第42回総会・第51回基礎問題小委員会合同会議 議事録

平成18年4月11日開催

石会長

それでは、時間になりました。総会と基礎問題小委員会合同の会議を開きたいと思います。お忙しいところをどうもありがとうございます。

今日は、すでにご案内のように、経済財政諮問会議で歳出・歳入一体改革を議論しておりまして、その「中間とりまとめ」が発表されました。そこで、内閣府の経済社会システム担当の齋藤参事官においでいただきまして、その中身をじっくり伺うことになっております。テーマはこれだけでございますので、いつもよりちょっと早め、3時半くらいに終わればという形で議事進行したいと思っております。

議事に入る前に、1枚、「自治税務局異動状況」と書いた紙がございます。ご紹介してご挨拶をいただくということはいたしませんが、総務省で人事の異動があったということをこの紙でご覧いただければと思います。

それでは、早速議事に入りたいと思います。かなり資料が出ておりますが、「中間とりまとめ」という形で歳出歳入一体改革への道筋が明らかにされましたので、それにつきましてご議論いただきたいと思います。

齋藤さん、お忙しいところをどうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。時間を40分ほど用意してございますので、お使いいただきたいと思います。

齋藤参事官

ありがとうございます。本日、このような伝統ある審議会の場にお呼びいただき、ご説明の機会もいただきまして、まことにありがとうございます。

与えられましたテーマは、諮問会議の「歳出・歳入一体改革中間とりまとめ」についてということでございます。これは先週金曜日に経済財政諮問会議でとりまとめられたものでありますが、このとりまとめに至るまでに諮問会議中心に非常に精力的な議論が行われました。諮問会議の中での議論は議事要旨という形で公表されておりますし、新聞等でも詳しく報道されておりますのでご承知とは存じますけれども、そうした議論のエッセンスが、あとでご説明させていただきます、A4版にして3枚弱というペーパーにまとめられております。本日は、このペーパーのご説明に入る前に、少しバックグラウンドの説明もさせていただいて、よりご理解を賜れればというふうに考えております。

お手元に用意しております資料でございますけれども、「『歳出・歳入一体改革』中間とりまとめについて」という薄い資料と、「『歳出・歳入一体改革』中間とりまとめ(関連参考資料)」という少し厚い資料と、2つ用意してございます。

まず、「関連参考資料」の厚いほうでバックグラウンドの説明をさせていただきたいと思います。

1枚おめくりいただければと存じますが、「改革と展望-2005年度改定」の抜粋を載せております。皆様よくご存じのことかと思いますけれども、「構造改革と経済財政の中期展望」というものがございまして、これは毎年度改定しております。単純に「改革と展望」と称しておりますけれども、さかのぼりますと、小泉政権が発足した1年目の平成14年1月にこの「改革と展望」というものを策定しております。

その際に「中期的な経済財政運営の基本方針」、財政の健全化の目標として、その下にありますが、「2010年代初頭における国・地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化」という目標をそのときから掲げてきております。この「改革と展望」は、その後、毎年度改定しておりまして、今回、2005年度改定が4度目の改定になりますが、この改定におきましても引き続き、2010年代初頭のプライマリーバランスの黒字化という目標を掲げております。

今回、少し進めております点は、下線を引いております最初の部分に「まずは」という3文字が入っております。この3文字の意味は、今回の基礎的財政収支の2010年代初頭の黒字化というのはまず第1段階であるということでございます。そのあと、第2段階あるいは第3段階というものが控えている。財政健全化に向けての長い道のりの一つの段階として、2010年代初頭の基礎的財政収支の黒字化というものを位置づけるということでございます。

次に、このパラグラフの下のほうに移りまして、では具体的にどういうふうに議論を進めていくかということについての手順を書いております。3つ目のパラグラフでございますけれども、「具体的取組については、世代間の公平性など中長期にわたる検討課題も踏まえつつ、これまでの改革の成果の上に立って、政府の支出規模の目安や主な歳出分野についての国・地方を通じた中期的目標の在り方、さらには、歳入面の在り方を一体的に検討し、2006年の年央を目途に、『歳出・歳入一体改革』の選択肢及び改革工程を明らかにする」と書いてございます。

この年央といいますのは本年の6月でございまして、この6月を目指して、選択肢、改革工程を明らかにするための議論を、今、諮問会議で行っている。そして先週、その「中間とりまとめ」が出たということでございます。あくまでもこの6月の段階では選択肢ということでございますので、複数の選択肢が示されることになるだろうと考えております。

この点に関しては総理からも、一つに決め打ちはしない、あくまでも複数で考えるというふうにはっきりおっしゃっておられますので、そういったご発言も踏まえて、今後、検討していくということになろうかと思います。

それでは、複数の選択肢を示したあとで、いつそれを一つに絞り込んでいくのかということでございます。その点はこの一番下の下線部分をご覧いただければと思いますが、「2006年度中に『歳出・歳入一体改革』についての結論を得る」というふうに書いてございます。2006年度中ということでございますけれども、歳出・歳入一体改革の決まった内容を19年度から実行に移すことを考えますと、19年度予算に反映させていくためには、年内には結論を得ないと実務的には進んでいかないだろうというふうに考えております。経済財政担当の与謝野大臣も先日の記者会見で、19年度予算に反映していくという意味からすれば予算編成前に決定していかなければならない、というふうに発言しておられます。

以上が、「改革と展望」に書かれている歳出・歳入一体改革についての目標と手順ということでございます。これに沿って、今、諮問会議でまさに突っ込んだ議論が行われているということでございます。

1枚おめくりいただきたいと思います。そこに、「改革と展望-2005年度改定参考試算」、これも抜粋でございますが、掲げてございます。これは、「改革と展望」の文章をつくっていく上でそのバックグラウンドとなる経済の実態、財政の実態についての姿を描いたものであります。閣議決定の対象にはなっておりませんが、その背景となっている資料でございます。

ここに財政の姿がグラフであらわされております。国と地方合わせた基礎的財政収支の名目GDP比という形でお示ししております。実線で示されておりますように、2002年度、2003年度はマイナス6%近い赤字だったわけですけれども、これが2004年度、2005年度、2006年度と少しずつ改善しておりまして、2006年度にはマイナス2.8%、実額にして約14兆円の赤字というところまで来ております。

このあと、この実線は徐々に右上に向かいまして、2011年度にバランスする、ゼロのところに達しております。これはもちろん収支改善努力というものを行った上で、2011年度の黒字化というところに到達するわけでございます。「改革と展望」におきましては、2007年度以降も2006年度までの収支改善努力と同程度の努力を継続した場合に、2010年代初頭には黒字化に到達すると言っておりまして、そのように努力をした上でようやく到達できるということでございます。

この点線で書いておりますところでございますが、これは、改善努力がなかった場合にはどうなるかということを示したものでございまして、大体2%台半ばといったところで推移するという形になっております。

どの程度の改善努力が必要かということに関してですけれども、注の1をご覧いただきたいと思います。下のほうに下線で引っ張っておりますが、カッコのところはちょっと飛ばしていただきまして「追加的改善努力がない場合には、2011年度に基礎的財政収支は『基本ケースで』14.9兆円程度の赤字」ということでございます。このギャップが15兆円程度存在するということでございます。

これを埋めていくための努力がどの程度のものかということについて、「(注)2.」のところをご覧いただきますと、「同年度に基礎的財政収支を黒字化するための追加的改善努力として、仮に裁量的経費のみを削減するという便宜的な仮定をおいて機械的な計算を行った場合、2007年度以降、裁量的経費を『基本ケース』で年率5.5%程度(5年間で25%程度)削減することが必要となる」ということでございます。相当の削減努力が必要になるということでございます。

