今後の進め方
第51回総会(11月12日)における議論を踏まえ、第52回総会(11月15日)において加藤会長から、税制調査会の今後の進め方等についての提案が「メモ」の形で示された。議論の結果、これについて賛同が得られ、「メモ」に示された方向に沿って審議を進めることが決定された。
- 少子化、高齢化、国際化、情報化が予想以上のスピードで進展しつつあり、税制もこれに対応していかなければならない。そうした問題意識については、昨年春以来の審議で積み重ねられてきており、平成9年度改正答申時にでも、税調として世の中に問題提起してはどうか。
- 少子高齢化、グローバル化等の観点からとらえた今後の税制のあるべき姿については、これまでの審議により問題点が明らかになりつつある。この際、考えられる方向についてまとめておき、次の具体的ステップについては、行財政改革の進捗状況等を注視しつつ検討を続けていけば良いのではないか。
- いわゆる中期答申は、今後の行革の進捗状況、経済動向等を見極めつつ、議論を深めてから、しっかりしたものを出せばよい。
- 現在の財政状況を踏まえれば、いわゆる中期答申をとりまとめる場合には、税調としても国民に危機感を訴え、国民的議論を呼び起こしながら、時間をかけて議論していくのが適当ではないか。
- 行政改革、金融システム改革、地方分権など、現在の経済社会構造の変化という大きな流れに応じて、21世紀に向けた税制の懸案事項を次期税調に対する課題の申し送りという形で整理するのがよい。
- 21世紀に向け、大きな政府がいいのか小さな政府がいいのかについて、国民的コンセンサスができていない。そうした点について国民的議論を呼び起こしていく必要がある。
- 経済のボーダーレス化や産業の空洞化の問題とも絡むので、税制の国際的な調和という視点を「問題提起」に取り入れたい。
- 企業の活性化、国内投資の活性化も視野に入れた「問題提起」が必要である。
- わが国の経済社会はかつて経験したことのない歴史的な転換点に差しかかっており、その中で税制も、規制緩和、行政改革、社会保障などとともに重要な検討課題となっている。したがって、「問題提起」に当たっては集中的に議論を行い、我々の見識を示して次期の税調に引き継いでいこう。
- 「問題提起」には、国と地方の関係をどう考えるかといった視点や、納税コストの軽減といった納税者の視点が求められている。
- 国民負担を軽減しつつ少子高齢社会を乗り切るといったうまい話はない。痛みを伴うような改革案も「問題提起」に盛り込んで、国民に危機感を訴えることが必要である。
- これまでの税制は簡素性を重視し、いわゆる「みなし制度」を活用してきたが、徴税体制の情報化が進展することにより技術的に解決できるような状況も生じてきている。「問題提起」では、情報化の進展がこうした面でも税制に影響を与えることに触れてはどうか。
- 法人課税小委員会の報告を踏まえ、総会として法人課税の位置づけを「問題提起 し、将来の議論の足場を作る必要があるのではないか。
- 「問題提起」に対する国民の意見を聴き、それを集約・整理して次期の税調に引き継いだらどうか。
- 税制調査会として「問題提起」を行う以上、国民負担や課税上の問題点といったこととの関連を念頭に置いてとりまとめていくべきである。
- 「問題提起」は幅広い意見が織り込まれることに意味があり、必ずしも一定の方向性を打ち出す必要はない。