第45回基礎問題小委員会 議事録

平成17年11月11日開催

委員

それでは、今日の基礎問題小委員会、始めたいと思います。

本日は4つほどテーマがございます。1つが法人課税等、それから2つ目が納税環境整備、それから3つ目が酒税で、4つ目が固定資産税、順次こなしていきたいと考えております。

最初に法人課税と納税環境整備、これを事務局から、国税については、税制第三課長、税制第一課長から、それから地方税につきましては、都道府県税課長から、おのおのご説明を受けた後で議論したいと、このように考えております。

それでは、税制第三課長、お願いします。

事務局

税制第三課長でございます。法人税関係のご説明をさせていただきます。資料、右肩、基礎小45-1でございます。

まず目次を開いていただきまして、1.法人税の現状。それから2.平成15年度改正で導入された政策税制とありますが、その中でも金額の大きな研究開発とIT減税について、ご紹介させていただきます。

その次のページ、3.経済社会の構造変化への対応ということで、来年5月に施行になります会社法制の現代化に伴う取り扱いなど、法人税法本体の考え方何点かについてご説明をさせていただきます。最後、4.租税特別措置の整理合理化では、2でご説明いたします研究開発等も含めまして、租特全体の整理について、税制第一課長から説明いたします。

それでは、本体でございますが、1ページ、1.法人税の現状とございますが、今4つご紹介申し上げました中で、この1.の法人税の現状につきましては、税調の先生方に何度もご覧いただいている資料が中心でございまして、時間の関係もございますので、どんな資料がここにあるかというご紹介をさせていただきたいと思います。1ページ目はいつもの法人税収の推移で、バブルのころから低くなって、今11兆程度というところの資料でございます。

それから2ページでございますが、「欠損法人割合の推移」ということで、これも景気動向に伴って最近下がってきておりますが、まだ7割弱、3分の2強が欠損法人という表でございます。

3ページでございますが、これは所得金額と繰越欠損金額のここ近年の推移でございまして、まだ多額の繰欠が残っているという表でございます。

それから4ページでございますが、これも法人の内訳で、全法人255万社、ここには公益法人等は含まれておりませんが、この中で利益計上法人は81.3万社で、3割強の法人、それから所得金額は大法人の0.6%が3分の2納めているという表でございます。

それから5ページでございますが、「近年の主な法人税制改正の動向」というのがございまして、これは後ほどもう一度紹介させていただきたいと思っております。

それから6ページでございます。「法人税率の推移」ということで、これもご承知でございますが、昭和63年の税制の抜本的な改革で、42から37.5まで下がって、その後、今は30%になっているという表でございます。

その次の7ページでございますが、この法人税率が下がってきている推移、各国と比べておりますが、ご覧になっていただけますように、各国とも、各企業の国際化、グローバリゼーションに対応して、やはり右肩に下がってきているというのが現状でございます。

それから8ページ、「法人税率の国際比較」でございますが、これは国税のみでございますが、30%ということで、日本はおおむね先進国の平均的水準ということが見てとれると思います。

それから9ページでございますが、こちらは地方税を加えておりますが、地方税を加えましても、法人課税の実効税率、おおむね各先進国並みの水準にあると思っております。

それから10ページでございます。「企業関係租税特別措置による減収額(17,510億円)の内訳」と書いてございまして、ここにご覧になっていただけますように、左側2つ、試験研究税制、IT投資促進税制というのが大きな固まりになっておりまして、これらの中で、この研究開発の上乗せ分、2%、後ほどご紹介いたしますが、それとIT投資促進税制など、1兆円を超える部分が来年3月で期限が到来する租税特別措置でございます。後ほど詳しく説明させていただきます。

それから11ページでございますが、「企業関係租税特別措置の項目数及び減収額の推移」と書いてございます。これまでも政府税調でその整理合理化をということで答申をいただいておりまして、項目数、近年減ってきておりますが、減収額のほうはやはり1兆7,000台ということで、(注)にもございますが、括弧の内書き、研究開発と設備投資のところの合計額が大きいというのが現在の状況でございます。

それから12ページでございます。ここから、13、14、15というところまでは、これまでの法人税制改革に関します、税調からいただいた主な答申の抜粋でありまして、ここを読むというのもあれでございますので、時間の関係もありますので、14ページ、昨年11月に頂戴いたしました答申のところだけおさらいをさせていただきたいと思います。

14ページ、「平成17年度の税制改正に関する答申」というのが昨年11月にいただいているわけでございますが、法人税のところの下線部、「法人税率については、すでに他の先進諸国並みの水準となっており、当面、引き下げる状況にはない」。2行飛んでいただいて、「既存の租税特別措置については、その効果を検証しつつ、引き続き整理合理化を大胆に進めるとともに、経済社会の活性化と構造改革のために真に有効な政策税制への集中・重点化を図る必要がある」というのがいただきました答申でございます。

以上が全体の法人税の概要でございまして、ここから個別のテーマに入らせていただきたいと思います。15ページでございます。「平成15年度改正で導入された政策税制」ということでございますが、その中でも、来年3月に期限が到来するもので金額の大きなものとしての、先ほど申しました研究開発とIT投資の2つにつきましてご紹介いたしたいと思いますが、その前に、これを導入します平成14年当時、政府税調としてどういう考え方で導入したかについて、簡単にもう一度おさらいさせていただきたいと思いますので、恐縮ですが、21ページをあけていただきたいと思います。

21ページの上のほうに、「平成15年度における税制改革についての答申-あるべき税制の構築に向けて-(平成14年11月)」とあります。この平成14年11月という時期はまだまだ金融システムにも不安が残っておりまして、株価も、日経平均も8,000円前後という中で、どこかで底が抜けるのではないかといったような、現在とは全く違った厳しい経済環境の中での改正ということだったと思います。

そこで文章でございますが、二 法人課税 1.法人税(1)検討の方向とございまして、(1)検討の方向の下から4行目でございますが、下線部分の前から読みます。「他方、わが国企業の競争力強化や産業構造の改革を進めるため、既存の租税特別措置等の統廃合を大胆に進め、真に有効な政策税制を集中・重点的に講じる必要がある」ということで、具体的にはその下、(2)の「政策税制の集中・重点化」、[1]「研究開発税制」ですが、「厳しい経済状況の下、研究開発の分野でも合理化・効率化が進められる中で、研究開発支出が『増加』した場合に税額控除を行う現行制度が有効に機能しなくなっている面がある。このため、研究開発支出の『総額』の一定割合を税額控除する制度を導入する」とございまして、その2行下の下線ですが、「制度の基幹的部分は期限を区切らない措置とする」。つまり、上乗せ部分につきましては3年でやめるという整理になっております。

それから[2]「設備投資税制」でございますが、「一般的な投資促進税制は、企業が過剰な設備・債務を抱え、キャッシュフローを借入金の圧縮に充てている中で、設備投資の増加につながるか疑問である。また、競争力を失う産業にも優遇措置を与えるため、構造改革に逆行しかねない。したがって、真に有効な分野に集中・重点化した投資促進税制を創設する」として、次のイでございますが、下線部、「IT投資に対し、集中的に政策効果を高める観点から、期限を区切り、重点的な政策税制を講じる」ということで、ここでも、つまり、3年間でもとに戻しますという整理になっているわけでございます。そして、今やこの過剰な設備・債務が解消し、企業の手元にある潤沢な資金で設備投資が伸びてきているという状況になっているのが現状だろうと思っております。

それでは、15ページに戻っていただきまして、制度の概要を簡単にご説明させていただきます。

15ページの「研究開発税制の概要」でございますが、左側が平成14年度以前にもありました、「増加試験研究費に係る税額控除制度」で、基準額の増加部分の15%の税額の控除をするということでございましたが、右側、「試験研究費の総額に係る税額控除制度」としたのは、今読み上げましたように、税調答申のような背景があったということだろうと思っております。

それで、この制度の仕組みですが、右側の箱にありますように、総額の8~10%(当初3年間は10%~12%)を税額控除(法人税額の20%相当額を限度)というのが大きな仕組みでございまして、現在でも、この両方の制度、「選択適用」と真ん中に書いてございますが、選択適用になっているわけでございます。

次の16ページに具体的な仕組みがございまして、左側の図でございますが、横軸に「試験研究費割合」と書いてまして、縦軸に「税額控除率」がございます。試験研究費の割合が高くなるほど税額控除率が高くなって、8から10になっていると。そのうち2%が時限措置の上乗せということで、全体で、現在6,500億円程度の中で、下の部分の期限を区切らない措置が5,400億円程度、上の上乗せ部分が1,100億円程度というのが現在の減税額でございます。

それから17ページでございますが、「設備投資税制の概要」、いわゆるIT減税でございますが、これも、左側が「一定のIT関連設備等の取得等」ということで、取得価額の10%の税額控除、あるいは50%の特償ということで、これも、先ほど見ていただきましたような考え方で導入されているものでございます。

「制度の仕組み」の(3)の対象設備のところを見ていただきますと、対象は、もちろん電子計算機も入るわけでございますが、それ以外にも、デジタル複写、いわゆるコピー機、ファクシミリ等々、比較的幅広い機材が対象になっているのがおわかりいただけると思います。

右側のほうは「一定の開発研究用設備の取得等」でございまして、そういうものについても50%の特償という制度があるということが全体の設備投資としての概要でございます。

それで、18ページでございますが、「民間投資の動向」とありまして、この2つのグラフは経済産業省がよく使っているグラフでもあるのですが、確かに、左側の研究開発投資、それから右側のIT投資も伸びてきているわけではございます。当然のことながら、減税の効果もあったと思っております。ただ、減税の効果だけでこうなったかというと、それはほかにも海外の経済動向等、さまざまな要因も影響した上でこのような伸びになっているのだろうと考えております。

その結果かどうかあれですけれども、その次の19ページですが、企業の状況でございます。「税引前当期純利益の推移」という表を書いてまして、昭和60年以降平成16年度までありますが、税引前当期利益でございますので、経常利益から特別損益を処理した後の数字ですが、16年度33.0兆円ということで、ほぼ平成2年、3年レベル、バブルのころのレベルまで純利益が戻ってきているわけでございます。

この資料にはつけませんでしたが、内閣府の月例経済を見ても、日銀の短観なんかを見ましても、企業収益の改善、あるいは設備投資の増加というのは確認されているところでございますし、たまたま本日発表になりました7~9のQEでございますが、民間の企業設備投資は6期連続のプラスというのが本日の発表でございます。

以上が両税制についてのご説明でございますが、20ページ以降は「政策税制に関する主な税調答申」ということで、先ほどご覧いただきましたので、ここは飛んで、次に24ページに進ませていただきます。

3.経済社会の構造変化への対応ということで、「最近の商法等・企業会計・法人税法の主な改正の動向」と書いてございますが、左側に、最近の商法の動きが縦に並んでおりまして、例えば持ち株会社の設立、株式交換、会社分割、金庫株等々、このように並んでおりまして、企業会計ももちろんそれにならうわけでございますが、一番右に税法がございますが、税法も、こうした経済社会、商法等の動きに対応しまして、株式交換、あるいは企業組織再編、金庫株、連結納税というふうに順次対応してきているわけでございます。

それで、一番左の下でありますが、来年18年の5月に会社法制の現代化の施行が予定されておりますので、そうしたものへの対応も含めまして、法人税法本体に係る幾つかの動きについて、この3.ではご紹介させていただきたいと思います。

25ページでございますが、「会社法制の現代化の概要」とありまして、この表そのものは、私がここで詳しく説明するような話でもございませんが、左下にありますように、株式会社と有限会社を一つの会社類型にする、あるいは設立時の出資額規制の撤廃、組織再編行為の見直し等々、そういったものが主な内容でございますが、一番右下にありますように、施行時、平成18年5月を目途に施行予定でございますので、それについての対応が要るかなと。

