第44回基礎問題小委員会 議事録

平成17年11月8日開催

委員

それでは、時間になりました。お忙しいところをご参集いただきまして、ありがとうございます。

ただいまより、基礎問題小委員会を開催いたします。

今日は、先般の内閣改造に伴いまして、新しく財務副大臣にご就任になられました、竹本直一副大臣、赤羽一嘉副大臣、お二人にご出席いただいています。簡単にひと言、ふた言、ご挨拶がございましたら、お願いします。

事務局

竹本直一でございます。ひとつよろしくお願いします。

事務局

このたび副大臣を拝命いたしました、公明党の赤羽一嘉でございます。しっかり勉強させていただきますので、どうぞよろしくお願いします。

委員

よろしくお願いします。

それでは、今日から基礎問題小委員会に舞台を移しまして、少し細かい点にまで触れた議論をやりたいと思います。前回、総会で「税制・財政の現状と課題」を整理してもらいましたので、今日は、「個人所得課税」、「国際課税」、そして「環境税・特定財源」という3つの括りで、これから事務局から説明を受けまして、そのあと審議を深めていきたいと思います。なるべく延長しない予定ですが、議論の結果によりましてはあり得るかもしれません。

議論を始める前にちょっとご報告は、お手元に「委員限 各委員の問題提起」という紙が行っているかと思います。ここに、いわゆる学者委員、税制・税法の専門家の方々に、先月末2回に分けてお集まりいただきまして意見交換をいたしました。その狙いは、年度改正も含め、来年度6月以降、我々3年の任期が来ますので中期答申を出さなければいけない。そのときにどういうテーマを議論すべきであるか、あるいは現在、日本の税制も含め世界の税制改革の動向はどこにあるかということを踏まえて自由に問題をお出しいただいて、そこを整理しながら、今後の議論に役立てたいという趣旨で議論をいたしました。レポートを出していただけましたので、ここにほんの4~5つのマルで諸先生のご意見がまとまっておりますが、内容はもっと濃いものでありました。

そこで、概略どんなことを議論したかをご紹介いたしますが、総論といたしましては、税制改革の理念とか、今後の議論の仕方をどうしたらいいかと。つまり税負担がどの程度必要かも踏まえて、どういう説明を国民にしなければいけないか。あるいは、税、社会保障の負担、この相互間の関係はどうかとか、あるいは、歳入・歳出一体改革の中で税のパーツがどこに置かれているかというのをまとめてもらわないとなかなか議論がしにくい。6月に経済財政諮問会議を中心として「骨太」の議論も出るようだし、そういう全体のフレームが固まった段階で税制改革の議論をしたほうがいいのではないか等々の意見が出されました。

それから個別の税目に関しては、消費税はこれから役割が高まっていくであろうと。現にすでにいろいろな政治的な駆け引きが行われているようでありますが、仮に消費税を今後重視していく場合には、税率のこともさることながら、インボイスであるとか、非課税品目の問題であるとか、軽減税率、国と地方の消費税自体の分配の問題、こういう点が問題であるというご指摘がございました。

所得税はこれまで十分議論してきましたが、あえて議論した中では、所得税がどういう位置づけにあるべきか、捕捉の問題、金融所得課税、今後どう進めていくかというような議論がございました。

法人税は、これから新会社法も出てくるわけですし、さまざまな事業体が出てくるわけで、その課税のあり方、これも問題になるであろう。あるいは同族法人課税、これも古くて新しい問題ですが、この辺の問題。それから、これまであまり関心を持たれていなかったのですが、減価償却の問題はやはり大きな問題になり得るのではないかということです。この辺の問題提起がございました。

地方税は、地方の自主財源の確保なり、あるいは応益原則を強化するといったときに、どういう形で今後地方税の改革を進めていくべきか。税源配分の問題も当然のことながらだいぶ議論を呼びました。

相続税を中心とした資産課税についてどういう議論を今後すべきかという意味で、今、日本独特の相続税というのを、死んだ人のほうが負担するというアメリカ型の遺産課税的な側面があってもいいのではないかとか、租税回避の実態把握が今後重要であるとか、租税回避防止をどうするかという点からさまざまな議論がございました。

今日、すべてご紹介できませんが、各委員から大変熱心に、かつ包括的な問題を提起いただきまして、今後の議論の参考にしていきたいと考えております。詳しい項目は別途、「問題提起」という形で並べさせていただいております。

それでは、今日の審議に入ります。

最初に、個人所得課税から入りたいと思います。税源移譲、定率減税廃止の有無等々につきまして、今、いろいろ話題が賑わってきましたが、これから事務局から説明を受けまして、皆さんのご意見を伺いたいと思います。今日は年度改正についての最初の機会でございますので、積極的なご発言を各委員からいただきたい、このように考えております。

それでは、税制第一課長と市町村税課長から、おのおの国税と地方税の個人所得課税関係について、よろしくお願いします。

事務局

それでは、個人所得課税でございます。「基礎小44-1」という資料をお手元に見ていただきたいと思います。私、それから総務省と手分けをしてご説明させていただきたいと思います。

まず1ページ目をご覧いただきたいと思います。最初は税源移譲についてご説明いたします。このテーマはかねて、かなりご議論をいただいてきているところでございます。一定のご指摘もいただいているということで、この第1ページ、「答申」を見ていただいているわけでございますが、今日はこれを確認いただきながら、補助金改革などの最近の動きについてご報告させていただくということで進めたいと思います。

まず最初のページでございます。昨年の答申で3つのパラグラフがございますが、まず税源移譲につきましては、「国・地方の三位一体改革の一環として、補助金改革とあわせ、所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を行う」ということで、3兆円規模を目指すということでございます。「所得税法及び地方税法の改正による恒久的措置」、本法改正で行うということがまず言われているわけでございます。

2つ目のパラグラフですが、その際、所得税と個人住民税の役割分担の明確化ということで、住民税については税率のフラット化、所得税については所得再分配機能の発揮というあたりが指摘されているわけでございます。

3つ目のパラグラフ、一番下ですが、「個々の納税者に係る税負担の変動にも十分に留意すべき」というあたりがご指摘をいただいているところでございます。

続きまして、自治税務局のほうからお願いします。

事務局

まず、これまでの税源移譲に関する動きについてご説明いたします。

2ページをご覧いただきたいと思います。これはすでにご報告したことの一部おさらいになりますが、平成16年、「骨太方針2004」で大筋このようなことが決まっております。点線で囲っている部分ですが、まずは、三位一体改革の全体像を16年秋に明らかにする。税源移譲は概ね3兆円規模を目指すということで、税源移譲の規模が明示された。それからその前提として、地方公共団体に対して補助金改革の具体案を取りまとめるよう要請して、これを踏まえて検討するということが「骨太方針」で決まりました。

以降、この方針を踏まえて地方団体から改革案が出て、これを政府部内で、あるいは党と合わせて検討が行われまして、最終的に11月26日に「三位一体の改革について」という全体像の取りまとめが行われました。

少しめくっていただきまして、5ページでございます。5ページに政府・与党合意が書いてございますが、この合意の結果、概ね3兆円規模の税源移譲のうち8割方について具体的な内容が決定された。ただし、義務教という部分については一応暫定という扱いになっております。

2ページにお戻りいただきまして、その後、この方針を踏まえまして税制改正大綱等が決定され、さらに閣議決定が行われているということでございます。

3ページをお開きいただきます。さらに、最近の動きでございます。6月21日に「骨太方針2005」が決定しております。この中では、点線で囲っておりますように、「政府・与党合意」及び累次の「基本方針」を踏まえ、改革を確実に実現する。規模につきましては、概ね3兆円規模を目指す。先ほど申しました補助金改革の残された課題につきましては、17年秋までに結論を得る。この結果を踏まえて、18年度税制改正において税源移譲を実施することが決定しております。

この方針を踏まえまして、7月に地方団体から、補助金の改革案、昨年1回出しておりますので2回目の改革案ということで、残り6,000億円の税源移譲を実現するために約1兆円の対象補助金のリストを提出しております。これを受けまして、経済財政諮問会議等で地方の改革案の説明がございましたが、小泉総理より「地方の意見を尊重してやりますから」というようなご発言がございました。

これを踏まえて政府部内で検討が行われておりまして、10月17日の「各省回答」、これは事実上のゼロ回答というふうに報道されておりますが、そのような中身になっております。各省回答以後、閣僚懇であるとか、地方の協議の場であるとかが開かれておりまして、さらに国庫補助負担金改革の取りまとめに向けた努力が行われておりますが、最終的な取りまとめはおそらく11月末になるのではないかと考えております。

8ページに飛んでいただきまして、個人住民税所得割と所得税の税率構造の絵でございます。現在の個人住民税の税率及び所得税の税率を重ねて表示しております。この税率構造をもとに税源移譲の案を考えることになります。

それから、一番左の部分を見ていただきますと、所得税の端っこと個人住民税の端っこがずれております。これは、いわゆる人的控除が個人住民税と所得税で異なっていることから生じている差でございます。このような税率構造であることを前提に、これまで税源移譲について検討を進めております。

9ページをご覧いただきたいと思います。税源移譲ということで、所得税を減税するとともに個人住民税を増税するわけですが、その際に基本的考え方を整理しております。所得税法と地方税法の本則改正を行いまして、恒久措置として本格的な税源移譲を実施するわけですが、このときの留意点として、所得税と個人住民税の役割分担を明確化するということで、所得税については所得再配分機能、住民税については応益性・偏在度の縮小という観点からフラット化を行う。それから、この際に納税者の負担の変動を極力抑制する。それから当然のことながら、国、地方を通ずる個人所得課税のあるべき姿と整合させるということでございます。

では、具体的にどういうことを検討するかということでございます。所得税は後ほどコメントがあると思いますが、個人住民税につきましてはまずは税率のフラット化ということで、3兆円であれば10%比例というふうに考えております。

それから、低所得部分に係る負担調整措置ということで、先ほど申し上げましたように人的控除の差がございますので、ここの負担調整が必要になってくると。単に税率を変えただけでは調整し切れない部分がございますので、ここについては、負担が増加しないように住民税の額を減額する措置を検討しているところでございます。

事務局

続きまして、所得税でございます。この図にございますように、所得税は現在、10、20、30、37という4段階になっておりますけれども、今ございました住民税のフラット化に伴いまして、例えば一番低い税率、10%でございますが、これにつきましては納税者の負担の変動を抑制するという観点からは、住民税が5%から引き上げられることになりますと、その分、所得税については低く設定する必要性が出てまいろうかと思います。

最高税率のあたり、37というところでございますが、これも住民税のほうで例えば10%というような形での税率が設定されますと、上の13のところから低くなってくるということですので、全体としての負担の水準を変動させない。あるいは、最高税率をトータルで50にするという考え方に基づきまして、その分、最高税率を上げるという形の調整になろうかと思います。

