基礎問題小委員会(第21回)後の石会長記者会見の模様

日時:平成16年10月8日(金)16:03~16:30

石会長

21回になりますが、基礎問題小委員会、終わりましたのでご報告します。今日は、かなり話題が豊富であろうと、あらかじめ内容を、ご報告する前に申し上げます。今日から個別の税目に入りました。差し当たって重要な問題として、所得税と住民税をまとめた形で個人所得課税というのを今日行いました。次週以降は消費税とか法人税等々を一つずつまとめていきたいと考えております。お手元に今申し上げた所得税関係と住民税関係、おのおの資料が出ております。この資料をご覧いただきますと、まあ従来からある資料がそのまま出ているなという印象をお持ちだと思いますが、ただ、従来と違うのは、やはり我々、「実像」把握でかなり雇用の関係、家族の関係等々を分析したことを踏まえて、その一部をここに再度採録されていますが、それとの結びつきを意識した形で今後の所得税改革、どう進めるべきかというような視点から議論いたしました。

今日は研究者、学者の人が多かったこともありますが、非常に活発な議論が行われました。まあ所得税の構造改革の第一歩としては、主要な論点がほぼ出揃ったのではないかなと考えております。と同時に、平成18年度から三位一体のもとにおける税源移譲、これを行わざるを得ないと考えておりますので、それに向けて単に技術的に処理するだけではなくて、所得税、住民税あわせて構造的に問題になっていくのを、税源移譲をきっかけにして直したいということが皆さんの共通の理解でありました。それにつきまして、幾つか重要な論点が今日は出たかと思います。三、四点整理をいたしましょう。

一つは、幾つかの段階で〇兆円という規模が決まったとき、これはある意味では所得税の世界から〇兆円、まあ3兆円と言っておきましょうか、3兆円をどうやって減税するか、つまり税率をいじくり、控除をいじくりということをやるわけです。その方向の議論が片方あると同時に、受け皿としての住民税も、当然のこと、同じような受け皿の方向での議論、これが結構重要なんですね。それを機械的にするというだけではなくて、例えば3兆円、住民税で徴収するといっても本当に3兆円集められるかねというのが、現行の税務行政とか等々考えましてね。あるいは現行の所得税の調書をもらって住民税がああいう付加課税をするというような仕組みと、それから徴税上の様々な執行面の問題を含めて、だんだん細ってくるんじゃないかという心配をご提示の先生もいまして、まあ言うならば住民税の世界でもしっかり税務調査をやるべきであるというような示唆があったと思います。つまり、所得税、住民税、両方払っている人は問題ないんですよね。住民税だけ払っている、それも事業者の場合、どうやって所得を捕捉するかなという問題が、やはり今度は大きな税収規模になってくるわけですから、問題として残るわけです。それから、仮に移譲が行われてということになりますが、相対的な所得税と住民税と力関係が接近してくるわけですよね。そういう意味では、もとより基幹税でありますが、そういう基幹税としての役割が住民税、非常に大きくなってきたときに、やっぱり住民税独自の構造上の特色があってもいいだろうと。つまり、今言われていますように、税率がフラット化するかもしれないけれど、主要な控除はほとんど国税の控除をそのまま使って、ちょっと額を落としている程度、まあ性格が似ているわけですね。住民税はある意味でミニ所得税版でありますから、こういうのでいいかどうか。こういうのも今後詰めていかなければならない問題であろうと思います。

そこで今度は、第2点は所得税そのものの改革なんですが、税源移譲が行われないという議論を別にしても、我々、所得税の空洞化ということを様々な形で言っておりますように、課税ベースは狭すぎる、課税最低限は高い、こういうことを言ってきたことから言いますと、基幹税としての地位を現に失いつつあるわけであって、この回復が急務であると考えております。あるべき税制という形で、一昨年ですか、我々、答申をまとめましたが、それもひとえに10年、15年かけて、「あるべき税制」のほうに一歩一歩近づけていこうという問題意識でやったわけですが、それも一言で言うと課税ベースを広げるということですね。まあそういう意味で、一つの方向でこれからやっていこうということですが、基幹税として細っているという上に今回の税源移譲が絡んできますから、実際には将来的にはもっと細ってくるわけですね。ただ、この税収を回復するために是が非でも課税ベースをいろいろと増収に走るという意味ではなくて、ある時期までくれば、おそらく国も地方も、今の財政事情から言えば当然のこと自分たちで…自分の努力で、パイを増やすという努力でやらなきゃいけないわけです。その一環として当然のこと、国税においては課税ベースを広げる形で、「あるべき税制」に近づけるし、住民税も、もらった後でもおそらく課税ベースを広げるとか、所得控除をどうするかという議論は必ずあるわけでありまして、その議論として今後、ともにパイを広げるという努力は、時間の差はございますが、当然出てくると思います。