ここで一言つけ加えさせていただきますと、「改革と展望」をつくった当初は、基礎的財政収支がバランスする年について2010年代初頭と言ってきたわけですけれども、2年前には「2013年度にバランスする」というふうにイメージしておりました。それが、1年前には2012年度になりまして、今、2011年度ということで徐々に繰り上がってきております。そうしますと、2011年度以降、どのような努力をしていったらいいかということを、だんだんと現実的な問題として考えなくてはいけなくなってきているということでございます。

「中間とりまとめ」におきましては、2011年度の基礎的収支のバランスを達成したあと、どの程度の努力をすべきかということについての考え方を述べているわけでございますが、結論的に先に申し上げてしまいますと、基礎的収支のバランスを達成したあとは、経済規模との対比で見た債務残高GDP比を引き下げていくことを大きな目標として掲げていく。そのためには基礎的財政収支の黒字が必要になるわけですけれども、その黒字幅について、ある程度の黒字を達成するということを掲げていく必要があるのではないかということを言っております。

これもあとでまたご覧いただきますが、債務残高GDP比を安定的に引き下げていくために必要となる基礎的財政収支の黒字幅というものは、マクロ的な経済環境によって幅があるものになってまいります。成長率と金利との関係によって必要となる黒字幅も少し変わってまいります。この点は諮問会議でもずいぶん議論があったところでございまして、その点は後ほどご説明させていただきたいと思います。

また1ページをお開きいただきますと、今ご覧いただきましたグラフの基礎となる数字を並べてございます。マクロ経済の姿という上のほうの表をご覧いただきますと、一番上の段に並んでおりますのが実質成長率です。2006年度・1.9%から2011年度・1.7%ということで、1%台後半から2%弱といったところで推移すると見込んでおります。

名目成長率につきましては、2006年度・2%から2011年度・3.2%ということで、3%台まで上がってくる。

少し飛ばしまして、物価上昇率、消費者物価のところをご覧いただきますと、2006年度の0.5%から徐々に上がってまいりまして、2011年度には2.2%。それからGDPデフレーターでございますが、これは2006年度の0.1%から2011年度・1.5%と、消費者物価上昇率よりは低い伸び率で上昇してまいります。

それから失業率の数字がございまして、名目長期金利のところをご覧いただきますと、2006年度・1.7%から、これも徐々に上昇してまいりまして、2011年度には3.9%ということでございます。名目の成長率が約3%、名目の長期金利が4%というところが、この「改革と展望」で考えている基本ケースということでございます。

消費者物価の上昇率とGDPのデフレーターについて、ここでご覧いただきますように、GDPデフレーターのほうが消費者物価よりは伸び率が低いという関係がございます。名目の成長率を実質の成長率とGDPデフレーターに分けて、例えば実質が2%である、物価が2%だから名目は4%であるというような議論がよく行われるわけですけれども、この場合の物価というのは、名目成長率と実質成長率の変換のための物価ということで、本来これはデフレーターをとるべきものでございます。

通常言われている消費者物価ということで考えますと、この2%はもう少し高いものになるということであります。例えば実質2%、GDPデフレーター2%で名目4%という経済を想定するとしますと、消費者物価で言いますと、2.5%とか2.7%とか、3%に近い上昇率を想定することになる。そういう経済の姿、消費者物価で3%近いところまで上がっていくというのは、なかなか厳しいといいますか、本来そういう姿を目指すべきものなのかどうなのかという意味で、考えるべき点があるのではないかというふうに思います。

ちょっと横道にそれましたが、その下の表をご覧いただきますと、国と地方の財政の姿というのを書いております。真ん中の段に基礎的財政収支というのがございまして、国と地方と分けておりますが、合計のところをご覧いただきますと、2006年度に2.8%の赤字、これが2011年度に向けて徐々に赤字幅が縮まりまして、2011年度にはゼロに達するという見込みであります。

国と地方をご覧いただいておわかりになるとおりでございますが、地方のほうはわずかながら黒字でございます。国のほうは赤字になっております。2011年度時点でご覧いただきますと、国がマイナス0.8%、地方がプラス0.8%。国と地方合わせますとゼロということでございますけれども、国と地方にばらしますと、ご覧のような形になっているということで、国のほうが財政は厳しいということでございます。

次の4ページはちょっと飛ばしていただきまして、5ページをご覧いただきたいと思います。国と地方の基礎的財政収支をグラフ化したものでございますが、諮問会議にも提出した資料でございますけれども、交付税特会の扱いをここでは少し工夫しております。交付税特会は一応統計上は国ということで位置づけられておりますけれども、交付税特会の借入れが国の負担分と地方の負担分とに分かれておりまして、これを実態に合わせるという意味で、国分、地方分にばらして計上した場合にどうなるかということでお示ししたものでございます。国と地方の差が、先ほど表でご覧いただいたものよりもさらに拡大している格好になっております。2011年度のところをご覧いただきますと、国がマイナス1.4%、地方がプラス1.4%ということで、先ほどはマイナス0.8と0.8ということでしたけれども、それよりもさらに差が広がった形になって見えるということでございます。

次の6ページ、7ページの資料は省略させていただきます。

8ページから、4月7日、先週金曜日に諮問会議に提出した資料でございますが、中間とりまとめの参考資料という位置づけで出したものでございます。「複数のマクロ経済の姿と財政健全化についての試算」ということでございます。実はこの資料そのものは実質的には3月16日の諮問会議にも出しておりまして、そこでの議論も経たものということでございます。

1ページおめくりいただいてご覧いただきたいと思いますが、PBを2011年度に達成したあと、債務残高GDP比率を持続的に引き下げていく。そのためには、PBの黒字をどのくらい維持していく必要があるかということについて、これはマクロ経済との関係で変わり得るということですけれども、ここでは成長率について3つ、2%から4%、長期金利について3通り、3%から5%、3×3で9通りのケースについて、どの程度の黒字が必要になるかということを表の形にして示しております。

例えば、成長率に対して金利が1%高いケースが、この表で言いますと、ちょうど右下がりの対角線上に3つのケースが並んでおります。成長率2%・長期金利3%のケース、成長率3%・長期金利4%、成長率4%・金利5%という3通りあるわけですけれども、このあとのシミュレーションにおきましては、真ん中の成長率3%・長期金利4%のケースを取り上げてお示ししております。

それから、成長率と金利が等しいケースも考えていく必要がありまして、この場合には、ここでは3%・3%、4%・4%とありますけれども、あとのシミュレーションでは4%・4%のケースを(2)としておりますけれども、これについて見ております。同様に金利が成長率より2%高いものについては、成長率2%・金利4%のケースを以下のシミュレーションで取り上げています。これを(3)としております。

逆に、成長率が金利よりも高いケース、成長率4%・金利3%というケースがありまして、これを(4)としてあとのシミュレーションで見ております。

それぞれのケースについて、カッコにありますように、PBの必要となる黒字幅は変わってまいるということでございます。

次に、もう1枚おめくりいただきたいと思いますが、いま申しました9通りのうち4つのケースを取り上げまして、その4つのケースそれぞれについて、PBの改善努力をどの程度するかということでそれぞれ3通り考えております。

