基礎問題小委員会(第22回)後の石会長記者会見の模様
日時:平成16年10月12日(火)16:11~16:37
〇石会長
第22回になりますが、基礎問題小委員会が終わりましたのでご報告します。今日は、個人消費課税ということで、三つ主要な税を取り上げました。一つが消費税、二つ目が酒税、三つ目が環境税であります。時間の過半は消費税に使いまして、お手元にも大部な資料があると思いますが、これまでの経緯をすべて整理いたしまして、ここに載せてあります。ほかの酒税、あるいは環境税につきましても、それなりの立派な資料が出ていると思います。
そこで、どういう議論をしたかということで、消費税につきましては三つ、四つ、今後議論しなければいけない点につきまして皆さんの意見がかなりまとまってきたのではないかと思います。一つは、軽減税率の問題、正直言いまして、絶対軽減税率を入れなければいけない、つまり将来、消費税を引き上げたときの話ですね、そこには、我々の意識として行かなかったように思います。幾つか理由があります。昨年6月にありました「少子・高齢社会における税制のあり方」でもはっきり、欧州諸国並みの2桁になったときという縛りがあって軽減税率と書いてございますが、欧州諸国並みの2桁というのは10%ではなかろうと。恐らく15ぐらい、2桁の上の方に行くんだろうと。それまでは、軽減税率というのは即活用しなくてもいいのではないかというご意見もあったし、それから、やはり軽減税率というのはあくまで逆進的な負担を軽減する意味で入れるわけですが、食料品を軽減したとしても、相も変わらず高所得者層も当然のごとく食料品は買うわけでありまして、必ずしも軽減税率がすべからく逆進性負担解消につながるものでもなかろう。それから物品税という、今日の資料にも出ていますが、消費税を入れる前、物品税というのがあって、さまざまな物品に異なる税をかけるということで、大変苦労して、それがゆえに課税ベースで広い間接税、つまり付加価値税を入れたわけですから、その二の舞になるのではないかという点で、2桁の税でも、やにわに最初の低いあたりからこれを入れるか入れないかというのは、ちょっと問題である。入れるという方は問題であろうと、こういう議論が太宗を占めたような気がいたします。そこで問題は、では逆進性というもの、あるいは消費税全体の改革というのは、税制全体で考える必要があるのであって、所得税の累進税率構造の問題もあるでしょう。あるいは、資産税との絡みで逆進性の問題を緩和することもあるでしょう。そういう意味で、すべからく他の税との絡みで今後消費税率アップかつ軽減税率というものを考えるべきであるというのが第1点でありました。
別に我々、今日、税率を何%まで上げなければいけないという議論は全然していないんですが、ただ、日本経済のデフレからの脱却ということを考えますと、一挙にかなりの幅を持って集中的に上げるというのは難しかろう。そういう意味では、段階的に、言うならば2%ぐらい、4~5年おきに入れていくというふうなニュアンスのご意見もございました。
福祉目的税的な扱いにも若干意見があったんですが、消費税というのは基幹税ですよね。かつ、29.5%かな、これは交付税の対象税目に入っているわけですから、そういういろいろな絡みがある消費税を福祉だけで使う、年金だけで使うというのは難しかろうという意見があり、これも大体、我々としては福祉目的税にネガティブでありますから、それが今日確認されたかなということだろうと思っています。
構造上の問題としては、インボイスを入れることによって、仕入れの段階で非課税業者とか免税業者が排除されることも可能になるんですが、そうなると、各国の例から見て、免税業者が課税業者に移るという、税による誘導も行われておりまして、そちらの方が望ましいのではないかというご意見もかなりありました。今後、税を構造的に、消費税の構造的な整備に当たって、そういう意味で従来の欠陥と言われるものが次第に是正されていく面もあるのではないかと、こういうふうに考えられています。
そういう意味では、これまで考えられておりましたさまざまな方向について、主要な論点でありますが、一応その方向性は共有できたのではないかと、このように考えています。