全体として所得税につきましては、10から37という税率の階段が、スタートが10よりも低くて、上が37よりも高いという形の、いわばツイストした状態の税率構造になるということで、先ほどございましたような所得再分配機能を発揮する所得税の姿を描けるのではないかというふうに思っている次第でございます。

上の基本的考え方の2つほどの留意点、先ほどご説明がありましたが、やはりポイントになりますのは、負担の変動を極力抑制していく。特に国と地方の中の税負担の割り振りの変更というものから、大変重要なポイントであろうということで今のようなお話になるわけでございます。

それから、所得税と住民税の役割分担の明確化ということにつきましても、住民税が完全にフラット化する一方で、所得税のほうは、住民税がこれまで持っておりました階段の累進度みたいなものを所得税に統合し、所得税としてはより所得再分配機能が発揮される形に順化していくという形で、大きな税率構造の変化になるというふうに考えられるところでございます。

いずれにしましても、最終的に補助金の改革がどういう数字になるかということも見定めなければなりませんので、私どもといたしましては個々の考え方に沿いまして、いわば技術的な調整が今後出てくるのかなというふうに思う次第でございます。

以上が、税源移譲でございます。

引き続きまして、10ページ以降をご覧いただきたいと思います。定率減税は、この絵にございますように、通常の税額計算により、所得税及び個人住民税を計算いたします。それから一定率を機械的に税額控除するという仕組みでございまして、これはすべての納税者に対して一律に行うという意味でございます。この制度、ご案内のとおりですが、平成10年、11年あたりの景気状況を背景として導入された、いわば景気対策という措置でございます。昨年の改正において当調査会でもご議論いただきまして、差し当たり17年度につきましては半減、半分もとに戻すという改正をさせていただいたわけでございますが、18年度税制改正におきましては、残りの半分の取扱いが議論になってまいるわけでございます。

もともと制度は、所得税が税額20%控除、個人住民税が15%の控除ということで、半分、現行はそれぞれ10%、7.5%でございます。右肩に書いてございますように、3.3兆円という減収規模が半減後の形で1.65兆円というオーダーのものでございます。

残りの扱いにつきましては、実は昨年ご議論いただいております、11ページの答申をご覧いただきますと、下のほうのパラグラフですが、「定率減税については、平成18年度までに廃止すべきである。その際、経済への影響を考慮すると」ということで、段階的に取り組めということで17年度改正において縮減というご指摘をいただきました。私ども、これを踏まえた対応をしてまいった次第でございますし、18年度においてもこの指摘を踏まえた対応するかどうかということでございます。

景気状況がポイントになろうかと思います。13ページ以下3枚ほど、現状、足元のデータを整理してございます。13ページですが、まずGDPにつきましては、導入時マイナス成長であったものが、現在は安定してプラス成長にあるというグラフがご覧いただけるかと思います。

次の14ページでございますが、成長率の寄与度ということでございます。導入時には民需が足を引っ張る形でございましたが、現在は、むしろ民需が牽引する形でプラス成長になっている姿がご覧いただけるかと思います。

15ページでございますが、民間設備投資あるいは最終消費支出についても比較しているわけでございます。左側でございますが、導入当時、両者とも冷え込んでいたという状況のもとで定率減税が導入されたわけですが、現在はむしろ、右側でございますが、企業部門、家計部門とも改善しているという状況かと思います。

こうした状況を踏まえまして、昨年の答申でいただきました「18年度までに廃止」という指摘につきまして、これを行うべき条件が整ってきているように思われますが、このあたり議論のポイントになろうかと思います。

事務局

引き続きまして、個人住民税の固有の課題を2点説明させていただきます。

17ページをご覧いただきたいと思います。住民税の均等割でございます。グラフは、均等割の平均税率の推移を示しておりますが、これまでの答申においても「低い水準にとどまっており、引上げを図る必要がある」というご指摘をいただいております。

18ページは、これまでの税率改正の推移を示しております。この均等割の水準につきましては、ほかの個人所得課税全体の改正の中で、引上げについてどうするかということを検討を進めていく必要があると考えております。

19ページですが、公的年金受給者に係る所得税・介護保険料・個人住民税の徴収方法でございます。昨年の税調におきましても、住民税について徴収の効率化を図るべきではないかというご指摘をいただいております。現在、公的年金につきましては、所得税については源泉徴収、介護保険料については特別徴収が行われている。一方、住民税については特別徴収がないということで、個人住民税についても天引きについて検討する必要があるのではないかということで、現在、政府部内において検討を行っているところでございます。

なお、先頃発表されました「医療制度構造改革試案(厚生労働省)」においては、老人医療の国保についても天引きをするというようなことも書かれております。

個人住民税につきましては、以上でございます。

委員

もう少し補足説明を。9ページの税源移譲のところで、3兆円の財源が仮に決まったとして、その3兆円は国税の10%から5%に落ちたところに全部使うのですか。この辺、どういう関係になりますか。

事務局

9ページの右下の絵を見ていただきまして、まずは住民税が5から10に上がるという部分、逆に13から10に下がる部分がございます。考え方としては、5から10に上がる部分で3兆円以上の増になりまして、逆に13から10になる部分で数千億円の減になる。これに、先ほどの負担調整措置で幾分か減税する。これを合わせまして3兆円、税源移譲所要額になるような設計を考えたいというふうに思っております。

委員

まだ出入りはあるけれども、大体そういう方向ですね。

それでは、個人所得課税関係で今ご説明いただきました、国税、地方税につきまして、しばらく時間を割きまして、今後の進め方、あるいは我々の考え方を整理する上でのご意見を賜りたいと思います。

どなたでも結構ですから、どうぞ。

委員

税源移譲に絡んだお話ですが、3兆円の数字、これはおそらく当初の予定としての制度の上で計算した上の3兆円だと思います。所得税というのは大体、給与所得、利子を中心とした金融関連所得、すべて源泉所得税でやっておりまして、あと、事業所得については実額で計算する。そのための調査というのは行われているわけですけれども、住民税に税源の多くが移譲された場合には、給与等の源泉徴収が行われるのは当然ですけれども、事業所得なども、これは申告書類の一番下でしたか、あるいは複写になるか、そういうものに基づいて差し当たり計算をする、こういうことになるのでしょうか。それとも独自に、住民税についてはそれをカバーするような調査体制もつくっていくと。その点をちょっとお伺いしたいと思います。

委員

自治税務局、お願いします。

事務局

まず、給与については従来どおり特別徴収ということですし、事業所得については申告していただいて、所得税も申告していればそれをそのまま地方で使うし、課税最低限以下なり、所得税について申告しない方については、直接市町村に申告していただく。この課税方式については、税源移譲に伴って直ちに変更するということは想定しておりません。

委員

どうぞ。

委員

定率減税についてお聞きしたいのですが、たしかにあれは景気が回復するまでということで始めたものです。実は去年のこの会議で、景気が踊り場にあるということで、私、ちょっと懸念を述べたのですけれども、その後、8月ですか、踊り場脱却宣言もされましたし、今ここに示された資料を見ても、ある程度景気は回復しつつあることは言えるのだろうと思います。ここには出ていませんけれども、景気動向指数の一致指数が依然一進一退というのはちょっと気がかりではありますが、何とか景気が回復しつつあるのでしょう。したがって、今この時点で廃止ということは当然だろうと思います。

ただ、実際にそれを実施するのは再来年の1月ですね。そうすると、その時点でもし景気の回復がずっと続いているとすれば、いざなぎ景気を越えているわけです。いざなぎ景気は57カ月ですから。そうすると、いざなぎ景気を越えるような長い景気が果たして続くのかどうかというのはちょっと気がかりではあります。だから、仮にその時点でまた景気がおかしくなっている場合に、何らかの配慮をする用意があるのかないのか、すべきであるのかどうか、ちょっとその辺をお聞きしたいのですが。

委員

去年と同じ議論でよろしいのですね。

委員

基本的には同じです。

委員

去年の今ごろも同じような議論があって、何かあればそのときに議論するよと。つまり、今からトリガーみたいなことを書いておくわけにいかないので、本当に景気が悪くなれば、おそらくまた経済政策が発動されて、そのときはとても定率減税はないだろうと。去年より足元はいいので、去年以上の配慮を、今、何か書き込むというようなことは……。そこまでおっしゃっていないのですね。

委員

そこに書き込むかどうかは別として、実際そういうことを配慮していただけるのかどうかということ。つまり、今が去年よりいいだけに、その頃は逆に心配だということです。

委員

そういうご意見があったことをテイクノートしておきましょう。

どうぞ。

委員

技術的な質問ですけれども、9ページの税源移譲のところで話は大体わかったつもりですけれども、個人住民税の課税最低限が低いところ、270万円から325万円、これは住民税の5%の人が10%に上がるわけですね。このページの一番下の個人住民税の2つ目の点、「低所得部分に係る負担調整措置」、この部分は具体的には税額控除みたいなことを考えているのですか。

事務局

はい。そういうことを中心に考えております。税額控除に相当する措置になると思います。

委員

そこの負担調整、ほかに何かアイデアありますか。それが普通のやり方でしょうけれども、何かありますか。

委員

形としては取っておいて、このとおりやって、返すということですね。

事務局

はい。まず税率を計算して、最後に税額が出て、そこからいろいろな控除、例えば定率減税のような控除がございますが、今回は税率のほうはすべてのものについて一たんは10%とする。そこで生じる負担調整については、税額の段階で調整することがいいのではないかと思っております。

委員

ほかにいかがでしょうか。皆さん、納得ですか。

委員

実は言いたかったことは、この270万円と325万円、この場合は夫婦子2人ですけれども、納税者から見れば、課税最低限の格差というのはどう説明できるのかなと。かけ方が、税率は基本的に大きく違うわけです。片方はフラットでかける、片方は累進的にかける。そのときに、では課税最低限というのは、国で払う場合と地方で払う場合とどう変わるのか。フラットにかけるならば、今住民税でやっているような細かな積み上げなしにもっとシンプルに、人的な控除は幾ら、これでバサッとやってしまうというふうなことで、結果的に国と地方で課税最低限の違いが出てくるならもっともかなと思いますけれども、その部分は、税率構造は大きく変わるわけですが、課税最低限の部分の見直しはなされないわけです。もしフラットに地方でかけるならば、課税最低限のほうももっとシンプルに考えることはできないかという一つの考え方はあると思います。

