第41回基礎問題小委員会 議事録
平成17年6月14日開催
〇委員
皆さん、再開後お席についたかと思いますが、個人所得課税の検討は基礎問題小委員会で行いますので、今から最後のアプローチかもしれませんが、報告書の取り扱いも含めて議論をさせていただきます。
お手元にこれも2バージョンあります。まず最初に見え消し版、そして、まっさらなやつと二通りございますので、これを使いまして、これまでの経過を踏まえまして、税制第一課長のほうからご説明いただくということをしたいと思います。では、税制第一課長、お願いします。
〇事務局
原則的に見え消し版のほうだけでご説明をいたしたいと思います。
まず、1ページでございます。2行目、応能原則という考え方を表現しろというご指摘がございまして、「個々の納税者の稼得能力に応じた負担を求め得る税として」、これを挿入いたしております。
そのほか8行目、16行目、いわゆるブラッシュアップをかけております。
なお、このページないしは全体の構成につきましてでございますが、例えばプライマリーバランスとの関係でありますとか、それから、税負担水準を上げていかざるを得ないといったことを論理の筋立てとして強調するべきではないかというご意見、さらには行政改革の重要性、こういったものも盛り込むべきではないかというご指摘もございました。会長ともご相談いたしましたが、今回の論点整理は、主といたしまして、個人所得課税の制度そのものの中に存在いたします諸課題を整理しようと。つまり、この1ページで申しますと、真ん中あたりのパラグラフでございますように、公平・中立・簡素な税制の構築、こういったことに主眼を置こうと。税体系の中での位置づけでありますとか、財政のあり方との関係、こういった点につきましては、次の段階で改めてご審議いただく、こういった交通整理をしてはどうかと考えております。
次の2ページでございます。ここから所得の種類と税負担のあり方ということでございます。15行目から始まります所得区分、一つ目が給与所得でございます。二重線で消しておりますが、「給与所得者においては、自らの市場価値を高めるべく様々な自己啓発努力が行われている」、この辺については、いろいろ事実認識云々の問題もあろうかと思います。少なくとも言えるのはということで、アンダーライン、「自らの市場価値を高めるべく様々な自己努力を行っている給与所得者もいる」と、このように変えております。
ここの部分のさびでございますが、25行目、「雇用関係の有無だけをもって給与所得者と個人事業者を比較し、その置かれた立場の強弱を一律に論ずることは難しくなりつつある」、こういったメッセージがさびであろうかと思います。
次のページ、3ページでございます。2行目、「被用者特有の事情を画一的にとらえて一律の控除を行うという現行の仕組みを見直し、給与所得者についても経費が適切に反映されるような柔軟な仕組みを構築していくべきである」というメッセージでございます。
さらに、「様々な自己啓発努力」云々のところでございますが、先ほど申し上げたところの直しと連動いたしまして、客観的に「職務遂行上の経費として認められる特定支出控除の対象範囲」と、このように直しております。
次に、退職所得でございます。退職所得のポイントといたしましては、25行目、「退職金については、全体として多様な就労選択に対し中立的な制度となるよう課税のあり方を見直すべきである」、これがメッセージになっております。
29行目、「重要な人生設計上の期待にも関わる」と、このようにご指摘を踏まえて直しております。
次の4ページでございます。事業所得でございます。特に修文はございませんが、先ごろの総会で、13行目、「そうした中、一般の給与所得者は、日常生活において目にする事業所得者の行動に納得し難い思いを抱くことも多く」と、この辺の趣旨についてのご指摘、ご質問が総会ではございました。実は書いてあるとおりでございます。
それから、19行目、「事業所得に関しては、実額での『必要経費』は正確な記帳に基づく場合のみ認めることとし、そうではない場合には一定の『概算控除』のみを認めるとの仕組み」、これも一つの工夫として考えられようと。これにつきましてもご質問がございました。いわゆる標準課税と申しますか、標準率で経費を差し引く、こういったことをだんだんなくしてきたではないか。それに対する一つの逆行ではないかというご質問も総会でございました。例えば農業所得のような場合に、大体利益率というのは一緒であろうということで、標準課税というものを行ってきたこともございます。これはそれぞれの事業者がきっちり記帳することはまあほとんど難しいだろうということを前提といたしまして、標準課税というのが行われておったわけですが、ここに書いております新型の概算控除というのは、むしろ記帳はちゃんとしておくものだと、これが原則になっておるわけでございます。その上で、たまたま記帳がない場合には、本来なら必要経費の控除というのは認めないというのも一つの考え方なのですが、やはり何がしかの間接経費等がかかっているのも事実でございますので、それについては、ある程度低めの率で引く。それでないよという場合は、挙証して、納税者側がちゃんと言ってくる、こういった制度にできれば、後ほど出てまいります例えば記帳水準の向上でありますとか、立証責任の転換、こういったものにも役立つのではないかと。そういう工夫でございます。
次に、4ページの譲渡所得。ここはメッセージといたしましては、次の5ページでございますが、7行目に、「土地、株式にかかる譲渡所得については既に分離課税とされている。その他の資産の譲渡益についても、同様の取扱いとすることを検討する必要があろう」と、こういう指摘でございます。
不動産所得、これも累々ご説明いたしました。いわゆる合算課税制度がなくなったあともこの所得区分が残っている。こういう状態を何とか解消したいということでございます。メッセージといたしましては、24行目、「独立の所得区分としての不動産所得を廃止することを検討すべきである」と。廃止したあとは、いわゆる一般原則によりまして、事業的なものは事業所得、それ以外のものは雑所得と、このように分けられることになるわけでございます。