酒税でありますが、今なぜ酒税かということで議論はあるんです。資料にも出ていますように、数年間かけて細かい点のパッチワーク的な改正はやってきております。つまり、ビール税と発泡酒税の見直しとか、WTOの絡みで焼酎を上げたとか等々あるんですが、今、技術革新も含めて、お酒の税金のかけ方が、原料と製法によって10品目に分けて、さまざまな面倒くさいことをやりつつ、酒の税率を決めているわけです。これでいいかねという、そういう疑問が今出ているということが酒税見直しの一つのポイントではないかと思います。今ある基本的な仕組みを前提にして、さまざまな製法、あるいは原料を使って出てくる新製品を追いかけて、そこでいろいろな是正をしていくというのは、ほぼ限界ではないかという議論が出ております。
と同時に、最近の、例えばビール風のビールみたいなものができていますね。発泡酒より一段と進んだ形の、まがい物と言っては失礼かもしれないけれども、出てきている。これはメーカーの低価格競争を誘いつつ、ビール本来の味を忘れさせていると。酒文化にえらい影響がある。学生は本物のビールを飲みませんから。発泡酒から、もっと最近のまがい物を飲んでいて、「まずいや」と言って焼酎か何かへ行ってしまうんですよ、見ていると。そういう意味で問題ではないかという意見があって、私もその点は、最近飲み比べましたけれども、酒の文化を損なっているのではないかという気はしますね。そういう意味で、低価格競争というものが税率によって引き起こされているならば、税のディストーションつまり歪みですね。典型的ではないか。課税の公平・中立を旨とする税調としては問題ではないかと、このように考えております。将来的には、10あるものをもっと簡素化していくということにならざるを得ないのかなというふうに考えています。
環境税は、最後、時間の配分を間違いまして余り時間がなかったんですが、これまでの京都議定書以降の話の整理、ロシアとの関係、それから今現に行われております環境省と経産省の対立点等々を整理した後、四つ、五つ議論が出ました。ご紹介しておきますが、これまで外側の方の仕組みがはっきりしていない。例えば、ロシアが批准しないと京都議定書は発効しませんから、京都議定書が発効しない段階でどこまで議論を進めていいかなんていう見解もあったでしょう。
それから、環境「税」とつきますが、環境の方に重きを置いて、環境省がイニシアチブをとってやっていましたから、税とはいえど、税調ではまだ本格的にとらえていなかったという、そういう事情もございました。しかし、これからはステップ2に入っていくわけでありまして、京都議定書が発効されれば、国際的な責任が日本にも出てくるわけで、やはり議論はせないかんだろうと。そういう意味で、不確定事項はあるけれども、準備という形で税調としても本格的に議論を始めるべきであるという、そういう問題点が出されているところに、やはり今ある道路特定財源、これは問題である。一般財源化して、そこから環境対策費を出せばいいではないか、あるいは、税についてはかなり疑念もありますけれども、自主規制とか技術革新とかという形でCO2 の発生を抑えるのは、産業部門はいいかもしれませんけれども、民生と運輸というところはかなり手の及ばないところですね、自主規制なんて言っても。そういう意味で、税というものを利用して、価格インセンティブを使う、これがいいのではないかという意見。ただ、2円では余り低過ぎるだろうと。本来的にインセンティブ効果を使うのなら、もうちょっと高めのことでやらないとまずいだろうと。これは恐らく、今日そこまで議論が出ませんでした。これは減税と組み合わせるというような組み合わせになると。そういう意味で、2円プラス環境対策費の財源目当てというのではちょっと問題ではないかと、こういう意見がありました。
そういう意味で、環境税の議論もこれから本格的にしかと受けとめて、反対派、賛成派、税調にも両立しておりますから、この意見を酌み上げつつ、どう持っていくかということはこれからの議論になろうかと思っております。そういう意味で、今日本格的な議論の前触れといったような形でありまして、これから議論を進める前哨戦であったかと思います。
以上、3点につきまして、一通り議論をご紹介いたしました。ご質問があれば、どうぞ。
〇記者
消費税税率と税率構造のところなんですけれども、今日、方向性が出たものとしては、とりあえず10%までは単一でやって、それ以降は軽減税率、複数でやるということで大体…。
〇石会長
いや、そういう決め打ちをしたわけではなくて、そういう方向で議論すべきだと。つまり、やにわに、5%から離れたとたんに軽減税率ではなかろう、議論としてはそちらにウエートがあるんです。5%から離れて、どこまで行ったときかとなると、10%ではなかろうと。10%を超えたところで議論になるのではなかろうかと、こういう意見だという紹介です。
〇記者
いずれにしても、当面は軽減税率は行わない?
