかどうかの調べをするステップがここに入ります。
 また、情報の限りでは製品起因ではないと思われるということでありますけれども、本当にそういう考え方でいいのかどうかというところを第三者の御意見を伺いながら判断をしていくという手続を決めてございまして、これらのステップを加えて修正すべきところは修正をいたしまして、第1次情報の範囲内では製品に起因していたかどうかよくわからないということだったんですが、よくよく調べてみると製品起因が疑われるということであれば、左の方の矢印に移行しますし、引き続きわからないということであれば、第三者委員会の審議を経て公表をしない、あるいは公表をするという取り扱いに最終的に仕分けていくという作業をしてきているところであります。
 この第三者の御意見を伺いながらというところに関しましては、今後こちらの専門調査会の中に専門的な調査会を置いていただけることについて、御検討をいただけるというふうに伺っております。
 27ページ目以降は、この制度に基づきましての情報の処理状況ということでありますけれども、平成19年5月に改正消費生活用製品安全法が施行されまして以降、製造事業者・輸入事業者から、通知されております重大製品事故情報というものは、3,686件に上っておりまして、その内訳は、27ページにあるような数字でございますが、それらの事故情報の処理ということでは30ページ目になりますが、このうちの1,784件に関しまして、事業者名、型式名等の公表を行ってきております。
 一方、概要の公表にとどめまして、引き続き原因調査中になっておりますものが785件、製品事故には該当しないと考えられるものが1,008件という内訳になってございます。
 これは19年の制度改正以降の累計でございまして、昨年の9月に消費者庁が発足して以降の件数といたしましては、3,686件のうちの639件が消費者庁で受け付けた分でありますけれども、数的には、制度の移管前、移管後に、特に増えたり減ったりということはなく周知は図られているのではないかと思っているところであります。
 以上が消費生活用製品安全法の制度の概要でございます。
 そういう制度に基づきまして、具体的にどんな取組みをしているのかということを参考資料で、あと少しお時間をいただきまして御説明させていただければと思います。
 まず追加資料の1(PDF形式:240KB)でございますが、通知された情報を、まずは注意喚起につながるようにということで、公表する情報発信をしていくということを消費者庁としてはやってきておりまして、この公表に関しましては、消費者安全法では15条という条文がございまして、特に注意喚起が必要な場合に、注意喚起をするということになっているのですけれども、それだけではなくて、第3条、第4条に消費者安全法に基づいての情報に関して、消費者事故等の発生及び被害拡大の防止を旨として、その開示に努めなければならないという基本理念の規定がございまして、この規定を根拠といたしまして、被害の拡大可能性等に関して、分析が済んでいない段階でありましても、どういう情報の通知があるかということを定期的に公表を行うということをやってきてございます。
 この定期的な公表に関しまして、現在は、原則週に1回程度、その前の週に受け付けた情報を集約しまして、週中に公表を行うということをやってきているところであります。
 この公表の内容でありますが、消費者安全法12条1項、2項に基づく通知の件数、通知機関別の内訳、また重大事故に該当する。あるいは該当する蓋然性が高いと認められる場合、被害の拡大や同種類事故の発生が考えられる場合には、事実関係の詳細について未確認であっても、消費生活用製品安全法の運用に合わせて事故の概要を公表するとしております。
 消費生活用製品安全法の運用に合わせてと書いてございますのは、さらっと書いてありますが、先ほど御紹介させていただきました参考のフローチャートで説明させていただいたものと同じでございまして、事業者名、型式番号等、速やかに公表すべきときには公表する。まだの段階では概要を公表しますけれども、調査が済んだ段階では公表するという取扱い等の形での公表をしてきているということであります。
 消費者事故等の発生及び被害拡大の防止を旨とする基本理念に照らしつつ、第一報の限りでは消費者事故等に該当するか否かに疑義があるもの、個別的な事案であって、既に対応措置が講じられているなどの事情により、被害の拡大または同種・類似の消費者事故等の発生が想定され難いものについては対象外としておりまして、これらに関しましては、現在のところは、定期公表で公表することは控えているということであります。
 同じ資料2ページ目のIIIの1と2とございますけれども、特に注意喚起を要する場合には、詳細なところまで含めて、注意情報を発信していくということが15条1項に定めがございますけれども、そのときの留意点ということを過去の判例あるいはいろいろな学説等を踏まえて考慮要素を書き出しているのが2ページ目~3ページ目であります。
 まず考慮要素といたしましては、被害の重篤性、事故の発生数、事故の発生の拡大可能性、事故の新規性、特異性といったこと。あるいは回避可能性、こういったことを勘案して拡大防止のための注意情報を出していくべきであるということを考慮要素として、列記しております。
 一方、「留意要素」としましては、「事業者の特定に関する情報」。具体的には、「公表対象事案に係る事業者・製品等の信用その他正当な利益」。
 あるいは「同種・類似事業を営む他の事業者・製品等の信用その他正当な利益」。
 また、被害者をはじめとします「個人(被害者と)の識別に関する情報:被害者のプライバシーその他の権利利益の保護」の必要性、こういったことを留意要素として挙げてございます。
 3ページの2番目ですが、「2.公表に際しての配慮事項」ということで、極力公表するということと、速報段階以降の追加情報に関しても丁寧な公表を行うようにするということ。
 また、消費生活相談の情報というのが、自治体から多数上がることが想定されておりましたけれども、現に上がってきておりますが、消費生活相談の情報というのは必ずしも公表を前提としていないということにきちんと対応すべきこと。
 また事業者の名前を出していくときには事前に疎明等の手続をきちんと踏むべきこと。
 また公表情報については、一過性の形ではなくて、その内容をわかりやすくするとともに、アクセスできるような環境の整備をしていくべきことといった配慮事項を書かせております。
 最後の「IV.社会的影響等を勘案した公表」とございますが、ここで書いてありますことは消費者安全法、消費生活用製品安全法の定義があります事故情報のことを議論しておりますけれども、必ずしも重大事故、入院が30日だったか否かというところの判然としない情報であっても、社会的な影響が大きい場合ということがあり得ますので、そういう場合には30日だったかどうかということを調べていますということではなくて、柔軟な対応が必要ではないかということを留意事項として書かれているのがIVということでございます。
 この資料は、9月の消費者庁の発足の段階で、有識者の先生方等に御意見をちょうだいして消費者庁として取りまとめたものでございますが、そのあと消費者委員会の方にも、昨年12月の段階で御報告をさせていただいて、一般的にも公表をしているものでありますけれども、まだまだ運用状況を踏まえながら改善すべきところは改善すべきものであろうという位置付けのものとして、現在の段階では、この基本要領によりながら公表をさせていただいているところであります。
 具体的な公表をどういう形でやっているかというのが追加資料2(PDF形式:525KB)というものでありまして、個別の御紹介は割愛させていただきますけれども、ここには3種類の公表した内容を、9月8日のものと2月26日のものと、3月23日の公表の3つを参考までに配付をさせていただいております。
 追加資料3(PDF形式:293KB)というものがございます。
 「消費者事故等の通知状況等について」というものでありますが、通知を受けた後にどういう取組みをしているのかということを、御理解いただくための資料として配らせていただいております。
 通知情報は消費者安全法に基づくもので、そこにございますような数なのでありますが、これは時点が最新ではなくて申し訳ありませんけれども、昨年の後半時点で消費者事故が555件、重大事故がその約3割ということでありますけれども、これらの情報をその後、どうしているかということなんですが、4つ目の○にございますけれども、重大事故の概要を定期的に公表するとともに、通知元に対して追跡確認を行うということをしてきてございます。今の事務的な整理としてはそこにございますように、(A)(B)(C)(D)とありますが、追跡確認を行いましたところ、その通知元の関係機関の方で、既に対策を実施している、事案として処理は済んでいる、対策済みであるというもの。
あるいは原因分析をいたしまして、これから対応を検討しているもの。あるいは分析にこれから着手するということで確認が取れているもの。
それから進展が見られない事案、事実確認が困難な事案という形に、通知を受けた情報の追跡確認を行うという作業を消費者庁としてはやってきてございます。
例えばこの時点、9月から11月末の時点ということでありますと、約3割の件数のうちの未進展その他というものが18件、データの約1割くらいが宙ブラリンになっているということが確認をされまして、そういうものに関しては消費者庁みずから対応を促すとか、みずから調べに行くというような対応を図る必要があるという判断をするために、こういう作業を、追跡確認といった形で、情報の取り扱いをしているところであります。
A3の折り込みは、追跡確認をした結果を整理したものであります。これは先ほど御紹介させていただいた件数に関しまして、12月時点で公表しているものでありますけれども、関係機関の御協力をいただく必要がありますけれども、今後も定期的に、これは年末の時点のもので、最新のものではなくて申し訳ないのですけれども、定期的に四半期から半年くらいを目安に、定期的にこういう追跡確認を行って、通知をいただいた情報が最終的にどうなったのかということの関係機関へのフィードバック、また消費者等への還元ということをやっていくための取組みというものをきちんとやっていく必要があるのかなと考えているところであります。
 追加資料4(PDF形式:508KB)という資料は、先ほどの追加資料1(PDF形式:240KB)の中で、情報を一過性的に公表するというだけではなくて、そうした情報をアクセスしやすい環境に置く必要があるのではないかという考え方を反映させようとしているものが、この事故情報のデータバンクという仕組みづくりでございまして、これは消費者安全法、消費生活用製品安全法に直接的に関わっているというよりは、消費者事故に関連する情報をデータベースの形で持っておられる機関に、オンラインでデータベースを接続するという事業に、任意で御協力をいただいて、相互閲覧をする。また、国民からもインターネット経由でアクセスするという環境整備に御協力をいただこうという構想でやってきているものであります。
 現在3ページ目にございますような関係機関の方でデータベースの接続への御協力をいただいておりまして、この仕組みに関しましては、後日消費者委員会の方へも御報告させていただく予定にしておりますが、こうした形で消費者が事故情報にアクセスできない環境を整備する、提供するという取組みに関して、できましたら、来年度の早い段階から稼動させて、また御意見などをちょうだいしながら改善を図っていきたいと思っているところでございます。
少し長くなりましたので、とりあえず資料説明は以上でございます。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に対する御質問あるいは御意見がございましたらお願いいたします。

