第25回基礎問題小委員会議事録

平成16年11月2日開催

委員

それでは、まだお見えになってない委員の方もいらっしゃいますけれども、もう時間になりましたし、今日はやることがいっぱいございますので、開催いたしたいと思います。

今日は、お手元に「これまでに出された主な意見」という十数枚の紙がございますが、これはこれまでの議論を全部まとめてもらいまして、いわゆる主要な論点を、通称ボキボキと言ってますが、それを項目ごとに整理したと。これをベースにいたしまして議論をしていくうちに、おのずから事柄の軽重、あるいは強調すべき濃淡がわかってくるような仕掛けになっておりますので、今日はこれにつきましてご議論いただく。最初に読んでいただきます。

ただ、今日気をつけていただきたいのは、文章のほうは全然気にしなくて結構ですから、内容のほうを主にして気にしてください。文章は本格的な文章を作って修文等々の議論をいたしますから、今日は、こういう項目ではこういう中身がどうだこうだという議論にしていただきたいと思います。

全部読み上げてもらうと25分ぐらいかかるらしいですが、最初からとりあえず、初めてご覧いただきますので、読み上げてもらいましょうか。

では、すみません。事務局、お願いいたします。

(「これまで出された主な意見」朗読)

事務局

これまでに出された主な意見

総論

(税負担のあり方)

今後、公的部門とそれを支える負担のあり方について議論をする際には、政府に対する国民の信頼と社会連帯の意識が重要。

今後の社会保障や税制のあり方を考える上では、受益と負担の対応関係を明確にする必要。受益が目に見える形であれば、対応する負担についても、国民は納得するのではないか。

社会保障制度の見直しを進める際には、誰がどの程度の負担をすることになるのか示しながら、国民が広く負担する必要性を訴えていくべき。

これまでの税制改革に際しては、所得税等の減税によりネット増税ではなかったが、今後は、税負担水準そのものを上げていくことが避けて通れない課題となるのではないか。

所得課税は負担が軽減されすぎており、消費課税は負担を求めなさ過ぎている。

(財政再建の進め方)

基礎的財政収支の均衡は、公債残高のGDP比の上昇をとめるため最低限必要であり、財政再建に向けた第一歩である。

国民には、まだ無駄な歳出が多いという認識がある。今後、増税を行う以上、歳出削減についてもしっかり取り組んでいくべき。

わが国の危機的な財政状況を踏まえると、自然増収と歳出削減のみでの財政再建は困難であり、増税が必要。その際、広く公平に負担を分かち合うため、課税ベースの広い所得税や消費税を念頭においておくべき。

財政再建を先送りするほど、将来財政破綻を回避するために必要となる歳出削減や増税の規模は大きくなるため、経済動向にあまりとらわれることなく、歳出削減と増税の議論を進めていくべきではないか。

財政再建の実施のタイミングについて、集中的に負担が発生することを避けるため、成長軌道への回復を待って集中的に進めるのではなく、徐々に平準化された形で進めるべきではないか。

これまでの公共事業縮減と同様に、今後増税を行っても、景気を抑制する効果はそれほど大きくないのではないか。

国民の将来に対する不安を払拭するため、財政の将来像を前向きに示すことが必要ではないか。

基礎的財政収支の黒字化の必要性や累次の減税により歪みが生じている税制を改革する必要性について、国民に理解してもらうことが必要。特に税負担の歪みを生じさせている所得税体系の見直しが先決。

増税を行うことは、景気が安定的な回復局面に入ったという認識を政府としてマーケットに示すことになるため、財政・金融両面の政策に関係することに留意すべき。

歳入・歳出両面の取組みについては、税制改革、社会保障制度改革、三位一体改革等の政策全体を総合的に捉えて、複数の選択肢を示しながら、景気への影響などについて議論していくことが必要。

増税が経済に与える影響は見極める必要があるが、増税により将来についての安心が保障されれば、中長期的にはいい影響があるのではないか。

(国債市場の現状)

1990年代以降の国債の高水準での発行にもかかわらず、長期金利が低下を続けてきたのは、金融緩和による資金供給の増加を、国債が吸収する形となっていたことによるもの。この大量発行の背景には、バブル崩壊による資産価格の下落によって企業に債務が過剰に発生し、それが不良債権として、最終的に政府部門に付け替えられていくという調整プロセスがあったと考えられる。

不良資産の処理が最終段階に入り、民間経済活動にも回復が見えてきている。民間部門の債務を肩代わりする形で、いわば「身代わり地蔵」として累増してきた国債の償還について、生産性の改善等により民間部門の収益力をあげ処理原資を確保することとあわせて、国民の負担により対応していくことも必要。

国債の市場消化は、「必ずいつかは償却できる」という信頼に基づいており、今後、財政健全化、民間セクターの回復、債券市場安定の実現により、いかに信頼を維持・確保していくかが課題。

高齢化に伴う家計貯蓄率の低下や金利上昇という展望を踏まえると、国債管理が課題。徹底した歳出削減や増税、海外からの投資を呼び込むことも考える必要。

金融緩和による資金供給の増加により、低金利が維持され、国債の大量発行につながったのではないか。

巨額の国債残高は、金利の上昇により歳出増につながる恐れがある。国債残高の水準については、絶対額を減らすのはなかなか難しいので、GDP比でどの程度の水準を目指すのかということになるのではないか。

(社会保障と財政)

国庫負担は「負担」ではなく保険料負担を下げる「収入」だという考え方が根底にあり、国庫負担割合の増加とともに負担感がなくなり、過大な給付がなされるようになっている。この結果、社会保障財政は悪化しており、人々が真に求めている保障の提供も困難になっている。

負担に見合わない過大な給付のつけは、最終的には国・将来世代が負うことになる。給付と負担のバランス、給付の一定割合を自動的に国庫負担とするというあり方を見直し、持続可能な社会保障制度を構築することが重要。

国がすべきことは、保険料を払えない人に対して、代理で負担するということだが、「社会保険」の枠外で手当てすべきであって、最初から給付の一定額を国が負担するということではない。

経済の低成長、少子化という構造変化により、現在の社会保障制度の前提が崩れてきている。持続可能性の観点から、国が最低限保障する部分以外は全て自己負担にするべき。

国庫負担は税で賄われるという意味で負担にかわりはないが、社会保険料のみを負担ととらえることが、安易に国庫負担を増やせという議論につながっている。

個人所得課税

(総論)

現在の所得税は、税収が痩せ細り基幹税としての体をなしておらず見直しが必要。その際、国民の間に、所得間格差が広がっている最近の状況も考慮する必要。

同じ所得でも資産所得の方が勤労所得より担税力がある。応能的な税制にするには、所得税だけでなくそれを補完する税も含めて考えるべき。

負の所得税について、社会保障との関係も併せて検討する必要。

所得税も個人住民税も互いに余裕がない中で、所得税から個人住民税へ税源移譲することは、生産的でない。財政再建を目的とするならば、それぞれで増収策を講ずるべき。

(課税ベース)

生活保護は、資産状況を調べて給付を決めるが、そうでない他の現金給付については、一旦課税ベースに入れて控除で対応するのが望ましい。

(給与所得控除、退職所得控除)

給与所得者と事業所得者との間の所得捕捉の格差の問題を抜きにして、所得控除の見直しはできないのではないか。

給与所得控除の見直しに際しては、自営業者の家事関連費が適正に必要経費から除かれていることの検証が必要。

給与所得控除で現実に利益を得ているのは法人成りしている自営業者である。その観点からも給与所得控除は見直す必要。

給与所得控除の見直しにあたっては、申告により必要経費を実額で控除する制度を整備するべき。

退職金は後払いの賃金であり、老後の生活はこれを前提に設計されているので、退職金課税の見直しにあたってはそうした点を考慮すべき。

給与収入800万円以上の者は、納税者の割合では12%程度にすぎないが、税収のシェアでは50%以上となっている。これは課税ベースが浸食されて中低所得者が負担をしていないことを意味しており、ここを議論する必要。

(所得控除)

個人所得課税は個人単位課税であるにも関わらず控除が多い。基礎控除は引き上げて、それ以外の控除は歳出に振り替えるべき。

所得税は基幹税であるとともに、税の中で最も所得再分配機能に優れている税であるが、今の財政状況を考えると、必要なところにミニマムに、かつ集中的にその機能を発揮させる必要。そのためには、税率を比例税率とし、人的控除を税額控除とすることも考えられるのではないか。

課税ベースを広げて、税額控除を導入するというのも一つのあり方。

基礎的財政収支を回復していくためにも、所得控除を整理して、簡素な税制を目指すべき。

高齢者優遇から子供の扶養優遇への思い切った転換を図ってはどうか。控除の見直しにより生じた財源を子供の扶養に振り向けるのであれば、国民の理解も得られるのではないか。

(定率減税)

定率減税の縮減・廃止については、景気動向を踏まえて検討する必要。

将来の景気動向が不透明であることを理由に定率減税の見直しを議論しないという姿勢で臨むことは適当でなく、定率減税の縮減・廃止について、粛々と検討を行う必要。

税調においては、定率減税の縮減・廃止を含め、個人所得課税を改善していく方向についてはコンセンサスがあるのではないか。ただ、景気との関係で、タイミングが議論になっているだけ。本来あるべき個人所得課税の姿についての議論は、きちんと進めていく必要。

定率減税の縮減・廃止については、地方分権・三位一体改革との関係も含め、個人所得課税の抜本見直しの必要性やその姿を示しつつ、議論する必要。

定率減税の見直しといっても、2兆円程度の負担増である。これは15年度決算における税収の対当初予算比1.5兆円増と同規模であり、景気に与える影響は限定的。

現在のような財政赤字がある中では、基礎的財政収支の回復のために国民が果たすべき義務について説いていかなければならず、税金を払わないことを是とするような論調には疑問がある。

(個人住民税)

個人住民税均等割の税率は低い水準にとどまっており、引上げを図る必要。

個人住民税の徴収率の向上を目指した執行面・制度面からの検討を行うべき。

個人住民税の性格を踏まえ、所得控除は極力簡素にすべきではないか。

消費税

(総論)

消費税を社会保険料を抑制する代替財源として捉える考え方があるが、財政再建といった考え方の議論が行われていない面があるのではないか。

中期答申の「歳出全体の大胆な改革を踏まえつつ」というのは歳出面で伸びている社会保障の改革しかない。抽象的な歳出改革ではなく、社会保障の水準とリンクさせて議論する必要があるのではないか。