そこで具体的に、じゃあ所得税の課税ベースをどこに広げるかという形で、一番理論的にすっきりしているのは、基礎控除は拡大するけれどもそれ以外のものは極力なくす。諸外国は比較的それに近い、つまり日本は、逆にいって所得控除の数が多過ぎるし、規模も多過ぎるし、それは所得税のどうも屋台骨を揺すってるんじゃないか、これを直したいと。まあその一環として、今日の資料に出ていますが、おそらく出てくるのは給与所得控除、それから退職所得控除あたりがともにターゲットになるし、それから扶養控除あたりをどうするかという議論になると思います。

二、三、それに関して出た話題は、税額控除というのをこれから考えたほうがいいだろうと。つまり、課税ベースを広げる意味で所得控除を削っていくということになったときに、ご存じのように、所得控除、税額控除は納税者の側から言うと随分違うんですね。税額で控除されると所得の水準と関係ありませんから、もろに控除の効果はきいてくる。それを「児童控除」みたいな形で今、高齢者に比較的向いている恩典を集中的に少子化対策として、「児童税額控除」という形で使ってはどうかというような議論が一つ出てまいりました。これはまた一つのいき方であるし、これは実は2年前の「税の対話集会」でもこういう案を三つほど出しております。これは資料の22ページに出ていますから後から見ていただきたいんですけれど、既に対話集会でもこういう論点は問題提起として出しております。それから、この所得控除を税額控除に変えていくというのは、ある意味では今、世界的な一つの動きでありますので、我が国としても、そういうことで構造改革をやったときには、これが一つのポイントになり、それが扶養控除のあたりで具体化するべく議論するということだと思います。

これからどういう形で福祉社会をつくっていくかというときに、現金給付というのは様々な形で歳出面から出てますよね。そこで、諸外国の例から言いますと、現金給付はすべからく課税ベースに取り入れられるんですよね。北欧なんかは典型的ですよ。まあ生活保護までは入れるかどうか。これは、厳しい資産チェックが行われていますから、担税力がないと考えれば落としてもいいとしても、その他もろもろある現金給付はすべからく入れて、それで基礎控除等々をやった後で税をかける。これが筋じゃないかと。これはそういうことを強くご指摘の委員もおりましたし、まあこれはある意味で、はなからこの所得はなじまないから非課税とか免税よというのではなくて、とにかく入れて、そして所得水準に応じて所得税の負担を、低い人には課せませんけど、あるところまではいくと課せられるというのが筋ではないかと、このように考えております。これは既に我々としても、この種の議論で…政策やったよな、遺族年金か。遺族年金とか、それからなんかその辺でやった記憶がありますが、そういう方向だと思います。

そういう意味で所得税の方向は、あるべき税制に沿ってやっていくと。これが3兆円なら3兆円の大きな税源移譲にかけて、やはり本格的に目指すべき方向になっていく、このように考えています。

一方、住民税ですが、住民税はこれまたいろんな問題を抱えてるんですが、今度は10%フラット化しようというとき、これだけちょっと表を使いましょうか、所得税のほうの27ページに、所得税と個人住民税がのっかった税率が出てますよね。問題は、この一番下のほうにある点線の部分と実線の部分のところの交差しているところで、税源移譲のときの住民税の組み合わせにおいて、国税、地方税の税率の組み合わせは非常に難しいですよね。この点線もいわゆる 270万と 325万、課税最低限が違いますように、出っ張っているところが10上がったとき、あるいは5%部分が10上がったとき、一体所得税でどう調整するかという問題があって、これはいずれ本格的に、この辺を踏まえて議論せにゃいかんなという形で、今日この図についてなるべく早く検討しようという問題提起もございました。

