第37回総会・第46回基礎問題小委員会合同会議 議事録
平成18年1月27日開催
〇石会長
時間になりました。税調、久しぶりに再開いたしたいと思います。
しばらくの間、総会と基礎問題小委員会合同でやりたいと考えております。扱うテーマが広範囲にわたって、そもそも論の議論もしたいし、税調のメンバー全員の方からいろいろご意見を聞きたいということですので、最初から基礎問題小委員会というものをつくって細かくやるよりは、大きな視点から議論を進めていきたいと考えおります。
今、国会が始まっておりますが、税制改正案、予算案、この2つがこれからの審議の対象になりますので、11月に出しました我々の税制改正の案がどのような形で要綱に結びついているか、あるいは、それを踏まえて予算案がどうなっているか。今日は、主税、主計双方から関係の課長に来ていただきまして、その辺の説明を受けることにいたしたいと思います。そのあとで自由に、予算案あるいは税制改正案をめぐってご意見を賜り、今後の審議をどう進めるかということを踏まえていろいろなご意見を出していただきたいと思います。あとでも触れますが、中期答申をいずれ我々はつくらなければいけませんので、それを踏まえての議論が始まるということであります。
最初に、総務省に人事の異動がございました。これについてお手元に資料がございますので、ご参照ください。
それでは最初に、18年度税制改正案の概要を、財務省と総務省双方からご説明を聞きたいと思います。最初に永長さん、次いで株丹さん、国税、地方税に分けてご説明ください。
では、永長さん。
〇永長総務課長
それでは、お手元に「平18.1.27 総37-1基礎小46-1」というものがございます。この短い3枚紙を中心にご説明申し上げたいと思います。
お時間の関係がございます、早速中身に入らせていただきますが、1つ目の枠、個人所得課税でございます。2つございまして、1つが税源移譲です。「いわゆる三位一体改革の一環として行う所得税から個人住民税への3兆円の税源移譲に関し、所得税の税率構造を5%~40%の6段階に改める」。これは、「総37-3」という横の資料をご覧いただきたいと思います。その6ページです。改正案、現行という2つの箱がございます。現行制度は、ご案内のように所得税は10%、20%、30%、37%、個人住民税は5%、10%、13%となっております。後ほどご説明があると思いますが、個人住民税が10%になる。所得税が5%から40%の6段階に税率を変えようという話でございます。答申におきましても、前と後で税負担の変動が極力ないようにというご指摘を頂戴しました。
次のページをご覧いただきたいと思いますが、7ページでございます。所得税と個人住民税、税源移譲前と後で、ただ今申し上げましたような措置をとることによって、その差額、一番右の欄でございますが、独身のケースにおいてはどの所得階層においても全く一致する。ゼロ円単位で一致するということになっております。
次の8ページ、夫婦子2人のケース。これは全部ゼロにするというわけにいきませんでした。所得税と個人住民税の課税最低限と申しますか、控除の差がある。この分がどうしても効いてまいりまして、例えば夫婦子2人のケースで全部ゼロにしようといたしましたら、同じような所得階層のところ、すなわち1,200~1,300万円のところから、独身の場合は増税になってしまう。こういうことになってしまいまして、いろいろ検討いたしまして、このように多少ネットで減税になるわけですが、独身を基準にしてきっちり前と後で差がないようにしよう、このようにしたものでございます。
縦の「総37-1」に戻っていただきまして、個人所得課税、2つ目のマルが定率減税でございます。これも答申でご指示いただきましたように、18年分をもって廃止する、このようになっております。
次の2つ目の箱、法人関連税制です。これについて答申におきましては、15年度の税制改正において導入したIT投資減税等々、こういったものについては、現状を考えれば延長する必要はない、このような答申を頂戴いたしました。その答申どおり15年に導入した措置は廃止いたしております。
1つ目のマル、試験研究費の総額に係る特別税額控除制度、こうなっておりますが、これは横資料、分厚い資料の11ページをご覧いただきたいと思います。15年度におきまして、増加型に加えて選択制で総額型というものを入れました。過去のものよりも増えた分だけではなくて根っこからの研究開発、これを対象にしようということでございますが、3カ年の時限措置で2%上乗せをしておりました。ちょうど真ん中あたりに、2%、その下に「上乗せ」と書いてございます。その措置は右のほうですが、改正案、廃止させていただいております。しかし、増やして頑張っているところには報いようという新しい観点で、増加分については、10+5=15%の税額控除をしよう、こういう措置を講じております。
縦紙のほうにまた戻って恐縮ですが、2つ目のマル、情報基盤強化税制と名しておりますが、これにつきましては資料で言うと12ページでございます。15年度におきましては、IT関係の設備投資一般について税額控除等の減税をいたしました。その措置は廃止しております。代えまして、ここにございますが、一定の基準、ISO15408というのがありますが、情報セキュリティに対応しているもの、こういうソフトウェアを搭載しているコンピュータへの投資につきましては10%の税額控除を行う等々の、新たな措置を講じているわけでございます。
また縦紙に戻って恐縮でございます。中小企業投資促進税制に、ソフトウェアを加える新規の措置とか、交際費について、損金不算入となる範囲から1人当たり5,000円以下の一定の飲食費を除外する。これは実は仲間うちはだめとなっておりますが、それ以外の飲食については全額損金算入することができる、このようになっております。
さらに中小企業関係で言えば、同族会社の留保金課税制度、これも15年度改正で入れました措置は廃止いたしておりますが、新たに、今度は法人税法本法に同族要件の緩和とか、そういったことをやっております。
3つ目の箱、土地・住宅税制でございます。登免税につきましても、15年度改正で不動産に関する取引全般についての半減措置を導入しておりました。これもご指摘どおり廃止いたしております。
その上で、不動産一般ではなく土地に関しまして、そのうち取引一般ではなくて、売買と信託、土地の信託に関しては、最近、これを利用して有効活用が図られている。こういう政策性を持った分野に限定して税率を軽減する措置を新設しております。
さらに耐震改修の政策的要請ということで、特別控除を創設する。それから、生前贈与の住宅に関する特例、これを2年延長する。このようなことをしております。
2ページでございます。国際課税、国際的な投資交流の促進ということで、本年はイギリスとインドとの間の租税条約、合意に至って、これを受け皿として制度化しよう、こういう話でございます。さらに租税回避の防止のためということで、非永住者制度の見直しや、租税条約の規定に基づく情報収集制度の拡充、このような答申に書かれたことをやっております。
酒税・たばこ税です。お酒の分類、これはちょっと資料をご覧いただきますと、横資料27ページでございます。今まで10種類11品目ということで細かに分かれておりました酒類の分類を、発泡性のお酒、醸造酒、蒸留酒、混成酒、この4つに大括りをいたしまして、それぞれの括りに基本税率を設定する。その上で、現在ございますいろいろな酒類について特別に税率を張る、このようなことをしております。
4種類に大括りするとともに、税率の簡素化ということで、1つは28ページでございます。泡の出るお酒、発泡性酒類につきまして、現行、改正案、このようになっております。ビール、発泡酒以外、3つ税率があったものを1つにまとめる。その上で簡素化という観点から、通常売られている単位で、税金、税率が円未満のものがないように丸めよう、こういうことで発泡性酒類の中で簡素化を図っております。
同様に次の29ページ、これは醸造酒の世界でございます。清酒と果実酒の間にはリッター当たり70円の税負担格差がございました。かつ、ここにございますように端数がついておったわけですが、端数をなくす。かつ、70円の税負担格差を半分近くに持ってこようということで、日本酒につきましては20円50銭の減税、果実酒について9円50銭の増税ということで、その差が40円、半分近くになるということでございます。
3枚紙に戻っていただきまして、たばこ税でございます。これにつきましては、年末、税調でのご審議を頂戴しているときには、政府側のアジェンダにのっていなかったということもございましてご審議を頂戴しておりませんでした。その後、与党プロセスの中で種々議論がございました。
結果的には、後ほど主計局からご説明いたしますが、18年度予算編成、公債発行額を30兆円にしなければいけないという要請がございました。こういう要請から、財政物資としてたばこ税の税率を、国・地方合わせますと1本当たり0.852円。おそらく小売価格に対しては1本1円、1箱20円、こういうことになりますが、これを本年の7月から実施したいという案でございます。これによりまして、18年度、約700億円の増収が見込まれます。
その他、いろいろな措置を講じております。地震保険料控除、これは従前の損保控除を廃止し衣替えいたしまして、地震への備えという観点から新しい控除を創設しております。それから、寄付金のさらなる促進。また、公示、これも答申で言っていただきましたように、廃止いたしております。給与の源泉徴収票の電子交付、このあたりも世の中の流れに沿いまして、各源泉徴収義務者の事務コストもこれによって楽になる。会社法の制定、施行がございます。それに応じて種々の改正を行っております。
さらに、答申でもご紹介いただきましたが、「その他」の欄、相続税の物納につきまして、基準手続の明確化、迅速化、このような措置を講じております。
また、納税環境の整備につきまして、我々としてはきめ細かな対応をするということで、円滑な申告納税のための環境を改善するため、所要の見直しを行うということで、例えば、資料では47ページをご覧いただきたいと思います。ちゃんと納税・納付はしたけれども、たまたま事務上のミステイクで申告が遅れてしまったという場合に、税金は納付しているけれども申告書が行かなかったということで、これは無申告加算税を課すことになっている。これは考えてみたらあまりにせつないということで、それを猶予できるような規定を設けようということにしております。
次の48ページにつきましては、当調査会でもご審議いただきましたが、いわゆる無申告のケースがインターネット取引等で散見されることを踏まえまして、この割合を5ポイント上乗せして20%にする、このような措置を講じております。
以上でございます。
〇石会長
では、株丹さん、お願いします。
〇株丹企画課長
地方税、それから、地方財政も若干合わせてご説明させていただきたいと思います。資料は何種類かございます。今回の地方税の改正の中で一番大きなところは税源移譲ですが、これと関連がございますので、先に「地方財政関係資料 総37-7基礎小46-7」という縦の資料をまずご説明させていただきたいと思います。