基礎的財政収支の改善のためには税率の引上げが必要だが、企業の活力や予算の使い方といった問題についても議論すべき。

(税率水準)

税率引上げのタイミングや引上げ幅については、きちんとした議論が必要だが、デフレ期待からの脱却や経済への影響を考慮すれば、一般論としては徐々に引き上げていくのが良いのではないか。

消費税を導入して16年が経過した現在でも、まだ5%という税率水準であることが不思議。

(逆進性)

逆進性の問題は、税制全体や歳出を含めた財政全体で広く考えていく必要。

所得再分配は全体として効率的に、かつ、必要な人々に的確に行う必要。

所得税を地方に移譲していく中で、個人所得課税の側からどの程度消費税の所得に対する逆進性を緩和できるかについては、今後の個人所得課税をめぐる検討状況を見極める必要。

軽減税率には、執行面のコストや経済活動への中立性を欠く等の問題がある一方、消費税率を相当引き上げて社会保障給付で逆進性の問題に対応する場合には、大きな政府や負担率の上昇といった問題があり、国民負担率を50%以内に抑える目標は外さないと難しいのではないか。

高齢化社会や財政赤字を考えたとき、広く国民が負担を分かち合って安定的に支えていく必要がある。分配の不平等の要因は、高齢者間での分配の不平等と高齢者のウエイトの高まりにあり、消費税だけではなく個人所得課税や資産課税も含めた議論も重要になってくる。

(税率構造)

低所得者への影響を考慮すれば、食料品に対する軽減税率の採用を考えるべき。

税率引上げの際には国民の理解を得るために、食料品だけには軽減税率を採用すべき。

食料品の軽減税率は逆進性緩和を目的としているにもかかわらず、高額所得者も恩恵を受けてしまうものであり、その採用は慎重に考えるべき。

軽減税率の採用には、例えば、食料品と言ってもその対象範囲が拡大して大混乱になり得るといった問題があり、過去の売上税法案の非課税品目の選定に対して批判があったことを念頭に置くべき。

軽減税率は、徴税側にも納税者側にも様々な問題が発生し、一度採用するとやめることも困難であり、軽減税率の採用はできる限り避け、所得課税や資産課税などで再分配を手当てすべき。

複数税率の採用は、技術革新に対応できていないことへの批判があった物品税の時代に戻るようなもの。制度に特例を設ければ不公平感につながるため、税率構造は簡素が望ましい。

消費税が支える社会保障の給付は広く国民が受けるものであり、税率が10%程度であれば、様々な問題を抱えている軽減税率の議論は適切ではない。

(仕入税額控除)

インボイス方式の採用は、免税事業者が課税事業者を選択するよう促す効果があり、それにより消費税の信頼性や透明性を高めることになるのではないか。

軽減税率が採用される際にはインボイス制度は必要となるが、事務負担の軽減についても併せて考えるべきではないか。

(消費税の目的税化)

消費税の目的税化に関しては、基幹税を目的税化することの財政政策上の是非が議論されてきているが、今後、消費税収のうちの地方交付税分の取扱いや特会に直入して給付と連動させるのか否かといった前提を明らかにして、議論を行う必要があるのではないか。

目的税化には問題があるが、仮に消費税を福祉目的化するのであれば、一般会計からの補填はせずに、消費税収だけで福祉を賄うということも一つの方法ではないか。

消費税の使途に関しては、「社会保障の在り方に関する懇談会」等における年金、医療、介護などの議論と整合性を図っていくべきではないか。

酒税

税率差によって歪みが生ずるのは問題であり、税負担の均衡を図る必要。

酒類消費の態様が変化していることから、酒類の分類を見直す必要があるのではないか。

酒税法では、原料・製法により酒類を分類し、その分類に応じた税率を設けているが、近年、メーカー側の技術力の向上により分類の壁をやすやすと乗り越えたものが見受けられるようになってきている。

発泡酒やビール風酒類のような商品が出てきたのは制度的な問題があるからであり、きちんと制度を見直すべき。

これまでパッチワーク的に見直しを行ってきたが、基本的考え方を明示すべきであり、前広に議論していく時期にきているのではないか。

環境税

環境税以外の政策により京都議定書の目標を達成できる可能性もあり、本格的に議論するのはまだ早い。

消費税や所得税の問題がある中、環境税も導入ということでは理解が得られない。

京都議定書の発効が見込まれる中、税制調査会としても、税を導入するとすれば、どういう税の構造がいいのか議論すべき。

課徴金的な税が最適かどうか、排出量取引制度など他の施策との比較を議論すべき。

省エネ対策等温暖化に対する取組みを行っている産業界に比べ、温室効果ガス排出の伸びが著しい民生・運輸部門に対する検討が必要。

民生・運輸部門に対して税で対応する場合には、価格インセンティブ効果を働かせるため相当高い税率を設定する必要がある。

原油高によりガソリンの価格が上がっても消費は減っておらず、環境税の価格インセンティブ効果は疑問。

環境税は炭素ベースで検討すべき。併せて既存エネルギー諸税の課税ベースも見直すべき。

温暖化対策財源として環境税を検討する際には、道路特定財源の見直しを行うべき。

環境税の税収は一般財源とすべき。

法人課税

(税率、政策税制の集中・重点化)

法人所得課税に係る実効税率の国際比較に当たっては、グローバルな観点からの比較としては法人税(国税)のみに絞るのが適当。

現行の法人税率は既に先進国並みの水準となっており、当面は法人税率の引下げを議論する状況にはない。また、開発途上国の法人税率の水準を念頭に法人税率の水準の議論を行うことは適当ではない。

企業部門が全体として資金余剰を抱え込むという異常な状況が生じており、こうした中で法人税率を引き下げても有効性に乏しい。

平成15年度税制改正において、一般的な法人税率の引下げではなく、研究開発等に焦点を絞った政策税制に重点化する措置を講じたが、こうした政策選択の方向性は、21世紀へ向けた国家戦略を念頭においた「選択と集中」という考え方に基づくものであり、的を射ていたといえるのではないか。

研究開発減税等については、かなりの効果が見られるとの声が多く聞かれる。事実、企業の税負担が相当軽減され、実質的な税率引下げのメリットが企業に及んでいる。

企業の投資行動にはある程度時間がかかることを踏まえれば、今は、研究開発減税など政策税制の効果を見極めるべき段階ではないか。

研究開発減税など既存の政策税制については、有効なものとそうでないものとに選別するため、その効果や有効性を十分検証すべきではないか。

IT投資促進税制等は景気対策の一環として導入されたが、平成18年3月末の期限到来時には縮減の方向で対応すべきではないか。

(公益法人・NPO法人等)

これからの時代においては、「政府の担う公共」だけでなく「民間の担う公共」が重要であり、公益法人やNPO法人の寄附金税制のあり方が重要なテーマとなる。このような寄附金税制については、引き続き真に公益的な活動をより有効に支援できる制度としていく必要があるのではないか。

設立間もないNPO法人の財政面等の実態を踏まえ、NPO法人を育てていく観点から、認定NPO法人の認定要件を見直し、活用しやすいものにする工夫が必要ではないか。

公益法人制度改革については、平成15年6月の「閣議決定」のスケジュールに沿って、年内に制度の基本的枠組みが具体化されることとなっており、今後はその結果を受けて、税調において公益法人等課税のあり方について一から議論する必要がある。

今後、税調において公益法人等課税のあり方について議論を行うに当たっては、従来のような「原則課税」か「原則非課税」かというような議論ではなく、むしろ、課税の公平・適正化や民間非営利活動の円滑化などの多角的な観点から、法人の実態等を踏まえたバランスのとれた議論を行っていくべきではないか。

(法人事業税)

法人事業税について、財政力の小さな団体により税収が配分されるような分割基準の見直しを行うべき。

地方が企業誘致等のために法人事業税の不均一課税等を行う場合に、減額分を交付税で補填する仕組みは改善するべき。

事業税における社会保険診療報酬に係る課税の特例措置等については、税負担の公平を図る観点から、その廃止が課題。

国際課税

我が国の国別の対外直接投資累計額を見ると、オランダ、パナマ、ケイマンといった軽課税国が上位を占めており、こうした傾向を懸念している。また、カナダの法人税率(国税)は21%となっており、軽課税国の仲間入りをしかねない状況である。このように各国の税制が動いている中で、外国子会社合算税制のあり方について企業活動の実態を踏まえた検討を行うとともに課税の適正化を行う必要がある。

匿名組合や任意組合をはじめとする多様な事業体について、新日米租税条約で日米間の課税関係の明確化を行ったところであるが、国内の組合制度においても租税回避の防止を図りつつ課税の適正化を進めていく必要がある。

資産課税

(相続税)

今後の消費税率引上げや所得税の負担増とのバランスをとるため、相続税の課税ベースを広げることが必要。

社会保障政策は見直しが行われているが、それと軌を一にして財源問題もある。タイミングを見て、老後扶養の社会化の進展により相続の段階で負担を求める方向で検討することが必要。

相続税・贈与税は所得税の補完税であるため、負担水準の検討や諸外国との比較は所得税と合わせて行うべき。

年金課税において保険料拠出時と年金給付時の両段階での税負担軽減はおかしいとの議論があるほか、高額所得者への年金給付に制限を加えようとしている。その一方で、老後扶養の社会化に伴い相続の段階で負担を求めるべきとの議論があるが、これでは豊かな人には二重の負担となる。

少子高齢化が進む中、高齢者にもう少し負担してもらおうとの発想から言えば、結果的にストックとフローの両段階での二重の負担が生じざるを得ない。

何故富の再分配が必要なのか。特に中小企業の場合、融資の担保となり得る個人資産は大切だが、これは既に税を負担した上で蓄積されたもの。その意味で日本の相続税は累進度も最高税率50%もまだ高い。

所得と資産の両段階で課税するのは、所得の段階で完全に負担してないものは資産の段階で清算しなければ社会的不公平が起こるとの考え方によっており、また、親が稼いだものを子に丸ごと渡すことも社会的公平から問題がある。富の再分配は強めるべき。

文化財散逸の原因を相続税等に求める議論が多いが、ヨーロッパと比較して日本の相続税が別に厳しいわけでもない。ただし、ソフト・パワーも重要になってくるので、NPOとの関係なども含め、税制にも文化的視点が重要。

(贈与税)