それから括弧の中でございますが、「合併等対価の柔軟化については、平成19年5月」と書いてございますが、これはこの後にもう一度説明させていただきたいと思います。

それで26ページですが、税制上の対応の話でございまして、「役員給与の取扱い」というのがあります。上の箱の中でございますが、「税制 役員報酬は原則損金算入」と。役員賞与は利益処分でございますので、損金不算入ということで今取り扱っているわけでございます。

これまでの商法でも、役員賞与につきましては、株主総会での利益処分の手続の中で処理してきましたし、企業会計でも同様の取り扱いでございました。ただ、今回の会社法の改正におきまして、この箱の中にありますように、「役員報酬・役員賞与の区別なく『役員に対する財産上の利益の供与』として整理」と。あるいは企業会計でも、賞与も報酬と同じく費用処理の方向というふうになってございます。

したがいまして、こういう動きにあわせまして、例えば業績連動型報酬についても、そういう損金算入の要望なども出てきておることでございます。したがって、この税法としても、そういう動きにどう対応していくかということが今回の課題かなと考えております。

ただ、留意すべき点がございまして、左側の法人課税小委員会、税調の平成8年の報告をいただいておりますが、従来からこうしたご指摘がありますように、左下の下線部のところだけ読ませていただきますが、役員報酬等で、「さらに中小法人の場合には、決算賞与の支払いによって法人の利益を比較的容易に調整することが可能となるといった問題もある」とご指摘をいただいておりまして、特に同族会社等につきましてはこういう問題もございますので、課税の公平を保つためにも、恣意性が入るようなものについては、引き続ききちんと損金不算入が必要ではないかと考えているところでございます。

これが26ページでございます。

それから27ページ、「現行の組織再編税制と合併対価の柔軟化」ということで、これが先ほど少し申しました、会社法で施行が1年延長されたところの話でございますが、左側が「現行税制」とございまして、税制上は、[1]企業グループ内の合併、[2]共同事業を営むための合併等に該当する場合に限り課税繰延べとなる。

下の図でございますが、(例)合併と書いてございまして、消滅会社が存続会社にいきますと、消滅会社の株主に対しましては存続会社の株式を交付するということになっておりまして、上の括弧にありますが、「両者とも存続会社等の株式以外の資産(例えば、金銭)の交付がないことが要件の一つとなっている」と書いてございます。

右側にいきますと、今回の会社法、「新たな会社法においては、消滅会社等の株主に対して、存続会社等の株式を交付せず、金銭その他の財産を交付することができる」と書いてございます。

それが合併対価の柔軟化ということでございますが、下の図で、「三角合併」と書いてございまして、左側に親会社というのがあります。例えば、これは外国、アメリカでもいいのですが、親会社があるとしますと、外国の親会社が日本に子会社を設立しまして、それで日本の企業を買収するといったようなケースもあろうかと思いますが、その場合に、消滅会社、存続会社とございますが、存続会社の子会社の株ではなく、外国の親会社の株式を交付することが可能になるわけでございます。

そういう法制ですが、実は最近のいろいろ企業買収の動き等ございまして、新会社法が来年5月にできて、その後に採用可能となるような買収防衛策が、日本企業もその準備をする期間が要るでしょうということで、その機会の確保という観点から、(注)にありますように、合併対価の柔軟化の部分にのみ、19年5月と、施行日が1年後になっているわけでございます。

したがいまして、また証券市場なんかでも今いろいろと問題がある中で、公開買付ルールのあり方とかそういう検討も行われているようでございますので、税制につきましては、19年の施行までに何か対応を考える必要があろうかと思いますので、来年、具体的にまたその中でご議論いただくようになろうかと考えているのがこのページでございます。

それから28ページでございますが、一方で、現行の組織再編税制の課題として株式交換税制というのがございます。この右側の(参考)の合併税制という、四角い点線の箱の中にありますように、これが今前のページでご説明したような話でございまして、「適格要件」と下にありますが、法人税法上、現金交付がないこと、あるいは支配関係の継続とか、事業の関連性とか、そういう幾つかの要件があった場合に課税の繰延べが認められているわけでございます。

ところが、左側の株式交換のところに、定義は、「被取得会社がその発行済株式の全部を取得会社に取得させること」と書いてございますが、絵を見ていただきますと、結局は、この合併の四角い点線の箱の中も、左側の絵も、同じように、取得会社の下に被取得会社があって、その上に、昔からの両方の黒と白の株主がぶら下がっているということで、経済実態が同じでございます。

ところが、この左側の株式交換のケースは、「現行税制」と書いてありますように、租特で現金交付が5%未満であれば結構ですということになっておりますので、この経済実態が同じにもかかわらず要件が少しずれておりますものですから、こうした要件の整合性を図る必要があると思っておりまして、来年度改正の課題ではないかと考えているところでございます。

次に29ページでございます。「事業形態の多様化」と書いてございますが、今後とも事業形態の多様化が進むと思われますが、その税制上の整理をしたものがこの図でございます。これはどう読むかと申しますと、大きい四角の中の左側に組合という大きなマルがありますが、この組合のほう、例えば有限責任事業組合なども書いてございますが、この組合のマルの中が構成員課税でございまして、その右側に人格のない社団・信託等という長ひょろいマルがありますが、そこよりも右側が法人税課税という整理の絵でございます。

考え方でございますが、一番下、ちょっと小さくて恐縮ですが、(参考)のところに、今年6月にいただいた税調ワーキンググループの答申ですが、読ませていただきます。「そもそも法人税は、事業の目的や利益分配の有無にかかわらず、収益及び費用の私法上の実質的な帰属主体である事業体がその納税義務者とされるものであり、この点は営利法人も非営利法人も同様である」という答申をいただいております。

上の黒塗りの箱の下のほうの色が薄くついているところに収益、費用と書いてございますが、したがいまして、こうした考え方に基づきまして、例えば構成員課税であれば、収益のところは「事業体の収益は発生当初から構成員に帰属」しますとか、費用は、「構成員は事業体の債務に係る一次的な個人責任を負う」。こういう場合は構成員課税でしょうと。逆に、右側のほうにいきますが、「事業体の収益は一次的に事業体に帰属」、費用は「事業体の債務に係る一次的な責任は事業体のみが負う」であると法人課税と、こういう考え方で整理したいと思っておるわけでございます。

30ページはその一つの例でございますが、「事業形態の多様化への対応の例」と書いてございます。これも詳しいご説明は省きますが、右側のSPC特定目的会社制度というのが、これは法人課税でありますので、この法人形態とのバランスで、実質的に同じである左側の特定目的信託制度というのも今法人課税にしておるのが現状でございまして、こういう整理が要るかなと考えているところでございます。

それから31ページでございますが、以上のように、事業形態に関しまして非常に中立的な税制上の対応を目指しているところでございますが、ここに「個人形態と法人形態の税負担の調整」という項目がございます。「留意点」でございますが、来年新たな会社法ができますと、大変法人の設立が容易になります。下に書いてございますように、新たな会社法では、一人会社の設立が可能になるとか、資本金ですね。払込価額規制が撤廃になるとか、個人の方の事業が比較的容易に会社になれる、法人になれるというようなことがあるわけでございます。

したがって、その下の箱は、平成12年の税調でいただいている答申でございますが、「赤字法人」の下に(参考)、線引いてございませんが、「同族会社の課税制度」という文章がありまして、「同族会社については、少数の株主が意思決定権を有するため、法人の所得を役員報酬などを通じて分割することや、所得を会社に留保することによって所得税の累進税率を回避することが可能」というのは、今所得税の最高税率37で、法人税が30ですので、その差を利用するとか、そういうことが可能になるという指摘があります。これに関しまして、現在、この留保金課税制度廃止みたいな要望も出てきているわけでございますが、その下の下線部分だけ読ませていただきますが、「留保金課税制度は……法人形態と個人形態における税負担の差を調整しようとするものであり、現行の法人税と個人所得課税の基本的仕組みを前提とする以上、今後とも必要な制度です」ということで、この留保金課税の制度そのものはぜひ残しておきたいなと考えております。

32ページでございますが、時間もございませんので、ここはこういう概要だけ紹介させていただいておりますが、実態だけちょっと見ますと、一番下のところに「留保金課税状況」ということで、対象割合とありますが、同族会社240万のうち対象になっているのは大体2~3%でございまして、そのうち、上の、一部停止措置といって、(1)(2)(3)とありますが、租特で特に(3)の自己資本比率の要件で、大分、16年度以降も一部停止措置になっている同族会社がございますので、さらに対象割合は下がっているのではないかと考えております。同族会社は以上でございます。

最後でございます。33ページ、新たな非営利法人に関する課税及び寄附金の考え方でございますが、ここは現在、内閣官房のほうで法案作成作業をしておりまして、来年の通常国会に提出予定と聞いてございますが、その詳細は、年末までに判明しないのではないかと思っております。

したがいまして、税制上の強い関心は、次の34ページでございますが、右側に「新制度(検討の方向)」と書いてございますが、一番上に準則(登記)で一般的な非営利法人ができまして、民間有識者からなる委員会の意見に基づく公益性の判断と。これがあって初めて、公益性を有する非営利法人とこの寄附金優遇法人という箱の中にあるわけでございますけれども、ここの仕組みがきちんとわからないことにはなかなかこの税制上の対応もすぐにすることは困難かなあと考えておりまして、次の35ページでございますが、今年いただきました「基本的考え方」の「結びにかえて 制度設計に当たっての要請」の1行目の真ん中でございますが、「今回の制度改革の成否は、『第三者機関』の公益性判断や事後チェックが、国・地方を通じ、制度・運用面において継続的に適正かつ的確になされるかどうかにかかっている」と我々も思っておりますので、そこをよく見て、来年、制度設計が明らかになったところで、また税調できちんと議論いただく課題だと考えております。

私からは以上でございまして、続きまして、租特の合理化につきまして、税制一課長のほうから説明させていただきます。

事務局

続きまして36ページ、「租税特別措置の整理合理化」でございます。国税ベースで3兆8,000億円程度の減収規模で、租特がございます。内訳をご覧いただきますと、今お話しありましたように、法人税関係で1兆7,000億円強、所得税で1兆5,000億円、その他という内訳になってございます。さらにその内訳、法人税につきましては、試験研究税制、IT関係の税制等々が大どころでございます。所得税におきましては、住宅ローン控除、生損保控除等々が大きなウェイトを占めておるということでございます。

その他のところ、不動産登記に係る登録免許税の特例もあるということで、全体としてはこういうピクチャーになっておるわけでございますが、例年、租特につきましては、一例でございますけれども37ページをご覧いただきますと、租特というものの性格上、租税原則の例外措置であるということから、整理合理化及び真に有効な措置への重点化・集中化ということをきちっとするようにという答申をいただいておりますので、18年度税制改正におきましても、基本的にはそのようなラインを踏まえて対応していくことになろうかと存じておるところでございます。

特に18年度税制改正に関し、15年度税制改正におきまして大きな制度改正があったものについて、その点ちょっとメンションしたいと思います。研究開発税制及びIT税制につきましては、先ほど説明がございましたので、資料は再掲とし、飛ばしていただきまして、40ページでございます。

