第6回 製品事故情報の公表等に関する調査会(合同会議) 議事要旨

最新情報

日時

2011年3月24日(木)10:00~

場所

上記の時間は予定していた開催時間であり、実際は、書面による審議を実施した。

出席者

【消費者委員会消費者安全専門調査会製品事故情報の公表等に関する調査会】
松岡議長代理、小坂委員、齋藤委員、清水委員、中島委員、横矢委員
【消費経済審議会製品安全部会製品事故判定第三者委員会】
升田議長、青山委員、天野委員、大河内委員、郷原委員、櫻橋委員、田中委員、長田委員、
野坂委員、樋口委員、広重委員、牧野委員、美馬委員、若井委員、和田委員

議事次第

(東日本大震災後の混乱のため書面審議方式で実施)
  日時 平成23年3月24日(木)~4月25日(月)

  • 委員への審議資料の送付:3月24日(木)〈事前送付:3月14日〉
  • 質問・指摘事項の締切り:3月31日(木)
  • (事務局)質問・指摘事項の取りまとめ:4月1日(金)~7日(木)
  • 審議資料の再送付(質問・指摘事項への回答):4月8日(金)
  • 同上 締切り:4月15日(金)
  • 再々質問等への回答、調整:4月18日(月)~25日(月)
  • 同上 終了:4月25日(月)

1.審議事項
(1)製品起因による事故ではないと判断した案件、消費者生活用製品に該当しなかった、または重大製品事故ではないと判明した案件について
(2)原因究明調査の結果、製品に起因する事故ではないと判断する案件について
(3)原因究明調査を行ったが、製品に起因して生じた事故かどうか不明であると判断する案件について
2.その他

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:29KB)
【資料1】 委員名簿 (PDF形式:51KB)
【資料2】 合同会議の申し合わせ (PDF形式:29KB)
【資料3】 重大製品事故の受付・公表状況について(平成23年2月末日現在) (PDF形式:97KB)
【資料4】 製品起因による事故ではないと判断した案件 (PDF形式:84KB)
【資料5】 原因究明調査の結果、製品に起因する事故ではないと判断する案件 (PDF形式:210KB)
【資料6】 原因究明調査を行ったが、製品に起因して生じた事故かどうか不明であると判断した案件 (PDF形式:140KB)


 委員からの主な質問・指摘及びそれに対する事務局からの回答は以下のとおり。

≪1.審議事項≫

(1)製品起因による事故ではないと判断した案件(資料4-1)、消費生活用製品に該当しなかった、または重大製品事故ではないと判明した案件について(資料4-2)


  (資料4-1について)

(委員)ガスこんろ(LPガス用)(A201000762)について、判断理由に「製品に起因した事故ではないと判断した。」とだけ記載したのでは、全くわからない。もう少し製品起因ではないと判断する理由について、個人情報をおかさない範囲で記述するべき。

(消費者庁)「使用者が故意にガスを漏らしたことにより、当該製品から出火したものと判断した。」と修正する。

(委員)ガスこんろ(都市ガス用)(A201000888)について、調理中、と記載されているのに「消し忘れ」とは、どういうことか。

(消費者庁)詳細は不明であるが、使用者が調理の途中で何らかの理由により消火をせずにその場を離れたものと推定される。

(委員)ガス衣類乾燥機(都市ガス用)(A201000890)について、当該乾燥機に関する記述と判断はこれでよいと思うが、消防が何を根拠に「使用者の誤使用」と断定したのか疑問が残る。当該オイルの製造者は、オイルが洗濯で落ちない(落ちにくい)ことを使用者(マッサージ店)などに警告していたが、当該マッサージ店はそれを無視した、ということか。類似の火災がみられるので、マッサージ店にはこのような事例を周知する必要があるのではないか。

(消費者庁)消防は当該製品から発火の痕跡はなかったこと、さらには、当該製品のドラム内部に残っていたタオルの一部から、当該事故が発生したマッサージ店で使用されていたオイルと同じ成分のオイルが検出されたことにより、事故原因はタオルに付着したオイルの酸化熱による自然発火と判断している。
 なお、経済産業省では、オイルの付着したタオル等による自然発火の事故について、平成22年3月にエステ関係団体(4団体)に対して情報提供及び注意喚起を実施している。