委員

ただ、今回はいろいろあるから。しかし将来は考える、ということなのでしょう。そうですよね。

事務局

今回は、3兆円なり補助金に対応して決まる規模の額をきっちり移すことに専念しようと思っています。今のようなご議論というのは所得税の課題としてはございますので、今後、議論することは当然想定されますけれども、今回の設計については、移譲以外の要素は入れないでつくったらどうかと思っております。

委員

混乱するといけないからね。ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。ずいぶん議論してきたところだから、これ以上は屋上屋的になるかもしれません。

では、まだほかの税目が残っておりますが、とりあえず先に行って、またあとで時間が残りましたら戻っていただくという格好にしましょうか。

それでは、次の大きなテーマ、国際課税でありまして、主税局の参事官からご説明ください。

事務局

それでは、国際課税につきまして、お手元の資料「基礎小44-2」に基づいて4点ほどお諮りしたいと思います。

まず最初の1点でございますけれども、租税条約の関係でございます。1ページ目をご覧いただきますと、わが国の租税条約ネットワークの一覧表がございます。租税条約というのは、国家間の課税権を調整しまして、国際的な投資交流を促進するためのインフラのようなものでございますので、これまでも整備に努力してまいりました。その中で昨年の3月に発効した日米租税条約というものが、ある意味わが国の租税条約の締結方針を大きく転換するものでございまして、源泉地国での課税を思い切って小さくしようということで合意ができたわけでございます。

それを受けてその後も交渉してまいったわけですけれども、2ページ目をご覧いただきますと、7月に発表させていただきました、イギリスとの間でも、日米租税条約と同じようなラインでの租税条約の改定の交渉の基本的な合意がなったということでございます。新条約の主なポイントを書いてございますけれども、投資所得の限度税率につきまして、免税という文字がずいぶんご覧いただけると思います。これはまさに、日米租税条約と並んで先へ進んだ内容で合意することができたものだというふうに考えております。併せて、条約の濫用についてもきちんと手当をするべく、「特典条項」の導入、あるいは、匿名組合を使った租税回避行為を防止するための手当についても合意させていただいたところでございます。

租税条約につきましては、先進国との間でこのような内容のものを引き続きどんどん進めてまいりたいと思いますし、開発途上国との間でも、日本企業が海外に進出するにあたって非常に大きなインフラだと思っておりまして、租税条約交渉を努めてまいっております。

3ページをご覧いただきますと、先月末でございますけれども、基本合意ができました日印租税条約の概要を掲げさせていただいてございます。開発途上国ですので、投資所得について源泉地国で全く税金を取らないということでは先方も合意していただけないわけですけれども、さはさりながら今回インドとの間では、配当、利子、使用料、技術上の役務に対する料金、それぞれ10%まで下げるということで合意することができました。

インドにつきましては、ソフトウェアの開発をめぐりまして日本の企業も非常に関心を持っているところでございますので、このたびのこの条約改正が仮に発効すれば、日本企業がより一層インド企業に対してソフトウェア開発を頼みやすくなるというふうに考えております。

また、インドに関しましてはずいぶん経済的にも発展しましたということで、いわゆるみなし外国税額控除制度、インドの税制上の優遇措置をそのまま、日本の外国税額控除制度を適用するにあたって認めてやることについては、卒業したということで撤廃させていただくことについても合意させていただきました。

今回は、日英、日印租税条約について基本合意ができましたので、粛々と法制局審査等の政府部内の手続きを進めて、できるだけ早期に国会に提出して批准させていただけたらと思っております。これが1点目でございます。

2点目は、情報交換に関することでございます。租税条約の中には「情報交換規定」というものがございまして、税法の適正な執行のために必要な情報を国内法制の範囲内で交換することが可能となっております。

いわゆる税に関する調査は2種類ございまして、1つは、租税の徴収を目的とした一般的な課税事案の調査。もう1つが、脱税等について刑事告発を目的とした犯則調査手続きでございます。このうち一般的な課税事案につきましては、平成15年改正において手当をしていただきまして、仮に日本の当局から見れば税務上の利益がないところであったとしても、相手国から「この情報を送れませんか」という要望があったときには、それに応じて資料を入手して相手方に提供することをお認めいただけるような制度ができました。

しかし、ここで我々が問題意識として持っていますものは、犯則事件についてでございます。わが国の現行法上、相手国からの情報提供の内容が犯則事案であるような場合につきましては、手元にある資料はお渡しできるのですけれども、手元に資料がないときに、改めて情報収集を行うことができるようになっておりません。このようなことでは国際信義上も問題ではないかということで、国内法上の手当を考える必要があるのではないかと考えております。

5ページをご覧いただきたいのですけれども、絵でご説明させていただきますと、いわゆる脱税事案で条約相手国が興味を持っている場合、それで日本の関係者もどうもそれにかんでいるような場合につきまして、相手国から日本に対して、日本にいる不正加担者の社長さんについての情報が欲しいという要請があったとします。現行法上のもとでは、なかなか手元にある情報以外は出せないのですけれども、まさに犯則調査こそ大事であるとOECDでも言われつつありますので、国内法を手当しまして、任意調査、必要に応じてはいわゆる強制調査、マルサによる臨検・捜索・差押、こういったことをやらせていただくことが可能になるようにしたらどうかと考えております。

これは何も相手国のためになるばかりではなくて、わが国が相手国にお願いしたときにも、日本の制度がこのように整備されておりますと相手国も我々の要請に応じてやってくださるということですので、ある意味相身互いということで我々のほうの情報収集にも役に立つと考えております。これが2つ目でございます。

3つ目は、課税の適正化の関係でひとつお諮りしたいと思っております。非永住者制度についてでございます。わが国の現行の所得税法の体系の中では、個人の場合には居住者か非居住者かに分けまして、居住者については全世界所得について課税する、非居住者については国内源泉所得についてしか課税しませんというのが大原則でございます。

非永住者制度と申しますのは、居住者について例外を設けるものでございまして、国外源泉所得に関して国内に送金されない限り非課税とするという内容でございます。具体的にはどういう者が非永住者かと申しますと、「国内に永住する意思がなく、かつ、現在まで引き続いて5年以下の期間国内に住所又は居所を有する個人」。つまり、外国に本拠地があって日本には短期しかいない、せいぜい5年くらいしかいない、そういう方については、そういう方が海外に持っている不動産から入ってくる賃料について海外の口座に振り込まれているような場合、そのようなものについてまで日本国では課税はやりませんという、居住者の全世界所得課税の例外となるものでございます。

この制度はそもそも、戦後、わが国居住外国人に対する課税が禁止された中で、その後、徐々に課税権を回復していくという過程がいろいろあったわけですけれども、そういうプロセスの中で昭和32年に創設されたものであります。今日的に見ても、勤務形態のグローバル化が進む中で、どこまで国外に拠点を有する外国人の所得を追いかけるのかという観点から、見直すべきものかと考えております。

7ページをご覧いただきたいのですけれども、現行の非永住者制度は非永住者制度としてあるにしても、実際に適用が認められている事例の中には「ここまで認める必要があるのか」といったものもありますものですから、これについては見直しを検討したらどうかということで、2つ事例を挙げさせていただいております。

1つ目は事例1でございます。日本人、二重国籍もありましょうけれども、日本国籍を持っていらっしゃる方が外資系の企業に勤めていて外国で資産を蓄えられました。ところが、外国の企業を辞めて日本企業に転職されて、いまでは日本に住まわれて日本で家族と過ごされている。現行の制度のもとでは、そのような日本人であっても、自分は永住の意思がありませんと申し出れば、最初の5年間は、海外の資産から得る所得について、海外の口座に振り込まれるものについては課税されなかったわけですけれども、日本国籍をお持ちの方についてまで、非永住者制度、いわゆる居住者制度の例外を認める必要があるのかというのが事例1でございます。

もう一つ我々が問題意識を持っていますのは、事例2ですけれども、外国人の方であっても、リピーターというものはどう考えたらいいのかということでございます。非永住者制度というのは最初の5年間特例は認めるという制度ですけれども、それを利用して、5年間その特典を受けた後に、しばらくの間非居住者になって、クーリングオフと言ってはあれですけれども、海外に居所を動かして、再び日本に戻ってきて、最初からまた5年間そういう恩典を受ける。こういうことも、非永住者、永住する人ではないという観点から見たときには、制度本来の趣旨から見ると逸脱しているのであり、見直す必要があるのではないかということを考えているわけでございます。

これが非永住者制度の関係でございます。

最後にもう1点、これも少し込み入った話でございますけれども、今後の課題ということで、もう少し中期で考えさせていただきたい問題として紹介させていただけたらと思います。これは、条約上と国内法上の取扱いの違いを使って租税回避をしているという事例でして、関係者の間では比較的よく知られている事例でございます。

問題となっておりますのは、外国の法人が発行する社債にかかる利子を、外国の人、非居住者が受け取る場合についての取扱いです。わが国国内法におきましては、債務者が誰かに着目しまして、外国の法人が支払った利子については一切課税しません、非課税ですという割り切りをしております。しかるに租税条約になりますと、外国の法人が支払っている利子であったとしても、それがどこで使われているのか、誰が負担しているのかということに着目して、日本支店が利子を負担している場合、日本でその調達したお金が使われている場合については日本で課税することになっております。したがいまして、同じ外国法人が支払う利子であったとしても、投資家が条約締結国である場合と、条約非締結国である場合とで、国内法が適用されるか租税条約が適用されるか、違ってございまして、その結果もおのずから変わってきてしまう。

それを利用して租税回避に使われていますのが、最後の9ページですけれども、ダブルSPCというスキームです。条約締結国の投資家は、本来外国法人の日本支店が支払う利子については租税条約により課税されなければいけないはずでございます。しかし、その投資家が直接利子を受け取るのではなくて、条約を締結していないような国にSPC、受け皿(会社)を一つつくって、そこを経由して利子を受け取ると、本来条約上課税されてしかるべきものが日本での課税ができなくなってしまう。これがよく行われているものでございますから、いずれはわが国の国内法を租税条約のほうに片寄せして、そのギャップを利用しての租税回避をなくしたいと思っておりますけれども、こういったことも租税回避を防止する観点から地道に引き続きやっていきたいということで、紹介させていただいた次第であります。

以上であります。

委員

ありがとうございました。ちょっとテクニカルな話があってわかりにくいかもしれませんが、前のほうについては、いろいろ問題意識が明確に我々に伝わっていると思います。ご意見ございますか。

この辺の専門家の方は、コメントありますか。

委員

ここ数年の間に、国際課税関係の地道なコツコツとした改正が非常に効率よく行われていて、非永住者制度とか、戦後すぐからのものにもいい方向での改正が目指されているようで、大変いい方向だと思います。