先ほどの研究開発、IT税制と同じ時期の話としまして、「不動産登記に係る登録免許税の抜本的見直し」というのをさせていただいたことがございます。内容はこの表に書いてございますが、不動産登記に係るもので、例えば所有権の移転、売買を行った場合の税率がそれぞれ張られておるわけでございますが、例えば土地につきましては、課税標準というものについて、それを3分の1に減額するということを前提としてこの税率がかかっておったというところを整理いたしまして、現行、本則と書いた税率、すなわち、今申し上げましたような、3分の1に課税標準を減額するというところを廃止いたしまして、税率は下げるといういわばガラガラポンを行ったということで、本則を新しく、2.0から始まる税率を張ったわけでございますが、その際に特例ということで3年間の措置、今年度末までの措置といたしまして、それを半分にするということで、売買の所有権移転のところでございますが、2.0のところを1.0にしたと。このような改正を行ったわけでございます。

このときの考え方は、資産デフレ等々がある中で、土地の収益性を上げるということでないとなかなか有効活用が進まないだろうという、非常に喫緊の課題だという認識のもとで、3年間の時限措置ということで、いわば3年たったらもとに戻すという考え方のもとに、このような半分にするという減税を行ったわけでございまして、その減収額が、欄外に書いてございますように、約2,600億というオーダーの大きな改正をさせていただいたわけでございます。

現在、土地の状況はどうなっておるかということで、ちょっと土地白書の抜き書きを41ページに掲げてございます。アンダーラインのところなどご覧いただきますと、土地の取引というものがやはり土地神話の状態からかなり様変わりをしておりまして、土地の利用価値に応じた地価形成を行うようになってきておると。そういう中で、利便性とか収益性の高い地域では土地取引が増えてくるというようなことで、土地取引の状態がかなり正常化しつつあるという状況であろうかということもございます。導入時の経緯とか、このような状況を踏まえまして、もとに戻すというようなことで18年度の税制改正で対応するべきかどうかということが議論になるところでございます。

以上が租税特別措置の整理合理化までの説明でございます。

引き続きまして、納税環境整備という資料45-2に移らせていただきます。納税環境整備に関係いたしまして、3つばかりトピックを用意させていただいております。

1ページ目をまずご覧いただきたいと存じます。「相続税の納付の方法」という話でございますが、実は物納関係のお話でございます。基本的な話でございますが、相続税につきましては、もともと金銭納付を原則といたしまして、納め切れない場合には延納という手続がございます。その両者でも難しい場合は、物納できるという仕組みになっているわけでございますが、〔要件〕の3つ目のポツでございますが、「物納財産は、国が管理又は処分をするのに不適当なものでないこと」。要するに、国が物納財産としてもらっても処分が非常に難しいものであってはちょっと困ってしまうということもございまして、その納められるものの適正性というものが一応ここで問われておると。こういう状況で制度設計されておるわけです。

次の2ページでございますけれども、実際の物納がどのように進んでいるかということでございます。黒い棒が物納をしたいという人の申請件数、白い棒が許可をした件数でございまして、その差し引き、最終的にはストックが処理されないというものがこの折れ線グラフの未処理件数、これはストックベースでございますが、折れ線で示しておるわけでございます。

バブルのときには非常にその申請件数が増えてまいりまして、許可が追いつかないということで、未処理件数が増えるということでございまして、その後、次第に処理がされ減少いたしましたが、現在、高どまりと申し上げてよろしいでしょうか、大きな数字で依然として残っておるということで、これで本当にいいのかどうかということを、国税当局、あるいは国有財産の管理の当局等々も議論をしてまいりました。

次の3ページでございますが、その問題点ということ、幾つかございますが、主だったものを掲げてございます。1つは、申請から許可まで数年という期間がかかるとか、そもそも物納すべき財産の基準が、先ほど申し上げたような基準でございますので、なかなかわかりにくくて、納税者からなかなか合意が得にくいとか、あるいは納税者の側からすると、もともとあまり必要でない財産を大体物納する傾向にあるとか、それぞれの立場立場であるわけですが、基本的にどれぐらいのものが物納財産として的確であるかどうかとか、あるいはどれぐらいの手続を行うべきかということについての透明性が非常に欠けているのではないかという反省に立ちまして、今度の改正、一日も早く行いたいということですが、手続の明確化とか迅速化の観点、下の箱にございますような観点から、制度改正、改善を行っていきたいと思っているわけでございます。

例えば物納財産として不適当である財産とは一体何かというようなあたりも明確な形で提示していくという考え方に立ちたいと思っておるわけでございまして、基本的に技術的な問題ございます。国税庁及び国有財産の管理当局とも技術的に詰めていきたいと思います。

4ページ、2つ目のトピックでございます。公示制度に係るものでございます。現在、国税の公示制度には4つございまして、所得税、相続税関係、法人税、それから欄外に地価税と書いてございます。地価税は現在適用停止中でワークしておりませんで、欄外に送らせていただいておりますが、こういう制度がございます。

第三者の監視によりまして牽制効果を期待するということで導入されているもので、この表にございますように、昭和25年に生まれてきた制度であるということでございます。

内容的には、公示事項という3つ目の欄をご覧いただきますと、例えば所得税であれば氏名、住所、所得税の額が出ておるということでございます。公示制度つきましては、当調査会でも幾度となくご議論を賜り、直近では、5ページにございますが、春先にもご議論いただいたということがございます。その際ご議論ございました、もともとこの制度、第三者の監視による牽制効果を期待ということでありますけれども、目的外使用でビジネスに使われるとか、あるいは寄附の慫慂が行われるという話とか、犯罪等々への誘因化しているというようなさまざまな問題があるのではないかというお話等々ございまして、廃止の方向で検討してはどうだろうかというご指摘もいただいているところで、この点、この方向で検討していくということではどうだろうかと考えているところでございます。

次の6ページでございます。3つ目のトピックでございます。最近、インターネット取引が相当増えているということは皆様ご案内のとおりでございますが、それはまさに店舗とかを持たないために、取引実態が非常に把握しにくいというものでございまして、国税庁の方で、かなりそこを集中的に調査したということで、その調査状況をちょっと示しておるわけです。1,000件ぐらい調査いたしまして、平均で1,100万円ぐらいという所得の申告漏れがありますが、(参考)の4をご覧いただきますと、この申告漏れの件数1,031件のうち約2割程度が無申告ということでございます。

特にその存在が非常にわかりにくいということから無申告になりやすいということのようでございまして、その具体的事例が次の7ページにケースとして書いてございます。いずれにしましても、この無申告というものにつきましては、申告納税制度というものの中では非常に重い罪である申告納税義務違反が行われているという意味においては放置できるものではございません。過少申告に比べれば、より罪が重いという部分もあろうかと思います。インターネットの普及からすると、一日も早くこれに対する何らかの対応が必要であろうと考えられるところです。

例えば8ページでございますが、加算税という制度がございます。無申告の場合には、それがわかった場合の追徴税額に対しまして15%のペナルティがかかるわけでございますが、この割合を引き上げることによりまして、無申告の防止、牽制をより進めていくということを志したいと考えておるわけであります。

ちなみに、過少申告加算税の場合は、追徴税額の10%ですが、金額が大きくなれば、その分について15%ということでございますが、無申告と過少申告のバランス上、やはり無申告加算税の割合をもう少し引き上げることが考えられるところ、そのような方向で検討したいと思っておるところでございます。

以上でございます。

委員

ありがとうございました。

では、都道府県税課長、お願いします。

事務局

都道府県税課長でございます。基礎小45-3、地方法人課税等関係につきまして、ご説明申し上げます。

1ページをお開き願います。「地方法人課税の概要」で、基本的な資料で恐縮でございますが、地方法人課税には法人住民税と法人事業税がございまして、この2税を法人二税とも呼んでございます。法人住民税については都道府県及び市町村があって、法人事業税につきましては都道府県が課税しているものでございます。

2ページが、この法人二税の税収の推移でございます。平成元年の10.8兆をピークに、最近では6~7兆で推移しているところでございます。

3ページをお開き願います。「地方法人課税の税率の推移」でございまして、グラフの下のほうの法人事業税の表面税率、10年、11年にそれぞれ引下げを行いまして、16年に外形標準課税を導入したと。その結果といたしまして、地方法人課税の実効税率は11.56%になっているところでございます。

4ページをお開き願います。これが国・地方を合わせた法人所得課税の実効税率の国際比較表でございます。

次に5ページをお願いいたします。法人に限りませんが、「地方税の主な非課税等特別措置による減収額の内訳」でございます。個人住民税といたしましては生損保控除、法人住民税といたしましてはIT投資促進税制、事業税といたしましては社会保険診療報酬の非課税措置、そして固定資産税、新築住宅等に対する減額措置が大きなものとなってございます。

6ページをお開き願います。地方税の主な非課税等特別措置に関しましての答申でございまして、今年の6月の論点整理におきまして、生損保控除などにつきましては、速やかに整理すべきであると。また、法人事業税の社会保険診療報酬に係る課税の特例措置につきましても、累次の答申で速やかに廃止すべきであるとのご指摘をいただいているところでございます。

7ページをお願いいたします。次からが平成15年度税制改正におきます地方税の減税措置でございます。まず、3年間の時限措置として講じたものといたしまして、1つが不動産取得税の税率の引下げ措置がございます。

(注)にございますように、住宅・住宅用地につきましては、従前から3%でございましたが、それ以外の部分につきまして、4%を3%に、税率の引下げを行っております。

また、IT投資促進税制・研究開発税制につきましても、法人事業税、法人住民税分がございます。

それから15年度におきましては、合わせまして、特別土地保有税の課税停止、新増設に係ります事業所税の廃止の措置も講じたところでございます。

8ページに「不動産取得税の概要」の資料を載せさせていただいております。ただいまの税率の引下げ措置のほか、6のところをご覧いただきたいと思いますが、住宅につきましては、課税標準の特例措置といたしまして、新築住宅につきまして1,200万円の控除、さらに住宅用地につきましては、税額の減額措置ということで、実質的には床面積の2倍の面積、200平米を限度でございますけれども、に相当する住宅用地につきましては税がかからないというような仕組みになってございます。また、住宅用地・商業地等の特例といたしまして、課税標準としての価格を評価額の2分の1に圧縮するという特例もございます。

9ページが先ほどの税率の引下げ措置の詳しい表でございますが、この(注)をご覧いただきたいと思いますが、この措置によります減収見込み額1,031億円と見込んでございまして、不動産取得税の税収額4,400億円程度でございますので、大変大きな数字になってございます。

10ページをご覧いただきたいと思います。最後でございますが、法人関係の措置でございまして、IT促進税制といたしまして、下のほうの地方税の減収額でございますが、法人住民税、法人事業税合わせまして1,429億円。それから右の試験研究費の総額に係る税額控除制度といたしまして、これも下のほうでございますが、これにつきましては法人住民税において中小企業のみに適用してございまして、平成17年度の減収見込み額といたしまして、34億円を見込んでいるところでございます。

以上でございます。

委員

ありがとうございました。

かなり盛りだくさんにご説明いただきましたので、うまく時間を使わないと議論がうまくいきませんが、とりわけ年度末に期限が来るものにつきまして特にご留意の上、その存廃を決めるようなご発言をいただきたいと思います。とりわけ設備投資、それから研究開発、これが今着目されておりますので、忌憚ないご意見をいただきたいと思います。

じゃどなたでも結構ですから、どうぞご発言ください。

委員

今の租税特別措置関係の研究開発の上乗せ部分と、それからITですね。それは期限、これは過年度中にということで、そういう原則から言えば、一旦廃止するということになるのが自然だと思いますけれども、その中でちょっと気になるのは、やはりIT関係ですね。これは必ずしも、景気対策というよりは、15年度の答申で書かれているように、いわゆる産業というか、経済の活性化とか国際競争力というようなかなり構造的なものを含んでいる話だと思うので、今回のは廃止になるとしても、何か別のそういうインセンティブというものを考えておく必要があるのではないのかなと思います。

