第37回基礎問題小委員会 議事録
平成17年5月27日開催
〇委員
ただいまから、第37回基礎問題小委員会を開催いたします。
今日はやや長時間を考えておりますので、さっそく始めたいと思います。できたら4時半ごろまでに終わりたいのですが、議論が白熱して延びた場合は、最大限5時ぐらいまでというふうに覚悟しておいていただきたいと思います。
今日は、所得税、住民税。個人所得課税をトータルで見て、残った問題、それから新しく議論しなければならない問題を含めまして、様々な議論を展開したいと考えております。
前回、論点メモの中の二つをやったのですが、残った4番目、5番目の世帯構成、それから所得金額に応じた税負担のあり方等を中心にやりたいと思っています。それと個人住民税です。したがって、論点メモの4、5、6あたりが今日の主要な論点になるとお考えください。
前半で所得税、長引きそうでしたら休みを入れたいと思いますが、もしスムーズに議論が進んで20、30分の延長で議論が終わりそうな場合には、そのまま続けてやりたいと思います。休みを入れるとだらけますので、一気呵成にやるほうがいいですよ、多分。なるべく議論はスムーズに行って円滑にやりたいと思います。
それでは、最初に税制第一課長から、所得税につきまして、今言った二つのテーマ、特に控除とか税率につきましてのご説明をいただきたいと考えております。
〇事務局
お手元の資料の「基礎小37-1」、それから「基礎小37-2」というものがございます。「基礎小37-1」の論点メモを中心にいたしまして、時宜に応じまして資料をご覧いただきたいと思います。
個人所得課税をめぐる諸課題ということで、今お話がございましたように、世帯構成との関係、それから所得金額に応じた税負担、この二つが大きな問題領域でございます。
一つ目の世帯構成でございます。メモのほうでご覧いただきますと、わが国の個人所得課税においては、課税単位を「個人」とした上で、家族構成など個々人の生活上の事情を納税者の担税力の減殺要因とみて、様々な人的控除を設定しておるということでございます。
資料1ページでございます。これは何度もご覧いただいておりますが、基礎的な人的控除、さらには特別な人的控除というものがございます。基礎控除、配偶者控除、扶養控除、さらには障害者、寡婦、寡夫、勤労学生控除と、個々人の生活の事情をどのように所得の物差し、担税力の物差しとしての所得に反映をさせるかということでございますが、これまでも税制調査会におきましては、控除のあり方をもう少しわかりやすくするべきであるというご指摘もちょうだいしておりまして、例えば配偶者につきましては、配偶者特別控除を廃止する等の措置をとってきておりますし、また、人的控除の一つでございました老年者控除も廃止したところでございます。
メモに戻っていただきますと、そもそも個々人の生活上の事情は様々ですと今申し上げました。世帯構成の多様化、少子化の進行といった経済社会の構造変化も進む中、課税単位の問題も含め、配偶者や子育てへの配慮のあり方をどのように考えるかということで、一つ目、配偶者でございます。
メモをご覧いただきたいと思いますが、配偶者控除につきましては、従来、三つの問題提起がなされております。このメモでいうと、配偶者の関係で丸三つでございます。
一つ目が、配偶者の存在は納税者本人の担税力を減殺させるという従来からの整理についてどのように考えるか。資料のほうは2ページでございます。人的控除ということで、いわゆる基礎的な人的控除を並べてございます。
そこの下のところをご覧いただきたいのですが、(参考)というところがございます。実は配偶者控除は、シャウプ税制の中では扶養控除の中に込み込みになっておりました。その後、昭和36年に、扶養控除と配偶者控除は性格が違うのではないかという様々な議論がございまして、これを扶養控除から切り離して配偶者控除としたわけでございます。しかし、ご案内のように、扶養控除と配偶者控除を差し引きをしたあと、現行でいうと38万の所得が残る。それ以下であれば適用があるという形では全く同じ制度でございまして、36年に切り離したのですが、切り離したあと、全く同じ取り扱いをしているという経緯があるわけでございます。
メモの二つ目の丸、配偶者の就労に対する中立性といった観点から現行の配偶者控除制度をどのように考えるか。ある種103万円の壁というふうに言われておりますが、資料2ページの真ん中あたりの配偶者控除、それからスロープの配偶者特別控除、上に乗っかっていた台形の配偶者特別控除は廃止をさせていただきましたが、三角形の配特は残っております。これはすなわち、103万円を超えた途端に旦那さんの配偶者控除は消えてしまう。それによってむしろ手取りが逆転してしまう。これはおかしいだろうということで、ここをスロープにしておるわけでございます。103万円を超えましても、いわゆる税引き後の手取りが逆転するという状態は回避されておるわけでございますが、ただ、どうしても103万円を超えると、というところがございまして、配偶者の勤労に一定のバイアスがかかり、また103万円を狙って、むしろ払う側からしても、給料を少なくしておくというインセンティブもかかっておるのかもしれません。
三つ目の丸でございます。就業している配偶者であっても、所得が一定以下であれば、自ら配偶者自身が基礎控除の適用を受けて課税が生じない。一方で、パートナーは配偶者控除の適用を受けることは、夫婦で見れば二重に人的控除が働いておるという指摘が、平成12年の答申からも書かれておるわけでございます。
こういったことも踏まえまして、3ページでございますが、これも何度もご覧いただいておりますので説明は短くいたしますが、平成14年の基本方針におきまして、三つの考え方が示されておるわけでございます。
さらに、メモの四つ目の丸でございます。夫婦間における課税単位について、2分2乗方式を採用してはどうかとの指摘についてどのように考えるか。夫婦を一体に考えるということから、この議論がいろいろなところで行われております。確かに、結婚することによるメリットを付与する。累進課税のもとではメリットがあるのではないかという議論もあります。片や高所得者、かなり所得の高い人でその奥さんが無職であるというケースに一番大きな減税効果、これは特に適用税率がずっと下になりますので、かなり大きな税負担軽減効果が生じるという問題もございます。
2分2乗、言葉ではよく言われるわけですが、その効果を分析したいと思います。システムとしては同じでございますので、後ほどN分N乗方式のところでご説明をしたいと思います。
メモの2ページ目でございます。今度は子育てのほうでございます。扶養控除の問題でございます。子供というのは、配偶者と違いまして家計としてはお荷物であることは確かであろうと、私なども思っております。
一つ目の丸、子育て支援のあり方に関し、子供の扶養を担税力の減殺要因ととらえて所得控除によって対処すべきか、ないしは財政支援的に対処すべきかとの点につきどのように考えるか。これは資料の4ページをご覧いただきたいと思います。
人的控除というのは、いわゆる担税力の物差しとして所得から差し引くわけでございます。すなわち、担税力を減らすという考え方で差し引きを行うわけでございます。上3分の2の「税制」のところでございますが、所得控除、考え方は扶養者の担税力の減殺に配慮する。現行は子供1人につき38万円控除が行われているわけでございます。留意点でございますが、ここにございますように、高所得者ほど負担軽減効果、金額として負担軽減が大きくなる。38万、10%ブラケットの人は3万8,000円、20%ブラケットの人は7万6,000円といった税負担軽減効果があるわけでございます。
それに対して「税制」の二つ目、税額控除、これは先ほどちょっと見ていただきました平成14年の基本方針でも、「考え方3」という所で示されているものでございます。税率を掛けたあとの算出税額から一定額の税額を引くというものでございます。留意点でございますが、基本的には負担軽減効果は人によって同等になる。ただし、しっぽの部分ですが、税額が税額控除額を下回る場合、例えば、税率を掛けて出てきた算出税額が5万円でした。税額控除を10万する。税額控除を10万するわけで、5引く10になるわけでございますが、払っている税金を戻すという意味においては、5万円までしかきかない。いわゆる税額控除というのはそのようなものでございます。
ただ、例えば、後ほど出てまいりますが、米国、ドイツ等では、今申し上げた、引いてなお余りある分を給付する。還付を超えて給付する。今の例でいいますと、5万引く10万で、引いてもなお5万残余があるわけですが、それを給付するということをやっておる国もございます。ここまでいきますと、いわゆるこれは手当、ここで申しますと予算措置の手当とほとんど同じ効果を持つわけでございます。これも後ほどさっと見ていただきますが、アメリカでは歳出上の手当というものは存在いたしません。アメリカでは税制上の措置としての子女税額控除があり、それを給付も可能なようにする。残差を給付するという形で、手当と同じ機能を持たせている。ドイツも同じ制度がございますが、ドイツはこの税額控除の名前を「児童手当」と呼んでおるわけでございます。
さて、「予算」のところでございます。日本においては児童手当が第1子、第2子は年額6万円、第3子以降については年額12万円、小学校3年生まで支給される。留意点のところ、基本的には税額控除の負担軽減効果と同じです。ただし、上記のただし書きのいわゆる税額の多寡による不公平といったものはございません。別途、給付行政そのものになりますので、政府が広く給付を行うということで、政府の規模が拡大する懸念もあるということでございます。
メモのほうに戻っていただきますが、二つ目の丸でございます。子育てと税制に関連しては、フランスのようなN分N乗方式を導入すべきとの議論がなされることがあるがどのように考えるか。これにつきましては、資料の5ページをご覧いただきたいと思います。
N分のN乗、要は所得を足してNで割って、それで税額計算をして、最後にNを掛ける、N分N乗というものでございます。実際どのような計算をしているか、このポンチ絵でいうと左側半分でご覧いただきたいと思います。これがフランスのN分N乗でございます。夫の所得と妻の所得を足し上げます。その上で、Nは3ということで、実は夫婦子2人ですが、フランスは第1子と第2子を0.5人とカウントしております。そういうことで、夫婦で1足す1、子供で0.5、0.5で、足して3になるわけでございます。家族除数と呼んでおりますが、Nは3になります。このI(夫と妻の所得の合計)を3で割ります。その上で、やや薄めで網掛けしていますAという税率不適用所得、ゼロ税率を適用させるという所得がございます。基本的にはこれは基礎控除的な機能を持っているわけでございます。その残差、上の部分ですが、それに税率、例えばn%を掛ける。このようになって税額が出て、それをN倍、この場合は3倍して税額が出るというわけでございます。
このような効果を持っておるわけですが、同じ結果を出すのにということで右半分をご覧いただきたいのですが、妻と夫の所得を足し上げまして、先ほどA(税率不適用所得)、ある種、基礎控除的な機能を持つものですが、これを3つ引きます。3つと申しますか、考え方としては、夫と妻と、それから子供の0.5、0.5の3つ引く。それにn%を掛けるというのと実は結果的には同じでございます。日本の場合は、どちらかというと所得から差し引くというやり方で税額を出しているわけでございます。
繰り返しになりますが、N分N乗と申しましても、課税ベースの観点からいたしますと、最初から控除を引くのと終わったあと一定額Aを引くのと、実は似通った構造を持っているわけでございます。
もちろんフランスの場合は、次の6ページでございますが、税率構造が異なります。先ほど説明の便宜上、n%というふうに一定額を置きましたが、所得を分割する、いわゆる除することによって適用限界税率が減る、小さくなるという効果がございます。フランスはこのようにかなり税率が立っているものですから、税率が下がるという効果がございます。ただ日本の場合は、これも後ほど出てまいりますが、ほとんどの方々が10%なものですから、適用税率が下がるという効果はあまりない。
5ページにもう一度戻っていただきますが、フランスは、出てきた税額は夫、妻の連帯債務になっております。かつ、例えば納税がなされない、不履行になっている、差し押さえするといった場合には、夫と妻の共有財産にかかっていく。フランスは、おそらくカトリックの影響なのでしょうか、別産制ではなくて共有財産制になっております。すなわち、税額をだれに払ってもらうのか。それをバックする財産は、夫と妻の共有財産になるわけでございます。
アメリカも実は2分2乗というのをとっておるわけでございますが、アメリカは州によって別産制の州と共有制の州と二通りございまして、州法の制度に乗っかって連邦税法を決めなければいけないものですから、選択制という形をとっておるわけでございます。
このようにN分N乗方式は、実は所得を差し引くというやり方とタックスベース上は同じ効果を持っているということ。それからバックグラウンドとしては、夫婦の財産のあり方、法制度のあり方とも関連しているわけでございます。
ちなみに、この図で申し上げますと、アメリカは右半分のようなやり方をしております。夫と妻、2分2乗をとった時、夫と妻の所得を合計いたしまして、そこから人的控除という意味で、ある意味では人数分の基礎控除、この場合で言うとAを4つ差し引くということをしております。