相続時精算課税制度の活用により、資産保有者の裾野が広がり、若年層による株式の長期保有に繋がる。この制度がより一層活用されるようにすべき。

相続時精算課税制度は死亡時までに価額が変動するリスクがあり、経済活動に歪みを与えることから、生前に贈与した財産は相続開始時の時価に評価替えを行うべき。

相続時精算課税制度は経済活動に歪みを与えるとの指摘については、まずは同制度の活用状況等を数年間は注視することが必要。

贈与税は、資産の把握体制や徴収体制が整備されていないと実効性のある税として機能しないことが懸念される。

(固定資産税)

本来財政的に豊かではない団体こそ高い課税標準額で課税すべきであり、分権の時代にあっては、課税標準額の調整についても各地方団体の判断に委ねる部分があってもいいのではないか。

固定資産の評価や課税標準は全国的に均衡のとれたものにする必要があり、地方の努力は、むしろ税率によってなされるべき。

負担水準の均衡化に随分時間がかかっており、負担調整のかけ方について見直しが必要ではないか。

固定資産税の税負担に関しては、所得の如何に関わらず支払わなければならない納税者の感覚にも配意しつつ、負担調整措置を講じていく必要がある。

金融所得課税

金融所得課税の一体化については、投資家及び実務家双方の視点に立って、その仕組みをなるべく簡素なものとすることが重要。

金融所得課税の一体化に向けての具体的なスケジュールを明示することが必要ではないか。

金融所得課税の一体化は、税調が今まで目指してきた全ての所得の総合課税化という方向に反するのではないか。

基本的には全ての所得を総合課税することが望ましいが、現時点で金融所得を最高50%の税率で課税することは、資本の海外逃避という問題もあることから、現実的ではない。金融所得課税の一体化は、総合課税化の第一歩である。

いわゆる金融番号を創設する際には、本人確認の方法として、住所の異動が確実に把握できる住基ネットを利用することが望ましいのではないか。

いわゆる金融番号のために税務当局が新しい番号を付番することは無駄であり、住民基本台帳の住民票コードを利用すべき。

委員

ありがとうございました。

マルで書かれている文章はどなたかがこの会場でいずれかの機会におっしゃったことをまとめたものでありまして、不幸にして、おれの意見が反映されてないという人がありましたら、追加的にどうぞおっしゃってください。すぐさま採用いたします。

それから、今から90分ちょっと時間が残っております。そこで、見ますと、15ページございまして、一挙にこれを一括して審議は非常にむだでございますから、ご覧いただきますとわかるように、3つぐらい大きなグループに分けられます。そこで、第1のグループとして、「消費税」の前まで、ページ7ですね。そこには「総論」と「個人所得課税」が入ります。それから消費課税と「環境税」までやりますと11ページまでになりますから、そこまでが第2グループ。残り第3グループを「法人課税」以下として最後までという形で、おのおの30分ぐらいずつ時間をとって議論したいと思います。

ただ、途中で退室のご予定の方で、後のほうについて今言っておきたいという方はどうぞ、それは今のルールを破っても結構でございます。

それでは、早速、場所を指定していただきまして、ここはどうだという形で議論していきたいと思います。1ページ目から7ページの「個人住民税」までのところで、まず最初にご意見を伺いましょう。どなたでも結構です。どうぞ。

委員

途中で退席いたしますので、場合によってはちょっと先までいくかもしれません。

まず3ページでございまして、「社会保障と財政」というところで、これは当然念頭に置いているのは国庫負担という形であると思いますけれども、これは地方も当然含んでいるわけですから、もう少し広い意味で公費負担というのを一般に使いますから、国庫負担に限定するのはちょっとまずいのではないか。言葉としては公費負担、大部分が国庫負担ですけれども、そういう必要があるのではないかと思います。

それから7ページの終わりの直前のところでございますけれども、これは私、すぐにどうこうということではございませんでしたが、前回、特に個人住民税については、できるだけ所得の取得した年度と税を負担する年度を一致するような、いわゆる現年課税という方向も努力してほしいということを申し上げまして、この中にちょっと、執行面、制度面で含まれているとは了解はしておりますけれども、一種の努力目標としては書き込んでいただければと考えております。

それと、申しわけありません。7ページのその下の消費税の「逆進性」の話でございまして、これはおそらく、しばらく前からの税調の答申にこういう表現が入っていたと思いますけれども、税制はいいのですが、歳出を含めて全体で検討しろというメッセージは、これは十分その意味はわかりますけれども、そうすると税制自体で公平を検討する必要ないかという、1つは、場合によっては疑問が出てしまうのではないか。

つまり、歳出と組み合わせて考えれば、税制のほうは必ずしも垂直的公平というものに配慮しなくてもいいのではないかという、税制でいう公立・中立・簡素という議論と、歳出を含めて検討すべきだということとの、ですから、ここをもしもう少し限定的に考えるのならば、少なくとも垂直的公平という問題については、歳出配分、所得再配分などとあわせて考えるべきだというようにやや限定をしたらどうかという気がしております。

それともう一つ、この文章は、読み方によっては、歳出を含めての歳出は、多分、目的税と、それの歳出との組み合わせで議論される可能性が強いという感じもいたしますので、そこは少し予防線を張っておいたほうがいいのではないかと考えております。

それから8ページのところは私の発言の分だと思いますが、ここは潜在的国民負担率でございまして……。

委員

50%ね。

委員

ええ。基本方針なんかで触れられていることでございまして、そのことだけ、申しわけございません、ちょっとフライングですけれども、言わせていただきます。

委員

ありがとうございました。

では、またもとに戻りまして、7ページぐらいまでで主としてやっていただければと思いますが。時間もありませんからどうぞ。

委員

所得控除のところで、個人住民税にも関係するわけですが、7ページです。これはちょっと所得控除と正確には言えないかもしれないですが、いわゆる住民税の非課税限度額という制度の中で、高齢者が特例で随分非課税限度額が高くなっている部分があるのですね。今までの「実像」把握のところからも、いわゆる高齢者イコール弱者だということは言えなくなっているのではないかということもありますし、あるいは地方税に広く負担を求めるというようなことを考えると、非課税限度額、年齢で65歳以上の高齢者を優遇するということが果たして妥当かどうかというのはちょっともう疑問だと思いますので、そのあたり、ご検討いただければと思います。

委員

ここだけでいいのですか。ほかにない?

委員

今のところ。

委員

わかりました。ほかにどうぞ。

委員

これは2ページの終わりから3ページにかけてのところですが、「長期金利が低下を続けてきたのは、金融緩和による資金供給の増加を、国債が吸収する形となっていた」とありますが、論理的に言うとむしろ逆で、国債発行による金利上昇圧力を資金供給の増加が吸収というか抑えてきたということなのではないでしょうかね。

委員

そのような意見が下のほうにもあるのですよ。だから、ここはだれかの意見。いいのです、意見がいっぱいあって。

委員

わかりました。こういう意見があったということですね。それはいいのですが、現実に国債の発行による金利上昇圧力を確かに資金供給の増加で吸収してきたというのはこれまでそのとおりだったのですが、今後、おそらく量的緩和の出口論とかなんとかということで、これまでみたいな大量の資金供給が必ずしも続かない可能性がありますね。あるいは長期国債の買い切りオペについても、上限、その他もあるでしょうから。だから、今後さらにますますといいますか、これまでの低下ということはあまり期待できないのではないかという気がします。

委員

将来の懸念を表明しろということですね。そういうご意見ですね。

委員

そういうことです。

委員

ほかにどうですか。

委員

まず総論的な部分ですけれども、全体を通じて、国が負担を負うという感覚ですね。各納税者、あるいは国民、住民という話ではなくて、国が負担を負うということはついつい使ってしまうのですけれども、国というのは要するに再配分やっているだけで、自分が負担を負うということはないわけですよね。だから、国が払うということはだれかほかの人が負担するという話なので、そこのところははっきり認識しておかないと、何か国の負担で済んでしまうということになってはいけないのではないかと感じます。

委員

何か具体的にメンションされる箇所ございますか。ここに書いてある文章。

委員

例えば3ページの社会保障あたりですね。

委員

3ページの一番下ですね。

委員

ええ。皆さんわかっておられる話ではあるのですけれども、人に読ませるときには、そこをちょっと誤解されないようにしておいたほうがいいということなのです。

それからもう一つは、前にも申し上げたことですが、国民負担率というのが、実は土光臨調で指摘されたとき、あのとき35%で、22年間上がってないのですよね。だから、それを考えてみますと、実は上げなくてはいけないものを上げないできたという認識が正しいのではないかと思いまして、当然、歳出も増えなくてはいけないし、国民の負担も上がらなくてはいけないのだけれども、それを抑えていこうよと、こういう話だったわけですから、土光さんが絶対というわけではないのですが、何かずうっと今まで増税してきたような、そういう感覚を与えないように書くことが大切ではないかという気がするわけです。

委員

これはさっきの委員が言った潜在的というところに絡むのかな。

委員

ええ、それと関係あるので。

それからもう一つ、歳出を削減する、抑えるということは、これはもう当然のことなのですね。だから、歳出を抑えなさいよという話をして、税のほうを考えないというのはやはり無責任なので、歳出は歳出で抑えてもらうということを前提に、税をどうするかというように考えるべきではないかと思うのです。

それからもう一つ、すみません。所得税と住民税の関係ですけれども、税源移譲ということがありますので、所得課税のあり方というのをここできちんと考えなくてはいけないと思うのですが、その場合に、やはり住民税については要するに課税最低限をできるだけ下げるということをポイントに考えるべきだと思うし、所得税については累進度といいますか、再分配をどうするかということを考える。それが住民税と所得税を考える上でのポイントではないかと、そのように思います。

委員

ほかにいかがですか。

委員

「総論」のところですけれども、2ページの上から2つ目の「財政再建を先送りするほど、将来財政破綻を回避するために必要となる」云々云々で、「歳出削減と増税の議論を進めていくべきではないか」。その一番下に、「増税が経済に与える影響は見極める必要があるが、増税により」何とかというのですけれども、書き方、意見ですけれども、この段階でどう財政再建進めるかということで、この2つを組み合わせた議論というのかな。増税がいいというような書き方でなくて、やはりここで財政のリライアビリティというか、信任度というものを高めることが重要だと。そのためには、もちろん歳出カットは当然としても、そのための増税が必要になってくる。増税でもいいというのではなくて、やはりここで財政再建、あるいは、ひいては景気の回復を維持していくためには、まさに財政に対する信頼度を高める。そのためには歳出カット、増税だというふうなシナリオなのかなと思いますけれども。