PBの均衡を達成すればそれでよいというのが[1]であります。1%黒字まで目指すというのが[2]であります。2%黒字達成を目指すというのが[3]であります。

下のほうの四角で囲っているところをご覧いただきたいと思うのですが、大体どの程度の努力になるのかというのをイメージしていただくために書いております。上記の改善努力を歳出削減だけで達成するためには、追加的な改善努力のない場合に比べて、2011年度PB均衡の場合には、10%台後半の歳出削減(GDP比3~4%程度)、2015年度PB2%黒字を達成する場合には、3割程度の歳出削減。歳出削減だけで達成するためには3割程度歳出削減をしないと達成できないということでございまして、これは相当の歳出削減になろうかと思います。

1ページおめくりいただきたいと思います。(1)のケース、成長率が3%、金利が4%のケースをお示ししております。実は3月16日の諮問会議におきましてはこれを「基本ケース」と称しておりました。しかしその点について、ほかのケースも同様のウエートで考えるべきであるというご議論がなされまして、それ以降は、これについて基本ケースということは言わないようにしております。

このケースについて、左のグラフでございますが、これは国と地方合わせた公債等残高GDP比でございます。ご覧いただいておわかりいただけますように、2011年度PBの均衡を達成したあと、引き続き、PBの均衡を維持するだけですと、この公債等残高GDP比はまた上に向かって発散していくという姿になります。1%の黒字まで努力を積み上げていくということをいたしますと、多少下がってくる。2%の黒字というところまで努力すると、持続的に低下する姿が描けるということでございます。

これは国と地方合わせた公債等の残高についてのグラフでございますが、国と地方にばらしてみますと、右方のグラフでございます。地方については、いずれにしても下がっていくという姿が描けるわけですけれども、国のほうでご覧いただきますと、ある程度の改善努力をいたしませんと下がっていかないということでございます。ここでは、PB2%の黒字でもわずかな低下にとどまることがお見取りいただけるかと存じます。

次のページでございますが、4%成長・4%金利ケースというものでございます。この場合は、(1)のケースよりはある意味楽ということになりまして、国と地方合わせた公債等残高のGDP比率はPB1%黒字の改善努力で下がっていく、2%ならさらに下がっていくという形になっております。右方の国のほう、地方のほう、ばらしたものをご覧いただきますと、地方は相変わらず下がっていくわけですけれども、国については、先ほどよりは多少改善の姿が見えてくる、PB1%の黒字でようやく安定化して、2%の改善努力でやや低下するという姿になります。

次のページでございますが、かなり厳しいケースで、成長率2%・金利4%ということで、金利のほうが成長率よりも2%上回る場合でございます。この場合は、国と地方合わせた場合、PB1%の黒字を得るための改善努力では、発散する。2%程度の努力がないと低下していかないということであります。国と地方それぞればらした場合には、地方のほうは下がっていくわけですが、国についてはPB2%の改善努力でもまだ足りないという姿になっております。

次のページでございますが、4%成長・3%金利ケース、成長率のほうが金利よりも1%高いというケースであります。この場合は、グラフで明確に見られますけれども、PB均衡というところでとどまったとしても、国・地方の公債等残高GDP比は下がっていくということでございます。国・地方でばらした場合、右方のほうでございますが、国の債務残高GDP比率はPB均衡というところにとどまったとしても、何とか安定化するといった姿が描けるということでございます。このように、ユートピア的ケースといいましょうか、桃源郷的ケースといいましょうか、こういうケースがあれば誰もがハッピーなわけで、そういった場合ではこういうことも可能なわけですけれども、果たしてこういうケースというものが持続可能かどうかという点は、ご議論があるところかと思います。

次のページからは、実は、歳出・歳入一体改革の諮問会議での議論を進めていく上で、タスクフォースあるいはワーキンググループを設けまして、かなり精力的な議論をしていただいております。15ページ以降は、WGを6つ設けたわけですけれども、その6つのWGの議論の整理ということで、3月時点で議論の整理をしたものが並べられております。

もう1ページおめくりいただきますと、WGでご議論いただいた先生方のお名前が掲げられております。このWGはタスクフォースの下に設けるということで位置づけられておりまして、一番上のマルにありますように、諮問会議の民間議員4人と、伊藤元重先生、井堀利宏先生、翁百合日本総研主席研究員の方に入っていただいてタスクフォースをつくっているわけでございます。これまでタスクフォースは11回開催いたしました。また、WGは6つ合わせて計47回開催したところでございます。その成果がこの議論の整理、それから「中間とりまとめ」という形になってあらわれているということでございます。

それから、資料のご確認という意味で触れさせていただきますと、42ページのところでございますが、「歳出・歳入一体改革に係る数値目標等」ということで、歳出・歳入一体改革関連のこれまでの閣議決定、あるいは有識者議員の提言について整理したものでございます。これも諮問会議に提出しております。これから議論していく上で、こういった閣議決定、あるいは有識者議員の提言をしっかり踏まえて、6月に向けた選択肢、改革工程を議論していくということでございます。

以上で、この厚いほうの資料のご説明は終了させていただきまして、薄いほうの資料、「中間とりまとめについて」というほうに移らせていただきます。

1ページ目に、諮問会議における検討の経緯ということで、昨年の12月6日に与謝野大臣のもとで本格的な議論が始まったということでございます。それからほぼ毎回のように、諮問会議で歳出・歳入一体改革を議題として取り上げてきております。一番下、3月29日で終わっておりますが、実は先週4月7日もやっておりますので、4月7日まで議論を重ねてきたということでございます。

次のページにはタスクフォースの開催実績が掲げられております。12月20日から開催しまして、第2回には柳澤自民党税制調査会長にもお越しいただいて意見交換等をしておりますが、ご覧のような議題で議論がなされてきたということでございます。

もう1ページご覧いただきますと、これは、先ほどご覧いただいたワーキンググループの委員の方々の名簿でございます。

もう1ページおめくりいただきますと、「歳出・歳入一体改革」中間とりまとめということで、本日の本題に入らせていただきたいと思います。

4月7日の経済財政担当大臣名でまとめたということでございますが、最初の3行は位置づけを書いております。「諮問会議ではこれまで、『歳出・歳入一体改革』の選択肢、工程表のとりまとめの土台となる考え方について検討を行ってきた。今後、各論を含め具体的検討に入るにあたり、これまでの検討を踏まえ以下のように一体改革の基本となる考え方をとりまとめることとしたい」。

以下、3本立てで構成されておりまして、改革の時間軸、改革の基本「原則」、7つの原則を掲げております。それから、2ページ目の下のほうですが、「選択肢」検討の枠組みといった3本立ての構成になっております。

まず、改革の時間軸ということでございますが、最初のパラグラフではこれまでの経過を述べております。「小泉内閣は、民間需要中心の持続的成長と財政健全化という2つの大きな課題に取り組み、財政健全化については、債務残高の発散的な増大を阻止し、財政を持続可能なものにしていくため、その第一歩として2010年代初頭の基礎的財政収支黒字化を目標として着実に成果を上げてきた」。

その次のパラグラフで、I期からIII期まで期間を分けて考えるということを述べております。第I期は、これまでの改革ということですけれども、第II期が07年度から2010年代初頭。この間に基礎的財政収支黒字化を確実にするということであります。さらにその後、債務残高GDP比を安定的に引き下げることを目指す第III期が位置づけられる。これが2010年代初頭から2010年代半ばまでということで書いてございます。

次に、改革の基本「原則」ということでありますが、原則1「徹底した政府のスリム化で、国民負担増を最小化する」。

このために、小泉内閣の下で決定したすべての改革・数値目標を確実に実現する。その上に立って、さらに歳出削減、資産売却、特別会計改革等に最大限の取組を行い、必要となる国民負担増をできる限り圧縮する。