この場合に日本ではどういう計算をしているかというと、妻、夫の所得それぞれについて計算をするわけでございますが、夫婦子2人で、奥様が収入が一定程度あっても課税されない、配偶者控除の対象になっているという場合は、このAは5つ差し引きをしております。まず夫の基礎控除、配偶者控除、それから扶養控除2つ、それから奥様の基礎控除、5つ差し引きをしている。4と5の差は何かというと、先ほど配偶者控除のところでも申し上げましたが、奥様の基礎控除と夫の配偶者控除がダブっているからでございます。アメリカの場合は、今申し上げたダブりの問題点はないわけでございます。
メモに戻っていただきますが、特定扶養控除の問題も従来から政府税調でご議論いただいております。こういう割増控除はやめていくべきではないかという議論をしていただいております。
次に、大きな一くくりでございますが、所得金額に応じた税負担のあり方でございます。
メモの丸の一つ目でございます。個々の納税者にかかる税負担の水準を議論する尺度としては、実効税率がふさわしいのではないか。実効税率は諸控除の水準、それから税率構造によって決まるものでございますが、わが国の個人所得課税の実効税率については諸外国と比べ低い状況にあり、今後、その水準を引き上げていく必要があるのではないか。
資料では7ページでございます。これも何度もご覧いただいていますが、控除をしたあと税率を掛けて、分母が収入、分子が最後に出てきた税額、これをeffective rate、負担率でございますが、実効税率と呼んでおります。日本が太い線のところを通っているわけですが、3,000万までとっておりますが、日本の場合でいいますと、実は1,000万までのところに納税者の95%が含まれます。そういう意味では、ある意味では意味のあるのはこのグラフでいうと左側3分の1ぐらいで、ざっと見ていただければいいということでございます。
むしろ実際の数字は8ページでございます。限界税率という意味では10%、20%、30%、37%となるわけでございますが、いわゆる諸控除がききますので、一番右の欄、負担率が所得税でいう実効税率になるわけでございますが、これは1%、2%、2.8%、3.4%というぐあいにしまして、大体一塊である700万前後で見ましても3%前後、100の収入のうち所得税負担は3%ぐらいあるということでございます。この実効税率が諸外国に比べますとやはり著しく低くなっている。これはかねてからご指摘いただいております。
そこで、メモの「(1)諸控除の水準~課税最低限」というところでございますが、資料10ページをご覧いただきたいと思います。そもそも課税最低限とは何ぞやということでございますが、サラリーマンで、325万円で夫婦子2人の場合、税金がかかり始めるということでございます。実際の計算は(注)のところでございますが、給与収入から給与所得控除が行われます。それから社会保険料控除もありまして、そこから基礎控除、配偶者控除の人的控除、これは定額でございます。この結果、差し引きがゼロなる、課税所得がゼロになる、このXを割り算で解くわけでございます。例えば、基礎控除を10万円上げますと、10万円以上課税最低限が上がるというのは、このXが至るところに入っているからでございます。
このように従来は課税最低限の計算をしておったわけでございまして、11ページ、諸外国の比較でございます。説明の便宜上、夫婦子2人のところをご覧いただきますと、やや薄めの棒が2002年、2005年が黒めの棒でございます。前々回ご覧いただきまして、2005年のものだけを出しておったのですが、日本がずいぶん低くなっている。十分な資料を用意せず申しわけございませんでしたが、2002年との比較をしたものでございます。2002年においては確かに日本国は課税最低限は高い数字になっておったわけですが、それが日本国においては下がり、諸外国はむしろ上がっている。
それを12、13ページと折れ線グラフで示しておりますが、これはその時々の為替レートも勘案しながら作った表でございます。日本はひし形を結んだ線でございます。2001年におきましては一番高いところでございましたが、配偶者特別控除の廃止によりまして、現在325万円となっているわけでございます。
諸外国は、この数年の間に課税最低限が上がっていく。これは実は為替の要因がかなり大きいものでございます。この間、ユーロが3割方上がっています。この要素を取り払う。それが13ページでございます。これがいわゆる制度改正による課税最低限の増加を示すものでございます。
例えば一番目立つのがイギリスでございます。一番下の三角を結んだ折れ線でございます。2001年度に児童税額控除、2003年度にそれをさらに拡大するということで、とんとんと上がっております。いわゆる税額控除方式をとって、まさに手当的なものを入れ込んだわけでございます。
四角を結んだアメリカも上がっております。2002年は2001年に比べて上がっておりますが、これは子女税額控除、これまた税額控除でございます。これを導入し、2004年にもまた上がっておりますが、今申し上げた税額控除を引き上げるということをしているわけでございます。
このように、税額控除方式を導入するないしはそれを拡充するということをいたしますと、税金を払っていないという意味においては、まさに課税最低限が計算上上がっていくわけでございます。13ページの表は、為替の問題を取り除きますと、だんごにはなっておりますが、日本はちょうど中位に属しておるということでございます。
14ページは、今申し上げたことのバックデータを書いてございます。
メモに戻っていただきますが、3ページでございます。わが国の課税最低限は、かつて主要先進国中最も高い水準にあったが、わが国における控除の整理、これは先ほど申し上げた配偶者特別控除が切れます。それから諸外国においては税額控除制度の拡充、さらにはレートの変動の影響もあって、現在、主要先進国中最低の水準となっている。このように所得控除、税額控除、歳出といった各種の政策手法がとられる中、今後、課税最低限の問題をどのように考えていくべきかということでございます。
ポンチ絵として、資料16ページをご覧いただきたいと思います。一番上、諸外国も一番上だったのですが、これが日本の姿でございます。サラリーマンの場合は給与所得控除になるわけですが、収入から経費等を引いてネットインカムを出す。そこから所得控除をして課税所得を出すわけですが、それでゼロになる。この収入レベルを課税最低限と呼んでおります。
今度税額控除に切りかえた場合どうなるかというと、タックスベースは残っているわけでございます。左から三つ目の棒ですが、課税所得は残っているわけでございます。それに税率を掛けて算出税額が出る。それと同額の税額控除を行った場合、納付税額がゼロになる。これをもって課税最低限と計算をしておるわけでございます。
所得控除と税額控除、簡単に申しますと、低所得者にたくさん効かせることができるのが税額控除でございます。なぜかというと、定額であるからでございます。38万円の10%、3万8,000円の効果があるわけですが、例えばなべて全部5万円というふうに税額控除に切りかえた場合には、まさに所得ベース、さらには収入ベースでいうと、より大きな額になるわけでございます。
さらに問題をややこしくしていますのは、一番下のところですが、手当です。歳出が別途出る。こういうケースがあるわけでございます。実は日本はこの部類にございます。例えば、先ほど申し上げたように夫婦子2人、12万円の手当をもらうわけですが、12万円の税金を支払って12万円の手当をもらう。アメリカ、ドイツはこの時点が課税最低限になっているわけですが、日本の場合は完全な歳出制度で、税の世界ではないということで計算には入れていない。仮に現在の児童手当制度、6万、6万の12万を払っている人といいますと、課税最低限でいうとあと百数十万上乗せする四百数十万円の姿になる。かくかくしかじか、所得控除、税額控除、さらには手当というものがそれぞれの国の政策によってばらばらでございますので、国際比較を課税最低限でするというのはだんだん難しくなってきているということでございます。
次にメモに戻っていただきます。最後の税率構造でございます。資料でいうと17ページ、これは各ブラケットごとの適用人数ということでございます。10%、20%、30%、37%。
国際比較という観点で18ページをご覧いただきますと、前回、委員から、対数で横軸をとってみたらどうなるのかという宿題をちょうだいいたしまして、いろいろやってみたのですが、なかなかうまくいきません。対数でとるというのは、収入の低いほうに大勢の人が入っているだろうと、それがわかりやすいようにしてもらえばいいのだというご趣旨でございました。ということで、横軸に頭数をとったものでございます。縦軸はその適用限界税率でございます。
日本は一番太い線でございまして、8割強が10%で済んでいる。これでいいますと、最高税率37%というのは、これも何度も申し上げますが、1,000人のうちの数名ですから、このグラフ上では点でしか出てこないという姿になっているわけでございます。それぞれ、アメリカが実線、イギリスが太い破線、フランスが細い破線で、頭数で見た場合にはこのように税率構造が張られておるということでございます。
次の資料19ページでございます。税率構造につきましては、消費税導入の際の抜本改革以降、ずっとこのような改正を繰り返してきております。現在、15段階から4段階になってきている。これは諸外国の流れともある種平仄がとれているわけでございます。
税率構造というのは、大きく分けますと四つポイントがございます。一つが最低税率、現在でいうと10%。それからお尻の最高税率、現在でいいますと37%。それから、最低と最高の間の刻みは何段階かという問題。さらに、この刻みとも関連しますが、それぞれの踊り場の長さ、ブラケットの大きさ、こういった四つの点に分解できるわけでございます。
まず、最低税率のほうですが、それに関連しまして20ページでございます。現在、所得税は10%が最低税率でございますが、税源移譲の際に、個人住民税のほうでフラット化が行われた場合には、個人住民税率が低いほうは5%が10%になるものですから、国のほうは負担減をしなければいけない。その負担減の仕方として、やはり10%よりも低い税率、例えば5%を設けざるを得なくなるということが、一つこの最低税率に関連してはございます。それがメモでいうと一つ目の丸でございます。
もちろん、最高税率につきましても、上のほうですが、常識的には個人住民税が13%が10%になる。それに伴いまして、現在37%が、個人住民税が3下がりますので、所得税が3上がり40%になる。これは一つの考え方としては出てくるわけでございます。
最高税率に入る前に、刻みの問題、これが税率構造のメモでいうと丸の二つ目でございますが、所得税の税率の刻み数を減らしてきた。何で減らしてきたかと申しますと、所得が伸びることで適用限界税率が次々上がっていく。これは負担の累増感につながる。極力踊り場は長いほうがいいだろう。逆にいうと、刻み数は少ないほうがいいだろうという発想から減らしてきたわけでございます。この考え方を今後とも持ち続けるかどうかというのが刻み数でございます。
その上で、現行の最高税率37%をどうするか。これにつきましては資料の21ページ、22ページをご覧いただきたいと思います。これも前回宿題をちょうだいいたしまして、諸外国の税率構造、特に最高税率、地方税込みで申しますと、上の4段階の下に込みの数字がございます。日本は50%、アメリカはニューヨークの場合47%、イギリス40%、ドイツ42%、フランス48.09%ということで、G5では50%というのが一番高いところになっております。
北欧ではどうなっているのだというご指摘もございまして、次の22ページでございます。カナダは46.4%、スウェーデンは55.5%、デンマークは59%と、確かに最高税率だけを見ますと高くなっているわけでございますが、実はこの2国、最低税率もすごく高い。下に書いてございますが、国税が20%、地方税が30.5%。最低税率が50.5%、これに対して最高が55.5%ということでございます。デンマークも同様でございまして、コペンハーゲンの場合、33%弱、すなわち最低税率は約38%、それに対して59%が最高税率になっている。いわゆる税率の立ち方というのは全然違うわけでございます。
この辺の最高税率の考え方、特に今後消費税の役割が高まっていくという税体系の問題も別途あろうかと思いますが、少なくとも今までの議論の経緯はただいまご説明したとおりでございます。
メモの3ページの一番最後の丸でございますが、実効税率を高めていかなければいけないのではということで、7ページの実効税率カーブにもう一度戻っていただきたいと思うのですが、この実効税率をどういうふうに引き上げていくのか。これは控除の問題もございますし、さらには税率構造の問題もある。