委員

これは多分、ある委員が盛んに指摘したところで、おっしゃるとおり、財政規律の重要性の確保からこういう指摘を行っているところですよね。

委員

それがむしろ、だから、今までは減税とか云々とかいう形で景気回復してきたけれども、まさにある委員も言ったし、財政の健全性こそがむしろポジティブな効果があるのだと。

委員

6ページの「定率減税」のことだけに限定してコメントしたいのですけれども、これはマルが6つあるのですね。ほかの項目と違って、景気問題があるから慎重に検討するというのが最初にあって、あとは6項目全部、四の五の言わないでまっすぐいこうではないかという議論がいろんな角度から議論並んでいるのですね。僕はそのどれにも賛成なのだけれども、一番我々が当面して、年度末の答申でここが一番重要だと思っているから、ほかのことはまだ総論とか抽象論の段階だからどうでもいいのだけれども、定率減税のあれは「三位一体改革との関係も含め」と書いてあるでしょう。だれもがそのとおり書いてあるわけだ。

今の三位一体の議論というのは、郵政問題よりもはるかに深刻だと思っているのでね。こんなもの、年内に3兆円なんて総理が言ったようなことが実現するわけないと思っているのですね。そうすると、我々の作業は、それはまだちょっと時間かかりそうでしょう。あるいは11月下旬に、会長が言われたとおり、答申出そうとしているわけだからね。そうすると、その三位一体論で全体の税源移譲の規模がどうなるかという議論は我々がここでやっている最中には出てこないのではないか、出ても漠然としているのではないかという気がするのですよね。そうすると、我々の年度内の仕事は、それはそれとして、定率減税について我々はこう思うということをしっかり出すのが最大のポイントなのです。今度ね。ほかのところは何でも構わない。

そうすると、ここのところをどのようにこれから仕分けていくか。少ない時間で。残り、あまり時間が予定されてないわけで、それでもいろんな会合が5~6回あるのかな。

委員

はい、ありますよ。

委員

ここだけを集中的にやる必要があるのではないかという感想を持ちました。

委員

9日、一応法人税と法人所得課税、もう一ラウンドやる予定ですから、そのときに三位一体の途中経過でもご説明いただいて、おそらく委員のおっしゃるようなシナリオになるのだと思いますけどね。それでどこに焦点をあわせるか等々含めて議論しましょう。

事務局のほうから、今の三位一体について何か追加的にご説明あるならお聞きしておくけれども。

事務局

まさに今ご指摘あったように、三位一体の関係とこの定率減税の関係をどう整理するかというのは今後きちっと議論していただきたいと。

委員

今の委員の指摘のところは私が発言した部分だと思うのですが、言わんとすることは、要するに、定率減税を見直すという理由に景気云々という指摘があるものですから、景気の問題だけではなくて、所得税の抜本見直しということも入っているよということを言っているわけで、その中に、地方分権とか、その他、個人所得税制度の抜本改革という問題があるわけだから、それを全部見なければいけませんと。だから、別に三位一体を見てからと言っている意味ではありませんので。

委員

そうですね。わかりました。

委員

今の事務当局の話の中に、いずれこういうことに符牒が合ったような、セットされた考え方の整理したものを出すと言っているでしょう。それはいつごろ出すのです? 我々のところに。

事務局

これは17、18、2年度かけて行うものですから、その関係をむしろ整理していく必要がある。つまり、最終的な三位一体の税源移譲は全部補助金改革がセットされる18年が一応目標になると思うのですけれども、その過程で、途中段階で定率減税をどのようにいじっていくかというか、見直していくかということの関係は整理を。最終的には、三位一体の問題で税源移譲するのと、所得税と住民税の抜本的見直しと定率減税の廃止がきちっと最後はそろうという形になろうかと思います。

委員

議論としては、また実行の段階でも定率減税を先行するというわけだね、これ。結局は。

事務局

去年の自民党の与党大綱には、縮減・廃止ということを17、18年度で決めるというふうに、段階を追うようなことが示唆されてますので、それは十分あり得ると。先行というか、段階的に実施して、最終的に着地は一緒に着地するという形もあると。

委員

だから、ここで議論すべきことは、今のご説明で、三位一体と直接結びつけ、定率減税云々の議論というよりは、所得税の抜本見直しの中で言ったのだからという意味で、そこで、先ほどの委員が言ったように、三位一体がまだ迷走してますから、三位一体にたがをはめられてしまうと定率減税の議論をしにくいから、ここだけインデペンデントにやっていいということだよね。今ね。そういう了解でいいでしょう。

委員

この総論というか、前のほう、要するに3~4年前のボツワナ以下とか言われたときの危機感というのが何となくもう全部薄れてしまって(笑)、まあいいんじゃないか、今のまんまでもという空気がずうっと漂っているという感じがちょっとまずいなあという。この行間といえ、全体の流れで、絶対やらなくちゃならないよという感じは全然出てないというのが1つ、なんか不安に思うのと、あともう一つ、しようがないのですけれども、使うほうばかり次々出てきますから、それに対応するために、それじゃこれで埋めていくかというのになってしまっている。だけど、本当はトータルで赤字減らそうということを我々はやっているはずだと思うのですが、そうでなくて、3分の1が2分の1になったからこれを埋めろとか、社会保障足りないからこれ埋めろとか、勝手なこと言ってくるのに、それじゃどうしようかなと言っている姿というのはあまりよくないなというのが1つ、大ざっぱな印象として思います。

あと、三位一体というのがやはりずうっと実際の話になってくると、意味などはもう忘れてしまって、分捕り合戦になるのはしようがないのですが、税調としては、三位一体は何かと、要するに財政再建のなかなかいい手段であるということだと思うのです。そこをやはり根っこのところ、どこかに、ちゃんとそうだよと、こっちの見方として位置づけておく必要はあるなと思います。

それはどういうことかというと、全国一律にやってきた日本のやり方というのがもうできませんよということではないかと思うのですよ。ということは、貧しい税源のないところは、しゃあないんじゃない、ちっと貧しくなりなさいよという、まともには言えませんけれども、そういうメッセージをどこかに込めないと財政再建につながらないということもすごくひしひしと感じます。そんなことあまり出てこないというところにもやはり危機感は薄れているのですよ。

せっかくマーケットの人に来てもらって、あの人もすごい遠慮しいしい言ってましたけれども、ほとんど、いつの日か近々壊れますよと言っていたですよね、基本的には。そんなこと言ってもそうはならないだろうと思っていると、非常に甘いのではないかという気がしますので、そうならないように、ちょっと、1カ月先手を打てばいい話ですから。マーケットの人に対しては。そのようなこともちょっと「総論」のところで気を使っていいのではないかと思います。

委員

ありがとうございます。どうぞ。

委員

今、委員もおっしゃったけれども、増税不可避だという考え方というか、これはかなりもう浸透はしていると思うのですが、ただ、みんな、つまり懸念しているのは、増税はしたけれども全部消えてしまうのではないのという心配があるわけですよね。つまり、財政再建に全くつながらないのではないのと。そこはまさに財政の信任の問題なのですが。だから、歳出削減というのは当たり前だと言っているけれども、当たり前でなくて、つまり、歳出削減をしないと増税もできないのではないのという論理展開に持っていったほうがいいのではないのかなという気はしますね。

委員

いや、そうなっているのではないですかね、ここは。

委員

それはもう大前提として、それをやらないと増税は難しいだろうということですよね。

委員

わかりました。ほかにございませんか。先にいっていいですか。

じゃまた戻っていただくということも含めて、もう少し先にいきましょうか。また所得税議論していただいても結構ですから、「消費税」と「環境税」まで入れた形で、11ページの上のほうまで、法人税の前まで、どうぞ枠を広げましょう。

委員

消費税の軽減税率というか、複数税率の問題については、ここには2つの違った考え方が出てますよね。これはいずれ答申の段階で2つ書くわけにいかないので、これは基本的な議論が必要なのではないかと思いますが。

委員

それで、どちらをおとりになりますか。

委員

私は、ここで言ってますように、「税率構造」のマルの3番目をしゃべったのですが、要するに軽減税率はやめたほうがいいということを言っているわけです。

委員

これはいずれやるべきだというご主張の方もいらっしゃいますから、総会でこれは議論して、どっちになるかわかりませんけれども、両論併記というのは極力やめようというスタイルでいってますから、どちらかを参考意見のほうに回すという格好になると思いますので、どうぞいろんな形で、軽減税率ということについて問題あるという方があればまた重ねてご議論いただけばいいと思いますし、そうでない人はまたその視点でご議論ください。

ほかにどうぞ。

委員

今のご意見、結局、そういう議論をすると、やはりそれはかなり消費税と社会保障給付を直接結びつけるという考え方にしないとなかなか説得力がなくなってしまうのではないか。だから、暗にもう目的税化のようなことを念頭に置いた議論というふうに受けとめていいのかどうかというのは、私はそこは少し、さっき言ったように、予防線を張ってほしいという気持ちがありまして、それからちょっとこの文章全体に、何か社会保障は消費税で支えるみたいなイメージが非常に前面に出ているのですが、あまり広く言い過ぎてしまうと、保険料がまだ圧倒的に多いわけで、あと消費税、国債まで入っているわけですから、その辺のところが少し漠然としている。場合によっては、議論を最終的にはやや厳密にしておかないといけないのかなあという気がいたします。

それともう一つよろしいでしょうか。「環境税」のところで、私は別にこれについて特にアイデアあるわけではありませんが、ただ、かつてアメリカがフロンとハロンの規制を図る前に、エクサイズという特別の税を設けて、要するに、きちんと規制をしてない国から輸入するハロンやフロンを使った製品に対しては、一種のみなし課税をやるというようなことをやっているのですね。一種の水際での環境問題の環境税の扱い方。要するに、環境税というのは従量課税の間接税ですから、一応WTOで言えば、輸入の際の課税とか輸出の還付なんていうことはある程度私は考えられると。

当時アメリカでこういう議論がすごくあって、アメリカでは、当時のアメリカの標準的な生産方法で、大体このぐらい、外国から輸入する製品には、ハロンやフロンをこれだけ使っているのだったらその分課税するみたいな一種のみなし課税をやって、ある程度そういう水際での環境税の扱いということをやったことがあるのですね。

だから、少しそういう、特に日本で環境税というときに、国際競争力が落ちるとか、あるいは対外的な意味が非常に大きいというときに、何か少し、国際間での環境税の扱いというものについて、そういう対策をとらない国には輸入するときはかけるぞというようなことを少し考えてみるのも必要ではないかと思っておりますが。ただ、そうするとあまり効かなくなるのかもしれません。

