総会(第37回)・基礎問題小委員会(第46回)合同会議後の石会長記者会見の模様

日時:平成18年1月27日(金)16:06~16:19

石会長

今年に入りまして最初の税調を行いましたので、行われた内容につきまして、私の感想を交えて説明いたしたいと思います。

総会と基礎問題小委員会との合同でやりました。総会だけだとご出席いただけない方もいるので、基礎問題小委員会のメンバーも加えたわけであります。ねらいは、税調メンバー全員に参加していただいて、大きな問題から審議を始めたいということです。大きな問題というのは、これから歳出歳入一体改革の中で税制改革を進めていかなければならないということで、今日、主計局にも来てもらって、いろいろ情報を提供してもらいました。

2~3、感想でありますが、今日は非常に議論が活発でございまして、グッドなスタートであったと思っています。それから、税調としてもですね、歳出のむだであるとか、歳出カットであるとか等に非常に関心を皆さんお持ちなので、どういう形でこれから議論していくかというところが大きなポイントではないかと思っています。そこで、財政審との共同の作業が今後その視点から行われるわけであります。具体的には、同じテーマを扱う。それから、スピーカーを双方から派遣して、各々の調査会あるいは審議会の状況をお伝えする。いずれ詰まった段階で「長期試算」というのが歳出歳入一体の見直しの中で出てくると思われますので、その段階になりましたら、少し双方から人数を絞って意見交換会、一種のジョイントコミッティですね、そんな形でできるかどうか、これはまだ固まっておりませんが、財政審のほうの西室さんとも相談しながら、これから詰めていきたいと、このように考えております。

今日は主計局の岡本調査課長が持ってこなかったようなデータにつきましてもいろいろ関心があり、質問があったので、あの種の議論をこれから幾つか重ねていけば、おのずから歳出に関する共通の理解と、歳出削減に対する税調らしい議論ができるかと思っています。ただ、何度も申しますように、税調がそれほど歳出のトータルパッケージについて議論をするのは難しいので、あるデータを使いながら、税制改革にとって必要な点につきまして特に焦点を合わせまして議論したいと思います。

それが第1点で、第2点は、これから中期答申をつくる作業を次第に加速化させるわけでありますが、6月に経済財政諮問会議が歳入歳出一体改革という形で、恐らくギャップを具体的に出してくると思います。それから、今、財政審が「長期試算」というようなことも考えておりますので、いずれにしましても、税制改革に関するマクロの基本的なフレーム、これが恐らく6月ごろ出てくると思います。そのフレーム作りということにわれわれも関心を持ち、歳出歳入のマクロ的なデータを踏まえて議論しなきゃいけない。とりわけ社会保障改革であるとか、歳出の見直し論であるとか、その中には特殊法人の問題もあるでしょう。それから、個別の公務員人件費削減等々もあって、いろいろな問題があると思いますので、そういう議論をこれから6月までやっていきたい。

これが大体前半とすれば、後半は、それを受けておのずからどういう形で税制改革の中身に入っていくかということがあります。それをやりますので、6月以降、まあ8月は休むとしても、6、7、9ぐらいで中期答申の骨格を作り、まとめていきたいと思っています。

これ第2点なんですが、第3点としてあえて言えばですね、トータルパッケージで今後のあるべき税制ということを議論しなきゃいけないと思っていますので、消費税のみならず、今ある現存の税制、税目につきまして過去の問題点を全部洗い直しまして、今後どういう方向で議論を進めるかということをやっていきたいと思います。トータルパッケージの中で恐らく税収確保といったような意味の議論も出てこようかと思っています。

最後に、この税調3年間、随分精力的に議論しまして、かなり報告書も出しております。そういう意味で、これからの中期答申というものはかなりの部分が過去の議論におんぶできるのかと思っています。さはさりながら、今日もいみじくも出ましたけど、例えば新会社法というものがこの5月かな、施行します。そういうことでございますと、法人税について、やっぱりその状況の変化への対応をもう一遍議論しなきゃいけない。そういう意味で、新しい視点から再度、過去の議論にこだわらず議論をしなきゃいけない。とりわけ資産課税、相続税の問題でしょうか、所得再分配機能あるいは資産再分配機能というような再分配の機能について、所得税のベースも変わってきましたし、それで十分なのか等々の議論もあります。それから、逆進性が強いという消費税の負担を上げていくならその辺の問題もありますので、全く新しい視点から資産課税の検討等々をしなきゃいけない。そういう意味で、トータルパッケージで視点を打ち出すべきでないかと考えております。