単に5を10にして、13を10にするという税率のフラット化だけでは3兆円の受け皿として非常に不十分でありまして、やっぱり住民税全体として控除のあり方とか税の性格とかというのを議論すべきだと思います。まあ一つの例としては、ミニ所得税版になっている住民税を、もっと応益原則を言うなら、基礎控除ぐらいに絞って、あと課税ベースをだんだん広げていくという過程において、所得税と決別した形のまずインディペンデントな独立した形の住民税をつくるべきではないかという議論、これは前からありますので、ひとつ議論としてあると思う。

それからもう一つは、住民税のウエイトが大きくなってきたとき、現年課税というのをせにゃいかんじゃないかと。つまり今は前年課税ですよね。まあこれについてはいろいろ難しい問題があるよという形も、今日事務局から提案をいただきましたが、ただ事務局の問題意識としても、できれば現年課税のほうに歩み寄りたいという形で、今IT化が進んでおりますから、昔ほど手間ひまかからないで出来るんじゃないかという問題意識も持っているようであります。いずれ現年課税の可能性というあたりも議論しなければいかんかなあというふうに考えております。

以上、今日はやはり税源移譲ということをめぐって、ある意味では、これショックなんだよね、所得税も住民税の世界においても。このショックを利用しつつ、やっぱり「あるべき税制」という形で所得税・住民税の構造を大きく見なきゃいけない。

それから4点目はやや細部的な話なんですが、バブルが崩壊して、例の税収でおわかりのように、所得税はもう半減したぐらい…60兆から41兆に下がったのかな、それから地方税も住民税も11兆から8兆まで下がってまして、つまりバブルの前後で課税所得なるものが構造的にがらっと変わったんですね。とりわけ金融所得ですよね。利子配当、キャピタルゲイン、バブルでどんどんどんどん積み上がったものが、資産デフレで課税所得がどんどん細るなかで、言うなれば課税ベースは細る一方なので、今後どうなるか。と同時に、金融所得の一元化ということが別個のテーマでございますから、それが今の所得税構造改革に入り込んだとき、それがいかなる意味をもってくるのか。おそらく所得分配上もいろいろ問題が出てくるかもしれない。まあそういう意味で、これは十分注意しなきゃいけない。

それから、明らかに所得分配、所得税の再分配機能は落ちてますね、住民税のケース等々で見て。これをどのぐらい、今後高めていくのか、あるいはこれでいいのか、あるいは累進度をどうするかという議論あたりが、これから大きく問題になってくると思います。

まあいろいろ議論いたしましたが、今日その辺あたりがひとつ大きなポイントだったと思います。ご質問があればお答えします。以上です。

記者

住民税と所得税が別途の税だという認識のもとにその控除を見直すような場合に、今は住民税のほうが控除が少なくなっているわけですけれども、例えば合わせるとか、ここの部分を引き上げて、あるいは所得税より住民税のほうを高くするほうがいいのかとか、その辺について、会長のお考えは……。

石会長

それはちょっとないと思いますね、税の性格が違うから。所得税というのは、ご存じのように、応能原則ですからね。ある程度能力に応じて担税力をベースにして課税すると。それに対して、住民税はどっちかというと応益原則で、まあ広く住民として公共サービスについて最低限の負担をせいと、そういう話ですから、そこはあえて無理しなくていいと思いますし、だからこそ、インディペンデントに住民税は所得税と離れて独自の構造的な改革を目指せばいいじゃないかと、大体そっちの方向じゃないかと思いますけどね。

記者

あと、なかでの議論の話に対しての会長のご見解を伺いたいんですが、税額控除にすべきだという意見がなかであったと。少子・高齢化、まあ少子化対策として児童税額控除のようなものを使ったらどうかという点に対しての会長のご見解と、それから現金給付、社会保障関係の給付を入り口ベースで課税するというお話ですよね。それについて公的年金等補助の縮小などを、老年者控除とか言っているわけですが、具体的に何か議論のなかで話題になったような給付があるのかとか、会長の頭のなかに……。

