第34回基礎問題小委員会・第2回非営利法人課税WG合同会議 議事録

平成17年4月22日開催

委員

それでは、ただいまから基礎問題小委員会と非営利法人課税ワーキンググループ合同会議を行いたいと思います。

会議を始める前に、新聞でご承知かと思いますが、4月まで税調の委員をしていただきました、主婦連の吉岡初子様、21日お亡くなりになりました。謹んでご冥福を祈りたいと思いますが、座ったままで結構ですから、若干の時間をとりまして、黙祷を捧げたいと思います。

〔黙祷〕

委員

私、個人的にもいろいろお話を伺ったり、ここでご意見を拝聴いたしまして、非常に的確なご意見を賜ったと思います。残念ですね。訃報のお知らせがお手元にいっていると思いますから、適宜、処理をしていただきたいと思います。

それでは、今日の本論は寄附税制のあり方でございまして、前回の非営利法人そもそものシステムと絡めまして、寄附金、これは大きな問題になると思いますので、今日は集中的に審議をいたしたいと思います。もしか早めに終わったら、前回、非営利法人のところで若干残った問題もあるように思いますので、また戻りたいと思っております。

それから、前回ご出席いただきました内閣官房のお二人にも、今日お見えになっていただいてますが、よろしくお願いします。またそっちのほうに話が飛ぶかもしれませんので、助けていただきたいと思います。

それでは早速、現行の寄附金税制を含めまして、寄附金税制のあり方につきまして、税制第二課長と市町村税課長、お二人から各々、国税と地方税につきましてご説明を伺いたいと思います。

では、税制第二課長、お願いします。

事務局

それでは、お手元の資料、34―1と34―2に沿いましてご説明申し上げます。

まず、34―2という2枚紙をご覧いただきたいと思います。本日は寄附金税制のあり方ということで、主要な論点、1、2、3、4ということで、基本的な方向、仕組みのあり方、控除の取扱い、その他という大きな4つのポイントについてご説明申し上げ、ご議論賜ればという構成でございます。

それでは、資料34―1という横のちょっと部厚めの資料をご覧いただきたいと思います。まず1ページをあけていただきたいと思います。ここから数ページにわたりまして現行制度をご説明申し上げたいと思います。公益活動に対する寄附金に関する税制ということで、この一覧表をご覧いただきますと、まず箱が4つございます。左から、国・地方公共団体に対する寄附金、指定寄附金、特定公益増進法人に対する寄附金、認定NPO法人に対する寄附金ということでございます。4種類の寄附がいわば受け皿ということで対象化されているわけでございます。これがいわゆる受け手のサイドの形の全体像でございます。

それに対しまして左側、縦に見ていただきますと、所得税、法人税等々書いてございますが、これは寄附を出した側。個人ですと、所得税法上、こういう法人等に対して寄附を支出した場合に一定の控除が行われる云々という構成になっているということでございます。寄附金税制というのは、そういう意味におきまして、この4つの寄附金に対する税制上の出し手の側の税制上のメリットを考えるという問題でございます。

それでは、個別にお話を申し上げたいと思います。まず、国・地方に対する寄附金というボックスでございますが、典型的には義援金というのがございます。例えば最近ですと、新潟県の中越地震などが起こりました場合には、新潟県に対する寄附ということで、名称上は義援金ということになりますが、それに対して寄附を行うという形がございます。

ちなみに、これによりまして350億程度の義援金が集まっておるということでございますが、例えば個人が寄附を行う場合には所得税法上のメリットが、寄附金控除がなされる等々の形になるということでございます。

それから2番目、指定寄附金でございます。制度の詳細はまた後ほど申し上げますけれども、着眼点は、事業の公益性にあると。ここに例示を挙げてございますけれども、国宝を修復する場合とか、オリンピックを開催するとか、そういう事業に着目いたしまして、いわば単発のといいますか、アドホックなものについて、公益性があると認められる事業を指定いたしまして、それに対する寄附という形をとっているという制度がこのボックスでございます。

それから右側の2つ、特定公益増進法人、認定NPO法人がございますが、これは法人そのものの公益性に着眼いたしまして、これらの法人が行う公益的な活動に対して寄附が行われるという場合に一定のメリットが付与されるというものでございます。したがいまして、特定公益増進法人、ないしは認定NPO法人をどういう形でそれを特定化するかが論点になるということでございます。

特定公益増進法人、またこれも後ほど詳細にご説明いたしますが、赤十字等々、今般、例えばスマトラで地震が起こりましたが、赤十字を経由した形でのスマトラ地震対応の寄附が70億強集まっているというお話もございます。あと民法34条法人云々ということで、ここは今回大きな論点のあるところでございます。

それから一番右側の認定NPO法人、これはNPO法人の中で一定の要件を満たすものとして国税庁長官が認定してございまして、別建ての制度として並んでいるということでございます。この点も後ほどもう少し詳細に申し上げます。

こういう4つの寄附という受け皿に対しまして、出し手側、例えば個人が出した場合には所得税ということで、ここに書いてございますように、例えば10万円の寄附金を支出しましたら、それから1万円を引いた9万円を所得から控除するという仕組みになっておるわけでございます。この寄附金の金額につきましては限度額がございまして、総所得の30%を限度にするということでございます。

ちなみに、給与収入、例えば700万ぐらいの平均的なサラリーマンをイメージいたしますと、この限度額30%というのは150万ぐらいという形になる、そういう限度額設定でございます。

それから法人税の欄でございます。例えば法人がこれらの4つの法人等に寄附をしたというケースでございますが、一番左の国・地方、それから指定寄附につきましては全額の損金算入。それから右側の2つにつきましては、(所得金額の2.5%+資本等の金額の0.25%)×1/2という、その金額を限度として損金算入する。公益寄附枠と呼ぶものでございますが、これはなかなかピンと来ないのですけれども、例えば資本金1億円といたしまして、所得金額が1億円、それぞれ1億円の企業だといたしますと、この枠は137万円ぐらいでございます。

それから一般寄附枠とは別にと書いてございますけれども、特増、特定公益の枠とはまた別の形で実は一般の寄附枠というのが認められておりますけれども、そういう枠につきましても公益的なものに使うこともできるということから、実際に活用できる枠はこの2倍あるということで、実際的には所得金額の2.5%+資本金の0.25%が最大限の枠になっていると、このようにご認識を賜ればということでございますので、今の仮説例でいきますと、137万円の2倍、260万程度の枠になると、このようなイメージでございます。

このように現在の制度というのはそれなりの整備レベルではあると思いますけれども、それぞれ問題点も指摘されるわけでございますし、前回ございましたような民法34条法人の改正とか、そういう新しい局面を迎えておりますので、そういうものが全体として寄附税制の考え方にどのように影響し、あるいはどのように我々が取り組むべきかという、そういう状況に今直面しているというのが現状だということでございます。

2ページ目は地方税関係でございますので、後ほどご説明させていただきます。

飛ばしまして、3ページをご覧いただきたいと思います。個別の説明になりますので若干ディテールになりますが、ご容赦賜りたいと思います。まず特増制度からお話を申し上げたいと思います。左側のボックスの中でございます。ちょっと読み上げますと、特定公益増進法人制度は、公共法人、公益法人等のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものを「特定公益増進法人」として、これらの法人の主たる目的である業務に関連する寄附金について、特別の税制上の優遇措置を講ずると、こういうものでございます。

具体的類型というのが右側に[1]から[7]まで7つ書いてございます。[1]独法、[2]、[3]がございます。[3]には赤十字というものが入ってございます。それから[4]を飛ばしまして、[5]は学校法人、教育関係、[6]などは社会福祉ということで、[1]から[3]、[5]から[7]、こういう法人類型につきましては、寄附の優遇を受ける団体という意味においての新たな認定という形はなされませんで、いわば自動適用という形になっているという世界でございます。

それに対しまして[4]のところでございますが、民法上の社団法人、財団法人で、特に(ロ)をご覧いただきますと、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する業務(38類型)、これは次の4ページに類型がざっと列挙してございますけれども、その類型に当たるという、それを主たる目的とするものであって、適正な運営がされているものであることについて主務大臣の認定を受けたもの、こういう形になってございます。

この文章上、3つポイントがあるわけでございます。まず公益の増進に著しく寄与する業務38類型というポジリストに当たっているかどうかのチェック、それから組織そのものが適正に運営されているかどうかのチェック、それ全体を主務大臣が認定を行う、こういう3つの形でこの仕組みが構成されているということでございます。

それをポンチ絵化したのが左側の図でございまして、もともと、民法34条法人につきましては、主務大臣の許可によりまして設立され、今約2万5,000ほどの法人がございますが、これに対しまして、今申し上げた[4]の(ロ)の要件に合うような形で、主務大臣が認定を行うという形になっております。ここでは、38類型にある種絞り込みをかける形で特定公益増進法人が認定されていくと。この法人につきましては寄附金優遇措置が講じられるという構造になっているわけでございます。そういう意味では、主務大臣の認可なり許可という形で、公益性の判定が2段階生じてきているというのが特徴でございます。

それから認定期間、(注1)でございますが、これは原則2年ということで今構成されている制度でございます。ここの認定につきましての認定基準というのが右側の下に書いてございますけれども、具体的な38類型、限定的なものに該当するかどうかのチェック等がございます。このあたりを見ながら判断されているということでございます。

38類型は、4ページをご覧いただきますと、昭和36年から累年にわたりまして税制改正で追加されてきているという、ポジリストになってきているということでございます。

これにつきまして、さまざまな問題点の指摘がかねてからなされているところでございます。例えば、その38類型について、網羅的であるのかどうかとか、どういう基準でこういうリストになっているのかというような問題意識とか、あるいは先ほどの認定基準、下にマルが5つぐらい並んでございますが、それについて具体的な運用ルールがはっきりしてないとか、さまざまな論点が指摘されているというのも事実でございます。

今般、前回ございました新たな非営利法人制度ができます。ここでの関係でいきますと、[4]の、まさに民法34条法人のこの枠で囲ったところの根っこからの制度改正がなされるということでございます。前回のご議論との関係でいきますと、主務官庁の許可によって民法34条法人が設立されるというところが有識者によります第三者機関によって公益性が判断されるということで、スキームが大きく変化いたします。それを前提として、次のいわゆる特増のような、寄附に係る公益性認定スキーム、どのようにそこをうまく接続させるかということが今回の課題になっているという問題意識でございます。

続きまして5ページでございます。話題を変えまして、次は認定NPO法人というものについてご覧いただきたいと思います。制度の概要、左側のボックスの中でございますが、認定NPO法人制度は、NPO法人のうち、その運営組織及び事業活動が適正であり、公益の増進に資することにつき一定の要件を満たすものとして国税庁長官の認定を受けたものを「認定NPO法人」として、これらの法人の特定非営利活動に係る事業に関連する寄附金について、特別の税制上の優遇措置を講ずるというものでございます。