9ページをご覧いただきたいと思いますが、これは収入の分布で、下半分が頭数、上半分がそれぞれのグループで納めていただいている所得税の額、これを上下にグラフにしたものでございます。下の頭数というのは、当然でございますが、人数的には数百万よりちょっと低いところです。400万までというところが全体の3分の1、逆さ富士のような格好に比較的きれいに並んでいる。上の税額のほうでございますが、若干ドカスカございまして、一番払っているのは、実は1,000万から2,000万の5.4%の人が全体の4分の1の26%を納めていただいている。先ほど、下は逆さ富士と申しましたが、上はある種、阿蘇山のようになっていまして、800万までと1,000万までのところが一たんへこんでいるという姿に現在なっているということでございます。
私からの説明は以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。大変盛りだくさんなテーマをうまくまとめてくれたと思いますが、やはり大分話が込み入っていますね。
そこで、すぐ住民税へいくと混乱しますから、とりあえず所得税は所得税でひとまず区切って、ここで議論を賜って、それで次へいきたいと思いますが、今日は議論の時間を十分取ってございます。
それから、主な論点メモも項目的には10いくつございますが、主要な議論すべき点はここにまとめられておりますので、こういうのも見ていろいろご議論いただきたいと思います。特に方向性もまだ決着がついていないものもございますので、その辺につきましてご議論いただきたいと思います。質問でも結構でございますし、ご意見でも結構でございます。どなたでも結構でございますから、よろしくお願いをいたします。
〇委員
質問ですけど、今の9ページで、800万、1,000万が下がるというのは、人数の問題ですか。
あともう一つは、ブラケットの幅というのは、どこで、だれが、どうやったからこういうふうになったのですか。
〇事務局
まず一つ目のご質問ですが、もちろん人数が少ないというのが効いていますが、ただ、人数が少ない1,000万から2,000万のところは多くなっているという意味では、やはりお一方が納めていただけている分が相対的にある意味では少ないということも効いているわけでございます。
それから、何でこの税率構造か。先ほどの資料18ページ、これが一番わかりやすいと思いますが、これは当時いろいろな議論がございまして、消費税を導入するという中で、ほとんどすべての人が生涯を通じて適用される限界税率は、10%ないし20%で済ませようという議論が当時としてはございまして、すなわち、入社した人はいずれは1,000万プレイヤーになっていくという考え方のもとに、生涯通じて10%、場合によっては20%にちょこっとかかる、こういうぐあいにしようではないかという議論が当時はあったわけでございます。新入社員がだんだん稼げば、ほとんど全員が1,000万になれるかというのは、今やよくわからないのですが、当時としてはそういう議論が行われておりました。
〇委員
バブル崩壊後、期待に反して1,000万プレイヤーになる人がどんどん減ったわけです。そこで、8割方みんな10%で終わってしまったというところで、この税率刻みが果たしていいかという議論が今出ているわけです。
どうぞ。
〇委員
今のその話ですけど、確かに当時消費税を導入する時にそういう議論があったのは確かですね。それで、現実は今確かにそのとおりになっているわけですよね。そうすると、その当時言っていたことが今ちゃんと実現しているわけですね。これは税収という意味では確かにあまり好ましくはないのでしょうけれども、当時の政策的な意図としては実現されているわけであって…。
〇委員
いや、20%グループに入る層がもっと増えると予想していたんです。
〇委員
まあ、それはそうですね。給料が上がらないとか、そこまでは多分予測していなくて、でも結果的には、多分そうならないだろうと思いつつ言っていたことが実は実現している。
〇委員
ただ、税収の面から見ると、それはけっこうダメージになっているということでしょうね、今、所得税が上がらないというのは。だから再検討する余地はあるだろうと。委員のおっしゃった点、当時議論した、どっちがよかったかわかりませんけど。
ほかにいかがでしょうか。
〇委員
これは単に質問ですけど、結局、所得税を払っている人の人数というのはいくらになるのか。足してみると3,600万ぐらいになりますね。そうすると、税金を払っていない人はどのくらいいるんですか。それがちょっとよくわからないのですけど。
〇事務局
全就業者のうち約3割弱、逆に言うと7割強の人が納税、3割の方がそうでないと、こういうふうに大きなマクロの数字としては出ております。
〇委員
3割というのは、大人で3割という意味ですよね。20歳以上でということですよね。
〇委員
就業者ですよ。
〇委員
20歳とは限らないか、就業者だからね。
〇委員
働いている人のうち3割ということですね。
〇事務局
就業者です。
〇委員
その数字はやはり多いのですか。所得税を払わない人が多すぎるんじゃないですか。
〇委員
たしか一回国際比較を数年前にやりましたよね。あの時2割5分で、所得税の空洞化という議論を大分やりましたよね。それで、たしか7割から7割5分ぐらい払っていないので、空洞化で、イギリスはどうだこうだと議論しました。国際比較はきっと難しいんですよね。確かに払わない人が大きいと見ていいんですね。
〇事務局
今ちょっと手元に正確な数字がないのですが、先ほど申し上げた課税最低限の議論とも絡むのですが、税金を一旦納めて手当という形でもらっているというような出し入れが実はございまして、単純な比較というのがなかなか難しい。こういう実情にございます。
〇委員
ほかのテーマでどうでしょう。特に家族単位のN分N乗なども含めて。
〇委員
前から同じようなことを言うようで申しわけないのですが、この所得税の議論というのは、何を目的にしているかというところがあまりはっきりしていないのではないか。要するに、ずっと議論されてきたのは、一つは歪みの是正だったと思うのですが、最近はそうではなくて、税額控除の話が出てきて、控除の仕方についての議論が表面に出てきたということだと思うのですが、何を目的にした議論になるのがいいのか、その辺がちょっとわかりにくいので、それをもうちょっと整理していただいたほうがいいかなと。
もう一つは、その歪み是正に絡むのですけれども、今議論になっていますように、10%のところに8割の人が入ってしまっているということが、いいのか悪いのか。悪いとすればどうすればいいかですが、一方で、この間もどなたかおっしゃった消費税の引上げが当然浮上してきますよね。そうすると、それは低所得者、1,000万円以下の人に負担感が余計重く来るのではないかということでいくと、その辺のかみ合わせというか、それをあわせて考えた時にどういう負担感になるかというようなことも一つ議論しなければいけないのかと思います。
〇委員
そうでしょうね。非常に重要な問題提起をいただいたと思いますが、あるべき税制という形で2年前に一応再構築ということで所得税のターゲットを決めた時には、おそらくここで議論したのは、公平・中立・簡素という視点から見直す。やはり歪み、不公平が多い。これを直す意味で個々に見ていくと、今日出てきたような個々のパーツ、パーツごとでいろいろな問題が浮上していると。例えば控除の問題ですね。それから、家族の構成のアンバランスの問題とか、税率の問題もあったし、それからブラケットの問題もありましたね。ただ、2番目の問題は、今日委員がお出しになったので、新しい問題ではないかと思いますが、皆さんのご意見をお聞きしたい。つまり、消費税をこれから考える時に、逆進的な負担というのを何で直すかという時に、所得税との絡みでいえば、8割の人が10%グループにいるのがいいのではないかという議論になるのかという議論ですよね。かえってそれがいいだろうというのが暗黙の意図だろうと思いますが、いろいろなご意見があろうと思いますので。
どうぞ。
〇委員
何点かよろしゅうございますでしょうか。
〇委員
どうぞ、よろしいですよ。
〇委員
今の委員の発言でございますけれども、私は前から、一つは所得税というのは、法人税が比較的国際調整の中で全体のウエイトが下がっている中で、消費税と並んで所得税の、基幹税という言葉を使うかどうかという議論がございましたけれども、やはりこれの機能回復という話がずっと前からあって、それは一つは税収の確保をきちんとするべきだということであろうと思います。
ただし、これに税源移譲の問題が起こってから、国税と地方税の役割分担という話が当然ここでは起こってきて、国税の場合にはどちらかというとやや再分配的なことも考慮に入れるということで、先ほどちょっとご説明のあった最低税率と最高税率をどうするかというのがおそらくそこにかかってくることだと思いますし、逆にあとで出てくる地方税の場合は、課税自主権のある話ですから一概に言えませんけども、やはり地方行政に必要な税収をきちんと住民税で確保するという姿勢を明確に持ってもらうということが当然前提になるのだろうと思います。その二つ合わせてまず所得税の場合は基本的に考えるべきであろうと思っております。
今後消費税の問題を考えた時に、今の所得税である程度カバーしようとするのか、それとも、別途いわゆる逆進対策というものを考えるのか、これはまだあまり議論として具体的に取り上げていない問題ですが、税額控除もあれば、複数税率という考え方もあれば、社会保障支出でカバーするという考え方もあって、おそらく今の段階ではあまり議論すべき問題ではないと思いますが、少なくともそういうような選択肢は考えておくべきだろうと思っています。
それから、今日のところで申しますと、私はこのように思っておりまして、先ほどの税額控除の話です。これは大変おもしろい話であったわけですが、税制第一課長が非常に注意深く説明されましたように、アメリカの制度は私も正直言ってよくわからないのですが、要するに算出税額を超えて還付ができるという制度が一部あって、その部分は先ほど給付だとおっしゃったわけで、そうすると、今、税制調査会などで前から考えているのは、税額の範囲内で還付を認めるという税額控除の発想ですから、先ほどのお話のように、非納税者の人に及ばないということと、もう一つは、限界的にわりと所得がやや変動して、課税最低限が上へ行ったり、少し税額が増えたりという人にとっては、ある時は税額控除を用い、ある時は児童手当、手当を用いるというように、制度としてはやや安定性を欠くのではないかという気が私はしております。
しかも、きのう、おとといの報道がありましたように、これからまた出生率が下がってくる。とにかく、少子化対策をあらゆる形で全体でやらなければいけないということになると、児童手当のようなものはある程度ベースにしておいて、逆にこういう所得を上げて税額が上がってくる人たちについては、いわば一種の機会費用的な、つまり仕事をしながら子育てをするためのそういう費用として、むしろこれは別途承認しておいたほうがいいのではないかという気がしております。ですから、そういう意味では、少なくとも、この税調でどういう議論になるかわかりませんが、子育ての税額控除というのは、年額15万とか20万とかという非常に大きなものにならない限り、そして、税額の範囲を超えてさらに還付されるようなものでない場合には、税のほうとしては、あえて手当との調整というのは考えなくていいのではないかと私は思っております。
〇委員
税制第一課長、確認ですけど、非課税者、所得税を払っていない人は児童手当の部分は及ばないんですね。今の委員が言った点ですが。払っていなければだめなんですね。
〇事務局
アメリカの場合、実は年所得が1万1,000ドル以上の人に適用がございまして、低い所得の人については、むしろフードスタンプとか、そういう全く純然たる歳出措置で行うというようなことが行われております。あとは仕組み方次第です。
〇委員
さっきのスリーAで言うと、10万円の税額控除を作っても、5万円しかなくても、残り5万円やっちゃうというのだけど、税額が全然ない人、ゼロの人に10万やるという話ではないんですね。
〇事務局
アメリカの制度は違います。
〇委員
違いますね。日本もどう仕込むかはこれからでしょうね。
ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
〇委員
議論をする前提がどういう観点で議論するのかというのを教えていただきたいのですけど、要するに、公平なら公平という観点から問題のあるところを直していこうとするのか、それとも、あわよくば税収増を狙うためにはどこを直せばいいのかということにするのか、あるいは、外国との違いを精査して、その違いを埋めていくことが国民に対して最も説明の仕方がいいのではないかという、どの哲学で議論するのかというのをしないと、それぞれ思いが違って、言っていることはいろいろ出てくるのだけれども、国民が納得するところにならないのではないかという気がするのですが。
〇委員
おっしゃるとおりですね。ただ、今二つあって、税収確保のために何か制度をいじくって税収確保を目指すというほうは、少なくとも表立ってはとれません。あるいは税調としてとるべきではないでしょう。したがって、税にある不公平なり歪みなり、様々な経済的に悪い影響を与えるところ、つまり就業構造に悪い影響を与えているとか、そういうところを直す。その結果において税収が増える分には一向に構わないし、それを目指すべきだというのは僕は大前提だと思いますよ。