○鶴岡委員 消費者庁の創設ということの大きなきっかけは、それまで産業振興官庁が行っていた事故対応、これが非常に不十分なために、どうして事故の再発とか、情報隠しを見抜けなかったのかといった事態が続発したことを受けて、ここに至ったということだと理解しています。
 そういう意味で、事故の再発防止についての消費者庁に対する期待というのは非常に国民の間で大きいのではないかと思っているわけですが、消費者庁と国民をつなぐ大きなキーは情報であると。そういう意味で情報をどう取り扱っていくかということが非常に重要な課題になってくる。
 その場合に寄せられた事故情報についての取り扱い、これの公表をいかに適切な時期に適切な内容で行うかということが課題になってくるわけですけれども、その前提として事故情報の調査分析、これが非常に重要になってくる。
 世間一般では、消費者庁ができたということで、消費者庁はそういった課題に十分対応できるような体制で発足したのだろうという考えを持っている方が多いのではないかと思うわけですけれども、実際は決してそうではないという印象を私は持っております。
 今、御説明いただいた中でも、産業振興官庁の外郭団体であるNITEの役割が、調査分析のところで非常に大きな比重を占めている。これは現状では消費者庁側のマンパワーの問題があり、NITEは、非常に広範な分野をカバーしているということで、やむを得ないかと思うのですけれども、発足の経緯から言いましても、消費者庁が主役となって、産業振興官庁の対応の不十分さを是正できるように、そういう権限を与えられたわけですから、そういった体制づくりを早くやっていただきたい。
 そうは言いましても、例えば事故調査委員会とかいったものの在り方などについては、かなり時間を要するという事情があるかと思うのですけれども、その間、不十分な状態で通していいわけでは決してない。不十分な状態で過ごしていれば国民の期待は逆に不信感に転化する恐れがあるということで、当面何ができるのかということを早急に詰めてやっていくように、消費者委員会としても提言していく必要があるのではないかと思います。
 私のイメージでは、いろんな分野ごとに、専門家のアドバイザリーグループのようなものを組織しまして、そこで判断に苦しむような案件、これを検討してもらいまして、早急な事故情報の発表につなげていくという形も考えられるのではないかと思います。
 以上です。

○宇賀座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

○阿南委員 消費者事故等の通知状況のまとめがあります。追跡確認を行っているということですが、通知状況の数字に比べて、追跡確認ができたものはそんなに多くはないです。追跡確認というのは、こういう通知をしたけれども、どのような消費者への注意喚起をしたり、事業者への指導をしたりしたかということを追跡しているのだと思いますが、例えば食中毒については現状では、消費者に対して十分に注意喚起が行われているとは言えないのではないかと思っています。ここのところはどうとらえたらいいのでしょうか。

○宇賀座長 野村課長、お答えいただけますか。

○野村消費者安全課長 今の御指摘は、追加資料の3(PDF形式:293KB)というところで通知状況や追跡確認状況とあります数字と、A3の資料で紹介している一つひとつの事故の件数の数字が合っているかどうかという御質問かと思いますけれども、追加資料の3(PDF形式:293KB)という、A3の縦の資料の下のところに追跡確認状況というふうにございますが、119件とあります。追跡確認を行っておりますのは、重大事故に関して追跡確認をしておるんですけれども、この資料では10月末現在となっておりまして、上の通知状況の方は11月末現在となっておりますので、11月末現在の方の、重大事故等82+75よりもちょっと少ないのですけれども、119という数に関しまして、追跡確認がこの時点では終わっております。
 この119のうちの、事実確認は困難であったり、消費者が公表することを希望しないということを、通知元の方に確認をしましたところ、そういうふうに連絡してこないでくれという反応をなさる場合がありまして、それがこの追跡確認状況という表にありますところのその他の右の方の27という数字です。
 119から27を引きました92というものに関しましてが、お手元のA3の縦型の資料になっております一つひとつの事故情報を足していただくと92件あるという状況であります。

○阿南委員 これは重大事故についてのみの追跡をしているデータということですね。消費者事故等についてはやっていないということですね。

○宇賀座長 ほかにいかがでしょうか。

○橋本委員 今のに関連しまして、先ほど公表することを必ずしも前提としていない消費生活相談情報については、個別的に調整を図るなどというふうになっているのですけれども、具体的に今お話があった内容になるかと思うのですが、その辺のところをもう少し詳しく教えていただきたいのと、私ども消費者協会は、北海道立消費生活センターのセンター業務を受託して、指定管理者として行っているんですけれども、道立センターは珍しくなりました商品テスト室を抱えております。
 最近の事案の中で、消費者からの情報があって、実際に商品テスト室の技師が出向いていって、その内容を確認したという事例があるんですけれども、早い段階での公表という場合、東京辺りであれば、技術者の方がたくさんいて、すぐに対応できるかもしれませんけれども、地方においてはそういったセンターの技師が出向いていくことによって、早くそういうことが発見できて公表が早くなるのではないかなと思いますので、地方においてこそそういう商品テスト室、そこに幾ら機械があっても、きちんとした技術を持った技師がいなければなかなかできないです。そのときも技師がいて一緒に出かけて行ったということがありますので、是非地方において、そういった商品テスト室の充実を図ることが、公表が迅速に図られるのではないかなという要望が1点です。

○野村消費者安全課長 先ほどの追加資料の1(PDF形式:240KB)で御説明させていただいた公表することを必ずしも前提としていない消費生活相談情報について、個別的に調整を図るなど丁寧な対応を行うという意味と、追跡確認の中で相談者御自身が非公表を希望しているかどうかを確認をするという作業というのがこの意味かという御質問はそのとおりでございます。
 私の印象的なことで申しますと、初めてこの仕事を始めましたときは、何でそんなことをするのだとか聞いてくるのかという御質問なり反響が非常に多かったと記憶しておるのですが、最近は少しずつ御理解が進みつつあるような印象を持っておりますけれども、年末にありました追跡確認の集計作業の続きの作業を今年度末に向けてやっておるものですから、またそこは御紹介をさせていただきまして、数字が実際に減っているかどうかまだ確認はできていないのですけれども、印象的には、公表するということに関する御理解を消費生活センターの現場の方でも伝えてくださって、そういう取り扱いを御説明していただいていることによって、そんなことはやめてくれという反応は減っているのかなという感じは持っております。
 その後の対応状況なりを確認させてくださいというふうに私どもが通知元に照会をするときに、消費者センターの方から、我々は相談業務をやっているのであって、その先に確認してくれと言われてもなかなか難しいのですということは、現場の状況によってはそういうことはしばしばあるところでありまして、おっしゃられますように、確認をするすべをお持ちの自治体さんとそうでない自治体さんがあるという現状は、御指摘のとおりだと思いますので、こういう場合はいろんなところで、御議論をする方向性が大事だということは我々としても非常にありがたいことだと思っております。