それから、税調の最後でご承認をいただきましたが、明後日から1週間ほどごく小さなミッションをアメリカに出す予定で、私も参加してまいります。ねらいは、簡素、公平、経済成長促進と言われるアメリカの税制改革案の中身です。これがどの程度実現するかまだ分かっておりませんけれども、10カ月程かけて、ブッシュ政権の今後の税制の在り方を議論したものでありまして、報告書を見ただけでもだいぶ参考になるところがあります。その出来た背景等々につきまして、報告書だけでは読み取れないものについて確かめてきたいと思います。例えば、連邦段階で付加価値税を導入しようと一応考えたようでありますが、最後はそれは挫折いたしました。そういうのはなぜか。それから、所得税の所得控除ですね、これを税額控除にしていこうとか、所得控除の整理合理化を大幅にしようとか、あるいは法人税の課税ベースを広げようとか、いろいろなことをやっております。何よりも、アメリカも財政赤字を抱えているわけでありまして、一体税制でどのぐらいのことをやるのか。ニュートラルでやるようでありますけれども、その辺の背景も探ってきて、また税調の議論に参考にしたいと考えています。

今日は大ざっぱな話でございますので、そういう2~3の印象、今後のスケジュールについてお話ししました。以上です。

記者

中期答申に向けた今後の議論のスケジュール感みたいなのをもう一度細かくお願いします。それから、今回の中期答申のねらいですね、どういう性格の答申を目指して議論するか、この2点お願いします。

石会長

まずは前半、後半と分け、大きな基本的フレームワークを作るまで、われわれ自身の勉強等々を6月までやりたい。恐らく経済財政諮問会議、あるいは財政審でだんだんフレームが固まってくると思いますので、それを中心に、とりあえずこれからは、われわれ自身の目から見た歳出カットの在り方等々を議論したい。恐らく税調が表に出て、本来の仕事をするのは6月以降であり、大きなフレームが決まってからだと思っています。それは、恐らく歳入歳出のギャップというのがあって、必要なギャップの規模が決まれば、税制でやらなきゃいけないパーツがどのぐらいか、あるいはどうあるべきかが決まってくると思いますので、それとの兼ね合いでどの税でやるかといったような議論が出てくるのだと思います。

それから、中期答申のねらいですが、経済社会の構造も大きく変わり、社会全体がこれから少子高齢化に向かっていくだろうし、それから、財政赤字を抱えているという中で国民の税負担はどうあるべきか。これは税調としても、受益と負担のバランスについて国民に選択を委ねるということがあり得るんだろうと思います。そこで選択肢を作って、国民に参加を呼びかけるというような、そういう試みをしていかなければならないと思っています。そういう意味で、よく言われる増税一本やりに進むという話はなくて、その辺の国民の選択という視点から選択肢を用意して、幅広く国民的な議論が出来るような形での具体的な仕組みを作るのがわれわれの責務ではないかと思っています。それが秋以降で、中期答申には全体のフレームと同時に個別の税、それをトータルパッケージの改革として盛り込みたいと、こう考えています。

記者

最大の焦点は消費税なんですけれども、消費税についてこれからどのような形で議論して、最終的にはどこまでまとめたいとお考えなのか。

石会長

消費税が具体的に議論されるというのは、恐らく個別の主要な税目を議論する6月以降の段階で、所得税、法人税、消費税、資産課税等々の中の一つとして議論される。また、中期答申といっても5年とか6年とかというタイムスパンじゃなくて、10年とか15年のタイムスパンになると思いますが、その中で一体所得課税でやるのか、消費課税でやるのかというのを踏まえた議論になるだろうと思っています。消費税率が何%にすべきで、いつやるべきでといった話は、従来の慣行からいって、われわれの中期答申には具体的にはメンションしない。それはひとえに、政治家あるいは政治的な判断によるべきものだと思っていますので、それに対して税調は言うべき立場にないと考えています。これまで2けたにならざるを得ないといった大きな方向性は出しましたが、そういうような議論の仕方になると思います。

記者

経済財政諮問会議のタスクフォースで、歳入のワーキンググループが出来ています。そこと税調との関係がいまいちまだはっきりしないのですが。

石会長

独立に議論するということになっています。双方から何か情報を交換したり何かというのはあるのかどうか分かりません。目下のところ、一緒に議論を進めようというアイディアは全くございません。今のところあるのは、財政当局という形で存在する2つの審議会のリンケージを図るということでありまして、経済財政諮問会議とはその辺の話はございません。ただ、歳出歳入一体見直しのところは大きなマクロベースの議論が主であって、個々の税目の個別の中身に入った議論は多分できないし、しないだろうと思います。向こうで歳入のフレームワークを作っていただければ、われわれはそれをベースにして議論をするという一種の分業になると思っています。

(以上)