委員

丸のみですか。エニーコメントだな。

委員

前に申し上げたことはまた別途、今日の最初のに入っていますので。もちろん残るのはございますけれども、テクニカルになり過ぎますから。

委員

どうぞ。

委員

質問ですけれども、5ページのこの任意調査にせよ、強制調査にせよ、これくらいやるのは当たり前のような気はするのですが、それが、やらないというのは何か理由あってのことですか。面倒くさいということですか。

事務局

こういったことをやるにあたりましては、国内法上きちんと整備が必要でございまして、租税条約で仮に合意したとしましても、国内法でそれが許されるような枠組みをつくる必要がございます。今までのところはそのような枠組みがきちっとなかったものでございますから、今までやろうにもできなかったものでございます。それを今回、きちんと手当させていただけたらということであります。

委員

ほかの国は国内法はあるのですか。

事務局

アメリカとかイギリスとかは、きちんと強制的に相手国からの要望があったときには情報をとってこられるようになってございます。

委員

日本は不備だから、それを補わなければいけないということですね。

事務局

歯がゆいところがございます。

委員

どうぞ。

委員

今日はご説明がなかったことですが、外国税額控除、いわゆる外国で支払った法人税は日本で控除することができる。これは、企業にとっては余分な負担がかからないということで非常に関心を持たれておりますけれども、現在いろいろ議論されているというお話ですので、そこをちょっとご説明いただけますでしょうか。

委員

そうですね。お願いします。

事務局

外税控除につきましては、今、委員からご指摘ありましたように、企業も大変な関心を持っておりまして、例えば曾孫会社まで控除の対象を認めてくれとか、あるいは控除限度超過額の繰越期間の延長等々、毎年毎年、ご要望を頂戴しております。他方で、これは当税調の場でもご指摘いただいてございますけれども、彼我流用の問題、今の制度というのは少し甘すぎて、面倒を見なくてもいい外国法人税についてまでも日本の税金からまけてあげているのではないかというご指摘も頂戴してございます。

我々としましては、その両方の面からきちんと議論する必要があろうかと思いまして、今、実業界の方たちを交えて、まずその実態を把握する勉強会をさせていただいております。そういう中で、本当にどこら辺に問題があって、あるいは、企業側から見てより使いやすく、事務的に簡素な税制というものはどういうものなのか。我々から見てきちんと面倒を見るものは面倒を見、面倒を見る必要のないものは面倒を見る必要のない制度というものを、今、議論でもんでいるところでございます。来年度改正ではちょっと難しゅうございますけれども、再来年度以降できるだけ早くきちんとまとめて、またご報告し、お諮りしたいと思っております。

委員

外税控除は、現行制度というのはいつ頃できたのですか。もうだいぶいじってないですよね。

事務局

大きないじり方は最近はしていないかもしれませんけれども、合間、合間に少しずつは直しております。さはさりながら、いわゆる一括限度額管理方式についてはずっとそのままでございますので、それが果たしてそのままでいいのかということについて、今、真剣に検討させていただいているところでございます。

委員

どうぞ。

委員

一番最後の問題ですけれども、どうして中期的に考えなくてはいけないのか教えてください。今すぐやったほうがいいような気もしますが。

事務局

このダブルSPCというスキームが非常に多く使われているから、すぐになくすことのハレーションがどうかということはありますけれども、それ以上に、実は内国法人につきまして「民間国外債」という特例がありまして、日本の法人が海外で調達する場合、それが日本で使われているときについても非課税としているわけです。したがいまして、外国の法人が日本で使う資金について、それは課税するよというふうにしますと、たちまち日本法人の取扱いが外国の法人に比べて有利になってしまうのです。そこは無差別との関係でどうなのかということもございますので、内国法人の民間国外債の取扱いと歩調を合わせて直していく必要があることもございまして、どういう手順でやっていったらいいのかということを考えているところでございます。

委員

納得しましたか。よろしいですか。

委員

わかりました。

委員

何か煙にまかれたような感じもするけれども、そんな感じでしょうね。

ほかにどうでしょうか。では、時間が余りましたらまたお出しいただくとして、次の3つ目に行きましょう。

環境税と特定財源関係でございまして、税制第二課長と企画課長、国税、地方税につきまして、ご説明ください。

事務局

それでは、まず国税のほうから、環境税が資料の「基礎小44-3」、特定財源が「44-4」でございまして、順番にご説明させていただきます。

まず、環境税でございます。10月25日に環境省から環境税の案というのが、去年一度出たわけですが、それを少しリバイズしたものが出ましたので、今日はご紹介させていただきたいと思います。

その前に簡単におさらいということで、1ページ、環境税の位置づけですが、平成17年の2月に京都議定書が発効して、4月に京都議定書の目標達成計画が閣議決定されて、必要な温暖化対策などを規定しております。2008年から2012年の5年間の温室効果ガスの排出量の平均を、基準年比マイナス6%にすることが決められております。平成20年から24年にかけての約束期間の間にその目標を達成できるよう施策を実施していくという全体の流れになっております。

2ページですけれども、その京都議定書の目標達成計画、今年の4月に閣議決定されたもので、いろいろな施策があるわけですけれども、その中で横断的施策として、環境税は、経済的手法の一つであり、価格インセンティブを通じ幅広い主体に対して対策を促す効果や、二酸化炭素の排出削減対策等々の財源としての役割を狙いとするものとして、この2つの側面から関係審議会等においてさまざまな観点から検討が行われている。

したがって環境税については、地球温暖化対策全体の中での具体的な位置づけとか、その効果とか、国民経済や産業の国際競争力に与える影響等を踏まえて、真摯に総合的な検討を進めていくべき課題であるということで、環境省において昨年来ずっと検討が続けられています。3ページですが、その一つの案として「環境税の具体案」が10月25日に出されました。

基本的には昨年のものと大きな枠組みは変わっていないと思いますので、5ページをご覧いただきまして、昨年の案と比較した資料を用意しております。幾つか変わっている点がありまして、そこを主にご紹介したいと思います。税率をご覧いただきますと、ガソリン1ℓ当たり約1.5円ということで、価格インセンティブ効果よりは財源を確保することに重点があるかと思います。課税対象としては、去年は電気だったのですが、発電用燃料ということにしまして、風力とかCO2を使わない発電は対象から除外するということが課税対象では行われております。

課税段階について、ここが一つ大きな変化なのですが、注にあるようなガソリン、軽油、ジェット燃料は当分の間課税しないということで、最近、石油の値段が上がって価格が高騰しているので、こういう一般的に広く使われているものは当分の間、課税しないことにしましょうということで課税対象からは外れております。

税率は変わりません。したがって税収は、ガソリン等が外れた分、4,900億円から3,700億円に若干減っております。

使途につきましては、昨年の案では、4,900億円のうち温暖化対策に3,400億円、社会保障財源として1,500億円とあったわけですが、今回はそこは温暖化ということで一本化しております。

もう一つの特色は軽減措置であります。昨年の案ではエネルギー多消費型産業に対する軽減だけだったのですが、今回は、大口排出者が削減努力をした場合の軽減をまずやりまして、さらにエネルギー多消費型産業については上乗せということで、CO2を抑制しようとするのが目的ですから、逆にCO2削減について大口排出者が努力した場合には軽減しましょうということで、そういうインセンティブを与える仕組みが盛り込まれております。来年の1月を実施時期と考えております。

今回、もう一つの特徴は「その他」のところです。地球温暖化対策の観点から、エネルギー課税等--現行、揮発油税などのいろいろなエネルギー課税があるわけですが、それについては税率水準を維持するということで、減税するのは消費を増やすインセンティブになってしまいますので、そこは税率水準は維持しようということが一つ。

それから、これから特別会計、特定財源の見直し・改革が進んでいくことになっていますけれども、その際にはその財源を地球温暖化対策に充てることも考えてもらいたい。この環境税とは別途そういうことも考えてもらいたいということがつけ加えられております。

9ページをご覧いただきますと、政府税調では昨年、答申を頂戴しております。先ほどの京都議定書の目標達成計画に書かれていたことと重なる部分もありますけれども、簡単にご紹介しますと、個別税目の課題の地球温暖化問題への対応で、第3段落をご覧いただきますと、環境税の役割としては、価格インセンティブを通じた排出抑制効果を重視すべきであろう。他方、財源確保により重点をおいて環境税を活用することについては、いろいろな是非を慎重に検討する必要がある。したがって環境税は、国民経済や国際競争力に与える影響等、いろいろな位置づけなどを踏まえて、多岐にわたる検討課題があるので、いろいろな進展を踏まえて早急に検討しなければならない、というようなことで答申をいただいております。

以上が環境税のご紹介でございます。

その次に、特定財源ですが、基礎小資料「44-4」をご覧いただきたいと思います。まず1ページをご覧いただきますと、いろいろな特定財源がありますけれども、主なものを一覧にしたものです。国税と地方税と両方です。ただ、地方税は細かいのがたくさんありますのでそれは省略して、「主な」ということで整理をしております。

大きく分けますと、まず何に課税するかということで、エネルギー課税とそれ以外ということで分けられるであろうと。もう一つは、どこで使途を特定しているかということについて、特別会計法等で規定している場合と税法で規定している場合と2つに分けられるであろうということで、マトリックスをつくりまして、ご覧のようなものになります。注をご覧いただきますと、カッコ書きは税収を入れておりまして、全体で約7兆円強の税収がございます。そのうち国が5兆円程度で、地方が2兆円強という状況でございます。

それで、少し色をつけたのが、今話題になっている道路特定財源です。揮発油税、石油ガス税、自動車重量税、これが国に来る分。地方道路税は、国税なのですけれども、全額地方に行きます。それから軽油引取税、自動車取得税が地方ということになっております。

2ページは、それをもう少し細かく整理したもので、重なりますが、揮発油税、地方道路税はいわゆるガソリン、揮発油に課税している。石油ガス税は、タクシーに使われているものが多いのですけれども、LPガス。自動車重量税は自動車の走行のコスト等に着目して課税している。それから、地方税で軽油引取税と自動車取得税があるということです。

3ページは、特定財源全般がありますが、道路の問題に的を絞ってご説明したいと思います。今、道路特定財源について議論になってきている背景ですけれども、道路特定財源とされる揮発油税、自動車重量税等は、税法上は、使途は特定していない。目的税ではないのですけれども、道路財源の確保が必要だということで、歳出の規模に応じて、受益と負担の関係に基づいて本則税率を上回る暫定税率を適用しています。

それが右のポンチ絵ですが、17年度予算で見ますと約3兆5,000億円ございまして、歳出側ではこれが道路整備。このほかに17年度予算では使途を拡大ということで、無電柱化、まちづくり交付金等の周辺の道路関係の予算に使ったり、それから、本四の債務処理に約4,800億円が充てられております。