委員

いずれ12日に集中審議という形で。環境省並びにその他から案が出てくると思いますから、そのとき再度また、この種の国際的な面での調整ですね、ご議論いただきたいと思います。

どうぞほかに。消費税、お酒の税金の関係。

委員

環境税で一番基本的なのは、炭素含有物に税金をかけて、それによって温室効果ガスを減らすということですけれども、どのぐらい本当に効果があるものなのかということを、やはりシミュレーションなり、やってみる必要があると思いますので、その旨加えていただけたらと思っております。かつては1兆円の環境税で1%だと言っていたのが、最近ではどうもその半分の5,000億円で4%下がるとか、全く、どれが本当なのかわからない状況なので、よろしくお願いいたします。

委員

12日にその種のシミュレーションを持ってくると思いますから、そこでしかと確かめてください。

委員

消費税についてですが、例えば軽減税率ということを論じているということ自体、もうすでに消費税率の引上げを前提とした論議だと思うのですが、確かに、今の財政状況を考えれば消費税以外に有力な財源がないのは確かですし、何となく、消費税率を引き上げるということは暗黙の前提になっているような気がしますけど。実際、去年の与党の税制大綱なんかを見ても、そのような趣旨のことがにじみ出ているわけですけれども、ただ、そうは言っても、消費税率を上げるということは大変なことであって、これはもう当然のことなのですよということでいきなりポンと一般の国民に打ち出すのでは、おそらく相当な反発を食うだろうと思うのですよね。その辺のところは相当慎重に考えたほうがいいのではないかという気はいたします。

委員

ありがとうございます。説明のしっぷりですね。あるいは打ち出し方について慎重にということですね。わかりました。

委員

ちょっと事務当局にお尋ねしたいのですけれども、最近、大臣が何だか意味ありげな、後ですぐ訂正してしまったから意味のないことからしゃべったのかもしれないけれども、いずれにしても、今の総理のいる間にやらないということばかり言っているから。早くやめれば別だけれども、そういうことは健康上のことがない限りないと思うから。終わった後いつも僕は疑問に思うのだけれども、終わった後、次の総理が、すぐやると、前の総理がサボってやらなかったけど、おれやると言うかと、そんなこと。またそこから仕切り直しを、さあ議論でもやってくださいと。会長に持ってきてね。今ここに並んでいるような、また原則論をぐだぐだやる。何年先になるのだと、こんな話は。とみんな思っているわけです。実はね。だから、大臣はこの前、らしいことを言ったのではないかと思ったのだけれども、あれはあまり意味なかった発言なのですか。

事務局

正確には、議事録がありますので、よくご覧いただければおわかりいただけると思うのですけれども、従来の与党での大綱の話、あるいはもっと言えば、ここでの政府税制調査会での話、それより踏み込んでさらにということではございません。おっしゃったのは、17年度、18年度は定率減税をお願いせざるを得ないでしょうと。それから先はあるとしても消費税の話でしょうと、こういうことです。いわば、やや揚げ足取り的な、言葉の端をとらえたようなことが先に出たというのが真実ではないかと理解しております。

委員

ありがとうございます。

ほかにいかがですか。消費税、お酒の税に環境税。

委員

今の委員がおっしゃったことに関連するのですけれども、ちょっと最初の部分に戻りますけれども、「総論」のあたりから始まって、いわゆるプライマリー・バランスをどうするとか、財政収支を長期的に安定させることがかえってプラスの影響があるとか、そういうことをさんざん書いているわけですよね。それにもかかわらず、例えば2010年代初頭にプライマリー・バランスを回復しようというのだったらば、そのときに税がどうなっているのかということに関してかなりきちんとした青写真を提供しておかないと、それからそれにいくまでのプロセスですね。特に消費税をどういう形で、どのぐらいのタイミングで上げていくのか。もちろんコミットしてしまったら逆効果ですから完全にはできないのでしょうけれども、ある程度のラフな青写真ですね。それをやはり書かないと、逆に説得力がなくなって、それこそ長期における財政に対する信頼が失われるということの、そうなりますよと書いているわけですから、ある意味で非常に自己矛盾になってしまうのではないかということを非常に恐れるのですが。

委員

税の中で書くというのはそうあながち難しくはないけれども、歳出が絡みますよね。だから、その辺どうするかでしょうねえ。ただ、まだ青写真、どこもだれもやってないでしょう。あと10年先かな。ざっと言って。どこまでできるか、文章として書く分には幾らでも書けるとは思いますけれども、裏づけがとれるほど書けるかどうかでしょうね。ただ、問題意識としては持つべきでしょうね。

ほかに。

委員

2010年代初頭というのを10年先と今会長おっしゃいましたけれども、例えば定率減税、今年何とか決めたとしても、実施は来年、再来年になるのを考えると、のりしろが3~4年あるわけですよね。ですから、単純に実施が始まってからだと、きっと、20兆円今あるとすると、5年でやると、毎年4兆ずついかなければならないという計算になるから、結構近いなという意識をもうちょっと持ったほうがいいというのが1つと、あと、ある委員が言っていたのだけれども、どうせ上げるのだから、できるものから、何でもいいから1つずつ上げていったほうがいいのではないかと言っていたような気はするのですが。ちまちまでもいいから、細かく、増税が当然という暗い世界に早くしてしまったほうがいいのではないかと思います。

委員

いや、それは難しいよ。ドカッと機を見てやるのか、ちまちまやっていくかというのは大きな選択ですよ。それをここでどのように書き込んでいくかというのをもう少しみんなで議論して、ある意見の集約をしなければいけないでしょうね。委員は、ちまちまというか、コンスタントにやっていったほうがいいというご意見ですね。

ほかにいかがですか。お酒のほう、環境税のほうも守備範囲ですが、何かございませんか。

委員

今、環境税は環境省の皆さんが悪戦苦闘して、本当に見ていて気の毒なぐらい一生懸命やっているのですよね。あっちでたたかれ、こっちへ出したら、そこをまたたたかれてね。ここに来るときにはもうちょっとすっきりした姿になるのかどうかわかりませんけどね。それは会長が期待するようなことに絶対なりませんよ。今の状況、私は知っているから。だから、ここに書いていることはまだ甘いことを書いてある。実は各人のいろんな発言はね。あれ、テーブルに並べて、三課長が報告して、ほかの政策もありますよと。そこがまた実は問題なのだけどね。ほかの政策は増税なき温暖化対策論というのを打ち出すことになっているから。本当にそれが値するかどうかわからない。まだ全部テーブルの上に出てないから。内部に問題があって。

だけども、いずれにしても、それが、12日だから、10日あるから、もうちょっとすればもうちょっとリアルな話はここではできるかもしれないのですね。いろんな新聞が、評論家がいろいろ書いているけれども、まあ、ちょっと話し合ったらどうだと言うけれども、腰引けて書いているだけなのだ。おまえの意見言えというのだ。新聞でも何でもいいから。おれはこの案はだめだと思っていると。どこを修正したらいいと書くのはいいけれども、それを書かないで、何となく環境論だったら腰振っていけばいいという、全部にびまんしているのだ。マスコミ全体ね。それは間違っているのですよね。もっとリアルに議論を我々はすべきだと思っている。

委員

いずれにしましても、この環境税はまだ本来の案を検討する前ですから、12日以降に、委員がお出しになるような形で1回、皆さんで議論をやって、答申に書くときはそれをベースにしてどうするかというのを少し書くことを考えましょう。

ほかにいかがですか。

委員

前も言ったのですけれども、環境税で思い出したのですけれども、環境税というのは私はもっと立派な税であってほしいと願っているものですから、ネーミングを先にとられてしまうと先々ろくなことないと。これは京都議定書対策税とか、そういう名前にして出してくるように、ちょっと事前に言ってもらえるとありがたいのですが。

委員

京都議定書対策税ですか。一つのアイデアではありますけどね(笑)。

ほかにいかがですか。――何か皆さんあれだなあ。これは意外に分かれてないということもあって発言がしにくいかもしれませんが、じゃ全部、ちょうど時間が半分過ぎたところですが、解禁して、後ろまでカバーしてもらいましょうか。では、どうぞ。

じゃ法人税以下、最後の15ページまでの「金融所得課税」のところまで入れてご議論ください。

委員

この前時間がなくて聞けなかったのですけれども、地方税の住基ネットを利用するという議論がありましたね。ここで書かれているのは全部入っているかどうか知りませんけれども、あれだけ結構長い時間議論があったと思うのですが、今、住基ネットの使われ方というか、浸透度とか、メリット、デメリット、それからそれを税に活用する場合のメリット、デメリット、そういうものについて一遍まとめてきちんと話を聞いたほうがいいのではないかということ。それを1つお願いしたいと。

委員

私も全く同感でありまして、総務省側で、例えば強烈に住基ネットを入れるべきで、法律変えて納番に使うことは簡単だとおっしゃる委員の方が片やおるのですよ。それに対して僕も大いに疑問なのだけれども、そう簡単にできるのかどうかというあたりも踏まえて、今の委員のおっしゃったようなことで、10分でも15分でもいいのだけれども、何かご説明いただくことは可能ですか。

事務局

時間をおとりいただければ、今の現状なり考え方を説明することにしたいと思いますけれども。

委員

今日もちょっと知りたいのだけれども、どうですか。簡単にいくの? いかないの?