それから、あと2ついいですか。

委員

どうぞ。

委員

今の説明をお聞きして、法人税の26ページの役員給与のところですが、そこで出てくる話の左下に書かれている小さい絵ですけれども、これは一番右側にちょこっと給与所得控除とあるのですが、これはいろんな雑誌を見てますと、皆さん、法人成りにしましょうと。そうすれば、こういう、書かれているような経費を引いた後に、さらに給与所得控除を受けられますよと。もっとひどいのは、政府税調のサラリーマン増税けしからんと、特に給与所得控除削ろうというのはけしからんという世論の中で、当分あれはできないでしょうと。だから、存続するでしょうから、それをうまく利用しましょうということを書いている、これは結構有名な雑誌、経済誌で書かれているので、これはやはりちょっと具合いが悪いのではないかと。きちっと対応する必要があるのではないかということですね。野放しにするのはおかしいのではないかということです。

それからもう一つは公益法人のところですけれども、公益法人課税については、その制度が新しく動き出すことに伴って動くのでしょうけれども、その前に、今2万5,000ぐらいある公益法人の金融取引ですね。それは実態は一体どうなっているのかというのは調査したものがあるのかないのか。あるとすれば、そういうものを出していただければと。かなりひどいのもある。つまり、公平の原則から言って問題のあるものもあると思いますし、消費税の議論とか、定率減税の廃止とか、そういうことを言う時期に、そういうものにも税調としては関心を持っているということを言う必要があると思います。

委員

じゃこれは事務局にちょっと聞きましょうか。金融取引の調査の結果あるかということ。それからついでに2つ目の、法人成りした後で給与所得控除を何か穴封じができるのかどうか。これは前から問題になっているのですよね、この税調で。何か現段階においてご説明がいただけるなら。

事務局

まず公益法人の3点目の話でございますが、今調査を少ししているところでございまして、どのようなものが出るかまだよくわかりませんので、出せるものがあれば出したいと考えております。

それから2点目の法人成りの話でございますが、そういうことが雑誌等に出ておりますのは私どもも実は承知はしておりますが、どういう対応が可能なのか、今すぐ名案もありませんので、何か検討したいと思います。

委員

わかりました。ほかにいかがでしょうか。

委員

設備投資関連の租税特別措置に関する意見ですけれども、先ほど19ページで税引き前当期利益のご説明がありまして、2004年度、バブル期程度まで景気が非常によくなっているということですから、2005年度に関しましても、短観などを見ますと、さらに増益基調を維持する見通しになっておりますし、企業部門のキャッシュが本当に潤沢になってきまして、その意味でも、企業の状況というのは数年前と相当違ってきているという認識です。

設備投資については、特にグラフでお示しございませんけれども、2003年度以降も、幅広い業種にわたって、企業規模を問わず、もうかなり顕著な伸びを示しておりますし、2005年度の設備投資も、9月短観ではさらに上積みされるというような状況で、前年比伸び率も2004年度をさらに上回るというような計画になっており、設備投資の環境というのも本当に大きく変わってきていると思いますので、これは当初の予定どおり、時限措置については終了するということでいいのではないかと思います。

委員

ITはどうですか。一緒で結構ですか。

委員

それも、時限措置については同じように。

委員

わかりました。ほかにいかがですか。

委員

IT投資減税などについてですが、私も基本的には先程の委員と同意見なのです。というのは、これは時限措置ということで決めてますよね。しかも一種の景気対策でもあると。そうすると、定率減税を全廃して、これを全廃しないという理屈はちょっと成り立ちにくいわけですね。しかも、もともと、そもそも政策税制、政策減税というのは、過去にも、書いてありますように、中立という概念には反するということもあって、原則論から言っても、そういうものはやめたほうがいいというのは当然のことだと思います。

ただ一方で、単なる景気対策ということだけではもう通用しないだろうと思うのです。経産省も最近若干変わってきて、単純延長ということは言ってなくて、一たん廃止した上で何か別の新しい税制をみたいなことを言っているようですよね。そこで長期的な産業の競争力だとか、そういったものに資するような税制を新たにやりたいということを言っているようですね。そういうものが本当にあるのであれば、全く門前払いということではなくて、考えてもいいかなという気はするのですが、しかし、そうはいっても、今までと違うようなものが考え得るのかどうか。その辺がちょっと微妙なところで、私もそこまではよくわかりませんが、一応考えるぐらいは考えてもいいのではないかという感じですね。

委員

それは来年度税制改正にすぐ、また新しい租特を入れろということではないけれども、まあ少し長めに考えると、その必要性も、頭の真ん中か隅かわからんけれども、置いておけと、こういうご趣旨ですな。

委員

そうですね。真ん中でなくて隅でいいと思います。

委員

ほかにいかがでしょうか。

委員

ちょっとマニアックな話ですけれども、新会社法に対応した法人税法の改正の対応が粛々と進んでいるというご説明を受けて、非常によかったのではないかと思います。1つだけお願いしておきたいのですけれども、どうも種類株式の評価というのがどうしていいかよくわからないというような問題があるみたいですから……

委員

何株式?

委員

種類株式ですね。優先株とか劣後株とかいろいろ、私もよくわかりませんが、大まかな方針だけでも早めにお示しになっておかれたほうが実務が混乱しないのではないかと思います。

それからもう一つですけれども、納税環境の整備のところで、最後に加算税にお触れになって、あまりこういうことについて議論するあれはない、場所は少ないのでしょうけれども、ついこの間、1カ月か2カ月ぐらい前に大阪地方裁判所で判決が出まして、関西電力の事案ですけれども、250億円かなんかの消費税について、担当の事務の方が申告書を提出するのを忘れて、ただ、申告書は提出するのは忘れたのですが、納付書に従ってきちんとした額が納付されていて、しかし、自主的に後からもちろん申告書は出したので5%ということになりますが、12億円かの無申告加算税を課されたと。

大変に聞こえの悪い話で、ミスがあったのはそのとおりなのですが、無申告加算税というのは本来、無申告で税金を納めないというのをきっと前提としてつくられている制度だと思いますので、単に紙が出てないというときに、これはあくまでも企業のミスですから仕方ないとはいえ、多少何か、ごく例外的な場合に救済する措置とかも、難しいのかもしれませんけれども、あってもいいのかなあという気がいたしました。

それから、もう一つですが、前回、お二人の委員からお話あって、お二人で議論していたことを、私、全然知らなかったのですが、地方のほうの話ですけれども、私、産廃税の導入、幾つかの県でお手伝いしたのですが、あれも一種の特定財源みたいになっているのではないかと思うのですね。つまり、我々が気づかないような、私が気づいてないだけなのだと思いますけれども、特定財源的なものが地方のほうに、額はともかく、いろいろあると思いますので、何かリストのようなものでもお示しいただくと、国のほうとちょうどバランスがとれて、今後の議論の参考になるのではないかと思いまして、3つともちょっと細かいテーマなのですが、一応。

委員

そうすると、産廃税も含めた特定財源について、地方税関係もできたら資料が欲しいねと、こういうことですね。

事務局

次回のときにお出しさせていただければと思いますが。

委員

わかりました。よろしくお願いします。

委員

納税環境整備の話の中で、前回この議論をやったときに、やはり有名人だとか著名人だとかのふところのぐあいが知りたいからというので、所得税を公示することは残したらいいのではないかというのがあって、答申にも一部残したらどうだという意見があったけれども、まあ、原則廃止ではないかと我々書いたのですよね。

今度提示されているのは、相続税が入っているわけだ。これも、我々、最近有名な事案がたくさんいろいろあって、著名人で、その子供がえらい名前広がったというものがあってね。しかし、それも一種ののぞき趣味かもしれないし、考えてみれば、相続税でたくさん払いそうだと、100人に5人ぐらいの話でしょう。それ出ると大変社会的に、今のような風潮の世の中では、悪用するやつはいないではない。

ということを考えれば、所得税のほうもそうだし、高額の相続税のほうも、この際その方向でくくってやってもいいかなという気がするのですよ。ただ1つ、ものすごい懸念材料があるのは、最近マスコミが一斉に書いているけれども、個人情報保護法というのができた結果、やたらと官のほうでもどこでも、個人情報出せなくなったのだ。犯罪とかいろんな面でものすごく不自由しているのです、報道機関は。いやいや、これは本当の話。それで、匿名の大流行であって、それは理由があってそうなったのですよ。しかし過剰反応があって、そこまで隠すことないではないかと。

例えば医師の国家試験受かった連中の名前は出さないというのだからね。弁護士は出すそうだけどもね。何だと、この区別は。だから、ちょっと過剰に匿名化というのが進んでいて、それは問題があるのですよ。そこに、税調で、所得税プラス、相続税ももうふたしちまうよということになると、その波及効果、並みのものではないという気がするのですよ。しかし、さはさりながら、まあ仕方ないと。

委員

法人税のほうはどう?

委員

法人税は、しかし、これは別に今のままでいいのではないですか。それもだめですか。

委員

何か、中小企業あたりで、出ると、それをネタにしてビジネスの上で不利になるところがあるとか聞いてますけどね。何かその辺の情報があれば。

事務局

所得税、相続税の対象は、個人ということで、先ほどお話があった個人情報保護との関係など、いろいろなことでわりと理解しやすい部分があろうかと思います。一方、法人税の対象はまさに法人ではございますが、やはり実際の取引の実態等を見ますと、例えば、いろんな下請にいろんな仕事がいくときに、公示されているかどうかというところで、いろんな取引条件について、それを前提としたいわば歪みが生じるとかいうような話が現実にあって、その辺は非常に、この制度を利用したやや意図せざる形も現実にあるという悲鳴もございまして、そのあたりも含めて、所期の目的どおり使われているかどうかという意味におきましては、個人、法人にかかわらず、全体としては目的対象的な要素もあるのかなという問題意識があろうかと思います。

委員

ありがとうございました。

委員

それからもう一言。政策減税の話で、この政策減税をやったときには、これが国際競争力にはプラス、当たり前の話でしょう。ただ、しかし、うたい文句は、景気に対してものすごくプラスになるだろうとうたわれたわけです。政策減税と言うと、必ず第一義的に景気効果論が出てくるのですよ。政策減税を売り込む立場からすればそれは結構なことだと思うけれども、今になってみると、景気対策論というのをあまり表に出し過ぎていると、景気よくなったよと。3年やってみて、現に投資行っているのだし、企業、勝手にやるわけだから、そんなことは。自分の経営合理化のために。何も税金要らないではないかという議論が出るのは当たり前なのですよ。今そうなっているのですよ、実は。

これ見ると、この39ページに書いているけれども、対象設備というのはすごいのだね。電子計算機からデジタルから、よくもまあこれだけ並べたものだと思って。あらかた、IT関係のメーカー、その他にはちゃんと潤沢に減税がいくようになっている。これは気配りの結果なのですよ。

だけど、本来の原点に返ってみれば、景気がよくなるかどうかわからないけれども、やることは国際競争力強化だということがロジックとして堂々と言えるのなら残したらいいのですよ。組みかえたらいいのですよ。名称変えて、実態変えればいいのですよ。そのときには、適用対象設備というやつを絞りに絞らなければ説明つかない、そんなことは。とは思いますけれども、頭から全廃して、さよならと言うほどのことでもないかもしれないと思っている。

委員

なんか最後は歯切れ悪かったけれども、要するにご意見は、対象を限定して、もしくは、強い要望があれば国際競争力の視点もちっとは加味せいと、こういうことですな。それは先程の委員のご意見にも近いかもしれない。どうぞほかに。

委員

事業課税の問題でちょっと一二申し上げたいと思いますが、皆様のお話にありました設備投資、IT減税、これは非常に緊急的に、税制調査会としては、租税特別措置法は整理縮小していくという基本的な方針がありながら、やはり緊急的に入れたものでしたので、景気の動向を見ながら縮小していく、あるいは廃止するべきものであろうと思っております。