(委員)電動アシスト自転車(A201000947)について、事業者が実験した条件を書いて頂きたい。同体格の人か、過重な条件の人でテストしたのか、など。
 「時速20キロで急制御・急ハンドルを行った」ときの条件に問題はないかを明確にすること。実験は50kgの人が行い、たとえば100kg超の人が使用していた場合は、同じ結果が出るとは考えにくい。製品に、使用者の体重等に関する制限はあったのか。

(委員)使用者は修理して、そのまま当該製品を使用しているのか。

(消費者庁)本事故については、事業者の試験状況等事実関係を確認するため、次回委員会への審議繰り越しとする。

(委員)食器洗い乾燥機(A201000959)について、「製品の焼損状況や現場の状況から鑑定する必要はない」との消防当局の判断は、当該製品が火災の原因ではない、あるいは、当該製品以外のものが火災の原因と判断しているのか。

(委員)「現場の状況から鑑定する必要がない」では何のことか推定できない。

(議長代理)なぜ、鑑定の必要がないと判断したのか。

(消費者庁)消防は当該製品から出火の痕跡はなく、また、当該製品の上側及び側面の焼損の状態から、外部から延焼を受けたものと判断している。


  (資料4-2について)

(委員)車いす(A200800066)について何らかの機会に、一般的な表現でもよいから、注意喚起する方法はないか。

(消費者庁)注意喚起については、今後の同種事故の発生状況をみて判断したいと思う。
 なお、当該事故は独立行政法人製品評価技術基盤機構(以下「NITE」という。)の調査によれば、当該製品の製造工程において、背シートを取り付けるための2本のパイプ(バックパイプ)の曲げ加工に不足があり、両方のパイプの間隔が広がっていたため、折りたたみ操作時に加わる力が正常品に比べ過大となり、指を挟んだ際に大きな力が加わり事故に至ったものと推定している。
 また、当該事業者は本事故を受けて同型品の無償点検・修理を実施している。

(委員)石油ストーブ(開放式)(A201000921)について、使用者はゴルフ場従業員であって石油ストーブの専門家ではない。「業務用」と言うことは(1)特別な安全装置を有している、(2)使用者が特別な知見を有する者に限定されている等を前提としているのか。

(消費者庁)当該製品の流通実態に鑑み「消費生活用製品」ではなく、「業務用」と判断した。ちなみに、事業者は当該製品を工場や事業所等に限定して注文販売を行っており、量販店やホームセンター等一般消費者への販売は行っていないことを確認している。今回の事故もゴルフ場で使用されていたものである。

(委員)判断理由の項に「販売先は全数特定可能」と書いた理由は何か。危険だから事業者向けの注意喚起を行った、という意味か。

(経済産業省)事故の調査において、事業者に当該製品と同型品の販売先を確認したところ、工場や事業所等への注文販売のため既販品の販売先が全数特定されているとの回答があった。
 なお、事業者は今回の事故を受けて、当該製品と同型品のユーザーに対しダイレクトメール等で製品の使用方法等につき注意喚起を実施している。

(2)原因究明調査の結果、製品に起因する事故ではないと判断する案件について


  (資料5-(1)について)

(委員)半密閉式ガス湯沸器(都市ガス用)(A200801385)について、強制給気(排気)装置を有する厨房用換気ダクトフードに接続することは、取説に言う「必ず排気筒を設け、排ガスは屋外に排出すること」という記載内容を満たしていないことになるのか。

(経済産業省)当該製品は自然排気式(CF式)の製品であり、製品内部に排気ファンは有しておらず、燃焼した空気が温まって上方へ上がっていく自然な力を利用して排気を行う仕組みとなっている。そのため排気筒(煙突)を立てて使用することを前提とした製品であり、排気筒と厨房用換気ダクトへの接続は仕様が異なるもの。厨房用ダクトはファンによって強制的に周辺の空気に流れを吸い込んでいるため、自然な給気より製品内部に埃が入り易いと思われ、取扱説明書の記載内容は満たしていないものと考える。

(委員)点検の際に、厨房用集合換気ダクトフードに接続されていることの問題は指摘されなかったのか。

(委員)過去の点検でダクトフードへの接続の危険性を指摘されなかったという事実があるのであれば、製品起因ではなくても、ガス事業者の責任は大きい。この点について、経済産業省としてとった処置について、言及するとよいのではないか。

(委員)過去の点検時には、今回の事故原因につながる接続状態は問題にならなかったのか。点検に見落としがあったのか、あるいは、適切な点検を受けていながら、点検後の使用者側の対応に問題があったのか。