このページ、5ページの[6]一時所得、これも何回かご説明いたしましたが、最終行、対価性の有無をもって雑所得と別扱いにする。こういったことが合理的ではないということで、「雑所得に統合することを検討すべきである」、6ページの2行目、これがメッセージとなっております。
それから、[7]の雑所得、特にロ)の公的年金等でございますが、真ん中の15行目あたり、「雑所得の中に留めておくことは適切ではなく、独立の所得区分を設けることを検討すべきである」、これがメッセージになっております。
その下、26行目から始まります金融所得課税の一体化でございます。挿入箇所、29行目、「経済の活性化のためにも」。この金融所得課税一体化の目的を何らかの形で書けということでございました。様々な要素があるわけでございますが、全部ひっくるめれば、この「経済の活性化のためにも」ということになるのかなと考えた次第でございます。
次の7ページでございます。真ん中あたり、「3.世帯構成と税負担のあり方」ということで、全体的な問題提起をこの柱書きとして16行目から書いてあるわけでございます。
具体的には、次のページ、配偶者との関係ということで、8ページでございます。これはざっと二重線で消してあるそのあと、新しく書いたところ、これをご覧いただきたいと思いますが、まず、イ)といたしまして、「現行の配偶者にかかる人的控除は、個人単位課税の下で、一定所得金額以下の配偶者」、この「個人単位課税の下で」というのを前回の総会でのご審議を踏まえて挿入をいたしております。
25行目でございますが、ここから現行の配偶者控除制度の問題点を三つばかり並べてあるわけでございます。その一つ目、メッセージとしては、26行目でございます。「税制において、夫婦を担税力という面での配慮が必要な関係と一方的に位置付けることには疑問がある」と。実はこれは上の消してあるところ、13行目の「まず」で始まっているところ、これを書き直したわけでございますが、消したものは、「そもそも夫婦とは、生活を共にすることでお互いの人生を高め合う対等なパートナーであり」と。これはいわゆる書き過ぎではないかというご指摘もございましたし、一方では落とすのは残念という声も聞こえたわけでございますが、消しました。万感の意を込めまして今申し上げました26行目、「税制において、夫婦を担税力という面での配慮が必要な関係と一方的に位置付けることには疑問がある」ということでございます。
ちなみに、25行目、「配偶者を得る」という言い方はいかがかということで、「結婚により」と、このように直しております。
なお、29行目、配偶者の家事労働の経済的価値、これは「帰属所得」という言葉も前回の総会の時には書いてあったわけでございます。この趣旨といたしましては、いわゆる納税者の本人の担税力の判定において、配偶者が存在する。これが担税力上マイナスになっている。言い方は難しいのですが、経済的な従属者であるというふうに税制上位置づけるのはいかがなものかという問題提起でございます。懸念といたしましては、例えば内助の功を評価、固定化するというきらいはないのかというご心配もあるわけでございますが、ここで我々が書きたかったのは、今申し上げたように、担税力の物差しの上で、配偶者の存在がマイナスになるということではないということでございます。
8ページ目の30行目、二つ目の問題点としまして、次の9ページの頭にございますが、「配偶者の就労に対する中立性といった面でも矛盾が生じている」。その次、「女性の就労が増加している中」ということで、まさに女性の社会進出云々の趣旨をここに書いておるわけでございます。
さらに、三つ目の問題点として、これも例のN分N乗のポンチ絵でも何回かご説明いたしましたが、メッセージとして7行目、「夫婦で二重に控除を享受するという問題が生じている」と。
結論といたしましては、配偶者に関する次の8行目、「現行の人的控除のあり方については、根本的な見直しが必要であろう」ということで、具体的な検討はこの次の段階ということになっております。
次に18行目、(2)の子育て支援との関係でございます。「政策的支援の要請が高まっている」というところで切れておったのですが、前向きな気持ちを書くべきではないかとご指摘いただきました。「税制面でもそれにどのように応えていくのかが重要となっている」と、このように挿入をいたしております。
次のページ、N分N乗方式の(注)、これは単純に下の脚注に落としただけでございます。
10行目から始まりますN分N乗そのものの議論でございますが、15行目あたり、「劣るものではない」という書きぶりがございました。これは、N分N乗は確かに税率がクリップダウンするという効果はあるわけでございますが、課税ベースの観点からすれば、世帯の人数分の基礎控除を引ける。こういう中立的な効果もあるわけでございます。逆にいうと、所得控除のやり方でも同じ効果が望めるということを書きたかったわけでございまして、ここでは「同様の効果を持ち得るものである」と、このように直しました。
さらに、論旨の明確化ということで、「わが国では、戦後の家族制度の改正を背景に個人単位課税とされて以降、課税単位としては個人単位が維持されてきており、基本的にはこの制度が適当である」と。ただ、「いずれにせよ」ということで、引き続き検討と、このようになっております。
次のページ、11ページでございます。4.の表題、「所得金額に応じた」ということになっておるわけですが、ここはむしろ中身がはっきりわかるようにという修文でございまして、「課税ベースと税率構造のあり方」と、中身を変えてございます。
この(1)で始まります「実効税率の水準」、ここでのメッセージといたしましては、18行目、「わが国の実効税率は諸外国と比べて低い状況にあり、個人所得課税の本来機能の回復の観点からは、後述のように、課税ベースや税率構造の見直しにより、その水準を引き上げていくことが課題となる」。