それから、またかということで申しわけないのですが、29ページの、また事業体なのですけれども、これは事業体が民法や商法でどう位置づけられているかという図で、具体的には、税法上どうなるかと申しますと、この組合のところで線が引かれまして、それから右側は全部法人税の対象になって、左側は組合課税であると。

ところが、今年できました有限責任事業組合ですね。これは租税特別措置法に、組合であると、組合並みの課税の規定が置かれているわけです。問題は、基本になる民法上は任意組合なのですが、これの取り扱いが課税上書いていないので、具体的には、法人税法でしたでしょうか、基本通達の中には実務上の取り扱いで対応してきているということですが、そろそろ基本的な規定あたりは本法に入れたほうがよろしいのではないかという気がいたします。

それから、これ以上は技術的な話なのでここはこれぐらいにいたしますが、1ページおいて、久しぶりに、いわゆる個人企業と法人企業とのバランスをどうとるかという問題が大きく取り上げられておりますが、32ページでしたね。留保金課税が一定のものについては一部停止されていると。先ほども税制調査会の答申でご紹介ありましたように、この留保金課税というのは、ある意味で個人企業と法人企業、どちらを選択するかというときのバランスをとるようなものでありまして、これがありませんと、法人税と所得税の税率をにらんで、法人税が高いなと思ったら、損金の形で報酬として配って、さらに個人の段階では給与所得控除を受ける、こういう二重の利得を得ることになるわけですが、それをある意味で抑えるために留保金課税という形が置かれていると思うのですけれども、長年、この留保金の中で留保控除額をどのぐらいにするかどうかという非常に難しい問題がありました。これも景気対策で一部停止ということになっておりましたが、個人企業とのバランスを考えた場合には、この留保金課税についても考え直す時期ではないかと思っております。

委員

ご意見は、停止を廃止ということですね。

委員

留保金課税を復活といいますか、動かすということですね。

委員

一部停止しているやつを停止をやめろということですな。わかりました。

委員

政策減税の時限措置は、これはもう廃止すべきだと思います。

それから留保金課税ですけれども、留保控除額をどうするかというときに、これは32ページに、所得等の金額の、これは一つの選択肢として35%というのがあって、これはおそらく標準的な留保率といいますか、一般的に、平均的にはこれぐらい留保するのではないかということで控除しているのではないかというものですが、この制度ができてずうっと35%なのですね。ですから、これが現状に合っているのかどうかというのはちょっと一度検証されたほうがいいのではないかという気がいたします。

留保金課税そのものの意義については、私は非常によくわかりますので、ただ、その中身の問題として、この35%というのが適正なのかどうかということもちょっと検討する時期に来ているのではないかと。

それからもう一点、納税環境ですが、相続税の物納を円滑化すると。これは私は進めるべきだろうと思うのですが、ただ一方で、これは税の問題ではありませんが、国有財産を流動化するという、土地の場合でも、活用するとかいったようなことを一方で考えておかないといけないのではないかと。だから、活用、あるいは流動化の円滑化みたいなことをセットで考えていく必要があるのではないかという感想です。

委員

留保金課税のところの30%云々の話、今問題提起ありましたが、どうぞ。

事務局

今、留保金の話、お二人の委員からご指摘ございました。まず35%のほうの話は、確かに過去、比較的長い間、35になってまして、実態調査のところだともう少し増えているのではないかというご議論あるのも承知しております。ただ、そういうものを見ながら、片や、先ほどありましたように、租特のところが来年で期限が切れるという問題もありますので、全体を見ながら少し検討したいと考えております。

委員

その期限が来るものについてですけれども、おそらく議論として、1つは効果がなかったからやめるという考え方と、もう一つは、状況違ったからやめる。これはたしか財務省の政策評価でもかなり効果があったという評価になっていたと思うので、効果がなかったというわけにいかないと。そうなると、状況が変わったということを相当きちんと言う必要があって、しかもその場合に、先ほどご意見ありましたように、私はやはり定率減税の議論を一方でするのであれば、こういう平成11年とか13年ごろをとらえてきた一連の時限的な特例措置については、洗いざらい一回見直しておくという基本的な考え方だけは明確にしておかないといけないだろうと思っております。

それから納税環境の整備のところで、私も、こういう制度が持っている意味というのが、シャウプ勧告当時のコンプライアンスの促進という意味はもうほとんど失われてきているということであって、これらを原則としてやめるということについては全く異議がありませんが、ただやはり、コンプライアンスというのを何か外部の目に一回さらすというような意味は100%消えたとはちょっと思えないので、逆にいうと、先ほどの無申告も含めて少しこういう、とりわけ、高所得者、あるいは事業所得者なりに対する税務行政上の対応措置というものを少しとることもあわせてきちんと触れておく必要があるだろうと思っております。

それから3番目は、これは来年度すぐというわけではありませんけれども、商法の改正にしても、それからたしか、もう既に創業者に対しての、中小企業の場合ですから、5年間特例で、最低資本金制度がいわば適用除外になっていて、そういう事業者が相当数出てきているわけですけれども、そうすると、そういう事業形態が非常に多様化していくことが、もちろん事業がしやすいという面と、それが一種の節税対策的に使われないかということがどうも気になって仕方がない面があります。

所得課税でそれに対応するのはやや難しいところがあるので、これは地方税のほうの外形標準化したほうで、逆にきちんとそういうところを把握できるかどうかというのは、私は一つの地方税の役割になってくると思いますので、そういう意味では、地方の法人課税のあり方については、そちらの面から少しきちんと対応するようにぜひとも考えてほしいと思いますので、そのことだけをちょっと申し上げておきたいと思います。

委員

2番目におっしゃった、公示制度はやめるけれども、コンプライアンスの面から何か担保しろというのは具体的にどういうことですか。

委員

それはおそらく制度的なものではなくて、この話のように、これは実際には調査ですとかそういうことの密度を少し上げるとか、そういうことしかないのではないかと思いますね。

委員

わかりました。どうぞ。

委員

公示制度のことですが、実はこの6月のに書いてある「一部に存続すべきとの意見」というのは、これはたしか私が特に言ってこれを書いてもらったのですが、したがって、今でも基本的には意見は変わっていないのです。公示制度はやはり存続すべきではないかと私は思っています。それはやはり、ここにも書いてありますように、「第三者の監視による牽制的効果」という目的は、今でもなくなっていないと思います。もちろん、ここにも書いてあるように、嫌がらせや犯罪に利用されているという負の側面もあるかもしれませんが、やはりこういった当初の目的は残すべきではないかという気はします。

それから、先ほどご発言がありましたように、最近本当にいろんな意味で、匿名性といいますか、情報を隠すという傾向が非常に強いわけで、こういったことも、じゃ政府税調までがそういったことをやるのかということはちょっとどうかなという気もする。それから特に法人ですよね。法人というのはやはり資本主義経済の基礎的な単位でありますし、一種の公的な存在であるわけですから、法人まで公示の対象から外すというのは、ちょっとこれは行き過ぎではないかなという気がします。

委員

公示制度を、ちょっと皆さんの意見をまとめなければいけないのだけれども、これまでは大体廃止で結構だと。それからある委員は、前からのご意見もあって、少し考えておけよというご趣旨だと思いますが、何かこれに関してご意見ある方。

委員

例えば芸能人とか野球の選手とかは言われたがっているというか、そういうのもあるし、読むほうも楽しみというのはあるという現実が1つあるのは無視してしまうのはいけないと思います。あと、確かに法人というのはやはりちょっと違う性格を持っているのではないかなと思います。匿名性社会というのはよくないという意味でも。

あとは、発表するということと、例えば熱心な新聞記者が一生懸命取材して、見つけて書いてしまうということが罰せられるような話になったら大変なことですし。そうすると、やはりなかなかこの世の中、いろいろな情報というのは言いたがるということはあるのではないかなと思いますし、抜いた抜かれたの世界がここであらわれてくるというのはあり得るかなという気もしますので、そういうのはどうするのだろうかと。要するに、そういう人が捕まったりするようなことまで書き込むのかね。そうなるとやはり、言ったほうがいいんじゃないのというふうにもちょっと思いますし。

ただ、住所まで入れて、名前まで入れて全部やるというのは、確かに、個人の場合、やめてちょうだいよと言う人を無理矢理だめというのも難しい面はあるかとは思いますので、多少工夫すると。あと、地方までそうやらなくてもいいような気はするのですよね。だから、どのような職業を持っていた人が今年はもうけ頭にいたのかというのは一つの、今住んでいる社会はどういう社会かということに関する非常に重要な情報ですから、それを封鎖してしまうというのはよくないなという気もします。

委員

そういう意見ありましたよね。それで、「一部の意見あったが」と入れたのですよ。ただ、その程度でいいのですね。今のお二人のご意見は、多分。大勢は、皆さん、やめよと言っているのだから。わかりました。

委員

ただ現実問題として、相続税で、著名人が亡くなって、財界人でも、ITのバブルの方々でも構わないけれども、どこかで漏れてくるのですね。不思議にね。あれは取材記者が熱心に取材したというよりも、そういうニーズもあるな、ちょっと漏らそうかと。国税庁の担当の方が社会的なことを考えて。というようなことが現実にあるわけだから。だって、脱税なんか、みんなそうやって漏れてくるのだから。秘密のやつが。これはこういうルール、本当にやるのだったら、そういうリークもやらないと不公平になる可能性ありますよ。

事務局

私がお話しすることではなしに、国税庁からきっちりと説明させるべきことだと思うのですけれども、よく担当者が漏らしたとかいうことがありますけれども、10年前、20年前、30年前、私は、正直いって存じませんけれども、少なくともこの10年ほどの間で、そういうことは制度上はあり得ない。もし漏らしたことがあれば、確実に処分する。あまり品の悪い表現をすべきではないかもわかりませんけれども、職員には、職をなくし、退職金もなくし、処分されるのをあえて承知でリークする。忠臣蔵ではないですけれども、腹切ってでもそれをする職員を私は個人的には否定はしませんけれども、少なくとも制度上は漏らす云々のことはないと厳しく指導しております。万が一出てきたら、それは言っていただければ、確実に国税庁のほうで処分するということになってますので、漏らす云々はないと思います。

ではなぜ出るのかといったら、気をつけていただきたいのは、査察の事案は出ます。告発してますから、これは制度上出ます。これは警察庁で発表いたしますので、出ます。それから調査の過程で出るのは、5万数千人の職員がいますので、その中に1人たりとも不心得者がいないとまでは言えないかもしれませんけれども、出るのは2つケースありまして、もちろん、知っている人ですね。それは調査した人、調査を受けた方。調査を受けたほうからは絶対出ないという前提に立てば、調査する側となりますけれども、私は受けた側から絶対出ないという保証も、それはなかなか実際問題としてはなかろうかと。調査を敏感な方は察知されて、来たときに、これどうでしょうかという話も、今聞いてますのは、つかんできた情報の裏をとりに来られても、絶対にしゃべらないと。間違ったことが出ても、それはオウンリスクで記者がお書きになるというふうなことに切りかわっているはずです。それは最近ですけれども、そういうふうに私は聞いております。

委員

よくわかりました。それでやっていただければいいのです。

それからもう一言。さっき、政策減税との関連で、定率減税をチャラにするときに政策減税を一部でも残すというロジックを使われた委員がおられたでしょう。これ、はっきり言ってしまえば、党派的な議論に近いので、この議論を援用することは好ましくないと。必要がなくなったからやめる。景気刺激の意味ではね。しかし、別の視点で、何かまじめな意味でやるのだったらそれで結構。じゃないと、共産党から社民党ぐらいの人たちがいうロジックにはまる可能性があるのだね。いや、本当。テレビでみんなしゃべっているのだ。その言い方を。だから、それはまあ言わないほうがいいと。

委員

そういうご意見ですね。何か特にある?