〇石会長
税率の幅によります。5%から15%に行けば考えるかもしれないけれども、そんなことは無理でしょう。だから、次の段階では、恐らく5%からの幅はそんなに高くないと見れば、すぐさま軽減税率という議論に飛びつくのかねと。逆進性云々で言うなら、税制全体で考えればいい話ではないかと。歳出面も入れてね。そういう議論だったということです。
〇記者
ちょっと前に谷垣大臣がテレビに出演して、消費税、一気に10%は難しいだろうみたいな、そのようなことをおっしゃっていましたが、先生自身もそういうようなお考えですか。
〇石会長
必ずしもそれはわからないよ。景気とのにらみもあるし、いったん上げて、次に上げるまでの政治的な制約から見て、そういつまでもぐずぐず、今の財政事情から見て、できるのかできないのかもありますから。今日の議論で、さっき紹介しなかったけれども、導入して16年たったんですね、1989年ですから。それで消費税も元服の時期になったという、元服のままで5%は少な過ぎるのではないかとか、3%から5%で一人前に育っていないのではないかというご議論もあって、それはこれからの議論だとは思いますけれども、いつまでも5%からの距離が少ない形で行くか、これはまさにこれからの財政の事情、あるいは後世代にいつまでも負担を押しつけていいか、あるいは年金財源はどうなるかなんていう話と絡んでくる話だと思いますから、今のところ、谷垣さんのご意見もよくわかりますので、それも踏まえての議論になると思います。
〇記者
その軽減税率の範囲なんですけれども、食料品でも高級食材とかいろいろありますが、その辺はまだ今日は…。
〇石会長
食料品といったら、キャビアから全部入るんですよ。難しいでしょう、食料品といって、まさに口に入るもの、これはいいとか悪いとか言ったら、昔の物品税みたいになりますから。だからこそ、「食料品と軽々しく言うな」という議論がまたあるわけですよ。キャビアは本当に軽減税率でいいんですかねというのがありますから。だから、慎重にせないかんと、こういう議論だと思います。
それから、食料品だけではなくて、いろいろ来ますよ。マスコミはすぐ「新聞を軽減税率にしろ」と来るね。各国で言っているけれども。これもちょっと主体性というか、ややエゴなんだな。これまた問題になると思いますけれども。これは問題になりますよ。全部出てきますよ、いろいろな意味で。そうすると、昔の物品税みたいになってしまう。大変だということですね。
〇記者
酒税なんですが、第3カテゴリーに入るビールまがいの物の扱いなんですけれども、これは今後、税制改正で扱っていくんですか。
〇石会長
ビールまがいのビール風酒類というものだな、この資料によれば。エンドウマメとか何とかですね。これは、今年度の中につくるという話ではございませんで、来年度、税制改正は、この間から言っているように、定率減税であり、金融所得の一元化であり、それから三位一体改革とかだけれども、その前提に消費税があるわけでしょう。だから、来年の今ごろ、本格的な酒税の改革に着手できればと思いますが、その後かもしれないね、お酒の方は。急に今やらなければいけないという議論ではないでしょう。
環境税にしても、今ある主要のものを押し退けてまで税調の時間とエネルギーをそっちに集中できるかという議論もあったんです。そういう意味で、いろいろな問題がどんどん出てきますから、お酒は、そういう意味ではまだ時間があるかなという感じです。したがって、今の新しい物についても、今年度中に回答を出すというところまで行かないと思います。関心がありますが。
〇記者
消費税に戻るんですけれども、税調では、具体的に引き上げの幅とか税率については出さないという話だったんですけれども、先ほどニュアンスとして2%ぐらい、要は小幅で…。
〇石会長
そういう意見があったということで……。
〇記者
要は部分的な意見であって、税調として意識的に皆さんほぼそういう方向ということではないんですか、このことに対して。
〇石会長
ないですね。我々はこれから議論を重ねて、しかるべき答申を書くときに、税調としてまとまれば、そこで一気に2桁にするとか、そういう書き方になるのであって、デフレとの絡みで小幅にというのは、お一人の意見で、一つの意見かなと。つまり、この間から散々意見のあるように、税率アップとか何とかというのは、平準的にやるのか集中的にやるのかというのは、我々これから、所得税も、いろいろな意味の税で考えなければいけないんですよ、どちらがいいかも含めて。その一環としてお考えいただいて、まだまだ議論の過程であるということで、税調は小幅に2%ずつ上げることを決めたなんて書かれたら困るよ。そういうことは議論していません。
〇記者
目的税化は望ましくないという、これは。