事務局

実はご意見は最後の15ページに2つ書いているのですが、2つありまして、1つは、その番号をそのまま金融番号として使うのかという問題と、今すでに整備されている住基ネットのインフラを本人確認とか住所異動の確認に使うのかと、この2つは一応分けて考えたほうがいいと思います。

それから大丈夫なのかということは、まさに今後の議論なのですが、後のほうのインフラを使うほうはいろんな手続にすでに使ってまして、パスポートとかそういうことにもすでに使ってます。それから社保庁が今度そういうことを使うような報道もされております。

もう一つの、番号をそのまま使うかどうかについては、省内でもちょっと議論がありますので、改めて説明させていただきたいと思います。

委員

税務番号に転用するためには法律改正が必要なのでしょう。

事務局

ええ、必要でございます。

委員

それは簡単に言う人と、えらい大変だと言う人と2ついるのだけれども、どっちですか。

事務局

その辺は、もともとこれを法律で禁止しているというか、使えない制度にしているということでありますので、単に手続的な問題というよりは重い問題かなと思ってますが、じゃこれを未来永劫これに使えないような思想かというとそうでもないということだろうと思います。

委員

そういうところも踏まえまして、次回でも、個人所得課税やるときでもちょっと顔出していただければと思います。

ほかにいかがでしょう。

委員

資産課税だけではなくて、所得課税にも言えることですけれども、税の議論をするときに、年齢というのを何か基準を設けるというのはやめたほうがいいと思うのですね。例えば相続税で言えば、生まれたての赤ちゃんだって、相続すれば相続税かかるわけですね。自分の稼得能力と関係なしにですね。だから、例えば介護を受けられる人は何歳からですよとか、それから年金をもらえるのは幾つからですよとか、あるいは扶養手当をもらえるのは幾つからですよというように、歳出側のほうで年齢のことはやればいいので、税というのはやはりその人の担税力の話ですから、年齢と関係ないというように割り切ってかかったらどうかというのが1つ申し上げたいことです。

それからもう一つは地方税の話ですが、固定資産税ですけれども、先日、固定資産税の評価をそろえる話が出たときに、そんなの地方に任しておいたらいいではないかと申し上げたら、ある委員から、それは税率を任せればいいので、評価はやはりそろえたほうがいいのだというお話がありまして、私はそれはそのとおりだと思います。それが理想だと思いますので、そうしていただければそのほうがいいということを申し上げたいと思うのですが、なかなかそれは、今までも、実は地価税を入れたときに固定資産税の評価を変えた以降も調整は評価でやられているのであって、税率で調整をするということには踏み切っていないのですね。だから、評価がきちんとそろったらという話ではなくて、現実的に上限外しているのですけれども、もっと現実的に各地方公共団体が自由に税率を決められるような柔軟な体制を作るということであれば、その委員のおっしゃるとおりであると思います。

委員

ただ、その柔軟なところがどうも実際面においては難しかろうという判断もあるわけですね。多分。

委員

その税率だとですか。

委員

その税率のところは難しいでしょうね。何かあれば。

委員

でも、総務省が号令かけたら大分違うのではないですか。

委員

それも含めて何かあれば。

委員

私はやはり税率でいくべきだと思ってます。それはやはりやる気があるかどうかという問題だと思いますので、それから号令をかけるかどうかということですね。

それからあと1点は、今の委員がおっしゃった、いわゆる年齢で区切るという問題ですね。これは今までちょっと申し上げなかったのですが、例えば贈与税の相続時精算課税制度も、65歳以上だったらオーケーで、それ未満だったらだめと。これはどうしてこういうことになっているのか。つまり、贈与に対する、トランスファーに対するタイミングへの中立性ということからいけば、別に年齢で区切る必要はないと。

ただ、あまり若い人が贈与を受けるのはよくないということであれば、それは受贈者のほうで年齢、これも本当は私はよくないと思いますが、一応20歳という基準がございますよね。でも、どうしてトランスファーするほうが65歳以上でなければならないのかというのも、これもどうも、何か65歳というのがいろんなところで使われて、住宅に関しては、これはいわゆる政策的な配慮があってだと思うのですが、65歳というのが数えている。じゃほかの財産等、住宅の資金とどう違うのだろうと考えたときに、租税理論から言えば、65歳というのは、それで区切るというのはどうなのだろうなというのがちょっと疑問です。

それから、ちょっと戻りまして「法人事業税」のところですが、一番下のところに、これも随分以前から言われてきているところだと思うのですね。でも、この制度ができてもう半世紀たってしまった。いまだにこれを、国と同じように、地方も特例で今非課税のような形にしているということが果たしてどうなのだろうと。

つまり、これは分権時代ですから、もし医療過疎の地域が医者を呼んできたければ、そこで特に地方税としてその地域としてやるというようなことを考えるべきで、国の政策と地方の政策というのは違っていいのではないか。これは先ほどの委員がおっしゃったように、個人所得課税も、国の所得税と個人住民税はやはり違うべきだというようなことも含めて、国と地方を同じようにやらなければならないという時代ではもうないのではないかという気がしてますので、これはもう半世紀以上たった制度ですから、ぜひ原点に戻してちょっと議論しなければいけないことではないかなあと思っております。

委員

国の課税特例はとれというのが第1段階ですね。

委員

はい。

委員

で、継続したかったら地方でやったらいいではないかと。それが2段目ね。

委員

はい。

委員

一つのご意見でしょうね。

委員

固定資産税でふと思ったのですけれども、路線価というか、公示価格というか、あれってすごく人為的価格ですよね。実際に売買がないところでどうやって評価するのかという話ですから、今までのところはみんな、そうやってもしようがないだろうでずうっと来てますけど、ここから先ずうっと考えていくと、特に過疎地だけでなくて、地方都市もそうですけれども、売買がほとんど不可能な土地というのはいっぱいあるわけですよ。そこに勝手な値段つけて勝手な固定資産税かけているわけですが、今気がつかないで払ってますけれども、もし気がつくようになると、土地と資産の価額にかけるというそもそもの固定資産税というのがおかしくなると僕は心配するのですが。だから、価額にかけるというところを早いところちょっと変えておいたほうがいいのではないかなという深い心配を1つ抱くのですが。

例えば山古志村なんていうのはどうなるのかなあという。きっとマイナスですよね。あの資産は、価格は。マイナス資産に固定資産税、こっちから払うのかなとか。そういう話になってくると、なんか非常に難しいかなというのを1つ思います。

あと質問ですが、ビール風味酒類は、ちょっと話だけは聞いたのですけど、やる気はあるのでしょうか。

委員

それは税調で議論すればいいことだと思いますが、それで、あなたはどういうご意見ですか。

委員

僕はビール風味、あれは早くやめてしまったほうがいいと思うのです。やめるというのは、ああいうのを売れないようにしたほうが。

委員

というのは、税率を高めろと。

委員

そう。

委員

それも一つのご意見ですよね。

委員

あとついでにですけれども、住基ネットのあの番号を金融で使おうというのはものすごく危険なことだと思います。あんなもの、これに使うとか言い出した途端に世の中ひっくり返ったような騒ぎになって、金融資産課税それ自体ができなくなりますね。話が全然違ってしまうので、作ったのはそういう流用をしませんと何回も言っているわけですから、2~3年して、流用させてもらいますなんていうのはやめたほうがいいと思います。

委員

ちょっと今の、ビール風味の、なくすというのは皆さん大賛成だと思うけれども、やり方ですが、あれを単発で目がけて格差をなくすというやり方が1つありますね。あと1つは、酒税全体で、もっと大くくりにして、だんだん本物のビールとまがいもののビールみたいのを酒類として統一していって整理していくという、酒税全体の抜本的改革でも一応なくす方向の議論はできると思いますよね。どんな方向がいいですか。

委員

基本的には、酒類、大くくりにしてしまって、多少細かいところでずるやるなよというのにしないと(笑)、次から次考え出すだけですから。それ自体、民間活力だと言えば言えるのですが、おいしければいいのですけれども、まずいのを作ると、やはり国民的味覚の問題になるということがありますので。

委員

でも、味覚の問題は個人差がありますからねえ。それ言うとすぐさま食いつかれるから。

委員

でも、あれ飲むとわかる(笑)。

委員

12ページの「公益法人・NPO法人等」というので4つぐらい発言の内容が拾われているのですけれども、これはどうせ年内に書く答申には、これを書こうといったって、向こうから弾飛んできてませんから。年内は。来年来ますからね。来年来れば直ちに当税調の大問題になることは間違いないのだけれども、これは何か書いておくとすれば、いろんな裏の議論全部わかった上でいうと、4つ目のマルが一番重要なメッセージに僕はなると思っているのだ。関係者みんないきり立っているから。

原則課税か非課税かという議論の立て方、今ありますよ。議論、そうやっても構わないのだけれども、これは角が立つのです、ものすごく。こういう言い方をやると。でも、それに食ってかかろうというのが、高名な人が随分そろっているのだ。論客が。肩透かしするわけでなくて、真っ当な現実的な議論を建設的に進めようと思ったら、このような意見もありましたよと書いておいてもらうと、後々、1月か2月か知らないけれども、ここでやる議論のときは随分と無用な時間をこの入り口論でとらないで済むのではないかと私は思ってますからね。この議論、一番重要だと思う。

委員

原則課税、原則非課税という言葉で最初踊ってしまうと、後々響くよというご意見ね。

委員

ええ。だから、もっと現実的にもの考えますよと。足元の現実からというほうがはるかに建設的。それを言っておかないと、NPOにたくさん論客がいるのだよね。有名な。特高検事からね。特高じゃないや(笑)。いろいろいるわけだ。これがみんなすごい勉強家なのですよ。

委員

いや、ここにもいますよ。

事務局

評価室長でございます。

先ほどの委員から評価の関係でちょっとお尋ねあったかと思うのですが、私ども、固定資産税の評価はすべて不動産鑑定士による鑑定評価を入れております。したがいまして、売買実例ないような場合は、極端に言いますと、隣の町からでも引っ張ってきて、比準をして適切な値段を付していると。それに基づいてそれぞれ評価をするという形になっておりますが、この間の山古志村みたいな事案につきましては、災害減免の適用により税負担の軽減を図ると、このような措置をとっている。したがいまして、むちゃくちゃな評価をしているということではなくて、適正な評価をしているのではないかと理解しております。

委員

その「適正な」というところは先ほどの委員が疑問にしているところですな。

委員

別に今はいいのですよ。だけど、あと、これから先々いくと、田舎は特にもう売れないですよ。取引なんかないですよ。それが10年も20年も続くと、どうしてうちはこんな評価なのだとみんなが大きい声出すとき困りますよと言っているだけで、僕は困らないから構わないのですけれども、今のままのやり方はちょっと難しいのではないかという気はしますというだけです。

委員

山古志村の財産価値はまだ続いて固定資産税の対象になるのですか。

事務局

固定資産評価は基本的には3年に1度の評価でございますが、その間に地価が著しく変動すれば、それに応じた価格の修正は行いますが、資産価値としては、今回災害で地目がどのように変わったかとか、そういったものを見直す必要が出てくると思います。ですから、そのままの資産価値ではちょっと今後はいけないのだろうなという気はいたしております。ただ、それは災害被災の状況いかんにもよると思います。

委員

でも、常識的に考えたら、あんなところに住める人もいないし、資産価値があるともみんな思ってないから。

委員

固定資産税の評価というのはそういう財産価値や何かの問題はもちろんあるのでしょうけれども、応益の程度を何で見るかというメルクマールとして見ているわけですね。その地域内にある土地とか建物とかを一つの基準にして、応益の程度を見るために使っているので、だから、実際上マイナスになってしまったからという話では私はないと思うのですよね。あの話は。