委員

自分の意見は変わっていませんよという先程の委員の一言に触発されて申し上げるのですけれども、要するに地方の今度の税源移譲のときに、地方税を抜本改正するときになのですが、均等割をすべて市町村に移すとかねがね申し上げているわけですけれども、それは変わっておりませんので、念のために、時効を中断しておきます。

委員

今は法人税のほうでやってますから、法人住民税の均等割ですか。

委員

いや、前回申し上げればよかったのですけれども、もう何回もしつこく申し上げているものですから遠慮したのですよ。変わっていませんよということを。

委員

いや、マニアック等々含め、ここはしつこく言われる方は勝ちですから。ほかに今の件、まだほかに案件があるので、先に。第1ラウンドについてどうぞ。

委員

この36ページに「租税特別措置の整理合理化」というのがあって、私は租税特別措置というのはやはり特別措置なのだから、何か理由があってやるということは意味があると思うのですが、この中に生損保控除というのが入っているのだけれども、これは例の5万円、そういう話でしょうか。そうすると、例えば医療費控除というのがありますね。医療費控除も租税特別措置ですか。

事務局

違います。

委員

それでは、私はかねがね、この生損保控除というのが租税特別措置というのはちょっと気がつかなかったものですから、原則の中に入っていたのだろうかと思ったのですけれども、本法の中に入っていたのだろうと思っていたのですけれども、それは間違いだというのがわかってびっくりしたのですが、要するに生損保控除をなぜ今残しておかなればならないのか。所得税も住民税もあるはずですが、そこがよく理由がわからない。今、生損保控除、租税特別措置として残している理由というのは何なのか。しかも、これはもうかなり長いと思うのですよね。だから、そこのところをちょっと説明していただけるとありがたいです。

意見を言うならば、その5万円、例えば税率10%の人は5,000円の話ですよ。それで自分の一生の年金だとか死亡保険金だとか、損保に至っては1万5,000円の話ですからね。ですから、こういうものを残しておいて、片方で、例えば消費税の税率を上げようかなんていう話にはならないのではないかと思うのですよ。

委員

ちょっとこれ正確に、少なくとも私の記憶では、生保というのは本法、本則だと思いますけれども、私は、生保と損保というのは全然違うものであって、前にも言いましたけれども、これを一緒に同列に並べていることはおかしいと思ってますし、それから生保控除について意見を言えと言われるのでしたら、また別に申しますけどね。

非常に極端なことを言えば、社会保険料控除、全額控除を認めておいて、こっちを5万円というのはどういうことですかと。つまり、官から民とか、効率性とかいう話からいけば、それは話が少し差があり過ぎるのじゃないのと本当は言いたいぐらいのところでね。その5万円が正しいかどうかというのは、何でこんな5万円あげているのというのは、払う側からするとおかしいと思いますよ。

委員

残して、拡大しろというご意見ですか。

委員

私はもっと別のやり方で、ああいう個人年金の話もありますけれども、もっと医療費の問題に絡めて、民間ができることがあるかと。その場合に、国としてインセンティブを与えるにはどうしたらいいかという観点で考え直すべき問題だと思います。

委員

衣替えね。改組ですね。

委員

今の5万円というのはどうでもいい話だと思いますけれども。

事務局

まず、生損保控除の位置づけでございますが、法律上は本法に規定しております。ただし、こういうものにつきましては、一定の特殊な商品を念頭に置きながら対応しておることもございますので、税制上特別な位置づけのものであろうということで、ここではこういう特別措置としての整理をさせていただいているということでございます。経緯論として、非常に古い制度であるということも、もともと本法として整理したという経緯があるということもあろうかと思います。

いずれにしましても、この生損保控除というものが、現時点におきまして、かなり多くの方が生保なり損保なりに加入しておられるという現状から見たときに、その新しい目で見て、これをそういう控除として特別に切り取って残すほうがいいかどうかというご議論は当然いただく必要があるだろうということで、累年ご審議をいただいてきているところでございます。

委員

どういう理由で控除しているのかと。

委員

これは昭和二十何年にやって、延々と既得権ですよ。まさにそうですよ。いつも。

委員

既得権だけでは説明できないです、それは。

委員

そうかな。

委員

私は最近、生保業界の方とちょっと話したことがあったのですが、その際の言い分は大体こういうことだったと思うのですよ。要するに、国の社会福祉とか社会保障が十分でないと。それを例えば生保なんかが一部肩代わりしておりますと。したがって、税金面でちょっと……

委員

それは30年前の話でしょう。

委員

そうそう、もちろんそうです。だから、その論理が、いまだにあの人たちはそれを言っているわけです。

委員

ただ、累年の答申に生損保控除廃止と、我々、書き込んでますよね。多分。それを今回またどうするか、文章を書くときにもう一回検討しましょう。

事務局

すみません。1つだけ。

委員

どうぞ。

事務局

先ほどの説明、ちょっと補足しますと、この生損保控除については本法で規定しているということでございますけれども、こうした措置が設けられた当時はおそらく貯蓄奨励とか損保推進とかいろんなこともありましたでしょうし、租特法にする整理も当然できたのかもしれないですが、さしあたり本法で規定したという経緯論が主にあるのだろうと思います。ただし、現状の新しい目で見たときにどう考えるかということは、当然、我々としては検討していただくべきことと思っておる次第です。

委員

だから、租税特別措置法という法と、単に、法がつかないで、外から持ってくるやつがあるから、それはちょっと複雑なのだよね。

じゃよろしいですか。酒税のほうへいきたいのですが、今の件、案文を書いた等々でまたご発言の機会いただきますから、そのとき、今のご議論を詳しくやっても結構です。

では、税制第二課長から、酒税について、ご説明ください。

事務局

それでは、お手元の資料、基礎小45-4をご覧いただきたいと存じます。まず最初は制度のおさらいということで少し説明させていただきます。

1ページお開きいただきますと、現在の酒税法における酒類の分類と定義ということで、現在、10種類、さらに品目が分かれておりまして、11品目ということになっております。それで、その税率、したがって非常に多くの種類、品目がきめ細かくございます。

2ページをお開きいただきますと、それぞれの種類、品目に対応した区分をしまして、今の税率体系としては、おのおのの基準アルコール度数というのを定めて、その1キロリットル当たり税率を書いて、ただ、アルコールが例えば清酒であれば15度より上下がございますので、1度当たりの加減算をしていくというような仕組みになっております。

ただ、この中で、(注)でありますように、ビールと果実酒、ワインですね、それから発泡酒の税率はアルコール分にかかわらず一定税率ということになっております。

3ページはそれをグラフにしたものでありまして、ご覧のように、いろいろな線がある。ただ、基本的には、下のほうはわりあいフラットになっていて、途中から度数が高い分野は度数比例で上がっていくという表になっております。

それから4ページは、税負担がどうかということを3つの角度から比べたのでございまして、アルコール分1度・1リットル当たりの税率を見ますと、ビール系が高くなっております。度数だとそうなる。ビールは度数が低いので、逆にいえば高くなるということもございます。

それから標準的なアルコール度数における1リットル当たりの税率ということで見ますと、ウィスキー、焼酎あたりが、アルコール度数のわりあい高いものが高いということになります。したがって、通常商品1本当たりで見ますと、ご覧のようなことで、焼酎とかビール類、このあたりが高いというような、見方によっていろいろな高低があるということでございます。

それから5ページが、最近少し話題になっております、我々、ビール風酒類と呼んでおりますけれども、第三のビールなどとも呼ばれている分野についての資料でございます。現在、ビールが標準的な小売価格218円ということで、それに対して酒税が77円でございます。発泡酒、今、麦芽比率25%未満のものがほとんどでございますので、それが145円のうち46円98銭、約47円の税率ということで、ビールとの差が30円ぐらいございます。

そのほかにビール風酒類として、リキュールというのは発泡酒に小麦スピリッツを混ぜたものということですね。そういう種類のものと、それから麦芽以外の、エンドウ蛋白質とか大豆蛋白質を原料としてつくっている、麦芽を使っていないということでビール発泡酒にならないわけですけれども、したがって、その他の雑酒というところに分類されまして、そういうものの税率がそれぞれ27円とか24円でありまして、発泡酒と20円前後の差があるという実態でございます。

それから次に酒類の課税数量とか税額の資料をつけております。6ページですが、昭和30年代からずうっと長期的に見た場合に、この棒グラフの課税数量はだんだん伸びてきていまして、大体平成7、8、9あたりがピークになりまして、最近は少し減って、人口減なども、あるいは全体的に少し消費が落ちているということもあるのかもしれませんが、横ばいよりも若干、15、16は減っております。

一方で課税額は平成元年にちょっとピークがありまして、それがちょっと下がって、また戻って、次のピークが平成6年、それ以降は課税額はずうっと減ってきております。これは1つには、平成6年から発泡酒が入っていきまして、そういうものの新しい、あるいはリキュール系のチュウハイですとか、最近はいわゆるビール風酒類ですか、そんなものが出てまいりましたが、そういういろいろなお酒の多様化によりまして、税収は課税数量よりは少し減ってきているという状況でございます。

7ページが平成16年度の実績を示したものでありまして、課税数量、これはキロリットル単位です。課税額が億円ということで、それぞれ整理をしております。課税数量でいきますと955万キロリットルで、そのうちビールが約4割、発泡酒が24%、次に焼酎、清酒、リキュールと来る。それから課税額で見ますと、ビールが約半分、それから発泡酒が約2割、それから焼酎、清酒というふうに来るという状況でございます。

それから8ページがいろいろなお酒の構成の変化ということでございますけれども、昭和40年代は、ご覧いただきますように、ビールと清酒で課税数量の大半を占めておりました。その後、清酒が少し減ってきまして、最近では発泡酒が登場して、これが先ほどの2割ちょっとのシェアを占めていると。それから焼酎が、これは平成6年と16年で、ここ10年間で清酒と焼酎が逆転しているということで、近年の焼酎の人気等を背景としてこんな姿になっております。それからリキュールというのはチュウハイと言われる分野が少し増えてきているということが影響していると思われます。そんな状況でございます。

それから9ページが今度は国際比較でございまして、日本とヨーロッパ、アメリカで酒税等の負担がどうかということで、間接税についてちょっと整理してみております。それで、見方としましては、下の少し網掛けというか色のついているところが付加価値税の割合。その上に個別間接税がどうかということで、一番上の括弧が間接税全体として国民負担率、国民所得に対して何%かと。例えば日本であれば、間接税全体で6.9%の国民所得比がありまして、そのうち消費税が3.4%、個別間接税が3.6%というようなことになります。その中で酒が0.4%程度のウェイトということになります。

各国、したがって、酒、たばこ、石油、その他ということでございまして、酒のウェイトが、イギリスは日本よりちょっと大きいということで、国際比較を見ますと、ドイツ、フランスよりは日本はちょっと多いということで、大体真ん中ぐらいかなという感じでございます。

それから10ページが「諸外国の酒税制度の概要」ということで整理してみました。ご覧のように、外国は蒸留酒、ビール、それからワイン。日本酒はありませんので、そういう意味では醸造系ということになりますけれども、ワイン。そのほかに、例えば中間製品というのは、日本でいうとシェリーとかポート、甘味果実酒に当たるのですけれども、ワインにブランデーとか糖類を混ぜたものを中間製品と呼んでおりまして、そういう分類をつくっていたり、それから最近の特色としては、ドイツですと、アルコポップ。これは(注)にありますけれども、蒸留酒とコーラなどのソフトドリンクとの混合物。あるいはフランスですとプレミックスということで、アルコール飲料とソフトドリンク。アルコールとソフトドリンクを混ぜたものについて、これはどうも未成年者対策ということで少し高い税率を併課するという制度も見られたりしております。