1枚めくっていただきますと、「地方分権の推進と三位一体の改革」というこれまでの流れを載せてございます。昨年末の年度答申後ですけれども、下のほう2つ、特に17年11月30日の段階におきまして、「平成18年度までの三位一体の改革の全体像に係る『政府・与党合意』」というものが形成されたわけでございます。
次のページにその内容を抜粋で挙げさせていただいております。この合意におきまして国庫補助負担金の改革が最終的に決定されて、対応して、税源移譲について3兆円規模が確定したということになってございます。
次のページをご覧いただきますと、その後、昨年末の12月27日ですけれども、閣議で口頭報告がございました。16年度から18年度までの3年間の「三位一体の改革」の成果というものがまとまったところでございます。国庫補助負担金の改革につきましては、税源移譲につながるもの以外にも、スリム化あるいは交付金化のものが入って4.7兆円。税源移譲につきましては、約3兆円。また、地方交付税改革につきましては、総額の大幅な抑制ということで5.1兆円ほどの減という内容。さらに制度の改革もあるということでございます。
その関連の資料が幾つかつながってございまして、7ページには、18年度の地方財政の姿が4つのポイントでまとまっております。歳出を厳しく抑制すること、あるいは地方一般財源の総額を前年度を上回って確保すること、決算のかい離についてはこれまでたびたび指摘があったわけでございますが、その大幅な同時一体的是正、さらには、財務体質が着実に改善されるというようなポイントが挙げられているところでございます。
これを受けまして、地方税の関係のご説明をさせていただきたいと思います。資料の流れでいきますと若干戻る形になりますけれども、「平成18年度地方税制改正(案)について 総37-4基礎小46-4」という縦の資料がございます。こちらのほうで概要がまとまってございます。ただ、国税ほどボリュームが多くないものですから、これをちょっと横に置いていただきまして、「総37-6基礎小46-6」という横置きの「資料(地方税関係)」でご説明させていただければと思います。
1ページ目は、地方財政計画額ベースの税収の推移。一番右端が18年度でございますけれども、34兆9,000億円ほどである。その内訳につきまして次のページに掲げさせていただいております。主な税目ごとに数字を挙げさせていただいておりますけれども、16年度の決算額がA、17年度の計画額がB、これに対して現行の18年度の制度で見込んだ場合の額がCということで、約34兆8,000億円ほどでございます。税制改正に伴う増減収の見込みは1,275億円ほどで、合わせたところ、Eの欄が先ほどご覧いただいた34兆9,000億円ほどという数字になるわけです。税目ごとでいきますと、固定資産税については評価替えの影響で、ある程度の減になるわけですが、個人住民税あるいは法人関係の税の伸びによりまして、トータルでは4.7%の伸びになるということでございます。
なお、詳しい内訳、あるいは平年度ベースの増減、税制改正の影響額につきましては、別な冊子、「総37-5 地方税制改正(案)要旨」の最後のほうにつけてございますので、またご覧いただければと存じます。
恐れ入ります、税源移譲の関係、この横置きの資料で少しだけご説明させていただきたいと思います。3ページは、これまでよくご覧いただいております所得税と個人住民税の税率構造(現行)の図でございます。先ほど永長課長からご説明がございましたけれども、4ページが、改正できました場合の所得税と個人住民税の税率構造のいわばイメージでございます。個人住民税については一律に10%、所得税のほうで個々の納税者の税負担を変動させないという観点から、税額構造を考えていただいたということでございます。
なお、左側のほうにございますけれども、これまで個人住民税だけが上がっているということから増税になってしまうという問題もございまして、減額措置等によって対応しなければいけないという部分、特に図示させていただいております。
5ページは、既にご覧いただいた税源移譲前後の税率の構造でございます。
6ページは、人的控除額の差、所得税と個人住民税では人的控除に差がございますので、どうしても単純に税率を変えるだけでは負担増が出てしまう。それを調整するための減額措置をとるものでございます。
7ページ、8ページにつきましては、先ほど既にご覧いただいた資料でございます。
9ページでございます。これは地方税独自の話で、個人住民税ということでご説明しておりますのは、都道府県、市町村の2つの税からなっております。現在の税額構造については、9ページの図のような形になっています。これが全体として10%に変わるということですので、その内訳を決める必要がございました。
10ページをご覧いただきたいと思いますけれども、結論的に申し上げますと、今回トータルで一律10%の際には、都道府県が4%の税率、市町村は6%の税率というふうに決まったところでございます。これは、上の表に、移譲前の税収と、国庫補助負担金改革額(A)となってございます。その影響を勘案して率を決めさせていただいた。厳密に言いますと、市町村に1,000億円ほどプラスが生ずることになるわけです。
若干飛ばしまして、12ページには税源移譲の年次進行のイメージをつけてございます。今ご覧いただいた個人住民税の制度、実際には19年度以降にこれが増収になるということで、18年度は、引き続いて所得譲与税でもって対応させていただくということでございます。内容的には、これまでの政府税調の答申の趣旨に沿った形でセットできたのではないかということでございます。
13ページは同じく個人所得課税ですが、定率減税につきまして、所得税と同様、廃止させていただくということで資料をつけさせていただいております。
14ページ、15ページの関係でございます。14ページには、所得税と同様でございますが、地震保険料控除を創設させていただくというもの。
15ページは、新しい話ですが、住宅の耐震改修に伴います固定資産税の減額措置をつくるという資料をつけさせていただいております。個人住民税につきましては、これまでの答申の中で、政策誘導的な色彩の強い控除については抑制していくという趣旨でご答申を頂戴しております。固定資産税で住宅耐震改修についての減額措置で対応させていただいたということで、個人所得課税では税額控除はとらなかったとご説明できようかと思っております。
16ページ以降に固定資産税の資料をつけております。17ページをちょっとご覧いただきたいのですけれども、固定資産税につきましては3年に1回の評価替えの年でしたので、答申では、特に土地に係る固定資産税についての負担調整措置を一層促進する必要があるというご趣旨を頂戴してございました。17ページでまいりますと、[1]で書いてありますこと、[2]の条例減額制度、この辺は従前どおりでございますが、[3]負担水準が低い土地について、従来よりも制度を簡素化して、均衡化を一層促進する措置ということで対応できたと考えております。細かいご説明は省略させていただきたいと思います。
21ページに飛ばしていただきたいと思います。先ほど登録免許税の話がございました。21ページは不動産取得税についての資料です。これにつきましても、現行の特例、標準税率4%のところを3%にしているわけですが、これを延長する必要はないということで答申を頂戴しました。いろいろ議論の結果でございますけれども、「店舗、事務所、商業地等」と書いてあります部分の家屋のところ、特例措置は廃止して、原則、本則のほうの4%とさせていただく措置をとらさせていただいたところでございます。
最後の22ページは、これも先ほどご説明がありましたけれども、たばこ税の関係です。地方におきましても税率の引上げという決着になったところでございます。
なお、資料には挙げてございませんが、答申を頂戴してございます個人住民税均等割の税率の引上げ、さらには、同じく個人住民税で公的年金からの徴収の問題。いずれも与党において検討事項ということで整理されましたので、我々としましては、今後、ぜひ機会を見てこれの実現に向けて努力させていただきたいと思っております。
簡単でございますけれども、地方税制の関係の説明は以上でございます。
〇石会長
ありがとうございました。ここで質疑応答ということも考えられるのですが、予算案というのも今の税制改革案と絡んでいますので、岡本調査課長から一括、18年度予算案の概要についてご説明いただきまして、歳入・歳出両面の質疑という形にしたいと思います。
では、岡本さん、お忙しいところをすみません。よろしくお願いします。
〇岡本主計局調査課長
私のほうから、「総37-8資料(平成18年度予算関係)」という資料に基づきまして、現在審議中の平成18年度予算案について概要をご説明させていただきます。
この資料、2ページをお開きいただきたいと思います。「平成18年度予算のポイント」というところでございます。平成18年度予算の予算編成におきましては、これまで続けてきております歳出改革の路線、これを堅持するとともに、さらに強化するということで、大きく2つポイントがあると考えております。内閣としてこれまで取り組んできております様々な改革、例えば医療制度改革であり、三位一体改革、特別会計の改革、総人件費の改革、こういった様々な改革の成果をきちんと反映させるという点が一つ。もう一つは、予算の中身について徹底的な見直しを行うことによりまして、歳出全般の見直し、予算の質の向上・効率化をさせるといったことに取り組んだというものでございます。
まず、予算全体の姿でございます。2ページの表、下からで恐縮ですけれども、下から2段目の箱、一般会計歳出総額をご覧いただきたいと思います。18年度、79兆6,860億円ということで70兆円台。平成10年度以来8年ぶりに70兆円台の歳出規模になっております。減額も、前年から比べまして約2兆5,000億円の減ということで、一般会計の減額自体も14年度予算以来4年ぶりということでございます。
その一つ上ですけれども、この歳出のうち大宗を占めます一般歳出、46兆3,660億円ということで、前年から比べて9,000億円の減になっております。前年も約3、500億円の減でございましたが、2年連続の減額と。今回、大幅な減額になっております最大の要因は、先ほどご説明がありました三位一体改革、この税源移譲に関係いたします補助金等の削減で1兆2,000億円の減額となっております。
一方で、例えば児童手当の拡充とか、年金の国庫負担の引上げといった増要因が3,000億円程度ございました。いわばこの2つの差し引きで、全体9,000億円の減ということになっているわけでございます。
ただ、実際には高齢化に伴いまして、18年度におきましても、社会保障関係費が約8,000億円程度の自然増が見込まれている中での予算の編成でございました。そういったことから、8,000億円程度の自然増が見込まれる中で、実質、ほぼ前年プラマイゼロ程度まで圧縮したというのが一般歳出の姿でございます。