一方で歳入のほうは、本則の税率に加えて、倍の暫定税率になっているということでございます。下のアスタリスク、18年度以降の本四債務処理残高は4,500億円ということでございますので、18年度までは本四債務の大きなかたまりがあるのですけれども、19年度になるとこれがなくなります。一方で、道路の予算というのは公共事業抑制の中でずっと抑制されてきておりますので、おのずからそこに、いわゆるオーバーフロー分と呼ばれていますが、お金が余ってくるという状態になってきます。この暫定税率というのは19年度までございますので、今後どうしていこうかということが議論になる中で、総理から財務大臣に、春先に道路特定財源の見直しを研究しろというご指示がございました。ちょうど今日、お昼のニュースで報道されていたところですが、総理から国土交通大臣に対してもご指示があったりしたような動きがあるということでございます。

4ページに、しからばこの道路特定財源というのはどういう経緯か、温故知新ということで、今までの沿革を整理してあります。

まず揮発油税ですが、昭和24年に、そもそもは一般的な財政需要に応ずるということで、当時はたぶんガソリンは貴重な物資だったと思いますけれども、一般財源として使うということで揮発油税が創設されました。昭和28年に、道路に使おうということで「道路整備費の財源等に関する臨時措置法」というのができまして、昭和29年からこれを道路整備に充当することがこの法律で決まりました。

それから49年、ちょうどオイルショックの頃ですけれども、財源確保の要請に加えて、石油危機を背景にして、当時、資源節約とか消費節約という観点、あるいは環境保全というようなことから税率を引き上げまして、今の暫定税率ができたということでございます。それで今日に至る。途中で税率の引上げがありますけれども、大きな枠組みは、昭和49年に暫定税率ができて今日に至っているということでございます。

石油ガス税については、LPG車とガソリンを燃料とするガソリン車とのバランスから創設されたということで、昭和41年につくられて今日に至っております。

自動車重量税は、昭和46年、自動車の走行が道路整備、道路混雑、交通事故等多くの社会的費用をもたらしていること、社会資本の充実の必要性が強いということで、広く自動車の使用者に負担を求めようと。自動車もだいぶ一般化してきたし、こういう考え方ができるのではないかということでつくられました。これは法律上ではございませんで、当時の国会の答弁で、8割を道路整備財源に充当するということで整理されております。それで、昭和49年に揮発油税と同様に暫定税率がつくられております。昭和51年にさらに税率引上げなどが行われております。

5ページに、これから道路特定財源の見直しに当たっての考え方、どういうふうに考えたらいいだろうかと。今まで、道路整備、建設の受益とそれに対する負担ということが前面に出ていたわけですけれども、過去の経緯を見ると、それ以外にもいろいろな課税の根拠なり税率水準の考え方があるのではないかということ。それからもう一つは、諸外国の状況なども見てみようということで、そのポイントを書きました。

一つは、言うまでもなく財政事情が厳しいということで、特定財源というのは使い道が限られておりますので、できれば幅広く使えるようにしていただいたほうが財政面からはありがたいなということが一つあります。もう一つは、道路特定財源関係諸税の性格で、もともと経緯的には一般財源だったものもあるのではないか。特に揮発油税は一般財源で創設されています。それから、自動車の走行がもたらす社会的コストということで、先ほど過去の増税の経緯にもありましたが、道路を傷めるだけではなくて、車が走るということは、騒音が起きたり、交通事故だったり、環境への負荷があったり、景観とか、防災とか、いろいろな方面があるので、そういうことを考えてもいいのではないか。あるいは、今まさに石油の値段が上がっておりますけれども、資源節約、消費抑制という観点もあった。

それから、諸外国ですけれども、7ページをご覧いただきますと、外国のガソリンの価格と税を調べてみました。まず税金の額ですけれども、日本は1ℓ当たり53.8円、ご存じのとおりの暫定税率でかかっているわけですが、アメリカ、カナダは安いです。ヨーロッパ諸国は80~90円くらいの税になっています。

その下の価格と税は、リッター当たり幾ら税金かということで、これは2005年の第1四半期のものですので、今よりもまだちょっと低くなっていますが、日本は当時は大体リッター116円で、消費税も入れますと、うち税金が59円40銭でございます。半分強くらいです。アメリカ、カナダは1割、2割でございますが、ヨーロッパは、150円くらいの価格に対して100円が税。3分の2が税という非常に高い水準になってきております。

余談ですけれども、アメリカの場合、本体価格のウエートが非常に大きいので、ガソリンがちょっと上がると価格が非常に上昇した印象になるということがあるようでございます。税の部分が大きいと、ガソリンの値段が上がっても全体価格がそんなに上がったように感じないということもあるようです。

それから8ページが、これをもうちょっと広い国で見たものでありまして、横の棒グラフがガソリンの1ℓ当たりの値段です。それに対して薄い色の部分が個別間接税、いわゆるガソリンの課税、それから、ちょっと濃いところが付加価値税です。一番左に縦にざっと書いてあるのが、個別間接税と付加価値税を足した税負担率。日本の場合は約半分でございます。税負担の水準は日本は下から6番目くらいでございまして、諸外国は高いところが多い。

9ページをご覧いただきますと、特にヨーロッパ諸国がなぜこんなに高くなったかというと、80年代、90年代にかけて、ご覧のようにずっと上がってきています。調べますと2つ要因がありまして、1つは財政事情です。イギリス、ドイツ、フランス--アメリカもそうですが、もともとガソリン税というのは道路特定財源で出発しておりますけれども、例えばイギリスですと1930年代、ドイツも1950年代に一般財源化しまして、一般財源として使いながら、財政が大変だというと増税をした。あるいは90年代以降は、環境への配慮ということで上げてきているというような流れがございます。ちょっと長くなりましたが、それが外国の状況であります。

5ページに戻っていただきまして、もう一つの視点は、先ほどもちょっと触れました温暖化防止の観点ということで、環境省も現行の税制を下げるのはどうかというご指摘もされておりますし、そういう観点もあるかなということでございます。ただ、今まで受益と負担ということで説明してきた部分はございますので、そことの関係で、これから一般財源化していくときにどう考えたらいいかというのが一つのポイントだと思います。

念のために、直近では平成14年の答申で特定財源についてのご指摘をいただいておりまして、その中で、道路特定財源等については、財政を硬直化させるので、一般財源化を含め、そのあり方について見直しを行うべきであると。それから税負担水準については、国際的に見ても高くない状況であり、自動車の社会的コストや環境保全の観点に鑑みれば、その負担水準を引き下げることは適当ではないということで、答申をいただいております。

それで、先ほどちょっとご紹介したように、道路特定財源につきましては、今日、閣議後の会見で、財務大臣と協力して年内に一般財源化及び税率の維持を前提とする基本方針を取りまとめて、来年の抜本税制改革と併せて具体案を取りまとめてもらいたいという指示が、総理から国土交通大臣にあったということです。これはちょっと我々もびっくりしたのですけれども、そういうご指示があったということをニュース等でも言っておりますので、ご紹介させていただきます。以上です。

委員

それでは企画課長、お願いします。

事務局

「基礎小44-5 特定財源関係」ということで、地方税の説明をつけ加えさせていただきます。国・地方共通の話はただいま税制第二課長からありましたので、地方の関係だけ抜き出した資料です。

1ページ目は、地方における道路特定財源一覧です。これをご覧いただきますと、最初の2つ、軽油引取税、自動車取得税、いずれも地方税法で規定している目的税で道路整備に全額充当される形になっております。

そのほか3つ、いずれも譲与税です。地方道路譲与税、石油ガス譲与税、自動車重量譲与税ということで、国税の全部または一部を地方の道路整備に充てるということで、いずれも譲与税法で使途が特定されています。全部で2兆2,000億円余というのが17年度のトータルです。

2ページ目に、ただいま申し上げましたような地方の特定財源の沿革をまとめております。軽油引取税は昭和31年に、ガソリン・エンジンに揮発油税などが課税されていることと均衡を図るということで、軽油はディーゼル・エンジンの燃料でございますので、地方における道路特定財源としてこれがつくられたということ。自動車取得税につきましても、43年度、地方道路事業費の財源が必要になるということで新たにつくられたものです。以下、譲与税関係いずれも、地方に対する道路特定財源の充実を目的として、当初からあるいは税目設立後すぐに創設されております。

3ページです。全体的には国・地方を通じて道路特定財源、それほど大きな違いはないようにも思うわけですが、地方における道路事業の状況が違っているということで、上のほうに道路事業費に占める特定財源の状況、13年度からこの5年間のものを掲げております。一番上の事業費に対しまして、今ご覧いただきましたような目的税や譲与税を足した特定財源、これを比率で見ますと、17年度では36%程度、道路だけに使う交付金をカウントに入れても全体の半分以下というのが財源比率の状況です。なお、地方の道路につきましては、一般国道などと比べるとまだ改良率がよくないということもございます。

4ページには、先ほどガソリンの関係でございましたOECD各国との比較、軽油につきまして同様のものをつくっています。5番目くらいに、わが国の小売価格に占める軽油の関係の税負担が位置しているということです。

簡単ですが、以上です。

事務局

道路特定財源、これだけなのですが、最後に、今日は特定財源全体ということで、1ページにあるようないろいろな税もございますし、それから、11ページの過去の政府税調の答申でも、特定財源についても妥当性を吟味してやっていく必要性があるということでございます。特別会計見直しのほうも、今、財審でも議論が進んでおりますので、道路に限らず幅広く特定財源についても何かご議論賜ればと思います。

委員

今、税制第二課長がおっしゃられていましたように、今日お出しいただいた資料は、これまで税調の中で本格的に議論がされていない分野でありましょう。例の税源移譲とか定率減税というのは税調としてもある程度方向が決まっています。道路特定財源もある程度議論は集まっているような印象を受けますが、また新しい動きもあるようですから、残った時間、今日は珍しくたっぷりありますから、たっぷり議論しましょう。

どうぞ。

委員

今、いろいろご説明を聞きましたが、私の感じをちょっと申し上げたいと思います。

一つは環境税ですけれども、財源的要素が強いというご説明がありました。3,000億円かそこらのお金をほかの補助金を削って出せないはずがないので、そのくらいの金額のために環境税をつくるというのは納得されがたいのではないかと思います。さはさりながら、国際的な問題もあるわけで、何かそういう体裁をつくらなければならないということはあるだろうと。道路特定財源を一般財源化するときに、納税者に理解を求めなければいけないわけですが、その一部を環境税として組み立てなおすということがあってもいいのではないかなと。対外的には。