具体的に、まず一つ課税ベースでございますが、特に修文はございませんが、次の12ページ、課税最低限論議でこれまで議論してきたきらいがあるわけでございますが、それに対する一つの見直しといたしまして、課税ベースとはということで9行目、「収入その他の経済的利益から、政策的配慮に基づく非課税措置、所得計算上の控除(これには給与所得控除や公的年金等控除等々がございます。さらに)基礎的な人的控除、その他勤労学生控除といった特別な人的控除、更に生損保控除、社会保険料控除といったその他の控除を除いたものである」。課税最低限を議論する際には、先ほど申しました給与所得控除と基礎的な人的控除と社会保険料控除、これだけを引っ張り出して議論してきたわけでございますが、課税ベースを小さくする要素はほかにもいっぱいあるということでございます。メッセージといたしましては、13行目、「課税ベース縮小の原因となる非課税所得、各種控除のあり方を議論することが重要である」ということになっております。
税率構造でございます。メッセージといたしましては、12ページ一番最後の行、「税源移譲のためにあえて10%よりも低い税率区分を設ける必要がある」。これが一つでございます。
それから、次のパラグラフ、13ページですが、刻みにつきましては5行目、「これ以上刻み数を増やすことは適当でない」という原文でございましたが、税源移譲前なのか、後なのかということがございました。「税源移譲における対応に加えて」と、このように直しております。「刻み数を増やすことは適当ではない」と。
最高税率についてのメッセージですが、7行目から、「今後、消費税を含めた税体系全体の見直しが行われる場合にはその水準の当否について改めて検討する必要があろうが、現在の所得税・個人住民税あわせて50%という水準は、個人の勤労意欲・事業意欲の点から見て基本的に妥当なものと考えられる」。さらに、「実効税率の水準を引き上げるためには、現在の最低税率のブラケットの幅を狭めていくことが必要となろう」。
最後のアンダーライン、これは挿入でございますが、ブラケットの議論というのは最低税率だけではないだろうということがございまして、この部分を挿入いたしております。
個人住民税、ページをめくっていただきまして14ページ、(2)均等割、12行目、均等割の税率の引き上げを図る必要がある。「その際」というところにアンダーラインがございます。この修正の趣旨につきましては、前回の総会で総務省よりご説明いたしました。
14ページ下のほう、納税環境の整備でございます。1ページめくっていただきまして15ページ、10行目のアンダーライン、これは挿入でございます。全体を通して、納番についてどっちを向いているのかというご指摘がございまして、一番端的に今のスタンス、今回これを書き込む気持ち、これをこの3行に表現したつもりでございます。「近年におけるIT化の著しい進展、また、所得把握の正確性を求める声の高まりの中で、納税者番号制度についても従来以上に積極的な議論を行う必要がある。そのためにも、これまで以上に掘り下げた論点整理をしておきたい」ということでございます。
今までの議論がイ)でございますが、ロ)のところで26行目、「諸外国の経験を超えて、事業所得に関しても納税者番号制度を活用することができないかという議論がある」、これが従前の議論にはなかったポイントでございます。
16ページにまいります。8行目、「納税者番号制度さえあれば」云々で始まるパラグラフ、これは実は場所の移動です。次のページをご覧いただきますと、6行目、見え消しになっておりますが、これを移してきました。中身的には事業所得の中身になっておるということで、流れといたしまして、こちらに持ってきたほうがいいであろうということで、移した次第でございます。今申しましたロ)のところが事業所得関係、ハ)が一般論でございますが、これが16ページの15行目、ハ)で始まっております。メッセージとしては、「税務も含め、広く行政全般に利用される番号制度として考えるのかという点については整理しておく必要がある」と。
こういった点については22行目でございます。「高度情報通信社会におけるわが国行政のあり方をどう考えるかといった見地から、政府全体として幅広い検討を行った上で、最終的には国民全体として判断すべき性格のものであろう」と、こういうメッセージになっております。
次の17ページでございます。線で消してあるところ、これは先ほど申しました。前に移動したということでございます。
その次の13行目、「名寄せ・突合のための道具」、これは文意の明確化でございます。
(2)は記帳制度でございます。20行目、修文自体はございませんが、「事業所得等に係る所得が300万円以下の者には記帳義務が課せられていない」と。記帳義務がないのに、何で事業所得が300万円以下であるのがわかるのかという極めて素朴な疑問が呈されました。全くそこはおっしゃるとおりなのですが、ここで書いてあるのは、現行の制度がこのようになっているということでございます。バックグラウンドとしては、当然、何らかの記帳というのは行われておって、その年の所得が300万円以下であるか否かというのは、何らかの記帳でわかっておるであろうと。しかし、一定規模の場合はそれを義務かしようと。実はこの制度を入れた時の制度趣旨といたしまして、ある種当たり前のことを確認的に義務化しようといった制度趣旨なものですから、この現在の記帳義務にはペナルティがございません。あくまで当たり前のことを確認的に義務化するという趣旨で入っておるものでございます。
17ページ、立証責任。次のページ18ページ、源泉徴収・年末調整。この辺については具体的な修文はございません。
19ページにまいります。6行目からの(5)公示制度。7行目は単純なブラッシュアップでございますが、「一部に存続すべきとの意見もあるが」という11行目のこの挿入をいたしております。存続すべき、このご意見があるがと書いてあるわけですが、単純存続でもないだろうというご指摘もございました。前回の総会で、私いろいろ悩んでおると申し上げましたが、やはり課税のための制度という位置づけのもとにおきましては、やはり残すのか、なくしてしまうのか、どっちかしかないだろうということでございます。メッセージといたしましては、公示制度、13行目にございます。「廃止を検討すべきである」となっております。
以上、ずっと述べてまいりましたが、この19ページ、30行目、「もとよりこのような改革は、18年度改正のみで拙速に行うべきものではない。今後、他税目の見直しとも適切に連携しつつ、また経済情勢も見極めながら、段階的かつ着実に実施していくべきである」。次の行、「納税者の理解と支持なくしてはこの改革は実現し得ない」ということを締めのメッセージとしています。