一つ上、地方交付税等です。地方歳出につきましても圧縮ということで、地方交付税の抑制を行っております。地方交付税等は14兆5,584億円ということで、前年から比べて1兆5,000億円の減額となっております。右側に書いておりますように、この中には税源移譲予定特例交付金、義務教国庫負担金の取扱いに関して、前年度計上されておりました交付金が税源移譲のほうに移りますので、それが削減されるというものが6,292億円含まれております。なお、現実に地方に配分される交付税と地方税という、いわば一般財源という形では対前年度プラスが確保されているということでございます。
一番上、税収でございます。先ほどご説明がございました要因を織り込みまして、45兆8,780億円ということで、17年度の当初予算に比べて1兆8,710億円の増。なおこの中には、右側に書いておりますが、今回、税源移譲によりまして、所得譲与税ということで1兆8,930億円が所得譲与税のほうに回っておりますので、実際にはこれを加えたところが実質的な対前年度から比べた増という形になります。
税外収入につきましても、できるだけの確保を行った結果、国債発行額につきましては29兆9,730億円、30兆円を下回る水準ということで、これは13年度予算以来5年ぶりであります。なお、前年からの減額は4兆4,000億円で、これは過去最大の減額幅でございます。
ご案内のとおり、今回、予算編成におきましては、総理から国債発行額30兆円を目指すように、近づけるようにというご指示を踏まえて編成に取り組んでまいりまして、今申し上げたような歳出の削減、抑制等々によりまして、30兆円を下回る数字を達成できたということでございます。これによりまして公債依存度が37.6%ということで、17年度の41.8%から低下した。ただ、依然高い水準であることには変わりはございません。
一番下の段でございます。一般会計のプライマリーバランス、基礎的財政収支でございますが、11兆2,114億円ということで、前年の約16兆円の赤字から4兆7,000億円程度改善しております。これは、歳出・歳入両面からの効果によって改善しておりまして、16年度予算から続けて3年連続での一般会計のプライマリーバランスの改善というふうになっております。これが全体の姿とそのポイントでございます。
以下、中身につきまして概要をご説明させていただきます。
3ページをお開きいただきたいと思います。先ほど申し上げた今回の予算の大きな柱として、内閣として取り組んできた改革の成果を反映させるということで、一つは、医療制度改革ということでございました。これは、保険料や税負担といった国民負担の増加を極力抑えて、医療保険制度自体を持続可能なものとしていくためにさまざまな改革に取り組んだということです。下に幾つか書いておりますが、制度改革を幾つか行う中で約900億円の削減をしております。その内容につきましては下に書いておりますように、メリハリのある給付の内容・範囲の見直しということで、例えば70歳以上の高齢者の患者負担の見直しとか、ここに掲げてあるような様々な改革を織り込むことにしたわけでございます。
一番大きいのは、[3]のところに書いてあります診療報酬の改定でございます。診療報酬本体として概ね1.4%のマイナス、薬価1.8%の減ということで、全体で概ね3.2%の改定を行うことといたしまして、これによって2,390億円、予算が削減される形になっています。また、診療報酬改定によりまして、実際の国民の自己負担分、こういったところも減額されるということになるわけです。
右側は三位一体改革でございます。先ほど総務省からもご説明がありましたとおりで、補助金改革につきましては18年度の4兆円を上回る改革を実現するといった中で、今回の改革も加えまして、4兆6,000億円強の補助金改革。これを踏まえて3兆円規模の税源移譲を実現するということでございます。
また交付税改革につきましても、地方歳出の見直し、これは5年連続の減ということでの見直しを行う中で、国と地方が折半負担する財源不足が、前年度4.3兆円であったものが1.4兆円に圧縮されるという中で交付税の抑制を行っているということでございます。
次のページで、今回、特別会計の改革に取り組んでいることが一つ大きなポイントでございます。特別会計につきましては、財政制度等審議会におきましても各特会の制度にさかのぼった見直しということで、特別会計そのものの制度の見直しをすることにしております。箱の一番下ですけれども、その方針と改革の工程表を決めております。今31あります特別会計を、今後の見直しによりますけれども、2分の1から3分の1程度に縮減する。今後5年を目途にそういった改革を行っていくことにしております。
そういった中で、18年度予算におけるその成果ということでございます。ちょっと前後しましたが、一番上のところでございます。まず、各特別会計にございます積立金、剰余金を洗い直す。これは資産、国債の管理という観点から、各特別会計の資産の洗い直しという観点からも行われたものでございますが、この中で特に大きいのが、財政融資資金特別会計から12兆円を国債整理基金特別会計に繰り入れるということを行っております。財政融資資金特別会計におきましては、金利の低下局面の中で利益が発生しておりますけれども、逆に金利が上昇する段階では、逆ざや、マイナスになるということで、それに備えた金利変動の準備金というものを積み立ててございました。
これが約24兆円近く積み立てておりまして、全体の規模からいくと、もう少し積み立てを行う必要があるというご指摘をいただいておったのですけれども、一方で財投の見直しの中で、かなり全体の規模が圧縮されてまいりました。そういったことを踏まえまして、この金利変動準備金の約24兆円のうち12兆円につきましては、準備金を圧縮してこれを国債整理基金特別会計に繰り入れる。
この趣旨といたしましては、12兆円はあくまで一時的に発生する資金でございますので、むしろこれを国債整理基金特別会計に入れることによりまして、公債残高の償還に充てるということにしたものでございます。
例えば、外為特会などにおきましてもできるだけ一般会計に繰入れをしてもらう。あるいは他の特会におきましても、これまでの積立金、剰余金を洗い直しまして、ここに掲げてあるような金額、こういったものを一般会計に繰り入れることにしております。
また特別会計の歳出、よく、はなれでスキヤキと言われたものですけれども、特別会計の歳出につきましても徹底した見直しを行いました。特別会計、400兆円強の歳出とよく言われるわけですが、この中には各会計間の重複がありましたり、また、国債償還に充てられるものがありましたり、あるいは社会保険の給付に充てられる。こういったものを除きますと、17年度の歳出は17.2兆円であったわけですけれども、これを対象として歳出の徹底的な見直しを行いまして、ここに書いておりますような、人件費、事務費の削減等々を行ったところでございます。
右側が総人件費の改革でございます。今回、「厳格な定員管理による5年間で約5,000人以上の純減」を図るという政府の決定の初年度として、大幅な純減を確保するといったことで、非現業の公務員で見ますと1,362人の純減。これは、過去5年間平均の約2.7倍に当たる純減を確保したということでございます。
また、給与そのもののあり方の見直しも実現していくことにしておりまして、こういったことによる人件費の改革を着実に進めていくことにしております。
また一番下でございますが、基金等の見直しということで、例えば、過去に国の予算から支出されて公益法人に基金として積み立てて、それで政策の事業に充てていたものがございます。そういった事業がほぼ終わりかけてきて、実際には当初の見込みほど出なかったという事業、基金についてその見直しを行いまして、これはさらに行ったとしても剰余が出るだろうといったものにつきましては、国庫の返納を今回行っております。18年度予算におきまして、1,195億円の国庫返納を行っております。
次のページでございますが、全体の予算を圧縮する中で極力メリハリをつけるということで取り組んでおります。ただ、全体を厳しく抑制している中でございますので、主要経費ごとにご覧いただきましても、若干のプラスになっておりますのが、社会保障関係費と、文教及び科学振興費の全体のマイナスの中にある科学技術振興費プラス1.1%、それ以外は全体をマイナスに抑制する。そういった中で、5ページ、6ページに掲げてありますような重点施策につきましては、極力必要な予算の伸びを確保するといったメリハリづけにも取り組んでいるということでございます。
7ページをちょっとご覧いただきたいと思います。最初申し上げた2つの柱のうち、もう一つの予算の中身、質の向上ということで、Plan、Do、Check、Action、マネジメント・サイクル、このサイクルを徹底するといったことでいろいろな取組みを、今回、強化しております。
一つは予算執行実績の反映というものですが、これは、予算の計上と実際の執行にズレがあるのではないかというご指摘がございました。これを踏まえまして、予算の積算内容と執行実績、これの中身をチェックすることで予算にきちんと反映させるという取組み、これは全体で662億円、そういったものを反映させてございます。
また予算執行調査の反映、これは、既につけております予算、これを担当者が現地に赴きましてその執行状況を調査して、そこで見た問題点等々を実際の予算に反映させるといったようなことで、17年度は53事業についてそういったことを反映させるというものでございます。
次のページでございますが、会計検査院や、国会の決算の審議等々で、様々なご指摘を頂戴しているものをきちんと予算に反映させるということで、先ほどご説明した公益法人の基金の見直し、これはまさにそういったご指摘をいただいていたものでありますけれども、そういったものをきちんと予算に反映させる。また、政策評価の活用といったものも強化しております。
また一番下でございますが、行政経費効率化ということで、額は一つ一つは細かいものでありますけれども、こういったところまで見直しを行いまして行政経費の見直しの徹底を行っております。
以上が全体、18年度予算の概要でございます。
9ページをご覧いただきたいと思います。18年度予算は歳出改革をさらに強化するといったことで取り組みました。ご案内のとおり、今後、政府におきましては経済財政諮問会議を中心に歳出・歳入の一体改革の検討が行われることとなっております。この18年度予算は、これまでのそういった財政健全化に向けた取組みを進めることによりまして、今後の歳出・歳入の一体改革の議論の土台固めを行ったというふうに思っております。
さはさりながら、財政の事情で申しますと、公債依存度が低下したといいましても、引き続き非常に高い水準にあることは間違いございません。30兆円を下回る水準になったといいましても、これもまだ非常に高い数字になることは間違いない。基礎的財政収支が3年連続で改善してきておりますが、今後を見た場合、黒字化へ向けての道のりは決して容易ではないと考えております。今後、さらにそういったものの検討を踏まえて、歳出・歳入の一体改革の議論、こういったものをしっかりと行っていく必要があるというふうに考えているところでございます。
10ページ以降は、今申し上げたご説明の関係資料でございますので、参照にしていただければと思います。
以上でございます。
〇石会長
ありがとうございました。