下の図でございますが、都道府県知事による認証によりましてNPO法人が設立されますけれども、その中から、今申し上げた、国税庁長官によりまして、寄附優遇団体としての認定NPO法人が認定されるということでございます。現在、16年度末で30法人ということでございます。認定期間は2年という仕組みになってございます。

今回の民法の改正等々の関係で申し上げますと、前回お話がありましたように、このNPO法人制度そのものは存置されるということでございますので、制度的にはこのまま認定NPO法人制度についても存続されていくことになろうかと思いますけれども、この認定の基準につきましてさまざまなご議論があるところですので、ちょっと紹介したいと思います。

それが右側の上、「認定NPO法人の認定基準」ということでございます。大きく分けて2つございまして、1つ目のマル、すなわち、広く一般から一定以上の寄附金や助成金を受け入れているかどうか。いわゆるパブリックサポートテストと呼ぶものでございまして、これは官の関与から外れて、純粋に民間でサポートしているということをもって公益性を見ようということで、実際には、この分数式をご覧いただきますと、全体の総収入を分母といたしまして、分子が基本的には寄附金という形で、一般からの支援を、寄附金ということに着眼して、それが全体の5分の1以上あるもの、それは一般から支持されているであろうということで式がセットされまして、このハードルを越えるかどうか見るというのが一つのテストになっているということでございます。

以下のマル、2つ目から5つ目までさまざま書いてございますけれども、例えば情報の公開であるとか、運営組織の適正性というのがございます。特に運営組織の適正性等になりますと、例えば役員とか社員のうちでその親族が占める割合が一定以下であるといったような形で、いわば特定の者でその全体がコントロールされているという、ちょっと言い方が悪いですが、私物化されていないかどうかをチェックするというアングルからこの辺の認定基準ができ上がっているという意味では、今申し上げたパブリックサポートテスト、プラス、運営上の組織の適正性という2つの大きな固まりでテストがされているというのが現状でございます。

このあたりにつきまして、NPO法人そのものが今2万ぐらいあるわけでございますが、認定NPO法人は30くらいしかないということで、数的な問題をよく指摘されるわけでございます。

下の表をご覧いただきますと、例えば13年度では11件、16年度では29件ということで、実際の申請件数そのものは非常に少ない。その中から選ばれた最終的な、現在の16年度末が30という数字になっているということでございます。おそらくNPOの中にも活動の態様がさまざまだということが反映されているのかもしれませんが、一つの原因として、認定基準についてもう少し現代的な、現在の実態面から見て問題がないのかどうかというあたりをもう少しチェックしてはどうかという問題提起が各方面からなされているということも事実でございます。その点だけご紹介させていただきます。

なお、6ページでございますが、この認定NPO法人制度そのものは平成13年度に発足いたしまして現在に至っております。制度発足後間もないということもございまして、さまざまな要件の緩和措置を講じながら現在に至っているということもご紹介させていただきたいと思います。

次の7ページでございます。もう一つの寄附制度といたしまして指定寄附金制度というのがございます。先ほど申し上げた1ページの表で申しますと左から2つ目の箱に当たる部分でございます。これにつきまして、7ページの枠内をご覧いただきますと、指定寄附金制度は、広く一般に募集される寄附金で、かつ、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献など公益の増進に寄与するための支出で緊急を要する事業に充てられることが確実であると認められるものとして、財務大臣が指定したものを「指定寄附金」とするという形になってございまして、その絵が下に書いておるものでございます。財務大臣の告示という形で、緊急な対応ができるようにということでつくられている寄附金でございます。

例といたしまして、右側でございますが、国宝等々の修復とか、例えば今、愛知万博が行われてますが、そのための寄附を集めるというような場合にはこのスキームを使うということでございます。先ほどの特定公益増進法人制度とか、あるいは認定NPO法人というのは、どちらかというと法人そのもののいわば経常的な活動に対する寄附という形になりますが、これはいわばアドホックな、しかし、非常に緊急性が高い事業につきまして、その事業の公益性に着目して機動的に寄附を慫慂するという形の制度ということでセットされているものでございます。

財務大臣の審査事項というのを4つほど並べてございますが、こういうことをチェックするわけでございますが、その辺の基準について必ずしも明確ではないのではないかという批判があることも事実でございます。そのあたりもひとつ論点になろうかと思います。

以上が制度の概要でございますが、8ページ、外国の制度をちょっとご参考までにご説明させていただきたいと思います。全く概要でございますので非常にラフな説明になりますけれども、ポイントのところだけ申し上げますと、例えばアメリカでございます。アメリカは公益目的の寄附金ということで、ここに寄附のパターンが2つ出てございます。特に公益性の強い団体に対する寄附金というのとその他のものと2段階になってございます。上がパブリックチャリティと呼ばれるものでございます。それから下のその他と2段階になっておりますのは、プライベートファンデーションということで、同族性の強いもの、いわばこの制度の濫用のおそれがある、可能性があるということで、切り分けて制度化しておりまして、横を見ていただきますと、所得控除の限度額に差があるという形で出ております。

優遇対象団体数が96万という大変大きな数字でございますが、欄外の(参考)をご覧いただきますと、アメリカの寄附先としては宗教団体、教会が中心だと思いますが、6割だということが国民生活白書で指摘されているということで、そういう文化の違いのようなものがあるかもしれません。

ちなみに日本の場合は、宗教法人に対する寄附につきましては寄附金の優遇対象にはなっていないということ、その辺の違いはあろうかと思います。

それからイギリスでございますが、「チャリティに対する」と書いてございますが、イギリスではチャリティ委員会という委員会がございまして、おそらく日本の今回整備されます第三者機関に類似したものでございますが、そこで公益性とか運営の適正性が認められました 団体につきまして、寄附金優遇税制に自動的になれるという仕組みでございまして、今回我々が考えていく場合の一つのモデルになるのかなと思ってございます。

それからドイツ、フランスそれぞれ、こういう公益目的の寄附金がございます。

日本の場合でございますけれども、4つほど並べてございますが、下の特定公益増進法人とか認定NPO法人に対する寄附金、ここはもう外国の公益的寄附に対応する部分でございますが、指定寄附のような部分は日本特有の制度かなということで、メニューが多様な特徴を持っているということだと思います。

それから一般寄附金ということで寄附金が認められる仕組みになってございますが、これが公益団体の寄附にも活用できるということで、枠の広がりがあるというのも特徴でございます。

それから右側の税制上の取扱いということでございます。今まで申し上げましたのは受け皿としての法人のイメージでございますけれども、今度は出し手側が出したときにどの程度の税制上のメリットを受けられるかということを整理したものでございます。

日本の欄でございますが、所得控除、冒頭申し上げましたように、30%を限度額といたしまして、そこから1万円を引くという計算方式になっておりますが、ずうっと上をご覧いただきますと、例えばアメリカの場合だと、パブリックチャリティという部分の一番最初の特に公益性の強い団体というところにつきましては所得金額の50%という話がございますが、それ以外につきましては30%、それからドイツ、フランスなどは5とか10とか20とかいろんな数字がございまして、相応のレベルであるかなと、この辺をどのようなバランスで見るかということが一つの観察すべき論点かなと思います。

それから法人税の欄でございますが、指定寄附金の欄、これは全額、あるいは国等に対する寄附金は全額損金算入という、ここは非常に特徴的でございますが、それ以外の部分につきましての、例えば特増に対する法人税の寄附の枠については、冒頭申し上げましたように、資本金の0.25%+所得金額の2.5%の1/2、一般枠と合わせて2枠あるという構成でございますが、アメリカ、イギリス、ドイツ等々を見ますと、外国のほうが若干広めかなという印象があるわけでございます。単純な比較をいたしますとそういう観察ができるかなということでございますので、今後のご議論の参考にしていただければと思います。

それでは寄附の実態を今度は少し見てみたいということで、10ページでございます。今までは制度の概要でございましたけれども、これからは日米を、できる限り資料を持ってまいりまして、寄附って何だろうかというあたりを少し見ていただきたい、議論の材料ということで提供させていただきたいと思います。寄附文化というのは、そもそも制度よりも歴史とか文化の所産ではないかというようなお話もございます。鶏と卵の関係ということもよく言われますので、そのあたり、ファクトを見ていただきたいということです。

まず1つ目、寄附金総額の欄でございますが、日本とアメリカ、これは支出額でございますが、個人、法人それぞれこの数字で、合計額、日本の場合は7,281億円、アメリカの場合は24兆円ということで、全くオーダーが違ってございます。マクロではこういう数字でございます。

それから2番目、右側でございますが、これは平均値で見たものでございますので、そういう前提でご覧いただきたいということですが、個人の寄附金につきましては、日本の場合、2,936円、宗教団体への寄附はその外側として1万9,912円、アメリカは1,620ドルということで、大体日本の50倍という計算でございます。

それから3番目、寄附金の控除額ということで、これは税制上の寄附金の控除を受けた額ということでございますが、アメリカの場合は、個人、法人合わせまして約16.6兆円の控除額相当になっているということでございます。個人のところに吹き出しで書いてございます。個人納税者の31%が寄附を実施していると。特に10万ドル以上の所得階層は約9割が寄附を実施するというデータがございます。

それから日本の場合でございますが、このような数字で、高さがまるで違ってございます。個人のところの吹き出しをご覧いただきますと、申告納税者の2%が寄附を実施ということでございます。

ただし、ここは還付申告を除いた数字でございますので、それを前提として見ていただくということですが、いずれにしましても、この高さの違いというのは印象的であろうかと思います。これは制度の違いと見るのか、文化の違いと見るのか、このあたりはさまざまあろうかと思います。

11ページ、その背景にある要因としてよく指摘されますのが、もともと所得格差があるのではないかと。すなわち、比較的所得の高い人による大口の寄附というのがアメリカに多いということをよく言われるわけですが、実際の格差というのは、単純なこのデータでご覧いただきましても、日本の場合、申告所得者で2,000万以上、24万人というその数字に対応しまして、アメリカでは20万ドル以上というのが241万ということで、10倍以上いるという問題。

あるいは、次の12ページ、これは世界の主要企業のCEOの報酬の特徴でございます。このデータは昨年の基礎小のときに提出させていただいた資料でございますが、このあたり、特徴があろうかと思います。

次、13ページでございますが、今度は日本人の寄附意識ということでのアンケート調査をちょっととってまいりました。上の欄、「あなたは昨年1年間にここに挙げているような寄附をしましたか」という問いに対しまして、「したことある」という方は87%おるわけですが、平均金額が5,771円ということで、赤い羽根、お寺、神社、一番右側に国・地方と、このようになっております。下が、過去最高額は何に対する寄附でしたかというので、神社3万円、赤い羽根、災害救助、一番右側、国・地方、こういう感じになっておりまして、宗教法人に対する浄財のようなものが出ておるということですが、日本の制度では寄附税制の対象になっていないということが特徴だろうかと思います。それから全体としては小口というのもあるのかなという気がいたします。