それから11ページが「主要酒類の税負担割合の国際比較」ということで、ウイスキー、ブランデーとワインとビールについてそれぞれ比較したものです。ウイスキー、ブランデーですと、イギリス、西ドイツが高い、ワインですとイギリスが高い、ビールですと日本が高いというようなそれぞれの状況になっております。要は、各国によってそれぞれいろんな制度があるということでございます。

12ページですが、これは去年の答申でございまして、結局、今まで申し上げたように、日本の場合、非常に税率も、それから酒類も細かく分かれて複雑であるということで、酒税については、そこにありますように、「酒類の生産・消費の態様の変化に応じ、税制の中立性や公平性を確保する観点から適切に対応できるよう、酒類の分類の簡素化を図り、酒類間の税負担格差を縮小する方向で早急かつ包括的に見直すべきである」という答申を頂戴しているということでございます。

以上です。

委員

ありがとうございました。

この酒税のほうも来年度税制改正の一つの関心事というか、皆さん、非常に関心をお持ちなので、今日はぜひ、今のご説明を聞いて、最後の12ページに書いてあるような文章のままでいくのか、もうちょっと踏み込むのか等々も含めてご議論をいただきたいと思います。時間もございませんから、どうぞご発言ください。

委員

税負担格差と言ったときに、何をもって税負担格差というのかというところが少し明確ではない部分があると思うのですね。もちろん、従量税体系ですから。ところが、今日配っていただいたところでは、標準的な価格に対する酒税負担率というのが出ているわけですね。どういう税率にするのがいいのかというのは非常に難しいわけですけれども、やはり中立性とかいうぐあいに考えるならば、価格に対しての負担率がどうなっているかというか、この3つ目の一番下の棒グラフですね。これをやはりあわせるといいますか、ということをいわゆる税負担格差の是正というぐあいに考えるのかどうかというところが、経済学的に言えば、同じようなグループの酒類の中で、税負担率の格差があることがやはり歪みを与えるわけですよね。

ですから、それがウィスキーとかビールとか、そういうものとのグループ間でもそろえる必要があるのかどうかという問題はありますけれども、少なくとも同種類の酒の中での価格に対する比率ですね、これはやはり一定にしておかなければ、もちろん、だから価格が安ければ税負担は安くなるというような、私は、これが一つの基準になるのかなと思います。ですから、ただ税負担格差を是正するということだけではちょっとわかりにくいのかなあという感じはしますので、そのあたり、もう少し工夫を……

委員

税負担格差の定義というか、明確な位置づけをちょっと書いたほうがいいだろうと。今のご意見は、小売価格に占める税負担ということですね。

委員

はい。

委員

わかりました。どうぞ、ほかに。

委員

日本とイギリスとの間で、EUとの間で、酒の税率について、WTOなりガットのほうでパネルにかかったことがあるのですよ。そのときまで、まさに価格を標準にやっていたのですが、そうすると、例えば焼酎とウィスキーの間でいろいろと問題が生ずるとか、そういうことがありまして、サッチャーさんのすごい関心事項でして、それで結局このように、むしろ価格ではなくて、製造の量によって、しかも製造1キロリットル当たり幾らというようにして定額で決めましてね。何しろ、お酒のようなものは一種のファッション性とか趣味、味の問題ですから、おいしいものつくれば高く売れると。それは自分たちの収益になるということで、おいしいものをつくりなさいという制度に変えたのですね。

だから、むしろ価格というのは消費税が上乗せになりますから、そこで調整ができるはずだということ。今プレミアムがすごくついているようなお酒もありますし、それからおいしくないものはやはり売れないですよね。そういうものは税負担が確かに上がるのですよ。上がるのだけれども、おいしいものにすれば、お客さんが買ってくれれば利益は増えるという形になっているわけですね。

委員

だから、それはこれから議論しなければいけない話でしょう。追加的にあれば。

委員

要するに、最適な税率体系というのがないわけですよね。ですから、何らかの基準がなければ税率というのは設定できないので、特に格差の問題、相対的な問題というのは一つの基準にはなり得ると私は思います。

委員

これは事務局はどうですか。

事務局

委員のほうから詳しく説明ございましたけれども、お酒の税の一つの制度の割り切りとして従量税になっているわけです。消費税との役割分担もありますし。先ほどの委員がおっしゃいました、標準的な価格に対する割合という表を見ますと、そういうご議論あるかと思いますが、仮に標準的と書いていますけれども、酒の価格はものすごく幅がありまして、そういうので現実に比較できるというのはなかなか難しいと思います。私ども、事務局の考えている従量税という制度に立脚して、その上で、できるだけ税率格差の均衡化を図るということではないかと思っております。

委員

委員からお話のあったWTO云々、1キロリットル当たり云々というのは、この資料4ページ目の真ん中を言うのですか。どれを言うの?

事務局

一番上の。アルコール分1度・1リットル当たり。

委員

わかりました。どうぞ。

委員

聞けば聞くほどどうしたらいいのかよくわからないというのが印象なのですけれども、今議論出てますように、一体何に着目して税率を張っていくのかというのがやはり、これは本来へその議論なのでしょうね。ところが、それをどのようにとらえるかというのは、これはいわくなかなか難しい話で、どこに焦点を当てるかというのを急に決めるわけにもいかない。長年の伝統の上で、言葉は悪いかもしれないが、こちょこちょとやってきたという感じを私は受けるのですけれども。

酒税というのにこれからの国税収入どれぐらい依存するのかという、これから先の考え方も一方ではあるだろうと思うのですが、消費税というものが一方で議論の対象に挙がってくるということを考えますと、この酒税というのをどう扱うかというのは、僕は、必ずまた一方の議論になってくるのではないかと思うのですけれども、具体的に言えと言われてもなかなか難しいのですが、一挙に、例えば来年度の税制改正でこのように変えて、決め打ちでこれでいきますというのはなかなかできないような気がしますのでね。普通の政策的な対応ということになると、何年がかりかでこういうところに落ちつけるというようなことで、段階的に落とし込んでいくということは考えられないのかなあと。

そのきに、出始めとして、あるいは最終的な姿としてということかもしれませんが、税収の上で若干のマイナスが出てくるというぐらいのことは覚悟しなければ調整はできないだろうと。いずれにしても、最終的な話になりますけれども、発泡酒が出てきちゃ、税の公平がどうだとか、何となく議論振り回されているというのはかなわんなあという気がしますね。

委員

私も、あまり明確な意見ありませんが、少なくとも、今、従量税とっているのはお酒とたばこと揮発油関係ですね。消費者のこういう消費体制なんかに影響を与えるということはやはり何か期待されているのだろうというのは私は前々から考えている。ただ、それにしてもたばこは実に明確にその辺が議論されているし、あるいは揮発油税もそういう議論されていることもあって、私はそういう点から言うと、やはりアルコール度数というのは一つの目安にしていって、いわば量として、まず原則的な税率を定めるというのは、私はもちろんお酒はたしなみますから、たくさん飲めませんが、ただ酔っ払いは嫌いなので、そういうところがありますけれども、本来それなりに社会的な意味合いもあるので、これまで少なくとも酒税についてはもっぱら税収確保ということが恐らく非常に中心に語られてきたとは思いますけれども、少しそういう社会的な意味でも、今後の税の議論では考えて、むしろそれは私は、極端にいえば税収は減る危険性ははらんではいますけれども、でも、そこは少しそういう内容をはっきりさせてきたほうがいいのではないかと思ってます。

委員

これは非常に難しい問題だと思うのですけれども、去年の答申の中にも、同種同等のものでありながら税負担の異なる酒類が生産されるようになってきたと。これは要するにビールと発泡酒と第三のビールのことをおそらく言っているわけですよね。ここで私がやや疑問に思うのは、同種だというのはそうだと思うのですけれども、同等ではないと思うのですよね。やはりビールと発泡酒と第三のビールというのは若干グレードが違うと思うのです。したがって、グレードの低いものにはそれなりの低い税でもいいのではないかという考え方もあると思うのですよね。それで、実際、価格は安くなって、そういうことで好まれて飲まれているという現実もあるわけですから。だからといって、一方で公平性を図るという点ではそれだけでは言い切れないかもしれないのでね。だから、それをいかにそういった第三のビールなんかを好んでいる人に納得してもらうような論理で、もし調整するのであればですよ、その論理が必要なのではないかなという気がします。

委員

まあ納得しないでしょうね、お酒飲みは。いずれにしましても、この間の前回の答申、この方向はよろしいですね。つまり、これからどう進むかをこれから議論しなければいけないので、根っこから同種同等をまとめていこうというふうな、14もあるやつを少しくくったほうがいいだろうという話でしょう。

委員

そう思って、去年もそうだと思っていたのですが、これをもう一回よく読むと、同種同等、酒類間の税格差縮小と言うけれども、4ページ見ると、どれを縮小するんだかはっきりしないのですよね。そこのところ、もうちょっと緻密に書いたほうがいいかなという気が1つするのと、今度のエンドウ豆の件でいきますと、発泡酒の経験からいくと、15ページの表を見ても、まだ大騒ぎすることでないなという感じはちょっとまだ持ってますが。

委員

大騒ぎって何ですか。増え方の問題?

委員

だから、発泡酒も騒ぎ始めてからずうっと減って、ああ、そろそろ何ぼ何でもだろうという、相場観というのがあった。

委員

じゃしばらく推移を眺めるということですか。

委員

これは実に悩ましい話で、もう世間のイメージでき上がっているものだからね。そうか、サラリーマン増税、数年先に延びたらしいけれども、酒で今度は来るか、とかね。実に単純明快、ポピュリズムの世界だから。世の中は。それが天下に横行しているわけでね。それを打ち消すためにどんな精緻な議論をここでやろうと、結果的に何ぼなのだと、ここだけ問われるのですよ、この話は。だから、会長がどういう政治判断を持っておられるか知らないけれども、それでもなおかつ、無理やりでもやるよと、具体案をつくるというふうに考えるかね。方向性、ここに書いたとおりのことで、こっちも同じこと書いておくと言って逃げてしまうか、どっちかですね。

委員

それはこれから起草会合のことをお諮りしますが、文章力がかなり問題になりますよね。その段階で再度ご議論いただくけれども、今日の段階では、これまでの基本方針を踏襲するぐらいで、そんな細かく言えませんよ。あと、時間かけてやるというくらいのところだと思いますがね。

委員

これだけ悪い評判を呼ぶことをあえて冒しながら正しい評価を受けることはなかなか難しいことがわかっていながら乗り出すのだったら、報われるものが相当なければあほらしいんだよ、これね。それだって、なんか税収は増えないそうだと。こんなばかな話あるかと。本当にね。値上げだけのメリットがあればいいのですよ。

委員

従量課税というので、私はおそらく、お酒を飲む人の担税力というのは、酔っ払うというか、気分よくなるために飲む。それはアルコールですよね。ですから、アルコール1度当たりの税率というのはある程度等しくなっていなければならんのではないかと思っていたら、4ページを見ると、随分違うのだ。要するに、ビールは高いのですな。アルコール1度当たりの。だから、現実問題はアルコールの度数で一定税率をかけてしまうと、税収がどんと減ってしまうと。そこが問題なのですねということではないかと思うのですよね。