今日は事務局から実に手際よくご報告いただいたので、予定の時間よりだいぶ早くなりましたが、残った時間、1時間強ございます。その中で、今日の予算案あるいは税制改正案をベースにいたしまして、今後、我々の税制改革の議論をするにあたっての様々な基礎条件なるものをご検討いただきたいと思います。
とりわけ、税制改正を全体的に見直さなければいけないということでありまして、税制だけではなくて、歳入あるいは歳出、その一体改革が行われております。そういう意味で今日は岡本さんに来ていただいて、歳出面からも、どういうことが起こったかということをご説明いただいたわけであります。財政全体というと、社会保障の改革とか、俗に言われます歳出カット、この実態がどうなっているかというあたりも、この税調でも行革なり歳出削減が不十分だという声が度々出ております。歳出面の改革は幾つか進んでいるようでありますが、今日のこのような資料をご覧いただきまして、さらに踏み込むべきところはどこだというような点をご指摘いただきたいと思っております。そこで、今後どう進めるかというような議論になると思いますが、あらかじめそういうことも踏まえてご議論いただけたらと思います。
質問でもご意見でも結構でございます。今日は最初でございますが、積極的に意見を交換したいと思います。どうぞ、どなたからでも結構です。
どうぞ、村上さん。
〇村上委員
岡本調査課長に伺いたいのですけれども、主計局だけの問題ではないかもしれませんが、これから政府税調でも消費税を含む増税の問題が出てくると思います。一方で巷での議論では、いわゆる増税ということではなくて、一定の国債発行を続けることでいいのではないかと。日本は債権国であって、債権債務の関係で言えば、政府と民間、国内のバランスが崩れているだけで対外的には問題ないのではないかという議論があります。そういう中で消費税を増税することになりますと、そういう議論が出てきてしまうわけです。
そこで伺いたいのは、いわゆる基礎的財政収支の目標で、国債発行が増えれば金利は上がっていくことが考えられますけれども、金利負担と税負担を含めたバランス、その辺を、一昨日でしたか、後年度試算の見通しが出されていましたが、あのようなものをもうちょっと包括的に、例えばプライマリーバランスとの関連で、これが一番バランスのいい姿なのだというようなものを示されれば議論になりやすいのではないかということが一つです。
もう一つは、医療費と年金です。そのうちの医療費は今説明を伺った程度では詳しくわかりませんが、改革と言えるものではないように思うのです。その場合に、この政府税調でも出ていますが、出来高払いの廃止とか制限、そういう目に見えた社会保障の歳出抑制、それができないのかということで、それは検討されたと思いますけれども、その辺はどういうことだったのでしょうかということを伺いたいと思います。
〇石会長
では岡本さん、よろしくお願いします。
〇岡本主計局調査課長
まず1点目のご指摘でございます。委員ご指摘のとおり、基礎的財政収支といいますのは利払費を外したところで出てくるものでございます。そういった意味で、金利がどう動くかということとはまた別の世界になっております。実は今回、経済財政諮問会議におきましてもそういった論点が提示されていますけれども、今後、財政の姿を考えるにあたりましては、そういった利払費も含めた財政全体の姿を見ていく必要があるのではないかという問題意識が提示されていると私どもは理解しております。
すみません、今日、ちょっとご準備していなくて申し訳ございませんでした。今ご指摘ありました「後年度影響試算」においても示されていますけれども、例えば成長率が1%余計上がることによる税収増は、弾性値を1.1と仮定いたしますと約5,000億円になるわけでございます。一方で、今、国債の残高が500兆円を上回る水準になっております。毎年、160兆円程度の国債が金利上昇の影響を受けるので、仮に1%金利が上がりますと利払費が1.6兆円程度増える計算になるわけでございます。こういったことを見ながら議論していく必要があると考えております。最近の諮問会議での議論を見ておりましても、基礎的財政収支の黒字化というのはまず一里塚である、そこから先をまた見て議論していかないといけないというご指摘がされておりますが、それはまさにそのとおりだというふうに思っております。
また、ご質問の前段のほうで、一定の国債発行を続けていっても問題ないのではないかという議論につきましては、たしかにこれまで大量の国債が出ている中で、必ずしも金利が上昇しているわけではないという面をとらえましてのそういった議論があるというふうに私ども理解しておりますけれども、一方で、最近のマーケットの関係者のご指摘の中にも、家計の貯蓄率が非常に低下してきている中で、今後、政府部門がこういった借入を続けていくことは、国内の資金の流れの中で本当に可能になるのであろうかといったような指摘もなされております。
今後、高齢化が進んでいく中でより家計の貯蓄率が下がっていく。現在のように企業部門が資金余剰を続けられるのかどうかといったことを考えますと、このまま国債発行をある程度続けていっていても大丈夫だというような安易な議論にはならないのではないか。またその結果として債務残高は、今申し上げたように地方も合わせますとGDPで150%にまで膨れ上がっているわけでございますから、そこはしっかりとした財政の健全化の道筋をきちんと示していく必要があると思っております。
2点目の医療の問題でございます。予算編成の過程におきましても、年々、非常に高い伸びを続けております医療の給付、これを抑制しないと制度自体の持続可能性がないということで様々な議論を行ってまいりました。そうした中で今回示された改革によりまして、厚生労働省におきましても、今後、これで一定の医療の給付費をこの程度で抑えるという一つの目安を示しております。それに向けて今回決めた改革をしっかり実行していくということになるわけですが、その中で、その改革の成果が十分あらわれない、十分そういった目安まで抑えられないということなりますれば、それはさらなる見直しを行うということで今回の制度の中での認識になっておりますので、今後の状況を見ながら、必要な改革をしっかりやっていく必要があるというふうに考えております。
〇石会長
岡本さん、中期展望とか、例の金利と税収の関係、あれは今日の資料に入っているかと思ったら、用意はされていなかったわけですね。マクロの歳出・歳入のバランス、それは非常に重要なので、いずれ機会を見て、あるいは諮問会議の「改革と展望」、ああいうものももう一回やっていただく必要があるかもしれませんね。お願いいたします。
〇岡本主計局調査課長
承知いたしました。
〇石会長
ほかに、どうぞ。
〇川北委員
今の質問に関連してですけれども、プライマリーバランスはこの資料を見ますと順調に赤字は減ってきています。昨年度は3兆円、今年度は4兆7,000億円も減っていますから、この調子で行けばかなり目標は達成されるのではないかという気がしますけれども、「改革と展望」で、今度1年早めて2011年度にと。これは報道されているのを読んだだけですが、私は本体の資料を読んでいないのですが、これは閣議決定の対象になっている本文ではなくて、参考資料でそういうふうになっているのでしょうか。
〇岡本主計局調査課長
はい。ご指摘のとおり、この「改革と展望」は文章が閣議決定されておりますが、ご指摘のような試算値というのは内閣府が参考資料としてつけておりまして、これは閣議決定の対象ではございません。
また、その中におきましても、2011年に前倒しされたというよりは、実は今回の「改革と展望」、今日はすみません、資料がちょっと手元になくて、また別途ご説明させていただきますけれども、今のままでいきますと、やはり2010年代初頭におきましても当然のことながらプライマリーバランスの赤字があるわけです。それを、ここ近年続けてきております程度の財政収支の改善努力、これを内閣府の試算におきましては、ここ近年のそういった平均的な努力の幅をGDP比0.5%程度の改善というふうに仮定を置いております。それを続けていきますと、2011年には国・地方合わせたプライマリーバランスが黒字になるという試算を示しております。
ただ、0.5%ずつの改善というのは中身があるわけではございません。内閣府の試算の中では、いわゆる裁量的経費、公共投資、ODA、科学技術振興費、そういった経費を毎年5.5%ずつ削減していくことに等しいことを意味しているということが書かれております。これは2011年までの間に、そういった裁量的経費を約25%から3割程度削減することを意味するものだというふうにそこに書いてございます。
〇川北委員
いずれにせよ、2011年度にプライマリーバランスが黒字化するということは、増税は前提にしていなくて歳出削減のみでということですね。
〇岡本主計局調査課長
今申し上げたように、0.5%程度の改善努力ということは実はその中身は書いてございません。これを裁量的経費の削減ということに置きかえてみると、実質3割程度の今申し上げたような経費をすべてカットしてしまうことに相当するという書き方をしております。委員ご指摘のとおり、例えば税制改革とか、具体的な歳出削減で何をやるとか、そういったことは一切そこには書かれておりません。そういったこともありまして2011年というのは、延ばしていくとそうなっているということで、これは決して目標年次ではないということも内閣府の資料には書かれております。
〇石会長
毎年5.5%削るということは主計局として可能なのですか。その辺、どう見ているのですか。
〇岡本主計局調査課長
これは裁量的経費でございますので、今申し上げましたように、公共事業だけでなく、ODAとか防衛関係費とか、そういったものをすべて含めた経費を、平均で5年間で5.5%ずつやっていきまして3割近くを削減するということでございます。歳出削減はこれからも取り組んでいく必要があると私どももちろん考えておりますけれども、それが現実的な姿かと申しますと、なかなか国民からもそうだとは言えないのではないかというふうに感じております。
〇石会長
ほかの点でも結構でございます。どうぞ。
〇丹羽委員
特会についてお聞きしたいと思います。これから5年で特会を2分の1から3分の1程度縮減して、独法化するとか、一般会計に統合するとか、特別会計同士の統合とか、いろいろな改革が行われていると思います。今回もご説明の中にありましたけれども、一般会計は、34兆円くらいの国債の発行が今度30兆円ということになりましたが、特会のほうは、17年度に比べて予算として国庫予算の歳出総額が幾らで歳入が幾らで、それが前年に比べてどうなったかというご説明をお願いしたいと思います。
〇大宅会長代理
関連で、28ページに1枚、特会のがありますが、ちょっと意味がよくわからなかったので、一緒にご説明いただきたいのですが。
〇岡本主計局調査課長
今ご指摘ありました資料(「総37-8」)の28ページをお開きいただければと思います。特別会計の改革を行うことにしているわけですが、この28ページは、18年度予算における特別会計の歳出規模を掲げてございます。そうした中で、31特別会計の歳出総額を、すべて単純に足し合わせますと460兆円ということで、17年度が412兆円でありましたものが姿の上では48兆円拡大するという形になっております。