○齋藤委員 私は事故情報のデータバンクが充実したものになれば、大いに役に立つのではないかと期待しているわけです。
 それに先立ちましてひとつ確認したい。現在持っている資料1(PDF形式:416KB)の30ページの紹介では、報告を受け付けたものが3,686件あり、そのうちの3,630件はすべて公表済みということでありましたが、その公表をされた情報を基に、消費者がどのようなアクションを取られているか、その情報を受けた方がですね。これをどう認識されているかということをお伺いしたいと思います。消費者のアクションに結び付かないと価値半減というか、期待しているものの半分の価値ではないかと思うので、お聞きいたします。

○野村消費者安全課長 すみません。その御質問に答えられるだけのものを持ち合わせておらないのですが、事故情報の公表制度というものが、ここ2、3年の間に進化してきていると思いますけれども、そのカバレッジというのは、事故があった事実に関する情報を報告をするということと、その内容を、消費者一般の方々に伝えるときにその情報の取り扱いをどうするかということを、一定の判別をした上で、発信すべきは発信するという形で、事故情報の報告・公表制度というものが、少しずつ範囲を広げながら進化をしてきているという状況だと思いますけれども、製品起因でこういう事故があったということが発信された後に、それが後でどうなったのか、その製品はしっかり回収されたのかというところまでの情報なり追跡なり、フォローができているのかというのは、まだ仕組みとしては、御指摘の問題意識から比べれば、まだまだ随分手前のところのことをやっているというのが現状だと思います。

○中尾委員 事故を分析すると言いますけれども、これは国の機関でやろうとお考えになっている人が多いと思うが、多分うまくいかないでしょう。港区のシンドラーのエレベーターのときに、今インターネットで公開されているのは、港区が民間のフェイラーアナリストに頼んでやったデータの方はよくできているわけです。また警察の方はオープンになっていないけれども、隣のエレベーターを使ってすごい調査をしたものなんです。
 今は、お金を出して、例えば1,000万円くらい出すから、これを調査してねということを区議会がやったそうなんですけれども、そういうふうにすればすごくいいデータが出てくる。朱鷺メッセの橋が落ちたときも、県でやった調査委員会は何かおかしいというので、技術士会の人たちが立ち上がって、自分たちで調査した。こちらの方がよくわかるんです。だから、国で全部やるというのは無理があるのではないか。
 この前トヨタのリコール事件があったけれども、トヨタが頼んだのはアメリカでエクスポーネントというフェイラー・アナリシスの会社なんです。そこに頼んで、本当にこれが再現できるかどうかというのをお金を出してやってもらったわけです。
 アメリカの場合は、弁護士の人が強いから、いっぱい訴訟があるので弁護士の人は理系のことは何もわからないから、そういう会社に頼むわけです。保険なども、事故を起こしたときに、本当に車が悪いかというときにはそこに頼むわけです。日本は全然そういう文化がなかったから、フェイラー・アナリシスの人が全くいないという不思議な国になっているわけです。
 シンドラーとか朱鷺メッセみたいに少しずつ変わってきているから、予算の問題だけれども、物すごく危なっかしいものは、予算を組んでそういうようなNPOなどにきちっと調査をしてもらうというふうにすればいいのではないか。
 このデータバンクなんですが、私もいろんな会社のデータと似たようなものを調査してくれというフェイラー・アナリシスティックなことをやっているんですけれども、こんなに短いとよくわからないです。
 例えば図面も出ていないし、写真も出ていないし、例えば燃えましたと言っても、燃える写真が一つでもあれば、どこが燃えたのか、どういうふうに燃えたのかわかるのですが、さすがにこれだけの文章でやるとしたら、多分誰もわからないのではないか。パロマの事故みたいなことになると、こんな近いやつが10件もあったではないかというのが10年後にわかるというのは、確かにそうかもしれないけれども、もう少し書いてくれないとなかなかわからないのではないかと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

○佐竹委員 重大製品事故公表までのフロー図というものを、私は相談現場にいるのですけれども、今日始めて拝見させていただきまして、こういうふうにして分かれていって、事業者名を公表しているものもあれば、型式までちゃんと出ているものもあれば、製品名までしかないものまであるというのが分かれていくのだなということがわかったのですが、恐らく一般の消費者の方が消費者庁のホームページをごらんになって、毎週出されておられますニュースリリースの後に、今日は追加資料の中に付いておりませんけれども、関係行政機関及び地方公共団体からの通知、こちらの追跡情報が出ていない部分がいつも公表されているのですが、この公表をごらんになって、果たしてどの程度この商品事故情報の内容が消費者にわかるかどうかというのは、甚だ疑問です。
 せっかく情報を発信していただいているのですが、消費者目線ということが言われておりましたけれども、すそ野の広い、消費者といってもネットが見られる人ばかりが消費者ではありませんが、少なくともネット環境の整っている消費者の方が、事故情報を見てみようということで見ていただいて、事故情報の内容がわかるような情報の在り方というものを、もう少し工夫いただけたらなと感じました。
 また、先ほどおっしゃった消費者センターの情報が、すべて公表するということに基づいていないので、公表できるものもできないものとあると言われたのがちょっと私どもは引っかかっておりまして、センターに寄せられた重大事故情報というのは、ほかの機関から寄せられる事故情報と同じように重大事故なのです。公表されたくないという相談者には相談員の方で勿論努力をしないといけないと思いますが、消費者の共通財産になるような事故情報は提供できるように、消費者センターの情報も含めて情報提供をいただけるようなシステムをつくっていただければと思います。

○野村消費者安全課長 お話の前段の方は、早速改善を検討いたしたいと思います。
 お話の後段の方は、私どもとしましては消費者安全法というものができた経緯なり、その構造なり、どういうことが期待されているかということを、地方向けの説明会なども夏以降も随時やってきてございまして、そういう趣旨を地方の現場の方々にも御理解は賜っているのではないかと思っているのですけれども、消費者相談というものと今おっしゃっていただいた事故情報を社会で共有していくということとは、相入れないとは言いませんけれども、少し合致しない部分があるような感じを持っているというのは、正直業務に携わっている立場としては、何が原因でそういうことになっているのかというのは正確には理解できていないのですが、御自身が事故被害に遭われたということと、そういう情報は広く伝えるべきではないかというところを、意識として一致させることかできない何かが存在しているのではないかというのは日々感じるところがありまして、中尾委員の御発言にいたしましても、データベースは有意義なデータベースにしなければ、つくっても注意のためのシステムとして有意なものにならないと思うのですが、そもそも入力されてくる情報に限度がありますと、幾ら詰めてもシステム自体が限られた情報しか得られないシステムにしかならないのですけれども、情報をどういうふうにすればどういう詳細なものを、プライバシーには関わらない形で収集をして共有できる仕組みづくりをしていくのかということは、私どもも努力しなければいけない部分は多いと思いますが、もう少し改善を図っていくべき部分、どういう工夫があるのかということは、この調査会でもいろいろ素材として我々も状況を御報告させていただきつつ、何が足らないのかということは今後御指摘なり、提言なり、評価をいただければと思っております。