(経済産業省)当該製品の点検時に何らかの指摘がなされていたことは確認されていない。
 なお、本件については、製品事故対策室から原子力安全・保安院(ガス所管課)に対して、当該事故の情報提供を行うとともに適切な対応を依頼した。

(委員)開放式ガス温風暖房機(都市ガス用)(A200900887)について、開放式ガス温風暖房機を購入した時、専用ガスコードが付属品としてついていなかったのか。

(経済産業省)通常、ガスコードは製品の付属品としては販売されていない。製品を移動させて使用することが想定され、屈曲によりガス接続が緩くなることを防止するため、事業者は専用ガスコードを使用するよう求めているが、個々の使用状況によりホースの長さが異なるなど製品出荷時に一律的な対応ができないため専用ガスコードは付属品として同梱せず別売になっている。なお、経済産業省では平成22年10月から「ガスの安全見直し隊キャンペーン」を実施しており、ガス機器の適切な接続について注意喚起を行っている。

(委員)ガスこんろ(LPガス用)(A200900904)について、グリル過熱防止装置は、本事例のように、水を入れずに使用し、油分が過熱するときには、働かないのか。
 説明書だけではなく、水受け皿自体に、水を入れて使用することという警告表示が必要ではないか。

(経済産業省)魚などの油が溜まりすぎた場合はグリル過熱防止装置を有していても発火に至ることがある。当該製品の本体天板上には「グリル使用時には必ず水を入れていください。」と注意表示が記載されていた。

(委員)ガスこんろ(都市ガス用)(A200901010)について、調理油過熱防止装置がついている口と、ついていない口の違いが理解されていない。 装置がついていたら離れても平気だと勘違いしているのか。表記に注意が必要と思われる。

(経済産業省)詳細は不明だが、使用者は速く天ぷら油の温度を上げようとして調理油過熱防止装置のついていない強火力バーナーを使用したものと推定される。

(委員)ガスこんろ(都市ガス用)(A201000056)について、鍋に油が付着しているのはよくあること。どのくらいの油が付着していたのか。

(経済産業省)鍋は円錐状の中華鍋であり、鍋底も含め鍋の外側全体に著しい油脂等が付着しており、焦げ跡もみられた。

(委員)調理油過熱防止装置が、鍋の温度を正常に検知できなかったのは、製品起因ではないのか。

(経済産業省)鍋の温度を正確に鍋の外から検知するためには、鍋の温度と油の温度に相関があり、鍋の温度から油の温度が推定できることが前提で、そのため、温度センサーを鍋底に密着させる必要があるが、油脂等が付着すると正しく検知できにくくなる。なお、調理油過熱防止装置は約250度付近で作動するようになっている。

(委員)開放式ガス瞬間湯沸器(LPガス用)(A201000057)について、当該製品の設置業者は販売事業者とのことだが、販売事業者でも設置可能な製品だったのか。

(経済産業省)LPガス設備士の資格があれば販売事業者でも設置可能な製品である。

(委員)販売事業者の取り付けのミスであったのか。それについてどのような対処が行われたのか。

(経済産業省)当該販売業者(設置業者)に対してどのような指摘がなされたかは把握していない。なお、本件については、製品事故対策室から原子力安全・保安院(ガス所管課)に対して、当該事故の情報提供を行うとともに、適切な対応を依頼した。

(委員)ガスストーブ(LPガス用)(A201000095)について、「事故発生前に当該製品の器具栓つまみが「半開」の位置になっており、ガスが漏れていた。」と記載されているが、そうなっていたことをどのように確認したのか。また、なぜ、半開のまま火が消えた状態でいたのかについてもわかる範囲で記載が必要ではないか。
 半開状態で使用することは可能なのであり、いつのまにか消えていたのであれば、その原因は何か。

(経済産業省)当該製品の使用者は、外出先から帰宅した際にガス臭いので調べると、当該製品のつまみが半開状態となっており、別の家人が当該製品のつまみを操作して一旦止めたものの、直ぐにつまみを点火位置に回したところ爆発したと証言している。
 なお、当該製品のつまみが半開状態でガスが充満していた理由は不明である。

(委員)本件は再発する可能性はないのか。

(経済産業省)同型品の事故は発生していない。


  (資料5-(2)について)

(委員)テレビ(ブラウン管型)(A200900121)について、「ショートによる出火」と判断したのは、どのような理由によるのか。

(経済産業省)使用中のテレビ内部に水が入ったことにより、基板上の通電箇所が絶縁不良となり、ショートし出火したことが考えられる。


  (資料5-(3)について)