石会長

税額控除でいくというのは、もう既に2年前ですね、具体的な提案を我々はしてるんですよね、この資料のどこかに書いてありますけど。という線からいきますと、すべてを税額控除ということは多分ないと思っても、まあ一番所得の水準に関係なくて税の恩恵が、考慮が及ぶというのは、やっぱり扶養家族のところなんですよ、扶養控除のところですね。それを「児童控除」と言ったり、「家族控除」と言ったりしてもいいんですけど、それがちょうど少子・高齢化というのも税でといったときに、少子化という対策というのに一番なじみやすい。何というのかなあ、高齢者だけに目を向けないで、少子化で特に若い子育て真っ最中のサラリーマン等を中心にやるならそこがいいだろうと、これは私も賛成でありまして、多分これは一つの突破口になる。つまり、単に所得税を上げていくだけではなくてね、そういう目配り、気配りがあるのではないかと。それから、さっきは生活保護給付を除いてそれ以外のと言いましたけど、まあ具体的に何かって、まだ念頭にないんですが、おそらくどこの国もそうですが、一旦、歳出面で手当した現金給付は担税力ありとみてね、それを所得税の課税ベースに入れるというのは、理論的に間違ってないと思う。今日ちょっとご紹介しなかったけど、マイナスの所得税、お聞きになったことあると思いますが、要するにプラスの世界では所得税だけど、マイナスの所得税という意味は、別に言えばこの現金給付ですよね、こういう形のね。それと組み合わせてやるなんていったときにはですね、やはりどこまで課税ベースに入れるかというのは、絶えず議論があるんですけれども、私は現金手当というのも当然入れていいじゃないかと。そうなると、昔から言ってる住民税の課税最低限と生活保護費の、なんか額が逆転しちゃいけないからって、絶えず課税最低限を上げてたなんていう弊害もないんで、生活保護費を入れるか入れないかあたりがボーダーだと思いますが、それは議論として大いにやるべきだと思ってます。これから高齢化社会を生き抜くときにはですね、すべからく全員参加型の負担構造にしないともっていけないと思いますから、消費税も所得税も薄くていいんですよ…薄くというか広く公平にやったほうがいいと思いますから、今言った歳出面で面倒みてもらって担税力がついたという形のものは、もう諸外国は全部そうですから、そういう方向にスイッチしていく一つのきっかけかもしれません。ただ、これいろいろ問題ありますので、慎重に議論しなきゃけいないとは思います。

記者

その少子化対策の部分での、大賛成だとおっしゃった扶養控除の部分なんですが、例えば特定扶養控除が今は16才から23才になっていますけれども、そこをもうちょっと下にするんだとか、もう少し細分化してやるんだとか、そういうイメージなんでしょうか。

石会長

所得税関係資料の22ページですよ。考え方が1、2、3と並んでます。それで、扶養控除というのを、今、俗に言われますパラサイトシングルもいわゆる年齢制限がないので利用できるんですよね。どこの国でも大体17とか18で切ってますよ、扶養控除の年齢制限というのがあって。この考え方2というのは、児童及び老齢の親族のみにかけましょうというふうに、扶養控除も限定的にやってみましょうと。特定扶養控除というのは、ある意味でプラスアルファの部分としてぶら下げてるわけですよね。だから、ああいう枝葉を余計つけてたところというのは、税の本体とはやっぱり、本体と距離があるし、乱しているところが…あれは政策減税ですからね、それは直しましょうということはもう既に言ってますよ。それはそれで看板もおろしてませんので、当然のこと、あれは一旦認められそうになりましたけど、また復活しちゃったけれども、特定扶養控除というのは要らないんじゃないかと、こういう見直しのなかでね。それはそのまま意見として残ると思うんです。

記者

住民税と所得税の決別の話なんですけれども、先程お話のなかで、控除にも特色があったほうがいいだろうと。会長の頭のなかに、こうした控除がある、あるいはこうしたほうがいいとか…。