○中嶋委員 今、事故情報についてだけ議論をされているのですけれども、実は経済産業省が重大事故報告制度によって重大事故情報を収集するという法律を制定してからまだ4年なんです。また事故情報収集制度は以前から存在していたのですが、数年前までは有効に機能していなかった。では、数年前までは、誰が事故情報を捕捉していたのかというと、ジャーナリスト、新聞、メディアなんです。
 今から数年前ですと、事故情報の50%はメディアが捕捉して報道したもので、事業者からは25%くらいしか事故の報告はなかった。現在、重大事故は年間約1,000~1,500件くらいと報告されているのだけれども、事故の捕捉件数は重大事故報告制度ができて逆に増えた。制度ができる前の事故件数は随分と少なかった。
 このように、一番の問題はどの程度事故を私たちは捕捉できているのかにある。たとえば、食品安全の場合だと、今年1月に農水省の外郭の方からの報告によれば、死者は4名だったという。そんなはずはないだろうという話になったのですが、事故を捕捉できていないのではないかという疑問が湧く。一番大事なことは、やはりどうやって事故を捕捉するかにあると思うのです。
 事故は起こっているのだけれども、我々が知らないまま、行政が知らないまま、消費者も知らないまま、見過ごしてしまう恐れがある。
また、今の行政庁は危ないものだけを対象にして認証制度を運営しているという問題がある。PSなどのスタンプはそういうふうに運営されている。ところが、起きた事故を調べていくと、今や認証の対象になっていない製品の事故の方が多くなってきているという問題もあります。
 もう一つ、まだ事故は起きていないのだけれども、起きそうなものはないのかという問題もある。消費者庁ができて半年で、こんな高い目標を設定する必要はないのかもしれないのですが、それを頭の中に置いておかなければいけない。
まず、どうやって捕捉するのかの方が大切です。我々が危ないと思う製品だけを捕捉していたら、監視していたらそれでいいのかというと、そうではない。すべての商品(製品も食品も医薬品も商品ですが)について、危険とか安全をどう考えるのかという別の議論もあります。そういうことも考えないといけない。
 このように様々な問題があることを理解した上で、では捕捉できた事故について、皆さんが御議論されたように、どうするのかという議論が必要です。
もう少し論理的に対策を考えて、例えば今から5年後にはこうしましょう。今この段階ではこうしましょうという議論をしていただくのが、私はいいのではないかと思います。
 先ほど中尾委員が「こんな少ないデータでは、私は判断できない」と言われたのですが、労働災害も同じなんです。公表される事故情報には図面も、写真もありません。
ただ、事故の捕捉について言えば、労働安全の場合の事故の捕捉率は多分95%を超えていると思います。これは労働安全衛生法が1972年にでき、企業に安全の責任者を置くことを義務付け、行政に安全専門官を置くという仕組みによるところが大きい。では、農水分野にこのような仕組があるかと言うと、そういう仕組みはありません。経済産業省の製品分野にもそういう仕組みはありません。
 やはり事故を捕捉する仕組みがあって、100%事故を捕捉ができて、初めて事故情報の議論が成り立つのである。また、どうやって事故を捕捉するのかを考えない限り不完全な議論に終わる可能性が高いと思うので、是非、短期的な目標、長期的な目標をご議論いただければと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。

○山上委員 中嶋委員のお話から、瑣末なところになってしまうのですけれども、先ほどの消費生活相談情報についてですが、相談の現場から見ますと、相談自体は秘密保持が課せられています。重大事故の場合は相談員が法律に従い通知することを伝えます。制度がきちっとできていれば秘密保持との整合性は取れますが、非常にセンシティブな問題も多々ありますので、制度的なものの検討も必要と思っております。

○横矢委員 私も瑣末な話になるのですが、事故情報のデータバンクのところの参画機関のことなんですけれども、資料1の追加資料4(PDF形式:508KB)の参画機関ですから3ページ目の話なんですが、ここを見ていると私は子どもの危険回避なので、子どものことをまず考えるのですが、それで考えると文部科学省が抜けているように感じるのです。都市公園における重大事故情報というのは出ているのですけれども、子どもは学校で過ごす時間が長いので、重要です。学校における事故情報というのは学校管理下の事故ということで保険が全部かかっていますので、情報はまとまっています。ただ、ネットで閲覧が一つずつできるというところまでは行っていないと思いますが、1年まとめて分析してここが大事だという部分を選んでホームページにアップしているようなものと、書籍でまとまっているものはあるんです。文部科学省がなぜここに入っていないのかということを御質問したいと思います。
 もう一つは、先ほどから出ていますけれども、エスカレーターやエレベーターの事故があった後で、例えば東京消防庁が、短期間に集中して事故情報を集めることがあります。特に頑張って集めてまとめた情報というのを他にも散見するのですけれども、そういったものはこの中には含まれていないようです。私たちとしてはまとめて欲しい情報ですが、この中には含まれる予定はないのでしょうか。教えていただきたいと思います。

○野村消費者安全課長 この参画機関というものは、消費者事故に関連する情報をデータベースでお持ちで、オンラインでの接続提供いただくことに御協力いただいた機関ということで、ラインアップになっているんですけれども、これで確定をしているということではないと思っておりまして、運用しながら改善を図るべきところは改善を図る。また、参画機関数も拡充できるようであれば、引き続き御協力をお願いしていくべき性質のものかと思っております。
 文部科学省さんが共済関係でデータを集めておられるということは伺ったことはあります。少しお話を伺ったことはありますけれども、消費者事故ということに概念をくくることに、かなり困難なデータベースかなという感じではあったんですが、教室での事故あるいはいじめとか、いろいろなものが種々入っておりどちらかというと、管理という面での情報データベースであったかと記憶しておりますけれども、およそ接続の可能性がないかどうかというのは、来年度以降引き続き考えたいと思います。
 消防のデータは、消費者安全法等に基づいて通知された情報は、消費者庁の方で入力をして登載をしていくということにはしております。消防さんの方でオンラインで接続できるデータベースをお持ちではないものですから、こちらの方でいただいた情報の範囲で入力していくということになりますので、情報の集積はスピードとしては少し遅いかもしれませんけれども、手作業なものですから、そこは順次搭載して閲覧できる環境づくりは進めていきたいと思っております。

○横矢委員 ありがとうございます。例えば文部科学省のデータを製品安全に分けるとすると、どこをピックアップするかすごく難しいと思うのですが、今までの議論の中に出ていました、「わかりやすい資料」という意味で、子ども向けのものというのは図解してあったり、どういうことから事故が起きたかというところまで丁寧に書かれているものが多いので参考になると思います。
 経済産業省の方でも「キッズデザインの輪」というホームページでは、子どもの対象年齢別に、親が欲しい事故情報にたどりつきやすくなっています。情報の公表の仕方の点で、そのあたりに注目していただけたらと思います。
 ありがとうございます。

○中尾委員 データということについて、私の経験を申し上げます。
 文部科学省のところでやったときに、失敗知識データベースというものをつくったわけです。事故のデータベースなんですけれども、今グーグルで失敗知識とやると先頭に出てくるのですけれども、あれが2000年からつくって、10億円かけて1,300件しかないんです。
 大体エンジニアの人が知っておくべき古今東西のものは入っていて、原因もしつこく書いてあるので、多分これで勉強すればわかるでしょうと、大体週に5万件くらいアクセスがあるわけです。英語版もつくりました。大体その10分の1くらいのアクセスで、日本の事故を知りたいという人は必ずアクセスしてくるわけです。
 これは多分データとしてもレベルの高いところだと思うのです。
 レベルの低いところで何でもいいというのは、例えば自動車のリコールデータというのを、先ほど中嶋委員もおっしゃいましたけれども、2000年くらいというのは50件くらいですが、今は400件くらいあります。古いデータを全部取ると事象、原因、対策は書いてあるんですが、原因が何も書いていないのです。どうしてこのブレーキオイルが漏れたかというのは1つも書いていないわけです。だからそれをもらっても、ブレーキがきかなくなるという事故だけはわかるけれども、何でということがわからないから、エンジニアにとっては何の意味もない情報なんです。
 国土交通省は、御説明書を持っているんです。それを持ってきたときに、実はこういうことがありましたと物すごい詳しい説明書を持っていて、これは公表されていないんです。委員会みたいのがあって、私はこそっと見せてもらったんですが、それでいろいろ分析をしました。物すごくいいデータなんだけれども、そこまでは出ていないんです。医療の関係もデータベースが物すごくあるんですが、これもほとんどジャンクです。1万件あったとしても、薬を間違えました。なぜというのは何も書いていない。労働災害の方も、安全ベルトをしないで上の方へ行って落ちました。何でしないで上に上がったのかということは一言も書いていないです。
個々人のパーソナルクエスチョンみたいな感じだからそれは書けない。だから、この次どうやって教育したらいいか全然わからない。そういうジャンクデータが山のようにあるので、このままいってしまうと、消費者庁のやっているのもジャンクデータで、同じようなデータがないのかなとしていると、あったあったと。同じ製品でこんなことがあるから、これは絶対おかしいというので使いたいと思うんです。それがきちっと写真も載っている、何とかしてくれていないと、なかなかわからないと思うのです。
 それから、データはインターネットに載せないと意味がない。紙ベースは見えないのと同じなんです。一番うまくいっているのは、航空機と鉄道の事故調査委員会のものなんですけれども、これは詳しいものが全部載っているわけです。速報も出すし中間報告も出すしというので常勤の人がいて、きちんと出していて、これは日本国が海外に誇れるようなデータベースができているわけです。
 消費者庁の方も、お金がないのはわかりますけれども、これはだめだと思うようなものは、一月1つでもいいけれども、こういうような事故がありましたというのを徹底的に、どこかに外注にでも出して、そこのところにこういうものを出すというと、後世の人がなるほどこれは危ないというものがわかるようなものになっていくのではないかと思いました。