(委員)電気がま(A200800678)について、この事故は「電気がま」を外箱から取り出したときに発生したのか、あるいは、電気がまを使って炊飯したときに発生したのか、わかりにくい。後者だと思われるが、事故状況がはっきりわかる形に「事故内容」の記載を修正すべき。

(経済産業省)当該事故は、使用者が購入した電気がまから異臭がしていたため、当該製品を水洗いした後、おかゆを炊いて食べたところ体調を崩したもの。事故内容にその旨追記する。

(委員)電気ストーブ(ハロゲンヒーター)(A200801320)について、睡眠中の事故なのか、たまたま近接距離に布団があったために起きた事故なのか、状況がわかっていれば事故内容に加えるべき。また、当該製品の警告表示内容に睡眠時の使用禁止や可燃物との距離などに関するものがあれば、それは「判断理由」に追加すべきではないか。

(経済産業省)就寝中の事故とみられるが、使用者が亡くなられていることもあり、状況ははっきりしていない。
 なお、本体表示や取扱説明書には、布団などの燃えやすい物の近くで使用しない、就寝時、就寝中は使用しない、寝具などが触れると火災の原因になる旨記載されており、判断理由にその旨追記する。

(委員)段差解消機(A200801344)について、こうした介護福祉機器については、レンタル事業者による機器の適切な設置や、使用方法の説明等が使用者の安全確保のために重要な役割を果たしていると考えられる。今後、より安全確保のための丁寧な施策が必要な分野ではないか。福祉機器は必要になって急いで入手したり取り付けたりということが多く、時間をかけて選ぶ環境にないこと、使い慣れないものであることを勘案する必要がある。

(経済産業省)関係省庁や関係機関とも調整し製品の適切な設置・使用等について注意喚起を行うことを検討する。

(委員)当該案件はレンタル事業者の設置ミスであり、それに対し何か対処されたのかについても、言及していただきたい。
 このような製品は介護が必要になり初めて使うものであり、レンタル事業者の取り付けに全幅の信頼をおいて依頼するものであるので、あきらかに上限を超えた高さへの取り付けなど、大変に問題である。

(経済産業省)本件について同種事故は発生していないが、事業者は今回の事故を受け、取扱店や納入先に対して、製品仕様内で設定することを厳守すること、また設置済み製品について上限を超えて設置している場合には直ちに上限以下に設定し直す旨文書で通知している。

(委員)IH調理器(A200801375)について、560ccと500ccの油量は、鍋によって口径・深さなどが異なる点から一目では判然としない。素人にもはっきりと分かる使用上の注意が要ると思う。他に発火の要因があるのではないか。
 鍋には様々な形状があるので、500ccと560ccを判断するのは困難だと思う。「560ccの警告」は十分だったのか。また、老朽化した鍋を買い替える時に、IH調理器の取扱説明書を読むことは期待できない。特別な注意喚起がなされていたのか。

(経済産業省)当該製品の取扱説明書には、付属の天ぷらなべに900g(約1L)の油を入れる事を推奨するとともに、500g未満の油では使用しない旨記載し、付属天ぷらなべには刻印により最低油量が認識できるようになっている。
 なお、再現試験によれば、市販のなべで揚げ物モードで使用した場合は発火に至ることはなく、加熱モード(強)で使用した場合に発火することが確認されている。判断理由の欄にその旨追記する。

(委員)コンセント付洗面化粧台(A200900055)について、脱衣所の窓に木枠を渡して当該製品を設置するのは通常の方法ではなかったと判断してよいか。

(経済産業省)通常は、壁面に取り付けられる製品である。

(委員)携帯型音楽プレーヤー(A200900084)について、当該製品が正常に作動することは、当該製品と事故内容の関係を否定する理由になるのか。電車の走行状況など当該製品の使用環境や使用者の状況に関する分析が不十分な段階で「当該製品によるものではないと推定」してよいのか疑問が残る。よって、この案件は「資料6」の「製品起因か不明と判断」するグループに入れるべきではないか。

(経済産業省)当該製品のみで耳に電流が流れる様なことはないため、原因は不明であるが製品には起因しないものと判断し、資料5(原因究明調査の結果、製品に起因する事故ではないと判断する案件)に入れた。

(委員)電気オーブンレンジ(A200900099)について、当該製品の背面や天板の定期点検を促す警告表示はあるのか。それにしても、ゴキブリの糞尿が発煙・発火に至る場合があるとは驚きであり、消費者に周知すべき事例に思われる。