それでは、その意識でございますが、14ページ、これは共同募金会のアンケート調査でございますが、寄附をどう思いますかと聞いた場合に、特徴でございますが、一番上、寄附は社会のモラルとして必要だという人が6割ぐらいいらっしゃいますが、3つ目、「寄附はできる人ができる範囲でやればいい」というのが9割ぐらいいらっしゃる。それから5つ目ですが、「助け合いの心の表現である」、これも9割ぐらいいる。このような寄附の意識かなということでございます。

15ページ、また違うアングルで、これは内閣府の調査でございます。「寄附の動機」ということですが、町内会のつき合いということ、高齢者になるほどそういう意識が強い。「困っている人の役に立ちたいと思ったから」というのも多いわけですが、若者ほどその意識が強い。この辺もそうかなあ、どうかなあというあたりでございます。

こういうことで、寄附の意識、文化の面、いろいろ若干の参考に供しましたけれども、1ページ飛ばして17ページをご覧いただきますと、一方、社会の最近の変化ということで、昨年、「実像」把握の中でお触れいただいた点でございます。もとより、寄附の意識という問題は根っこにあろうかと思います。文化的な面もあろうかと思いますが、一方、社会的なニーズという面からいくと、いわゆる「民間が担う公共」と言うべき部分の領域の重要性がここで指摘されているところでございまして、この枠内の下のアンダーラインでございますが、「社会の多様化が著しい中、さまざまな社会の問題に柔軟に対応していくためには、『政府が担う公共』はもとより『民間が担う公共』に個人が主体的に参加していくことが求められている」と、このようなお話でございまして、社会貢献意識が高まってきているとか、あるいは右側の、ボランティア活動を行っている方のほうがやはり寄附金が多いとかいうようないろんなことを見ていくと、この「民間が担う公共」というものをどのように考えていくのか、そこには当然、寄附というものが絡んでくるわけでございます。民法の改正が行われるという新しい状況のもとで、こういう流れをどのように我々としてつかまえていくかが現状問われているということかなと思います。

次、赤紙をめくっていただきまして18ページでございます。今までは現状ないしは文化的な背景を申し上げましたが、これからは制度設計に係る問題提起という部分にご説明を進めたいと思います。この18ページにつきましては先週ご覧いただいたものでございまして、現在、内閣官房を中心として新しいスキームが検討されております。一般的な非営利法人を準則主義でつくるという中で、民間有識者からなる委員会、すなわち第三者機関によって公益性の判断をして、公益性を有する非営利法人を選び出すという形のスキームになっているわけでございますが、このように、主務官庁のそれまでの許可によっての公益法人の認定という形から、第三者機関による認定という形にシフトさせていくというその発想を寄附金税制にどこまで貫徹させるかというのが我々の直面している問題であろうかと思います。

そこで問題提起という形でございますが、次の19ページでございます。特定公益増進法人制度というのは冒頭申し上げましたが、類型は7つほどあると申しましたが、我々の新しく直面している部分は[4]の、先ほどございました民法34条に係るところの制度改正ということになるわけでございます。左側が現行制度、主務官庁が許可をし、民法34条法人ができまして、その中から特定公益と称する部分につきまして38類型に当たるかどうか等々のチェックをして、主務大臣が2段階目の認定を行って特定公益増進法人をつくるということでございます。認定期間は2年ということでございますが、実は情報公開規定は整備されておりません。それから、何かそごがあった場合に取り消しという規定もございません。そういう形でございます。

今度新しくできるスキームは真ん中の上の欄でございます。一般的な非営利法人が準則主義で設立できると。その中から民間有識者からなる委員会が公益性を判断するということで、公益性を有する非営利法人ができ上がるわけでございますが、これに対する課税につきましては収益事業のみの課税と。これはまだ決まったわけではないという意味で?マークを暫定的につけてございますけれども、前回のご議論では、収益事業のみの課税でいいのではないかということでございましたのでちょっと注釈だけつけさせていただきますが、その上で、こういう公益性を有する非営利法人について、今度、寄附優遇をどういう形で与えるスキームにするかというのが現在問われているということでございます。

もとより、現行のように、主務大臣の認定をここにかませるという方法があるわけですが、そういうやり方でいいのかどうか。民間有識者からなる委員会によって、ここで公益性が一度判断されるということがございますので、その寄附についてもあわせて、一気通貫で同時にステータスを与えるということも一つのアイデアかと思うわけでございますが、そのあたり、どう考えるかということでございます。

もちろん、こういう形になった場合に、下の欄でございますが、認定期間の幅もございますが、取消規定、情報公開規定等々についてもいわば事後チェックという形で整備していく必要があろうかと思いますが、そのあたり、どう考えたらいいか、この?マークのところが今日の一つのご議論のポイントになろうかと思います。

それから右側の(参考)というところでございます。NPO法人につきましては、今回、民法の改正上は特にかかわる部分ではございませんので、現行制度としては存置されるということが前提でございますが、先ほど、途中申し上げましたが、国税庁長官の認定の基準について、もう少し時代の流れにあわせて見直すべきではないかというご議論もございます。このあたりも見直しが必要かと思うわけでございます。

以上が資料の説明でございまして、これを言葉に落としたものが、別途、「寄附金税制のあり方(主要論点メモ)」というものがございます。横紙のメモ、「委員限」というのをご覧いただきたいと思います。

アンダーラインのところを中心に読ませていただきます。主な論点としまして、「寄附金税制の見直しの基本的方向」ということです。まさにこの寄附金の優遇税制につきまして、真に政策的に支援するのにふさわしい公益的な非営利法人を厳格に絞り込む必要があるのではないかという考え方があるわけでございますが、これに対してということで、少子高齢化が進展して社会の多様化が進む中で、より一層厚みのある社会システムを構築していくという面から、「民間が担う公共」の領域の役割が重要であって、それを支える公益的な非営利法人による民間非営利活動に国民が積極的に参加するための社会インフラ整備、そういった視点に立って、欧米並みに寄附文化を育てていくということから、税制面として、公益目的の寄附金に係る優遇税制をより充実すべきではないかという考え方もあろうかと思います。今回の「新たな非営利法人制度」の制度化の趣旨を踏まえて、どのような方向観で考えたらいいか、今申し上げた、大きく分けて2つの考え方のどちらに軸足を置いたらいいかというのが一つの論点になろうかと思います。

次の2ページでございますが、それでは、具体的な仕組みについてということでございます。寄附金優遇の対象法人の考え方ということでございまして、今申し上げた特増との関係でございます。先ほどの34―1の資料の19ページをちょっと横に置きながらこの記述をご覧いただきたいと思います。

現行の民法34条法人に係ります特定公益増進法人制度につきましては、主務大臣の許可に基づいて設立された法人の中から、より一層公益性が高いとして国が政策的に支援しようということで、主務大臣がさらに認定するという2段階の認定システムになっているわけでございます。この場合において、寄附金優遇の対象とすべき公益的事業の範囲、先ほど、38類型と申しましたが、それが限定列挙の形で類型化されているわけでございますが、その事業の類型が網羅的でないとか、時代のニーズに適合していないのではないかとか、あるいはその類型を定める基準そのものが不明確ではないか、このような問題点が指摘されているということでございます。

「一方」ということですが、今般、「新たな非営利法人制度」が制度化されますので、こうした新たなスキームが導入されることの意義とか趣旨とか、あるいは寄附金優遇税制の充実の必要性をどう考えるかといった観点を踏まえまして、「公益性を有する非営利法人」に係る寄附金優遇のための公益性判断をどのように考えたらいいかということが論点になろうかと思います。

3ページでございますけれども、それをブレークダウンいたしますと、[1]寄附金優遇の対象法人の認定については、引き続き、主務大臣の判断によることとする考え方もありますけれども、他方で、新たな非営利法人のもとでは、「公益性を有する非営利法人」に係る公益性の認定が「第三者機関」によりまして統一的に行われる。すなわち、今までは主務大臣それぞれの公益性の判断があったわけですが、今回はこれが統一的に行われるということでもございますので、イギリスの例なども考え、制度の一貫性確保という観点からも、基本的に、「第三者機関」により認定された「公益性を有する非営利法人」を寄附金優遇法人とすることが合理的という考え方も取り得ると思いますが、このような点についてどう考えるかというのが大きな論点でございます。

先ほどの19ページの図で申し上げますと、ここの意味は、この?マークのところでございますが、一度、「第三者機関」によりまして公益性が判断されましたら、基本的には、「公益性を有する非営利法人」としてのステータスと、それから寄附金優遇法人としてのステータスを同時に取得できるという形を想定してはどうかというのがここの問題提起でございます。

それから[2]でございますが、仮にそのような「第三者機関」により認定された「公益性を有する非営利法人」を寄附金優遇法人とすると仮にした場合でございますが、どのような事業を寄附金優遇の対象とするかということにつきましては、今まで38類型という特定があったわけでございますけれども、それについては、「第三者機関」の公益性判断が適正かつ的確に行われることを前提として、基本的に、「第三者機関」によって公益性が認定された事業を寄附金優遇の対象とすることが適当と考えられるが、どう考えるかというのが次の問題でございます。

それから次、(ロ)でございますが、一方、寄附優遇税制は公益性に着目して税を減免するという性質のものでございますので、情報公開によるチェックとか、あるいは寄附金の使途の適正性の確保、寄附金税制の不正利用の防止といったような観点から何らかのチェックシステムが要るということも十分考えられるわけでございますが、このあたりをどう考えるかというのが付随的な問題でございます。

それから次、4ページでございます。ちょっと早口で申しわけございませんが、今までは特定公益増進法人制度に係るものでございましたが、次は認定NPO法人に係るものでございます。これについては、NPO法人そのものは存続するという前提ですが、先ほど途中申し上げましたパブリックサポートテスト、PSTと言いますが、これについて、「『官』の関与を排除しつつ広く一般から支援を受ける度合い」という形で公益性を測定するという考え方のもとに、「一般からの支援の度合い」を寄附金の収入の大きさで判定すると。算式でございますが、分子を寄附金、分母を全体の総収入という方式でやっているわけでございますが、NPOが次第に定着し、非常に活動が多様化してきていると。さまざまなタイプがあらわれる中で、その寄附金収入の多寡にのみ着目する方式については現状の活動にそぐわなくなっているのではないかという指摘がございますが、このあたりどう考えるかというのもポイントでございます。

それから認定期間、基本的に2年間とされてございますが、これは事務手続等々考えて長めに設定すべきということもよく指摘される点ですが、この点についてどう考えるかということでございます。

5ページ、(3)、公益性の判断が取り消された場合どうするかという問題がございます。「例えば」というところに書いてございます。公益性の判断が第三者機関によって例えば取り消されたという場合においては、そうした法人については、寄附金優遇法人としてのステータスの取消規定を明確にセットする。それから一定期間内は再認定できないという形での事後チェックの仕組みが必要なのではないかというのがここでの問題提起でございます。