もう一つは、私は昔からこの道路特定財源というのは、関係者が努力したことはよく理解できますけれども、道路に対する経費というのはそもそも投資的経費ですから、全額、建設国債の対象経費になり得るものであって、特定財源でなければならないということはないと思っています。したがって、道路特定財源を一般財源化しても、道路に対する経費は国も地方も建設国債なり地方債を充当できるわけですから、それは他の建設国債や地方債の論理と同じで、要するに耐用年数で償還していけばいいという論理になるわけです。それは国の場合は60年、地方の場合は20年とか、それ以上になったこともあるのかもしれませんけれども、資産が残るという形で債券を発行して、それを耐用年数で償却していくという本来の姿に戻していけばいいのではないかと思います。

したがって、現在ある道路特定財源の各税金については、純粋に赤字国債の減額に振り向けてもらうことにしていけば、国の財政内容もよくなるし説明が非常につけやすくなるのではないかと思います。

委員

つまり、財政再建に使ってもいいということですね。

委員

結果としてそうなるということです。

委員

そういうことですが、赤字国債を出すのは財政再建でしょう。

委員

だから、建設国債は増えますから。

委員

そういう意味ですね。わかりました。

どうぞ。

委員

一つ質問したいのですけれども、細かいことで恐縮です。自動車重量税ですが、この中の8割相当額の道路整備財源に充当すべきということです。これは国会答弁という話ですが、具体的にどういう内容だったのか。基本的に曖昧なものは一般財源化したほうがいいと思いますけれども、国会答弁の場合、修正して一般財源化するにはどういう形をとるのでしょうか。例えば特別措置法みたいなものをやるのか、どういう形であればこの足かせがとれるのかというのをお答えいただきたいと思います。

それから、ほかにもこういうものがあるか教えてください。

事務局

今お話ありました自動車重量税については、法律上あるいは法令上の特定財源にするというものではございませんので、そこは政府として、こういう方向で展開しますというような、これは国会答弁なのか、閣議決定なのか、そういうことは具体的に詰める必要はあると思いますけれども、少なくとも法律改正とかそういうことは経緯的には必要ないのではないか。その辺は実際にどうするかはもう少し具体的なご議論が要るかと思いますが、少なくとも法令上、何か制約があるというわけではございません。

委員

これ以外にありますか。

事務局

特定財源の中ではこれだけと考えていただいていいと思います。

委員

よろしゅうございますか。

委員

この問題は実は4年前からずっと、道路公団民営化を提起したときからの大きな課題であります。先ほど委員のお話にありましたけれども、道路の投資が必要である部分はありますけれども、適正な価格で投資されているか、効率的に投資されているかということから言うと、談合の問題がありましたけれども、必ずしも効率的な投資ではなかったということ。それは金が余っているから効率的な投資ではないわけであって、必要な投資は必要な投資であっても、ある程度資金がタイトである場合に効率的な投資ができるということがあるわけですね。ですから、いずれにしろ談合等そういう問題が起きてくる土壌になっているということです。

事実関係だけ申し上げますけれども、2003年(平成14年)から本四公団に2,200億円入れて、その次の年は3,000億円入れて、その次の年、つまり今年ですけれども、4,800億円入れているのです。このままいくと、次は6,000億円か7,000億円入れるということになるのですが、しかし、本四の債務はあと4,000億円入れれば終わってしまいます。つまり、公共事業が3%ずつカットされてきましたので、結局、お金がどんどん余ってきて、来年は6,000億円ぐらい確実にタブつくのです。そういうことがもう明らかになっているということです。

つまり、来年、6,000億円分くらい明らかに特定財源が余る。余ることがわかっていても具体的に何もしないでいるということは、これは怠慢なんですね。そこのところが非常に重要だと思うのです。それを目の前で見ていてわかっているにもかかわらず何もしないでいたというのは、これは政治の怠慢であって、もちろん役所も積極的にそれを提起しなかったということになるわけです。確実に来年、6,000億円余っています。6,000億円余っていて、道路特定財源が一般財源化されるのは正式にはさらにその翌年になるわけですけれども、しかし、来年6,000億円どうするんだということを今から方向性をはっきりさせておかないと、そういうことで非常に重要な問題だということです。

委員

3点ほどですが、1つは、環境税の環境省案ですけれども、今、委員から補助金では幾らでも出せるのだからという話があったのですが、そこは誤解があると思うので、そこは押さえておく必要があると思います。税でこういう環境問題を解決するやり方と、補助金で解決するやり方とあって、昔は両方ともいいと言われていたのですが、実は補助金でやると非常にまずいということははっきりしている。補助金でやると、それこそ省エネ機器が単に安くなりますから、今まで買わなかった人が買うとか、省エネの車をたくさん買うとか、そういうことになりかねないので、かえって温暖化ガスが増える可能性があります。でも、20年くらい前にOECDが「汚染者負担の原則」ということをきちんと言って、汚染をしている人は負担すると。そういう意味では税とかそういうインセンティブでもってきちんと規制すべきであって、補助金でやってはいけないということになっています。

今回の環境省案は、実は厳密に言うと、単なる補助金の財源という意味ではなくて、バッズに課税してグッズに減税するという考え方でやっていて、例えば燃費の悪い車の税率を上げて、燃費のいい車の税率を下げることによって、買い換えさせて省エネさせるんだというのが彼らの本当の発想なのです。ただし、結果的にはそこがかなりインチキになっていて、補助金中心の税のように見えると。それはOECDの原則から外れてしまったことになっているので、環境省案もよくないと思います。そういう意味では、きちんと課税するという方向で考えたほうがいいのではないかというのが1点です。

2点目は、さっき委員がおっしゃった6,000億円も含めての話ですが、環境税で温暖化ガスをコントロールするときの一つの考え方として、ボーモル・オーツ税という、やや専門的になりますが、そういう税金がございます。これはどういう税かというと、どのくらい課税をしたらどのくらい温暖化ガスの発生が抑えられるかどうかよくわからないときに、しかし、このくらいまで温暖化ガスの発生を抑えたいというときには、税だけ決めておいて、結果を見ながら税率を動かしていくというやり方があるのです。京都みたいな仕組みを考えるときには、こういうやり方をやらないとなかなか温暖化ガスの発生をコントロールできない。大企業は、先ほどのお話にもありましたけれども、見ていてすぐわかりますけれども、日本の今の問題は、物流、運輸、家計部門、こういうところが非常に大量の温暖化ガスを出している。これをコントロールするためには規制とかそういうものではなかなか無理で、基本的には課税でやるしかない。

逆に言うと、今、6,000億円余ったからエネルギー関係の税を下げましょうということでやると、ひょっとしたらどんどん温暖化ガスの発生が増えてしまうわけです。そういうことも考えると、むしろ今はきちんと上げる。ひょっとしたら人によっては、石油の価格が上がっているからいいではないかとおっしゃるかもしれませんが、実はエネルギーに関する対策というのは、家計でも企業でも長期を見て、長期のコストを考えながらきちんとやっていくことが重要なのです。長期のことを考えないとなかなか効果が出ないということになります。そういう意味で言うと、石油の価格をきちんと長期に高止まりさせるのだ、このくらいの温暖化ガスの排出を日本はコミットするのだということをするためにも、ある程度こういう環境税的な形で、エネルギー価格をとりわけフラットできちんとコントロールしていく仕組みを入れる必要があるのではないかというのが2点目です。

3点目は、では、集まった税収をどういうふうに使うかという話です。基本的にエネルギー関係の税金はたぶん3つぐらいの理由があってつくられていると思います。1つは、さっき皆さんがおっしゃった道路の問題です。ただし、今や新しい道路建設は要らないと思うので、むしろ減価償却分の維持、修繕だと思います。こういう部分は建設国債ではなくて、何らかのイヤマークをした税というのがあってもいいのかもしれないと、個人的には思っています。

2番目が、混雑、騒音とか、3番目の環境とか、これはみんな社会コストの問題であって、こういうものは普通の税とは違って、道路の使用、車の使用を抑える、温暖化ガスの発生を抑えるというための価格インセンティブとしてつくられる税金なので、入ってきた税収はある意味で余分な付録みたいなものです。これをどう使うかというのは経済学でもずっと言われていて、一番いいのは二重の配当といいまして、入ってきた税金を使って、歪みのある既存の税制を減税するのが望ましいということが言われています。もちろん、これは専門的には異論もあるところです。外国の多くの国ではこれを使って社会保障の負担の減税をしている。要するに社会保障の原資として使っているケースもあるので、一般財源化する。場合によっては山分けして、そういう種類の歪みを減らす用途で使うというのは、たぶん経済学的には普通の結論だろうと思います。すみません、長くなって。

委員

どうぞ。

委員

今の委員の議論にちょっと関連しますけれども、環境省の考え方というのは一つの面で僕は否定的で、一つの面で肯定的なのです。どういうことかというと、去年出した案に比べて今年の案というのは、純粋環境保護派で強硬な、価格を高く設定させることによって消費を抑制するのが本道だよという考え方が今でもあるんですね。そういう人たちから見ると状況が変わってしまったのです、幸か不幸か。油がめちゃくちゃ上がっているものでね。

だって、原案はリッター当たり1円50銭上げるという話でした。今、20~30円上がっている。とっくに価格効果による抑制というのは、それをOPECとかメジャーが狙ったわけでも何でもないんだけれども、そうなっている。ただ、どの程度日本の家庭がそれに対して消費行動を抑制する行動に出ているかというのは統計的にはわからないのです。最初にちょっと上がった頃は全く効かなかったことは明らかです。

ただ、これだけ上がると、さすがに遠出を控えるとかいろいろあって抑制的になっていると思うんです。よそ様の力によって、環境税の発案者が考えもしなかったようなスケールの抑制効果を起こしてしまったのです。それで環境省は困ったわけだ。それでもなおかつ筋は筋の話だから、今度のやつは細かいことをいろいろ考えて苦労されてつくっているんですよ。それがまた純粋環境派から見れば、何やってるんだおまえら、堕落したことやってと言われているけれども、それを言うのはかわいそうでね。建前が建前だから何かやらなければ具合い悪い。しかし、価格を上げることによって抑制するということは今は全くナンセンスになったんです。

問題は、財源をどう使うかという話です。今、委員のお話を聞いて、なるほどそういう考え方もいろいろあるものだと思ったけれども、とりあえずの説明は、森林関係に集中的にやると劇的に効くということになっている。これはマジックみたいな話。聞けば聞くほどマジックなんだけど、環境省もこれは一時的なごまかしにすぎないと言っているけれども、とにかくそういう効果が計算上は出てくることになっているんです。だから森林にと言ってるわけだ。環境省は一番よく知ってるんだ、このグラフの効果というのは。