○赤松委員 今日お話をいろいろ聞かせていただいて、私の印象なんですけれども、私は健康教育を専門にやっておりまして、健康の分野に比べたらかなり消費者の方は遅れているかという印象です。
 例えば事故のものも起こってしまってからで今、話をしています。本来やらなければいけないのは、予防しなければいけないことだと思います。この事故の公表も、例えばこの情報がちゃんと届いているかどうか。届いてこれが生かされるということでありまして、例えばガス機器とか石油機器とかいうものの事故情報を出した場合、既に持っている消費者の方に向けている部分もあると思いますけれども、これから買う人に対しても届けなければいけないと思うのです。
 その場合に、その人たちが関心を持つときでなければ、この情報というのは届かないと思うのです。そうするとやはりその方が買おうかなと考えている場面のところで、いかにそのリスクの情報を伝えるかということだと思うのです。どのくらいリスクがあるかという情報すらもまだ整理されていないので、健康分野の方は、かなり研究がいろいろ進んでいるので、これを食べるとこのくらいのリスク、栄養とかに関しましてはそういった情報がいっぱいあるので、伝えることはできるのですが、今消費者教育をしようと思っても何を伝えたらいいかという基となるデータ、エビデンスがないとあれなので、先ほど中嶋委員のお話のように計画をきちんと立てて、いつまでに何を入れるべきかということをしないと、消費者の事故の予防のところまでは遠いかなと思っております。

○中嶋委員 「この専門調査会は、消費者目線で、事故防止であるとか、リスクアセスメントを」と言われるのですけれども、「商品のリスクを、誰が一番確実に分析でき、評価できるか」と言えば企業だと思います。また、事故が起きた後、事故原因について迅速に調査できるのは製品を設計製造した企業であって、警察であっても調査委員会であっても迅速に調査して100%の結果を出すことは難しい。
 リスクアセスメントを確実に実行できるのは基本的に商品の設計者、製造者です。極端に言えば、商品の設計者・製造者は、「商品にどのようなリスクがあるか」は、商品をマーケットに送り出した瞬間にはわからなくても、マーケットに送り出して暫くすればほぼ100%わかるはずです。
 では、それと同じことを私たち消費者ができるか。商品を見て、ある程度リスクアセスメントを実施できますが、現在のほとんどの製品は電子制御を使っているので、その部分はブラックボックスになります。電子制御を使ったものというのは、大きなシステムであればあるほど、かなりの確率でバグが残ります。たとえば半年に1回しか出てこないバグだってあるわけです。
 このように考えると、この専門調査会の中に産業界の代表がいる必要はないのですけれども、消費者の事故をどうやって防ぐかといった問題に対応するためには、企業をどういうふうに利用するか、どう参画してもらうか、これがとても私は大事だと思うのです。
 もしくは、企業に強制的に参画させ、強制的に商品のリスクアセスメントのデータを出してもらうとかいうことでもない限り、事故を防ぐということは本当は難しいのではないかと思う。
 ですから、消費者目線になって行動しようとすればするほど、企業とどういうふうに向き合うか、企業をどのように組み込むかということも、大きなテーマになるのではないかと思います。
 ついでに言えば、労働安全の世界は企業対企業ですが、使用者側の企業は機械メーカーのリスクアセスメントの結果に興味がない場合が多いのですが、興味があっても、欲しくても取れないという現実があります。使用者が企業の場合でも問題があるのですから、使用者が消費者の場合には商品のリスクアセスメントの結果を手に入れることは難しいという問題、企業の壁を抱えているということを認識して、議論をする方がいいと思います。
 以上です。

○中尾委員 データの話をおっしゃっていたのですけれども、例えばこのデータが来たときに、その機械は何年の製造日で何年使ったのだということをやったときに、例えば製造物責任法だと10年と言っているのだけれども、普通は何年使ったか。メーカーは使う限り責任があるような感じなんです。私もNITEのデータを一生懸命調べたら、10年以上使っているようなものが22%あるわけです。中には20年とかあって、これ全部そうなのかと。
 事故が起きたときの確率は、1万台に1台以下です。めったに起きないものでも、製造後20年以上経過の事故確率66%くらいのものが入ってしまうわけです。だから、買って10台に1台くらいのものであれば、まただねというけれども、リコールはそんなものではない。1万台に1台燃えたらリコールになるわけです。その辺の確率まで考えなければいけない。
 こういう消費者庁の会議があったのは、今、中嶋委員が言われたように、メーカーの人なのですけれども、消費者の人が、バランスとしてどのくらいまで許してくれるのということを知りたいわけです。1万台に1台というのは、まあいいとずっと思っていました。
 10年以上で壊れたのなら、まあいいと思っていたのだけれども、ああいうものを調べてみると、そうではない。どこまでも無限大に全部責任を持たなければならない。ちょっとそれはやり過ぎではないのというのが出てきたから、それをラウンドテーブルでやって、ちょっとそれはねということをやるような、公開的なそういう催しがあって、こちらもデータを出して、どこまできつくやりますかということをしないと、すべての装置が原子力と同じになってしまうわけです。
 それから、法律をちゃんとすればいいでしょうと言っているけれども、日本の法律ほどすかすかなものはないわけです。NITEでやったリコールの中で、明らかに法律違反なものというのは1件くらいしかなかったわけです。
 ということは法律自体がすごく下のレベルで、1万台に1台でリコールになっている。だけれども、3分の1のリコールが、中国製品などで輸入品なのです。これは1,000台に1台とか、100台に1台で燃えてしまいます。
 これは法律違反かというと法律違反ではないわけです。そのくらいに法律がすかすかの状態になっている。それでも信頼性が高いものがあったのか、どうしてこんなになったのかというのは、メーカーが次から次へと気合を入れて、信頼性の高いものをつくったという文化があるのです。
 こういう消費者のものをやっていて、多分弁護士の先生にどんどん法律をつくってもらって、EUのものを日本語に直すのが一番早いと思います。あそこが一番よくできている。直さなくてもいいから、英語のまま法律にしてしまってもいいと思うのです。
 せめてそのくらいの法律で規則を固めていくようにしないと、なかなか難しい。日本製品は信頼性がめちゃくちゃあるけれども高い。だったら中国製品を買ってきたら燃えた。誰が悪いんだとなると、多分、中国の人はみんな逃げてしまいますので、追いかけることもできないということにもなって、つくるのが問題ではないかなと思っています。

○櫻井委員 今、法律の話も出ましたが、私も認識不足で、消費者安全の専門調査会に企業の方が全然入っていないということで、改めてこれでよろしいのかどうかというのは1つの問題だろうとは思います。
 事故情報の扱い方ですけれども、法制度の考え方について、かねてから疑問に思っているのは、今お話がありましたように、いろいろな事故があって、それがどういうもので、原因などはどうなっているのかは、それはそれで専門的な分析が必要なことで、その知見というのをどうやって生かすのか。誰が生かせるのかというと、それはまずメーカーであったり、特に関心を持っている研究者の方であるとか、あるいは消費者団体であるとか、ある種のセミプロ、あるいは本当のプロの方が分析するのに使うための情報が、正確な形でどこかにきちんと確保されているという必要は当然あると思います。
 そういう限りにおいて公表するということは、これは要請されていると考えていいと思うのですけれども、例えば理解の仕方が、この資料でもそうなんですが、公表して誰に提供するのかというと、最終的に一般的な消費者ということを併せておっしゃっていて、難しい込み入った情報をそのまま全部出したからと言って、一般人にとってどれほど有意な情報なのかというのは、かなり疑問があると思います。
 今の制度というのは、それがないまぜになっているわけです。こちらの資料(PDF形式:416KB)の22ページで、この制度が導入された背景ということで5つほど具体案が出ていまして、湯沸かし器ですとか、シュレッダーとかが挙がっているのですけれども、せいぜいこのくらい。もしくはこの並び程度のものに、一般的な人間というのは関心があるのではという印象があります。
 身近に感じる事実で、新規のものが出てきたときに、これは危ないですよということを特に切り出した形で公表していかないと、伝わらないと思うのです。
 そこが全然分化されていないというのが、安全法もそうだと思いますし、消安法もそうだと思うので、そういう区別というのは意識されているのかどうかということで、法の考え方をお尋ねしたいと思います。