(経済産業省)定期点検を促す記載はみられないが、当該製品は事故発生の以前にエラーが表示されて使用できない状態になったことが確認されている。なお、取扱説明書には、エラー表示が出た場合、電源プラグをコンセントから抜き、お買い上げの販売店または事業者に連絡する旨記載されており、判断理由欄にその旨追記する。

(委員)ネイル乾燥器(A200900180)について、紫外線でのやけどは「低温やけど」とは言わずに、単に「やけど」で良いのではないか。

(委員)最高45度でも低温やけどになるものなのか。製品に異常がなくても、個人差で発症する場合があるのか、やけどの原因は別の理由ではないか。

(経済産業省)当該製品の使用者は、医師により「低温やけど」と診断されている。なお、当該製品の使用方法を守って使用すれば低温やけどの可能性は無いとの結果になったが、紫外線やけどについても当該製品が通常皮膚に与える影響は小さく、被害者の感受性による事故と判断している。

(委員)エアコン(A200900379)について、あるエアコン洗浄スプレーの商品説明には「、(注)伝送部(電子基盤やセンサーなど)には決してかからないように処理してください。故障の原因になります。」と表記されいる。しかし、故障と出火では注意の払う度合いが変わるし使用の是非の判断も変わると思う。これはエアコン洗浄スプレーの製品起因事故ではないか。

(議長代理)再現試験でコネクター部に洗浄剤が付着していなかったら、どのような理由で付着したのか。付着が原因と疑われるので検討した方が良いのではないか。

(委員)問題は「エアコン洗浄スプレー」にあるのではないか。いくらエアコン本体に「クリーニングは専門家に」という趣旨の表示があっても、自分で出来る手軽な手段(エアコン洗浄スプレー)があれば、こうした事故は防げない。これは消費生活用品の宿命かもしれないが、なんとかならないのか。

(委員)使用者がクリーニングすると事故の原因になると書いてあっても、市販品でエアコン洗浄スプレーが一般的に売られている。そのこと自体、または、スプレーの性能などに問題があるならば、対策が必要ではないか。

(経済産業省)当該事故のエアコン洗浄スプレーについても「故障の原因となる」旨の注意表示があったが、再現試験の結果、使用方法通りに使用した場合はコネクター部には洗浄剤は付着せず、問題のある製品ではないと判断している。

(委員)使用方法通りに使用した場合には安全だが、そうでなければ火災となる可能性もあるということは一般的には理解されない。使用方法通りに使わなければ非常に危険であることを消費者に明示すべき。

(経済産業省)エアコン洗浄スプレーについては、関係機関等と調整し当該製品の適切な使用方法等について注意喚起を行うこととする。
 なお、NITEが行った再現試験では、エアコン洗浄スプレーの取扱説明書に記載された方法(冷却フィンの向きに沿ってスプレーする)で行った場合にはコネクター部に洗浄液が付着することはなかった。このことから、使用者は記載方法と異なる噴射方法で当該製品の洗浄を行ったことが推定される。

(委員)非接触型ICカード(A200900823)について、「強い電磁波等を外部からの要因(電磁波等)により、焼損したものと推定される。」とあるが、どのような電磁波が想定されるのか。非接触型ICカードは昨今よく持ち歩くものであり、安全確保のための注意事項があるのであれば、広く周知する必要がある。
 強い電磁波とは、何が考えうるのかについて、情報提供が必要ではないか。あまりにも漠とした判断理由であるが、危険があることが読み取れるのにどう対処していいのかわからず不安だけが残る。

(議長代理)珍しいケース、どの程度の外部電磁場で焼損するか確認しておく必要はないか。

(委員)これも「製品起因でない」と推定するに十分な証拠があるのか疑問が残る。反証実験のデザインはこれで十分なのだろうか。資料6のカテゴリーに分類しても良い事例ではないか。

(委員)非接触型ICカードで、同種の事故はどれだけあるのか。また、どのような条件下で発生するのか。ICカードの利用が増えているので、再発防止のための検討が必要ではないか。

(委員)非接触型ICカードは一般的な商品である。製品に問題はなく、何らかの原因により焼損したとのことだが、同様な事故が起きないようにどういう原因なのか、どういう使い方をすると危ないのか提示し、必要であれば、注意喚起して欲しい。