だけどそんなことを別にすれば、住宅とオフィスの省エネ効果を劇的に増やすために金を使うと書いてある。あれは「爆発的」と書いてある、あの表現はえらい文学なんです。ちょろっと補助金を出しただけで爆発的に省エネ効果にいくとは考えられない、現実的に。僕は幅広い議論に全部参画しているからわかるんだけれども、相対的な比較論から言えば。

したがって補助金をたくさん並べるというのは、よその省庁がちゃんと特別会計を持っていて、それを配ることによってステイタスを保っていることを真似しようと思っているのが3割はあるだろうと思う。全部がそうだなんてことはないと思うけれども、そういう気分を持ちたいという気持ちがあることは間違いないと思うのです。全く効果がないとは思わないけれども、少なくとも今回のやつはそんなに効果が劇的にあるとはどう考えても思われない。環境省はもう自分でわかっているから、一応出してみただけであって、聞いてみれば、大臣が総理のところに行って、あなた、これ反対しないでちょうだいと言って、反対はしないけど議論だけやってもいいよということになっている。だから議論をやっているだけのことですよ。大体、関係業界も反対と、経団連もみんな麗々しく言っているけれども、どうせ今年は勝負は過ぎたと思っているから、言っているだけ。

問題は、僕は後半は環境省の考え方を評価すると言っています。何を書いてあるかというと、今日ちょっと議論が出ているような道路特定財源からほかの特定財源、いろいろあるんですよ。特にエネルギー関連では、電発の特別会計とか、エネルギー特別会計とか、いろいろあるわけです。これは経産省の所管です。経産省はこれ、どうしようかと思って真剣に考えているんです。それを全部ひっくるめたエネルギー関係諸税の再調整問題が、来年、全面的に浮上することは間違いないんです。その突破口が今日の総理の指示だということになっているらしいから、それはウェルカムで、そのときに環境省は何を言っているかといったら、そのときには暫定税率は下げてはいけないとか言っているわけです。これは我々の答申と全く同じです。いろいろ腹の内に考えることがあるから言ってるだけなのです。

もう一つは、ここはほかの諸税との調整も考えましょうねと言っている、そこまでは我々の答申とほとんど変わらないんですよ。今日もある幹部と話したけれども、「あなた、今年通ると思ってる?」「全然思ってません、しかし来年のことがありますからね、ひと声あげておきます」と。来年はまさに今日の議論のような形の中で、環境税に対して、全く意味がないのか、若干あるかもしれないなというふうにして、道路特定財源を衣替えして、名前を変えて、税率も若干いじってやるという作業を来年の今ごろやっているかもしれない。そのときには環境税が独自で手を挙げたことが全く無意味でもなくて、あれが皮切りで議論がここまで来ましたと。あなた方、自己満足すればいいではないかと。それで結構ですとは言わなかったけれども、実際はそうなんですよ。

僕は本当のことを言ってるんだけれども、まあ、今度のやつは、ここで議論するだけでも破格の扱い。この内容についても破格の扱い。後半で言ってるのが真意なんだから。環境省諸君は絶対に状況はわかっているんだから、馬鹿じゃないんだから。そこが本意であるということを考えれば、そこのところにつながるようなことが書いてあれば、もう我がほうの責任はおしまい。

委員

解説ありがとうございました。大体そういうことであろうとは皆さんご承知と思いますが、たぶんそうでしょう。

委員

環境税についてしゃべろうと思いましたけれども、破格の扱いということで省略させてもらって、道路特定財源のほうですけれども、国分は特会の見直しとかが同時に行われているし、暫定税率のあり方も含めていろいろ議論もされている。本四架橋のほうが浮いてきて、来年あたりから5,000億円ぐらい使える云々とありますけれども、地方のほうは税調で何を議論すべきか。つまり地方も道路特定財源があって、これも国のほうの道路財源と同じようにカットしてしまえばいいものなのか。あるいはまさに地方分権で、地方としては、この財源はこういう形でさらに地方道路をつくりたいのかとか、そこの議論は正直言ってどこでもされていないと思うのです。道路特定財源というのは国のお金ですから、そこは税調としても議論すべきだということ。

あと、今日いただいた地方のほうの資料で、地方における道路事情の状況というのがあります。これは状況の説明をしていただきたいだけですけれども、3ページです。地方費分で、注釈のところに「特定財源のうち自動車取得税及び軽油引取税は徴収に要する費用を控除した額である」と。いろいろな資料を見てきましたけれども、この税に関して特別に、自動車取得税の場合には5%、軽油引取税の場合は7%の費用を控除しているとあります。この自動車取得税と軽油引取税に関して費用をここから引くという、地方財政の特別な理由というのがあれば、伺いたい。それは事実ですけれども、一番伺いたかったのは、地方分をどう考えるかという前提は必要だろうと思います。

委員

関連ですか。どうぞ。

委員

私の記憶では、地方における道路投資及び起債の元利償還も含めてですけれども、道路特定財源は半分かそれよりちょっとぐらいしかないので、実際は、道路特定財源というのは特定財源だけを使って道路をやるのではなくて、そのほかに交付税の中でもプラスアルファで道路経費が入っているし、地方債などを使ってやっているわけです。ほとんど一般財源的に使っているので、国のように特財があってほかの人には使わせないとかそういう感じではなくて、純一般財源だと考えてもらえばいいのではないかと思うのです。

委員

企画課長からその辺の事情も。

事務局

今、委員からご指摘がありました、地方のほうの3ページ、上の表の注3の部分でございますけれども、例えば自動車取得税などの場合ですと県が徴収する都道府県の税金です。ただ、その一部分を市町村の道路の財源として交付するというやり方をとっております。その際に、一定の金額分をいわば事務的なものを含めて都道府県が取っておりますので、あらかじめ寄せておいて、そのあとシェアをするというような形で市町村に配分しているというものです。したがいまして、必ずしもこのパーセンテージで徴税コストがかかっているというものではございません。法律上この数字であらかじめ寄せておいて、そのあと、県分、市町村分というふうに振り分ける、こういうものでございます。

委員

そうすると、「費用」というのは何ですか。

事務局

若干、この表現の書きぶりがまずいのかもしれませんけれども、徴収のコスト相当的な発想がもともとあったのかもしれません。

委員

誰が取得するのですか、この費用は。誰がもらうのですか。

事務局

例えば自動車取得税の場合ですと都道府県が徴収していますので、結果的に都道府県側にその分が残るという形になります。

委員

要するに手間賃ですね、早い話が。

事務局

いずれにしても目的税でございますので、使途に関して言いますと、県分であろうと市町村分であろうと、道路の整備のために使うということでございます。

委員

この税だけだね、上前をはねているような費用は。ほかにありますかね。

まだ何がありますか。

委員

先程の委員のおっしゃること、結構重要だと思うのです。地方の道路分をどう考えるかということで、国のほうの特定財源をカットしますね。そうすると、そのはね返りというのは地方はどういうふうに……。

委員

事務局がいるから事務局に答えてもらえばいいのだけれども、要するに、一般財源的に使っているから、道路特財として入っているものは、道路特財として使おうが一般財源で入ってこようが、地方のほうにはあまり使用について問題が起こらないということです。一番問題が起こるのは、今道路特定財源として入ってきているものよりも、道路に費やす経費が少ない団体は問題になるわけですが、そういう団体はほとんどないと思いますよ。オーバーフローするということはないんです。

事務局

ちょっと誤解があるので。地方の道路特定財源はやはり道路に使わなければいけないということで特定財源なのです。今、委員がおっしゃったのは、私が実感として思いますのは、普通の団体は道路事業に要する経費に比べて特財が少ないわけです。ですから予算をつけるときに、これ以上道路を切ってしまったらオーバーフローしてしまうかなという心配は全然ない。逆にこれだけ道路費をつけなければいけないということも考えなくていいので、感じとしては特定財源という意識はなくて予算をつくっている。

しかし、今おっしゃったように、仮にオーバーフローにしてしまえばそれは法律に違反しますので、そういう団体は特別な配慮をしていますが、通常はロットが少ないために、これをどうにかしなければいけないという意識がなくて済んでいるということだ思います。

委員

特定財源なんて目的税をつくらなければいいではないですか。そんなマイナーに一般に使っているならね。

委員

ということは、地方分は特に議論しなくていいということですね。この部分は多かれ少なかれ、結果的には道路の予算はこれ以上多く扱っているわけだから、問題はもっと純粋な話になる。税として軽油引取税が望ましいかとか、そういう話になるわけですね、道路をつくるとの見合いではなくて。道路のほうは予算的には取ってる税金より多いわけだから、目的税と言っても何ら支障はないと。

事務局

今の時点でロットの関係はたしかにそうなっておりますけれども、このあと道路事業費をどうするかとか、今、会長がおっしゃったような問題意識も含めて、果たして特定財源のままで置くのがいいのかどうかということも含めた議論は、私は地方分についてもしていただいて結構だと思います。その上で、国を見直すならばそのときに地方のほうをどうするのかというのは、また決めていけばいいのではないかと思います。

委員

急に地方のほうの問題意識が芽生えても、どういうコメントをしていいかわからないですね。

どうぞ。

委員

今の道路特定財源の扱いですけれども、この前総会である委員が、政府税調としても何か関与してくれというようなことをおっしゃったわけですが、一部はありますけれども、ほとんどは別に一般財源と考えてもいいような、税のあれではそうなっていますね。特定財源が望ましいかどうかという話については、既に特定財源は望ましくない、一般財源化すべきだと書いています。

今回、ではどういうことが求められているのか、もうちょっと整理した形でお教えいただきたいのと、ついでに環境税ですけれども、たしかにこの環境税の出し方はかなり断片的な感じがします。先程委員がおっしゃったような高邁な理論があるわけですから、もっと真面目に、と言ってはおかしいけれども、国として環境問題はもっと真剣に取り組まなければいけないことははっきりしているわけで、その中での税のあり方という観点で議論をしなければいけないと思いますが、ちょっとその辺がわかりにくい。これから京都プロトコルに基づいて14%くらい解決しなければいけない目標があります。それをどういう形で国としてやろうとしているのか、経済財政諮問会議でもどこでもそういうところだと思うのですが、もう少しきちんとしたスキームが出てきて、その中で税としてやる場合にはどういうやり方があるか。そういうふうに聞いていただかないと議論のしようがないのではないかと思います。

委員

そのスキームは一応内閣のほうではつくっているんです。10何%減らすうちの税のパーツは幾らくらいかの数量的な合意はできています。税制第二課長、その辺はないですか。

事務局

環境税の資料をご覧いただきたいのですが、これは環境省につくってもらった資料です。我々もそういう問題意識もあって、何が求められているかということで、まず6ページをご覧いただきます。これは復習ですけれども、真ん中の表で「2010年度現状対策ケース」。つまり、今の政策をそのまま続けていった場合に2010年現在で目指すべき水準とどれだけギャップがあるかというのが、12%減らさなければいけないということで、その手法として、エネルギー起源CO2の削減とか、非エネルギー起源CO2の削減とか、それぞれ決まっております。