○野村消費者安全課長 ないまぜになっているということかと思います。先ほどの資料1(PDF形式:416KB)の22ページ目にありますような消費者安全の分野で著名といいますか、事案に関しまして、注意情報を出していくという考え方は、法律的には消費者安全法の15条の1項にその考え方が集約されていると思いますが、消費者事故による被害の拡大、あるいは同種・類似の事故の発生の恐れがある場合に、必要があると認められる場合に、事故情報を公表していくということは、拡大可能性あるいはそれを回避する必要性なり、一方で公表を具体的に出していく必要性なり相当性というものを判断して、最終的に製品起因性について判断できていなかったとしても、場合によっては事業者の利益を損なう恐れがあったとしても、詳細な情報を迅速に出していくという判断もすべしということは、消費者安全法の15条の1項はそういうことを要請していると考えています。
 15条1項の注意喚起をするというのは要件が比較的しっかりと定められておりまして、私どもこれまで半年の間に、15条1項に基づく注意情報の発信ということをやったことはありません。毎週定期的に公表しておりますのは、先ほど説明が簡単過ぎましたけれども、消費者安全法の3条及び4条の基本理念の規定に従いまして、消費者庁で通知されている情報を、できる限りその開示に努めなければいけないという、ここの文言は国会審議の中で御修正いただいた文言ですけれども、開示に努めなければいけないという考え方に従いまして、通知情報の概要をすべからく開示をしていくということをやってきておりますが、その概要だけの情報を次々と開示をするということと、15条に基づいて内容をしっかりと精査をした上で被害の拡大可能性を低減したいので、注意情報を出しているのかというのは、別の種類の情報の発信であるべきなんだろうとは思っておりますけれども、それが実務上を十分に咀しゃくができて、運用できているかというと、運用状況としてはまだ非常に未成熟な状況なんだと思っております。
 更にこの消費者安全法の一世代前といいますか、消費生活用製品安全法は18年に改正されて19年に施行されておりますけれども、これは範囲を重大事故のみに限りまして、先ほどの22ページにありますような、著名な重大製品事故に関しまして、通知があったら、これはすべからく公表するという形で制度ができておりまして、それに従って先ほどのような公表をやってきているというところです。
 それぞれ似ているようなところもありつつ、微妙に違っているところがありますのは、櫻井委員御指摘のとおりかと思いまして、事故情報の報告・公表制度というものが、この3、4年の間に少しずつ発展しておりますけれども、今の状況が到達点かというと、まだまだ精査の必要があるということだと思いますので、そこはこれから御指導を賜れればと思います。

○櫻井委員 情報公開の議論で、開示したくない場合に、あらゆる情報を段ボールに詰めて送りつけるというのがあって、そうすると見ないんです。本当に全部開示してしまうと、それは不開示と同じであるという、現実の実態というのがあります。法律も「法律の雨」という言葉もあって、何でもかんでも法律にすると意味がなくなってしまうので、歩留まりが大事かなというふうに思うのですけれども、その辺り私も消費者委員会の委員なものだから、事故情報みたいなものがメールで山のように回ってきて、まるで迷惑メールみたいな感じがすることがあります。これは大事だという、センシティブに反応しなければいけない事例が確かにあるのですけれども、それをセレクトする仕組みみたいなものがないと、どうかなというふうに思っております。これはコメントでございます。

○中川座長代理 今の櫻井委員のお話、私も同じように感じていたのですが、公表には2種類ありまして、情報公開法で言うような公表の場合は、誰がどう使って効果があったかはどうでもいいんです。共有財産の情報だから、いつでも誰でも使えるような状態にしておく。今、消費者庁がやられているのは恐らくその意味の公表だと思うのです。共有財産なんだから、いつでも見られる状態には置いておくが、それが実際に消費者に届いてみんなの行動が変わったか、そこまで見る必要はない。必要な人が見に来られる状態にしておくということだと思うのです。
 それに対して実際に消費者の行動を変えるような公表、効果的な公表をしなければいけないかというのは別問題で、それはかなりセンセーショナルにやらなければ誰も見られないわけです。それこそお話しにあったような迷惑メールになってしまう。この点について既に現在の法律で、事故情報は公表できる情報であるという法的な整理をしておりますので、後はいかにセンセーショナルに出すか。つまり出し方を考えいいタイミングで出すかです。このことは法的にはできることですので、あとは工夫の問題だろうと思います。公表には2種類あるというところを頭に入れておかないと、議論が混乱すると思います。

○山上委員 確かに公表には2種類あると思います。誰を対象に知らせるからというところで、消費生活相談を考えてみますと、ベビーカーだとか、自転車、圧力なべだとか、いろいろな事故があります。怪我をしたとの相談を受けたときに、使い方が悪かったのか、どこに問題があったのかということになります。
 そういったときに、主として国民生活センターの商品テストを依頼します。ただ、国民生活センターは費用・予算が限られていますので、依頼したものすべてテストをしてくれてるわけではありません。国センの商品テストは、消費者の日常の使用実態に基づいたテストをしておりますので、センセーショナルというより、日常こういうことをやって、こういう怪我がありますよ、と消費者にお知らせすべき情報であり、製品の改善などにつながっているのです。
 こういうことが、今大きく求められている一つではないかと考えております。

○中尾委員 さっき櫻井委員がおっしゃっていたんですけれども、分析官を置いてほしい。データは分析しないとジャンクなんです。分析官を置く文化はないわけです。
 データですばらしいと思っているのは、犯罪マップというのがあるわけです。あれもインターネットでクリックすると出てくるわけです。科学警察研究所がやっているのですが、分析官は8人しかいないわけです。すべての犯罪はお巡りさんが全部入れているんです。だからものすごいデータが、出てくるんだけれども、分析できない。
 だから、スリ団が東上線から西武線に移ったというのを半年後に出してくるわけです。そんなのは死亡診断書を見せられるのと同じで、次は中央線の番だと待ち構えなければいけないので、ああいうのがリアルタイムで出てくるようにしなければいけない。
 ところが、ロサンゼルス市は600人も分析官がいるんです。そういうようなところを見ると、分析官の数というのは、全部合わせて事務局で20人ですと言ったら、できるわけないけれども、分析官を雇ってやらないと、このすばらしいデータベースがジャンクになってしまう。
 今月は少し集中して圧力なべにしようとか、圧力なべでたくさんこういう例があるから、圧力なべを気合いを入れて調べましたというふうに公表してくれると、なるほどねというのがもっとわかりやすくなるのではないかと思います。

○櫻井委員 分析官は結構だと思うんです。ただ事故というのは専門家のレベルで言うと、ものすごく細分化しています。ある程度ジェネラルに対応できるような専門家が必要だと思うのですが、その人材はいるのかというのが問題です。

○中尾委員 技術士会みたいな所に暇なおじさんがいっぱいいるんです。ああいうおじさんにやってもらうと物すごくいいデータを出してくれます。圧力なべ程度であれば私でもできるから、実験すればいいわけだから、そういうのを外注して出して、ちゃんとしたデータを出してねと言えば、200~300万出せば、物すごくいいデータを持ってきます。そういうのも行き方ではないかなと思います。

○橋本委員 先ほどから言うようにいろんなデータばかり出てきて、公表されてもどれが一番重要なのかというのがわからないという論議が非常に大事で、ひところは、いろいろな偽装事件があったときに、社告さえ出せばいいのか。社告だらけで、どれが本当に消費者にとって重要な情報なのかというのがわからないというときがありました。
 先ほどからの論議は非常に進めていただきたいということはあるんですけれども、例えばトヨタのリコールのときに、リコールになる前に消費者の方、ユーザーの方にブレーキを踏んだときに若干の違和感があるという言い方を、メーカーの方は言っていました。これこそ公表すべきで、消費者というのは何かわからないけれども違和感がある。それを言うことによって、先ほど中嶋委員も言っていましたが、その分析はメーカーさんに任せるとか、メーカーから公表すべきことだと思うのですけれども、その何らかの違和感を収集する。そういったことを収集してそれを公表するというのが、基本的に公表ということではすごく重要なことではないかなと思います。
 消費者にとっては、原因が何であろうと自分が乗っている車の違和感が気になるというところですので、消費者向けと原因究明まで公表していろいろな人が研究しやすいデータベースをつくるというのを分けて考えていただかないと、消費者にとっては結局何か難しいことを言ってよくわからなかったということにならないようにしていただきたい。
 先ほど予防のところで、消費者センターの中に商品テスト室というものを持っていますと、これを調べてくださいと。別に製品事故ではないけれども、今度加湿器を買ってみたいんだけれども、その性能について調べてもらって、その中で一番いいものを買いたいんですというような中で、例えばそこで調べている中で欠陥を見つけたりとかいうのが出てくると思います。
 そういった消費者からの希望を第一義的にテストするような機能を充実させていただくとともに、そこからもしその中で重大ではないかもしれないけれども、こういうような形で事故が起こるかもしれないというのを見つけ出したときに、どういうふうに企業の方につなげていくか。消費者の意見を取り入れて改善していただくかという、制度的なところも考えていただきたいなと思います。