以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。
下線部分以外のところについてもいろいろご事情を説明いたしました。思い入れたっぷりに説明してくれたので、大体トーンがわかってきたかと思いますけれども、これから今のご説明を踏まえまして、さらに念を入れて修文なり、あるいは確かめておきたいという点でご発言がありましたら、まだ時間もございますので、ご自由にお出しいただきたいと思います。
地方税はよろしいですね。まとめて説明してくれましたから。
どうぞ。
〇委員
12ページの(3)の税率構造のところですが、最初の文章、「本格的な税源移譲の実施にあたっては、税率構造の抜本的見直しが必要となる」ということですが、この場合の税率構造というのは、所得税・住民税を合わせた税率構造なのか、あるいは国税としての所得税だけの税率構造を言っているのか、多少わかりにくいのではないかと思うのです。その下のところを素直に読むと、所得税のところの税率構造の話をしているようなのですが、要するに10%よりも低いブラケットを設けるというのは国税としての所得税だけの話ですね。
ただ、そのあとの議論ですと、最高税率のところだと、現在の所得税・住民税を合わせて50%という数字の議論をしていますので、両方が同時に議論されているようなのですが、税源移譲だけを考えますと、これは所得税・住民税全体の税負担をしようとして、それを国と地方でどういった形で取るかという話なので、トータルの税率構造の見直しとは基本的には関係なくて、要するに地方税でどれだけ取れば残りは国税でどうなるかという話だと思うのです、税源移譲自体は。それで5%の話が出てくると思うのですが。
ただ、消費税の導入の議論も少しありますように、これから本格的に財政再建のために税収を確保するという観点から、所得税を基幹的な税としてきちんと税収を取るというトーンもいろいろなところで出てきたと思うのですけれども、そうであるとすると、税率構造の見直しというのは、全体の税率構造をどういった形で、より課税ベースを広げて、しかも所得の低い人からきちんと取るかという、そういう話にもなってきますので……
〇委員
具体的に修文のご提案がございますか。
ここはやはり国税・地方税を合わせて理解していますけど。だって、地方税だって、フラット化するのは大変に抜本改革でしょう。地方税ですら。それを含めた上で、国税も5%をくっつけるとか、あるいはいろいろな意味での所得区分を変えるかという意味で……
〇委員
修文という意味では、本格的な税源移譲実施だけではなくて、財政再建をもう少し入れて。
〇委員
でも、ここは、税源移譲にあたったと今ご説明したように、フラット化で行われたり、37を40にしたり……。ここは何か非常に気になりますか。
〇委員
これで国税と地方税の税負担の割合だけを変えるのが抜本的な税率構造の見直しだというぐあいに取られてしまって、それで所得税の税率の話が終わりになるのではないかと。
〇委員
いや、そんなことはないでしょう。これはある意味で導入部の一つのご挨拶みたいな文句だからね。ただ、具体的にここはどうしたらいいというご提案があればだと思いますけれども、このぐらい抽象的に書いても手ではないかと、僕はさらっと読みましたけど。
どうぞ。
〇委員
それは先ほどの委員が出ない時に僕も質問して、そんなにさらっと書いてあるわけではないということをこれから説明したいのですけど、一課長も補足してくれるかと思いますけれども。
要するに、ご質問は、これは二つ同時に書いてあるのではないかと。税源移譲をしてやっていくから、新しく国税で5%を作らなければいけないとか。ポイントは、要するに所得税の場合、10%の右端をどれだけ左側に持ってくるかということだと思うのです。つまりトーンとしては、13ページの9行目で、最高税率50%は妥当だろうと。10行目に「実効税率の水準を引き上げるためには、現在の最低税率(10なのだけれども)のブラケット幅を狭めていくことが必要となろう」、これがメッセージだと私は読んでいるのですけど、それをもっと前にはっきり書くか、書かないかということだと思うのですけど。
〇委員
前って何ですか。
〇委員
要するに、税率構造として……。
じゃ、続けて質問していいですか。
〇委員
どうぞ。
〇委員
その関係なんですけど、今のところで最終的にいくと、11ページの4で表題を書きかえましたよね。課税ベースと税率構造なんですけど、この課税ベースという言葉をどう使うかというのは、読んでいてわからなくなったというか、あいまいな気がするのですけど、普通、課税ベースという時には、所得にするか消費にするかとか、キャッシュフローにするか所得にするかとか、いろいろな言い方をして、例えば課税ベースが侵食されたということは、所得である課税ベースが侵食されたという使い方ですよね。この意味としては、今、我々は課税ベースとしては所得ということはもう決めているわけですから、その課税ベースが侵食されたりする云々という議論だから、これは課税所得でいいのではないかということ。
〇委員
いや、それは学者と言われる人も両方使って、僕なんかは、「所得税の課税ベースのイロージョン」なんてしょっちゅう言うから、全然抵抗がないんです。
〇委員
それも僕は思ったのですけど、その場合は、所得という課税ベースがイロードされるという意味ですよね。
あと一つ細かいようでいて書き直しが必要かどうかですが、(2)の課税ベースというのがあって、それから課税最低限の説明があって、そして、その次に課税ベースとは何かというのが出てくるんです。はっきりいうと、すっきり書けていない。つまり、(2)は課税所得で、課税所得というのは、所得から人的控除や経費を引いたものが課税所得なのだと。そのうち非課税限度額が課税最低限なわけですよね。何かここはもって回ったというか、課税最低限が最初に出てきて、あとのほうで「課税ベースとは」という定義が出てくるのはおかしいなと。
〇委員
わかりました。もう少しすっきり書けるように……。
〇委員