それから次、今までは受け皿としての法人のサイドのご議論でございましたが、3以下は、寄附金控除の枠の話でございます。これは1ページの寄附金の表を横に置きながらご覧いただきたいと思いますけれども、「寄附金優遇税制の見直しの基本的方向」を踏まえてどう考えるかということで、寄附金控除、所得税のところでございます。現状は、寄附金から1万円を引いたものが所得控除されると。限度額が総所得の30%という仕組みでございますが、これについて、平成17年度税制改正において、総所得の25%から30%にこの限度額を引き上げたということもあり、外国と比較しても遜色ない水準とはなっているものの、さらに見直す余地があるのではないかとの見方もございますが、これをどう考えるか。

それから適用限度額1万円ということにつきましては、5ページの端のほうですが、昭和49年にセットされて以来、見直しが行われていないこの1万円をどう考えるかという問題がございます。

それから今度は法人税の世界でございますが、寄附金の損金算入枠ということについて、公益目的の寄附金の算入枠についてでございますが、これは累次の税調答申におきまして、やはり企業の社会的貢献等々を想定すると、その枠を拡充する必要があるのではないかという指摘をいただいておりますが、この点をどう考えるか。

それから公益目的ではない、いわば一般の寄附金枠というものもセットされておりまして、これをどう考えるかということも税調答申で指摘されております。寄附金に一部経費的な性格のある支出が含まれているとしても、一定の限度内であればその全額を損金に算入できるという現行の取扱いについては、寄附金の本来的な性格、法人の交際費支出に対する課税上の取扱いのバランスから見て、必ずしも適当とは言い難い面があると。したがって、一定の制限を加えるべきではないかというご指摘をいただいておりますが、このあたりをどう考えるかということでございます。

住民税は後ほど総務省のほうからご説明します。

最後、7ページでございますが、その他、指定寄附金ということについて若干言及してございます。アンダーラインでございますけれども、指定寄附金制度については、事業そのものの公益性に着目し、寄附金優遇の面で個別事業ごとに機動的に対応し得る仕組みという特徴がございますので、それは特増等とは別建ての制度として十分意義があるのではないだろうか。ただし、その指定基準等については一層の明確化を図る必要があるということを前提としてどのように考えたらいいかということでございます。

ちょっと長くなりましたが、以上、問題提起とさせていただきます。

委員

じゃ地方税関係、市町村税課長、お願いします。

事務局

それでは、基礎小34―1にお戻りいただきまして、2ページをお開きいただきたいと思います。寄附金税制、個人住民税関係について説明いたします。

まず寄附金控除の対象となる寄附は3種類ございまして、例えば県立高校など、都道府県、あるいは市町村に対する寄附金、これが1つでございます。それから赤い羽根共同募金など、住所地の共同募金会、これは社会福祉法におきまして共同募金という制度がございますので、これに対する寄附。それから3つ目が日本赤十字の支部に対する寄附金。この3つの類型でございます。

この寄附に対する税制上の取扱いですが、総所得の25%を限度としまして、10万円を超える部分を所得から控除するといった制度になっております。

以上が税制の概要でございます。

次に論点のほうでございますが、先ほどの「寄附金税制のあり方(主要論点メモ)」の6ページをご覧いただきたいと思います。一番下のほうに(3)「寄附金控除(個人住民税)」となっております。個人住民税の寄附金控除につきましては、1点といたしまして、いわゆる個人住民税の負担分任という性格から、極力政策的な控除を設けるべきではないということと、2点目としまして、寄附金控除を行う地方公共団体と寄附金による地方公共団体の受益、この対応関係が必要ではないかということから、先ほど説明しましたような今の制度が設けられております。それから過去の税調の答申におきましても、国家的政策の見地からの控除、これについては地方税である個人住民税においては極力整理すべきということもございます。こういった論点に関しまして、先ほどの見直しの基本的方向性を踏まえて、今後どのように考えていくのかという論点がございます。

それからもう一つ、地方団体が特定の事業活動、いろんな団体による事業活動を支援する場合に、これは寄附金控除によってやるよりも歳出によってやったほうが透明性が高まるのではないかという考え方もございます。このような考え方についてどう考えるのかといったような論点もあろうかと思っております。

以上でございます。

委員

ありがとうございました。

まだ今日はかなり時間がございます。国税、地方税各々の現状をご説明いただきました。「論点メモ」がうまく整理されてますので、これからそれに沿いましてご議論いただきたいと思います。どこからでも結構でございますから、ご発言をいただきたいと思います。どうぞ。

委員

基本的な質問なのですが、控除のところで、-1万円というのが49年からというご説明でしたけれども、これによって、総所得というのか、控除額というのがどのぐらいあるのでしょうか。この1万円ということの意味、あるいは1万円引くことの意味が本当にあるのか、あるいはそれを2万円にするのか、3万円にしたほうがいいのか、ゼロにしたほうがいいのかという議論のちょっとその前提になるかと思いますので、そういうことを1つ伺いたいということ。

それから地方のことで、学校への寄附というのが高校以上と、高校ということになってますね、これを見ると。中学、小学校というのは入っていないわけでしょうか。スタンフォードの青木昌彦さんの本を読んだりしますと、アメリカ、カリフォルニアだと思いますが、よく小学校、中学などに寄附をして、みんなが、父兄が学校の活動にかなり活発に参加して、そしてそれが教育のレベルを上げて、地価の財産が、自分の持っている住宅の財産が上がるので、喜んでみんなそういう協力をして大変活性化するのだというような話が載っていたのをちょっと思い出したのですが、これは義務教育だということと関係あるのでしょうか。その辺のことを伺いたいと思います。

委員

それでは、1万円の件、税制第一課長、どうぞ。

事務局

この「委員限」という「寄附金税制のあり方」の横紙でございますが、先ほど説明ございましたように、5ページ。1万円は適用下限額でございます。5万円寄附をした場合には、1万円を引いて、4万円を控除対象にするというものでございます。

何でこれをやっているかというと、例えば8,000円寄附をしましたと。10%ブラケットの人ですと、800円の税負担減になるという話になるわけです。その800円の税負担減のためにどれだけ税務当局、それから領収書が必要ですから、それを発行する側の手間をかけるかと、この辺がものの考え方になっておるわけでございます。

そういう少額のものというのは、ある意味では普通の基礎控除の中に入っているのではないかという考え方が背後にあるというのがこの5ページの下の4行、昭和49年以降、1万円のままにすると。もちろん、物価水準が上がってきているので、1万円を上げていくというのも一つの考え方ではあるのですが、30年以上据え置いているという意味では、少額のものも極力範囲に入れていこうという我々の気持ちのあらわれにはなっているというところでございます。しかし、現在、いろいろなパターンの寄附というのも世の中にございます。この辺のところを皆様のご意見拝聴したいと、このように思います。

委員

今、なぜ1万円かというのをご説明ありましたけれども、法人の場合は、それは8,000円でも5,000円でもいいのでしょう。だとすれば、所得税だけどうしてという話にならないですか。

委員

どうぞ、税制第一課長、何かありますか。

事務局

法人の場合は、ある種、ほかのいろんな申告も一緒に当然やられるわけで、かつ、法人が例えば8,000円の寄附だけ、1件だけやっているということがあるのかどうか、この辺は確かに法人と所得で違いがあるわけでございますが、ちなみに、住民税のほうは10万円の足切りになってます。

委員

言うなれば税務行政上ですね。

事務局

先ほど、県立高校というのを例示で申し上げまして、例えば市立の小学校とか、あるいは図書館とか、そういったものも対象になっております。

委員

じゃすべての学校が入ると理解していいのですね。小、中、高。

事務局

まず、県立と市町村立、区立、こういったものでございます。

委員

私立は入らない?

事務局

私立は入りません。

委員

何で?

事務局

これが、先ほど申しました、寄附金の対象を2つの考え方で選定しておりますと。それは負担分任の考え方で狭めている部分と、地域に受益があるということでございまして、私立の学校というのは公立の学校と比べてその程度が低いのではないかということで今の制度ができておるということでございます。

委員

このままでいいということですか、何か考える余地があるという、その辺の論点はどうなのでしょう。

事務局

現在の制度は今申し上げたような考え方に基づいてできておりますが、今、寄附金税制全体をここでご議論いただくということなので、従来の考え方をどうしていくのかということについてご議論いただければと。

委員

じゃ、国も1万円が問題になっているけれども、10万円も問題になるという理解でいいですね。

事務局

ええ。

委員

わかりました。

委員

1万円の問題は、税務行政上の理由が大きいのではないかと思うのですよね。ただ現実には、今、所得税のほうもパソコンで申告するとかそういうことができてきていますので、それが普及していけば、そんなに税務行政上の問題はなくなって、むしろ、私の場合は毎年やるのですけれども、これ、何で1万円を引くのかといつも思うのですよ。それは、8,000円の人がいるから、10万円を寄附しても1万円引くのだという論理はやはりちょっとおかしいので、それは法人の場合はやらないのであれば、個人の場合だって、1万円を超えたら、もう1万円を引かないというようにしてもらいたいと思いますね。せめて。

委員

私も個人的な経験で、これは学校関係者いっぱいいますけれども、今、国立大学は法人化して、卒業生から寄附を集めたいとき、1万円ならとりやすい金額なのですよ。寄附金。だから、1万円まではだめなのだというのは困ると言われて、随分多くの学長から文句言われましてね。私を目につけて言われますので、ちょっと私も考えてもらいたいなと、こういう、ちょっと皆さんの仲間に入ります。

委員

今、非常に専門的な、具体的なお話が出たのですが、私は有識者懇談会にも参加していた関係で、ちょっと大ざっぱなことを申し上げさせていただきます。

本日いただきました「委員限」という紙の1ページ目に、大きく分けて2つの方向、見方があるということでございますけれども、前の有識者会議での議論を踏まえ、また閣議決定の趣旨などを考えますと、どうもやはり後の考え方がいいのではないか。ここでは「民間が担う公共」という言葉を使っておられます。有識者会議のほうでは、「民間、非営利部門による公益的活動の健全な発展」という言葉を使っておりまして、おそらく大体同じ方向を向いていると思いますので、この後のほうがいいのではないか。

それを前提といたしまして、今回、ご提言、検討課題として出されました、3ページ目でしょうか。第三者機関によって公益性を有する非営利法人と認定された場合には、それを寄附金優遇法人にするという方向、これもイギリスの例などを踏まえて非常にいい方向ではないかと考えております。

ただ、その上で非常にもう一つ重要なことは、同じページの(ロ)というところにあります不正利用の防止ということでございます。せっかく広く寄附を支援しよう、あるいは公益活動を支援しようとしても、不正利用があった場合には困るわけでして、それをチェックする事後チェックの仕組みというのがこの制度においては極めて重要だろうと思います。

