基礎問題小委員会(第34回)・非営利法人課税WG(第2回)合同会議後の石会長記者会見の模様
日時:平成17年4月22日(金)16:02~16:29
〇石会長
それでは、第2回目になりますが、基礎問題小委員会と非営利法人ワーキング・グループ合同会議をいたしました。今日は、寄附税制につきまして、まさに総括的に、かつ網羅的に議論をしてまいりましたので、その結果をお伝えしたいと思います。
お手元に資料がありますね。「寄附金に関する税制の概要」、それから「寄附金税制のあり方について(主な論点)」、この二つを見ていただきますと、何をやったかおわかりいただけようかと思いますが、最初に、「基礎小34-1」という資料のほうの1ページ目が現行税制であり、四つの大きなブロックごとに所得税、法人税、いろんな税制が現行あるよと。そして、それが19ページ、前回ご報告いたしました新しい非営利法人、これができた後の新制度のイメージがここに書き込まれている。こういうことでありまして、これは後ほどご覧いただけたらと思います。
そこで、まず事務局から、かなり時間を割いて細かい説明を受けました。この内容を簡単にご説明いたしますと、「基礎小34-2」の2枚紙、「寄附金税制のあり方について(主な論点)」という紙に従いまして逐次申し上げますが、その寄附税制の見直しの基本的方向と形は、現行のいろんな問題点、例えば「特増」と言ってますね、特定公益増進法人ですね。これがあるがゆえに、さまざまな弊害があったと。これ、主務官庁制で選ばれますからね。一たん選ばれると寄附を受けられるような便益がありながら取り消しがなかった。まあそういうことを含めて、今後は民間が担う公益と公共的活動というものを支援するという視点から、この寄附金税制というのはさまざまな形で見直し、かつ結果として、税制そのものでもなくても、認可の範囲が広がるとかですね、そういう点からこの寄附金税制についてはある程度、従来とは違った方向に行くのではないかという最初の認識がありまして、これは結構な方向だという形であります。
それから、現行の寄附税制の仕組みのあり方でいろんな問題があるという説明を受けました。今後どうしようかということなんですが、まあこれまでは、先ほど申し上げた四つのブロックごとにさまざまな仕組みがあって、それなりにいろいろ問題点があったわけですが、特に特増、特増と言われてます特定公益増進法人、ここから公共性の高いものとそうでないものを選んで、そこで税制、幾つか仕組みを変えていったわけですが、そこにさまざまな問題点がある。38業種みたいな、またいろんな寄附をしていいよというようなアクティビティですね、活動の仕分けがあったということですが、今後は、この間もご説明いたしましたし、また19ページにも書いてございますように、とりあえず新しい形の公益性を持つ非営利法人ができて、これが第三者機関で認めれば、それは収益事業だけに税はかかり、本来の非収益事業にはかからない。と同時に、寄附金優遇法人として、自動的にというか、そこでかかった一定の認可はそれを引き継いで、寄附金優遇法人になるだろうと、こういう理解であって、こういう認定の方法は結構ではないかという形が、我々の今日説明を受けた後の印象であります。
認定期間は2年程度と、これはさまざま法人も変わってきますから、まあ2年程度がいいではないかとか、あるいはもっと長くすることについてはどうかと、これについては今日、特段、委員の中から意見は出てませんでした。
公益性の判断が消えた後、一体どういう形をとるかと。つまり、過去にさかのぼって税を課するのか、あるいは過去たまっているものまで対象にするのかと、こういう議論をいたしまして、どちらかといいますと、これは受け皿のほうの税に対する対応の仕方であります。
それから、今日、より皆さんのご関心があるかもしれませんが、3の「寄附金控除等の取扱い」で出し手のほうですね。寄附をした場合、一体どういうことが問題になるかという意味で、所得税、法人税、個人住民税、このおのおのについて現行税制、ご議論をいただきました。まあ寄附金控除はご存じのように、個人所得税の場合には、国税の場合は所得の30%まで所得控除をしてくれますね。ただし1万円という適用を超えた範囲の問題でありまして、この1万円というのをどう考えたらいいか等々、今日、後ほどご紹介いたします議論がございました。それから、法人税の場合には、損金算入枠というのがあって、これについて全額、ある枠までは免除してもらうというようなものもあって、これをどうしようかという議論もあるわけでありますが、個人と法人でどうして違うんだというような議論も当然出てくるわけですね。