(経済産業省)電子レンジを用いた加熱試験において、磁気カードに焦げが発生したが、電子レンジ庫内に発生する電磁気は極めて強いものであり、通常の生活環境下では発生することはあり得ない。また、これまでも同様の事故は発生していない。
 また、「何らかの要因により、強い電磁波等を受けたことにより、焼損したものと推定される」は、ご指摘のように不安を招くものであることから、「何らかの要因により焼損したものと推定される」と修正する。

(議長代理)もっと良く調べるべきではないか。

(経済産業省)当該製品は内部電源がないため、単体での発火の可能性はないと思われる。また同等品について、JIS X 6321-1に基づく交流磁界及び交流電界試験の結果、異常がないことが確認されている。よって、当該事故原因は特定できないが製品起因ではないと判断している。

(委員)電動アシスト自転車(A200900883)について、一般的に自転車で走行中何かの原因で転倒したとして、前ホークが左右とも後方へ曲がるということは珍しいことか。亀裂等がなく、かつ曲がった原因は何か。

(経済産業省)例えば、壁に衝突した場合のように、製品の左右の前ホークに均等に力がかかればこのような様相になるが、当該案件では走行中に起こりうる具体的な原因を推定することはできなかった。

(委員)電気あんか(A200900985)について、家電には食品の「賞味期限」や「消費期限」にあたる「性能保証期限」はないのか。暖まらないのに使用を続けた使用者は問題だが、この電気あんかの製造者はどの位の使用年限を想定していたのか。

(経済産業省)当該製品の補修用性能部品の最低保有期間は製造打切り後6年とされていたが、今回の場合は製造打切り後9年経過していた。補修用性能部品とは「その商品の機能を維持するために必要な部品」との記載があり、一般的にはこれが使用期間の目安と考えられている。しかしながら、製品の使用状況もあり使用年限を断定することは困難と思われる。

(委員)縁台(A201000240)について、消費者に「縁台」と「縁側」の区別がつきにくいと思います。「縁台」という呼称を検討すべきではないか。

(経済産業省)広辞林によると、縁台は「庭や露地などに置いて休憩や夕涼みなどに用いる細長い腰掛け」、縁側は「家の座敷の外側に設けた細長い板敷きの部分」と記載されており、双方とも日本語として一般的な名称と判断している。

(議長代理)電動車いす(ハンドル形)(A201000455)について、一時的制御不能という可能性はないのか。

(経済産業省)当該製品には、過去に修理履歴やエラー履歴はなく、製品には問題はなかったと判断している。

(委員)電動車いすは使用者の多くが高齢者であることを踏まえると、単独使用の制限(勧告)など一定の規制が必要ではないか。この事例は、製品それ自体の安全問題というよりは、使用環境の問題を示唆しており、その点のフォローが消費者庁の役割ではないか。

(消費者庁)電動車いすの事故については、平成22年7月に消費者庁は使用方法等を含め注意喚起を行った。今後も消費者庁としては当該機器の事故状況を注意深く注視し、注意喚起を必要により行っていきたい。

(経済産業省)電動車いすの事故については、平成22年7月にNITEが注意喚起のプレスリリースを行っている。また、事業者側(電動車いす安全普及協会)においても、平成22年から納車前の使用者の操作能力の確認、使用環境を確認するための問診票や納車後の点検制度の導入、さらには全国各地での安全運転指導講習会の開催等を行っている。

(議長代理)電動車いす(ハンドル形)(A201000507)について、一時的制御不能という可能性はないのか。

(経済産業省)当該製品のエラー履歴は海水に浸かっていたため確認できていないが、目撃していた人によれば、海に転落する直前まで当該製品は正常に走行していたという情報もある。さらに当該製品を調査した限りでは、製品に問題はなかったものと判断している。

(3)原因究明調査を行ったが、製品に起因して生じた事故かどうか不明であると判断する案件について(資料6について)

(議長代理)電気洗濯機(A200800655)について、基板劣化による異常発熱か。

(経済産業省)現在のところ同種事故は発生しておらず、基板の一部は焼失していることから、事故原因の特定は困難な状況だった。

(委員)子供用いす(ハイチェア)(A200800734)について、テーブルが外れたことと転倒の因果関係は何か。テーブルが単に外れても、その後に何らかの動作がないと転倒はしないのではないか。