委員

そういうことでしょう。みんなわかってますよ。

委員

だから、そこで、やはり論理的に同種同等でまとめるということで、ビールに及ばないところは上げるという話になってしまうと、ビール自体の1度当たりの税額が高いから、それはやはり庶民というか国民が当然文句を言う話になるわけで、そのときはやはり、今の税体系というのを、税額自体を守るというのがいいのかどうかわかりませんけれども、そうだとすれば、ビールの値段を、税率をある程度下げて全体の平均もするとかそういう配慮をしていかないと、やはり国民は納得しないということになるのではないでしょうかね。

委員

要するに皆さん悩んでいるということだね、お話を聞くと。明快なる答えはなかなか出しにくい。これからまだ時間ございますから、議論しましょう。

それでは、まだもう一件、固定資産税が残ってますので、ちょっと時間延びてますので、申しわけありません。では固定資産税課長。

事務局

固定資産税課長でございます。資料、基礎小45-5で説明させていただきます。

まず1ページ目は概要でございます。ポイントのみ説明いたします。課税客体ですけれども、固定資産税、土地、家屋、償却資産、3つございまして、土地が1億7,800万筆、家屋が約6,000万棟、この課税物件にそれぞれ価格をつけないといけないということになっております。

課税標準のところをご覧いただきますと、価格が課税標準だということになっておりますが、先ほど言いましたように、非常に大量な物件に価格をつけるということでございますので、土地と家屋は原則3年に1回の評価替えということになっております。これが平成18年度でございますので、賦課期日、平成18年度1月1日現在の価格をつけるということで、今、市町村が努力中ということでございます。この価格の動向を見まして、負担のあり方を考えるということで、3年に1度、負担調整の仕組みについてご議論いただくという仕組みになっております。

続きまして2ページでございます。これは市町村の税収全体に占める固定資産税の割合でございます。一番上の全市町村でご覧いただきますと、固定資産税が46%、同種の都市計画税を入れますと50%を超える税収の割合になっているということで、よく市町村の基幹税であるという言われ方はこのあたりから来ておるものでございます。

もう一点、課税客体が、性質上、あまねく市町村に存在しておりまして、一番下の町村のところをご覧いただきますと、固定資産税のみで55%ということで、かなり、零細な町村のほうでの依存度が高い税目であるということがおわかりいただけるかと思います。

続きまして3ページでございます。最近の固定資産税の税収の動向でございます。これをご覧いただきますと、まずマルを打ちましたところが税収のピークになっております。グラフの一番下の黒いところから、土地、真ん中が家屋、一番上が償却資産の税収になっております。11年度、9兆2,400億円ございましたのが、16年度には8兆7,000億ということになっております。

動向を見ますと、土地で、11年度、3兆8,000億円、ピークをつけました後、毎年度、数百億円強の減収、価格の下落ということを受けまして、最近はかなりの減収になっている。11年度と17年度あたりを比べますと、土地のみで4,000億円の減収になっているということがわかります。家屋につきましては、3年に1度の評価替えでかなりの減収が出る。これは建築物価を見ましてデフレの調整をするということと、もう一点は、家の古びの減額、減価をさせると。この2つが重なりまして、最近では評価替えごとにかなり大きな減収が立っているということが見ていただけると思います。

続きまして4ページでございます。これは固定資産税の税額算定の非常にわかりやすい図でございまして、これは資産税でございますので、資産にまず価値をつけると、金銭表示をするということで、評価が最初に出てまいります。通常でございますと、この評価額をそのまま課税標準額に使いまして、これに税率を掛けて税額を算出するという手続でございますが、家屋償却資産はそのような格好になっております。

ただ、土地につきましては、実はこの評価額をそのまま課税標準額で持ってくることができていないということをその下に、課税標準の特例、それから負担調整措置というところで書かせていただいております。詳細は次ページ以降を見ていただきます。

まず5ページ、これはまず評価のところに従来非常に問題があったということで、平成5年度まで、一番左の評価のところをご覧いただきますと、市町村間、それから各土地の間におきましてかなり大きな格差があったということで、これをまず解消しようということで、平成6年度からのところの評価をご覧いただきますと、いわゆる7割評価、地価公示の7割を目途とした評価をここで行ったということで、全国的に目安となるものを当てはめまして、評価の統一を行ったということでございます。平成6年度以降ずうっと7割評価というのは実施しているところでございます。

そういう意味で、真ん中の欄の一番下のところに書いてございますが、評価のところにつきましては、非常に一本化が進んだ、ばらつきはなくなったわけでございますが、これを直接税額の算定に用いますと、従来の税額から非常に急上昇するところが出てくる。こういうことで、これは納税者の間に理解が得られないというような問題もございまして、いろんな調整をすることにいたしました。

[2]のほうを先にご覧いただきますと、住宅用地につきまして、従来からやっておりました小規模住宅用地、一般住宅用地の特例を大幅に拡充いたしました。小規模住宅用地で申し上げますと、従来、価格の4分の1にすると言ってましたところ、6分の1まで引き下げるということでございます。

この住宅関係以外のところ、それが[1]、それから住宅用地もそうでございますけれども、いずれにいたしましても、急上昇に対応するための負担調整というのをいたしまして、急に上がらないようなシステムでございます。評価額が3倍になりましても、税額の伸びは3年間で15%にしか上がらないというシステムを入れたわけでございます。

9年度以降、合理化をした負担調整をして現在に至っているということと、それから評価のところをちょっとご覧いただきますと、地価下落がそれ以降ずうっと続いております。そういうことで、下落がありました場合には、3年に1回の評価替えを待たず、各年で簡易な評価の切り替えをする、修正をするということが可能になったわけでございます。

それを6ページのモデルで見ていただきますと、まず一番上の線が地価でございまして、バブル期、急上昇した後、その後、かなり長期間にわたりまして下落が進んでいるということでございますが、下のほうの評価額というところをご覧いただきますと、これがバブルの時代の地価の急上昇になかなか追いつけない。さらに、ここは1本しか書いてございませんが、ここがかなり市町村ごと、それから土地ごとにばらつきがあった状態でございました。これを平成6年のところで評価額が急に上がっておりますけれども、地価との関係で7割に評価したとご覧いただければ結構かと存じます。

続きまして7ページに現行の、先ほど申しました負担調整措置の詳細を書いてございます。左のほうからご覧いただきますと、評価額を100といたしまして、これと前年度の実際に使いました課税標準額との割合、これを負担水準と申しております。例えば地価の公示額が1,400万円ちょっとぐらいですと、固定資産税評価額がそれの7割でございますので、1,000万円となります。前年度の課税標準額が例えば250万円でございますと、この割合が、負担水準25%ということになります。そういう土地は、ここで20~30の欄をご覧いただきますと、前年度の課税標準額250万円に1.075を掛ける。268万円ぐらいになりますけれども、それが今年度の課税標準額として使うというものでございます。

一方で、非常に高いもの、前年度の課税標準額が800万円ぐらいでございますと、負担水準で言いますと、1,000万円の評価額ですと80%ということになります。そういう土地につきましては評価額の70%を上限に引き下げるということでございますので、当年度の課税標準額は700万円、このような形で負担調整を行っていくというものでございます。

なお、一番左の下に条例減額というものがございます。今、私、上限70%まで引下げと。これは法定で決まっておりまして、市町村が実は自分の判断で60%まで減額することができるという措置が平成16年度に入ったものでございます。

続きまして8ページでございますが、これは先ほど申し上げました住宅用地の特例の状況を掲げたものでございます。見ていただきますとわかります。平成6年度に大幅な拡張をしたというものでございます。

それを全部合わせますと、次の9ページでございまして、一番左が商業地と、真ん中が小規模住宅用地、一番右に200平米を超える一般住宅用地の例でございます。黒くなっておりますところが実は引下げということで、おまけをしている部分でございます。真ん中の小規模住宅用地をご覧いただきますと、全体の6分の1まで控除する、引下げをするということがおわかりいただけるかと存じます。

そこで、10ページをご覧いただきますと、商業地等につきまして、一体どのような土地がどういう水準に来ているのだということを示したものでございます。まず平成9年度の全国、左上のところをご覧いただきますと、3つ線が立っておりますが、まず左のほうから、これは負担水準がそこそこの水準高いもので、税負担が引下げになるものということです。これが大体12%弱。3つ目の一番右をご覧いただきますと、負担水準が低いために、なだらかに税負担が引き上がっているもの、いわば地価が下がっているのだけれども税負担は上がっているねという声を随分聞きましたけれども、それに該当するものです。これが9年度で50%を超える水準でございました。

次に17年度、右のほうに移っていただきますと、これが逆転をいたしまして、税負担が事実上引き下がっているものが大体50%近くになっておる。一方で、税負担が引き上がっているというのが15%弱、こういう水準に来たというものでございます。そういう意味で、負担水準の均衡化というところはかなりの程度まで進んだということが言えるかと存じます。

次、11ページをご覧いただきます。しかしながら、地域ごと、それから土地ごとに見ますと、やはりまだ負担水準のかなり低いものも残っているということでございます。これは商業地等におきまして、その年度の評価額と課税標準額の水準というのを比べてみたものでございまして、負担水準の均衡化が進みますと、70%のところに基本的には収斂されてくるというものでございます。大阪あたりを見ますと、もう既にかなり高い水準でございますけれども、沖縄県、これは最も低いのですけれども、45%ぐらい、こういう水準でございます。

これはただ、市町村は別にサボっているというわけではございませんでして、先ほど言いましたように、1年間の水準、引き上がるその限度を法律が定めているということと、それから地価の下がり方というのが地域的にかなりの差があると。こういうところに起因しているものでございます。

というような状況でございまして、12ページでございますが、これは3年前に頂戴いたしました調査会の答申でございます。2つご指摘を頂戴しておりまして、1つは、市町村の基幹税目であり、今後も本税の安定的な確保が重要というご指摘。もう一点は、今かなり申し上げましたが、宅地の負担水準の問題でございまして、負担の均衡化、適正化をさらに一層促進する措置をとる必要があるというご指摘を頂戴いたしております。基本的には、現在の状況もそれほど変わりがないという状況かと存じます。

最後の13ページでございますが、評価というのが、やはり市町村側がやりまして、納税者にとってはなかなかわかりにくいということもございまして、情報の開示というのを累年進めてまいりました。例えば一番上の縦覧でございますけれども、自分の財産の評価額のみならず、ほかの、他人の土地・家屋の評価額につきましても、縦覧帳簿、これは一定期間でございますけれども、開示をしておるということ。さらに、下から2つ目ぐらいに課税明細書、これも個別の財産につきましてできるだけわかりやすくということで、明細書をつけるということを義務づけたりしております。このようなことで、納税者に対するご理解を得るような努力を逐年重ねてきているという現状でございます。

以上です。

委員

ありがとうございました。

5時をちょっと超してますが、5~6分延長して、もしくはご意見があれば伺いたいと思ってますけれども、いかがでしょうか。

これまでの基本線に沿ってということのお話なのでそれほどご意見もないかと思いますが、また答申を書く段階でいろいろご意見を伺って、じゃ文章の上でまたご意見を伺うということを設けたいと思います。

それでは、今後の予定をお出しして散会にしたいと思いますが、火曜日、15日は総会を開く予定でございます。2回やりましたので、それの報告を兼ねて総会メンバーにご承認をいただくという作業、15日の2時から5時、3時間を予定しておりますので、あらかじめその予定にしていただきたいと思います。

それから、その総会の後、議論は大分出尽くしましたので、起草の段階に入りまして、起草会合という形で文章を吟味していただくということにしたいと思ってます。起草会合のメンバーは従来この基礎小のメンバーでやっていただいておりますので、18日2時から4時までですがよろしくお願いします。ちょっと延びるかもしれませんが、ぜひ基礎小のメンバーの方は、起草会合のメンバーにもあわせてなっていただきたいと考えております。

じゃ今日はどうも長時間ありがとうございました。実りのある議論だったと思います。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。