原則2「成長力を強化し、その成果を国民生活の向上と財政健全化に生かす」。

潜在成長率の強化を通じて実質成長率の向上に努める。その成果により、国民生活の向上を図り、将来世代を含む国民負担増を圧縮する。デフレから脱却し、民間需要主導の持続的な成長と両立するような安定的な物価上昇率を定着させる。

原則3「優先度を明確化し、聖域なく歳出削減を行う」。

特別会計、独立行政法人等を含め、聖域なき歳出削減・合理化を実行する。その際、政治的リーダーシップを発揮して優先度を明示し、一律的な歳出削減方式を排すということで、めりはりをつけた歳出削減をやるということでございます。

原則4「国・地方間のバランスのとれた財政再建の実現に向けて協力する」。

国と地方それぞれの財政健全化目標を策定し、国と地方の相互理解の下でその実現に向け協力する。財政状況がきわめて厳しい国についても、2010年代半ばに国債等の債務残高GDP比が反転することを目指す必要がある。

地方については改革努力を今後も継続し、歳出の大胆な削減、基準財政需要の見直し、現在の基準を見直すことによる不交付団体数の増加をはじめとする地方交付税制度の改革等を加速する。併せて、国と地方の事務配分、税源配分の見直し、補助金の見直しと重複行政の排除等を進める。

原則5「将来世代に負担を先送りしない社会保障制度を確立する」。

受益・負担の世代間格差を緩和し、持続可能な社会保障制度を確立するために、改革に強力に取り組む。社会保障給付のさらなる重点化・効率化を推進する。その一環として、社会保障の効率化にも寄与する社会保障番号、社会保障個人会計を導入する方向で早急に検討を進める。社会保障のための安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りをやめる。社会保障の給付の水準・範囲と、それに見合った負担のあり方について国民的議論を経て決定するべくわかりやすい選択肢(給付と負担の組合せ)を提示する。

原則6「資産売却を大胆に進め、バランスシートを圧縮する」

資産売却収入は原則として債務の償還(ストックはストックへ)に活用する。資産・債務を両建てで削減し、金利変動リスクを軽減する。地方にも同様の改革を要請する。諮問会議の下に専門調査会を設置し、国・地方を通じた資産・債務改革、特別会計改革、公会計制度改革のあり方を検討し、その改革を加速する。

原則7「新たな国民負担は官の肥大化には振り向けず、国民に還元する」。

「経済の活性化」を重視した税制改革を推進する。勤労世代への負担集中を回避し、経済に歪みを生じさせない中立性や国際競争力を重視する。新たな国民負担による財源は、官の肥大化には振り向けず、国民に還元することを明確にするなど国民の理解を深める。

3.「選択肢」検討の枠組み。

[1]マクロ経済の姿。

複数のマクロ経済の姿(成長率、金利等)の下で、改革のあり方を検討する。ここの参考といいますのは、先ほどご説明しましたシミュレーションのグラフ等が載っておりました資料でございます。その際、マクロ経済の姿と財政健全化策が両立可能かといった点に留意する。

[2]「財政健全化」と「成長力強化」。

「市場の信頼につながる堅実な財政健全化」と「潜在成長力強化による実質成長率の向上」の両立を最重視する。同時に、マクロ経済を大きく減速させない着実な財政健全化ペースを守るとともに、内外の経済変動リスクに配意する。

[3]財政健全化の数値目標。

基礎的収支黒字化の後、債務残高GDP比の引下げを実現するための基礎的収支黒字幅を示す。これは国と地方合わせた基礎的収支黒字幅でございます。国・地方それぞれの財政健全化について数値目標を明らかにする。

[4]わかりやすい選択肢。

必要となる収支改善努力額とそれを実現するための政策手段の組合せを国民に明示する。この政策手段の中には、歳出削減、あるいは歳入増をどうするかといったようなことが入ってくるだろうと考えます。社会保障給付など行政サービスの水準と国民負担の水準の組合せを選択肢としてわかりやすく示す。また、「政府の大きさ」、「国民負担率」などをあわせて示す。国民にわかりやすく健全化の道筋を提示するために財政健全化第I期、第II期、第III期の全体を見通して具体策を検討する。

最後の2行ですが、「この『中間とりまとめ』を踏まえ、6月の選択肢、改革工程表の策定に向け、諮問会議としては、歳出・歳入両面の改革方策等について、関係大臣等の出席も求め、集中的に検討を進める」ということで、本日の閣議のあとの閣僚懇談会で、与謝野大臣から関係大臣に、協力をお願いしたいという発言をいたしました。総理からも、各省よく協力してほしいという趣旨のご発言があったというふうに聞いております。

今後は諮問会議におきまして、この「中間とりまとめ」を踏まえて各論の議論に入っていくことになろうかと思います。各論の議論をしていく際には、関係する大臣にも諮問会議にお越しいただいて議論をしていただくことになっていくのだろうと考えております。

それから、このペーパーには何も書いてございませんけれども、党との関係について申し上げなければいけないと思うのですが、与謝野大臣から中川政調会長に対して、歳出削減の目安について党のほうでも検討をお願いできないかという依頼をしております。これについては与謝野大臣から政調会長にお願いしているだけではなくて、総理からも、党のほうでよく検討してほしいという指示が出ていると聞いております。

今後、与党でのご検討、諮問会議での検討がおそらく並行し、かつ、連携しながら進められていくのだろうと考えております。また、与党と政府との間で何らかの会議の場をつくりたいという発言も与謝野大臣はしておられまして、この点についても、今後、検討されていくのだろうというふうに考えております。

以上、ちょっと時間を超過してしまいましたけれども、とりあえずここで一たん説明を区切らせていただきたいと思います。ありがとうございました。

石会長

どうもありがとうございました。大変的確に、かつ、わかりやすくご説明いただいたと思います。官邸を中心としてどんな議論があるかということについて、数字を入れていただきまして、よく理解できたと思います。

それでは、若干時間がありますので議論に入りたいのですが、その前に、この間、宿題が事務局に出されております。弾力性の話だと思いますが、簡単に永長総務課長からご説明いただいて、その後質疑応答の時間にしたいと思います。

では、永長さん、お願いします。

永長総務課長

お手元の「総42-3 補足説明資料」というのをご覧いただきたいと思います。

前回、林委員から、税収弾性値の動向について教えて欲しいというご指示がございました。そもそも税収弾性値とは何かということなのですが、分母に名目成長率、いわゆる経済規模の伸び、分子に税収の伸び。伸び率分の伸び率、これを弾性値というふうに呼んでおります。経済規模が1%増えた場合に税収のほうは、例えば今、我々が機械的に使っているのは1.1ですが、1.1%増える、こういうことでございます。

これはあくまでかわいた数字でございまして、我々もこの税収弾性値という数字は予算編成の際の作業では使っておりません。ある種機械的な中期推計、これを行う場合にこの数字を使っているわけでございます。

資料1ページ、表紙をお繰りいただいて、各年度の税収弾性値の推移というものがございます。税収弾性値、中期推計に使っているということでございますが、単年度ごとの弾性値を見ますと、どうしてもドカスカが出てしまいます。例えばボトムから這い上がるときの税収の動きであるとか、実は大きいのは名目成長率、分母になるところでございますが、この数字が小さくなってくると、分子の税収の伸びの多少の大きさ、変動が、分母が小さくなるものですから、かなり拡大される、こういうような事情もございます。そういうことで、一定の中期的な期間を通じた安定的な税収弾性値を用いる必要があるのですが、ここをご覧いただきますと、バブル以前は多少は安定していたかなと。