それから、個人所得税の場合はまた違ったスタイルで、従来、地方というのは、寄附についてはそれほど認めなくてもいいじゃないかというスタイルをとっていたようでありまして、まあ今、2ページ目に三つぐらいかな、ちょっと出ておりますけれども、若干のささやかな対象でやっておりますが、これを国税並みに広げていくかどうかあたりが、これから悩ましい問題だと、このように考えております。
というような説明を、この資料に従いまして受けました。そこで、その後どういう議論があったかということをちょっとご紹介いたしますけれども、まあ幾つか重要なポイントがございました。やはり新しい公益性のある非営利法人というのをつくって、第三者機関がそれを認定して、先ほど申し上げたように非課税法人、収益事業だけ課税するような形にすれば、まあ言うなれば寄附金優遇法人という形で、その枠を使っていくのは結構だろう。ただ、その後の不正利用等々あることもあり得るんで、十分に事後チェックをしなければいけないだろうと。これについては強い意見が一つ出されました。まあ、方向はいいけれども、その悪用とかで制度を逸脱するようなことについては、十分に監視しなければいけないだろう。これが第1点ですね。
それから、今日の資料の後半のほうに、日米比較を踏まえて、あるいは各国比較を踏まえて、寄附文化ですね。言うなれば日本というのはどのぐらい寄附に対して国民は寄与しているか。あるいは、まさに寄附に対してどういう感覚を持っているかという資料もございますが、数量的に申しますと、特にアメリカと比較しますと、圧倒的に日本の寄附金額は、個人も法人も少ないですよね。まあ、これは税制が理由というよりは、やはり寄附の文化、寄与するというマインドが、まあ宗教の問題もあるかもしれませんが、日本では少ないんじゃないかと。そういう意味で、税を緩めたからといって寄附は伸びないだろうと。しかし、さはさりながら、今後、やっぱり寄附文化というのを根付かせる意味で、ささやかなれど少し税のほうで寄与できるならば、いろんな形で寄附税制というものの見直しは必要だろうということで一致いたしました。
そこで、これは第2点なんですが、第3点で、より大きな問題になったのは、国税は所得税1万円を超えないと寄附の対象にならない。地方税は10万円なんですね。これを今後どうしようかということについて、かなり意見が出ましたが、1万円ということを認めているのは、やっぱり税務行政上の問題なんですね。税務行政上、税務署がそんな細かい寄附まで控除の対象にしてもつかという形で、これまで1万円というのを堅持してきたようでありますが、ただ、昭和49年以来、これはいじくっておりません。それから地方の場合、10万円というのは、元来10万円のメッセージは、地方において寄附控除というものをそう認めなくていいんじゃないかという発想が片やあったと思いますが、まあ今後、この寄附文化を根付かせようとか、あるいは寄附税制というのを少し拡大しつつ、まあ第三セクター、あるいは民間の担う公共活動を支援しようという点から言いますと、この下限の適用のところをどうするかという点について、検討しましょうと。まあ、おおむね全廃は無理にしても、問題を認識して、少し寄附者の有利になるような方向で議論できないかということであります。これが第3点目。
第4点目は、今も説明いたしましたけど、寄附の税制について、国と地方というのはこれまで全く別個の観点の議論をしてきたわけですね。まあ国税として、今申しました法人税、所得税にそれなりの対応をしてきた。これは国際比較の面で見て、それほど日本が厳しいわけではなくて、そこそこ、私の感じでは国際的なレベルに達していると思いますが、地方は元来、国がやっている、したがって地方はいいだろうということなんだと思いますけれども、地方はこれまで極力、寄附金あるいは寄附税制に対して支援をしてこなかったと。これ、これからまた論点を整理してもらおうと思いますが、今後このままでいくのか、それとも、やはり地域住民に密着したところでさまざまな民間の担う公益性というのはあるわけですよね。それを少し税制で、従来以上に面倒を見るという発想が出てくるのか、出てこないのか。この辺、これから議論のポイントになろうかと思っております。
あと細かい点で、例えば、全部これ、キャッシュの世界で寄附金を議論してたんですが、実はモノですね。建物、土地あるいは美術品等々あったときに、また違うさまざまな大きな問題があるんじゃないかという問題提起がありましたし、それから、非営利法人の中で非収益事業はこれはノータックスなんですけど、収益行為については33かな、あって、かつ22%の税率という、―通常の普通の法人だと30%をかける―、やや軽減されてるんですね。まあそれは今後、やっぱり同一歩調でいいじゃないかという強い意見も出ましたんで、課税の公平上、これどうしようかというのはこれから大きなポイントになろうかと思っております。