その際に、事後チェックの基準を明確にするということと、それからその基準に基づいて的確、迅速に対応するという、これが非常に重要なことではないかと思います。そうすることによってこの制度に対する信頼性が高まって、よりよい方向になるのではないかと考えます。

委員

今おっしゃったこととほとんど同じなのですが、先ほどの説明にもありましたけれども、日本の寄附に対する意識とかいうのは、言われているほど、思ったほど高くない、非常に低いのではないかと。そういう意味で、欧米が正しいのかどうかわかりませんが、とにかく欧米は宗教がかなり、そこから発していることが多いので金額が大きく見えますが、やはり日本の場合はもうちょっと寄附意識というのを高める必要がある。そういう意味では、もっと寄附制度に門戸を開いて、かなり入口を広くするという制度にしていったほうがいいと。

そして、悪いケースが出た場合、そういう公益性がないというようなことが認定されたり取り消されたりした場合はペナルティを厳しくするというやり方が基本的にいいのではないかなあと。そういう意味では、今「論点メモ」にある特増ですね。第三者機関が1回見たものはもうそれで、あと主務大臣がどうとか、改めてする必要はないのではないかと。それから認定NPOとか指定寄附金ですよね。それはそれぞれ目的が違うのだから、せっかくその制度があるわけですから、新しい非営利法人制度のもとで存続するというものについては、それはまたそれで生かしていったらいいのではないかと思います。だから、特にそのペナルティですよね。そこをしっかりやるということが必要なことではないかと思います。

委員

寄附制度の門戸を広げるというのは税制でなくて、税制上というか、もっと広い意味で、特増の認め方とか、NPOの認定のああいうところの、税制そのものよりは認定や何かのところも含めてですよね。

委員

例えば寄附金が多いか少ないかだけで見るとかそういうことではなくて、もっと意図しているところがどういうことかというところを弾力的に見るべきだと。

委員

ほかにいかがでしょうか。

委員

それは個人も、法人、企業ですね、その寄附金文化みたいなものを育てていかなければならないと。これは全く異存ありません。ただ、法人の、つまり、損金算入の問題ですけれども、これまで拡充ということをずっと言って、そうかなあと思ってきたのですが、最近ちょっと疑問かなあという気がしてきたのですよ。つまり、さっきの委員もおっしゃいましたけれども、それはもちろん文化の違いもあるけれども、1つは、寄附を含めた社会的責任、つまり、企業の社会的責任というのがビジネスに直結するというふうな流れに今なってきている。

例えばSRIファンドってありますね。あれは、今残高、アメリカだとたしか2兆ドルぐらいいってしまったのではないですかね。日本は1,000億いってませんよね。これはやはり、つまり、資金調達面でこういうことをやればプラスになるという側面が出てきたわけでしょう。つまり、社会的責任を果たすということがビジネスに有利になるのだという考え方がマーケットの中ですでに出てきているということですよね。それがつまり、今はやりの企業価値になってき始めたということからすると、あまり損金算入を拡大してというよりも、税金払って寄附したほうが価値は上がるのではないのかという見方もできないわけではないですよね。したがって、あまり野放図に損金算入のあれをずるずると拡大するのはどうかいなというふうな気もしているのです。これは感想ですけれども。

委員

感想と疑問ですね。

委員

はい。

委員

寄附の基本的なものの考え方は、今、寄附金控除というのは、寄附をすれば所得税なり住民税が減るわけですよね。だから、その減った部分というのは本来だったらば税金として入って、財政当局が歳出に立てるわけです。だから、寄附をするサイドの視点に立てば、要するに寄附をするということは国や地方の財政配分権を自分に取り戻すということではないかと思うのですよね。それは、所得税は所得税率ありますから一部でしかないわけですけれども、そのことが今非常に重要になってきている時代ではないかと思うので、そういう意味から、寄附というのは国民が要するに自分の進めたい公益領域に財政配分すると。要するに、一般的に税に納めて、その配分を財政当局に任せるのではなくて、自分でその財政判断をするという意味が私はあるのではないかと思うので、そういう面をこれからやはり日本の社会というのは強めていっていいのではないかという意味で、なるべく広くしたほうがいいと思うのですね。

ただ、現実問題としてはいろんな法人が出てくるでしょうから、とにかく運営費も賄えないようなものを寄附で人件費をやるとか、ものすごく理事長が高い給料をとってやるとか、そういったものをどうやってチェックするか。先ほどの委員がおっしゃいましたけれども、そういう面をきちっとするシステムというのをつくらないと、単なる財政配分権ではなくて、それが変なところに使われてしまうということを防止しなければならないだろうなと、そういう感じがします。

委員

基本的政策は大賛成なのですが、そうすると、現行の制度についていいのですか、もうちょっと広げるのですか。その辺はどうですか。

委員

制度について広げるというのはどういう意味ですか。

委員

寄附税制の幅をもう少し緩く見てやるとか。だから、現行ではちょっとまだ足らんと。前提は。

委員

そうです。したがって、それは国だけではなくて、住民税についても同じレベルでやれということですね。

委員

わかりました。どうぞ。

委員

今の話とつながるのですけれども、基本的に寄附文化を育てるというか、国を通さないでいろんなことをやろうということは、要するに国が効率的に行われていないというのの裏返しだと思うのですよ。世の中複雑になってきたから、あっちもこっちも目が行き届かないから、目が行き届いている人でやってちょうだいと、あまり口出さないからという発想だと思うのですが、そうだとすると、それは推し進めていくべきだと思います。

ただ、それをする場合は、寄附金のことだけやってもだめなのであって、例えば補助金なんていうやり方、大幅に減らすと。交付税配るというのも大幅に減らすと。あと、具体的に、何度も言うのですが、BSE全頭検査などという発想はやめると。危ないのは安いけれども、自分で判断して食ってくださいと(笑)、そのように全体を変えないと、寄附金のところだけ、寄附金増やしてくださいと、ほかは面倒見ますというのでは話にならないと思います。だから、トータルでそっちのほうに向いていったらいいと思います。

委員

自己責任も強めろということですね。

委員

あともう一つ、ちょこっと質問ですが、認定NPO、30個というのは幾ら何でも、やってないと同じぐらいだと思いますが、最初のパブリックサポートテストで5分の1というのは、これは認定してもらわないと寄附金来ないわけだから、ちょっとそこのところ無理があるのではないかしらと思うのですけれども。野放図に、まずみんな、1年か2年認定してしまって、5分の1以上もらえなかったやつはおしまいというふうにしないと、何か前に進まないような気はするのですが。

委員

今の疑問、どうですか。

事務局

まず5分の1云々という話は、もともとスタートいたしましたのが、6ページでございますけれども、3分の1でスタートいたしまして、そういう意味では、平成13年に制度発足でございますので、やや手探りのようなところがあってまず発足させたというのがあって、当初3分の1ということでございました。その後、15年度の改正等々で5分の1にするということで、今少しずつ増えてきているという状態でございます。

おそらく、2万というNPOがございますけれども、非常に活動を大規模にしているところもあれば、わりと小ぶりにしているところもあるということで、いろんな活動の対応があるだろうということで、どういうルールを引いていったらいいかというのは、これからやはり試行錯誤という段階だと思います。

ただし、立ち上がりのところについてはやはりいろいろ議論があろうかと思います。例えば一度寄附優遇を認めた形でメリットを受けたものを後で取り戻すということがなかなか容易ではないということもございますので、そのあたり、どういう形でうまく初発のところも考えるかという議論は、議論としては十分成り立つと思いますが、考えるべき論点は多いかと思います。

委員

まず、「委員限」で出ている「寄附金税制のあり方」の一番最初の論点は、Aが現状でいいよと。あまり甘くすることはないよ、寄附金を税法上甘く見ることをしないでいいよというのと、いやいや、そうではないだろうというのと2つの流れでしょう。これはだれが考えたって、上がAで下がBだったら、Bのほうに賛成する人が圧倒的なのですよ。今のままでいいという人はほとんどあり得ないのだ、実際は。だから、これも結論ついている、そんな話は。

問題は、Aのほうの、「寄附金税制が果たす役割にはおのずから限界がある」と書いてあることは、これは事実なのですね。わが国の実情が証するに。今度改めてここで、日本でどんな人が何ぼ寄附しているのかという数字を見ると、NPOだとかなんとかいうのは些細なもので、神社仏閣なのね。地域社会のコミュニティの話なのですよ、この話は。お大尽様がまず1万円と書いて、その次、ちょっと貧しいやつが5,000円と書いて、ずうっとこうやるのだから。昔から全部。今でも基本的に変わってないのだ、この話は。これは税法上の優遇措置も何もないわけだ。地域社会がそれで檀家として、氏子としてまとまって何かをやると。これは貧しい者に金を渡す話ではない。貧者救済ではないのだ。イギリスのチャリティと違うから。だけど、それが延々とベースにあるのですよ。

NPOの人たちとか公益法人の人たちの話を聞いていて僕はいつも不思議だなあと思ったのは、この税制上の優遇措置をかなり大胆に認めてもらえば、大量の寄附が公益法人、あるいはNPOの諸君のところに集まってくるというふうに考えていらっしゃる節があるのだね。これはもう幻想だと。日本人はそんなにやたらに金出さないのだと。いいか悪いか別にして。カルチャーなのだから。

ただ、今よりも幾らか緩めるということをきっかけにして、NPOなり公益法人を主宰している人たちが、我々はこういう立派なことをやってます、こういうお金の集め方やってます、しかし、もうちょっと足らないのでひとつお願いしますと自分で宣伝して歩く。まず事業をしっかりやること、宣伝をやること、この2つをやれば、そうか、税制上のこともあるからちっとは考えるかというふうになるのですよ。税制を緩めたから金が集まるのではないの。それをきっかけにして、自己宣伝をしっかりやって、事業をしっかりやって、初めて金集まるのですよ。でなければ集まるわけないのだ、日本の社会では。

だから、寄附文化というと何か膨大な、アメリカの巨大な寄附の文化を見れば、とてもじゃないけれども、こんなものは話にならない。なるわけないのだから、日本人は。ケチだとか何とかではなくて、宗教的基盤がないのだから。それなら、まあせめて幾らかでも前向きに、第三セクターがだめで、民のほうからやったほうが、細かいけれども、小さいけれども、場合によっては役に立つのだということが共通の認識だとするならば、それならそこに幾らか支援の目を税制上向けたいなと。しかし、これだけでうまくいくわけでは全くありませんぜということだけ念押しておけばね。これはこれで立派な改革だと思うのです。

もう一点、議論の中で、今度新しく公益法人をつくって、第三者委員会が認定すれば寄附はちゃんと受けられるようになるでしょう。あの間に国税庁をかませたらどうだという議論が潜在的にあったのですよ。つまり、第三者委員会といったって税制上はど素人の集まりだから。お金の計算から何からね。こんなものが甘い査定してしまったら場合によっては困るではないかと。甘くすることが眼目なのだけど、行き過ぎると問題ではないかという議論があったのですね。