それで、過去バブル崩壊後、減税、減税をやってきましたから、課税最低限を上げましたよね。したがって、税制全体に様々な非効率なり無駄なり、あるいは歪みを生んできた。それを直すということは、別な言葉でいえば課税ベースを広げるということですよね。それは「あるべき税制」の時に大分議論しました。だから、歪みを直すということが課税ベースを広げるということですから、課税ベースを広げるということは、結果として増収に結びつきますから、それで我々の狙いは、個々のパート、パートを直していく過程において、マクロ的にももう一つの税収確保というのを達成できるのではないかと。その議論をやらないと、この間記者レクでも議論したのですけど、まず増税ありきですかと、したがってパーツをいじくるのは何でもいいと、それではまずいですよね。所得税の改革というのは、あくまで公平・中立・簡素という視点から見直した時に問題があるので、それを直していくということを表に立てて、結果として増収になるというのが望ましいのではないですかね。多分今のところ、少なくとも方向が一致していると思いますよ。パーツ、パーツの歪みを直していくと増収になるような、逆に言えば、過去にいじくりすぎてしまって減収になってしまったからだというふうに理解していますが、この点どうでしょうか。先ほどの委員がおっしゃったのは、多分そういう意見でしょうね。
今のところは非常に重要なので、これから我々は仕組み方を立てなければいけないので、そこを崩してはまずいです。どうぞ。
〇委員
今のはちょうどよく整理された話になってきたので、ちょっと申し上げたいのですけど、やはり古いタイプの家族モデルから新しいタイプの方向性ということでは、当然、働く女性を中心にした考え方をしなければいけないわけですが、外資系の会社なんかもダイバスティーといって、いろいろ新しく子育て支援をやっていますよね。そういう中で、そういう少子化対策は将来、税を納める人が増えると同時に年金を納める人が増えるわけですから、そういうダイナミックな前向きの正義みたいなものをきちっと振りかざしたほうがいいと思いますね。そういう価値をちゃんと出していかないと、今までの言葉で言う意味での公平とかそういう考え方では、ちょっと追いつかないのではないかなと。もっと大胆に、それでガダルカナル的なものではなくて、ボーンと大きく打ち上げたほうがいいと思います。大義名分になりますね。
〇委員
おっしゃるとおり。だから昨年は「実像把握」というのにえらい時間をかけたわけですよ。そういうベースができてきたなとは思っています。
〇委員
今までお話に出ていますが、このテーマの世帯構成ということですけれども、配偶者の就労に対する中立性ですとか、あるいは子育て支援ですね。これはいわゆる少子化対策ということで、一番基本にある世帯というものをどう考えるかということですけれども、さて、婚姻に対して税制はどうあるべきなのだろうかと、そのあたりが原点になってくるのかなと思います。すでに結婚してしまった人で、配偶者が社会的に進出するにはどういう税制が好ましいかという観点がありますし、今度は少子化に対して子育て支援といったような問題がありますけれども、そもそも世帯といっても、みんなが結婚していないような世界になりつつある。こういうことに対して税制は何らかの手を打つのだろうかと。
例えば、ここに挙がりました2分2乗でありますと、共稼ぎでいた人たちが、結婚すると半分ずつに分けますから、おそらくは税負担は下がるわけですけれども、そういう考え方からこの2分2乗を入れたほうがいいとは思いませんけれども、婚姻のあり方に対してどうなのだろうという点も検討していただけたらと思います。
〇委員
要するに、よく言うマリッジ・ペナルティの問題ですね。ただ、日本の場合は個人ベースで課税ユニットを考えているから、そういう視点はなかったよね。それを入れるべきかどうか。つまり、我々学者グループからいうと、個人ベースの課税単位のメリット・デメリット、それから夫婦単位、N分N乗、これをいろいろやっていくと、僕なんかは個人的には個人ベースがいいと思っていますけど、ほかの単位にしますと、やたらと持ち込みすぎる。これもちょっと議論があって、税調でも絶えず出てくるんです。N分N乗、それから夫婦合算。そのたびごとに個人がいいとまた戻るのだけど、もう一回ここで議論する手はあるかと思います。どうぞ。
〇委員
所得税を考える時に、何を基準にして考えればいいかということだと思うのです。以前、所得税の問題点として一つ再分配機能が弱まってきている。それから、税収調達機能も弱まってきている。これはもちろん上げなければいけない。ただ、再分配機能を高めるかどうかという話は、これはまだかなり議論しなければいけないと思うのです。再分配効果を強めるにしても、税そのものに不公平があったり、あるいは漏れがあったりという場合は問題なわけですね。最高税率を引き上げるか、そのままにするかというのは、これはかなり主観的な問題も入ってくるので、でもそれ以前の問題として、そういう抜け道だとか、あるいは不公平だとかということを防がなければいけない。
それから、税収調達能力も、例えば最低税率10%を20%に上げれば当然上がるわけですが、でも、その前に今のままで上げていいのかという問題がありますね。ですから、公平な税金、簡素な税金というそこの基準で、今の制度そのものが将来的に税率を上げるとか、再分配機能を強めるための前提条件がきちっと整っているのかどうかというところが、私はやはり一番大きな問題だと思うのです。
それから、子育て支援だとかといういわゆる政策的な意味合いで所得税を触るというのも一つ考えられるわけですけれども、それは私は議論としては次の段階なのかなという気がするわけです。
ですから、今日出していただいているのは、所得税そのものの構造として果たしてこれが望ましいのかどうかということだと思いますので、やはり従来からの議論で、もちろん基準の優先順位とかこういうのは変わってくるのだろうと思いますけど、そのあたりが果たして本当に今の所得税が将来的に負担増、あるいは再分配効果を高める、あるいは政策税制を打つという時に、ふさわしいものになっているのかどうかということを考えなければいけない。
もう1点は税額控除ですが、これもいわゆる所得税の構造を変えるという意味での税額控除なのか、あるいはいわゆる手当と同じように、社会保障と税制を一体化させるようなことで税額控除をやっていくのかということで、またずいぶん違ってくると思うのです。例えば、不労所得税の議論の時に、いわゆる課税最低限以下の人は税額控除をやっても給付しなければ恩恵がない。所得控除も結局課税最低限以下の人には恩恵がない。要するにすべて同じ扱いになってしまっている。だから、給付を逆にすることによって、所得の違いを税制の中に組み込んでいく。それはひいては社会保障にもつながっていくといったような、そういう考え方があったわけですけど、この場合、税の中で議論するのか、あるいは社会保障と一体化するという中で議論するのかによって、ずいぶん変わってくると思います。
〇委員
そこは最大に悩ましいところですよ。児童手当はすでにあるわけです。ですから、それをやめて税で面倒をみましょうといった途端に、厚労省とのいろいろな摩擦が避けて通れないですよね。といって税金を払っていない人から児童手当を召し上げるというのも難しいですね。それも含めて税額控除というものの児童手当のコンバインをどうするか等々を議論しなければいけない。その点ちょっとお考えいただきたい。
〇委員
三位一体の話で視野が狭くなっているのですけれども、地方分権改革というわが国の統治のあり方を基本的に変えようということをやってきているわけですね。そういう大きな目標があることを考えますと、さっきの委員がおっしゃったリージョナルなものはしっかりと取る、それから、国が再分配を考える、ここの役割の分担ははっきりとするべきではないかと思うのです。それによって交付税のあり方というものについても、筋の通った考え方ができるようになると思うのです。やはり再分配というのは国全体で考えるべきで、狭い範囲でやってみても仕方がないわけですから、それをはっきり機軸に置くということが非常に大切ではないかと思います。
それに関連して質問ですが、非常に基礎的な、こんなことを聞くのは恥ずかしいのですけれども、資料の20ページの「税源移譲にあたっての基本的考え方」というところに図がありますね。これで13%のところを取り払うということを考えまして、それによって今13%適用になっている以上の人の地方税・国税足したところでの負担を従来と変わらないようにするためには、所得税を1,173万円のところで20%の次に23%という階段を作って、1,429万円のところに30ではなくて33という階段を作って、37のところを40という階段にするということによって、1,173万円以上の人の税負担は、下のほうの変化が及ぶということは別にしまして、ここのところだけについては、それでいいということなのでしょうか。多分そうではないかと思うのですけれども、ちょっと自信がないので教えていただきたいのです。
〇委員
37の時にさんざん考えていて、今、ここの30、20のところで考えていないのではないかな。
〇事務局
今ご指摘の20ページのこのグラフでございますが、これは夫婦子2人のケースではこの数字になるわけですが、実は世帯構成によっては、この金額が全部まちまちになるわけでございます。どのケースを基準にそういうある種きっちりした、税率をすっきり合わせるタイプの調整ができるかどうかという問題がございます。
〇委員
いや、それはそのとおりなのだけど、この表でいうと、今のようなことでいいのですか。
〇事務局
この表でいうとそうですね。
〇委員
それでいいわけですね。わかりました。
〇委員
3%というのをすべて20%グループ、30%グループに乗せていくわけですね。そうすると、23、33も出てきて、それで37プラス3できっちり40になると。
〇事務局
今の委員がおっしゃったようなことをすれば、このモデル、夫婦子2人の税源移譲の調整はきちっとできるという意味ではそうなのですが、では実際にどうするかは、さっき税制第一課長が言いましたように、いろいろな世帯があるものですから。
〇委員
そうじゃなくて、要するにこれだけの話。
〇事務局
これだけの話なら、そうすれば足したところの税金が変わらないで税源移譲ができるというのは事実でございます。
〇委員
刻みが変わるわけですね。
〇委員
いや、そういうふうにしたいの。やろうとしているわけ。
〇事務局
ここにありますように、税源移譲にあたっての基本的な考え方ということで、所得税から個人住民税へ恒久措置として本格的な税源移譲を実施すると。その際に個々の納税者の負担の変動を極力抑制するとなっているわけです。なぜこういう文言が入っているかというと、国と地方の間で税源のやりとりをやった。その結果、国税、地方税を合わせてみて、個々の住民なり国民なりを見たら、国と地方の間で所得税と住民税をやりとりしたら、その結果、全体は一緒ですけれども、全体が一緒ということは、誰かが増えれば誰かが減るということですね。誰かにとって増税であるということは、誰かにとって減税になるというのは、なかなか説明はしづらいだろう。少なくとも税源移譲という考え方では。だから、ここのところは負担の変動を極力抑制すると。その抑制の仕方の一つとして、今ご指摘があったように、下がったところはその分だけ上げれば、全体としては変動は起きない。それは一つの考え方だということです。それでいいのかどうかは、またそれから先の話です。
〇委員
僕は記者諸君なんかと議論する時、10、20、30、40は動かさないので、プラス10ですっきりした美しい累進税率になるよなんていう議論をしているのだけど、今のような話になると、3が乗っかったりいろいろしなければいけないということになるね。
〇委員
その話ですが、確かに23%とか33%という税率を設ければ、個々人の変動も抑制できるでしょう。それはいろいろな家族構成の違いはあるとしても。しかし、23とか33という税率を設けることは、現実的にはおそらく不可能でしょうね。だから、考えられるとすれば、この階段を少しずつ左へずらすということがおそらく現実的なのでしょうけれども、ただ、これだって極力抑制するという点からみれば、いろいろ問題が出てくる。おそらくそういうことでしょう。
〇委員
極力抑制といっても、どこまで極力かということですよね。
〇委員
過渡期の問題として、ここに書いてあるように、あまり負担の変動がないようにというのが政治的に絶対必要な条件ですよね。でなければスムーズにいかないから。しかし、5年たってみて、地方自治の担当者、知事なりが、いや、おれはもっと地元から税金を取りたいとなっていくのは勝手だと思うのだけどね。みんな国から流れてくるという話では、話にならないから。地方自治の本旨にも全く反するから。過渡期はこれでやるしかない。矛盾があっても。しかし、何年か先になって、いろいろものの考え方も変わるし、そうなったら、またもうちょっと柔軟な税率の変化ということもあり得るかもしれないという気はする。
〇委員
そうならざるを得ないのではないですか。いつまでもこれで5年も10年ももたないでしょう。国も地方も赤字を抱えているわけだから。
ほかにいかがでしょうか。
〇委員
税額控除の話ですけれども、税額控除で引くと、引き切れなかった場合には返すという話ですね。将来、消費税を2段階税率にする時に、やはり一つの話題になると思うのです。それとの関係をどう考えるかということは、またこれは番号制と結びつく話で、もしそこがきちっとやれるのであれば、一つの案だと思うのです。
アメリカは返す時は歳出に立てているのですかね。そこのところを教えてほしい。