ただ、ここに書いておりますように、これはすべて単純に足し合わせたものでありまして、実はそれぞれの会計の中には、ある会計からほかの会計に歳出されてそこからまたさらに支出されるというケースもございます。そうした重複計上を除きますと、約半分の225兆円になります。これが、いわば特別会計歳出の純計というふうにお考えいただければいいかと思います。
では、この225兆円のうち内訳がさらにどうなっているかといいますと、その約半分が国債償還費や利払費です。これで117兆円ございます。約半分がこれに当たるということです。次に大きいのが、左から2番目、社会保険給付ということで、医療・年金の特別会計に一般会計から入った税金のほか、保険料も含めまして、実際に支出されるものが50兆円でございます。また、財政融資資金への繰入が27兆円ある。また大きなあれとしましては地方交付税交付金。交付税特別会計のほうで交付税の交付金という形で支出されるものが19兆円ございます。ここに掲げてありますものは、それぞれまさにこういったものですけれども、財政審などの議論におきましても、特別会計の改革というよりは、例えば社会保障制度の改革なり、財投の改革なり、地方交付税の改革なり、こういったものでおそらく議論される。国債償還費・利払費というのは財政のすべての帳尻がここに来ておりますので、そういったものがあらわれるということになりますと、こういったものを外したところで見たところの12兆円、これが特別会計の歳出の見直しの対象になるのではないかという資料がこちらでございます。
ただ、この12兆円の中でも大きいのは公共事業の特別会計の支出等でございます。そのほかに各特別会計の事務費とか人件費といったものも含まれる。例えば社会保険庁の人件費といったものは、社会保険給付ではなくてこの12兆円の中に含まれているということで、歳出そのものの改革という意味における対象としてはこの12兆円。これは前年度は17兆円でありました。その中には17年度限りの特殊要因もありましたので、そういったものを除いたところで、今申し上げた人件費とか事務費、そういったものの改革ということで0.5兆円程度の歳出の見直しを行ったというのがこちらの資料でございます。
それと、1ページ前が特別会計全体の改革の姿でございます。今回、特に財政審におきまして特別会計小委員会を設けまして、各特別会計の制度にさかのぼった洗い直しを行いまして、そもそも国の事業として行う必要があるのかどうか。あるいは、国の事業で行う必要があるとして、一般会計と区分して特別会計でやる必要があるのかどうか。そういったことの見直しを行いまして、一部については、特別会計でやる必要がないもの、あるいは特別会計で引き続きやる必要があるにしても、類似のものを統合することによってより合理化、効率化が図られるのではないかといった観点からの検討を行って、最終的に与党における議論も経まして、このような改革を行うということにされているものでございます。
一方で、歳入を含めまして資料はここについておりませんで、全体をまとめたものがあれですので、申し訳ございません、よろしければそれを整理したものをまたお届けさせていただきます。
〇丹羽委員
できれば17年度の予算と18年度の予算、あるいは歳出も含めて、これだけ改革されたのだということを数字でご説明いただくと非常にわかりがいいのではないかと思います。
〇岡本主計局調査課長
特別会計の歳出の改革という意味においては、先ほどの資料の4ページに掲げております歳出削減の具体例、17年度は17兆円であったものが今回12兆円になっているわけですけれども、まさに細かいところの事務費、人件費の見直しも含めまして、あるいは特殊法人等への財政支出を見直すといったようなことで、こういった形で整理したものでございますけれども、もう少し具体的な資料を整理しましてご説明させていただきたいと思います。
〇石会長
2月、3月の段階でもう一回、岡本さんまたは主計局の方にご出席いただいて、その辺を我々としてもっと突き詰めて議論しようと思っていますので、そのときにぜひまたお願いします。
〇岡本主計局調査課長
承知しました。
〇石会長
ほかにいかがでしょうか。
どうぞ、河野さん。
〇河野委員
今度の税調くらい腰の据わり方が微妙で、ものをしゃべったら唇寒いのかというようなことが起こるかもしれないような税調なんですね。去年の組閣以来の閣僚の発言から政治家の発言から全部考えてみれば、どちらかに議論が分かれるのです。みんな知っているわけだ、そんなことは。裏に政治的な思惑が全部入っている、次の政局のあり方論まで。何を言っても、そうか、おまえの言っていることは与謝野大臣の線に沿っているなとか、おまえのは竹中君の言っていることに近いのではないかと。それぞれ思惑があるわけです。政治的な野望があるわけだから。今は何を言っても、そのどちらかか、真ん中の中途半端なことを言うしかないのです。
しかも新聞で見ていれば、会長はインタビューにおいて、我々が消費税について具体的な内容について議論するのは6月以降だという話でしょう。今1月だから、2、3、4、5と4カ月あるわけです。この間に何をやっているんだと。肝心なことは先。上のほうで方向を決めてくれなくては我々は議論できない。それはそのとおり。そのとおりでいいのだけれども、その間、我々は宙ぶらりんの形で何をやるか。その間に個人的な意見を言ってもいいよというなら、言うのは簡単だけれども、必ずそういうレッテルを張られる。どっちサイドかということになる。実に物事を普通に考えて言うこと自体が億劫になるような話なのです、正直言って。
財政審というのがあって、向こうは最近、いろいろなパフォーマンスを含めて歳出問題についてかなり突っ込んだ多角的な議論をやっている。当たり前ですね。誰が何を言っても、歳出から入れというのは天下の世論だから、それはそのとおりだと思うけれども、税調は、税調らしい歳出論、合理化論というのをどうやったらできるのか。私もいろいろ考えてみたけれども、税調らしい歳出論というのを、ここで月に1回か2回ずつ会合を開きながら6月までやるわけだから、どのくらいのことができるのか。財政審とどういうふうに調整するのかという話でしょう。
みんなはこの中で真面目に議論しようと思っても、どういう段階で真面目な議論なのか、真剣な議論なのかと。このポジションというのはどこかの政治家の派閥に属するわけでも何でもないから、中立的に議論するんですよ。それは立場だから。それがなければこの税調なんか意味がなくなるから、こういううるさいときには。実に運営が難しいなあと思ってね。
今日はしようがないから、会長は天下の形勢を全部考えてやっていらっしゃると思うから、会長がインタビューに答えたようなことをもうちょっと確信を持って、俺はこう思っているんだ、こういうふうに運営するということを教えてもらうと、それに対して結構ですと言うか、反論するかどうか知らないけれども、それがないとみんなどうも腰が据わらないということです。
〇石会長
一番シニアの先輩からそういう問題提起があって、今、税調が直面している難しい問題を的確に要約されたと思います。私もそう思います。そこで、毎年毎年6月くらいに3年ごとに出す中期答申、これは6月は、諸般の事情というか、環境が熟していないこともあって税制改革本体に切り込むわけにはなかなかいかないでしょう。というのは、歳出・歳入一体改革の選択肢が6月に出てくると言っていまして、そこで歳出・歳入のギャップというものが具体的に出てくる可能性があるわけです。その中で初めて税のパーツが決まってくるわけですから、それをgivenにして議論としては中身、あるいは構造的税制のほうに入るのが筋だろうと思いますので、中期答申の提出時期はいつもより遅らせたほうがいいのではないかと思っています。6月~7月、8月は少し休んだほうがいいかもしれないから、9月くらいにかけて議論してというふうに考えております。したがって6月くらいまでを前段とすれば、6月以降は後半ということになります。
そこで、総会プラス基礎問題小委員会、これは税調委員のオール参加です。とりあえず6月までは毎回こういう格好でやり、そこでいろいろご意見をお出しいただきたいと思います。前段のほうは、やはり今日のような話。皆さんずいぶん歳出面についてもご関心があるようだし、そういう形で主計局にも積極的に協力いただいて情報を提供してもらって、河野さんのおっしゃる税調の歳出改革らしきものができるかどうか、やってみないとわかりませんので、やってみたいと思います。
同時に、11月に小泉さんに来年度の税制改革を持っていったときに、なぜ財政審と税調は一緒にやらないのかと言われました。歳出・歳入一体改革なのだからということも受けて、財政審の西室さんに個人的に話しました。いずれにしても、両方合同というと計算すると70~80人くらいの大所帯になって、これはちょっとできないです。そういう意味で同じテーマを扱いつつも、双方乗り入れでスピーカーを派遣する、受け入れるという格好で情報を共有するということと、ある時期が来たら特定の方に代表として出てもらって、歳出・歳入の各々のパーツを議論したらいいのではないかと思っています。したがって、6月までそんなに時間を持て余すということは多分ない。いろいろな企画はありまして退屈はしないだろうと思いますので、ぜひご参加いただきたい。その辺につきましては積極的にご発言いただきたい。
それから冒頭申された、どっちにのるかどうか。これは、我々は政治家でもありませんし、最後決めるのは国民の負託を受けた政治家だと思っていますので、我々税調としては、その基礎になる、国民に対していろいろ選択肢を示す、あるいは参加してもらうといったところの材料を議論して、税調らしい骨組み、基本的なフレームをつくるという作業しかないと思っています。それは歳出面でもあり歳入面でもあると思いますが、そういう格好でやっていく。その過程でまたいろいろ知恵も出てくるのではないかと思いますので、ぜひ皆様のお知恵をお借りしたいと思っております。
この点は今、非常に重要な発言も出てきました。具体的にどうしたらいいかということについてご発言があれば、ぜひお出しいただきたい。ほかの個別のパートでも結構でございますが、どうでしょうか。せっかく今の論点が出てきましたので、お考えがあればお聞きしたい。
奥野さん。
〇奥野委員
河野さんのご意見もわからないではないのですけれども、2つくらいのことがちょっと気になっていまして、一つは、政府税調とは何であるかという議論であります。もう一つ党税調とか与党税調とか、政治の場というものがあって、それと政府税調というのは歴史的にはある程度の役割分担をしてきている。もちろん、今会長が整理された分け方もありますけれども、一つの分け方としては、税制改革に対する考え方を準備するのが政府税調の役割であって、それを実行するタイミングを決めるのが党税調の役割という考え方も一方ではあるのではないか。
もう一つは、実体経済とのタイミングの問題を考えたときに、ご承知のとおり、今回の景気というのは「いざなぎ越え」というようなことが言われ始めているわけですが、逆に言うと、そろそろその景気としては終わる可能性もなくはない。まさに終わるとか、終わったというタイミングで、増税の議論、具体的な内容の議論をするのが、景気に対して心理的に本当にいいものかどうかというのももう一つの問題としてあると思います。