あと細かい点が幾つかございましたけれども、これはもう少し詰めていって、やはり基本的な方向としては、寄附文化を定着させ、あるいは民間が担う公共活動を支援するという視点から、幾つか議論を従来以上に拡張する方向があるじゃないかという議論をいたしてまいりました。
あと、今後の予定なんですが、連休明け、まず最初に総会をやってですね、13日になりますが、総会をやって、これまで二度にわたる公益法人関係と所得税の世界を一回総会に報告して、いろいろ議論をまたしてもらいたいと思いますし、合同会議は5月20日、これでさらに議論を深めていきたいと思いますが、できれば専門家の方のヒアリングも一回ぐらいまじえてというふうなことも考えております。
大体、概要は以上でございます。
〇記者
寄附金の資料の10ページにあります。日本とアメリカの比較がありますが、ざっと見て、個人だけでも寄附金総額で100倍、違いますよね。先ほど会長は、宗教的なものもあって、必ずしも税金を緩めても寄附が伸びないだろうというふうにおっしゃったんですが、下段の寄附金控除額というところを見ると、やはり日本とアメリカは相当の差がありまして…。
〇石会長
これは、したから多くなったんですよ。制度の差ではないんですよ。制度的に日米比較、個人所得税はね、50%なんですよ。日本の30%に当たる部分がね。
〇記者
どの程度…、今、これ、雑駁に見て100倍の差がありますが、どの程度の差まで縮めるというようなイメージを、税調の中で皆さんは持っているのでしょうか。
〇石会長
いやいや、そんな意識、持ってませんよ。要するに、税で主導して寄附金が増えると思っていないと、皆さんそう思ってますけどね。特に、後ろのほうにも資料がありますけど、やっぱり高額所得者、12ページぐらいにありますけど、CEOの所得金額なんていうの、断然違うわけですよ。それから、やっぱり金持ちの9割、10万ドル以上の人の8割か9割が寄附する、そういう慣行がある国とですね、日本は神社仏閣には、なんか近所のおつき合いでやるかもしれないけど、お祭りかなんかやるかもしれないけど、本来の意味での寄附ってないですよね。で、この間のインドネシアの義援金等々を見ても、国際的に見ても、国はいっぱい出してますけどね、個人は少ないですよね。そういう点から見ましてですね、税は主体的ではないけれども、といって全くだめだよという形で逃げる気もないし、今後おそらく、いろんな形で、消費税も含めて税負担の引き上げというのがあるならね、やっぱりこういう点で少し個人的にですね、少しほかに自分が貢献する点で、税の優遇があってもいいじゃないかというのは、そういう意見もございました。
〇記者
要するに、特定公益増進法人に当たる部分、つまり法人税の軽減も受けられるし、出し手が寄附金控除も受けられるというところは、この新制度になると増えるということですか。
〇石会長
今度ね、新しいルートとしてあれですよね、新制度のイメージというのは19ページを見ていただければわかりますけどね、例の一般的な非営利法人になって、公益性のチェックを第三者機関で受ければですね、寄附金優遇になるわけですよね。問題は、今ある特定公益増進法人が、それにどのぐらい合格するかということに尽きますよね、ポイントは。で、公益性を有する非営利法人になれば、非営利法人並みの課税だし、かつ寄附金優遇措置を受けられる形。ただし、取り消し規定はあって厳しくなるかもしれないし、まあいろんな形で情報公開しなきゃいけないとか、厳しいことはありますけれども、今持っている特増ですか、それの欠点は大幅に修正されるんじゃないかという意識は持ってます。
それでご質問は、どうなるかという見込みですか。
〇記者
はい。
〇石会長
水野さんは何かありますか。
いやあ、今は特増…。
〇記者
というよりも、この公益性を有する非営利法人、つまり法人税の非課税措置が受けられるものと、それから寄附金優遇が受けられるものと、同じことになるわけですよね。
〇石会長
なりますよ。
〇記者
ということは、今は社団法人、財団法人は収益事業のみ課税になっているわけですから、これ、例えば特定公益増進法人になっちゃうとね、2万あるやつのほとんどが課税強化になっちゃいますよね。
〇石会長