〇委員
歳出に立てるでしょう。ドイツは違うとおっしゃったけど。
〇事務局
突き抜けた分はエクスペンディチャーということで(統計上)歳出と整理されております。
〇委員
それから、もう一つ、金融関連の税制を分離してフラットにしてしまうということになりますと、本当の高額所得者というのはかなり税負担が低くなるのではないか。そこのところをどうするのか。かといって、ここの税率を高くしますと、金融資産を持っていないで、額に汗して所得が高いという人が罰せられることになるんですね。そこのところを世の中納得するようにしておかないと、これまた不公平だとか何だかんだという話になると思いますね。
〇委員
そこが悩ましいんです。でも、そこは割り切らざるを得ないのではないですか。金融所得の一元化というのは、要するにキャピタルフライトもあるし、そういう逃げ足の速いやつには、まあしようがない、10とか20とか25とか、それでもトータルで総合課税にしていけばいいではないかという割り切りで、だから僕は税調でもトップレートが低すぎるという議論はあるけど、必ず金融所得のほうを入れて議論しないと、おっしゃるような意味で、完全に再分配効果は上がらないですよね。逆にいえば、そこまで入れてしまうと、今度は税引き後の利回りがえらく低くなって、金融市場が壊滅的状態になるということをどうするかという議論もあるし、そこは割り切るしかないと思っているのですが、これはこれから、今でも結構ですし、いろいろご議論あると思います。まだもうちょっと時間がありますので、どうぞ。
〇委員
先ほどの委員のおっしゃったことは非常に重要なことだと思うので、ちょっと付け足したいのですけれども、やはり将来のことを考えると、先ほど会長は個人課税だと、個人を重視するということをおっしゃったのですけれども、やはり家庭というか家族というのを大事にする税制であってほしいなと。その家族も子孫をたくさん産んで育てることができるような税制というのが、やはり今望まれているのではないかと思うのです。
例えば、専業主婦の家庭で旦那さんが1,500万を取っているところと、夫婦共稼ぎで750万ずつ取っている人は、収入は同じなのだろうけれども、税負担は違うわけですよ。だけど実際問題は、おそらくデータがないかもしれませんけれども、専業主婦の家庭もトータルとしては子供の数は多いと思うのです。今の世の中、とにかく就業している女性がたくさん子供を産んでまっとうに育てられるような環境にないわけですから、やはりそういう家庭を大事にするような税制というのは、しばらく必要なのではないかと私は思いますね。
〇委員
しばらくとおっしゃるのは、将来的に家族が危ないということですか。
〇委員
いや、そうではなくて、要するに、就業している女性が自由に子供をたくさん産んで育てられるような社会的環境がすべて整ってくる時代が来るのではないかと思うのです。
〇委員
全く逆なのですけど、これから男女共同参画社会になってきて、年金にせよ考え方は基本的には個人になってきて、そして、まさにそっちのほうでも遺族年金の適切さとかを議論されている中で、税制においても基本的には個人単位でいくべきだと私は思います。
それで、夫婦の片稼ぎの時等々でいえば、いろいろな議論が逆にあって、働かない女性の帰属所得というのも議論としては十分あり得るわけで、だからやはり大きな考え方としては、男女共同参画社会、そして個人単位で税を考える。年金もそういう形で考えていくという方針の中で、あとは現実的に子育てに関しての税制をどう考えるかというのは、別に考えるべきでしょうけど、根っこの部分はそうだと。
あと、子供がどう生まれるかというのは、樋口さんがここで報告されましたよね。その時議論としてはむしろ逆な方向というか、女性が社会に参加することで、むしろ子供が減るわけではないということは議論していたような気がします。だから、その辺は僕もわからないし、子供が果たしてどういう家族形態の時によく生まれてくるかは、オープンなような気がしますけれども。
〇委員
私もわりと今の委員の意見に賛成で、これは多分税制だけではないのですけど、制度を誘導的に使うか、それとも、はっきり言えばやや現状後追い型というのか、どうしてもそうなると思うのですが、私などはできれば、税制もそうだけれども、社会保障なども誘導型に本当に使えないだろうかと。例えば就業を促していくような形をできるだけやれば、最終的には個人ベースで考える。税制の中で同じ個人ベース、世帯ベースがごっちゃになると、この前ご説明があったように、いろいろな手当や控除が問題になってしまうので、税制ではとにかく個人ベース一本で、必要があれば歳出面で例えば家族面の手当を行うとか何かでやらないと、ごちゃごちゃするということ。私はもし誘導的に使えるならば、むしろ使ってほしいですね。
〇委員
でも、先ほどの委員は美しい家族をもう少し作りたいというので、誘導型にしたいんですよ。
〇委員
何となく家族というのは、専業主婦の奥さんがいて、仲がいいみたいなイメージの家族という、それはちょっとそうじゃない。
〇委員
ちょっと先ほどの委員は誤解していると思うんです。今、専業主婦であれば子供を産むとは限らなくて、逆に専業主婦で何もしないのが多いんです。子供も産まないで。つまり、人生に前向きかどうかというと、働く女の人は前向きで、子供を産みたいわけ。働かないで家でごろごろしている主婦が、子供を今産まないんです。逆になっているので、先ほどの委員に時代とのずれを少しわかってもらったほうがいいので、つまり、パラサイト・シングルっているけれども、今、パラサイト・ワイフというのができてきた。つまり、変な生命力のない人たちがたくさん生じていて、お金を持ってぶらぶらしているんですよ。消費にはいいかもしれないけれども。
そういうところで、何か政策誘導的なものを作らないと、そういう人は淘汰してもらうなり何なりしてもらわないといけないような、そういう方向性を、あるいは前向きな人にはきちんとした支援をするということを考えないと、ちょっと困るのではないかなという方向に来ているんですよ。その思っている家族が。
〇委員
反論していいですか。私が言っているのはそうではなくて、家族というものを大事にして、その中で子供がたくさん生まれて、家族がいい教育をして、そして次代の日本を担うというようなことを考えてもいいではないかと、そういうことですよ。だから、時代が古いとかそういうのではなくて、産まない人の家庭はどうでもいいのですけれども、3人も5人も産んだ人を、どういうように家族として平和が保たれるような税制というのがあり得るのか、ということを考えてもいいではないか。前向きのことを言っているので、別にだめな家族を支援する必要はないと思いますね。
〇委員
でも、そうなると、だめな家族も恩恵を受けますよね。
〇委員
でも、子供に対する税の支援ということをいろいろ考えるのであれば、子供を産まないでのんべんだらりとしたところは、税の支援は受けられないわけですから。
〇委員
この議論で何かありますか。こういう時はあなたの出番だから、何かありますか。
〇委員
子供をつくる、つくらないというのは、手当とか金の多寡じゃないんですよね。昔言ったのは、男に魅力がないからだと、これ以外はないんですね。
〇委員
また、出てきた、その話が。
〇委員
それはいいんです。基本的に結婚しないのが多いからなんです。それはどうにもならないから諦めていますが。
先ほどの委員は意欲のある女性という言い方をしましたけど、働いている女性のほうがちゃんとご飯を作るというデータもあるんです。専業主婦で時間がいっぱいある人こそ、コンビニで買ってきた発泡スチロールで食べさせちゃうというのが多いんです。ただ、託児所をいっぱい作ったから子供を産むかというと、それもまた違うんですよ。駅に保育所があって……、子供は荷物じゃないんだから。
〇委員
あなたの議論だと、何をやっても、どいつもこいつも全部限界があって、ましていわんや、税制でちょびっと、言葉としてきれいなことを我々は書くけども……。
〇委員
1,000万ぐらいくれるといえば、産むかもしれないです。10万とか100万ぐらいじゃ全然だめです。
〇委員
それは政策効果の話で、気分としては、控除をどうするかという時に、どういうふうに頭を仕分けするかという話なんだね。今まで政策の意味があるからいろいろな控除が全部あって、それは全部残っているわけだ。しかし、その中にはもういいのではないかというやつもあるんですよね。しかし、もし政策考慮を全然否定すべきでもないと考えるなら、今の世の中だったら、あなたが言うみたいに、税でちょっといじったって、税制上のことはそう大幅なあれをやるわけがないから、やってもやらなくても同じというのも一つのクールな意見だけど、私は本当はそのことについてはもっとあなたよりよっぽどクールなの。しかし、政治としては、ほかの控除を整理して若干でも金が浮くならば、いつかも言ったみたいに、こっちに投入してもいいのではないか。何がしかね。すぐ即効性があるとは思わないよ。
〇委員
どうぞ。
〇委員
頭が混乱しちゃってなかなか考えがまとまらないのですけど、この個人所得課税の問題を考えるアプローチの仕方とでもいいますか、あるいは視点というのか、それがいろいろあるということだけははっきりわかったのですが、じゃあ、ものを考える時にそれらの視点をどういう軽重を与えて考えていくかという辺がなかなかよくわからなくて難しい。その軽重の与え方が違うと、おそらく格好が全く違ってくるのだろうと思うのです。だから、何かプロットタイプみたいなものを考えて、それで配慮の軽重をいろいろ、これもなかなか難しい話だけれども考えて、そのプロットタイプをデフォルメしていくというような格好になるのかなとちょっと思っているのですが、考え方にどういうあれを与えていくかというのは非常に難しい。
でも私は、今まで勉強したことで、所得税がいろいろな経済政策の手段や何かに使われて、非常にいびつな格好になっている。これを今の社会経済構造に合ったようなものにしていかなければならないだろうというところがまず最初かなという気がするのです。その際に、少子・高齢化社会への配慮をどうするかというのは、考えなければならない問題だけれども、最初からそれを頭に置いてしまうと、非常に難しい話になるのではないのかなというような、そんな感じがちょっと聞いていて、これは印象論です。
〇委員
おっしゃりとおり。したがって、あとでご説明しようと思ったけど、文章化した我々の主要論点メモを用意しますので、その中で今の委員がおっしゃった軽重というのは出てくると思うのです。そういう点でもう一回ここで議論してもらいたいと考えています。
ほかにいかがでしょうか。国がよければ地方にいきたいのですけど……。どうぞ。
〇委員
悪のりするわけではないのですけれども、いわゆる少子高齢化対策ということで税の面から考えるのであれば、税額控除とかいうようなことではなくて、例えば1人産んだ場合は所得税は半分、2人だったら所得税は要りません、ゼロですと。例えば年収700万円ぐらいのところでね。それから上はちょっとあれですけれども、そのぐらいのことをしても、減税効果としてはあまり変わらないのだろうと思うのですけれども、それは計算してもらわないとわかりませんが、それくらいのことを言えば、税調も相当のことをやったなというふうに映ると思います。
あと、普通のサラリーマンの場合は、会社で年末調整とかそういうのをやってしまいますから、いくら引かれているかはわからない。つまり何をしてくれたかがわからないのが実態ですから、子育て対策とか少子化対策としてインセンティブ税制をやるのであれば、そのぐらいのことを一遍ぐらい打ち出してもいいのではないかと。
〇委員
それはかなり大胆ですね。所得税というのは別に子育てのために使っているわけではないから。ただ、そのぐらい大胆にやれというメッセージをというお考えだと思いますけどね。だって、所得税は子育てのためだけにあるわけではなくて、担税力の調整は……
〇委員
一度計算してみると、同じ金額でも……
〇委員
でも、いろいろな諸控除との兼ね合いで、ここだけ何で半分、すごい控除になってしまうと思うけど。でも、そういうお話があったということだけ承っておきます。
〇委員
そのくらい強く大きなテーマを打ち出さないと、いずれ消費税を上げる時に、子育て支援国家だとか、そのくらいの大胆な提案をしないと、今の控除を全部一つにしてそっちに振り向けるぐらいの、先ほどの委員が1,000万ぐらいくれるといいな、だったらやるだろうなと言ったけど、1人大体年間100万円でやれば、20年で2,000万円で子供は育つというから、その半分ぐらい出しますよと。それを税でやっちゃいますというぐらい、消費税がこれから上がる時に、そのくらい大きい話にしたほうがいいと思いますよ。
〇委員
えらい大胆に話が出てきたけど、まあ、考えてみましょう。そこだけで所得税改革を絞り切るというのはなかなか難しいですから、まとめる段階で、まだまだ様々な担税力の調整をしなければならない人がごまんといるわけですからね。わかりました。議論を整理する意味で、皆さんのご意見はわかりました。
それでは、時間が来ましたので、よろしゅうございますか。では住民税に移りましょうか。
住民税はまた別途資料がございます。それから、地方税の職員の経験年数というような宿題も、これはたしかずっと前に質問が出ていたと思いますが、一応用意してもらいましたので、この二つあわせまして、市町村税課長と企画課長からご説明ください。
〇事務局