もう一つ、12ページの8行目ですが、「わが国の個人所得課税における実効税率は諸外国と比べて最低の水準に位置しており」というのは、これはいいんですね? 非常に思い切った書き方で、何と何を比べたのかよくわかりませんけど。
〇委員
つまり、夫婦子2人でやるとか、単身者でやるとか、どこの国とやるかというような、もう少し限定的なほうがいいという意味でしょう。
〇委員
あるいは、すべての所得のブラケットについても言えるのかとか。
〇委員
「おおむね」とか何かを入れるかどうかですね。わかりました。
それで、先ほどの委員が出された12ページの下から4行目、ここのところから意見が始まったのだけど、ここはこれでいいんですか。何かご意見がありますか。
〇委員
本質的な問題としては、このトーンとしては、課税最低限のことを今まで税調でいろいろ議論してきたけど、これはまだこれからも見直していきましょうと。そして、税収という観点からは、今やある意味で非常に注目されるポイントとしては、所得税の最低の10%の幅をどうするかということだから、それをもっと強調するかしないかという選択はあると思います。
〇委員
では、今お二人が出されたのを、うまく収まるか、あるいはこれでいいかどうか、ちょっと任せてください。
ほかにいかがでしょうか。
〇委員
徴税効率の18ページに関係するのですが、源泉徴収・年末調整の制度が徴税上非常に効果がある制度であるということは、よく理解できるのですが、とりわけ後段の年末調整は、個人情報保護法との関係で、企業レベルに全部、妻のパート収入も含めてやるというのは、大丈夫なのでしょうか。源泉徴収は概算控除的な形で事前に一括するとなかなか大変だからという意味で、家族にとってみても、納税者にとっても便利な部分があり、その点ではこれは維持しておく必要性があるのかなと思いつつ、この年末調整はやはりちょっと私は気になりますね。
〇委員
これはどこかで既に問題になっている問題ですか、年末調整と個人情報保護法の関係は。
〇委員
私は直感的に、企業レベルでこれを全部プールしているというのは、やはりちょっと……。
〇委員
事務局、こういう問題意識を持ち始めていますか。個人情報保護法と年末調整の話。なければあとで結構ですけど。
〇事務局
確かに会社の経理担当に自分の家庭の事情を申告するという段取りがどうしてもこの年末調整には必要になってくる。それが個人情報保護の観点からどのように考えればいいのかというのは、まさにこれからいろいろなご議論が出てくるのだろうと思います。現行制度でもどのような対応が可能なのかとか、これは問題意識をこれから持っていかなければいけない分野であろうかと思います。
〇委員
現段階では、個人情報保護法との関係で云々かんぬんと、ちらっと触れるかどうかでしょうね。そういうご意見でしょう。
〇委員
触れておいていただいたほうが安全だろうと思います。
〇委員
わかりました。
ほかにいかがでしょうか。
〇委員
今のは個人情報保護法が所得税法に優先して適用されるということですか。
〇委員
よくわからない。
〇委員
へ理屈の法律論ですと、所得税法も法律だし、個人情報保護法も法律だと。所得税法で決めたら、税の世界のことは所得税法の話で、個人情報保護法とは関係ない。それが立法政策としていいかどうかは全然別ですけれども。先ほどの質問の趣旨は私は賛成ですけれども、税法のほうが引っ込むというのではなくて、書き方の……
〇委員
一方で高額納税者の情報は開示しないという方向に今来て、書いてあるわけですね。それとの関係でいうと、触れておくぐらいは、気がついているよということは……。
〇委員
気がついている、問題意識を持っているという意味ですね。
〇委員
ええ。
〇委員
へ理屈の世界は世界として。
ほかにいかがでしょうか。
〇委員
1ページの一番下のところ、それと最後の結びの一番下のところの18年度改正、これの読み方、つまり重心のかけ方というのでしょうか。まず1ページのところだと、「今秋以降本格化する18年度税制改正の検討を控えて」となっていますね。これは18年度にかなりやるのだなという受けとめ方をされる可能性がありますよね。結びのところは、「18年度改正のみで拙速に行うべきものではない」と。じゃあ、これは18年度にちょろちょろっとやるのだなと、こういうふうに思いますよね。そうすると、多少矛盾というか……。
〇委員
事実こうかもしれない。
〇委員
私、個人的には、まずとにかく消費税をやらなければいかんなということがありますから、あまり所得税を18年度に前のめりになると、消費税のほうがやばいのではないのかなと。
〇委員
「今秋以降本格化する18年度以降の税制改革」、そういうことでしょうな。いずれにしても、今やっていることは、秋にどれがどうなるかというのは、政治的な検討も踏まえて起こるのでしょう。さはさりながら、来年4月からやれという趣旨で書いているわけではありませんから、5年とか6年とか先を見て書いていますから、18年というのはあまり限定しないほうがいいかもしれませんね。わかりました。ありがとうございます。
〇委員
ちょっと関連。19ページの一番下です。「拙速に行うべきものではない」というのは、例えば「18年度改正にこだわる必要はない」とか……。
〇委員
わかりました。そういう文学的表現が重要なんですよね。
どうぞ。
〇委員
今、消費税のことをおっしゃったのですけれども、4ページの13行目から14行目で、総会で委員がおっしゃったことですけれども、これから3,000万円が1,000万円に引き下げられて、来年の申告から事業所得者はけっこう大変な負担を負うわけで、これから消費税の税率を上げていく時に、おまえらは悪いことをしているんだろうという雰囲気はあまり出さないほうが……。少なくとも「目にする事業所得者の行動に納得し難い思いを抱くことも多い」というのは、多いか少ないかは書く必要ないので、「ある人もいるだろう」とか、「ある」ぐらいにしておくとか、あるいはそういうところを取るとか、要するにクロヨンの雰囲気を出すのは重要ですけど、事業所得者は何かあやしいという雰囲気は出さないほうが……。弁護士の友達とかに怒られそうですから。
〇委員
具体的な文章をちょっと考えて、またご提示します。
どうぞ。
〇委員