○中村(雅)委員 今、分析官というお話が出たのですが、実は今消費者庁に分析官というのはいるんです。これを野村さんの方で紹介して現状どうなっているか。分析官について説明してください。

○野村消費者安全課長 今、分析官は責任のある主席という方がお1人、スタッフが5名だったかと思います。私が今日報告させていただいておりますのは、生命・身体被害に対する事故情報を紹介させていただいておりますけれども、それ以外に財産分野、取引とか表示上の問題の消費者事故情報等を含めますと、この10~20倍くらいの数になりますけれども、それらをすべて分析しなければいけないということで、組織編成されておりますので、事実上うまく機能しているかどうかというのは、非常につらい形で今仕事をしているのが現状です。

○中村(晶)委員 進行についてなんですけれども、それぞれの御発言が一つひとつ非常に意味があって、もっとお伺いしたいところではあるんですが、第1回目で当面の進め方について御提案をいただいていて、当面の進め方をどうするかを決めるのも大事ですし、また少し長いスパンで一体何をどこまで引き上げなければいけないのかということも、今日議論するというのもとても大切だと思うので、今更すみませんが、そこに時間を取っていただきたいと思います。

○宇賀座長 次の議題に移らなければいけないと思っていたところでした。ありがとうございました。
 今日はもう一つ「消費者安全専門調査会の当面の進め方について」という議題がございます。これにつきましては3月15日の第18回の消費者委員会におきまして了承されております。席上、非常に活発な意見があったように認識しておりますので、そのような点も含めて事務局の方から説明をお願いします。


≪3.消費者安全専門調査会の当面の進め方について≫

○齋藤審議官 消費者委員会事務局の齋藤と申します。
 資料2(PDF形式:16KB)をごらんいただきますと、「消費者安全専門調査会の当面の進め方について」という紙がございます。これはクレジットが消費者委員会となっておりまして、ただいま座長から御紹介いただきましたように、3月15日の消費者委員会で了承されたものでございます。消費者委員会として、このような形で当面この専門調査会の調査審議を進めていっていただきたいということで書かれたものでございます。
 この紙の根拠になっておりますのは、設置・運営規程というのがありまして、それは参考資料の3(PDF形式:18KB)というのが後ろの方に付いております。それもごらんいただきたいと思いますけれども「消費者委員会 消費者安全専門調査会 設置・運営規程」の第3条をごらんいただきますと「専門調査会の所掌」と書いてございます。
 「専門調査会は、以下に掲げる委員会の事務に関連する事項について、委員会の求めに応じて、調査審議する」と書いてございます。その第1項のところに、消費生活用製品安全法の規定に基づいて報告のあった重大製品事故に係る公表において製品起因か否かといったようなことについて調査審議するということが第1項に書いてございます。
 第2項は「その他消費者安全に関する重要事項について調査審議すること」ということが書いてございまして、こういった書き方を踏まえて、先ほどの資料2(PDF形式:16KB)の消費者安全専門調査会の当面の進め方というものができております。
 設置・運営規程上は、第2項のところで、このままいきますと際限なく広がるくらいの、内容的にはかなり拡大余地のある規定ぶりでございますけれども、当面はこんなところで進めていったらいかがかということで、消費者委員会で定められたものが資料2(PDF形式:16KB)の当面の進め方についてという紙でございます。
 そこの「趣旨」に書いてありますことは、お時間もありますので後でごらんいただければと思います。
 むしろ「2 主な審議事項」をごらんいただきたいと思いますけれども「(1)消費生活用製品安全法・消費者安全法等に基づく事故情報の集約・公表状況の評価・点検」、この2つの法律以外に事実上消費者庁に入ってくる情報等もありますので、ここは等というふうに書いてございますが、いろいろな事故情報について集約し、その内容について評価・点検をする。
 その下にあります最初の・でありますが、ここにありますのは、消費生活用製品安全法に基づいて事業者から事故情報がまいります。そういうものについての評価・点検ということでありますけれども、括弧の中にありますように、従来消費者庁が発足する前までは、経済産業省が所管していた部分でありまして、その際、経済産業省は消費経済審議会の下の製品事故判定第三者委員会というところが、具体的な評価・点検作業を行っておりました。
 消費者庁の方に、この公表というものが移管されましたが、その評価・点検等の作業部分については共同で行うということになっておりまして、その関係上、この評価・点検作業については、この専門調査会の下に更に下部組織を設けまして「3 体制」に書いてございますけれども、製品事故情報の公表等に関する調査会と経済産業省の消費経済審議会の第三者委員会とが合同で、ここにあります評価・点検作業を行うということでございます。
 2つ目の・にありますのは、消費者庁による行政機関からの事故情報の評価・点検でありますが、これは消費者安全法に基づきまして、消費者庁にいろいろな事故情報が入ってまいりますので、その評価・点検ということがある。
 3つ目の・にありますのは、その他いろいろなルートで事故情報が入ってまいりますので、そういうものも含めた評価・点検を行っていくということで、(1)にありますのは、大ざっぱに言えばいろいろな事故情報について集約し、その内容の評価・点検を行うというのが大きな審議事項となっているところでございます。
 (2)にございますのは、そういう評価・点検作業とかなり密接に関連することがらということで、最初の・にありますように、わかりやすい公表・発信の在り方。あるいは受け手の方の問題ですけれども、消費者教育、あるいはリスクコミュニケーション等についての調査審議。
 2つ目の・にありますのは、内外事例の整理をはじめとする、事故情報に関する分析・原因究明の在り方に関する調査審議。
 更に一定期間経過しましたら、事故情報の評価・点検を踏まえながら、消費者安全法の中に施行状況について検討するということが附則で書いてございますので、そういった附則で求められております施行状況等の評価・点検という作業にも資するような、調査審議をしていただいたらということでございます。
 「3 体制」については、先ほど申しましたけれども、当面この消費生活用製品安全法に基づく評価・点検作業を経済産業省の審議会と共同で行うための下部組織、この専門調査会の下に設ける下部組織といたしまして「製品事故情報の公表等に関する調査会」を設置するということで、この設置につきましては本日の会議の冒頭御説明がございましたが、参考資料5-1(PDF形式:15KB)「製品事故情報公表等に関する調査会の設置について」という紙がございまして、これも3月15日の消費者委員会でこのような内容で御了承いただいたものでございます。
 その後ろに参考資料5-2(PDF形式:14KB)が付いておりまして、この調査会の公開についてという紙でございまして、この紙につきましては前回の3月15日の消費者委員会で御議論がございました。
 一応この紙では「議事の取り扱いについて」というところにございますように「個別の企業秘密や個人情報に係る事項を取り扱うため、会議及び議事録は、原則として、非公開とする。ただし、議事要旨については、調査会開催後速やかに、これを公開する」ということで書いてございます。
 この内容につきまして、消費者委員会の議論といたしましては、実際の調査会での調査審議の内容を見ると、こういった個別の企業機密や個人情報に係る事項というのはほとんど取り扱われていないのではないか。そうであるならば消費者委員会として、新たにそういう場を設けて議論をするという趣旨にかんがみれば、原則非公開ではなくて、原則公開という考え方でいくべきではないかという御議論がございました。
 そこにつきましては、これは合同で開催する必要がある関係上、経済産業省審議会の方は、従来は原則非公開という形でやっておりますので、そことの調整が必要である。時間も必要になるということで、当面こういう形でスタートさせていただくということで御了解いただきましたけれども、できる限り速やかに委員会での審議の趣旨を踏まえて、事務的な調整を進めるということで、宿題をいただいておるものでございます。
 私の方からは以上です。