これを、では具体的にどういうことをするのかというのを落としていく作業を今やっておりまして、それが7ページでございます。例えば排出削減の対策ですと、ここに対策と施策という分け方があるわけですけれども、12%を減らすうち排出削減では6.5%減らします。その対策として、産業界の自主行動計画、建築物の省エネ性能向上、云々かんぬんというのでそれぞれ排出削減見込量がこういうふうに決まっている。では、どうやったらこの対策を実現できるかというときに、それを推進するための施策として、自主的にやってくださいとか、規制でやろうとか、経済的手法の中には税というのがあって、これが環境税になるわけです。それから情報的手法とかいろいろな施策があるでしょうと。この施策の一つとして環境税というのを考えているのが現在でございます。

したがって、対策のところまではある程度数字に落ちているのですけれども、施策の段階で、どの施策でどうやるというところまでは具体的に決まっていない。その中で環境税を施策としてどういうふうに位置づけたらいいかというのが議論になっている、そういう整理でございます。

委員

私の理解もそうです。

委員

7ページに、これをやればこういうこと、こういうことという割り振りがなされています。ですけど、それと環境税とのつながりというのはその因果関係がわからないです。3,700億円あればいいんだというのだったら、4,800億のさっきのオーバーフロー、それを回してやればいいではないかという話で済んでしまうわけで、そんな簡単な話ではないですよね。もっと根の深い話というか、規模の大きい話のはずなので、それを聞かせていただかないと対応のしようがない。

委員

今、環境税を言い出してきて、具体的なスキルの中で環境税の位置がぼやけている、はっきりしない。きっと、あえてはっきりさせていないのでしょう、私の理解では。でも、少なくとも対策を推進する施策の中には税という項目があって、総動員というときに一つ武器を用意したということぐらいなのだと思います。この12%のうち2をやるとか3をやるとか、内々そういう計算はあるようだけれども、今回の案で、このスキルの中でどのくらい役割を演じるかまではいってないんです。その辺が不満といえば不満ですね。

委員

環境税に絞っても、先程の委員がおっしゃるとおり今年はもうあまり意味がないかもしれないので、むしろエネルギー関係諸税ということで申し上げたいのですけれども、目的税とか特定財源という発想は、こういう税に関してはやめるべきではないかと思います。先ほど申しましたように、エネルギー関係諸税の位置づけを税調できちんとすべきではないかというのが一つあります。仮に位置づけができるとしたら、さっき申し上げかけたことですが、3つあると思います。

1つは、自動車が使っている社会的インフラの維持費用。これからは建設よりも維持だと思うのですが、あとは、社会的コストのためのエネルギーの価格を通じたインセンティブ規制みたいなものだと思います。

2番目の話は、どのくらいの税とかどのくらいの価格にすることが社会的に望ましいのかというところから発想が始まるべきであって、幾ら財源をとってくるべきかというところから発想すべきではない。むしろ税調としても、幾らくらいの税金にして、その上でとってきた税のうち税収をどういうふうに使うのか。特定財源にはしないほうがいいし、してはいけないというのが、むしろこの種の税の、とりわけ汚染者負担の原則というところから出てきているOECD側の主張でもあると思います。

だから、そこら辺をもう少しきちんと位置づけて、来年以降になるのかもしれませんが、エネルギー関係諸税とか環境税が実際に問題になったときに、きちんと税調として答えができるような議論を積み重ねるべきではないかと思います。

委員

具体的なご提案をいただきました。

委員

今言われたように、エネルギー課税全般について、環境税に対応するということではなくて、一つ一つ見直していく必要がある。今の(資料の)1ページ、例えば航空燃料税は0.1ということは1,000億円ですね。これで静岡県の空港をつくったり、いろいろなことをやっているんです。こういうのは余っているわけです。余っていて使い道がないから、飛行機の降りないようなところに空港をつくったりすることがずっと続いているのです。それを大体つくり終わってしまったんです。これも本四の債務処理と同じですけれども、終わってしまって余っているものですね。こういうものを一つ一つ全部はっきりさせて、税調の議論として、こういうのはおかしいんだよということはやはり言っておくべきだろうというふうに思います。

それから、今の表の右のほうに「日本中央競馬会納付金(0.3 )」とあります。これは何なのかということ。使途は畜産振興事業、社会福祉事業と。こういうわけのわからないものがいっぱいありまして、わけのわからないものをこういう正式なところで議題にのせておく必要があると思います。これは各省庁の利害が絡んでいますけれども、そういう問題ではないわけですね。利害が絡んでいようが絡んでいまいが要らないものは要らないということで、特別会計の見直しが片方で進んでいるわけですから、税のほうとしてもこういうことをはっきりさせていったほうがいいと思います。

委員

2つほど。僕は今日は、今出されているテーブルの上にある環境税は問題がありますよということを申し上げたので、政策論として環境税という手法を用いることは意味がありますということを否定するわけでも何でもない。僕のものの言い方は間違っているかもしれないけれども、環境税に対してネガティブなことを言うと、おまえは環境問題の本質が全然わかっていない、温暖化のことを多少勉強しているのか、おまえはインテリか、と言うんですね。そんなことはとっくに知っている。しかし、この手法はちょっと不適当ではないかということを言ってるだけなんです。だから真面目なんですよ、次元が高いか低いかはともかく。

もう一つは、今日たまたま、総理が大臣を呼んで道路の特別会計についていろいろな議論をやれというふうに言われたそうです。これが終わったら会長は記者会見をやるでしょう。

委員

はい、やりますよ。

委員

総理にごまをするわけでもないけど、たまたまテーマが設定されていて、総理の指示に対して一番最初に税調のここで議論が出たことになるわけです。一番新鮮なんですよ。内容は、実は4年前に書いたこととほとんど変わらないんだけれども、もうちょっと突っ込んだ議論をやろうということになっているから、それはよく宣伝しておいてください。たまには税調もいいことを言わないとね。いつも変なことばかり言われている。

委員

道路をはじめ特定財源の話がずいぶん出て、もう方向は決まっているような感じだというふうに思っていますけれども、たしかにエネルギー関係諸税を一つ一つ検証というか、やっていかなければならないと思います。例えばある税がどういう理由でできて、もうその役割は終わった、要らないねというふうに個別にやっていくと、じゃ要らないという話も出てくるから、それを検証したり考えたりする上でまず考えておかなければならないのは、やはり頭に財政再建の問題を最重点に置いて考えていかなければいけないなという感想を持ちました。

委員

一般財源化しろということですか。

委員

道路ですか。

委員

道路というか、特定財源で要らないのを探っていくという意味は。

委員

特定財源はやめていったほうがいいという話ですよね。

委員

なくすわけではなくて、要するに一般財源化しろということですね。

委員

はい。

委員

わかりました。

委員

増税、増税と言うから、これだけむだ遣いを減らしましたよというアピールをもっとしないと、という意味だと思うんですけど。

委員

そういう意味でしょうね。

委員

議論が深まったところでちょっと一般財源に戻って恐縮ですが、特定の収入を特定の支出に結びつけるべきでないという財政上の原則から言えば、もともと特定財源というのはないほうが好ましい。特に道路特定財源はいろいろな事情でこういうふうに余ってくるわけですから、それを一般財源化する、ないしは一部環境税的なものに転用するというのも私はいいと思います。

一方で、いろいろ歴史的経緯があって、税法、その他の法律、あるいは、一部は国会答弁という形でとにかく道路整備に使うということになっているわけです。したがって、余ってくるのだったら、道路をつくらなくていいのだったら返してくださいと。つまり暫定税率はなくしてほしいと一部の業界は言っています。そういう業界の人たちを説得するだけの論理がなければいけないと思います。とにかく財政再建が必要。私ももちろんそれは思います。一般財源化してそれに使うべきだと思いますけれども、そういう業界の人たちを説得できるだけの論理を構築しなければいけない。私も、どういうふうに説明していいのか実はまだよくわからないのですが。

委員

環境問題でしょう、今ずっと言っていることは。下げなくていいよという意味は。財政再建と言うとそれは腹を立てるかもしれません。

どうぞ。

委員

一般論なんですけれども、税金を何に使うからくれというのは非常にまずいと思うのです、全体的に。であるがゆえに、特定財源をそういうのではなくしようと言いつつ、環境税は環境に使いますからください、こう言っている。消費税も上げにくいから、社会福祉に使いますから上げさせてくださいと、目的を言わなければ税金を集められなくなってしまっているこの体質というのはおかしい。

それをどういうふうに直すかというのは、ふと思うのですが、特定財源関係の10ページを見ると、細かいのは大ざっぱにしてしまったのかもしれないけれども、ほかは3つでこんなにいっぱいとって、うちはこんなごじょごじょと、わけのわからない名前だけ違う税金でとにかくかき集める。ここに意外と体質があらわれているような気がします。とある役所のとある課が一生懸命苦労してつくった、導入してもらった税金は俺のものだと、そこら辺の発想がどうしても消えないのではないか。

そういう意味で言うと、環境省という役所があって、あの人に環境を守ってもらおうなんて全然私は思っていないのですが、環境省が環境税の責任者であるというのは全く間違いであって、環境税なるものは名前であれですから、私は、一般財源として環境税を取るのは環境省ではなくて財務省ではないかと前から言っているわけです。以上です。

委員

今度の案は環境省も一般財源だと言っています。ただし、暗黙の呼吸か何か知らないけれども、環境対策にぜひお回しいただきたいというようなたぐいの話なのです。消費税の福祉目的税的な話なのです。だから、社会保障に使っても結構ですと言ってるんです。ただ、まさに今の委員がおっしゃるとおり、それは大いに我々としてはまとめなければならない。

まだご発言ございますか。よろしゅうございますか。

今日で主要な「個人所得課税」と「環境税・特定財源」、それから「国際課税」は終わりました。過去の復習もありますけれども、大体ある方向が出てきたのではないかと思います。ただ、環境税も含め、特定財源も含め、今後、議論を深めようというところでは皆さん意見が一致していると思いますので、引き続き議論しなければいけない面も幾つか残ったかなと思っています。

次回は、「法人課税」と「酒税」、「固定資産税」などをこの金曜日にやります。来週はそういう意味で総会を1回やって皆様の意見をまとめて、その後、起草作業に入ることになろうかと思います。申し訳ありませんが、3時~5時まで、1時間ずれ込みますので、お間違えなきようよろしくお願いいたします。よろしゅうございますか。

今日は、お忙しいところをありがとうございました。これにて終わりたいと思います。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。