そのときに、第三者委員会の中に、国税庁の次長クラスで、頭に立派なおっさんのOBを連れてきて座らせておいて、しっかり見ると。でいったらどうだという話もなかったわけではないのですな。しかし、そんなえげつないことやるなと。今さら。細かいことで。大まかに認めるなら認めていいではないかと。そのかわり第三者委員会を信頼するしかないのですよ。

NPOの今の認定、30件かな、これはいかにもしゃくし定規の判断でやっている。もうちょっと緩めたって何も国は損するわけないのだから、そんなことは。姿勢の問題よ、この話はほとんど。実質よりも。というふうに考えれば、基本的にもうちょっと緩めて。こういう分野で働こうという人がいるわけだから。我々、そんな気あまりないけれども、そういう人がいるのだよ、世の中に立派な人が。やったらいいのですよ。気持ち温かく迎えてやったらいいのですよ。と思いますが。

委員

今のお話に関連するのですけれども、イギリスのチャリティ委員会のメンバー、委員というのはどういう人がやっているのですか。何かチャリティというと牧師さんかなんかがやってそうな気がするけれども、それを教えていただきたい。

それからもう一つ質問は、資料の5ページですが、認定NPO法人数の推移というのがあって、4年分足すと31になるのだけれども、1つ減っているのは取り消しかなんかしたのですか。

それからもう一つ、総務省にお伺いしたいのですけれども、さっきの私立の学校の話ですが、例えば私立の学校をどこかの市町村なり、市なら市が誘致して、そのかわり寄附金、損金にしますよということを市の判断で自由にできるのかどうかということを教えていただきたい。

委員

それでは質問からお答えいただきましょうか。チャリティの。

事務局

チャリティ委員会について、仕組みは、委員が5名でございます。その下に事務局がございまして、大体職員が590ぐらいいるという形の組織になってございます。それで、委員についてはどういう資格かというのは、ちょっと手元に資料がございませんので、そこは調べてご報告をさせていただきます。

それから認定NPOについては、足し算すると31だが、30と記載されていると。まさにそのとおりでございまして、1つ、更新時期がまいりましたけれども、辞退されたということで聞いてございます。それはおそらく、テストにパスしないということで、再審査を受けなかったということでございます。

事務局

今のお話でございますけれども、この資料の2ページをちょっとご覧いただきたいと思いますが、実は公立高校とか何か、例示で挙げておりますけれども、高校に対する寄附というよりは、これは都道府県なり市町村に対する寄附を寄附金控除の対象にしているということで、別に私立高校と公立の高校を対比して、公立のほうがより、だからどうのこうのということではなくて、例えば高校に寄附したいと言っても、これは県に対する寄附であるということで対象になるということでございます。

ちなみに、3つございまして、これはどういう基準でこういうものが寄附金控除の対象になっているのだろうかということでございますが、必ずしも十分説明し切れない。これは実は平成に入ってから、真ん中の共同募金会、これは平成2年、赤十字のほうが平成4年、おくれて都道府県、市町村ということで平成6年に制度改正したものでございまして、例えば国に対する寄附というのはこの住民税の寄附金控除にはないわけでございます。

ということは、従来の考え方としては、住民税は寄附金控除、もともと税率も低いということもありまして、寄附金控除というのはなかったというところにこういうのが若干脈絡なく入ってきているという、そこのところを今後、先ほどご意見ありましたように、所得税と同じようにすべきでないかとか、やはり住民税はあまり広げるべきではないとか、いろいろそういう議論があるのではないだろうかと思っております。

今のご質問でございますけれども、実際行われてますのは、例えばどこどこに寄附をしたいという場合に、地方団体に直接寄附していただいて、地方団体のほうが歳出でそういうのを出すとかというようなことは時々行われることではありますけれども、直接そういうことを地方団体限りで制度として行うということは今の制度ではできないと思います。

委員

これは私立高校とか公立高校ダイレクトに、その学校対象にはできないの? 窓口が市町村とか……

事務局

そもそも学校に対して、公立学校というものは要するに県の予算とあれで動いておりますので、学校自体のそういうお金の受け手はないわけでございますので、公立高校に対して寄附するということは県に対して寄附するということで、できればといいましょうか、この学校のために使ってくれということで県に寄附すると、こういうことかと思います。

委員

そのとき、私立ではだめだと、こういう話なのだね、多分。

事務局

別に、私立だから公立だからという区別をしているのではなくて、要するに地方団体に対する寄附かどうかということであります。

委員

自分の母校に寄附するというのは、それもだめ?

事務局

すべて同じでございまして、この例を挙げたのはちょっと失敗だったのですが(笑)、これは実は1ページ目のほうにあわせて、こういうのがありますということで挙げてしまったものでちょっとおかしいのですけれども、要するに都道府県と市町村に対する寄附です。

委員

確かにあまりよくないね、これは。

委員

ちょっと私、勉強不足なものでしたので、今日は本当にありがとうございます。

それで、ヨーロッパ大陸諸国の寄附税制は紹介されているのですが、非常に興味深かったアメリカと日本の実態比較がございますよね。こういうのは、わざわざであればあれですけれども、大陸諸国についてもとらえてられるのかどうか。これは1つ質問です。もしも簡単に出るのであれば、勉強のためにいただければというのが1つです。

それからもう一つは、私は寄附控除についてむしろ消極的な立場なので、いろんな学長から怒られるかもしれませんが(笑)、その立場から少し論点を整理しておくと、2つあると思うのですね。つまり、公共は共同消費なのか共同事業なのか、政府は生産活動をやっているのか消費活動をやっているのかといろいろ議論があるかと思うのですが、公共のための負担をどういう形でやるのか。租税でやるのか、もともと寄附金、つまり任意税から税金が始まる場合もありますので、任意的にやるのかという2つの問題と、それから公共の分野をもうちょっと広く、政府だけではなくて、日本だと官と言われるところですけれども、少し広めて拡大していこうかという話と2つあるかと思うのですね。

1つは、仮に公共、政府だというふうに考えておいても、負担の仕方で税はやはり2つあるのだと思います。1つは、成り立ちから言って、もともと強制的で、国王が税金をとるという強制的な形から始まっているものと、先ほどの委員からもお話がありましたけれども、地域社会でもって負担し合っていたもの、これは教会をシンボルにしたりしていてもそうですが、任意税的なものとして、それが、例えば教会が教育をやっていたのだけれども、義務教育にしなければならないので、政府がかわりにやるからこれは税に変えようという形で始まってきた性格と2つあって、これはちょっと違うのではないか。ここで言えば地方税と国税との差みたいなものが考えられるかもしれないと。

それから公共の分野について言いますと、確かに公共の分野を、政府だけではなくて、ここで言うと、「民が担う公共」というのはちょっとよくわからない点もあるのですが、何とはなしに公共部門というのを共同消費するのではなくて、事業のサービスの生産をし、提供するものだというふうに理解して広げていくということも考えられなくもないですが、ここのところは線引きはかなりグレーのゾーンが多くなりますので難しいだろうということと、先ほど来お話がありますように、民主的な、つまり、どこまで住民なり国民なりがコントロールできているかと。その団体についてですね。それはかなり重要なポイントになるのではないか。

この2つのこと一緒なのかも、2つのことというのは、どうやって公共部門を支えるのかということと公共部門を拡大していくのかという論点は、一まず少し整理して分けたほうがいいのではないかと。密接に関連するかもしれません。つまり、新しい公共と言うのか、民が担う公共は寄附でいくのだとするのかというようなことと分けたほうがいいのではないかと。新しい公共を認めるとしても、やり方は幾つかあって、1つは、寄附金をやって控除でやるというやり方もあるでしょうし、先ほど来出ているように、そこをサポートしてあげるのに補助金でいくというやり方もあるでしょうし、それから今度は、今もあまり人気がないのかもしれませんが、我々の言葉で言えば補助金としての信用の供与、政策金融ですね。この3つぐらいの手段が多分あるはずですので、それをどのようにとるのかという議論も多分出てくるはずだと思いますので、2つの次元を整理した上で、相互に関連づけながら考えていくということが重要だと思います。

委員

それはいいのだけれども、あなたが一番言いたいポイントは何だよ、そもそも(笑)。

委員

一番言いたい問題は、論点を整理した上で、どことどういうふうに新しい公共、まあ公共は何かということを考えて整理していくべきで、安易に一律に議論すべき話ではないだろうということです。

委員

幾つかあるのですけれども、よろしいですか。

委員

どうぞ。

委員

さっき、認定NPO法人の数が1個減ったということですけれども、私、よく事情承知してますので申し上げますと、実は、今変わったのであれですけれども、同一親族が何分の何とかという規定がありますけれども、同一親族というのは6親等までということで実際税務行政上されてましたので、例えば社員数が1,000人の団体で、6親等の人を社員全部の情報を集めてそれを届けないといけないというようなことで悲鳴を上げたというのが事実であります。

そういう点で、方向性としてはやはり認定の仕方を変えていくということで、これはとりわけアメリカの制度を援用したわけですけれども、アメリカの場合は、先ほどの委員のほうで説明があったとおり、もうスタートの段階では無条件に認めているわけですよね。それは規模が小さければ、言ってみたって知れているわけですから、何年間かスタートさせて、その上で後でチェックするという方法もあるのではないかなあと思います。

それから、ちょっと重複しますけれども、さっきの皆さんのご意見に私もほとんど大賛成で余り言うことはないのですけれども、1つだけおかしいと思うのは、総務省さんの言っておられる話で、国税でオーケーなものを地方税でだめだというのはもう理屈が成り立たないわけで、これはもし反対するような自治体があるのであれば、よっぽど自分のところの政策に自信がないということではないだろうか。ある意味で、これは寄附による投票という言い方もありますし、一種の自治体間の政策競争になって、非常にいい政策をやれば、そこに寄附が集まるということにもなろうかと思いますので、これは絶対にやはり進めていかなければならないだろうと思っています。

それから資料の34―1の1ページのところの資料ですが、ここで幾つかちょっと重要な問題を指摘したいのですけれども、1つは、ほとんど、今、寄附、寄附と言われていたのが現金を想定したような話でありまして、もっと大事なのは、先ほどの説明では所得700万ではという話がありましたが、実際問題として、日本の寄附税制がどこで厳しいと言われているかというと、モノに対する寄附なわけですね。土地とか建物とか、あるいは美術品とか株式、そういったものに対してみなし譲渡税がかかると。みなし譲渡税というのは、これは変な話で、寄附した人がそのときに売ったと同じだけの所得税を払うということですから、これはものすごい厳しい税制になっていて、ここを解決しない限り意味がない。非常に大改革になりますけれども、ぜひやっていただきたいと。