お手元の「個人住民税を巡る諸課題(主要論点メモ)」と「資料(個人住民税等)」、この二つを使って説明させていただきます。
主な論点としまして、まずは個人住民税の性格・役割についてどういうふうに考えるかということでございます。
資料の1ページをご覧いただきたいと思います。これは個人住民税の性格・役割に関する過去の答申でございまして、何度か申し上げましたが、いわゆる個人住民税の負担分任の性格であるとか応益原則といった性格がある。さらに税収面で見ますと、例えば法人関係の税と比べまして税源の偏在性が少ない、それから税収が安定しているといった特色があるということで、この税につきましては、このような性格を踏まえながら充実確保を図っていくべきではないか。これは従来言われていた話でございます。
もう一つは、二つ目の丸でございます。今まさに税源移譲の作業を行っているわけですが、この税源移譲について、一つは所得税等の役割分担、先ほどもお話ございましたが、所得税の所得再配分、一方で個人住民税につきましては、より応益的な税にするということが基本的な考え方ではないかということで、税源移譲後、税率がフラット化したあとにおいては、引き続き応益性の明確化が求められるのではないかと考えております。
各論でございます。まず、所得割、資料の2ページをご覧いただきたいと思います。所得割のフローチャートを載せております。まずは所得税と住民税の制度的な関係ということでございます。左側は給与所得の場合ですが、給与収入から給与所得控除等を差し引く部分、これは所得税と同一の計算となっております。それから右側は、各種人的控除等、税率、最終的な税額控除、ここの部分が個人住民税独自の計算ということでございます。したがいまして、これまでご議論いただいております所得分類とか給与所得控除の問題につきましては、所得税と全く同じ論点ということでございます。
メモのほうに戻っていただきますと、一つは、所得割のいろいろな控除につきましては、先ほど申し上げました性格に基づいて見直して、課税ベースの拡大に努めるべきではないかということが従来から言われております。
具体的には、3ページを開いていただきますとこれまでの答申が掲げられております。中でも、政策誘導的な控除、例えば担税力の減殺に伴う控除と違っていろいろな政策目的を持っているような控除については、地方分権の観点から極力整理すべきではないかという話でございます。
資料編の7ページをご覧いただきたいと思います。ここに政策目的と考えられる主な控除制度を一覧で挙げております。寄附金につきましては別途ご議論いただいておりますので、ここに挙げておりません。それをさておきというふうにお聞きいただきたいのですが、残っておりますのが、生損保控除、定率控除といったものでございます。定率控除につきましては、既にこの審議会の答申で廃止すべきということが出ておりますが、残りますのは生損保控除ということになっております。
8ページをご覧いただきますと、生損保控除の適用状況を調べておりますが、特に生命保険料控除についてはほとんどの方が適用を受けておって、1人当たり2,100円程度の税負担減、損保控除については1人200円程度の税制になっているということで、今後応益性を増すといった意味からも、こういった控除についてはどう考えるかということでございます。
資料編の9ページ以下が税率でございます。税率につきましては、昔は所得税と同様の細かい刻み、高い階段でございましたが、徐々にフラットになってきまして、今3段階というのはご承知のとおりでございます。これをフラット化しまして、できれば比例税にしたいということでございます。
10ページは現在の実効税率でございます。
11ページが実際にどの程度の方がどの程度のブラケットにいるかということでございまして、住民税の場合は一番下のブラケットに65%程度の方がいる。先ほど、所得税が全就業者の中でどの程度払っているか、大体7割程度という話がありましたが、住民税のほうは、課税最低限が低いということから、就業者の中の8割程度の方が住民税を納めていただいているという状況にございます。
12ページ、これも所得税に同様の表がありましたが、課税標準段階別の納税義務者数ということでございます。
次に論点メモに戻っていただきまして、均等割でございます。均等割につきましては、資料の13ページをご覧いただきたいと思います。これまで、均等割の税率を見直すべきだというご議論がございまして、我々も引き上げについて検討しておるところでございます。
均等割の税率は、14ページをご覧いただきますと、現在3,000円と県分の1,000円、合わせて4,000円という水準でございます。平成16年に改正を行いまして、人口段階による区分をなくしまして、どこでも標準税率は4,000円という状況にございます。従来、この均等割は、住民税の中で2割程度のシェアを持っておりましたが、定額の税ということでなかなか上がらなかったということから、現在2.5%程度といった水準にございます。
15ページが平均税率の推移ということで、ほかの経済指標と比べましてなかなか上がっていないということでございます。
絶対額として見てどうかというのが16ページでございます。地方の歳出はいろいろなものがありますが、その中でもだれでも受益していそうなサービスを幾つか挙げております。例えばごみの収集のような清掃費、1人当たりこのぐらいかかっているということから見て、均等割の現在の年額4,000円というものが水準としてどうなのかということでございます。
最後に、その他、徴収の関係でございます。17ページに昨年の税制改正に関する年度答申がございます。ここでは、住民税について、「税負担の公平や税収確保の観点から、徴収率の向上を目指した執行面・制度面からの検討を行う必要がある」というご指摘をいただいております。これを受けまして、17年の改正では、都道府県が市町村にかわって徴収や滞納処分を行うという制度があるわけですが、この要件緩和を行いました。
また、マスコミ的にはフリーター課税とか呼ばれておりますが、短期間でいろいろな職場を異動される方についても、給与支払報告書の提出義務を課すといったような改正を行っております。
現在検討中の課題が18ページでございまして、公的年金受給者から個人住民税をどう徴収するかということでございます。現在、所得税は公的年金の支払いの都度、源泉徴収を行っているということでございます。また、介護保険料は源泉徴収ではなくて、市町村から通知された額を特別徴収を行っています。
一方で、個人住民税につきましてはこういった制度はございませんで、年金支払者から報告をもらって、賦課決定した額を個々の年金受給者に通知してお支払いいただいているという制度になっております。
今後、徴収率の向上とか、お年寄りがそういった支払いをする手続を考えますと、個人住民税についてもこういった特別徴収の制度が望ましいのではないかと考えておるところでございます。
〇事務局
資料の一番最後、19ページ、20ページのご説明をさせていただきたいと思います。
個人住民税の話ではないのですが、4月12日のこの委員会で、国税職員に比べ地方税の職員は専門知識に若干欠けるのではないか、素人が多いのではないかというご質問がございました。ちょっと時間をちょうだいして調べた結果です。これで宿題のお返事にさせていただきたいという趣旨です。
専門家になっているのか、素人のままなのかというのは、うまく調べるのはなかなか難しいところがございまして、ここでは、あくまでも税の仕事をしている年数ということで、公務員となって以降の年数というわけではなく、経験年数を調査しております。全部の団体までは調査できず、町村などは抽出調査をさせていただています。
四つの円グラフのうち、19ページの左側のほうが都道府県、これは全団体47の都道府県の結果です。経験年数を適宜切って円グラフにして、10年以上の方を仮にベテランと申し上げさせていただくということでいきますと、45.6%がベテランの方。5年以上10年までを中堅とすると、中堅、ベテランで64%ぐらい。税の職員としての平均経験年数が12.6年。これは6月(6つき)ではなくて12.6という十進法でございます。これが平均です。現実に、平均の年齢が43.9歳ですから、大卒ですぐこの世界に入ったとして20年、そのうち税務行政に従事している平均をとったら12.6年という感じになっています。
右側のほうは、現在、政令指定都市が14団体ございます。同じような発想で、ベテランが36.2%で、中堅以上で60%。税の経験年数が、累積と書いてございますのは、必ずしも連続的に税関系に勤務していなくてよいという意味ですが、平均経験年数は9.2年。
次のページが、政令指定都市重複分を除きました残るところの県庁所在市35団体です。経験年数は少し短めになっていまして、4.3年。
それから右側のほうは、無作為で各都道府県1団体ずつ町村を選んで47団体をとっていますが、平均年数が4.1年。これも短めということですが、他方で、ベテラン、中堅までを入れますと、3分の1はいる。平均4.何年ということですから、1年未満の方もおれば、8年とか9年の方もいるということになるのではないかと思います。
この現状をどう見るかというのはちょっと難しいところもあるわけですが、国の場合はもともと最初から税の職につかれるということでスタートされておりますが、地方の場合は、都道府県、市町村の団体に職を求め、その中でいろいろ人事異動があるということでございますので、それなりの数字ではないのかなと思います。
若干、二、三お聞きをしたところ、小規模な団体の場合につきましては、税の職員に限りませんが、職員の数の問題があって、人事異動を全くしないというわけにはいかない。その場合に、担当地域等を変えるのは難しいということで、どうしても税以外の行政分野との交流が比較的多めになって、経験年数を平均でとると低めになる傾向もあるということのようです。
その他にも、地方税の特色としましては、課税調査よりも徴収のほうに力点がかかっているところが多くて、そういう場合は、ベテランだけではなくて比較的若くて元気のいい職員が必要だという声もございました。
不十分であるかもしれませんが、宿題の返しです。
〇委員
ありがとうございました。
個人住民税のご説明の最後にあった個人住民税の特別徴収は、今日初めて出た問題ですか。前にもございましたか、具体的には。
〇事務局
税調でご説明するのは今回初めてでございます。
〇委員
それでは皆さんの意見を聞かなければいけないと思います。
住民税に関しまして、これまでずいぶん議論したものも踏まえまして、今度の主要論点メモに書き込みたいという点を整理してもらいました。国税との絡みもあるかもしれませんが、住民税という視点からいろいろご議論をいただきたいと考えています。質問でも結構ですし、あるいはご意見を賜りたいと思います。
〇委員
最後のほうの絵グラフ四つですね。三つ目と四つ目がちょっと短いような感じもしますけれども、4年ぐらいですから、決して長いとは言えないですね。問題は、今、徴収が中心だと言ったけれども、国税のそういう税務実務と地方税のほうと、交流とか、重なり合いとか、技術・技能の伝達とか、そのようなあたりはどうなっているのでしょうかね。特に三つ目と四つ目の円グラフだと、あまりわかっていない人がやっている可能性もかなり強いなと思うのです。言いにくいかもしれないけれども、そのあたりを。
〇事務局
地方税の職員の場合は、確かに国税の職員と比べました時に研修期間は短めではあります。国税の職員の場合ですと、一番最初に税務大学校等で長い期間をかけて専門知識を吸収するということがあるのですが、地方税の職員の場合につきましては、全国的な組織として自治大学校というのがございますので、そこでかなり講習を受ける。あるいは最近ですと、市町村のほうのトータルな組織、市町村課でも研修を行っているところがございますので、そういうところでの講習等で知識を得るということがございます。
それから、地方税の場合は、先ほども少し申し上げましたけれども、基幹税の中に国税と課税標準が連動している税目がかなりございまして、こういうものについては、基本的には国税で調査した課税標準をそのまま採用するというケースもございまして、むしろそういう調査関係よりも賦課課税をしている税目、地方団体が自ら課税標準を決定する固定資産税とか自動車税とか、そういう賦課課税の税目に主力を置いている。こういうところもあろうかと思います。
徴収関係は市町村の場合、特に町村の場合は弱いところなどもありますので、県の単位で連合組織を作りまして、そこで難しい滞納処分などをやっていくというのが最近かなり出ておりますので、私どもとしても、そういうことを応援するという方向性で進んでいきたいと思っております。
〇委員
本当の腹を教えてもらいたいのだけど、メモの所得割のところ、ここで生命保険、損保、政策誘導的な色彩の強い控除については、国は知らないけれども、地方税の場合には個人住民税からこれを除いてもらいたいと。国のことは知らん、俺たちはやると、この一つの割り切り方で、僕はそもそもこの二つが国税の中で巨大なあれを占めていることが不愉快千万だが、20年間全然変わらないのだから。これは自民党が悪いのかどうか、政治が悪いのかどうかわからないけど、とにかく実はそういうことになっているんだ。おたくがこの問題提起したことは、もしそうなら、これは実にいい問題提起をしてくれたと思うのだけれども、とりあえず国がだめなら地方はやるぞという決意なの?