〇石会長
それは過去の答申にも書いてありますよ。それを覆すだけの論拠が出てきたら、また議論しますけれども。それは昨年6月の答申にちゃんと書いてありますから。それには今日改めて異議は出なかったということです。
〇記者
環境税ですけれども、ステップ2というのは、どこまで議論するんですか。課税方式、環境省の案に対して……。
〇石会長
ステップ2というのは2005年から始まるんだったよね。2005~2007年だっけ。そういう時期に来るから、かつ京都議定書も発効するだろうから、日本として全く頬被りもできない。そういう態度をとれないし、我々としても、本格的に地球温暖化対策の一環として環境税の議論もやらなくてはいかんなというところまでは行っているわけです。つまりステップ2まで来たから。そこで、昔みたいに京都議定書を発効しないからやらないとか、何かどうだこうだという話の逃げではなくて、ちゃんと真正面から議論せないかんなという、そういう意見が出て、大方の人はそれについて賛成したと思いますし、私も賛成ですね。つまり、環境省がいろいろやっていること、経産省がいろいろやっていること、いろいろありますけれども、税調は税調なりの議論の仕方があると思いますので、それと税調が丸ごと、丸抱えでできるという、そういう話でもなかろうと思います。つまり、環境政策全体の中での位置づけですから、それはそれで環境省あたりにしっかりつくってもらうというのが前提だと思います。
〇記者
環境税は、今年度の税調でとりあえず扱わないんですか。
〇石会長
他のトピックス、つまり消費課税とか個人所得課税とか法人税等々ございますよね。その逼迫度からいって、どれだけ割り込ませるかということですが、当然のこと、来年の税制改革に議論したということは書き込むと思いますが、それがいつゴーサインを出すかどうかというところまではなかなか行きにくいのではないですかね、今の情勢からいって。つまり、6%プラス 7.6%かな、1990年代に比べて13.6%CO2 を減らさなければいけないということの中で、環境税がどういう役割をする云々の議論、フレームはまだできていないんですよね。その中で、やにわに環境税だけ引っ張り出して議論というのはなかなか難しかろうと考えています。
〇記者
環境税、本格議論、本格議論と言うんですけれども、導入の方向で議論するということなんでしょうか。
〇石会長
それは、これからの議論を待たなければいけません。つまり、税調でも、今日ご紹介しなかったけれども、先週、今日ご欠席の予定の委員からは、大層厳しい反論も出ておりまして、税調の中も環境省寄りの導入派と、経産省寄りの反対派と、まさにがっちりこれからぶつかるのであろうかと思いますから、ただ、議論を妨げるものではないというので、議論は必ず行くと思いますので、導入を前提とした議論かどうかというのは、そんなことを今私が決めたら、これで大騒ぎになると思います。とりあえず真摯に検討するということでしょうね。重要な点はちゃんと議論して、その結果、何が出てくるかというのは、自ずから、そこからにじみ出てくればいいんだろうと思います。そこまで行くと思いますけれどもね。
〇記者
また環境税ですけれども、ステップ2は始まってしまいますよね。その中で議論といっても、そんな時間もかけられないというのもあるんだと思うんですけれども、所得税、消費税の議論があると。時間的にはどういうふうに絡めていこうと。
〇石会長
恐らく回数を増やすとか、特に小委員会をつくるとかなんていう議論まで行くと思うんですが、まだそこまで腹が固まっていないんだね。やはり税調として、主要な論点を整理している中で、この環境税がにわかにクローズアップされてきたので、主要な論点の中に忍び込ませて、本格的議論、つまり、今日も個人消費税の一環としてやったわけです。個人消費課税というと、今言ったように消費税と酒税が出てきましたから、本格的にやるんだったら、消費税並みに環境税もやらなくてはいかんと思いますよ。そこまで時間の配分とかエネルギーとか、あるいは他省庁との兼ね合いとか、あるいは政府全体のフレームの中での位置づけというのがまだ不明確だろうという意識を持っていますから、もうちょっと時間がかかるのではないかな。そういう意味で、今の段階では準備、怠らないような状況にしておきたいと思いつつも、他の税項目以上にというか、そのぐらい並みにできるかどうか、ちょっと疑問だとは思っています。決して腰が引けているつもりはないんだけれども、周りの条件がまだ熟してこないという、そういう憾みがあるということでしょうかね。
〇記者
環境税、消費税ではないんですけれども、自転車税のお話で、この前の会見で聞けなかったものですからお伺いするんですけれども……。
〇石会長
豊島区の自転車放置税?