相続税についても同じですが、この1ページの図の中の相続税で、国、一定の公益法人というのと公益特定増進法人というのが、同じなようで実は違うことがあるということで、この点はやはり非常に考えなくてはいけないと。

それからモノの寄附に関して、これは世界的なCSRのことも含めて大潮流なのは、捨ててしまうのと寄附して再利用するのと、このときに税制上どうなっているかということで、捨ててしまうということは、環境問題に対して大変な損失を与えるわけですから、ここではやはり寄附して、再利用して、NPOなんかがどんどん利用するという形の動きが世界的な潮流になってますので、一種のブリコラージ的な発想というか、そういったものをやはり促進していくべきではないだろうかと思います。

それから先ほど、やはり1ページ目で、指定寄附金について、これは温存するということで、私は強く反対する理由はないのですが、指定寄附金の一番の大きな特徴は緊急性ということだと思いますが、これは判断機関との関係もあると思いますけれども、判断機関が判断するまでのタイムラグが生じるわけですね。この間をどういうふうに考えていくかということをきっちりしていかなければいけない。

非営利の団体というのは、例えばホームレスをなくそうという団体は営利法人とどこが一番違うのかというと、最終的な目的はホームレスをなくすことですから、ホームレスがなくなって、自分たちの団体が解散するというのが最終的なミッションなわけでありまして、この点がやはり非営利法人の一番の特質であって、ある意味で、非営利法人が生まれてから、ある種、終焉するまでのことをよくよく考えて制度設計していくべきではないだろうかと思います。

それから、先ほど、これはやはり1ページ目ですが、総所得の30%を限度にということを50%ぐらいにしてもいいのではないかと。これは国際的な水準から言ってですね。この場合、先ほど申し上げたように、給与所得700万の人が、例えば突然降ってわいたようなお金が入ってきて、日本人というのは慎ましいですから、分不相応のお金が入ると慌てて寄附するというケースが多々あるのです。ケースとしては少ないですけれども、多額の寄附をされる日本人の慎ましい方というのは大体そういう人たちなのですね。そういう善意の人たちが何らかのアッパーでひっかかるようなことがないように、諸外国ではキャリーオーバーも、超えた分については翌年に控除できるとかいろんな方法があるのですけれども、この点をどう考えるか。それから、この点は先ほどのモノの場合のみなし譲渡所得との関連というものが出てこようかと思っております。

それから-1万円に関しては、もう皆さんの意見と同じで、これはやはり政策上の理由を明確にした上で、それから実務上の理由があるのであれば、他の税の実務上の理由とのバランスを考えないと、将来、この税調ではやはり増税をしていくという大事な目標のある中で、実務上の理由というものを安易に出すべきかどうかということは慎重であっていいのではないかなと思います。

いろいろ申し上げましたが、以上です。

委員

モノに対してやるとき、みなし云々がとおっしゃいましたが、具体的にどうすればいいのですか。

委員

みなし譲渡の非課税というのは……

委員

それをもっと広げるというわけね。

委員

広げますし、それから直接公益の用に供するとかいろいろあって、株式なんかも寄附して、寄附した団体が20年ぐらいたってぱっと売却したら、寄附した側にどういう影響があるかとか、この辺はもうアドホックに制度ができ上がっているのですよ。ですから、ここのところも非常に、今回大改正で、今年度、仮にできないとしたら、来年度以降も含めて、やはりきっちりとした政策で対応していく。これは通達でずっと来ているので、非常に問題が多いのですね。

委員

今のみなし寄附のことですけれども、ちょっと身近な人間が市町村に、少し昔ですけれども、土地を寄附した。例えば100万円で買った土地が今1,000万円していて、この1,000万円の土地を市町村に寄附したときに、課税上の扱いは、1,000万円から100万円引いた900万円の譲渡所得が課税になると。要するに税金は一銭も減らないのですね。だけれども、先にこの土地を売ると、100万円で買ったものが今1,000万円していれば、1,000万円で売ると900万円の譲渡所得を生じますが、それから例えば300万の所得税を払うと、残りは700万ですか、現金は。この700万を寄附すると寄附金控除が受けられるということなのですね。

何で土地を直接寄附すると何も起こらなくて、一たん売ってから現金を寄附すると寄附金控除なのかが幾ら考えてもわからなかったのですね。その人に説明するのに、いやあ、いわく不可解としか言いようがなくて、これは税務大学校の方とも相談したのですが、そういうことになっているのだと、すっきりしていていいだろうと言われたのですが(笑)、ちょっと違うのではないかという気がしましてね。そういう問題がきっといろんなところに出てくるのではないかと思います。

委員

これは日本人が持っている、非常に立派な方に非常に厳しいところがかかってくるという点で、私は非常に憂慮してます。寄附文化と言いますけれども、明治になったときにあれだけ小学校ができたのも、ほとんど寄附ですよね。野口ユキヨは寄附があったからあそこまでなれたわけで、よくよく制度面も……

委員

野口ユキヨって?

委員

野口ユキヨじゃない。税調に来るとプレッシャーを感じて(笑)。野口英世さんでございます。失礼いたしました。申しわけございません。訂正させていただきます。

委員

2つあるのですけれども、できるだけ官から民へ、公共を担う担い手をどんどん民間にしていこうという流れを考えた場合に、今この法人税のところで、大きく1つが、左側が全額損金算入になっていて、右側が一定の限度額の中での損金算入というふうになっているということをどう考えるかということが1つあるのではないかというのが一つの疑問点です。

それからもう一つは、特定公益増進法人の業務類型については4ページに書いてあって、確かに、これを眺めてみると、どうしてこういう基準でこの寄附の基準というのが決められているのかよくわからない。例えば社会福祉法人なんかでも、すごく限定的に、とてもビジネスとして成り立ちにくいようなものが寄附の対象になっているようにも見えるし、そこのところはよくわからないのですね。

ただ、今回、公益法人の改正が行われて、第三者機関が公益性を判断して、公益法人課税についてそういった認定をしていくということになると、少し今のこの寄附のものよりも広い概念で議論されていくだろうと思います。

それを考えた場合に、広がるということは今までの議論の延長線上でいいと思えますが、一方で、さっきの委員がおっしゃったように、営利と非営利でそれをそんなに大きく分けるということについて、また、その広がるということに伴う新たな疑問というものが出てくるかなあという気がいたします。

委員

ちょっと関連だったので話があれしてしまったのですが、さっきのお話で、特に美術品みたいな話ですね。絵画とかそういうものが散逸したり、それから寄附ができなくなったりという非常に大きな影響が出ているという話をよく聞きます。さっきの委員がおっしゃったことは非常に大きな関連がある、文化行政にも、ということをちょっと言いたかったのであります。

委員

何か具体的なご提案ございます? 留意しろというのはわかりますけれども。

委員

それはお金で換金してやるのとモノで寄附するのとを一緒にするということはやはり必要でしょうし、それから美術行政だとか文化行政だとかいう話をどう取り入れるかというような視点がそこに入ってくるべきではなかろうかと思います。

委員

今、モノの贈与やなんかとの関係の話が出ていたのですけれども、そういう問題は非常に重要だと思いますが、非営利法人の寄附金の問題から勉強を始めているわけですから、それとやはりちょっと分けて議論していかないと、私、モノを贈与したときの関係や何か、なかなかよくわからない、頭がますますこんがらがってしまって難しい話になるように思いますので、非常に大事だと思うのですけれども、やはりテーマを分けて議論したほうがいいのではないかというのが第1点です。

それから非営利法人の認定の問題というのが税と直接的に関係のない制度の認定主体によって行われると。非営利法人を認定するということではあるのですけれども、先ほどの委員が言われたように、必ずしも税の寄附金税制上の判断と同じことでやるのかどうかという点は、やはりそこはちょっと違うところがあるのではないかと思うのですね。

そこの新しい非営利法人制度の仕組みや何かは今後どうなるかということを見ないとはっきり言えないところが多分あるだろうと思うのですが、仮にそっち側に入口のところは全部譲って、その判断を尊重していくのだというふうにするのであるならば、実行上の点できちっとやはりチェックしていくということにしなければいけないだろうと思います。

委員

ぼつぼつ次のテーマに移りたいのですが……。

委員

先ほど二三の委員の方から、悪政防止のために例えば厳しくチェックしろとか、あるいはペナルティをしっかりやれという意見がありましたが、この論点整理にもそういう趣旨のことが書いてありますね。これは実際の論議というか、どういう方向性でいこうとしているのか、その辺ちょっとお聞かせ願えますか。

委員

何かアイデアございますか、事務局で。

事務局

大きな流れは、資料34―1の先ほど見ていただきました19ページの【新制度イメージ】というところで、全体として、寄附優遇のステータスをどういう形で付与するかというところはどう考えるかということが一つの論点でございますが、仮に、先ほどご議論ありましたように、第三者委員会で公益性の判断を行い、それにより寄附優遇のステータスを同時に与えるということであれば、事後チェックという話も当然あろうから、その点についてどのように考えればいいかということで、取消規定とか寄附金のチェックだとかということを論点の中に入れておりますので、理念上としてはそういう第三者委員会の話を前提として、補完的な形でどう考えるかと、そういうご議論を賜りたいということでございます。

仮に、そうではなくて、主務大臣の認定という、例えばそのままの形ということであれば、その場合でもおそらく取り消しとかをやらなければいかんかもしれませんけれども、よりその問題が顕在化してくるのではないかということで、「論点メモ」はそこは何カ所かにわたって提示させていただいているという構造でございます。

委員

最後でいいですか。どうぞ。

委員

総務省の自治税務局長いらっしゃるからお尋ねしたいのだけれども、このNPOにしろ公益法人にしろ、今流行の言葉で言えば、官と民の間でいろいろやってもらうということになっている。たくさんのことがあるから一概に言えないけれども、基本的には、地方自治体の行政の範囲のところで、地方自治体が行き届かない、ないしは自分でやるより頼んだほうがむしろいいのだと、補助金出してもと思うのが随分あるのではないかと思うのですな。性格上、このあれはね。

そうすると、今日の議論というのは国税の話をやっているのだ、我々は。国のほうのあれでね。若干おたくのほうの説明もあったけれども。そういうことを考えてみると、地方自治体のほうがむしろもうちょっとまじめに考えてやったほうがいいのではないかという気がしないでもない。

第2に、これは財務省のほうも同じ質問なのだけれども、この寄附文化、寄附のかなり大幅な緩和というのをやった結果、とにかく国と地方財政に穴があいてしまったと。兆単位か何かで。そんなこと起こるわけないのだけれども、定性的にいえば起こる可能性もあると言って、だから締めようということになっている。財政的な哲学からいえばね。しかし、そんなにいくわけないのだから、日本では。ちっとはいいことやっているということで10年間持つから。そうすれば、総務省のほうももうちょっとものを考えてもいいのではないかと。これで大穴あくような寄附文化、宗教なしで日本に育てば、日本人も大したものだ。ならない、そんなことには(笑)。