(経済産業省)因果関係も含め特定できていない。

(議長代理)組み立てが適正でなかったため外れたと思われる。このような場合、製品起因というのか。

(経済産業省)当該製品の組立てが適正でなかったと断言できず、製品起因か否かを含め、事故原因は不明と判断した。

(委員)何処かに(ハイチェア)との記載を入れてほしい。「子供用いす」だけだと、低いものも含まれるため「転落して重傷」がイメージつきにくい。

(経済産業省)製品名に「ハイチェア」と追記する。

(委員)事故当時の詳細な状況が不明ということは、多くの事故に当てはまるのではないか。幼児が使用する製品であるため気になる。

(経済産業省)現在のところ同種事故は発生していない。引き続き同様の事故発生について注視していく。

(委員)電気毛布(A200801019)について、掛毛布か、敷毛布か。

(経済産業省)敷毛布である。

(委員)資料をみると、製品がコードの形で焼損しているので製品起因に見えますが、他にどのような原因が考えられるのか。

(経済産業省)当該製品はヒーター線の周囲に温度検知線を有する構造であり、異常発熱が生じた場合、コントローラー内の温度ヒューズが切れる構造であるにも関わらず、コントローラーに異常が認められなかった。また、ヒーター線や検知線に溶融痕は認められなかったことから、事故時は通電されていなかった可能性も考えられた。
 事故当時、火災報知器が作動し夜勤の職員が部屋へ駆けつけた時には、使用者が当該製品のみ部屋の外に出し、流しで水をかけて消火した後であった。また、使用者から事故時の事実関係を確認することは困難であったと聞いている。

(議長代理)電気冷蔵庫(A200801181)について、「制御基板が原因の製品起因と考えられる」という判断で良いのか。

(経済産業省)当該製品周辺の焼損も著しく、当該製品の制御基板の一部が焼失しているため、当該箇所から出火したかも含めて特定できなかった。

(議長代理)電気冷蔵庫(A200801240)について、劣化、あるいは動物による損傷で出火の場合、それぞれどのように判断するのか

(経済産業省)通常、劣化(経年劣化)と特定できれば製品起因、動物による損傷と特定できた場合は製品に起因しないものと判断している。

(議長代理)学習机(A200801281)について、スライドアーム内の配線の強度の問題ではないのか。

(経済産業省)同等品により確認した結果、スライドアーム内で局所的に外力が加わる状態ではなく、また、配線の強度に問題があるような状態ではなかった。

(委員)断線の理由には、どういうことが考えられるのか。 断線していると、スイッチをオフにしていても火事になる可能性があるのならば、どうやってチェックすればいいのか。

(経済産業省)当該案件の場合、外部からの火災の熱で断線したことも考えられたが、特定はできなかった。
 配線の断線による災害を防ぐためには、スイッチを入れても点灯しないことがある、異臭や発煙する、ブレーカーが何度も落ちる等の異常な症状があった場合に使用しないことが考えられる。

(議長代理)電気ストーブ(A200801305)について、延長コードに過電流が流れたと考えられるのでは。

(経済産業省)その可能性も考えられるが、延長コードも廃棄されていたため、原因の特定はできなかった。

(委員)電気あんか(A200801334)について、「現場」とあるが。どのような場所で使用されていたのか。

(経済産業省)一般家庭のベッドの上で使用されていた。

(委員)これも、新しい(使用約1年半)のに2箇所も断線したのは何故か。

(経済産業省)断線が確認された2箇所のうち、1箇所は出火痕、もう1箇所は火災の熱により絶縁被覆が焼損して2次的にショート・断線したものと判断している。しかしながら、出火痕と思われる箇所は通常では応力がかかりにくい場所であり、使用状況が不明であるため、製品起因か否かも含め事故原因の特定はできなかった。

(議長代理)水槽用ポンプ(A200801370)について、同等品によるモーターロックの再現実験はできるのか。

(経済産業省)同等品のモーターを強制的にロックさせて再現試験を実施した。

(委員)ロックしたために巻線が短絡、という表現が理解できない。

(経済産業省)モーターがロックしたためにモーターの巻き線が異常発熱し、巻き線の絶縁が劣化して短絡した。「判断理由」欄にその旨追記する。

(議長代理)延長コード(A200801397)について、事故原因はバリスタへの過電流ではないか。

(経済産業省)バリスタ本体は回収されておらず、バリスタの本体側リード線に溶融痕が認められなかったことから、特定には至らなかった。

(議長代理)こたつヒーター(A200801401)について、温度コントローラはなぜ回収されていないのか。焼損が激しかったのか。

(経済産業省)事故現場の焼損が著しく、当該製品の温度コントローラーは回収できなかった。

(委員)リチウム電池内蔵AC充電器(A200900040)について、差し込んだままの状態で8時間に発火、という表記はおかしいのではないか。

(経済産業省)「・・・約8時間後に発火・・・」と修正する。

(委員)除湿機(A200900046)について、「当該製品下部にあるコンプレッサー周辺には大量の埃が堆積していた」ことと「コンセントに接続したまま、約1年未使用の状態」は何か関係があるのか。