次のページ、2ページをご覧いただきますと、税収弾性値、太めの折れ線グラフでございますが、先ほど申しましたように、単年度ごとではなくて10年の移動平均、これをプロットしたものでございます。大体1.1前後でずっと安定しておったのですが、いわゆるバブル崩壊、その辺から数字がぐじゃぐじゃになる。ただいま申しましたように、そもそも分母の成長率が小さくなるという問題もありますし、また、名目成長率がマイナスになる。名目成長率がマイナスで税収もマイナス、実はこの場合でもプラスの弾性値になる。逆に、成長率が若干マイナスで、それでも税収が少し伸びたと。これは弾性値がマイナスになる。ある意味ではバブルの前後からとっている実際の単年度の弾性値というのは、あまり使えない数字になってしまっているということでございます。

ここでご覧いただきますと、左側のほうですが、名目成長率が8%近い。51年~60年、この10年間の平均でございますが、そのときでも実は1.1前後で推移しておったということでございます。経済成長が進めば弾性値も増えるのかというご議論もあるわけですが、少なくとも数字としてはこのようなものが立っております。

そもそも論でございますが、税収弾性値が1を上回る要素というのは、突き詰めて考えますと、所得課税の累進構造にあろうかと思います。すなわち所得水準が伸びた場合、限界適用税率が上がっていく。これによって経済規模の伸びよりも大きな税収が入っていくわけでございます。

ちなみに、間接税、消費税のような場合には、比例税率、実は法人税も比例税率でございますが、最近はむしろ間接税の占める割合が大きくなっているということもございますし、先ほど申し上げた所得課税の累進構造も、この一番左で言うと、51-60年、50年代に比べると、最高税率70%時代からするとかなりフラット化が進んでおり、弾性値を押し上げる要素というのは所得課税では小さくなってきている、こういう事情があろうかと思います。

では、何ゆえ最近すごく伸びているように見えるのかということでございますが、要するに法人税でございます。経済、マクロ全体の伸びよりも企業収益の伸びが大きく上回る場合には、やはり税収もかなりの伸びが示されるということでございます。

資料の3ページをご覧いただきますと、同じように昭和50年以降、所得税、法人税、消費税の自然増減収、いわゆる税制改正等による影響を除いて、自然的に生じている増収・減収をまとめたものでございます。50年代、所得税で申しますと、ずっとプラスであったわけですが、昭和の終わり、平成の初め、この辺がバブル税収。株や土地のキャピタルゲインというのがかなり効いております。このキャピタルゲインというのは実はGDPの中に入っておりません。そういう意味では分母に入っていない税収がかなり入ってきた。これが所得税の姿でございます。

そのあと、バブル税収が剥落する。さらには、所得税の大きな税収源である総給与所得が伸び悩む中で減収が続いております。最近、いろいろなことで持ち直りがあって、16年度においてはプラスになっているということでございます。

それから法人税をご覧いただきますと、法人税の特色でございますが、経済の伸びに対してかなり上回る成長を示すときがございます。当然、そういうときは自然増収が入ってくる。これが単年度の弾性値を引き上げるわけでございますが、実は下がるときもかなりあるということでございます。要は「行って来い」が大きい、振れの大きい税収になっているということでございます。

さらに、消費税。参考までに書いてございますが、先ほど申しましたように、基本的には個人消費の総額に比例して税収が入ってくるということでございまして、これは、税制改正、すなわち税率の引上げ等は全部差し引いた後で書いてございますが、基本的にはそんなに大きな振れを示さない。そういう意味では安定的な財源になっている、こういうことが言えようかと思います。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。

それでは、今の永長さんのご説明も含めて、これから残った時間、歳出・歳入一体化、特に歳入面、歳出面、あるいはプライマリーバランスの黒字化、長期目標等につきまして、ご意見なりご質問を賜りたいと思います。

どうぞ、どなたからでも結構です。

河野委員

改革の基本「原則」というのが7つあります。最初にこの勉強を始めたときに原則が幾つあったのか。途中から何が追加されてどこの文章が強化されたのか、経過がわかるなら教えてもらいたい。

齋藤参事官

歳出・歳入一体改革の原則という形で、6月の選択肢、改革工程を出すに至るプロセスの途中段階で出した原則としては、今回、これが始めてということかと思います。ただ、ここの原則に書いておりますようなことは、これまでの諮問会議でのいろいろな議論の中で出てきているものでありまして、特に目新しいものはあまりないのではないかと思います。

評価といいますか、今回、「中間とりまとめ」を行うにあたって、これまであまり明確には示されなかったけれども、今回かなり明確に示されたという点があるといたしますと、例えば原則4の最初にありますような、「国と地方それぞれの財政健全化目標を策定」といったようなことは、これまで、こういった必要性については述べられてきたかと思いますが、このように原則という中で位置づけることはあまりなかったのではないかと思います。

それから、その次、「国についても、2010年代半ばに国債等の債務残高GDP比が反転することを目指す必要がある」というところも、ここまではっきり書いたことはこれまでなかったことではないかというふうに思います。

その他のことについては、そういう表現を使っているかどうかは別として、これまでも述べられてきたことを諮問会議でも議論されたり、あるいは意見として述べられてきたようなことを、こういう「原則」という形にまとめたということかと思います。

石会長

明確にしてかなり踏み込んで書いていただいたと。

では、川北さん。

川北委員

原則7に「新たな国民負担」という表現があります。これは要するに増税のことなのでしょうけれども、増税というふうに書くのはまずかったわけですか。

齋藤参事官

よくご理解いただけるのではないかと思いますけれども、国民負担というのが原則7ということで最後に来ていることが非常に象徴的なわけですが、将来に向けて財政の持続可能性を回復していくために必要な収支改善努力というものが与えられた場合に、まずは政府のスリム化、歳出の削減、あるいは資産の売却等、最大限努力する必要がある。その上でなお足りない分については何らかの形で国民の負担を求めなければならない。この国民の負担というのは、もちろん、税という形で新たな負担をお願いすることもあるわけですけれども、それは最後の手段といいますか、そういう位置づけにしておりまして、これから議論していく中で、必要性というものについても国民の理解も深まっていくのではないかということに期待して、ここではその点を先走って述べることは避けているということかと思います。

原則1というところをちょっとご覧いただきたいと思いますけれども、今言ったようなことが書いてあります。先ほども読みましたとおり、「歳出削減、資産売却、特会改革等に最低限の取り組みを行い、必要となる国民負担増をできる限り圧縮する」ということで、国民負担増はやはり必要となるという認識でいるわけでございます。それをなるべく圧縮するということでございます。

石会長

増税というご質問だけれども、国庫負担増の中に社会保険料引上げも含めての話なのでしょう。違うのですか。税だけの話ですか、国民負担増の意味は。

齋藤参事官

会長おっしゃるとおり、税だけではございません。

石会長

社会保障負担も入っていますね。

齋藤参事官

はい。

石会長

だったら増税とは書けないですよね。

齋藤参事官

はい。

石会長

そういう意味ではないですかね。それでよろしいですね。

川北委員

はい。それともう1点、最初のポツのところで「勤労世代への負担集中を回避し」とあって、これは、所得税はそんな増税しませんよということでしょうね。それから、「国際競争力を重視する」というところで、これは法人税はまだ上げませんよということで、「経済の歪みを生じさせない中立性」というところで、ここで消費税に行きたいというような感じがとれるのですが、そういうふうに受け取っていいのでしょうか。