事務局

今の資料の1ページが所得税のほうのあれでございまして、私どもも、何か方向性を持って議論していただこうと思ってあれしているわけではございませんで、いろいろご議論を伺ってということで今日はまいっているわけでございますが、要するに、先ほども申しましたけれども、住民税のほうは控除はしないという前提でずうっと何十年も来ているわけですね。そこがいわば固い堤防だったのが3つほど穴があいたので、何となく、これどうなっているのかなというので、理論的には非常に難しい状況になっております。

と同時に、先ほどNPOのお話もされましたけれども、このNPOというのは、1ページの表で見ると、一番右側に書いてありますように、その前に特定公益増進法人とか指定寄附金というのが所得税ではございます。これも今、ごく一部を除いて、住民税はやっておりません。したがいまして、我々としてみたら、NPO法人の寄附を控除するということは、その前のやつはどうなるのでしょうかねということが理論的な問題としてはあって、これはやはり全体の問題になってくるのかなと。

例えばNPOだけは別なのだというような議論が可能であるのかどうかとか、国と全く同じようにやれというご議論なのか。10%が、今は13%、いずれ税源移譲が行われれば最高税率というか、税率は10%ぐらいですから、そこで所得控除するのにどれだけ意味があるのだというような議論もあるのではないだろうかなあということでございまして、なかなか悩み多きところではないかなと思っております。

委員

その悩みをさ……

委員

検討してもらいたいと。

委員

そういうことでしょう、皆さん言っているのは。

委員

所得税と住民税はそうなのだけれども、法人税と法人住民税とか事業税との関係はどうなるのですか。

事務局

法人住民税、法人事業税につきましては、寄附金の扱いは法人税と同じでございます。

委員

いずれにしても悩み多きいろいろな問題が地方側にあるようなので、従来どおり堅持するという意見でも結構ですし、この際、穴があいた以上、もっと穴あけようという発想もあるかもしれない。国と一緒にやる必要がないのかあるのかも含めて、ちょっと論点整理的なことで一回ご意見を整理していただきたいと思いますね。皆さん、それを期待していると思いますから。

委員

途中から来たので大変恐縮ですが、繰り返しになるかもしれませんが、今日のあれは、19ページの特定公益増進法人というものが何だったのかという、この弊害をやはりきちんと考えて、これをやめさせるのだということのほうが意味が大きいので、先ほどの委員から、官から民へということで、4ページに何でこんなにいっぱいあるのだという話が出ました。僕は全くそのとおりに思うわけですが、つまり、こういうふうに4ページにいっぱい変なものがいろいろ出てきてしまったのは、主務官庁がいろいろ決めるからで、これはだから、補助金のかわりに、あるいは租税特別措置のかわりにこういういろんなものをたくさん出してきて、非常に補助的な措置として、この特定公益増進法人をそれぞれの役所が自分の都合のいいように使うためにやってきたということがあったわけで、したがって、そこのところさえきちんと、つまり、民法第34条を変えて、今回のこの制度設計にすれば解決するのだというか、そこが一番肝心なところですから、枝葉末節のいろんな話は出てくるのは当然ですけれども、34条をなくして、そして普通の公益性を有する非営利法人を、つまり、きちんと第三者委員会がチェックし、しかも特定公益増進法人は一回決まったらずうっとチェックなしだったわけですから、これは定期的にチェックするという、そういうところに一番の眼目があるということで、改めて言わせていただきました。どうもありがとうございました。

委員

ありがとうございました。

あと10分ほど残っているのですが、ちょっとこの間取り残した問題、ご説明いただく時間的余裕ありますか。もしかあれば、ちょっとお願いします。

事務局

その前に、ヨーロッパの資料あるかということだったのですが、日米を調べるのに相当苦労してここまでまいりましたので、もしもございましたらサゼッションいただければ、私ども、研究したいと思います。失礼いたしました。

それで、もう一つ、実は資料を置いてございます。「非営利法人に対する課税の取扱い」という「委員限」の論点メモでございますが、これは同じものを入れさせていただいております。後ろのほうには、先週お出しいたしましたデータといいますか資料の抜粋でございます。

1ページはともかくとしまして、2ページ目以降、「公益性を有する非営利法人」の取扱いということで、公益性の判断、あるいは課税ベース、このあたりは大体のご議論をいただきまして、第三者機関による公益性ということを尊重する、それから収益事業課税でやるということはおおよその感じのお話だったかなと思いますし、3ページのその他の「非営利法人」の取扱いというところにつきましても、「多様な実態への対応」ということで、例えば同窓会のようなものの会費をどう扱うかということも、これまた実態への対応ということで非課税ということを念頭に置きながら整理する必要があるのではないかというお話。

4ページでございますが、それ以外の法人、すなわち、公益性、共益性という部分を除いたものについては普通の営利法人並みの課税ではないかと。このあたりはおおよそご議論いただいて、そういう方向かなという印象を私ども持っておりますが、その次の4ページの(3)「その他(公益性判断の変更があった場合の取扱い等)」につきましては、ちょっと明示的なご議論をいただけなかったものですから、ここがちょっとあるかなという気がしてございます。

実は今日の議論にもかかわってまいります、公益性判断を例えばないと判断した場合に、今日のご議論では寄附税制のところのステータスをいわば取り消すということでございますが、それとあわせて、公益性を有する法人それ自体のステータスの変更というのが起こります。資料のちょっと後ろのほうを見ていただきますと、8ページでございますけれども、この8ページのイメージ図は前回見ていただいたものですが、今私が申し上げたのは、公益性を有するというボックスのところから、公益性を失うということで一般的な非営利法人のほうへいってしまうということでございまして、ステータスの変更が起こるということになった場合に、寄附税制だけではなくて、まさに公益法人自体の課税の問題ということでございまして、戻っていただきまして4ページのところですが、それまで法人が受けてきた税制上の優遇措置をどのように考えるかということでございます。取消事由の発生時点に遡及して優遇措置を取り消すとか、あるいはそれまでの間に蓄積されましたストックというものに対しまして、清算していただくという形で、いわばこれも事後的な対応ではございますけれども、そういうこととあわせて全体として公益性認定のスキームというものに乗っかっていく、この辺のご議論を賜ればというのが1つ目でございます。

2のところ、法人税に共通する部分につきましては、収益事業課税、このあたりについては時代に沿うような形での収益事業の中身をきちっと見直せというお話とか、税率の議論等々についても基本税率との格差縮小ということを考えろという話も大方あったところだと思います。

むしろ3のその他の法人との関係、特に一番最後でございますが、人格のない社団等という、ややマニアックな世界かもしれませんけれども、ややわかりにくい概念ですけれども、人格のない社団等についての課税環境というところにまで実は議論が及びますので、その部分についての適正な課税のあり方がどうかという、このあたりが実は議論が残っておったところでございます。

大きく言いまして、先ほど言いました4ページの(3)のところと、一番最後のところが少し、議事録を整理いたしまして、そのあたり残っているかなという気がしたところでございます。

委員

今日それを詰めていくだけの時間がありませんので、論点を出していただいたということで持ち越さなければいけないと思いますが、まだ若干時間ございますから、どうぞ。何かありましたら。

委員

人格のない社団等については、納税義務者のところを明確にしたほうがいいだろうという思いを持ってます。

それから取り消しのところについては、いわゆる0、1でやる方法もありますけれども、いろんなペナルティのかけ方、例えばアメリカではいろんな税金を実はかけるのですね。その税金をかけること、ペナルティのタックスをかけることによって、その部分を実は判断機関、アメリカの場合は国税庁に相当するところですが、そこの部分の費用に充当させているとか、そういった工夫もありますし、ということがあるということだけちょっとご紹介して。

それから収益事業につきましては、ポジ、ネガのところの考え方、つまり本来の事業、前にも言いましたけれども、芸術団体が、例えばオペラの団体がやるオペラの事業のところをどのように考えるか。これは寄附金とか助成金とかなければ、市場の失敗があるわけですから、黒字になるわけはないわけですので、むしろ寄附金とか助成金、その辺も含めてどのように考えていくかということになろうかと思います。

委員

ここに、税率の話で「基本税率との格差を縮小する方向で検討する」と書いてあるのですよね。

委員

22%を30%という意味でしょう。そういう意見もあったということでしょうね。まだ決めてませんよ、それは。

委員

それで、何で収益事業で公益法人がやると軽減税率でなければいけないのかというのが私にはどうしてもわからない。相当な理由があるのでしょうけれども、歴史的な理由があると思うのですけれども、少なくとも国民に、要するに減税していたやつをもとに戻すとか、それから消費税も増やそうかという議論をしているときに、軽減税率で8%も、同じ事業をやって、駐車場の貸しつけの事業をやっていて、それで片方が30%で片方は22%だというのは、金額としては大した金額にはならないと思いますけれども、税制の公平議論から言って、国民はとても納得しないと思います。

委員

歴史的な経緯等々、何かあれば聞きましょうか。何かありますか。何でこれそうなってしまっているのか。

事務局

前回の資料でもお出しいたしましたが、戦後スタートしましたときは35%で同じでございましたが、その後、政策的な配慮ということで差が開いてきた時期がございましたけれども、今またそこのところを縮小するという流れで来ておるということでございまして、その辺のことをまさにご議論いただければということでございます。

委員

ぼつぼつよろしゅうございますか。今日は大変気合いの入った議論が大分出てきたと思いますが。

委員

ちょっと1つ。

委員

じゃ最後、気合いを入れてください。

委員

全然気合い入らないのですが、どうも不思議でしようがなくてずうっと考えていたのは、38業種のあれで、どうでもいい話なのですよ。イロハニホヘトと順番にいくと思ったら、イロハノヘトで、何なのですか、これは。

事務局

法令上の順番はイロハニホヘトですが、今回は歴史的な流れで整理したもので、いろいろ同種のものがあったらくくったりとかいうことで順序が変わったことになっているという経緯でございまして、結論的にはイロハニホヘトはちゃんと並んでございます。

委員

何か理由があるようでありますので、そこはお認めください。まあいいじゃないですか、その辺は(笑)。

それでは、次回以降の予定を申し上げて今日終わりにしたいと思いますが、連休明け、5月13日、2時から総会が開かれます。そのときに、これまでの個人所得税の話と、今やりました非営利法人もあわせてご説明したいと思ってます。

それから、この合同会議は5月20日金曜日、2時を予定しております。これは3回目になりますかね。ぜひまたご出席いただきまして議論を深めていきたいと、このように考えております。

いずれ、この合同会議も外部の人を呼んでちょっとヒアリングということがあってもいいのかなと思っておりますので、事務局と相談いたしまして、うまく調整ができれば、ちょっと1回ぐらいヒアリングをかませたいと考えております。よろしゅうございますか。

じゃどうも今日はお忙しいところありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。