ですから、あまり先延ばしをしないで、タイミングは政治に任せるから、きちんとした、もちろん、今の政治の枠組みの中で可能な限りという制約条件はつくと思いますけれども、どういう税制改革を政府税調として考えるべきかということは、あまり遅くないタイミングで決めていくことももう一方で重要なのではないかというふうに思います。ですから、そこを少し切り分けてタイミングと中身ということ。それから、日銀の金融政策もありますし、実体経済の話もありますので、タイミングの問題ということで少し慎重にといいますか、あまり先延ばしをしないで考えていただければというふうに思います。
〇石会長
遅くないタイミングとおっしゃったけれども、具体的なイメージはおありですか。私は6月以降という意味合いで申し上げましたけれども。
〇奥野委員
会長がおっしゃったことでそんなに違和感はありません。ただ、日本は「失われた十年」と言われたときに、ずっと先延ばし先延ばしということでやってきていろいろな失敗をしているということを考えると、そこら辺がタイミングとしては、後ろの線次第かなというふうに思います。
〇石会長
我々の任期は確か10月の最初で、それほど先延ばしできませんから、そこがデッドラインになると思います。
ほかにいかがでしょうか。
〇井上委員
どうも予算というものが、歳入があって予算があるというような形で組まれている気がしてならないのです。そうではなくて、必要な歳出というものが何であるのかということによって、あとは歳入をどういうふうにしていくのか、税収をどうしていくのかというのを考えるのが当たり前ではないのか。そうすると、歳出にどれだけ無駄があるのかということにもっと切り込む必要があるのではないか。今まで予算というものがシーリングで何%どれを削れとか、何をしろというようなことではなくて、必要のない予算というものはゼロにしてもいいのではないか。これは極端な話ですけれども、そのぐらいにもっと切り込む必要があるのではないかなというふうに思っています。
農業の問題にしてもしかりだと思いますけれども、いまだ2兆8,000億円も予算を組んでいる。一体本当にあれが必要なのか。その中の公共投資が1兆2,000億円組まれているわけですけれども、では、農業の公共投資で何が必要なのか。今まで見ていれば、とんでもない道路がいっぱいできていたりというようなところにその金が使われている。それはそういう予算がついているから使うわけであって、必要なところについていない。中小企業の対策にしてもそんなものはついていない。波及効果があって税収を生むところに金を使っていないとか、いろいろとあるのだろうというふうに思います。
地方の問題にしてもしかりだろうと。地方の公務員の人件費が22兆円ですか。その数字がはっきりしているかどうかあれですけれども、それだけの人件費を使って何をやっているのかという感じがするわけです。義務教育にしてもしかり。100何十万人もいる教員。地方は平均で小学生17.何人の生徒に1人の教員がいる。中学では16人。それだけの教員がいる。それが何を教えているのか。これだけ堕落させた日本という感じで、経営者としては腹が立ってしようがない。
では、それをどういうふうにもっと合理化するのか。東京都でもしかりだと思うのです。うちは品川区ですけれども、1つの小学校で72人の生徒に21人の教職員がいる。1つの学校に71人ですよ。一体何なんだと。品川区に40校あるけれども、そのうちの13校は10人以下の生徒に1人の職員。そんな学校を幾つも抱えてどうするのかということです。これは、教員の給料は全部東京都から負担。区は持っていないから、あってもそうそう負担にならないのですと。我々企業だったら合併するのは当たり前ですよ。競争心もない子供たちばかりを育てて、そういうところに無駄な金を使い過ぎている。それをもっと削減することがまず第一で、そこから予算というのは始まるのだと。
そこを徹底的に見直しをやってもらわないと、我々国民としては税を上げることに対して納得できない。納得できる税なら消費税でも何でも上げるのが当たり前だというふうに思うわけです。それをみんな国民の人は文句を言っているのであって、食料品にしても高い。何でこんな高いのか。田舎に行ったらえらい安い。みんな東京集中だと。そして東京の値段が地方に移行している。こういういろいろな仕組みにしてももっと手をつけなければいけないのではないかと思うわけです。
この間、NHKで谷垣大臣と一般大衆の何かありましたね。あのときでもみんな言っていた。食べるものが高い、どうやって生活するんだ。食べるものさえ安く入ればみんな黙っているわけですね。贅沢品は氾濫する。今、銀座通りに行ったらすごいではないですか。ブランド品の店ばかり。この間、銀座へ行っておったまげましたよ。あんなのはうんと税金を上げたらいいんです。それこそ大事だと思うけれども、何かその辺をもう少し見直して、ぜひともここで考え直していただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。
〇石会長
おそらく国民の多くの方が井上さんの意見に共感をおぼえると思います。全くそのとおりだと思います。問題は、見直しているとか改革しているとか、一口でおっしゃっているけれども、どういう仕組みでどうやったらいいですかね。何か具体的にご提案はございますか。それは小泉さん一人の手でも身に余るのだと思います。おそらくやらなければいけないのですよ。それを言っているだけではしようがない。具体的なインプリメンテーションというところでどこがどうしたらいいか、あるいは、どのくらいやったら増税ということに国民は納得するのか。何か具体的なお考えがあるのだろうと思いますけれども、不安だけ言っていてもしようがないですね。何かあれば。なければ、別に無理強いしませんけれども。
〇井上委員
一つ一つ予算というものについて、予算の削減というものはこういうことをやることによってできるんだということをはっきりさせるべきだと思います。どうもうやむや。
〇石会長
誰がどこでさせるのですか。
〇井上委員
どこでやるというふうに言われると、私も国の仕組みがわからないから。今、わからないのです、その仕組みが。
〇石会長
わからない、漠とした不満なんですよね。
〇大宅会長代理
「小さな政府」と言っています。公務員の数を減らすとか、予算を減らすとかいってある程度納得してしまうのですけれども、そうではなくて、小泉さんが言っている「官から民へ」の、官でしかできないことは最低限何なのかということですよね。文部省は要らないと私は思っているんです。そのくらいの議論をしてからでないと、これ減らしました、これ減らしましたというのもだめだし、ここは生意気だから削ってしまおうとか、そういうわけにもいかないから、今のこの豊かな社会の中で官にお願いしなければいけないのは何なのか。問題がまた出てきたのは、ホリエモンの話だとか、姉歯の事件だとか、規制緩和して民に任せたらこんなひどいではないかという話が出てきて、またお上にやっていただく力が強まってしまうというので、全く逆行しているというふうに思います。だから、全部とっ払って、官がやってもらわなくてはどうにもならないというのは何なのかという話を、誰がやるかと言われても困るけれども、税調なら税調で……。
〇石会長
困るんだよね。
〇大宅会長代理
たぶん政治家がやるのでしょうけれども。
〇石会長
どうぞ、遠藤さん。
〇遠藤委員
ちょっと細かい数字のことを聞くので、もし数字がなければ次の機会に出していただきたいと思います。
一つは税収の問題です。直近の国税の収入割合が16年度の同時期との比較があると思いますが、それがどのくらいか、主税局にお聞きしたいと思います。それをベースにして補正を組まれるようですので、17年度の税収の決算見込みを出しておられると思いますが、それが16年度決算に比べてどれだけ伸びているかという伸び率を教えていただきたいと思います。
それから18年度予算の税収ですけれども、17年度決算見込みに対して18年度の税収見込み、これは多分所得譲与税も加算したもので比べないとベースが合わないと思いますけれども、それがわかったら教えていただきたいと思います。
それから、主計局に歳出のことでちょっとお聞きしたいのですが、今年の予算を見ていて、だいぶ主計局も頑張ったのではないかなという感じがしているわけですけれども、数字で教えていただきたいと思います。一つは、一般歳出を従来は義務的経費と非義務的経費に分けていて、非義務的経費、その他の軽費というのでしょうか、それは非公共と公共と分けていたと思います。それが前年度の予算に対してどういうように変動しているのかという数字を知りたいと思います。要するに、義務的経費と非義務的経費がどのくらい削れたのかを知りたいということです。
その中でちょっと教えていただきたいのは、義務教育の負担金ですけれども、これは子供の数がどんどん減って教育が減ってきますから、相当減っていると思います。義務教育の負担金はどのくらい減ったのかというのを、補助金カットする前のベースで教えていただければ幸いだと思います。
もう一つ主税局にお聞きしたいのは、前回も私はお聞きしたのですけれども、国税の法人税の中で、繰越損失というのでしょうか、70兆円あるようですが、これは7年間ですか……。
〇石会長
繰延べですね。
〇遠藤委員
繰延べ7年間で、これは全部7年あるはずがないので、これから5年くらいで今の経済の調子が続けばなくなってくると思うのです。前提があるからなかなか難しいかと思いますけれども、始まった年度から逆算すれば、来年度以降どれだけ新しいものができて、古いやつはどれだけ減っていくかというのはわかるはずですから、できたらそれの状況を教えていただけたらありがたいということです。
もう一つは、そのうちどのくらいが法人税収にはね返ってくるのか。粗っぽい推計でも結構ですので教えていただけると、私の頭の中では,70兆円が半分の35兆円にここ2、3年でなれば、プライマリーバランスの11兆円はそれだけ出ていくのではないかという感じがするものだから、そういうことを聞いているわけです。
以上、お願いします。
〇石会長
今日、すべてはちょっと難しいでしょうね。もしくは、今の範囲でお答えできるものがありましたら、どうぞ、福田さんから。
〇福田主税局長
現段階ですぐお答えできるものは口頭で答えさせますけれども、いずれにしても、それぞれの資料を口頭ではと思いますので、先ほど各委員からご指摘がございました資料も含めまして、また改めて提出したいと思います。
〇遠藤委員
それで結構です。
〇石会長
永長さん、現段階で何かあれば。
〇永長総務課長
現在お手元にある資料でわかる限りご説明いたします。現物は次回に提出いたします。実は、現在開いております税収は11月末の税収でございます。11月末時点で対前年同月比で見ますと105.2%。一昨年の11月末と去年の11月末を比較すると5%ちょい伸びている。補正の予算でございますが、これは決算額に対して103.2%でございます。そういう意味では補正よりもちょっと上ブレした数字になってございますが、実は幾つか個別要素がございます。前倒しに一時的に入っている税収というのが入っておりまして、我々としては、大体補正後の予算ベースで今のところ行っているのかなということでございます。