○宇賀座長 それでは、ただいま説明いただいた「消費者安全専門調査会の当面の進め方について」御質問、あるいは御意見はございますでしょうか。

○中川座長代理 意見ですけれども、進め方で資料2(PDF形式:16KB)、2の(1)と(2)の2本柱ということはわかりましたが、恐らく(1)は現状認識、(2)は建議というか、今後の在り方ということかなと思います。
 それはいいと思うのですけれども、今日の議論ですでに論点は明確になってきたなという気がしまして、そうしますと、現状と建議という柱ではなくて、内容で柱を立てた方がいいのではないか。
 この2の(1)の最初の・にありますが、事故情報の集約・公表・原因究明、この3つが内容的な柱になるのではないか。
収集については、例えば、中嶋委員から、労働安全分野での捕捉率から比べると消費者事故はすごく率が低いのではないか。それは企業を使っていないからだ。被害者から情報を集めるだけではなかなか効率的に集まらないのではないかという御指摘をいただいたと思います。そうであれば、消費者事故の収集体制がこれでいいのかということを考える必要があります。はっきり言うと製造者、事業者をどう情報収集に使うかということです。
 労働安全の場合であれば、担当者が各企業にいるということでした。また似たようなことで、例えばスナックなどの雑居ビルの火災なども消費者事故だと思うのですが、あの場合であってもビルのオーナーをどうやって火災予防に組み込むかというのが、法制度的には整備されていないわけです。今、消防法の見直しをしようという話がありますけれども、そういう個別法の見直しを考える必要がある。なかなか個別法の改正は難しいと思いますけれども、少なくとも現行法でなぜうまくいかないかという分析は蓄積しておく必要はあるだろうと思います。事故情報収集の仕方について、事業者からも取り、その補充として消費者からも取るという感じのとらえ方をできないものかと個人的に思いました。それが正しいかどうかは別として、まず収集の在り方について法改正、あるいは現状でどれだけ難しいかという認識が得られるかどうか、そういう柱があるだろう。
 もう一つの柱が事故の原因究明です。これも国で全部抱え込むのは無理だとの指摘がありました。消費者センターには人員がいないとも指摘がありました。他方、企業に一番人がいるんだということでした。それをどういうふうにすれば使えるか。先ほどリスクアセスメントを義務づけてはどうかというご指摘がありました。これも法律の話で、そう簡単に立法できると思いませんが、しかしそれをしなければほかに方法がないんだという方向に我々の議論が持っていけるかどうかというのが、1つのテーマになると思うんです。
 最後の柱が事故情報の利用の仕方で、利用の仕方の一部に公表がある。公表だけではなくて、業者に対する改善命令などにどう使えるか、どう使ってきたのか。使おうと思ったら立入検査が必要だけれども、立入検査権限はなかなかうまく使えないとか、利用の部分もいろいろな現状と課題があると思います。
以上は私の提案でございますけれども、収集・分析・利用という内容的な柱を立てて、それぞれの点について大体いつまでにこのくらいのことをやらなければだめだという、全体像を書く方がいいと思います。今日の段階でかなり書けるのではないかという気がしましたので、意見として申し上げました。

○宇賀座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

○阿南委員 私は食品安全委員会のリスクコミュニケーション専門調査会の委員をやっているのですが、実は消費者庁ができて、そのリスクコミュニケーション専門調査会には、それまで参加をされてきたリスク管理官庁である農林水産省と、厚生労働省からは参加がなくなったんです。なぜかといいますと、リスクコミュニケーションの総合調整の仕事が消費者庁に移ったからです。
 ですから、その点は早目に手当をする必要があるのではないかと思っています。しかし、ここには当面と書いてあるので当面はしないということかと思ったのですが、そこのところをもう少し方向性を出していただきたいと思います。
 以上でございます。

○宇賀座長 ありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。

○中村(晶)委員 この当面というのは大体どのくらいの期間をお考えですか。山積している議題に、取り組まなければいけないのですが。

○齋藤審議官 あくまで当面ということでありますので、特に期限を限っているというわけではありませんが、当面考えられることというのは、少なくともこれだけのことはやる必要があるのではないかということで書いているわけでございますので、別にこういう内容に従ってやらなければならないということではございませんけれども、一応専門調査会の所掌事務の書き方としては、消費者委員会の求めに応じて調査審議するとなっておりますので、今日出ましたいろいろな御議論というのは、かなり広がりのある議論だろうと思いますので、そういう議論を具体的に進めるに当たりましては、また消費者委員会の方に差し戻していただいて、ある程度ガイドラインといいますか、こういう形で進めていったらどうかということについて、消費者委員会としてのお考えも聞いていただきながら、進めていっていただいたらよろしいかと思います。

○櫻井委員 私が言うのもあれですけれども、この当面の進め方というのは、基本的に情報の扱いということに関心があるということなんですが、本来的には情報以前に安全性そのものについて、どういう仕組みが必要かというのがコアの問題だと思うのですが、それはあえて外しているということなんでしょうか。それとも当面の終わった後にはちゃんとやるということなのか、事務局のお考えをお聞かせいただきたいのです。

○齋藤審議官 これはあくまでも当面ですから、勿論議論が発展していく中でそういう方に波及していくことは当然あり得るだろうと思います。あくまでも当面ということで、消費者委員会として当面考えられることを並べたということでございます。
 先ほども言いましたように、いろいろ議論をしていく中でこういう案件も更に議論する必要があるということがあれば、そういう事柄について専門調査会としての考えを出していただき、それについてまた消費者委員会の意見というものを聞いていただきながら、進めていっていただければよろしいと思います。

○佐野委員 これは消費者委員会の方で当面という形で、非常に課題が多い中で、一応これだけをまず出しました。今日皆さんの御意見を伺い、最後にまとめていただきましたので、その辺りをもう一度消費者委員会にバックして、検討しまして、もう少し整理して出させていただければと考えます。これは固まっているわけではなく、順次動きながらという形の方がいいのかと思いますので、今日の時点では持ち帰って検討させていただきたいと思います。

○齋藤委員 この資料2(PDF形式:16KB)の一番下のところに「体制」について1つの調査会を設置するとありますが、消費者安全専門調査会の中にまた調査会をつくるという理解でよろしいのでしょうか。それとも並列でしょうか。

○宇賀座長 この下にということです。

○齋藤委員 名前が一緒なのでどうかと思ったのですが、そうすると先ほどの主な審議事項、これも幾つかのブロックに分かれる可能性があるので、随時こういうようなものをつくっていくという進め方もあるわけですか。トータルはここでやるとか。

○宇賀座長 当面はこの製品事故情報の公表等に関する調査会は必要であろうということで、今回この下につくっております。今後いろいろな論点がありますので、これは消費者委員会の方で最終的に御判断されることですけれども、そういう可能性もあるのかなと思っています。

○野村消費者安全課長 進め方の関係で僭越であれば申し訳ありませんが、今日の追加資料の一番最後に、追加資料5(PDF形式:350KB)ということで、今、政府の中で、消費者委員会も中心になられて御議論いただいております消費者基本計画の現在の案文の消費者安全の関連の部分を抜粋したものを、参考までということでお配りさせていただいておりますけれども、これは私どもも作業にはいろいろ携わってございますが、一応全体としては本年度中に、何とか政府としては策定したいということで議論が進んでいると理解しておりますけれども、この中で個別の施策を見ていただきますと、再三御議論のあります収集の在り方とか、分析の在り方とか、あるいは公表、リスクコミュニケーションの在り方とか、そういうことの重要なものをリストアップして、かつ責任主体と検討のタイムスケジュールを書き込んでということで御議論いただいておりますけれども、これは政府としてという話ではありますけれども、本日だけで非常にいい形の御議論をちょうだいしておりますので、こういう検討を政府の方で進めていくに当たって、こちらでの御議論が生かさせていただけるような、進め方に関してはこれから整理をいただくということですが、タイムスケジュールなりをお考えいただくときに、ひとつそれも見ていただきながら御検討いただけると、行政の立場としては非常にありがたいと思っております。

○中尾委員 これはさっき言った2の(1)というのは、たくさんデータが出てきたものをルーチンワークで、これはあっちというように分けるような仕事は、ここではやらなくていいわけですか。具体的に何をやるのか。2の(1)というのは何なのか。これから利用すべきだねというのを話し合えばいいだけなんですか。

○野村消費者安全課長 一つひとつの事故情報を見ていただいて、これは製品起因性が疑われそうだから早目に公表したらどうですかということを一件一件やっていただくというよりは、収集の仕組みとか、あるいは収集した後の生かし方なりデータベースへの置き方なりの御議論が今日は中心的だったかなと思いましたので。

○中尾委員 ぐちゃぐちゃ言っていればいいということですか。

○野村消費者安全課長 比較的大きい御議論をいただいているのかなと思っています。一つひとつの事故情報をお持ちした方がよろしければ、そういうセッションなり回を用意していただければ、対応させていただく用意はありますけれども、毎回毎回一つひとつ、なべが割れたとか、給湯器が火を噴いたとかいうことを御議論いただく方向性での議論ではなかったのかと思っております。

○宇賀座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、今日の2つの議題は、これで終了したということにさせていただきたいと思います。
 事務局の方から何か連絡がございますか。

○原事務局長 活発な御議論ありがとうございました。大変大きいたくさんの課題をいただいたと思っておりますので、順次検討に入っていきたいと思います。ありがとうございます。

○宇賀座長 それでは、この第1回の専門調査会を終わりたいと思います。
 本日は御多忙のところどうもありがとうございました。

≪4.閉 会≫

(以上)