〇事務局
考え方としては、やはり住民税としてはそういう考え方で臨むべきではないかというのが、これまで全体の流れだろうと思いますので、こちらの税調でそういう方向でご答申がいただければ、努力はしたいと、こういうふうに思っているわけです。難しい問題でありますので、ここでやりますというふうに私が断言をしてもできませんので……
〇委員
おたくのほうで突破口としてこれが仮にできるならば、それはそれで段階的に、次は国へ来るのだよと、とりあえずは地方で、生保・損保業界も地方と喧嘩するのは容易ではないから、ひょっとするとうまくいくかな、おもしろいことを考えたものだなと思って聞いていたんだ。
〇委員
でも、国税だって連年書いているわけですよ。実現はしないけど。ただ、書く時には、国も地方も一体としてやると書くしかないでしょう。地方だけどうぞお先にとは書けないでしょう。
〇委員
そりゃそうだ。しかし、実行しなければ全く意味がない。
〇委員
それはそうですよ。決意を聞いたということです。
〇委員
ちょっと細かいことで恐縮ですけど、地方税にたしか軽油引取税というのがあると思うのですが、たしかあれは今年から夜間の臨検もできるようになったのですかね。それで、そういう軽油などの密造などをやっている人たち、多分危ない人たちが多いと思うのですが、仮に夜間捜索できるようになったとしても、地方といいますか、県のほうにそういう十分な体制がとれるのでしょうか、どうなのでしょうか。
〇委員
ご質問ですね。どうぞ。
〇事務局
私、現在は直接の担当ではないのですが、制度を変えた時の担当だったので、お話しさせていただきたいと思います。軽油引取税については、ご指摘のように、相当脱税が多い税でございます。これは流通段階で課税する税目ですが、必ずしも課税形態が脱税が多いという理由ではなくて、むしろ軽油が税金をあまりかけられていない油、灯油と重油のちょうど真ん中の性格を持っている。したがって、二つを混ぜ合わせると、課税をしていない軽油を作ることができる、比較的容易であるというところが理由でございます。
それで、脱税に暴力団が関係している場合などもございまして、当然、現場に踏み込む等の時には、関係する官署、警察等に同行いただくとか、協力していただきます。最近では、単に脱税問題だけではなくて、環境にも影響がございますので、防止のために各県力を入れて対処してきておるということです。
しかしながら、脱税についてのうま味があるので、直ちに根絶というところまではなかなかいっておらないという状況でございます。
〇委員
最初に、地方税のほうのテーマと、それから所得割に関しては、国税と一緒の問題として取り扱いたいのですが、資料の16ページに、受益者負担というか、受益応益負担というものを原則とした場合に、比較的サービスに近いものが年間1人5万円かかっていて、それに対して月額が4,000円であると。ですので、2割以下しか払っていないということが書いてあって、しかし、これだけの数字ですと、これがどういう意味を持っているかというのが判断がつかないわけです。つまり、小さいとも大きいとも言えない。
したがって、それでは先ほどの住民税のほうで払っている金額をあわせて考えた場合に、この5万円という数字がどのくらいカバーされるのか、何らかの指標がないと非常に難しい。つまり4,000円が安いと考えられるのか。安いのであれば、ここを調整しなければいけないし、これ以上上げられないのであれば、住民税の世界か固定資産税で調整しなければいけないということで、いくつかのシナリオがはっきり出てくる、ということまできちっと出さないと、応益と言っている意味がはっきりしない。
住民税については、書いてありますように、フラット化ということを非常に強く打ち出しておられるわけですが、私もそれで賛成なのですが、現在の5%から13%というこの数字をさらにもっとフラット化するということまで考えているのかどうか。私はそれでもいいと思うのですが、そうなると、今度は逆に課税ベースを、やはりさっきの問題にまた戻ってしまって、所得控除の部分も同時に見直さないと、従来の税収が得にくいというか、そういう問題に行き着いてしまうのではないかと。
応益の場合は、基本的に個人課税、つまり個人単位でサービスを受けているわけだから、世帯というのはちょっと考え方がおかしくて、個人単位になっているという意味では、国税のほうの所得税も個人単位というふうに、もっと個人単位に徹底して近づけるべきだと私としては考えるのです。
そうすると、結論的にまた前半の議論になるのですが、私は最大のわからない国税に関しての配偶者控除、ないしは先ほどの世帯とか家族とかという関係が出てきた時に、非常に混乱するのは、日本の個人単位の所得税というのは、私としては極めて優れた制度ではないかと。何とか二乗とかいろいろありますけれども、家族で合算するとか、そういう余計な手間を極力省いているかわりに、働いている以上は個人が基礎控除も受けられるし、その範囲で所得税を納めるという制度になっている。
にもかかわらず何が問題かというと、婚姻か、婚姻していないかということで、逆に配偶者という立場を作ってしまう、あるいは専業主婦というような概念を持ち込んでいるということが、現実と非常に離れたというか、現実の状況と離れたことを人為的に持ち込んでいる。つまり、考えるべきは、婚姻しているとか、していないとか、結婚しているとか、していないとかということによって、女性のステータス、あるいは課税上のステータスを変えるということが問題であって、働いているか、働いていないか、いくら働いているか、働いていないかだけでカウントするという考え方を、間違っているかもしれませんけど、それが一つ。
もう一つは働けないかどうか。つまり、家族の世話、いわゆる子供の世話ですね。夫の世話というのはどうせどっちでもいいと思っていまして、これはちょっと失言ですけど、夫の一人のために専業主婦が一人ついて、洗濯したり掃除したりするというのは、労働力のロスだと思うのです。外に出たほうがいいから。
やはり一番重要なことは、育てるということに対する労力をどういうふうにどこまでやるか。その時に扶養控除というのは、女性側か男性側かどっちが使ってもいいと思うのですが、今だと世帯主が扶養控除を使うというようなイメージがあって、どっちが使ってもいいというふうにするのか、半分半分使うのか、扶養控除のとらえ方でもう少し何か明確なことが言えないかなと、そこがちょっと気になっているところです。
〇委員
前段のほうの住民税の負担のところでご質問がありましたから、お答えください。
〇事務局
16ページの資料ですが、作り方がちょっと変だったので申しわけないと思います。ここに挙げている清掃費、警察費、消防費というのは、いろいろな歳出の中でほぼ全員が受益しているだろうというものをピックアップしたということでございまして、実はもっとたくさんある。今ちょっと1人当たりトータルで数字が手元にないのですが、何十万もなっております。そういう比較の意味でこの数字は出しております。
では、地方歳出の中でここはどうあるべきかといいますと、実はよく昔3割自治とか言われまして、歳出の中で3割ぐらいを税で賄っていると。これが少し上がってきまして、4割ぐらいになっている。いずれは5割にしたいなというところなので、その税収の中でさらに住民税は、市町村でいきますと税収の中で3割程度のウエイトがあります。したがって、個別の歳出と、なかなか均等割を何%というのを理論的に導き出すのは難しいかなということで、先ほど申し上げたのは、昔は住民税の中で2割ぐらいを定額負担で取っていました。それがどんどん下がってきたという事実が一つと、皆さんが受益しているようなサービス水準のコストというのは、大体この程度ですよという意味でお示ししたのがこの絵でございます。
それから、フラット化の話でございます。実はどんどんフラットになってきておりまして、来年度の改正で税源移譲ということがあるわけですが、我々が目指しておりますのは、実はもう階段をなくする、できれば10%の比例税ということにしたいと考えております。その時の税収がどうなるかということにつきましては、今、三位一体改革というのをやっておりまして、3兆円程度地方税収が増えるような構造になっておりますので、所得税と調整した上で比例税にして、大体3兆円税収が増えるといったようなことを検討しておるところでございます。
〇事務局
ちょっと補足的に申し上げますが、均等割につきましては、過去は2割だったというのは、かなり高い比率でございまして、その後、高度経済成長の中で、所得割のほうがどんどん増えるものですから、自然増収があるということで、こういう定額課税というのは、上げるのは難しいということもありまして、どちらかというと放置といいましょうか、顧みられなかったということだと思います。
ということで、こういう非常に厳しい時代になってまいりまして、各方面から均等割は安すぎるのではないかというようなご指摘をいただいておりまして、私どもも確かにそうだなとは思うのですけれども、では均等割は一体いくらぐらいが適当であるのかということについて、確たる根拠もなければ何もないわけであります。ただ、今は1年4,000円というのはあまりにも安いのではないかという議論が行われておりまして、私どもも、どの程度がいいのかなと思いながら、若干誘導的ではありますけれども、16ページのこういうのを見ると、何となくいくらぐらいというのが浮かんでくるのかなということでこういうのを使っているということであります。
〇委員
いや、これでは全然だめだと思います。
〇事務局
それで、では所得割のほうをどれぐらい払っているかというのは、今の資料で10ページに、夫婦子2人の実際の税負担がこれぐらいになっていますというのは、所得階層別に一応資料を出させていただいておりますので、何か均等割について一定の考え方でもいろいろ打ち出していただけるのであれば、私どもとしては非常にありがたいなという気持ちですけれども、基準を何か出すというのは難しいかなという感じではおります。
〇委員
基準といえば、ほかのものも全部難しいですよ。何も均等割だけではないでしょう。
ほかにいかがでしょうか。
〇事務局
扶養控除のお話が出ました。所得税法上、当然扶養控除は夫がそれを使えば妻のほうは使えない。どっちかでと。これは所得控除なものですから、普通は所得の多い人から引いたほうが得なものですから、普通のケースでは、夫ということが多いのかもしれません。どちらで取られても結構でございます。
それに関しまして、先ほどの世帯をどう考えるか云々の、国税のほうの5ページ、例のフランスのN分N乗にちょっと戻っていただきたいのですが、要するに、家族についてどういうふうにとらまえるかというやり方と、課税単位をどうするかというのは、実は直接の関係はないのかなと。むしろ財産性とかそういうものがバックにあるということと、N分N乗方式であれ、所得控除方式であれ、家族に対する思い入れというのは持ち込みが可能であると。
ただ、唯一問題になっているのが、先ほどのAの個数の問題。今、扶養控除はどっちかが選べるというふうに申しました。当然、お子さん1人はAでいうと1個に当たるわけでございます。配偶者に課税にならない程度の所得がある場合、配偶者控除と配偶者の基礎控除がダブルで適用になる。これはアメリカの場合の解決として、家族の人数、基礎控除を1個ずつ権利として与えていく。日本の場合もそれに似たような制度を作ろうと思えば作れなくはない。そういう状況にあるということでございます。
〇委員
今の均等割の話ですが、主要論点メモにサラリーマンの妻の話が載っていないですよね。何か意味があるのか。長年言い続けてきたでしょう。
〇事務局
それは16年の改正で、生計同一の……
〇委員
ああ、直ったのか。
〇事務局
直りました。
〇委員
そうか、ごめんなさい。
それから、もう一つは、これも言い続けている話ですけれども、いわば税源移譲の一端として、均等割を「基礎的自治体」というのをわざわざ「基礎自治体」に直したぐらいなのですから、ぜひ市町村のほうに全額移す、移譲をするということをやっていただきたいと思うのです。前から言っているのですが、今回もぜひ、それは必要ではないかと思いますので、考えてみていただきたい。
〇委員
ご意見として承っておきましょう。何かそれについてございますか。よろしゅうございますか。
ほかにいかがでしょうか。今日新しく出た論点でご意見を聞いておいたほうがいいのは、例の公的年金から住民税の特別徴収のところ、これは財政学者はどう考えるのだろう。どうですか。つまり、所得税と介護は引いて、住民税も引いたほうが便利ではないかと。まあそうかもしれないし、何かご意見があれば。
〇委員
これは財政学的とか経済学的というのは関係ないですよね。そのほうが私はいいと思いますね。同じように特別徴収でいったほうがいいと思います。
ほかのところでよろしいですか。
〇委員
どうぞ。
〇委員
応益性を強化するというのは、ずいぶん以前から地方税の場合に言い続けてきて、一つは地方消費税というのが入って、全員が払うということになりましたですよね。そういう意味で、応益性のある意味一つの担保する手段になっている。
その時に、住民税の場合には税率の問題と応益性というのがどのようにリンクするのかというのが私もよくわからないですね。もちろん累進性は必要ないだろうと。つまり、再分配機能は持たなくてもいいのではないかという意味でフラット化するというのはよくわかるのですが、ちょっとそのあたりが、応益性というのをどうとらえればいいのかなと、私自身まだよくわかっていない。
ただ、タックスベースを広げるというのは、これはおそらくそういう意味では課税最低限をもっと低くするということと、それから、均等割があまりにも低すぎるのではないかという話と、もう一つ非課税限度額という制度ですね。これをどうするかというところで、応益課税的な色彩を強めるというところで、税のフラット化というところに応益性というのを結びつけると、少しいろいろな議論が出てくるのではないかという気がするのですが。
〇委員
ただ、地域住民一人ずつが等しく公共サービスを受けているという視点でフラットがいいではないかというぐらいでしょうね。話としてはね。ただ、そうなったら非課税はあるんですよね、住民税にもね。
ほかにいかがでしょうか。