12ページ、ずっと前から気にはなっていて、何だかよくわからないのですけど、最後のところ、「あえて10%よりも低い税率区分を設ける必要がある」という、この「あえて」というのが意味が一つわからないのと、あとトータルとして三位一体とか税源移譲とかとぐちゃぐちゃとやった時の最終的目的は、それなりには税金を払って頂こうと、こういうことだと思うので、わざわざそんなこと言わなくていいのではないかなと。「個々の納税者に係る……極力抑えたほうがいい」と、そのぐらいで、あえて余計なことを言わなくていいのではないかなという気はするのですが。
〇委員
「あえて」というのは、5%なんていうものをくっつけること自体抵抗があるわけですよね。10%が今最低限だから。これは僕の好みの言葉かもしれない。無理、しようがない、暫定的でも入れざるを得ない。それでないと3兆円譲れないんですよ。まあ書いたんですけど、おっしゃるとおり、「あえて」までは要らないかもしれない。
それから、やはり国税のほうで税率をいじくって、10%以下をつくらなければいけないというメッセージは僕は重要だと思いますけど。それだけのことを覚悟で譲るんだということですよね。
どうぞ、何かあれば。
〇委員
今、基本方針の最終的な局面でも、この三位一体の改革をきちんと実現をしていくということは、非常に重要なテーマでありますから、ここでは素直に三位一体をきちんと実現して、税源移譲をやるのだと。そのために付随的に起こってくる問題は、今おっしゃったとおり、10%以下、5%をどうするのだとか、あるいは地方税の税率のところで10%というのを書くかどうかはともかくとして、もっとすっきり、今までの方針に従ってこれは書きかえていただいたほうがわかりやすいのではないか。「あえて」というような言葉自身も、いやいや税源移譲しているような雰囲気がないわけでもないですから。
〇委員
事実そうなんだから、しようがないんです。
〇委員
しかし、政府の全体の流れの中では、そういうぐあいになっているわけですから。
〇委員
わかりました。すっきり書き換えると税率構造のところですか。おっしゃったのは12ページから13ページにかけてですか。
〇委員
税率構造の変革のところあたりに、三位一体できちんとやるということを書いていただいて。
〇委員
やるということですね。入っていないから。わかりました。
では、どうぞ。
〇委員
私も最近出ていなかったのですが、ちょっと気になっているので一つだけ申し上げたいのですが、2ページから3ページの給与所得のところです。私は別に結論に反対をする気は毛頭ないのですけれども、経緯をいろいろ書いてあって、2ページの終わりの勤務費用の概算控除という側面のほかに、ほかの所得との負担調整のための特別控除という性格があるということをお書きになっていて、それが状況がいろいろ変わりつつあるから、「給与所得者についても経費が適切に反映されるような柔軟な仕組みを構築していくべきである」というような書き方になっていますね。私はそれだけではちょっと説得力が弱いような気がします。
何が言いたいかというと、一つは、給与所得か事業所得かという区分けの問題以上に、源泉徴収をして年末調整をしているということが事実上非常に捕捉度を高めていて、それを今後少し見直していくのだというようなニュアンスを一つは入れるべきではないかというのが1点です。
もう一つは、給与所得以外の事業所得のほうについても、我々はいろいろ見直しをするのであって、こちらについても捕捉率を高める努力をするのだから、給与所得についても少し見直すのだというようなことをおっしゃられたほうが、サラリーマンとしてはもう少し受け入れてくれるのではないかなと個人的には思います。
それから、もう一つ別件で、さっきの委員がおっしゃったことですが、税率構造のところ、12ページです。一言だけですが、要するに、冒頭の文章の前半があるから、非常に気持ちが悪い。つまり、本格的な税源移譲の実施にあたって税率構造の抜本的見直し、必ずしもそれだけではないでしょうということが多分委員がおっしゃりたいことだと思うので、そこにもう少し所得税の基幹税としてのイロージョンも踏まえとか、いろいろなことをもうちょっと足していただくのが修文上いいのではないかと思います。
〇委員
わかりました。
ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
〇委員
ちょっとお聞きしたいのですが、4ページの事業所得のところで、最初に感想を言わせていただければ、給与所得者に対して書かれていることに対して、事業所得者に対してもやはりきちんと言うべきだということなのですけれども、19行目に「実額での『必要経費』は正確な記帳に基づく場合のみ認めることとし」と書いてあります。「正確な記帳」というのは、真実の記帳という意味ですか、それとも、こういうふうに書けば通るよという意味ですか。どっちですか。
〇委員
帳簿を持っているということなのでしょうけど、税制第一課長、今の「正確な」というのは何が正確なんですか。
〇事務局
例えば、家事関連経費等がございまして、これが内向き、いわゆる全く家事のものなのか、そうでないものなのかというのが、明確にわかるようになっているということでございます。単に大福帳的に何月何日にガソリンを買いましただけではだめですよと、こういう趣旨でございます。当然、真実に基づきつつ、それがその事業所得を得る経費として説明ができる、そういったバックアップができる、こういう記帳をここでは意味しております。
〇委員
家庭用の洗剤を買ったのを会社の経費で落としてはだめですよというのは、みんな知っているわけでしょう。だから、「正確な」というこの書き方は、正確でないものも認めているのかとか、あるいは、書いてきていないけど、書いたことにしようねとか、そういうのはみんな税理士さんの裁量でできる姿になっているのではないですか。その辺を書くならきちんと書かないと、そこが疑惑を生んでいるもとだと思うので、サラリーマンと違うのはそこですよね。そこはちょっと考えたほうがいいと思います。
〇委員
何か具体的に「正確な」というところに代わるべき記述はございますか。難しいですね。
〇委員
「正確な」というのは、みんな正確に書いて出すわけです。そうでないと通るわけがないんですから。だけど、それが本当に正確か、真実かどうかというのは……