だから、今、特増を受けている、民法34条の人は一応非営利法人のほうに移るわけでしょう。そういうチェックを受けるわけでしょう。で、そこで第三者機関でゴーのサインが出た数と、現に34条の世界で特増になっている団体の数とね、その比較はわからないでしょうけど、それからちょっと言い忘れたけど、寄附税制そのものを拡大するとよりは、今言ったあたりの認定のところでね、非課税の対象になるようなところを少し検討する余地があるんじゃないか。特にNPOの中で認定NPOというのは非常に今、30かしかないと、2万幾つかある中で。これをもう少し考えないといかんなんていう話も、片やあるわけですね。その一環でしょう、今の話は、多分。なんかあれば、どうぞ。
〇水野座長
今、会長が言われましたように、結局これは、19ページのこの図にありますよね。今までは、まず公益法人に当たるかどうかを主務官庁が認定して、今度は受け手が寄附金の控除を受けられるかどうかということを判定するために、特増と言われている特定公益増進法人、これも主務官庁がやっていたわけですが、で、両方とも、資料を見ていただきますと、どういう場合には特定公益増進法人かというと、ばらつきがあって、それほど統一性がとれたものじゃないんですね。今回は、この新制度のイメージですが、基本的には公益性を認定するこれ、第三者による8条委員会と言われている委員会で認定しますけれども、そこできちっとやったら、もうそれで決めていいのではないかと。で、同時に、公益法人であると同時に、特定…言葉がどう残るかわかりませんけども、特定公益増進法人の性質を持つものと、この二つが認定されるということですから、まあ…。
〇石会長
増えるだろうなあ、多分。
〇水野座長
どうなるんでしょう。
〇石会長
よくわかんないよねえ。
〇水野座長
でも、そんなに激減するとか、そういうことはないと思いますけれども。
〇石会長
ないでしょうね。多分増えるんでしょうね。
〇記者
そこの部分は今、38でしたっけ、その事業分野、限られているところ。これはもう、そういうの関係なく第三者委員会が判断するので、まあ増えることも予想されると…。
〇石会長
予想されますね。関係ないですよ、そこは。だから、そういうふうないろんなリストで縛ってたというやつがね、もうちょっと大きなルールでできるという意味では、広がる余地はあるでしょうね。
〇記者
今の件に関連してなんですけども、NPOの場合は、国税庁長官の認定ということでダブッて…。
〇石会長
これは残るんですよ、残るの。NPOのルートはそのままそっくり残るんですよ。NPOが今2万ぐらいあって30しか、まあ結果的に認められないんだけど、こちらの非営利法人に入ってね、第三者機関でチェックを受けて、公益性のある非営利法人になるほうが、非課税あるいは寄附金優遇を受けやすいということがあるのかもしれない。これは、これからの話だと思いますけどね。NPOはそのまま残るんですよ、この設定では。
〇記者
その寄附金優遇法人の場合は、国税庁長官の認定という形にはならないのですか。
〇石会長
関係ないです。これはもうもろに、例の第三者機関で決めればそうなるということですから。だから、国税庁長官が絡んでるのは認定NPOの「認定」のところだけですね。まあいろいろ議論聞いてみると、やっぱり税をまけるなら、やっぱり国税庁長官ぐらいをかませたほうがね、いいんじゃないかというような議論もあったようですけどね、そんな屋上屋を重ねるより、この非営利法人という制度をつくった以上はね、すっきり第三者機関に任せて、というふうに話はついたようです。したがって、第三者機関の認定、それから事後チェック、取り消し等々を含めてですね、この機関が非常に重要な役割を演ずるということは、前回もお話ししたとおりです。
〇記者
この非営利法人ワーキング・グループの議論、テーマから外れるんですが、その認定NPO法人のほうはですね、また別途、来年度税制改正でパブリックサポートテストの条件を緩和して、対象を広げることはあり得べしなんでしょうか。
〇石会長
これ、大分これまでやってきたんですよね、寄附枠を20%を30%にしたりですね。だから、それを継続してやるかどうかはまだ議論にはなっておりません。まあ、今言ったように、いかにも30は少ないんじゃないかという話もあってですね、そういう議論が出てくる可能性は今後の議論の中であるかもしれません。…どこかあったな、大分、制度を発足してからいじくってるんですよ。資料6ページですか。これを見ていただきますとわかるように、大分いじくってますから、それにさらにもう一段乗っけるかどうかはこれからの議論だと思います。
〇記者