〇委員
まず均等割の話ですけれども、やはり非常に額が低いのではないかと思います。
それともう一つは、所得がないからかけられないということはあるのかもしれませんけれども、成人した人にはすべてかけるということは、理論的に無理なのかどうかです。地方団体の場合は、行政の相当なパーセントが人口だけで経費を配ればいいという議論になって、比例しているわけですよね。そういう意味からいうと、地方団体の行政の恩恵を受けているのは、成人をしている人はすべて受けているわけですから、対象範囲を広げることはできないのかどうかということを聞いておきたいと思います。
それから、控除の関係ですが、私がよくわからないのは、人的控除をどうするかという話は所得税でもあるわけですけれども、住民税と所得税とどうして控除の額が違うのか。それは課税範囲を広げるとか、応益性とかという理屈はわかりますけれども、これから住民税のウエイトが高くなってくるわけですし、人的控除は国税と一緒ではいけないのか、もしどうしても差をつけるのなら、基礎控除だけ大幅に差をつけて、そこのところで課税最低限が違ってくるのですよという形にしたほうが、納得しやすいのではないかなということがあります。
そういった点から考えると、生保・損保などは、先ほど議論がありましたけれども、これはもう絶対やめていただきたいと思います。所得税になぜいまだに残っているのかというのもよくわかりません。
それから、公的年金からの特別徴収の話ですけれども、あの制度を作った時にいろいろ議論があって、その時に住民税の話が出てこなかったから制度として乗っかっていなかったのではないかという記憶があります。だから特別徴収は実現したほうがいいと思います。
〇委員
今の最後の特別徴収の話、もちろんそれは特別徴収のやり方をすれば、徴収率は上がるでしょう。ただ、私は前から申し上げているように、所得の発生のタイミングと徴収のタイミングをできるだけ小さくする努力は何らかの形でもう少ししてほしいと思っていまして、そこのところは実施が難しいということは何度も伺っておりますけれども、こういうふうに特別徴収を使っていくということは大いに結構ですが、その際にやはりそういう点は心がけてほしいと思います。
〇委員
論点メモの最初に強調されていますように、地方税というのは負担分任と応益原則であると。そうしますと、資料の4ページにある人的控除、先ほどもお話が出ましたように、何で所得税と住民税の金額が違うのか。これは負担分任だから少し少なめになっているという話ですが、そもそも所得控除や人的控除というのは、担税力を減殺する要因があるから差し引くわけですね。そうすると、基本的に住民税は応益課税であるといった時には、この所得控除や人的控除というのは、そういう発想からしますと、重要性が弱まるわけですね。なおかつ、国から申告書の写しなり源泉徴収票をもらってきて、それで計算し直して一々所得控除、人的控除の金額を直していくのでしょうけれども、その便宜を考えた場合には、思い切って半分ぐらいに、例えば所得税の38万円を19万円にするとか、別に5万円引くことには何の意味もないわけですから、それでしたら行政の便宜でできるだけ簡単にできるような形がよろしいのではないかと思うのです。場合によっては、本当はなしにしてもいいとは思いますけれども、それは難しいということでしたら、切りのいい形でスパッとやるのがいいかなと私は思います。
〇委員
先ほどの委員とは逆の話ですね。先ほどの委員に対していろいろ逆の話が出ることが多いから、ちょうどいい。
〇委員
そのことと二つ聞きたいのです。そこが今度税源移譲する時に大変な議論だと思うのです。ある意味で1階の10%部分を地方に持っていくと。その時に10%はいいけど、その時の課税最低限は違うのですよといった時に、国民がどこまでわかるか。もちろん、課税ベースを違えというのならば、それなりにもっと根っこから大きな改革はあり得るのでしょうけど、38万円の国税の基礎控除が33万円にするとか、あと税の仕組み自身は所得税も住民税も全く同じなわけですよね。今回税源移譲をやる時は、単に税源移譲だけではなくて、プラスアルファの改革を今議論しているわけですから、そこはどうするかということで、もし先ほどの委員がおっしゃるようにそろえたとすれば、非常にシンプルで国民にはわかりやすいと思いますけど、そうすると、国税の方を下げるのかという話にもなる。
それから、今日長い議論をしていて、税制第一課長のほうから新しい資料が出てきて、それは多分、今日はいらっしゃらない委員の方が所得の金額をログをとったらどうだという話があって、今日はそのかわりログはとらないで、ブラケット、人数が入ってきたのですけど、ぜひもう少し出していただきたい情報としては、絵としてはまず第一は、税源移譲をやるのですから、住民税と所得税を単純に合わせたらどうなるかということは一つある。そうすると、さっきから言っているトップのレートをどうするかという話がかなり鮮明になってくる。
あともう一つは、社会保険料もこの絵にのせたらどうだろうと。社会保険料というのは上限がありますから。ただ、今は標準報酬月額はなくなったんですよね。総給与から払うようになっていると思うから、絵はかけるはずですよね。そうするとよくわかってくる。
それから、第3点、もう少し言うと、これは払っていない人の情報がないんです。税金を払っている人しか出てこないので、それはほかのデータになるのでしょうけれども、払っていない人が何人ぐらいいるかというのをまず出してもらいたい。あとは、絵としてはそんなに変わらないのでしょうけど、夫婦子2人の世帯ではなくて単身の場合の絵をかく。3番目は公的年金世帯で同じ絵をかいてみる。というふうにすれば、我々が共有すべき情報が出る。
何が言いたかったかというと、トップのレートをどうするかということですけど、個人所得税、国のほうで1,400万ちょっと超える人たちが100万人で、その人たちは地方税を入れると、30、13ですから43%。そして社会保険料はどこで頭打ちになるかわからないのですけど、そうすると、この人たちは1万円限界的に稼ぐと、おそらく実効的にどのぐらいになるのでしょうかね、60%ぐらい取られてしまう。ある意味でこういう層に、もっと右に来てもらいたいわけですよね。みんな働いて豊かになって、早くこっちのほうに入ってきてもらいたいということで、そういう意味でいうと、やはりトップのレートをこれ以上上げることは、まだこれはトップではないですけど、それは可能かという個人的な意見があります。したがって、それは私の個人的な意見なので、そうではなくて共有すべき情報がまだ足りない。せっかくいい図が出てきたので、もっといい図にしてくださいということです。
〇委員
税制第一課長、払っていない人まで情報が得られますか。
〇事務局
横軸100のうち左側に払っていない非納税者というのを入れて工夫してみます。
それから、地方税と合わせるというのは、それぞれの人が何%ブラケットに、国と地方でそれぞれどうなっているかというのは、実はわかりません。ざくっとした絵はかき得ても、この国税庁のデータでは出てこない数字ではございます。
それから、公的年金の場合はほとんどゼロ、ベタで出るようになる。こういう絵になります。
〇委員
ぜひ書いて作っていただきたい。
〇委員
今のフラット化の件については、トップのレートを変えるというシナリオがもしあり得るとすれば……
〇委員
どっちですか。国税、地方税?
〇委員
両方合わせて。だから地方税は今13ですよね。それが10になるという件は、やはりすべての制度、フレームに非常に影響してくるので、やるとすればかなり早い段階で緻密な分析になるような情報がもっとないと困るというのが一つと、もう一つさっきの議論につけ加えですが、先ほど均等割の話で基準がないとおっしゃったのですが、これはおそらく住民サービスに対する支払意欲というものをどのように把握するか、あるいは地域による所得格差みたいなものも考えて、何%以内にあれば払えるのかとか、いろいろなサンプル調査をしてみないと、具体的なことは言えないと思うのです。
逆に例えば清掃費みたいなものは、環境税みたいな問題と関係があって、ここだけは均等割ではなくて廃棄物処理サービス税とか、こういう特別税でやるということもあり得るので、もし均等割を上げられないのであれば、そういうふうな方法も、中2階みたいな感じですけれども、必要になってくる。
そういうことを言っていると、今の三つの挙げ方もあまりにも雑すぎて、資料としてはこれ以上どうしようもないのか。私の感じでは、こういうふうな挙げ方では、とても均等割の金額を月額330円、2人で行くと8,000円ですか、そもそも安いとは言うけど、安いという以上に議論が進まないので、水道料金なんかですと、基本的には可処分所得に対して何%とか、あるいはかかった実額に対してどういうふうに払うかとか、いくつかの方法があると思うのですけれども、例えば清掃費だとごみ清掃費なので具体的な数字が出てくるのですが、警察とか消防というのは何とも言えない費用なので、これは別に扱うのかとか、そこの細かい基準の設定の仕方について、オープンな議論ができるような資料、あるいはシミュレーションでも、あるいは自治体ベースでも何でもいいのですけれども、作ることが可能ではないか。
逆にいうと、330円というのはあまりにも、環境税にもならないし、痛みにもならないし、税としての意識にとっても中途半端な金額で、サービス対応税にもならない。そこの方向性を出すには、ここのきちっとしたサービス対応額をはっきりさせるべきものと、そうでないもののニュアンスを細かくして、支払意欲との関係でいくら払えるかというような試算の方法とか、ぜひやっていただけないかと思います。ちょっと過分な負担ですが。
〇委員
ちょっと過分な負担かどうか知りませんが、自治税務局長、どうぞ。
〇事務局
16ページはやや直感的にといいましょうか、こういうのでも1人当たりこれぐらいかかっていますよと、それに対してはかなり低いのではないかというような、私どもとしてはそれほど厳密に考えて作ったのではないので、そう言われれば確かにそうかなと思うのですが、もともとどの経費と対応させるべきかということ自体がありませんので、どういう経費が1人当たりどれぐらいかかっているかというのを資料にしてということであれば、私どものほうでまた作りたいと思いますけれども、それがどの程度税率議論に有効であるのかというのは、もう一つわからないところがあるなと思います。
あと、ついでに申し上げますと、先ほど対象をもっと拡大できないだろうかという議論がございました。現に非課税限度額にしましても、この均等割については所得割よりは低くなっているということではあるのですが、やはり一部には逆進的な税金だから、あまり上げるのは反対だという声があることも事実でございまして、みんながみんな上げろという方向ばかりではないのかなというような気もしております。
それと、人的控除の話でございますけれども、これは例の応益性を強調するような今メモを作っていたわけでありますが、これがある程度税率が、税率とどう関係するのか確かに私もよくわからないのですけれども、フラットな税率になっていく、さらに一層応益性を高めるということになると、どちらかというと控除については、先ほどの先生がおっしゃったように、私どもの気持ちとしては、より小さくしていく方向ではないのだろうかというようなことを考えております。ものによっては、例えば廃止してもいいのではないかとか、いろいろ議論がございましたけれども、そういうようなことでいろいろご提案といいましょうか、書いたということでございます。
〇委員
ありがとうございました。
ぼつぼつ議論も出尽くしたようでございますが、よろしゅうございますか。
一応本質的な議論といいますか、やりとりする議論は今日で一応締めて、次回時間をいただきまして、主要論点メモを文章化していきたいと思っております。そういう意味で少し時間が必要なので、再来週になるかもしれませんが、次回は6月7日という形で考えております。
その時に、一応これまでの議論をいただきましたものでボキボキも出しましたので、それから、今日もいろいろな項目からでき上がっておりますメモが出ておりますので、一応文章にしたものをお諮りいたしまして、二つの小委員会に分けまして議論したいと思います。7日は1時から3時までが非営利の法人課税の合同会議です。その後3時-5時と個人所得課税。ちょっとハードになりますけれども、時間的に少し急がなければいけませんので、そういう形でお願いいたしたいと思います。
今日も確か次のスケジュール表が出ていると思いますので、それをご覧いただきまして、6月21日まででございますが、詰めた議論を行いたいと考えております。
最後に、今、新聞で話題になっておりますが、服装です。夏のクール・ビズの服装が税調にも及んできそうな話でもあるので、財務省の総務課長のほうからちょっとご説明いただけますか。私が説明するテーマでもなさそうなので。
〇事務局
お手元の資料の中に、「夏季の軽装について」という1枚紙が入っておりますが、4月28日の閣僚懇談会におきまして、政府として、地球温暖化防止とか省エネの観点から、6月から9月までの夏の間、原則としてノーネクタイ・ノー上着の軽装で執務をするという方針を申し合わせたところでございまして、ご了解をいただけますならば、6月、したがって次回以降の9月までの会合におきましては、税調に出席する私ども事務方の職員の服装につきましても、ノーネクタイ・ノー上着とさせていただきたいと考えておりますので、あらかじめご了解を賜れば幸いでございます。
〇委員
7日の日は、皆さんこの会場に来る人も、ノーネクタイ・ノー上着で来ようと、こういう提案になるんですね。考えてみると面倒くさいね、何を着てくるか。
〇委員
上着は別に着てきてもよろしいんですね。
〇委員
いいんじゃないですか。新幹線の人は冷房が……。冷房も少しは弱まるんじゃないですか。ここでネクタイを外せばいいじゃないですか。
では、今日はちょうど4時半にならんとしていますけれども、長時間ありがとうございました。そういうわけで、次回本格的に議論を行いますので、よろしくお願いいたします。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。