それから、横資料(資料「総37-3」)をご覧いただきたいと思いますが、1ページでございます。18年度税収ということで、これはどういう計算でこうなっているかというのは、次回、ポンチ絵を用意してご説明いたしたいと思いますが、まず数字だけご覧いただきますと、一番下の欄でございます。一般会計分計ということで、前年度予算額は17年度が当初で44兆70億円、補正後で47兆420億円、このようになっております。そこから18年度予算額ということで45兆8,780億円。これは先ほど主計局のフレームでご紹介いたしました。これは遠藤委員が今おっしゃったように、例の譲与税、1兆9,000億円ほどのものを織り込んでおりまして、これを足しますと47兆7,000億円余、このようになります。
この数字でご覧いただきますと、我々が今見込んでおります47兆7,710億円、これを対前年度の当初予算との比較で申しますと8.6%の増、このようになっております。法人税の見積もり等とも、我々、足元の税収につきましては大法人ヒアリング調査等々を踏まえまして、17年度の見積もり、このページで申しますと補正後(案)というところでございます。法人につきましては、当初予算11兆5,130億円から12兆4,730億円、1兆円弱の補正増を見込んでおります。こういう数字はまさに足元の状況、これを各法人から聴き取りをする、こういったことで積み上げてございます。それに18年度、これは政府経済見通し、例えば製造業について言えば鉱工業生産、小売業等については個人消費、こういった伸びを勘案して計算して、18年度で言うと、法人税13兆580億円、こういうような数字を出している。
繰越欠損の様子、これは現在、法人企業統計、これは国税庁のデータがベースでございます。現在、国税庁のほうでその数字を精査しているところでございます。毎年毎年新規に発生する欠損というのも結構ございます。現在73兆円、これがどのくらいになるのか。ただ、バブル以前におきましてもやはり10兆円、15兆円くらいの繰欠は実は存在しておりました。
この辺のところ、今後どのように法人税収を見るのかという、これは遠藤委員おっしゃるとおりでございます。大変大事なポイントでございますので、これは次回いたしたいと思います。
〇遠藤委員
感想を言うと、17年度の補正後が47兆円で、18年度が47兆7,000億円というと伸び率が2%弱ですね。ちょっと低いのではないかなという感想はあります。
〇永長総務課長
これも次回ご説明いたします。ざくっと申しますと、実はこの47兆円の中に7,000億円のフロックの税収が入っております。これは金融機関が公的資金を返済する、優先株の買い戻しというやり方です。このときにみなし配当課税というのが自動的にかかってしまいまして、いったん7,000億円ほどを金融機関から我々は預かっているのですが、その金融機関は、来年度納税がないであろうとなりますと、これを還付することになります。実は行って来いで1兆4,000億円、これで数字がブレるということになっておりまして、この辺の事情はわかりやすくポンチ絵で次回にご説明したいと思います。
〇石会長
では、辻山さん、お待たせしました。
〇辻山委員
いつも発言のタイミングがよくわからないのですが、今日は時間もあるようなので。法人税関連税制につきまして、今日の改正案の中で特に税率絡みの問題というのがかなり出ているのですけれども、今ご発言にもありましたように会社法が新しく施行されます。それから最近世の中を騒がせております、いわゆる合併であるとか、事業分離であるとか、その絡みも、法人の構造自体が変わっている中で、法人税の税額の計算の基礎になる法人所得、この所得の計算についてかなり長い間精査されていないというか、現在、かなり継ぎ接ぎの状態になっております。特に会計絡みの問題でも、例えばリース会計とか、退職給付の問題とかいうのが、その都度の対応という感じになっているような気がするのです。
したがいまして、法人税のそもそもの計算構造みたいなものについて、どういうところでどういう見直しの可能性があるのかということについてお伺いしたいと思います。
〇石会長
法人税につきましては、前の税調のとき、その前かな、法人税の特別委員会をつくりまして一回かなり精査したはずですが、その後、またいろいろな問題も出てきております。そういう意味では本格的に中期答申を書く前に、再度、おっしゃったような法人税の様々な問題を総ざらいして検討しなければいけないと思っていまして、当然、この税調で議論は詰めていくと思います。
佐川さん、今のようなご指摘について、過去の話を含めて何かあれば。
〇佐川税制第三課長
過去、今、会長がおっしゃいましたように一度整理したところでございますが、今年の会社法の改正等で、今回の税制改正の中でもずいぶん会社法絡みの改正もやらせていただいております。そういうところを含めまして、また一度ご説明させていただきたいと思います。
〇石会長
では、中里さん、どうぞ。
〇中里委員
2つございまして、1つは、ここで支出の話と収入の話と両方、基本的なことを今日ご説明いただきました。理財局マターなのでしょうけれども、国債の累積発行額がずいぶん大きくなっていて、それと金利水準の関係が、いつまでもデフレでもないでしょうからというときに、金利の変動に伴って利払い等についてどんな影響が出て、それが支出のほうにどういうふうにはね返ってくるのか。そんなのは誰にもわからないことですが、シミュレーションみたいなラフなものがあると、イメージ、つまり、どうやってもこれだけの税収は用意しておかなければいけないということがあるかもしれませんので、一つ重要になるのではないかというふうに思っています。それはお願いです。
もう一つは、辻山先生のおっしゃったことですが、資本と負債の区別が非常に曖昧になっていて、支払利子なのか利益の配当なのかよくわからないようなものがいっぱい出てきています。それから資本と、利益の配当なのか賃金だかよくわからないものも出てきている。果たして支払い賃金として引いていいのかどうかもよくわからないということになると、負債のリターンとして今損金算入されているものの一部について、損金算入を否定するとか、支払賃金として今損金算入されているものの一部について、法人税法でこれは実質利益だということで損金算入を否定するとかいうことで、もしかすると課税ベースを拡大するということになってくるかもしれませんし、そうならないかもしれませんが、いずれにせよ、新会社法に対応した法人税法の全文改正、というとなかなかそう簡単にはできないでしょうけれども、大胆な見直しはどうしても避けて通れない。
今の法人税の一定の税収を維持する、あるいは国際標準として維持していくためには、会社法が国際標準からずれるような形で大胆に変わってしまったものですから、考えていかなければいけないので、そういう中期的な見通しというものについて、主税局のほうで、まだどうなるかわかりませんけれども、どんな感じなのかということをお聞きしたいということです。
〇石会長
2つ問題提起があって、一段目の金利負担等々は、岡本さんが次回出てこられるときにデータをもってお示しいただけば済むと思います。後段のほうは辻山さんと同じようなご意見だと思いますが、今後、新会社法と一緒に我々として関心を持たなければいけない。佐川さん、何かありますか。
〇佐川税制第三課長
今回の税制改正のご説明資料ではおもだったところのご説明でございました。かなり会社法関連で合わせて税制改正をやっている部分もございますので、そういうところも含めて、次回、ご説明させていただきたいと思います。
〇石会長
あと、例の非営利法人の話もいずれ出てくると思いますので、まとめて法人税絡みは大きなトピックスになると思っています。
ほかにいかがでしょうか。
どうぞ、上月さん。
〇上月委員
ちょっと専門的で細かい話になりますが、同族会社の役員報酬の一部損金不算入の制度です。これも先ほどご意見が出ましたけれども、今回、所得の捕捉率とか、個人の不公平とかの是正のために苦肉の策で入れられたと思います。今のご意見のように、法人税の世界、個人所得税の世界がどうも混入しているので、できればこの辺も一緒に見直していただけたらと思います。
〇石会長
おっしゃるとおりだと思います。事務局、ありますか。
〇佐川税制第三課長
そこだけとって改正したかのようなご意見でもあるかもしれませんが、今回、5月1日の会社法の改正で非常に大きな話題として、一人法人、資本金撤廃等の動きもありまして、資本金規制がほとんどなくなる。あるいは一人会社が設立可能になるという中での、個人の事業主とほとんど一体と見なされるような実質的なオーナー企業による法人経費の適正化ということでございまして、そこのところは今回やるべき話だというふうに私どもも思っておりますので、実施させていただきました。
〇石会長
河野さん、どうぞ。
〇河野委員
先ほど奥野先生がおっしゃったことと同じことになるのかわからないのですが、私が奥野委員のことを正確に理解しているかどうかわからないですが、5月までの間でしっかり勉強する必要があるとすれば、税調的な歳出カット論というのはいくら散発的にやってもいいけれども、税調らしくやるのだったら、過去にもいろいろな実績があって、例えば所得税について、所得再分配機能について今まではフラット化という天下の大勢があってやったし、今度はたまたま地方分権との関係でやってみたらば、かなり累進税率構造が上がったという姿が結果的にできてしまう。意図したかどうか知らないけれども、できた。
それから、相続税。30~40年前はよく、例えば三代で相続遺産でなくなってしまうという議論がずいぶんあって、高名な新聞記者もたくさん言ったことがある。だけど、どうもそうでもなさそうだ。ないしは、これから格差のない社会をつくろうなどということを仮に理念として新しく出てくるのだったら、相続税をどう考えたらいいのか。過去にはこういう議論があってこういうふうに変わりました。今は、新しい視点から見ればまた違った見方が出るかもしれない。消費税も同じ。過去の経過があって、実はこうこうしかじかの理論があってこういうふうに我々は訂正した。今はその結果、税収構造はこういうことになっている。しかし、それでいいのかどうかということを中期答申でもやるなら、今までちょっと所得税の再分配機能を軽く見たかなという議論を巻き起こすことも可能なのです。現にそういうことが起こっているわけです、部分的には。
法人税も同じことで、どういうふうに考えたらいいのですかということについて、今でもいろいろな議論はあります。現在の姿は、こういう議論があってこういうふうに落着したのです。今の段階で見てみるとまたいろいろな議論が起こるかもしれない。起こらないテーマもあるし、起こるテーマもあるのです。