認定機関なんですけれども、NPO法人についての現行制度でもですね、2年間になっていて、新制度でこれを変えるような理由があるのかどうかということが一つです。それからもう一つは、先ほど会長からご紹介ありましたけれども、公益性の認定が取り消された場合の課税について、事務局からどのような説明があり、かつどのような議論があったんでしょうか、ご紹介ください。
〇石会長
前段のほうの2年というのについて特にですね、3年にしろということがあるよというご説明は受けましたけど、委員の中からですね、特に2年を延長してという議論はなくて、大体の意識は2年でいいのではないかと。別に問題になれば、また延長すればいいんですからね、認定期間をね。
それから取り消されたときの問題点ですけどね、これはまあ、ある意味で取り消された途端にですね、非課税の恩典をなくなっちゃうわけだから、これはまあ、即課税の対象になって、問題は、さかのぼって認定を受けた、だから2年前からあるような寄附についてまで恩典がなくなり、かつなんかたまっている場合もあるでしょう、きっと。それについて課税の対象になるかどうか、この辺が問題ではないかと。ただ、最後のほうにご説明いただいたので、議論を詰める時間がございませんでしたけど、問題点はそこにあるという説明を受けました。
〇記者
今度認められる団体の枠が広がるようなイメージがあると思うんですけれども、実際に個人なりが寄附をしますよね。それによって受けられる控除のそのボリューム、今は30%を切ったとか、国税であれば1万円以上とかですけれども、その辺の額的な変化というのはどういうふに考えていますか。
〇石会長
全く相手のある話で、わかりませんねえ。ただ、1万円というのを少し変えれば、ちょっと出てくる…やや出すほうの有利になりますからね。つまり今は1万5,000円払っても5,000円しか対象にならないけど、これを1万を5,000円に下げれば1万円、非課税の対象になるとかね、まあそういう操作があればですね、少し増えていくかなということがありますが、ただ、先ほど申し上げた、僕は、しょせんこの税を軽減してもらおうという形で寄附が起こってるとは思ってないんですよ。まあ結果として寄附をしたら、まあ税の恩典があるよという、結果で受けとめるのが普通でしょうからね。したがって、寄附するマインドがない国にはですね、いくらその辺いじくっても、そんなに増えるとは思いませんけどね。
〇記者
じゃあ数字のほうは…。
〇石会長
わからないですね。
〇記者
あまり増えることはない…。
〇石会長
と思いますけどね。ただ、まあ今後、新しい方々がですね、なんかマインドが変わってくるかもしれないから。後で見てください、年寄りはあんまり払わないで若者の方が払ってるんですよ。
〇記者
じゃあ、例えばアメリカは限度が50%になっているからとか、そういうことじゃないんですか。
〇石会長
ないと思いますねえ、と思います。ただ、今日、一部の委員から、たまたまアドホックに、ボーンとなんかカネが入ったときに寄附する慣習があると、日本人はつつましいから。そのときに30%より50%のほうが効果はあると。それからもう一つ、キャリーオーバーを認めたらどうかと意見もありました。つまり30%で埋まらない、つまり1,000万円の人が300万円まで認められるけど、500万寄附しちゃったと。それは200万円非課税になりませんよね。だから、それは翌年に回してやるとかというような話があってもいいんじゃないかというようなご意見はございました。まあそこまでやるかどうかでしょうね。まだ、これから細かい点を詰めていって、最終的にはそういう点も踏まえて、少し詰めていたきいと思います。
〇水野座長
結局、確かに寄附は寄附金控除が受けられるということが、インセンティブになりますけども、対象となっている公益的な活動、それ自体が国民の支持を受けるとか、非常に魅力的であって助けたいと、そういうような活動でないと、寄附金税制を動かしても、そんなには変わらない…変わらないとは言いませんけれども、それのみではやはり不十分で、非営利法人がそもそもどいうふうに公益的な活動を広げていくのかと、そちらがやっぱり基本ではないかという意見もございました。
〇石会長
あと、国から見ると、寄附金控除というのは、国が一たん吸い上げて歳出で配るという、歳出配分権を放棄することにつながるということで、果たしてそういう枠をどんどん広げるのがいいかどうかという議論もございましたけどね。ただ、これだけ多様化してきた中で、国民個人個人のほうから、あるメッセージが伝わるような仕組みをつくってもいいんじゃないかという意見があり、極力寄附文化を育てる、支援するような格好で税制も、あるいは認可の方法も広げていきたいというのが意見であり、まあそっちのほうに多分流れていくだろうと思います。
(以上)