それからちょっと違う話で、さっき言い忘れたのですが、今の固定資産税と、それから住民税の均等割というのが地方税の一番基本だと思うのですよ。その場合に、今、都道府県も均等割とっているのですよね。あれはやはり住民に一番近い市町村のほうに全部統一すべきではないかと思います。

委員

これは、そうすると、これまでこの住民税関係の議論では、1回やりましたね。そういうお話はね。それを改めてどこかに書き加えておくかどうかという議論は残りますね。わかりました。

ほかにいかがですか。

委員

味覚の問題についてちょっと言いそびれてしまったので。飲んでみましたけど、結構おいしいです。あのビールというか、お酒は。私は先ほどの委員に比べて貧乏人ですから、そういうことなのかもしれません。それ以下のことについては委員が言っていたのに賛成で、やはりかなり限られたメーカーですね。しかもちょっと、言ってはいけませんけれども、いろいろな問題もなくはないというところに直撃するという方向で出ていくのは、ある委員の言葉をかりれば角が立つ。

したがって、大枠でいじってきた中で結果としてそういうことになったということにしないと、このイタチごっこというか、追いかけごっこは永遠に続くという。それを断ち切るためにも、それはそういう方向で根本的な見直し、単純化というか、の中で処理がされるべきであろうと私は思います。

委員

ありがとうございました。あのエンドウマメのほうですか、おいしいとおっしゃったのは。

委員

おいしいです。

委員

いや、僕はそう思わなかったなあ。味覚の差ですかな。

委員

やはりお金持ちと貧乏人の差ですよ。

委員

いや、違う。あれは飲むときのコンディションによるわけよ。飲みたいときに飲むとおいしいのでしょう、きっと。

委員

それについてちょっと言わせてもらえば、私も、先ほどの委員や会長のおっしゃるように、やはりビールのほうが発泡酒やそういったビール風酒類なんかよりもおいしいと思うのですけれども、ただ、言わせてもらえば、ビールのほうが高級な酒で、発泡酒やビール風酒類はやや劣る酒と言えると思うのですね。そうすると、やはりおいしくて高級な酒にはそれなりの税金をかけて、そうでない酒には安い税金でもいいのではないかという考え方あると思うのですよね。

メーカーも一応それなりにいろいろ考えて開発したのだろうと思うので、それで、とにかくこれはまずいからだめだとか、文化を破壊するからだめだとかいうようなことでやってしまうと、確かにそれは、委員がおっしゃるように、角が立つと思うのですね。だから、その辺は非常に考えてやったほうがいいかなという気はします。

委員

マーケットで売れているのですから、とやかく言う話ではないのですよ。作って、人気がなくなったら売れなくなるでしょう。そうすると出さないよね。そういう自然体の方法もあると思います。

委員

金融所得課税のところですが、やはり住民基本台帳の住基ネットの活用とかそういうことまでいくと、非常に、そもそも目的としていた金融一体化の趣旨自体を実現することが難しくなってしまう。やはり一体化ということを推進するべく、できるだけ納税番号で大きなバリアーにならないような、スムースに移行できるような形で進めていただきたいなと思っています。

それから法人税のところに関しましては、4つ目のマルに書いてございますけれども、できるだけ、今回の研究開発減税みたいなことというのは、ここの日本の企業の競争力という観点から考えても、こういったインセンティブをつけるような税制というのは今後の方向なのではないかと思いますし、いわば生産性を上げてイノベーションを引き出すような形でのこういった研究開発減税のような政策選択の方向性が望ましいのではないかなと思っております。

委員

今のは11ページの一番下のマルのところにご関係のことですか。18年度、期限到来のときには縮減云々についてはちょっと問題だと、こういうご指摘ですか。

委員

いいえ、私はむしろこの一番上から4つ目のところで、法人税一般の引下げと研究開発に焦点を当てた政策減税を比較した場合の。

委員

わかりました。

ちょっと15ページで確認しておきたいのですが、例の「金融所得課税」の一体化の下から3つ目のマルですが、「金融所得課税の一体化は、総合課税化の第一歩である」と。これはだれか言ったのかなあ。これは我々の中でも分かれると思うね。それでストップなのか、それとも第1段階で2つに分けておくかというやつね。しかし……ああそうか、あの委員なら言いかねないな。総合課税を最終目標としているなら。ただ、総合課税の最終目標ができないから、ここでとまっておこうというのが普通の考え方だからね。

委員

立場上非常に言いにくかったので言わなかったのですが、この金融所得課税ですけれども、私自身の個人の意見としては、そもそも総合課税ということ自体が私はおかしいと個人的には思っていまして、所得、特に年度ごとの包括所得というようなものは、例えばですけれども、年によって大きく変動しますし、むしろ利子とかそういう金融収益に課税するというのは一生の間で見ると二重課税になっているということもあって、本当は総合課税をしないで、金融所得はゼロ税率でといいますか、非課税にしたほうがいいと。言いかえると支出課税、支出税。それで十分、理論的には、少なくともですが、所得再分配もできるということもありまして、ちょっとここは総合課税ということに少し踏み込み過ぎているというか、少なくとも逆の議論もありますということを少し言ってほしいなということが1点です。

それからもう一点、先ほどから出ている固定資産税の評価の話ですが、先ほどの委員がほとんどおっしゃったことだとは思うのですけれども、言いかえると委員のご意見に賛成なのですが、やはり取引額を課税標準にするということ自体に本当は問題があって、固定資産税というのは所有にかかる、保有コストに反映されるべき。それがベネフィット、土地のベネフィットとか、あるいは住民、地方行政のベネフィットというのはそういうところに出てくるわけですから、そういう意味で言うと、収益還元の形で本当は課税標準を作ったほうが、取引価格よりははるかに経済的にも原則きちんとしますし、いろんな意味でメリットあるのではないかと思いますので、長期的にはそういう方向を考えてほしいなと思っています。これはむしろ、ここに書いてあるというよりは、先ほどのご説明に関する一つの……。

委員

そうですね。もっと先を見たときですね。ありがとうございます。

ほかにいかがですか。

委員

お酒の話ですけれども、今お話を伺っていて非常におもしろかったのですけれども、酒類とか味覚とかで課税に差別つけるのはおかしいということになると、結果的には同じようなアルコール含量であれば同じ税率にすべきだという、そういう結論だと考えていいわけですか。

委員

いや、それは僕に聞かれても(笑)。それは主税局、どういうプリンシプルでやってきたのですか。これは責任者いますか。

委員

ちょっと補足させてください。実は私、酒税でイギリスからガットに訴えられまして、焼酎とそれからウィスキーの差別課税の問題、ガットへ行って、被告でさんざんやられたのですけれども、そのときに、向こうの人がうまいこと言うなと思ったのですが、パーティに行くと、ボーイさんがお盆を持って、そこにいろんな、やれカンパリだとか、ウィスキーだとか、いろいろ持ってきますねと。そのときに、これはぜいたく品だからとか、これは金持ちの飲む酒だからと言って選ぶ人がいますかということを言われましてね。結局、そういうことは関係ない。その人が好きなものを選ぶというものなのだと。

そうしますと、高級だとかなんとかいうことで差別課税するということはおかしいということを言われまして、私は党の税制調査会でそれを紹介したことがあるのですよ。そうしたら、何言っているのだと。そもそも焼酎飲むような人はパーティなんかに行けないのだと言ってしかられましたけどね(笑)。

委員

いや、僕もそう思うよ(笑)。

何か事務局、ありますか。あればどうぞ。

事務局

アルコール度数課税というのは、時々、そのようにしたらどうかということをマスコミの方等おっしゃるのですけれども、まず第一に、本当にアルコール度数だけでアルコール飲料について酒税をかけている国というのはないのですね。ですから、それなりに昔からある酒に関する各国の文化であるとか、実際の飲まれ方、扱われ方に応じて、同じアルコール度数でも税金に差異をかけているというのが実態なのだろうと思います。

日本にも長い間、お酒に関する文化がありまして、それぞれに飲まれ方、あるいは地位というものがある。であるがゆえに、この税制調査会でも、同種・同等のものには同様の課税みたいな考え方が出てきているのだと思います。ですから、アルコール度数課税してしまえばすっきりするではないかという意見あるのかもしれませんけれども、なかなか、そこまで踏み切るというのはいかがなものかという感じはいたします。

委員

若干要素は入っているのだね。アルコール度数で。ちょっと微妙な差をつけるぐらいですかね。使うとすると。

事務局

確かに、それぞれのお酒ごとに、例えば清酒であれば、同じ清酒、一応従量税になってますけれども、15度の清酒と16度の清酒があったときには16度の清酒のほうが、定額分だけ、1度当たり幾らという額だけ、従量税として税額は高くなります。そういう意味では、酒類に分けながら度数もある程度加味していると、こういう形になってます。

委員

ほかにいかがですか。まだ議論が出てないところあたりでお気づきの点ございますか。味覚のほうで大分議論が発展したけど。前に戻ってくださっても結構ですから。まだ30分あるので、時間もったいないと思いつつも、皆さんの議論がこれで集約され、ある方向にいっているならば、これでいいかなと思っておりますが。

委員

2ページの財政、歳出の側の話がありますよね。徐々にというか、絶対やれと。歳出削減急げという議論と、それから景気などを見ながら徐々にやれという2つ書いてあったと思うのですけれども、マルの2番目が徐々にですよね。それからマルの1番目が歳出削減しっかりやれというふうに強い意見ですよね。これ2つ考え方が違うわけですから、これはどっちかになるべく考え方をまとめていく必要があるのではないかと。私はその上のほうというか、歳出はもう、そうでなくても改革はかなりおくれているわけですから、遠慮する必要はないと思います。

委員

歳出削減がですね。

委員

歳出削減をもっと急げということをもっと強調してもいいのではないかと。

委員

ほかにございますか。どこかお気づきの点があれば。

それでは、いいかな、終わっても。――ごめんなさい。紹介するの、忘れちゃった。

事務局

ちょっと資産税関係でございますけれども、前回の基礎小で宿題が幾つかございましたので、それをちょっと簡単にご説明したいと思いますが、1つは贈与税の国際比較についてご質問がございました。それで、お手元の基礎小25-2で「補足説明資料」を配付させていただいております。

詳しい説明は省略いたしますけれども、基本的に各国とも累積課税をとっておりますので、基本的には税率とか基礎控除は相続税と同じということでございます。

ただ、アメリカなどは、贈与税について別途基礎控除1万1,000ドルというのが設けられておりまして、それを超えた部分について累積して課税されると。そういった違いは若干ございます。