その議論をなぜ言うかというと、その議論を全部一応詰めておかないと、消費税について細かいことを言ったときに、消費税もいいけれどもほかとの関連をどうするんだということが必ず出てくる。税調は今の段階、2006年の段階でほかの税制についてはこういうふうに頭を整理しました。過去はこうでした、変遷はこうでした、今はこうなりました、新しい視点から見れば今までの伝統的な解釈とは違ったことも起こり得ます、それも立派な問題提起なのです。それをやっておくと、最後に消費税に限定した議論をやるときにも、それも勉強しましたからこうこうだと相互の関連が説明できるかもしれない。今より以上に。そういう勉強を、全部復習みたいなものだし、膨大な資料を我々は過去につくってきていますから、その中から引き出せば整理できるかもしれない。過去の経過と、今の時点での国際比較。過去の日本における議論の経過と、どういう思想があって、どういうイデオロギーがあって、どういう社会勢力があってこうなったかということも、考えてみれば面白い分析かもしれません。それをやれば結構立派な勉強になるかもしれません。
〇石会長
関連ですか。どうぞ。
〇村上委員
ついでにいろいろ要求して何ですけれども、三位一体で所得税と住民税との関係が相当大きく変わっているわけです。それで、実効税率としてどういうふうになっているかというのをできれば姿を見せていただきたいということです。
といいますのは、この三位一体の議論と表裏一体で、政府税調での議論は消費税が念頭にあるわけです。それも谷垣大臣は07年度に法案提出ということを言っていらっしゃるわけですけれども、客観情勢的に見ると、先ほどの河野さんのお話にありましたが、政治的な要素が当然入ってきますから、ポスト小泉を見ないと何とも言えない。税調というか、税を議論する立場からすると、消費税というのは一体できるのかできないのかということもあると思うのです。その場合に、例えば所得税の姿はどういうふうになるべきかというのはやはり考えておく必要があると思うので、その辺のところで今の三位一体後の姿をまず見せていただいて、どういう問題が出てくるのかというのもご説明いただけるとありがたいと思います。
〇石会長
それは今日、資料を用意していませんので。
〇村上委員
いえ、この次で結構です。
〇石会長
おふたりのご意見を踏まえて言うならば、消費税だけ世の中はえらく関心がありますけれども、そうではなくて、トータルパッケージで消費税も法人税も地方税も、あるいは資産課税も等々、我々としては将来をにらんでどう持っていくかという議論をしなければいけないのです。そういう意味であまり消費税にスポットライトを当て過ぎると、議論が矮小化されてきますので、そうではないということでこれから議論を進める。中期答申というのはかなりのボリュームにもなるだろうし、トータルな範囲の中での様々な問題、それから河野さん言われたように、我々の伝統を踏まえた議論というのはあるのかもしれないけれども、世の中変わってきましたし、特に法人税は会社法も変わってきました。いろいろな意味で環境が変わったということを踏まえて、新しい視点からもう一回議論する場をぜひ設けたいと思いますので、その点について積極的にご発言もいただきたいと考えています。
だんだん時間がなくなってきましたので、ご意見のある方はぜひ早いうちにしてください。
水野さん。
〇水野委員
具体的中身ではないのですけれども、最近、いろいろテレビの番組で取り上げられたり、個別的な新聞記事にもなったりしていますけれども、一体税制調査会で議論したことがどういうふうにマスコミで取り上げられるだろうかと。最近はいろいろ出ていますけれども、一体委員というのはどこまでそういうことを考えた上で議論すべきなのか。それはもう全くいいから、税制調査会は淡々と議論するという方向で行けばよろしいのか。それとも、何か言うと会長の会見を通して表に出てくる、そういうようなことがありますけれども、これはいかがなのでしょうか。やはり従来どおり、その辺のことは度外視した上で思ったことは言えばよろしいということでしょうか。
〇石会長
そうではないですか。要するに水野さんは税調のメンバーという片方と、それから税法学者としての専門家ですね。どこに要求が来るかわかりませんけれども、そんなに手かせ足かせされる必要はないので、あくまで個人としてご自分の学問的信念に沿って言われればいいのではないですか。たまたまそれはこの税調の意見と違ってくる場合はあるかもしれませんけれども、税調はみんなの組織体ですから、そこで大きな流れができるのでしょうから、それを決めればいいので、そこは個人的に心配することは全然ないと思います。
ただ、今は何を言っても話は消費税になってしまうのです。そこが非常に悩ましいので、今日みたいにトータルパッケージでやるとか、歳出・歳入一体改革をやれとか言っても、出てくる記事は全部消費税になるわけです。そこはずいぶん注意して議論しなければいけないのでしょうけれども、これはしようがないでしょうね、時の流れで関心がそこにあるということならば。
丹羽さん、何かありますか。
〇丹羽委員
消費税も、聖域視しないで自由に議論されたらいいのではないかと私は思っています。
〇大宅会長代理
消費税だけでいいのかというパワーがすごくありますでしょう。そのときに必ず言われるのが、宗教法人と税金を払っていない法人。こういうものはもう一回ゼロからやったほうがいいのではないですか。
〇石会長
そうでしょうね。それは政治的に難しい問題があるかもしれませんけれども、我々は……。
〇大宅会長代理
だめだろうけれども、言わなくては。
〇石会長
そういうことでしょうね。
どうぞ。
〇宮島委員
岡本さんに注文がありまして、基礎的財政収支の黒字化という話は、内閣府でやっているのは、国民経済計算の一般政府を使っているので、特別会計が入ってきたり地方も含むわけですね。それをこういうところで議論するときに、国の一般会計あるいは地方の普通会計に落とす議論の仕方というのは、ちょっと難しいのかなという気がしているので、その辺は、我々にわかりやすいようにということもありますが、翻訳をしながらぜひここで議論してほしいというふうに思っています。
もう一つは、これは言い過ぎかもしれませんが、消費税の議論になるというのは、一つは仕上がった議論で、みんな財政収支のギャップを消費税率で換算して示すというふうなことをやると、やはり誤解を招きかねないこともあるので、その辺は少し慎重を期していただきたいというふうに思います。
〇石会長
関連ですか。
〇田近委員
宮島さんの続きみたいですけれども、歳出の話になるとそれぞれ皆さん非常に思いがある。先ほどの教育の話にしてもいろいろあるでしょうが、ただ、税調でどこまで歳出の話をするかというのは、難しいのは当たり前でしょうけれども、ただ、経済財政諮問会議の「改革と展望」の推計もあるし、財政制度等審議会も答えを出してきて、あと、中里さんのおっしゃる、これから金利が変わったときにどうなるかというシミュレーションもかなりのところはもう出てきていると思います。その辺の事実を前提にして、ここで教育をどうするかとか、何費をどうするかというのをやる場ではないと思います。
逆に言うと、これから5カ月で何をするのかというときに、正直言って、これから延々、各税についてのレビューがあって云々というのはしんどいなと。そうではなくて、中期答申を書くときに、リーダーシップではないですけれども、ビジョン自身を固めていかなければいけないのでしょうが、どういう視点を置くのか。経済活性化というのは古いでしょうけれども、これから景気がよくなっていく中で、税制が阻害しないものは何かということで、法人税の話も出ていたのでしょうけれども、加えて国際課税の問題もある。それから何回か言っているのですけれども、金融一元化課題の話もどうするのか。幾つか、中期答申で何をやるかということのビジョンを出して議論して、その中で各税を当てはめていくようなこともあってもいいのではないか。税調のこれまでの議論にしても、何回かにわたって、所得税から始まって、云々が始まってずっとやるわけで、そこに何かビジョンが欲しい。
整理すると、まず実態についてもう少し切り込んだり、「あるべき」ということでは、今までやっていることに加えてやはり経済。これから景気も腰倒れしない形で一体どういうことができるのかというようなこと。あとは金融所得一元課税とか、幾つかポイントを提示してやっていただきたいと思います。
〇石会長
遠藤さん、どうぞ。
〇遠藤委員
田近さんの議論もわかりますけれども、税調で何か出せば返ってくる答えは、必ず、歳出がまだこんなに大盤振る舞いなのに定率減税さえ削るのかと。削れば増税になるわけですから。税調は税調で、歳出が本当に削れているのかどうかというのは、方法論はあると思いますけれども、そういう議論をしてからでないとなかなかできないと思いますよ、増やす話は。それはやはりやらざるを得ないのです。
ただ、主計局ではないわけですから、具体的に一つ一つ費目別にやるというわけにもいかないから、どうやってやったらいいかということを議論したらいいと思うのです。
〇田近委員
そういう意味ではこの半年、1年くらい、数字がかなりそろってきたので、その議論はできる環境だと私は思って言っているわけです。
〇石会長
まだあるのかもしれませんが、ちょうど時間になりましたので、ぜひともというご意見があればおっしゃっていただきますが、よろしゅうございますか。
今日、終わりにあたって一つご承認いただきたいことがあります。実はアメリカのTax Reform Panelというところが税制改革案を出しました。「簡素・公平、経済成長の促進」というもので、これはかなり日本に関しても影響力、あるいはものの考え方について参考になると思いますので、明後日から1週間ほどで、私と中里さんと事務局2人、計4人で小回りのミッションをつくりまして、それを調べてきたい、こう思っています。私がちらっと見た感じでは、所得控除がえらくあるのをまとめていくとか、法人課税の課税ベースを広げようとか、それから「簡素」ということが一番看板になっていますが、これは20年来、簡素、簡素と言っているわけです。それでちっとも簡素にならない。それから、付加価値税を導入しようとして挫折したようなので、本当にやる気があって議論したのか、それともちょっと格好を出したのか。その辺は担当者に聞いてこないとわかりませんので、その辺の議論をしてきたいと思っています。次回、2月17日(金曜日)に税調を考えております。2時から開催いたしますが、そのときに、この海外調査を中心にいたしまして議論をしたいと考えております。
それ以降の開催日程につきましてはいずれお諮りいたしますが、そういうわけでアメリカの出張が入りますので、連続してというのではなくて2月17日になりますので、あらかじめノートに入れておいていただきたいと思います。
税調は火曜・金曜の2時~4時というのが定番でございますので、大体そのつもりで。といって毎週やるわけではありませんけれども、やればその時間帯になるということでお考えいただきたいと思います。
.
〇宮島委員
そのときに、特に自然増収見込みとか税制改正とか、そういうものを含んだ資料は。
〇石会長
ちょっと諮りますけれども、なるべくやりたいと思います。
〇永長総務課長
努力します。
〇石会長
アメリカの税調報告だけで1回分というのはもったいないですから、やりたいと思います。
では、今日はどうもありがとうございました。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。