〇記者
あれで、総務省の同意制度というのがあると思うんですけれども、あれ自体が幾つか、同意後にトラブルになっているケースが多くて、機能不全になっているのではないかという議論が一部出ているんです。それに関連して、仮に同意制度がなくても、変な制度、あるいはおかしな制度を入れれば、首長がリコールになったり、もしくは区議会議員が選挙で落選したりという形で、自浄作用が働くことも考え得るので、そういう意味でも同意制度自体の存在意義がすごく問われているのではないかという議論に対して、会長はどういうふうにお考えですか。
〇石会長
私も同意制度、同意・不同意の条件を見ると、恐らく今回も総務省はもろ手を上げて同意しているのではないような気もしますけれども、総務大臣も含めて。例の3つ条件があって、それに合致しなければ、やむを得ずということになっていますけれども、今回、何かその辺が極めて、同意するときに、もろ手を上げて同意になっていないというところは、やはりあの税自体の仕上がり、装い、やはりちょっと問題があるということでしょう。おっしゃる地方自治体に全部任せるというのも一つの手だと思いますが、その場合は、デモクラシーのコストがすごくかかるでしょうね。私も豊島住民だからよくわかるけれども、区民が結集して反対、選挙を待っておかしな議員を落とすとか、区長をリコールするなんていうコストをどこまで払えるかということになると、今言った国が責任を持ってという視点はあるかもしれない。基本的には、僕は地方自治を、言うならば地域住民の判断に任せる方法をとるべきだと思いますけれども。そういう意味では、おっしゃっていた同意がなくてもいいのではないか、現に税調の中でもそういう議論が出ておりますから。とにかく見直しの時期だと思います。これから、あんな種類の問題はどんどん出てくると思いますよ、今みたいな制度であれば。
〇記者
同意制度というのは、つまりデモクラシーのコストをある程度代替するみたいな形で国がやってきていると……。
〇石会長
どうかな。そう格好いい話ではないのではないかな。国がやはり権限を保持したかったんじゃないですか、よくわからないけれども。つくった人に聞いてみないとわからないけれども。やはり、あるところで、課税ベースで重複したり、国策と地方税の、何かオーバーラップがあったり、とんでもない税だったら困るという配慮があったんでしょうね。そう思います。
〇記者
消費税のことでお伺いしたいんですけれども、これまでの税調でも、委員の間から何%がいいとか、どうとか、意見が出ていると伺っているんですけれども、それらの意見のバックボーンというか、意義づけとして、例えば歳入の何割は間接税で占めるべきだとか、そういう背景的な議論というのは進んでいるんでしょうか。
〇石会長
消費税を導入するときに、盛んに直間比率の見直しというのがありましたよね。あれは完全に消えていますね。だって、現にもう直接税を減税してしまって、ほぼ達成されているわけだから。したがって、消費税率を上げる云々のときには、やはり少子高齢化なり、財政赤字の累積上から見て、このままでは財政が破綻するよと。持続が不可能だよという視点から、恐らく何%、つまり他の国との受益と負担の兼ね合いを見て決めるというところが一番のポイントだと思いますから、恐らく受益と負担のギャップを解消するという視点がこれから極めて強くなってくるのかなと。したがって、そうなれば、福祉目的税の発想が出てくるのかわかりませんけれども、いずれにしても、ご存じのように、歳出増の太宗は福祉ですから、目的税化しようが、目的化しようが、とりあえず新しい税収のかなりの部分がそっちに行くというのは目に見えていますから、そこは余り問題ではないのではないかと思いますけれども。何%にしなくてはいかん等々の議論はしなくても、自ずからある程度の方向は見えてくるのではないかと思いますけれども、あとは政治の問題ですね。それは、また政治的な問題も絡むでしょうと思います。
(以上)