それから先ほど委員のほうから、日本の相続時精算課税制度について、年齢で切っているのはなぜかというご質問がございましたので、あわせてちょっと簡単にご説明したいと思います。

基本的に、日本の制度は高齢者層の資産を若年層にできるだけ移転するという政策的な背景があるというのが1つございますけれども、あと、具体的には、実際執行するときに、贈与されてから相続までずっとその事実についてトレースしていく必要があるわけですけれども、年齢制限をある程度かけることによって事務負担についてある程度配慮している、あるいは納税される方の負担にも配慮しているということでございます。

ちなみに住宅につきましては、住宅という事実がある程度外形的にも明確でございますので、そこについては年齢制限は一部解除しているということでございます。

それから2つ目の宿題ですけれども、贈与税の執行状況、特に現・預金の贈与についてどのぐらい調査をしているのかというご質問がございまして、これは国税庁に照会いたしました結果を国税庁になりかわりましてご報告いたしますと、これはちょっと資料がございませんけれども、基本的に、国税当局としてあらゆる機会を通じて、マスコミ情報ですとか、探聞情報とか、そういったものを使っていろいろ資料情報の収集をしていると。その中には資産の動きに関する情報も入っていると。

ご指摘は、現金などの贈与についてどうかということですけれども、現金の贈与は、通常、最終的には資産の購入という形であらわれてくるわけですので、その高額な資産を購入された場合について、あらかじめ収集した情報に基づいて、収入の状況や年齢などを勘案して贈与税の申告が必要と認められる方に対して、その購入代金の資金の出所などをお尋ねするというようなことをやっているということでございます。

また、他税目、例えば所得税ですとか相続税などの調査を通じて贈与の事実が判明したときには、それに対して対応しているということでございました。

以上でございます。

委員

タンス預金なんていうのはつかまるのですか。そこが皆さん疑問になっているところだと思う。資産買えばわかるよ。それはね。難しいのでしょうな、そこは。でも、ちゃんと建前上は捕捉してますと言わざるを得ないでしょうな。

委員

ここに1行も書いてないことで会長にお願いがあるのですけれども、我々は制度面の議論をいつもやっているのですよね。ところが、だれかが国税庁長官になって、巨大な組織で動かして、執行体制を組んでやっているわけだ。最近ちょっと長官に会ったら、ある新聞に後で出ていたけれども、消費税絡みで、免税点に絡んで、とにかく自分が乗り込んでみたら、彼がここで局長やっているときに比べたらものすごく煩瑣で、えらいことだと言って悲鳴上げていたのですよ。これは実際そうらしいのですね。どうやっているかよくわからないけどね。

ほかにも執行上の問題というのは幾つかあるらしいので、もし時間があればの話ですよ。大抵1回ぐらいは執行条件についてご意見を聞くというのを我々はやってましたから、聞いておくと、ここにちょっと消費税絡みのことにも触れることにもなるのだけれども、チャンスがあったらしてもらいたいということだけです。

委員

3,000万を1,000万に免税点下げた結果、どのような新たな煩瑣なというか、難しい執行上の問題あるかどうか、実際面聞きたいということね。機会を見つけていずれ、来年の1月から個人業主が始まりますから、その辺を少し質問される場合もあるだろうし、税調委員というのはどこから矢が飛んでくるかわからないから、ある程度基本的な話は押さえておかないと、と思いますから、事務局にお願いして、その整理、してもらいましょう。私も関心があります。

ほかに、別にこれに絡まない話で、どうぞ。

委員

「総論」を書くときに、この20年ぐらい、税制改正というのは全部、構造改革、税の構造改革をやってきたのであって、歳入そのものを増やすという、いわゆるネット減税の思想がなかったと。そういう時期ではなくなってきたということをやはり書いたほうがいいのではないかと思うのですけどね。

人口が減っていくわけですから、人口が減っていくということはやはり負担が増えるということだと思うのですね。ごく大ざっぱに言って、人口の少ない国というのは税負担が高いのですよ。それこそデンマーク、スウェーデンではないですけれども。非常に人口の多い国というのは大体負担率低いわけですね。それはそうせざるを得ないという。国としてやっていくためにはということもあるのでしょうから、今まで上り坂でずうっと来たのですけれども、これから下り坂になるわけですから、何かそこで税というものに対する姿勢も、単なる構造改革だけではなくて、ネットの歳入を上げるということが非常に重要な問題になるということを上手に入れたらいかがかと思いますが。

委員

じゃ文章が出た段階で、上手か下手かちょっと吟味する必要がありますね。

委員

上手に書こうが何書こうが、大宣言ですよ。それ1行あるだけで。しかし、そういうつもりでやっているのですからね。ここはね。一応はそうだと思いますよ。

委員

明確にはこれまでその記載はなかったといえばなかったかもしれない。課税の公平・中立・簡素というのはある意味では構造改革に資するための一応のスローガンですからね。

委員

2ページのところに三位一体改革のことなんかは書いてあるのですけれども、今、小泉政権が進めようとしている郵政改革を国債市場に混乱なく進めていこうとすれば、長期的な財政規律に対する信任というのは一段と今後必要になるということだと思っています。その意味で、郵政問題は裏側は財政問題ですので、これを改革しようといった場合には非常に、いま一層の規律に対する信任が市場関係者からも必要になると思います。

委員

ありがとうございます。財政規律問題を少し表に取り上げて、まさに増収策に出なければいけないということを含めて、その辺うまく書くということは1つ大きな我々の役目かもしれませんね。

委員

先ほどの委員がおっしゃったことにもちろん賛成ではあるのですけれども、過去20年で考えて、全然増税してこなかったので、このたび増税路線に変えますというので本当に適切な整理なのかとちょっと疑問があって、90年代になって、それから、とりわけ小渕内閣以降極めて大きな減税をしてきていて、その間やはり財政規律に関して目をつむってきたのだという、いわば長期の話に加えて短期の話ですよね。これを考えれば、きちんとやはり財政規律を考えなくては長期的にもできない時期に来たのですということを言っていただくという、ある種の長期と短期を合わせるということが大事なのではないかと思うのですけれども。

委員

言っていただくって、我々は言うのだからさ。そこで文章を考えましょう。――ほかに何かお気づきの点ございますか。

それでは、若干早めなのだけれども、これは議論の時間をとるだけが能ではありませんし、よくまとめてもらっているし、ある方向は出ているからという形で、そう激論を交わすところもないということですかね。そういう意味では、来年度税制改正はあまり目玉がないのかもしれないけれども、一つの方向は出ているでしょう。

あと、時間的な限りもございますから、効率的に審議を進めたいと思いますし、それにつきまして、次のようにお願いをしておきたいと思います。

次回の基礎問題小委員会は9日火曜日で、1時から開催をいたします。1時からというのは、3時から総会をやりたいということでありますので、来週はダブルヘッダーになるということをちょっとお考えください。

それで、テーマが、先ほどのご質問に対してお答えしたのだけれども、個人所得課税と法人課税、三位一体の話もそのころ少し煮詰まってきたのが出るのかどうかわかりませんが、中間報告も踏まえてそれを絡ませて議論したいと思ってます。

それから、その後、総会を開きまして、この個人所得課税、法人課税、それから今日のボキボキと言われるようなものの主要論点についても、やはりメンバーの方からご議論いただかなければいけないので、そういう形で。2時間ずつ4時間やるので大変ですが、皆さんその辺は覚悟していてください。

それから9日の後、12日にはまた、先ほどから言っておりますように、中央環境審議会とか産業構造審議会等々で環境税の具体案が出てくると思いますので、それを受けて、最初に基礎問題小委員会を開きまして、1時から2時半まで、環境税につきまして賛否両論の意見を整理して、皆さんの意見を聞きたいと思います。

それから、これまでやりますと一通りの議論が整理される方向にありますので、起草作業というものをしなければいかんと思ってますので、12日、2時半から4時まで、最初の起草会合をしたいと思っております。例年どおり、起草会合は基礎問題小委員会の先生方に兼ねていただいておりますので、基礎問題小委員会と同じメンバーで起草会合をやるという形にいたしたいと思います。

したがいまして、来週は12日は1時間半ずつ2回ということになりますね。3時間ですね。1時から4時まで、ぜひおとりおきいただきたいと思います。だから、9日が1時から5時まで、2時間2つ、それから12日が1時から4時まで、1時間半ずつと。お忙しいところ申しわけありませんが、どうしても全部は出られない方も部分的にご出席いただけたらと考えております。

何かこの日程についてご質問ございますか。よろしゅうございますか。すみません。人使いが荒い税調になっておりますが。

委員

基礎小2回あって、総会1回でしょう。これね、総会メンバーと基礎小メンバーがほとんど8割ぐらいダブっているのですよね。そうすると、今度の9日の話は、前のほうは出ますけれども、あと同じ種類をまた総会の人に読んでいるのをじーっと聞いているのは相当の忍耐力が必要なのですよ。日がずれれば別ですよ。その日やっているわけだ。座りっぱなしで。何か工夫ができないものかと思っていたのですがね。

委員

前回、総会をやったときも、記者諸君と議論したときもそうですが、事務局、大変丁寧にご説明いただいたので、7~8割は事務局の説明で、あと2~3割しかなかったのです。議論はね。やり方としてやはり、初めて出てこられる方を前提に説明しなければいけませんからああなってしまうのですけどね。だから、もうちょっと、そもそも論ではなくて、そう言っては悪いけれども、結論的なところだけコンパクトにまとめるとかいう説明で、少なくとももう少し議論する時間をとらなければいけないと思いますよ。

そういう意味で、次回、つまり、2回、基礎小でたっぷりやったやつを1回の総会でまとめるということ自体が無理なのだね。物理的に。同じようにやれば。ちょっとこれ、事務局と相談して、退屈が退屈にならないような形で、皆さんの議論を喚起するような形でやりますから、ぜひぜひご出馬ください。

というのは、総会でまたいろんな逆の意見が出たときに基礎問題小委員会の意見が変わってしまうというのもまずいのですよね。今まで議論してきた積み重ねがあそこでがたがた変わってもしようがないから。そういう意味では、基礎問題小委員会の議論を少し全体の意見に広げるためには、基礎小の先生方の責任は大きいのだよ。そこは。ということです。よろしくお願いをいたします。

よろしゅうございますか。――それでは、どうも長時間ありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。