〇委員
ここでは記帳というものをベースにしろという、記帳のほうに意味があるのでしょう。記帳しても、いい加減なことを書いてもらっては困るのだけど、その制度すらないところが問題で、記帳があれば必要経費は認めるけれども、なければ概算一括でやるよという趣旨なのでしょう。ただ、「正確な」というのをどう書くかですね。ちょっと知恵を絞りましょう。何かあればまたご指示ください。
〇委員
普通、記帳というと、商法32条2項の公正なる会計慣行に基づく記帳という意味で、先ほどの家事関連費であるかないかという、要するに表と奥の分離の話は、記帳以前の話ではないかと思うのですけれども、通常の記帳の中にそういう話も混入させてしまうのですか。そうすると、商法とずいぶん離れてしまう感じがするのですが、それはどうなんですか。マニアックな質問ですみません。
〇事務局
実際にどういう記帳がなければ引いてはだめだという制度にするのか、これは今後もうちょっと詰めなければいけないところでございますが、上の13~14行目、世の中の人が納得できる経費控除、これをバックアップできるドキュメント、エビデンスがないとだめということでございます。
そういう意味では、確かに商法上の記帳、数字だけが並んでいるわけでございますが、そこで例えばガソリン代が内向きなのか表なのか、こういう点になる。当然、記帳されているというのは、表のためのみのガソリン代のはずでございます。それをいかにバックアップするか。どういう証拠書類を残せばそれがバックアップできるか。この辺、単に記帳のみでないということは、先生がおっしゃるとおりだと思います。
〇委員
僕は事業所得者だから言うけど、正確な記帳というものは、それを言わないとやらないんですよ。正確な記帳というのは、いろいろなものが入ってくるんです。やはりやって意味があるからやるんですよ。インセンティブはあるんで、アメリカのサラリーマンが申告したら儲かると思うからやるわけで、それと同じですよ。そうでないと申告なんかしませんよ。申告したら少し得するかもしれないと思わないと、こんなものやらないですよ。
〇委員
それじゃ、このままでいいんですね。
〇委員
だからこれでいいわけです。
〇委員
説得力がありますね。
どうぞ。
〇委員
一言だけですが、先ほどの委員のおっしゃっているのは、多分、記帳の問題に加えて、あとに出てくる立証責任の問題ということも考えているのですということを一言ここにつけ加えられれば、何となく気持ちは通じるのではないかという気もいたします。
〇委員
実態をちょっと教えてもらいたいのですけれども、事業所得者で今、所得標準率表というのはないんですか。使わない? いつごろからなくなったんですか。
〇事務局
先ほどちょっとご説明いたしましたが、現在はございません。すなわち、以前は、あくまで国税庁のある種運用の一環として、これぐらいの経費で引いていたならば是認をするという一定の目処みたいなものを整理しておったものはございました。ただ、いつごろかというのは、今手元にはございませんが、基本的には記帳自体をしてもらうようにしようという流れで、これを廃止していった、そういうのをやめていった経緯がございます。
〇委員
そうすると、「正確な記帳」というのがあるのですけど、正確な記帳がない人の事業所得について、税金を計算するときのメルクマールというか、経費はどうやって決めているんですか。
〇委員
類似の何かで拾うのでしょう。
〇事務局
細かいことは実務家のほうで説明していただいたほうがいいと思いますが、そう言ってしまったらあれですので、おおよその考え方だけ申し上げますと、今ちょっとお話がありましたように、いろいろなやり方がありますが、例えば近所の同じような規模で同じような仕事をしている人の利益率なり何なりはどれぐらいかというのを推計するということでやっています。ただし、これはあくまでも白色申告の場合です。青色申告の場合は帳簿に基づいてもちろんやりますけれども、白色申告の場合は、今申し上げましたように、同業種、同規模のようなものを基準にしてやっています。要するに、どれぐらいかというのを見て、推計をしているということです。
〇委員
原理的に言えば、給与所得と事業所得の考え方の中で、収入から経費を引く時に、給与所得の場合には概算で給与所得控除という形にして、例外的な規定の中で特別支出控除という形でやる。それに対して事業所得の場合には、前には概算控除的な考え方はあったのだけども、納税上のインセンティブを与えるための記帳を拡充していくために、実際にそれを記帳してくれと。そして、一方の概算控除的なるものについては、これは適用しないという流れの中でやっているわけですね。
本来であれば、経費の部分のところは、給与所得であろうが、事業所得であろうが、労働の再生産をどう見るかによって大分変わってくるのだろうと思いますけれども、共通の部分のところについては、実はリストとしてはオーバーラップするものがあっていいわけですね。そして、事業所得と給与所得の違いというものは一体何なのかということを定義した上で、整合的にそれを課税所得に結び付けていく。こういうことが必要で、かつ、そのあとで普通の人的控除等のところに結び付けていく。ここの連動の発想がちょっと乏しいのではないかと。
こういうことで、今は実はコーナーソリューションになっているわけですね。給与所得者は給与所得控除を利用したほうがいいと。そして、事業者のほうはきちんと記帳をして、先ほどの委員がおっしゃったとおり、記帳したほうが得だからそっちのほうでやると、こういう形になっているわけで、本来、そこら辺の部分の詰め方が私はまだまだ甘いのではないかと。
その意味でのこれからの方向性は、税制第二課長が経済社会の変化というような形で議論した時にも、職業が流動化をしていくような状況の中で、ある時は給与所得の時期にもあるし、ある時は事業所得の状況もある。あるいは複合的な所得を得ているような人々に対してどう適用するかというような問題が出てくるわけですから、ここの問題はもう少し詰める議論をぜひ今後やっていただきたい。その点での記述の何か工夫をしていただきたいということです。
〇委員