石会長

何か謎解きの質問のようですね。

どうぞ。

齋藤参事官

これは「中間とりまとめ」という位置づけでありまして、これからこういう原則に基づいて議論していくということでありますので、私がここで、この表現はこういうことを意味すると言ってしまいますと、そのあとの議論を先取りしたようなことになってよろしくない面もあろうかと思いますが、今、委員がおっしゃったようなことはこの文章を読む上で別に不自然なことではないと私は思います。

石会長

では、尾崎さん、どうぞ。

尾崎委員

多分私の理解が足りないのだと思いますけれども、原則6ですが、「資産・債務を両建てで削減し」というところです。バランスシート調整ですけれども、民間の企業にならえという話ではないかという気がするのですが、民間の企業というのは利益が出ていてもバランスシート調整をやっています。だから、バランスシート調整の話というのは赤字の話とそんなに密接に結びつくのだろうかということです。つまり、バブル崩壊後に資産価値が下がって、帳簿上の資産が水ぶくれになっているものを調整するということで、資産・債務の見直しをするというバランスシート調整というのをやったような気がするのです。ただ単に資産を売って赤字を減らすということではなかったような気がするのですけれども、こんなに直に結びつけて考えていいものかどうかということについて、どうでしょうか。ちょっと教えていただきたいのですが。

石会長

どうぞ。

齋藤参事官

ここの文章の書き方は多少言葉足らずのところもあって、今、ご質問をお伺いして思ったのですけれども、2つのことが書いてありまして、政府の資産を売却できるものは売却する、売却することによって既存の債務の圧縮を図るというのが1つございます。もう1つは、資産・債務両建てでバランスシートを圧縮する、そのことによっていろいろなリスクの量を削減するということがあるかと思います。

今、尾崎委員がおっしゃったことは、2つ目の、資産・債務の規模を小さくして様々なリスクの量を小さくするという意味の努力というのは、それは赤字だろうと黒字だろうと、企業が常に取り組んでいるように国も取り組むべき課題であると。そういう意味でおっしゃったのかと思いますが、それは全く私もそのとおりだと思います。仮に赤字でなくて黒字であったとしても、リスクを軽減するという観点から資産・債務の中身の見直し、水ぶくれ部分があればそれは見直していくことは必要なことだろうというふうに思います。

石会長

尾崎さん、どうぞ。

尾崎委員

私が疑問に思ったのは、バランスシートと損益計算書のつながりの問題なのです。企業の損益計算書、利益とか損失というのと国の歳入は違うわけです。だから、そんなに直に結びつけて考えて問題が解決できるのだろうか。たしかに資産を減らして負債も減らすということになるのですけれども、その負債というのは、今や毎年毎年、新しく借り入れているわけですから、企業がときどき大きな設備投資のための借入れをするという話と違うわけです。こんなに単純にアナロジーで考えて本当にいいものかどうかというのは、この説明を聞きながらふとわからなくなったのです。あまりそういう議論というのは出ておりませんでしたか。

石会長

では、事務局のほうから。

松浦理財局調査室長

理財局調査室長をやっております松浦でございます。財務省において、資産・負債を担当しております。

今のご質問ですけれども、「参考資料」という横長の資料がございますが、そこの16ページをご覧いただきたいと思います。「資産の分類」というポンチ絵でございますけれども、今のご指摘は、国と民間企業は違うのではないかというご指摘だったと思いますが、まさに資産・債務改革において国の資産というのはどのようなものがあるのかということをこの表において示したものでございます。現在、15年度末ですけれども、国の資産、約700兆円ございまして、そのうちここで示したものは、売却して財源となるもの、売却しても財源とならないもの、国の役目として本来保有すべき資産であり、そもそも売却できないものということで3つに分類しております。

ポンチ絵のうち、出資金、一般庁舎・宿舎、未利用国有地というものを、売却して財源になるものと整理させていただきまして、3月16日の諮問会議において、トータルで11.5兆円を売却してこれを財源に充てるという報告を財務大臣からさせていただいております。

二重線から下の部分、防衛施設等と書いてありますけれども、こういうものは本来、政府の役割として売却にはなじまないもの、外為資金、年金寄託金、道路・河川等の公共用財産についても、それぞれ政策目的で保有しているもの、年金のように国民から預かっているもの、公共財産のように国民共有の財産として保有しているもの、これについても売却になじまないものというふうに整理させていただいております。

最後の財政融資資金貸付金については、財投債というものを発行して特殊法人や独立行政法人に貸し付けております。いわば有利子負債と有利子資産が見合った資産でございますけれども、「小さな政府」を目指し、なおかつ国の資産を圧縮するという観点から、ここも圧縮していく。ただし、財政投融資資金貸付金については財源にはならないということで整理させていただきまして、先ほど内閣府から説明がありましたように、財源にはなりませんが、国に内在する金利変動リスクを減少させる観点から、ここも減らしていくということで整理させていただいているところでございます。

石会長

食い違っているところもあるかもしれませんが、ほかにいろいろ質問があると思いますので、また後ほど機会を見てと思います。

では、菊池さん、どうぞ。

菊池委員

まず、厚いほうの3ページのこの試算です。こういうのにケチをつけてもしようがないところはあるのですが、物価の上昇見込みですけれども、0.1から0.5になって、次、1.1になると。速度からいくと、そのあと、1.6、1.9、2.1、2.2とマイルドにおとなしくなっていく、そういうふうに見通すしかないのかもしれませんけれども、一般的見通しでは、大体こうなると急速に上がっていくのが普通のような気がするのですが、過去の景気回復期において、物価がこういうふうにマイルドに上がっていったというのは何回かあるのでしょうか。それが一つ。

あと、その下の、国と地方の財政の姿ですが、2011年度のときを今から思い浮かべると、そのときについにゼロになったぞと、きっと新聞としても喜んで書くわけですけれども、国は赤で地方は黒だよという言い方で、合わせてゼロだよ、よかったねと言えるのかどうか。そこのところは、やはりその逆でないと姿としては美しくないのではないかというふうに思います。それを前提にして、両方ゼロ、ゼロでもいいのですけれども、盛り上がりに欠けるであろうと。

もう一つは、そこのところで、実際には赤字国債はその年もたんまり出すわけですが、そこのところが非常にわかりにくいから、ゼロになるところで、そこが一つの目標であるというのを設定しておいて、ゼロになっていないというのは、印象がよけい難しいなという気がします。

あと、違う紙で、「中間とりまとめ」ですけれども、これをよく読むと、しようがないといえばしようがないのですが、例えば「改革の時間軸」というので、「財政健全化に一貫性をもって継続的に取り組む」と言っていますが、「誰が」というのがない。小泉さんは辞めてしまうからしようがないといえばしようがないのですが、2010年代半ばまで第III期。まだ第I期が、終わったというか、終わっていないというか、I期ですよね。第II期までは多少流れでありますけれども、第III期というのは、この書いてあることに対して責任を持つ人はどこにもいないのではないかという感じがするのですが、そこら辺はどうお考えでしょうか。表現で何かもうちょっと工夫してもらわないと、次の内閣もこれによって縛るのだとか、そんなことを言ってもきかないかもしれませんが、それがないと、読むほうとしては何か漠として、勝手に言ってろという感じが非常にします。