(経済産業省)残存していた当該製品下部のコンプレッサーには大量の埃が堆積していたことから、LED基板の焼失原因の一つに埃の堆積によるトラッキングが考えられた。なお、当該製品が約1年間コンセントに接続したままの状態であったことと当該事故との関係は不明である。

(委員)運動器具(A200900086)について、当該製品の中央の支柱が破損したことは事実であり、荷重だけではなく多方向からの荷重などのテストは実施したのか。

(経済産業省)当該製品は主に背筋を鍛えるための運動器具であり、荷重のかかる方向は限定できると考えます。そのため一定方向でのテストしか実施していない。

(委員)判断理由「詳細な使用状況が不明」とは、使用者が語らないのか、それとも調査していないのか。

(経済産業省)NITEから使用者に対して当該製品の日頃の使用方法・頻度等詳細な情報提供を求めたが、結果として情報は得られなかった。

(委員)使用1年、体重75kgまで分かっているのに、事故当時の詳細な使用状況が不明、というのはどういうことか。

(経済産業省)NITEから使用者に対して当該製品の日頃の使用方法・頻度等詳細な情報提供を求めていたが、結果として情報は得られなかった。

(委員)電気冷蔵庫(A200900126)について、「現場」とあるが、どのような場所で使用されていたのか。

(経済産業省)一般家庭の台所で使用されていた。事故内容に追記する。

(委員)ファクシミリ(A200900136)について、「現場」とあるが、どのような場所で使用されていたのか。

(経済産業省)酪農家の牛舎内の事務スペースで使用されていた。事故内容に追記する。

(議長代理)高電圧電源が原因か。

(経済産業省)外部からの延焼による焼損の可能性もあることから、出火元を含め特定はできなかった。

(委員)加湿器(A200900089)について、大量に堆積していた「スケール」は何か。使用3年程度の間の掃除不足により腐食等が生じた結果、事故に至るのであれば、注意喚起が必要ではないか。

(経済産業省)当該製品の蒸発皿のスケール(水垢)を分析したところ、カルシウムが検出された。なお、当該製品の取扱説明書には、「必ず1週間に1回以上は蒸発皿の清掃及び水交換を行う」旨記載されていた。

(委員)介護ベッド(A200900560)について、介護ベッドを使用する状況の方が頼りにした手すりにより重傷を負ったことは残念。様々な角度からの荷重を調べたのか。

(経済産業省)実際の荷重方向が不明であるため、いろいろな引き抜き試験の荷重方向が考えられるが、試験を単純化し、実際にかかった荷重を水平方向と鉛直方向に分解してそれぞれの荷重値を測定し評価する方法を採用した。したがって引き抜き試験の試験方向は水平方向と鉛直方向の2通りで実施している。

(委員)布団乾燥機(A200901005)について、「現場」とあるが。どのような場所で使用されていたのか。

(経済産業省)一般家庭の洗濯室(6畳)で濡れた靴を乾かしていたものである。事故内容に追記する。

(委員)杖(A201000007)について、杖は何国製か?

(経済産業省)英国製である。

(議長代理)事故原因は材料不良によるものか。

(経済産業省)当該製品に使用されている樹脂は「ナイロン6」であり、カフ軸のような部位には広く使用されている材料である。

(委員)過去に、この種類の杖の同様の事故が報告されているか。

(経済産業省)当該事業者及び他社製を含め同種事故は発生していない。

(委員)同等品が入手できないと、確認できず不明になるのか。

(経済産業省)今回の場合、使用者が事故品と同時に購入していた同等品は使用者の要請により破壊不可であったため強度の確認はできなかった。また、事業者から入手した同等品は製造国を変更したため製品の金型が異なっており、詳細な確認ができなかった。

(委員)はしご(アルミニウム合金製)(A201000048)について、「破損は接続部のボルトの通し穴部分」の、この破損部は上からどのくらいの位置か。

(経済産業省)2本の支柱の接合部(真ん中)である。

≪2.その他≫

 資料4-1:電動アシスト自転車(A201000947)は、追加確認事項があるため、次回合同会議への繰り越し審議案件とした。

(以上)