石会長

いやいや、住民税の世界は極力もう控除を廃止しろということですよ。つまり、配偶者特別控除とかね、なんか生損保控除もあるじゃないですか、住民税でも。あれは国税の世界で任せておけばいいんでね、住民税はやはり応益原則ですから、極力、地方公共サービスに見合ってですね、多くの人が負担すべきということならば、ミニ国税じゃあ困るんですよ。そういう意味で性格をはっきりさせるならば、極力基礎控除なるものを拡大しつつ、雑多なものは、国税も切るといっていますが、国税以上に住民税というのはその性格が弱いというか、あまりない。したがって、所得税と決別しろといったときには、所得税が持っている主要な控除は全部くっつけるという発想は捨てるべきだと、そういう意味です。

記者

この控除の見直しを含めた抜本的な改革、スケジュール感なんですけど。

石会長

スケジュール感はですね、これまた難しいんですけど、一応18年度に今の所得譲与税から具体的な〇兆円というのが出て、税源がきますよね。したがって、来年1月になったらその準備をですね、出すほうと受けるほう、つまり所得税と住民税両方で議論、構造的な面でやろうと思ってるんですよ。で、来年の今ごろ、できれば具体的な所得税・住民税構造改革が税源移譲で見合って出てくるというスケジュールですね。それで、それとおそらく別な視点で所得税も住民税も議論しておかなきゃいけないのは、「あるべき税制」という姿から言えば、やっぱり今申し上げた課税ベースの拡大、プラス所得控除か税額控除かというような議論ね、これはやっぱり残ると思いますから、それはそれでやりますが、スケジュール感から言えば当然のこと、税源移譲の後でしょうね。その他、所得控除を見直して、見直してというか削減して課税ベースを広げるというのは。

まあスケジュール感から言えば、5~6年のタイムスパンじゃないんですかね。といって、僕はあと10年、15年たって、「あるべき税制」のいった所得控除がすべてなくなっていると思いません。まあそれに向けて一歩一歩いけばいいと思っていますけれども、当面の主要な問題提起がある程度クリアできればいいと思ってますが、まあ4~5年のタイムスパンかな。それに景気如何の話があるけど、定率減税が絡んでくるでしょうね、それに。

記者

定率も廃止された後で考える…。

石会長

でしょうね。それは、これからの感じでいきますと、まあ5~6年の間で所得税がすっきりした形になってれば、それなりの「あるべき税制」の一歩だと思いますけどね。

記者

逆に言うと、定率縮減なり廃止なりというような姿が実現していないと、こういった控除の見直しにいかない…。

石会長

うん、あまりやっても意味ないねえ。要するに、ある人にも言ったけど、所得税というバケツの底に大きな穴があいてるのに、細々した小っちゃな穴のふさぎ方で所得控除をやってても、本体を…本体のところの穴を埋めてないと。小っちゃな穴、幾つ埋めても所得税の姿はよくならないんじゃないですかね、そう思います。

記者

先生の控除見直しについての基本的な考え方の確認なんですけど、増収につながるような廃止の一方向ではなくて、少子化対策なんかでは控除の拡大もあり得るという…。

石会長

それから基礎控除ね。38万円あると言えばあるんでしょうね。ただ、税源の見合いでいろいろ難しい問題があると思いますけど、あくまで税収確保のために所得控除、税額控除かなんかをするというよりは、結果として、姿が目にうるわしくなった、その結果減税の部分もあるし、増税部分もあると。でも、結果として見直しの、つまり削減・縮減が行われれば、それは増税が多くなるでしょう。…と思いますけどね。それ、でき上がりは組み合わせだから。

記者

スケジュール感ですけれども、所得税改革のスケジュールは18年度税制改正を含め4~5年ということなんでしょうか。

石会長

いや、それは考えてない…まあそんな感じでしょうね。第一歩が今言った3兆円か、3兆円移転に伴ってガタガタと動くわけですからね。別にその辺に1~2年が入るか入らないかって、大問題じゃないよ、そこは。僕はアバウトな話しかしてないんだから、あんまり精緻な話はしてないんだよ、方向感覚が重要なんだから。そうでしょ。

(以上)