あと、5ページ、原則7の「新たな国民負担は官の肥大化には振り向けず、国民に還元する」というのは、一見、それはそうだとは思うのですが、考えてみると官の肥大化と国民に還元するということが、片方いけないこと、片方いいことという感じで、そういうふうに分けてしまっていますが、官だって悪いことばかりやっているわけではないです。これだと官は悪いことしかしていないというふうに私には読めます。

石会長

今、4つ質問が出ましたので、手短にお答えください。

齋藤参事官

まず、原則のほうでございますけれども、官の肥大化というのは、官にお金を回すことがすべて悪いということではないのですけれども、ここには肥大化とありますように、肥え太ることはよくないということでご理解いただければと思います。

それから、改革の時間軸、誰が責任を持ってやっていくのかということですが、この文章は、今、中間とりまとめということでこういう位置づけになっておりますけれども、いずれ諮問会議等で議論し、6月には選択肢となり、年度中あるいは年内には結論を得るということで、何らかの結論を得られた場合には閣議決定なり何なりの形式で、後々、政府を縛るような形でなっていくだろうと思いますので、そこは何らかの形で担保する必要があるだろうというふうに考えております。

それから、消費者物価の上昇率、こんなにスムーズに上がっていくのかというご指摘で、過去そういうことがあったのかということですが、今、手元に過去のデータはないのですが、過去は、原油価格が上がったりバブルがあったり、そのときどきの経済状況によって、あるいは円高、円安といったようなことがいろいろ攪乱要因として働きますので、過去の変化をとりますと、こんなふうにスムーズには行っていないのだろうと思います。将来を見通す場合には、やはりモデル等を使ってやるしかありません。そうしますと、どうしてもこういう形でスムーズに変数は動いていく。これはモデルの特性上こうならざるを得ない。逆に言いますと、将来の石油ショックを予測するわけにもいきませんので、そこは内閣府に限らず、すべての予測機関はみんなこのような形になっているのだろうと思います。

それから、2011年度に、プライマリーバランスが達成する、国・地方合わせてゼロになるのは大変結構だけれども、国が赤、地方が黒というのは美しくないということでございますが、それは全くそのとおりだと思います。であるからこそ、国についても早くプライマリーバランスを達成し、債務残高GDP比を反転させることが必要だということを原則4のところで述べているわけでありまして、それがやはり望ましい姿で、国も地方も足並みを揃えて改善しているというのが最も美しい姿だろうというふうに思います。

石会長

ほかに、別な点でも結構です。

では、村上さん、どうぞ。

村上委員

こだわるわけではないのですが、5ページの原則7の2つ目、「新たな国民負担による財源は、官の肥大化には振り向けず、国民に還元する」と。これはもうちょっと具体的に、例えばこういうことが考えられるというのがありましたら教えていただきたいのです。というのは、このまま読んでも何を指しているのか私にはわからないのです。例えば還元するのだから減税かなと考えれば、減税というのは、官の肥大化というか「大きな政府」の一つだと思うのです。財源が必要になってくるわけですから。そうすると、最初から国民負担を求めない、これは「小さな政府」でいいのかなと思うのですけれども、新たな国民負担を求めるわけですから、それをどうやってどういうところへ返していくのか、還元するのか。ちょっとわからないので、例えばで結構ですから具体例で教えていただけませんか。

石会長

何かございましたら。

齋藤参事官

そこもこれからの議論に委ねられる部分が大きいのだろうと思いますけれども、例えばということで申し上げますと、社会保障の給付がこれから大きくなっていくということを考えますと、その給付の増加を賄うために国民に新たな負担をお願いするということがあるとしますと、その負担というものは社会保障の給付という形で国民に還元されるということになるのだろうと思います。それが一つの例ではないかと思います。

石会長

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、岩さん。

岩委員

尾崎さんの質問の蒸し返しみたいですけれども、ちょっと確認です。先ほど理財局が説明してくれた参考資料の16ページ、一番下の財政融資資金貸付金、この部分が原則6に含まれているのかどうか。もっとはっきり言えば、自民党が言っている例の100兆円、ああいう信じられないような話をここに含んでいるのかどうか。もし含んでいるとすれば当然キャピタルロスみたいなものが出てくるはずでしょう。では、それはどういうふうに考えているのか、その辺の確認なのですが。

石会長

もし現段階でおわかりになれば。

松浦理財局調査室長

原則6の1番目に「資産・債務を両建てで削減し、金利変動リスクを軽減する」と。まさにここに財投貸付金の縮減が含まれておりまして、財投の資産を圧縮しますと、先ほど説明しましたように債務である財投債のほうも減りますので、その意味で資産・債務を両建てで削減し、財投にとっての金利変動リスクを軽減するということになります。これが第1点目の質問への回答です。

第2点目、自民党案の100兆円の売却案についてですけれども、委員のご指摘のように、100兆円を証券化して売却するとなると、国と財投機関の信用力の違いなどにより売却損が発生するのではないかということも考えられますし、いろいろ金融機関の手数料などコストがかかると思います。そういった点も含めて、資産規模の対GDP2分の1を目指すということが閣議決定で決められておりますので、財務省といたしましても、財投についてどういう圧縮の仕方がいいのか、今後、検討して工程表という形で公表したいというふうに考えております。

石会長

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、河野さん。

河野委員

これは6月の話だから、今からお願いしても詮ないことかもしれないけれども、原則を読めば、結局、なにがしかの国民負担増はもう決まっていると。それは国民ほとんどが覚悟しているわけで、問題は、いろいろやるから、その負担増をなるべく最小限にするという方向ですべての政策が施行されている。それはそれでいいんですよ。

そのときに5~6通りもざらざら選択肢を並べてもらっても困るのです。せいぜい2つ、3つぐらいの選択肢を並べるべきです。インフレ気味で自然増収で頑張るという考え方等々もあるわけだ。選択肢を国民にわかりやすく示すと書いてあるので、ここが一番肝心なんですよ。最後のところは。そのときに一体どのくらいの選択肢を並べてくれるのか。それを見れば新聞記者も我々もわかりやすいのです。どれに賛同するかは様々なんだけれども、その点はどういう展望を持っていらっしゃいますか。

齋藤参事官

今のようなご質問が、国会で民主党の議員から総理にございました。一体幾つの選択肢を絞り込んでいくのかというご質問がありまして、総理は、「10や20ではございません、2つ、3つ、4つ、5つか、そこら」というお答えをされております。私どもも事務方としてはそういうご発言も踏まえて考えていかなくてはいけないし、国民にわかりやすく示すという観点からすれば、そんなにたくさんお示しすることがいいことだとは決して思っておりません。

河野委員

せいぜい3つぐらいだと思います。たくさん並べられたら混乱するだけですよ。これはこれで確信があると、AもBもCも。そうするとその中から選べるわけですから、そういうふうに一生懸命やってください。

石会長

よろしいですか。そんなにたくさんという意味は3つかその辺だろうと、河野さんがだめ押ししましたけれども、そんな感じですかね。それは我々で判断しましょう。

では、出口さん、どうぞ。

出口委員

どうもありがとうございました。今日の話は、特に長期金利の動向というものがすごく効くということだろうと思うのですけれども、こういう複雑な現象の中でリニアに数字を伸ばしていく、こういう予言に対して、経済や法律の先生がここは多いのですが、我々の分野では、予言の自己破壊という現象と、予後の自己実現という言い方がされるのですが、自己破壊というのは環境問題の温暖化のように、このままではこうなるよ、だから手を打ちましょうということで自己破壊していくと。今回の場合は、むしろこういうリアニに伸ばしていったときにこうなりますよということを示したという点で、大変意義深いのではないかと思います。