今後やることは大賛成なんですよ。ただ、今おっしゃったような話を今の段階でうまく……、入れるとすると、事業所得か給与所得のところですよね。ちょっと考えてみます。
〇委員
特定支出控除の話は、やはり読んでいて取ってつけたような感じがあるんです。1年に10人とか5人しかいなかったという実績があるのだけど。だから、今の委員の話の続きですけれども、一応建前でつけているけれども、リアリティが感じられなくて、お題目っぽいんですね。この辺をどういうふうにするか、これから先の話だと思いますね。
〇委員
給与所得控除の考え方が詰められないという点が一番大きいと思いますけどね。おっしゃるとおり、そこは何か考えましょう。
〇事務局
先ほどちょっと引用いたしましたが、まさに実像把握の成果物を我々ちょうだいしておりまして、2ページの25行目あたり、先ほどもちょっと読みましたが、雇用関係の有無、すなわち民法上の労務提供契約という契約があるかどうか、こういうことだけをもって給与所得者と個人事業者を比較して強弱を一律に論じるのは難しい。給与所得者と事業者の間の関係、これがかなり相対化しておるという問題認識がこの記述のバックグラウンドになっております。であるがゆえに、給与所得者についても、次の3ページでございますが、経費が適切に反映されるような柔軟な仕組みが必要になると。片方、事業所得者についても、サラリーマンが納得できるような、いわゆる透明性のある経費控除をしなければいけない。こういう二つのメッセージをここに引用してあるということではございます。
〇委員
どうぞ。
〇委員
今のところで、立場の強弱がすぐ税制につながるとは思えないんです。ちょっとおかしいのではないかなと私は思います。
それで、さっきの「正確な記帳」ですけど、正確というと、足し算が合っているとか合わないとか、そういう感じがするので、「正しい」にしたらもうちょっとニュアンスがあるかなという気がするのですが。
私も個人事業者ですが、つまり、レシートがあれば得というふうに今はなっているわけです。そのレシートが家族で食べたのか、取引先と食べたのかわからないし、取材に行ったのかどうかもわからない。取材だと言い張れば、うそでしょうとは絶対証明できないわけですよね。納番のところの16ページに、「量的な面に加え、個々の取引の質的な把握という面でも限界があることを念頭に置き」とあって、だからそれは無理だと言っているわけですよね。そうすると、どうするのか。私なんかは、テレビに出るときの洋服を、普段も着ているでしょうといわれると、ずっと私の一日を追いかけて、ここからここまでは経費と認めるということをやるならそれはできますけど、できないでしょう。できないことを言ってもしようがない。
〇事務局
先ほどの委員がおっしゃったように、まさにポイントは立証責任であります。要するに、納税者側がこれは経費ですよと言ってきたのを、そうじゃないというふうに当局側が立証しなければ否認ができないというのが、現行の考え方でございます。むしろ、積極的に納税者側が、これはまさに事業所得の経費として支出したものですということをちゃんと言ってきてくださいと。立証責任がどっちにあるか。現状では一般的に課税庁にあって、否認するというのは極めて難しい状況にございます。ちゃんとこれは経費なんですということを納税者側が説明できる、そういう書類を用意していないと認めませんと。これは立証責任が変わるというところに実は事柄の本質があるわけでございます。
〇委員
一定の体系に基づいてシステマティックにつけられた記帳というのは、普通の感覚ですと、それは正確であるということが推定されるというか、正規に作成された簿記の証拠力という原則がフランス商法とかドイツとかにあって、日本もおそらくそれを導入していると思うので、例えば青色申告等で一定のシステマティックな体系でつくられていれば、システマティックに記帳されているという事実をもって、立証責任はもう課税庁側に来てしまうのではないかという感覚があると思うのです。それを根本から覆すというのは、相当、法制局とか法務省とか、かなり難しい話になってしまうのではないかと思いまして、その辺はどうなんですか。
〇事務局
まさにその辺を詰めなければいけないなと。これは一つのアイデアとしてここに書いてございますが、事業者についてもサラリーマンが納得できるようなという思いでございます。
〇委員
ほかにいかがでしょうか。
〇委員
今の話は、結局、税務署の人が来るんですよ、中小零細法人、僕のようなところにね。結局、指摘するのは記帳ミスなんです。だから「正確な」と書いているのはそういうことなんです。記帳ミスは、1,000個ぐらいあれば1個か2個必ずあるんです。それを見つけて安心して帰っていく。だからこれは「正確な」と入れないと気が済まない。そういう話で、すごくくだらない話だと思う。
〇委員
なかなか今日はいろいろな話がありました。
よろしゅうございますか。
この修文等々を、今度の金曜日、17日に一応直してきた見え消し版を用意いたしまして、最終的に詰めてご一任をいただくというプロセスに移りたいと思います。そして、21日、総会を開きまして、そこで個人所得課税の主要論点をお認めいただいて公表する。
もう一つの段取りは、17日には総会メンバーの方、基礎小の方、合同会議と総会と一緒になった会議を開きまして、そのやったあとにもう一回17日に報告書の最終的なチェックをお願いいたしますから、それは申し上げたことです。17日と21日で個人所得課税をやりまして、もう一つ総会を17日にやって、その段階で寄附税制等々をまとめまして、その段階で寄附あるいは公益法人は公表したいと思っています。21日が個人所得課税、17日が寄附税制、あるいは非営利法人になりましたので、よろしゅうございますか。
したがって、21日の基礎小はもう必要ないと思いますので、これは取り消してください。したがって、少し時間が短縮され、かつ、短くなるというプロセスも踏まえてまとめていきたいと思います。
それでは、ほぼ時間になりましたので、今日いただきましたものはさっそく修文を整理いたしまして、また次回お出ししたいと思います。どうもありがとうございました。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。