といいますのは、前回、この税調の中でプルーデントな政策ということを議論されまして、まさにこういう形でデータに基づいたものを示して、逆にみんなが安心して、金利等への影響も少なくしていくということが非常に意味があるのではないかという発表があったばかりなわけです。そういう点で今日の発表は、伝統ある審議会にしていただいて大変よかったのではないかと思うのですが、一番気になりますのは、歳入にきわめて直結できる税制改革のタイミングです。つまり金利とかの複雑な現象でありますから、変化のスピードがどういうふうになるかというときに、歳入が増えるであろう税制改革をある程度きっちりと示していくほうが、前回議論したプルーデントな政策というか、ある意味で安心感が与えられるのではないかというふうに思うわけであります。

これからはちょっと政治の話になるのでコメントしにくいのですけれども、ワーキンググループの中で、金利と税制の話等についてのある種のタイミングといいますか、そういったことに関しての議論があったのかなかったのかについて教えていただければというふうに思います。

石会長

では、よろしくお願いします。

齋藤参事官

金利と税制改革のタイミングとを結びつけた議論というのは、今までのところはなかったと思います。歳入ワーキングというワーキンググループがありまして、8回ぐらい議論を重ねてきておりますけれども、各方面からのヒアリング、財務省主税局の方々、あるいは自治省の方々からもヒアリング等ありました。あるいは、消費税なり所得税なりいろいろな税目を取り上げた議論等もありましたが、時期をいつまでにとか、金利との関係でいつ頃とかいうような議論の仕方はしてこなかったというふうに思います。

石会長

その辺はこれからなのでしょうね、6月にかけて。

遠藤さん、どうぞ。

遠藤委員

質問に入る前にちょっとお尋ねしたいのですけれども、この一体改革というのを6月に決めて、来年はもうないのでしょうか。

齋藤参事官

一体改革、歳出と歳入を両方合わせて考えるという発想自体がなくなるということではないと思いますけれども、今、いわば固有名詞的な、「改革と展望」でスケジュールに挙げておりますような一体改革は、一応今年度中に結論を得るというところで区切りをつけることになっております。ただ、そう書いてあるからといって、今後何もしないということにはならないだろうと思います。

遠藤委員

ご質問したいのは、ご説明の中で、2年前にはプライマリーバランスが13年に均衡するとおっしゃったのですが、1年前には12年、今計算すると11年と。たった2年で2年繰り上がったわけですね。それはなぜかということを一つ聞きたいのですけれども、マクロで計算したのと実体の経済の動きとがだいぶ違って、改善というか、経済だけではないのかもしれない、歳出カットも進んでいるのかもしれないのですけれども、今それがうまくいっていて、この調子でいくと、むしろそっちのほうを我々は期待するというか、そうなるのではないか。もう2、3年たつと、なくなったというような状況になったとき、どうするんだろうなというように考えるわけです。

したがって、2年前に予測したときには13年だったけれども、今は11年になりましたという原因がどこにあるのかということを教えていただきたい。それはまさに特別な事情で、これからは先を予測するときには、ここで計算されているようなことで行くのですと。今年の6月にそうしても、来年になって、いや、もっとよくなったねというときにどうするのかなということなのですが。

齋藤参事官

改善した背景には、経済の実体が当初見込んでいたよりかなりいいスピードで改善してきた、不良債権の処理が進んで、それが経済の実体に波及して税収の増加にもつながってきているということもありますし、歳出カットをかなり強力に進めてきたことの効果があらわれているということもあろうかと思います。プライマリーバランスの均衡する年度が少しずつ繰り上がってきているというのはそういう意味では非常に結構なことで、いいことなのですが、ただ、これは最終目標がプライマリーバランスの黒字化にあるわけではなくて、財政の持続可能性を維持していくと。今は財政の持続可能性が保たれていない状態なわけで、これを持続可能な状態に持っていくためのまず一歩がプライマリーバランスの回復ということになっているわけです。では、その次の目標としてどういうことを考えるかということを、今、まさに歳出・歳入一体改革の議論の中でやっている。その次の段階の議論をしているというふうに、むしろお考えいただいたほうがよろしいのではないかと思います。

石会長

大宅さん、どうぞ。

大宅会長代理

さっきから話題になっている、原則7の「新たな国民負担は官の肥大化に振り向けず、国民に還元する」という、薄いほうの5ページのところですが、私はずっとこれに引っかかっているのは、「新たな国民負担」の国民と「国民に還元する」の国民の中身が違うだろうと。全国民であるということはまずない。消費税だったらほとんどの国民が負担ということになるのでしょうけれども。それで「国民の理解を深める」というふうにまた書いてあるのですが、もし本当に必要な負担であれば、何も国民の理解を深めるだの、官の肥大化には振り向けずに国民に還元するだの、何かおいしそうな話をしないで、冷たく、どうしてもこれは要るんだということをはっきりと毅然と説明していかないと、いつまでたっても税に対する理解が私は深まらないというふうに思います。

石会長

それはちょっとお答えにくいかもしれないけれども。

関連ですか。どうぞ。

尾崎委員

国民に還元する例として、先ほど社会保障の給付のお話だけなさったのですが、例えば治安が悪くなってきたから警官の数を増やそうということになると、警官の数が増えるということで官の肥大かもしれませんが、国民は、治安がよくなるというメリットを還元されるわけです。そういうようなことは忘れてしまっていいのでしょうか。あわせて教えてください。

石会長

何か難しい質問でありますけれども、最後、括ってください。

齋藤参事官

政府の活動は国民から税を集めて行政サービスをするという意味では、何らかの形で還元されていると言って言えなくもないと思うわけです。ただそのときに、非効率な使い方をしているのではないかとか、本来の趣旨に合わないことに使っているのではないかとか、そういうことがあれば、税を払う国民に対して理解を求めるのは非常に難しいということかと思います。

ここに書いてありますことはある意味で当然のことが書いてあって、当たり前のことを少し耳障りよく言っているのではないかというのは、全くそのとおりのように私も思いますけれども、これからいろいろと難しい提案をしていくにあたっては、官としても相当努力をしてスリム化を図っていく。そういう中でどうしても足りない分は国民の皆様にお願いしたいということを、やはり姿勢として示していく必要があるのではないか。そういう気持ちがこもった表現ではないかというふうに思います。

石会長

ありがとうございました。まだまだいろいろ議論はあるのでしょうけれども、6月ですよね、これが本格化してだるまさんに目が入ったような形になると思いますが、ぜひ、我々が今日出しましたような問題を踏まえて、国民にわかりやすいという視点からつくっていただきたいと思います。大変参考になりました。我々の今後の税制改革の議論にも大いに生かしていきたいと思います。

齋藤さん、お忙しいところをどうもありがとうございました。御礼申し上げます。ご退席いただいて結構でございます。

今後の予定についてお知らせします。今月は、4月21日(金曜日)午後2時からこの会合を開きます。テーマは、地方財政に関することでありまして、もう1回だけヒアリングを専門家から聞こうと思っております。

そして5月、連休になりますので、次々回は連休明けということになると思いますが、5月12日(金曜日)と23日(火曜日)、ともに午後2~4時を考えております。5月の連休前まで、マクロも含めて様々な財政を取り巻く議論をしてまいりましたので、5月以降は、できれば税制の様々な課題について触れていきたい、このように考えております。

今日は、お忙しいところをどうもありがとうございました。これにて終わりにしたいと思います。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。